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特開2022-17497毛髪のグルーミング用真空アシスト・システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017497
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】毛髪のグルーミング用真空アシスト・システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 20/12 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
A45D20/12 C
A45D20/12 B
A45D20/12 J
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180735
(22)【出願日】2021-11-05
(62)【分割の表示】P 2017548363の分割
【原出願日】2015-12-02
(31)【優先権主張番号】62/123,912
(32)【優先日】2014-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517194601
【氏名又は名称】レヴエアー エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】317017391
【氏名又は名称】トーマソン,スコット
(71)【出願人】
【識別番号】317017405
【氏名又は名称】クーパー,フォスター
(71)【出願人】
【識別番号】317017416
【氏名又は名称】アイザックソン,デブラ
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】トーマソン,スコット
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,フォスター
(72)【発明者】
【氏名】アイザックソン,デブラ
【テーマコード(参考)】
3B040
【Fターム(参考)】
3B040BA01
3B040CA01
3B040CA07
3B040CB07
3B040CF00
3B040CG00
3B040CH00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ダメージが少なく、早く、容易で、効果的な毛髪のグルーミング装置を提供する。
【解決手段】ヘア・グルーミング・システム10は、真空キャニスタ12と、ホース16と、ハンドヘルド・ユニット14を含んでいる。ホースは、真空キャニスタ及びハンドヘルド・ユニットに固定されており、流体連通している。ハンドヘルド・ユニットは、真空チャンバを含んでいる。真空を作り出す装置は、真空キャニスタ内に配置されており、真空は、ホースによって真空チャンバと連通している。システムは、さらに、空気を温め、空気を真空チャンバに動かすように構成された、加熱手段及びファンを含んでいてもよい。1つの実施の形態では、毛髪のグルーミング方法は、真空チャンバ内に毛髪の一部を配置するステップと、真空引きして毛髪から余分な水分を除去するステップと、毛髪の一部に加熱空気を当てるステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空装置と;
前記真空装置と流体連絡している真空チャンバと、
少なくとも1つのベーンを備え、
前記真空装置は、
毛髪の一部の挿入に適合するように配置された第1の開口部と、
前記第1の開口部の反対側にある第2の開口部と、
前記第1の開口部から前記第2の開口部まで延び、前記真空チャンバの長さに沿って内 側ボアを定める壁部を備え、
前記少なくとも1つのベーンは、前記壁部から前記内側ボアに向かって内側に延びることを特徴とする毛髪のグルーミング装置。
【請求項2】
さらに前記少なくとも1つのベーンが、前記真空チャンバの長さに沿って延びる請求項1に記載の毛髪のグルーミング装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのベーンは、前記壁部から前記内側ボア内に延び、さらに前記真空チャンバの長さに沿って延びる複数のベーンである請求項2に記載の毛髪のグルーミング装置。
【請求項4】
前記複数のベーンが、前記真空チャンバの内周に沿って等しく配置されている請求項3に記載の毛髪のグルーミング装置。
【請求項5】
前記真空チャンバの断面積が前記真空チャンバの長さに沿って変化する請求項1に記載の毛髪のグルーミング装置。
【請求項6】
前記真空チャンバと流体連絡している加熱空気チャンバと、
加熱手段と、
前記加熱手段を越えて前記加熱空気チャンバに空気を送るように構成されたファンを更に備えている請求項1に記載の毛髪のグルーミング装置。
【請求項7】
前記真空チャンバ、前記複数のベーン、前記加熱空気チャンバ、前記加熱手段、および前記ファンがハンドヘルド・ユニット内に配置されている請求項6に記載の毛髪のグルーミング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪(hair)をグルーミング(grooming)するシステム、装置、及び、方法に関するものである。特に、本発明は、真空によって作り出される吸引力(suction force)を利用した毛髪の乾燥(drying)、スタイリング(styling)、及び、洗浄(cleaning)のためのシステム、装置、及び、方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間の毛髪をグルーミングすることは、一般的であり、且つ、重要な活動である。毛髪をグルーミングする典型的なルーティン(routines)は、洗浄(washing)、乾燥、及び、毛髪のスタイリングを含む。このようなルーティンは、比較的髪の長い人にとって、特に一般的である。シャンプーを行う工程によって毛髪を洗浄し、次に、従来のブロー・ドライヤー(blow dryer)を使用して毛髪を乾かすことが一般的である。人間の毛髪をブロー乾燥(blow-drying)することは、数十年にわたって、一般的に行われているが、ブロー乾燥は、しばしば人間の毛髪の物理的構造(physical structure)を傷つけてしまう。毛髪は、タンパク質からできた繊維質フィラメント(fibrous filament)であり、各髪の毛(strand of hair)は、内側層であるメデュラ(髄質)(medulla)、中間層であるコルテックス(皮質)(cortex)、及び、外側層であるキューティクル(cuticle)の3層からなっている。メデュラは、各髪の毛の中心部にある、一般的には、不定形の領域(unstructured region)である。コルテックスは、メデュラを取り囲んでおり、各髪の毛に機械的強度を与え、健康的な毛髪に必要な水分を吸収するため、重要な層である。コルテックスは、さらに、毛髪の色を決定するメラニンを含む。コルテックスの全体的形状(general shape)は、各髪の毛の全体的形状に寄与する。すなわち、毛髪が、ストレートか、ウェーブしているか(wavy)、または、カールしているか(curly)、という形状に寄与する。キューティクルは、周囲の環境から、メデュラ及びコルテックスを保護する。メデュラ及びコルテックスはダメージを受けやすいため、キューティクルには、各髪の毛の健康状態を維持する重要な役割がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
キューティクルは、髪の毛の根本から髪の毛の露出した端部まで、各髪の毛の長さに沿って、概して次から次に積まれた、連続した複数の細胞を含んでいる。この複数の細胞は、協働して、毛髪の内部構造がダメージを受けることを防ぎ、且つ、各髪の毛の水分量を維持及び制御する。毛髪を乾かすのに従来のブロー・ドライヤーを使用した場合、毛髪に向けられた熱風によって、キューティクルの複数の細胞を外側に開かせてしまい、熱風に対してコルテックスを露出させてしまう可能性がある。コルテックスが露出してしまうと、コルテックスの構造が破壊され、健康的な毛髪のために必要なコルテックス内に蓄えられた水分が除去されてしまうことで、コルテックスがダメージを受けてしまう可能性がある。このようにしてコルテックスがダメージを受けてしまうと、毛髪は、乾燥した、艶のない(lackluster)見た目になってしまい、且つ、静電荷(static charge)を蓄積してしまい、しばしば"縮れた(frizzy)"毛髪と呼ばれる、歓迎されない見た目になってしまう。
【0004】
さらに、多くの人々は、ストレートで、艶のある(sleek)仕上げである毛髪を望む。このような見た目を得るため、多くの人々は、すでに乾いた毛髪に対して、加熱フラット・アイロン・ストレイテナ(heated flat iron straighteners)を使用する。しかしながら、熱を加えると、毛髪の構造に、髪の毛を構造的に支持する水素結合(hydrogen bonds)の変化を含む、一時的な変化(temporary changes)が生じる。このようなダメージは、毛髪を弱らせ、見た目がさえなくなり、時間が経つと、髪の毛に対する永続的なダメージになってしまう。
【0005】
代わりに、カールしたまたはウェーブした毛髪を得ることが目的である場合、濡れた毛髪にブロー乾燥でカールやウェーブを付けるために、任意の個数のスタイリング・デバイスといっしょにブロー・ドライヤーを使用することが一般的である。このような手法は、毛髪を様々なアレンジメントにしながら、熱風の流れを様々な角度から毛髪に向けることを含む。このような処置によって、スタイリングされた毛髪はダメージを受ける。他にも一般的に乾いた毛髪に使用するカーリング・ロッド(curling rods)やアイロン(irons)を含む、熱を使用する様々なタイプのスタイリング用ツールが存在する。しかしながら、これらの方法によっても、毛髪が、各髪の毛に与える熱を強める加熱手段と直接接触するため、毛髪はダメージを受けてしまう。
【0006】
ヘア・グルーミング業界には、従来の毛髪のグルーミング方法よりもダメージが少なく、早く、容易で、さらに、効果的な毛髪をグルーミングするためのシステム、装置、及び、方法について、ニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施の態様では、ヘア・グルーミング・システムは、真空キャニスタ(vacuum canister)と、ホース(hose)と、ハンドヘルド・ユニット(hand-held unit)を含んでいる。ホースは、真空キャニスタ及びハンドヘルド・ユニットに固定されており、流体連通している(fluid communication)。ハンドヘルド・ユニットは、真空チャンバ(vacuum chamber)を含んでいる。真空を作り出す装置は、真空キャニスタ内に配置されており、真空は、ホースによって真空チャンバと連通している。システムは、さらに、空気を温め、空気を真空チャンバに動かすように構成された、加熱手段(heating element)及びファンを含んでいてもよい。1つの実施の形態では、毛髪のグルーミング方法は、真空チャンバ内に毛髪の一部を配置するステップと;真空引きして毛髪から余分な水分を除去するステップと;毛髪の一部に加熱空気(heated air)を当てるステップとを含む。
【0008】
添付の図面には、以下の詳細な明細と共に、構造を示してあり、クレームした発明の実施の形態を示している。適切な場合、同様なエレメントは、同じまたは似た参照符号を付してある。単一のコンポーネントとして示したエレメントは、複数のコンポーネントで置き換えてもよい。複数のコンポーネントとして示したエレメントは、単一のコンポーネントで置き換えてもよい。図面は、正確な縮尺ではない可能性がある。特定のエレメントの割合は、図示の目的で誇張されている可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のヘア・グルーミング・システムの正面斜視図を描いた略図である。
図2図1のヘア・グルーミング・システムの背面斜視図を描いた略図である。
図3図1のヘア・グルーミング・システムのハンドヘルド・ユニットの正面斜視図を描いた略図である。
図4図1のヘア・グルーミング・システムのハンドヘルド・ユニットの背面斜視図を描いた略図である。
図5図1のヘア・グルーミング・システムのハンドヘルド・ユニットの正面図を描いた略図である。
図6】ヘア・グルーミング・システムのハンドヘルド・ユニットの図5のA-A線に沿った断面図を描いた略図である。
図7】ヘア・グルーミング・システムと共に使用される他のハンドヘルド・ユニットの正面図を描いた略図である。
図8図7のハンドヘルド・ユニットの図7のB-B線に沿った断面図を描いた略図である。
図9】ヘア・グルーミング・システムと共に使用される他のハンドヘルド・ユニットの正面図を描いた略図である。
図10図9のハンドヘルド・ユニットの図9のC-C線に沿った断面図を描いた略図である。
図11】ヘア・グルーミング・システムと共に使用される他のハンドヘルド・ユニットの正面図を描いた略図である。
図12図11のハンドヘルド・ユニットの図11のD-D線に沿った断面図を描いた略図である。
図13】本発明のヘア・グルーミング・システムと共に使用される真空チャンバの断面図を描いた略図である。
図14】本発明のヘア・グルーミング・システムと共に使用される真空チャンバの側面図を描いた略図である。
図15図14の真空チャンバの図14のE-E線に沿った断面図を描いた略図である。
図16図14の真空チャンバの図14のF-F線に沿った断面図を描いた略図である。
図17図14の真空チャンバの正面図を描いた略図である。
図18】本発明のヘア・グルーミング・システムと共に使用されるフロー・コンディショナの側面図を描いた略図である。
図19図18のフロー・コンディショナの図18のG-G線に沿った断面図を描いた略図である。
図20図18のフロー・コンディショナの正面図を描いた略図である。
図21】本発明のヘア・グルーミング・システムと共に使用される他のフロー・コンディショナの側面図を描いた略図である。
図22図21のフロー・コンディショナの図21のH-H線に沿った断面図を描いた略図である。
図23図21のフロー・コンディショナの正面図を描いた略図である。
図24】真空チャンバにフロー・コンディショナが挿入されたハンドヘルド・ユニットの断面図を描いた略図である。
図25】本発明のヘア・グルーミング・システムと共に使用されるハンドヘルド・ユニットの背面斜視図を描いた略図である。
図26図25のハンドヘルド・ユニットの正面斜視図を描いた略図である。
図27図25のハンドヘルド・ユニットの断面図を描いた略図である。
図28】本発明のヘア・グルーミング・システムと共に使用されるハンドヘルド・ユニットの正面斜視図を描いた略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において開示されたシステム、構成(arrangement)、及び、方法は、例として、また、図を参照して、詳細に示してある。開示された及び示された例、構成、コンフィギュレーション(configurations)、コンポーネント(components)、エレメント(elements)、装置(apparatus)、方法(methods)、マテリアル(materials)等の変形例が可能であり、特定のアプリケーションにとっては望ましいことが理解されるであろう。本開示において、特定の技術、構成、方法等の同一性(identification)は、示された特定の例に関するもの、または、そのような技術、構成、方法等の単なる一般的な説明に過ぎない。特定の細部、または、例は、特に明記されていない限り、必須(mandatory)または限定的(limiting)に解釈するという意図ではなく、また、そのように解釈すべきではない。図1乃至図28を参照して、毛髪のグルーミングのための選択された、真空によって作り出される吸引力を利用した、システム、装置及び方法の例を、以下に開示し、及び、詳細を示す。
【0011】
一般的に、本明細書に示した及び開示したシステム、装置、及び、方法は、人間の毛髪をグルーミングするためのものである。毛髪のグルーミングは、濡れた毛髪の乾燥;濡れたまたは乾いた毛髪のスタイリング、すなわち、スムージング(smoothing)、矯正(straightening)、カーリング(curling)、ウェービング(waving)等;濡れたまたは乾いた毛髪の洗浄;またはこれらの組み合わせを含む。開示したシステム、装置、及び、方法の実施の形態は、周囲の空気または加熱空気が、毛髪上を流れるようにして、毛髪をグルーミングすることができる。具体的には、開示した実施の形態は、真空を作り出し、周囲の空気または加熱空気が、毛髪上を流れるようにして、毛髪をグルーミングすることができる。周囲の空気または加熱空気の流れの向きは、開示したシステム、装置、及び、方法によって制御することができる。例えば、空気の流れは、毛髪の根元から毛髪の自由端に向かう方向に向かって、毛髪の長さに沿うものでもよい。さらに、グルーミングの間、毛髪と接触する表面の形状及び構成によって、グルーミングされた毛髪の形状が影響を受ける可能性がある。そのため、開示したシステム、装置、及び、方法は、熱(heat)及び形作られた接触面(shaped contact surfaces)と組み合わされた、真空によって作り出される吸引力を利用して、毛髪をグルーミングすることができる。
【0012】
1つの実施の形態では、システムは、真空チャンバに毛髪を引き込む(draws)または引っ張り入れる(pulls)真空を作り出す。真空により生じるエア・フロー(air flow)によって、毛髪の根元から毛髪の自由端に向かう方向に向かって、毛髪上を空気が流れ、毛髪の余分な水分を取り除くことができる。選択的に、熱い(hot)、または、温かい(warm)空気を真空チャンバに導入し、乾燥工程を補助することもできる。真空の吸引効果によって、毛髪の長さに沿う方向に強制的に空気が流れ、毛髪のキューティクル層の細胞が、自然な構成で、平らに横たわることが促進され(encourages)、健康的な、艶のある毛髪を得られる。さらに、このような方法は、毛髪のコルテックス層の保水量を維持及び増加させるため、周囲の(すなわち、加熱されていない)空気を毛髪上に強制的に流して完結させることができる。
【0013】
特定の実施の形態では、システムまたは装置の一部は、空気を動かし加熱する、毛髪のグルーミングに便利なコンポーネントを含んでいてもよい。例えば、一体化されたファンによって、加熱手段を通り、または、加熱手段を横切り、真空チャンバ内に向かうように、または、真空チャンバの開口部内及び開口部の周囲に向かうように、空気を動かすことができる。このような加熱空気は、毛髪と影響しあい、乾燥、スタイリング等の毛髪のグルーミングを促進する。代わりに、真空チャンバの壁部は、伝導を利用して加熱されていてもよく、毛髪を温め、乾燥させることができる。真空チャンバは、毛髪に様々な効果を得るため、様々な形状に適合されていてもよい。ある例では、真空チャンバを通過する空気の流速を制御するため、真空チャンバの断面積を増加または減少させてもよい。真空チャンバを通過する空気の流速が真空チャンバの長さに沿って変化するように、断面積の増加及び減少は、単一の真空チャンバに実施することができる。他の例では、真空チャンバの形状によって、グルーミングされた毛髪の形状に影響を与えることができる。ストレート形状の真空チャンバを使用して、ストレートな仕上がりの毛髪を得ることができる。わずかに曲がった形状、若しくは、徐々に曲がった形状、または、同様の曲がった形状を複数有する真空チャンバを利用して、ウェーブした仕上がりの毛髪を得ることができる。きつく曲がった形状、または、複数のきつく曲がった形状を有する真空チャンバを利用して、カールした仕上がりの毛髪を得ることができる。
【0014】
毛髪の乾燥及びスタイリングに加えて、開示したシステム、装置、及び、方法は、さらに、毛髪を洗浄することにも使用することができる。ある例では、乾いた毛髪に吸引力を適用すると、シャンプーの間に毛髪にたまった、または、毛髪に付着したほこりや汚れを吸い取ることができる。さらに、システム、装置、及び、方法は、既存のドライ・シャンプー製品と組み合わせて使用し、毛髪を"ドライ・クリーン(dry clean)"することもできる。ドライ・シャンプーは、シャンプー及び乾燥の回数を減らす手段として、ここ数年で次第に一般的になったものであるが、頭皮(scalp)の皮脂腺(sebaceous glands)によって生成され、髪の毛に付着した余分な脂分(oils)を吸収するようになっている。ドライ・シャンプーは、一般的にパウダーとしてスプレーされるものであるが、通常、ブラシングで毛髪から取り除かれるようになっている。しかしながら、ここに開示したシステム、装置、及び、方法は、頭皮からさらに効果的にドライ・シャンプーを吸い取ることができ、同時に、各髪の毛の長さに沿って、毛髪を洗浄することができる。
【0015】
図1及び図2には、ヘア・グルーミング・システム10の実施の形態を示してある。システム10は、真空キャニスタ12と、ハンドヘルド・ユニット14と、真空キャニスタ12とハンドヘルド・ユニット14を繋ぐホース16とを備えている。後述のように、真空キャニスタ12は、真空を作り出すように構成されている。ハンドヘルド・ユニット14は、毛髪を引き入れて(engage)相互作用し、毛髪をグルーミングするように構成されている。ホース16は、ハンドヘルド・ユニット14と真空キャニスタ12の間を、周囲の空気や加熱空気のような流体が流れる通路になるように構成されている。ホース16は柔軟で、軽量なホースであってもよい。ホース16の長さは、使用者のまたは他の人の毛髪をグルーミングするためのシステム10の使用者によるハンドヘルド・ユニット14の動きに適合するように選択されている。
【0016】
真空キャニスタ12は、外側ハウジング18と、ホース16の一方の端部と係合し(engage)、ホース16を真空キャニスタ12に固定するように構成されたカプリング20を含んでいる。外側ハウジング18内に収納された真空装置(vacuum mechanism)は、ハンドヘルド・ユニット14とホース16を通って、真空キャニスタ12まで空気が流れるために必要な真空力(vacuum force)を発生する。1つの実施の形態では、真空装置は、容積式ポンプ(positive-displacement pump)であってもよい。例えば、ロータリ式ベーン・ポンプ(rotary vane pump)または真空を作り出すピストン駆動ポンプ(piston driven pump)を使用してもよい。他の実施の形態では、真空装置は、アスピレータ型ポンプ(aspirator-type pump)、すなわち、ベンチュリ真空ポンプ(Venturi vacuum pump)であってもよい。図2に最良に図示してあるように、ホース16の一方の端部の周りに位置され、ホース16の端部と係合し、ホース16をハンドヘルド・ユニット14に対して固定するように構成されたカプリング22を含んでいてもよい。真空キャニスタ12からハンドヘルド・ユニット14まで延び、ハンドヘルド・ユニット14に内蔵されたと様々な装置に電力を供給する電源コード(図示せず)が含まれていてもよい。電源コードは、ホースに一体化されて、見えないように隠されていてもよい。電源コードがホースと一体化している場合、ホースの両端部はハンドヘルド・ユニット及び真空キャニスタに配置されている、または、内に配置されている互換性のある電気コネクタと合う電気コネクタとして部分的に構成されていてもよい。すなわち、ホースがハンドヘルド・ユニットと真空キャニスタに接続されていて、それぞれの電気コネクタが接続されている場合、電源コードを通じて、真空キャニスタからハンドヘルド・ユニットに向かって電力が供給されてもよく、また、その逆方向にも、電力が供給されてもよい。安全性を高めるため、ホースがハンドヘルド・ユニット及び真空キャニスタと適切に接続されていない限り、電力が供給されないように電気コネクタにモーメンタリ・スイッチ(momentary switches)が一体化されていてもよい。ホースをハンドヘルド・ユニット及び真空キャニスタと適切に係合させると、モーメンタリ・スイッチが押され、電力が供給される。
【0017】
図3乃至図6は、図1及び図2に示したヘア・グルーミング・システム10とともに示したハンドヘルド・ユニット14の例を詳細に示す図である。図3及び図4は、ハンドヘルド・ユニット14の斜視図であり、図5は、正面図であり、図6は、図5のA-A線に沿った断面図である。ハンドヘルド・ユニット14は、外側ハウジング24と、ハンドル26、及び、ホース・コネクタ28を含んでいる。外側ハウジング24は、ハンドヘルド・ユニット14の外形を形成するように構成されていてもよいが、さらに、後述のハンドヘルド・ユニット内の1以上の内側チャンバを形成するように構成されていてもよい。外側ハウジング24は、モールド成形または他の製法で、単一のコンポーネントとして製造されていてもよい。代わりに、外側ハウジング24は、外側ハウジング24と組み合わされた2以上のコンポーネントから構成されていてもよい。
【0018】
ハンドル26は、システム10の使用者がハンドル26を握って、ハンドヘルド・ユニット14を操作し、毛髪のグルーミングを容易にすることができるように構成されていてもよい。ホース・コネクタ28は、ホース16の一方の端部と係合し、ホース16をハンドヘルド・ユニット14に固定するように構成されている。典型的には、ホース16は、ホース・コネクタ28の上をスライドして越えさせて、ハンドヘルド・ユニット14に固定する。図4に最良に図示してあるように、ホース・コネクタ28は、ホース16が、ホース・コネクタ28に一度スライドして越えさせると、ホース16と係合する、リッジ(ridge)またはかかり(barb)のような1以上のフィーチャ(features)30を含んでいてもよい。ホース16をハンドヘルド・ユニット14に固定するのにホース・コネクタ28及びカプリング22が協働してもよいことは理解されるであろう。ハンドル26及びホース・コネクタ28は、3つのコンポーネント全てがモールド成形されて、または、他の製法でいっしょにされ、外側ハウジング24のデザインと一体化するようになっていてもよい。代わりに、ハンドル26及び/またはホース・コネクタは、別々にモールド成形、または、他の製法により製造されてから、外側ハウジング24に組み合わされていてもよい。
【0019】
ハンドヘルド・ユニット14は、電源スイッチ32をさらに含んでいてもよい。電源スイッチ32は、電源コードと協働し、ハンドヘルド・ユニット14に内蔵された装置及び/またはサブシステムに選択的に電力を供給してもよい。電源スイッチ32は、システム10の使用者がシステムを容易にオン・オフできるようにするため、ハンドヘルド・ユニット14の便利な場所に配置されていてもよい。電源スイッチ32は、ハンドヘルド・ユニット14に配置されていると図示してあるが、電源スイッチは、システム10の他の位置に、例えば、真空キャニスタ12に、配置されていてもよいことは理解されるであろう。さらに、単一の電源スイッチが図示されているが、ヘア・グルーミング・システムの様々な機能及びサブシステムのオン・オフを容易にするため、ヘア・グルーミング・システムは、2以上の電源スイッチを含んでいてもよいことは理解されるであろう。
【0020】
図6は、ハンドヘルド・ユニット14の例の内部構造を示す図である。ハンドヘルド・ユニット14は、真空チャンバ34と、加熱空気チャンバ(heated air chamber)36を含んでいてもよい。加熱空気チャンバ36は、部分的に真空チャンバ34を取り囲むように構成されていてもよい。図示した真空チャンバ34の形状は、通常、断面が円形である。後述のように、真空チャンバの断面形状は、実施の形態によって変わってもよい。
【0021】
真空チャンバ34は、毛髪受け用開口部(hair receiving aperture)38と、出口用開口部(exit aperture)40を含んでいる。真空チャンバ34は、ホース16を介して真空キャニスタ12と流体連通している。真空装置を起動すると、ホース16を通して真空チャンバ34に向かって、真空キャニスタ12によって吸引力が発生する。このような吸引力によって周囲の空気が、毛髪受け用開口部38から入り、真空チャンバ34を通って、出口用開口部40を通って、ホース16を通って、真空キャニスタ12に到達する。すなわち、真空装置が起動すると、毛髪受け用開口部38から出口用開口部40に向かって、図6のフロー・ライン42に図示した方向に真空チャンバ34を通って空気が流れる。真空チャンバ34に入る髪の毛及び他の物(materials)をキャプチャするために、スクリーン(screen)または他のフィルタ(filter)を、出口用開口部40に選択的に配置することもできる。ここに完全に示すように、システム10の使用者は、毛髪受け用開口部38を通して毛髪の一部を挿入することができ、真空によって作り出された吸引力によって、毛髪の一部が真空チャンバ34に向かって移動する。
【0022】
ハンドヘルド・ユニット14の加熱空気チャンバ36内には、加熱手段(heating element)44及びファン46が配置されている。ファン46のすぐ近くには、周囲の空気に対するファン46のアクセスを提供する、外側ハウジング24に複数の開口部を含む(図4に最良に図示してある)、空気取入口(air intake section)48が存在する。図4に示したように、空気取込口48に含まれる複数の開口部は、一般に、スロット状(slot shaped)である。このような構成は、周囲の空気が加熱空気チャンバ36に入ることを可能にする一方で、デブリを捕捉する、または、デブリが加熱空気チャンバ36に入ってしまうことを妨げる、スクリーンとして機能することが理解されるであろう。さらにほこりや他の粒子のようなデブリを捕捉するため、スクリーンまたは他の似たコンポーネントを空気取入口48に配置してもよい。複数の空気口(air ports)50は、加熱空気チャンバ36と真空チャンバ34の間に配置されており、複数の空気口50を介して加熱空気チャンバ36と真空チャンバ34が流体連通するようになっている。
【0023】
ファン46は、ファン46が起動されると、ファン40によって周囲の空気が、空気取込口48の複数の開口部を通って、ファン46を通って、そして、加熱手段44を越えて、加熱空気チャンバ36に入り、加熱手段44によって、周囲の空気が加熱されるように構成されていてもよい。加熱空気は、加熱空気チャンバ36の前方部で集められてもよい。加熱空気チャンバ36内のファン46によって生じる正の力(positive force)、及び、真空チャンバ34内の吸引力によって、加熱空気チャンバ36から、複数の空気口50を通って、真空チャンバ34に向かって加熱空気が流れる。加熱空気チャンバ36を通る空気の流れは、図6にフロー・ライン52として図示してある。
【0024】
真空チャンバ34は、真空チャンバ34の周囲に沿って、且つ、毛髪受け用開口部38のすぐ近くに、加熱空気ポケット(heated air pocket)54が形成されるように、毛髪受け用開口部38の近辺で大きく広がっている(flared)。真空チャンバ34のボア(bore)は、概して円形であり、滑らかであり、ハンドヘルド・ユニット14と真空キャニスタ12をつなぐホース16の内径とほぼ同じ直径を有している。加熱空気ポケット54は、加熱空気が真空チャンバ34に入ることを許可し、毛髪受け用開口部38のすぐ近くの真空チャンバ34の周囲を動き、そして、真空チャンバ34内の毛髪と効率よく、及び、効果的に相互作用し、及び、混ざるようにするためのリリーフ・ポケット(relief pocket)として機能する。このような構成により、加熱空気を真空装置による空気の流れに沿った方向である真空チャンバ34の長手方向に沿って動かすことができる。このような構成により、さらに、使用者の頭皮が加熱空気と直接接触することから守ることができ、また、加熱空気が毛髪の長さに沿って向けられているため、空気の流れが真空チャンバ84に集められた毛髪を挟まない。
【0025】
ハンドヘルド・ユニット14は、ファン46を起動し、また、加熱手段44の温度を上昇させるため、加熱手段44及びファン46に選択的に電力を供給するように構成されていてよい。ファン46が起動すると、周囲の空気が、加熱手段44を横切って加熱空気チャンバ36に向かって動き、加熱手段44を通過する空気に熱が伝達される。加熱手段44に供給されたエネルギ量及びファン46の回転速度は、加熱空気チャンバ36を出て、真空チャンバ34に入る空気の温度を制御するように調整されてよいことは理解されるであろう。加熱手段44に供給されたエネルギ量及びファン46の回転速度は、ハンドヘルド・ユニット、真空キャニスタ、または、ヘア・グルーミング・システムの他の位置に配置された使用者用のスイッチまたはダイアルによって制御可能である。
【0026】
開示したシステム及び装置を使用する方法の例を以下に示す。使用者は、ハンドル26を握ることで、ハンドヘルド・ユニット14を持ち、電源スイッチ32を使用して真空装置を起動することで毛髪を乾かすことができる。使用者は、濡れた毛髪部分を集め、濡れた毛髪部分の自由端から、濡れた毛髪部分を毛髪受け用開口部38に挿入することができる。使用者は、濡れた毛髪部分の全長が真空チャンバ34内に収まるまで挿入を続けることができる。一例では、ひとたびハンドヘルド・ユニット14を使用者の頭や頭皮に接触させると、濡れた毛髪部分の全長が真空チャンバ34内に収まる。吸引力による、真空チャンバ34に向かい、真空チャンバ34から出る流れによって、濡れた毛髪部分を真空チャンバ34内に収めることを容易にすることができる。
【0027】
毛髪部分から余分な水分が取り除かれると(短い場合は、数秒で行われる)、使用者は、ハンドヘルド・ユニット14を使用者の頭皮から少し離して、加熱手段44及びファン46を起動することができる。加熱手段44及びファン46は、ハンドヘルド・ユニット14または真空ユニット12に配置されたスイッチやダイアルによって起動することができる。理解されるように、加熱手段44及びファン46を起動すると、ファン46は、空気取入口48を通して、また、加熱手段44を横切って、空気を引き込み、空気を温める。空気は、温められると、複数の空気口50を通って動き、真空チャンバ34内の毛髪に沿って流れる。加熱空気は、真空装置によって作り出された吸引力によって真空チャンバ34を通る。使用者は、選択的に、頭皮に対して、ハンドヘルド・ユニット14を離したり近づけたりして動かして、長い毛髪の全長を乾かすことを補助することができる。乾燥工程において、真空チャンバ34を通る空気の流れの向きは、頭皮から離れ、毛髪の自由端に向かって、毛髪の長さに沿っている。
【0028】
この毛髪部分が、望ましい乾燥度(level of dryness)またはスタイルになったら、使用者は、ファン46及び加熱手段44の電源をオフにすることができ、加熱されていない周囲の空気が毛髪部分に沿って流れるようにすることができる。このことにより、各髪の毛のキューティクルを保護(seal)することができる。キューティクルの保護は、短い場合は、数秒で行うことができる。ハンドヘルド・ユニット14は、選択的に構成することができ、加熱を行うための(heat activation)スイッチは、使用者が望むように加熱をオン・オフする、モーメンタリ・プッシュ・ボタン・スイッチ、オン/オフ・スイッチ、または、どのようなスイッチまたは入力でもよい。使用者の毛髪が全体として乾くまで、使用者は、さらなる毛髪部分に対して、ここに示した工程を繰り返してもよい。図1乃至図6に示した真空チャンバの形状によれば、乾燥し、滑らかで、概ねストレートの毛髪を得られる。ウェーブした毛髪を得るには、真空チャンバが、1以上の徐々に曲がった形状を含むように製造されていて、濡れた毛髪が、徐々に曲がった形状に当たって(engage)乾かされると、徐々に曲がった形状を呈するようになっていてもよいことは理解されるであろう。さらにカールした毛髪を得るには、真空チャンバが、1以上のきつく曲がった形状を含むように製造されていて、濡れた毛髪が、きつく曲がった形状に当たって乾かされると、きつく曲がった形状を呈するようになっていてもよいことは理解されるであろう。
【0029】
本システムは、1以上の真空リリーフ機構(vacuum relief mechanisms)を含んでいる。真空リリーフ機構は、圧力が強すぎる場合に、真空チャンバ内の真空圧力を減らす、または、解放するように応答する。意図せず真空チャンバ内の圧力が増加する状況(circumstance)の1つは、毛髪受け用開口部が毛髪によってブロックされた、または、使用者の頭皮と接触したような場合である。そのような状況の場合、真空リリーフ機構は、使用者の毛髪または頭皮に対する圧力が過大にならないように、他のアクセス・ポイントから、流路に周囲の空気を入れることができる。真空リリーフ機構は、所定量の吸引力を検知した場合に開くバルブ(valve)であってもよい。真空リリーフ機構は、ハンドヘルド・ユニット、ホース、または、真空キャニスタに配置されていてもよい。本質的には、流路と流体連通している箇所であれば、システムのどこに配置されていてもよい。一例としては、空気取入口が真空リリーフ機構として機能してもよい。例えば、加熱空気チャンバに空気を引き込むファンを助けるスロットを有する実施の形態の場合、このようなスロットが真空リリーフ機構として機能してもよい。真空リリーフ機構は、使用者が真空リリーフ機構の有効開口(effective opening)を制御できるように、そして、流路内で許容される圧力を制御できるように、調整可能であってもよい。さらに、複数の突起によって空気が通ることが可能なギャップが形成され、ハンドヘルド・ユニットが使用者の頭皮に対してじかに(flush)配置することができないように、毛髪受け用開口部の中にまたは近くに、複数の突起(protrusions)や"複数の隆起(bumps)"を含んでいてもよい。
【0030】
ハンドヘルド・ユニット14の外側ハウジングは、真空チャンバ及び/または加熱空気チャンバを形成するように構成されていてもよい。他の例では、真空チャンバ及び加熱空気チャンバは、ハンドヘルド・ユニットに組み入れることが可能な、別々のコンポーネントとして形成されていてもよい。さらに他の例では、真空チャンバ及び加熱空気チャンバは、ハンドヘルド・ユニットに組み入れられる、1つのコンポーネントとして一体化されていてもよい。
【0031】
他の実施の形態では、ハンドヘルド・ユニットは、ファンまたは加熱手段を有さないように構成されていてもよい。毛髪のグルーミングは、真空装置によって作り出された吸引力によって毛髪に沿って移動する加熱されていない周囲の空気を利用して実現される。他の実施の形態では、ハンドヘルド・ユニットは、ファンを有さないが、加熱手段を含むように設計されていてもよい。毛髪の全長に沿って流れる前に、真空装置によって作り出される吸引力により、周囲の空気が加熱手段を横切るように引き込まれ、空気が加熱される。ハンドヘルド・ユニットには、毛髪のグルーミングを促進するため、さらなるフィーチャが組み込まれていてもよい。例えば、真空チャンバは、真空チャンバ内で毛髪が絡まること(tangling)、または、なびくこと(fluttering)を減らす、または、なくすために、真空チャンバを通る空気の流れを制御する様々なフィーチャを含んでいてもよい。図7乃至図13は、そのようなフィーチャを図示したものである。
【0032】
図7及び図8は、真空チャンバ内のベーン(vane)の使用を図示している。図7は、ハンドヘルド・ユニット60の正面図であり、図8は、図7のB-B線に沿ったハンドヘルド・ユニット60の断面図である。先の実施の形態と同様、ハンドヘルド・ユニット60は、外側ハウジング62と、真空チャンバ64と、真空チャンバ64を囲む加熱空気チャンバ66と、ハンドル68と、ホース・コネクタ70を含んでいる。毛髪受け用開口部72は、外側ハウジング62の一端に形成されている。ファン74及び加熱手段76は、加熱空気チャンバ66内に配置されている。外側ハウジング62の外装に配置された電源スイッチ78は、真空装置をオン・オフするものであってもよく、加熱手段76及びファン74をオン・オフするものであってもよく、または、真空装置、加熱手段及びファンを制御するものであってもよい。
【0033】
ハンドヘルド・ユニット60は、さらに、加熱空気チャンバ66及び真空チャンバ64の間に配置された複数の空気口80を含んでいる。ファン74が起動すると、周囲の空気が加熱手段76を横切り、複数の空気口80を通って流れるようになっている。さらに、真空チャンバ64は、真空チャンバ64の周囲に沿って、且つ、毛髪受け用開口部72に近接して、加熱空気ポケット82が形成されるように、毛髪受け用開口72のすぐ近くで大きく広がっている。真空チャンバ34のボア(bore)は、概して円形であり、滑らかであり、真空チャンバ64の壁部から真空チャンバ64の中央部に向かって延び出て、真空チャンバ64の長さに沿って延びている複数のベーン84を含んでいる。複数のベーン84によって、空気が流れる複数のチャンネルが形成されている。このような複数のチャンネルによって、真空チャンバ64を通る空気の流れが制御される。複数のベーン84及びこれによる複数のチャンネルによって、乱流を減らす、または、乱流を無くすことができ、真空チャンバ64に沿って流れる層流(laminar flow)を概して生じさせることができる(promote)。毛髪が空気の乱流に曝されると、毛髪は急速に左右に(side-by-side)なびき、絡まったり、他の物理的な相互作用により、毛髪(特に毛髪の端部)に対するダメージになってしまう。この実施の形態では、ベーン84は6つ図示してあるが、真空チャンバのベーンは、6つよりも多くてもよく、または6つよりも少なくてもよく、また、様々な形状であってもよいことは理解されるであろう。
【0034】
図9及び図10は、真空チャンバ内の非対称断面積(asymmetrical cross-sectional areas)及び変化断面積(varying cross-sectional areas)の使用を図示している。図9は、ハンドヘルド・ユニット90の正面図であり、図10は、図9のC-C線に沿ったハンドヘルド・ユニット90の断面図である。ハンドヘルド・ユニット90は、上述のフィーチャの多くを含んでいる。しかしながら、真空チャンバ92の形状は、断面が概ね円形の第1の部分94と、断面が概ね"半月(half-moon)"形状の第2の部分96を含んでいる。図10に最良に示してあるように、毛髪受け用開口部98のすぐ近くの真空チャンバ92の部分は、断面が半月形状であり、毛髪受け用開口部98から延びて離れるにしたがって、断面が円形になる。このような変則的な(irregular)形状によって、真空チャンバ92の幅にわたって均一な空気の流れが作り出される。円形のような、均一な断面形状を有する条件においては、真空チャンバの幅において勾配(gradient)を有する流速(flow velocity)が作り出される。流速は、円形の真空チャンバの壁部に沿って最も遅く、真空チャンバの長手の中心において最も速い。半月形状部分のような変則的な形状を有する真空チャンバ、または、上述のようなベーンを含む真空チャンバを作ることで、真空チャンバの断面においてより均一な空気の流れになるように、流速の勾配に作用することができる。断面を半月形状のような変則的な形状にすることに加えて、及び、複数のベーンを含むことに加えて、本明細書に記載のシステム及び装置のフィーチャとして、真空チャンバに他の変則的な形状を採用することもできることは理解されるであろう。
【0035】
図9及び図10に示した真空チャンバ92は、真空チャンバに沿って変化する、断面積も有している。第1の部分94の断面積は、第2の部分96の断面積よりも大きい。小さな断面積を有する第2の部分96から大きい断面積を有する第1の部分94に空気が流れると、真空チャンバ内を通る空気の流速が減速することが理解されるであろう。第1の部分94に毛髪の自由端が入ると、遅い流速によって、毛髪が絡むこと、及び、毛髪が左右になびくことが減少する。
【0036】
図11及び図12は、加熱空気チャンバから真空チャンバへ加熱空気を流す(channel)複数の空気口の異なる構成を示すものである。図11は、ハンドヘルド・ユニット100の正面図であり、図12は、図11のD-D線に沿ったハンドヘルド・ユニット100の断面図である。ハンドヘルド・ユニット100は、上述のフィーチャの多くを含んでいる。しかしながら、上述の実施の形態とは、複数の空気口102の位置、及び、加熱空気ポケット104の構造(formation)が異なる。複数の空気口102は、真空チャンバ106の中央に、また、真空チャンバ106内に位置している毛髪に加熱空気を向ける。加熱空気は、フロー・ライン110に沿って、加熱空気チャンバ108を通って、複数の空気口102を通って、真空チャンバ106に到達する。図12に最良に示してあるように、複数の空気口102は、2列存在する。複数の空気口102の出口の流れの向きによって、加熱空気の多くは集まって真空チャンバ106の断面を横切り、毛髪受け用開口部112のすぐ近くに向かうことになる。そのため、真空チャンバ106の断面を横切って、また、毛髪受け用開口部112のすぐ近くに、加熱空気と毛髪が混ざり合うための加熱空気ポケット104が形成されている。真空チャンバ166のボアは、概して円形であり、滑らかである。さらに、複数の空気口102を出る加熱空気の向きは、真空チャンバ106の中央に向かうようになっている。このことにより、毛髪受け用開口部112の近くにおいて毛髪が挟まれてしまう(hair pinching)ことを制限する、または、無くすことができる。
【0037】
図13は、真空チャンバ120の長さに沿って断面積が変化する、例示的な真空チャンバ120の断面図である。真空チャンバ120は、第1の直径を有する第1のセクション122と、第1の直径よりも大きな第2の直径を有する第2のセクション124と、第1の直径から第2の直径に遷移する(transitions)遷移セクション186とを含んでいる。直径の小さな第1の直径から直径の大きな第2の直径に遷移することで、空気が真空チャンバ120内を通るにしたがい、空気の流速が減速する。空気の流速が減速すると、毛髪が左右になびく動くを抑えることができ、真空チャンバ120内でグルーミングされている毛髪の絡みや、毛髪がダメージを受けること、特に、髪の毛の端部のダメージを減少させることができる。一例では、第2のセクション124の直径は、第1のセクション122の直径の2倍である。このような直径の伸張によって、空気の流速は、1/4倍に減速する(reduced by a factor of 4)。流速が減速することにより、髪の毛が左右になびく動きが弱まり、髪の毛に対するダメージを減少させることができる。
【0038】
図14乃至図17は、他の例示的な真空チャンバ130を示すものである。図14は真空チャンバ130の側面図であり、図15は、図14のE-E線に沿った断面図であり、図16は、図14のF-F線に沿った断面図であり、図17は、真空チャンバ130の正面図である。真空チャンバ130は、3つのセクションを含んでいる。3つのセクションは、第1の直径を有する第1のセクション132と、第1の直径より大きな第2の直径を有する第2のセクション134と、第1及び第2の直径よりも小さな第3の直径を有する第3のセクション136である。セクションとセクションの間は、徐々に遷移するようになっている。真空チャンバ130を空気が通り、空気が第2のセクション134に入ると流速が減速し、第3のセクション136に入ると流速が加速する。図16に示すように、一連の空気口138は、加熱空気チャンバまたは他の同様の隣接する(adjacent)チャンバのための真空チャンバ130へのアクセスを提供する。複数の空気口138は、真空チャンバの中央線と並行の通路(path)を通り、真空チャンバ130を通るように加熱空気を向ける。
【0039】
真空チャンバを通した空気の流れを制御する他の方法は、流路にフロー・コンディショナを配置することである。フロー・コンディショナは、真空チャンバ内、ホース内、真空キャニスタ内、または、流路内のどこにでも配置されてもよい、インサートとして構成されていてもよい。図18乃至図20は、フロー・コンディショナ140の1つの実施の形態を示す図である。図20に示すように、ボアは概して円形であり、図19に示すように、フロー・コンディショナ140の長さに沿って、ボアの直径は変化する。フロー・コンディショナの第1のセクション142は、比較的大きな直径から始まり、フロー・コンディショナ140の中央部当たりに到達するまで徐々に小さくなり、比較的短く、一定の直径を有する第2のセクション144に遷移する。それから、フロー・コンディショナ140は、比較的小さな直径から始まり、フロー・コンディショナ140の端部に向かって徐々に大きくなる第3のセクション146に遷移する。
【0040】
図21乃至図23は、フロー・コンディショナ150の他の実施の形態を示す図である。図21に示すように、ボアは概して楕円形であり、図22に示すように、フロー・コンディショナ150の長さに沿って、ボアの直径は変化する。フロー・コンディショナの第1のセクション152は、比較的大きな直径から始まり、フロー・コンディショナ150の中央部当たりに到達するまで徐々に小さくなり、比較的小さな直径から始まり、フロー・コンディショナ150の端部に向かって徐々に大きくなる第2のセクション154に遷移する。
【0041】
図24は、ハンドヘルド・ユニット160に挿入された例示的なフロー・コンディショナ150を示している。フロー・コンディショナ150は、真空チャンバ162の出口側端部内に配置されている。空気の流れを調整すると、真空チャンバ162内で毛髪がなびく量・回数(amount)を減らすことができる。フロー・コンディショナ150は、真空チャンバ162の出口側端部に配置されていると図示しているが、フロー・コンディショナ150は、真空チャンバ162の入口側端部に配置されていてもよく、または、真空チャンバ内のいかなる場所に配置されていてもよい。さらに、フロー・コンディショナ150は、ハンドヘルド・ユニット160に取り付けられたホースに配置されていてもよく、または、流路内のいかなる場所に配置されていてもよい。さらにまた、フロー・コンディショナは、システムのコンポーネントに一体化またはモールド加工されていてもよい。例えば、フロー・コンディショナは、真空チャンバの一体部品(integral part)として、または、ホースの一体部品として、モールド加工されていてもよい。
【0042】
他の例示的なハンドヘルド・ユニット170を図25乃至図27に示してある。ハンドヘルド・ユニットは、外側ハウジング172及びハンドル174を含んでいる。ハンドヘルド・ユニット170は、さらに電気コネクタ176及び電源スイッチ178を含んでいる。電源ケーブル(図示せず)が電気コネクタ178に接続されて、ハンドヘルド・ユニット170に給電していてもよい。電源スイッチ178は、ハンドヘルド・ユニット170の使用者が特定の機能をオン・オフすることを容易にするために、ハンドヘルド・ユニット170上に便利に配置されていてもよい。さらに、単一の電源スイッチが図示されているが、ヘア・グルーミング・システムの様々な機能及びサブシステムのオン・オフを容易にするため、ヘア・グルーミング・システムは、2以上の電源スイッチを含んでいてもよいことは理解されるであろう。
【0043】
ハンドヘルド・ユニット170は、さらに、真空チャンバ180と、加熱空気チャンバ182とを含んでいる。図示した真空チャンバ180の形状は、断面が概ね楕円形である。真空チャンバ180は、毛髪受け用開口部184と、出口用開口部186とを含んでいる。加熱空気チャンバ182内には、一連の加熱コイル188と、ファン190とが配置されている。外側ハウジング172の開口部を形成し、ファン190に周囲の空気へのアクセスを与える空気取入口192が、ファン190のすぐ近くに配置されている。毛髪受け用開口部184のすぐ近くには、複数の空気口194が配置されている。複数の空気口194は、毛髪受け用開口部184の周囲に沿って、外側ハウジング172に配置されている。
【0044】
ファン190によって、周囲の空気が加熱空気チャンバ182に流れ込み、加熱コイル188を越え、複数の空気口194を通る。複数の空気口194は、空気が加熱空気チャンバ182から出ると、空気が毛髪受け用開口部184に流れるように構成されており、真空チャンバ172による吸引力によって、真空チャンバ172内に加熱空気を引き込むことができ、真空チャンバ172内に配置された毛髪と係わり合う。
【0045】
図28は、ハンドヘルド・ユニット200の他の実施の形態を示すものである。図25乃至図27に示したものと同様、ハンドヘルド・ユニット200は、ハンドル202と、外側ハウジング204と、電源スイッチ206と、毛髪受け用開口部208とを含んでいる。図28に示した実施の形態では、加熱空気チャンバ及び加熱手段は、毛髪受け用開口部208のすぐ近くの真空チャンバの前方部分に配置されているが、他の実施の形態と異なり、真空チャンバを取り囲まない。このような実施の形態では、空気は、温められて、加熱空気チャンバの内壁に配置された複数の空気口を通して、直接的に毛髪に当てられる。加熱空気チャンバ内には、周囲の空気を、加熱手段を通過して、真空チャンバ内の毛髪に向かって動かすため、ファンが配置されていてもよい。周囲の空気は、空気取込口210を通してハンドヘルド・ユニット内に引き込まれてもよい。あるいは、ファンは含まれていない。周囲の空気は、真空装置によって作り出された吸引力によってハンドヘルド・ユニット内に引き込まれる。真空チャンバによって引き込まれ、加熱空気を使用者の毛髪に向けることで、似たような乾燥効果を得られる。
図1
図2
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図28