(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019653
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】バルブ開閉アダプタおよびバルブ開閉治具
(51)【国際特許分類】
F16K 31/60 20060101AFI20220120BHJP
F17C 7/00 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
F16K31/60 A
F17C7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116747
(22)【出願日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2020122757
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】菅 寿夫
【テーマコード(参考)】
3E172
3H063
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA06
3E172AB20
3E172BA01
3E172DA90
3E172KA03
3E172KA11
3H063BB12
3H063BB15
3H063BB41
3H063DA03
3H063GG03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アセチレンガスボンベの開閉操作をコンタミを抑制しつつ、安全かつ容易に行う。
【解決手段】アセチレンガスを封入するボンベ本体と、ボンベ本体に設けられアセチレンガスを供給する供給部と、供給部に設けられアセチレンガスの供給量を調整するためのバルブ103と、供給部およびバルブを囲むようにボンベ本体に設けられる固定キャップ104と、を備えるアセチレンガスボンベにおけるバルブの開閉を操作するためのバルブ開閉アダプタ10であって、固定キャップに嵌め込むように構成される凹形状の装着部11と、装着部に貫通して設けられる軸部12と、軸部における、装着部の凹形状の内側に位置する一端に設けられ、バルブを嵌め込み可能なバルブ接続部13と、軸部における、装着部の凹形状の外側に位置する他端に設けられ、レンチ110を取り付け可能な取付部14と、を備える。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセチレンガスを封入するボンベ本体と、前記ボンベ本体に設けられ前記アセチレンガスを供給する供給部と、前記供給部に設けられ前記アセチレンガスの供給量を調整するためのバルブと、前記供給部および前記バルブを囲むように前記ボンベ本体に設けられる固定キャップと、を備えるアセチレンガスボンベにおける前記バルブの開閉を操作するためのバルブ開閉アダプタであって、
前記固定キャップに嵌め込むように構成される凹形状の装着部と、
前記装着部に貫通して設けられる軸部と、
前記軸部における、前記装着部の前記凹形状の内側に位置する一端に設けられ、前記バルブを嵌め込み可能なバルブ接続部と、
前記軸部における、前記装着部の前記凹形状の外側に位置する他端に設けられ、レンチを取り付け可能な取付部と、を備える、バルブ開閉アダプタ。
【請求項2】
前記装着部の前記凹形状は、深さ方向に向かって内径が小さくなるようなテーパ形状を有する、
請求項1に記載のバルブ開閉アダプタ。
【請求項3】
前記バルブ接続部は、内部に板バネが設けられる孔部を有し、前記孔部に嵌め込んだ前記バルブを固定できるように構成される、
請求項1又は2に記載のバルブ開閉アダプタ。
【請求項4】
アセチレンガスを封入するボンベ本体と、前記ボンベ本体に設けられ前記アセチレンガスを供給する供給部と、前記供給部に設けられ前記アセチレンガスの供給量を調整するためのバルブと、前記供給部および前記バルブを囲むように前記ボンベ本体に設けられる固定キャップと、を備えるアセチレンガスボンベにおける前記バルブを開閉するためのバルブ開閉治具であって、
前記固定キャップに嵌め込むように構成される凹形状の装着部と、
前記装着部に貫通して設けられる軸部と、
前記軸部における、前記装着部の前記凹形状の内側に位置する一端に設けられ、前記バルブを嵌め込み可能なバルブ接続部と、
前記軸部における、前記装着部の前記凹形状の外側に位置する他端に設けられ、前記軸部とともに前記バルブ接続部を回転するように構成されるハンドル部と、を備えるバルブ開閉治具。
【請求項5】
前記ハンドル部は板バネ構造または棒バネ構造を有しており、
前記装着部には、前記ハンドル部の回転にともなうバネの反り量を判別するための目盛が設けられている、
請求項4に記載のバルブ開閉治具。
【請求項6】
前記装着部の前記凹形状が、深さ方向に向かって径が小さくなるようなテーパ形状を有する、
請求項4又は5に記載のバルブ開閉治具。
【請求項7】
前記バルブ接続部は、内部に板バネが設けられる孔部を有し、前記孔部に嵌め込んだ前記バルブを固定できるように構成される、
請求項4~6のいずれか1項に記載のバルブ開閉治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ開閉アダプタおよびバルブ開閉治具に関する。
【背景技術】
【0002】
原子吸光分光法(Atomic Absorption Spectrometry, AAS)を用いて、元素分析を行う分析装置の一つとして、原子吸光分析装置が知られている。原子吸光分析装置は、試料を高温中(多くはアセチレン-空気炎中や黒鉛炉中)で原子化し、そこに光を透過して吸収スペクトルを測定することで、試料中の元素の同定および定量を行う装置である。原子吸光分光法は、特定の元素に対し高い選択性を示すため、工場排水などの水溶液中に含まれる微量元素の検出など、多くの分野で無機質分析の公定法として採用されている。
【0003】
原子吸光分析装置には、液体試料を化学炎で原子化させるフレーム法(フレーム発光)と化学炎を用いないで原子化するフレームレス法(FL-AAS)がある。フレーム法では代表的なものにアセチレン-空気炎があり、アセチレンの供給方法としてアセチレンガスボンベを使用している。
【0004】
アセチレンガスボンベには減圧器を取り付けて配管がしてあり、使用の際にはボンベ上部にあるバルブの開閉を行わなければならない。このバルブの開閉では、バルブレンチなどのバルブ開閉治具が用いられる。例えば特許文献1には、トルクの大きさを表示するトルク表示部を備えるバルブ開閉治具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、バルブの締め具合は開閉する人によって違うことがある。アセチレンはリークすると危険なので、バルブはきつく締められるが、どの位の締め付け具合で良いか解らず、力の強い人が閉めるとバルブが固く締まり、力の弱い人は開け難くなることがある。また、バルブを開閉するためのレンチは、バルブに取り付けた状態で手を離すと、バルブから外れてしまうため、足の上に落ちるなど危険性がある。また、バルブが固く締まり過ぎていると、バルブを開ける時の力加減がわからないので、バルブを開けたときに急にバルブが開き、レンチがバルブから外れたりするなど使用上の危険性がある。また、レンチがアセチレンで腐食し、その汚れが手につくことで、分析作業によっては汚れがコンタミの原因となることがある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、アセチレンガスボンベの開閉操作を、コンタミを抑制しつつ、安全かつ容易に行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、
アセチレンガスを封入するボンベ本体と、前記ボンベ本体に設けられ前記アセチレンガスを供給する供給部と、前記供給部に設けられ前記アセチレンガスの供給量を調整するためのバルブと、前記供給部および前記バルブを囲むように前記ボンベ本体に設けられる固定キャップと、を備えるアセチレンガスボンベにおける前記バルブの開閉を操作するためのバルブ開閉アダプタであって、
前記固定キャップに嵌め込むように構成される凹形状の装着部と、
前記装着部に貫通して設けられる軸部と、
前記軸部における、前記装着部の前記凹形状の内側に位置する一端に設けられ、前記バルブを嵌め込み可能なバルブ接続部と、
前記軸部における、前記装着部の前記凹形状の外側に位置する他端に設けられ、レンチを取り付け可能な取付部と、を備える、バルブ開閉アダプタである。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、
前記装着部の前記凹形状は、深さ方向に向かって内径が小さくなるようなテーパ形状を有する。
【0010】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、
前記バルブ接続部は、内部に板バネが設けられる孔部を有し、前記孔部に嵌め込んだ前記バルブを固定できるように構成される。
【0011】
本発明の第4の態様は、
アセチレンガスを封入するボンベ本体と、前記ボンベ本体に設けられ前記アセチレンガスを供給する供給部と、前記供給部に設けられ前記アセチレンガスの供給量を調整するためのバルブと、前記供給部および前記バルブを囲むように前記ボンベ本体に設けられる固定キャップと、を備えるアセチレンガスボンベにおける前記バルブを開閉するためのバルブ開閉治具であって、
前記固定キャップに嵌め込むように構成される凹形状の装着部と、
前記装着部に貫通して設けられる軸部と、
前記軸部における、前記装着部の前記凹形状の内側に位置する一端に設けられ、前記バルブを嵌め込み可能なバルブ接続部と、
前記軸部における、前記装着部の前記凹形状の外側に位置する他端に設けられ、前記軸部とともに前記バルブ接続部を回転するように構成されるハンドル部と、を備えるバルブ開閉治具である。
【0012】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、
前記ハンドル部は板バネ構造または棒バネ構造を有しており、
前記装着部には、前記ハンドル部の回転にともなうバネの反り量を判別するための目盛が設けられている。
【0013】
本発明の第6の態様は、第4又は第5の態様において、
前記装着部の前記凹形状が、深さ方向に向かって径が小さくなるようなテーパ形状を有する。
【0014】
本発明の第7の態様は、第4~第6の態様のいずれかにおいて、
前記バルブ接続部は、内部に板バネが設けられる孔部を有し、前記孔部に嵌め込んだ前記バルブを固定できるように構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アセチレンガスボンベの開閉操作をコンタミを抑制しつつ、安全かつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】
図1Aは、本発明の一実施形態にかかるバルブ開閉アダプタの概略構成を示す斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の一実施形態にかかるバルブ開閉アダプタの概略構成を示す断面図である。
【
図2A】
図2Aは、バルブ開閉アダプタを用いてバルブを開閉するときを説明するための斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、バルブ開閉アダプタを用いてバルブを開閉するときを説明するための断面視図である。
【
図3】
図3は、バルブ開閉アダプタの変形例を示す断面図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の一実施形態にかかるバルブ開閉治具の概略構成を示す斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の一実施形態にかかるバルブ開閉治具の概略構成を示す断面図である。
【
図5A】
図5Aは、バルブ開閉治具に目盛が設けられた場合を示す斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、バルブ開閉治具に目盛が設けられた場合を示す上面視図である。
【
図6】
図6は、バルブ開閉治具の変形例を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、アセチレンガスボンベの概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<アセチレンガスボンベ>
本発明の一実施形態にかかるバルブ開閉アダプタの説明に先立ち、アセチレンガスボンベについて
図7を用いて説明する。
図7は、アセチレンガスボンベの概略構成を示す斜視図である。なお、以下ではアセチレンガスボンベを単にガスボンベともいう。
【0018】
図7に示すように、アセチレンガスボンベ100は、少なくともボンベ本体101、供給部102、バルブ103および固定キャップ104を備えて構成される。ボンベ本体101は、アセチレンガスを封入する円筒形状の容器である。供給部102は、ボンベ本体101の一端に設けられ、ボンベ本体101に封入するアセチレンガスを外部へと供給するものである。バルブ103は、供給部102の途中に設けられ、アセチレンガスの供給量を調整するものである。
図7では、バルブ103は四角状に構成され、六角ネジによりボンベ本体101に取り付けられている。固定キャップ104は、供給部102およびバルブ103を保護するためのものであり、供給部102および供給部102に取り付けられるバルブ103を囲むようにボンベ本体101に設けられる。バルブ103の径は、例えば8mm~16mmであり、固定キャップ104の上端の径は、例えば40mm~50mmである。
【0019】
<バルブ開閉アダプタ>
以下、本発明の一実施形態にかかるバルブ開閉アダプタについて図面を用いて説明する。
図1Aは、本発明の一実施形態にかかるバルブ開閉アダプタの概略構成を示す斜視図である。
図1Bは、本発明の一実施形態にかかるバルブ開閉アダプタの概略構成を示す断面図である。
図2Aは、バルブ開閉アダプタを用いてバルブを開閉するときを説明するための斜視図である。
図2Bは、バルブ開閉アダプタを用いてバルブを開閉するときを説明するための断面視図である。
図3は、バルブ開閉アダプタの変形例を示す断面図である。なお、図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付してその説明を簡略化ないし省略することがある。
【0020】
本発明の一実施形態にかかるバルブ開閉アダプタ10は、ガスボンベ100に取り付け、レンチでのバルブ開閉操作を補助するものである。具体的には、
図1Aおよび
図1Bに示すように、バルブ開閉アダプタ10は、凹形状の装着部11、軸部12、バルブ接続部13、および取付部14を備える。
【0021】
装着部11は、凹状に形成され、ガスボンベ100の固定キャップ104に嵌め込むように構成される。装着部11の凹形状は、固定キャップ104を嵌め込めるような深さおよび広さを有する。
【0022】
軸部12は、装着部11の凹形状における底面の中心に貫通して設けられる。軸部12は、装着部11に対して回転できるように構成される。
【0023】
バルブ接続部13は、軸部12において、装着部11の凹形状の内側に位置する一端に設けられる。バルブ接続部13は、バルブ103を嵌め込み可能に構成される。バルブ接続部13は、バルブ103を嵌め込めるような形状を有すればよく、バルブ103の形状に応じて適宜変更することができる。
図1Aおよび
図1Bでは、バルブ103が四角柱状であるため、バルブ接続部13は四角状の孔部13aを有するように構成される。
【0024】
取付部14は、軸部12において、装着部11の凹形状の外側に位置する一端に、つまり、バルブ接続部13が設けられる一端とは反対側の端部に、軸部12と一体となるように設けられる。取付部14は、レンチなどの治具を取り付けるような構造を有する。
図1Aおよび
図1Bでは、レンチの四角柱状の凸形状に対応するように、取付部14が四角状の孔部を有するように構成される。なお、取付部14の孔部の内周面には、例えばレンチに設けられる、内蔵するバネにより押し込み可能に構成される突起部111(例えばボール状)を収容する溝が設けられてもよい。これにより、レンチを取付部14に取り付けたときにレンチをより安定して固定することができる。
【0025】
なお、バルブ開閉アダプタ10を構成する装着部11、軸部12、バルブ接続部13および取付部14のそれぞれの形成材料は、アセチレンガスによる腐食およびそれに伴うコンタミを抑制できるものであれば特に限定されない。装着部11については、バネ鋼や樹脂を用いることができ、バルブ開閉アダプタ10を軽量化して取り扱い性を向上させる観点からは樹脂が好ましい。一方、軸部12、バルブ接続部13および取付部14は、レンチを取り付けて回転させるときに損傷を抑制する観点から、バネ鋼を用いることが好ましい。樹脂やバネ鋼によれば、アセチレンガスの接触による各部材の腐食を抑制できるので、コンタミなどを抑制することができる。
【0026】
本実施形態のバルブ開閉アダプタ10は、具体的には
図2Aおよび
図2Bに示すように使用することができる。まず、凹形状を有する装着部11をガスボンベ100の固定キャップ104に嵌め込み、バルブ開閉アダプタ10をガスボンベ100に取り付ける。このとき、軸部12の一端にあるバルブ接続部13をバルブ103に嵌め込む。続いて、軸部12の他端にある取付部14にレンチ110を取り付ける。レンチ110として、例えばトルクラチェットレンチなどを用いることができる。続いて、レンチ110を回転させることで、軸部12とともにバルブ接続部13を回転させる。これにより、ガスボンベ100のバルブ103の開閉を行い、供給部102からのアセチレンガスの供給を調整する。
【0027】
本実施形態のバルブ開閉アダプタ10によれば、取付部14にレンチ110を嵌め込んで取り付けたときに、レンチ110の突起部111を取付部14の内部の溝に嵌め込み、レンチ10を取付部14に固定することができるので、レンチ110から手を放しても、レンチ110が取付部14から外れることを抑制し、安全性を確保することができる。またバルブ開閉アダプタ10は、装着部11を固定キャップ104に、バルブ接続部13をバルブ103にそれぞれ嵌め込むことで、ガスボンベ100に容易に取り付けることができる。また、バルブ103に対してバルブ開閉アダプタ10を介してレンチ110を取り付けて開閉操作を行うことができるので、アセチレンによるレンチ110の腐食を抑制し、それに伴うコンタミを低減することができる。
【0028】
また、バルブ開閉アダプタ10における装着部11の凹形状は、その内側面が
図1Bに示すように垂直な面でもよいが、
図3に示すように、深さ方向に向かって内径が小さくなるようなテーパ形状であることが好ましい。このような形状とすることにより、バルブ開閉アダプタ10を固定キャップ104に嵌め込みやすくなり、取り扱い性をより向上させることができる。
【0029】
また、バルブ接続部13は、
図3に示すように、孔部13aで構成され、その孔部13aの内部に板バネ13bが設けられることが好ましい。これにより、バルブ103を孔部13aに嵌め込んだときに、板バネ13bでバルブ103を強固に固定することができる。そのため、レンチ110により軸部12を回転させるときに、バルブ接続部13がバルブ103から外れることを抑制することができる。特に、装着部11の凹形状がテーパ形状である場合に、バルブ接続部13に板バネ13bを設けるとよい。
【0030】
<バルブ開閉治具>
続いて、本発明の一実施形態にかかるバルブ開閉治具について図面を用いて説明する。上述したバルブ開閉アダプタ10はアセチレンガスボンベ100に取り付けてレンチ110で開閉操作を行うためのものであったが、バルブ開閉治具は、開閉操作を行うためのハンドル部が取り付けられて構成され、レンチを用いることなく開閉操作を行うことができるものである。
図4Aは、本発明の一実施形態にかかるバルブ開閉治具の概略構成を示す斜視図である。
図4Bは、本発明の一実施形態にかかるバルブ開閉治具の概略構成を示す断面図である。
【0031】
図4Aおよび
図4Bに示すように、バルブ開閉治具20は、上述したバルブ開閉アダプタ10における軸部12の一端にある取付部14がハンドル部15に変更された以外は、バルブ開閉アダプタ10と同様の構造を有する。具体的には、バルブ開閉治具20は、凹形状の装着部11と、軸部12と、バルブ接続部13と、軸部12のバルブ接続部13とは反対側の一端にハンドル部15と、を備えて構成される。
【0032】
ハンドル部15は、軸部12において、バルブ接続部13が設けられる一端とは反対側の一端に設けられる。ハンドル部15は、軸部12に取り付けられ、ハンドル部15の回転により軸部12ともにバルブ接続部13を回転できるように構成される。ハンドル部15は、手で把持して回転できれば、その形状は特に限定されない。例えば、
図4Aおよび
図4Bに示すように、ロッド状であって、その両端を把持して回転できるような形状でもよく、また例えば円形状であってもよい。
【0033】
なお、ハンドル部15の形成材料は特に限定されないが、アセチレンガスによる腐食およびそれに伴うコンタミを抑制する観点からは、バネ鋼で形成することが好ましい。バネ鋼によれば、アセチレンガスの接触による腐食を抑制できるので、コンタミなどを抑制することができる。
【0034】
また、
図4Aおよび
図4Bでは、ハンドル部15が軸部12と一体的に形成される場合を図示するが、これらを別体として、ハンドル部15を軸部12に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、軸部12の上面に溝を設け、その溝にハンドル部15を嵌め込むことで、軸部12にハンドル部15を取り付けることができる。これにより、例えば、装着部11、軸部12およびバルブ接続部13を備える治具本体部をアセチレンガスボンベ100に常時取り付けることができ、バルブ開閉の際にハンドル部15を軸部12に取り付け、開閉操作を行うことができる。このように、バルブ開閉治具20の取り扱い性を向上させることができる。
【0035】
本実施形態のバルブ開閉治具20は、上述のバルブ開閉アダプタ10と同様にガスボンベ100に取り付けて使用することができる。例えば、まず、凹形状を有する装着部11をガスボンベ100の固定キャップ104に嵌め込み、バルブ開閉治具20をガスボンベ100に取り付ける。このとき、軸部12の一端にあるバルブ接続部13をバルブ103に嵌め込む。続いて、ハンドル部15を手で把持して回転させ、軸部12とともにバルブ接続部13を回転させる。これにより、ガスボンベ100のバルブ103の開閉を行い、供給部102からのアセチレンガスの供給を調整する。
【0036】
バルブ開閉治具20によれば、ハンドル部15を備えるので、例えばレンチなどを用いることなく、バルブ103の開閉操作を行うことができる。そのため、レンチを使用するときに生じる危険を防ぎ、安全性を確保することができる。バルブ開閉治具20は、バルブ開閉アダプタ10と同様に、ガスボンベ100に容易に取り付けることができ、また、アセチレンによるレンチの腐食を抑制し、それに伴うコンタミを低減することができる。
【0037】
また、バルブ開閉治具20は、
図5Aおよび
図5Bに示すように、ハンドル部15が板バネ構造16を有し、装着部11には、ハンドル部15の回転にともなうバネの反り量を判別するための目盛17が設けられることが好ましい。ハンドル部15が板バネ構造16を有することで、ハンドル部15の回転をバネの反り具合に反映させて、その反り具合を目盛17により視認して判別することができる。これにより、バルブ103の締め付け具合を容易に把握することが可能となる。そのため、作業の安全性を確保するとともに、バルブ103を開閉するときの力加減を容易に調整することができる。また、ハンドル部15は、
図5Aおよび
図5Bに示すような板バネ構造16に限定されず、
図6に示すように、棒バネ構造18を有してもよく、棒バネ構造18での反り量を目盛17で判別できるように構成してもよい。
【0038】
また、バルブ開閉治具20は、
図3に示すバルブ開閉アダプタ10と同様、装着部11の凹形状が、深さ方向に向かって径が小さくなるようなテーパ形状を有することが好ましい。このような形状とすることにより、バルブ開閉治具20を固定キャップ104に嵌め込みやすくなり、取り扱い性をより向上させることができる。
【0039】
また、バルブ開閉治具20は、
図3に示すバルブ開閉アダプタ10と同様、バルブ接続部13が、内部に板バネ13bが設けられる孔部13aで構成されることが好ましい。これにより、バルブ接続部13にてバルブ103を強固に固定することができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 バルブ開閉アダプタ
11 装着部
12 軸部
13 バルブ接続部
14 取付部
15 ハンドル部
16 板バネ構造
17 目盛
18 棒バネ構造
20 バルブ開閉治具
100 アセチレンガスボンベ
101 ボンベ本体
102 供給部
103 バルブ
104 固定キャップ
110 レンチ
111 突起部