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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021405
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】送風装置および温水装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20220127BHJP
   F04D 29/62 20060101ALI20220127BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20220127BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20220127BHJP
【FI】
F04D29/28 K
F04D29/28 P
F04D29/28 R
F04D29/62 C
F04D29/66 M
F24H9/00 N
F24H9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020124938
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩本 幹大
(72)【発明者】
【氏名】馬越 亮輔
【テーマコード(参考)】
3H130
3L036
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB46
3H130AC06
3H130AC27
3H130BA13C
3H130BA22C
3H130CB05
3H130CB09
3H130CB11
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EA02C
3H130EB01C
3H130EB02C
3H130EB04C
3H130ED02C
3L036AE21
(57)【要約】
【課題】騒音を低減可能な送風装置および温水装置を提供する。
【解決手段】シュラウド3は、羽根板1の第1端1F側に配置され、中心に空気が通過する孔部3cを有する。面板2は、羽根板1の第2端1S側に配置され、スリット部2cを有する。羽根板1の第2端1Sは、第1端1Fの内周端1feよりも面板2の内周側の位置において、スリット部2cにカシメられずに挿入されることにより面板2に固定されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1端と第2端とを有する羽根板と、
前記羽根板の前記第1端側に配置され、中心に空気が通過する孔部を有する円盤状のシュラウドと、
前記羽根板の前記第2端側に配置され、凹部を有する円盤状の面板と、を備え、
前記羽根板の前記第2端は、前記第1端の内周端よりも前記面板の内周側の位置において、前記凹部に挿入されることにより前記面板に固定されている、送風装置。
【請求項2】
前記羽根板は、前記第1端の前記内周端よりも前記面板の内周側の位置において前記面板側に突き出す爪部を前記第2端に有し、
前記凹部はスリット部で構成されており、前記爪部は前記スリット部に挿入されている、請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記面板は、中央部分と、前記中央部分の周囲を取り囲む周囲部分とを有し、
前記中央部分は、前記シュラウド側へ窪んでおり、
前記スリット部は、前記面板の前記中央部分に設けられている、請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記爪部は、基部と先端部とを有し、
前記爪部の幅は、前記基部側から前記先端部へ向かうほど小さくなる、請求項2または請求項3に記載の送風装置。
【請求項5】
互いに対向する第1端と第2端とを有する羽根板と、
前記羽根板の前記第1端側に配置され、中心に空気が通過する孔部を有する円盤状のシュラウドと、
前記羽根板の前記第2端側に配置され、凹部を有する円盤状の面板と、を備え、
前記羽根板は、前記面板にカシメられる突起部を有し、
前記羽根板の前記第2端は、前記突起部よりも前記面板の内周側の位置において、前記凹部に挿入されることにより前記面板に固定されている、送風装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の送風装置と、
前記送風装置により供給された燃焼用空気を用いて燃焼ガスを発生させる燃焼装置と、
前記燃焼装置により供給された燃焼ガスとの間で熱交換を行なう熱交換器と、を備えた、温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置および温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送風装置の羽根車の構成は、たとえば実公昭56-20737号公報(特許文献1)、特開平6-336997号公報(特許文献2)などに開示されている。
【0003】
特許文献1には、送風装置として電動送風機が開示されている。この電動送風機においては、ブレード上端の嵌合用凸部が前方プレートの嵌合孔に嵌め込まれ、ブレード下端の嵌合用凸部が後方プレートの嵌合孔に嵌め込まれている。
【0004】
特許文献2には、送風装置としてレンジフード用両面吸込ファンが開示されている。この両面吸込ファンにおいては、羽根板下端のカシメ爪が下板の通孔に嵌入され、羽根板上端のカシメ爪が上板の通孔に嵌入され、羽根板段部のカシメ爪が円形基板の通孔に嵌入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭56-20737号公報
【特許文献2】特開平6-336997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2の各々の送風装置においては、複数の羽根板の円周方向におけるピッチ(以下、「羽根ピッチ」と称する)が不揃いになり、騒音性能が悪化すると言う問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、騒音を低減可能な送風装置および温水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の送風装置は、羽根板と、円盤状のシュラウドと、円盤状の面板とを備える。羽根板は、互いに対向する第1端と第2端とを有する。シュラウドは、羽根板の第1端側に配置され、中心に空気が通過する孔部を有する。面板は、羽根板の第2端側に配置され、凹部を有する。羽根板の第2端は、第1端の内周端よりも面板の内周側の位置において、凹部に挿入されることにより面板に固定されている。
【0009】
本発明の一の送風装置によれば、羽根板の第2端は、羽根板における第1端の内周端よりも内周側の位置において凹部に挿入されることにより面板に固定されている。これにより羽根板における第2端の内周部分が円周方向に位置ずれを起こすことを抑制できる。このため複数の羽根板の円周方向におけるピッチが揃いやすく、羽根板の円周方向のピッチが不揃いになることに起因した騒音を低減することができる。
【0010】
また羽根板の第2端は、第1端の内周端よりも面板の内周側の位置において、面板の凹部に挿入されるだけで面板にカシメられていない。このためカシメによる面板の変形が防止され、面板の変形に起因した騒音の発生を防止することができる。
【0011】
上記の送風装置において、羽根板は、第1端の内周端よりも面板の内周側の位置において面板側に突き出す爪部を前記第2端に有する。凹部はスリット部で構成されており、爪部はスリット部に挿入されている。
【0012】
これにより爪部をスリット部に挿入するという簡易な構成で騒音を低減することができる。また爪部をスリット部に挿入するだけで面板にカシメないため、カシメによる面板の変形が防止できる。
【0013】
上記の送風装置において、面板は、中央部分と、その中央部分の周囲を取り囲む周囲部分とを有する。中央部分は、シュラウド側へ窪んでいる。スリット部は、面板の中央部分に設けられている。
【0014】
仮に面板の窪み部において爪部を面板にカシメると、窪み部において面板が変形するおそれがある。面板の窪み部には駆動源の回転軸を固定するための軸孔が設けられている。このため窪み部に変形が生じると、羽根車が回転する際に面板の軸方向における円周振れが大きくなり、その円周振れに起因した騒音が発生する。
【0015】
これに対して上記の送風装置によれば、爪部は窪み部のスリット部に挿入されるだけで面板にカシメられない。このため、カシメによる面板の変形が防止され、面板の軸方向における円周振れに起因した騒音が防止される。
【0016】
上記の送風装置において、爪部は、基部と先端部とを有する。爪部の幅は、基部側から先端部へ向かうほど小さくなる。
【0017】
これにより爪部をスリット部にスムーズに挿入することができる。このため羽根板と面板との組立性が向上する。
【0018】
本発明の他の送風装置は、羽根板と、円盤状のシュラウドと、円盤状の面板とを備える。羽根板は、互いに対向する第1端と第2端とを有する。シュラウドは、羽根板の第1端側に配置され、中心に空気が通過する孔部を有する。面板は、羽根板の第2端側に配置され、凹部を有する。羽根板は、面板にカシメられる突起部を有する。羽根板の第2端は、突起部よりも面板の内周側の位置において、凹部に挿入されることにより面板に固定されている。
【0019】
本発明の他の送風装置によれば、羽根板の第2端は、突起部よりも面板の内周側の位置において凹部に挿入されることにより面板に固定されている。これにより羽根板における第2端の内周部分が円周方向に位置ずれを起こすことを抑制できる。このため複数の羽根板の円周方向におけるピッチが揃いやすく、羽根板の円周方向のピッチが不揃いになることに起因した騒音を低減することができる。
【0020】
また羽根板の第2端は、第1端の内周端よりも面板の内周側の位置において、面板の凹部に挿入されるだけで面板にカシメられていない。このためカシメによる面板の変形が防止され、面板の変形に起因した騒音の発生を防止することができる。
【0021】
本発明の温水装置は、上記の送風装置と、燃焼装置と、熱交換器とを備える。燃焼装置は、送風装置により供給された燃焼用空気を用いて燃焼ガスを発生させる。熱交換器は、燃焼装置により供給された燃焼ガスとの間で熱交換を行なう。
【0022】
本発明の温水装置によれば、上記の送風装置を用いているため騒音が低減される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、騒音を低減可能な送風装置および温水装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施形態における送風装置の構成を概略的に示す断面図である。
図2図1の送風装置に用いられる羽根車の構成を示す斜視図である。
図3図1の送風装置に用いられる羽根車をシュラウド側から見た平面図である。
図4図3のIV-IV線に沿う概略断面図である。
図5図1の送風装置に用いられる羽根車の突起部が面板にカシメられた構成を示す断面斜視図である。
図6図1の送風装置に用いられる羽根車の爪部が面板のスリット部に挿入された構成を示す断面斜視図である。
図7図1の送風装置に用いられる羽根車の爪部の構成を示す図である。
図8図1の送風装置に用いられる羽根車の爪部が面板の凹部に挿入された構成を示す断面斜視図である。
図9図1の送風装置に用いられる羽根車の爪部が面板の凸部間の凹部に挿入された構成を示す断面斜視図である。
図10図1の送風装置を有する温水装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、各実施の形態と各変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0026】
<送風装置の構成>
まず、本発明の一実施形態における送風装置の構成について図1図7を用いて説明する。
【0027】
図1に示されるように、本実施形態の送風装置10は、羽根車4と、駆動源5と、ファンケース6とを主に有する。羽根車4は、複数の羽根板1と、面板2と、シュラウド3とを有する。
【0028】
複数の羽根板1の各々は、互いに対向する第1端1Fと、第2端1Sとを有する。シュラウド3は、複数の羽根板1の各々の第1端1F側に配置されている。シュラウド3は、中心に空気が通過する孔部3cを有する。面板2は、複数の羽根板1の各々の第2端1S側に配置されている。面板2は、中心に軸孔2dを有する。
【0029】
駆動源5は、たとえばモータである。駆動源5は、本体部5aと、回転軸5bとを有する。回転軸5bは、本体部5aから駆動力を与えられることにより本体部5aに対して回転可能である。回転軸5bは、面板2の軸孔2dに挿入されている。これにより羽根車4は回転軸5bに取り付けられており、回転軸5bとともに回転可能である。
【0030】
ファンケース6は、内部空間6Sを有する。ファンケース6は、内部空間6S内に羽根車4を収納する。ファンケース6は、吸込み口6aを有する。吸込み口6aは、羽根車4におけるシュラウド3の孔部3cと対向する位置に配置されている。吸込み口6aには、図示しないベルマウス、整流部材などが設けられてもよい。ファンケース6は、羽根車4の回転により排出された空気を吹き出すための吹出口(図示せず)を有する。
【0031】
図2および図3に示されるように、面板2およびシュラウド3の各々は円盤形状を有する。面板2およびシュラウド3は互いに同心となるように配置されている。面板2およびシュラウド3は互いに回転軸5b(図1)の軸方向に隙間をあけて配置されている。複数の羽根板1の各々は、面板2とシュラウド3との間に配置されている。
【0032】
図3に示されるように、平面視において、複数の羽根板1の各々は、面板2およびシュラウド3の内周側から外周側へ放射線状に沿って直線状に延びている。本明細書において平面視とは、回転軸5b(図1)の軸方向から羽根車を見る視点を意味する。また複数の羽根板1の各々は、平面視において面板2およびシュラウド3の内周側から外周側へ曲線状に延びていてもよい。
【0033】
図4に示されるように、シュラウド3は、スリット部3a、3bを有する。スリット部3aは、スリット部3bよりも外周側に位置している。スリット部3a、3bの各々は、細長い貫通孔である。
【0034】
複数の羽根板1の各々は、第1端1Fにおいてシュラウド3と接している。複数の羽根板1の各々は、第1端1Fに突起部1fa、1fbを有する。突起部1fa、1fbの各々は、羽根板1の第1端1Fにおいてシュラウド3側に突き出している。
【0035】
羽根板1の突起部1faは、シュラウド3のスリット部3aにカシメられている。また羽根板1の突起部1fbは、シュラウド3のスリット部3bにカシメられている。
【0036】
面板2は、スリット部2a、2b、2cを有する。スリット部2aは、スリット部2bよりも外周側に位置している。またスリット部2bは、スリット部2c(凹部)よりも外周側に位置している。スリット部2a、2b、2cの各々は、細長い貫通孔である。
【0037】
複数の羽根板1の各々は、第2端1Sにおいて面板2と接している。複数の羽根板1の各々は、第2端1Sにおいて突起部1sa、1sbと爪部1Nとを有する。突起部1sa、1sbおよび爪部1Nの各々は、羽根板1の第2端1Sにおいて面板2側に突き出している。
【0038】
羽根板1の突起部1saは、面板2のスリット部2aにカシメられている。また羽根板1の突起部1sbは、面板2のスリット部2bにカシメられている。
【0039】
本明細書において「カシメられる」とは、図5に示されるように、突起部1sa、1sb先端の円周方向における寸法T3が、スリット部2a、2bの円周方向における寸法D1よりも大きくなるように突起部1sa、1sbが加工されることを意味する。具体的には、突起部1sa、1sbがスリット部2a、2bに挿入された後に、突起部1sa、1sbの先端が寸法T3となるように加工される。
【0040】
なお突起部1sa、1sbの先端以外の羽根板1の円周方向における寸法T1は、スリット部2a、2bの円周方向における寸法D1よりも小さい。このため突起部1sa、1sbの先端が寸法T3に加工される前であれば、突起部1sa、1sbをスリット部2a、2bへ挿入することができる。
【0041】
また羽根板1の突起部1sa、1sbがシュラウド3のスリット部3a、3bにカシメられる構成も、図5に示す構成と同様である。
【0042】
一方、羽根板1の爪部1Nは、スリット部2cにカシメられておらず、単に挿入されている。本明細書において「単に挿入される」とは、図6に示されるように、爪部1N全体の円周方向における寸法T2がスリット部2cの円周方向における寸法D2よりも小さい状態で爪部1Nがスリット部2cに挿入されていることを意味する。なお爪部1N以外の羽根板1の円周方向における寸法T1は、爪部1N全体の円周方向における寸法T2と同じである。
【0043】
爪部1Nの寸法T2に対するスリット部2cの寸法D2の比は、1.0以上1.5以下である。このため爪部1Nの寸法T2がたとえば0.4mmである場合、スリット部2cの寸法D2はたとえば0.4mm以上0.6mm以下である。
【0044】
図4に示されるように、羽根板1における第2端1Sの内周端1seは、第1端1Fの内周端1feよりも内周側に位置している。爪部1Nは、第1端1Fの内周端1feよりも内周側に配置されている。爪部1Nの全体が内周端1feよりも内周側に位置していてもよい。また爪部1Nの一部のみが内周端1feよりも内周側に位置しており、爪部1Nの残りの部分は内周端1feよりも外周側に位置していてもよい。
【0045】
ここで内周端1feとは、羽根板1の第1端1Fのうち最も内周側に位置する部分である。また内周端1feよりも内周側とは、内周端1feを通り、かつ回転軸5b(図1)の軸方向AXと平行に延びる仮想の直線SLよりも内周側に位置することを意味する。
【0046】
爪部1Nがスリット部2cに挿入されることにより面板2に固定されている。ここで固定されているとは、爪部1Nの位置が固定されていることを意味する。爪部1Nがスリット部2cに挿入された状態において、爪部1Nは、面板2のたとえば円周方向の両側から面板2により挟み込まれている。つまり羽根板1の第2端1Sは、第1端1Fの内周端1feよりも面板2の内周側の位置において、スリット部2cよりなる凹部に爪部1Nが挿入されることにより、面板2のたとえば円周方向の両側から面板2により挟み込まれている。
【0047】
また爪部1Nは、突起部1sa、1sbよりも内周側に配置されている。このため羽根板1の第2端1Sは、突起部1sa、1sbよりも面板2の内周側の位置において、スリット部2cよりなる凹部に爪部1Nが挿入されることにより面板2に固定され、面板2のたとえば円周方向の両側から面板2により挟み込まれている。これにより羽根板1の内周側部分(爪部1N)の円周方向における移動は、面板2により制限される。
【0048】
面板2は、中央部分CPと、その中央部分CPの周囲を取り囲む周囲部分PPとを有する。中央部分CPは、周囲部分PPに対してシュラウド3側へ窪んでいる。スリット部2cは、面板2の中央部分CPに設けられている。
【0049】
図7に示されるように、爪部1Nは、基部BPと、先端部TPとを有する。爪部1Nの基部BPは爪部の根元である。爪部1Nの幅Wは、基部BPから先端部TPへ向かうほど小さくなる。爪部1Nは、幅Wが基部BPから先端部TPへ向かうほど小さくなるようなテーパ形状を有していてもよく、またラウンド形状を有していてもよい。
【0050】
<変形例>
上記においては爪部1Nがスリット部2c(細長い貫通孔)に挿入されることにより羽根板1が面板2に固定される構成について説明したが、羽根板1が面板2に固定される構成はこれに限定されない。
【0051】
たとえば図8に示されるように、爪部1Nは、面板2に設けられた細長い凹部2caに挿入されていてもよい。また、たとえば図9に示されるように、爪部1Nは、面板2に設けられた円周方向に対向する2つの凸部2cbの間の凹部に挿入されてもよい。図8および図9のいずれの構成においても羽根板1が面板2により固定され、かつたとえば円周方向の両側から挟み込まれる。
【0052】
またこれ以外の構成であっても、羽根板1が面板2により固定され、たとえば円周方向の両側から挟み込まれる構成であれば採用することができる。
【0053】
<温水装置の構成>
次に、本実施形態の送風装置が用いられる温水装置の構成について図10を用いて説明する。
【0054】
図10に示されるように、本実施形態の温水装置30は、上記の送風装置10と、給水配管31と、出湯配管32と、バイパス配管33と、二次熱交換器34と、一次熱交換器35と、燃焼装置36と、外装ケース37とを主に有している。送風装置10、給水配管31、出湯配管32、バイパス配管33、二次熱交換器34、一次熱交換器35および燃焼装置36は、外装ケース37内に配置されている。
【0055】
給水配管31と出湯配管32との間には、二次熱交換器34および一次熱交換器35が接続されている。二次熱交換器34は、潜熱回収型の熱交換器である。また一次熱交換器35は、顕熱回収型の熱交換器である。
【0056】
二次熱交換器34および一次熱交換器35の下側には、燃焼装置36が配置されている。一次熱交換器35は、二次熱交換器34よりも燃焼装置36の近くに位置している。具体的には、二次熱交換器34と燃焼装置36との間に一次熱交換器35が配置されている。燃焼装置36の下側には、送風装置10が配置されている。
【0057】
給水配管31は二次熱交換器34の一方端部に接続されている。二次熱交換器34の他方端部と一次熱交換器35の一方端部とは互いに接続されている。一次熱交換器35の他方端部には、出湯配管32が接続されている。給水配管31と出湯配管32とはバイパス配管33により接続されている。
【0058】
送風装置10は、外装ケース37の外部から取り入れた空気を燃焼装置36へ送出するためのものである。燃焼装置36は、送風装置10により供給された燃焼用空気と燃料ガスとの混合ガスに着火することにより燃焼ガスを発生させるためのものである。
【0059】
給水配管31は、たとえば水を供給するための配管である。給水配管31から二次熱交換器34に供給された水は、燃焼装置36にて生じた燃焼ガスの潜熱を回収することにより予熱される。
【0060】
二次熱交換器34にて予熱された湯は、一次熱交換器35に供給される。一次熱交換器35に供給された湯は、燃焼装置36にて生じた燃焼ガスの顕熱を回収することにより加熱される。一次熱交換器35にて加熱された湯は、出湯配管32を通じて温水装置30の外部へ供給される。
【0061】
また給水配管31からバイパス配管33を通じて水が出湯配管32に供給制御される。これにより出湯配管32内の湯の温度が調整される。所望の温度に調整された湯が出湯配管32から供給される。
【0062】
上記温水装置30は、たとえば給湯装置、暖房装置、温水暖房付きふろ給湯装置などであってもよい。また温水装置30は、燃料ガスを燃焼させる方式であってもよく、石油を燃焼させる方式であってもよい。また温水装置30は、貯湯式であってもよく、また瞬間式であってもよい。
【0063】
<本実施形態の効果>
送風装置10により過剰に空気を吸引した場合に振動が燃焼に生じ、いわゆる振動燃焼が生じる場合がある。この振動燃焼を抑制するために、ベルマウスにて送風装置10の吸気径が縮小される。しかしベルマウスで吸気径を縮小するだけでは、ベルマウスの吸気径と複数の羽根板1の内周端で規定される内径との間に径の差が生じる。このような径の差が生じた場合、送風装置10に吸い込まれた空気に渦が生じやすく、その渦により騒音が生じる。
【0064】
そこで上記径の差を低減するために複数の羽根板1の各々を内周側へ延ばすことにより、複数の羽根板1の内周端で規定される内径も縮小される。しかし複数の羽根板1の各々を内周側へ延ばすと、羽根板1の円周方向のピッチが小さくなり、羽根板1の周方向におけるピッチのわずかな不揃いにより騒音の発生が顕著になる。
【0065】
以上を鑑みて、本実施形態によれば図4に示されるように、羽根板1の第2端1Sは、羽根板1における第1端1Fの内周端1feよりも内周側の位置においてスリット部2cに挿入されることにより面板2に固定されている。これにより羽根板1における第2端1Sの内周部分が円周方向に位置ずれを起こすことを抑制できる。このため複数の羽根板1の円周方向におけるピッチが揃いやすくなり、羽根板1の円周方向のピッチが不揃いになることに起因した騒音を低減することができる。
【0066】
また羽根板1の第2端1Sは、第1端1Fの内周端1feよりも面板2の内周側の位置において、面板2の凹部(スリット部2c(図4)、凹部2ca(図8)、凸部2cb間の凹部(図9))に挿入されるだけで面板2にカシメられていない。このためカシメによる面板2の変形が防止され、面板2の変形に起因した騒音の発生を防止することができる。
【0067】
また送風装置10に吸引された空気は、羽根車4内でシュラウド3よりも面板2に近い側を通過して羽根車4の外周側へ吹き出される。このため羽根板1の第2端1Sが面板2のスリット部2cに挿入されて面板2に固定されることにより、効果的に騒音を防止することができる。
【0068】
また本実施形態によれば図4に示されるように、羽根板1は、第1端1Fの内周端よりも面板2の内周側の位置において面板2側に突き出す爪部1Nを第2端1Sに有する。面板2には、爪部1Nが挿入されるスリット部2cが設けられている。これにより爪部1Nをスリット部2cに挿入するという簡易な構成で、羽根板1の円周方向のピッチが不揃いになることに起因した騒音を低減することができる。また爪部1Nがスリット部2cに挿入されるだけで面板2にカシメられていないため、カシメによる面板2の変形が防止される。
【0069】
また図4に示されるように、仮に面板2の窪んだ中央部分CPにおいて爪部1Nを面板2にカシメると、窪んだ中央部分CPにおいて面板2が変形するおそれがある。面板2の中央部分CPには駆動源5の回転軸5bを挿入するための軸孔2dが設けられている。このため窪んだ中央部分CPに変形が生じると、羽根車4が回転する際に面板2の軸方向における円周振れが大きくなり、その円周振れに起因した騒音が発生する。
【0070】
これに対して本実施形態によれば図4に示されるように、爪部1Nは窪んだ中央部分CPのスリット部2cに挿入されるだけで面板2にカシメられない。このため、中央部分CPにおいてカシメによる面板2の変形が防止され、面板2の軸方向における円周振れに起因した騒音が防止される。
【0071】
また本実施形態によれば図7に示されるように、爪部1Nは、基部BPと先端部TPとを有する。爪部1Nの幅Wは、基部BP側から先端部TPへ向かうほど小さくなる。これにより爪部1Nをスリット部2cにスムーズに挿入することができる。このため羽根板1と面板2との組立性が向上する。
【0072】
また本実施形態によれば図4に示されるように、羽根板1の第2端1Sは、突起部1sa、1sbよりも面板2の内周側の位置においてスリット部2cに挿入されることにより面板2に固定されている。これにより羽根板1における第2端1Sの内周部分が円周方向に位置ずれを起こすことを抑制できる。このため複数の羽根板1の円周方向におけるピッチが揃いやすくなり、羽根板1の円周方向のピッチが不揃いになることに起因した騒音を低減することができる。
【0073】
また羽根板1の第2端1Sは、第1端1Fの内周端1feよりも面板2の内周側の位置において、面板2の凹部(スリット部2c(図4)、凹部2ca(図8)、凸部2cb間の凹部(図9))に挿入されるだけで面板2にカシメられていない。このためカシメによる面板2の変形が防止され、面板2の変形に起因した騒音の発生を防止することができる。
【0074】
また本実施形態によれば図10に示されるように、温水装置30の燃焼装置36は、上記の送風装置10により供給された燃焼用空気を用いて燃焼ガスを発生させる。また二次熱交換器34および一次熱交換器35の各々は、燃焼装置36により供給された燃焼ガスとの間で熱交換を行なう。これにより騒音が低減された温水装置30を実現することができる。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1 羽根板、1F 第1端、1N 爪部、1S 第2端、1fe,1se 内周端、1fa,1fb,1sa,1sb 突起部、2 面板、2a,2b,2c,3a,3b スリット部、2ca 凹部、2cb 凸部、2d 軸孔、3 シュラウド、3c 孔部、4 羽根車、5 駆動源、5a 本体部、5b 回転軸、6 ファンケース、6S 内部空間、6a 吸込み口、10 送風装置、30 温水装置、31 給水配管、32 出湯配管、33 バイパス配管、34 二次熱交換器、35 一次熱交換器、36 燃焼装置、37 外装ケース、AX 軸方向、BP 基部、CP 中央部分、PP 周囲部分、TP 先端部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10