(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020757
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】ポンプを備えたエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/48 20200101AFI20220125BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20220125BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20220125BHJP
【FI】
A24F40/48
A24F40/10
A24F40/42
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180780
(22)【出願日】2021-11-05
(62)【分割の表示】P 2018530602の分割
【原出願日】2016-12-08
(31)【優先権主張番号】15202158.0
(32)【優先日】2015-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス ショーン
(72)【発明者】
【氏名】レンフリュー ブルース
(72)【発明者】
【氏名】マズール ベン
(72)【発明者】
【氏名】ブライト ベン
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(57)【要約】
【課題】維持管理費用が安い液体輸送システムおよび低減された電力消費をもつ改善されたエアロゾル発生システムを提供する。
【解決手段】本発明は、液体エアロゾル形成基体を保存するための液体貯蔵部分と、内部通路をもつ発熱体を含む気化器と、液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分から発熱体の内部通路に送達するように構成されるマイクロポンプと、を含み、気化器が、内部通路に送達された液体エアロゾル形成基体を、送達された液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を揮発するのに十分な温度に加熱するように構成される、エアロゾル発生システムに関連する。本発明はさらに、エアロゾル発生システムのためのカートリッジであって、エアロゾル発生システムの液体貯蔵部分を含むカートリッジに関連する。本発明はさらに、エアロゾルを発生させるための方法に関連する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体エアロゾル形成基体を保存するための液体貯蔵部分と、
開放的な内部通路を画定する構造をもつ発熱体基体を含む気化器と、
液体エアロゾル形成基体を前記液体貯蔵部分から前記発熱体の前記内部通路に送達するように構成されるマイクロポンプと、を含み、
前記気化器が、前記内部通路に送達された前記液体エアロゾル形成基体を、前記送達された液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を揮発するのに十分な温度に加熱するように構成される、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記マイクロポンプが、1回のポンプサイクルの実行に伴って、定められた量の液体エアロゾル形成基体を前記液体貯蔵部分から前記発熱体の前記内部通路に送達するように構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記システムが、前記液体エアロゾル形成基体がその中に送達されるチャンバーをさらに含み、前記発熱体が、前記液体エアロゾル形成基体がそれを通じて送達される前記マイクロポンプの出口の下流の前記チャンバーの内部に配置される、請求項1または2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記システムが、前記液体エアロゾル形成基体がそれを通じて前記マイクロポンプから前記気化器に送達される管状のセグメントをさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記気化器が、前記管状のセグメントの開端部の下流に配置される、請求項4に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記管状のセグメントが、毛細管を含む、請求項4または5に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記気化器が、前記管状のセグメントの一部の周りに延在する加熱コイルを含む、請求項4、5または6に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記気化器が、前記管状のセグメントから長手方向に延在する加熱コイルを含む、請求項4、5または6に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記気化器が、前記管状のセグメントから長手方向に延在する円錐形のヒーターを含む、請求項4、5または6に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記液体貯蔵部分が、剛直な容器と、前記液体貯蔵部分から前記発熱体の前記内部通路への液体エアロゾル形成基体の送達に伴って、空気を前記容器内に通すように構成される、一方向の弁と、を含む、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記液体貯蔵部分が、前記液体貯蔵部分から前記発熱体の前記内部通路への液体エアロゾル形成基体の送達に伴って、前記液体貯蔵部分の容積を減少するように構成される少なくとも1つの可動壁を有する、可撓性の容器を含む、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記液体貯蔵部分が、液体エアロゾル形成基体で前記液体貯蔵部分を再充填するための隔壁を含む、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記液体貯蔵部分が、前記液体貯蔵部分と前記マイクロポンプとの間に配置される一方向の弁を含む、請求項1~12のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記マイクロポンプを通じて前記送達される液体エアロゾル形成基体の流量が、毎秒0.5~2マイクロリットル以内である、請求項1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
主要ユニットおよびカートリッジを含み、前記カートリッジが、前記主要ユニットと取り外し可能なように結合され、前記主要ユニットが、電源を含み、前記液体貯蔵部分が、前記カートリッジに提供され、前記マイクロポンプが、前記主要ユニットに提供される、請求項1~14のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項16】
前記エアロゾル発生システムの前記液体貯蔵部分を含む、請求項14に記載のエアロゾル発生システムのためのカートリッジ。
【請求項17】
エアロゾルを発生させるための方法であって、
液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分内に保存することと、
マイクロポンプによって、液体エアロゾル形成基体を前記液体貯蔵部分から気化器の発熱体内の内部通路に送達することと、
前記気化器によって、前記内部通路内に前記送達された液体エアロゾル形成基体を、前記送達された液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を揮発するのに十分な温度に加熱することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ち式の電気的に作動する喫煙システムなどの、エアロゾル発生システムに関する。特に、本発明は、エアロゾル形成基体が、液体であり、液体貯蔵部分に含まれる、エアロゾル発生システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの1つのタイプは、電気的に作動する喫煙システムである。電池および制御電子回路を備える装置部分と、液体貯蔵部分に保持されるエアロゾル形成基体の供給を備えるカートリッジ部分と、電気的に動作する気化器とから成る、手持ち式の電気的に作動する喫煙システムが周知である。液体貯蔵部分に保持されたエアロゾル形成基体の供給および気化器の両方を備えるカートリッジは、時々「カトマイザー」と呼ばれる。気化器は、一般に、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体に浸された細長い芯の周りに巻かれたヒーターワイヤーコイルを含む。カートリッジ部分は、一般にエアロゾル形成基体の供給および電気的に動作する気化器だけでなく、ユーザーが使用時にエアロゾルを自分の口の中に引き出すために吸うマウスピースも含む。
【0003】
EP0957959B1は、源からの液体材料を受けるための電気的に動作するエアロゾル発生器であって、開端部をもつ管を通る源からの計量値における液体材料をポンピングするためのポンプと、管を囲むヒーターと、を含む、エアロゾル発生器を開示する。液体材料をヒーターによって加熱した時に、揮発性材料は、管の開端部を出ることによって広がる。
【0004】
残留物は、加熱に伴い生成される。毛細管において、残留物は目詰まりを引き起こしうる。この影響は、液体輸送特性を変化させうる。さらに、液体材料は、以下のように間接的に加熱される。最初に、管または毛細管芯が加熱され、次に、液体材料が加熱される。したがって、熱は、エネルギー移動プロセスの間に失われうる。
【0005】
維持管理費用が安い液体輸送システムおよび低減された電力消費をもつ改善されたエアロゾル発生システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第一の態様によれば、液体エアロゾル形成基体を保存するための液体貯蔵部分と、開放的な内部通路を画定する構造をもつ発熱体を含む気化器と、液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分から発熱体の内部通路に送達するように構成されるマイクロポンプと、を含み、気化器が、内部通路に送達された液体エアロゾル形成基体を、送達された液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を揮発するのに十分な温度に加熱するように構成される、エアロゾル発生システムが提供される。
【0007】
定められた量の液体エアロゾル形成基体が、液体貯蔵部分から発熱体の内部通路にポンプで送り込まれる。液体エアロゾル形成基体を発熱体に直接的に配置することによって、液体エアロゾル形成基体は、それが発熱体に到達するまでその液体状態を保ったままであることができる。結果として、液体輸送の間の残留物の生成を最小にすることができる。こうした設計により、気化器のないカートリッジの製造が許容されうる。改善された液体輸送によって、管状のセグメントおよび気化器は、液体貯蔵部分が空になった時に処分される必要がなくなりうる。毛細管芯または任意の他の受動媒体の代わりにポンプを用いて液体を引き出すことによって、実際に要求される量の液体エアロゾル形成基体のみが、発熱体に搬送されうる。液体エアロゾル形成基体のみが、例えば、ユーザーによる吸煙に応じるなどの需要に基づいてポンプで送り込まれうる。
【0008】
マイクロポンプは、例えば毎秒約0.5~2マイクロリットルの低流量で液体エアロゾル形成基体のオンデマンドの送達を可変または一定の時間間隔で可能としうる。マイクロポンプは、適切な量の液体エアロゾル形成基体を発熱体に送達するために、注意深く調整されうる。結果として、蒸着される液体エアロゾル形成基体の量は、ポンプサイクルの量から決定することができる。
【0009】
マイクロポンプは、水と比較して相対的に高い粘度をもつ特徴がある液体エアロゾル形成基体をポンプで送り込むように構成されうる。液体エアロゾル形成基体の粘度は、約10~500ミリパスカル秒の範囲であってもよく、好ましくは、約17~86ミリパスカル秒の範囲であってもよい。
【0010】
マイクロポンプは、例えば、ポンプ入口、ポンプ出口、およびポンプ入口とポンプ出口との間にポンプチャンバーを含む、単一のマイクロポンプであってもよい。ポンプで送り込まれる液体エアロゾル形成基体は、ポンプ入口において利用できる。単一のマイクロポンプは、ポンプ入口とポンプ出口のそれぞれにおいて受動的な逆止め弁と結合する圧電振動板に基づきうる。薄膜上に取り付けられた圧電セラミックは、電圧の印加に基づいて変形されうる。結果として生じる下り行程は、液体エアロゾル形成基体をポンプチャンバーの外へ変位させる。逆止め弁は、例えば、カートリッジ内への使用の間の逆流を防ぐことができる。ポンプは、入口から出口にポンプを通る液体の流れの方向を制御する。圧電セラミックに加えられた電圧が減少する時に、対応する圧電変形は、薄膜の上り行程を引き起こす。液体エアロゾル形成基体は、ポンプ入口から吸い込まれて、ポンプチャンバーを充填する。単一のマイクロポンプは、例えば、最大で毎秒100ポンプサイクル、毎秒200ポンプサイクル、毎秒300ポンプサイクル、毎秒400ポンプサイクル、または毎秒500ポンプサイクルなど、最大で毎秒数百回のポンプサイクルを実行しうる。
【0011】
マイクロポンプは、直列の複数の単一のマイクロポンプを含み、ここにおいて、単一のマイクロポンプのポンプ出口は、次の単一のマイクロポンプのポンプ入口に接続されうる。マイクロポンプは、直列の2つの単一のマイクロポンプを含むことが好ましい。直列の単一のマイクロポンプを通る液体の適切な流れを確実にするために、圧電変換器が、例えば、相互に連続的に動作することができる。2つの単一のマイクロポンプの場合では、第一の単一のマイクロポンプに対応する圧電変換器が、作動して、上下行程を実行し、次に、第二の単一のマイクロポンプに対応する圧電変換器が、作動して、上下行程を実行する。複数の単一のマイクロポンプを用いたマイクロポンプの1回のポンプサイクルは、1つの単一のマイクロポンプの圧電変換器の作動の後に、その他の単一のマイクロポンプの圧電変換器の作動を要求しうる。
【0012】
流量を調節する時、発熱体において多量の送達された液体エアロゾル形成基体を蒸発させるために、より多くのエネルギーが要求されうる。したがって、気化器の温度設定は、液体の流量に従って調節されうる。
【0013】
発熱体の温度は、電気回路によって制御されることが好ましい。電気回路は、以下で詳細に説明されるような、予熱継続時間パラメーター、保持高継続時間パラメーター、保持低継続時間パラメーター、および保持中断継続時間パラメーターのうちの少なくとも1つに基づいて、発熱体の温度を制御することが好ましい。
【0014】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生の動作を開始した時、予熱モードでありうる。電気回路は、発熱体が所定の動作温度に到達するまで、絶えず発熱体を加熱することが好ましい。その動作温度は、250℃でありうる。予熱モードの継続時間は、予熱継続時間パラメーターによって制御されうる。予熱継続時間パラメーターは、3000~4000ミリ秒の値に設定されることが好ましい。標準的な状況下で、エアロゾル発生システムは、予熱継続時間以内でその動作温度に到達しうる。動作温度に到達すると、マイクロポンプは、少なくとも1回のポンプサイクルのために作動し、ある量の液体エアロゾル形成基体をマイクロポンプを通じて輸送し、エアロゾル発生システムをすぐに使えるようにしうる。
【0015】
エアロゾル発生システムは、次に、電気回路が吸煙を検出するまで、または保持中断継続時間が保持中断継続時間パラメーターの値によって定められたところに到達するまで、温度保持モードに入りうる。
【0016】
温度保持モードでは、連続的な加熱パルスが、発熱体に送られてもよく、それにより、保持中断に達するまで予熱温度を動作温度より低く維持する効果を有することができる。低予熱温度は、150℃でありうる。
【0017】
加熱パルスは、連続的な高信号および低信号を含んでもよく、例えば、ここにおいて、高信号は、保持高継続時間パラメーターの値の間に発熱体への電力の印加を引き起こし、低信号は、保持低継続時間パラメーターの値の継続時間、発熱体への電力の印加を停止する。温度保持モードの継続時間は、エアロゾル発生システムが冷却モードに入る前に、保持中断継続時間パラメーターの値によって制御されうる。
【0018】
これらの種々のモードの実用的な効果は、発熱体が規則的な吸煙の間にすでに高温であるので、吸煙における待ち時間を減少し、一方でエアロゾル発生システムが、使用時ではなく電源を入れる時に電力を節約することができることでありうる。入力が吸煙センサーから検出された時、連続的な加熱パルスの交流信号が、一定の信号と置き換えられて、発熱体の温度を動作温度に近づけうる。
【0019】
吸煙が検出されて、発熱体が動作温度に到達すると、電気回路は、マイクロポンプを作動させて、吸煙の継続時間発熱体の内部通路に液体エアロゾル形成基体を送達するために定められた流量に設定しうる。
【0020】
吸煙を停止すると、エアロゾル発生システムは、温度保持モードに戻りうる。入力が温度保持継続時間の間に検出されない場合、装置は、自動的に冷却され、また入力を待つ。
【0021】
マイクロポンプと発熱体の両方は、吸煙検出システムによってトリガーされうる。別の方法として、マイクロポンプおよび発熱体は、吸煙の持続時間の間保持されるオンオフボタンを押すことによってトリガーされうる。
【0022】
マイクロポンプは、1回のポンプサイクルの実行に伴って、定められた量の液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分から発熱体の内部通路に送達するように構成されることが好ましい。
【0023】
エアロゾル発生システムは、液体エアロゾル形成基体がその中に送達されるチャンバーをさらに含むことが好ましく、発熱体は、液体エアロゾル形成基体がそれを通じて送達されるマイクロポンプの出口の下流のチャンバーの内部に配置される。
【0024】
本明細書に使用される用語「上流」、「下流」、「近位」、「遠位」、「前方」および「後方」は、ユーザーがその使用の間、エアロゾル発生システムを引き出す方向に関してエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の相対的位置を記述するために使用される。
【0025】
エアロゾル発生システムは、使用時にユーザーに送達されるために、そこを通してエアロゾルがエアロゾル発生システムを抜け出る口側の端を含みうる。また、口側の端は近位端と呼ばれてもよい。使用時に、エアロゾル発生システムによって発生したエアロゾルを吸い込むために、ユーザーはエアロゾル発生システムの近位端または口側の端上で吸い出す。エアロゾル発生システムは近位端または口側の端と向かい合った遠位端を備える。エアロゾル発生システムの近位端または口側の端は下流端と呼ばれることもあり、またエアロゾル発生システムの遠位端は上流端と呼ばれることもある。エアロゾル発生システムの構成要素、または構成要素の部分は、エアロゾル発生システムの近位端、下流端、または口側の端とエアロゾル発生システムの遠位端、または上流端との間の相対的な位置に基づき、互いに上流または下流にあるものとして描写されうる。
【0026】
エアロゾル発生システムは、液体エアロゾル形成基体がそれを通じてマイクロポンプから気化器に送達される管状のセグメントをさらに含むことが好ましい。管状のセグメントは、液体エアロゾル形成基体を発熱体へ直接的に送達するように配置されうる。管状のセグメントは、液体エアロゾル形成基体を発熱体内の内部通路の開端部の方へ送達するように配置されうる。管状のセグメントは、発熱体内の内部通路の開端部に向かう方向において液体貯蔵部分から延在していてもよい。気化器は、管状のセグメントの開端部の下流に配置されうる。気化器は、管状のセグメントの一部の周りに延在していてもよい。
【0027】
管としても言及される管状のセグメントは、ノズルであってもよい。管状のセグメントは、例えば、ガラス、シリコン、金属(例えば、ステンレス鋼)、またはプラスチック材料(例えば、PEEK)などの任意の適切な材料を含みうる。管のサイズは、ポンプ出口のサイズと適合していてもよい。管は、例えば、約1~2ミリメートルの直径を有しうるが、その他の寸法も考えられる。管状のセグメントは、シリコン管材料を介してマイクロポンプに接続される2ミリメートルの毛細管ノズル(例えば、ドラモンド製のガラス)であってもよい。管状のセグメントは、毛細管を含むことが好ましい。毛細管の断面は、円形状、長円状、三角形状、長方形状、または任意の他の適切な形状とし、それにより液体を移動することができる。毛細管の断面積の少なくとも幅寸法は、一方では毛細管力が存在するように、十分に小さく選択されることが好ましい。同時に、毛細管の断面積は、適切な量の液体エアロゾル形成基体を発熱体に移動することができるように十分に大きい必要があることが好ましい。一般に、毛細管の断面積は、一部の実施例では、4平方ミリメートル未満、1平方ミリメートル未満、または0.5平方ミリメートル未満である。
【0028】
気化器は、管状のセグメントから長手方向に延在する加熱コイルを含みうる。別の方法として、または追加的に、コイルでありうる発熱体は、管状のセグメントの一部の周りに延在していてもよい。加熱コイルは、管状のセグメントに対して横断方向に取り付けられてもよい。加熱コイルは、3ミリメートルまで、好ましくは、1ミリメートルまで管状のセグメントの開端部の上にあってもよい。一部の実施例では、管状のセグメントの開端部と加熱コイルとの間に一定の距離があってもよい。加熱コイルの長さは、2ミリメートル~9ミリメートルであってもよく、3ミリメートル~6ミリメートルであることが好ましい。加熱コイルの直径は、加熱コイルの一方の端が管状のセグメントの周りに取り付けられうるように、選択されてもよい。加熱コイルの直径は、1ミリメートル~5ミリメートルであってもよく、2ミリメートル~4ミリメートルであることが好ましい。
【0029】
気化器は、管状のセグメントから長手方向に延在する円錐形のヒーターを含みうる。円錐形のヒーターは、管状のセグメントの開端部の上にあってもよい。一部の実施例では、管状のセグメントの開端部と円錐形のヒーターとの間に、0.1ミリメートル~2ミリメートル、好ましくは、0.1ミリメートル~1ミリメートルの距離があってもよい。円錐形のヒーターの斜高は、2ミリメートル~7ミリメートルであってもよく、2.5ミリメートル~5ミリメートルであることが好ましい。断面図における円錐形のヒーターの直径は、一方の端から他方の端までの斜高に従って、第一の直径から第二の直径まで増加しうる。第一の直径は、0.1ミリメートル~2ミリメートルであってもよく、好ましくは、0.1ミリメートル~1ミリメートルであってもよい。第二の直径は、1.2ミリメートル~3ミリメートルであってもよく、好ましくは、1.5ミリメートル~2ミリメートルであってもよい。円錐形のヒーターは、管状のセグメントから抜け出る液体エアロゾル形成基体が第二の直径の前に第一の直径において円錐形のヒーターを通過するように、配置されるのが好ましい。円錐形のヒーターの第一の直径は、円錐形のヒーターの一方の端が管状のセグメントの周りに取り付けられうるように、選択されてもよい。
【0030】
気化器は、固体の表面またはメッシュ表面を含みうる。気化器は、メッシュヒーターを含みうる。気化器は、フィラメントの配列を含みうる。
【0031】
気化器は、固体の基体、可撓性の基体、多孔性の基体、および穴あきの基体のうちの少なくとも1つを含んでもよく、例えば、その上で発熱体が、取り付けられ、印刷され、付着され、エッチング加工が施され、および積層されることのうちの少なくとも1つが行われうる。基体は、ポリマー基体またはセラミック基体としうる。
【0032】
液体貯蔵部分は、剛直な容器と、液体貯蔵部分から発熱体の内部通路への液体エアロゾル形成基体の送達に伴って、空気を容器内に通すように構成されうる、一方向の弁と、を含むことが好ましい。
【0033】
液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分から発熱体の内部通路への液体エアロゾル形成基体の送達に伴って、液体貯蔵部分の容積を減少するように構成されうる少なくとも1つの可動壁を有する、可撓性の容器を含むことが好ましい。
【0034】
液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体で液体貯蔵部分を再充填するための隔壁を含むことが好ましい。
【0035】
液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分とマイクロポンプとの間に配置される一方向の弁を含むことが好ましい。一方向の弁は、液体貯蔵部分からマイクロポンプの入口への液体の流れを制御することができ、マイクロポンプがポンピングを停止した時に逆流が液体貯蔵部分に戻るのを回避し、または減少することができる。
【0036】
マイクロポンプを通じて送達される液体エアロゾル形成基体の流量は、毎秒0.5~2マイクロリットル以内であることが好ましい。
【0037】
エアロゾル発生システムは、主要ユニットと、カートリッジであって、主要ユニットに取り外し可能なように結合されうるカートリッジと、を含み、ここで、主要ユニットが電源を含んでもよく、液体貯蔵部分がカートリッジ内に提供されてもよく、またマイクロポンプが主要ユニット内に提供されてもよいことが好ましい。主要ユニットは、気化器をさらに含むことが好ましい。主要ユニットは管状のセグメントを含みうる。
【0038】
本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムは、気化器および電力電源に接続された電気回路をさらに含みうる。電気回路は、気化器の電気抵抗を監視し、好ましくは、気化器の電気抵抗に応じて気化器への電力供給を制御するように構成されうる。
【0039】
電気回路はマイクロプロセッサを有するコントローラを備えうるが、これはプログラム可能マイクロプロセッサでもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は気化器への電力供給を調節するように構成されてもよい。電力はシステムの起動後に気化器に連続的に供給することも、毎回の吸煙ごとなど断続的に供給することもできる。電力は、電流パルスの形態で気化器に供給されてもよい。
【0040】
エアロゾル発生システムは、例えば、ハウジングの本体内に、典型的には電池の電源を有利にも備える。電源はコンデンサーなど形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は、再充電を必要とすることがあり、また1回以上の喫煙の体験のための十分なエネルギーの貯蔵が許容される容量を持ちうる。例えば、電源は約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を許容するのに十分な容量を持ちうる。別の例で、電源は所定回数の吸煙、またはヒーター組立品の不連続的な起動を許容する十分な容量を持ちうる。
【0041】
周辺の空気がエアロゾル発生システムに入るようにするために、エアロゾル発生システムのハウジングの壁、好ましくは気化器の反対側の壁、好ましくは底壁は、少なくとも1つの半開放入口を備える。半開放入口により、空気がエアロゾル発生システム内に入るが、空気または液体が半開放入口を通してエアロゾル発生システムから出ることはないことが好ましい。半開放入口は、例えば、空気については一方向にのみ透過可能であるが反対方向には空気および液体が漏れないような半透過性の薄膜としうる。半開放入口は、例えば一方行弁でもよい。半開放入口は、例えば、エアロゾル発生システムの最小限のへこみや弁または薄膜を通過する空気の体積といった特定の条件が満たされる場合に、入口のみを通して空気を通過させることが好ましい。
【0042】
液体エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力をもつ基体である。揮発性化合物は液体エアロゾル形成基体の加熱により放出されてもよい。液体エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴い液体エアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、液体エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0043】
エアロゾル発生システムは、電気的に作動する喫煙システムであってもよい。エアロゾル発生システムは携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズであってもよい。喫煙システムの全長は、約30ミリメートル~約150ミリメートルであってもよい。喫煙システムの外径は、約5ミリメートル~約30ミリメートルの外径であってもよい。
【0044】
本発明の第二の態様によれば、本発明の第一の態様によるエアロゾル発生システムのためのカートリッジであって、液体貯蔵部分を含むカートリッジが提供されている。液体貯蔵部分は、マイクロポンプの入口に接続されるように構成される出口を含む。
【0045】
カートリッジは、液体貯蔵部分の出口を覆うカバーを含むことが好ましい。カバーは、引き取られるステッカーまたはシール(例えば、フィルムシール)であってもよく、それは使用前にカートリッジを保護しうる。カバーは、カートリッジを主要ユニット内に挿入する前に手でカートリッジから取り外されてもよい。カバーがカートリッジを主要ユニット内に挿入した時に自動的に開くように、カバーは、穴をあけられ、または穿孔されていることが好ましい。
【0046】
カートリッジは、使い捨て可能な物品であってもよく、それによりカートリッジの液体貯蔵部分が空になり、または最小の容積しきい値より低くなると、新しいカートリッジと取り替えられうる。カートリッジは、液体エアロゾル形成基体で前もって装填されていることが好ましい。カートリッジは、再充填可能としうる。
【0047】
カートリッジおよびその構成要素は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの熱可塑性ポリマーで作られていてもよい。
【0048】
本発明の第三の態様によれば、エアロゾルを発生させるための方法が提供されており、その方法は、
(i)液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分内に保存することと、
(ii)マイクロポンプによって、液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分から気化器の発熱体内の内部通路に送達することと、
(iii)気化器によって、内部通路内に送達された液体エアロゾル形成基体を、送達された液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を揮発するのに十分な温度に加熱することと、を含む。
【0049】
1つの態様に関連して説明した特徴は、本発明の他の態様に適用されうる。
ここで本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるが説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1A】
図1Aは、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムの透視図および上面図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムの透視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムのための管状のセグメントおよび加熱コイルの上面図である。
【
図3】
図3Aは、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムのための管状のセグメントおよび円錐形のヒーターの上面図である。
図3Bは、
図3Aに示す円錐形のヒーターを製造するための概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムのための再充填可能なカートリッジの上面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムのための再充填可能なカートリッジの上面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムのための再充填可能なカートリッジの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1Aおよび
図1Bは、エアロゾル発生システムの概略図である。このエアロゾル発生システムは、主要ユニットと、液体貯蔵部分3を有する再充填可能な、または交換可能なカートリッジと、を含む。主要ユニットは、本体10およびマウスピース部分12を含む。本体10は、電源1(例えば、リン酸鉄リチウム電池などの電池)と、電気回路2と、カートリッジを保持するためのくぼみと、入口および出口をもつマイクロポンプ5と、気化器7と、を含む。電気コネクター8、9が、本体10の側部に提供され、それは電気回路2と電源1と気化器7との間に電気的接続を提供する。気化器7は、内部通路を画定する加熱コイルである。管状のセグメント4が提供され、それは液体貯蔵部分の出口とマイクロポンプの入口を接続する。管状のセグメント6は、マイクロポンプ5の出口から気化器7の発熱体の内部通路への液体エアロゾル形成基体の流れを導く。管状のセグメント6は、まっすぐであり、液体エアロゾル形成基体を発熱体へ直接的に輸送する。マウスピース部分12は、複数の空気吸込み口11および空気出口13を含む。使用時に、ユーザーは出口13を吸うかまたは吸入して、空気を空気吸込み口11からマウスピース部分12を通して出口13に引き出し、その後、ユーザーの口または肺に入る。内部バッフルが、提供され、それはマウスピース部分12を通じて流れる空気を強制する。気化器7は、液体エアロゾル形成基体が管状のセグメント6を抜け出た後に、液体エアロゾル形成基体を直接的に加熱するように構成される。
【0052】
カートリッジは、本体10内のくぼみ内に受けられるように構成される。カートリッジは、カートリッジ内に提供されたエアロゾル形成基体が消耗した時に、ユーザーによって交換可能であるべきである。新しいカートリッジを挿入する時、本体におけるスライダーが移動して、くぼみを露出しうる。新しいカートリッジは、露出したくぼみ内に挿入されうる。液体貯蔵部分の出口は、マイクロポンプ5の入口に接続されるように構成される。主要ユニットは携帯型で、従来的な葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズをもつ。
【0053】
図2は、管状のセグメント6の開放している側の詳細を示す。加熱コイル7Aは、管状のセグメント6の開放している側上に取り付けられ、したがって、加熱コイル7Aは、管状のセグメント6から長手方向に延在する。液体エアロゾル形成基体は、管状のセグメント6の開端部において抜け出る。液体エアロゾル形成基体は、管状のセグメント6からコイル7Aの内部通路内へ抜け出る。加熱コイル7Aは、液体の流れ内に、また液体の流れの周りにあり、したがって、液体エアロゾル形成基体は、直接的に加熱される。加熱コイル7Aは、長さL、直径D、および管状のセグメント6と重なり合う部分Oをもつ。
【0054】
図3Aは、管状のセグメント6の開放している側の詳細を示す。円錐形のヒーター7Bは、管状のセグメント6の開放している側の下流に取り付けられ、したがって、円錐形のヒーター7Bは、管状のセグメント6から長手方向に延在する。液体エアロゾル形成基体は、円錐形のヒーター7Bによって画定された内部通路内に管状のセグメント6の開端部において抜け出る。円錐形のヒーター7Bは、液体の流れ内に、また液体の流れの周りにあり、したがって、液体エアロゾル形成基体は、直接的に加熱される。円錐形のヒーター7Bのコーン端側と管状のセグメント6との間には距離Gが存在する。
【0055】
図3Bは、平坦な基体から円錐形のヒーター7Bを製造するための概略図である。円錐形のヒーター7Bは、第一の半径rから第二の半径Rまで増加する半径とともに斜高gを有する。
【0056】
図4は、エアロゾル発生システムのための再充填可能なカートリッジを示す。カートリッジは、剛直な容器で作られた液体貯蔵部分3を含む。容器は、管状のセグメント4によってマイクロポンプの入口に接続される出口を含む。空気は、液体のポンピングに伴って一方向の弁18を介して剛直な容器に入ることが許容される。隔壁19は、カートリッジを再充填するために提供される。
【0057】
図5は、エアロゾル発生システムのための再充填可能なカートリッジを示す。カートリッジは、可撓性の管から作られた可撓性の壁20を有する剛直な容器で作られる液体貯蔵部分3を含む。容器は、管状のセグメント4によってマイクロポンプの入口に接続される出口を含む。液体のポンピングに伴って、可撓性の壁20がつぶれる。隔壁19は、カートリッジを再充填するための剛直な容器に提供される。
【0058】
図6は、エアロゾル発生システムのための再充填可能なカートリッジを示す。カートリッジは、可撓性の管からそれぞれ作られた2つの可撓性の壁21を有する剛直なフェースプレートで作られる液体貯蔵部分3を含む。容器は、管状のセグメント4によってマイクロポンプの入口に接続される出口を含む。液体のポンピングに伴って、可撓性の壁21がつぶれる。隔壁19は、カートリッジを再充填するための剛直なフェースプレートに提供される。
【0059】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は今や当業者には明らかとなろう。