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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184252
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】吸引装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20221206BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20221206BHJP
   A62B 29/00 20060101ALI20221206BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20221206BHJP
   F24F 8/90 20210101ALI20221206BHJP
【FI】
F24F7/007 Z
A41D13/11 Z
A41D13/11 L
A62B29/00
F24F8/80 210
F24F8/90 140
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091977
(22)【出願日】2021-05-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】717007860
【氏名又は名称】株式会社SEtech
(72)【発明者】
【氏名】関根 弘一
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185BA07
(57)【要約】
【課題】 飲食時に会話と飲食の双方が成り立つ飛沫飛散防止の吸引装置を提供する。
【解決手段】 人体の口及び鼻から飛散される飛沫を吸引する陰圧に保持された吸引フードが、顔がどちらの方向を向いても、口や鼻と吸引フードの吸引口の位置関係が変わらないように顔に吸引フードが固定され、会話時や歌唱時に口及び鼻から飛散する飛沫を吸引フードで収集し、吸引フードが飲食時に障害にならない構造にしたことを特徴とする吸引装置。

【選択図】 図1(a)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の口及び鼻の近傍に配置され、口及び鼻から飛散される飛沫を吸引する吸引フードと、
吸引フードに装着され、吸引フード内を陰圧にするための減圧ホースと、
減圧ホース内を陰圧にする減圧装置と、
吸引フードの吸引口と前記の人体の口及び鼻との相対位置関係を一定に保つための保持装置と、
からなる吸引装置。
【請求項2】
吸引フードの吸引口の一部分が可動し、口と吸引口の間の空間の体積を可変にしたことを特徴とする請求項1に記載の吸引装置。
【請求項3】
吸引フードの吸引口の一部分が可動し、人体の顔の向きの上下方向移動により、口と吸引口の間の空間の体積を自動的に可変する機構を有することを特徴とする請求項2に記載の吸引装置。
【請求項4】
前記吸引フードを陰圧にするための減圧装置と吸引フード間を繋ぐ減圧ホースの途中に、飛沫回収装置を挿入したことを特徴とする請求項1に記載の吸引装置。
【請求項5】
吸引フードの内部空間にマイクを設置し、口及び鼻から飛散する飛沫の吸引と、音声の集音とを行うことを特徴とする請求項1に記載の吸引装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の口もしくは鼻から発せられる飛沫の吸引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、飛沫感染を防止するためのマスクとか フェースシールドの飛沫の飛散防止効果がスーパーコンピュータ富岳を用いて理研でシミュレーションされている。結果は、最も効果が高い不織布マスクで80%カットに対し、ウレタンマスクで70%、フェースシールドで20%、フェースマスクでは10%しかカットされていない。また対面間にパーテーションを設置しても口元の高さでは不十分であり、対面、隣接間の間隔をあけて換気を十分に行う事が推奨されている。更にマスク会食の様に、食事の際にはマスクを外し、会話の際にはマスクを装着するとかの作業を強いられている。マスクを着けることで当然口元の表情が分からず、十分な意思疎通を阻害していた。着脱しやすいマスクの提案や、うちわの様な感染防止具の提案(特許文献1)がなされている。
【0003】
新型コロナウイルス感染拡大と共に、最も影響を受ける業態として飲食業が有り、緊急事態宣言の時短要請の発令を受けて、営業時間の短縮、大人数での会食の自粛等の要請で、経営状態の厳しさが増している。会食時の飛沫感染防止のためアクリル板を使ったパーテーション仕切りを施されているテーブル席では、大皿での料理の提供が出来ず、個々に配膳するための手間が掛かり、収益を更に圧迫している。客間の距離を保つために一席飛ばしでの着座や、対面の着座を回避するとか、店舗の利用効率を大きく阻害している。同様のことが劇場やライブハウスの様な歓声を上げる施設でも、密を避けるための観客の入場制限や、歓声を上げないなどの規制が入り、採算性、娯楽性の提供に大きな支障が出ている。テーブルに設置するパーテーションとしては上部の縁に吸引口を付けて飛沫を吸引する構造の提案(特許文献2)もあるが、隣同士の会話による飛沫は吸引できない。
【0004】
飛沫防護用具として、医療従事者向けの頭から肩下までを覆う透明なヘッドカバーを上部から吊るし内部を換気する用具の提案(特許文献3)や、首回りに装着して両肩の上に載せた載置台と、載置台に取り付けられた透明素材で頭部全周囲を覆う構造の用具に清浄空気を送付する構造の提案(特許文献4)がある。これらは装置が大掛かりになり、食事の際に邪魔になる。
【0005】
一方、歯科用の飛沫吸引装置として、吸引フード内の形状を工夫して渦の発生を抑え、歯科治療で発生する患者の口元の飛散物の吸引をスムーズに行う口腔外吸気装置(特許文献5)が提案されている。更に気密性を上げた提案(特許文献6)もなされている。
また直線状の空気噴出口と並行し対向して設置された空気吸引口の間でエアカーテン部分を形成し飛沫捕捉装置(特許文献7)が提案されている。もっと規模の大きな装置としては、口腔外吸引装置(特許文献8)や、負圧式防護システム(特許文献9)がある。
これらの歯科用の飛沫防止装置では患者の口元の位置が固定されているため、大きな装置で対応することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3230010号公報
【特許文献2】実用新案登録第3230914号公報
【特許文献3】実用新案登録第3228120号公報
【特許文献4】実用新案登録第3231128号公報
【特許文献5】特許公報第6332841号公報
【特許文献6】実用新案登録第3228965号公報
【特許文献7】特開平10-28696号公報
【特許文献8】特許公報第6332841号公報
【特許文献9】実用新案登録第3231052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術においては、会食時にマスクの着脱を頻繁に行わねばならず、煩雑さ故に、マスクを外したままにするとかが多い。またマスク時に相手の口元の表情が読み取れず楽しさが損なわれる。またオンライン飲み会も推奨されているが、モニター画面が分割され場の雰囲気が掴み辛いとか、盛り上がりに欠けるとかの欠点があった。またパーテーションで区切られると、各自のテーブルに料理を運ぶための配膳の手間が増え従業員の負担増になる。またパーテーションの上部は解放になっており、換気が十分でないと、対向者のテーブル上の料理に飛沫が再付着する懸念はぬぐえない。飛沫感染の機会を減らすべく、飲食店の閉店時間を行政側が早めるとかの指導はなされているが、飲食店の売り上げが減り、雇用確保が困難になり、行政側からの補助も多額に上る問題点があった。
【0008】
飲食店での飛沫感染が厄介なのは、飛沫を防ぐマスクやフェースシールドは顔との隙間を無くす必要があり、一方、飲食時には邪魔になるので外さなければならない。という相反する作業を頻繁に行わなければならない点である。また換気が重要であるものの、各椅子とダクトの位置関係で、空気の流れに乗って運ばれる飛沫が、他の客に降りかからないような配置にする必要があり、面積当たりの収容客数を減らさざるを得ない。
【0009】
一方、市中感染を早めにあぶり出すべくPCR検査数のアップは重要であるが、検査場まで行かねばならず、個人個人が検査に行くため、有効性が確認された検体を合体した一括検査手法が普及していない。1検体のPCR検査金額は2~3千円程度で可能である。検査場で行われる検査方法は採取した唾液を検体としたPCR検査である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明が提供する吸引装置は、具体的には、次のような吸引装置であり幾つかの変形がある。
【0011】
第1発明では、人体の口及び鼻から飛散される飛沫を吸引する吸引口を有する吸引フードと、吸引フードに装着され吸引フード内を陰圧にするための減圧ホースと、減圧ホース内を陰圧にする減圧ポンプと、からなる吸引装置である。口や鼻から飛散される飛沫を吸引口より吸引フードを経由して減圧ホース内へ吸引する。さらに顔がどちらの方向を向いても、口や鼻と吸引フードの吸引口の位置関係が変わらないように顔に吸引フードが固定される特徴をもたせる。
【0012】
第2発明では、第1発明を基本として、吸引口の一部が可動する機構にし、飲食時には口元の空間が拡大し、会話時には空間が狭まる工夫を設けた吸引装置を提供する。
【0013】
第3発明では、第2発明を基本として、顔の向きの上下方向で吸引口の一部が自動的に可動する機構にし、飲食時には口元の空間が拡大し、会話時には空間が狭まる工夫を設けた吸引装置を提供する。
【0014】
第4発明では、第1発明から第3発明のいずれか一を基本として、吸引ポンプに繋がっているホースの途中箇所、もしくは吸引フードの一部に飛沫回収部を設置し、個々人の飛沫を独立して回収するか、複数人の飛沫を合体して回収することを可能にした吸引装置を提供する。
これにより飛沫回収部に溜まった飛沫(唾液が主)をPCR検査することで、感染の有無を確認し該当者に連絡できるようにする。
【0015】
本発明によれば、口や鼻から飛散する飛沫を効率良く吸引可能な吸引装置を提供できる。また本発明の吸引装置は飲食時の飛沫飛散を防止する以外に、吸引フード内にワイヤレスマイクを設置することで、カラオケや合唱での飛沫の飛散防止にも役立つことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1(a)】実施形態1の吸引装置の全体を示す概念図
図1(b)】実施形態1の吸引フードの構造図
図2(a)】実施形態1の吸引装置の吸引フードの別の構成例を示す側面図
図2(b)】実施形態1の吸引装置の吸引フードの別の構成例を示す上面図
図2(c)】実施形態1の吸引装置の吸引フードの別の構成例を示す斜視図
図3(a)】実施形態1の吸引装置の吸引フードの更に別の構成例を示す図
図3(b)】実施形態1の吸引装置の吸引フードの更に別の構成例の斜視図
図4(a)】吸引フードの一部を可変にした実施形態2の吸引装置の構成例を示す図
図4(b)】吸引フードの一部を可変にした実施形態2の吸引フードの斜視図
図5(a)】実施形態2の吸引装置の吸引フードの変形過程の最初の段階を説明する図
図5(b)】実施形態2の吸引装置の吸引フードの変形過程の途中段階を説明する図
図5(c)】実施形態2の吸引装置の吸引フードの変形過程を最後の段階を説明する図
図6(a)】吸引フードの一部を手で触れずに可変にした、実施形態3の吸引装置の構成例を示す図
図6(b)】実施形態3の吸引装置の会話モードの構造図
図6(c)】実施形態3の吸引装置の会話モードから飲食モードに切り替わる段階の構造図
図6(d)】実施形態3の吸引装置の飲食モードの構造図
図6(e)】実施形態3の吸引装置の飲食モードの構造図
図6(f)】実施形態3の吸引装置の飲食モードから会話モードに切り替わる段階の構造図
図6(g)】実施形態3の吸引装置の会話モードの構造図
図7】実施形態3の吸引装置の透明パネルと下部透明パネルの位置関係の変化を説明する図
図8】複数人体を活用する実施形態4の吸引装置の構成を説明する図
図9】実施形態1の吸気装置の吸引フード3の内部に、ワイヤレスマイクを挿入した実施形態5の吸引装置の構成を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれらの実施の形
態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で
実施しうる。なお、実施形態1、1’は、主に請求項1について説明し、実施形態2、2’は、主に請求項2について説明し、実施形態3は、主に請求項3について説明し、実施形態4は、主に請求項4についてそれぞれ説明する。実施形態5は、主に請求項5ないし請求項1について説明する。
【0018】
<実施形態1>
本実施形態の吸引装置は、人体の口及び鼻から飛散される飛沫を吸引する吸引口を有する吸引フードと、吸引フードに装着され吸引フード内を陰圧にするための減圧ホースと、減圧ホース内を陰圧にする減圧装置と、からなる吸引装置である。口や鼻から飛散される飛沫を吸引口より吸引フードを経由して減圧ホース内へ吸引する。さらに顔がどちらの方向を向いても、口や鼻と吸引フードの吸引口の位置関係が変わらないように顔に吸引フードが固定される特徴をもたせる。
【0019】
本実施形態の減圧装置としては、以下の説明では減圧ポンプのケースで説明を行うが、減圧装置としては減圧ポンプに限定されず、真空カートリッジもしくは真空ボンベでも良い。
【0020】
本実施形態の吸引装置は、人体の口及び鼻からの飛沫を吸引する吸引フード、吸引フード内を陰圧に保つ減圧ポンプと減圧ホース、吸引フードと人体の口及び鼻との相対位置関係を一定に保つ保持装置とを備えている。本実施形態の吸気装置の全体を示す概念図である図1を参照し説明する。
【0021】
図1(a)で人体1の口もしくは鼻から飛散する飛沫2は、吸引フード3により受け止められる。吸引フード3からは保持棒4が延びており、人体1の頭部への固定する固定帯5に固定されている。固定帯5及び保持棒4は、人体の口及び鼻と吸引フード3の吸引口6との相対位置関係を一定に保つ保持装置の機能を果たす。吸引フード3は奥に行くに従って断面積は小さくなり、その先端部分には連結部7があり、減圧ホース8と連結されている。減圧ホース8は減圧ポンプ9と繋がっており、吸引フード3の内部の空間を吸引フード3の外部の大気より陰圧にする。減圧ホース8と減圧ポンプ9は、吸引フード3の内部を陰圧に保つ減圧装置の機能を果たす。
【0022】
人体1の口及び鼻から飛散した飛沫2は、陰圧に保たれた吸引フード3に吸引口6を経由して収集される。陰圧に保たれる吸引フード3の内部は、奥に行くに従って断面積は小さくなる形状により、連結部7に向けて気流の流速が速まる。この気流に乗って飛沫2は連結部7、減圧ホース8を経由して減圧ポンプ9に吸い取られる。
【0023】
図1(a)の吸引フード3の一例を図1(b)に示す。吸引フード3は漏斗状の形状をしており、漏斗の入り口が吸引口6で、漏斗の先端部分が連結部7に対応する。図1(a)、(b)に示す吸引フード3の構造では、下部の内壁に付着した飛沫2の一部が、傾斜に沿って移動し吸引口6の下部より、雫となって外部に滴下してしまうという構造的な課題がある。
【0024】
図1(a)では、吸引フード3からは保持棒4が延びており、人体1の頭部への固定する固定帯5に固定されている。この構造では目の前に保持棒4が配置されており目障りになる。また顔の前に保持棒4や吸引フード3があり、相手の顔の表情が読み取り辛くなる。という構造的な課題もある。
【0025】
図2(a)は、こうした課題の解決を目指した吸引フードの構造例を示す。吸引フードの構造としては一般的なフェースシールドの様に、頭部への固定帯5の前面部分から薄手のアクリル板の様な透明パネル10が顔全面を覆うように延びている。図2(b)は上部(頭頂部)からの構造図であり、固定帯5と、固定帯5に沿って湾曲した透明パネル10の形状を示している。
【0026】
図2(a)では、吸引フードの役割を実現するために、透明パネル10の下に下部透明パネル11が追加設置され、吸引フード3を構成する。吸引フード3の下端には減圧ホース8が設置されている。減圧ホース8との連結部7は図示されていない。図2(a)は顔の横方向から見た側面構造図であるが、斜め前方向から見た構造図を図2(c)に示す。頭部に固定する固定帯5と、湾曲した顔前面を覆う透明パネル10、下部透明パネル11、減圧ホース8が配置されている。透明パネル10と下部透明パネル11が吸引フード3に相当し、両者で覆われていない部分が吸引口6に対応する。図中直接見えない部分の輪郭線は破線で示し、付番号の指示線も同様に破線で示す(以下の説明でも同様)。
【0027】
図2(a)の透明パネル10、下部透明パネル11で形成された顔前面の空間は、口や鼻からの飛沫を受け止める他に、減圧ホース8で陰圧に保たれており、図1(a)の吸引フード3と同様に、飛沫の外部への飛散を防止する。
【0028】
透明パネル10と下部透明パネル11の内壁に付着した飛沫2(図示せず)は、雫となって傾斜に沿って減圧ホース8の連結部(図示せず)方向に移動するので、そのまま減圧ホース8で吸引される。このように、図1(a)で問題となった吸引口6の下部より、雫となって外部に滴下してしまうという構造的な課題が解消する。
【0029】
<実施形態1’>
図3(a)には別の構成の吸引フードの構造例を示す。吸引フード3の構造としては、図2(a)と同様に、頭部への固定帯5の前面部分から薄手のアクリル板の様な透明パネル10が顔全面を覆うように延び、透明パネル10の下には下部透明パネル11が追加設置され、減圧ホース8が連結部7に設置されている。
【0030】
図3(a)に示す吸引フード3の構造の斜視図を図3(b)に示す。透明パネル10と下部透明パネル11の側壁部には側壁パネル12、12’が設けられている。吸引フード3は形状的には四角錐状の形をしており、先端部分には吸引ホース8を嵌め込む連結部7が形成されている。この透明パネル10、下部透明パネル11、側壁パネル12、12’で構成されるが四角錐が吸引フード3に相当し、連結部7の反対側の四角錐の底部が吸引口6に対応する。側壁パネル12、12’の構成部材としては、透明パネル10、下部透明パネル11と同様に透明素材が望ましい。図3(a)、(b)の下部透明パネル11は可動しない。
【0031】
図3(a)、(b)の透明パネル10、下部透明パネル11、側壁パネル12、12’で形成された顔前面の空間は、人体1の口や鼻からの飛沫を受け止める他に、連結部7に嵌め込まれた減圧ホース8で内部が陰圧に保たれており、図1(a)、(b)、及び図2(a)、(c)に示される吸引フード3と同様に、飛沫の外部への飛散を防止する。
【0032】
図3(a)、(b)に示す吸引フード3では、透明パネル10、下部透明パネル11、及び側壁パネル12、12’の内壁に付着した飛沫2(図示せず)は、雫となって傾斜に沿って連結部7に移動し、減圧ホース8より吸引される。この構造の吸引フード3でも図2(a)の構造と同様に、図1(a)で問題となった吸引口6の下部より、雫となって外部に滴下してしまうという構造的な課題が解消する。
【0033】
図2(a)、及び図3(a)に示す吸引フード3では、下部透明パネル11が口元にある構造であり、通常の会話の際には問題とならないが、飲食時には口元の空間が無く、下部透明パネル11の存在が料理を口元に移動する際に障害となるという構造的な課題が新たに生ずる。この課題は図1(a)の吸引フード3が口元に近い場合でも同様に発生する。下部透明パネル11が口元から離した構造では、飲食時には料理の口元への移動の障害は軽減されるが、飛沫の回収効率が劣化する。
【0034】
<実施形態2>
図4(a)は、こうした課題の解決を目指した吸引フードの構造例を示す。吸引フード3の構造としては、図3(a)と同様に、頭部への固定帯5に固定された透明パネル10が顔全面を覆うように延び、透明パネル10の下には可動する下部透明パネル11’が設置され、減圧ホース8が連結部7に設置されている。下部透明パネル11’は可動し、下部透明パネル11“の位置まで跳ね上がる。
【0035】
図4(a)に示す吸引フード3の構造の斜視図を図4(b)に示す。図3(b)と同様に、透明パネル10と下部透明パネル11’の側壁部には側壁パネル12、12’が設けられ、先端部分には吸引ホース8を嵌め込む連結部7が形成されている。下部透明パネル11’は角度θだけ回転して、下部透明パネル11“の位置まで跳ね上がる。
【0036】
図4(a)、(b)では透明パネル10、可動する下部透明パネル11’、11“で形成された顔前面の空間を可変にし、飲食時の妨げにならないようにしている。具体的には、会話時に、顔前面の空間で口や鼻からの飛沫を受け止めるように下げている(この状態を会話モードと称す)。会話モードの下部透明パネル11’は、飲食時には下部透明パネル11“の位置まで跳ね上がる(この状態を飲食モードと称す)。このことで人体1の口元の空間が広がり、飲食物を口元に運びやすくなる。
【0037】
図4(a)、(b)で飲食モードでは、下部透明パネル11’は下部透明パネル11“の位置まで跳ね上がり、側壁パネル12、12’はそのままの位置に留まる。このように、飲食モードでは吸引フードの機能は、透明パネル10、下部透明パネル11“、側壁パネル12、12’で囲まれる空間で行われ、吸引口6は狭くなる。これは飲食時には喋らずに、鼻、口からの飛沫が少なるなることを期待している。喋っても透明パネル10、下部透明パネル11”はそのままあるので、一部吸引されなかった飛沫は下部透明パネル11”で下方向に向きを変えられ、対向位置の同席者への飛沫飛散は抑制できる。
【0038】
図3(c)、(d)では、下部透明パネル11’が跳ね上がった位置でも、側壁パネル12、12’はそのままの位置に留まっているので、飲食時に、側壁パネル12、12’の存在が料理を横方向から口元に移動する場合に、少し障害となるという構造的な課題が残っている。
【0039】
<実施形態2’>
図5(a)は、こうした課題の解決を目指した吸引フードの別の構造例を示す。吸引フード構造としては、図4(b)をベースにしており、側壁パネル12、12’には谷折り13、13’、山折り14、14’の2種類の折り目が付いている。図4(b)と同様に、透明パネル10、下部透明パネル11、連結部7も図示されている。
【0040】
図5(b)は、下部透明パネル11“が跳ね上がりだした状態を図示しており、側壁パネル12、12’は谷折り13、13’、山折り14、14’の2種類の折り目に沿って変形していく。
【0041】
図5(c)は、下部透明パネル11“が跳ね上がり切った状態を図示しており、側壁パネル12、12’の谷折り13、13’、山折り14、14’部は完全に折れ曲がっている。
【0042】
図5(c)の状態では、下部透明パネル11’が跳ね上がり切った位置まで、折り畳まれて側壁パネル12、12’の下端が跳ね上がった状態になっている。このため飲食モードで、料理を横方向から口元に移動する場合でも、側壁パネル12、12’の存在は移動に障害とならない。
【0043】
<実施形態3>
飲食モードで口元へ料理を運ぶ際に、下部透明パネル11’、11“の位置を手で移動させるのは煩雑であり、手の汚れが透明パネルを汚すとかの課題がある。この課題を解決する吸引フードの構造例を図4(a)の側面図をベースにして、図6(a)~(g)で説明する。図では吸引フード3から連結部7までを示しており、減圧ホースは割愛している。
【0044】
図4(a)に示した吸引フード3に対応する透明パネル10、可動する下部透明パネル11’、11“の機構を、図6(a)で説明する。図6(a)で透明パネル10、連結部7は図4(a)と同じであるが、図4(a)の下部透明パネル11が固定部分11と可動部分11’に分かれる。固定の下部透明パネル11の端部には連結部7があり、反対側には蝶番15を介し、可動する下部透明パネル11’に連結している。固定の下部透明パネル11には蝶番15の先にストッパー18があり、可動する下部透明パネル11’が下に垂れ下がらないようにしている。
【0045】
図6(a)で透明パネル10とストッパー18で止まった状態の可動する下部透明パネル11’とのなす角をΔとする。このΔはストッパー18が固定の下部透明パネル11の延長線上にあるので、透明パネル10と固定の下部透明パネル11とのなす角と考えて良い。ここで跳ね上がった可動する下部透明パネル11“の方向が透明パネル10と同じ方向(平行)とすると、可動する下部透明パネル11’、11“の可動幅の角度はΔとなる。透明パネル10の鉛直方向からの傾き角をθとする。
【0046】
下に下がった状態の下部透明パネル11’(会話モードでの位置)では飲食時には邪魔になるので、跳ね上がった状態の下部透明パネル11”(飲食モードでの位置)に移動させ、また会話時には、飛沫が収集し易い下に下がった状態の下部透明パネル11’(会話モードでの位置)に戻す方法につき図6(b)~(g)で説明する。
【0047】
図6(b)では会話モードの状態を示すが、透明パネル10、連結部7、固定の下部透明パネル11の端部の蝶番15を介して、下部透明パネル11’がストッパー18で支えられている。ここまでは図6(a)の下部透明パネル11’のケース(会話モード)と同じであるが、可動する下部透明パネル11’には蝶番15から延びる支柱16と重り17が追加されている。会話モードの支柱16の鉛直方向からの傾き角をφとする。φには符号が有り、図6(b)のように鉛直線より左側を+(プラス)とし、右側を-(マイナス)とする。説明を簡素化するために、重り17の重さは、下部透明パネル11’の重さより十分重いものとする。
【0048】
図6(c)では顔の向きを下向きにし、透明パネル10を鉛直に近づけ、蝶番15から延びる支柱16の鉛直方向からの傾き角をφがゼロになったと状態を示す。この時の透明パネル10を鉛直からの傾きをθと表記する。透明パネル10と下部透明パネル11’とのなす角はΔなので、蝶番15から延びる支柱16と下部透明パネル11’とのなす角はθ+Δとなる。
【0049】
図6(d)では顔の向きを更に下向きにし、透明パネル10の鉛直からの傾きθがθより小さい場合を示す。この際、重り17の重さは、下部透明パネル11’の重さより十分重いので、重り17と支柱16は蝶番15を支点として透明パネル10側へ回転し、重り17は透明パネル10に設けられたストッパー18’の位置で止まる。これに伴い下部透明パネル11’も回転し飲食モードの位置である下部透明パネル11“の状態になる。この方向は透明パネル10と同じ方向(平行)であり、鉛直からの傾きはθである。飲食モードでの支柱16の鉛直方向からの傾き角φはマイナスであり、ここでθ+φ=θ+Δである。
【0050】
図6(e)では顔の向きが上向きに戻り、透明パネル10の鉛直からの傾きθがθとより大きくなった場合を示す。この場合でも、重り17は透明パネル10に設けられたストッパー18’の位置で止まったままで、下部透明パネル11“も飲食モードの位置の透明パネル10と同じ方向を保ったままである。飲食モードでの支柱16の鉛直方向からの傾き角φはマイナスを保っている。
【0051】
図6(f)では顔の向きが更に上向きに戻り、透明パネル10の鉛直からの傾きθがθ+Δと同じになった場合である。これは飲食モードでのφがゼロとなった場合であり、このθをθ’と表記する。この場合でも、重り17は透明パネル10に設けられたストッパー18’の位置で止まり、下部透明パネル11”も飲食モードの位置の透明パネル10と同じ方向を保っている。透明パネル10と固定部分の下部透明パネル11とのなす角はΔで、蝶番15から延びる支柱16と下部透明パネル11”とのなす角はθ+Δであり、支柱16と固定部分の下部透明パネル11とのなす角はθ+2Δとなる。
【0052】
図6(g)では顔の向きが更に上向きに戻り、透明パネル10の鉛直からの傾きθがθ’より大きい(+α)場合を示す。この際、重り17の重さは、下部透明パネル11’の重さより十分重いので、重り17と支柱16は蝶番15を支点として透明パネル10から離れる側へ回転し、重り17は固定部分の下部透明パネル11に設けられたストッパー18の位置で止まる。これに伴い下部透明パネル11”も回転し会話モードの位置である下部透明パネル11’の状態になる。この方向は固定部分の下部透明パネル11の延長線方向であり、会話モードの状態に戻る。顔の向きが下側に戻っても、透明パネル10の鉛直からの傾きθがθ以下にならなければ、図6(b)に示すような会話モードが保たれる。
【0053】
図6(a)~(g)で説明したように、可動部の下部透明パネルを、会話モードの位置である下部透明パネル11’と、飲食モードの位置である下部透明パネル11”の2つの状態の切り替えが、顔の向きを上下に変えるだけで可能となる。このため、下部透明パネル11’、11“を手で触れることなく切り替えができ、手の汚れが透明パネルを汚す課題が解決できる。
【0054】
図6(b)~(g)で説明した各状態の理解を更に助けるために、透明パネル10と可動する下部透明パネル11’、11“の鉛直からの傾きθを縦軸にし、顔の向きを変化させた時間経過を横軸にして、会話モードと飲食モードの切り替えがどの様に生じるかを図7にグラフ化した。
【0055】
図7の時間経過Aは、図6(b)の会話モードの状態に対応する。透明パネル10の鉛直方向からの傾きをθとする。下部透明パネル11’は、固定の下部透明パネル11の延長線上にあるストッパー18で支えられている。固定の下部透明パネル11と透明パネル10のなす角はΔであるので、下部透明パネル11’の鉛直方向からの傾きはθ+Δである。
【0056】
図7の時間経過Bは、図6(c)の会話モードの最後の状態に対応する。透明パネル10の鉛直方向からの傾きはθであり、下部透明パネル11’の鉛直方向からの傾きはθ+Δである。この場合(φ=0)の透明パネル10と下部透明パネル11’の状態を図7の図中に追加した。
【0057】
図7の時間経過Cは、図6(d)の飲食モードの状態に対応する。顔の向きを更に下向きにし、透明パネル10の鉛直からの傾きθがθより小さい場合に、重り17は透明パネル10に設けられたストッパー18’の位置で止まっており、これに伴い下部透明パネル11’も回転して飲食モードの位置である下部透明パネル11“の状態になる。この方向は透明パネル10と同じ方向(平行)であり、図7の図中で両者(下部透明パネル11“、透明パネル10)は重なる。
【0058】
図7の時間経過Dは、透明パネルの鉛直方向からの傾きがθの状態に対応するが、図6(d)から図6(e)の間の状態に対応して飲食モードのままである。従って下部透明パネル11“の方向は透明パネル10と同じ方向(平行)であり、図7の図中で両者(下部透明パネル11“、透明パネル10)は重なったままである。
【0059】
図7の時間経過Eは、図6(e)の間の状態に対応して、透明パネル10の鉛直からの傾きθがθとより大きくなった場合であるが、飲食モードのままである。下部透明パネル11“も飲食モードの位置の透明パネル10と同じ方向を保ったままである。飲食モードでの支柱16の鉛直方向からの傾き角φはマイナスを保ってて、下部透明パネル11“の方向は透明パネル10と同じ方向(平行)であり、図7の図中で両者(下部透明パネル11“、透明パネル10)は重なったままである。
【0060】
図7の時間経過Fは、図6(f)の飲食モードの最後の状態に対応する。透明パネル10の鉛直方向からの傾きはθ’であり、支柱16が鉛直方向を向いている。下部透明パネル11”の鉛直方向からの傾きはθ+Δである。この場合(φ=0)の透明パネル10と下部透明パネル11”の状態も図7の図中に追加した。
【0061】
図7の時間経過Gは、図6(g)の会話モードの状態に対応する。顔の向きを更に上向きにし、透明パネル10の鉛直からの傾きθがθ’より大きい場合に、重り17は透明パネル10に設けられたストッパー18’から離れる方向に回転し、これに伴い下部透明パネル11“も回転して、固定の下部透明パネル11の延長線上にあるストッパー18で支えられる下部透明パネル11’の位置になる。これが会話モードである。透明パネル10の鉛直方向からの傾きをθとすると、下部透明パネル11’の鉛直方向からの傾きはθ+Δとなり、透明パネル10と下部透明パネル11’は再び分離する。
【0062】
図7の時間経過Hは、透明パネルの鉛直方向からの傾きがθ’の状態に対応するが、図6(g)から図6(b)の間の状態に対応して会話モードのままである。従って下部透明パネル11’の方向は透明パネル10からΔ傾いた状態を保ったままである。
【0063】
図7の時間経過Iは、図7の時間経過Aに戻り、図6(b)の会話モードの状態に対応する。透明パネル10の鉛直方向からの傾きをθとすると、下部透明パネル11’の鉛直方向からの傾きはθ+Δである。また図7の経過時間Jは図7の経過時間Bに対応する。以降、飲食モード、会話モードを繰り返す。
【0064】
図6(b)~(g)、及び図7の説明では、重り17の重さは、下部透明パネル11’の重さより十分重いことを前提とした。このため、重り17の支柱16が鉛直になった時が、下部透明パネル11‘、11”の回転が始まる;即ち飲食モードと会食モードの切り替わりの分岐点になっていた。
実際には回転の分岐点は図6(c)から図6(d)側へ少しズレる。正確には、重り17と支柱16の重心と支点15までの水平方向距離と重り17と支柱16の重量の積と、下部透明パネル11’ の重心と支点15までの水平方向距離と下部透明パネル11’ の重量の積と、が一致した所が分岐点になる。また図6(f)では、少し手前の図6(e)側へズレる。同様に、重り17と支柱16の重心と支点15までの水平方向距離と重り17と支柱16の重量の積と、下部透明パネル11’ の重心と支点15までの水平方向距離と下部透明パネル11’ の重量の積と、が一致した所が分岐点になる。
【0065】
図6(b)~(g)の説明では、重り17の回転力により下部透明パネル11’の回転を制御し、飲食モードと会食モードの切り替わりを行っていたが、この回転はモーターを動力源として使っても良いし、モードの切り替えも透明パネル10の傾き検知でも良いし、カメラで目の動きをモニターし、例えばウィンクすることでモード切替を制御も良い。
【0066】
<実施形態4>
一般的に会食時には複数の参加者が同じテーブルを囲み、対面で会話するケースが多く、会話時に飛散する飛沫が対面の同席者や、隣接する同席者の所まで到達し、飛沫感染するケースが多かった。以上の説明では吸引フード3が1つの場合の本発明の吸気装置に付いてであったが、この場合には各テーブルにこの吸気装置が複数台設置されることになり、減圧ポンプが複数台並び、スペース効率が落ちる問題や、外観上の見栄えの問題があった。本発明は複数の吸引フード3で構成される吸引装置に対しても実施でき、これらの問題を解消できる。図8は対面者どうしに吸引フード3を装着した本発明の吸引装置の説明図である。
【0067】
図8で人体1、1’の口及び鼻から飛散する飛沫2は、吸引フード3により受け止められる。頭部への固定帯5の前面部分から薄手のアクリル板の様な透明パネル10が顔全面を覆うように延び、透明パネル10の下には下部透明パネル11が設置され、吸引フード3を構成する。減圧ホース8が連結部7に設置されている。複数の減圧ホース8は減圧ポンプ9と繋がっており、図8では複数の減圧ホース8と減圧ポンプ9の間に、飛沫回収装置19が挿入されている。
【0068】
図8の飛沫回収装置19は、飛沫回収容器20と蓋21で構成され、蓋21には複数の減圧ホース8が挿入され、更に減圧ポンプ9からの減圧ホース22も挿入されている。飛沫回収容器20は蓋21で気密性が保たれており、減圧ポンプ9により減圧ホース22を介し、飛沫回収容器20内は大気に対し陰圧になる。複数の減圧ホース8も陰圧に保たれ、吸引フード3内部を陰圧に保つ。
【0069】
図8の飛沫回収装置19において、吸引フード3に繋がった減圧ホース8の先端部8’は、飛沫回収容器20の底部に溜まった回収飛沫23に接近して設けられ、減圧ポンプ9に繋がった減圧ホース22の先端部22’は、回収飛沫23から離し設けられることが望ましい。これは減圧ホース8の先端部8’から噴出される飛沫2が、減圧ホース22の先端部22’より直接吸引されるのを防ぐ目的の構造である。即ち、減圧ホース8の先端部8’から噴出される飛沫2は、その慣性力で底部、もしくは底部に溜まった回収飛沫23に衝突する。飛沫が液体であることによる表面張力で、飛沫回収容器20の底部、もしくは回収飛沫23に付着し、吐気の気体部分が減圧ホース22の先端部22’より減圧ポンプ9に吸収される。
【0070】
図8では飛沫回収装置19を付けた場合で説明したが、飛沫回収する必要のない場合には、複数の減圧ホース8を一本に収斂させ、減圧ポンプ9に連結させても良い。
【0071】
<実施形態5>
上記の実施例では、会食時の飛沫の飛散を防止する吸引装置に付いて説明してきた。本発明の吸引装置は会食時以外に歌唱時の飛沫防止の場合でも有効である。図9で歌唱時の吸引装置の構成に付き説明する。吸引フード3の構造としては、図2(a)と同様に、頭部への固定帯5の前面部分から薄手のアクリル板の様な透明パネル10が顔全面を覆うように延び、透明パネル10の下には下部透明パネル11が追加設置され、減圧ホース8が連結部7に設置されている。吸引フード3の内部にはワイヤレスマイク24が設置されており、ワイヤレスマイク24は支柱25で透明パネル10に固定されている。この構成で人体1の口および鼻より発せられた飛沫は、連結部7に嵌め込まれた減圧ホース8で内部が陰圧に保たれている吸引フード3で受け止められ、飛沫の外部への飛散を防止する。
【0072】
図9では吸引フード3の内部にはワイヤレスマイク24が設置されている図で説明したが、マイクはワイヤレスに限定されることは無く、コード付きマイクであっても良い。
【0073】
立席パーティでの会話や、コンサートの様に集団で歌唱時には、図1(a)に示す吸引装置が各人体1に独立して装着していることが望ましい。例えば減圧ポンプ9を人体の腰の位置に装着し、減圧ポンプ9からの排気は、殺菌フィルムやフィルター(図示せず)を通して、安全な状態にして排出するとか、足元付近から排出するとかして、飛沫が空気中に漂わせない工夫が必要である。
【符号の説明】
【0074】
1、1’ 人体
2 飛沫
3 吸引フード
4 保持棒
5 固定帯
6 吸引口
7 連結部
8 減圧ホース
8’ 減圧ホース先端部
9 減圧ポンプ
10 透明パネル
11、11’、11“ 下部透明パネル
13、13’ 谷折り
14、14’ 山折り
15 蝶番
16、25 支柱
17 重り
18、18’ ストッパー
19 飛沫回収装置
20 飛沫回収容器
21 蓋
22 減圧ホース
22’ 減圧ホース先端部
23 回収飛沫
24 ワイヤレスマイク
図1(a)】
図1(b)】
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図3(a)】
図3(b)】
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図6(d)】
図6(e)】
図6(f)】
図6(g)】
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の口及び鼻の近傍に配置され、口及び鼻から飛散される飛沫を吸引する吸引フードと、
吸引フードの吸引口の一部分が、口と吸引口の間の空間体積を可変にすべく、可動する機構と、
吸引フードに装着され、吸引フード内を陰圧にするための減圧ホースと、
減圧ホース内を陰圧にする減圧装置と、
吸引フードの吸引口と前記の人体の口及び鼻との相対位置関係を一定に保つための保持装置と、
からなる吸引装置。
【請求項2】
吸引フードの吸引口の一部分が可動し、人体の顔の向きの上下方向移動により、口と吸引口の間の空間の体積を自動的に可変する機構を有することを特徴とする請求項1に記載の吸引装置。
【請求項3】
前記吸引フードを陰圧にするための減圧装置と吸引フード間を繋ぐ減圧ホースの途中に、飛沫回収装置を挿入したことを特徴とする請求項1に記載の吸引装置。
【請求項4】
吸引フードの内部空間にマイクを設置し、口及び鼻から飛散する飛沫の吸引と、音声の集音とを行うことを特徴とする請求項1に記載の吸引装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
図7の時間経過Eは、図6(e)の間の状態に対応して、透明パネル10の鉛直からの傾きθがθとより大きくなった場合であるが、飲食モードのままである。下部透明パネル11“も飲食モードの位置の透明パネル10と同じ方向を保ったままである。飲食モードでの支柱16の鉛直方向からの傾き角φはマイナスを保っ、下部透明パネル11“の方向は透明パネル10と同じ方向(平行)であり、図7の図中で両者(下部透明パネル11“、透明パネル10)は重なったままである。