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特開2022-1720595,5-二置換ルシフェリン及びルシフェラーゼ系アッセイにおけるそれらの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172059
(43)【公開日】2022-11-15
(54)【発明の名称】5,5-二置換ルシフェリン及びルシフェラーゼ系アッセイにおけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/66 20060101AFI20221108BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20221108BHJP
   G01N 21/76 20060101ALI20221108BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20221108BHJP
   C07D 277/66 20060101ALN20221108BHJP
   C07D 513/04 20060101ALN20221108BHJP
   C07D 513/10 20060101ALN20221108BHJP
【FI】
C12Q1/66
G01N33/483 C
G01N21/76
C12Q1/02
C07D277/66
C07D513/04 325
C07D513/10
【審査請求】有
【請求項の数】34
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022110372
(22)【出願日】2022-07-08
(62)【分割の表示】P 2019529472の分割
【原出願日】2017-12-01
(31)【優先権主張番号】62/428,707
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】593089149
【氏名又は名称】プロメガ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Promega Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100196405
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 邦光
(72)【発明者】
【氏名】キロラン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】エンセル ランス ピー
(72)【発明者】
【氏名】ホール メアリー ピー
(72)【発明者】
【氏名】カークランド トーマス エイ
(72)【発明者】
【氏名】マイセンハイマー ポンチョ
(72)【発明者】
【氏名】シー ツェー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱安定性が改善され、一方でルシフェラーゼアッセイで光生成活性を保持するルシフェリンアナログ、および試料における発光を検出するin vitroの方法を提供する。
【解決手段】試料における発光を検出するin vitroの方法であって、試料を、例えば、5,5-ジエチル-2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;(S)-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸などからなる群から選択される化合物またはその互変異性体もしくは塩に接触させる工程を含む、方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I’)
(I’)
[式中、
1は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR1a、-NR1b1c、-OG1、-NR1x1、または-NR1x10であり、
2は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR2a、-NR2b2c、-SR2d、-SO22e、-S(O)R2f、-P(O)OR2g2h、-OG1、または-NR2x1であり、
3は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR3a、-NR3b3c、-SR3d、-SO23e、-S(O)R3f、-P(O)OR3g3h、-OG1、または-NR1x1であり、
4は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR4a、-NR4b4c、-SR4d、-SO24e、-S(O)R4f、-P(O)OR4g4h、-OG1、または-NR4x1であり、
5は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR5a、-NR5b5c、-SR5d、-SO25e、-S(O)R5f、-P(O)OR5g5h、-OG1、または-NR5x1であり、
あるいは、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になって、R3及びR4は、それらが結合している原子と一緒になって、またはR4及びR5は、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の飽和環、部分的不飽和環、または完全不飽和環を形成し、前記5員または6員の環は、O、N、S、NO、SO、及びSO2からなる群から各々独立して選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子もしくはヘテロ原子基を環員として任意に含み、前記5員または6員の環は、アリール、ヘテロアリール、複素環、またはシクロアルキルに任意に縮合し、前記5員または6員の環は、0個、1個、2個、3個、または4個の置換基で置換されており、前記置換基は、各々独立して、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、スルファニル、アシル、-OG1、-NHG1、及び-N(C1-C10アルキル)G1からなる群から選択され、
1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2f、R2g、R2h、R3a、R3b、R3c、R3d、R3e、R3f、R3g、R3h、R4a、R4b、R4c、R4d、R4e、R4f、R4g、R4h、R5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5f、R5g,及びR5hは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルから各々独立して選択され、
1x、R2x、R3x、R4x、及びR5xは、各々独立して、水素またはC1-C12アルキルであり、
1は、第1の酵素の基質を含み、前記第1の酵素による前記基質の生体内変換は、G1をHに変換するものであり、
-NR1x10は、前記-NR1x10基を-OHに変換するために第2の酵素により切断可能な基であり、かつ
1及びW2は、各々独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルからなる群から選択されるか、または
1及びW2は、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロアルキル、シクロアルケニル、または複素環を形成し、
各出現における前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の置換基で独立して置換されており、前記置換基の各々は独立して、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、スルファニル、及びアシルからなる群から選択される]
の化合物またはその互変異性体もしくは塩(ただし、前記化合物は、2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸でも、2-(6-アミノベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸でもない)。
【請求項2】
式(I)
(I)
[式中、
1は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR1a、または-NR1b1cであり、
2は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR2a、-NR2b2c、-SR2d、-SO22e、-S(O)R2f、または-P(O)OR2g2hであり、
3は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR3a、-NR3b3c、-SR3d、-SO23e、-S(O)R3f、または-P(O)OR3g3hであり、
4は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR4a、-NR4b4c、-SR4d、-SO24e、-S(O)R4f、または-P(O)OR4g4hであり、
5は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR5a、-NR5b5c、-SR5d、-SO25e、-S(O)R5f、または-P(O)OR5g5hであり、
あるいは、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になって、R3及びR4は、それらが結合している原子と一緒になって、またはR4及びR5は、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の飽和環、部分的不飽和環、または完全不飽和環を形成し、前記5員または6員の環は、任意に、O、N、S、NO、SO、及びSO2からなる群から各々独立的に選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子もしくはヘテロ原子基を環員として含有し、前記5員または6員の環は、任意に、アリール、ヘテロアリール、複素環、またはシクロアルキルに縮合し、前記5員または6員の環は、0個、1個、2個、3個、または4個の置換基で置換されており、前記置換基は、各々独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、スルファニル、及びアシルからなる群から選択され、
1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2f、R2g、R2h、R3a、R3b、R3c、R3d、R3e、R3f、R3g、R3h、R4a、R4b、R4c、R4d、R4e、R4f、R4g、R4h、R5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5f、R5g,及びR5hは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルから各々独立的に選択され、かつ
1及びW2は、各々独立的に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルからなる群から選択され、または
1及びW2は、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロアルキル、シクロアルケニル、または複素環を形成し、
各出現における前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルは、独立的に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の置換基で置換されており、前記置換基の各々は独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、スルファニル、及びアシルからなる群から選択される]
の化合物またはその互変異性体もしくは塩(ただし、前記化合物は、2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸でも、2-(6-アミノベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸でもない)。
【請求項3】
1が、-OHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
2、R3、R4、及びR5が、各々独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニル、-OH、及び-NH2からなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
4が、-OR4aまたは-NR4b4cである、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
3及びR4が、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の、任意に置換された、飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の環を形成している、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
4及びR5が、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の環を形成している、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
3及びR4が、それらが結合している原子と一緒になって、6員の任意に置換された複素環を形成し、R4及びR5が、それらが結合している原子と一緒になって、6員の任意に置換された複素環を形成し、このとき、前記2つの6員環が縮合している、請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
1及びW2が、各々アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
1及びW2が、それらが結合している原子と一緒になって、シクロアルキルを形成している、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
式(I-a)
(I-a)
[式中、
A及びBは、各々独立して、任意で、アリール、ヘテロアリール、及び複素環からなる群から選択される5員または6員の環であり、Aは、存在する場合、1つ以上のRAで任意に置換され、Bは、存在する場合、1つ以上のRBで任意に置換され、RA及びRBの各々は、存在する場合、独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、-OH、-NH2、またはアルキル-NH-であり、
A及びBの両方が不在の場合、Qは、-ORQ1または-NRQ1Q1であり、各出現におけるRQ1は、独立して、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキルであり、あるいは、A及びBのうちの少なくとも1つが存在する場合、Qは、C、CRQ2、CRQ2Q2、N、NRQ2、またはOであり、各出現におけるRQ2は、独立して、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキルであり、
Rは、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、またはシクロアルケニルであり、
pは、0、1、2、または3である]
を有する、請求項2に記載の化合物またはその互変異性体もしくは塩。
【請求項12】
式(I-b)または(I-c)
(I-b)
(I-c)
[式中、
mは、0、1、2、または3であり、
pは、0、1、または2である]
を有する、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
式(I-d)
(I-d)
[式中、
nは、0、1、2、または3であり、
pは、0、1、または2である]
を有する、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
式(I-e)
(I-e)
[式中、
mは、0、1、2、または3であり、
nは、0、1、2、または3であり、
pは、0または1である]
を有する、請求項11に記載の化合物。
【請求項15】
式(I-f)
(I-f)
[式中、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、または8である]
を有する、請求項11に記載の化合物。
【請求項16】
式(I-g)
(I-g)
[式中、
は、
であり、これらの各々は、任意に置換されている]
【請求項17】
以下の化合物:
5-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4-チア-6-アザスピロ[2.4]ヘプタ-5-エン-7-カルボン酸;
6-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5-チア-7-アザスピロ[3.4]オクタ-6-エン-8-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-1-チア-3-アザスピロ[4.4]ノナ-2-エン-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-1-チア-3-アザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸;
5,5-ジエチル-2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(R)-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(7-アミノナフト[2,1-d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-5,5-ジメチル-2-(6-(ピロリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-チアゾロ[4,5-f]インドール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(6-((3-ヒドロキシプロピル)アミノ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-1-チア-3-アザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸;
5,5-ジベンジル-2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
5,5-ジエチル-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-1-チア-3-アザスピロ[4.6]ウンデカ-2-エン-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-メチル-1-チア-3-アザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-メチル-1-チア-3,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジプロピル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;及び
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-オキサ-1-チア-3-アザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸、
からなる群から選択される、請求項2に記載の化合物またはその互変異性体もしくは塩。
【請求項18】
式(II)
(II)
[式中、R4は、-OG1、-NHG1、または-N(C1-C12アルキル)G1である]
の化合物である、請求項1に記載の化合物またはその互変異性体もしくは塩。
【請求項19】
式(II-a)
(II-a)
[式中、G2はペプチドである]
の化合物である、請求項18に記載の化合物またはその互変異性体もしくは塩。
【請求項20】
2が、非ルシフェラーゼ酵素向けの基質である、請求項19に記載の化合物、またはその互変異性体もしくは塩。
【請求項21】
5,5-二置換ルシフェリンアナログを含む、キット。
【請求項22】
前記5,5-二置換ルシフェリンアナログが、請求項1及び18~20のいずれか1項に記載の化合物である、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
前記5,5-二置換ルシフェリンアナログが、請求項2~17のいずれか1項に記載の化合物、2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸、または2-(6-アミノベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸である、請求項21に記載のキット。
【請求項24】
ルシフェラーゼをさらに含む、請求項21に記載のキット。
【請求項25】
緩衝液試薬をさらに含む、請求項21に記載のキット。
【請求項26】
試料における発光を検出する方法であって、
試料を、5,5-二置換ルシフェリンアナログに接触させる工程と、
前記試料中にルシフェリン利用ルシフェラーゼが存在しない場合、前記試料をルシフェリン利用ルシフェラーゼに接触させる工程と、
発光を検出する工程と
を含む、方法。
【請求項27】
前記5,5-二置換ルシフェリンアナログが、請求項1及び18~20のいずれか1項に記載の化合物である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記5,5-二置換ルシフェリンアナログが、請求項2~17のいずれか1項に記載の化合物、2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸、または2-(6-アミノベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記試料が、生細胞を含有している、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記試料が、ルシフェリン利用ルシフェラーゼを含有している、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
遺伝子導入動物における発光を検出する方法であって、
5,5-二置換ルシフェリンアナログを遺伝子導入動物に投与する工程と、
発光を検出する工程と
を含み、
前記遺伝子導入動物が、ルシフェリン利用ルシフェラーゼを発現している、方法。
【請求項32】
前記5,5-二置換ルシフェリンアナログが、請求項1及び18~20のいずれか1項に記載の化合物である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記5,5-二置換ルシフェリンアナログが、請求項2~17のいずれか1項に記載の化合物、2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸、または2-(6-アミノベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
試料中でATPを検出する方法であって、(a)前記試料に、請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物を含む試薬組成物を添加する工程と、(b)発光を検出する工程とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月1日に出願された米国仮出願第62/428,707号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、ルシフェリンアナログと、ルシフェリンアナログを作製する方法と、ルシフェラーゼ系アッセイにおいてルシフェリンアナログを使用する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
生物発光アッセイは、細胞生理学の研究、特に遺伝子発現に関連するプロセスの研究において、広く使用されている。特に、ルシフェラーゼレポーター酵素は、当該分野において非常に価値のあるツールであり、現在に至るまで、生物発光アッセイにおいて有用であり得る小型かつ環境的に非感受性のルシフェラーゼを取得するために、懸命にタンパク質工学が駆使されてきた。全細胞のバイオセンサー測定、高スループットスクリーニングを通じての創薬、及びin vivoイメージングを可能にする複数の効率的なルシフェラーゼレポーターが存在する。このin vivoイメージングは、生細胞、アポトーシス、及び細胞生存率におけるタンパク質間相互作用の研究も可能にする。ルシフェリン及びルシフェリンアナログを基質として使用するルシフェラーゼは、全細胞の用途におけるその明るさと許容性ゆえに、最も広く使用されている系である。例えば、ホタルルシフェラーゼ及び様々な甲虫ルシフェラーゼは、ルシフェリン、マグネシウムイオン、酸素、及びATPの存在下で発光を生成する。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、5,5-二置換ルシフェリンまたはルシフェリンアナログが開示される。また、当該化合物を作製する方法、当該化合物を含むキット、及び当該化合物をルシフェラーゼ系アッセイにおけるルシフェラーゼ基質として使用する方法も、開示される。また、1つ以上のルシフェラーゼ及び1つ以上の5,5-二置換ルシフェリンアナログを含む検出系も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、D-ルシフェリン及びデヒドロルシフェリンの構造を環原子のナンバリングと共に示している。
図2A図2Aは、ルシフェリンの代表的な熱安定性プロファイルを示している。
図2B図2Bは、デヒドロルシフェリンによるルシフェラーゼ活性の阻害を示している。
図3A図3Aは、5,5-ジメチルルシフェリンIII-a(6-OH化合物)及びIII-b(6-NH2化合物)の構造を示している。
図3B図3Bは、化合物III-aまたはIII-bの熱安定性をルシフェリンと比較して示している。
図4A図4A図4Dは、様々なルシフェラーゼ酵素を用いたルシフェラーゼアッセイの結果を示している。
図4B図4A図4Dは、様々なルシフェラーゼ酵素を用いたルシフェラーゼアッセイの結果を示している。
図4C図4A図4Dは、様々なルシフェラーゼ酵素を用いたルシフェラーゼアッセイの結果を示している。
図4D図4A図4Dは、様々なルシフェラーゼ酵素を用いたルシフェラーゼアッセイの結果を示している。
図5A図5A図5Fは、様々な基質濃度におけるルシフェラーゼアッセイの結果を示している。
図5B図5A図5Fは、様々な基質濃度におけるルシフェラーゼアッセイの結果を示している。
図5C図5A図5Fは、様々な基質濃度におけるルシフェラーゼアッセイの結果を示している。
図5D図5A図5Fは、様々な基質濃度におけるルシフェラーゼアッセイの結果を示している。
図5E図5A図5Fは、様々な基質濃度におけるルシフェラーゼアッセイの結果を示している。
図5F図5A図5Fは、様々な基質濃度におけるルシフェラーゼアッセイの結果を示している。
図6A図6A図6Bは、様々なpHにおけるルシフェラーゼアッセイの結果を示している。
図6B図6A図6Bは、様々なpHにおけるルシフェラーゼアッセイの結果を示している。
図7図7は、5.5位に置換を有する代表的なルシフェリンアナログにおけるUltraGlo(商標)ルシフェラーゼ向けの基質としての発光アッセイ結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
D-ルシフェリン(図1)は、ホタルルシフェラーゼ及びコメツキムシルシフェラーゼ向けの天然基質であり、ルシフェラーゼレポーター酵素を用いた生物発光アッセイにおける基質として使用することができる。しかし、D-ルシフェリンは、熱的に不安定であり、周囲温度のストック溶液中で経時的に分解する。ルシフェリンの分解生成物としてデヒドロルシフェリンが同定された。このデヒドロルシフェリンは、ルシフェラーゼの強力な阻害物質であり、ルシフェラーゼ系の生物発光アッセイで光出力の減少をもたらす恐れがある。熱安定性が改善され、一方でルシフェラーゼアッセイで光生成活性を保持するルシフェリンアナログが必要とされている。
【0007】
一態様では、5,5-二置換ルシフェリンアナログが開示される。本開示化合物は、予想外の熱安定性を示すことができ、また、ルシフェリン分解生成物に起因する阻害が存在しないルシフェラーゼ検出系を提供することができる。本開示化合物は、ルシフェリンを溶液中で周囲温度にて長期間にわたり保管することが必要とされる用途に対し、特に有用であり得る。また、本開示化合物は、多くの生細胞生物発光アッセイまたは生細胞イメージング法で長い持続時間を提供することもできる。
【0008】
本開示化合物は、発光を生成するためにルシフェリンを利用するルシフェラーゼ酵素(「ルシフェリン利用酵素」)用の基質であると考えられ、このような酵素としては、以下に限定されないが、甲虫類(例えば、Photinus pyralis及びPhoturis pennsylvanica(北米のホタル))、Pyrophorus plagiophthalamus(ジャマイカのコメツキムシ)、Renilla reniformis(ウミシイタケ)、ならびにいくつかの細菌類(Xenorhabdus luminescens及びVibrio spp)のような様々な生物に見いだされるルシフェラーゼ及び発光タンパク質が挙げられる。
【0009】
5,5-二置換ルシフェリンは、ホタルルシフェラーゼ媒介のプロセスを介して光を生成することができないと歴史的に考えられている。特に5-5二置換ルシフェリンは、一般的には、酵素的プロセスを介して(例えば、ホタルルシフェラーゼにより)ではなく、化学発光プロセスを介してのみ光を生成すると考えられている。驚くべきことに、本開示化合物は、ホタルルシフェラーゼ及びコメツキムシルシフェラーゼにより利用されて、酵素的プロセスを介し発光を生成することができる。さらに、ルシフェラーゼは、5,5-二置換ルシフェリンアナログの様々な立体異性体形態及び混合物(例えば、L形態及びD形態)を有効に利用して生物発光を生成することができ、また幅広いpH範囲にわたり機能することができる。これにより、ラセミ化がシグナル安定性を損なう恐れのある用途でラセミ体を使用することが可能になる。
【0010】
1.定義
別途定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術的用語及び科学的用語は、当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。矛盾が生じる場合は、定義を含め、本文書が優先される。好ましい方法及び材料を以下に記載するが、本明細書に記載されている方法及び材料と同様または同等であるものも、本発明の実施及び試験で使用することができる。本明細書で言及されている全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書で開示されている材料、方法、及び実施例は、例示的なものに過ぎず、限定的であるようには意図されていない。
【0011】
本明細書で使用される「~を含む(comprise)」、「~を含む(include)」、「~を有する(having)」、「~を有する(has)」、「~することができる(can)」、「~を含有する(contain)」という用語、及びこれらの変形は、追加的な行為または構造の可能性を排除しないオープンエンドな移行句、用語、または単語であるように意図されている。文脈による別段の明確な定めがない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」には複数の指示対象が含まれる。また、本開示は、明示的に示されているか否かにかかわらず、本明細書で提示されている実施形態または要素「を含む」または「から本質的になる」他の実施形態も企図している。
【0012】
量に関連して使用される「約」という修飾語は、記載された値を含み、文脈により定められた意味を有する(例えば、「約」は、少なくとも、特定の量の測定に関連した誤差の程度を含む)。また、「約」という修飾語は、2つの終点の絶対値により定義された範囲を開示するものとしてみなされるべきである。例えば、「約2~約4」という表現は、「2~4」という範囲も開示している。「約」という用語は、示された数字のプラスマイナス10%を指すことができる。例えば、「約10%」は9%~11%の範囲を示すことができ、「約1」は0.9~1.1を意味することができる。「約」の他の意味は、四捨五入のように文脈から明らかになる場合があり、そのため、例えば「約1」は0.5~1.4を意味する場合もある。
【0013】
特定の官能基及び化学用語の定義を、下記でさらに詳細に記載する。本開示の目的において、化学元素は、Periodic Table of the Elements,CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.(表紙裏)に従って同定され、特定の官能基は、概して、当該文献に記載されている通りに定義されている。さらに、有機化学の一般的原理や、特定の機能部分及び反応性は、Organic Chemistry,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito,1999;Smith and March March’s Advanced Organic Chemistry,5th Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2001;Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York,1989;Carruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載されており、これらの各々の内容全体が、参照により本明細書に組み入れられる。
【0014】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、本明細書で定義されているアルキル基であって、酸素原子を介して親分子部分に付加されているアルキル基を指す。アルコキシの代表例としては、以下に限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、及びtert-ブトキシが挙げられる。
【0015】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、1~10個の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状の飽和した炭化水素鎖を意味する。「低級アルキル」または「C1-C6アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子を含有する、直鎖状鎖または分枝状鎖の炭化水素を意味する。「C1-C3アルキル」という用語は、1~3個の炭素原子を含有する直鎖状鎖または分枝状鎖の炭化水素を意味する。アルキルの代表例としては、以下に限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、及びn-デシルが挙げられる。
【0016】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素間二重結合を伴った、2~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖を意味する。アルケニル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。例えば、アルケニル基は、フェニルのようなアリール基で置換されていてもよい。
【0017】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素間三重結合を伴った、2~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖を意味する。アルキニル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。例えば、アルキニル基は、フェニルのようなアリール基で置換されていてもよい。
【0018】
本明細書で使用される「アルコキシアルキル」という用語は、本明細書で定義されているアルコキシ基であって、本明細書で定義されているアルキル基を介して親分子部分に付加されているアルコキシ基を指す。
【0019】
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、1~10個の炭素原子の、例えば2~5個の炭素原子の、直鎖状鎖または分枝状鎖の炭化水素に由来する、二価の基を指す。アルキレンの代表例としては、以下に限定されないが、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、及び-CH2CH2CH2CH2CH2-が挙げられる。
【0020】
「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸の両方を指す。また、保護された天然アミノ酸及び非天然アミノ酸も含む。
【0021】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、フェニル基、または二環式アリールもしくは三環式アリールの縮合環系を指す。二環式縮合環系の適例は、親分子部分に付加され、フェニル基に縮合しているフェニル基である。三環式縮合環系の適例は、親分子部分に付加され、他の2個のフェニル基に縮合しているフェニル基である。二環式アリールの代表例としては、以下に限定されないが、ナフチルが挙げられる。三環式アリールの代表例としては、以下に限定されないが、アントラセニルが挙げられる。単環式、二環式、及び三環式のアリールは、環内に含まれる任意の炭素原子を介して親分子部分に接続しており、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0022】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、3~10個の炭素原子と、0個のヘテロ原子と、ゼロの二重結合とを含有する炭素環式環系を指す。シクロアルキルの代表例としては、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、及びシクロデシルが挙げられる。また、「シクロアルキル」は、シクロアルキル基が親分子部分に付加され、かつ本明細書で定義されているアリール基、本明細書で定義されているヘテロアリール基、または本明細書で定義されている複素環に縮合している、炭素環式環系も含む。
【0023】
本明細書で使用される「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素間二重結合を含有し、好ましくは環当たり5~10個の炭素原子を有する、非芳香族の単環式環系または多環式環系を意味する。例示的な単環式シクロアルケニル環としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、またはシクロへプテニルが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用される「フルオロアルキル」という用語は、本明細書で定義されているアルキル基であって、1、2、3、4、5、6、7、または8個の水素原子がフッ素により置き換えられているアルキル基を意味する。フルオロアルキルの代表例としては、以下に限定されないが、2-フルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、及び3,3,3-トリフルオロプロピルのようなトリフルオロプロピルが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される「アルコキシフルオロアルキル」という用語は、本明細書で定義されているアルコキシ基であって、フルオロアルキル基を介して親分子部分に付加されているアルコキシ基を指す。
【0026】
本明細書で使用される「フルオロアルコキシ」という用語は、少なくとも1個の、本明細書で定義されているフルオロアルキル基が、酸素原子を介して親分子部分に付加されていることを意味する。フルオロアルキルオキシの代表例としては、以下に限定されないが、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、及び2,2,2-トリフルオロエトキシが挙げられる。
【0027】
本明細書で使用される「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、Cl、Br、I、またはFを意味する。
【0028】
本明細書で使用される「ハロアルキル」という用語は、本明細書で定義されているアルキル基であって、1、2、3、4、5、6、7、または8個の水素原子がハロゲンにより置き換えられているアルキル基を意味する。
【0029】
本明細書で使用される「ハロアルコキシ」という用語は、少なくとも1個の、本明細書で定義されているハロアルキル基が、酸素原子を介して親分子部分に付加されていることを意味する。
【0030】
本明細書で使用される「ヘテロアルキル」という用語は、本明細書で定義されているアルキル基であって、炭素原子のうちの1個以上が、S、Si、O、P、及びNから選択されるヘテロ原子により置き換えられているアルキル基を意味する。このヘテロ原子は、酸化されていてもよい。ヘテロアルキルの代表例としては、以下に限定されないが、アルキルエーテル、2級及び3級アルキルアミン、アミド、ならびにアルキルスルフィドが挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、芳香族の単環式環、または芳香族の二環式環系、または芳香族の三環式環系を指す。芳香族の単環式環は、N、O、及びSからなる群から独立的に選択される少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、S、及びNから独立的に選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子)を含有する、5員または6員の環である。5員の芳香族の単環式環は、2つの二重結合を有し、6員の芳香族の単環式環は、3つの二重結合を有する。二環式ヘテロアリール基の適例は、親分子部分に付加され、かつ本明細書で定義されている単環式シクロアルキル基、本明細書で定義されている単環式アリール基、本明細書で定義されている単環式へテロアリール基、または本明細書で定義されている単環式複素環に縮合している、単環式へテロアリール環である。三環式ヘテロアリール基の適例は、親分子部分に付加され、かつ本明細書で定義されている単環式シクロアルキル基、本明細書で定義されている単環式アリール基、本明細書で定義されている単環式へテロアリール基、または本明細書で定義されている単環式複素環のうちの2つに縮合している、単環式へテロアリール環である。単環式へテロアリールの代表例としては、以下に限定されないが、ピリジニル(ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イルを含む)、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、フリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、及び2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジニルが挙げられる。二環式へテロアリールの代表例としては、以下に限定されないが、クロメニル、ベンゾチエニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、チエノピロリル、チエノチエニル、イミダゾチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、イミダゾピリジン、ベンゾオキサジアゾリル、及びベンゾピラゾリルが挙げられる。三環式ヘテロアリールの代表例としては、以下に限定されないが、ジベンゾフラニル及びジベンゾチエニルが挙げられる。単環式、二環式、及び三環式のヘテロアリールは、環内に含まれる任意の炭素原子または任意の窒素原子を介して親分子部分に接続しており、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0032】
本明細書で使用される「複素環」または「複素環式」という用語は、単環式複素環、二環式複素環、または三環式複素環を意味する。単環式複素環は、O、N、及びSからなる群から独立的に選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する、3員、4員、5員、6員、7員、または8員の環である。3員または4員の環は、ゼロまたは1つの二重結合と、O、N、及びSからなる群から選択される1個のヘテロ原子とを含有する。5員の環は、ゼロまたは1つの二重結合と、O、N、及びSからなる群から選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子とを含有する。6員の環は、ゼロ、1つ、または2つの二重結合と、O、N、及びSからなる群から選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子とを含有する。7員及び8員の環は、ゼロ、1つ、2つ、または3つの二重結合と、O、N、及びSからなる群から選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子とを含有する。単環式複素環の代表例としては、以下に限定されないが、アゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオラニル、1,3-ジチアニル、1,3-ジメチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキセタニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、1,2-チアジナニル、1,3-チアジナニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニル、及びトリチアニルが挙げられる。二環式複素環は、フェニル基に縮合した単環式複素環、または単環式シクロアルキルに縮合した単環式複素環、または単環式シクロアルケニルに縮合した単環式複素環、または単環式複素環に縮合した単環式複素環、またはスピロ複素環基、あるいは、環における隣接していない2個の原子が、1、2、3、もしくは4個の炭素原子のアルキレン架橋により、または2、3、もしくは4個の炭素原子のアルケニレン架橋により連結している、架橋した単環式複素環環系である。二環式複素環の代表例としては、以下に限定されないが、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クロマニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、2,3-ジヒドロベンゾチエニル、2,3-ジヒドロイソキノリン、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル、アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル(2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルを含む)、2,3-ジヒドロ-1H-インドリル、イソインドリニル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、オクタヒドロピロロピリジニル、及びテトラヒドロイソキノリニルが挙げられる。三環式複素環の適例は、フェニル基に縮合した二環式複素環、または単環式シクロアルキルに縮合した二環式複素環、または単環式シクロアルケニルに縮合した二環式複素環、または単環式複素環に縮合した二環式複素環、あるいは、二環式環における隣接していない2個の原子が、1、2、3、もしくは4個の炭素原子のアルキレン架橋により、または2、3、もしくは4個の炭素原子のアルケニレン架橋により連結している、二環式複素環である。三環式複素環の例としては、以下に限定されないが、オクタヒドロ-2,5-エポキシペンタレン、ヘキサヒドロ-2H-2,5-メタノシクロペンタ[b]フラン、ヘキサヒドロ-1H-1,4-メタノシクロペンタ[c]フラン、アザ-アダマンタン(1-アザトリシクロ[3.3.1.13.7]デカン)、及びオキサ-アダマンタン(2-オキサトリシクロ[3.3.1.13.7]デカン)が挙げられる。単環式、二環式、及び三環式の複素環は、環内に含まれる任意の炭素原子または任意の窒素原子を介して親分子部分に接続しており、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0033】
本明細書で使用される「ヒドロキシル」という用語は、-OH基を意味する。
【0034】
本明細書で使用される「ヒドロキシアルキル」という用語は、本明細書で定義されているアルキル基であって、1、2、3、4、5、6、7、または8個の水素原子がヒドロキシル基により置き換えられているアルキル基を意味する。
【0035】
一部の場合において、ヒドロカルビル置換基(例えば、アルキルまたはシクロアルキル)における炭素原子の数は、プレフィックス「Cx-Cy-」(式中、xは、置換基における炭素原子の最小数であり、yは、置換基における炭素原子の最大数である)により示される。したがって、例えば、「C1-C3-アルキル」とは、1~3個の炭素原子を含有するアルキル置換基を指す。
【0036】
「置換された」という用語は、1個以上の非水素置換基でさらに置換され得る基を指す。置換基としては、以下に限定されないが、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、及びアシルが挙げられる。
【0037】
本明細書に記載されている化合物について、その基及び置換基は、許容される原子価及び置換基に従って選択することができ、この選択及び置換により、安定した化合物、例えば、転位、環化、脱離などによるような変換を自発的に起こさない化合物がもたらされるようにする。
【0038】
「ATP検出混合物」は、試料中のATP検出を可能にする材料を含有する。必要な材料、ならびに発光シグナルの生成に必要となる材料の特定の濃度及び/または量は、使用するルシフェラーゼ酵素及び実施するルシフェラーゼ系アッセイのタイプに応じて変動することになる。概して、甲虫ルシフェラーゼの場合、このような材料としては、マグネシウム(Mg2+)塩、例えば、硫酸マグネシウム、ルシフェラーゼ酵素、例えば、UltraGloルシフェラーゼ(Promega Corporation)、及びルシフェラーゼ基質、例えば、ルシフェリン、ルシフェリン誘導体、機能的アナログ、またはルシフェラーゼ基質(例えば、本明細書で開示されているルシフェリン誘導体)が甲虫ルシフェラーゼ向けの基質として使用された場合に光の生成が可能な新規のルシフェリン誘導体が挙げられ得る。しばしば、以下を含めた他の材料も溶液に添加されることになる:適正なpHでの反応を維持するための緩衝液、ルシフェラーゼ活性を維持する一助とするためのPRIONEXまたはウシ血清アルブミン(BSA)のような添加物、還元剤、洗浄剤、エステラーゼ、塩、アミノ酸(例えば、D-システイン)など。ルシフェラーゼ検出混合物の一例として、ルシフェラーゼ酵素、ルシフェラーゼ基質、MgSO4、Tergitol NP-9、及びトリシンを含有するものが考えられる。
【0039】
「ルシフェラーゼ検出混合物」は、試料中のルシフェラーゼ酵素検出を可能にする材料を含有する。必要な材料、ならびに発光シグナルの生成に必要となる材料の特定の濃度及び/または量は、使用するルシフェラーゼ酵素及び実施するルシフェラーゼ系アッセイのタイプに応じて変動することになる。概して、甲虫ルシフェラーゼの場合、このような材料としては、ATP、マグネシウム(Mg2+)塩、例えば、硫酸マグネシウム、及びルシフェラーゼ基質、例えば、ルシフェリン、ルシフェリン誘導体、機能的アナログ、またはルシフェラーゼ基質(例えば、本明細書で開示されているルシフェリン誘導体)が甲虫ルシフェラーゼ向けの基質として使用された場合に光の生成が可能な新規のルシフェリン誘導体が挙げられ得る。しばしば、以下を含めた他の材料も溶液に添加されることになる:適正なpHでの反応を維持するための緩衝液、ルシフェラーゼ活性を維持する一助とするためのPRIONEXまたはウシ血清アルブミン(BSA)のような添加物、還元剤、洗浄剤、エステラーゼ、塩、アミノ酸(例えば、D-システイン)など。ルシフェラーゼ検出混合物の一例として、ルシフェラーゼ基質、MgSO4、ATP、Tergitol NP-9、及びトリシンを含有するものが考えられる。
【0040】
「ルシフェラーゼ反応混合物」は、ルシフェラーゼ酵素による光シグナル生成を可能にする材料を含有する。必要な材料、ならびに発光シグナルの生成に必要となる材料の特定の濃度及び/または量は、使用するルシフェラーゼ酵素及び実施するルシフェラーゼ系アッセイのタイプに応じて変動することになる。概して、甲虫ルシフェラーゼの場合、このような材料としては、ATP、マグネシウム(Mg2+)塩、例えば、硫酸マグネシウム、甲虫ルシフェラーゼ酵素、及び甲虫ルシフェラーゼ用基質として使用された場合に光の生成が可能なルシフェリンまたは新規のルシフェリン誘導体が挙げられ得る。しばしば、以下を含めた他の材料も溶液に添加されることになる:適正なpHでの反応を維持するための緩衝液、ルシフェラーゼ活性を維持する一助とするためのPRIONEXまたはウシ血清アルブミン(BSA)のような添加物、還元剤、洗浄剤、エステラーゼ、塩、アミノ酸(例えば、D-システイン)など。ルシフェラーゼ反応混合物の一例として、甲虫ルシフェラーゼ、MgSO4、ATP、Tergitol NP-9、及びトリシンを含有するものが考えられる。
【0041】
本明細書における数値範囲の列挙については、同じ精度を伴った、その範囲の間に介在する各々の数が明示的に企図されている。例えば、6~9という範囲については、6と9に加えて7と8という数が企図されており、6.0~7.0という範囲については、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び7.0という数が明示的に企図されている。
【0042】
2.化合物
式(I’)の化合物:
(I’)
またはその互変異性体もしくは塩が開示される。
[式中、
1は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR1a、-NR1b1c、-OG1、-NR1x1、または-NR1x10であり、
2は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR2a、-NR2b2c、-SR2d、-SO22e、-S(O)R2f、-P(O)OR2g2h、-OG1、または-NR2x1であり、
3は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR3a、-NR3b3c、-SR3d、-SO23e、-S(O)R3f、-P(O)OR3g3h、-OG1、または-NR1x1であり、
4は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR4a、-NR4b4c、-SR4d、-SO24e、-S(O)R4f、-P(O)OR4g4h、-OG1、または-NR4x1であり、
5は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR5a、-NR5b5c、-SR5d、-SO25e、-S(O)R5f、-P(O)OR5g5h、-OG1、または-NR5x1であり、
あるいは、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になって、R3及びR4は、それらが結合している原子と一緒になって、またはR4及びR5は、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の飽和環、部分的不飽和環、または完全不飽和環を形成し、当該5員または6員の環は、任意選択により、O、N、S、NO、SO、及びSO2からなる群から各々独立的に選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子もしくはヘテロ原子基を環員として含有し、当該5員または6員の環は、任意選択により、アリール、ヘテロアリール、複素環、またはシクロアルキルに縮合し、当該5員または6員の環は、0個、1個、2個、3個、または4個の置換基で置換されており、当該置換基は、各々独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、スルファニル、アシル、-OG1、-NHG1、及び-N(C1-C10アルキル)G1からなる群から選択され、
1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2f、R2g、R2h、R3a、R3b、R3c、R3d、R3e、R3f、R3g、R3h、R4a、R4b、R4c、R4d、R4e、R4f、R4g、R4h、R5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5f、R5g,及びR5hは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルから各々独立的に選択され、
1x、R2x、R3x、R4x、及びR5xは、各々独立的に、水素またはC1-C12アルキルであり、
1は、第1の酵素の基質であって、第1の酵素による基質の生体内変換(biotransformation)がG1をHに変換する、第1の酵素の基質を含み、
-NR1x10は、-NR1x10基を-OHに変換するために第2の酵素により切断可能な基であり、かつ
1及びW2は、各々独立的に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルからなる群から選択され、または
1及びW2は、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロアルキル、シクロアルケニル、または複素環を形成し、
各出現における当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルは、独立的に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の置換基で置換されており、当該置換基の各々は独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、スルファニル、及びアシルからなる群から選択される]
【0043】
一部の実施形態において、式(I’)は、式(I):
(I)
またはその互変異性体もしくは塩である。
[式中、
1は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR1a、または-NR1b1cであり、
2は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR2a、-NR2b2c、-SR2d、-SO22e、-S(O)R2f、または-P(O)OR2g2hであり、
3は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR3a、-NR3b3c、-SR3d、-SO23e、-S(O)R3f、または-P(O)OR3g3hであり、
4は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR4a、-NR4b4c、-SR4d、-SO24e、-S(O)R4f、または-P(O)OR4g4hであり、
5は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR5a、-NR5b5c、-SR5d、-SO25e、-S(O)R5f、または-P(O)OR5g5hであり、
あるいは、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になって、R3及びR4は、それらが結合している原子と一緒になって、またはR4及びR5は、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の飽和環、部分的不飽和環、または完全不飽和環を形成し、当該5員または6員の環は、任意選択により、O、N、S、NO、SO、及びSO2からなる群から各々独立的に選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子もしくはヘテロ原子基を環員として含有し、当該5員または6員の環は、任意選択により、アリール、ヘテロアリール、複素環、またはシクロアルキルに縮合し、当該5員または6員の環は、0個、1個、2個、3個、または4個の置換基で置換されており、当該置換基は、各々独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、スルファニル、及びアシルからなる群から選択され、
1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2f、R2g、R2h、R3a、R3b、R3c、R3d、R3e、R3f、R3g、R3h、R4a、R4b、R4c、R4d、R4e、R4f、R4g、R4h、R5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5f、R5g,及びR5hは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルから各々独立的に選択され、かつ
1及びW2は、各々独立的に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルからなる群から選択され、または
1及びW2は、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロアルキル、シクロアルケニル、または複素環を形成し、
各出現における当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルは、独立的に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の置換基で置換されており、当該置換基の各々は独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、スルファニル、及びアシルからなる群から選択される]
【0044】
ある特定の実施形態において、式(I’)の化合物は、2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸でも、2-(6-アミノベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸でもない。ある特定の実施形態において、式(I)の化合物は、2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸でも、2-(6-アミノベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸でもない。
【0045】
2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になって、R3及びR4は、それらが結合している原子と一緒になって、そしてR4及びR5は、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の環から構成された、縮合したまたは縮合していない環系を形成するように存在し得る。
【0046】
ある特定の実施形態において、R1は-OR1aである。ある特定の実施形態において、R1は-OR1aであり、式中、R1aは水素またはC1-C4-アルキルである。ある特定の実施形態において、R1は-OHである。
【0047】
ある特定の実施形態において、R2、R3、R4、及びR5は、各々独立的に、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニル、-OH、及び-NH2からなる群から選択される。
【0048】
ある特定の実施形態において、R4は-OR4aまたは-NR4b4cである。ある特定の実施形態において、R4は-OHである。ある特定の実施形態において、R4は-NR4b4cであり、式中、R4b及びR4cは水素である。ある特定の実施形態において、R4は-NR4b4cであり、式中、R4bは水素であり、R4cはヒドロキシアルキルである。
【0049】
ある特定の実施形態において、R3及びR4は、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の、任意選択により置換された飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の環を形成する。ある特定の実施形態において、R3及びR4は、それらが結合している原子と一緒になって、5員の、任意選択により置換された複素環を形成する。ある特定の実施形態において、R3及びR4は、それらが結合している原子と一緒になって、6員の、任意選択により置換された複素環を形成する。
【0050】
ある特定の実施形態において、R4及びR5は、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の、任意選択により置換された飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の環を形成する。ある特定の実施形態において、R4及びR5は、それらが結合している原子と一緒になって、5員の、任意選択により置換された複素環を形成する。ある特定の実施形態において、R4及びR5は、それらが結合している原子と一緒になって、6員の、任意選択により置換された複素環を形成する。ある特定の実施形態において、R4及びR5は、それらが結合している原子と一緒になって、任意選択により置換されたアリール環を形成する。
【0051】
ある特定の実施形態において、R3及びR4は、それらが結合している原子と一緒になって、6員の任意選択により置換された複素環を形成し、R4及びR5は、それらが結合している原子と一緒になって、6員の任意選択により置換された複素環を形成し、このとき、これらの2つの6員環は縮合している。
【0052】
ある特定の実施形態において、W1及びW2は各々アルキルである。ある特定の実施形態において、W1及びW2は各々C1-C4-アルキルである。ある特定の実施形態において、W1及びW2は、それらが結合している原子と一緒になって、シクロアルキルを形成する。ある特定の実施形態において、W1及びW2は、それらが結合している炭素と一緒になって、3員~8員のシクロアルキルを形成する。ある特定の実施形態において、W1及びW2は、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロアルケニル、例えば5員~8員のシクロアルケニルを形成する。ある特定の実施形態において、W1及びW2は、それらが結合している原子と一緒になって、複素環、例えば5員~8員の複素環を形成する。W1及びW2により形成されたシクロアルキル、シクロアルケニル、または複素環基は、それらが結合している炭素と一緒になって、置換されていなくても1つ以上の置換基で置換されていてもよく、当該置換基は、各々が独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、スルファニル、及びアシルからなる群から選択される。
【0053】
1は、第1の酵素の基質であって、第1の酵素による基質の生体内変換がG1をHに変換する、第1の酵素の基質を含む。一部の実施形態において、G1はG2-L1-である(G2は酵素基質であり、L1は、G2を式(I’)の化合物の残部(すなわち、親分子部分)に接続するリンカーである)。G2は、第1の酵素により除去可能な基である。
【0054】
一部の実施形態において、L1は、結合、または中性の周囲条件下で安定性の原子の配列から構成された二価の基であり、この原子は、炭素、水素、窒素、酸素、硫黄、リン、及びケイ素から選択される。二価の基は、単結合(例えば、CH2-CH2、CH2-O)、二重結合(例えば、C=O)、または三重結合(例えば、C≡C)を含むことができ、また環構造(例えば、シクロアルキル)を含有または含むことができる。一部の実施形態において、二価の基は、-C1-10アルキレン-、-C2-10アルキレン-O-、C3-8シクロアルキレン、-C(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-NH-、-N(C1-4アルキル)-、-N(COC1-4アルキル)-、アミノ酸部分、保護アミノ酸部分、及びフェニレンのうちの1つ以上の配列であり、このとき、C3-8シクロアルキレン及びフェニレンは、任意選択により独立的に、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、シアノ、またはヒドロキシから独立的に選択される1~4個の置換基で置換される。一部の実施形態において、L1はC1-C10アルキレン(例えば、C2-C3アルキレン)である。
【0055】
1は、ルシフェリンアナログと酵素基質との間のリンカーであり得る。一部の実施形態において、リンカーL1は、トリメチルロック、キノンメチド、ジペプチジル、パラ-アミノベンジルオキシカルボニル、またはアルキレンジアミノカルボニルリンカーのような、米国特許出願第62/541,350号(Encell et al.,“COMPOSITIONS AND METHODS FOR STABILIZING BENZOTHIAZOLE LUCIFERIN ANALOGS”(2017年8月4日出願))に記載され、下に示されているトレースレスリンカーであり得る。
【0056】
2の酵素的生体内変換は、G2が結合しているヘテロ原子に対する結合の切断をもたらして、ベンゾチアゾールルシフェリンアナログを放出するように自発的に自己犠牲を行い得るリンカーを放出する。一部のトレースレスリンカー(例えば、アルキレンリンカー)は、WO2006/130551に記載されているようにβ脱離によって自発的に脱離され得る。
【0057】
酵素基質G2の代表例としては、WO2006/130551またはUS2007/0015790(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているような、プロテアーゼ向けの基質、シトクロム(CYP)P450レダクターゼ、モノアミンオキシダーゼ(MAO)、フラビンモノオキシゲナーゼ(FMO)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、デアルキラーゼ(例えば、デメチラーゼ)、デアセチラーゼ、デホルミラーゼ、スルファターゼ、ホスファターゼ(例えば、アルカリホスファターゼ(AP))、ベータラクタマーゼ、及びアルコールデヒドロゲナーゼが挙げられる。
【0058】
代表的なプロテアーゼ基質としては、以下に限定されないが、Cosby et al.によりCell Notes(2007)18,pp.9-11(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているような、Z-DEVD-、Z-LETD-、GP-、Suc-LLVY-、Z-LRR-、Z-nLPnLD-、Z-QEVY-、VP-、Z-VDVAD-、Z-VEID-、Z-ATAD-、Z-IEPD-、Z-IETD-、Z-TSAVLQ-、及びZ-VNSTLQ-といったペプチドが挙げられる。これらのプロテアーゼ基質の場合、酵素基質は、ルシフェリンアナログに直接結合し、直接切断されるため、L1は結合である。
【0059】
他の好適なリンカー及びリンカーを含有するG1部分としては、米国特許出願第62/541,350号(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているものが挙げられる。
【0060】
一部の実施形態において、R1は-NR1x10である。-NR1x10基は、-NR1x10基を-OHに変換するために第2の酵素により切断可能な基である。そのため、-NR1x10基の切断後、-CO-R1部分はカルボキシ基(-CO-OH)となる。一部の実施形態において、-NR1x10基は
であり、式中、各出現におけるRAAは、独立的に、水素、アルキル、または-OH、-NH2、-SH、-SCH3、フェニル、-COOH、-CO-NH2
からなる群から選択される置換基で置換されたアルキルであり、tは1~10である。一部の実施形態において、tは、1、2、3、4、または5である。一部の実施形態において、-NR1x10基は
である。
【0061】
第2の酵素は、化合物の残部から-NR1x10基を切断するのを触媒し、この切断により-NR1x10基は-OHに変換される。一部の実施形態において、第2の酵素はプロテアーゼである。一部の実施形態において、第2の酵素はカルボキシペプチダーゼ(例えば、カルボキシペプチダーゼB)である。
【0062】
一部の実施形態において、-NR1x10基は
であり、カルボキシペプチダーゼBがこれを化合物の残部から切断し、-NR1x10基を-OHに変換することができる。そのため、-NR1x10基の切断後、化合物の-CO-R1部分は、下記に示すようにカルボキシ基(-CO-OH)となる。
【0063】
ある特定の実施形態において、式(I)の化合物は、式
(I-a)
またはその互変異性体もしくは塩の構造を有する。
[式中、
A及びBは、各々独立的に、アリール、ヘテロアリール、及び複素環からなる群から選択される任意選択による5員または6員の環であり、Aは、存在する場合、任意選択により、1つ以上のRAで置換され、Bは、存在する場合、1つ以上のRBで置換され、RA及びRBの各々は、存在する場合、独立的に、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、-OH、-NH2、またはアルキル-NH-であり、
A及びBの両方が不在の場合、Qは、-ORQ1または-NRQ1Q1であり、各出現におけるRQ1は、独立的に、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキルであり、あるいは、A及びBのうちの少なくとも1つが存在する場合、Qは、C、CRQ2、CRQ2Q2、N、NRQ2、またはOであり、各出現におけるRQ2は、独立的に、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキルであり、
Rは、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、またはシクロアルケニルであり、
pは、0、1、2、または3であり、
1、W1、及びW2は、上記で定義されている通りである]
【0064】
ある特定の実施形態において、環Aは存在し、環Bは不在である。ある特定の実施形態において、環Aは不在であり、環Bは存在する。ある特定の実施形態において、環A及び環Bの両方が存在する。ある特定の実施形態において、環A及び環Bの両方が不在である。ある特定の実施形態において、環A及び環Bの両方が不在であり、Qは-NHRQ1である。
【0065】
ある特定の実施形態において、化合物は式(I-b)または(I-c)の構造:
(I-b)
(I-c)
を有し、式中、mは、0、1、2、または3であり、pは、0、1、または2である。
【0066】
ある特定の実施形態において、化合物は式(I-d)の構造:
(I-d)
を有し、式中、nは、0、1、2、または3であり、pは、0、1、または2である。
【0067】
ある特定の実施形態において、化合物は式(I-e)の構造:
(I-e)
を有し、式中、mは、0、1、2、または3であり、nは、1、2、または3であり、pは、0または1である。
【0068】
ある特定の実施形態において、化合物は式(I-f)の構造:
(I-f)
を有し、式中、pは、0、1、2、または3であり、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、または8である。
【0069】
ある特定の実施形態において、化合物は式(I-g)の構造:
(I-g)
を有し、式中、
pは、0、1、2、または3であり、
は、
であり、これらの各々は、任意選択により、上記で定義されているようなW1及びW2により置換されている。ある特定の実施形態において、R1は-OHである。ある特定の実施形態において、Qは-OHである。ある特定の実施形態において、R1は-OHであり、Qは-OHであり、
は、
であり、これらの各々は、任意選択により、上記で定義されているようなW1及びW2により置換されている。
【0070】
一部の実施形態において、R1が-OG1または-NR1x1である式(I’)の化合物が開示される。一部の実施形態において、R2が-OG1または-NR2x1である式(I’)の化合物が開示される。一部の実施形態において、R3が-OG1または-NR3x1である式(I’)の化合物が開示される。一部の実施形態において、R4が-OG1または-NR4x1である式(I’)の化合物が開示される。一部の実施形態において、R5が-OG1または-NR5x1である式(I’)の化合物が開示される。
【0071】
一部の実施形態において、式(I’)の化合物であって、R2及びR3が、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の環を形成し、当該5員または6員の環が、-OG1、-NHG1、及び-N(C1-C10アルキル)G1からなる群から選択され、当該5員または6員の環が、さらに、本明細書で開示されている0、1、2、または3個の他の置換基で置換されている、式(I’)の化合物が開示される。
【0072】
一部の実施形態において、式(I’)の化合物であって、R3及びR4が、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の環を形成し、当該5員または6員の環が、-OG1、-NHG1、及び-N(C1-C10アルキル)G1からなる群から選択され、当該5員または6員の環が、さらに、本明細書で開示されている0、1、2、または3個の他の置換基で置換されている、式(I’)の化合物が開示される。
【0073】
一部の実施形態において、式(I’)の化合物であって、R4及びR5が、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の環を形成し、当該5員または6員の環が、-OG1、-NHG1、及び-N(C1-C10アルキル)G1からなる群から選択され、当該5員または6員の環が、さらに、本明細書で開示されている0、1、2、または3個の他の置換基で置換されている、式(I’)の化合物が開示される。
【0074】
一部の実施形態において、式(I’)の化合物は、G1基を含有し、そして本明細書で開示されている非ルシフェラーゼ酵素基質であり得る。例えば、式(I’)の化合物のG1基(例えば、-OG1または-NHG1基)は、G1をHに変換する非ルシフェラーゼ酵素媒介の生体内変換に供され得、次にこれにより、対応するヒドロキシル-ルシフェリンアナログまたはアミノ-ルシフェリンアナログが現れる。一部の実施形態において、G1基は、非ルシフェラーゼ基質として働く部分と、本明細書で開示されているルシフェリンアナログの残りの構造との間にリンカーを含有し得る。一部の実施形態において、G1はG2-L1-であり、式中、G2は非ルシフェラーゼ酵素基質であり、L1は上述されている通りのリンカーである。一部の実施形態において、G2は、非ルシフェラーゼ酵素により除去可能な基であり、L1は、非ルシフェラーゼ酵素の作用後、自発的に加水分解する基である。例えば、L1リンカーは、本明細書に記載されているトレースレスまたは自己犠牲的なリンカーである。例示的な目的非ルシフェラーゼ酵素、酵素基質部分、及びリンカーには、WO2006/130551(この全体が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているものが含まれる。
【0075】
一部の実施形態において、式(I’)は、式(II):
(II)
またはその互変異性体もしくは塩であり、式中、R4は、-OG1、-NHG1、または-N(C1-C12アルキル)G1であり、R1、W1、及びW2は上述されている通りである。
【0076】
一部の実施形態において、R4が-NH-CO-G2である式(II)の化合物が開示される。一部の実施形態において、式(II))は、式(II-a):
(II-a)
またはその互変異性体もしくは塩であり、式中、G2、W1、及びW2は上述されている通りである。
【0077】
一部の実施形態において、G2がペプチド(例えば、天然アミノ酸から構成されているもの)である、式(II-a)の化合物が開示される。一部の実施形態において、G2は、目的非ルシフェラーゼ酵素向けの基質であるペプチドである。例えば、G2は、DEVDのアミノ酸を含むペプチドとすることができ、このとき目的非ルシフェラーゼ酵素はカスパーゼ3である。これにより、当該プロルシフェラーゼ基質が適切なルシフェラーゼの存在下でカスパーゼ3活性を報告することが可能になる。
【0078】
代表的な式(I’)または式(I)の化合物としては以下のものが挙げられるが、これに限定されない:
5-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4-チア-6-アザスピロ[2.4]ヘプタ-5-エン-7-カルボン酸;
6-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5-チア-7-アザスピロ[3.4]オクタ-6-エン-8-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-1-チア-3-アザスピロ[4.4]ノナ-2-エン-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-1-チア-3-アザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸;
5,5-ジエチル-2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(R)-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(7-アミノナフト[2,1-d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-5,5-ジメチル-2-(6-(ピロリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-チアゾロ[4,5-f]インドール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(6-((3-ヒドロキシプロピル)アミノ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-1-チア-3-アザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸;
5,5-ジベンジル-2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
5,5-ジエチル-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-1-チア-3-アザスピロ[4.6]ウンデカ-2-エン-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-メチル-1-チア-3-アザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-メチル-1-チア-3,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジプロピル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;及び
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-オキサ-1-チア-3-アザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸、
またはその互変異性体もしくは塩。
【0079】
化合物名は、CHEMDRAW(登録商標)ULTRA v.12.0の一部としてのStruct=Name命名アルゴリズムを使用することにより、割り当てられている。
【0080】
化合物は、不斉中心またはキラル中心が存在する立体異性体として存在してもよい。立体異性体は、キラル炭素原子の周囲の置換基の構成に応じて「R」または「S」である。本明細書で使用されている「R」及び「S」という用語は、IUPAC 1974 Recommendations for Section E,Fundamental Stereochemistry,in Pure Appl.Chem.,1976,45:13-30で定義されている構成である。本開示は、様々な立体異性体及びその混合物を企図しており、それらは、本発明の範囲内に明確に含まれる。立体異性体には、エナンチオマーと、ジアステレオマーと、エナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物とが含まれる。化合物の個々の立体異性体は、好ましくは、不斉中心もしくはキラル中心を含有する市販の出発材料から合成して、またはラセミ混合物を調製した後に当業者に周知の分割法を用いることにより、調製することができる。このような分割法の適例は、(1)エナンチオマーの混合物をキラル補助剤に結合させ、得られたジアステレオマー混合物を再結晶もしくはクロマトグラフィーにより分離し、補助剤から光学的に純粋な生成物を任意選択により遊離させる方法(Furniss,Hannaford,Smith,and Tatchell,“Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry”,5th edition(1989),Longman Scientific & Technical,Essex CM20 2JE,Englandに記載)、または(2)キラルクロマトグラフィーカラム上で光学エナンチオマーの混合物を直接分離する方法、または(3)分別再結晶法である。
【0081】
化合物は、互変異性形態、さらに幾何異性体も有する可能性があり、これらも本発明の一態様を構成することを理解されたい。
【0082】
また、本開示は、1個以上の原子が、通常自然界で見いだされる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子により置き換えられている事実以外は、式(I)に挙げられている化合物と同一である、同位体標識化合物も含む。本発明の化合物に含めるのに好適な同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素であり、例えば、以下に限定されないが、それぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Clである。より重い同位体(例えば、重水素、すなわち2H)による置換は、より大きい代謝安定性(例えば、in vivoの半減期増加または投薬要件の低減)に起因するある特定の治療的利点をもたらす場合があるため、一部の状況において好まれ得る。化合物は、受容体の分布を決定するための医用画像及び陽電子放出断層撮影(PET)の研究のために、陽電子を放出する同位体を組み入れることができる。式(I)の化合物に組み入れることができる好適な陽電子放出同位体は、11C、13N、15O、及び18Fである。概して、式(I)の同位体標識化合物は、当業者に公知の従来的技法により、または、適切な同位体標識試薬を非同位体標識試薬の代わりに用いた、付属の実施例に記載されているプロセスに類似するプロセスにより、調製することができる。
【0083】
A.化合物の特性
(i)熱安定性
本開示化合物は、既知のルシフェリンより優れた熱安定性を示すことができる。溶液中での経時的なD-ルシフェリン分解に起因する主な生成物として、デヒドロルシフェリンが同定された(図1及び2)。デヒドロルシフェリンは、ルシフェラーゼを阻害し光出力の減少をもたらすため、ルシフェラーゼアッセイに顕著な影響を引き起こし得る(図2)。
【0084】
本開示の5,5-二置換ルシフェリンアナログは、溶液中で熱安定性の改善を示すことができる(図3)。図3Bで示されているように、5,5-ジメチルルシフェリンIII-a(6-OH化合物)及びIII-b(6-NH2化合物)では実質的に一切の分解が生じておらず、一方、置換されていないルシフェリンでは、対応するデヒドロルシフェリン生成と共に顕著な分解が観察されている。5,5-二置換は、デヒドロルシフェリン形成を排除することにより、ルシフェリンアナログ化合物の全体的な熱安定性を改善すると考えられる。
【0085】
本明細書で使用される「熱安定性」とは、どの程度、ルシフェリンアナログ化合物が、ルシフェラーゼ存在下(例えば、生細胞ルシフェラーゼを用いた生細胞アッセイを含む)で光を生成する能力を維持するように、どの程度、ある特定の時間期間にわたり溶液中で安定しているかを指すことができる。ルシフェリンアナログの溶液としては、ルシフェラーゼが存在する液体培地、例えば、ルシフェラーゼアッセイが行われる水性緩衝液系が挙げられ得る。本開示化合物の安定性は、特定の環境における経時的な化合物の分解パーセンテージにより実証することができる。特定の化合物に関する純度のパーセンテージは、当業者に公知の様々な技法により決定することができる。このような技法としては、例えば、核磁気共鳴(NMR)及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が挙げられる。
【0086】
一部の実施形態において、本開示化合物の熱安定性は、特定の化合物の溶液が、ルシフェラーゼの不在下または存在下で、ある特定の温度にて、ある特定の時間期間にわたり保管された後に、決定することができる。保管中の温度は、20℃以上、30℃以上、40℃以上、50℃以上、60℃以上、または70℃以上とすることができる。一部の実施形態において、本開示化合物は、溶液中でルシフェラーゼ(またはルシフェラーゼを含有する生体試料)と合わせ、それをある特定の時間期間の間、ある温度(例えば、20~70℃)に保つ。
【0087】
一部の実施形態において、本発明化合物は、溶液中で、周囲温度または高温にて(例えば、30~70℃)、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも60時間、少なくとも80時間、少なくとも100時間、少なくとも120時間、少なくとも150時間、少なくとも200時間、少なくとも250時間、少なくとも300時間、少なくとも350時間、または少なくとも400時間の期間の間、安定した発光シグナルを提供することができる。一部の実施形態において、本発明化合物は、ルシフェラーゼアッセイ培地中で、周囲温度にて100~400時間の期間の間、安定した発光シグナルを提供することができる。溶液中での熱安定性が改善された本開示化合物により、ルシフェリンを経時的に周囲温度にて長期間保管することが必要とされる用途が可能になり得る。本開示化合物は、デヒドロルシフェリンの形成が顕著であり有害である用途(例えば、活性酸素種(ROS)検出アッセイまたはP450アッセイ)に対し、特に有用であり得る。
【0088】
本発明化合物は、5,5-二置換が欠如したルシフェリンアナログと同じ時間期間にわたり比較して、より優れた熱安定性を実証する。一部の実施形態において、本発明化合物は、5,5-二置換が欠如したルシフェリンアナログと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、または少なくとも500%の熱安定性の改善を示す。本発明化合物の著明な安定性により、ルシフェリンアナログが分解することなくより長い保管が可能になり、これは発光アッセイの様々な強化のために使用され得る。
【0089】
一部の実施形態において、本発明化合物の熱安定性は、本発明化合物を添加物と共に溶液中で保管することにより強化することができる。このような添加物は、酸化的分解または他の分解形態を防止することにより、本発明化合物の安定性を強化することができる。安定性の強化は、還元を通じて酸化化合物を変換し元の化合物に戻すことにより、または他の機構により、酸素または過酸化水素のような活性酸素種を除去することを通じて行われ得る。一部の実施形態において、このような添加物は、本発明化合物とルシフェラーゼとの反応に適合性であり、光生成の減少を引き起こさない。一部の実施形態において、このような添加物は、米国特許出願第62/541,350号(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているような、アザチオチミジン(ATT)またはそのアナログである。一部の実施形態において、添加物は、チオウレア、または別の炭素-硫黄二重結合含有化合物である。
【0090】
(ii)光生成
驚くべきことに、本開示化合物は、十分な光を生成して、様々なルシフェラーゼを用いたルシフェラーゼアッセイ向けの好適な基質となり得る。一部の実施形態において、本開示化合物は、様々な条件下のルシフェラーゼアッセイにおいて、5,5-ジメチルルシフェリンよりもはるかに強い光シグナルを提供する。例えば、ホタルルシフェラーゼ及びコメツキムシルシフェラーゼは共に、本開示の5,5-二置換ルシフェリンアナログにおける様々な立体異性体形態(例えば、混合物中のD形態及びL形態の両方)を有効に利用して、幅広いpH範囲にわたって生物発光を生成することができる(図4A-6B)。過去の研究からは、特定の5,5-二置換ルシフェリンアナログが、ルシフェラーゼアッセイで有用となるのに十分な光を生成するかどうかが明らかではなかった。さらに、5,5-二置換ルシフェリンは、以前は、ホタルルシフェラーゼによる酵素的プロセスを介してではなく、化学発光プロセスを介してのみ光を生成すると考えられていた。例えば、化合物III-aは、ホタルルシフェラーゼまたはコメツキムシルシフェラーゼの媒介によるプロセスを介して光を生成することができないと考えられていた(Branchini et al.,J.Am.Chem.Soc.2002,124,2112-2113)。一方、D形態の化合物III-bのみについては、組換え甲虫ルシフェラーゼを用いて試験したときに光を生成することが示された(Viviani et al.,Biochemistry,2014,53,5208-5220)。ルシフェリンと比較した5,5-二置換ルシフェリン基質の活性減少は、ルシフェリン構造の5位にてより多くの立体容積を有する任意の基質が、ルシフェラーゼアッセイに関し不十分な活性をもたらすことを、ある程度において示唆するように思われる。しかし、驚くべきことに、本開示化合物は、5位における置換基によって付与された立体障害が、必ずしも基質の活性を低減するわけではないことを示している。ある特定の実施形態において、5,5-ジメチル化合物よりも大きい置換基(例えば、5,5-ジエチルまたはシクロヘキシル置換基)を有する本開示化合物は、高い立体障害が活性を低減するという予想に反し、5,5-ジメチル化合物よりも高いルシフェラーゼ活性を示す。したがって、本開示化合物は、ルシフェラーゼアッセイにおけるこれまでにない活性ゆえに、既知の5,5-二置換ルシフェリンにまさる予想外の利点を提供する。
【0091】
「発光」とは、適切な条件下での、例えば、ルシフェリンアナログのような好適な基質の存在下での、ルシフェラーゼの光出力を指す。光出力は、発光反応の開始時における瞬時またはほぼ瞬時の光出力(「T=0」発光または「フラッシュ」と称されることがある)の測定として測定することができ、この発光反応は、ルシフェリン基質の添加時に開始され得る。様々な実施形態において、発光反応は、溶液中で行われる。他の実施形態において、発光反応は、固体支持体上で行われる。溶液は、ライセート(例えば、原核生物または真核生物の発現系における細胞からのライセート)を含有することができる。他の実施形態において、発現は無細胞系で生じ、またはルシフェラーゼタンパク質は細胞外の媒体に分泌され、後者の場合は、ライセートを生成する必要がない。一部の実施形態において、反応は、適切な材料(例えば、ルシフェリンアナログ、緩衝液など)を、発光タンパク質を含有する反応チャンバー(例えば、96ウェルプレートのようなマルチウェルプレートのウェル)に注入することにより、開始される。さらに他の実施形態において、ルシフェラーゼ及び/またはルシフェリンアナログ(例えば、式(I)の化合物)は宿主に導入され、発光の測定は、宿主またはその一部において行われる。宿主には、生物全体、またはその細胞、組織、外植片、もしくは抽出物が含まれ得る。反応チャンバーは、例えば、ルミノメーターまたは光電子増倍管を用いて光出力を測定することができる読取りデバイス内に位置し得る。また、光出力または発光は、例えば、同じ反応チャンバー内で、秒単位、分単位、時単位などの期間の間、経時的に計測することもできる。光出力または発光は、時間平均、シグナル減衰の半減期、ある時間期間にわたるシグナルの和、またはピーク出力として報告することができる。発光は、相対発光単位(RLU)で測定することができる。
【0092】
式(I)の化合物は、ルシフェリンまたは既知のルシフェリンアナログに対し、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、または100以上のRLUをもたらすように生物発光アッセイで使用することができる。
【0093】
B.合成方法
式(I)の化合物は、スキーム1で示されるように合成することができる。次のスキームの説明において使用されている略語を挙げると、DMFはジメチルホルムアミドを表す。
スキーム1.式(I)の化合物の合成
【0094】
スキーム1で示されているように、式(I)の化合物は、ベンゾ[d]チアゾール-2-イル中間体Aをβ,β-二置換システイン誘導体で処理することにより、調製することができる。反応は、ジメチルホルムアミド及び水の溶液中で8~9のpHにて行われ得る。
【0095】
各個々のステップにおける最適な反応条件や反応時間は、用いる特定の反応物質や反応物質中に存在する使用置換基に応じて変動し得る。具体的な手順を実施例の項で示す。反応は、従来の様式でワークアップすることができ、例えば、当技術分野で一般に知られている方法論(例えば、以下に限定されないが、結晶化、蒸留、抽出、粉砕、及びクロマトグラフィー)に従って、残渣から溶媒を除去し、さらに精製することにより行われる。別途記載がない限り、出発材料及び試薬は、市販のものであるか、または当業者により、化学文献に記載されている方法を用いて市販の材料から調製することができる。出発材料が市販のものでない場合、出発材料は、標準的な有機化学的手法か、構造的に同様な公知の化合物の合成に類似する技法か、または上述されたスキームもしくは合成例の項に記載されている手順に類似する技法から選択される手順により、調製することができる。
【0096】
通例的な実験作業は、反応条件、試薬、及び合成経路の順序の適切な操作、反応条件に適合性でない恐れのある任意の化学官能性の保護、ならびに本方法の反応順序における好適なポイントでの脱保護を含めて、本発明の範囲に含まれる。好適な保護基、ならびにこのような好適な保護基を用いて種々の置換基を保護及び脱保護する方法は、当業者に周知されており、このような方法の例は、PGM Wuts及びTW GreeneによるProtective Groups in Organic Synthesis(4th ed.)という表題のGreeneの書籍(John Wiley & Sons,NY(2006))に見いだすことができ、当該文献は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。本発明の化合物の合成は、上述された合成スキームまたは具体的な実施例に記載の方法に類似する方法により、遂行することができる。
【0097】
開示化合物の光学的活性形態が必要とされる場合、当該形態は、光学的に活性の出発材料(例えば、好適な反応ステップの不斉誘導により調製)を用いて、本明細書に記載されている手順のうちの1つを行うことにより、または標準的な手順(例えば、クロマトグラフィー分離、再結晶、もしくは酵素的分割)を用いて、化合物もしくは中間体の立体異性体混合物を分割することにより、取得することができる。
【0098】
同様に、化合物の純粋な幾何異性体が必要とされる場合、当該異性体は、純粋な幾何異性体を出発材料として用いて、上記手順のうちの1つを行うことにより、またはクロマトグラフィー分離のような標準的な手順を用いて、化合物もしくは中間体の幾何異性体混合物を分割することにより、取得することができる。
【0099】
記載されている合成スキーム及び具体的な実施例は、例示的なものであり、付属の特許請求の範囲で定義されている本発明の範囲を限定するように解釈すべきではないことが理解され得る。合成方法及び具体的な実施例における全ての代替方法、変更、及び等価物は、特許請求の範囲内に含まれる。
【0100】
塩基付加塩は、本開示の化合物を最終的に単離及び精製する間に、カルボキシル基を、金属カチオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、もしくはアルミニウム)の好適な塩基(例えば、水酸化物、炭酸塩、もしくは重炭酸塩)、または有機1級、2級、もしくは3級アミンと反応させることにより、調製することができる。4級アミン塩、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミン及びN,N’-ジベンジルエチレンジアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどに由来するものを調製することができる。
【0101】
3.使用方法及びキット
本発明のルシフェリンアナログは、酵素活性アッセイまたは非酵素バイオアッセイ(例えば、レポーター遺伝子アッセイ)における所望の酵素用の基質として働くことができる。一部の実施形態において、所望の酵素は非ルシフェラーゼであってもよく、本発明のルシフェリンアナログは、非ルシフェラーゼ酵素基質として、及びルシフェラーゼ向けのプロ基質(prosubstrate)として、使用することができる。他の実施形態において、本発明のルシフェリンアナログは、目的分子により修飾されてもよく、この修飾された分子はルシフェリン向けの基質である。驚くべきことに、本発明のルシフェリンアナログは、光生成アッセイにおいてルシフェラーゼ向けの基質としての活性を有することができる。したがって、本発明のルシフェリンアナログを用いた生物発光アッセイにおいて、多くの非ルシフェラーゼ酵素またはルシフェラーゼ酵素を測定することができる。
【0102】
本開示の化合物は、ルシフェラーゼ基質(例えば、ルシフェリンアナログ)が使用されている任意の方法で使用することができる。例えば、本開示の化合物は、ルシフェリンのアナログを用いて、試料中の、1つ以上の分子(例えば、酵素、酵素反応向けの補因子、酵素基質、酵素阻害物質、酵素活性化物質、もしくはOHラジカル)、または1つ以上の状態(例えば、レドックス状態)を検出する、生体発光法で使用することができる。試料としては、動物(例えば、脊椎動物)、植物、真菌、生理的液体(例えば、血液、血漿、尿、粘液分泌物)、細胞、細胞ライセート、細胞上清、または精製された細胞画分(例えば、細胞内画分)を挙げることができる。このような分子の存在、量、スペクトル分布、放出動態、または比活性は、検出または定量化することができる。分子は、多相溶液(例えば、エマルションもしくは懸濁液)を含めた溶液中で、または固体支持体(例えば、粒子、キャピラリー、もしくはアッセイ容器)上で、検出または定量化することができる。
【0103】
ある特定の実施形態において、式(I’)または式(I)の化合物は、目的分子を定量化するために使用することができる。一部の実施形態において、式(I’)または式(I)の化合物は、特定の生化学活性(例えば、アポトーシスまたは薬物代謝)のプローブとして使用することができる。一部の実施形態において、式(I’)または式(I)の化合物は特定の酵素活性と結合させることができ、このとき化合物は目的の特定の酵素の作用を受ける。一部の実施形態において、このアプローチは、酵素、例えば、薬物代謝で使用されている酵素(例えば、シトクロムP450酵素、モノアミンオキシダーゼ、及びグルタチオンS-トランスフェラーゼ)や、アポトーシス(例えば、カスパーゼ)で使用されている酵素に対し使用することができる。一部の実施形態において、ルシフェリンアナログは、発光(例えば、ルシフェラーゼのような発光タンパク質)を支持するために必要な他の構成成分と合わせて、単一の試薬及び均一アッセイをもたらすことができる。例えば、ルシフェリンアナログ及びルシフェラーゼが試料に添加されると、発光が生成され得る。
【0104】
本方法は、例えば、試料中で少なくとも1つの分子(例えば、非ルシフェラーゼ酵素、非ルシフェラーゼ酵素の制御因子、非ルシフェラーゼ酵素基質、及び/または反応の補因子)の存在もしくは量、あるいは状態を決定するために使用することができる。ある特定の実施形態において、本開示方法は、単一の試料(例えば、細胞のアリコートまたはそのライセート)中から1つ以上の分子を検出するための迅速な方法を提供する。ある特定の実施形態において、本方法は、生物発光アッセイにおいて分子(例えば、酵素、基質、もしくは補因子)の存在、量、もしくは比活性を定量化すること、または蛍光発生アッセイにおいて酵素、基質、もしくは補因子の存在もしくは量を定量化することを含む。生物発光シグナルまたは蛍光発生シグナルの強度は、それぞれの分子の存在または量の関数である。加えて、反応は、1つ以上の試験薬剤、例えば、酵素阻害物質もしくは酵素活性化物質、及び/または異なる濃度の阻害物質もしくは活性化物質を含有してもよい。ある特定の実施形態において、本方法は、少なくとも2つの異なる反応を用いる。第1の反応は、非ルシフェラーゼ酵素媒介の反応であり、第2の反応は、甲虫ルシフェラーゼの媒介による反応である。別の実施形態において、第1の反応は非酵素反応であり、第2の反応は甲虫ルシフェラーゼ媒介の反応である。また別の実施形態において、本方法は、単一の反応、例えば、甲虫ルシフェラーゼ媒介の反応または蛍光発生反応を用いる。
【0105】
したがって、生物発光アッセイは、例えば、酵素媒介の反応向けの補因子、酵素、酵素基質、酵素の阻害物質、酵素の活性化物質の量、存在、もしくは比活性、または状態を、直接的または間接的に検出(例えば、測定)することができる。例えば、ある特定の実施形態において、甲虫ルシフェラーゼ及び甲虫ルシフェラーゼの基質であるルシフェリンアナログは、ATP濃度を検出するために生物発光アッセイで用いることができる。別の実施形態において、非ルシフェラーゼ酵素向けの基質であるルシフェリンアナログ、例えば、モノアミンオキシダーゼ基質である誘導体は、甲虫ルシフェラーゼ向けの基質である生成物をもたらし、そのため、オキシダーゼを検出するために生物発光アッセイで用いることができる。ある特定の実施形態において、ルシフェリンアナログは、ルシフェラーゼ基質である生成物を産生するがそれ自身は甲虫ルシフェラーゼとの反応で相当量の光を産生しない、甲虫ルシフェラーゼのプロ基質である。一部の実施形態において、アナログは、非ルシフェラーゼ酵素向けの基質であるかまたは別の分子の検出に有用であり、そして、相当量の光を産生するルシフェラーゼ向けの基質である。この実施形態において、アナログは、ルシフェラーゼにより改変されるが、概して光生成反応には非効率的である。一部の実施形態において、ルシフェラーゼ及びルシフェラーゼ基質、例えば、ルシフェリン、ルシフェリン誘導体、機能的アナログ、またはルシフェラーゼ基質(例えば、本明細書で開示されているルシフェリン誘導体)の場合に光の生成が可能な新規のルシフェリン誘導体は、アッセイの条件及び/または溶解試薬に対する安定性、例えば、個々の化学構成成分(単独で、またはそれが含まれた多成分混合溶液として)に対するアッセイ安定性、保管安定性が強化されている。
【0106】
ある特定の実施形態において、1つ以上の非ルシフェラーゼ酵素を検出する生物発光アッセイ法が開示される。本方法は、1つ以上の非ルシフェラーゼ酵素を有する疑いのある試料、または非ルシフェラーゼ媒介の反応向けの基質もしくは補因子を、非ルシフェラーゼ酵素向けの基質であるルシフェリンアナログを含む、対応する反応混合物に接触させることを含む。ある特定の実施形態において、アナログは、D-ルシフェリンのG1環(図1)内に、非ルシフェラーゼ酵素(例えば、ホスファターゼ)に対する識別部位を含む修飾を有するアナログである。別の実施形態において、アナログは、D-ルシフェリンのG2環内に修飾を有し、ルシフェラーゼ向けの基質またはルシフェラーゼ向けのプロ基質であるアナログである。別の実施形態において、誘導体は、ルシフェリンのG3環内に、目的酵素(例えば、アセチルコリンエステラーゼ)に対する識別部位を含む修飾を有する誘導体である。別の実施形態において、誘導体は、環のうちの1つに、目的酵素に対する識別部位と、当該環内または他の1つ以上の環内にさらなる修飾とを有する誘導体である。
【0107】
ルシフェラーゼ向けの基質であり、さらに任意選択で非ルシフェラーゼ酵素または他の分子の基質であるアナログは、ルシフェラーゼ、またはルシフェラーゼ反応の補因子、阻害物質、もしくは活性化物質を検出するために用いることができる。アナログがルシフェラーゼプロ基質である場合、すなわちアナログと非ルシフェラーゼ酵素との間の反応生成物がルシフェラーゼ向けの基質である場合、非ルシフェラーゼ酵素及びルシフェラーゼに関する順次または同時反応を行うことができる。例えば、プロ基質を含有する非ルシフェラーゼ酵素に関する反応は、単一ウェル内で行うことができ、このウェルに甲虫ルシフェラーゼ反応混合物を添加する。別の実施形態において、プロ基質を含有する非ルシフェラーゼ酵素向けの反応混合物を単一ウェル内で行い、この反応物の一部を、甲虫ルシフェラーゼ反応混合物を有する別のウェルに添加する。代替方法として、同じウェル内で諸反応を行うことができる。
【0108】
このように、本開示は、試料中で非ルシフェラーゼ酵素媒介の反応向けの分子の存在または量を決定するための方法を提供する。本方法は、試料と、非ルシフェラーゼ酵素媒介の反応向けの第1の反応混合物と、ルシフェリンアナログ(例えば、非ルシフェラーゼ酵素向けの基質である式(I’)または式(I)の化合物)とを接触させて第1の混合物を産生すること、またはルシフェラーゼ向けの基質である発光生成物を含むこのような第1の混合物を提供すること、またはこのような第1の混合物を提供することを含む。この第1の混合物の少なくとも一部を、甲虫ルシフェラーゼ媒介の反応向けの第2の反応混合物と接触させて第2の混合物を産生する。次に、第2の混合物における発光は、試料中で非ルシフェラーゼ酵素媒介の反応向けの分子の存在または量を検出または決定することにより、検出または決定される。一部の実施形態において、非ルシフェラーゼ反応混合物またはルシフェラーゼ反応混合物は、例えば、アナログと非ルシフェラーゼ酵素との間の反応生成物がエステル基を有し、この生成物がプロルシフェラーゼ基質である場合、エステラーゼを含むことができる。エステラーゼは、第1の反応混合物と共に含めても、ルシフェラーゼ反応混合物の開始前に添加しても、ルシフェラーゼ反応混合物中に含めてもよい。一部の実施形態において、例えば、ピコリニルエステルを含むアナログ、すなわちこのアナログと非ルシフェラーゼ酵素との間の反応生成物は、外因的に添加されたエステラーゼの不在下におけるルシフェラーゼ向けの基質である。ある特定の実施形態において、エステル修飾を有するルシフェリンアナログは、非ルシフェラーゼ酵素基質としての特性が改善されていると考えられるため、本開示の方法、例えば、シトクロムP450酵素を含めた非ルシフェラーゼ酵素を検出するための方法で用いられる。いかなる機構にも拘泥されることは意図しないが、4位におけるエステル修飾をG3環に含むことにより、負電荷をブロックするか、または親油性の性質を誘導体に加え、誘導体を改善された基質にすると考えられる。
【0109】
さらに、試料中で非ルシフェラーゼ酵素媒介の反応向けの分子の存在または量を決定するための方法が提供される。本方法は、試料と、非ルシフェラーゼ媒介酵素反応向け及びルシフェラーゼ媒介反応向けの反応混合物と、非ルシフェラーゼ酵素向けの基質であるルシフェリンアナログとを接触させて、混合物を産生することを含む。非ルシフェラーゼ酵素と本発明のルシフェリンアナログとの間の反応により、ルシフェラーゼ向けの基質である発光生成物が産生される。混合物における発光は、試料中で非ルシフェラーゼ媒介の反応向けの分子の存在または量を検出または決定することにより、検出または決定される。
【0110】
さらに、本開示は、試料中でルシフェラーゼ媒介の反応向けの分子の存在または量を検出または決定するための方法を提供する。本方法は、試料と、甲虫ルシフェラーゼ向けの反応混合物と、ルシフェラーゼ向けの基質であるルシフェリンアナログとを接触させて、反応物を産生することを含む。
【0111】
また、本開示は、試料中で分子の存在または量を検出するための方法も提供する。本方法は、試料と、非酵素媒介の反応向けの第1の反応混合物と、分子の存在下でルシフェラーゼ向けの基質である発光生成物を産生するルシフェリンアナログとを接触させることと、次に第1の反応物の少なくとも一部と、ルシフェラーゼ媒介の反応向けの第2の反応混合物とを接触させて、第2の反応物を産生することとを含む。第2の反応物中の発光を検出または決定することにより、分子の存在または量を検出または決定する。例えば、試料と、非酵素媒介の反応向けの第1の反応混合物と、分子の存在下で甲虫ルシフェラーゼ向けの基質である発光生成物を産生するルシフェリンアナログとを有する混合物が提供される。第1の混合物の少なくとも一部と、甲虫ルシフェラーゼ媒介の反応向けの第2の反応混合物とを混合して第2の混合物を産生し、次に、第2の混合物における発光を検出または決定することにより、分子の存在または量を検出または決定する。
【0112】
本明細書に記載されている、より低いバックグラウンドを有するルシフェリンアナログを用いる生物発光アッセイは、より低い(または高い)量のアナログを使用することができ、このようなアナログは、(例えば、非ルシフェラーゼ酵素に対する)反応性が改善していると考えられる。加えて、本明細書に記載されている生物発光アッセイのいずれについても、他の試薬を反応混合物に添加することができ、このような試薬としては、以下に限定されないが、ルシフェラーゼの不活性化を阻害もしくは防止する試薬、または発光シグナルを拡張もしくは強化する試薬が挙げられる。
【0113】
また、非ルシフェラーゼ酵素媒介反応における調節物質の効力を同定または測定するための方法も提供される。本方法は、1つ以上の薬剤と、非ルシフェラーゼ酵素媒介の反応向けの第1の反応混合物と、非ルシフェラーゼ酵素向けの基質であるルシフェリンアナログとを接触させて第1の混合物を産生すること、またはこのような混合物を提供することを含み、このとき当該アナログは、D-ルシフェリンに対するG1環またはG2環の修飾を含む。1つ以上の薬剤の不在下での第1の混合物は、甲虫ルシフェラーゼ向けの基質である発光生成物を含む。この第1の混合物の少なくとも一部と、甲虫ルシフェラーゼ媒介の反応向けの第2の反応混合物を混合して、第2の混合物を産生する。第2の混合物における発光を対照混合物と比較することにより、薬剤のうちの1つ以上が非ルシフェラーゼ酵素媒介の反応を調節するかどうか、及び/またはどの程度調節するか、及びどのような効力で調節するかを同定する。
【0114】
ある特定の実施形態において、試験化合物は、酵素反応または非酵素反応における基質もしくは補因子としての活性について、または阻害物質もしくは活性化物質のいずれかの制御因子について、本発明のルシフェリン及びフルオロフォアアナログを用いてスクリーニング及び評価することができる。候補化合物は、試験化合物の不在下で生物発光、蛍光、または生物発光生成物を産生する条件の下、反応混合物をアナログ及び試験化合物に接触させることにより、反応における制御因子または基質であると決定することができる。
【0115】
一態様では、反応の基質と阻害物質とを区別するための方法が提供される。例えば、化合物を、化合物の代謝を可能にする条件の下、少なくとも1つの酵素と共にインキュベートした後に、酵素の阻害物質または基質の不在下でルシフェリンアナログと酵素との間の相互作用に好適であると考えられる条件の下、ルシフェリンアナログを提供する。ある特定の実施形態において、この反応の生成物は、ルシフェラーゼの基質であり、ルシフェラーゼの存在下で、光を放出する第2の反応をもたらす。得られた光放出反応を、酵素の阻害物質の不在下でルシフェリンアナログと酵素との間の相互作用に好適であると考えられる条件の下、酵素を化合物及びアナログに接触させることから取得された反応と、比較する。酵素による化合物の代謝は、アッセイ培地中の化合物の濃度を低減し、化合物の代謝なしの条件と比較して明らかな阻害活性の損失をもたらす可能性があり、その場合には、この化合物が酵素向けの基質であることが示されると考えられる。代謝されなかった阻害性化合物は、基質を添加した時間とは無関係に同じ効力を示すと考えられる。
【0116】
一態様では、化合物は、まず酵素と、第1の所定時間期間の間接触させることが好ましい。その後に、混合物を同時または同時発生的にルシフェリンアナログ及び生物発光酵素(例えば、ルシフェラーゼ)に接触させ、混合物を第2の所定時間期間の間インキュベートする。
【0117】
別の態様では、化合物を、第1の所定時間期間の間、酵素と共にインキュベートして第1の混合物を形成する。その後に、第1の混合物をルシフェリンアナログに接触させて第2の混合物を形成し、これを第2の所定時間期間の間インキュベートする。次に、第2の混合物を生物発光酵素(例えば、ルシフェラーゼ)に接触させて第3の混合物を形成し、これを第3の所定時間期間の間インキュベートする。その後に、第3の所定時間期間の最中及び/またはその後の発光を対照(例えば、化合物なし)反応物と対比して測定することにより、酵素と化合物との間の相互作用から得られた活性を決定する。このようにして、例えば、試験化合物を伴うがルシフェリンアナログを伴わない第1のインキュベートが、機構ベースの阻害物質により、第1の反応における第1のインキュベートなしで観察されるであろう阻害よりも深い阻害をもたらすか、または第1の反応の基質が阻害の低減を示すことから、機構ベースの第1の酵素の阻害物質を同定し、機構ベースでない阻害物質と区別することができる。
【0118】
別の態様では、化合物をスクリーニングして、化合物が細胞の酵素活性に及ぼす効果を決定するための、細胞ベースの方法が提供される。試験化合物を、所定時間期間の間、天然にまたは組換え発現を介して酵素を有する細胞と、ルシフェリンアナログと、生物発光酵素(例えば、ルシフェラーゼ)とに接触させるか、または酵素及びルシフェラーゼを有する細胞とアナログとに接触させる。したがって、ある特定の実施形態において、一過性または安定的に生物発光酵素(例えば、ルシフェラーゼ)のような組換え酵素を発現する細胞が使用され得る。一過性または安定的にトランスフェクトされた細胞を創出するための任意の従来的方法を使用することができる。ある特定の実施形態において、ルシフェリンアナログは、細胞との接触が行われ、細胞内に分散し、適切な分子が存在する場合は、ルシフェラーゼ向けの基質である生成物を産生する。ルシフェラーゼが細胞内に存在する場合、発光が検出され得る。代替方法として、ルシフェラーゼが欠如した細胞において生成物は細胞から培地に移行し、その培地をルシフェラーゼ反応混合物に添加する。その後に、反応混合物の発光を対照(試験化合物なし)反応混合物と対比して測定することにより、細胞と化合物との相互作用から得られた活性を決定する。
【0119】
一態様では、化合物は、まず細胞と、所定時間期間の間接触させることが好ましい。その後に、細胞を同時または同時発生的にルシフェリンアナログ及びルシフェラーゼに接触させ、混合物を第2の所定時間期間の間インキュベートする。反応混合物から生じた発光量を対照反応混合物(例えば、試験化合物なし)と対比して測定することにより、酵素活性を決定する。別の態様では、試験化合物は、まず細胞と、所定時間期間の間接触させることが好ましい。その後に、曝露された細胞を次にルシフェリンアナログに接触させ、第2の所定時間期間の間インキュベートする。次に、細胞をルシフェラーゼに接触させて第3の混合物を形成し、これを第3の所定時間期間の間インキュベートする。その後に、反応混合物の発光を対照(例えば、試験化合物なし)反応混合物と対比して測定することにより、細胞と試験化合物(複数可)との相互作用から得られた細胞の活性を決定する。洗浄剤を添加することで、細胞を破裂させ、細胞内容物を放出させることができる。
【0120】
細胞培地中に存在する分子(例えば、細胞培地中に活性的にまたは不活性機構を介して存在する分子)に対する細胞ベースの発光検出アッセイは、ルシフェリンアナログを含む反応混合物を細胞培地に添加すること、または細胞培地をルシフェリンアナログを含む反応混合物に添加することと、発光を検出することとを含む。
【0121】
また別の細胞ベースアッセイの実施形態において、細胞は、適切な溶解緩衝液に溶解することができる。動物細胞に関しては、典型的には、0.1~1.0%の非イオン性洗浄剤(例えば、Triton X 100またはTergitol)を含む緩衝液が十分である。通常は、細菌、植物、真菌、または酵母の細胞は、溶解がより困難である。洗浄剤、凍結融解サイクル、低張緩衝液、超音波処理、キャビテーション、またはこれらの方法の組合せを使用することができる。ライセートを生成する溶解方法は、ルシフェラーゼもしくは他の酵素活性に対し、または他の分子の検出もしくは状態に対し適合性である。
【0122】
非ルシフェラーゼ酵素の存在または活性は、培地中で成長する細胞内で、または動物(例えば、生きている動物)の細胞内で、測定することができる。動物内の細胞における測定に関しては、ルシフェリンアナログを動物に投与することができ、例えば、ルシフェリンアナログを、動物に注入するか、または水性溶液(例えば、水、もしくは動物が消費する食物)に添加することができる。アナログからルシフェラーゼ基質である生成物への変換は、動物の細胞(例えば、遺伝子導入細胞)内で発現されるルシフェラーゼにより、動物に投与された(例えば、動物内に注入された)ルシフェラーゼにより、または生理的液体(例えば、血液、血漿、尿など)もしくは組織試料を収集しそれをルシフェラーゼ試薬と合わせることにより、媒介される発光によって検出することができる。
【0123】
2つの反応を用いるアッセイは、同時(1ステップ)または順次(2ステップ)に行って、タンパク質(ペプチドまたはポリペプチド)を含めた1つ以上の部分、例えば、酵素、基質、補因子、酵素反応向けの阻害物質もしくは活性化物質、または状態(例えば、レドックス状態)を検出することができる。順次反応は、同じ容器(例えば、マルチウェルプレートの1ウェル)内で行うことができる。2ステップアッセイに関して、第1の反応混合物は、非ルシフェラーゼ酵素媒介の反応向けの試薬のうち、全てを含有しても、全てより少なく含有してもよく、全てより少なく含有する場合、試薬のうちの不在である1つは試料(例えば、細胞ライセート)中で検出対象となる試薬である。例えば、非ルシフェラーゼ酵素媒介の反応は、非ルシフェラーゼ向け基質であるルシフェリンアナログとルシフェラーゼのプロ基質とを、ルシフェラーゼの基質である生成物に変換するのに有効な条件の下、実施される。第1の反応は、ルシフェラーゼ反応混合物の添加時または添加前にクエンチされ得る。例えば、第1の反応のクエンチャーは、ルシフェラーゼ反応混合物中に存在してもよい。ルシフェラーゼ反応混合物は、ルシフェラーゼ向けの基質が欠如していることが好ましく、例えば、ルシフェラーゼ向けの唯一の基質源は、非ルシフェラーゼ酵素とアナログとの間の反応によりもたらされる。第1の反応のための試薬全てが第1の反応混合物に存在する場合、アッセイは、反応を改変する部分、例えば、反応の阻害物質またはエンハンサーを同定するために用いられ得る。反応を実施した後、同時または順次のいずれかで、1つ以上の分子の存在もしくは量、または反応(複数可)における1つ以上の阻害物質もしくは活性化物質を検出または決定し、及び/またはどの程度、及びどのような効力によるかを検出または決定する。
【0124】
1ステップアッセイに関して、反応混合物は、2つの反応向けの試薬を含有してもよく、例えば、非ルシフェラーゼ酵素媒介の反応及びルシフェラーゼ媒介の反応向けもしくは非酵素反応向けの試薬、または単一の反応向け、例えば、酵素向けの基質であるフルオロフォアのアナログと酵素との間の反応向け、もしくはルシフェラーゼ媒介の反応向け(例えば、試験対象となる試料中でルシフェラーゼが疑われている)の反応混合物を含有してもよい。
【0125】
2つの反応を用いるアッセイに関して、アッセイ用の分子を添加する順序は様々であってもよい。順次開始し行う場合(同じ容器で行うか否かにかかわらず)、反応条件(例えば、試薬濃度、温度、または追加的な試薬)に対する調整が実施され得る。ある特定の実施形態において、2つ以上の反応が単一の反応混合物中で同時に行われる。任意選択により、アッセイは均一アッセイであり、例えば、構成成分を混合してから混合物を試料に添加する。結果は、試薬をさらに移行することなく読み取られ得る。
【0126】
本開示のアッセイは、このように試料中で1つ以上の分子または状態の検出を可能にするものであり、試料は、例えば、真核細胞、例えば、酵母、鳥類、植物、昆虫、または哺乳類の細胞(以下に限定されないが、ヒト、サル、マウス、イヌ、ウシ、ウマ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、もしくはブタの細胞を含む)、または原核細胞、2種以上の異なる生物からの細胞を含む試料、または細胞ライセートもしくはその上清、または精製形態の分子(例えば、標準曲線の準備に有用な精製された非ルシフェラーゼ酵素)を含む試料である。細胞は、組換え技法を介して遺伝子組換えされていなくてもよく(非組換え細胞)、あるいは組換えDNAで、及び/または組換えDNAで安定的に増強されているゲノムで、または遺伝子を崩壊させる(例えば、プロモーター、イントロン、もしくはオープンリーディングフレームを崩壊させる)ように、もしくは1つのDNA断片を別の断片で置き換えるように修飾されたゲノムで、一過性にトランスフェクトされた組換え細胞であってもよい。組換えDNAまたは置き換えDNA断片は、本開示の方法の検出対象となる分子、検出対象の分子のレベルもしくは活性を改変する部分、及び/または分子のレベルもしくは活性を改変する分子もしくは部分に無関係な遺伝子生成物をコードすることができる。
【0127】
本発明の方法は、酵素媒介の反応、非酵素媒介の反応向けの分子、または状態を検出するために用いることができる。例えば、本方法の検出対象となる分子または状態としては、以下に限定されないが、酵素、例えば、デメチラーゼ、オキシダーゼ(例えば、MAO)、デアセチラーゼ、デホルミラーゼ、プロテアーゼ(プロテオソーム、カルパイン、ベータセクレターゼ、カテプシン、カルパイン、トロンビン、グランザイムB)、ホスファターゼ、キナーゼ、ペルオキシダーゼ、トランスフェラーゼ、例えば、GST、スルファターゼ、ベータラクタマーゼ、シトクロムP450酵素、エステラーゼ、例えば、アセチルコリンエステラーゼ、デヒドロゲナーゼ、ルシフェラーゼ、酵素媒介の反応における基質、阻害物質、補因子、活性化物質、活性酸素種、還元状態、及び転写制御因子または遺伝子転写の制御因子が挙げられる。本方法で用いられる酵素(検出対象となる酵素、または基質もしくは補因子の検出に有用な酵素)は、組換え酵素及び内在性(天然の)酵素を含めた任意の組合せの酵素から選択することができる。ある特定の実施形態において、検出対象となる酵素は内在性酵素である。別の実施形態において、酵素は組換え酵素である。当業者に明らかな他の組合せは、本発明のアッセイ及び方法で本明細書の教示に従って使用することができる。酵素としては、以下に限定されないが、プロテアーゼ、ホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、スルファターゼ、ペプチダーゼ、オキシダーゼ、デアルキラーゼ、デホルミラーゼ、及びグリコシダーゼが挙げられる。酵素は、ヒドロラーゼ、オキシドレダクターゼ、リアーゼ、トランスフェラーゼ、例えば、グルタチオンSトランスフェラーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、またはシンターゼであってもよい。特に関心対象となるのは、生理的な重要性を有する酵素のクラスである。このような酵素としては、プロテインペプチダーゼ、エステラーゼ、プロテインホスファターゼ、グリコシラーゼ、プロテアーゼ、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、オキシゲナーゼ、レダクターゼ、メチラーゼなどが挙げられる。目的酵素としては、有機及び無機両方のエステルを作製または加水分解することと、グリコシル化することと、アミドを加水分解することとに関与する酵素が挙げられる。いずれの場合においても、さらなる細分が存在し得る。
【0128】
とりわけ、本開示で有用な酵素としては、酵素活性を示す任意のタンパク質、例えば、リパーゼ、ホスホリパーゼ、スルファターゼ、ウレアーゼ、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、及びエステラーゼが挙げられ、酸ホスファターゼ、グルコシダーゼ、グルクロニダーゼ、ガラクトシダーゼ、カルボキシルエステラーゼ、及びルシフェラーゼがこれに含まれる。ある特定の実施形態において、酵素は加水分解酵素である。加水分解酵素の例としては、アルカリホスファターゼ及び酸ホスファターゼ、エステラーゼ、デカルボキシラーゼ、ホスホリパーゼD、P-キシロシダーゼ、β-D-フコシダーゼ、チオグルコシダーゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、α-D-ガラクトシダーゼ、α-D-グルコシダーゼ、β-D-グルコシダーゼ、β-D-グルクロニダーゼ、β-D-マンノシダーゼ、β-D-マンノシダーゼ、β-D-フルクトフラノシダーゼ、及びβ-D-グルコシズロナーゼが挙げられる。
【0129】
ある特定の実施形態において、式(I’)または式(I)の化合物は、例えばin vivoで、生細胞内の発光を検出するために使用することができる。一部の実施形態において、ルシフェラーゼは、培養液中で細胞を透過し、ルシフェラーゼに反応し、発光を生成するルシフェリンアナログ(例えば、式(I’)または式(I)の化合物)で処置した細胞内で(レポーターまたは別のものとして)発現させることができる。式(I’)または式(I)の化合物は、細胞透過性であることに加えて、細胞生存率の観点において天然のルシフェリンに匹敵する生体適合性を示すことができる。一部の実施形態において、培地中の天然のルシフェリンまたはプロルシフェリンの安定性を増加することが知られている化学修飾を含有する式(I’)または式(I)の化合物は、より堅牢な生細胞ルシフェラーゼ系のレポーターアッセイのために合成及び使用することができる。さらに他の実施形態において、ルシフェラーゼ及び式(I’)または式(I)の化合物を含有する試料(細胞、組織、動物などを含む)は、様々な顕微鏡及びイメージングの技法(例えば、in vivoイメージング)を用いてアッセイすることができる。さらに他の実施形態において、分泌可能なルシフェラーゼを生細胞レポーター系の一部として細胞内に発現させる。
【0130】
ある特定の実施形態において、本発明化合物は、遺伝子導入動物における発光を検出するための方法で使用することができる。本方法は、本発明化合物のうちの一化合物を、ルシフェリン利用ルシフェラーゼを発現する遺伝子導入動物に投与することと、発光を検出することとを含む。
【0131】
ある特定の実施形態において、本明細書で開示されている式(I’)または式(I)の化合物は、キットの一部として提供されてもよい。一部の実施形態において、キットは、使用者が本明細書で開示されているようなアッセイを実施できるように、1つ以上のルシフェラーゼ(ポリペプチド、ポリヌクレオチド、または両方の形態)及び式(I’)または式(I)のルシフェリンアナログと共に好適な試薬及び使用説明書を含むことができる。また、キットは、本明細書で開示されている緩衝液のような1つ以上の緩衝液を含んでもよい。
【0132】
一部の実施形態において、本明細書では、試料中でATPを検出または定量化するためのアッセイ系であって、(a)本明細書で記載されている式(I’)または式(I)の化合物を含む試薬組成物と、(b)ATPを含む、または含む疑いのある試料とを含む、アッセイ系が提供される。一部の実施形態において、アッセイ系はさらに、発光を検出及び/または測定するためのデバイス(例えば、ルミノメーター;ただし他の光検出デバイスまたは装置を使用してもよい)を含む。一部の実施形態において、試料は細胞ライセートである。
【0133】
一部の実施形態において、本明細書では、試料中でATPを検出または定量化する方法であって、(a)試料に、本明細書で記載されている式(I’)または式(I)の化合物を含む試薬組成物を添加することと、(b)発光を検出することとを含む、方法が提供される。一部の実施形態において、試料は細胞を含み、本方法はさらに、細胞を溶解して細胞ライセートを生成することを含む。一部の実施形態において、本明細書では、試料中でATPの量または濃度を定量化する方法であって、(a)試料に、本明細書に記載されている式(I’)または式(I)の化合物を含む試薬組成物を添加することと、(b)試料から発光を定量化することと、(c)発光を対照値と比較して、試料中のATPの量または濃度を決定することとを含む、方法が提供される。一部の実施形態において、対照値は、既知濃度のATPを含む対照試料により生成された発光の別々の定量化から決定される。一部の実施形態において、方法はさらに、既知濃度のATPを試料に添加するステップを含む。一部の実施形態において、発光は複数の時点で定量化される。一部の実施形態において、発光はリアルタイムで定量化される。
【0134】
一部の実施形態において、本明細書では、細胞ATPレベルを有効かつ正確に検出及び定量化するために使用される方法、組成物、及びキットが提供される。一部の実施形態において、ルシフェラーゼ及び試薬組成物は、衛生モニタリングなどのために、非細胞試料(例えば、水)中で表面上のATPを検出するのに使用される。一部の実施形態において、方法は、ルシフェラーゼと、ルシフェリンまたはルシフェリンアナログ(及び場合によってはデヒドロルシフェリン)とを含む単一の試薬組成物を、試料(例えば、ATPを含む、または場合によってはATPを含む疑いのある試料)に添加することを含む。一部の実施形態において、追加的な構成成分及び/または試薬(上記参照)を、試薬組成物と共に含めるか、または別々に添加する(例えば、ATPの蓄積を防止する化合物であるキナーゼ阻害物質、細胞溶解剤(例えば、THESITのようなポリオキシエチレン)、ATP抽出剤、マグネシウム、緩衝液、塩など)。一部の実施形態において、ルシフェラーゼと、ルシフェリンまたはルシフェリンアナログとを単一の試薬に含めることが、ATP検出を迅速化し、アッセイ及びハンドリングを平易にし、再現性を高める。
【0135】
全体において取り上げられているように、本明細書における方法、組成物、及びキットは、試料中でのATP(またはルシフェラーゼ基質として機能し得るATPアナログ)の質的及び定量的な検出に特に有用である。一部の実施形態において、試薬組成物(例えば、ルシフェラーゼ及びルシフェリンを含む試薬組成物)を用いて試料中で発光が生成される平易な質的実験からは、ATPの存在が示される。一部の実施形態において、試料中のATPの量が定量化されるアッセイが提供される。ATPは、単一の時点として、複数の時点で、またはリアルタイムで、本明細書におけるルシフェラーゼ、試薬組成物、及び/またはキットを用いて、検出(例えば、質的に)及び/または定量化することができる。
【0136】
一部の実施形態において、試料は、ATPまたは好適なATPアナログを含有する、または含有する疑いのある任意の試料であり、例えば、細胞ライセート、インタクトな細胞、生検、食物、飲料、水、表面(例えば、動物、植物、または無生物物体の表面)を拭き取ったスワブなどである。試料の他の例としては、既知のATP濃度の組成物が挙げられる。細胞または細胞ライセートは、任意の生物(原核生物または真核生物)からのものであり得る。真核細胞は、植物、動物、真菌、昆虫などからのもの、またはこのような生物からの培養細胞であり得る。これらの例は単に例として示されており、限定的であるようには意図されていない。
【0137】
細胞ライセートは、もはや認識可能でインタクトな細胞構造に編成されていない細胞構成成分を含む。細胞ライセートは、可溶性の構成成分も不溶性の構成成分も含むことができ、ライセートの使用前にこれらのいずれかを除去してもよい。ライセートは、超音波処理、ダウンス、乳鉢及び乳棒、凍結融解サイクル、もしくは細胞の物理的統合性を破壊する任意の他のデバイスもしくはプロセスを用いた物理的崩壊、または洗浄剤(例えば、ルシフェラーゼ活性が維持される洗浄剤、例えば、双性イオン性洗浄剤及び非イオン性洗浄剤、もしくはカチオン性洗浄剤のDTABもしくはCTAB)による溶解を含めた、任意の手段により調製することができる。好ましくは、細胞ライセートは、細胞の採取時にATP濃度の統合性が保持されるような方法で生成される。
【0138】
一部の実施形態において、試料中で正確にATPを検出するため、細胞ATPを分解すると考えられる酵素、またはATPを生成すると考えられる酵素は、阻害または除去されることが好ましい。ATP生成酵素、すなわち生成物または副生成物としてATPを有する酵素(例えば、キナーゼの活性)の阻害物質は、試薬組成物(例えば、ルシフェラーゼとルシフェリンまたはルシフェリンアナログとを含む試薬組成物)に、または試薬組成物を含むキットに組み入れることができる。
【0139】
本明細書におけるルシフェラーゼ、試薬組成物、方法、及びキットは、使用者が、発光の量を定量化することにより、ATPの量を定量化することを可能にする。一部の実施形態において、ルシフェラーゼと、ルシフェリンまたはルシフェリンアナログとを(単一の組成物で)、目的の試験試料に適用する。一部の実施形態において、ルシフェラーゼと、ルシフェリンまたはルシフェリンアナログとを(単一の組成物で)、既知の量のATPを含有する試料(対照)にも適用する。試験試料から生成されたシグナルの大きさは、試料中のATP濃度と相関する。一部の実施形態において、未知のATP濃度の試料からの発光シグナルの大きさは、内部対照(既知の量のATPを試料に添加し、その後の発光を測定)、または既知のATP濃度のいくつかの試料の発光を測定し、図式的にプロットすることにより生成された外部標準曲線のいずれかにより生成されたシグナルと相関する。
【0140】
4.実施例
実施例1.合成方法I
概して、スキーム1に記載されているように5,5-二置換ルシフェリンアナログを合成した。2-シアノベンゾチアゾール(CBT)誘導体(A)は、市販品であるか、または過去に説明されているプロトコルにより合成した(Woodroofe,et al.,Biochemistry,2008,47,10383-10393;Woodroofe, et al.,WO2014/159044 A1;Mofford,et al.,J.Am.Chem.Soc.2014,136,13277-13282)。β,β-二置換システインアナログ(B)は、過去に説明されているプロトコルにより合成した(Stanfield,C.F.et al.J.Org.Chem.1986,51,5153-5156)。
【0141】
2下でH2O(1mL)に溶解したβ,β-二置換システインアナログの塩酸塩(B、0.15mmol、1.5当量)を、1NのNaOH(水性、0.30mmol、300μL、3.0当量)で中和した。N2下、室温のCBT誘導体(A)(0.1mmol、1.0当量)のDMF(2mL)中溶液に、β,β-二置換システインアナログの中和溶液を添加した。次に、溶液をN2下で30分間攪拌した。LC-MSは、CBT基質(A)の完全な消費を示した。分取HPLC(移動相A:10mMのNH4OAc水性溶液;移動相B:CH3CN;グラジエント条件:30分かけて5%のBから95%のBへ)により、純粋な生成物(I)を取得した。
【0142】
以下の表1は、スキーム1の一般手順を用いて調製した代表的な化合物を記載している。

表1



*RLUは、同一条件下で1mMのラセミルシフェリンにより生成されたものを基準に正規化した。
【0143】
実施例2.熱安定性
ルシフェリンにおける代表的な熱安定性プロファイリング:様々な量の洗浄剤を含有するルシフェリンストック溶液(pH=6.0、[LH2]最終=7.0mM)を、ULTRA-GLO(商標)ルシフェラーゼ([酵素]最終=0.1mg/mL;Promega)ありまたはなしで、60℃にてインキュベートした。アリコート(20μL)を様々な時点で取り出し、H2O(180μL)で希釈し、RP-HPLCにより解析した。構成成分のパーセンテージを、6’-OH-ルシフェリンの場合は330nm、6’-NH2-ルシフェリンの場合は295nmにおけるUV吸光度に基づいて計算した。図2Aに示されているように、デヒドロルシフェリンがルシフェリンの主な分解生成物であり、ルシフェラーゼはルシフェリンの分解にほとんど影響を及ぼさなかった。
【0144】
デヒドロルシフェリンによるルシフェラーゼ活性の阻害:検出試薬緩衝液中ULTRA-GLO(商標)ルシフェラーゼ(Promega、0.1mg/mL)+0.1%のPRIONEX(登録商標)を調製した。溶液を2つの部分に分割し、一方の部分には0.25mMのラセミH-ルシフェリンを添加し、もう一方の部分には0.25mMのラセミNH2ルシフェリンを添加した。H-デヒドロルシフェリン(0.25mM)をラセミH-ルシフェリン溶液のアリコートに添加し、NH2-デヒドロルシフェリン(0.25mM)をラセミNH2ルシフェリン溶液のアリコートに添加した。ラセミ溶液を希釈剤として用いて、各々のデヒドロルシフェリン試料の2×系列希釈液を調製した(500μLのデヒドロルシフェリン溶液を500μLのULTRA-GLO(商標)+ラセミルシフェリンに添加した)。次に、50μLの各滴定系列を50μLの0.1mM ATPに添加した。試料を1分間インキュベートし、GLOMAX(登録商標)-Multi+プレートルミノメーター(n=6)上で発光を測定した。図2Bに示されているように、デヒドロルシフェリンがルシフェラーゼの強力な阻害物質であったが、このことは、ルシフェリンストック溶液を長期間、周囲温度にて保管した後に光出力が減少することを説明し得るものである。
【0145】
熱安定性の比較:様々な量の洗浄剤及びULTRA-GLO(商標)ルシフェラーゼ([酵素]最終=0.1mg/mL)を含有するルシフェリン(LH2)または5,5-二置換ルシフェリン(Luc-III、図3A)のストック溶液(pH=6.0、[ルシフェリン]最終=7.0mM)を60℃にてインキュベートした。アリコート(20μL)を様々な時点で取り出し、H2O(180μL)で希釈し、RP-HPLCにより解析した。構成成分のパーセンテージを、6’-OH-ルシフェリンの場合は330nm、6’-NH2-ルシフェリンの場合は295nmにおけるUV吸光度に基づいて、計算した。結果からは、5,5-ジメチルルシフェリンIII-a(6-OH化合物)及びIII-b(6-NH2化合物)が、置換されていないルシフェリンよりも熱的に安定していることが示された(図3B)。
【0146】
実施例3.発光特性
本開示化合物を試験して、コメツキムシ緑ルシフェラーゼ、コメツキムシ赤ルシフェラーゼ、ULTRA-GLO(商標)ルシフェラーゼ、及びホタルルシフェラーゼを含めた様々なルシフェラーゼ酵素向けの基質としての本開示化合物の活性を決定した。各酵素0.05mg/mLの溶液を3mMのATPを含むBRIGHT-GLO(商標)アッセイ緩衝液(Promega E263A)で調製した。次に、各酵素の3×系列希釈液を3mMのATPを含むBRIGHT-GLO(商標)アッセイ緩衝液で調製し、300μLの各ストックを700ulの緩衝液に系列希釈した。各基質(0.5mM)の溶液をルシフェリンフリー水で調製し、50μLの各基質溶液を50μLの酵素希釈液と合わせた。試料を室温にて1分間インキュベートし、GLOMAX(登録商標)-Multi+プレートルミノメーター上で発光を測定した。図4A-4Dに示されているように、試験を行った酵素(コメツキムシ緑、コメツキムシ赤、ULTRA-GLO(商標)、及びホタルルシフェラーゼ)は、本開示のジメチル基質を利用して光を生成することができた。これらの結果において、コメツキムシ酵素は、ジメチル基質を利用してULTRA-GLO(商標)及びホタルルシフェラーゼよりも強いシグナルを生成した。
【0147】
基質の結合親和性を比較する手段として、さらなる試験を亜飽和D-ルシフェリンの存在下、様々な基質濃度にて行った。0.005mg/mlのコメツキムシ緑ルシフェラーゼ(CBG)またはUltoraGloルシフェラーゼの溶液を、3mMのATPを含むBright-Glo(商標)アッセイ緩衝液(Promega E263A)で調製した。次に、各基質の2mMの溶液を、D-ルシフェリン(亜飽和)を含有する水で調製した。各基質+D-ルシフェリンをルシフェリンフリー水で2倍系列希釈した。50μLの各基質系列の試料を50μLの酵素溶液と合わせた。試料を室温にて1分間インキュベートし、GLOMAX(登録商標)-Multi+プレートルミノメーター上で発光を測定した。より大きな側鎖を5,5位に有する基質は、より高い見かけ上のRLUmax値を有する。これは、この基質が、より小さな5,5二置換側鎖の場合と比較してD-ルシフェリンに対する阻害性が低いことを示す。見かけ上のKm値からは、より小さな5,5位側鎖を有するアナログが、より大きな5,5位の置換と比較して、D-ルシフェリンの存在下でより緊密にルシフェラーゼ酵素に結合することが示唆される(図5A-F)。ある特定の代表的化合物についてのRLU値(同一条件下のラセミルシフェリンを基準に正規化)が上記の表1に示されている。ある特定の代表的化合物に関し、本明細書に記載されている手順を用いて、ルシフェリンとの比較なしで基質滴定試験を実施した。そのため、ルシフェリンのRLU値を基準に正規化されていないRLU値がもたらされた。
【0148】
様々なpHにおける本開示化合物の活性も試験した。次の緩衝液:クエン酸、MES、PIPES、HEPES、及びTAPSのうちの1つを25mM含有するストック緩衝液を調製した。この緩衝液はさらに、0.5%(v/v)のTergitol、0.05%のMazu DF204、及び10mMのMgSO4も含有した。緩衝液を分取し、NaOHを様々な量にて添加してpH系列を達成した。各溶液の正確なpHをpHメーターにより決定した。ATP(1mM)及びコメツキムシ緑ルシフェラーゼ(CBG、0.01mg/mL)をpH系列における各緩衝液に添加した。各ジメチル基質(0.2mM)のラセミ混合物をルシフェリンフリー水で調製した。三重反復で、各希釈基質(50uL)及びpH系列における各緩衝液(50uL)を合わせ、GLOMAX(登録商標)-Multi+プレートルミノメーターを用いて、ただちに(t=0)、及び室温での15分のインキュベート後に(t=15)発光を測定した。結果は、ジメチル基質のラセミ混合物が、約pH5.6から約pH8.3までのpH範囲にわたり、活性ルシフェラーゼ基質であることを示すものであった(図6A-6B)。このように、本開示化合物は、L及びD形態の両方において、ホタルルシフェラーゼまたはコメツキムシルシフェラーゼにより利用されて、広範囲のpHにわたり生物発光を生成することができる(図6A-6B)。
【0149】
5,5位に置換を有するルシフェリンアナログがUltraGlo(商標)ルシフェラーゼ向けの基質であり得るかを決定するため、アルキル基の様々な二置換及び閉環構造を含有するアナログを用いて発光アッセイにおいて試験を実施した。1×TBS+1%のPrionexで調製した0.005mg/mlのUltraGlo(商標)ルシフェラーゼ(Promega Corp)の溶液を、Bright-Glo(商標)アッセイ緩衝液(Promega E263A)中0.5mMのATPと合わせた。全ての基質を別々に、DMSOで20mMに希釈した。室温での30分間のインキュベート後、希釈した基質を、反応物中で1mM最終濃度になるように添加し、ピペット操作により混合した。反応物を室温にて1分間さらにインキュベートし、GLOMAX(登録商標)-Multi+プレートルミノメーター上で発光を測定した。5,5位により大きな置換(例えば、シクロヘキシル(CS0392)、ジベンジル(CS0396)、及びジエチル(CS0388))を有するルシフェリンアナログのいくつかは、いずれも測定可能な発光値を示し、UltraGloがこれらを基質として利用することができることを実証した(図7)。
【0150】
以上の発明を実施するための形態及び付随する実施例は、単に例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の範囲は、付属の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ定義される。
【0151】
本開示の実施形態に対する様々な変更及び修正は、当業者には明白であると考えられる。このような変更及び修正(以下に限定されないが、本発明における化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤、または使用方法に関する変更及び修正を含む)は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料における発光を検出するin vitroの方法であって、試料を、式(I)
(I)
[式中、
1は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR1a、または-NR1b1cであり、
2は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR2a、-NR2b2c、-SR2d、-SO22e、-S(O)R2f、または-P(O)OR2g2hであり、
3は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR3a、-NR3b3c、-SR3d、-SO23e、-S(O)R3f、または-P(O)OR3g3hであり、
4は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR4a、-NR4b4c、-SR4d、-SO24e、-S(O)R4f、または-P(O)OR4g4hであり、
5は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR5a、-NR5b5c、-SR5d、-SO25e、-S(O)R5f、または-P(O)OR5g5hであり、
あるいは、R2及びR3は、それらが結合している原子と一緒になって、R3及びR4は、それらが結合している原子と一緒になって、またはR4及びR5は、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の飽和環、部分的不飽和環、または完全不飽和環を形成し、前記5員または6員の環は、任意に、O、N、S、NO、SO、及びSO2からなる群から各々独立的に選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子もしくはヘテロ原子基を環員として含有し、前記5員または6員の環は、任意に、アリール、ヘテロアリール、複素環、またはシクロアルキルに縮合し、前記5員または6員の環は、0個、1個、2個、3個、または4個の置換基で置換されており、前記置換基は、各々独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、リールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、ルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、COOH、ミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、びアシルからなる群から選択され、
1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R2c、R2d、R2e、R2f、R2g、R2h、R3a、R3b、R3c、R3d、R3e、R3f、R3g、R3h、R4a、R4b、R4c、R4d、R4e、R4f、R4g、R4h、R5a、R5b、R5c、R5d、R5e、R5f、R5g,及びR5hは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルからなる群から各々独立的に選択され、かつ
1及びW2は、各々独立的に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルからなる群から選択され、
各出現における前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルは、独立的に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の置換基で置換されており、前記置換基の各々は独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、リールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、ルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、COOH、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、びアシルからなる群から選択される]
の化合物またはその互変異性体もしくは塩に接触させる工程を含む、方法
【請求項2】
1が、-OHである、請求項に記載の方法
【請求項3】
2、R3、R4、及びR5が、各々独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルキニル、-OH、及び-NH2からなる群から選択される、請求項に記載の方法
【請求項4】
4が、-OR4aまたは-NR4b4cである、請求項に記載の方法
【請求項5】
3及びR4が、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の、任意に置換された、飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の環を形成しているか、またはR 4 及びR 5 が、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の環を形成している、請求項に記載の方法
【請求項6】
3及びR4が、それらが結合している原子と一緒になって、6員の任意に置換された複素環を形成し、R4及びR5が、それらが結合している原子と一緒になって、6員の任意に置換された複素環を形成し、このとき、前記2つの6員環が縮合している、請求項に記載の方法
【請求項7】
1及びW2が、各々アルキルである、請求項に記載の方法
【請求項8】
式(I)の化合物が、式(I-a)
(I-a)
[式中、
A及びBは、各々独立して、任意で、アリール、ヘテロアリール、及び複素環からなる群から選択される5員または6員の環であり、Aは、存在する場合、1つ以上のRAで任意に置換され、Bは、存在する場合、1つ以上のRBで任意に置換され、RA及びRBの各々は、存在する場合、独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、-OH、-NH2、またはアルキル-NH-であり、
A及びBの両方が不在の場合、Qは、-ORQ1または-NRQ1Q1であり、各出現におけるRQ1は、独立して、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキルであり、あるいは、A及びBのうちの少なくとも1つが存在する場合、Qは、C、CRQ2、CRQ2Q2、N、NRQ2、またはOであり、各出現におけるRQ2は、独立して、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキルであり、
Rは、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、またはシクロアルケニルであり、
pは、0、1、2、または3である]
の化合物またはその互変異性体もしくは塩である、請求項に記載の方法
【請求項9】
化合物が、式(I-b)または(I-c)
(I-b)
(I-c)
[式中、
mは、0、1、2、または3であり、
pは、0、1、または2である]
の化合物である、請求項に記載の方法
【請求項10】
化合物が、式(I-d)
(I-d)
[式中、
nは、0、1、2、または3であり、
pは、0、1、または2である]
の化合物である、請求項に記載の方法
【請求項11】
化合物が、式(I-e)
(I-e)
[式中、
mは、0、1、2、または3であり、
nは、0、1、2、または3であり、
pは、0または1である]
の化合物である、請求項に記載の方法
【請求項12】
化合物が、式(I-f)
(I-f)
[式中、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、または8である]
の化合物である、請求項に記載の方法
【請求項13】
化合物が、式(I-g)
(I-g)
[式中、

は、任意で置換されている

であ
の化合物である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
化合物が、以下の化合物:
5,5-ジエチル-2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(R)-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(7-アミノナフト[2,1-d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-5,5-ジメチル-2-(6-(ピロリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-チアゾロ[4,5-f]インドール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(6-((3-ヒドロキシプロピル)アミノ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
5,5-ジベンジル-2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
5,5-ジエチル-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;及び
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジプロピル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸、
からなる群から選択される化合物またはその互変異性体もしくは塩である、請求項1に記載の方法
【請求項15】
前記試料が、生細胞を含有している、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記試料が、ルシフェリン利用ルシフェラーゼを含有している、請求項に記載の方法。
【請求項17】
試料中でATPを検出するin vitroの方法であって、
(a)前記試料に、式(I)

(I)
[式中、
1 は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 1a 、または-NR 1b 1c であり、
2 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 2a 、-NR 2b 2c 、-SR 2d 、-SO 2 2e 、-S(O)R 2f 、または-P(O)OR 2g 2h であり、
3 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 3a 、-NR 3b 3c 、-SR 3d 、-SO 2 3e 、-S(O)R 3f 、または-P(O)OR 3g 3h であり、
4 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 4a 、-NR 4b 4c 、-SR 4d 、-SO 2 4e 、-S(O)R 4f 、または-P(O)OR 4g 4h であり、
5 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 5a 、-NR 5b 5c 、-SR 5d 、-SO 2 5e 、-S(O)R 5f 、または-P(O)OR 5g 5h であり、
あるいは、R 2 及びR 3 は、それらが結合している原子と一緒になって、R 3 及びR 4 は、それらが結合している原子と一緒になって、またはR 4 及びR 5 は、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の飽和環、部分的不飽和環、または完全不飽和環を形成し、前記5員または6員の環は、任意に、O、N、S、NO、SO、及びSO 2 からなる群から各々独立的に選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子もしくはヘテロ原子基を環員として含有し、前記5員または6員の環は、任意に、アリール、ヘテロアリール、複素環、またはシクロアルキルに縮合し、前記5員または6員の環は、0個、1個、2個、3個、または4個の置換基で置換されており、前記置換基は、各々独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、-COOH、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、及びアシルからなる群から選択され、
1a 、R 1b 、R 1c 、R 2a 、R 2b 、R 2c 、R 2d 、R 2e 、R 2f 、R 2g 、R 2h 、R 3a 、R 3b 、R 3c 、R 3d 、R 3e 、R 3f 、R 3g 、R 3h 、R 4a 、R 4b 、R 4c 、R 4d 、R 4e 、R 4f 、R 4g 、R 4h 、R 5a 、R 5b 、R 5c 、R 5d 、R 5e 、R 5f 、R 5g ,及びR 5h は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルからなる群から各々独立的に選択され、かつ
1 及びW 2 は、各々独立的に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルからなる群から選択され、
各出現における前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルは、独立的に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の置換基で置換されており、前記置換基の各々は独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、-COOH、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、及びアシルからなる群から選択される]
の化合物またはその互変異性体もしくは塩を含む試薬組成物を添加する工程と、
(b)発光を検出する工程と、
を含む、方法。
【請求項18】
1 が、-OHである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
2 、R 3 、R 4 、及びR 5 が、各々独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C 1 -C 4 -アルキル、C 2 -C 4 -アルケニル、C 2 -C 4 -アルキニル、-OH、及び-NH 2 からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
4 が、-OR 4a または-NR 4b 4c である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
3 及びR 4 が、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の、任意に置換された、飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の環を形成しているか、またはR 4 及びR 5 が、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の環を形成している、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
3 及びR 4 が、それらが結合している原子と一緒になって、6員の任意に置換された複素環を形成し、R 4 及びR 5 が、それらが結合している原子と一緒になって、6員の任意に置換された複素環を形成し、このとき、前記2つの6員環が縮合している、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
1 及びW 2 が、各々アルキルである、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
式(I)の化合物が、式(I-a)

(I-a)
[式中、
A及びBは、各々独立して、任意で、アリール、ヘテロアリール、及び複素環からなる群から選択される5員または6員の環であり、Aは、存在する場合、1つ以上のR A で任意に置換され、Bは、存在する場合、1つ以上のR B で任意に置換され、R A 及びR B の各々は、存在する場合、独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、-OH、-NH 2 、またはアルキル-NH-であり、
A及びBの両方が不在の場合、Qは、-OR Q1 または-NR Q1 Q1 であり、各出現におけるR Q1 は、独立して、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキルであり、あるいは、A及びBのうちの少なくとも1つが存在する場合、Qは、C、CR Q2 、CR Q2 Q2 、N、NR Q2 、またはOであり、各出現におけるR Q2 は、独立して、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキルであり、
Rは、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、またはシクロアルケニルであり、
pは、0、1、2、または3である]
の化合物またはその互変異性体もしくは塩である、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
化合物が、式(I-b)または(I-c)

(I-b)

(I-c)
[式中、
mは、0、1、2、または3であり、
pは、0、1、または2である]
の化合物である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
化合物が、式(I-d)

(I-d)
[式中、
nは、0、1、2、または3であり、
pは、0、1、または2である]
の化合物である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
化合物が、式(I-e)

(I-e)
[式中、
mは、0、1、2、または3であり、
nは、0、1、2、または3であり、
pは、0または1である]
の化合物である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
化合物が、式(I-f)

(I-f)
[式中、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、または8である]
の化合物である、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
化合物が、式(I-g)

(I-g)
[式中、

は、任意で置換されている

である]
の化合物である、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
化合物が、以下の化合物:
5,5-ジエチル-2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(R)-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(7-アミノナフト[2,1-d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-5,5-ジメチル-2-(6-(ピロリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-チアゾロ[4,5-f]インドール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(6-((3-ヒドロキシプロピル)アミノ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
5,5-ジベンジル-2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
5,5-ジエチル-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;及び
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジプロピル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸、
からなる群から選択される化合物またはその互変異性体もしくは塩である、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
前記試料が、生細胞を含有している、請求項17に記載の方法。
【請求項32】
前記試料が、ルシフェリン利用ルシフェラーゼを含有している、請求項17に記載の方法。
【請求項33】
式(I)

(I)
[式中、
1 は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 1a 、または-NR 1b 1c であり、
2 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 2a 、-NR 2b 2c 、-SR 2d 、-SO 2 2e 、-S(O)R 2f 、または-P(O)OR 2g 2h であり、
3 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 3a 、-NR 3b 3c 、-SR 3d 、-SO 2 3e 、-S(O)R 3f 、または-P(O)OR 3g 3h であり、
4 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 4a 、-NR 4b 4c 、-SR 4d 、-SO 2 4e 、-S(O)R 4f 、または-P(O)OR 4g 4h であり、
5 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 5a 、-NR 5b 5c 、-SR 5d 、-SO 2 5e 、-S(O)R 5f 、または-P(O)OR 5g 5h であり、
あるいは、R 2 及びR 3 は、それらが結合している原子と一緒になって、R 3 及びR 4 は、それらが結合している原子と一緒になって、またはR 4 及びR 5 は、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の飽和環、部分的不飽和環、または完全不飽和環を形成し、前記5員または6員の環は、任意に、O、N、S、NO、SO、及びSO 2 からなる群から各々独立的に選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子もしくはヘテロ原子基を環員として含有し、前記5員または6員の環は、任意に、アリール、ヘテロアリール、複素環、またはシクロアルキルに縮合し、前記5員または6員の環は、0個、1個、2個、3個、または4個の置換基で置換されており、前記置換基は、各々独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、-COOH、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、及びアシルからなる群から選択され、
1a 、R 1b 、R 1c 、R 2a 、R 2b 、R 2c 、R 2d 、R 2e 、R 2f 、R 2g 、R 2h 、R 3a 、R 3b 、R 3c 、R 3d 、R 3e 、R 3f 、R 3g 、R 3h 、R 4a 、R 4b 、R 4c 、R 4d 、R 4e 、R 4f 、R 4g 、R 4h 、R 5a 、R 5b 、R 5c 、R 5d 、R 5e 、R 5f 、R 5g ,及びR 5h は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルからなる群から各々独立的に選択され、かつ
1 及びW 2 は、各々独立的に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルからなる群から選択され、
各出現における前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルは、独立的に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の置換基で置換されており、前記置換基の各々は独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、-COOH、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、及びアシルからなる群から選択される]
の化合物またはその互変異性体もしくは塩を含む、キット。
【請求項34】
ルシフェラーゼ及び/又は緩衝液試薬をさらに含む、請求項33に記載のキット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0151
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0151】
本開示の実施形態に対する様々な変更及び修正は、当業者には明白であると考えられる。このような変更及び修正(以下に限定されないが、本発明における化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤、または使用方法に関する変更及び修正を含む)は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕式(I’)

(I’)
[式中、
1 は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 1a 、-NR 1b 1c 、-OG 1 、-NR 1x 1 、または-NR 1x 10 であり、
2 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 2a 、-NR 2b 2c 、-SR 2d 、-SO 2 2e 、-S(O)R 2f 、-P(O)OR 2g 2h 、-OG 1 、または-NR 2x 1 であり、
3 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 3a 、-NR 3b 3c 、-SR 3d 、-SO 2 3e 、-S(O)R 3f 、-P(O)OR 3g 3h 、-OG 1 、または-NR 1x 1 であり、
4 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 4a 、-NR 4b 4c 、-SR 4d 、-SO 2 4e 、-S(O)R 4f 、-P(O)OR 4g 4h 、-OG 1 、または-NR 4x 1 であり、
5 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 5a 、-NR 5b 5c 、-SR 5d 、-SO 2 5e 、-S(O)R 5f 、-P(O)OR 5g 5h 、-OG 1 、または-NR 5x 1 であり、
あるいは、R 2 及びR 3 は、それらが結合している原子と一緒になって、R 3 及びR 4 は、それらが結合している原子と一緒になって、またはR 4 及びR 5 は、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の飽和環、部分的不飽和環、または完全不飽和環を形成し、前記5員または6員の環は、O、N、S、NO、SO、及びSO 2 からなる群から各々独立して選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子もしくはヘテロ原子基を環員として任意に含み、前記5員または6員の環は、アリール、ヘテロアリール、複素環、またはシクロアルキルに任意に縮合し、前記5員または6員の環は、0個、1個、2個、3個、または4個の置換基で置換されており、前記置換基は、各々独立して、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、スルファニル、アシル、-OG 1 、-NHG 1 、及び-N(C 1 -C 10 アルキル)G 1 からなる群から選択され、
1a 、R 1b 、R 1c 、R 2a 、R 2b 、R 2c 、R 2d 、R 2e 、R 2f 、R 2g 、R 2h 、R 3a 、R 3b 、R 3c 、R 3d 、R 3e 、R 3f 、R 3g 、R 3h 、R 4a 、R 4b 、R 4c 、R 4d 、R 4e 、R 4f 、R 4g 、R 4h 、R 5a 、R 5b 、R 5c 、R 5d 、R 5e 、R 5f 、R 5g ,及びR 5h は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルから各々独立して選択され、
1x 、R 2x 、R 3x 、R 4x 、及びR 5x は、各々独立して、水素またはC 1 -C 12 アルキルであり、
1 は、第1の酵素の基質を含み、前記第1の酵素による前記基質の生体内変換は、G 1 をHに変換するものであり、
-NR 1x 10 は、前記-NR 1x 10 基を-OHに変換するために第2の酵素により切断可能な基であり、かつ
1 及びW 2 は、各々独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルからなる群から選択されるか、または
1 及びW 2 は、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロアルキル、シクロアルケニル、または複素環を形成し、
各出現における前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の置換基で独立して置換されており、前記置換基の各々は独立して、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、スルファニル、及びアシルからなる群から選択される]
の化合物またはその互変異性体もしくは塩(ただし、前記化合物は、2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸でも、2-(6-アミノベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸でもない)。
〔2〕式(I)

(I)
[式中、
1 は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 1a 、または-NR 1b 1c であり、
2 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 2a 、-NR 2b 2c 、-SR 2d 、-SO 2 2e 、-S(O)R 2f 、または-P(O)OR 2g 2h であり、
3 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 3a 、-NR 3b 3c 、-SR 3d 、-SO 2 3e 、-S(O)R 3f 、または-P(O)OR 3g 3h であり、
4 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 4a 、-NR 4b 4c 、-SR 4d 、-SO 2 4e 、-S(O)R 4f 、または-P(O)OR 4g 4h であり、
5 は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、シクロアルケニル、-OR 5a 、-NR 5b 5c 、-SR 5d 、-SO 2 5e 、-S(O)R 5f 、または-P(O)OR 5g 5h であり、
あるいは、R 2 及びR 3 は、それらが結合している原子と一緒になって、R 3 及びR 4 は、それらが結合している原子と一緒になって、またはR 4 及びR 5 は、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の飽和環、部分的不飽和環、または完全不飽和環を形成し、前記5員または6員の環は、任意に、O、N、S、NO、SO、及びSO 2 からなる群から各々独立的に選択される1個、2個、または3個のヘテロ原子もしくはヘテロ原子基を環員として含有し、前記5員または6員の環は、任意に、アリール、ヘテロアリール、複素環、またはシクロアルキルに縮合し、前記5員または6員の環は、0個、1個、2個、3個、または4個の置換基で置換されており、前記置換基は、各々独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、スルファニル、及びアシルからなる群から選択され、
1a 、R 1b 、R 1c 、R 2a 、R 2b 、R 2c 、R 2d 、R 2e 、R 2f 、R 2g 、R 2h 、R 3a 、R 3b 、R 3c 、R 3d 、R 3e 、R 3f 、R 3g 、R 3h 、R 4a 、R 4b 、R 4c 、R 4d 、R 4e 、R 4f 、R 4g 、R 4h 、R 5a 、R 5b 、R 5c 、R 5d 、R 5e 、R 5f 、R 5g ,及びR 5h は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルから各々独立的に選択され、かつ
1 及びW 2 は、各々独立的に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルからなる群から選択され、または
1 及びW 2 は、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロアルキル、シクロアルケニル、または複素環を形成し、
各出現における前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、及びシクロアルケニルは、独立的に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の置換基で置換されており、前記置換基の各々は独立的に、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート、シリル、置換シリル、t-ブチルジメチルシリル、アルキルスルファニル、スルファニル、及びアシルからなる群から選択される]
の化合物またはその互変異性体もしくは塩(ただし、前記化合物は、2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸でも、2-(6-アミノベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸でもない)。
〔3〕R 1 が、-OHである、前記〔2〕に記載の化合物。
〔4〕R 2 、R 3 、R 4 、及びR 5 が、各々独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C 1 -C 4 -アルキル、C 2 -C 4 -アルケニル、C 2 -C 4 -アルキニル、-OH、及び-NH 2 からなる群から選択される、前記〔2〕に記載の化合物。
〔5〕R 4 が、-OR 4a または-NR 4b 4c である、前記〔2〕に記載の化合物。
〔6〕R 3 及びR 4 が、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の、任意に置換された、飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の環を形成している、前記〔2〕に記載の化合物。
〔7〕R 4 及びR 5 が、それらが結合している原子と一緒になって、5員または6員の、任意に置換された飽和、部分的不飽和、または完全不飽和の環を形成している、前記〔2〕に記載の化合物。
〔8〕R 3 及びR 4 が、それらが結合している原子と一緒になって、6員の任意に置換された複素環を形成し、R 4 及びR 5 が、それらが結合している原子と一緒になって、6員の任意に置換された複素環を形成し、このとき、前記2つの6員環が縮合している、前記〔2〕に記載の化合物。
〔9〕W 1 及びW 2 が、各々アルキルである、前記〔2〕に記載の化合物。
〔10〕W 1 及びW 2 が、それらが結合している原子と一緒になって、シクロアルキルを形成している、前記〔2〕に記載の化合物。
〔11〕式(I-a)

(I-a)
[式中、
A及びBは、各々独立して、任意で、アリール、ヘテロアリール、及び複素環からなる群から選択される5員または6員の環であり、Aは、存在する場合、1つ以上のR A で任意に置換され、Bは、存在する場合、1つ以上のR B で任意に置換され、R A 及びR B の各々は、存在する場合、独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、-OH、-NH 2 、またはアルキル-NH-であり、
A及びBの両方が不在の場合、Qは、-OR Q1 または-NR Q1 Q1 であり、各出現におけるR Q1 は、独立して、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキルであり、あるいは、A及びBのうちの少なくとも1つが存在する場合、Qは、C、CR Q2 、CR Q2 Q2 、N、NR Q2 、またはOであり、各出現におけるR Q2 は、独立して、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキルであり、
Rは、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、またはシクロアルケニルであり、
pは、0、1、2、または3である]
を有する、前記〔2〕に記載の化合物またはその互変異性体もしくは塩。
〔12〕式(I-b)または(I-c)

(I-b)

(I-c)
[式中、
mは、0、1、2、または3であり、
pは、0、1、または2である]
を有する、前記〔11〕に記載の化合物。
〔13〕式(I-d)

(I-d)
[式中、
nは、0、1、2、または3であり、
pは、0、1、または2である]
を有する、前記〔11〕に記載の化合物。
〔14〕式(I-e)

(I-e)
[式中、
mは、0、1、2、または3であり、
nは、0、1、2、または3であり、
pは、0または1である]
を有する、前記〔11〕に記載の化合物。
〔15〕式(I-f)

(I-f)
[式中、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、または8である]
を有する、前記〔11〕に記載の化合物。
〔16〕式(I-g)

(I-g)
[式中、

は、

であり、これらの各々は、任意に置換されている]
〔17〕以下の化合物:
5-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4-チア-6-アザスピロ[2.4]ヘプタ-5-エン-7-カルボン酸;
6-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5-チア-7-アザスピロ[3.4]オクタ-6-エン-8-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-1-チア-3-アザスピロ[4.4]ノナ-2-エン-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-1-チア-3-アザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸;
5,5-ジエチル-2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(R)-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(7-アミノナフト[2,1-d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-5,5-ジメチル-2-(6-(ピロリジン-1-イル)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-チアゾロ[4,5-f]インドール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
(S)-2-(6-((3-ヒドロキシプロピル)アミノ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-1-チア-3-アザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸;
5,5-ジベンジル-2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
5,5-ジエチル-2-(5-フルオロ-6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-1-チア-3-アザスピロ[4.6]ウンデカ-2-エン-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-メチル-1-チア-3-アザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-メチル-1-チア-3,8-ジアザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸;
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジプロピル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸;及び
2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-8-オキサ-1-チア-3-アザスピロ[4.5]デカ-2-エン-4-カルボン酸、
からなる群から選択される、前記〔2〕に記載の化合物またはその互変異性体もしくは塩。
〔18〕式(II)

(II)
[式中、R 4 は、-OG 1 、-NHG 1 、または-N(C 1 -C 12 アルキル)G 1 である]
の化合物である、前記〔1〕に記載の化合物またはその互変異性体もしくは塩。
〔19〕式(II-a)

(II-a)
[式中、G 2 はペプチドである]
の化合物である、前記〔18〕に記載の化合物またはその互変異性体もしくは塩。
〔20〕G 2 が、非ルシフェラーゼ酵素向けの基質である、前記〔19〕に記載の化合物、またはその互変異性体もしくは塩。
〔21〕5,5-二置換ルシフェリンアナログを含む、キット。
〔22〕前記5,5-二置換ルシフェリンアナログが、前記〔1〕及び〔18〕~〔20〕のいずれか1項に記載の化合物である、前記〔21〕に記載のキット。
〔23〕前記5,5-二置換ルシフェリンアナログが、前記〔2〕~〔17〕のいずれか1項に記載の化合物、2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸、または2-(6-アミノベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸である、前記〔21〕に記載のキット。
〔24〕ルシフェラーゼをさらに含む、前記〔21〕に記載のキット。
〔25〕緩衝液試薬をさらに含む、前記〔21〕に記載のキット。
〔26〕試料における発光を検出する方法であって、
試料を、5,5-二置換ルシフェリンアナログに接触させる工程と、
前記試料中にルシフェリン利用ルシフェラーゼが存在しない場合、前記試料をルシフェリン利用ルシフェラーゼに接触させる工程と、
発光を検出する工程と
を含む、方法。
〔27〕前記5,5-二置換ルシフェリンアナログが、前記〔1〕及び〔18〕~〔20〕のいずれか1項に記載の化合物である、前記〔26〕に記載の方法。
〔28〕前記5,5-二置換ルシフェリンアナログが、前記〔2〕~〔17〕のいずれか1項に記載の化合物、2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸、または2-(6-アミノベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸である、前記〔26〕に記載の方法。
〔29〕前記試料が、生細胞を含有している、前記〔26〕に記載の方法。
〔30〕前記試料が、ルシフェリン利用ルシフェラーゼを含有している、前記〔26〕に記載の方法。
〔31〕遺伝子導入動物における発光を検出する方法であって、
5,5-二置換ルシフェリンアナログを遺伝子導入動物に投与する工程と、
発光を検出する工程と
を含み、
前記遺伝子導入動物が、ルシフェリン利用ルシフェラーゼを発現している、方法。
〔32〕前記5,5-二置換ルシフェリンアナログが、前記〔1〕及び〔18〕~〔20〕のいずれか1項に記載の化合物である、前記〔31〕に記載の方法。
〔33〕前記5,5-二置換ルシフェリンアナログが、前記〔2〕~〔17〕のいずれか1項に記載の化合物、2-(6-ヒドロキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸、または2-(6-アミノベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボン酸である、前記〔31〕に記載の方法。
〔34〕試料中でATPを検出する方法であって、(a)前記試料に、前記〔1〕~〔20〕のいずれか1項に記載の化合物を含む試薬組成物を添加する工程と、(b)発光を検出する工程とを含む、方法。
【外国語明細書】