(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179635
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/06 20060101AFI20221125BHJP
B65H 85/00 20060101ALI20221125BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20221125BHJP
B65H 5/38 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B65H3/06 340E
B65H85/00
G03G15/00 463
B65H5/38
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163001
(22)【出願日】2022-10-11
(62)【分割の表示】P 2021087632の分割
【原出願日】2009-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】浅田 哲男
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏隆
(72)【発明者】
【氏名】中北 覚
(72)【発明者】
【氏名】飯島 章太
(57)【要約】
【課題】給紙部の退避領域を確保しつつ、小型化が可能な画像記録装置を提供する。
【解決手段】シートに画像を記録する記録部24と、シートが載置可能であって装置に対して挿抜可能なトレイ20と、トレイ20に載置されたシートを給紙する給紙ローラ25と、記録部24で表面に印刷されたシートを裏面の印刷のために再び記録部24へ案内するための反転搬送路67の一部を形成するガイド部材33と、ガイド部材33開口され、退避姿勢の給紙ローラ25が進入する孔81とを備えている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を記録する記録部と、
上記記録部の下方に設けられ、シートが載置可能なトレイと、
上記トレイから給送されるシートを上記記録部へ案内するための第1搬送路と、
回動可能なアームと上記アームの先端側に回転可能に設けられたローラとを備え、上記ローラが第1位置と上記第1位置よりも上方の第2位置とに移動するように回動可能な給紙部と、
一方の面に画像が記録されたシートを第1搬送路へ案内するための第2搬送路を形成するガイド部材と、を備え、
上記ガイド部材は、上記ローラが上記第2位置に移動した上記給紙部の少なくとも一部が進入する開口が形成された部分を有し、
上記開口と上記ローラとは、上記第2搬送路を搬送されるシートの搬送向きにおいて、上記アームの回動軸より下流側に配置している画像記録装置。
【請求項2】
上記アームは、上記給紙部が上記第2位置に移動した状態において、上記ガイド部と当接する当接部を有する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記当接部は、上記アームに設けられた突起である請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記トレイが装置に対して挿抜される過程において、上記ローラが上記第1位置の上記給紙部は上記トレイに押されることによって上方に回動可能である請求項1乃至3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記給紙部は、モータからの回転力を上記ローラに伝達する複数のギヤを更に有する請求項1乃至4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記複数のギヤは上記アームに軸支されている請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記ガイド部材は、上記第2搬送路を搬送されるシートの搬送向きにおいて、上流
側が上記給紙部の上記アームの回動基端部の上端よりも上方に位置し、且つ、下流側が上記給紙部の上記アームの回動基端部の上端よりも下方に位置する請求項1乃至6のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記当接部は、上記ローラの回転軸と上記アームの回動軸との間の位置に設けられている請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記当接部は、上記アームの上面に設けられている請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項10】
上記当接部は、上記アームの上記上面の上記ローラとの近傍部分にもうけられている請求項9に記載の画像記録装置。
【請求項11】
上記開口は、上記ローラと対向する位置に設けられている請求項1に記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を記録する画像記録装置に関し、特に、シートの両面に画像を記録可能な画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シートの両面に画像を記録することができる画像記録装置が知られている。
特許文献1には、この種の画像記録装置の一例として、両面画像形成装置が開示されている。当該両面画像形成装置においては、シート供給部から送り出されたシートが搬送ローラによって感光ドラムなどで構成された画像形成手段へ搬送される。画像形成手段においてシートの表面に画像が記録される。表面に画像が記録されたシートは画像形成手段の下流側で排出ローラによってスイッチバックされる。スイッチバックされたシートは、画像形成手段の下方に設けられたシート再供給搬送路を経て、再び搬送ローラに到達する。シートは表面に画像を形成されたときと同様にして、画像形成手段によって裏面に画像が記録される。その後、両面に画像が記録されたシートは排出ローラによって排出トレイに排出される。
【0003】
上記シート再供給搬送路は、シートを収納するトレイの上方に設けられ、その間には所定の回転軸を中心に上下方向に回動自在に設けられたアームと、アームの端部に設けられ、回転することによってトレイに収納されたシートを送り出すシート供給ローラとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような構成において、トレイが両面画像記録装置に対して挿抜されるときに、アーム及びシート供給ローラがトレイの側板などに当たると、トレイの挿抜が適切に実行できない。このような問題を解決するためには、トレイの挿抜の際に、アーム及びシート供給ローラがトレイより上方に退避するように、両面画像記録装置が構成されればよい。
【0006】
しかし、両面画像記録装置が上述のように構成された場合、アーム及びシート供給ローラを退避させるための空間が、両面画像記録装置の内部に必要となる。その結果、両面画像記録装置が大型化してしまう。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、アーム及び供給ローラを有する給紙部の退避領域を確保しつつ、画像記録装置を小型化できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明の画像記録装置は、シートに画像を記録する記録部と、上記記録部の下方に
設けられ、シートが載置可能であり、且つ装置に対して挿抜可能であるトレイと、上記トレイから給送されるシートを上記記録部へ案内する湾曲状の第1搬送路を形成する第1ガイド部材と、上記記録部と上記トレイの間に設けられ、回動可能なアーム、及び上記アームの先端側に回転可能に設けられて上記トレイに載置されたシートを上記第1搬送路へ供給するローラで構成され、上記ローラが上記トレイのシート載置面に載置されたシートを供給する供給姿勢と上記トレイの挿抜領域から退避する退避姿勢とに回動可能な給紙部と、上記記録部と上記供給姿勢の上記給紙部の間に設けられ、一方の面に画像が記録されたシートを上記第1搬送路へ案内するための第2搬送路の少なくとも一部を形成する第2ガイド部材と、を備え、上記給紙部が上記退避姿勢をとるための領域と、上記第2ガイド部材が上記第2搬送路の少なくとも一部を形成する領域とは側面視において重なっており、上記第2ガイド部材には、上記退避姿勢に回動された上記給紙部の少なくとも一部が進入する開口部が形成されている。
【0009】
例えば、トレイが画像記録装置に対して挿抜されるときに、給紙部がトレイの側板などに当たると、トレイの挿抜が適切に実行できない。このような問題を解決するためには、トレイの挿抜の際に、給紙部がトレイより上方に退避するように、画像記録装置が構成されればよい。上述の構成においては、給紙部はトレイより上方の退避姿勢をとることが可能である。しかし、画像記録装置が上述のように構成された場合、給紙部を退避させるための領域が、画像記録装置の内部に必要となる。その結果、画像記録装置が大型化してしまう。
【0010】
しかし、上述の構成においては、トレイが装置に対して挿抜される過程において、給紙部が供給姿勢から退避姿勢へ回動されたとき、給紙部の少なくとも一部が、開口部に進入する。これにより、給紙部を退避させるための領域と、第2ガイド部材が第2搬送路の少なくとも一部を形成する領域とを、共用させることが可能となる。したがって、給紙部の退避領域を確保しつつ、画像記録装置が小型化できる。
【0011】
(2) 本発明の画像記録装置は、上記給紙部に設けられ、上記給紙部が上記第5姿勢の状
態において、上記第2ガイド部と当接することで、上記ローラの表面が上記第2ガイド部材と接触することを防止するストッパを更に備える。
ローラの表面が第2ガイド部材と接触すると、ローラの表面が傷つくおそれがある。しかし、上述の構成においては、ストッパによってローラの表面と第2ガイド部材との接触が防止可能である。
【0012】
(3) 本発明の画像記録装置は、上記トレイが装置に対して挿抜される過程において、上
記給紙部は上記トレイに押されることによって上記退避姿勢に回動可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、第2ガイド部材に開口部が開口されている。よって、給紙部を退避させるための領域と、第2ガイド部材が第2搬送路の少なくとも一部を形成する領域とを共用させることが可能となる。これにより、給紙部の退避領域を確保しつつ、画像記録装置が小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態の一例である複合機10の斜視図である。
【
図2】
図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、給紙部15が第1姿勢をとり回動ガイド部材70が第3姿勢をとる場合のプリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、給紙部15が第2姿勢をとり回動ガイド部材70が第4姿勢をとる場合のプリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図5】
図5は、給紙部15が回動ガイド部材70に当接したときのプリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、給紙部15が第5姿勢をとり回動ガイド部材70が第6姿勢をとる場合のプリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図7】
図7は、変形例のプリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8を定義し、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9を定義する。
【0016】
図1に示されるように、複合機10は、薄型の直方体に概ね形成されており、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。プリント機能としては、記録用紙の両面に画像を記録する両面画像記録機能を有している。なお、プリント機能以外の機能の有無は任意である。プリンタ部11は、正面に開口13が形成されたケーシング(筐体)14を有し、各種サイズの記録用紙(本発明のシートの一例)を載置可能なトレイ20(本発明のトレイの一例)を備えた給紙カセット78が、開口13から前後方向8に挿抜可能である。複合機10の正面上部には、操作パネル17が設けられている。操作パネル17は、プリンタ部11を操作するための装置である。複合機10は、操作パネル17からの操作入力に基づいて動作する。
【0017】
[プリンタ部11の構成]
次に、
図2が参照されながら、プリンタ部11の構成が説明される。なお、
図2では、給紙カセット78の前方側(紙面右側)の図示が省略されている。プリンタ部11は、トレイ20から記録用紙をピックアップして給紙(給送)する給紙部15(本発明の給紙部の一例)と、給紙部15によって給紙された記録用紙にインク滴を吐出して記録用紙に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24(本発明の記録部の一例)と、経路切換部41などを備えている。なお、記録部24はインクジェット方式に限られず、電子写真方式などの種々の記録方式のものが適用可能である。
【0018】
[搬送路65]
プリンタ部11の内部には、トレイ20の先端(後方側の端部)から記録部24を経て排紙保持部79に至る搬送路65が形成されている。搬送路65は、トレイ20の先端から記録部24に至る間に形成された湾曲路65A(本発明の第1搬送路の一例)と、記録部24から排紙保持部79に至る間に形成された排紙路65Bとに区分される。湾曲路65Aは、トレイ20に設けられた分離傾斜板22(本発明の傾斜板の一例)の上端付近から記録部24に渡って延設された湾曲状の通路である。
【0019】
分離傾斜板22は、トレイ20の後端部において左右方向9(
図2の紙面に垂直な方向)に渡って後方斜め上方に延設されている。分離傾斜板22とトレイ20におけるシート載置面とがなす角の角度は、シート載置面に載置された記録用紙が湾曲路へ円滑に導かれる角度である。例えば、分離傾斜板22とシート載置面とがなす角の角度は、シート載置面と平行な直線と湾曲路65Aの始端64からの延長戦がなす角の角度の2分の1の角度に設定される。以上より、分離傾斜板22は、シート載置面から湾曲路65Aへの記録用紙の搬送向きに沿ってトレイ20と一体に設けられ、シート載置面と湾曲路65Aとがなす角を緩和する角度の傾斜を構成する。
【0020】
湾曲路65Aは、プリンタ部11の内部側を中心とする円弧形状に概ね形成されている。トレイ20から給送される記録用紙は、湾曲路65Aを介して、記録部24へ案内される。湾曲路65Aは、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって区画されている。つまり、外側ガイド部材18と内側ガイド部材19は、本発明の第1ガイド部材の一例である。なお、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19、更に後述する上側ガイド部材82、下側ガイド部材83、上側傾斜ガイド部材32、下側傾斜ガイド部材33、及び支持部材43は、いずれも、
図2の紙面垂直方向(
図1の左右方向9)へ延出されている。
【0021】
なお、本実施形態において、外側ガイド部材18は、
図4に示されるように、基軸84を中心として矢印85の方向に回動する。当該回動は、例えば複合機10のユーザの手動によって行われる。
【0022】
排紙路65Bは、記録部24よりも第1搬送向きの下流側から排紙保持部79に渡って延設された直線上の通路である。ここで、第1搬送向きとは、記録用紙が搬送路65を搬送される向き(
図2において矢印付きの一点鎖線で示される向き)を指す。
【0023】
記録部24よりも第1搬送向きの下流側に分岐口36が形成されている。両面画像記録の際には、排紙路65Bを搬送される記録用紙は、分岐口36の下流側でスイッチバックされ、後述する反転搬送路67(本発明の第2搬送路の一例)へ向けて搬送される。
【0024】
[記録部24]
記録部24は、トレイ20の上方に配置されている。記録部24は、
図2の紙面垂直方向(主走査方向)に往復動する。記録部24の下方には記録用紙を水平に保持するためのプラテン42が設けられている。記録部24は、主走査方向への往復移動過程において、図示しないインクカートリッジから供給されたインクをノズル39からプラテン42上を搬送される記録用紙に吐出する。これにより、記録用紙に画像が記録される。
【0025】
湾曲路65Aの終端と記録部24との間には、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61が設けられている。ピンチローラ61は、図示しないバネなどの弾性部材によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。第1搬送ローラ60及びピンチローラ61は、湾曲路65Aを搬送してきた記録用紙を狭持してプラテン42上へ送る。また、記録部24と排紙路65Bの始端との間には、第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63が設けられている。ピンチローラ61と同様、拍車ローラ63は第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63は、記録部24によって画像を記録された記録用紙を狭持して第1搬送向きの下流側(排紙保持部79側)へ搬送する。
【0026】
第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、搬送用モータ(不図示)から駆動伝達機構(不図示)を介して回転駆動力が伝達されて回転される。駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されており、搬送用モータが正転または逆転のいずれに回転されても、記録用紙を第1搬送向きへ搬送させるべく、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62を一回転方向へ回転させる。
【0027】
[給紙部15]
給紙部15は、記録部24の下方であってトレイ20の上方、つまり記録部24とトレイ20の間に設けられている。給紙部15は、トレイ20に収容された記録用紙を湾曲路65Aへ向けて搬送する。給紙部15は、給紙ローラ25(本発明のローラの一例)と、給紙アーム26(本発明のアームの一例)と、駆動伝達機構27とを備えている。
【0028】
給紙ローラ25は、トレイ20に載置されている記録用紙をピックアップして湾曲路65Aへ給紙するものであり、給紙アーム26の先端に回転自在に軸支されている。給紙ローラ25は、搬送用モータとは異なる駆動源のASF(Auto Sheet Feed)モータ(不図示)から駆動伝達機構27を介して回転力が伝達されると回転駆動される。駆動伝達機構27は給紙アーム26に軸支されており、概ね直線状に並ぶ複数のギヤで構成されている。
ASFモータは、正転又は逆転の一方に回転され、給紙ローラ25は、ASFモータの回転により、記録用紙を湾曲路65Aへ給紙する向きに回転する。
【0029】
給紙アーム26は、その基端部が基軸28に支持されており、基軸28を中心軸として回動可能である。このため、給紙アーム26は、トレイ20に対して接離可能に上下動することができる。また、給紙アーム26は、自重により又はバネなどの弾性部材による弾性力により、
図2の矢印29の方向へ回動付勢されている。このため、給紙ローラ25は、トレイ20に収容された記録用紙の上面に圧接可能である。つまり、給紙部15は、給紙ローラ25がトレイ20における記録用紙が載置されている面(本発明のシート載置面に相当。以下、シート載置面と記す。)に当接する第1姿勢(本発明の第1姿勢に相当)をとる。
【0030】
また、
図5及び
図6に示されるように、給紙部15は、トレイ20がプリンタ部11に対して挿入される際、またはトレイ20がプリンタ部11から引き抜かれる際に、トレイ20の上面(例えば分離傾斜板22)に押されることによって、上方へ押し上げられる。
つまり、給紙部15は、トレイ20が複合機10に対して挿抜される過程において、分離傾斜板22により上方へ押されることによって、シート載置面から離間してトレイ20の挿抜領域から退避する第5姿勢(本発明の第5姿勢に相当)に回動可能である。
【0031】
なお、給紙部15を押すのは、分離傾斜板22に限らない。例えば、トレイ20の側壁21(
図2参照)であってもよいし、トレイ20の側壁21及び分離傾斜板22の双方であってもよい。
【0032】
また、上述したように、給紙アーム26は、
図2の矢印29の方向へ回動付勢されている。そのため、
図4に示されるように、給紙部15は、トレイ20がプリンタ部11から引き抜かれた状態では、トレイ20の下方に配置されている複合機10のフレーム77などに圧接される。つまり、給紙部15は、トレイ20が複合機10から抜かれた状態において、給紙ローラ25が第1姿勢よりも下方となる第2姿勢(本発明の第2姿勢に相当)へ回動可能である。以上より、給紙アーム26は、第1姿勢、第5姿勢、及び第2姿勢との間で回動する。
【0033】
[経路切換部41]
図2に示されるように、経路切換部41は、搬送路65における分岐口36付近に配置されている。経路切換部41は、第3搬送ローラ45と、拍車ローラ46と、フラップ49で構成されている。
【0034】
第3搬送ローラ45は、下側ガイド部材83よりも下流側に設けられている。第3搬送ローラ45は、プリンタ部11のフレームなどに回転可能に支持されている。拍車ローラ46は、自重若しくはバネなどによって第3搬送ローラ45のローラ面に圧接されている。
【0035】
第3搬送ローラ45は、搬送用モータから正逆回転方向の駆動力が伝達されて、正逆転いずれかの方向に回転される。例えば、片面記録が行われる場合は、第3搬送ローラ45は正転方向へ回転される。これにより、記録用紙は第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46に挟持されて下流側へ搬送され、排紙保持部79に排紙される。一方、両面記録が行われる場合は、第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46が記録用紙の後端部を挟持した状態で、第3搬送ローラ45の回転方向が正転から逆転へ切り換えられる。
【0036】
図2の紙面垂直方向(
図1の左右方向9)へ延びる支軸87が、プリンタ部11のフレームなどに設けられている。フラップ49は、支軸87から概ね下流側へ延出されている。フラップ49は、支軸87に回動可能に軸支されている。フラップ49には、拍車状に形成された補助ローラ47及び補助ローラ48が軸支されている。
【0037】
フラップ49は、姿勢変化可能に構成されており、下側ガイド部材83よりも上方に位置する排出姿勢(
図2に破線で示される姿勢)と、延出端部49Aが分岐口36よりも下方へ進入する反転姿勢(
図2に実線で示される姿勢)との間で回動する。記録部24を通過した記録用紙は、フラップ49が排出姿勢の場合、更に第1搬送向きの下流側へ搬送され、フラップ49が反転姿勢の場合、反転搬送路67へスイッチバック搬送される。
【0038】
[反転搬送路67]
反転搬送路67は、搬送路65における記録部24より第1搬送向きの下流側から搬送路65における第1搬送ローラ60より第1搬送向きの上流側へ記録用紙を案内する。反転搬送路67は、分岐口36で排紙路65Bから分岐され、記録部24と給紙アーム27の間を通って、記録部24よりも第1搬送向きの上流側の合流部37で湾曲路65Aと合流する。記録用紙は、反転搬送路67を第2搬送向きに搬送される。ここで、第2搬送向きとは、
図2における矢印付きの二点鎖線で示される向きを指す。以上より、反転搬送路67は、記録部24によって少なくとも一方の面に画像が記録された記録用紙を湾曲路65Aへ案内するための経路である。
【0039】
反転搬送路67は、第1経路67Aと第2経路67Bとに区分される。第1経路67Aは、分岐口36から後方斜め下向きに傾斜する傾斜面を有する上側傾斜ガイド部材32と下側傾斜ガイド部材33とによって区画されている。
【0040】
第2経路67Bは、
図5及び
図6の矢印30,34に示す方向に回動可能に支持された回動ガイド部材70(本発明の第2ガイド部材の一例)と、プリンタ部11のフレームに取り付けられており、記録部24を支持している支持部材43とによって区画されている。
【0041】
反転搬送路67には、第4搬送ローラ68及び拍車ローラ69が設けられている。拍車ローラ69は、自重若しくはバネなどによって第4搬送ローラ68のローラ面に圧接されている。第4搬送ローラ68は、回転することによって記録用紙を第2搬送向きへ搬送する。第4搬送ローラ68は、搬送用モータから回転力が伝達されて回転駆動される。第4搬送ローラ68の回転の向きは、記録用紙を第2搬送向きへ搬送させる向きである。
【0042】
[回動ガイド部材70]
回動ガイド部材70は、記録部24と給紙部15の間に設けられている。回動ガイド部材70は、上下方向7の寸法が前後方向8及び左右方向9の寸法よりも短い概ね薄型の平板矩形状の部材である。回動ガイド部材70は、その先端部(後方側の端部)が斜め上向きに湾曲している。これにより、反転搬送路67及び湾曲路65Aは略円弧状の経路を構成し、反転搬送路67を搬送される記録用紙は湾曲路65Aに円滑に導かれる。
【0043】
回動ガイド部材70は、その基端部(前方側の端部)が給紙部15の基軸73に支持されており、基軸73を中心軸として回動可能である。基軸73に支持されることにより、回動ガイド部材70は、記録部24に対して接近及び離間可能に上下動することができる。
【0044】
回動ガイド部材70は、回動することによって、反転搬送路67の少なくとも一部を形成する第3姿勢(本発明の第3姿勢に相当)と、第3姿勢よりも記録部24側へ接近する第6姿勢(本発明の第6姿勢に相当)と、第3姿勢よりも記録部24側から離間する第4姿勢(本発明の第4姿勢に相当)とをとることが可能である。
【0045】
第3姿勢は、
図2及び
図3に示されるように、回動ガイド部材70の上面が支持部材43と記録用紙が通過可能な所定の間隔を保持する姿勢である。回動ガイド部材70が第3姿勢をとっている場合、回動ガイド部材70はトレイ20の側壁21に支持されている。
トレイ20の側壁21は、記録用紙が載置される底板の左右方向9の両端部から前後方向8に沿って立設されている。
図2及び
図3では、トレイ20の側壁21の上端部が破線で示されている。なお、本実施形態では、回動ガイド部材70の下面から支持部材80が突設されており、支持部材80と側壁21が当接されることで回動ガイド部材70は側壁21に支持されている。なお、
図4から
図6において、側壁21の図示は省略されている。
【0046】
第6姿勢は、
図6に示されるように、回動ガイド部材70の下面が給紙部15に押されることによって、回動ガイド部材70の上面が、支持部材43の近傍まで接近する姿勢である。第4姿勢は、
図4に示されるように、トレイ20が複合機10から抜かれた際に、回動ガイド部材70の下面がトレイ20の側壁21に支持されなくなることによって、回動ガイド部材70が、給紙部15の第2姿勢への回動に追随して、複合機10のフレーム77の上方近傍まで接近する姿勢である。
【0047】
[孔71]
回動ガイド部材70の記録用紙が搬送される面(本発明のシート搬送面に相当。以下、シート搬送面と記す。)には、給紙ローラ25と対向する位置に開口が設けられている。
詳細には、
図4に示されるように、回動ガイド部材70が第4姿勢をとっている場合に、回動ガイド部材70に開口が設けられていないと給紙ローラ25の少なくとも一部(例えば、給紙ローラ25の給紙アーム26よりも上側のローラ表面)が回動ガイド部材70に当接する位置に、第1の孔71(本発明の第1開口部の一例)が設けられている。
【0048】
また、
図5に示されるように、回動ガイド部材70が第3姿勢をとっている場合に、回動ガイド部材70に開口が設けられていないと給紙ローラ25及び/または給紙アーム26の少なくとも一部(例えば、給紙ローラ25の給紙アーム26よりも上側のローラ面や、給紙アーム26の上面)が回動ガイド部材70に当接する位置に、第2の孔(本発明の第2開口部の一例)が設けられている。
【0049】
なお、本実施形態においては、第1の孔71と第2の孔は共用されており、同一の孔である。しかし、回動ガイド部材70と給紙ローラ25の相対位置関係によっては、回動ガイド部材70が第4姿勢をとる場合と第3姿勢をとる場合とで、給紙ローラ25が回動ガイド部材70に当接する位置が異なる場合がある。その場合、第1の孔と第2の孔は別個に設けられる。以下、第1の孔71と第2の孔が共用された孔は、単に孔71と記される。
【0050】
回動ガイド部材70に孔71が設けられることにより、回動ガイド部材70が第4姿勢の状態において、第2姿勢の給紙ローラ25の少なくとも一部が貫通して回動ガイド部材70のシート搬送面より上方へ突出する。また、回動ガイド部材70が第3姿勢の状態において、第5姿勢に回動された給紙部15の少なくとも一部が貫通して回動ガイド部材70のシート搬送面より上方へ突出する。
【0051】
[突起72]
図3に示されるように、給紙アーム26の上面の給紙ローラ25との近傍部分には、突起72が設けられている。
図6に示されるように、突起72(本発明のストッパの一例)は、給紙部15が第5姿勢をとっている場合に、回動ガイド部材70の下面と当接している。なお、突起72が設けられる位置は、給紙部15の回動による給紙ローラ25の表面と回動ガイド部材70との接触が防止可能であれば、給紙アーム26の上面に限らない。
【0052】
[板状部材75]
図3に示されるように、回動ガイド部材70の下面における孔71の基軸73側の端部近傍の位置に基軸74が設けられている。また、孔71と略同一形状をした板状部材75(本発明の開閉部材の一例)が、孔71を塞ぐ位置に設けられている。板状部材75は、その基端部が基軸74に支持されており、基軸74を中心軸として回動可能である。
【0053】
板状部材75は、自重により又はバネなどの弾性部材による弾性力により、下方に回動付勢されている。但し、規制部材(不図示)などによって、孔71を塞ぐ位置(
図3に示される位置)より下方には回動されないように構成されている。これにより、
図3に示されるように、板状部材75は、給紙部15が第1姿勢をとっている場合、孔71を閉鎖する位置に回動される。その結果、板状部材75は、回動ガイド部材70のシート搬送面の一部を形成する。一方、
図6に示されるように、板状部材75は、給紙部15が第5姿勢をとっている場合、給紙ローラ25の表面に押され、孔71を開放する位置に回動される。
【0054】
図3及び
図6に基づく上述の説明では、給紙ローラ25のみが孔71を貫通する構成において板状部材75が設けられている場合について説明した。しかし、板状部材75は、給紙ローラ25だけでなく給紙アーム26を含む給紙部15の少なくとも一部が孔71を貫通する場合に設けられてもよい。この場合、板状部材75は、給紙アーム26を含む給紙部15の少なくとも一部が貫通する孔71を塞ぐ位置及び開放する位置に姿勢変化することが可能に構成される。
【0055】
なお、板状部材75は、回動されることによって孔71を塞ぐ位置と開放する位置に姿勢変化するものに限らない。例えば、板状部材75は、回動ガイド部材70のシート搬送面と平行にスライドされることによって姿勢変化するものであってもよい。
【0056】
[弾性部材]
図4に示されるように、回動ガイド部材70の下面(シート搬送面の反対側の面)にはバネなどの弾性部材76(本発明の弾性部材の一例)が設けられている。
図4に示されるように、弾性部材76は、回動ガイド部材70が第4姿勢をとった場合に、最も下方に位置する部分に設けられている。そして、回動ガイド部材70が第4姿勢をとった場合に、弾性部材76は複合機10のフレーム77に当接される。なお、
図4以外では、弾性部材76の図示が省略されている。
【0057】
[給紙部15及び回動ガイド部材70の回動]
図3に示されるように、記録用紙に画像が記録される処理が実行されているとき、給紙部15は第1姿勢をとっており、回動ガイド部材70は第3姿勢をとっている。上記処理が実行されていないときに、トレイ20が複合機10から抜かれる過程において、回動ガイド部材70は、給紙部15の第1姿勢から第5姿勢への回動に連動して、第3姿勢から第6姿勢へ回動される。その後、トレイ20が複合機10から抜かれると、給紙部15が第5姿勢から第2姿勢へ回動され、回動ガイド部材70が第6姿勢から第4姿勢へ回動される。
【0058】
以下に詳述する。
図3に示される状態において、トレイ20がプリンタ部11から引き抜かれる、つまり前方へ移動されると、分離傾斜板22の内側面23が給紙ローラ25に当接しないように、給紙アーム26がトレイ20により上方へ回動し、それに伴い、給紙ローラ25も上方へ回動する。よって、給紙部15が第1姿勢から第5姿勢へ回動する。
給紙ローラ25が所定量だけ上方へ回動すると、給紙ローラ25が板状部材75と当接する。
【0059】
この状態において、
図5に示されるように、トレイ20が更に前方へ移動されることによって、給紙ローラ25が更に上方へ回動すると(
図5の矢印30参照)、板状部材75は給紙ローラ25に押されることによって上方へ回動する(
図5の矢印31参照)。また、突起72が回動ガイド部材70の下面に当接する。この状態において、給紙ローラ25が更に上方へ回動すると(
図6の矢印34参照)、回動ガイド部材70は、突起72に押されることによって、給紙部15と一体に上方へ回動する(
図6の矢印35参照)。つまり、本実施形態においては、突起72が、給紙部15の第5姿勢への回動に連動させて回動ガイド部材を第6姿勢へ回動させる本発明の連動部を構成している。
【0060】
上記の回動は、
図6に示されるように、給紙ローラ25が、分離傾斜板の上端と当接するまで継続される。
図6の状態では、給紙部15は第5姿勢をとっており、回動ガイド部材70は第6姿勢をとっている。
【0061】
図6において、給紙部15は実線で第5姿勢の状態が示されている。一方、回動ガイド部材70は破線で第3姿勢の状態が示されている。
図6から明らかなとおり、給紙部15は、回動ガイド部材70を上方へ押すことによって、それまで第5姿勢をとっていた回動ガイド部材70が存在していた領域で第3姿勢をとる。つまり、給紙部15が第5姿勢をとるための領域と、回動ガイド部材70が第3姿勢をとるための領域とは重なっている。
【0062】
また、
図6に示されるように、第5姿勢の給紙部15の給紙アーム26は、その長手方向(前後方向8)が第6姿勢の回動ガイド部材70のシート搬送面と略平行となるように配置されている。
【0063】
図6の状態において、トレイ20が複合機10から完全に引き抜かれると、給紙部15はトレイ20及び分離傾斜板22によって支持されていない状態となる。すると、
図2の矢印29の方向へ回動付勢されている給紙部15は、下方へ移動される。この際、
図4に示されるように、給紙ローラ25の下面は、それまで存在していたトレイ20のシート載置面の高さよりも更に低い位置である第2姿勢に回動される。
【0064】
[実施形態の効果]
回動ガイド部材70は、トレイ20が複合機10から抜かれると第4姿勢に回動される。これにより、記録部24と回動ガイド部材70の間の空間が大きくなる。したがって、外側ガイド部材18が複合機10に対して開閉可能に構成されることにより、回動ガイド部材70において記録用紙が詰まっても、記録用紙を容易に取り出すことができる。しかし、上記のように回動ガイド部材70が第4姿勢に回動されると、給紙ローラ25へのアクセスは回動ガイド部材70によって阻害される。
【0065】
しかし、上述の実施形態によれば、回動ガイド部材70に孔71が設けられている。そして、回動ガイド部材70が第4姿勢に回動されると、給紙ローラ25の少なくとも一部が孔71を貫通して回動ガイド部材70のシート搬送面より上方へ突出する。これにより、給紙ローラ25へのアクセスが回動ガイド部材70によって阻害されなくなる。したがって、給紙ローラ25の清掃を容易に行うことができる。
【0066】
トレイ20が複合機10に対して挿抜されるとき、給紙部15がトレイ20、分離傾斜板22、またはトレイ20及び分離傾斜板22の双方に当たると、トレイ20の挿抜が適切に実行できない。このような問題を解決するためには、トレイ20の挿抜の際に、給紙部15がトレイ20より上方に退避するように、複合機10が構成されればよい。上述の実施形態においては、給紙部15はトレイ20より上方の第5姿勢に退避することが可能である。しかし、複合機10が上述のように構成された場合、給紙部15を退避させるための空間が、複合機10の内部に必要となる。その結果、複合機10が大型化してしまう。
【0067】
しかし、上述の実施形態においては、トレイ20が複合機10に対して挿抜される過程において、給紙部15が第1姿勢から第5姿勢へ回動されたとき、給紙部15の少なくとも一部が、孔71を貫通して回動ガイド部材70のシート搬送面より上方へ突出する。これにより、給紙部15を退避させるための空間が、回動ガイド部材70のシート搬送面の上方の空間と共用されることが可能となる。したがって、給紙部15の退避領域を確保しつつ、複合機10が小型化できる。
【0068】
給紙ローラ25の表面が回動ガイド部材70と接触すると、給紙ローラ25の表面が傷つくおそれがある。しかし、上述の実施形態においては、突起72によって給紙ローラ25の表面と回動ガイド部材70との接触が防止可能である。また、上述の実施形態においては、突起72が、給紙ローラ25の表面と回動ガイド部材70との接触を防止するストッパとしての役割を果たしつつ、給紙部15の第5姿勢への回動に連動させて回動ガイド部材70を第6姿勢へ回動する。これにより、給紙ローラ25の表面と回動ガイド部材70との接触を防止する機構が、給紙部15の回動に連動させて回動ガイド部材70を回動させる機構と別個に設けられる構成に比べて、複合機10内に配置される構成要素を少なくすることができる。その結果、複合機10が小型化できる。
【0069】
上述の実施形態においては、給紙アーム26の長手方向と回動ガイド部材70のシート搬送面とが平行とされている。これにより、給紙アーム26と回動ガイド部材70の間隔が小さくできる。したがって、複合機10が小型化できる。
【0070】
回動ガイド部材70に孔71が設けられていると、記録用紙が孔71に引っ掛かり詰まるおそれがある。これを防止するためには、記録用紙をシート搬送面上の孔71に誘導されないための部材が回動ガイド部材70に設けられればよい。このような部材としては、例えば孔71の周囲に沿って設けられた凸部がある。しかし、当該凸部が設けられることによって、回動ガイド部材70の厚みが増加する。その結果、複合機10が大型化される。そこで、上述の実施形態においては、記録用紙が反転搬送路67を搬送される状態において、孔71を閉鎖する板状部材75が設けられている。これにより、回動ガイド部材70の厚みを増加させることなく、記録用紙が孔71に引っ掛かり詰まってしまうことが低減可能である。
【0071】
上述の実施形態のように、回動ガイド部材70が第4姿勢に回動されたときに給紙ローラ25の少なくとも一部が貫通される孔と、回動ガイド部材70が第3姿勢に回動されたときに給紙部15の少なくとも一部が貫通される孔とが共用されることによって、回動ガイド部材70に設けられる孔71の個数や面積が減少可能である。これにより、記録用紙が孔71に引っ掛かり詰まってしまうことが低減可能である。
【0072】
トレイ20が複合機10から抜かれると、回動ガイド部材70が第4姿勢に回動される。このとき、回動ガイド部材70は、トレイ20の下方に存在する複合機10の底面を構成する筐体などに接触して大きな音を立てるおそれがある。しかし、上述の実施形態においては、弾性部材76によって、回動ガイド部材70と着地面との接触時の衝撃が緩和される。これにより、回動ガイド部材70が着地面と接触する際の音を小さくできる。
【0073】
[実施形態の変形例1]
上述の実施形態においては、突起72が本発明の連動部である場合について説明したが、連動部は突起72に限らない。例えば、給紙アーム26が連動部であってもよい。この場合、給紙アーム26が回動すると、突起72ではなく給紙アーム26が回動ガイド部材70の下面に当接する。そして、この状態において、給紙部15が更に上方へ回動すると、回動ガイド部材70は、給紙アーム26に押され、給紙部15と一体に上方へ回動する。
【0074】
本実施形態においては、回動ガイド部材70は、第6姿勢をとることによって、自身と記録部24との間に存在する空間に配置される。よって、給紙部15は、それまで回動ガイド部材70が存在していた空間に存在することができる。したがって、給紙部15の退避領域を確保しつつ、複合機10が小型化できる。
【0075】
[実施形態の変形例2]
上述の実施形態においては、反転搬送路67の少なくとも一部を構成する部材として、回動可能な回動ガイド部材70が複合機10に設けられている場合について説明した。しかし、反転搬送路67の少なくとも一部を構成する部材は、回動されない固定の部材であってもよい。例えば、
図7に示されるように、反転搬送路67の下側は回動されない下側ガイド部材33(本発明の請求項10の第2ガイド部材の一例)のみで構成されてもよい。この場合、反転搬送路67は、上側に配置された上側ガイド部材32及び支持部材43と、下側に配置された下側ガイド部材33とによって区画される。
【0076】
このような構成の場合、給紙部15は、給紙ローラ25がトレイ20のシート載置面に当接する第1姿勢(本発明の請求項10の第1姿勢に相当。
図7において破線で示される姿勢)と、シート載置面から離間する第7姿勢(本発明の請求項10の第2姿勢に相当。
図7において実線で示される姿勢)に回動可能である。当該回動は、上述の実施形態における第1姿勢から第5姿勢への回動と同様にして実行される。また、下側ガイド部材33の記録用紙が搬送される面(本発明の請求項10のシート搬送面に相当)には、第7姿勢に回動された給紙部15の少なくとも一部が貫通して下側ガイド部材33の上面より上方へ突出する第3の孔81(本発明の請求項10の第3開口部の一例)が設けられている。
第3の孔81の役割は上述の実施形態における孔71と同様である。
【0077】
例えば、トレイ20が複合機10に対して挿抜されるときに、給紙部15がトレイ20の側板などに当たると、トレイ20の挿抜が適切に実行できない。このような問題を解決するためには、トレイ20の挿抜の際に、給紙部15がトレイ20より上方に退避するように、複合機10が構成されればよい。本実施形態においては、給紙部15はトレイ20より上方の第7姿勢をとることが可能である。しかし、複合機10が上述のように構成された場合、給紙部15を退避させるための空間が、複合機10の内部に必要となる。その結果、複合機10が大型化してしまう。
【0078】
しかし、本実施形態においても上述の実施形態と同様に、給紙部15を退避させるための空間が、下側ガイド部材33のシート搬送面の上方の空間と共用されることが可能となる。したがって、給紙部15の退避領域を確保しつつ、複合機10が小型化できる。
【符号の説明】
【0079】
10:複合機
15:給紙部
20:トレイ
22:分離傾斜板24:記録部
70:回動ガイド部材
71:孔
72:突起
75:板状部材
76:弾性部材