(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182486
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】通信装置及び通信装置のためのコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20221201BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20221201BHJP
H04W 12/0431 20210101ALI20221201BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W84/12
H04W12/0431
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090072
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 瞬
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA34
5K067AA35
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE22
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】通信装置とアクセスポイントとの間に無線接続を確立させるための新規な技術を提供すること。
【解決手段】第1の通信装置は、第2の通信装置から受信された第1の接続情報を記憶済みのメモリと、アクセスポイントの公開鍵を取得する公開鍵取得部と、第2の通信装置との第2の無線接続を確立する第1の確立部と、第2の無線接続を利用して、取得済みの公開鍵を第2の通信装置に送信する公開鍵送信部であって、公開鍵が前記第2の通信装置によって受信されることに応じて、第2の接続情報が第2の通信装置からアクセスポイントに送信される、公開鍵送信部と、公開鍵が第2の通信装置に送信された後に、メモリ内の第1の接続情報を利用して、第2の通信装置から第2の接続情報を受信済みであるアクセスポイントとの第1の無線接続を確立する第2の確立部と、を備えてもよい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信装置であって、
Wi-Fi方式に従った無線通信を実行するための通信インターフェースと、
前記第1の通信装置とは異なる第2の通信装置から受信された第1の接続情報を記憶済みのメモリであって、前記第1の接続情報は、前記第1の通信装置とアクセスポイントとの間に前記Wi-Fi方式の所定のプロトコルに従った第1の無線接続を確立するために、前記第1の通信装置によって利用される情報である、前記メモリと、
前記アクセスポイントの公開鍵を取得する公開鍵取得部と、
前記通信インターフェースを介して、前記第2の通信装置との第2の無線接続を確立する第1の確立部と、
前記第2の無線接続を利用して、前記通信インターフェースを介して、取得済みの前記公開鍵を前記第2の通信装置に送信する公開鍵送信部であって、前記公開鍵が前記第2の通信装置によって受信されることに応じて、前記第1の接続情報とは異なる第2の接続情報が前記第2の通信装置から前記アクセスポイントに送信され、前記第2の接続情報は、前記第1の通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記所定のプロトコルに従った前記第1の無線接続を確立するために、前記アクセスポイントによって利用される情報である、前記公開鍵送信部と、
前記公開鍵が前記第2の通信装置に送信された後に、前記メモリ内の前記第1の接続情報を利用して、前記第2の通信装置から前記第2の接続情報を受信済みである前記アクセスポイントとの前記第1の無線接続を確立する第2の確立部と、
を備える、第1の通信装置。
【請求項2】
前記第1の通信装置は、さらに、
前記第1の通信装置の電源がONされる場合に、前記通信インターフェースを介して、確立要求を繰り返し送信する確立要求送信部を備え、
前記第2の確立部は、前記公開鍵が前記第2の通信装置に送信された後に、前記アクセスポイントが前記第2の通信装置から前記第2の接続情報を受信済みであることに起因して、前記アクセスポイントから前記確立要求に対する確立応答が受信される場合に、前記アクセスポイントとの前記第1の無線接続を確立する、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項3】
前記メモリは、さらに、前記第2の通信装置から受信された第1の装置識別情報であって、前記第2の通信装置を識別する前記第1の装置識別情報を記憶済みであり、
前記第1の確立部は、前記メモリ内の前記第1の装置識別情報を利用して、前記第2の通信装置との前記第2の無線接続を確立する、請求項1又は2に記載の第1の通信装置。
【請求項4】
前記第1の通信装置は、さらに、
前記メモリ内の前記第1の装置識別情報を利用して、前記通信インターフェースを介して、前記第2の通信装置を検索する検索部を備え、
前記第1の確立部は、前記検索によって前記第2の通信装置が見つかる場合に、前記第2の通信装置との前記第2の無線接続を確立する、請求項3に記載の第1の通信装置。
【請求項5】
前記メモリは、さらに、前記第2の通信装置から受信された第2の装置識別情報であって、前記第2の通信装置を識別する前記第2の装置識別情報を記憶済みであり、
前記第1の通信装置は、さらに、
出力部と、
前記第2の装置識別情報を前記出力部に出力させる第1の出力制御部と、
を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の第1の通信装置。
【請求項6】
前記第1の通信装置は、さらに、
前記第2の通信装置との前記第2の無線接続が確立される前に、前記第2の無線接続を確立するために、前記通信インターフェースを介して、前記第2の通信装置を検索する検索部を備え、
前記第1の出力制御部は、前記検索によって前記第2の通信装置が見つからない場合に、前記第2の装置識別情報を含む第1の案内情報を前記出力部に出力させ、
前記第1の案内情報は、前記第2の装置識別情報によって識別される前記第2の通信装置に対して第1の所定操作を実行すべきことを案内する情報であり、
前記第1の所定操作は、前記第2の通信装置が前記アクセスポイントの前記公開鍵を取得するための操作である、請求項5に記載の第1の通信装置。
【請求項7】
前記第1の出力制御部は、さらに、前記アクセスポイントとの前記第1の無線接続が確立される場合に、前記第2の装置識別情報を含む第2の案内情報を前記出力部に出力させ、
前記第2の案内情報は、前記第2の装置識別情報によって識別される前記第2の通信装置に対して第2の所定操作を実行すべきことを案内する情報であり、
前記第2の所定操作は、前記第2の通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記Wi-Fi方式に従った第3の無線接続を確立させるための操作である、請求項5又は6に記載の第1の通信装置。
【請求項8】
前記第1の通信装置は、さらに、スキャン実行部を備え、
前記公開鍵取得部は、前記公開鍵を用いて得られるコード情報が前記スキャン実行部によってスキャンされることによって取得されるスキャンデータを利用して、前記コード情報をデコードすることによって、前記公開鍵を取得する、請求項1から7のいずれか一項に記載の第1の通信装置。
【請求項9】
前記第1の通信装置は、さらに、
前記第1の通信装置の電源がONされる際に、前記第1の通信装置の動作状態を第1の状態に移行させる第1の状態移行部であって、前記第1の状態は、前記スキャン実行部が前記コード情報をスキャンすることに応じて前記コード情報をデコードする状態である、前記第1の状態移行部と、
前記アクセスポイントとの前記第1の無線接続が確立される場合に、前記第1の通信装置の動作状態を前記第1の状態から第2の状態に移行させる第2の状態移行部であって、前記第2の状態は、前記スキャン実行部が前記コード情報をスキャンすることに応じて前記コード情報をデコードしない状態である、前記第2の状態移行部と、
を備える、請求項8に記載の第1の通信装置。
【請求項10】
前記第1の通信装置は、さらに、
前記第1の通信装置の電源がONされた後に、前記公開鍵が取得されることなく、所定時間が経過する場合に、前記第1の通信装置の動作状態を前記第1の状態から前記第2の状態に移行させる第3の状態移行部を備える、請求項9に記載の第1の通信装置。
【請求項11】
前記第1の通信装置は、さらに、
出力部と、
前記第1の通信装置の電源がONされる際に、手法情報に関連する所定情報を前記出力部に出力させる第2の出力制御部であって、前記手法情報は、前記公開鍵を取得する処理を前記第1の通信装置に実行させるための手法を示す情報である、前記第2の出力制御部と、を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の第1の通信装置。
【請求項12】
前記出力部は、表示部であり、
前記第2の出力制御部は、前記所定情報を前記出力部である前記表示部に表示させる、請求項11に記載の第1の通信装置。
【請求項13】
前記第1の通信装置は、さらに、
印刷実行部と、
前記所定情報が表示された後に、第3の所定操作が受け付けられる場合に、前記手法情報を前記印刷実行部に印刷させる印刷制御部と、を備える、請求項12に記載の第1の通信装置。
【請求項14】
前記第1の通信装置は、さらに、
前記所定情報が表示された後に、前記第3の所定操作が受け付けられる場合に、前記所定情報の表示を終了する第1の表示終了部を備える、請求項13に記載の第1の通信装置。
【請求項15】
前記第1の通信装置は、さらに、
前記第1の通信装置の電源がONされた後に、前記公開鍵が取得されることなく、所定時間が経過する場合に、前記所定情報の表示を終了する第2の表示終了部を備える、請求項12から14のいずれか一項に記載の第1の通信装置。
【請求項16】
前記所定のプロトコルはDPP(Device Provisioning Protocolの略)であり、
前記第1の通信装置は、前記DPPのEnrolleeとして動作し、
前記第2の通信装置は、前記DPPのConfiguratorとして動作する、請求項1から15のいずれか一項に記載の第1の通信装置。
【請求項17】
第2の通信装置であって
Wi-Fi方式に従った無線通信を実行するための通信インターフェースと、
第1の接続情報を前記第2の通信装置とは異なる第1の通信装置に送信済みであることを示す情報を記憶済みのメモリであって、前記第1の接続情報は、前記第1の通信装置とアクセスポイントとの間に前記Wi-Fi方式の所定のプロトコルに従った第1の無線接続を確立するために、前記第1の通信装置によって利用される情報である、前記メモリと、
前記通信インターフェースを介して、前記第1の通信装置との第2の無線接続を確立する第1の確立部と、
前記第2の無線接続を利用して、前記通信インターフェースを介して、前記第1の通信装置から前記アクセスポイントの公開鍵を受信する公開鍵受信部と、
前記第1の通信装置から前記公開鍵が受信される場合に、前記公開鍵を利用して、第2の接続情報を前記アクセスポイントに送信する接続情報送信部であって、前記第2の接続情報は、前記第1の通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記第1の無線接続を確立するために、前記アクセスポイントによって利用される情報である、前記接続情報送信部と、
を備える、第2の通信装置。
【請求項18】
前記第2の通信装置は、さらに、
前記第2の接続情報が前記アクセスポイントに送信された後に、前記通信インターフェースを介して、前記第2の通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記Wi-Fi方式に従った第3の無線接続を確立する第2の確立部を備える、請求項17に記載の第2の通信装置。
【請求項19】
前記第2の通信装置は、さらに
前記第1の通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記第1の無線接続が確立される場合に、前記通信インターフェースを介して、前記第1の通信装置から、前記アクセスポイントを識別するアクセスポイント識別情報を受信するアクセスポイント識別情報受信部を備え、
前記第2の確立部は、受信済みの前記アクセスポイント識別情報を利用して、前記第2の通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記第3の無線接続を確立する、請求項18に記載の第2の通信装置。
【請求項20】
第1の通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記第1の通信装置は、
Wi-Fi方式に従った無線通信を実行するための通信インターフェースと、
前記第1の通信装置とは異なる第2の通信装置から受信された第1の接続情報を記憶済みのメモリであって、前記第1の接続情報は、前記第1の通信装置とアクセスポイントとの間に前記Wi-Fi方式の所定のプロトコルに従った第1の無線接続を確立するために、前記第1の通信装置によって利用される情報である、前記メモリと、
コンピュータと、を備え、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、以下の各部、即ち、
前記アクセスポイントの公開鍵を取得する公開鍵取得部と、
前記通信インターフェースを介して、前記第2の通信装置との第2の無線接続を確立する第1の確立部と、
前記第2の無線接続を利用して、前記通信インターフェースを介して、取得済みの前記公開鍵を前記第2の通信装置に送信する公開鍵送信部であって、前記公開鍵が前記第2の通信装置によって受信されることに応じて、前記第1の接続情報とは異なる第2の接続情報が前記第2の通信装置から前記アクセスポイントに送信され、前記第2の接続情報は、前記第1の通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記所定のプロトコルに従った前記第1の無線接続を確立するために、前記アクセスポイントによって利用される情報である、前記公開鍵送信部と、
前記公開鍵が前記第2の通信装置に送信された後に、前記メモリ内の前記第1の接続情報を利用して、前記第2の通信装置から前記第2の接続情報を受信済みである前記アクセスポイントとの前記第1の無線接続を確立する第2の確立部と、
として機能させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、通信装置とアクセスポイントとの間に無線接続を確立させるための技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、DPP(Device Provisioning Protocolの略)を利用して、複数のカメラが所属する無線ネットワークを構築する技術が開示されている。この技術では、DPP方式のConfiguratorとして動作する第1のカメラは、アクセスポイントとして動作する第2のカメラと、DPP方式のEnrolleeとして動作する第3のカメラと、のそれぞれとDPP方式の通信を実行し、第2のカメラと第3のカメラの間に無線接続を確立させる。その後、第1のカメラと第2のカメラとの間に無線接続が確立される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「Device Provisioning Protocol Specification Version 1.1.13」 Wi-Fi Alliance, 2019年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書では、通信装置とアクセスポイントとの間に無線接続を確立させるための新規な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、第1の通信装置を開示する。第1の通信装置は、Wi-Fi方式に従った無線通信を実行するための通信インターフェースと、前記第1の通信装置とは異なる第2の通信装置から受信された第1の接続情報を記憶済みのメモリであって、前記第1の接続情報は、前記第1の通信装置とアクセスポイントとの間に前記Wi-Fi方式の所定のプロトコルに従った第1の無線接続を確立するために、前記第1の通信装置によって利用される情報である、前記メモリと、前記アクセスポイントの公開鍵を取得する公開鍵取得部と、前記通信インターフェースを介して、前記第2の通信装置との第2の無線接続を確立する第1の確立部と、前記第2の無線接続を利用して、前記通信インターフェースを介して、取得済みの前記公開鍵を前記第2の通信装置に送信する公開鍵送信部であって、前記公開鍵が前記第2の通信装置によって受信されることに応じて、前記第1の接続情報とは異なる第2の接続情報が前記第2の通信装置から前記アクセスポイントに送信され、前記第2の接続情報は、前記第1の通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記所定のプロトコルに従った前記第1の無線接続を確立するために、前記アクセスポイントによって利用される情報である、前記公開鍵送信部と、前記公開鍵が前記第2の通信装置に送信された後に、前記メモリ内の前記第1の接続情報を利用して、前記第2の通信装置から前記第2の接続情報を受信済みである前記アクセスポイントとの前記第1の無線接続を確立する第2の確立部と、を備えてもよい。
【0007】
上記の構成によると、第1の接続情報を記憶済みの第1の通信装置は、アクセスポイントの公開鍵を取得し、第2の通信装置との第2の無線接続を利用して、公開鍵を第2の通信装置に送信する。この結果、第2の通信装置は、公開鍵を利用して第2の接続情報をアクセスポイントに送信することができる。このために、第1の通信装置が第1の接続情報を利用し、かつ、アクセスポイントが第2の接続情報を利用することによって、第1の通信装置とアクセスポイントとの間に第1の無線接続を確立することができる。
【0008】
本明細書は、第2の通信装置も開示する。第2の通信装置は、Wi-Fi方式に従った無線通信を実行するための通信インターフェースと、第1の接続情報を前記第2の通信装置とは異なる第1の通信装置に送信済みであることを示す情報を記憶済みのメモリであって、前記第1の接続情報は、前記第1の通信装置とアクセスポイントとの間に前記Wi-Fi方式の所定のプロトコルに従った第1の無線接続を確立するために、前記第1の通信装置によって利用される情報である、前記メモリと、前記通信インターフェースを介して、前記第1の通信装置との第2の無線接続を確立する第1の確立部と、前記第2の無線接続を利用して、前記通信インターフェースを介して、前記第1の通信装置から前記アクセスポイントの公開鍵を受信する公開鍵受信部と、前記第1の通信装置から前記公開鍵が受信される場合に、前記公開鍵を利用して、第2の接続情報を前記アクセスポイントに送信する接続情報送信部であって、前記第2の接続情報は、前記第1の通信装置と前記アクセスポイントとの間に前記第1の無線接続を確立するために、前記アクセスポイントによって利用される情報である、前記接続情報送信部と、を備えてもよい。
【0009】
上記の構成によると、第1の接続情報を第1の通信装置に送信済みの第2の通信装置は、第1の通信装置との第2の無線接続を利用して、第1の通信装置からアクセスポイントの公開鍵を取得する。この結果、第2の通信装置は、受信済みの公開鍵を利用して第2の接続情報をアクセスポイントに送信することができる。このために、第1の通信装置が第1の接続情報を利用し、かつ、アクセスポイントが第2の接続情報を利用することによって、第1の通信装置とアクセスポイントとの間に第1の無線接続を確立することができる。
【0010】
第1の通信装置のためのコンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読記録媒体も新規で有用である。第2の通信装置のためのコンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読記録媒体も新規で有用である。第1の通信装置によって実行される方法、及び、第2の通信装置によって実行される方法も新規で有用である。また、第1の通信装置と第2の通信装置とを備える通信システムも新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】出荷工場で実行される処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本実施例の概略;
図1)
図1を参照して、本実施例の概略を説明する。本実施例では、MFP(Multi-Function Peripheralの略)のベンダの出荷工場に保管されている複数台のMFPがオフィスに発送される状況を想定している。
【0013】
出荷工場には、3台のMFP10A~10Cを含む複数台のMFPが保管されている。出荷工場の作業者は、オフィスの作業者から、例えば、3台のMFP10A~10Cの発注依頼を受領する。なお、変形例では、2台以下のMFPの発注依頼であってもよいし、4台以上のMFPの発注依頼であってもよい。出荷工場の作業者は、発注依頼を受領すると、3台のMFP10A~10Cに対する設定処理を実行する。具体的には、出荷工場の作業者は、3台のMFPの中から1台のMFP10Aを選択し、選択済みのMFP10Aに対して、DPP(Device Provisioning Protocolの略)のConfiguratorに設定するための処理を実行する。出荷工場の作業者は、残りの2台のMFP10B,10Cのそれぞれに対して、DPPのEnrolleeに設定するための処理を実行する。
【0014】
その後、出荷工場の作業者は、Configuratorとして動作するMFP10AとEnrolleeとして動作するMFP10Bとの間でDPPに従った各種通信を実行させる。これにより、MFP10Aは、MFP10Bとオフィスのアクセスポイント(以下では「AP」と記載する)6との間にWi-Fi接続を確立するための情報をMFP10Bに送信する。また、出荷工場の作業者は、同様の処理を、MFP10AとMFP10Cとの間で実行させる。出荷工場の作業者は、これらの設定処理が完了すると、3台のMFP10A~10Cをオフィスに発送する。
【0015】
オフィスには、AP6と、オフィスの作業者によって利用される端末100と、が設置される。端末100は、携帯電話(例えばスマートフォン)、PDA、タブレットPC等の可搬型の端末装置である。なお、変形例では、端末100は、据置型の端末装置であってもよい。AP6は、無線LAN(Local Area Networkの略)4を形成している。端末100は、無線LAN4に接続されている。オフィスの作業者は、MFP10A~10Cのうちの1台のMFPにAP6の公開鍵を取得させる。本実施例では、オフィスの作業者は、Enrolleeとして動作するMFP10BにAP6の公開鍵を取得させる。次いで、MFP10Bは、Configuratorとして動作するMFP10Aとの無線接続を確立し、当該無線接続を利用して、取得済みのAP6の公開鍵をMFP10Aに送信する。この場合、MFP10Aは、公開鍵を利用して、MFP10B,10CのそれぞれとAP6との間にWi-Fi接続を確立するための情報をAP6に送信する。これにより、MFP10B,10CのそれぞれとAP6との間にWi-Fi接続が確立される。その後、MFP10AとAP6との間にWi-Fi接続が確立される。この結果、3台のMFP10A~10Cの全てが、AP6によって形成されている無線LAN4に接続される。
【0016】
(MFP10Aの構成)
続いて、各MFP10A~10Cのハードウェア構成について説明する。各MFP10A~10Cは、同様のハードウェア構成を有する。このため、MFP10Aのハードウェア構成を中心に説明する。MFP10Aは、印刷機能、スキャン機能、FAX機能等の多機能を実行可能な周辺装置(例えば端末100の周辺装置)である。MFP10Aには、MFP10Aを識別するデバイス名AAA及びMACアドレスMAC_Aが割り当てられている。
【0017】
MFP10Aは、操作部12と、表示部14と、印刷実行部16と、スキャン実行部18と、通信インターフェース(以下ではインターフェースのことを単に「I/F」と記載する)20と、制御部30と、を備える。各部12~30は、バス線(符号省略)に接続されている。操作部12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をMFP10Aに入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。印刷実行部16は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構を備える。スキャン実行部18は、CCD、CIS等のスキャン機構を備える。
【0018】
通信I/F20は、Wi-Fi規格に従ったWi-Fi通信を実行するための無線インターフェースである。通信I/F20には、通信I/F20(換言するとMFP10A)を識別する情報であるMACアドレスMAC_Aが割り当てられている。Wi-Fi規格は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば802.11a,11b,11g,11n等)に従って、無線通信を実行するための規格である。通信I/F20は、Wi-Fi Allianceによって策定されたDPP及びWFD(Wi-Fi Direct(登録商標)の略)の双方をサポートしている。DPPは、Wi-Fi Allianceによって作成された規格書「Device Provisioning Protocol Specification Version 1.1.13」に記述されている無線通信方式である。WFDは、Wi-Fi Allianceによって作成された規格書「Wi-Fi Peer-to-Peer (P2P) Technical Specification Version 1.1」に記述されている無線通信方式である。
【0019】
制御部30は、CPU32とメモリ34とを備える。CPU32は、メモリ34に記憶されているプログラム40に従って、様々な処理を実行する。メモリ34は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。
【0020】
MFP10Bは、MFP10Bを識別するデバイス名BBB及びMACアドレスMAC_Bが割り当てられている点を除くと、MFP10Aと同様の構成を有する。MFP10Cは、MFP10Cを識別するデバイス名CCC及びMACアドレスMAC_Cが割り当てられている点を除くと、MFP10Aと同様の構成を有する。
【0021】
(出荷工場内での処理;
図2)
続いて、
図2を参照して、出荷工場内において実行される処理の詳細を説明する。
図2の初期状態では、MFP10A~10Cは、それぞれ、公開鍵50A~50Cを記憶している。なお、以下では、各デバイス(例えば10A)のCPU(例えば32)が実行する処理について、理解の容易さの観点から、各CPUを主体として記載せずに、各デバイス(例えばMFP10A)を主体として記載する。また、MFP10A~10Cによって実行される以下の全ての通信は、通信I/F20を介して実行される。従って、以下では、通信に関する処理を説明する際に、「通信I/F20を介して」という記載を省略する。
【0022】
MFP10Aは、T10において、出荷工場の作業者から電源ON操作を受け付け、T12において、操作部12を介して、Configurator設定操作を受け付ける。Configurator設定操作は、例えば、Configurator及びEnorolleeのうちの一方を選択するための選択画面において、Configuratorを選択する操作を含む。MFP10Aは、T12の操作を受け付けると、MFP10AがConfiguratorのみとして動作可能であることを示すcapabilityの値をMFP10Aのメモリ34に記憶する。Configuratorは、DPPのConfiguration(以下では単に「Config」と記載する)において、Configuration Object(以下では単に「CO」と記載する)をEnrolleeに送信するデバイスを意味する。その後、MFP10Aは、T14において、WFDのGroup Owner状態(以下では「G/O状態」と記載する)に移行する。
【0023】
MFP10Bは、T20において、出荷工場の作業者から電源ON操作を受け付け、T22において、操作部12を介して、Enrollee設定操作を受け付ける。Enrollee設定操作は、上記の選択画面において、Enrolleeを選択する操作を含む。MFP10Bは、T22の操作を受け付けると、MFP10BがEnrolleeのみとして動作可能であることを示すcapabilityの値をMFP10Bのメモリ34に記憶する。Enrolleeは、Configにおいて、ConfiguratorからCOを受信するデバイスを意味する。
【0024】
その後、T30において、MFP10AとMFP10Bとの間にWFD接続が確立される。具体的には、MFP10Bは、T22の操作を受け付けると、Probe Requestをブロードキャストによって送信する。当該Requestを受信したMFP10Aは、Probe ResponseをMFP10Bに送信する。そして、MFP10AとMFP10Bとの間で、WPS(Wi-Fi Protected Setupの略)、Authentication、Association、4way-handshake等の各種通信が実行され、MFP10AとMFP10Bとの間にWFDに従ったWi-Fi接続(以下では「WFD接続」と記載することがある)が確立される。当該WFD接続では、MFP10AがG/O状態として動作し(T14参照)、MFP10Bがクライアントとして動作する。
【0025】
次いで、T40において、T30で確立されたWFD接続が利用されて、MFP10AとMFP10Bとの間で、DPPのBootstrapping(以下では「BS」と記載する)が実行される。BSは、MFP10Bが公開鍵50BをMFP10Aに送信することを含む。この結果、MFP10Aは、MFP10Bの公開鍵50Bを取得する。
【0026】
次いで、T42において、MFP10AとMFP10Bとの間で、DPPのAuthentication(以下では「Auth」と記載する)が実行される。具体的には、MFP10Aは、まず、取得済みの公開鍵50BとMFP10Aの秘密鍵(図示省略)とを利用して共有鍵を生成し、共有鍵を利用して暗号化データを生成する。そして、MFP10Aは、暗号化データとMFP10Aの公開鍵50Aとを含むAuth RequestをMFP10Bに送信する。当該Requestは、認証の実行をMFP10Bに要求する信号であり、Configuratorのみとして動作することを示すcapabilityの値を含む。以下では、Requestのことを「Req」と記載する。
【0027】
MFP10Bは、Auth Reqを受信すると、当該Reqに含まれる暗号化データの認証を実行する。MFP10Bは、認証が成功すると、成功を示すAuth ResponseをMFP10Aに送信する。当該Responseは、Enrollerのみとして動作することを示すcapabilityの値を含む。以下では、Responseのことを「Res」と記載する。上記のAuthが実行されることにより、MFP10AがConfiguratorとして動作し、MFP10BがEnrolleeとして動作することが決定される。
【0028】
次いで、T44において、MFP10AとMFP10Bとの間で、Configが実行される。具体的には、MFP10Bは、コード「netRole = sta」を含むConfig ReqをMFP10Aに送信する。当該Reqは、MFP10BのためのCOであるCO100Bの送信をMFP10Aに要求する信号である。当該コード「netRole = sta」は、MFP10Bが無線ネットワークにステーション(即ち子局)としてのみ参加可能であることを示すコードである。
【0029】
MFP10Aは、MFP10BからConfig Reqを受信すると、CO100Bを生成する。CO100Bは、MFP10BのためのSigned-Connector(以下では「SC」と記載する)を含み、当該SCは、Config Reqに含まれるコード「netRole = sta」と同じコードを含む。そして、MFP10Aは、CO100Bを含むConfig ResをMFP10Bに送信する。CO100Bは、MFP10BとAP6との間にWi-Fi接続を確立するために、MFP10Bによって利用される情報である。MFP10Aは、さらに、CO100Bを送信済みであることを示す情報をMFP10Aのメモリ34に記憶する。また、MFP10Bは、MFP10AからConfig Resを受信すると(T44)、T46において、CO100BをMFP10Bのメモリ34に記憶する。
【0030】
次いで、MFP10Aは、T50において、MFP10Aのデバイス名AAA及びMACアドレスMAC_AをMFP10Bに送信する。MFP10Bは、T50において、MFP10Aからデバイス名AAA及びMACアドレスMAC_Aを受信すると、T52において、デバイス名AAA及びMACアドレスMAC_AをMFP10Bのメモリ34に記憶する。その後、MFP10Bは、T54において、電源OFF操作を受け付ける。これにより、MFP10Bの電源がOFFされる。
【0031】
このように、MFP10Aは、CO100BをMFP10Bに送信し(T44)、MFP10Bは、受信済みのCO100Bを記憶する(T46)。これにより、MFP10Bは、オフィスに出荷された後に、CO100Bを利用して、AP6とのWi-Fi接続を確立することができる。このため、オフィスの作業者は、MFP10BとAP6との間にWi-Fi接続を確立させるために、例えば、AP6によって形成されている無線ネットワークのSSID(Service Set Identifierの略)及びパスワードをMFP10Bに手入力せずに済む。このために、オフィスの作業者の利便性が向上する。
【0032】
また、MFP10Aは、デバイス名AAA及びMACアドレスMAC_AをMFP10Bに送信し(T50)、MFP10Bは、受信済みのデバイス名AAA及びMACアドレスMAC_Aを記憶する(T52)。これにより、MFP10Bは、オフィスに出荷された後に、受信済みのMACアドレスMAC_Aを利用して、MFP10Aとの無線接続を確立することができる。また、MFP10Bは、オフィスに出荷された後に、受信済みのデバイス名AAAを含む画面を表示することができる。このため、オフィスの作業者は、例えばMF100AとAP6との間にWi-Fi接続を確立するために、当該画面内のデバイス名AAAによって識別されるMFP10Aを操作すべきことを知ることができる。
【0033】
その後、MFP10AとMFP10Cとの間で、T20~T54と同様の処理が実行される。この結果、MFP10Cは、MFP10CのためのCOであるCO100Cと、MFP10Aのデバイス名AAAと、MFP10AのMACアドレスMAC_Aと、をMFP10Cのメモリ34に記憶する。
【0034】
MFP10Aは、T60において、電源OFF操作を受け付ける。これにより、MFP10Aの電源がOFFされる。その後、出荷工場の作業者は、3台のMFP10A~10Cをオフィスへ発送する。
【0035】
(オフィス内でのケースAの処理;
図3~
図5)
続いて、
図3~
図5を参照して、オフィス内において実行されるケースAの処理の詳細を説明する。特に、各MFP10A~10CとAP6との間でWi-Fi接続が確立されるケースAを説明する。
図3の初期状態では、上述したように、MFP10Aは、COを送信済みであることを示す情報を記憶済みである(
図2のT44参照)。また、MFP10Bは、CO100B、デバイス名AAA、及び、MACアドレスMAC_Aを記憶済みであり(
図2のT46、T52参照)、MFP10Cは、CO100C、デバイス名AAA、及び、MACアドレスMAC_Aを記憶済みである(
図2のMFP10Cの処理参照)。
【0036】
MFP10Bは、T100において、オフィスの作業者から電源ON操作を受け付ける。これにより、MFP10Bの電源がONされる。MFP10Bは、電源がONされる際に、CO100B、デバイス名AAA、及びMACアドレスMAC_Aを記憶済みであると判断し、T102において、DPP Peer Discovery Reqをブロードキャストによって送信する。以下では、DPP Peer Discoveryのことを単に「Discovery」と記載する。Discovery Reqは、コード「netRole = ap」を含むSCを受信済みのAP6を検索するための信号である。Discovery Reqは、
図2のT46で記憶済みのCO100B内のSCを含む。
【0037】
T102の時点では、AP6は、DPP方式に従った通信をまだ実行しておらず、Configuratorとして動作するMFP10Aから、コード「netRole = ap」を含むSC(即ちAP6のためのCOであるAP用COに含まれるSC)を受信していない。当該コード「netRole = ap」は、AP6が無線ネットワークのアクセスポイント(即ち親局)としてのみ動作可能であることを示すコードである。従って、AP6は、MFP10BからDiscovery Reqを受信しても、Discovery ResをMFP10Bに送信しない。
【0038】
上述したように、MFP10Bは、AP6からDiscovery Resを受信しない。この場合、MFP10Bは、Discovery Resを受信するまで、Discovery Reqを繰り返し送信する。そして、詳しくは後述するが、MFP10Bは、AP6がMFP10AからAP6のためのCOを受信した後に、AP6からDiscovery Resを受信する場合に、AP6とのWi-Fi接続を確立することができる。
【0039】
また、MFP10Bは、T104において、MFP10Bの動作状態を第1の状態に移行し、T106において、SoftAPの親局を起動し、T108において、通知画面SC1をMFP10Bの表示部14に表示する。なお、MFP10Bは、CO100BがMFP10Bのメモリ34に記憶されていない場合には、電源がONされる際に、MFP10Bの動作状態を第1の状態に移行せず(即ち第1の状態とは異なる第2の状態に移行し)、通知画面SC1を表示しない。なお、MFP10Bは、第2の状態に移行された後に、オフィスの作業者からMFP10Bの動作状態を移行するための操作を受け付ける場合に、MFP10Bの動作状態を第2の状態から第1の状態に移行してもよい。
【0040】
第1の状態は、公開鍵を用いて得られるQRコード(登録商標)がスキャンされることによって取得されるスキャンデータを利用して、当該QRコードをデコードすることによって公開鍵を取得する状態である。第2の状態は、QRコードがスキャンされることに応じてQRコードをデコードしない状態である。従って、MFP10Bは、T104において第1の状態に移行することによって、AP6の公開鍵がコード化されたQRコードをスキャンすることに応じて、AP6の公開鍵を取得することができる。
【0041】
T106において起動されるSoftAPの親局(即ちMFP10B)によって形成される無線ネットワークでは、SSID「S1」及びパスワード「P1」が利用される。
【0042】
T108において表示される通知画面SC1は、印刷ボタンと、当該印刷ボタンが選択される場合に各MFP10A~10CとAP6とのWi-Fi接続を確立するための手法が印刷されることを示すメッセージと、を含む。従って、換言すると、通知画面SC1は、当該手法をユーザに提供するための情報である。
【0043】
MFP10Bは、T110において、通知画面SC1内の印刷ボタンが選択されると、T112において、上記の手法を示す手法画像を印刷媒体に印刷する。具体的には、手法画像は、AP6のQRコードをスキャンすることを促すメッセージを含む。これにより、オフィスの作業者は、AP6のQRコードをスキャンすべきことを知ることができる。詳しくは後述するが、AP6のQRコードがMFP10Bによってスキャンされると、MFP10Bは、スキャンデータを利用して、QRコードをデコードすることによって、AP6の公開鍵を取得する。従って、換言すると、手法画像は、AP6の公開鍵を取得する処理をMFP10Bに実行させるための手法を示す情報である。
【0044】
MFP10Bは、T112において、通知画面SC1内の印刷ボタンが選択されると、T114において、通知画面SC1の表示を終了する。これにより、不必要な画面の表示が継続されることを抑制することができる。
【0045】
一方、MFP10Aは、T120において、オフィスの作業者から電源ON操作を受け付ける。これにより、MFP10Aの電源がONされる。MFP10Aは、電源がONされる際に、COを送信済みであることを示す情報を記憶済みであると判断し(
図2のT44参照)、T122~T126の処理を実行する。T122~T126の処理は、T104~T108の処理と同様である。T124において起動されるSoftAPの親局(即ちMFP10A)によって形成される無線ネットワークと、T106において起動されるSoftAPの親局(即ちMFP10B)によって形成される無線ネットワークと、では、同じSSID「S1」及びパスワード「P1」が利用される。
【0046】
また、MFP10Cは、T128において、オフィスの作業者から電源ON操作を受け付ける。これにより、MFP10Cの電源がONされる。MFP10Cは、電源がONされる際に、CO100C、デバイス名AAA、及び、MACアドレスMAC_Aを記憶済みであると判断し、T102~T108と同様の処理を実行する。MFP10Cによって形成される無線ネットワークのSSID、パスワードも、それぞれ、「S1」、「P1」である。即ち、各MFP10A~10Cによって形成されるいずれの無線ネットワークでも同じSSID及びパスワードが利用される。
【0047】
(
図3の続き;
図4)
オフィスの作業者は、
図4のT130において、AP6の説明書をMFP10Bに載置し、当該説明書のスキャンをMFP10Bに実行させる。当該説明書は、AP6の公開鍵がコード化されたQRコードを含む。これにより、MFP10Aは、当該説明書をスキャンすることによって、QRコードを表わすスキャンデータを取得する。ここで、MFP10Bは、第1の状態で動作しているので(
図3のT104参照)、T132において、スキャンデータを利用して、QRコードをデコードすることによって、AP6の公開鍵を取得する。具体的には、MFP10Bは、まず、スキャンデータからQRコードの三隅に存在する3個の位置検出パターンを特定し、次いで、当該3個のパターンの内側に記述されている情報をデコードする。これにより、MFP10Aは、AP6の公開鍵を取得する。なお、仮に、MFP10Bが第1の状態で動作していなければ(即ち第2の状態で動作していれば)、MFP10Bは、何らかの原稿(例えば上記の説明書)のスキャンによってスキャンデータを取得しても、当該スキャンデータからQRコードを抽出しない(即ち、位置検出パターンの特定、及び、その内側の情報のデコードを実行しない)。
【0048】
MFP10Bは、AP6の公開鍵を取得すると、T140において、Probe Reqをブロードキャストによって送信する。当該Probe Reqは、ConfiguratorであるMFP10Aを検索するための信号である。
【0049】
MFP10Aは、T140において、MFP10BからProbe Reqを受信すると、T142において、MFP10AのMACアドレスMAC_Aを含むProbe ResをMFP10Bに送信する。
【0050】
MFP10Cは、T140において、MFP10BからProbe Reqを受信すると、T144において、MFP10CのMACアドレスMAC_Cを含むProbe ResをMFP10Bに送信する。
【0051】
MFP10Bは、T142において、MFP10AからProbe Resを受信し、T144において、MFP10CからProbe Resを受信すると、MFP10Bのメモリ34内のMACアドレスMAC_A(
図2のT52参照)を含むProbe Resが受信されたのか否かを判断する。本ケースでは、MFP10Bは、MACアドレスMAC_Aを含むProbe Resが受信されたと判断し(T142参照)、T150において、MACアドレスMAC_AとSSID「S1」とパスワード「P1」とを利用して、MFP10Aとの無線接続を確立する。具体的には、MFP10Bは、MACアドレスMAC_Aを指定して、Authentication、Association、4way-handshake等の各種通信を実行する。即ち、MFP10Bは、上記の各種通信をMFP10Aと実行する。当該各種通信の過程において、MFP10AにおいてSSID「S1」及びPW「P2」を利用した認証が実行され、当該認証が成功する場合に、MFP10AとMFP10Bとの間に無線接続が確立される。
【0052】
ここで、MFP10AとMFP10Bとの間に無線接続を確立させる際に、MACアドレスMAC_Aを利用せずに、SSID「S1」及びパスワード「P1」のみを利用する比較例を想定する。上記の通り、各MFP10A~10Cによって形成されるいずれの無線ネットワークでも同じSSID「S1」及びパスワード「P1」が利用される(
図3参照)。従って、比較例では、MFP10Bは、MFP10Bが無線接続を確立すべきMFP10A(即ちConfigurator)とは異なるMFP10Cとの無線接続を確立し得る。一方、本実施例では、MFP10Bは、SSID「S1」及びパスワード「P1」に加えてMACアドレスMAC_Aを利用するので、MFP10Aとの無線接続を適切に確立することができる。
【0053】
MFP10Bは、T152において、T150で確立済みの無線接続を利用して、取得済みのAP6の公開鍵(T132参照)をMFP10Aに送信する。
【0054】
MFP10Aは、T152において、MFP10BからAP6の公開鍵を受信する。上記のT152の処理は、換言すると、MFP10AとAP6との間のBSである。オフィスの作業者は、AP6の公開鍵をConfiguratorであるMFP10Aに取得させるために、QRコードを含む説明書のスキャンをMFP10Bに実行させればよい。このために、オフィスの作業者は、AP6の公開鍵である複雑な文字列をMFP(例えばMFP10B)に手入力せずに済む。このために、オフィスの作業者の利便性が向上する。
【0055】
T160の処理は、AP6の公開鍵が利用される点を除いて、
図2のT42のAuthと同様である。この結果、MFP10AがConfiguratorとして動作し、AP6がEnrolleeとして動作することが決定される。
【0056】
T162の処理は、AP6からMFP10Aに送信されるConfig Reqに含まれるコードが「netRole = ap」である点、及び、MFP10AからAP6にAP用COが送信される点を除いて、
図2のT44の処理と同様である。AP用COに含まれるSCは、コード「netRole = ap」を含む。AP用COは、MFP10B,10CのそれぞれとAP6との間にWi-Fi接続を確立するために、AP6によって利用される情報である。AP6は、T164において、AP用COを記憶する。
【0057】
次いで、MFP10Bは、T166において、DPPのNetwork AccessをAP6と実行する。上記の通り、MFP10Bは、Discovery Reqをブロードキャストによって繰り返し送信している。
【0058】
AP6は、MFP10AからAP用COを受信した後に、MFP10BからDiscovery Reqを受信すると、当該Reqに含まれるMFP10BのためのSCがコード「netRole = sta」を含むので、通信相手(即ちMFP10B)がステーションとして動作することを認識することができる。そして、AP6は、MFP10BのためのSCを利用して認証を実行する。AP6は、認証が成功すると、接続キーを生成すると共に、AP用CO内のSCを含むDiscovery ResをMFP10Bに送信する。
【0059】
MFP10Bは、AP6からDiscovery Resを受信すると、当該Resに含まれるSCがコード「netRole = ap」を含むので、通信相手(即ちAP6)がAPとして動作することを認識することができる。MFP10Bは、当該Resに含まれるSCを利用して認証を実行する。MFP10Bは、認証が成功すると、接続キーを生成する。ここで生成される接続キーは、AP6によって生成される接続キーと同じものである。これにより、MFP10BとAP6との間で接続キーが共有される。
【0060】
次いで、MFP10Bは、接続キーを利用して、4way-handshakeの通信をAP6と実行する。この結果、T168において、MFP10BとAP6との間にWi-Fi接続が確立される。即ち、MFP10Bは、AP6によって形成されている無線LAN4にステーションとして参加する。そして、MFP10Bは、T168で確立されたWi-Fi接続を利用して、AP6から、無線LAN4のSSID「XXX」を受信する。
【0061】
MFP10Bは、T168において、AP6とのWi-Fi接続を確立すると、T170において、MFP10Bの動作状態を第1の状態から第2の状態に移行する。これにより、例えば、公開鍵ではない情報を示すQRコードがMFP10Bによってスキャンされる場合に、MFP10BがQRコードをデコードするという事象が発生するのを抑制することができる。
【0062】
次いで、MFP10Bは、T172において、DPP Status Query Result(以下では単に「Result」と記載する)をMFP10Aに送信する。当該Resultは、MFP10BとAP6との間にWi-Fi接続が確立されたことを示す情報と、AP6から受信されたSSID「XXX」と、を含む。
【0063】
(
図4の続き;
図5)
MFP10Bは、
図5のT174において、案内画面SC2をMFP10Bの表示部14に表示する。案内画面SC2は、オフィスの作業者によって実行されるべき作業を示すメッセージを含む。具体的には、当該メッセージは、デバイス名AAAによって識別されるMFP10Aに対して、AP6とのWi-Fi接続を確立するためにMFP10Aを操作することをユーザに促すメッセージである。これにより、オフィスの作業者は、MFP10Aに対して、AP6とのWi-Fi接続を確立するための操作を実行すべきことを知ることができる。換言すると、案内画面SC2は、MFP10Aに対して、MFP10AとAP6とのWi-Fi接続を確立するための操作を実行すべきことを案内する情報である。
【0064】
また、MFP10Aは、MFP10BからResultを受信することに応じて(
図4のT172)、T174において、接続画面SC3をMFP10Aの表示部14に表示する。接続画面SC3は、AP6によって形成されている無線LAN4のパスワードを入力することを促すメッセージと、
図4のT172で受信済みのSSID「XXX」と、パスワード入力欄と、完了ボタンと、を含む。
【0065】
オフィスの作業者は、MFP10Bの表示部14に表示される案内画面SC2(T174参照)を見ることに応じて、MFP10Aの近くに行き、MFP10Aの表示部14に表示された接続画面SC3を見ることができる。
【0066】
MFP10Aは、T178において、接続画面SC3内のパスワード入力欄へのパスワード「YYY」の入力、及び、完了ボタンの選択を受け付ける。これに応じて、MFP10Aは、入力済みのパスワード「YYY」をAP6に送信する。本ケースでは、AP6において当該パスワードの認証が成功するので、T180において、MFP10AとAP6との間にWi-Fi接続が確立される。このように、オフィスの作業者は、MFP10AとAP6と間にWi-Fi接続を確立するために、AP6によって形成されている無線LAN4のSSID「XXX」を入力する必要がない。このために、オフィスの作業者の利便性が向上する。
【0067】
T182の処理は、
図4のT170の処理と同様である。また、T190~T198の処理は、
図4のT166~T172の処理、及び、
図5のT174の処理と同様である。この結果、MFP10CとAP6との間にWi-Fi接続が確立される。従って、MFP10A~10Cと端末100とが同一の無線ネットワーク(即ち無線LAN4)に所属する。これにより、オフィスの作業者は、端末100を利用して、無線LAN4を介して、印刷データを各MFP10A~10Cに送信することができ、当該印刷データによって表わされる画像の印刷を各MFP10A~10Cに実行させることができる。
【0068】
このように、CO100Bを記憶済み(
図2のT46参照)のMFP10Bは、AP6の公開鍵を取得し(
図4のT132)、MFP10Aとの無線接続(T150参照)を利用して、AP6の公開鍵をMFP10Aに送信する。この結果、CO100BをMFP10Bに送信済み(
図2のT46参照)のMFP10Aは、受信済みのAP6の公開鍵を利用して、AP用COをAP6に送信することができる(T162)。このために、MFP10BがCO100Bを利用し、かつ、AP6がAP用COを利用することによって、MFP10BとAP6との間にWi-Fi接続を確立させることができる(T168)。
【0069】
ここで、オフィスの作業者が、オフィスに設置されている端末100を利用して、DPPに従って、各MFP10A~10CとAP6との間にWi-Fi接続を確立する第1の比較例を想定する。第1の比較例では、出荷工場において
図2のT10~T60の処理が実行されることなく、3台のMFP10A~10Cがオフィスに発送される。この場合、オフィスの作業者は、端末100を利用して、AP6の説明書等に含まれるQRコードを撮影し、端末100とAP6との間でDPPに従った各種通信(即ちAuth、Config)を実行させる。また、オフィスの作業者は、端末100を利用して、各MFP10A~10Cに表示される各QRコードを撮影し、端末100と各MFP10A~10Cとの間でDPPに従った各種通信を実行させる。これにより、AP6と各MFP10A~10Cとの間にWi-Fi接続が確立される。第1の比較例では、オフィスの作業者は、QRコードの撮影を4回実行する必要がある。
【0070】
一方、本実施例では、オフィスの作業者は、各MFP10B,10CとAP6との間にWi-Fi接続を確立させるために、QRコードのスキャン(
図4のT130)を1回実行すればよい。また、オフィスの作業者は、MFP10AとAP6の間にWi-Fi接続を確立させるために、パスワードの入力(
図5のT178)を実行すればよい。このため、本実施例によると、第1の比較例と比べて、オフィスの作業者の作業負荷が軽減される。
【0071】
また、出荷工場の作業者が、出荷工場において、オフィスのAP6のSSID「XXX」及びパスワード「YYY」を3台のMFP10A~10Cに設定する第2の比較例を想定する。第2の比較例では、オフィスの作業者は、MFP10A~10Cに対する設定を実行しなくても、各MFP10A~10CとAP6との間にWi-Fi接続を確立させることができる。しかしながら、第2の比較例では、オフィスのAP6のSSID及びパスワードを倉庫の作業者に事前に連絡する必要があり、セキュリティの観点から好ましくない。
【0072】
一方、本実施例では、各MFP10A~10CとAP6との間にWi-Fi接続を確立させるために、AP6のSSID及びパスワードを外部に連絡する必要がない。このために、本実施例では、第2の比較例と比べると、セキュリティを向上させることができる。
【0073】
また、3台のMFP10A~10Cの全てがEnrolleeとして動作する第3の比較例を想定する。第3の比較例では、出荷工場の作業者は、出荷工場に設置されているConfiguratorとして動作する端末(例えばスマートフォン)を利用して、当該端末とEnrolleeとして動作する各MFP10A~10Cとの間でDPPの各種通信を実行させる。これにより、各MFP10A~10Cは、当該端末からCOを受信して記憶する。そして、出荷工場の作業者は、3台のMFP10A~10Cと当該端末とをオフィスに発送する。この場合、オフィスの作業者は、当該端末を利用して、AP6のQRコードを撮影し、当該端末とAP6との間にDPPの各種通信を実行させる。これにより、AP6は、当該端末からCOを受信して記憶する。この結果、各MFP10A~10CとAP6との間にWi-Fi接続を確立させることができる。しかしながら、第3の比較例では、当該端末を出荷工場からオフィスに発送し、さらに、当該端末をオフィスから出荷工場に返送する必要がある。このような端末のやりとりには手間がかかると共に、様々なオフィスに発送するための多数の端末を出荷工場に事前に用意しておく必要がある。
【0074】
一方、本実施例では、オフィスに納入される3台のMFP10A~10Cのうちの1台のMFP10AがConfiguratorとして動作するので、第3の比較例のような端末のやりとりが不要である。このために、本実施例では、第3の比較例と比べると、手間がかからないと共に、多数の端末を出荷工場に事前に用意しておく必要がない。
【0075】
なお、本実施例では、MFP10BがAP6のQRコードをスキャンすることに代えて、第1の状態に移行するMFP10A又はMFP10C(
図3のT122、
図3のMFP10Cの処理で引用するT122参照)がAP6のQRコードをスキャンしても、各MFP10A~10CとAP6との間にWi-Fi接続を確立することができる。具体的には、例えば、ConfiguratorであるMFP10AがAP6のQRコードをスキャンする場合には、MFP10Aは、
図4のT140~T152の処理を実行することなく、AP6の公開鍵を取得することができる。また、EnrolleeであるMFP10CがAP6のQRコードをスキャンする場合には、T140~T152と同様の処理がMFP10AとMFP10Cとの間で実行されることによって、MFP10Aは、MFP10CからAP6の公開鍵を受信することができる。このように、いずれのMFP10A~10CがAP6のQRコードをスキャンしても、MFP10Aは、AP6の公開鍵を取得することができる。即ち、いずれのMFP10A~10CがAP6のQRコードをスキャンしても、各MFP10A~10CとAP6との間にWi-Fi接続を確立することができる。
【0076】
ここで、ConfiguratorであるMFP10AがAP6の公開鍵を取得するために、MFP10A自身がAP6のQRコードをスキャンする必要がある(即ち、EnrolleeであるMFP10B又はMFP10CがAP6のQRコードをスキャンしても、MFP10AがAP6の公開鍵を取得できない)第4の比較例を想定する。第4の比較例では、例えばオフィスの作業者が初めにMFP10Bの電源をONする状況では、その後さらにMFP10Aの電源をONさせ、MFP10AにAP6のQRコードをスキャンさせる必要がある。このように、第4の比較例では、オフィスの作業者は、最初に電源をONしたMFPとは異なるMFPで作業を行う必要がある可能性がある。
【0077】
一方、本実施例では、オフィスの作業者は、初めに電源をONしたMFP(例えばMFP10B)にAP6のQRコードをスキャンさせればよい。このため、オフィスの作業者の利便性が向上する。
【0078】
(オフィス内でのケースBの処理;
図6)
続いて、
図6を参照して、各MFP10A~10CとAP6との間でWi-Fi接続が確立される別のケースであるケースBを説明する。
図6の初期状態は、
図3の初期状態と同様である。
【0079】
MFP10Bは、
図6のT200において、オフィスの作業者から電源ON操作を受け付ける。これによりMFP10Bの電源がONされる。その後、MFP10Bにおいて、
図3のT102~T114と同様の処理が実行される。
【0080】
MFP10Cは、T210において、オフィスの作業者から電源ON操作を受け付ける。これによりMFP10Cの電源がONされる。その後、MFP10Cにおいて、
図3のT102~T108と同様の処理が実行される。
【0081】
T230~T234の処理は、
図4のT130~T140の処理と同様である。また、T236の処理は、T144の処理と同様である。本ケースでは、T234の処理が実行される段階では、MFP10Aの電源がONされていない。このため、MFP10Bは、MFP10AからProbe Resを受信しない。
【0082】
MFP10Bは、MFP10Bのメモリ34内のMACアドレスMAC_A(
図2のT52参照)を含むProbe Resが受信されたのか否かを判断する。本ケースでは、MFP10Bは、Probe Reqを送信してから所定時間経過しても、MACアドレスMAC_Aを含むProbe Resを受信しない。従って、MFP10Bは、MACアドレスMAC_Aを含むProbe Resが受信されていないと判断し、T238において、案内画面SC4をMFP10Bの表示部14に表示する。案内画面SC4は、
図2のT52で記憶済みのデバイス名AAAによって識別されるMFP10Aが見つからなかったことを示すメッセージと、MFP10Aの電源をONすることを促すメッセージと、を含む。これにより、オフィスの作業者は、デバイス名AAAによって識別されるMFP10Aの電源をONすべきことを知ることができる。この結果、オフィスの作業者によってMFP10Aの電源がONされると、MFP10Aは、Probe ReqをMFP10Bから受信することに応じて、Probe ResをMFP10Bに送信することができる(
図4のT142参照)。そして、MFP10AとMFP10Bとの間に無線接続が確立され(
図4のT150参照)、MFP10AはMFP10BからAP6の公開鍵を受信することができる(
図5のT152参照)。換言すると、案内画面SC4は、MFP10Aに対してAP6の公開鍵を取得するための操作を実行すべきことを案内する情報である。
【0083】
オフィスの作業者は、MFP10Bの表示部14に表示される案内画面SC4(T238参照)を見ることに応じて、T240において、電源ON操作をMFP10Aに実行する。これにより、MFP10Aの電源がONされる。その後、
図3のT122~T126と同様の処理が実行される。
【0084】
その後、MFP10Bは、T250において、Probe Reqをブロードキャストによって再び送信する。なお、MFP10Bは、MFP10Aとの無線接続が確立されるまで(即ちMFP10Aが見つかるまで)、Probe Reqを繰り返し送信する。T252及びT254の処理は、
図4のT142及びT144の処理と同様である。その後、
図4のT150~T172と同様の処理、及び、
図5と同様の処理が実行され、各MFP10A~10CとAP6との間にWi-Fi接続が確立される。
【0085】
(オフィス内でのケースCの処理;
図7)
続いて、
図7を参照して、各MFP10A~10CとAP6との間でWi-Fi接続が確立されないケースCについて説明する。
図7の初期状態は、
図3の初期状態と同様である。T300~T308の処理は、
図3のT100~108の処理と同様である。
【0086】
T300でMFP10Bの電源がONされた後に、AP6のQRコードがスキャンされることなく(即ちAP6の公開鍵が取得されることなく)、所定時間(例えば1時間)が経過すると、MFP10Bは、T310において、通知画面SC1の表示を終了する。このような状況では、オフィスの作業者がMFP10BとAP6との間にWi-Fi接続を確立させることを望んでいない可能性が高い。従って、不必要な画面の表示が継続されることを抑制することができる。
【0087】
また、T300でMFP10Bの電源がONされた後に、AP6のQRコードがスキャンされることなく(即ち、AP6の公開鍵が取得されることなく)、所定時間(例えば1時間)が経過すると、MFP10Bは、T312において、MFP10Aの動作状態を第1の状態から第2の状態に移行する。このような状況では、オフィスの作業者は、各MFP10A~10CとAP6との間にWi-Fi接続を確立させることを望んでいない可能性が高い。従って、MFP10Bは、公開鍵ではない情報を示すQRコードをスキャンしても、QRコードをデコードするという事象が発生するのを抑制することができる。
【0088】
(対応関係)
MFP10B、MFP10A、AP6が、それぞれ、「第1の通信装置」、「第2の通信装置」、「アクセスポイント」の一例である。DPPが、「所定のプロトコル」の一例である。AP6の公開鍵が、「公開鍵」の一例である。CO100B、AP用COが、それぞれ、「第1の接続情報」、「第2の接続情報」の一例である。
図3のT112において印刷媒体に印刷される手法画像、通知画面SC1、案内画面SC4、案内画面SC2が、それぞれ、「手法情報」、「所定情報」、「第1の案内情報」、「第2の案内情報」の一例である。MFP10AのMACアドレスMAC_A、MFP10Aのデバイス名AAAが、AP6のSSID「XXX」が、それぞれ、「第1の装置識別情報」、「第2の装置識別情報」、「アクセスポイント識別情報」の一例である。
図4のT130でスキャンされるQRコードが、「コード情報」の一例である。
図6のT240の操作、
図5のT178の操作、
図3のT110の操作が、それぞれ、「第1の所定操作」、「第2の所定操作」、「第3の所定操作」の一例である。
図4のT168で確立されるWi-Fi接続、T150で確立される無線接続、
図5のT180で確立されるWi-Fi接続が、それぞれ、「第1の無線接続」、「第2の無線接続」、「第3の無線接続」の一例である。
図3のT102(及び
図4のT166)のDiscovery Req、T166のDiscovery Resが、それぞれ、「確立要求」、「確立応答」の一例である。
【0089】
「第1の通信装置」の各部の対応関係は以下のとおりである。MFP10Bの表示部14、MFP10Bの印刷実行部16、MFP10Bのスキャン実行部18が、それぞれ、「出力部」、「印刷実行部」、「スキャン実行部」の一例である。
図3のT102の処理、T104の処理、
図4のT170の処理が、それぞれ、「確立要求送信部」、「第1の状態移行部」、「第2の状態移行部」によって実行される処理の一例である。
図5のT174の処理、及び
図6のT238の処理が、「第1の出力制御部」によって実行される処理の一例である。
図3のT108の処理が、「第2の出力制御部」によって実行される処理の一例である。
図3のT112の処理、T114の処理、
図7のT310の処理が、それぞれ、「印刷制御部」、「第1の表示終了部」、「第2の表示終了部」によって実行される処理の一例である。
図4のT132の処理、T150の処理、T152の処理、T168の処理が、それぞれ、「取得部」、「第1の確立部」、「公開鍵送信部」、「第2の確立部」によって実行される処理の一例である。T140~T144の処理が、「検索部」によって実行される処理の一例である。
【0090】
「第2の通信装置」の各部の対応関係は以下のとおりである。
図4のT150の処理、T152の処理、T162の処理、T172の処理、
図5のT180の処理が、それぞれ、「第1の確立部」、「公開鍵受信部」、「接続情報送信部」、「アクセスポイント識別情報受信部」、「第2の確立部」によって実行される処理の一例である。
【0091】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0092】
(変形例1)各MFP10A~10Cは、AP6とのWi-Fi接続を確立することに代えて、無線ネットワークの親局として動作するデバイス(例えば端末100)とのWi-Fi接続を確立してもよい。本変形例では、端末100が「アクセスポイント」の一例である。
【0093】
(変形例2)オフィスの作業者がAP6の公開鍵をMFP10Bに取得させる方法は、上記の実施例に限定されない。例えば、オフィスの作業者は、端末100とMFP10Bとの間に無線接続(例えば、MFP10BがSoftAPの親局として動作する無線接続(
図3のT106参照))を確立させる。そして、オフィスの作業者は、端末100のカメラを起動してAP6のQRコードを撮影する。これに応じて、端末100は、撮影済みのQRコードをデコードしてAP6の公開鍵を取得する。そして、端末100は、MFP10Bとの間で確立済みの無線接続を利用して、AP6の公開鍵を含む信号をMFP10Bに送信する。この結果、MFP10Bは、当該信号からAP6の公開鍵を取得する。本変形例では、「第1の通信装置」の「スキャン実行部」を省略可能である。従って、本変形例では、「第1の通信装置」は、例えばプリンタ、PC等のスキャン機能を備えないデバイスであってもよい。また、別の変形例では、MFP10Bは、例えばNFC(Near Field Communicationの略)I/F、BT(Bluetooth(登録商標)の略)I/F等を介して、端末100からAP6の公開鍵を取得してもよい。一般的に言うと、「第1の通信装置」の「公開鍵取得部」がアクセスポイントの公開鍵を取得する方法は特に限定されない。
【0094】
(変形例3)MFP10Bは、AP6の公開鍵を取得する(
図4のT132参照)前に、MFP10Aとの無線接続(T150参照)を確立してもよい。例えば、MFP10Bは、MFP10Bの電源がONされる際に(
図3のT100)、Probe Reqをブロードキャストによって送信し、MFP10Aとの無線接続を確立してもよい。一般的に言うと、「第1の確立部」によって実行される処理のタイミングは、上記の実施例の形態に限定されない。
【0095】
(変形例4)MFP10Aは、
図3のT122において、WFDのG/O状態に移行してもよい。この場合、
図4のT150に代えて、MFP10AとMFP10Bとの間にWFD接続が確立されてもよい。本変形例では、MFP10AとMFP10Bとの間に確立されるWFD接続が、「第2の無線接続」の一例である。
【0096】
(変形例5)MFP10Bは、
図3のT102の処理を省略可能である。この場合、例えば、MFP10Bは、オフィスの作業者からDiscovery Reqを送信するための操作を受け付ける場合に、Discovery Reqを送信してもよい。本変形例では、「第1の通信装置」の「確立要求送信部」を省略可能である。
【0097】
(変形例6)上記の実施例では、各MFP10A~10Cは、電源がONされる際に、同じSSID「S1」及びパスワード「P1」を有する無線ネットワークを形成するSoftAPの親局を起動した(
図3のT106、T124参照)。これに代えて、各MFP10A~10Cは、電源がONされる際に、それぞれが異なるSSID及び/又はパスワードを有する無線ネットワークを形成するSoftAPの親局を起動してもよい。この場合、MFP10Bは、MFP10AのMACアドレスMAC_Aを利用することなく、MFP10AがSoftAPの親局として動作する無線ネットワークのSSID及びパスワードを利用して、MFP10Aとの無線接続を確立してもよい。一般的に言うと、「第1の通信装置」の「第1の確立部」は、「第1の装置識別情報」を利用せずに「第2の無線接続」を確立してもよい。
【0098】
(変形例7)MFP10Bは、
図4のT140において、MFP10Bのメモリ34に記憶済みのMFP10AのMACアドレスMAC_Aを含むProbe Reqを送信してもよい。この場合、当該Probe Reqに含まれるMACアドレスMAC_Aを有するデバイス(即ちMFP10A)のみがProbe ResをMFP10Bに送信する。MFP10Bは、Probe Resが受信される場合に、MFP10Aが見つかったと判断し、MFP10Aとの無線接続を確立してもよい。また、別の変形例では、MFP10Aのデバイス名AAAを利用して、MFP10Aの検索を行ってもよい。本変形例では、MFP10Aのデバイス名AAAが、「第1の装置識別情報」の一例である。一般的に言うと、「第1の通信装置」の「検索部」によって実行される具体的な処理は、上記の実施例の形態に限定されない。また、「第1の装置識別情報」は、「第2の通信装置」を識別する情報であればよい。
【0099】
(変形例8)MFP10Bは、通知画面SC1(
図3のT108)、案内画面SC2(
図5のT174)、及び案内画面SC4(
図6のT238)に相当する情報を印刷してもよい。本変形例では、MFP10Bの印刷実行部16が、「第1の通信装置」の「出力部」の一例である。
【0100】
(変形例9)MFP10Bは、
図5のT174において、MFP10Aのデバイス名AAAを含む案内画面SC2に代えて、例えばMFP10Aのシリアル番号を含む案内画面をMFP10Bの表示部14に表示してもよい。同様に、MFP10Bは、
図6のT238において、MFP10Aのデバイス名AAAを含む案内画面SC4に代えて、例えばMFP10Aのシリアル番号を含む案内画面をMFP10Bの表示部14に表示してもよい。本変形例では、MFP10Aのシリアル番号が、「第2の装置識別情報」の一例である。一般的に言うと、「第2の装置識別情報」は、「第2の通信装置」を識別する情報であればよい。
【0101】
(変形例10)MFP10Bは、
図5のT174の処理と、
図6のT238の処理と、のいずれか一方を省略可能である。一般的に言うと、「第1の通信装置」の「第1の出力制御部」は、「第1の案内情報」と「第2の案内情報」とのいずれか一方のみを出力してもよい。また、別の変形例では、MFP10Bは、
図5のT174の処理と、
図6のT238の処理と、の双方を省略可能である。一般的に言うと、「第1の通信装置」の「第1の出力制御部」を省略可能である。
【0102】
(変形例11)MFP10Bは、
図6のT238において、MFP10Aの電源をONすることを促すメッセージに加えて又は代えて、MFP10AをMFP10Bの近くに持ってくることを促すメッセージを含む案内画面をMFP10Bの表示部14に表示させてもよい。例えば、MFP10Aの電源はONされているが、MFP10AとMFP10Bとの間の距離が比較的離れていることに起因して、MFP10Bが送信したProbe ReqがMFP10Aによって受信されない状況を想定する。このような状況では、オフィスの作業者は、上記の案内画面に従ってMFP10AをMFP10Bの近くに持っていけば、MFP10Bが送信したProbe ReqがMFP10Aによって受信される。このため、MFP10AはMFP10BからAP6の公開鍵を受信し、MFP10BとAP6との間にWi-Fi接続を確立させることができる。本変形例では、MFP10AをMFP10Bの近くに持ってくることが、「第1の所定操作」の一例である。また、別の変形例では、MFP10Bは、T238において、MFP10Aの電源をONすることを促すメッセージに加えて又は代えて、MFP10AにAP6のQRコードをスキャンさせることを促すメッセージを含む案内画面をMFP10Bの表示部14に表示してもよい。この場合、オフィスの作業者は、当該案内画面に従って、MFP10AにAP6のQRコードをスキャンさせる。この結果、MFP10Aは、AP6の公開鍵を取得し、MFP10BとAP6との間にWi-Fi接続を確立させることができる。本変形例では、MFP10AにAP6のQRコードをスキャンさせる操作が、「第1の所定操作」の一例である。一般的に言うと、「第1の所定操作」は、「第2の通信装置」が「アクセスポイント」の公開鍵を取得するための操作であればよい。
【0103】
(変形例12)「コード情報」はQRコードに限定されず、例えばバーコード、二次元コード等であってもよい。
【0104】
(変形例13)MFP10Bは、MFP10Bの電源がONされる際に、MFP10Bの動作状態を第1の状態に移行しなくてもよい。本変形例では、
図3のT104の処理を省略可能である。一般的に言うと、「第1の通信装置」の「第1の状態移行部」を省略可能である。また、別の変形例では、MFP10BとAP6との間にWi-Fi接続が確立されても、MFP10Bの動作状態を第2の状態に移行しなくてもよい。本変形例では、
図4の170の処理を省略可能である。一般的に言うと、「第1の通信装置」の「第2の状態移行部」を省略可能である。
【0105】
(変形例14)MFP10Bは、MFP10Bの電源がONされた後に、AP6の公開鍵が取得されることなく、所定時間が経過しても、MFP10Bの動作状態を第1の状態から第2の状態に移行しなくてもよい。本変形例では、
図7のT312の処理を省略可能である。一般的に言うと、「第1の通信装置」の「第3の状態移行部」を省略可能である。
【0106】
(変形例15)MFP10Bは、
図3のT108において、通知画面SC1を表示することに代えて、上記の手法画像を含む通知画面を表示してもよい。本変形例では、上記の手法画像を含む通知画面が、「所定情報」の一例である。換言すると、本変形例では、「所定情報」と「手法情報」とは同一の情報である。また、本変形例では、「第1の通信装置」の「印刷実行部」及び「印刷制御部」を省略可能である。
【0107】
(変形例16)MFP10Bは、
図3のT110において、通知画面SC1内の印刷ボタンの操作が受け付けられても、通知画面SC1の表示を継続してもよい。本変形例では、T114の処理を省略可能である。一般的に言うと、「第1の通信装置」の「第1の表示終了部」を省略可能である。
【0108】
(変形例17)MFP10Bは、MFP10Bの電源がONされた後に、AP6の公開鍵が取得されることなく、所定時間が経過しても、通知画面SC1の表示を継続してもよい。本変形例では、
図7のT310の処理を省略可能である。一般的に言うと、「第1の通信装置」の「第2の表示終了部」を省略可能である。
【0109】
(変形例18)各MFP10A~10Cは、DPPとは異なるプロトコルをサポートしていてもよく、MFP10Aは、DPPとは異なるプロトコルに従って、MFP10Aと各MFP10B、10C、及びAP6との間で、Auth、Config等の各種通信を実行してもよい。一般的に言うと、「所定のプロトコル」はDPPに限定されない。
【0110】
(変形例19)MFP10Aは、DPPの各種通信をAP6と実行することによって、MFP10AとAP6との間にWi-Fi接続を確立してもよい。具体的には、MFP10Aは、
図4のT162において、AP6とのConfigを実行する際に、MFP10AのためのCOも生成する。その後、MFP10AとAP6との間でNetwork Access(T166参照)が実行され、MFP10AとAP6との間にWi-Fi接続が確立される。本変形例では、
図4のT172、及び、
図5のT176~T180の処理を省略可能である。また、本変形例では、MFP10AとAP6との間で実行されるNetwork Accessが、「第2の通信装置」の「第2の確立部」によって実行される処理の一例である。また、本変形例では、「第2の通信装置」の「アクセスポイント識別情報受信部」を省略可能である。また、本変形例において、MFP10AとAP6との間のNetwork Accessが実行される前に、MFP10Aは、確認画面をMFP10Aの表示部14に表示してもよい。当該確認画面は、MFP10AとAP6との間にWi-Fi接続を確立するのか否かをユーザに問い合わせるメッセージと、OKボタンと、キャンセルボタンと、を含んでもよい。MFP10Aは、当該確認画面内のOKボタンが選択されることに応じて、AP6とのNetwork Accessを実行してもよい。本変形例では、確認画面内のOKボタンの選択が、「第2の所定操作」の一例である。一般的に言うと、「第2の所定操作」は、「第2の通信装置」と「アクセスポイント」との間に「第3の無線接続」を確立させるための操作であればよい。
【0111】
(変形例20)MFP10Aは、AP6の公開鍵を利用せずに、AP用COをAP6に送信してもよい。具体的には、MFP10Bは、
図4のT130において、AP6のMACアドレスを含む情報がコード化されたQRコードをスキャンすることによって、T132において、AP6のMACアドレスを取得する。MFP10Bは、取得済みのAP6のMACアドレスをMFP10Aに送信する。そして、MFP10Aは、受信済みのMACアドレスを宛先として、AP用COを送信する。この結果、AP6は、AP用COを記憶することができる。本変形例では、T160の処理を省略可能である。
【0112】
(変形例21)上記の実施例では、
図2~
図7の処理がソフトウェア(例えばプログラム40)によって実現されるが、これらの各処理の少なくとも1つが論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0113】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0114】
4:LAN、6:アクセスポイント、10A,10B,10C:MFP、12:操作部、14:表示部、16:印刷実行部、18:スキャン実行部、20:通信I/F、30:制御部、32:CPU、34:メモリ、40:プログラム、100:端末