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特開2022-189114廃棄物収集システム及び廃棄物収集方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189114
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】廃棄物収集システム及び廃棄物収集方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20221215BHJP
   G06Q 50/26 20120101ALI20221215BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097502
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大槻 将久
(72)【発明者】
【氏名】李 海妍
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
(72)【発明者】
【氏名】高木 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】大石 耕太
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】施設から出る廃棄物の収集に携わる作業者の手間を減らすことが可能な新規技術を提供する。
【解決手段】システムは、廃棄物収容器と、データ取得装置と、施設のコンピュータと、移動体と、管理サーバと、を備える。廃棄物収容器は、施設における移動体用道路に面するスペースに設置される。データ取得装置は、廃棄物収容器による廃棄物の収集状況データを取得する。管理サーバ又は施設のコンピュータは、収集状況データに基づいて計算される判定要素と、判定閾値との比較に基づいて、廃棄物収容器の回収が必要であるか否かを判定する。管理サーバは、廃棄物収容器の回収が必要であると判定された場合、回収指令を移動体に対して送信する。移動体は、自動回収装置を備える。自動回収装置は、移動体が回収指令を受信している場合、廃棄物収容器の自動回収制御を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設から出る廃棄物を収集するシステムであって、
前記施設における移動体用道路に面するスペースに設置される廃棄物収容器と、
前記スペースに設置された前記廃棄物収容器による廃棄物の収集状況データを取得するデータ取得装置と、
前記施設のコンピュータと、
前記廃棄物収容器の自動回収装置を備える移動体と、
前記移動体及び前記施設のコンピュータと通信する管理サーバと、
を備え、
前記管理サーバ又は前記施設のコンピュータは、前記収集状況データに基づいて計算される判定要素と、前記判定要素ごとに設定される判定閾値との比較に基づいて、前記スペースに設置された前記廃棄物収容器の回収が必要であるか否かを判定し、
前記管理サーバは、前記スペースに設置された前記廃棄物収容器の回収が必要であると判定された場合、回収対象容器としての当該廃棄物収容器を回収するための回収指令を前記移動体に対して送信し、
前記自動回収装置は、前記移動体が前記回収指令を受信している場合、前記回収対象容器の設置スペースにおいて前記回収対象容器の自動回収制御を実行する
ことを特徴とする廃棄物収集システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記移動体は、更に、自動走行装置を更に備え、
前記自動走行装置は、前記移動体が前記回収指令を受信している場合、前記移動体の現在地から前記設置スペースまでの第1自動運転制御と、前記設置スペースから廃棄物集積所までの第2自動運転制御と、を実行する
ことを特徴とする廃棄物収集システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムであって、
前記回収対象容器は、廃棄物の種類に応じて設定された少なくとも2種類の廃棄物収容器を含み、
前記管理サーバ又は前記施設のコンピュータは、前記判定要素と、前記判定要素ごとに設定される判定閾値との比較に基づいて、前記少なくとも2種類の廃棄物収容器の回収が必要であるか否かを個別に判定し、
前記判定閾値の初期値が、前記廃棄物の種類に応じて個別に設定されている
ことを特徴とする廃棄物収集システム。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のシステムであって、
前記判定閾値の初期値は、前記廃棄物の種類に応じて個別に設定され、
前記管理サーバは、前記施設から前記判定閾値の変更リクエストを受け付けた場合、前記変更リクエストに応じて前記判定閾値を前記初期値以外の値に変更する
ことを特徴とする廃棄物収集システム。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のシステムであって、
前記施設は、第1施設と、第2施設と、を含み、
前記移動体は、第1移動体と、第2移動体と、を含み、
前記廃棄物収容器は、前記第1施設の前記スペースに設置された第1廃棄物収容器と、前記第2施設の前記スペースに設置された第2廃棄物収容器と、を含み、
前記管理サーバは、
前記第1廃棄物収容器の回収が必要であると判定された場合、前記第1廃棄物収容器についての前記回収指令である第1回収指令を前記第1移動体に送信し、
前記第1回収指令に基づいた前記第1移動体による前記第1廃棄物収容器の回収中に、前記第2廃棄物収容器の回収が必要であると判定された場合、前記第1移動体についての復路条件が満たされるか否かを判定し、
前記復路条件が満たされると判定された場合、前記第2廃棄物収容器についての前記回収指令である第2回収指令を前記第1移動体に送信し、
前記復路条件が満たされないと判定された場合、前記第2回収指令を前記第2移動体に送信する
ことを特徴とする廃棄物収集システム。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のシステムであって、
前記判定要素が、前記回収対象容器の重量、前記回収対象容器による廃棄物の収容率、前記回収対象容器における廃棄物の滞留時間、及び、前記回収対象容器の周囲の特定ガスの濃度の少なくとも1つである
ことを特徴とする廃棄物収集システム。
【請求項7】
施設における移動体用道路に面するスペースに設置される廃棄物収容器を移動体により回収することで前記施設から出る廃棄物を収集する方法であって、
前記施設は、前記スペースに設置された前記廃棄物収容器による廃棄物の収集状況データを取得するデータ取得装置を備え、
前記移動体は、前記廃棄物収容器の自動回収装置を備え、
管理サーバ又は前記施設のコンピュータは、前記収集状況データに基づいて計算される判定要素と、前記判定要素ごとに設定される判定閾値との比較に基づいて、前記スペースに設置された前記廃棄物収容器の回収が必要であるか否かを判定し、
前記管理サーバは、前記スペースに設置された前記廃棄物収容器の回収が必要であると判定された場合、回収対象容器としての当該廃棄物収容器を回収するための回収指令を前記移動体に対して送信し、
前記自動回収装置は、前記移動体が前記回収指令を受信している場合、前記回収対象容器の設置スペースにおいて前記回収対象容器の自動回収制御を実行する
ことを特徴とする廃棄物収集方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記移動体は、更に、自動走行装置を更に備え、
前記自動走行装置は、前記移動体が前記回収指令を受信している場合、前記移動体の現在地から前記設置スペースまでの第1自動運転制御と、廃棄物集積所までの第2自動運転制御と、を実行する
ことを特徴とする廃棄物収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設から出る廃棄物を自動的に収集するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005-8339号公報は、家庭から出る廃棄物(家庭ごみ)を収集するシステムを開示する。この従来のシステムでは、廃棄物が入ったごみ収集袋が、ごみ収集車によって収集される。ごみ収集袋には、ICタグコードが付されている。ICタグコードには、ごみ収集袋の容量及びごみ収集袋の内容物(廃棄物の種類)に関する情報が記録されている。
【0003】
ごみ収集車は、ICタグリーダ及びGPS装置を有している。ICタグリーダは、ごみ収集車によるごみ収集袋の収集時、ICタグコードの情報を読み取る。GPS装置は、ごみ収集車の位置情報を取得する。ごみ収集車は、ICタグコードの情報及び位置情報を、管理サーバに送信する。管理サーバは、ごみ収集車から受信した情報に基づいて、廃棄物の収集状況を把握する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-8339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
廃棄物がごみ収集袋に捨てられた後、ごみ収集車によって収集されるまでの作業を考える。家庭ごみは、住人によって住居外の所定の収集エリアまで運ばれる。店舗から出る廃棄物(事業系ごみ)に対する考え方は、家庭ごみのそれと同じである。即ち、事業系ごみは、店舗の従業員によって店舗外の所定の収集エリアまで運ばれる。どちらの場合も、住居、店舗といった施設外の所定の収集エリアまでは人間によって廃棄物が運ばれる。廃棄の時間帯が指定されている場合は、この時間帯に合わせて廃棄物が運ばれる。
【0006】
所定の収集エリアまで運ばれた廃棄物は、ごみ収集車の乗員によってごみ収集車に積み込まれる。つまり、ごみ収集車による廃棄物の収集時にも人間が介在している。このように、廃棄物が捨てられた後、ごみ収集車によって収集されるまでには、人手作業(つまり、運搬及び積み込み)が発生している。そのため、このような人手作業に携わる作業者の手間を減らすための新規技術の開発が望まれる。
【0007】
本発明の1つの目的は、施設から出る廃棄物の収集に携わる作業者の手間を減らすことが可能な新規技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、施設から出る廃棄物を収集するシステムであり、次の特徴を有する。
前記システムは、廃棄物収容器と、データ取得装置と、施設のコンピュータと、移動体と、管理サーバと、を備える。前記廃棄物収容器は、前記施設における移動体用道路に面するスペースに設置される。前記データ取得装置は、前記スペースに設置された前記廃棄物収容器による廃棄物の収集状況データを取得する。前記管理サーバは、前記移動体及び前記施設のコンピュータと通信する。
前記管理サーバ又は前記施設のコンピュータは、前記収集状況データに基づいて計算される判定要素と、前記判定要素ごとに設定される判定閾値との比較に基づいて、前記スペースに設置された前記廃棄物収容器の回収が必要であるか否かを判定する。
前記管理サーバは、前記スペースに設置された前記廃棄物収容器の回収が必要であると判定された場合、回収対象容器としての当該廃棄物収容器を回収するための回収指令を前記移動体に対して送信する。
前記自動回収装置は、前記移動体が前記回収指令を受信している場合、前記回収対象容器の設置スペースにおいて前記回収対象容器の自動回収制御を実行する。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において更に次の特徴を有する。
前記移動体は、更に、自動走行装置を更に備える。
前記自動走行装置は、前記移動体が前記回収指令を受信している場合、前記移動体の現在地から前記設置スペースまでの第1自動運転制御と、前記設置スペースから廃棄物集積所までの第2自動運転制御と、を実行する。
【0010】
第3の発明は、第1又は2の発明において更に次の特徴を有する。
前記回収対象容器は、廃棄物の種類に応じて設定された少なくとも2種類の廃棄物収容器を含む。
前記管理サーバ又は前記施設のコンピュータは、前記判定要素と、前記判定要素ごとに設定される判定閾値との比較に基づいて、前記少なくとも2種類の廃棄物収容器の回収が必要であるか否かを個別に判定する。
前記判定閾値の初期値が、前記廃棄物の種類に応じて個別に設定されている。
【0011】
第4の発明は、第1~3の発明の何れか1つにおいて更に次の特徴を有する。
前記判定閾値の初期値は、前記廃棄物の種類に応じて個別に設定されている。
前記管理サーバは、前記施設から前記判定閾値の変更リクエストを受け付けた場合、前記変更リクエストに応じて前記判定閾値を前記初期値以外の値に変更する。
【0012】
第5の発明は、第1~4の発明の何れか1つにおいて更に次の特徴を有する。
前記施設は、第1施設と、第2施設と、を含む。
前記移動体は、第1移動体と、第2移動体と、を含む。
前記廃棄物収容器は、前記第1施設の前記スペースに設置された第1廃棄物収容器と、前記第2施設の前記スペースに設置された第2廃棄物収容器と、を含む。
前記管理サーバは、
前記第1廃棄物収容器の回収が必要であると判定された場合、前記第1廃棄物収容器についての前記回収指令である第1回収指令を前記第1移動体に送信し、
前記第1回収指令に基づいた前記第1移動体による前記第1廃棄物収容器の回収中に、前記第2廃棄物収容器の回収が必要であると判定された場合、前記第1移動体についての復路条件が満たされるか否かを判定し、
前記復路条件が満たされると判定された場合、前記第2廃棄物収容器についての前記回収指令である第2回収指令を前記第1移動体に送信し、
前記復路条件が満たされないと判定された場合、前記第2回収指令を前記第2移動体に送信する。
【0013】
第6の発明は、第1~5の発明の何れか1つにおいて更に次の特徴を有する。
前記判定要素が、前記回収対象容器の重量、前記回収対象容器による廃棄物の収容率、前記回収対象容器における廃棄物の滞留時間、及び、前記回収対象容器の周囲の特定ガスの濃度の少なくとも1つである。
【0014】
第7の発明は、施設における移動体用道路に面するスペースに設置される廃棄物収容器を移動体により回収することで前記施設から出る廃棄物を収集する方法であり、次の特徴を有する。
前記施設は、データ取得装置を備える。前記データ取得装置は、前記スペースに設置された前記廃棄物収容器による廃棄物の収集状況データを取得する。
前記移動体は、前記廃棄物収容器の自動回収装置を備える。
管理サーバ又は前記施設のコンピュータは、前記収集状況データに基づいて計算される判定要素と、前記判定要素ごとに設定される判定閾値との比較に基づいて、前記スペースに設置された前記廃棄物収容器の回収が必要であるか否かを判定する。
前記管理サーバは、前記スペースに設置された前記廃棄物収容器の回収が必要であると判定された場合、回収対象容器としての当該廃棄物収容器を回収するための回収指令を前記移動体に対して送信する。
前記自動回収装置は、前記移動体が前記回収指令を受信している場合、前記回収対象容器の設置スペースにおいて前記回収対象容器の自動回収制御を実行する。
【0015】
第8の発明は、第7の発明において更に次の特徴を有する。
前記移動体は、更に、自動走行装置を更に備える。
前記自動走行装置は、前記移動体が前記回収指令を受信している場合、前記移動体の現在地から前記設置スペースまでの第1自動運転制御と、廃棄物集積所までの第2自動運転制御と、を実行する。
【発明の効果】
【0016】
第1又は7の発明によれば、施設における移動体用道路に面するスペースに廃棄物収容器が設置される。そのため、廃棄物収容器を施設外の所定の収集エリアまで運ぶ人手作業から開放される。従って、施設の人間の手間を減らすことが可能となる。第1又は7の発明によれば、また、移動体が回収指令を受信している場合、回収対象容器の設置スペースにおいて自動回収制御が実行される。つまり、設置スペースにおいて回収対象容器の移動体への積み込みが自動で行われる。従って、回収対象容器の積み込む人手作業から開放される。従って、移動体の乗員の手間を減らすことも可能となる。
【0017】
第2又は8の発明によれば、移動体の現在地から設置スペースまでの往路走行と、この設置スペースから廃棄物集積所までの復路走行とが自律的に行われる。従って、移動体を無人で運転して移動体による廃棄物収容器の回収の自由度を高めることが可能となる。
【0018】
第3の発明によれば、廃棄物の種類に応じて個別に設定された判定閾値に基づいて、廃棄物の収集をフレキシブルに行うことが可能となる。
【0019】
第4の発明によれば、施設の人間の好みに合わせて廃棄物の収集を行うことが可能となる。例えば、廃棄物の即時収集を住民が希望する場合、この住民が判定閾値を変更することで移動体の即時配車が可能となる。
【0020】
第5の発明によれば、第1移動体による第1廃棄物収容器の回収後に、第2廃棄物収容器を回収することが可能となる。従って、第1及び第2廃棄物収容器を効率的に回収することが可能となる。
【0021】
第6の発明によれば、回収対象容器の重量、回収対象容器による廃棄物の収容率、回収対象容器における廃棄物の滞留時間、及び、回収対象容器の周囲の特定ガスの濃度の少なくとも1つに基づいて、廃棄物収容器の回収が必要であるか否かを判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】廃棄物収容器の回収・補充サービスの前提を説明する図である。
図2】回収・補充サービスの概要を説明する図である。
図3】移動体の室内構成例を示す概略図である。
図4】回収・補充サービスの別の例を説明する図である。
図5】管理サーバの構成例を示すブロック図である。
図6】移動体の構成例を示すブロック図である。
図7】施設の構成例を示すブロック図である。
図8】施設のデータ処理装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。
図9】管理サーバのデータ処理装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。
図10】移動体の制御装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る廃棄物の収集システム及び収集方法について説明する。尚、実施形態に係る収集方法は、実施形態に係る収集システムにおいて行われるコンピュータ処理により実現される。また、各図において、同一又は相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化し又は省略する。
【0024】
1.実施形態の概要
1-1.前提
実施形態に係る収集システムは、廃棄物収容器TBの回収・補充サービスを行うためのシステムである。図1は、この回収・補充サービスの前提を説明する図である。図1に示されるように、収集システム100は、管理サーバ1と、廃棄物集積所2と、複数の移動体3と、施設4A~4Cと、を備えている。以下、説明の便宜上、施設4A~4Cを特に限定する場合を除きこれらを「施設4」と総称する。
【0025】
管理サーバ1は、回収・補充サービスの全体を統括する。管理サーバ1は、廃棄物集積所2、移動体3及び施設4とネットワークを介してそれぞれ通信する。
【0026】
廃棄物集積所2は、廃棄物処理エリア21と、待機エリア22と、を備えている。廃棄物処理エリア21では、移動体3から廃棄物収容器TBの積み下ろしが行われる。廃棄物処理エリア21では、また、廃棄物収容器TBから廃棄物が取り出されて処分される。廃棄物処理エリア21では、更に、移動体3への空の廃棄物収容器TBの積み込みが行われる。待機エリア22には、廃棄物収容器TBの積み下ろし、廃棄物収容器TBの積み込み、又は、回収・補充サービスの実施指令を待機する複数の移動体3が待機している。廃棄物集積所2は、各移動体3とネットワークを介してそれぞれ通信する。
【0027】
各移動体3は、実施指令(回収指令)に従って、廃棄物収容器TBを施設4から回収する。各移動体3は、実施指令(補充指令)に従って、空の廃棄物収容器TBを施設4に補充する。各移動体3には乗員(ドライバ)が乗っていてもよいし、乗っていなくてもよい。各移動体3は、自動走行装置と、廃棄物収容器TBの自動回収・補充装置と、を備えている。自動走行装置は、移動体3の現在地(例えば、待機エリア22)から施設4(例えば、施設4A)までの往路ルートを自律走行するための自動運転制御と、この施設4から廃棄物集積所2(例えば、待機エリア22)までの復路ルートを自律走行するための自動運転制御と、を実行する。自動走行装置は、オペレータによる遠隔支援に基づいて往路ルート及び復路ルートを走行するための制御を実行してもよい。自動回収・補充装置は、施設4での廃棄物収容器TBの自動回収・補充制御を実行する。
【0028】
施設4A~4Cは、廃棄物収容器TBが設置されるスペース5A~5Cをそれぞれ備えている。以下、説明の便宜上、スペース5A~5Cを特に限定する場合を除きこれらを「設置スペース5」と総称する。設置スペース5は、施設4における移動体用道路に面して設けられる。設置スペース5には、それぞれ、廃棄物収容器TBが少なくとも1個設置される。廃棄物収容器TBは、回収・補充サービスの事業者から提供される。廃棄物収容器TBは、例えば、樹脂又はステンレス製の容器である。廃棄物収容器TBは、蓋を有していてもよい。
【0029】
設置スペース5には、廃棄物の種類に応じた2個以上の廃棄物収容器TBが設置されてもよい。廃棄物の種類としては、可燃ごみ、不燃ごみ及び特殊ごみ(例えば、資源ごみ、ビン及び缶)が例示される。廃棄物収容器TBは、廃棄物の種類に応じて識別可能に構成されている。例えば、廃棄物収容器TBには、廃棄物の種類に応じた識別色が着色されている。別の例では、廃棄物収容器TBの外側面に、廃棄物の種類に応じた識別標示が付されている。識別標示としては、バーコード、QRコード(登録商標)といった二次元コード、RFID(Radio Frequency Identification)タグなどが例示される。
【0030】
設置スペース5では、移動体3による自動回収・補充制御が行われる。施設4A~4Cは、また、データ取得装置6A~6Cをそれぞれ備えている。データ取得装置6A~6Cは、スペース5A~5Cにそれぞれ設置された廃棄物収容器TBによる廃棄物の収集状況データを、それぞれ取得する。以下、説明の便宜上、データ取得装置6A~6Cを特に限定する場合を除きこれらを「データ取得装置6」と総称する。
【0031】
1-2.回収・補充サービス
図2は、回収・補充サービスの概要を説明する図である。図2に示される例では、スペース5Aに設置された廃棄物収容器TBの回収サービスの流れが説明されている。この回収サービスでは、まず、施設4Aから管理サーバ1に対して回収リクエストRPU(Request for Pick-Up)が送信される(ステップS1)。回収リクエストRPUは、データ取得装置6Aが取得した収集状況データに基づいた判定の結果、回収の必要があると判定された場合に送信される。
【0032】
回収リクエストRPUには、施設4A(スペース5A)の位置データ(例えば、緯度及び経度データ)と、回収する廃棄物収容器TBの個数データと、回収する廃棄物収容器TBの種類データ(つまり、廃棄物の種類のデータ)と、が含まれる。ステップS1の詳細については後述される。
【0033】
図2に示される例では、また、管理サーバ1において回収リクエストRPUを担当する移動体3が選定され、管理サーバ1からこの移動体3に対して回収指令IPU(Instruction for Pick-Up)が送信される(ステップS2)。回収指令IPUには、回収する廃棄物収容器TBが設置された施設4A(スペース5A)の位置データと、回収する廃棄物収容器TBの個数データと、廃棄物収容器TBの種類データと、が含まれる。回収指令IPUには、往路ルート及び復路ルートの位置データが含まれてもよい。ステップS2の詳細についても後述される。
【0034】
尚、ステップS1において、回収リクエストRPUは、施設4Aから管理サーバ1に対して送信されなくてもよい。この場合、施設4Aから管理サーバ1には、収集状況データが送信される。管理サーバ1は、収集状況データに基づいて、施設4Aからの回収リクエストRPUがあるか否かを判定する。施設4Aからの回収リクエストRPUがあると判定された場合、ステップS2において、これを担当する移動体3が選定され、回収指令IPUが送信される。
【0035】
図2に示される例では、また、移動体3による廃棄物収容器TBの回収が行われる(ステップS3)。移動体3は、回収指令IPUに従って、移動体3の現在地(例えば、待機エリア22)から施設4A(スペース5A)までの往路ルートを走行する。施設4Aに到着したら、移動体3は、回収指令IPUに従って、スペース5Aにおいて廃棄物収容器TBの回収を行う。廃棄物収容器TBの回収後、移動体3は、回収指令IPUに従って、施設4A(スペース5A)から廃棄物集積所2までの復路ルートを走行する。ステップS3の詳細についても後述される。
【0036】
図2に示される例では、廃棄物収容器TBの回収と同時に、空の廃棄物収容器TBの補充が移動体3によって行われてもよい。この場合は、管理サーバ1から移動体3に対して補充指令IRS(Instruction for Re-Stocking)が送信される。空の廃棄物収容器TBの補充は、廃棄物収容器TBの回収を担当する移動体3とは別の移動体3により行われてもよい。この場合は、管理サーバ1から別の移動体3に対して補充指令IRSが送信される。
【0037】
図3は、移動体3の室内構成例を示す概略図である。図3に示される例では、移動体3の室内が上部スペース3aと、下部スペース3bとに区切られている。上部スペース3aには、空の廃棄物収容器TB(つまり、施設4に補充するための廃棄物収容器TB)が収容される。下部スペース3bには、廃棄物が入った廃棄物収容器TB(つまり、施設4から回収された廃棄物収容器TB)が収容される。図3に示される構成例によれば、廃棄物収容器TBの回収と同時に、空の廃棄物収容器TBの補充を行うことが可能となる。尚、移動体3が備える自動回収・補充装置の動作例については後述される。
【0038】
図4は、回収・補充サービスの別の例を説明する図である。図4に示される例では、スペース5A及び5Cに設置された2個の廃棄物収容器TBの回収サービスの流れが説明されている。図4に示される例では、施設4Aから管理サーバ1に対して回収リクエストRPU1が送信され、施設4Cから管理サーバ1に対して回収リクエストRPU2が送信される(ステップS1)。回収リクエストRPU1及びRPU2は、ほぼ同時刻に送信されたものである。
【0039】
尚、回収リクエストRPU1及びRPU2は、施設4Aから管理サーバ1に対して送信されなくてもよい。この場合、施設4A及び4Cから管理サーバ1には、収集状況データがそれぞれ送信される。
【0040】
図4に示される例では、また、管理サーバ1において回収リクエストRPU1及びRPU2を担当する2台の移動体3が選定され、管理サーバ1からこれらの移動体3に対して回収指令IPUがそれぞれ送信される(ステップS2)。回収指令IPUについては既に説明したとおりである。
【0041】
図4に示される例では、また、2台の移動体3による廃棄物収容器TBの回収がそれぞれ行われる(ステップS3)。各移動体3は、例えば、移動体3の現在地から施設4(施設4A又は4C)までのルートを走行する。施設4(施設4A又は4C)に到着したら、各移動体3は、設置スペース5(スペース5A又は5C)において廃棄物収容器TBの回収を行う。廃棄物収容器TBの回収後、各移動体3は、施設4(施設4A又は4C)から廃棄物集積所2までの復路ルートを走行する。
【0042】
図4に示される例において、回収リクエストRPU1を担当する移動体3は、回収リクエストRPU2を担当してもよい。この場合、移動体3は、移動体3の現在地から施設4Aまでのルートを走行する。施設4Aに到着したら、移動体3は、スペース5Aにおいて廃棄物収容器TBの回収を行う。廃棄物収容器TBの回収後、移動体3は、施設4Aから施設4Cまでのルートを走行する。施設4Cに到着したら、移動体3は、スペース5Cにおいて廃棄物収容器TBの回収を行う。廃棄物収容器TBの回収後、移動体3は、施設4Cから廃棄物集積所2までの復路ルートを走行する。
【0043】
図4に示される例において、回収リクエストRPU1及びRPU2の送信は、時間を隔てて送信されてもよい。例えば、回収リクエストRPU1を担当する移動体3に対する回収指令IPUの送信後、この移動体3が廃棄物集積所2に戻ってくる前までに、回収リクエストRPU2が管理サーバ1において受け付けられてもよい。この場合、管理サーバ1は、回収リクエストRPU2を担当する別の移動体3を選定する。回収リクエストRPU2を担当する移動体3として、回収リクエストRPU1を担当中の移動体3が選定されてもよい。
【0044】
このように、収集システム100によれば、設置スペース5に設置された廃棄物収容器TBが移動体3によって回収される。設置スペース5は、施設4内に位置している。そのため、廃棄物収容器TBを施設4外の所定の収集エリアまで運ぶ人手作業から開放される。従って、施設4の人間の手間を減らすことが可能となる。また、設置スペース5では、廃棄物収容器TBの移動体3への積み込みと、空の廃棄物収容器TBの積み下ろしとが、移動体3によって自律的に行われる。従って、移動体3の乗員の手間を減らすことも可能となる。更に、収集システム100によれば、移動体3による往路ルート及び復路ルートの走行が自律的に行われる。従って、移動体3を無人で運転して回収・補充サービスの利便性を高めることが可能となる。
【0045】
以下、実施形態に係る収集システムについて詳細に説明する。
【0046】
2.収集システム
2-1.管理サーバの構成例
図5は、管理サーバ1の構成例を示すブロック図である。図5に示されるように、管理サーバ1は、入出力装置11、通信装置12、データベース13及びデータ処理装置14を備えている。データ処理装置14と、入出力装置11、通信装置12及びデータベース13とは所定のネットワークにより接続されている。
【0047】
入出力装置11は、管理サーバ1のオペレータが入力する情報を受け付け、また、このオペレータに情報を提供するためのインターフェースである。入力装置としては、キーボード、マウス、タッチパネル、スイッチ、マイク等が例示される。出力装置としては、表示装置、スピーカ等が例示される。オペレータは、出力装置を介して提供された情報に基づいて、回収・補充サービスの稼働状況を監視する。オペレータは、出力装置を介して提供された情報に基づいて、移動体3の走行の遠隔支援を行ってもよい。遠隔支援としては、認識支援、判断支援、及び遠隔運転が例示される。遠隔支援が行われた場合、入力装置から入力された信号に基づいて生成された遠隔支援信号が、通信装置12を介して移動体3に送信される。
【0048】
通信装置12は、管理サーバ1の外部と通信を行う。例えば、通信装置12は、4G、5G等の無線通信ネットワークを通して、廃棄物集積所2のコンピュータ(例えば、タブレット、スマートフォン)と通信を行う。通信装置12は、また、無線通信ネットワークを通して移動体3のコンピュータ(例えば、後述する制御装置33)と通信を行う。通信装置12は、更に、無線通信ネットワークを通して施設4のコンピュータ(例えば、後述するデータ処理装置44)と通信を行う。
【0049】
データベース13は、所定の記憶装置(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ)内に形成されている。データベース13には、回収・補充サービスに必要な各種データが格納される。各種データとしては、サービスエリア構成データARA、ユーザデータUSR及び移動体データMOBが例示される。
【0050】
サービスエリア構成データARAは、回収・補充サービスが提供されるサービスエリア(例:一つの街)の構成に関するデータである。サービスエリアの構成としては、道路の位置データ、施設4の位置データ、及び、設置スペース5の位置データが例示される。サービスエリア構成データARAは、予め作成されている。サービスエリア構成データARAは、一定期間毎にアップデートされてもよい。
【0051】
ユーザデータUSRは、回収・補充サービスのユーザ(施設)に関するデータである。ユーザデータUSRとしては、各施設のID、位置データといった登録データが例示される。施設4の人間(例えば、店舗の従業員、住居の住人など)は、施設4のコンピュータを操作して登録データを入力する。施設4のコンピュータは、登録データを管理サーバ1に送信する。管理サーバ1は、通信装置12を介してこの登録データを受け取り、データベース13に格納する。
【0052】
移動体データMOBは、移動体3に関するデータである。移動体データMOBは、移動体3ごとに生成される。移動体データMOBとしては、移動体3の稼働状況データ、移動体3の位置データ、及び、廃棄物収容器TBの収容状況データが例示される。稼働状況としては、実施指令(回収指令又は補充指令)に従った稼働中、実施指令の待機中、スタック(立ち往生)及び故障が例示される。収容状況は、廃棄物が入った廃棄物収容器TBの数、及び、空の廃棄物収容器TBの数が例示される。
【0053】
データ処理装置14は、回収・補充サービスに関する各種データ処理を行うコンピュータである。各種データ処理を行うための構成として、データ処理装置14は、少なくとも1つのプロセッサ14aと、少なくとも1つのメモリ14bと、を備えている。プロセッサ14aは、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。メモリ14bは、DDRメモリなどの揮発性のメモリであり、プロセッサ14aが使用するプログラムの展開及び各種データの一時保存を行う。各種データには、データベース13から読み出されたサービスエリア構成データARA、ユーザデータUSR及び移動体データMOBが含まれる。データ処理装置14が行う処理の例については後述される。
【0054】
2-2.移動体の構成例
図6は、移動体3の構成例を示すブロック図である。図6に示されるように、移動体3は、センサ群31と、通信装置32と、制御装置33と、走行装置34と、回収・補充装置35と、を備えている。制御装置33と、センサ群31等の要素は、車載のネットワーク(例えば、CAN(Controller Area Network))により接続されている。
【0055】
センサ群31は、位置センサ、状態センサ及び認識センサを含む。位置センサは、移動体3の位置及び方位データを取得する。位置センサとしては、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機が例示される。状態センサは、移動体3の速度、加速度(例えば、前後加速度及び横加速度)、ヨーレート、積載重量、バッテリ残量などを検出する。認識センサは、移動体3の周囲状況を認識する。認識センサとしては、カメラ、ミリ波レーダ及びLiDAR(Light Detection And Ranging)が例示される。認識センサには、バーコード、RFIDタグ等の識別標示を読み取るリーダが含まれてもよい。
【0056】
通信装置32は、移動体3の外部と通信を行う。例えば、通信装置32は、4G、5G等の無線通信ネットワークを通して、管理サーバ1と通信を行う。通信装置32は、また、無線通信ネットワークを通して廃棄物集積所2のコンピュータと通信を行う。通信装置32は、更に、無線通信ネットワークを通して施設4のコンピュータ(例えば、後述するデータ処理装置44)と通信を行う。
【0057】
制御装置33は、移動体3を制御するコンピュータである。制御装置33は、走行制御装置36と、回収・補充制御装置37と、を備えている。走行制御装置36は、走行装置34を制御するコンピュータである。走行装置34及び走行制御装置36は、本願の「自動走行装置」を構成する。回収・補充制御装置37は、回収・補充装置35を制御するコンピュータである。回収・補充装置35及び回収・補充制御装置37は、本願の「自動回収装置」を構成する。制御装置33が行う処理の例については後述される。
【0058】
走行制御装置36は、走行装置34を制御するための構成として、少なくとも1つのプロセッサ36aと、少なくとも1つのメモリ36bと、を備えている。回収・補充制御装置37は、回収・補充装置35を制御するための構成として、少なくとも1つのプロセッサ37aと、少なくとも1つのメモリ37bと、を備えている。プロセッサ36a及び37aの構成は、プロセッサ14aのそれと基本的に同じである。メモリ36b及び37bの構成は、メモリ14bのそれと基本的に同じである。
【0059】
走行装置34は、移動体3の加速、減速及び操舵を行う。走行装置34は、車輪34aと、モータ34bと、ステアリング装置34cと、ブレーキ装置34dと、を備えている。モータ34bは、車輪34aを駆動する。ステアリング装置34cは、車輪34aを転舵する。ブレーキ装置34dは、移動体3に制動力を付与する。移動体3の加速は、モータ34bの制御によって行われる。移動体3の減速は、ブレーキ装置34dの制御によって行われる。モータ34bの制御による回生ブレーキを利用して、移動体3の制動が行われてもよい。移動体3の操舵は、ステアリング装置34cの制御によって行われる。
【0060】
回収・補充装置35は、設置スペース5に設置された廃棄物収容器TBを移動体3に積み込む。回収・補充装置35は、また、移動体3から空の廃棄物収容器TBを積み降ろして設置スペース5に置く。回収・補充装置35は、移動体3のドア35aと、廃棄物収容器TBの台座35bと、スライド装置35cと、ロボットアーム装置35dと、を備えている。
【0061】
ドア35aは、移動体3の開口部(不図示)に設けられる。移動体3の走行中、ドア35aは閉じられている。廃棄物収容器TBの積み込み中、及び、空の廃棄物収容器TBを積み降ろし中、ドア35aは開かれる。スライド装置35cは、ドア25aが開かれている間、水平方向に台座35bを移動させる。水平方向に台座35bを移動すると、台座35bが移動体3の側方に引き出され、又は、引き出された台座35bが移動体3に収容される。スライド装置35cとしては、コンベヤやローラが例示される。スライド装置35cは、上下方向に台座35bを移動させる機能を有していてもよい。ロボットアーム装置35dは、設置スペース5に設置された廃棄物収容器TBを掴んで、台座35b上まで移動させる。ロボットアーム装置35dは、台座35b上の空の廃棄物収容器TBを掴んで、設置スペース5まで移動させる。
【0062】
2-3.施設の構成例
図7は、施設4の構成例を示すブロック図である。図7に示されるように、施設4は、データ取得装置41と、通信装置42と、ドア43と、データ処理装置44と、ドア制御装置45と、を備えている。データ処理装置44と、データ取得装置41及び通信装置42とは所定のネットワークにより接続されている。また、ドア43と、ドア制御装置45とは所定のネットワークにより接続されている。データ処理装置44と、ドア制御装置45とは無線通信ネットワークにより接続されている。
【0063】
データ取得装置41は、廃棄物収容器TBによる廃棄物の収集状況データCNDを取得する。収集状況データCNDとしては、廃棄物収容器TBの重量、廃棄物収容器TBによる廃棄物の収容率、廃棄物収容器TBに捨てられた廃棄物の滞留時間、及び、廃棄物収容器TBの周囲の特定ガスの濃度(又は臭いレベル)が例示される。
【0064】
重量を取得するデータ取得装置41としては、重量センサが例示される。収容率は、例えば、空の廃棄物収容器TBの容量を100%とする百分率により表される。収容率は、廃棄物収容器TBに入れられた廃棄物の総容積、又は、廃棄物の最上面の位置に基づいて計算される。総容積及び最上面位置を取得するデータ取得装置41としては、カメラが例示される。最上面位置を取得するデータ取得装置41としては、距離センサが例示される。滞留時間は、空の廃棄物収容器TBに廃棄物が捨てられてから経過した時間を示す。滞留時間を取得するデータ取得装置41としては、カメラが例示される。特定ガスの濃度を取得するデータ取得装置41としては、ガスセンサが例示される。
【0065】
通信装置42は、施設4の外部と通信を行う。例えば、通信装置42は、4G、5G等の無線通信ネットワークを通して、管理サーバ1と通信を行う。通信装置42は、また、無線通信ネットワークを通して移動体3のコンピュータ(例えば、後述する制御装置33)と通信を行う。
【0066】
ドア43は、施設4における移動体用道路と、設置スペース5とを仕切る。通常時、ドア43は閉じられている。ドア43が開かれると、施設4における移動体用道路と設置スペース5が繋がる。廃棄物収容器TBの移動体3への積み込み中、及び、移動体3から空の廃棄物収容器TBを積み降ろし中、ドア43は開かれる。ドア43の制御は、ドア制御装置45により行われる。
【0067】
データ処理装置44は、回収・補充サービスに関する各種データ処理を行うコンピュータである。各種データ処理を行うための構成として、データ処理装置44は、少なくとも1つのプロセッサ44aと、少なくとも1つのメモリ44bと、を備えている。プロセッサ44aの構成は、プロセッサ14aのそれと基本的に同じである。メモリ44bの構成は、メモリ14bのそれと基本的に同じである。
【0068】
メモリ44bには、収集状況データCNDが格納されている。メモリ44bには、また、スケジュールデータSCHが格納されている。スケジュールデータSCHは、廃棄物収容器TBの定期回収・補充のスケジュールを示すデータである。定期回収・補充のスケジュールは、曜日及び時間帯のデータを含む。定期回収・補充のスケジュールは、廃棄物収容器TBの種類ごとに設定されている。
【0069】
3.処理例
3-1.ステップS1の詳細
図8は、施設4のデータ処理装置44(プロセッサ44a)が行う処理の一例を示すフローチャートである。尚、図8に示されるルーチンは、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0070】
図8に示されるルーチンでは、まず、収集状況データCND及びスケジュールデータSCHが取得される(ステップS11)。収集状況データCNDは、廃棄物収容器TBによる廃棄物の収集状況データであり、廃棄物収容器TBごとに取得される。収集状況データCNDの例については既に説明したとおりである。
【0071】
ステップS11の処理に続いて、廃棄物収容器TBの回収が必要であるか否かが判定される(ステップS12)。ステップS12の処理では、まず、ステップS11で取得された収集状況データCNDに基づいて、判定要素が計算される。判定要素は、重量、収容率、滞留時間及び特定ガスの濃度(又は臭いレベル)の少なくとも1つである。ステップS12の処理では、続いて、計算された判定要素が判定閾値と比較される。判定閾値は、廃棄物収容器TBの種類ごとに設定されている。
【0072】
判定閾値の初期値は、管理サーバ1において事前に設定されている。この初期値は、施設4からの変更リクエストに応じて変更可能である。初期値が変更されることで、施設4の人間の好みの回収サイクルを設定することができる。尚、判定閾値が初期値以外の値に変更された場合は、回収・補充サービスに関するインセンティブを施設4に与えることが考えられる。例えば、回収サイクルを延長する方向に判定閾値が変更された場合には、回収・補充サービスの利用料金をディスカウントすることが考えられる。別の施設4と回収リクエストRPUの送信時期が重複した場合に、当該他の施設4に比べて移動体3の配車優先度を高めることも考えられる。
【0073】
判定要素が重量の場合を考える。重量が許容重量を上回る場合、廃棄物収容器TBの回収が必要であると判定される。許容重量は、例えば、廃棄物収容器TBの耐荷重を超えない重量が設定される。判定要素が収容率の場合を考える。収容率が許容率(例えば、80%)を上回る場合、廃棄物収容器TBの回収が必要であると判定される。判定要素が滞留時間の場合を考える。滞留時間が許容時間を上回る場合、廃棄物収容器TBの回収が必要であると判定される。判定要素が特定ガスの濃度の場合を考える。濃度が許容濃度を上回る場合、廃棄物収容器TBの回収が必要であると判定される。
【0074】
1箇所の設置スペース5に廃棄物収容器TBが2個以上設定されている場合、ステップS12の処理は廃棄物収容器TBごとに行われる。ステップS12の判定結果が否定的な場合、図8に示されるルーチンが終了する。ステップS12の判定結果が肯定的な場合、定期回収が予定されているか否かが判定される(ステップS13)。ステップS13の処理は、ステップS11で取得されたスケジュールデータSCH(即ち、曜日及び時間帯データ)と、現在時刻とに基づいて行われる。現在時刻から定期回収時刻までの時間差が許容差を下回る場合、定期回収が予定されていると判定される。この場合は、図8に示されるルーチンが終了する。
【0075】
ステップS13の判定結果が否定的な場合、回収リクエストRPUが管理サーバ1に送信される(ステップS14)。既に説明したように、回収リクエストRPUには、施設4A(スペース5A)の位置データと、回収する廃棄物収容器TBの個数データと、回収する廃棄物収容器TBの種類データと、が含まれている。
【0076】
3-2.ステップS2の詳細
図9は、管理サーバ1のデータ処理装置14(プロセッサ14a)が行う処理の一例を示すフローチャートである。尚、図9に示されるルーチンは、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0077】
図9に示されるルーチンでは、まず、回収リクエストRPUを受け付けたか否かが判定される(ステップS21)。管理サーバ1が施設4から回収リクエストRPUを受信した場合、回収リクエストRPUを受け付けたと判定される。管理サーバ1が施設4から収集状況データCNDを受信している場合は、この収集状況データCNDに基づいて、回収リクエストRPUを受け付けたか否かが判定される。この場合に適用される判定手法としては、図8のステップS12で説明した手法が挙げられる。
【0078】
ステップS21の判定結果が否定的な場合、図9に示されるルーチンが終了する。ステップS21の判定結果が肯定的な場合、復路条件を満たす移動体3が存在するか否かが判定される(ステップS22)。ステップS22の判定は、移動体データMOBと、回収リクエストRPUに含まれる施設4の位置データと、に基づいて行われる。復路条件を満たす移動体3は、例えば、下記条件(1)~(3)を全て満たす移動体3である。
(1)ステップS21で受け付けた回収リクエストRPU(例えば、回収リクエストRPU2)とは別の回収リクエストRPU(例えば、回収リクエストRPU1)に基づく実施指令に従って稼働中の移動体3である
(2)移動体3の室内に、回収する廃棄物収容器TBの総数に応じた数だけ空席の台座35bが残っている
(3)移動体3の現在地から、ステップS21で受け付けた回収リクエストRPU(例えば、回収リクエストRPU2)に含まれる施設4の位置までの距離が、待機中の移動体3のそれに比べて短い
【0079】
ステップS22の判定結果が肯定的な場合、復路条件を満たす移動体3に対して回収指令IPUが送信される(ステップS23)。既に説明したように、回収指令IPUには、回収する廃棄物収容器TBが設置された施設4Aの位置データと、回収する廃棄物収容器TBの個数データと、廃棄物収容器TBの種類データと、が含まれる。回収指令IPUには、往路ルート及び復路ルートの位置データが含まれてもよい。
【0080】
復路条件を満たす移動体3が複数存在する場合は、例えば、下記条件(4)及び(5)を用いて移動体3の絞り込みが行われる。例えば、下記条件(5)を満たし、かつ、下記条件(4)の所要時間が最も短い移動体3が、回収リクエストRPUを担当する移動体3として選定される。尚、下記条件(5)を満たす移動体3には、回収指令IPUに加えて補充指令IRSが送信される。
(4)移動体3の現在地から、ステップS21で受け付けた回収リクエストRPU(例えば、回収リクエストRPU2)に含まれる施設4の位置までの所要時間
(5)移動体3の室内に、補充する総数に応じた数だけ空の廃棄物収容器TBが残っている
【0081】
ステップS22の判定結果が否定的な場合、実施指令の待機中の移動体3に対して回収指令IPUが送信される(ステップS24)。回収指令IPUを担当する移動体3の選定は、例えば、上記条件(2)を用いて行われる。実施指令の待機中の移動体3が複数存在する場合は、例えば、上記条件(4)及び(5)を用いて移動体3の絞り込みが行われる。上記条件(4)を用いた絞り込みが行われる場合、待機エリア22内での移動体3の移動時間も考慮されることが望ましい。上記条件(5)を満たす移動体3には、回収指令IPUに加えて補充指令IRSが送信される。
【0082】
3-3.ステップS3の詳細
図10は、移動体3の制御装置33(プロセッサ36a及び37a)が行う処理の一例を示すフローチャートである。尚、図10に示されるルーチンは、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0083】
図10に示されるルーチンでは、まず、回収指令IPUを受け付けたか否かが判定される(ステップS31)。ステップS31の判定結果が肯定的な場合、第1自動運転制御が実行される(ステップS32)。第1自動運転制御では、まず、回収指令IPUに基づいて、移動体3の現在地から施設4までの往路ルートにおける走行計画が生成される。
【0084】
走行計画は、順次実行される複数のイベントで構成される。複数のイベントには、例えば、加速イベント、減速イベント、車線維持イベント、車線変更イベントなどが含まれる。加速イベントは、移動体3を加速させるイベントである。減速イベントは、移動体3を減速させるイベントである。車線維持イベントは、移動体3が走行している車線を逸脱しないように移動体3を走行させるイベントである。車線変更イベントは、移動体3が走行する車線を変更するイベントである。
【0085】
第1自動運転制御では、生成された走行計画に基づいて、移動体3の走行軌道が生成される。走行軌道とは、移動体3の基準位置(例えば、移動体3の重心の位置)が到達すべき目標位置の集まりである。目標位置は、現在の時刻を基準として所定時間を経過する毎に設定される。
【0086】
車線維持イベント用の走行軌道は、例えば次のように生成される。先ず、走行態様が決定される。走行態様には、例えば、定速走行、追従走行、カーブ走行、などが含まれる。定速走行は、移動体3が走行する車線上、かつ、移動体3の前方に他の移動体(例えば、車両)が走行していない場合に決定される走行態様である。追従走行は、この他の移動体が走行している場合に決定される態様である。カーブ走行は、移動体3がカーブに差し掛かった場合に決定される走行態様である。走行態様が決定された場合、移動体3の目標速度(又は目標加速度)が算出される。そして、この目標速度に基づいて、走行軌道が生成される。
【0087】
車線変更用の走行軌道は、例えば次のように生成される。先ず、移動体3の周辺に車線変更イベントに干渉する他の移動体(以下、「干渉移動体」とも称す。)が存在しないことが確認される。干渉移動体とは、移動体3と同じ方向に走行する他の移動体(例えば、車両)である。干渉車両が存在しないとは、移動体3が走行する車線において、移動体3の前方の所定距離以内に干渉移動体が存在せず、かつ、変更後の車線において移動体3の前方及び後方の所定距離以内に干渉移動体が存在しないことである。干渉移動体が存在しない場合、車線変更イベントにおける開始位置が設定される。続いて、この開始位置における移動体3の目標速度及び目標ヨーレートが算出される。そして、この目標速度及び目標ヨーレートに基づいて、走行軌道が生成される。
【0088】
第1自動運転制御では、生成された走行軌道に移動体3が追従するように走行装置34(即ち、モータ34b、ステアリング装置34c及びブレーキ装置34d)が制御される。例えば、走行軌道と移動体の偏差が計算される。偏差としては、横偏差、ヨー角偏差(方位角偏差)および速度偏差が挙げられる。そして、第1自動運転制御では、走行軌道と移動体3の偏差が減少するように走行装置34の制御量が計算される。
【0089】
ステップS32の処理に続いて、回収目的地に移動体3が到着したか否かが判定される(ステップS33)。回収目的地は、回収指令IPUに含まれる施設4(設置スペース5)の位置である。ステップS33の処理は、回収目的地に移動体3が到着するまで繰り返し実行される。
【0090】
ステップS33の判定結果が肯定的な場合、自動回収・補充制御が実行される(ステップS34)。自動回収・補充制御では、まず、ドア43が開かれていることが確認され、回収する廃棄物収容器TBが設置スペース5に存在することが確認される。ドア及び廃棄物収容器TBの認識は、センサ群31からの認識データに基づいて行われる。
【0091】
自動回収・補充制御では、続いて、ドア35a及びスライド装置35cが制御され、これにより空席の台座35bが移動体3の側方に引き出される。回収する廃棄物収容器TBの手前に空席の台座35bが位置するように、移動体3の位置が調整されてもよい。この場合、移動体3の位置の調整は、モータ34bの制御により行われる。
【0092】
自動回収・補充制御では、続いて、ロボットアーム装置35dが制御され、これにより廃棄物収容器TBが台座35bに載せられる。その後、ドア35a及びスライド装置35cが制御され、引き出された台座35bが移動体3に収容される。これにより、廃棄物収容器TBが移動体3に回収される。
【0093】
回収指令IPUに加えて補充指令IRSを受け付けている場合、廃棄物収容器TBの回収に続いて、空の廃棄物収容器TBの補充が行われる。この場合は、まず、スライド装置35cが制御され、これにより空の廃棄物収容器TBが載っている台座35bが移動体3の側方に引き出される。空の廃棄物収容器TBが載っている台座35bが設置スペース5の手前に位置するように、移動体3の位置が調整されてもよい。この場合、移動体3の位置の調整は、モータ34bの制御により行われる。
【0094】
自動回収・補充制御では、続いて、ロボットアーム装置35dが制御され、これにより空の廃棄物収容器TBが設置スペース5に設置される。その後、ドア35a及びスライド装置35cが制御され、引き出された台座35bが移動体3に収容される。
【0095】
ステップS34の処理に続いて、廃棄物収容器TBの回収が終了したか否かが判定される(ステップS35)。回収指令IPUに加えて補充指令IRSを受け付けている場合は、回収及び補充が終了したか否かが判定される。ステップS34の処理は、回収(及び補充)が終了するまで繰り返し実行される。
【0096】
ステップS35の判定結果が肯定的な場合、別の回収指令IPUを受け付けたか否かが判定される(ステップS36)。ステップS36の判定結果が肯定的な場合、ステップS32~S35の処理が行われる。
【0097】
ステップS36の判定結果が否定的な場合、第2自動運転制御が実行される(ステップS37)。第2自動運転制御では、まず、移動体3の現在地から廃棄物集積所2までの復路ルートにおける走行計画が生成される。走行計画の生成後の処理については、ステップS32で説明した第1自動運転制御での処理と同じである。
【0098】
ステップS37の処理に続いて、廃棄物集積所2(待機エリア22)に移動体3が到着したか否かが判定される(ステップS38)。ステップS38の処理は、廃棄物集積所2に移動体3が到着するまで繰り返し実行される。ステップS38の判定結果が肯定的な場合、図10に示したルーチンの処理が終了する。
【0099】
4.効果
以上説明した実施形態によれば、設置スペース5に設置された廃棄物収容器TBが移動体3によって回収される。設置スペース5は、施設4内に位置している。そのため、廃棄物収容器TBを施設4外の所定の収集エリアまで運ぶ人手作業から開放される。従って、施設4の人間の手間を減らすことが可能となる。また、設置スペース5では、廃棄物収容器TBの移動体3への積み込みと、空の廃棄物収容器TBの積み下ろしとが自律的に行われる。従って、移動体3の乗員の手間を減らすことも可能となる。更に、実施形態によれば、移動体3による往路ルート及び復路ルートの走行が自律的に行われる。従って、移動体3を無人で運転して回収・補充サービスの利便性を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0100】
1 管理サーバ
2 廃棄物集積所
3 移動体
34 走行装置
35 回収・補充装置
36 走行制御装置
37 回収・補充制御装置
4A~4C 施設
5A~5C スペース
6A~6C データ取得装置
TB 廃棄物収容器
IPU 回収指令
RPU 回収リクエスト
ARA サービスエリア構成データ
CND 収集状況データ
MOB 移動体データ
SCH スケジュールデータ
USR ユーザデータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10