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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183864
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ホイールアライメント調整装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 17/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B62D17/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091371
(22)【出願日】2021-05-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000117467
【氏名又は名称】安全自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】鴨下 隆
(72)【発明者】
【氏名】長崎 彰裕
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BC42
3D203CB18
3D203CB20
3D203DA83
3D203DA88
(57)【要約】
【課題】1台の装置で、複数種類のカムボルトに対応できるホイールアライメント調整装置を提供する。
【解決手段】支持台2と、支持台2を移動する移動部3を有し、支持台2には、カムボルト102Aのカム103を回動することができる複数の調整回動部11,12と、前カムボルト102A,102Bのロックナット104を回動することができる締付回動部21を有し、複数の調整回動部11,12を有する調整腕部材8を、回転軸8aを中心として回動可能に設け、回転軸8aを中心として回動することにより、使用する調整回動部11,12を変更できるようにし、調整腕部材8と、締付回動部21との相互間の距離を変更できるようにした。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持台と、該支持台を移動する移動部を有し、
前記支持台には、カムボルトのカムを回動することができる複数の調整回動部と、前記カムボルトのロックナットを回動することができる締付回動部を有し、
前記複数の調整回動部を有する調整腕部材を、回転軸を中心として回動可能に設け、該回転軸を中心として回動することにより、使用する調整回動部を変更できるようにし、
前記調整腕部材と、前記締付回動部との相互間の距離を変更できるようにしたことを特徴とするホイールアライメント調整装置。
【請求項2】
支持台と、該支持台を移動する移動部を有し、
前記支持台には、カムボルトのカムを回動することができる調整回動部と、前記カムボルトのロックナットを回動することができる複数の締付回動部を有し、
前記複数の締付回動部を有する締付腕部材を、その回転軸を中心として回動することにより、使用する締付回動部を変更できるようにし、
前記調整腕部材と、前記締付回動部との相互間の距離を変更できるようにしたことを特徴とするホイールアライメント調整装置。
【請求項3】
締付回動部を複数有し、複数の締付回動部を有する締付側腕部材を、その回転軸を中心として回動することにより、使用する締付回動部を取り換えることができるようにしたことを特徴とする請求項1記載のホイールアライメント調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールアライメント調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図9に示すように、車体に設けられているブラケット101にカムボルト102が挿通され、カムボルト102のカム103を回動させることによりホイールアライメントを調整することが行われている。
【0003】
特許文献1に記載のホイールアライメント調整装置は、調整機でカムボルト102の調整部を回動させることにより、カムボルト102のカム103を、カムボルト102の軸芯を中心として回動させて、ホイールアライメントの調整を行った後に、締付機でロックナット104を締め付けることで、カム103の位置を固定してホイールアライメントの調整をおこなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平01-104867号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ホイールアライメントの調整に用いられるカムボルトは、車種により異なり、複数種類のカムボルトが用いられている。例えば、図10に示すカムボルト102Aは、調整部110Aと、ロックナット104が、カムボルト102Aの両端部に設けられ、図11に示すカムボルト102Bは、調整部110Bと、ロックナット104が、カムボルト102Bの一方の端部に設けられている。
【0006】
特許文献1に記載のホイールアライメント調整装置は、図10に示すカムボルト102Aに対応することはできるが、図11に示すカムボルト102Bには対応することはできない。一方、図12図13に示すホイールアライメント調整装置200は、図11に示すカムボルト102Bに対応することはできるが、図10に示すカムボルト102Aには対応することはできない。
【0007】
一方、車両の製造時においては、1つのライン等に複数の車種が混在する状態で、組立、最終調整、検査等が行われているため、ホイールアライメント調整装置が、カムボルト102Aとカムボルト102Bのいずれかにしか対応できないと、ホイールアライメント調整装置が対応しているカムボルトを有する車種しか、その装置が設置してあるラインで処理することができず、効率が悪いという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、1台の装置で、複数種類のカムボルトに対応できるホイールアライメント調整装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明は、支持台と、該支持台を移動する移動部を有し、
前記支持台には、カムボルトのカムを回動することができる複数の調整回動部と、前記カムボルトのロックナットを回動することができる締付回動部を有し、
前記複数の調整回動部を有する調整腕部材を、回転軸を中心として回動可能に設け、該回転軸を中心として回動することにより、使用する調整回動部を変更できるようにし、
前記調整腕部材と、前記締付回動部との相互間の距離を変更できるようにしたことを特徴とするたことを特徴とするものである。
【0010】
また、支持台と、該支持台を移動する移動部を有し、
前記支持台には、カムボルトのカムを回動することができる調整回動部と、前記カムボルトのロックナットを回動することができる複数の締付回動部を有し、
前記複数の締付回動部を有する締付腕部材を、その回転軸を中心として回動することにより、使用する締付回動部を変更できるようにし、
前記調整腕部材と、前記締付回動部との相互間の距離を変更できるようにしたことを特徴とするようにしてもよい。
【0011】
また、締付回動部を複数有し、複数の締付回動部を有する締付側腕部材を、その回転軸を中心として回動することにより、使用する締付回動部を取り換えることができるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、カムボルトのカムを回動することができる複数の調整回動部と、カムボルトのロックナットを回動することができる締付回動部を有し、複数の調整回動部を有する調整腕部材を、回転軸を中心として回動可能に設け、回転軸を中心として回動することにより、使用する調整回動部を変更できるようにし、かつ、調整腕部材と、前記締付回動部との相互間の距離を変更できるようにしたことにより、1台のホイールアライメント調整装置で、複数種類のカムボルトに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1に係るホイールアライメント調整装置の正面図。
図2】本発明の実施例1に用いる締付機を内側から見た図。
図3】本発明の実施例1に用いる調整機を内側から見た図。
図4図1の状態から、調整腕部材を回動させるとともに、締付機と調整機を近接させた状態の正面図。
図5図3の状態から調整腕部材を回動させた状態の図。
図6】本発明の実施例1に用いる調整機の第2調整回動部と、締付回動部と、カムボルトの関係を示す部分断面図。
図7図6の状態から、第2調整回動部における第2調整側ソケットの遊嵌部内に、締付回動部の締付側ソケットを挿通させた状態の部分断面図。
図8図7の状態からカムボルトを取り付けた状態の部分断面図。
図9】車体とカムボルトとの関係を説明するための図。
図10】カムボルトの一例を示す図。
図11】カムボルトの他例を示す図。
図12】従来技術に係るホイールアライメント調整装置の概略図。
図13図12の要部縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0015】
[実施例1]
図1は、本発明における実施例1のホイールアライメント調整装置1を示す。
【0016】
ホイールアライメント調整装置1は、支持台2を有する。支持台2は、調整機5と締付機6を備え、支持台2を、ロボットアーム等の第1移動部3により、任意の位置に移動することができるとともに、図示しない回転軸を中心として回動することができ、調整機5と締付機6の位置を、例えば、図1の左右に反転することができるようになっている。
【0017】
また、調整機5と締付機6は、夫々、支持台2に対して、図示しない移動手段により、上下方向、及び、左右方向に移動できるようになっている。
【0018】
調整機5は、図1図4に示すように、シリンダー等の第2移動部7により、図1図4の左右方向に移動することができ、後述する調整腕部材8と、締付回動部21間の距離を変更することができるようになっている。
【0019】
調整機5は、調整腕部材8を有し、この調整腕部材8は、図1図5に示すように、回動駆動部16により回転軸8aを中心として回動できるようになっている。調整腕部材8は、第1調整取付腕9と第2調整取付腕10を有し、第1調整取付腕9の軸芯と第2調整取付腕10の軸芯は、同一となるように形成されている。
【0020】
第1調整取付腕9の先端部には、第1調整回動部11が設けられている。第1調整回動部11は、調整側ソケット13を有し、第1調整側ソケット13は、図示しないギアトレーンを介して調整回動駆動部15により、調整取付腕9に対して時計方向と反時計方向に回動できるようになっている。
【0021】
第1調整側ソケット13は、図1図3図5に示すように、締付機6側が開口する第1調整側係合部13aを有する。第1調整側係合部13aは、カムボルト102Aの調整部110Aを構成する頭部の外側面に嵌合することができ、第1調整側係合部13aとカムボルト102Aの調整部110Aが係合した状態において、調整回動駆動部15により第1調整側ソケット13を回動させることにより、カムボルト102Aのカム103を、カムボルト102の軸芯を中心として、時計方向と反時計方向に所定量回動させることができるようになっている。
【0022】
第2調整取付腕10の先端部には、図1図3に示すように、第2調整回動部12が設けられている。第2調整回動部12は、第2調整側ソケット14を有し、第2調整側ソケット14は、その外周面に設けた歯車を、図示しないギアトレーンを介して調整回動駆動部15により、第2調整取付腕10に対し時計方向と反時計方向に回動でき、調整回動駆動部15により第2調整側ソケット14を、第2調整取付腕10に対し時計方向と反時計方向に回動させることができるようになっている。
【0023】
第2調整側ソケット14は、図5に示すように、調整腕部材8の回転軸8aと平行な方向に貫通する貫通孔14aが形成されている。貫通孔14aの内面における締付機6側と反対側には、図6に示すように、カムボルト102Bの調整部110Bを構成するナットの外側面に嵌合することができる第2調整側係合部14bが形成されている。
【0024】
図8に示すように、第2調整側係合部14bとカムボルト102Bの調整部110Bが係合した状態において、調整回動駆動部15により第2調整側ソケット14を回動させることにより、カムボルト102Bのカム103を、カムボルト102Bの軸芯を中心として、時計方向と反時計方向に所定量回動させることができるようになっている。
【0025】
貫通孔14aの内面における締付機6側には、図6に示すように、円筒状の遊嵌部14cが形成されている。遊嵌部14cの内径は、後述する締付側ソケット22の外径より大きく設定されている。
【0026】
締付機6は、図1図2図4図8に示すように、締付回動部21を有するとともに、締付回動部21は、締付回動部21の本体部21aより調整機5側に少なくとも一部が突出する締付側ソケット22を有する。この締付側ソケット22は、図示しないギアトレーンを介して締付回動駆動部25により、本体部21aに対して時計方向と反時計方向に回動できるようになっている。
【0027】
締付側ソケット22は、調整機5側が開口する締付側係合部22aを有し、締付側係合部22aは、カムボルト102A,102Bのロックナット104の外側面に嵌合することができ、締付側係合部22aとカムボルト102A,102Bのロックナット104が係合した状態において、締付回動駆動部25により締付側ソケット22を回動させることにより、カムボルト102A,102Bのロックナット104を、カムボルト102A,102Bの軸芯を中心として、回動させ、所定の締め付け力(トルク)でロックナット104を締め付けることができるようになっている。
【0028】
次に、カムボルト102Aを用いたホイールアライメントの調整方法について説明する。
【0029】
図9に示すように、図示しない車体に取り付けられたサスペンションメンバ側の一対のブラケット101,101間には、車輪に端部が連結されているアーム105が配設されている。
【0030】
ブラケット101には、図9に示すように、長孔状に挿通孔101aが形成され、挿通孔101aにカムボルト102Aが、その両端が、挿通孔101aから外側に突出するように挿通して設けられている。
【0031】
カムボルト102Aの軸方向の両端部に、一対のカム103,103を備え、各ブラケット101の外側にカム103が位置するようになっている。一方のカム103は、カムボルト102Aの軸部106に固着され、一方のカム103の外側に、外周面が六角形状の頭部からなる調整部110Aが、軸部106に固着されている。
【0032】
他方のカム103は、軸部106の軸芯方向に、軸部106に対して周方向に回動することなく移動できるようになっている。軸部106に対する一方のカム103の形状と他方のカム103の形状は、略同じとなるように形成されている。調整部110Aを回動させると、カムボルト102A全体が、軸部106の軸芯を中心として回動し、両カム103,103を、軸部106の軸芯を中心として回動させることができるようになっている。
【0033】
また、図9に示すように、カム103は、ブラケット101に設けた一対のカム受け部101b,101bの間に配置されている。
【0034】
軸部106の少なくとも先端部には雄ネジが刻設され、この雄ネジにロックナット104が螺合している。
【0035】
調整部110Aを時計方向又は反時計方向に回動して、カム103を回動させることにより、カムボルト102Aが、挿通孔101a内を移動することにより、ブラケット101に対するアーム105の位置が変化し、ホイールアライメント(トー角、キャンバー角、キャスター角等)を変更、調整できるようになっている。
【0036】
次に、ホイールアライメント調整装置1を用いた、カムボルト102Aを有する車体のホイールアライメントの調整方法について説明する。
【0037】
先ず、図1に示すように、回動駆動部16により、第1調整回動部11が所定位置(図1の上方)となるように、調整腕部材8を、その回転軸8aを中心と回動させる。また、第2移動部7により調整機5を移動させ、調整機5の第1調整側ソケット13と、締付機6の締付側ソケット22との間隔が、カムボルト102Aの軸方向の長さより長くなるようにする。
【0038】
次に、第1移動部3により、調整機5が調整部110Aの外側に位置し、締付機6がロックナット104の外側に位置するように移動させる。
【0039】
次に、第2移動部7により調整機5を締付機6側に移動させ、調整機5の第1調整側ソケット13における第1調整側係合部13aにカムボルト102Aの調整部110Aを嵌合させる。また、締付機6の締付側ソケット22における締付側係合部22aにロックナット104を嵌合させる。
【0040】
次に、調整回動駆動部15により第1調整側ソケット13を回動させて、カムボルト102Aのカム103を回動させ、図示しないセンサー等に基づき、ホイールアライメント(トー角、キャンバー角、キャスター角等)が所定の数値となるように、変更、調整を行う。
【0041】
次に、締付回動駆動部25により、締付側ソケット22を回動させて、ロックナット104を所定の締め付け力となるように締め付けて、カム103の位置を固定する。
【0042】
次に、第1移動部3と、第2移動部7によりホイールアライメント調整装置1をカムボルト102Aから取り外すとともに車体から退避させて、ホイールアライメントの調整が終了する。
【0043】
次に、カムボルト102Bを用いたホイールアライメントの調整方法について説明する。
【0044】
カムボルト102Bは、図6図11に示すように、一対のカム103,103を備え、各ブラケット101の外側にカム103が位置するようになっている。一方のカム103は、カムボルト102Bの軸部107に固着されている。
【0045】
他方のカム103は、軸部107の軸芯方向に、軸部107に対して周方向に回動することなく移動できるようになっている。他方のカム103の外側に、外周面が六角形状の頭部からなる調整部110Bが、他方のカム103と一体に形成されている。調整部110Bを回動させると、カムボルト102B全体が、軸芯を中心として回動し、両カム103,103を、軸部107の軸芯を中心として回動させることができるようになっている。
【0046】
軸部107の少なくとも先端部には雄ネジが刻設され、この雄ネジにロックナット104が螺合している。
【0047】
上記以外のカムボルト102Bの構造は、上記カムボルト102Aと同様であるため、その説明を省略する。
【0048】
次に、ホイールアライメント調整装置1を用いた、カムボルト102Bを有する車体のホイールアライメントの調整方法について説明する。
【0049】
先ず、例えば、図1図2に示す状態から、調整腕部材8を、その回転軸8aを中心として回動させて、図4に示すように、第2調整回動部12が所定位置(図1の上方)となるように、使用する調整回動部を、第1調整回動部11から第2調整回動部12に変更して、使用する調整回動部を第2調整回動部12とする。また、第2移動部7により調整機5を締付機6側に移動させ、図7に示すように、調整機5の第2調整回動部12における第2調整側ソケット14の遊嵌部14c内に、締付回動部21の締付側ソケット22の少なくとも一部、本実施例においては、本体部21aより調整機5側に突出する締付側ソケット22全体を挿通させる。
【0050】
次に、第1移動部3等により、カムボルト102Bのロックナット104側から、図8に示すように、カムボルト102Bを、第2調整側ソケット14の貫通孔14a内に、その第2調整側係合部14b側から挿通する。
【0051】
これにより、図8に示すように、ロックナット104と、締付機6の締付側ソケット22における締付側係合部22aが嵌合するとともに、カムボルト102Bの調整部110Bと、調整機5の第2調整側ソケット14における第2調整側係合部14bを嵌合させる。
【0052】
次に、調整回動駆動部15により第2調整側ソケット14を回動させて、カムボルト102Bのカム103を回動させ、図示しないセンサー等に基づき、ホイールアライメント(トー角、キャンバー角、キャスター角等)が所定の数値となるように、変更、調整を行う。
【0053】
次に、締付回動駆動部25により、締付側ソケット22を回動させて、ロックナット104を所定の締め付け力となるように締め付けて、カム103の位置を固定する。第2調整側ソケット14の遊嵌部14c内に、締付回動部21の締付側ソケット22遊嵌して挿入されているため、第2調整回動部12と干渉することなく、ロックナット104の締付を行うことができる。
【0054】
次に、第1移動部3等によりホイールアライメント調整装置1をカムボルト102Bから取り外すとともに車体から退避させて、ホイールアライメントの調整が終了する。
【0055】
上記の構造により、ホイールアライメント調整装置1は、1台の装置で、カムボルト102Aとカムボルト102Bの両方を有する車体のホイールアライメントの調整を行え、車体の組立、最終調整、検査等を、従来の装置と比較して、効率よく行うことができる。
【0056】
また、調整腕部材8を、回転軸8aを中心として回動させることにより、使用する第1調整回動部11と、第2調整回動部12を入れ替えるとともに、第2移動部7により、調整機5を移動させるのみで、カムボルト102Aとカムボルト102Bへの切り替えができるため、短時間で変更に対応することができるとともに、構造がシンプルで製造コストを低く抑えることができる。
【0057】
第2調整側ソケット14の遊嵌部14c内に、締付回動部21の締付側ソケット22を遊嵌して挿入しているため、締付回動部21を回動させるギアトレーンのギアの歯車の厚みを、十分確保することができ、歯車の強度を確保することができるとともに、第2調整側ソケット14と締付回動部21のスペースをコンパクトにすることができ、ホイールアライメントの調整時に、車体の補器類等に干渉することを抑えることができる。
【0058】
また、図12図13に記載の従来のホイールアライメント調整装置200は、調整部110Bを回動させてカム103を回動させ、ホイールアライメントを調整する調整機201と、ロックナット104を締め付けてカム103の位置を固定させる締付機202を有する。調整機201は、図13に示すように、調整部110Bの外面と係合する筒状の調整係合部203を有する。調整係合部203は、その外側に位置する歯車により、時計方向と反時計方向に回動できるようになっている。
【0059】
締付機202は、筒状の調整係合部203の内側に、調整係合部203の軸芯を中心として回動可能に設けられた棒状の連結部材204を有し、連結部材204は、ロックナット104と係合する第1係合部205を設け、他方の端部には、締付ソケット206と係合する第2係合207を有する。締付ソケット206を回動することにより、ロックナット104を締め付けることができるようになっている。
【0060】
このように、上記従来のホイールアライメント調整装置200は、筒状の調整係合部203の内側に連結部材204を配設し、連結部材204の一端部に、ロックナット104と係合する第1係合部205を、他端部に、締付ソケット206と係合する第2係合207を形成したことにより、カムボルト102Bの一端部に設けられた調整部110Bと、ロックナット104を回動させる部分の構造が複雑で、占有体積も大きくなり、車体に装置のこの部分を挿入できるためのスペースがない場合には使用できないという問題がある。
【0061】
それに対し、本願発明は、第2調整側ソケット14の遊嵌部14c内に、締付回動部21の締付側ソケット22を遊嵌して挿入するようにしているため、カムボルト102Bの一端部に設けられた調整部110Bと、ロックナット104を回動させる部分の構造を、ホイールアライメント調整装置200と比較して、部品点数を削減し、コンパクトに形成することができる。これにより、この部分の占有体積を小さくし、ホイールアライメント調整装置200とよりも、車体に対する装置のこの部分を挿入できるためのスペースが小さい場合においても使用でき、より幅広い車種に対して、ホイールアライメント調整装置1を用いてホイールアライメントを調整することができる。
【0062】
[実施例2]
上記実施例1においては、調整機5は、第1調整取付腕9と第2調整取付腕10からなる2個の調整取付腕を有する調整腕部材8を備え、各調整取付腕9(10)に夫々、調整回動部11(12)を設けたが、調整腕部材に3個以上の調整取付腕を設けて、各調整取付腕に、夫々、1個の調整回動部を設けるようにしてもよい。
【0063】
調整回動部は、車体に取り付けたカムボルトの調整部と係合できるとともに、回動できるように形成されている。
【0064】
それ以外の構造は、前記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0065】
実施例2においても前記実施例1と同様の効果を奏する。
【0066】
[実施例3]
上記実施例1,2においては、締付機6は、一つの締付回動部21のみを有するが、上記実施例1,2の調整機5の調整腕部材と同様に、締付腕部材に複数の締付取付腕を設けて、各締付取付腕に、夫々、1個の締付回動部を設けるようにし、締付腕部材を回転軸を中心として回動することにより、使用する締付回動部を変更できるようにしてもよい。
【0067】
なお、調整機5の調整腕部材は、調整するカムボルトの形状に応じて、調整回動部は複数設けても、1つのみ設けてもよい。
【0068】
夫々の締付回動部は、異なる形状のロックナットを回動できるように形成されている。
【0069】
それ以外の構造は、前記実施例1,2と同様であるのでその説明を省略する。
【0070】
実施例3においても前記実施例1,2と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0071】
1 ホイールアライメント調整装置
2 支持台
3 移動部
8 調整腕部材
8a 回転軸
11,12 調整回動部
21 締付回動部
102A,102B カムボルト
103 カム
104 ロックナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ムボルトのカムを回動することができる複数の調整回動部と、前記カムボルトのロックナットを回動することができる締付回動部を有し、
前記複数の調整回動部を有する調整腕部材を、回転軸を中心として回動可能に設け、該回転軸を中心として回動することにより、使用する調整回動部を変更できるようにし、
前記調整腕部材と、前記締付回動部との相互間の距離を変更できるようにしたことを特徴とするホイールアライメント調整装置。
【請求項2】
ムボルトのカムを回動することができる調整回動部と、前記カムボルトのロックナットを回動することができる複数の締付回動部を有し、
前記複数の締付回動部を有する締付腕部材を、その回転軸を中心として回動することにより、使用する締付回動部を変更できるようにし、
前記調整腕部材と、前記締付回動部との相互間の距離を変更できるようにしたことを特徴とするホイールアライメント調整装置。
【請求項3】
締付回動部を複数有し、複数の締付回動部を有する締付側腕部材を、その回転軸を中心として回動することにより、使用する締付回動部を取り換えることができるようにしたことを特徴とする請求項1記載のホイールアライメント調整装置。
【請求項4】
支持台と、該支持台を移動する移動部を有し、
前記支持台に、前記調整回動部と、前記締付回動部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のホイールアライメント調整装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
そこで、本発明は複数種類のカムボルトに対応できるホイールアライメント調整装置を提供することを目的とするものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明は、ムボルトのカムを回動することができる複数の調整回動部と、前記カムボルトのロックナットを回動することができる締付回動部を有し、
前記複数の調整回動部を有する調整腕部材を、回転軸を中心として回動可能に設け、該回転軸を中心として回動することにより、使用する調整回動部を変更できるようにし、
前記調整腕部材と、前記締付回動部との相互間の距離を変更できるようにしたことを特徴とするたことを特徴とするものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、ムボルトのカムを回動することができる調整回動部と、前記カムボルトのロックナットを回動することができる複数の締付回動部を有し、
前記複数の締付回動部を有する締付腕部材を、その回転軸を中心として回動することにより、使用する締付回動部を変更できるようにし、
前記調整腕部材と、前記締付回動部との相互間の距離を変更できるようにしたことを特徴とするようにしてもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また、締付回動部を複数有し、複数の締付回動部を有する締付側腕部材を、その回転軸を中心として回動することにより、使用する締付回動部を取り換えることができるようにしてもよい。
また、支持台と、該支持台を移動する移動部を有し、
前記支持台に、前記調整回動部と、前記締付回動部を設けてもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カムボルトのカムを回動することができる複数の調整回動部と、前記カムボルトのロックナットを回動することができる締付回動部を有し、
前記調整回動部により、前記カムボルトの調整部を回動することにより、前記カムを回動し、
少なくとも第1調整回動部と第2調整回動部を有する調整腕部材を、回転軸を中心として回動可能に設け、該回転軸を中心として回動することにより、使用する調整回動部を変更できるようにし、
前記調整腕部材と、前記締付回動部との相互間の距離を変更できるようにし、
前記第1調整回動部と前記締付回動部を用いて、前記調整部と前記ロックナットが両端部に設けられたカムボルトを有する車両のホイールアライメントを調整し、
前記第2調整回動部と前記締付回動部を用いて、前記調整部と前記ロックナットが一方の端部に設けられたカムボルトを有する車両のホイールアライメントを調整することを特徴とするホイールアライメント調整装置。
【請求項2】
締付回動部を複数有し、複数の締付回動部を有する締付側腕部材を、その回転軸を中心として回動することにより、使用する締付回動部を取り換えることができるようにしたことを特徴とする請求項1記載のホイールアライメント調整装置。
【請求項3】
支持台と、該支持台を移動する移動部を有し、
前記支持台に、前記調整回動部と、前記締付回動部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のホイールアライメント調整装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明は、カムボルトのカムを回動することができる複数の調整回動部と、前記カムボルトのロックナットを回動することができる締付回動部を有し、
前記調整回動部により、前記カムボルトの調整部を回動することにより、前記カムを回動し、
少なくとも第1調整回動部と第2調整回動部を有する調整腕部材を、回転軸を中心として回動可能に設け、該回転軸を中心として回動することにより、使用する調整回動部を変更できるようにし、
前記調整腕部材と、前記締付回動部との相互間の距離を変更できるようにし、
前記第1調整回動部と前記締付回動部を用いて、前記調整部と前記ロックナットが両端部に設けられたカムボルトを有する車両のホイールアライメントを調整し、
前記第2調整回動部と前記締付回動部を用いて、前記調整部と前記ロックナットが一方の端部に設けられたカムボルトを有する車両のホイールアライメントを調整することを特徴とするものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】