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特開2022-185127通信システム、基地局、及び、ユーザ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185127
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】通信システム、基地局、及び、ユーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/12 20090101AFI20221206BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20221206BHJP
   H04W 28/06 20090101ALI20221206BHJP
【FI】
H04W72/12 150
H04W72/04 136
H04W72/04 131
H04W28/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164464
(22)【出願日】2022-10-13
(62)【分割の表示】P 2021164618の分割
【原出願日】2017-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2016190003
(32)【優先日】2016-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
2.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】下田 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】望月 満
(72)【発明者】
【氏名】中澤 正幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 文大
(57)【要約】
【課題】伝送速度の低下を抑えることができる通信システムを提供する。
【解決手段】通信システムは、基地局と、基地局との下りリンク通信及び上りリンク通信を実行可能なユーザ装置と、を備える。基地局は、構成情報をユーザ装置に送信する。構成情報は、ユーザ装置が送信する上りリンク信号の種別を含んでもよい。構成情報は、ユーザ装置が送信する上りリンク信号の長さを含んでもよい。構成情報は、ユーザ装置が送信する上りリンク信号の開始タイミングを含んでもよい。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と、前記基地局との下りリンク通信及び上りリンク通信を実行可能なユーザ装置と、を備える通信システムであって、
前記基地局は、前記ユーザ装置が送信する上りリンク信号の種別、長さ、及び開始タイミングの少なくともいずれかを示す構成情報を、前記ユーザ装置に送信する、通信システム。
【請求項2】
前記前記上りリンク信号の種別は、上りサウンディング参照信号を含む、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記基地局は、L1/L2シグナリングを用いて前記構成情報を前記ユーザ装置に動的に設定する、または、RRCシグナリングを用いて前記構成情報を前記ユーザ装置に準静的に設定する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記基地局は、複数のサブフレームに対応する前記構成情報をまとめて前記ユーザ装置に送信する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記基地局は、RRC個別シグナリングを用いて、前記複数のサブフレームに対応する前記構成情報を前記ユーザ装置に送信する、請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記ユーザ装置は、前記構成情報に従って周期的に前記上りリンク信号を送信する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項7】
前記基地局は、スケジューリング情報をユーザデータ領域に配置して前記ユーザ装置に送信する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項8】
基地局と、前記基地局との下りリンク通信及び上りリンク通信を実行可能なユーザ装置と、を備える通信システムにおける前記基地局であって、
前記ユーザ装置が送信する上りリンク信号の種別、長さ、及び開始タイミングの少なくともいずれかを示す構成情報を、前記ユーザ装置に送信する、基地局。
【請求項9】
基地局と、前記基地局との下りリンク通信及び上りリンク通信を実行可能なユーザ装置と、を備える通信システムにおける前記ユーザ装置であって、
前記基地局から送信された、前記ユーザ装置が送信する上りリンク信号の種別、長さ、及び開始タイミングの少なくともいずれかを示す構成情報に基づいて、前記上りリンク通信を実行する、ユーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システム、基地局、及び、ユーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、無線区間についてはロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)と称し、コアネットワークおよび無線アクセスネットワーク(以下、まとめて、ネットワークとも称する)を含めたシステム全体構成については、システムアーキテクチャエボリューション(System Architecture Evolution:SAE)と称される通信方式が検討されている(例えば、非特許文献1~5)。この通信方式は3.9G(3.9 Generation)システムとも呼ばれる。
【0003】
LTEのアクセス方式としては、下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向はSC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)が用いられる。また、LTEは、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)とは異なり、回線交換を含まず、パケット通信方式のみになる。
【0004】
非特許文献1(5章)に記載される、3GPPでの、LTEシステムにおけるフレーム構成に関する決定事項について、図1を用いて説明する。図1は、LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。図1において、1つの無線フレーム(Radio frame)は10msである。無線フレームは10個の等しい大きさのサブフレーム(Subframe)に分割される。サブフレームは、2個の等しい大きさのスロット(slot)に分割される。無線フレーム毎に1番目および6番目のサブフレームに下り同期信号(Downlink Synchronization Signal)が含まれる。同期信号には、第一同期信号(Primary Synchronization Signal:P-SS)と、第二同期信号(Secondary Synchronization Signal:S-SS)とがある。
【0005】
3GPPでの、LTEシステムにおけるチャネル構成に関する決定事項が、非特許文献1(5章)に記載されている。CSG(Closed Subscriber Group)セルにおいてもnon-CSGセルと同じチャネル構成が用いられると想定されている。
【0006】
物理報知チャネル(Physical Broadcast Channel:PBCH)は、基地局装置(以下、単に「基地局」という場合がある)から移動端末装置(以下、単に「移動端末」という場合がある)などの通信端末装置(以下、単に「通信端末」という場合がある)への下り送信用のチャネルである。BCHトランスポートブロック(transport block)は、40ms間隔中の4個のサブフレームにマッピングされる。40msタイミングの明白なシグナリングはない。
【0007】
物理制御フォーマットインジケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel:PCFICH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PCFICHは、PDCCHsのために用いるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルの数を、基地局から通信端末へ通知する。PCFICHは、サブフレーム毎に送信される。
【0008】
物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PDCCHは、後述のトランスポートチャネルの1つである下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL-SCH)のリソース割り当て(allocation)情報、後述のトランスポートチャネルの1つであるページングチャネル(Paging Channel:PCH)のリソース割り当て(allocation)情報、DL-SCHに関するHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)情報を通知する。PDCCHは、上りスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)を運ぶ。PDCCHは、上り送信に対する応答信号であるAck(Acknowledgement)/Nack(Negative Acknowledgement)を運ぶ。PDCCHは、L1/L2制御信号とも呼ばれる。
【0009】
物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PDSCHには、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL-SCH)、およびトランスポートチャネルであるPCHがマッピングされている。
【0010】
物理マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel:PMCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PMCHには、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)がマッピングされている。
【0011】
物理上り制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PUCCHは、下り送信に対する応答信号(response signal)であるAck/Nackを運ぶ。PUCCHは、CQI(Channel Quality Indicator)レポートを運ぶ。CQIとは、受信したデータの品質、もしくは通信路品質を示す品質情報である。またPUCCHは、スケジューリングリクエスト(Scheduling Request:SR)を運ぶ。
【0012】
物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PUSCHには、トランスポートチャネルの1つである上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL-SCH)がマッピングされている。
【0013】
物理HARQインジケータチャネル(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel:PHICH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PHICHは、上り送信に対する応答信号であるAck/Nackを運ぶ。物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel:PRACH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PRACHは、ランダムアクセスプリアンブル(random access preamble)を運ぶ。
【0014】
下り参照信号(リファレンスシグナル(Reference Signal):RS)は、LTE方式の通信システムとして既知のシンボルである。以下の5種類の下りリファレンスシグナルが定義されている。セル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)、MBSFN参照信号(MBSFN Reference Signal)、UE固有参照信号(UE-specific Reference Signal)であるデータ復調用参照信号(Demodulation Reference Signal:DM-RS)、位置決定参照信号(Positioning Reference Signal:PRS)、チャネル状態情報参照信号(Channel State Information Reference Signal:CSI-RS)。通信端末の物理レイヤの測定として、リファレンスシグナルの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)測定がある。
【0015】
非特許文献1(5章)に記載されるトランスポートチャネル(Transport channel)について、説明する。下りトランスポートチャネルのうち、報知チャネル(Broadcast Channel:BCH)は、その基地局(セル)のカバレッジ全体に報知される。BCHは、物理報知チャネル(PBCH)にマッピングされる。
【0016】
下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL-SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。DL-SCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が可能である。DL-SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。準静的なリソース割り当ては、パーシステントスケジューリング(Persistent Scheduling)ともいわれる。DL-SCHは、通信端末の低消費電力化のために通信端末の間欠受信(Discontinuous reception:DRX)をサポートする。DL-SCHは、物理下り共有チャネル(PDSCH)へマッピングされる。
【0017】
ページングチャネル(Paging Channel:PCH)は、通信端末の低消費電力を可能とするために通信端末のDRXをサポートする。PCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が要求される。PCHは、動的にトラフィックに利用できる物理下り共有チャネル(PDSCH)のような物理リソースへマッピングされる。
【0018】
マルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)は、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知に使用される。MCHは、マルチセル送信におけるMBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)サービス(MTCHとMCCH)のSFN合成をサポートする。MCHは、準静的なリソース割り当てをサポートする。MCHは、PMCHへマッピングされる。
【0019】
上りトランスポートチャネルのうち、上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL-SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。UL-SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。UL-SCHは、物理上り共有チャネル(PUSCH)へマッピングされる。
【0020】
ランダムアクセスチャネル(Random Access Channel:RACH)は、制御情報に限られている。RACHは、衝突のリスクがある。RACHは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)へマッピングされる。
【0021】
HARQについて説明する。HARQとは、自動再送要求(Automatic Repeat reQuest:ARQ)と誤り訂正(Forward Error Correction)との組合せによって、伝送路の通信品質を向上させる技術である。HARQには、通信品質が変化する伝送路に対しても、再送によって誤り訂正が有効に機能するという利点がある。特に、再送にあたって初送の受信結果と再送の受信結果との合成をすることで、更なる品質向上を得ることも可能である。
【0022】
再送の方法の一例を説明する。受信側にて、受信データが正しくデコードできなかった場合、換言すればCRC(Cyclic Redundancy Check)エラーが発生した場合(CRC=NG)、受信側から送信側へ「Nack」を送信する。「Nack」を受信した送信側は、データを再送する。受信側にて、受信データが正しくデコードできた場合、換言すればCRCエラーが発生しない場合(CRC=OK)、受信側から送信側へ「Ack」を送信する。「Ack」を受信した送信側は次のデータを送信する。
【0023】
非特許文献1(6章)に記載される論理チャネル(ロジカルチャネル:Logical channel)について、説明する。報知制御チャネル(Broadcast Control Channel:BCCH)は、報知システム制御情報のための下りチャネルである。論理チャネルであるBCCHは、トランスポートチャネルである報知チャネル(BCH)、あるいは下り共有チャネル(DL-SCH)へマッピングされる。
【0024】
ページング制御チャネル(Paging Control Channel:PCCH)は、ページング情報(Paging Information)およびシステム情報(System Information)の変更を送信するための下りチャネルである。PCCHは、通信端末のセルロケーションをネットワークが知らない場合に用いられる。論理チャネルであるPCCHは、トランスポートチャネルであるページングチャネル(PCH)へマッピングされる。
【0025】
共有制御チャネル(Common Control Channel:CCCH)は、通信端末と基地局との間の送信制御情報のためのチャネルである。CCCHは、通信端末がネットワークとの間でRRC接続(connection)を有していない場合に用いられる。下り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL-SCH)へマッピングされる。上り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされる。
【0026】
マルチキャスト制御チャネル(Multicast Control Channel:MCCH)は、1対多の送信のための下りチャネルである。MCCHは、ネットワークから通信端末への1つあるいはいくつかのMTCH用のMBMS制御情報の送信のために用いられる。MCCHは、MBMS受信中の通信端末のみに用いられる。MCCHは、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
【0027】
個別制御チャネル(Dedicated Control Channel:DCCH)は、1対1にて、通信端末とネットワークとの間の個別制御情報を送信するチャネルである。DCCHは、通信端末がRRC接続(connection)である場合に用いられる。DCCHは、上りでは上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL-SCH)にマッピングされる。
【0028】
個別トラフィックチャネル(Dedicated Traffic Channel:DTCH)は、ユーザ情報の送信のための個別通信端末への1対1通信のチャネルである。DTCHは、上りおよび下りともに存在する。DTCHは、上りでは上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL-SCH)へマッピングされる。
【0029】
マルチキャストトラフィックチャネル(Multicast Traffic channel:MTCH)は、ネットワークから通信端末へのトラフィックデータ送信のための下りチャネルである。MTCHは、MBMS受信中の通信端末のみに用いられるチャネルである。MTCHは、マルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
【0030】
CGIとは、セルグローバル識別子(Cell Global Identifier)のことである。ECGIとは、E-UTRANセルグローバル識別子(E-UTRAN Cell Global Identifier)のことである。LTE、後述のLTE-A(Long Term Evolution Advanced)およびUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)において、CSG(Closed Subscriber Group)セルが導入される。
【0031】
CSG(Closed Subscriber Group)セルとは、利用可能な加入者をオペレータが特定しているセル(以下「特定加入者用セル」という場合がある)である。特定された加入者は、PLMN(Public Land Mobile Network)の1つ以上のセルにアクセスすることが許可される。特定された加入者がアクセスを許可されている1つ以上のセルを「CSGセル(CSG cell(s))」と呼ぶ。ただし、PLMNにはアクセス制限がある。
【0032】
CSGセルは、固有のCSGアイデンティティ(CSG identity:CSG ID)を報知し、CSGインジケーション(CSG Indication)にて「TRUE」を報知するPLMNの一部である。予め利用登録し、許可された加入者グループのメンバーは、アクセス許可情報であるところのCSG IDを用いてCSGセルにアクセスする。
【0033】
CSG IDは、CSGセルまたはセルによって報知される。LTE方式の通信システムにCSG IDは複数存在する。そして、CSG IDは、CSG関連のメンバーのアクセスを容易にするために、通信端末(UE)によって使用される。
【0034】
通信端末の位置追跡は、1つ以上のセルからなる区域を単位に行われる。位置追跡は、待受け状態であっても通信端末の位置を追跡し、通信端末を呼び出す、換言すれば通信端末が着呼することを可能にするために行われる。この通信端末の位置追跡のための区域をトラッキングエリアと呼ぶ。
【0035】
3GPPにおいて、Home-NodeB(Home-NB;HNB)、Home-eNodeB(Home-eNB;HeNB)と称される基地局が検討されている。UTRANにおけるHNB、およびE-UTRANにおけるHeNBは、例えば家庭、法人、商業用のアクセスサービス向けの基地局である。非特許文献2には、HeNBおよびHNBへのアクセスの3つの異なるモードが開示されている。具体的には、オープンアクセスモード(Open access mode)と、クローズドアクセスモード(Closed access mode)と、ハイブリッドアクセスモード(Hybrid access mode)とが開示されている。
【0036】
また3GPPでは、リリース10として、ロングタームエボリューションアドヴァンスド(Long Term Evolution Advanced:LTE-A)の規格策定が進められている(非特許文献3、非特許文献4参照)。LTE-Aは、LTEの無線区間通信方式を基本とし、それにいくつかの新技術を加えて構成される。
【0037】
LTE-Aシステムでは、100MHzまでのより広い周波数帯域幅(transmission bandwidths)をサポートするために、二つ以上のコンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)を集約する(「アグリゲーション(aggregation)する」とも称する)、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)が検討されている。CAについては、非特許文献1に記載されている。
【0038】
CAが構成される場合、UEはネットワーク(Network:NW)と唯一つのRRC接続(RRC connection)を有する。RRC接続において、一つのサービングセルがNASモビリティ情報とセキュリティ入力を与える。このセルをプライマリセル(Primary Cell:PCell)と呼ぶ。下りリンクで、PCellに対応するキャリアは、下りプライマリコンポーネントキャリア(Downlink Primary Component Carrier:DL PCC)である。上りリンクで、PCellに対応するキャリアは、上りプライマリコンポーネントキャリア(Uplink Primary Component Carrier:UL PCC)である。
【0039】
UEの能力(ケーパビリティ(capability))に応じて、セカンダリセル(Secondary Cell:SCell)が、PCellとサービングセルの組を形成するために構成される。下りリンクで、SCellに対応するキャリアは、下りセカンダリコンポーネントキャリア(Downlink Secondary Component Carrier:DL SCC)である。上りリンクで、SCellに対応するキャリアは、上りセカンダリコンポーネントキャリア(Uplink Secondary Component Carrier:UL SCC)である。
【0040】
一つのUEに対して、一つのPCellと、一つ以上のSCellとからなるサービングセルの組が構成される。
【0041】
また、LTE-Aでの新技術としては、より広い帯域をサポートする技術(Wider bandwidth extension)、および多地点協調送受信(Coordinated Multiple Point transmission and reception:CoMP)技術などがある。3GPPでLTE-Aのために検討されているCoMPについては、非特許文献1に記載されている。
【0042】
また、3GPPにおいて、将来の膨大なトラフィックに対応するために、スモールセルを構成するスモールeNB(以下「小規模基地局装置」という場合がある)を用いることが検討されている。例えば、多数のスモールeNBを設置して、多数のスモールセルを構成することによって、周波数利用効率を高めて、通信容量の増大を図る技術などが検討されている。具体的には、UEが2つのeNBと接続して通信を行うデュアルコネクティビティ(Dual Connectivity;略称:DC)などがある。DCについては、非特許文献1に記載されている。
【0043】
デュアルコネクティビティ(DC)を行うeNBのうち、一方を「マスターeNB(略称:MeNB)」といい、他方を「セカンダリeNB(略称:SeNB)」という場合がある。
【0044】
モバイルネットワークのトラフィック量は、増加傾向にあり、通信速度も高速化が進んでいる。LTEおよびLTE-Aが本格的に運用を開始されると、更に通信速度が高速化されることが見込まれる。
【0045】
さらに、高度化する移動体通信に対して、2020年以降にサービスを開始することを目標とした第5世代(以下「5G」という場合がある)無線アクセスシステムが検討されている。例えば、欧州では、METISという団体で5Gの要求事項がまとめられている(非特許文献5参照)。
【0046】
5G無線アクセスシステムでは、LTEシステムに対して、システム容量は1000倍、データの伝送速度は100倍、データの処理遅延は10分の1(1/10)、通信端末の同時接続数は100倍として、更なる低消費電力化、および装置の低コスト化を実現することが要件として挙げられている。
【0047】
このような要求を満たすために、3GPPでは、リリース14として、5Gの規格検討が進められている(非特許文献6、非特許文献7参照)。5Gの無線区間の技術は、「New Radio(略称:NR) Access Technology」と称され、いくつかの新たな技術が検討されている(非特許文献8~11参照)。例えば、自己完結型(self-contained)サブフレームを用いたNR用フレーム構成、および上りサウンディング参照信号(Sounding Reference Signal:SRS)を用いたプリコーディングなどが検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0048】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 V13.4.0
【非特許文献2】3GPP S1-083461
【非特許文献3】3GPP TR 36.814 V9.0.0
【非特許文献4】3GPP TR 36.912 V13.0.0
【非特許文献5】“Scenarios, requirements and KPIs for 5G mobile and wireless system”、[online]、平成25(2013)年4月30日、ICT-317669-METIS/D1.1、[平成28年9月16日検索]、インターネット<https://www.metis2020.com/documents/deliverables/>
【非特許文献6】3GPP TR 23.799 V0.7.0
【非特許文献7】3GPP TR 38.912 V0.0.1
【非特許文献8】3GPP RP-160697
【非特許文献9】3GPP R1-164032
【非特許文献10】3GPP R1-165887
【非特許文献11】3GPP R1-166880
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0049】
5Gでは、LTEシステムに対して、データの伝送速度は100倍、データの処理遅延は10分の1などの性能が要求されている。
【0050】
遅延時間の低減のために、NR用フレーム構成として、1つのサブフレームの中に下りと上りとを構成し、下りに対する応答を同じサブフレームで返す自己完結型サブフレーム(self-contained subframe)が提唱されている(非特許文献9参照)。
【0051】
自己完結型サブフレームでは、下りから上りに移行する間に、UEが下り信号の復調および復号、上り符号化前信号の生成、ならびに上り信号の符号化および変調を行うための間隔(以下、「ギャップ」または「Gap」という場合がある)が設けられる。
【0052】
また、自己完結型サブフレームでは、UEからのPUCCH、特にNack信号に対し、次のサブフレームでeNBからUEに対して再送を行うことが提唱されている。このことから、例えば、前述の非特許文献11では、UEからの上り信号の送信後、eNBがPUCCHの復調および復号、再送信号の生成、ならびに再送信号の符号化および変調を行うためのギャップを設けることが提唱されている。
【0053】
したがって、自己完結型サブフレームを用いる場合、前記ギャップ期間が無駄となり、リソースの使用効率が低下する。また、前記ギャップ期間を設けることによって、上り信号に割り当て可能なシンボル数が少なくなる。これによって、Ack/Nackなどの上り制御信号の送信タイミングとSRSの送信タイミングとが重なり、SRSの送信頻度が低下するので、プリコーディング性能が劣化する。したがって、伝送速度が低下するという問題が生じる。
【0054】
本開示の目的は、伝送速度の低下を抑えることができる通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0055】
本開示の通信システムは、基地局と、前記基地局との下りリンク通信及び上りリンク通信を実行可能なユーザ装置と、を備える通信システムであって、前記基地局は、前記ユーザ装置が送信する上りリンク信号の種別、長さ、及び開始タイミングの少なくともいずれかを示す構成情報を、前記ユーザ装置に送信する。
【発明の効果】
【0056】
本開示の通信システムによれば、下り信号と上り信号とを含む自己完結型サブフレームを用いて、基地局装置と通信端末装置とが通信する。上り信号の構成は、基地局装置から通信端末装置に通知される。これによって、通信端末装置は、自己完結型サブフレームにおける上り信号の構成を認識することができるので、自己完結型サブフレームを用いて上り信号の送信を行うことができる。
【0057】
上り信号は、上り制御信号と、上り制御信号の前後に送信される上りユーザデータとを含んで構成されるので、下り信号と上り信号との間の、上り信号および下り信号の送信が行われないギャップ期間を少なくすることができる。また、上り信号の送信後のギャップ期間を無くす、または少なくして、次の自己完結型サブフレームにおける下り信号の再送を行うことができる。これによって、無線リソースを効率的に使用することができる。したがって、自己完結型サブフレームを用いる場合の伝送速度の低下を抑えることができる。
【0058】
本開示の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。
図2】3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システム200の全体的な構成を示すブロック図である。
図3】本開示に係る通信端末である図2に示す移動端末202の構成を示すブロック図である。
図4】本開示に係る基地局である図2に示す基地局203の構成を示すブロック図である。
図5】本開示に係るMMEの構成を示すブロック図である。
図6】LTE方式の通信システムにおいて通信端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。
図7】マクロeNBとスモールeNBとが混在する場合のセルの構成の概念を示す図である。
図8】自己完結型サブフレームにおける上り信号の送信後のギャップの設定に関するシーケンスの一例を示す図である。
図9】自己完結型サブフレームにおける上り信号構成の一例を示す図である。
図10】自己完結型サブフレームにおける上り信号構成の設定に関するシーケンスの一例を示す図である。
図11】実施の形態1の変形例2における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図12】実施の形態1の変形例2における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図13】実施の形態1の変形例2における2フレーム先の再送スケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図14】実施の形態1の変形例2における2フレーム先の再送スケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図15】実施の形態1の変形例2における2フレーム先の初送および再送のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図16】実施の形態1の変形例2における2フレーム先の初送および再送のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図17】実施の形態1の変形例3において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図18】実施の形態1の変形例3において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図19】実施の形態1の変形例3において再送を1回は行う場合の2フレーム先の再送スケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図20】実施の形態1の変形例3において再送を1回は行う場合の2フレーム先の再送スケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図21】実施の形態1の変形例3において再送を1回は行う場合の2フレーム先の初送および再送のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図22】実施の形態1の変形例3において再送を1回は行う場合の2フレーム先の初送および再送のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図23】実施の形態1の変形例4における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図24】実施の形態1の変形例4における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図25】実施の形態1の変形例4において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図26】実施の形態1の変形例4において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図27】実施の形態1の変形例5における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図28】実施の形態1の変形例5における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図29】実施の形態1の変形例5において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図30】実施の形態1の変形例5において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図31】実施の形態1の変形例6における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図32】実施の形態1の変形例6における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図33】実施の形態1の変形例6において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図34】実施の形態1の変形例6において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図35】実施の形態1の変形例7における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図36】実施の形態1の変形例7における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図37】実施の形態1の変形例7において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図38】実施の形態1の変形例7において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。
図39】実施の形態2におけるSRS送信周期の設定方法を説明するための図である。
図40】SRS送信周期とともにSRS送信オフセットを設定した場合の周期的SRSの送信方法を説明するための図である。
図41】SRS送信周期とともにSRS送信オフセットを設定した場合の周期的SRSの送信方法を説明するための図である。
図42】SRS送信周期とともにSRS送信オフセットを設定した場合の周期的SRSの送信方法を説明するための図である。
図43】実施の形態2におけるSRS送信周期の設定のシーケンスの一例を示す図である。
図44】複数のSRS送信可能なサブフレームを構成した場合のSRS送信シーケンスの一例を示す図である。
図45】複数のSRS送信可能なサブフレームを構成しSRSサブフレーム構成を変更する場合のSRS送信シーケンスの一例を示す図である。
図46】複数のSRS送信可能なサブフレームを構成しSRSサブフレーム構成を変更する場合のSRS送信シーケンスの一例を示す図である。
図47】実施の形態2の変形例2におけるUEからSRS周期変更要求情報を送信するシーケンスの一例を示す図である。
図48】LTEにおけるAck/NackとSRSの送信タイミングが衝突した場合を説明するための図である。
図49】実施の形態3における上り制御信号とSRSとを同一シンボル上で周波数分割多重して送信する場合の一例を示す図である。
図50】実施の形態3における上り制御信号とSRSとを同一シンボル上で周波数分割多重して送信する場合の他の例を示す図である。
図51】実施の形態3における上り制御信号とSRSとを同一シンボル上で周波数分割多重して送信する場合のさらに他の例を示す図である。
図52】ULシンボル数を1シンボル増大させ、Ack/NackとSRSとを時間分割多重した場合の一例を示す図である。
図53】ULシンボル数を1シンボル増大させ、Ack/NackとSRSとを時間分割多重した場合の他の例を示す図である。
図54】eNBが複数のTRPを用いて構成される場合のUEからの上り信号について説明するための図である。
図55】UE1から送信された上り信号のTRPでの受信タイミングを説明するための図である。
図56】調整値αを設けた場合のUE1から送信された上り信号のTRPでの受信タイミングを説明するための図である。
図57】上り信号の構成例を示す図である。
図58】実施の形態4における上り送信タイミングの調整値設定のシーケンスの一例を示す図である。
図59】実施の形態4における上り送信タイミングの調整値設定のシーケンスの一例を示す図である。
図60】実施の形態4における上り送信タイミングの調整値設定のシーケンスの一例を示す図である。
図61】UE1から送信されたgCPを付加した上り信号に対して調整値βを設けた場合のTRPでの受信タイミングを説明するための図である。
図62】連続する上り信号の一部をgCPに設定する例を示す図である。
図63】連続する上り信号の一部をgCPに設定する他の例を示す図である。
図64】GTを設けた構成において調整値γを設けた場合のUE1から送信された上り信号のTRPでの受信タイミングを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
実施の形態1.
図2は、3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システム200の全体的な構成を示すブロック図である。図2について説明する。無線アクセスネットワークは、E-UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)201と称される。通信端末装置である移動端末装置(以下「移動端末(User Equipment:UE)」という)202は、基地局装置(以下「基地局(E-UTRAN NodeB:eNB)」という)203と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。
【0061】
ここで、「通信端末装置」とは、移動可能な携帯電話端末装置などの移動端末装置だけでなく、センサなどの移動しないデバイスも含んでいる。以下の説明では、「通信端末装置」を、単に「通信端末」という場合がある。
【0062】
移動端末202に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局203で終端するならば、E-UTRANは1つあるいは複数の基地局203によって構成される。
【0063】
移動端末202と基地局203との間の制御プロトコルRRC(Radio Resource Control)は、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局203と移動端末202との状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDとがある。
【0064】
RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティなどが行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができる。またRRC_CONNECTEDでは、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbour cell)の測定(メジャメント(measurement))などが行われる。
【0065】
基地局203は、eNB207と、Home-eNB206とに分類される。通信システム200は、複数のeNB207を含むeNB群203-1と、複数のHome-eNB206を含むHome-eNB群203-2とを備える。またコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)と、無線アクセスネットワークであるE-UTRAN201とで構成されるシステムは、EPS(Evolved Packet System)と称される。コアネットワークであるEPCと、無線アクセスネットワークであるE-UTRAN201とを合わせて、「ネットワーク」という場合がある。
【0066】
eNB207は、移動管理エンティティ(Mobility Management Entity:MME)、あるいはS-GW(Serving Gateway)、あるいはMMEおよびS-GWを含むMME/S-GW部(以下「MME部」という場合がある)204とS1インタフェースにより接続され、eNB207とMME部204との間で制御情報が通信される。一つのeNB207に対して、複数のMME部204が接続されてもよい。eNB207間は、X2インタフェースにより接続され、eNB207間で制御情報が通信される。
【0067】
Home-eNB206は、MME部204とS1インタフェースにより接続され、Home-eNB206とMME部204との間で制御情報が通信される。一つのMME部204に対して、複数のHome-eNB206が接続される。あるいは、Home-eNB206は、HeNBGW(Home-eNB GateWay)205を介してMME部204と接続される。Home-eNB206とHeNBGW205とは、S1インタフェースにより接続され、HeNBGW205とMME部204とはS1インタフェースを介して接続される。
【0068】
一つまたは複数のHome-eNB206が一つのHeNBGW205と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。HeNBGW205は、一つまたは複数のMME部204と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。
【0069】
MME部204およびHeNBGW205は、上位装置、具体的には上位ノードであり、基地局であるeNB207およびHome-eNB206と、移動端末(UE)202との接続を制御する。MME部204は、コアネットワークであるEPCを構成する。基地局203およびHeNBGW205は、E-UTRAN201を構成する。
【0070】
さらに3GPPでは、以下のような構成が検討されている。Home-eNB206間のX2インタフェースはサポートされる。すなわち、Home-eNB206間は、X2インタフェースにより接続され、Home-eNB206間で制御情報が通信される。MME部204からは、HeNBGW205はHome-eNB206として見える。Home-eNB206からは、HeNBGW205はMME部204として見える。
【0071】
Home-eNB206が、HeNBGW205を介してMME部204に接続される場合および直接MME部204に接続される場合のいずれの場合も、Home-eNB206とMME部204との間のインタフェースは、S1インタフェースで同じである。
【0072】
基地局203は、1つのセルを構成してもよいし、複数のセルを構成してもよい。各セルは、移動端末202と通信可能な範囲であるカバレッジとして予め定める範囲を有し、カバレッジ内で移動端末202と無線通信を行う。1つの基地局203が複数のセルを構成する場合、1つ1つのセルが、移動端末202と通信可能に構成される。
【0073】
図3は、本開示に係る通信端末である図2に示す移動端末202の構成を示すブロック図である。図3に示す移動端末202の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部301からの制御データ、およびアプリケーション部302からのユーザデータが、送信データバッファ部303へ保存される。送信データバッファ部303に保存されたデータは、エンコーダー部304へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部303から変調部305へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコーダー部304でエンコード処理されたデータは、変調部305にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部306へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ307から基地局203に送信信号が送信される。
【0074】
また、移動端末202の受信処理は、以下のように実行される。基地局203からの無線信号がアンテナ307により受信される。受信信号は、周波数変換部306にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部308において復調処理が行われる。復調後のデータは、デコーダー部309へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部301へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部302へ渡される。移動端末202の一連の処理は、制御部310によって制御される。よって制御部310は、図3では省略しているが、各部301~309と接続している。
【0075】
図4は、本開示に係る基地局である図2に示す基地局203の構成を示すブロック図である。図4に示す基地局203の送信処理を説明する。EPC通信部401は、基地局203とEPC(MME部204など)、HeNBGW205などとの間のデータの送受信を行う。他基地局通信部402は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。EPC通信部401および他基地局通信部402は、それぞれプロトコル処理部403と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部403からの制御データ、ならびにEPC通信部401および他基地局通信部402からのユーザデータおよび制御データは、送信データバッファ部404へ保存される。
【0076】
送信データバッファ部404に保存されたデータは、エンコーダー部405へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部404から変調部406へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコードされたデータは、変調部406にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部407へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ408より一つもしくは複数の移動端末202に対して送信信号が送信される。
【0077】
また、基地局203の受信処理は以下のように実行される。一つもしくは複数の移動端末202からの無線信号が、アンテナ408により受信される。受信信号は、周波数変換部407にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部409で復調処理が行われる。復調されたデータは、デコーダー部410へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部403あるいはEPC通信部401、他基地局通信部402へ渡され、ユーザデータはEPC通信部401および他基地局通信部402へ渡される。基地局203の一連の処理は、制御部411によって制御される。よって制御部411は、図4では省略しているが、各部401~410と接続している。
【0078】
図5は、本開示に係るMMEの構成を示すブロック図である。図5では、前述の図2に示すMME部204に含まれるMME204aの構成を示す。PDN GW通信部501は、MME204aとPDN GWとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部502は、MME204aと基地局203との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。PDN GWから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、PDN GW通信部501から、ユーザプレイン通信部503経由で基地局通信部502に渡され、1つあるいは複数の基地局203へ送信される。基地局203から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部502から、ユーザプレイン通信部503経由でPDN GW通信部501に渡され、PDN GWへ送信される。
【0079】
PDN GWから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、PDN GW通信部501から制御プレイン制御部505へ渡される。基地局203から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部502から制御プレイン制御部505へ渡される。
【0080】
HeNBGW通信部504は、HeNBGW205が存在する場合に設けられ、情報種別によって、MME204aとHeNBGW205との間のインタフェース(IF)によるデータの送受信を行う。HeNBGW通信部504から受信した制御データは、HeNBGW通信部504から制御プレイン制御部505へ渡される。制御プレイン制御部505での処理の結果は、PDN GW通信部501経由でPDN GWへ送信される。また、制御プレイン制御部505で処理された結果は、基地局通信部502経由でS1インタフェースにより1つあるいは複数の基地局203へ送信され、またHeNBGW通信部504経由で1つあるいは複数のHeNBGW205へ送信される。
【0081】
制御プレイン制御部505には、NASセキュリティ部505-1、SAEベアラコントロール部505-2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部505-3などが含まれ、制御プレインに対する処理全般を行う。NASセキュリティ部505-1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。SAEベアラコントロール部505-2は、SAE(System Architecture Evolution)のベアラの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部505-3は、待受け状態(アイドルステート(Idle State);LTE-IDLE状態、または、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末202のトラッキングエリアの追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト管理などを行う。
【0082】
MME204aは、1つまたは複数の基地局203に対して、ページング信号の分配を行う。また、MME204aは、待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME204aは、移動端末が待ち受け状態のとき、および、アクティブ状態(Active State)のときに、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。MME204aは、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。MME204aに接続されるHome-eNB206のCSGの管理、CSG IDの管理、およびホワイトリストの管理は、アイドルステートモビリティ管理部505-3で行われてもよい。
【0083】
次に通信システムにおけるセルサーチ方法の一例を示す。図6は、LTE方式の通信システムにおいて通信端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。通信端末は、セルサーチを開始すると、ステップST601で、周辺の基地局から送信される第一同期信号(P-SS)、および第二同期信号(S-SS)を用いて、スロットタイミング、フレームタイミングの同期をとる。
【0084】
P-SSとS-SSとを合わせて、同期信号(Synchronization Signal:SS)という。同期信号(SS)には、セル毎に割り当てられたPCIに1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。PCIの数は504通りが検討されている。この504通りのPCIを用いて同期をとるとともに、同期がとれたセルのPCIを検出(特定)する。
【0085】
次に同期がとれたセルに対して、ステップST602で、基地局からセル毎に送信される参照信号(リファレンスシグナル:RS)であるセル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)を検出し、RSの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)の測定を行う。参照信号(RS)には、PCIと1対1に対応したコードが用いられている。そのコードで相関をとることによって他セルと分離できる。ステップST601で特定したPCIから、該セルのRS用のコードを導出することによって、RSを検出し、RSの受信電力を測定することが可能となる。
【0086】
次にステップST603で、ステップST602までで検出された一つ以上のセルの中から、RSの受信品質が最もよいセル、例えば、RSの受信電力が最も高いセル、つまりベストセルを選択する。
【0087】
次にステップST604で、ベストセルのPBCHを受信して、報知情報であるBCCHを得る。PBCH上のBCCHには、セル構成情報が含まれるMIB(Master Information Block)がマッピングされる。したがって、PBCHを受信してBCCHを得ることで、MIBが得られる。MIBの情報としては、例えば、DL(ダウンリンク)システム帯域幅(送信帯域幅設定(transmission bandwidth configuration:dl-bandwidth)とも呼ばれる)、送信アンテナ数、SFN(System Frame Number)などがある。
【0088】
次にステップST605で、MIBのセル構成情報をもとに該セルのDL-SCHを受信して、報知情報BCCHの中のSIB(System Information Block)1を得る。SIB1には、該セルへのアクセスに関する情報、セルセレクションに関する情報、他のSIB(SIBk;k≧2の整数)のスケジューリング情報が含まれる。また、SIB1には、トラッキングエリアコード(Tracking Area Code:TAC)が含まれる。
【0089】
次にステップST606で、通信端末は、ステップST605で受信したSIB1のTACと、通信端末が既に保有しているトラッキングエリアリスト内のトラッキングエリア識別子(Tracking Area Identity:TAI)のTAC部分とを比較する。トラッキングエリアリストは、TAIリスト(TAI list)とも称される。TAIはトラッキングエリアを識別するための識別情報であり、MCC(Mobile Country Code)と、MNC(Mobile Network Code)と、TAC(Tracking Area Code)とによって構成される。MCCは国コードである。MNCはネットワークコードである。TACはトラッキングエリアのコード番号である。
【0090】
通信端末は、ステップST606で比較した結果、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれるTACと同じならば、該セルで待ち受け動作に入る。比較して、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれなければ、通信端末は、該セルを通して、MMEなどが含まれるコアネットワーク(Core Network,EPC)へ、TAU(Tracking Area Update)を行うためにトラッキングエリアの変更を要求する。
【0091】
コアネットワークを構成する装置(以下「コアネットワーク側装置」という場合がある)は、TAU要求信号とともに通信端末から送られてくる該通信端末の識別番号(UE-IDなど)をもとに、トラッキングエリアリストの更新を行う。コアネットワーク側装置は、通信端末に更新後のトラッキングエリアリストを送信する。通信端末は、受信したトラッキングエリアリストに基づいて、通信端末が保有するTACリストを書き換える(更新する)。その後、通信端末は、該セルで待ち受け動作に入る。
【0092】
スマートフォンおよびタブレット型端末装置の普及によって、セルラー系無線通信によるトラフィックが爆発的に増大しており、世界中で無線リソースの不足が懸念されている。これに対応して周波数利用効率を高めるために、小セル化し、空間分離を進めることが検討されている。
【0093】
従来のセルの構成では、eNBによって構成されるセルは、比較的広い範囲のカバレッジを有する。従来は、複数のeNBによって構成される複数のセルの比較的広い範囲のカバレッジによって、あるエリアを覆うように、セルが構成されている。
【0094】
小セル化された場合、eNBによって構成されるセルは、従来のeNBによって構成されるセルのカバレッジに比べて範囲が狭いカバレッジを有する。したがって、従来と同様に、あるエリアを覆うためには、従来のeNBに比べて、多数の小セル化されたeNBが必要となる。
【0095】
以下の説明では、従来のeNBによって構成されるセルのように、カバレッジが比較的大きいセルを「マクロセル」といい、マクロセルを構成するeNBを「マクロeNB」という。また、小セル化されたセルのように、カバレッジが比較的小さいセルを「スモールセル」といい、スモールセルを構成するeNBを「スモールeNB」という。
【0096】
マクロeNBは、例えば、非特許文献7に記載される「ワイドエリア基地局(Wide Area Base Station)」であってもよい。
【0097】
スモールeNBは、例えば、ローパワーノード、ローカルエリアノード、ホットスポットなどであってもよい。また、スモールeNBは、ピコセルを構成するピコeNB、フェムトセルを構成するフェムトeNB、HeNB、RRH(Remote Radio Head)、RRU(Remote Radio Unit)、RRE(Remote Radio Equipment)またはRN(Relay Node)であってもよい。また、スモールeNBは、非特許文献7に記載される「ローカルエリア基地局(Local Area Base Station)」または「ホーム基地局(Home Base Station)」であってもよい。
【0098】
図7は、マクロeNBとスモールeNBとが混在する場合のセルの構成の概念を示す図である。マクロeNBによって構成されるマクロセルは、比較的広い範囲のカバレッジ701を有する。スモールeNBによって構成されるスモールセルは、マクロeNB(マクロセル)のカバレッジ701に比べて範囲が小さいカバレッジ702を有する。
【0099】
複数のeNBが混在する場合、あるeNBによって構成されるセルのカバレッジが、他のeNBによって構成されるセルのカバレッジ内に含まれる場合がある。図7に示すセルの構成では、参照符号「704」または「705」で示されるように、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702が、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701内に含まれる場合がある。
【0100】
また、参照符号「705」で示されるように、複数、例えば2つのスモールセルのカバレッジ702が、1つのマクロセルのカバレッジ701内に含まれる場合もある。移動端末(UE)703は、例えばスモールセルのカバレッジ702内に含まれ、スモールセルを介して通信を行う。
【0101】
また図7に示すセルの構成では、参照符号「706」で示されるように、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701と、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702とが複雑に重複する場合が生じる。
【0102】
また、参照符号「707」で示されるように、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ701と、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ702とが重複しない場合も生じる。
【0103】
さらには、参照符号「708」で示されるように、多数のスモールeNBによって構成される多数のスモールセルのカバレッジ702が、1つのマクロeNBによって構成される1つのマクロセルのカバレッジ701内に構成される場合も生じる。
【0104】
LTEにおいて、下りリンクでは非対称(asynchronous)で適応的(adaptive)なスケジューリングが行われ、上りリンクでは対称(synchronous)で適応的または非適応的なスケジューリングが用いられる(非特許文献1参照)。
【0105】
ここで、対称なスケジューリングとは、予め再送タイミングが初送タイミングからの相対位置で決められているスケジューリングである。非対称なスケジューリングとは、予め再送タイミングが決められておらず、プロセス番号を下り制御情報(Downlink Control Information:DCI)に含めて受信者に送信することによって、再送タイミングを指示するスケジューリングである。
【0106】
また、適応的なスケジューリングにおいては、変調およびコーディング方式(Modulation and Coding Scheme:MCS)および周波数リソース割当が再送の度に変更可能である。非適応的なスケジューリングにおいては、再送のMCSおよび周波数リソース割当は、初送もしくは前の再送と同じ、または予め定められた方法で変更可能としたものである(3GPP TS 36.321 V13.2.0(以下「参考文献1」という)参照)。
【0107】
NRにおいて提唱されている自己完結型サブフレームにおいて、下りユーザデータおよび該下りユーザデータに対するAck/Nackを主とする構造、上りグラントおよび該上りグラントに従った上りユーザデータを主とする構造、下り参照信号および該下り参照信号の測定結果を主とする構造、ならびに、下り制御信号および該下り制御信号の指示によるCQIまたはサウンディング参照信号(Sounding Reference Signal:SRS)を主とする構造が提唱されている。また、下りと上りとが対称、すなわち、下りと上りとにそれぞれ割り当てられる時間が同じとなる構造についても提唱されている(非特許文献9参照)。
【0108】
また、自己完結型サブフレームにおいては、上り信号の送信後の部分にもギャップを設けることによって、Nackを受信した後の下り再送を次のサブフレームで送信可能とし、Nackの受信から下り再送までのレイテンシを最小化することが提唱されている(非特許文献11参照)。
【0109】
しかし、非特許文献11には、上り信号の送信後の部分のサブフレームにギャップを設けるための方法は開示されていない。したがって、UEがサブフレーム構成を認識することができず、下り信号の受信および上り信号の送信ができないという問題が生じる。
【0110】
本実施の形態では、以上のような問題を解決する方法を開示する。本実施の形態では、eNB(本明細書では、5Gの基地局も「eNB」と称する)からUEに対し、上り信号の送信後のギャップを設定する。
【0111】
上り信号の送信後のギャップの設定において、例えば、上り信号の送信後のギャップ長を用いてもよい。上り信号のギャップ長の与え方について、例えば、5G無線アクセスシステムにおける最小時間単位で与えてもよいし、シンボル単位で与えてもよいし、他の単位で与えてもよい。また、上り信号の送信後のギャップ長を、サブフレームの長さに対する比率として与えてもよい。
【0112】
また、上り信号の送信後のギャップ長を、いくつかの選択肢から選択することとしてもよい。例えば、選択肢の一覧、および、前記一覧から何を選択したかを表す識別子を、eNBからUEに通知してもよい。選択肢の一覧と、前記識別子とは、一緒に通知してもよいし、別々に通知してもよい。
【0113】
また、上り信号の送信後のギャップ長について、デフォルト値を設けてもよい。前記デフォルト値が必要な状況としては、例えば、UEがeNBに接続するときである。UEがeNBに接続するとき、報知情報およびページング信号を受信し、また、物理ランダムアクセスチャネルを送信する必要がある。このとき、UEは、前記デフォルト値に従ったサブフレーム構成でeNBと通信を行うとよい。
【0114】
前記デフォルト値は、規格で静的に決定してもよいし、変更可能としてもよい。
【0115】
上り信号の送信後のギャップ長は、絶対値として、すなわち、必要な長さを直接与えてもよいし、また、相対値で与えてもよい。相対値で与えるときの基準として、例えば、デフォルト値を用いてもよいし、前回の設定値からの差分として与えてもよい。
【0116】
また、上り信号の送信後のギャップ設定にあたり、設定するギャップ長が即時に有効になることとしてもよい。
【0117】
あるいは、設定するギャップ長がいつ有効になるかを通知してもよい。前記通知においては、例えば、有効となる時刻を直接指定してもよいし、通知時点から有効になるまでに要する時間差を指定してもよい。前記時刻としては、サブフレーム番号を用いてもよい。また、前記時間差としては、サブフレーム数を用いてもよい。このようにすることによって、eNBとUEとの間でギャップ長の変更タイミングを共有することができるので、ギャップ設定の変更によるeNBとUEとの間の送受信ロスを防ぐことができる。
【0118】
上り信号の送信後のギャップ設定を通知する方法の具体例として、以下の(1)~(3)の3つを開示する。
【0119】
(1)準静的(semi-static)な設定。
【0120】
(2)動的(Dynamic)な設定。
【0121】
(3)前記(1),(2)の組合せ。
【0122】
前記(1)の準静的な設定について、例えば、eNBから配下のUEに報知してもよい。報知の例として、例えば、RRC共通シグナリングを用いてもよい。RRC共通シグナリングの例として、例えば、SIB1またはSIB2を用いてもよい。
【0123】
また、前記(1)の準静的な設定の他の例として、RRC個別シグナリングを用いてもよい。RRC個別シグナリングとして、例えば、RRC接続再設定(RRC connection reconfiguration)を用いてもよい。あるいは、ランダムアクセス処理におけるメッセージ4を用いてもよい。
【0124】
前記(2)の動的な設定について、例えば、L1/L2シグナリングを用いてもよい。これによって、送信時間間隔(Transmission Time Interval:TTI)毎、あるいはサブフレーム毎にギャップ設定を変えることができるので、短い周期でのギャップ設定の変更が可能となる。
【0125】
また、前記(2)の動的な設定の他の例として、MACシグナリング(MAC Control Element)を用いてもよい。MACシグナリングは、再送が制御されるので、高い信頼性で設定を通知することが可能となる。
【0126】
前記(3)の設定について、eNBからUEに対し、異なる設定内容を1つの組合せとして、それぞれ準静的、動的に設定してもよい。例えば、ギャップ長の選択肢の一覧を準静的に与え、何を選択したかを示す識別子を動的に与えてもよい。また、例えば、ギャップ長のデフォルト値を準静的に通知し、デフォルト値からの差分を動的に設定してもよい。このようにすることによって、上り信号の送信後のギャップ長の柔軟な設定を、少ないシグナリング量で実行することが可能となる。
【0127】
上り信号の送信後のギャップの設定について、下り信号、下り信号/上り信号間ギャップ、および上り信号の各構成情報を、eNBからUEに通知してもよい。UEは、前記の各構成情報に基づいて、上り信号の送信後のギャップ長を計算してもよい。上り信号の送信後のギャップ長の計算方法としては、例えば、自己完結型サブフレーム長から、下り信号、下り信号/上り信号間ギャップ、および上り信号の各長さの和を減じたものを上り信号の送信後のギャップ長としてもよい。UEは、前記の計算結果を上り信号の送信後のギャップ設定として用いてもよい。
【0128】
また、上り信号の送信後のギャップの設定について、下り信号、下り信号/上り信号間ギャップ、および上り信号の各構成情報を、eNBからUEに通知してもよい。UEは、前記の各構成情報に基づいて、上り信号の送信後のギャップ長を計算してもよい。上り信号の送信後のギャップ長の計算方法としては、例えば、自己完結型サブフレーム長から、下り信号、下り信号/上り信号間ギャップ、および上り信号の各長さの和を減じたものを上り信号の送信後のギャップ長としてもよい。UEは、前記の計算結果を上り信号の送信後のギャップ設定として用いてもよい。
【0129】
上り信号の送信後のギャップの設定と、下り信号、下り信号/上り信号間ギャップ、および上り信号のそれぞれの設定は、同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。
【0130】
また、上り信号の送信後のギャップの設定および、下り信号/上り信号間ギャップについて、eNBおよびUEは、一方のギャップの長さの変更によって、他方のギャップの長さがあわせて変更されるようにしてもよい。例えば、上り信号の送信後のギャップおよび下り信号/上り信号間ギャップの長さの和が一定となるようにしてもよい。
【0131】
UEは、eNBから通知された上り信号の送信後のギャップ長から、下り信号、下り信号/上り信号間ギャップ、および上り信号の各構成情報を変更して用いてもよい。例えば、上り信号のギャップ長の変更がeNBからUEに通知されたときに、UEは下り信号長を変更してもよい。あるいは、下り信号/上り信号間ギャップ長を変更してもよい。あるいは、上り信号長を変更してもよい。あるいは、下り信号長、下り信号/上り信号間ギャップ長、上り信号長を組合せて変更してもよい。このとき、下り信号長、下り信号/上り信号間ギャップ長、上り信号長、および上り信号の送信後のギャップ長の和が一定となるようにするとよい。
【0132】
上り信号の送信後のギャップの設定単位の具体例として、以下の(1)~(4)の4つを開示する。
【0133】
(1)eNB内一定。
【0134】
(2)UE毎に設定。
【0135】
(3)HARQプロセス毎に設定。
【0136】
(4)前記(1)~(3)の組合せ。
【0137】
前記(1)について、eNB内のUEに報知してもよい。報知情報を用いてもよい。報知情報としては、SIB1あるいはSIB2を用いてもよい。また、UE毎に通知してもよい。UE毎の通知には、RRC個別シグナリングを用いてもよいし、MACシグナリングを用いてもよいし、L1/L2シグナリングを用いてもよい。
【0138】
前記(2)について、UE毎に通知してもよい。eNB内のUEに報知してもよい。報知情報を用いてもよい。UE毎の通知には、RRC個別シグナリングを用いてもよいし、MACシグナリングを用いてもよいし、L1/L2シグナリングを用いてもよい。
【0139】
前記(3)について、UE毎に通知してもよい。UE毎の通知において、各HARQプロセスの上り信号の送信後にギャップ長をまとめて送信してもよいし、別々に送信してもよい。UE毎の通知において、各HARQプロセスの識別子を用いてもよい。また、UE毎の通知において、RRC個別シグナリングを用いてもよいし、MACシグナリングを用いてもよいし、L1/L2シグナリングを用いてもよい。
【0140】
前記(3)について、HARQプロセス毎に通知してもよい。HARQプロセス毎の通知において、MACシグナリングを用いてもよいし、L1/L2シグナリングを用いてもよい。このようにすることによって、下りデータが少ないサブフレームにおいて早期にAck/Nackを送信することができ、eNBにおいてAck/Nackのデコーディング処理およびスケジューリング処理を、余裕を持って行うことができる。また、処理時間に余裕ができることによって、eNBは、装置制御などといった他の処理を行うことが可能となる。
【0141】
eNBが上り信号の送信後のギャップ長を決めるために必要な情報の具体例として、以下の(1)~(9)の9つを開示する。
【0142】
(1)eNBのAck/Nackデコーディング能力。例えば、eNBが前記デコーディングに要する時間。
【0143】
(2)eNBのスケジューリング能力。例えば、eNBがスケジューリングに要する時間。
【0144】
(3)eNBのコーディング能力。例えば、eNBが下りユーザデータのコーディングに要する時間。
【0145】
(4)UEのデコーディング能力。例えば、UEが下りユーザデータのデコーディングに要する時間。
【0146】
(5)UEのAck/Nackコーディング能力。例えば、UEが前記コーディングに要する時間。
【0147】
(6)下り信号長。
【0148】
(7)下り信号/上り信号間ギャップ長。
【0149】
(8)上り信号長。
【0150】
(9)前記(1)~(8)の組合せ。
【0151】
前記(9)において、例えば、eNBは、UEによる下り信号の受信からAck/Nackの送信までの時間と、eNBによるAck/Nackの受信から次のサブフレームにおける下りユーザデータの送信までの時間の、それぞれの余裕を考慮して上り送信後のギャップ長を決定してもよい。
【0152】
上り信号の送信後のギャップ長の決定を、上位ネットワーク装置が主体となって行ってもよい。上位ネットワーク装置は、上り信号の送信後のギャップ長を、該eNB経由で該UEに送信してもよい。
【0153】
前述の、上位ネットワーク装置が主体となって上り信号の送信後のギャップ長を決定するための判断条件の具体例として、以下の(1)~(3)の3つを開示する。
【0154】
(1)該eNBの近傍のeNBにおける上り信号の送信後のギャップ長。
【0155】
(2)該eNBの近傍のeNBにおける上り信号の送信後のギャップ長のデフォルト値。
【0156】
(3)前記(1),(2)の組合せ。
【0157】
上位ネットワーク装置は、前記(1)の情報の要求を、該eNBの近傍のeNBに送信してもよい。該eNBの近傍のeNBは、上位ネットワーク装置に、前記(1)の情報を送信してもよい。
【0158】
上位ネットワーク装置は、前記(2)の情報の要求を、該eNBに送信してもよい。該eNBは、前記(2)の情報を上位ネットワーク装置に送信してもよい。
【0159】
上位ネットワーク装置が主体となって上り信号の送信後のギャップ設定を行うことによって、他のeNBの状況も踏まえた設定を行うことができるので、セル間干渉を抑えることができる。
【0160】
eNBおよびUEは、eNBからUEに対して上り信号の送信後のギャップ長が設定されたときに併せて、下り信号のスケジューリング方法を変更してもよい。eNBからUEに、スケジューリング方法を表す識別子を送信してもよい。スケジューリング方法を表す識別子の例として、次のサブフレームにおける再送の可否を示すフラグであってもよい。または、スケジューリング方法を表す識別子に前記フラグを含めてもよい。
【0161】
eNBおよびUEによるスケジューリング方法の変更は、上り送信後のギャップ長の設定が有効になったときと同時に行うとよい。または、上り送信後のギャップ長の設定変更による下り信号のスケジューリング方法の変更について、対応関係を規格で定めてもよい。例えば、上り送信後のギャップ長が予め定める値未満であるときに、次のサブフレームにおける再送が不可である旨を、規格にて定めてもよい。
【0162】
また、eNBおよびUEは、eNBからUEに対して上り信号の送信後のギャップ長が設定されたときに、下り信号のスケジューリングを変更しなくてもよい。eNBからUEに対して上り信号の送信後のギャップ長が設定されたか否かによらず、UEはeNBから送信される下り制御信号に従って、下りユーザデータを受信してもよい。あるいは、UEは、eNBから予め与えられたスケジューリングに従って、下りユーザデータを受信してもよい。
【0163】
前記のスケジューリング方法の変更は、上り信号に対して行ってもよい。下り信号と上り信号のスケジューリング方法の変更は、同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。
【0164】
図8は、自己完結型サブフレームにおける上り信号の送信後のギャップ長の設定に関するシーケンスの一例を示す図である。図8では、UEの初期接続において、eNBが、報知情報を用いて、上り信号の送信後のギャップ長のデフォルト値の設定を行い、RRC接続確立後に、UE個別の上り信号の送信後のギャップ長を準静的に設定する場合の例を示す。
【0165】
ステップST800において、eNBは、UEに、上り送信後のギャップ長のデフォルト値を報知する。報知情報を用いて報知を行ってもよい。また、報知情報として、例えば、SIB1を用いてもよい。
【0166】
ステップST801において、UEは、上り送信後のギャップ長のデフォルト値を反映させる。これによって、UEは、eNBとのRRC接続処理を開始させる。
【0167】
ステップST802、ステップST803、ステップST804、ステップST805およびステップST806は、ランダムアクセス処理およびRRC接続処理を表している。
【0168】
ステップST802において、UEは、RAプリアンブル(RA preamble)をeNBに通知する。RAプリアンブルの通知には、例えば、PRACHを用いる。
【0169】
ステップST803において、eNBは、RA応答(RA response)をUEに送信する。eNBは、併せて、UEからのRRC接続要求の送信に用いる上りグラント情報を通知する。
【0170】
UEは、ステップST804において、RRC接続要求(RRC Connection Request)をeNBに送信する。RRC接続要求の送信には、前記上りグラント情報によって指定された無線リソースを用いるとよい。
【0171】
ステップST805において、eNBは、RRC接続設定(RRC Connection Setup)をUEに送信する。ステップST802、ステップST803およびステップST804による一連のRAシーケンスにおける競合解消(Contention Resolution)と一緒に送信してもよい。
【0172】
ステップST806において、UEは、RRC接続設定完了(RRC Connection Setup Complete)をeNBに通知する。これによって、eNBとUEとの間におけるRRCの接続が完了する。
【0173】
ステップST807において、eNBは、該UEに対する上り送信後のギャップ長を決定する。
【0174】
ステップST808において、eNBは、決定した上り送信後のギャップ長をUEに送信する。上り送信後のギャップ長の送信を、RRC個別シグナリングを用いて行ってもよい。また、上り送信後のギャップ長がいつ有効になるかの情報を併せて通知してもよい。
【0175】
ステップST809において、UEは、eNBから受信した上り送信後のギャップ長を反映させる。ステップST810において、eNBは、UEに送信した上り送信後のギャップ長を反映させる。これによって、UEとeNBとは、新しいギャップ長によって通信を行う。
【0176】
上り送信後のギャップ長を、上り信号の種別によって変えてもよい。上り信号の種別としては、例えば、上りユーザデータ、Ack/Nack、CQI、CSI、SRS、およびPRACHであってもよい。上り送信後のギャップ長を上り信号の種別で変えることによって、eNBにおける各上り信号の処理時間の違いに基づいて、上り送信後のギャップ長を無駄なく設定することができる。
【0177】
eNBは、上り信号の種別毎に、上り送信後のギャップ長を都度UEに通知してもよい。前記通知には、L1/L2シグナリングを用いてもよい。あるいは、eNBは、上り信号の種別毎のギャップ長の一覧をUEに通知してもよい。前記通知には、RRC個別シグナリングを用いてもよいし、MACシグナリングを用いてもよいし、L1/L2シグナリングを用いてもよい。併せて、eNBは、上り信号の種別を表す識別子をUEに通知してもよい。
【0178】
前記識別子の通知には、L1/L2シグナリングを用いてもよい。あるいは、eNBは、サブフレーム毎の上り信号種別のパターンをUEに通知してもよい。前記パターンの通知には、RRC個別シグナリングを用いてもよいし、MACシグナリングを用いてもよいし、L1/L2シグナリングを用いてもよい。
【0179】
上り送信後のギャップ長を、eNBとUEとの間の通信のサービスによって変えてもよい。前記サービスとしては、例えば、モバイルブロードバンド(enhanced Mobile BroadBand:eMBB)、超高信頼性・低遅延(Ultra Reliability and Low Latency Communication:URLLC)、大量端末接続(massive Machine Type Communication:mMTC)であってもよい。
【0180】
上り送信後のギャップ長を、eNBとUEとの間の通信のサービスで変えることによって、各サービスの要件を満たすために最適なギャップ長を設定することができる。例えば、URLLCにおいては、上り送信後のギャップ長を設けて、eNBからの再送を、UEからのNack受信の次のサブフレームで送信することができる。また、eMBBにおいては、上り送信後のギャップ長を短くする、あるいは無くすことによって、ギャップに伴う通信の無駄を抑え、通信速度を高めることができる。
【0181】
eNBとUEとの間の通信において、eNBは、サービス毎の上り送信後のギャップ長を決めるとよい。あるいは、予め規格で決めてもよい。eNBは、前述のサービス毎の上り送信後のギャップ長を報知してもよいし、UE毎に通知してもよい。前記報知には報知情報を用いるとよい。報知情報には、例えば、SIB1あるいはSIB2を用いてもよい。また、前記通知には、RRC個別シグナリングを用いてもよい。あるいは、MACシグナリングを用いてもよい。このようにすることによって、前記識別子との組合せから、eNBおよびUEは、用いるサービスにおけるギャップ設定を求めることができる。
【0182】
eNBは、UEに、前述のサービスを表す識別子を複数個通知してもよい。これによって、該eNBおよび該UEが同時に複数のサービスに対応するときに、各サービスに対して適切なギャップ設定を与えることができるので、通信の効率化を図ることができる。
【0183】
eNBは、UEとの間のサービスを表す識別子をUEに通知してもよい。前記通知には、RRC個別シグナリングを用いてもよいし、MACシグナリングを用いてもよいし、L1/L2シグナリングを用いてもよい。
【0184】
実施の形態1によって、自己完結型サブフレームにおいて、上り送信後にギャップを設けたサブフレーム構成を用いたスケジューリングが可能となることによって、UEからのAck/Nackに対して、eNBが次のサブフレームにおいて再送することが可能となる。これによって、低遅延の通信が可能となる。
【0185】
実施の形態1 変形例1.
本変形例では、自己完結型サブフレームにおけるギャップを少なくするための設定方法について説明する。
【0186】
NRにおけるフレーム構成として、例えば、Ack/Nackなどの上り制御信号の前後に上りユーザデータを割り当てることによって、下り信号/上り信号間のギャップを少なくし、また、上り送信後のギャップを無くすことが提唱されている(3GPP R1-166410(以下「参考文献2」という)参照)。
【0187】
ところが、参考文献2には、上り制御信号の前後に上りユーザデータを割り当てるための方法は開示されていないので、UEが該サブフレーム構成を認識することができず、上り信号の送信ができないという問題が生じる。
【0188】
本実施の形態では、以上のような問題を解決する方法を開示する。
【0189】
eNBからUEに対し、上り信号の構成を通知する。
【0190】
上り信号の構成として通知する情報の具体例として、以下(1)~(4)の4つを開示する。
【0191】
(1)上り信号の種別。
【0192】
(2)上り信号の長さ。
【0193】
(3)上り信号の開始タイミング。
【0194】
(4)前記(1)~(3)の組合せ。
【0195】
前記(1)の上り信号の種別について、識別子を用いて通信してもよい。また、上り信号の種別としては、例えば、上りユーザデータ、上り制御情報、上り参照信号、ギャップを含んでもよい。前記上り制御情報には、Ack/Nack、CQI、CSIを含んでもよい。前記上り参照信号には、上りデータ復調用参照信号、上りサウンディング参照信号を含んでもよい。
【0196】
前記(2)の上り信号の長さについて、例えば、5G無線アクセスシステムにおける最小時間単位で与えてもよいし、また、シンボル単位で与えてもよいし、他の単位で与えてもよい。また、サブフレーム長さに対する比率として与えてもよい。
【0197】
前記(3)の上り信号の開始タイミングについて、例えば、サブフレーム先頭からの時間として与えてよい。また、サブフレームの末尾から遡った時間として与えてもよい。また、下り信号の末尾からの時間として与えてもよい。
【0198】
また、前記(3)の上り信号の開始タイミングの時間単位について、例えば、5G無線アクセスシステムにおける最小時間単位で与えてもよいし、シンボル単位で与えてもよいし、他の単位で与えてもよい。また、サブフレーム長さに対する比率として与えてもよい。
【0199】
前記(1)~(3)において、複数の設定を可能としてもよい。例えば、あるサブフレームにおいて送信する上り信号種別が複数となるとき、複数の上り信号種別のそれぞれについて、前記(1)~(3)の設定を用いるとよい。
【0200】
本変形例における上り信号の構成について、サブフレームの末尾近くには、次のサブフレームにおける応答が不要となる信号を配置するとよい。例えば、上り信号の構成を、上りユーザデータ、Ack/Nack、上りユーザデータとし、サブフレームの末尾には上りユーザデータを配置するとよい。あるいは、サブフレームの末尾の上りユーザデータの代わりに、上り参照信号を配置してもよい。
【0201】
図9は、自己完結型サブフレームにおける上り信号の構成(以下「上り信号構成」という場合がある)の一例を示す図である。図9では、上り信号が、上りユーザデータ、Ack/Nack、上りユーザデータおよび上りサウンディング参照信号によって構成されている。また、図9では、前記上り信号のそれぞれの先頭タイミングは、eNBにおいて受信するタイミングとして与えられ、また、サブフレームの先頭からの時間として与えられている。例えば、最初の上りユーザデータの先頭タイミングはs1、Ack/Nackはs2、2つ目の上りユーザデータはs3、上りサウンディング参照信号はs4として与えられている。
【0202】
本変形例において、上り信号のタイミングは、UEが送信するタイミングとして与えてもよい。例えば、図9の例において、最初の上りユーザデータの先頭タイミングをt1、Ack/Nackをt2、2つ目の上りユーザデータをt3、上りサウンディング参照信号をt4として与えてもよい。
【0203】
本変形例において、eNBからUEに通知する上り信号の構成がいつ有効になるかをあわせて通知してもよい。いつ有効になるかの通知においては、例えば、有効となる時刻を直接指定してもよいし、通知時点から有効になるまでに要する時間差を指定してもよい。前記時刻としては、サブフレーム番号を用いてもよい。また、前記時間差としては、サブフレーム数を用いてもよい。このようにすることによって、eNBとUEとの間で上り信号の構成の切替を同時に行うことができるので、上り信号の構成の切替によるeNBとUEとの間の送受信ロスを防ぐことができる。
【0204】
また、上り信号の構成を、いくつかの選択肢から選択することとしてもよい。例えば、選択肢の一覧、および、前記一覧から何を選択したかを表す識別子をeNBからUEに通知してもよい。選択肢の一覧と、前記識別子は、一緒に通知してもよいし、別々に通知してもよい。
【0205】
上り信号の構成を通知する方法の具体例として、以下の(1)~(3)の3つを開示する。
【0206】
(1)準静的(semi-static)な設定。
【0207】
(2)動的(Dynamic)な設定。
【0208】
(3)前記(1),(2)の組合せ。
【0209】
前記(1)の準静的な設定について、例えば、eNBから配下のUEに報知してもよい。報知の例として、例えば、RRC共通シグナリングを用いてもよい。RRC共通シグナリングの例として、例えば、SIB1またはSIB2を用いてもよい。
【0210】
また、前記(1)の準静的な設定の別の例として、RRC個別シグナリングを用いてもよい。RRC個別シグナリングとして、例えば、RRC接続再設定(RRC connection reconfiguration)を用いてもよい。あるいは、ランダムアクセス処理におけるメッセージ4を用いてもよい。
【0211】
前記(1)の準静的な設定によって、少ないシグナリング量で、上り信号の構成をeNBからUEに通知することができる。
【0212】
前記(2)の動的な設定について、例えば、L1/L2シグナリングを用いてもよい。これによって、TTI毎、あるいはサブフレーム毎に上り信号構成を変えることができるので、短い周期での上り信号構成の変更が可能となる。
【0213】
また、前記(2)の動的な設定の他の例として、MACシグナリング(MAC Control Element)を用いてもよい。MACシグナリングは再送が制御されるので、高い信頼性で設定を通知することが可能となる。
【0214】
前記(3)の設定について、eNBからUEに対し、異なる設定内容を1つの組合せとして、それぞれ準静的、動的に設定してもよい。例えば、主として用いる上り信号構成を準静的に指定し、突発的に使用する上り信号構成を動的に設定してもよい。このようにすることによって、上り送信後のギャップ長の柔軟な設定を、少ないシグナリング量で実行することが可能となる。
【0215】
本変形例において、eNBからUEに対し、複数のサブフレーム分の上り信号構成をまとめて通知してもよい。前記上り信号構成において、各サブフレーム向けの上り信号構成は互いに異なっていてもよい。複数のサブフレーム分の上り信号構成の通知においては、前述の選択肢から何を選択したかを示す識別子を用いてもよい。複数のサブフレーム分の上り信号構成の通知においては、通知対象となるサブフレーム数を併せて通知してもよい。
【0216】
前述の複数のサブフレーム分の上り信号構成の通知には、RRC個別シグナリングを用いてもよいし、MACシグナリングを用いてもよいし、L1/L2シグナリングを用いてもよい。RRC個別シグナリングの例としては、RRC接続再設定を用いてもよい。
【0217】
eNBは、複数のサブフレーム分の上り信号構成を用いて、複数のサブフレーム分の下り信号の送信および上り信号の受信を行うとよい。
【0218】
また、UEは、複数のサブフレーム分の上り信号構成を用いて、複数のサブフレーム分の下り信号の受信および上り信号の送信を行うとよい。
【0219】
前述の複数のサブフレーム分の上り信号構成について、有効期限を設けてもよいし、設けなくてもよい。有効期限を設けない場合は、eNBとUEとは、通知した上り信号構成に従って周期的に通信を行うとよい。また、有効期限を設ける場合は、有効期限を1回(1周期)としてもよいし、別途有効回数または有効時間をeNBからUEに通知してもよい。したがって、複数のサブフレーム分の上り信号構成を一度eNBからUEに通知することによって、通信を継続することができるので、シグナリング量を削減することができる。
【0220】
また、上り信号構成について、デフォルトの設定を設けてもよい。前記デフォルトの設定が必要な状況としては、例えば、UEがeNBに接続するときである。UEがeNBに接続するとき、報知情報およびページング信号を受信し、また、物理ランダムアクセスチャネルを送信する必要がある。このとき、UEは、前記デフォルト構成に従ったサブフレーム構成でeNBと通信を行うとよい。
【0221】
eNBが上り信号構成を決定するために用いる情報の具体例として、以下の(1)~(4)の4つを開示する。
【0222】
(1)UEにおける上りユーザデータのバッファ状態。バッファ状態としては、例えば、バッファ残量を示す情報、または、バッファ蓄積量を示す情報。
【0223】
(2)eNBおよびUE間のチャネル状況。
【0224】
(3)UEにおける送受信切替時間。
【0225】
(4)前記(1)~(3)の組合せ。
【0226】
前記(1)において、UEはeNBに上りユーザデータのバッファ状態を通知するとよい。前記バッファ状態の通知のために、上り制御情報(Uplink Control Information:UCI)を用いてもよい。あるいは、MACシグナリングを用いてもよい。
【0227】
前記(2)において、eNBはUEからの上り参照信号に基づいて判断してもよい。上り参照信号としては、上りデータ復調用参照信号を用いてもよいし、上りサウンディング信号を用いてもよいし、別の上り参照信号を用いてもよい。また、eNBはUEから送信されるCQIを用いてもよい。
【0228】
前記(3)において、eNBはUEに対し、UEの送受信切替時間を示す情報を問合せてもよい。UEはeNBに対し、UEの送受信切替時間を示す情報を通知してもよい。前記問合せには、RRC個別シグナリングを用いてもよい。また、前記通知には、RRC個別シグナリングを用いてもよい。前述のUEの送受信切替時間を示す情報の一例として、UE能力(UE capability)を用いてもよい。
【0229】
本変形例において、eNBが上り構成を決定するために用いる情報と、UEからeNBへの必要な情報の通知方法、上り構成のeNBからUEへの通知方法を互いに連携づけてもよい。例えば、UEからeNBへの前記必要な情報の通知方法と、上り構成のeNBからUEへの通知方法とを同じとするとよい。例えば、eNBが上り構成を、UEにおける上りユーザデータのバッファ状態に基づいて決定する場合、UEからeNBへのバッファ状態の通知方法をMACシグナリングで行い、eNBからUEへの上り構成の通知をMACシグナリングで行うとよい。このようにすることによって、eNBは、前記必要な情報の変化に追従し、かつ、シグナリングの無駄が少ない方法で、上り構成の決定およびUEへの通知を行うことができる。
【0230】
図10は、自己完結型サブフレームにおける上り信号構成の設定に関するシーケンスの一例を示す図である。図10では、UEの初期接続において、eNBが、報知情報において上り信号の送信後のギャップ長のデフォルト値の設定を行い、RRC接続確立後にUE個別の上り信号構成を動的に設定する場合の例を示す。図10に示すシーケンスは、図8に示すシーケンスと同一のステップを含んでいるので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
【0231】
図10では、図8のステップST800の代わりに、ステップST1000が設けられる。ステップST1000において、eNBは、UEに、上り信号構成のデフォルト設定を含む報知情報SIB1を通知する。UEは、eNBから送信される報知情報SIB1に含まれる上り信号構成のデフォルト設定を取得する。
【0232】
図10では、図8のステップST801の代わりに、ステップST1001が設けられる。ステップST1001において、UEは、上り信号構成のデフォルト設定を反映させる。
【0233】
図10では、図8のステップST807の代わりに、ステップST1002が設けられる。ステップST1002において、eNBは、上り信号構成を決定する。
【0234】
図10では、図8のステップST808の代わりに、ステップST1003が設けられる。ステップST1003において、eNBは、上り信号構成を、L1/L2シグナリングでUEに通知する。
【0235】
図10では、図8のステップST809の代わりに、ステップST1004が設けられる。ステップST1004において、UEは、eNBから受信した上り信号構成を反映させる。
【0236】
また、図10では、図8のステップST810の代わりに、ステップST1005が設けられる。ステップST1005において、eNBは、上り信号構成を反映させる。
【0237】
本変形例において、UEが上り信号構成を判断してもよい。UEは、前述のようにして判断した上り信号構成をeNBに通知してもよい。eNBは、UEから通知された上り信号構成に対して、承諾または拒否の応答をUEに通知することが可能な構成としてもよい。このようにすることによって、UEが複数のeNBと同時に通信を行うときに、UEから複数のeNBに対して一度上り信号構成を通知すればよいので、eNB間で発生するシグナリングを削減することができる。
【0238】
あるいは、本変形例において、eNBは、UEから通知された上り信号構成に対して、拒否の応答をUEに通知しない構成としてもよい。このようにすることによって、UEは、拒否の応答である旨を自動的に判断することができるので、シグナリング量を削減することができる。
【0239】
さらに他の例として、eNBは、前述の拒否の応答と併せて、設定可能な上り信号構成をUEに通知してもよい。このようにすることによって、UEからの上り信号構成の通知とeNBからの拒否の応答との繰り返しを防ぐことができる。したがって、シグナリング量を削減することができるとともに、上り信号の構成の迅速な設定が可能となる。
【0240】
eNBは、上り信号構成に対する承諾または拒否を判断するために、該UEに接続されている他UEのサブフレーム構成を用いてもよい。
【0241】
UEが上り信号構成を判断するために必要な情報の具体例として、以下の(1)~(4)の4つを開示する。
【0242】
(1)UEにおける上りユーザデータのバッファ状態。バッファ状態としては、例えば、バッファ残量を示す情報、または、バッファ蓄積量を示す情報。
【0243】
(2)eNBおよびUE間のチャネル状況。
【0244】
(3)UEにおける送受信切替時間。
【0245】
(4)前記(1)~(3)の組合せ。
【0246】
前記(2)について、eNBからUEに対し、上りチャネルの状況を通知してもよい。上りチャネルの状況としては、例えば、MCSを用いてもよい。MCSとしては、例えば、上りグラント情報に含めてもよい。上りチャネル状況の通知にあたり、RRC個別シグナリングを用いてもよいし、MAC制御情報を用いてもよいし、上りのL1/L2シグナリングを用いてもよい。
【0247】
また、前記(2)について、UEは下りチャネルの状況を用いてもよい。下りチャネル状況としては、CQIを用いてもよい。
【0248】
UEがeNBに上り信号構成を通知するにあたり、RRC個別シグナリングを用いてもよい。あるいは、MAC制御情報を用いてもよい。あるいは、L1/L2シグナリングを用いてもよい。
【0249】
上り信号構成として上りユーザデータを含むとき、スケジューリング情報を当該サブフレームでeNBからUEに通知してもよい。スケジューリング情報としては、L1/L2シグナリングを用いてもよい。
【0250】
本変形例によって、自己完結型サブフレームにおける下り信号/上り信号間ギャップを少なくし、上り信号の送信後のギャップを無くすことができるので、無線リソースを効率的に使用することができる。また、自己完結型サブフレームにおいて、上り信号の構成を柔軟に設定することが可能になる。
【0251】
実施の形態1 変形例2.
本変形例では、自己完結型サブフレームにおけるギャップを少なくするためのスケジューリング方法について説明する。
【0252】
従来のスケジューリングにおいては、UEからのNackを受信した次のサブフレームでeNBからUEに再送を行うために、eNBにおいてAck/Nackの受信後にギャップ期間が発生することを許容している(非特許文献11参照)。
【0253】
ところが、Ack/Nackの受信後のギャップの発生によって、リソースの使用効率が低下する。実施の形態1の変形例1の方法を用いることによって、Ack/Nackの受信後のギャップを上り信号に割り当てることができるが、UEから送信可能な上り信号が存在しない場合、Ack/Nackの受信後のギャップが残ってしまうという問題がある。
【0254】
本変形例では、以上のような問題を解決する方法を開示する。本変形例では、eNBは、nサブフレーム先の再送用スケジューリングを予め決めておく。ここで、nは1以上の整数とする。対称なスケジューリングを行うとよい。eNBは、初送用のスケジューリングを用いてもよいし、再送用スケジューリングを用いてもよい。eNBは、初送用スケジューリングと再送用スケジューリングとの両方を用いてもよい。eNBがどのスケジューリングを用いるかを、UEから送信されるAck/Nackを用いて判断してもよい。
【0255】
例えば、n=1のときは、初送データを送信しているサブフレームにおいて、予め再送用のスケジューリングを行う。
【0256】
また、例えば、n=2のときは、初送データを送信する前のサブフレームにおいて、再送用のスケジューリングを行う。このとき、該初送データ用のスケジューリングを併せて行ってもよい。
【0257】
また、本変形例において、nサブフレーム先の初送のスケジューリングも併せて行ってもよい。例えば、n=2のときは、2サブフレーム先の初送データのスケジューリングを行ってもよい。
【0258】
再送にあたり、適応的なスケジューリングを行ってもよい。すなわち、初送と異なるスケジューリングを行ってもよい。非適応的なスケジューリングを行ってもよい。
【0259】
また、本変形例において、上り信号の構成は、実施の形態1あるいは実施の形態1の変形例1を用いて設定されてもよい。前記上り信号の構成は、Ack/Nackの受信後のギャップを含んでもよい。以降の変形例および実施の形態についても、同様とする。
【0260】
本変形例におけるeNBとUEの動作を、n=1の場合について示す。
【0261】
eNBは、初送スケジューリングを決定する。
【0262】
次のサブフレームにおいて、eNBは、UEに、前述の初送スケジューリングの情報を送信する。初送スケジューリングの情報の送信には、下り制御信号を用いるとよい。また、eNBは、UEに初送データを送信する。また、前述の初送データに対する再送データのスケジューリングを行う。併せて、次の初送データのスケジューリングを行うとよい。
【0263】
再送データと次の初送データとには、周波数リソースの重複があってもよい。このとき、eNBは、UEからのAck/Nackを用いて、次のサブフレームにおいて次の初送データと再送データとのいずれかを送信するとよい。また、再送データと次の初送データとの周波数リソースが異なっていてもよい。このとき、eNBは、次のサブフレームにおいて再送データと次の初送データとを同時に送信してもよいし、一方のみを送信してもよい。
【0264】
UEは、前記下り制御信号を受信する。また、UEは、前記下り信号から、前述の初送スケジューリングの情報を取得する。また、UEは、前述のスケジューリングの情報に従い、前述の初送データを受信する。UEは、前述の初送データに対するAck/NackをeNBに送信する。
【0265】
また、UEは、前述の初送データに対してAckを送信する場合、HARQ用の受信データを解放する。また、UEは、前述の初送データに対してAckを送信しない場合、HARQ用の受信データを保持する。保持するHARQ用受信データは、eNBから受信する再送データと合成して復号するために用いる。前記HARQ用受信データは、再送に対してAckとなるまで、あるいは、再送回数が満了するまで保持される。
【0266】
eNBは、UEからのAck/Nackを受信する。eNBは、UEからのAck/Nackに基づいて、次のサブフレームにおいて使用するスケジューリングを決定する。例えば、Ackを受信したときは、eNBは、次の初送用スケジューリングを次のサブフレームにおいて用いる。また、例えば、Nackを受信したときは、eNBは、再送用スケジューリングを次のサブフレームにおいて用いる。
【0267】
次のサブフレームにおいて、eNBは、1つ前のサブフレームで決定したスケジューリングの情報を送信する。また、eNBは、UEに該スケジューリングの情報が示す下りユーザデータをUEに送信する。また、eNBは、さらに次のサブフレームにおいて送信する下りユーザデータのスケジューリングを行う。スケジューリングの方法は、1つ前のサブフレームと同様である。
【0268】
eNBおよびUEは、以下、前述の動作を繰り返す。
【0269】
図11および図12は、実施の形態1の変形例2における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。図11および図12では、実施の形態1の変形例2におけるスケジューリングについて、n=1の場合の一例を示す。図11図12とは、境界線BL1の位置で、つながっている。図11および図12において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。図11および図12において、予め当サブフレームのAck、Nackのそれぞれに対応するスケジューリングを行い、UEからのAck/Nackによって使用するスケジューリングを切り替え、次のサブフレームにおいて用いている。
【0270】
図13および図14は、実施の形態1の変形例2における2フレーム先の再送スケジューリングを行う方法の一例を示す図である。図13および図14では、実施の形態1の変形例2におけるスケジューリングについて、n=2の場合の一例を示す。図13図14とは、境界線BL2の位置で、つながっている。図13および図14において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。
【0271】
図13および図14においては、予め次のサブフレームで用いる初送用スケジューリング、および、2つ後のサブフレームで用いる再送用スケジューリングを行い、該サブフレームのAck/Nackおよび次のサブフレームのAck/Nackによって、どのスケジューリングを用いるかを切り替えている。また、再送用スケジューリングについては、2つ後のサブフレームで用いるものについて行っているので、次の初送に対する再送データ、および、現在の初送データに対する再送2回目データに対するスケジューリングとなる。
【0272】
図15および図16は、実施の形態1の変形例2における2フレーム先の初送および再送のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。図15および図16では、実施の形態1の変形例2におけるスケジューリングについて、nサブフレーム先の初送もスケジューリングする場合の一例を示す。図15および図16において、n=2の場合について示している。図15図16とは、境界線BL3の位置で、つながっている。図15および図16において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。
【0273】
図15および図16においては、初送用、再送用についても、2つ後のサブフレームで用いるためのスケジューリングを行い、該サブフレームおよび次のサブフレームのAck/Nackによって、どのスケジューリングを用いるかを切り替えている。1つのサブフレームにおいて行うスケジューリングの個数は2のn乗である。したがって、図15および図16においては、1つのサブフレームにおいて行うスケジューリングの個数は2の2乗、すなわち4つとなる。
【0274】
本変形例において、nの値を決めるために必要な情報の具体例として、以下の(1)~(5)の5つを開示する。
【0275】
(1)上り信号構成。例えば、Ack/Nackのタイミング。または、例えば、上り信号の送信後のギャップ長さ。
【0276】
(2)eNBがAck/Nackのデコーディングに要する時間。
【0277】
(3)eNBが下り信号のエンコーディングに要する時間。
【0278】
(4)サブフレーム長。
【0279】
(5)前記(1)~(4)の組合せ。
【0280】
前記(1)における上り信号構成は、例えば、実施の形態1の変形例1と同様の形式であってもよい。または、例えば、Ack/Nackシンボルの先頭タイミング、長さ、終了タイミングのいずれか1つ以上を含む情報であってもよい。
【0281】
本変形例において、nの値を決めるための前記(3)の下り信号のエンコーディングに要する時間は、下り制御情報のエンコーディングに要する時間であってもよい。または、下りユーザデータのエンコーディングに要する時間であってもよい。または、前記の下り制御情報のエンコーディングに要する時間および下りユーザデータのエンコーディングに要する時間の両方であってもよい。
【0282】
本変形例において、nの値は規格で固定的に与えてもよい。または、eNBからUEに報知してもよい。報知には、報知情報を用いてもよい。報知情報としては、SIB1あるいはSIB2を用いてもよい。または、eNBからUEに、RRC個別シグナリングで通知してもよい。また、nの値は、UEがeNBに接続したときに一度だけ設定してもよいし、接続後に変更してもよい。
【0283】
本変形例によって、Ack/Nackを受信した次のサブフレームでeNBからUEに、下りユーザデータの再送が可能となるので、通信のレイテンシを抑えることができる。また、上り信号の送信後のギャップを少なくすることができるので、通信の効率化を図ることができる。
【0284】
実施の形態1 変形例3.
本変形例では、自己完結型サブフレームにおいて上り信号の送信後のギャップを設けずに、Ack/Nackを受信した次のサブフレームで再送を可能とするためのスケジューリング方法について説明する。
【0285】
実施の形態1の変形例2の方法においては、上り信号の送信後のギャップを少なくすることはできるが、UEからのAckおよびNackのデコードに要する時間を完全になくすことはできないので、上り信号の送信後のギャップを完全になくすことはできないという問題がある。
【0286】
本変形例では、以上のような問題を解決する方法を開示する。
【0287】
eNBは、初送の後、m個のサブフレームにおいて再送を行う。ただし、mは1以上の整数とする。対称なスケジューリングを行うとよい。eNBは、UEからのAck/Nackを、m+1個後のサブフレームにおいて送信するデータに適用してもよい。
【0288】
実施の形態1の変形例3は、eNBからUEに送信したいデータを複数サブフレームにかけて送信する点で、従来技術であるTTIバンドリング(例えば、参考文献1参照)と同じであるが、再送データに対して初送と異なるスケジューリングが可能である点で、TTIバンドリングと異なる。
【0289】
例えば、m=1のときは、eNBは、前記Ack/Nackを受信してからスケジューリングを行う。eNBは、Ackを受信したとき、次の初送データのスケジューリングを開始する。また、eNBは、次のサブフレームにおいて再送データをUEに送信する。さらに次のサブフレームにおいて、eNBは前述の次の初送データをUEに送信する。また、eNBは、Nackを受信したとき、再送2回目データのスケジューリングを開始する。eNBは、次のサブフレームにおいて再送データをUEに送信する。さらに次のサブフレームにおいて、eNBは前述の再送2回目データをUEに送信する。
【0290】
また、eNBは、実施の形態1の変形例2と同様に、nサブフレーム先の再送用スケジューリングを予め決めておく。ただし、nは1以上の整数とする。eNBがどのスケジューリングを用いるかを、UEから送信されるAck/Nackを用いて判断してもよい。
【0291】
例えば、n=1のときは、初送データを送信しているサブフレームにおいて、予め再送用のスケジューリングを行う。
【0292】
また、例えば、n=2のときは、初送データを送信する前のサブフレームにおいて、再送用のスケジューリングを行う。このとき、該初送データ用のスケジューリングを併せて行ってもよい。
【0293】
また、本変形例において、nサブフレーム先の初送のスケジューリングも併せて行ってもよい。例えば、n=2のときは、2サブフレーム先の初送データのスケジューリングを行ってもよい。
【0294】
再送にあたり、適応的なスケジューリングを行ってもよい。すなわち、初送と異なるスケジューリングを行ってもよい。適応的なスケジューリングによって、eNBは、無線環境の変化に柔軟に対応したスケジューリングが可能となる。また、非適応的なスケジューリングを行ってもよい。非適応的なスケジューリングによって、UEは、再送受信時に下り制御情報のデコーディング処理が不要となるので、UEにおける処理の負荷が少なくなる。
【0295】
本変形例におけるeNBとUEの動作を、m=1、かつ、n=1の場合について示す。
【0296】
eNBは、初送スケジューリングを決定する。
【0297】
次のサブフレームにおいて、eNBは、UEに、前述の初送スケジューリングの情報を送信する。初送スケジューリングの情報の送信には、下り制御信号を用いるとよい。また、eNBは、UEに初送データを送信する。また、前述の初送データに対する再送データのスケジューリングを行う。
【0298】
UEは、前記下り制御信号を受信する。また、UEは、前記下り信号から、前述の初送スケジューリングの情報を取得する。また、UEは、前述のスケジューリングの情報に従い、前述の初送データを受信する。UEは、前述の初送データに対するAck/NackをeNBに送信する。
【0299】
また、UEは、前述の初送データに対してAckを送信する場合、HARQ用の受信データを解放する。また、UEは、前述の初送データに対してAckを送信しない場合、HARQ用の受信データを保持する。保持するHARQ用受信データは、eNBから受信する再送データと合成して復号するために用いる。前記HARQ用受信データは、再送に対してAckとなるまで、あるいは、再送回数が満了するまで保持される。
【0300】
eNBは、UEからのAck/Nackを受信する。eNBは、UEからのAck/Nackに基づいて、次のサブフレームにおいて使用するスケジューリングを決定する。例えば、Ackを受信したときは、eNBは、次の初送用スケジューリングを次のサブフレームにおいて用いる。また、例えば、Nackを受信したときは、eNBは、再送2回目用スケジューリングを次のサブフレームにおいて用いる。
【0301】
次のサブフレームにおいて、eNBは、1つ前のサブフレームで決定したスケジューリングの情報をUEに送信する。また、eNBは、該スケジューリングの情報が示す下りユーザデータをUEに送信する。また、eNBは、さらに次のサブフレームにおいて送信する下りユーザデータのスケジューリングを行う。スケジューリングの方法は、1つ前のサブフレームと同様である。
【0302】
eNBおよびUEは、以下、前述の動作を繰り返す。
【0303】
本変形例において、eNBは、初送に対してAckを受信した再送データに対して、Ack/Nackを受信しなくてもよい。または、前記Ack/Nackをデコーディングしなくてもよい。
【0304】
本変形例において、UEは、(m-1)回目以前の再送データについてのAck/NackをeNBに送信しなくてもよい。eNBは、(m-1)回目以前の再送データについてのAck/Nackを受信しなくてもよい。このようにすることによって、UEにおけるAck/Nackのコーディング処理を削減することができる。また、eNBにおけるAck/Nackのデコーディング処理を削減することができる。
【0305】
本変形例において、UEは、初送に対してAckを送信した後の再送データを受信しなくてもよい。または、前記再送データをデコーディングしなくてもよい。または、前記再送データに対するAck/NackをeNBに送信してもよいし、送信しなくてもよい。
【0306】
または、本変形例において、eNBは、前記m回の再送を行う前にUEからAckを受信したデータについて、再送を行わなくてもよい。例えば、m=2として、初送に対してUEからAckを受信した場合、eNBは、再送2回目のデータをUEに送信せず、次の初送データを送信してもよい。このようにすることによって、UEが正しく受信したデータをeNBが繰り返し送信することを抑え、eNBとUEとの間の通信の効率化を図ることができる。
【0307】
図17および図18は、実施の形態1の変形例3において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。図17および図18では、実施の形態1の変形例3におけるスケジューリングについて、m=1、n=1の場合の一例を示す。図17図18とは、境界線BL4の位置で、つながっている。図17および図18において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。
【0308】
図17および図18において、eNBは、初送用スケジューリングを行った次のサブフレームにおいて、UEに該初送データを送信する。また、再送を1回は行うので、初送用スケジューリングを行った次のサブフレームにおいて、eNBは、再送用のスケジューリングを行い、さらに次のサブフレームにおいて該再送データをUEに送信する。
【0309】
図17および図18において、初送に対してUEからAckを受信した場合、次のサブフレーム、すなわち、再送データを送信するサブフレームにおいて、eNBは次の初送データのスケジューリングを行い、さらに次のサブフレームにおいて次の初送データをUEに送信する。また、初送に対してUEからNackを受信した場合、次のサブフレームにおいて、eNBは再送2回目データのスケジューリングを行い、さらに次のサブフレームにおいて再送2回目データを送信する。
【0310】
図19および図20は、実施の形態1の変形例3において再送を1回は行う場合の2フレーム先の再送スケジューリングを行う方法の一例を示す図である。図19および図20では、実施の形態1の変形例3におけるスケジューリングについて、m=1、n=2の場合の一例を示す。図19図20とは、境界線BL5の位置で、つながっている。図19および図20において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。
【0311】
図19および図20において、eNBは、DLデータ#1の初送用と再送用とのスケジューリングを同時に行い、次のサブフレームで、DLデータ#1の初送の送信を行い、また、DLデータ#1の再送2回目のスケジューリングを行う。eNBは、さらに次のサブフレームでDLデータ#1の再送を行う。またeNBは、DLデータ#1の初送に対してUEからのAckを受信しているので、DLデータ#2の初送と再送とのスケジューリングを行う。
【0312】
図19および図20において、eNBは、次のサブフレームで、DLデータ#2の初送の送信を行い、また、DLデータ#2の再送2回目のスケジューリングを行う。eNBは、さらに次のサブフレームでDLデータ#2の再送を行う。またeNBは、DLデータ#2の初送に対してUEからのNackを受信しているので、DLデータ#2の再送3回目のスケジューリングを行う。
【0313】
eNBは、次のサブフレームで、DLデータ#2の再送2回目を送信する。またeNBは、DLデータ#2の再送に対してUEからAckを受信しているので、DLデータ#3の初送および再送のスケジューリングを行う。DLデータ#3については、DLデータ#1と同様である。
【0314】
図21および図22は、実施の形態1の変形例3において再送を1回は行う場合の2フレーム先の初送および再送のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。図21および図22では、実施の形態1の変形例3におけるスケジューリングについて、nサブフレーム先の初送もスケジューリングする場合の一例を示す。図21および図22では、m=1、n=2の場合について示している。図21図22とは、境界線BL6の位置でつながっている。図21および図22において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。
【0315】
図21および図22において、eNBは、DLデータ#1を送信するサブフレームにおいて、DLデータ#2の初送用、およびDLデータ#1の再送2回目用のスケジューリングを行う。次のサブフレームにおいて、eNBは、DLデータ#1の再送をUEに送信する。またeNBは、DLデータ#1の初送に対するAckを受信しているので、DLデータ#2の再送用のスケジューリングを行う。
【0316】
さらに次のサブフレームにおいて、eNBは、DLデータ#1の初送に対するAckを受信しているので、2サブフレーム前にスケジューリングしたDLデータ#2のスケジューリングに基づいて、DLデータ#2の初送の送信を行う。併せて、eNBは、DLデータ#3の初送用、およびDLデータ#2の再送2回目用のスケジューリングを行う。
【0317】
さらに次のサブフレームにおいて、eNBは、DLデータ#2の再送を送信する。またeNBは、DLデータ#2の初送に対するNackを受信しているので、DLデータ#3の初送用のスケジュールのやり直しと、DLデータ#2の再送3回目用のスケジューリングとを行う。さらに次のサブフレームでは、eNBは、DLデータ#2の再送3回目を送信する。またeNBは、DLデータ#2に対してAckを受信しているので、DLデータ#3の再送用のスケジューリングを行う。さらに次のサブフレームにおいて、eNBはDLデータ#3の初送の送信を行う。DLデータ#3については、DLデータ#1と同様の動作を行う。
【0318】
本変形例において、mの値を決めるために必要な情報の具体例として、以下の(1)~(3)の3つを開示する。
【0319】
(1)eNBの下りユーザデータコーディング時間。
【0320】
(2)UEから送信されたAck/Nack比率。
【0321】
(3)前記(1),(2)の組合せ。
【0322】
本変形例において、mの値は規格で固定的に与えてもよい。または、eNBからUEに報知してもよい。報知には、報知情報を用いてもよい。報知情報としては、SIB1あるいはSIB2を用いてもよい。または、eNBからUEに、RRC個別シグナリングで通知してもよい。また、mの値は、UEがeNBに接続したときに一度だけ設定してもよいし、接続後に変更してもよい。
【0323】
本変形例において、nの値を決めるために必要な情報については、実施の形態1の変形例2と同じであるため、記載を省略する。
【0324】
本変形例におけるnの値の与え方については、mの値の与え方と同じであるので、記載を省略する。
【0325】
本変形例によって、Ack/Nackを受信した次のサブフレームでeNBからUEに対し下りユーザデータの再送が可能となるので、通信のレイテンシを抑えることができる。また、上り信号の送信後のギャップをなくすことができるので、通信の効率化を図ることができる。
【0326】
実施の形態1 変形例4.
本変形例では、自己完結型サブフレームにおいて、再送時のサブフレームの下り制御情報を用いることなく、Ack/Nackを受信した次のサブフレームで再送を可能とするためのスケジューリング方法について説明する。
【0327】
実施の形態1の変形例2および実施の形態1の変形例3の方法においては、eNBは再送時にも下り制御情報をUEに送信するが、本変形例では、eNBが再送時に下り制御情報をUEに送信せずにスケジューリングを行う。
【0328】
eNBは、再送において、初送と同じ周波数リソース、同じ変調方式を割り当てる。再送において、冗長バージョン(Redundancy Version:RV)を初送から変えてもよい。このようにすることによって、再送における誤り訂正能力が向上する。
【0329】
eNBとUEとの間で、再送回数とRVとの対応関係を共有することが望ましい。再送回数とRVとの対応関係は、予め規格で定めてもよい。再送回数とRVとの対応関係は、eNBからUEに報知してもよい。報知には、報知情報を用いてもよい。報知情報としては、SIB1、SIB2を用いてもよい。
【0330】
また、再送回数とRVとの関係を、eNBからUEにRRC個別シグナリングで通知してもよいし、MACシグナリングで通知してもよい。MACシグナリングを用いることによって、再送制御によって信頼性を維持しながら、報知情報およびRRC個別シグナリングよりも迅速に、再送回数とRVとの対応関係を通知することができる。また、再送において、RVを初送と同じとしてもよい。
【0331】
eNBは、下り制御情報に割り当てていたシンボルを、再送において、下りユーザデータに割り当ててもよい。これによって、再送における物理チャネルビット数が増加し、誤り訂正能力が向上する。また、再送において下り制御情報の領域を下りユーザデータに割り当てるか否かを示す識別子をeNBからUEに通知してもよいし、割り当てるか否かを規格で定めてもよい。
【0332】
前記識別子について、eNBからUEに報知してもよい。報知には、報知情報を用いてもよい。報知情報としては、SIB1、SIB2を用いてもよい。また、前記識別子を、eNBからUEにRRC個別シグナリングで通知してもよいし、MACシグナリングで通知してもよいし、初送の下り制御情報として通知してもよい。
【0333】
UEは、前記識別子を取得してもよい。UEは、再送における下りユーザデータの受信領域を、前記識別子を用いて判断してもよい。
【0334】
本変形例を、従来の、UEからのAck/Nackを用いて次のサブフレームのスケジューリングを行う方法に適用してもよい。実施の形態1の変形例2において示すスケジューリング方法に適用してもよい。また本変形例を、実施の形態1の変形例3において示すスケジューリング方法に適用してもよい。
【0335】
本変形例における、eNBおよびUEの動作について示す。eNBは、初送データ用のスケジューリングを行う。eNBは、初送データ用のスケジューリング情報を送信する。前記スケジューリング情報の送信には、下り制御信号を用いてもよい。eNBは、初送データを送信する。UEは、前記初送データを受信する。UEは、前記初送データに対するAck/NackをeNBに送信する。
【0336】
eNBは、初送データに対する再送の要否を判断する。前記判断に、UEからのAck/Nackを用いてもよい。あるいは、eNBは、初送の後は必ず指定のサブフレーム数以上再送を行うとしてもよい。
【0337】
eNBは、前記判断に基づいて、再送データをUEに送信する。前記再送データの送信において、eNBは、下り制御情報の送信領域を下りユーザデータの受信領域として用いてもよい。
【0338】
UEは、受信する下り信号が初送か再送かを判断する。前記判断に、eNBに送信したAck/Nackを用いてもよい。あるいは、eNBが初送の後必ず指定のサブフレーム数以上再送を行うといった取り決めを用いてもよい。
【0339】
UEは、eNBからの再送データを受信する。再送データの受信において、eNBが下り制御情報の送信領域を下りユーザデータの領域として用いるかどうかを用いてもよい。UEは、前記再送データに対するAck/NackをeNBに送信する。
【0340】
UEは、eNBにスケジューリング要求を送信してもよい。UEからの、前記スケジューリング要求の送信は、eNBからの下りユーザデータのHARQ再送中であってもよい。eNBは、UEからのスケジューリング要求を契機として、UEにスケジューリング情報を送信してもよい。eNBからの、前記スケジューリング情報の送信は、再送データに対して行ってもよい。このようにすることによって、eNBからの下りユーザデータの再送時における下り制御情報が送信可能となる。したがって、eNBがUEからのAck/Nackを誤判定することによって発生する誤動作からの回復が可能となる。
【0341】
図23および図24は、実施の形態1の変形例4における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。図23および図24では、本変形例を、実施の形態1の変形例2において示すスケジューリング方法に適用する場合について、n=1の場合の一例を示す。図23図24とは、境界線BL7の位置でつながっている。図23および図24において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。
【0342】
図23および図24において、DLデータ#2の初送に対してUEからNackが返ってきたので、次のサブフレームにおいて下り制御信号なしでDLデータ#2の再送をUEに送信する。また、DLデータ#3の初送用スケジューリングをやり直している。また、図23および図24において、再送データの送信時の下り制御信号の領域を下りユーザデータの領域に割り当てている。
【0343】
図25および図26は、実施の形態1の変形例4において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。図25および図26では、本変形例を、実施の形態1の変形例3において示すスケジューリング方法に適用する場合について、m=1、n=1の場合の一例を示す。図25図26とは、境界線BL8の位置でつながっている。図25および図26において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。
【0344】
図25および図26における各再送において、下り制御信号の代わりに下りユーザデータの送信領域が割り当てられている。また、DLデータ#2の初送に対してUEからeNBにNackが返ってきたので、DLデータ#2については再送2回目が行われ、前記再送2回目についても再送と同様、下り制御信号の代わりに下りユーザデータの送信領域が割り当てられている。
【0345】
本変形例によって、実施の形態1の変形例2あるいは実施の形態1の変形例3の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。具体的には、再送における下り制御情報の通知を無くすことができるので、eNBからUEへのシグナリング量を削減することができる。また、再送における下り制御情報の領域に下りユーザ信号を割り当てることによって、再送における下りユーザデータの誤り訂正能力を向上させることができる。これによって、信頼性を向上させることができる。
【0346】
実施の形態1 変形例5.
本変形例では、自己完結型サブフレームにおいて、再送時のサブフレームの下り制御情報を用いることなく、Ack/Nackを受信した次のサブフレームで再送を可能とするためのスケジューリング方法について、他の具体例を開示する。
【0347】
前述の実施の形態1の変形例4において、例えば、同期信号および物理報知情報チャネルを送信するサブフレームのように、サブフレームによっては初送データと同じ無線リソースを使用できない場合があるという問題がある。
【0348】
本変形例では、以上のような問題を解決する方法を開示する。
【0349】
初送のスケジューリングにおいて、再送k回分のスケジューリングを行う。kは、1以上最大再送回数までの整数であるとよい。kは、最大再送回数の値でなくてもよい。再送は、初送と異なるスケジューリングにおいて送信される。再送と初送とは、同じスケジューリングであってもよい。また、再送において、符号化率が初送と異なってもよい。
【0350】
再送k回分の前記スケジューリングの情報は、L1/L2シグナリングによってeNBからUEに通知してもよい。再送k回分の前記スケジューリングの情報は、初送のスケジューリングと一緒に通知してもよい。
【0351】
また、再送k回分の送信が終わった次のサブフレームにおいて、eNBからUEに、下り制御情報を通知してもよい。これによって、k回分の再送においてもAckとならなかった場合に、再送を継続することができる。
【0352】
本変形例において、kの値は、セル内で共通としてもよい。あるいは、kの値は、UE毎に設定してもよい。あるいは、kの値は、プロセスID毎に設定してもよい。
【0353】
前記kの値は、規格で静的に定めてもよい。あるいは、eNBからUEに報知してもよい。前記報知としては、例えば、報知情報を用いてもよい。報知情報としては、例えば、SIB1あるいはSIB2を用いてもよい。また、eNBからUEに、RRC個別シグナリングを用いて通知してもよいし、MACシグナリングを用いて通知してもよいし、L1/L2シグナリングを用いて通知してもよい。
【0354】
eNBが前記kの値を決定するにあたり必要な情報の具体例として、以下の(1)~(4)の4つを開示する。
【0355】
(1)最大再送回数。
【0356】
(2)UEから受信したAckとNackとの比率。例えば、ブロック誤り率(=Nack/(Ack+Nack))。
【0357】
(3)発生した再送回数の統計情報。
【0358】
(4)前記(1)~(3)の組合せ。
【0359】
前記(3)の統計情報としては、例えば、発生した再送回数の最大値を用いてもよい。あるいは、指定の回数以上発生している再送回数の上限を用いてもよい。また、前記(3)の統計情報については、eNBの起動時からの情報を対象としてもよいし、過去の予め定める期間を対象としてもよい。
【0360】
本変形例を、従来の、UEからのAck/Nackを用いて次のサブフレームのスケジューリングを行う方法に適用してもよい。実施の形態1の変形例2において示すスケジューリング方法に適用してもよい。また、本変形例を、実施の形態1の変形例3において示すスケジューリング方法に適用してもよい。
【0361】
本変形例におけるeNBおよびUEの動作について示す。eNBは、初送データ用のスケジューリングを行う。併せて、eNBは、前記k回分の再送用のスケジューリングを行う。初送と再送との間でスケジューリング情報が異なっていてもよい。前記スケジューリング情報としては、例えば、周波数リソース、符号化率、あるいは変調方式を含んでもよい。
【0362】
eNBは、前記初送データ用スケジューリングの情報および再送k回分のスケジューリングの情報をUEに送信する。前記初送データ用スケジューリングの情報および再送k回分のスケジューリングの情報の送信において、eNBは、下り制御情報の領域を用いてもよい。eNBは、前記初送データ用スケジューリングの情報および再送k回分のスケジューリングの情報と併せて、初送データをUEに送信する。
【0363】
eNBは、前記初送データに対する再送の要否を判断する。前記判断に、UEからのAck/Nackを用いてもよい。あるいは、eNBは、初送の後は必ず指定のサブフレーム数以上再送を行うとしてもよい。
【0364】
eNBは、前記判断に基づいて、再送データをUEに送信する。前記再送において、eNBは、下り制御情報の送信領域を下りユーザデータの受信領域として用いてもよい。また、eNBは、次の初送および再送k回分のスケジューリングを、UEからのAckを受信する前に行ってもよい。eNBは、スケジューリング済みとなっている次の初送および再送k回分のスケジューリングをやり直してもよい。
【0365】
UEは、初送および再送k回分のスケジューリング情報を受信する。
【0366】
UEは、受信する下り信号が初送および再送のいずれであるかを判断する。前記判断に、eNBに送信したAck/Nackを用いてもよい。あるいは、eNBが初送の後必ず指定のサブフレーム数以上再送を行うといった取り決めを用いてもよい。
【0367】
UEは、eNBからの再送データを受信する。再送データの受信において、eNBが下り制御情報の送信領域を下りユーザデータの領域として用いるかどうかを用いてもよい。UEは、前記再送データに対するAck/NackをeNBに送信する。UEは、再送k回分のスケジューリング情報を破棄してもよいし、保持してもよい。
【0368】
実施の形態1の変形例4と同様に、UEは、eNBにスケジューリング要求を送信してもよい。UEからの、前記スケジューリング要求の送信は、eNBからの下りユーザデータのHARQ再送中であってもよい。eNBは、UEからのスケジューリング要求を契機として、UEにスケジューリング情報を送信してもよい。eNBからの、前記スケジューリング情報の送信は、再送データに対して行ってもよい。このようにすることによって、eNBからの下りユーザデータの再送時における下り制御情報が送信可能となる。したがって、eNBがUEからのAck/Nackを誤判定することによって発生する誤動作からの回復が可能となる。
【0369】
図27および図28は、実施の形態1の変形例5における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。図27および図28では、本変形例を、実施の形態1の変形例2において示すスケジューリング方法に適用する場合について、n=1の場合の一例を示す。図27図28とは、境界線BL9の位置でつながっている。図27および図28において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。
【0370】
図27および図28において、eNBは、DLデータ#1の初送の送信中にDLデータ#2の初送および再送k回分のスケジューリングを行う。そして、次のサブフレームで、DLデータ#2の初送および再送k回分のスケジューリング情報ならびに初送データを送信している。
【0371】
同様に、DLデータ#2の初送の送信中に、DLデータ#3の初送および再送k回分のスケジューリングを行う。そして、次のサブフレームで、DLデータ#3の初送および再送k回分のスケジューリング情報ならびに初送データを送信している。
【0372】
図27および図28において、DLデータ#2の初送に対して、UEからNackが返っているので、eNBは、DLデータ#2の再送を行うとともに、DLデータ#3の初送および再送k回分のスケジューリングをやり直している。DLデータ#2の再送に対して、UEからAckが返っているので、eNBは、その次のサブフレームにおいて、DLデータ#3の初送および再送k回分のスケジューリング情報ならびに初送データを送信している。
【0373】
図29および図30は、実施の形態1の変形例5において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。図29および図30では、本変形例を、実施の形態1の変形例3において示すスケジューリング方法に適用する場合について、m=1、n=1の場合の一例を示す。図29図30とは、境界線BL10の位置でつながっている。図29および図30において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。
【0374】
DLデータの送信後、最初のAckを受信した次のサブフレームにおいて、eNBは、次の初送データおよび再送k回分のスケジューリングを行う。DLデータ#1の初送に対してはAckとなっているので、DLデータ#1の再送時に、DLデータ#2の初送および再送k回分のスケジューリングが行われる。しかし、DLデータ#2の初送に対してはNack、DLデータ#2の再送1回目でAckとなっているので、DLデータ#2の再送2回目のときに、DLデータ#3の初送および再送k回分のスケジューリングが行われる。
【0375】
本変形例によって、初送と再送とで使用可能な周波数リソースが異なる場合についても、実施の形態1の変形例4と同じ効果を得ることができる。
【0376】
実施の形態1 変形例6.
本変形例では、自己完結型サブフレームにおいて、非対称スケジューリングを行うときに、Ack/Nackを受信した次のサブフレームで再送を可能とするためのスケジューリング方法について説明する。
【0377】
実施の形態1の変形例2~実施の形態1の変形例5の方法においては、対称スケジューリングを用いるので、必ず初送の次のサブフレームにおいて再送データを送信する。ところが、初送の次のサブフレームにおいて、初送よりも周波数リソースが小さいとき、あるいは、初送よりも電波環境が悪化している場合、初送の次のサブフレームにおいて再送データを送ったとしてもAckとなる可能性は低く、非効率的であるという問題がある。
【0378】
本変形例では、以上のような問題を解決する方法を開示する。
【0379】
eNBとUEは、非対称スケジューリングを用いる。また、eNBは、UEからのAck/Nackを受信する前に、次のサブフレームにおいて送信する初送データあるいは再送データをスケジューリングする。
【0380】
eNBは、次のサブフレームで再送を行うかどうかを判断する。eNBは、再送毎にUEに下り制御情報を送信する。UEは、各サブフレームでeNBからの下り制御情報を受信する。UEは、前記下り制御情報の指示に従い、初送データまたは再送データを受信する。
【0381】
本変形例において、前記下り制御情報に、HARQプロセス番号を含めてもよい。あるいは、再送を示す識別子を含めてもよい。
【0382】
本変形例において、eNBが再送可否を判断するために必要な情報の具体例として、以下の(1)~(5)の5つを開示する。
【0383】
(1)使用可能RE数。
【0384】
(2)チャネル状況。
【0385】
(3)再送データの符号化率。
【0386】
(4)再送回数。
【0387】
(5)前記(1)~(4)の組合せ。
【0388】
前記(1)において、共通シグナリングチャネルの有無を用いてもよい。共通シグナリングチャネルの有無としては、例えば、同期チャネルの有無を用いてもよい。あるいは、物理報知チャネルの有無を用いてもよい。
【0389】
前記(2)において、チャネル状況として、UEが送信するCQIを用いてもよい。CQIとしては、周期的CQI(Periodic CQI)を用いてもよいし、非周期的CQI(Aperiodic CQI)を用いてもよい。また、UEが送信する上り参照信号を用いて、eNBにおいてチャネル状況を求めてもよい。前記上り参照信号としては、上り復調用参照信号を用いてもよいし、上りサウンディング参照信号を用いてもよいし、他の上り参照信号を用いてもよい。
【0390】
前記(3)において、再送データの符号化率に閾値を設け、閾値以上あるいは閾値以下によって、再送の可否を判断してもよい。符号化率の閾値による再送の可否の判断としては、例えば、符号化率が1以下、すなわち、符号化前のビット数が符号化後のビット数以下の場合に再送可能と判断してもよいし、他の判断基準であってもよい。
【0391】
本変形例における、eNBのスケジューリングに用いる判断基準の具体例として、以下の(1)~(4)の4つを開示する。
【0392】
(1)スケジューリング対象のサブフレームにおいて再送を行うのに十分な周波数リソースがあるかどうか。
【0393】
(2)eNBに、初送用の符号化前データがあるかどうか。
【0394】
(3)UEからAckを受信したかどうか。
【0395】
(4)前記(1)~(3)の組合せ。
【0396】
前記(4)について、例えば、前記(1)、前記(2)、前記(3)の順でスケジューリングを行ってもよい。または、例えば、前記(3)、前記(1)、前記(2)の順でスケジューリングを行ってもよい。
【0397】
本変形例における、eNBによる再送の可否の判断のタイミングとしては、eNBが再送データのスケジューリングをするときと一緒でもよい。例えば、再送1回目の送信可否については、eNBからの初送データの送信時に行ってもよく、再送2回目の送信可否については、eNBからの再送1回目データの送信時に行ってもよい。
【0398】
本変形例において、再送のスケジューリングが必要な複数のDLデータの中から、先に初送を行ったDLデータの再送を含めた一部のDLデータのスケジューリングを行ってもよい。あるいは、直近に初送あるいは再送を行ったDLデータの再送を含めた一部のDLデータのスケジューリングを行ってもよい。あるいは、再送が必要な複数のDLデータについてスケジューリングを行い、下りユーザデータの送信のときに、どのDLデータを送信するかを選択してもよい。
【0399】
本変形例について、実施の形態1の変形例2と同様の、nサブフレーム先の再送用スケジューリングを予め決めるスケジューリングに適用してもよい。
【0400】
本変形例について、実施の形態1の変形例3と同様の、初送の後m個のサブフレームにおいて再送を行うスケジューリングに適用してもよい。eNBは、再送のスケジューリングが必要な複数のDLデータの中から、先に初送を行ったDLデータの再送を含めた一部のDLデータのスケジューリングを行ってもよい。あるいは、直近に初送あるいは再送を行ったDLデータの再送を含めた一部のDLデータのスケジューリングを行ってもよい。あるいは、再送が必要な複数のDLデータについてスケジューリングを行い、下りユーザデータの送信のときに、どのDLデータを送信するかを選択してもよい。
【0401】
図31および図32は、実施の形態1の変形例6における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。図31および図32では、本変形例における、次のサブフレームの再送用スケジューリングを予め決めるスケジューリング(n=1)の一例を示す。図31図32とは、境界線BL11の位置でつながっている。図31および図32において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。
【0402】
サブフレーム#1において、eNBは、DLデータ#1の初送の送信を行う。また、次のサブフレーム#2にはDLデータ#1の再送を行うための周波数リソースがあるので、eNBは、DLデータ#2初送用とともに、DLデータ#1再送用のスケジューリングを行う。
【0403】
図31および図32に示すサブフレーム#1においてUEからAckが返ってくるので、eNBは、サブフレーム#2においてDLデータ#2の初送の送信を行う。ところが、次のサブフレーム#3にはDLデータ#2の再送を行うために必要な周波数リソースが無いので、eNBは、DLデータ#2再送用のスケジューリングを行わず、DLデータ#3初送用のスケジューリングのみを行う。
【0404】
図31および図32に示すサブフレーム#2においてUEからNackが返ってくるが、サブフレーム#2においてスケジューリングが完了しているのはDLデータ#3初送用のみであるので、eNBは、サブフレーム#3においてDLデータ#3の初送の送信を行う。
【0405】
次のサブフレーム#4向けのスケジューリングの候補は、DLデータ#2再送用、DLデータ#3再送用、DLデータ#4初送用であり、次のサブフレーム#4においては、DLデータ#2再送、DLデータ#3再送を送るための周波数リソースがいずれも十分にある。
【0406】
eNBは、DLデータ#2再送用、DLデータ#3再送用、DLデータ#4初送用のスケジューリングを行う。eNBは、前記3つのスケジューリングのうち、いずれか1つのスケジューリングを行ってもよいし、いずれか2つのスケジューリングを行ってもよい。
【0407】
図31および図32に示すサブフレーム#3においてUEからAckが返ってくるので、DLデータ#3再送用のスケジューリングは、サブフレーム#3の末尾の時点で不要となる。eNBは、DLデータ#2再送用、DLデータ#4初送用のうち、データ番号が若いDLデータ#2再送を選択し、サブフレーム#4において送信する。DLデータ#4初送を選択して送信してもよい。
【0408】
図33および図34は、実施の形態1の変形例6において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。図33および図34では、本変形例における、初送の後1サブフレーム分再送を送るスケジューリング(m=1、n=1)の一例を示す。図33図34とは、境界線BL12の位置でつながっている。図33および図34において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。
【0409】
サブフレーム#1において、eNBは、DLデータ#1の初送の送信を行う。また、次のサブフレーム#2にはDLデータ#1の再送を行うための周波数リソースがあるので、eNBは、DLデータ#1再送用のスケジューリングを行う。
【0410】
図33および図34に示すサブフレーム#2において、eNBは、DLデータ#1再送を送信する。また、サブフレーム#1においてUEからAckが返ってきたので、eNBは、サブフレーム#2において、DLデータ#2初送用のスケジューリングを行う。
【0411】
図33および図34に示すサブフレーム#3において、eNBは、DLデータ#2の初送の送信を行う。ところが、次のサブフレーム#4にはDLデータ#2の再送を行うために必要な周波数リソースが無いので、eNBは、DLデータ#2再送用のスケジューリングを行わず、DLデータ#3初送用のスケジューリングを行う。
【0412】
図33および図34に示すサブフレーム#4において、eNBは、DLデータ#3の初送の送信を行う。また、サブフレーム#5にはDLデータ#3の再送を行うための周波数リソースがあるので、eNBは、DLデータ#3再送用のスケジューリングを行う。
【0413】
図33および図34に示すサブフレーム#4において、eNBは、サブフレーム#3においてUEからNackが返ってきたので、DLデータ#2再送用のスケジューリングを行ってもよい。
【0414】
図33および図34に示すサブフレーム#5において、eNBは、DLデータ#3再送を送信する。また、サブフレーム#6にはDLデータ#2の再送を行うための周波数リソースがあるので、DLデータ#2再送用のスケジューリングを行う。
【0415】
本変形例によって、実施の形態1の変形例2あるいは実施の形態1の変形例3の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。具体的には、無線環境が変化したときにおいて、効率的なユーザデータの通信が可能となる。
【0416】
実施の形態1 変形例7.
本変形例では、自己完結型サブフレームにおいて、HARQ再送を打ち切るスケジューリング方法について説明する。
【0417】
実施の形態1の変形例2~実施の形態1の変形例5の方法において、再送中に無線環境が悪化するなどの理由で周波数リソースおよび変調方式が変化する状況が継続した場合、再送を何回行ってもUEが正しく受信できず、eNBは最大再送回数満了まで再送を継続してしまい、通信に無駄が生じる。
【0418】
また、実施の形態1の変形例6の方法において、前記状況が継続した場合、再送データのUEへの送信がずっとなされず、ユーザデータが欠落してしまうという問題がある。
【0419】
本変形例では、以上のような問題を解決する方法を開示する。
【0420】
eNBは、下りユーザデータの再送を打ち切るかどうかを判断する。eNBは、前記判断に基づいて、下りユーザデータの再送を打ち切る。
【0421】
下りユーザデータの再送の打ち切り後の初送データは、再送を打ち切られたデータを構成する要素が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。前記要素は、例えば、HARQの上位レイヤにおけるプロトコルデータ単位(Protocol Data Unit:PDU)であってもよいし、MACシグナリング情報であってもよい。前記上位レイヤは、例えば、RLCレイヤであってもよい。
【0422】
本変形例における再送の打ち切りは、UE毎に行ってもよいし、HARQプロセス毎に行ってもよい。
【0423】
本変形例における再送の打ち切りの判断に必要な情報として、以下の(1)~(7)の7つを開示する。
【0424】
(1)使用可能RE数。
【0425】
(2)チャネル状況。
【0426】
(3)チャネル状況を示す情報の更新周期。
【0427】
(4)再送データの符号化率。
【0428】
(5)再送回数。
【0429】
(6)最大再送回数。
【0430】
(7)前記(1)~(6)の組合せ。
【0431】
前記(1)において、共通シグナリングチャネルの有無を用いてもよい。共通シグナリングチャネルの有無としては、例えば、同期チャネルの有無を用いてもよい。あるいは、物理報知チャネルの有無を用いてもよい。
【0432】
前記(2)において、チャネル状況として、UEが送信するCQIを用いてもよい。CQIとしては、周期的CQI(Periodic CQI)を用いてもよいし、非周期的CQI(Aperiodic CQI)を用いてもよい。また、UEが送信する上り参照信号を用いて、eNBにおいてチャネル状況を求めてもよい。前記上り参照信号としては、上り復調用参照信号を用いてもよいし、上りサウンディング参照信号を用いてもよいし、他の上り参照信号を用いてもよい。
【0433】
前記(3)について、例えば、CQIの送信周期であってもよい。あるいは、上り参照信号の送信周期であってもよい。上り参照信号の送信周期について、例えば、上り復調参照信号の送信周期でもよいし、サウンディング参照信号の送信周期でもよいし、他の上り参照信号の送信周期でもよい。
【0434】
前記(4)において、再送データの符号化率に閾値を設け、閾値以上あるいは閾値以下によって、再送の可否を判断してもよい。符号化率の閾値による再送の可否の判断としては、例えば、符号化率が1以下、すなわち、符号化前のビット数が符号化後のビット数以下のサブフレームが、予め定める数続く場合に、再送を打ち切ると判断してもよいし、他の判断基準であってもよい。
【0435】
前記(1)~(6)において、スケジューリング対象のサブフレームだけでなく、複数サブフレーム分先までの情報を用いてもよい。
【0436】
本変形例において、再送打ち切りの判断のタイミングとして、例えば、再送のスケジューリング時であってもよい。あるいは、前記(2)のチャネル状況を示す情報を受信したときでもよい。
【0437】
本変形例において、再送打ち切り後の初送データに再送を打ち切られたデータの構成要素を含めるかどうかの判断に、HARQの上位レイヤ、例えばRLCレイヤにおける再送制御の有無を用いてもよい。あるいは、HARQの上位レイヤにおけるリオーダリング(並べ替え)の有無を用いてもよい。あるいは、両者を組合せて用いてもよい。
【0438】
前記再送制御の有無および前記リオーダリングの有無を識別する情報として、例えば、RLCのモードを用いてもよい。例えば、RLCのAM(Acknowledge Mode)である場合は、再送制御有り、リオーダリング有りとなる。また、例えば、RLCのUM(Unacknowledge Mode)である場合は、再送制御無し、リオーダリング有りとなる。また、例えば、RLCのTM(Transparent Mode)である場合は、再送制御無し、リオーダリング無しとなる。
【0439】
本変形例において、eNBは、HARQ再送の打ち切りをUEに通知するとよい。HARQ再送の打ち切りの通知には、下り制御信号を用いてもよい。下り制御信号には、新しいデータを示す識別子を含めてもよい。前記識別子には、例えば、NDI(New Data Indicator)を用いてもよい。また、下り制御信号には、HARQプロセスIDを含めてもよい。また、下り制御信号には、前記識別子と前記プロセスIDとの両方を含めてもよい。例えば、eNBは、再送打ち切り後の初送の下り制御信号において、再送が打ち切られたプロセスIDと初送を示すNDIとを含めてもよい。あるいは、HARQ再送の打ち切りを、MACシグナリングを用いてUEに通知してもよい。
【0440】
本変形例において、UEは、eNBからの下り制御信号によって、eNBによる再送の打ち切りの有無を判断してもよい。例えば、eNBから受信した下り制御信号に、再送待ちのHARQプロセスIDおよび初送を示すNIDが含まれていたとき、UEは、該プロセスIDにおける再送が打ち切られたと判断してもよい。
【0441】
本変形例において、eNBのMACレイヤは、HARQ再送の打ち切りを上位レイヤに通知してもよい。該上位レイヤは、例えば、RLCレイヤであってもよい。
【0442】
本変形例において、UEのMACレイヤは、HARQ再送の打ち切りを上位レイヤに通知してもよい。該上位レイヤは、例えば、RLCレイヤであってもよい。また、UEのMACレイヤは、HARQ再送の打ち切りの対象となったHARQ受信データを破棄してもよい。
【0443】
本変形例について、実施の形態1の変形例2と同様の、nサブフレーム先の再送用スケジューリングを予め決めるスケジューリングに適用してもよい。
【0444】
本変形例について、実施の形態1の変形例3と同様の、初送の後m個のサブフレームにおいて再送を送るスケジューリングに適用してもよい。eNBは、再送のスケジューリングが必要な複数のDLデータの中から、先に初送を行ったDLデータの再送を含めた一部のDLデータのスケジューリングを行ってもよい。あるいは、直近に初送あるいは再送を行ったDLデータの再送を含めた一部のDLデータのスケジューリングを行ってもよい。あるいは、再送が必要な複数のDLデータについてスケジューリングを行い、下りユーザデータの送信のときに、どのDLデータを送信するかを選択してもよい。
【0445】
図35および図36は、実施の形態1の変形例7における1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。図35および図36では、本変形例における、次のサブフレームの再送用スケジューリングを予め決めるスケジューリング(n=1)の一例を示す。図35図36とは、境界線BL13の位置でつながっている。図35および図36において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。
【0446】
図35および図36に示すスケジューリングでは、MACレイヤは上位のRLCレイヤからRLC PDUを受信し、UEに送信するデータを生成する。また、サブフレーム#3以降は、サブフレーム#2以前のDLデータを送信するために必要な周波数リソースが不足しているとする。
【0447】
図35および図36に示すサブフレーム#1において、eNBは、RLC PDU1~3から生成したDLデータ#1を、UEに初送として送信する。また、eNBは、DLデータ#2初送用とともに、DLデータ#1再送用のスケジューリングを行う。DLデータ#2は、RLC PDU4~6から生成したデータである。
【0448】
図35および図36に示すサブフレーム#1においてUEからAckが返ってくるので、eNBは、サブフレーム#2においてDLデータ#2の初送の送信を行う。ところが、次のサブフレーム#3以降、DLデータ#2を送信するリソースが無いので、eNBは、DLデータ#2再送を打ち切る。eNBは、UEからAckが来たときに備えて、DLデータ#4初送用のスケジューリングを行う。また、eNBは、UEからNackが来たときに備えて、DLデータ#3初送用のスケジューリングを行う。ここで、DLデータ#4は、DLデータ#2には含まれていないRLC PDU7,8から生成するデータである。DLデータ#3は、DLデータ#2にも含まれていたRLC PDU#4,5から生成するデータである。サブフレーム#2におけるスケジューリングにおいて、eNBは、DLデータ#3初送用のスケジューリングを行わなくてもよい。
【0449】
図35および図36に示すサブフレーム#2においてUEからNackが返ってくるので、eNBは、サブフレーム#3においてDLデータ#3の初送の送信を行う。また、eNBは、DLデータ#5初送用およびDLデータ#3再送用のスケジューリングを行う。
【0450】
図35および図36に示すサブフレーム#3においてUEからAckが返ってくるので、eNBは、サブフレーム#4においてDLデータ#5の初送の送信を行う。また、eNBは、DLデータ#6初送用およびDLデータ#5再送用のスケジューリングを行う。
【0451】
図37および図38は、実施の形態1の変形例7において再送を1回は行う場合の1フレーム先のスケジューリングを行う方法の一例を示す図である。図37および図38では、本変形例における、初送の後1サブフレーム分再送を送るスケジューリング(m=1、n=1)の一例を示す。図37図38とは、境界線BL14の位置でつながっている。図37および図38において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。
【0452】
図37および図38に示すスケジューリングでは、MACレイヤは上位のRLCレイヤからRLC PDUを受信し、UEに送信するデータを生成する。また、サブフレーム#4以降は、サブフレーム#3以前のDLデータを送信するために必要な周波数リソースが不足しているとする。
【0453】
図37および図38に示すサブフレーム#1において、eNBは、RLC PDU1~3から生成したDLデータ#1を、UEに初送として送信する。また、eNBは、DLデータ#1再送用のスケジューリングを行う。
【0454】
図37および図38に示すサブフレーム#2において、eNBは、DLデータ#1の再送を送信する。また、サブフレーム#1においてUEからAckが返ってくるので、eNBは、DLデータ#2の初送用のスケジューリングを行う。DLデータ#2は、RLC PDU4~6から生成したデータである。
【0455】
図37および図38に示すサブフレーム#3において、eNBは、DLデータ#2の初送の送信を行う。ところが、次のサブフレーム#4以降、DLデータ#2を送信するリソースが無いので、eNBは、DLデータ#2再送を打ち切る。eNBは、DLデータ#2a初送用スケジューリング行う。DLデータ#2aは、DLデータ#2にも含まれていたRLC PDU#4,5から生成するデータである。eNBは、DLデータ#2aの代わりに、DLデータ#2に含まれないRLC PDU7以降を含むデータの送信をスケジューリングしてもよい。
【0456】
図37および図38に示すサブフレーム#4において、eNBは、DLデータ#2aの初送の送信を行う。また、UEからDLデータ#2に対するAckが返ってきたので、eNBは、DLデータ#3初送のスケジューリングを行う。eNBは、UEからのDLデータ#2に対するAckの受信の有無によらず、DLデータ#2aの再送をスケジューリングしてもよい。
【0457】
図37および図38に示すサブフレーム#5以降については、図17および図18と同様の動作となるので、説明を省略する。
【0458】
本変形例に示すスケジューリング方法を、上りのスケジューリングに適用してもよい。上りユーザデータの再送の打ち切りを判断する主体は、eNBであってもよいし、UEであってもよい。eNBは、上りユーザデータの再送の打ち切りをUEに通知してもよい。該再送の打ち切りのUEへの通知には、L1/L2シグナリングを用いてもよいし、MACシグナリングを用いてもよい。UEは、上りユーザデータの再送の打ち切りを、eNBに通知してもよい。該再送の打ち切りのeNBへの通知には、L1/L2シグナリングを用いてもよいし、MACシグナリングを用いてもよい。
【0459】
本変形例によって、実施の形態1の変形例2あるいは実施の形態1の変形例3の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。具体的には、無線環境が悪化したときの再送の繰り返しを防ぎ、効率的なユーザデータの通信が可能となる。
【0460】
実施の形態1 変形例8.
本変形例では、自己完結型サブフレームにおいて、上り信号の送信後のギャップ長を小さくする、あるいは無くすための、別の方法について説明する。
【0461】
自己完結型サブフレームにおいて、上り信号の送信後のギャップ長を小さくする、あるいは無くすと、次のサブフレームの下り制御情報の送信タイミングに、該サブフレームのスケジューリングの情報の送信が間に合わない、という問題が生じる。
【0462】
本変形例では、以上のような問題を解決する方法を開示する。
【0463】
eNBは、スケジューリング情報を、ユーザデータの領域に配置する。
【0464】
前記のユーザデータの領域への配置にあたり、eNBは、EPDCCH(Enhanced Physical Downlink Control Channel)の構成を適用してもよい。また、下り制御情報が送信されるタイミングにおいて、eNBは、UEからのAck/Nackのデコーディングを行ってもよい。また、eNBは、次のサブフレームのスケジューリングを行ってもよい。また、eNBは、次のサブフレームに送信するユーザデータのコーディングを行ってもよい。
【0465】
UEは、毎サブフレームEPDCCHの領域を受信してもよい。
【0466】
eNBは、前記EPDCCHの構成に関する情報をUEに通知するとよい。前記情報の通知には、RRC個別シグナリングを用いてもよいし、MACシグナリングを用いてもよいし、L1/L2シグナリングを用いてもよい。前記L1/L2シグナリングは、PDCCHを用いて送信してもよい。
【0467】
eNBおよびUEは、本変形例において示すスケジューリング方法を、対称および非対称の両方のスケジューリングに適用してもよい。また、適応的なスケジューリングおよび非適応的なスケジューリングの両方に適用してもよい。
【0468】
本変形例によって、上り信号の送信後のギャップを少なくする、あるいは無くすことができるので、eNBとUEとの間の通信の効率化を図ることができる。
【0469】
実施の形態2.
時分割複信(Time Division Duplex:TDD)の場合、チャネルの可逆性を利用して、上りリンクで送信されるSRS(Sounding Reference Signal)が下りリンクMIMOのためのプリコーディングウェイトの導出に用いられることが検討されている。LTEで周期的SRS(Periodic Sounding Reference Signal)がサポートされているが、周期的SRSの送信周期を変えるためには、RRC個別シグナリングによる設定変更が必要となる(3GPP TS 36.331 V13.2.0(以下「参考文献3」という)参照)。
【0470】
しかし、UEの移動速度が短時間に大きく変動する場合、ドップラ周波数変動によって必要となるSRSの送信周期が異なってくる。このような場合に、SRSの送信周期の変更にRRC個別シグナリングを用いると、短時間の応答が困難となり、プリコーディング性能が劣化する。また、電波伝搬環境の急激な変化およびトラフィックの急激な変化が生じるような場合にも、SRSの送信周期の変更にRRC個別シグナリングを用いると、短時間の応答が困難となり、プリコーディング性能が劣化する。
【0471】
このように、従来のSRSの送信周期の変更方法では、短時間にSRSの周期設定を変更することができず、必要なときにSRSを送信できなくなる。したがって、下りリンクMIMOのためのプリコーディング性能が劣化するという問題が生じる。
【0472】
本実施の形態では、このような問題を解決する方法を開示する。
【0473】
UEが周期的SRSを実際に送信する周期(以下「SRS送信周期」という場合がある)をL1/L2制御情報として設定する。SRS送信周期として、例えば、SRS送信周期の値を示す情報とする。セルは、UEに、SRS送信周期をL1/L2制御シグナリングで通知する。セルは、SRS送信周期を下りL1/L2制御シグナリングで送信する下り制御情報(DCI)として通知してもよい。セルは、SRS送信周期を下り物理制御チャネルにマッピングして通知してもよい。
【0474】
セルがUEにSRS送信周期を通知することによって、周期的SRS送信を起動するとしてもよい。UEは、セルからSRS送信周期を受信した場合、周期的SRSの送信を起動するとしてもよい。UEは、セルからSRS送信周期を受信した時点から最も早いSRS送信可能なサブフレームのタイミングで、周期変更後の周期的SRSの送信を開始する。
【0475】
UEがSRS送信を停止するための情報を設けてもよい。SRS送信周期とは別に設けてもよいし、SRS送信周期の1つの値として設けてもよい。例えば、SRS送信周期の値として0を設け、0を設定した場合にSRS送信を停止するとしてもよい。UEは、SRS送信周期の値が0である場合にSRS送信を停止する。
【0476】
SRSを実際送信するサブフレームは、SRS送信が可能なサブフレームの一部または全部となるように設定される。セルは、SRS送信が可能なサブフレーム構成を、予めUE個別に設定しておくとよい。例えば、セルは、UE個別に、SRS送信が可能なサブフレームの周期(以下「SRS送信可能周期」という場合がある)、帯域、サブキャリア間隔(コム(comb)値)、CS(Cyclic Shift)などを設定する。SRS送信が可能なサブフレーム構成は、RRCシグナリングを用いて送信される。セルは、複数のUEのSRS間の多重を考慮して、各UEのSRS送信が可能なサブフレーム構成を設定してもよい。
【0477】
SRSを実際送信するサブフレームが、SRS送信が可能なサブフレームの一部または全部となるように設定されることによって、SRSを実際送信するサブフレームのSRS送信周期を除くサブフレーム構成は、SRS送信が可能なサブフレーム構成と同じに設定される。
【0478】
このように、SRSを実際送信するサブフレームが、複数のUEのSRS間の多重を考慮したUE個別のSRS送信が可能なサブフレームの一部または全部となるように設定されることによって、SRS送信周期を変更しても、他のUEのSRSとの多重が問題無く行われることになる。
【0479】
図39は、実施の形態2におけるSRS送信周期の設定方法を説明するための図である。図39において、横軸は時間tを示している。許容サブフレーム(Allowable subframe)は、セル毎に設定されるSRS送信が可能なサブフレームを示す。コンフィギュアードサブフレーム(Configured subframe)は、UE毎に設定されるUE個別のSRS送信が可能なサブフレームを示す。コンフィギュアードサブフレームは、セル毎に設定されるSRS送信が可能なサブフレーム内で設定される。送信サブフレーム(Transmission subframe)は、SRSを実際に送信するサブフレームを示す。SRSを実際送信するサブフレームは、UE個別のSRS送信が可能なサブフレームの一部または全部となるように設定される。
【0480】
図39では、許容サブフレームを、ハッチングを付さない枠で示し、コンフィギュアードサブフレームを左下がりの実線の斜線ハッチングで示し、送信サブフレームを右下がりの実線の斜線ハッチングで示している。また、セルからUEへのSRS送信周期通知を右下がりの破線の斜線ハッチングで示している。
【0481】
セル毎のSRS送信が可能なサブフレームの構成は、セルからUEに報知される。ここでは、システム情報(System Information:SI)を用いて報知される。セル毎のSRS送信が可能なサブフレームの構成として、セル毎のSRS送信が可能なサブフレーム周期がある。UE個別のSRS送信が可能なサブフレームの構成は、UE個別シグナリングを用いて、セルからUEに通知される。ここでは、RRC個別シグナリングを用いて通知される。UE個別のSRS送信が可能なサブフレームの構成として、UE個別のSRS送信が可能なサブフレーム周期がある。
【0482】
DCIの1つとして、UEが実際送信するSRSの周期であるSRS送信周期を設ける。セルは、SRS送信周期を設定し、DCIに含めて物理個別制御チャネルにマッピングし、UEに通知する。ここで、物理個別制御チャネルは、LTEではPDCCHに相当する。UEは、SRS送信周期の受信以降最も早いタイミングのUE毎のSRS送信が可能なサブフレームから、SRS送信周期でSRSの送信を開始する。セルは、UEに対するSRS送信周期の通知以降最も早いタイミングのUE毎のSRS送信が可能なサブフレームから、SRS送信周期でUEからのSRSの送信を受信する。
【0483】
図39において、eNBからUEに対し、UE個別のSRS送信が可能なサブフレームの構成を通知した。他の方法として、eNBからUEに対し、UE個別のSRS送信が可能なサブフレームの構成を通知しなくてもよい。eNBからUEに対し、セル毎のSRS送信が可能なサブフレームの構成を通知してもよい。eNBはUEに対し、SRSを実際送信するサブフレームの構成を通知してもよい。
【0484】
前述の、SRSを実際送信するサブフレームの構成は、MACシグナリングを用いて通知してもよいし、L1/L2シグナリングを用いて通知してもよい。UEは、SRS送信周期の受信以降最も早いタイミングのセル毎のSRS送信が可能なサブフレームから、SRS送信周期でSRSの送信を開始してもよい。このようにすることによって、UE個別のSRS送信が可能なサブフレームの構成の通知を省略することができるので、シグナリング量が削減され、効率的な通信が可能となる。
【0485】
他の方法として、eNBからUEに対し、セル毎のSRS送信が可能なサブフレームの構成を通知しなくてもよい。eNBからUEに対し、UE個別のSRS送信が可能なサブフレームの構成を通知してもよい。eNBはUEに対し、SRSを実際送信するサブフレームの構成を通知してもよい。
【0486】
前述の、SRSを実際送信するサブフレームの構成は、MACシグナリングを用いて通知してもよいし、L1/L2制御シグナリングを用いて通知してもよい。UEは、SRS送信周期の受信以降の最も早いタイミングでUE個別のSRS送信が可能なサブフレームから、SRS送信周期でSRSの送信を開始してもよい。このようにすることによって、セル毎のSRS送信が可能なサブフレームの構成の通知を省略することができるので、シグナリング量が削減され、効率的な通信が可能となる。
【0487】
他の方法として、eNBからUEに、SRSを実際送信するサブフレームの構成を通知するのみとしてもよい。eNBは、他UEとのSRSの多重を考慮して、該UEがSRSを実際送信するサブフレームの構成を逐次決定してもよい。前記サブフレームの構成は、周期的であってもよいし、非周期的であってもよい。前記サブフレームの構成の通知は、L1/L2シグナリングを用いるとよい。このようにすることによって、UE毎のSRS送信タイミングを柔軟に変更することが可能となる。
【0488】
前述したように、サブフレームの構成として、サブフレームの周期、帯域、サブキャリア間隔(コム(comb)値)、CS(Cyclic Shift)などがある。帯域は複数であってもよい。帯域は、リソースブロック単位であってもよいし、あるいはサブキャリア単位であってもよい。また、SRS送信シンボル数、SRS送信シンボル、SRSのシーケンス識別子、SRSの周波数ホッピングバターン、SRSのシーケンスホッピングパターンなどを、サブフレームの構成に含めてもよい。これらの要素の内の一つまたは複数の要素を組み合わせ、サブフレームの構成に採用してもよい。
【0489】
サブフレーム構成に、連続するSRS送信シンボル数と該最初のSRS送信シンボルとを含めてもよい。3GPPでは、UEが複数の連続するシンボルを用いてSRSを送信する方法が検討されている。たとえば、この様な場合のサブフレーム構成としてこれらの情報を通知することで、SRS送信シンボル数だけSRS送信シンボルの情報を通知する必要が無くなる。通知に必要な情報量の削減ができる。
【0490】
また、SRSシンボル毎の帯域などを含めてもよい。SRSシンボル毎に、他のサブフレーム構成の要素を含めてもよい。SRSシンボル毎に帯域などを異ならせるような場合に有効である。
【0491】
サブフレームの構成の情報について対応関係を示すテーブルを設けてもよい。セルはUEに対して、サブフレーム構成の情報のうち一つあるいは複数の情報を通知する。UEは、通知された一つあるいは複数の情報から、該テーブルを用いて、他の情報を導出する。例えば、SRS送信周期とSRS送信帯域との対応関係を示すテーブルを設けておき、セルはUEに対してSRS送信周期を通知する。SRS送信周期を受信したUEは、該テーブルを用いてSRS送信帯域を導出する。
【0492】
このように、UEは、セルより通知されたサブフレーム構成情報の一つあるいは複数の情報と該テーブルとを用いて導出したサブフレーム構成を設定する。UEは、導出したサブフレーム構成に従ってSRSを送信する。サブフレームの構成の情報について対応関係を示すテーブルは、静的に規格等であらかじめ決めておいてもよいし、準静的にセルからUEに通知されてもよい。準静的な通知にはRRCシグナリングを用いてもよい。
【0493】
このようにテーブルを用いて導出可能な情報をセルはUEに明示する必要が無い。他の情報を用いて黙示的に通知することになる。UEに対して通知する情報を削減可能となる。
【0494】
図39に示す方法では、セルがUEにSRS送信周期を通知することによって、周期的SRSの送信を起動するとした。他の方法として、周期的SRSの送信を起動する情報を別途設けてもよい。セルがUEに、周期的SRSの送信を起動する情報を通知することによって、周期的SRSの送信を起動する。UEは、セルから周期的SRSの送信を起動する情報を受信した場合に、周期的SRSの送信を起動するとしてもよい。UEは、セルから周期的SRSの送信を起動する情報の受信以降最も早いSRS送信が可能なサブフレームのタイミングで、周期変更後の周期的SRSの送信を開始する。
【0495】
セルは、UEに、周期的SRSの送信を起動する情報とともに、SRS送信周期を通知してもよい。UEは、周期的SRSの送信を起動する情報とともに、受信したSRS送信周期で周期的SRSの送信を起動する。
【0496】
セルは、UEに、周期的SRSの送信を起動する情報と、別途SRS送信周期を通知してもよい。この場合、UEは、SRS送信周期の初期値をSRS送信可能周期とするとよい。セルがUEに別途SRS送信周期を通知するまで、UEは、予め設定されたSRS送信可能周期をSRS送信周期として設定し、周期的SRS送信を起動する。セルがUEに別途SRS送信周期を通知した場合、UEは、該SRS送信周期を周期的SRSの送信周期として設定する。
【0497】
このようにすることによって、周期的SRSの送信の起動をSRS送信周期の設定と独立して設定することができるので、周期的SRSの送信の起動を電波伝搬環境などに応じて柔軟に行うことが可能となる。
【0498】
また、他の方法として、周期的SRSの送信を起動する情報を設けなくてもよい。セルが、SRS送信が可能なサブフレーム構成をUEに通知することによって、周期的SRSの送信を起動するとしてもよい。この場合も、UEは、SRS送信周期の初期値をSRS送信可能周期とするとよい。セルがUEに別途SRS送信周期を通知するまで、UEは、予め設定されたSRS送信可能周期をSRS送信周期として設定し、周期的SRSの送信を起動する。セルがUEに別途SRS送信周期を通知した場合、UEは、該SRS送信周期を周期的SRSの送信周期として設定する。
【0499】
このようにすることによって、セルは、SRS送信周期を変更したい場合、L1/L2制御信号でSRS送信周期のみをUEに通知すればよく、通知に必要な情報量を削減することができる。
【0500】
前述の方法では、SRS送信周期として、SRS送信周期の値を示す情報とした。ここでは、SRS送信周期の他の設定方法の例を示す。例えば、UE個別のSRS送信が可能なサブフレームの周期であるSRS送信可能周期を基本周期とし、SRS送信周期を、該基本周期のn倍(nは正の整数)とする。このようにすることによって、SRSを実際送信するサブフレームを、SRS送信が可能なサブフレーム内となるように設定することが可能となる。
【0501】
SRS送信周期を示す情報量としては、nの値を示す情報量で済む。このようにすることによって、SRS送信周期の値を直接示す場合の情報量よりも少なくすることが可能となる。セルからUEに通知する情報量を削減できる。また、n=0を加えて、n=0の場合をSRS送信の停止とするとよい。
【0502】
他の設定方法の例として、基本周期の2の(n-1)乗(nは正の整数)倍としてもよい。このようにすることによって、SRSを実際送信するサブフレームを、SRS送信が可能なサブフレーム内となるように設定することが可能となる。基本周期のn倍とした場合に比べて、同じ情報量で周期を大きく変更することが可能となる。また、n=0を加えて、n=0の場合をSRS送信の停止とするとよい。あるいは、基本周期の2のn乗(nは0以上の整数)倍としてもよい。この場合、nを示す全ビットが1の場合にSRS送信を停止とするとしてもよい。
【0503】
SRS送信を停止とする場合に、n=0としたが、他のnの特定の値としてもよい。例えば、nを示す全ビットが1の場合にしてもよい。SRS送信の停止とする値を静的に予め規格などで決めておくことによって、セルもUEもSRS送信の停止を認識することが可能となる。
【0504】
他の設定方法の例を開示する。SRS送信周期にインデックスとして番号を付した表を設ける。予め規格などで決めておくとよい。あるいは、セルからUEに報知してもよいし、RRC個別シグナリングでUEに通知してもよい。SRS送信周期を示す情報を該番号とする。セルは、該表からSRS送信周期を選択し、選択したSRS送信周期に付された番号をUEに通知する。UEは、受信した番号と該表とからSRS送信周期を導出して、周期的SRSの送信周期として設定する。
【0505】
このようにすることによって、任意のSRS送信周期を設定することが可能となる。また必要な数に絞ることによって、情報量の削減が可能となる。
【0506】
SRS送信周期の他の設定方法の例を示す。現在設定されているSRS送信周期からの増減を示す情報を設ける。SRS送信周期の初期値は、SRS送信可能周期とするとよい。現在設定されているSRS送信周期を、SRS送信可能サブフレームa回に1回とする。SRS送信周期の増大の場合は、SRS送信周期を、SRS送信可能サブフレームa+1回に1回のように、長くする。SRS送信周期の減少の場合は、SRS送信周期を、SRS送信可能サブフレームa-1回に1回のように、短くする。
【0507】
SRS送信周期の最大設定値および最小設定値を決めておくとよい。仮に、SRS送信周期の増減情報によって、最大設定値よりも大きい設定になったとしても、最大設定値のままとする。同様に、最小設定値よりも小さい設定になったとしても、最小設定値のままとする。最小設定値は、SRS送信可能周期としてもよい。SRS送信周期の最大設定値および最小設定値は、予め規格などで決めておいてもよいし、セルからUEに通知してもよい。
【0508】
SRS送信周期の他の設定方法として、現在設定されているSRS送信周期からの増減を示す情報とすることによって、情報量を1ビットとすることが可能となり、セルからUEに通知する情報量をさらに削減することができる。
【0509】
SRS送信周期とは別に、実際送信するSRSサブフレームのオフセット値(以下「SRS送信オフセット値」という場合がある)を設定してもよい。例えば、SRS送信オフセット値としては、時間であってもよい。例えば、SRS送信オフセット値として、SRS送信周期の設定以降、周期的SRSの送信の開始を行うまでの、SRS送信可能サブフレームの数としてもよい。例えば、セルがSRS送信オフセット値として3を設定した場合、UEは、SRS送信周期設定の受信以降3個目のSRS送信可能サブフレームで、周期的SRSの送信を開始する。
【0510】
セルは、UEに、SRS送信周期とともに、実際送信するSRSサブフレームのオフセットの情報(以下「SRS送信オフセット情報」という場合がある)を通知してもよい。UEは、受信したSRS送信周期およびSRS送信オフセット情報で周期的SRSの送信を起動する。
【0511】
あるいは、セルは、UEに、SRS送信周期とは別途SRS送信オフセット情報を通知してもよい。UEは、SRS送信オフセットの初期値をSRS送信周期受信以降最も早いSRS送信が可能なサブフレームまでのオフセットとするとよい。セルがUEに別途SRS送信オフセット値を通知した場合、UEは、受信したSRS送信オフセット値で、周期的SRSの送信サブフレームの再設定を行う。このようにオフセット値を設定することによって、セルは、周期的SRSの送信開始タイミングを柔軟に設定することが可能となる。
【0512】
前記オフセット情報として、SRSを送信するサブフレーム番号の、SRS送信周期による剰余を用いてもよい。これによって、セルからUEへのSRS送信周期の通知タイミングによらず、一意のオフセットをUEに対して指定することができる。
【0513】
セルはUEに、前記オフセット情報を前述の周期的SRSの送信を停止する情報とあわせて通知した場合、前記オフセット情報はSRS送信停止情報設定以降、周期的SRSの送信の停止を行うまでのSRS送信時間あるいはSRS送信可能サブフレームの数となる。UEは、SRSの送信を停止する情報受信から前記オフセット情報後に周期的SRSの送信を停止する。
【0514】
SRS送信を起動するための情報であるオフセット情報と、SRS送信を停止するための情報であるオフセット情報とを、異なるパラメータとしてもよい。セルはUEに対して、異なるパラメータで設定して通知する。UEは、該オフセット情報がSRS送信を起動するための情報なのかSRS送信を停止するための情報なのかを認識可能となる。
【0515】
図40図42は、SRS送信周期とともにSRS送信オフセットを設定した場合の周期的SRSの送信方法を説明するための図である。図40図42は、図39と類似しているので、主として異なる部分について説明する。図40図42において、横軸は時間tを示している。
【0516】
図40は、UE毎のSRS送信可能周期と同じSRS送信周期で周期的SRSを送信する方法を説明するための図である。セルは、周期的SRSの周期を変更するために、変更後のSRS送信周期をDCIに含めて物理制御チャネルにマッピングしてUEに通知する。また、セルは、SRS送信周期とともに、SRS送信オフセットをDCIに含めてUEに通知する。
【0517】
図41は、SRS送信オフセット値を1とした場合におけるSRS周期変更後の周期的SRSの送信方法を説明するための図である。セルは、UEに対して、SRS送信周期を設定するとともに、SRS送信オフセット値として1を設定する。セルからSRS送信周期とSRS送信オフセット値とを受信したUEは、SRS送信オフセットの設定以降1個目のSRS送信可能サブフレームから設定されたSRS送信周期に変更して、周期的SRSの送信を開始する。
【0518】
図42は、SRS送信オフセット値を2とした場合におけるSRS周期変更後の周期的SRSの送信方法を説明するための図である。セルは、UEに対して、SRS送信周期を設定するとともに、SRS送信オフセット値として2を設定する。セルからSRS送信周期とSRS送信オフセット値とを受信したUEは、SRS送信オフセットの設定以降2個目のSRS送信可能サブフレームから設定されたSRS送信周期に変更して、周期的SRSの送信を開始する。
【0519】
このようにすることによって、セルは、UE毎に同じSRS送信周期で異なるオフセット値を設定することが可能となる。このように設定することによって、UE毎に異なるSRS送信サブフレームを設定することも可能となる。また、複数のUEに対して各UEに適したSRS送信タイミングを柔軟に設定することが可能となる。
【0520】
SRS送信周期を変更するための判断指標の具体例として、以下の(1)~(7)の7つを開示する。
【0521】
(1)UEのチャネル品質情報。
【0522】
(2)UEの移動速度。
【0523】
(3)UEの加速度(速度変化)。
【0524】
(4)UEの回転速度。
【0525】
(5)UEの回転加速度(回転速度変化)。
【0526】
(6)UEの多重数。
【0527】
(7)前記(1)~(6)の組合せ。
【0528】
前記(1)のUEのチャネル品質情報を判断指標とする場合、例えば、チャネル品質が悪いときに、SRS送信周期を短く設定し、チャネル品質が良いときに、SRS送信周期を長く設定する。チャネル品質が悪いとき、UEが短周期でSRSをセルに送信することによって、セルは、SRS受信確率を向上させることが可能となる。また、セルは、チャネル品質が悪い状況を低遅延でプリコーディングウェイトの導出に反映させることが可能となる。したがって、プリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0529】
前記(2)のUEの移動速度を判断指標とする場合、例えば、移動速度が速いときに、SRS送信周期を短く設定し、移動速度が遅いときに、SRS送信周期を長く設定する。移動速度が速いとき、UEが短周期でSRSをセルに送信し、セルが短周期でSRSを受信することによって、UEの移動速度によるドップラ周波数の影響を小さくすることが可能となる。したがって、SRSの精度を向上させることができ、プリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0530】
前記(3)のUEの加速度(速度変化)を判断指標とする場合、例えば、加速度が大きいときに、SRS送信周期を短く設定し、加速度が小さいときに、SRS送信周期を長く設定する。加速度が大きいとき、UEが短周期でSRSをセルに送信し、セルが短周期でSRSを受信することによって、UEの移動速度の変化を早期に反映させることが可能となる。したがって、プリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0531】
前記(4)のUEの回転速度を判断指標とする場合、例えば、回転速度が大きいときに、SRS送信周期を短く設定し、回転速度が小さいときに、SRS送信周期を長く設定する。回転速度が大きいとき、UEが短周期でSRSをセルに送信し、セルが短周期でSRSを受信することによって、UEの回転を早期に反映させることが可能となる。したがって、プリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0532】
前記(5)のUEの回転加速度(回転速度変化)を判断指標とする場合、例えば、回転加速度が大きいときに、SRS送信周期を短く設定し、回転加速度が小さいときに、SRS送信周期を長く設定する。回転加速度が大きいとき、UEが短周期でSRSをセルに送信し、セルが短周期でSRSを受信することによって、UEの回転速度の変化を早期に反映させることが可能となる。したがって、プリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0533】
前記(6)のUEの多重数を判断指標とする場合、例えば、UEの多重数が多いときに、SRS送信周期を短く設定し、UEの多重数が少ないときに、SRS送信周期を長く設定する。MIMOにおけるUEの多重数が大きいとき、UEが短周期でSRSをセルに送信し、セルが短周期でSRSを受信することによって、UE毎のSRSの精度を向上させることが可能となる。したがって、UEの多重数が多いときも精度の高いプリコーディングウェイトの導出を可能とし、プリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0534】
セルは、SRS送信周期を変更するための判断指標に関する情報を取得する。セルが測定してもよいし、UEから取得してもよい。判断指標に関する情報毎に適宜どちらにするかを決定してもよい。例えば、前述の判断指標の例では、前記(1)および前記(6)はセルが測定し、前記(2)から前記(5)はUEが測定するとしてもよい。
【0535】
UEから取得する場合は、UEが該判断指標に関する情報を測定してセルに通知する。通知方法として、RRCシグナリングを用いてもよい。あるいは、通知方法として、MACシグナリングを用いてもよい。MAC制御情報に含めてMACシグナリングで通知するとよい。セルは、UEが測定した判断指標に関する情報を、RRCシグナリングを用いる場合よりも早期に取得することが可能となる。
【0536】
あるいは、通知方法として、L1/L2制御シグナリングを用いてもよい。上りL1/L2制御情報(UCI)に含めてL1/L2制御シグナリングで通知するとよい。セルは、UEが測定した判断指標に関する情報を、MACシグナリングを用いる場合よりもさらに早期に取得することが可能となる。
【0537】
判断指標に関する情報を、その測定値とすると情報量が多くなる。測定値の範囲とその範囲にインデックスを与えた表を作成してもよい。表は予め規格などで静的に決めておいてもよい。判断指標に関する情報として、該インデックスとする。インデックスを用いることによって、判断指標に関する情報を少ない情報量とすることが可能となる。MAC制御情報あるいはL1/L2制御情報にのせる情報量は少ない方がよい。したがって、これらにインデックスを用いることは有効である。
【0538】
図43は、実施の形態2におけるSRS送信周期の設定のシーケンスの一例を示す図である。図43に示す例では、UE毎のSRS送信周期の設定によって、周期的SRS送信の起動あるいは変更を行う方法について開示している。
【0539】
ステップST3301において、セルは、傘下のUEに、セル毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成をSIBに含めて報知する。
【0540】
ステップST3302において、セルは、SRSを設定する複数のUEのSRS間の多重を考慮して、UE毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成を決定する。セルは、UE毎のSRS送信可能周期も決定するとよい。
【0541】
ステップST3303において、セルは、UEに、UE毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成を通知する。この通知には、RRC個別シグナリングを用いるとよい。この通知では、UEは、周期的SRSの送信を起動しない。
【0542】
ステップST3304において、セルは、UE毎に周期的SRSの送信の起動を決定する。
【0543】
ステップST3305において、セルは、周期的SRSの送信の起動を決定したUEに、SRS送信周期およびSRS送信オフセット値を設定する。これらの設定において、初期値として、SRS送信周期にSRS送信可能周期を設定し、SRS送信オフセット値に1を設定してもよい。UEは、UE毎のSRS送信が可能なサブフレームで周期的SRSの送信を行うこととなる。
【0544】
ステップST3306において、セルは、周期的SRSの送信の起動を決定したUEに、SRS送信周期およびSRS送信オフセット値を通知する。これらの情報を、L1/L2制御情報としてDCIに含めてL1/L2シグナリングで通知するとよい。これによって、セルは、SRS送信周期およびSRS送信オフセット値を設定した後、早期にSRS送信周期およびSRS送信オフセット値をUEに通知することが可能となる。
【0545】
ステップST3306でSRS送信周期およびSRS送信オフセット値を受信したUEは、ステップST3307において、受信したSRS送信周期およびSRS送信オフセット値に従って、SRSを送信するサブフレームを導出する。
【0546】
ステップST3308において、UEは、ステップST3307で導出したサブフレームで周期的SRSの送信を開始する。
【0547】
ステップST3309において、セルは、周期的SRSの送信を起動したUEに対してSRS送信周期およびSRS送信オフセット値の少なくともいずれか一方を変更するか否かを判断する。この判断において、前述のSRS送信周期を変更するための判断指標を用いる。
【0548】
ステップST3309において、SRS送信周期およびSRS送信オフセット値の少なくともいずれか一方の変更が必要と判断された場合は、ステップST3305の処理に戻り、UE毎のSRS送信周期およびSRS送信オフセット値の少なくともいずれか一方を設定する。これらの設定において、前述のSRS送信周期を変更するための判断指標を用いて、どの程度変更が必要かを導出して、SRS送信周期およびSRS送信オフセット値の少なくともいずれか一方を設定するとよい。
【0549】
ステップST3309において、セルは、SRS送信周期およびSRS送信オフセット値の少なくともいずれか一方を変更するか否かの判断に加えて、周期的SRSの送信を停止するか否かを判断してもよい。
【0550】
周期的SRSの送信を停止すると判断した場合、ステップST3305の処理に戻り、UE毎のSRS送信周期を、周期的SRSの送信の停止に設定する。
【0551】
ステップST3309において、周期的SRSの送信を停止しない、かつ、SRS送信周期およびSRS送信オフセット値の変更が不要と判断したセルは、引き続き同じ設定で周期的SRSの受信を行う。UEは、周期的SRSの変更あるいは停止が通知されないので、引き続き同じ設定で周期的SRSの送信を行う。
【0552】
本実施の形態2では、SRS送信を停止するための情報に応じて、UEはSRS送信を停止することが可能となる。従って、SRS送信を停止するための情報をUEに送信するタイミングは、SRSを起動するための情報をUEに送信するタイミング以降であればよい。例えば、前述したSRS送信を停止するための期間を特定したオフセット情報を、SRS送信を起動するための情報とともに、UEに送信してもよい。例えば、SRS送信を停止するための期間を特定したオフセット情報は、UEにSRS送信を停止させたいタイミングに応じて送信してもよい。UEは、受信したSRS送信を停止するための期間を特定したオフセット情報に応じて、SRS送信を停止する。
【0553】
SRS送信を起動するための情報とともに、SRS送信を停止するための期間を特定したオフセット情報を送信することによって、UEはSRS送信から該期間後にSRS送信を停止することが可能となる。別途SRS送信を停止するための情報を通知する必要が無くなる。
【0554】
本実施の形態で開示したように、SRS送信周期の設定および変更を行う場合、SRS送信周期をL1/L2制御情報として設定し、L1/L2制御シグナリングで通知することによって、従来のRRCシグナリングを用いた変更に比べて、短期間での通知が可能になる。セルが、SRS送信周期およびSRS送信オフセット値の少なくともいずれか一方の変更を判断してからUEが変更された設定で周期的SRSを送信するまでの時間を、従来よりも短縮することが可能となる。
【0555】
したがって、SRSの周期設定における遅延時間を削減することが可能となるので、必要なときにUEがSRSを送信することが可能となる。これによって、下りリンクMIMOのためのプリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0556】
前述のように、SRSを実際送信するサブフレームの構成をMACシグナリングまたはL1/L2制御シグナリングで通知してもよい。SRSを実際送信するサブフレームの送信周期とともに、他のSRSを実際送信するサブフレームの構成を通知してもよい。SRS送信を起動するための情報とともに、SRSを実際送信するサブフレームの構成を通知してもよい。
【0557】
セル毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成を複数設定してもよい。また、UE毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成を複数設定してもよい。複数のUE毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成から、1つのUE毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成を選択し、選択したUE毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成の一部または全部となるように、UE毎のSRSを実際送信するサブフレーム構成を設定するとよい。
【0558】
また、例えば、複数のセル毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成から、1つのセル毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成を選択し、選択したサブフレーム構成の一部または全部を、UE毎のSRSを実際送信するサブフレーム構成に適用してもよい。これらは、前述した設定方法、例えばeNBからUEに、SRSを実際送信するサブフレームの構成を通知するのみとするかどうかなどの設定方法に応じて、適宜設定される。
【0559】
このようにすることによって、UE毎のSRSを実際送信するサブフレーム構成のパターンが増大する。したがって、よりUEの移動速度および電波伝搬環境などに適したSRSの送信が可能となる。
【0560】
図44は、複数のSRS送信可能なサブフレームを構成した場合のSRS送信シーケンスの一例を示す図である。ステップST6201においてセルは、セル毎のSRS送信可能なサブフレーム構成を設定し、その設定をUEに通知する。セルは、設定したサブフレーム構成の情報を、システム情報として通知してもよい。ステップST6202においてセルは、複数のUE毎のSRS構成を決定する。ステップST6203においてセルは、UEに対して、決定した、複数のUE毎のSRS送信可能サブフレーム構成を通知する。この通知は、UE個別のRRCシグナリングによって行うとよい。
【0561】
ステップST6204においてセルは、UEにSRSを実際送信させるために、複数のUE毎のSRS送信可能サブフレーム構成の中から一つを選択する。ステップST6205においてセルは、UEに対して、選択したSRS送信サブフレーム構成を通知する。ここで、前述のステップST6203において、各UEのSRS送信可能サブフレーム構成に識別子を付与し、それらの識別子も送信してもよい。この場合、ステップST6205において、セルは、選択したSRS送信可能サブフレーム構成の識別子を、UEに対して通知してもよい。
【0562】
図44で示した例では、一つのSRS送信サブフレーム構成あるいは該構成を示す識別子を通知することを、SRSの送信を起動するための情報として利用する。ステップST6206においてUEは、ステップST6203で通知された、複数のUE毎のSRS送信可能サブフレーム構成と、ステップST6205で通知された識別子とを用いて、SRSを実際送信するサブフレーム構成を選択する。ステップST6207においてUEは、選択したサブフレーム構成に従って、SRSの送信を開始する。
【0563】
ステップST6205の通知にL1/L2制御シグナリングを用いることによって、UEに対して、ダイナミックに且つ低遅延で、SRSの送信を開始させることが可能となる。
【0564】
ステップST6208においてセルは、UEによるSRSの送信を停止するかどうか判断する。停止しないと判断した場合、セルは引き続きSRSの受信を行う。SRSの送信を停止すると判断した場合、ステップST6209においてセルは、UEに対して、SRSを停止するための情報を通知する。
【0565】
ステップST6210においてUEは、ステップST6209において通知された、SRSの送信を停止するための情報にしたがって、SRSの送信を停止する。ステップST6209の通知にL1/L2制御シグナリングを用いることによって、UEに対して、ダイナミックに且つ低遅延で、SRSの送信を停止させることが可能となる。
【0566】
図44で示した例では、一つのSRS送信サブフレーム構成あるいは該構成を示す識別子を通知することを、SRSの送信を起動するための情報として利用するが、SRSの送信を起動するための情報を通知するようにしてもよい。一つのSRS送信サブフレーム構成あるいは該構成を示す識別子とともに、SRSの送信を起動するための情報を通知するようにしてもよい。UEは、通知された、複数のUE毎のSRS送信可能サブフレーム構成と、通知された識別子とを用いて、SRSを実際送信するサブフレーム構成を選択し、通知されたSRS送信を起動するための情報にしたがって、SRSの送信を開始する。
【0567】
このように、UEに対して、複数のSRS送信可能サブフレーム構成を通知しておき、そこから一つのサブフレーム構成を選択することによって、L1/L2制御信号で通知する情報量を削減可能となる。無線リソースの使用効率を向上させることが可能となる。
【0568】
なお、ステップST6203において、複数のSRS送信可能サブフレーム構成ではなく、一つのSRS送信可能サブフレーム構成のみが通知された場合、セルは、ステップST6204において、UEにSRS送信を開始させるかどうかを判断し、ステップST6205において、UEに対して、SRS送信を起動するための情報を通知すればよい。UEは、通知されたSRS送信を起動するための情報に従って、SRSの送信を開始する。
【0569】
図45および図46は、複数のSRS送信可能なサブフレームを構成しSRSサブフレーム構成を変更する場合のSRS送信シーケンスの一例を示す図である。図45図46とは、境界線BL15の位置で、つながっている。ステップST6301においてセルは、初期SRS送信サブフレーム構成を決定する。ステップST6302においてセルは、UEに対して、複数のUE毎のSRS送信可能サブフレーム構成を通知する。セルは、該複数のSRSサブフレーム構成とともに、初期SRS送信サブフレーム構成の識別子を、UEに対して通知する。この通知にはUE個別のRRCシグナリングを用いるとよい。
【0570】
ステップST6303においてUEは、ステップST6302において通知された、複数のUE毎のSRS送信可能サブフレーム構成、および、初期SRS送信サブフレーム構成識別子を用いて、SRSを実際送信するサブフレーム構成を選択する。ステップST6304においてUEは、選択したサブフレーム構成に従って、SRSの送信を開始する。
【0571】
ステップST6305においてセルは、SRS送信サブフレーム構成の変更を決定する。ステップST6306においてセルは、ステップST6202において決定した複数のSRS送信可能サブフレーム構成から、一つのSRS送信可能サブフレーム構成を選択する。ステップST6307においてセルは、UEに対して、選択したSRS送信サブフレーム構成を通知する。このときセルは、UEに対して、識別子を用いて、選択したSRS送信サブフレーム構成を通知してもよい。
【0572】
ステップST6308においてUEは、ステップST6302において通知された複数のUE毎のSRS送信可能サブフレーム構成と、ステップST6307において通知された識別子とを用いて、SRSを実際送信するサブフレーム構成を選択する。ステップST6309においてUEは、選択したサブフレーム構成にしたがって、SRSの送信を開始する。
【0573】
ステップST6307の通知にL1/L2制御シグナリングを用いることによって、UEに対して、ダイナミックに且つ低遅延で、SRSの送信を開始させることが可能となる。
【0574】
ステップST6310においてセルは、UEによるSRSの送信を停止するかどうか判断する。停止しないと判断した場合、セルは引き続きSRSの受信を行う。ステップST6312においてセルは、SRS送信サブフレーム構成を変更するか否かを判断する。変更すると判断した場合、シーケンスはステップST6306に戻る。変更しないと判断した場合、ステップST6309においてSRSの受信が引き続き実施される。
【0575】
ステップST6310においてセルがSRSの送信を停止すると判断した場合、ステップST6209においてセルは、UEに対して、SRSを送信するための情報を通知する。
【0576】
ステップST6210においてUEは、ステップST6209において通知された、SRSの送信を停止するための情報にしたがって、SRSの送信を停止する。ステップST6209の通知にL1/L2制御シグナリングを用いることによって、UEに対して、ダイナミックに且つ低遅延で、SRSの送信を停止させることが可能となる。
【0577】
このように、UEに対して、複数のSRS送信可能サブフレーム構成を通知しておき、そこから一つのサブフレーム構成を選択することによって、SRSを実際送信するサブフレームの変更を行う際もUEに対して識別子を通知すればよく、L1/L2制御信号で通知する情報量を削減可能となる。無線リソースの使用効率を向上させることが可能となる。
【0578】
1つのUEに対して、複数のUE毎のSRSを実際送信するサブフレーム構成を設定してもよい。これによって、SRSの送信パターンを増大することができる。また、複数のUE毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成の各々で、UE毎のSRSを実際送信するサブフレーム構成を設定するとよい。これによって、さらにSRSの送信パターンを増大することができる。したがって、よりUEの移動速度および電波伝搬環境などに適したSRSの送信が可能となる。
【0579】
SRS送信を停止するための情報に、SRS送信サブフレーム構成あるいは該構成を示す情報を含めてもよい。該情報は、例えば、前述の識別子であってもよい。複数のUE毎のSRSを実際送信するサブフレーム構成において、停止するSRSの送信パターンを一意に特定することが可能となるため、SRSの送信の設定に柔軟性を持たせることが可能となる。SRS送信を変更するための情報についても、同様としてもよい。
【0580】
上述した方法を適用することによって、1度に複数のSRS送信を設定可能となる。例えば、UEに対して、セル毎あるいはUE毎のSRS送信可能なサブフレーム構成として複数のサブフレーム構成を設定し、その中から複数のSRSを実際送信するサブフレーム構成を設定する。あるいは、UEに対して、UE毎のSRSを実際送信するサブフレーム構成として、複数のサブフレーム構成を設定するのみとしてもよい。UEは、設定された、複数のSRSを実際送信するサブフレーム構成に従って、SRSを送信する。前述したように、サブフレーム構成はシンボル単位で構成されてもよい。1サブフレーム内の複数のシンボルによって、SRS送信が可能となる。
【0581】
1度に設定するSRS送信設定数を変更することによって、複数のSRS送信パターンを設定可能となる。セルは、1度に設定するSRS送信設定数をダイナミックに変更してもよい。セルは、1度に設定するSRS送信設定数を、SRS送信周期の変更とともに設定してもよい。SRS送信周期の変更と同様の方法で、1度に設定するSRS送信設定数を設定するとよい。
【0582】
複数のSRS送信パターンをあらかじめ用意しておき、それらのパターンから1つのSRS送信パターンを選択するようにしてもよい。複数のSRS送信パターンは、例えば、サブフレーム構成に含まれるSRS送信設定数、各SRS送信設定のSRS送信周期などを違えることによって、用意することが可能である。複数のSRS送信パターンは、規格などで静的に決められてもよいし、RRCシグナリングなどで準静的にセルからUEに通知してもよい。各SRS送信パターンに識別子を設けてもよい。該パターンの識別子をセルからUEに通知する。UEは、受信したパターンの識別子と該パターンのSRS設定とに従って、SRSの送信を開始する。
【0583】
このようにすることで、複数のSRS送信パターンを含めた多様なSRS送信パターンを設定可能となり、UEは多様なSRS送信パターンで送信できる。UEの多様の通信サービスや様々な状況でのSRS送信に適した設定が可能となる。
【0584】
LTEにおいては周期的SRSだけでなく、非周期的SRS(aperiodic SRS)の設定が可能である。本実施の形態で開示した方法における周期的SRSの設定を、LTEにおける周期的SRSの設定方法、および非周期的SRSの設定方法と組み合わせて用いてもよい。低遅延でSRSの周期の変更が必要な場合は、本実施の形態で開示した周期的SRSを設定する、あるいは、本実施の形態で開示した周期的SRSのSRS送信周期を変更するようにしてもよい。適宜、要求遅延量などに応じて、どのSRSを設定あるいは変更するかを決定してもよい。
【0585】
セル毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成を、隣接するeNB間で通知してもよい。また、UE毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成を、隣接するeNB間で通知してもよい。また、UE毎のSRSを実際送信するサブフレーム構成を、隣接するeNB間で通知してもよい。隣接するeNB間の通知は、直接行ってもよいし、CN(core network)ノードを介して行ってもよい。このようにすることによって、UEに対して、隣接するeNB間で協調したSRSの送信を行わせることが可能となる。
【0586】
例えば、eNB間のハンドオーバ(HO)において、HO元のeNBであるソースeNB(S-eNB)から、HO先のeNBであるターゲットeNB(T-eNB)に、HO元のセルのセル毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成、HOさせるUEのUE毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成、およびUE毎のSRSを実際送信するサブフレーム構成を通知してもよい。HO要求のためのシグナリングを用いて通知してもよい。
【0587】
このようにすることによって、T-eNBは、HO元のセルでの該UEのSRSサブフレーム構成を考慮して、HO先のセルのセル毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成、該UEのUE毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成、およびUE毎のSRSを実際送信するサブフレーム構成を設定することが可能となる。
【0588】
3GPPでは、NRのノードとしてTRP(transmission reception point)およびDU(dedicated unit)が検討されている。TRPおよびDUにおいても、本実施の形態で開示した方法を適用してもよい。セルの代わりにTRPおよびDUとして、本実施の形態で開示した方法を適用するとよい。
【0589】
あるいは、SRSを実際送信可能なサブフレーム構成のみをTRP毎あるいはDU毎に設定するようにしてもよい。セル毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成およびUE毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成は、TRPの上位ノードあるいはDUの上位ノード、例えばCU(central unit)毎に設定するとしてもよい。例えば、UEがTRP間あるいはDU間を移動するような場合でも、セル毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成およびUE毎のSRS送信が可能なサブフレーム構成を設定し直す必要が無く、SRSを実際送信可能なサブフレーム構成を設定すればよい。
【0590】
UE毎のSRSを実際送信可能なサブフレーム構成を、TRPあるいはDUと各々の上位ノードとの間で通知してもよい。また、UEが、TRP間あるいはDU間を移動するような場合に、TRP間あるいはDU間で移動するUEにおける、SRSを実際送信可能なサブフレーム構成を通知するようにしてもよい。該通知は、上位ノードを介して行われてもよい。
【0591】
このように、TRPおよびDUに、本実施の形態で開示した方法を適用することによって、TRPおよびDUを用いた下りMIMOを行うような場合にもプリコーディング性能の向上を図ることが可能となる。
【0592】
実施の形態2 変形例1.
本変形例では、実施の形態2で開示した問題を解決する他の方法を開示する。
【0593】
UEが周期的SRSを実際に送信する周期(以下「SRS送信周期」という場合がある)をMAC制御情報として設定する。MAC CE(Control Element)として設けてもよい。セルは、UEに、MACシグナリングで通知する。設定する情報に関しては、実施の形態1を適用するとよい。
【0594】
MACシグナリングを用いて通知する場合、HARQが適用される。セルがUEに通知したMACシグナリングを、UEが正しく受信できなかった場合、UEは、Nackをセルに送信し、セルは、再送制御によって、UEに再送を行うことになる。
【0595】
したがって、L1/L2制御シグナリングで通知する場合と異なり、再送を考慮した設定にしなければならない。
【0596】
セルは、UEに送信したSRS送信周期を含むMACシグナリングが、UEにおいて正しく受信したことを確認した場合に、設定したSRS送信周期に、周期的SRSの受信を変更する。UEは、セルから送信されたSRS送信周期を含むMACシグナリングを正しく受信した場合に、設定されたSRS送信周期に、周期的SRSの送信を変更する。
【0597】
セルは、UEに送信したSRS送信周期を含むMACシグナリングに対して、UEからAckを受信したことを確認した場合に、設定したSRS送信周期に、周期的SRSの受信を変更する。UEは、セルから送信されたSRS送信周期を含むMACシグナリングを正しく受信し、Ackを送信した場合に、設定されたSRS送信周期に、周期的SRSの送信を変更する。
【0598】
SRS送信周期の通知によって、周期的SRSの送信の起動が行われる場合も同様である。
【0599】
セルは、UEに送信したSRS送信周期を含むMACシグナリングが、UEにおいて正しく受信したことを確認した場合に、設定したSRS送信周期で、周期的SRSの受信を開始する。UEは、セルから送信されたSRS送信周期を含むMACシグナリングを正しく受信した場合に、設定されたSRS送信周期で、周期的SRSの送信を開始する。
【0600】
SRS送信オフセットが設定された場合も同様である。
【0601】
セルは、UEに送信したSRS送信周期を含むMACシグナリングが、UEにおいて正しく受信したことを確認した場合に、SRS送信オフセットをカウントする。UEは、セルから送信されたSRS送信周期を含むMACシグナリングを正しく受信した場合に、SRS送信オフセットをカウントする。
【0602】
例えば、SRS送信オフセット値として、SRS送信周期の設定以降、周期的SRS送信の開始を行うまでの、SRS送信が可能なサブフレーム数とした場合、セルは、UEに送信したSRS送信周期を含むMACシグナリングが、UEにおいて正しく受信したことを確認してから、SRS送信オフセット後のSRS送信が可能なサブフレームで、周期的SRSの受信を、併せて設定されたSRS送信周期に変更する。UEは、セルから送信されたSRS送信周期を含むMACシグナリングを正しく受信してから、SRS送信オフセット後のSRS送信が可能なサブフレームで、周期的SRSの送信を、併せて設定されたSRS送信周期に変更する。
【0603】
このようにすることによって、周期的SRSの送受信の起動タイミングを、UEとセルとで合せることが可能となる。これによって、システムとして誤動作をすることがなく、周期的SRSの送信処理を実行することが可能となる。周期的SRSの起動、停止についても同様である。
【0604】
SRS送信を起動するための情報またはSRS送信を停止するための情報を、MACシグナリングで通知した場合も同様に、周期的SRSの送受信の起動または停止のタイミングを、UEとセルとで合せることが可能となる。それにより、システムとして誤動作をすることがなく、周期的SRSの送信処理を実行することが可能となる。
【0605】
また、実施の形態2と同様、前記オフセット情報として、SRSを送信するサブフレーム番号の、SRS送信周期による剰余を用いてもよい。これによって、セルおよびUEは、UEに対する前記MACシグナリングの再送発生の有無によらず、一意のオフセットを用いることができる。
【0606】
本実施の形態で開示したように、SRS送信周期を変更する場合、SRS送信周期をMAC制御情報として設定し、MACシグナリングで通知することによって、従来のRRCシグナリングを用いた変更に比べて、短期間での通知が可能になる。セルがSRS送信周期およびSRS送信オフセット値の少なくともいずれか一方の変更を判断してからUEが変更された設定で周期的SRSを送信するまでの時間を、従来よりも短縮することが可能となる。
【0607】
したがって、SRSの周期設定における遅延時間を削減することが可能となるので、必要なときにUEがSRSを送信することが可能となる。これによって、下りリンクMIMOのためのプリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0608】
また、実施の形態2で開示した、L1/L2制御シグナリングを用いる場合と異なり、MACシグナリングを用いる場合には再送制御が適用される。これによって、セルは、UEから送信されたSRSを低い誤り率で受信することが可能となる。したがって、プリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0609】
実施の形態2 変形例2.
実施の形態2および実施の形態2の変形例1では、eNBの判断によってSRS送信周期を設定した。しかし、eNBが、可逆性を利用してSRSを用いてUEの受信状態を測定している場合、設定されているSRS周期が長いと、eNBでは、UEの受信状態の急激な変化を把握することができないことになる。このような場合、eNBは、UEの短時間での移動速度の変動および電波伝搬環境の急激な変化に適した周期でSRSを受信することができなくなってしまう。したがって、プリコーディング性能が劣化するという問題が生じてしまう。
【0610】
本変形例では、このような問題を解決する方法を開示する。
【0611】
UEからセルに対して、SRS送信周期の変更を要求する。SRS送信周期の変更を要求する情報を設けて、UEからセルに通知する。SRS送信周期の変更を要求する情報としては、要求するか否かを示す情報としてもよい。1ビットの情報としてもよい。
【0612】
SRS送信周期の変更を要求する情報(以下「SRS周期変更要求情報」という場合がある)の通知方法について開示する。SRS周期変更要求情報を、上りL1/L2制御情報として設定する。UEは、セルに、SRS周期変更要求情報をL1/L2制御シグナリングで通知する。UEは、SRS周期変更要求情報を、上りL1/L2制御シグナリングで送信する上り制御情報(UCI)として通知してもよい。SRS周期変更要求情報は、上り物理制御チャネルにマッピングして通知してもよい。
【0613】
UEは、SRS周期変更要求情報をUCIに含めて物理個別制御チャネルにマッピングし、セルに通知してもよい。ここで、物理個別制御チャネルは、LTEではPUCCHに相当する。SRS周期変更要求情報の通知に用いる物理個別制御チャネルの構成および物理リソースへのマッピング方法は、セルが予め設定して、UEに通知しておくとよい。この通知には、RRC個別シグナリングを用いてもよい。あるいは、静的に規格などで決めておいてもよい。これらの方法として、LTEにおけるスケジューリングリクエスト(SR)と同様の方法を適用してもよい(3GPP TS 36.211 V13.2.0(以下「参考文献4」という)、および3GPP TS 36.213 V13.2.0(以下「参考文献5」という)参照)。
【0614】
LTEでは、SRの周期は5msが最小であるが、さらに短い周期を設定可能としてもよい。例えば、2ms、1msなどをSRS周期変更要求の周期として設けてもよい。このようにすることによって、UEがSRS送信周期の変更要求を判断してからSRS送信周期の変更要求を送信するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0615】
SRS周期変更要求情報の他の通知方法について開示する。上りRSを用いる。UEが上りリンクでPUCCHあるいはPUSCHで送信する場合にあわせて送信するRSを用いるとよい。該RSが通常のRSと異なり、SRS周期変更要求であることを認識可能とする方法の具体例として、以下の(1)~(3)の3つを開示する。
【0616】
(1)SRS周期変更要求のための特定のシーケンス番号を設定する。
【0617】
(2)SRS周期変更要求のための特定のCS(cyclic shit)を設定する。
【0618】
(3)SRS周期変更要求の有無に応じてRSのビットを変調する。
【0619】
前記(1)のSRS周期変更要求のための特定のシーケンス番号を設定する方法では、通常のRSに用いるシーケンス番号と異なるシーケンス番号を設定するとよい。このようにすることによって、セルは、UEが送信したRSのシーケンス番号に基づいて、SRS周期変更要求であるか否かを認識することが可能となる。
【0620】
前記(2)のSRS周期変更要求のための特定のCSを設定する方法では、通常のRSに用いるCSと異なるCSを設定するとよい。このようにすることによって、セルは、UEが送信したRSのCSに基づいて、SRS周期変更要求であるか否かを認識することが可能となる。CSの場合、異なるCS間で直交性が保たれるので、セルは、通常のRSかSRS周期変更要求であるか否かを、低い誤り率で認識することが可能となる。
【0621】
前記(3)のSRS周期変更要求の有無に応じてRSのビットを変調する方法では、例えば、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調を行ってもよい。SRS周期変更要求が有る場合は、通常のRSのビットに「1」を乗じ、SRS周期変更要求が無い場合は、通常のRSのビットに「-1」を乗じる。このようにすることによって、セルは、変調されたRSを受信することで、SRS周期変更要求であるか否かを認識することが可能となる。
【0622】
このように、上りRSを用いてSRS周期変更要求であることを通知する方法を用いることによって、新たな周波数-時間軸上の無線リソースを必要としない。したがって、無線リソースの使用効率を低下させることなく、SRS周期変更要求を可能とする。
【0623】
上りRSとして、SRSを用いてもよい。SRSを用いる場合でも、前述の方法と同様の方法を適用することができる。
【0624】
SRS周期変更要求情報の他の通知方法について開示する。SRS周期変更要求情報をMAC制御情報として設定する。MAC CE(Control Element)として設けてもよい。UEは、セルに、MACシグナリングで通知する。MACシグナリングを用いて通知する場合、HARQが適用されるので、セルは、UEから送信されたSRS周期変更要求情報を低い誤り率で受信することが可能となる。
【0625】
SRS周期変更要求情報のさらに他の通知方法について開示する。SRS周期変更要求情報をRRC情報として設定する。UEは、セルに、RRSシグナリングで通知する。RRCシグナリングを用いて通知する場合もHARQが適用されるので、セルは、UEから送信されたSRS周期変更要求情報を低い誤り率で受信することが可能となる。RRCシグナリングを用いる場合は、設定されているSRS周期がRRCシグナリングの通知にかかる期間よりも大きいときに、特に有効となる。
【0626】
SRS周期変更要求情報の通知とともに、セルがSRS送信周期を変更するための判断指標を送信してもよい。セルがSRS送信周期を変更するための判断指標として、実施の形態2で開示したSRS送信周期を変更するための判断指標を適用してもよい。
【0627】
UEからSRS周期変更要求情報を受信したセルは、該UEに対してSRS送信周期の設定の変更を行う処理を開始する。このときに、セルは、該UEに対してSRS送信周期の変更を行うか否かの判断を行ってもよい。変更が必要な場合は、SRS送信周期の設定を変更し、変更が不要な場合は、SRS送信周期の設定を変更しないとしてもよい。
【0628】
前述の、SRS送信周期の変更を行うか否かの判断において、セルは、UEに対し、変更が否である旨を通知してもよい。セルは、UEに対し、変更が否である理由を併せて通知してもよい。これによって、セルは、該UEからのSRS周期変更要求について、他のUEが既に同じタイミングでSRSを送信していることをUEに通知することができる。また、該UEは、前回のSRS送信周期要求とは別の周期をセルに要求することができる。したがって、セルは、他のUEがSRSを送信しているときにおいても、該UEとの通信におけるプリコーディング性能を維持することができる。
【0629】
UEは、SRS周期変更要求とともに、SRS送信オフセット変更要求を通知してもよい。あるいは、UEは、SRS周期変更要求とは別途、SRS送信オフセット変更要求を通知してもよい。SRS周期変更要求と同様の方法で、SRS送信オフセット変更要求を通知するとよい。
【0630】
UEからSRS送信オフセット変更要求情報を受信したセルは、該UEに対してSRS送信オフセットの設定の変更を行う処理を開始する。このときに、セルは、該UEに対してSRS送信オフセットの変更を行うか否かの判断を行ってもよい。変更が必要な場合は、SRS送信オフセットの設定を変更し、変更が不要な場合は、SRS送信オフセットの設定を変更しないとしてもよい。
【0631】
前述の、SRS送信オフセットの変更を行うか否かの判断において、セルは、UEに対し、変更が否である旨を通知してもよい。セルはUEに対し、変更が否である理由を併せて通知してもよい。これによって、セルは、該UEからのSRSオフセット変更要求について、他のUEが既に同じタイミングでSRSを送信していることをUEに通知することができる。また、該UEは、前回のSRS送信オフセット要求とは別の周期をセルに要求することができる。したがって、セルは、他のUEがSRSを送信しているときにおいても、該UEとの通信におけるプリコーディング性能を維持することができる。
【0632】
図47は、実施の形態2の変形例2におけるUEからSRS周期変更要求情報を送信するシーケンスの一例を示す図である。図47に示すシーケンスは、図43に示すシーケンスと同一のステップを含んでいるので、同一のステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
【0633】
ステップST3401において、UEは、設定されたSRS送信周期でSRSをセルに送信する。
【0634】
ステップST3402において、UEは、SRS周期変更要求を送信するか否かを判断する。この判断において、実施の形態1で開示したSRS送信周期を変更するための判断指標を用いてもよい。ただし、UEの多重数については、UEが認識できないので除く。
【0635】
ステップST3402において、SRS周期変更要求の送信が不要と判断した場合は、設定されているSRS周期でSRSを送信する。
【0636】
ステップST3402において、SRS周期変更要求の送信が必要と判断した場合は、ステップST3403に移行する。
【0637】
ステップST3403において、UEは、SRS周期変更要求をセルに送信する。UEは、上りL1/L2制御情報のSRS周期変更要求情報を要求有りに設定し、セルに、L1/L2制御シグナリングで通知する。
【0638】
ステップST3403において、UEからSRS周期変更要求有りを受信したセルは、ステップST3404において、該UEに対してSRS送信周期およびSRS送信オフセット値の少なくともいずれか一方を変更するか否かを判断する。この判断において、実施の形態2で開示したSRS送信周期を変更するための判断指標を用いてもよい。
【0639】
ステップST3404において、SRS送信周期およびSRS送信オフセット値の少なくともいずれか一方の変更が必要と判断された場合は、ステップST3305の処理に戻り、UE毎のSRS送信周期およびSRS送信オフセット値の少なくともいずれか一方を設定する。これらの設定において、前述のSRS送信周期を変更するための判断指標を用いて、どの程度変更が必要かを導出して、SRS送信周期およびSRS送信オフセット値の少なくともいずれか一方を設定するとよい。
【0640】
ステップST3404において、SRS送信周期およびSRS送信オフセット値の変更が不要と判断された場合は、セルは、引き続き同じ設定で周期的SRSの受信を行う。UEは、周期的SRSの変更あるいは停止が通知されないので、引き続き同じ設定で周期的SRSの送信を行う。
【0641】
ステップST3404において、該UEに対してSRS送信周期およびSRS送信オフセット値の少なくともいずれか一方を変更しないと判断された場合、セルは、引き続きUEに設定しているSRS周期でSRSを受信する。
【0642】
本変形例で開示した方法を用いることによって、UEからセルに、SRS送信周期の変更要求情報を通知することが可能となる。このようにすることによって、仮に、設定されたSRSが長周期であったとしても、UEは、自身の短時間での移動速度の変動および電波伝搬環境の急激な変化を検出した場合に、セルに、SRS送信周期の変更要求情報を通知することが可能となる。したがって、セルは、UEに対して短時間での移動速度の変動および電波伝搬環境の急激な変化に適したSRS送信周期を設定することが可能となる。したがって、セルは、UEから適切な周期でSRSを受信することができる。これによって、下りリンクMIMOのためプリコーディング性能の劣化を低減することが可能となる。
【0643】
UEからセルに対して、SRS送信周期の変更終了の要求を通知してもよい。SRS送信周期の変更終了要求情報を設けて、UEからセルに通知する。該情報を1ビットの情報としてもよい。SRS送信周期の変更要求情報か変更終了要求情報かを示す情報を設けてもよい。該情報を1ビットの情報としてもよい。
【0644】
UEからSRS送信周期の変更終了情報を受信したセルは、該UEのSRS送信周期を変更していた設定を終了し、元の設定に戻す。セルは元の設定のSRS送信周期をUEに通知する。元の設定に戻すことを示す情報を設けてもよい。セルは、UEに対して変更したSRS送信周期の設定を元の設定に戻す場合に、該情報をUEに対して通知するとよい。元の設定のSRS送信周期を通知する必要がなくなり、通信に必要な情報量の削減をはかることができる。
【0645】
UEからセルへの通知方法等には、前述のSRS送信周期の変更要求情報について開示した方法を適宜適用すると良い。このようにすることで、UEがセルに対して、SRS送信周期の変更を終了してほしいことを通知することができる。たとえば、UEは、移動速度が速くなったためSRS送信周期の変更要求をセルに通知し、それにともない、セルからSRS送信周期の変更設定が行われる。その後移動速度が元に戻った場合、UEでSRS送信周期の変更終了の要求が生じる。このような場合に、UEはセルに対してSRS送信周期の変更終了要求を行う。このようにUEの状況やUEとセルとの間の通信品質等に適したSRS送信周期の設定が可能となる。
【0646】
UEからセルに対して、SRS送信周期の短縮要求あるいはSRS送信周期の延長要求を通知してもよい。SRS送信周期の短縮要求情報あるいはSRS送信周期の延長要求情報を設けて、UEからセルに通知する。SRS送信周期の短縮要求か延長要求かを示す情報を設けてもよい。該情報を1ビットの情報としてもよい。
【0647】
UEからSRS送信周期の短縮要求情報を受信したセルは、該UEのSRS送信周期を短縮設定する。セルは設定したSRS送信周期をUEに通知する。UEからSRS送信周期の延長要求情報を受信したセルは、該UEのSRS送信周期を延長設定する。セルは設定したSRS送信周期をUEに通知する。
【0648】
UEからセルへの通知方法等には、前述のSRS送信周期の変更要求情報について開示した方法を適宜適用すると良い。このようにすることで、UEがセルに対して、SRS送信周期を短縮してほしいのか延長してほしいのかを通知することができる。たとえば、UEの移動速度が速くなった場合にはSRS送信周期の短縮要求を行い、たとえば、UEの電池残量が少なくなった場合にはSRS送信周期の延長要求を行う。このようにUEの状況やUEとセルとの間の通信品質等に適したSRS送信周期の設定が可能となる。
【0649】
UEからセルに対して、SRS送信の停止要求あるいはSRS送信の開始要求を通知してもよい。SRS送信の停止要求情報あるいはSRS送信の開始要求情報を設けて、UEからセルに通知する。SRS送信の停止要求か開始要求かを示す情報を設けてもよい。該情報を1ビットの情報としてもよい。
【0650】
UEからSRS送信の停止要求情報を受信したセルは、該UEのSRS送信を停止に設定する。セルはUEに対してSRS送信を停止するための情報を通知する。UEはSRS送信を停止するための情報に応じてSRS送信を停止する。UEからSRS送信の開始要求情報を受信したセルは、該UEのSRS送信を起動に設定する。セルはUEに対してSRS送信を起動するための情報を通知する。UEはSRS送信を起動するための情報に応じてSRS送信を開始する。
【0651】
UEからセルへの通知方法等には、前述のSRS送信周期の変更要求情報について開示した方法を適宜適用すると良い。このようにすることで、UEがセルに対して、SRS送信を停止してほしいことあるいは開始してほしいことを通知することができる。たとえば、UEが静止し通信品質が安定して良好な場合などSRS送信を一時的に停止しても良い場合が生じる。このような場合、UEはセルに対してSRS送信を一時的な停止を要求するためにSRS送信停止要求を通知するとよい。また、たとえば、UEが移動し始め通信品質状況が安定しなくなったような場合にはSRS送信の再開が必要となる。このような場合、UEはセルに対してSRS送信の再開を要求するためにSRS送信開始要求を通知すると良い。このようにUEの状況やUEとセルとの間の通信品質等に適したSRS送信の停止、再開の設定が可能となる。
【0652】
実施の形態2 変形例3.
UEがセルから、SRS送信を停止するための情報を受信できなかったとき、SRS送信を停止することができず、SRSを送信し続けてしまうという問題が生じる場合がある。
【0653】
例えば、セルが、SRS送信を停止するための情報と、SRS送信を起動するための情報とを、別々のタイミングで送信する場合、UEが、SRS送信を停止するための情報を受信できなければ、SRS送信を起動するための情報に応じて開始したSRS送信を停止することができない。そうすると、SRSを送信し続けるという問題が生じてしまう。
【0654】
このような問題を解決する方法として、最大送信時間を設けるとよい。セルはUEに対して最大送信時間を通知する。UEは、SRS送信を起動するための情報に従ってSRS送信を開始した後、最大送信時間が経過するとSRS送信を停止する。このようにすることで、UEがSRS送信を停止することができずにSRSを送信し続けてしまうという問題を解決することができる。
【0655】
最大送信時間はUEのタイマが管理してもよい。UEは、SRS送信を起動するための情報に応じて開始するタイミングで、タイマを起動する。SRS送信を起動するための情報として、SRS送信起動情報とオフセット情報とがあるが、オフセット情報がある場合、オフセット情報を考慮してタイマを起動してもよい。
【0656】
あるいは、UEにSRS送信周期を通知することによって周期的SRSの送信を起動する場合は、UEは、SRS送信を開始するタイミングで、タイマを起動する。このようにUEがSRS送信を開始するタイミングでタイマを起動するとよい。
【0657】
UEは、SRS送信を停止するための情報の受信に関係なく、タイマの起動から最大送信時間が経過すると、SRS送信を停止する。UEは、SRS送信の停止とともに、タイマをリセットする。このようにすることで、最初のSRS送信の起動から最大送信時間が経過した後に、SRS送信を停止することが可能となる。
【0658】
この場合、UEが、最初のSRS送信起動から最大送信時間の経過までに、SRS送信を停止するための情報を受信すると、問題になる場合がある。UEが、SRS送信を停止するための情報の受信にしたがってSRS送信を停止した場合も、タイマはリセットされない。最大送信時間の経過前にUEが、次のSRS送信を起動するための情報またはSRS送信周期の情報を受信した場合、UEはそれらの情報に従ってSRS送信を開始する。
【0659】
このような場合、UEがSRS送信を開始後、すぐに最大送信時間が経過してしまい、UEはSRS送信を停止してしまうことが生じる。このような問題を解決する方法として、UEが最初のSRS送信起動から最大送信時間の経過までに、SRS送信を停止するための情報を受信した場合、タイマをリセットするとしてもよい。あるいは、SRS送信を停止した場合、タイマをリセットするとしてもよい。
【0660】
このようにすることで、2回目以降のSRS送信開始からすぐにSRS送信停止してしまう問題を回避することが可能となる。
【0661】
最大送信期間は規格などで静的に決めておいてもよい。最大送信期間の情報を準静的にあるいは動的にセルからUEに通知してもよい。最大送信期間の情報をRRCシグナリングで通知してもよい。あるいは、最大送信期間の情報をL1/L2制御信号で通知してもよい。あるいは、最大送信期間の情報をMACシグナリングで通知してもよい。
【0662】
最大送信期間はセル毎に設定してもよい。制御の複雑性を回避することが可能となる。他の方法として、最大送信期間はビーム毎に設定してもよい。ビーム毎に提供するカバレッジなどが異なる。このような場合にビーム毎に異なる値を設定することで、ビームの構成を柔軟にすることが可能となる。他の方法として、最大送信期間はUE毎に設定してもよい。UE毎の値を設定可能となるので、UEの状況に応じて、例えばUEの能力や、UEが通信しているサービスなどに応じて、最大送信期間を設定可能となる。
【0663】
前述の方法では、最大送信期間が時間であるものとした。また、最大送信期間をタイマで管理することを開示した。他の方法として、SRSの最大送信回数を設けてもよい。セルはUEに対して最大送信回数を通知する。UEは、SRS送信を開始すると、SRSを最大送信回数送信した後、SRS送信を停止する。また、回数はSRS送信を停止した場合にリセットする。
【0664】
このようにすることで、最大送信期間を設定するのと同様の効果が得られる。また、例えば、SRSの送信周期は、実施の形態2で開示したSRS送信周期を変更するための判断指標の具体例のように、UEの状況に応じて設定してもよい。このような場合、最大送信期間を用いると、UE毎に異なる最大送信期間を設定しなくてはならず、制御が複雑になる。例えば、最大送信回数を用いれば、SRS送信周期が異なるような場合にも、SRS送信周期に応じた最大送信期間を設定可能となる。
【0665】
実施の形態3.
LTEでは、Ack/Nack、CQI/CSI、SRなどの上り制御信号がマッピングされるPUCCHは、1サブフレーム内の全シンボルにわたってマッピングされる。また、SRSは、1サブフレーム内の最後の1シンボルで送信される(参考文献4参照)。
【0666】
ある1つのUEにおいて、Ack/Nackの送信とSRSの送信とのタイミングが衝突した場合、Ack/NackがマッピングされるPUCCHの、SRSと衝突する最後のシンボルがパンクチャされて送信される。該PUCCHの1サブフレーム内の14シンボル(RSを含む)のうち、最後のシンボルのみがパンクチャされ、他のシンボルは送信されることになる。
【0667】
図48は、LTEにおけるAck/NackとSRSの送信タイミングが衝突した場合を説明するための図である。図48において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。図48は上りのサブフレームで、1サブフレームは14シンボルから構成される。PUCCHは、システム帯域の両端にRB(resource block)単位でマッピングされ、PUSCHはその間にマッピングされる。図48では、RSの記載を省略しているが、RSは、PUCCHがマッピングされる領域およびPUSCHがマッピングされる領域内の予め定めるシンボルにマッピングされる。
【0668】
SRSは、1サブフレームの最後のシンボルに設定される。SRSが設定されたサブフレームでは、最後のシンボルにPUSCHはマッピングされない。あるUEに対して、同一サブフレーム内でSRSの送信とPUCCHの送信とが設定された場合、該UEは、該サブフレームのPUCCHの最後のシンボルをパンクチャして送信する。言い換えると、該UEは、該サブフレームのPUCCHの最後のシンボルを送信しない。該UEは、該サブフレームで、SRSを予め定めるリソースで送信する。
【0669】
このような方法を適用する信号として、下りデータに対する上りのAck/Nackがある。Ack/Nackは、1ビットあるいは2ビットで構成され、拡散されてPUCCHにマッピングされる。PUCCHは、1サブフレーム内の14シンボル(RSを含む)のうち、最後のシンボルのみがパンクチャされ、他のシンボルは送信されることになる。したがって、セルは、送信された該他のシンボル上のPUCCHを受信することによって、Ack/Nackを認識することが可能となる。
【0670】
このようにすることによって、仮に、同一サブフレーム内でAck/NackとSRSの送信が衝突したとしても、UEは、Ack/NackとSRSの両方を送信することが可能となり、eNBは、UEからのAck/NackとSRSの両方を同一サブフレーム内で受信することが可能となる。
【0671】
他方、NRのサブフレーム構成として、Ack/Nackなどの上り制御信号は、1サブフレーム内の全シンボルにわたってマッピングされず、サブフレーム後方のシンボルにマッピングされることが提案されている。また、SRSについても、1サブフレーム内の後方の1シンボルで送信されることが提案されている。例えば、自己完結型サブフレームでは、Ack/Nackなどの上り制御信号とSRSとは、サブフレーム内の最後の1シンボルで送信されることが提案されている(非特許文献9、および3GPP R1-167203(以下「参考文献6」という)参照)。
【0672】
ある1つのUEにおいて、Ack/Nackなどの上り制御信号の送信とSRSの送信とのタイミングが衝突した場合、従来のLTEにおける方法と同様に、Ack/Nackなどの上り制御信号がマッピングされる最後のシンボルをパンクチャして送信しないようにすると、該Ack/Nackなどの上り制御信号が送信されなくなってしまうという問題が生じる。
【0673】
Ack/Nackなどの上り制御信号は、1サブフレーム内の最後のシンボルでのみ送信され、他のシンボルでは送信されない。したがって、SRSと衝突する最後のシンボルがパンクチャされると、該シンボルにしかマッピングされないAck/Nackなどの上り制御信号は送信されなくなってしまうためである。
【0674】
本実施の形態ではこのような問題を解決する方法を開示する。
【0675】
上り制御信号とSRSとを同一シンボル上で周波数分割多重する。Ack/Nackなどの上り制御信号は、SRSが送信されるシンボルで送信する。上り制御信号と、その上り制御信号を送信するUEと異なるUEのSRSとを同一シンボルで送信してもよい。上り制御信号と、その上り制御信号を送信するUEと同じUEのSRSとを同一シンボルで送信してもよい。
【0676】
上り制御信号とSRSとを同一シンボル上で周波数分割多重するために、上り制御信号を周波数軸方向に柔軟なスケジューリングを可能とする。上り制御信号を、自UEに対して同一サブフレーム内にマッピングされる他の情報と異なる周波数リソースにアロケーションしてもよい。自UEに対して同一サブフレーム内にマッピングされる他の情報として、例えば、下りデータ、下り制御情報、上りデータなどがある。アロケーション方法として、ある周波数範囲の連続したサブキャリアをアロケーションする方法と、ある周波数範囲の分散したサブキャリアをアロケーションする方法とがある。
【0677】
他のUEに対してスケジューリングされていない周波数リソースにアロケーションしてもよい。他のUEとの多重が不要であるので、セルにおける受信誤り率を低減させることができる。また、多重のための制御による複雑化を低減できる。
【0678】
また、他のUEに対してスケジューリングされている周波数リソースにアロケーションしてもよい。その場合、他のUEとの間で多重が行われる。複数のUE間で同じ周波数リソースを用いて多重する方法として、コード多重を用いてもよい。UE間で直交するコードを用いて多重する。あるいは、UE間でスクランブリングコードを用いて多重してもよい。このようにすることによって、上り制御信号を他のUEの上り制御信号あるいは上り情報と多重することが可能となる。したがって、上り制御信号を周波数軸方向に柔軟なスケジューリングが可能となる。
【0679】
セルは、周波数リソースへのアロケーション情報および多重方法を含むスケジューリング情報を、L1/L2制御情報に含めてL1/L2制御シグナリングでUEに送信する。同一のサブフレームでスケジューリング情報を通知してもよいし、異なるサブフレームでスケジューリング情報を通知してもよい。異なるサブフレームの場合は、どのサブフレームのスケジューリングを行うかを示す情報を併せて通知するとよい。
【0680】
このようにすることによって、上り制御信号を、同一サブフレーム内にマッピングされる他の情報と異なる周波数リソースにアロケーションすることが可能となる。本明細書では、上り制御信号に付随して送信されるRSについて記載を省略する場合があるが、上り制御信号に付随して送信されるRSについても上り制御信号と同様に、上り制御信号に付随して送信される。
【0681】
上り制御信号とSRSとを同一シンボル上で周波数分割多重する場合、セルは、上り制御信号のための周波数リソースとして、該シンボルで実際送信するSRSを設定していない周波数リソースをアロケーションするとよい。セルは、前述の方法を用いて、上り制御信号のための周波数リソースのスケジューリング情報をUEに通知する。
【0682】
図49は、実施の形態3における上り制御信号とSRSとを同一シンボル上で周波数分割多重して送信する場合の一例を示す図である。図49において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。1サブフレームは、14シンボルで構成される。1サブフレームの最初から3シンボルは、下りL1/L2制御情報がマッピングされている。1サブフレームの最後のシンボルは、SRSが送信可能なシンボルとして設定される。図49における左下がりの実線の斜線のハッチングは、該シンボルで実際送信されるSRSを示している。
【0683】
UE#aに対して、周波数範囲aで、自己完結型サブフレームが構成される。UE#aに対して、1サブフレームの4番目のシンボルから10番目のシンボルまでDLデータがマッピングされ、1サブフレームの11番目のシンボルから13番目のシンボルまでギャップ(Gap)が構成される。図49では、上り制御信号として、Ack/Nackの場合を示している。
【0684】
従来の自己完結型サブフレームでは、下りデータに対するAck/Nack信号を1サブフレームの最後のシンボルで送信する。しかし、該サブフレームの最後のシンボルは、SRSが送信可能なシンボルとして設定されているので、SRSの送信と衝突してしまう場合がある。例えば、他のUEのSRSを実際送信するサブフレームが該サブフレームに設定された場合、他のUEのSRSが該サブフレームの最後のシンボルで送信される。あるいは、自UEのSRSを実際送信するサブフレームが該サブフレームに設定された場合、自UEのSRSが該サブフレームの最後のシンボルで送信される。
【0685】
このような場合に、何も工夫がなければ、自UEのAck/Nackの送信と、他のUEあるいは自UEのSRSの送信とが衝突してしまい、セルは、UEからのこれらの送信を正しく受信できなくなってしまう。
【0686】
そこで、本実施の形態では、図49に示すように、下りデータに対するAck/Nack信号を1サブフレームの最後のシンボルでSRSと周波数分割多重して送信する。セルは、下りデータに対するAck/Nack信号に、SRSが実際に送信される周波数リソースとは異なる周波数リソースをアロケーションする。SRSが実際に送信される周波数リソースとは異なる周波数リソースが、自UEのDLデータがマッピングされる周波数リソースとは異なる周波数リソースであってもよい。図49に示す例では、周波数範囲bの周波数リソースにアロケーションする。
【0687】
Ack/Nackのスケジューリング情報は、UE#a向けのL1/L2制御情報に含められ、L1/L2制御シグナリングで送信される。UEは、L1/L2制御シグナリングを受信して、自UE宛てのL1/L2制御情報を受信することによって、下りデータに対するAck/Nack用の周波数リソースのアロケーション情報を取得する。これによって、UEは、下りデータに対するAck/NackをSRSと衝突せずに送信することが可能となる。
【0688】
このようにすることによって、UE#aがDLデータを受信したサブフレームで実際に送信されるSRSが設定されていたとしても、受信したDLデータと同じサブフレームで、DLデータに対するAck/Nackを送信することが可能となる。
【0689】
図50は、実施の形態3における上り制御信号とSRSとを同一シンボル上で周波数分割多重して送信する場合の他の例を示す図である。図50において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。図50は、図49と類似しているので、主として異なる部分について説明し、共通する説明を省略する。
【0690】
下りデータに対するAck/Nack信号を1サブフレームの最後のシンボルでSRSと周波数分割多重して送信する。セルは、下りデータに対するAck/Nack信号に、実際に送信されるSRSの周波数リソースとは異なる分散した周波数リソースをアロケーションする。図50に示す例では、周波数範囲bの分散した周波数リソースにアロケーションする。実際に送信されるSRSが分散した周波数リソースで送信される場合に適用するとよい。これによって、無線リソースの使用効率を向上させることができる。
【0691】
図51は、実施の形態3における上り制御信号とSRSとを同一シンボル上で周波数分割多重して送信する場合のさらに他の例を示す図である。図51において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。図51は、図50と類似しているので、主として異なる部分について説明し、共通する説明を省略する。
【0692】
下りデータに対するAck/Nack信号を1サブフレームの最後のシンボルでSRSと周波数分割多重して送信する。セルは、下りデータに対するAck/Nack信号に、実際に送信されるSRSの周波数リソースとは異なる分散した周波数リソースをアロケーションする。Ack/Nackを送信する周波数リソースを、自UEのDLデータがマッピングされる周波数リソースの一部とする。図51に示す例では、周波数範囲aの分散した周波数リソースにアロケーションする。実際に送信されるSRSが分散した周波数リソースで送信される場合に適用するとよい。これによって、無線リソースの使用効率を向上させることができる。
【0693】
この場合、Ack/Nackを送信する周波数リソースが予め定める周波数リソースに満たない場合が生じる。図51に示す例では、予め定める周波数リソースは、自UEのDLデータがマッピングされる周波数リソースであるが、Ack/Nackを送信する周波数リソースはその半分しかない。このような場合、Ack/Nackを送信する周波数リソースの送信電力を増大させるとよい。送信電力を増大させることによって、セルの受信電力は増大する。したがって、Ack/Nackを送信する周波数リソースが予め定める周波数リソースに満たない場合でも、セルは、UEからのAck/Nack信号を低い誤り率で受信することが可能となる。
【0694】
周波数リソースの送信電力の増大を示す情報は、スケジューリング情報としてL1/L2制御情報に含めてL1/L2制御シグナリングでUEに送信する。周波数リソースへのアロケーション情報および多重方法とともに、スケジューリング情報に含ませてもよい。同一のサブフレームでスケジューリング情報を通知してもよいし、異なるサブフレームでスケジューリング情報を通知してもよい。異なるサブフレームの場合は、どのサブフレームのスケジューリングを行うかを示す情報を併せて通知するとよい。
【0695】
他の方法として、周波数リソースの送信電力の増大方法を示す情報を報知情報に含めて報知してもよい。セル毎に周波数リソースの送信電力の増大方法を決定して報知してもよい。あるいは、セル毎に周波数リソースの送信電力の増大方法を決定して、RRC個別シグナリングを用いてUE個別に通知してもよい。あるいは、UE個別に周波数リソースの送信電力の増大方法を決定して、RRC個別シグナリングを用いてUE個別に通知してもよい。
【0696】
他の方法として、周波数リソースの送信電力の増大方法を予め規格などで静的に決めておいてもよい。また、周波数リソースの送信電力の増大方法に必要なパラメータのみをセルからUEに通知してもよい。該通知方法は、前述の方法を適用するとよい。
【0697】
このように、Ack/Nackを送信する無線リソースの送信電力を増大させることによって、Ack/Nackを送信する無線リソースを少なくすることが可能となる。同一シンボル内で、実際に送信するSRSが設定されるUEの数が増大すること、および上り制御信号を送信するUE数が増大することの少なくとも一方が生じたとしても、使用する無線リソースを低減することができ、多数のUEをサポートすることが可能となる。
【0698】
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、NRにおいて、Ack/Nackなどの上り制御信号とSRSとが同一サブフレームで衝突した場合でも、どちらの信号も送信することが可能となる。したがって、セルは、予め定めるタイミングでAck/Nackなどの上り制御信号とSRSとを受信することが可能となる。Ack/Nackを予め定めるタイミングで受信することが可能となることによって、再送制御を遅延無く行うことが可能となる。また、SRSを予め定めるタイミングで受信することが可能となることによって、セルは、精度の高いプリコーディングを行うことが可能となる。
【0699】
上り制御信号とSRSとが1サブフレーム内の最後の1シンボルで衝突する場合について開示したが、上り制御信号とSRSとを1サブフレーム内の他のシンボルにマッピングしてもよく、該他のシンボルで衝突した場合も同様に、該シンボルにおいて周波数多重を行うなどの本実施の形態で開示した方法を適用するとよい。このような場合でも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0700】
上り制御信号とSRSとが1サブフレーム内で同じシンボルにマッピングされて衝突する場合について開示したが、上り制御信号とSRSとをそれぞれ異なるシンボル数のシンボルにマッピングしてもよく、そのような場合に一部のシンボルで衝突した場合も同様に、衝突したシンボルにおいて周波数多重を行うなどの本実施の形態で開示した方法を適用するとよい。このような場合でも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0701】
上り制御信号とSRSとが1サブフレーム内で同じシンボルにマッピングされて衝突する場合について開示したが、上り制御信号とSRSとをそれぞれ異なるシンボル数のシンボルにマッピングしてもよく、そのような場合に一部のシンボルで衝突した場合に、上り制御信号の全シンボルをSRSが実際に送信されない周波数リソースを用いて送信してもよい。衝突したシンボルを含む上り制御信号の全シンボルにおいて、本実施の形態で開示した方法を適宜適用するとよい。このような場合でも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0702】
同一UEにおいて、同一サブフレームで異なる上り制御信号の送信が衝突する場合がある。同一サブフレームの1つあるいは一部のシンボルで異なる上り制御信号の送信が衝突した場合も、本実施の形態で開示した方法を適宜適用するとよい。例えば、あるUEにおいて、Ack/Nackの送信とCQI/CSIの送信とが同一サブフレームの同一シンボルで衝突した場合、該UEは、CQI/CSIを送信する無線リソースは変更せずに送信し、Ack/Nackを他の周波数リソースにアロケーションして送信する。
【0703】
このようにすることによって、仮に、同一サブフレームの1つあるいは一部のシンボルでAck/NackとCQI/CSIとが衝突した場合でも、UEは、同一サブフレームで両方の信号を送信することが可能となる。また、セルは、同一サブフレームで両方の信号を受信することが可能となる。
【0704】
上り制御信号の中で、どの信号を無線リソースの変更をせずに送信し、どの信号を他の周波数リソースにアロケーションして送信するかの情報は、予め規格で静的に決めておいてもよい。あるいは、セルは、報知情報に含ませて報知してもよい。これによって、各セルの状況を考慮して、前記情報をセル毎に決定することが可能となる。あるいは、セルは、RRC個別シグナリングでUEに個別に通知してもよい。該情報をセル毎に決定してもよいし、UE毎に決定してもよい。これによって、各UEの状況を考慮して、前記情報をUE毎に決定することが可能となる。
【0705】
前記情報をUE毎に通知する場合、MACシグナリングで通知してもよい。これによって、RRCシグナリング比べて早期に設定することが可能となる。あるいは、L1/L2制御情報に含めてL1/L2制御シグナリングで通知してもよい。これによって、RRCシグナリング比べて、さらに早期に設定することが可能となる。L1/L2制御情報に含ませる場合、周波数リソースへのアロケーション情報および多重方法とともに、スケジューリング情報に含ませてもよい。
【0706】
また、上り制御信号は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。1つの上り制御信号を、無線リソースを変更せずに送信し、2つの上り制御信号を他の周波数リソースにアロケーションして送信するとよい。前述の方法と同様の方法を適用するとよい。
【0707】
このようにすることによって、仮に、同一サブフレームの1つあるいは一部のシンボルで異なる上り制御信号が衝突した場合でも、UEは、同一サブフレームで両方の信号を送信することが可能となる。また、セルは、同一サブフレームで両方の信号を受信することが可能となる。
【0708】
セルは、UEからの情報を予め定めるサブフレームで受信することが可能となるので、適時にUEに対する制御を行うことが可能となる。例えば、Ack/Nackによる再送制御を遅延無く行うことが可能となる。また、例えば、CQI/CSIによる下りMIMOのためのプリコーディングを精度よく実行することが可能となる。あるいは、SRによる上りスケジューリング要求を早期に実行することによって、上り通信を早期に開始することが可能となる。
【0709】
実施の形態3 変形例1.
本変形例では、実施の形態3で開示した問題を解決する他の方法を開示する。
【0710】
Ack/Nackなどの上り制御信号とSRSとが衝突した場合、上り制御信号とSRSとを時間分割多重する。Ack/Nackなどの上り制御信号とSRSとが衝突した場合、同一サブフレームのULシンボル数を増大させてもよい。ULシンボル数を増大させ、増大させたULリソースに上り制御信号をマッピングし、上り制御信号とSRSとを時間分割多重する。
【0711】
増大させるULシンボル数は1つに限らず、複数であってもよい。増大させるULシンボル数は、上り制御信号がマッピングされるシンボル数に応じて設定すればよい。増大させるULシンボルは、既存のULシンボルに連続するように設定するとよい。離散して設定すると、例えば、離散して設定したULシンボル間にDLシンボルが存在する場合、ギャップを新たに設けなくてはならず、無線リソースの使用効率を低下させる。また、離散して設定したULシンボル間にギャップが存在する場合、DLシンボルと前側のULシンボルとの間に、予め定める期間を維持するために新たなギャップを構成しなければならない場合が生じるので、無線リソースの使用効率を低下させる。
【0712】
時間分割多重の方法として、例えば、SRSは、最後のシンボルで通常設定から変更無しとして、Ack/Nackなどの上り制御信号を1シンボル前にマッピングする。SRSについては、衝突したUEのSRSの送信に限らず、他のUEのSRSの送信もあるので、通常設定から変更無しとした方が、他のUEへの設定変更などの処理を行わずに済む。これによって、制御が複雑化することを避けることができる。
【0713】
1サブフレームに有するシンボル数は、予め決められている。したがって、上り制御信号用に上りシンボルを1シンボル増大させた場合、他のシンボルを削減しなければならない。削減方法の具体例として、以下の(1)~(3)の3つを開示する。
【0714】
(1)ギャップシンボル数を削減する。
【0715】
(2)DLシンボル数を削減する。
【0716】
(3)前記(1),(2)の組合せ。
【0717】
前記(1)の場合、ギャップシンボル数を削減するので、データ用のシンボル数は維持できる。したがって、データの伝送速度の低減を抑制することが可能となる。データの伝送速度の低減を抑制したい場合に有効である。前記(2)の場合、DLシンボルを削減するので、ギャップシンボル数を維持できる。ギャップシンボル数は、セルカバレッジおよびUEの復調性能などから決定されるので、固定としておきたい場合が存在する。そのような場合に有効となる。前記(3)の場合、例えば、上りシンボルを2シンボル以上増大させるときに、データの伝送速度およびギャップシンボル数を一定程度確保することができる。
【0718】
また、セルおよびUEは、前記(1)~(3)を切り替えて用いてもよい。また、前記切り替えは、セルからUEにRRCシグナリングで通知してもよいし、MACシグナリングで通知してもよいし、L1/L2シグナリングで通知してもよい。これによって、例えば、UEがセル境界からセル近傍に移動し、伝搬時間が少なくなってギャップシンボル数を少なくしてもよくなった場合に、前記(2)から前記(1)に切り替えることによって、データの伝送速度を維持することが可能となる。
【0719】
図52は、ULシンボル数を1シンボル増大させ、Ack/NackとSRSとを時間分割多重した場合の一例を示す図である。図52において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。図52は、図49と類似しているので、主として異なる部分について説明し、共通する説明を省略する。
【0720】
Ack/Nackなどの上り制御信号とSRSとが同一サブフレームの最後のシンボルで衝突した場合、該サブフレームの最後から2番目のギャップが構成されていたシンボルをULシンボルとして構成する。SRSは、通常の設定から変更せずに、最後のシンボルにマッピングする。Ack/Nackは、ULシンボルとして構成して、該サブフレームの最後から2番目のシンボルにマッピングする。
【0721】
ギャップがULシンボルとして構成されるのは、Ack/NackとSRSとが衝突を生じたUEにスケジューリングされた周波数リソースに対してのみであってもよい。あるいは少なくとも1つのUEが、Ack/NackとSRSとが衝突を生じた場合に、全帯域にわたってギャップをULシンボルとして構成してもよい。
【0722】
このようにすることによって、Ack/NackとSRSとは異なるシンボルにマッピングされることになるので、UEは、Ack/NackとSRSとを同じサブフレームで送信することが可能となる。セルは、UEからのAck/NackとSRSとを同じサブフレームで受信することが可能となる。
【0723】
図53は、ULシンボル数を1シンボル増大させ、Ack/NackとSRSとを時間分割多重した場合の他の例を示す図である。図53において、横軸は時間tを示し、縦軸は周波数fを示している。図53は、図52と類似しているので、主として異なる部分について説明し、共通する説明を省略する。
【0724】
Ack/Nackなどの上り制御信号とSRSとが同一サブフレームの最後のシンボルで衝突した場合、該サブフレームの最後から2番目のギャップが構成されていたシンボルをULシンボルとして構成し、DLデータが構成されていた最後のシンボルをギャップとして構成する。言い換えると、ギャップ用の3シンボルは維持し、DLデータ用の最後の1シンボルを削減して、該サブフレームの最後から2番目のシンボルにULシンボルを1シンボル増大させる。
【0725】
このように構成されるのは、Ack/NackとSRSとが衝突を生じたUEにスケジューリングされた周波数リソースに対してのみであってもよい。あるいは少なくとも1つのUEがAck/NackとSRSとが衝突を生じた場合に、同一サブフレームの全UEに対してこのような構成としてもよい。
【0726】
このようにすることによって、Ack/NackとSRSとは異なるシンボルにマッピングされることになるので、UEは、Ack/NackとSRSとを同じサブフレームで送信することが可能となる。セルは、UEからのAck/NackとSRSとを同じサブフレームで受信することが可能となる。
【0727】
上り制御信号とSRSとをどのように時間分割多重するかを示す情報(以下「時分割多重に関する情報」という場合がある)を設けてもよい。時分割多重に関する情報の具体例として、以下の(1)~(8)の8つを開示する。
【0728】
(1)増大するULシンボル数。
【0729】
(2)各上り制御信号をマッピングするシンボル番号。
【0730】
(3)どの信号を無線リソースの変更をせずに送信、どの信号を増大したULリソースにアロケーションして送信するかの情報。
【0731】
(4)ギャップシンボル数を削減するか、DLシンボル数を削減するかを示す情報。
【0732】
(5)ギャップ削減後のギャップ数。
【0733】
(6)DLシンボル削減後のDLシンボル数。
【0734】
(7)増大するULシンボルのシンボル番号。
【0735】
(8)前記(1)~(7)の組合せ。
【0736】
時分割多重に関する情報を設定することによって、Ack/Nackなどの上り制御信号とSRSとが衝突した場合、上り制御信号とSRSとを時間分割多重することが可能となる。
【0737】
SRSを送信するシンボルと上り制御信号とを時分割多重する場合、SRSを送信するシンボルと上り制御信号の配置関係を示す情報を設けてもよい。例えば、SRS送信シンボルと上り制御信号がマッピングされるシンボルとを連続に配置するか否かの情報を設けてもよい。連続に配置する場合、無線リソースの変更を行う信号を無線リソースの変更を行わない信号に連続してマッピングする。連続に配置しない場合、無線リソースの変更を行わない信号をマッピングするシンボルを特定するための情報を通知する。
【0738】
セルはUEに対して該配置関係を示す情報を通知する。連続に配置するような場合、無線リソースの変更を行う信号がマッピングされるシンボルを、時分割多重に関する情報を用いなくても導出できることがある。このような場合、セルはUEに対して時分割多重に関する情報を通知する必要がなく、通知に必要な情報量の削減を可能となる。
【0739】
該配置関係を示す情報を、時分割多重に関する情報に含めてもよい。該配置関係を示す情報と時分割多重に関する情報を組合せて設定することで、上り制御信号とSRSとが時分割多重されるシンボルを柔軟に設定可能となる。
【0740】
時分割多重に関する情報は、予め規格などで静的に決めておいてもよい。eNBおよびUEともに該情報を認識することが可能となる。ノード間通知用のシグナリングが不要で、シグナリングの負荷を低減することができる。
【0741】
あるいは、時分割多重に関する情報をeNBが設定し、UEに通知してもよい。該情報をセル毎に設定してもよいし、UE個別に設定してもよい。eNBは、UEに、該情報をL1/L2制御情報に含めてL1/L2制御シグナリングで通知してもよい。該UEに対する他のスケジューリング情報とともに、該情報をL1/L2制御情報に含めてL1/L2制御シグナリングで通知してもよい。実施の形態3において開示した方法と同様の方法とするとよい。
【0742】
該情報をL1/L2制御シグナリングで通知することによって、早期に設定が可能となる。したがって、上り制御信号とSRSとの時間分割多重の方法を、例えば電波伝搬状況の時間変動、あるいはUEの速度変化に応じて、早期に対応することが可能となる。
【0743】
eNBは、UEに、該情報をMACシグナリングで通知してもよい。再送制御が適用されるので、受信誤り率を低減することができる。あるいは、RRCシグナリングで通知してもよい。セル毎に設定した場合、報知情報に含めて報知してもよい。あるいはUE毎にRRC個別シグナリングで通知してもよい。UE個別に設定した場合は、UE毎にRRC個別シグナリングで通知してもよい。RRCシグナリングで通知する場合、SRSの構成情報とともに通知してもよい。これによって、シグナリングの負荷を低減することができる。
【0744】
本変形例で開示した方法を用いることによって、NRにおいて、Ack/Nackなどの上り制御信号とSRSとが同一サブフレームで衝突した場合でも、UEは、どちらの信号も送信することが可能となる。したがって、セルは、予め定めるタイミングでAck/Nackなどの上り制御信号とSRSとを受信することが可能となる。Ack/Nackを予め定めるタイミングで受信することが可能となることによって、再送制御を遅延無く行うことが可能となる。また、SRSを予め定めるタイミングで受信することが可能となることによって、セルは、精度の高いプリコーディングを行うことが可能となる。
【0745】
また、実施の形態3で開示したように、通常のSRSに加えて、別途、周波数リソースを設定する必要がないので、必要とする周波数リソースを低減させることが可能となる。また、他のUE用の情報がスケジューリングされているリソースとの衝突を避けることが可能となるので、制御が複雑になることを回避することが可能となる。
【0746】
上り制御信号とSRSとが1サブフレーム内の最後の1シンボルで衝突する場合について開示したが、上り制御信号とSRSとを1サブフレーム内の他のシンボルにマッピングしてもよく、該他のシンボルで衝突した場合でも同様に、時分割多重を行うなどの本変形例で開示した方法を適用するとよい。このような場合でも、本変形例と同様の効果を得ることができる。
【0747】
上り制御信号とSRSとが1サブフレーム内で同じシンボルにマッピングされて衝突する場合について開示したが、上り制御信号とSRSとをそれぞれ異なるシンボル数のシンボルにマッピングしてもよく、そのような場合に一部のシンボルで衝突した場合でも同様に、衝突したシンボルにおいて時分割多重を行うなどの本変形例で開示した方法を適用するとよい。このような場合でも、本変形例と同様の効果を得ることができる。
【0748】
同一UEにおいて、同一サブフレームで異なる上り制御信号の送信が衝突する場合がある。同一サブフレームの1つあるいは一部のシンボルで異なる上り制御信号の送信が衝突した場合でも、本変形例で開示した方法を適宜適用するとよい。例えば、あるUEにおいて、Ack/Nackの送信とCQI/CSIの送信とが同一サブフレームの同一シンボルで衝突した場合、ULシンボルを増大し、該UEは、CQI/CSIを送信する無線リソースは変更せずに送信し、Ack/Nackを増大したULシンボルにアロケーションして送信する。
【0749】
このようにすることによって、仮に、同一サブフレームの1つあるいは一部のシンボルでAck/NackとCQI/CSIとが衝突した場合でも、UEは、同一サブフレームで両方の信号を送信することが可能となる。また、セルは、同一サブフレームで両方の信号を受信することが可能となる。また、CQI/CSIのシンボルをAck/Nackのシンボルより前に配置するようにした場合、自己完結型サブフレームにおいて、下りデータに対するAck/Nackの応答を同一サブフレーム内で送信することが可能となる。
【0750】
また、上り制御信号は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。1つの上り制御信号を、無線リソースを変更せずに送信し、2つの上り制御信号を増大したULシンボルにアロケーションして送信するとよい。前述の方法と同様の方法を適用するとよい。
【0751】
このようにすることによって、仮に、同一サブフレームの1つあるいは一部のシンボルで異なる上り制御信号が衝突した場合でも、UEは、同一サブフレームで両方の信号を送信することが可能となる。また、セルは、同一サブフレームで両方の信号を受信することが可能となる。
【0752】
セルは、UEからの情報を予め定めるサブフレームで受信することが可能となるので、適時にUEに対する制御を行うことが可能となる。例えば、Ack/Nackによる再送制御を遅延無く行うことが可能となる。また、例えば、CQI/CSIによる下りMIMOのためのプリコーディングを精度よく実行することが可能となる。あるいは、SRによる上りスケジューリング要求を早期に実行することによって、上り通信を早期に開始することが可能となる。
【0753】
前述に開示した方法では、Ack/Nackの上り制御信号とSRSとが衝突した場合、同一サブフレームのULシンボル数を増大させ、増大させたULリソースに上り制御信号をマッピングし、上り制御信号とSRSとを時間分割多重した。同一サブフレームに他のULシンボルが既存の場合の他の方法として、ULシンボル数を増大させずに、既存のULシンボルに上り制御信号をマッピングしてもよい。衝突しない場合に、既存のULシンボルにUL情報がマッピングされている場合、該UL情報を削減して、上り制御信号をマッピングするとよい。前記UL情報は、例えば、ULユーザデータであってもよい。このような場合でも、本変形例と同様の効果を得ることができる。
【0754】
このように、ULシンボル数を増大させずに既存のULシンボルを用いる場合、前述した時分割多重に関する情報の具体例において、「増大したULのシンボル」を「他のUL情報を削減するULシンボル」と読み替えればよい。他のUL情報がマッピングされていない場合も同様である。
【0755】
あるUEに対してSRSシンボルと上り制御信号とが衝突する場合、SRSのシンボルを前に移動させるとともに、該サブフレームによって送信する他のUEのSRSのシンボルも前に移動させてもよい。あるUEのSRS送信シンボルと、他のUEのSRS送信シンボルとを同じにしてもよい。セルは、他のUEに対して、SRSを上り制御信号のシンボル分前に移動することを通知する。この通知にはL1/L2制御シグナリングを用いるとよい。
【0756】
このような場合、UE毎に上り制御信号がマッピングされるシンボル数が異なると、UE個別に異なる上り制御信号のシンボル数を通知しなくてはならなくなり、制御が複雑になる。このような問題を解決するために、上り制御信号に用いられる最大シンボル数を通知するとしてもよい。たとえ上り制御信号用のシンボルが最大シンボルよりも少ないUEに対しても、上り制御信号用の最大シンボル数を通知する。このようにすることで、UEに対して同じ上り制御信号のシンボル数を通知すればよくなる。制御が複雑になるのを回避できる。
【0757】
他の方法として、上り制御信号がマッピングされるシンボル数をセル毎に設定してもよい。セルは、セル毎の上り制御信号がマッピングされるシンボルをRRCで、UEに通知する。このようにすることで、セルは、SRSを前に移動することだけを、L1/L2制御シグナリングでUEに通知すればよい。SRSを前に移動することを示す情報を設け、セルは該情報をUEに対して通知すればよい。何シンボル前に移動するかを通知する必要は無くなる。
【0758】
上り制御信号がマッピングされるシンボル数をセル毎に設定することを開示したが、セル毎ではなく、ニューメロロジー(numerology)毎に設定してもよい。あるいは、同じニューメロロジーが用いられる周波数帯域毎に設定してもよい。あるいは、同じニューメロロジーのUE毎に設定しても良い。
【0759】
ニューメロロジーとして、シンボル時間間隔、サブキャリアスペーシングなどが設定される。3GPPでは、同じセル内で異なるニューメロロジーの設定がなされることが提案されている。これらの設定が異なると、SRSのシンボルタイミングや周波数帯域が異なってしまう。このような場合、ニューメロロジー毎の設定とすることで、設定が複雑化するのを回避することができる。
【0760】
また、同じサービスのUE毎、同じタイプのUE毎、同じケーパビリティのUE毎にニューメロロジーの設定が行われるような場合にも、設定が複雑化するのを回避することができる。
【0761】
該SRS送信シンボルでSRSを送信しない他のUEに対しては、該SRS送信シンボルでSRSを送信しないことを設定してもよい。上りチャネルあるいは上り信号をスケジューリングされている他のUEに対しては、該SRS送信シンボルでSRSを送信しないことを、該SRS送信シンボルでSRSを送信するUEが、SRS送信を行うRBで設定してもよい。セルはそのような設定をL1/L2制御シグナリングでUEに通知するとよい。
【0762】
このようにすることで、SRS送信を行うUEへの干渉を低減することが可能となる。
【0763】
前述の時間分割多重に関する情報として、増大するULシンボルや他のUL情報を削減するULシンボルなどについての情報を開示したが、これらの情報はSRSを送信するシンボルについての情報である。
【0764】
eNBはUEに対して、該UEが送信するSRSに関する情報だけでなく、他のUEが同一サブフレームで送信するSRSに関する情報を通知してもよい。SRSに関する情報として、SRSを送信するシンボル、SRSを送信するRBの情報などがある。eNBは該情報を、L1/L2制御情報に含めて、L1/L2制御シグナリングでUEに通知してもよい。eNBは該情報を、該UEに対する他のスケジューリング情報とともにL1/L2制御情報に含めて、L1/L2制御シグナリングでUEに通知してもよい。
【0765】
eNBは、UEに対して、他のUEのSRS送信シンボルで、他のチャネルあるいは信号を送信しない場合、eNBは、該SRS送信シンボルで他のチャネルあるいは信号を送信しないことを設定し、その設定をUEに対して通知してもよい。あるいは、他のUEのSRS送信シンボルで他のチャネルあるいは信号を送信しないことをあらかじめ規格等で決めておき、UEは、他のUEのSRS送信シンボルで他のチャネルあるいは信号を送信しないようにしてもよい。
【0766】
このようにすることで、SRS送信を行うUEへの干渉を低減することが可能となる。
【0767】
SRSの設定をシンボル単位としたが、シンボルよりも短い時間間隔を採用してもよい。例えば、シンボルの1/2の単位でSRSを設定してもよい。
【0768】
SRSを送信するRBの情報などは、一つまたは複数のRB単位で設定してもよい。あるいは、RBではなく、サブキャリア情報を、一つまたは複数のサブキャリア単位で設定してもよい。
【0769】
eNBが、該UEが送信するSRSに関する情報、および/または、他のUEが送信するSRSに関する情報を、実施の形態2で開示したSRSのサブフレーム構成とともに、UEに通知してもよい。あるいは、eNBは、該UEが送信するSRSに関する情報、および/または、他のUEが送信するSRSに関する情報を、SRS送信を起動するための情報とともに、UEに通知してもよい。あるいは、eNBは、該UEが送信するSRSに関する情報、および/または、他のUEが送信するSRSに関する情報を、SRS送信を停止するための情報とともに、UEに通知してもよい。
【0770】
これらの情報は適宜組み合せてもよい。組み合わされた情報は、L1/L2制御情報に含められて、L1/L2制御シグナリングで、通知されてもよい。あるいは、組み合わされた情報は、該UEに対する他のスケジューリング情報とともにL1/L2制御情報に含められて、L1/L2制御シグナリングで、通知されてもよい。
【0771】
このようにすることで、UEに対してダイナミックに且つ柔軟にSRSの送信および停止を設定することが可能となる。セル内の各UEの能力および状況に応じた、SRSの送信が可能となる。
【0772】
実施の形態3 変形例2.
本変形例では、実施の形態3で開示した問題を解決する他の方法を開示する。
【0773】
SRSとAck/Nackとが衝突した場合、SRSを利用してAck/Nackを判別可能とする。通常のSRSに設定するシーケンス番号と異なるシーケンスのSRSを設け、Ackであるか、またはNackであるかに応じて、送信するSRSのシーケンス番号を異ならせる。
【0774】
あるUEにおいて、SRSの送信とAck/Nackの送信とが衝突した場合、例えば、AckおよびNackともに通常の自UEのSRSのシーケンスと異なるシーケンスを用いる。Ackの場合、自UEの送信するSRSのシーケンスと異なるシーケンスのSRSを送信する。Nackの場合、自UEの送信するSRSのシーケンスと異なり、かつAckの場合に送信するSRSのシーケンスと異なるシーケンスのSRSを送信する。
【0775】
セルは、SRSを受信し、どのシーケンスが使用されているかを認識することによって、Ackであるか、またはNackであるかを判別することが可能となる。また、SRSとして送信されるので、SRSとしての機能である上りサウンディング機能も有することになる。セルは、SRSを受信することによって、上りチャネル状態を取得することが可能となる。
【0776】
他の例として、Ackのみ通常の自UEのSRSのシーケンスと異なるシーケンスを用いる。Ackの場合、自UEの送信するSRSのシーケンスと異なるシーケンスのSRSを送信する。Nackの場合、自UEの送信するSRSと同じシーケンスのSRSを送信する。言い換えると、通常の自UEのSRSを送信する。
【0777】
セルは、SRSを受信し、どのシーケンスが使用されているかを認識することによって、Ackであるか、またはNackであるかを判別することが可能となる。Ack用のシーケンスが用いられている場合、Ackであることを認識することができる。通常のシーケンスが用いられている場合、Nackであることを認識することができる。この場合、前述の例に比べて、Nack用のシーケンスを設ける必要が無い。したがって、使用するシーケンスの数を減らすことが可能となる。
【0778】
前述の例では、SRSに設定するシーケンス番号を利用することを開示したが、他の方法として、CS(cyclic shift)を利用してもよい。通常のSRSに設定するCSと異なるCSのSRSを設け、Ackであるか、またはNackであるかに応じて、送信するSRSのCSを異ならせる。
【0779】
例えば、AckおよびNackともに通常の自UEのSRSのCSと異なるCSを用いる。Ackの場合、自UEの送信するSRSのCSと異なるCSのSRSを送信する。Nackの場合、自UEの送信するSRSのCSと異なる、かつAckの場合に送信するSRSのCSと異なるCSのSRSを送信する。セルは、SRSを受信し、どのCSが使用されているかを認識することによって、Ackであるか、またはNackであるかを判別することが可能となる。また、SRSとして送信されるので、SRSとしての機能である上りサウンディング機能も有することになる。セルは、SRSを受信することによって、上りチャネル状態を取得することが可能となる。
【0780】
他の例として、Ackのみ通常の自UEのSRSのCSと異なるCSを用いる。Ackの場合、自UEの送信するSRSのCSと異なるCSのSRSを送信する。Nackの場合、自UEの送信するSRSと同じCSのSRSを送信する。言い換えると、通常の自UEのSRSを送信する。セルは、SRSを受信し、どのCSが使用されているかを認識することによって、Ackであるか、またはNackであるかを判別することが可能となる。Ack用のCSが用いられている場合、Ackであることを認識することができる。通常のCSが用いられている場合、Nackであることを認識することができる。この場合、前述の例に比べて、Nack用のCSを設ける必要が無い。したがって、使用するCSの数を減らすことが可能となる。
【0781】
CSを用いた場合、異なるCS間では直交性があるので、自UEのAckあるいはNackを示すSRSと他のUEのSRSとが多重された場合に、セルにおけるAckあるいはNackの受信誤りを低減することが可能となる。
【0782】
前述の例では、SRSに設定するCSを利用することを開示したが、他の方法として、SRSの情報を変調してもよい。SRSとAck/Nackとが衝突した場合、Ackであるか、またはNackであるかに応じて、送信するSRSの情報を変調する。
【0783】
例えば、BPSK変調を行う。Ackの場合、自UEの送信するSRSの各ビットに「-1」を乗じる。Nackの場合、自UEの送信するSRSの各ビットに「1」を乗じる。このようにして変調を行ったSRSを、通常のリソースにマッピングして送信する。
【0784】
セルは、SRSを受信し、「-1」が乗じられているか、または「1」が乗じられているかを判断することによって、Ackであるか、またはNackであるかを判別することが可能となる。また、SRSとして送信されるので、SRSとしての機能である上りサウンディング機能も有することになる。セルは、SRSを受信することによって、上りチャネル状態を取得することが可能となる。
【0785】
本変形例で開示した、Ack/NackとSRSとの多重方法に関する情報を設けてもよい。該情報の具体例として、以下の(1)~(6)の6つを開示する。
【0786】
(1)Ackに用いるシーケンス。
【0787】
(2)Nackに用いるシーケンス。
【0788】
(3)Ackに用いるCS。
【0789】
(4)Nackに用いるCS。
【0790】
(5)SRS情報の変調方法。
【0791】
(6)どの多重方法にするかの情報。
【0792】
該情報を設定することによって、Ack/Nackなどの上り制御信号とSRSととが衝突した場合、上り制御信号とSRSとを多重することが可能となる。該情報の設定方法あるいはeNBからUEへの通知方法は、実施の形態3の変形例1で開示した時分割多重に関する情報の設定方法あるいはeNBからUEへの通知方法を適用するとよい。
【0793】
SRSに用いるシーケンスをセル毎に異ならせる場合がある。そのような場合、Ack/Nack用とするシーケンスを他のセルが使用する可能性が生じる。したがって、UE間の上り信号で干渉が生じる場合があるという問題がある。このような問題を解決する方法として、Ack/Nack用とするシーケンスをセル間で異ならせるとよい。セル間で異なったシーケンスを用いるので、UE間の上り信号の干渉を低減することができる。
【0794】
Ack/Nack用とするシーケンスをセル間で異ならせる方法として、予め規格などでセル毎に使用するシーケンスを決めておく方法がある。セル固有のIDを用いて導出可能なAck/Nack用のシーケンスとするとよい。
【0795】
あるいは、セルがAck/Nack用とするシーケンスを決定した場合、隣接するセルに該シーケンス番号を通知する。該シーケンス番号を受信したセルは、自セルでAck/Nack用とするシーケンスを決定する場合に、受信したシーケンス番号を除いて決定する。セル間でAck/Nack用とするシーケンス番号を通知することによって、セル間で同じシーケンスの使用を回避することができる。
【0796】
前述のシーケンス番号の決定は、CNノードが行ってもよい。セルは、CNノードに、シーケンス番号を通知してもよい。CNノードは、各セルに対し、Ack/Nack用シーケンスを通知してもよい。これによって、セル間のシーケンス番号の通知が不要になるので、セル間のシグナリングを削減することができる。
【0797】
セルがAck/Nackに異なるシーケンスを用いることを終了した場合、終了したシーケンス番号を隣接するセルに通知する。該シーケンス番号を受信したセルは、自セルでAck/Nack用とするシーケンスを決定する場合に、受信したシーケンス番号を含めて決定する。このように、セル間でAck/Nackへの使用を終了したシーケンス番号を通知することによって、シーケンスの使用効率を向上させることが可能となる。
【0798】
本変形例で開示した方法を用いることによって、NRにおいて、Ack/NackなどとSRSとが同一サブフレームで衝突した場合でも、どちらの信号も送信することが可能となる。したがって、セルは、予め定めるタイミングでAck/NackとSRSとを受信することが可能となる。Ack/Nackを予め定めるタイミングで受信することが可能となることによって、再送制御を遅延無く行うことが可能となる。また、SRSを予め定めるタイミングで受信することが可能となることによって、セルは、精度の高いプリコーディングを行うことが可能となる。
【0799】
また、SRSに用いられる無線リソースとは別に、周波数リソースおよび時間リソースを設定する必要がないので、送信可能な情報が削減されるということが無くなる。また、周波数リソースおよび時間リソースが限られているような場合でも、SRSと上り制御信号とを、同じ無線リソースを用いて送信することができる。したがって、無線リソースの使用効率を増加させ、伝送速度および伝送容量の低減を抑制することが可能となる。
【0800】
あるUEのAck/NackとSRSとが衝突する場合について開示したが、SRとSRSとが衝突する場合にも、本変形例で開示した方法を適用するとよい。SRをAck/Nackに対応させて適用するとよい。例えば、SR有りをAckに、SR無しをNackに対応させるとよい。
【0801】
NRにおいて、SRとSRSとが衝突した場合でも、どちらの信号も送信することが可能となる。したがって、セルは、予め定めるタイミングでSRとSRSとを受信することが可能となる。SRを予め定めるタイミングで受信することが可能となることによって、上り信号の送信を早期に開始することが可能となる。また、SRSを予め定めるタイミングで受信することが可能となることによって、セルは、精度の高いプリコーディングを行うことが可能となる。
【0802】
実施の形態3 変形例3.
本変形例では、実施の形態3で開示した問題を解決する他の方法を開示する。
【0803】
あるUEにおいて、SRSと上り制御信号とが衝突した場合、どれを優先して送信するか、優先順位を設ける。例えば、Ack/Nackを優先する、あるいは、SRSを優先する、などである。優先順位の設け方として、他にも、例えば、優先順位の値の小さい順に優先順位が高いとし、Ack/Nackの優先順位を1番、CQI/CSIの優先順位を2番、SRSの優先順位を3番とするなどである。
【0804】
優先順位の決定方法を開示する。例えば、優先順位を予め規格などで静的に決定しておくとよい。UEは、決められた優先順位に従って、SRSあるいは上り制御信号を送信する。例えば、Ack/Nackの優先順位を1番、CQI/CSIの優先順位を2番、SRSの優先順位を3番と規格で決めておく。Ack/Nackの優先順位を高くすることによって、Ack/Nackを遅らすことなく、早期に送信することが可能となるので、再送までの遅延時間を短縮することが可能となる。
【0805】
他の例として、Ack/Nackの優先順位を1番、SRSの優先順位を2番、CQI/CSIの優先順位を3番、と規格で決めておく。CQI/CSIよりもSRSの優先順位を高くすることによって、セルは、下りチャネルの状況の変動を遅延無く評価することが可能となる。上りチャネルの状況の変動よりも、下りチャネルの状況の変動を優先する場合に有効である。
【0806】
他の例として、SRSの優先順位を1番、Ack/Nackの優先順位を2番、CQI/CSIの優先順位を3番と規格で決めておく。SRSの優先順位を高くし、SRSを優先することによって、上りチャネルの状況の変動を遅延無く評価することが可能となる。TDDにおいて、下りチャネルの状況の変動を上りチャネルの状況の変動で評価するような場合に有効である。
【0807】
設定された優先順位に従って、どの信号が送信されるかが決まった場合、その他の信号を送信しない、とする。具体的には、その他の信号を破棄する。その他の信号を破棄することによって、シグナリングの負荷の低減を図ることが可能となり、制御の複雑化を避けることが可能となる。
【0808】
他の方法として、設定された優先順位に従って、どの信号が送信されるかが決まった場合、その他の信号を、衝突したサブフレームよりも後のサブフレームで送信するとしてもよい。SRSおよび上り制御信号の一部あるいは全部を、衝突したサブフレームよりも後のサブフレームで送信するとしてもよい。これらの設定は、信号毎に設定してもよい。
【0809】
例えば、SRS、CQI/CSIは、衝突したサブフレームで送信しないと決定された場合、それ以降のサブフレームでも送信しない。例えば、Ack/Nack、SRは、衝突したサブフレームで送信しないと決定された場合、それ以降のサブフレームでも送信する、としてもよい。
【0810】
SRS、CQI/CSIは、それまでの無線チャネルの状況を測定、あるいは認識するために送信されるものであるので、以降のサブフレームで送信されないとしても、新たに送信することが可能である。他方、Ack/Nackは、以降のサブフレームで送信されない場合、再送制御において若干の遅延が生じてしまう。また、SRは、以降のサブフレームで送信されない場合、再度SRの送信タイミングを待たなければならず、上り信号の送信開始に遅延が生じてしまう。
【0811】
前述のように、信号の種類に応じて、衝突したサブフレームよりも後のサブフレームで送信するか否かを設定することによって、信号の種類の特性に応じた設定が可能となる。
【0812】
他の方法として、優先度決定のアルゴリズムを予め規格などで静的に決定しておいてもよい。UEは、決められたアルゴリズムによって決定した優先度に従って、SRSあるいは上り制御信号を送信する。例えば、n回前からのSRSの送信回数から、次のSRSの優先確率を導出し、送信の有無を決定する閾値αと比較して、送信するか否かを決定する方法とするとよい。例えば、優先確率が閾値α以上の場合は送信し、優先確率が閾値よりも大きい場合は送信しない、とする。優先度決定のアルゴリズムに用いるパラメータを予め規格などで静的に決定しておくとよい。前述のアルゴリズムの例におけるパラメータは、nとαである。
【0813】
簡単な具体例を開示する。前述のアルゴリズムにおけるパラメータを、予め規格でn=1、α=0.5と決めておく。1回前からのSRSの送信の積算回数から、優先確率xを導出する。1回前にSRSを送信しない場合、優先確率xは、x=0/1=0となる。この優先確率xを閾値α=0.5と比較すると、x<αとなるので、次のSRSは送信する、と決定される。1回前にSRSを送信した場合、優先確率xは、x=1/1=1となる。この優先確率xを閾値α=0.5と比較すると、x≧αとなるので、次のSRSは送信しない、と決定される。
【0814】
上り制御信号の各々について閾値を設けてもよい。SRSだけでなく、上り制御信号についても決定するとよい。また、各SRSだけでなく、上り制御信号も含めて優先順位が決定されるように、優先確率を導出し、閾値を決定してもよい。また、各SRS、上り制御信号の優先確率の比較によって、次に送信する信号を決定してもよい。このようにすることによって、n回前の送信状況に応じて、次に送信する信号を決定することが可能となる。
【0815】
優先度決定のアルゴリズムおよびパラメータを予め規格などで静的に決定しておくことを開示したが、パラメータについては、eNBが設定し、UEに通知してもよい。通知方法としては、報知情報に含めて報知する。この場合、該パラメータは、セル毎に設定され、セルの傘下のUEに通知される。あるいは、RRC個別シグナリングで通知してもよい。該パラメータは、セル毎に設定されUE個別に通知される。あるいは、UE毎に設定されてもよい。UE毎に設定され、UE個別に通知される。
【0816】
該パラメータを通知されたUEは、優先順位決定のアルゴリズムに該パラメータを用いて優先順位を決定する。
【0817】
このようにすることによって、セルの状況、例えば負荷状況およびMIMOの適用状況などに応じて、パラメータを変更することが可能となり、セルの状況に適した設定が可能となる。
【0818】
このように、予め規格などで静的に決めておくことによって、上り制御信号とSRSとが衝突した場合に、どれが優先されるかを、セルおよびUEともに認識することが可能となる。したがって、システムとしての誤動作を低減させることが可能となる。また、セルとUEとの間、あるいはeNB間での優先順位の通知を不要とするので、シグナリングの負荷の削減を図ることができる。
【0819】
優先順位の決定方法として、優先順位を予め規格などで静的に決定しておくことを開示したが、準静的あるいは動的に決定してもよい。
【0820】
優先順位を決定するための判断指標の具体例として、以下の(1)~(9)の9つを開示する。
【0821】
(1)自己完結型サブフレームか否か。
【0822】
(2)SRSを用いて下りMIMOのプリコーディングを行っているかどうか。
【0823】
(3)UEのチャネル品質情報。
【0824】
(4)UEの移動速度。
【0825】
(5)UEの加速度(速度変化)。
【0826】
(6)UEの回転速度。
【0827】
(7)UEの回転加速度。
【0828】
(8)UEの多重数。
【0829】
(9)前記(1)~(8)の組合せ。
【0830】
前記(1)の自己完結型サブフレームか否かを判断指標とする場合、例えば、自己完結型サブフレームであるときは、Ack/Nackを優先する。具体的には、Ack/Nackの優先順位を1番にする。自己完結型サブフレームでないときは、他の上り制御信号あるいはSRSを優先する。例えば、SRSの優先順位を1番にする。自己完結型サブフレームの場合、Ack/Nackを早期に送信することが可能であるので、Ack/Nackが設定された場合、Ack/Nackを優先することによって、再送処理の低遅延化を図ることが可能となる。
【0831】
前記(2)のSRSを用いて下りMIMOのプリコーディングを行っているか否かを判断指標とする場合、例えば、SRSを用いて下りMIMOのプリコーディングを行っている場合、SRSを優先する。具体的には、SRSの優先順位を1番にする。SRSを用いて下りMIMOのプリコーディングを行っていない場合、SRSを優先しないで、他の上り制御信号を優先する。SRSを用いて下りMIMOのプリコーディングを行っている場合、SRSを優先させることによって、セルは、予め定めるタイミングでSRSを受信することが可能となり、下りMIMOのプリコーディングウェイトの導出に反映させることが可能となる。したがって、プリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0832】
前記(3)のUEのチャネル品質情報を判断指標とする場合、例えば、チャネル品質が悪い場合、SRSを優先する。具体的には、SRSの優先順位を1番にする。チャネル品質が良い場合、SRSを優先しないで、他の上り制御信号を優先する。チャネル品質が悪い場合、SRSを優先させることによって、セルは、予め定めるタイミングでSRSを受信することが可能となり、下りMIMOのプリコーディングウェイトの導出に反映させることが可能となる。したがって、プリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0833】
前記(4)のUEの移動速度を判断指標とする場合、例えば、移動速度が速い場合、SRSを優先する。具体的には、SRSの優先順位を1番にする。移動速度が遅い場合、SRSを優先しないで、他の上り制御信号を優先する。移動速度が速い場合、SRSを優先させることによって、セルは、予め定めるタイミングでSRSを受信することが可能となり、UEの移動速度によるドップラ周波数の影響を小さくすることが可能となる。したがって、SRSの精度を向上させることができ、プリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0834】
前記(5)のUEの加速度(速度変化)を判断指標とする場合、例えば、加速度が大きい場合、SRSを優先する。具体的には、SRSの優先順位を1番にする。加速度が小さい場合、SRSを優先しないで、他の上り制御信号を優先する。加速度が大きい場合、SRSを優先させることによって、セルは、予め定めるタイミングでSRSを受信することが可能となり、UEの移動速度の変化を早期に反映させることが可能となる。したがって、プリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0835】
前記(6)のUEの回転速度を判断指標とする場合、例えば、回転速度が大きい場合、SRSを優先する。具体的には、SRSの優先順位を1番にする。回転速度が小さい場合、SRSを優先しないで、他の上り制御信号を優先する。回転速度が大きい場合、SRSを優先させることによって、セルは、予め定めるタイミングでSRSを受信することが可能となり、UEの回転を早期に反映させることが可能となる。したがって、プリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0836】
前記(7)のUEの回転加速度(回転速度変化)を判断指標とする場合、例えば、回転加速度が大きい場合、SRSを優先する。具体的には、SRSの優先順位を1番とする。回転加速度が小さい場合、SRSを優先しないで、他の上り制御信号を優先する。回転加速度が大きい場合、SRSを優先させることによって、セルは、予め定めるタイミングでSRSを受信することが可能となり、UEの回転速度の変化を早期に反映させることが可能となる。したがって、プリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0837】
前記(8)のUEの多重数を判断指標とする場合、例えば、UEの多重数が多い場合、SRSを優先する。具体的には、SRSの優先順位を1番とする。多重数が少ない場合、SRSを優先しないで、他の上り制御信号を優先する。MIMOにおけるUEの多重数が大きい場合、SRSを優先させることによって、セルは、予め定めるタイミングでSRSを受信することが可能となり、UE毎のSRSの精度を向上させることが可能となる。したがって、UEの多重数が多い場合でも、精度の高いプリコーディングウェイトの導出が可能となり、プリコーディング性能を向上させることが可能となる。
【0838】
優先順位の決定方法について開示する。UEが優先順位を決定する。UEが優先順位を決定する場合、eNBは、SRSと上り制御信号とが衝突した場合に、何が送信されるかを知らない。このような場合、eNBは、全種類で復調を行うとよい。復調に時間がかかるが、いずれかの信号を復調することが可能となる。
【0839】
他の方法として、UEが決定した優先順位をeNBに通知してもよい。通知方法として、RRCシグナリング、MACシグナリング、L1/L2制御シグナリングを用いるとよい。このようにすることによって、eNBは、UEが決定した優先順位に従って、予め定める信号として復調することが可能となる。UEが優先順位を決定するための判断指標として、前述の判断指標を適宜適用してもよい。例えば、自UEで評価可能な、前記(3)から前記(7)を適用するとよい。あるいは、UEは、自己完結型サブフレームか否かをスケジューリング情報によって認識することが可能な場合、前記(1)を適用してもよい。
【0840】
また、他の方法として、判断のための閾値(以下「判断閾値」という場合がある)を設けてもよい。eNBは、判断閾値をUEに通知するとよい。例えば、UEの移動速度の判断のための閾値などである。前述に開示した判断指標に対して、判断のための閾値を適宜設けるとよい。UEは、受信した判断閾値に従って、優先順位を判断する。例えば、UEの移動速度が判断閾値以上である場合は、SRSを優先する。UEの移動速度が判断閾値よりも小さい場合は、SRSを優先しないで、他の上り制御信号を優先する。このようにすることによって、eNBが、どの信号を優先するかを、ある程度制御することが可能となる。
【0841】
優先順位の決定方法について他の方法を開示する。eNBが優先順位を決定する。eNBが優先順位を決定する場合、eNBが前述の優先順位の判断指標を取得する。eNBが評価してもよいし、UEが評価してeNBに通知してもよい。判断指標に応じて、eNBが評価するか、またはUEが評価するかを設定するとよい。UEが評価してeNBに通知する方法として、実施の形態2で開示した方法を適用するとよい。
【0842】
eNBは、UEに優先順位を通知する。eNBが優先順位を決定する場合、UEは優先順位を知らない。したがって、eNBからUEに優先順位を通知することによって、UEは優先順位を認識することができ、eNBとUEとの間で、同じ優先順位を設定することが可能となる。
【0843】
eNBからUEに優先順位を通知する方法を開示する。eNBは、セル毎の優先順位を決定する。eNBは、決定した優先順位を報知情報に含めて報知する。
【0844】
他の方法として、eNBは、UE毎の優先順位を決定する。eNBは、決定した優先順位をUE個別のシグナリングで通知する。例えば、RRC個別シグナリングに含めて通知する。あるいは、MAC CEに含めて、MACシグナリングで通知してもよい。これによって、RRCシグナリングと同様にHARQが適用されるので、低い誤り率で、RRCシグナリングよりも早期に設定することができる。あるいは、L1/L2制御信号に含めて、L1/L2制御シグナリングで通知してもよい。これによって、MACシグナリングよりも早期に設定することが可能となる。
【0845】
このような方法を用いることによって、判断指標の例で示したように、フレーム構成の状況、下りMIMOにおけるUEの多重数およびUEの状態などによって、柔軟に優先順位を設定することが可能となる。このような状況の時間的変動に応じて、準静的あるいは静的に優先順位を設定することが可能となり、状況の時間的変動に応じて、再送の遅延時間の低減およびプリコーディング性能の向上を図ることが可能となる。
【0846】
また、優先順位を設定することによって、実施の形態3、実施の形態3の変形例1のように、新たな周波数リソースおよび他の情報のためのシンボルを用いる必要がない。したがって、無線リソースの使用効率の増大、および伝送速度の向上が可能となる。また、実施の形態3の変形例2のように、必要となるシーケンスの数およびCSの数の増大も抑制することができる。これによって、多数のセルおよび多数のUEの運用が可能となる。
【0847】
本変形例で開示した方法は、実施の形態3、実施の形態3の変形例1および実施の形態3の変形例2を使用できない場合に、用いてもよい。eNBは、セルの無線リソースの使用状況、ならびにシーケンスおよびCSの使用状況から、実施の形態3、実施の形態3の変形例1および実施の形態3の変形例2を使用できるか否かを判断し、使用できない場合に、実施の形態3の変形例3を適用すると判断してもよい。
【0848】
例えば、時間分割多重できる場合は時間分割多重の方法を実施し、時間分割多重できない場合は優先順位に従う方法を実施する。UEは、設定された優先順位に従い上り制御信号あるいはSRSのどちらかを送信しない。また、例えば、周波数分割多重できる場合は周波数分割多重の方法を実施し、周波数分割多重できない場合は優先順位に従う方法を実施する。UEは、設定された優先順位に従い上り制御信号あるいはSRSのどちらかを送信しない。
【0849】
これに限らず、時間分割多重できる場合は時間分割多重の方法を実施し、時間分割多重ができない場合は周波数分割多重の方法を実施してもよい。あるいは、周波数分割多重できる場合は周波数分割多重の方法を実施し、周波数分割多重できない場合は周波数分割多重の方法を実施してもよい。
【0850】
eNBはUEに衝突回避方法を準静的に通知してもよい。RRCシグナリングを用いるとよい。あるいは、eNBはUEに衝突回避方法を動的に通知してもよい。L1/L2制御シグナリング、あるいは、MACシグナリングを用いるとよい。衝突回避方法を、SRSのサブフレーム構成を設定する際に、あるいは、上り制御信号構成を設定する際に、設定してもよい。
【0851】
eNBが実施の形態3の変形例3を適用すると判断した場合に、優先順位を決定して、UEに通知してもよい。これによって、UEは、優先順位に従って行うことが設定されたと判断してもよい。UEは、受信した優先順位に従って送信を行う。このようにすることによって、eNBは、セルの状況に応じて、本変形例を適用することが可能となる。
【0852】
判断指標の具体例(1)~(10)を以下に示す。
【0853】
(1)1サブフレーム内ULのシンボル数。
【0854】
(2)1サブフレーム内DLのシンボル数。
【0855】
(3)1サブフレーム内Gapのシンボル数。
【0856】
(4)SRS送信用RB数。
【0857】
(5)SRS送信に用いられないRB数。
【0858】
(6)システム帯域。
【0859】
(7)上り制御信号に必要なシンボル数。
【0860】
(8)SRSに必要なシンボル数。
【0861】
(9)SRSの周期。
【0862】
(10)(1)から(9)の組合せ。
【0863】
例えば、1サブフレーム内のULのシンボル数が所定のシンボル数よりも少ない場合、時分割多重できないと判断する。例えば、上り制御信号に必要なシンボル数が所定のシンボル数よりも多い場合、時分割多重できないと判断する。例えば、SRS送信用RB数が所定のRB数よりも多い場合、周波数分割多重できないと判断する。所定の値は、あらかじめ決めておくと良い。あるいは、所定の値をeNBがUEに通知してもよい。所定の値は、衝突回避方法の組合せの設定方法とともに通知してもよい。
【0864】
前述ではeNBが判断主体である例を示したが、判断主体はUEであってもよい。UEが判断指標を取得し判断を行うとよい。
【0865】
実施の形態3、実施の形態3の変形例1、実施の形態3の変形例2および実施の形態3の変形例3で開示した方法は、適宜組み合わせて用いてもよい。このような場合でも、本変形例と同様の効果を得ることができる。
【0866】
また、実施の形態3、実施の形態3の変形例1、実施の形態3の変形例2および実施の形態3の変形例3で開示した方法のどれを適用するかを選択して、設定可能としてもよい。また、変更可能としてもよい。
【0867】
実施の形態3、実施の形態3の変形例1、実施の形態3の変形例2、実施の形態3の変形例3のどの方法を選択するかを示す情報を設けてもよい。eNBは、どの方法を適用するかを選択して、該情報をUEに通知するとよい。該情報の通知方法は、実施の形態3の変形例3で開示した方法を適用するとよい。このようにすることによって、eNBは、セルの状況、電波伝搬状況、およびUEの状況に応じて、上記方法を選択することが可能となる。
【0868】
各衝突回避方法に識別子を付与し、該識別子をUEに通知してもよい。シグナリング情報量を削減可能となる。
【0869】
実施の形態4.
3GPPでは、NRの技術として、UEからの上り信号をNW側で測定することが提案されている(3GPP R1-167200(以下「参考文献7」という)、3GPP R1-166393(以下「参考文献8」という)、3GPP R1-166387(以下「参考文献9」という)、および3GPP R1-165213(以下「参考文献10」という)参照)。NRでは、NW側の装置あるいはノードとして、TRP(transmission reception point)あるいはDU(distributed unit)(3GPP R3-161013(以下「参考文献11」という)参照)などが提案されており、それらが上り信号を受信して測定することが提案されている。
【0870】
UEは、1つのTRP(サービングTRPと称する)との間で送受信を行っているが、測定用の上り信号については、UEからの送信を複数のTRPが受信する。図54は、eNBが複数のTRPを用いて構成される場合のUEからの上り信号について説明するための図である。
【0871】
TRP1 5101、TRP2 5102、TRP3 5103、TRP4 5104、およびTRP5 5105は、各々、eNB5106に接続され、少なくとも送受信機能を有する。各TRP5101~5105の送受信タイミングは、同期させておく。UE1 5107は、TRP3 5103と通信を行っている。TRP3 5103がUE1 5107のサービングTRPとなる。UE1 5107は、サービングTRP 5103との間で送受信を行うので、その上り信号のタイミングは、サービングTRP 5103との間で、予め設定されたTA(timing advance)(参考文献4参照)に従うことになる。
【0872】
UE1 5107が、サービングTRP 5103との間で設定されたTAを用いて送信した上り信号を、他のTRP、具体的にはTRP1 5101、TRP2 5102、TRP4 5104、TRP5 5105が受信する場合、他のTRPでの受信タイミングがずれてしまうことになる。
【0873】
これは、UE1 5107と各TRP5101~5105との間の距離および電波伝搬環境などが異なることによって、UE1 5107とサービングTRP 5103との間の電波伝搬時間と、UE1 5107と他のTRP5101,5102,5104,5105との間の電波伝搬時間とが異なるためである。したがって、UE1 5107がサービングTRP 5103との間で設定されたTAを用いて送信した測定用上り信号を、他のTRPは受信できなくなる場合が発生する。
【0874】
図55は、UE1から送信された上り信号のTRPでの受信タイミングを説明するための図である。図55では、TRP3がサービングTRPの場合を示している。図55では、TDDの場合を示している。図55では、1サブフレームについて示しており、該サブフレームは、下り信号(DL)と、送受信の無いギャップ(Gap)と、上り信号(UL)とによって構成される。図55では、TRPにおける上り信号の受信期間をRwで示している。また、上り信号の期間をTwで示しており、ここではTw=Rwとしている。
【0875】
UE1からTRP1への電波伝搬時間をT1、UE1からTRP2への電波伝搬時間をT2、UE1からTRP3への電波伝搬時間をT3、UE1からTRP4への電波伝搬時間をT4、UE1からTRP5への電波伝搬時間をT5としている。各電波伝搬時間T1,T2,T3,T4,T5は、UE1が上り信号を送信してから各TRPに到達するまでの時間を示している。TA3は、UE1に対して、サービングTRPとの間で設定されたTAである。TA3は、UE1からTRP3への電波伝搬時間T3の2倍に設定される。
【0876】
UE1は、下り受信タイミングから、サービングTRPとの間で予め設定されたTA3だけ早期のタイミングで、上り信号を送信する。このようにすることによって、TRP3は、上り信号の受信タイミングに合わせて、UE1からの上り信号を受信することが可能となる。
【0877】
UE1とTRP1あるいはTRP2との電波伝搬時間は、UE1とTRP3との電波伝搬時間よりも短い。
【0878】
したがって、UE1からの上り信号のTRP1での到達タイミングは、上り信号の受信タイミングよりも早まってしまうことになる。図55の例では、T3-T1だけ早まることになる。
【0879】
同様に、UE1からの上り信号のTRP2での到達タイミングも、上り信号の受信タイミングよりも早まってしまうことになる。図55の例では、T3-T2だけ早まることになる。T2はUE1からTRP2への電波伝搬時間である。
【0880】
他方、UE1とTRP4あるいはTRP5との電波伝搬時間は、UE1とTRP3との電波伝搬時間よりも長い。
【0881】
したがって、UE1からの上り信号のTRP4での到達タイミングは、上り信号の受信タイミングよりも遅れてしまうことになる。図55の例では、T4-T3だけ遅れることになる。
【0882】
同様に、UE1からの上り信号のTRP5での受信タイミングも、上り信号の到達タイミングよりも遅れてしまうことになる。図55の例では、T5-T3だけ遅れることになる。
【0883】
このように、各TRPでの上り信号受信タイミングよりも、UE1からの上り信号の到達タイミングが早まったり遅れたりした場合、各TRPでの上り信号受信期間Rwに入らず、実際に上り信号を受信する期間が短くなってしまう。これによって、該上り信号を正しく復調できなくなってしまう場合が生じる。
【0884】
したがって、NRで提案されている測定用の上り信号のように、UEからの測定用上り信号を、サービングTRPだけでなく他のTRPが測定するような場合、他のTRPでは、該測定用上り信号を正しく受信および復調できなくなってしまうという問題が生じる。
【0885】
本実施の形態では、このような問題を解決する方法を開示する。
【0886】
TAに調整値((アジャスト(Adjust)値)を設ける。サービングTRPだけでなく、周辺TRPで受信可能とする上り信号、例えば測定用上り信号を送信するUEに対するTAに調整値を設けてもよい。調整値をαとする。UEは、サービングTRPとの間で設定されたTAに対して、上り送信タイミングを調整値αだけ遅らせる。UEは、調整値を含むTAとしてTA-αを設定するとしてもよい。
【0887】
TDDのように、eNBあるいはUEにおける送受信切替期間であるオフセット値がある場合、該オフセット値も含めてもよい。オフセット値をTAoffとすると、調整値を含むTAとして、TA+TAoff-αを設定するとよい。
【0888】
例えば、従来、参考文献4(8章)に示されるように、UEは、下り受信タイミングに対して、(NTA+NTAoffset)×TS秒早期に上り送信タイミングを設定する。ここで、NTAは、TS単位で設定されたTAの値を示す。NTAoffsetは、TS単位で設定されたTAoffの値を示す。TAoffは、予め規格で固定値が設定されている。これに対し、本実施の形態では、UEは、下り受信タイミングに対して、(NTA+NTAoffset-α)×TS秒早期に上り送信タイミングを設定するとよい。αは、TS単位で設定された調整値を示す。
【0889】
このように、UEの上り送信タイミングの設定において、調整値αを設けることによって、サービングTRPおよび他のTRPにおいて、UEから送信された上り信号を実際に受信する期間、具体的には上り信号が上り信号受信期間Rwの中に入る期間を調整することが可能となる。調整値αを適切な値に設定することによって、サービングTRPだけでなく他のTRPでも、UEから送信された上り信号を受信可能とすることができる。調整値を別途設けずに、TAを、従来のTAに調整値を含めた値にしてもよい。このような場合でも、同様の効果を得ることができる。
【0890】
図56は、調整値αを設けた場合のUE1から送信された上り信号のTRPでの受信タイミングを説明するための図である。図56では、TRP3がサービングセルの場合を示している。図56では、TDDの場合を示している。図56は、図55と類似しているので、主として異なる部分について説明する。図56では、図55と異なり、TA1を0としている。すなわち、T1=0としている。これは、TRP1とUE1との距離が最も短くなる場合を想定している。
【0891】
UE1は、サービングTRPとの間で予めTAが設定される。さらに、UE1は、サービングTRP、および周辺TRP、ここでは、TRP1からTRP5との電波伝搬時間を考慮して調整値αが設定される。UE1は、下り受信タイミングから、設定されたTA3と調整値αとを用いて、TA3-αだけ早期のタイミングで、上り信号を送信する。TA3は、UE1からTRP3への電波伝搬時間T3の2倍と設定される。さらに、TAoffをTA3に含ませてもよい。TA3=2×T3+TAoffとしてもよい。
【0892】
このようにした場合、TRP3における、UE1からの上り信号到達タイミングは、上り信号の受信タイミングよりも調整値αだけ遅れることになる。
【0893】
他方、UE1からの上り信号のTRP1での到達タイミングは、上り信号の受信タイミングよりもT3-T1だけ早まることになる。しかし、従来のTA3のみの場合の到達タイミングよりも調整値αだけ遅れることになる。したがって、UE1からの上り信号をTRP1で受信可能となる期間は、調整値αだけ増大する。
【0894】
同様に、UE1からの上り信号のTRP2での到達タイミングも、上り信号の受信タイミングよりもT3-T2だけ早まることになる。しかし、従来のTA3のみの場合の到達タイミングよりも調整値αだけ遅れることになるので、UE1からの上り信号をTRP2で受信可能となる期間は、調整値αだけ増大する。
【0895】
UE1からの上り信号のTRP4での到達タイミングは、上り信号の受信タイミングよりもT4-T3だけ遅れることになる。さらに、従来のTA3のみの場合の到達タイミングよりも調整値αだけ遅れることになるので、UE1からの上り信号をTRP4で受信可能となる期間は、調整値αだけ減少する。
【0896】
同様に、UE1からの上り信号のTRP5での到達タイミングも、上り信号の受信タイミングよりもT5-T3だけ遅れることになる。さらに、従来のTA3のみの場合の到達タイミングよりも調整値αだけ遅れることになるので、UE1からの上り信号をTRP4で受信可能となる期間は、調整値αだけ減少する。
【0897】
このように、UEに対して調整値αを設定することによって、周辺TRPにおけるUEからの上り信号の到達タイミングを調整することが可能となる。周辺TRPにおけるUEの上り信号の実際の受信期間を調整することが可能となる。したがって、適切な調整値αを設けることによって、サービングTRPだけでなく周辺TRPでも、UEから送信された上り信号を受信および復調可能とすることができる。
【0898】
調整値αの導出例を開示する。UEに対する調整値αを、UEに対する周辺TRPのTAを用いて導出するとよい。サービングTRPおよび周辺TRPのTAを用いた導出例を開示する。ここでは、Tw=Rwとする。UEのサービングTRPをTRP3とする。最も近いTRPでの、UEからの上り信号受信可能期間をaとすると、a=Tw-(T3-α-min(Tj))となる。最も遠いTRPでの、UEからの上り信号受信可能期間をbとすると、b=Tw-(max(Tj)-T3+α)の間の信号の受信が可能となる。ここで、jはTRP番号を示す。Tj=TAj/2である。
【0899】
最も近いTRPでの、UEからの上り信号受信可能期間と、最も遠いTRPでの、UEからの上り信号受信可能期間とを等しくなるように設定する。α=T3-(max(Tj)+min(Tj))/2とするとよい。この場合、a=b=Tw-(max(Tj)-min(Tj))/2となる。
【0900】
図57は、上り信号の構成例を示す図である。上り信号は、シーケンス等の信号とCP(Cyclic Prefix)とからなる。上り信号受信可能期間aを、少なくとも上り信号のうち、シーケンス等の信号が送信される期間(Tw-CP期間)とする。CPが存在するので、上り信号受信可能期間は、Tw内のどの期間をとってもよい。
【0901】
a=Tw-CPとするには、CP=(max(Tj)-min(Tj))/2となるように、CPを設定するとよい。UEからの上り信号を受信可能とさせるTRPまでの距離に応じてCP長を設定するとよい。a=bと設定されているので、UEから最も遠いTRPでの上り信号受信可能期間もTw-CPとなる。このようにすることによって、UEから最も近いTRPと最も遠いTRPとで、少なくとも上り信号内のシーケンス等データの期間の受信は可能となる。
【0902】
上り信号の期間が固定である場合、上記CPに設定する場合、Tw-CPとの比を変えることによって、上り信号の期間を一定に保つようにすればよい。
【0903】
上記CPを、周辺のTRPで受信可能にさせたい上り信号に対して設定するようにしてもよい。あるいは、周辺のTRPで受信可能にさせたい上り信号が含まれるシンボルに対して設定するようにしてもよい。このようにすることによって、UEからの該上り信号をサービングTRPおよび周辺TRPで受信可能になる。
【0904】
周辺のTRPで受信可能にさせたい上り信号が含まれる送信単位、例えば、スロット、あるいはサブフレームの各シンボルに対して設定されるようにしてもよい。周辺のTRPで受信可能にさせたい上り信号に、連続して送信される上り信号が存在する場合に有効である。
【0905】
a=Tw-CPとする他の方法として、CP=(max(Tj)-min(Tj))/2となるように、Tjを設定してもよい。CP長に応じて、UEからの上り信号を受信可能にするTRPを設定する。CP長が固定値であるような場合に有効となる。このようにすることによって、UEからの該上り信号をサービングTRPおよび周辺TRPで受信可能になる。
【0906】
このようにすることによって、該上り信号を受信するためのサービングTRPの受信期間は、従来のTA(TA3)を設定した場合の受信期間とすることが可能となる。また、周辺TRPの受信期間も、傘下のUEからの上り送信を受信するための受信期間とすることが可能となる。
【0907】
周辺TRPで受信可能とするUEの上り信号を、他のTRPの傘下のUEも含めた他のUEの上り信号と、周波数多重、または、時間多重、または符号多重してもよい。例えば、eNBは、周辺TRPで受信可能とするUEの上り信号を、他のTRPの傘下のUEも含めた他のUEの上り信号と異なる周波数-時間リソースにマッピングする。言い換えると、周辺TRPで受信可能とするUEの上り信号がマッピングされる周波数-時間リソースには、他のTRPの傘下のUEも含めた他のUEの上り信号はマッピングしないようにする。
【0908】
他の例として、周辺TRPで受信可能とするUEの上り信号を、他のTRPの傘下のUEも含めた他のUEの上り信号と異なる直交符号を用いてマッピングする。言い換えると、周辺TRPで受信可能とするUEの上り信号がマッピングされる周波数-時間リソースに、他のTRPの傘下のUEも含めた他のUEの上り信号をマッピングしてもよい。ただし、これらの信号には、異なる直交符号を用いて直交性を保つようにする。
【0909】
例えば、上り信号としてZC(Zadoff-Chu)シーケンスを用いるような場合、異なるサイクリックシフトを用いるとよい。
【0910】
このようにすることによって、周辺TRPで受信可能とするUEの上り信号と、他のTRPの傘下のUEも含めた他のUEの上り信号とが、周辺TRPにおいて衝突することなく受信することが可能となる。
【0911】
周辺TRPで受信可能とするUEの上り信号は、同一サブフレーム内の他のデータ、例えば下りデータと異なる周波数リソースにマッピングしてもよい。周辺TRPで受信可能とするUEの上り信号のための無線リソースアロケーションの自由度が増大するので、無線リソースの使用効率を向上させることが可能となる。
【0912】
周辺TRPによるTAの導出方法の例について開示する。
【0913】
PRACHを用いるとよい。NRにおいても、上り初期アクセスのためにPRACHを用いることが検討されている。これを利用するとよい。TRPは、周辺TRPにTRP個別のPRACH構成を通知する。PRACH構成は、タイミング、アロケーションおよびシーケンスを含む。TRPが周辺TRPに通知することを開示したが、TRPはeNBに通知し、eNBが周辺TRPに通知してもよい。あるいは、各PRACH構成を設定するのがeNBである場合、eNBが各TRPに周辺TRPのPRACH構成を通知してもよい。
【0914】
TRP毎のPRACH構成とした場合、サービングTRPのUEのPRACHが、周辺TRPの傘下のUEの上り送信と衝突する場合が生じる。このような問題を解決する方法として、TRP個別のPRACH構成を、複数のTRP(TRPグループ)で同一にしてもよい。全TRPで同一にしてもよい。サービングTRPおよび周辺TRPは該PRACH構成を受信する。
【0915】
このようなPRACH構成とした場合でも、TRPの傘下のUE間でPRACHが衝突する場合が生じる。サービングTRPで衝突が生じた場合は、UEに対してRA応答が通知されないので、UEからPRACHの再送が行われる。しかし、UEからのPRACHを、サービングTRPでは受信でき、周辺TRPでは受信できなかった場合、UEに対してサービングTRPからRARが送信されることになる。これによって、UEからのPRACHの再送は無く、したがって、周辺TRPではUEからのPRACHを受信できないことになる。
【0916】
このような問題を解決する方法を開示する。
【0917】
UEからのPRACHを受信できたか否かをeNBが判断する。あるいは、各TRPは、UEからのPRACHを受信できたか否かを判断し、eNBにPRACHを受信できたか否かの情報を通知してもよい。いずれかの周辺TRPがPRACHを受信できなかった場合、eNBは、サービングTRPに、UEにRARを送信しないことを指示する。あるいは、eNBは、サービングTRPに、周辺TRPがPRACHを受信できなかったことを通知し、サービングTRPは、UEにRARを送信しないことを決定する。
【0918】
このようにすることによって、UEは、RARを受信できず、したがって、PRACHの再送を行うことになる。周辺TRPがUEからのPRACHを受信できるまで、UEは、PRACHの再送を行うことが可能となる。
【0919】
このような周辺TRPへのPRACH送信処理は、通常のサービングTRPへのPRACH送信処理とは別に設けてもよい。例えば、UEからの上り信号を周辺TRPで受信させたい場合に、UEに対して、このような周辺TRPへのPRACH送信処理を行うように設定してもよい。該PRACH構成は、UEにRRCシグナリングで通知してもよい。SIBに含めて報知してもよい。あるいは、UE個別に通知してもよい。
【0920】
周辺TRPへのPRACH送信処理を、通常のサービングTRPへのPRACH送信処理とは別に設けることによって、上り信号の測定を行わないような場合に、通常のPRACH送信処理を行うだけでよくなり、制御を簡易にすることが可能となる。
【0921】
周辺TRPへのPRACH送信処理におけるPRACHの再送回数に最大値を設けてもよい。周辺TRPにおいて、衝突ではなく、電波伝搬環境の悪化のためUEからのPRACHを受信できない場合もある。このような場合、UEからPRACHの再送を繰り返すのは無駄である。PRACHを受信できなかったTRPを、周辺TRPとして設定しないようにするとよい。
【0922】
このようにすることによって、無駄なPRACH送信を無くし、UEの低消費電力化、および上り干渉電力の低減を図ることが可能となる。
【0923】
他の方法を開示する。UE個別のPRACHを構成する。UE個別のPRACHを構成することによって、各TRPは、UEからのPRACHを受信可能となる。例えば、PRACH構成として、UE毎に異なる周波数-時間リソースを設定する。このようにすることによって、各TRPは、UEのPRACHを衝突無く受信することが可能となり、受信した周波数-時間リソースから、どのUEのPRACHかを認識することが可能となる。
【0924】
サービングTRPは、UEとRRC接続状態において、UE個別のPRACHを設定してもよい。サービングTRPからUEに該設定を通知する。該通知には、RRCシグナリングを用いてもよい。サービングTRPは、UEに、UE個別のPRACHを送信することを指示するようにしてもよい。該指示は、L1/L2制御信号で行ってもよい。このようにすることによって、サービングTRPは、UEに、UE個別のPRACHを送信させることが可能となる。
【0925】
サービングTRPは、UE個別のPRACH構成を周辺TRPに通知するとよい。PRACH構成とともに、UE識別子を通知してもよい。あるいは、自TRPの識別子を通知してもよい。自TRPの識別子を通知することによって、UEのサービングTRPが自TRPであることを、周辺TRPに認識させることができる。これらの情報の通知方法は、前述のPRACH構成を周辺TRPに通知する方法を適用するとよい。
【0926】
周辺TRPからPRACH構成を通知されたTRPは、該PRACHのタイミングでUEからのPRACHを受信する。UEからのPRACHの送信の場合、TA=0とする。周辺TRPは、該PRACHの送信タイミングからの遅延時間を測定することによって、該UEの上り送信におけるTAを導出する。
【0927】
このようにすることによって、UEに対する周辺TRPにおけるTAを導出することが可能となる。
【0928】
サービングTRPは、UEに、UE個別のPRACHを適宜送信させてもよい。UEの位置は、時間とともに変わるので、サービングTRPだけでなく、周辺TRPにおけるTAも変わる。したがって、サービングTRPが、UEに、UE個別のPRACHを適宜送信させることによって、サービングTRPおよび周辺TRPが変わったTAを測定し、導出することが可能となる。このようにすることによって、時間とともに変わるUEの位置に対応したTAを導出することが可能となる。
【0929】
TAを導出したTRPは、周辺TRPに導出したTAを通知する。TAではなく、UEからTRPまでの電波伝搬時間Tを通知してもよい。TA=2×Tである。自TRPの識別子とともに通知してもよい。また、UE識別子とともに通知してもよい。TRPが、該UEのサービングTRPを認識している場合は、該UEのサービングTRPのみに導出したTAを通知してもよい。
【0930】
TRPが周辺TRPに通知することを開示したが、TRPはeNBに通知し、eNBが周辺TRPに通知してもよい。あるいは、各UEに対する調整値αを設定するのがeNBである場合、TRPは、eNBに、導出したTAを通知してもよい。eNBが、取得した周辺TRPのTAを用いて調整値αを導出し、サービングTRPに通知するとよい。UE識別子とともに通知してもよい。
【0931】
調整値αをUEに通知する方法について開示する。サービングTRPからUEに調整値αを通知する。UE個別のシグナリングで通知するとよい。調整値αは、UEの位置に応じて適切な値を導出可能であるので、UE個別のシグナリングで通知することによって、UE毎の調整値αを設定することができ、UE毎の調整値αを用いることが可能となる。
【0932】
UE個別シグナリングの具体例として、以下の(1)~(3)の3つを開示する。
【0933】
(1)RRCシグナリング。RRCメッセージ情報に調整値αを含ませて通知するとよい。
【0934】
(2)MACシグナリング。MAC制御情報に調整値αを含ませて通知するとよい。
【0935】
(3)L1/L2シグナリング。下りL1/L2制御情報に調整値αを含ませて通知するとよい。
【0936】
調整値αの導出例として、UEに対する周辺TRPのTAを用いて導出する方法について開示した。他の導出例として、調整値αをUE毎に導出せずに、TRP毎に導出してもよい。例えば、TRPと該TRPの周辺に存在するTRPとの距離を用いて調整値αを導出する。該TRPの周辺に存在するTRPとして、UEからの上り信号を受信可能とするTRPとするとよい。調整値αはTRP毎に設定される。調整値αは、UEが存在する位置に関係なく設定される。
【0937】
TRP毎の調整値αをUEに通知する方法について開示する。サービングTRPから傘下のUEに該調整値αを報知する。システム情報に含めて報知するとよい。調整値αとともに、サービングTRPの識別子を報知してもよい。このようにすることによって、サービングTRPの傘下のUEが、該調整値αを取得することが可能となる。
【0938】
あるいは、UE個別のシグナリングを用いて通知してもよい。通知するシグナリング例は、前述の例を適用するとよい。UE個別のシグナリングを用いて通知することによって、測定用の上り送信を行わせるUEにのみ通知することが可能となる。サービングTRPの傘下の全UEに報知する必要がなく、報知する報知情報を削減することが可能となる。
【0939】
このようにすることによって、調整値αをUEの位置に関係なく設定することが可能となり、上り送信信号の送信処理を簡略化することが可能となる。
【0940】
調整値αをUEに通知する他の方法について開示する。サービングTRPは、UEに対するTAと一緒に調整値αをUEに通知してもよい。例えば、調整値αの初期設定の通知に用いるとよい。UEは、上りアクセス開始時にPRACHを送信することによって、eNBはTAを導出することを述べた。このときに、周辺TRPがPRACHを受信してTAを導出し、eNBが調整値αを導出してもよいことを述べた。
【0941】
導出した調整値αを、サービングTRPがTAとともに、UEに通知してもよい。初期アクセスの場合、サービングTRPは、UEに、RA応答でTAを通知する。該RA応答に調整値αを含めて通知してもよい。該調整値αを周辺TRPで受信可能とする上り信号に対して設定する調整値αの初期値としてもよい。
【0942】
上りサービングTRPは、TAコマンドとともに調整値αをUEに通知してもよい。TAコマンドは、MACシグナリングで通知される。MAC制御情報(MAC CE)に調整値αの情報を設けて、MACシグナリングでTAとともに調整値αを通知してもよい。RRC接続状態でのTAの更新に応じて該調整値αを更新してもよい。
【0943】
サービングTRPは、UEに対して、測定用上り信号の設定を行い、該測定用上り信号の設定情報を通知してもよい。通知方法は、調整値αをUEに通知する方法を適用してもよい。測定用上り信号の設定情報として、例えば、上り信号のスケジューリング情報がある。また、参照信号が用いられる場合、該参照信号のシーケンス番号情報がある。また、ZCシーケンスが用いられる場合、ZCシーケンスのCS情報がある。また、直交符号が用いられる場合、直交符号情報がある。
【0944】
また、サービングTRPは、UEに、測定用上り信号送信の指示を通知してもよい。指示方法としては、周期的に測定用上り信号送信の指示、あるいは、非周期的な測定用上り信号送信の指示がある。この指示の通知には、調整値αをUEに通知する方法を適用してもよい。L1/L2シグナリングを用いて通知する場合は、早期応答が可能となるので、UEに対して、指示から測定用上り送信までの時間を短縮させることが可能となる。したがって、低遅延での動作が可能となる。
【0945】
サービングTRPは、UEに、調整値α、測定用上り信号の設定情報、測定用上り信号送信の指示情報のうちの二つ以上の情報を一緒に通知してもよい。例えば、サービングTRPは、UEに、まず、測定用上り信号の設定情報のうちのシーケンス番号情報とCS情報とを通知し、その後、測定用上り信号の設定情報のうちのスケジューリング情報と調整値αと測定用上り信号送信の指示とを一緒に通知する。このようにすることによって、測定用上り信号送信を指示する時点で最適な調整値αをUEに通知することが可能となる。
【0946】
図58図60は、実施の形態4における上り送信タイミングの調整値設定のシーケンスの一例を示す図である。図58図59とは、境界線BL16の位置で、つながっている。図59図60とは、境界線BL17の位置で、つながっている。ここでは、eNBは、セル内TRP共通のPRACH構成を設定する。
【0947】
ステップST5501、ステップST5502、ステップST5503、ステップST5504、およびステップST5505において、eNBは、eNBのPRACH構成設定機能を有するノードから、セル内の各TRPに、セル内共通のPRACH構成を通知する。UE1のサービングTRPであるTRP3は、ステップST5506において、セル内TRP共通のPRACH構成をUE1に通知する。システム情報に含めて報知するとよい。
【0948】
ステップST5507において、UE1は、上りアクセスを決定する。
【0949】
UE1は、ステップST5508において、ステップST5506で受信したPRACH構成を用いて、PRACHを送信する。UE1は、TRP3にPRACHを送信するが、該PRACH送信は、ステップST5509、ステップST5510、ステップST5511、およびステップST5512において、周辺TRPであるTRP1、TRP2、TRP4、およびTRP5にも送信されることになる。
【0950】
TRP3と周辺TRPであるTRP1、TRP2、TRP4、TRP5とは、セル内共通のPRACH構成を用いてPRACHを受信する。UE1からのPRACHを受信したTRP1、TRP2、TRP3、TRP4、TRP5は、ステップST5513、ステップST5514、ステップST5515、ステップST5516、ステップST5517において、UE1と各TRP間の電波伝搬時間であるT1,T2,T3,T4,T5を導出する。
【0951】
TRP5、TRP4、TRP3、TRP2、TRP1は、ステップST5518、ステップST5519、ステップST5520、ステップST5521、およびステップST5522において、eNBのTAおよび調整値の導出機能を有するノードに、T1,T2,T3,T4,T5を通知する。
【0952】
ステップST5523において、eNBのTAおよび調整値の導出機能を有するノードは、TRP3のT3と、周辺TRPのT1,T2,T4,T5とを用いて、UE1とTRP3との間のTA(timing advance)であるTA3および調整値αを導出する。
【0953】
eNBのTAおよび調整値の導出機能を有するノードは、導出したTA3および調整値αを、ステップST5524およびステップST5525において、TRP3を介してUE1に通知する。TA3および調整値αの通知には、RA応答が用いられてもよい。これによって、早期にTAおよび調整値αの設定が可能となる。
【0954】
ステップST5526において、UE1は、通知されたTA3および調整値αを用いて、上り送信タイミングを導出する。ここでは、2種類の上り送信タイミングを導出する。ひとつは、測定用では無い上り信号の送信に用いる上り送信タイミングである。他のひとつは、測定用上り信号の送信に用いる上り送信タイミングである。測定用の上り信号としているが、周辺TRPで受信可能とする上り信号としてもよい。
【0955】
測定用では無い上り信号の送信に用いる上り送信タイミングは、TA3を用いて導出する。測定用上り信号の送信に用いる上り送信タイミングは、TA3および調整値αを用いて導出する。前述に開示した方法を用いて導出するとよい。
【0956】
ステップST5527からステップST5532において、UE1は、TRP3を介して、eNBに対してRRC接続処理を行う。
【0957】
ステップST5527およびステップST5528において、UE1は、TRP3を介してeNBに、RRC接続要求(RRC Connection Request)メッセージを通知する。
【0958】
ステップST5529およびステップST5530において、eNBは、TRP3を介してUE1に、RRC接続設立(RRC Connection setup)メッセージを通知する。
【0959】
ステップST5531およびステップST5532において、UE1は、TRP3を介してeNBに、RRC接続設立完了(RRC Connection setup complete)メッセージを通知する。
【0960】
UE1は、ステップST5527のRRC接続要求メッセージの通知から、ステップST5526で導出した、測定用では無い上り信号の送信に用いる上り送信タイミングを用いて上り信号の送信を行う。
【0961】
ステップST5533において、eNBの移動処理機能を有するノードは、UE1に対する測定用上り信号の設定を行う。RRC接続状態における測定用上り信号の設定としてもよい。
【0962】
ステップST5534およびステップST5535において、eNBは、UE1に、測定用上り信号の設定を通知する。UE個別シグナリングで通知するとよい。例えば、RRCシグナリングを用いてもよい。
【0963】
ステップST5536において、eNBの移動処理機能を有するノードは、UE1に対する測定用上り信号送信指示を決定する。
【0964】
ステップST5537およびステップST5538において、eNBは、UE1に、測定用上り信号送信指示を通知する。UE個別シグナリングで通知するとよい。例えば、L1/L2制御シグナリングを用いてもよい。
【0965】
測定用上り信号の設定と測定用上り信号送信指示とを受信したUE1は、ステップST5539において、通知された測定用上り信号の設定を行う。ステップST5540において、UE1は、測定用上り信号をTRP3に送信する。UE1は、測定用上り信号の送信に、ステップST5526で導出した、測定用上り信号の送信に用いる上り送信タイミングを用いる。
【0966】
UE1は、TRP3に測定用上り信号を送信するが、該測定用上り信号は、ステップST5541、ステップST5542、ステップST5543、およびステップST5544において、周辺TRPであるTRP1、TRP2、TRP4およびTRP5にも送信されることになる。
【0967】
ステップST5547と、ステップST5545、ステップST5546、ステップST5548、およびステップST5549とにおいて、TRP3と周辺TRPであるTRP1、TRP2、TRP4およびTRP5とは、UE1から送信された測定用上り信号を受信する。
【0968】
ステップST5540において、UE1は、測定用上り信号の送信に、調整値αを用いた測定用上り信号の送信に用いる上り送信タイミングを用いているので、TRP3と周辺TRPであるTRP1、TRP2、TRP4およびTRP5とは、該信号を受信および復調可能となる。したがって、UE1からの上り信号の測定が可能となる。
【0969】
ステップST5552と、ステップST5550、ステップST5551、ステップST5553、およびステップST5554とにおいて、TRP3と周辺TRPであるTRP1、TRP2、TRP4、およびTRP5とは、UE1から送信された測定用上り信号の測定結果を導出する。上り信号の測定結果の例として、例えば、参照信号(Reference Signal)の受信電力、あるいは受信品質、あるいはSINRなどがある。
【0970】
TRP5、TRP4、TRP3、TRP2およびTRP1は、ステップST5555、ステップST5556、ステップST5557、ステップST5558およびステップST5559において、eNBの移動処理機能を有するノードに、自TRPにおけるUE1の上り信号測定結果を通知する。
【0971】
ステップST5560において、eNBの移動処理機能を有するノードは、移動判断を行う。具体的には、eNBの移動処理機能を有するノードは、通知された各TRPにおけるUE1の上り信号測定結果を用いて、UE1が接続するTRPを移動させるか否か、どのTRPに移動させるかを判断し、決定する。
【0972】
ステップST5560において、UE1に対してTRPの移動を決定したeNBの移動処理機能を有するノードは、ステップST5561およびステップST5562において、UE1に、TRP3を介して、TRP変更指示を通知する。変更先のTRPの識別子とともに通知するとよい。ここでは、TRP1に変更するとする。TRP変更指示とともに、変更先のTRPのTAを通知してもよい。また、変更先のTRPにおける調整値αを通知してもよい。UE個別シグナリングで通知するとよい。例えば、RRCシグナリングを用いてもよい。
【0973】
TRP変更指示を通知されたUE1は、ステップST5563において、通信を行うTRPの変更の設定を行う。ここでは、TRP3からTRP1へ、通信のための設定を変更する。ステップST5564およびステップST5565において、UE1は、TRP1を介して、eNBと通信を行う。
【0974】
このようにすることによって、周辺TRPがUEからの測定用上り信号の受信および復調を可能とし、上り測定の実行が可能となる。したがって、eNBの移動処理機能を有するノードは、UE1に対して、TRPに移動させるかどうか、どのTRPに移動させるかを判断し、決定することが可能となる。
【0975】
UEでの下り信号の測定ではなく、NW側での上り信号の測定を行うことによって、NW側の測定から早期に移動処理を行うことが可能となるので、移動処理の遅延時間を削減することが可能となる。
【0976】
図58図60では、セル内TRP共通のPRACH構成の設定、TAおよび調整値αの導出、測定用上り信号の設定、測定用上り信号送信指示、移動処理の判断および決定が、eNBの処理として同じように記載されているが、eNB内の上記機能を有するノードは、各々異なっていてもよい。例えば、一部は同じで、他の一部が異なっていてもよい。
【0977】
例えば、移動処理の判断および決定処理は、TRPあるいはDUで行われ、他の処理は、TRPではないeNBのノードで行われてもよい。測定結果は、TRP間あるいはDU間で通知されてもよい。このようにすることによって、移動処理における遅延時間をさらに削減することが可能となる。
【0978】
本実施の形態で開示した方法を用いることによって、サービングTRPだけでなく周辺TRPも、UEからの上り信号を受信することが可能となる。各TRPは、通常の上り信号の受信期間で、UEから送信された上り信号を受信可能となる。各TRPは、UEからの測定用上り信号を受信し、測定することが可能となるので、下り信号の測定を省略することが可能となる。したがって、下り信号測定のための参照信号を不要とでき、該参照信号に費やされる無線リソースを低減させることが可能となり、その分の無線リソースをデータ通信に用いることが可能となる。無線リソースの使用効率を向上させることが可能となる。
【0979】
また、TRP間、あるいは、DU間の移動において、NW側で上り信号の測定値を用いることによって、下り信号の測定値を用いた場合のように、測定結果をNW側に送信する必要が無くなる。したがって、NW側で早期に移動先のTRPあるいはDUを決定すること、および移動処理を決定することが可能となるので、低遅延での移動が可能となる。5Gでは、TRPあるいはDUは、狭カバレッジを構成することが想定されている。このような状況においても、低遅延での移動が可能となるので、通信を継続することが可能となる。
【0980】
実施の形態4 変形例1.
本変形例では、実施の形態4で示した問題を解決する他の方法を開示する。
【0981】
周辺TRPで受信可能とする上り信号にCPを付加する。付加するCPをガードCP(gCP)と称する。gCPは、該上り信号に連続して付加される。gCPの構成方法は、従来のCPと同様である。UEは、周辺TRPで受信可能とする上り信号の送信時に、該上り信号にgCPを付加して送信する。
【0982】
このようにgCPを付加して上り信号期間を増大させることによって、各TRPにおける上り信号受信期間で受信可能な上り信号期間を増加させることが可能となる。したがって、TRPは、精度の高い測定を行うことが可能となる。
【0983】
gCP長は、静的に予め規格などで決めておいてもよい。あるいは、準静的あるいは動的に、サービングTRPからUEに通知してもよい。gCP長のUEへの通知方法は、実施の形態4で開示した調整値αのUEへの通知方法を適宜適用するとよい。
【0984】
gCPを付加した場合も、TAに調整値(アジャスト(Adjust)値)を設けてもよい。測定用上り信号を送信するUEに対するTAに調整値を設けてもよい。調整値をβとする。UEは、サービングTRPとの間で設定されたTAに対して、上り送信タイミングを調整値βだけ遅らせる。言い換えると、UEは、調整値を含むTAとしてTA-βを設定する。
【0985】
調整値βの設定およびUEへの通知に関する方法は、実施の形態4で開示した調整値αの設定および通知方法を適宜適用するとよい。このように、UEの上り送信タイミングの設定において、調整値βを設けることによって、サービングTRPおよび他のTRPにおいて、UEから送信された上り信号を実際に受信する期間、具体的には上り信号が上り信号受信期間Rwの中に入る期間を調整することが可能となる。適切な調整値βを設けることによって、サービングTRPだけでなく他のTRPでも、UEから送信された上り信号を受信可能とすることができる。調整値を別途設けずに、TAを、従来のTAに調整値を含めた値にしてもよい。このような場合でも、同様の効果を得ることができる。
【0986】
図61は、UE1から送信されたgCPを付加した上り信号に対して調整値βを設けた場合のTRPでの受信タイミングを説明するための図である。図61は、図56と類似しているので、主として異なる部分について説明する。
【0987】
UE1は、サービングTRPとの間で予めTAが設定される。さらに、UE1は、サービングTRPおよび周辺TRP、ここでは、TRP1~TRP5との電波伝搬時間を考慮して調整値βが設定される。UE1は、周辺TRPで受信可能とする上り信号にgCPを付加する。例えば、図57に開示した上り信号の構成に加えて、前方にgCPを付加する。UE1は、下り受信タイミングから、設定されたTA3と調整値βを用いて、TA3-βだけ早期のタイミングで、gCPを付加した上り信号を送信する。
【0988】
このようにした場合、TRP3における、UE1からのgCPを付加した上り信号到達タイミングは、TRP3における上り信号の受信タイミングよりも調整値βだけ遅れることになる。
【0989】
他方、UE1からのgCPを付加した上り信号のTRP1での到達タイミングは、上り信号の受信タイミングよりもT3-T1だけ早まることになる。しかし、従来のTA3のみの場合の到達タイミングよりも調整値βだけ遅れることになる。また、gCPを付加した上り信号期間Twは、gCPだけ増大する。したがって、UE1からの上り信号をTRP1で受信可能となる期間は、gCP+βだけ増大する。
【0990】
同様に、UE1からの上り信号のTRP2での到達タイミングも、上り信号の受信タイミングよりもT3-T2だけ早まることになる。しかし、従来のTA3のみの場合の到達タイミングよりも調整値βだけ遅れることになる。また、gCPを付加した上り信号期間Twは、gCPだけ増大する。したがって、UE1からの上り信号をTRP2で受信可能となる期間は、gCP+βだけ増大する。
【0991】
UE1からの上り信号のTRP4での到達タイミングは、上り信号の受信タイミングよりもT4-T3だけ遅れることになる。従来のTA3のみの場合の到達タイミングよりも調整値βだけ遅れることになる。したがって、UE1からの上り信号をTRP4で受信可能となる期間は、調整値βだけ減少する。
【0992】
同様に、UE1からの上り信号のTRP5での到達タイミングも、上り信号の受信タイミングよりもT5-T3だけ遅れることになる。従来のTA3のみの場合の到達タイミングよりも調整値βだけ遅れることになるので、UE1からの上り信号をTRP4で受信可能となる期間は、調整値βだけ減少する。
【0993】
このように、UEに対して調整値βを設定することによって、周辺TRPにおけるUEからの上り信号の到達タイミングを調整することが可能となる。周辺TRPにおけるUEの上り信号の受信期間を調整することが可能となる。したがって、適切な調整値βを設けることによって、サービングTRPだけでなく周辺TRPでも、UEから送信された上り信号を受信可能とすることができる。
【0994】
本変形例で開示した方法によると、上り信号にgCPを付加したので、実施の形態4の場合に比べて、サービングTRPおよび周辺TRPで受信可能な上り信号期間を増大させることが可能となる。例えば、図61では、TRP1およびTRP2で実際に受信可能となる期間は、実施の形態4に比べて増大する。したがって、各TRPは、高い精度で上り信号を受信することが可能となる。測定用の上り信号の場合、各TRPは、精度の高い測定を行うことが可能となる。
【0995】
図61では、gCPを、上り信号の前方に付加したが、前方に限らず、後方に付加してもよい。あるいは、前方と後方とに分割して付加してもよい。前方もしくは後方、あるいは前方および後方に付加する場合のgCPの構成方法についても、従来のCPと同様にするとよい。
【0996】
gCPを追加した分、調整値βによっては、UEからの上り信号の送信が次のサブフレームにわたる場合がある。このような場合は、例えば、eNBは、UEに対して次のサブフレームでスケジューリングを行わないなどの方法を行うとよい。このようにすることによって、次のサブフレームにわたるgCPを付加した上り信号の送信が可能となる。
【0997】
実施の形態4 変形例2.
実施の形態4の変形例1では、周辺TRPで受信可能とする上り信号にgCPを付加している。調整値βの設定によっては、gCPを付加するために、該上り信号の前方あるいは後方にギャップ(Gap)を設けなければならない場合が生じる。これは、UEにおいて、上り信号にgCPを付加して送信するタイミングと、例えば、その前方で受信する下りデータの受信タイミングとが重ならないようにするためである。
【0998】
従来、下りデータの受信の後に、上り信号の送信が有る場合、その間にGapが設けられるが、上り信号の前方あるいは後方に、さらに上り信号が有る場合は、その間にGapは設けられない。したがって、上り信号の前方あるいは後方に、さらに上り信号が有る構成においてgCPを設けた場合に、Gapを新たに構成することは、無線リソースの無駄となる。
【0999】
本変形例では、このような問題を解決する方法を開示する。
【1000】
周辺TRPで受信可能とする上り信号の前方あるいは後方に、連続して上り信号が有る場合、該連続する上り信号の一部をgCPとする。
【1001】
図62は、連続する上り信号の一部をgCPに設定する例を示す図である。上り信号は、CPとシーケンス等のデータとからなる場合について示している。周辺TRPで受信可能とする上り信号の前後に連続して上り信号が構成されている。図62は、前方の上り信号の一部をgCPにする例である。
【1002】
周辺TRPで受信可能とする上り信号の前方に連続して構成される上り信号の一部をgCPとする。gCP長をCP長以下とする。周辺TRPで受信可能とする上り信号の前方に構成された上り信号は、シーケンス等のデータが削減されることになるが、CPが存在するので、サービングTRPでCPを含むシーケンス等のデータを受信および復調することによって、シーケンス等のデータを取得することが可能となる。
【1003】
周辺TRPで受信可能とする上り信号の前方に連続して構成される上り信号を正しく受信および復調させる確率を上げるためには、gCP長を短くすればよい。gCP長をUEとサービングTRP、ならびにUEと周辺TRPとの電波伝搬環境に応じて設定することによって、サービングTRPによる該上り信号の取得と、周辺TRPによる周辺TRPで受信可能とする上り信号の取得の両方を可能にすることができる。
【1004】
図63は、連続する上り信号の一部をgCPに設定する他の例を示す図である。上り信号は、CPとシーケンス等のデータとからなり、CPがシーケンス等のデータの前後に付加される場合について示している。周辺TRPで受信可能とする上り信号の前後に連続して上り信号が構成されている。図63は、前方の上り信号の後ろ側のCPをgCPにする例である。
【1005】
周辺TRPで受信可能とする上り信号の前方に連続して構成される上り信号の後ろ側のCPをgCPとする。周辺TRPで受信可能とする上り信号の前方に構成された上り信号は、CPが削減されることになるが、シーケンス等のデータおよび前方のCPが存在するので、サービングTRPでCPを含むシーケンス等のデータを受信および復調することによって、シーケンス等のデータを取得することが可能となる。図62の例と同様の効果を得ることができる。
【1006】
他にも、上り信号がCPとシーケンス等のデータとからなり、CPがシーケンス等のデータの後方に付加される場合についても同様である。前方の上り信号の後ろ側のCPの一部または全部をgCPにするとよい。前述の開示した例と同様の効果が得られる。
【1007】
本変形例で開示した方法を用いることによって、上り信号の前方あるいは後方にさらに上り信号が有る場合にも、gCPを設けた場合にGapを新たに構成する必要は無くなる。したがって、無線リソースの使用効率の低下を抑えることが可能となる。
【1008】
実施の形態4 変形例3.
実施の形態4から実施の形態4の変形例2では、UEからの電波伝搬時間が長いTRPにおいて、UEからの上り信号が次のサブフレームにわたる場合がある。次のサブフレームでは、該TRPは、下り信号を送信し、該TRPの傘下のUEは、下り信号を受信している。したがって、UEからの上り信号が次のサブフレームにわたる場合には、UEからの上り信号が、該TRPの傘下のUEによる下り信号の受信に対して干渉となる。
【1009】
本変形例では、実施の形態で開示した問題を解決し、さらに前述のような問題を解決する他の方法を開示する。
【1010】
周辺TRPで受信可能とする上り信号の受信タイミングに、ガードタイム(以下、「GT」という)を設ける。GTは、上り信号の受信タイミングに連続して追加される。GTでは、他の信号の送受信が行われない。各TRPは、GTを含む上り信号の受信期間で、上り信号の受信を行う。
【1011】
このようにすることによって、各TRPにおける上り信号受信期間をGTだけ増大させることが可能となる。したがって、各TRPにおいて上り信号受信タイミングが通常の上り信号受信タイミングに比べて前後した場合でも、各TRPは、上り信号を受信することができる。これによって、TRPは、精度の高い測定を行うことが可能となる。
【1012】
GTの構成は、静的に予め規格などで決めておいてもよい。あるいは、準静的あるいは動的に、サービングTRPからUEに通知してもよい。GTの構成をUEに通知する方法は、実施の形態4で開示した調整値αのUEへの通知方法を適宜適用するとよい。
【1013】
GTを設けた場合も、TAに調整値(アジャスト(Adjust)値)を設けてもよい。測定用上り信号を送信するUEに対するTAに調整値を設けてもよい。調整値をγとする。UEは、サービングTRPとの間で設定されたTAに対して、上り送信タイミングを調整値γだけ遅らせる。言い換えると、UEは、調整値を含むTAとしてTA+γを設定する。
【1014】
調整値γの設定およびUEへの通知に関する方法は、実施の形態4で開示した調整値αの設定および通知方法を適宜適用するとよい。このように、UEの上り送信タイミングの設定において、調整値γを設けることによって、サービングTRPおよび他のTRPにおいて、UEから送信された上り信号を実際に受信する期間、具体的には上り信号が上り信号受信期間Rwの中に入る期間を調整することが可能となる。適切な調整値γを設けることによって、サービングTRPだけでなく他のTRPでも、UEから送信された上り信号を受信可能とすることができる。調整値を別途設けずに、TAを、従来のTAに調整値を含めた値にしてもよい。このような場合でも、同様の効果を得ることができる。
【1015】
1サブフレームの期間は、予め決められている。したがって、GTを設けた場合、他の信号の期間を削減しなければならない。削減方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
【1016】
(1)ギャップの期間を削減する。
【1017】
(2)DLの期間を削減する。
【1018】
前記(1)の場合、ギャップの期間を削減するので、データ用の期間は維持できる。したがって、データの伝送速度の低減を抑制することが可能となる。データの伝送速度の低減を抑制したい場合に有効である。
【1019】
前記(2)の場合、DLの期間を削減するので、ギャップの期間を維持できる。ギャップの期間は、セルカバレッジおよびUEの復調性能などから決定されるので、固定としておきたい場合が存在する。そのような場合に有効となる。
【1020】
上記の例では期間としたが、シンボルとしてもよい。1サブフレームのシンボル数は、予め決められているので、GTを設けた場合、他の信号のシンボルを削減する。具体例として、ギャップのシンボルを削減する、あるいはDLのシンボルを削減する、としてもよい。各々同様の効果を得ることができる。
【1021】
図64は、GTを設けた構成において調整値γを設けた場合のUE1から送信された上り信号のTRPでの受信タイミングを説明するための図である。図64は、図56と類似しているので、主として異なる部分について説明する。
【1022】
TRPにおいて、実施の形態4で開示した上り信号受信期間に加えて、GTが設けられる。GTの期間をTa+Tbとする。TRPは、GTの期間を含む上り信号受信期間を新たな上り信号受信期間Rwとする。したがって、TRPにおける上り信号受信期間は、従来の上り信号受信期間よりもGTだけ長くなる。
【1023】
UE1は、サービングTRPとの間で予めTAが設定される。さらに、UE1は、サービングTRPおよび周辺TRP、ここでは、TRP1~TRP5との電波伝搬時間ならびにGTを考慮して予め調整値γが設定される。UE1は、下り受信タイミングから、設定されたTA3と調整値γとを用いて、TA3+γだけ早期のタイミングで上り信号を送信する。
【1024】
このようにした場合、TRP3における、UE1からの上り信号到達タイミングは、TRP3における上り信号の受信タイミングよりも調整値γだけ早まることになる。しかし、GTを設けているので、GTを適切な値に設定することによって、早まった分だけ早期にUE1からの上り信号の受信を開始することが可能となる。したがって、TRP3は、UE1からの上り信号の全部を受信することが可能となる。
【1025】
UE1からの上り信号のTRP1での到達タイミングは、上り信号の受信タイミングよりもT3-T1だけ早まることになる。また、従来のTA3のみの場合の到達タイミングよりも調整値γだけ早まることになる。しかし、GTを設けているので、GTを適切な値に設定することによって、早まった分だけ早期にUE1からの上り信号の受信を開始することが可能となる。したがって、TRP1は、UE1からの上り信号の全部を受信することが可能となる。
【1026】
同様に、UE1からの上り信号のTRP2での到達タイミングも、上り信号の受信タイミングよりもT3-T2だけ早まることになる。また、従来のTA3のみの場合の到達タイミングよりも調整値γだけ早まることになる。しかし、GTを設けているので、GTを適切な値に設定することによって、早まった分だけ早期にUE1からの上り信号の受信を開始することが可能となる。したがって、TRP2は、UE1からの上り信号の全部を受信することが可能となる。
【1027】
UE1からの上り信号のTRP4での到達タイミングは、上り信号の受信タイミングよりもT4-T3だけ遅れることになる。しかし、従来のTA3のみの場合の到達タイミングよりも調整値γだけ早まることになる。しかし、GTを設けているので、GTを適切な値に設定することによって、早まった分だけ早期にUE1からの上り信号の受信を開始することが可能となる。したがって、TRP4は、UE1からの上り信号の全部を受信することが可能となる。
【1028】
同様に、UE1からの上り信号のTRP5での到達タイミングも、上り信号の受信タイミングよりもT5-T3だけ遅れることになる。しかし、従来のTA3のみの場合の到達タイミングよりも調整値γだけ早まることになる。しかし、GTを設けているので、GTを適切な値に設定することによって、早まった分だけ早期にUE1からの上り信号の受信を開始することが可能となる。したがって、TRP5は、UE1からの上り信号の全部を受信することが可能となる。
【1029】
このように、UEに対して調整値γを設定することによって、周辺TRPにおけるUEからの上り信号の到達タイミングを調整することが可能となる。周辺TRPにおけるUEの上り信号の受信期間を調整することが可能となる。したがって、適切な調整値βを設けることによって、サービングTRPだけでなく周辺TRPでも、UEから送信された上り信号を受信可能とすることができる。
【1030】
本変形例で開示した方法によると、GTを上り信号の受信タイミングに連続して追加し、各TRPは、GTを含む上り信号の受信期間で上り信号の受信を行うようにしたので、実施の形態4の場合に比べて、サービングTRPおよび周辺TRPで受信可能な上り信号期間を増大させることが可能となる。したがって、各TRPは、高い精度で上り信号を受信することが可能となる。測定用の上り信号の場合、各TRPは、精度の高い測定を行うことが可能となる。
【1031】
図64では、GTを、上り信号の前方および後方に追加したが、前方のみ、あるいは後方のみであってもよい。また、後方に追加する場合、後続のサブフレームにGTを設けてもよい。この場合、各TRPは、後続のサブフレームのGTの期間までUEからの上り信号を受信する。
【1032】
また、通常の上り信号受信タイミングがサブフレームの最後の場合、GTを前方に追加してもよい。また、GTを該当するサブフレーム内で追加するようにしてもよい。他のサブフレーム構成を変えずに、GTを構成することが可能となるので、他のサブフレームにマッピングされる信号を省くことなく、通常のサブフレーム構成で通信可能となる。したがって、NW側、UE側ともに制御が複雑になることを抑制することが可能となる。
【1033】
測定用の上り信号として、NRでのSRSを用いてもよい。実施の形態4から実施の形態4の変形例3で開示した方法を、該SRSに適用してもよい。このようにすることによって、NRでのSRSを周辺TRPで受信することが可能となるので、測定用の信号とすることが可能となる。SRSを移動処理用の信号とすることが可能となる。
【1034】
測定用の上り信号として、下り信号に対する上りのAck/Nack信号を用いてもよい。上りAck/Nack信号に測定用の機能をもたせる。例えば、Ack/Nack信号を上りRSで構成するとよい。Ack/NackとRSとの機能を多重するので、実施の形態3の変形例2で開示したAck/NackとSRSとの多重方法を用いるとよい。このようにすることによって、上りデータの送信が無くても、下りデータに対するAck/Nackの送信があれば、NW側ノードは、UEからの上り信号の測定を行うことが可能となる。
【1035】
実施の形態4から実施の形態4の変形例3では、周辺TRPおよび周辺DUがUEからの上り信号の受信を可能にする方法を示したが、TRPおよびDUでなくてもよい。異なる設置ポイントで運用される装置あるいはノードに適用するとよい。UEからの上り信号を異なる設置ポイントで受信可能とし、測定可能とすることができる。
【1036】
例えば、セルに適用してもよい。周辺セルがUEからの上り信号の受信を可能にする。あるいは、eNBに適用してもよい。周辺eNBがUEからの上り信号の受信を可能にする。あるいは、UEが通信しているeNB内の1つまたは複数のTRPと周辺eNB内の1つまたは複数のTRPとに適用してもよい。異なるeNB内の周辺TRPで、UEからの上り信号の受信を可能にする。
【1037】
前述の各実施の形態およびその変形例は、本開示の例示に過ぎず、本開示の範囲内において、各実施の形態およびその変形例を自由に組合せることができる。また各実施の形態およびその変形例の任意の構成要素を適宜変更または省略することができる。例えば、前述の各実施の形態およびその変形例において、サブフレームは、第5世代基地局通信システムにおける通信の時間単位の一例である。前述の各実施の形態およびその変形例において、サブフレーム単位として記載している処理を、TTI単位、スロット単位、ミニスロット単位として行ってもよい。
【1038】
本開示は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本開示がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【1039】
701 マクロセルのカバレッジ、702 スモールセルのカバレッジ、703 移動端末(UE)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
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図34
図35
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図37
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図40
図41
図42
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図57
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図61
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