(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177627
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】車両用空調ユニット
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20221124BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20221124BHJP
F01P 5/06 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
B60H1/00 102F
B60H1/32 613P
F01P5/06 509
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084032
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅 義典
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慎也
(72)【発明者】
【氏名】浮田 澄夫
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA05
3L211CA06
3L211DA03
3L211DA07
(57)【要約】
【課題】送風ファンから送風される空気の風速分布のムラを抑制する。
【解決手段】送風ファンから送風された空気が複数の整流通路を流れることにより送風ファン201の回転による旋回成分を抑制する整流機構26と、整流機構26の空気流れ上流側および下流側の少なくとも一方に配置され、整流機構を通過する空気の風量分布に偏りを生じさせる構造部材としての上流側二層仕切板25aおよび下流側二層仕切板25bと、を備え、構造部材によって生じる空気の風量分布の偏りが緩和されるよう構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が流れるケース内通路を形成する空調ケース(12)と、
前記ケース内通路に配置され、前記空気を送風する送風ファン(201)と、
前記送風ファンから送風された前記空気が流れる複数の整流通路(26a、26b)を有し、前記送風ファンから送風された前記空気が前記複数の整流通路を流れることにより前記送風ファンの回転による旋回成分を抑制する整流機構(26)と、
前記整流機構の空気流れ上流側および下流側の少なくとも一方に配置され、前記整流機構を通過する前記空気の風量分布に偏りを生じさせる構造部材(25a、25b、264)と、を備え、
前記構造部材によって生じる前記空気の風量分布の偏りが緩和されるよう構成されている空調ユニット。
【請求項2】
前記構造部材によって生じる前記空気の風量分布の偏りが緩和されるよう、前記整流機構を流れる前記空気の空気流れ下流側から前記整流機構を流れる前記空気の空気流れ上流側に前記整流機構を投影したときの前記複数の整流通路の単位面積当たりの通路面積に偏りが設けられている請求項1に記載の空調ユニット。
【請求項3】
前記整流機構は、円筒状を成し、同心円状に配置された複数の筒状部(263a、263b、263c)と、前記複数の筒状部の間を接続する複数の整流板(262a、262b)と、を有し、
前記複数の整流通路は、前記複数の筒状部と前記複数の整流板によって形成されており、
前記整流機構には、前記構造部材によって生じる前記空気の風量分布の偏りが緩和されるように隣り合う前記複数の整流板の間隔が短い第1領域と、前記第1領域より間隔が長い第2領域が形成されている請求項1に記載の空調ユニット。
【請求項4】
前記整流機構は、前記構造部材により生じる前記空気の風量分布の偏りが緩和されるよう前記複数の整流通路の一部の通風抵抗を大きくする抵抗体(261)を有している請求項1ないし3のいずれか1つに記載の空調ユニット。
【請求項5】
前記抵抗体は、メッシュ状を成す部材である請求項4に記載の空調ユニット。
【請求項6】
前記抵抗体は、前記整流機構と一体で構成されている請求項4または5に記載の空調ユニット。
【請求項7】
前記抵抗体は、前記整流機構と別体で構成されており、
前記抵抗体と前記整流機構は着脱可能となっている請求項4または5に記載の空調ユニット。
【請求項8】
前記整流機構は、前記構造部材により生じる前記空気の風量分布の偏りが緩和されるよう前記複数の整流通路の一部を覆うカバー(266)を有している請求項1ないし3のいずれか1つに記載の空調ユニット。
【請求項9】
前記空調ケースの内部における前記整流機構より前記空気流れ上流側および下流側の少なくとも一方に配置された抵抗板(291~293)を備え、
前記抵抗板により、前記整流機構を通過する前記空気の風量分布に偏りが緩和される請求項1ないし8のいずれか1つに記載の空調ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調ユニットとして特許文献1に記載されたものがある。この空調ユニットは、空気が流れるケース内通路が形成された空調ケースと、ケース内通路を流れる空気を冷却するエバポレータと、このエバポレータにより冷却された空気を吸い込んで吹き出す送風ファンと、を備えている。この空調ユニットは、さらに、送風ファンから吹き出された空気の空気流れ下流側に配置され、送風ファンの回転によって生じた空気流れの旋回成分を抑制する整流機構と、整流機構を通過した空気を加熱するヒータコアと、を備えている。
【0003】
また、この空調ユニットは、内外気2層流モードを設定可能な車両用空調ユニットとなっている。すなわち、この空調ユニットは、空調ケースに導入された内気を送風ファンまで導く内気通路と、空調ケースに導入される外気を送風ファンまで導く外気通路と、を仕切る2層仕切板を有している。そして、1つの送風ファンが、内気通路を介して導入された内気を空調ケースの下側に向けて送風するとともに外気通路を介して導入された外気を空調ケースの上側に向けて送風する構成となっている。また、送風ファンから送風された内気が乗員の足元に設けられたフット吹出口から吹き出すとともに、送風ファンから送風された外気がダクトを通ってデフロスタ吹出口から吹き出すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された空調ユニットは、送風ファンの空気流れ上流側に2層仕切板が配置される構成となっている。このため、送風ファンの空気吸込口における2層仕切板より送風ファンの反回転方向側の部位では送風ファンに吸い込まれる空気が2層仕切板に当たって空気の圧力が高くなるため送風ファンに吸い込まれる空気の流量が増加する。反対に、送風ファンの空気吸込口における2層仕切板より送風ファンの回転方向側の部位では空気の圧力が低くなるため送風ファンに吸い込まれる空気の流量が減少する。このように、送風ファンの空気流れ上流側に配置された2層仕切板によって送風ファンから送風される空気の風速にムラができてしまう。
【0006】
また、このような空調ユニットでは、送風ファンから送風される空気流れ下流側に送風ファンに電力を供給するためのワイヤーハーネスが配置される。このワイヤーハーネスは、送風ファンの外周の一部から送風ファンの回転中心に配置されたモータ本体に向かって延びるように配置されている。このため、ワイヤーハーネスが送風ファンから送風される空気の空気流れの妨げとなり、送風ファンから送風される空気の風速にムラができてしまう。
【0007】
このように、上記した空調ユニットでは、送風ファンの空気流れ上流側や下流側に配置された構造物により、送風ファンから送風される空気の風速にムラができてしまうといった課題がある。なお、このような課題は、内外気2層流モードを設定可能な車両用空調ユニットに限られるものではなく、内気を吸い込んで送風するファンと外気を吸い込んで送風するファンを別々に備えた車両用空調ユニットでも同様に発生する。
【0008】
本発明は上記点に鑑みたもので、送風ファンから送風される空気の風速分布のムラを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、空気が流れるケース内通路を形成する空調ケース(12)と、ケース内通路に配置され、空気を送風する送風ファン(201)と、送風ファンから送風された空気が流れる複数の整流通路(26a、26b)を有し、送風ファンから送風された空気が複数の整流通路を流れることにより送風ファンの回転による旋回成分を抑制する整流機構(26)と、整流機構の空気流れ上流側および下流側の少なくとも一方に配置され、整流機構を通過する空気の風量分布に偏りを生じさせる構造部材(25a、25b)と、を備え、構造部材によって生じる空気の風量分布の偏りが緩和されるよう構成されている。
【0010】
このような構成によれば、構造部材によって生じる空気の風量分布の偏りが緩和されるので、送風ファンから送風される空気の風速分布のムラを抑制することができる。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る空調ユニットの概略構成を示した模式的な断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る空調ユニットの上流側二層仕切板の外観斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る空調ユニットの下流側二層仕切板の外観斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る車両用空調ユニットの整流機構を示した図であって、
図1のV方向の矢視図である。
【
図6】
図5に対応する矢視図であって、第1実施形態に係る車両用空調ユニットに比較例の整流機構を配置したときの整流機構に流入する空気の流量について説明するための図である。
【
図7】第2実施形態に係る車両用空調ユニットの整流機構の構成を示した図であって、
図5に対応する矢視図である。
【
図8】第3実施形態に係る車両用空調ユニットの整流機構の構成を示した図であって、
図5に対応する矢視図である。
【
図10】第4実施形態に係る空調ユニットの概略構成を示した模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る車両用空調ユニットについて
図1~
図6を用いて説明する。
図1に示すように、本車両用空調ユニット10は、空調ケース12、フィルタ13、蒸発器16、ヒータコア18および送風機20を備えている。さらに、車両用空調ユニット10は、複数のドア21、22、23、24a、24b、上流側二層仕切板25a、下流側二層仕切板25bおよび整流機構26を備えている。
【0015】
この車両用空調ユニット10は、例えば、車室内の最前部に設けられたインストルメントパネルの内側に配置されている。なお、
図1~
図4、
図10の各矢印DR1、DR2、DR3は、車両用空調ユニット10が搭載される車両の向きを示す。すなわち、
図1の矢印DR1は車両前後方向を示し、矢印DR2は車両上下方向を示し、
図2の矢印DR3は車両左右方向DR3すなわち車両幅方向を示している。これらの方向DR1、DR2、DR3は互いに交差する方向、厳密に言えば互いに直交する方向である。
【0016】
空調ケース12は、車両用空調ユニット10の外殻を成す樹脂製の部材である。
図1、
図2に示すように、空調ケース12は、空気が流れるケース内通路123を形成する。空調ケース12には、外気導入口121と、内気導入口122と、空調ケース12内から空気を吹き出す吹出口126、127、128とが形成されている。また、空調ケース12の内部には、外気導入口121と内気導入口122との一方または両方から各吹出口126、127、128へ空気が流れるケース内通路123が形成されている。また、空調ケース12は、上流側二層仕切板25aおよび下流側二層仕切板25bを有している。上流側二層仕切板25aおよび下流側二層仕切板25bは、車室内の空気である内気を送風機20まで導く通路と、車室外の空気である外気を送風機20まで導く通路と、を仕切るものである。空調ケース12は、ケース内通路123が車両前後方向DR1へ延びるように配置されている。
【0017】
外気導入口121は、車室外の空気である外気をケース内通路123へ導入するための導入口である。内気導入口122は、車室内の空気である内気をケース内通路123へ導入するための導入口である。空調ケース12内へは、送風機20によって、外気および内気の少なくとも一方が導入される。
【0018】
外気導入口121および内気導入口122は、図示しない内外気切替ドアによって開閉される。そして、その外気導入口121と内気導入口122との一方または両方から導入された空気は蒸発器16へ流入する。
【0019】
図3、
図4に示すように、上流側2層仕切板25aおよび下流側2層仕切板25bは、それぞれ板状を成している。上流側2層仕切板25aと下流側2層仕切板25bの間には蒸発器16が配置されている。
【0020】
図1に示すように、上流側2層仕切板25aおよび下流側2層仕切板25bは、それぞれ車両左右方向の中央に上下方向に延びるとともに車両前後方向に延びるように配置されている。上流側2層仕切板25aおよび下流側2層仕切板25bは、それぞれ空調ケース12内の外気導入口121から送風機20に至る経路と、空調ケース12内の内気導入口122から送風機20に至る経路の間を仕切るように配置されている。
【0021】
また、下流側2層仕切板25bは、送風機20の後述する送風ファン201のファン軸線CL1の一方側、すなわち、車両前方側の端部よりファン軸線CL1の他方側に入り込むように配置されている。また、
図1に示すように、上流側2層仕切板25aと下流側2層仕切板25bの間には内気や外気に含まれる砂や埃を除去するためのフィルタ13が配置されている。
【0022】
図1において、内気導入口122に導入された内気は、上流側2層仕切板25aおよび下流側2層仕切板25bより紙面手前側を通って送風機20へ到達する。また、外気導入口121に導入された外気は、上流側2層仕切板25aおよび下流側2層仕切板25bより紙面奥側を通って送風機20へ到達する。
【0023】
蒸発器16は、その蒸発器16を通過する空気を冷却する冷却用熱交換器である。要するに、蒸発器16は冷却器である。
【0024】
蒸発器16は、空調ケース12内に収容されている。すなわち、蒸発器16は、ケース内通路123に配置されており、ケース内通路123に導入された外気または内気が流入するように配置されている。蒸発器16は、不図示のコンプレッサ、コンデンサ、および膨張弁とともに、冷媒を循環させる周知の冷凍サイクル装置を構成している。蒸発器16は、蒸発器16を通過する空気と冷媒とを熱交換させ、その熱交換により冷媒を蒸発させると共に空気を冷却する。
【0025】
送風機20は、ケース内通路123に配置され、空気を送風する。送風機20は、ファン軸線CL1まわりに回転する送風ファン201と、その送風ファン201を回転駆動するファンモータ19とを有している。送風ファン201は本実施形態では遠心ファンである。遠心送風機である送風機20は、送風ファン201の回転によりファン軸線CL1の一方側から空気を吸い込み、その吸い込んだ空気を送風ファン201の径方向外側へ吹き出す。その径方向外側へ吹き出された空気は、矢印FLfのように、
図1における車両後方側へと空調ケース12によって導かれる。
【0026】
詳細に言うと、送風ファン201は、ファン軸線CL1の一方側に設けられ空気を吸い込むファン空気入口201aと、送風ファン201の外周部分に設けられ空気が吹き出るファン空気出口201bとを有している。そのファン空気出口201bは送風ファン201の外周部分の全周にわたって形成されている。そして、送風ファン201は、その送風ファン201の回転により、軸方向DRaの一方側からファン空気入口201aを介して空気を吸い込む。それと共に、送風ファン201は、その吸い込んだ空気をファン空気出口201bから送風ファン201の径方向外側へ吹き出す。
【0027】
そのため、空調ケース12には、送風ファン201の径方向外側にてその送風ファン201を取り囲み且つ送風ファン201から空気が流入するファン周囲空間123bが、ケース内通路123の一部として形成されている。そして、空調ケース12は、送風ファン201からファン周囲空間123bへ流入した空気を車両前後方向DR1の後方側へ導くように構成されている。
【0028】
これにより、送風ファン201からその径方向外側へ吹き出された空気は、矢印FLfのように、ファン周囲空間123bへ入り、そのファン周囲空間123bから車両前後方向DR1の後方側へと空調ケース12によって導かれる。
【0029】
なお、ファン軸線CL1は本実施形態では車両前後方向DR1に一致している。また、送風ファン201の径方向は別言すればファン軸線CL1の径方向である。そして、そのファン軸線CL1の径方向をファン径方向とも呼ぶものとする。
【0030】
送風機20は、送風ファン201が蒸発器16に対して空気流れ下流側に配置された所謂吸込式レイアウトとなっている。送風機20は、送風ファン201の空気吸込み側であるファン軸線CL1方向の一方側が蒸発器16の空気流出面16bと対向するように配置されている。従って、送風ファン201は、ファン軸線CL1方向の一方側とは反対側であるファン軸線CL1の他方側がケース内通路123の空気流れ下流側へ延びる向きに配置されている。言い換えれば、送風ファン201は、ファン軸線CL1の他方側がケース内通路123の空気流れ下流側、すなわち車両後方側を向くように配置されている。
【0031】
図2に示すように、送風機20は、この送風機20に電力を供給するためのワイヤーハーネス190を有している。ワイヤーハーネス190は、後述する整流機構26に形成されたダクト264の内部を挿通するよう配置されている。ダクト264は、送風ファン201の車幅方向の右側の端部から送風ファン201の回転中心に配置されたファンモータ19に向かって延びるように配置されている。ダクト264は、送風ファン201から送風される空気流れ下流側に配置されている。すなわち、ダクト264は、送風ファン201から送風される空気の流れを横切るように配置されている。ダクト264は、整流機構26の空気流れ上流側端にあってもよいし、下流側端にあってもよいし、上流側端と下流側端の間にあってもよい。
【0032】
ダクト264は、前述した上流側二層仕切板25aおよび下流側二層仕切板25bとともに、送風ファン201を通過する空気の風量分布に偏りを生じさせる構造部材に相当する。また、上流側二層仕切板25aおよび下流側二層仕切板25b、ダクト264は、ケース12内の圧損分布に偏りを生じさせる構造部材でもある。
【0033】
ヒータコア18は、ケース内通路123のうち送風ファン201に対し空気流れ下流側に配置されている。ヒータコア18は、そのケース内通路123のうちで、車両上下方向DR2の中央部に配置されている。ヒータコア18は、ケース内通路123を流れる空気のうちヒータコア18を通過する空気を加熱する加熱器である。
【0034】
空調ケース12内において、ヒータコア18の上側には、上側バイパス通路125aが形成され、ヒータコア18の下側には、下側バイパス通路125bが形成されている。この上側バイパス通路125aと下側バイパス通路125bは何れもケース内通路123に含まれ、ヒータコア18に対して並列に空気を流す。すなわち、上側バイパス通路125aと下側バイパス通路125bは何れも、ヒータコア18を迂回して空気を流す迂回通路である。言い換えれば、その上側バイパス通路125aと下側バイパス通路125bは何れも、ヒータコア18が設けられていない非加熱通路である。
【0035】
ケース内通路123においてヒータコア18に対する空気流れ上流側には、第1エアミックスドア24aと第2エアミックスドア24bとが設けられている。この第1エアミックスドア24aと第2エアミックスドア24bは、整流機構26に対して空気流れ下流側に設けられている。
【0036】
ファン軸線CL1方向の位置で言えば、そのエアミックスドア24a、24bは整流機構26に対してファン軸線CL1方向の他方側に設けられている。そして、ヒータコア18およびバイパス通路125a、125bは、エアミックスドア24a、24bに対してファン軸線CL1方向の他方側に設けられている。
【0037】
第1エアミックスドア24aは、上側バイパス通路125aに配設されており、その上側バイパス通路125aを開閉する。第1エアミックスドア24aはスライド式のドア機構であり、不図示の電動アクチュエータによってスライドさせられる。
【0038】
そして、第1エアミックスドア24aはそのスライド位置に応じて、ヒータコア18を通過する風量と、上側バイパス通路125aを通過する風量との風量割合を調節する。
【0039】
第2エアミックスドア24bは、下側バイパス通路125bに配設されており、その下側バイパス通路125bを開閉する。第2エアミックスドア24bはスライド式のドア機構であり、不図示の電動アクチュエータによってスライドさせられる。
【0040】
そして、第2エアミックスドア24bはそのスライド位置に応じて、ヒータコア18を通過する風量と、下側バイパス通路125bを通過する風量との風量割合を調節する。
【0041】
空調ケース12には、その空調ケース12外へ空気を吹き出すフェイス吹出口126、デフロスタ吹出口127、およびフット吹出口128が形成されている。そのフェイス吹出口126、デフロスタ吹出口127、およびフット吹出口128はそれぞれ、ヒータコア18および各バイパス通路125a、125bに対する空気流れ下流側にてケース内通路123に連結している。
【0042】
フェイス吹出口126から流出する空気は、不図示のダクトを介して導かれ、車室内の前席に着座する乗員の上半身へ向けて吹き出される。デフロスタ吹出口127から流出する空気は、不図示のダクトを介して導かれ、車室内にて車両前面の窓ガラスに向けて吹き出される。フット吹出口128から流出する空気は、不図示のダクトを介して導かれ、車室内の前席に着座する乗員の足下へ向けて吹き出される。
【0043】
また、フェイス吹出口126にはフェイスドア21が設けられており、フェイスドア21はフェイス吹出口126を開閉する。デフロスタ吹出口127にはデフロスタドア22が設けられており、デフロスタドア22はデフロスタ吹出口127を開閉する。フット吹出口128にはフットドア23が設けられており、フットドア23はフット吹出口128を開閉する。
【0044】
ケース内通路123においてヒータコア18の空気流れ下流側では、ヒータコア18を通った暖風と上側バイパス通路125aを通った冷風とが混合される。そして、その混合された空気は、主としてフェイス吹出口126とデフロスタ吹出口127とのうちの開いている吹出口から車室内へ吹き出される。
【0045】
また、ヒータコア18の空気流れ下流側では、ヒータコア18を通った暖風と下側バイパス通路125bを通った冷風とが混合される。そして、その混合された空気は、フット吹出口128が開いている場合には、主としてそのフット吹出口128から車室内へ吹き出される。
【0046】
図1に示すように、整流機構26は、ケース内通路123のうち、送風ファン201に対し空気流れ下流側に配置され、且つ、ヒータコア18およびエアミックスドア24a、24bに対し空気流れ上流側に配置されている。そのため、整流機構26には、送風ファン201から吹き出された空気が流入し、その吹き出された空気は整流機構26を通過してから、バイパス通路125a、125bまたはヒータコア18へと流れる。また、ファン軸線CL1方向の位置で言えば、整流機構26は、送風ファン201に対しファン軸線CL1方向の他方側に設けられている。
【0047】
ここで、ファン軸線CL1方向の他方側がケース内通路123の空気流れ下流側を向くように送風ファン201が配置されているので、送風ファン201から吹き出され整流機構26に流入する空気には、その送風ファン201の回転によって旋回流が生じている。整流機構26は、送風ファン201から吹き出された空気に送風ファン201の回転によって生じたその旋回流の旋回成分を、その吹き出された空気が整流機構26に流入する前に比して抑制する。
【0048】
また、上側バイパス通路125aが開かれていれば、整流機構26を通過した空気は上側バイパス通路125aへ流れ、下側バイパス通路125bが開かれていれば、整流機構26を通過した空気は下側バイパス通路125bへ流れる。従って、そのバイパス通路125a、125bに着目すれば、旋回流の抑制について次のようなことが言える。すなわち、整流機構26は、送風ファン201から吹き出された空気のうちバイパス通路125a、125bに流通する空気の旋回流を、そのバイパス通路125a、125bに流通する空気が整流機構26に流入する前に比して抑制する。
【0049】
図5に示すように、整流機構26は、円筒状を成し、同心円状に配置された複数の筒状部263a、263b、263cと、複数の整流板262a、262bと、ダクト264と、を有している。
【0050】
筒状部263a~263c、整流板262a、262bおよびダクト264は樹脂を用いて一体で形成されている。整流機構26は、空調ケース12に固定され、回転しない非回転部材として設けられている。
【0051】
筒状部263a~263cは、ファン軸線CL1を中心とした同心円状に配置されている。筒状部263aの外径は、筒状部263bの内径より小さくなっており、筒状部263bの外径は、筒状部263cの内径より小さくなっている。すなわち、筒状部263cは、筒状部263bの径方向外側に相互間隔を空けて配置され、筒状部263bは、筒状部263aの径方向外側に相互間隔を空けて配置されている。
【0052】
筒状部263a~263cの間には、板状を成す複数の整流板262a、262bが配置されている。複数の整流板262a、262bは、矢印Rに示すファン周方向に相互間隔を空けて配置されている。整流板262aは、筒状部263aと筒状部263bの間を接続し、整流板262bは、筒状部263bと筒状部263cの間を接続している。
【0053】
筒状部263a~263cおよび複数の整流板262a、262bによって空気が流れる複数の整流通路26a、26bが形成される。具体的には、筒状部263a、263bと、複数の整流板262aによって整流通路26aが形成され、筒状部263b、263cと、複数の整流板262bによって整流通路26bが形成される。
【0054】
整流機構26には、送風ファン201から吹き出された空気が流入し、その吹き出された空気は複数の整流通路26a、26bを流れる。整流機構26は、送風ファン201から吹き出された空気を複数の整流通路26a、26bに通過させることにより、送風機20の回転によって生じた旋回流を良好に整流する。
【0055】
次に、車両用空調ユニット10の作動について説明する。送風機20が作動を開始すると、
図1、
図2に示すように、外気導入口121または内気導入口122を介して、空調ケース12内に形成されたケース内通路123へ空気が導入される。そして、そのケース内通路123へ導入された空気は、蒸発器16で冷却されると共にその蒸発器16を通過する。
【0056】
この蒸発器16で冷却された空気は、送風機20の送風ファン201に吸い込まれ、送風ファン201の径方向外側へ吹き出され、空調ケース12によってケース内通路123の空気流れ下流側へと導かれる。
【0057】
そして、送風ファン201から吹き出された空気は整流機構26を通過する。その整流機構26を通過した空気は、ヒータコア18を通れば暖風となってヒータコア18の空気流れ下流側へ流れ、バイパス通路125a、125bを通れば冷風のままヒータコア18の空気流れ下流側へ流れる。そして、その暖風と冷風はヒータコア18の空気流れ下流側で混合され、その混合された空気は、フェイス吹出口126、デフロスタ吹出口127、フット吹出口128のうちの開放されている吹出口から、車室内の所定箇所へ吹き出される。
【0058】
図6は、本実施形態の車両用空調ユニット10の整流機構26に代えて比較例の整流機構30を配置した場合の
図1の矢印V方向の矢視図である。なお、比較例の整流機構30を流れる空気の空気流れ下流側から整流機構30を見たときの複数の整流通路の周方向の単位面積当たりの通路面積の分布は均一となっている。また、送風ファン201の回転方向は矢印R方向となっている。
【0059】
図6中に示した整流機構30の領域A2、D2は、整流機構30において流入する空気の流量が増加する領域である。この領域A2、D2では、送風ファン201が矢印R方向に回転すると、送風ファン201に吸い込まれる空気が下流側二層仕切板25bに当たり空気の圧力が高くなるため整流機構30に流入する空気の流量が増加する。
【0060】
また、
図6中に示した整流機構30の領域I2、C2は、整流機構30において流入する空気の流量が減少する領域である。この領域I2、C2では、送風ファン201が矢印R方向に回転すると、送風ファン201に吸い込まれる空気が下流側二層仕切板25bに当たり空気の圧力が低くなるため整流機構30に流入する空気の流量が減少する。
【0061】
また、
図6中に示した整流機構30の領域G2は、整流機構30において流入する空気の流量が増加する領域である。この領域G2では、送風ファン201が矢印R方向に回転すると、送風ファン201から送風された空気がダクト264に当たり空気の圧力が高くなるため整流機構30に流入する空気の流量が増加する。
【0062】
また、
図6中に示した整流機構30の領域F2は、整流機構30において流入する空気の流量が減少する領域である。この領域F2では、送風ファン201が矢印R方向に回転すると、送風ファン201に吸い込まれる空気がダクト264に当たり空気の圧力が低くなるため整流機構30に流入する空気の流量が減少する。
【0063】
このように、送風ファン201の空気流れ上流側に配置された下流側二層仕切板25bや送風ファン201の空気流れ下流側に配置されたダクト264が空気流れの妨げとなり、送風ファン201から送風される空気の風速にムラができてしまう。
【0064】
そこで、
図5に示したように、本実施形態の整流機構26は、整流機構26を流れる空気の空気流れ下流側から整流機構26を見たときの複数の整流通路26a、26bの通風抵抗の分布が異なっている。
【0065】
図5中の整流機構26において、整流板262a、262bの間隔が短い領域A1、D1、G1と、整流板262a、262bの間隔が長い領域C1、F1、I1と、整流板262a、262bの間隔が中間程度の領域B1、E1、H1が示されている。領域A1、D1、G1は、複数の整流板262a、262bの間隔が、領域B1、E1、H1よりも短くなっており、領域C1、F1、I1は、複数の整流板262a、262bの間隔が領域B1、E1、H1よりも長くなっている。なお、領域A1、D1、G1は第1領域に相当し、領域C1、F1、I1は、第2領域に相当する。
【0066】
図5中の領域A1、D1は、
図6中に示した整流機構30の領域A2、D2に対応する部位であり、下流側二層仕切板25bにより整流機構30に流入する空気の流量が増加する領域である。
【0067】
このため、整流機構26の領域A1、D1では、隣り合う整流板262aの間隔および隣り合う262bの間隔が比較的短くなっている。すなわち、領域A1、D1における複数の整流通路26a、26bの単位面積当たりの開口面積が、領域C1、F1、I1および領域B1、E1、H1よりも小さくなっている。
【0068】
これにより、整流機構26の領域A1、D1の通風抵抗は大きくなり、整流機構26の複数の整流通路26a、26bを流れる空気の風量分布の偏りが緩和される。
【0069】
図5に示した整流機構26の領域G1は、
図6中に示した整流機構30の領域G2に対応する部位であり、ダクト264により整流機構30に流入する空気の流量が増加する領域である。
【0070】
このため、整流機構26の領域G1では、隣り合う整流板262aの間隔および隣り合う262bの間隔が比較的短くなっている。すなわち、領域G1における複数の整流通路26a、26bの単位面積当たりの開口面積が、領域C1、F1、I1および領域B1、E1、H1よりも小さくなっている。
【0071】
これにより、整流機構26の領域G1の通風抵抗は大きくなり、整流機構26の複数の整流通路26a、26bを流れる空気の風量分布の偏りが緩和される。
【0072】
図5に示した整流機構26の領域I1、C1は、
図6中に示した整流機構30の領域I2、C2に対応する部位であり、下流側二層仕切板25bにより整流機構30に流入する空気の流量が減少する領域である。
【0073】
したがって、整流機構26の領域I1、C1では、隣り合う整流板262aの間隔および隣り合う262bの間隔が比較的長くなっている。これにより、整流機構26の領域I1、C1の通風抵抗は小さくなり、整流機構26の複数の整流通路26a、26bを流れる空気の風量分布の偏りが緩和される。
【0074】
図5に示した整流機構26の領域F1は、
図6中に示した整流機構30の領域F2に対応する部位であり、ダクト264により整流機構30に流入する空気の流量が減少する領域である。
【0075】
このため、整流機構26の領域F1では、隣り合う整流板262aの間隔および隣り合う262bの間隔が比較的長くなっている。これにより、整流機構26の領域F1の通風抵抗は小さくなり、整流機構26の複数の整流通路26a、26bを流れる空気の風量分布の偏りが緩和される。また整流機構26の複数の整流通路26a、26bを流れる空気の風量分布の偏りが緩和される。
【0076】
以上説明したように、本車両用空調ユニットは、整流機構26の空気流れ上流側に配置され、整流機構26を通過する空気の風量分布に偏りを生じさせる構造部材としての上流側二層仕切板25a、下流側二層仕切板25b、ダクト264を備えている。そして、構造部材によって生じる空気の風量分布の偏りが緩和される。
【0077】
このような構成によれば、構造部材によって生じる空気の風量分布の偏りが緩和されるので、送風ファンから送風される空気の風速分布のムラを抑制することができる。また、の風量分布の偏りが緩和されることで、空調ケース12内の圧損を維持しながら吹出温度差を抑制することができる。
【0078】
(1)上記実施形態では、整流機構26を流れる空気の空気流れ下流側から整流機構26を見たときの複数の整流通路26a、26bの単位面積当たりの開口面積に偏りが生じている。具体的には、領域A1、D1、G1における単位面積当たりの開口面積は、領域B1、E1,H1における単位面積当たりの開口面積よりも小さい。また、領域B1、E1,H1における単位面積当たりの開口面積は、領域C1、F1、I1における単位面積当たりの開口面積よりも小さい。具体的には、領域A1、D1、G1における単位面積当たりの開口面積は、領域C1、F1、I1における単位面積当たりの開口面積よりも小さい。
【0079】
したがって、複数の整流通路26a、26bを流れる空気の風量分布の偏りが緩和され、送風ファン201から送風される空気の風速分布のムラを抑制することができる。
【0080】
(2)上記実施形態では、整流機構26は、円筒状の複数の筒状部263a、263b、263cと、複数の筒状部の間に形成された複数の整流板262a、262bと、を有している。また、複数の整流通路26a、26bは、複数の筒状部263a、263b、263cと複数の整流板262a、262bによって形成されている。また、整流機構26には、隣り合う複数の整流板262a、262bの間隔が短い第1領域と第1領域より間隔が長い第2領域が形成されている。
【0081】
このように、整流機構26に、隣り合う複数の整流板262a、262bの間隔が短い第1領域と、この第1領域より間隔が長い第2領域を形成することで、構造部材によって生じる空気の風量分布の偏りを緩和することができる。
【0082】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る車両用空調ユニットの整流機構26の構成を
図7に示す。上記第1実施形態の車両用空調ユニットは、整流機構26の複数の整流板262a、262bの間隔が短い領域と長い領域が形成されている。これに対し、本実施形態の車両用空調ユニットは、整流機構26に3つの抵抗体261が設けられている。抵抗体261は、
図5に示した整流機構26の複数の整流通路26a、26bのうち複数の整流板262a、262bの間隔が短い領域A2、D2、G2に対応する位置に設けられている。抵抗体261は、メッシュ状を成すステンレス等の金属により構成されている。具体的には、抵抗体261には、多数の貫通穴261aが形成されている。抵抗体261は、整流機構26と別体で構成され、整流機構26の空気流入口側に固定されている。抵抗体261は、複数の整流通路26a、26bの一部の通風抵抗を大きくする。
【0083】
このように、整流機構26は、構造部材により生じる空気の風量分布の偏りが緩和されるよう複数の整流通路26a、26bの一部の通風抵抗を大きくする抵抗体261を有している。
【0084】
これにより、抵抗体261が抵抗となり、上流側二層仕切板25a、下流側二層仕切板25b、ダクト264等の構造部材により生じる空気の風量分布の偏りを緩和することができる。
【0085】
本実施形態の車両用空調ユニットは、整流機構26の抵抗体261に多数の貫通穴261aが形成され、抵抗体261がメッシュ状を成しているが、抵抗体261に貫通穴261aを形成しなくてもよい。
【0086】
また、本実施形態では、抵抗体261を、整流機構26に固定するようにしたが、抵抗体261を整流機構26に対して着脱可能となるよう構成してもよい。
【0087】
また、メッシュ状を成すステンレス等の金属により抵抗体261を構成したが、整流機構26とともに樹脂により一体成型してもよい。
【0088】
なお、上記実施形態では、整流機構26の空気流入口側に抵抗体261が固定されているが、整流機構26の空気流入口と空気流出口の中間に抵抗体261を設けるようにしてもよい。また、整流機構26の空気流出口側に抵抗体261を設けるようにしてもよい。また、本実施形態では、
図6のように、整流機構26を流れる空気の空気流れ下流側から整流機構26を見たときの複数の整流通路の周方向の単位面積当たりの通路面積の分布が均一となっていてもよい。
【0089】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る車両用空調ユニットの整流機構26の構成を
図8、
図9に示す。本実施形態の車両用空調ユニットは、3つのカバー266を有している。カバー266は、
図5に示した整流機構26の複数の整流通路26a、26bのうち複数の整流板262a、262bの間隔が短い領域A1、D1、G1における複数の整流通路26a、26bに設けられている。カバー266は、筒状部263a、263b、263cおよび整流板262a、262bとともに樹脂により一体化されている。
【0090】
図9に示すように、カバー266は、整流板262bのうち整流機構26の空気流れ上流側の端部から送風ファン201の回転方向と逆方向に向かって延びるように形成されている。また、隣り合うカバー266の間には隙間が形成されている。
【0091】
このように、カバー266は、空気の風量分布の偏りが緩和されるよう整流通路の一部を覆う。これにより、カバー266が複数の整流通路26a、26bの一部の抵抗となり、上流側二層仕切板25a、下流側二層仕切板25b、ダクト264等の構造部材により生じる空気の風量分布の偏りを緩和することができる。
【0092】
本実施形態では、カバー266を樹脂により構成し、筒状部263a、263b、263cおよび整流板262a、262bとともに一体化した。これに対し、カバー266を、筒状部263a、263b、263cおよび整流板262a、262bと別体として構成してもよい。この場合、筒状部263a、263b、263cおよび整流板262a、262bに対し、カバー266を着脱できるようにしてもよい。また、例えば、カバー266を樹脂以外の材料、例えば、金属により構成してもよい。
【0093】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る車両用空調ユニットについて
図10、
図11を用いて説明する。本実施形態に係る車両用空調ユニットの空調ケース12は、該空調ケース12の内部を左右に仕切る左右仕切板28aと、空調ケース12の内部を上下に仕切る上下2層仕切板28bを有している。
【0094】
左右仕切板28aは、板状を成し、空調ケース12の内部において送風ファン201から送風された空気の空気流れ下流側に配置されている。左右仕切板28aは、板状を成し、空調ケース12の左右方向中央部において上下方向に延びるように配置されている。
【0095】
上下2層仕切板28bは、空調ケース12の内部において送風ファン201から送風された空気の空気流れ下流側に配置されている。上下2層仕切板28bは、空調ケース12の上下方向中央部において左右方向に延びるように配置されている。
【0096】
本実施形態に係る車両用空調ユニットにおいては、左右仕切板28aに抵抗板291および抵抗板292が設けられるとともに上下2層仕切板28bに抵抗板293が設けられている。
【0097】
抵抗板291~293は、上記第2実施形態における抵抗体261に相当する部材である。上記第2実施形態における抵抗体261は整流機構26に設けられているが、本実施形態の抵抗板291~293は、整流機構26ではなく空調ケース12に設けられている。抵抗板291~293は、整流機構26の空気流れ下流側に配置されている。抵抗板291~293は、整流機構26に接触していてもよいし、整流機構26から離れていてもよい。
【0098】
図11に示すように、抵抗板291は、
図5中の整流機構26において整流板262a、262bの間隔が短い領域A1に対応する部位に配置されている。また、抵抗板292は、
図5中の整流機構26において整流板262a、262bの間隔が短い領域D1に対応する部位に配置されている。また、抵抗板293は、
図5中の整流機構26において整流板262a、262bの間隔が短い領域G1に対応する部位に配置されている。
【0099】
これにより、
図5中の整流機構26の領域A1、D1に対応する領域の通風抵抗が大きくなり、整流機構26の複数の整流通路26a、26bを流れる空気の風量分布の偏りが緩和される。なお、他の例として、抵抗板291~293は、整流機構26の下流側のみならず上流側のA1、D1、G1に対応する位置にも配置されていてもよい。あるいは、抵抗板291~293は、整流機構26の上流側のみのA1、D1、G1に対応する位置に配置されていてもよい。
【0100】
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、送風ファン201の回転方向の偏りを緩和したが、径方向の偏りを緩和するよう構成することもできる。
【0101】
(2)上記実施形態では、整流機構26を通過する空気の風量分布に偏りを生じさせる構造部材を送風ファン201の空気流れ上流側および下流側に配置した例を示した。これに対し、整流機構26を通過する空気の風量分布に偏りを生じさせる構造部材を送風ファン201の空気流れ上流側および下流側のいずれか一方のみに配置した構成とすることもできる。
【0102】
(3)上記第3実施形態では、隣り合うカバー266の間には隙間が形成されているが、隣り合うカバー266の間の隙間をなくしてもよい。
【0103】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0104】
10 車両用空調ユニット
12 空調ケース
25a 上流側二層仕切板
26b 下流側二層仕切板
26 整流機構
26a、26b 整流通路
262a、262b 整流板
263a、263b、263c 筒状部
265、265 カバー
291、292、293 抵抗板