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▶ 株式会社三洋物産の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186869
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170321
(22)【出願日】2022-10-25
(62)【分割の表示】P 2021068071の分割
【原出願日】2016-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000144522
【氏名又は名称】株式会社三洋物産
(74)【代理人】
【識別番号】100143063
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 悟
(72)【発明者】
【氏名】岡村 鉉
(57)【要約】
【課題】表示手段における表示を好適に行うことが可能な遊技機を提供すること。
【解決手段】メイン表示装置41の表示モードとして第1表示モードと第2表示モードとが設定されている。第1表示モードと第2表示モードとでは装飾図柄の表示態様が相違しているとともに装飾図柄として表示される表示図柄の種類数も相違している。装飾図柄の表示領域は3個設定されており、各表示領域において1個の表示図柄が表示される。表示モードが変更された場合には3個の装飾図柄の表示領域における表示図柄の組合せが切り換え時対応の表示図柄の組合せとなる。また、メイン表示装置41には共通表示部が表示され、共通表示部においては装飾図柄の表示図柄と対応する共通表示図柄が表示される。表示モードが変更されたとしても共通表示部においては表示モードの変更前の状態が維持され、新たな遊技回が開始されることで共通表示部の表示内容が変更される。
【選択図】 図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絵柄を変動表示する絵柄表示手段と、
抽選契機が発生した場合に抽選処理を実行する抽選手段と、
前記絵柄の変動表示を開始させた後に、前記抽選処理の結果に対応した態様で前記絵柄の変動表示が終了するように前記絵柄表示手段を制御する表示制御手段と、
を備えた遊技機において、
前記絵柄表示手段における表示モードとして、少なくとも第1表示モードと第2表示モードとが存在しており、
前記表示制御手段は、
前記第1表示モードにおいて前記絵柄の表示態様を第1表示態様とし、前記第2表示モードにおいて前記絵柄の表示態様を第2表示態様とするモード対応手段と、
前記第1表示モードから前記第2表示モードに変更された場合、当該変更後における前記絵柄の表示態様が変更対応の表示態様となるようにする変更対応手段と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては表示手段を備えたものが知られている。当該遊技機では、データが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出されたデータを用いて表示手段にて所定の表示が行われる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-125418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記例示等のような遊技機においては、表示手段における表示を好適に行う必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【0005】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、表示手段における表示を好適に行うことが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく請求項1記載の発明は、絵柄を変動表示する絵柄表示手段と、
抽選契機が発生した場合に抽選処理を実行する抽選手段と、
前記絵柄の変動表示を開始させた後に、前記抽選処理の結果に対応した態様で前記絵柄の変動表示が終了するように前記絵柄表示手段を制御する表示制御手段と、
を備えた遊技機において、
前記絵柄表示手段における表示モードとして、少なくとも第1表示モードと第2表示モードとが存在しており、
前記表示制御手段は、
前記第1表示モードにおいて前記絵柄の表示態様を第1表示態様とし、前記第2表示モードにおいて前記絵柄の表示態様を第2表示態様とするモード対応手段と、
前記第1表示モードから前記第2表示モードに変更された場合、当該変更後における前記絵柄の表示態様が変更対応の表示態様となるようにする変更対応手段と、
を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示手段における表示を好適に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態におけるパチンコ機を示す斜視図である。
図2】遊技盤の構成を示す正面図である。
図3】(a)~(j)メイン表示装置の表示面における表示内容を説明するための説明図である。
図4】(a),(b)メイン表示装置の表示面における表示内容を説明するための説明図である。
図5】第1サブ表示装置及び第2サブ表示装置を説明するための可変表示ユニットの模式図である。
図6】(a),(b)各サブ表示装置の移動態様の一例を説明するための説明図である。
図7】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
図8】大当たり発生抽選などに用いられる各種カウンタの内容を説明するための説明図である。
図9】主側MPUにて実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
図10】主側MPUにて実行されるタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
図11】振分側MPUにて実行されるタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
図12】振分側MPUにて実行されるテーブル設定処理を示すフローチャートである。
図13】演出制御装置の電気的構成を説明するための説明図である。
図14】演出用CPUにて実行されるV割込み処理を示すフローチャートである。
図15】演出用CPUにて実行される表示制御用のタスク処理を示すフローチャートである。
図16】2D制御部及び3D制御部にて描画処理を実行する場合に利用されるレジスタの各種領域を説明するための説明図である。
図17】(a)~(c)2D用描画リストの内容を説明するための説明図である。
図18】(a),(b)3D用描画リストの内容を説明するための説明図である。
図19】2D制御部にて実行される2D描画処理を示すフローチャートである。
図20】3D制御部にて実行される3D描画処理を示すフローチャートである。
図21】3D描画処理の実行に伴い描画データが作成される様子を説明するための説明図である。
図22】(a)~(c)描画データが作成されるタイミング及び画像データが事前転送されるタイミングを説明するためのタイムチャートである。
図23】転送前用の格納領域及び転送後用の格納領域を説明するための説明図である。
図24】(a)事前転送領域を説明するための説明図であり、(b)識別情報カウンタを説明するための説明図である。
図25】検索用テーブルを説明するための説明図である。
図26】(a)~(d)描画リストのアドレス情報の書き換え及び検索用テーブルのアドレスIDの書き換えが行われる様子を説明するための説明図である。
図27】演出用CPUにて実行される描画リスト出力処理を示すフローチャートである。
図28】(a)~(e)遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データが少なくとも次回の遊技回用の演出を開始させることが可能なタイミングにおいて事前転送領域に読み出された状態となる様子を示すタイムチャートである。
図29】事前転送制御部にて実行される事前転送処理を示すフローチャートである。
図30】事前転送制御部にて実行されるアドレス情報の書き換え処理を示すフローチャートである。
図31】ファイルテーブルの内容を説明するための説明図である。
図32】VRAMとインデックス領域との関係を説明するための説明図である。
図33】インデックステーブルの内容を説明するための説明図である。
図34】転送コントローラにて実行される転送実行処理を示すフローチャートである。
図35】各表示装置に対応する画像データが集約して設定された1個の描画リストの内容を説明するための説明図である。
図36】(a),(b)表示制御用の実行対象テーブルを説明するための説明図である。
図37】演出用CPUにて実行される描画リストの作成処理を示すフローチャートである。
図38】各サブ表示装置に画像信号を出力するための電気的構成を示すブロック図である。
図39】(a)~(e)各サブ表示装置のそれぞれに1フレーム分の画像を表示させるために1個の描画データが作成される様子、及びその1個の描画データを利用して各サブ表示装置のそれぞれに1フレーム分の画像が表示される様子を説明するための説明図である。
図40】(a)~(d)各表示装置に画像信号が出力される様子を示すタイムチャートである。
図41】2D制御部にて実行される書き込み処理を示すフローチャートである。
図42】2D制御部にて実行されるサブ表示用の描画領域への描画処理を示すフローチャートである。
図43】第2表示回路にて実行される信号出力処理を示すフローチャートである。
図44】変位演出期間における表示制御用の実行対象テーブルの一例を説明するための説明図である。
図45】(a),(b)各表示装置にて表示される右打ち報知画像の内容を説明するための説明図である。
図46】(a)メモリモジュールに記憶されたデータの内容を説明するための説明図であり、(b),(c)サブ側の右打ち報知画像として表示される内容を説明するための説明図である。
図47】(a)~(d)サブ表示装置の変位状態に応じてサブ側の右打ち報知画像の回転速度が変更される様子を示すタイムチャートである。
図48】演出用CPUにて実行される右打ち報知用の設定処理を示すフローチャートである。
図49】(a)~(e)回転期間用画像を利用した演出の内容を説明するための説明図である。
図50】演出用CPUにて実行される回転移動表示の設定処理を示すフローチャートである。
図51】(a)~(d)回転期間用画像を表示させるための画像データのパチンコ機設計段階における作成方法を説明するための説明図であり、(e)メモリモジュールに記憶されたデータの内容を説明するための説明図である。
図52】異常報知の実行対象となる事象を説明するための説明図である。
図53】(a)~(e)異常報知画像の表示態様を説明するための説明図である。
図54】(a)~(d)サブ表示装置を変位させる演出が実行される期間における異常報知画像の表示態様を説明するための説明図である。
図55】演出用CPUにて実行される報知用コマンドの対応処理を示すフローチャートである。
図56】演出用CPUにて実行される報知用の設定処理を示すフローチャートである。
図57】メモリモジュールに記憶されたデータの内容を説明するための説明図である。
図58】(a)通常動画像データの内容を説明するための説明図であり、(b)特別動画像データの内容を説明するための説明図である。
図59】(a)~(c)付属画像データを利用した画像の表示を行っている期間を利用して動画像データのデコード処理が実行される様子を示すタイムチャートである。
図60】演出用CPUにて実行される動画像データの使用設定処理を示すフローチャートである。
図61】動画デコーダにて実行されるデコード処理を示すフローチャートである。
図62】第2の実施形態におけるサブ表示用の描画領域を説明するための説明図である。
図63】3D制御部にて実行されるサブ表示用の描画データ合成処理を示すフローチャートである。
図64】第3の実施形態における事前転送制御部にて実行されるアドレス情報の書き換え処理を示すフローチャートである。
図65】第4の実施形態における演出用CPUにて実行される描画リスト出力処理を示すフローチャートである。
図66】事前転送制御部にて実行される事前転送処理を示すフローチャートである。
図67】(a),(b)第5の実施形態における第1表示モードのメイン表示装置の表示内容を説明するための説明図である。
図68】(a)~(l)第1装飾図柄の表示図柄を説明するための説明図である。
図69】(a),(b)第2表示モードにおけるメイン表示装置の表示内容を説明するための説明図である。
図70】(a)~(i)第2装飾図柄の表示図柄を説明するための説明図である。
図71】(a),(b)第1表示モードから第2表示モードに切り換えられた場合における切り換え時対応の表示図柄の組合せの内容を説明するための説明図である。
図72】(a),(b)第2表示モードから第1表示モードに切り換えられた場合における切り換え時対応の表示図柄の組合せの内容を説明するための説明図である。
図73】共通表示図柄の内容を説明するための説明図である。
図74】第2表示モードにおいて上段の単位表示部及び左の第2装飾図柄を表示制御するために演出用CPUにて参照されるデータテーブルの一例を説明するための説明図である。
図75】(a)メイン表示装置の前方に各サブ表示装置が配置される様子を説明するための説明図であり、(b)各サブ表示装置の移動範囲と共通表示部の表示位置との関係を説明するための説明図である。
図76】(a)リーチ演出に際して共通表示部の表示が維持される様子を説明するための説明図であり、(b)開閉実行モードにおけるメイン表示装置の表示内容を説明するための説明図である。
図77】(a)~(g)共通表示部が開閉実行モードにおいて非表示状態となる様子を示すタイムチャートである。
図78】演出用CPUにて実行される図柄用演算処理を示すフローチャートである。
図79】(a),(b)仮想3次元空間に配置された屈折用オブジェクトを説明するための説明図である。
図80】(a),(b)屈折用オブジェクトにより光線データの進行方向が変化する様子を説明するための説明図である。
図81】(a),(b)最背面用データ、第1背景用データ及び第2背景用データによる画像の表示態様が屈折用オブジェクトの存在によって変化する様子を説明するための説明図である。
図82】屈折用オブジェクトの各ピクセルに適用する一律α値を他の状況よりも大きな値である特定一律α値とした状況における画像の表示内容を説明するための説明図である。
図83】(a),(b)屈折用オブジェクトの回転位置に応じて当該屈折用オブジェクトの各ピクセルに適用される一律α値が変更される様子を示すタイムチャートである。
図84】演出用CPUにて実行される屈折表示演出用の設定処理を示すフローチャートである。
図85】3D制御部にて実行される屈折表示演出用の描画データ作成処理を示すフローチャートである。
図86】(a1)~(c2)反転表示演出の内容を説明するための説明図である。
図87】(a)メモリモジュールのデータ構成を説明するための説明図であり、(b)各ドットの内容を説明するための説明図であり、(c)反転用レイヤデータの各ドットのデータ構成を説明するための説明図である。
図88】(a)~(f)反転表示演出が実行される様子を示すタイムチャートである。
図89】演出用CPUにて実行される反転表示演出用の設定処理を示すフローチャートである。
図90】3D制御部にて実行される反転表示演出用の描画データ作成処理を示すフローチャートである。
図91】3D制御部にて実行される反転用レイヤデータを利用した減算処理を示すフローチャートである。
図92】(a)~(d)移動表示演出の内容を説明するための説明図である。
図93】ボーンオブジェクトの内容を説明するための説明図である。
図94】(a)第1アニメーションデータの内容を説明するための説明図であり、(b)第2アニメーションデータの内容を説明するための説明図である。
図95】(a)~(e)第1移動表示演出、第2移動表示演出及び第3移動表示演出のそれぞれが実行される場合において使用対象となるアニメーションデータの種類を説明するためのタイムチャートである。
図96】演出用CPUにて実行される移動表示演出用の設定処理を示すフローチャートである。
図97】3D制御部にて実行されるボーンオブジェクトの配置処理を示すフローチャートである。
図98】(a),(b)共通表示部における共通表示図柄の表示に関する別形態を説明するための説明図である。
図99】(a)~(c)共通表示部に表示される単位表示部の数が変動する様子を示すタイムチャートである。
図100】(a)~(d)表示モードの切り換えに伴って共通表示部の単位表示部の数が切り換えられる様子を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の斜視図である。
【0010】
パチンコ機10は、図1に示すように、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12とを有する。遊技機本体12は、内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。内枠13には、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
【0011】
なお、遊技機本体12には、その回動先端部に施錠装置が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能を有しているとともに、前扉枠14を内枠13に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠17に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
【0012】
内枠13には遊技盤21が搭載されている。図2は遊技盤21の正面図である。
【0013】
遊技盤21には、遊技領域PAの外縁の一部を区画するようにして内レール部22と外レール部23とが取り付けられており、これら内レール部22と外レール部23とにより誘導手段としての誘導レールが構成されている。内枠13において遊技盤21の下方に取り付けられた遊技球発射機構(図示略)から発射された遊技球は誘導レールにより遊技領域PAの上部に案内されるようになっている。遊技球発射機構は、前扉枠14に設けられた発射操作装置24が手動操作されることにより遊技球の発射動作を行う。
【0014】
遊技盤21には、前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口31、特電入賞装置32、第1作動口33、第2作動口34、スルーゲート35、可変表示ユニット36、特図ユニット37及び普図ユニット38等がそれぞれ設けられている。
【0015】
スルーゲート35への入球が発生したとしても遊技球の払い出しは実行されない。一方、一般入賞口31、特電入賞装置32、第1作動口33及び第2作動口34への入球が発生すると、所定数の遊技球の払い出しが実行される。当該賞球個数について具体的には、第1作動口33への入球が発生した場合又は第2作動口34への入球が発生した場合には、3個の賞球の払い出しが実行され、一般入賞口31への入球が発生した場合には、10個の賞球の払い出しが実行され、特電入賞装置32への入球が発生した場合には、15個の賞球の払い出しが実行される。
【0016】
なお、上記賞球個数は任意であり、例えば、第2作動口34の方が第1作動口33よりも賞球個数が少ない構成としてもよく、第2作動口34の方が第1作動口33よりも賞球個数が多い構成としてもよい。
【0017】
その他に、遊技盤21の最下部にはアウト口21aが設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口21aを通って遊技領域PAから排出される。また、遊技盤21には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘21bが植設されているとともに、風車等の各種部材が配設されている。
【0018】
ここで、入球とは所定の開口部を遊技球が通過することを意味し、開口部を通過した後に遊技領域PAから排出される態様だけでなく、開口部を通過した後に遊技領域PAから排出されることなく遊技領域PAの流下を継続する態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口21aへの遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口31、特電入賞装置32、第1作動口33、第2作動口34及びスルーゲート35への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
【0019】
第1作動口33及び第2作動口34は、作動口装置としてユニット化されて遊技盤21に設置されている。第1作動口33及び第2作動口34は共に上向きに開放されている。また、第1作動口33が上方となるようにして両作動口33,34は鉛直方向に並んでいる。第2作動口34には、左右一対の可動片よりなるガイド片としての普電役物34aが設けられている。普電役物34aの閉鎖状態では遊技球が第2作動口34に入賞できず、普電役物34aが開放状態となることで第2作動口34への入賞が可能となる。
【0020】
第2作動口34よりも遊技球の流下方向の上流側に、スルーゲート35が設けられている。スルーゲート35は縦方向に貫通した図示しない貫通孔を有しており、スルーゲート35に入賞した遊技球は入賞後に遊技領域PAを流下する。これにより、スルーゲート35に入賞した遊技球が第2作動口34へ入賞することが可能となっている。
【0021】
スルーゲート35への入賞に基づき第2作動口34の普電役物34aが閉鎖状態から開放状態に切り換えられる。具体的には、スルーゲート35への入賞をトリガとして内部抽選が行われるとともに、遊技領域PAにおいて遊技球が通過しない領域である右下の隅部に設けられた普図ユニット38の普図表示部38aにて絵柄の変動表示が行われる。そして、内部抽選の結果が電役開放当選であり当該結果に対応した停止結果が表示されて普図表示部38aの変動表示が終了された場合に普電開放状態へ移行する。普電開放状態では、普電役物34aが所定の態様で開放状態となる。
【0022】
なお、普図表示部38aは、複数のセグメント発光部が所定の態様で配列されてなるセグメント表示器により構成されているが、これに限定されることはなく、液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT又はドットマトリックス表示器等その他のタイプの表示装置によって構成されていてもよい。また、普図表示部38aにて変動表示される絵柄としては、複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数種の色が切り換え表示される構成などが考えられる。
【0023】
普図ユニット38において、普図表示部38aに隣接した位置には、普図保留表示部38bが設けられている。遊技球がスルーゲート35に入賞した個数は最大4個まで保留され、普図保留表示部38bの点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
【0024】
第1作動口33又は第2作動口34への入賞をトリガとして当たり抽選が行われる。そして、当該抽選結果は特図ユニット37及び可変表示ユニット36のメイン表示装置41における表示演出を通じて明示される。
【0025】
特図ユニット37について詳細には、特図ユニット37には特図表示部37aが設けられている。特図表示部37aの表示領域はメイン表示装置41の表示面よりも狭い。特図表示部37aでは、第1作動口33への入賞又は第2作動口34への入賞をトリガとして大当たり発生抽選が行われることで絵柄の変動表示が行われる。そして、絵柄の変動表示が行われた後の停止結果として、大当たり発生抽選の結果に対応した表示が行われる。なお、特図表示部37aは、複数のセグメント発光部が所定の態様で配列されてなるセグメント表示器により構成されているが、これに限定されることはなく、液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT又はドットマトリックス表示器等その他のタイプの表示装置によって構成されていてもよい。また、特図表示部37aにて表示される絵柄としては、複数種の文字が表示される構成、複数種の記号が表示される構成、複数種のキャラクタが表示される構成又は複数種の色が表示される構成などが考えられる。
【0026】
特図ユニット37において、特図表示部37aに隣接した位置には、特図保留表示部37bが設けられている。遊技球が第1作動口33又は第2作動口34に入賞した個数は最大4個まで保留され、特図保留表示部37bの点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
【0027】
メイン表示装置41について詳細には、メイン表示装置41は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する演出制御装置80により表示内容が制御される。なお、メイン表示装置41は、液晶表示装置に限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった表示面を有する他の表示装置であってもよく、ドットマトリクス表示器であってもよい。
【0028】
メイン表示装置41では、第1作動口33への入賞又は第2作動口34への入賞に基づき特図表示部37aにて絵柄の変動表示が行われる場合にそれに合わせて図柄の変動表示が行われる。すなわち、特図表示部37aにおいて変動表示が行われる場合には、それに合わせてメイン表示装置41において変動表示が行われる。そして、例えば、大当たり発生抽選の結果が大当たり結果となる遊技回では、メイン表示装置41において予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示される。
【0029】
メイン表示装置41の表示内容について、図3及び図4を参照して詳細に説明する。図3(a)~図3(j)はメイン表示装置41にて変動表示される図柄を個々に示す図であり、図4(a)及び図4(b)はメイン表示装置41の表示面を示す図である。
【0030】
図3(a)~図3(j)に示すように、絵柄の一種である図柄は、「1」~「9」の数字が各々付された9種類の主図柄と、貝形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。より詳しくは、タコ等の9種類のキャラクタ図柄に「1」~「9」の数字がそれぞれ付されて主図柄が構成されている。
【0031】
図4(a)に示すように、メイン表示装置41の表示面には、複数の表示領域として、上段・中段・下段の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されている。各図柄列Z1~Z3は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。詳細には、上図柄列Z1には、「1」~「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されるとともに各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列Z3には、「1」~「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されるとともに各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。
【0032】
つまり、上図柄列Z1と下図柄列Z3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列Z2には、数字の昇順に「1」~「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列Z2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。そして、表示面では、これら各図柄列Z1~Z3の図柄が周期性をもって所定の向きにスクロールするように変動表示される。
【0033】
図4(b)に示すように、表示面は、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。また、表示面には、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。そして、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに同一の数字が付された図柄の組合せが形成された状態で全図柄列Z1~Z3の変動表示が終了すれば、後述する通常大当たり結果又は15R確変大当たり結果の発生として大当たり動画が表示されるようになっている。
【0034】
本パチンコ機10では、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「特定図柄」に相当するとともに、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「非特定図柄」に相当する。15R確変大当たり結果が発生する場合には、同一の特定図柄の組合せ又は同一の非特定図柄の組合せが停止表示される。また、通常大当たり結果が発生する場合には、同一の非特定図柄の組合せが停止表示される。また、後述する明示2R確変大当たり結果となる場合には、同一の図柄の組合せとは異なる所定の図柄の組合せが形成された状態で全図柄列Z1~Z3の変動表示が終了し、その後に、明示用動画が表示されるようになっている。
【0035】
ちなみに、15R確変大当たり結果が発生する場合には特図表示部37aにおいても15R確変大当たり結果に対応する15R確変対応の絵柄が停止表示されるが、この15R確変対応の絵柄は、メイン表示装置41において停止表示される同一の特定図柄の組合せを構成する主図柄がいずれの奇数番号の図柄であっても停止表示され得る。また、通常大当たり結果が発生する場合には特図表示部37aにおいても通常大当たり結果に対応する通常大当たり対応の絵柄が停止表示されるが、この通常大当たり対応の絵柄は、メイン表示装置41において停止表示される同一の非特定図あらの組合せを構成する主図柄がいずれの偶数番号の図柄であっても停止表示され得る。また、特図表示部37aには複数のセグメント表示器が配列されてなる表示領域の数が1個のみであるため、数字などの識別情報が複数同時に表示されることはない。これに対して、メイン表示装置41では上記のとおり図柄列Z1~Z3が複数設定されており複数の図柄が同時に表示される。この点、特図表示部37aにおいて識別情報を表示することが可能な表示領域の数は、メイン表示装置41における図柄の表示領域の数と1対1で対応しておらず、さらにメイン表示装置41における図柄の表示領域の数よりも少ないと言える。
【0036】
なお、メイン表示装置41における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、メイン表示装置41にて変動表示される絵柄は上記のような図柄に限定されることはなく、例えば絵柄として数字のみが変動表示される構成としてもよい。
【0037】
また、いずれかの作動口33,34への入賞に基づいて、特図表示部37a及びメイン表示装置41にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
【0038】
図2の説明に戻り、第1作動口33への入賞又は第2作動口34への入賞に基づく大当たり発生抽選にて大当たり当選となった場合には、特電入賞装置32への入賞が可能となる開閉実行モードへ移行する。特電入賞装置32は、遊技盤21の背面側へと通じる図示しない大入賞口を備えているとともに、当該大入賞口を開閉する開閉扉32aを備えている。開閉扉32aは、閉鎖状態及び開放状態のいずれかに配置される。具体的には、開閉扉32aは、通常は遊技球が入賞できない閉鎖状態になっており、内部抽選において開閉実行モードへの移行に当選した場合に遊技球が入賞可能な開放状態に切り換えられるようになっている。ちなみに、開閉実行モードとは、当たり結果となった場合に移行することとなるモードである。なお、閉鎖状態では入賞が不可ではないが開放状態よりも入賞が発生しづらい状態となる構成としてもよい。また、開閉実行モードにおいては、当該開閉実行モードに対応した表示演出がメイン表示装置41にて実行される。
【0039】
遊技領域PAの中央部を含むようにして可変表示ユニット36が設けられている。当該可変表示ユニット36においてメイン表示装置41の周囲を囲むように設けられたセンターフレーム42が遊技盤21の表面よりもパチンコ機10前方に突出していることに起因して、遊技領域PAは、可変表示ユニット36の所定の高さ位置よりも上方の領域である上側領域と、上側領域にその下方にて連続し可変表示ユニット36よりも左方の領域である左側領域と、上側領域にその下方にて連続し可変表示ユニット36よりも右方の領域である右側領域と、左側領域及び右側領域のそれぞれに対してその下方にて連続し可変表示ユニット36よりも下方の領域である下側領域と、に区画されている。この場合に、第1作動口33及び第2作動口34は下側領域に設けられている。また、第1作動口33はセンターフレーム42に形成されたステージ42aの真下に配置されており、ステージ42aの中央から可変表示ユニット36外に排出される遊技球は第1作動口33に入賞し易くなっているとともに、ステージ42a上への遊技球の誘導を可能とする誘導通路の入口部は左側領域からの遊技球の入球を可能とするように形成されている。したがって、左側領域を遊技球が流下するように発射操作を行った方が、右側領域を遊技球が流下するように発射操作を行う場合よりも、第1作動口33又は第2作動口34への遊技球の入球が発生し易くなる。一方、特電入賞装置32は右側領域に設けられている。したがって、開閉実行モードが発生した場合にはそれまで左側領域を遊技球が流下するように発射操作を行っていたのであれば、右側領域を遊技球が流下する態様に発射操作態様を変更する必要がある。
【0040】
ここで、可変表示ユニット36には、上記メイン表示装置41の他に第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44が設けられている。これら第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44について、図5を参照しながら説明する。図5は、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44を説明するための可変表示ユニット36の模式図である。
【0041】
第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44はいずれも液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する演出制御装置により表示内容が制御される。なお、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44は、液晶表示装置に限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった表示面を有する他の表示装置であってもよく、ドットマトリクス表示器であってもよい。また、第1サブ表示装置43と第2サブ表示装置44とで同一種類の表示装置が利用される構成に限定されることはなく、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のうち一方が液晶表示装置であり他方がドットマトリクス表示器であるといったように第1サブ表示装置43と第2サブ表示装置44とで異なる種類の表示装置が利用される構成としてもよい。
【0042】
第1サブ表示装置43と第2サブ表示装置44とは同一形状の表示装置であり、表示面の解像度、表示面の形状及び表示面のサイズは相互に同一となっている。第1サブ表示装置43の表示面及び第2サブ表示装置44の表示面はいずれも長方形状となっている。これら第1サブ表示装置43の表示面及び第2サブ表示装置44の表示面はいずれもメイン表示装置41の表示面よりも狭く、さらには第1サブ表示装置43の表示面と第2サブ表示装置44の表示面とを合計した面積もメイン表示装置41の表示面よりも狭い。さらに言うと第1サブ表示装置43の表示面における長辺の寸法はメイン表示装置41における四角形状の表示面のいずれの辺の寸法よりも短く、第2サブ表示装置44の表示面における長辺の寸法はメイン表示装置41における四角形状の表示面のいずれの辺の寸法よりも短い。これにより、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44がメイン表示装置41とは別に設けられた構成であってもメイン表示装置41への遊技者の注目度が極端に低下してしまうことを阻止することが可能となる。
【0043】
第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44はいずれもメイン表示装置41の表示面よりも前方に配置されている。第1サブ表示装置43には当該第1サブ表示装置43をメイン表示装置41の前方においてスライド移動及び回転移動させるための第1駆動ユニット45が設けられているとともに、第2サブ表示装置44には当該第2サブ表示装置44をメイン表示装置41の前方においてスライド移動及び回転移動させるための第2駆動ユニット46が設けられている。
【0044】
第1駆動ユニット45は、センターフレーム42におけるメイン表示装置41の表示面を遊技盤21の前方に向けて露出させる長方形状の開口部42bの上方においてセンターフレーム42の裏側に設けられている。第2駆動ユニット46は、当該開口部42bの下方においてセンターフレーム42の裏側に設けられている。つまり、センターフレーム42には上下一対の駆動ユニット45,46が設けられている。
【0045】
第1駆動ユニット45及び第2駆動ユニット46は同一の構成となっている。具体的には、各駆動ユニット45,46は、横方向に延びる駆動レール45a,46aと、当該駆動レール45a,46aに沿って横方向に往復動可能であるとともに各サブ表示装置43,44を支持する支持部材45b,46bを縦方向に往復動させることを可能とするスライド駆動モータ45c,46cと、支持部材45b,46bにおいて回転可能に支持された各サブ表示装置43,44を回転駆動させる回転駆動モータ45d,46dと、を備えている。各サブ表示装置43,44は表示面がメイン表示装置41の表示面が向く方向と同一方向であるパチンコ機10前方を向くようにして回転駆動モータ45d,46dに支持されており、回転駆動モータ45d,46dが駆動状態となることによりパチンコ機10の前後方向を回転軸として回転する。
【0046】
支持部材45b,46bは長板状となっており、その長手方向が縦方向となるようにしてスライド駆動モータ45c,46cに搭載されている。この場合、第1駆動ユニット45の支持部材45bにおける下端側に第1サブ表示装置43及び回転駆動モータ45dの組合せが搭載されており、第2駆動ユニット46の支持部材46bにおける上端側に第2サブ表示装置44及び回転駆動モータ46dの組合せが搭載されている。スライド駆動モータ45c,46cが支持部材45b,46bを縦方向に移動させる駆動状態となることにより、支持部材45b,46bが縦方向に移動し、それに伴って支持部材45b,46bと一体化されているサブ表示装置43,44及び回転駆動モータ45d,46dの組合せが縦方向に移動する。また、スライド駆動モータ45c,46cが駆動レール45a,46aに沿って横方向に移動する駆動状態となることにより、当該スライド駆動モータ45c,46cが横方向に移動し、それに伴ってスライド駆動モータ45c,46cと一体化されているサブ表示装置43,44、支持部材45b,46b及び回転駆動モータ45d,46dの組合せが横方向に移動する。
【0047】
図5に示す状態は、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれが初期位置に配置されている状態である。この場合、第1サブ表示装置43は横長となる姿勢においてセンターフレーム42の開口部42bにおける上辺部に配置されており、第1サブ表示装置43の表示面における下半分がメイン表示装置41の表示面の前方において開口部42bから露出し上半分がセンターフレーム42の裏側に隠れた状態となっている。また、第2サブ表示装置44も横長となる姿勢においてセンターフレーム42の開口部42bにおける下辺部に配置されており、第2サブ表示装置44の表示面における上半分がメイン表示装置41の表示面の前方において開口部42bから露出し下半分がセンターフレーム42の裏側に隠れた状態となっている。このように第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の両方が初期位置に配置されている状況では、両サブ表示装置43,44が縦方向に離間された位置関係となっている。また、両サブ表示装置43,44が初期位置に配置されている状況では、各サブ表示装置43,44の横方向の位置が同一となっている。これにより、第1サブ表示装置43の下面の全体が第2サブ表示装置44の上面の全体と対向している。
【0048】
図6(a)及び図6(b)は各サブ表示装置43,44の移動態様の一例を説明するための説明図である。各サブ表示装置43,44が初期位置に配置されている状況においてスライド駆動モータ45c,46cが支持部材45b,46bを下方に移動させる駆動状態となることにより、横長となる姿勢を維持しながら第1サブ表示装置43が下方に移動するとともに横長となる姿勢を維持しながら第2サブ表示装置44が上方に移動する。そして、横長の姿勢の第1サブ表示装置43における下面と横長の姿勢の第2サブ表示装置44における上面とが近距離にて対向する位置まで各サブ表示装置43,44が相互に近付くようにして縦方向に移動することにより、図6(a)に示すように各サブ表示装置43,44が縦方向に並設された状態となる。この場合、第1サブ表示装置43の表示面と第2サブ表示装置44の表示面とが見た目上連続しているように配置され、これら表示面によって正方形状又は長方形状の一の面が形成されることとなる。この位置が第1並設位置である。第1並設位置では第1サブ表示装置43の表示面と第2サブ表示装置44の表示面との境界が横方向に延在するように存在している。なお、各サブ表示装置43,44が第1並設位置に配置されたことを検知するための図示しない検知センサが設けられており、後述する振分制御装置70では当該検知センサの検知結果に基づき各サブ表示装置43,44が第1並設位置に配置されたことを特定しスライド駆動モータ45c,46cの駆動状態を停止させる。
【0049】
図6(a)の状態において第1駆動ユニット45のスライド駆動モータ45cが第1サブ表示装置43を右方向及び下方向に移動させる駆動状態となるとともに第1駆動ユニット45の回転駆動モータ45dが第1サブ表示装置43を時計周りに回転させる駆動状態となり、さらに第2駆動ユニット46のスライド駆動モータ46cが第2サブ表示装置44を左方向及び上方向に移動させる駆動状態となるとともに第2駆動ユニット46の回転駆動モータ46dが第2サブ表示装置44を時計周りに回転させる駆動状態となることにより、図6(b)に示すように各サブ表示装置43,44が第2並設位置に配置された状態となる。第2並設位置では、各サブ表示装置43,44が縦長の姿勢となるとともに、縦長の姿勢の第1サブ表示装置43における左面と縦長の姿勢の第2サブ表示装置44における右面とが近距離にて対向することとなる。この場合、第1サブ表示装置43の表示面と第2サブ表示装置44の表示面とが見た目上連続しているように配置され、これら表示面によって正方形状又は長方形状の一の面が形成されることとなる。第2並設位置では第1サブ表示装置43の表示面と第2サブ表示装置44の表示面との境界が縦方向に延在するように存在している。なお、各サブ表示装置43,44が第2並設位置に配置されたことを検知するための図示しない検知センサが設けられており、後述する振分制御装置70では当該検知センサの検知結果に基づき各サブ表示装置43,44が第2並設位置に配置されたことを特定しスライド駆動モータ45c,46c及び回転駆動モータ45d,46dの駆動状態を停止させる。また、第1並設位置及び第2並設位置以外にも、初期位置及び後述する各中間位置を検知するための図示しない検知センサが設けられており、後述する振分制御装置70では各検知センサの検知結果に基づきスライド駆動モータ45c,46c及び回転駆動モータ45d,46dの駆動状態を停止させる。
【0050】
各サブ表示装置43,44が配置される位置としては、初期位置、第1並設位置及び第2並設位置以外にも、図5に示す初期位置と図6(a)に示す第1並設位置との中間位置に各サブ表示装置43,44が配置される位置が存在している。また、それ以外にも、図6(b)に示す第2並設位置よりも第1サブ表示装置43が右方に移動するとともに第2サブ表示装置44が左方に移動する位置が存在している。これら各中間位置は、前者であれば第1サブ表示装置43と第2サブ表示装置44とが縦方向に離間された位置関係となるとともに、後者であれば第1サブ表示装置43と第2サブ表示装置44とが横方向に離間された位置関係となる。また、第1サブ表示装置43が初期位置に配置された状態において、第2サブ表示装置44が第1並設位置に対応する位置、第2並設位置に対応する位置及び各中間位置に対応する位置に配置されることがあるとともに、第2サブ表示装置44が初期位置に配置された状態において、第1サブ表示装置43が第1並設位置に対応する位置、第2並設位置に対応する位置及び各中間位置に対応する位置に配置されることがある。
【0051】
初期位置以外の位置に各サブ表示装置43,44が配置されている状況においては、支持部材45b,46bがセンターフレーム42の開口部42bから露出することとなる。この場合に、これら支持部材45b,46bは無色透明に形成されているため、支持部材45b,46bが目立たないようにすることが可能となるとともに、メイン表示装置41に表示されている画像が支持部材45b,46bによって隠れてしまわないようにすることが可能となる。
【0052】
図1に示すように、上記構成の遊技盤21を有する内枠13の前面側全体を覆うようにして前扉枠14が設けられている。前扉枠14には、図1に示すように、遊技領域PAのほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部51が形成されている。窓部51は、略楕円形状をなし、窓パネル52が嵌め込まれている。窓パネル52は、ガラスによって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成されていてもよく、パチンコ機10前方から窓パネル52を通じて遊技領域PAを視認可能であれば有色透明に形成されていてもよい。
【0053】
窓部51の上方には表示発光部53が設けられている。また、遊技状態に応じた効果音などが出力される左右一対のスピーカ部54が設けられている。また、窓部51の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部55と下側膨出部56とが上下に並設されている。上側膨出部55内側には上方に開口した上皿55aが設けられており、下側膨出部56内側には同じく上方に開口した下皿56aが設けられている。上皿55aは、裏パックユニット15に設けられた払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿56aは、上皿55a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。なお、下側膨出部56にはメイン表示装置41における表示演出の内容を手動操作に応じて変更させるための演出用ボタン57が設けられている。
【0054】
内枠13の背面側には、主制御装置60と、振分制御装置70と、演出制御装置80とが搭載されている。また、裏パックユニット15には、払出装置68を含む払出機構部と、電源及び発射制御装置65と、払出制御装置66とが搭載されている。以下、パチンコ機10の電気的な構成について説明する。
【0055】
<パチンコ機10の電気的構成>
図7は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
【0056】
<主制御装置60>
主制御装置60は、遊技の主たる制御を司る主制御基板61を具備している。なお、主制御装置60において主制御基板61などを収容する基板ボックスに対して、その開放の痕跡を残すための痕跡手段を付与する又はその開放の痕跡を残すための痕跡構造を設けておくようにしてもよい。当該痕跡手段としては、基板ボックスを構成する複数のケース体を分離不能に結合するとともにその分離に際して所定部位の破壊を要する結合部(カシメ部)の構成や、引き剥がしに際して粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成が考えられる。また、痕跡構造としては、基板ボックスを構成する複数のケース体間の境界に対して接着剤を塗布する構成が考えられる。
【0057】
主制御基板61には、MPU62が搭載されている。MPU62には、当該MPU62により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM63と、そのROM63内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM64と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。
【0058】
なお、ROM63として、制御プログラムや固定値データの読み出しに際してランダムアクセスが可能であって、記憶保持に外部からの電力供給が不要な記憶手段(すなわち、不揮発性記憶手段)が用いられている。具体的には、NOR型キャッシュメモリが用いられている。但し、これに限定されることはなく、ランダムアクセスが可能であれば、ROM63として用いるメモリの種類は任意である。また、制御及び演算部分と、ROM63と、RAM64とが1チップ化されている構成は必須ではなく、各機能がそれぞれ別チップとして搭載されている構成としてもよく、一部の機能が別チップとして搭載されている構成としてもよい。
【0059】
MPU62には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU62の入力側には、電源及び発射制御装置65が接続されている。電源及び発射制御装置65は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板61に動作電力を供給する。ちなみに、当該動作電力は主制御基板61だけでなく、払出制御装置66や後述する演出制御装置80といった他の機器にも供給される。
【0060】
なお、MPU62と電源及び発射制御装置65との電力経路上に停電監視基板を設けてもよい。この場合、当該停電監視基板により停電の発生が監視され、停電の発生が確認された場合にはMPU62に対して停電信号が送信されるようにすることで、MPU62において停電時用の処理を実行することが可能となる。
【0061】
また、MPU62の入力側には、図示しない各種センサが接続されている。当該各種センサの一部として、一般入賞口31、特電入賞装置32、第1作動口33、第2作動口34及びスルーゲート35といった入賞対応入球部に対して1対1で設けられた検知センサが含まれており、MPU62において各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。また、MPU62では第1作動口33及び第2作動口34への入賞に基づいて大当たり発生抽選及び大当たり結果種別抽選を実行するとともに、各遊技回のリーチ発生抽選や変動表示時間の決定抽選を実行する。
【0062】
ここで、MPU62にて各種抽選を行うための構成について説明する。
【0063】
MPU62は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、特図表示部37aの表示の設定、メイン表示装置41の図柄表示の設定、普図表示部38aの表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図8に示すように、大当たり発生抽選に使用する当たり乱数カウンタC1と、15R確変大当たり結果や通常大当たり結果等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、メイン表示装置41が外れ変動する際のリーチ発生抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、特図表示部37a及びメイン表示装置41における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、第2作動口34の普電役物34aを電役開放状態とするか否かの抽選に使用する普電役物開放カウンタC4を用いることとしている。なお、これら各カウンタC1~C3,CINI,CS,C4は抽選用カウンタエリア64aに設けられている。
【0064】
各カウンタC1~C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後「0」に戻るループカウンタとなっている。当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、第1作動口33又は第2作動口34への入賞が発生した場合に、取得情報記憶手段としての保留格納エリア64bに格納される。
【0065】
保留格納エリア64bは、保留用エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留用エリアREは、第1保留エリアRE1、第2保留エリアRE2、第3保留エリアRE3及び第4保留エリアRE4を備えており、第1作動口33又は第2作動口34への入賞履歴に合わせて、当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報が保留情報として、いずれかの保留エリアRE1~RE4に格納される。
【0066】
第1保留エリアRE1~第4保留エリアRE4には、第1作動口33又は第2作動口34への入賞が複数回連続して発生した場合に、第1保留エリアRE1→第2保留エリアRE2→第3保留エリアRE3→第4保留エリアRE4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このように4つの保留エリアRE1~RE4が設けられていることにより、第1作動口33又は第2作動口34への遊技球の入賞履歴が最大4個まで保留記憶されるようになっている。なお、保留記憶可能な数は、4個に限定されることはなく任意であり、2個、3個又は5個以上といったように他の複数であってもよく、単数であってもよい。実行エリアAEは、特図表示部37aの変動表示を開始する際に、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納された各値を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、大当たり発生抽選などが行われる。
【0067】
各カウンタについて詳しくは、当たり乱数カウンタC1は、例えば0~599の範囲内で順に「1」ずつ加算され、最大値に達した後「0」に戻る構成となっている。特に当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0~599)。当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が第1作動口33又は第2作動口34に入賞したタイミングで保留格納エリア64bに格納される。
【0068】
大当たり当選となる乱数の値は、ROM63に当否テーブルとして記憶されている。当否テーブルとしては、低確率モード用の当否テーブルと、高確率モード用の当否テーブルとが設定されている。つまり、本パチンコ機10は、大当たり発生抽選手段における抽選モードとして、低確率モードと高確率モードとが設定されている。
【0069】
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は2個である。一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は20個である。なお、低確率モードよりも高確率モードの当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数は任意である。
【0070】
大当たり種別カウンタC2は、0~29の範囲内で順に「1」ずつ加算され、最大値に達した後「0」に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が第1作動口33又は第2作動口34に入賞したタイミングで保留格納エリア64bに格納される。
【0071】
本パチンコ機10では、複数の大当たり結果が設定されている。これら複数の大当たり結果は、(1)開閉実行モードにおける特電入賞装置32の開閉制御の態様、(2)開閉実行モード終了後の大当たり発生抽選手段における抽選モード、(3)開閉実行モード終了後の第2作動口34の普電役物34aにおけるサポートモード、という3つの条件に差異を設けることにより、複数の大当たり結果が設定されている。
【0072】
開閉実行モードにおける特電入賞装置32の開閉制御の態様としては、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における特電入賞装置32への入賞の発生頻度が相対的に高低となるように高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとが設定されている。具体的には、高頻度入賞モードでは、開閉実行モードの開始から終了までに、大入賞口の開閉が15回行われるとともに、1回の開放は30secが経過するまで又は大入賞口への入賞個数が10個となるまで継続される。一方、低頻度入賞モードでは、開閉実行モードの開始から終了までに、大入賞口の開閉が2回行われるとともに、1回の開放は0.2secが経過するまで又は大入賞口への入賞個数が6個となるまで継続される。
【0073】
本パチンコ機10では、発射操作装置24が遊技者により操作されている状況では、0.6secに1個の遊技球が遊技領域PAに向けて発射されるように遊技球発射機構67が駆動制御される。これに対して、低頻度入賞モードでは、上記のとおり1回の大入賞口の開放時間は0.2secとなっている。つまり、低頻度入賞モードでは、遊技球の発射周期よりも1回の大入賞口の開放時間が短くなっている。したがって、低頻度入賞モードの開閉実行モードでは実質的に遊技球の入賞が発生しない。
【0074】
なお、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードにおける大入賞口の開閉回数、1回の開放に対する開放時間及び1回の開放に対する上限入賞個数は、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における特電入賞装置32への入賞の発生頻度が高くなるのであれば、上記の値に限定されることはなく任意である。
【0075】
但し、高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとの間での特典の差異を明確にする上では、低頻度入賞モードの開閉実行モードでは、実質的に特電入賞装置32への入賞が発生しない構成とするとよい。例えば、高頻度入賞モードでは、1回の開放について、遊技球の発射周期と上限入賞個数との積を開放時間よりも短く設定する一方、低頻度入賞モードでは、1回の開放について、遊技球の発射周期と上限入賞個数との積を開放時間よりも長く設定する構成としてもよい。また、遊技球の発射間隔及び1回の大入賞口の開放時間が上記のものでなかったとしても、低頻度入賞モードでは、前者よりも後者の方が短くなるように設定することで、実質的に特電入賞装置32への入賞が発生しない構成を容易に実現することができる。
【0076】
第2作動口34の普電役物34aにおけるサポートモードとしては、遊技領域PAに対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、第2作動口34の普電役物34aが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとが設定されている。
【0077】
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、普電役物開放カウンタC4を用いた電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放状態当選となった際に普電役物34aが開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放状態当選となり普電役物34aの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間として短い時間が選択されるように設定されている。
【0078】
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも第2作動口34への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、第2作動口34よりも第1作動口33への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、第1作動口33よりも第2作動口34への入賞が発生する確率が高くなる。そして、第2作動口34への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
【0079】
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。また、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間(例えば、スルーゲート35への入賞に基づき普図表示部38aにて実行される変動表示の時間)が複数種類用意されている構成においては、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、短い確保時間が選択され易い又は平均の確保時間が短くなるように設定されていてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間を短くする(すなわち、普図表示部38aにおける1回の変動表示時間を短くする)、当該確保時間の平均時間を短くする及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組合せの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
【0080】
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM63に振分テーブルとして記憶されている。そして、かかる振分先として、通常大当たり結果と、明示2R確変大当たり結果と、15R確変大当たり結果とが設定されている。
【0081】
通常大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、大当たり発生抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。
【0082】
明示2R確変大当たり結果は、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、大当たり発生抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、大当たり発生抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。
【0083】
15R確変大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、大当たり発生抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、大当たり発生抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。
【0084】
なお、上記各遊技状態との関係で通常遊技状態とは、大当たり発生抽選モードが低確率モードであり、サポートモードが低頻度サポートモードである状態をいう。
【0085】
振分テーブルでは、「0~29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0~9」が通常大当たり結果に対応しており、「10~14」が明示2R確変大当たり結果に対応しており、「15~29」が15R確変大当たり結果に対応している。
【0086】
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0~238の範囲内で順に「1」ずつ加算され、最大値に達した後「0」に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が第1作動口33又は第2作動口34に入賞したタイミングで保留格納エリア64bに格納される。
【0087】
ここで、本パチンコ機10には、メイン表示装置41における表示演出の一種として期待演出が設定されている。期待演出とは、図柄の変動表示を行うことが可能なメイン表示装置41を備え、特電入賞装置32の開閉実行モードが高頻度入賞モードとなる遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となる遊技機において、メイン表示装置41における図柄の変動表示が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、前記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
【0088】
期待演出には、上記リーチ演出と、当該リーチ演出が発生する前段階などにおいてリーチ演出の発生や特別表示結果の発生を期待させるための予告演出との2種類が設定されている。
【0089】
リーチ演出には、メイン表示装置41の表示面に表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組合せが成立する可能性があるリーチ図柄の組合せを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態が含まれる。また、上記のようにリーチ図柄の組合せを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画像において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組合せを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
【0090】
リーチ演出について具体的には、図柄の変動表示を終了させる前段階として、メイン表示装置41の表示面内の予め設定された有効ライン上に、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組合せが成立する可能性のあるリーチ図柄の組合せが停止表示されることによりリーチラインが形成され、当該リーチラインが形成されている状況下において最終停止図柄列により図柄の変動表示が行われる。
【0091】
図4の表示内容について具体的に説明すると、最初に上段の図柄列Z1において図柄の変動表示が終了され、さらに下段の図柄列Z3において図柄の変動表示が終了された状態において、いずれかの有効ラインL1~L5に同一の数字が付された主図柄が停止表示されることでリーチラインが形成され、当該リーチラインが形成されている状況化において中段の図柄列Z2において図柄の変動表示が行われることでリーチ演出となる。そして、高頻度入賞モードが発生する場合には、リーチラインを形成している主図柄と同一の数字が付された主図柄がリーチライン上に停止表示されるようにして中段の図柄列Z2における図柄の変動表示が終了される。
【0092】
予告演出には、メイン表示装置41の表示面において図柄の変動表示が開始されてから、全ての図柄列Z1~Z3にて図柄が変動表示されている状況において、又は一部の図柄列であって複数の図柄列にて図柄が変動表示されている状況において、図柄列Z1~Z3上の図柄とは別にキャラクタを表示させる態様が含まれる。また、背景画像をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものや、図柄列Z1~Z3上の図柄をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものも含まれる。かかる予告演出は、リーチ演出が行われる場合及びリーチ演出が行われない場合のいずれの遊技回においても発生し得るが、リーチ演出の行われる場合の方がリーチ演出の行われない場合よりも高確率で発生するように設定されている。
【0093】
リーチ演出は、開閉実行モードに移行する遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行される。また、開閉実行モードに移行しない遊技回では、ROM63のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルを参照して、所定のタイミングで取得したリーチ乱数カウンタC3がリーチ演出の発生に対応している場合に実行される。一方、予告演出を行うか否かの決定は、主制御装置60において行うのではなく、振分制御装置70において行われる。
【0094】
変動種別カウンタCSは、例えば0~198の範囲内で順に「1」ずつ加算され、最大値に達した後「0」に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、特図表示部37aにおける変動表示時間と、メイン表示装置41における図柄の変動表示時間とをMPU62において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述するタイマ割込み処理が1回実行される毎に1回更新され、後述するメイン処理の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特図表示部37aにおける変動表示の開始時及びメイン表示装置41による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSの値が取得される。なお、変動表示時間の決定に際しては、ROM63の変動表示時間テーブル記憶エリアに予め記憶されている変動表示時間テーブルが参照される。
【0095】
普電役物開放カウンタC4は、例えば、0~250の範囲内で順に「1」ずつ加算され、最大値に達した後「0」に戻る構成となっている。普電役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート35に遊技球が入賞したタイミングで電役保留エリア64cに格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された普電役物開放カウンタC4の値によって普電役物34aを開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。
【0096】
MPU62の出力側には図7に示すように、払出制御装置66が接続されているとともに、電源及び発射制御装置65が接続されている。払出制御装置66には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが送信される。払出制御装置66は、主制御装置60から受信した賞球コマンドに基づいて、払出装置68により賞球や貸し球の払出制御を行う。電源及び発射制御装置65には、発射操作装置24が操作されていることに基づいて主制御装置60から発射許可コマンドが送信される。電源及び発射制御装置65は、主制御装置60から受信した発射許可コマンドに基づいて、遊技球発射機構67を駆動させ遊技球を遊技領域PAに向けて発射させる。
【0097】
MPU62の出力側には、特図表示部37a及び普図表示部38aが接続されており、これら特図表示部37a及び普図表示部38aの表示制御がMPU62により直接行われる。つまり、各遊技回に際しては、MPU62において特図表示部37aの表示制御が実行される。また、普電役物34aを開放状態とするか否かの抽選結果を明示する場合に、MPU62において普図表示部38aの表示制御が実行される。
【0098】
MPU62の出力側には、特電入賞装置32の開閉扉を開閉動作させる特電入賞駆動部、及び第2作動口34の普電役物34aを開閉動作させる普電役物駆動部が接続されている。つまり、開閉実行モードにおいては大入賞口が開閉されるように、MPU62において特電入賞駆動部の駆動制御が実行される。また、普電役物34aの開放状態当選となった場合には、普電役物34aが開閉されるように、MPU62において普電役物駆動部の駆動制御が実行される。また、MPU62の出力側には、振分制御装置70が接続されており、当該振分制御装置70に対して演出用の各種コマンドを送信する。
【0099】
ここで、MPU62にて実行される処理について説明する。かかるMPU62の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では4msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがある。
【0100】
図9はメイン処理を示すフローチャートである。ステップS101では、電源投入ウェイト処理を実行する。当該電源投入ウェイト処理では、例えばメイン処理が起動されてからウェイト用の所定時間(具体的には1sec)が経過するまで次の処理に進行することなく待機する。かかる電源投入ウェイト処理の実行期間においてメイン表示装置41の動作開始及び初期設定が完了することとなる。続くステップS102ではRAM64のアクセスを許可するとともに、ステップS103にてMPU62の内部機能レジスタの設定を行う。
【0101】
その後、ステップS104では、電源及び発射制御装置65に設けられたRAM消去スイッチが手動操作されているか否かを判定し、続くステップS105では、RAM64の停電フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。また、ステップS106ではチェックサムを算出するチェックサム算出処理を実行し、続くステップS107ではそのチェックサムが電源遮断時に保存したチェックサムと一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。
【0102】
本パチンコ機10では、例えば遊技ホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチを押しながら電源が投入される。したがって、RAM消去スイッチが押されていれば、ステップS108の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、チェックサムにより記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS108の処理に移行する。ステップS108では、RAM64をクリアする。その後、ステップS109に進む。
【0103】
一方、RAM消去スイッチが押されていない場合には、停電フラグに「1」がセットされていること、及びチェックサムが正常であることを条件に、ステップS108の処理を実行することなくステップS109に進む。ステップS109では、電源投入設定処理を実行する。電源投入設定処理では、停電フラグの初期化といったRAM64の所定のエリアを初期値に設定するとともに、現状の遊技状態を認識させるために現状の遊技状態に対応したコマンドを振分制御装置70に送信する。
【0104】
その後、ステップS110~ステップS113の残余処理に進む。つまり、MPU62はタイマ割込み処理を定期的に実行する構成であるが、1のタイマ割込み処理と次のタイマ割込み処理との間に残余時間が生じることとなる。この残余時間は各タイマ割込み処理の処理完了時間に応じて変動することとなるが、かかる不規則な時間を利用してステップS110~ステップS113の残余処理を繰り返し実行する。この点、当該ステップS110~ステップS113の残余処理は非定期的に実行される非定期処理であると言える。
【0105】
残余処理では、まずステップS110にて、タイマ割込み処理の発生を禁止するために割込み禁止の設定を行う。続くステップS111では、乱数初期値カウンタCINIの更新を行う乱数初期値更新処理を実行するとともに、ステップS112にて変動種別カウンタCSの更新を行う変動用カウンタ更新処理を実行する。これらの更新処理では、RAM64の対応するカウンタから現状の数値情報を読み出し、その読み出した数値情報を1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値に達した際それぞれ「0」にクリアする。その後、ステップS113にて、タイマ割込み処理の発生を禁止している状態から許可する状態へ切り換える割込み許可の設定を行う。ステップS113の処理を実行したら、ステップS110に戻り、ステップS110~ステップS113の処理を繰り返す。
【0106】
次に、図10のフローチャートを参照しながらタイマ割込み処理を説明する。タイマ割込み処理は定期的(例えば4msec周期)に実行される。まずステップS201にて停電情報記憶処理を実行する。停電情報記憶処理では、停電監視基板から電源遮断の発生に対応した停電信号を受信しているか否かを監視し、停電の発生を特定した場合には停電時処理を実行する。
【0107】
続くステップS202では抽選用乱数更新処理を実行する。抽選用乱数更新処理では、当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び普電役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び普電役物開放カウンタC4から現状の数値情報を順次読み出し、それら読み出した数値情報をそれぞれ1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値に達した際それぞれ「0」にクリアする。その後、ステップS203ではステップS111と同様に乱数初期値更新処理を実行するとともに、ステップS204にてステップS112と同様に変動用カウンタ更新処理を実行する。
【0108】
続くステップS205では、不正用の監視対象として設定されている所定の事象が発生しているか否かを監視する不正検知処理を実行する。当該不正検知処理では、複数種類の事象の発生を監視し、所定の事象が発生していることを確認することで、RAM64に設けられた遊技停止用フラグに「1」をセットする。
【0109】
続くステップS206では、上記遊技停止用フラグに「1」がセットされているか否かを判定することで、遊技の進行を停止している状態であるか否かを判定する。ステップS206にて否定判定をした場合に、ステップS207以降の処理を実行する。
【0110】
ステップS207では、ポート出力処理を実行する。ポート出力処理では、前回のタイマ割込み処理において出力情報の設定が行われている場合に、その出力情報に対応した出力を各種駆動部に行うための処理を実行する。例えば、特電入賞装置32を開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には特電入賞駆動部への駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。また、第2作動口34の普電役物34aを開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には普電役物駆動部への駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。
【0111】
続くステップS208では、読み込み処理を実行する。読み込み処理では、停電信号及び入賞信号以外の信号の読み込みを実行し、その読み込んだ情報を今後の処理にて利用するために記憶する。
【0112】
続くステップS209では入賞検知処理を実行する。当該入賞検知処理では、各入賞検知センサから受信している信号を読み込むとともに、一般入賞口31、特電入賞装置32、第1作動口33、第2作動口34及びスルーゲート35への入賞の有無を特定する処理を実行する。
【0113】
続くステップS210では、RAM64に設けられている複数種類のタイマカウンタの数値情報をまとめて更新するためのタイマ更新処理を実行する。この場合、記憶されている数値情報が減算されて更新されるタイマカウンタを集約して扱う構成であるが、減算式のタイマカウンタの更新及び加算式のタイマカウンタの更新の両方を集約して行う構成としてもよい。
【0114】
続くステップS211では、遊技球の発射制御を行うための発射制御処理を実行する。発射操作装置24への発射操作が継続されている状況では、既に説明したとおり、所定の発射周期である0.6secに1個の遊技球が発射される。
【0115】
続くステップS212では、入力状態監視処理として、ステップS208の読み込み処理にて読み込んだ情報に基づいて、各入賞検知センサの断線確認や、遊技機本体12や前扉枠14の開放確認を行う。
【0116】
続くステップS213では、遊技回の実行制御及び開閉実行モードの実行制御を行うための特図特電制御処理を実行する。当該特図特電制御処理では、保留格納エリア64bに記憶されている保留情報の数が上限数未満である状況で第1作動口33又は第2作動口34への入賞が発生した場合に、その時点における当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報を保留情報として、保留格納エリア64bに時系列的に格納していく処理を実行する。また、特図特電制御処理では、遊技回中及び開閉実行モード中ではなく且つ保留情報が記憶されていることを条件に、その保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定する大当たり発生抽選処理、及び大当たり当選に対応している場合にはその保留情報がいずれの大当たり結果に対応しているのかを判定する振分判定処理を実行する。また、特図特電制御処理では、大当たり発生抽選処理及び振分判定処理だけでなく、その保留情報が大当たり当選に対応していない場合には、その保留情報がリーチ発生に対応しているか否かを判定するリーチ判定処理を実行するとともに、その時点における変動種別カウンタCSの数値情報を利用して遊技回の変動表示時間を選択する処理を実行する。この場合、大当たり当選の有無、大当たり種別及びリーチ発生の有無に対応した変動表示時間テーブルをROM63から読み出し、その読み出した変動表示時間テーブルと、そのタイミングにおける変動種別カウンタCSの数値情報とから今回の遊技回の変動表示時間を決定する。そして、その決定した遊技回の変動表示時間の情報を含む変動用コマンドと、遊技結果の情報を含む種別コマンドとを、振分制御装置70に送信するとともに、特図表示部37aにおける絵柄の変動表示を開始させる。これにより、1遊技回が開始された状態となり、特図表示部37a及びメイン表示装置41にて遊技回用の演出が開始される。また、MPU62は変動用コマンド及び種別コマンドを送信した場合に変動表示時間の計測を開始する。
【0117】
また、特図特電制御処理では、1遊技回の実行中においては当該遊技回に対応する変動表示時間が経過した場合に、特図表示部37aにおいて今回の遊技回の大当たり発生抽選処理及び振分判定処理の結果に対応する停止結果を表示させ、さらに確定表示時間(具体的には0.5sec)の計測を開始する。そして、特図表示部37aに停止結果が表示された状態を確定表示時間に亘って維持させる。この場合、通常大当たり結果となる遊技回であれば当該通常大当たり結果に対応する絵柄を特図表示部37aに停止表示させ、15R確変大当たり結果となる遊技回であれば当該15R確変大当たり結果に対応する絵柄を特図表示部37aに停止表示させ、明示2R確変大当たり結果となる遊技回であれば当該明示2R確変大当たり結果に対応する絵柄を特図表示部37aに停止表示させる。確定表示時間が経過した場合、今回の遊技回が外れ結果に対応しているのであれば、保留格納エリア64bに保留情報が記憶されていることを条件として、新たな遊技回を開始させるための処理を実行する。保留情報が記憶されていないのであれば、保留情報が新たに取得されるまで待機する。
【0118】
一方、今回の遊技回が大当たり結果に対応しているのであれば、開閉実行モードを開始させるための処理を実行する。この開始に際しては開閉実行モードが開始されることを示すオープニングコマンドを振分制御装置70に送信する。また、特図特電制御処理では、各ラウンド遊技を開始させるための処理及び各ラウンド遊技を終了させるための処理を実行する。これら各処理に際して、ラウンド遊技が開始されることを示す開放コマンドを振分制御装置70に送信するとともに、ラウンド遊技が終了されることを示す閉鎖コマンドを振分制御装置70に送信する。また、特図特電制御処理では、開閉実行モードを終了させる場合にそのことを示すエンディングコマンドを振分制御装置70に送信するとともに、開閉実行モード後の大当たり発生抽選モードやサポートモードを設定するための処理を実行する。なお、開閉実行モードは、例えば3secといった期間に亘ってオープニング期間が発生し、このオープニング期間において開閉実行モードが発生したことを遊技者に認識可能とさせる演出が実行される。その後に、特電入賞装置32の開閉が実行されるラウンド遊技が所定回数実行される。そして、所定回数のラウンド遊技が実行された後に、例えば5secといった期間に亘ってエンディング期間が発生し、このエンディング期間において開閉実行モードが終了することを遊技者に認識可能とさせる演出が実行される。
【0119】
タイマ割込み処理においてステップS213の特図特電制御処理を実行した後は、ステップS214にて普図普電制御処理を実行する。普図普電制御処理では、スルーゲート35への入賞が発生している場合に普図側の保留情報を取得するための処理を実行するとともに、普図側の保留情報が記憶されている場合にその保留情報について開放判定を行い、さらにその開放判定を契機として普図用の演出を行うための処理を実行する。また、開放判定の結果に基づいて、第2作動口34の普電役物34aを開閉させる処理を実行する。
【0120】
続くステップS215では、直前のステップS213及びステップS214の処理結果に基づいて、特図表示部37aに対応する保留情報の増減個数を特図保留表示部37bに反映させるための出力情報の設定を行うとともに、普図表示部38aに対応する保留情報の増減個数を普図保留表示部38bに反映させるための出力情報の設定を行う。また、ステップS215では、直前のステップS213及びステップS214の処理結果に基づいて、特図表示部37aの表示内容を更新させるための出力情報の設定を行うとともに、普図表示部38aの表示内容を更新させるための出力情報の設定を行う。
【0121】
続くステップS216では、払出制御装置66から受信したコマンド及び信号の内容を確認し、その確認結果に対応した処理を行うための払出状態受信処理を実行する。また、ステップS217では、賞球コマンドを出力対象として設定するための払出出力処理を実行する。続くステップS218では、今回のタイマ割込み処理にて実行された各種処理の処理結果に応じた外部信号の出力の開始及び終了を制御するための外部情報設定処理を実行する。その後、本タイマ割込み処理を終了する。
【0122】
<振分制御装置70>
次に、振分制御装置70について説明する。
【0123】
振分制御装置70は、図7に示すように、主制御装置60のMPU62から受信したコマンドに基づき各種表示装置41,43,44、表示発光部53及びスピーカ部54にて実行する演出の実行内容を決定する機能を有する振分制御基板71と、振分制御基板71及び後述する演出制御装置80の制御に基づき各種駆動モータ45c,45d,46c,46d、表示発光部53及びスピーカ部54への駆動信号の出力を集約して行う機能を有する出力統合基板72と、を備えている。
【0124】
振分制御基板71はMPU73を備えている。MPU73には、当該MPU73により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM74と、そのROM74内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM75と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。
【0125】
なお、ROM74として、制御プログラムや固定値データの読み出しに際してランダムアクセスが可能であって、記憶保持に外部からの電力供給が不要な記憶手段(すなわち、不揮発性記憶手段)が用いられている。具体的には、NOR型キャッシュメモリが用いられている。但し、これに限定されることはなく、ランダムアクセスが可能であれば、ROM74として用いるメモリの種類は任意である。また、制御及び演算部分と、ROM74と、RAM75とが1チップ化されている構成は必須ではなく、各機能がそれぞれ別チップとして搭載されている構成としてもよく、一部の機能が別チップとして搭載されている構成としてもよい。
【0126】
MPU73には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU73の入力側には主制御装置60が接続されている。MPU73の出力側には演出制御装置80が接続されているとともに出力統合基板72が接続されている。ちなみに、振分制御基板71と出力統合基板72との電気的な接続は、振分制御基板71に設けられた振分側コネクタ76aと、出力統合基板72に設けられた出力統合側コネクタ76bとが信号線を介在させることなく接続されることにより行われている。これら振分側コネクタ76aと出力統合側コネクタ76bとの電気的な接続は着脱自在な状態で行われている。
【0127】
出力統合基板72は、モータ用駆動回路77と、ハーネス用コネクタ78と、を備えている。モータ用駆動回路77は、振分制御基板71のMPU73から出力された駆動データに基づき、第1サブ表示装置43を移動させるためのスライド駆動モータ45c及び回転駆動モータ45d、並びに第2サブ表示装置44を移動させるためのスライド駆動モータ46c及び回転駆動モータ46dに駆動信号を出力するための回路である。振分制御基板71のMPU73は、各駆動モータ45c,45d,46c,46dのそれぞれに対応した駆動データをそれぞれに対応したタイミングでモータ用駆動回路77に出力する。モータ用駆動回路77は、各駆動モータ45c,45d,46c,46dのそれぞれに対して個別に電気的に接続されており、振分制御基板71のMPU73から受信した駆動データに対応する駆動モータ45c,45d,46c,46dを個別に駆動制御する。
【0128】
モータ用駆動回路77から各駆動モータ45c,45d,46c,46dに信号を出力するための電気経路の途中位置に存在するようにして、ハーネス用コネクタ78が設けられている。また、ハーネス用コネクタ78は、後述する演出制御装置80の演出制御基板81に設けられた発光用回路87から表示発光部53に信号を出力するための電気経路、及び当該演出制御基板81に設けられた音出力用回路88からスピーカ部54に信号を出力するための電気経路の途中位置に存在している。既に説明したとおり各駆動モータ45c,45d,46c,46dは遊技盤21に搭載されており、表示発光部53及びスピーカ部54は前扉枠14に搭載されている。これら各駆動モータ45c,45d,46c,46d、表示発光部53及びスピーカ部54のそれぞれに信号を出力するための信号線は、いずれも遊技盤21に設けられた中継基板にて中継される。この場合に、これら各信号線は一端が一のコネクタ部材に集約されているとともに他端も一のコネクタ部材に集約されたハーネスとして設けられている。そして、そのハーネスの一端が出力統合基板72のハーネス用コネクタ78と着脱自在な状態で電気的に接続されているとともに、そのハーネスの他端が上記中継基板に設けられたハーネス用コネクタと着脱自在な状態で電気的に接続されている。
【0129】
詳細は後述するように表示発光部53の発光制御及びスピーカ部54の音出力制御は演出制御装置80にて行われる。この場合に、表示発光部53に信号を出力するための信号線及びスピーカ部54に信号を出力するための信号線が各駆動モータ45c,45d,46c,46dに信号を出力するための信号線とともに出力統合基板72に集約されていることにより、メンテナンスなどに際して、各駆動モータ45c,45d,46c,46d、表示発光部53及びスピーカ部54と制御装置側との電気的接続を取り外す必要が生じた場合に、作業箇所が出力統合基板72に集約され、その作業性を向上させることが可能となる。
【0130】
また、各駆動モータ45c,45d,46c,46d、表示発光部53及びスピーカ部54に信号を出力するための各信号線が一のハーネスに集約されているとともに、そのハーネスの一端に設けられたコネクタ部材が出力統合基板72のハーネス用コネクタ78に接続された構成である。この場合、そのハーネスをハーネス用コネクタ78から取り外すことで、各駆動モータ45c,45d,46c,46d、表示発光部53及びスピーカ部54と制御装置側との電気的接続をまとめて解除することが可能となり、この点からもメンテナンスなどに際しての作業性を向上させることが可能となる。
【0131】
発光用回路87から表示発光部53に信号を出力するための電気経路、及び音出力用回路88からスピーカ部54に信号を出力するための電気経路は、振分制御基板71に形成された電気回路及び出力統合基板72に形成された電気回路を通じてハーネス用コネクタ78に接続されている構成であるが、これら電気経路に振分制御基板71のMPU73が介在していない。これにより、表示発光部53及びスピーカ部54に信号を出力するための電気経路に振分制御装置70が介在する構成において、表示発光部53及びスピーカ部54に発光用回路87及び音出力用回路88から信号を出力するための処理に振分制御基板71のMPU73が介在しないようにすることが可能となる。なお、発光用回路87から表示発光部53に信号を出力するための電気経路、及び音出力用回路88からスピーカ部54に信号を出力するための電気経路に、振分制御基板71に形成された電気回路が含まれていない構成としてもよい。
【0132】
上記のとおり振分制御装置70には振分制御基板71だけではなく出力統合基板72が設けられており、これら振分制御基板71及び出力統合基板72は振分側コネクタ76a及び出力統合側コネクタ76bを利用して着脱自在な状態で電気的に接続されている。そして、出力統合基板72にはモータ用駆動回路77及びハーネス用コネクタ78が設けられている。これにより、各駆動モータ45c,45d,46c,46dの有無や数の増減を機種間で異ならせる必要が生じた場合や、各駆動モータ45c,45d,46c,46d、表示発光部53及びスピーカ部54に対する電気的な接続の態様を機種間で異ならせる必要が生じた場合には、機種間で出力統合基板72の構成を変更するだけでよく、振分制御基板71及び演出制御装置80の構成(プログラムやデータの構成を除く)をそれら機種間でそのまま利用することが可能となる。
【0133】
なお、各種表示装置41,43,44が設けられていないパチンコ機に振分制御装置70を搭載してもよい。この場合、演出制御装置80の代わりに配線用基板を振分制御装置70に接続し、本パチンコ機10において演出制御装置80に接続されていた振分制御装置70の配線はその配線用基板に接続されるようにする。また、振分制御基板71にソフト音源を搭載するとともにドット表示器又は7セグ表示器を出力統合基板72に接続する。この場合、配線用基板を利用して引き回された配線を通じて、ソフト音源からの音の出力制御が振分制御基板71のMPU73により実行されるとともに、ドット表示器又は7セグ表示器の表示制御も振分制御基板71のMPU73により実行される構成とするとよい。
【0134】
振分制御基板71のMPU73にて実行される処理について説明する。なお、以下の説明では説明の便宜上、主制御装置60のMPU62、ROM63及びRAM64を主側MPU62、主側ROM63及び主側RAM64といい、振分制御基板71のMPU73、ROM74及びRAM75を振分側MPU73、振分側ROM74及び振分側RAM75という。
【0135】
図11は振分側MPU73にて比較的短い周期(例えば4msec)で繰り返し実行されるタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【0136】
まずステップS301にて、各駆動モータ45c,45d,46c,46dの駆動制御、及び演出制御装置80の制御を実行するために使用される制御用テーブルを設定するためのテーブル設定処理を実行する。テーブル設定処理では、例えば主側MPU62から受信したコマンドに対応した処理を行うための制御パターンテーブルの設定を行う。続くステップS302では、各表示装置41,43,44の表示制御の内容、表示発光部53の発光制御の内容、及びスピーカ部54の音出力制御の内容を演出制御装置80に設けられた演出用CPU82に指示するためのコマンド選択処理を実行する。当該コマンド選択処理では、上記ステップS301のテーブル設定処理にて読み出された制御用テーブルに従って演出用CPU82へのコマンド出力が行われる。
【0137】
その後、ステップS303にて、各駆動モータ45c,45d,46c,46dの駆動制御を行うための可動物制御処理を実行する。当該可動物制御処理では、上記ステップS301のテーブル設定処理にて読み出された制御用テーブルに従って各駆動モータ45c,45d,46c,46dの駆動制御を実行する。その後、ステップS304にてポインタ更新処理を実行する。ポインタ更新処理では、現状の制御用テーブルのポインタ情報を次のポインタ情報に更新する。
【0138】
<テーブル設定処理>
図12は、タイマ割込み処理(図11)のステップS301にて実行されるテーブル設定処理を示すフローチャートである。
【0139】
主側MPU62から変動用コマンド及び種別コマンドを受信している場合(ステップS401:YES)、遊技結果の記憶処理を実行する(ステップS402)。具体的には、種別コマンドに含まれている情報から、今回の遊技回の開始に際して主側MPU62にて決定された大当たり発生抽選及び振分抽選の結果がいずれであるかを特定し、その特定した情報をRAM64に書き込む。
【0140】
その後、主側MPU62から今回受信した変動用コマンドに対応する変動表示時間が予告演出の発生可能状況に対応する変動表示時間であることを条件として(ステップS403:YES)、予告抽選処理を実行する(ステップS404)。予告抽選処理では、今回の遊技回において各表示装置41,43,44にて予告演出を行わせるか否かを抽選により決定する。かかる予告演出としては、既に説明したとおり、メイン表示装置41にて図柄の変動表示が開始されてから、全ての図柄列Z1~Z3にて図柄が変動表示されている状況において、又は一部の図柄列であって複数の図柄列にて図柄が変動表示されている状況において、図柄列Z1~Z3上の図柄とは別にいずれかの表示装置41,43,44にキャラクタを表示させる態様とするものや、背景画面をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものや、図柄列Z1~Z3上の図柄をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものも含まれる。当該予告演出は、リーチ演出が行われる場合及びリーチ演出が行われない場合のいずれの遊技回においても発生し得るが、リーチ演出が行われる場合の方がリーチ演出が行われない場合よりも高確率で発生するように設定されている。また、予告演出は、いずれかの大当たり結果に対応した遊技回の方が、外れ結果に対応した遊技回に比べ発生し易く、さらに大当たり結果に対応した遊技回の方が出現率の低い予告演出が発生し易くなるように設定されている。
【0141】
予告抽選処理では、振分側ROM74に予め記憶されている予告抽選用テーブルを振分側RAM75に読み出す。当該予告抽選用テーブルは、変動用コマンド及び種別コマンドの組合せに1対1で対応させて用意されている。そして、振分側RAM75において定期的に更新されるように設けられた予告抽選用カウンタから値を取得するとともに、その取得した値に対応する予告抽選結果の情報を今回読み出した予告抽選用テーブルから特定する。
【0142】
ステップS403にて否定判定をした場合、又はステップS404の処理を実行した場合、主側MPU62から今回受信した変動用コマンドに対応する変動表示時間がリーチ演出の発生に対応する変動表示時間であることを条件として(ステップS405:YES)、リーチ演出抽選処理を実行する(ステップS406)。つまり、主側MPU62にて決定された遊技回の変動表示時間がリーチ演出の発生に対応している場合には、リーチ演出抽選処理にて実行対象のリーチ演出の種類が決定され、主側MPU62にて決定された遊技回の変動表示時間がリーチ演出の発生に対応していない場合にはリーチ演出抽選処理が実行されない。
【0143】
リーチ演出には、既に説明したとおり、メイン表示装置41の表示面に表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組合せが成立する可能性があるリーチ図柄の組合せを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態が含まれる。また、上記のようにリーチ図柄の組合せを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画像やサブ表示装置43,44において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組合せを縮小表示させる又は非表示とした上で、メイン表示装置41の表示面の略全体及び各サブ表示装置43,44の表示面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。当該リーチ演出は、いずれかの大当たり結果に対応した遊技回の方が、外れ結果に対応した遊技回に比べ発生し易く、さらに大当たり結果に対応した遊技回の方が出現率の低いリーチ演出が発生し易くなるように設定されている。
【0144】
リーチ演出抽選処理では、振分側ROM74に予め記憶されているリーチ抽選用テーブルを振分側RAM75に読み出す。当該リーチ抽選用テーブルは、変動用コマンド及び種別コマンドの組合せに1対1で対応させて用意されている。そして、振分側RAM75において定期的に更新されるように設けられたリーチ抽選用カウンタから値を取得するとともに、その取得した値に対応するリーチ演出抽選結果の情報を今回読み出したリーチ抽選用テーブルから特定する。
【0145】
ステップS405にて否定判定をした場合、又はステップS406の処理を実行した場合、停止図柄決定処理を実行する(ステップS407)。停止図柄決定処理では今回の遊技回の遊技結果が通常大当たり結果及び15R確変大当たり結果のいずれかであれば、一の有効ラインL1~L5上に同一の図柄の組合せが成立する停止結果に対応した情報を、今回の停止結果の情報として決定する。この場合、同一の奇数図柄の組合せは15R確変大当たり結果の場合に選択される一方、同一の偶数図柄の組合せは通常大当たり結果及び15R確変大当たり結果のいずれにおいても選択され得る。なお、同一の図柄の組合せが停止表示される有効ラインL1~L5は抽選などによってランダムに決定される。
【0146】
停止図柄決定処理では、今回の遊技回の遊技結果が明示2R確変大当たり結果であれば、全ての有効ラインL1~L5上に同一図柄の組合せが成立しない停止結果であって、一の有効ラインL1~L5上に特定の図柄の組合せ(「3・4・1」)が成立する停止結果に対応した情報を、今回の停止結果の情報として決定する。この場合、有効ラインL1~L5は抽選などによってランダムに決定される。
【0147】
停止図柄決定処理では、今回の遊技回の遊技結果が外れ結果であれば、変動用コマンド及び種別コマンドの組合せの内容からリーチ演出の有無を特定する。そして、リーチ演出が発生する場合には、全ての有効ラインL1~L5上に同一図柄の組合せ及び上記特定の図柄の組合せが成立しない停止結果であって、一又は二の有効ラインL1~L5上にリーチ図柄の組合せが成立する停止結果に対応した情報を、今回の停止結果の情報として決定する。一方、リーチ演出が発生しない場合には、全ての有効ラインL1~L5上に同一図柄の組合せ及び上記特定の図柄の組合せが成立しない停止結果であって、全ての有効ラインL1~L5上にリーチ図柄の組合せが成立しない停止結果に対応した情報を、今回の停止結果の情報として決定する。
【0148】
その後、制御パターンテーブルの設定処理を実行する(ステップS408)。制御パターンテーブルの設定処理では、予告抽選処理(ステップS404)の結果、リーチ演出の発生の有無、リーチ演出が発生する場合にはリーチ演出抽選処理(ステップS406)の結果、及び停止図柄決定処理(ステップS407)の結果の組合せに対応する制御パターンテーブルを振分側ROM74から読み出し振分側RAM75に記憶させる。
【0149】
その後、変動表示時間の決定処理を実行する(ステップS409)。当該処理では、主側MPU62から今回受信している変動用コマンドの内容から今回の遊技回の変動表示時間の情報を特定し、その特定した変動表示時間の情報を、振分側RAM75に設けられた変動時間用カウンタにセットする。変動時間用カウンタは、今回の遊技回においてメイン表示装置41における図柄の変動表示を終了させて当該図柄の確定表示を開始させるタイミングを振分側MPU73にて特定するためのカウンタである。変動時間用カウンタにセットされた値は、振分側MPU73にてタイマ割込み処理(図11)が起動される度に、すなわち4msecが経過する度に1減算される。
【0150】
ステップS408にて設定された制御パターンテーブルに従って演出の実行制御が行われている状況であって(ステップS410:YES)、ステップS409にてセットされた振分側RAM75の変動時間用カウンタの値が「0」となっている場合(ステップS411:YES)、振分側RAM75に設けられた確定時間用カウンタに確定表示時間(具体的には0.5sec)の情報をセットする(ステップS412)。確定時間用カウンタにセットされた値は、振分側MPU73にてタイマ割込み処理(図11)が起動される度に、すなわち4msecが経過する度に1減算される。その後、確定表示開始コマンドを演出用CPU82に送信する(ステップS413)。これにより、演出用CPU82では、メイン表示装置41にて待機表示されている各図柄がそのまま確定表示され、さらにその確定表示された状態が確定表示時間(具体的には0.5sec)に亘って維持されるようにメイン表示装置41を表示制御する。
【0151】
なお、テーブル設定処理では、上記各処理以外にも、ステップS414にてその他の処理を実行する。その他の処理では、例えば、主側MPU62からオープニングコマンドを受信している場合に開閉実行モード用の演出を実行するための制御パターンテーブルを読み出し、主側MPU62からエンディングコマンドを受信している場合には開閉実行モード用の演出を終了させるための処理を実行する。また、遊技回用の演出及び開閉実行モード用の演出のいずれもが実行されていない状況においては、デモ表示演出を実行するための制御パターンテーブルを読み出す。
【0152】
<演出制御装置80>
次に、演出制御装置80について説明する。図13は演出制御装置80の電気的構成を説明するための説明図である。
【0153】
演出制御装置80は、演出用CPU82と、メモリモジュール83と、ワークメモリ84と、演出用LSI85と、VRAM86と、既に説明した発光用回路87及び音出力用回路88と、が搭載された演出制御基板81を備えている。
【0154】
演出用CPU82は、演出制御装置80においてメイン制御部としての機能を有しており、制御プログラム等の読み出し、解釈及び実行を行う。詳細には、演出用CPU82は振分側MPU73と電気的に接続されており、振分側MPU73から送信された各種コマンドは演出用CPU82に入力される。演出用CPU82は、外部バス89を介してメモリモジュール83及びワークメモリ84と電気的に接続されており、振分側MPU73から受信したコマンドに基づいて、メモリモジュール83に記憶されたプログラム及び各種データをワークメモリ84に転送させる転送指示を行う。また、演出用CPU82は、外部バス89を介して演出用LSI85と電気的に接続されており、振分側MPU73から受信したコマンドに基づいて、各表示装置41,43,44に画像信号を出力させる描画指示、発光用回路87に発光用の駆動データを出力させる発光指示、及び音出力用回路88に音出力用の駆動データを出力させる音出力指示を行う。なお、メイン表示装置41では2D画像(2次元画像)又は3D画像(3次元画像)が表示されるとともに、これら2D画像及び3D画像が統合された画像が表示される。また、各サブ表示装置43,44では3D画像は表示されることはなく、2D画像のみが表示される。
【0155】
ワークメモリ84は、メモリモジュール83から読み出されて転送された制御用データを一時的に記憶しておくとともに、フラグ等を一時的に記憶しておくための記憶手段である。ワークメモリ84は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてDRAMが用いられている。但し、DRAMに限定されることはなくSRAMといった他のRAMを用いてもよい。ワークメモリ84は、データの読み出しに要する速度がメモリモジュール83よりも速い。なお、記憶容量は1Gビットであるが、かかる記憶容量は演出制御装置80における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、ワークメモリ84は、パチンコ機10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
【0156】
ワークメモリ84には、演出用CPU82からメモリモジュール83へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール83から制御用データが転送される。詳細には、演出用CPU82にて利用されるプログラム及びデータといった制御用データは全て、演出用CPU82への動作電力の供給が開始された場合にワークメモリ84に読み出される。そして、演出用CPU82は、ワークメモリ84に転送された制御用データを必要に応じて内部のメモリ領域(レジスタ群)に読み込み、各種処理を実行する。
【0157】
メモリモジュール83は、制御プログラム及び固定値データを含む制御用データを予め記憶しているとともに、各表示装置41,43,44に画像を表示させるための各種画像データを予め記憶している。当該メモリモジュール83は、記憶保持に外部からの電力供給が不要な不揮発性の半導体メモリを有している。ちなみに、記憶容量は4Gビットであるが、かかる記憶容量は演出制御装置80における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該メモリモジュール83は、パチンコ機10の使用に際して、非書き込み用であって読み出し専用のメモリ(ROM)として用いられる。
【0158】
メモリモジュール83に記憶されている各種画像データには、各表示装置41,43,44に表示される図柄やキャラクタなどのスプライトデータ、背景データ、及び動画像データなどといった2D画像用の画像データが含まれている。また、メモリモジュール83に記憶されている各種画像データには、メイン表示装置41に表示されるキャラクタなどのオブジェクトデータ、及び当該オブジェクトデータに貼り付けられるテクスチャデータなどといった3D画像用の画像データが含まれている。
【0159】
ここで、各スプライトデータは、キャラクタの外形や模様を規定するビットマップ形式データと、ビットマップ画像の各ピクセルでの表示色を決定する際に参照されるカラーパレットテーブルとの組合せを少なくとも含んでいる。また、背景データは、静止画像データが圧縮された状態のJPEG形式データとして記憶保持されている。動画像データについては、後に詳細に説明する。
【0160】
また、オブジェクトデータとは、仮想3次元空間に相当する3次元の座標系であるワールド座標系に配置される3次元の仮想物体であり、複数のポリゴンによって構成された3次元情報である。また、ポリゴンとは、複数個の3次元座標の頂点で定義される多角形平面である。オブジェクトデータには、例えばサーフェスモデルを適用するため、オブジェクトデータ毎に予め設定された基準座標を原点として、各ポリゴンの頂点座標情報が設定されている。つまり、各オブジェクトデータでは、自己完結のローカル座標系において各ポリゴンの相対位置(すなわち、向きやサイズ)が3次元的に定義されている。
【0161】
テクスチャデータとは、オブジェクトデータの各ポリゴンに貼り付けられる画像データであり、テクスチャデータがオブジェクトデータに貼り付けられることにより、オブジェクトデータに対応する画像、例えば図柄やキャラクタなどを含む表示画像が生成される。テクスチャデータの持ち方は、任意であるが、例えばビットマップ形式データと、ビットマップ画像の各ピクセルでの表示色を決定する際に参照されるカラーパレットデータとの組合せを少なくとも含んでいる。
【0162】
メモリモジュール83は、演出用CPU82にて利用される上記制御用データ及び各種画像データ以外にも、表示発光部53において所定のパターンによる発光を行わせるための発光用データ及びスピーカ部54から所定の音出力を行わせるための音出力用データを予め記憶している。発光用データは時系列の点灯パターンに対応した輝度データが所定の圧縮技術により圧縮された状態のデータであり、演出用LSI85において発光制御が実行される場合にはメモリモジュール83から読み出された発光用データにデコード処理が実行され、そのデコード処理により展開されたデータが利用される。音出力用データは時系列の音出力パターンに対応したサウンドデータが所定の圧縮技術により圧縮された状態のデータであり、演出用LSI85において音出力制御が実行される場合にはメモリモジュール83から読み出された音出力用データにデコード処理が実行され、そのデコード処理により展開されたデータが利用される。
【0163】
VRAM86は、表示発光部53を所定のパターンで発光させるために必要な各種データ、スピーカ部54から音を出力するために必要な各種データ、及び各表示装置41,43,44に画像出力を行うために必要な各種データを一時的に記憶しておくための記憶手段である。当該VRAM86は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてSDRAMが用いられている。但し、SDRAMに限定されることはなく、DRAM、SRAM又はデュアルポートRAMといった他のRAMを用いてもよい。VRAM86は、データの読み出しに要する速度がメモリモジュール83よりも速い。なお、記憶容量は2Gビットであるが、かかる記憶容量は演出制御装置80における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該VRAM86は、パチンコ機10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
【0164】
演出用LSI85は、演出用CPU82からの描画指示に基づき、VRAM86に読み出されている画像データを用いて各表示装置41,43,44に描画を行う機能、演出用CPU82からの発光指示に基づき、演出用LSI85内に読み出されてデコード処理によって展開されているデータを用いて表示発光部53の発光制御を行う機能、及び演出用CPU82からの音出力指示に基づき、演出用LSI85内に読み出されてデコード処理によって展開されているデータを用いてスピーカ部54の音出力制御を行う機能を有している。
【0165】
詳細には、演出用LSI85は、I/F91と、転送コントローラ92と、レジスタ93と、事前転送制御部94と、動画デコーダ95と、2D制御部96と、3D制御部97と、第1表示回路98と、第2表示回路99と、発光用デコーダ101と、発光制御部102と、音用デコーダ103と、音出力制御部104と、を備えている。これら各回路91~104は内部バス105を介して相互に接続されているとともに、内部バス105はI/F91を介して外部バス89と接続されている。
【0166】
転送コントローラ92は、事前転送制御部94、2D制御部96、3D制御部97、発光制御部102及び音出力制御部104からの転送指示に基づきデータの転送を実行する。具体的には、メモリモジュール83から演出用LSI85のレジスタ93へのデータ転送、及びメモリモジュール83からVRAM86へのデータ転送を実行する。また、VRAM86からデータの読み出しを実行する。なお、レジスタ93は、データの読み出しに要する速度がメモリモジュール83よりも速い。
【0167】
事前転送制御部94は、演出用CPU82から送信されレジスタ93に記憶された描画リストに基づき、2D制御部96及び3D制御部97において1フレーム分の描画データを作成する場合に必要となる画像データが、その描画処理を実行するタイミングとなるまでにVRAM86に読み出されているように転送コントローラ92に転送指示を行う。これにより、2D制御部96及び3D制御部97において描画を実行するために必要な画像データはVRAM86に事前に読み出された状態となる。
【0168】
動画デコーダ95はVRAM86に転送された動画像データのデコード処理を実行する。詳細は後述するが、動画像データにデコード処理が実行されることにより複数のデコード画像データ(2Dの静止画像データ)が作成され、それら複数のデコード画像データがレジスタ93に展開された状態となる。このレジスタ93に展開されたデコード画像データは2D制御部96及び3D制御部97において描画処理を実行する場合に利用される。
【0169】
2D制御部96及び3D制御部97は、演出用CPU82から送信されレジスタ93に記憶された描画リストに従った制御プログラムによる処理を実行する。なお、2D制御部96及び3D制御部97が動作するための制御プログラムの全てが描画リストにより提供される構成としてもよく、制御プラグラムを予め記憶したメモリを演出用LSI85に内蔵させ、当該制御プログラムと描画リストの内容とによって2D制御部96及び3D制御部97が所定の処理を実行する構成としてもよい。また、メモリモジュール83から制御プログラムを事前に読み出す構成としてもよい。
【0170】
2D制御部96及び3D制御部97において描画処理が実行される場合、VRAM86に読み出された画像データを用いて(又は加工することにより)、VRAM86に1フレーム分の描画データを作成する。1フレーム分の描画データとは、予め定められた更新タイミングで各表示装置41,43,44の表示面における画像が更新される構成において、一の更新タイミングにおける画像を表示させるために必要なデータのことをいう。詳細は後述するが、VRAM86には1フレーム分の描画データを作成するための領域として、メイン表示装置41及びサブ表示装置43,44のそれぞれに対して2個のフレーム領域が設けられている。各フレーム領域は、対応する表示装置41,43,44において1フレーム分の描画データを記憶可能な容量に設定されている。具体的には、各フレーム領域にはそれぞれ、各表示装置41,43,44のドット(画素)に所定の倍率で対応させた多数の単位エリアが含まれている。各単位エリアは、いずれの色を表示するかを特定するためのデータを格納可能な記憶容量を有している。より詳細には、フルカラー方式が採用されており、各ドットにおいてR(赤),G(緑),B(青)のそれぞれに256色の設定が可能となっている。これに対応させて、各単位エリアにおいては、RGB各色に1バイト(8ビット)が割り当てられている。つまり、各単位エリアは、少なくとも3バイトの記憶容量を有している。なお、フルカラー方式に限定されることはなく、例えば各ドットにおいて256色のみ表示可能な構成においては、各単位エリアにおいて色情報を格納するために必要な記憶容量は1バイトでよい。
【0171】
ちなみに、3D制御部97はジオメトリ演算部及びレンダリング部を有している。ジオメトリ演算部は、レジスタ93に格納された描画リストに基づいて、配置対象として指定されているオブジェクトデータをワールド座標系内に配置する。また、ジオメトリ演算部は、オブジェクトデータをワールド座標系内に配置する場合及び配置した後に、各種の座標変換処理を実行する。そして、最終的に表示面のスクリーン座標に対応する3次元空間に対応させて、オブジェクトをクリッピングする。レンダリング部は、レジスタ93に格納された描画リストに基づいて、各オブジェクトデータを所定の2次元平面上に投影させて2次元データを作成するとともにテクスチャデータの貼付を行うことで、2次元データである1フレーム分の描画データを作成する。
【0172】
メイン表示装置41及びサブ表示装置43,44のそれぞれに対して2個のフレーム領域が設けられていることにより、例えばメイン表示装置41についての一方のフレーム領域に作成された描画データを用いて当該メイン表示装置41への描画が実行されている状況において、メイン表示装置41についての他方のフレーム領域に今後用いられる描画データが作成される。つまり、フレーム領域としてダブルバッファ方式が採用されている。
【0173】
第1表示回路98は、メイン表示装置41に対応する2個のフレーム領域のうち出力対象となる一のフレーム領域に作成された描画データに基づいてメイン表示装置41の各ドットに対応した画像信号を生成し、その画像信号をメイン表示装置41に出力する。詳細には、出力対象のフレーム領域から第1表示回路98へ描画データが転送される。その転送された描画データはメイン表示装置41の解像度に対応したものとなるように、図示しないスケーラにより解像度調整が行われて諧調データに変換される。そして、当該諧調データに基づいてメイン表示装置41の各ドットに対応した画像信号が生成されて出力される。
【0174】
第2表示回路99は、各サブ表示装置43,44に対応する2個のフレーム領域のうち出力対象となる一のフレーム領域に作成された描画データに基づいて各サブ表示装置43,44の各ドットに対応した画像信号を生成し、その画像信号を各サブ表示装置43,44に出力する。詳細には、出力対象のフレーム領域から第2表示回路99へ描画データが転送される。その転送された画像データはサブ表示装置43,44の解像度に対応したものとなるように、図示しないスケーラにより解像度調整が行われて諧調データに変換される。そして、当該諧調データに基づいてサブ表示装置43,44の各ドットに対応した画像信号が生成されて出力される。
【0175】
発光用デコーダ101は、演出用CPU82からの発光指示に基づき、発光制御部102において所定のタイミングで発光制御を実行する場合に必要となる発光用データが、その発光制御を実行するタイミングとなるまでにVRAM86に読み出されているように転送コントローラ92に転送指示を行う。また、発光用デコーダ101はVRAM86に事前転送された発光用データを読み出すとともにその発光用データに対してデコード処理を実行することにより展開後の輝度データを作成し、その作成した展開後の輝度データをレジスタ93に記憶させる。これにより、上記所定のタイミングとなるまでに当該発光用データの展開後の輝度データがレジスタ93に記憶された状態となる。
【0176】
発光制御部102は、演出用CPU82からの発光指示に基づき、レジスタ93に展開されている輝度データを発光用回路87に出力する。これにより、その輝度データに従った信号が発光用回路87から出力され、その輝度データに従った態様で表示発光部53が発光状態となる。
【0177】
音用デコーダ103は、演出用CPU82からの音出力指示に基づき、音出力制御部104において所定のタイミングで音出力制御を実行する場合に必要となる音出力データが、その音出力制御を実行するタイミングとなるまでにVRAM86に読み出されているように転送コントローラ92に転送指示を行う。また、音用デコーダ103はVRAM86に事前転送された音出力データを読み出すとともにその音出力データに対してデコード処理を実行することにより展開後のサウンドデータを作成し、その作成した展開後のサウンドデータをレジスタ93に記憶させる。これにより、上記所定のタイミングとなるまでに当該音出力データの展開後のサウンドデータがレジスタ93に記憶された状態となる。
【0178】
音出力制御部104は、演出用CPU82からの音出力指示に基づき、レジスタ93に展開されているサウンドデータを音出力用回路88に出力する。これにより、そのサウンドデータに従った信号が音出力用回路88から出力され、そのサウンドデータに従った態様でスピーカ部54から音が出力される。
【0179】
<演出用CPU82の処理構成>
次に、演出用CPU82にて実行される処理について説明する。図14は演出用CPU82にて予め定められた周期、具体的には20msec周期で繰り返し起動されるV割込み処理を示すフローチャートである。
【0180】
なお、第1表示回路98はメイン表示装置41に1フレーム分の画像信号を出力する場合、表示面の左上の隅角部分にあるドットから画像信号の出力を始めて、当該ドットを一端に含む横ライン上に並ぶドットに対して順次画像信号を出力するとともに、各横ラインに対して上から順に左から右のドットへと画像信号を出力する。そして、表示面の右下の隅角部分にあるドットに対して最後に画像信号を出力する。また、第2表示回路99はサブ表示装置43,44に1フレーム分の画像信号を出力する場合、各表示面の左上の隅角部分にあるドットから画像信号の出力を始めて、当該ドットを一端に含む横ライン上に並ぶドットに対して順次画像信号を出力するとともに、各横ラインに対して上から順に左から右のドットへと画像信号を出力する。そして、表示面の右下の隅角部分にあるドットに対して最後に画像信号を出力する。この場合に、演出用LSI85は各表示装置41,43,44の全てについて最後のドットに対して画像信号を出力したタイミングで、演出用CPU82へV割込み信号を出力して1フレームの画像の更新が完了したことを演出用CPU82に認識させる。このV割込み信号の出力周期は1フレーム分の画像の更新周期と同一の20msecとなっている。この点、V割込み処理は、V割込み信号の受信に同期して起動されると見なすこともできる。但し、V割込み信号を受信していなくても、前回のV割込み処理が起動されてから20msecが経過している場合には、新たにV割込み処理が起動される。
【0181】
V割込み処理では、まずコマンド解析処理を実行する(ステップS501)。具体的には、ワークメモリ84に設けられたコマンドバッファに格納されているコマンドの内容を解析する。ここで、演出用CPU82は振分側MPU73からストローブ信号を受信した場合、その時点で実行されている処理が何であったとしてもコマンド割込み処理を実行する。コマンド割込み処理では、振分側MPU73から受信しているコマンドを、ワークメモリ84のコマンドバッファに転送する。
【0182】
その後、コマンド解析処理の結果が新規コマンドを受信している結果に対応していることを条件として(ステップS502:YES)、コマンド対応処理を実行する(ステップS503)。コマンド対応処理では、受信しているコマンドに対応したプログラムを実行するための実行対象テーブルをメモリモジュール83から読み出す。実行対象テーブルとしては、各表示装置41,43,44の表示制御を実行するためのテーブルと、表示発光部53の発光制御を実行するためのテーブルと、スピーカ部54の音出力制御を実行するためのテーブルと、が存在している。表示制御用の実行対象テーブルには、受信したコマンドに対応した動画を各表示装置41,43,44の表示面に表示させる場合において、画像の各更新タイミングにおける1フレーム分の画像を表示させるのに必要な処理の内容が定められている。発光制御用の実行対象テーブルには、受信したコマンドに対応した発光パターンによる発光を表示発光部53に実行させる場合において、各発光制御タイミングにおける発光を行わせるために必要な処理の内容が定められている。音出力制御用の実行対象テーブルには、受信したコマンドに対応した音出力パターンによる音の出力をスピーカ部54に実行させる場合において、各音出力制御タイミングにおける音の出力を行わせるために必要な処理の内容が定められている。
【0183】
演出用CPU82が振分側MPU73から受信するコマンドとしては、変動開始時のコマンド、予告演出開始時のコマンド、ノーマルリーチ開始時のコマンド、スーパーリーチ開始時のコマンド、確定表示開始コマンド、報知開始コマンド及び報知解除コマンドなどがある。これらのコマンドを受信した場合、それら各コマンドに対応した演出又は報知を各表示装置41,43,44、表示発光部53及びスピーカ部54にて実行するために必要な実行対象テーブルを読み出す。
【0184】
ステップS502にて否定判定をした場合又はステップS503の処理を実行した場合、発光制御用のタスク処理(ステップS504)、音出力制御用のタスク処理(ステップS505)及び表示制御用のタスク処理(ステップS506)を実行する。
【0185】
発光制御用のタスク処理では、発光制御の使用対象として設定されている実行対象テーブルにおける今回の処理回の制御データを参照することで、今回の指示タイミングに対応した発光態様を実現するために演出用LSI85に発光指示を行う上で必要な各種データの設定を行う。当該各種データとして具体的には、今回が発光用データのデコード処理の実行を指示するタイミングである場合にはメモリモジュール83においてその発光用データが記憶されているエリアのアドレス情報、レジスタ93においてその発光用データを転送するエリアのアドレス情報、及び発光用デコーダ101にその発光用データのデコード処理を指示するための情報などが存在している。また、今回が表示発光部53の発光態様の変更を指示するタイミングである場合、上記各種データには、レジスタ93に展開されている発光用データのうち使用対象となるデータが記憶されているエリアのアドレス情報などが存在している。
【0186】
音出力制御用のタスク処理では、音出力制御の使用対象として設定されている実行対象テーブルにおける今回の処理回の制御データを参照することで、今回の指示タイミングに対応した音出力態様を実現するために演出用LSI85に音出力指示を行う上で必要な各種データの設定を行う。当該各種データとして具体的には、今回が音出力用データのデコード処理の実行を指示するタイミングである場合にはメモリモジュール83においてその音出力用データが記憶されているエリアのアドレス情報、レジスタ93においてその音出力用データを転送するエリアのアドレス情報、及び音用デコーダ103にその音出力用データのデコード処理を指示するための情報などが存在している。また、今回がスピーカ部54の音出力態様の変更を指示するタイミングである場合、上記各種データには、レジスタ93に展開されている音出力用データのうち使用対象となるデータが記憶されているエリアのアドレス情報などが存在している。
【0187】
表示制御用のタスク処理では、表示制御の使用対象として設定されている実行対象テーブルにおける今回の処理回の制御データを参照することで、今回の指示タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために演出用LSI85に描画指示を行う上で必要な各種データの設定を行う。当該各種データとして具体的には、メモリモジュール83において制御対象の画像データが記憶されているエリアのアドレス情報、制御対象の画像データを用いて描画データを作成すべき対象のフレーム領域の情報、制御対象の画像データを書き込む際の座標の情報、当該画像データを書き込む際のスケールの情報、及び当該画像データを書き込む際の一律α値(半透明値)の情報などが存在している。
【0188】
その後、リスト出力処理を実行する(ステップS507)。リスト出力処理では、今回の処理回の指示タイミングに対応した発光態様とするための発光リスト、今回の処理回の指示タイミングに対応した音出力態様とするための音出力リスト、及び今回の処理回の指示タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるための描画リストのそれぞれを作成し、それら作成した各種リストを演出用LSI85に送信する。この場合、発光リストでは、直前の発光制御用のタスク処理にて把握された発光用のデータが使用対象として設定される。演出用LSI85の発光用デコーダ101は当該発光リストに従って発光用データのデコード処理を実行し、演出用LSI85の発光制御部102は当該発光リストに従って発光用回路87に発光用のデータを出力する。また、音出力リストでは、直前の音出力制御用のタスク処理にて把握された音出力用のデータが使用対象として設定される。演出用LSI85の音用デコーダ103は当該音出力リストに従って音出力用データのデコード処理を実行し、演出用LSI85の音出力制御部104は当該音出力リストに従って音出力用回路88に音出力用のデータを出力する。また、描画リストでは、直前の表示制御用のタスク処理にて把握された画像データが描画対象となり、さらに当該タスク処理にて更新したパラメータ情報が合わせて設定される。演出用LSI85の2D制御部96及び3D制御部97では、この描画リストに従ってVRAM86のフレーム領域に描画データを作成する。この2D制御部96及び3D制御部97における処理については後に詳細に説明する。
【0189】
ステップS506における表示制御用のタスク処理について図15のフローチャートを参照しながら説明する。
【0190】
まず制御開始用の設定処理を実行する(ステップS601)。制御開始用の設定処理では、現状設定されている表示制御用の実行対象テーブルに基づいて、今回の処理回で演出用CPU82において新たに制御(演算)を開始する個別画像を設定するための処理を実行する。なお、個別画像とは、図柄用の画像データ及び背面用の画像データなどの静止画像データにより規定される一の2D画像や、オブジェクト用の画像データとテクスチャ用の画像データとの組合せにより規定される一の3D画像のことである。
【0191】
制御開始用の設定処理について具体的には、まず現状設定されている表示制御用の実行対象テーブルに基づいて、今回の処理回で制御開始対象となる個別画像が存在しているか否かを判定する。存在している場合には、ワークメモリ84において、個別画像の制御を行う上で各種演算を行うための空きバッファ領域を検索して、制御開始対象として把握されている個別画像に1対1で対応するように空きバッファ領域を確保する。さらに、確保した全ての空きバッファ領域に対して初期化処理を実行するとともに、初期化した空きバッファ領域に対して、個別画像に応じた制御開始用のパラメータ情報を設定する。
【0192】
その後、制御更新対象を把握する(ステップS602)。この制御更新対象は、制御開始用の設定処理が完了している個別画像であって今回の処理回以降に1フレーム分の画像に含まれる可能性がある個別画像が対象となる。
【0193】
その後、背景用演算処理を実行する(ステップS603)。背景用演算処理では、背景の画像を構成することとなる最背面用の画像や、背景用キャラクタのうち2D用の画像であれば、仮想2次元平面における座標、回転角度、スケール、一律α値及びαデータ指定などといった描画リストを作成する上で必要な各種パラメータ情報を演算して導き出す。一方、背景用演算処理では、背景の画像を構成することとなる最背面用の画像や、背景用キャラクタのうち3D用の画像であれば、ワールド座標系内における座標、回転角度、スケール、明暗を付けるためのライトの情報、投影を行うためのカメラの情報、及びZテスト指定などといった描画リストを作成する上で必要な各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。
【0194】
その後、演出用演算処理を実行する(ステップS604)。演出用演算処理では、リーチ演出、予告演出及び大当たり演出といった各種演出において表示対象となる個別画像について、上記各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。また、各種報知を行う場合に表示対象となる個別画像について、上記各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。
【0195】
その後、図柄用演算処理を実行する(ステップS605)。図柄用演算処理では、各遊技回において変動表示の対象となる図柄のうち、今回の制御更新対象を把握する。また、その把握した制御更新対象について、上記各種パラメータ情報を導き出す。
【0196】
ちなみに、ステップS603~ステップS605の各処理では、ステップS601にて設定された制御開始用のパラメータを更新する処理を実行する。また、ステップS603~ステップS605の各処理では、個別画像の各種パラメータを画像更新タイミングとなる度に特定のパターンに従って変化させるように設定されたアニメーション用データが用いられる。このアニメーション用データは、個別画像の種類に応じて定められている。また、アニメーション用データは、メモリモジュール83に予め記憶されており、演出用CPU82において読み出す必要があるタイミングとなるまでにワークメモリ84に事前転送される。
【0197】
その後、描画指示対象の把握処理を実行する(ステップS606)。描画指示対象の把握処理では、上記ステップS603、ステップS604及びステップS605の各演算処理により制御更新対象となった各個別画像のうち、今回の描画データの作成指示に対応する1フレーム分の画像に含まれる個別画像を把握する処理を実行する。当該把握は、各種個別画像の座標、回転角度及びスケールの情報を参照して予め定められた演算を実行することで行われる。ここで把握された個別画像が、描画リストにおいて描画対象として設定される。このように描画リストにて指定する個別画像を、制御開始済みの全ての個別画像とするのではなく、表示対象の個別画像のみとすることで、2D制御部96及び3D制御部97において表示対象の個別画像を選別する必要がなく、また選別しないとしても表示対象ではない個別画像について無駄に描画処理を行う必要がなくなる。これにより、2D制御部96及び3D制御部97の処理負荷の低減が図られる。但し、これに限定されることはなく、演出用CPU82において制御対象となる個別画像と、2D制御部96及び3D制御部97において制御対象となる個別画像とが同一である構成としてもよく、この場合、ステップS606の処理を実行する必要がなくなる。
【0198】
表示制御用のタスク処理の結果に基づき作成される描画リストを利用して、2D画像及び3D画像を表示させる内容について説明する。
【0199】
メイン表示装置41において画像が表示される場合、奥側に表示されていると遊技者に認識されるように背景画像が表示され、所定の表示演出が発生する場合には背景画像の手前に演出用キャラクタなどといった演出画像が表示され、さらに遊技回用の演出である場合には背景画像及び演出画像よりも手前側に表示されていると遊技者に認識されるように図柄画像が表示される。この場合、背景画像及び演出画像は3D制御部97による描画処理の実行に基づき3D画像で表示され、図柄画像は2D制御部96による描画処理の実行に基づき2D画像で表示される。したがって、メイン表示装置41において画像を表示させるための描画リストとしては、背景画像及び演出画像に関しては3D画像を表示させるための3D用描画リストによる描画指示が行われ、図柄画像に関しては2D画像を表示させるための2D用描画リストによる描画指示が行われる。メイン表示装置41における画像の表示として、背景画像及び演出画像については3D画像を表示することでリアルな画像表示を可能としながら、図柄画像については2D画像を表示することで処理負荷を軽減させることが可能となる。但し、これに限定されることはなく、背景画像については3D画像が表示され、演出画像及び図柄画像については2D画像が表示される構成としてもよく、背景画像及び図柄画像については3D画像が表示され、演出画像については2D画像が表示される構成としてもよく、背景画像及び演出画像については2D画像が表示され、図柄画像については3D画像が表示される構成としてもよい。
【0200】
図16は2D制御部96及び3D制御部97にて描画処理を実行する場合に利用されるレジスタ93の各種領域を説明するための説明図である。レジスタ93には図16に示すようにメイン表示装置41に画像を表示させるために利用される領域として、メイン表示用の描画領域111が設けられている。メイン表示用の描画領域111には、メイン表示装置41に2D画像として図柄画像を表示させるための描画データが作成される2D描画領域112と、メイン表示装置41に3D画像として背景画像及び演出画像を表示させるための描画データが作成される3D描画領域113と、が設けられている。また、メイン表示用の描画領域111には、メイン用第1フレーム領域114と、メイン用第2フレーム領域115と、が設けられている。メイン用第1フレーム領域114及びメイン用第2フレーム領域115のそれぞれには、2D描画領域112に作成された描画データと3D描画領域113に作成された描画データとを合成させることでメイン表示装置41に表示させるための1フレーム分の描画データが作成される。この場合、メイン用第1フレーム領域114及びメイン用第2フレーム領域115のうち一方のフレーム領域に作成された描画データを用いてメイン表示装置41への描画が実行されている状況において、他方のフレーム領域に対して今後用いられる描画データが作成される。
【0201】
一方、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44において画像が表示される場合、奥側に表示されていると遊技者に認識されるように背景画像が表示され、所定の表示演出が発生する場合には背景画像の手前に演出用キャラクタなどといった演出画像が表示される。この場合、これら背景画像及び演出画像は2D画像で表示される。つまり、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44においては2D画像が表示されるものの3D画像は表示されない。したがって、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44に関しては、3D用描画リストによる描画指示は行われることはなく、2D用描画リストによる描画指示が行われる。各サブ表示装置43,44における画像の表示においては3D画像を利用することなく2D画像のみを利用する構成とすることにより、メイン表示装置41だけではなく各サブ表示装置43,44が設けられた構成においてそれら各サブ表示装置43,44において画像を表示させるための処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0202】
レジスタ93には図16に示すように第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44に画像を表示させるために利用される領域として、サブ表示用の描画領域116が設けられている。サブ表示用の描画領域116には、サブ用第1フレーム領域117と、サブ用第2フレーム領域118と、が設けられている。サブ用第1フレーム領域117及びサブ用第2フレーム領域118のそれぞれには、2D制御部96により各サブ表示装置43,44に2D画像として背景画像及び演出画像を表示させるための描画データが作成される。また、詳細は後述するが、サブ用第1フレーム領域117及びサブ用第2フレーム領域118のそれぞれには、第1サブ表示装置43に1フレーム分の画像を表示させるための描画データと第2サブ表示装置44に1フレーム分の画像を表示させるための描画データとを合計した分の描画データが作成される。この場合、サブ用第1フレーム領域117及びサブ用第2フレーム領域118のうち一方のフレーム領域に作成された描画データを用いて第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44への描画が実行されている状況において、他方のフレーム領域に対して今後用いられる描画データが作成される。
【0203】
上記のようにメイン表示装置41における1フレーム分の画像として2D画像及び3D画像の両方が同時に表示され得るとともに、各サブ表示装置43,44における1フレーム分の画像として2D画像が表示される構成において、1フレーム分の画像更新タイミングとなる度にメイン表示装置41及び各サブ表示装置43,44のそれぞれにおいて1フレーム分の画像が更新されるとともに当該画像更新タイミングにおける各1フレーム分の画像を更新するために少なくとも1個の2D用描画リストと少なくとも1個の3D用描画リストとの組合せが演出用CPU82から演出用LSI85に提供される。つまり、少なくとも1個の2D用描画リストに対する2D制御部96による描画処理と少なくとも1個の3D用描画リストに対する3D制御部97による描画処理とが完了することで、各表示装置41,43,44における1フレーム分の画像の描画データの作成が完了する。
【0204】
次に、2D画像を表示させるための2D用描画リストについて、図17(a)~図17(c)の説明図を参照しながら説明する。
【0205】
2D用描画リストには、ヘッダ情報が設定されている。ヘッダ情報には、当該2D用描画リストに対応する画像を表示するための描画データをいずれのフレーム領域114,115,117,118に描画するのかを示す情報であるターゲットバッファの情報が設定されている。具体的には、メイン表示装置41に画像を表示させるための描画データをメイン用第1フレーム領域114及びメイン用第2フレーム領域115のうちいずれに描画するのかを示す情報が設定されているとともに、各サブ表示装置43,44に画像を表示させるための描画データをサブ用第1フレーム領域117及びサブ用第2フレーム領域118のうちいずれに描画するのかを示す情報が設定されている。また、ヘッダ情報には各種指定情報が設定されている。
【0206】
2D用描画リストには、上記ヘッダ情報以外にも、1フレーム分の画像を表示するために用いられる複数種類の画像データに対応する情報として、各画像データのフレーム領域114,115,117,118への描画順序を示す表示順優先データの情報と、各画像データのパラメータ情報と、各画像データが記憶されているエリアのアドレスに対応するアドレス情報と、が設定されている。詳細には、表示順優先データの情報が連番の数値情報となるようにして設定されているとともに、各数値情報に1対1で対応させてパラメータ情報及びアドレス情報の組合せが設定されている。
【0207】
上記表示順優先データは、1フレーム分の画像において表示面奥側に位置するように表示させたい個別画像から先に描画対象となるように設定されている。なお、個別画像とは、背景データといった静止画像データにより規定される一の静止画像や、図柄スプライトデータといったスプライトデータにより規定される一のスプライトのことである。図17(a)の2D用描画リストでは、背景データが最初の描画対象として設定されているとともに、スプライトデータAが2番目、スプライトデータBが3番目、・・・として設定されている。したがって、描画対象のフレーム領域に対して、最初に背景データが書き込まれ、その後に当該背景データに重なるようにしてスプライトデータAが書き込まれ、さらにスプライトデータBが書き込まれる。
【0208】
パラメータ情報P(0),P(1),P(2),・・・には、複数種類のパラメータが設定されている。背景データのパラメータP(0)について具体的には、図17(b)に示すように、背景データを書き込む場合における仮想2次元平面(フレーム領域114,115,117,118)上の位置を示す座標の情報と、背景データを書き込む場合における仮想2次元平面上の回転角度を示す回転角度の情報と、背景データの初期状態として設定されているサイズに対して、フレーム領域に書き込む際の倍率を示すスケールの情報と、背景データを書き込む場合における全体の透過情報(又は透明情報)を示す一律α値の情報と、αデータの適用有無及び適用対象を示すαデータ指定の情報とが設定されている。上記パラメータの種類は、図17(c)に示すように、スプライトデータAについても同様である。
【0209】
座標の情報は、画像データを構成する全ピクセルについて個別に設定されるのではなく、一の画像データに対して一の座標の情報が設定される。具体的には、座標の情報が指定される基準ピクセルとして画像データの中心の1ピクセルが設定されている。2D制御部96では、指定される座標の情報が画像データの中心の1ピクセルであることを認識可能となっており、画像データの配置に際してはその中心の1ピクセルが指定された座標上となるようにする。これにより、演出用CPU82において一の画像データに対して指定すべき座標の情報の情報容量(すなわちデータ量)を抑えることができる。また、演出用LSI85において画像データの全ピクセルについて座標を認識可能としておく必要がないため、プログラムの簡素化も図られる。
【0210】
ちなみに、上記基準ピクセルは中心の1ピクセルに限定されることはなく、例えば左上や右上といった隅角のピクセルであってもよい。スプライトデータや静止画像データは基本的に矩形状として規定されているため、隅角のピクセルを基準ピクセルとすることで、演出用LSI85において基準ピクセルの認識を行い易くなる。
【0211】
また、一律α値とは、一の画像データの全ピクセルに対して適用される透過情報のことであり、演出用CPU82における演算結果として導出される数値情報である。当該一律α値は、画像データの全ピクセルに一律で適用される。一方、αデータとは、背景データやスプライトデータの各ピクセル単位で適用される透過情報のことであり、画像データとしてメモリモジュール83に予め記憶されている。当該αデータは、同一の背景データ又は同一のスプライトデータの範囲内において各ピクセル単位で透過情報を相違させることができる。このαデータは、一律α値を設定するためのプログラムデータに比べデータ容量が大きい。
【0212】
アドレス情報A(0),A(1),A(2),・・・には、各画像データが記憶されているエリアのアドレスに対応する情報が設定されている。ここで、各画像データを演出用LSI85において利用する場合、メモリモジュール83から画像データを直接読み出して利用するのではなく、その画像データの利用開始タイミングとなるまでにメモリモジュール83からVRAM86に設けられた事前転送領域86a(図13参照)に読み出すとともにその事前転送領域86aから画像データを読み出して利用する。この場合に、演出用CPU82から演出用LSI85に出力される2D用描画リストにおいては、動画像データにデコード処理を実行することで作成されるデコード画像データを除いて、アドレス情報としてメモリモジュール83にて各画像データが記憶されているエリアのアドレスに対応するアドレスIDの情報が設定されている。そして、演出用LSI85の事前転送制御部94においてそのアドレスIDの情報に対応するメモリモジュール83のアドレスのエリアから事前転送領域86aへの画像データの転送が行われた場合、事前転送領域86aにおいてその画像データの転送が行われたエリアのアドレスに対応する情報が、2D用描画リストにおいて今回の読み出し対象となった画像データに対応するアドレス情報に上書きされる。
【0213】
一方、デコード画像データはレジスタ93に設けられた動画用の展開領域119(図16参照)に書き込まれるため、メモリモジュール83からの読み出しを必要としない。したがって、2D用描画リストにおいてデコード画像データが設定されている場合、当該デコード画像データに対応するアドレス情報には動画用の展開領域119において今回の使用対象のデコード画像データが記憶されているエリアのアドレスが設定されている。デコード画像データについては事前転送制御部94において事前転送領域86aへの転送対象外として扱われるため、描画リストにおいてデコード画像データに対応するアドレス情報の事前転送制御部94による書き換えは実行されない。但し、これに限定されることはなく、デコード画像データに対応するアドレス情報は当初はブランクとなっており、事前転送領域94においてそのアドレス情報に、動画用の展開領域119にてそのデコード画像データが記憶されているエリアのアドレスを特定するための情報が設定される構成としてもよい。
【0214】
アドレス情報の書き換えが行われた2D用描画リストは2D制御部96において描画処理の実行対象となるが、2D制御部96はその描画処理に際して2D用描画リストにてアドレス情報として設定されている情報に対応する事前転送領域86a又は動画用の展開領域119から画像データを読み出す。ちなみに、2D用描画リストには使用対象の画像データとして動画像データが設定され得るが、動画像データが設定されている場合にはその動画像データがメモリモジュール83から事前転送領域86aにまず読み出され、事前転送領域86aに読み出された動画像データに対して演出用LSI85の動画デコーダ95によるデコード処理が実行される。そして、そのデコード処理により得られた複数のデコード画像データが、既に説明したとおり動画用の展開領域119に記憶される。但し、動画像データ自体は2D制御部96による描画処理の実行対象から除外される。
【0215】
このように演出用CPU82から演出用LSI85に出力される2D用描画リストにはアドレス情報としてメモリモジュール83にて各画像データが記憶されているエリアのアドレスに対応するアドレスIDの情報が設定される一方、当該画像データのメモリモジュール83からの転送先のエリアを特定するためのアドレスの情報が設定されない。これにより、演出用CPU82から出力される2D用描画リストの情報量を抑えることが可能となる。また、演出用CPU82は画像データが転送される事前転送領域86aのエリアを特定するためのアドレスの情報を2D用描画リストに設定する必要がないため、2D用描画リストを作成する場合の演出用CPU82の処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0216】
また、演出用LSI85の事前転送制御部94におけるメモリモジュール83から事前転送領域86aへの画像データの転送が完了した場合には2D用描画リストのアドレス情報が、メモリモジュール83において転送対象の画像データが記憶されているエリアのアドレスに対応するアドレスIDの情報から、事前転送領域86aにおいてその転送対象の画像データが転送されたエリアのアドレスに対応する情報に書き換えられる。これにより、画像データが転送される事前転送領域86aのエリアのアドレスに対応する情報が2D用描画リストに当初設定されていなかったとしても、2D制御部96において描画処理を実行する場合には事前転送領域86aのエリアのアドレスに対応する情報が2D用描画リストに設定されている状態となる。
【0217】
次に、3D画像を表示させるための3D用描画リストについて、図18(a)及び図18(b)の説明図を参照しながら説明する。
【0218】
3D用描画リストには、2D用描画リストと同様にヘッダ情報が設定されている。当該ヘッダ情報の内容は2D用描画リストの場合と同様である。3D用描画リストには、上記ヘッダ情報以外にも、今回の描画データの作成に際してワールド座標系への配置対象となる複数種類の画像データに対応する情報として、各画像データのワールド座標系への配置順序を示す表示順優先データの情報と、各画像データのパラメータ情報と、各画像データが記憶されているエリアのアドレスに対応するアドレス情報と、が設定されている。詳細には、表示順優先データの情報が連番の数値情報となるようにして設定されているとともに、各数値情報に1対1で対応させてパラメータ情報及びアドレス情報の組合せが設定されている。
【0219】
図18(a)の3D用描画リストでは、背面用の画像データが最初の描画対象として設定されているとともに、背景用オブジェクトAが2番目、背景用オブジェクトBが3番目、・・・として設定されている。また、これら背景用の画像データよりも後の順番として、演出用の画像データが設定されており、例えば演出用オブジェクトAがm番目、演出用オブジェクトBがm+1番目、・・・として設定されている。
【0220】
パラメータ情報P’(0),P’(1),P’(2),・・・,P’(m),P’(m+1),・・・には、複数種類のパラメータ情報が設定されている。背面用の画像データのパラメータ情報P’(0)について具体的には、図18(b)に示すように、背面用の画像データを設定する場合におけるワールド座標系内の位置を示す座標の情報(X値の情報,Y値の情報,Z値の情報)と、背面用の画像データを設定する場合におけるワールド座標系内の回転角度を示す回転角度の情報と、背面用の画像データの初期状態として設定されているスケールに対して、ワールド座標系に設定する際の倍率を示すスケールの情報と、背面用の画像データを設定する場合における全体の透過情報(又は透明情報)を示す一律α値の情報と、が設定されている。
【0221】
ここで、座標の情報は、オブジェクトデータの全頂点について個別に設定される。また、この座標の情報はオブジェクトデータに対して設定されているが、テクスチャデータには設定されていない。テクスチャデータは、各ピクセルの座標値が、オブジェクトデータの各頂点に関連付けて予め定められている。この座標値は、ワールド座標系における座標値とは異なるUV座標値であり、オブジェクトデータ及びテクスチャデータの組合せに対して付属させた状態でメモリモジュール83に記憶されている。このUV座標値はテクスチャマッピングする際に演出用LSI85の3D制御部97により参照される。
【0222】
パラメータ情報P’(0)には、背面用の画像データを描画用の仮想2次元平面上に投影する場合における仮想カメラの座標及び向きの情報を含むカメラの情報と、背面用の画像データをレンダリングする場合における陰影を決定する仮想光源の位置及び向きの情報を含むライトの情報と、が設定されている。
【0223】
パラメータ情報P’(0)には、隠面消去を行う手法の一種であるZバッファ法の適用有無を示すZテスト指定の情報が設定されている。Zバッファ法とは、ワールド座標系内において多数のオブジェクトや2D画像が奥行き方向(Z軸方向)に重なった場合に、Z軸上に並ぶ各ピクセル(又は各ボクセル、各画素、各ポリゴン)について視点からの距離を順次参照し、最も視点に近いピクセルに設定されている数値情報をフレーム領域における対応する単位エリアに設定する深度調整用の処理方法である。
【0224】
なお、上記隠面消去を行う手法としてZバッファ法以外にも、Zソート法が設定されている。Zソート法とは、Z軸上に並ぶ各ピクセルについて、各ピクセルに設定されている数値情報をフレーム領域における対応する単位エリアに順次設定する深度調整用の処理方法である。当該Zソート法を適用する場合には、各ピクセルに設定されているα値が参照されて、Z軸上に並ぶ各ピクセルの色情報に対応した数値情報に対して対応するα値が適用された状態で、それら数値情報の加算処理や融合用の演算処理が実行されることとなる。Zソートによる隠面処理の具体的な処理構成の説明は省略するが、エフェクト画像を表示させる場合などに起動される。
【0225】
パラメータ情報P’(0)には、αデータの適用有無及び適用対象を示すαデータ指定の情報と、フォグの適用有無及び適用対象を示すフォグ指定の情報と、が設定されている。ここで、α値とは対応するピクセルの透過情報のことである。このα値の描画リスト上における設定の仕方として、上記一律α値を指定する方法と、αデータ指定を行う方法とがある。一律α値とは、一の画像データの全ピクセルに対して適用される透過情報のことであり、演出用CPU82における演算結果として導出される数値情報である。当該一律α値は、画像データの全ピクセルに一律で適用される。一方、αデータとは、2次元の静止画像データやテクスチャデータの各ピクセル単位で適用される透過情報のことであり、画像データとしてメモリモジュール83に予め記憶されている。当該αデータは、同一の静止画像データ又は同一のテクスチャデータの範囲内において各ピクセル単位で透過情報を相違させることができる。このαデータは、一律α値を設定するためのプログラムデータに比べデータ容量が大きい。
【0226】
フォグとは、ワールド座標系において所定方向、具体的にはZ軸方向の位置に対する明るさの度合いを調整するための情報である。フォグは、霧を表現したり、洞窟内を表現したりする場合に使用される。ここで、1フレーム分の画像の全体に対して単一のフォグを適用してもよい。この場合、1フレーム分の画像に一定の態様でフォグがかかることとなる。また、これに代えて、1フレーム分の画像の全体に対して複数のフォグを適用してもよい。この場合、Z軸方向の奥側に配置されているオブジェクトに対してその他のオブジェクトと同様のフォグを適用すると暗すぎることで質感がでないような状況において、当該オブジェクトには別のフォグを設定する構成とするとよい。これにより、上記質感を損なわせないようにしつつ、フォグを設定することによる効果を得ることができる。
【0227】
アドレス情報A’(0),A’(1),A’(2),・・・には、2D用描画リストと同様に、各画像データが記憶されているエリアのアドレスに対応する情報が設定されている。この場合、演出用CPU82から演出用LSI85に出力される3D用描画リストにおいては、アドレス情報として、メモリモジュール83にて各画像データが記憶されているエリアのアドレスに対応するアドレスIDの情報が設定されている点と、演出用LSI85の事前転送制御部94においてVRAM86の事前転送領域86aへの画像データの転送が完了した場合に事前転送領域86aにおいて画像データが転送されたエリアのアドレスに対応する情報にアドレス情報が書き換えられる点と、3D用描画リストにデコード画像データが設定されている場合にはそのアドレス情報には動画用の展開領域119においてそのデコード画像データが記憶されているエリアのアドレスに対応する情報が当初から設定されておりそのアドレス情報に対する事前転送制御部94による書き換え処理は実行されない点とは、2D用描画リストと同様である。但し、3D画像においては1種類の個別画像を表示するためにオブジェクトの画像データとテクスチャの画像データとを要するため、一の描画対象としてオブジェクトの画像データとテクスチャの画像データとが設定されているとともに、それらオブジェクトの画像データ及びテクスチャの画像データのそれぞれについてアドレス情報が設定されている。
【0228】
次に、2D制御部96にて実行される2D描画処理について説明する。図19は2D制御部96にて実行される2D描画処理を示すフローチャートである。なお、2D制御部96はメモリモジュール83に予め記憶されたプログラム及びデータを利用して2D描画処理を実行する。これらプログラム及びデータは全て、演出用LSI85への動作電力の供給が開始された場合に2D制御部96の内部に設けられたレジスタに読み出される。但し、これに限定されることはなく、2D制御部96がメモリモジュール83に予め記憶されたプログラム及びデータを利用しない専用回路として設けられている構成としてもよい。
【0229】
まず演出用LSI85のレジスタ93に設けられた2D作成完了フラグの値が「0」であって当該レジスタ93に描画処理の実行が未完了の2D用描画リストが存在しているか否かを判定する(ステップS701)。2D作成完了フラグは、1フレーム分の画像表示に対応する2D用描画リストに対する描画処理が完了した状態であってその描画処理によりメイン表示用の描画領域111における2D描画領域112に作成された描画データが1フレーム分の描画データを作成するためにメイン用第1フレーム領域114又はメイン用第2フレーム領域115に描画された状態ではないことを2D制御部96にて特定するためのフラグである。1フレーム分の画像表示に対応する2D用描画リストに対する描画処理が完了した場合に2D作成完了フラグに「1」がセットされ、その描画処理により2D描画領域112に作成された描画データが1フレーム分の描画データを作成するためにメイン用第1フレーム領域114又はメイン用第2フレーム領域115に描画された場合に2D作成完了フラグが「0」クリアされる。また、未完了の2D用描画リストがある場合とは、全ての画像データに対する描画処理が完了していない2D用描画リストが存在している場合、及び未だ描画処理の実行対象となっていない2D用描画リストが存在している場合が該当する。
【0230】
2D作成完了フラグの値が「0」であって未完了の2D用描画リストが存在している場合、描画対象の更新処理を実行する(ステップS702)。描画対象の更新処理では、今回新たに1個の2D用描画リストを描画処理の実行対象とする場合、その2D用描画リストにおける表示順優先データの最初に設定されている画像データを今回の描画処理の実行対象として選択する。一方、今回が1個の2D用描画リストの作成途中である場合、前回描画処理の実行対象となった画像データの表示順優先データに対して次の表示順優先データに設定されている画像データを今回の描画処理の実行対象として選択する。
【0231】
その後、今回の描画処理の実行対象となっている画像データが転送されている事前転送領域86aのエリアのアドレス又は今回の描画処理の実行対象となっているデコード画像データが展開されている動画用の展開領域119のエリアのアドレスを、2D用描画リストにおけるアドレス情報から把握する(ステップS703)。この場合、そのアドレス情報から把握したアドレスが事前転送領域86aに対応している場合には、事前転送領域86aのそのアドレスから画像データを読み出すように転送コントローラ92に転送指示を行う。一方、そのアドレス情報から把握したアドレスが動画用の展開領域119に対応している場合には、動画用の展開領域119のそのアドレスから画像データを読み出す。
【0232】
また、今回の描画処理の実行対象となっている画像データに対して適用するパラメータを、2D用描画リストにおけるパラメータ情報を利用して演算などを実行することにより把握する(ステップS704)。その後、今回の描画処理の実行対象となっている画像データを、ステップS704にて把握したパラメータを適用した状態で描画対象となるエリアに描画するための書き込み処理を実行する(ステップS705)。この書き込み処理では、メイン表示装置41に画像を表示させるための描画データを作成する場合であればレジスタ93の2D描画領域112に書き込み処理を実行し、サブ表示装置43,44に画像を表示させるための描画データを作成する場合であればレジスタ93のサブ用第1フレーム領域117及びサブ用第2フレーム領域118のうち今回の描画データの作成対象である側のフレーム領域に書き込み処理を実行する。
【0233】
その後、1フレーム分の画像表示に対応する1個又は2個の2D用描画リストにおいて指定されている全ての画像データについてステップS702~ステップS705の処理の実行が完了したか否かを判定する(ステップS706)。1フレーム分の画像表示に対応する2D用描画リストの数が1個である場合、その2D用描画リストにおいて描画指示対象となっている複数種類の画像データのうち最後の順番の画像データについての表示順優先データに付随させて作成完了データが設定されている。また、1フレーム分の画像表示に対応する2D用描画リストの数が2個である場合、描画処理の実行対象となる順番が後側の2D用描画リストにおいて描画指示対象となっている複数種類の画像データのうち最後の順番の画像データについての表示順優先データに付随させて作成完了データが設定されている。ステップS706では今回の表示順優先データに付随させて作成完了データが設定されているか否かを判定する。作成完了データが設定されている場合(ステップS706:YES)、1フレーム分の画像表示に対応する2D用描画リストにおいて指定されている全ての画像データについてステップS702~ステップS705の処理の実行が完了したことを意味するため、レジスタ93の2D作成完了フラグに「1」をセットする(ステップS707)。
【0234】
次に、3D制御部97にて実行される3D描画処理について説明する。図20は3D制御部97にて実行される3D描画処理を示すフローチャートである。なお、3D制御部97はメモリモジュール83に予め記憶されたプログラム及びデータを利用して3D描画処理を実行する。これらプログラム及びデータは全て、演出用LSI85への動作電力の供給が開始された場合に3D制御部97の内部に設けられたレジスタに読み出される。但し、これに限定されることはなく、3D制御部97がメモリモジュール83に予め記憶されたプログラム及びデータを利用しない専用回路として設けられている構成としてもよい。
【0235】
まず演出用LSI85のレジスタ93に設けられた3D作成完了フラグの値が「0」であって当該レジスタ93に描画処理の実行が未完了の3D用描画リストが存在しているか否かを判定する(ステップS801)。3D作成完了フラグは、1フレーム分の画像表示に対応する3D用描画リストに対する描画処理が完了した状態であってその描画処理によりメイン表示用の描画領域111における3D描画領域113に作成された描画データが1フレーム分の描画データを作成するためにメイン用第1フレーム領域114又はメイン用第2フレーム領域115に描画された状態ではないことを3D制御部97にて特定するためのフラグである。1フレーム分の画像表示に対応する3D用描画リストに対する描画処理が完了した場合に3D作成完了フラグに「1」がセットされ、その描画処理により3D描画領域113に作成された描画データが1フレーム分の描画データを作成するためにメイン用第1フレーム領域114又はメイン用第2フレーム領域115に描画された場合に3D作成完了フラグが「0」クリアされる。また、未完了の3D用描画リストがある場合とは、全ての画像データに対する描画処理が完了していない3D用描画リストが存在している場合、及び未だ描画処理の実行対象となっていない3D用描画リストが存在している場合が該当する。
【0236】
3D作成完了フラグの値が「0」であって未完了の3D用描画リストが存在している場合、ステップS802~ステップS810の処理を実行する。なお、ステップS802~ステップS810の処理ではまず1個の3D用描画リストにおいて最後の表示順優先データに付随させて作成完了データが設定されているか否かを判定し、作成完了データが設定されている場合にはその1個の3D用描画リストのみをステップS802~ステップS810の処理の実行対象とする。一方、作成完了データが設定されていない場合には、次の順番の3D用描画リストにおいて最後の表示順優先データに付随させて作成完了データが設定されているか否かを判定し、作成完了データが設定されている場合にはそれまでの2個の3D用描画リストをまとめてステップS802~ステップS810の処理の実行対象とする。これにより、1フレーム分の画像を表示させるための3D用描画リストとして複数の3D用描画リストが設定されている場合であっても、3D用の描画データを適切に作成することが可能となる。
【0237】
ステップS802では、3D用描画リストにおいて描画対象として指定された背景用の画像データが記憶されている事前転送領域86a又は動画用の展開領域119のエリアのアドレスを、3D用描画リストにおけるアドレス情報から把握する(ステップS802)。この場合、そのアドレス情報から把握したアドレスが事前転送領域86aに対応している場合には、事前転送領域86aのそのアドレスから画像データを読み出すように転送コントローラ92に転送指示を行う。一方、そのアドレス情報から把握したアドレスが動画用の展開領域119に対応している場合には、動画用の展開領域119のそのアドレスから画像データを読み出す。その後、背景用の設定処理を実行する(ステップS803)。
【0238】
背景用の設定処理では、ステップS802にてアドレス情報を把握した背景用の画像データがワールド座標系に既に配置されているか否かを判定する。配置されていない場合には、ワールド座標系への配置を行うために参照する空きバッファ領域を画像データ毎に検索し、空きバッファ領域を確保した場合にはその領域の初期化処理を実行する。その後、3D用描画リストにおけるパラメータ情報において指定された座標、回転角度及びスケールとなるように、その背景用の画像データについてのローカル座標系の座標値をワールド座標系の座標値に変換させるワールド変換処理を実行して、上記確保したバッファ領域に設定する。配置されている場合には、3D用描画リストにおけるパラメータ情報を利用して演算などを実行することにより対象となる背景用の画像データに適用するパラメータを把握して、既に確保されたバッファ領域に設定されている各種パラメータの更新処理を実行する。また、背景用の設定処理では、既にワールド座標系に配置されている画像データのうち、今回の描画リストに指定されていない背景用の画像データを消去する制御終了処理を実行する。
【0239】
その後、3D用描画リストにおいて描画対象として指定された演出用の画像データが記憶されている事前転送領域86a及び動画用の展開領域119のエリアのアドレスを、3D用描画リストにおけるアドレス情報から把握する(ステップS804)。この場合、そのアドレス情報から把握したアドレスが事前転送領域86aに対応している場合には、事前転送領域86aのそのアドレスから画像データを読み出すように転送コントローラ92に転送指示を行う。一方、そのアドレス情報から把握したアドレスが動画用の展開領域119に対応している場合には、動画用の展開領域119のそのアドレスから画像データを読み出す。その後、演出用の設定処理を実行する(ステップS805)。
【0240】
演出用の設定処理では、ステップS804にてアドレス情報を把握した演出用の画像データがワールド座標系に既に配置されているか否かを判定する。配置されていない場合には、上記背景用の設定処理において説明した場合と同様に、配置を開始するための処理を実行する。配置されている場合には、上記背景用の設定処理において説明した場合と同様に、各種パラメータの更新処理を実行する。また、演出用の設定処理では、既にワールド座標系に配置されている画像データのうち、今回の描画リストに指定されていない演出用の画像データを消去する制御終了処理を実行する。
【0241】
上記ステップS802~ステップS805の処理が実行されることにより、図21の説明図に示すように、X軸,Y軸,Z軸で規定されたワールド座標系内に、3D用描画リストにより配置対象として指定されている最背面画像用の画像データPC1と、各種オブジェクトデータPC2~PC10とが、同じく3D用描画リストにより指定されている座標、回転角度及びスケールで配置されたシーンの設定が完了する。なお、図21においては、最背面画像用の画像データPC1や各種オブジェクトデータPC2~PC10が配置されている様子を簡易的に示している。
【0242】
その後、カメラ座標系(カメラ空間)への変換処理を実行する(ステップS806)。カメラ座標系への変換処理では、3D用描画リストにより指定されたカメラの情報により、視点の座標及び向きを決定するとともに、その視点の座標及び向きに基づいて、ワールド座標系を、視点を原点としたカメラ座標系(カメラ空間)に変換する。これにより、図21に示すように、カメラ形状で示す視点PC11が設定され、それに対応した座標系が設定された状態となる。
【0243】
ここで、カメラの情報は、個別画像(最背面画像用の画像データPC1及び各種オブジェクトデータPC2~PC10)毎に設定されており、実際には個別画像毎にカメラ座標系が存在することとなる。このように個別画像毎にカメラ座標系が設定されることにより視点切換を個別に行うことが可能となり、描画データの作成の自由度が高められる。但し、説明の便宜上、図21には全ての個別画像が単一の視点に設定されている状態を示す。
【0244】
その後、視野座標系(視野空間)への変換処理を実行する(ステップS807)。視野座標系への変換処理では、上記各カメラ座標系を、視点からの視野(視野角)に対応する視野座標系に変換する。これにより、各個別画像について、対応する視点の視野内に含まれている場合にはそれが抽出されるとともに、視点から近い個別画像が拡大されるとともに、視点から遠い個別画像が縮小される。
【0245】
その後、クリッピング処理を実行する(ステップS808)。クリッピング処理では、ステップS807にて抽出された各個別画像が、それぞれ対応する視点を共通の原点として把握される。そして、その状態で描画対象のメイン表示装置41に対応するフレーム領域114,115に応じたスクリーン領域PC12(図21を参照)に対応する空間を基準として、ステップS807にて抽出された各個別画像をクリッピングする。
【0246】
その後、ライティング処理を実行する(ステップS809)。ライティング処理では、3D用描画リストにより指定されたライトの情報により、仮想光源の種類、座標及び向きを決定するとともに、上記クリッピング処理により抽出された各オブジェクトについて上記仮想光源に基づき陰影や反射等を演算する。
【0247】
その後、ステップS808にてクリッピングされ、さらにライティング処理が完了した各個別画像を、仮想2次元平面であるスクリーン領域PC12に投影(例えば、透視投影や平行投影)するとともに、その投影後のデータに対して色情報の設定処理を実行することで3D用の描画データをレジスタ93における3D描画領域113に作成する(ステップS810)。色情報の設定処理では、投影後のデータに対して、ピクセル単位(すなわちポリゴン単位)又は頂点単位で、色情報を設定することで、各オブジェクトの外観を決定する。かかる色情報の設定処理では、基本的に、投影後のデータに対して、それぞれに対応するテクスチャデータを貼り付けるテクスチャマッピング処理が実行される。また、状況によっては、バンプマッピングや透明度マッピングなどの処理が実行される。
【0248】
ステップS801にて否定判定をした場合、又はステップS810の処理を実行した場合、レジスタ93の3D作成完了フラグに「1」をセットする(ステップS811)。その後、レジスタ93の2D作成完了フラグ及び3D作成完了フラグの両方に「1」がセットされているか否かを判定することで、1フレーム分の画像表示に対応する2D用描画リストに対する2D制御部96による描画処理及び1フレーム分の画像表示に対応する3D用描画リストに対する3D制御部97による描画処理が完了したか否かを判定する(ステップS812)。つまり、各表示装置41,43,44における1フレーム分の画像の描画データの作成が完了したか否かを判定する。
【0249】
ステップS812にて肯定判定をした場合には、2D作成完了フラグ及び3D作成完了フラグの両方を「0」クリアする(ステップS813)。その後、描画データ合成処理を実行する(ステップS814)。描画データ合成処理では、レジスタ93のメイン用第1フレーム領域114及びメイン用第2フレーム領域115のうち今回の描画データの作成対象となっているフレーム領域に、まず3D描画領域113に作成されている描画データを書き込み、その後に2D描画領域112に作成されている描画データを書き込む。この場合、2D描画領域112において画像データが設定されていない領域には完全透過のα値が設定されているため、作成対象のフレーム領域において3D描画領域113から書き込まれた描画データに対して、2D描画領域112における図柄画像に対応する部分の描画データのみが追加で描画されることとなる。この図柄画像に対応する部分の描画データの描画に際しては、不透過のα値が設定されている領域については上書きが行われ、半透明のα値が設定されている領域についてはその半透明のα値を利用したブレンド処理が行われる。描画データ合成処理が実行されることにより、メイン表示装置41に1フレーム分の画像を表示させるための描画データの作成が完了する。なお、各サブ表示装置43,44については既に説明したとおりサブ用第1フレーム領域117及びサブ用第2フレーム領域118のうち作成対象のフレーム領域に対して画像データが直接描画されるため、2D描画処理(図19)にてレジスタ93の2D作成完了フラグに「1」がセットされた時点で、各サブ表示装置43,44に1フレーム分の画像を表示させるための描画データの作成が完了している。
【0250】
<演出用LSI85における描画リストの取り扱いに関する構成>
次に、演出用LSI85における描画リストの取り扱いに関する構成について説明する。既に説明したとおりメイン表示装置41及び各サブ表示装置43,44のそれぞれにはフレーム領域114,115,117,118が2個ずつ設けられており、一方のフレーム領域に作成された描画データによる1フレーム分の画像の表示が行われている状況において、他方のフレーム領域に対して次の画像の更新タイミングにおける1フレーム分の画像を表示するための描画データが作成される。また、描画データの作成に際してはメモリモジュール83に予め記憶された画像データが利用されるが、描画データの作成に際して利用される画像データは当該画像データを利用した描画データの作成タイミングとなるまでにVRAM86の事前転送領域86aに転送される。
【0251】
描画データが作成されるタイミング及び画像データが事前転送されるタイミングについて、図22のタイムチャートを参照しながら説明する。図22(a)は画像データの事前転送期間を示し、図22(b)は描画データの作成期間を示し、図22(c)は各表示装置41,43,44の画像の更新タイミングを示す。
【0252】
図22(c)に示すようにt1のタイミング、t2のタイミング、t3のタイミング、t4のタイミング、t5のタイミング、t6のタイミング、t7のタイミング、t8のタイミング及びt9のタイミングのそれぞれにおいて、メイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44における画像の更新が開始される。また、図22(b)に示すように、これらt1~t9のタイミングのそれぞれにおいて描画データの作成が行われる。これら描画データは、現状の画像の更新タイミングに対応するフレーム順序に対して次の更新タイミングに対応するフレーム順序の描画データとなっている。例えばt1のタイミングでは図22(c)に示すように各表示装置41,43,44においてkフレーム目の画像の更新が行われるのに対して、図22(b)に示すようにk+1フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成が開始される。なお、既に説明したとおり各表示装置41,43,44においてダブルバッファ方式が採用されているため、一のフレーム領域に作成された描画データを利用して画像の表示が行われている状況において他のフレーム領域に対して次の画像の更新タイミングに対応する描画データが作成される。
【0253】
上記のように各表示装置41,43,44における画像の表示及び描画データの作成が行われる構成において、描画データの作成に際して利用される画像データは当該画像データを利用して作成される描画データの作成開始タイミングよりも前のタイミングにおいてVRAM86に読み出された状態となる。かかる事前転送の態様は複数種類存在している。その一態様は、描画データの作成に際して利用される画像データを、当該画像データを利用して作成される描画データの作成期間に対して直前の作成期間を利用して読み出す態様である。具体的には、t1のタイミングでは、図22(b)に示すようにk+1フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成が開始されるのに対して、図22(a)に示すようにk+2フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成に必要な画像データのVRAM86への読み出しが開始される。同様に、t2のタイミングでは、図22(b)に示すようにk+2フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成が開始されるのに対して、図22(a)に示すようにk+3フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成に必要な画像データのVRAM86への読み出しが開始され、t3のタイミングでは、図22(b)に示すようにk+3フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成が開始されるのに対して、図22(a)に示すようにk+4フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成に必要な画像データのVRAM86への読み出しが開始され、t4のタイミングでは、図22(b)に示すようにk+4フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成が開始されるのに対して、図22(a)に示すようにk+5フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成に必要な画像データのVRAM86への読み出しが開始される。このような画像データの読み出し態様によれば、VRAM86に確実に読み出しておく必要がある画像データのデータ容量を2フレーム分に留めることが可能となる。
【0254】
事前転送の他の態様は、1フレーム分の描画データの作成に必要な画像データの読み出し期間が一の画像更新タイミングと次の画像更新タイミングとの間の期間に制限されるのではなく、描画データの作成に際して利用される画像データが当該画像データを利用して作成される描画データの作成開始タイミングよりも前のタイミングにおいてVRAM86に読み出された状態となるようにしながら、一の画像更新タイミングと次の画像更新タイミングとの間の期間を跨ぐようにして画像データの読み出しが行われる態様である。換言すれば、一の画像更新タイミングと次の画像更新タイミングとの間の期間において、所定フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成に必要な画像データの読み出しが完了するとともに当該所定フレーム目に対して次の順番のフレーム目の画像を表示させるための描画データの作成に必要な画像データの読み出しが開始される態様である。具体的には、図22(b)に示すように、t5のタイミングにてk+5フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成が開始され、t6のタイミングにてk+6フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成が開始され、t7のタイミングにてk+7フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成が開始され、t8のタイミングにてk+8フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成が開始され、t9のタイミングにてk+9フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成が開始されるのに対して、図22(a)に示すようにt5のタイミングからt9のタイミングの途中のタイミングに亘って、k+6フレーム目~k+9フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成に必要な画像データのVRAM86への読み出しが行われる。このような画像データの読み出し態様によれば、所定フレーム目の画像を表示させるための描画データの作成に必要な画像データの読み出しに要する期間が一の画像更新タイミングと次の画像更新タイミングとの間の期間以上となる場合であっても、その超過期間を、画像データの読み出しに要する期間が画像更新タイミング間の期間よりも短いことによって生じる読み出しの空き時間を利用して吸収することが可能となる。
【0255】
演出用CPU82による演出用LSI85に対する画像データの事前転送の指示は、既に説明したとおり描画リストを利用して行われる。演出用CPU82から送信された段階の描画リストには、描画データの作成に際して必要な画像データの種類と対応付けて当該画像データが記憶されているメモリモジュール83のエリアのアドレスに対応する情報が設定されているものの、VRAM86におけるその画像データの転送先のエリアのアドレスに対応する情報は設定されていない。演出用LSI85の事前転送制御部94によりVRAM86への画像データの転送が行われた場合、上記画像データが記憶されているメモリモジュール83のエリアのアドレスに対応する情報が、VRAM86におけるその画像データの転送先のエリアのアドレスに対応する情報に書き換えられる。そして、演出用LSI85の2D制御部96及び3D制御部97はそのアドレス情報が書き換えられた後の描画リストを利用して、VRAM86において画像データが読み出されているエリアを特定するとともにそのエリアから読み出した画像データを利用して描画データを作成する。
【0256】
このような描画リストの扱いに対応させて演出用LSI85のレジスタ93において描画リストが格納される領域が設定されている。図23は演出用LSI85のレジスタ93において描画リストが格納される領域を説明するための説明図である。
【0257】
図23に示すようにレジスタ93には、演出用CPU82から送信された描画リストが順次格納されることとなる転送前用の格納領域121と、転送前用の格納領域121に格納された描画リストにおいて指定されている画像データのVRAM86への事前転送が完了することでその転送先のエリアのアドレスに対応する情報が上書きされた描画リストが順次格納されることとなる転送後用の格納領域122とが設けられている。転送前用の格納領域121には転送前の第1~第20格納領域121a~121tが設けられており、演出用CPU82から送信された描画リストは格納領域121a~121tに順次格納される。具体的には、第m格納領域まで描画リストが格納されている状況で演出用CPU82から新たな描画リストが送信された場合、その描画リストは第m+1格納領域に格納される。また、事前転送制御部94において描画リストにより指定された画像データの事前転送を行う場合には、転送前用の格納領域121に先に格納された描画リストから順に事前転送の対象となる。具体的には、転送前の第1格納領域121aに格納されている描画リストから事前転送の実行対象となり、当該描画リストが事前転送の実行対象となった場合には転送前の第1格納領域121aを「0」クリアした後に第m+1格納領域に格納されている描画リストが第m格納領域にシフトされる。なお、転送前用の格納領域121に格納可能な描画リストの数は20個に限定されることはなく、演出用CPU82から送信される描画リストを演出用LSI85において全て処理できるのであれば任意である。ちなみに各表示装置41,43,44において1フレーム分の画像を表示させるためには、既に説明したとおり1フレーム分の画像表示に対応する1個又は2個の2D用描画リストと1フレーム分の画像表示に対応する1個又は2個の3D用描画リストが利用されるため、転送前用の第1~第20格納領域121a~121tのうち最大4個の格納領域が1フレーム分の画像表示に対応する描画リストを格納するために利用される。
【0258】
転送後用の格納領域122には転送後の第1~第20格納領域122a~122tが設けられており、事前転送制御部94において画像データの事前転送が完了してアドレス情報が書き換えられた描画リストは格納領域122a~122tに順次格納される。具体的には、第n格納領域まで描画リストが格納されている状況で事前転送制御部94における一の描画リストについての画像データの事前転送が完了した場合、その描画リストはアドレス情報の書き換えが行われた後に第n+1格納領域に格納される。また、2D制御部96又は3D制御部97において描画データの作成を行う場合には、転送後用の格納領域122に先に格納された描画リストから順に描画処理の実行対象となる。具体的には、転送後用の第1格納領域122aに格納されている描画リストから描画処理の実行対象となり、当該描画リストが描画処理の実行対象となった場合には転送後の第1格納領域122aを「0」クリアした後に第n+1格納領域に格納されている描画リストが第n格納領域にシフトされる。なお、転送後用の格納領域122に格納可能な描画リストの数は20個に限定されることはなく、事前転送が完了した描画リストを2D制御部96及び3D制御部97において全て処理できるのであれば任意である。ちなみに各表示装置41,43,44において1フレーム分の画像を表示させるためには、既に説明したとおり1フレーム分の画像表示に対応する1個又は2個の2D用描画リストと1フレーム分の画像表示に対応する1個又は2個の3D用描画リストが利用されるため、転送後用の第1~第20格納領域122a~122tのうち4個の格納領域が1フレーム分の画像表示に対応する描画リストを格納するために利用される。
【0259】
なお、転送後用の格納領域122として2D用描画リストを格納するための格納領域群と、3D用描画リストを格納するための格納領域群とを別々に設ける構成としてもよい。この場合、2D制御部96による2D用描画リストの読み出しと、3D制御部97による3D用描画リストの読み出しとを、それら2D用描画リスト及び3D用描画リストの間での格納領域への設定順序とは無関係に独立して行うことが可能となる。
【0260】
次に、画像データが事前転送されるVRAM86の事前転送領域86aの構成及び事前転送領域86aに読み出されている画像データの扱いについて説明する。図24(a)は事前転送領域86aを説明するための説明図である。
【0261】
図24(a)に示すように、事前転送領域86aはVRAM86の一部の領域として設定されている。事前転送領域86aは、多数の画像データを一度に記憶保持しておくことが可能な記憶容量となっている。具体的には、256個の画像データを一度に記憶保持しておくことが可能なように、256個のデータ格納エリア123が設けられている。各データ格納エリア123はいずれも同一の記憶容量となっており、その記憶容量は最大の記憶容量の画像データを格納可能な容量となっている。また、事前転送領域86aへの読み出し対象として、1個のデータ格納エリア123の記憶容量よりも合計の記憶容量が小さい複数の画像データが存在している場合であっても、それら複数の画像データは1個のデータ格納エリア123に対して1個の画像データが読み出される。
【0262】
事前転送制御部94は描画リストに従って画像データを読み出す場合、画像データの読み出し先の対象となるデータ格納エリア123が予め定められた順序で順次変更されるようにする。具体的には、データ格納エリア123は第0番目~第255番目といった順序が生じるように設定されており、第k番目のデータ格納エリア123における最終アドレスは第k+1番目のデータ格納エリア123における開始アドレスと連番となっている。事前転送制御部94は1個の画像データを事前転送領域86aに読み出す場合、その直前の事前転送の実行回において読み出し対象となった画像データを格納したデータ格納エリア123に対して次の順番のデータ格納エリア123に今回の読み出し対象の画像データを記憶させる。
【0263】
この読み出し先のデータ格納エリア123の種類を特定するために演出用LSI85のレジスタ93には図24(b)の説明図に示すように識別情報カウンタ124が設けられている。識別情報カウンタ124は1バイトのデータ容量となっており、「0」~「255」の数字に対応する情報のいずれかを設定可能となっている。事前転送制御部94は1個の画像データを事前転送領域86aに記憶させる場合、識別情報カウンタ124に設定されている情報に対応するデータ格納エリア123にその画像データを記憶させる。そして、画像データを記憶させた後は、識別情報カウンタ124に設定されている情報に対応する値を1加算し、画像データの格納対象を次の順番のデータ格納エリア123に更新する。
【0264】
データ格納エリア123が上記のように255個設けられている構成において、第255番目のデータ格納エリア123に画像データを記憶させた場合における次の事前転送の処理回では、第0番目のデータ格納エリア123が画像データの転送先となる。この場合、第0番目のデータ格納エリア123に既に読み出されていた画像データは新たな画像データの読み出しに際して消去されることとなる。但し、描画リストにより読み出しが指示された画像データが描画データの作成に際して利用されることなく消去されてしまわないように、事前転送領域86aのデータ格納エリア123の数は設定されている。具体的には、図22(a)におけるt5のタイミング~t9のタイミングに示すような事前転送の態様が、描画データの作成に際してその後に使用する目的で事前転送領域86aに事前に転送される画像データの数が最も多くなる態様であるが、この場合において想定される最大数の画像データの数よりもデータ格納エリア123の数は多い。より詳細には、3フレーム分の画像データがその後に使用する目的で事前転送領域86aに読み出されることとなるが、3フレーム分の画像データの数として想定される最大数の画像データの数よりもデータ格納エリア123の数は多い。これにより、所定の描画リストに従って画像データを事前転送したにも関わらず、その所定の描画リストに対応する描画データを作成する段階においてその事前転送したはずの画像データが事前転送領域86aから消去されてしまっているという事態が生じないようにすることが可能となる。
【0265】
事前転送領域86aにデータ格納エリア123が256個設けられた構成においては、既にデータ格納エリア123のいずれかに読み出されている画像データと同一の画像データの転送指示が描画リストにより行われ得る。この場合、その画像データをわざわざメモリモジュール83から読み出して事前転送領域86aに読み出していると、読み出し効率が悪くなってしまう。そこで、本パチンコ機10では、描画リストにより転送指示の対象となった画像データが既にデータ格納エリア123に存在している場合には、その画像データについてはメモリモジュール83からの読み出しは行わない構成となっている。
【0266】
但し、既に説明したとおり事前転送制御部94はレジスタ93の識別情報カウンタ124を参照することで画像データの読み出し対象となるデータ格納エリア123を予め定められた順序で順次更新する構成となっている。したがって、事前転送制御部94は描画リストにより転送指示の対象となった画像データが既にデータ格納エリア123のいずれかに存在している場合、その画像データを現状の識別情報カウンタ124に対応するデータ格納エリア123にコピーする。つまり、当該画像データについてはメモリモジュール83からの読み出しは行わないものの、事前転送領域86a内におけるデータ格納エリア123間においてデータのコピーが行われる。これにより、識別情報カウンタ124に従った順序によるデータ格納エリア123への画像データの読み出しを可能としつつ、画像データの読み出し効率を高めることが可能となる。なお、描画リストにより転送指示の対象となった画像データが現状の識別情報カウンタ124に対応するデータ格納エリア123に既に存在している場合には画像データのコピーを行うことなくその状態を維持させながら、識別情報カウンタ124の更新のみを行う。
【0267】
描画リストによる転送指示の対象となった画像データがデータ格納エリア123に既に存在しているか否かを事前転送制御部94において特定することを可能とするために、演出用LSI85のレジスタ93には検索用テーブル125が設けられている。図25は検索用テーブル125を説明するための説明図である。
【0268】
検索用テーブル125は図25に示すように、事前転送領域86aのデータ格納エリア123に1対1で対応させて設定された識別情報がデータ格納エリア123の順番に合わせて連番となるようにして設定されているとともに、各識別情報に1対1で対応させてアドレスIDが設定されている。アドレスIDは、データ格納エリア123に格納されている画像データの種類を事前転送制御部94において特定可能とするデータである。より詳細には、アドレスIDは演出用CPU82から送信される描画リストにおいて画像データのアドレス情報として設定されている情報であり、当該アドレスIDは対応する画像データがメモリモジュール83において記憶されているエリアの開始アドレスに対応している。事前転送制御部94は、既に説明したとおり、描画リストにおいて指示されている画像データをメモリモジュール83から事前転送領域86aに転送した場合には当該事前転送領域86aにおいてその画像データを読み出したエリアのアドレスに対応する情報を描画リストのアドレス情報に上書きするが、その際に、描画リストのアドレス情報にそれまで設定されていたアドレスID群のうち開始アドレスに対応するアドレスIDを検索用テーブル125においてその画像データが読み出されたデータ格納エリア123の識別情報に対応するアドレスIDの格納エリアに書き込む。これにより、検索用テーブル125には、データ格納エリア123に格納されている画像データに対応する開始アドレスのアドレスIDが、各データ格納エリア123に対応させて設定されることとなる。よって、事前転送制御部94は検索用テーブル125を参照することで、描画リストにより転送指示の対象となっている画像データが事前転送領域86aに既に読み出されているか否かを特定することができるとともに、既に読み出されている場合には当該画像データが読み出されているデータ格納エリア123の種類を特定することができる。
【0269】
図26(a)~図26(d)を参照しながら描画リストのアドレス情報の書き換え及び検索用テーブルのアドレスIDの書き換えが行われる様子について説明する。図26(a)は演出用CPU82から演出用LSI85に送信された描画リストを説明するための説明図であり、図26(b)は描画リストに従った画像データの事前転送が行われる前の状況における検索用テーブル125を説明するための説明図であり、図26(c)は画像データの事前転送が完了してアドレス情報の書き換えが完了した後の描画リストを説明するための説明図であり、図26(d)は描画リストに従った画像データの事前転送が完了した後の状況における検索用テーブル125を説明するための説明図である。
【0270】
図26(a)に示すように演出用CPU82から演出用LSI85に送信された描画リストには表示順優先データが「0」の画像データに対応するアドレス情報として「A253」~「A257」のアドレスIDの範囲が設定されており、表示順優先データが「1」の画像データに対応するアドレス情報として「B348」~「B350」のアドレスIDの範囲が設定されており、表示順優先データが「2」の画像データに対応するアドレス情報として「C001」~「C003」のアドレスIDの範囲が設定されている。この場合、表示順優先データが「0」の画像データはメモリモジュール83において「A253」~「A257」のアドレスIDの範囲に対応するアドレス範囲のエリアに記憶されていることとなり、表示順優先データが「1」の画像データはメモリモジュール83において「B348」~「B350」のアドレスIDの範囲に対応するアドレス範囲のエリアに記憶されていることとなり、表示順優先データが「2」の画像データはメモリモジュール83において「C001」~「C003」のアドレスIDの範囲に対応するアドレス範囲のエリアに記憶されていることとなる。
【0271】
事前転送制御部94において図26(a)の描画リストにおいて指定されている画像データの事前転送を行う場合、まず検索用テーブル125を参照することでその事前転送対象の画像データが事前転送領域86aのデータ格納エリア123のいずれかに既に読み出されているか否かを特定する。この特定に際してはアドレスIDの開始アドレスが利用されるため、表示順優先データが「0」の画像データであれば「A253」が検索用テーブル125に設定されているか否かを特定し、表示順優先データが「1」の画像データであれば「B348」が検索用テーブル125に設定されているか否かを特定し、表示順優先データが「2」の画像データであれば「C001」が検索用テーブル125に設定されているか否かを特定する。
【0272】
図26(b)に示す態様の検索用テーブル125であって画像データの読み出し先のデータ格納エリア123に対応する識別情報が「123」である状況において図26(a)に示す描画リストに従った画像データの事前転送を行う場合、表示順優先データが「0」の画像データに対して設定されているアドレスIDの開始アドレス(「A253」)が検索用テーブル125における「120」の識別情報に対応するアドレスIDとして設定されている。したがって、事前転送制御部94は表示順優先データが「0」の画像データについてはメモリモジュール83から事前転送領域86aへの読み出しを行うのではなく、「120」の識別情報に対応するデータ格納エリア123に格納された画像データを「123」の識別情報に対応するデータ格納エリア123にコピーする。この場合、メモリモジュール83から画像データを読み出す必要がない点で読み出し効率が向上する。また、検索用テーブル125において「123」の識別情報に対応するアドレスIDの情報を、図26(d)に示すように、その画像データのアドレスIDの開始アドレスに書き換える。このように検索用テーブル125のアドレスIDの情報が書き換えられることにより、各データ格納エリア123における画像データの格納状況と検索用テーブル125の内容とを対応付けることが可能となる。
【0273】
なお、このように画像データのコピーが行われたとしても「120」の識別情報に対応するデータ格納エリア123に記憶された画像データはそのまま記憶保持され、検索用テーブル125における「120」の識別情報に対応するアドレスIDの情報は「A253」に維持される。この場合、検索用テーブル125にはアドレスIDの情報が「A253」となった識別情報が複数存在することとなるが、事前転送対象の画像データが事前転送領域86aに既に読み出されているか否かの特定は値が小さい識別情報から順に行われるため、アドレスIDの開始アドレスが「A253」である画像データが事前転送対象となった場合には値が小さい識別情報に対応するデータ格納エリア123からの画像データのコピーが行われることとなる。
【0274】
一方、表示順優先データが「1」及び「2」の画像データについてはアドレスIDの開始アドレスが図26(b)に示す検索用テーブル125に設定されていない。したがって、これら画像データについてはメモリモジュール83から事前転送領域86aへの事前転送が行われる。そして、事前転送が完了した場合には検索用テーブル125の書き換え処理が実行されることで、図26(d)に示すように検索用テーブル125における「124」の識別情報に対応するアドレスIDの情報として「B348」が設定されるとともに、検索用テーブル125における「125」の識別情報に対応するアドレスIDの情報として「C001」が設定される。
【0275】
上記のように各画像データの事前転送が行われた場合、事前転送制御部94は描画リストの識別情報の書き換え処理を実行する。この場合、図26(c)に示すように、表示順優先データが「0」の画像データに対応するアドレス情報には、当該画像データが格納されたデータ格納エリア123の種類に対応する識別情報が上書きされる。具体的には、表示順優先データが「0」の画像データは識別情報が「123」に対応するデータ格納エリア123にコピーされたため、表示順優先データが「0」の画像データに対応するアドレス情報には「123」が上書きされる。また、動画像データに対してデコード処理を実行することで作成されたデコード画像データが設定されている表示順優先データに対して次の表示順優先データに設定されているデコード画像データ以外の画像データに対応するアドレス情報にも、当該画像データが格納されたデータ格納エリア123の種類に対応する識別情報が上書きされる。なお、デコード画像データに対応するアドレス情報には、動画用の展開領域119においてそのデコード画像データが記憶されているエリアのアドレスを特定可能とするための情報が当初から設定されている。
【0276】
一方、表示順優先データが「1」以降の画像データであって直前の表示順優先データに対応する画像データがデコード画像データではない画像データに対応するアドレス情報には、その画像データが格納されたデータ格納エリア123に対応する識別情報が書き込まれるのではなく、オフセット値として「1」を示すデータが書き込まれる。所定の識別情報に対応するデータ格納エリア123に画像データが読み出された転送処理回の次の転送処理回では、所定の識別情報に1加算後の識別情報に対応するデータ格納エリア123が画像データの転送先となる。したがって、表示順優先データが「1」以降の画像データであって直前の表示順優先データに対応する画像データがデコード画像データではない画像データに対応するアドレス情報には、オフセット値として「1」を示すデータが書き込まれることとなる。これにより、当該アドレス情報の書き換えを行うための処理負荷を軽減することが可能となる。
【0277】
以上説明したような画像データの事前転送、及び事前転送後における描画リストの書き換えを可能とするための処理構成を以下に説明する。まず演出用CPU82にて実行される描画リスト出力処理について図27のフローチャートを参照しながら説明する。なお、描画リスト出力処理は、表示制御用の実行対象テーブルにおいて示されている描画リストの出力タイミングである場合に、V割込み処理(図14)におけるステップS507の一部の処理として実行される。ちなみに、演出用CPU82から演出用LSI85への描画リストの出力態様を、図22(a)のt1~t5のタイミングで示す態様及び図22(a)のt5~t9のタイミングで示す態様のうちいずれの態様とするかは表示制御用の実行対象テーブルにおいて定められている。
【0278】
まず各表示装置41,43,44においてデモ表示中であるか否かを判定する(ステップS901)。デモ表示とは、遊技回用の演出又は開閉実行モード用の演出の終了後において遊技回用の演出又は開閉実行モード用の演出が開始されることなく予め定められたデモ開始用の開始待ち期間(例えば、0.1sec)が経過した場合に開始される表示演出である。デモ表示では、第1デモ期間と第2デモ期間とが交互に発生する。第1デモ期間では、メイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれにて遊技回用の演出が行われる場合と同一の背景画像が表示されている状況において、メイン表示装置41の図柄列Z1~Z3上に停止表示されている図柄が所定の動作を行っている画像が所定の期間に亘って表示される。第2デモ期間では、所定の背景画像が表示されている状況において図柄が所定の動作を行う画像の表示が終了されて、メーカ名、機種名若しくは所定のキャラクタによる動画が表示される。
【0279】
ここで、遊技回用の演出は、演出用CPU82への動作電力の供給が開始された直後であれば、各表示装置41,43,44に所定の背景画像が表示された状態であってメイン表示装置41の図柄列Z1~Z3上に所定の図柄が停止表示された状態から開始される。これに対して、演出用CPU82への動作電力の供給が開始された直後において遊技回用の演出が開始されることなくデモ表示が行われる場合には、第1デモ期間においては各表示装置41,43,44に上記所定の背景画像が表示された状態であってメイン表示装置41の図柄列Z1~Z3上に停止表示されている上記所定の図柄が所定の動作を行っている画像が表示される。また、いずれの種類の遊技回用の演出が実行された場合であっても当該遊技回用の演出の最後のタイミングではメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれにおいて所定の背景画像が表示されるとともに、メイン表示装置41においては図柄列Z1~Z3上に停止結果に対応する図柄が停止表示される。当該遊技回用の演出の終了後に開閉実行モード用の演出が開始されるか否かに関係なく、次の遊技回用の演出が開始される場合には前回の遊技回用の演出が終了したタイミングにおける画像の表示状態から開始される。そして、遊技回用の演出の終了後にデモ表示が行われる場合には、第1デモ期間においては各表示装置41,43,44に上記所定の背景画像が表示された状態であって前回の遊技回用の演出が終了する場合にメイン表示装置41の図柄列Z1~Z3上に停止表示された図柄が所定の動作を行っている画像が表示される。つまり、デモ表示の第1デモ期間では、次回の遊技回用の演出を開始させる場合に表示される画像を利用した表示が行われる。したがって、デモ表示の第1デモ期間においては次回の遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データが事前転送領域86aに読み出された状態となる。
【0280】
デモ表示中である場合(ステップS901:YES)、ワークメモリ84に設けられたデモ表示中カウンタの値を1加算する(ステップS902)。デモ表示中カウンタは、遊技回用の演出を次回開始させるために必要な画像データの全てを利用して上記第1デモ期間を開始するタイミングとなったことを演出用CPU82にて特定するためのカウンタである。1加算後におけるデモ表示中カウンタの値が第1デモ期間の開始基準値となっている場合(ステップS903:YES)、デモ表示中カウンタの値を「0」クリアした後に(ステップS904)、遊技回用の演出を次回開始させるために必要な画像データが今回の描画リストにおいて指定されるようにするためのデータ設定を行う(ステップS905)。これにより、デモ表示が継続されている状況であっても遊技回用の演出を次回開始させるために必要な画像データが定期的に使用対象となり、VRAM86の事前転送領域86aに読み出された状態となる。
【0281】
また、デモ表示中ではない状況であっても(ステップS901:NO)、演出用CPU82への動作電力の供給開始時又は開閉実行モード用の演出においてエンディング期間が実行されている場合における終了前タイミングである場合(ステップS906:YES)、遊技回用の演出を次回開始させるために必要な画像データが今回の描画リストにおいて指定されるようにするためのデータ設定を行う(ステップS905)。なお、開閉実行モード中においてステップS905の処理が実行される場合、遊技回用の演出を次回開始させるために必要な画像データが事前転送の対象として設定されるものの描画データを作成するための使用対象としては設定されない。
【0282】
上記ステップS901~ステップS906の処理が実行されることにより、遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データは、少なくとも次回の遊技回用の演出を開始させることが可能なタイミングにおいてVRAM86の事前転送領域86aに読み出された状態となる。この様子を図28のタイムチャートを参照しながら説明する。図28(a)は遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データの読み出し指示が描画リストにより行われるタイミングを示し、図28(b)は遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データが事前転送領域86aに読み出されている期間を示し、図28(c)は遊技回用の演出が実行されている期間を示し、図28(d)は開閉実行モード用の演出が実行されている期間を示し、図28(e)はデモ表示の実行期間を示す。
【0283】
t1のタイミングで演出用CPU82への動作電力の供給が開始されることにより、図28(a)に示すように遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データのメモリモジュール83から事前転送領域86aへの読み出しが行われる。その後、t2のタイミングで、t1のタイミグから遊技回用の演出が開始されることなく開始待ち期間が経過することで、図28(e)に示すようにデモ表示が開始される。デモ表示では最初に次回の遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データを利用した画像表示が行われる第1デモ期間が開始されることとなるため、当該t2のタイミングで図28(a)に示すように、遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データの読み出しが行われる。
【0284】
ここで、既に説明したとり事前転送領域86aには256個のデータ格納エリア123が設けられているが、描画リストにより指定された画像データの事前転送に際しては画像データの読み出し先のデータ格納エリア123が上書きされる。その一方、既に説明したとおり、描画リストにより事前転送が指定された画像データが事前転送領域86aのいずれかのデータ格納エリア123に既に読み出されている場合にはその画像データについてはメモリモジュール83から読み出されるのではなく、データ格納エリア123間のコピーによって読み出し先のデータ格納エリア123に記憶される。この場合、メモリモジュール83から画像データを読み出す必要がない点で、読み出し先のデータ格納エリア123への画像データの読み出しを早期に行うことが可能となる。
【0285】
この場合に、t2のタイミングにおいては、t1のタイミングにて事前転送領域86aに事前転送された遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データが記憶保持された状態となっている。したがって、t2のタイミングでは、事前転送領域86aのデータ格納エリア123間において当該画像データのコピーが行われ、当該画像データのメモリモジュール83からの読み出しは行われない。また、データ格納エリア123間において当該画像データのコピーが行われ、現状の識別情報カウンタ124の値に対応するデータ格納エリア123に当該画像データが格納されることとなるため、当該画像データがデータ格納エリア123から消去されるにはデータ格納エリア123において画像データの読み出し対象の切り換えが一周する必要がある。つまり、次回の遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データが事前転送領域86aから消去されるタイミングとして、データ格納エリア123において画像データの読み出し対象の切り換えが一周する分の余裕が生まれることとなる。
【0286】
その後、デモ表示が継続されている状況におけるt3のタイミングで、第1デモ期間が再度開始される。この場合、当該t3のタイミングで図28(a)に示すように、遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データの読み出しが行われる。第1デモ期間は、第1デモ期間が前回開始されたタイミングで「0」クリアされてその後に定期的に更新されるデモ表示中カウンタの値が開始基準値に達することで再開される。この開始基準値は、次回の遊技回用の演出を次回開始させるために必要な画像データの全てが事前転送領域86aに記憶保持され続ける範囲で第1デモ期間が開始されるように設定されている。これにより、デモ表示の継続期間に関係なくデモ表示が実行されている間は次回の遊技回用の演出の開始に際して必要な画像データはいずれも事前転送領域86aのデータ格納エリア123に読み出された状態となっている。かかる構成であることにより、t3のタイミングでは、t2のタイミングにてデータ格納エリア123間においてコピーが行われた遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データが記憶保持された状態となっている。したがって、t3のタイミングでは、事前転送領域86aのデータ格納エリア123間において当該画像データのコピーが行われ、当該画像データのメモリモジュール83からの読み出しは行われない。また、t3のタイミングで、遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データがデータ格納エリア123間においてコピーされることにより、当該次回の遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データが事前転送領域86aから消去されるタイミングとして、データ格納エリア123において画像データの読み出し対象の切り換えが一周する分の余裕が生まれることとなる。
【0287】
その後、t4のタイミングで遊技回用の演出を開始させる条件が成立することで、図28(e)に示すようにデモ表示が終了されて図28(c)に示すように遊技回用の演出が開始される。この場合、当該t4のタイミングで図28(a)に示すように、遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データの読み出しが行われる。デモ表示の第1デモ期間においては既に説明したとおり次回の遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データが事前転送領域86aに読み出された状態となるとともに、デモ表示の継続期間に関係なく当該画像データが事前転送領域86aに読み出された状態が維持されるように第1デモ期間が再度開始される。したがって、t4のタイミングでは、今回の遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データが事前転送領域86aのデータ格納エリア123に記憶保持された状態となっている。よって、t4のタイミングでは、事前転送領域86aのデータ格納エリア123間において当該画像データのコピーが行われ、当該画像データのメモリモジュール83からの読み出しは行われない。
【0288】
その後、t5のタイミングで図28(c)に示すように遊技回用の演出の終了タイミングとなる。この場合、既に説明したとおり、いずれの種類の遊技回用の演出が実行された場合であっても当該遊技回用の演出の終了期間ではメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれにおいて所定の背景画像が表示されるとともに、メイン表示装置41においては図柄列Z1~Z3上に停止結果に対応する図柄が停止表示される。つまり、当該画像を表示させるための画像データが事前転送領域86aのデータ格納エリア123に読み出された状態となっている。なお、遊技回用の演出の終了期間における画像を表示させるために必要な画像データのデータ格納エリア123への事前転送は、図22(a)のt5~t9のタイミングにおける事前転送の態様によって行われている。これにより、遊技回用の演出の終了期間における画像を表示させるために必要な画像データの事前転送にある程度の時間を要する場合であっても、当該画像データを遊技回用の演出の終了期間が開始されるまでにデータ格納エリア123に事前転送しておくことが可能となる。
【0289】
その後、t6のタイミングで図28(c)に示すように新たな遊技回用の演出が開始される。この場合、当該t6のタイミングで図28(a)に示すように遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データの読み出しが行われる。既に説明したとおり遊技回用の演出が終了した後に新たな遊技回用の演出が開始される場合、前回の遊技回用の演出が終了したタイミングにおける画像の表示状態から開始される。また、今回の遊技回用の演出は前回の遊技回用の演出が終了してからデモ表示への移行が行われることなく開始されている。したがって、t6のタイミングでは、今回の遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データはデータ格納エリア123に読み出された状態となっているため、データ格納エリア123間において当該画像データのコピーが行われ、当該画像データのメモリモジュール83からの読み出しは行われない。
【0290】
その後、遊技回用の演出が継続されている状況であるt7のタイミングで、図28(b)に示すように今回の遊技回用の演出におけるリーチ演出などを実行するために必要な画像データのデータ格納エリア123への事前転送によって、遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データがデータ格納エリア123から消去される。但し、遊技回用の演出が継続されている状況であるため、少なくとも当該遊技回用の演出の終了期間となるまでは遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データが利用される状況とならない。
【0291】
その後、t8のタイミングで、図28(c)に示すように遊技回用の演出の終了タイミングとなる。この場合、既に説明したとおり、いずれの種類の遊技回用の演出が実行された場合であっても当該遊技回用の演出の終了期間ではメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれにおいて所定の背景画像が表示されるとともに、メイン表示装置41においては図柄列Z1~Z3上に停止結果に対応する図柄が停止表示される。つまり、当該画像を表示させるための画像データが事前転送領域86aのデータ格納エリア123に読み出された状態となっている。なお、遊技回用の演出の終了期間における画像を表示させるために必要な画像データのデータ格納エリア123への事前転送は、図22(a)のt5~t9のタイミングにおける事前転送の態様によって行われている。これにより、遊技回用の演出の終了期間における画像を表示させるために必要な画像データの事前転送にある程度の時間を要する場合であっても、当該画像データを遊技回用の演出の終了期間が開始されるまでにデータ格納エリア123に事前転送しておくことが可能となる。
【0292】
今回の遊技回は大当たり結果に対応しているため、t8のタイミングで図28(d)に示すように開閉実行モード用の演出が開始される。その後、開閉実行モード用の演出が継続されている状況であるt9のタイミングで、図28(b)に示すように直前の遊技回用の演出における終了期間において読み出された遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データがデータ格納エリア123から消去される。但し、開閉実行モード用の演出が継続されている状況であるため、少なくとも当該開閉実行モード用の演出の終了タイミングとなるまでは遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データが利用される状況とならない。
【0293】
その後、t10のタイミングで、開閉実行モード用の演出においてエンディング期間が実行されている場合における所定の終了前タイミングとなる、したがって、当該t10のタイミングで図28(a)に示すように次回の遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データがデータ格納エリア123に読み出される。この画像データは、開閉実行モード用の演出が終了して新たな遊技回用の演出又はデモ表示が開始されるまでは少なくとも記憶保持される。
【0294】
その後、t11のタイミングで図28(d)に示すように開閉実行モード用の演出が終了して図28(c)に示すように新たな遊技回用の演出が開始される。この場合、当該t11のタイミングで図28(a)に示すように遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データの読み出しが行われるが、当該画像データはt10のタイミングでデータ格納エリア123に読み出された状態となっているため、データ格納エリア123間において当該画像データのコピーが行われ、当該画像データのメモリモジュール83からの読み出しは行われない。
【0295】
以上のとおりデータ格納エリア123に事前転送された画像データは他の画像データの事前転送に伴って順次消去されていく構成であっても、遊技回用の演出を開始させるタイミングにおいては当該遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データがデータ格納エリア123に既に読み出された状態となっている。これにより、遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データをメモリモジュール83から読み出すためにある程度の期間を要する構成であったとしても、当該画像データの読み出し期間の影響で遊技回用の演出の開始が遅れてしまうという事象が発生しないようにすることが可能となる。
【0296】
描画リスト出力処理(図27)の説明に戻り、ステップS903にて否定判定をした場合、ステップS905の処理を実行した場合、又はステップS906にて否定判定をした場合、2D用の画像データの集約処理を実行する(ステップS907)。当該集約処理では、今回の処理回において2D用描画リストへの設定対象となる画像データを全て特定する。この場合、ステップS905の処理が実行されている場合には、遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データであって2D制御部96の描画処理にて利用される画像データが上記集約処理における特定対象に含まれる。
【0297】
その後、ステップS907にて集約した2D用の画像データの個数が基準個数(例えば10個)以上であるか否かを判定する(ステップS908)。なお、基準個数は複数個数であれば任意である。ステップS907にて集約した2D用の画像データの個数が基準個数未満である場合には(ステップS908:NO)、1個の2D用描画リストを作成する(ステップS909)。当該1個の2D用描画リストには、ステップS907にて集約した2D用の画像データの全てが設定される。そして、その2D用描画リストにおける最後の順番の画像データについての表示順優先データに付随させて作成完了データを設定する(ステップS910)。2D制御部96は既に説明したとおり2D描画処理(図19)において作成完了データが設定されているか否かを判定することで、1フレーム分の画像表示に対応する1個又は2個の2D用描画リストにおいて指定されている全ての画像データについて描画処理が完了したことを特定する。
【0298】
一方、ステップS907にて集約した2D用の画像データの個数が基準個数以上である場合には(ステップS908:YES)、2個の2D用描画リストを作成する(ステップS911)。この場合、ステップS907にて集約した2D用の画像データは書き込み順序の連続性を担保しながら2個の2D用描画リストに分散させて設定される。これら2個の2D用描画リストはいずれも画像データの個数が基準個数未満となる。そして、これら2個の2D用描画リストのうち2D制御部96において後に描画処理の実行対象となる2D用描画リストに作成完了データを設定する(ステップS912)。具体的には、当該2D用描画リストにおける最後の順番の画像データについての表示順優先データに付随させて作成完了データを設定する。2D制御部96は既に説明したとおり2D描画処理(図19)において作成完了データが設定されているか否かを判定することで、1フレーム分の画像表示に対応する1個又は2個の2D用描画リストにおいて指定されている全ての画像データについて描画処理が完了したことを特定する。
【0299】
上記のようにステップS907にて集約した2D用の画像データの個数が基準個数未満であれば1個の2D用描画リストにそれら画像データを設定し、基準個数以上であれば複数の2D用描画リストにそれら画像データを分散させて設定することにより、1個の2D用描画リストに設定される画像データの個数を基準個数未満に抑えることが可能となる。これにより、1フレーム分の画像を表示させるために必要な2D用の画像データの個数が変動したとしても、1個の2D用描画リストのデータ容量を所定容量以下とすることが可能となる。よって、演出用CPU82から演出用LSI85に送信される1個の2D用描画リストのデータ容量が極端に大きくなってしまわないようにすることが可能となり、それに伴って1個の2D用描画リストの送信期間が極端に長くなってしまわないようにすることが可能となる。
【0300】
描画リスト出力処理では、ステップS910又はステップS912の処理を実行した場合、3D用の画像データの集約処理を実行する(ステップS913)。当該集約処理では、今回の処理回において3D用描画リストへの設定対象となる画像データを全て特定する。この場合、ステップS905の処理が実行されている場合には、遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データであって3D制御部97の描画処理にて利用される画像データが上記集約処理における特定対象に含まれる。
【0301】
その後、ステップS913にて集約した3D用の画像データの個数が基準個数(例えば10個)以上であるか否かを判定する(ステップS914)。なお、基準個数は複数個数であれば任意である。ステップS913にて集約した3D用の画像データの個数が基準個数未満である場合には(ステップS914:NO)、1個の3D用描画リストを作成する(ステップS915)。当該1個の3D用描画リストには、ステップS913にて集約した3D用の画像データの全てが設定される。そして、その3D用描画リストにおける最後の順番の画像データについての表示順優先データに付随させて作成完了データを設定する(ステップS916)。3D制御部97は既に説明したとおり3D描画処理(図20)において作成完了データが設定されているか否かを判定することで、1フレーム分の画像表示に対応する1個又は2個の3D用描画リストにおいて指定されている全ての画像データについて描画処理が完了したことを特定する。
【0302】
一方、ステップS913にて集約した3D用の画像データの個数が基準個数以上である場合には(ステップS914:YES)、2個の3D用描画リストを作成する(ステップS917)。この場合、ステップS913にて集約した3D用の画像データは書き込み順序の連続性を担保しながら2個の3D用描画リストに分散させて設定される。これら2個の3D用描画リストはいずれも画像データの個数が基準個数未満となる。そして、これら2個の3D用描画リストのうち3D制御部97において後に描画処理の実行対象となる3D用描画リストに作成完了データを設定する(ステップS918)。具体的には、当該3D用描画リストにおける最後の順番の画像データについての表示順優先データに付随させて作成完了データを設定する。3D制御部97は既に説明したとおり3D描画処理(図20)において作成完了データが設定されているか否かを判定することで、1フレーム分の画像表示に対応する1個又は2個の3D用描画リストにおいて指定されている全ての画像データについて描画処理が完了したことを特定する。
【0303】
上記のようにステップS913にて集約した3D用の画像データの個数が基準個数未満であれば1個の3D用描画リストにそれら画像データを設定し、基準個数以上であれば複数の3D用描画リストにそれら画像データを分散させて設定することにより、1個の3D用描画リストに設定される画像データの個数を基準個数未満に抑えることが可能となる。これにより、1フレーム分の画像を表示させるために必要な3D用の画像データの個数が変動したとしても、1個の3D用描画リストのデータ容量を所定容量以下とすることが可能となる。よって、演出用CPU82から演出用LSI85に送信される1個の3D用描画リストのデータ容量が極端に大きくなってしまわないようにすることが可能となり、それに伴って1個の3D用描画リストの送信期間が極端に長くなってしまわないようにすることが可能となる。
【0304】
ステップS916の処理を実行した場合又はステップS918の処理を実行した場合、演出用LSI85への出力対象の描画リストを把握する(ステップS919)。この場合、最少で1個の2D用描画リストと1個の3D用描画リストとを把握し、最多で2個の2D用描画リストと2個の3D用描画リストとを把握する。その後、ステップS919にて把握した複数の描画リストのうち1個の描画リストを演出用LSI85に出力するための処理を実行する(ステップS920)。そして、ステップS919にて把握した全ての描画リストの演出用LSI85への出力が完了していない場合には(ステップS921:YES)、それら全ての描画リストの出力が完了するまでステップS920の処理を繰り返す。これにより、1フレーム分の画像を表示させるための描画リストの出力が行われる。
【0305】
この場合、1個の2D用描画リストと1個の3D用描画リストとが交互に出力対象となるようにしてもよい。当該構成とすることにより、1フレーム分の画像を表示させるための描画リストとして2D用描画リスト及び3D用描画リストのうち少なくとも一方が2個である場合であっても、演出用LSI85には2D用描画リストと3D用描画リストとが交互に送信されることとなる。そして、このように描画リストが送信されることにより、レジスタ93における転送前用の格納領域121及び転送後の格納領域122には2D用描画リストと3D用描画リストとが交互に格納されることとなる。これにより、例えば転送後用の格納領域122における転送後の第1格納領域122aから2D制御部96が2D用描画リストを読み出した後は、当該転送後の第1格納領域122aに3D用描画リストがシフトされることとなり、3D制御部97において3D用描画リストを読み出すことが可能となる。よって、2D制御部96と3D制御部97とにおいて同時に描画処理が実行されるようにことが可能となる。
【0306】
次に、演出用LSI85の事前転送制御部94にて実行される事前転送処理について図29のフローチャートを参照しながら説明する。なお、事前転送制御部94はメモリモジュール83に予め記憶されたプログラム及びデータを利用して定期的(例えば2msec周期)に事前転送処理を実行する。これらプログラム及びデータは全て、演出用LSI85への動作電力の供給が開始された場合に事前転送制御部94の内部に設けられたレジスタに読み出される。但し、これに限定されることはなく、事前転送制御部94がメモリモジュール83に予め記憶されたプログラム及びデータを利用しない専用回路として設けられている構成としてもよい。
【0307】
事前転送処理では、まず事前転送が未完了の描画リストが存在しているか否かを判定する(ステップS1001)。具体的には1個の描画リストについての事前転送の処理が開始されているものの当該1個の描画リストに設定されている全ての画像データに対する事前転送の処理が完了していない場合には事前転送が未完了の描画リストが存在していることとなる。また、1個の描画リストについての事前転送の処理が完了している場合であっても、演出用LSI85のレジスタ93における転送前用の格納領域121(図23参照)に未だ事前転送の処理の実行対象となっていない描画リストが存在している場合には事前転送が未完了の描画リストが存在していることとなる。
【0308】
未完了の描画リストが存在している場合(ステップS1001:YES)、今回の事前転送処理において事前転送の対象となる画像データを把握する(ステップS1002)。この場合、1個の描画リストについての事前転送の処理の途中タイミングである場合にはその描画リストにおいて前回の処理回で事前転送処理の対象となった画像データに対して表示順優先データが次の順番の画像データを今回の事前転送の対象として把握する。また、新たな描画リストについての事前転送の処理の開始タイミングである場合にはその描画リストにおいて表示順優先データが最初の順番の画像データを今回の事前転送の対象として把握する。
【0309】
ステップS1002にて把握した事前転送の対象の画像データが動画像データに対してデコード処理を実行することで作成されるデコード画像データである場合には(ステップS1003:YES)、ステップS1004~ステップS1015の処理を実行することなくステップS1016に進む。一方、ステップS1002にて把握した事前転送の対象の画像データがデコード画像データではない場合には(ステップS1003:NO)、レジスタ93の識別情報カウンタ124(図24(b)参照)の値を1加算する(ステップS1004)。そして、その1加算後における識別情報カウンタ124の値が当該識別情報カウンタ124の最大値を超えている場合には(ステップS1005:YES)、識別情報カウンタ124の値を「0」クリアする(ステップS1006)。
【0310】
ステップS1005にて否定判定をした場合、又はステップS1006の処理を実行した場合、ステップS1002にて把握した事前転送の対象の画像データに対応させて描画リストに設定されたアドレス情報を参照することで、当該画像データに対応するアドレスIDの範囲における開始アドレスを把握する(ステップS1007)。そして、検索用テーブル125(図25)の照合処理を実行することで、その開始アドレスが検索用テーブル125(図25参照)のいずれかの識別情報に対応させて設定されているか否かを特定する(ステップS1008)。
【0311】
当該照合処理において上記開始アドレスが検索用テーブル125に設定されていないことを特定した場合(ステップS1009:NO)、メモリモジュール83からの読み出し設定処理を実行する(ステップS1010)。具体的には、今回の事前転送対象の画像データに対応させて描画リストのアドレス情報に設定されたアドレスIDの範囲を転送コントローラ92に出力する。また、今回の事前転送対象の画像データの転送先を転送コントローラ92に認識させるべく、事前転送領域86aのデータ格納エリア123において識別情報カウンタ124の現状の値を識別情報として転送コントローラ92に出力する。これにより、今回の事前転送対象の画像データがメモリモジュール83から読み出され、その読み出された画像データがデータ格納エリア123において今回の転送先のエリアに書き込まれる。なお、当該画像データの転送を行うための転送コントローラ92の処理内容については後に説明する。
【0312】
一方、ステップS1008の照合処理において上記開始アドレスが検索用テーブル125に設定されていることを特定した場合(ステップS1009:YES)、事前転送領域86a内のコピー設定処理を実行する(ステップS1011)。具体的には、検索用テーブル125において上記開始アドレスが設定されている識別情報に対応するデータ格納エリア123に記憶さされている画像データを、識別情報カウンタ124の現状の値に対応するデータ格納エリア123にコピーするための指示を転送コントローラ92に与える。この場合、コピー元のデータ格納エリア123に対応する識別情報と、コピー先のデータ格納エリア123に対応する識別情報とを転送コントローラ92に出力する。これにより、メモリモジュール83からの画像データの読み出しを要することなく、今回の事前転送の対象の画像データがデータ格納エリア123において今回の転送先のエリアに書き込まれる。
【0313】
ステップS1010又はステップS1011の処理を実行した場合、検索用テーブル125の書き換え処理を実行する(ステップS1012)。具体的には、今回の転送先のエリアとなったデータ格納エリア123に対応する検索用テーブル125のアドレスIDの情報に対して、今回の事前転送の対象の画像データに対応させて描画リストのアドレス情報に設定されているアドレスIDの範囲における開始アドレスの情報を上書きする。これにより、検索用テーブル125の内容を、各データ格納エリア123に実際に格納されている画像データの種類の内容と一致させることが可能となる。
【0314】
その後、今回の事前転送の対象となった画像データが動画像データであることを条件として(ステップS1013:YES)、その動画像データのデコード指示を演出用LSI85の動画デコーダ95に対して行う(ステップS1014)。このデコード指示に際しては、データ格納エリア123において今回のデコード指示の対象となっている動画像データが格納されているエリアを動画デコーダ95において特定可能とするための情報と、レジスタ93における動画用の展開領域119においてその動画像データに対するデコード処理により得られるデコード画像データを記憶させるエリアを動画デコーダ95において特定可能とするための情報とを当該動画デコーダ95に提供する。これにより、動画デコーダ95においてデコード指示の対象となっている動画像データに対してデコード処理が実行され、当該デコード処理により作成されたデコード画像データが動画用の展開領域119において指定されたエリアに書き込まれる。
【0315】
ステップS1013にて否定判定をした場合、又はステップS1014の処理を実行した場合、アドレス情報の書き換え処理を実行する(ステップS1015)。図30はアドレス情報の書き換え処理を示すフローチャートである。
【0316】
アドレス情報の書き換え処理では、今回の事前転送の対象となった画像データが、描画リストにおいて最初の表示順優先データに対応させて設定されている画像データ、及び直前の表示順優先データにデコード画像データが設定されている画像データのうちいずれかであるか否かを判定する(ステップS1101)。ステップS1101にて肯定判定をした場合、描画リストにおいて今回の事前転送の対象となった画像データに対応するアドレス情報に、当該画像データが今回格納されたデータ格納エリア123の種類に対応する識別情報を上書きする(ステップS1102)。
【0317】
一方、ステップS1101にて否定判定をした場合、直前の表示順優先データに対応する画像データが事前転送されたデータ格納エリア123の識別情報に対するオフセット値が「1」であることを示すデータが、描画リストにおいて今回の事前転送対象となった画像データに対応するアドレス情報に書き込まれる。このように識別情報の書き込みを行うのではなくオフセット値が「1」であることを示すデータを一律に書き込むことにより、当該アドレス情報の書き換えを行うための処理負荷を軽減することが可能となる。一方、描画リストにおいて最初の表示順優先データに対応させて設定されている画像データについてはそれよりも前に画像データが設定されていないため、上記のとおりアドレス情報に識別情報を上書きする。また、デコード画像データはレジスタ93における動画用の展開領域119に記憶されているため、それらデコード画像データのアドレス情報には動画用の展開領域119における対応するエリアのアドレスが設定されている。したがって、直前の表示順優先データにデコード画像データが設定されている画像データについてはオフセット値によってアドレス情報を特定することができないため、上記のとおりアドレス情報に識別情報を上書きする。
【0318】
事前転送処理(図29)の説明に戻り、ステップS1003にて肯定判定をした場合、又はステップS1015にてアドレス情報の書き換え処理を実行した後は、今回の処理回で1個の描画リストについての事前転送が完了していることを条件として(ステップS1016:YES)、事前転送の完了処理を実行する(ステップS1017)。事前転送の完了処理では、今回事前転送が完了した描画リストをレジスタ93における転送後用の格納領域122において今回の格納対象の格納領域122a~122t(図23参照)に格納する。これにより、当該描画リストがその後に2D制御部96による描画処理又は3D制御部97による描画処理の実行対象となる。また、事前転送の完了処理では、レジスタ93における転送前用の格納領域121に事前転送が完了していない描画リストが存在している場合には転送前の第1格納領域121aから新たな描画リストを読み出すとともに、転送前用の格納領域121における第1~第20格納領域121a~121t間において描画リストがシフトされるようにするための処理を実行する。
【0319】
<演出用LSI85における描画リストの取り扱いに関する構成の効果>
メモリモジュール83に予め記憶された画像データがVRAM86の事前転送領域86aに転送されることにより、2D制御部96及び3D制御部97においてその画像データを使用する場合にはメモリモジュール83から直接読み出すのではなく事前転送領域86aから読み出せばよい。この場合に、所定の画像データが事前転送領域86aへの転送指示の対象となっている場合、当該所定の画像データが事前転送領域86aに記憶されていないのであればメモリモジュール83から事前転送領域86aに所定の画像データが読み出され、当該所定の画像データが事前転送領域86aに既に記憶されているのであれば当該所定の画像データのメモリモジュール83からの転送は行われない。これにより、既に事前転送領域86aに所定の画像データが記憶されているにも関わらず当該所定の画像データについてメモリモジュール83からの転送が更に行われてしまわないようにすることが可能となり、メモリモジュール83からの画像データの読み出し効率を高めることが可能となる。
【0320】
事前転送領域86aのいずれかのデータ格納エリア123に既に読み出されている画像データについて転送指示が発生した場合には、事前転送領域86aのデータ格納エリア123間においてその画像データのコピーが実行される。これにより、メモリモジュール83からの画像データの更なる読み出しを不要としながら、転送指示として指定されているデータ格納エリア123に画像データを記憶させることが可能となる。
【0321】
事前転送領域86aの各データ格納エリア123に格納されている画像データの種類に対応するデータが設定された検索用テーブル125が設けられており、当該検索用テーブル125を参照することで、転送指示の対象となっている画像データが事前転送領域86aのいずれかのデータ格納エリア123に記憶されているか否かが特定される。これにより、転送指示の対象となっている画像データが事前転送領域86aに既に読み出されているか否かの特定を効率良く行うことが可能となる。
【0322】
事前転送領域86aのいずれかのデータ格納エリア123への画像データの転送が行われた場合には、その転送先となったデータ格納エリア123と画像データの種類との対応関係が反映されるように検索用テーブル125の内容が更新される。これにより、検索用テーブル125の内容を事前転送領域86aの最新の記憶状態に対応させることが可能となる。
【0323】
描画リストには使用対象となる画像データに対応する情報としてメモリモジュール83において当該画像データが記憶されているエリアを特定するためのアドレスIDが設定されており、事前転送制御部94においてメモリモジュール83から事前転送領域86aへの画像データの転送が行われる場合にはアドレスIDを利用してメモリモジュール83においてその画像データが記憶されているエリアが特定される。この場合に、そのアドレスIDとして設定されている情報が、データ格納エリア123に記憶されている画像データの種類を特定するための情報として検索用テーブル125に設定されている。これにより、転送指示の対象となっている画像データが事前転送領域86aに記憶されているか否かの特定を、検索用テーブル125を利用して行う場合に、描画リストにおいて提供されているアドレスIDをそのまま利用することが可能となる。よって、当該特定を行う場合の処理構成を簡素化することが可能となる。
【0324】
演出用CPU82から提供される描画リストには使用対象となる1個の画像データに対応させて、メモリモジュール83において記憶されているエリアに対応する複数のアドレスIDが設定されている構成において、データ格納エリア123に記憶されている画像データの種類を特定するための情報として検索用テーブル125に設定されている情報は開始アドレスに対応するアドレスIDのみである。これにより、検索用テーブル125におけるデータ格納エリア123に記憶されている画像データの種類を特定するための情報の情報量を抑えることが可能となるとともに画像データが事前転送領域86aに記憶されているか否かを特定するために検索用テーブル125を参照する場合の処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0325】
遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データは、デモ表示中において定期的に事前転送領域86aへの読み出し対象となるとともに、開閉実行モードの終了前タイミングとなることで事前転送領域86aへの読み出し対象となる。これにより、事前転送領域86aのデータ格納エリア123に事前転送された画像データは他の画像データの事前転送に伴って順次消去されていく構成であっても、遊技回用の演出を開始させるタイミングにおいては当該遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データがデータ格納エリア123に既に読み出された状態となっている。これにより、遊技回用の演出を開始させるために必要な画像データをメモリモジュール83から読み出すためにある程度の期間を要する構成であったとしても、当該画像データの読み出し期間の影響で遊技回用の演出の開始が遅れてしまうという事象が発生しないようにすることが可能となる。
【0326】
演出用CPU82から提供された描画リストに設定されているアドレスIDに従って画像データをメモリモジュール83からVRAM86の事前転送領域86aに転送させた場合には、事前転送制御部94は事前転送領域86aにおいて画像データが記憶されたエリアを特定するための識別情報を描画リストに設定する。これにより、アドレスIDと識別情報との両方を描画リストに当初から設定しておく必要がないため、演出用CPU82から送信される描画リストの情報量を抑えることが可能となる。また、画像データが実際に事前転送領域86aに転送された場合にその画像データが転送された事前転送領域86aのエリアに対応する識別情報が描画リストに設定されるため、当該識別情報の内容の信頼性を高めることが可能となる。
【0327】
演出用CPU82から提供された描画リストのアドレスIDに従って事前転送領域86aへの画像データの転送が実行された場合には、その画像データが転送された事前転送領域86aのエリアに対応する識別情報がアドレスIDを上書きするようにして描画リストのアドレス情報として設定される。これにより、画像データの転送が完了した後において2D制御部96又は3D制御部97に提供される描画リストの情報量を抑えることが可能となる。
【0328】
画像データの転送が完了した場合に描画リストのアドレス情報に上書きされる識別情報の方が描画リストに当初から設定されているアドレスIDよりも情報量が少ない。これにより、事前転送制御部94においてアドレス情報に識別情報を上書きする場合の処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0329】
レジスタ93には演出用CPU82から提供された描画リストを記憶する転送前用の格納領域121と、事前転送制御部94による識別情報の設定が完了した描画リストを記憶する転送後用の格納領域122とが個別に設けられている。これにより、演出用CPU82から提供された描画リストと、画像データの事前転送が完了して識別情報が設定された描画リストとが記憶されるエリアが明確に区別されることとなり、これら描画リストを明確に区別することが可能となる。
【0330】
動画像データにデコード処理を実行することで作成されるデコード画像データはレジスタ93における動画用の展開領域119に記憶される。この場合に、デコード画像データは事前転送制御部94による事前転送領域86aへの事前転送の対象から除外されるとともに当該デコード画像データに対応するアドレス情報への識別情報の設定処理が行われない。これにより、描画リストのアドレス情報に対する情報の設定が事前転送制御部94において無駄に実行されてしまわないようにすることが可能となる。
【0331】
描画リストにおいて表示順優先データが「1」以降の画像データであって直前の表示順優先データに対応する画像データがデコード画像データではない画像データに対応するアドレス情報には、オフセット値が「1」であることを示すデータが書き込まれる。これにより、当該アドレス情報の書き換えを行うための処理負荷を軽減することが可能となる。
【0332】
画像データはVRAM86における複数のエリアに亘って記憶される構成において、画像データのVRAM86への転送が完了した場合にはそれら複数のエリアに対応する識別情報が描画リストのアドレス情報に設定される。この場合、VRAM86における複数のエリアが識別情報を利用して一群の記憶領域として特定される構成であるため、複数のエリアに対応するアドレスが全て設定される構成に比べて、事前転送制御部94において描画リストのアドレス情報に設定される情報量を抑えることが可能となる。
【0333】
一の更新タイミングの画像を表示させるために演出用CPU82から演出用LSI85に複数の描画リストが提供される。これにより、演出用CPU82から提供される1個の描画リストの情報量が極端に多くなってしまわないようにすることが可能となるとともに、1個の描画リストに様々な情報が混在してしまい演出用LSI85の処理負荷が増加してしまわないようにすることが可能となる。
【0334】
2D制御部96に2D描画処理を実行させるために必要な情報は2D用描画リストとして演出用CPU82から提供されるとともに、3D制御部97に3D描画処理を実行させるために必要な情報は3D用描画リストとして演出用CPU82から提供される。これにより、使用対象となっている画像データが2D描画処理及び3D描画処理のいずれに対応しているのかの識別を描画リスト単位で行うことが可能となる。よって、演出用LSI85において画像データの種別を特定する場合の処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0335】
一の更新タイミングにおいて使用対象となる2D用の画像データが基準個数以上である場合にはそれら2D用の画像データが複数の2D用描画リストに分散させて設定される。また、一の更新タイミングにおいて使用対象となる3D用の画像データが基準個数以上である場合にはそれら3D用の画像データが複数の3D用描画リストに分散させて設定される。これにより、演出用CPU82から提供される1個の描画リストの情報量をある程度の情報量に抑えることが可能となり、1個の描画リストの送信期間が極端に長くなってしまわないようにすることが可能となる。
【0336】
一の更新タイミングの画像を表示させるために複数の2D用描画リスト又は複数の3D用描画リストが提供される場合であっても、それら複数の2D用描画リスト又は複数の3D用描画リストが一の更新タイミングにおいて集約して使用されることを演出用LSI85にて特定可能とするための作成完了データが最後の順番の2D用描画リスト又は最後の順番の3D用描画リストに設定される。これにより、それら複数の2D用描画リスト又は複数の3D用描画リストが一の更新タイミングの画像を表示させるためのものであると演出用LSI85にて把握することが可能となる。
【0337】
演出用CPU82から提供された描画リストに従って画像データの事前転送を行う機能は事前転送制御部94に割り当てられており、当該描画リストに従って描画データを作成する機能は2D制御部96又は3D制御部97に割り当てられている。これにより、一の制御手段においてこれら処理がまとめて実行される構成に比べて処理負荷を分散させることが可能となる。
【0338】
2D制御部96及び3D制御部97は事前転送制御部94において画像データの事前転送が完了した描画リストを利用して描画処理を実行する。これにより、同一の描画リストを演出用CPU82から複数提供することなく、各処理の機能を複数の制御手段に分散させることが可能となる。
【0339】
<転送コントローラ92に関する構成>
次に、演出用LSI85の転送コントローラ92においてデータの転送を行うための構成について説明する。
【0340】
既に説明したとおり事前転送制御部94の制御に基づきメモリモジュール83からVRAM86の事前転送領域86aへ画像データが事前転送され、2D制御部96及び3D制御部97は描画データの作成に際してVRAM86の事前転送領域86aから画像データの読み出しを行い、動画デコーダ95は動画像データのデコード処理に際してVRAM86の事前転送領域86aから動画像データを読み出す。また、画像データの読み出し以外にも、発光用デコーダ101は発光用データのデコード処理に際してメモリモジュール83からVRAM86へ発光用データを事前転送するとともにその事前転送された発光用データをVRAM86から読み出す。また、音用デコーダ103は音出力データのデコード処理に際してメモリモジュール83からVRAM86へ音出力データを事前転送するとともにその事前転送された音出力データをVRAM86から読み出す。これら各種データを読み出す処理は転送コントローラ92において実行される。
【0341】
ここで、既に説明したとおり演出用CPU82から演出用LSI85に出力される描画リストには画像データのアドレス情報として、当該画像データが記憶されているメモリモジュール83の物理アドレスに対応するアドレスIDが設定されており、物理アドレスそのものは設定されていない。メモリモジュール83には既に説明したとおり画像データ以外のデータが設定されているとともに、何らデータが記憶されていないエリアも存在する。そうすると、メモリモジュール83の一部のエリアが画像データを記憶するためのエリアとして使用されていることとなり、それに伴って画像データを記憶しているエリアのアドレス範囲はメモリモジュール83の全体のアドレス範囲よりも狭い範囲となる。このような構成において、描画リストにアドレス情報として指定されるアドレスIDは、メモリモジュール83において画像データが記憶されているエリアのみを特定するための情報である。この場合、使用され得るアドレスIDの数はメモリモジュール83の物理アドレスの数よりも少なくなるため、それに伴って1個のアドレスIDを指定するためのデータ容量も物理アドレスを指定するためのデータ容量よりも小さくなる。そして、1個のアドレスIDを指定するためのデータ容量が小さくなることにより描画リストに指定されるアドレス情報のデータ容量を小さくすることが可能となり、結果的に描画リストのデータ容量を小さくすることが可能となる。
【0342】
事前転送制御部94においてはメモリモジュール83にて画像データが記憶されているエリアのアドレスを特定するための情報としてアドレスIDを使用するため、メモリモジュール83からVRAM86の事前転送領域86aへの画像データの読み出し指示を転送コントローラ92に行う場合、当該転送コントローラ92に対してアドレスIDを提供する。転送コントローラ92には、図31の説明図に示すようにアドレスIDと物理アドレスとの対応関係を定めたファイルテーブル126が設定されている。ファイルテーブル126にはアドレスID(ID(0),ID(1),ID(2),・・・,ID(n+2))と1対1で対応させてメモリモジュール83の物理アドレス(AD(0),AD(1),AD(2),・・・,AD(n+2))が設定されている。転送コントローラ92は当該ファイルテーブル126を参照することで、事前転送制御部94から指定されたアドレスIDに対応するメモリモジュール83の物理アドレスを特定し、その特定した物理アドレスのエリアから画像データの読み出しを行う。
【0343】
転送コントローラ92における上記のようなアドレスの変換は、メモリモジュール83に対してだけではなくVRAM86に対しても行われる。この内容について以下に説明する。図32はVRAM86とインデックス領域との関係を説明するための説明図である。
【0344】
図32に示すようにVRAM86は複数のインデックス領域127a~127cに区画されている。具体的には、第1インデックス領域127aと、第2インデックス領域127bと、第3インデックス領域127cとの3個の領域に区画されている。第1インデックス領域127aに含まれているエリアはVRAM86のエリアにおいて物理アドレスが連続するエリアであり、第2インデックス領域127bに含まれているエリアはVRAM86のエリアにおいて物理アドレスが連続するエリアであって第1インデックス領域127aに含まれていないエリアであり、第3インデックス領域127cに含まれているエリアはVRAM86のエリアにおいて物理アドレスが連続するエリアであって第1インデックス領域127a及び第2インデックス領域127bに含まれていないエリアである。また、第1インデックス領域127aに含まれているエリアの最終アドレスは第2インデックス領域127bに含まれているエリアの開始アドレスと連続しており、第2インデックス領域127bに含まれているエリアの最終アドレスは第3インデックス領域127cに含まれているエリアの開始アドレスと連続している。第1インデックス領域127aは発光用データが事前転送される領域として使用され、第2インデックス領域127bは音出力データが事前転送される領域として使用される。また、第3インデックス領域127cは画像データが事前転送される領域として使用される。つまり、VRAM86の事前転送領域86aは第3インデックス領域127cである。
【0345】
図33は各インデックス領域127a~127cとVRAM86の物理アドレスとの対応関係を定めたインデックステーブル128を説明するための説明図である。なお、インデックステーブル128は転送コントローラ92に設定されている。
【0346】
図33に示すように、第1インデックス領域127a、第2インデックス領域127b及び第3インデックス領域127cのそれぞれには識別情報が設定されている。第1インデックス領域127aの識別情報は、発光用デコーダ101において発光用データをVRAM86へ読み出す場合にその発光用データのVRAM86における読み出し先のエリアを転送コントローラ92に指定する場合に利用されるとともに、発光用デコーダ101において発光用データをVRAM86から読み出す場合にその発光用データのVRAM86における読み出し元のエリアを転送コントローラ92に指示する場合に利用される。第2インデックス領域127bの識別情報は、音用デコーダ103において音出力データをVRAM86へ読み出す場合にその音出力データのVRAM86における読み出し先のエリアを転送コントローラ92に指定する場合に利用されるとともに、音用デコーダ103において音出力データをVRAM86から読み出す場合にその音出力データのVRAM86における読み出し元のエリアを転送コントローラ92に指示する場合に利用される。第3インデックス領域127cの識別情報は、事前転送制御部94において画像データをVRAM86へ読み出す場合にその画像データのVRAM86における読み出し先のエリアを転送コントローラ92に指示する場合に利用されるとともに、2D制御部96及び3D制御部97において画像データをVRAM86から読み出す場合にその画像データのVRAM86における読み出し元のエリアを転送コントローラ92に指示する場合に利用される。また、事前転送制御部94においてVRAM86の事前転送領域86aにおけるデータ格納エリア123間において画像データのコピーを行う場合にその画像データの記憶元及び記憶先のエリアを転送コントローラ92に指示する場合に利用される。
【0347】
第1インデックス領域127a、第2インデックス領域127b及び第3インデックス領域127cのそれぞれの識別情報は、VRAM86における連続する複数の物理アドレスのエリアと対応付けられている。例えば、第1インデックス領域127aにおける「0」の識別情報はA(0)~A(4)の連続する5個の物理アドレスのエリアと対応付けられており、第2インデックス領域127bにおける「0」の識別情報はA(640)~A(644)の連続する5個の物理アドレスのエリアと対応付けられており、第3インデックス領域127cにおける「0」の識別情報はA(1920)~A(1924)の連続する5個の物理アドレスのエリアと対応付けられている。各識別情報に対応付けられている物理アドレスの数はいずれも5個で一定となっている。但し、これに限定されることはなく例えばインデックス領域127a~127cの種類毎に、識別情報に対応付けられている物理アドレスの数が相違している構成としてもよい。
【0348】
このように一の識別情報に対応付けられている物理アドレスの数が複数であることにより、転送コントローラ92にVRAM86へのデータの読み出し又はVRAM86からのデータの読み出しを指示する場合、指示する側においては複数の物理アドレスを指定しなくても一の識別情報を指定するだけで複数の物理アドレスに対応するエリアを指定することが可能となる。これにより、当該エリア指定をするために必要なデータ容量を抑えることが可能となる。
【0349】
第1インデックス領域127aに設定されている識別情報の数は128個であるのに対して、第2インデックス領域127bに設定されている識別情報の数及び第3インデックス領域127cに設定されている識別情報の数はそれぞれ256個である。つまり、インデックス領域127a~127cの種類に応じて、設定されている識別情報の数が相違している。また、上記のとおり各識別情報に対応付けられている物理アドレスの数が同一であるため、インデックス領域127a~127cの種類に応じて、各インデックス領域127a~127cに割り当てられているVRAM86の物理アドレスの総数が相違している。但し、これに限定されることはなく、各インデックス領域127a~127cに設定されている識別情報の数が同一である構成としてもよく、各インデックス領域127a~127cに割り当てられているVRAM86の物理アドレスの総数が同一である構成としてもよい。
【0350】
上記のようにインデックス領域127a~127cが設定されている構成において転送コントローラ92はVRAM86へのデータの読み出し指示又はVRAM86からのデータの読み出し指示を受けた場合、その指示を行った対象の種類からいずれのインデックス領域127a~127cを読み出し対象としているのかを特定する。具体的には、転送コントローラ92は、発光用デコーダ101から指示を受けた場合には第1インデックス領域127aを読み出し対象として特定し、音用デコーダ103から指示を受けた場合には第2インデックス領域127bを読み出し対象として特定し、事前転送制御部94、2D制御部96及び3D制御部97のいずれかから指示を受けた場合には第3インデックス領域127cを読み出し対象として特定する。転送コントローラ92において指示を受けている対象を特定するための構成は任意であるが、例えば転送コントローラ92に指示を与えるためのデータに当該指示を与える側を識別するための情報が設定されている構成が考えられる。転送コントローラ92に指示を与える側がインデックス領域127a~127cの種類を指定することなく識別情報のみを指定する構成であることにより、当該指示を与える側において転送コントローラ92にエリア指定をするために必要なデータ容量を抑えることが可能となる。
【0351】
以下、転送コントローラ92において実行される転送実行処理について、図34のフローチャートを参照しながら説明する。なお、転送コントローラ92は転送実行処理を実行するための回路が予め設定された専用回路として設けられているが、これに限定されることはなくメモリモジュール83などに記憶されているプログラム及びデータを利用して転送実行処理を実行する汎用回路として設けられている構成としてもよい。
【0352】
転送実行処理では、メモリモジュール83からのデータの読み出し指示を受けている場合(ステップS1201:YES)、その読み出し指示を事前転送制御部94から受けているのであれば(ステップS1202:YES)、事前転送制御部94から受信しているアドレスIDに対応するメモリモジュール83の物理アドレスをファイルテーブル126を参照することで特定する(ステップS1203)。一方、読み出し指示を事前転送制御部94以外から受けている場合には、読み出し指示を行っている側からメモリモジュール83の物理アドレスを受信している。
【0353】
その後、読み出し指示を行っている対象の種類からインデックス領域127a~127cの種類を特定するとともに当該読み出し指示を行っている側から受けている識別情報を特定する。そして、インデックス領域127a~127cの種類と識別情報との組合せに対応するVRAM86の物理アドレス群をインデックステーブル128から特定する(ステップS1204)。
【0354】
その後、メモリモジュール83からの読み出し開始処理を実行する(ステップS1205)。この場合、メモリモジュール83において読み出し対象のデータが記憶されているエリアの物理アドレスを特定するためのアドレス信号とデータの読み出し指示信号をメモリモジュール83に送信する。これにより、今回の読み出し対象のデータがメモリモジュール83から出力される。そして、その出力されたデータをステップS1204にて特定した物理アドレス群に対応するVRAM86のエリアに書き込む。
【0355】
今回の読み出し対象のデータの読み出しが完了した場合(ステップS1206:YES)、レジスタ93に設けられた対応する読み出し完了フラグに「1」をセットする(ステップS1207)。これにより、読み出し指示を与えた側は読み出し対象のデータのVRAM86への読み出しが完了したことを特定する。なお、読み出し指示を与えた側において読み出し対象のデータの読み出しが完了したことを特定した場合、読み出し完了フラグを「0」クリアする。
【0356】
転送実行処理において、VRAM86からのデータの読み出し指示を受けている場合(ステップS1208:YES)、読み出し指示を行っている対象の種類からインデックス領域127a~127cの種類を特定するとともに当該読み出し指示を行っている側から受けている識別情報を特定する。そして、インデックス領域127a~127cの種類と識別情報との組合せに対応するVRAM86の物理アドレス群をインデックステーブル128から特定する(ステップS1209)。また、読み出し指示を行っている側から受けている書き込み対象のエリアの情報を特定する(ステップS1210)。この場合、書き込み対象のエリアとしてはレジスタ93が挙げられる。また、事前転送制御部94の制御により事前転送領域86aのデータ格納エリア123間における画像データのコピーが行われる場合には、書き込み対象のエリアはデータ格納エリア123、すなわち第3インデックス領域127cとなる。
【0357】
その後、VRAM86からの読み出し開始処理を実行する(ステップS1211)。この場合、ステップS1209にて特定した物理アドレス群を特定するためのアドレス信号とデータの読み出し指示信号をVRAM86に送信する。これにより、今回の読み出し対象のデータがVRAM86から出力される。そして、その出力されたデータをステップS1210にて特定した書き込み対象のエリアに書き込む。
【0358】
今回の読み出し対象のデータの読み出しが完了した場合(ステップS1212:YES)、レジスタ93に設けられた対応する読み出し完了フラグに「1」をセットする(ステップS1213)。これにより、読み出し指示を与えた側は読み出し対象のデータのVRAM86からの読み出しが完了したことを特定する。なお、読み出し指示を与えた側において読み出し対象のデータの読み出しが完了したことを特定した場合、読み出し完了フラグを「0」クリアする。
【0359】
<転送コントローラ92に関する構成の効果>
VRAM86の各エリアは複数のインデックス領域127a~127cに区分けされており、それぞれのインデックス領域127a~127cに含まれている各エリアはインデックス領域127a~127c毎に設定された識別情報を利用して特定可能である。そして、2D制御部96及び3D制御部97などの制御実行部においてVRAM86からデータを読み出す必要がある場合には転送コントローラ92に対して、インデックス領域127a~127cの種類と当該インデックス領域127a~127c内において設定されている識別情報とを指定することで、読み出し対象のデータが記憶されているVRAM86のエリアが転送コントローラ92にて特定される。これにより、制御実行部においてデータの読み出し対象となるエリアの指定に要する情報量を少なくすることが可能となる。
【0360】
また、それぞれのインデックス領域127a~127cにおける1の識別情報はVRAM86の複数のエリアをまとめて指定する情報となっている。これにより、それら複数のエリアのそれぞれについてアドレスを指定してそれら複数のエリアからデータを読み出す場合よりも、データの読み出し対象となるエリアの指定に要する情報量を少なくすることが可能となる。
【0361】
一のインデックス領域127a~127cに含まれるVRAM86の複数のエリアはアドレスが連続しているエリアである。また、一の識別情報により指定されるVRAM86の複数のエリアはアドレスが連続しているエリアである。これにより、インデックス領域127a~127cの種類や識別情報により指定されるVRAM86のエリアを特定するための処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0362】
インデックス領域127a~127cの種類の情報と各インデックス領域127a~127cの識別情報との組合せに対するVRAM86のエリアの対応関係がインデックステーブル128に設定されており、転送コントローラ92は当該インデックステーブル128を参照することで上記組合せに対応するVRAM86のエリアを特定する。これにより、転送コントローラ92においてデータの読み出し対象となっているVRAM86のエリアを特定するための処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0363】
インデックス領域127a~127cは複数設定されている。これにより、それぞれの目的に対応させてインデックス領域127a~127cを設定することが可能となる。また、インデックス領域127a~127cの種類に応じてそれらに含まれるVRAM86のエリアの数が相違している。これにより、インデックス領域127a~127cのサイズをそれぞれの目的に適したサイズとすることが可能となる。
【0364】
<複数の表示装置41,43,44において画像を表示させるための構成>
次に、画像の更新タイミングとなった場合に複数の表示装置41,43,44における画像をまとめて更新するための構成について説明する。
【0365】
既に説明したとおり各更新タイミングにおいてメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の全てにおいて画像の更新が行われる。当該画像の更新を行わせるために演出用CPU82から演出用LSI85に描画リストが出力されるが、当該描画リストは各表示装置41,43,44のそれぞれに対応させて個別に作成されるのではなく、1個又は2個の描画リストにメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44に対応する画像データが集約して設定されることとなる。これにより、各表示装置41,43,44のそれぞれに対して個別に描画リストを作成する構成に比べて描画リストの数を抑えることが可能となる。
【0366】
図35は各表示装置41,43,44に対応する画像データが集約して設定された1個の描画リストの内容を説明するための説明図である。図35に示すように、描画指示の対象である背景画像用の画像データとして、メイン用の第1背景画像データと、第1サブ用の第1背景画像データと、第2サブ用の第1背景画像データと、メイン用の第2背景画像データと、第1サブ用の第2背景画像データと、第2サブ用の第2背景画像データと、メイン用の第3背景画像データと、第1サブ用の第3背景画像データと、第2サブ用の第3背景画像データとが設定されている。メイン用の第1~第3背景画像データはメイン表示装置41に背景画像を表示させるための画像データであり、第1サブ用の第1~第3背景画像データは第1サブ表示装置43に背景画像を表示させるための画像データであり、第2サブ用の第1~第3背景画像データは第2サブ表示装置44に背景画像を表示させるための画像データである。また、メイン用、第1サブ用及び第2サブ用のそれぞれにおいて第1背景画像データが最も奥側に存在しているように表示される画像に対応する画像データであり、第2背景画像データがその手前側に存在しているように表示される画像に対応する画像データであり、第3背景画像データがその手前側に存在しているように表示される画像に対応する画像データである。
【0367】
既に説明したとおり描画リストには描画対象のそれぞれの画像データに対して、画像データの描画順序を示す表示順優先データと、パラメータ情報と、アドレス情報とが設定されている。但し、1個の描画リストに対して2個以上の表示装置41,43,44に対応する画像データが設定される構成において、描画リストに指定されている画像データがいずれの表示装置41,43,44に対応しているかを示す専用のデータは描画リストに設定されていない。代わりに、画像データの描画順序を示すためのデータである表示順優先データを利用して、各画像データが描画対象となる表示装置41,43,44の種類が指定される。
【0368】
具体的には、図35に示すように、メイン表示装置41に対応するメイン用の第1~第3背景画像データといった画像データについては表示順優先データの値が第1表示対象基準値である「100」未満に設定されている。また、第1サブ表示装置43に対応する第1サブ用の第1~第3背景画像データといった画像データについては表示順優先データの値が第1表示対象基準値である「100」以上であって第2表示対象基準値である「200」未満に設定されている。また、第2サブ表示装置44に対応する第2サブ用の第1~第3背景画像データといった画像データについては表示順優先データの値が第2表示対象基準値である「200」以上に設定されている。
【0369】
演出用LSI85の2D制御部96及び3D制御部97は表示順優先データの値を第1表示対象基準値及び第2表示対象基準値との関係で把握することにより、描画リストにおいて描画指示の対象となっている画像データがいずれの表示装置41,43,44に対応しているのかを把握することが可能となる。上記のように表示順優先データを利用して各画像データが描画対象となる表示装置41,43,44の種類が指定されることにより、画像データがいずれの表示装置41,43,44に対応しているかを示す専用のデータを描画リストに設定する必要が生じない。これにより、描画リストのデータ構成を簡素化することが可能となる。ちなみに、1個の描画リストにおいてメイン表示装置41への描画対象として設定される画像データの最大数は第1表示対象基準値以下(100個以下)であり、1個の描画リストおいて第1サブ表示装置43への描画対象として設定される画像データの最大数は第2表示対象基準値と第1表示対象基準値との差分以下(100個以下)である。
【0370】
上記のような描画データは演出用CPU82における描画リスト出力処理(図27)にて作成されるが、当該描画リストを作成するために参照される情報は既に説明したとおり表示制御用の実行対象テーブルに設定されている。演出用CPU82はV割込み処理(図14)における表示制御用のタスク処理(ステップS506)にて表示制御用の実行対象テーブルを参照することで、描画リストに設定する各種データを導出する。
【0371】
図36(a)及び図36(b)は表示制御用の実行対象テーブルを説明するための説明図である。図36(a)に示すように、表示制御用の実行対象テーブルはポインタ情報に1対1で対応させてタスクの内容の情報が設定されている。ポインタ情報は表示制御用のタスク処理(ステップS506)における各処理回においていずれのタスクの内容の情報を参照すべきであるかを演出用CPU82にて特定するための情報である。新たな表示制御用の実行対象テーブルが使用対象となった場合にはポインタ情報が「0」に対応するタスクの内容の情報が参照され、その後に表示制御用のタスク処理(ステップS506)の処理回が新たに実行される度に参照対象となるポインタ情報が1加算されるように更新されるとともにその更新後におけるポインタ情報に対応するタスクの内容の情報を参照して表示制御用のタスク処理が実行される。タスクの内容の情報には、対応する更新タイミングにおける1フレーム分の画像を表示させるために必要な画像データの種類、及びそれら画像データに適用する各種パラメータを導出するために必要な情報が設定されている。
【0372】
既に説明したとおり各更新タイミングにてメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の全てにおいて画像の更新が行われるため、各ポインタ情報に対応するタスクの内容の情報には、メイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の全てについて、対応する更新タイミングにおける1フレーム分の画像を表示させるために必要な画像データの種類、及びそれら画像データに適用する各種パラメータを導出するために必要な情報が設定されている。図36(b)は所定の表示制御用の実行対象テーブルにおいて一のタスクの内容に設定されている背景画像用のデータの一例を説明するための説明図である。
【0373】
タスクの内容の情報は、各画像データがそのまま設定されているのではなく、画像データの種類の情報として各画像データに対応するアドレスIDの情報が設定されている。このアドレスIDの情報が描画リストのアドレス情報に設定される。また、画像データの種類の情報のそれぞれに対して、表示対象データ、表示順データ及びその他の情報の組合せが設定されている。その他の情報は、各画像データに適用する各種パラメータを導出するために利用される情報である。
【0374】
表示対象データ及び表示順データは描画リストにおける表示順優先データを導出するために利用される情報である。詳細には、表示対象データは表示対象となる表示装置がメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のいずれであるかを演出用CPU82にて特定するためのデータである。具体的には、表示対象データの「0」がメイン表示装置41に対応しており、表示対象データの「1」が第1サブ表示装置43に対応しており、表示対象データの「2」が第2サブ表示装置44に対応している。表示順データは表示対象となる各表示装置41,43,44における描画順序を演出用CPU82にて特定するためのデータである。各表示装置41,43,44において表示順データの「0」が最も奥側に存在しているように表示される画像に対応する画像データであることを示し、表示順データの「1」がその手前側に存在しているように表示される画像に対応する画像データであることを示し、表示順データの「2」がその手前側に存在しているように表示される画像に対応する画像データであることを示す。
【0375】
演出用CPU82は表示対象データが「0」である画像データについては描画リストの表示順優先データとして、表示順データをそのまま設定する。これにより、図35に示す描画リストにおいてはメイン用の第1~第3背景画像データに対する表示順優先データとして「0」、「1」及び「2」といった値が設定される。また、演出用CPU82は表示対象データが「1」である画像データについては描画リストの表示順優先データとして、表示順データの値に第1表示対象基準値である「100」を加算した値を設定する。これにより、図35に示す描画リストにおいては第1サブ用の第1~第3背景画像データに対する表示順優先データとして「100」、「101」及び「102」といった値が設定される。また、演出用CPU82は表示対象データが「2」である画像データについては描画リストの表示順優先データとして、表示順データの値に第2表示対象基準値である「200」を加算した値を設定する。これにより、図35に示す描画リストにおいては第2サブ用の第1~第3背景画像データに対応する表示順優先データとして「200」、「201」及び「202」といった値が設定される。
【0376】
上記のようにタスクの内容の情報に、描画対象となる表示装置41,43,44の種類を指定する表示対象データと、各表示装置41,43,44における画像データの描画順序を指定する表示順データとが設定されている。これにより、パチンコ機10の設計段階における表示制御用の実行対象テーブルの作成工程において設計者は、表示対象となる表示装置41,43,44の種類と各表示装置41,43,44における画像データの描画順序を把握しながらその把握した各情報をそのまま設定すればよく、描画リストの表示順優先データにおける各表示装置41,43,44に対応するオフセット値を把握しておく必要が生じない。よって、設計作業の容易化が図られ、それに伴って設計作業の効率化が図られる。
【0377】
また、このように設計段階においては表示順優先データが設定されるのではなく表示対象データと表示順データとが設定される場合であっても、描画リストにおいては表示対象となる表示装置41,43,44の区別が表示順優先データを利用して行われる。これにより、画像データがいずれの表示装置41,43,44に対応しているかを示す専用のデータを描画リストに設定する必要が生じないため、描画リストのデータ構成を簡素化することが可能となる。
【0378】
以下、表示対象データ及び表示順データを利用して描画リストの表示順優先データを設定する処理内容について説明する。図37は演出用CPU82にて実行される描画リストの作成処理を示すフローチャートである。なお、描画リストの作成処理は、描画リスト出力処理(図27)におけるステップS909、ステップS911、ステップS915及びステップS917のそれぞれにおいて1個の描画リストを作成する場合に実行される。
【0379】
まず今回の作成対象の描画リストにおける書き込み対象ポインタ更新処理を実行する(ステップS1301)。書き込み対象ポインタは、今回の作成対象の描画リストにおいて表示順優先データ、パラメータ情報及びアドレス情報を設定するエリアを演出用CPU82にて特定するために参照される情報である。新たな1個の描画リストの作成を開始する場合にはその描画リストにおける最初の順番のエリアに対応する値となるように書き込み対象ポインタの更新が行われ、それ以降はステップS1301の処理が実行される度に書き込み対象ポインタの値が1加算される。
【0380】
その後、今回の描画リストの設定対象となっている画像データの中に、表示制御用の実行対象テーブルにおける今回のタスクの内容に設定されている表示対象データが「0」となっている画像データが存在しているか否かを判定する(ステップS1302)。具体的には、2D用描画リストが作成対象となっているのであれば、描画リスト出力処理(図27)のステップS907にて特定した各種画像データの中に上記表示対象データが「0」となっている画像データが存在しているか否かを判定する。また、3D用描画リストが作成対象となっているのであれば、描画リスト出力処理(図27)のステップS913にて特定した各種画像データの中に上記表示対象データが「0」となっている画像データが存在しているか否かを判定する。なお、これらの処理内容は後述するステップS1304においても同様である。
【0381】
表示対象データが「0」となっている画像データが存在する場合には(ステップS1302:YES)、その画像データに対応する表示順データを表示順優先データとして設定する(ステップS1303)。具体的には、表示対象データが「0」となっている画像データが1個のみであればその画像データについて、表示制御用の実行対象テーブルにおける今回のタスクの内容に設定されている表示順データを、現状の書き込み対象ポインタに対応するエリアの表示順優先データとして設定する。また、表示対象データが「0」となっている画像データが複数存在しているのであればそれら画像データのうち上記表示順データが最小となっている画像データを選択し、その画像データに対応する表示順データを、現状の書き込み対象ポインタに対応するエリアの表示順優先データとして設定する。
【0382】
表示対象データが「0」となっている画像データが存在していない場合(ステップS1302:NO)、今回の描画リストの設定対象となっている画像データの中に、表示制御用の実行対象テーブルにおける今回のタスクの内容に設定されている表示対象データが「1」となっている画像データが存在しているか否かを判定する(ステップS1304)。表示対象データが「1」となっている画像データが存在する場合には(ステップS1304:YES)、その画像データに対応する表示順データに対して第1表示対象基準値である「100」を加算した値を表示順優先データとして設定する(ステップS1305)。具体的には、表示対象データが「1」となっている画像データが1個のみであればその画像データについて、表示制御用の実行対象テーブルにおける今回のタスクの内容に設定されている表示順データに第1表示対象基準値である「100」を加算した値を、現状の書き込み対象ポインタに対応するエリアの表示順優先データとして設定する。また、表示対象データが「1」となっている画像データが複数存在しているのであればそれら画像データのうち上記表示順データが最小となっている画像データを選択し、その画像データに対応する表示順データに第1表示対象基準値である「100」を加算した値を、現状の書き込み対象ポインタに対応するエリアの表示順優先データとして設定する。
【0383】
表示対象データが「1」となっている画像データが存在していない場合(ステップS1304:NO)、表示対象データが「2」となっている画像データのみが存在していることを意味する。この場合、その画像データに対応する表示順データに対して第2表示対象基準値である「200」を加算した値を表示順優先データとして設定する処理を実行する(ステップS1306)。具体的には、表示対象データが「2」となっている画像データが1個のみであればその画像データについて、表示制御用の実行対象テーブルにおける今回のタスクの内容に設定されている表示順データに第2表示対象基準値である「200」を加算した値を、現状の書き込み対象ポインタに対応するエリアの表示順優先データとして設定する。また、表示対象データが「2」となっている画像データが複数存在しているのであればそれら画像データのうち上記表示順データが最小となっている画像データを選択し、その画像データに対応する表示順データに第2表示対象基準値である「200」を加算した値を、現状の書き込み対象ポインタに対応するエリアの表示順優先データとして設定する。
【0384】
以上の処理によれば、タスクの内容に設定されている表示対象データ及び表示順データを利用して一定の処理態様によって、各表示装置41,43,44のそれぞれに対応する表示順優先データを描画リストに設定することが可能となる。また、表示対象データが小さい値の画像データから順に描画リストの設定対象となることにより、メイン表示装置41→第1サブ表示装置43→第2サブ表示装置44の順序で描画リストに設定することが可能となる。
【0385】
描画リストの作成処理では、ステップS1303、ステップS1305及びステップS1306のいずれかの処理を実行した場合、パラメータ情報の設定処理を実行するとともに(ステップS1307)、アドレス情報の設定処理を実行する(ステップS1308)。パラメータ情報の設定処理では、今回の表示順優先データの設定対象となった画像データについて直前の表示制御用のタスク処理(ステップS506)にて導出したパラメータ情報を、現状の書き込み対象ポインタに対応するエリアのパラメータ情報として設定する。アドレス情報の設定処理では、今回の表示順優先データの設定対象となった画像データについて、表示制御用の実行対象テーブルにおける今回のタスクの内容に設定されているアドレスIDを、現状の書き込み対象ポインタに対応するエリアのアドレス情報として設定する。
【0386】
その後、書き込み対象の画像データが他に存在しているか否かを判定する(ステップS1309)。具体的には、2D用描画リストが作成対象となっているのであれば、描画リスト出力処理(図27)のステップS907にて特定した各種画像データであって今回の1個の2D用描画リストへの設定対象となっている各種画像データの中にステップS1302~ステップS1308の実行対象となっていない画像データが存在しているか否かを判定する。また、3D用描画リストが作成対象となっているのであれば、描画リスト出力処理(図27)のステップS913にて特定した各種画像データであって今回の1個の3D用描画リストへの設定対象となっている各種画像データの中にステップS1302~ステップS1308の実行対象となっていない画像データが存在しているか否かを判定する。実行対象となっていない画像データが存在している場合には(ステップS1309:YES)、書き込み対象ポインタの更新処理(ステップS1301)を実行した後に、その実行対象となっていない画像データについてステップS1302~ステップS1308の処理を実行する。これにより、今回の1個の描画リストへの設定対象となっている画像データの全てに関して、今回の1個の描画リストへの表示順優先データ、パラメータ情報及びアドレス情報の組合せの設定が行われる。
【0387】
<複数の表示装置41,43,44において画像を表示させるための構成の効果>
メイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44が設けられた構成においてこれら複数の表示装置41,43,44にて画像を表示させるための情報が1個の描画リスト(以下、当該描画リストを集約描画リストともいう)に集約された状態で演出用CPU82から演出用LSI85に提供される。これにより、複数の表示装置41,43,44のそれぞれについて個別に描画リストが提供される構成に比べ、演出用CPU82から演出用LSI85に提供される描画リストの数を抑えることが可能となる。
【0388】
同一の更新タイミングにおいて各表示装置41,43,44にて画像を表示させるための情報が集約描画リストに集約させて設定される。この場合、演出用LSI85は集約描画リストに設定されている全ての情報を一の更新タイミングにおける画像を表示させるための情報として扱えばよく、異なる複数の更新タイミングのうちいずれの更新タイミングに対応する情報であるかを判定するための処理を実行する必要がない。よって、演出用LSI85において集約描画リストを利用して実行する処理の処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0389】
フレーム領域114,115,117,118への画像データの設定順序を2D制御部96及び3D制御部97にて特定するための表示順優先データを利用して、使用対象として指定されている画像データがいずれの表示装置41,43,44に対応しているのかが特定される。これにより、設定対象となる表示装置41,43,44の種類を指定するための専用の情報を集約描画リストに設定する必要が生じないため、集約描画リストに設定される情報の種類数を抑えることが可能となる。
【0390】
メイン表示装置41に対応する画像データは表示順優先データとして第1表示対象基準値未満の値が設定され、第1サブ表示装置43に対応する画像データは表示順優先データとして第1表示対象基準値以上であって第2表示対象基準値未満の値が設定され、第2サブ表示装置44に対応する画像データは表示順優先データとして第2表示対象基準値以上の値が設定される。これにより、表示順優先データを利用して設定対象となる表示装置41,43,44の種類を指定する構成において、使用対象として指定されている画像データがいずれの表示装置41,43,44に対応しているのかが表示順優先データにおいて明確に区別される。よって、2D制御部96及び3D制御部97において設定対象となる表示装置41,43,44の種類を特定するための処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0391】
演出用CPU82は表示制御用の実行対象テーブルに設定されている情報に基づいて描画リストを作成する構成において、表示制御用の実行対象テーブルには表示順優先データがそのまま設定されているのではなく、設定対象となる表示装置41,43,44の種類に対応する表示対象データと、その表示装置41,43,44にて使用対象となる複数種類の画像データにおいてフレーム領域114,115,117,118への設定順序に対応する表示順データとが設定されており、それら表示対象データ及び表示順データを利用して表示順優先データが導出される構成である。これにより、パチンコ機10設計段階において表示制御用の実行対象テーブルを設定する場合に、設定対象となる表示装置41,43,44の種類とその表示装置41,43,44において使用対象となる複数種類の画像データの中における設定順序のみを設定すればよく、最終的な表示順優先データを設定する必要がない。よって、設計作業の容易化が図られる。
【0392】
第1サブ表示装置43に対応する画像データについては表示順データに対して第1表示対象基準値を加算した結果の値が表示順優先データとして導出され、第2サブ表示装置44に対応する画像データについては表示順データに対して第2表示対象基準値を加算した結果の値が表示順優先データとして導出される。これにより、表示順優先データを導出するための処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0393】
<各サブ表示装置43,44への表示出力に関する構成>
次に、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44に画像信号を出力するための構成について説明する。
【0394】
既に説明したとおり演出用LSI85には、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれに画像信号を出力するための回路として第2表示回路99が設けられている。図38は各サブ表示装置43,44に画像信号を出力するための電気的構成を示すブロック図である。図38に示すように第2表示回路99には第1出力部131と第2出力部132とが設けられている。第1出力部131からは第1サブ表示装置43に画像信号が出力され、第2出力部132からは第2サブ表示装置44に画像信号が出力される。これら画像信号の出力に際しては、演出用LSI85のレジスタ93に設けられたサブ用第1フレーム領域117及びサブ用第2フレーム領域118のうち今回の画像信号の出力対象となっているフレーム領域117,118に作成された描画データが参照される。この場合に、サブ用第1フレーム領域117及びサブ用第2フレーム領域118はそれぞれ1個ずつしか設けられておらず、既に説明したとおりダブルバッファ方式が採用されているためサブ用第1フレーム領域117及びサブ用第2フレーム領域118のうち一方のフレーム領域に作成された描画データに基づいて各サブ表示装置43,44に描画信号を出力している状況において他方のフレーム領域に次の更新タイミングにおける画像を表示させるための描画データが作成される。つまり、1個のフレーム領域117,118に作成された1個の描画データによって、第1サブ表示装置43における1フレーム分の画像が表示されるとともに第2サブ表示装置44における1フレーム分の画像が表示される。
【0395】
図39は各サブ表示装置43,44のそれぞれに1フレーム分の画像を表示させるために1個の描画データが作成される様子、及びその1個の描画データを利用して各サブ表示装置43,44のそれぞれに1フレーム分の画像が表示される様子を説明するための説明図である。なお、図39においては第1サブ表示装置43に1フレーム分の画像を表示させるために1個の画像データのみが使用されるとともに第2サブ表示装置44に1フレーム分の画像を表示させるために1個の画像データのみが使用される場合について説明するが、各サブ表示装置43,44に1フレーム分の画像を表示させるために複数個の画像データが使用される場合についても同様である。
【0396】
図39(a)に示すデータは第1サブ表示装置43に1フレーム分の画像を表示させるための画像データ133を簡略的に示したデータであり、図39(b)に示すデータは第2サブ表示装置44に1フレーム分の画像を表示させるための画像データ134を簡略的に示したデータである。これら画像データ133,134は既に説明したとおりメモリモジュール83に予め記憶されており、メモリモジュール83に記憶された状態においてこれら画像データ133,134は個別のデータとして存在している。これら画像データ133,134は2D画像用の画像データであり縦横のそれぞれに複数のピクセルが存在する四角形状のデータとして設定されている。なお、以下の説明では画像データ133を第1サブ用画像データ133といい、画像データ134を第2サブ用画像データ134という。
【0397】
図39(c)は各サブ表示装置43,44のそれぞれに1フレーム分の画像を表示させるための1個の描画データが作成される1個のフレーム領域117,118を簡略的に示す図である。この1個のフレーム領域117,118は縦横のそれぞれに複数のドットが存在する四角形状のデータのエリアとして設定されている。この場合、フレーム領域117,118における縦方向のドット数は、各サブ表示装置43,44が初期位置に配置されている状況におけるこれらサブ表示装置43,44の縦方向のドット数に対応している。具体的には、フレーム領域117,118における縦方向のドット数は、各サブ表示装置43,44が初期位置に配置されている状況におけるこれらサブ表示装置43,44の縦方向のドット数に所定数(具体的には「1」)を積算した値と一致している。なお、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44は同一のドット数の表示装置であり、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の両方が初期位置に配置されている状況において各サブ表示装置43,44の縦方向のドット数は同一となっているとともに各サブ表示装置43,44の横方向のドット数も同一となっている。
【0398】
一方、フレーム領域117,118における横方向のドット数は、各サブ表示装置43,44が初期位置に配置されている状況における第1サブ表示装置43の横方向のドット数と第2サブ表示装置44の横方向のドット数との和に対応している。具体的には、フレーム領域117,118における横方向のドット数は、各サブ表示装置43,44が初期位置に配置されている状況における第1サブ表示装置43の横方向のドット数と第2サブ表示装置44の横方向のドット数との和に上記所定数(具体的には「1」)を積算した値と一致している。
【0399】
上記のようにフレーム領域117,118のドット数が設定されていることにより第1サブ表示装置43に1フレーム分の画像を表示させるための描画データと第2サブ表示装置44に1フレーム分の画像を表示させるための描画データとの両方を1個のフレーム領域117,118に作成することが可能となる。
【0400】
フレーム領域117,118への第1サブ用画像データ133及び第2サブ用画像データ134の設定態様について詳細には、第1サブ用画像データ133は既に説明したとおり縦横のそれぞれに複数のドットが存在しているため、第1サブ用画像データ133は図39(a)に示すように縦方向に並ぶ複数のドットよりなる縦ラインが横方向に複数並設されていることとなる。同様に、第2サブ用画像データ134も既に説明したとおり縦横のそれぞれに複数のドットが存在しているため、第2サブ用画像データ134は図39(b)に示すように縦方向に並ぶ複数のドットよりなる縦ラインが横方向に複数並設されていることとなる。また、図39(c)に示すように、フレーム領域117,118は既に説明したとおり縦横のそれぞれに複数のドットが存在しているため、縦方向に並ぶ複数のドットよりなる縦ラインが横方向に複数並設されていることとなる。
【0401】
当該構成において、フレーム領域117,118にて横方向の奇数番目に設定されている縦ラインに分散させて第1サブ用画像データ133の各縦ラインのデータが設定されている。この場合、第1サブ用画像データ133における各縦ラインのデータは第1サブ用画像データ133における横方向の配列順序を崩さないようにしながら、フレーム領域117,118における横方向の奇数番目の各縦ラインに設定されている。また、フレーム領域117,118において横方向の偶数番目に設定されている縦ラインに分散させて第2サブ用画像データ134の各縦ラインのデータが設定されている。この場合、第2サブ用画像データ134における各縦ラインのデータは第2サブ用画像データ134における横方向の配列順序を崩さないようにしながら、フレーム領域117,118における横方向の偶数番目の各縦ラインに設定されている。
【0402】
フレーム領域117,118において奇数番目の縦ラインに設定されているデータに対応する画像信号は、第2表示回路99の第1出力部131により第1サブ表示装置43におけるそれぞれ対応するドットに出力される。また、当該フレーム領域117,118において偶数番目の縦ラインに設定されているデータに対応する画像信号は、第2表示回路99の第2出力部132により第2サブ表示装置44におけるそれぞれ対応するドットに出力される。これにより、第1サブ表示装置43に出力される画像信号に対応するデータは図39(d)に示すようなデータとなり、第2サブ表示装置44に出力される画像信号に対応するデータは図39(e)に示すようなデータとなる。
【0403】
第2表示回路99における第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44への画像信号の出力は、演出用LSI85に設けられたクロック回路から第2表示回路99に入力されるクロック信号に同期させて行われる。詳細には、第2表示回路99は、クロック信号として受信する1個のパルス信号に対して、フレーム領域117,118における横方向の奇数番目の縦ラインに存在している1ドットに対応する画像信号を第1サブ表示装置43に出力するとともに、当該1ドットに対して所定の横方向に並設された1ドットに対応する画像信号を第2サブ表示装置44に出力する。より詳細には、フレーム領域117,118に作成された描画データについて最初の画像信号の出力タイミングにおいては図39(c)のフレーム領域117,118における左上角に存在する1ドットに対応する画像信号が第1サブ表示装置43に出力されるとともに、当該1ドットに対して右方に並設された1ドットに対応する画像信号が第2サブ表示装置44に出力される。その次の画像信号の出力タイミングにおいては、最初の出力タイミングにおいて画像信号の出力対象となった2ドットに対して右方に並設された2ドットのうち横方向の奇数番目のドットに対応する画像信号が第1サブ表示装置43に出力されるとともに、偶数番目のドットに対応する画像信号が第2サブ表示装置44に出力される。その後、横方向の一ライン分について画像信号の出力が完了した後は、その1段下の横方向の一ラインについて左側から順に2ドットずつ画像信号の出力対象とする。
【0404】
各サブ表示装置43,44に画像信号が出力される様子について、第1表示回路98からメイン表示装置41に画像信号が出力されるタイミングとの関係を示しながら説明する。図40は各表示装置41,43,44に画像信号が出力される様子を示すタイムチャートであり、図40(a)は演出用LSI85のクロック回路から第1表示回路98及び第2表示回路99に出力されるクロック信号の出力態様を示し、図40(b)は第1表示回路98からメイン表示装置41に画像信号が出力される期間を示し、図40(c)は第2表示回路99から第1サブ表示装置43に画像信号が出力される期間を示し、図40(d)は第2表示回路99から第2サブ表示装置44に画像信号が出力される期間を示す。
【0405】
t1のタイミングで、図40(a)に示すようにクロック信号として第1表示回路98及び第2表示回路99へのパルス信号の出力が開始される。この場合、当該t1のタイミングで、図40(b)に示すように第1表示回路98からメイン表示装置41へのフレーム領域114,115の1ドット分に対応する画像信号の出力が開始されるとともに、図40(c)に示すように第2表示回路99の第1出力部131から第1サブ表示装置43へのフレーム領域117,118の1ドット分に対応する画像信号の出力が開始される。
【0406】
その後、第1表示回路98からメイン表示装置41へのフレーム領域114,115の1ドット分に対応する画像信号の出力が継続されている状況であるt2のタイミングで、図40(c)に示すように第2表示回路99の第1出力部131から第1サブ表示装置43へのフレーム領域117,118の1ドット分に対応する画像信号の出力が終了される。そして、当該t2のタイミングで、図40(d)に示すように第2表示回路99の第2出力部132から第2サブ表示装置44へのフレーム領域117,118の1ドット分に対応する画像信号の出力が開始される。
【0407】
その後、t3のタイミングで、図40(a)に示すようにクロック信号における1パルス分の信号の出力が終了される。この場合、当該t3のタイミングで、図40(b)に示すように第1表示回路98からメイン表示装置41へのフレーム領域114,115の1ドット分に対応する画像信号の出力が完了するとともに、図40(d)に示すように第2表示回路99の第2出力部132から第2サブ表示装置44へのフレーム領域117,118の1ドット分に対応する画像信号の出力が完了する。
【0408】
その後、t4~t6のタイミング、t7~t9のタイミング、t10~t12のタイミングのそれぞれにおいてt1~t3のタイミングと同様の信号出力が繰り返される。そして、上記のようにクロック信号におけるパルス信号の出力に同期した各画像信号の出力が行われることにより、1個のフレーム領域114,115に作成された1個の描画データを利用してメイン表示装置41において1フレーム分の画像の更新が行われる間に、1個のフレーム領域117,118に作成された1個の描画データを利用して第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれにおいて1フレーム分の画像の更新が行われる。
【0409】
なお、フレーム領域114,115の1ドットがメイン表示装置41の1ドットと対応している場合にはメイン表示装置41の1ドットに対するフレーム領域114,115の1ドットに対応する画像信号の出力がクロック信号の1パルスの出力期間において行われ、フレーム領域114,115の1ドットがメイン表示装置41の複数ドットと対応している場合にはメイン表示装置41の複数ドットに対するフレーム領域114,115の1ドットに対応する画像信号の出力がクロック信号の1パルスの出力期間において行われる。また、フレーム領域117,118の1ドットが第1サブ表示装置43の1ドットと対応している場合には第1サブ表示装置43の1ドットに対するフレーム領域117,118の1ドットに対応する画像信号の出力がクロック信号の1パルスの半分の出力期間において行われ、フレーム領域117,118の1ドットが第1サブ表示装置43の複数ドットと対応している場合には第1サブ表示装置43の複数ドットに対するフレーム領域117,118の1ドットに対応する画像信号の出力がクロック信号の1パルスの半分の出力期間において行われる。また、フレーム領域117,118の1ドットが第2サブ表示装置44の1ドットと対応している場合には第2サブ表示装置44の1ドットに対するフレーム領域117,118の1ドットに対応する画像信号の出力がクロック信号の1パルスの半分の出力期間において行われ、フレーム領域117,118の1ドットが第2サブ表示装置44の複数ドットと対応している場合には第2サブ表示装置44の複数ドットに対するフレーム領域117,118の1ドットに対応する画像信号の出力がクロック信号の1パルスの半分の出力期間において行われる。
【0410】
以上のとおり、第1サブ表示装置43に1フレーム分の画像を表示させるための描画データと第2サブ表示装置44に1フレーム分の画像を表示させるための描画データとが1個のフレーム領域117,118に対して集約させて作成されることにより、各サブ表示装置43,44に対応する描画データがそれぞれ別のフレーム領域に作成される構成に比べて、フレーム領域117,118の数を抑えることが可能となる。
【0411】
クロック信号の1パルスの入力に対して、フレーム領域117,118の1ドットに対応する画像信号が第1サブ表示装置43に出力されるとともに、フレーム領域117,118の別の1ドットに対応する画像信号が第2サブ表示装置44に出力される。これにより、第1サブ表示装置43における1フレーム分の画像の更新が完了するタイミングと、第2サブ表示装置44における1フレーム分の画像の更新が完了するタイミングとを略同一のタイミングとすることが可能となる。よって、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のうち一方についての1フレーム分の画像の更新が完了するタイミングに対して他方についての1フレーム分の画像の更新が完了するタイミングが大きくずれてしまわないようにすることが可能となる。
【0412】
第1サブ表示装置43に1フレーム分の画像を表示させるための描画データはフレーム領域117,118における奇数番目の縦ラインに設定されるとともに、第2サブ表示装置44に1フレーム分の画像を表示させるための描画データはフレーム領域117,118における偶数番目の縦ラインに設定される。これにより、フレーム領域117,118から第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44に画像信号を出力する場合、フレーム領域117,118における1ドットに対応する画像信号を第1サブ表示装置43に出力するとともにその1ドットに対して隣に存在する画像信号を第2サブ表示装置44に出力すればよいため、画像信号の出力対象となるドットの種類を特定するための処理構成を簡素化することが可能となる。
【0413】
以下、上記のような画像信号の出力を可能とする処理構成について説明する。まず2D制御部96にて実行される書き込み処理について図41のフローチャートを参照しながら説明する。なお、書き込み処理は2D描画処理(図19)におけるステップS705にて実行される。
【0414】
書き込み処理では、今回の書き込み対象となっている画像データについて描画リストに設定されている表示順優先データを特定し、その特定した表示順優先データの値が第1表示対象基準値である「100」未満であるか否かを判定する(ステップS1401)。表示順優先データの値が第1表示対象基準値である「100」未満である場合(ステップS1401:YES)、今回の書き込み対象となっている画像データがメイン表示装置41に対応する描画データを作成するための画像データであることを意味するため、レジスタ93のメイン表示用の描画領域111における2D描画領域112に今回の書き込み対象となっている画像データを描画するための処理を実行する(ステップS1402)。2D描画領域112は既に説明したとおりメイン表示装置41に1フレーム分の画像を表示させるための描画データのうち2D画像用の描画データを作成するための領域である。
【0415】
一方、表示順優先データの値が第1表示対象基準値である「100」以上である場合(ステップS1401:NO)、今回の書き込み対象となっている画像データがいずれかのサブ表示装置43,44に対応する描画データを作成するための画像データであることを意味するため、レジスタ93におけるサブ表示用の描画領域116への描画処理を実行する(ステップS1403)。図42は当該描画処理を示すフローチャートである。
【0416】
まず今回の書き込み対象となっている画像データについて描画リストに設定されている表示順優先データを特定し、その特定した表示順優先データの値が第2表示対象基準値である「200」未満であるか否かを判定する(ステップS1501)。表示順優先データの値が第2表示対象基準値である「200」未満である場合(ステップS1501:YES)、今回の書き込み対象となった画像データが第1サブ表示装置43に対応する描画データを作成するための画像データであることを意味する。この場合、まずレジスタ93に設けられた描画回数カウンタへの設定処理を実行する(ステップS1502)。描画回数カウンタは、今回の画像データについて縦ラインを一単位とした場合にその縦ラインが横方向に何本存在しているのかを2D制御部96にて特定するためのカウンタである。ステップS1502では今回の書き込み対象となっている画像データに対して設定されている回転角度のパラメータに基づき、画像データをフレーム領域117,118に描画する場合の向きを特定し、その向きにおいて縦ラインの本数を演算により導出する。そして、その演算により導出した縦ラインの本数に対応する値を描画回数カウンタに設定する。
【0417】
その後、今回の書き込み対象となっている画像データにおいて現状の描画回数カウンタの値に対応する縦ラインのデータを抽出する(ステップS1503)。また、描画対象となっているフレーム領域117,118における横方向の奇数番目の縦ラインのうち、今回の書き込み対象となっている画像データに対して設定されている座標のパラメータ及び描画回数カウンタの現状の値に対応する縦ラインを特定し、その特定したフレーム領域117,118の縦ラインに対して、ステップS1503にて抽出した縦ラインのデータを描画する(ステップS1504)。この場合、座標のパラメータの内容によっては、今回の書き込み対象となっている画像データにおいて最も左側の位置に対応する縦ラインのデータであってもフレーム領域117,118の横方向の途中位置に存在する縦ラインに描画されることもある。
【0418】
その後、描画回数カウンタの値を1減算する(ステップS1505)。そして、その1減算後における描画回数カウンタの値が「0」となっているか否かを判定する(ステップS1506)。描画回数カウンタの値が「0」となっていない場合には、描画回数カウンタの新たな値に対応する縦ラインのデータについてステップS1503及びステップS1504の処理を実行する。そして、ステップS1503及びステップS1504の処理が繰り返されることにより、今回の書き込み対象となっている画像データのフレーム領域117,118への描画が完了する。
【0419】
表示順優先データの値が第2表示対象基準値である「200」以上である場合(ステップS1501:YES)、今回の書き込み対象となった画像データが第2サブ表示装置44に対応する描画データを作成するための画像データであることを意味する。この場合、ステップS1502と同様に、レジスタ93に設けられた描画回数カウンタへの設定処理を実行する(ステップS1507)。具体的には、今回の書き込み対象となっている画像データに対して設定されている回転角度のパラメータに基づき、画像データをフレーム領域117,118に描画する場合の向きを特定し、その向きにおいて縦ラインの本数を演算により導出する。そして、その演算により導出した縦ラインの本数に対応する値を描画回数カウンタに設定する。
【0420】
その後、今回の書き込み対象となっている画像データにおいて現状の描画回数カウンタの値に対応する縦ラインのデータを抽出する(ステップS1508)。また、描画対象となっているフレーム領域117,118における横方向の偶数番目の縦ラインのうち、今回の書き込み対象となっている画像データに対して設定されている座標のパラメータ及び描画回数カウンタの現状の値に対応する縦ラインを特定し、その特定したフレーム領域117,118の縦ラインに対して、ステップS1508にて抽出した縦ラインのデータを描画する(ステップS1509)。この場合、座標のパラメータの内容によっては、今回の書き込み対象となっている画像データにおいて最も左側の位置に対応する縦ラインのデータであってもフレーム領域117,118の横方向の途中位置に存在する縦ラインに描画されることもある。
【0421】
その後、描画回数カウンタの値を1減算する(ステップS1510)。そして、その1減算後における描画回数カウンタの値が「0」となっているか否かを判定する(ステップS1511)。描画回数カウンタの値が「0」となっていない場合には、描画回数カウンタの新たな値に対応する縦ラインのデータについてステップS1508及びステップS1509の処理を実行する。そして、ステップS1508及びステップS1509の処理が繰り返されることにより、今回の書き込み対象となっている画像データのフレーム領域117,118への描画が完了する。
【0422】
次に、演出用LSI85の第2表示回路99にて実行される信号出力処理について、図43のフローチャートを参照しながら説明する。なお、第2表示回路99は信号出力処理を実行するための回路が予め設定された専用回路として設けられているが、これに限定されることはなくメモリモジュール83などに記憶されているプログラム及びデータを利用して信号出力処理を実行する汎用回路として設けられている構成としてもよい。これは第1表示回路98についても同様である。
【0423】
クロック回路からのパルス信号の出力が開始された場合、信号出力タイミングとなる(ステップS1601:YES)。信号出力タイミングとなった場合、横座標の更新処理を実行する(ステップS1602)。横座標の更新処理では、今回の処理回が現状の画像信号の出力対象となっている描画データについて最初の画像信号の出力処理回である場合、フレーム領域117,118における左上角のドットが画像信号の出力対象となるドットとなるように座標情報の設定を行う。一方、今回の処理回が最初の画像信号の出力処理回ではない場合、現状の座標情報のうち横座標の情報が1ドット分右のドットにずれるように更新する。この場合、当該座標情報のうち縦座標の情報はそのまま維持される。
【0424】
また、横座標の情報を1ドット分右のドットにずれるように更新した結果、その横座標の情報が横座標の最大値を超えた場合(ステップS1603:YES)、横座標の情報がフレーム領域117,118における最も左側のドットに対応する情報となるように当該横座標の情報を「0」クリアする(ステップS1604)。また、縦座標の情報がフレーム領域117,118における現状の縦座標のドットに対して1段下のドットに対応する情報となるように当該縦座標の情報を更新する(ステップS1605)。
【0425】
その後、今回更新した結果の座標情報のドットに設定されている画像信号を第1出力部131から第1サブ表示装置43の対応するドットに出力する(ステップS1606)。この画像信号の出力期間は、クロック信号におけるパルス信号の出力期間の半分の期間以下となっている。当該画像信号の出力が完了した場合(ステップS1607:YES)、横座標の更新処理を実行する(ステップS1608)。横座標の更新処理では、現状の座標情報のうち横座標の情報が1ドット分右のドットにずれるように更新する。この場合、当該座標情報のうち縦座標の情報はそのまま維持される。その後、今回更新した結果の座標情報のドットに設定されている画像信号を第2出力部132から第2サブ表示装置44の対応するドットに出力する(ステップS1609)。この画像信号の出力期間は、クロック信号におけるパルス信号の出力期間の半分の期間以下となっている。当該画像信号の出力が完了した場合(ステップS1610:YES)、信号出力処理の今回の処理回が終了する。
【0426】
以上のように信号出力処理が実行されることにより、図40のタイムチャートに示したようにクロック信号として一のパルス信号が第2表示回路99に入力される度に、フレーム領域117,118から第1サブ表示装置43に画像信号が出力されるとともに第2サブ表示装置44に画像信号が出力されることとなる。
【0427】
ここで、既に説明したとおりメイン表示装置41は変位不可であるのに対して各サブ表示装置43,44は変位可能に設けられている。具体的には、第1サブ表示装置43は基本的に図5に示すような初期位置に配置されているとともに、第1サブ表示装置43を移動させる演出の実行期間においては図6(a)に示すような第1並設位置及び図6(b)に示すような第2並設位置などといった表示演出用の位置に配置される。また、第2サブ表示装置44は基本的に図5に示すような初期位置に配置されているとともに、第2サブ表示装置44を移動させる演出の実行期間においては図6(a)に示すような第1並設位置及び図6(b)に示すような第2並設位置などといった表示演出用の位置に配置される。
【0428】
第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44を変位させる演出が実行される変位演出期間における表示制御用の実行対象テーブルの一例を図44に示す。図44に示す変位演出期間においては最初に第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の両方が初期位置に配置されている状況にてメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれで画像表示が行われる。この場合、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44では初期位置に配置されていることに対応する画像が表示される。
【0429】
その後に、第2サブ表示装置44が初期位置に保持されるとともに第1サブ表示装置43が変位している又は表示演出用の位置に配置されている状況にてメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれで画像表示が行われる。この場合、第1サブ表示装置43では表示演出用の画像が表示されるのに対して、第2サブ表示装置44では初期位置に配置されていることに対応する画像が表示される。
【0430】
その後に、第1サブ表示装置43が初期位置に配置されるとともに第2サブ表示装置44が変位している又は表示演出用の位置に配置されている状況にてメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれで画像表示が行われる。この場合、第1サブ表示装置43では初期位置に配置されていることに対応する画像が表示されるのに対して、第2サブ表示装置44では表示演出用の画像が表示される。
【0431】
その後に、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の両方が変位している又は表示演出用の位置に配置されている状況にてメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれで画像表示が行われる。この場合、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の両方にて表示演出用の画像が表示される。
【0432】
上記のように第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44が変位可能に設けられた構成において、各サブ表示装置43,44がいずれの位置に配置されている状況であったとしても、レジスタ93におけるサブ表示用の描画領域116のフレーム領域117,118には各更新タイミングにおいて既に説明した一定の処理によって第1サブ表示装置43に対応する描画データ及び第2サブ表示装置44に対応する描画データが集約して作成される。また、その集約して作成された描画データを利用して、既に説明した一定の処理によって第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれに画像信号が出力される。これにより、描画データを作成するための処理構成及び画像信号を出力するための処理構成を各サブ表示装置43,44の位置に応じて切り換える必要が生じないため、処理構成を簡素化させることが可能となる。
【0433】
<各サブ表示装置43,44への表示出力に関する構成の効果>
第1サブ表示装置43に1フレーム分の画像を表示させるための描画データ(以下、第1描画データともいう)と第2サブ表示装置44に1フレーム分の画像を表示させるための描画データ(以下、第2描画データともいう)とが1個のフレーム領域117,118に対して集約して作成されることにより、各サブ表示装置43,44に対応する描画データがそれぞれ別のフレーム領域に作成される構成に比べて、フレーム領域117,118の数を抑えることが可能となる。これにより、フレーム領域117,118にアクセスするためのハード構成を簡素化しながら複数のサブ表示装置43,44において画像表示を行うことが可能となる。
【0434】
第1描画データと第2描画データとの両方が一のフレーム領域117,118に同時に設定された状態となる。これにより、第1描画データを作成する期間と第2描画データを作成する期間とを重複させることが可能となる。
【0435】
同一の更新タイミングにおいて使用対象となる第1描画データと第2描画データとの両方が一のフレーム領域117,118に設定された状態となる。これにより、一のフレーム領域117,118に設定された第1描画データ及び第2描画データを異なる更新タイミングで個別に使用対象とする必要がないため、第2表示回路99の処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0436】
第1サブ表示装置43に1フレーム分の画像を表示させるための描画データはフレーム領域117,118における奇数番目の縦ラインに設定されるとともに、第2サブ表示装置44に1フレーム分の画像を表示させるための描画データはフレーム領域117,118における偶数番目の縦ラインに設定される。これにより、フレーム領域117,118から第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44に画像信号を出力する場合、フレーム領域117,118における1ドットに対応する画像信号を第1サブ表示装置43に出力するとともにその1ドットに対して隣に存在する画像信号を第2サブ表示装置44に出力すればよいため、画像信号の出力対象となるドットの種類を特定するための処理構成を簡素化することが可能となる。
【0437】
クロック信号の1パルスの入力に対して、フレーム領域117,118の1ドットに対応する画像信号が第1サブ表示装置43に出力されるとともに、フレーム領域117,118の別の1ドットに対応する画像信号が第2サブ表示装置44に出力される。これにより、第1サブ表示装置43における1フレーム分の画像の更新が完了するタイミングと、第2サブ表示装置44における1フレーム分の画像の更新が完了するタイミングとを略同一のタイミングとすることが可能となる。よって、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のうち一方についての1フレーム分の画像の更新が完了するタイミングに対して他方についての1フレーム分の画像の更新が完了するタイミングが大きくずれてしまわないようにすることが可能となる。
【0438】
<右打ち報知画像141,143を表示させるための構成>
次に、各表示装置41,43,44に右打ち報知画像141,143を表示させるための構成について説明する。
【0439】
既に説明したとおり遊技領域PAにおいて特電入賞装置32はセンターフレーム42を基準とした場合に右側領域に設けられている。したがって、開閉実行モードにおいて特電入賞装置32への入賞を発生させるためには右側領域を遊技球が流下するように発射操作を行う必要がある。この場合、メイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44では遊技領域PAの右側領域を遊技球が流下するように発射操作を行うべきであることを示す右打ち報知画像が表示される。
【0440】
図45(a)及び図45(b)は各表示装置41,43,44にて表示される右打ち報知画像141,143の内容を説明するための説明図である。図45(a)及び図45(b)に示すように、メイン表示装置41ではメイン側の右打ち報知画像141として、メイン表示装置41の表示面における縦方向の途中位置に横方向に延在させて帯状画像141aが表示されるとともに、その帯状画像141aに対して前方から重ねるようにして右打ちを指示する指示画像141bが表示される。このメイン側の右打ち報知画像141は開閉実行モードにおいて継続させて表示され、メイン表示装置41における表示位置及び表示態様は一定となっている。メイン側の右打ち報知画像141は図46(a)の説明図に示すように、メモリモジュール83に予め記憶されたメイン側の右打ち画像データ群142を利用して表示される。
【0441】
開閉実行モードにおいては図45(a)に示すように第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44が第1並設位置に配置されることがあるとともに、図45(b)に示すように第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44が第2並設位置に配置されることがある。これらサブ表示装置43,44が第1並設位置又は第2並設位置に配置される場合、メイン表示装置41においてメイン側の右打ち報知画像141が表示されている領域の一部に対してパチンコ機10前方からサブ表示装置43,44が対向することとなる。この場合、メイン側の右打ち報知画像141の視認性がサブ表示装置43,44によって低下してしまうこととなる。これに対して、開閉実行モードにおいてサブ表示装置43,44が第1並設位置又は第2並設位置といった初期位置以外の位置に配置される場合には、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれにおいてサブ側の右打ち報知画像143が表示される。なお、開閉実行モードにおいて第1サブ表示装置43が初期位置に配置されている場合には当該第1サブ表示装置43にてサブ側の右打ち報知画像143が表示されることはなく、開閉実行モードにおいて第2サブ表示装置44が初期位置に配置されている場合には当該第2サブ表示装置44にてサブ側の右打ち報知画像143が表示されることはない。
【0442】
サブ側の右打ち報知画像143は、第1サブ表示装置43の表示面の一部に1個表示されるとともに、第2サブ表示装置44の表示面の一部にも1個表示される。メモリモジュール83には、図46(a)に示すようにサブ側の右打ち画像データ144が予め記憶されており、第1サブ表示装置43にサブ側の右打ち報知画像143を表示させる場合及び第2サブ表示装置44にサブ側の右打ち報知画像143を表示させる場合のいずれであってもサブ側の右打ち画像データ144が利用される。
【0443】
第1サブ表示装置43においてサブ側の右打ち報知画像143が表示される位置は図45(a)の状態において右上の隅角部分であり、第1サブ表示装置43におけるサブ側の右打ち報知画像143の表示位置は第1サブ表示装置43が変位したとしても同一箇所に固定される。つまり、図45(a)の状態における第1サブ表示装置43の右上の隅角部分は図45(b)の状態においては右下の隅角部分となるが、第1サブ表示装置43におけるサブ側の右打ち報知画像143の表示位置が固定されているため、サブ側の右打ち報知画像143は図45(a)の状態では第1サブ表示装置43の右上の隅角部分に表示されるとともに図45(b)の状態では第1サブ表示装置43の右下の隅角部分に表示される。
【0444】
同様に、第2サブ表示装置44においてサブ側の右打ち報知画像143が表示される位置は図45(a)の状態において左下の隅角部分であり、第2サブ表示装置44におけるサブ側の右打ち報知画像143の表示位置は第2サブ表示装置44が変位したとしても同一箇所に固定される。つまり、図45(a)の状態における第2サブ表示装置44の左下の隅角部分は図45(b)の状態においては左上の隅角部分となるが、第1サブ表示装置43におけるサブ側の右打ち報知画像143の表示位置が固定されているため、サブ側の右打ち報知画像143は図45(a)の状態では第2サブ表示装置44の左下の隅角部分に表示されるとともに図45(b)の状態では第2サブ表示装置44の左上の隅角部分に表示される。
【0445】
上記のように各サブ表示装置43,44におけるサブ側の右打ち報知画像143の表示位置が固定されることにより、サブ表示装置43,44におけるサブ側の右打ち報知画像143の表示位置を決定付ける座標の情報をサブ表示装置43,44の変位状態に応じて切り換える必要が生じない。これにより、サブ側の右打ち報知画像143を表示させるための処理構成を簡素化させることが可能となる。
【0446】
また、各サブ表示装置43,44が上下に並設される第1並設位置に各サブ表示装置43,44が配置されている場合には図45(a)に示すように上側に配置されている第1サブ表示装置43の上部にてサブ側の右打ち報知画像143が表示されるとともに下側に配置されている第2サブ表示装置44の下部にてサブ側の右打ち報知画像143が表示される。また、各サブ表示装置43,44が左右に並設される第2並設位置に各サブ表示装置43,44が配置されている場合には図45(b)に示すように左側に配置されている第2サブ表示装置44の上部にてサブ側の右打ち報知画像143が表示されるとともに右側に配置されている第1サブ表示装置43の下部にてサブ側の右打ち報知画像143が表示される。つまり、第1並設位置及び第2並設位置のいずれに配置されている状況であっても第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44が並設されることによって生じる表示領域の上下の各位置にサブ側の右打ち報知画像143が表示される。これにより、第1並設位置及び第2並設位置のいずれに配置されている状況であってもサブ側の右打ち報知画像143の視認性を高めることが可能となる。
【0447】
各サブ表示装置43,44は開閉実行モードにおいて第1並設位置に配置されている状態と第2並設位置に配置されている状態とが交互に繰り返されるように駆動制御される。これにより、各サブ表示装置43,44が一体となった状態で時計周り方向に回転する状況と半時計周り方向に回転する状況とが交互に繰り返されることとなる。これに対して、サブ側の右打ち報知画像143は各サブ表示装置43,44がいずれの回転位置に配置されている状況であったとしても、右打ち指示の内容を遊技者が把握し易い画像となっている。
【0448】
図46(b)及び図46(c)はサブ側の右打ち報知画像143として表示される内容を説明するための説明図である。図46(b)及び図46(c)に示すように、サブ側の右打ち報知画像143は外縁が円環状となっており、その円環状の幅部分に連続指示画像143aが表示されている。連続指示画像143aは、2個の「右打ち」という文字画像と2個の矢印画像とからなり、文字画像の両隣に矢印画像が存在するとともに矢印画像の両隣に文字画像が存在するようにして環状に配置されている。この場合、1個の文字画像と1個の文字画像とは円環状の中心を挟んで対向配置されているとともに各文字画像の上側が外周側となるようにして配置されている。これにより、一方の文字画像が下向きとなるような回転位置にサブ側の右打ち報知画像143が配置されている場合であっても他方の文字画像は上向きで表示されることとなる。よって、サブ側の右打ち報知画像143の回転位置がいずれであったとしても文字画像の内容を遊技者が把握し易くなっている。
【0449】
また、サブ側の右打ち報知画像143は各サブ表示装置43,44における表示位置を固定としながら、サブ側の右打ち報知画像143における円環状の中心部分を回転中心として一定方向(具体的には右方向、時計周り方向)に回転するように表示される。これにより、サブ表示装置43,44が配置されている位置に関係なく、文字画像の内容を遊技者が把握し易い回転位置においてサブ側の右打ち報知画像143が表示されるタイミングが確実に発生することとなる。
【0450】
サブ側の右打ち報知画像143が一定方向に回転するように表示される構成において、その回転速度はサブ表示装置43,44の変位状態に応じて変更される。サブ表示装置43,44の変位状態に応じてサブ側の右打ち報知画像143の回転速度が変更される様子について、図47のタイムチャートを参照しながら説明する。図47(a)は各表示装置41,43,44にて右打ち報知が実行される期間を示し、図47(b)はメイン表示装置41にメイン側の右打ち報知画像141が表示される期間を示し、図47(c)はサブ表示装置43,44にサブ側の右打ち報知画像143が表示される期間を示し、図47(d)はサブ表示装置43,44が時計周り方向又は半時計周り方向に回転する期間を示す。
【0451】
t1のタイミングで図47(a)に示すように右打ち報知を開始すべきタイミングとなる。この場合、当該t1のタイミングで図47(b)に示すようにメイン表示装置41にてメイン側の右打ち報知画像141の表示が開始されるとともに、図47(c)に示すように各サブ表示装置43,44にてサブ側の右打ち報知画像143の表示が開始される。
【0452】
ここで、サブ側の右打ち報知画像143は既に説明したとおり時計周り方向に回転するように表示されるが、その回転速度として第1速度と、当該第1速度よりも速い第2速度と、当該第2速度よりも速い第3速度とが存在している。最も速度が低い第1速度は各サブ表示装置43,44の一体物が時計周り方向に回転する場合に設定される速度であり、中間の速度である第2速度は各サブ表示装置43,44の一体物の回転が行われない場合に設定される速度であり、最も速度が高い第3速度は各サブ表示装置43,44の一体物が半時計周り方向に回転する場合に設定される速度である。
【0453】
各サブ表示装置43,44の一体物が時計周り方向に回転する場合にサブ側の右打ち報知画像143の時計周り方向の回転速度が最も低い第1速度に設定されることで、サブ側の右打ち報知画像143の回転方向と同一方向に各サブ表示装置43,44の一体物が回転する場合にはサブ側の右打ち報知画像143の回転速度を相対的に低くすることが可能となる。これにより、サブ側の右打ち報知画像143の回転が必要以上に速くなってしまわないようにすることが可能となる。
【0454】
各サブ表示装置43,44の一体物が半時計周り方向に回転する場合にサブ側の右打ち報知画像143の時計周り方向の回転速度が最も高い第3速度に設定されることで、サブ側の右打ち報知画像143の回転方向とは逆方向に各サブ表示装置43,44の一体物が回転する場合にはサブ側の右打ち報知画像143の回転速度を相対的に高くすることが可能となる。そして、このサブ側の右打ち報知画像143の回転速度は各サブ表示装置43,44の一体物が逆方向に回転する場合の回転速度よりも速い速度となっている。これにより、各サブ表示装置43,44の一体物が逆方向に回転する場合であってもサブ側の右打ち報知画像143が時計周り方向に回転していると遊技者が認識する状況を持続させることが可能となる。
【0455】
t1のタイミングでは図47(d)に示すように各サブ表示装置43,44は回転していない。したがって、図47(c)に示すようにサブ側の右打ち報知画像143の回転速度は第2速度に設定される。
【0456】
その後、t2のタイミングで図47(d)に示すように各サブ表示装置43,44の一体物が時計周り方向への回転を開始する。この場合、図47(c)に示すようにサブ側の右打ち報知画像143の回転速度は第2速度から第1速度に変更される。これにより、各サブ表示装置43,44の一体物が時計周り方向への回転を開始するのに合わせてサブ側の右打ち報知画像143の回転速度を減速させることが可能となる。
【0457】
その後、t3のタイミングで図47(d)に示すように各サブ表示装置43,44の一体物の回転が停止する。この場合、図47(c)に示すようにサブ側の右打ち報知画像143の回転速度は第1速度から第2速度に復帰する。
【0458】
その後、t4のタイミングで図47(d)に示すように各サブ表示装置43,44の一体物が半時計周り方向への回転を開始する。この場合、図47(c)に示すようにサブ側の右打ち報知画像143の回転速度は第2速度から第3速度に変更される。これにより、各サブ表示装置43,44の一体物が半時計周り方向への回転を開始するのに合わせてサブ側の右打ち報知画像143の回転速度を加速させることが可能となる。
【0459】
その後、t5のタイミングで図47(d)に示すように各サブ表示装置43,44の一体物の回転が停止する。この場合、図47(c)に示すようにサブ側の右打ち報知画像143の回転速度は第1速度から第2速度に復帰する。
【0460】
その後、t6のタイミングで図47(a)に示すように右打ち報知を終了すべきタイミングとなる。この場合、図47(b)に示すようにメイン表示装置41におけるメイン側の右打ち報知画像141の表示が終了されるとともに、図47(c)に示すように各サブ表示装置43,44におけるサブ側の右打ち報知画像143の表示が終了される。
【0461】
以下、上記のようなサブ側の右打ち報知画像143の表示を可能とするための処理構成について説明する。図48は演出用CPU82にて実行される右打ち報知用の設定処理を示すフローチャートである。なお、右打ち報知用の設定処理はV割込み処理(図14)におけるステップS506の表示制御用のタスク処理にて実行される。
【0462】
右打ち報知の開始タイミングである場合(ステップS1701:NO、ステップS1702:YES)、メイン側の右打ち報知画像141の表示開始用処理を実行する(ステップS1703)。当該処理では、メイン表示装置41において図45(a)及び図45(b)に示すようなメイン側の右打ち報知画像141の表示が開始されるように、メイン側の右打ち画像データ群142が描画処理の対象となるようにするための設定を行うとともに、メイン側の右打ち画像データ群142に今回適用するパラメータ情報を導出する。
【0463】
その後、サブ側の右打ち報知画像143についての座標情報を設定するための処理を実行する(ステップS1704)。当該処理では、第1サブ表示装置43における予め定められた隅角部分にサブ側の右打ち報知画像143が表示されるとともに第2サブ表示装置44における予め定められた隅角部分にサブ側の右打ち報知画像143が表示されるように、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれに対応する固定の座標情報を2個導出する。また、当該処理では、第1サブ表示装置43にサブ側の右打ち報知画像143を表示させるために1個のサブ側の右打ち画像データ144について使用指示の設定を行うとともに、第2サブ表示装置44にサブ側の右打ち報知画像143を表示させるために1個のサブ側の右打ち画像データ144について使用指示の設定を行う。また、ステップS1705では、第1サブ表示装置43に対して利用されるサブ側の右打ち画像データ144に適用する座標情報以外のパラメータ情報を導出するとともに、第2サブ表示装置44に対して利用されるサブ側の右打ち画像データ144に適用する座標情報以外のパラメータ情報を導出する。
【0464】
ステップS1703~ステップS1705にて導出された情報が設定された描画リストに従って描画データが作成されるとともにその描画データに従って画像信号が出力されることにより、メイン表示装置41にてメイン側の右打ち報知画像141の表示が開始されるとともに第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれにてサブ側の右打ち報知画像143の表示が開始される。
【0465】
右打ち報知の実行期間である場合(ステップS1701:YES)、メイン側の右打ち報知画像141の更新処理を実行する(ステップS1706)。当該処理では、今回の更新指示に対応する更新タイミングの態様でメイン側の右打ち報知画像141が表示されるようにするためのパラメータ情報を導出する。当該パラメータ情報が設定された描画リストに従って画像の表示が行われることで、メイン表示装置41におけるメイン側の右打ち報知画像141の表示内容が更新される。
【0466】
その後、ステップS1704と同様に、サブ側の右打ち報知画像143についての座標情報を設定するための処理を実行する(ステップS1707)。当該処理では、ステップS1704にて導出された同一の座標情報を、第1サブ表示装置43に対して利用されるサブ側の右打ち画像データ144及び第2サブ表示装置44に対して利用されるサブ側の右打ち画像データ144のそれぞれについて導出する。これにより、第1サブ表示装置43におけるサブ側の右打ち報知画像143の表示位置が固定されるとともに、第2サブ表示装置44におけるサブ側の右打ち報知画像143の表示位置が固定される。
【0467】
その後、サブ表示装置43,44の一体物の回転期間ではない場合(ステップS1708:NO)、各サブ表示装置43,44に表示されるサブ側の右打ち報知画像143の回転速度が第2速度となるようにするための回転情報を、第1サブ表示装置43に対して利用されるサブ側の右打ち画像データ144及び第2サブ表示装置44に対して利用されるサブ側の右打ち画像データ144のそれぞれに適用する回転情報として導出する(ステップS1709)。当該回転情報が設定された描画リストに従って画像の表示が行われることで、各サブ表示装置43,44のそれぞれにおいてサブ側の右打ち報知画像143が第2速度の回転速度で回転しているように表示される。
【0468】
サブ表示装置43,44の一体物の回転期間であってその回転方向が時計周り方向である場合(ステップS1708及びステップS1709:YES)、回転時の回転情報の第1更新処理を実行する(ステップS1711)。当該第1更新処理では、各サブ表示装置43,44に表示されるサブ側の右打ち報知画像143の回転速度が第1速度となるようにするための回転情報を、第1サブ表示装置43に対して利用されるサブ側の右打ち画像データ144及び第2サブ表示装置44に対して利用されるサブ側の右打ち画像データ144のそれぞれに適用する回転情報として導出する。当該回転情報が設定された描画リストに従って画像の表示が行われることで、各サブ表示装置43,44のそれぞれにおいてサブ側の右打ち報知画像143が第1速度の回転速度で回転しているように表示される。
【0469】
サブ表示装置43,44の一体物の回転期間であってその回転方向が半時計周り方向である場合(ステップS1708:YES、ステップS1710:NO)、回転時の回転情報の第2更新処理を実行する(ステップS1712)。当該第2更新処理では、各サブ表示装置43,44に表示されるサブ側の右打ち報知画像143の回転速度が第3速度となるようにするための回転情報を、第1サブ表示装置43に対して利用されるサブ側の右打ち画像データ144及び第2サブ表示装置44に対して利用されるサブ側の右打ち画像データ144のそれぞれに適用する回転情報として導出する。当該回転情報が設定された描画リストに従って画像の表示が行われることで、各サブ表示装置43,44のそれぞれにおいてサブ側の右打ち報知画像143が第3速度の回転速度で回転しているように表示される。
【0470】
ステップS1709、ステップS1711及びステップS1712のいずれかの処理を実行した場合、その他のパラメータの設定処理を実行する(ステップS1713)。当該処理では、第1サブ表示装置43に対して利用されるサブ側の右打ち画像データ144に適用する座標情報及び回転情報以外のパラメータ情報を導出するとともに、第2サブ表示装置44に対して利用されるサブ側の右打ち画像データ144に適用する座標情報及び回転情報以外のパラメータ情報を導出する。
【0471】
<右打ち報知画像141,143を表示させるための構成の効果>
第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44において回転動作が行われる。これにより、遊技者に意外性を与えることが可能となり、遊技の興趣向上を図ることが可能となる。この場合に、サブ側の右打ち報知画像143においては連続指示画像143aが環状に配置される。これにより、サブ表示装置43,44が回転動作を行っている状況であってもその報知用の連続指示画像143aの内容を遊技者に認識させることが可能となる。
【0472】
サブ表示装置43,44においてはサブ側の右打ち報知画像143が回転しているように表示される。これにより、サブ表示装置43,44の回転位置がいずれの位置であったとしても所定の表示の向きとなったサブ側の右打ち報知画像143を遊技者に視認させることが可能となる。
【0473】
サブ表示装置43,44における回転動作の動作態様に応じてサブ側の右打ち報知画像143の回転速度が変更されるため、サブ表示装置43,44における回転動作の動作態様がいずれの態様であったとしてもサブ側の右打ち報知画像143の表示内容を遊技者が認識し易い表示内容とすることが可能となる。
【0474】
<回転期間用画像153を表示させるための構成>
次に、各表示装置41,43,44に回転期間用画像153を表示させるための構成について説明する。
【0475】
サブ表示装置43,44は既に説明したとおり変位可能に設けられており、各サブ表示装置43,44が縦方向に並設された第1並設位置と各サブ表示装置43,44が横方向に並設された第2並設位置との間で回転可能となっている。この場合に、各サブ表示装置43,44が第1並設位置から第2並設位置に回転する場合に、メイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれにおいて各サブ表示装置43,44の一体物が回転していることが遊技者にとって分かりづらくなるようにするための回転期間用画像153が表示される。
【0476】
図49(a)~図49(e)は回転期間用画像153を利用した演出の内容を説明するための説明図である。第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の両方が初期位置に配置されている状況において並設位置への移動開始タイミングとなることで、図49(a)及び図49(b)に示すように第1並設位置に向けた各サブ表示装置43,44の移動が開始される。この移動期間においては第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれにてメイン表示装置41と連続性を有するような画像は表示されずに、メイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれに個別に対応する移動期間用画像151が表示される。このように各表示装置41,43,44のそれぞれに個別に対応する移動期間用画像151が表示されることにより、各サブ表示装置43,44が初期位置から第1並設位置に向けて移動していることを遊技者は明確に把握することが可能となる。なお、各サブ表示装置43,44を変位させるための駆動制御は既に説明したとおり振分側MPU73にて実行される。
【0477】
その後、各サブ表示装置43,44が同時に第1並設位置に配置されることで図49(b)に示すように各サブ表示装置43,44が縦方向に並びこれらサブ表示装置43,44によって一連の表示面が形成された状態となる。各サブ表示装置43,44が第1並設位置に配置された状態は並設表示期間に亘って維持される。この並設表示期間においては各サブ表示装置43,44によって形成された一連の表示面において所定のキャラクタ画像といった並設期間用画像152が表示される。並設期間用画像152は第1サブ表示装置43と第2サブ表示装置44との間の境界を跨ぐようにして両サブ表示装置43,44に亘って表示される。なお、メイン表示装置41においてサブ表示装置43,44と対向していない領域においてはサブ表示装置43,44に表示されている並設期間用画像152とは別の並設期間用画像152が表示される。
【0478】
その後、並設表示期間が経過することで各サブ表示装置43,44の一体物が一連の表示面を形成した状態を維持しながら時計周り方向に回転し、それら一体物が同時に第2並設位置に配置される。この回転期間においては、図49(c)及び図49(d)に示すようにメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれにおいて回転期間用画像153が表示される。回転期間用画像153は、メイン表示装置41と第1サブ表示装置43との間の境界を跨ぐようにしてメイン表示装置41及び第1サブ表示装置43の両方に亘って表示されるとともに、メイン表示装置41と第2サブ表示装置44との間の境界を跨ぐようにしてメイン表示装置41及び第2サブ表示装置44の両方に亘って表示される。また、回転期間用画像153は、第1サブ表示装置43と第2サブ表示装置44との間の境界を跨ぐようにして両サブ表示装置43,44の両方に亘って表示される。また、メイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれに亘って表示される回転期間用画像153の表示態様は、各サブ表示装置43,44の一体物の回転位置とは無関係となるような表示態様となっている。具体的には、メイン表示装置41の所定領域と境界を生じさせるサブ表示装置43,44の一体物の外縁部分は当該一体物の回転に伴って変化することとなるが、回転期間における所定のタイミングで上記所定領域とサブ表示装置43,44との両方に亘って表示される画像部分の表示内容が、回転期間におけるその前のタイミングで上記所定領域とサブ表示装置43,44との両方に亘って表示されていた画像部分との間で表示内容に連続性を有するように、回転期間用画像153の表示が行われる。これにより、メイン表示装置41において各サブ表示装置43,44と対向しない領域と各サブ表示装置43,44の表示面とによって一の表示面が形成されるとともに、その一の表示面が固定された面であると遊技者に認識されるような回転期間用画像153が当該一の表示面にて表示される。よって、各サブ表示装置43,44の一体物が回転していることを遊技者に把握しづらくさせることが可能となる。
【0479】
その後、回転期間が経過することで各サブ表示装置43,44が図49(e)に示すように横方向に分離される分離期間となる。分離期間においては第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれにてメイン表示装置41と連続性を有するような画像は表示されずに、メイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれに個別に対応する分離期間用画像154が表示される。このように各表示装置41,43,44のそれぞれに個別に対応する分離期間用画像154が表示されることにより、各サブ表示装置43,44が第2並設位置から分離時位置に向けて移動していることを遊技者に把握させることが可能となる。
【0480】
ここで、既に説明したとおり回転期間においては各サブ表示装置43,44の一体物が回転していることを遊技者に把握しづらくさせることを可能とする回転期間用画像153が各表示装置41,43,44のそれぞれにおいて表示される。そうすると、実際には各サブ表示装置43,44の一体物が第2並設位置に配置されているにも関わらず、当該一体物が第1並設位置に配置されていると遊技者が認識している状況が発生し得る。このような状況において各サブ表示装置43,44が分離時位置に向けて移動を開始すると、遊技者がその動作に意外性を感じるものと思われる。そして、そのような意外性を与えることで画像表示への注目度を高めることが可能となる。
【0481】
以下、移動期間、並設表示期間、回転期間及び分離期間のそれぞれにおいて上記のような画像表示を行うための処理構成について説明する。図50は演出用CPU82にて実行される回転移動表示の設定処理を示すフローチャートである。なお、回転移動表示の設定処理はV割込み処理(図14)におけるステップS506の表示制御用のタスク処理にて実行される。
【0482】
並設位置への移動期間である場合(ステップS1801:YES)、各表示装置41,43,44のそれぞれに移動期間用画像151を表示させるための各種画像データの使用設定を行うとともに、それら各種画像データに適用する各種パラメータ情報を導出する(ステップS1802~ステップS1804)。ここで導出された情報が設定された描画リストに従って描画データが作成されるとともにその描画データに従って画像信号が出力されることにより、各表示装置41,43,44にて移動期間用画像151が表示される。
【0483】
並設表示期間である場合(ステップS1805:YES)、各表示装置41,43,44のそれぞれに並設期間用画像152を表示させるための各種画像データの使用設定を行うとともに、それら各種画像データに適用する各種パラメータ情報を導出する(ステップS1806~ステップS1808)。ここで導出された情報が設定された描画リストに従って描画データが作成されるとともにその描画データに従って画像信号が出力されることにより、各表示装置41,43,44にて並設期間用画像152が表示される。
【0484】
回転期間である場合(ステップS1809:YES)、メイン表示装置41において各サブ表示装置43,44と対向しない領域と各サブ表示装置43,44の表示面とによって形成された一の表示面(以下、集約表示面ともいう)の全体に亘って回転期間用画像153を表示させるための各種画像データの使用設定を行うとともに、それら各種画像データに適用する各種パラメータ情報を導出する(ステップS1810~ステップS1812)。ここで導出された情報が設定された描画リストに従って描画データが作成されるとともにその描画データに従って画像信号が出力されることにより、各表示装置41,43,44にて回転期間用画像153が表示される。
【0485】
ここで、回転期間用画像153を表示させるための画像データ156~158のパチンコ機10設計段階における作成方法について図51の説明図を参照しながら説明する。当該画像データ156~158を作成する場合には、まず回転期間において集約表示面の全体に亘って動画表示を行うための複数の2D画像データ155を作成する。当該複数の2D画像データ155は回転期間に含まれる各更新タイミングに1対1で対応させて作成する。その後、2D画像データ155のそれぞれから、対応する更新タイミングにおけるメイン表示装置41による表示範囲、第1サブ表示装置43による表示範囲及び第2サブ表示装置44による表示範囲のそれぞれに対応する画像データ156~158を切り取る。
【0486】
図49(c)に示す回転期間用画像153を表示するための画像データ156~158の内容について説明すると、図49(c)に示す回転期間用画像153を表示させるための2D画像データ155をまず作成する(図51(a)参照)。この2D画像データ155からメイン表示装置41による表示範囲に対応するデータ範囲を切り取ると、図51(b)に示すようにサブ表示装置43,44に表示される部分についてはブランクデータとなりそれ以外の部分については回転期間用画像153を表示させるための画像データ156が得られる。ブランクデータには黒色といったブランク用の色情報を設定するためのデータが設定される。但し、これに限定されることはなく、2D画像データ155がそのままメイン表示装置41用の画像データ156として用いられる構成としてもよい。この場合、仮にサブ表示装置43,44の駆動機構に故障が発生してサブ表示装置43,44の少なくとも一方が並設位置に配置されない状況が発生したとしても、そのサブ表示装置43,44において本来表示されるべき画像がメイン表示装置41にて表示されることとなる。
【0487】
2D画像データ155から第1サブ表示装置43による表示範囲に対応するデータ範囲を切り取ると、図51(c)に示すように第1サブ表示装置43に回転期間用画像153を表示させるための画像データ157が得られる。また、2D画像データ155から第2サブ表示装置44による表示範囲に対応するデータ範囲を切り取ると、図51(d)に示すように第2サブ表示装置44に回転期間用画像153を表示させるための画像データ158が得られる。
【0488】
上記のように各種画像データ156~158を切り取った後、各種画像データ156~158を使用対象となる表示装置41,43,44に対応するデータ形式に変更する。具体的には、メイン表示装置41の解像度は800×600であるのに対して、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の解像度はいずれも572×180である。したがって、メイン表示装置41に対応する画像データ156については当該メイン表示装置41の解像度に対応するピクセル数に調整され、サブ表示装置43,44に対応する画像データ157,158についてはサブ表示装置43,44の解像度に対応するピクセル数に調整される。
【0489】
さらにまた、メイン表示装置41において回転期間用画像153が3D画像として表示されるのに対して、サブ表示装置43,44においては回転期間用画像153が2D画像として表示される。この場合、メイン表示装置41において回転期間用画像153が表示される場合には上記画像データ156は板状ポリゴンに貼り付けられるテクスチャデータとして用いられる。一方、サブ表示装置43,44において回転期間用画像153が表示される場合には上記画像データ157,158はスプライトデータとして用いられる。したがって、これらデータ形式に対応させるための調整が行われる。
【0490】
上記のような各表示装置41,43,44に対応する画像データ156~158の作成は、回転期間における各更新タイミングのそれぞれに対して行われる。したがって、メモリモジュール83には回転期間用画像153を表示させるための画像データとして、図51(e)の説明図に示すように、メイン表示装置41用の第1画像データ群161、第1サブ表示装置43用の第2画像データ群162、及び第2サブ表示装置44用の第3画像データ群163が記憶されている。これら第1~第3画像データ群161~163にはそれぞれ、回転期間に含まれる更新タイミング数に対応する数分の画像データが含まれている。演出用LSI85は回転期間において各更新タイミングに対応する画像データを第1~第3画像データ群161~163から読み出して使用する。
【0491】
回転移動表示の設定処理(図50)の説明に戻り、分離期間である場合(ステップS1813:YES)、各表示装置41,43,44のそれぞれに分離期間用画像154を表示させるための各種画像データの使用設定を行うとともに、それら各種画像データに適用する各種パラメータ情報を導出する(ステップS1814~ステップS1816)。ここで導出された情報が設定された描画リストに従って描画データが作成されるとともにその描画データに従って画像信号が出力されることにより、各表示装置41,43,44にて分離期間用画像154が表示される。
【0492】
<回転期間用画像153を表示させるための構成の効果>
サブ表示装置43,44が回転動作を行っている回転期間においてはサブ表示装置43,44が回転動作していることが遊技者にとって識別しづらくなるようにするための回転期間用画像153がサブ表示装置43,44にて表示される。これにより、遊技者が気付かないうちにサブ表示装置43,44が回転しているという状況を生じさせることが可能となり、遊技の興趣向上を図ることが可能となる。
【0493】
回転期間用画像153はサブ表示装置43,44の表示面に沿う方向において方向性を持たない画像である。これにより、サブ表示装置43,44が回転動作を行っている状況において当該サブ表示装置43,44に回転期間用画像153を表示させることによってサブ表示装置43,44が回転動作をしていることを遊技者に識別しづらくさせることが可能となる。
【0494】
回転期間用画像153はサブ表示装置43,44の回転動作に追従することなく非回転の表示面にて表示されていると遊技者に認識されるように表示される。これにより、サブ表示装置43,44が回転動作をしていることを遊技者に識別しづらくさせることが可能となる。
【0495】
サブ表示装置43,44が回転動作を行っている状況においては当該サブ表示装置43,44の表示面の周囲にメイン表示装置41の表示面の一部が存在するとともに、その表示面の一部の領域においてはサブ表示装置43,44における回転期間用画像153に対応する画像が表示される。これにより、回転動作を行っているサブ表示装置43,44の周囲において当該サブ表示装置43,44に表示されている回転期間用画像153と関連性を有する画像を表示させることが可能となり、メイン表示装置41及びサブ表示装置43,44において一体的な表示演出を行うことが可能となる。
【0496】
特に、サブ表示装置43,44が回転動作を行っている状況においては当該サブ表示装置43,44の表示面の周囲全体に亘ってメイン表示装置41の表示面が存在している。これにより、サブ表示装置43,44の表示面をメイン表示装置41の表示面における一部の領域であると遊技者に錯覚させることが可能となり、サブ表示装置43,44が回転動作をしていることを遊技者に認識させづらくするような画像表示を行い易くなる。
【0497】
メイン表示装置41の表示面とサブ表示装置43,44の表示面との境界を跨ぐようにしてこれら表示装置41,43,44に連続性を有する画像が表示される。これにより、それら画像に注目している遊技者はサブ表示装置43,44が回転動作をしていることを認識しづらくなる。
【0498】
回転期間が開始されるタイミングと回転期間が終了したタイミングとでサブ表示装置43,44の回転位置が異なっている。この場合、サブ表示装置43,44が回転動作していることを遊技者が認識しづらくされる回転期間用画像153が表示されている状況においてサブ表示装置43,44が回転動作をして当該サブ表示装置43,44の回転位置が異なるものとなる。これにより、気付かないうちにサブ表示装置43,44の回転位置が変更されたと遊技者が認識することが期待され、遊技者に意外性を与えることが可能となる。
【0499】
回転期間の前後においてはサブ表示装置43,44の回転位置を遊技者が認識し易い画像が当該サブ表示装置43,44にて表示され、回転期間においてはサブ表示装置43,44が回転動作をしていることを遊技者が認識しづらい回転期間用画像153が当該サブ表示装置43,44にて表示される。これにより、気付かないうちにサブ表示装置43,44の回転位置が変更されたという印象を遊技者に強く与えることが可能となる。
【0500】
<異常報知画像176を表示させるための構成>
次に、各表示装置41,43,44に異常報知画像176を表示させるための構成について説明する。
【0501】
本パチンコ機10においては異常報知の実行対象となる事象が複数種類存在している。図52は異常報知の実行対象となる事象を説明するための説明図である。異常報知の実行対象となる事象として、図52に示すように磁石検知と、電波検知と、大入賞口異常検知と、断線異常と、遊技球排出異常と、可動体異常と、満タン異常と、振動検知と、扉開放と、枠開放とが存在している。磁石検知とはパチンコ機10に設けられた図示しない磁力検知センサにて磁力を検知する事象のことである。電波検知とはパチンコ機10に設けられた図示しない電波検知センサにて電波を検知する事象のことである。大入賞口異常検知とは開閉実行モードではない状況において特電入賞装置32への遊技球の入球を検知する事象のことである。断線異常とは一般入賞口31、特電入賞装置32、第1作動口33、第2作動口34及びスルーゲート35に設けられた入賞検知センサから接続確認用の信号を主側MPU62にて受信していない事象のことである。遊技球排出異常とは遊技球を払い出すべく払出装置68を駆動制御しているにも関わらずその払出装置68からの遊技球の排出が検知されない事象のことである。可動体異常とは第2作動口34の普電役物34aを開放状態とすべく駆動制御しているにも関わらず普電役物34aが開放状態とならない事象のことである。満タン異常とは下皿56aが遊技球で満タンとなっている事象のことである。振動検知とはパチンコ機10に設けられた図示しない振動検知センサにて振動を検知する事象のことである。扉開放とは遊技機本体12が開放状態となっている事象のことである。枠開放とは前扉枠14が開放状態となっている事象のことである。
【0502】
上記のような事象が発生した場合、表示発光部53にて異常報知用の発光が行われるとともにスピーカ部54から異常報知音が出力される。また、各表示装置41,43,44にて異常報知画像176が表示される。異常報知画像176では当該異常報知の実行契機となった事象の種類に対応した画像が表示され、具体的には当該事象の種類を示す文字が表示される。この場合に、既に説明したとおりサブ表示装置43,44は変位可能に設けられており、サブ表示装置43,44が変位することに伴ってメイン表示装置41においてパチンコ機10前方から視認可能となる範囲が変化する。これに伴ってサブ表示装置43,44が配置されている位置に応じて異常報知画像176の表示態様が異なっている。
【0503】
図53(a)~図53(e)は異常報知画像176の表示態様を説明するための説明図である。サブ表示装置43,44がいずれも初期位置に配置されている状況においては、図53(a)に示すようにメイン表示装置41の表示面は各サブ表示装置43,44と対向している上下の一部の領域を除いてその大部分がパチンコ機10前方から視認可能となっている。したがって、サブ表示装置43,44が初期位置に配置されている状況においては各サブ表示装置43,44と対向している上下の一部の領域を除いた非動作時の表示範囲171が異常報知画像176の表示範囲となる。
【0504】
非動作時の表示範囲171は所定のサイズで表示された異常報知画像176を同時に7個表示することが可能な広さに設定されている。これに対して、既に説明したとおり異常報知の実行対象となる事象は8個以上存在している。この場合、異常報知の実行対象となる事象が同時に8個以上発生すると、そのうちの一部の事象については異常報知画像176を表示することができなくなってしまう。そこで異常報知の実行対象となる事象には図52に示すように優先度が設定されており、その優先度に従って異常報知の実行対象となる事象が選択される構成となっている。
【0505】
優先度は、遊技ホールに多大な不利益を与えてしまう可能性がある不正行為に対応する第1事象グループが最も高く設定されている。第1事象グループには、磁石検知、電波検知及び大入賞口異常検知が含まれる。その次に、遊技の進行を正常に行えなくなってしまう可能性がある第2事象グループの優先度が高く設定されている。第2事象グループには、断線異常、遊技球排出異常、可動体異常及び満タン異常が含まれる。そして、正常通りに遊技が行われている状況であってもメンテナンスなどに際して発生し得る第3事象グループの優先度が最も低く設定されている。第3事象グループには、振動検知、扉開放及び枠開放が含まれる。
【0506】
非動作時の表示範囲171は既に説明したとおり異常報知画像176を同時に7個表示することが可能な広さに設定されているため、第1事象グループに含まれる全ての事象と第2事象グループに含まれる全ての事象とが同時に発生したとしても、それら事象のそれぞれに対応する異常報知画像176を同時に表示することが可能である。その一方、第1事象グループに含まれる全ての事象及び第2事象グループに含まれる全ての事象だけではなく第3事象グループに含まれる事象も同時に発生した場合には、その第3事象グループに含まれる事象に対応する異常報知画像176は表示されない。この場合、仮に第3事象グループに含まれる事象に対応する異常報知画像176が先に表示されていたとしても、その後に第1事象グループに含まれる全ての事象と第2事象グループに含まれる全ての事象とが同時に発生した場合には、それまで実行されていた第3事象グループに含まれる事象に対応する異常報知画像176の表示は中断され、優先度が高い側の事象に対応する異常報知画像176の表示が開始される。これにより、優先度が高い側の事象に対応する異常報知画像176の表示を優先させることが可能となる。
【0507】
また、その後に、第3事象グループに含まれる事象が継続している状況において優先度が高い側の事象の少なくとも一つが解消されてその事象に対応する異常報知画像176の表示が終了された場合には、第3事象グループに含まれる事象に対応する異常報知画像176の表示が開始される。これにより、異常報知画像176の表示領域に余裕がある場合には、その時点で発生している事象に対応する異常報知画像176を表示させることが可能となる。
【0508】
なお、所定の事象が発生した状態が解消されておらずその所定の事象に対応する異常報知画像176が表示されている状況においてその所定の事象が再度発生した場合、その既に行っている異常報知画像176の表示が継続されるだけで、同一の事象に対応する異常報知画像176が複数表示されることはない。また、非動作時の表示範囲171に異常報知画像176が表示される場合、その異常報知画像176は演出用の画像の一部を上書きするようにして表示される。
【0509】
次に、サブ表示装置43,44を変位させる演出が実行される場合について説明する。サブ表示装置43,44を変位させる演出が実行される場合、各サブ表示装置43,44は、初期位置と第1並設位置との間の領域(図53(b)参照)、第1並設位置となる領域(図53(c)参照)、第1並設位置と第2並設位置との間の領域、第2並設位置となる領域(図53(d)参照)、第2並設位置と分離時位置との間の領域、及び分離時位置となる領域(図53(e)参照)に配置される。この場合に、メイン表示装置41においてサブ表示装置43,44と対向し得る領域にて異常報知画像176を表示するとサブ表示装置43,44によって異常報知画像176が隠れてしまうおそれがある。その一方、メイン表示装置41において異常報知画像176が表示される領域をサブ表示装置43,44の位置に応じて細かく切り換えようとすると、異常報知画像176を表示するための処理構成が複雑化してしまう。そこで、サブ表示装置43,44を変位させる演出の実行期間において当該サブ表示装置43,44と常に対向しないメイン表示装置41の複数の表示範囲172~174が異常報知画像176の表示範囲となる。具体的には、メイン表示装置41の左上の隅角部分に設定された動作時の第1表示範囲172と、メイン表示装置41の右上の隅角部分に設定された動作時の第2表示範囲173と、メイン表示装置41の右下の隅角部分に設定された動作時の第3表示範囲174とが設定されている。
【0510】
動作時の第1~第3表示範囲172~174のそれぞれは所定のサイズで表示された異常報知画像176を1個のみ表示することが可能な広さに設定されている。つまり、サブ表示装置43,44を変位させる演出が実行される期間においては、同時に表示することが可能な異常報知画像176の数は3個である。これに対して、既に説明したとおり異常報知の実行対象となる事象は8個以上存在している。したがって、この場合であっても既に説明した優先度に従って異常報知画像176の表示対象となる事象が選択され、その選択された事象について異常報知画像176が表示される。例えば異常報知の実行対象となる事象が4個以上発生している場合には、それら事象のうち優先度が高い3個の事象が選択され、その選択された3個の事象に対応する異常報知画像176が表示される。そして、異常報知画像176の表示対象となっているいずれかの事象が解消されてその事象についての異常報知画像176の表示が終了された場合には、異常報知画像176の表示対象となっていなかった優先度が低い側の事象に対応する異常報知画像176の表示が開始される。
【0511】
ここで、既に説明したとおり第1事象グループに含まれる事象の数は3個である。この数は、動作時の第1~第3表示範囲172~174の数、すなわちサブ表示装置43,44を変位させる演出が実行される期間において表示可能な異常報知画像176の数以下となっている。これにより、優先度が最も高い第1事象グループに含まれる事象に対応する異常報知画像176はその事象がいずれのタイミングで発生したとしても即座に表示させることが可能である。
【0512】
なお、所定の事象が発生した状態が解消されておらずその所定の事象に対応する異常報知画像176が表示されている状況においてその所定の事象が再度発生した場合、その既に行っている異常報知画像176の表示が継続されるだけで、同一の事象に対応する異常報知画像176が複数表示されることはない。また、メイン表示装置41における動作時の第1~第3表示範囲172~174以外の領域においては演出用の画像が表示される。
【0513】
図54(a)~図54(d)はサブ表示装置43,44を変位させる演出が実行される期間における異常報知画像176の表示態様を説明するための説明図である。図54(a)に示すように各サブ表示装置43,44が第1並設位置に配置されている状況において上記事象のいずれか一つである第1異常が発生した場合、図54(b)に示すようにメイン表示装置41における動作時の第1表示範囲172にて第1異常が発生していることを示す異常報知画像176が表示される。また、第1サブ表示装置43においても異常が発生していることを示す共通報知画像175として「異常発生」という文字画像が表示される。この場合、例えば第1サブ表示装置43に共通報知画像175が表示されていることを確認することで何らかの事象が発生していることを把握することができるとともに、さらに動作時の第1表示範囲172を確認することで異常報知の実行対象となっている事象の種類を把握することができる。なお、共通報知画像175はサブ表示装置43,44における演出用の画像の一部を上書きするようにして表示される。
【0514】
また、共通報知画像175が表示されるサブ表示装置43,44の種類及び位置は各サブ表示装置43,44の変位状態に応じて相違する。具体的には、サブ表示装置43,44が初期位置と第1並設位置との間の領域(図53(b)参照)、第1並設位置となる領域(図53(c)参照)、又は第1並設位置と第2並設位置との間の領域に配置されている場合には、第1サブ表示装置43において第2サブ表示装置44との境界側とは反対側の端部寄りの位置に共通報知画像175が表示される。また、サブ表示装置43,44が第2並設位置となる領域(図53(d)参照)、第2並設位置と分離時位置との間の領域、又は分離時位置となる領域(図53(e)参照)に配置されている場合には、第2サブ表示装置44において上側の端部寄りの位置に共通報知画像175が表示される。
【0515】
その後、第1異常が解消されていない状況において上記事象のいずれか一つであって第1異常とは異なる事象である第2異常が発生した場合、図54(c)に示すようにメイン表示装置41における動作時の第2表示範囲173にて第2異常が発生していることを示す異常報知画像176が表示される。また、この状況であっても第1サブ表示装置43においては「異常発生」という共通報知画像175が表示され続けている。この場合、例えば第1サブ表示装置43に共通報知画像175が表示されていることを確認することで何らかの事象が発生していることを把握することができるとともに、さらに動作時の第1表示範囲172及び動作時の第2表示範囲173を確認することで異常報知の実行対象となっている事象の種類を把握することができる。
【0516】
その後、第1異常及び第2異常の両方が解消されていない状況において上記事象のいずれか一つであって第1異常及び第2異常とは異なる事象である第3異常が発生した場合、図54(d)に示すようにメイン表示装置41における動作時の第3表示範囲174にて第3異常が発生していることを示す異常報知画像176が表示される。また、この状況であっても第1サブ表示装置43においては「異常発生」という共通報知画像175が表示され続けている。この場合、例えば第1サブ表示装置43に共通報知画像175が表示されていることを確認することで何らかの事象が発生していることを把握することができるとともに、さらに動作時の第1表示範囲172、動作時の第2表示範囲173及び動作時の第3表示範囲174を確認することで異常報知の実行対象となっている事象の種類を把握することができる。
【0517】
図54(d)に示す状況において例えば第1異常の事象が解消された場合、動作時の第1表示範囲172における第1異常に対応する異常報知画像176の表示が終了される。この場合であっても、動作時の第2表示範囲173における第2異常に対応する異常報知画像176の表示、及び動作時の第3表示範囲174における第3異常に対応する異常報知画像176の表示は継続される。このように異常報知画像176の表示開始順序が先側である動作時の第1表示範囲172において異常報知画像176の表示が終了されたとしても、当該動作時の第1表示範囲172側に異常報知画像176の表示対象領域をシフトするのではなく既に表示対象となっている動作時の第2表示範囲173及び動作時の第3表示範囲174にて異常報知画像176の表示をそのまま継続することで、所定の事象が継続しているか否かの確認作業を行い易くすることが可能となる。
【0518】
また、このように動作時の第2表示範囲173及び動作時の第3表示範囲174にて異常報知画像176が表示されるとともに動作時の第1表示範囲172にて異常報知画像176が表示されていない状況において、新たな事象が発生した場合にはその新たに発生した事象に対応する異常報知画像176が動作時の第1表示範囲172にて表示される。この場合であっても表示が継続される異常報知画像176はそれまで表示されていた表示範囲172~174において表示が継続されることとなる。よって、所定の事象が継続しているか否かの確認作業を行い易くすることが可能となる。
【0519】
また、図54(d)に示す状況において第1異常の事象、第2異常の事象及び第3異常の事象とは異なる事象が発生した場合、その新たに発生した事象の優先度が第1~第3異常のいずれかの事象の優先度よりも高いのであれば、第1~第3異常の事象のうち最も優先度が低い事象に対応する異常報知画像176が表示されている表示範囲172~174において、既に表示されている異常報知画像176が消去されるとともに、新たに発生した事象に対応する異常報知画像176の表示が開始される。この場合であっても表示が継続される異常報知画像176はそれまで表示されていた表示範囲172~174において表示が継続されることとなる。よって、所定の事象が継続しているか否かの確認作業を行い易くすることが可能となる。
【0520】
以下、上記のような異常報知画像176の表示を可能とするための処理構成について説明する。図55は演出用CPU82にて実行される報知用コマンドの対応処理を示すフローチャートである。なお、報知用コマンドの対応処理はV割込み処理(図14)におけるステップS503のコマンド対応処理にて実行される。
【0521】
報知用コマンドの対応処理では振分側MPU73から報知開始コマンドを受信している場合(ステップS1901:YES)、その報知開始コマンドに対応する報知種類データを演出用CPU82のレジスタに記憶する(ステップS1902)。異常報知の実行対象となる事象が発生しているか否かの管理処理は主側MPU62にて実行される。主側MPU62は異常報知の実行対象となる事象が発生した場合にはその事象の種類の情報を含む異常発生コマンドを振分側MPU73に送信する。振分側MPU73は当該異常発生コマンドを受信した場合、当該異常発生コマンドの送信の契機となった事象の種類の情報を含む報知開始コマンドを演出用CPU82に送信する。この報知開始コマンドを受信することで、上記のとおり演出用CPU82は報知種類データを当該演出用CPU82のレジスタに記憶する。なお、同一の期間において複数の事象が同時に発生している場合、それら複数の事象のそれぞれに対応する報知種類データが演出用CPU82のレジスタに記憶されることとなる。また、演出用CPU82のレジスタに既に記憶されている報知種類データに対応する事象と同一の種類の事象に対応する報知開始コマンドを受信した場合には、その事象に対応する報知種類データの新たな記憶は行わない。
【0522】
演出用CPU82のレジスタに報知種類データが1個でも記憶されている場合、V割込み処理(図14)における発光制御用のタスク処理(ステップS504)にて異常報知用の処理が実行される。これにより、演出用CPU82のレジスタに報知種類データが1個でも記憶されている場合には表示発光部53にて異常報知用の発光が継続される。また、演出用CPU82のレジスタに報知種類データが1個でも記憶されている場合、V割込み処理(図14)における音出力制御用のタスク処理(ステップS505)にて異常報知用の処理が実行される。これにより、演出用CPU82のレジスタに報知種類データが1個でも記憶されている場合にはスピーカ部54からの異常報知音の出力が継続される。また、演出用CPU82のレジスタに報知種類データが記憶されている場合、表示装置41,43,44に異常報知画像176を表示するための処理を実行する。この処理内容については後に説明する。
【0523】
報知用コマンドの対応処理では振分側MPU73から報知解除コマンドを受信している場合(ステップS1903:YES)、その報知解除コマンドに対応する報知種類データを演出用CPU82のレジスタから消去する(ステップS1904)。異常報知の実行対象となっている事象が発生している状態が解消されたか否かの管理処理は主側MPU62にて実行される。主側MPU62は異常報知の実行対象となっている事象が発生している状態が解消された場合にはその事象の種類の情報を含む異常解消コマンドを振分側MPU73に送信する。振分側MPU73は当該異常解消コマンドを受信した場合、当該異常解消コマンドの送信の契機となった事象の種類の情報を含む報知解除コマンドを演出用CPU82に送信する。この報知解除コマンドを受信することで、上記のとおり演出用CPU82はその報知解除コマンドに対応する報知種類データを当該演出用CPU82のレジスタから消去する。これにより、その消去された報知種類データに対応する異常報知が全て終了される。
【0524】
なお、主側MPU62にて異常報知の実行対象となっている事象が発生している状態が解消されたか否かを特定する方法は、検知センサによる検知結果を利用して発生の有無が特定される事象であればその検知センサによる検知結果がその事象が発生していないことに対応する検知結果となった場合に、異常報知の実行対象となっている事象が発生している状態が解消されたと特定する方法としてもよく、異常報知の実行対象となっている事象に対応させて設定されている解除操作が行われた場合に、異常報知の実行対象となっている事象が発生している状態が解消されたと特定する方法としてもよく、これら2つの条件のうち前者の条件が成立した後に後者の条件が成立した場合に、異常報知の実行対象となっている事象が発生している状態が解消されたと特定する方法としてもよい。
【0525】
次に、図56のフローチャートを参照しながら、演出用CPU82にて実行される報知用の設定処理について説明する。なお、報知用の設定処理は表示制御用のタスク処理(図15)におけるステップS604の演出用演算処理にて実行される。
【0526】
サブ表示装置43,44を変位させる演出の実行期間ではない場合(ステップS2001:NO)、演出用CPU82のレジスタに報知種類データが記憶されていることを条件として(ステップS2002:YES)、ステップS2003に進む。ステップS2003では、演出用CPU82のレジスタ記憶されている報知種類データの数が8個以上であるか否かを判定する。
【0527】
報知種類データの数が8個未満である場合には(ステップS2003:NO)、全ての報知種類データのそれぞれに対応した個別報知画像データが今回の描画リストの設定対象となるようにするための設定処理を実行する(ステップS2004)。これにより、演出用LSI85への今回の出力対象となる描画リストには、演出用CPU82のレジスタに記憶されている報知種類データのそれぞれに対応する個別報知画像データが描画対象として設定される。
【0528】
演出用LSI85は当該描画リストを受信することで、当該描画リストに設定されている個別報知画像データの全てをVRAM86に事前転送するとともに、その事前転送された個別報知画像データを利用して、現状発生している全ての報知対象の事象のそれぞれに対応する異常報知画像176が非動作時の表示範囲171にて表示されるようにする。この場合、報知対象の事象に設定されている優先度とは関係なく、その事象が発生した順序に従って非動作時の表示範囲171にて異常報知画像176が表示される。
【0529】
報知種類データの数が8個以上である場合には(ステップS2003:YES)、既に説明した優先度の高い側から順に7個の報知種類データを報知対象として抽出する(ステップS2005)。そして、その抽選した7個の報知種類データのそれぞれに対応した個別報知画像データが今回の描画リストの設定対象となるようにするための設定処理を実行する(ステップS2006)。これにより、演出用LSI85への今回の出力対象となる描画リストには、ステップS2005にて抽出された7個の報知種類データのそれぞれに対応する個別報知画像データが描画対象として設定される。
【0530】
演出用LSI85は当該描画リストを受信することで、当該描画リストに設定されている個別報知画像データの全てをVRAM86に事前転送するとともに、その事前転送された個別報知画像データを利用して、ステップS2005にて抽出された7個の報知対象の事象のそれぞれに対応する異常報知画像176が非動作時の表示範囲171にて表示されるようにする。この場合、報知対象の事象に設定されている優先度とは関係なく、その事象が発生した順序に従って非動作時の表示範囲171にて異常報知画像176が表示される。
【0531】
サブ表示装置43,44を変位させる演出の実行期間である場合(ステップS2001:YES)、演出用CPU82のレジスタに報知種類データが記憶されていることを条件として(ステップS2007:YES)、ステップS2008に進む。ステップS2008では、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のいずれかに共通報知画像175を表示させるための共通報知画像データが今回の描画リストの設定対象となるようにするための設定処理を実行する。この場合、既に説明したとおりサブ表示装置43,44の位置に応じて共通報知画像175の表示対象となるサブ表示装置43,44の種類及び位置が異なるように描画リストの情報を設定する。
【0532】
その後、演出用CPU82のレジスタに記憶されている報知種類データの数が4個未満である場合には(ステップS2009:NO)、全ての報知種類データのそれぞれに対応した個別報知画像データが今回の描画リストの設定対象となるようにするための設定処理を実行する(ステップS2010)。これにより、演出用LSI85への今回の出力対象となる描画リストには、演出用CPU82のレジスタに記憶されている報知種類データのそれぞれに対応する個別報知画像データが描画対象として設定される。
【0533】
演出用LSI85は当該描画リストを受信することで、当該描画リストに設定されている共通報知画像データ及び個別報知画像データの全てをVRAM86に事前転送する。そして、その事前転送された共通報知画像データを利用して、現状の変位状態に対応するサブ表示装置43,44における現状の変位状態に対応する位置にて共通報知画像175が表示されるようにする。また、その事前転送された個別報知画像データを利用して、現状発生している全ての報知対象の事象のそれぞれに対応する異常報知画像176が動作時の第1~第3表示範囲172~174にて表示されるようにする。この場合、表示対象となる異常報知画像176の種類が減少又は増加したとしても、その前のタイミングから表示が継続されることとなる異常報知画像176の表示対象となる表示範囲172~174は変更されない。
【0534】
演出用CPU82のレジスタに記憶されている報知種類データの数が4個以上である場合には(ステップS2009:YES)、既に説明した優先度の高い側から順に3個の報知種類データを報知対象として抽出する(ステップS2011)。そして、その抽選した3個の報知種類データのそれぞれに対応した個別報知画像データが今回の描画リストの設定対象となるようにするための設定処理を実行する(ステップS2012)。これにより、演出用LSI85への今回の出力対象となる描画リストには、ステップS2011にて抽出された3個の報知種類データのそれぞれに対応する個別報知画像データが描画対象として設定される。
【0535】
演出用LSI85は当該描画リストを受信することで、当該描画リストに設定されている共通報知画像データ及び個別報知画像データの全てをVRAM86に事前転送する。そして、その事前転送された共通報知画像データを利用して、現状の変位状態に対応するサブ表示装置43,44における現状の変位状態に対応する位置にて共通報知画像175が表示されるようにする。また、その事前転送された個別報知画像データを利用して、ステップS2011にて抽出された3個の報知対象の事象のそれぞれに対応する異常報知画像176が動作時の第1~第3表示範囲172~174にて表示されるようにする。この場合、表示対象となる異常報知画像176の種類が減少又は増加したとしても、その前のタイミングから表示が継続されることとなる異常報知画像176の表示対象となる表示範囲172~174は変更されない。
【0536】
<異常報知画像176を表示させるための構成の効果>
メイン表示装置41の表示面と対向する範囲が広くなる所定対向位置(初期位置以外の位置)にサブ表示装置43,44が配置されている状況であっても、報知対象事象が発生した場合の異常報知画像176がメイン表示装置41において表示される。これにより、何らかの故障によってサブ表示装置43,44が所定対向位置に配置されない状況であったとしてもメイン表示装置41にて異常報知画像176が表示されることとなり、異常報知画像176を遊技者や遊技ホールの管理者に認識させることが可能となる。
【0537】
メイン表示装置41の表示面において変位演出の実行期間の全体に亘ってサブ表示装置43,44と対向することがない領域にて異常報知画像176が表示される。これにより、サブ表示装置43,44の位置に応じて異常報知画像176の表示位置を変更するといった制御を行わなくても、メイン表示装置41に表示される異常報知画像176の視認性を確保することが可能となる。
【0538】
変位演出の実行期間ではメイン表示装置41の表示面において異常報知画像176を表示するための領域が制限される構成において、変位演出の実行期間において表示対象となる異常報知画像176の数が所定数に制限される。これにより、メイン表示装置41の表示面に表示される異常報知画像176のサイズをある程度大きく確保することが可能となる。
【0539】
複数種類の報知対象事象には異常報知画像176の表示対象となる優先度が設定されており、変位演出の実行期間において上記所定数を超える数の報知対象事象が発生した場合、優先度が高い側の報知対象事象に対応する異常報知画像176が優先して表示される。これにより、変位演出の実行期間においてはメイン表示装置41において表示対象となる異常報知画像176の数が所定数に制限される構成であっても、優先度が高い側の報知対象事象に対応する異常報知画像176を表示させることが可能となる。
【0540】
変位演出の実行期間において報知対象事象が発生した場合、サブ表示装置43,44にて共通報知画像175が表示される。これにより、報知対象事象が発生したことを強調することが可能となる。
【0541】
共通報知画像175は報知対象事象の種類に対応しない共通画像である。これにより、サブ表示装置43,44に共通報知画像175を表示させるための処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0542】
報知対象事象が発生した回数が複数回であってもサブ表示装置43,44に共通報知画像175を1個のみ表示させる。これにより、サブ表示装置43,44において共通報知画像175以外の画像が表示される領域を広く確保することが可能となる。
【0543】
<特別動画像データ185を利用して画像表示を行うための構成>
次に、特別動画像データ185を利用して画像表示を行うための構成について説明する。
【0544】
画像データとして既に説明したとおり動画像データが存在している。この動画像データとして、図57の説明図に示すようにメモリモジュール83には、複数種類の通常動画像データ184を含む通常動画像データ群181と、複数種類の特別動画像データ185を含む特別動画像データ群182と、複数種類の付属画像データを含む付属画像データ群183と、が予め記憶されている。
【0545】
図58(a)は通常動画像データ184の内容を説明するための説明図である。通常動画像データ184は、最初のアドレスにファイルデータが設定され、それに続けて各フレームの圧縮データが設定されている。なお、各フレームの圧縮データにはフレームヘッダが付随している。圧縮データは、基準データに相当する1フレーム分のIピクチャデータと、第1の差分データに相当する複数フレーム分のPピクチャデータと、第2の差分データに相当する複数フレーム分のBピクチャデータと、を有している。
【0546】
Iピクチャデータは、復号に際して、当該データ単独で1フレーム分の静止画像データを作成することができるデータである。Pピクチャデータは、復号に際して、1フレーム又は複数フレーム前のIピクチャデータ若しくはPピクチャデータを参照して前方向予測を行うことで、1フレーム分の静止画像データを作成することができるデータである。Bピクチャデータは、復号に際して、1フレーム又は複数フレーム前のIピクチャデータ若しくはPピクチャデータと、1フレーム又は複数フレーム後のIピクチャデータ若しくはPピクチャデータとを参照して双方向予測を行うことで、1フレーム分の静止画像データを作成することができるデータである。
【0547】
通常動画像データ184における圧縮データにおいては、1フレーム目のデータとしてIピクチャデータが設定されている。また、2フレーム目,・・,m―1フレーム目のデータとしてBピクチャデータが設定されている。また、mフレーム目のデータとしてPピクチャデータが設定されている。また、m+1フレーム目,・・,n―1フレーム目のデータとしてBピクチャデータが設定されている。また、nフレーム目のデータとしてPピクチャデータが設定されている。なお、ピクチャデータの配列パターンは上記のものに限定されることはなく任意である。
【0548】
通常動画像データ184に対してデコード処理を実行することにより、当該通常動画像データ184から複数の更新タイミング分のデコード画像データ184a~184d(以下、通常デコード画像データ184a~184dという)がレジスタ93における動画用の展開領域119(図16参照)に作成されることとなる。これら通常デコード画像データ184a~184dは、それら通常デコード画像データ184a~184dにより表示される画像のうち一部の画像の内容が相互に相違する画像データとなる。
【0549】
図58(b)は特別動画像データ185の内容を説明するための説明図である。特別動画像データ185は、最初のアドレスにファイルデータが設定され、それに続けて基準データに相当するIピクチャデータが複数設定されているが、これらIピクチャデータ以外の圧縮データは設定されていない。特別動画像データ185に対してデコード処理を実行することにより、当該特別動画像データ185から複数の更新タイミング分のデコード画像データ185a~185d(以下、特別デコード画像データ185a~185dという)がレジスタ93における動画用の展開領域119(図16参照)に作成されることとなる。これら特別デコード画像データ185a~185dは、それら特別デコード画像データ185a~185dにより表示される画像のうち少なくとも一部の画像の内容が相互に相違する画像データとなっている。
【0550】
特別動画像データ185は、動画像データとして設定可能な最小単位数分のデコード画像データを再生可能とするようにそのデータ量が設定されている。当該最小単位数分のデコード画像データについて具体的には、特別動画像データ185は48個のIピクチャデータが設定されており、当該特別動画像データ185により48個の特別デコード画像データ185a~185dを再生可能となっている。なお、通常動画像データ184には、動画像データとして設定可能な最小単位数分の通常デコード画像データ184a~184dを再生可能とするようにそのデータ量が設定されているものもあれば、動画像データとして設定可能な最小単位数分よりも多い数の通常デコード画像データ184a~184dを作成可能とするようにそのデータ量が設定されているものもある。
【0551】
特別デコード画像データ185a~185dはテクスチャデータとして使用される。メモリモジュール83には特別デコード画像データ185a~185dをテクスチャデータとして適用するための所定オブジェクトデータが予め記憶されている。特別デコード画像データ185a~185dはいずれも同一の所定オブジェクトデータを適用対象とするものであり、特別デコード画像データ185a~185dの連番の順序に従って所定オブジェクトデータへの適用対象となる特別デコード画像データ185a~185dの種類が順次変更される。つまり、特別デコード画像データ185a~185dは、所定オブジェクトデータに対応する個別画像の表示内容を、当該所定オブジェクトデータに適用するテクスチャデータを順次変更することにより、複数の更新タイミングに亘って連続的に変化させるための連番テクスチャデータとして用いられる。例えば、所定オブジェクトデータに対応する個別画像が、人、猫、魚、犬又は動物以外の物を表すキャラクタ画像である場合には、所定オブジェクトデータに適用する特別デコード画像データ185a~185dの種類を当該特別デコード画像データ185a~185dの連番の順序に従って順次変更することで、そのキャラクタ画像の模様や色が複数の更新タイミングに亘って連続的に変化することとなる。また、例えば、所定オブジェクトデータに対応する個別画像が背景画像である場合には、所定オブジェクトデータに適用する特別デコード画像データ185a~185dの種類を当該特別デコード画像データ185a~185dの連番の順序に従って順次変更することで、その背景画像の模様、背景画像の色、背景画像に含まれる個別画像の種類、及び背景画像に含まれる個別画像の表示位置などが複数の更新タイミングに亘って連続的に変化することとなる。
【0552】
上記のように特別動画像データ185が設定されていることにより、連番テクスチャデータを1個の動画像データとしてメモリモジュール83に記憶させておくことが可能となる。動画像データは既に説明したとおりVRAM86の事前転送領域86aに事前転送されるが、動画デコーダ95によりデコード処理が実行されることにより作成されたデコード画像データはレジスタ93における動画用の展開領域119に書き込まれる。デコード画像データはその全ての使用が完了するまで動画用の展開領域119に記憶保持されることとなる。このような構成において連番テクスチャデータを特別動画像データ185として用意することにより、その連番テクスチャデータを利用する場合にはVRAM86の事前転送領域86aに特別動画像データ185が一旦記憶保持されるものの、連番テクスチャデータとして機能する特別デコード画像データ185a~185dは事前転送領域86aではなくレジスタ93における動画用の展開領域119に記憶保持されることとなる。これにより、動画用の展開領域119を連番テクスチャとして利用する特別デコード画像データ185a~185dの読み出し領域として利用することが可能となる。
【0553】
また、特別動画像データ185に含まれている圧縮データはいずれもIピクチャデータでありPピクチャデータ及びBピクチャデータは含まれていない。つまり、デコード後における特別デコード画像データ185a~185dの数と同数のIピクチャデータが設定されており、1個のIピクチャデータから1個の特別デコード画像データ185a~185dが作成されることとなる。これにより、特別動画像データ185をデコード処理することで作成された特別デコード画像データ185a~185dをテクスチャデータとして利用する構成であったとしても、その特別デコード画像データ185a~185dを用いて表示される画像の画質が通常のテクスチャデータを用いる場合よりも低下してしまわないようにすることが可能となる。
【0554】
付属画像データ群183に記憶されている付属画像データは、通常動画像データ群181に含まれる複数の通常動画像データ184及び特別動画像データ群182に含まれる複数の特別動画像データ185のそれぞれに1対1で対応させて設けられている。付属画像データは、対応する動画像データ184,185に対してデコード処理が実行されている期間においてその動画像データ184,185によるデコード画像データ184a~184d,185a~185dに対応する画像を表示するために利用される静止画像データである。具体的には、付属画像データは、対応する複数のデコード画像データ184a~184d,185a~185dにおいて最初の使用順序のデコード画像データに対して画像の内容が連続性を有するように設定されている。例えば特別動画像データ185に対応する付属画像データは、当該特別動画像データ185から作成された特別デコード画像データ185a~185dに対応する所定オブジェクトデータに適用されるテクスチャデータとなっている。
【0555】
付属画像データを利用した画像の表示を行っている期間を利用して動画像データ184,185のデコード処理が実行される様子を、図59のタイムチャートを参照しながら説明する。図59(a)は付属画像データを使用して画像表示が行われる期間を示し、図59(b)は動画像データ184,185のデコード期間を示し、図59(c)はデコード画像データ184a~184d,185a~185dを使用して画像表示が行われる期間を示す。
【0556】
t1のタイミングで、図59(b)に示すように1個の動画像データ184,185のデコード処理を開始するタイミングとなることで、図59(a)に示すようにその1個の動画像データ184,185に対応する付属画像データを利用した画像の表示期間が開始される。その後、当該付属画像データを利用した画像の表示期間における途中のタイミングであるt2のタイミングで、図59(b)に示すように上記1個の動画像データ184,185のデコード処理が完了する。これにより、レジスタ93における動画用の展開領域119にはその1個の動画像データ184,185から作成されたデコード画像データ184a~184d,185a~185dが記憶された状態となる。その後、t3のタイミングで、図59(a)に示すように付属画像データを利用した画像の表示が終了し、図59(c)に示すように上記デコード処理により作成されたデコード画像データ184a~184d,185a~185dを利用した画像の表示期間が開始される。この表示期間は、上記デコード処理により作成されたデコード画像データ184a~184d,185a~185dにおいて最後の順番のデコード画像データを利用した画像の表示が終了するt4のタイミングで終了する。
【0557】
上記のとおり動画像データ184,185に1対1で対応させて付属画像データが設けられており、その付属画像データを利用した画像の表示期間を利用して動画像データ184,185のデコード処理が実行される。これにより、その後にデコード画像データ184a~184d,185a~185dを利用して表示される画像に対して対応する画像が表示されている状況下において動画像データ184,185のデコード処理が実行される。よって、画像の表示の連続性を担保しながら、画像表示の待ち時間を生じさせることなく動画像データ184,185のデコード処理を実行することが可能となる。
【0558】
以下、動画像データ184,185を利用した画像の表示を行うための処理構成について説明する。図60は演出用CPU82にて実行される動画像データの使用設定処理を示すフローチャートである。なお、動画像データの使用設定処理はタスク処理(図15)におけるステップS603の背景用演算処理又はステップS604の演出用演算処理にて実行される。
【0559】
動画像データ184,185の使用期間ではない場合(ステップS2101:NO)、1個の動画像データ184,185のデコード処理を開始するタイミングであるか否かを判定する(ステップS2102)。デコード処理を開始するタイミングである場合(ステップS2102:YES)、今回のデコード処理の対象となる1個の動画像データ184,185を把握するとともに(ステップS2103)、その動画像データ184,185に対応する付属画像データを把握する(ステップS2104)。そして、デコード処理を実行すべきことを示すデコード指定情報が今回の描画リストに設定されるようにする(ステップS2105)。
【0560】
上記ステップS2103~ステップS2105の処理が実行されることにより、今回の描画リストには使用対象の画像データとして1個の動画像データ184,185とそれに対応する付属画像データが設定される。描画リストに動画像データ184,185が設定されている場合、既に説明したとおりその動画像データ184,185がVRAM86の事前転送領域86aに事前転送されるとともに、その事前転送された動画像データ184,185に対して動画デコーダ95によるデコード処理が実行される。但し、今回の描画リストに対応する描画処理においてはその動画像データ184,185及びその動画像データ184,185から作成されたデコード画像データ184a~184d,185a~185dは描画処理の対象とはらなず、その代わりに付属画像データが描画処理の対象となる。
【0561】
ステップS2102にて否定判定をした場合、又はステップS2105の処理を実行した場合、動画像データ184,185及び付属画像データ以外の各種画像データを今回の描画リストへの設定対象として把握する(ステップS2106)。そして、今回の描画リストに設定される各種画像データに適用するパラメータ情報を更新するとともに当該描画リストへの設定対象として把握する(ステップS2107)。
【0562】
ここで、既に説明したとおり描画リストに動画像データ184,185が設定されている場合、演出用LSI85の事前転送制御部94は事前転送処理(図29)におけるステップS1013にて肯定判定をし、その動画像データ184,185のデコード指示を演出用LSI85の動画デコーダ95に対して行う(ステップS1014)。このデコード指示に際しては、VRAM86の事前転送領域86aにおけるデータ格納エリア123において今回のデコード指示の対象となっている動画像データ184,185が格納されているエリアを動画デコーダ95において特定可能とするための情報と、レジスタ93における動画用の展開領域119においてその動画像データ184,185に対するデコード処理により得られるデコード画像データ184a~184d,185a~185dを記憶させるエリアを動画デコーダ95において特定可能とするための情報とを当該動画デコーダ95に提供する。
【0563】
図61は動画デコーダ95にて実行されるデコード処理を示すフローチャートである。デコード処理では、事前転送制御部94により提供された情報に基づき、データ格納エリア123において今回のデコード指示の対象となっている動画像データ184,185が格納されているエリアのアドレスを把握する(ステップS2201)。また、事前転送制御部94により提供された情報に基づき、レジスタ93における動画用の展開領域119においてその動画像データ184,185に対するデコード処理により得られるデコード画像データ184a~184d,185a~185dを記憶させるエリアのアドレスを把握する(ステップS2202)。その後、ステップS2201にて把握したアドレスに対応するデータ格納エリア123から動画像データ184,185を読み出すとともに、当該動画像データ184,185をデコードする。そして、そのデコード結果の各デコード画像データ184a~184d,185a~185dを、ステップS2202にて把握したアドレスの各エリアに書き込む(ステップS2203)。これにより、動画像データ184,185から作成されたデコード画像データ184a~184d,185a~185dがレジスタ93における動画用の展開領域119に展開された状態となる。この場合、その作成されたデコード画像データ184a~184d,185a~185dにおいて最初の順番のデコード画像データは動画用の展開領域119における開始アドレスのエリアに記憶される。そして、その後に続くデコード画像データは当該開始アドレスのエリアに対して連続するエリアに順次記憶される。
【0564】
動画像データの使用設定処理(図60)の説明に戻り、動画像データ184,185の使用期間である場合(ステップS2101:YES)、ワークメモリ84に設けられたフレームカウンタの値に対応したデコード画像データを今回の描画リストへの設定対象として把握する(ステップS2108)。フレームカウンタは、1個の動画像データ184,185にデコード処理を実行することで作成された複数のデコード画像データ184a~184d,185a~185dのうち何番目のデコード画像データを今回の使用対象とするのかを演出用CPU82にて特定するためのカウンタであり、デコード画像データ184a~184d,185a~185dを利用した画像の表示を開始するタイミングにおいて「0」クリアされ、その後に1個のデコード画像データ184a~184d,185a~185dを使用対象として描画リストに設定する度に1加算される。フレームカウンタの値に対応したデコード画像データ184a~184d,185a~185dを描画リストに使用対象として設定する場合、演出用LSI85のレジスタ93における動画用の展開領域119においてフレームカウンタの値に対応するエリアのアドレスをアドレス情報として設定する。これにより、演出用LSI85の2D制御部96及び3D制御部97は、使用対象となるデコード画像データ184a~184d,185a~185dが記憶されているエリアを特定することが可能となり、その特定したエリアからデコード画像データ184a~184d,185a~185dを読み出して描画する。
【0565】
その後、デコード画像データ184a~184d,185a~185d以外の各種画像データを今回の描画リストへの設定対象として把握する(ステップS2109)。また、今回の描画リストに設定される各種画像データに適用するパラメータ情報を更新するとともに当該描画リストへの設定対象として把握する(ステップS2110)。そして、デコード画像データ184a~184d,185a~185dを使用すべきことを示すデコード画像データ184a~184d,185a~185dの使用指示情報が今回の描画リストに設定されるようにする(ステップS2111)。
【0566】
既に説明したとおり事前転送制御部94は演出用CPU82から受信した描画リストに設定されている画像データの事前転送領域86aへの事前転送を行うが、描画リストに使用対象としてデコード画像データ184a~184d,185a~185dが設定されている場合には、そのデコード画像データ184a~184d,185a~185dについてはその時点で既にレジスタ93における動画用の展開領域119に記憶されているため事前転送領域86aへの事前転送を行わない。詳細には、事前転送処理(図29)ではステップS1003にて今回の転送対象データがデコード画像データ184a~184d,185a~185dであるか否かを判定し、今回の転送対象データがデコード画像データ184a~184d,185a~185dであると判定した場合には(ステップS1003:YES)、ステップS1004~ステップS1012に示す事前転送を行うための処理を実行しない。
【0567】
また、既に説明したとおり事前転送制御部94は事前転送領域86aへの事前転送を行った画像データについては、演出用CPU82から受信した描画リストに設定されているアドレス情報の書き換え処理(図30)を実行するが、上記のとおりデコード画像データ184a~184d,185a~185dは事前転送領域86aへの事前転送の対象とならないため、デコード画像データ184a~184d,185a~185dについてはアドレス情報の書き換え処理(図30)を実行しない。詳細には、事前転送処理(図29)ではステップS1003にて今回の転送対象データがデコード画像データ184a~184d,185a~185dであるか否かを判定し、今回の転送対象データがデコード画像データ184a~184d,185a~185dであると判定した場合には(ステップS1003:YES)、ステップS1015に示すアドレス情報の書き換え処理を実行しない。なお、上記のとおりデコード画像データ184a~184d,185a~185dについては演出用CPU82から送信される描画リストにおいて、レジスタ93における動画用の展開領域119にて記憶されているエリアのアドレスがアドレス情報として設定されている。
【0568】
<特別動画像データ185を利用して画像表示を行うための構成の効果>
差分データであるBピクチャデータ及びPピクチャデータを含まずにIピクチャデータを含む特別動画像データ185が設けられていることにより、当該特別動画像データ185にデコード処理を実行することにより作成される特別デコード画像データ185a~185dを、通常動画像データ184にデコード処理を実行することにより作成される通常デコード画像データ184a~184dよりも高画質とすることが可能となる。つまり、本構成によれば、通常の静止画像データと同程度の画質となる画像データを動画像データとして扱うことが可能となる。これにより、通常の静止画像データを読み出す領域を利用しなくても、当該通常の静止画像データと同程度の画質となる画像データを使用することが可能となる。
【0569】
特別動画像データ185はIピクチャデータを複数含む。これにより、特別動画像データ185にデコード処理を実行することで、通常の静止画像データと同程度の画質となる画像データを複数作成することができる。
【0570】
特別動画像データ185にデコード処理を実行することで作成される複数の特別デコード画像データ185a~185dは当該特別動画像データ185において定められている使用順序に従って使用される。これにより、複数の特別デコード画像データ185a~185dを使用する場合に、その使用順序を特別動画像データ185とは別に設定する必要が生じない。よって、特別デコード画像データ185a~185dが通常の静止画像データとしてメモリモジュール83に予め記憶されている構成に比べ、画像データの使用順序を設定するための処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0571】
2D制御部96及び3D制御部97において描画処理が実行されている期間において、これら2D制御部96及び3D制御部97とは別に設けられた動画デコーダ95にて特別動画像データ185のデコード処理が実行される。これにより、2D制御部96及び3D制御部97の処理負荷を増大させないようにしながら、デコード処理が実行されている期間が画像の表示待ち期間とならないようにすることが可能となる。
【0572】
動画像データ184,185に1対1で対応させて付属画像データが設けられており、その付属画像データを利用した画像の表示期間を利用して動画像データ184,185のデコード処理が実行される。これにより、その後にデコード画像データ184a~184d,185a~185dを利用して表示される画像に対して対応する画像が表示されている状況下において動画像データ184,185のデコード処理が実行される。よって、画像の表示の連続性を担保しながら、画像表示の待ち時間を生じさせることなく動画像データ184,185のデコード処理を実行することが可能となる。
【0573】
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態ではサブ表示装置43,44にて3D画像が表示されることはなく2D画像のみが表示される構成としたが、本実施形態ではメイン表示装置41と同様にサブ表示装置43,44にて2D画像及び3D画像の両方が表示され得る構成となっている。以下、当該相違する構成について説明する。なお、上記第1の実施形態と同一の構成については基本的にその説明を省略する。
【0574】
図62は本実施形態におけるサブ表示用の描画領域191を説明するための説明図である。サブ表示用の描画領域191には上記第1の実施形態におけるサブ表示用の描画領域116と同様に、サブ用第1フレーム領域117と、サブ用第2フレーム領域118とが設けられている。また、サブ表示用の描画領域191には、これらフレーム領域117,118以外に、第1サブ表示装置43に2D画像を表示させるための描画データが作成される第1サブ用の2D描画領域192と、第1サブ表示装置43に3D画像を表示させるための描画データが作成される第1サブ用の3D描画領域193と、第2サブ表示装置44に2D画像を表示させるための描画データが作成される第2サブ用の2D描画領域194と、第2サブ表示装置44に3D画像を表示させるための描画データが作成される第2サブ用の3D描画領域195と、が設けられている。
【0575】
サブ用第1フレーム領域117及びサブ用第2フレーム領域118のそれぞれには、第1サブ用の2D描画領域192に作成された描画データと第1サブ用の3D描画領域193に作成された描画データとを合成させることで第1サブ表示装置43に表示させるための1フレーム分の描画データが作成されるとともに、第2サブ用の2D描画領域194に作成された描画データと第2サブ用の3D描画領域195に作成された描画データとを合成させることで第2サブ表示装置44に表示させるための1フレーム分の描画データが作成される。また、上記第1の実施形態と同様に、フレーム領域117,118における横方向の奇数番目の縦ラインに第1サブ表示装置43に対応する描画データが分散させて設定され、フレーム領域117,118における横方向の偶数番目の縦ラインに第2サブ表示装置44に対応する描画データが分散させて設定される。
【0576】
以下、フレーム領域117,118に描画データを作成するための処理構成について説明する。図63は3D制御部97にて実行されるサブ表示用の描画データ合成処理を示すフローチャートである。なお、サブ表示用の描画データ合成処理は3D描画処理(図20)におけるステップS814の描画データ合成処理の一部の処理として実行される。
【0577】
第1サブ表示装置43に対応する描画データを作成する場合(ステップS2301:YES)、まず第1サブ用の3D描画領域193を出力元の領域として設定する(ステップS2302)。その後、レジスタ93に設けられた描画回数カウンタへの設定処理を実行する(ステップS2303)。第1サブ用の3D描画領域193が出力元の領域として設定されている場合、描画回数カウンタは、第1サブ用の3D描画領域193に作成されている描画データについて縦ラインを一単位とした場合にその縦ラインが横方向に何本存在しているのかを3D制御部97にて特定するために利用される。ステップS2303では第1サブ用の3D描画領域193に作成されている描画データの縦ラインの本数に対応する値を描画回数カウンタに設定する。
【0578】
その後、第1サブ用の3D描画領域193において現状の描画回数カウンタの値に対応する縦ラインのデータを抽出する(ステップS2304)。また、描画対象となっているフレーム領域117,118における横方向の奇数番目の縦ラインのうち、描画回数カウンタの現状の値に対応する縦ラインを特定し、その特定したフレーム領域117,118の縦ラインに対して、ステップS2304にて抽出した縦ラインのデータを描画する(ステップS2305)。
【0579】
その後、描画回数カウンタの値を1減算する(ステップS2306)。そして、その1減算後における描画回数カウンタの値が「0」となっているか否かを判定する(ステップS2307)。描画回数カウンタの値が「0」となっていない場合には、描画回数カウンタの新たな値に対応する縦ラインのデータについてステップS2304及びステップS2305の処理を実行する。そして、ステップS2304及びステップS2305の処理が繰り返されることにより、第1サブ用の3D描画領域193に作成されている描画データのフレーム領域117,118への描画が完了する。
【0580】
その後、第1サブ用の2D描画領域192を出力元の領域として設定する(ステップS2308)。そして、レジスタ93に設けられた描画回数カウンタへの設定処理を実行する(ステップS2309)。第1サブ用の2D描画領域192が出力元の領域として設定されている場合、描画回数カウンタは、第1サブ用の2D描画領域192に作成されている描画データについて縦ラインを一単位とした場合にその縦ラインが横方向に何本存在しているのかを3D制御部97にて特定するために利用される。ステップS2309では第1サブ用の2D描画領域192に作成されている描画データの縦ラインの本数に対応する値を描画回数カウンタに設定する。
【0581】
その後、第1サブ用の2D描画領域192において現状の描画回数カウンタの値に対応する縦ラインのデータを抽出する(ステップS2310)。また、描画対象となっているフレーム領域117,118における横方向の奇数番目の縦ラインのうち、描画回数カウンタの現状の値に対応する縦ラインを特定し、その特定したフレーム領域117,118の縦ラインに対して、ステップS2310にて抽出した縦ラインのデータを描画する(ステップS2311)。
【0582】
ここで、フレーム領域117,118のその縦ラインには既に第1サブ用の3D描画領域193に作成されていた描画データの一部が描画されている。したがって、ステップS2311ではステップS2310にて抽出した縦ラインのデータに対して付属させて設定されているαデータに応じて色情報の上書き処理、色情報のブレンド処理及び色情報の非設定のいずれかを実行する。具体的には、αデータが不透過に対応している場合にはステップS2310にて抽出した縦ラインのデータをフレーム領域117,118の描画対象の縦ラインに対してそのまま上書きする。αデータが半透明に対応している場合にはステップS2310にて抽出した縦ラインのデータとフレーム領域117,118の描画対象の縦ラインに設定されているデータとをαデータの値に対応させてブレンドさせる。αデータが完全透過に対応している場合にはステップS2310にて抽出した縦ラインのデータを設定しない。これにより、第1サブ用の3D描画領域193に作成されていた描画データと第1サブ用の2D描画領域192に作成されていた描画データとを重ね合わせた結果の描画データを作成することが可能となる。
【0583】
その後、描画回数カウンタの値を1減算する(ステップS2312)。そして、その1減算後における描画回数カウンタの値が「0」となっているか否かを判定する(ステップS2313)。描画回数カウンタの値が「0」となっていない場合には、描画回数カウンタの新たな値に対応する縦ラインのデータについてステップS2310及びステップS2311の処理を実行する。そして、ステップS2310及びステップS2311の処理が繰り返されることにより、第1サブ用の2D描画領域192に作成されている描画データのフレーム領域117,118への描画が完了する。
【0584】
一方、第2サブ表示装置44に対応する描画データを作成する場合(ステップS2301:NO)、まず第2サブ用の3D描画領域195を出力元の領域として設定する(ステップS2314)。その後、レジスタ93に設けられた描画回数カウンタへの設定処理を実行する(ステップS2315)。第2サブ用の3D描画領域195が出力元の領域として設定されている場合、描画回数カウンタは、第2サブ用の3D描画領域195に作成されている描画データについて縦ラインを一単位とした場合にその縦ラインが横方向に何本存在しているのかを3D制御部97にて特定するために利用される。ステップS2315では第2サブ用の3D描画領域195に作成されている描画データの縦ラインの本数に対応する値を描画回数カウンタに設定する。
【0585】
その後、第2サブ用の3D描画領域195において現状の描画回数カウンタの値に対応する縦ラインのデータを抽出する(ステップS2316)。また、描画対象となっているフレーム領域117,118における横方向の偶数番目の縦ラインのうち、描画回数カウンタの現状の値に対応する縦ラインを特定し、その特定したフレーム領域117,118の縦ラインに対して、ステップS2316にて抽出した縦ラインのデータを描画する(ステップS2317)。
【0586】
その後、描画回数カウンタの値を1減算する(ステップS2318)。そして、その1減算後における描画回数カウンタの値が「0」となっているか否かを判定する(ステップS2319)。描画回数カウンタの値が「0」となっていない場合には、描画回数カウンタの新たな値に対応する縦ラインのデータについてステップS2316及びステップS2317の処理を実行する。そして、ステップS2316及びステップS2317の処理が繰り返されることにより、第2サブ用の3D描画領域195に作成されている描画データのフレーム領域117,118への描画が完了する。
【0587】
その後、第2サブ用の2D描画領域194を出力元の領域として設定する(ステップS2320)。そして、レジスタ93に設けられた描画回数カウンタへの設定処理を実行する(ステップS2321)。第2サブ用の2D描画領域194が出力元の領域として設定されている場合、描画回数カウンタは、第2サブ用の2D描画領域194に作成されている描画データについて縦ラインを一単位とした場合にその縦ラインが横方向に何本存在しているのかを3D制御部97にて特定するために利用される。ステップS2321では第2サブ用の2D描画領域194に作成されている描画データの縦ラインの本数に対応する値を描画回数カウンタに設定する。
【0588】
その後、第2サブ用の2D描画領域194において現状の描画回数カウンタの値に対応する縦ラインのデータを抽出する(ステップS2322)。また、描画対象となっているフレーム領域117,118における横方向の偶数番目の縦ラインのうち、描画回数カウンタの現状の値に対応する縦ラインを特定し、その特定したフレーム領域117,118の縦ラインに対して、ステップS2322にて抽出した縦ラインのデータを描画する(ステップS2323)。
【0589】
ここで、フレーム領域117,118のその縦ラインには既に第2サブ用の3D描画領域195に作成されていた描画データの一部が描画されている。したがって、ステップS2323ではステップS2322にて抽出した縦ラインのデータに対して付属させて設定されているαデータに応じて色情報の上書き処理、色情報のブレンド処理及び色情報の非設定のいずれかを実行する。具体的には、αデータが不透過に対応している場合にはステップS2322にて抽出した縦ラインのデータをフレーム領域117,118の描画対象の縦ラインに対してそのまま上書きする。αデータが半透明に対応している場合にはステップS2322にて抽出した縦ラインのデータとフレーム領域117,118の描画対象の縦ラインに設定されているデータとをαデータの値に対応させてブレンドさせる。αデータが完全透過に対応している場合にはステップS2322にて抽出した縦ラインのデータを設定しない。これにより、第2サブ用の3D描画領域195に作成されていた描画データと第2サブ用の2D描画領域194に作成されていた描画データとを重ね合わせた結果の描画データを作成することが可能となる。
【0590】
その後、描画回数カウンタの値を1減算する(ステップS2324)。そして、その1減算後における描画回数カウンタの値が「0」となっているか否かを判定する(ステップS2325)。描画回数カウンタの値が「0」となっていない場合には、描画回数カウンタの新たな値に対応する縦ラインのデータについてステップS2322及びステップS2323の処理を実行する。そして、ステップS2322及びステップS2323の処理が繰り返されることにより、第2サブ用の2D描画領域194に作成されている描画データのフレーム領域117,118への描画が完了する。
【0591】
以上詳述した本実施形態によれば、サブ表示装置43,44にて2D画像と3D画像とが同時に表示され得る構成であっても、第1サブ表示装置43に画像を表示させるための描画データと第2サブ表示装置44に画像を表示させるための描画データとの両方を一のフレーム領域117,118に同時に作成することが可能となる。
【0592】
<第3の実施形態>
本実施形態では、事前転送制御部94におけるアドレス情報の書き換え処理(第1の実施形態では図30)の処理構成が上記第1の実施形態と相違している。以下、当該相違する構成について説明する。なお、上記第1の実施形態と同一の構成については基本的にその説明を省略する。
【0593】
図64は、本実施形態におけるアドレス情報の書き換え処理を示すフローチャートである。まず今回の転送対象となった画像データを転送したVRAM86のエリアを新たなインデックス領域として設定する(ステップS2401)。なお、本実施形態ではVRAM86にデータ格納エリア123を有する事前転送領域86aは設定されていない。したがって、転送対象の画像データはデータ格納エリア123に転送されるのではなく、今回又はそれよりも前の描画リストにおいて設定されていた画像データであって未だ描画処理の実行対象となっていない画像データが記憶されているエリアとは異なるエリアに転送される。
【0594】
その後、レジスタ93に設けられたインデックステーブルの書き換え処理を実行する(ステップS2402)。インデックステーブルは、インデックス領域を特定するためのインデックス情報と、今回の転送対象となった画像データを転送したVRAM86のエリアのアドレス群との対応関係が設定されたテーブルである。インデックステーブルにはインデックス情報とVRAM86のエリアのアドレス群との対応関係が、VRAM86に事前転送されている画像データの数分設定されている。インデックステーブルの書き換え処理では、ステップS2401にて新たに設定したインデックス領域を特定するためのインデックス情報と、今回の転送対象となった画像データを転送したVRAM86のエリアのアドレス群とを両者を対応付けた状態でインデックステーブルに書き込む。
【0595】
その後、新たに設定したインデックス領域を特定するためのインデックス情報を、描画リストにおける今回の転送対象となった画像データに対応するアドレス情報に上書きする(ステップS2403)。2D制御部96及び3D制御部97は当該画像データを描画する場合、描画リストのアドレス情報から当該画像データに対応するインデックス情報を読み出し、その読み出したインデックス情報を転送コントローラ92に提供する。転送コントローラ92はその提供されたインデックス情報に対応するVRAM86のエリアをインデックステーブルから把握し、そのVRAM86のエリアから読み出した画像データを2D制御部96又は3D制御部97に提供する。
【0596】
以上詳述した本実施形態によれば、インデックス領域の種類とVRAM86のエリアとの関係が必要に応じて変更されることにより、インデックス領域を利用したVRAM86のエリアの集約指定を柔軟に利用することが可能となる。
【0597】
<第4の実施形態>
本実施形態では、演出用CPU82から一の更新タイミングにおける画像を表示させるための描画リストとして複数の2D用描画リスト又は複数の3D用描画リリストが提供された場合、演出用LSI85の事前転送制御部94においてそれら描画リストの統合が行われる。以下当該相違する構成について説明する。なお、上記第1の実施形態と同一の構成については基本的にその説明を省略する。
【0598】
図65は演出用CPU82にて実行される本実施形態における描画リスト出力処理を示すフローチャートである。
【0599】
まず2D用の画像データの集約処理を実行する(ステップS2501)。当該集約処理では、今回の処理回において2D用描画リストへの設定対象となる画像データを全て特定する。その後、ステップS2501にて集約した2D用の画像データの個数が基準個数(例えば10個)以上であるか否かを判定する(ステップS2502)。ステップS2501にて集約した2D用の画像データの個数が基準個数未満である場合には(ステップS2502:NO)、1個の2D用描画リストを作成する(ステップS2503)。当該1個の2D用描画リストには、ステップS2501にて集約した2D用の画像データの全てが設定される。そして、その2D用描画リストにおける最後の順番の画像データについての表示順優先データに付随させて作成完了データを設定する(ステップS2504)。2D制御部96は2D描画処理(図19)において作成完了データが設定されているか否かを判定することで、1フレーム分の画像表示に対応する1個又は2個の2D用描画リストにおいて指定されている全ての画像データについて描画処理が完了したことを特定する。
【0600】
一方、ステップS2501にて集約した2D用の画像データの個数が基準個数以上である場合には(ステップS2502:YES)、2個の2D用描画リストを作成する(ステップS2505)。この場合、ステップS2501にて集約した2D用の画像データは書き込み順序の連続性を担保しながら2個の2D用描画リストに分散させて設定される。これら2個の2D用描画リストはいずれも画像データの個数が基準個数未満となる。そして、これら2個の2D用描画リストのうち2D制御部96において先に描画処理の実行対象となる2D用描画リストに統合指示情報を設定する(ステップS2506)。具体的には、当該2D用描画リストにおける最後の順番の画像データについての表示順優先データに付随させて統合指示情報を設定する。統合指示情報は、演出用LSI85の事前転送制御部94において事前転送処理の対象となった連続する2個の描画リストを1個の描画リストに統合することを当該事前転送制御部94に指示するための情報である。その後、これら2個の2D用描画リストのうち2D制御部96において後に描画処理の実行対象となる2D用描画リストに作成完了データを設定する(ステップS2507)。具体的には、当該2D用描画リストにおける最後の順番の画像データについての表示順優先データに付随させて作成完了データを設定する。
【0601】
描画リスト出力処理では、ステップS2504又はステップS2507の処理を実行した場合、3D用の画像データの集約処理を実行する(ステップS2508)。当該集約処理では、今回の処理回において3D用描画リストへの設定対象となる画像データを全て特定する。その後、ステップS2508にて集約した3D用の画像データの個数が基準個数(例えば10個)以上であるか否かを判定する(ステップS2509)。ステップS2508にて集約した3D用の画像データの個数が基準個数未満である場合には(ステップS2509:NO)、1個の3D用描画リストを作成する(ステップS2510)。当該1個の3D用描画リストには、ステップS2508にて集約した3D用の画像データの全てが設定される。そして、その3D用描画リストにおける最後の順番の画像データについての表示順優先データに付随させて作成完了データを設定する(ステップS2511)。3D制御部97は3D描画処理(図20)において作成完了データが設定されているか否かを判定することで、1フレーム分の画像表示に対応する1個又は2個の3D用描画リストにおいて指定されている全ての画像データについて描画処理が完了したことを特定する。
【0602】
一方、ステップS2508にて集約した3D用の画像データの個数が基準個数以上である場合には(ステップS2509:YES)、2個の3D用描画リストを作成する(ステップS2512)。この場合、ステップS2508にて集約した3D用の画像データは書き込み順序の連続性を担保しながら2個の3D用描画リストに分散させて設定される。これら2個の3D用描画リストはいずれも画像データの個数が基準個数未満となる。そして、これら2個の3D用描画リストのうち3D制御部97において先に描画処理の実行対象となる3D用描画リストに統合指示情報を設定する(ステップS2513)。具体的には、当該3D用描画リストにおける最後の順番の画像データについての表示順優先データに付随させて統合指示情報を設定する。その後、これら2個の3D用描画リストのうち3D制御部97において後に描画処理の実行対象となる3D用描画リストに作成完了データを設定する(ステップS2514)。具体的には、当該3D用描画リストにおける最後の順番の画像データについての表示順優先データに付随させて作成完了データを設定する。
【0603】
描画リスト出力処理では、ステップS2511又はステップS2514の処理を実行した場合、その他の処理を実行する(ステップS2515)。その他の処理では、上記第1の実施形態における描画リスト出力処理(図27)のステップS919~ステップS921の処理を実行する。なお、ステップS2501の前に、上記第1の実施形態における描画リスト出力処理(図27)のステップS901~ステップS906の処理が実行される構成としてもよい。
【0604】
図66は事前転送制御部94にて実行される本実施形態における事前転送処理を示すフローチャートである。
【0605】
まずその他の処理を実行する(ステップS2601)。その他の処理では、上記第1の実施形態における事前転送処理(図29)のステップS1001~ステップS1015の処理を実行する。その後、今回の処理回で1個の描画リストについての事前転送が完了していることを条件として(ステップS2602:YES)、今回の描画リストに統合指示情報が設定されているか否かを判定する(ステップS2603)。統合指示情報が設定されている場合(ステップS2603:YES)、レジスタ93における転送前用の格納領域121において今回事前転送が完了した描画リストに対して次の順番に設定されている描画リストを事前転送処理の実行対象として読み出す(ステップS2604)。その後、レジスタ93に設けられた統合フラグに「1」をセットする(ステップS2605)。
【0606】
一方、今回の描画リストに統合指示情報が設定されていない場合(ステップS2603:NO)、レジスタ93の統合フラグに「1」がセットされていることを条件として(ステップS2606:YES)、統合処理を実行する(ステップS2607)。統合処理では、統合指示情報が設定されていた描画リストと今回事前転送が完了した描画リストとを1個の描画リストとして統合する。この場合、各描画リストに設定されていた画像データは書き込み順序の連続性を担保しながら1個の描画リストに集約される。その後、レジスタ93の統合フラグを「0」クリアする(ステップS2608)。
【0607】
ステップS2606にて否定判定をした場合、又はステップS2608の処理を実行した場合、事前転送の完了処理を実行する(ステップS2609)。事前転送の完了処理では、今回事前転送が完了した描画リストが統合処理(ステップS2607)の対象となっていない場合にはその描画リストをレジスタ93における転送後用の格納領域122において今回の格納対象の格納領域122a~122t(図23参照)に格納する。一方、今回事前転送が完了した描画リストが統合処理(ステップS2607)の対象となっている場合には統合処理後の1個の描画リストをレジスタ93における転送後用の格納領域122において今回の格納対象の格納領域122a~122t(図23参照)に格納する。
【0608】
以上詳述した本実施形態によれば、一の更新タイミングの画像を表示させるために複数の2D用描画リスト又は複数の3D用描画リストが演出用CPU82から演出用LSI85に提供された場合、演出用LSI85の事前転送制御部94においてそれら複数の2D用描画リスト又は複数の3D用描画リストが1個の描画リストに統合される。これにより、2D制御部96又は3D制御部97において描画リストに従った描画処理を実行する場合に複数の2D用描画リスト又は複数の3D用描画リストを参照する必要がなくなる。
【0609】
また、上記のような描画リストの統合は、事前転送制御部94において複数の2D用描画リスト又は複数の3D用描画リストについての画像データの事前転送処理が完了した場合に実行される。これにより、画像データを事前転送する契機を複数の2D用描画リスト又は複数の3D用描画リストを統合する契機として兼用することが可能となる。
【0610】
なお、統合処理の実行対象となる描画リストの数は2個に限定されることはなく、1フレーム分の画像を表示させるために3個以上の2D用描画リスト又は3個以上の3D用描画リストが演出用CPU82から供給されるのであれば3個であってもよい。また、1フレーム分の画像を表示させるために演出用CPU82から提供される2D用描画リストと3D用描画リストとが統合処理の実行対象となる構成としてもよい。
【0611】
<第5の実施形態>
本実施形態では、メイン表示装置41にて実行される表示演出の内容が上記第1の実施形態と異なっている。以下、この相違している内容について説明する。なお、上記第1の実施形態と同一の構成については基本的にその説明を省略する。
【0612】
<表示モードに対応する表示演出>
まず表示モードに対応する表示演出の内容について説明する。表示モードとは、開閉実行モードが実行されていない状況における遊技回用の演出の実行待機中及び遊技回用の演出の実行中である通常表示状況におけるメイン表示装置41の表示内容を決定付けるモードのことであり、本実施形態では第1表示モードと第2表示モードとの2種類が設定されている。通常表示状況では、メイン表示装置41において背景画像201,205が表示されるとともにその手前にキャラクタ画像202,206が表示され、さらにその手前に装飾図柄203,207が表示される。第1表示モードと第2表示モードとでは、これら背景画像201,205、キャラクタ画像202,206及び装飾図柄203,207の種類が相違している。なお、これに限定されることはなく上記各種画像に加えて、例えばリーチ演出の種類が第1表示モードと第2表示モードとで相違している構成としてもよく、開閉実行モードにおける表示演出の種類が第1表示モードと第2表示モードとで相違している構成としてもよい。
【0613】
以下、第1表示モードにおける表示内容について説明する。図67(a)及び図67(b)は複数存在している表示モードの一種の第1表示モードにおけるメイン表示装置41の表示内容を説明するための説明図である。
【0614】
図67(a)及び図67(b)に示すように第1表示モードではメイン表示装置41において、複数の建物がメイン表示装置41の奥行方向に並ぶように表示される第1背景画像201が表示され、その手前に第1キャラクタ画像202が表示され、その手前に3個の第1装飾図柄203が横方向に並べて表示される。開閉実行モードが実行されていない状況における遊技回用の演出の実行待機中には図67(a)に示すように、第1背景画像201、第1キャラクタ画像202及び3個の第1装飾図柄203の全てが停止表示される。
【0615】
一方、遊技回用の演出の実行中には図67(b)に示すように、第1キャラクタ画像202がメイン表示装置41の手前側に向けて移動しているかのような動画表示が、第1背景画像201及び第1キャラクタ画像202のそれぞれにて行われる。また、3個の第1装飾図柄203のそれぞれにおいて表示対象となる表示図柄の種類が順次変更されるように、これら3個の第1装飾図柄203が縦方向に回転表示される。この場合、遊技回用の演出の開始に際しては3個の第1装飾図柄203の回転表示が同時に開始され、左の第1装飾図柄203→右の第1装飾図柄203→中央の第1装飾図柄203の順序でこれら第1装飾図柄203の回転表示が停止される。リーチ演出が発生する遊技回では、左の第1装飾図柄203及び右の第1装飾図柄203の回転表示が終了された場合に、左の第1装飾図柄203及び右の第1装飾図柄203のそれぞれにおいて同一種類の表示図柄が表示された状態となる。また、通常大当たり結果又は15R確変大当たり結果となる遊技回では、3個の第1装飾図柄203の回転表示が終了された場合に、左の第1装飾図柄203、中央の第1装飾図柄203及び右の第1装飾図柄203のそれぞれにおいて同一種類の表示図柄が表示された状態となる。また、明示2R確変大当たり結果となる遊技回では、同一種類の表示図柄とは異なる所定の組合せの表示図柄が停止表示されるように3個の第1装飾図柄203の回転表示が終了される。なお、各第1装飾図柄203の表示領域を装飾図柄表示領域とみなすことができ、この場合には複数の装飾図柄表示領域が横方向に並設されていることとなる。
【0616】
第1装飾図柄203として表示される表示図柄の内容について説明する。図68(a)~図68(l)は第1装飾図柄203の表示図柄を説明するための説明図である。第1装飾図柄203として表示される表示図柄は、「0」、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」、「A」及び「源」の12種類である。つまり、第1装飾図柄203として表示される表示図柄には連番となる数字図柄と、アルファベットの文字図柄と、漢字の文字図柄とが含まれている。第1装飾図柄203の回転表示が行われる場合、左、中央及び右のいずれであっても、「0」→「1」→「2」→「3」→「4」→「5」→「6」→「7」→「8」→「9」→「A」→「源」という予め定められた順序に従って表示図柄が順次変更され、「源」の次は「0」が再度表示対象となり上記順序による表示図柄の順次変更が繰り返される。ちなみに、通常大当たり結果となる遊技回では、いずれかの偶数の数字による同一の表示図柄が3個の第1装飾図柄203のそれぞれにおいて停止表示され、15R確変大当たり結果となる遊技回では、いずれかの奇数の数字、「A」又は「源」による同一の表示図柄が3個の第1装飾図柄203のそれぞれにおいて停止表示され、明示2R確変大当たり結果となる遊技回では、上記所定の組合せの表示図柄として、左から「3」、「4」、「1」の表示図柄が各第1装飾図柄203において停止表示される。
【0617】
次に、第2表示モードにおける表示内容について説明する。図69(a)及び図69(b)は複数存在している表示モードの一種の第2表示モードにおけるメイン表示装置41の表示内容を説明するための説明図である。
【0618】
図69(a)及び図69(b)に示すように第2表示モードではメイン表示装置41において、海辺の景色が表示される第2背景画像205が表示され、その手前に第2キャラクタ画像206が表示され、その手前に3個の第2装飾図柄207が横方向に並べて表示される。第2背景画像205は第1背景画像201とは表示内容が異なっており、第2キャラクタ画像206は第1キャラクタ画像202とは表示内容が異なっており、第2装飾図柄207は第1装飾図柄203とは表示内容が異なっている。開閉実行モードが実行されていない状況における遊技回用の演出の実行待機中には図69(a)に示すように、第2背景画像205、第2キャラクタ画像206及び3個の第2装飾図柄207の全てが停止表示される。
【0619】
一方、遊技回用の演出の実行中には図69(b)に示すように、第2キャラクタ画像206がメイン表示装置41の手前側に向けて移動しているかのような動画表示が、第2背景画像205及び第2キャラクタ画像206のそれぞれにて行われる。また、3個の第2装飾図柄207のそれぞれにおいて表示対象となる表示図柄の種類が順次変更されるように、これら3個の第2装飾図柄207が横方向に回転表示される。この場合、遊技回用の演出の開始に際しては3個の第2装飾図柄207の回転表示が同時に開始され、左の第2装飾図柄207→右の第2装飾図柄207→中央の第2装飾図柄207の順序でこれら第2装飾図柄207の回転表示が停止される。リーチ演出が発生する遊技回では、左の第2装飾図柄207及び右の第2装飾図柄207の回転表示が終了された場合に、左の第2装飾図柄207及び右の第2装飾図柄207のそれぞれにおいて同一種類の表示図柄が表示された状態となる。また、通常大当たり結果又は15R確変大当たり結果となる遊技回では、3個の第2装飾図柄207の回転表示が終了された場合に、左の第2装飾図柄207、中央の第2装飾図柄207及び右の第2装飾図柄207のそれぞれにおいて同一種類の表示図柄が表示された状態となる。また、明示2R確変大当たり結果となる遊技回では、同一種類の表示図柄とは異なる所定の組合せの表示図柄が停止表示されるように3個の第2装飾図柄207の回転表示が終了される。なお、各第2装飾図柄207の表示領域を装飾図柄表示領域とみなすことができ、この場合には複数の装飾図柄表示領域が横方向に並設されていることとなる。
【0620】
第2装飾図柄207として表示される表示図柄の内容について説明する。図70(a)~図70(i)は第2装飾図柄207の表示図柄を説明するための説明図である。第2装飾図柄207として表示される表示図柄は、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」及び「9」の9種類である。つまり、第2装飾図柄207として表示される表示図柄には連番となる数字図柄のみが設定されている。第2装飾図柄207の回転表示が行われる場合、左、中央及び右のいずれであっても、「1」→「2」→「3」→「4」→「5」→「6」→「7」→「8」→「9」という予め定められた順序に従って表示図柄が順次変更され、「9」の次は「1」が再度表示対象となり上記順序による表示図柄の順次変更が繰り返される。ちなみに、通常大当たり結果となる遊技回では、いずれかの偶数の数字による同一の表示図柄が3個の第2装飾図柄207のそれぞれにおいて停止表示され、15R確変大当たり結果となる遊技回では、いずれかの奇数の数字による同一の表示図柄が3個の第2装飾図柄207のそれぞれにおいて停止表示され、明示2R確変大当たり結果となる遊技回では、上記所定の組合せの表示図柄として、左から「3」、「4」、「1」の表示図柄が各第2装飾図柄207において停止表示される。
【0621】
表示モードの切り換えは、前扉枠14の下側膨出部56に設けられた演出用ボタン57が操作されることにより行われる(図1参照)。具体的には、遊技回用の演出及び開閉実行モードの両方が実行されていない状況において演出用ボタン57が操作された場合、その時点における表示モードが第1表示モードであれば第2表示モードに変更され、その時点における表示モードが第2表示モードであれば第1表示モードに変更される。そして、当該状況において演出用ボタン57が操作される度に、次の順番の設定対象の表示モードに変更される。遊技回用の演出が実行されている状況又は開閉実行モードが実行されている状況において演出用ボタン57が操作されたとしても表示モードの変更は行われない。
【0622】
なお、これに限定されることはなく遊技回用の演出が実行されている状況であっても演出用ボタン57が操作された場合に表示モードが変更される構成としてもよい。この場合、例えば各表示モードにおいて3個の装飾図柄203,207の全てにおいて回転表示が実行されていることを条件として演出用ボタン57の操作に対する表示モードの切り換えが行われる構成としてもよい。また、開閉実行モードが実行されている状況であっても演出用ボタン57が操作された場合に表示モードが変更される構成としてもよい。この場合、開閉実行モードが開始される前の表示モードと当該開閉実行モードが終了した後の表示モードとが異なる状況が生じ得る。
【0623】
ここで、既に説明したとおり第1表示モードの第1装飾図柄203として表示される表示図柄の種類が12種類であるのに対して、第2表示モードの第2装飾図柄207として表示される表示図柄の種類は9種類である。このように各表示モードの装飾図柄203,207として表示される表示図柄の種類が相違していることにより、各表示モードの表示態様を顕著に相違させることが可能となる。
【0624】
また、既に説明したとおり第1装飾図柄203として表示される表示図柄は「0」、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」、「A」及び「源」であるのに対して、第2装飾図柄207として表示される表示図柄は「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」及び「9」である。そうすると、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」及び「9」の種類の表示図柄については、表示態様は相違するものの遊技者に認識される識別情報としては各表示モード間で共通するのに対して、「0」、「A」及び「源」の種類の表示図柄については第1表示モードのみに存在し第2表示モードにおいては対応する表示図柄が存在しない種類の識別情報の表示図柄となる。これにより、第1表示モードでは第2表示モードにおいては表示されないような種類の識別情報の表示図柄を表示対象とすることが可能となる一方、第2表示モードでは表示図柄の種類を少な目にすることが可能となり、この点からも各表示モードの表示態様を顕著に相違させることが可能となる。
【0625】
但し、上記のように第2装飾図柄207の表示図柄に含まれない種類の識別情報の表示図柄が第1装飾図柄203に含まれている構成の場合、第1表示モードから第2表示モードへの切り換えが発生した場合に表示させる第2装飾図柄207の表示図柄について問題が生じる。つまり、仮に第1装飾図柄203と第2装飾図柄207とで表示図柄の識別情報の種類が相互に完全に対応している場合には、表示モードの切り換えを行う場合には切り換え前の表示モードにおいて表示されていた表示図柄と同一の種類の識別情報となる表示図柄を切り換え後の表示モードにおいて表示させることで切り換えの前後における表示図柄の識別情報の種類についてずれが生じない。これに対して、上記のように第2表示モードでは存在しない識別情報の表示図柄(以下、非共通図柄ともいう)が第1表示モードでは存在している構成においては、その非共通図柄が表示されている状況において第1表示モードから第2表示モードの切り換えが発生した場合、第2表示モードへの切り換え後においてその非共通図柄に対応する図柄が存在しないこととなる。この場合に、第2表示モードへの切り換え後の表示図柄が、不規則に選択されたり、遊技者にとって理解しづらい法則性で選択されたりすると、見た目上好ましくないだけではなく、遊技者が混乱してしまうおそれがある。
【0626】
このような事情において本実施形態では、表示モードの切り換えが行われた場合には表示モードの切り換え前に表示されていた表示図柄の種類に関係なく、切り換え時対応の表示図柄の組合せが表示されることとなる。当該切り換え時対応の表示図柄の組合せは、いずれかの大当たり結果となった場合に停止表示される表示図柄の組合せとは異なっているとともに、リーチ図柄の組合せとも異なっている。さらには切り換え時対応の表示図柄の組合せを構成する各表示図柄は、第1表示モードと第2表示モードとで共通して存在する識別情報の表示図柄となっている。
【0627】
図71(a)及び図71(b)は第1表示モードから第2表示モードに切り換えられた場合における切り換え時対応の表示図柄の組合せの内容を説明するための説明図である。図71(a)に示すように第1表示モードにて左から「5」、「A」、「源」の表示図柄が停止表示されている状況において演出用ボタン57が手動操作されて第2表示モードに切り換えられた場合、図71(b)に示すように表示図柄の組合せが左から「1」、「2」、「3」の表示図柄の組合せに変更される。この表示図柄の組合せが切り換え時対応の表示図柄の組合せである。この場合、切り換え前における第1表示モードにおいて表示されていた表示図柄として「5」の識別情報の表示図柄が存在していたとしても、第2表示モードへの切り換え後においてこの「5」の識別情報の表示図柄は表示されることなく、上記のような切り換え時対応の表示図柄の組合せが表示される。そして、この切り換え時対応の表示図柄の組合せは常に一定となっている。つまり、例えば切り換え前における第1表示モードにて表示されている全ての表示図柄が第2表示モードにおいても存在する図柄であったとしても、第2表示モードへの切り換え後においては上記切り換え時対応の表示図柄の組合せが表示されることとなる。これにより、切り換え時対応の表示図柄の組合せが表示モードの切り換えに際して表示される組合せであることを遊技者に認識させ易くなる。
【0628】
図72(a)及び図72(b)は第2表示モードから第1表示モードに切り換えられた場合における切り換え時対応の表示図柄の組合せの内容を説明するための説明図である。図72(a)に示すように第2表示モードにて左から「9」、「1」、「6」の表示図柄が停止表示されている状況において演出用ボタン57が手動操作されて第1表示モードに切り換えられた場合、図72(b)に示すように表示図柄の組合せが左から「1」、「2」、「3」の表示図柄の組合せに変更される。つまり、第2表示モードから第1表示モードに切り換えられる場合における切り換え時対応の表示図柄の組合せは、第1表示モードから第2表示モードに切り換えられる場合における切り換え時対応の表示図柄の組合せと同一である。この点からも、上記切り換え時対応の表示図柄の組合せが表示モードの切り換えに際して表示される組合せであることを遊技者に認識させ易くなる。
【0629】
次に、表示モードの切り換え直後において表示モードの切り換え前に最後に発生した遊技回用の演出における表示図柄の種類を遊技者又は遊技ホールの管理者に認識可能とさせる表示内容について説明する。
【0630】
図67及び図69に示すように、メイン表示装置41の表示面における右端の中央部分には共通表示部211が設定されている。共通表示部211が表示されている位置は第1表示モード及び第2表示モードのいずれであっても同じ位置となっている。共通表示部211は各表示モードにおいて同時に表示される装飾図柄203,207の数と同一数の単位表示部211a,211b,211cを有している。単位表示部211a,211b,211cは縦方向に並設されている。そして、上段の単位表示部211aが左の装飾図柄203,207に対応しており、中段の単位表示部211bが中央の装飾図柄203,207に対応しており、下段の単位表示部211cが右の装飾図柄203,207に対応している。上記のように単位表示部211a,211b,211cと装飾図柄203,207とを一定の対応関係となるように配列することで、単位表示部211a,211b,211cと装飾図柄203,207との対応関係を明確なものとすることが可能となる。
【0631】
その一方、単位表示部211a,211b,211cの配列方向と装飾図柄203,207の配列方向とは異なっている。これにより、共通表示部211の各単位表示部211a,211b,211cが装飾図柄203,207に対応していることへの遊技者の意識が高くなり過ぎないようにすることが可能となり、装飾図柄203,207に遊技者を注目させることが可能となる。また、共通表示部211の表示領域は3個の装飾図柄203,207の表示領域よりも狭く設定されており、より詳細には共通表示部211の表示領域は1個の装飾図柄203,207の表示領域よりも狭く設定されている。この点からも共通表示部211への遊技者の意識が高くなり過ぎないようにすることが可能となり、結果的に装飾図柄203,207に遊技者を注目させることが可能となる。さらにまた、装飾図柄203,207は基本的にメイン表示装置41の横方向の全体に亘って表示されるのに対して、共通表示部211はメイン表示装置41の縁部分に表示される。この点からも共通表示部211への遊技者の意識が高くなり過ぎないようにすることが可能となり、結果的に装飾図柄203,207に遊技者を注目させることが可能となる。
【0632】
次に、共通表示部211の各単位表示部211a,211b,211cにおいて変動表示される共通表示図柄の内容について説明する。図73は共通表示図柄の内容を説明するための説明図である。
【0633】
各単位表示部211a,211b,211cに表示される共通表示図柄は、「0」、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」、「A」及び「源」の12種類である。これら共通表示図柄は、図73に示すように、第1表示モードの第1装飾図柄203における表示図柄と1対1で対応している。一方、第2表示モードの第2装飾図柄207における表示図柄は「1」~「9」の9種類であるため、当該第2装飾図柄207の表示図柄と1対1で対応するように共通表示図柄が存在していることとなるものの、共通表示図柄には第2装飾図柄207の表示図柄と対応しない図柄も含まれることとなる。
【0634】
共通表示部211の各単位表示部211a,211b,211cでは装飾図柄203,207において表示図柄の回転表示が開始される場合に共通表示図柄の変動表示が同時に開始され、装飾図柄203,207において表示図柄の回転表示が停止される場合に共通表示図柄の変動表示が同時に停止される。つまり、装飾図柄203,207における回転表示は左→右→中央の順序で停止されるのに対して、各単位表示部211a,211b,211cにおける共通表示図柄の変動表示は3個同時に停止される。そして、共通表示図柄の変動表示が3個同時に停止されるタイミングは、中央の装飾図柄203,207における表示図柄の回転表示が停止されるタイミング以降のタイミングとなっている。これにより、装飾図柄203,207において停止結果が表示される前に共通表示部211において停止結果が表示されてしまわないようにすることが可能となり、装飾図柄203,207への遊技者の注目度を高めることが可能となる。
【0635】
共通表示部211の各単位表示部211a,211b,211cにおける共通表示図柄の変動表示は第1表示モード及び第2表示モードのいずれであっても共通の態様で行われる。当該共通の態様について具体的には、「0」→「1」→「2」→「3」→「4」→「5」→「6」→「7」→「8」→「9」→「□」→「△」という予め定められた順序に従って共通表示図柄が順次変更され、「△」の次は「0」が再度表示対象となり上記順序による共通表示図柄の順次変更が繰り返される。
【0636】
上記のとおり第1装飾図柄203の表示図柄と共通表示図柄とは1対1で対応している。そして、第1表示モードにおいて遊技回用の演出が終了する場合には、共通表示部211における上段の単位表示部211aには左の第1装飾図柄203に停止表示される表示図柄と1対1で対応する共通表示図柄が停止表示され、共通表示部211における中段の単位表示部211bには中央の第1装飾図柄203に停止表示される表示図柄と1対1で対応する共通表示図柄が停止表示され、共通表示部211における下段の単位表示部211cには右の第1装飾図柄203に停止表示される表示図柄と1対1で対応する共通表示図柄が停止表示される。例えば図67(a)では第1装飾図柄203として左から「1」、「2」、「3」が停止表示されているのに対して、共通表示部211における上段の単位表示部211aには「1」が停止表示され、中段の単位表示部211bには「2」が停止表示され、下段の単位表示部211cには「3」が停止表示されている。この場合、第1表示モードにおいては全ての種類の共通表示図柄が単位表示部211a,211b,211cへの停止表示対象となる。
【0637】
一方、上記のとおり第2装飾図柄207の表示図柄と1対1で対応するように共通表示図柄が存在しているものの、共通表示図柄には第2装飾図柄207の表示図柄と対応しない図柄も含まれる。そして、第2表示モードにおいて遊技回用の演出が終了する場合には、共通表示部211における上段の単位表示部211aには左の第2装飾図柄207に停止表示される表示図柄と1対1で対応する共通表示図柄が停止表示され、共通表示部211における中段の単位表示部211bには中央の第2装飾図柄207に停止表示される表示図柄と1対1で対応する共通表示図柄が停止表示され、共通表示部211における下段の単位表示部211cには右の第2装飾図柄207に停止表示される表示図柄と1対1で対応する共通表示図柄が停止表示される。例えば図69(a)では第2装飾図柄207として左から「1」、「2」、「3」が停止表示されているのに対して、共通表示部211における上段の単位表示部211aには「1」が停止表示され、中段の単位表示部211bには「2」が停止表示され、下段の単位表示部211cには「3」が停止表示されている。この場合、第2表示モードにおいては各共通表示図柄のうち第2装飾図柄207の表示図柄と対応しない図柄は単位表示部211a,211b,211cへの停止表示対象とならない。つまり、第2表示モードにおいては全ての種類の共通表示図柄が各単位表示部211a,211b,211cにおける変動表示の対象となるものの、共通表示図柄のうち第2装飾図柄207の表示図柄と対応しない図柄は単位表示部211a,211b,211cへの停止表示対象とならない。
【0638】
図74は第2表示モードにおいて上段の単位表示部211a及び左の第2装飾図柄207を表示制御するために演出用CPU82にて参照されるデータテーブルの一例を説明するための説明図である。
【0639】
当該データテーブルには、連番の情報として設定されてポインタ情報が設定されているとともに、各ポインタ情報に対応させて共通表示図柄の内容を決定付けるデータと第2装飾図柄207として表示される表示図柄の内容を決定付けるデータとの組合せが設定されている。そして、メイン表示装置41における画像の更新タイミングとなる度にその時点で参照対象となっているポインタ情報に対応する各データが参照されて共通表示図柄及び第2装飾図柄207の表示制御が実行される。この場合に、第2装飾図柄207では、最初は表示対象となっている表示図柄の種類を遊技者が認識しづらい又は認識不可となる高速表示が行われ、その後に表示対象となっている表示図柄の種類を遊技者が認識し易い速度による定速表示が行われ、最終的に「5」の表示図柄が停止表示され、その状態が所定期間に亘って継続される。なお、このような表示態様は他の第2装飾図柄207についても同様であるとともに、第1装飾図柄203についても同様である。
【0640】
一方、共通表示図柄では、最初から表示対象となっている図柄の種類を遊技者が認識し易い速度による定速表示が行われる。この場合、表示対象となる共通表示図柄には第2装飾図柄207の表示図柄と対応しない共通表示図柄も含まれている。その後、最終的に第2装飾図柄207において停止表示される「5」の表示図柄と1対1で対応するとともに識別情報が同一の「5」の共通表示図柄が停止表示され、その状態が上記所定期間に亘って継続される。共通表示図柄において「5」の図柄の停止表示が開始されるタイミングはポインタ情報が「p」のタイミングであり、このタイミングは第2装飾図柄207において「5」の表示図柄の停止表示が開始されるタイミングと同一である。また、共通表示図柄において「5」の図柄の停止表示が確実に保持される期間はポインタ情報が「p」のタイミングから「q」のタイミングまでの期間であり、この期間は第2装飾図柄207において「5」の表示図柄の停止表示が確実に保持される期間と同一である。上記のように第2表示モードにおいて共通表示図柄の変動表示が行われることにより、共通表示図柄が変動表示している状況における表示図柄の数を第1表示モードの場合と共通化させながら、第2表示モードにおける共通表示図柄の停止結果を第2装飾図柄207の停止結果と対応させることが可能となる。
【0641】
共通表示部211は第1表示モードから第2表示モードに変更される場合、及び第2表示モードから第1表示モードに変更される場合のいずれであってもその表示が維持される。この表示モードの変更に際して共通表示部211の表示が維持される様子について図71及び図72を再度参照しながら説明する。
【0642】
まず図71(a)及び図71(b)を参照しながら第1表示モードから第2表示モードに切り換えられる場合について説明する。図71(a)に示すように第1表示モードにて第1装飾図柄203として左から「5」、「A」、「源」が停止表示されているとともに共通表示部211に上から「5」、「□」、「△」が停止表示されている状況において演出用ボタン57が操作されることにより、図71(b)に示すように第2表示モードとなる。この場合、既に説明したとおり第2装飾図柄207は左から「1」、「2」、「3」の切り換え時対応の表示図柄の組合せとなる。一方、共通表示部211においては上から「5」、「□」、「△」が停止表示された状態が維持される。これにより、第1表示モードから第2表示モードに切り換えられた場合であっても、切り換え前の第1表示モードにおいて最後に実行された遊技回用の演出における第1装飾図柄203の停止結果がいずれの停止結果であったのかを共通表示部211を目視するだけで把握することが可能となる。なお、共通表示部211の表示内容は第2表示モードから再度、第1表示モードに変更された場合にも維持される。
【0643】
また、第1表示モードから第2表示モードに切り換わる場合、第1背景画像201、第1キャラクタ画像202、第1装飾図柄203及び共通表示部211が表示されている状態から、共通表示部211の表示領域を除いた表示領域の全体が一旦黒色表示された後に、第2背景画像205、第2キャラクタ画像206、第2装飾図柄207及び共通表示部211が表示されている状態となる。これにより、表示モードの切り換えに際して共通表示部211が非表示となってしまう状況を生じさせないようにすることが可能となり、共通表示部211が表示モードの種類に関係なく表示され続ける画像であることを遊技者又は遊技ホールの管理者が明確に把握することが可能となる。
【0644】
次に、図72(a)及び図72(b)を参照しながら第2表示モードから第1表示モードに切り換えられる場合について説明する。図72(a)に示すように第2表示モードにて第2装飾図柄207として左から「9」、「1」、「6」が停止表示されているとともに共通表示部211に上から「9」、「1」、「6」が停止表示されている状況において演出用ボタン57が操作されることにより、図72(b)に示すように第1表示モードとなる。この場合、既に説明したとおり第1装飾図柄203は左から「1」、「2」、「3」の切り換え時対応の表示図柄の組合せとなる。一方、共通表示部211においては上から「9」、「1」、「6」が停止表示された状態が維持される。これにより、第2表示モードから第1表示モードに切り換えられた場合であっても、切り換え前の第2表示モードにおいて最後に実行された遊技回用の演出における第2装飾図柄207の停止結果がいずれの停止結果であったのかを共通表示部211を目視するだけで把握することが可能となる。なお、共通表示部211の表示内容は第1表示モードから再度、第2表示モードに変更された場合にも維持される。
【0645】
また、第2表示モードから第1表示モードに切り換わる場合、第2背景画像205、第2キャラクタ画像206、第2装飾図柄207及び共通表示部211が表示されている状態から、共通表示部211の表示領域を除いた表示領域の全体が一旦黒色表示された後に、第1背景画像201、第1キャラクタ画像202、第1装飾図柄203及び共通表示部211が表示されている状態となる。これにより、表示モードの切り換えに際して共通表示部211が非表示となってしまう状況を生じさせないようにすることが可能となり、共通表示部211が表示モードの種類に関係なく表示され続ける画像であることを遊技者又は遊技ホールの管理者が明確に把握することが可能となる。
【0646】
上記のとおり表示モードの切り換わりに際して共通表示部211の表示は維持されるが、当該共通表示部211の表示は各サブ表示装置43,44の移動に際しても維持されるとともに各サブ表示装置43,44の変位に際して隠れてしまわない構成となっている。この構成について図75(a)及び図75(b)を参照しながら説明する。図75(a)はメイン表示装置41の前方に各サブ表示装置43,44が配置される様子を説明するための説明図であり、図75(b)は各サブ表示装置43,44の移動範囲と共通表示部211の表示位置との関係を説明するための説明図である。
【0647】
上記第1の実施形態と同様に本実施形態であってもメイン表示装置41とは別に第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44を備えている。これらサブ表示装置43,44は上記第1の実施形態と同様にスライド移動及び回転移動のそれぞれを可能とするように設けられており、移動範囲212には図75(a)に示すようにメイン表示装置41の前方に各サブ表示装置43,44が配置される位置が含まれている。この場合に、各サブ表示装置43,44のメイン表示装置41の前方における移動範囲212は図75(b)において斜線を付した範囲となっている。この移動範囲212には図75(b)に示すように共通表示部211が含まれていない。これにより、各サブ表示装置43,44の移動に際して、これらサブ表示装置43,44により共通表示部211が隠れてしまうという事象が発生しない。よって、各サブ表示装置43,44がメイン表示装置41の前方を移動する状況であっても、共通表示部211を目視確認することが可能となる。
【0648】
共通表示部211はリーチ演出に際して装飾図柄203,207が縮小表示される場合であっても表示が維持される。この表示が維持される様子について図76(a)の説明図を参照しながら説明する。図76(a)に示すように所定のリーチ演出が発生する場合にはメイン表示装置41において装飾図柄203,207が隅角部分にて縮小表示されるとともに、それまで装飾図柄203,207が表示されていた領域を利用してリーチ演出用画像213が表示される。この場合に、共通表示部211はその表示が維持される。また、共通表示部211が表示される位置が変更されることはなく、さらに共通表示部211の表示サイズも変更されない。これにより、上記のようなリーチ演出が実行される場合であっても共通表示部211を目視確認することが可能となる。また、共通表示部211の表示位置及び表示サイズが変更されないことによって、共通表示部211の視認性を確保することが可能となる。
【0649】
一方、共通表示部211は開閉実行モードにおいて非表示状態となる。共通表示部211が開閉実行モードにおいて非表示状態となる様子について図77のタイムチャートを参照しながら説明する。図77(a)は遊技回の実行期間を示し、図77(b)は第1表示モードに設定されている期間を示し、図77(c)は第2表示モードに設定されている期間を示し、図77(d)は開閉実行モードの実行期間を示し、図77(e)は共通表示部211の表示期間を示し、図77(f)は第1装飾図柄203の表示期間を示し、図77(g)は第2装飾図柄207の表示期間を示す。
【0650】
図77(b)に示すように第1表示モードに設定されている状況において、t1のタイミングからt2のタイミングに亘って図77(a)に示すように遊技回用の演出が実行される。この場合、図77(f)に示すように第1装飾図柄203が回転表示される。また、図77(e)に示すように共通表示部211の表示は継続されるとともに、t1のタイミング~t2のタイミングに亘っては共通表示部211において共通表示図柄の変動表示が実行される。
【0651】
その後、上記遊技回用の演出が終了した後のタイミングであるt3のタイミング、t4のタイミング及びt5のタイミングのそれぞれにおいて演出用ボタン57が操作されることにより、図77(b)及び図77(c)に示すようにt3のタイミングでは第1表示モードから第2表示モードに切り換えられ、t4のタイミングでは第2表示モードから第1表示モードに切り換えられ、t5のタイミングでは第1表示モードから第2表示モードに切り換えられる。またこれら表示モードの切り換えに応じて、図77(f)及び図77(g)に示すようにt3のタイミングでは第1装飾図柄203から第2装飾図柄207に表示対象が切り換えられ、t4のタイミングでは第2装飾図柄207から第1装飾図柄203に表示対象が切り換えられ、t5のタイミングでは第1装飾図柄203から第2装飾図柄207に表示対象が切り換えられる。また、これら表示モードの切り換えに際しても、図77(e)に示すように共通表示部211の表示は継続される。
【0652】
その後、図77(c)に示すように第2表示モードに設定されている状況において、t6のタイミングからt7のタイミングに亘って図77(a)に示すように遊技回用の演出が実行される。この場合、図77(g)に示すように第2装飾図柄207が回転表示される。また、図77(e)に示すように共通表示部211の表示は継続されるとともに、t6のタイミング~t7のタイミングに亘って共通表示部211において共通表示図柄の変動表示が実行される。
【0653】
当該遊技回用の演出は大当たり結果の発生に対応している。したがって、今回の遊技回用の演出が終了したタイミングであるt7のタイミングで、図77(d)に示すように開閉実行モードが開始される。当該開閉実行モードにおいて特電入賞装置32の最初の開放が開始されるタイミングよりも前のタイミング、より詳細には開閉実行モードが開始されたタイミングであるt7のタイミングで、図77(e)に示すように共通表示部211の表示が一旦終了される。また、当該t7のタイミングで、図77(g)に示すように第2装飾図柄207の表示も一旦終了される。
【0654】
このように共通表示部211及び第2装飾図柄207の表示が一旦終了された様子を図76(b)の説明図に示す。図76(b)に示すようにメイン表示装置41では共通表示部211及び第2装飾図柄207が非表示状態となっており、その代わりに、メイン表示装置41の全体を利用して開閉実行モード用画像214が表示されている。これにより、開閉実行モード用画像214に対する遊技者の注目度を高めることが可能となる。
【0655】
その後、t8のタイミングで図77(d)に示すように開閉実行モードが終了する。当該t8のタイミングで図77(e)に示すように共通表示部211の表示が再開される。また、当該t8のタイミングで、図77(g)に示すように第2装飾図柄207の表示も再開される。この場合、共通表示部211では開閉実行モードが開始される前に表示されていた共通表示図柄の表示が再開される。つまり、今回の大当たり結果の発生に対応する停止結果の表示が再開される。同様に、第2装飾図柄207では開閉実行モードが開始される前に表示されていた表示図柄の表示が再開される。つまり、今回の大当たり結果の発生に対応する停止結果の表示が再開される。
【0656】
次に、以上のような装飾図柄203,207及び共通表示部211の表示を可能とするための処理構成について説明する。図78は演出用CPU82にて実行される図柄用演算処理を示すフローチャートである。なお、図柄用演算処理は表示制御用のタスク処理(図15)におけるステップS605にて実行される。
【0657】
遊技回用の演出の実行中である場合には(ステップS2701:YES)、今回の遊技回用の演出の開始時にメモリモジュール83からワークメモリ84に読み出したデータテーブルを利用して共通表示部211における共通表示図柄の更新タイミングであるか否かを判定する(ステップS2702)。当該データテーブルは、共通表示部211の単位表示部211a,211b,211cの数と同数読み出されている。また、第1表示モードである場合には第1表示モードに対応するデータテーブルが読み出されており、第2表示モードである場合には第2表示モードに対応するデータテーブルが読み出されている。また、これらデータテーブルは、今回の遊技回の変動表示時間に対応している。
【0658】
いずれかのデータテーブルにおいて更新タイミングである場合にステップS2702にて肯定判定をする。共通表示図柄の更新タイミングである場合(ステップS2702:YES)、更新タイミングに対応するデータテーブルを参照することで更新先の共通表示図柄の種類に対応するデータを設定する(ステップS2703)。また、その共通表示図柄を表示させるための各種パラメータに対応するデータを、上記データテーブルを参照することで設定する(ステップS2704)。これら設定されたデータは今回の画像の更新に対応する描画リストに設定される。これにより、ステップS2704にて設定された各種パラメータが適用された状態で、ステップS2703にて設定された種類の共通表示図柄が共通表示部211にて表示されることとなる。
【0659】
ステップS2702にて否定判定をした場合、又はステップS2704の処理を実行した場合、上記データテーブルを利用して装飾図柄203,207における表示図柄の更新タイミングであるか否かを判定する(ステップS2705)。装飾図柄203,207における表示図柄の更新タイミングである場合(ステップS2705:YES)、更新タイミングに対応するデータテーブルを参照することで更新先の表示図柄の種類に対応するデータを設定する(ステップS2706)。また、その表示図柄を表示させるための各種パラメータに対応するデータを、上記データテーブルを参照することで設定する(ステップS2707)。これら設定されたデータは今回の画像の更新に対応する描画リストに設定される。これにより、ステップS2707にて設定された各種パラメータが適用された状態で、ステップS2706にて設定された種類の表示図柄が装飾図柄203,207として表示されることとなる。
【0660】
ステップS2701にて否定判定をした場合、開閉実行モードではない状況において演出用ボタン57が手動操作されたことを条件として(ステップS2708:YES)、表示モードフラグの切換処理を実行する(ステップS2709)。当該切換処理では、ワークメモリ84に設けられた表示モードフラグの内容を切り換え先の表示モードに対応する内容に変更する。表示モードフラグの値が「0」である状況が第1表示モードに対応しているとともに表示モードフラグの値が「1」である状況が第2表示モードに対応しており、表示モードフラグの値が「0」である状況で上記切換処理を実行する場合には当該表示モードフラグの値を「1」に切り換え、表示モードフラグの値が「1」である状況で上記切換処理を実行する場合には当該表示モードフラグの値を「0」に切り換える。演出用CPU82は表示モードフラグを参照することで現状の表示モードを把握し、その把握した表示モードに対応する画像がメイン表示装置41にて表示されるように演出用LSI85に描画リストを出力する。
【0661】
表示モードフラグの切換処理を実行した後は、変更時の装飾図柄の設定処理を実行する(ステップS2710)。当該設定処理では、表示モードの切り換え後における装飾図柄203,207として切り換え時対応の表示図柄の組合せが表示されるようにするためのデータを設定する。このデータは今回の画像の更新に対応する描画リストに設定される。これにより、切り換え時対応の表示図柄の組合せが、切り換え後における表示モードの装飾図柄203,207として表示されることとなる。
【0662】
ステップS2708にて否定判定をした場合、又はステップS2710の処理を実行した場合、開閉実行モードの開始タイミングであるか否かを判定する(ステップS2711)。開閉実行モードの開始タイミングである場合(ステップS2711:YES)、ワークメモリ84に設けられた共通表示図柄フラグを「0」クリアする(ステップS2712)。共通表示図柄フラグは、共通表示部211を表示状態及び非表示状態のいずれにするのかを演出用CPU82にて特定するためのフラグである。共通表示図柄フラグが「0」である場合には共通表示部211を非表示状態とするための描画リストが演出用LSI85に提供され、共通表示図柄フラグが「1」である場合には共通表示部211を表示状態とするための描画リストが演出用LSI85に提供される。
【0663】
その後、共通表示図柄の記憶処理を実行する(ステップS2713)。当該記憶処理では共通表示部211の各単位表示部211a,211b,211cに表示されている共通表示図柄の種類に対応するデータをワークメモリ84に書き込む。共通表示部211の表示を再開する場合には当該データを参照することにより、共通表示部211の表示を一旦終了させる直前の状況において各単位表示部211a,211b,211cに表示されていた共通表示図柄の種類を演出用CPU82にて把握することが可能となる。
【0664】
その後、ワークメモリ84に設けられた装飾図柄フラグを「0」クリアする(ステップS2714)。装飾図柄フラグは、装飾図柄203,207を表示状態及び非表示状態のいずれにするのかを演出用CPU82にて特定するためのフラグである。装飾図柄フラグが「0」である場合には装飾図柄203,207を非表示状態とするための描画リストが演出用LSI85に提供され、装飾図柄フラグが「1」である場合には装飾図柄203,207を表示状態とするための描画リストが演出用LSI85に提供される。
【0665】
その後、装飾図柄の記憶処理を実行する(ステップS2715)。当該記憶処理では装飾図柄203,207として表示されている表示図柄の種類に対応するデータをワークメモリ84に書き込む。装飾図柄203,207の表示を再開する場合には当該データを参照することにより、装飾図柄203,207の表示を一旦終了させる直前の状況において装飾図柄203,207として表示されていた表示図柄の種類を演出用CPU82にて把握することが可能となる。
【0666】
ステップS2711にて否定判定をした場合、又はステップS2715の処理を実行した場合、開閉実行モードの終了タイミングであるか否かを判定する(ステップS2716)。開閉実行モードの終了タイミングである場合(ステップS2716:YES)、ワークメモリ84の共通表示図柄フラグに「1」をセットする(ステップS2717)。また、共通表示図柄の読み出し処理を実行する(ステップS2718)。当該読み出し処理では、ステップS2713にてワークメモリ84に記憶した共通表示部211における各単位表示部211a,211b,211cの共通表示図柄の種類に対応するデータを読み出す。また、ワークメモリ84の装飾図柄フラグに「1」をセットする(ステップS2719)。また、装飾図柄の読み出し処理を実行する(ステップS2720)。当該読み出し処理では、現状の表示モードフラグの値、及びステップS2715にてワークメモリ84に記憶した装飾図柄203,207の表示図柄の種類に対応するデータを読み出す。これら処理が実行されることにより開閉実行モードが開始される直前に表示されていた種類の共通表示図柄及び装飾図柄203,207の表示を再開させるための描画リストが演出用LSI85に提供される。これにより、開閉実行モードが開始される前に表示されていた種類の共通表示図柄の共通表示部211における表示が再開されるとともに、開閉実行モードが開始される前に設定されていた表示モードの装飾図柄203,207であって開閉実行モードが開始される前に表示されていた種類の表示図柄の表示が再開される。
【0667】
上記構成によれば、メイン表示装置41における表示モードとして少なくとも第1表示モードと第2表示モードとが存在していることにより表示態様の多様化が図られ、遊技の興趣向上を図ることが可能となる。また、第1表示モードと第2表示モードとで装飾図柄203,207の表示態様が変更される構成であることにより、装飾図柄203,207に注目している遊技者に表示モードの変更に対して興味を持たせることが可能となる。この場合に、メイン表示装置41には共通表示部211が設定されており、当該共通表示部211においては表示モードの変更直後において当該表示モードの変更直前における装飾図柄203,207の表示態様に対応する共通表示図柄が表示される。これにより、表示モードが変更された場合、その変更直後において共通表示部211を目視することで表示モードが変更される前における装飾図柄203,207の表示態様を把握することが可能となる。よって、遊技者や遊技ホールの管理者などは表示モードの変更が発生した場合において共通表示部211を目視することで、表示モードの変更前における装飾図柄203,207の表示態様を簡単に把握することが可能となる。
【0668】
共通表示部211は装飾図柄203,207が表示されるメイン表示装置41において表示される。これにより、共通表示部211の視認性を高めることが可能となるとともに共通表示図柄と装飾図柄203,207との対応関係を把握し易くなる。
【0669】
共通表示部211の表示領域は装飾図柄203,207の表示領域よりも狭く設定されている。これにより、演出としての役割が大きい装飾図柄203,207を共通表示部211よりも目立たせることが可能となる。
【0670】
共通表示部211の表示領域はメイン表示装置41の表示面において装飾図柄203,207の表示領域よりも周縁部側に存在している。これにより、演出としての役割が大きい装飾図柄203,207を共通表示部211よりも目立たせることが可能となる。
【0671】
メイン表示装置41において共通表示部211が表示される位置は表示モードの変更前後において変更されない。これにより、遊技者や遊技ホールの管理者が共通表示部211を把握し易くなる。
【0672】
装飾図柄203,207において表示図柄の回転表示が開始されてから当該回転表示が終了されるまでは共通表示部211において共通表示図柄の変動表示が行われる。これにより、仮に遊技回の途中で装飾図柄203,207の表示図柄の回転表示を仮停止させる演出が発生したとしても、共通表示部211において共通表示図柄の変動表示が行われているか否かを確認することで当該遊技回の途中であるか否かを把握することが可能となる。また、装飾図柄203,207の回転表示が終了する場合には当該装飾図柄203,207の停止態様だけではなく共通表示図柄の停止態様も大当たり抽選処理の結果に対応したものとなる。これにより、共通表示図柄を確認することで大当たり抽選処理の結果を把握することが可能となる。
【0673】
第1装飾図柄203及び第2装飾図柄207に表示態様は相互に相違するものの識別情報が共通する図柄が存在している構成において、その共通する図柄に対応する共通表示図柄は第1表示モード及び第2表示モードにおいて共通している。これにより、共通表示図柄の種類数を抑えることが可能となる。また、識別情報が共通する所定の装飾図柄203,207に対して共通表示図柄の共通化が図られていることにより、上記のように共通表示図柄の種類数を抑えたとしても共通表示図柄がいずれの識別情報の装飾図柄203,207に対応しているのかを明確なものとすることが可能となる。
【0674】
第1装飾図柄203における「0」、「A」及び「源」の表示図柄と同一の識別情報を有する表示図柄が第2装飾図柄207には存在していない。これにより、第1表示モードと第2表示モードとで装飾図柄203,207の表示態様を顕著に相違させることが可能となる。この場合に、第1装飾図柄203と第2装飾図柄207とで識別情報が共通する表示図柄に対応する共通表示図柄だけではなく、識別情報が共通しない表示図柄に対応する共通表示図柄も存在している。これにより、装飾図柄203,207としていずれの表示図柄が表示されている状況で表示モードの変更が発生したとしても、その表示対象となっている装飾図柄203,207の表示図柄に対応する共通表示図柄を表示させることが可能となる。
【0675】
対応する第2装飾図柄207が存在しない共通表示図柄も当該第2表示モードにおいて変動表示の対象となる。これにより、第1表示モードと第2表示モードとで変動表示対象となる共通表示図柄の種類数を共通させることが可能となり、第1表示モードと第2表示モードとで共通表示図柄の変動表示態様を共通化させることが可能となる。その一方、第2表示モードにおいては、対応する第2装飾図柄207の表示図柄が存在しない共通表示図柄が変動表示後の停止対象とならない。これにより、第2表示モードにおける変動表示後の共通表示図柄の停止態様を第2装飾図柄207の停止態様に対応させることが可能となる。
【0676】
第1装飾図柄203が停止表示されている状況で第1表示モードから第2表示モードに変更された場合には「0」、「A」及び「源」の表示図柄を含まない切り換え時対応の表示図柄の組合せが表示対象となる。これにより、第1表示モードから第2表示モードへの変更が発生したことを第2装飾図柄207の表示態様から明確に把握させることが可能となる。
【0677】
また、第1表示モードから第2表示モードに変更される場合だけではなく、第2表示モードから第1表示モードに変更される場合にも、装飾図柄203,207の表示態様が切り換え時対応の表示図柄の組合せに変更される。これにより、表示モードが変更されたことを装飾図柄203,207の表示態様から明確に把握することが可能となる。
【0678】
上記のように切り換え時対応の表示図柄の組合せが表示される構成において、第1表示モードから第2表示モードへの変更に際して共通表示部211における共通表示図柄の表示態様はそのまま維持される。これにより、第2表示モードに変更されて第2装飾図柄207において切り換え時対応の表示図柄の組合せが表示されたとしても表示モードの変更直前における第1装飾図柄203の表示態様を共通表示部211の内容から把握することが可能となる。
【0679】
切り換え時対応の表示図柄の組合せは、第1装飾図柄203及び第2装飾図柄207において識別情報が共通する表示図柄により形成される組合せである。これにより、表示モードの変更に伴って切り換え時対応の表示図柄の組合せが表示されたとしても遊技者に違和感を与えないようにすることが可能となる。
【0680】
表示モードが変更される直前における装飾図柄203,207の停止態様に関係なく変更後における装飾図柄203,207の表示態様が切り換え時対応の表示図柄の組合せとなる。これにより、表示モードの変更に際して切り換え時対応の表示図柄の組合せを表示させるための処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0681】
「0」、「A」及び「源」の表示図柄と同一の識別情報を有する表示図柄が第2装飾図柄207に存在していない構成であっても、これら表示図柄に対応する共通表示図柄が停止表示されている状況で第1表示モードから第2表示モードに変更された場合には第2表示モードへの変更直後においてその共通表示図柄が停止表示されている状態が維持される。これにより、「0」、「A」及び「源」のいずれかの表示図柄が第1装飾図柄203として表示されている状況で第2表示モードへの変更が発生して第2装飾図柄207として切り換え時対応の表示図柄の組合せが表示されたとしても、共通表示部211を確認することで、表示モードの変更直前において「0」、「A」及び「源」のいずれかの表示図柄が第1装飾図柄203として表示されていたことを遊技者又は遊技ホールの管理者に認識させることが可能となる。
【0682】
共通表示部211において装飾図柄203,207の変動表示領域の数と同数の単位表示部211a~211cが表示される。これにより、表示モードの変更直後において共通表示部211を確認することで、装飾図柄203,207のそれぞれに表示されていた表示図柄を把握することが可能となる。
【0683】
第1表示モード及び第2表示モードのいずれにおいても、1個の装飾図柄203,207の変動表示領域において表示される表示図柄の数は1個である。これにより、共通表示部211の単位表示部211a~211cが装飾図柄203,207のいずれの変動表示領域に対応しているのかを遊技者又は遊技ホールの管理者が把握し易くなる。
【0684】
装飾図柄203,207を利用したリーチ演出が実行される構成において共通表示部211を利用したリーチ演出は実行されない。これにより、共通表示部211の役割を遊技者又は遊技ホールの管理者に認識させ易くなる。
【0685】
<表示モードに対応する表示演出についての別形態>
・装飾図柄203,207の変動表示領域において表示図柄の回転表示が行われる構成に限定されることはなく、表示図柄が所定方向に移動するようにスクロール表示が行われる構成としてもよく、出現と消失とを繰り返すことで表示図柄が順次変更されていく切換表示が行われる構成としてもよい。また、共通表示部211において共通表示図柄が変動表示される態様は任意であり、回転表示、スクロール表示及び切換表示のいずれであってもよい。
【0686】
・共通表示部211に表示される単位表示部211a~211cの数は装飾図柄203,207の変動表示領域の数である3個に限定されることはなく、例えば単位表示部が1個のみ表示される構成としてもよい。この場合、通常大当たり結果であれば「5」の共通表示図柄が停止表示され、15R確変大当たり結果であれば「7」の共通表示図柄が停止表示され、明示2R確変大当たり結果であれば「1」の共通表示図柄が停止表示され、外れ結果ではあるもののリーチ演出が発生する結果であれば「3」の共通表示図柄が停止表示され、外れ結果であってリーチ演出が発生しない結果であれば「1」、「3」、「5」及び「7」以外の共通表示図柄が停止表示されるようにすることにより、表示モードの変更が行われたとしても共通表示図柄を確認することで直前の遊技回における遊技結果の内容を把握することが可能となる。
【0687】
また、共通表示部211における単位表示部211a~211cの数が装飾図柄203,207の変動表示領域の数よりも多い数である構成としてもよく、さらに言うと装飾図柄203,207として同時に停止表示される表示図柄の最大数よりも多い数の単位表示部211a~211cが共通表示部211に設定されている構成としてもよい。この場合、例えば1個の単位表示部において上記のような遊技回の遊技結果に対応する共通表示図柄が停止表示されるとともに、残りの3個の単位表示部において装飾図柄203,207の変動表示領域の表示図柄に1対1で対応する共通表示図柄が停止表示される構成としてもよい。これにより、共通表示部211を確認することで、直前の遊技回における装飾図柄203,207の停止結果だけではなく、直前の遊技回の遊技結果を明確に把握することが可能となる。
【0688】
・装飾図柄203,207の変動表示領域に上記第1の実施形態のように図柄列Z1~Z3が設定されて各変動表示領域に複数の表示図柄が同時に停止表示され得る構成としてもよい。当該構成において共通表示部211には図柄列Z1~Z3の数と同数の3個の単位表示部211a~211cのみが表示される構成としてもよい。この場合、遊技回が終了する場合に装飾図柄203,207におけるいずれかのラインL1~L5に大当たり図柄の組合せが表示されるのであれば、その大当たり図柄の組合せに対応する共通表示図柄の組合せが共通表示部211の3個の単位表示部211a~211cに表示される。遊技回が終了する場合に装飾図柄203,207におけるいずれかのラインL1~L5にリーチ外れ図柄の組合せが表示されるのであれば、そのリーチ外れ図柄の組合せに対応する共通表示図柄の組合せが共通表示部211の3個の単位表示部211a~211cに表示される。なお、リーチ外れ図柄の組合せが2種類以上存在している場合にはそのうちのいずれか1種類のリーチ外れ図柄の組合せに対応する共通表示図柄の組合せが表示される。また、遊技回が終了する場合に装飾図柄203,207にリーチ表示すら発生しない完全外れ図柄の組合せのみが表示されるのであれば、右ラインL3に停止表示される表示図柄の組合せに対応する共通表示図柄の組合せが共通表示部211の3個の単位表示部211a~211cに表示される。これにより、共通表示部211に表示される単位表示部211a~211cの数が装飾図柄203,207として同時に停止表示される表示図柄の数よりも少ない構成であったとしても、共通表示部211において装飾図柄203,207の停止結果に対応する共通表示図柄を表示させることが可能となる。
【0689】
なお、遊技回の遊技結果に関係なく共通表示部211の3個の単位表示部211a~211cにはラインL1~L5のうちの予め定められた一のラインに停止表示される表示図柄の組合せに対応する共通表示図柄の組合せが停止表示される構成としてもよい。これにより、共通表示部211に停止表示させる共通表示図柄の組合せの種類を決定するための処理負荷を軽減することが可能となる。
【0690】
・開閉実行モードであっても表示モードの切り換えを行うことが可能な構成としてもよい。この場合、開閉実行モードの終了後において装飾図柄203,207の表示が再開される場合には切り換え時対応の表示図柄の組合せが表示されるものの、共通表示部211においては開閉実行モードの実行契機となった遊技回にて最終的に停止表示された共通表示図柄の組合せ、すなわち大当たり結果に対応する共通表示図柄の組合せの表示から再開される構成とする。これにより、装飾図柄203,207を通じて表示モードの変更が行われたことを遊技者に認識させることが可能となるとともに、共通表示部211を通じて開閉実行モードの契機となった大当たり図柄の組合せの種類を遊技者又は遊技ホールの管理者に認識させることが可能となる。
【0691】
・共通表示図柄が、装飾図柄203,207が表示されるメイン表示装置41とは別の表示装置にて表示される構成としてもよい。例えば、第1サブ表示装置43又は第2サブ表示装置44において共通表示図柄が表示される構成としてもよく、メイン表示装置41とは異なる種類の表示装置において共通表示図柄が表示される構成としてもよい。メイン表示装置41とは異なる種類の表示装置とは、例えばメイン表示装置41が上記実施形態と同様に液晶表示装置であれば、ドット表示器又は有機EL表示装置において共通表示図柄が表示される構成としてもよい。
【0692】
・装飾図柄203,207において遊技回用の演出の途中であっても確定表示期間を超える期間に亘って表示図柄の仮停止が発生し得る構成としてもよい。例えば、1回の遊技回において疑似的な遊技回用の演出が複数回発生する構成とするとともに、疑似的な遊技回用の演出の各回が終了する度に装飾図柄203,207において表示図柄の仮停止が確定表示期間を超える期間に亘って発生する構成としてもよい。この場合であっても、1回の遊技回の実行中である場合には疑似的な遊技回用の演出の終了タイミングであっても共通表示図柄の変動表示が継続されるようにする。これにより、装飾図柄203,207において表示図柄の仮停止が発生している期間中であっても共通表示部211を確認することで、1回の遊技回の実行中であることを把握することが可能となる。
【0693】
・装飾図柄203,207において表示図柄が停止表示されるタイミングで共通表示図柄が停止表示される構成に限定されることはなく、装飾図柄203,207において表示図柄が停止表示された後に共通表示図柄が停止表示される構成としてもよく、装飾図柄203,207において表示図柄が停止表示される前に共通表示図柄が停止表示される構成としてもよい。
【0694】
・遊技回の実行中であるか否かに応じて共通表示部211の表示サイズが変化する構成としてもよい。例えば、遊技回の実行中においては共通表示部211の表示サイズが相対的に小さくなり、遊技回の実行中ではない場合には共通表示部211の表示サイズが相対的に大きくなる構成としてもよい。これにより、遊技回の実行中には装飾図柄203,207に遊技者を注目させることが可能となるとともに、遊技回の実行中ではない場合には共通表示部211を視認し易くさせることが可能となる。
【0695】
・開閉実行モード中であっても共通表示部211の表示が継続される構成としてもよい。この場合、開閉実行モード中において装飾図柄203,207が非表示となったとしても共通表示部211を確認することで、その開閉実行モードの契機となった大当たり結果の種類を把握することが可能となる。
【0696】
・共通表示部211における単位表示部211a~211cの並設方向が装飾図柄203,207の変動表示領域の並設方向と同一である構成としてもよい。この場合、単位表示部211a~211cと装飾図柄203,207の変動表示領域との対応関係を遊技者又は遊技ホールの管理者が把握し易くなる。
【0697】
・第1作動口33への入賞に基づき取得される保留情報と第2作動口34への入賞に基づき取得される保留情報とが区別して記憶される構成としてもよい。この場合、特図表示部37aに、第1作動口33への入賞に基づき取得された保留情報(以下、第1保留情報ともいう)に対する大当たり抽選処理の結果を表示する第1表示領域と、第2作動口34への入賞に基づき取得された保留情報(以下、第2保留情報ともいう)に対する大当たり抽選処理の結果を表示する第2表示領域とを設けてもよい。当該構成においては、第1保留情報が大当たり抽選処理の対象となることに先立って又は大当たり抽選処理の対象となったことに基づいて、第1表示領域において絵柄の変動表示が開始されるとともに当該大当たり抽選処理に対応した停止結果を表示して当該遊技回の変動表示が終了される。また、第2保留情報が大当たり抽選処理の対象となることに先立って又は大当たり抽選処理の対象となったことに基づいて、第2表示領域において絵柄の変動表示が開始されるとともに当該大当たり抽選処理に対応した停止結果を表示して当該遊技回の変動表示が終了される。
【0698】
上記構成において第1保留情報を契機とした遊技回と第2保留情報を契機とした遊技回とが同時に実行されない構成としてもよい。この場合、メイン表示装置41の装飾図柄203,207における表示図柄の変動表示は、第1保留情報及び第2保留情報のうち遊技回の実行対象となっている側について行われる。また、このように第1保留情報及び第2保留情報のうち遊技回の実行対象となっている側の変動表示が装飾図柄203,207にて行われる場合には、共通表示部211も第1保留情報及び第2保留情報のそれぞれに対応させて表示させるのではなく第1保留情報及び第2保留情報の両方に対して共通のものとして表示される構成としてもよい。つまり、第1保留情報が遊技回の実行対象となっている場合には、装飾図柄203,207における表示図柄の変動表示がその第1保留情報を契機とした遊技回に対して行われるとともに共通表示部211における共通表示図柄の変動表示がその第1保留情報を契機とした遊技回に対して行われる。また、第2保留情報が遊技回の実行対象となっている場合には、装飾図柄203,207における表示図柄の変動表示がその第2保留情報を契機とした遊技回に対して行われるとともに共通表示部211における共通表示図柄の変動表示がその第2保留情報を契機とした遊技回に対して行われる。
【0699】
また、第1保留情報を契機とした遊技回と第2保留情報を契機とした遊技回とが同時に実行され得る構成としてもよい。この場合、メイン表示装置41には第1保留情報に対応する装飾図柄203,207と第2保留情報に対応する装飾図柄203,207とを表示するとともに、第1保留情報に対応する共通表示部211と第2保留情報に対応する共通表示部211とを表示する構成としてもよい。これにより、第1保留情報及び第2保留情報のそれぞれに対応した装飾図柄203,207及び共通表示図柄の表示を行うことが可能となる。ここで、第2作動口34の普電役物34aのサポートモードが低頻度サポートモードである場合には第2作動口34よりも第1作動口33への入賞が発生し易く、当該サポートモードが高頻度サポートモードである場合には第1作動口33よりも第2作動口34への入賞が発生し易い。そこで、低頻度サポートモードにおいては第1保留情報に対応する装飾図柄203,207及び共通表示部211を第2保留情報に対応する装飾図柄203,207及び共通表示部211よりも表示サイズを大きくする一方、高頻度サポートモードにおいては第2保留情報に対応する装飾図柄203,207及び共通表示部211を第1保留情報に対応する装飾図柄203,207及び共通表示部211よりも表示サイズを大きくする。これにより、各サポートモードのそれぞれにおいて遊技回の実行契機となり易い側の装飾図柄203,207及び共通表示部211を目立たせることが可能となる。
【0700】
・遊技回の途中であっても表示モードを変更させることが可能である構成としてもよい。この場合、遊技回の途中で表示モードが変更された場合には変動表示中の装飾図柄203,207を変更後の表示モードに対応する種類の装飾図柄203,207に変更するだけではなく、例えば装飾図柄203,207を所定期間に割って点滅表示させたり、装飾図柄203,207の変動表示速度を所定速度とすることで、表示モードが変更されたことを報知する構成としてもよい。
【0701】
<屈折表示演出>
次に、屈折表示演出の内容について説明する。屈折表示演出では、仮想3次元空間に屈折用オブジェクト221を配置することで、その屈折用オブジェクト221よりも奥側に配置されるオブジェクトデータ222~224に対応する画像に歪みを生じさせる表示演出である。なお、屈折表示演出は遊技回用の演出におけるリーチ演出として、その後に大当たり結果となることの期待度が高いことを示す演出、又は大当たり結果の発生が確定していることを示す演出として実行される。
【0702】
図79(a)及び図79(b)は仮想3次元空間に配置された屈折用オブジェクト221を説明するための説明図である。仮想3次元空間には背景画像を表示させるためのオブジェクトデータ222~224として、最背面用データ222と、第1背景用データ223と、第2背景用データ224とが配置されている。最背面用データ222は第1背景用データ223及び第2背景用データ224よりも奥側に配置されており、当該最背面用データ222を利用して最背面画像が表示される。また、第1背景用データ223及び第2背景用データ224は最背面用データ222よりも手前側において横に並べて配置されており、最背面画像よりも手前に表示される第1背景画像及び第2背景画像のそれぞれが第1背景用データ223及び第2背景用データ224を利用して表示される。
【0703】
第1背景用データ223及び第2背景用データ224よりも手前側に屈折用オブジェクト221が配置されている。屈折用オブジェクト221は、最背面用データ222、第1背景用データ223及び第2背景用データ224とともにメモリモジュール83に予め記憶されている。屈折用オブジェクト221は仮想3次元空間において所定の厚みを有する構造を表現するように設定されたデータである。この表現される構造は、表裏一対となる第1板面221aと第2板面221bとを有し、これら第1板面221aと第2板面221bとの間の厚みは一定ではなく相対的に厚み寸法が大きい部分と相対的に厚み寸法が小さい部分とが存在している。
【0704】
屈折用オブジェクト221の各ピクセルには、屈折用オブジェクト221による画像を半透明とするための一律α値が適用される。これにより、屈折用オブジェクト221が最背面用データ222、第1背景用データ223及び第2背景用データ224よりも手前に配置されるとしても、それら最背面用データ222、第1背景用データ223及び第2背景用データ224による画像が屈折用オブジェクト221によって完全に隠されてしまうことはなく、屈折用オブジェクト221による画像を透過することで最背面用データ222、第1背景用データ223及び第2背景用データ224による画像を視認可能となる。但し、上記一律α値は適宜変更されるため、屈折用オブジェクト221による画像の透過状態は適宜変更される。
【0705】
屈折用オブジェクト221の各ピクセルには同一の屈折率が設定されている。ここで、仮想3次元空間に配置されている各種オブジェクトを利用して2次元データを作成する場合、隠面消去が行われる。隠面消去を行う方法としてZソート法が設定されている。Zソート法とは、X座標及びY座標が同一となる各ピクセル、すなわちZ軸上に並ぶ各ピクセルについて、各ピクセルに設定されている数値情報を2次元データにおける対応する単位エリアに順次設定する深度調整用の処理方法である。当該Zソート法を適用する場合には、各ピクセルに設定されているα値が参照されて必要に応じてRGB値の加算処理やRGB値のブレンド処理が実行されることとなる。また、Zソート法では、視点PC11の位置から奥行方向に光線データを進めて行き、その光線データの進行線上に存在する各ピクセルを進行方向の手前側から参照していくこととなる。この場合に、光線データが所定のオブジェクトの表面と交わる場合において光線データの入射角度が90°とは異なる角度であって、そのオブジェクトにおいて光線データと交わるピクセルに「0」ではない屈折率が設定されている場合には、それら入射角度及び屈折率に応じて光線データの進行方向が変更される。
【0706】
屈折用オブジェクト221は、図79(a)及び図79(b)に示すように、仮想3次元空間に配置された状態において、第1板面221a及び第2板面221bのそれぞれと平行となるY軸方向の回転軸を中心として回転するように配置態様が変更される。そして、屈折用オブジェクト221の回転位置に応じて、光線データの進行方向が変更される態様が変化し、結果的に最背面用データ222、第1背景用データ223及び第2背景用データ224に対する屈折用オブジェクト221による屈折効果が変化する。
【0707】
上記のとおり屈折用オブジェクト221には各ピクセルに同一の屈折率が設定されているため、光線データが屈折用オブジェクト221のピクセル上を進行していく場合には各ピクセルの屈折率に従ってその進行方向が変更されることとなる。また、上記のとおり屈折用オブジェクト221により表現される構造は厚みを有する構造であるため、光線データが屈折用オブジェクト221のピクセル上を進行していく場合には当該屈折用オブジェクト221に含まれる複数のピクセルによる影響を受けて進行方向が変更されることとなる。また、屈折用オブジェクト221により表現される構造の厚み寸法は一定ではないため、光線データが屈折用オブジェクト221を通過する位置に応じて当該光線データの進行方向を変更させる態様が相違することとなる。
【0708】
屈折用オブジェクト221により光線データの進行方向が変更される様子について説明する。図80(a)及び図80(b)は屈折用オブジェクト221により光線データの進行方向が変更される様子を説明するための説明図である。図80(a)に示すように屈折用オブジェクト221の第1板面221aが手前側に存在するとともに視点PC11側からの光線データの進行方向に対して第1板面221aが右側に向けて奥側となるように傾斜している場合、光線データの進行方向は右方に曲げられる。この場合、その進行方向の曲げ度合いは、第1板面221aに対する入射角度、第1板面221aを通過後に存在する屈折用オブジェクト221のピクセルの数、及びそれらピクセルに設定されている屈折率の値に応じて決定される。また、図80(b)に示すように屈折用オブジェクト221の第2板面221bが手前側に存在するとともに視点PC11側からの光線データの進行方向に対して第2板面221bが左側に向けて奥側となるように傾斜している場合、光線データの進行方向は左方に曲げられる。この場合においても、その進行方向の曲げ度合いは、第2板面221bに対する入射角度、第2板面221bを通過後に存在する屈折用オブジェクト221のピクセルの数、及びそれらピクセルに設定されている屈折率の値に応じて決定される。
【0709】
図81(a)及び図81(b)は最背面用データ222、第1背景用データ223及び第2背景用データ224による画像の表示態様が屈折用オブジェクト221の存在によって変化する様子を説明するための説明図である。屈折用オブジェクト221が存在していない状況においては図81(a)に示すように最背面用データ222による最背面画像225、第1背景用データ223による第1背景画像226及び第2背景用データ224による第2背景画像227が屈折処理を施されることなく表示される。一方、屈折用オブジェクト221が存在している状況においては最背面用データ222、第1背景用データ223及び第2背景用データ224において屈折用オブジェクト221のピクセルに対してZ軸上で並ぶ領域に対して屈折処理が施され、最背面用データ222による最背面画像225、第1背景用データ223による第1背景画像226及び第2背景用データ224による第2背景画像227のそれぞれの一部の画像が図81(b)に示すように歪んだ状態で表示される。このような屈折表示演出は、遊技回用の演出において大当たり結果の期待度が高いことを示す演出、又は大当たり結果の発生が確定していることを示す演出として実行される。これにより、屈折表示演出に対する遊技者の注目度を高めることが可能となる。
【0710】
ここで、第1板面221a及び第2板面221bがXY平面と平行となる回転位置に屈折用オブジェクト221が配置されている場合、第1板面221a及び第2板面221bのうち手前側に存在している面に対する光線データの入射角度が90°となる。この場合、屈折用オブジェクト221による光線データの進行方向の変更は発生しない。また、当該入射角度が90°付近(例えば±5°)においては光線データの進行方向の変更は発生するものの、その度合いは小さい。そこで、このような状況においては屈折用オブジェクト221の各ピクセルに適用する一律α値を他の状況よりも大きな値、すなわち不透明側の値とすることにより、屈折用オブジェクト221に対応する画像を遊技者が明確に認識できるようにする。図82は屈折用オブジェクト221の各ピクセルに適用する一律α値を他の状況よりも大きな値である特定一律α値とした状況における画像の表示内容を説明するための説明図である。
【0711】
屈折用オブジェクト221に適用されるテクスチャデータには第1板面221aに適用される領域及び第2板面221bに適用される領域のそれぞれに「源」の文字が付されている。したがって、屈折用オブジェクト221の各ピクセルに特定一律α値が適用された場合には、最背面用データ222による最背面画像225、第1背景用データ223による第1背景画像226及び第2背景用データ224による第2背景画像227の手前において「源」の文字が付された文字画像228が明確に表示されることとなる。但し、この状況であっても屈折用オブジェクト221の各ピクセルに適用される特定一律α値は半透明に対応する値であるとともに、各ピクセルには一律の屈折率が設定されているため、最背面画像225、第1背景画像226及び第2背景画像227において文字画像228の後方に存在する領域は弱めの屈折効果が施された状態で透過表示される。また、屈折用オブジェクト221に適用されるテクスチャデータには表示色として白色が設定されているため、最背面画像225、第1背景画像226及び第2背景画像227に比べて文字画像228が目立ち過ぎてしまわないようにすることが可能となる。但し、屈折用オブジェクト221に適用されるテクスチャデータの表示色は白色に限定されることはなく任意である。
【0712】
次に、屈折用オブジェクト221の回転位置に応じて当該屈折用オブジェクト221の各ピクセルに適用される一律α値が変更される様子について、図83のタイムチャートを参照しながら説明する。図83(a)は屈折用オブジェクト221の回転位置が変更される様子を示し、図83(b)は屈折用オブジェクト221の各ピクセルに適用される一律α値が変更される様子を示す。
【0713】
t1のタイミングで屈折表示演出が開始されることにより、図83(a)に示すように屈折用オブジェクト221の仮想3次元空間への配置が開始されるとともに屈折用オブジェクト221の回転位置の変更が開始される。ここで、屈折用オブジェクト221の仮想3次元空間への配置が開始されたタイミングにおいては、第1板面221a及び第2板面221bがXY平面と平行となるとともに第1板面221aが正面を向く状態で配置される。したがって、当該t1のタイミングでは、図83(b)に示すように屈折用オブジェクト221に適用される一律α値は特定一律α値となる。これにより、屈折用オブジェクト221が文字画像228として明確に表示されることとなるため、屈折用オブジェクト221が存在していることを遊技者に明確に認識させることが可能となる。
【0714】
その後、t2のタイミングで図83(a)に示すように屈折用オブジェクト221の回転位置が第1契機位置となることで、図83(b)に示すように屈折用オブジェクト221に適用される一律α値が特定一律α値から当該特定一律α値よりも完全透明側の所定一律α値に変更される。これにより、屈折用オブジェクト221が文字画像228として表示されていることが遊技者にとって視認しづらくなり、その代わりに最背面画像225、第1背景画像226及び第2背景画像227における屈折表示が目立つこととなる。なお、第1契機位置は第1板面221aが正面を向いた状態から所定角度(例えば5°)だけ所定の回転方向に屈折用オブジェクト221が回転した回転位置である。
【0715】
その後、t3のタイミングで図83(a)に示すように屈折用オブジェクト221の回転位置が第2契機位置となることで、図83(b)に示すように屈折用オブジェクト221に適用される一律α値が所定一律α値から特定一律α値に変更される。これにより、屈折用オブジェクト221が文字画像228として明確に表示される。なお、第2契機位置は第2板面221bが正面を向く状態となるまでに必要な上記所定の回転方向への残りの回転角度が上記所定角度(例えば5°)となる回転位置である。
【0716】
その後、t4のタイミングで屈折用オブジェクト221の第2板面221bが正面を向いた状態となり、さらにt5のタイミングで図83(a)に示すように屈折用オブジェクト221の回転位置が第3契機位置となることで、図83(b)に示すように屈折用オブジェクト221に適用される一律α値が特定一律α値から当該特定一律α値よりも完全透明側の所定一律α値に変更される。これにより、屈折用オブジェクト221が文字画像228として表示されていることが遊技者にとって視認しづらくなり、その代わりに最背面画像225、第1背景画像226及び第2背景画像227における屈折表示が目立つこととなる。なお、第3契機位置は第1板面221aが正面を向いた状態から所定角度(例えば5°)だけ所定の回転方向に屈折用オブジェクト221が回転した回転位置である。
【0717】
上記構成によれば屈折用オブジェクト221の各ピクセルに特定一律α値が適用される期間Tは、屈折用オブジェクト221の回転位置が所定の回転位置範囲である状況となる。これにより、屈折用オブジェクト221が文字画像228として明確に表示される期間をある程度確保することが可能となる。
【0718】
次に、上記のような屈折表示演出を実行するための処理構成について説明する。図84は演出用CPU82にて実行される屈折表示演出用の設定処理を示すフローチャートである。なお、屈折表示演出用の設定処理は表示制御用のタスク処理(図15)におけるステップS603にて実行される。
【0719】
屈折表示演出の開始タイミングである場合(ステップS2801:YES)、屈折用オブジェクト221の回転位置として初期回転位置を設定する(ステップS2802)。当該初期回転位置が適用された状態で屈折用オブジェクト221が仮想3次元空間に配置されることにより、第1板面221aが正面を向いた状態となる。また、屈折用オブジェクト221の各ピクセルに適用されるα値として特定一律α値を設定する(ステップS2803)。これにより、屈折用オブジェクト221に対応する画像が他の状況よりも透明度が低い状態で表示されることとなる。
【0720】
屈折表示演出の開始タイミングではない場合(ステップS2801:NO)、回転位置の更新処理を実行する(ステップS2804)。これにより、仮想3次元空間において屈折用オブジェクト221が所定の回転方向に回転するように当該屈折用オブジェクト221の回転位置が更新される。その後、屈折用オブジェクト221の今回更新後における回転位置が所定の回転位置範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS2805)。所定の回転位置範囲に含まれる場合には(ステップS2805:YES)、屈折用オブジェクト221の各ピクセルに適用されるα値として特定一律α値を設定する(ステップS2803)。これにより、屈折用オブジェクト221に対応する画像が他の状況よりも透明度が低い状態で表示されることとなる。一方、所定の回転位置範囲に含まれない場合には(ステップS2805:NO)、屈折用オブジェクト221の各ピクセルに適用されるα値として所定一律α値を設定する(ステップS2806)。これにより、屈折用オブジェクト221に対応する画像が上記所定の回転位置範囲である場合よりも透明度が高い状態で表示されることとなる。
【0721】
ステップS2803又はステップS2806の処理を実行した場合、今回使用するオブジェクトとして屈折用オブジェクト221を把握するとともに(ステップS2807)、当該屈折用オブジェクト221に適用するテクスチャデータを把握する(ステップS2808)。つまり、屈折用オブジェクト221の各ピクセルに適用するα値として特定一律α値及び所定一律α値のいずれが使用される場合であっても、屈折用オブジェクト221にはテクスチャデータが適用される。これにより、相対的に透明度が低い状況だけではなく相対的に透明度が高い状況であっても屈折用オブジェクト221にテクスチャデータが適用されることとなり、屈折用オブジェクト221の回転位置が所定の回転位置範囲に含まれていない状況であっても屈折用オブジェクト221に対応する文字画像228は薄く表示されることとなる。
【0722】
その後、屈折用オブジェクト221に適用する他のパラメータを把握する(ステップS2809)。また、最背面用データ222、第1背景用データ223及び第2背景用データ224を把握するとともに、それらデータ222~224に適用するテクスチャデータを把握する(ステップS2810)。その後、これらデータ222~224に適用するパラメータを把握する(ステップS2811)。上記のように屈折表示演出用の設定処理が実行されることにより今回の描画リストには、屈折用オブジェクト221、最背面用データ222、第1背景用データ223及び第2背景用データ224が設定されるとともに、これらデータに適用されるテクスチャデータが設定される。さらにこれらデータに適用される各種パラメータも設定される。当該パラメータには仮想3次元空間における屈折用オブジェクト221の回転位置の情報が含まれるとともに、屈折用オブジェクト221に適用される一律α値として特定一律α値又は所定一律α値が含まれる。
【0723】
図85は3D制御部97にて実行される屈折表示演出用の描画データ作成処理を示すフローチャートである。なお、屈折表示演出用の描画データ作成処理は3D描画処理(図20)におけるステップS810にて実行される。
【0724】
まず描画データに含まれるドット数に対応する値をレジスタ93に設けられた対象ドットカウンタに設定する(ステップS2901)。描画データはメイン表示装置41の表示面に設定されているドットに対応する数のドットを有しており、そのドット数に対応する値を対象ドットカウンタに設定する。
【0725】
その後、現状の対象ドットカウンタの値に対応する対象ドットの光線データの進行方向に屈折用オブジェクト221が存在しているか否かを判定する(ステップS2902)。屈折用オブジェクト221が存在している場合には(ステップS2902:YES)、屈折用オブジェクト221の手前側の面に対する入射角度を把握する(ステップS2903)。この入射角度の把握に際してはメモリモジュール83に予め記憶されている入射角度テーブルを参照する。入射角度テーブルには屈折用オブジェクト221の回転位置と光線データの座標との組合せに対応する入射角度が予め設定されている。
【0726】
その後、入射角度の進行方向に存在することとなる屈折用オブジェクト221のピクセルの総数を把握する(ステップS2904)。この把握に際しては、ステップS2903で算出した入射角度でそのまま光線データが屈折用オブジェクト221を透過した場合に通過することとなるピクセルの数を把握する。具体的には、メモリモジュール83に予め記憶されているピクセル数テーブルを参照する。ピクセル数テーブルには、屈折用オブジェクト221の表面において光線データが入射した位置及びその入射角度の組合せに対応するピクセル数が予め設定されている。
【0727】
その後、ステップS2903にて把握した入射角度、ステップS2904にて把握したピクセル数、及び各ピクセルの屈折率の組合せに対応する変更度合いを把握する(ステップS2905)。この変動度合いの把握に際しては、メモリモジュール83に予め記憶されている変更度合いテーブルを参照する。変更度合いテーブルには、入射角度、ピクセル数及び屈折率の組合せ対応する変更度合いが予め設定されている。この場合、図80(a)に示すように光線データが入射する面が右側に向けて奥側となるように傾斜している場合には光線データの進行方向が右側に曲がることとなる変更度合いが選択されるとともに、入射角度、ピクセル数及び屈折率に応じて右側への曲がり具合が変更される。また、図80(b)に示すように光線データが入射する面が左側に向けて奥側となるように傾斜している場合には光線データの進行方向が左側に曲がることとなる変更度合いが選択されるとともに、入射角度、ピクセル数及び屈折率に応じて左側への曲がり具合が変更される。また、入射角度が90°である場合にはピクセル数及び屈折率と関係なく変更度合いとして「0」が選択され、この場合には光線データの進行方向は変更されない。
【0728】
ステップS2905の把握処理により「0」ではない変更度合いが把握された場合(ステップS2906:YES)、その把握された変更度合いに対応した表示対象の把握処理を実行する(ステップS2907)。変更度合いと光線データの進行方向の変更態様との対応関係はメモリモジュール83に予め記憶されている。ステップS2907では、その対応関係のデータをメモリモジュール83から読み出し、その読み出した対応関係のデータを利用して、ステップS2905にて把握した変更度合いに対応する光線データの進行方向の変更態様を把握する。そして、その把握した変更態様を利用して、屈折用オブジェクト221よりも奥側に存在している最背面用データ222、第1背景用データ223及び第2背景用データ224のうち今回の対象ドットに設定するピクセルを把握する。
【0729】
一方、ステップS2906にて否定判定をした場合、変更度合いに対応しない表示対象の把握処理を実行する(ステップS2908)。当該把握処理では、光線データの元からの進行方向に従って、屈折用オブジェクト221よりも奥側に存在している最背面用データ222、第1背景用データ223及び第2背景用データ224のうち今回の対象ドットに設定するピクセルを把握する。
【0730】
ステップS2907又はステップS2908の処理を実行した場合、屈折用オブジェクト221の各ピクセルに適用される一律α値を把握する(ステップS2909)。その後、第1描画処理を実行する(ステップS2910)。当該第1描画処理では、ステップS2907又はステップS2908にて把握したピクセル情報と、ステップS2903にて把握した屈折用オブジェクト221の各ピクセルのうち最前面のピクセル情報と、をステップS2909にて把握した一律α値を利用してブレンド演算する。例えば前者のピクセル情報である第1ピクセル情報が(r1、g1、b1)であり、後者のピクセル情報である第2ピクセル情報が(r2、g2、b2)であり、一律α値がαである場合、ブレンド演算の結果であるブレンド後のピクセル情報(r3、g3、b3)は、
r3=r1×(1-α)+r2×α
g3=g1×(1-α)+g2×α
b3=b1×(1-α)+b2×α
となる。
【0731】
ステップS2902にて否定判定をした場合、第2描画処理を実行する(ステップS2911)。当該第2描画処理では、光線データの元からの進行方向に従って、最背面用データ222、第1背景用データ223及び第2背景用データ224のうち今回の対象ドットに設定するピクセルを把握する。
【0732】
ステップS2910又はステップS2911の処理を実行した場合、対象ドットカウンタの値を1減算し(ステップS2912)、その1減算後における対象ドットカウンタの値が「0」であるか否かを判定する(ステップS2913)。対象ドットカウンタの値が「0」ではない場合には(ステップS2913:NO)、更新後における対象ドットカウンタの値についてステップS2902以降の処理を再度実行する。対象ドットカウンタの値が「0」である場合(ステップS2913:YES)、テクスチャデータの設定処理を実行する(ステップS2914)。テクスチャデータの設定処理では、今回作成された描画データに対してテクスチャデータを設定することで、描画データとして設定されているピクセル情報をRGB値の色情報に変更する。この場合、上記ブレンド後のピクセル情報が設定されているドットには、テクスチャデータのうち第1ピクセル情報に対応するデータに設定されているRGB値と、テクスチャデータのうち第2ピクセル情報に対応するデータに設定されているRGB値とを利用して、ブレンド後のRGB値を算出する。これにより、一律α値によりブレンドされた画像を表示させることが可能となる。
【0733】
上記構成によれば、屈折用オブジェクト221の存在によって、仮想3次元空間において当該屈折用オブジェクト221よりも奥側に存在している最背面用データ222、第1背景用データ223及び第2背景用データ224のうち描画データの所定のドットへの描画対象となるピクセルが変化する。これにより、屈折用オブジェクト221を利用して画像の屈折表現を行うことが可能となり、画像への注目度を高めることが可能となる。また、このような屈折表現は、屈折用オブジェクト221の各ピクセルに設定されている屈折率を用いて行われる。これにより、屈折表現を行う場合に参照すべきデータの特定を3D制御部97における描画データの作成過程で行うことが可能となり、処理構成を簡素化することが可能となる。
【0734】
屈折用オブジェクト221に対応する画像は半透明の状態で表示される。これにより、屈折用オブジェクト221を用いた屈折表現の視認性が、屈折用オブジェクト221に対応した画像の存在によって低下してしまわないようにすることが可能となる。
【0735】
仮想3次元空間における屈折用オブジェクト221の回転位置が変更されることに伴って屈折表現による画像の表示態様が変更される。これにより、屈折表現による画像の表示態様を変化に富んだものとすることが可能となり、画像への注目度を高めることが可能となる。
【0736】
第1板面221a及び第2板面221bがXY平面と平行となる回転位置に屈折用オブジェクト221が配置されている場合、第1板面221a及び第2板面221bのうち手前側に存在している面に対する光線データの入射角度が90°となる。この場合、屈折用オブジェクト221による光線データの進行方向の変更は発生しない。また、当該入射角度が90°付近(例えば±5°)においては光線データの進行方向の変更は発生するものの、その度合いは小さい。このような状況においては屈折表現による屈折効果が弱くなる。これに対して、上記のように屈折効果が弱くなる状況では別の視的効果を生じさせるための表示制御が実行される。これにより、屈折効果が弱くなった場合であっても画像への注目度が低下してしまわないようにすることが可能となる。
【0737】
上記別の視的効果として屈折用オブジェクト221に対応する画像の表示態様が特定態様となるように表示制御が実行される。これにより、屈折効果が弱くなった場合には屈折用オブジェクト221に対応する画像への遊技者の注目度を高めることが可能となる。
【0738】
より具体的には、屈折用オブジェクト221に適用されるテクスチャデータには第1板面221aに適用される領域及び第2板面221bに適用される領域のそれぞれに「源」の文字が付されている構成において、屈折用オブジェクト221の各ピクセルに適用する一律α値を他の状況よりも大きな値、すなわち不透明側の値とすることにより、屈折用オブジェクト221に対応する画像を遊技者が明確に認識できるようにする。したがって、屈折効果が弱くなった場合には、最背面用データ222による最背面画像225、第1背景用データ223による第1背景画像226及び第2背景用データ224による第2背景画像227の手前において「源」の文字が付された文字画像228が明確に表示されることとなる。よって、屈折用オブジェクト221が存在していることを遊技者に認識させ易くなる。
【0739】
但し、この状況であっても屈折用オブジェクト221の各ピクセルに適用される特定一律α値は半透明に対応する値であるとともに、各ピクセルには一律の屈折率が設定されているため、最背面画像225、第1背景画像226及び第2背景画像227において文字画像228の後方に存在する領域は弱めの屈折効果が施された状態で透過表示される。また、屈折用オブジェクト221に適用されるテクスチャデータには表示色として白色が設定されているため、最背面画像225、第1背景画像226及び第2背景画像227に比べて文字画像228が目立ち過ぎてしまわないようにすることが可能となる。
【0740】
描画データの所定のドットへの描画対象を決定する場合、屈折用オブジェクト221の各ピクセルに設定されている屈折率だけではなく、光線データの入射角度も参照される。これにより、屈折表現の態様を多様化させることが可能となり、画像への注目度を高めることが可能となる。
【0741】
<屈折表示演出についての別形態>
・第1板面221a及び第2板面221bがXY平面と平行となる回転位置に屈折用オブジェクト221が配置され、第1板面221a及び第2板面221bのうち手前側に存在している面に対する光線データの入射角度が90°となる場合、屈折効果が生じなくなるのではなく屈折効果が弱くなる構成としてもよい。つまり、この状況においては光線データの進行方向が屈折用オブジェクト221によって僅かに変更されることとなる。当該構成であっても、上記状況において屈折用オブジェクト221に対応する画像の半透明の度合いが不透明側に変更されるといった別の視的効果を生じさせることにより、上記状況における画像への注目度が低下してしまわなようにすることが可能となる。
【0742】
・第1板面221a及び第2板面221bがXY平面と平行となる回転位置に屈折用オブジェクト221が配置され、第1板面221a及び第2板面221bのうち手前側に存在している面に対する光線データの入射角度が90°となる場合に生じさせる別の視的効果は、屈折用オブジェクト221に対応する画像の半透明の度合いが不透明側に変更されるという内容である構成に限定されることはなく、例えば屈折用オブジェクト221に対応する画像の表示色、模様及び形状のうち少なくとも一つが変更されるという内容である構成としてもよい。また、上記別の視的効果として、上記構成に加えて又は代えて、エフェクト画像や別のキャラクタ画像といった別画像を追加的に表示させる構成としてもよい。
【0743】
・屈折用オブジェクト221に対応する画像が半透明の状態で表示される構成に限定されることはなく、屈折用オブジェクト221に対応する画像は表示されないものの当該屈折用オブジェクト221による屈折効果は生じる構成としてもよい。この場合、屈折用オブジェクト221に対応する画像の外縁も認識できない状況で屈折表現による画像が表示されることとなる。
【0744】
・屈折用オブジェクト221が仮想3次元空間において回転する速度は一定である構成に限定されることはなく、回転速度が変化する構成としてもよい。また、屈折用オブジェクト221が仮想3次元空間において回転する構成に加えて又は代えて、屈折用オブジェクト221のサイズが相対的に大きくなったり小さくなったりする構成としてもよく、屈折用オブジェクト221の形状が変化する構成としてもよい。
【0745】
・光線データの入射角度を考慮することなく屈折用オブジェクト221の各ピクセルに設定された屈折率及び光線データが通過することとなる屈折用オブジェクト221のピクセルの数に応じて、光線データの進行方向が変更される構成としてもよい。この場合、光線データの進行方向が変更される態様が簡素化されてしまうものの、処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0746】
<反転表示演出>
次に、反転表示演出の内容について説明する。反転表示演出では、作成された描画データの各ドットに設定されているRGB値を反転させる表示演出である。なお、反転表示演出は遊技回用の演出にて全ての装飾図柄203,207において回転表示が行われている状況において、その後にリーチ演出が発生することの期待度が高いことを示す演出として実行される。但し、これに限定されることはなくリーチ演出として、その後に大当たり結果となることの期待度が高いことを示す演出として実行される構成としてもよい。
【0747】
図86(a1)~図86(c2)は反転表示演出の内容を説明するための説明図である。このうち図86(a1)~図86(c1)は仮想3次元空間に各種画像データが配置される様子を示し、図86(a2)~図86(c2)は仮想3次元空間に配置された各種画像データを利用して表示される画像の内容を示す。
【0748】
通常の描画期間においては、図86(a1)に示すように、仮想3次元空間において最も奥側の位置に最背面の画像データ231が配置され、その手前に第1背景個別画像用の画像データ232と第2背景個別画像用の画像データ233とが配置され、さらに手前側に演出キャラクタ用の画像データ234が配置されている状態にて描画データが作成されることにより、図86(a2)に示すような1フレーム分の画像をメイン表示装置41に表示させることが可能となる。この場合に、図86(a1)に示す各画像データ231~234の全てを投影対象として作成された2Dデータがキャプチャ画像データ241としてレジスタ93に保存される。当該キャプチャ画像データ241は、最背面の画像データ231による最背面の画像235、第1背景個別画像用の画像データ232による第1背景個別画像236、第2背景個別画像用の画像データ233による第2背景個別画像237及び演出キャラクタ用の画像データ234による演出キャラクタ画像238の静止画の表示を可能とするデータである。
【0749】
上記のように作成されたキャプチャ画像データ241を利用することで、エフェクト画像演出及び反転表示演出が実行される。エフェクト画像演出では、図86(b1)に示すようにキャプチャ画像データ241が板状ポリゴンデータに貼り付けられて仮想3次元空間に配置されるとももに、当該キャプチャ画像データ241の手前に、エフェクト画像243を表示させるためのエフェクト画像データ242が配置される。そして、これらキャプチャ画像データ241及びエフェクト画像データ242を利用して描画データが作成されることにより、図86(b2)に示すような1フレーム分の画像をメイン表示装置41に表示させることが可能となる。
【0750】
反転表示演出では、図86(c1)に示すようにキャプチャ画像データ241が板状ポリゴンデータに貼り付けられて仮想3次元空間に配置される。そして、このキャプチャ画像データ241を利用して描画データが作成されるとともに、その作成された描画データを利用して反転用レイヤデータ244に対して減算処理を実行することにより、図86(c2)に示すように、当該描画データに含まれる全てのドットのRGB値が反転された状態の反転画像245をメイン表示装置41に表示させることが可能となる。
【0751】
反転用レイヤデータ244は、図87(a)の説明図に示すように、最背面の画像データ231、第1背景個別画像用の画像データ232及び第2背景個別画像用の画像データ233を含む各種オブジェクトデータ群246、及び各種テクスチャデータ群247とともにメモリモジュール83に予め記憶されている。ここで、反転用レイヤデータ244には各種オブジェクトデータ群246及び各種テクスチャデータ群247を利用して作成される描画データと同様に、多数のドット244aが設定されており、各ドット244aには図87(b)に示すようにRGB値のそれぞれに対して1バイトが設定されている。したがって、反転用レイヤデータ244の各ドット244aにおいては0~255のR値、0~255のG値、及び0~255のB値を設定することが可能である。そして、図87(c)の説明図に示すように、反転用レイヤデータ244の各ドット244aのRGB値はいずれも白色に対応する最大値となっている。つまり、反転用レイヤデータ244の各ドット244aのR値、G値及びB値はいずれも全てのビットに「1」がセットされた白一色のデータとなっている。
【0752】
反転用レイヤデータ244に設定されているドット数は描画データのドット数と同一となっており、反転用レイヤデータ244の各ドットは描画データの各ドットと1対1で対応している。そして、反転用レイヤデータ244における所定のドットに設定されているR値、G値及びB値から、描画データにおける当該所定のドットに対応するドットに設定されているR値、G値及びB値を減算することにより、描画データにおける当該ドットのR値、G値及びB値を反転させることが可能となる。つまり、反転用レイヤデータ244の所定のドットに設定されているRGB値が「255」、「255」、「255」であるのに対して、描画データにおける当該所定のドットに対応するドットに設定されているRGB値が「R1」、「G1」、「B1」である場合、減算処理の実行後におけるRGB値「R2」、「G2」、「B2」は、
R2=255-R1
G2=255-G1
B2=255-B1
となる。この場合、R1、G1、B1の値が小さいほどR2、G2、B2の値は大きい値となり、R1、G1、B1の値が大きいほどR2、G2、B2の値は小さい値となる。そして、RGB値の値が大きいほど明るい色となり、RGB値の値が小さいほど暗い色となる。これにより、反転用レイヤデータ244を利用した減算処理を実行することにより、描画データの各ドットのRGB値を反転させることが可能となる。
【0753】
次に、反転表示演出が実行される様子について図88のタイムチャートを参照しながら説明する。図88(a)は遊技回用の演出を実行するための装飾図柄203,207の通常描画期間を示し、図88(b)は背景画像の通常描画期間を示し、図88(c)はキャプチャ画像データ241の保存タイミングを示し、図88(d)はキャプチャ画像データ241の使用期間を示し、図88(e)はエフェクト画像データ242の使用期間を示し、図88(f)は反転用レイヤデータ244の使用期間を示す。
【0754】
遊技回用の演出の実行待機中に対応する背景画像が表示されている状況であるt1のタイミングで遊技回用の演出が開始されることで、図88(a)に示すように遊技回用の演出を実行するための装飾図柄203,207の通常描画期間が開始される。また、当該t1のタイミングで、図88(b)に示すように遊技回用の演出に対応した背景画像を表示させるための背景画像の通常描画期間が開始される。これら通常描画期間においては仮想3次元空間に配置された各種オブジェクトを投影することに基づき作成された描画データを利用して画像の表示が行われる。
【0755】
その後、t2のタイミングで図88(c)に示すようにキャプチャ画像データ241の保存タイミングとなることで、当該t2のタイミングにおいて背景画像を表示するための各種オブジェクトを利用して作成された2Dデータがキャプチャ画像データ241としてレジスタ93に保存される。その後、t3のタイミング~t4のタイミングに亘って図88(d)に示すように、t2のタイミングで保存したキャプチャ画像データ241を利用して背景画像が表示される。この場合、図88(e)に示すようにエフェクト画像データ242も利用されることにより、キャプチャ画像データ241による背景画像の手前にてエフェクト画像243が表示された状態となる(図86(b2)参照)。
【0756】
上記t3のタイミング~t4のタイミングに亘っては図88(b)に示すように各種オブジェクトを利用した背景画像の通常の描画は中止される一方、図88(a)に示すように各種オブジェクトを利用した装飾図柄203,207の通常の描画は継続される。これにより、メイン表示装置41の最前面で表示される装飾図柄203,207については、背景画像としてキャプチャ画像データ241が利用される期間においてもリアルな表示を継続することが可能となる。
【0757】
その後、t4のタイミングで、図88(d)に示すようにキャプチャ画像データ241を利用した背景画像の表示が終了することで、図88(b)に示すように背景画像の通常描画期間が再開される。この場合であっても、図88(a)に示すように装飾図柄203,207の通常描画期間は継続される。その後、t5のタイミングで今回の遊技回用の演出が終了することで、図88(a)に示すように遊技回用の演出を実行するための装飾図柄203,207の通常描画期間が終了する。但し、当該t5のタイミングであっても図88(b)に示すように背景画像の通常描画期間は継続される。
【0758】
その後、t6のタイミングで遊技回用の演出が再度開始されることで、図88(a)に示すように遊技回用の演出を実行するための装飾図柄203,207の通常描画期間が開始される。また、当該t6のタイミングで、遊技回用の演出に対応した背景画像を表示させるための背景画像の通常描画期間が開始される。
【0759】
その後、t7のタイミングで図88(c)に示すようにキャプチャ画像データ241の保存タイミングとなることで、当該t7のタイミングにおいて背景画像を表示するための各種オブジェクトを利用して作成された2Dデータがキャプチャ画像データ241としてレジスタ93に保存される。その後、t8のタイミング~t10のタイミングに亘って図88(d)に示すように、t7のタイミングで保存したキャプチャ画像データ241を利用して背景画像が表示される。この場合、t8のタイミング~t9のタイミングの期間においては、図88(e)に示すようにエフェクト画像データ242も利用されることにより、キャプチャ画像データ241による背景画像の手前にてエフェクト画像243が表示された状態となる(図86(b2)参照)。また、t9のタイミング~t10のタイミングの期間においては、図88(e)及び図88(f)に示すようにエフェクト画像データ242に代えて反転用レイヤデータ244が使用されることにより、キャプチャ画像データ241による背景画像の各RGB値が反転された反転画像245が表示された状態となる(図86(c2)参照)。
【0760】
上記t8のタイミング~t10のタイミングに亘っては図88(b)に示すように各種オブジェクトを利用した背景画像の通常の描画は中止される一方、図88(a)に示すように各種オブジェクトを利用した装飾図柄203,207の通常の描画は継続される。これにより、メイン表示装置41の最前面で表示される装飾図柄203,207については、背景画像としてキャプチャ画像データ241が利用される期間においてもリアルな表示を継続することが可能となる。
【0761】
その後、t10のタイミングで、図88(d)に示すようにキャプチャ画像データ241を利用した背景画像の表示が終了することで、図88(b)に示すように背景画像の通常描画期間が再開される。この場合であっても、図88(a)に示すように装飾図柄203,207の通常描画期間は継続される。その後、t11のタイミングで今回の遊技回用の演出が終了することで、図88(a)に示すように遊技回用の演出を実行するための装飾図柄203,207の通常描画期間が終了する。但し、当該t11のタイミングであっても図88(b)に示すように背景画像の通常描画期間は継続される。
【0762】
次に、上記のような反転表示演出を実行するための処理構成について説明する。図89は演出用CPU82にて実行される反転表示演出用の設定処理を示すフローチャートである。なお、反転表示演出用の設定処理は表示制御用のタスク処理(図15)におけるステップS603にて実行される。
【0763】
キャプチャ画像データ241の使用期間ではない場合(ステップS3001:NO)、キャプチャ画像データ241の保存タイミングであるか否かを判定する(ステップS3002)。キャプチャ画像データ241の保存タイミングである場合(ステップS3002:YES)、保存指示情報を記憶する(ステップS3003)。これにより、今回の描画リストには保存指示情報が設定されることとなり、3D制御部97においてキャプチャ画像データ241の別保存が行われる。
【0764】
ステップS3002に否定判定をした場合、又はステップS3003の処理を実行した場合、各種画像データを把握する(ステップS3004)。当該処理では、最背面の画像データ231、第1背景個別画像用の画像データ232、第2背景個別画像用の画像データ233及び演出キャラクタ用の画像データ234が把握されるとともに、これら各画像データ231~234に適用されるテクスチャデータが把握される。そして、これら各種画像データに適用される各種パラメータを把握する(ステップS3005)。これらステップS3004及びステップS3005の処理が実行されることにより、今回の描画リストには上記各画像データ231~234が設定されるとともに、これら各画像データ231~234に適用されるテクスチャデータ及び各種パラメータが設定される。
【0765】
キャプチャ画像データ241の使用期間である場合(ステップS3001:YES)、キャプチャ画像データ241の使用指示情報を記憶する(ステップS3006)。また、当該キャプチャ画像データ241に適用する各種パラメータを把握する(ステップS3007)。これにより、今回の描画リストにはキャプチャ画像データ241の使用指示情報及び当該適用される各種パラメータが設定されることとなり、3D制御部97においてキャプチャ画像データ241が使用される。
【0766】
エフェクト画像データ242の使用期間である場合(ステップS3008:YES)、エフェクト画像データ242を把握するとともに(ステップS3009)、当該エフェクト画像データ242に適用する各種パラメータを把握する(ステップS3010)。これにより、今回の描画リストにはキャプチャ画像データ241だけではなくエフェクト画像データ242も使用対象として設定されることとなり、3D制御部97においてキャプチャ画像データ241に対応する画像の手前にエフェクト画像243が表示されるようにするための制御が実行される。
【0767】
反転用レイヤデータ244の使用期間である場合(ステップS3011:YES)、反転用レイヤデータ244を把握するとともに(ステップS3012)、当該反転用レイヤデータ244に適用する各種パラメータを把握する(ステップS3013)。これにより、今回の描画リストにはキャプチャ画像データ241だけではなく反転用レイヤデータ244も使用対象として設定されることとなり、3D制御部97においてキャプチャ画像データ241に対応する画像の反転画像245が表示されるようにするための制御が実行される。
【0768】
図90は3D制御部97にて実行される反転表示演出用の描画データ作成処理を示すフローチャートである。なお、反転表示演出用の描画データ作成処理は3D描画処理(図20)におけるステップS810にて実行される。
【0769】
まず図柄用の描画データ作成処理を実行する(ステップS3101)。これにより、装飾図柄203,207及び共通表示部211を表示するための描画データが作成される。その後、キャプチャ画像データ241の使用指示情報が今回の描画リストに設定されているか否かを判定する(ステップS3102)。当該使用指示情報が設定されていない場合には(ステップS3102:NO)、背景用の描画データの通常作成処理を実行する(ステップS3103)。当該通常作成処理では、仮想3次元空間に配置された最背面の画像データ231、第1背景個別画像用の画像データ232及び第2背景個別画像用の画像データ233に対して投影処理を実行するとともにその投影処理後のデータにテクスチャデータを適用することにより背景用の描画データを作成する。
【0770】
その後、キャプチャ画像データ241の保存指示情報が今回の描画リストに設定されているか否かを判定する(ステップS3104)。当該保存指示情報が設定されている場合(ステップS3104:YES)、背景用の描画データの別保存処理を実行する(ステップS3105)。当該別保存処理では、直前のステップS3103にて作成した背景用の描画データをレジスタ93に別保存する。
【0771】
その後、描画データの合成処理を実行する(ステップS3106)。当該合成処理では、ステップS3103にて作成した背景用の描画データに対して、ステップS3101にて作成した図柄用の描画データを上書きする。これにより、ステップS3103にて作成した背景用の描画データに対応する背景画像の手前にて、ステップS3101にて作成した図柄用の描画データに対応する装飾図柄203,207及び共通表示部211が存在する画像を表示するための描画データが作成されることとなる。
【0772】
キャプチャ画像データ241の使用指示情報が今回の描画リストに設定されている場合(ステップS3102:YES)、エフェクト画像データ242が今回の描画リストに設定されているか否かを判定する(ステップS3107)。ステップS3107にて肯定判定をした場合、レジスタ93の所定領域に、キャプチャ画像データ241の書き込み処理を実行するとともに(ステップS3108)、エフェクト画像データ242の書き込み処理を実行する(ステップS3109)。この場合、エフェクト画像データ242の各ドットに設定されているRGB値はそれら各ドットに設定されているα値を適用した状態で、キャプチャ画像データ241の対応する各ドットに対して加算される。これにより、キャプチャ画像データ241に対応する画像の手前にエフェクト画像243が付加された画像に対応する描画データが作成されることとなる。
【0773】
ステップS3107にて否定判定をした場合、又はステップS3109の処理を実行した場合、反転用レイヤデータ244が今回の描画リストに設定されているか否かを判定する(ステップS3110)。ステップS3110にて肯定判定をした場合、反転用レイヤデータ244を利用した減算処理を実行する(ステップS3111)。
【0774】
図91はステップS3111における反転用レイヤデータ244を利用した減算処理を示すフローチャートである。
【0775】
まず描画データに含まれるドット数に対応する値をレジスタ93に設けられた対象ドットカウンタに設定する(ステップS3201)。描画データはメイン表示装置41の表示面に設定されているドットに対応する数のドットを有しており、そのドット数に対応する値を対象ドットカウンタに設定する。
【0776】
その後、キャプチャ画像データ241において現状の対象ドットカウンタの値に対応する対象ドットのRGB値を第1RGB値として把握する(ステップS3202)。また、反転用レイヤデータ244はキャプチャ画像データ241などの描画データと同一数のドット数を有しており、反転用レイヤデータ244の各ドットは描画データの各ドットと1対1で対応している。この場合に、ステップS3203では、反転用レイヤデータ244において現状の対象ドットカウンタの値に対応する対象ドットのRGB値を第2RGB値として把握する。そして、合成後の描画データにおける現状の対象ドットのRGB値として、第2RGB値-第1RGB値を算出して記憶する。なお、この演算内容は既に説明したとおりである。
【0777】
その後、対象ドットカウンタの値を1減算し(ステップS3205)、その1減算後における対象ドットカウンタの値が「0」であるか否かを判定する(ステップS3206)。対象ドットカウンタの値が「0」ではない場合には(ステップS3206:NO)、更新後における対象ドットカウンタの値についてステップS3202以降の処理を再度実行する。対象ドットカウンタの値が「0」である場合(ステップS3206:YES)、本減算処理を終了する。この場合、減算処理により作成された描画データとステップS3101にて作成された描画データとの合成処理を、ステップS3106にて実行する。当該合成処理では、ステップS3111にて作成した減算処理後における背景用の描画データに対して、ステップS3101にて作成した図柄用の描画データを上書きする。これにより、ステップS3111にて作成した描画データに対応する反転画像245の手前にて、ステップS3101にて作成した図柄用の描画データに対応する装飾図柄203,207及び共通表示部211が存在する画像を表示するための描画データが作成されることとなる。
【0778】
上記構成によれば、キャプチャ画像データ241の各ドットのそれぞれに同一の演算処理を実行することで、キャプチャ画像データ241に対応する画像とは色合いが異なる画像が表示される。これにより、同一のキャプチャ画像データ241を利用して複数種類の画像を表示させることが可能となり、表示態様の多様化を図ることが可能となる。また、このように複数種類の画像を表示させる場合においてキャプチャ画像データ241の各ドットのそれぞれに同一の演算処理を実行する構成であるため、処理負荷の軽減を図りながら上記のような表示態様の多様化を図ることが可能となる。
【0779】
画像データとしてメモリモジュール83に予め記憶された反転用レイヤデータ244の各ドットの数値情報をキャプチャ画像データ241の各ドットに適用することで、キャプチャ画像データ241に対応する画像とは色合いが異なる画像を表示させる構成であることにより、当該異なる画像を表示させる場合には反転用レイヤデータ244を単に適用するだけでよいため処理負荷の軽減を図ることが可能となる。また、反転用レイヤデータ244の各ドットに設定された数値情報は全て同一であるため、キャプチャ画像データ241の各ドットのそれぞれに同一の演算処理を実行すればよくこの点からも処理負荷の軽減を図ることが可能となる。
【0780】
反転用レイヤデータ244の各ドットには最大のRGB値が設定されており、その最大のRGB値からキャプチャ画像データ241の各ドットに設定されているRGB値が減算される構成である。これにより、キャプチャ画像データ241の各ドットの数値情報がそれぞれ反転されることとなり、キャプチャ画像データ241に対応する画像の色合いを全体的に反転させた画像を表示させることが可能となる。
【0781】
反転用レイヤデータ244が適用されることなくキャプチャ画像データ241に対応する画像が表示されることがある。これにより、キャプチャ画像データ241を利用して複数種類の画像を表示させることが可能となる。
【0782】
反転用レイヤデータ244は背景画像に対応するキャプチャ画像データ241に適用され、装飾図柄203,207及び共通表示部211を表示させるための画像には適用されない。これにより、装飾図柄203,207及び共通表示部211の表示態様を反転用レイヤデータ244によって変化させないようにしながら、背景画像について反転画像を表示させることが可能となる。
【0783】
<反転表示演出についての別形態>
・反転用レイヤデータ244が適用される対象はキャプチャ画像データ241に限定されることはなく、当該キャプチャ画像データ241とは異なる画像データにも適用される構成としてもよい。例えば、画像データの別保存が実行されるタイミングが複数種類存在しており、各タイミングのキャプチャ画像データのそれぞれに対して反転用レイヤデータ244が適用される構成としてもよい。この場合、1個の反転用レイヤデータ244を利用して、複数種類の画像データについて反転画像を表示させることが可能となる。
【0784】
・反転用レイヤデータ244が適用される対象はキャプチャ画像データ241ではなく、メモリモジュール83に予め記憶されている画像データとしてもよい。例えば背景画像における最背面の画像を表示させるための画像データに対して反転用レイヤデータ244が適用される構成としてもよい。この場合、その最背面の画像について反転画像を表示させることが可能となる。
【0785】
また、このような反転画像の表示を、大当たり結果となる遊技回において反転画像の表示抽選処理にて当選となった場合に行う構成としてもよい。これにより、最背面の画像が反転画像となることを利用して、大当たり結果となることを示唆する確定演出を実行することが可能となり、最背面の画像に対する遊技者の注目度を高めることが可能となるとともに当該確定演出が実行されたことに対する意外性を与えることが可能となる。
【0786】
・反転用レイヤデータ244に加えて又は代えて、各ドットのRGB値として中間の値が設定された中間用レイヤデータが設けられている構成としてもよい。この場合、キャプチャ画像データ241の各ドットに設定されている数値情報を中間用レイヤデータの各ドットの数値情報により除算する構成としてもよく、キャプチャ画像データ241の各ドットに設定されている数値情報に中間用レイヤデータの各ドットの数値情報を加算する構成としてもよく、キャプチャ画像データ241の各ドットに設定されている数値情報から中間用レイヤデータの各ドットの数値情報を減算する構成としてもよい。このような中間用レイヤデータを利用したとしても、キャプチャ画像データ241とは色合いが異なる画像を表示させることが可能となる。なお、中間用レイヤデータの各ドットのRGB値として中間の値が設定されている構成に限定されることはなく、最大値の1/4の値が設定されている構成としてもよく、最大値の3/4の値が設定されている構成としてもよい。
【0787】
・反転用レイヤデータ244をキャプチャ画像データ241に適用する場合、反転用レイヤデータ244の各ドットのRGB値からキャプチャ画像データ241の各ドットのRGB値を減算する構成に限定されることはなく、キャプチャ画像データ241の各ドットのRGB値を反転用レイヤデータ244の各ドットのRGB値により除算する構成としてもよい。
【0788】
・キャプチャ画像データ241の各ドットのRGB値を一律変化させて当該キャプチャ画像データ241に対応する画像とは色合いが異なる画像を表示させる方法は、反転用レイヤデータ244を利用する方法に限定されることはなく、反転用レイヤデータ244といった画像データを利用するのではなくプログラムにより、最大のRGB値からキャプチャ画像データ241の各ドットのRGB値を減算する構成としてもよい。
【0789】
<移動表示演出>
次に、移動表示演出の内容について説明する。移動表示演出では、移動対象キャラクタ251が手前に向けて走っているような動画表示が行われる。なお、移動表示演出は遊技回用の演出におけるリーチ演出として、その後に大当たり結果となることの期待度が高いことを示す演出として実行される。
【0790】
図92(a)~図92(d)は移動表示演出の内容を説明するための説明図である。移動表示演出の態様として第1動作態様と第2動作態様とが存在している。これら第1動作態様及び第2動作態様において、移動対象キャラクタ251の下半身部分については動作態様が共通している。具体的には、移動対象キャラクタ251は前側に向けて走っているように下半身部分の動作表示が行われる。より詳細には、図92(a)及び図92(c)に示すように左足が前方となり右足が後方となる状態と、図92(b)及び図92(d)に示すように右足が前方となり左足が後方となる状態とを交互に繰り返す。
【0791】
一方、第1動作態様及び第2動作態様において、移動対象キャラクタ251の上半身部分については動作態様が相違している。第1動作態様による動作表示では、図92(a)に示すように右手が前方となり左手が後方となる状態と、図92(b)に示すように左手が前方となり右手が後方となる状態とを交互に繰り返す。第2動作態様による動作表示では、図92(c)に示すように突き出した両手を相対的に高い位置に保持している状態と、図92(d)に示すように突き出した両手を相対的に低い位置に保持している状態とを交互に繰り返す。なお、第1動作態様による動作表示と第2動作態様による動作表示とで移動対象キャラクタ251の顔の表情も相違しているが、顔の表情が相違していることは任意である。
【0792】
移動対象キャラクタ251は、図93の説明図に示すように、オブジェクトとしてボーンオブジェクト252を利用して表示される。ボーンオブジェクト252は、複数のボーンデータ253a及び複数のジョイントデータ253bを有する骨格データ253と、骨格データ253に関連付けて設定され皮膚の部分を表す皮膚データ254とを有する。ボーンデータ253aは移動対象キャラクタ251の骨部分に対応し、ジョイントデータ253bは複数のボーンデータ253aを繋ぐ関節部分に対応している。したがって、ジョイントデータ253bを基準としながらボーンデータ253aの座標データ及び向きのデータを変更することで、骨格データ253に関連付けて設定された皮膚データ254の座標データが変更され、それに応じて移動対象キャラクタ251の形態が変更されることとなる。
【0793】
ボーンオブジェクト252はメモリモジュール83に予め記憶されており、さらにボーンオブジェクト252に対応するテクスチャデータもメモリモジュール83に予め記憶されている。ボーンオブジェクト252を投影した後の2Dデータに対してテクスチャデータを適用することで、移動対象キャラクタ251を表示するための描画データが作成される。また、メモリモジュール83には、上記第1動作態様による動作表示を移動対象キャラクタ251に行わせるための第1アニメーションデータ255と、上記第2動作態様による動作表示を移動対象キャラクタ251に行わせるための第2アニメーションデータ256とが予め記憶されている。
【0794】
図94(a)は第1アニメーションデータ255を説明するための説明図であり、図94(b)は第2アニメーションデータ256を説明するための説明図である。第1アニメーションデータ255及び第2アニメーションデータ256はいずれも連番となるポインタ情報を有している。また、各ポインタ情報のそれぞれに対応させて、上半身の第1データ、上半身の第2データ、・・・、上半身の第kデータ、下半身の第1データ、下半身の第2データ、・・・、下半身の第kデータのそれぞれに適用するデータの組合せが設定されている。上半身の第1データ、上半身の第2データ、・・・、上半身の第kデータは、ボーンオブジェクト252の上半身部分におけるボーンデータ253aの座標及び向きを決定するためのデータであり、下半身の第1データ、下半身の第2データ、・・・、下半身の第kデータは、ボーンオブジェクト252の下半身部分におけるボーンデータ253aの座標及び向きを決定するためのデータである。なお、ボーンオブジェクト252の皮膚データ254については、一又は複数のボーンデータ253aに対して重み付けデータが予め設定されており、ボーンデータ253aが移動した場合には重み付けデータに従って皮膚データ254の座標データが変更される。これにより、ボーンデータ253aの動作に応じた態様で移動対象キャラクタ251の皮膚部分が変形する。
【0795】
第1アニメーションデータ255は両足を交互に前後させるとともに両手を交互に前後させる第1動作態様を移動対象キャラクタ251に複数周回実行させるデータとして設定されている。この場合、実際の第1動作態様の実行期間が第1アニメーションデータ255により定められている第1動作対象の実行期間を超えない場合と超える場合とが存在するが、超える場合には第1アニメーションデータ255において最後のポインタ情報による表示制御を実行した後に、第1アニメーションデータ255の最初のポインタ情報による表示制御に戻る。つまり、第1アニメーションデータ255が繰り返し使用される。この場合に、第1アニメーションデータ255において最後のポインタ情報による表示制御により表示される移動対象キャラクタ251の形態と、最初のポインタ情報による表示制御により表示される移動対象キャラクタ251の形態とは連続性を有している。
【0796】
第2アニメーションデータ256は両足を交互に前後させるとともに両手を同時に上下させる第2動作態様を移動対象キャラクタ251に複数周回実行させるデータとして設定されている。この場合、実際の第2動作態様の実行期間が第2アニメーションデータ256により定められている第2動作対象の実行期間を超えない場合と超える場合とが存在するが、超える場合には第2アニメーションデータ256において最後のポインタ情報による表示制御を実行した後に、第2アニメーションデータ256の最初のポインタ情報による表示制御に戻る。つまり、第2アニメーションデータ256が繰り返し使用される。この場合に、第2アニメーションデータ256において最後のポインタ情報による表示制御により表示される移動対象キャラクタ251の形態と、最初のポインタ情報による表示制御により表示される移動対象キャラクタ251の形態とは連続性を有している。
【0797】
上記のとおり第1アニメーションデータ255を利用することで移動対象キャラクタ251による第1動作態様による動作表示が行われ、第2アニメーションデータ256を利用することで移動対象キャラクタ251による第2動作態様による動作表示が行われる。この場合に、移動表示演出としては、移動対象キャラクタ251による第1動作態様による動作表示のみが行われる第1移動表示演出、及び移動対象キャラクタ251による第2動作態様による動作表示のみが行われる第2移動表示演出だけではなく、第1動作態様による動作表示が所定期間実行されたことに続けて第2動作態様による動作表示が実行される第3移動表示演出が含まれている。
【0798】
図95は第1移動表示演出、第2移動表示演出及び第3移動表示演出のそれぞれが実行される場合において使用対象となるアニメーションデータ255,256の種類を説明するためのタイムチャートである。図95(a)は第1移動表示演出の実行期間を示し、図95(b)は第2移動表示演出の実行期間を示し、図95(c)は第3移動表示演出の実行期間を示し、図95(d)は第1アニメーションデータ255の使用期間を示し、図95(e)は第2アニメーションデータ256の使用期間を示す。
【0799】
図95(a)に示すようにt1のタイミング~t2のタイミングに亘って第1移動表示演出が実行される。この場合、図95(d)及び図95(e)に示すように、アニメーションデータとして第2アニメーションデータ256が使用されることはなく第1アニメーションデータ255のみが使用される。
【0800】
図95(b)に示すようにt3のタイミング~t4のタイミングに亘って第2移動表示演出が実行される。この場合、図95(d)及び図95(e)に示すように、アニメーションデータとして第1アニメーションデータ255が使用されることはなく第2アニメーションデータ256のみが使用される。
【0801】
図95(c)に示すようにt5のタイミング~t7のタイミングに亘って第3移動表示演出が実行される。第3移動表示演出においてはまずt5のタイミング~t6のタイミングに亘って移動対象キャラクタ251による第1動作態様による動作表示が行われる。したがって、t5のタイミング~t6のタイミングに亘っては図95(d)に示すように第1アニメーションデータ255のみが使用される。その後、t6のタイミング~t7のタイミングに亘っては移動対象キャラクタ251による第2動作態様による動作表示が行われる。この場合、当該第2動作態様による動作表示を行わせるために第2アニメーションデータ256のみが使用されるのではなく、図95(d)及び図95(e)に示すように第1アニメーションデータ255及び第2アニメーションデータ256の両方が使用される。
【0802】
詳細には、移動対象キャラクタ251の下半身部分についてはt5のタイミング~t6のタイミングにおいて使用していた第1アニメーションデータ255をそのまま継続して使用する。この継続使用に際しては、例えばt6のタイミングで第1アニメーションデータ255における「m」のポインタ情報に対応するデータが使用されていた場合には、当該t6のタイミングに対して次のタイミングにおける画像の更新タイミングにおいては第1アニメーションデータ255における「m+1」のポインタ情報に対応するデータが使用される。但し、その使用対象となるデータは下半身の第1データ、下半身の第2データ、・・・、下半身の第kデータのみであり、上半身の第1データ、上半身の第2データ、・・・、上半身の第kデータは使用対象とならない。一方、移動対象キャラクタ251の上半身部分については第2アニメーションデータ256が改めて使用対象となる。但し、その使用対象となるデータは上半身の第1データ、上半身の第2データ、・・・、上半身の第kデータのみであり、下半身の第1データ、下半身の第2データ、・・・、下半身の第kデータは使用対象とならない。また、第2動作態様による動作表示を開始するタイミングにおいては第2アニメーションデータ256における「0」のポインタ情報から使用対象となる。
【0803】
このように第3移動表示演出において第1動作態様から第2動作態様に切り換わる場合には、移動対象キャラクタ251の下半身部分については第1アニメーションデータ255をそのまま継続使用する一方、移動対象キャラクタ251の上半身部分については第2アニメーションデータ256を改めて使用対象とすることで、第1動作態様と第2動作態様とで移動対象キャラクタ251の下半身部分の動作態様が共通する場合において第1動作態様から第2動作態様への切り換えに際して下半身部分の動作態様を連続的なものとしながら、移動対象キャラクタ251に第2動作態様を行わせることが可能となる。例えば第1動作態様から第2動作態様への切り換えに際して移動対象キャラクタ251の全体に適用するアニメーションデータを第1アニメーションデータ255から第2アニメーションデータ256に切り換える場合、切り換えタイミングの直前において第1アニメーションデータ255にて使用対象となっていた下半身部分のデータと、第2アニメーションデータ256の最初のポインタ情報に対応する下半身部分のデータとが動作の連続性を有していないことが想定される。この場合、第1動作態様から第2動作態様への切り換えに際して移動対象キャラクタ251の下半身部分の動作が不連続なものとなってしまうおそれがある。一方、両者のデータによる動作の連続性を担保するために第2アニメーションデータ256において使用開始となるポインタ情報を、第1アニメーションデータ255における最後のポインタ情報に応じて調整する構成も考えられるが、そのような調整をパチンコ機10においてリアルタイムで行おうとすると処理負荷が増大化してしまうとともに、パチンコ機10の設計段階において行おうとすると調整作業が煩雑なものとなってしまう。さらにまた第3移動表示演出の全体分に対応する専用のアニメーションデータを第1アニメーションデータ255及び第2アニメーションデータ256とは別に用意する構成も考えられるが、この場合、データ容量が増大化してしまう。これに対して、上記のように下半身部分については第1アニメーションデータ255を継続して使用し、上半身部分については第2アニメーションデータ256を使用することで、上記のような各種不都合を生じさせないようにしながら、第1動作態様から第2動作態様への切り換えを円滑に行わせることが可能となる。
【0804】
次に、上記のような移動表示演出を実行するための処理構成について説明する。図96は演出用CPU82にて実行される移動表示演出用の設定処理を示すフローチャートである。なお、移動表示演出用の設定処理は表示制御用のタスク処理(図15)におけるステップS603にて実行される。
【0805】
第1移動表示演出の開始タイミングである場合(ステップS3301:YES)、メモリモジュール83から第1アニメーションデータ255を読み出す(ステップS3302)。また、第2移動表示演出の開始タイミングである場合(ステップS3303:YES)、メモリモジュール83から第2アニメーションデータ256を読み出す(ステップS3304)。また、第3移動表示演出の開始タイミングである場合(ステップS3305:YES)、メモリモジュール83から第1アニメーションデータ255及び第2アニメーションデータ256の両方を読み出す(ステップS3306)。
【0806】
その後、移動対象キャラクタ251を表示させるために必要なボーンオブジェクト252及びそれに対応するテクスチャデータを把握する(ステップS3307)。そして、現状が第3移動表示演出において第1アニメーションデータ255及び第2アニメーションデータ256の両方を参照する期間であるか否かを判定する(ステップS3308)。ステップS3308にて否定判定をした場合には第1アニメーションデータ255及び第2アニメーションデータ256のうち現状の使用対象となっているアニメーションデータにおいて現状の参照対象のポインタ情報に対応する各種データを読み出す(ステップS3309)。
【0807】
ステップS3308にて肯定判定をした場合にはまず第1アニメーションデータ255において現状の参照対象のポインタ情報に対応する各種データのうち下半身部分のデータを読み出す(ステップS3310)。その後に、第2アニメーションデータ256において現状の参照対象のポインタ情報に対応する各種データのうち上半身部分のデータを読み出す(ステップS3311)。これら第1アニメーションデータ255における参照対象のポインタ情報と第2アニメーションデータ256における参照対象のポインタ情報とはそれぞれ独立して設定されている。
【0808】
ステップS3309又はステップS3311の処理を実行した場合、ポインタ情報の更新処理を実行する(ステップS3312)。当該更新処理では、第1アニメーションデータ255が使用対象である場合には当該第1アニメーションデータ255において参照対象となるポインタ情報を更新する。また、当該更新処理では、第2アニメーションデータ256が使用対象である場合には当該第2アニメーションデータ256において参照対象となるポインタ情報を更新する。また、当該更新処理では、第1アニメーションデータ255及び第2アニメーションデータ256の両方が使用対象である場合には、第1アニメーションデータ255において参照対象となるポインタ情報を更新するとともに、第2アニメーションデータ256において参照対象となるポインタ情報を更新する。
【0809】
その後、ボーンオブジェクト252に適用する各種パラメータのうちアニメーションデータ255,256には定められていない他のパラメータを把握する(ステップS3313)。また、移動対象キャラクタ251とは異なる画像を表示させるためのオブジェクト及びテクスチャを把握し(ステップS3314)、さらにそれらオブジェクト及びテクスチャに適用する各種パラメータを把握する(ステップS3315)。
【0810】
以上のような移動表示演出用の設定処理が実行されることにより、移動対象キャラクタ251及び他の画像を表示させるために必要な各種データが設定された描画リストが3D制御部97に提供される。そして、3D制御部97において当該描画リストに従った描画処理が実行されることにより、移動対象キャラクタ251及びその他の画像がメイン表示装置41において表示される。
【0811】
図97は3D制御部97にて実行されるボーンオブジェクト252の配置処理を示すフローチャートである。なお、当該ボーンオブジェクト252の配置処理は3D描画処理(図20)におけるステップS803にて実行される。なお、ボーンオブジェクト252の配置処理は描画リストにおいてボーンオブジェクト252が使用対象として設定されている場合に実行される。
【0812】
まずボーンオブジェクト252に含まれているボーンデータ253aの数に対応する値をレジスタ93に設けられた適用対象カウンタに設定する(ステップS3401)。その後、描画リストに設定されている各ボーンデータ253aの座標データ及び向きデータのうち現状の適用対象カウンタの値に対応する座標データ及び向きデータを読み出し、その読み出した座標データ及び向きデータを現状の適用対象カウンタの値に対応する種類のボーンデータ253aに適用する(ステップS3402)。そして、適用対象カウンタの値を1減算する(ステップS3403)。1減算後における適用対象カウンタの値が「0」ではない場合(ステップS3404:NO)、その1減算後における適用対象カウンタの値に対応するボーンデータ253aについてステップS3402の処理を実行する。
【0813】
1減算後における適用対象カウンタの値が「0」である場合(ステップS3404:YES)、調整処理を実行する(ステップS3405)。調整処理では、各ボーンデータ253aの座標データ及び向きのデータの設定により決定された骨格データ253に対応させて皮膚データ254の座標を変更する。その後、配置処理を実行する(ステップS3406)。配置処理では、上記のように形態が設定されたボーンオブジェクト252を、ボーンオブジェクト252の仮想3次元空間における座標データ及び角度などのパラメータを適用した状態で仮想3次元空間に配置する。これにより、演出用CPU82にて決定された各種パラメータに従った形態でボーンオブジェクト252が仮想3次元空間に配置される。
【0814】
上記構成によれば、第3移動表示演出が実行される場合、移動対象キャラクタ251のうち下半身部分の動作内容については第1アニメーションデータ255を利用して決定され、移動対象キャラクタ251のうち上半身部分の動作内容については第2アニメーションデータ256を利用して決定される状況がある。これにより、移動対象キャラクタ251の下半身部分及び上半身部分のそれぞれにおいて所定の動作が行われる画像を表示する場合において、下半身部分及び上半身部分のそれぞれの表示を好適に行うのに適したアニメーションデータ255,256を利用することが可能となる。
【0815】
第3移動表示演出における前半の期間においては第1アニメーションデータ255を利用して移動対象キャラクタ251の下半身部分及び上半身部分の両方の表示内容が決定され、第3移動表示演出における後半の期間においては移動対象キャラクタ251の下半身部分については第1アニメーションデータ255をそのまま利用して表示内容が決定されるのに対して移動対象キャラクタ251の上半身部分については新たに第2アニメーションデータ256を利用して表示内容が決定される。これにより、第3移動表示演出の前半の期間から後半の期間に切り換わる場合において、移動対象キャラクタ251における上半身部分については異なる動作が行われるようにしながら、移動対象キャラクタ251における下半身部分については円滑に動作が継続されるようにすることが可能となる。
【0816】
第1移動表示演出においては第1アニメーションデータ255を利用して移動対象キャラクタ251の下半身部分及び上半身部分の両方の表示内容が決定され、第2移動表示演出においては第2アニメーションデータ256を利用して移動対象キャラクタ251の下半身部分及び上半身部分の両方の表示内容が決定される。この場合に、上記のとおり第3移動表示演出における後半の期間においては移動対象キャラクタ251の下半身部分の動作内容については第1アニメーションデータ255を利用して決定され、移動対象キャラクタ251の上半身部分の動作内容については第2アニメーションデータ256を利用して決定される。これにより、各状況に適したアニメーションデータ255,256を利用して移動対象キャラクタ251を表示させることが可能となる。
【0817】
第1アニメーションデータ255を利用して決定される場合における移動対象キャラクタ251の下半身部分の表示内容と、第2アニメーションデータ256を利用して決定される場合における移動対象キャラクタ251の下半身部分の表示内容とが同一である。これにより、第1移動表示演出と第2移動表示演出とで移動対象キャラクタ251の下半身部分の表示内容を同一とすることが可能となる。この場合に、第3移動表示演出の後半の期間においては敢えて第1アニメーションデータ255を利用して移動対象キャラクタ251の下半身部分の表示内容を決定するとともに第2アニメーションデータ256を利用して移動対象キャラクタ251の上半身部分の表示内容を決定することにより、下半身部分及び上半身部分の各表示内容を円滑に変化させることが可能となる。
【0818】
<移動表示演出についての別形態>
・第2アニメーションデータ256には移動対象キャラクタ251の上半身部分のデータのみが設定されており、移動対象キャラクタ251の下半身部分のデータが設定されていない構成としてもよい。この場合であっても、第3移動表示演出における前半の期間においては移動対象キャラクタ251の下半身部分及び上半身部分の両方の表示内容が第1アニメーションデータ255により決定され、後半の期間においては移動対象キャラクタ251の下半身部分の表示内容については第1アニメーションデータ255を利用して決定されるとともに上半身部分の表示内容については第2アニメーションデータ256を利用して決定されるようにすることで、下半身部分の動作が円滑に行われるようにしながら上半身部分の動作内容を変更することが可能となる。
【0819】
・第1アニメーションデータ255による移動対象キャラクタ251の下半身部分の表示内容と第2アニメーションデータ256による移動対象キャラクタ251の下半身部分の表示内容とが同一である構成に限定されることはなく、これらの表示内容が異なっている構成としてもよい。
【0820】
・所定個別画像のうち一部の画像範囲である第1画像範囲の表示内容については第1アニメーションデータ255を利用して決定するとともに、所定個別画像のうち一部の画像範囲である第2画像範囲の表示内容については第2アニメーションデータ256を利用して決定する構成の適用対象は、3D画像を表示するためのボーンデータ253に限定されることはなく、2D画像を表示するためのスプライトデータであってもよい。
【0821】
<他の実施形態>
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。例えば以下のように変更してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記実施形態の構成に対して、個別に適用してもよく、組合せて適用してもよい。また、上記各実施形態の構成及び以下の他の実施形態の構成を任意の組合せで適用してもよい。これにより、各構成を適用したことによる相乗的な効果を得ることが可能となる。
【0822】
(1)VRAM86の事前転送領域86aに既に読み出されている画像データが、演出用CPU82から提供された描画リストにおいて新たに読み出し対象として設定された場合、その画像データが事前転送領域86aのデータ格納エリア123間においてコピーされる構成に限定される構成に代えて、当該コピーが行われることなく、その画像データが既に格納されているデータ格納エリア123に対応する識別情報が描画リストのアドレス情報に設定される構成としてもよい。この場合、画像データの書き込み対象が後側となるデータ格納エリア123に読み出し対象の画像データを格納させることはできないが、データ格納エリア123間における画像データのコピーを行う必要がなくなる。
【0823】
(2)VRAM86の事前転送領域86aとは別に履歴領域を設け、当該履歴領域に事前転送領域86aに事前転送された画像データが当該事前転送された順序に従って記憶される構成としてもよい。この場合、例えば履歴領域として256個や512個といった複数個の画像データを記憶可能な記憶エリアを確保する。そして、予め定められた順序に従ってそれら複数の記憶領域が画像データの格納対象となるとともに、最後の順番の記憶領域に対して画像データを格納した場合には最初の順番の記憶領域が画像データの格納対象となる構成とする。当該構成においては事前転送領域86aに新たに画像データが事前転送される度に、その画像データが履歴領域において格納対象となっている記憶領域に格納されるようにする。そして、演出用CPU82から提供された描画リストにおいて指定されている画像データが事前転送領域86aに読み出された状態となるようにする場合には、まずその画像データが履歴領域のいずれかの記憶領域に記憶されていないか否かを特定する。履歴領域のいずれかの記憶領域に記憶されている場合には、その記憶領域に記憶されている画像データを事前転送領域86aに読み出す。一方、履歴領域のいずれの記憶領域にも記憶されていない場合には、メモリモジュール83から事前転送領域86aにその画像データを読み出すとともに、その読み出した画像データを履歴領域において現状の格納対象となっている記憶領域に格納する。当該構成であってもメモリモジュール83から画像データを読み出す頻度を低減させることが可能となる。また、当該構成であれば事前転送領域86aとは別に履歴領域が設けられるため、事前転送領域86aには演出用LSI85に提供されている描画リストにて使用対象として指定されている画像データのみが読み出されるようにすることが可能となる。なお、上記履歴領域がVRAM86とは別のRAMに設けられている構成としてもよい。
【0824】
(3)演出用CPU82から提供された描画リストのアドレス情報に設定されていたアドレスID群のうち開始アドレスに対応するアドレスIDのみが検索用テーブル125に設定される構成に代えて、最終アドレスに対応するアドレスIDのみが検索用テーブル125に設定される構成としてもよく、中間アドレスに対応するアドレスIDのみが検索用テーブル125に設定される構成としてもよい。また、開始アドレスに対応するアドレスIDと最終アドレスに対応するアドレスIDとが検索用テーブル125に設定される構成としてもよく、アドレスID群の全体が検索用テーブル125に設定される構成としてもよい。これにより、事前転送領域86aのデータ格納エリア123に格納されている画像データの種類の特定をより正確に行うことが可能となる。
【0825】
(4)データ格納エリア123に格納されている画像データの種類を特定するための情報として検索用テーブル125にアドレスIDが設定される構成に代えて、例えば画像データのそれぞれに識別情報が設定されている場合にはその識別情報が上記画像データの種類を特定するための情報として検索用テーブル125に設定される構成としてもよい。この場合、上記識別情報が1個のアドレスIDよりも情報量が少ないのであれば、上記画像データの種類を特定するための情報量を少なくすることが可能となる。
【0826】
(5)VRAM86に事前転送領域86aとは別に常駐領域を設け、遊技回用の演出を開始させるために必要な変動開始用の画像データや異常報知用の画像データは演出用CPU82への動作電力の供給が開始された場合に常駐領域に読み出され、当該動作電力が供給されている間はその読み出された状態が維持されるようにしてもよい。この場合、任意のタイミングで遊技回用の演出を開始させる開始条件や異常報知を開始させる開始条件が成立したとしても、常駐領域から読み出した画像データを利用して画像を表示させることができるため、メモリモジュール83から画像データを読み出す場合に比べて、上記開始条件が成立してから画像の表示が開始されるまでに要する期間を短縮させることが可能となる。
【0827】
(6)読み出し対象となったデータがRAMに既に読み出されている場合にはそのデータをROMから読み出さない構成、及び読み出し対象となったデータがRAMに既に読み出されている場合にはそのデータをRAMのエリア間においてコピーするという構成を、画像データ以外のデータに対して適用してもよい。
【0828】
(7)描画リストにおいて指定されている画像データの事前転送領域86aへの事前転送が完了した場合に、その転送先のデータ格納エリア123に対応する識別情報が描画リストのアドレス情報に上書きされる構成に限定されることはなく、その識別情報が描画リストにおいてアドレス情報とは別の情報として設定される構成としてもよい。この場合であっても、演出用CPU82から提供される描画リストにおいては転送先のエリアに対応する情報が設定されていないため、当該描画リストの情報量を低減させることが可能となる。
【0829】
(8)事前転送制御部94は描画リストにおいて指定されている画像データが事前転送領域86aにおける転送先のデータ格納エリア123に記憶された状態となったか否かを特定し、記憶された状態となったことを特定した場合にそのデータ格納エリア123に対応する識別情報を描画リストに設定する構成としてもよい。これにより、描画リストにおいて識別情報が設定されていることが、画像データの読み出しが完了していることを意味することとなる。
【0830】
(9)動画像データ184,185にデコード処理が実行されることにより作成されるデコード画像データ184a~184d,185a~185dがレジスタ93に記憶される構成に代えて、事前転送領域86aのデータ格納エリア123に記憶される構成としてもよい。当該構成において、1個のデータ格納エリア123に対して1個のデコード画像データ184a~184d,185a~185dが格納される構成とした場合、デコード画像データ184a~184d,185a~185dをデータ格納エリア123に記憶させた場合にはそのデータ格納エリア123に対応する識別情報を描画リストのアドレス情報に設定される構成としてもよい。また、このようにデコード画像データ184a~184d,185a~185dであっても識別情報が設定される構成においては、描画リストにおいて表示順優先データが「1」以降の画像データは、直前の表示順優先データに対応する画像データが読み出されているエリアに対してアドレスが連続するエリアに読み出されることとなる。したがって、描画リストにおいて表示順優先データが「1」以降の画像データに対応するアドレス情報にはオフセット値のみを設定する構成とすることが可能となる。これにより、画像データの事前転送が完了した後におけるアドレス情報の情報量を少なくすることが可能となる。
【0831】
(10)画像データの事前転送が完了した場合、描画リストにおいて表示順優先データが「1」以降の画像データはアドレス情報としてオフセット値が設定される構成に限定されることはなく、いずれの画像データであってもアドレス情報には当該画像データが読み出されているエリアのアドレスを特定するための情報である識別情報が設定される構成としてもよい。
【0832】
(11)描画リストといった指示情報において指定されているデータの事前転送が完了した場合にはそのデータの転送先のエリアに対応する情報を指示情報に設定する構成を、画像を表示させるための描画リストとは異なる指示情報を利用する構成に対して適用してもよい。
【0833】
(12)一の更新タイミングの画像を表示させるために最大で2個の2D用描画リストが演出用CPU82から演出用LSI85に提供される構成に代えて、3個又は4個以上の2D用描画リストが提供され得る構成としてもよい。また、一の更新タイミングの画像を表示させるために最大で2個の3D用描画リストが演出用CPU82から演出用LSI85に提供される構成に代えて、3個又は4個以上の3D用描画リストが提供され得る構成としてもよい。
【0834】
(13)一の更新タイミングの画像を表示させるために複数の描画リストが常に演出用CPU82から演出用LSI85に提供される構成に代えて、一の更新タイミングの画像を表示させるために1個の描画リストのみが演出用CPU82から演出用LSI85に提供され得る構成としてもよい。例えば3D画像を表示する機能を有していない構成においては1個の2D用描画リストのみが提供されることとなる。この場合、一の更新タイミングにおいて使用対象となる2D用の画像データが基準個数未満であれば1個の描画リストのみが提供され、一の更新タイミングにおいて使用対象となる2D用の画像データが基準個数以上であれば複数の描画リストが提供される構成としてもよい。
【0835】
(14)2D用の画像データと3D用の画像データとが異なる描画リストに設定される構成に限定されることはなく、これら2D用の画像データと3D用の画像データとが同一の描画リストに設定される構成としてもよい。この場合、演出用CPU82から提供される描画リストの数を少なくすることが可能となる。但し、当該構成においては描画リスト内にて2D用の画像データと3D用の画像データとが明確に区別される必要がある。当該区別するための構成として具体的には、2D用の画像データは所定数値範囲の表示順優先データが設定されるようにし、3D用の画像データは当該所定数値範囲とは重複しない特定数値範囲の表示順優先データが設定されるようにする構成が考えられる。これにより、2D用の画像データと3D用の画像データとが同一の描画リストに集約して設定される構成であったとしても、それら2D用の画像データと3D用の画像データとを描画リストにおいて明確に区別させることが可能となる。
【0836】
また、上記のように2D用の画像データと3D用の画像データとが同一の描画リストに集約させて設定される構成においては、2D制御部96及び3D制御部97のうち一方においてその描画リストを利用した描画処理が完了した後に他方においてその描画リストを利用した描画処理が実行されるようにすることで、同一の描画リストを演出用CPU82から演出用LSI85に複数提供する必要がない。
【0837】
(15)メイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44に対応する画像データが1個の描画リストに集約して設定される構成に限定されることはなく、一部の表示装置に対応する画像データは他の表示装置に対応する画像データとは別の描画リストに設定される構成としてもよい。例えば、メイン表示装置41に対応する画像データのみが設定された描画リストと、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44に対応する画像データが設定された描画リストとが演出用CPU82から提供される構成としてもよく、メイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれに対応する描画リストが演出用CPU82から提供される構成としてもよい。この場合、描画リスト単位で設定対象となる表示装置41,43,44が区別されることとなるため、2D制御部96及び3D制御部97において設定対象となる表示装置41,43,44の特定を行い易くなる。
【0838】
(16)演出用CPU82から提供された描画リストが演出用LSI85において複数の描画リストに分割されて、その分割された各描画リストが2D制御部96又は3D制御部97において利用される構成としてもよい。例えば、2D用の画像データと3D用の画像データとが使用対象として集約された1個の描画リストが演出用CPU82から演出用LSI85に提供され、演出用LSI85では画像データの事前転送を行ったタイミングなどにおいてその1個の描画リストから2D用の画像データが設定された描画リストと3D用の画像データが設定された描画リストとに分割する構成としてもよい。これにより、演出用CPU82から提供される描画リストの数を少なく抑えながら、2D制御部96及び3D制御部97のそれぞれに対応する描画リストをそれら2D制御部96及び3D制御部97に個別に提供することが可能となる。
【0839】
(17)同一の描画リストが演出用CPU82から演出用LSI85に複数提供される構成としてもよい。この場合、例えば描画リストには画像データのメモリモジュール83における記憶元のエリアに対応するアドレスIDだけではなくその画像データのVRAM86における記憶先のエリアに対応する情報も設定されている構成とするとともに、それら同一の複数の描画リストのうち1個の描画リストは事前転送制御部94に提供され1個の描画リストは2D制御部96及び3D制御部97に提供される構成としてもよい。当該構成によれば、事前転送制御部94において全ての画像データの事前転送が完了していない描画リストについて2D制御部96及び3D制御部97における描画処理の実行対象とすることが可能となる。
【0840】
(18)事前転送領域86aの各データ格納エリア123のそれぞれに対応させて読み出し完了フラグを設け、事前転送制御部94において転送先のデータ格納エリア123への画像データの転送が完了した場合にはそのデータ格納エリア123に対応する読み出し完了フラグに「1」をセットする構成としてもよい。この場合、2D制御部96及び3D制御部97は読み出し完了フラグに「1」がセットされていることを条件としてそのデータ格納エリア123から画像データの読み出しを行い、画像データの読み出しを行った場合にはそのデータ格納エリア123に対応する読み出し完了フラグを「0」クリアする構成としてもよい。これにより、画像データの読み出しが完了していないデータ格納エリア123からの画像データの読み出し処理が実行されてしまわないようにすることが可能となる。
【0841】
(19)インデックス領域127a~127c毎にそれらインデックス領域127a~127cの一の識別情報により集約して指定されるVRAM86のエリアの数が相違している構成としてもよい。これにより、それぞれのインデックス領域127a~127cに記憶されることとなるデータの種類に適したサイズのエリアを一の識別情報により指定することが可能となる。
【0842】
(20)インデックス領域127a~127cにおける一の識別情報によりVRAM86の複数のエリアが指定される構成に限定されることはなく、一の識別情報によりVRAM86の1個のエリアが指定される構成としてもよい。また、一の識別情報によりVRAM86の1個のエリアが指定されるインデックス領域と、一の識別情報によりVRAM86の複数のエリアが指定されるインデックス領域とが存在している構成としてもよい。
【0843】
(21)一のインデックス領域127a~127cにアドレスが連続しないVRAM86のエリアが含まれている構成としてもよく、一の識別情報により指定されるVRAM86のエリアとしてアドレスが連続しないエリアが含まれている構成としてもよい。
【0844】
(22)特別動画像データ185にIピクチャデータが複数種類設定されている構成に限定されることはなく、特別動画像データ185にはIピクチャデータが1種類のみ設定されている構成としてもよい。この場合、特別動画像データ185にデコード処理を実行することにより作成される特別デコード画像データは1種類のみとなる。当該構成であっても、テクスチャデータといった静止画像データをVRAM86の事前転送領域86aとは異なる領域に読み出すことが可能となる。
【0845】
また、当該構成において特別動画像データ185には同一種類のIピクチャデータが複数設定されている構成としてもよい。この場合、特別動画像データ185にデコード処理を実行することにより同一の特別デコード画像データが複数作成されることとなる。当該構成においては同一の特別デコード画像データを複数の更新タイミングに亘って使用する場合、特別動画像データ185に対応する使用順序に従って特別デコード画像データを使用するだけで、同一の特別デコード画像データを複数の更新タイミングに亘って使用することが可能となる。また、このように同一の特別デコード画像データが複数作成される場合、使用対象となるのはそのうちの1個の特別デコード画像データのみであり残りの特別デコード画像データはデコード処理後において記憶されているエリアから消去される構成としてもよい。
【0846】
(23)VRAM86又はレジスタ93に別保存用エリアを設け、特別動画像データ185にデコード処理を実行することにより作成された特別デコード画像データ185a~185dはその別保存用エリアに別保存される構成としてもよい。この場合、特別デコード画像データ185a~185dの使用期間が一旦終了したとしても次回の使用に際しては別保存用エリアからその特別デコード画像データ185a~185dを読み出す構成とすることで、特別動画像データ185に対する再度のデコード処理を実行する必要がなくなる。
【0847】
(24)特別動画像データ185はBピクチャデータやPピクチャデータなどの差分データを有しているが、差分が「0」となるようにそれら差分データが設定されている構成としてもよい。この場合、同一の特別デコード画像データが複数作成されることとなる。
【0848】
(25)静止画像データとしてメモリモジュール83に予め記憶されているテクスチャデータは、演出用CPU82への動作電力の供給が開始された場合にその全てがメモリモジュール83から読み出されてVRAM86のテクスチャ用エリアに書き込まれる構成としてもよい。この場合、テクスチャデータの種類が増加するほどテクスチャ用エリアにおいて必要な記憶容量が増加してしまう。その一方、使用対象となるテクスチャデータの種類が変化する度に、テクスチャ用エリアに読み出されているテクスチャデータの種類を変更しようとすると演出用LSI85の処理負荷が増加してしまう。これに対して、一部のテクスチャデータについては特別動画像データ185として記憶することにより、テクスチャ用エリアの入れ換えを不要としながら一部のテクスチャデータについては必要に応じてレジスタ93における動画用の展開領域119に読み出すことが可能となる。また、テクスチャデータを利用するためのエリアとして動画用の展開領域119を兼用する場合において、当該動画用の展開領域119にはテクスチャデータそのものが読み出されるのではなく特別動画像データ185にデコード処理を実行することで作成された特別デコード画像データ185a~185dが読み出されるため、演出用LSI85における動画用の展開領域119の扱いを当該動画用の展開領域119に読み出されるデータの種類に応じて変更させる必要が生じない。
【0849】
また、上記構成においてテクスチャデータだけではなくオブジェクトデータも、演出用CPU82への動作電力の供給が開始された場合にメモリモジュール83からVRAM86のオブジェクト用エリアに読み出される構成としてもよい。この場合、オブジェクトデータをVRAM86に適宜のタイミングで読み出す必要がない。
【0850】
(26)第1サブ表示装置43に画像を表示させるための描画データ(以下、第1描画データともいう)と、第2サブ表示装置44に画像を表示させるための描画データ(以下、第2描画データともいう)とが一のフレーム領域117,118に設定される構成において、横方向の配列順序における奇数番目の縦ラインと偶数番目の縦ラインとに分散させて第1描画データと第2描画データとが分散させて設定される構成に限定されない。
【0851】
例えば、一のフレーム領域117,118における左半分に第1描画データが設定され、右半分に第2描画データが設定される構成としてもよい。また、例えば一のフレーム領域117,118における上半分に第1描画データが設定され、下半分に第2描画データが設定される構成としてもよい。また、例えば一のフレーム領域117,118における縦方向の配列順序における奇数番目の横ラインと偶数番目の横ラインとに分散させて第1描画データと第2描画データとが分散させて設定される構成としてもよい。また、第1描画データの一部を構成する第1描画部分データと第2描画データの一部を構成する第2描画部分データとが一ラインの単位で交互に配列されるのではなく、第1描画データの最小単位のドットと第2描画データの最小単位のドットとが縦方向及び横方向のそれぞれにおいて交互に配列される構成としてもよい。
【0852】
(27)第1サブ表示装置43のドット数と第2サブ表示装置44のドット数とが同一である構成に限定されることはなく第1サブ表示装置43のドット数と第2サブ表示装置44のドット数とが異なる構成としてもよい。この場合、一のフレーム領域117,118において第1描画データを設定するために確保されている領域に含まれるドット数と第2描画データを設定するために確保されている領域に含まれるドット数とが、それらドット数の違いに応じて異なる構成としてもよく同一である構成としてもよい。
【0853】
(28)第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のうち一方の表示装置がセンターフレーム42の裏側に隠れてパチンコ機10前方から視認不可となっている状況において、他方の表示装置が視認可能となる状況が生じ得る構成としてもよい。この場合、センターフレーム42の裏側に隠れている上記一方の表示装置においては何ら画像が表示されない構成としてもよい。当該構成であっても上記他方の表示装置に画像を表示させるための描画データは一のフレーム領域117,118においてその描画データに対応する一部の領域に設定される。当該構成において、上記一方の表示装置に対応する描画データの設定は行われない構成としてもよく、上記一方の表示装置において画像は表示されないものの当該一方の表示装置に対応する描画データの設定が行われる構成としてもよい。上記一方の表示装置に対応する描画データの設定が行われる構成とした場合、上記一方の表示装置にて画像が表示される状況であるか否かに関係なく、一のフレーム領域117,118に対して第1描画データと第2描画データとの両方が設定されることとなる。
【0854】
また、センターフレーム42の裏側に隠れている上記一方の表示装置においては同一色表示が行われる構成としてもよい。この場合は、当該一方の表示装置に対応する描画データとして同一色表示を行わせるようにするための描画データが設定されることとなるため、上記一方の表示装置がセンターフレーム42の裏側に隠れている状況であるか否かに関係なく、一のフレーム領域117,118に対して第1描画データと第2描画データとの両方が設定されることとなる。
【0855】
(29)各サブ表示装置43,44が初期位置に配置されている場合にはいずれもセンターフレーム42の裏側に隠れてパチンコ機10前方から視認不可となる構成としてもよい。この場合に、各サブ表示装置43,44が初期位置に配置されている場合にはそれら各サブ表示装置43,44においては何ら画像が表示されないものの、一のフレーム領域117,118に対して第1描画データと第2描画データとの両方が設定される構成としてもよい。また、各サブ表示装置43,44が初期位置に配置されている場合にはそれら各サブ表示装置43,44においては同一色表示が行われるとともに、一のフレーム領域117,118には同一色表示を行わせるための第1描画データと第2描画データとの両方が設定される構成としてもよい。この場合、その一のフレーム領域117,118にはその全体のドットに同一の色情報(数値情報)が設定されることとなる。
【0856】
(30)所定の描画タイミングでは一のフレーム領域117,118に第1描画データのみが設定され、他の描画タイミングではその一のフレーム領域117,118に第2描画データのみが設定される構成としてもよい。この場合、一のフレーム領域117,118における一部の領域が第1描画データを設定するための領域であり他の領域が第2描画データを設定するための領域である構成としてもよく、第1描画データを設定する描画タイミングであれば第1描画データが一のフレーム領域117,118の全体に亘って設定されるとともに第2描画データを設定する描画タイミングであれば第2描画データが一のフレーム領域117,118の全体に亘って設定される構成としてもよい。
【0857】
(31)クロック信号の1パルスの入力により第1描画データにおける1ドット分に対応する画像信号が第1サブ表示装置43に出力されるとともに第2描画データにおける1ドット分に対応する画像信号が第2サブ表示装置44に出力される構成に限定されることはなく、クロック信号の1パルスの入力により第1描画データにおける複数ドット分に対応する画像信号が第1サブ表示装置43に出力されるとともに第2描画データにおける複数ドット分に対応する画像信号が第2サブ表示装置44に出力される構成としてもよい。また、クロック信号の1パルスの入力により画像信号の出力対象となるドット数が第1描画データと第2描画データとで異なる構成としてもよい。
【0858】
また、クロック信号の1パルスの入力により第1描画データにおける1ドット分に対応する画像信号が第1サブ表示装置43に出力され、その次の1パルスの入力により第2描画データにおける1ドット分に対応する画像信号が第2サブ表示装置44に出力される構成としてもよい。この場合、第1描画データ及び第2描画データにおける全てのドット分の画像信号の出力が完了するまでに要する時間が長くなるものの、第1サブ表示装置43への画像信号の出力と第2サブ表示装置44への画像信号の出力とを交互に行うことが可能となる。
【0859】
(32)第1描画データと第2描画データとでドット数が異なる構成としてもよい。この場合、第1描画データ及び第2描画データの両方に画像信号の出力が完了していないドットが存在している状況においては第1サブ表示装置43への画像信号の出力と第2サブ表示装置44への画像信号の出力とが交互に行われ、第1描画データ及び第2描画データのうちドット数が少ない側の画像信号の出力が完了した後はドット数が多い側の画像信号の出力のみが繰り返される構成としてもよい。
【0860】
(33)使用対象となる画像データが一の描画リストに集約して設定される対象の表示装置はメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の全てである構成に限定されることはなく、集約して設定される対象がメイン表示装置41及び第1サブ表示装置43である構成としてもよく、メイン表示装置41及び第2サブ表示装置44である構成としてもよく、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44である構成としてもよい。4個以上の表示装置が設けられている構成においては、4個以上の表示装置に対応する画像データが一の描画リストに集約して設定される構成としてもよい。
【0861】
(34)描画リストにおいて設定対象となる表示装置41,43,44を指定するための情報として表示順優先データが兼用される構成に限定されることはなく、設定対象となる表示装置41,43,44の種類を特定するための情報が描画リストに設定される構成としてもよい。この場合、例えばメイン表示装置41に対応する画像データ群と第1サブ表示装置43に対応する画像データ群と第2サブ表示装置44に対応する画像データ群との間で同一の表示順優先データが設定された画像データが存在する構成としてもよい。当該構成においてはメイン表示装置41→第1サブ表示装置43→第2サブ表示装置44といったように画像データの使用順序が表示装置41,43,44の種類に応じて予め設定されていることにより、異なる表示装置41,43,44間において同一の表示順優先データが存在していたとしても、各画像データを順次使用対象とすることが可能となる。
【0862】
(35)表示制御用の実行対象テーブルには表示対象データと表示順データとが設定されており、それら表示対象データと表示順データとから表示順優先データが導出される構成に限定されることはなく、表示制御用の実行対象テーブルにおいて表示順優先データが設定されている構成としてもよい。この場合、表示対象データと表示順データとから表示順優先データを導出する必要がない点で処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0863】
(36)回転期間用画像153の表示内容は上記実施形態におけるものに限定されることはなく任意であり、例えば回転期間用画像153としてメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の全体に亘って同一色表示が行われる構成としてもよく、メイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の全体に亘って幾何学模様が表示される構成としてもよい。
【0864】
(37)サブ表示装置43,44が回転動作を行う期間においてメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44では縦横の方向性がある画像が表示されるとともにその画像が非回転面に表示されていると遊技者に認識されるようにサブ表示装置43,44の回転に追従させることなく表示される構成としてもよい。例えばメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の全体に亘ってキャラクタ画像及び背景画像の少なくとも一方が表示されるとともにその画像がサブ表示装置43,44の回転動作とは無関係に縦横の方向性を維持しながら同一の範囲に表示され続ける構成としてもよい。これにより、当該画像に注目している遊技者に対してサブ表示装置43,44が回転していることを認識しづらくさせることが可能となる。
【0865】
(38)サブ表示装置43,44がメイン表示装置41の前方において横方向又は縦方向にスライド移動する場合にこれらメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の全体に亘って画像が表示されるとともに、その画像が固定面に表示されていると遊技者に認識されるようにサブ表示装置43,44のスライド移動に追従させることなく表示される構成としてもよい。例えばメイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44の全体に亘ってキャラクタ画像及び背景画像の少なくとも一方が表示されるとともにその画像がサブ表示装置43,44のスライド動作とは無関係に縦横の方向性を維持しながら同一の範囲に表示され続ける構成としてもよい。これにより、当該画像に注目している遊技者に対してサブ表示装置43,44がスライド移動していることを認識しづらくさせることが可能となる。
【0866】
(39)サブ表示装置43,44が変位動作をしていることを遊技者に認識しづらくさせる画像の表示期間はサブ表示装置43,44が回転動作をする回転期間に限定されることはなく、例えばサブ表示装置43,44が初期位置からスライド移動を開始してからサブ表示装置43,44が分離時位置に配置されるまで継続される構成としてもよい。これにより、遊技者が気付かないうちにサブ表示装置43,44を初期位置から分離時位置まで変位させることが可能となり、遊技者に意外性を与えることが可能となる。
【0867】
(40)変位可能なサブ表示装置43,44が複数設けられている構成に限定されることはなく、1個のみ設けられている構成としてもよく、3個以上設けられている構成としてもよい。
【0868】
(41)サブ表示装置43,44がメイン表示装置41の表示面が向く方向を回転軸として所定方向に1周以上することが可能な構成としてもよい。
【0869】
(42)第2作動口34が遊技領域PAにおける右側領域に設けられており、高頻度サポートモードにおいては右側領域を遊技球が流下するように発射操作が行われる構成においては、高頻度サポートモードにおいてもサブ側の右打ち報知画像143が表示される構成としてもよい。
【0870】
(43)サブ側の右打ち報知画像143の回転速度がサブ表示装置43,44の回転態様に応じて変更される構成としたが、サブ側の右打ち報知画像143の回転速度が変更されない構成としてもよい。
【0871】
(44)サブ表示装置43,44の変位演出の実行期間において異常報知画像176が、メイン表示装置41にてサブ表示装置43,44と対向し得る領域であっても表示される構成としてもよい。この場合、異常報知画像176を表示可能な領域を広く確保することが可能となる。
【0872】
(45)サブ表示装置43,44の変位演出の実行期間において報知対象事象が発生した場合、報知対象事象の優先度に関係なく報知対象事象が発生した順序に従って当該報知対象事象に対応する異常報知画像176が順次表示されていく構成としてもよい。また、当該構成に代えて、サブ表示装置43,44の変位演出の実行期間において報知対象事象が発生した場合、報知対象事象の発生順序に関係なく報知対象事象の優先度に従って当該報知対象事象に対応する異常報知画像176が順次表示されていく構成としてもよい。
【0873】
(46)サブ表示装置43,44の変位演出の実行期間において所定の報知対象事象が発生した場合には当該報知対象事象に対応する異常報知画像176がメイン表示装置41にて表示されるとともにサブ表示装置43,44が初期位置に復帰する構成としてもよい。これにより、メイン表示装置41にて表示されている異常報知画像176に注目させることが可能となる。
【0874】
(47)サブ表示装置43,44の変位演出の実行期間において所定の報知対象事象が発生した場合には、その報知対象事象に対応する異常報知画像176がメイン表示装置41ではなくサブ表示装置43,44にて表示される構成としてもよい。これにより、異常報知画像176を目立たせることが可能となる。
【0875】
(48)上記第5の実施形態の共通表示部211における共通表示図柄の表示に関する別形態について、図98(a)及び図98(b)の説明図を参照しながら説明する。図98(a)及び図98(b)は共通表示図柄の表示に関する別形態を説明するための説明図である。図98(a)に示すように本別形態では、各表示モードにおいてメイン表示装置41の表示面に複数の表示領域として上段・中段・下段の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されている。各図柄列Z1~Z3には、装飾図柄261の表示図柄として主図柄と副図柄が所定の順序で配列されている。この場合、第1表示モードでは上記第1の実施形態と同一の主図柄及び副図柄が配列されているとともに、主図柄及び副図柄の配列態様も上記第1の実施形態と同一である。一方、第2表示モードにおいても図柄列Z1~Z3が設定されているものの、各図柄列Z1~Z3に設定されている主図柄及び副図柄の種類が相違しているとともに表示対象となる主図柄及び副図柄の数は第1表示モードよりも多い。第1表示モード及び第2表示モードのいずれにおいても表示面では、これら図柄列Z1~Z3の装飾図柄261が周期性をもって所定の向きにスクロールするように変動表示される。図98(a)に示すように表示面は図柄列Z1~Z3毎に3個の装飾図柄261が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の装飾図柄261が停止表示されるようになっている。また、表示面には、5つの有効ライン、すなわち左側の縦ラインである左ラインL1、中央側の縦ラインである中ラインL2、右側の縦ラインである右ラインL3、右下がりの斜めラインである右下がりラインL4、右上がりの斜めラインである右上がりラインL5が設定されている。そして、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに同一の数字が付された装飾図柄261の組合せが形成された状態で全図柄列Z1~Z3の変動表示が終了すれば、通常大当たり結果又は15R確変大当たり結果の発生として大当たり動画が表示されるようになっている。
【0876】
上記のように装飾図柄261が表示される構成において共通表示部211には各図柄列Z1~Z3において停止表示される装飾図柄261の数と同数の単位表示部262a~262iが設定されている。具体的には、図柄列Z1~Z3が上段・中段・下段の3段設定されていることに対応させて単位表示部262a~262iも上段・中段・下段の3段設定されており、さらに装飾図柄261が各図柄列Z1~Z3において横方向に3個停止表示されることに対応させて上段・中段・下段の各単位表示部262a~262iも横方向に3個存在している。そして、左上の第1単位表示部262aには上段の図柄列Z1における左側に停止表示される装飾図柄261に対応する共通表示図柄が停止表示され、上段中央の第2単位表示部262bには上段の図柄列Z1における中央側に停止表示される装飾図柄261に対応する共通表示図柄が停止表示され、右上の第3単位表示部262cには上段の図柄列Z1における右側に停止表示される装飾図柄261に対応する共通表示図柄が停止表示される。また、中段左側の第4単位表示部262dには中段の図柄列Z2における左側に停止表示される装飾図柄261に対応する共通表示図柄が停止表示され、中段中央の第5単位表示部262eには中段の図柄列Z2における中央側に停止表示される装飾図柄261に対応する共通表示図柄が停止表示され、中段右側の第6単位表示部262fには中段の図柄列Z2における右側に停止表示される装飾図柄261に対応する共通表示図柄が停止表示される。また、左下の第7単位表示部262gには下段の図柄列Z3における左側に停止表示される装飾図柄261に対応する共通表示図柄が停止表示され、下段中央の第8単位表示部262hには下段の図柄列Z3における中央側に停止表示される装飾図柄261に対応する共通表示図柄が停止表示され、右下の第9単位表示部262iには下段の図柄列Z3における右側に停止表示される装飾図柄261に対応する共通表示図柄が停止表示される。これにより、図柄列Z1~Z3の各位置に停止表示される装飾図柄261のそれぞれに対応する共通表示図柄を共通表示部211にて表示させることが可能となる。
【0877】
上記構成において遊技回用の演出が実行されており当該遊技回の大当たり抽選処理の結果に対応する装飾図柄261が停止表示されていない状況では、共通表示部211にて共通表示図柄の変動表示が行われることとなる。この変動表示中においては、図98(b)に示すように共通表示部211には第1~第9単位表示部262a~262iのうち右側の縦ラインである右ラインL3に対応する第3単位表示部262c、第6単位表示部262f及び第9単位表示部262iのみが表示される。
【0878】
図99は上記のように共通表示部211に表示される単位表示部262a~262iの数が変動する様子を示すタイムチャートである。図99(a)は遊技回の実行期間を示し、図99(b)は共通表示部211において第1~第9単位表示部262a~262iの全てが表示される全体表示の期間を示し、図99(c)は共通表示部211において第3単位表示部262c、第6単位表示部262f及び第9単位表示部262iのみが表示される一部表示の期間を示す。
【0879】
図99(b)に示すように共通表示部211にて全体表示が行われている状況であるt1のタイミングにて遊技回の開始条件が成立することで、図99(a)に示すように遊技回が開始され、装飾図柄261の変動表示が開始される。この場合、当該t1のタイミングで、図99(b)及び図99(c)に示すように共通表示部211にて全体表示が行われている状況から一部表示が行われる状況に切り換わる。そして、この一部表示が行われる状況は、装飾図柄261において確定表示(すなわち当否抽選処理及び振分判定処理の結果に対応する装飾図柄261の停止表示が強制的に行われる期間の表示)が開始されるタイミングであるt2のタイミングまで継続する。つまり、t2のタイミングで図99(b)及び図99(c)に示すように共通表示部211にて一部表示が行われている状況から全体表示が行われる状況に切り換わる。また、この全体表示が行われる状況に切り換わったタイミングで全ての単位表示部262a~262iにおいて共通表示図柄の変動表示が停止される。その後、t3のタイミングで確定表示時間が経過することで図99(a)に示すように遊技回の実行期間が経過する
その後、t4のタイミングにて遊技回の開始条件が成立することで、図99(a)に示すように遊技回が開始され、装飾図柄261の変動表示が開始される。この場合、当該t4のタイミングで、図99(b)及び図99(c)に示すように共通表示部211にて全体表示が行われている状況から一部表示が行われる状況に切り換わる。その後、t4のタイミング~t6のタイミングにおいてt1のタイミング~t3のタイミングと同一の動作が行われる。
【0880】
上記のように装飾図柄261の変動表示が行われている期間においては共通表示部211にて一部表示が行われる。これにより、装飾図柄261の変動表示が行われている期間において当該装飾図柄261の変動表示状況に対応する表示演出が行われる表示領域を広く確保することが可能となる。また、この状況において共通表示部211が非表示となるのではなく一部表示が行われる。これにより、例えば装飾図柄261を利用した表示演出として遊技回の途中で装飾図柄261が仮停止する場合であっても、そのタイミングで共通表示部211にて共通表示図柄が変動表示していることを目視することで、遊技回の途中であることを明確に把握することが可能となる。
【0881】
一部表示が実行される領域は右ラインL3に対応する第3単位表示部262c、第6単位表示部262f及び第9単位表示部262iに固定されている。これにより、共通表示部211にて一部表示が実行されている状況においてその一部表示がどの装飾図柄261に対応しているのかを認識し易くなる。
【0882】
遊技回が開始されたタイミングで一部表示が開始され、その遊技回において装飾図柄261の確定表示が開始されるタイミングで一部表示から全体表示に復帰される。これにより、装飾図柄261として遊技回の大当たり抽選処理の結果に対応する停止結果が表示されるタイミングにおいては、その停止結果として表示される全ての装飾図柄261に対応する共通表示図柄を共通表示部211に表示させることが可能となり、装飾図柄261の停止結果と共通表示図柄の停止結果とが対応していることを遊技ホールの管理者などに明確に認識させることが可能となる。
【0883】
(49)上記第5の実施形態の共通表示部211における共通表示図柄の表示に関する別形態について説明する。本別形態では第1表示モードが上記(48)の別形態のように装飾図柄261が複数の図柄列Z1~Z3にて表示されるとともに共通表示部211として第1~第9単位表示部262a~262iが表示されるモードであり、第2表示モードが上記第5の実施形態における第2表示モードのように各図柄表示領域に1個の第2装飾図柄207が表示されるとともに共通表示部211には当該図柄表示領域の数と同数である3個の単位表示部211a~211cが表示されるモードである。この場合、遊技回及び開閉実行モードが実行されていない状況において表示モードが変更された場合、メイン表示装置41の表示面に表示される装飾図柄207,261の数が変化することとなる。具体的には、第1表示モードから第2表示モードに変更された場合には上記第5の実施形態と同様に第2装飾図柄207の組合せとして切り換え時対応の表示図柄の組合せが表示され、第2表示モードから第1表示モードに変更された場合には右ラインL3上に切り換え時対応の表示図柄の組合せが表示されるように各図柄列Z1~Z3上における装飾図柄261の表示内容が調整される。
【0884】
一方、共通表示部211においては第1表示モードでは第1~第9単位表示部262a~262iが表示されるのに対して、第2表示モードでは3個の単位表示部211a~211cが表示される。図100は表示モードの切り換えに伴って共通表示部211の単位表示部の数が切り換えられる様子を示すタイムチャートである。図100(a)は第1表示モードの実行期間を示し、図100(b)は第2表示モードの実行期間を示し、図100(c)は共通表示部211において第1~第9単位表示部262a~262iが表示される期間を示し、図100(d)は共通表示部211において単位表示部211a~211cが表示される期間を示す。
【0885】
図100(a)に示すように第1表示モードであり図100(c)に示すように共通表示部211にて第1~第9単位表示部262a~262iが表示されている状況であるt1のタイミングで、図100(b)に示すように第2表示モードに切り換えられる。これにより、図100(d)に示すように当該t1のタイミングで共通表示部211にて9個の単位表示部262a~262iが表示されている状況から共通表示部211にて3個の単位表示部211a~211cが表示されている状況に切り換わる。
【0886】
この場合、装飾図柄261におけるいずれかのラインL1~L5に表示されている大当たり図柄の組合せに対応している共通表示図柄の組合せが9個の単位表示部262a~262iのいずれかの組合せに表示されているのであれば、その大当たり図柄の組合せに対応する共通表示図柄の組合せが第2表示モードへの変更後における共通表示部211の3個の単位表示部211a~211cに表示される。また、装飾図柄261におけるいずれかのラインL1~L5に表示されているリーチ外れ図柄の組合せに対応している共通表示図柄の組合せが9個の単位表示部262a~262iのいずれかの組合せに表示されているのであれば、そのリーチ外れ図柄の組合せに対応する共通表示図柄の組合せが第2表示モードへの変更後における共通表示部211の3個の単位表示部211a~211cに表示される。なお、リーチ外れ図柄の組合せが2種類以上存在している場合にはそのうちのいずれか1種類のリーチ外れ図柄の組合せに対応する共通表示図柄の組合せが表示される。また、9個の単位表示部211において表示されている共通表示図柄がいずれもリーチ表示すら発生しない完全外れ対応図柄の組合せに対応しているのであれば、右ラインL3に対応する第3単位表示部262c、第6単位表示部262f及び第9単位表示部262iに表示されている共通表示図柄の組合せが第2表示モードへの変更後における共通表示部211の3個の単位表示部211a~211cに表示される。
【0887】
その後、t2のタイミングで、図100(a)に示すように第1表示モードに切り換えられる。これにより、図100(c)に示すように当該t2のタイミングで共通表示部211にて3個の単位表示部211a~211cが表示されている状況から共通表示部211にて9個の単位表示部262a~262iが表示されている状況に切り換わる。この場合、3個の単位表示部211a~211cに表示されている共通表示図柄の組合せが、9個の単位表示部262a~262iのうち第3単位表示部262c、第6単位表示部262f及び第9単位表示部262iに表示されるように9個の単位表示部262a~262iの表示内容が調整される。
【0888】
上記構成によれば、表示モードに応じて同時に表示される装飾図柄の数が相違する構成であっても、各表示モードにおける装飾図柄の表示数に対応する態様で共通表示部211を表示させることが可能となる。これにより、遊技者又は遊技ホールの管理者は、装飾図柄の表示結果と共通表示部211の表示結果とを対応付け易くなる。
【0889】
(50)3D用の画像データを利用した3D画像のみが表示される構成としてもよい。この場合、メイン表示装置41、第1サブ表示装置43及び第2サブ表示装置44のそれぞれに対応する画像データの全てを共通のワールド座標系に配置し、その状態からメイン表示装置41用の描画データと、第1サブ表示装置43用の描画データと、第2サブ表示装置44用の描画データとを個別に作成する構成としてもよい。これにより、各表示装置41,43,44のそれぞれに対応するワールド座標系を個別に用意する必要がないため、処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0890】
(51)カメラ(視点)がワールド座標系に配置される画像データ毎に個別に設定される構成としたが、これに代えて、ワールド座標系に配置される全画像データに対して単一のカメラが共通して設定される構成としてもよい。また、投影前にテクスチャマッピングといった色情報の設定を行う構成としてもよい。
【0891】
(52)主制御装置60から送信されるコマンドに基づいて、振分制御基板71により演出制御装置80が制御される構成に代えて、主制御装置60から送信されるコマンドに基づいて、演出制御装置80が振分制御基板71を制御する構成としてもよい。また、振分制御基板71と演出制御装置80とが別々に設けられた構成に代えて、これらが一の制御装置として設けられた構成としてもよく、それらのうち一方の機能が主制御装置60に集約されていてもよく、それらの両機能が主制御装置60に集約されていてもよい。
【0892】
(53)上記各実施形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
【0893】
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組合せが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
【0894】
また、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
【0895】
<上記各実施形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0896】
<特徴A群>
特徴A1.情報を予め記憶する第1記憶手段(メモリモジュール83)と、
当該第1記憶手段から読み出された情報を記憶する第2記憶手段(VRAM86)と、
転送指示の対象となっている所定情報が前記第2記憶手段に記憶されている否かを特定する記憶特定手段(事前転送制御部94におけるステップS1007及びステップS1008の処理を実行する機能)と、
前記所定情報が前記第2記憶手段に記憶されていないことが前記記憶特定手段により特定された場合、当該所定情報を前記第1記憶手段から転送し、前記所定情報が前記第2記憶手段に記憶されていることが前記記憶特定手段により特定された場合、当該所定情報の前記第1記憶手段からの転送を行わない転送実行手段(事前転送制御部94におけるステップS1009及びステップS1010の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0897】
特徴A1によれば、第1記憶手段に予め記憶された情報が第2記憶手段に転送されることにより、その情報を使用する場合には第1記憶手段から直接読み出すのではなく第2記憶手段から読み出せばよい。この場合に、所定情報が転送指示の対象となっている場合、当該所定情報が第2記憶手段に記憶されていないのであれば第1記憶手段から第2記憶手段に所定情報が読み出され、当該所定情報が第2記憶手段に既に記憶されているのであれば当該所定情報の第1記憶手段からの転送は行われない。これにより、既に第2記憶手段に所定情報が記憶されているにも関わらず当該所定情報について第1記憶手段からの転送が更に行われてしまわないようにすることが可能となり、第1記憶手段からの情報の読み出し効率を高めることが可能となる。
【0898】
特徴A2.前記所定情報が前記第2記憶手段に記憶されていることが前記記憶特定手段により特定されている場合であって、当該所定情報が記憶されている前記第2記憶手段の記憶領域が前記転送指示において指定されている記憶先の記憶領域とは異なる別記憶領域である場合、前記別記憶領域に記憶されている前記所定情報を利用して当該所定情報を前記記憶先の記憶領域に記憶させる記憶実行手段(事前転送制御部94におけるステップS1011の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
【0899】
特徴A2によれば、第2記憶手段に既に読み出されている所定情報について転送指示が発生した場合には、第2記憶手段の記憶領域間においてその所定情報のコピーが実行される。これにより、第1記憶手段からの所定情報の更なる読み出しを不要としながら、転送指示として指定されている記憶領域に所定情報を記憶させることが可能となる。
【0900】
特徴A3.前記記憶特定手段は、前記第2記憶手段の記憶領域の種類と当該記憶領域に記憶されている情報の種類との対応関係が設定された検索用情報群(検索用テーブル125)を利用して、前記所定情報が前記第2記憶手段に記憶されているか否かを特定することを特徴とする特徴A1又はA2に記載の遊技機。
【0901】
特徴A3によれば、検索用情報群が設けられていることにより、転送指示の対象となっている所定情報が第2記憶手段に既に読み出されているか否かの特定を効率良く行うことが可能となる。
【0902】
特徴A4.前記第2記憶手段において前記転送指示にて指定されている記憶先の記憶領域に前記所定情報が記憶された場合、その記憶先の記憶領域の種類と前記所定情報の種類との対応関係が新たに設定されるように前記検索用情報群の内容を更新する内容更新手段(事前転送制御部94におけるステップS1012の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A3に記載の遊技機。
【0903】
特徴A4によれば、第2記憶手段の記憶領域への情報の転送が行われた場合には、その記憶領域と情報との対応関係が反映されるように検索用情報群の内容が更新される。これにより、検索用情報群の内容を第2記憶手段の最新の記憶状態に対応させることが可能となる。
【0904】
特徴A5.前記転送指示においては前記所定情報の種類を前記転送実行手段に特定させるための情報として前記第1記憶手段において前記所定情報が記憶されているエリアを特定するための特定用情報(アドレスID)が提供され、
前記検索用情報群には、前記所定情報の種類を特定するための情報として前記特定用情報又は当該特定用情報に含まれる情報が設定されることを特徴とする特徴A3又はA4に記載の遊技機。
【0905】
特徴A5によれば、転送指示にて提供される情報が検索用情報群において設定されている。これにより、転送指示の対象となっている所定情報が第2記憶手段に記憶されているか否かの特定を、検索用情報群を利用して行う場合に、転送指示において提供されている情報をそのまま利用することが可能となる。よって、当該特定を行う場合の処理構成を簡素化することが可能となる。
【0906】
特徴A6.前記特定用情報には、前記第1記憶手段において前記所定情報が記憶されているエリアの開始アドレスに対応する情報が含まれており、
前記検索用情報群には、前記所定情報の種類を特定するための情報として前記開始アドレスに対応する情報が設定されていることを特徴とする特徴A5に記載の遊技機。
【0907】
特徴A6によれば、検索用情報群において所定情報の種類を特定するための情報が開始アドレスに対応する情報であることにより、第1記憶手段において所定情報が記憶されているエリアの全てのアドレスに対応する情報が含まれている構成に比べて、検索用情報群における所定情報の種類を特定するための情報の情報量を抑えることが可能となるとともに所定情報が第2記憶手段に記憶されているか否かを特定するために検索用情報群を参照する場合の処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0908】
特徴A7.前記所定情報は前記第2記憶手段における複数の記憶領域に亘って記憶される情報であり、
前記検索用情報群において前記記憶領域の種類を特定するために設定されている種類情報は、前記複数の記憶領域を一群の記憶領域として識別するための識別情報であることを特徴とする特徴A3乃至A6のいずれか1に記載の遊技機。
【0909】
特徴A7によれば、第2記憶手段における複数の記憶領域が識別情報を利用して一群の記憶領域として特定される構成であるため、検索用情報群における種類情報の情報量を抑えることが可能となる。
【0910】
特徴A8.前記第2記憶手段は複数の記憶領域を有しており、
予め定められた順序に従ってそれら複数の記憶領域に情報が順次記憶されていき、最後の順番の記憶領域への情報の記憶処理が実行された次の記憶処理の実行回では、最初の順番の記憶領域に情報が記憶されることを特徴とする特徴A1乃至A7のいずれか1に記載の遊技機。
【0911】
特徴A8によれば、第2記憶手段の記憶領域は記憶処理の実行対象としてループすることとなるため、第2記憶手段の記憶容量を適度なものとすることが可能となる。また、第2記憶手段の複数の記憶領域は予め定められた順序に従って順次、記憶処理の実行対象となるため、記憶処理の実行対象となる記憶領域の特定を行うための処理構成を簡素化させることが可能となる。
【0912】
特徴A9.前記第1記憶手段は、少なくとも所定状況において任意のタイミングで発生し得る所定事象が発生した場合に制御手段にて用いられる任意情報(変動開始用の画像データ)を記憶しており、
前記所定状況において前記第2記憶手段に前記任意情報が記憶された状態が維持されるように、前記第2記憶手段の所定記憶領域に前記任意情報が記憶されている状況において当該任意情報が前記第2記憶手段における前記記憶処理の実行対象となった記憶領域に記憶されるようにする記憶維持手段(演出用CPU82におけるステップS903~ステップS906の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A8に記載の遊技機。
【0913】
特徴A9によれば、第2記憶手段の記憶領域が記憶処理の実行対象としてループする構成であったとしても、所定状況においては任意情報が第2記憶手段に記憶され続けることとなる。これにより、所定事象が発生したタイミングにおいては第2記憶手段に既に任意情報が読み出されているようにすることが可能となり、所定事象が発生したタイミングで第1記憶手段から第2記憶手段への任意情報の転送を必要としない。特に、本構成によれば、第2記憶手段において任意情報を記憶しておくための専用の記憶領域を用意する必要がないため、第2記憶手段の記憶領域を使用する場合の自由度を高められる。
【0914】
特徴A10.前記記憶維持手段は、前記所定記憶領域に記憶されている前記任意情報を利用して、前記第2記憶手段における前記記憶処理の実行対象となった記憶領域に前記任意情報を記憶させることを特徴とする特徴A9に記載の遊技機。
【0915】
特徴A10によれば、所定状況において任意情報が第2記憶手段に記憶され続けるようにするために、当該任意情報を第1記憶手段から定期的に読み出す必要が生じない。よって、情報の読み出し効率を高めながら、所定状況において任意情報が第2記憶手段に記憶され続けるようにすることが可能となる。
【0916】
特徴A11.前記第2記憶手段は、情報の読み出しに要する速度が前記第1記憶手段から読み出す場合よりも速く、
当該遊技機は、前記第2記憶手段に転送された情報を利用して制御を実行する制御手段(2D制御部96、3D制御部97)を備えていることを特徴とする特徴A1乃至A10のいずれか1に記載の遊技機。
【0917】
特徴A11によれば、情報の読み出しに要する速度が第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第2記憶手段に情報が読み出され、その読み出された情報を利用して制御手段にて制御が実行されることにより、制御手段において情報の読み出しに要する時間の短縮化が図られる。この場合に、上記特徴A1などにおいて記載された構成を備えていることにより、第2記憶手段への情報の転送を好適に行うことが可能となる。
【0918】
なお、特徴A1~A11のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【0919】
<特徴B群>
特徴B1.制御用情報を予め記憶する第1記憶手段(メモリモジュール83)と、
当該第1記憶手段から読み出された前記制御用情報を記憶する第2記憶手段(VRAM86)と、
指示情報(描画リスト)を提供する指示制御手段(演出用CPU82)と、
前記指示情報において指定されている前記制御用情報が前記第2記憶手段に読み出された状態となるようにする転送実行手段(事前転送制御部94)と、
前記指示情報に従って前記制御用情報を利用した制御を実行する制御実行手段(2D制御部96、3D制御部97)と、
を備え、
前記指示制御手段から提供される前記指示情報には前記第1記憶手段において前記制御用情報が記憶されている領域を特定するための記憶元情報(アドレスID)が設定されており、
前記転送実行手段は、前記記憶元情報を利用した転送処理を実行することにより前記指示情報において指定されている前記制御用情報が前記第2記憶手段に読み出された状態とした場合、当該第2記憶手段において前記制御用情報が読み出された領域を特定するための記憶先情報(識別情報)を当該指示情報に設定し、
前記制御実行手段は、前記転送実行手段により前記記憶先情報が設定された後の前記指示情報を利用して、当該指示情報において指定されている前記制御用情報が読み出されている前記第2記憶手段の記憶領域から当該制御用情報を読み出すことを特徴とする遊技機。
【0920】
特徴B1によれば、指示情報に設定された記憶元情報に従って制御用情報を第2記憶手段に転送させた場合には、第2記憶手段において制御用情報が記憶された領域を特定するための記憶先情報がその指示情報に設定される。これにより、記憶元情報と記憶先情報との両方を指示情報に当初から設定しておく必要がないため、指示制御手段から送信される指示情報の情報量を抑えることが可能となる。また、制御用情報が実際に第2記憶手段に転送された場合にその制御用情報が転送された第2記憶手段の領域に対応する情報が記憶先情報として指示情報に設定されるため、記憶先情報の内容の信頼性を高めることが可能となる。
【0921】
特徴B2.前記転送実行手段は、前記指示情報の前記記憶元情報を上書きするようにして前記記憶先情報を設定することを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
【0922】
特徴B2によれば、指示情報の記憶元情報に従って制御用情報の転送が実行された場合には、その制御用情報が転送された第2記憶手段の領域に対応する記憶先情報が上記記憶元情報を上書きするようにして指示情報に設定される。これにより、制御用情報の転送が完了した後において制御実行手段に提供される指示情報の情報量を抑えることが可能となる。
【0923】
特徴B3.前記記憶先情報の方が前記記憶元情報よりも情報量が少ないことを特徴とする特徴B2に記載の遊技機。
【0924】
特徴B3によれば、転送実行手段において記憶元情報に対して記憶先情報を上書きする場合の処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0925】
特徴B4.前記指示制御手段から提供された前記指示情報を記憶する記憶領域(転送前用の格納領域121)と、前記転送実行手段による前記記憶先情報の設定が完了した前記指示情報を記憶する記憶領域(転送後用の格納領域122)と、が区別されていることを特徴とする特徴B1乃至B3のいずれか1に記載の遊技機。
【0926】
特徴B4によれば、指示制御手段から提供された指示情報と、制御用情報の転送が完了して記憶先情報が設定された指示情報とが記憶される記憶領域が明確に区別されることにより、これら指示情報を明確に区別することが可能となる。
【0927】
特徴B5.前記制御用情報として、前記第2記憶手段への読み出し対象とならない所定制御用情報(デコード画像データ)が存在しており、
前記転送実行手段は、前記指示情報に前記所定制御用情報が設定されている場合、当該所定制御用情報を前記第2記憶手段に読み出すための処理及び当該所定制御用情報に対応する情報として前記記憶先情報を前記指示情報に設定する処理の両方を実行しないことを特徴とする特徴B1乃至B4のいずれか1に記載の遊技機。
【0928】
特徴B5によれば、第2記憶手段への読み出し対象とならない所定制御用情報については転送実行手段における指示情報への記憶先情報の設定は行われないため、記憶先情報の設定が転送実行手段において無駄に実行されてしまわないようにすることが可能となる。
【0929】
特徴B6.前記第2記憶手段は複数の記憶領域を有しており、
予め定められた順序に従ってそれら複数の記憶領域に情報が順次記憶されていく構成であり、
前記転送実行手段は、
前記指示情報において前記転送処理の実行順序が所定の順序である前記記憶元情報を利用した転送処理が実行された場合、前記第2記憶手段においてその転送処理の実行対象となった前記制御用情報が読み出された領域に対応する情報を前記記憶先情報として当該指示情報に設定する手段(事前転送制御部94におけるステップS1102の処理を実行する機能)と、
前記指示情報において前記転送処理の実行順序が前記所定の順序に対して次の順序である前記記憶元情報を利用した転送処理が実行された場合、前記第2記憶手段において前記所定の順序に対応する前記制御用情報が読み出された領域に対する前記次の順序に対応する前記制御用情報が読み出された領域のアドレスの差分に対応する情報を前記記憶先情報として当該指示情報に設定する手段(事前転送制御部94におけるステップS1103の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴B1乃至B5のいずれか1に記載の遊技機。
【0930】
特徴B6によれば、指示情報において転送処理の実行順序が所定の順序に対して次の順序である制御用情報については記憶先情報としてアドレスの差分に対応する情報が設定される構成であるため、指示情報に設定される記憶先情報の情報量を抑えることが可能となる。
【0931】
特徴B7.所定の制御用情報は前記第2記憶手段における複数の記憶領域に亘って記憶される構成であり、
前記転送実行手段は、前記記憶元情報を利用した転送処理を実行することにより前記所定の制御用情報が前記複数の記憶領域に読み出された状態とした場合、当該複数の記憶領域を一群の記憶領域として識別するための識別情報を前記記憶先情報として前記指示情報に設定する手段(事前転送制御部94におけるステップS1102の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B1乃至B6のいずれか1に記載の遊技機。
【0932】
特徴B7によれば、第2記憶手段における複数の記憶領域が識別情報を利用して一群の記憶領域として特定される構成であるため、指示情報に設定される記憶先情報の情報量を抑えることが可能となる。
【0933】
なお、特徴B1~B7のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【0934】
上記特徴A群及び上記特徴B群の発明によれば以下の課題を解決することが可能である。
【0935】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUなどの制御素子及びROMなどの読み出し専用の記憶素子を備えており、読み出し専用の記憶素子から読み出したプログラムに従って制御素子にて処理が実行されることに基づき一連の遊技が制御される。なお、制御素子や読み出し専用の記憶素子などが1チップ化されたものも知られている。
【0936】
また、音出力制御や表示制御を行うために制御素子を用いる構成も知られている。この場合、読み出し専用の記憶素子から読み出したデータに従って制御素子にて処理が実行されることに基づき制御対象装置の動作が制御される。
【0937】
ここで、上記例示等のような遊技機においては、記憶手段からの情報の読み出しを好適に行う必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【0938】
<特徴C群>
特徴C1.画像を表示する表示手段(メイン表示装置41、第1サブ表示装置43、第2サブ表示装置44)と、
画像データを予め記憶する画像情報記憶手段(メモリモジュール83)と、
前記表示手段に表示させる画像の内容を指示するための指示情報(描画リスト)を提供する指示制御手段(演出用CPU82)と、
前記指示情報において指示されている内容に従って前記画像データを利用することに基づき、前記表示手段に画像を表示させる表示制御手段(演出用LSI85)と、
を備え、
前記指示制御手段は、前記表示手段において一の更新タイミングの画像を表示させるために前記指示情報を複数提供する複数提供手段(演出用CPU82におけるステップS907~ステップS921の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
【0939】
特徴C1によれば、一の更新タイミングの画像を表示させるために複数の指示情報が提供される場合がある。これにより、指示制御手段から提供される1個の指示情報の情報量が極端に多くなること、又は1個の指示情報に様々な情報が混在してしまい表示制御手段の処理負荷が増加してしまうことなどといった事象の発生を抑制しながら指示情報の提供を好適に行うことが可能となる。
【0940】
特徴C2.前記複数提供手段は、第1種類に含まれる前記画像データと第2種類に含まれる前記画像データとをそれぞれ異なる前記指示情報において使用対象として設定することを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
【0941】
特徴C2によれば、画像データの種類に応じて別々の指示情報に画像データの使用指示情報が設定される。これにより、指示情報の種類に対応する処理を表示制御手段は実行すればよく、指示情報にて使用対象となっている画像データがいずれの種類に該当しているのかの区別を使用対象となっている画像データの単位で表示制御手段にて個別に行う必要が生じない。よって、表示制御手段の処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0942】
特徴C3.前記表示制御手段は、
仮想3次元空間内に前記画像データとして3次元データを配置することに基づき作成されたデータを利用して前記表示手段に画像を表示させる第1表示制御手段(3D制御部97)と、
前記3次元データではない2次元データを利用して前記表示手段に画像を表示させる第2表示制御手段(2D制御部96)と、
を備え、
前記第1種類に含まれる画像データは前記第1表示制御手段にて利用されるデータであり、前記第2種類に含まれる画像データは前記第2表示制御手段にて利用されるデータであることを特徴とする特徴C2に記載の遊技機。
【0943】
3次元データの画像データを利用して画像を表示させる場合と、2次元データの画像データを利用して画像を表示させる場合とで表示制御手段は異なる処理を実行する。この場合に、特徴C3によれば、3次元データの画像データと2次元データの画像データとが1個の指示情報において混在して設定されることがないため、表示制御手段は3次元データ及び2次元データのいずれに対応しているのかの識別を指示情報単位で行うことが可能となる。よって、表示制御手段の処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0944】
特徴C4.前記指示制御手段は、前記表示手段において一の更新タイミングの画像を表示させるために所定数以上の前記画像データを利用する場合の方が、前記表示手段において一の更新タイミングの画像を表示させるために所定数未満の前記画像データを利用する場合よりも、提供する前記指示情報の数を多くすることを特徴とする特徴C1乃至C3のいずれか1に記載の遊技機。
【0945】
特徴C4によれば、1個の指示情報において使用対象として設定される画像データの数が極端多くなってしまわないようにすることが可能となる。これにより、指示制御手段から提供される1個の指示情報の情報量をある程度抑えることが可能となり、1個の指示情報の送信期間が極端に長くなってしまわないようにすることが可能となる。
【0946】
特徴C5.前記複数提供手段は、前記表示手段において一の更新タイミングの画像を表示させるために前記指示情報を複数提供する場合、それら複数の指示情報が一の更新タイミングの画像を表示させるためにまとめて使用される情報であることを示す情報を設定する集約情報設定手段(第1の実施形態では演出用CPU82におけるステップS912及びステップS918の処理を実行する機能、第4の実施形態では演出用CPU82におけるステップS2506~ステップS2507及びステップS2513~ステップS2514の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴C1乃至C4のいずれか1に記載の遊技機。
【0947】
特徴C5によれば、一の更新タイミングの画像を表示させるために複数の指示情報が提供される場合であっても、それら複数の指示情報が集約して使用されることを表示制御手段にて特定可能とするための情報が指示制御手段により設定される。これにより、それら複数の指示情報が一の更新タイミングの画像を表示させるためのものであると表示制御手段にて把握することが可能となる。
【0948】
特徴C6.前記表示制御手段は、前記表示手段において一の更新タイミングの画像を表示させるための前記指示情報として第1指示情報と第2指示情報とが提供された場合、それら第1指示情報と第2指示情報とを1個の指示情報に集約させる集約手段(事前転送制御部94におけるステップS2607の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴C1乃至C5のいずれか1に記載の遊技機。
【0949】
特徴C6によれば、一の更新タイミングの画像を表示させるために複数の指示情報が表示制御手段に提供されたとしても、表示制御手段にてそれら複数の指示情報が1個の指示情報に集約される。これにより、表示制御手段において指示情報に従った表示制御を実行する場合に複数の指示情報を参照する必要がなくなる。
【0950】
特徴C7.前記表示制御手段は、前記指示情報において指定されている前記画像データが読み出し記憶手段(VRAM86)に読み出された状態となるようにする転送実行手段(事前転送制御部94)を備え、
前記集約手段は、前記第1指示情報と前記第2指示情報とが前記転送実行手段による転送処理の対象となった場合にそれら第1指示情報と第2指示情報とを1個の指示情報に集約させることを特徴とする特徴C6に記載の遊技機。
【0951】
特徴C7によれば、指示情報において指定されている画像データが読み出し記憶手段に事前に読み出されることにより表示制御手段において画像データを利用する場合の処理速度を高めることが可能となる。この場合に、一の更新タイミングの画像を表示させるための複数の指示情報は、転送実行手段による転送処理の対象となった場合にそれに合わせて集約されるため、事前転送の契機を複数の指示情報を集約する契機として兼用することが可能となる。
【0952】
特徴C8.前記表示制御手段は、前記指示制御手段により提供された前記指示情報を記憶する指示情報記憶領域(転送前の第1~第20格納領域121a~121t)を複数備え、
前記表示手段において一の更新タイミングの画像を表示させるために前記指示情報が複数提供される場合、それら複数の前記指示情報はアドレスが連続する複数の前記指示情報記憶領域に順次記憶されることを特徴とする特徴C1乃至C7のいずれか1に記載の遊技機。
【0953】
特徴C8によれば、一の更新タイミングの画像を表示させるための複数の指示情報はアドレスが連続する指示情報記憶領域に記憶されるため、それら複数の指示情報を読み出すための処理構成を簡素化することが可能となる。
【0954】
なお、特徴C1~C8のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【0955】
上記特徴C群の発明によれば以下の課題を解決することが可能である。
【0956】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【0957】
ここで、上記例示等のような遊技機においては、表示制御を好適に行うことが可能な構成が求められており、この点について未だ改良の余地がある。
【0958】
<特徴D群>
特徴D1.情報を予め記憶する第1記憶手段(メモリモジュール83)と、
当該第1記憶手段から読み出された情報を記憶する第2記憶手段(VRAM86)と、
当該第2記憶手段に読み出された情報を利用して制御を実行する制御手段(演出用LSI85)と、
を備え、
前記第2記憶手段には複数の記憶領域が設けられており、それら複数の記憶領域にはそれぞれアドレス情報が設定されており、
前記制御手段は、前記第2記憶手段に設けられた前記記憶領域のうちの一部であって複数の前記記憶領域をまとめて指定するための集約指定情報(インデックスNo又は識別情報)を利用して、それら複数の記憶領域から情報を読み出すことが可能であることを特徴とする遊技機。
【0959】
特徴D1によれば、集約指定情報を利用することで当該集約指定情報に対応する複数の記憶領域からまとめて情報を読み出すことが可能である。これにより、それら複数の記憶領域のそれぞれについてアドレス情報を指定してそれら複数の記憶領域から情報を読み出す場合よりも、情報の読み出し対象となる記憶領域の指定に要する情報量を少なくすることが可能となる。
【0960】
特徴D2.前記集約指定情報により集約して指定される対象の前記記憶領域は対応するアドレス情報が連続していることを特徴とする特徴D1に記載の遊技機。
【0961】
特徴D2によれば、集約指定情報とそれにより指定される記憶領域との対応関係が複雑化してしまわないようにすることが可能となる。
【0962】
特徴D3.前記制御手段は、前記集約指定情報に対応する複数の前記記憶領域のうちの一部の記憶領域に対応させて設定された前記アドレス情報とは異なる識別情報を利用して、当該一部の記憶領域から情報を読み出すことが可能であることを特徴とする特徴D1又はD2に記載の遊技機。
【0963】
特徴D3によれば、集約指定情報を利用して複数の記憶領域をまとめて指定する場合であっても、それら複数の記憶領域のうちの一部の記憶領域からの情報の読み出しを行うことが可能となる。
【0964】
特徴D4.前記制御手段は、
前記第2記憶手段における前記集約指定情報に対応する前記記憶領域から情報を読み出す読み出し手段(転送コントローラ92)と、
当該読み出し手段に情報の読み出しを指示し、当該読み出し手段が読み出した情報を利用して制御を実行する制御実行手段(2D制御部96、3D制御部97)と、
を備え、
前記読み出し手段は、前記集約指定情報と前記アドレス情報との対応関係が設定された対応関係情報群(インデックステーブル128)を利用して、前記制御実行手段による読み出し指示に対応する前記記憶領域を特定することを特徴とする特徴D1乃至D3のいずれか1に記載の遊技機。
【0965】
特徴D4によれば、対応関係情報群を利用する構成であることにより、集約指定情報に対応する記憶領域の種類の特定を読み出し手段において効率的に行うことが可能となる。
【0966】
特徴D5.前記制御手段は、前記集約指定情報と複数の前記記憶領域との関係を変更することが可能な変更手段(事前転送制御部94におけるステップS2401~ステップS2403の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴D1乃至D4のいずれか1に記載の遊技機。
【0967】
特徴D5によれば、集約指定情報と複数の記憶領域との関係を必要に応じて変更することが可能であるため、集約指定情報を利用した記憶領域の集約指定を柔軟に利用することが可能となる。
【0968】
特徴D6.前記制御手段は、前記第2記憶手段に設けられた前記記憶領域のうちの一部であって複数の前記記憶領域をまとめて指定するための第1集約指定情報(インデックスNo.1)を利用して、それら複数の記憶領域から情報を読み出すことが可能であり、前記第2記憶手段に設けられた前記記憶領域のうちの一部であって複数の前記記憶領域をまとめて指定するための第2集約指定情報(インデックスNo.2)を利用して、それら複数の記憶領域から情報を読み出すことが可能であることを特徴とする特徴D1乃至D5のいずれか1に記載の遊技機。
【0969】
特徴D6によれば、第2記憶手段の記憶領域を複数の集約領域に区別することが可能となる。これにより、目的に応じて集約領域を複数設定することが可能となる。
【0970】
特徴D7.前記第1集約指定情報により指定される前記記憶領域の数と前記第2集約指定情報により指定される前記記憶領域の数とを異ならせることが可能であることを特徴とする特徴D6に記載の遊技機。
【0971】
特徴D7によれば、目的に応じて集約領域を複数設定することが可能な構成において、各集約領域の設定の自由度を高められる。
【0972】
なお、特徴D1~D7のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【0973】
上記特徴D群の発明によれば以下の課題を解決することが可能である。
【0974】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUなどの制御素子及びROMなどの読み出し専用の記憶素子を備えており、読み出し専用の記憶素子から読み出したプログラムに従って制御素子にて処理が実行されることに基づき一連の遊技が制御される。なお、制御素子や読み出し専用の記憶素子などが1チップ化されたものも知られている。
【0975】
また、音出力制御や表示制御を行うために制御素子を用いる構成も知られている。この場合、読み出し専用の記憶素子から読み出したデータに従って制御素子にて処理が実行されることに基づき制御対象装置の動作が制御される。
【0976】
ここで、上記例示等のような遊技機においては、記憶手段からの情報の読み出しを好適に行う必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【0977】
<特徴E群>
特徴E1.画像を表示する表示手段(メイン表示装置41、第1サブ表示装置43、第2サブ表示装置44)と、
画像データを予め記憶する画像情報記憶手段(メモリモジュール83)と、
前記表示手段に表示させる画像の内容を指示するための指示情報(描画リスト)を提供する指示制御手段(演出用CPU82)と、
前記指示情報において指示されている内容に従って前記画像データを利用することに基づき、前記表示手段に画像を表示させる表示制御手段(演出用LSI85)と、
を備え、
前記表示制御手段は、
前記指示制御手段により提供された所定の指示情報に従って、前記表示手段に画像を表示させるために必要な第1制御を実行する第1制御手段(事前転送制御部94)と、
前記所定の指示情報に従って、前記表示手段に画像を表示させるために必要な第2制御を実行する第2制御手段(2D制御部96、3D制御部97)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0978】
特徴E1によれば、所定の指示情報に従って第1制御を実行する制御手段と当該所定の指示情報に従って第2制御を実行する制御手段とが第1制御手段と第2制御手段とで別々に設けられている。これにより、一の制御手段において第1制御及び第2制御の両方がまとめて実行される構成に比べて処理負荷を分散させることが可能となる。
【0979】
特徴E2.前記第2制御手段は、前記第1制御手段において前記第1制御の実行対象となった後の前記所定の指示情報に従って前記第2制御を実行することを特徴とする特徴E1に記載の遊技機。
【0980】
特徴E2によれば、所定の指示情報が第1制御手段及び第2制御手段において順次利用される。これにより、同一の指示情報を指示制御手段から複数提供することなく、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
【0981】
特徴E3.前記画像情報記憶手段から読み出された前記画像データを記憶する読み出し記憶手段(VRAM86)を備え、
前記第1制御手段は、前記所定の指示情報において使用対象として設定されている前記画像データが前記読み出し記憶手段に読み出された状態となるようにするものであり、
前記第2制御手段は、前記読み出し記憶手段に読み出された前記画像データを前記所定の指示情報において指示されている内容に従って利用することに基づき、前記表示手段に画像を表示させるものであることを特徴とする特徴E1又はE2に記載の遊技機。
【0982】
特徴E3によれば、所定の指示情報に従って画像データを読み出し記憶手段に読み出す制御は第1制御手段において行われ、所定の指示情報に従って画像データを利用することで画像を表示させる制御は第2制御手段において行われる。この場合、第1制御手段と第2制御手段とで処理負荷を分散させた構成において、第1制御手段及び第2制御手段のそれぞれで実行される制御内容を明確に異ならせることが可能となる。
【0983】
特徴E4.前記第1制御手段は、前記第2制御手段にて所定の更新タイミングにおける画像を表示させるための前記所定の指示情報に従って前記表示手段に画像を表示させる処理が実行されている状況において、前記所定の更新タイミングよりも後の更新タイミングにおける画像を表示させるための前記所定の指示情報に従って前記読み出し記憶手段に前記画像データが読み出された状態となるようにすることを特徴とする特徴E3に記載の遊技機。
【0984】
特徴E4によれば、第2制御手段にて画像を表示させる処理が実行されている期間を利用して、それとは独立した第1制御手段による制御により、その後に使用される画像データを読み出し記憶手段に事前に転送することが可能となる。
【0985】
特徴E5.前記指示制御手段から提供される前記指示情報には前記画像情報記憶手段において前記画像データが記憶されている領域を特定するための記憶元情報(アドレスID)が設定されており、
前記第1制御手段は、前記記憶元情報を利用した転送処理を実行することにより前記指示情報において指定されている前記画像データが前記読み出し記憶手段に読み出された状態とした場合、当該読み出し記憶手段において前記画像データが読み出された領域を特定するための記憶先情報(識別情報)を当該指示情報に設定し、
前記第2制御手段は、前記第1制御手段により前記記憶先情報が設定された後の前記指示情報を利用して、当該指示情報において指定されている前記画像データが読み出されている前記読み出し記憶手段の記憶領域から当該画像データを読み出すことを特徴とする特徴E3又はE4に記載の遊技機。
【0986】
特徴E5によれば、指示情報に設定された記憶元情報に従って画像データを読み出し記憶手段に転送させた場合には、読み出し記憶手段において画像データが記憶された領域を特定するための記憶先情報がその指示情報に設定される。これにより、記憶元情報と記憶先情報との両方を指示情報に当初から設定しておく必要がないため、指示制御手段から送信される指示情報の情報量を抑えることが可能となる。また、画像データが実際に読み出し記憶手段に転送された場合にその画像データが転送された読み出し記憶手段の領域に対応する情報が記憶先情報として指示情報に設定されるため、記憶先情報の内容の信頼性を高めることが可能となる。
【0987】
特徴E6.前記第1制御手段は、前記指示情報の前記記憶元情報を上書きするようにして前記記憶先情報を設定することを特徴とする特徴E5に記載の遊技機。
【0988】
特徴E6によれば、指示情報の記憶元情報に従って画像データが転送された場合には、その画像データが転送された読み出し記憶手段の領域に対応する記憶先情報が上記記憶元情報を上書きするようにして指示情報に設定される。これにより、制御用情報の転送が完了した後において第2制御手段に提供される指示情報の情報量を抑えることが可能となる。
【0989】
特徴E7.前記記憶先情報の方が前記記憶元情報よりも情報量が少ないことを特徴とする特徴E6に記載の遊技機。
【0990】
特徴E7によれば、第1制御手段において記憶元情報に対して記憶先情報を上書きする場合の処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0991】
特徴E8.前記指示制御手段から提供された前記指示情報を記憶する記憶領域(転送前用の格納領域121)と、前記第1制御手段による前記記憶先情報の設定が完了した前記指示情報を記憶する記憶領域(転送後用の格納領域122)と、が区別されていることを特徴とする特徴E5乃至E7のいずれか1に記載の遊技機。
【0992】
特徴E8によれば、指示制御手段から提供された指示情報と、画像データの転送が完了して記憶先情報が設定された指示情報とが記憶される記憶領域が明確に区別されることにより、これら指示情報を明確に区別することが可能となる。
【0993】
特徴E9.前記画像データとして、前記読み出し記憶手段への読み出し対象とならない所定画像データ(デコード画像データ)が存在しており、
前記第1制御手段は、前記指示情報に前記所定画像データが使用対象として設定されている場合、当該所定画像データを前記読み出し記憶手段に読み出すための処理及び当該所定画像データに対応する情報として前記記憶先情報を前記指示情報に設定する処理の両方を実行しないことを特徴とする特徴E5乃至E8のいずれか1に記載の遊技機。
【0994】
特徴E9によれば、読み出し記憶手段への読み出し対象とならない所定画像データについては第1制御手段における指示情報への記憶先情報の設定は行われないため、記憶先情報の設定が第1制御手段において無駄に実行されてしまわないようにすることが可能となる。
【0995】
特徴E10.前記読み出し記憶手段は複数の記憶領域を有しており、
予め定められた順序に従ってそれら複数の記憶領域に情報が順次記憶されていく構成であり、
前記第1制御手段は、
前記指示情報において前記転送処理の実行順序が所定の順序である前記記憶元情報を利用した転送処理が実行された場合、前記読み出し記憶手段においてその転送処理の実行対象となった前記画像データが読み出された領域に対応する情報を前記記憶先情報として当該指示情報に設定する手段(事前転送制御部94におけるステップS1102の処理を実行する機能)と、
前記指示情報において前記転送処理の実行順序が前記所定の順序に対して次の順序である前記記憶元情報を利用した転送処理が実行された場合、前記読み出し記憶手段において前記所定の順序に対応する前記画像データが読み出された領域に対する前記次の順序に対応する前記画像データが読み出された領域のアドレスの差分に対応する情報を前記記憶先情報として当該指示情報に設定する手段(事前転送制御部94におけるステップS1103の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴E5乃至E9のいずれか1に記載の遊技機。
【0996】
特徴E10によれば、指示情報において転送処理の実行順序が所定の順序に対して次の順序である画像データについては記憶先情報としてアドレスの差分に対応する情報が設定される構成であるため、指示情報に設定される記憶先情報の情報量を抑えることが可能となる。
【0997】
特徴E11.特定画像データは前記読み出し記憶手段における複数の記憶領域に亘って記憶される構成であり、
前記第1制御手段は、前記記憶元情報を利用した転送処理を実行することにより前記特定画像データが前記複数の記憶領域に読み出された状態とした場合、当該複数の記憶領域を一群の記憶領域として識別するための識別情報を前記記憶先情報として前記指示情報に設定する手段(事前転送制御部94におけるステップS1102の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴E5乃至E10のいずれか1に記載の遊技機。
【0998】
特徴E11によれば、読み出し記憶手段における複数の記憶領域が識別情報を利用して一群の記憶領域として特定される構成であるため、指示情報に設定される記憶先情報の情報量を抑えることが可能となる。
【0999】
なお、特徴E1~E11のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【1000】
<特徴F群>
特徴F1.画像を表示する表示手段(メイン表示装置41、第1サブ表示装置43、第2サブ表示装置44)と、
画像データを予め記憶した画像情報記憶手段(メモリモジュール83)と、
前記画像データを用いて前記表示手段に画像を表示させる表示制御手段(演出用LSI85)と、
を備え、
前記画像情報記憶手段には、デコード処理が実行されることにより複数のデコード画像データが作成される動画像データとして、前記デコード処理において前記デコード画像データを作成する場合の基準となる基準データ(Iピクチャデータ)を含み前記デコード処理が実行される場合に当該基準データに対する差分を提供することが可能な差分データ(Bピクチャデータ、Pピクチャデータ)を含まない特別動画像データ(特別動画像データ185)が記憶されていることを特徴とする遊技機。
【1001】
特徴F1によれば、差分データを含まずに基準データを含む特別動画像データが設けられていることにより、当該特別動画像データにデコード処理を実行することにより作成されるデコード画像データを、通常の動画像データにデコード処理を実行することにより作成されるデコード画像データよりも高画質とすることが可能となる。つまり、本構成によれば、通常の静止画像データと同程度の画質となる画像データを動画像データとして扱うことが可能となる。これにより、通常の静止画像データを読み出す領域を利用しなくても、当該通常の静止画像データと同程度の画質となる画像データを使用することが可能となる。
【1002】
特徴F2.前記特別動画像データは、前記基準データを複数含むことを特徴とする特徴F1に記載の遊技機。
【1003】
特徴F2によれば、特別動画像データにデコード処理を実行することで、通常の静止画像データと同程度の画質となる画像データを複数作成することができる。
【1004】
特徴F3.前記特別動画像データに前記デコード処理を実行することで作成される複数のデコード画像データは当該特別動画像データにおいて定められている使用順序に従って使用されることを特徴とする特徴F2に記載の遊技機。
【1005】
特徴F3によれば、特別動画像データから作成された複数のデコード画像データを使用する場合に、その使用順序を特別動画像データとは別に設定する必要が生じない。これにより、デコード画像データが通常の静止画像データとして画像情報記憶手段に予め記憶されている構成に比べて、画像データの使用順序を設定するための処理負荷を軽減させることが可能となる。
【1006】
特徴F4.前記特別動画像データに前記デコード処理を実行するデコード手段(動画デコーダ95)を備え、
当該デコード手段は、前記デコード画像データを利用した画像が表示される更新タイミングよりも前の更新タイミングの画像を表示させるための処理が前記表示制御手段にて実行されている状況において前記特別動画像データに前記デコード処理を実行することを特徴とする特徴F1乃至F3のいずれか1に記載の遊技機。
【1007】
特徴F4によれば、他の画像データを利用して画像を表示させるための処理が表示制御手段にて実行されている期間において、当該表示制御手段とは別に設けられたデコード手段にて特別動画像データのデコード処理が実行される。これにより、表示制御手段の処理負荷を増大させないようにしながら、デコード処理が実行されている期間が画像の表示待ち期間とならないようにすることが可能となる。
【1008】
特徴F5.前記画像情報記憶手段には、前記特別動画像データに対応させて付属画像データが記憶されており、
当該遊技機は、前記特別画像データに前記デコード処理を実行するデコード手段(動画デコーダ95)を備え、
当該デコード手段は、前記付属画像データを利用した画像を表示させるための処理が前記表示制御手段にて実行されている状況において前記特別動画像データに前記デコード処理を実行することを特徴とする特徴F1乃至F4のいずれか1に記載の遊技機。
【1009】
特徴F5によれば、特別動画像データに対応する付属画像データを利用した画像を表示させるための処理が実行されている状況において特別動画像データのデコード処理が実行されるため、特別動画像データに対応する画像を表示するための処理が実行されている期間を利用して、特別動画像データのデコード処理を実行することが可能となる。
【1010】
特徴F6.前記付属画像データは、前記特別動画像データから作成された前記デコード画像データのうち最初に使用対象となるデコード画像データを用いて表示される画像に対して直前の更新タイミングに対応する画像を表示させるための画像データであることを特徴とする特徴F5に記載の遊技機。
【1011】
特徴F6によれば、付属画像データを利用した画像を表示させるための処理が実行されている期間を利用して特別動画像データのデコード処理を実行する構成において、付属画像データを用いて表示される画像とデコード画像データを用いて表示される画像との連続性を担保することが可能となる。
【1012】
特徴F7.前記表示制御手段は、前記画像情報記憶手段に記憶されている所定画像データに所定処理を実行することで当該所定画像データに対応する画像を表示させる所定処理実行手段(3D制御部97におけるステップS810の処理を実行する機能)を備え、
前記特別動画像データに前記デコード処理を実行することで作成される前記デコード画像データに対応する画像を表示させる場合、前記所定処理実行手段により前記デコード画像データに対して前記所定処理が実行される構成であり、
前記表示制御手段において前記画像データが利用される場合、当該画像データが前記画像情報記憶手段から読み出し用記憶手段(VRAM86、レジスタ93)に読み出される構成であり、
前記読み出し用記憶手段は、前記所定画像データが記憶される第1読み出し領域(VRAM86)と、前記デコード画像データが読み出される第2読み出し領域(レジスタ93)と、を備えていることを特徴とする特徴F1乃至F6のいずれか1に記載の遊技機。
【1013】
特徴F7によれば、表示制御手段において画像データが利用される場合、当該画像データが画像情報記憶手段から直接使用されるのではなく、読み出し用記憶手段に一旦読み出された後に使用される構成であるため、画像データを読み出し用記憶手段に事前に読み出しておくことで表示制御手段において画像データを使用する場合にその画像データを即座に使用することが可能となる。また、読み出し用記憶手段には、所定画像データが読み出される第1読み出し領域と、特別動画像データのデコード画像データが読み出される第2読み出し領域とが設けられていることにより、それぞれの用途に応じた読み出し用の領域が設定されることとなり、表示制御手段において画像データを使用する場合にその画像データの種類に応じて領域の指定を行うことが可能となる。
【1014】
この場合に、上記特徴F1の構成を備え、差分データを含まない特別画像データが画像情報記憶手段に記憶されている。これにより、特別画像データについては第1読み出し領域ではなく第2読み出し領域に読み出されるため、特別画像データを使用するための領域を第1読み出し領域に確保する必要が生じない。よって、第1読み出し領域において必要な記憶容量を抑えることが可能となる。
【1015】
特徴F8.前記画像情報記憶手段には、前記所定画像データが複数種類記憶されており、
当該遊技機は、
所定の読み出しタイミングとなった場合に、複数種類の前記所定画像データの全てを前記第1読み出し領域に読み出す第1読み出し実行手段と、
前記特別動画像データ以外の動画像データに対応するデコード画像データが前記第2読み出し領域に記憶されている状況で、前記特別動画像データに対応するデコード画像データを前記第2読み出し領域に記憶させる場合、そのデコード画像データを当該第2読み出し領域に既に記憶されているデコード画像データに対して上書きする第2読み出し実行手段と、
を備えていることを特徴とする特徴F7に記載の遊技機。
【1016】
特徴F8によれば、複数種類の所定画像データの全てが第1読み出し領域に読み出されるため、所定画像データを必要に応じて読み出す必要がなくなる。その一方、第2読み出し領域には必要に応じてデコード画像データが読み出され、新たなデコード画像データが作成される場合には第2読み出し領域に対して上書きされる。これにより、第2読み出し領域において必要な記憶容量を抑えることが可能となる。この場合に、上記特徴F1の構成を備え、差分データを含まない特別画像データが画像情報記憶手段に記憶されている。これにより、特別画像データについては第1読み出し領域ではなく第2読み出し領域に読み出されるため、特別画像データを使用するための領域を第1読み出し領域に確保する必要が生じない。よって、第1読み出し領域において必要な記憶容量を抑えることが可能となる。
【1017】
特徴F9.前記第1読み出し実行手段は、動作電力の供給が開始された場合に、複数種類の前記所定画像データの全てを前記第1読み出し領域に読み出すことを特徴とする特徴F8に記載の遊技機。
【1018】
特徴F9によれば、複数種類の所定画像データの全てが第1読み出し領域に読み出された状態を早期に生じさせることが可能となる。
【1019】
特徴F10.前記特別動画像データに前記デコード処理を実行することにより作成されるデコード画像データは、3D画像を表示するために用いられるテクスチャデータであることを特徴とする特徴F1乃至F9のいずれか1に記載の遊技機。
【1020】
特徴F10によれば、テクスチャデータを利用する場合において既に説明したような優れた効果を奏することが可能となる。
【1021】
なお、特徴F1~F10のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【1022】
<特徴G群>
特徴G1.画像を表示する表示手段(第1サブ表示装置43、第2サブ表示装置44)と、
画像データを予め記憶する画像情報記憶手段(メモリモジュール83)と、
設定用記憶手段(サブ用第1フレーム領域117、サブ用第2フレーム領域118)に前記画像データを設定することに基づき描画データを作成し、当該描画データに応じた画像信号を前記表示手段に出力することに基づき当該表示手段に画像を表示させる表示制御手段(演出用LSI85)と、
を備えた遊技機において、
前記表示手段として第1表示手段(第1サブ表示装置43)と第2表示手段(第2サブ表示装置44)とを備え、
前記表示制御手段は、前記第1表示手段に画像を表示させるための第1描画データを前記設定用記憶手段の一部の領域に作成し、前記第2表示手段に画像を表示させるための第2描画データを前記設定用記憶手段の他の領域に設定する集約設定手段(第1の実施形態では2D制御部96におけるサブ表示用の描画領域への描画処理を実行する機能、第2の実施形態では3D制御部97におけるサブ表示用の描画データ合成処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
【1023】
特徴G1によれば、第1表示手段に画像を表示させるための第1描画データと第2表示手段に画像を表示させるための第2描画データとが同一の設定用記憶手段に作成される。これにより、表示手段が複数存在する場合であっても設定用記憶手段の数を抑えることが可能となり、設定用記憶手段にアクセスするためのハード構成を簡素化しながら複数の表示手段における画像表示を実現することが可能となる。
【1024】
特徴G2.前記第1描画データが作成される前記設定用記憶手段の一部の領域は第1設定領域(奇数ラインの領域)に定められており、前記第2描画データが作成される前記設定用記憶手段の他の領域は第2設定領域(偶数ラインの領域)に定められていることを特徴とする特徴G1に記載の遊技機。
【1025】
特徴G2によれば、第1描画データ及び第2描画データの両方が同一の設定用記憶手段に作成される構成において、その設定用記憶手段において第1描画データが設定される領域が固定されるとともにその設定用記憶手段において第2描画データが設定される領域が固定される。これにより、第1描画データ及び第2描画データを作成する度に設定用記憶手段における領域の割り当てを行う必要がなくなり、処理構成を簡素化することが可能となる。
【1026】
特徴G3.前記第1描画データの一部を構成する第1描画部分データが前記第2描画データの一部を構成する複数の第2描画部分データ間に存在し、前記第2描画部分データが複数の前記第1描画部分データ間に存在するように、前記設定用記憶手段におけるデータの配列順序が設定されることを特徴とする特徴G2に記載の遊技機。
【1027】
特徴G3によれば、第1描画データ及び第2描画データの両方が同一の設定用記憶手段に作成される構成において、それら第1描画データ及び第2描画データのそれぞれを設定用記憶手段の全体に分散させて設定することが可能となる。
【1028】
特徴G4.前記設定用記憶手段における少なくとも所定方向のデータ配列順序において、前記第1描画部分データと前記第2描画部分データとが交互に配列されることを特徴とする特徴G3に記載の遊技機。
【1029】
特徴G4によれば、第1描画部分データと第2描画部分データとが交互に配列されることにより、所定方向に配列されている順序に従って各描画部分データを画像信号の出力対象とするだけで、第1表示手段及び第2表示手段への画像信号の出力を交互に行うことが可能となる。
【1030】
特徴G5.前記集約設定手段は、前記第1描画データと前記第2描画データとの両方が前記設定用記憶手段に設定された状態となるようにすることを特徴とする特徴G1乃至G4のいずれか1に記載の遊技機。
【1031】
特徴G5によれば、第1描画データ及び第2描画データの両方が同一の設定用記憶手段に作成される構成において、第1描画データを作成する期間と第2描画データを作成する期間とを重複させることが可能となる。
【1032】
特徴G6.前記集約設定手段は、同一の更新タイミングにおいて使用対象となる前記第1描画データと前記第2描画データとの両方が前記設定用記憶手段に設定された状態となるようにすることを特徴とする特徴G5に記載の遊技機。
【1033】
特徴G6において、第1描画データ及び第2描画データの両方が同一の設定用記憶手段に作成される構成において、一の更新タイミングにおいて第1表示手段と第2表示手段との両方の画像を更新することが可能となる。
【1034】
特徴G7.前記表示制御手段は、信号出力契機が1回発生したことに基づいて、前記第1描画データの一部を構成する第1描画単位データに対応する前記画像信号と前記第2描画データの一部を構成する第2描画単位データに対応する前記画像信号とを出力する信号出力手段(第2表示回路99における信号出力処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴G1乃至G6のいずれか1に記載の遊技機。
【1035】
特徴G7によれば、信号出力契機が1回発生したことに基づいて、第1表示手段への画像信号の出力と第2表示手段への画像信号の出力との両方が行われる。これにより、第1描画データ及び第2描画データの両方が同一の設定用記憶手段に作成される構成において、第1表示手段における画像の更新と第2表示手段における画像の更新とを同時に開始することが可能となるとともに同時に進行させることが可能となる。
【1036】
特徴G8.前記第1描画単位データは前記第1描画データにおける最小単位のデータであり、前記第2描画単位データは前記第2描画データにおける最小単位のデータであることを特徴とする特徴G7に記載の遊技機。
【1037】
特徴G8によれば、信号出力契機が1回発生したことに基づいて第1表示手段への画像信号の出力と第2表示手段への画像信号の出力との両方が行われる構成において、それら画像信号の出力対象となるデータが最小単位のデータであることにより、1回の信号出力契機に対する画像信号の出力処理の実行期間が極端に長くなってしまわないようにすることが可能となる。
【1038】
特徴G9.1回の前記信号出力契機によって前記画像信号の出力対象となる前記第1描画単位データと前記第2描画単位データとは前記設定用記憶手段におけるデータの配列順序において隣り合う順序に設定されていることを特徴とする特徴G7又はG8に記載の遊技機。
【1039】
特徴G9によれば、設定用記憶手段において隣り合う描画単位データを1回の信号出力契機に対する画像信号の出力対象とするだけで、1回の信号出力契機の発生に対して第1表示手段への画像信号の出力と第2表示手段への画像信号の出力との両方を行うことが可能となる。
【1040】
特徴G10.前記第1描画データは当該第1描画データを作成するために前記画像情報記憶手段から読み出された前記画像データを用いて作成され、
前記第2描画データは当該第2描画データを作成するために前記画像情報記憶手段から読み出された前記画像データを用いて作成されることを特徴とする特徴G1乃至G9のいずれか1に記載の遊技機。
【1041】
特徴G10によれば、画像データを用いて第1描画データが個別に作成されるとともに画像データを用いて第2描画データが個別に作成される。これにより、第1描画データ及び第2描画データの両方を同時に作成するための画像データを画像情報記憶手段に予め記憶させておく必要が生じない。
【1042】
なお、特徴G1~G10のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【1043】
<特徴H群>
特徴H1.画像を表示する表示手段(メイン表示装置41、第1サブ表示装置43、第2サブ表示装置44)と、
画像データを予め記憶する画像情報記憶手段(メモリモジュール83)と、
前記表示手段に表示させる画像の内容を指示するための指示情報(描画リスト)を提供する指示制御手段(演出用CPU82)と、
前記指示情報において指示されている内容に従って前記画像データを設定用記憶手段(メイン用第1フレーム領域114、メイン用第2フレーム領域115、サブ用第1フレーム領域117、サブ用第2フレーム領域118)に設定することに基づき、前記表示手段に画像を表示させる表示制御手段(演出用LSI85)と、
を備えた遊技機において、
前記表示手段として第1表示手段(第1サブ表示装置43)と第2表示手段(第2サブ表示装置44)とを備え、
前記指示制御手段は、前記指示情報として、前記第1表示手段に画像を表示させるために使用対象となる前記画像データを指定する情報及び前記第2表示手段に画像を表示させるために使用対象となる前記画像データを指定する情報の両方が集約して設定された集約指示情報(図35に示す描画リスト)を提供し得るものであることを特徴とする遊技機。
【1044】
特徴H1によれば、複数の表示手段において画像を表示させるための情報が集約指示情報に集約された状態で表示制御手段に提供される。これにより、複数の表示手段のそれぞれについて個別に指示情報が提供される構成に比べ、指示制御手段から表示制御手段に提供される指示情報の数を抑えることが可能となる。
【1045】
特徴H2.前記集約指示情報には、同一の更新タイミングにおいて前記第1表示手段及び前記第2表示手段のそれぞれに画像を表示させるための情報が設定されていることを特徴とする特徴H1に記載の遊技機。
【1046】
特徴H2によれば、同一の更新タイミングにおいて各表示手段にて画像を表示させるための情報が集約指示情報に集約させて設定されているため、表示制御手段は集約指示情報に設定されている全ての情報を一の更新タイミングにおける画像を表示させるための情報として扱えばよく、異なる複数の更新タイミングのうちいずれの更新タイミングに対応する情報であるかを判定するための処理を実行する必要がない。よって、表示制御手段において集約指示情報を利用して実行する処理の処理負荷を軽減させることが可能となる。
【1047】
特徴H3.前記指示情報には使用対象として複数の前記画像データが指定されており、
前記表示制御手段は、前記指示情報に設定されている設定順序情報(表示順優先データ)に従った順序で、当該指示情報において使用対象として指定されている複数の前記画像データを前記設定用記憶手段に順次設定する構成であり、
前記集約指示情報においては、使用対象として指定されている前記画像データが前記第1表示手段及び前記第2表示手段のうちいずれの表示手段に画像を表示させるためのデータであるかが前記設定順序情報を利用して指定されていることを特徴とする特徴H1又はH2に記載の遊技機。
【1048】
特徴H3によれば、画像データの設定順序を表示制御手段にて特定するための設定順序情報を利用して、使用対象として指定されている画像データがいずれの表示手段に対応しているのかが特定される。これにより、設定対象となる表示手段の種類を指定するための専用の情報を集約指示情報に設定する必要が生じないため、集約指示情報に設定される情報の種類数を抑えることが可能となる。
【1049】
特徴H4.前記集約指示情報において前記第1表示手段に画像を表示させるために使用対象となる前記画像データに対応する前記設定順序情報は第1順序範囲の情報群(第1表示対象基準値以上であって第2表示対象基準値未満の値)に含まれ、前記集約指示情報において前記第2表示手段に画像を表示させるために使用対象となる前記画像データに対応する前記設定順序情報は第2順序範囲の情報群(第2表示対象基準値以上の値)に含まれていることを特徴とする特徴H3に記載の遊技機。
【1050】
特徴H4によれば、設定順序情報を利用して設定対象となる表示手段の種類を指定する構成において、使用対象として指定されている画像データがいずれの表示手段に対応しているのかが設定順序情報において明確に区別される。これにより、表示制御手段において設定対象となる表示手段の種類を特定するための処理負荷を軽減させることが可能となる。
【1051】
特徴H5.前記指示制御手段は、基準情報群(表示制御用の実行対象テーブル)を参照して前記指示情報を作成する指示情報作成手段(演出用CPU82における描画リストの作成処理を実行する機能)を備え、
前記基準情報群には、使用対象となる前記画像データの種類を前記指示情報作成手段において特定するための情報として、表示対象となる表示手段の種類に対応する種類情報(表示対象データ)と、当該表示対象となる表示手段にて使用対象となる複数種類の前記画像データにおいて前記設定用記憶手段への設定順序に対応する個別順序情報(表示順データ)と、が設定されており、
前記指示情報作成手段は、前記種類情報と前記個別順序情報とに基づいて前記設定順序情報を導出することを特徴とする特徴H3又はH4に記載の遊技機。
【1052】
特徴H5によれば、基準情報群には設定順序情報がそのまま設定されているのではなく種類情報と個別順序情報とが設定されており、それら種類情報及び個別順序情報を利用して設定順序情報が導出される構成である。これにより、遊技機設計段階において基準情報群を設定する場合に、設定対象となる表示手段の種類とその表示手段において使用対象となる複数種類の画像データの中における設定順序のみを設定すればよく、最終的な設定順序情報を設定する必要がない。よって、設計作業の容易化が図られる。
【1053】
特徴H6.前記指示情報作成手段は、前記個別順序情報に対応する数値情報に対して前記種類情報に対応する数値情報を利用して所定の演算処理(演出用CPU82におけるステップS1305及びステップS1306の処理)を実行し、当該所定の演算処理により導出された数値情報を前記設定順序情報とすることを特徴とする特徴H5に記載の遊技機。
【1054】
特徴H6によれば、基準情報群に設定されている種類情報と個別順序情報とを利用して設定順序情報を導出する場合、それら種類情報及び個別順序情報を利用して所定の演算処理を実行するだけでよいため、設定順序情報を導出するための処理負荷を軽減させることが可能となる。
【1055】
なお、特徴H1~H6のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【1056】
上記特徴E群、上記特徴F群、上記特徴G群及び上記特徴H群の発明によれば以下の課題を解決することが可能である。
【1057】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【1058】
ここで、上記例示等のような遊技機においては、表示制御を好適に行うことが可能な構成が求められており、この点について未だ改良の余地がある。
【1059】
<特徴I群>
特徴I1.画像を表示する所定表示手段(第1サブ表示装置43、第2サブ表示装置44)と、
当該所定表示手段を変位させる変位駆動制御手段(振分側MPU73におけるステップS303の処理を実行する機能)と、
前記所定表示手段の表示制御を実行する表示制御手段(演出用CPU82、演出用LSI85)と、
を備え、
当該表示制御手段は、前記所定表示手段が所定の変位動作を行っている状況において、当該所定表示手段が変位動作をしていることを遊技者が識別しづらい変位対応画像(回転期間用画像153)を当該所定表示手段に表示させる変位対応制御手段(演出用CPU82におけるステップS1810~ステップS1812の処理を実行する機能、2D制御部96、3D制御部97)を備えていることを特徴とする遊技機。
【1060】
特徴I1によれば、所定表示手段が所定の変位動作を行っている状況において当該所定表示手段が変位動作をしていることを遊技者が識別しづらい変位対応画像が所定表示手段にて表示される。これにより、遊技者が気付かないうちに所定表示手段が変位しているという状況を生じさせることが可能となり、遊技の興趣向上を図ることが可能となる。
【1061】
特徴I2.前記所定の変位動作は、前記所定表示手段における所定の回転動作であり、
前記変位対応画像は、前記所定表示手段の表示面に沿う方向において方向性を持たない画像であることを特徴とする特徴I1に記載の遊技機。
【1062】
特徴I2によれば、変位対応画像は所定表示手段の表示面に沿う方向において方向性を持たない画像であることにより、所定表示手段が所定の回転動作を行っている状況において当該所定表示手段に変位対応画像を表示させることによって所定表示手段が回転動作をしていることを遊技者に識別しづらくさせることが可能となる。
【1063】
特徴I3.前記変位対応画像は、非変位の表示面にて表示されていると遊技者に認識されるように表示されることを特徴とする特徴I1又はI2に記載の遊技機。
【1064】
特徴I3によれば、変位対応画像は非変位の表示面にて表示されていると遊技者に認識されるように表示されるため、所定表示手段が変位動作をしていることを遊技者に識別しづらくさせることが可能となる。
【1065】
なお、特徴I3の構成についてより具体的には、「前記変位対応画像は、前記所定表示手段が前記所定の変位動作を行う場合に当該所定表示手段の周囲において当該所定表示手段に追従しない部材との関係での表示の向きが変更されないように表示される」という構成が挙げられる。
【1066】
特徴I4.画像を表示する特定表示手段(メイン表示装置41)を備え、
前記所定表示手段は、前記特定表示手段の表示面の一部に対して当該表示面の向く方向から対向する位置において遊技機前方から前記特定表示手段の表示面と前記所定表示手段の表示面との両方が視認可能となる所定姿勢で前記所定の変位動作を行う構成であり、
前記変位対応制御手段は、前記所定表示手段が前記所定の変位動作を行っている場合、前記特定表示手段の表示面において前記所定表示手段の表示面の周囲に存在する領域に、前記変位対応画像に対応する画像を表示させることを特徴とする特徴I1乃至I3のいずれか1に記載の遊技機。
【1067】
特徴I4によれば、所定表示手段が所定の変位動作を行っている状況においては当該所定表示手段の表示面の周囲に特定表示手段の表示面の一部が存在するとともに、その表示面の一部の領域においては所定表示手段における変位対応画像に対応する画像が表示される。これにより、所定の変位動作を行っている所定表示手段の周囲において当該所定表示手段に表示されている変位対応画像と関連性を有する画像を表示させることが可能となり、所定表示手段及び特定表示手段において一体的な表示演出を行うことが可能となる。
【1068】
特徴I5.前記所定表示手段は、当該所定表示手段の表示面の周囲全体に亘って前記特定表示手段の表示面が存在することとなる位置に配置されている状況において前記所定の変位動作を行うことを特徴とする特徴I4に記載の遊技機。
【1069】
特徴I5によれば、所定表示手段の表示面を特定表示手段の表示面における一部の領域であると遊技者に錯覚させることが可能となり、所定表示手段が変位動作をしていることを遊技者に認識させづらくするような画像表示を行い易くなる。
【1070】
特徴I6.前記所定対応制御手段は、前記所定表示手段が前記所定の変位動作を行っている場合、前記変位対応画像として、前記特定表示手段の表示面と前記所定表示手段の表示面との境界を跨ぐようにして前記特定表示手段及び前記所定表示手段に連続性を有する画像を表示させることを特徴とする特徴I4又はI5に記載の遊技機。
【1071】
特徴I6によれば、所定表示手段の周囲において表示されている特定表示手段の画像と所定表示手段に表示されている画像とが連続性を有するように表示されるため、それら画像に注目している遊技者は所定表示手段が変位動作をしていることを認識しづらくなる。
【1072】
特徴I7.前記所定の変位動作を開始するタイミングと当該所定の変位動作を終了するタイミングとで前記所定表示手段の配置状態が異なることを特徴とする特徴I1乃至I6のいずれか1に記載の遊技機。
【1073】
特徴I7によれば、所定表示手段が変位動作していることを遊技者に認識しづらくさせる変位対応画像が表示されている状況において所定表示手段が変位動作をして当該所定表示手段の配置状態が異なるものとなることにより、気付かないうちに所定表示手段の配置状態が変更されたと遊技者が認識することが期待され、遊技者に意外性を与えることが可能となる。
【1074】
特徴I8.前記表示制御手段は、前記所定表示手段が前記所定の変位動作を行う前に当該所定表示手段の配置状態を遊技者が認識し易い画像(並設期間用画像152)を前記所定表示手段に表示させ、前記所定表示手段が前記所定の変位動作を行った後に当該所定表示手段の配置状態を遊技者が認識し易い画像(分離期間用画像154)を前記所定表示手段に表示させる手段(演出用CPU82におけるステップS1806~ステップS1808及びステップS1814~ステップS1816の処理を実行する機能、2D制御部96、3D制御部97)を備えていることを特徴とする特徴I7に記載の遊技機。
【1075】
特徴I8によれば、所定表示手段が所定の変位動作を行う前後においては所定表示手段の配置状態を遊技者が認識し易い画像が所定表示手段にて表示され、所定表示手段が所定の変位動作を行っている状況においては当該所定表示手段が変位動作をしていることを遊技者が認識しづらい変位対応画像が所定表示手段にて表示される。これにより、気付かないうちに所定表示手段の配置状態が変更されたという印象を遊技者に強く与えることが可能となる。
【1076】
特徴I9.前記所定表示手段として第1表示手段(第1サブ表示装置43)と第2表示手段(第2サブ表示装置44)とを備え、
前記変位駆動制御手段は、前記第1表示手段と前記第2表示手段とが所定方向に並設された状態においてこれら第1表示手段及び第2表示手段に前記所定の変位動作を開始させ、これら第1表示手段と第2表示手段とが前記所定方向とは異なる方向に並設された状態において前記所定の変位動作を終了させることを特徴とする特徴I1乃至I8のいずれか1に記載の遊技機。
【1077】
特徴I9によれば、所定の変位動作の前後で第1表示手段と第2表示手段との並設方向が異なるものとなる。この場合に所定の変位動作が行われている状況において変位対応画像が表示されることにより第1表示手段及び第2表示手段が所定の変位動作を行っていることを遊技者が認識しづらくなる。これにより、気付かないうちに第1表示手段と第2表示手段との並設方向が変更されたと遊技者が認識することが期待され、遊技者に意外性を与えることが可能となる。
【1078】
なお、特徴I1~I9のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【1079】
<特徴J群>
特徴J1.画像を表示する所定表示手段(第1サブ表示装置43、第2サブ表示装置44)と、
当該所定表示手段を回転動作させる回転駆動制御手段(振分側MPU73におけるステップS303の処理を実行する機能)と、
前記所定表示手段の表示制御を実行する表示制御手段(演出用CPU82、演出用LSI85)と、
を備え、
当該表示制御手段は、報知用の文字画像が環状に配置された環状報知画像(サブ側の右打ち報知画像143)を前記所定表示手段に表示させる環状報知制御手段(演出用CPU82における右打ち報知用の設定処理を実行する機能、2D制御部96、3D制御部97)を備えていることを特徴とする遊技機。
【1080】
特徴J1によれば、所定表示手段において回転動作が行われることにより遊技者に意外性を与えることが可能となり遊技の興趣向上を図ることが可能となる。この場合に、報知用の文字画像が環状に配置される。これにより、所定表示手段が特定の回転動作を行っている状況であってもその報知用の文字画像の内容を遊技者に認識させることが可能となる。
【1081】
特徴J2.前記環状報知制御手段は、前記環状報知画像が回転しているように表示させることを特徴とする特徴J1に記載の遊技機。
【1082】
特徴J2によれば、環状報知画像が回転しているように表示されるため、所定表示手段の回転位置がいずれの位置であったとしても所定の表示の向きとなった環状報知画像を遊技者に視認させることが可能となる。
【1083】
特徴J3.前記環状報知制御手段は、前記所定表示手段における回転動作の動作態様に応じて前記環状報知画像の回転表示態様を変更させることを特徴とする特徴J2に記載の遊技機。
【1084】
特徴J3によれば、所定表示手段における回転動作の動作態様に応じて環状報知画像の回転表示態様が変更されるため、所定表示手段における回転動作の動作態様がいずれの態様であったとしても環状報知画像の表示内容を遊技者が認識し易い表示内容とすることが可能となる。
【1085】
なお、特徴J1~J3のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【1086】
<特徴K群>
特徴K1.画像を表示する特定表示手段(メイン表示装置41)と、
画像を表示する所定表示手段(第1サブ表示装置43、第2サブ表示装置44)と、
前記特定表示手段の表示面の一部に対して当該表示面の向く方向から対向する所定対向位置に前記所定表示手段を変位させる変位制御手段(振分側MPU73におけるステップS303の処理を実行する機能)と、
前記所定表示手段が前記所定対向位置に配置されるように前記変位制御手段による制御が実行されている状況において報知対象事象が発生した場合に、特定報知画像(異常報知画像176)を前記特定表示手段に表示させる報知制御手段(演出用CPU82におけるステップS2008~ステップS2012の処理を実行する機能、2D制御部96、3D制御部97)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【1087】
特徴K1によれば、所定表示手段が所定対向位置に配置されるように制御が実行されている状況であっても、報知対象事象が発生した場合の特定報知画像が特定表示手段において表示される。これにより、何らかの故障によって所定表示手段が所定対向位置に配置されない状況であったとしても特定表示手段にて特定報知画像が表示されることとなり、特定報知画像を遊技者や遊技ホールの管理者に認識させることが可能となる。
【1088】
特徴K2.前記報知制御手段は、前記所定表示手段が前記所定対向位置に配置されている状況において前記報知対象事象が発生した場合、前記特定表示手段の表示面において前記所定表示手段と対向していない領域にて前記特定報知画像の少なくとも一部を表示させることを特徴とする特徴K1に記載の遊技機。
【1089】
特徴K2によれば、所定表示手段によって特定報知画像が完全に隠れてしまわないようにすることが可能となる。これにより、所定表示手段が所定対向位置に配置されている状況であっても特定表示手段に表示される特定報知画像の視認性を確保することが可能となる。
【1090】
特徴K3.前記変位制御手段は、所定変位期間において前記所定対向位置が変化するように前記所定表示手段を変位させるものであり、
前記報知制御手段は、前記所定変位期間において前記報知対象事象が発生した場合、前記特定表示手段の表示面において前記所定変位期間の全体に亘って前記所定表示手段と対向することがない領域にて前記特定報知画像を表示させることを特徴とする特徴K2に記載の遊技機。
【1091】
特徴K3によれば、所定変位期間の全体に亘って所定表示手段と対向することがない領域にて特定報知画像が表示されることにより、所定表示手段の位置に応じて特定報知画像の表示位置を変更するといった制御を行わなくても、特定表示手段に表示される特定報知画像の視認性を確保することが可能となる。
【1092】
特徴K4.前記報知対象事象は複数種類存在しており、
前記特定報知画像は前記報知対象事象に対応させて複数種類存在しており、
前記報知制御手段は、前記所定表示手段が前記所定対向位置に配置されている状況においては、表示対象となる前記特定報知画像の数を所定数に制限することを特徴とする特徴K1乃至K3のいずれか1に記載の遊技機。
【1093】
特徴K4によれば、特定表示手段にて特定報知画像を表示するための領域が制限されている状況において表示対象となる特定報知画像の数が所定数に制限されることにより、特定表示手段に表示される特定報知画像のサイズをある程度確保することが可能となる。
【1094】
特徴K5.複数種類の前記報知対象事象には前記特定報知画像の表示対象となる優先度が設定されており、
前記報知制御手段は、前記所定表示手段が前記所定対向位置に配置されている状況において前記所定数を超える数の前記報知対象事象が発生している場合、前記優先度が高い側の前記報知対象事象に対応する前記特定報知画像を表示させることを特徴とする特徴K4に記載の遊技機。
【1095】
特徴K5によれば、所定表示手段が所定対向位置に配置されている状況では表示対象となる特定報知画像の数が所定数に制限される構成であっても、優先度が高い側の報知対象事象に対応する特定報知画像を表示させることが可能となる。
【1096】
特徴K6.前記報知制御手段は、前記所定表示手段が前記所定対向位置に配置されている状況において前記報知対象事象が発生した場合、前記所定表示手段に所定報知画像(共通報知画像175)を表示させることを特徴とする特徴K1乃至K5のいずれか1に記載の遊技機。
【1097】
特徴K6によれば、特定表示手段にて特定報知画像が表示されるだけではなく、所定表示手段においても所定報知画像が表示されるため、報知対象事象が発生したことを強調することが可能となる。
【1098】
特徴K7.前記所定報知画像は、前記報知対象事象の種類に対応しない共通画像であることを特徴とする特徴K6に記載の遊技機。
【1099】
特徴K7によれば、所定表示手段においては報知対象事象の種類に対応した画像が表示されるのではなく報知対象事象の種類に対応しない共通画像が所定報知画像として表示されることにより、所定表示手段に所定報知画像を表示させるための処理負荷を軽減させることが可能となる。
【1100】
特徴K8.前記報知制御手段は、前記報知対象事象が発生した回数が複数回であっても前記所定表示手段に前記所定報知画像を1個のみ表示させることを特徴とする特徴K6又はK7に記載の遊技機。
【1101】
特徴K8によれば、報知対象事象が発生した回数が複数回であっても所定表示手段には所定報知画像が1個のみ表示されることにより、所定表示手段において所定報知画像以外の画像が表示される領域を広く確保することが可能となる。
【1102】
なお、特徴K1~K8のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【1103】
上記特徴I群、上記特徴J群及び上記特徴K群の発明によれば以下の課題を解決することが可能である。
【1104】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【1105】
ここで、上記例示等のような遊技機においては、遊技の興趣向上を図る必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【1106】
<特徴L群>
特徴L1.絵柄(装飾図柄203,207,261)を変動表示する絵柄表示手段(メイン表示装置41)と、
抽選契機が発生した場合に抽選処理を実行する抽選手段(主側MPU62におけるステップS213の処理を実行する機能)と、
前記絵柄の変動表示を開始させた後に、前記抽選処理の結果に対応した態様で前記絵柄の変動表示が終了するように前記絵柄表示手段を制御する表示制御手段(演出用CPU82における図78の図柄用演算処理を実行する機能、演出用LSI85)と、
を備えた遊技機において、
前記絵柄表示手段における表示モードとして、少なくとも第1表示モードと第2表示モードとが存在しており、
前記表示制御手段は、前記第1表示モードにおいて前記絵柄の表示態様を第1表示態様とし、前記第2表示モードにおいて前記絵柄の表示態様を第2表示態様とするモード対応手段(演出用CPU82におけるステップS2709の処理を実行する機能)を備え、
当該遊技機は、前記表示モードの変更直後において当該表示モードの変更直前における前記絵柄の表示態様に対応する認識情報(共通表示図柄)が表示されるようにする認識用手段(演出用CPU82におけるステップS2702~ステップS2704、ステップS2712~ステップS2713及びステップS2717~ステップS2718の処理を実行する機能、共通表示部211)を備えていることを特徴とする遊技機。
【1107】
特徴L1によれば、絵柄表示手段における表示モードとして少なくとも第1表示モードと第2表示モードとが存在していることにより表示態様の多様化が図られ、遊技の興趣向上を図ることが可能となる。また、第1表示モードと第2表示モードとで絵柄の表示態様が変更される構成であることにより、絵柄に注目している遊技者に表示モードの変更に対して興味を持たせることが可能となる。
【1108】
この場合に、表示モードの変更直後において当該表示モードの変更直前における絵柄の表示態様に対応する認識情報が表示される。これにより、表示モードが変更された場合、その変更直後における認識情報を目視することで表示モードが変更される前における絵柄の表示態様を把握することが可能となる。よって、遊技者や遊技ホールの管理者などは表示モードの変更が発生した場合において認識情報を目視することで、表示モードの変更前における絵柄の表示態様を簡単に把握することが可能となる。
【1109】
特徴L2.前記認識用手段は、前記絵柄の変動表示が開始される場合に前記認識情報の変動表示が開始されるようにし、前記抽選処理の結果に対応した態様で前記絵柄の変動表示が終了される場合又は終了された後に前記認識情報の変動表示が終了されるようにし、変動表示が終了された前記認識情報の停止態様を前記抽選処理の結果に対応した前記絵柄の停止態様と対応させることを特徴とする特徴L1に記載の遊技機。
【1110】
特徴L2によれば、絵柄の変動表示が開始されてから抽選処理の結果に対応した態様で絵柄の変動表示が終了されるまでは認識情報の変動表示が行われる。これにより、仮に絵柄の変動表示が行われる実行回の途中で絵柄を仮停止させる演出が発生したとしても、認識情報が変動表示されているか否かを確認することで当該実行回の途中であるか否かを把握することが可能となる。また、絵柄の変動表示が終了される場合には当該絵柄の停止態様だけではなく認識情報の停止態様も抽選処理の結果に対応したものとなる。これにより、認識情報を確認することで抽選処理の結果を把握することが可能となる。
【1111】
特徴L3.前記絵柄表示手段にて表示対象となる前記絵柄は複数種類存在しており、それら複数種類の前記絵柄は、各絵柄の識別情報を遊技者が認識可能となるように識別情報の表示領域を有しており、
前記第1表示モードにおいて表示対象となる前記絵柄及び前記第2表示モードにおいて表示対象となる前記絵柄には、表示態様は相互に相違するものの前記識別情報が共通する所定の共通絵柄(「1」~「9」の装飾図柄203,207)が存在しており、
前記認識用手段は、前記所定の共通絵柄に対応する前記認識情報として、前記第1表示モード及び前記第2表示モードにおいて共通する認識情報を表示させることを特徴とする特徴L1又はL2に記載の遊技機。
【1112】
特徴L3によれば、所定の共通絵柄に対応する認識情報は第1表示モード及び第2表示モードにおいて共通している。これにより、認識情報の種類数を抑えることが可能となる。また、識別情報が共通する所定の共通絵柄に対して認識情報の共通化が図られていることにより、上記のように認識情報の種類数を抑えたとしても認識情報がいずれの識別情報の絵柄に対応しているのかを明確なものとすることが可能となる。
【1113】
特徴L4.前記第1表示モードにおいて表示対象となる前記絵柄のうち少なくとも所定絵柄(「0」、「A」及び「源」の第1装飾図柄203)と同一の前記識別情報を有する前記絵柄が、前記第2表示モードにおいて表示対象となる前記絵柄に含まれていない構成であり、
前記認識情報には、前記第1表示モード及び前記第2表示モードにおいて前記識別情報が共通する前記絵柄に対応する認識情報だけではなく、前記所定絵柄に対応する所定認識情報が存在していることを特徴とする特徴L3に記載の遊技機。
【1114】
特徴L4によれば、第1表示モードにおいて表示対象となる所定絵柄と同一の識別情報を有する絵柄が第2表示モードにおいて表示対象として存在していない。これにより、第1表示モードと第2表示モードとで絵柄の表示態様を顕著に相違させることが可能となる。この場合に、認識情報には、第1表示モード及び第2表示モードにおいて識別情報が共通する絵柄に対応する認識情報だけではなく所定絵柄に対応する所定認識情報も存在している。これにより、いずれの絵柄が表示対象となっている状況で表示モードの変更が発生したとしても、その表示対象となっている絵柄に対応する認識情報を表示させることが可能となる。
【1115】
特徴L5.前記認識用手段は、前記絵柄の変動表示が開始される場合に前記認識情報の変動表示が開始されるようにし、前記抽選処理の結果に対応した態様で前記絵柄の変動表示が終了される場合又は終了された後に前記認識情報の変動表示が終了されるようにし、変動表示が終了された前記認識情報の停止態様を前記抽選処理の結果に対応した前記絵柄の停止態様と対応させるものであり、
前記所定認識情報は、前記第1表示モード及び前記第2表示モードのいずれにおいても変動表示の対象となるものであって前記第1表示モードにおいて変動表示後の停止対象となる一方、前記第2表示モードにおいて変動表示後の停止対象とならないことを特徴とする特徴L4に記載の遊技機。
【1116】
特徴L5によれば、絵柄の変動表示が開始されてから抽選処理の結果に対応した態様で絵柄の変動表示が終了されるまでは認識情報の変動表示が行われる。これにより、仮に絵柄の変動表示が行われる実行回の途中で絵柄を仮停止させる演出が発生したとしても、認識情報が変動表示されているか否かを確認することで当該実行回の途中であるか否かを把握することが可能となる。また、絵柄の変動表示が終了される場合には当該絵柄の停止態様だけではなく認識情報の停止態様も抽選処理の結果に対応したものとなる。これにより、認識情報を確認することで抽選処理の結果を把握することが可能となる。
【1117】
この場合に、第2表示モードにおいては対応する絵柄が存在しない所定認識情報も当該第2表示モードにおいて変動表示の対象となる。これにより、第1表示モードと第2表示モードとで変動表示対象となる認識情報の種類数を共通させることが可能となり、第1表示モードと第2表示モードとで認識情報の変動表示態様を共通化させることが可能となる。その一方、第2表示モードにおいては所定認識情報が変動表示後の停止対象とならない。これにより、第2表示モードにおける変動表示後の認識情報の停止態様を絵柄の停止態様に対応させることが可能となる。
【1118】
特徴L6.前記表示制御手段は、前記第1表示モードから前記第2表示モードに変更された場合、当該変更後における前記絵柄の表示態様が前記所定絵柄を含まない変更対応の表示態様となるようにする変更対応手段(演出用CPU82におけるステップS2710の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴L4又はL5に記載の遊技機。
【1119】
特徴L6によれば、第1表示モードから第2表示モードに変更された場合には所定絵柄を含まない変更対応の表示態様となることにより、第1表示モードから第2表示モードへの変更が発生したことを絵柄の表示態様から明確に把握させることが可能となる。この場合に、上記特徴L4の構成を備え、認識情報が表示されていることにより、表示モードが変更されて絵柄の表示態様が変更対応の表示態様となったとしても変更直前の絵柄の表示態様を認識情報の表示態様から把握することが可能となる。
【1120】
特徴L7.前記変更対応手段は、前記第2表示モードから前記第1表示モードに変更された場合、当該変更後における前記絵柄の表示態様が前記変更対応の表示態様となるようにすることを特徴とする特徴L6に記載の遊技機。
【1121】
特徴L7によれば、第1表示モードから第2表示モードに変更された場合だけではなく、第2表示モードから第1表示モードに変更された場合にも、変更後における絵柄の表示態様が変更対応の表示態様となる。つまり、第1表示モードから第2表示モードに変更した場合及び第2表示モードから第1表示モードに変更した場合のいずれにおいても変更後における絵柄の表示態様は変更対応の表示態様で共通することとなる。これにより、表示モードが変更されたことを絵柄の表示態様から明確に把握することが可能となる。この場合に、上記特徴L4の構成を備え、認識情報が表示されていることにより、表示モードが変更されて絵柄の表示態様が変更対応の表示態様となったとしても変更直前の絵柄の表示態様を認識情報の表示態様から把握することが可能となる。
【1122】
特徴L8.前記変更対応の表示態様は、前記第1表示モード及び前記第2表示モードにおいて前記識別情報が共通する前記絵柄により形成される表示態様であることを特徴とする特徴L6又はL7に記載の遊技機。
【1123】
特徴L8によれば、変更対応の表示態様は第1表示モード及び第2表示モードにおいて識別情報が共通する絵柄により形成される表示態様であることにより、表示モードの変更に伴って変更対応の表示態様が表示されたとしても遊技者に違和感を与えないようにすることが可能となる。
【1124】
特徴L9.前記変更対応手段は、前記第1表示モードから前記第2表示モードに変更される直前における前記絵柄の停止態様に関係なく、前記第2表示モードへの変更後における前記絵柄の表示態様が前記変更対応の表示態様となるようにすることを特徴とする特徴L6乃至L8のいずれか1に記載の遊技機。
【1125】
特徴L9によれば、表示モードが変更される直前における絵柄の停止態様に関係なく第2表示モードへの変更後における絵柄の表示態様が変更対応の表示態様となることにより、変更対応の表示態様を設定する場合の処理負荷を軽減することが可能となる。
【1126】
特徴L10.前記絵柄が停止表示されている状況であって前記認識情報として前記所定認識情報が停止表示されている状況で前記第1表示モードから前記第2表示モードに変更された場合、前記認識情報として前記所定認識情報が停止表示されている状況が維持されることを特徴とする特徴L6乃至L9のいずれか1に記載の遊技機。
【1127】
特徴L10によれば、所定絵柄と同一の識別情報を有する絵柄が第2表示モードの表示対象として存在していない構成であっても、当該所定絵柄に対応する所定認識情報が停止表示されている状況で第1表示モードから第2表示モードに変更された場合には第2表示モードへの変更直後において所定認識情報が停止表示されている状況が維持される。これにより、所定絵柄が表示されている状況で第2表示モードへの変更が発生して絵柄の表示態様が当該所定絵柄を含まない変更対応の表示態様となったとしても、変更直前において所定絵柄が表示されていたことを遊技者又は遊技ホールの管理者に認識させることが可能となる。
【1128】
特徴L11.前記表示制御手段は、前記絵柄の変動表示領域を前記絵柄表示手段に複数表示させ、それら複数の変動表示領域における前記絵柄の停止結果の組合せを前記抽選処理の結果に対応させるものであり、
前記認識用手段は、前記認識情報を前記複数の変動表示領域のそれぞれに対応させて表示させることを特徴とする特徴L1乃至L10のいずれか1に記載の遊技機。
【1129】
特徴L11によれば、絵柄の複数の変動表示領域のそれぞれに対応させて認識情報が表示されるため、表示モードの変更直後において認識情報を確認することで、各絵柄表示領域のそれぞれに表示されていた絵柄を把握することが可能となる。
【1130】
特徴L12.前記第1表示モード及び前記第2表示モードのいずれにおいても、1個の前記変動表示領域に停止表示される前記絵柄の数は1個であることを特徴とする特徴L11に記載の遊技機。
【1131】
特徴L12によれば、第1表示モード及び第2表示モードのいずれにおいても変動表示領域に停止表示される絵柄の数が1個であることにより、認識情報がいずれの変動表示領域に対応しているのかを遊技者又は遊技ホールの管理者が把握し易くなる。
【1132】
特徴L13.前記表示制御手段は、前記絵柄表示手段にてリーチ演出を実行させるリーチ実行手段を備え、
前記認識用手段は、前記認識情報を利用したリーチ演出を実行しないことを特徴とする特徴とする特徴L11又はL12に記載の遊技機。
【1133】
特徴L13によれば、絵柄表示手段にてリーチ演出が実行される構成において認識情報を利用したリーチ演出は実行されない。これにより、認識情報の役割を遊技者又は遊技ホールの管理者に認識させ易くなる。
【1134】
特徴L14.前記認識情報は前記絵柄表示手段にて表示される構成であり、
前記認識用手段は、状況に応じて前記絵柄表示手段に表示させる前記認識情報の数を変更させることを特徴とする特徴L1乃至L13のいずれか1に記載の遊技機。
【1135】
特徴L14によれば、認識情報が絵柄表示手段にて表示されることにより、認識情報の視認性を高めることが可能となるとともに認識情報と絵柄との対応関係を把握し易くなる。この場合に、状況に応じて絵柄表示手段に表示される認識情報の数が変更されることにより、各状況に適した態様で認識情報を表示させることが可能となる。
【1136】
特徴L15.前記表示制御手段は、前記絵柄の変動表示領域を前記絵柄表示手段に複数表示させ、それら複数の変動表示領域における前記絵柄の停止結果の組合せを前記抽選処理の結果に対応させるものであり、
前記認識用手段は、
前記絵柄の変動表示が行われていない状況において前記複数の変動表示領域の数に対応する数である所定数の前記認識情報を表示させる手段(演出用CPU82における図98(a)に示す共通表示部211の表示を可能とする機能)と、
前記絵柄の変動表示が行われている状況において前記所定数よりも少ない数の前記認識情報を表示させる手段(演出用CPU82における図98(b)に示す共通表示部211の表示を可能とする機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴L14に記載の遊技機。
【1137】
特徴L15によれば、絵柄の変動表示が行われている状況においては絵柄表示手段に表示される認識情報の数が相対的に少なくなることにより絵柄を利用した表示演出を行う領域を広く確保することが可能となり演出効果を高めることが可能となる。その一方、絵柄の変動表示が行われていない状況においては複数の変動表示領域の数に対応する数の認識情報が表示される。これにより、絵柄の停止態様と認識情報との対応関係を明確に把握させるという効果を消失させないようにしながら、上記のような演出効果を高めることが可能となる。
【1138】
特徴L16.前記認識用手段は、前記認識情報を前記絵柄表示手段に表示させることを特徴とする特徴L1乃至L15のいずれか1に記載の遊技機。
【1139】
特徴L16によれば、認識情報が絵柄表示手段にて表示されることにより、認識情報の視認性を高めることが可能となるとともに認識情報と絵柄との対応関係を把握し易くなる。
【1140】
特徴L17.前記認識情報の表示領域は前記絵柄の表示領域よりも狭く設定されていることを特徴とする特徴L16に記載の遊技機。
【1141】
特徴L17によれば、認識情報の表示領域が絵柄の表示領域よりも狭く設定されていることにより、演出としての役割が大きい絵柄を認識情報よりも目立たせることが可能となる。
【1142】
特徴L18.前記認識情報の表示領域は前記絵柄表示手段の表示面において前記絵柄の表示領域よりも前記表示面の周縁部側に存在していることを特徴とする特徴L16又はL17に記載の遊技機。
【1143】
特徴L18によれば、認識情報の表示領域が絵柄表示手段の表示面において絵柄の表示領域よりも周縁部側に存在していることにより、演出としての役割が大きい絵柄を認識情報よりも目立たせることが可能となる。
【1144】
特徴L19.前記絵柄表示手段における前記認識情報が表示される表示領域の位置は前記表示モードの変更前後において変更されないことを特徴とする特徴L16乃至L18のいずれか1に記載の遊技機。
【1145】
特徴L19によれば、認識情報が表示される表示領域の位置が表示モードの変更前後において変更されないことにより、遊技者や遊技ホールの管理者が認識情報を把握し易くなる。
【1146】
特徴L20.前記表示面に少なくとも一部が対向するように動作する可動物(第1サブ表示装置43、第2サブ表示装置44)を備え、
前記認識情報の表示領域は前記表示面において前記可動物と対向しない領域に設定されることを特徴とする特徴L16乃至L19のいずれか1に記載の遊技機。
【1147】
特徴L20によれば、認識情報の表示領域が可動物と対向しない領域に設定されることにより、可動物の動作期間であっても認識情報の視認性を低下させないようにすることが可能となる。
【1148】
なお、特徴L1~L20のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【1149】
<特徴M群>
特徴M1.絵柄(装飾図柄203,207,261)を変動表示する絵柄表示手段(メイン表示装置41)と、
抽選契機が発生した場合に抽選処理を実行する抽選手段(主側MPU62におけるステップS213の処理を実行する機能)と、
前記絵柄の変動表示を開始させた後に、前記抽選処理の結果に対応した態様で前記絵柄の変動表示が終了するように前記絵柄表示手段を制御する表示制御手段(演出用CPU82における図78の図柄用演算処理を実行する機能、演出用LSI85)と、
を備えた遊技機において、
前記絵柄表示手段における表示モードとして、少なくとも第1表示モードと第2表示モードとが存在しており、
前記表示制御手段は、
前記第1表示モードにおいて前記絵柄の表示態様を第1表示態様とし、前記第2表示モードにおいて前記絵柄の表示態様を第2表示態様とするモード対応手段(演出用CPU82におけるステップS2709の処理を実行する機能)と、
前記第1表示モードから前記第2表示モードに変更された場合、当該変更後における前記絵柄の表示態様が変更対応の表示態様となるようにする変更対応手段(演出用CPU82におけるステップS2710の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【1150】
特徴M1によれば、絵柄表示手段における表示モードとして少なくとも第1表示モードと第2表示モードとが存在していることにより表示態様の多様化が図られ、遊技の興趣向上を図ることが可能となる。また、第1表示モードと第2表示モードとで絵柄の表示態様が変更される構成であることにより、絵柄に注目している遊技者に表示モードの変更に対して興味を持たせることが可能となる。
【1151】
この場合に、第1表示モードから第2表示モードに変更された場合には変更対応の表示態様となることにより、第1表示モードから第2表示モードへの変更が発生したことを絵柄の表示態様から明確に把握させることが可能となる。
【1152】
特徴M2.前記変更対応手段は、前記第2表示モードから前記第1表示モードに変更された場合、当該変更後における前記絵柄の表示態様が前記変更対応の表示態様となるようにすることを特徴とする特徴M1に記載の遊技機。
【1153】
特徴M2によれば、第1表示モードから第2表示モードに変更された場合だけではなく、第2表示モードから第1表示モードに変更された場合にも、変更後における絵柄の表示態様が変更対応の表示態様となる。つまり、第1表示モードから第2表示モードに変更した場合及び第2表示モードから第1表示モードに変更した場合のいずれにおいても変更後における絵柄の表示態様は変更対応の表示態様で共通することとなる。これにより、表示モードが変更されたことを絵柄の表示態様から明確に把握することが可能となる。
【1154】
特徴M3.前記変更対応の表示態様は、前記絵柄による所定の組合せが表示される態様であることを特徴とする特徴M1又はM2に記載の遊技機。
【1155】
特徴M3によれば、表示モードが変更された場合には絵柄による所定の組合せが表示されることとなるため、絵柄を利用しながら表示モードの変更を明確に報知することが可能となる。
【1156】
特徴M4.前記絵柄表示手段にて表示対象となる前記絵柄は複数種類存在しており、それら複数種類の前記絵柄は、各絵柄の識別情報を遊技者が認識可能となるように識別情報の表示領域を有しており、
前記第1表示モードにおいて表示対象となる前記絵柄及び前記第2表示モードにおいて表示対象となる前記絵柄には、表示態様は相互に相違するものの前記識別情報が共通する所定の共通絵柄(「1」~「9」の装飾図柄203,207)が存在している構成であって、
前記第1表示モードにおいて表示対象となる前記絵柄のうち少なくとも所定絵柄(「0」、「A」及び「源」の第1装飾図柄203)と同一の前記識別情報を有する前記絵柄が、前記第2表示モードにおいて表示対象となる前記絵柄に含まれていない構成であり、
前記変更対応の表示態様は前記所定絵柄を含まないことを特徴とする特徴M1乃至M3のいずれか1に記載の遊技機。
【1157】
特徴M4によれば、変更対応の表示態様が所定絵柄を含まないことにより、当該変更対応の表示態様が第2表示モードへの変更に際して表示されたとしても遊技者に違和感を与えないようにすることが可能となる。
【1158】
特徴M5.前記変更対応の表示態様は、前記第1表示モード及び前記第2表示モードにおいて前記識別情報が共通する前記絵柄により形成される表示態様であることを特徴とする特徴M4に記載の遊技機。
【1159】
特徴M5によれば、変更対応の表示態様は第1表示モード及び第2表示モードにおいて識別情報が共通する絵柄により形成される表示態様であることにより、表示モードの変更に伴って変更対応の表示態様が表示されたとしても遊技者に違和感を与えないようにすることが可能となる。
【1160】
特徴M6.前記変更対応手段は、前記第1表示モードから前記第2表示モードに変更される直前における前記絵柄の停止態様に関係なく、前記第2表示モードへの変更後における前記絵柄の表示態様が前記変更対応の表示態様となるようにすることを特徴とする特徴M1乃至M5のいずれか1に記載の遊技機。
【1161】
特徴M6によれば、表示モードが変更される直前における絵柄の停止態様に関係なく第2表示モードへの変更後における絵柄の表示態様が変更対応の表示態様となることにより、変更対応の表示態様を設定する場合の処理負荷を軽減することが可能となる。
【1162】
なお、特徴M1~M6のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【1163】
<特徴N群>
特徴N1.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトデータを配置する配置手段(3D制御部97におけるステップS802~ステップS805の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(3D制御部97におけるステップS807の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトデータを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(3D制御部97におけるステップS810の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(3D制御部97)によって生成された生成データを記憶する生成データ記憶手段(3D描画領域113)と、
当該生成データ記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(メイン表示装置41)に表示させる表示制御手段(第1表示回路98)と、
を備えた遊技機において、
前記配置手段は、前記オブジェクトデータとして特別オブジェクトデータ(屈折用オブジェクト221)を前記仮想3次元空間に配置する所定配置手段(演出用CPU82におけるステップS2802及びステップS2804の処理を実行する機能、3D制御部97におけるステップS802~ステップS805の処理を実行する機能)を備え、
前記描画用設定手段は、
複数のドットを有する前記生成データにおいて各ドットへの描画対象となるデータを決定する場合、前記仮想3次元空間の手前側から順に参照対象となる前記オブジェクトデータを把握する対象把握手段(3D制御部97におけるステップS2902の処理を実行する機能)と、
前記複数のドットのうち所定のドットへの描画対象となるデータを決定する場合において前記対象把握手段により前記特別オブジェクトデータが把握された場合、当該特別オブジェクトデータに対して設定されている特定パラメータデータ(屈折率)を用いて、前記仮想3次元空間において前記特別オブジェクトデータよりも奥側に存在しているオブジェクトデータのうち前記所定のドットへの描画対象となるデータを決定する描画対象決定手段(3D制御部97におけるステップS2903~ステップS2910の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【1164】
特徴N1によれば、特別オブジェクトデータの存在によって、特別オブジェクトデータよりも奥側に存在しているオブジェクトデータのうち所定のドットへの描画対象となるデータが変化する。これにより、特別オブジェクトデータを利用して画像の屈折表現を行うことが可能となり、画像への注目度を高めることが可能となる。また、このような屈折表現は、特別オブジェクトデータに対して設定されている特定パラメータデータを用いて行われる。これにより、屈折表現を行う場合に参照すべきデータの特定を生成データの作成過程で行うことが可能となり、処理構成を簡素化することが可能となる。
【1165】
特徴N2.前記描画対象決定手段は、前記特別オブジェクトデータを前記生成データのドットへの描画対象としない、又は前記特別オブジェクトデータに対応する画像が半透明の状態で表示されるように当該特別オブジェクトデータを前記生成データのドットに反映させる場合に半透明化処理を行うものであることを特徴とする特徴N1に記載の遊技機。
【1166】
特徴N2によれば、特別オブジェクトデータに対応した画像は表示されない又は特別オブジェクトデータに対応した画像が半透明の状態で表示される。これにより、特別オブジェクトデータを用いた屈折表現の視認性が、特別オブジェクトデータに対応した画像の存在によって低下してしまわないようにすることが可能となる。
【1167】
特徴N3.前記所定配置手段は、前記仮想3次元空間における前記特別オブジェクトデータの配置態様を更新タイミング間で相違させるものであり、
前記仮想3次元空間において前記特別オブジェクトデータよりも奥側に存在しているオブジェクトデータのうち前記所定のドットへの描画対象となるデータが、前記仮想3次元空間における前記特別オブジェクトデータの配置態様に応じて変更されることを特徴とする特徴N1又はN2に記載の遊技機。
【1168】
特徴N3によれば、特別オブジェクトデータの配置態様が変更されるとともにそれに伴って屈折表現による画像の表示態様が変更される。これにより、屈折表現による画像の表示態様を変化に富んだものとすることが可能となり、画像への注目度を高めることが可能となる。
【1169】
特徴N4.前記仮想3次元空間における前記特別オブジェクトデータの配置態様が所定配置態様である場合、前記仮想3次元空間に前記特別オブジェクトデータが存在していないと仮定した場合に前記所定のドットへの描画対象となるデータと、実際に前記所定のドットへの描画対象となるデータとの間の前記仮想3次元空間における位置のズレ量が存在しなくなる又は当該ズレ量が相対的に少なくなる構成であり、
前記描画用設定手段は、前記仮想3次元空間における前記特別オブジェクトデータの配置態様が前記所定配置態様である場合、所定の視的効果が生じるようにする視的効果手段(演出用CPU82におけるステップS2803の処理を実行する機能、3D制御部97におけるステップS2909の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴N3に記載の遊技機。
【1170】
特徴N4によれば、仮想3次元空間における特別オブジェクトデータの配置態様が所定配置態様である場合、仮想3次元空間に特別オブジェクトデータが存在していないと仮定した場合に所定のドットへの描画対象となるデータと、実際に所定のドットへの描画対象となるデータとの間の仮想3次元空間における位置のズレ量が存在しなくなる又は当該ズレ量が相対的に少なくなることにより、特別オブジェクトデータの配置態様が所定配置態様である場合には屈折表現が消失する又は屈折表現による視的効果が少なくなる。この場合に、所定の視的効果が発生することにより、上記のように屈折表現が消失した場合又は屈折表現による視的効果が少なくなった場合において画像への注目度が低下してしまわないようにすることが可能となる。
【1171】
特徴N5.前記視的効果手段は、前記所定の視的効果として前記特別オブジェクトデータに対応する画像の表示態様が特定態様となるようにすることを特徴とする特徴N4に記載の遊技機。
【1172】
特徴N5によれば、所定の視的効果として特別オブジェクトデータに対応する画像の表示態様が特定態様となることにより、上記のように屈折表現が消失した場合又は屈折表現による視的効果が少なくなった場合には特別オブジェクトデータに対応する画像への遊技者の注目度を高めることが可能となる。
【1173】
特徴N6.前記描画対象決定手段は、前記特別オブジェクトデータに対応する画像が半透明の状態で表示されるように当該特別オブジェクトデータを前記生成データのドットに反映させる場合に半透明化処理を行うものであり、
前記視的効果手段は、前記所定の視的効果として、前記仮想3次元空間における前記特別オブジェクトデータの配置態様が前記所定配置態様とは異なる特定配置態様である場合に比べて前記特別オブジェクトデータに対応する画像が不透明に近い画像となるようにする、又は前記特別オブジェクトデータに対応する画像が不透明の画像となるようにすることを特徴とする特徴N4又はN5に記載の遊技機。
【1174】
特徴N6によれば、通常は特別オブジェクトデータに対応する画像が半透明の状態で表示されることで、特別オブジェクトデータを用いた屈折表現の視認性が、特別オブジェクトデータに対応した画像の存在によって低下してしまわないようにすることが可能となる。一方、屈折表現が消失した場合又は屈折表現による視的効果が少なくなる場合には、特別オブジェクトデータに対応する画像が通常よりも不透明に近い画像又は不透明の画像として表示される。これにより、上記のように屈折表現が消失した場合又は屈折表現による視的効果が少なくなった場合には特別オブジェクトデータに対応する画像への遊技者の注目度を高めることが可能となるとともに、特別オブジェクトデータが存在していることを遊技者に認識させ易くなる。
【1175】
特徴N7.前記対象把握手段は、前記所定のドットへの描画対象となるデータを決定する場合、前記所定のドットに対応する位置から前記仮想3次元空間において奥行方向に進む直線データと交差した前記オブジェクトデータを前記参照対象とするものであり、
前記描画対象決定手段は、前記所定のドットへの描画対象となるデータを決定する場合において前記対象把握手段により前記特別オブジェクトデータが把握された場合、前記特別オブジェクトデータにおいて前記直線データと最初に交差したデータを有する面の角度と、前記特定パラメータデータとを用いて、前記仮想3次元空間において前記特別オブジェクトデータよりも奥側に存在しているオブジェクトデータのうち前記所定のドットへの描画対象となるデータを決定することを特徴とする特徴N1乃至N6のいずれか1に記載の遊技機。
【1176】
特徴N7によれば、特定パラメータデータだけではなく特別オブジェクトデータにおいて直線データと最初に交差したデータを有する面の角度も利用して、屈折表現に際しての屈折の度合いが決定される。これにより、屈折表現の態様を多様化させることが可能となり、画像への注目度を高めることが可能となる。
【1177】
なお、特徴N1~N7のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【1178】
<特徴O群>
特徴O1.表示部を有する表示手段(メイン表示装置41)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール83)と、
色情報を規定する数値情報を設定可能な単位設定領域を複数有する設定用記憶手段(3D描画領域113)に前記画像データを利用して描画データを作成し、この描画データに対応する数値情報が設定された前記単位設定領域のそれぞれに応じた画像信号を前記表示手段に出力することに基づき前記表示部に画像を表示させる表示制御手段(演出用LSI85)と、
を備えた遊技機において、
所定画像データ及び当該所定画像データを利用して作成されたデータの一方である適用データ(キャプチャ画像データ241)は、色情報を規定する数値情報が対応付けられた単位画像データを複数有し、
前記表示制御手段は、前記適用データの前記単位画像データのそれぞれに対して同一の適用処理を実行してそれら単位画像データの数値情報を変動させることにより、前記適用データに対応する画像とは色合いが異なる画像を表示させる適用手段(3D制御部97におけるステップS3202~ステップS3205の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
【1179】
特徴O1によれば、適用データの各単位画像データのそれぞれに同一の演算処理を実行することで、適用データに対応する画像とは色合いが異なる画像が表示される。これにより、同一の適用データを利用して複数種類の画像を表示させることが可能となり、表示態様の多様化を図ることが可能となる。また、このように複数種類の画像を表示させる場合において適用データの各単位画像データのそれぞれに同一の演算処理を実行する構成であるため、処理負荷の軽減を図りながら上記のような表示態様の多様化を図ることが可能となる。
【1180】
特徴O2.前記表示用記憶手段は、前記画像データとして、色情報を規定する数値情報が対応付けられた単位画像データを複数有するとともにそれら単位画像データに設定された数値情報が全て同一である特定画像データ(反転用レイヤデータ244)を記憶しており、
前記適用手段は、前記適用処理として、前記適用データの各単位画像データに前記特定画像データの対応する前記単位画像データを適用することにより、前記適用データに対応する画像とは色合いが異なる画像を表示させることを特徴とする特徴O1に記載の遊技機。
【1181】
特徴O2によれば、画像データとして表示用記憶手段に予め記憶された特定画像データの各単位画像データを適用データの各単位画像データに適用することで、適用データに対応する画像とは色合いが異なる画像を表示させる構成であることにより、当該異なる画像を表示させる場合には特定画像データを適用データに単に適用するだけでよいため処理負荷の軽減を図ることが可能となる。また、特定画像データの単位画像データに設定された数値情報は全て同一であるため、適用データの単位画像データのそれぞれに同一の演算処理を実行すればよくこの点からも処理負荷の軽減を図ることが可能となる。
【1182】
特徴O3.前記単位設定領域は、限界数値までの範囲内において数値情報を設定可能な構成であり、
前記表示制御手段は、前記数値情報として大きな数値が設定されているほどその前記単位設定領域に対応した前記表示部のドットにおいて明るい色が表示されるように前記画像信号を出力する構成であり、
前記適用手段は、前記適用処理として、前記適用データの前記単位画像データのそれぞれについて、前記限界数値から当該単位画像データに設定されている数値情報を減算することを特徴とする特徴O1又はO2に記載の遊技機。
【1183】
特徴O3によれば、適用処理を実行することで適用データの単位画像データのそれぞれについて、限界数値から当該単位画像データの数値情報が減算されることとなる。これにより、適用データの各単位画像データの数値情報がそれぞれ反転されることとなり、適用データに対応する画像の色合いを全体的に反転させた画像を表示させることが可能となる。
【1184】
特徴O4.前記表示制御手段は、前記適用データに前記適用処理を実行することなく当該適用データを表示対象のデータとする手段(3D制御部97におけるステップS3103及びステップS3108~ステップS3109の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴O1乃至O3のいずれか1に記載の遊技機。
【1185】
特徴O4によれば、適用処理が実行されていない状態の適用データに対応する画像と、適用処理が実行された状態のデータに対応する画像との両方を表示させることが可能となる。
【1186】
特徴O5.前記適用データは、所定の表示タイミングにおいて前記表示手段に表示される画像のうち一部の画像の表示に対応するデータであることを特徴とする特徴O1乃至O4のいずれか1に記載の遊技機。
【1187】
特徴O5によれば、所定の表示タイミングにおいて表示手段に表示される画像のうち一部の画像に、適用処理による影響を留めることが可能となる。
【1188】
特徴O6.前記表示手段における表示演出として奥側画像の手前で変動用個別画像が変動表示される表示演出が設定されており、
遊技者に有利な状況が発生する場合には前記変動用個別画像の変動表示が終了した場合の停止態様が有利対応停止態様となる構成であり、
前記適用データは、前記奥側画像の少なくとも一部の画像の表示に対応するデータであって前記変動用個別画像の表示に対応するデータではないことを特徴とする特徴O5に記載の遊技機。
【1189】
特徴O6によれば、変動用個別画像の表示態様を維持しながら、奥側画像の少なくとも一部の画像について表示態様を多様化させることが可能となる。
【1190】
なお、特徴O1~O6のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【1191】
<特徴P群>
特徴P1.表示部を有する表示手段(メイン表示装置41)と、
前記表示部に画像を表示させる表示制御手段(演出用LSI85)と、
を備えた遊技機において、
少なくとも所定個別画像(移動対象キャラクタ251)のうち一部の画像範囲である第1画像範囲(下半身部分)の表示内容を決定付ける第1態様情報が時系列で設定された第1態様情報群(第1アニメーションデータ255)と、少なくとも前記所定個別画像のうち一部の画像範囲である第2画像範囲(上半身部分)の表示内容を決定付ける第2態様情報が時系列で設定された第2態様情報群(第2アニメーションデータ256)と、を予め記憶する情報記憶手段(メモリモジュール83)を備え、
前記表示制御手段は、前記所定個別画像を表示させる場合に、前記所定個別画像における前記第1画像範囲の表示内容を前記第1態様情報群に設定された前記第1態様情報を利用して決定し、前記所定個別画像における前記第2画像範囲の表示内容を前記第2態様情報群に設定された前記第2態様情報を利用して決定する態様決定手段(演出用CPU82におけるステップS3310及びステップS3311の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
【1192】
特徴P1によれば、所定個別画像のうち第1画像範囲の表示内容については第1制御情報群に設定された第1態様情報を利用して決定され、所定個別画像のうち第2画像範囲の表示内容については第2制御情報群に設定された第2態様情報を利用して決定される。これにより、所定個別画像の第1画像範囲及び第2画像範囲のそれぞれにおいて所定の動作が行われる画像を表示する場合において、第1画像範囲及び第2画像範囲のそれぞれの表示を好適に行うの適した制御情報群を利用することが可能となる。
【1193】
特徴P2.前記第1態様情報群には、前記第1態様情報だけではなく、前記所定個別画像における前記第2画像範囲の表示内容を決定付ける第3態様情報が時系列で設定されており、
前記表示制御手段は、第1期間において前記所定個別画像を表示させる場合、前記所定個別画像における前記第1画像範囲の表示内容を前記第1態様情報群に設定された前記第1態様情報を利用して決定し、前記所定個別画像における前記第2画像範囲の表示内容を前記第1態様情報群に設定された前記第3態様情報を利用して決定する第1期間対応手段(演出用CPU82におけるステップS3302及びステップS3309の処理を実行する機能)を備え、
前記態様決定手段は、前記第1期間の後において当該第1期間に連続して発生する第2期間において前記所定個別画像を表示させる場合、前記所定個別画像における前記第1画像範囲の表示内容を前記第1態様情報群に設定された前記第1態様情報を利用して決定し、前記所定個別画像における前記第2画像範囲の表示内容を前記第2態様情報群に設定された前記第2態様情報を利用して決定することを特徴とする特徴P1に記載の遊技機。
【1194】
特徴P2によれば、第1期間においては第1態様情報群を利用して所定個別画像の第1画像範囲及び第2画像範囲の両方の表示内容が決定され、当該第1期間に続けて発生する第2期間においては所定個別画像の第1画像範囲については第1態様情報群をそのまま利用して表示内容が決定されるのに対して所定個別画像の第2画像範囲については新たに第2態様情報群を利用して表示内容が決定される。これにより、第1期間から第2期間に切り換わる場合において、所定個別画像における第2画像範囲については異なる動作が行われるようにしながら、所定個別画像における第1画像範囲については円滑に動作が継続されるようにすることが可能となる。
【1195】
特徴P3.前記第1態様情報群には、前記第1態様情報だけではなく、前記所定個別画像における前記第2画像範囲の表示内容を決定付ける第3態様情報が時系列で設定されており、
前記第2態様情報群には、前記第2態様情報だけではなく、前記所定個別画像における前記第1画像範囲の表示内容を決定付ける第4態様情報が時系列で設定されており、
前記第1態様情報群を利用して前記所定個別画像の前記第1画像範囲及び前記第2画像範囲の表示内容が決定される場合と、前記第2態様情報群を利用して前記所定個別画像の前記第1画像範囲及び前記第2画像範囲の表示内容が決定される場合とで、前記所定個別画像の表示態様が相違することを特徴とする特徴P1又はP2に記載の遊技機。
【1196】
特徴P3によれば、第1態様情報群により所定個別画像の第1画像範囲及び第2画像範囲の両方の表示内容を決定可能であって、第2態様情報群により所定個別画像の第1画像範囲及び第2画像範囲の両方の表示内容を決定可能である。この場合に、これら第1態様情報群及び第2態様情報群の両方を利用して既に説明したような優れた効果を奏することが可能となる。
【1197】
特徴P4.前記第1態様情報群に設定された前記第1態様情報を利用して決定される場合における前記第1画像範囲の表示内容と、前記第2態様情報群に設定された前記第4態様情報を利用して決定される場合における前記第1画像範囲の表示内容とは、遊技者が同一と認識する表示内容であることを特徴とする特徴K3に記載の遊技機。
【1198】
特徴P4によれば、第1態様情報群の第1態様情報を利用して決定される場合の第1画像範囲の表示内容と、第2態様情報群の第4態様情報を利用して決定される場合の第1画像範囲の表示内容とが同一となる構成において、敢えて第1制御情報群の第1態様情報を利用して第1画像範囲の表示内容を決定するとともに第2制御情報群の第2態様情報を利用して第2画像範囲の表示内容を決定することにより、各画像範囲の表示内容を円滑に変化させることが可能となる。
【1199】
特徴P5.前記表示制御手段は、
前記所定個別画像を表示させる場合、前記所定個別画像における前記第1画像範囲の表示内容を前記第1態様情報群に設定された前記第1態様情報を利用して決定し、前記所定個別画像における前記第2画像範囲の表示内容を前記第1態様情報群に設定された前記第3態様情報を利用して決定する手段(演出用CPU82におけるステップS3302及びステップS3309の処理を実行する機能)と、
前記所定個別画像を表示させる場合、前記所定個別画像における前記第1画像範囲の表示内容を前記第2態様情報群に設定された前記第4態様情報を利用して決定し、前記所定個別画像における前記第2画像範囲の表示内容を前記第2態様情報群に設定された前記第2態様情報を利用して決定する手段(演出用CPU82におけるステップS3304及びステップS3309の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴P3又はP4に記載の遊技機。
【1200】
特徴P5によれば、第1態様情報群を利用して所定個別画像の第1画像範囲及び第2画像範囲の両方の表示内容が決定される状況と、第2態様情報群を利用して所定個別画像の第1画像範囲及び第2画像範囲の両方の表示内容が決定される状況と、第1態様情報群及び第2態様情報群の両方を利用して所定個別画像の第1画像範囲及び第2画像範囲の表示内容が決定される状況とが存在することとなる。これにより、各状況に適した態様情報群を利用して所定個別画像を表示させることが可能となる。
【1201】
特徴P6.前記所定個別画像は所定のキャラクタ画像であることを特徴とする特徴P1乃至P5のいずれか1に記載の遊技機。
【1202】
特徴P6によれば、所定個別画像として所定のキャラクタ画像が表示される構成において、既に説明したような優れた効果を奏することが可能となる。
【1203】
なお、特徴P1~P6のいずれか1の構成に対して、特徴A1~A11、特徴B1~B7、特徴C1~C8、特徴D1~D7、特徴E1~E11、特徴F1~F10、特徴G1~G10、特徴H1~H6、特徴I1~I9、特徴J1~J3、特徴K1~K8、特徴L1~L20、特徴M1~M6、特徴N1~N7、特徴O1~O6、特徴P1~P6のうちいずれか1又は複数の構成を適用してもよい。これにより、その組合せた構成による相乗的な効果を奏することが可能となる。
【1204】
上記特徴L群、上記特徴M群、上記特徴N群、上記特徴O群及び上記特徴P群の発明によれば以下の課題を解決することが可能である。
【1205】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては表示手段を備えたものが知られている。当該遊技機では、データが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出されたデータを用いて表示手段にて所定の表示が行われる。
【1206】
ここで、上記例示等のような遊技機においては、表示手段における表示を好適に行う必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【1207】
以下に、以上の各特徴を適用し得る又は各特徴に適用される遊技機の基本構成を示す。
【1208】
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
【1209】
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
【符号の説明】
【1210】
10…パチンコ機、41…メイン表示装置、43…第1サブ表示装置、44…第2サブ表示装置、62…主側MPU、82…演出用CPU、83…メモリモジュール、85…演出用LSI、97…3D制御部、98…第1表示回路、113…3D描画領域、203…第1装飾図柄、207…第2装飾図柄、211…共通表示部、221…屈折用オブジェクト、241…キャプチャ画像データ、244…反転用レイヤデータ、251…移動対象キャラクタ、255…第1アニメーションデータ、256…第2アニメーションデータ。
図1
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