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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187720
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】電源システム及び移動体
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20221213BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20221213BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M7/48 E
H02M3/28 U
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095863
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】塚田 能成
【テーマコード(参考)】
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB25
5H730BB27
5H730BB86
5H730DD04
5H730EE03
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE13
5H730EE19
5H730EE57
5H730EE59
5H730EE60
5H730FD01
5H730FD11
5H730FF09
5H730FV07
5H770BA02
5H770CA01
5H770CA06
5H770CA10
5H770DA01
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA43
5H770EA15
5H770HA03W
5H770JA17W
(57)【要約】
【課題】従来と比較してスイッチング損失及び定常損失を低くできる電源システム及び移動体を提供すること。
【解決手段】電源システム1は、直流の電力を出力する直流電源30と、可変電圧E2の電力を2次側入出力端子対72p,72nから出力する絶縁双方向DC/DCコンバータである可変電圧電源7と、直流電源30の両極に接続された正極電力線21及び負極電力線22と、電力線21,22と負荷4とを接続する複数のアームスイッチング素子51,52,53,54を含むスイッチング回路5と、正極電力線21のうち2次側入出力端子対72p,72nの間に設けられた逆流防止用スイッチング素子34と、可変電圧電源7及び逆流防止用スイッチング素子34を操作する電源駆動装置6と、スイッチング回路5を操作するスイッチング回路駆動装置8と、を備える。2次側入出力端子対72p,72nは、何れも正極電力線21に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流の電力を出力する直流電源と、
可変電圧の電力を第1端子対から出力する第1可変電圧電源と、
前記直流電源の両極にそれぞれ接続された第1電力線及び第2電力線と、
前記第1及び第2電力線と負荷とを接続する複数のアームスイッチを含むスイッチング回路と、を備える電源システムであって、
前記第1端子対は、何れも前記第1電力線に接続されていることを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記第1可変電圧電源は、第2端子対における電力を変圧して前記第1端子対から出力するDC/DCコンバータを備え、
前記第2端子対は、それぞれ前記直流電源の両極に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記第1可変電圧電源は、絶縁トランスと、前記絶縁トランスの1次側と前記第2端子対とを接続する1次側回路と、前記絶縁トランスの2次側と前記第1端子対とを接続する2次側回路と、を備える絶縁双方向DC/DCコンバータを備え、
前記直流電源は、化学エネルギを電気エネルギに変換する放電及び電気エネルギを化学エネルギに変換する充電の両方が可能な二次電池であることを特徴とする請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記第1可変電圧電源は、前段コンバータと、後段コンバータと、を備え、
前記前段コンバータは、絶縁トランスと、前記絶縁トランスの1次側と前記第2端子対とを接続する1次側回路と、前記絶縁トランスの2次側と前記後段コンバータの1次側入出力端子対とを接続する2次側回路と、を備える絶縁双方向DC/DCコンバータであり、
前記後段コンバータは、前記1次側入出力端子対と前記第2端子対との間で直流電力を昇圧又は降圧し双方向に入出力可能な双方向DC/DCコンバータであり、
前記直流電源は、化学エネルギを電気エネルギに変換する放電及び電気エネルギを化学エネルギに変換する充電の両方が可能な二次電池であることを特徴とする請求項2に記載の電源システム。
【請求項5】
前記第1電力線のうち前記第1端子対の間には、前記直流電源の出力電流を許容し、かつ当該出力電流と逆向きの電流を遮断する逆流防止ダイオードが設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の電源システム。
【請求項6】
前記第1電力線のうち前記第1端子対の間には、前記直流電源の出力電流を許容し、かつ当該出力電流と逆向きの電流を遮断する逆流防止ダイオードと、前記逆流防止ダイオードを迂回するバイパス線を断続するスイッチと、が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の電源システム。
【請求項7】
前記第1可変電圧電源を操作することにより前記第1端子対の間の電圧を0から所定の最大電圧までの間で変化させる電源駆動装置をさらに備えることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の電源システム。
【請求項8】
前記アームスイッチを操作するスイッチング回路駆動装置をさらに備え、
前記スイッチング回路駆動装置は、前記第1端子対の間の電圧が所定の電圧閾値以下である期間内又は前記第1及び第2電力線へ前記第1可変電圧電源の出力電力を重畳していない期間内では、前記アームスイッチを交互にオンオフするスイッチング制御を実行し、前記第1端子対の間の電圧が前記電圧閾値より高い期間内又は前記第1及び第2電力線へ前記第1可変電圧電源の出力電力を重畳している期間内では、前記アームスイッチをオン又はオフの何れかで維持することを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の電源システム。
【請求項9】
可変電圧の電力を出力端子対から出力する第2可変電圧電源をさらに備え、
前記出力端子対は、何れも前記第1電力線又は前記第2電力線に接続されていることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の電源システム。
【請求項10】
直流の電力を交流に変換し負荷に供給する電源システムであって、
第1電力線及び第2電力線へ直流の電力を出力する電源と、
前記第1及び第2電力線と前記負荷とを接続する複数のアームスイッチを含むスイッチング回路と、
前記アームスイッチを操作するスイッチング回路駆動装置と、を備え、
前記電源は、直流の電力に可変電圧の電力を重畳し、所定の周期で電圧が変動する電力を前記第1及び第2電力線へ出力することを特徴とする電源システム。
【請求項11】
前記スイッチング回路駆動装置は、前記第1及び第2電力線の間の電圧が所定の電圧閾値以下である期間内又は前記第1及び第2電力線へ可変電圧の電力を重畳していない期間内では、前記アームスイッチを交互にオンオフするスイッチング制御を実行し、前記第1及び第2電力線の間の電圧が前記電圧閾値より高い期間内又は前記第1及び第2電力線へ可変電圧の電力を重畳している期間内では、前記アームスイッチをオン又はオフの何れかで維持することを特徴とする請求項10に記載の電源システム。
【請求項12】
駆動輪に連結された交流回転電機と、
直流の電力を出力する直流電源と、
可変電圧の電力を出力するU相可変電圧電源と、
可変電圧の電力を出力するV相可変電圧電源と、
可変電圧の電力を出力するW相可変電圧電源と、
前記交流回転電機のU相に接続されたU相レグの両端と前記直流電源の両極とを接続する第1U相電力線及び第2U相電力線と、
前記交流回転電機のV相に接続されたV相レグの両端と前記直流電源の両極とを接続する第1V相電力線及び第2V相電力線と、
前記交流回転電機のW相に接続されたW相レグの両端と前記直流電源の両極とを接続する第1W相電力線及び第2W相電力線と、を備える移動体であって、
前記U相可変電圧電源の出力端子対は前記第1U相電力線に接続され、
前記V相可変電圧電源の出力端子対は前記第1V相電力線に接続され、
前記W相可変電圧電源の出力端子対は前記第1W相電力線に接続されていることを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システム及び移動体に関する。より詳しくは、負荷に電力を供給する電源システム及びこの電源システムを搭載する移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電動車両には、バッテリから出力される直流の電力を交流に変換し、駆動輪に連結された回転電機に供給する電力変換器が搭載される。電力変換器の多くは、負荷に対し直列に接続された少なくとも2つのアームのスイッチング素子のオン/オフを切り替えることによって直流の電力を交流に変換することから、スイッチング素子のターンオン時及びターンオフ時に発生するスイッチング損失や、スイッチング素子のオン抵抗に比例する定常損失等が発生する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示された電力変換器は、多段直流チョッパ回路から出力される直流電力を平滑回路で平滑化した後、折り返し回路によって半波を負電圧とし、正電圧の半波と負電圧の半波とを組み合わせることによって交流電力を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/004015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に示された電力変換器は、多段直流チョッパ回路を用いているため、直流電圧の段数に比例してスイッチング素子の数も増加してしまうため、その分スイッチング損失も増加してしまう。
【0006】
またスイッチング素子のオン抵抗は、スイッチング素子の耐電圧が高くなるほど高くなる傾向があるため、定常損失を低くするためにはできるだけ耐電圧の低いスイッチング素子を用いることが好ましい。しかしながら一般的にスイッチング素子の耐電圧は、ターンオン時又はターンオフ時に発生するサージ電圧を考慮して、バッテリの最大電圧よりも十分に高くする必要がある。このため特許文献1に示された多段直流チョッパ回路では、直流電圧の段数に比例してスイッチング素子の耐電圧も高くする必要があるため、その分定常損失も増加してしまう。
【0007】
本発明は、従来と比較してスイッチング損失及び定常損失を低くできる電源システム及び移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る電源システム(例えば、後述の電源システム1,1A)は、直流の電力を出力する直流電源(例えば、後述の直流電源30)と、可変電圧(例えば、後述の可変電圧E2)の電力を第1端子対(例えば、後述の2次側入出力端子対72p,72n,82p,82n)から出力する第1可変電圧電源(例えば、後述の可変電圧電源7,7A,7B,7C)と、前記直流電源の両極にそれぞれ接続された第1電力線(例えば、後述の正極電力線21又は負極電力線22)及び第2電力線(例えば、後述の負極電力線22又は正極電力線21)と、前記第1及び第2電力線と負荷(例えば、後述の負荷4)とを接続する複数のアームスイッチ(例えば、後述のアームスイッチング素子51,52,53,54)を含むスイッチング回路(例えば、後述のスイッチング回路5)と、を備え、前記第1端子対は、何れも前記第1電力線に接続されていることを特徴とする。
【0009】
(2)この場合、前記第1可変電圧電源は、第2端子対(例えば、後述の1次側入出力端子対71p,71n)における電力を変圧して前記第1端子対から出力するDC/DCコンバータを備え、前記第2端子対は、それぞれ前記直流電源の両極に接続されていることが好ましい。
【0010】
(3)この場合、前記第1可変電圧電源は、絶縁トランス(例えば、後述の絶縁トランス70)と、前記絶縁トランスの1次側と前記第2端子対とを接続する1次側回路(例えば、後述の1次側回路71)と、前記絶縁トランスの2次側と前記第1端子対とを接続する2次側回路(例えば、後述の2次側回路72)と、を備える絶縁双方向DC/DCコンバータを備え、前記直流電源は、化学エネルギを電気エネルギに変換する放電及び電気エネルギを化学エネルギに変換する充電の両方が可能な二次電池であることが好ましい。
【0011】
(4)この場合、前記第1可変電圧電源は、前段コンバータ(例えば、後述の前段コンバータ73)と、後段コンバータ(例えば、後述の後段コンバータ80)と、を備え、前記前段コンバータは、絶縁トランスと、前記絶縁トランスの1次側と前記第2端子対とを接続する1次側回路と、前記絶縁トランスの2次側と前記後段コンバータの1次側入出力端子対(例えば、後述の1次側入出力端子対81p,81n)とを接続する2次側回路と、を備える絶縁双方向DC/DCコンバータであり、前記後段コンバータは、前記1次側入出力端子対と前記第2端子対(例えば、後述の2次側入出力端子対82p,82n)との間で直流電力を昇圧又は降圧し双方向に入出力可能な双方向DC/DCコンバータであり、前記直流電源は、化学エネルギを電気エネルギに変換する放電及び電気エネルギを化学エネルギに変換する充電の両方が可能な二次電池であることが好ましい。
【0012】
(5)この場合、前記第1電力線のうち前記第1端子対の間には、前記直流電源の出力電流を許容し、かつ当該出力電流と逆向きの電流を遮断する逆流防止ダイオード(例えば、後述の逆流防止用スイッチング素子34,34A)が設けられていることが好ましい。
【0013】
(6)この場合、前記第1電力線のうち前記第1端子対の間には、前記直流電源の出力電流を許容し、かつ当該出力電流と逆向きの電流を遮断する逆流防止ダイオード(例えば、後述の逆流防止用スイッチング素子34,34A)と、前記逆流防止ダイオードを迂回するバイパス線を断続するスイッチ(例えば、後述の逆流防止用スイッチング素子34,34A)と、が設けられていることが好ましい。
【0014】
(7)この場合、前記第1可変電圧電源を操作することにより前記第1端子対の間の電圧を0から所定の最大電圧までの間で変化させる電源駆動装置(例えば、後述の電源駆動装置6,6A)をさらに備えることが好ましい。
【0015】
(8)この場合、前記電源システムは、前記アームスイッチを操作するスイッチング回路駆動装置(例えば、後述のスイッチング回路駆動装置8,8A)をさらに備え、前記スイッチング回路駆動装置は、前記第1端子対の間の電圧が所定の電圧閾値(例えば、0[V])以下である期間内又は前記第1及び第2電力線へ前記第1可変電圧電源の出力電力を重畳していない期間内(例えば、後述の図4においてTswで示す期間内)では、前記アームスイッチを交互にオンオフするスイッチング制御を実行し、前記第1端子対の間の電圧が前記電圧閾値より高い期間内又は前記第1及び第2電力線へ前記第1可変電圧電源の出力電力を重畳している期間内(例えば、後述の図4においてToffで示す期間内)では、前記アームスイッチをオン又はオフの何れかで維持することが好ましい。
【0016】
(9)この場合、前記電源システムは、可変電圧の電力を出力端子対から出力する第2可変電圧電源(例えば、後述の第2可変電圧電源9B)をさらに備え、前記出力端子対は、何れも前記第1電力線又は前記第2電力線に接続されていることが好ましい。
【0017】
(10)本発明に係る電源システム(例えば、後述の電源システム1)は、直流の電力を交流に変換し負荷(例えば、後述の負荷4)に供給するものであって、第1電力線(例えば、後述の正極電力線21又は負極電力線22)及び第2電力線(例えば、後述の負極電力線22又は正極電力線21)へ直流の電力を出力する電源(例えば、後述の多段電圧電源3)と、前記第1及び第2電力線と前記負荷とを接続する複数のアームスイッチ(例えば、後述のアームスイッチング素子51,52,53,54)を含むスイッチング回路(例えば、後述のスイッチング回路5)と、前記アームスイッチを操作するスイッチング回路駆動装置(例えば、後述のスイッチング回路駆動装置8)と、を備え、前記電源は、直流の電力に可変電圧(例えば、後述の可変電圧E2)の電力を重畳し、所定の周期で電圧が変動する電力を前記第1及び第2電力線へ出力することを特徴とする。
【0018】
(11)この場合、前記スイッチング回路駆動装置は、前記第1及び第2電力線の間の電圧が所定の電圧閾値(例えば、0[V])以下である期間内又は前記第1及び第2電力線へ可変電圧の電力を重畳していない期間内(例えば、後述の図4においてTswで示す期間内)では、前記アームスイッチを交互にオンオフするスイッチング制御を実行し、前記第1及び第2電力線の間の電圧が前記電圧閾値より高い期間内又は前記第1及び第2電力線へ可変電圧の電力を重畳している期間内(例えば、後述の図4においてToffで示す期間内)では、前記アームスイッチをオン又はオフの何れかで維持することが好ましい。
【0019】
(12)本発明に係る移動体(例えば、後述の車両V)は、駆動輪に連結された交流回転電機(例えば、後述の交流回転電機M)と、直流の電力を出力する直流電源(例えば、後述のバッテリB)と、可変電圧の電力を出力するU相可変電圧電源(例えば、後述のU相可変電圧電源7U)と、可変電圧の電力を出力するV相可変電圧電源(例えば、後述のV相可変電圧電源7V)と、可変電圧の電力を出力するW相可変電圧電源(例えば、後述のW相可変電圧電源7W)と、前記交流回転電機のU相に接続されたU相レグ(例えば、後述のU相レグ5U)の両端と前記直流電源の両極とを接続する第1U相電力線(例えば、後述の第1U相電力線51U)及び第2U相電力線(例えば、後述の第2U相電力線52U)と、前記交流回転電機のV相に接続されたV相レグ(例えば、後述のV相レグ5V)の両端と前記直流電源の両極とを接続する第1V相電力線(例えば、後述の第1V相電力線51V)及び第2V相電力線(例えば、後述の第2V相電力線52V)と、前記交流回転電機のW相に接続されたW相レグ(例えば、後述のW相レグ5W)の両端と前記直流電源の両極とを接続する第1W相電力線(例えば、後述の第1W相電力線51W)及び第2W相電力線(例えば、後述の第2W相電力線52W)と、を備え、前記U相可変電圧電源の出力端子対(例えば、後述の2次側入出力端子対72Up,72Un)は前記第1U相電力線に接続され、前記V相可変電圧電源の出力端子対(例えば、後述の2次側入出力端子対72Vp,72Vn)は前記第1V相電力線に接続され、前記W相可変電圧電源の出力端子対(例えば、後述の2次側入出力端子対72Wp,72Wn)は前記第1W相電力線に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
(1)本発明に係る電源システムは、直流電源と、直流電源の両極に接続された第1及び第2電力線と負荷とを接続する複数のアームスイッチを含むスイッチング回路と、可変電圧の電力を第1端子対から出力する第1可変電圧電源と、を備える。また本発明では、第1可変電圧電源の第1端子対を何れも第1電力線に接続することにより、直流電源の直流電圧に第1可変電圧電源の可変電圧を積み上げることができる。よって本発明によれば、直流電源の直流電圧に可変電圧を重畳している間(すなわち、高電圧印加時)は、負荷に印加する電圧を変化させるためにスイッチング回路を操作する必要が無くなるので、電圧を多段化するにあたりスイッチング回路に含まれるスイッチを増やす必要がない。このため例えば特許文献1に示すような多段直流チョッパ回路によって電圧を多段化した場合と比較して、スイッチング回路におけるスイッチの数を減らすことができるので、その分だけスイッチング損失及び定常損失を低くすることができる。
【0021】
また本発明によれば、上述のように高電圧印加時には、電圧を変化させるためにスイッチング回路を操作する必要が無くなるので、スイッチング回路に含まれるスイッチの耐電圧を設計するにあたり、高電圧印加時におけるサージ電圧を考慮する必要が無くなる。よって本発明によれば、例えば特許文献1に示すような多段直流チョッパ回路によって電圧を多段化した場合と比較して、スイッチング回路に含まれるスイッチの耐電圧を低くすることができるので、スイッチにおける定常損失を低くでき、さらにスイッチのコストも低減することができる。
【0022】
また本発明によれば、上述のように高電圧印加時には、電圧を変化させるためにスイッチング回路を操作する必要が無くなるので、負荷に印加する電圧の高周波成分を減らすことができるので、鉄損も低減することができる。
【0023】
(2)本発明では、第1可変電圧電源は、第2端子対における電力を変圧して第1端子対から可変電圧の電力を出力するDC/DCコンバータを備え、この第1可変電圧電源の第2端子対を直流電源の両極に接続する。すなわち本発明において、第1可変電圧電源は、直流電源から出力される電力を変圧することによって可変電圧の電力を出力する。よって本発明によれば、1つの直流電源によって電圧を多段化することができる。
【0024】
(3)本発明では、第1可変電圧電源は、絶縁トランスと、絶縁トランスの1次側と第2端子対とを接続する1次側回路と、絶縁トランスの2次側と第1端子対とを接続する2次側回路と、を備える絶縁双方向DC/DCコンバータを備え、直流電源は、充放電が可能な二次電池とする。よって本発明によれば、負荷から出力される電力が二次電池の充電電圧上限よりも低い低電圧である場合には、負荷から出力される電力を直接二次電池に供給し、負荷から出力される電力が二次電池の充電電圧上限よりも高い高電圧である場合には、負荷から出力される電力を第1可変電圧電源によって降圧し、二次電池に供給することができる。
【0025】
(4)本発明では、絶縁双方向DC/DCコンバータである前段コンバータと、双方向DC/DCコンバータである後段コンバータと、を直流電源側から第1電力線側へ直列に組み合わせたものを第1可変電圧電源とし、直流電源は、充放電が可能な二次電池とする。よって本発明によれば、負荷から出力される電力を二次電池である直流電源に供給する回生時には、後段コンバータによって第1電力線側の直流電力を昇圧又は降圧して前段コンバータに供給することができるので、回生時における制御範囲と直流電源から出力される電力を負荷に供給する力行時における制御範囲とを等しくすることができる。
【0026】
(5)本発明において、第1電力線のうち第1端子対の間には、直流電源の出力電力を許容し、かつこの出力電流と逆向きの電流を遮断する逆流防止ダイオードが設けられている。よって本発明によれば、第1可変電圧電源の第1端子対から可変電圧の電力を出力する際に、第1端子対が短絡するのを防止することができる。
【0027】
(6)本発明において、第1電力線のうち第1端子対の間には、上記のような逆流防止ダイオードと、この逆流防止ダイオードを迂回するバイパス線を断続するスイッチと、が設けられている。よって本発明によれば、第1可変電圧電源の第1端子対から可変電圧の電力を出力する際には、上述のように第1端子対が短絡するのを防止しつつ、負荷から電力が出力される場合には、スイッチをオンにし、負荷から出力される電力を直流電源に供給することができる。
【0028】
(7)本発明に係る電源システムは、第1可変電圧電源を操作することにより、第1端子対の間の電圧を0から所定の最大電圧までの間で変化させる電源駆動装置を備える。本発明によれば、電源駆動装置によって第1可変電圧電源から出力される電力の可変電圧の波形を好ましい波形に整形することができるので、可変電圧を重畳している間は、スイッチング回路における複数のアームスイッチを操作することなく好ましい波形の交流電力を負荷に供給することができる。
【0029】
(8)本発明において、スイッチング回路駆動装置は、第1端子対の間の電圧が所定の電圧閾値以下である期間内又は第1可変電圧電源の出力電力を重畳していない期間内では、アームスイッチを交互にオンオフするスイッチング制御を実行し、第1端子対の間の電圧が電圧閾値より高い期間内又は第1可変電圧電源の出力電力を重畳している期間内では、アームスイッチをオン又はオフの何れかで維持する。すなわち本発明では、高電圧印加時にはスイッチング回路駆動装置によるスイッチング制御の実行を停止することにより、スイッチング回路におけるスイッチング損失及び定常損失をさらに低減することができる。
【0030】
(9)本発明では、可変電圧の電力を出力する第2可変電圧電源の出力端子対を、第1電力線又は第2電力線に接続する。これによりスイッチング回路におけるアームスイッチの数を増やすことなくさらに電圧の段数を増やすことができる。
【0031】
(10)本発明に係る電源システムは、第1電力線及び第2電力線へ直流の電力を出力する電源と、第1及び第2電力線と負荷とを接続する複数のアームスイッチを含むスイッチング回路と、アームスイッチを操作するスイッチング回路駆動装置と、を備える。また本発明において電源は、直流の電力に可変電圧の電力を重畳し、所定の周期で電圧が変動する電力を第1及び第2電力線へ出力する。よって本発明によれば、直流の電力に可変電圧の電力を重畳している間、スイッチング回路駆動装置は、負荷に印加する電圧を変化させるためにアームスイッチを操作する必要が無くなる。よって本発明によれば、上記(1)に係る発明と同様に、電圧を多段化するにあたりスイッチング回路に含まれるアームスイッチを増やす必要が無くなるので、その分スイッチング損失及び定常損失を低くすることができる。また本発明によれば、上記(1)に係る発明と同様に、スイッチング回路に含まれるスイッチの耐電圧を低くすることができるので、スイッチにおける定常損失を低くでき、さらにスイッチのコストも低減することができる。また本発明によれば、上記(1)に係る発明と同様に、負荷に印加する電圧の高周波数成分を減らすことができ、ひいては鉄損も低減することができる。
【0032】
(11)本発明において、スイッチング回路駆動装置は、第1及び第2電力線の間の電圧が所定の電圧閾値以下である期間内又は第1及び第2電力線へ可変電圧の電力を重畳していない期間内では、アームスイッチを交互にオンオフするスイッチング制御を実行し、第1及び第2電力線の間の電圧が電圧閾値より高い期間内又は第1及び第2電力線へ可変電圧の電力を重畳している期間内では、アームスイッチをオン又はオンの何れかで維持する。すなわち本発明では、高電圧印加時にはスイッチング回路駆動装置によるスイッチング制御の実行を停止することにより、スイッチング回路におけるスイッチング損失及び定常損失をさらに低減することができる。
【0033】
(12)本発明に係る車両は、交流回転電機と、直流電源と、U相可変電圧電源と、V相可変電圧電源と、W相可変電圧電源と、第1及び第2U相電力線と、第1及び第2V相電力線と、第1及び第2W相電力線と、を備える。また本発明において、U相可変電圧電源の出力端子対は第1U相電力線に接続し、V相可変電圧電源の出力端子対は第1V相電力線に接続し、W相可変電圧電源の出力端子対は第1W相電力線に接続する。本発明によれば、上記(1)に係る発明と同様に、電圧を多段化するにあたり各相のレグに含まれるアームスイッチを増やす必要が無くなるので、その分各相のレグにおけるスイッチング損失及び定常損失を低くすることができる。また本発明によれば、上記(1)に係る発明と同様に、各相のレグに含まれるスイッチの耐電圧を低くすることができるので、スイッチにおける定常損失を低くでき、さらにスイッチのコストも低減することができる。また本発明によれば、上記(1)に係る発明と同様に、高電圧印加時には、電圧を変化させるために各相のレグに含まれるアームスイッチを操作する必要が無くなるので、交流回転電機に印加する電圧の高周波成分を減らすことができるので、鉄損も低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1実施形態に係る電源システムの回路構成を示す図である。
図2】可変電圧電源の回路構成の一例を示す図である。
図3】電源駆動装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4】負荷の力行時でありかつ多段電圧電源の高電圧出力時における各部分の電圧の変化を示すタイムチャートの一例である。
図5A】従来の電源システムを模式的に示す図である。
図5B】本実施形態に係る電源システムを模式的に示す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る電源システムの可変電圧電源の回路構成を示す図である。
図7A】後段コンバータの第1の例を示す図である。
図7B】後段コンバータの第2の例を示す図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る電源システムの回路構成を示す図である。
図9】本発明の第4実施形態に係る電源システム及びこの電源システムを搭載する車両の回路構成を示す図である。
図10】可変電圧電源の回路構成の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る電源システムについて図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1は、本実施形態に係る電源システム1の回路構成を示す図である。
電源システム1は、正極電力線21及び負極電力線22へ多段電圧の直流の電力を出力する多段電圧電源3と、電力線21,22と負荷4とを接続するスイッチング回路5と、多段電圧電源3を操作する電源駆動装置6と、スイッチング回路5を操作するスイッチング回路駆動装置8と、を備える。電源システム1は、駆動装置6,8によって多段電圧電源3及びスイッチング回路5を操作することにより、多段電圧電源3から電力線21,22へ出力される直流の電力を交流に変換し負荷4に供給したり、負荷4から出力される交流の電力を直流に変換し多段電圧電源3に供給したりする。
【0037】
以下では、負荷4は、力行時には電力線21,22から供給される交流電力を回転軸の機械エネルギに変換し、回生時には回転軸の機械エネルギを交流電力に変換し電力線21,22へ出力する交流回転電機とした場合について説明するが、本発明はこれに限らない。
【0038】
スイッチング回路5は、正極電力線21と負極電力線22とを接続する2本のレグ5a,5bを備える。a相レグ5aは、正極電力線21側から負極電力線22側へ向かって順に直列に接続されたa相上アームスイッチング素子51及びa相下アームスイッチング素子52を備える。b相レグ5bは、a相レグ5aに対し並列になるように電力線21,22に接続される。b相レグ5bは、正極電力線21側から負極電力線22側へ向かって順に直列に接続されたb相上アームスイッチング素子53及びb相下アームスイッチング素子54を備える。
【0039】
負荷4の第1入出力端子41は、a相レグ5aの中点、すなわちa相上アームスイッチング素子51とa相下アームスイッチング素子52との接続点に接続されている。すなわち、a相上アームスイッチング素子51は、正極電力線21と負荷4の第1入出力端子41とを接続し、a相下アームスイッチング素子52は、負極電力線22と負荷4の第1入出力端子41とを接続する。また負荷4の第2入出力端子42は、b相レグ5bの中点、すなわちb相上アームスイッチング素子53とb相下アームスイッチング素子54との接続点に接続されている。すなわち、b相上アームスイッチング素子53は、正極電力線21と負荷4の第2入出力端子42とを接続し、b相下アームスイッチング素子54は、負極電力線22と負荷4の第2入出力端子42とを接続する。
【0040】
これらスイッチング素子51,52,53,54は、それぞれスイッチング回路駆動装置8から入力されるゲート駆動信号GS1,GS2のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わる。より具体的には、a相上アームスイッチング素子51及びb相下アームスイッチング素子54は、スイッチング回路駆動装置8から入力されるゲート駆動信号GS1のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わり、b相上アームスイッチング素子53及びa相下アームスイッチング素子52は、スイッチング回路駆動装置8から入力されるゲート駆動信号GS2のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わる。本実施形態では、これらスイッチング素子51~54として、ソースからドレインへの電流を許容するボディダイオードを備えるNチャネル型MOSFETを用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。これらスイッチング素子51~54には、MOSFETの他、IGBTやJFET等の既知のスイッチング素子を用いてもよい。
【0041】
また後に説明するように、これらスイッチング素子51~54は、多段電圧電源3の高電圧出力時にはスイッチング制御を行う必要がない。このためこれらスイッチング素子51~54の耐電圧性能は、後述の直流電源30の出力電圧E1に応じて設計される。
【0042】
上アームスイッチング素子51,53のドレインは正極電力線21に接続され、上アームスイッチング素子51,53のソースはそれぞれ負荷4の第1入出力端子41及び第2入出力端子42に接続される。下アームスイッチング素子52,54のソースは負極電力線22に接続され、下アームスイッチング素子52,54のドレインはそれぞれ負荷4の第1入出力端子41及び第2入出力端子42に接続される。これにより各スイッチング素子51~54のボディダイオードは、還流ダイオードとして作用する。
【0043】
多段電圧電源3は、直流の電力を出力する直流電源30と、所定の周期で変動する可変電圧の直流電力を出力する可変電圧電源7と、逆流防止用スイッチング素子34と、を備える。多段電圧電源3は、以下で説明する回路構成によって、0[V]と、E1[V](以下では、直流電源30の出力電圧をE1と表記する)と、E1+E2[V](以下では、可変電圧電源7から出力される可変電圧をE2と表記する)と、の3段階の直流電圧を出力可能な3レベルの直流電圧電源である。
【0044】
直流電源30の正極は正極電力線21に接続され、直流電源30の負極は負極電力線22に接続されている。直流電源30は、所定電圧E1の直流電力を電力線21,22へ出力する。本実施形態では、直流電源30を、化学エネルギを電気エネルギに変換する放電及び電気エネルギを化学エネルギに変換する充電の両方が可能な二次電池とした場合について説明するが、本発明はこれに限らない。例えば、含酸素の酸化剤ガス及び水素ガスを供給すると発電する燃料電池を直流電源30として用いてもよい。
【0045】
可変電圧電源7には、例えば、互いに絶縁された1次側入出力端子対71p,71nと2次側入出力端子対72p,72nとを備え、1次側入出力端子対71p,71nと2次側入出力端子対72p,72nとの間で双方向へ直流電力の入出力が可能な絶縁双方向DC/DCコンバータが用いられる。すなわち可変電圧電源7は、負荷4の力行時には1次側入出力端子対71p,71nにおける直流電力を変圧し、可変電圧E2の電力を2次側入出力端子対72p,72nから出力し、負荷4の回生時には2次側入出力端子対72p,72nにおける直流電力を変圧し、1次側入出力端子対71p,71nから直流電力を出力する。
【0046】
図1に示すように、可変電圧電源7の2次側入出力端子対72p,72nは、何れも正極電力線21のうち直流電源30とスイッチング回路5との間に接続されている。より具体的には、可変電圧電源7の2次側正極入出力端子72pは、正極電力線21のうち2次側負極入出力端子72nよりも高電位側(すなわち、2次側負極入出力端子72nよりもスイッチング回路5側)に接続されている。なお本実施形態では、2次側入出力端子対72p,72nを何れも正極電力線21に接続した場合について説明するが、本発明はこれに限らない。可変電圧電源7の2次側入出力端子対72p,72nは、両方とも負極電力線22のうち直流電源30とスイッチング回路5との間に接続してもよい。
【0047】
逆流防止用スイッチング素子34は、正極電力線21のうち、2次側入出力端子対72p,72nの間に設けられている。このスイッチング素子34は、電源駆動装置6から入力されるゲート駆動信号GP5のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わる。本実施形態では、このスイッチング素子34として、スイッチング素子51~54と同程度の耐電圧性能を有し、かつソースからドレインへの電流を許容するボディダイオードを備えるNチャネル型MOSFETを用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。このスイッチング素子34には、MOSFETの他、IGBTやJFET等の既知のスイッチング素子を用いてもよい。
【0048】
スイッチング素子34のドレインは2次側正極入出力端子72pに接続され、スイッチング素子34のソースは2次側負極入出力端子72nに接続されている。このためスイッチング素子34のボディダイオードは、直流電源30の出力電流(正極電力線21を直流電源30側からスイッチング回路5側へ流れる電流)を許容し、かつこの出力電流と逆向きの逆電流を遮断する逆流防止ダイオードとして作用する。またゲート駆動信号GP5のオン/オフに応じてスイッチング素子34をオン又はオフに切り替えることにより、スイッチング素子34を、逆流防止ダイオードを迂回するバイパス線を断続するスイッチとして作用させることができる。
【0049】
また図1に示すように、可変電圧電源7の1次側入出力端子対71p,71nは、直流電源30の正負両極に接続されている。より具体的には、可変電圧電源7の1次側正極入出力端子71pは、直流電源30の正極に接続され、可変電圧電源7の1次側負極入出力端子71nは、直流電源30の負極に接続されている。なお本実施形態では、1次側入出力端子対71p,71nを直流電源30の正負両極に接続した場合について説明するが、本発明はこれに限らない。可変電圧電源7の1次側入出力端子対71p,71nは、直流電源30とは別の直流電源の正負両極に接続してもよい。
【0050】
次に、図2を参照しながら、可変電圧電源7のより詳細な構成について説明する。
図2は、可変電圧電源7の回路構成の一例を示す図である。図2には、可変電圧電源7を、所謂フルブリッジ絶縁双方向DC/DCコンバータとした場合を示す。なお以下では、電圧型のDC/DCコンバータを例に説明するが、本発明はこれに限らない。DC/DCコンバータは電流型としてもよい。
【0051】
図2に示す可変電圧電源7は、一次巻線及び二次巻線を有する絶縁トランス70と、絶縁トランス70の1次側と1次側入出力端子対71p,71nとを接続する1次側回路71と、絶縁トランス70の2次側と2次側入出力端子対72p,72nとを接続する2次側回路72と、を備える。
【0052】
1次側回路71は、1次側正極入出力端子71pに接続された正極電力線71Lpと、1次側負極入出力端子71nに接続された負極電力線71Lnと、これら電力線71Lp,71Lnと絶縁トランス70の一次巻線とを接続する1次側フルブリッジ回路710と、正極電力線71Lpと負極電力線71Lnとの間において互いに並列に接続された1次側電圧センサ718及び平滑コンデンサ719と、を備える。1次側電圧センサ718は、電力線71Lp,71Lnの間の電圧に応じた電圧検出信号を電源駆動装置6へ送信する。
【0053】
1次側フルブリッジ回路710は、絶縁トランス70の1次側においてフルブリッジ回路を構成する4つのスイッチング素子711,712,713,714を備える。これらスイッチング素子711~714は、それぞれ電源駆動装置6から入力されるゲート駆動信号GP1,GP2のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わる。より具体的には、スイッチング素子711,714は、電源駆動装置6から入力されるゲート駆動信号GP1のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わり、スイッチング素子712,713は、電源駆動装置6から入力されるゲート駆動信号GP2のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わる。本実施形態では、これらスイッチング素子711~714として、ソースからドレインへの電流を許容するボディダイオードを備えるNチャネル型MOSFETを用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。これらスイッチング素子711~714には、MOSFETの他、IGBTやJFET等の既知のスイッチング素子を用いてもよい。
【0054】
スイッチング素子711,713のドレインは正極電力線71Lpに接続され、スイッチング素子711,713のソースはそれぞれ絶縁トランス70の一次巻線の両端に接続される。スイッチング素子712,714のソースは負極電力線71Lnに接続され、スイッチング素子712,714のドレインはそれぞれ絶縁トランス70の一次巻線の両端に接続される。
【0055】
2次側回路72は、2次側正極入出力端子72pに接続された正極電力線72Lpと、2次側負極入出力端子72nに接続された負極電力線72Lnと、これら電力線72Lp,72Lnと絶縁トランス70の二次巻線とを接続する2次側フルブリッジ回路720と、正極電力線72Lpと負極電力線72Lnとの間において互いに並列に接続された2次側電圧センサ728及び平滑コンデンサ729と、を備える。2次側電圧センサ728は、電力線72Lp,72Lnの間の電圧に応じた電圧検出信号を電源駆動装置6へ送信する。
【0056】
2次側フルブリッジ回路720は、絶縁トランス70の2次側においてフルブリッジ回路を構成する4つのスイッチング素子721,722,723,724を備える。これらスイッチング素子721~724は、それぞれ電源駆動装置6から入力されるゲート駆動信号GP3,GP4のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わる。より具体的には、スイッチング素子721,724は、電源駆動装置6から入力されるゲート駆動信号GP3のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わり、スイッチング素子722,723は、電源駆動装置6から入力されるゲート駆動信号GP4のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わる。本実施形態では、これらスイッチング素子721~724として、ソースからドレインへの電流を許容するボディダイオードを備えるNチャネル型MOSFETを用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。これらスイッチング素子721~724には、MOSFETの他、IGBTやJFET等の既知のスイッチング素子を用いてもよい。
【0057】
スイッチング素子721,723のドレインは正極電力線72Lpに接続され、スイッチング素子721,723のソースはそれぞれ絶縁トランス70の二次巻線の両端に接続される。スイッチング素子722,724のソースは負極電力線72Lnに接続され、スイッチング素子722,724のドレインはそれぞれ絶縁トランス70の二次巻線の両端に接続される。
【0058】
以上のような可変電圧電源7は、負荷4の力行時には、電源駆動装置6から入力されるゲート駆動信号GP1,GP2によって1次側回路71のスイッチング素子711,712,713,714をオン/オフ駆動するとともに、2次側回路72をスイッチング素子721,722,723,724のボディダイオードによる整流回路として作動させることにより、1次側入出力端子対71p,71nにおける直流電力を変圧し、可変電圧E2の電力を2次側入出力端子対72p,72nから出力する。また可変電圧電源7は、負荷4の回生時には、電源駆動装置6から入力されるゲート駆動信号GP3、GP4によって2次側回路72のスイッチング素子721,722,723,724をオン/オフ駆動するとともに、1次側回路71をスイッチング素子711,712,713,714のボディダイオードによる整流回路として作動させることにより、2次側入出力端子対72p,72nにおける直流電力を変圧し、1次側入出力端子対71p,71nから直流電力を出力する。
【0059】
図3は、電源駆動装置6の構成を示す機能ブロック図である。より具体的には、図3には、可変電圧電源7及び逆流防止用スイッチング素子34を操作する電源駆動装置6のうち、特に負荷4の力行時における可変電圧電源7の操作に係る部分のみを図示する。
【0060】
電源駆動装置6は、基準値生成部60と、振幅係数生成部61と、乗算部62と、フィードバックコントローラ63と、変調波生成部64と、ゲート駆動信号生成部65と、を備える。電源駆動装置6は、負荷4の力行時には、これら基準値生成部60、振幅係数生成部61、乗算部62、フィードバックコントローラ63、変調波生成部64、及びゲート駆動信号生成部65を用いることによって生成されるゲート駆動信号GP1,GP2を可変電圧電源7の1次側回路71のスイッチング素子711~714へ入力し、これらスイッチング素子711~714を操作することにより、2次側入出力端子対72p,72nから出力される可変電圧E2の波形を制御する。
【0061】
基準値生成部60は、予め定められた複数の基準波形プロファイルデータW1~W6の中から1つを選択し、選択した基準波形プロファイルデータに基づいて制御基準値を算出し、乗算部62へ出力する。これら基準波形プロファイルデータW1~W6は、負荷4の力行時に2次側入出力端子対72p,72nから出力される可変電圧E2の波形の規範となる。
【0062】
振幅係数生成部61は、予め設定された振幅係数を乗算部62へ出力する。振幅係数は、可変電圧E2の振幅、すなわち可変電圧E2の最大値を定める係数であり、0から1の間で定められる。
【0063】
乗算部62は、基準値生成部60から出力される制御基準値に振幅係数生成部61から出力される振幅係数を乗算することにより、可変電圧E2の目標値を算出し、フィードバックコントローラ63へ出力する。
【0064】
フィードバックコントローラ63は、2次側電圧センサ728によって検出される電圧値と乗算部62から出力される目標値との偏差が無くなるように、既知のフィードバック制御アルゴリズム(例えば、PID制御則)に従って補正信号を生成し、ゲート駆動信号生成部65へ出力する。
【0065】
変調波生成部64は、既知の変調波生成アルゴリズム(例えば、PWM変調アルゴリズム、PDM変調アルゴリズム、及びΔ-Σ変調アルゴリズム)に従って変調波信号を生成し、ゲート駆動信号生成部65へ出力する。
【0066】
ゲート駆動信号生成部65は、フィードバックコントローラ63から出力される補正信号と変調波生成部64から出力される変調波信号との比較に基づいて、1次側回路71のスイッチング素子711,714を駆動するためのゲート駆動信号GP1と、1次側回路71のスイッチング素子712,713を駆動するためのゲート駆動信号でありかつゲート駆動信号GP1とオン/オフが反転したゲート駆動信号GP2とを生成し、スイッチング素子711~714へ入力する。
【0067】
電源駆動装置6は、負荷4の力行時には以上の手順に従ってゲート駆動信号GP1,GP2を生成することにより、基準値生成部60で選択された波形の可変電圧E2を2次側入出力端子対72p,72nから出力する。
【0068】
次に、図1に戻り、負荷4の力行時及び回生時における電源システム1の制御手順について、低電圧入出力時及び高電圧入出力時に分けて説明する。
【0069】
先ず負荷4の力行時でありかつ多段電圧電源3から電力線21,22へ出力する直流電力の電圧を、直流電源30の出力電圧E1未満とする低電圧出力時における制御手順を説明する。
【0070】
この場合、電源駆動装置6は、ゲート駆動信号GP1~GP5を何れもオフにすることにより、可変電圧電源7及び逆流防止用スイッチング素子34を何れもオフにする。これにより、可変電圧電源7の2次側入出力端子対72p,72nの間の電圧は略0となり、直流電源30から電力線21,22へ電圧E1の直流電力が供給される。またこの場合、スイッチング回路駆動装置8は、既知のインバータ制御アルゴリズムに従って生成したゲート駆動信号GS1,GS2をスイッチング回路5のスイッチング素子51~54へ入力し、これらスイッチング素子51~54をオン/オフ駆動することにより、電力線21,22における直流電力を交流電力に変換し、負荷4へ供給する。
【0071】
次に負荷4の力行時でありかつ多段電圧電源3から電力線21,22へ出力する直流電力の電圧を、直流電源30の出力電圧E1以上とする高電圧出力時における制御手順を、図4を参照しながら説明する。より具体的には、以下では、最大電圧を直流電源30の出力電圧E1の2倍とする正弦波の交流電力(後述の図4の最下段参照)を負荷4に供給する場合を例に説明する。
【0072】
図4は、負荷4の力行時でありかつ多段電圧電源3の高電圧出力時における各部分の電圧の変化を示すタイムチャートの一例である。図4の最上段には、可変電圧電源7から出力される可変電圧E2(すなわち、2次側入出力端子対72p,72nの間の電圧)の時間変化を示し、図4の上から2段目には、多段電圧電源7の出力電圧Etot(すなわち、電力線21,22の間の電圧)の時間変化を示し、図4の上から3段目には、スイッチング回路駆動装置8によるスイッチング波形、すなわち多段電圧電源7の出力電圧Etotから可変電圧E2を除いた電圧の時間変化を示し、図4の最下段には、負荷4に印加される電圧、すなわち入出力端子対41,42の間の電圧の時間変化を示す。
【0073】
このような高電圧出力時には、多段電圧電源7は、電源駆動装置6による制御下において、直流電源30から出力される直流電力に可変電圧電源7から出力される可変電圧の電力を重畳し、所定の周期で電圧が変動する直流電力を電力線21,22へ出力する。より具体的には、電源駆動装置6は、2次側入出力端子対72p,72nの間の可変電圧E2が0から所定の最大電圧(図4の例では、直流電源30の出力電圧E1の2倍)までの間で周期的に変動するように可変電圧電源7を操作する。
【0074】
例えば図4の最下段に示すような出力波形の交流電力を負荷4に供給する場合、電源駆動装置6は、2次側入出力端子対72p,72nの間の可変電圧E2の波形が、最終的な出力波形のうち振幅が直流電源30の出力電圧E1を超える部分の波形と等しくなるように、すなわち図4の最上段に示すような波形の可変電圧E2が可変電圧電源7から2次側端子対72p,72nへ出力されるように、図3を参照して説明した手順に従ってゲート駆動信号GP1,GP2を生成し、これらゲート駆動信号GP1,GP2によって可変電圧電源7の1次側回路71を操作する。また電源駆動装置6は、負荷4の力行時にはゲート駆動信号GP5をオフにすることにより、逆流防止用スイッチング素子34をオフにする。これにより電力線21,22には、直流電源30から出力される電圧E1の直流電力に可変電圧電源7から出力される可変電圧E2の直流電力を重畳した電力が供給される。
【0075】
また高電圧出力時には、スイッチング回路駆動装置8は、2次側入出力端子対72p,72nの間の可変電圧E2が所定の電圧閾値(図4の例では、0[V])以下である期間内、換言すれば電力線21,22へ可変電圧電源7の出力電力を重畳していない期間内(図4において“Tsw”で示す期間内)では、負荷4に対し電圧がE1[V]から-E1[V]の間で変化する交流電力が供給されるように、既知のインバータ制御アルゴリズムに従って生成したゲート駆動信号GS1,GS2をスイッチング回路5のスイッチング素子51~54へ入力し、これらスイッチング素子51~54を交互に繰り返しオン/オフ駆動するスイッチング制御を実行する(図4の上から2段目及び3段目参照)。したがって、負荷4に供給される交流電力のうち、電圧の絶対値がE1[V]以下の間の波形(図4の最下段において太実線で示す波形)は、スイッチング回路駆動装置8によるスイッチング回路5のスイッチング制御によって実現される。
【0076】
またスイッチング回路駆動装置8は、2次側入出力端子対72p,72nの間の可変電圧E2が上記電圧閾値(図4の例では、0[V])より高い期間内(図4において、“Toff”で示す期間内)、換言すれば電力線21,22へ可変電圧電源7の出力電力を重畳している期間内では、負荷4に対し正又は負の電圧が印加され続けるように生成したゲート駆動信号GS1,GS2をスイッチング素子51~54へ入力し、これらスイッチング素子51~54をオン又はオフの何れかの状態で維持する。すなわちこの期間内では、スイッチング回路駆動装置8は、スイッチング素子51~54を交互に繰り返しオン/オフ駆動するスイッチング制御を停止する。ここでゲート駆動信号GS1をオンで維持しかつゲート駆動信号GS2をオフで維持すると、スイッチング素子51,54がオンで維持されかつスイッチング素子52,53がオフで維持されるので、負荷4には正の電圧が印加され続ける。またゲート駆動信号GS1をオフで維持しかつゲート駆動信号GS2をオンで維持すると、スイッチング素子51,54がオフで維持されかつスイッチング素子52,53がオンで維持されるので、負荷4には負の電圧が印加され続ける。したがって、負荷4に供給される交流電力のうち、電圧の絶対値がE1[V]より高い間の波形(図4の最下段において太破線で示す波形)は、直流電源30の出力電圧E1に可変電圧電源7の可変電圧E2を重畳することによって実現される。
【0077】
次に負荷4の回生時でありかつ多段電圧電源3へ入力される直流電力の電圧が所定の充電電圧上限未満となる低電圧入力時における制御手順を説明する。この場合、スイッチング回路駆動装置8は、既知のインバータ制御アルゴリズムに従って生成したゲート駆動信号GS1,GS2をスイッチング回路5のスイッチング素子51~54へ入力し、これらスイッチング素子51~54をオン/オフ駆動することにより、負荷4から出力される交流電力を直流電力に変換し、スイッチング回路5から電力線21,22へ供給する。また、電源駆動装置6は、電力線21,22の間の電圧が二次電池である直流電源30の所定の充電電圧上限より低い場合、逆流防止用スイッチング素子34をオンにすることにより、スイッチング回路5から出力される直流電力を直接直流電源30に供給し、直流電源30を充電する。
【0078】
次に負荷4の回生時でありかつ多段電圧電源3へ入力される直流電力の電圧が上記充電電圧上限以上となる高電圧入力時における制御手順を説明する。この場合、スイッチング回路駆動装置8は、低電圧入力時と同じ手順に従ってスイッチング素子51~54をオン/オフ駆動することにより、負荷4から出力される交流電力を直流電力に変換し、スイッチング回路5から電力線21,22へ供給する。また電源駆動装置6は、電力線21,22の間の電圧が上記充電電圧上限以上である場合、逆流防止用スイッチング素子34をオフにするとともに、1次側入出力端子対71p,71nから所定の充電電圧の直流電力が出力されるように、既知のアルゴリズムに従って生成したゲート駆動信号GP3,GP4を可変電圧電源7の2次側回路72のスイッチング素子721~724へ入力し、これらスイッチング素子721~724をオン/オフ駆動する。これにより電力線21,22における直流電力の一部は可変電圧電源7によって変圧され、直流電源30に供給される。
【0079】
本実施形態に係る電源システム1によれば、以下の効果を奏する。
(1)電源システム1は、直流電源30と、直流電源30の両極に接続された電力線21,22と負荷4とを接続する複数のアームスイッチング素子51~54を含むスイッチング回路5と、可変電圧E2の電力を2次側入出力端子対72p,72nから出力する可変電圧電源7と、を備える。また本実施形態では、可変電圧電源7の2次側入出力端子対72p,72nを何れも正極電力線21に接続することにより、直流電源30の直流電圧E1に可変電圧電源7の可変電圧E2を積み上げることができる。よって本実施形態によれば、直流電源30の直流電圧E1に可変電圧E2を重畳している間(すなわち、高電圧印加時)は、負荷4に印加する電圧を変化させるためにスイッチング回路5を操作する必要が無くなるので、電圧を多段化するにあたりスイッチング回路5に含まれるアームスイッチング素子の数を増やす必要がない。このため例えば特許文献1に示すような多段直流チョッパ回路によって電圧を多段化した場合と比較して、スイッチング回路5におけるアームスイッチング素子の数を減らすことができるので、その分だけスイッチング損失及び定常損失を低くすることができる。
【0080】
また本実施形態によれば、上述のように高電圧印加時には、電圧を変化させるためにスイッチング回路5を操作する必要が無くなるので、スイッチング回路5に含まれるアームスイッチング素子51~54の耐電圧を設計するにあたり、高電圧印加時におけるサージ電圧を考慮する必要が無くなる。よって本実施形態によれば、例えば特許文献1に示すような多段直流チョッパ回路によって電圧を多段化した場合と比較して、スイッチング回路5に含まれるアームスイッチング素子51~54の耐電圧を低くすることができるので、これらアームスイッチング素子51~54における定常損失を低くでき、さらにアームスイッチング素子51~54のコストも低減することができる。
【0081】
また本実施形態によれば、上述のように高電圧印加時には、電圧を変化させるためにスイッチング回路5を操作する必要が無くなるので、負荷4に印加する電圧の高周波成分を減らすことができるので、鉄損も低減することができる。
【0082】
ここで本実施形態に係る電源システム1によって実現される効率について従来の電源システムと比較しながら説明する。
【0083】
図5Aは、従来の電源システム100を模式的に示す図であり、図5Bは、本実施形態に係る電源システム1を模式的に示す図である。
【0084】
ここで従来の電源システム100とは、図5Aに示すように、直流電源30から出力される電力を昇圧してスイッチング回路5及び負荷4に供給する双方向DC/DCコンバータ200を備えるものをいう。従来の電源システム100では、図5Bに示す本実施形態に係る電源システム1と異なり、双方向DC/DCコンバータ200の低圧側入出力端子対201p,201nは直流電源30の両極に接続され、双方向DC/DCコンバータ200の高圧側入出力端子対202p,202nはスイッチング回路5の両極に接続されている。すなわち従来の電源システム100は、直流電源30から出力される電力は全て双方向DC/DCコンバータ200を通過する点において本実施形態に係る電源システム1と異なる。
【0085】
ここで直流電源30の電圧を2倍に昇圧しスイッチング回路5及び負荷4へ100[kW]の電力を供給する場合における両電源システム1,100のシステム全体の効率を比較する。またここでは、双方向DC/DCコンバータ200の効率及び絶縁双方向DC/DCコンバータである可変電圧電源7の効率は何れも98[%]とする。
【0086】
上述のように従来の電源システム100では、直流電源30から出力される電力は全て双方向DC/DCコンバータ200を通過することから、直流電源30の出力電力は約102[kW]となる。すなわち、従来の電源システム100におけるシステム全体の効率は、双方向DC/DCコンバータ200の効率と等しい98[%]となる。
【0087】
これに対し本実施形態に係る電源システム1では、スイッチング回路5及び負荷4に供給される電力は、直流電源30から直接出力される電力と、可変電圧電源7を通過する電力とに分けられる。すなわち従来の電源システム100と異なり、直流電源30から出力される電力のうち一部のみが可変電圧電源7を通過する。このため直流電源30の電圧を2倍に昇圧する場合、スイッチング回路5及び負荷4に供給される電力において、直流電源30から直接出力される電力と可変電圧電源7を通過する電力とは等しく50[kW]となる。このため、可変電圧電源7の効率を98[%]とした場合、直流電源30の出力電力は約101[kW]となる。従って、本実施形態に係る電源システム1におけるシステム全体の効率は、可変電圧電源7の効率よりも高い99[%]となる。なお図4に示すように正弦波の交流電力を供給する場合、可変電圧電源7を通過する電力はさらに低くなり、約34.2[kW]となるため、システム全体の効率はさらに上昇する。
【0088】
(2)本実施形態では、可変電圧電源7は、1次側入出力端子対71p,71nにおける電力を変圧して2次側入出力端子対72p,72nから可変電圧E2の電力を出力するDC/DCコンバータとし、この可変電圧電源7の1次側入出力端子対71p,71nを直流電源30の両極に接続する。すなわち本実施形態において、可変電圧電源7は、直流電源30から出力される電力を変圧することによって可変電圧E2の電力を出力する。よって本実施形態によれば、1つの直流電源30によって電圧を多段化することができる。
【0089】
(3)本実施形態では、可変電圧電源7は、絶縁トランス70と、絶縁トランス70の1次側と1次側入出力端子対71p,71nとを接続する1次側回路71と、絶縁トランス70の2次側と2次側入出力端子対72p,72nとを接続する2次側回路72と、を備える絶縁双方向DC/DCコンバータとし、直流電源30は、充放電が可能な二次電池とする。よって本実施形態によれば、負荷4から出力される電力が直流電源30の充電電圧上限よりも低い低電圧である場合には、負荷4から出力される電力を直接直流電源30に供給し、負荷4から出力される電力が充電電圧上限よりも高い高電圧である場合には、負荷4から出力される電力を可変電圧電源7によって降圧し、直流電源30に供給することができる。
【0090】
(4)本実施形態において、正極電力線21のうち2次側入出力端子対72p,72nの間には、直流電源30の出力電力を許容し、かつこの出力電流と逆向きの電流を遮断するボディダイオードを備える逆流防止用スイッチング素子34が設けられている。よって本実施形態によれば、可変電圧電源7の2次側入出力端子対72p,72nから可変電圧E2の電力を出力する際に、2次側入出力端子対72p,72nが短絡するのを防止することができる。また本実施形態によれば、可変電圧電源7の2次側入出力端子対72p,72nから可変電圧E2の電力を出力する際には、上述のように2次側入出力端子対72p,72nが短絡するのを防止しつつ、負荷4から電力が出力される場合には、スイッチング素子34をオンにし、負荷4から出力される電力を直流電源30に供給することができる。
【0091】
(5)本実施形態に係る電源システム1は、可変電圧電源7を操作することにより、2次側入出力端子対72p,72nの間の電圧を0から所定の最大電圧までの間で変化させる電源駆動装置6を備える。本実施形態によれば、電源駆動装置6によって可変電圧電源7から出力される電力の可変電圧E2の波形を好ましい波形に整形することができるので、可変電圧E2を重畳している間は、スイッチング回路5における複数のアームスイッチング素子51~54を操作することなく好ましい波形の交流電力を負荷4に供給することができる。
【0092】
(7)本実施形態において、スイッチング回路駆動装置8は、2次側入出力端子対72p,72nの間の電圧が所定の電圧閾値以下である期間内では、アームスイッチング素子51~54を交互にオン/オフ駆動するスイッチング制御を実行し、2次側入出力端子対72p,72nの間の電圧が電圧閾値より高い期間内では、アームスイッチング素子51~54をオン又はオフの何れかで維持する。すなわち本実施形態では、高電圧印加時にはスイッチング回路駆動装置8によるスイッチング制御の実行を停止することにより、スイッチング回路5におけるスイッチング損失及び定常損失をさらに低減することができる。
【0093】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電源システムについて図面を参照しながら説明する。なお以下の本実施形態に係る電源システムの説明において、第1実施形態に係る電源システム1と同じ構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施形態に係る電源システムは、可変電圧電源の回路構成が第1実施形態と異なる。
【0094】
図6は、本実施形態に係る電源システムの可変電圧電源7Aの回路構成を示す図である。可変電圧電源7Aは、前段コンバータ73と後段コンバータ80とを、直流電源30側から正極電力線21に設けられた逆流防止用スイッチング素子34側へ順に直列に組み合わせて構成される。
【0095】
前段コンバータ73は、絶縁トランス(図示せず)と、この絶縁トランスの1次側と1次側入出力端子対71p,71nとを接続する1次側回路(図示せず)と、絶縁トランスの2次側と後段コンバータ80の1次側入出力端子対81p,81nとを接続する2次側回路(図示せず)と、を備える絶縁双方向DC/DCコンバータである。なおこの前段コンバータ73は、図2を参照して説明した可変電圧電源7と同じ構成であるので、詳細な説明を省略する。前段コンバータ73の1次側入出力端子対71p,71nは、第1実施形態に係る可変電圧電源7と同様に直流電源30の正負両極に接続されている。また絶縁双方向DC/DCコンバータ73の2次側入出力端子対72p,72nは、後段コンバータ80を介し、第1実施形態に係る可変電圧電源7と同様に何れも正極電力線21に設けられた逆流防止用スイッチング素子34の両側に接続されている。
【0096】
後段コンバータ80は、前段コンバータ73の2次側入出力端子対72p,72nに接続された1次側入出力端子対81p,81nと、正極電力線21に設けられた逆流防止用スイッチング素子34の両端に接続された2次側入出力端子対82p,82nと、を備え、これら1次側入出力端子対81p,81nと2次側入出力端子対82p,82nとの間で直流電力を昇圧又は降圧し、双方向に入出力可能な双方向DC/DCコンバータである。
【0097】
図7Aは、後段コンバータ80の第1の例を示す図である。図7Aに示す後段コンバータ80は、1次側入出力端子対81p,81nに入力される直流電力を降圧して2次側入出力端子対82p,82nへ出力する降圧チョッパ回路と、2次側入出力端子対82p,82nに入力される直流電力を昇圧して1次側入出力端子対81p,81nへ出力する昇圧チョッパ回路と、を組み合わせて構成される昇降圧チョッパ回路である。
【0098】
図7Aに示す後段コンバータ80は、リアクトル830と、1次側コンデンサ831と、2次側コンデンサ832と、第1スイッチング素子833と、第2スイッチング素子834と、負母線835と、を備える。
【0099】
負母線835は、1次側入出力端子81nと2次側入出力端子82nとを接続する配線である。リアクトル830は、その一端側が2次側入出力端子82pに接続され、その他端側が第1スイッチング素子833と第2スイッチング素子834との接続ノード836に接続される。1次側コンデンサ831は、その一端側が1次側入出力端子81pに接続され、その他端側が負母線835に接続される。2次側コンデンサ832は、その一端側が2次側入出力端子82pに接続され、その他端側が負母線835に接続される。スイッチング素子833,834には、例えば、図2のスイッチング素子711と同様にNチャネル型MOSFETが用いられる。第1スイッチング素子833のドレインは1次側入出力端子81pに接続され、第1スイッチング素子833のソースはリアクトル830に接続される。また第2スイッチング素子834のドレインはリアクトル830に接続され、第2スイッチング素子834のソースは負母線835に接続される。
【0100】
図7Aに示す後段コンバータ80によれば、図示しない駆動回路によってスイッチング素子833,834をスイッチング制御することにより、1次側入出力端子対81p,81nにおける直流電力を降圧して2次側入出力端子対82p,82nから出力させたり、2次側入出力端子対82p,82nにおける直流電力を昇圧して1次側入出力端子対81p,81nから出力させたりすることができる。
【0101】
図7Bは、後段コンバータ80の第2の例を示す図である。図7Bに示す後段コンバータ80は、1次側入出力端子対81p,81nに入力される直流電力を昇降圧して2次側入出力端子対82p,82nへ出力する昇降圧チョッパ回路と、2次側入出力端子対82p,82nに入力される直流電力を昇降圧して1次側入出力端子対81p,81nへ出力する昇降圧チョッパ回路と、を組み合わせて構成されるバックブーストコンバータである。
【0102】
図7Bに示す後段コンバータ80は、リアクトル840と、1次側コンデンサ841と、2次側コンデンサ842と、第1スイッチング素子843と、第2スイッチング素子844と、第3スイッチング素子845と、第4スイッチング素子846と、負母線847と、を備える。
【0103】
負母線847は、1次側入出力端子81nと2次側入出力端子82nとを接続する配線である。リアクトル840は、その一端側が第1スイッチング素子843と第2スイッチング素子844との接続ノード848に接続され、その他端側が第3スイッチング素子845と第4スイッチング素子846との接続ノード849に接続される。1次側コンデンサ841は、その一端側が1次側入出力端子81pに接続され、その他端側が負母線847に接続される。2次側コンデンサ842は、その一端側が2次側入出力端子82pに接続され、その他端側が負母線787に接続される。スイッチング素子843~846には、例えば、図2のスイッチング素子711と同様にNチャネル側MOSFETが用いられる。第1スイッチング素子843のドレインは1次側入出力端子81pに接続され、第1スイッチング素子843のソースはリアクトル840に接続される。第2スイッチング素子844のドレインはリアクトル840に接続され、第2スイッチング素子844のソースは負母線847に接続される。第3スイッチング素子845のドレインは2次側入出力端子82pに接続され、第3スイッチング素子845のソースはリアクトル840に接続される。また第4スイッチング素子846のドレインはリアクトル840に接続され、第4スイッチング素子846のソースは負母線847に接続される。
【0104】
図7Bに示す後段コンバータ80によれば、図示しない駆動回路によってスイッチング素子843~846をスイッチング制御することにより、1次側入出力端子対81p,81nにおける直流電力を昇降圧して2次側入出力端子対82p,82nから出力させたり、2次側入出力端子対82p,82nにおける直流電力を昇降圧して1次側入出力端子対81p,82nから出力させたりすることができる。
【0105】
本実施形態に係る電源システムによれば、上記(1)~(7)の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(8)上述の第1実施形態では、図2に示すような絶縁双方向DC/DCコンバータを可変電圧電源7として用い、その2次側入出力端子対72p,72nを直接正極電力線21に接続した場合について説明した。しかしながらこの場合、2次側入出力端子対72p,72nに入力される直流電力を変圧し1次側入出力端子対71p,71nから出力させる回生時の制御範囲が限られてしまう。これに対し本実施形態では、絶縁双方向DC/DCコンバータである前段コンバータ73と双方向DC/DCコンバータである後段コンバータ80とを組み合わせたものを可変電圧電源7Aとして用いる。換言すれば本実施形態では、前段コンバータ73を、後段コンバータ80を介して正極電力線21に接続する。よって本実施形態によれば、回生時には後段コンバータ80を駆動し、必要に応じて正極電力線21側の直流電力を昇圧又は降圧して前段コンバータ73に供給することができるので、回生時における制御範囲と力行時における制御範囲とを等しくすることができる。
【0106】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る電源システムについて図面を参照しながら説明する。なお以下の本実施形態に係る電源システムの説明において、第1実施形態に係る電源システム1と同じ構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0107】
図8は、本実施形態に係る電源システム1Aの回路構成を示す図である。本実施形態に係る電源システム1Aは、多段電圧電源3A、電源駆動装置6A、及びスイッチング回路駆動装置8Aの構成が第1実施形態と異なる。
【0108】
多段電圧電源3Aは、直流の電力を出力する直流電源30と、所定の周期で変動する可変電圧の直流電力を出力する第1可変電圧電源7Bと、所定の周期で変動する可変電圧の直流電力を出力する第2可変電圧電源9Bと、第1逆流防止用スイッチング素子34Aと、第2逆流防止用スイッチング素子35Aと、を備える。多段電圧電源3Aは、以下で説明する回路構成によって、0[V]と、E1[V]と、E1+E2[V](以下では、第1可変電圧電源7Bから出力される可変電圧をE2と表記する)と、E1+E2+E3[V](以下では、第2可変電圧電源9Bから出力される可変電圧をE3と表記する)と、の4段階の直流電圧を出力可能4レベルの直流電圧電源である。
【0109】
第1可変電圧電源7B及び第1逆流防止用スイッチング素子34Aは、第1実施形態に係る電源システム1における可変電圧電源7及び逆流防止用スイッチング素子34と同じ構成であるので、詳細な説明を省略する。
【0110】
第2可変電圧電源9Bは、例えば、互いに絶縁された1次側入出力端子対91p,91nと2次側入出力端子対92p,92nとを備え、1次側入出力端子対91p,91nと2次側入出力端子対92p,92nとの間で双方向へ直流電力の入出力が可能な絶縁双方向DC/DCコンバータが用いられる。すなわち第2可変電圧電源9Bは、負荷4の力行時には1次側入出力端子対91p,91nにおける直流電力を変圧し、可変電圧E3の電力を2次側入出力端子対92p,92nから出力し、負荷4の回生時には2次側入出力端子対92p,92nにおける直流電力を変圧し、1次側入出力端子対91p,91nから直流電力を出力する。
【0111】
図8に示すように、第2可変電圧電源9Bの2次側入出力端子対92p,92nは、何れも負極電力線22のうち直流電源30とスイッチング回路5との間に接続されている。より具体的には、第2可変電圧電源9Bの2次側正極入出力端子92pは、負極電力線22のうち2次側負極入出力端子92nよりも高電位側(すなわち、2次側負極入出力端子92nよりも直流電源30側)に接続されている。なお本実施形態では、2次側入出力端子対92p,92nを何れも負極電力線22に接続した場合について説明するが、本発明はこれに限らない。第2可変電圧電源9Bの2次側入出力端子対92p,92nは、両方とも正極電力線21のうち直流電源30とスイッチング回路5との間に接続してもよい。
【0112】
第2逆流防止用スイッチング素子35Aは、負極電力線22のうち、2次側入出力端子対92p,92nの間に設けられている。このスイッチング素子35Aは、電源駆動装置6Aから入力されるゲート駆動信号GP10のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わる。本実施形態では、このスイッチング素子35Aとして、スイッチング素子51~54と同程度の耐電圧性能を有し、かつソースからドレインへの電流を許容するボディダイオードを備えるNチャネル型MOSFETを用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。このスイッチング素子35Aには、MOSFETのほか、IGBTやJFET等の既知のスイッチング素子を用いてもよい。
【0113】
スイッチング素子35Aのドレインは2次側正極入出力端子92pに接続され、スイッチング素子35Aのソースは2次側負極入出力端子92nに接続されている。このためスイッチング素子35Aのボディダイオードは、直流電流30の出力電流(負極電力線22をスイッチング回路5側から直流電源30側へ流れる電流)を許容し、かつこの出力電流と逆向きの逆電流を遮断する逆流防止ダイオードとして作用する。またゲート駆動信号GP10のオン/オフに応じてスイッチング素子35Aをオン又はオフに切り替えることにより、スイッチング素子35Aを、逆流防止ダイオードを迂回するバイパス線を断続するスイッチとして作用させることができる。
【0114】
また図8に示すように、第2可変電圧電源9Bの1次側入出力端子対91p,91nは、直流電源30の正負両極に接続されている。より具体的には、第2可変電圧電源9Bの1次側正極入出力端子91pは、直流電源30の正極に接続され、第2可変電圧電源9Bの1次側負極入出力端子91nは、直流電源30の負極に接続されている。なお本実施形態では、1次側入出力端子対91p,91nを直流電源30の正負両極に接続した場合について説明するが、本発明はこれに限らない。第2可変電圧電源9Bの1次側入出力端子対91p,91nは、直流電源30とは別の直流電源の正負両極に接続してもよい。
【0115】
なお第2可変電圧電源9Bの具体的な回路構成は、図2を参照して説明した可変電圧電源7と同じであるので、詳細な図示及び説明を省略する。すなわち、第2可変電圧電源9Bの1次側回路のスイッチング素子は電源駆動装置6Aから入力されるゲート駆動信号GP6,GP7のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わり、第2可変電圧電源9Bの2次側回路のスイッチング素子は電源駆動装置6Aから入力されるゲート駆動信号GP8、GP9のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わる。
【0116】
以上のように2つの可変電圧電源7B,9Bを備える多段電圧電源3Aによれば、0[V]と、E1[V]と、E1+E2[V]と、E1+E2+E3[V]と、の4段階の直流電圧を出力可能となっている。
【0117】
ここで負荷4の力行時における電源システム1Aの制御手順について、多段電圧電源3Aから出力する直流電力の電圧を、E1[V]未満とする低電圧出力時と、E1+E2[V]未満とする中電圧出力時と、E1+E2[V]以上とする高電圧出力時とに分けて説明する。
【0118】
先ず負荷4の力行時でありかつ低電圧出力時における電源駆動装置6A及びスイッチング回路駆動装置8Aの制御手順は、第1実施形態に係る電源システム1と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0119】
次に負荷4の力行時でありかつ中電圧出力時における電源駆動装置6A及びスイッチング回路駆動装置8Aの制御手順も、第1実施形態に係る電源システム1と同じである。すなわち、電源駆動装置6Aは、2次側入出力端子対72p,72nの間の可変電圧E2の波形が、最終的な出力波形のうち振幅が直流電源30の出力電圧E1を超える部分の波形と等しくなるように、図3を参照して説明した手順に従ってゲート駆動信号GP1,GP2を生成し、これらゲート駆動信号GP1,GP2によって可変電圧電源7の1次側回路71を操作する。また電源駆動装置6Aは、負荷4の力行時にはゲート駆動信号GP5をオフにすることにより、第1逆流防止用スイッチング素子34Aをオフにする。また中電圧出力時には、電源駆動装置6Aは、2次側入出力端子対92p,92nの間の可変電圧E3を0[V]で維持するべく、ゲート駆動信号GP6~GP10を何れもオフにする。これにより電力線21,22には、直流電源30から出力される電圧E1の直流電力に第1可変電圧電源7Bから出力される可変電圧E2の直流電力を重畳した電力が供給される。
【0120】
また中電圧出力時には、スイッチング回路駆動装置8Aは、第1実施形態に係る電源システム1と同様に、2次側入出力端子対72p,72nの間の可変電圧E2が所定の電圧閾値以下である期間内、換言すれば電力線21,22へ第1可変電圧電源7Bの出力電力を重畳していない期間内では、スイッチング回路5のスイッチング素子51~54を交互に繰り返しオン/オフ駆動するスイッチング制御を実行する。またスイッチング回路駆動装置8Aは、2次側入出力端子対72p,72nの間の可変電圧E2が上記電圧閾値より高い期間内、換言すれば電力線21,22へ第1可変電圧電源7Bの出力電力を重畳している期間内では、スイッチング素子51~54をオン又はオフの何れかの状態で維持する。
【0121】
次に負荷4の力行時でありかつ高電圧出力時における電源駆動装置6A及びスイッチング回路駆動装置8Aの制御手順について説明する。この場合、電源駆動装置6Aは、第1可変電圧電源7Bの2次側入出力端子対72p,72nの間の可変電圧E2の波形が、最終的な出力波形のうち振幅がE1から、直流電源30の出力電圧E1と第1可変電圧電源7Bの最大電圧E2_maxとの和の間の部分の波形と等しくなるように、図3を参照して説明した手順に従ってゲート駆動信号GP1,GP2を生成し、これらゲート駆動信号GP1、GP2によって第1可変電圧電源7Bの1次側回路71を操作する。また電源駆動装置6Aは、第2可変電圧電源9Bの2次側入出力端子対92p,92nの間の可変電圧E3の波形が、最終的な出力波形のうち振幅がE1+E2_maxを超える部分の波形と等しくなるように、図3を参照して説明した手順に従ってゲート駆動信号GP6,GP7を生成し、これらゲート駆動信号GP6、GP7によって第2可変電圧電源9Bの1次側回路を操作する。また電源駆動装置6Aは、負荷4の力行時にはゲート駆動信号GP5,GP10をオフにすることにより、逆流防止用スイッチング素子34A,35Aをオフにする。これにより電力線21,22には、直流電源30から出力される電圧E1の直流電力に、第1可変電圧電源7Bから出力される可変電圧E2の直流電力と、第2可変電圧電源9Bから出力される可変電圧E3の直流電力とを重畳した電力が供給される。
【0122】
また高電圧出力時には、スイッチング回路駆動装置8Aは、中電圧出力時と同様に、電力線21,22へ第1可変電圧電源7B及び第2可変電圧電源9Bの出力電力を何れも重畳していない期間内では、スイッチング回路5のスイッチング素子51~54を交互に繰り返しオン/オフ駆動するスイッチング制御を実行する、またスイッチング回路駆動装置8Aは、電力線21,22へ第1可変電圧電源7B及び第2可変電圧電源9Bの出力電力の少なくとも何れかを重畳している期間内では、スイッチング素子51~54をオン又はオフの何れかの状態で維持する。
【0123】
本実施形態に係る電源システム1Aによれば、上記(1)~(7)の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(9)本実施形態では、可変電圧E3の電力を出力する第2可変電圧電源9Bの2次側入出力端子対92p,92nを、負極電力線22に接続する。これにより、スイッチング回路5におけるアームスイッチング素子51~54の数を増やすことなく電圧の段数を増やすことができる。
【0124】
なお本実施形態では、図2を参照して説明した絶縁双方向DC/DCコンバータを第1可変電圧電源7B及び第2可変電圧電源9Bとして用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らない。第2実施形態において説明したように、絶縁双方向DC/DCコンバータである前段コンバータ73と双方向DC/DCコンバータである後段コンバータ80とを直列に組み合わせたものを第1可変電圧電源及び第2可変電圧電源として用いてもよい。
【0125】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る電源システムとこの電源システムを搭載する移動体としての車両について、図面を参照しながら説明する。
【0126】
図9は、本実施形態に係る電源システム1B及びこの電源システム1Bを搭載する車両Vの回路構成を示す図である。
【0127】
車両Vは、図示しない駆動輪に連結された交流回転電機Mと、この交流回転電機Mと後述のバッテリBとの間での電力の授受を行う車両用の電源システム1Bと、を備える。なお本実施形態では、車両Vは、主として交流回転電機Mで発生する動力によって加減速するものを例に説明するが、本発明はこれに限らない。車両Vは、動力発生源として交流回転電機Mとエンジンとを搭載する所謂ハイブリッド車両としてもよい。
【0128】
交流回転電機Mは、図示しない動力伝達機構を介して駆動輪に連結されている。電源システム1Bから交流回転電機Mに三相交流電力を供給することによって交流回転電機Mで発生させた駆動トルクは、図示しない動力伝達機構を介して駆動輪に伝達され、駆動輪を回転させ、車両Vを走行させる。また交流回転電機Mは、車両Vの減速時には発電機の機能を発揮し、回生電力を発電するとともに、この回生電力の大きさに応じた回生制動トルクを駆動輪に付与する。交流回転電機Mによって発電された回生電力は、電源システム1BのバッテリBに適宜充電される。
【0129】
電源システム1Bは、正極電力線21B及び負極電力線22Bへ多段電圧の直流の電力を出力する多段電圧電源3Bと、電力線21B,22Bと交流回転電機Mとを接続するスイッチング回路5Bと、多段電圧電源3Bを操作する電源駆動装置6Bと、スイッチング回路5Bを操作するスイッチング回路駆動装置8Bと、を備える。電源システム1Bは、駆動装置6B,8Bによって多段電圧電源3B及びスイッチング回路5Bを操作することにより、多段電圧電源3Bから電力線21B,22Bへ出力される直流の電力を三相交流に変換し交流回転電機Mに供給したり、交流回転電機Mから出力される三相交流の電力を直流に変換し多段電圧電源3Bに供給したりする。
【0130】
スイッチング回路5Bは、正極電力線21Bと負極電力線22Bとを接続する3本のレグ5U,5V,5Wを備える。
【0131】
U相レグ5Uは、正極電力線21Bと交流回転電機MのU相とを接続する第1U相電力線51Uと、負極電力線22Bと交流回転電機MのU相とを接続する第2U相電力線52Uと、第1U相電力線51Uに設けられたU相上アームスイッチング素子53Uと、第2U相電力線52Uに設けられたU相下アームスイッチング素子54Uと、を備える。
【0132】
V相レグ5Vは、正極電力線21Bと交流回転電機MのV相とを接続する第1V相電力線51Vと、負極電力線22Bと交流回転電機MのV相とを接続する第2V相電力線52Vと、第1V相電力線51Vに設けられたV相上アームスイッチング素子53Vと、第2V相電力線52Vに設けられたV相下アームスイッチング素子54Vと、を備える。
【0133】
W相レグ5Wは、正極電力線21Bと交流回転電機MのW相とを接続する第1W相電力線51Wと、負極電力線22Bと交流回転電機MのW相とを接続する第2W相電力線52Wと、第1W相電力線51Wに設けられたW相上アームスイッチング素子53Wと、第2W相電力線52Wに設けられたW相下アームスイッチング素子54Wと、を備える。
【0134】
これらスイッチング素子53U,54U,53V,54V,53W,54Wは、スイッチング回路駆動装置8Bから入力されるゲート駆動信号のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わる。
【0135】
多段電圧電源3Bは、直流の電力を出力する直流電源としてのバッテリBと、それぞれ所定の周期で変動する可変電圧の直流電力を出力するU相可変電圧電源7U、V相可変電圧電源7V、及びW相可変電圧電源7Wと、U相逆流防止用スイッチング素子34Uと、V相逆流防止用スイッチング素子34Vと、W相逆流防止用スイッチング素子34Wと、を備える。多段電圧電源3Bは、以下で説明する回路構成によって、0[V]と、E1[V](以下では、バッテリBの出力電圧をE1と表記する)と、E1+E2[V](以下では、可変電圧電源7U,7V,7Wから出力される可変電圧をE1と表記する)と、の3段階の直流電圧を出力可能な3レベルの直流電圧電源である。
【0136】
バッテリBの正極は正極電力線21に接続され、バッテリBの負極は負極電力線22に接続されている。
【0137】
各相の可変電圧電源7U,7V,7Wには、それぞれ第1実施形態に係る可変電圧電源7と同様に、1次側入出力端子対と2次側入出力端子対との間で双方向へ直流電力の入出力が可能な絶縁双方向DC/DCコンバータが用いられる。
【0138】
より具体的には、U相可変電圧電源7Uの2次側入出力端子対72Up,72Unは、何れも第1U相電力線51UのうちバッテリBとU相上アームスイッチング素子53Uとの間に接続されている。より具体的には、U相可変電圧電源7Uの2次側正極入出力端子72Upは、第1U相電力線51Uのうち2次側負極入出力端子72Unよりも高電位側(すなわち、2次側負極入出力端子72UnよりもU相上アームスイッチング素子53U側)に接続されている。
【0139】
またV相可変電圧電源7Vの2次側入出力端子対72Vp,72Vnは、何れも第1V相電力線51VのうちバッテリBとV相上アームスイッチング素子53Vとの間に接続されている。より具体的には、V相可変電圧電源7Vの2次側正極入出力端子72Vpは、第1V相電力線51Vのうち2次側負極入出力端子72Vnよりも高電位側(すなわち、2次側負極入出力端子72VnよりもV相上アームスイッチング素子53V側)に接続されている。
【0140】
またW相可変電圧電源7Wの2次側入出力端子対72Wp,72Wnは、何れも第1W相電力線51WのうちバッテリBとW相上アームスイッチング素子53Wとの間に接続されている。より具体的には、W相可変電圧電源7Wの2次側正極入出力端子72Wpは、第1W相電力線51Wのうち2次側負極入出力端子72Wnよりも高電位側(すなわち、2次側負極入出力端子72WnよりもW相上アームスイッチング素子53W側)に接続されている。
【0141】
以上のように本実施形態では、各相の可変電圧電源7U,7V,7Wの2次側入出力端子対を何れも各相の高電位側の電力線51U,51V,51Wに接続した場合について説明するが、本発明はこれに限らない。各相の可変電圧電源7U,7V,7Wの2次側入出力端子対は、両方とも各相の低電位側の電力線52U,52V,52Wに接続してもよい。
【0142】
また各相の逆流防止用スイッチング素子34U,34V,34Wは、各相の電力線51U,51V,51Wのうち、各相の2次側入出力端子対72Up,72Un、2次側入出力端子対72Vp,72Vn、及び2次側入出力端子対72Wp,72Wnの間に設けられている。
【0143】
またU相可変電圧電源7Uの1次側入出力端子対71Up,71Un、V相可変電圧電源7Vの1次側入出力端子対71Vp,71Vn、及びW相可変電圧電源7Wの1次側入出力端子対71Wp,71Wnは、それぞれバッテリBの正負両極に接続されている。より具体的には、U相可変電圧電源7Uの1次側正極入出力端子71Upは、バッテリBの正極に接続され、U相可変電圧電源7Uの1次側負極入出力端子71Unは、バッテリBの負極に接続され、V相可変電圧電源7Vの1次側正極入出力端子71Vpは、バッテリBの正極に接続され、V相可変電圧電源7Vの1次側負極入出力端子71Vnは、バッテリBの負極に接続され、W相可変電圧電源7Wの1次側正極入出力端子71Wpは、バッテリBの正極に接続され、W相可変電圧電源7Wの1次側負極入出力端子71Wnは、バッテリBの負極に接続されている。なお本実施形態では、各相の1次側入出力端子対をバッテリBの正負両極に接続した場合について説明するが、本発明はこれに限らない。各相の1次側入出力端子対は、何れもバッテリBとは別の直流電源の正負両極に接続してもよい。
【0144】
なお各相の可変電圧電源7U,7V,7Wの具体的な回路構成は、図2を参照して説明した可変電圧電源7と同じであるので、詳細な図示及び説明を省略する。以上のように相毎に可変電圧電源7U,7V,7Wを備える多段電圧電源3Bによれば、0[V]と、E1[V]と、E1+E2[V]と、の3段階の直流電圧を出力可能となっている。
【0145】
なお交流回転電機Mの力行時及び回生時における電源駆動装置6B及びスイッチング回路駆動装置8Bの制御手順は、第1実施形態に係る電源システム1とほぼ同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0146】
本実施形態に係る電源システム1B及びこれを搭載する車両Vによれば、上記(1)~(7)の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(10)本実施形態に係る車両Vは、交流回転電機Mと、バッテリBと、U相可変電圧電源7Uと、V相可変電圧電源7Vと、W相可変電圧電源7Wと、U相電力線51U,52Uと、V相電力線51V,52Vと、W相電力線51W,52Wと、を備える。また本実施形態において、U相可変電圧電源7Uの2次側入出力端子対72Up,72Unは第1U相電力線51Uに接続し、V相可変電圧電源7Vの2次側入出力端子対72Vp,72Vnは第1V相電力線51Vに接続し、W相可変電圧電源7Wの2次側入出力端子対72Wp,72Wnは第1W相電力線51Uに接続する。本実施形態によれば、第1実施形態に係る電源システム1と同様に、電圧を多段化するにあたり各相のレグに含まれるアームスイッチング素子の数を増やす必要が無くなるので、その分各相のレグにおけるスイッチング損失及び定常損失を低くすることができる。また本実施形態によれば、第1実施形態に係る電源システム1と同様に、各相のレグに含まれるスイッチング素子の耐電圧を低くすることができるので、スイッチング素子における定常損失を低くでき、さらにスイッチング素子のコストも低減することができる。また本実施形態によれば、第1実施形態に係る電源システム1と同様に、高電圧印加時には、電圧を変化させるために各相のレグ5U,5V,5Wに含まれるアームスイッチング素子を操作する必要が無くなるので、交流回転電機に印加する電圧の高周波成分を減らすことができるので、鉄損も低減することができる。
【0147】
なお本実施形態では、図2を参照して説明した絶縁双方向DC/DCコンバータを可変電圧電源7U,7V,7Wとして用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らない。第2実施形態において説明したように、絶縁双方向DC/DCコンバータである前段コンバータ73と双方向DC/DCコンバータである後段コンバータ80とを直列に組み合わせたものを可変電圧電源7U,7V,7Wとして用いてもよい。
【0148】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
【0149】
例えば上記実施形態では、可変電圧電源7,7B,9B,7U,7V,7W及び前段コンバータ73として、図2に示すようなフルブリッジ絶縁双方向DC/DCコンバータを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らない。
【0150】
図10は、可変電圧電源の回路構成の他の例を示す図である。図10には、可変電圧電源7Cを、所謂プッシュプル絶縁双方向DC/DCコンバータとした場合を示す。
【0151】
可変電圧電源7Cは、一次巻線及び二次巻線を有する絶縁トランス75と、絶縁トランス75の1次側と1次側入出力端子対76p,76nとを接続する1次側回路76と、絶縁トランス75の2次側と2次側入出力端子対77p,77nとを接続する2次側回路77と、を備える。図10に示すように可変電圧電源7Cの絶縁トランス75は、一次巻線及び二次巻線共にセンタータップ方式である点において、図2に示す可変電圧電源7の絶縁トランス70と異なる。
【0152】
1次側回路76は、1次側正極入出力端子76pと絶縁トランス75の一次巻線のセンタータップとを接続する正極電力線76Lpと、1次側負極入出力端子76nに接続された負極電力線76Lnと、これら電力線76Lp,76Lnと絶縁トランス75の一次巻線とを接続する1次側同期型両波整流回路760と、正極電力線76Lpと負極電力線76Lnとの間において互いに並列に接続された1次側電圧センサ768及び平滑コンデンサ769と、を備える。
【0153】
1次側同期型両波整流回路760は、絶縁トランス75の一次巻線の一端側と負極電力線76Lnとを接続する第1スイッチング素子761と、絶縁トランス75の一次巻線の他端側と負極電力線76Lnとを接続する第2スイッチング素子762と、を備える。これらスイッチング素子761,762は、それぞれ電源駆動装置6から入力されるゲート駆動信号GP1,GP2のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わる。図10に示す例では、これらスイッチング素子761,762として、ソースからドレインへの電流を許容するボディダイオードを備えるNチャネル型MOSFETを用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。これらスイッチング素子761,762には、MOSFETの他、IGBTやJFET等の既知のスイッチング素子を用いてもよい。
【0154】
スイッチング素子761,762のドレインはそれぞれ絶縁トランス75の一次巻線の両端に接続され、スイッチング素子761,762のソースは負極電力線76Lnに接続される。
【0155】
2次側回路77は、2次側正極入出力端子77pと絶縁トランス75の二次巻線のセンタータップとを接続する正極電力線77Lpと、2次側負極入出力端子77nに接続された負極電力線77Lnと、これら電力線77Lp,77Lnと絶縁トランス75の二次巻線とを接続する2次側同期型両波整流回路770と、正極電力線77Lpと負極電力線77Lnとの間において互いに並列に接続された2次側電圧センサ778及び平滑コンデンサ779と、を備える。
【0156】
2次側同期型両波整流回路770は、絶縁トランス75の二次巻線の一端側と負極電力線77Lnとを接続する第1スイッチング素子771と、絶縁トランス75の二次巻線の他端側と負極電力線77Lnとを接続する第2スイッチング素子772と、を備える。これらスイッチング素子771,772は、それぞれ電源駆動装置6から入力されるゲート駆動信号GP3,GP2のオン/オフに応じてオン又はオフに切り替わる。図10に示す例では、これらスイッチング素子771,772として、ソースからドレインへの電流を許容するボディダイオードを備えるNチャネル型MOSFETを用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。これらスイッチング素子771,772には、MOSFETの他、IGBTやJFET等の既知のスイッチング素子を用いてもよい。
【0157】
スイッチング素子771,772のドレインはそれぞれ絶縁トランス75の一次巻線の両端に接続され、スイッチング素子771,772のソースは負極電力線77Lnに接続される。
【符号の説明】
【0158】
V…車両(移動体)
1,1A,1B…電源システム(電源システム)
21,21B…正極電力線(第1電力線、第2電力線)
22,22B…負極電力線(第2電力線、第1電力線)
3,3A,3B…多段電圧電源(電源)
30…直流電源(直流電源、二次電池)
B…バッテリ(直流電源)
7,7A,7B,7C,9B,7U,7V,7W…可変電圧電源
70,75…絶縁トランス
71,76…1次側回路
71p,71n,76p,76n…1次側入出力端子対(第2端子対)
72,77…2次側回路
72p,72n,77p,77n…2次側入出力端子対(第1端子対)
73…前段コンバータ
80…後段コンバータ
81p,81n…1次側入出力端子対
82p,82n…2次側入出力端子対(第1端子対)
34,34A,35A,34U,34V,34W…逆流防止用スイッチング素子(逆流防止ダイオード、スイッチ)
4…負荷(交流回転電機)
M…交流回転電機(負荷)
5,5B…スイッチング回路
5a,5b,5U,5V,5W…レグ
51,52,53,54,53U,54U,53V,54V,53W,54W…アームスイッチング素子(アームスイッチ)
6,6A,6B…電源駆動装置
8,8A,8B…スイッチング回路駆動装置
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10