(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186956
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 15/00 20060101AFI20221208BHJP
H05B 6/12 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
F24C15/00 M
H05B6/12 313
F24C15/00 S
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171979
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2020043086の分割
【原出願日】2020-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 匡薫
(57)【要約】
【課題】利便性を向上させることができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【解決手段】加熱調理器において、被加熱物を加熱する加熱手段と、回動方向および軸方向に操作可能な操作ダイヤルを備えた操作部と、操作ダイヤルの動きに応じて加熱手段を制御する制御部と、を備え、制御部は、操作ダイヤルの回動方向の動きが検知された場合、加熱手段を加熱準備状態とし、加熱準備状態において、操作ダイヤルの回動方向の動きが検知された場合、加熱手段の調理モードを変更し、操作ダイヤルの軸方向の動きが検知された場合、変更された調理モードでの加熱手段の加熱を開始する構成とした。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱する加熱手段と、
回動方向および軸方向に操作可能な操作ダイヤルを備えた操作部と、
前記操作ダイヤルの動きに応じて前記加熱手段を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記操作ダイヤルの前記回動方向の動きが検知された場合、前記加熱手段を加熱準備状態とし、
前記加熱準備状態において、前記操作ダイヤルの前記回動方向の動きが検知された場合、前記加熱手段の調理モードを変更し、
前記操作ダイヤルの前記軸方向の動きが検知された場合、変更された前記調理モードでの前記加熱手段の加熱を開始する加熱調理器。
【請求項2】
被加熱物を加熱する加熱手段と、
回動方向および軸方向に操作可能な操作ダイヤルを備えた操作部と、
前記操作ダイヤルの動きに応じて前記加熱手段を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記操作ダイヤルの前記回動方向の動きが検知された場合、前記加熱手段を加熱準備状態とし、
前記加熱準備状態において、前記操作ダイヤルの前記回動方向の動きが検知された場合、前記加熱手段の調理モードを変更し、
前記操作ダイヤルの前記軸方向の動きが検知された場合、前記調理モードを確定し、
前記調理モードの確定後に、前記操作ダイヤルの前記回動方向の動きが検知された場合、前記調理モードの詳細設定を変更し、
前記操作ダイヤルの前記軸方向の動きが検知された場合、前記調理モードの変更された前記詳細設定での前記加熱手段の加熱を開始する加熱調理器。
【請求項3】
前記詳細設定は、前記調理モードを取り消すキャンセル設定を含み、
前記制御部は、
前記キャンセル設定が選択された状態で、前記操作ダイヤルの前記軸方向の動きが検知された場合、前記調理モードを取り消す請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記操作部はタイマーボタンを有し、
前記制御部は、
前記加熱手段による加熱動作中に、前記タイマーボタンが押された場合、切タイマー設定状態に移行し、前記操作ダイヤルの前記回動方向の動きに応じて、前記加熱手段に前記加熱動作の加熱を停止するまでの時間を設定し、
設定された前記時間までのカウントダウンを開始する請求項1~3の何れか一項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記制御部は、前記カウントダウン中に、
前記タイマーボタンが押された場合、前記切タイマー設定状態に移行し、
前記切タイマー設定状態において、前記操作ダイヤルの前記軸方向の動きを検知した場合、前記カウントダウンをキャンセルする請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記制御部は、
前記操作ダイヤルの前記軸方向の動きが規定時間以上である場合、前記カウントダウンをキャンセルし、前記操作ダイヤルの前記軸方向の動きが前記規定時間未満である場合、前記加熱手段の加熱を停止する請求項4に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱調理器に関し、詳しくは操作部として操作ダイヤルを備える加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器の操作部として、回動方向および軸方向への操作が可能な操作ダイヤルを備えるものが知られている。特許文献1では、加熱手段に対応した操作ダイヤルを備え、操作ダイヤルが軸方向に操作されることで加熱手段を加熱開始準備状態とし、操作ダイヤルが回動方向に操作されることで加熱手段の加熱動作を開始させる構成を備えた加熱調理器が提案されている。特許文献1の加熱調理器によると、2段階の操作を経て加熱動作を開始することで、オン/オフキーの1回の操作により加熱動作を開始するものと比べて、安全性の向上を図ることができる。また、特許文献1の加熱調理器では、1つの加熱手段について、1つの操作ダイヤルに対する連続的な操作で加熱停止状態から加熱状態までの操作ができるため、操作性も向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される加熱調理器では、操作ダイヤルをその外周部品である操作パネル内に収納することで、操作ダイヤルの軸方向の移動を可能としている。このような構成とし場合、操作ダイヤルと操作パネルとの間に隙間が発生し、調理中に鍋からの吹きこぼれ、または飛び散りなどがこの隙間に流れ込む恐れがある。操作ダイヤルの内部には、操作ダイヤルの回動方向および軸方向の動きを検知するための電子部品が配置されているため、隙間から異物が侵入すると、これらの電子部品の故障を招く恐れがある。また、特許文献1に記載される加熱調理器では、操作部に調理モードを選択するためのキーを設けるスペースが必要となり、利便性が低下してしまう。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するものであり、利便性を向上させることができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る加熱調理器は、被加熱物を加熱する加熱手段と、回動方向および軸方向に操作可能な操作ダイヤルを備えた操作部と、操作ダイヤルの動きに応じて加熱手段を制御する制御部と、を備え、制御部は、操作ダイヤルの回動方向の動きが検知された場合、加熱手段を加熱準備状態とし、加熱準備状態において、操作ダイヤルの回動方向の動きが検知された場合、加熱手段の調理モードを変更し、操作ダイヤルの軸方向の動きが検知された場合、変更された調理モードでの加熱手段の加熱を開始する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の加熱調理器によれば、操作ダイヤルの操作のみで調理モードの変更及び加熱の開始が可能となるため、操作部のスペースを小さくすることができ、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る加熱調理器の設置例を説明する図である。
【
図2】実施の形態1に係る加熱調理器の上面図である。
【
図3】実施の形態1に係る加熱調理器の正面図である。
【
図4】実施の形態1に係る加熱調理器の制御ブロック図である。
【
図5】実施の形態1に係る加熱調理器の表示操作部の拡大上面図である。
【
図6】実施の形態1に係る表示操作部の操作ダイヤルの構造を説明する図である。
【
図7】実施の形態1に係る表示操作部の操作ダイヤルの構造を説明する図である。
【
図8】実施の形態1に係る加熱調理器の加熱動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態1に係る第1加熱手段の加熱開始までの左表示操作部の動作を示す図である。
【
図10】実施の形態1の変形例に係る第1加熱手段の加熱開始までの左表示操作部の動作を示す図である。
【
図11】実施の形態2に係る第1加熱手段の加熱開始までの左表示操作部の動作を示す図である。
【
図12】実施の形態3に係る第1加熱手段の加熱開始までの左表示操作部の動作を示す図である。
【
図13】実施の形態3の変形例に係る第1加熱手段の加熱開始までの左表示操作部の動作を示す図である。
【
図14】実施の形態3に係る加熱調理器の加熱動作の一例を示すフローチャートである。
【
図15】実施の形態4に係る加熱室の加熱開始までの中央表示操作部の動作であって、自動調理モードが選択された場合の動作を示す図である。
【
図16】実施の形態4に係る加熱室の加熱開始までの中央表示操作部の動作であって、手動モードが選択された場合の動作を示す図である。
【
図17】実施の形態5に係る切タイマーを設定する際の左表示操作部の動作を示す図である。
【
図18】実施の形態5に係る切タイマーをキャンセルする際の左表示操作部の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る加熱調理器について図面を参照して説明する。図面に示す加熱調理器は、本開示の加熱調理器が適用される機器の一例を示すものであり、図面に示された加熱調理器によって本開示の適用機器が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これらは説明のためのものであって、本開示を限定するものではない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器100の設置例を説明する図である。本実施の形態の加熱調理器100は、厨房家具500に組み込まれて使用されるビルトイン型(組込み型)のIHクッキングヒータである。厨房家具500はシステムキッチンとも呼ばれ、上部にキッチンカウンター501(カウンタートップとも言う)および流し台502を備えている。
【0011】
加熱調理器100は、厨房家具500内に収容される本体1と、上面を構成する天板部2とからなる。キッチンカウンター501には、図示しない設置口が設けられ、加熱調理器100の本体1が設置口から厨房家具500内に収容され、天板部2はキッチンカウンター501上に露出される。加熱調理器100は商用電源と接続され、電圧200Vで周波数50Hzまたは60Hzの交流電力が供給される。
【0012】
天板部2は、トッププレート21と、フレーム22と、表示操作部23と、からなる。トッププレート21は、ネオセラムなどの結晶化ガラス、またはホウケイ酸ガラスなどの強化ガラスで構成される。フレーム22は、金属のフレームであり、トッププレート21の外周を覆うように設けられる。表示操作部23は、加熱調理器100に関する表示と操作と行うものであり、トッププレート21の手前側に設けられる。また、トッププレート21の下面にはトッププレート21を支えるための図示しない金属の補強材が設けられる。金属の補強材を設けることで、トッププレート21に調理器具の落下などで衝撃が加わった場合に、トッププレート21の破損を抑制することができる。
【0013】
厨房家具500の前面には、加熱調理器100の本体1の前面が露出している。本体1の前面には、本体1の内部に配置される加熱室5(
図3)の開口を開閉する加熱扉50が設けられている。
【0014】
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器100の上面図である。加熱調理器100のトッププレート21には、被加熱物を載置する望ましい位置を示す円形の位置マーク20Rおよび20Lが設けられている。円形の位置マーク20Rおよび20Lはトッププレート21の被加熱物を載置する面の裏面側に印刷されており、トッププレート21を透過して被加熱物を載置する面側から視認できるようになっている。
【0015】
位置マーク20Rおよび20Lの直下には、鍋などの被加熱物を加熱するための第1加熱手段3Rおよび3Lがそれぞれ設けられている(
図4)。第1加熱手段3Rおよび3Lは、鍋などの被加熱物を誘導加熱する電磁誘導式加熱手段であり、例えば銅線またはアルミ線などの導線が巻回してなる円形の加熱コイルである。なお、第1加熱手段3Rおよび3Lのうち、何れか1つをラジエントヒーター、または赤外線ヒーター等の輻射式の加熱源としてもよい。位置マーク20Rおよび20Lは、第1加熱手段3Rおよび3Lによって誘導加熱できる目安の範囲を示しており、加熱コイルである第1加熱手段3Rおよび3Lの最大外径よりも若干大きい直径を有する。
【0016】
なお、位置マーク20Rおよび20Lは、使用者が被加熱物が誘導加熱できる範囲を理解できればよく、位置マーク20Rおよび20Lの形状は、円形に限定されるものではない。例えば、被加熱物を載置する望ましい位置の中心点だけを、図形または「+」のような記号、あるいは文字で示しても良い。
【0017】
トッププレート21の下方には、第1加熱手段3Rおよび3Lにより加熱された被加熱物の温度を測定する第1温度検知部35(
図4)が設けられている。第1温度検知部35は、加熱された被加熱物から放射され、トッププレート21を透過した赤外線を検知する赤外線センサである。トッププレート21は赤外線を透過しやすいことが望ましい。また、トッププレート21の位置マーク20R、20Lの内側であって、下方に第1温度検知部35が配置されている箇所には、赤外線が透過可能な透過窓201が設けられている。
【0018】
なお、第1温度検知部35は、トッププレート21の裏面側に接触させて配置され、トッププレート21に伝わる被加熱物の熱を検知するサーミスタなどの接触式の温度センサであってもよい。または、第1温度検知部35は、非接触式の温度センサと接触式の温度センサとの両方を含んでもよい。非接触式の温度センサと接触式の温度センサの数および組合せは、適宜選択可能である。
【0019】
また、トッププレート21の周囲を囲むフレーム22のうち、後方側に設けられたフレーム22には、本体1内を流れる冷却風および加熱室5内の油煙等を排気するための排気口4が設けられている。排気口4にはスリットが設けられており、調理中の食材などが排気口4から本体1の内部へ落ちにくくなっている。なお、排気口4に、スリットに替えて格子を設けてもよい。また、排気口4のスリットまたは格子は、フレーム22と一体で設けられていてもよいし、別部品として取り外し可能になっていてもよい。また、
図2では2つの排気口4が設けられているが、排気口4の数は1つ、または3つ以上であってもよい。
【0020】
トッププレート21の手前側には、表示操作部23が設けられる。表示操作部23は、加熱調理器100の加熱状態および加熱設定などを表示する表示部と、加熱調理器100の加熱設定を行うために操作される操作部とからなる。加熱設定は、第1加熱手段3Rおよび3Lの火力または温度、加熱室5の出力または温度、加熱調理器100により実行される調理モード、もしくは加熱時間の設定などである。表示操作部23については、後ほど詳述する。
【0021】
図3は、実施の形態1に係る加熱調理器100の正面図である。本体1の筐体内部であって、天板部2の下方には、魚または肉などの被加熱物を内部に収容して調理する加熱室5が設けられている。加熱室5の前面には、調理容器を出し入れするための開口が形成され、加熱室5の開口は、加熱扉50により開閉自在に覆われている。加熱扉50は前面板51と取っ手52とで構成され、前面板51にはのぞき窓53が設けられている。のぞき窓53は、加熱室5内の被加熱物の調理状況などが確認できるように、加熱室5の内部が見えるように設けられる。
【0022】
加熱扉50の取っ手52に手を掛け、前方に引き出すように移動させると、加熱扉50の移動に連動して被加熱物または焼き網を載置する図示しない受け皿が加熱室5から外へ引き出される。加熱室5内で被加熱物を調理するときは、受け皿を引き出し、その受け皿に被加熱物を直接載置するか、あるいは受け皿に焼き網を載置し、その焼き網に被加熱物を載置する。そして、加熱扉50を後方に移動させ、受け皿を加熱室5に収容させて、加熱扉50で加熱室5の前面の開口を閉塞することで、調理が可能な状態となる。
【0023】
加熱扉50により加熱室5の前面側の開口が閉塞されているか否か、言い換えると加熱扉50が閉じているか否かは、加熱室5に設けられた開閉検知部54(
図4)により検知される。開閉検知部54により加熱扉50が閉じていることが検知されると、加熱室5での加熱調理が可能な状態となる。
【0024】
加熱室5は、第2加熱手段6(
図4)により加熱される。第2加熱手段6は、例えば被加熱物を挟むように加熱室5内の上下に設けられたシーズヒーター、またはネオセラムなどのガラス管ヒーターのような輻射式の加熱源である。第2加熱手段6は、加熱室5の内部に設けられるだけでなく、加熱室5の上面と下面の外部に設けられた面状ヒーターであってもよい。また、第2加熱手段6は、上下同じ構成のものではなくてもよく、例えば上部には輻射式の加熱源を設け、下部には加熱コイルなどの誘導加熱源を設けてもよい。さらに、第2加熱手段6は、加熱室5内にマイクロ波を供給し被加熱物を高周波加熱するマイクロ波式加熱手段であってもよい。
【0025】
加熱室5内には、加熱室5内の温度を検知するための第2温度検知部55が設けられる(
図4)。第2温度検知部55は、加熱室5内に配置されたサーミスタなどからなる温度センサである。
【0026】
図4は、実施の形態1に係る加熱調理器100の制御ブロック図である。加熱調理器100は、加熱調理器100の全体を制御する制御部7を備える。制御部7は、ASICまたはFPGAなどの専用のハードウェア、または記憶部9に格納されるプログラムを実行するマイコン等の演算装置、もしくはその両方で構成される。加熱調理器100は、第1加熱手段3Rおよび3Lをそれぞれ駆動する2つのインバータ回路30を備える。インバータ回路30は、商用電源から供給される交流電源を高周波電流に変換して、第1加熱手段3Rおよび3Lへ供給する駆動回路である。制御部7は、表示操作部23の操作情報および第1温度検知部35が検知した温度情報に基づき、インバータ回路30を制御し、第1加熱手段3Rおよび3Lによる加熱動作を実施する。
【0027】
また、制御部7は、開閉検知部54による加熱扉50の開閉情報、および第2温度検知部55が検知した温度情報に基づき、第2加熱手段6による加熱を制御する。加熱調理器100は、スピーカなどからなる報知部8をさらに備え、制御部7は報知部8からの音声出力を制御する。また、制御部7は、表示操作部23への操作および加熱調理器100の動作状況に応じて、表示操作部23の表示を制御する。
【0028】
また、加熱調理器100は、半導体メモリなどからなる記憶部9を有している。記憶部9は、加熱調理器100の制御に必要なプログラムおよびデータを記憶する。例えば、記憶部9は、第1加熱手段3Rおよび3Lならびに加熱室5で実行可能な調理モードの設定、および表示操作部23に表示される情報などを記憶する。記憶部9は、さらに加熱室5で行った調理メニュー(切り身または姿焼きなど)の順番、および使用頻度なども記憶することができる。
【0029】
図5は、実施の形態1に係る加熱調理器100の表示操作部23の拡大上面図である。
図5に示すように、本実施の形態の表示操作部23は、前方フレーム210と、前方フレーム210上に設けられた左表示操作部23Lと、中央表示操作部23Cと、右表示操作部23Rと、共通表示操作部23Sとからなる。左表示操作部23Lは左側に配置される第1加熱手段3Lに対応し、右表示操作部23Rは右側に配置される第1加熱手段3Rに対応する。中央表示操作部23Cは加熱室5の第2加熱手段6に対応し、共通表示操作部23Sは、第1加熱手段3R、3Lおよび第2加熱手段6に共通して対応する。
【0030】
前方フレーム210は、金属で構成され、側面視で上方に凸となる山形状を有している(
図1)。左表示操作部23L、中央表示操作部23C、右表示操作部23Rおよび共通表示操作部23Sは、前方フレーム210の前面側に設けられる。前方フレーム210を山形状とすることで、被加熱物の吹きこぼれまたは飛び散りなどが、トッププレート21から各表示操作部へ流れてくることを防ぐことができる。また、各表示操作部が配置される前方フレーム210の前面側が傾斜していることで、各表示操作部を使用者に対向して配置することができ、使用者の操作性および視認性が向上する。なお、前方フレーム210は、フレーム22の一部として、フレーム22と一体に形成されてもよいし、別部材で構成され、フレーム22に取り付けられてもよい。
【0031】
左表示操作部23Lは、液晶表示部231Lと、レベル表示部232Lと、操作ダイヤル233Lと、タイマーボタン234Lとを有している。液晶表示部231Lは、第1加熱手段3Lの加熱設定を表示するものであり、液晶画面からなる。レベル表示部232Lは、第1加熱手段3Lの加熱設定のレベルであって、第1加熱手段3Lの火力またはその他の設定値の大きさを表示するものであり、円弧状に配置された複数のLEDなどからなる。レベル表示部232Lは、操作ダイヤル233Lの上部の近傍であって、操作ダイヤル233Lの上部の形状に沿って配置される。操作ダイヤル233Lは、第1加熱手段3Lの加熱設定を行うために操作されるものであり、円筒形状のつまみである。タイマーボタン234Lは、第1加熱手段3Lの加熱時間の設定を行うために操作されるものである。
【0032】
中央表示操作部23Cは、液晶表示部231Cと、レベル表示部232Cと、操作ダイヤル233Cと、設定ボタン235とを有している。液晶表示部231Cは、第2加熱手段6の加熱設定を表示するものであり、液晶画面からなる。レベル表示部232Cは、第2加熱手段6の加熱設定のレベルであって、第2加熱手段6の出力またはその他の設定値の大きさを表示するものであり、円弧状に配置された複数のLEDなどからなる。レベル表示部232Cは、操作ダイヤル233Cの上部の近傍であって、操作ダイヤル233Cの上部の形状に沿って配置される。操作ダイヤル233Cは、第2加熱手段6の加熱設定を行うために操作されるものであり、円筒形状のつまみである。設定ボタン235は、第2加熱手段6の設定を行うために操作されるものである。
【0033】
右表示操作部23Rは、液晶表示部231Rと、レベル表示部232Rと、操作ダイヤル233Rと、タイマーボタン234Rとを有している。液晶表示部231Rは、第1加熱手段3Rの加熱設定を表示するものであり、液晶画面からなる。レベル表示部232Rは、第1加熱手段3Rの加熱設定のレベルであって、第1加熱手段3Rの火力またはその他の設定値の大きさを表示するものであり、円弧状に配置された複数のLEDなどからなる。レベル表示部232Rは、操作ダイヤル233Rの上部の近傍であって、操作ダイヤル233Rの上部の形状に沿って配置される。操作ダイヤル233Rは、第1加熱手段3Rの加熱の設定を行うために操作されるものであり、円筒形状のつまみである。タイマーボタン234Rは、第1加熱手段3Rの加熱時間の設定を行うために操作されるものである。
【0034】
共通表示操作部23Sは、電源ランプ236と、電源ボタン237と、ロックボタン238と、高温表示ランプ239とを有している。電源ランプ236は、加熱調理器100の電源がON(入状態)であるか、またはOFF(切状態)であるかを表示するものである。電源ボタン237は、電源ランプ236の前方に設けられ、加熱調理器100の電源をONにする際、およびOFFにする際に操作されるものである。加熱調理器100の電源がONの場合、電源ランプ236が点灯し、電源がOFFの場合、電源ランプ236が消灯する。本実施の形態では電源ランプ236の点灯と消灯とで電源状態を報知しているが、ランプに限定されるものではなく、電源のON/OFF状態が分かるものであれば、文字または図形を表示するものであってもよい。
【0035】
ロックボタン238は、電源ボタン237の近傍に設けられ、子供のいたずらまたは使用者が意図せずに加熱が開始されることがないように、加熱操作が無効になるロック状態とするためのものである。例えば、ロックボタン238を長押しすることで、ロック解除状態からロック状態にすることができる。ロック状態になった場合、ロック状態を報知するために、液晶表示部231L、231Cおよび231Rに、ロック状態であることを示す表示を行う。例えば、液晶表示部231L、231Cおよび231Rに「ロック」の文字または鍵の図形を表示することで、ロック状態であることを使用者に報知することができる。ロック状態において、ロックボタン238を長押しすることでロック状態を解除することができる。
【0036】
高温表示ランプ239は、第1加熱手段3L、3Rおよび第2加熱手段6の何れかによる加熱が開始されると点灯する。また、第1加熱手段3Lまたは3Rによる加熱動作が行われる場合は、加熱動作が完了した後、天板部2、特にトッププレート21の温度が例えば50℃以下になった場合に、高温表示ランプ239は消灯する。トッププレート21の温度は、第1温度検知部35により検知される。また、第2加熱手段6による加熱室5での加熱動作が実行される場合は、加熱動作が完了した後、加熱室5内の温度が例えば50℃以下になった場合に、高温表示ランプ239は消灯する。また、安全のため、加熱調理器100の電源が切られた場合でも、トッププレート21または加熱室5の温度が50℃以下に下がっていない場合は、高温表示ランプ239が点灯を続けるようになっている。
【0037】
なお、本実施の形態では、高温表示ランプ239で高温の警告を行っているが、これに限定されるものではなく、トッププレート21または加熱室5が高温である状態を使用者に報知できるものであれば、文字または図形などを表示させてもよい。
【0038】
次に、本実施の形態における操作ダイヤル233L、233C、および233Rの構造について説明する。操作ダイヤル233L、233C、および233Rは同じ構造を有し、以下ではこれらを「操作ダイヤル233」と総称して説明する。
図6および
図7は、実施の形態1に係る表示操作部23の操作ダイヤル233の構造を説明する図である。
図6および
図7は、操作ダイヤル233を
図3のA-A断面で切断した場合の断面図である。また、
図6は操作ダイヤル233の初期状態を示し、
図7は操作ダイヤル233が使用者により軸方向に操作された状態を示す。
【0039】
本実施の形態の前方フレーム210の下部には、後述する操作基板24などの電気部品を覆うためのベース220が配置されている。そして、ベース220の上方に、回動方向および軸方向に操作可能な操作ダイヤル233が配置される。回動方向の操作は、時計方向および反時計方向への回転である。軸方向の操作は、操作ダイヤル233の回動の軸方向への操作であり、以下では「押下」ともいう。
図6に示すように、操作ダイヤル233は、カバー330と、カバー330内に配置されるダイヤル回動部331および押下部332とからなる。カバー330は、内部に空間が設けられたカップ形状を有する。カバー330は、回動方向および軸方向に移動可能である。
【0040】
ダイヤル回動部331は、カバー330の回動方向の動きと連動するように、カバー330の内側に取り付けられる。具体的には、ダイヤル回動部331の上部の外周にはフランジ部331aが形成され、カバー330の内側の形状と、フランジ部331aの形状が中心角300°の弓形になり、フランジ部331aにカバー330の一部が嵌り込む構成となっている。なお、カバー330の内側とフランジ部331aの形状は、これに限定されるものではなく、回動時に連動できれば良いため、これらを歯車形状としてもよい。また、ダイヤル回動部331の下端部、すなわちベース220側の端面には、溝331bが設けられる。溝331bは、ダイヤル回動部331の円周にわたって設けられる。
【0041】
押下部332は、軸方向に延びたピンであり、カバー330の中央に配置される。押下部332は、ダイヤル回動部331と上部で繋がるように形成される。ただし、押下部332がダイヤル回動部331と独立して軸方向に可動となるように、押下部332とダイヤル回動部331の接続部分は柔軟性を有する構成となっている。
図6に示す初期状態において、押下部332はカバー330の上面の内側に接触して配置され、カバー330の軸方向の動きに連動して軸方向に移動する。
【0042】
ベース220の下方には、操作基板24が配置される。ベース220は、操作基板24よりも大きい外形を有し、操作基板24を覆うように配置される。ベース220により、操作基板24への塵埃などの侵入を防止することができる。操作基板24には、操作ダイヤル233の動きを検知する検知部が実装される。検知部は、操作ダイヤル233Rの軸方向の動きを検知するスイッチ241と、操作ダイヤル233Rの回動方向の動きを検知するエンコーダ242とを含む。
【0043】
スイッチ241は、操作ダイヤル233の押下部332の下方に配置され、押下部332により、押されることでON/OFFされる。またスイッチ241は、押下部332により1回押されることで、ONとなり、押下部332が離れてもそのままの状態を保持する。そして、押下部332により再度押されることで、ロックが解除されて、OFFに切り替えられる。
【0044】
エンコーダ242は、ロータリーエンコーダであり、操作ダイヤル233のダイヤル回動部331に固定され、ダイヤル回動部331の動きに連動して動くエンコーダ回動部242aと、操作基板24に固定されている固定部242bからなる。エンコーダ242は、エンコーダ回動部242aの回動方向の動きを検知することで、操作ダイヤル233の動きを検知する。
【0045】
ベース220は、スイッチ241およびエンコーダ242の上方に設けられた開口221を有する。スイッチ241およびエンコーダ242は、開口221を介して操作ダイヤル233のダイヤル回動部331および押下部332と接触し、これらの動きを検知する。また、ベース220は、開口221の周囲に設けられ、操作ダイヤル233に向かって突出するリブ222を有する。リブ222は、開口221を囲むように形成され、ダイヤル回動部331の溝331b内に配置される。これにより、操作ダイヤル233は、リブ222を跨いで配置される。
【0046】
また、リブ222の外周には、操作ダイヤル233の下方に侵入した液体を流すための排出溝223が形成されている。排出溝223は、リブ222の外周からベース220の前端まで延びて形成されており、操作ダイヤル233の下方に侵入した液体などの異物は、排出溝223を流れて、ベース220の前端から排出される。ベース220は操作基板24を覆うよう形成されているため、液体などが操作基板24に侵入しない構成になっている。
【0047】
このように、ベース220の開口221の周囲にリブ222を設けることで、被加熱物の吹きこぼれ、または飛び散った液体が操作ダイヤル233の下方に侵入した場合も、リブ222が障壁となってせき止めることができる。これにより、液体などの異物が開口221から操作基板24へ侵入することが抑制され、操作基板24に実装される電子部品の故障を抑制することができる。また、リブ222の外周に前方へ延びる排出溝223を設けることで、リブ222の外周に溜まった液体などの異物を前方から排出することができ、操作基板24への液体の侵入をさらに抑制することができる。
【0048】
図6の初期状態において操作ダイヤル233が押下されると、
図7に示すように、ダイヤル回動部331のフランジ部331aの位置は変わらず、カバー330が軸方向に移動する。このとき、カバー330の中央に配置された押下部332は、カバー330の押下操作に応じて軸方向に動き、操作基板24のスイッチ241を押下する。
【0049】
また、操作ダイヤル233を回動させると、カバー330の回動に連動して、ダイヤル回動部331およびエンコーダ回動部242aが回動する。そして、エンコーダ回動部242aの回転変位量から、操作ダイヤル233の回動量が検知される。なお、本実施の形態では、操作ダイヤル233を時計方向および反時計方向に回転可能な構成としたが、時計方向および反時計方向の何れか一方にのみ回動可能な構成としてもよい。
【0050】
次に、本実施の形態の加熱調理器100の制御部7による加熱制御について説明する。
図8は、実施の形態1に係る加熱調理器100の加熱動作の一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、制御部7により実行される。まず、加熱調理器100の電源がONになった否かが判断される(S1)。加熱調理器100の電源は、使用者により電源ボタン237が操作された場合にONとなる。電源がONになっていない場合は(S1:NO)、ONになるまで待機する。
【0051】
一方、電源がONとなった場合(S1:YES)、操作ダイヤル233が回動されたか否かが判断される(S2)。ここでは、エンコーダ242により操作ダイヤル233の回動方向の動きが検知された場合に、操作ダイヤル233が回動されたと判断される。操作ダイヤル233の回動方向は、時計方向または反時計方向の何れか一方向に限定してもよいし、両方に回動可能としてもよい。操作ダイヤル233が回動されていない場合は(S2:NO)、回動されるまで待機する。そして、操作ダイヤル233が回動された場合(S2:YES)、回動された操作ダイヤル233に対応する液晶表示部に、回動された操作ダイヤル233に対応する加熱手段の初期の加熱設定が表示される(S3)。初期の加熱設定は、例えば加熱手段の火力の初期設定値または調理モードなどである。
【0052】
次に、操作ダイヤル233が回動されたか否かが判断される(S4)。操作ダイヤル233が回動されていない場合は(S4:NO)、ステップS6へ移行する。一方、操作ダイヤル233が回動された場合(S4:YES)、初期の加熱設定から、加熱設定が変更される(S5)。ここでは、例えば対応する加熱手段の火力の増減、または調理モードの変更がなされる。そして、操作ダイヤル233が押下されたか否かが判断される(S6)。ここでは、スイッチ241により操作ダイヤル233の軸方向の動きが検知された場合に、操作ダイヤル233が押下されたと判断される。
【0053】
操作ダイヤル233が押下されていない場合(S6:NO)、ステップS4に戻る。一方、操作ダイヤル233が押下された場合(S6:YES)、操作ダイヤル233に対応した加熱手段において、選択された加熱設定での加熱が開始される(S7)。そして、加熱中に操作ダイヤル233が押下されたか否かが判断され(S8)、操作ダイヤル233が押下されていない場合は(S8:NO)、加熱が継続される。一方、操作ダイヤル233が押下された場合(S8:YES)、加熱が停止される(S9)。
【0054】
次に、本実施の形態の加熱調理器100の表示操作部23の動作について説明する。
図9は、実施の形態1に係る第1加熱手段3Lの加熱開始までの左表示操作部23Lの動作を示す図である。
図9では左表示操作部23Lの説明を行うが、第1加熱手段3Rの加熱開始までの右表示操作部23Rの動作も同じである。図中に矢印で示すように、左表示操作部23Lは、
図9(a)、(b)、(c)、(d)の順で遷移する。左表示操作部23Lの動作は、操作ダイヤル233Lの操作に応じて制御部7により制御される。
【0055】
図9(a)は、第1加熱手段3Lが停止状態の左表示操作部23Lを示す。電源がONされた直後は、
図9(a)に示すように液晶表示部231Lには何も表示されていない。なお、変形例として、液晶表示部231Lに、次の加熱手順、例えば操作ダイヤル233Lを回すことを示す図または文字を表示してもよい。
【0056】
図9(a)に示す状態で、操作ダイヤル233Lが回動されると、液晶表示部231Lに、第1加熱手段3Lの初期の加熱設定が表示される。具体的には、
図9(b)に示すように第1加熱手段3Lの火力の初期設定値が点滅表示される。
図9(b)の例では、初期設定値は「火力4」である。
【0057】
図9(b)に示す状態で、操作ダイヤル233Lが回動されると、第1加熱手段3Lの加熱設定が変更される。例えば、制御部7は、操作ダイヤル233Lが時計方向に回動された場合、第1加熱手段3Lの設定火力を増加させ、反時計方向に回動された場合、第1加熱手段3Lの設定火力を減少させる。そして、
図9(c)に示すように、液晶表示部231Lの表示は、設定火力の変更に応じて変更され、点滅表示される。
図9(c)では、操作ダイヤル233Lが時計方向に回動され、表示内容が「火力4」から「火力5」に変更された場合を示している。
【0058】
液晶表示部231Lに火力設定が点滅表示されている状態で、操作ダイヤル233Lが押下されると、第1加熱手段3Lの加熱が開始され、
図9(d)に示すように、液晶表示部231Lの点滅表示が点灯表示に変更される。また、レベル表示部232Lが点灯される。液晶表示部231Lが点滅から点灯に変わることにより、使用者に対し、加熱前の状態から加熱中へ変更されたことを示すことができる。レベル表示部232Lは、設定火力によって点灯する面積が変化する。例えば、設定できる火力が10段階あり、設定中の火力が「火力5」の場合、レベル表示部232Lの点灯面積は、全体の1/2となる。具体的には、レベル表示部232Lは、全点灯面積のうち、左半分まで点灯し、右半分は消灯した状態となる。
【0059】
レベル表示部232Lの点灯面積は、設定火力が高いほど大きく、設定火力が低いほど小さくなる。このように設定火力によってレベル表示部232Lの点灯面積を変更することで、使用者が直感的に火力レベルを認識することができる。このとき、液晶表示部231Lには、設定中の火力が文字表示されている。
【0060】
そして、加熱中に操作ダイヤル233Lが押下されることで、加熱が停止され、左表示操作部23Lは、
図9(a)の状態に戻る。なお、加熱中に操作ダイヤル233Lが押下される以外にも、操作ダイヤル233Lを反時計方向に回動させ、設定火力を最小にしてから、さらに操作ダイヤル233Lを反時計方向に回動させることで、加熱を停止してもよい。
【0061】
以上のように、本実施の形態では、操作ダイヤル233の押下と操作ダイヤル233の回動の2段階を設けて、加熱調理器100の加熱を開始させることで、子供のいたずら、または意図せず操作されたことによる誤動作を抑制することができる。また、操作ダイヤル233の回動方向および軸方向への操作を可能としつつ、操作ダイヤル233内部への異物の侵入を抑制する構造を設けることで、操作性を維持しつつ、電子部品の故障を抑制することができる。さらに、操作ダイヤル233内部への異物の侵入を抑制する構造を設けたことで、操作ダイヤル233をトッププレート21の近傍に配置することができる。これにより、操作ダイヤル233を加熱調理器100の前面に設ける場合に比べ、使用者の操作性が向上する。
【0062】
なお、上記実施の形態1では、操作ダイヤル233が回動された場合に、第1加熱手段3Rまたは3Lを加熱準備状態とし、操作ダイヤル233が押下された場合に、第1加熱手段3Rまたは3Lによる加熱を開始する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、操作ダイヤル233が押下された場合に、第1加熱手段3Rまたは3Lを加熱準備状態とし、操作ダイヤル233が回動された場合に、第1加熱手段3Rまたは3Lによる加熱を開始する構成としてもよい。
【0063】
図10は、実施の形態1の変形例に係る第1加熱手段3Lの加熱開始までの左表示操作部23Lの動作を示す図である。
図10では左表示操作部23Lの説明を行うが、第1加熱手段3Rの加熱開始までの右表示操作部23Rの動作も同じである。図中に矢印で示すように、左表示操作部23Lは、
図10(a)、(b)、(c)、(d)の順で遷移する。左表示操作部23Lの動作移は、操作ダイヤル233Lの操作に応じて制御部7により制御される。
【0064】
図10(a)は、第1加熱手段3Lが停止状態の左表示操作部23Lを示す。電源がONされた直後は、
図10(a)に示すように液晶表示部231Lには何も表示されていない。そして、本変形例では、操作ダイヤル233Lが押下されることで、第1加熱手段3Lが加熱準備状態とされる。
図10(b)は、操作ダイヤル233Lが押下された状態の左表示操作部23Lである。このとき、液晶表示部231Lには、操作ダイヤル233を回動することを誘導する図形が表示される。
【0065】
図10(b)の状態で、操作ダイヤル233Lが回動されると第1加熱手段3Lによる加熱が開始される。加熱開始時は、予め設定された初期火力である「火力4」で加熱が開始される。そして、
図10(c)に示すように、液晶表示部231Lには、初期火力である「火力4」が点灯表示され、レベル表示部232Lが点灯する。レベル表示部232Lは、設定火力によって点灯面積が変化する。
【0066】
第1加熱手段3Lによる加熱中に、操作ダイヤル233Lが時計方向に回動されると、火力が増加され、反時計方向に回動されると火力が減少される。
図10(d)では、第1加熱手段3Lによる加熱中に、操作ダイヤル233Lが時計方向に2段階回動された例を示す。この場合、液晶表示部231Lには、変更後の火力である「火力6」が点灯表示され、レベル表示部232Lの点灯面積が大きくなる。
【0067】
このように、本変形例においても、加熱調理器100の加熱停止状態から加熱開始まで、操作ダイヤル233の押下と操作ダイヤル233の回動の2段階を設けることで、子供のいたずら、または意図せず操作されたことによる誤動作を抑制することができる。
【0068】
実施の形態2.
実施の形態2について説明する。実施の形態2では、操作ダイヤル233を用いた調理モードの選択について説明する。実施の形態2の加熱調理器100の構成は、実施の形態1と同じである。
【0069】
図11は、実施の形態2に係る第1加熱手段3Lの加熱開始までの左表示操作部23Lの動作を示す図である。
図11では左表示操作部23Lの説明を行うが、第1加熱手段3Rの加熱開始までの右表示操作部23Rの動作も同じである。図中に矢印で示すように、左表示操作部23Lは、
図11の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の順で遷移する。左表示操作部23Lの動作は、操作ダイヤル233Lの操作に応じて制御部7により制御される。
【0070】
図11(a)は、第1加熱手段3Lが停止状態の左表示操作部23Lを示す。電源がONされた直後は、
図11(a)に示すように液晶表示部231Lには何も表示されていない。このとき、操作ダイヤル233Lが回動されることで、第1加熱手段3Lにおける調理モードが選択可能となる。ここで、選択される調理モードは、「加熱」、「揚げ物」および「煮込み」の3つがある。「加熱」は、設定された火力で加熱を行うモードである。「揚げ物」は、設定された温度になるように火力を自動で調節するモードである。「煮込み」は、設定された火加減によって高火力と低火力とを周期的に繰り返すモードである。
【0071】
図11(b)は、操作ダイヤル233Lが回動された状態の左表示操作部23Lである。ここでは、予め設定された初期設定の調理モードとして「加熱」が選択され、液晶表示部231Lに「加熱」と表示される。
図11(b)に示す状態で、さらに操作ダイヤル233Lが回動されると、調理モードが変更される。
【0072】
調理モードは、操作ダイヤル233Lの回動に従って変更される。例えば、操作ダイヤル233Lが時計方向に回動されると、調理モードが「加熱」→「揚げ物」→「煮込み」→「加熱」→・・・の順で変更される。操作ダイヤル233Lが反時計方向に回動されると、調理モードが「加熱」→「煮込み」→「揚げ物」→「加熱」→・・・の順で変更され、時計方向とは調理モードを変更する順番が逆になる。このとき、選択中の調理モードは液晶表示部231Lに表示される。例えば、
図11(c)に示すように調理モードとして「揚げ物」が選択されている場合は、液晶表示部231Lに「揚げ物」の文字が表示される。
【0073】
「揚げ物」が選択されている状態で、操作ダイヤル233Lが押下されると、「揚げ物」の調理モードに従って、第1加熱手段3Lによる加熱が開始される。このとき
図11(d)に示すように、液晶表示部231Lには、「揚げ物」の設定温度が180℃であることを示す「180」の文字と、調理モードを示す「揚げ物」の文字とが表示される。
図11(d)の例では、液晶表示部231Lに、設定温度と調理モードの文字が表示されているが、設定温度に替えて「弱め」、「強め」などの火加減を文字で表示してもよい。また、調理モードは、図形で表示してもよい。
【0074】
また、第1加熱手段3Lによる加熱が開始されると、レベル表示部232Lが点灯する。レベル表示部232Lの点灯面積は、設定温度に応じた大きさとなる。調理モードとして「揚げ物」が選択された場合、設定温度は、140℃から200℃までの7段階に設定可能であり、設定温度が増えるごとにレベル表示部232Lの点灯面積が増える。
図11(d)に示すように、設定温度が180℃の場合は、レベル表示部232Lの点灯面積は、全体の5/7となる。
【0075】
なお、
図11(c)に示す調理モードの選択中に、予め設定された時間以上、操作ダイヤル233Lが操作されない場合は、すべての操作を取り消し、
図11(a)の状態に戻ってもよい。
【0076】
加熱開始後に、操作ダイヤル233Lが回動されると、設定温度が変更され、変更された設定温度に応じて、液晶表示部231Lの表示と、レベル表示部232Lの点灯面積とが変更される。操作ダイヤル233Lが時計方向に回動されると、設定温度が増加され、反時計方向に回動されると設定温度が減少される。なお、設定温度の上限は200℃であり、下限は140℃である。操作ダイヤル233Lを時計方向または反時計方向に回動させ続けた場合も、200℃以上または140以下には設定されない。
図11(e)は、設定温度が190℃に変更された場合の例を示す。この場合は、
図11(e)に示すように、液晶表示部231Lに設定温度の190℃を示す「190」の文字が表示され、レベル表示部232Lの点灯面積は、全体の6/7となる。
【0077】
加熱動作中に操作ダイヤル233Lが押下されると、第1加熱手段3Lの加熱が停止される。加熱が停止されると、
図11(a)の状態に戻り、液晶表示部231Lの表示が消され、レベル表示部232Lも消灯する。なお、加熱動作中に操作ダイヤル233Lを押下する以外にも、操作ダイヤル233Lを反時計方向に回動させ、設定温度を140℃にしてから、さらに操作ダイヤル233Lを反時計方向に回動させることで、加熱を停止させてもよい。
【0078】
以上のように、本実施の形態では、調理モードの選択から加熱調理の開始および終了までの操作を、操作ダイヤル233の回動方向または軸方向の操作のみで行うことができる。これにより、調理モードを切り替えるためのボタン、火力を変更するボタン、または加熱を開始するボタンを設ける必要がなくなり、表示操作部23のスペースを小さくすることができる。その結果、トッププレート21の加熱エリアを広くすることができ、大きい鍋の加熱が可能となり、一度に多くの食材を調理することができるため、利便性が向上する。または、表示操作部23における操作部のスペースを小さくできるため、表示部を大きくすることができる。その結果、表示部に表示する文字、図形またはランプなどを大きくして、視認性を高めることができる。
【0079】
実施の形態3.
実施の形態3について説明する。実施の形態3では、調理モードを選択してから加熱を開始するまでの、実施の形態2とは異なる動作を説明する。実施の形態3の加熱調理器100の構成は、実施の形態1と同じである。
【0080】
図12は、実施の形態3に係る第1加熱手段3Lの加熱開始までの左表示操作部23Lの動作を示す図である。
図12では左表示操作部23Lの説明を行うが、第1加熱手段3Rの加熱開始までの右表示操作部23Rの動作も同じである。図中に矢印で示すように、左表示操作部23Lは、
図12の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の順で遷移する。左表示操作部23Lの動作は、操作ダイヤル233Lの操作に応じて制御部7により制御される。
【0081】
図12(a)~(c)までは、実施の形態2の
図11(a)~(c)と同じである。実施の形態2では、
図11(c)に示すように、調理モードが選択された状態で、操作ダイヤル233Lが押下されると、第1加熱手段3Lによる加熱が開始された。これに対し、本実施の形態では、調理モードが選択された状態で操作ダイヤル233Lが押下されると、
図12(d)に示すように、液晶表示部231Lに選択された調理モード「揚げ物」と、初期の設定温度である180℃を示す「180」が点滅表示される。このとき、第1加熱手段3Lは、停止したままであり、加熱は開始されない。
【0082】
そして、
図12(d)に示す状態において、操作ダイヤル233Lが回動されると、設定温度が変更される。
図12(e)に示すように、変更された設定温度は、液晶表示部231Lに点滅表示される。そして、
図12(e)に示す状態において、操作ダイヤル233Lが押下されることで、設定された温度で、第1加熱手段3Lによる加熱が開始され、「揚げ物」モードが実行される。このとき、
図12(f)に示すように、液晶表示部231Lには選択された設定温度である170℃を示す「170」の文字と、調理モードを示す「揚げ物」の文字とが点灯表示される。また、レベル表示部232Lが、設定温度に応じた面積だけ点灯する。
【0083】
加熱中に操作ダイヤル233Lが押下されると、加熱を停止することができる。加熱が停止されると、
図12(a)の状態に戻り、液晶表示部231Lの表示が消され、レベル表示部232Lも消灯する。なお、加熱中に操作ダイヤル233Lを押下する以外にも、操作ダイヤル233Lを反時計方向に回動させ、設定温度を140℃にしてから、さらに操作ダイヤル233Lを反時計方向に回動させることで、加熱を停止させてもよい。
【0084】
以上のように、本実施の形態では、実施の形態2と同様に、調理モードの選択から加熱調理の開始および終了までの操作を行う個別のボタン等を設ける必要がなくなり、操作部のスペースを小さくすることができる。これにより、表示部、または加熱エリアを広くすることができ、視認性または利便性が向上する。また、加熱の開始までに実施の形態2よりも1ステップ多く設けることで、安全性の向上を図ることができる。さらに、調理モードの決定または設定温度の決定など、加熱設定を決定するときに操作ダイヤル233を押下させることで、加熱開始までの操作を統一でき、操作ミスの発生を抑制できる。
【0085】
なお、実施の形態3において、第1加熱手段3Lによる加熱が開始される前に、調理モードを取り消すことができる構成としてもよい。
図13は、実施の形態3の変形例に係る第1加熱手段3Lの加熱開始までの左表示操作部23Lの動作を示す図である。
図13では左表示操作部23Lの説明を行うが、第1加熱手段3Rの加熱開始までの右表示操作部23Rの動作も同じである。図中に矢印で示すように、左表示操作部23Lは、
図13の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の順で遷移する。左表示操作部23Lの動作は、操作ダイヤル233Lの操作に応じて制御部7により制御される。
【0086】
図13(a)~
図13(d)は、実施の形態3の
図12(a)~(d)と同じである。そして、
図13(d)に示す状態において、操作ダイヤル233Lが反時計方向に回動され、設定温度が140℃にされた状態で、さらに操作ダイヤル233Lが反時計方向に回動されると、調理モードの設定のキャンセルが選択される。なお、
図13(d)に示す状態において、操作ダイヤル233Lが時計方向に回動され、設定温度が200℃にされた状態で、さらに操作ダイヤル233Lが時計方向に回動された場合に、調理モードの設定のキャンセルが選択される構成としてもよい。
【0087】
図13(e)に示すように、キャンセルが選択されている場合は、液晶表示部231Lに「戻る」と表示される。そして、キャンセルが選択されている場合に、操作ダイヤル233Lが押下されると、調理モードを選択可能な状態である
図13(c)に戻る。なお、
図13の例では、キャンセルが選択された場合に、1つ前の状態(
図13(c))に戻るが、加熱停止状態である
図13(a)に戻ってもよい。また、キャンセルの選択は調理モードの選択時に選択できるようにしてもよい。すなわち、
図13(c)に示す調理モードの選択状態において、「加熱」、「揚げ物」、「煮込み」、「戻る」の何れかが選択される構成としてもよい。
【0088】
図14は、実施の形態3に係る加熱調理器100の加熱動作の一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、制御部7により実行される。まず、加熱調理器100の電源がONになったか否かが判断される(S101)。加熱調理器100の電源は、使用者により電源ボタン237が操作された場合にONとなる。電源がONになっていない場合は(S101:NO)、ONになるまで待機する。
【0089】
一方、電源がONとなった場合(S101:YES)、操作ダイヤル233が回動されたか否かが判断される(S102)。操作ダイヤル233が回動されていない場合は(S102:NO)、回動されるまで待機する。そして、操作ダイヤル233が回動された場合(S102:YES)、回動された操作ダイヤル233に対応する液晶表示部(以下、例として「液晶表示部231L」とする)に、回動された操作ダイヤル233に対応する調理モードが表示される(S103)。
【0090】
次に、操作ダイヤル233が回動されたか否かが判断される(S104)。操作ダイヤル233が回動されていない場合は(S104:NO)、ステップS106へ移行する。一方、操作ダイヤル233が回動された場合(S104:YES)、調理モードが選択される(S105)。ここでは、操作ダイヤル233の回動方向に応じて、調理モードが選択され、液晶表示部231Lに選択中の調理モードが表示される。
【0091】
そして、操作ダイヤル233が押下されたか否かが判断され(S106)、操作ダイヤル233が押下されていない場合(S106:NO)、ステップS104に戻る。一方、操作ダイヤル233が押下された場合(S106:YES)、調理モードの選択が決定され、液晶表示部231Lに選択された調理モードにおける初期の火力設定が表示される(S107)。例えば、「揚げ物」が選択された場合は、初期の設定温度として「180℃」と表示される。
【0092】
次に、操作ダイヤル233が回動されたか否かが判断される(S108)。操作ダイヤル233が回動されていない場合は(S108:NO)、ステップS110へ移行する。一方、操作ダイヤル233が回動された場合(S108:YES)、火力設定が変更される(S109)。ここでは、操作ダイヤル233の回動方向に応じて、調理モードにおける火力設定が変更され、液晶表示部231Lに変更後の火力設定が表示される。なお、火力設定の変更には、
図13で説明したように調理モードの設定をキャンセルするための「戻る」の設定も含まれる。
【0093】
そして、操作ダイヤル233が押下されたか否かが判断され(S110)、操作ダイヤル233が押下されていない場合(S110:NO)、ステップS108に戻る。一方、操作ダイヤル233が押下された場合(S110:YES)、「戻る」が設定されたか否かが判断される(S111)。「戻る」が設定された場合は(S111:YES)、ステップS104へ移行する。
【0094】
一方、「戻る」以外の火力が設定された場合は(S111:NO)、操作ダイヤル233に対応した加熱手段において、選択された調理モードおよび火力設定での加熱が開始される(S112)。そして、加熱中に操作ダイヤル233が押下されたか否かが判断され(S113)、操作ダイヤル233が押下されていない場合は(S113:NO)、加熱が継続される。一方、操作ダイヤル233が押下された場合(S113:YES)、加熱が停止される(S114)。
【0095】
実施の形態4.
実施の形態4について説明する。実施の形態4では、操作ダイヤル233Cを用いた第2加熱手段6による加熱室5での加熱設定について説明する。実施の形態4の加熱調理器100の構成は、実施の形態1と同じである。
【0096】
加熱調理器100は、加熱室5における調理モードとして、加熱室5内に収容された食材の量を自動で判別し、設定された火力に基づき自動的に火力を調節する自動調理モードと、使用者により指定された火力と時間で加熱を行う手動モードとを有する。自動調理モードには、「切り身」および「姿焼き」などがある。手動モードでは、「手動 強」、「手動 中」、「手動 弱」などがある。
【0097】
図15は、実施の形態4に係る加熱室5の加熱開始までの中央表示操作部23Cの動作であって、自動調理モードが選択された場合の動作を示す図である。図中に矢印で示すように、中央表示操作部23Cは、
図15の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の順で遷移する。中央表示操作部23Cの動作は、操作ダイヤル233Cの操作に応じて制御部7により制御される。
【0098】
図15(a)は、第2加熱手段6が停止状態の中央表示操作部23Cを示す。電源がONされた直後は、
図15(a)に示すように液晶表示部231Cには何も表示されていない。このとき、操作ダイヤル233Cが回動されることで、加熱室5での調理モードが選択可能となる。
図15(b)は、操作ダイヤル233Cが回動された場合の中央表示操作部23Cである。ここでは、予め設定された初期設定の調理モードとして、自動調理モードの「切り身」が選択され、液晶表示部231Cに「切り身」と表示される。
図15(b)に示す状態で、さらに操作ダイヤル233Cが回動されると、調理モードが変更される。
【0099】
調理モードは、操作ダイヤル233Cの回動に従って変更される。例えば、操作ダイヤル233Cが時計方向に回動されると、調理モードが「切り身」→「姿焼き」→「手動 強」→「手動 中」→「手動 弱」→「戻る」→「切り身」→・・・の順に変更される。操作ダイヤル233Cが反時計方向に回動されると、調理モードが「切り身」→「戻る」→「手動 弱」→「手動 中」→「手動 強」→「姿焼き」→「切り身」→・・・の順に変更される。このとき、選択中の調理モードは液晶表示部231Cに表示される。例えば、
図15(c)に示すように調理モードとして「姿焼き」が選択されている場合は、液晶表示部231Cに「姿焼き」の文字が表示される。なお、調理モードの遷移の順序は、使用者の使用頻度が高い順としてもよい。例えば、「姿焼き」の使用頻度が高い場合は、予め設定された初期設定を「姿焼き」とし、その後は使用頻度に応じた順序で選択可能としてもよい。
【0100】
「姿焼き」が選択されている状態で、操作ダイヤル233Cが押下されると、「姿焼き」の調理モードに従って、第2加熱手段6による加熱室5の加熱が開始される。このとき
図15(d)に示すように、液晶表示部231Cには、調理モードを示す「姿焼き」の文字と、初期の設定火力である「中」の文字とが表示される。
【0101】
また、第2加熱手段6による加熱室5の加熱が開始されると、レベル表示部232Cが点灯する。レベル表示部232Cの点灯面積は、火力に応じた大きさとなる。調理モードとして「姿焼き」が選択された場合、火力は、「強」、「中」および「弱」の3段階の何れかに設定され、設定された火力に応じてレベル表示部232Cの点灯面積が増減する。
図15(d)に示すように、火力が「中」の場合は、レベル表示部232Cの点灯面積は、全体の1/2となる。
【0102】
加熱開始後は、操作ダイヤル233Cを回動させることで、火力を変更することができ、変更した火力に応じて、液晶表示部231Cの表示と、レベル表示部232Cの点灯面積とが変更される。操作ダイヤル233Cが時計方向に回動されると、火力が1段階上げられ、反時計方向に回動されると火力が1段階下げられる。
図15(e)は、操作ダイヤル233Cが時計方向に回動されて、火力が「強」に変更された場合の例を示す。この場合は、
図15(e)に示すように、液晶表示部231Cに設定された火力である「強」と、調理モードの「姿焼き」とが表示され、レベル表示部232Cは全面積が点灯される。
【0103】
また、
図15(c)に示す調理モードの選択中に、予め設定された時間以上、操作ダイヤル233Cが操作されない場合は、すべての操作を取り消し、
図15(a)の状態に戻ってもよい。
【0104】
加熱中に操作ダイヤル233Cが押下されると、第2加熱手段6による加熱が停止される。加熱が停止されると、
図15(a)の状態に戻り、液晶表示部231Cの表示が消され、レベル表示部232Cも消灯する。なお、調理中に操作ダイヤル233Cを押下する以外にも、操作ダイヤル233Cを反時計方向に回動させ、火力を「弱」にしてから、さらに操作ダイヤル233Cを反時計方向に回動させることで、加熱を停止させてもよい。
【0105】
図16は、実施の形態4に係る加熱室5の加熱開始までの中央表示操作部23Cの動作であって、手動モードが選択された場合の動作を示す図である。図中に矢印で示すように、中央表示操作部23Cは、
図16の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の順で遷移する。中央表示操作部23Cの動作は、操作ダイヤル233Cの操作に応じて制御部7により制御される。
【0106】
図16(a)および(b)は、
図15(a)および(b)と同じである。
図16(b)に示す状態で、操作ダイヤル233Cが回動させることで、「手動 強」が選択される。「手動 強」が選択されている場合、
図16(c)に示すように液晶表示部231Cには、「手動 強」の文字が表示される。
【0107】
「手動 強」が選択されている状態で、操作ダイヤル233Cが押下されると、「手動 強」に従って、第2加熱手段6による加熱室5の加熱が開始される。このとき
図16(d)に示すように、液晶表示部231Cには、調理モードを示す「手動 強」の文字と、初期の加熱時間である10分を示す「10:00」の文字とが点滅表示される。このとき、第2加熱手段6は停止したままであり、加熱は開始されていない。
【0108】
図16(d)の状態で、操作ダイヤル233Cが回動されると、加熱時間が変更され、変更された加熱時間に応じて、液晶表示部231Cの表示が変更される。操作ダイヤル233Cが時計方向に回動されると、加熱時間が増加され、反時計方向に回動されると加熱時間が減少される。
図16(e)では、操作ダイヤル233Cが反時計方向に回動されて、加熱時間が7分に変更された場合の例を示す。この場合、液晶表示部231Cには、7分を示す「7:00」の文字が点滅表示される。
【0109】
そして、加熱時間が選択された状態で、操作ダイヤル233Cが再度押下されることで、設定された火力で第2加熱手段6による加熱が開始され、設定された時間の間、加熱が継続される。このとき、
図16(f)に示すように、液晶表示部231Cには、選択された調理モードと、カウントダウン中の加熱時間が点灯表示される。また、レベル表示部232Cが点灯し、点灯面積は調理モードの火力に応じた大きさとなる。
図16(f)の例では、選択された調理モードの火力が「強」のため、レベル表示部232Cの全面積が点灯する。
【0110】
また、加熱中に操作ダイヤル233Cを回動させることで、加熱時間を変更することができる。そして、加熱中に操作ダイヤル233Cが押下されるか、または加熱時間が0分に変更された場合、第2加熱手段6による加熱が停止される。加熱が停止されると、
図16(a)の状態に戻り、液晶表示部231Cの表示が消され、レベル表示部232Cも消灯する。
【0111】
以上のように、本実施の形態では、加熱調理器100の加熱停止状態から加熱開始まで、操作ダイヤル233の押下と操作ダイヤル233の回動との3段階を設けることで、意図せず操作されたことによる誤動作をさらに抑制することができる。
【0112】
実施の形態5.
実施の形態5について説明する。実施の形態5では、第1加熱手段3Rまたは3Lの切タイマーの設定手順について説明する。実施の形態5の加熱調理器100の構成は、実施の形態1と同じである。
【0113】
図17は、実施の形態5に係る切タイマーを設定する際の左表示操作部23Lの動作を示す図である。切りタイマーは、加熱を停止するまでの時間を設定するものである。
図17では左表示操作部23Lの説明を行うが、第1加熱手段3Rの切りタイマーの設定も同じである。図中に矢印で示すように、左表示操作部23Lは、
図17(a)、(b)、(c)、(d)の順で遷移する。左表示操作部23Lの動作は、操作ダイヤル233Lおよびタイマーボタン234Lの操作に応じて制御部7により制御される。
【0114】
図17(a)は「火力4」で加熱中の左表示操作部23Lの状態を示す。このときタイマーボタン234Lが押下されると、制御部7は、切タイマー設定状態に移行する。切タイマー設定状態では、
図17(b)に示すように、液晶表示部231Lの「火力4」の表示の上に、切タイマーの初期設定値である10分を示す「10:00」の文字が点滅表示される。
【0115】
図10(b)に示す状態で、操作ダイヤル233Lが時計方向または反時計方向に回動さされると、切りタイマーの設定時間が変更される。具体的には、操作ダイヤル233Lが時計方向に回動されると、設定時間が増加され、反時計方向に回動されると設定時間が減少される。
【0116】
図10(b)に示す状態において、タイマーボタン234Lが押下されるか、または何も操作しない状態が予め設定された時間、例えば3秒経過すると、切りタイマーの設定時間が確定される。または、操作ダイヤル233Lが押下された場合に時間が確定されてもよい。切りタイマーの設定時間が確定されると、
図17(c)に示すように、液晶表示部231Lに表示される設定時間が点滅表示から点灯表示になり、設定時間のカウントダウンが開始される。
【0117】
カウントダウンが終了し、切りタイマーの時間が0になると、第1加熱手段3Lによる加熱が停止され、
図17(d)に示すように、液晶表示部231Lには「0:00」の文字のみが表示され、レベル表示部232Lが消灯する。これにより、切りタイマーによる加熱が終了したことを使用者に報知することができる。
【0118】
なお、カウントダウンが終了する前に、タイマーボタン234Lが押下されると、再度切タイマー設定状態に移行し、切りタイマーの設定時間を変更できる構成としてもよい。このとき、カウントダウン中の時間は一時停止し、液晶表示部231Lに表示される時間は点滅される。
【0119】
切タイマー設定状態では、操作ダイヤル233Lを回動させることで、切りタイマーの設定時間を変更することができる。また、一時停止のまま設定時間を変更せずに再度タイマーボタン234Lが押下されるか、何も操作しない状態が続いた場合、一時停止したカウントダウンを再開してもよい。
【0120】
また、本実施の形態では、設定した切タイマーによるカウントダウンをキャンセルすることができる。
図18は、実施の形態5に係る切タイマーをキャンセルする際の左表示操作部23Lの動作を示す図である。図中に矢印で示すように、左表示操作部23Lは、
図18(a)、(b)、(c)の順で遷移する。左表示操作部23Lの動作は、操作ダイヤル233Lおよびタイマーボタン234Lの操作に応じて制御部7により制御される。
【0121】
図18(a)に示すように、切タイマーが設定されている状態でタイマーボタン234Lが押下されると、切タイマー設定状態に移行する。切タイマー設定状態では、
図18(b)に示すように、液晶表示部231Lに表示されている設定時間が点灯表示から点滅表示となる。
図18(b)に示す状態で、操作ダイヤル233Lが押下されると、切タイマーがキャンセルされる。切タイマーがキャンセルされると、カウントダウンがキャンセルされ、
図18(c)に示すように、液晶表示部231Lには設定中の火力のみが表示される。
【0122】
なお、切タイマー設定状態における設定時間の確定操作を操作ダイヤル233Lの押下とした場合は、切タイマー設定状態におけるカウントダウンのキャンセル動作を操作ダイヤル233Lの規定時間以上の長押しとしてもよい。または、切タイマー設定状態でのキャンセルを操作ダイヤル233Lの規定時間以上の長押しとし、加熱を停止する際の操作を規定時間未満の押下としてもよい。これにより、切りタイマーにおけるカウントダウンのキャンセルと、加熱の停止との操作を区別することができ、いつでも加熱を停止できるため、安全性が向上する。
【0123】
以上が実施の形態の説明であるが、上記の実施の形態は種々に変形することが可能である。例えば加熱調理器100は、ビルトイン型に限定されるものではなく、据置型または可搬型であってもよい。また、表示操作部23の形状は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、任意に変更可能である。また、実施の形態1~実施の形態5の動作は、任意に組み合わせることが可能である。さらに、上記実施の形態では、操作基板24を覆うように設けられたベース220にリブ222を設ける構成としたが、これに限定されるものではなく、操作基板24の上方に設けられた開口の周囲にリブ222が設けられていればよい。例えば、前方フレーム210の開口の周囲にリブ222を設けてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 本体、2 天板部、3L、3R 第1加熱手段、4 排気口、5 加熱室、6 第2加熱手段、7 制御部、8 報知部、9 記憶部、20L、20R 位置マーク、21 トッププレート、22 フレーム、23 表示操作部、23C 中央表示操作部、23L 左表示操作部、23R 右表示操作部、23S 共通表示操作部、24 操作基板、30 インバータ回路、35 第1温度検知部、50 加熱扉、51 前面板、52 取っ手、53 のぞき窓、54 開閉検知部、55 第2温度検知部、100 加熱調理器、201 透過窓、210 前方フレーム、220 ベース、221 開口、222 リブ、223 排出溝、231C、231L、231R 液晶表示部、232C、232L、232R レベル表示部、233、233C、233L、233R 操作ダイヤル、234L、234R タイマーボタン、235 設定ボタン、236 電源ランプ、237 電源ボタン、238 ロックボタン、239 高温表示ランプ、241 スイッチ、242 エンコーダ、242a エンコーダ回動部、242b 固定部、330 カバー、331 ダイヤル回動部、331a フランジ部、331b 溝、332 押下部、500 厨房家具、501 キッチンカウンター、502 流し台。