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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182300
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】数値制御装置、工作機械
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/414 20060101AFI20221201BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20221201BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G05B19/414 N
G05B19/18 X
B23Q17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089788
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100143960
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 早百合
(72)【発明者】
【氏名】千賀 敬太
【テーマコード(参考)】
3C029
3C269
【Fターム(参考)】
3C029EE01
3C269BB11
3C269CC01
3C269EF39
3C269MN07
3C269MN21
3C269MN24
3C269MN26
(57)【要約】
【課題】作業者が不用意にケーブルを取外すことを従来の装置よりも抑制した数値制御装置、工作機械を提供すること。
【解決手段】数値制御装置は筐体、基板46、接続機構50、支持板60を備える。筐体は工作機械の動作に関わる電装部材を収容する。電装部材は基板46を有する。接続機構50は接続部51、ロック部52を有する。接続部51は基板46に電力を供給するケーブルと接続する。ロック部52は接続部51に接続したケーブルをロックする。支持板60は筐体の内部に基板46を支持する。ロック部52によるロックを解除するロック解除部は基板46に対し支持板60側に位置する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の動作に関わる電装部材を収容する筐体と、
前記電装部材が有する基板と、
前記基板に電力を供給するケーブルと接続する接続部と、前記接続部に接続した前記ケーブルをロックするロック部とを有し、前記基板に固定した接続機構と
を備える数値制御装置において、
前記筐体の内部に前記基板を支持する支持板を備え、
前記ロック部による前記ケーブルのロックを解除するロック解除部は前記基板に対し前記支持板側に位置することを特徴とする数値制御装置。
【請求項2】
前記ケーブルの取外し方向の前記支持板の端部は、前記取外し方向の前記接続部の端部に対し前記取外し方向にあることを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
【請求項3】
前記基板は前記支持板と平行に配置し、
前記支持板に交差する方向に延び、且つ、前記基板を前記支持板に固定する固定部材を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の数値制御装置。
【請求項4】
前記固定部材は前記基板を取外し可能に前記支持板に固定することを特徴とする請求項3に記載の数値制御装置。
【請求項5】
前記ロック解除部は前記接続部から前記基板に向かう方向に移動して前記ロック部による前記ケーブルのロックを解除することを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の数値制御装置。
【請求項6】
前記ロック部は前記接続機構の内の前記基板と対向する側とは反対側に配置することを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の数値制御装置。
【請求項7】
前記筐体の内部に、前記工作機械の移設を検知する移設検知器と、
前記移設検知器が移設を検知したと判断時、前記工作機械の起動を制限する起動制限部とを更に備え、
前記移設検知器は、前記ロック部がロックする前記ケーブルから前記電力の供給を受けることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の数値制御装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の数値制御装置を備えたことを特徴とする工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は数値制御装置、工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、数値制御装置は工作機械の移設を監視する移設検知器を備える(例えば、特許文献1参照)。数値制御装置は移設検知器を備えており、移設検知器は工作機械の電源オフの期間に装置に加わる振動を検出し記憶する。数値制御装置は電源再投入後に移設検知器が振動を記憶したと判断時、工作機械の起動を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-26477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の数値制御装置では作業者が保守時等に移設検知器に電力を供給するケーブルを誤って取外すことがある。作業者が移設検知器に電力を供給するケーブルを取外すと、移設検知器の補助電池に電源が供給されなくなる。その状態が継続すると補助電池は電池切れを発生する。その後、ケーブルを再度接続した時、数値制御装置は移設検知器が振動を記憶したと判断した時と同様に、工作機械の起動を制限する。これは移設検知器が電池切れを発生した時、移設の検知を正確に検知できないので、工作機械は強制的に起動を制限する為である。故に、作業者は工作機械を起動する為に起動制限を解除する必要があり手間である。
【0005】
本発明の目的は作業者が不用意にケーブルを取外すことを従来の装置よりも抑制した数値制御装置、工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1の数値制御装置は工作機械の動作に関わる電装部材を収容する筐体と、前記電装部材が有する基板と、前記基板に電力を供給するケーブルと接続する接続部と、前記接続部に接続した前記ケーブルをロックするロック部とを有し、前記基板に固定した接続機構とを備える数値制御装置において、前記筐体の内部に前記基板を支持する支持板を備え、前記ロック部による前記ケーブルのロックを解除するロック解除部は前記基板に対し前記支持板側に位置する。数値制御装置のロック解除部はロック解除部を基板に対し支持板側とは反対側に配置した装置のロック解除部よりも作業者が操作しにくい。故に数値制御装置は作業者が不用意にケーブルを取外すことを従来の装置よりも抑制できる。
【0007】
本発明の請求項2の数値制御装置の前記ケーブルの取外し方向の前記支持板の端部は、前記取外し方向の前記接続部の端部に対し前記取外し方向にある。数値制御装置のロック解除部は取外し方向の支持板の端部が取外し方向の接続部の端部に対し取外し方向にない装置のロック解除部よりも作業者が操作しにくい。数値制御装置は作業者が不用意にケーブルを取外すことを抑制できる。
【0008】
本発明の請求項3の数値制御装置の前記基板は前記支持板と平行に配置し、前記支持板に交差する方向に延び、且つ、前記基板を前記支持板に固定する固定部材を更に備える。数値制御装置では作業者がロック解除部を操作するには基板と支持板の間に指又は操作部材を配置する必要があり煩雑である。故に数値制御装置は基板が支持板と平行ではない装置よりも作業者が不用意にケーブルを取外すことを抑制できる。
【0009】
本発明の請求項4の数値制御装置の前記固定部材は前記基板を取外し可能に前記支持板に固定する。数値制御装置では作業者は基板を支持板から取外すことでロック解除部を操作できる。故に数値制御装置は支持板が基板を支持した状態でロック解除部を操作する必要がある装置よりも支持板と基板の間隔を短くでき、作業者が不用意にケーブルを取外すことを抑制できる。
【0010】
本発明の請求項5の数値制御装置の前記ロック解除部は前記接続部から前記基板に向かう方向に移動して前記ロック部による前記ケーブルのロックを解除する。数値制御装置では作業者は支持板が基板を支持した状態でロック解除部を接続機構から基板に向かう方向に操作しにくい。故に数値制御装置は作業者が不用意にケーブルを取外すことを抑制できる。
【0011】
本発明の請求項6の数値制御装置の前記ロック部は前記接続機構の内の前記基板と対向する側とは反対側に配置する。数値制御装置はロック部が接続機構の内の基板と対向する側とは反対側以外に配置する装置よりも、ロック部により接続部に接続したケーブルをロックする操作がしやすい。
【0012】
本発明の請求項7の数値制御装置は前記筐体の内部に、前記工作機械の移設を検知する移設検知器と、前記移設検知器が移設を検知したと判断時、前記工作機械の起動を制限する起動制限部とを更に備え、前記移設検知器は、前記ロック部がロックする前記ケーブルから前記電力の供給を受ける。数値制御装置は作業者が不用意にケーブルを取外すことに因り工作機械の起動を制限することを従来の装置よりも抑制できる。
【0013】
本発明の請求項8の工作機械は請求項1~7の何れかに記載の数値制御装置を備える。工作機械は作業者が不用意にケーブルを取外すことを従来の装置よりも抑制できる。工作機械は作業者が不用意にケーブルを取外すことに因り工作機械の機能が影響を受けることを従来の装置よりも抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】工作機械1の斜視図。
図2】数値制御装置6の斜視図。
図3】筐体10の扉11を開いた状態の数値制御装置6の背面図。
図4】支持板60と移設検知器40の斜視図。
図5】接続機構50にケーブル90を接続した状態と、接続機構50からケーブル90を取外した状態の正面図。
図6】支持板60と移設検知器40の底面図。
図7】支持板60と移設検知器40の左側面図。
図8図3のC-C線における矢視方向断面図。
図9】工作機械1の電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照し、工作機械1の構成を説明する。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。工作機械1の左右方向、前後方向、上下方向は夫々工作機械1のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向である。
【0016】
工作機械1は工場床面9に設置する。工作機械1は基台部2、機械本体3、保護カバー5、操作パネル7、数値制御装置6等を備える。基台部2は工作機械1の土台である。機械本体3は基台部2上部に設け、図示しない主軸機構、テーブル移動機構を備える。主軸機構は工具を装着した主軸を回転し且つZ軸方向に移動できる。テーブル移動機構はテーブル(図示略)をX軸方向とY軸方向に移動できる。テーブルの上面は被加工物を支持する。工作機械1は主軸機構とテーブル移動機構の各軸移動を制御する。故に工作機械1は被加工物と工具を相対移動して被加工物を切削できる。保護カバー5は基台部2上に設け、機械本体3の周囲を覆う。保護カバー5は切粉と切削液が周囲に飛散するのを防ぐ。操作パネル7は保護カバー5の前面右側に設け、表示部71と操作部72を備える。表示部71は各種画面を表示し、操作部72は各種入力、設定等を行う。工作機械1は工具交換装置を備えてもよい。工具交換装置は複数の工具を保持し且つ主軸に装着した工具と他の工具を自動で交換する。数値制御装置6は保護カバー5背面に固定する。
【0017】
図2の如く、数値制御装置6は直方体状の筐体10を備える。筐体10は扉11、左壁12、右壁13、上壁14、下壁15、前壁16を備える。筐体10は前壁16外面を機械本体3後部に取付ける。扉11は筐体10背面に開閉可能に設ける。
【0018】
図3の如く、扉11を開くと、筐体10の内側が露出する。筐体10は工作機械1の動作に関わる電装部材38、支持板60等を収容する。電装部材38はNCユニット、移設検知器40を有する。NCユニットはNCプログラムを実行することで機械本体3の動作を制御する。NCプログラムは各種制御指令を含む複数ブロックで構成し、機械本体3の軸移動、工具交換等を含む各種動作をブロック単位で制御する。移設検知器40は工作機械1に生じる振動を検知し、工作機械1の移設を検知する。板部材49は平面視前方が解放する溝状であり、移設検知器40の右方、後方、左方を囲んだ状態で、螺子で支持板60に固定する。NCユニットと移設検知器40は互いに通信できる。移設検知器40が工作機械1の移設を検知時、数値制御装置6のNCユニットは機械本体3の動作を制限する。作業者は機械本体3を使用できず、工作機械製造業者に動作制限の解除を依頼する。工作機械製造業者は作業者の依頼に基づき、機械本体3の動作制限を解除する解除キーを作業者に配布する。作業者は該解除キーを用いて動作制限を解除する。移設検知器40は前壁16と平行な姿勢で支持板60に固定する。支持板60は筐体10上部にて、左壁12から右壁13迄延びる。
【0019】
図4図5を用いて接続機構50を説明する。数値制御装置6は筐体10の内部に支持板60、移設検知器40の基板46、四本の固定部材48、接続機構50を備える。支持板60は前壁16と平行に延びる、左右方向に長い板状である。支持板60は支持板60上右部に背面視矩形状の切欠き65を形成する。支持板60は下壁61、後壁62、上壁63、64を備える。下壁61は後壁62の下端から前方に延びる。上壁63、64は後壁62の上端から前方に延びる。基板46は支持板60と平行に配置する。基板46は背面視矩形状である。四本の固定部材48は支持板60に交差する方向、即ち前後方向に延びる六角柱状である。四本の固定部材48は基板46を取外し可能に支持板60に固定する。基板46の四隅は四本の固定部材48を介して支持板60に螺子41で固定する。基板46は固定部材48の前後方向の長さに応じた距離、支持板60から離隔する。
【0020】
接続機構50は基板46に電力を供給するケーブル90と接続する接続部51、接続部51に接続したケーブル90をロックするロック部52を備える。接続機構50は基板46の前面42に固定する。接続機構50は基板46と支持板60の間に位置する。接続機構50に接続するケーブル90は基板46に対し平行な方向に延びる。接続部51は接続機構50の下端部56から上方に凹んだ凹部である。接続部51は接続部51の上端から下方に延びる複数のピン54を備える。複数のピン54は対応する複数のピン55と接続する。複数のピン55は前後方向に延び、基板46を前後に貫通する。ロック部52は接続機構50の前面53に設けた左右一対の孔である。ロック部52は接続機構50の内の基板46と対向する側とは反対側、即ち前側に配置する。ロック部52の一対の孔は背面視矩形状であり、前面53を前後方向に貫通する。
【0021】
図5の如く、ケーブル90側のコネクタ91はロック部52のロックを解除するロック解除部93を備える。コネクタ91はケーブル90の先端に固定し、接続機構50の接続部51と嵌合できる。ロック部52がケーブル90をロック時、ロック解除部93は基板46に対し支持板60側に位置する。ロック部52がケーブル90をロック時、ロック解除部93の下端部は接続部51の下端部56よりも下方に位置する。ロック解除部93はコネクタ91の前面に設ける。ロック解除部93は樹脂で形成し、作業者の操作に応じて前後方向に沿って弾性変位する。ロック解除部93の前面は前方に突出する一対の係止部92を備える。コネクタ91が接続機構50の接続部51に嵌合時、ロック部52は係止部92に係止して接続部51に接続したケーブル90をロックする。ロック解除部93は接続機構50から基板46に向かう方向、即ち後方に移動してロック部52によるケーブル90のロックを解除する。
【0022】
図6の如く、接続機構50の前面53と支持板60の後壁62の距離D1は基板46の前面42と接続機構50の前面53の距離D2よりも小さい。距離D1は1cmよりも短く、好ましくは0.5mm~6mmの間であり、更に好ましくは1mm~5mmの間である。ロック部52によるケーブル90のロックを解除時、作業者は接続機構50の前面53と支持板60の後壁62の間に指又は操作部材を配置し操作する必要があるが、距離D1は指又は操作部材を配置するのに十分な間隔ではない。即ち距離D1は指又は操作部材を配置不能な長さである。故に作業者は板部材49を支持板60から取外し、四つの螺子41の締結を解除して基板46を支持板60から取外し後、ロック解除部93を基板46側、即ち後方に移動し、一対の係止部92をロック部52から外してロックを解除する。ケーブル90の接続方向は上方であり、取外し方向は下方である。
【0023】
図7の如く、ケーブル90の取外し方向における、支持板60の端部67は接続部51の端部56に対し下方にある。接続部51の下端部56と支持板60の下端部67の距離D3は距離D1、D2よりも長い。距離D3は距離D1、D2の和、即ち支持板60と基板46の前後方向の間隔よりも長い。距離D3は基板46の上下方向の長さよりも短い。
【0024】
図8の如く、筐体10は右壁13下方に電池95を取外し可能に収容する。電池95はケーブル90、接続機構50を介して移設検知器40に電力を供給する。移設検知器40は接続機構50のロック部52がロックするケーブル90から電力の供給を受ける。
【0025】
図9を参照し、数値制御装置6の電気的構成を説明する。数値制御装置6はCPU21、ROM22、RAM23、記憶装置24、タイマ29、機械用I/F部25、AC/DC変換機26、移設用I/F部27、移設検知器40等を備える。CPU21は数値制御装置6の動作を統括制御する。RAM23は各種情報を一時的に記憶する。RAM23は移設検知フラグを記憶する記憶領域を含む。移設検知器40が工作機械1の移設を検知時又は電池95の電池切れ時、移設検知フラグは1になる。移設検知器40が工作機械1の移設を検知せず、且つ電池95の電池切れが未発生時、移設検知フラグは0になる。ROM22は動作制限プログラム、解除プログラム、電池検査プログラム等を記憶する。記憶装置24は不揮発性であり、NCプログラムの他、各種情報を記憶する。CPU21は作業者が操作部72を介して入力したNCプログラムに加え、外部入力で読み込んだNCプログラム等を記憶装置24に記憶できる。タイマ29は各種時間を計時する。
【0026】
機械用I/F部25は機械本体3の駆動部、表示部71、操作部72に接続する。CPU21は機械用I/F部25を介して駆動部を駆動制御し、機械本体3の加工動作を制御する。CPU21は機械用I/F部25を介して表示部71に各種情報を表示する。CPU21は操作部72に入力の各種情報を、機械用I/F部25を介して受付ける。AC/DC変換機26は工作機械1の外部に設けた交流電源28に接続する。交流電源28はAC/DC変換機26に交流の電力を供給する。AC/DC変換機26は交流電源28の供給電力を直流の電力に変換する。AC/DC変換機26は交流電源28の他、移設検知器40の後述のI/F部35に接続する。
【0027】
移設検知器40はCPU31、記憶装置32、振動検知器33、装着部36、I/F部35等を備える。CPU31は移設検知器40の動作を統括制御する。記憶装置32は不揮発性である。記憶装置32は振動検知器33の検知結果を例えばフラグ等で記憶する。移設検知器40は振動検知器33を用いて工作機械1の移設を検知する。振動検知器33は工作機械1で生じる振動を検知する。移設を検知する方法は振動を検知する方法以外の方法でもよく、例えば加速度、傾斜等を検知する方法でもよい。装着部36は接続機構50と電気的に接続する。
【0028】
I/F部35は数値制御装置6の移設用I/F部27とAC/DC変換機26に接続する。操作部72の電源スイッチがオン時、AC/DC変換機26は直流に変換した電力の一部をI/F部35に供給する。該時、移設検知器40はAC/DC変換機26の供給電力で動作する。操作部72の電源スイッチがオフ時、AC/DC変換機26はI/F部35への電力供給を遮断する。該時、移設検知器40は接続機構50を介して接続した電池95の供給電力で動作する。
【0029】
移設検知器40の動作を説明する。移設検知器40のCPU31は振動検知器33が機械本体3の振動を検知したか否かを所定周期で監視する。例えば不審者が工場内から機械本体3を不正に移設時、振動は機械本体3で生ずる。振動検知器33は機械本体3で生じた振動を検知する。CPU31は振動検知器33の検知結果を記憶装置32に記憶する。CPU31は検知電圧を所定周期で取得する。検知電圧は電圧検知部37が検知した電位差である。CPU31は数値制御装置6から後述の確認信号を受信する。CPU31は応答信号を数値制御装置6に送信する。応答信号は振動検知器33の検知結果、取得した検知電圧に基づく各種判定結果を示す情報を含む。移設検知器40はAC/DC変換機26の供給電力又は電池95の供給電力で、上記動作を行う。CPU21は移設検知器40から受信した応答信号に基づき移設検知器40が移設を検知したと判断時、工作機械1の起動を制限する。
【0030】
上記実施形態において、工作機械1、数値制御装置6、筐体10、移設検知器40、基板46、固定部材48、接続機構50、接続部51、ロック部52、ロック解除部93、支持板60は本発明の工作機械、数値制御装置、筐体、移設検知器、基板、固定部材、接続機構、接続部、ロック部、ロック解除部、支持板の一例である。CPU21は本発明の起動制限部の一例である。
【0031】
上記実施形態の工作機械1は筐体10、基板46、接続機構50、支持板60を有する数値制御装置6を備える。筐体10は工作機械1の動作に関わる電装部材38を収容する。電装部材38は基板46を有する。接続機構50は接続部51、ロック部52を有する。接続部51は基板46に電力を供給するケーブル90と接続する。ロック解除部93はロック部52のロックを解除する。支持板60は筐体10の内部に基板46を支持する。ロック部52によるロックを解除するロック解除部93は基板46に対し支持板60側に位置する。数値制御装置6のロック解除部93はロック解除部93を基板46に対し支持板60側とは反対側に配置した装置のロック解除部93よりも作業者が操作しにくい。故に数値制御装置6は作業者が不用意にケーブル90を取外すことを従来の装置よりも抑制できる。工作機械1は作業者が不用意にケーブル90を取外すことに因り工作機械1の機能が影響を受けることを従来の装置よりも抑制できる。
【0032】
ケーブル90の取外し方向の支持板60の端部67は取外し方向の接続部51の端部56に対し取外し方向にある。数値制御装置6のロック解除部93は取外し方向の支持板60の端部67が取外し方向の接続部51の端部56に対し取外し方向にない装置のロック解除部93よりも作業者が操作しにくく、作業者が不用意にケーブル90を取外すことを抑制できる。
【0033】
基板46は支持板60と平行に配置する。工作機械1の数値制御装置6は支持板60に交差する方向に延び、且つ、基板46を支持板60に固定する固定部材48を備える。数値制御装置6では作業者がロック解除部93を操作するには基板46と支持板60の間に指又は操作部材を配置する必要があり煩雑である。故に数値制御装置6は基板46が支持板60と平行ではない装置よりも作業者が不用意にケーブル90を取外すことを抑制できる。
【0034】
数値制御装置6の四本の固定部材48は基板46を取外し可能に支持板60に固定する。数値制御装置6では作業者は基板46を支持板60から取外すことでロック解除部93を操作できる。故に数値制御装置6は支持板60が基板46を支持した状態でロック解除部93を操作する必要がある装置よりも支持板60と基板46の間隔を短くでき、作業者が不用意にケーブル90を取外すことを抑制できる。
【0035】
数値制御装置6のロック解除部93は接続機構50から基板46に向かう方向に移動してケーブル90のロックを解除する。数値制御装置6では作業者は支持板60が基板46を支持した状態でロック解除部93を接続機構50から基板46に向かう方向に操作しにくい。故に数値制御装置6は作業者が不用意にケーブル90を取外すことを抑制できる。
【0036】
数値制御装置6のロック部52は接続機構50の内の基板46と対向する側とは反対側に配置する。数値制御装置6はロック部52が接続機構50の内の基板46と対向する側等の基板46と対向する側とは反対側以外に配置する装置よりも、ロック部52により接続部51に接続したケーブル90をロックする操作がしやすい。
【0037】
数値制御装置6は筐体10の内部に、工作機械1の移設を検知する移設検知器40と、移設検知器40が移設を検知したと判断時、工作機械1の起動を制限するCPU21を備え、移設検知器40はロック部52がロックするケーブル90から電力の供給を受ける。数値制御装置6は作業者が不用意にケーブル90を取外すことに因り工作機械1の起動を制限することを従来の装置よりも抑制できる。
【0038】
本発明の数値制御装置、工作機械は上記実施形態の他に種々変更できる。数値制御装置6は工作機械1とは別の装置でもよい。工作機械1の構成は適宜変更してよい。テーブル移動機構はテーブルをX軸方向とY軸方向の何れかに移動できてもよい。接続機構50の構成は適宜変更してよく、例えば、接続機構50に接続するケーブル90が基板46に対し垂直な方向に延びるストレートタイプのコネクタであってもよい。ロック部52、ロック解除部93の構成、ロック方法、ロック解除方法は適宜変更してよく、例えば、ロック解除部93は接続部51と一体に形成し、ケーブル90のコネクタ91には設けなくてもよい。ロック部52は凸部状の係止部と、孔等の凹部の組合せの他、螺子と螺子孔等の他の構成でケーブル90をロックしてもよい。数値制御装置6は接続機構50の内の基板46と対向する側等の基板46と対向する側とは反対側以外にロック部52を配置してもよい。
【0039】
固定部材48の数、形状、配置は適宜変更してよい。四本の固定部材48は基板46を取外し不能に支持板60に固定してもよい。距離D1、D2、D3は適宜変更してよい。距離D1は距離D2よりも長くてもよい。基板46は支持板60に対し垂直に配置してもよい。筐体10内の支持板60の配置は適宜変更してよく、例えば、支持板60は水平に配置してもよい。数値制御装置6は移設検知器40の基板46に替えて、タイマ29等の時計の基板に接続機構50を固定し、移設検知器40に替えて時計が、ロック部52がロックするケーブル90から電力の供給を受けてもよい。該時、数値制御装置6は時計に電力を供給するケーブル90を作業者が不用意に取外すことを抑制できるので、時計の駆動が意図せず停止した時の不具合を回避できる。
【符号の説明】
【0040】
1 :工作機械
6 :数値制御装置
10 :筐体
21 :CPU
40 :移設検知器
46 :基板
48 :固定部材
50 :接続機構
51 :接続部
52 :ロック部
60 :支持板
93 :ロック解除部
図1
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