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特開2022-24062ボイラの効率を向上させるための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024062
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】ボイラの効率を向上させるための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F23L 15/00 20060101AFI20220201BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
F23L15/00 A
F23J15/00 A
F23J15/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185614
(22)【出願日】2021-11-15
(62)【分割の表示】P 2019500294の分割
【原出願日】2017-01-13
(31)【優先権主張番号】15/205,243
(32)【優先日】2016-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2016/055958
(32)【優先日】2016-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518055143
【氏名又は名称】アルヴォス ユングストローム エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】オーボイル、 ケビン
(72)【発明者】
【氏名】マティソン、 グレン ディー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】蒸気発生器システムの効率を向上させること。
【解決手段】少なくとも1%増加した熱回収(HR)を有して動作する改良された空気予熱器により規定される低温端出口温度を空気予熱器が有する質量流量において、前記空気予熱器に空気を提供することを含む。前記方法は、煙道ガスから前記空気予熱器に流入する熱量を減少させること、及び/又は前記煙道ガスから抽出される熱量を増加させることを必要とする。前記方法は、前記空気予熱器から微粒子除去システムまで、次に煙道ガス脱硫システム内に直接排出される前記煙道ガス内のSO3を軽減することを含む。前記方法は、前記煙道ガスから熱を抽出して機器予熱空気及び/又は煙道ガス煙突再加熱空気を生成することを含み、前記煙道ガス煙突再加熱空気は、煙道ガスを加熱して前記煙道ガスの温度を上昇させ、前記排出煙突を出る可視プルームを軽減するために及び煙突内での腐食を軽減するため供給される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生器システム(10)を動作させるための方法であって、前記方法は、
蒸気発生器容器(11)と空気供給システム(13D)と空気予熱器(13)と微粒子除去システム(14)と煙道ガス脱硫システム(17)と煙道ガスの排出煙突(19)とを含む蒸気発生器システム(10)であって、前記空気供給システム(13D)は前記空気予熱器(13)を介して前記蒸気発生器容器(11)と連通しており、前記蒸気発生器容器(11)は前記空気予熱器(13)と前記微粒子除去システム(14)と前記煙道ガス脱硫システム(17)とを介して前記排出煙突(19)と連通しており、前記微粒子除去システム(14)は前記空気予熱器(13)の下流に位置しており、前記煙道ガス脱硫システム(17)は前記微粒子除去システム(14)の下流に位置しており、前記排出煙突(19)は前記煙道ガス脱硫システム(17)の下流に位置している、蒸気発生器システム(10)を提供することと、
前記空気供給システム(13D)において、前記空気予熱器(13)を出る煙道ガス混合物の105℃~125℃の第1の温度(T1)を確立するのに十分な質量流量における、前記空気予熱器(13)への第1の量の空気(A1)を提供することであって、前記第1の温度(T1)は、前記空気予熱器(13)が次の式
HR=100%×((Tgi-TgoAdvX)/(Tgi-TgoSTD)-1)、ここで、
Tgi=前記空気予熱器(13)に入る前記煙道ガス混合物の入口温度、
T1=前記空気予熱器(13)を出る前記煙道ガス混合物の出口温度、
TgoAdvX=前記空気予熱器(13)を出る前記煙道ガス混合物の出口温度、
TgoSTD=標準的な空気予熱器を出る前記煙道ガス混合物の出口温度、
前記標準的な空気予熱器においては、前記第1の量の空気(A1)が、燃焼のために必要な大きさに等しい大きさのものであり、且つ前記標準的な空気予熱器は、前記空気予熱器(13)のものと等しいロータ直径及び深さを有する、
に従って計算される少なくとも1%の増加した熱回収(HR)で動作する前記空気予熱器(13)によって規定される前記煙道ガス混合物の低温端出口温度を有するような温度である、ことと、
前記蒸気発生器容器(11)内で生成された前記煙道ガス混合物内のSOを軽減することであって、SOの軽減は、前記煙道ガス混合物が前記空気予熱器(13)に入る前に行われる、ことと、
前記第1の量の空気を288℃~399℃(550°F~750°F)の第2の温度まで加熱するように前記空気予熱器(13)を構成することと、
前記第1の量の空気の第1の部分又は全てを燃焼空気として、燃料の燃焼のために前記蒸気発生器容器(11)に供給することと、
前記蒸気発生器容器(11)を出た前記煙道ガス混合物の全て又は一部を前記第1の温度において前記空気予熱器(13)から前記微粒子除去システム(14)まで直接排出し、それにより前記煙道ガス混合物から微粒子を除去し、第1の処理された煙道ガス混合物(FG1)を生成することと、
前記第1の処理された煙道ガス混合物(FG1)を前記微粒子除去システム(14)から前記煙道ガス脱硫システム(17)内に直接排出し、それにより52℃~約60℃(125°F~140°F)の第3の温度を有する第2の処理された煙道ガス混合物(FG2)を、前記煙道ガス脱硫システム(17)内で生成し、前記煙道ガス脱硫システム(17)から排出することであって、前記第3の温度は、前記第3の温度を有する前記第2の処理された煙道ガス混合物(FG2)を直接的に又は間接的に加熱する煙道ガス再加熱空気としての、第2の部分の空気の注入を促進し、それにより最低でも68℃(155°F)の第4の温度における第3の処理された煙道ガス混合物(FG3)を、前記排出煙突に入る前に生成するのに十分な大きさのものであり、前記第3の温度は、前記排出煙突(19)を出る可視プルームを軽減し且つ前記排出煙突(19)内での腐食を軽減するのに十分な大きさまで、前記煙道ガス再加熱空気が前記第4の温度を上昇させることを可能にするのに十分な大きさのものである、ことと、
前記第3の処理された煙道ガス混合物(FG3)を前記第4の温度において前記排出煙突(19)に入れることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の量の空気は、前記蒸気発生器容器(11)内での燃料の燃焼のために必要な量を超える大きさのものであり、前記第2の部分の空気は、前記第2の温度で前記空気予熱器(13)から供給される前記第1の量の空気の第2の部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空気予熱器(13)の上流の前記煙道ガス混合物は、2つのストリームに分割され、第1のストリームは前記空気予熱器(13)に供給されて次に前記空気予熱器(13)から排出される前記煙道ガス混合物の部分であり、第2のストリームは前記空気予熱器(13)の上流でダクティングを介してブリードされ、
前記第2のストリームは続いて熱交換器(HX)を通して送られ、前記空気予熱器(13)の下流で前記第1のストリームと再結合するように注入され、且つ/又は
前記第2のストリームは続いて熱交換器(HX)を通して送られ、前記第2の部分の空気は、煙道ガス再加熱空気としての注入に先立って前記熱交換器(HX)内で煙道ガスの前記第2のストリームによって加熱され、且つ/又は
煙道ガス混合物の前記第2のストリームは続いて、熱交換器(HX)を通して送られて空気ストリームを加熱し、前記空気ストリームは、煙道ガス再加熱空気としての注入のための前記第2の部分の空気と、ボイラの始動中に前記微粒子除去システム(14)、前記煙道ガス脱硫システム(17)、中間ダクティングのうちの少なくとも1つを選択的に予熱するために使用され、又はボイラの動作中に石炭乾燥設備のために使用され、続いて大気に放出される、予熱空気としての第3の部分の空気とを提供する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記空気予熱器(13)は、前記空気予熱器(13)内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有し、前記第1の温度は105℃(220°F)~125℃(257°F)である、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の量の空気の第3の部分が、ボイラの始動中に前記微粒子除去システム(14)、前記煙道ガス脱硫システム(17)、及び中間ダクティングの少なくとも1つを選択的に予熱するために使用され、又はボイラの動作中に石炭乾燥設備のために使用され、続いて大気に放出される予熱空気として提供される、請求項2~4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記蒸気発生器システム(10)は選択的触媒還元システムをさらに含み、前記蒸気発生器容器(11)は前記選択的触媒還元システムを介して前記空気予熱器(13)と連通している、請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記蒸気発生器システム(10)は、煙道ガス再加熱空気微粒子除去システム及び予熱空気微粒子除去システムのうちの少なくとも1つをさらに含み、前記空気予熱器(13)は前記煙道ガス再加熱空気微粒子除去システムを介して前記排出煙突(19)と連通しており、
前記第2の部分の空気から微粒子汚染物質を除去し、前記微粒子汚染物質は前記空気予熱器(13)内での前記煙道ガス混合物からの漏洩から前記第2の部分の空気に導入されたものである、
請求項2~6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記蒸気発生器システム(10)は、さらに前記蒸気発生器容器(11)と前記空気予熱器(13)との間に配置された湿度センサ(34)を有し、前記湿度センサ(34)を用いて前記煙道ガス混合物の湿度を測定して、第1の温度の大きさを決定し、且つ/又は
前記蒸気発生器システム(10)は、さらに赤外線センサ(32)を有し、前記赤外線センサ(32)を用いて前記空気予熱器(13)内の低温端メタル温度を判定するとともに、
前記低温端メタル温度を水露点温度と比較し、
前記低温端メタル温度を前記水露点温度以上であるように制御する、
請求項4~7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記煙道ガス混合物内のSOを軽減することは、
低硫黄燃料を前記蒸気発生器容器(11)に供給することであって、前記低硫黄燃料は5パーツパーミリオン未満のSOを生成すること、及び/又は
前記煙道ガス混合物を前記空気予熱器(13)に入れるのに先立って前記煙道ガス混合物内の前記SOを除去すること、及び/又は
前記煙道ガス混合物を前記空気予熱器(13)に入れるのに先立って、前記煙道ガス混合物内の前記SOを化学的に不活性塩にさせること、
を含み、
化学的に不活性塩にさせることは、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、アンモニウム、及び/又はチオ硫酸カルシウムを含み、且つチオ硫酸塩及び塩化物からなる群から選択された少なくとも1つの可溶性塩化合物を含むか、又は炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、及び重炭酸カリウムのうちの少なくとも1つを含む試薬の水性懸濁液を噴霧して、前記煙道ガス混合物内の前記SOと反応し得る少なくとも1つの可溶性塩化合物の乾燥微粒子を含む微粒子ミストを前記煙道ガスの中で生成することを含む、
請求項1~8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記煙道ガス脱硫システム(17)と前記排出煙突(19)との間に注入手段をさらに備え、前記第2の温度における前記第2の部分の空気を、前記第3の温度における前記第2の処理された煙道ガス混合物(FG2)に対して注入することは、前記注入手段の中で行われるとともに、
前記注入手段は、前記煙道ガス脱硫システム(17)と前記排出煙突(19)との間のダクトマニホルドを含み、前記ダクトマニホルドは、前記第2の処理された煙道ガス混合物を受け入れるための入口と、前記第2の部分の空気を受け入れるための分岐接続部と、前記排出煙突(19)と連通している出口とを含み、
前記注入手段は、ミキサー、旋回ベーン、及び/又はタビュレータ装置のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1~9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記微粒子除去システム(14)は、乾式静電集塵器及び布フィルタのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の温度における前記煙道ガス混合物を前記空気予熱器(13)から前記微粒子除去システム(14)まで直接排出することは、前記空気予熱器(13)と前記微粒子除去システム(14)との間に熱交換器が配置されていない状態で達成される、請求項1~10の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
第1の処理された煙道ガス混合物を前記微粒子除去システム(14)から前記煙道ガス脱硫システム(17)内に直接排出することは、前記微粒子除去システム(14)と前記煙道ガス脱硫システム(17)との間に熱交換器が配置されていない状態で達成される、請求項1~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記空気予熱器(13)と前記煙道ガス脱硫システム(17)との間に配置される熱交換器は存在しないか、且つ/又は
前記煙道ガス脱硫システム(17)と前記排出煙突(19)との間に配置されるファンは存在しない、
請求項1~13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の量の空気の前記第2の部分の注入は、前記第2の処理された煙道ガス混合物に対する前記第2の部分の、1パーセント~16パーセントの質量比において行われ、且つ/又は
前記第1の量の空気の前記第2の部分の注入は、前記第2の処理された煙道ガス混合物に対する前記第2の部分の、9パーセント~16パーセントの質量比において行われる、請求項2~14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
向上した効率のために蒸気発生器システム(10)をレトロフィットするための方法であって、前記方法は、
空気予熱器(13)の下流に位置付けられている1又は複数の熱交換器を除去すること、及び前記空気予熱器(13)を出る煙道ガス混合物の第1の温度を確立するのに十分な質量流量において第1の量の空気を供給するように前記空気予熱器(13)への空気供給源(13D)を再構成することであって、前記第1の温度は、前記空気予熱器(13)が、前記空気予熱器(13)内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有するようなものであり、前記第1の温度は105℃(220°F)~125℃(257°F)である、ことと、
蒸気発生器容器(11)と連通しているSO軽減手段を備えることであって、前記SO軽減手段は、前記蒸気発生器容器内(11)で生成された煙道ガス混合物内のSOを軽減するように構成されており、SOの軽減は前記煙道ガス混合物が前記空気予熱器(13)に入る前に行われる、ことと、
ボイラの効率を維持又は向上するために、前記第1の量の空気を、従来のシステムの燃焼空気の温度以上であり且つ288℃~399℃(550°F~750°F)である第2の温度まで加熱するように前記空気予熱器(13)を構成することと、
前記第1の量の空気の第1の部分又は全てを燃料の燃焼のために前記蒸気発生器容器(11)に供給することと、
前記蒸気発生器容器(11)を出た前記煙道ガス混合物の全て又は一部を前記第1の温度において前記空気予熱器(13)から微粒子除去システム(14)まで直接排出し、それにより前記煙道ガス混合物から微粒子を除去し、第1の処理された煙道ガス混合物を生成することと、
前記第1の処理された煙道ガス混合物を、微粒子除去システム(14)から煙道ガス脱硫システム(17)内に直接排出し、それにより52℃~60℃の範囲である第3の温度における第2の処理された煙道ガス混合物を、前記煙道ガス脱硫システム(17)内で生成し、前記煙道ガス脱硫システム(17)から排出することと、
煙道ガス再加熱空気としての、前記第1の量の空気の第2の部分を、前記第3の温度における第2の煙道処理された煙道ガス混合物に対して注入し、それにより少なくとも68℃の第4の温度における第3の処理された煙道ガス混合物を、排出煙突(19)に入る前に生成することと、
前記第3の処理された煙道ガス混合物を、前記第4の温度において前記排出煙突(19)に入れることと、
を含み、
前記第3の温度は、前記排出煙突(19)を出る可視プルームを軽減し且つ前記排出煙突(19)内での腐食を軽減するのに十分な大きさまで、前記煙道ガス再加熱空気が前記第4の温度を上昇させることを可能にするのに十分な大きさのものである、
レトロフィット方法。
【請求項17】
前記煙道ガス脱硫システム(17)と前記排出煙突(19)とを接続している出口ダクトの少なくとも一部を、前記煙道ガス脱硫システム(17)と過剰空気ダクトと前記排出煙突(19)とを接続するマニホルドに置き変える、請求項16に記載のレトロフィット方法。
【請求項18】
前記蒸気発生器システム(10)は煙道ガス再加熱空気微粒子除去システムをさらに含み、前記空気予熱器(13)は前記煙道ガス再加熱空気微粒子除去システムを介して前記排出煙突(19)と連通しており、
前記第2の部分の空気から微粒子汚染物質を除去し、前記微粒子汚染物質は前記空気予熱器(13)内で漏洩した前記煙道ガス混合物から前記第2の部分の空気に導入されたものである、
請求項16又は17に記載のレトロフィット方法。
【請求項19】
前記蒸気発生器システム(10)は、前記蒸気発生器容器(11)と前記空気予熱器(13)との間の連通箇所において配置された湿度センサをさらに含み、
前記湿度センサを用いて前記煙道ガス混合物の湿度を測定して、第1の温度の大きさを決定し、且つ/又は
前記蒸気発生器システム(10)は赤外線センサをさらに含み、
前記赤外線センサを用いて前記空気予熱器(13)内の前記低温端メタル温度を判定し、前記低温端メタル温度を前記水露点温度と比較し、前記低温端メタル温度を前記水露点温度以上であるように制御する、
請求項16~18の何れか1項に記載のレトロフィット方法。
【請求項20】
前記レトロフィット方法を実施した後の前記蒸気発生器システム(10)の第2の熱効率は、前記レトロフィット方法を実施する前の前記蒸気発生器システム(10)の第1の熱効率と少なくとも同程度に大きい、請求項16~19の何れか1項に記載のレトロフィット方法。
【請求項21】
前記蒸気発生器システム(10)は、さらに第2の微粒子除去システム(33)を含み、前記空気予熱器(13)は前記第2の微粒子除去システム(33)を介して前記排出煙突(19)と連通し、
前記蒸気発生器容器(11)と前記空気予熱器(13)との間に湿度センサを配置し、
前記空気予熱器(13)内に赤外線センサを配置し、
前記湿度センサを用いて煙道ガス混合物の湿度を測定して、第1の温度の大きさを決定し、
前記第1の温度は、前記空気予熱器(13)が、前記空気予熱器(13)内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有し、前記第1の温度は105℃(220°F)~125℃(257°F)であり、
前記赤外線センサを用いて前記空気予熱器(13)内の前記低温端メタル温度を判定し、前記低温端メタル温度を前記水露点温度と比較し、前記低温端メタル温度を前記水露点温度以上であるように制御し、
第2の部分の空気から微粒子汚染物質を除去し、ここで、前記微粒子汚染物質は、前記空気予熱器内での前記煙道ガス混合物からの漏洩から前記第2の部分の空気に導入されたものであり、
煙道ガス再加熱としての、前記第1の量の空気の第2の部分を、52℃~60℃の前記第3の温度における第2の煙道処理された煙道ガス混合物に対して注入し、それにより最低でも約68℃(155°F)の第4の温度における第3の処理された煙道ガス混合物を、前記排出煙突(19)に入る前に生成し、
前記第3の処理された煙道ガス混合物を、前記第4の温度において前記排出煙突(19)に入れることを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、化石燃料燃焼蒸気発生器の効率及び微粒子除去の効率を向上させるための方法及びシステムに関し、特に、汚れを低減することによって空気予熱器の効率を向上させ、且つ空気予熱器の上流でのSO軽減と、煙道ガス再加熱とを使用することによって前記化石燃料燃焼蒸気発生器の熱効率及び静電集塵器の効率を向上させ、それにより前記空気予熱器の下流の1又は複数の熱交換器の除去と1又は複数のファンの除去とを容易にするための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電及び化学処理プラントにおいて使用するための蒸気の発生のために採用される多くのタイプの蒸気発生器システムが存在する。蒸気発生システムのうちのいくつかは、石炭、天然ガス、及びオイルなどの化石燃料を蒸気発生器容器内で燃焼させる。燃料の燃焼のための酸素を提供するために、蒸気発生器容器への空気供給が必要とされる。燃料の燃焼は、蒸気発生器容器から排出される煙道ガスストリーム内の高温燃焼副産物をもたらす。蒸気発生器システムの熱効率を向上するために、蒸気発生器容器への前記空気供給は、空気予熱器(APH)、例えば回転式APHなどにおいて、煙道ガスストリームから熱を回収することによって加熱される。
【0003】
APHの効率は、より高い効率の熱伝達エレメント、及びより大きな熱伝達面積を有する熱伝達エレメントを使用することによって増加される。しかし当業者は、本明細書中で説明する汚染物質の制御に関する動作制限のため、より高い効率の熱伝達エレメント、及び熱伝達エレメントのより大きな熱伝達面積の使用によって得られる増加したAPH効率の最大限の可能性を実現できていない。
【0004】
煙道ガスストリーム内の副産物は、微粒子物質及び汚染物質を含む場合がある。例えば、石炭の燃焼は、フライアッシュの形態の微粒子物質、並びに窒素酸化物(NOx)、二酸化硫黄SO及び三酸化硫黄SO(集合的にしばしばSOxと呼ばれる)などの汚染物質などの、燃焼副産物をもたらす。SOは、高硫黄石炭などの硫黄含有燃料の燃焼の結果として形成される。SOは、例えば煙道ガス内の酸素含有率が非常に高い場合、又は煙道ガス温度が非常に高い(例えば800℃を超える)場合に、SOの酸化によって形成される。SOは、除去するのが非常に困難な、硫酸(HSO)ミストとして知られる液体エアロゾルを形成する場合がある。
【0005】
環境法及び環境規制は、環境中への微粒子物質及び汚染物質の排出の量を制限する。したがって、様々な処理システムが、微粒子物質及び汚染物質の排出を制御するために採用されている。例えば、選択的触媒還元(SCR)は、NOxとも呼ばれる窒素酸化物を、触媒を用いて2原子窒素(N)及び水(HO)に変換するための処理手段である。バッグハウス、湿式静電集塵器(ESP)、及び乾式ESPなどの微粒子制御システムが、煙道ガスストリームから微粒子物質を除去するために採用される場合がある。乾式ESPは湿式ESPより効率的であり且つ保守がより容易であるが、乾式ESPは湿式ESPよりも乾燥した煙道ガスストリームを必要とする。乾燥した煙道ガスストリームを生成することは困難な可能性があり、その理由は、煙道ガス温度がAPHの低温端においてSOの露点未満に低下した場合、凝縮が発生する場合があり、それによりSOがHSOを形成し、比較的湿った煙道ガスがもたらされるからである。その上、煙道ガスがHSOミストを含む場合、より効率の低い湿式ESPが、HSOを除去するために一般に採用される。加えて、煙道ガスの温度が高い場合(例えば130℃以上)、ESPは塵汚れ(例えば、ESPコレクタプレート及び除去トラフ上のフライアッシュの望ましくない蓄積)に遭遇する傾向がある。
【0006】
微粒子物質及び汚染物質の制御のために採用される別のシステムは、煙道ガス脱硫(FGD)システムである。FGDシステムは主として、例えばSO吸収器の使用によって、いかなるSOも除去することに関する。湿式SO吸収器は一般に、煙道ガスからSOを吸収するために、SO吸収器を通して流れている煙道ガスのストリーム上に、吸収剤と混合された水を噴霧する。SO吸収器を出る煙道ガスは、いくらかのSOを含む水で飽和している。FGDシステムの1つの動作制限は、SO吸収器を出る煙道ガスが、ファン、ダクト、及び煙突などの任意の下流機器に対して腐食性が強い可能性があるということである。FGDシステムのもう1つの動作制限は、SO吸収器が、かなりの給水と吸収剤再生機器とを必要とするということである。
【0007】
APHに関する1つの動作制限は、増加した熱伝達効率及び熱伝達面積を有する熱伝達エレメントを採用することにより、煙道ガス温度がSOの露点未満に低下することが引き起こされる可能性があり、その温度ではAPHの低温端において凝縮が発生する可能性があるということである。SOは水と反応して硫酸HSOを形成し、これはAPH熱伝達エレメント上で凝縮する。微粒子物質は、凝縮したHSOに付着してAPHの汚れをもたらす可能性がある。この動作制限に基づいて、当業者は、部品温度及び/又はAPHを出る煙道ガスの温度をSOの露点未満に低下させることを、並びに増加した効率の熱伝達エレメント及び増加した熱伝達面積をさらに採用することを妨げられてきた。したがってこの、APHの効率を増加する最大限の可能性を完全には実現できないということは、蒸気発生器システムの熱効率をその最大限の可能性まで増加されるように増加する能力を制限する。
【0008】
図1に示すように、従来技術の蒸気発生器システムが全体として数字100によって示されている。蒸気発生器システム100は、SCR入口102Aを介して選択的触媒還元(SCR)システム102と連通している煙道ガス出口101Bを含む蒸気発生器容器101を含む。SCRシステム102は、第1のAPH入口103Aを介して空気予熱器(APH)103と連通しているSCR出口102Bを含む。空気供給ライン103Dが第2のAPH入口103Cと連通している。APH103は、蒸気発生器容器101への入口101Aと連通している第1のAPH出口103Eを含む。APH103は、静電集塵器(ESP)104の入口104Aと連通している第2のAPH出口103Bを含む。ESP104は、ファン105(例えば、誘引通風ファン)の入口105Aと連通している出口104Bを含む。ファン105は、ガス-ガス熱交換器(GGH)の熱回収セクション106Xの高温側入口106XAと連通している出口105Bを含む。熱回収セクション106Xは、煙道ガス脱硫(FGD)システム107の入口107Aと連通している第1の出口106XBを有する。FGDシステム107は、GGHの再加熱セクション106Yの低温側入口106YAと連通している出口107Bを含む。再加熱セクション106Yは、ファン108のファン入口108Aと連通している第2の出口106YBを含む。熱回収セクション106Xは、シールされた導管106Qであってその中で熱伝達媒体を運ぶためのシールされた導管106Qを介して再加熱セクション106Yの出口106YDと連通している入口106XCを含む。熱回収セクション106Xは、シールされた導管106Rであってその中で熱伝達媒体を運ぶためのシールされた導管106Rを介して再加熱セクション106Yの入口106YCと連通している出口106XDを含む。ファン108は、排気煙突109の入口109Aと連通している出口108Bを含む。排気煙突109は煙突出口109Bを含む。
【0009】
蒸気発生器システム100の動作は、粉砕された石炭などの燃料を蒸気発生器容器101に供給することを含む。蒸気発生器容器101から排出された高温煙道ガスのストリームであってSCR102内でNOx低減のために処理された後の高温煙道ガスのストリームによってAPH103内で加熱された空気供給103Dを介して、石炭の燃焼のための空気が提供される。APH出口103Bから排出されEPS104に供給される煙道ガスは一般に、約130℃の温度を有する。130℃におけるESP104の動作は、本明細書中で説明したように、ESP104内での塵汚れをもたらす傾向がある。FGDシステム107内でのSO除去の効率を増加するために、煙道ガスの温度はGGH106内で約90℃まで低下される。しかし、GGH106を通した圧力損失のため、煙道ガスの圧力を増加してGGH106及びFGDシステム107を通した十分な速度における連続した流れを確実にするために、ファン105が必要とされる。FGDシステム107内での脱硫処理は、FGDシステム107内での水との接触の結果として、煙道ガスの温度を約50℃まで低下させる。そのような低温での煙突109内への煙道ガスの排出は、腐食の問題と、煙突109の排出109Bにおける可視プルームとをもたらす傾向がある。加えて、煙道ガスはいくらかの残留アッシュを含む場合があり、前記残留アッシュは、例えば煙道ガスがあまりにも低い温度で煙突109を出た場合、大気中に不適切に分散される可能性がある。これらの問題を軽減するために、煙道ガスはGGH106内に再循環して戻されて、約90℃まで前記煙道ガスは再加熱される。インドでは、汚染監視団体が約80℃~100℃までの再加熱を推奨している。煙道ガスを再循環して戻してGGH106を通すことにより、さらなる圧力損失がもたらされ、ファン108は煙道ガスの圧力及び速度を許容できる大きさまで増加させる必要がある。
【0010】
蒸気発生器システム100の欠点としては以下が含まれる。1)ファン105及び108によって消費される電力による総合熱効率の低下、2)高温の煙道ガスによるESP104内の塵汚れの問題、3)より大きな効率及び面積を有する加熱エレメントを採用することができない最適とは言えないAPH103、4)煙道ガス内の硫酸HSOの存在により乾式ESPを採用できないこと、5)煙道ガス内の5ppmを超える高いSO濃度によるFGD107の非効率。
【0011】
図2に示すように、別の従来技術の蒸気発生器システム100’は、図1の従来技術の蒸気発生器システム100にいくつかの点で類似している。したがって、同様の構成要素は同様の参照文字とそれに続くダッシュ記号とを用いて示されている。
【0012】
図2に示すように、従来技術の蒸気発生器システム100’は、SCR入口102A’を介して選択的触媒還元(SCR)システム102’と連通している煙道ガス出口101B’を含む蒸気発生器容器101’を含む。SCRシステム102’は、第1のAPH入口103A’を介して空気予熱器(APH)103’と連通しているSCR出口102B’を含む。空気供給ライン103D’が第2のAPH入口103C’と連通している。APH103’は、蒸気発生器容器101’への入口101A’と連通している第1のAPH出口103E’を含む。前記APHは、ガス-ガス熱交換器GGHの熱回収セクション106X’の高温側入口106XA’と連通している第2のAPH出口103B’を含む。熱回収セクション106X’は、静電集塵器(ESP)104’の入口104A’と連通している第1の出口106XB’を有する。ESP104’は、ファン105’(例えば、誘引通風ファン)の入口105A’と連通している出口104B’を含む。ファン105’は、煙道ガス脱硫(FGD)システム107’の入口107A’と連通している出口105B’を含む。FGDシステム107’は、GGHの再加熱セクション106Y’の低温側入口106YA’と連通している出口107B’を含む。再加熱セクション106Y’は、ファン108’のファン入口108A’と連通している出口106YB’を含む。熱回収セクション106X’は、シールされた導管106Q’であってその中で熱伝達媒体を運ぶためのシールされた導管106Q’を介して再加熱セクション106Y’の出口106YD’と連通している入口106XC’を含む。熱回収セクション106X’は、シールされた導管106R’であってその中で熱伝達媒体を運ぶためのシールされた導管106R’を介して再加熱セクション106Y’の入口106YC’と連通している出口106XD’を含む。ファン108’は、排気煙突109’の入口109A’と連通している出口108B’を含む。排気煙突109’は煙突出口109B’を含む。
【0013】
蒸気発生器システム100’は、煙道ガスの温度をESP104’に入る前に90℃に上昇させるためにGGH106がAPH103’とESP104’との間に位置付けられているという点で、蒸気発生器システム100と異なっている。蒸気発生器システム100’はESP104’の動作を向上させることを試みるが、蒸気発生器システム100のその他の欠点は存続する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記に基づいて、向上した熱効率と、微粒子物質及び汚染の処理システムとを有する蒸気発生器システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
蒸気発生器システムの効率を向上させるための方法が本明細書中で開示される。前記方法は、蒸気発生器容器と空気供給システムと改良された空気予熱器(例えば、AdvX(商標)空気予熱器、以前は開発名AXRM(商標)が与えられていた)と微粒子除去システム(例えば、乾式静電集塵器及び/又は布フィルタ)と煙道ガス脱硫システムと煙道ガス排出煙突とを有する蒸気発生器システムを備えることを含む。前記空気供給システムは前記空気予熱器を介して前記蒸気発生器容器と連通している。前記蒸気発生器容器は前記空気予熱器と前記微粒子除去システムと前記煙道ガス脱硫システムとを介して前記排出煙突と連通している。前記微粒子除去システムは前記空気予熱器の下流に位置している。前記煙道ガス脱硫システムは前記微粒子除去システムの下流に位置しており、前記排出煙突は前記煙道ガス脱硫システムの下流に位置している。前記方法は、前記空気予熱器を出る煙道ガス混合物の第1の温度を確立するのに十分な質量流量において、前記空気供給システムが第1の量の空気を前記空気予熱器に提供するようにさせることを含む。前記第1の温度は、次の式に従って計算される少なくとも1%の増加した熱回収(HR)を有して動作する前記改良された空気予熱器によって規定される低温端出口温度を前記空気予熱器が有するような大きさのものである。
HR=100%×((Tgi-TgoAdvX)/(Tgi-TgoSTD)-1)、ここで、
Tgi=煙道ガス入口温度、すなわち、前記空気予熱器に入る煙道ガス混合物の温度、
TgoAdvX=煙道ガス出口温度、すなわち、前記改良された空気予熱器を出る煙道ガス混合物の温度、
TgoSTD=煙道ガス出口温度、すなわち、標準的な空気予熱器を出る煙道ガス混合物の温度。
【0016】
前記方法は、前記蒸気発生器容器内で生成された前記煙道ガス混合物内のSOを軽減することを含む。SOの軽減は、前記煙道ガス混合物が前記空気予熱器に入る前に行われる。前記方法は、前記第1の量の空気を約288℃~399℃(550°F~750°F)の第2の温度まで加熱するように前記空気予熱器を構成することを含む。前記方法はまた、前記第1の量の空気の第1の部分又は全てを燃焼空気として、燃料の燃焼のために前記蒸気発生器容器に供給することを含む。前記煙道ガス混合物は、前記第1の温度において前記空気予熱器から前記微粒子除去システムまで直接排出され、それにより前記煙道ガス混合物から微粒子が除去され、第1の処理された煙道ガス混合物が生成される。前記方法は、前記蒸気発生器容器を出た前記第1の処理された煙道ガス混合物の全て又は一部を前記微粒子除去システムから前記煙道ガス脱硫システム内に直接排出し、それにより第3の温度、例えば限定されないが52℃~約60℃(125°F~140°F)における第2の処理された煙道ガス混合物を、前記煙道ガス脱硫システム内で生成し、前記煙道ガス脱硫システムから排出することをさらに含む。前記第3の温度は、前記第3の温度における前記第2の処理された煙道ガス混合物を(例えば混合を介して)直接的に又は(例えば熱交換器を介して)間接的に加熱する煙道ガス再加熱空気としての、第2の部分の空気の注入を促進し、それにより第4の温度(例えば最低でも約68℃(155°F))における第3の処理された煙道ガス混合物を、前記排出煙突に入る前に生成するのに十分な大きさのものである。前記第3の温度は、前記排出煙突を出る可視プルームを軽減し且つ前記排出煙突内での腐食を軽減するのに十分な大きさまで、前記煙道ガス再加熱空気が前記第4の温度を上昇させることを可能にするのに十分な大きさのものである。最後に前記方法は、前記第3の処理された煙道ガス混合物を前記第4の温度において前記排出煙突に入れることを含む。
【0017】
一実施形態では、前記第1の量の空気は、前記蒸気発生器容器内での燃料の燃焼のために必要な量を超える大きさのものであり、前記第2の部分の空気は、前記第2の温度で前記空気予熱器から供給される前記第1の量の空気の第2の部分である。他方、別の実施形態では、前記煙道ガス混合物は、前記空気予熱器の上流で2つのストリームに分割され、第1のストリームは前記空気予熱器に供給されて次に前記空気予熱器から排出される前記煙道ガス混合物の前記部分であり、第2のストリームは前記空気予熱器の上流でダクティングを介してブリードされる。前記別の実施形態では、前記第2のストリームは続いて熱交換器を通して送られ、前記空気予熱器の下流で前記第1のストリームと再結合するように注入される。一般に、前記第2のストリームは続いて熱交換器を通して送られ、前記第2の部分の空気は、煙道ガス再加熱空気としての注入に先立って前記熱交換器内で煙道ガスの前記第2のストリームによって加熱される。
【0018】
一実施形態では、前記空気予熱器は、前記空気予熱器内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有し、前記第1の温度は約105℃(220°F)~約125℃(257°F)である。
【0019】
一実施形態では、前記第1の量の空気の第3の部分が、ボイラの始動中に前記微粒子除去システム、前記煙道ガス脱硫システム、及び/若しくは中間ダクティングのうちの1若しくは複数を選択的に予熱するために使用される、又はボイラの動作中に石炭乾燥設備のために使用され、続いて大気に放出される、予熱空気として提供される。別の実施形態では、煙道ガス混合物の前記第2のストリームは続いて、熱交換器を通して送られて、煙道ガス再加熱空気としての注入のための前記第2の部分の空気を提供する空気ストリームを加熱する。加えて、前記別の実施形態では、前記空気ストリームは第3の部分の空気を、ボイラの始動中に前記微粒子除去システム、前記煙道ガス脱硫システム、中間ダクティングのうちの少なくとも1つを選択的に予熱するために使用される、又はボイラの動作中に石炭乾燥設備のために使用され、続いて大気に放出される、予熱空気として提供する。
【0020】
一実施形態では、前記蒸気発生器システムは選択的触媒還元システムをさらに含み、前記蒸気発生器容器は前記選択的触媒還元システムを介して前記空気予熱器と連通している。
【0021】
一実施形態では、前記蒸気発生器システムは、煙道ガス再加熱空気微粒子除去システム及び/又は予熱空気微粒子除去システムのうちの1又は複数をさらに含み、前記空気予熱器は前記煙道ガス再加熱空気微粒子除去システム及び/又は予熱空気微粒子除去システムを介して前記排出煙突と連通している。前記煙道ガス再加熱空気微粒子除去システム及び/又は前記予熱空気微粒子除去システムは、前記空気予熱器内での前記煙道ガス混合物からの漏洩から前記第2の部分の空気に導入された微粒子汚染物質を、前記第2の部分の空気から除去する。
【0022】
一実施形態では、前記蒸気発生器システムは、前記蒸気発生器容器と前記空気予熱器との間に配置された湿度センサをさらに含み、前記方法は、前記湿度センサを用いて前記煙道ガス混合物の湿度を測定して、第1の温度の大きさを決定する(determine)ことを含む。
【0023】
一実施形態では、前記蒸気発生器システムは赤外線センサをさらに含み、前記方法は、前記赤外線センサを用いて前記空気予熱器内の前記低温端メタル温度を判定すること(determining)、前記低温端メタル温度を前記水露点温度と比較すること、及び前記低温端メタル温度を前記水露点温度以上であるように制御すること、を含む。
【0024】
一実施形態では、前記煙道ガス混合物内のSOの前記軽減は、低硫黄燃料を前記蒸気発生器容器に供給することを含み、前記低硫黄燃料は5パーツパーミリオン未満のSOを生成する。
【0025】
一実施形態では、前記煙道ガス混合物内のSOを軽減することは、前記煙道ガス混合物を前記空気予熱器に入れるのに先立って前記煙道ガス混合物内のSOを除去することを含む。
【0026】
一実施形態では、前記煙道ガス混合物内のSOを軽減することは、前記煙道ガス混合物を前記空気予熱器に入れるのに先立って、前記煙道ガス混合物内の前記SOを化学的に不活性塩にさせることを含む。例えば、化学的に不活性塩にさせることは、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、アンモニウム、及び/又はチオ硫酸カルシウムを含み、且つチオ硫酸塩及び塩化物種のうちの1若しくは複数などの可溶性塩化合物を含むか又は炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、及び重炭酸カリウムのうちの少なくとも1つを含む、試薬の水性懸濁液を噴霧して、煙道ガス内の前記SOと反応することが可能な少なくとも1つの可溶性塩化合物の乾燥微粒子を含む微粒子ミストを生成することを含んでもよい。
【0027】
一実施形態では、前記方法は、前記煙道ガス脱硫システムと前記排出煙突との間に注入装置(例えば、ダクトマニホルド)をさらに備えることを含み、前記第2の温度における前記第2の部分の空気を、前記第3の温度における第2の煙道処理された煙道ガス混合物に対して注入することは、前記注入装置内で行われる。
【0028】
一実施形態では、前記注入装置は、前記煙道ガス脱硫システムと前記排出煙突との間に位置付けられた前記ダクトマニホルドを含む。前記ダクトマニホルドは、前記第2の処理された煙道ガス混合物を受け入れるための入口と、前記第2の部分の空気を受け入れるための分岐接続部と、前記排出煙突と連通している出口とを有する。一実施形態では、前記注入装置は、ミキサー、旋回ベーン、及び/又はタビュレータ装置を含む。
【0029】
一実施形態では、前記第1の温度における前記煙道ガス混合物を前記空気予熱器から前記微粒子除去システムまで直接排出することは、前記空気予熱器と前記微粒子除去システムとの間に熱交換器が配置されていない状態で達成される。
【0030】
一実施形態では、前記第1の処理された煙道ガス混合物を前記微粒子除去システムから前記煙道ガス脱硫システム内に直接排出することは、前記微粒子除去システムと前記煙道ガス脱硫システムとの間に熱交換器が配置されていない状態で達成される。
【0031】
一実施形態では、前記空気予熱器と前記煙道ガス脱硫システムとの間に配置される熱交換器は存在しない。
【0032】
一実施形態では、前記煙道ガス脱硫システムと前記排出煙突との間に配置されるファンは存在しない。
【0033】
一実施形態では、前記第1の量の空気の前記第2の部分の注入は、前記第2の処理された煙道ガス混合物に対する前記第2の部分の、1パーセント~16パーセントの質量比において行われる。一実施形態では、前記第1の量の空気の前記第2の部分の注入は、前記第2の処理された煙道ガス混合物に対する前記第2の部分の、9パーセント~16パーセントの質量比において行われる。
【0034】
蒸気発生器システムの効率を向上させるための方法が本明細書中で開示される。前記方法は、蒸気発生器容器と空気供給システムと改良された空気予熱器と微粒子除去システムと煙道ガス排出煙突とを含む、蒸気発生器システムを備えることを含む。前記空気供給システムは前記空気予熱器を介して前記蒸気発生器容器と連通しており、前記蒸気発生器容器は、前記空気予熱器と前記微粒子除去システムとを介して前記排出煙突と連通している。前記微粒子除去システムは前記空気予熱器の下流に位置しており、前記排出煙突は前記微粒子除去システムの下流に位置している。前記空気供給システムは、前記空気予熱器を出る煙道ガス混合物の第1の温度を確立するのに十分な質量流量において、第1の量の空気を前記空気予熱器に提供する。前記第1の温度は、次の式に従って計算される少なくとも1%の増加した熱回収(HR)を有して動作する前記改良された空気予熱器によって規定される低温端出口温度を前記空気予熱器が有するようなものである。
HR=100%×((Tgi-TgoAdvX)/(Tgi-TgoSTD)-1)、ここで、
Tgi=煙道ガス入口温度、すなわち、前記空気予熱器に入る煙道ガス混合物の温度、
TgoAdvX=煙道ガス出口温度、すなわち、前記改良された空気予熱器を出る煙道ガス混合物の温度、
TgoSTD=煙道ガス出口温度、すなわち、標準的な空気予熱器を出る煙道ガス混合物の温度。
【0035】
前記方法は、前記蒸気発生器容器内で生成された前記煙道ガス混合物内のSOを軽減することを含み、SOの軽減は、前記煙道ガス混合物が前記空気予熱器に入る前に行われる。前記空気予熱器は、前記第1の量の空気を約288℃~399℃(550°F~750°F)の第2の温度T2まで加熱するように構成される。前記第1の量の空気の第1の部分又は全てが燃焼空気として、燃料の燃焼のために前記蒸気発生器容器に供給される。前記煙道ガス混合物又は少なくともその一部は、前記第1の温度において前記空気予熱器から前記微粒子除去システムまで直接排出され、それにより前記煙道ガス混合物から微粒子が除去され、第1の処理された煙道ガス混合物が生成される。前記第1の処理された煙道ガス混合物は、前記微粒子除去システムから煙道ガス脱硫システム内に直接排出され、それにより、第3の温度における第2の処理された煙道ガス混合物が、前記煙道ガス脱硫システム内で生成され、前記煙道ガス脱硫システムから排出される。前記第3の温度は、石炭乾燥設備に熱を提供している予熱空気、及び/又は前記蒸気発生器容器を予熱するための予熱空気としての第2の部分の空気の、注入を促進するのに十分な大きさのものである。
【0036】
一実施形態では、前記空気予熱器は、前記空気予熱器内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有し、前記第1の温度は約105℃(220°F)~約125℃(257°F)である。
【0037】
蒸気発生器システムの効率を向上させるためのシステムが本明細書中で開示される。前記システムは、蒸気発生器容器と、前記蒸気発生器容器と連通している空気予熱器と、前記空気予熱器を介して前記蒸気発生器容器に空気を提供するように構成された空気供給システムと、微粒子除去システム(例えば、乾式静電集塵器及び/又は布フィルタ)と、煙道ガス脱硫システムと、排出煙突とを含む。前記蒸気発生器容器は、前記空気予熱器と前記微粒子除去システムと前記煙道ガス脱硫システムとを介して前記排出煙突と連通している。前記微粒子除去システムは前記空気予熱器のすぐ下流に位置している。前記煙道ガス脱硫システムは前記微粒子除去システムのすぐ下流に位置している。前記排出煙突は前記煙道ガス脱硫システムのすぐ下流に位置している。前記空気供給システムは、前記空気予熱器を出る煙道ガス混合物の第1の温度を確立するのに十分な質量流量において、第1の量の空気を前記空気予熱器に提供するように構成されている。前記第1の温度は、前記空気予熱器が、前記空気予熱器内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有するような大きさのものである。前記第1の温度は約105℃(220°F)~約125℃(257°F)である。前記システムは、SO軽減を前記空気予熱器の上流に含み、前記SO軽減は、前記蒸気発生器容器内で生成された煙道ガス混合物内のSOを軽減するように構成されている。前記空気予熱器は、前記第1の量の空気を約288℃~399℃(550°F~750°F)の第2の温度まで加熱するように構成されている。前記微粒子除去システムは、前記煙道ガス混合物を第3の温度、例えば限定されないが52℃~約60℃(125°F~140°F)において前記煙道ガス脱硫システムに直接運ぶように構成されている。過剰空気ダクトが前記空気予熱器と連通している。第2のダクトが前記煙道ガス脱硫システムと前記排出煙突との間に位置付けられている。前記過剰空気ダクトは、前記第1の量の空気の第2の部分を、前記空気予熱器から供給された煙道ガス再加熱空気として、前記第2の温度において前記空気予熱器から前記第2のダクトまで運ぶように構成されている。前記システムは、前記煙道ガス脱硫システムと前記排出煙突との間に位置する注入装置(例えば、ダクトマニホルド)を含む。前記注入装置は、煙道ガスを前記排出煙突内に、第4の温度(例えば最低でも約68℃(155°F))において排出するように構成されている。前記第3の温度は、前記排出煙突を出る可視プルームを軽減し且つ前記排出煙突内での腐食を軽減するのに十分な大きさまで、前記煙道ガス再加熱空気が前記第4の温度を上昇させることを可能にするのに十分な大きさのものである。
【0038】
一実施形態では、前記蒸気発生器システムは選択的触媒還元システムをさらに含み、前記蒸気発生器容器は前記選択的触媒還元システムを介して前記空気予熱器と連通している。
【0039】
一実施形態では、前記蒸気発生器システムは煙道ガス再加熱空気微粒子除去システムをさらに含み、前記空気予熱器は、前記空気予熱器内での前記煙道ガス混合物からの漏洩から導入された微粒子汚染物質を前記第2の部分の空気から有効に(operatively)除去するための前記煙道ガス再加熱空気微粒子除去システムを介して、前記排出煙突と連通している。
【0040】
一実施形態では、前記蒸気発生器システムは、前記煙道ガス混合物の湿度を測定するために前記蒸気発生器容器と前記空気予熱器との間の連通において配置された湿度センサをさらに含み、前記湿度センサは第1の温度の大きさを決定するために使用される。
【0041】
一実施形態では、前記蒸気発生器システムは、前記空気予熱器の温度を判定するための赤外線センサと、前記低温端メタル温度を前記空気予熱器内の前記水露点より上に制御するように構成された制御ユニットとをさらに含む。
【0042】
一実施形態では、前記SO軽減は、低硫黄燃料を前記蒸気発生器容器に供給することを含む。前記低硫黄燃料は5パーツパーミリオン未満のSOを生成する。
【0043】
一実施形態では、前記SO軽減は、前記煙道ガス混合物を前記空気予熱器に入れるのに先立って前記煙道ガス混合物内のSOを除去することを含む。
【0044】
一実施形態では、前記SO軽減は、前記煙道ガス混合物を前記空気予熱器に入れるのに先立って、前記煙道ガス混合物内の前記SOを化学的に不活性塩にさせることを含む。例えば、化学的に不活性塩にさせることは、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、アンモニウム、及び/又はチオ硫酸カルシウムを含み、且つチオ硫酸塩及び塩化物種などの1若しくは複数の可溶性塩化合物を含むか又は炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、及び重炭酸カリウムのうちの少なくとも1つを含む、試薬の水性懸濁液を噴霧して、前記煙道ガス内の前記SOと反応することが可能な少なくとも1つの可溶性塩化合物の乾燥微粒子を含む微粒子ミストを生成することを含んでもよい。
【0045】
一実施形態では、前記システムは、前記煙道ガス脱硫システムと前記排出煙突との間にファンが配置されることなしに構成される。
【0046】
一実施形態では、前記システムは、前記空気予熱器と前記煙道ガス脱硫システムとの間に熱交換器が配置されることなしに構成される。
【0047】
一実施形態では、前記システムは、前記煙道ガス再加熱空気微粒子除去システムと前記排出煙突との間にファンが配置されることなしに構成される。
【0048】
向上した効率のために蒸気発生器システムをレトロフィットするための方法が本明細書中でさらに開示される。前記方法は、空気予熱器の下流に位置付けられている1又は複数の熱交換器を除去すること、及び前記空気予熱器を出る煙道ガス混合物の第1の温度を確立するのに十分な質量流量において第1の量の空気を供給するように前記空気予熱器への空気供給源を再構成することを含む。前記第1の温度は、前記空気予熱器が、前記空気予熱器内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有するような大きさのものである。前記第1の温度は約105℃(220°F)~約125℃(257°F)である。前記方法は、蒸気発生器容器と連通しているSO軽減を備えることを含む。前記SO軽減は、前記蒸気発生器容器内で生成された煙道ガス混合物内のSOを軽減するように構成されている。SOの軽減は前記煙道ガス混合物が前記空気予熱器に入る前に行われる。前記方法は、ボイラの効率を維持又は向上するために、前記第1の量の空気を、実質的に従来のシステムの燃焼空気の温度以上であり且つ約288℃~399℃(550°F~750°F)である第2の温度まで加熱するように前記空気予熱器を構成することを含む。前記方法は、前記第1の量の空気の第1の部分又は全てを燃料の燃焼のために前記蒸気発生器容器に供給することを含む。前記方法は、前記蒸気発生器容器を出た前記煙道ガス混合物の全て又は一部を前記第1の温度において前記空気予熱器から微粒子収集システムまで直接排出し、それにより前記煙道ガス混合物から微粒子を除去し、第1の処理された煙道ガス混合物を生成することをさらに含む。前記方法はまた、前記第1の処理された煙道ガス混合物を微粒子除去システムから煙道ガス脱硫システム内に直接排出し、それにより第3の温度、例えば限定されないが52℃~約60℃(125°F~140°F)における第2の処理された煙道ガス混合物を、前記煙道ガス脱硫システム内で生成し、前記煙道ガス脱硫システムから排出することを含む。前記方法は、煙道ガス再加熱空気としての第2の部分の空気を、前記第3の温度における第2の煙道処理された煙道ガス混合物に対して注入し、それにより第4の温度(例えば最低でも約68℃(155°F))における第3の処理された煙道ガス混合物を、前記排出煙突に入る前に生成することを含む。前記方法はまた、前記第3の処理された煙道ガス混合物を、前記第4の温度において前記排出煙突に入れることを含む。前記第3の温度は、前記排出煙突を出る可視プルームを軽減し且つ前記排出煙突内での腐食を軽減するのに十分な大きさまで、前記煙道ガス再加熱空気が前記第4の温度を上昇させることを可能にするのに十分な大きさのものである。
【0049】
一実施形態では、レトロフィット方法は、前記煙道ガス脱硫システムと前記排出煙突とを接続している出口ダクトの少なくとも一部を、前記煙道ガス脱硫システムと過剰空気ダクトと前記排出煙突とを接続するマニホルドに置き変えることを含む。
【0050】
一実施形態では、前記蒸気発生器システムは煙道ガス再加熱空気微粒子除去システムをさらに含み、前記空気予熱器は前記煙道ガス再加熱空気微粒子除去システムを介して前記排出煙突と連通している。前記レトロフィット方法は、前記第2の部分の空気から微粒子汚染物質を除去することを含み、前記微粒子汚染物質は、前記空気予熱器内での前記煙道ガス混合物からの漏洩から前記第2の部分の空気に導入されたものである。
【0051】
一実施形態では、前記蒸気発生器システムは、前記蒸気発生器容器と前記空気予熱器との間の連通において配置された湿度センサをさらに含み、前記レトロフィット方法は、前記湿度センサを用いて前記煙道ガス混合物の湿度を測定して、第1の温度の大きさを決定することを含む。
【0052】
一実施形態では、前記蒸気発生器システムは赤外線センサをさらに含み、前記レトロフィット方法は、前記赤外線センサを用いて前記空気予熱器内の前記低温端メタル温度を判定すること、前記低温端メタル温度を前記水露点温度と比較すること、及び前記低温端メタル温度を前記水露点温度以上であるように制御すること、を含む。
【0053】
一実施形態では、前記レトロフィット方法において、前記レトロフィット方法を実施した後の前記蒸気発生器システムの第2の熱効率は、前記レトロフィット方法を実施する前の前記蒸気発生器システムの第1の熱効率と少なくとも同程度に大きい。
【0054】
55フィート/秒(約16.8m/秒)~60フィート/秒(約18.3m/秒)程度の煙道ガス出口速度が可能な湿式煙突蒸気発生器システムを、向上した効率のためにレトロフィットするための方法が本明細書中でさらに開示される。前記方法は、空気予熱器を出る煙道ガス混合物の第1の温度を確立するのに十分な質量流量において第1の量の空気を供給するように前記空気予熱器への空気供給源を再構成することによって、前記湿式煙突をなくし、それにより、増加した煙道ガス出口速度を可能にすることを含み、前記第1の温度は、次の式に従って計算される少なくとも1%の増加した熱回収HRを有して動作する改良された空気予熱器によって規定される低温端出口温度を前記空気予熱器が有するようなものである。
HR=100%×((Tgi-TgoAdvX)/(Tgi-TgoSTD)-1)、ここで、
Tgi=煙道ガス入口温度、すなわち、前記空気予熱器に入る煙道ガス混合物の温度、
TgoAdvX=煙道ガス出口温度、すなわち、前記改良された空気予熱器を出る煙道ガス混合物の温度、
TgoSTD=煙道ガス出口温度、すなわち、標準的な空気予熱器を出る煙道ガス混合物の温度。
【0055】
前記方法は、蒸気発生器容器と連通しているSO軽減を備えることを含む。前記SO軽減は、前記蒸気発生器容器内で生成された煙道ガス混合物内のSOを軽減するように構成されている。SOの軽減は前記煙道ガス混合物が前記空気予熱器に入る前に行われる。前記方法は、従来のシステムと比較してボイラの効率を維持又は向上するために、前記第1の量の空気を、実質的に前記従来のシステムの燃焼空気の温度以上であり且つ約288℃~399℃(550°F~750°F)である第2の温度まで加熱するように前記空気予熱器を構成することを含む。前記方法は、前記第1の量の空気の第1の部分又は全てを燃料の燃焼のために前記蒸気発生器容器に供給することを含む。前記方法は、前記蒸気発生器容器を出た前記煙道ガス混合物の全て又は一部を前記第1の温度において前記空気予熱器から微粒子収集システムまで直接排出し、それにより前記煙道ガス混合物から微粒子を除去し、第1の処理された煙道ガス混合物を生成することをさらに含む。前記第1の処理された煙道ガス混合物は、微粒子除去システムから煙道ガス脱硫システム内に直接排出され、それにより第3の温度における第2の処理された煙道ガス混合物が、前記煙道ガス脱硫システム内で生成され、前記煙道ガス脱硫システムから排出される。前記方法は、煙道ガス再加熱空気としての、前記第1の量の空気の第2の部分を、前記第3の温度における第2の煙道処理された煙道ガス混合物に対して注入し、それにより第4の温度における第3の処理された煙道ガス混合物を、前記排出煙突に入る前に生成することを含む。前記方法は、前記第3の処理された煙道ガス混合物を、前記第4の温度において前記排出煙突に入れることを含む。前記第3の温度は、乾式煙突が前記排出煙突を出る可視プルームを軽減し且つ前記排出煙突内での腐食を軽減するのを促進するのに十分な大きさまで、前記煙道ガス再加熱空気が前記第4の温度を上昇させることを可能にするのに十分な大きさのものである。レトロフィットされた蒸気発生器システムは、従来の蒸気発生器システム(すなわち、レトロフィットを実施する前)に比較して増加した負荷において動作可能であり、前記増加した負荷において前記煙道ガス出口速度は、湿式煙突を用いて以前に許可されていた速度を超過する。
【0056】
一実施形態では、前記空気予熱器は、前記空気予熱器内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有し、前記第1の温度は約105℃(220°F)~約125℃(257°F)である。
【0057】
蒸気発生器システムの効率を向上させるための方法が本明細書中でさらに開示される。前記方法は、蒸気発生器容器と空気供給システムと空気予熱器と第1の微粒子除去システムと第2の微粒子除去システムと煙道ガス脱硫システムと煙道ガス排出煙突とを含む、蒸気発生器システムを備えることを含む。前記空気供給システムは前記空気予熱器を介して前記蒸気発生器容器と連通しており、前記蒸気発生器容器は、前記空気予熱器と前記第1の微粒子除去システムと前記煙道ガス脱硫システムとを介して前記排出煙突と連通している。前記第1の微粒子除去システムは前記空気予熱器の下流に位置しており、前記煙道ガス脱硫システムは前記第1の微粒子除去システムの下流に位置している。前記排出煙突は前記煙道ガス脱硫システムの下流に位置しており、前記空気予熱器は前記第2の微粒子除去システムを介して前記排出煙突と連通している。前記方法はまた、前記蒸気発生器容器と前記空気予熱器との間に配置された湿度センサを備えることと、前記空気予熱器内に赤外線センサを備えることとを含む。前記方法は、前記湿度センサを用いて煙道ガス混合物の湿度を測定して、第1の温度の大きさを決定することを含む。前記空気供給システムは第1の量の空気を前記空気予熱器に提供する。前記第1の量の空気は、前記空気予熱器を出る煙道ガス混合物の第1の温度を確立するのに十分な質量流量におけるものである。前記第1の温度は、前記空気予熱器が、前記空気予熱器内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有するような大きさのものである。前記第1の温度は約105℃(220°F)~約125℃(257°F)である。前記方法は、前記赤外線センサを用いて前記空気予熱器内の前記低温端メタル温度を判定すること、前記低温端メタル温度を前記水露点温度と比較すること、及び前記低温端メタル温度を前記水露点温度以上であるように制御すること、を含む。前記方法は、前記蒸気発生器容器内で生成された煙道ガス混合物内のSOを軽減することを含む。SOの軽減は、前記煙道ガス混合物が前記空気予熱器に入る前に行われる。前記方法は、前記第1の量の空気を約288℃~399℃(550°F~750°F)の第2の温度まで加熱するように前記空気予熱器を構成すること、及び前記第1の量の空気の第1の部分又は全てを燃焼空気として、燃料の燃焼のために前記蒸気発生器容器に供給することを含む。前記方法は、前記蒸気発生器容器を出た前記煙道ガス混合物の全て又は一部を前記第1の温度において前記空気予熱器から前記微粒子除去システムまで直接排出し、それにより前記煙道ガス混合物から微粒子を除去し、第1の処理された煙道ガス混合物を生成することを含む。前記方法は、前記第1の処理された煙道ガス混合物を、前記微粒子除去システムから前記煙道ガス脱硫システム内に直接排出し、それにより52℃~60℃(125°F~140°F)の第3の温度における第2の処理された煙道ガス混合物を、前記煙道ガス脱硫システム内で生成し、前記煙道ガス脱硫システムから排出することを含む。前記方法は、第2の部分の空気から微粒子汚染物質を除去することを含む。前記微粒子汚染物質は、前記空気予熱器内での前記煙道ガス混合物からの漏洩から前記第2の部分の空気に導入されたものである。前記方法は、前記空気予熱器から前記第2の温度において供給される煙道ガス再加熱空気としての、前記第1の量の空気の第2の部分を、前記第3の温度における第2の煙道処理された煙道ガス混合物に対して注入し、それにより最低でも約68℃(155°F)の第4の温度における第3の処理された煙道ガス混合物を、前記排出煙突に入る前に生成することをさらに含む。前記方法はまた、前記第3の処理された煙道ガス混合物を、前記第4の温度において前記排出煙突に入れることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】従来技術による従来技術の蒸気発生器システムの概略フロー図である。
図2】従来技術による別の従来技術の蒸気発生器システムの概略フロー図である。
図3】本発明の蒸気発生器システムの概略フロー図である。
図4】本発明の蒸気発生器システムの別の実施形態の概略フロー図である。
図5】様々な煙道ガス温度増加についての、スクラブされたガスに対する再加熱空気比のグラフである。
図6】空気予熱器効率向上のグラフである。
図7】本発明の蒸気発生器システムのさらなる実施形態の概略フロー図である。
図8】本発明の蒸気発生器のなおさらなる実施形態の概略フロー図である。
図9図3及び図8に示した実施形態の再加熱特徴を組み合わせた蒸気発生器のハイブリッド実施形態の概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図3に示すように、蒸気発生器システムの効率を向上させるためのシステムが全体として数字10によって示されている。蒸気発生器システム10は、蒸気発生器容器11と空気予熱器13(例えば、本願発明者のAdvX(商標)設計の回転再生式熱交換器、AdvX(商標)はアルヴォスインク(Arvos Inc.)の商標)とを含む。AdvX(商標)空気予熱器13は、ダクト63を介して蒸気発生器容器11と連通している。蒸気発生器システム10は、空気予熱器13を介して蒸気発生器11に空気を提供するように構成された空気供給システム13Dを含む。蒸気発生器システム10はまた、図3に示す構成では、微粒子除去システム14と煙道ガス脱硫システム17と排出煙突19とを含む。本明細書中で使用される場合、用語「蒸気発生器システムの効率を向上させること」は、1)空気予熱器13と排出煙突19との間の熱交換器を排除しながらも蒸気発生器システム10の総合熱効率を維持すること、2)空気予熱器13内の汚れを低減すること、3)微粒子除去システム14の効率を向上させること、4)空気予熱器13の効率を向上させること、及び/又は5)蒸気発生器システム10の総合熱効率を従来技術の蒸気発生器システム(例えば、図1及び図2の蒸気発生器システム100及び100’)と比較して向上させること、を含む。多大な解析及び試験と長年の失敗に終わった試みとを通して、本願発明者らは、図1及び図2に示すGGH106X、106X’、106Y、及び106Y’の効率向上の利益なしで従来技術の蒸気発生器システム100、100’と少なくとも同程度に熱効率良く動作可能な、蒸気発生器システム10、10’を意外にも発見した。
【0060】
図3に示すように、蒸気発生器容器11は、空気予熱器13と微粒子除去システム14と煙道ガス脱硫システム17とを介して排出煙突19と連通している。ダクト60を介して互いに流体連通している空気予熱器13と微粒子除去システム14との間に位置するファン又は熱交換器などの他の実質的な構成要素が存在しないように、微粒子除去システム14は空気予熱器13のすぐ下流に位置している。特に、空気予熱器13と微粒子除去システム14との間に位置する、図2に示すものに類似したGGH106X’は存在しない。ダクト61を介して互いに流体連通している微粒子除去システム14と煙道ガス脱硫システム17との間に位置する熱交換器などの他の実質的な構成要素が存在しないように、煙道ガス脱硫システム17は微粒子除去システム14のすぐ下流に位置している。特に、微粒子除去システム14と煙道ガス脱硫システム17との間に位置する、図1に示すものに類似したGGH106Xは存在しない。ダクト62を介して互いに流体連通している煙道ガス脱硫システム17と排出煙突19との間に位置するファン又は熱交換器などの他の実質的な構成要素が存在しないように、排出煙突19は煙道ガス脱硫システム17のすぐ下流に位置している。特に、煙道ガス脱硫システム17と排出煙突19との間に位置する、図1及び図2に示すものに類似したGGH106Y又は106Y’は存在しない。空気予熱器13と排出煙突19との間に位置する熱交換器は存在しない。一実施形態では、ダクト62は、本明細書中に記載するように、第1の量A1の空気の第2の部分P2を、第2の処理された煙道ガス混合物FG2と混合するためにその中に配置された、ミキサー、1若しくは複数の旋回ベーン、接合部、及び/又はタビュレータ装置などの、再加熱空気注入装置21を含む。
【0061】
図3に示すように、空気供給システム13Dは、第1の量A1の空気を空気予熱器13に提供するように構成されている。第1の量A1の空気は、蒸気発生器容器11内での燃料の燃焼のために必要な量を超える大きさのものである。空気予熱器13は、空気予熱器13を出る煙道ガス混合物FGの第1の温度T1を確立するのに十分な質量流量において第1の量A1の空気を提供するように構成されている。空気予熱器13を出る煙道ガス混合物FGの第1の温度T1は、空気予熱器13の低温端において発生する空気-ガス漏洩(air-to-gas leakage)により、蒸気発生器容器11を出る煙道ガスより低温である。蒸気発生器容器11を出る煙道ガスの温度はしばしば、「補正されていない(uncorrected)」ガス出口温度と呼ばれ、冷気漏洩と混合された後で空気予熱器13を出る煙道ガス混合物FGの第1の温度T1はしばしば、「補正された(corrected)」ガス温度と呼ばれる。第1の温度T1は、空気予熱器13が、空気予熱器13内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有するようなものである。用語「低温端メタル」は本明細書中で使用される場合、空気予熱器13内で最低の温度における空気予熱器13内の部分である。第1の温度T1は約105℃(220°F)~約125℃(257°F)である。
【0062】
別の実施形態では、第1の温度T1は、少なくとも1%(1パーセント)の、標準的な空気予熱器と比較して増加した熱回収HRを有して動作する、改良された空気予熱器(例えば、AdvX(商標)空気予熱器、アルヴォスインク(ARVOS Inc.)の商標)によって規定される。この増加した熱回収HRは、式HR=100%×((Tgi-TgoAdvX)/(Tgi-TgoSTD)-1)に従って計算されたパーセンテージ数を表す。負数は減少した熱回収を表すことが理解されるであろう。ここで、標準的な空気予熱器(STD)は、第1の量の空気が、燃焼のために必要な量に等しい大きさのものである空気予熱器、すなわち第1の量の空気が燃焼空気である空気予熱器であって、過剰空気を予熱しない空気予熱器として、且つ前記改良された空気予熱器のものと等しい直径及び深さのロータを有する空気予熱器として定義される。
【0063】
式HR=100%×((Tgi-TgoAdvX)/(Tgi-TgoSTD)-1)において、
Tgi=煙道ガス入口温度、すなわち、前記空気予熱器に入る煙道ガス混合物の温度、
TgoAdvX=煙道ガス出口温度、すなわち、前記改良された空気予熱器を出る煙道ガス混合物の温度、
TgoSTD=煙道ガス出口温度、すなわち、前記標準的な空気予熱器を出る煙道ガス混合物の温度、である。
例えば、Tgi=華氏700度(約摂氏371度)、TgoSTD=華氏300度(約摂氏148度)、及びTgoAdvX=華氏295度(約摂氏146度)である場合、HR=100%×((700-295)/(700-300)-1)=1.25%である。
【0064】
空気予熱器13はまた、燃料の燃焼において使用するために、及び本明細書中で説明する再加熱空気のために、第1の量の空気A1を約288℃~399℃(550°F~750°F)の第2の温度T2まで加熱するように構成されている。
【0065】
蒸気発生器システム10は、蒸気発生器容器11内で生成された煙道ガス混合物FG内のSOを軽減するように構成された、空気予熱器13の上流でのSO軽減のための1又は複数のシステム又は装置を含む。一実施形態では、空気予熱器13の上流でのSO軽減のための1又は複数のシステム又は装置は、低硫黄燃料を蒸気発生器容器11に供給することを含む。前記低硫黄燃料は、5パーツパーミリオン未満のSOを生成するのに好適な組成を有する。一実施形態では、空気予熱器13の上流でのSO軽減のための前記1又は複数のシステム又は装置は、煙道ガス混合物FGを空気予熱器13に入れるのに先立って、例えばダクト63内で、煙道ガス混合物FG内のSOを除去することを含む。一実施形態では、空気予熱器13の上流でのSO軽減のための前記1又は複数のシステム又は装置は、煙道ガス混合物FGを空気予熱器13に入れるのに先立って、前記煙道ガス混合物内の前記SOを化学的に不活性塩にさせることを含む。一実施形態では、化学的に不活性塩にさせることは、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、アンモニウム、及び/又はチオ硫酸カルシウムを含み、且つチオ硫酸塩及び塩化物種などの1若しくは複数の可溶性塩化合物を含むか又は炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、及び重炭酸カリウムのうちの少なくとも1つを含む、試薬の水性懸濁液を噴霧して、煙道ガス内の前記SOと反応することが可能な少なくとも1つの可溶性塩化合物の乾燥微粒子を含む微粒子ミストを生成することを含む。
【0066】
図3に示すように、微粒子除去システム14は、煙道ガス混合物FG1を第1の温度T1において、ダクト61を介して煙道ガス脱硫システム17に直接運ぶように構成されている。一実施形態では、微粒子除去システム14は乾式静電集塵器(ESP)である。そのような乾式ESPは、細い垂直ワイヤの列(図示せず)と、それに続く、垂直に向けられた大きくて平坦な金属プレートのスタック(図示せず)とを含む。煙道ガスFGは前記ワイヤの間の空間を通って水平に流れ、次にプレートの前記スタックを通過する。数千ボルトの負電圧がワイヤ及びプレートの間に印加される。印加された電圧が十分に高い場合、コロナ放電によって電極の周りの煙道ガスがイオン化され、次に煙道ガスストリーム内の微粒子がイオン化される。イオン化された微粒子は、静電力によって、接地されたプレートの方に逸らされる。微粒子は収集プレート上に蓄積し、そこから除去される。本明細書中で開示される煙道ガス組成を用いてより低い温度でESPを動作させることにより、効率上の大きな利益が提供され、それにより、様々な蒸気発生器システム内で使用するために必要なESPのサイズの削減が可能になり得る。
【0067】
図4に示すように、一実施形態では、蒸気発生器システム10’は、ダクト64とダクト65との中に及びそれらの間に位置付けられた煙道ガス再加熱空気微粒子除去システム33をさらに含む。空気予熱器13は、空気予熱器13内での煙道ガス混合物FGからの漏洩から導入された微粒子汚染物質を第2の部分P2の空気から有効に(operatively)除去するための煙道ガス再加熱空気微粒子除去システム33を介して、排出煙突19と連通している。一実施形態では、煙道ガス再加熱空気微粒子除去システム33は、本明細書中に記載する微粒子除去システム14と同様に構成されている。図4に示すように、煙道ガス再加熱空気微粒子除去システム33と排出煙突19との間に配置されるファンは存在しない。
【0068】
図3に示すように、過剰空気ダクト65が空気予熱器13と連通しており、且つ煙道ガス脱硫システム17と排出煙突19との間に位置付けられたダクト62と連通している。過剰空気ダクト65は、空気予熱器13から第2の温度T2において供給される煙道ガス再加熱空気P2としての、第1の量A1の空気の第2の部分P2を、空気予熱器13から第2のダクト62まで運ぶように構成されている。例えば、過剰空気ダクト65からの熱損失を最小にするために、過剰空気ダクト65は断熱材(図示せず)を用いて覆われている。加えて、過剰空気ダクト65を通した圧力損失を最小にするために、過剰空気ダクト65は、好適な流れ断面積、滑らかな内部表面、及び最小数の曲がりを有して構成されている。
【0069】
図3に示すように、再加熱空気注入装置21が煙道ガス脱硫システム17と排出煙突19との間に位置している。再加熱空気注入装置21は、典型的には煙道ガス温度を少なくとも約5°F(約2.8℃)上昇させて、最低でも68℃(155°F)の第4の温度T4において煙道ガスを排出煙突19内に排出するように構成されている。一実施形態では、再加熱空気注入装置21は、第1の量A1の空気の第2の部分P2(すなわち煙道ガス再加熱空気P2)を第2の処理された煙道ガス混合物FG2と混合するためにその中に配置された、ミキサー、1若しくは複数の旋回ベーン、接合部、及び/又はタビュレータ装置を含む。別の実施形態では、再加熱空気注入装置21は、煙突19への煙道ガス入口における、始動中の腐食を阻止するように又はさもなければ動作流体の動的安定性を維持するように構成されている。一実施形態では、前記再加熱空気注入装置は、煙道ガス脱硫システム17と過剰空気ダクト65と排出煙突19とを接続するマニホルド39の一部である。前記マニホルドは、分岐接続部であってそれに対して過剰空気ダクト65が接続される分岐接続部を含む。別の実施形態では、再加熱空気は、熱交換チュービング又はダクティングであってそれを横切って煙道ガスが排出煙突19に隣接して流される熱交換チュービング又はダクティングを好適に用いて、混合物FG2を間接的に再加熱する。
【0070】
図4に示すように、一実施形態では、蒸気発生器システム10’は、NOxとも呼ばれる窒素酸化物を、触媒を用いて2原子窒素(N)及び水(HO)に変換するための選択的触媒還元システム(SCR)31を含む。蒸気発生器容器11はSCR31を介して空気予熱器13と連通している。
【0071】
図4に示すように、一実施形態では、蒸気発生器システム10’は、煙道ガス混合物FGの湿度を測定するために蒸気発生器容器11の出口において且つ空気予熱器13の上流に配置された湿度センサ34を含む。前記湿度センサは、第1の温度T1の大きさを決定するように構成されている。
【0072】
図4に示すように、一実施形態では、蒸気発生器システム10’は、空気予熱器温度を判定するための赤外線センサ32を含む。赤外線センサ32は、前記空気予熱器温度、例えば低温端メタル温度を、低温端と熱連通しているか又は前記低温端に近接している空気予熱器13の部分の温度を測定することによって判定するように構成されている。蒸気発生器システム10’は、空気予熱器13内の水露点より上に前記低温端メタル温度を制御するように構成された、コンピュータプロセッサ、メモリ、及び信号処理電子装置などの、制御ユニット71を含む。
【0073】
図7に示すように、別の実施形態では、蒸気発生器システム10”において過剰空気ダクト65は、第1の量A1の空気の第3の部分P3を、例えば始動中に空気予熱器13の下流の機器及びダクティングを予熱するために使用可能な予熱空気P3として運ぶための、過剰空気ブリード66を備えている。予熱空気P3を煙道ガス混合物FG及びFG1内に導入するために、ESP14及びFGD17の上流の予熱注入サイト67、68にそれぞれ供給するためのダンパ(図示せず)が選択的に備えられる。加えて、予熱空気P3は、例えば褐炭などの湿った石炭を利用する場合に特に有用なリモート石炭乾燥器69(CD)に供給されてもよい。石炭乾燥のために必要な予熱は一般に石炭燃焼のために必要とされ、例えばオイル又は天然ガスを用いた始動燃焼中は必ずしも必要とされない。石炭を乾燥させる場合、目的は湿気を除去することであり、石炭の温度を過度に上昇させることではないため(そのような上昇は例えばグラインディングミル内での早期着火の可能性を高める場合があるため)、空気予熱器13によって提供される、より低い出口温度は有利である。空気ブリード66は、動作中に機器/ダクティングの予熱、及び/又は石炭乾燥のために選択的に使用されてもよく、始動中に機器及びダクティング内での凝縮を阻止するために特に有用である、ということが理解されるであろう。他の実施形態では、前記予熱空気は、ESP14又はFGD17のみの上流に必要とされ、図7に示すように両方の上流に必要とされるのではない、ということが理解されるであろう。
【0074】
本発明は、蒸気発生器システム10の効率を向上させるための方法を含む。前記方法は、本明細書中で詳細に説明する蒸気発生器システム10であって蒸気発生器容器11と空気供給システム13Dと空気予熱器13と微粒子除去システム14と煙道ガス脱硫システム17と煙道ガス排出煙突19とを含む、蒸気発生器システム10を備えることを含む。空気供給システム13Dは空気予熱器13を介して蒸気発生器容器11と連通しており、蒸気発生器容器11は、空気予熱器13と微粒子除去システム14と煙道ガス脱硫システム17とを介して排出煙突19と連通している。微粒子除去システム14は空気予熱器13の下流に位置している。煙道ガス脱硫システム17は微粒子除去システム14の下流に位置している。排出煙突19は煙道ガス脱硫システム17の下流に位置している。
【0075】
前記方法は、空気供給システム13Dが第1の量A1の空気を空気予熱器13に提供するようにさせることを含む。第1の量A1の空気は、蒸気発生器容器11内での燃料の燃焼のために必要な量を超える大きさのものである。空気予熱器13は、空気予熱器13を出る煙道ガス混合物FGの第1の温度T1を確立するのに十分な質量流量において第1の量A1の空気を提供する。第1の温度T1は、前記空気予熱器が、空気予熱器13内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有するようなものである。第1の温度T1は約105℃(220°F)~約125℃(257°F)である。
【0076】
前記方法は、蒸気発生器容器11内で生成された煙道ガス混合物FG内のSOを、煙道ガス混合物FGが空気予熱器13に入る前に軽減することを含む。前記方法は、第1の量の空気A1を約288℃~399℃(550°F~750°F)の第2の温度T2まで加熱するように空気予熱器13を構成すること、及び第1の量A1の空気の第1の部分P1を燃焼空気として、燃料の燃焼のために蒸気発生器容器11に供給することを含む。前記方法は、第1の温度T1における煙道ガス混合物FGを空気予熱器13から微粒子除去システム14まで直接排出し、それにより煙道ガス混合物FGから微粒子を除去し、第1の処理された煙道ガス混合物FG1を生成することを含む。前記方法は、第1の処理された煙道ガス混合物FG1を微粒子除去システム14から煙道ガス脱硫システム17内に直接排出し、それにより52℃~60℃(125°F~140°F)の第3の温度T3における第2の処理された煙道ガス混合物FG2を、煙道ガス脱硫システム17内で生成し、煙道ガス脱硫システム17から排出することをさらに含む。前記方法はまた、第2の温度T2における、空気予熱器13から供給された煙道ガス再加熱空気としての、第1の量A1の空気の第2の部分P2を、第3の温度T3における第2の煙道処理された煙道ガス混合物FG2に対して注入し、それにより最低でも68℃(155°F)の第4の温度T4における第3の処理された煙道ガス混合物FG3を、排出煙突19に入る前に生成することを含む。第3の処理された煙道ガス混合物FG3は、第4の温度T4において排出煙突19に入れられる。
【0077】
一実施形態では、蒸気発生器システム10は、NOxとも呼ばれる窒素酸化物を、触媒を用いて2原子窒素(N)及び水(HO)に変換するための、図4に示すSCR31をさらに含む。蒸気発生器容器11はSCR31を介して空気予熱器13と連通している。
【0078】
図4に示すように、一実施形態では、蒸気発生器システム10’は、煙道ガス再加熱空気微粒子除去システム33を含む。空気予熱器13は煙道ガス再加熱空気微粒子除去システム33を介して排出煙突19と連通している。一実施形態では、前記方法は、第2の部分P2の空気から微粒子汚染物質を除去することを含む。前記微粒子汚染物質は、空気予熱器13内での煙道ガス混合物FG1からの漏洩から第2の部分P2の空気に導入されたものである。
【0079】
図4に示すように、一実施形態では、蒸気発生器システム10’は、蒸気発生器容器11と空気予熱器13との間に配置された湿度センサ34を含む。一実施形態では、前記方法は、湿度センサ34を用いて煙道ガス混合物FGの湿度を測定して、第1の温度T1の大きさを決定することを含む。
【0080】
図4に示すように、一実施形態では、蒸気発生器システム10’は赤外線センサ32を含む。一実施形態では、前記方法は、前記赤外線センサを用いて、空気予熱器13内の低温端メタル温度を判定することを含む。赤外線センサ32は、空気予熱器温度、例えば前記低温端メタル温度を、低温端と熱連通しているか又は前記低温端に近接している空気予熱器13の部分の温度を測定することによって判定する。蒸気発生器システム10’は、コンピュータプロセッサ、メモリ、及び信号処理電子装置などの、制御ユニット71を含み、前記方法は、前記低温端メタル温度を水露点温度と比較すること、及び前記制御ユニットを用いて前記低温端メタル温度を空気予熱器13内の水露点より上に制御することを含む。
【0081】
一実施形態では、前記方法は、低硫黄燃料を蒸気発生器容器11に供給することによって、煙道ガス混合物FG内のSOを軽減することを含む。前記低硫黄燃料は、5パーツパーミリオン未満のSOを生成するような組成のものである。
【0082】
一実施形態では、前記方法は、煙道ガス混合物FGを空気予熱器13に入れるのに先立って煙道ガス混合物FG内のSOを除去することによって、煙道ガス混合物FG内のSOを軽減することを含む。
【0083】
一実施形態では、前記方法は、煙道ガス混合物FGを空気予熱器13に入れるのに先立って、前記煙道ガス混合物内のSOを化学的に不活性塩にさせることによって、煙道ガス混合物FG内のSOを軽減することを含む。一実施形態では、化学的に不活性塩にさせる工程は、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、アンモニウム、及びチオ硫酸カルシウムのうちの少なくとも1つを含み、且つチオ硫酸塩及び塩化物種からなる群から選択された少なくとも1つの可溶性塩化合物を含むか又は炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、及び重炭酸カリウムのうちの少なくとも1つを含む、試薬の水性懸濁液を噴霧して、煙道ガス内の前記SOと反応することが可能な少なくとも1つの可溶性塩化合物の乾燥微粒子を含む微粒子ミストを生成することを含む。
【0084】
一実施形態では、前記方法は、煙道ガス脱硫システム17と排出煙突19との間に注入装置21を備えることを含み、第2の温度T2における、第1の量A1の空気の第2の部分P2を、第3の温度T3における第2の煙道処理された煙道ガス混合物FG2に対して注入することは、注入装置21内で行われる。
【0085】
一実施形態では、前記方法は、第1の温度T1における煙道ガス混合物FGを空気予熱器13から微粒子除去システム14まで、空気予熱器13と微粒子除去システム14との間に熱交換器が配置されていない状態で、直接排出することを含む。
【0086】
一実施形態では、前記方法は、第1の処理された煙道ガス混合物FG1を微粒子除去システム14から煙道ガス脱硫システム17内に、微粒子除去システム14と煙道ガス脱硫システム17との間に熱交換器が配置されていない状態で、直接排出することを含む。
【0087】
一実施形態では、前記方法は、第2の処理された煙道ガス混合物FG2に対する第1の量A1の空気の第2の部分P2の、1パーセント~16パーセントの質量比における、第2の部分P2の注入を含む。一実施形態では、前記方法は、第2の処理された煙道ガス混合物FG2に対する第1の量A1の空気の第2の部分P2の、9パーセント~16パーセントの質量比における、第2の部分P2の注入を含む。
【0088】
本発明は、向上した効率のために蒸気発生器システム100、100’をレトロフィットするための方法を含む。レトロフィットするための前記方法は、空気予熱器13の下流に位置付けられている1又は複数の熱交換器を除去することを含む。レトロフィットするための前記方法は、蒸気発生器容器11内での燃料の燃焼のために必要な量を超える第1の量A1の空気を供給するように、空気予熱器13への空気供給源13Dを再構成することと、空気予熱器13を出る煙道ガス混合物FGの第1の温度T1を確立するのに十分な質量流量において第1の量A1の空気が提供されるように、空気供給源13D及び空気予熱器13のうちの少なくとも一つを再構成することとを含み、第1の温度T1は、前記空気予熱器が、空気予熱器13内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有するようなものであり、第1の温度T1は約105℃(220°F)~約125℃(257°F)である。
【0089】
別の実施形態では、第1の温度T1は、本明細書中で定義された少なくとも1%(1パーセント)の、標準的な空気予熱器と比較して増加した効率を有して動作する、改良された空気予熱器(例えば、AdvX(商標)空気予熱器)によって規定される。空気供給13Dを再構成することは、図1及び図2にそれぞれ示す従来技術の空気供給103D、103D’において採用されているものに比較して、より高い流れ能力及び/若しくは圧力能力のファン若しくはブロワを採用すること、及び/又は、空気供給システム内での圧力降下を減少させることを含むが、これらに限定されない。
【0090】
レトロフィットするための前記方法は、蒸気発生器容器11と連通している1又は複数のSO軽減システムを備えることを含む。前記SO軽減システムは、蒸気発生器容器11内で生成された煙道ガス混合物内のSOを軽減するように構成されている。一実施形態では、SOの軽減は煙道ガス混合物FGが空気予熱器13に入る前に行われる。レトロフィットするための前記方法は、第1の量の空気A1を第2の温度T2まで加熱するように空気予熱器13を構成することを含む。第2の温度は、実質的に、従来のシステム(例えば、図1及び図2のそれぞれ従来技術の蒸気発生器システム100、100’)の燃焼空気の温度以上である。一実施形態では、ボイラの熱効率を維持又は向上するために、第2の温度は約288℃~399℃(550°F~750°F)である。レトロフィットするための前記方法は、第1の量A1の空気の第1の部分P1を燃料の燃焼のために蒸気発生器容器11に供給することを含む。レトロフィットするための前記方法は、第1の温度T1における煙道ガス混合物FGを空気予熱器13から微粒子収集システム14まで直接排出し、それにより煙道ガス混合物FGから微粒子を除去し、第1の処理された煙道ガス混合物FG1を生成することを含む。第1の処理された煙道ガス混合物FG1は、微粒子除去システム14から煙道ガス脱硫システム17内に直接(すなわち、図1及び図2のそれぞれ従来技術の熱交換器システムのGGH106Y、106Y’などの熱交換器を通して流れることなしに)排出される。レトロフィットするための前記方法は、52℃~60℃(125°F~140°F)の第3の温度T3における第2の処理された煙道ガス混合物FG2を、煙道ガス脱硫システム17内で生成し、煙道ガス脱硫システム17から排出することを含む。
【0091】
レトロフィットするための前記方法は、第2の温度T2における、空気予熱器13から供給された煙道ガス再加熱空気としての、第1の量A1の空気の第2の部分P2を、第3の温度T3における第2の煙道処理された煙道ガス混合物FG2に対して注入し、それにより68℃(155°F)の第4の温度T4における第3の処理された煙道ガス混合物FG3を、排出煙突19に入る前に生成すること、及び第3の処理された煙道ガス混合物FG3を、第4の温度T4において排出煙突19に入れることを含む。
【0092】
一実施形態では、レトロフィットするための前記方法は、煙道ガス脱硫システム17と排出煙突19とを接続している出口ダクトの少なくとも一部を、煙道ガス脱硫システム17と過剰空気ダクト65と排出煙突19とを接続するマニホルド39に置き変えることを含む。
【0093】
一実施形態では、レトロフィットするための前記方法は、空気予熱器13が煙道ガス再加熱空気微粒子除去システム33を経由して排出煙突19と連通するように、煙道ガス再加熱空気微粒子除去システム33を備えることを含む。微粒子汚染物質が第2の部分P2の空気から除去され、前記微粒子汚染物質は、空気予熱器13内での煙道ガス混合物FGからの漏洩から第2の部分P2の空気に導入されたものである。
【0094】
一実施形態では、レトロフィットするための前記方法は、蒸気発生器容器11と空気予熱器13との間の連通において配置された湿度センサ34を含む。湿度センサ34は、煙道ガス混合物FGの湿度を測定して、第1の温度T1の大きさを決定する。
【0095】
一実施形態では、レトロフィットするための前記方法は、赤外線センサ32を備えること、並びに、前記赤外線センサを用いて空気予熱器13内の低温端メタル温度を判定すること、前記低温端メタル温度を水露点温度と比較すること、及び本明細書中に記載する制御ユニット71を用いて前記低温端メタル温度を前記水露点温度以上であるように制御することを含む。
【0096】
レトロフィット方法を実施した後、蒸気発生器システム10、10’、10”は、前記レトロフィット方法を実施する前の従来技術の蒸気発生器システム(例えば、図1及び図2のそれぞれ蒸気発生器システム100、100’)の第1の熱効率と少なくとも同程度に大きい第2の熱効率を有する。1つのそのような実施形態において、従来の蒸気発生器システムは、55フィート/秒(約16.8m/秒)~60フィート/秒(約18.3m/秒)程度の煙道ガス出口速度に制限される湿式煙突を用いて動作し、それにより汚染物質ミストが排出煙突19を出ることを防止する。そのような湿式煙突は、水処理設備内に排水する凝縮水収集手段を装備しており、前記水処理設備は、前記設備からの排水に先立って汚染物質を除去する。本発明を利用することにより、レトロフィットされた設備は、一般に最大おおよそ100フィート/秒(約30.5m/秒)の煙道ガス出口速度を有して動作可能な、乾式煙突を用いて動作する。煙道ガス速度は負荷の関数であり、すなわち低負荷条件において前記煙道ガス速度は低く、最大動作負荷は、最大の持続可能な煙道ガス速度によって制限される場合がある。したがって、一旦レトロフィットされたら、蒸気発生器システム10、10’、10”は、以前に可能であったよりも高い負荷において動作可能になり、蒸気発生器容器11からの増加した蒸気発生及びパワー出力がもたらされる、ということが理解されるであろう。以前より大きな負荷において動作されない場合でも、湿式煙突がないことにより、従来は排出煙突19から収集されていた凝縮水の水処理をもはや一切動作させる必要がないことに関連して、水使用の減少がコスト削減と共にもたらされる。本発明は、蒸気発生器システム10の効率を向上させるための別の方法も含む。前記方法は、本蒸気発生器容器11と空気供給システム13Dと空気予熱器13と第1の微粒子除去システム14と第2の微粒子除去システム33と煙道ガス脱硫システム17と煙道ガス排出煙突19とを含む、蒸気発生器システム10を備えることを含む。蒸気発生器システム10は、空気予熱器13を介して蒸気発生器容器11と連通している空気供給システム13Dを有する。蒸気発生器容器11は、空気予熱器13と第1の微粒子除去システム14と煙道ガス脱硫システム17とを介して排出煙突19と連通しており、第1の微粒子除去システム14は空気予熱器13の下流に位置しており、煙道ガス脱硫システム17は第1の微粒子除去システム14の下流に位置しており、排出煙突19は煙道ガス脱硫システム17の下流に位置しており、空気予熱器13は第2の微粒子除去システム33を介して排出煙突19と連通している。前記方法は、蒸気発生器容器11と空気予熱器13との間に配置された湿度センサ34を備えること、及び空気予熱器13に近接した又は空気予熱器13内の赤外線センサ32を備えることを含む。前記方法は、前記湿度センサを用いて煙道ガス混合物FGの湿度を測定して、第1の温度T1の大きさを決定することを含む。
【0097】
前記方法は、空気供給システム13Dを介して第1の量A1の空気を空気予熱器13に提供することを含み、第1の量A1の空気は、蒸気発生器容器11内での燃料の燃焼のために必要な量を超える大きさのものであり、空気予熱器13は、空気予熱器13を出る煙道ガス混合物FGの第1の温度T1を確立するのに十分な質量流量において第1の量A1の空気を提供し、第1の温度T1は、前記空気予熱器が、空気予熱器13内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有するようなものであり、第1の温度T1は約105℃(220°F)~約125℃(257°F)である。
【0098】
前記方法は、赤外線センサ32を用いて、空気予熱器13内の低温端メタル温度を判定すること、前記低温端メタル温度を水露点温度と比較すること、及び本明細書中に記載する制御ユニット71を使用して、前記低温端メタル温度を前記水露点温度以上であるように制御することを含む。
【0099】
前記方法は、蒸気発生器容器11内で生成された煙道ガス混合物内のSOを軽減することを含む。SOの軽減は煙道ガス混合物FGが空気予熱器13に入る前に行われる。空気予熱器13は、第1の量の空気A1を約288℃~399℃(550°F~750°F)の第2の温度T2まで加熱するように構成される。第1の量A1の空気の第1の部分P1は燃焼空気として、燃料の燃焼のために蒸気発生器容器11に供給される。
【0100】
前記方法は、第1の温度T1における煙道ガス混合物FGを空気予熱器13から微粒子除去システム14まで直接排出し、それにより煙道ガス混合物FGから微粒子を除去し、第1の処理された煙道ガス混合物FG1を生成することを含む。第1の処理された煙道ガス混合物FG1は微粒子除去システム14から煙道ガス脱硫システム17内に直接排出され、それにより52℃~60℃(125°F~140°F)の第3の温度T3における第2の処理された煙道ガス混合物FG2が、煙道ガス脱硫システム17内で生成され、煙道ガス脱硫システム17から排出される。
【0101】
前記方法は、第2の部分P2の空気から微粒子汚染物質を除去することを含む。前記微粒子汚染物質は、空気予熱器13内での煙道ガス混合物FGからの漏洩から第2の部分P2の空気に導入されたものである。第1の量A1の空気の第2の部分P2は、第2の温度T2における、空気予熱器13から供給された煙道ガス再加熱空気として、第3の温度T3における第2の煙道処理された煙道ガス混合物FG2に対して注入され、それにより最低でも68℃(155°F)の第4の温度T4における第3の処理された煙道ガス混合物FG3が、排出煙突19に入る前に生成される。第3の処理された煙道ガス混合物FG3は、第4の温度T4において排出煙突19に入れられる。
【0102】
図5に示すように、全体として数字70によって示されているグラフは、X軸72上に示された華氏単位での煙道ガス再加熱空気P2温度と、Y軸71上の、パーセンテージでの再加熱空気比RRとを有し、再加熱空気比RRは、煙道ガス再加熱空気P2(すなわち、第1の量A1の空気の第2の部分P2)の質量流量Wを、125°F(約52℃)においてFGDシステム17(図3及び図4)を離れるスクラブされたガスFG2の質量流量Wの100倍で割った値に等しい。グラフ70は、FGD17(図3及び図4)を出た煙道ガスFGの、6つの異なる温度増加DTrについてのプロットを含む。具体的には、前記グラフは、再加熱空気P2の温度の関数として再加熱空気比RRを示す、5°F(約2.8℃)のDTrについてのプロット80、10°F(約5.6℃)のDTrについてのプロット81、20°F(約11℃)のDTrについてのプロット82、30°F(約17℃)のDTrについてのプロット83、40°F(約22℃)のDTrについてのプロット84、及び50°F(約28℃)のDTrについてのプロット85を含む。例えば、再加熱比RRは、点86における約1パーセント(すなわち、プロット80の5°F(約2.8℃)のDTrについての800°F(約427℃)、0.9%)~点87における約16パーセント(すなわち、プロット85の50°F(約28℃)のDTrについての500°F(約260℃)における500°F(約260℃)、15.9%)の範囲である。50°F(約28℃)のDTrについてのプロット85について、RRは、点88における約9%(すなわち、プロット85の50°F(約28℃)のDTrについての800°F(約427℃)、9.1%)~点87における約16パーセント(すなわち、プロット85の50°F(約28℃)のDTrについての500°F(約260℃)における500°F(約260℃)、15.9%)の範囲である。1パーセント~16パーセント、及び9パーセント~16パーセントの再加熱比RRの範囲について示し説明したが、DTr及び再加熱空気P2の温度に応じて、再加熱比RRのその他の範囲が採用されてもよい。本願発明者らは、多大な解析及び試験の結果として図5のデータ点及びプロット80~85に到達し、それにより図5のグラフ70において図示した驚くべき結果を発見した。
【0103】
図6に示すように、グラフ90は、FGD17と排出煙突19との間のダクト62内への煙道ガス再加熱空気P2の注入の結果としてのFGD17を出る煙道ガスFG2の28℃(50°F)の温度上昇を有する、1000MWの蒸気発生器システム10、10’についての、X軸92上に示されたパーセンテージでの空気予熱器13効率と、Y軸91上に示された摂氏単位での温度とを有する。グラフ90は、2次空気P1、P2温度T2(図3及び図4)に関する、空気予熱器13効率のプロット93を含む。グラフ90は、煙道ガスFG出口温度T1(図3及び図4)に関する、空気予熱器13効率のプロット94を含む。本願発明者らは、蒸気発生器システム10、10’の熱効率を維持するためには、従来技術の蒸気発生器システム100、100’の150℃煙道ガスFG出口温度(グラフ90において点線98”によって示されている)と、約105Cの煙道ガスFG出口温度T1(図3及び図4)(グラフ90において点線98’によって示されている)との間の、35℃の差分温度DTが必要であるということを発見した。煙道ガス出口温度の差分温度DTが増加するにつれて、蒸気発生器システム10、10’の熱効率の向上が実現される。例えば、グラフ90に示すように、線94の点94Aにおいて熱効率の増加が実現され、この点において煙道ガス出口温度T1は90℃であり、空気予熱器効率は97パーセントである。増加した熱効率及び空気予熱器効率は、第1の量の空気A1が従来技術の空気予熱器によって供給されるものより大きいことの結果であり、且つ/又は、従来技術の空気予熱器において採用される熱伝達エレメントに比較した、空気予熱器13における熱伝達エレメントの増加した効率又は増加した面積の結果である。グラフ90に示すように、従来技術の蒸気発生器システム100、100’に比較した、空気予熱器13の効率、及び蒸気発生器システム10、10’の増加した熱効率は、燃料の燃焼のために蒸気発生器容器11に供給される第1の量A1の空気の第1の部分P1の温度における増加によっても実現される。グラフ90は、第1の量A1の第1の部分P1の温度の関数としての、空気予熱器13の効率の増加を示すプロット93を含む。例えば、点93Aにおいて、第1の量A1の第1の部分P1の温度は368℃であり、空気予熱器13効率は97パーセントであり、従来技術の蒸気発生器システム100、100’に比較して、蒸気発生器システム10、10’の熱効率の増加が実現されている。
【0104】
図8に示す実施形態では、空気予熱器13の低温動作を達成するために、先の実施形態におけるように過剰空気を使用するのではなく、空気予熱器13に供給される煙道ガスの量が減少されている。これは、蒸気発生器容器11を出た煙道ガスFGが2つのストリームFG4及びFG5に分割されるように、空気予熱器13の上流にブリードダクト200を備えることによって促進される。第1のストリームFG4は空気予熱器13に供給されて空気予熱器13から排出され、第2のストリームFG5はダクト200内にブリードされる。第2のストリームFG5の容積は、空気予熱器13を出る煙道ガス混合物FG4の所望の第1の温度T1を達成するために、バルブ手段(図示せず)によって制御されてもよい。この第2のストリームFG5は熱交換器HX内で温度T5まで好適に冷却され、次にダクティング201を介してマニホルド202内に供給され、第1のストリームFG4と再結合して煙道ガスストリームFGを再生成し、これは次に温度T1’においてESP14に入る。一実施形態では、図3図4、及び図7の実施形態において言及された温度T1と図8の実施形態において言及された温度T1’とは同一であるか又はほぼ同一である。図8に示す実施形態では、空気予熱器13を通過する空気の量A2は、燃焼のために必要な容積P1であり、すなわち図3図4、及び図7において示された実施形態に必要な第1の量A1とは異なり、過剰空気部分P2は生成されない。
【0105】
煙道ガス再加熱のために図3に示す実施形態において過剰空気P2を使用する代わりに、空気ストリームA3が熱交換器HXに入りその中で第2の煙道ガスストリームFG5によって加熱される。空気ストリームA3は熱交換器HXを出て、温度T6においてダクティング203を介してマニホルド204に供給され、これを通して煙道ガス再加熱空気として注入されて、図3図4、及び図7に示す実施形態において説明したように煙突再加熱(stack reheat)をもたらす。一実施形態では、図8に示す温度T6と図3図4、及び図7の実施形態において言及された温度T2とは同一であるか又はほぼ同一である。一実施形態では、熱交換器HXは、チュービングであってそれを通して空気ストリームA3が流れるチュービング上を、第2の煙道ガスストリームFG5が直接通るようにさせるよう構成される(例えば、直接熱交換器)。一実施形態では、熱交換器Hxは、チュービングであってそれを通して煙道ガスストリームFG5が流れるチュービング上を、空気ストリームA3が直接通るようにさせるよう構成される(例えば、直接熱交換器)。一実施形態では、熱交換器HXは、煙道ガスストリームFG5から空気ストリームA2まで熱を伝導する流体熱交換媒体を用いて既知の方法で構成される(すなわち、間接熱交換器)。
【0106】
図8に示すように、空気ストリームA3のうちのいくらか又は全てが、例えば図3図4、及び図7に示す実施形態を参照して説明した過剰予熱空気の第3の部分P3と同様に使用され得るように、所望により設けてもよい空気ブリード205が採用されてもよい。空気ブリード205により、空気ストリームA3を煙突再加熱のために使用することを回避し、代わりに、本明細書中で説明したように、石炭乾燥及び/又は始動予熱の用途のために選択的に空気ブリード205を使用することが可能になる。
【0107】
本願出願人は、従来の空気予熱器配置を使用することに比較した、図8に示す構成の予期しない特徴は、例えば煙突再加熱、予熱、及び/又は石炭乾燥の目的に使用するための煙道ガスFGからの熱の抽出と組み合わせた、空気予熱器の空気出口温度の減少であることを発見した。図8の実施形態では、これは、空気予熱器13の上流で第2の煙道ガスストリームFG5を分流させ、所望により選択的に煙突再加熱、予熱、及び/又は石炭乾燥の目的に使用するためにそれから熱を抽出することによって、より少ない煙道ガス熱を空気予熱器13内に入れることにより達成される。対照的に、図3図4、及び図7に示す実施形態では、これは、第1の量A1が燃焼のための空気と、所望による選択的な煙突再加熱、予熱、及び/又は石炭乾燥の目的のための空気P2との両方を生成するように、過剰空気を空気予熱器13内に入れることにより達成される。図9に示すハイブリッド実施形態では、両方のアプローチの組み合わせが使用されており、すなわち、空気予熱器13からの煙道ガスの分流(すなわちFG5)と、空気予熱器13内への過剰空気(すなわちA1)との両方が使用されている。
【0108】
従来技術では、空気予熱器によって煙道ガスから抽出された熱は、蒸気発生器容器内に、それを通して流れる燃焼空気によって再導入される。熱伝導損失を除いて、空気予熱器によって煙道ガスから抽出された全ての熱は、燃焼空気を介して蒸気発生器容器内に再導入される。本発明の好ましい実施形態の1つの特徴は、空気予熱器によって又は空気予熱器の上流で抽出/分流される煙道ガスに関連付けられた熱交換器によって「生成される」過剰空気内の、煙道ガスストリームFGから抽出されたいかなる熱も、通常の動作中に浪費されないということである。燃焼空気を予熱するために使用されないとしても、全てのそのような抽出された熱は、例えば煙突再加熱として及び/又は石炭乾燥のために、全体的蒸気水サイクル(whole steam water cycle)と呼ばれてもよいものの中に再導入される。
【0109】
図示されたハイブリッド実施形態では、第2の過剰空気部分P2と、分流された煙道ガスFG5で加熱された空気ストリームA3との両方が、全面的に又は部分的に、煙突再加熱としての再注入のために使用されるが、空気予熱器13に必要な下流出口温度を促進するのは、第2の煙道ガスストリームFG5と予熱器空気の第1の量A1の容積との調節の組み合わせであるということが理解されるであろう。この調節は、始動中に、又は様々な動作負荷において所望の結果を適宜達成するために、すなわち蒸気発生器容器11の煙道ガスFGの出口温度に関連して、好適に選択的であってもよい。
【0110】
図8及び図9の実施形態の代替において、過剰空気部分P2のうちのいくらか若しくは全て、及び/又は加熱された空気ストリームA3のうちのいくらか若しくは全てが、煙突再加熱のために使用される代わりに、予熱、始動予熱、及び/又は石炭乾燥の用途のために使用されてもよい。例えば、加熱された空気ストリームA3を石炭乾燥の用途のために使用することは特に有利であり得る。同様に、始動又は低負荷条件の間、煙道ガスストリームFG5内への流れを回避するか又は最小にすることは有利であり得る。同様に、始動又は低負荷条件の間、過剰空気部分P2を最小にすることは有利であり得る。
【0111】
図8及び図9に示す実施形態では、第2の煙道ガスストリームFG5は、空気予熱器13のすぐ下流で第1の煙道ガスストリームFG4と再結合されるが、他の実施形態では、そのような再結合はさらに下流でもたらされてもよいということが理解されるであろう。あるいは、この第2の煙道ガスストリームFG5は、大気に放出されてもよく、且つ/又は第1の煙道ガスストリームFG4とは別個に処理されてもよい。
【0112】
必要な場合、微粒子除去及び/又はその他の汚染制御機器が、第2の煙道ガスストリームFG5を適切に調整するために、空気予熱器13を通過する煙道ガスFGの部分を調整するために使用されるものとは独立して使用されてもよい。有利には、熱交換器HXは煙道ガスストリームFG5から空気ストリームA3へのガス漏洩を許可しない。したがって、空気ストリームA3の、煙突再加熱、機器予熱、及び/又は石炭乾燥のための使用に先立つ同様の調整は必要とされない。
【0113】
前述のように、本発明は、向上した効率のために蒸気発生器システム100、100’をレトロフィットするための方法を含む。レトロフィットするための前記方法は、蒸気発生器容器11内での燃料の燃焼のために必要な量を超える第1の量A1の空気を供給するように、空気予熱器13への空気供給源13Dを再構成することと、本発明で要求される必須の特性を有する空気予熱器13を出る煙道ガス混合物FGの、第1の温度T1を確立するのに十分な質量流量において第1の量A1の空気が提供されるように、空気供給源13D及び空気予熱器13のうちの少なくとも一つを再構成することとを含む。本発明はまた、図8及び図9に示す実施形態の第2の煙道ガスストリームFG5に関連した機器を用いて、100、100’などの蒸気発生器システムをレトロフィットするための方法を含むということが理解されるであろう。
【0114】
本願発明者らは、長年の実験、解析、及び試験を通して、蒸気発生器システムの熱効率を100及び100’などの従来技術の蒸気発生器システムに比較して向上させ、同時に汚れ及び可視煙突プルームの可能性を減少させる、本発明の蒸気発生器システム10の動作のための最適な温度範囲とシステム構成との組み合わせを意外にも発見した。
【0115】
例えば、当業者は、予熱器13を通した空気流れを、蒸気発生器容器11内での燃料の燃焼のために必要な大きさを超える大きさを達成するように、及び同時に空気予熱器13を出る煙道ガス混合物FGの105℃(220°F)以下の温度を有する第1の温度T1を確立するのに十分な大きさを達成するように増加させ、同時に、同じシステムにおいて以下の特定の設計特徴の全てを採用する、ということが可能であることを試みて成功してこなかった。1)蒸気発生器容器11内で生成された煙道ガス混合物内のSOを軽減することであって、SOの軽減は煙道ガス混合物FGが空気予熱器13に入る前に行われる、こと、2)第1の量の空気A1を約288℃~399℃(550°F~750°F)の第2の温度T2まで加熱するように空気予熱器13を構成すること、3)第1の量A1の空気の第1の部分P1を、燃料の燃焼のために蒸気発生器容器11に供給すること、4)第1の温度T1における煙道ガス混合物FGを空気予熱器13から微粒子収集システム14まで直接排出し、それにより煙道ガス混合物FGから微粒子を除去し、第1の処理された煙道ガス混合物FG1を生成すること、5)第1の処理された煙道ガス混合物FG1を微粒子除去システム14から煙道ガス脱硫システム17内に直接排出し、それにより52℃~60℃(125°F~140°F)の第3の温度T3における第2の処理された煙道ガス混合物FG2を、煙道ガス脱硫システム17内で生成し、煙道ガス脱硫システム17から排出すること、6)第2の温度T2における第1の量A1の空気の第2の部分P2を、第3の温度T3における第2の煙道処理された煙道ガス混合物FG2に対して注入し、それにより79℃~88℃(175°F~190°F)の第4の温度T4における第3の処理された煙道ガス混合物FG3を、排出煙突19に入る前に生成すること、及び7)第3の処理された煙道ガス混合物FG3を、第4の温度T4において排出煙突19に入れること。当業者は、空気予熱器13を出る煙道ガスの温度を変化させることによって、上記で詳述した他の7つの設計特徴と共に試みられ得る、ほとんど無限の数のシステム構成が存在することを理解するであろう。本願発明者らが競合する設計特徴に関する問題を克服し、本明細書中で開示され特許請求の範囲に記載された最適な組み合わせを発見したのは、解析、実験、及び試験の結果にほかならない。
【0116】
一般に、前記試験、実験、及び解析は以下の考慮を含んでいた。1)第2の煙道処理された煙道ガス混合物FG2に対する、第2の温度T2における第1の量A1の空気の第2の部分P2の注入の混合効率、2)第2の部分P2の空気上の量を含む、蒸気発生器システム内の様々な位置におけるフライアッシュ濃度、3)GGH熱交換器の除去を正当化する十分な熱を提供する、第2の部分P2の空気の量の決定、4)蒸気発生器システム10を通した圧力降下、5)過剰空気ダクト65内の熱損失、6)蒸気発生器容器内での燃料燃焼への影響、7)蒸気発生器システムの熱効率への影響、及び8)FGD17についての効率及び給水要件。
【0117】
当業者は、空気予熱器を出る煙道ガスの温度を105℃(220°F)以下に低下させることを、遭遇するいくつかの問題のため妨げられてきた。第1の問題は、このレベルの煙道ガス温度低下(すなわち、空気予熱器を出る煙道ガスの温度を105℃(220°F)以下に低下させること)は通常、インクリメンタルな空気流れ(incremental air flow)なしで経済的に達成することはできないということである。通常の空気予熱器を通過する煙道ガスから回収可能な熱の量には実際的な制限が存在する。この制限は最大可能熱伝達qmax=(m*c)min*(Tgi-Tai)に基づいて規定され、ここで、Tgiは空気予熱器に入る煙道ガスの温度であり、Taiは空気予熱器に入る空気の温度である。量(m*c)minは、最小流体(minimum fluid)の質量流量と比熱との積であり、通常の空気予熱器については、最小流体は燃焼空気である。前記空気の質量流量が増加するにつれて、最大可能熱伝達は直接的に増加する。本発明では、煙道ガス温度をインクリメンタルに低下させるための手段の一部として、インクリメンタルな空気流れを利用する。しかし蒸気発生器効率を維持及び向上するために、蒸気発生器に戻される熱の量を維持又は向上することも必要である。これは空気予熱器の効率を維持又は向上することによって達成され、効率=実際の熱伝達/最大可能熱伝達、である。維持又は向上されなければならないのは燃焼空気への実際の熱伝達であり、これはa)冷気ストリーム空気予熱(cold air stream air preheat)の使用をなくすこと、又はb)より効率の高い熱伝導表面の使用、によって達成される。
【0118】
第2の問題は、プラントにおいて、インクリメンタルな予熱された空気流れに対する大きな需要は存在していなかったということである。本発明では、煙突ガス再加熱のために使用可能な予熱された空気の源を提供する。
【0119】
第3の問題は、多くの燃料について、煙道ガス温度の低下は空気予熱器の著しい汚れ及び/又は腐食をもたらすということである。煙道ガスのSO含有率に基づいた必要に応じて、本発明ではSO軽減を利用して、空気予熱器に入るSO含有率を約5ppmv以下に低減させる。これは、従来の煙道ガスの露点を大きく下回る低下された煙道ガス温度において汚れ及び腐食を防止することが実証されている。
【0120】
第4の問題は、最小低温端エレメント温度の適切な制御のための手段を有さないプラントは、水露点付近の温度におけるハロゲン酸の凝縮による激しい腐食に遭遇してきたということである。一実施形態では、本発明は、水露点を計算するために使用され得る煙道ガスの水含有率を明らかにするための、煙道ガス湿度センサを採用する。クリティカルなハロゲン酸(HCl、HF、HBr)の露点が次に、文献で入手可能な露点相関(dew point correlations)を使用して推定されてもよい。赤外線センサ又はその他のセンサの使用が、最小低温端エレメント温度を判定するために使用されてもよく、これはクリティカル露点と比較されてもよい。露点凝縮の回避は、a)低温の入来空気を予熱するための蒸気コイルの使用、又は2)煙突ガス再加熱のために使用される予熱された空気の量の低減、によって達成される。
【0121】
本発明の別の実施形態(図示せず)では、第1の量A1の空気の第2の部分P2は、煙道ガス再加熱空気としては使用されないか又は部分的にのみ使用され、代わりに、排他的に又は大部分が、動作中に石炭乾燥器に供給される予熱空気として、並びに始動中に、関連する蒸気発生器容器11に及び/又は微粒子除去システム14の上流に選択的に供給される予熱空気として使用される。石炭乾燥のために過剰空気を使用することにより、蒸気発生器容器13に供給される石炭内の湿気が効果的に減少され、それにより、煙道ガスとなるものの中の過剰蒸気の結果として予期され得る熱損失が減少する。この湿気の減少により、始動時の下流機器内での凝縮の発生率も減少し得ることが理解されるであろう。最近の石炭燃焼ボイラでは、石炭バーナから供給される粉砕石炭を燃焼させることによって形成される渦流火炎を維持するのに十分なだけ蒸気発生器容器11が加熱されるまで、燃焼ランスを介して供給される始動燃料としてのオイル又は天然ガスを用いて始動中に蒸気発生器容器11を燃焼させることが必要である。急激すぎる始動は、例えば、パイプ溶接部に対する不必要な熱衝撃と、結果として生じる蒸気発生器容器内の損傷とをもたらす場合があると考えられている。緩慢すぎる始動は、オイル及びガスの不必要な使用と、蒸気発生器システムを全動作負荷までに至らせることにおける望ましくない遅延とをもたらす。熱衝撃を増加させることなしに始動時間が減少され得るいかなる方法も、プラント事業者にとって有益な運用上の及びコストの利点をもたらす。この実施形態の予熱空気を、通常の予熱された燃焼空気に加えて利用することにより、始動中に、オイル又はガスの炎による温度に比較して適度に低い温度で、より多くの予熱が蒸気発生器容器11内に効果的に戻される。これにより、同等の追加の予熱を供給するためにより多量に始動燃料を燃やすことによる追加の熱衝撃なしに、より迅速な始動が可能になる。この別の実施形態では、蒸気発生器システムの動作は、他の説明した実施形態において様々に必要とされる、FGDの存在、又は煙道ガス温度の上昇、及び/又は乾式煙突の動作に依存しないということが理解されるであろう。
【0122】
本発明について、その特定の実施形態を参照して開示し説明したが、他の変形及び修正が行われてもよいということ、及び特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内にある前記変形及び修正を包含することが意図されるということに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生器システム(10)を動作させるための方法であって、前記方法は、
蒸気発生器容器(11)と空気供給システム(13D)と空気予熱器(13)と微粒子除去システム(14)と煙道ガス脱硫システム(17)と煙道ガスの排出煙突(19)とを含む蒸気発生器システム(10)であって、前記空気供給システム(13D)は前記空気予熱器(13)を介して前記蒸気発生器容器(11)と連通しており、前記蒸気発生器容器(11)は前記空気予熱器(13)と前記微粒子除去システム(14)と前記煙道ガス脱硫システム(17)とを介して前記排出煙突(19)と連通しており、前記微粒子除去システム(14)は、ファン又は熱交換器を介することなく、前記空気予熱器(13)の下流に位置しており、前記煙道ガス脱硫システム(17)は、ファン又は熱交換器を介することなく、前記微粒子除去システム(14)の下流に位置しており、前記排出煙突(19)は、ファン又は熱交換器を介することなく、前記煙道ガス脱硫システム(17)の下流に位置している、蒸気発生器システム(10)を提供することと、
前記蒸気発生器容器(11)内で生成された前記煙道ガス混合物が前記空気予熱器(13)に導入される前に前記煙道ガス混合物内のSO を軽減することと、
前記空気供給システム(13D)において、前記空気予熱器(13)を出る煙道ガス混合物が前記空気予熱器(13)内における水露点温度以上硫酸露点温度未満である105℃~125℃の第1の温度(T1)となるように、前記蒸気発生器容器(11)内での燃料の燃焼のために必要な量を超える大きさの第1の量(A1)の空気を前記空気予熱器(13)に供給することであって、前記空気予熱器(13)は、前記第1の量(A1)の空気を288℃~399℃(550°F~750°F)の第2の温度(T2)まで加熱するように構成されていることと、
前記空気予熱器(13)で予熱された前記第1の量(A1)の空気の第1の部分(P1)を燃焼空気として、燃料の燃焼のために前記蒸気発生器容器(11)に供給することと、
前記蒸気発生器容器(11)を出た前記煙道ガス混合物の全て又は一部を前記第1の温度において前記空気予熱器(13)から前記微粒子除去システム(14)まで直接排出し、それにより前記煙道ガス混合物から微粒子を除去し、第1の処理された煙道ガス混合物(FG1)を生成することと、
前記第1の処理された煙道ガス混合物(FG1)を前記微粒子除去システム(14)から前記煙道ガス脱硫システム(17)内に直接排出し、それにより52℃~約60℃(125°F~140°F)の第3の温度(T3)を有する第2の処理された煙道ガス混合物(FG2)を、前記煙道ガス脱硫システム(17)内で生成し、前記煙道ガス脱硫システム(17)から排出することと、
前記煙道ガス脱硫システム(17)から排出された前記第2の処理された煙道ガス混合物(FG2)に、前記空気予熱器(13)で予熱された第1の量(A1)の空気の第2の部分(P2)を注入して、最低でも68℃(155°F)の第4の温度における第3の処理された煙道ガス混合物(FG3)を生成し、前記第4の温度(T4)において前記排出煙突(19)に入れることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記空気予熱器(13)の上流の前記煙道ガス混合物は、2つのストリームに分割され、第1のストリームは前記空気予熱器(13)に供給されて次に前記空気予熱器(13)から排出される前記煙道ガス混合物の部分であり、第2のストリームは前記空気予熱器(13)の上流でダクティングを介してブリードされ、
前記第2のストリームは続いて熱交換器(HX)を通して送られ、前記空気予熱器(13)の下流で前記第1のストリームと再結合するように注入され、且つ/又は
前記第2のストリームは続いて熱交換器(HX)を通して送られ、前記第2の部分(P2)の空気は、煙道ガス再加熱空気としての注入に先立って前記熱交換器(HX)内で煙道ガスの前記第2のストリームによって加熱され、且つ/又は
煙道ガス混合物の前記第2のストリームは続いて、熱交換器(HX)を通して送られて空気ストリームを加熱し、前記空気ストリームは、煙道ガス再加熱空気としての注入のための前記第2の部分(P2)の空気と、ボイラの始動中に前記微粒子除去システム(14)、前記煙道ガス脱硫システム(17)のうちの少なくとも1つを選択的に予熱するために使用され、又はボイラの動作中に石炭乾燥設備のために使用され、続いて大気に放出される、予熱空気としての第3の部分の空気と、を提供する、
請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記空気予熱器(13)は、前記空気予熱器(13)内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有し、前記第1の温度は105℃(220°F)~125℃(257°F)である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の量の空気の第3の部分が、ボイラの始動中に前記微粒子除去システム(14)、前記煙道ガス脱硫システム(17)、及び中間ダクティングの少なくとも1つを選択的に予熱するために使用され、又はボイラの動作中に石炭乾燥設備のために使用され、続いて大気に放出される予熱空気として提供される、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記蒸気発生器システム(10)は選択的触媒還元システムをさらに含み、前記蒸気発生器容器(11)は前記選択的触媒還元システムを介して前記空気予熱器(13)と連通している、請求項1~の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記蒸気発生器システム(10)は、煙道ガス再加熱空気微粒子除去システム及び予熱空気微粒子除去システムのうちの少なくとも1つをさらに含み、前記空気予熱器(13)は前記煙道ガス再加熱空気微粒子除去システムを介して前記排出煙突(19)と連通しており、
前記第2の部分(P2)の空気から微粒子汚染物質を除去し、前記微粒子汚染物質は前記空気予熱器(13)内での前記煙道ガス混合物からの漏洩から前記第2の部分(P2)の空気に導入されたものである、
請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記蒸気発生器システム(10)は、さらに前記蒸気発生器容器(11)と前記空気予熱器(13)との間に配置された湿度センサ(34)を有し、前記湿度センサ(34)を用いて前記煙道ガス混合物の湿度を測定して、第1の温度の大きさを決定し、且つ/又は
前記蒸気発生器システム(10)は、さらに赤外線センサ(32)を有し、前記赤外線センサ(32)を用いて前記空気予熱器(13)内の低温端メタル温度を判定するとともに、
前記低温端メタル温度を水露点温度と比較し、
前記低温端メタル温度を前記水露点温度以上であるように制御する、
請求項3~6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記煙道ガス混合物内のSOを軽減することは、
低硫黄燃料を前記蒸気発生器容器(11)に供給することであって、前記低硫黄燃料は5パーツパーミリオン未満のSOを生成すること、及び/又は
前記煙道ガス混合物を前記空気予熱器(13)に入れるのに先立って前記煙道ガス混合物内の前記SOを除去すること、及び/又は
前記煙道ガス混合物を前記空気予熱器(13)に入れるのに先立って、前記煙道ガス混合物内の前記SOを化学的に不活性塩にさせること、
を含み、
化学的に不活性塩にさせることは、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、アンモニウム、及び/又はチオ硫酸カルシウムを含み、且つチオ硫酸塩及び塩化物からなる群から選択された少なくとも1つの可溶性塩化合物を含むか、又は炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、及び重炭酸カリウムのうちの少なくとも1つを含む試薬の水性懸濁液を噴霧して、前記煙道ガス混合物内の前記SOと反応し得る少なくとも1つの可溶性塩化合物の乾燥微粒子を含む微粒子ミストを前記煙道ガスの中で生成することを含む、
請求項1~の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記煙道ガス脱硫システム(17)と前記排出煙突(19)との間に注入手段をさらに備え、前記第2の温度(T2)の前記第2の部分(P2)の空気を、前記第3の温度(T3)の前記第2の処理された煙道ガス混合物(FG2)に対して注入することは、前記注入手段の中で行われるとともに、
前記注入手段は、前記煙道ガス脱硫システム(17)と前記排出煙突(19)との間のダクトマニホルドを含み、前記ダクトマニホルドは、前記第2の処理された煙道ガス混合物を受け入れるための入口と、前記第2の部分(P2)の空気を受け入れるための分岐接続部と、前記排出煙突(19)と連通している出口とを含み、
前記注入手段は、ミキサー、旋回ベーン、及び/又はタビュレータ装置のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1~の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記微粒子除去システム(14)は、乾式静電集塵器及び布フィルタのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の量の空気の前記第2の部分(P2)の注入は、前記第2の処理された煙道ガス混合物に対する前記第2の部分(P2)の、1パーセント~16パーセントの質量比において行われ、且つ/又は
前記第1の量の空気の前記第2の部分(P2)の注入は、前記第2の処理された煙道ガス混合物に対する前記第2の部分(P2)の、9パーセント~16パーセントの質量比において行われる、請求項1~10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
向上した効率のために、蒸気発生器容器(11)と空気供給システム(13D)と空気予熱器(13)と微粒子除去システム(14)と煙道ガス脱硫システム(17)と煙道ガスの排出煙突(19)とを含む蒸気発生器システム(10)をレトロフィットするための方法であって、前記方法は、
前記空気予熱器(13)と前記微粒子除去システム(14)との間、前記微粒子除去システム(14)と前記煙道ガス脱硫システム(17)との間、及び前記煙道ガス脱硫システム(17)と前記排出煙突(19)との間に位置付けられている熱交換器及びファンを全て除去することと、
前記空気予熱器(13)を出る煙道ガス混合物の温度が前記空気予熱器(13)内における水露点温度以上硫酸露点温度未満である105℃(220°F)~125℃(257°F)の第1の温度(T1)となるように、前記蒸気発生器容器(11)内での燃料の燃焼のために必要な量を超える大きさの第1の量(A1)の空気を供給するように前記空気予熱器(13)への空気供給源(13D)を再構成することと、
蒸気発生器容器(11)と連通しているSO軽減手段を備えることであって、前記SO軽減手段は、前記蒸気発生器容器内(11)で生成された煙道ガス混合物内のSOを軽減するように構成されており、SOの軽減は前記煙道ガス混合物が前記空気予熱器(13)に入る前に行われる、ことと、
ボイラの効率を維持又は向上するために、前記第1の量(A1)の空気を、従来のシステムの燃焼空気の温度以上であり且つ288℃~399℃(550°F~750°F)である第2の温度(T2)まで加熱するように前記空気予熱器(13)を構成することと、
前記第1の量(A1)の空気の第1の部分(P1)を燃料の燃焼のために前記蒸気発生器容器(11)に供給することと、
前記蒸気発生器容器(11)を出た前記煙道ガス混合物の全て又は一部を前記第1の温度において前記空気予熱器(13)から微粒子除去システム(14)まで直接排出し、それにより前記煙道ガス混合物から微粒子を除去し、第1の処理された煙道ガス混合物(FG1)を生成することと、
前記第1の処理された煙道ガス混合物(FG1)を、微粒子除去システム(14)から煙道ガス脱硫システム(17)内に直接排出し、それにより52℃~60℃の範囲である第3の温度(T3)における第2の処理された煙道ガス混合物(FG2)を、前記煙道ガス脱硫システム(17)内で生成し、前記煙道ガス脱硫システム(17)から排出することと、
煙道ガス再加熱空気としての、前記第1の量(A1)の空気の第2の部分(P2)を、前記煙道ガス脱硫システム(17)から排出された、前記第3の温度(T3)における第2の煙道処理された煙道ガス混合物(FG2)に対して注入し、それにより少なくとも68℃の第4の温度(T4)における第3の処理された煙道ガス混合物(FG3)を生成し、前記第4の温度(T4)において前記排出煙突(19)に入れることと、
を含み、
前記第3の温度(T3)は、前記排出煙突(19)を出る可視プルームを軽減し且つ前記排出煙突(19)内での腐食を軽減するのに十分な大きさまで、前記煙道ガス再加熱空気が前記第4の温度(T4)を上昇させることを可能にするのに十分な大きさのものである、
レトロフィット方法。
【請求項13】
前記煙道ガス脱硫システム(17)と前記排出煙突(19)とを接続している出口ダクトの少なくとも一部を、前記煙道ガス脱硫システム(17)と過剰空気ダクトと前記排出煙突(19)とを接続するマニホルドに置き変える、請求項12に記載のレトロフィット方法。
【請求項14】
前記蒸気発生器システム(10)は煙道ガス再加熱空気微粒子除去システムをさらに含み、前記空気予熱器(13)は前記煙道ガス再加熱空気微粒子除去システムを介して前記排出煙突(19)と連通しており、
前記第2の部分(P2)の空気から微粒子汚染物質を除去し、前記微粒子汚染物質は前記空気予熱器(13)内で漏洩した前記煙道ガス混合物から前記第2の部分(P2)の空気に導入されたものである、
請求項12又は13に記載のレトロフィット方法。
【請求項15】
前記蒸気発生器システム(10)は、前記蒸気発生器容器(11)と前記空気予熱器(13)との間の連通箇所において配置された湿度センサをさらに含み、
前記湿度センサを用いて前記煙道ガス混合物の湿度を測定して、第1の温度の大きさを決定し、且つ/又は
前記蒸気発生器システム(10)は赤外線センサをさらに含み、
前記赤外線センサを用いて前記空気予熱器(13)内の前記低温端メタル温度を判定し、前記低温端メタル温度を前記水露点温度と比較し、前記低温端メタル温度を前記水露点温度以上であるように制御する、
請求項12~14の何れか1項に記載のレトロフィット方法。
【請求項16】
前記レトロフィット方法を実施した後の前記蒸気発生器システム(10)の第2の熱効率は、前記レトロフィット方法を実施する前の前記蒸気発生器システム(10)の第1の熱効率と少なくとも同程度に大きい、請求項12~15の何れか1項に記載のレトロフィット方法。
【請求項17】
前記蒸気発生器システム(10)は、さらに第2の微粒子除去システム(33)を含み、前記空気予熱器(13)は前記第2の微粒子除去システム(33)を介して前記排出煙突(19)と連通し、
前記蒸気発生器容器(11)と前記空気予熱器(13)との間に湿度センサを配置し、
前記空気予熱器(13)内に赤外線センサを配置し、
前記湿度センサを用いて煙道ガス混合物の湿度を測定して、第1の温度の大きさを決定し、
前記第1の温度は、前記空気予熱器(13)が、前記空気予熱器(13)内の水露点温度以上の低温端メタル温度であって、前記低温端メタル温度が硫酸露点温度未満であるような、低温端メタル温度を有し、前記第1の温度は105℃(220°F)~125℃(257°F)であり、
前記赤外線センサを用いて前記空気予熱器(13)内の前記低温端メタル温度を判定し、前記低温端メタル温度を前記水露点温度と比較し、前記低温端メタル温度を前記水露点温度以上であるように制御し、
第2の部分(P2)の空気から微粒子汚染物質を除去し、ここで、前記微粒子汚染物質は、前記空気予熱器内での前記煙道ガス混合物からの漏洩から前記第2の部分(P2)の空気に導入されたものであり、
煙道ガス再加熱としての、前記第1の量の空気の第2の部分(P2)を、52℃~60℃の前記第3の温度における第2の煙道処理された煙道ガス混合物に対して注入し、それにより最低でも約68℃(155°F)の第4の温度における第3の処理された煙道ガス混合物を、前記排出煙突(19)に入る前に生成し、
前記第3の処理された煙道ガス混合物を、前記第4の温度において前記排出煙突(19)に入れることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
蒸気発生器容器(11)と、前記蒸気発生器(11)の下流に位置する空気予熱器(13)と、前記空気予熱器(13)を介して前記蒸気発生器容器(11)と連通している空気供給システム(13D)と、ファン又は熱交換器を介することなく、前記空気予熱器(13)の下流に連通している微粒子除去システム(14)と、ファン又は熱交換器を介することなく、前記微粒子除去システム(14)の下流に連通している煙道ガス脱硫システム(17)と、ファン又は熱交換器を介することなく、前記煙道ガス脱硫システム(17)の下流に位置している排出煙突(19)と、前記蒸気発生器(11)と前記空気予熱器(13)との間に位置し、前記蒸気発生器容器(11)内で生成された前記煙道ガス混合物内のSO を軽減して前記空気予熱器(13)に導入するSO 軽減手段と、を備える蒸気発生器システム(10)であって、
前記空気供給システム(13D)は、前記空気予熱器(13)を出る煙道ガス混合物が前記空気予熱器(13)内における水露点温度以上硫酸露点温度未満である105℃~125℃の第1の温度(T1)でとなるように、前記蒸気発生器容器(11)内での燃料の燃焼のために必要な量を超える大きさの第1の量(A1)の空気を前記空気予熱器(13)に供給するように構成され、
前記空気予熱器(13)は、前記第1の量(A1)の空気を288℃~399℃(550°F~750°F)の第2の温度(T2)まで加熱するように構成され、
前記空気予熱器(13)で予熱された前記第1の量(A1)の空気の第1の部分(P1)が燃焼空気として、燃料の燃焼のために前記蒸気発生器容器(11)に供給され、
前記蒸気発生器容器(11)を出た前記煙道ガス混合物の全て又は一部が、前記第1の温度(T1)において前記空気予熱器(13)から前記微粒子除去システム(14)まで直接排出し、それにより前記煙道ガス混合物から微粒子を除去し、第1の処理された煙道ガス混合物(FG1)を生成し、
前記第1の処理された煙道ガス混合物(FG1)は、前記微粒子除去システム(14)から前記煙道ガス脱硫システム(17)内に直接排出され、それにより52℃~約60℃(125°F~140°F)の第3の温度(T3)を有する第2の処理された煙道ガス混合物(FG2)を、前記煙道ガス脱硫システム(17)内で生成し、前記煙道ガス脱硫システム(17)から排出し、
前記煙道ガス脱硫システム(17)から排出された前記第2の処理された煙道ガス混合物(FG2)に、前記空気予熱器(13)で予熱された第1の量(A1)の空気の第2の部分(P2)を注入して、最低でも68℃(155°F)の第4の温度(T4)を有する第3の処理された煙道ガス混合物(FG3)を生成し、前記第4の温度(T4)において前記排出煙突(19)に導入する、
蒸気発生器システム(10)