IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -変倍光学系および光学機器 図1
  • -変倍光学系および光学機器 図2
  • -変倍光学系および光学機器 図3
  • -変倍光学系および光学機器 図4
  • -変倍光学系および光学機器 図5
  • -変倍光学系および光学機器 図6
  • -変倍光学系および光学機器 図7
  • -変倍光学系および光学機器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175307
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】変倍光学系および光学機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20221117BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20221117BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20221117BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20221117BHJP
   G02B 15/163 20060101ALN20221117BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20221117BHJP
【FI】
G02B15/20
G03B11/00
G03B17/02
G02B3/00
G02B15/163
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081599
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】小林 優真
【テーマコード(参考)】
2H083
2H087
2H100
【Fターム(参考)】
2H083AA01
2H083AA26
2H083AA41
2H087KA01
2H087MA12
2H087MA18
2H087PA11
2H087PA12
2H087PA15
2H087PA16
2H087PB16
2H087PB17
2H087PB20
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA34
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA36
2H087RA43
2H087RA44
2H087SA23
2H087SA24
2H087SA26
2H087SA27
2H087SA29
2H087SA30
2H087SA32
2H087SA44
2H087SA46
2H087SA49
2H087SA53
2H087SA55
2H087SA62
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA72
2H087SA75
2H087SA76
2H087SB05
2H087SB07
2H087SB14
2H087SB15
2H087SB16
2H087SB22
2H087SB23
2H087SB24
2H087SB34
2H087SB35
2H087SB41
2H100AA01
2H100CC07
(57)【要約】
【課題】ズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得るとともに変倍に伴うTナンバーの変化が小さい変倍光学系を提供する。
【解決手段】物体側から像側へ順に配置された、第1の透過率分布を有する第1の光学素子と、開口絞りと、第2の透過率分布を有する第2の光学素子とを有する変倍光学系であって、開口絞りを開放した状態において、望遠端での第1の光学素子および第2の光学素子の軸上光束に対する透過率をそれぞれT1taxおよびT2tax、広角端での第1の光学素子および第2の光学素子の軸上光束に対する透過率をそれぞれT1waxおよびT2waxとするとき、
1.2≦T1tax/T2tax≦8.0
1.2≦T1wax/T2wax≦8.0
なる条件式を満足する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された、第1の透過率分布を有する第1の光学素子と、開口絞りと、第2の透過率分布を有する第2の光学素子とを有する変倍光学系であって、
前記開口絞りを開放した状態において、望遠端での前記第1の光学素子および前記第2の光学素子の軸上光束に対する透過率をそれぞれT1taxおよびT2tax、広角端での前記第1の光学素子および前記第2の光学素子の軸上光束に対する透過率をそれぞれT1waxおよびT2waxとするとき、
1.2≦T1tax/T2tax≦8.0
1.2≦T1wax/T2wax≦8.0
なる条件式を満足することを特徴とする変倍光学系。
【請求項2】
0.75≦T1wax≦1.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項3】
望遠端および広角端での前記第2の光学素子の半径r2の位置における軸上光束に対する透過率をそれぞれTt2(r2)、Tw2(r2)、該第2の光学素子の有効半径をr2maxとするとき、
0.00≦Tt2(r2max)≦0.15
0.00≦Tw2(r2max)≦0.15
0.00≦Tt2(0.7r2max)≦0.75
0.00≦Tw2(0.7r2max)≦0.75
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の変倍光学系。
【請求項4】
広角端での前記開口絞りと像面との間の光軸方向における距離をLwr、前記第2の光学素子を含むレンズ群の該像面に対する移動量の絶対値の最大値をΔdmaxとするとき、
0.00≦Δdmax/Lwr≦0.20
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項5】
前記第1の光学素子および前記第2の光学素子の規格化半径rの位置における軸上光束に対する規格化透過率の傾きをそれぞれD1’(r)、D2’(r)とするとき、
-15.0≦D1’(r)≦1.0
-7.0≦D2’(r)≦1.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項6】
望遠端および広角端でのF値をそれぞれFt、Fwとするとき、
0.70≦Fw/Ft≦1.45
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項7】
前記第1の光学素子の有効半径をr1max、広角端での最軸外光束のメリジオナル断面における光束幅をw1wouとするとき、
0.10≦w1wou/r1max≦2.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項8】
メリジオナル断面において、前記第1の光学素子の位置における広角端での軸上光束と最軸外光束との重複範囲における光軸に垂直な方向の距離をdとするとき、
0.00≦d/w1wou≦0.60
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項9】
前記第2の光学素子の位置における広角端および望遠端での軸上光束のマージナル光線と光軸との距離をそれぞれh2wax、h2taxとするとき、
0.80≦h2wax/h2tax≦1.20
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項10】
前記変倍光学系の変倍比をβとするとき、
1<β≦10
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の変倍光学系
【請求項11】
前記第1の光学素子および前記第2の光学素子の軸上光束に対する規格化透過率が0.8となる規格化有効径をそれぞれr108、r208とするとき、
0.075≦r108-r208≦0.500
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項12】
前記変倍光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、および第4レンズ群からなり、
変倍に際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化し、
前記第1の光学素子は、前記第1レンズ群に含まれ、
前記第2の光学素子は、前記第4レンズ群に含まれていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項13】
前記第1レンズ群は、変倍に際して移動しないことを特徴とする請求項12に記載の変倍光学系。
【請求項14】
前記第1レンズ群は、変倍に際して移動することを特徴とする請求項12に記載の変倍光学系。
【請求項15】
前記第4レンズ群は、変倍に際して移動することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項16】
前記第4レンズ群は、変倍に際して移動しないことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項17】
前記変倍光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群、および第5レンズ群からなり、
変倍に際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化し、
前記第1の光学素子は、前記第1レンズ群に含まれ、
前記第2の光学素子は、前記第5レンズ群に含まれていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項18】
前記第1レンズ群および前記第5レンズ群は、変倍に際して移動しないことを特徴とする請求項17に記載の変倍光学系。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか一項に記載の光学系と、該光学系によって形成される像を受光する受光素子とを有することを特徴とする光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変倍光学系および光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、適切なボケ像を得るため、光軸からの距離が大きくなるにつれて透過率が低下するアポダイゼーションフィルタなどの透過率分布が変化するフィルタを備えた光学系が知られている。特許文献1には、単焦点レンズの絞りの前後にアポダイゼーションフィルタを配置した光学系が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-218444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている光学系は単焦点光学系であるため、変倍光学系の各ズームステートで十分なアポダイゼーション効果を得る方法としては不十分である。また、変倍光学系に特有の要請として、特に映像撮影において、変倍に伴う明るさすなわちTナンバーの変化が小さいことが求められる。
【0005】
そこで本発明は、ズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得るとともに変倍に伴うTナンバーの変化が小さい変倍光学系および光学機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての変倍光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1の透過率分布を有する第1の光学素子と、開口絞りと、第2の透過率分布を有する第2の光学素子とを有する変倍光学系であって、前記開口絞りを開放した状態において、望遠端での前記第1の光学素子および前記第2の光学素子の軸上光束に対する透過率をそれぞれT1taxおよびT2tax、広角端での前記第1の光学素子および前記第2の光学素子の軸上光束に対する透過率をそれぞれT1waxおよびT2waxとするとき、
1.2≦T1tax/T2tax≦8.0
1.2≦T1wax/T2wax≦8.0
なる条件式を満足する。
【0007】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得るとともに変倍に伴うTナンバーの変化が小さい変倍光学系および光学機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1における光学系の断面図である。
図2】実施例2における光学系の断面図である。
図3】実施例3における光学系の断面図である。
図4】実施例4における光学系の断面図である。
図5】実施例5および実施例6における光学系の断面図である。
図6】実施例7における光学系の断面図である。
図7】各実施例における第1の透過率分布フィルタおよび第2の透過率分布フィルタの透過率分布を示す図である。
図8】各実施例における撮像装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す図面は、各実施例を容易に理解できるようにするために、実際とは異なる縮尺で描かれている場合がある。
【0011】
写真や映像用レンズをはじめとする種々の光学系においては、結像面の特性だけでなく、アウトフォーカス部の像質すなわちボケの質も重視される場合がある。一般に、輪郭が明瞭でなく溶けていくような滑らかなボケが望まれる。ボケの輪郭を変化させる方法としては、例えば光軸からの距離が大きくなるにつれて透過率が低下するアポダイゼーションフィルタを光学系に挿入する方法が知られている。これにより、アポダイゼーションフィルタの透過率分布がボケ像に重ね合わされ、輪郭が溶けていくような滑らかなボケを実現することができる。
【0012】
しかしながら、アポダイゼーションフィルタを挿入すると、光学系における透過光量が低下してしまう。また、口径蝕が大きい光学系においては、アポダイゼーションフィルタ1枚では軸外の領域で十分なアポダイゼーション効果を得られない。軸外でも十分な効果を得るには、光学系の適切な位置に合計2枚以上のアポダイゼーションフィルタを挿入する必要があり、その配置の方法および原理については、例えば特許文献1に開示されている。
【0013】
以下、変倍光学系を指してズームレンズという呼称も用いる。厳密には、変倍光学系は、変倍に伴って合焦位置が変化するバリフォーカルレンズと合焦位置が変化しないズームレンズに大別されるが、各実施例では、これらをまとめてズームレンズと呼ぶ。
【0014】
ズームレンズは、一般に、変倍に伴って移動する複数の群から構成される。これらの各群を、物体側から像側へ順に、第1レンズ群、第2レンズ群、…、第Nレンズ群と呼ぶこととする。ズームレンズは、変倍に伴って光路が変化し、口径蝕を小さくすることも困難であるため、アポダイゼーションフィルタを配置してもズーム全域にわたって十分なアポダイゼーション効果を得ることが難しい。
【0015】
また、ズームレンズにおいては、変倍に伴う像の明るさの変化が小さいことが望ましい。特に映像・動画撮影に使用されるズームレンズにおいては、この変倍に伴う像の明るさの変化が極めて小さいことが望まれている。近年では、映像撮影に特化したビデオカメラに限らず、一眼レフカメラ、ミラーレスカメラ、コンパクトデジタルカメラ、アクションカメラ、スマートフォン等でも高品質な映像撮影が可能となっている。このため、これらに使用されるズームレンズにも変倍に伴う像の明るさの変化が小さいことが求められている。像の明るさは、レンズのTナンバーによって表される。Tナンバーは、光学系の集光能力を表すFナンバーに、硝材の光吸収や界面反射などによる光量の損失分を加味した値であり、以下の式(1)で定義される。
【0016】
(Tナンバー)=(Fナンバー)/(軸上光束の透過率)^0.5 ・・・(1)
一般的なズームレンズにおいては、硝材の光吸収や界面反射による光量損失分は変倍によってほとんど変化せず、変倍に伴うFナンバーの変化が小さければ像の明るさの変化も小さくなる。このため、写真・映像用途を考慮したズームレンズにおいては、Fナンバーがズーム全域で一定となるよう、あるいはFナンバーの変化が小さくなるように設計されることが多い。しかしながら、アポダイゼーションフィルタのような透過率が有効面内で大きく変化するような光学素子を光学系に組み込んだ場合、一般にFナンバーがズーム全域で一定であってもTナンバーは変倍に伴って大きく変化してしまう。
【0017】
そこで各実施例は、ズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得るとともに、変倍に伴うTナンバーの変化が小さいズームレンズを提供することを目的とする。
【0018】
また、十分なアポダイゼーション効果を得た上で、光学系全体の透過光量はなるべく大きいほうが好ましい。一般に、アポダイゼーション効果の大きさと透過光量はトレードオフとなるため、適切な透過率分布を与える必要がある。系全体の透過光量の低下はTナンバーで0.7段から2.2段程度が好ましい。0.7段未満ではアポダイゼーション効果が十分に得られず、2.2段以上では不必要に透過光量が低下してしまう。
【0019】
本実施例において、第1の透過率分布フィルタ(第1の透過率分布を有する第1の光学素子)および第2の透過率分布フィルタ(第2の透過率分布を有する第2の光学素子)はそれぞれ、透過率分布を有する。第1の透過率分布フィルタおよび第2の透過率分布フィルタの透過率分布としては、アポダイゼーション効果を奏するような透過率分布であればよい。すなわち第1および第2の透過率分布フィルタはそれぞれ、透過率が中心から周辺に向かって変化する領域を有する光学素子である。例えば、このような透過率分布としては、光学素子の周辺へ向かって連続的に透過率が減少する透過率分布や、段階的に透過率が減少する透過率分布であってもよい。また、光学素子の中心に透過率が一定である領域を設けてもよい。
【0020】
このような透過率分布は、光の吸収または反射が生じる材料を素子の位置に応じて透過率に分布が生じるように成形または基板上に成膜することで形成することができる。また、銀塩粒子などの感光材料を基板上に塗布し、透過率分布が生じるように露光して透過率分布を形成してもよい。基板の形状としては平板状でもよいし、フィルム状でもよい。また、レンズのように曲率を有する透過率分布フィルタを基板として用いてもよい。
【0021】
また、色ガラスなどの光を吸収する物質を含有する媒質を用いることもできる。この場合、光を吸収する物質を含有する媒質の厚みを変化させて透過率分布を形成してもよいし、媒質における光を吸収する物質の濃度を部分的に変化させて透過率分布を形成してもよい。
【0022】
また、第1の透過率分布フィルタまたは第2の透過率分布フィルタのうち少なくとも一方の透過率分布フィルタとして、電圧印加等によって透過率分布を生じるように形成されたエレクトロクロミック素子、フォトクロミック素子、液晶素子などを用いてもよい。このようにすることで、電圧印加によってアポダイゼーション効果のオン・オフを切り替えることができる。
【0023】
図1は、実施例1における光学系100の断面図である。図2は、実施例2における光学系200の断面図である。図3は、実施例3における光学系300の断面図である。図4は、実施例4における光学系400の断面図である。図5は、実施例5および実施例6における光学系500、600の断面図である。図6は、実施例7における光学系700の断面図である。
【0024】
図1に示される光学系100において、101は第1の透過率分布フィルタ、102は第2の透過率分布フィルタである。図2に示される光学系200において、201は第1の透過率分布フィルタ、202は第2の透過率分布フィルタである。図3に示される光学系300において、301は第1の透過率分布フィルタ、302は第2の透過率分布フィルタである。図4に示される実施例4の光学系400において、401は第1の透過率分布フィルタ、402は第2の透過率分布フィルタである。図5に示される光学系500において、501は第1の透過率分布フィルタ、502は第2の透過率分布フィルタである。図5に示される実施例6の光学系600において、601は第1の透過率分布フィルタ、602は第2の透過率分布フィルタである。図6に示される光学系700において、701は第1の透過率分布フィルタ、702は第2の透過率分布フィルタである。
【0025】
各実施例において、第1の透過率分布フィルタおよび第2の透過率分布フィルタはそれぞれ、レンズ面上に、光吸収性を持つ物質を乗せることによって透過率分布を実現している。すなわち、第1の透過率分布フィルタは第1の透過率分布を有する第1の光学素子であり、第2の透過率分布フィルタは第2の透過率分布を有する第2の光学素子である。
【0026】
各実施例の変倍光学系(光学系100~700)は、絞り(開口絞り)SPを有する。絞りSPとしては、例えば少なくとも一枚の絞り羽根を可動させることで開口径を変化させることができる虹彩絞りや、開口径が異なる部材を入れ替えるウォーターハウス絞り等を用いることができる。なお、絞りSPとして虹彩絞りを用いる場合、絞り羽根は五枚以上であることが好ましい。このような構成により、広い範囲のF値において射出瞳の形状を正円に近い形に保つことができる。その結果、ボケの形状の回転対称性を高めることができる。また、各実施例の変倍光学系は、曲面鏡、平面鏡、プリズム、または回折光学素子等を有していてもよく、レンズ、曲面鏡、平面鏡、プリズム、および回折光学素子のうちの複数または全てを有していても構わない。
【0027】
ここで、図7を参照して、第1の透過率分布フィルタおよび第2の透過率分布フィルタの透過率分布について説明する。図7は、各実施例における第1の透過率分布フィルタおよび第2の透過率分布フィルタの透過率分布を示す図である。図7において、横軸は規格化有効半径((有効径を1として規格化した半径)、縦軸は規格化透過率(光軸上の透過率で規格化した透過率)をそれぞれ示す。
【0028】
図7に示されるように、例えば実施例1において、第1の透過率分布フィルタ101と第2の透過率分布フィルタ102の透過率分布は大きく異なる。第1の透過率分布フィルタ101は、中心付近では透過率はほとんど変化せず、有効径端部付近で透過率の変化が大きくなる。一方、第2の透過率分布フィルタ102は、有効面内の広い領域でゆるやかに透過率が変化する。このように、第1の透過率分布フィルタは軸上光束には殆ど作用せず、第2の透過率分布フィルタは軸上光束全体に作用するように配置することが好ましい。
【0029】
絞りSPを開放した状態で、望遠端での第1および第2の透過率分布フィルタの軸上光束に対する透過率をそれぞれT1tax、T2tax、広角端での第1および第2の透過率分布フィルタの軸上光束に対する透過率をそれぞれT1wax、T2waxとする。このとき、各実施例の光学系は、以下の条件式(2)および条件式(3)を満足することが好ましい。
【0030】
1.2≦T1tax/T2tax≦8.0 ・・・(2)
1.2≦T1wax/T2wax≦8.0 ・・・(3)
条件式(2)および条件式(3)のそれぞれの下限値を下回ると、変倍に伴うTナンバーの変化が大きくなるため、好ましくない。一方、条件式(2)および条件式(3)のそれぞれの上限値を上回ると、光学系全体の透過率が小さくなるため、好ましくない。なお、軸上光束に対する透過率は、光学素子(レンズ)を通過する軸上光束の全光量に関する透過率である。
【0031】
透過率としては、波長400nm乃至700nm、420nm乃至650nm、波長400nm乃至780nm、または420nm乃至850nmにおける透過率(可視光透過率)の平均値を用いることができる。または、波長550nmもしくは587.6nmにおける代表値を用いてもよい。また、ISO/CIE 10526によって規定されたD65光源、またはCIE15.2によって規定されたD55光源、D50光源などに対する透過率を用いてもよい。なお各実施例では、透過率は波長587.6nmにおける代表値として計算している。
【0032】
より好ましくは、条件式(2)の数値範囲は、以下の条件式(2a)、条件式(2b)、または条件式(2c)を満足するように設定される。
【0033】
1.3≦T1tax/T2tax≦8.0 ・・・(2a)
1.4≦T1tax/T2tax≦7.0 ・・・(2b)
1.5≦T1tax/T2tax≦6.0 ・・・(2c)
より好ましくは、条件式(3)の数値範囲は、以下の条件式(3a)、条件式(3b)、条件式(3c)、または条件式(3d)を満足するように設定される。
【0034】
1.3≦T1wax/T2wax≦8.0 ・・・(3a)
1.4≦T1wax/T2wax≦7.0 ・・・(3b)
1.5≦T1wax/T2wax≦6.0 ・・・(3c)
1.6≦T1wax/T2wax≦5.0 ・・・(3d)
多くのズームレンズは、開口絞りよりも物体側のレンズ群に主として変倍機能を、開口絞りよりも像側のレンズ群に主として結像機能を有する。この機能分担が明確であるほど、変倍に伴った開口絞りより後側の光路変化は小さくなる。このような系においては、光路変化が小さい開口絞りより後側に配置する第2の透過率分布フィルタによるアポダイゼーション効果を大きくすることで、変倍に伴うアポダイゼーション効果の変動を小さくすることができる。逆に、主として変倍機能を担う開口絞りより前側のレンズ群においては変倍に伴う光路の変化が大きい。このような位置に配置される第1の透過率分布フィルタのアポダイゼーション効果を大きくしすぎると、変倍に伴うアポダイゼーション効果の変動が大きくなる。このように、変倍に伴うアポダイゼーション効果の変動を小さく抑えるためにも、条件式(2)および条件式(3)を満足することが好ましい。
【0035】
また、各実施例の光学系は、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
【0036】
0.75≦T1wax≦1.00 ・・・(4)
定義上、条件式(4)の上限値を超えることはない。一方、条件式(4)の下限値を下回ると、変倍に伴うTナンバーの変化が大きくなるため、好ましくない。より好ましくは、条件式(4)の数値範囲は、以下の条件式(4a)または条件式(4b)を満足するように設定される。
【0037】
0.75≦T1wax/T2wax≦1.00 ・・・(4a)
0.80≦T1wax/T2wax≦1.00 ・・・(4b)
アポダイゼーションフィルタによって十分にボケの輪郭を滑らかにするには、有効光束のエッジ部の透過率を十分に低下させる必要がある。ここで、望遠端および広角端での第2の透過率分布フィルタの半径r2の位置における軸上光束に対する透過率をそれぞれTt2(r2),Tw2(r2)、第2の透過率分布フィルタの有効半径をr2maxとする。このとき各実施例の光学系は、以下の条件式(5-1)乃至条件式(5-4)の少なくとも一つを満足することが好ましい。
【0038】
0.00≦Tt2(r2max)≦0.15・・・(5-1)
0.00≦Tw2(r2max)≦0.15・・・(5-2)
0.00≦Tt2(0.7r2max)≦0.75・・・(5-3)
0.00≦Tw2(0.7r2max)≦0.75・・・(5-4)
定義上、条件式(5-1)乃至条件式(5-4)の下限値を下回ることはない。一方、条件式(5-1)および条件式(5-2)のそれぞれの上限値を上回ると、望遠端および広角端のそれぞれにおいて軸上光束の端部の透過率が十分に低下せず、ボケの輪郭がなめらかに見えないため、好ましくない。また、条件式(5-3)および条件式(5-4)のそれぞれの上限値を上回ると、望遠端および広角端のそれぞれにおいて軸上光束の端部の透過率変化が急激となり、ボケの輪郭が不自然に見えてしまうため、好ましくない。
【0039】
より好ましくは、条件式(5-1)乃至条件式(5-4)の数値範囲は、以下の条件式(5-1a)乃至条件式(5-4c)の少なくとも一つを満足するように設定される。
【0040】
0.00≦Tt2(r2max)≦0.10 ・・・(5-1a)
0.00≦Tw2(r2max)≦0.10 ・・・(5-2a)
0.00≦Tt2(0.7r2max)≦0.70 ・・・(5-3a)
0.00≦Tw2(0.7r2max)≦0.70 ・・・(5-4a)
0.00≦Tt2(r2max)≦0.06 ・・・(5-1b)
0.00≦Tw2(r2max)≦0.06 ・・・(5-2b)
0.00≦Tt2(0.7r2max)≦0.65 ・・・(5-3b)
0.00≦Tw2(0.7r2max)≦0.65 ・・・(5-4b)
0.00≦Tt2(r2max)≦0.05 ・・・(5-1c)
0.00≦Tw2(r2max)≦0.05 ・・・(5-2c)
0.00≦Tt2(0.7r2max)≦0.55 ・・・(5-3c)
0.00≦Tw2(0.7r2max)≦0.55 ・・・(5-4c)
なお、単焦点レンズにおいては、このように第1および第2の透過率分布フィルタの透過率分布の非対称性を高めると、軸外のボケの中心と透過率最大となる位置のずれが大きくなり、ボケの中心がずれて見える傾向にあり、好ましくない。
【0041】
各実施例の光学系は、広角端での絞りSPと像面IPとの間の光軸方向の距離をLwr、第2の透過率分布フィルタを含むレンズ群の像面IPに対する移動量の絶対値の最大値をΔdmaxとするとき、以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
【0042】
0.00≦Δdmax/Lwr≦0.20 ・・・(6)
定義上、条件式(6)の下限を下回ることはない。一方、条件式(6)の上限値を上回ると、変倍に伴う絞りより後側の光路の変化が大きくなり、変倍に伴ってアポダイゼーション効果が大きく変動するため、およびTナンバーの変化が大きくなるため、好ましくない。
【0043】
より好ましくは、条件式(6)の数値範囲は、以下の条件式(6a)、条件式(6b)、または条件式(6c)を満足するように設定される。
【0044】
0.00≦Δdmax/Lwr≦0.15 ・・・(6a)
0.00≦Δdmax/Lwr≦0.10 ・・・(6b)
0.00≦Δdmax/Lwr≦0.07 ・・・(6c)
第1および第2の透過率分布フィルタの規格化半径rにおける軸上光束に対する規格化透過率の傾きをそれぞれD1’(r)、D2’(r)とするとき、以下の条件式(7)または条件式(8)の少なくとも一つを満足することが好ましい。
【0045】
-15.0≦D1’(r)≦1.0 ・・・(7)
-7.0≦D2’(r)≦1.0 ・・・(8)
ここで、規格化半径rとは、第1および第2の透過率分布フィルタの有効半径r1max,r2maxでそれぞれ規格化した光軸に垂直な方向の位置であり、0乃至1の値をとる。また、第1および第2の透過率分布フィルタの有効半径で規格化した光軸からの距離rだけ離れた位置の、光軸上の透過率で規格化した透過率をそれぞれD1(r)、D2(r)とし、その径方向の傾きをD1’(r)、D2’(r)とする。なお、関数D(r)のr=rxにおける傾きD’(rx)は、以下の式(9)および式(10)のように定義される。
【0046】
(a)0≦rx≦0.99のとき
D’(rx)=(D(rx+0.01)-D(rx))×100 ・・・(9)
(b)rx>0.99のとき
D’(rx)=(D(rx)-D(rx-0.01))×100 ・・・(10)
より好ましくは、条件式(7)の数値範囲は、以下の条件式(7a)または条件式(7b)を満足するように設定される。
【0047】
-10.0≦D1’(r)≦1.0 ・・・(7a)
-6.3≦D2’(r)≦1.0 ・・・(7b)
より好ましくは、条件式(8)の数値範囲は、以下の条件式(8a)または条件式(8b)を満足するように設定される。
【0048】
-7.5≦D1’(r)≦1.0 ・・・(8a)
-5.5≦D2’(r)≦1.0 ・・・(8b)
各実施例の光学系は、前述のように変倍に伴うTナンバーの変化が小さいことが望ましい。このため、望遠端および広角端でのF値をそれぞれFt、Fwとするとき、以下の条件式(11)を満足することが好ましい。
【0049】
0.70≦Fw/Ft≦1.45 ・・・(11)
条件式(11)の下限値を下回る、または上限値を上回ると、変倍に伴うTナンバーの変化が大きくなるため、好ましくない。
【0050】
より好ましくは、条件式(11)の数値範囲は、以下の条件式(11a)乃至条件式(11e)の少なくとも一つを満足するように設定される。
【0051】
0.70≦Fw/Ft≦1.30 ・・・(11a)
0.70≦Fw/Ft≦1.10 ・・・(11b)
0.75≦Fw/Ft≦1.05 ・・・(11c)
0.80≦Fw/Ft≦1.05 ・・・(11d)
0.85≦Fw/Ft≦1.05 ・・・(11e)
各実施例の光学系は、第1の透過率分布フィルタの有効半径r1maxと、広角端の最軸外光束のメリジオナル断面における光束幅w1wouについて、以下の条件式(12)を満足することが好ましい。
【0052】
0.10≦w1wou/r1max≦2.00 ・・・(12)
条件式(12)の下限値を下回ると、特に広角端において第1の透過率分布フィルタにより軸外光束全体の透過率が大きく低下し、周辺減光が大きくなるため、好ましくない。
【0053】
より好ましくは、条件式(12)の数値範囲は、以下の条件式(12a)または条件式(12b)を満足するように設定される。
【0054】
0.17≦w1wou/r1max≦2.00 ・・・(12a)
0.25≦w1wou/r1max≦2.00 ・・・(12b)
各実施例の光学系は、メリジオナル断面において、第1の透過率分布フィルタの位置における広角端での軸上光束と最軸外光束との重複範囲における光軸に垂直な方向の距離をdとするとき、以下の条件式(13)を満足することが好ましい。
【0055】
0.00≦d/w1wou≦0.60 ・・・(13)
定義上、条件式(13)の下限値を下回ることはない。一方、条件式(13)の上限値を上回ると、第1の透過率分布フィルタによるアポダイゼーション効果が軸上光束と軸外光束の両方に対して大きくなり、変倍に伴うTナンバーの変化が大きくなるか、または下線に対する透過率分布が十分に与えられない。
【0056】
より好ましくは、条件式(13)は、以下の条件式(13a)または条件式(13b)を満足するように設定される。
【0057】
0.00≦d/w1wou≦0.55 ・・・(13a)
0.00≦d/w1wou≦0.50 ・・・(13b)
また、各実施例の光学系は、第2の透過率分布フィルタの位置において、広角端および望遠端での軸上光束のマージナル光線と光軸との距離(マージナル光線高さ)をそれぞれh2wax、h2taxとするとき、以下の条件式(14)を満足することが好ましい。
【0058】
0.80≦h2wax/h2tax≦1.20 ・・・(14)
条件式(14)の最大値を上回るあるいは最小値を下回ると、変倍に伴う絞りより後側の光路の変化が大きくなり、変倍に伴ってアポダイゼーション効果が大きく変動するため、またはTナンバーの変化が大きくなるため、好ましくない。
【0059】
より好ましくは、条件式(14)の数値範囲は、以下の条件式(14a)を満足するように設定される。
【0060】
0.85≦h2wax/h2tax≦1.15 ・・・(14a)
また、各実施例の光学系は、最大撮影倍率が0.3倍以下の場合、望遠端での焦点距離をfltとするとき、以下の条件式(15)を満足することが好ましい。
【0061】
8≦flt/Ft≦150 ・・・(15)
条件式(15)の下限値を下回ると、ボケが小さくなり、アポダイゼーション効果の影響も小さくなるため、好ましくない。一方、条件式(15)の上限値を上回ると、ボケが著しく大きくなり、アポダイゼーション効果の影響を認識しにくくなる。
【0062】
より好ましくは、条件式(15)の数値範囲は、以下の条件式(15a)を満足するように設定される。
【0063】
10≦flt/Ft≦130 ・・・(15a)
各実施例の光学系は、前述のようにズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得られることが望ましい。このため、光学系の変倍比をβとするとき、以下の条件式(16)を満足することが好ましい。
【0064】
1<β≦10・・・(16)
定義上、条件式(16)の下限値を下回ることはない。一方、条件式(16)の上限値を上回ると、変倍に伴う光路の変化が大きくなり、ズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得ることが困難となるため、好ましくない。また、特に第1レンズ群のパワーが正で広角端の半画角が30°以上の場合、広角端の最軸外光束が細くなり、アポダイゼーション効果と周辺光量の両立が困難となる。
【0065】
より好ましくは、条件式(16)の数値範囲は、以下の条件式(16a)乃至条件式(16d)の少なくとも一つを満足するように設定される。
【0066】
1<β≦8・・・(16a)
1<β≦5・・・(16b)
1<β≦4・・・(16c)
1<β≦3・・・(16d)
また、第1および第2の透過率分布フィルタの規格化透過率が0.8となる規格化有効径をそれぞれr108,r208とするとき、以下の条件式(17)を満足することが好ましい。
【0067】
0.075≦r108-r208≦0.500 ・・・(17)
条件式(17)の下限値を下回ると、第1の透過率分布フィルタによる軸上光束の光量低下が大きくなり、変倍に伴うTナンバーの変化が大きくなるため、好ましくない。一方、条件式(17)の上限値を上回ると、光学系全体の透過光量が大きく低下し、Tナンバーが大きくなるため、好ましくない。
【0068】
より好ましくは、条件式(17)の数値範囲は、以下の条件式(17a)または条件式(17b)を満足するように設定される。
【0069】
0.100≦r108-r208≦0.500 ・・・(17a)
0.150≦r108-r208≦0.450 ・・・(17b)
以下、各実施例の光学系についてより詳しく説明する。
[実施例1]
まず、図1を参照して、実施例1における光学系(変倍光学系)100について説明する。図1は、無限遠合焦時の広角端での光学系100の断面図である。図1において、ARPは軸上光束、OARPは最軸外光束を表している。また、SPは絞り、IPは像面、OAは光軸を表している。これは以降の断面図でも同様である。
【0070】
光学系100は4群構成であり、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群111、第2レンズ群112、第3レンズ群113、および第4レンズ群114からなる。光学系100は、第2レンズ群112、第3レンズ群113、および第4レンズ群114をそれぞれ動かすことで変倍を行う。変倍に際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化する(第1レンズ群111は、変倍に際して移動しない)。第1の透過率分布フィルタ101を有する第1の光学素子は第1レンズ群111に含まれ、第2の透過率分布フィルタ102を有する第2の光学素子は第4レンズ群114に含まれている。
【0071】
第1の透過率分布フィルタ101は、物体側から4枚目のレンズ(第1の光学素子)121の像側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。第2の透過率分布フィルタ102は、物体側から14枚目のレンズ(第2の光学素子)122の物体側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。以降の実施例でも、第1および第2の透過率分布フィルタとして、それぞれの断面図に図示した面に設けられた光吸収性を有する薄膜を使用している。それぞれの透過率分布は、図7に示されるとおりである。図7のグラフの縦軸は、光軸上の透過率で規格化した規格化透過率、横軸はその透過率分布フィルタの最大有効半径(r1maxまたはr2max)で規格化した有効半径である。また、透過率の分布は光軸を中心とした回転対称である。これは、以降の実施例でも同様である。
[実施例2]
次に、図2を参照して、実施例2における光学系(変倍光学系)200について説明する。図2は、無限遠合焦時の広角端での光学系200の断面図である。光学系200は4群構成であり、第1レンズ群211、第2レンズ群212、第3レンズ群213、および第4レンズ群214からなる。光学系200は、第1レンズ群211、第2レンズ群212、第3レンズ群213、および第4レンズ群214の全てのレンズ群をそれぞれ動かすことで変倍を行う。第1の透過率分布フィルタ101を有する第1の光学素子は第1レンズ群111に含まれ、第2の透過率分布フィルタ102を有する第2の光学素子は第4レンズ群114に含まれている。第1の透過率分布フィルタ201は、物体側から4枚目のレンズ(第1の光学素子)221の像側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。第2の透過率分布フィルタ202は、物体側から13枚目のレンズ(第2の光学素子)222の物体側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。それぞれの透過率分布は、図7に示されるとおりである。
[実施例3]
次に、図3を参照して、実施例3における光学系(変倍光学系)300について説明する。図2は、無限遠合焦時の広角端での光学系300の断面図である。光学系300は4群構成であり、第1レンズ群311、第2レンズ群312、第3レンズ群313、および第4レンズ群314からなる。光学系300は、第1レンズ群311、第2レンズ群312、第3レンズ群313、および第4レンズ群314の全てのレンズ群をそれぞれ動かすことで変倍を行う。第1の透過率分布フィルタ301は、物体側から4枚目のレンズ(第1の光学素子)321の像側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。第2の透過率分布フィルタ302は、物体側から13枚目のレンズ(第2の光学素子)322の物体側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。それぞれの透過率分布は、図7に示されるとおりである。
[実施例4]
次に、図4を参照して、実施例2における光学系(変倍光学系)400について説明する。図4は、無限遠合焦時の広角端での光学系400の断面図である。光学系400は5群構成であり、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群411、第2レンズ群412、第3レンズ群413、第4レンズ群414、および第5レンズ群415からなる。光学系400は、第2レンズ群412、第3レンズ群413、および第4レンズ群414をそれぞれ動かすことで変倍を行う。 変倍に際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化する(変倍に際して、第1レンズ群411および第5レンズ群415は移動しない。第1の透過率分布フィルタ401を有する第1の光学素子は第1レンズ群411に含まれ、第2の透過率分布フィルタ402を有する第2の光学素子は第5レンズ群415に含まれている。第1の透過率分布フィルタ401は、物体側から6枚目のレンズ(第1の光学素子)421の像側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。第2の透過率分布フィルタ402は、物体側から15枚目のレンズ(第2の光学素子)422の物体側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。それぞれの透過率分布は、図7に示されるとおりである。
[実施例5]
次に、図5を参照して、実施例5における光学系(変倍光学系)500について説明する。図5は、無限遠合焦時の広角端での光学系500の断面図である。光学系500は4群構成であり、第1レンズ群511、第2レンズ群512、第3レンズ群513、および第4レンズ群514からなる。光学系500は、第2レンズ群512および第3レンズ群513をそれぞれ動かすことで変倍を行う(第1レンズ群511および第4レンズ群514は、変倍に際して移動しない)。第1の透過率分布フィルタ501は、物体側から1枚目のレンズ(第1の光学素子)521の物体側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。第2の透過率分布フィルタ502は、物体側から17枚目のレンズ522と18枚目のレンズ523(合わせて第2の光学素子)との接合面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。それぞれの透過率分布は、図7に示されるとおりである。
[実施例6]
次に、図5を参照して、実施例6における光学系(変倍光学系)600について説明する。図5は、無限遠合焦時の広角端での光学系600の断面図であり、実施例5の光学系500と同一である。光学系600は、第2の透過率分布フィルタの透過率分布に関して、光学系500と異なる。光学系600の第1の透過率分布フィルタ601および第2の透過率分布フィルタ602の透過率分布は、図7に示されるとおりである。
[実施例7]
次に、図6を参照して、実施例7における光学系(変倍光学系)700について説明する。図6は、無限遠合焦時の広角端での光学系700の断面図である。光学系700は4群構成であり、第1レンズ群711、第2レンズ群712、第3レンズ群713、および第4レンズ群714からなる。光学系700は、第2レンズ群712および第3レンズ群713をそれぞれ動かすことで変倍を行う(第1レンズ群711および第4レンズ群714は、変倍に際して移動しない)。第1の透過率分布フィルタ701は、物体側から1枚目のレンズ(第1の光学素子)711の物体側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。第2の透過率分布フィルタ702は、物体側から17枚目のレンズ(第2の光学素子)722の物体側の面に設けられた光吸収性を有する薄膜である。それぞれの透過率分布は、図7に示されるとおりである。
【0072】
次に、上述の実施例1乃至7のそれぞれに対応する数値実施例1乃至7について示す。各数値実施例において、iは物体側から第i番目の面(第i面)を示す面番号、riは物体側から第i番目の面の曲率半径(mm)である。また、diは物体側から第i番目の面と第(i+1)番目の面との間の光軸上における面間隔(mm)、ndi、νdiはそれぞれ、第i番目の面と第(i+1)番目の面との間の光学部材のd線に対する屈折率およびアッベ数である。
【0073】
なおアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)における屈折率をNd、NF、NCとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。
【0074】
各数値実施例において示されている焦点距離f、FナンバーFno、および半画角ω(度)の値はそれぞれ、無限遠物体に焦点を合わせたときの値である。また、BFはバックフォーカスであり、レンズ最終面(最も像側のレンズ面)から近軸像面までの光軸上の距離を空気換算長により表記したものである。レンズ全長は第1面から像面までの距離を表しており、非球面については、面番号の後に「*」の符号が付加されている。非球面形状は、Xを光軸方向における面頂点からの変位量、hを光軸に垂直な方向における光軸からの高さ、Rを近軸曲率半径、kを円錐定数、A4、A6、A8、A10及びA12を各々非球面係数とするとき、以下の式(18)のように表される。
【0075】
【数1】
【0076】
また、各数値実施例において「e±Z」は、「10±Z」を意味している。また、第1または第2の透過率分布フィルタとなる薄膜が形成されている面は面番号の後に「#」の符号が付加されている。
【0077】

[数値実施例1]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1* 120.719 2.55 1.77250 49.5 48.95
2 25.165 6.68 39.19
3* 46.087 1.80 1.77250 49.5 38.60
4 36.239 6.83 36.28
5 -120.863 1.30 1.49700 81.6 36.04
6 49.664 6.28 1.91082 35.3 35.13
7# -231.864 12.38 34.44
8 -41.675 1.00 1.62588 35.7 30.37
9 61.938 3.95 2.00100 29.1 33.66
10 533.764 (可変) 34.23
11 83.333 5.85 1.59282 68.6 36.55
12 -88.777 0.15 37.00
13 101.727 4.16 1.59201 67.0 37.52
14* -208.374 1.26 37.40
15 -218.434 1.20 1.62588 35.7 37.33
16 34.182 11.47 1.59282 68.6 37.42
17 -54.054 (可変) 37.52
18(絞り) ∞ 4.05 (可変)
19 -42.827 1.00 1.88300 40.8 24.32
20 246.998 1.29 24.55
21 -90.482 1.00 1.88300 40.8 24.58
22 45.084 6.33 1.84666 23.8 25.51
23 -65.619 (可変) 26.37
24# 66.559 5.20 1.59282 68.6 27.25
25 -55.556 0.72 27.80
26 96.793 5.09 1.59282 68.6 28.25
27 -50.229 1.00 1.72825 28.3 28.19
28 47.162 0.54 28.28
29* 51.417 5.22 1.59201 67.0 28.29
30* -77.086 (可変) 28.75
像面 ∞

非球面データ
第1面
K = 0.00000e+000 A 4= 1.03451e-005 A 6=-1.27202e-008 A 8= 2.05215e-011
A10=-1.96261e-014 A12= 1.10511e-017

第3面
K = 0.00000e+000 A 4=-6.85012e-006 A 6= 4.35386e-009 A 8= 1.44463e-012
A10=-2.05685e-014

第14面
K = 0.00000e+000 A 4= 3.14234e-006 A 6= 5.54133e-010 A 8= 1.95897e-013
A10=-2.18362e-016 A12= 2.19082e-019

第29面
K = 0.00000e+000 A 4=-3.44220e-006 A 6=-1.30154e-008 A 8=-2.18115e-011
A10= 2.94095e-013 A12=-2.27675e-015

第30面
K = 0.00000e+000 A 4= 1.05505e-006 A 6=-1.49903e-008 A 8=-5.09164e-013
A10= 1.94265e-013 A12=-1.99038e-015

各種データ
ズーム比 1.82
広角 中間 望遠
焦点距離 18.60 26.02 33.78
Fナンバー 1.80 1.83 1.86
半画角 37.69 28.91 23.05
像高 14.37 14.37 14.37
レンズ全長 168.50 168.50 168.50
BF 38.56 39.30 39.91

d10 16.98 6.71 1.50
d17 1.00 14.76 27.57
d23 13.63 9.40 1.20
d30 38.56 39.30 39.91
絞り径 23.90 24.29 25.23

入射瞳位置 27.35 30.26 35.90
射出瞳位置 -106.60 -68.87 -34.14
前側主点位置 43.57 50.02 54.27
後側主点位置 19.96 13.28 6.13

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 -27.88 42.77 8.25 -21.54
2 11 37.50 24.10 7.55 -9.51
3 18 -49.96 13.67 1.35 -9.06
4 24 39.34 17.77 4.11 -8.06

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -41.64
2 3 -238.54
3 5 -70.65
4 6 45.39
5 8 -39.66
6 9 69.71
7 11 73.44
8 13 116.04
9 15 -47.14
10 16 37.12
11 19 -41.27
12 21 -33.96
13 22 32.41
14 24 51.90
15 26 56.51
16 27 -33.26
17 29 52.90

[数値実施例2]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1* 99.657 2.50 1.58913 61.3 50.17
2 22.727 11.19 38.70
3* 410.370 1.80 1.59201 67.0 38.39
4 54.387 4.94 36.09
5 -140.197 1.30 1.43700 95.1 35.85
6 51.911 6.22 1.91082 35.3 36.07
7# -184.832 11.29 36.13
8 -45.932 1.00 1.64769 33.8 35.03
9 44.817 4.52 1.84666 23.8 37.11
10 332.778 (可変) 37.23
11 83.333 5.47 1.59282 68.6 38.22
12 -97.564 0.15 38.24
13 65.867 5.40 1.59201 67.0 37.52
14* -200.027 1.27 37.24
15 -210.591 2.49 1.72825 28.3 37.07
16 40.523 10.08 1.59282 68.6 36.79
17 -53.016 (可変) 36.90
18(絞り) ∞ 4.13 (可変)
19 -41.509 1.00 1.83481 42.7 24.47
20 30.382 4.15 1.84666 23.8 24.91
21 392.122 (可変) 25.03
22# 84.565 4.34 1.49700 81.6 25.40
23 -55.556 0.15 25.96
24 453.312 4.96 1.59282 68.6 26.65
25 -32.078 1.00 1.67270 32.2 27.02
26 81.094 0.65 28.28
27* 91.281 4.92 1.77250 49.5 28.54
28* -48.056 (可変) 29.00
像面 ∞

非球面データ
第1面
K = 0.00000e+000 A 4= 7.36145e-006 A 6=-4.30568e-009 A 8= 6.06000e-012
A10=-5.12573e-015 A12= 3.66840e-018

第3面
K = 0.00000e+000 A 4=-4.10528e-006 A 6= 1.79790e-009 A 8= 3.93415e-012
A10=-9.58969e-015

第14面
K = 0.00000e+000 A 4= 3.34117e-006 A 6= 6.83034e-010 A 8=-3.14690e-013
A10=-2.30701e-016 A12= 1.10355e-018

第27面
K = 0.00000e+000 A 4=-3.48556e-006 A 6=-3.54785e-009 A 8= 1.03109e-011
A10= 4.07938e-014 A12=-1.11535e-016

第28面
K = 0.00000e+000 A 4= 1.21374e-006 A 6=-5.87911e-009 A 8= 2.14759e-011
A10=-1.26485e-014

各種データ
ズーム比 1.84
広角 中間 望遠
焦点距離 18.50 23.97 34.00
Fナンバー 1.75 1.80 1.86
半画角 37.99 31.09 23.03
像高 14.45 14.45 14.45
レンズ全長 163.25 162.61 166.00
BF 38.56 39.88 41.75

d10 18.60 9.52 1.50
d17 1.20 10.39 26.61
d21 9.95 7.88 1.20
d28 38.56 39.88 41.75
絞り径 24.33 24.35 25.35

入射瞳位置 29.41 30.99 37.65
射出瞳位置 -68.81 -54.86 -28.04
前側主点位置 44.73 48.89 55.08
後側主点位置 20.06 15.91 7.75

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 -27.82 44.77 10.02 -21.40
2 11 37.45 24.86 7.06 -10.50
3 18 -45.46 9.29 4.40 -2.51
4 22 35.82 16.02 6.56 -4.27

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -50.58
2 3 -106.10
3 5 -86.51
4 6 45.06
5 8 -34.87
6 9 60.74
7 11 76.68
8 13 84.33
9 15 -46.47
10 16 40.36
11 19 -20.88
12 20 38.69
13 22 68.16
14 24 50.73
15 25 -34.05
16 27 41.39

[数値実施例3]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1* 199.314 5.00 1.58913 61.3 76.53
2 45.455 22.38 65.94
3* 820.739 3.60 1.59201 67.0 64.93
4 108.773 9.89 64.40
5 -280.395 2.60 1.43700 95.1 65.25
6 103.821 12.45 1.91082 35.3 67.93
7# -369.664 22.58 68.03
8 -91.864 2.00 1.64769 33.8 65.63
9 89.635 9.04 1.84666 23.8 68.89
10 665.557 (可変) 69.20
11 166.667 10.95 1.59282 68.6 80.63
12 -195.127 0.30 80.60
13 131.733 10.80 1.59201 67.0 77.67
14* -400.053 2.54 76.02
15 -421.182 4.97 1.72825 28.3 74.86
16 81.047 20.15 1.59282 68.6 73.57
17 -106.031 (可変) 73.79
18(絞り) ∞ 8.26 (可変)
19 -83.017 2.00 1.83481 42.7 59.14
20 60.764 8.31 1.84666 23.8 58.13
21 784.245 (可変) 58.02
22# 169.131 8.67 1.49700 81.6 56.38
23 -111.111 0.30 55.94
24 906.624 9.93 1.59282 68.6 53.65
25 -64.156 2.00 1.67270 32.2 53.43
26 162.187 1.31 53.95
27* 182.561 9.84 1.77250 49.5 54.22
28* -96.111 (可変) 54.54
像面 ∞

非球面データ
第1面
K = 0.00000e+000 A 4= 9.20181e-007 A 6=-1.34553e-010 A 8= 4.73437e-014
A10=-1.00112e-017 A12= 1.79121e-021

第3面
K = 0.00000e+000 A 4=-5.13160e-007 A 6= 5.61844e-011 A 8= 3.07355e-014
A10=-1.87299e-017

第14面
K = 0.00000e+000 A 4= 4.17646e-007 A 6= 2.13448e-011 A 8=-2.45852e-015
A10=-4.50588e-019 A12= 5.38843e-022

第27面
K = 0.00000e+000 A 4=-4.35695e-007 A 6=-1.10870e-010 A 8= 8.05539e-014
A10= 7.96754e-017 A12=-5.44604e-020

第28面
K = 0.00000e+000 A 4= 1.51718e-007 A 6=-1.83722e-010 A 8= 1.67780e-013
A10=-2.47041e-017

各種データ
ズーム比 1.84
広角 中間 望遠
焦点距離 37.00 47.93 68.00
Fナンバー 1.65 1.69 1.86
半画角 25.94 20.58 14.83
像高 18.00 18.00 18.00
レンズ全長 326.49 325.22 332.00
BF 77.12 79.75 83.49

d10 37.20 19.03 3.00
d17 2.40 20.79 53.23
d21 19.90 15.77 2.40
d28 77.12 79.75 83.49
絞り径 51.69 51.99 50.70

入射瞳位置 58.82 61.97 75.29
射出瞳位置 -137.62 -109.72 -56.07
前側主点位置 89.45 97.78 110.16
後側主点位置 40.12 31.82 15.49

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 -55.63 89.54 20.04 -42.79
2 11 74.91 49.72 14.13 -20.99
3 18 -90.93 18.57 8.79 -5.03
4 22 71.64 32.05 13.13 -8.54

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -101.17
2 3 -212.20
3 5 -173.02
4 6 90.12
5 8 -69.74
6 9 121.47
7 11 153.35
8 13 168.67
9 15 -92.94
10 16 80.72
11 19 -41.76
12 20 77.39
13 22 136.33
14 24 101.46
15 25 -68.10
16 27 82.78

[数値実施例4]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1* 112.746 4.05 1.60311 60.6 80.65
2 37.980 28.45 64.10
3 233.484 2.55 1.59522 67.7 54.67
4 43.692 23.23 49.83
5 -60.425 2.25 1.59522 67.7 48.79
6 -1042.022 0.28 50.64
7 117.786 3.99 1.72047 34.7 52.01
8 158.895 2.97 52.10
9 118.307 12.99 1.49700 81.5 53.24
10 -75.795 0.28 53.44
11 207.923 2.56 1.77250 49.6 51.21
12# 77.648 (可変) 49.72
13 127.214 1.80 1.85478 24.8 49.37
14 62.447 10.97 1.49700 81.5 49.54
15 -237.297 1.49 51.22
16 119.537 7.95 1.76385 48.5 53.95
17 -416.248 (可変) 54.13
18 227.440 8.79 1.59522 67.7 53.49
19 -113.487 (可変) 53.09
20 -85.097 1.35 1.69680 55.5 38.56
21 53.269 5.24 1.85478 24.8 36.38
22 349.568 1.67 35.49
23 -132.739 1.35 1.77250 49.6 35.48
24 127.170 (可変) 34.74
25(絞り) ∞ 2.23 32.26
26 65.064 6.20 1.77250 49.6 33.10
27 -154.142 15.00 32.71
28# -120.687 5.37 1.80809 22.8 27.01
29 -41.280 2.25 1.90366 31.3 27.39
30 -141.054 1.47 27.90
31 262.881 1.50 1.88300 40.8 28.08
32 27.665 8.73 1.49700 81.5 28.02
33 -144.019 1.50 29.29
34 76.704 11.27 1.49700 81.5 30.63
35 -26.817 1.92 1.85478 24.8 31.07
36* -50.129 (可変) 32.43
像面 ∞

非球面データ
第1面
K = 0.00000e+000 A 4= 9.27908e-007 A 6= 4.77265e-011 A 8=-2.41869e-014
A10= 1.07017e-017 A12= 9.66596e-022

第36面
K = 0.00000e+000 A 4=-1.70501e-006 A 6=-1.47042e-009 A 8=-1.03116e-012
A10= 5.76172e-016 A12=-3.55894e-018

各種データ
ズーム比 2.50
広角 中間 望遠
焦点距離 21.01 33.21 52.51
Fナンバー 2.86 2.86 2.86
半画角 36.42 25.02 16.45
像高 15.50 15.50 15.50
レンズ全長 328.50 328.51 328.53
BF 63.09 63.10 63.13

d12 47.82 24.60 6.28
d17 2.99 22.56 32.70
d19 2.99 17.72 41.46
d24 29.97 18.88 3.30
d36 63.09 63.10 63.13

入射瞳位置 48.86 53.01 59.25
射出瞳位置 -60.36 -60.36 -60.36
前側主点位置 66.29 77.28 89.43
後側主点位置 42.08 29.89 10.62

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 -33.81 83.62 19.79 -47.25
2 13 90.20 22.20 9.04 -5.49
3 18 128.43 8.79 3.71 -1.85
4 20 -49.84 9.60 3.70 -2.22
5 25 65.56 57.44 17.85 -35.84

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -96.94
2 3 -90.76
3 5 -107.86
4 7 607.22
5 9 95.07
6 11 -161.81
7 13 -145.36
8 14 100.69
9 16 122.36
10 18 128.43
11 20 -46.83
12 21 72.93
13 23 -83.88
14 26 59.96
15 28 75.36
16 29 -65.28
17 31 -35.12
18 32 47.50
19 34 41.48
20 35 -70.13

[数値実施例5]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1# ∞ 2.00 1.51633 64.1 73.80
2 ∞ 2.00 73.42
3 260.795 2.50 1.80610 33.3 72.11
4 75.733 10.34 1.49700 81.6 69.69
5 -1130.253 (可変) 69.51
6 88.304 8.01 1.49700 81.6 64.27
7 -749.714 0.67 63.74
8 96.435 5.75 1.49700 81.6 59.58
9 2221.382 (可変) 58.75
10 -2694.672 3.82 1.84666 23.8 39.32
11 -68.609 1.20 1.49700 81.6 38.66
12 80.260 3.71 33.18
13 -134.668 1.10 1.59282 68.6 31.86
14 32.775 3.00 1.92280 20.9 30.37
15 43.802 6.00 29.67
16 -40.540 1.10 1.64769 33.8 29.62
17 219.579 (可変) 30.78
18 ∞ 3.47 1.77250 49.6 31.93
19 -83.012 0.15 32.48
20 93.362 7.80 1.59282 68.6 33.19
21 -42.053 1.15 1.90366 31.3 33.19
22 -147.066 (可変) 33.69
23(絞り) ∞ 2.00 34.21
24 66.530 3.77 1.59282 68.6 34.45
25 956.111 3.71 34.18
26 -65.514 1.00 1.64769 33.8 33.86
27 ∞ 0.15 34.08
28 55.436 3.46 1.59282 68.6 34.41
29 144.548 2.00 34.11
30 109.592 6.20 2.00100 29.1 33.81
31# -85.207 1.60 1.64769 33.8 33.08
32 37.491 5.52 31.99
33 -19254.432 4.27 1.59282 68.6 32.92
34 -58.830 0.15 33.46
35 64.183 3.91 1.72916 54.7 34.07
36 -431.923 2.00 33.86
37 -63.082 1.10 1.80517 25.5 33.86
38 -121.568 (可変) 34.01
像面 ∞

各種データ
ズーム比 1.88
広角 中間 望遠
焦点距離 51.50 70.00 97.00
Fナンバー 1.87 1.87 1.87
半画角 15.59 11.60 8.43
像高 14.37 14.37 14.37
レンズ全長 204.13 204.16 204.12
BF 48.80 48.82 48.79

d 9 2.81 14.82 24.44
d17 15.61 10.42 2.66
d22 16.83 10.01 8.14
d38 48.80 48.82 48.79
入射瞳位置 95.98 128.61 164.52
射出瞳位置 -41.61 -41.61 -41.61
前側主点位置 118.14 144.43 157.44
後側主点位置 -2.70 -21.18 -48.21

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 93.94 46.73 30.90 -5.87
2 10 -26.60 19.92 11.92 -3.26
3 18 69.14 12.57 1.86 -5.76
4 23 58.52 40.86 18.21 -15.17

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 0.00
2 3 -133.20
3 4 143.22
4 6 159.46
5 8 202.66
6 10 83.10
7 11 -74.23
8 13 -44.36
9 14 124.79
10 16 -52.75
11 18 107.46
12 20 49.98
13 21 -65.51
14 24 120.43
15 26 -101.15
16 28 149.52
17 30 48.66
18 31 -39.99
19 33 99.53
20 35 76.89
21 37 -164.23

[数値実施例6]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1# ∞ 2.00 1.51633 64.1 73.80
2 ∞ 2.00 73.42
3 260.795 2.50 1.80610 33.3 72.11
4 75.733 10.34 1.49700 81.6 69.69
5 -1130.253 (可変) 69.51
6 88.304 8.01 1.49700 81.6 64.27
7 -749.714 0.67 63.74
8 96.435 5.75 1.49700 81.6 59.58
9 2221.382 (可変) 58.75
10 -2694.672 3.82 1.84666 23.8 39.32
11 -68.609 1.20 1.49700 81.6 38.66
12 80.260 3.71 33.18
13 -134.668 1.10 1.59282 68.6 31.86
14 32.775 3.00 1.92280 20.9 30.37
15 43.802 6.00 29.67
16 -40.540 1.10 1.64769 33.8 29.62
17 219.579 (可変) 30.78
18 ∞ 3.47 1.77250 49.6 31.93
19 -83.012 0.15 32.48
20 93.362 7.80 1.59282 68.6 33.19
21 -42.053 1.15 1.90366 31.3 33.19
22 -147.066 (可変) 33.69
23(絞り) ∞ 2.00 34.21
24 66.530 3.77 1.59282 68.6 34.45
25 956.111 3.71 34.18
26 -65.514 1.00 1.64769 33.8 33.86
27 ∞ 0.15 34.08
28 55.436 3.46 1.59282 68.6 34.41
29 144.548 2.00 34.11
30 109.592 6.20 2.00100 29.1 33.81
31# -85.207 1.60 1.64769 33.8 33.08
32 37.491 5.52 31.99
33 -19254.432 4.27 1.59282 68.6 32.92
34 -58.830 0.15 33.46
35 64.183 3.91 1.72916 54.7 34.07
36 -431.923 2.00 33.86
37 -63.082 1.10 1.80517 25.5 33.86
38 -121.568 (可変) 34.01
像面 ∞

各種データ
ズーム比 1.88
広角 中間 望遠
焦点距離 51.50 70.00 97.00
Fナンバー 1.87 1.87 1.87
半画角 15.59 11.60 8.43
像高 14.37 14.37 14.37
レンズ全長 204.13 204.16 204.12
BF 48.80 48.82 48.79

d 9 2.81 14.82 24.44
d17 15.61 10.42 2.66
d22 16.83 10.01 8.14
d38 48.80 48.82 48.79
入射瞳位置 95.98 128.61 164.52
射出瞳位置 -41.61 -41.61 -41.61
前側主点位置 118.14 144.43 157.44
後側主点位置 -2.70 -21.18 -48.21

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 93.94 46.73 30.90 -5.87
2 10 -26.60 19.92 11.92 -3.26
3 18 69.14 12.57 1.86 -5.76
4 23 58.52 40.86 18.21 -15.17

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 0.00
2 3 -133.20
3 4 143.22
4 6 159.46
5 8 202.66
6 10 83.10
7 11 -74.23
8 13 -44.36
9 14 124.79
10 16 -52.75
11 18 107.46
12 20 49.98
13 21 -65.51
14 24 120.43
15 26 -101.15
16 28 149.52
17 30 48.66
18 31 -39.99
19 33 99.53
20 35 76.89
21 37 -164.23

[数値実施例7]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1# ∞ 3.00 1.51633 64.1 119.37
2 ∞ 100.00 119.08
3 300.412 3.50 1.80610 33.3 103.84
4 151.515 0.15 101.99
5 151.609 15.03 1.43700 95.0 102.01
6 -374.832 0.15 101.69
7 129.469 12.42 1.43700 95.0 97.82
8 2568.142 (可変) 96.57
9 172.612 6.54 1.84666 23.8 63.36
10 -235.186 2.00 1.59282 68.6 62.71
11 199.696 9.26 59.24
12 -2389.207 2.00 1.83481 42.7 54.36
13 151.155 3.69 52.75
14 -297.180 1.90 1.77250 49.6 52.68
15 143.379 5.29 52.01
16 -117.845 1.80 1.80420 46.5 52.02
17 -521.004 (可変) 52.97
18 1628.115 7.52 1.48749 70.4 53.85
19 -72.513 2.00 1.84666 23.8 54.30
20 -123.996 0.15 55.66
21 625.539 3.48 1.80610 33.3 56.55
22 -314.867 (可変) 56.68
23 54.953 8.51 1.49700 81.6 56.87
24 268.916 15.95 56.08
25 61.793 3.67 1.71300 53.9 47.04
26 108.232 0.15 46.11
27 39.782 8.24 1.49700 81.6 43.11
28 -575.281 1.80 1.80610 33.3 41.72
29 34.194 8.25 36.38
30(絞り) ∞ 1.25 35.38
31# 62.743 10.77 1.80610 40.7 34.18
32 372.527 3.98 31.95
33 467.634 4.65 1.84666 23.8 30.90
34 -46.876 1.00 1.77250 49.6 30.58
35 49.678 2.85 29.35
36 -398.926 1.00 1.72916 54.6 29.38
37 45.773 3.84 29.71
38 63.538 5.85 1.49700 81.6 32.25
39 -64.221 6.92 32.70
40 -38.133 1.30 1.83481 42.7 33.48
41 -64.639 0.15 34.90
42 80.521 5.22 1.54072 47.2 37.14
43 -228.502 0.00 37.43
44 ∞ (可変) 37.51
像面 ∞

各種データ
ズーム比 2.35
広角 中間 望遠
焦点距離 123.60 189.93 290.82
Fナンバー 2.89 2.89 2.89
半画角 9.93 6.50 4.25
像高 21.64 21.64 21.64
レンズ全長 433.07 433.08 433.08
BF 54.98 54.99 55.00

d 8 2.50 41.92 67.53
d17 51.70 31.87 1.60
d22 48.67 29.08 33.73
d44 54.98 54.99 55.00

入射瞳位置 282.15 437.53 661.02
射出瞳位置 -40.25 -40.25 -40.25
前側主点位置 245.33 248.69 63.90
後側主点位置 -68.62 -134.95 -235.82

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 217.21 134.25 112.80 -10.63
2 9 -64.82 32.48 26.05 -1.86
3 18 165.30 13.15 7.63 -0.59
4 23 159.99 95.34 -51.90 -107.11

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 0.00
2 3 -383.25
3 5 249.18
4 7 311.51
5 9 118.45
6 10 -181.86
7 12 -170.23
8 14 -124.96
9 16 -189.75
10 18 142.61
11 19 -210.02
12 21 260.25
13 23 137.15
14 25 195.55
15 27 75.20
16 28 -39.99
17 31 92.17
18 33 50.53
19 34 -31.08
20 36 -56.26
21 38 65.25
22 40 -113.94
23 42 110.77

また、各数値実施例について条件式(2)乃至(4)、条件式(6)、および条件式(11)乃至(17)に相当する数値を以下の表1に示す。なお、表1に示されている数値は、全て無限遠物体に合焦したときの値である。また、表1の最下行のTナンバー変化とは、広角端のTナンバーに対する望遠端のTナンバーの下落量を段換算で示しており、式(19)で表される。
【0078】
log2(望遠端のTナンバー/広角端のTナンバー)×2 ・・・(19)
各実施例において、Tナンバーの変化は1/4段以下と小さく抑えられている。
【0079】
【表1】
【0080】
また、実施例1乃至実施例7それぞれにおいて示されている透過率分布と光学系(撮像光学系)とは上記の組み合わせに限られない。
【0081】
次に、図8を参照して、各実施例の光学系を適用可能な光学機器について説明する。図8は、光学機器としての撮像装置1000の概略図である。本実施例の撮像装置1000は、カメラ本体1001と、実施例1乃至7のいずれか一つと同様である光学系(変倍光学系)1002と、光学系1002によって形成される像を受光する受光素子(撮像素子)1003を備える。
【0082】
撮像装置1000は、各実施例のいずれかの光学素子(第1の光学素子および第2の光学素子)を有するため、アポダイゼーション効果の変化を低減した画像を得ることができる。なお、受光素子1003は、固体撮像素子であるCMOS(Complementaly Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等の光電変換素子である。ただし受光素子1003は、これに限定されるものではなく、有機薄膜撮像素子または感光性フィルム等を用いてもよい。また、レンズ交換式カメラと交換レンズのように、光学系1002とカメラ本体1001は分離可能であってもよい。なお各実施例の光学系は、図8に示される撮像装置(カメラ)に限定されるものではなく、双眼鏡、単眼鏡、望遠鏡等の種々の光学機器に適用することができる。
【0083】
各実施例によれば、ズーム全域で良好なアポダイゼーション効果を得るとともに変倍に伴うTナンバーの変化が小さい変倍光学系および光学機器を提供することができる。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
100 光学系(変倍光学系)
121 レンズ(第1の光学素子)
122 レンズ(第2の光学素子)
SP 絞り
ARP 軸上光束
OARP 最軸外光束
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8