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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184440
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】回転支持装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/54 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B23Q1/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092291
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】596037194
【氏名又は名称】パスカルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二宮 隆司
【テーマコード(参考)】
3C048
【Fターム(参考)】
3C048DD17
(57)【要約】
【課題】動作の精度が高く、かつ部品点数が低減された回転支持装置を提供する。
【解決手段】回転支持装置は、第1ユニットおよび第2ユニットと、第1ユニットおよび第2ユニットに第1軸まわりに回転可能に支持されるテーブルと、テーブルを第1軸まわりに回転させる駆動力をテーブルに供給する第1駆動機構と、テーブルに設けられ、第1軸に直交する第2軸まわりにワークを回転させることが可能な回転機構と、ワークを第2軸まわりに回転させる駆動力を回転機構に供給する第2駆動機構と、第2駆動機構の動力を回転機構に伝達する動力伝達機構とを備える。動力伝達機構は、第2駆動機構側の第1ギヤおよび回転機構側の第2ギヤの2つのギヤからなる減速機構を含む。第1ギヤおよび第2ギヤは、第1軸と平行な軸まわりに回転する平行軸歯車である。テーブルは、第1ギヤを支持する支持機構を含む。支持機構を第1軸に直交する方向に移動させることにより、第1ギヤと第2ギヤとの軸間距離を調整可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する2軸まわりに回転可能にワークを支持することが可能な回転支持装置であって、
第1ユニットおよび第2ユニットと、
前記第1ユニットおよび前記第2ユニットに第1軸まわりに回転可能に支持されるテーブルと、
前記テーブルを前記第1軸まわりに回転させる駆動力を前記テーブルに供給する第1駆動機構と、
前記テーブルに設けられ、前記第1軸に直交する第2軸まわりに前記ワークを回転させることが可能な回転機構と、
前記ワークを前記第2軸まわりに回転させる駆動力を前記回転機構に供給する第2駆動機構と、
前記第2駆動機構の動力を前記回転機構に伝達する動力伝達機構とを備え、
前記動力伝達機構は、前記第2駆動機構側の第1ギヤおよび前記回転機構側の第2ギヤの2つのギヤからなる減速機構を含み、
前記第1ギヤおよび前記第2ギヤは、前記第1軸と平行な軸まわりに回転する平行軸歯車であり、
前記テーブルは、前記第1ギヤを支持する支持機構を含み、前記支持機構を前記第1軸に直交する方向に移動させることにより、前記第1ギヤと前記第2ギヤとの軸間距離を調整可能である、回転支持装置。
【請求項2】
前記動力伝達機構は、前記回転機構と接続されるローラギヤカムを含む、請求項1に記載の回転支持装置。
【請求項3】
前記第1駆動機構は、前記第1ユニットの内部に設けられ、
前記第2駆動機構は、前記第2ユニット内の内部に設けられる、請求項1または請求項2に記載の回転支持装置。
【請求項4】
前記第1ギヤは、軸受を介して前記テーブルに支持される軸部を含み、
前記第1ギヤの前記軸部は、カップリングを介して前記第2駆動機構と接続される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転支持装置。
【請求項5】
前記第1軸および前記第2軸は、前記第1軸および前記第2軸に直交する第3軸の方向に沿って互いに離間した位置にある、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転支持装置。
【請求項6】
前記回転機構は、前記第2軸に沿って前記テーブルに設けられたロータリジョイントを含み、
前記ロータリジョイントを介して流体圧シリンダに作動流体が供給され、前記ロータリジョイントを介して前記流体圧シリンダから作動流体が排出されることにより、前記ワークのロック動作およびロック解除動作が行われる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回転支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、回転支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを回転可能に支持する回転支持装置が従来から知られている。このような回転支持装置として、たとえば、特許第4590244号公報(特許文献1)、特開2004-160642号公報(特許文献2)、実開平06-000625号公報(特許文献3)、実開昭62-088537号公報(特許文献4)、特開2021-000674号公報(特許文献5)、および実用新案登録第3094448号公報(特許文献6)に記載のものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4590244号公報
【特許文献2】特開2004-160642号公報
【特許文献3】実開平06-000625号公報
【特許文献4】実開昭62-088537号公報
【特許文献5】特開2021-000674号公報
【特許文献6】実用新案登録第3094448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転支持装置の動作の精度向上が求められる。他方、回転支持装置の部品点数の低減も求められる。
【0005】
本技術の目的は、動作の精度が高く、かつ部品点数が低減された回転支持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係る回転支持装置は、互いに直交する2軸まわりに回転可能にワークを支持することが可能な回転支持装置であって、第1ユニットおよび第2ユニットと、第1ユニットおよび第2ユニットに第1軸まわりに回転可能に支持されるテーブルと、テーブルを第1軸まわりに回転させる駆動力をテーブルに供給する第1駆動機構と、テーブルに設けられ、第1軸に直交する第2軸まわりにワークを回転させることが可能な回転機構と、ワークを第2軸まわりに回転させる駆動力を回転機構に供給する第2駆動機構と、第2駆動機構の動力を回転機構に伝達する動力伝達機構とを備える。動力伝達機構は、第2駆動機構側の第1ギヤおよび回転機構側の第2ギヤの2つのギヤからなる減速機構を含む。第1ギヤおよび第2ギヤは、第1軸と平行な軸まわりに回転する平行軸歯車である。テーブルは、第1ギヤを支持する支持機構を含む。支持機構を第1軸に直交する方向に移動させることにより、第1ギヤと第2ギヤとの軸間距離を調整可能である。
【発明の効果】
【0007】
本技術によれば、動作の精度が高く、かつ部品点数が低減された回転支持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本技術の1つの実施の形態に係る回転支持装置を含む工作機械を示す図である。
図2図1に示す回転支持装置を矢印IIの方向から見た状態を示す図である。
図3図1に示す回転支持装置に含まれる回転機構の構成をより詳細に示す図である。
図4図1に示す回転支持装置に含まれる動力伝達機構の構成をより詳細に示す図である。
図5図4に示す2つのギヤの位置関係を示す図である。
図6】参考例に係る2つのギヤの位置関係を示す図である。
図7図1に示す回転支持装置に含まれる動力伝達機構のカップリングを固定する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0010】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0011】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0012】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0013】
図1は、1つの実施の形態に係る工作機械1(マシニングセンタ)を示す図である。図1に示すように、工作機械1は、主軸2と、切削用ツール3とを含む。工作機械1は、ワークW(被加工物)を支持する回転支持装置100をさらに含む。
【0014】
主軸2は、切削用ツール3を保持可能である。切削用ツール3は、回転支持装置100に支持されたワークWに切削加工を施すための工具である。
【0015】
図2は、回転支持装置100を図1中の矢印IIの方向から見た状態を示す図である。図1図2に示すように、回転支持装置100は、第1ユニット110(インデックスユニット)と、第2ユニット120(サポートユニット)と、ベース130と、インデックステーブル140と、回転機構150と、動力伝達機構160とを含む。
【0016】
第1ユニット110および第2ユニット120は、ベース130上に設けられる。回転機構150は、インデックステーブル140に支持される。インデックステーブル140は、第1ユニット110および第2ユニット120によって回転(後述の「A軸回転」)可能に支持される。したがって、インデックステーブル140上に固定されたワークWを回転(後述の「A軸回転」)させ、任意の傾斜角度を実現可能である。この結果、ワークWに対して、任意の角度から切削用ツール3による切削加工を施すことができる。
【0017】
より具体的には、第1ユニット110は、ロータリジョイント111と、クロスローラベアリング112と、ローラギヤカム113と、カムフォロア114と、A軸回転用のモータ115(第1駆動機構)とを含む。第2ユニット120は、回転機構150用のモータ121(第2駆動機構)を含む。
【0018】
第1ユニット110は、ロータリジョイント111およびクロスローラベアリング112を介して、インデックステーブル140をA軸回転可能に支持する。第2ユニット120も、インデックステーブル140をA軸回転可能に支持する。
【0019】
第1ユニット110の内部に設けられたモータ115の動力は、ローラギヤカム113およびカムフォロア114を介してインデックステーブル140に伝達され、インデックステーブル140がA軸回転させられる。ローラギヤカム113およびカムフォロア114を用いることにより、転がり接触によりトルクを伝達することができるので、高精度で安定した動作が可能な、耐久性の高い回転支持装置100が得られる。
【0020】
インデックステーブル140の上方には、固定治具テーブル170、着座ブロック180、およびクランプ装置190が設置される。クランプ装置190によりワークWが固定される。
【0021】
回転機構150は、固定治具テーブル170を所定の角度に回転させることが可能である。これにより、固定治具テーブル170に固定されたワークWを回転(後述の「C軸回転」)させることができる。なお、「A軸回転」の回転軸と「C軸回転」の回転軸とは直交するが、ここでいう「直交」は、三次元空間内で必ずしも両回転軸が交わる場合に限定されない。本明細書においては、インデックステーブル140上において、「C軸回転」の回転軸が「A軸回転」の回転軸からオフセットされた位置にある(図2の例では、距離Lだけオフセットされている)場合も、両回転軸の延在方向に沿うベクトルが「直交」しているときには、「A軸回転」の回転軸と「C軸回転」の回転軸とは「直交」するものと解釈する。
【0022】
より具体的には、回転機構150は、固定治具テーブル170を回転可能に支持する。第2ユニット120の内部に設けられたモータ121の動力は、動力伝達機構160の減速機構161およびローラギヤカム162を介して回転機構150に伝達され、回転機構150の回転部分がC軸回転させられる。これにより、回転機構150に支持された固定治具テーブル170、および固定治具テーブル170に固定されたワークWがC軸回転させられる。
【0023】
第1ユニット110には、クランプ装置190がワークWを固定するための油圧が供給される。インデックステーブル140には、油路141が設けられている。第1ユニット110に供給された油圧は、第1ユニット110内のロータリジョイント111から、インデックステーブル140内に設けられた油路141Bを介して回転機構150に伝達される。
【0024】
なお、クランプ装置190を駆動させるための作動流体として、作動油に変えてエアが用いられてもよい。作動流体として作動油を用いることにより、エアの場合と比較して大きな駆動力を得ることができるので、限られたスペースにおいて、クランプ装置190によるクランプ力を向上させることが可能である。
【0025】
なお、ワークWを固定するためのチャック(図示せず)を回転機構150上に設け、チャックを駆動させる駆動機構を回転機構150とともにインデックステーブル140の内部に設けるようにしてもよい。このようにすることで、インデックステーブル140上における主軸2のワークスペースを拡大し得る。
【0026】
図1図2に示すように、回転機構150の回転軸(C軸)は、インデックステーブル140の回転軸(A軸)方向(図1図2中の横方向)に沿って、インデックステーブル140の中心近傍に位置している。これにより、インデックステーブル140上における主軸2のワークスペースを拡大し得る。
【0027】
図3は、回転機構150の構成をより詳細に示す図である。図3に示すように、回転機構150は、インデックステーブル140にほぼ内蔵される。インデックステーブル140は、第1部材140Aと、第2部材140Bとを含む。回転機構150は、ロータリジョイント151と、油路152と、下部本体153と、上部本体154と、回転部材155と、ローラベアリング156とを含む。
【0028】
ロータリジョイント151は、軸部分151Aと、ハウジング151Bとを含む。軸部分151Aは、下部本体153とともにインデックステーブル140に固定される。ハウジング151Bは、軸部分151Aの外周においてC軸回転する。
【0029】
ロータリジョイント151には、油路152A,152Bが形成されている。油路152A,152Bは、インデックステーブル140に形成された油路141A,141Bと各々連通する。
【0030】
下部本体153および上部本体154は、インデックステーブル140に固定されている。下部本体153は、第1部材153Aと、第2部材153Bと、第3部材153Cとを含む。第1部材153Aおよび第2部材153Bは、インデックステーブル140の第1部材140Aおよびロータリジョイント151の下方に組み付けられ、第3部材153Cは、インデックステーブル140の第1部材140Aの上方に組み付けられる。上部本体154は、インデックステーブル140の第2部材140Bに結合される。
【0031】
筒状の回転部材155は、ロータリジョイント151のハウジング151Bに外嵌される。回転部材155は、その外周において、ローラベアリング156に支持される。回転部材155は、C軸回転の駆動力が入力される入力部155Aを有する。入力部155Aには、動力伝達機構160から回転駆動力が入力される。これにより、回転機構150によるC軸回転の駆動力が得られる。回転部材155へのトルク伝達にも、後述のローラギヤカム機構が用いられる。
【0032】
ローラベアリング156は、2つのスラストローラベアリング156Aと、ラジアルローラベアリング156Bとを含む3ローラベアリングである。これにより、回転部材155が径方向にも軸方向にも支持される。
【0033】
回転機構150の上部に固定治具テーブル170の台座170Aが取り付けられる。固定治具テーブル170上に着座ブロック180およびクランプ装置190が設置される。着座ブロック180の上にワークWが載置され、クランプ装置190によりワークWが固定される。ロータリジョイント151の油路152Bは、固定治具テーブル170の油路171を介してクランプ装置190の油室に達する。これにより、クランプ装置190によるクランプ駆動力が得られる。
【0034】
図4は、動力伝達機構160の構成をより詳細に示す図である。図4に示すように、動力伝達機構160は、減速機構161と、ローラギヤカム162と、カップリング163と、軸受164とを含む。
【0035】
減速機構161は、中間歯車を有さない、小径の第1ギヤ161Aと大径の第2ギヤ161Bの2つのギヤからなる減速機構である。第1ギヤ161Aおよび第2ギヤ161Bは、A軸と平行な軸まわりに回転する平行軸歯車である。
【0036】
ローラギヤカム162は、第2ギヤ161Bと接続される。ローラギヤカム162は、第2ギヤ161Bと同軸に設けられる。ローラギヤカム162は、回転機構150の入力部155A(カムフォロア)に接続されている。
【0037】
第1ギヤ161Aは、軸部1610Aを有する。軸部1610Aは、カップリング163を介してモータ121と接続される。軸部1610Aは、軸受164を介して、プレート142および支持部材143,144に支持される。支持部材143,144は、筒状の部材であり、その内周にカップリング163および軸受164が収容される。
【0038】
位置合わせ部材145は、第2ユニット120とインデックステーブル140との位置合わせ用の部材である。位置合わせ部材145により、第2ユニット120に対するインデックステーブル140の本体の位置決めが維持される。
【0039】
支持部材144には、カバー部材146が外嵌される。カバー部材146は、A軸方向にスライド移動可能な状態で支持部材144に外嵌されている。
【0040】
プレート142、支持部材143,144、カバー部材146、第1ギヤ161A(軸部1610A)、カップリング163、および軸受164は、位置合わせ部材145に対して径方向に相対移動可能である。より具体的には、プレート142に設けられた孔部に支持部材143が嵌合される。支持部材144の先端が支持部材143に嵌合される。軸受164は、支持部材143に内嵌されている。したがって、支持部材143,144、および軸受164に支持された第1ギヤ161A(軸部1610A)は、プレート142と連動して、位置合わせ部材145に対して径方向に相対移動することができる。後述のバックラッシ調整の後、プレート142はインデックステーブル140の本体の側面にボルト固定される。インデックステーブル140の本体に固定されたプレート142および支持部材143,144は、第1ギヤ161Aを支持する「支持機構」を構成する。
【0041】
モータ121の駆動力は、カップリング163を介して軸部1610Aおよび第1ギヤ161Aに伝達される。減速機構161において、第1ギヤ161Aと第2ギヤ161Bとのギヤ比に応じた減速が行われる。減速後のトルクは、ローラギヤカム162を介して回転機構150の入力部155Aに伝達される。これにより、回転機構150によるC軸方向の回転が得られる。
【0042】
カップリング163を介して第1ギヤ161A(軸部1610A)とモータ121とを接続することにより、動力伝達機構160のA軸方向に沿う長さを増大させ、モータ121を内蔵した第2ユニット120と回転機構150の中心(C軸)との距離を大きくすることができる。この結果、インデックステーブル140上における主軸2のワークスペースを拡大し得る。
【0043】
回転機構150によるC軸回転の動作を精密に制御するためには、動力伝達機構160の減速機構161およびローラギヤカム162において、バックラッシ調整を行う必要がある。以下、バックラッシ調整の手順について説明する。
【0044】
まず、回転機構150の各部材およびローラギヤカム162が組み付けられる。そして、ローラギヤカム162を回転機構150の中心(C軸)に近づけるように移動させる。これにより、ローラギヤカム162と、回転機構150の入力部155A(カムフォロア)とのバックラッシを調整することができる。
【0045】
次に、図4に示すように、ローラギヤカム162以外の動力伝達機構160の各部材およびプレート142が組み付けられる。そして、位置合わせ部材145による第2ユニット120とインデックステーブル140の本体との位置合わせ(A軸)を維持した状態で、プレート142をA軸に直交する方向(図4中の上下方向)に移動させる。プレート142の移動に応じて、支持部材143,144、カバー部材146、第1ギヤ161A(軸部1610A)、カップリング163、および軸受164がインデックステーブル140に対して移動する。このとき、ローラギヤカム162に接続された第2ギヤ161Bの位置は固定されている。したがって、第1ギヤ161Aと第2ギヤ161Bとの軸間距離が調整され、減速機構161におけるバックラッシ調整を行うことができる。
【0046】
本実施の形態に係る動力伝達機構160においては、上述の構成により、減速機構161において中間歯車の位置調整を行うことなくバックラッシ調整を行うことができるので、第1ギヤ161Aおよび第2ギヤ161Bの2つのギヤからなる減速機構161を構成することが可能となる。これにより、部品点数の増大を抑制しながら回転機構150によるC軸回転の動作を精密に制御することが可能となる。
【0047】
図5は、本実施の形態に係る第1ギヤ161Aおよび第2ギヤ161Bの位置関係を示す図であり(図4の状態を矢印Vの方向から見たものを示す図)、図6は、参考例に係る第1ギヤ161Aおよび第2ギヤ161Bの位置関係を示す図である。
【0048】
上述のとおり、本実施の形態に係る回転支持装置100において、インデックステーブル140の傾動軸であるA軸(第1軸)と、回転機構150の回転軸であるC軸(第2軸)とは、A軸およびC軸に直交する軸(第3軸)の方向(図4中の上下方向)に沿って、互いに距離Lだけ離間した位置にある。これに対し、図6の参考例は、A軸とC軸とを同一平面内に設けたものである。
【0049】
本実施の形態に係る回転支持装置100においては、A軸とC軸とが奥行き方向(図4中の上下方向)に離間することを許容しているため、減速機構161の軸間距離(第1ギヤ161Aと第2ギヤ161Bとの軸間距離)とローラギヤの軸間距離(ローラギヤカム162と回転機構150の軸間距離)とを合わせる必要がない。したがって、図5に示すような第1ギヤ161Aおよび第2ギヤ161Bの配置が可能である。
【0050】
他方、参考例においては、A軸とC軸とを同一平面内に設けるために、減速機構161の軸間距離(第1ギヤ161Aと第2ギヤ161Bとの軸間距離)とローラギヤの軸間距離(ローラギヤカム162と回転機構150の軸間距離)とを合わせる必要がある。この結果、図6に示すように、第2ギヤ161Bの径が大きくなり、結果としてインデックステーブル140の高さHも大きくなり得る。これは、インデックステーブル140上における主軸2のワークスペースが縮小し得る。
【0051】
図7は、動力伝達機構160のカップリング163を固定する工程を示す図である。図7に示すように、支持部材144は、窓部144Aを有し、支持部材144に外嵌されるカバー部材146は、窓部144Aを開閉するようにA軸方向にスライド移動することができる。窓部144Aの開状態において、カップリング163の第1部材163Aおよび第2部材163Bの固定を行うことが可能である。
【0052】
カバー部材146により装置内部を閉塞することにより、モータ121を切粉、切削油などから保護することができる。また、モータ121の電線が露出しないため、断線などの問題を回避し得る。
【0053】
窓部145Aの周辺構造には、切粉、切削油などが装置内部に侵入することを抑制するために、シール部材147,148,149が設けられる。
【0054】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0055】
1 工作機械、2 主軸、3 切削用ツール、4 固定工具、100 回転支持装置、110 第1ユニット、111,151 ロータリジョイント、112 クロスローラベアリング、113 ローラギヤカム、114 カムフォロア、115 モータ、120 第2ユニット、121 モータ、130 ベース、140 インデックステーブル、140A 第1部材、140B 第2部材、141,141A,141B 油路、142 プレート、143,144 支持部材、144A 窓部、145 位置合わせ部材、146 カバー部材、147,148,149 シール部材、150 回転機構、151A 軸部分、151B ハウジング、152,152A,152B 油路、153 下部本体、153A 第1部材、153B 第2部材、153C 第3部材、154 上部本体、155 回転部材、155A 入力部、156 ローラベアリング、156A スラストローラベアリング、156B ラジアルローラベアリング、160 動力伝達機構、161 減速機構、161A 第1ギヤ、161B 第2ギヤ、1610A 軸部、162 ローラギヤカム、163 カップリング、163A 第1部材、163B 第2部材、164 軸受、170 固定治具テーブル、170A 台座、171 油路、180 着座ブロック、190 クランプ装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7