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特開2022-187294捜索計画生成装置、捜索計画生成システム、捜索計画生成方法、および、捜索計画生成プログラム
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  • 特開-捜索計画生成装置、捜索計画生成システム、捜索計画生成方法、および、捜索計画生成プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187294
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】捜索計画生成装置、捜索計画生成システム、捜索計画生成方法、および、捜索計画生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/9035 20190101AFI20221212BHJP
【FI】
G06F16/9035
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095253
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤川 純平
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175HA01
5B175HB03
(57)【要約】
【課題】操作者による捜索計画の修正内容を表す捜索計画修正情報を学習し、利用するにつれてより精度の高い捜索計画を生成することを目的とする。
【解決手段】捜索計画生成装置100では、艦艇の周辺環境情報における捜索計画の知識ベースを蓄積した知識ベース情報121を類似検索部130が類似検索することにより、自動的に捜索計画を生成する。また、強化学習部140は、操作者による捜索計画の修正を表す捜索計画修正情報を学習する。強化学習部140は、学習結果に基づいて、類似捜索計画32に対する修正を表す差異修正情報33を出力する。そして、補正部は、差異修正情報33を用いて捜索計画補正情報34を出力する。捜索計画管理部160は、捜索計画補正情報34を表示部180に表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
艦艇の周辺の捜索計画を生成する捜索計画生成装置において、
前記艦艇の周辺の状況を表す周辺環境情報における捜索計画の知識ベースを知識ベース情報に蓄積する知識ベース自動生成部と、
現在の周辺環境情報を検索クエリである類似検索用情報として取得し、前記知識ベース情報を類似検索し、現在の周辺環境情報に類似する状況における捜索計画を類似捜索計画として取得する類似検索部と、
操作者に対して提示された捜索計画に対して操作者が行った修正を表す捜索計画修正情報を取得し、捜索計画に対する操作者の修正を学習する強化学習部と、
前記類似捜索計画を前記強化学習部に出力し、前記強化学習部から前記類似捜索計画に対する修正を表す差異修正情報を取得し、前記差異修正情報を用いて前記類似捜索計画に対する補正を表す捜索計画補正情報を出力する補正部と、
前記捜索計画補正情報を前記操作者に提示する捜索計画管理部と
を備えた捜索計画生成装置。
【請求項2】
前記知識ベース自動生成部は、
前記周辺環境情報における捜索計画を時系列に蓄積した捜索計画情報から、頻出に表れる頻出系列パターンを抽出し、前記頻出系列パターンに基づいて、前記周辺環境情報における捜索計画の知識ベースを前記知識ベース情報に蓄積する請求項1に記載の捜索計画生成装置。
【請求項3】
前記補正部は、
前記強化学習部から前記差異修正情報を取得し、前記類似捜索計画に対する修正の要否をリコメンド形式で表した前記捜索計画補正情報を出力する請求項1または請求項2に記載の捜索計画生成装置。
【請求項4】
艦艇の周辺の状況を表す周辺環境情報を出力する情報出力システムと、前記艦艇の周辺の捜索計画を生成する捜索計画生成装置とを備える捜索計画生成システムにおいて、
前記捜索計画生成装置は、
前記艦艇の周辺の状況を表す周辺環境情報における捜索計画の知識ベースを知識ベース情報に蓄積する知識ベース自動生成部と、
現在の周辺環境情報を前記情報出力システムから定期的に取得し、検索クエリである類似検索用情報として取得し、前記知識ベース情報を類似検索し、現在の周辺環境情報に類似する状況における捜索計画を類似捜索計画として取得する類似検索部と、
操作者に対して提示された捜索計画に対して操作者が行った修正を表す捜索計画修正情報を取得し、捜索計画に対する操作者の修正を学習する強化学習部と、
前記類似捜索計画を前記強化学習部に出力し、前記強化学習部から前記類似捜索計画に対する修正を表す差異修正情報を取得し、前記差異修正情報を用いて前記類似捜索計画に対する補正を表す捜索計画補正情報を出力する補正部と、
前記捜索計画補正情報を前記操作者に提示する捜索計画管理部と
を備えた捜索計画生成システム。
【請求項5】
艦艇の周辺の捜索計画を生成する捜索計画生成装置に用いられる捜索計画生成方法において、
コンピュータが、前記艦艇の周辺の状況を表す周辺環境情報における捜索計画の知識ベースを知識ベース情報に蓄積し、
コンピュータが、現在の周辺環境情報を検索クエリである類似検索用情報として取得し、前記知識ベース情報を類似検索し、現在の周辺環境情報に類似する状況における捜索計画を類似捜索計画として取得し、
コンピュータが、操作者に対して提示された捜索計画に対して操作者が行った修正を表す捜索計画修正情報を取得し、捜索計画に対する操作者の修正を学習し、
コンピュータが、前記類似捜索計画に対する修正を表す差異修正情報を取得し、前記差異修正情報を用いて前記類似捜索計画に対する補正を表す捜索計画補正情報を出力し、
コンピュータが、前記捜索計画補正情報を前記操作者に提示する捜索計画生成方法。
【請求項6】
艦艇の周辺の捜索計画を生成する捜索計画生成プログラムにおいて、
前記艦艇の周辺の状況を表す周辺環境情報における捜索計画の知識ベースを知識ベース情報に蓄積する知識ベース自動生成処理と、
現在の周辺環境情報を検索クエリである類似検索用情報として取得し、前記知識ベース情報を類似検索し、現在の周辺環境情報に類似する状況における捜索計画を類似捜索計画として取得する類似検索処理と、
操作者に対して提示された捜索計画に対して操作者が行った修正を表す捜索計画修正情報を取得し、捜索計画に対する操作者の修正を学習する強化学習処理と、
前記類似捜索計画を前記強化学習処理に出力し、前記強化学習処理から前記類似捜索計画に対する修正を表す差異修正情報を取得し、前記差異修正情報を用いて前記類似捜索計画に対する補正を表す捜索計画補正情報を出力する補正処理と、
前記捜索計画補正情報を前記操作者に提示する捜索計画管理処理と
をコンピュータに実行させる捜索計画生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、捜索計画生成装置、捜索計画生成システム、捜索計画生成方法、および、捜索計画生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、艦艇の周辺情報に応じた捜索計画を自動的に生成する手法は存在しなかった。艦艇の周辺情報に応じた捜索計画を生成するには、操作者が手動による入力を行うことで捜索計画の作成を行う必要があった。
【0003】
特許文献1には、配置された敵および味方の移動兵器の定量化された総兵力に基づいて、短時間に移動兵器の運用要領の立案を支援する戦術支援手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-197232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の艦艇における捜索計画の作成方法では、操作者が、現在の海域と僚艦の状況、および、僚艦と陸地との位置関係といった複数条件を勘案して捜索計画を立案する。よって、操作者の熟練度が必要となり、操作者の負荷増大の一因となっている。また、操作者の負荷増大による失念などから、考慮すべき条件に漏れを起こし、本来捜索計画に含めなければならないエリアが設定されず、作戦に支障を来す可能性があるという課題があった。
【0006】
本開示では、艦艇内に存在しているセンサ情報およびシステムログ情報から得られた知識ベースを利用することにより、自動的に捜索計画を生成する。また、操作者による捜索計画の修正内容を表す捜索計画修正情報を学習し、利用するにつれてより精度の高い捜索計画を生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る捜索計画生成装置は、艦艇の周辺の捜索計画を生成する捜索計画生成装置において、
前記艦艇の周辺の状況を表す周辺環境情報における捜索計画の知識ベースを知識ベース情報に蓄積する知識ベース自動生成部と、
現在の周辺環境情報を検索クエリである類似検索用情報として取得し、前記知識ベース情報を類似検索し、前記現在の周辺環境情報に類似する状況における捜索計画を類似捜索計画として取得する類似検索部と、
操作者に対して提示された捜索計画に対して操作者が行った修正を表す捜索計画修正情報を取得し、捜索計画に対する操作者の修正を学習する強化学習部と、
前記類似捜索計画を前記強化学習部に出力し、前記強化学習部から前記類似捜索計画に対する修正を表す差異修正情報を取得し、前記差異修正情報を用いて前記類似捜索計画に対する補正を表す捜索計画補正情報を出力する補正部と、
前記捜索計画補正情報を前記操作者に提示する捜索計画管理部と
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る捜索計画生成装置では、艦艇の周辺環境情報における捜索計画の知識ベースを利用することにより、自動的に捜索計画を生成することができる。また、強化学習部は、操作者による捜索計画の修正を表す捜索計画修正情報を学習し、類似捜索計画に対する修正を表す差異修正情報を出力する。そして、補正部は、差異修正情報を用いて捜索計画補正情報を出力する。したがって。本開示に係る捜索計画生成装置では、捜索計画の生成を実施するにつれて、より精度の高い捜索計画を生成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る捜索計画生成システムの全体構成例を示す図。
図2】実施の形態1に係る情報出力システムの構成例を示す図。
図3】実施の形態1に係る捜索計画生成装置の構成例を示す図。
図4】実施の形態1に係る捜索計画生成装置の動作のフロー図を示す図。
図5】実施の形態1の変形例に係る捜索計画生成装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態について、図を用いて説明する。各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
【0011】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る捜索計画生成システム500の全体構成例を示す図である。
図2は、本実施の形態に係る情報出力システム200の構成例を示す図である。
図1および図2を用いて、捜索計画生成システム500、捜索計画生成装置100、および情報出力システム200の機能構成例について説明する。
【0012】
本実施の形態に係る捜索計画生成システム500は、艦艇600の周辺環境情報に応じた捜索計画を自動的に、かつ、より高精度に生成するシステムである。
捜索計画生成システム500は、捜索計画生成装置100と、情報出力システム200とを備える。
【0013】
捜索計画生成装置100は、艦艇600の周辺の捜索計画を生成する。捜索計画生成装置100は、艦艇600の周辺環境情報20を情報出力システム200から定期的に取得し、現時点における周辺環境情報20に応じた最適な捜索計画を自動的に生成する。
【0014】
捜索計画生成装置100は、連接部110と、知識ベース自動生成部120と、類似検索部130と、強化学習部140と、補正部150と、捜索計画管理部160と、操作部170と、表示部180とを備える。
ここでは、捜索計画生成装置100は、艦艇600に備えられている。しかし、例えば、知識ベース自動生成部120と、類似検索部130と、強化学習部140と、補正部150とが、艦艇600に搭載され、その他の構成部は艦艇600の外部に設けられていても良い。
【0015】
情報出力システム200は、艦艇600の周辺の状況を表す周辺環境情報20を出力する。情報出力システム200は、航海情報出力部210と、広域情報出力部220と、僚艦情報出力部230と、航空路情報出力部240を備える。情報出力システム200の各出力部は、艦艇現在位置情報21、部隊陣形情報22、僚艦情報23、および航空路情報24といった、艦艇600の周辺の状況を表す周辺環境情報20を、捜索計画生成装置100に周期的に送信する。
各種情報については後述する。
【0016】
図3は、本実施の形態に係る捜索計画生成装置100の構成例を示す図である。
捜索計画生成装置100は、コンピュータである。捜索計画生成装置100は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0017】
捜索計画生成装置100は、機能要素として、連接部110と、知識ベース自動生成部120と、類似検索部130と、強化学習部140と、補正部150と、捜索計画管理部160と、操作部170と、表示部180と、記憶部190とを備える。
【0018】
連接部110と知識ベース自動生成部120と類似検索部130と強化学習部140と補正部150と捜索計画管理部160の機能は、ソフトウェアにより実現される。操作部170は、入力インタフェース930に接続される入力機器である。表示部180は、出力インタフェース940に接続される出力機器である。記憶部190には、知識ベース情報121が記憶されている。記憶部190は、メモリ921に備えられる。なお、記憶部190は、補助記憶装置922に備えられていてもよいし、メモリ921と補助記憶装置922に分散して備えられていてもよい。
【0019】
プロセッサ910は、捜索計画生成プログラムを実行する装置である。捜索計画生成プログラムは、連接部110と知識ベース自動生成部120と類似検索部130と強化学習部140と補正部150と捜索計画管理部160の機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ910の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0020】
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、あるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
【0021】
入力インタフェース930は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。入力インタフェース930は、具体的には、USB(Universal Serial Bus)端子である。なお、入力インタフェース930は、LAN(Local Area Network)と接続されるポートであってもよい。
【0022】
出力インタフェース940は、ディスプレイといった出力機器のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子またはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)である。出力インタフェース940は、表示器インタフェースともいう。
【0023】
通信装置950は、レシーバとトランスミッタを有する。通信装置950は、LAN、インターネット、あるいは電話回線といった通信網に接続している。通信装置950は、具体的には、通信チップまたはNIC(Network Interface Card)である。
【0024】
捜索計画生成プログラムは、捜索計画生成装置100において実行される。捜索計画生成プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、捜索計画生成プログラムだけでなく、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ910は、OSを実行しながら、捜索計画生成プログラムを実行する。捜索計画生成プログラムおよびOSは、補助記憶装置922に記憶されていてもよい。補助記憶装置922に記憶されている捜索計画生成プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、捜索計画生成プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0025】
捜索計画生成装置100は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、捜索計画生成プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、捜索計画生成プログラムを実行する装置である。
【0026】
捜索計画生成プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0027】
連接部110と知識ベース自動生成部120と類似検索部130と強化学習部140と補正部150と捜索計画管理部160の各部の「部」を「回路」、「工程」、「手順」、「処理」、あるいは「サーキットリー」に読み替えてもよい。捜索計画生成プログラムは、連接処理と知識ベース自動生成処理と類似検索処理と強化学習処理と補正処理と捜索計画管理処理を、コンピュータに実行させる。連接処理と知識ベース自動生成処理と類似検索処理と強化学習処理と補正処理と捜索計画管理処理の「処理」を「プログラム」、「プログラムプロダクト」、「プログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体」、または「プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体」に読み替えてもよい。また、捜索計画生成方法は、捜索計画生成装置100が捜索計画生成プログラムを実行することにより行われる方法である。
捜索計画生成プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納されて提供されてもよい。また、捜索計画生成プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0028】
***動作の説明***
次に、本実施の形態に係る捜索計画生成装置100の動作について説明する。捜索計画生成装置100の動作手順は、捜索計画生成方法に相当する。また、捜索計画生成装置100の動作を実現するプログラムは、捜索計画生成プログラムに相当する。
【0029】
図4は、本実施の形態に係る捜索計画生成装置100の動作のフロー図を示す図である。
【0030】
<連接処理:ステップS101>
ステップS101において、連接部110は、艦艇600の周辺の状況を表す周辺環境情報20を取得する。連接部110は、情報出力システム200が備える航海情報出力部210、広域情報出力部220、僚艦情報出力部230、および航空路情報出力部240の各出力部から、各種の周辺環境情報20を取得する。
具体的には、次のとおりである。
【0031】
航海情報出力部210は、艦艇600の座標、速度、針路、および風速風向といった艦艇600の現在位置に関する艦艇現在位置情報21を捜索計画生成装置100に周期的に送信する。
広域情報出力部220は、地上基地局より衛星通信によって入力される部隊陣形情報22を捜索計画生成装置100に周期的に送信する。
僚艦情報出力部230は、艦艇600と同じ部隊内にいる僚艦の座標、速度、針路、センサ情報、および捜索計画情報といった僚艦情報23を捜索計画生成装置100に周期的に送信する。
航空路情報出力部240は、艦艇600の近傍エリアにおける民間航空機の航空路情報24を捜索計画生成装置100に周期的に送信する。
【0032】
連接部110は、情報出力システム200の各出力部から、艦艇現在位置情報21、部隊陣形情報22、僚艦情報23、および航空路情報24の各々を、定期的に受信する。連接部110は、艦艇現在位置情報21、部隊陣形情報22、僚艦情報23、および航空路情報24を、類似検索用情報31として類似検索部130に出力する。
類似検索用情報31は、類似検索部130による類似検索に用いられる検索クエリである。類似検索用情報31は、検索時点における各出力部からの情報である。
【0033】
<類似検索処理:ステップS102>
ステップS102において、類似検索部130は、類似検索用情報31を取得し、知識ベース情報121を類似検索し、現在の周辺環境情報20に類似する状況における捜索計画を類似捜索計画32として取得する。
具体的には、以下のとおりである。
【0034】
類似検索部130は、連接部110から類似検索用情報31を取得する。類似検索部130は、類似検索用情報31を元に、知識ベース自動生成部120が生成する知識ベース情報121に対して類似検索を実施する。類似検索部130は、知識ベース自動生成部120に、知識ベース情報121に対する類似検索の実施を依頼する構成でもよい。この構成の場合、類似検索部130は、知識ベース自動生成部120から、類似検索の結果として、検索時点の艦艇600の状況に類似する類似状況における捜索計画を類似捜索計画32として取得する。
【0035】
知識ベース自動生成部120は、既に艦艇内に存在しているセンサ情報あるいはシステムログ情報といった情報から得られた知識ベースを知識ベース情報121に蓄積している。
具体的には、知識ベース自動生成部120は、艦艇600の周辺の状況を表す周辺環境情報における捜索計画の知識ベースを知識ベース情報121に蓄積する。
知識ベース自動生成部120は、周辺環境情報における捜索計画を時系列に蓄積した捜索計画情報から、頻出に表れる頻出系列パターンを抽出する。そして、知識ベース自動生成部120は、頻出系列パターンに基づいて、周辺環境情報における捜索計画の知識ベースを知識ベース情報121に蓄積する。
捜索計画の知識ベースは、例えば、if-then文により表現される。より具体的には、捜索計画の知識ベースは、ifを周辺環境情報の各種情報とし、thenを捜索計画として蓄積される。捜索計画の知識ベースは、艦艇の行動に関する知識ベースともいう。
知識ベース自動生成部120は、上述のような捜索計画の知識ベースを生成し、知識ベース情報121に蓄積する。
知識ベース自動生成部120は、艦艇行動知識ベース自動生成装置ともいう。
【0036】
知識ベース自動生成部120では、類似検索部130から出力される類似検索用情報31を元に、検索時点の艦艇600の状況に最も類似している類似状況において採用されていた捜索計画を知識ベース情報121から抽出する。知識ベース自動生成部120は、抽出した捜索計画を、類似捜索計画32として出力する。
具体的には、知識ベース自動生成部120では、ifを周辺環境情報とし、thenを捜索計画として蓄積されている知識ベースより、最もifの部分が類似検索用情報31に近いものを「最も類似している状況時に採用されていた捜索計画」として出力する。
【0037】
そして、類似検索部130は、知識ベース自動生成部120から取得した類似捜索計画32を補正部150に出力する。
【0038】
<補正処理:ステップS103,S104>
補正処理では、補正部150は、類似捜索計画32を強化学習部140に出力する。そして、補正部150は、強化学習部140から類似捜索計画32に対する修正を表す差異修正情報33を取得する。そして、補正部150は、差異修正情報33を用いて類似捜索計画32に対する補正を表す捜索計画補正情報34を出力する。
以下で詳しく説明する。
【0039】
まず、ステップS103において、補正部150は、強化学習部140から類似捜索計画32に対する修正を表す差異修正情報33を取得する。具体的には、補正部150は、類似検索部130から類似捜索計画32を取得し、取得した類似捜索計画32を強化学習部140に出力する。そして、補正部150は、強化学習部140から出力される差異修正情報33を取得する。
差異修正情報33は、強化学習部140から得られる情報である。差異修正情報33は、操作者に提示した捜索計画補正情報34に対して操作者から与えられた捜索計画修正情報35を強化学習部140が学習し、学習結果を用いて、類似捜索計画32に対するより適切な修正を差異修正情報33として出力するものである。
【0040】
次に、ステップS104において、補正部150は、差異修正情報33を用いて類似捜索計画32に対する補正を表す捜索計画補正情報34を出力する。具体的には、補正部150は、強化学習部140から差異修正情報33を取得し、類似捜索計画32に対する修正の要否をリコメンド形式で表した捜索計画補正情報34を出力する。
捜索計画補正情報34には、類似捜索計画32である捜索計画生成結果341と、類似捜索計画32の修正要否をリコメンドする形式で表された修正要否リコメンド342とが含まれる。
【0041】
<捜索計画管理処理:ステップS105,S106>
ステップS105において、捜索計画管理部160は、捜索計画補正情報34を操作者に提示する。具体的には、捜索計画管理部160は、補正部150より入力された捜索計画生成結果341および修正要否リコメンド342を表示部180へ出力する。表示部180は、捜索計画管理部160より入力された捜索計画生成結果341と修正要否リコメンド342を操作者に表示する。
【0042】
ステップS106において、捜索計画管理部160は、操作者に対して提示された捜索計画に対して操作者が行った修正を表す捜索計画修正情報35を取得する。
操作者は、表示部180に表示された捜索計画生成結果341と修正要否リコメンド342を参照し、操作部170を介して捜索計画生成結果341に対して修正を行う。あるいは、操作者は、修正を行わない場合もある。操作部170は、このような操作者による捜索計画生成結果341に対する修正内容を、捜索計画修正情報35として取得し、捜索計画管理部160に出力する。捜索計画管理部160は、操作部170から捜索計画修正情報35を取得し、捜索計画修正情報35を強化学習部140へ出力する。
【0043】
<強化学習処理:ステップS107>
ステップS107において、強化学習部140は、操作者に対して提示された捜索計画に対して操作者が行った修正を表す捜索計画修正情報35を取得し、捜索計画に対する操作者の修正を学習する。
具体的には、強化学習部140は、捜索計画修正情報35を取得する。強化学習部140は、捜索計画修正情報35を学習することにより、操作者による捜索計画生成結果341に対する修正を学習する。
この学習結果により、強化学習部140は、検索時点(捜索計画生成時点)の周辺環境情報と、類似捜索計画を出力した類似状況(類似の周辺環境情報)との差異に対する修正情報である差異修正情報33を出力することができる。
【0044】
強化学習部140は、ステップS103において類似捜索計画32を受け取ると、学習結果に基づいて、検索時点の周辺環境情報に類似する状況の捜索計画と、検索時点の周辺環境情報(現状の周辺環境情報)における捜索計画の差異を修正するための差異修正情報33を出力する。すなわち、強化学習部140は、類似捜索計画32を受け取ると、学習結果に基づいて、類似捜索計画32に対して、現状に即した適切な修正をするための差異修正情報33を出力する。
【0045】
***他の構成***
本実施の形態では、連接部110と知識ベース自動生成部120と類似検索部130と強化学習部140と補正部150と捜索計画管理部160の機能がソフトウェアで実現される。変形例として、連接部110と知識ベース自動生成部120と類似検索部130と強化学習部140と補正部150と捜索計画管理部160の機能がハードウェアで実現されてもよい。
具体的には、捜索計画生成装置100は、プロセッサ910に替えて電子回路909を備える。
【0046】
図5は、本実施の形態の変形例に係る捜索計画生成装置100の構成例を示す図である。
電子回路909は、連接部110と知識ベース自動生成部120と類似検索部130と強化学習部140と補正部150と捜索計画管理部160の機能を実現する専用の電子回路である。電子回路909は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略語である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略語である。
【0047】
連接部110と知識ベース自動生成部120と類似検索部130と強化学習部140と補正部150と捜索計画管理部160の機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。
【0048】
別の変形例として、連接部110と知識ベース自動生成部120と類似検索部130と強化学習部140と補正部150と捜索計画管理部160の一部の機能が電子回路で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。また、連接部110と知識ベース自動生成部120と類似検索部130と強化学習部140と補正部150と捜索計画管理部160の一部またはすべての機能がファームウェアで実現されてもよい。
【0049】
プロセッサと電子回路の各々は、プロセッシングサーキットリとも呼ばれる。つまり、連接部110と知識ベース自動生成部120と類似検索部130と強化学習部140と補正部150と捜索計画管理部160の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
【0050】
***本実施の形態の効果の説明***
本実施の形態に係る捜索計画生成装置は、過去に取得された周辺環境情報における捜索計画の知識ベースから、捜索計画の立案に必要となる周辺環境情報を検索クエリとして、類似状況における捜索計画を検索する。そして、捜索計画生成装置100は、類似検索の結果取得された類似捜索計画に対し、AI(人工知能)により学習した補正を行って、現在の艦艇周辺情報に即した捜索計画を自動的に立案する。
【0051】
本実施の形態によれば、手動による作成を行うしかなかった艦艇の捜索計画について、既に艦艇内に存在しているセンサ情報あるいはシステムログ情報から得られた知識ベース情報を利用することにより、自動的に捜索計画を生成することができる。また、捜索計画生成装置によれば、操作者による捜索計画修正情報を学習するので、本装置を利用するにつれてより精度の高い捜索計画を生成できるようになる。
【0052】
以上の実施の形態1では、捜索計画生成装置の各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、捜索計画生成装置の構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。捜索計画生成装置の機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、捜索計画生成装置は、1つの装置でなく、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、この実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、この実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1では、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【0053】
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示の範囲、本開示の適用物の範囲、および本開示の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
20 周辺環境情報、21 艦艇現在位置情報、22 部隊陣形情報、23 僚艦情報、24 航空路情報、31 類似検索用情報、32 類似捜索計画、33 差異修正情報、34 捜索計画補正情報、341 捜索計画生成結果、342 修正要否リコメンド、35 捜索計画修正情報、100 捜索計画生成装置、110 連接部、120 知識ベース自動生成部、121 知識ベース情報、130 類似検索部、140 強化学習部、150 補正部、160 捜索計画管理部、170 操作部、180 表示部、190 記憶部、200 情報出力システム、210 航海情報出力部、220 広域情報出力部、230 僚艦情報出力部、240 航空路情報出力部、500 捜索計画生成システム、600 艦艇、909 電子回路、910 プロセッサ、921 メモリ、922 補助記憶装置、930 入力インタフェース、940 出力インタフェース、950 通信装置。
図1
図2
図3
図4
図5