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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025434
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】燃焼装置及び給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/212 20220101AFI20220203BHJP
   F23N 5/02 20060101ALI20220203BHJP
   F23N 5/18 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
F24H1/10 302D
F23N5/02 350F
F23N5/18 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128248
(22)【出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 翔太
(72)【発明者】
【氏名】日下部 誠
(72)【発明者】
【氏名】神吉 英二
【テーマコード(参考)】
3K003
3K005
3L034
【Fターム(参考)】
3K003AB03
3K003AB06
3K003CA01
3K003DA03
3K005AA06
3K005AB13
3K005AB14
3K005AC05
3K005BA02
3K005CA06
3K005DA01
3L034CA04
(57)【要約】
【課題】燃焼状態及び燃焼停止状態を繰り返す間欠燃焼運転が可能な燃焼装置において、間欠燃焼運転の適用が機器耐久性へ与える影響を抑制する。
【解決手段】バーナは、要求熱量に従った熱量を発生する燃焼状態と、燃焼停止状態とのいずれかで動作する。バーナは、燃焼状態が連続的に維持される連続燃焼モードと、燃焼停止状態及び燃焼状態が繰り返される間欠燃焼モードとの一方が適用されて制御される。連続燃焼モード中に、バーナへの要求熱量が最小発生熱量に対応して定められた判定熱量よりも低下し、かつ、バーナによる加熱後の缶体温度Tbが判定温度Tbt以上であるとき、連続燃焼モードから間欠燃焼モードへの遷移が許可される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
要求熱量に従った熱量を発生する燃焼状態と、燃焼停止状態とのいずれかで動作する燃焼機構と、
前記燃焼機構が発生する熱量と、通流する流体との熱交換によって当該流体を加熱する熱交換器と、
前記熱交換器の上流側に配置された、前記熱交換器による加熱前の第1の流体温度を検出する第1の温度センサと、
前記熱交換器の下流側に配置された、前記熱交換器による加熱後の第2の流体温度を検出する第2の温度センサと、
前記熱交換器を通過する流体流量を検出するための流量センサと、
前記燃焼状態が連続的に維持される連続燃焼モードと、前記燃焼停止状態及び前記燃焼状態が繰り返される間欠燃焼モードとのいずれか一方で前記燃焼機構を制御する制御器とを備え、
前記制御器は、少なくとも前記第1の温度センサ及び前記流量センサの検出値と、前記第2の流体温度の目標値とを用いて前記要求熱量を算出するとともに、前記連続燃焼モード中において、前記要求熱量が前記燃焼機構の最小発生熱量に対応して定められた判定熱量よりも低下し、かつ、前記第2の流体温度が第1の判定温度以上であると、前記燃焼機構を前記燃焼停止状態として前記間欠燃焼モードを開始し、
前記制御器は、前記間欠燃焼モード中には、前記燃焼停止状態において前記第2の流体温度が制御下限温度まで低下すると前記燃焼機構を前記燃焼状態に変化させる一方で、前記燃焼状態において前記第2の流体温度が制御上限温度まで上昇すると前記燃焼機構を前記燃焼停止状態に変化させ、
前記第1の判定温度及び前記制御上限温度は、前記第2の流体温度の目標値よりも高く設定され、前記制御下限温度は、前記第2の流体温度の目標値よりも低く設定される、燃焼装置。
【請求項2】
前記第1の判定温度と前記目標値との温度差は、前記流体流量が小さくなるのに従って小さく設定される、請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記制御器は、前記第1の流体温度の検出値が第2の判定温度よりも高いときには、前記連続燃焼モードから前記間欠燃焼モードへの遷移を禁止し、
前記連続燃焼モードにおいて、前記第2の流体温度の検出値が、予め定められた管理上限温度に達すると前記燃焼機構は前記燃焼停止状態に制御され、
前記管理上限温度は、前記第1の判定温度よりも高い、請求項1又は2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記第1の判定温度は、前記制御上限温度よりも高い温度に設定される、請求項1~3のいずれか1項に記載の燃焼装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の燃焼装置と、
前記熱交換器の上流側と接続される入水配管と、
前記熱交換器の下流側と接続される出湯配管と、
前記入水配管及び前記出湯配管の間に前記熱交換器をバイパスする流路を形成するためのバイパス配管と、
前記入水配管に導入される全体流量と、前記熱交換器の前記流体流量との比率を制御するための流量調整機構と、
前記出湯配管において前記バイパス配管との接続点よりも下流側に配置される第3の温度センサとを備え、
前記第2の温度センサは、前記出湯配管において前記接続点よりも上流側に配置され、
前記全体流量及び前記流体流量の比率と前記要求熱量とは、前記第3の温度センサの検出値が給湯設定温度に制御されるように調整される、給湯装置。
【請求項6】
前記第1の判定温度と前記目標値との温度差は、前記給湯設定温度が高くなるのに従って小さく設定される、請求項5記載の給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置及び給湯装置に関し、より特定的には、燃焼状態及び燃焼停止状態を繰り返す間欠燃焼運転が可能な燃焼装置と、当該燃焼装置による熱量によって出湯温度を制御する給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バーナ等での燃料燃焼によって熱量を発生する燃焼装置を用いて出湯温度を制御する構成が、給湯装置には一般的に用いられる。この際に、バーナ等から出力される熱量には、安定的な燃焼状態を維持した上で発生可能な下限値が存在する。
【0003】
このため、特開2020-70978号公報(特許文献1)には、バイパス路を備える給湯装置において、目標給湯温度及び入水温度の差が小さいケースに対処するために、加熱部(バーナ)のオン状態及びオフ状態を繰り返す運転を導入することが記載されている。更に、特許文献1には、バーナのオン状態からオフ状態への切替と、オン状態からオフ状態への切替とを、熱交換器出湯温度のセンサ検出値に応じて実行することが記載されている。
【0004】
具体的には、特許文献1では、目標給湯温度が低温であるときに、熱交換器出温度(検出値)が所定の判定温度(例えば、60[℃])以上になると、バーナをオンからオフに切替えて、その後、熱交換器出温度(検出値)が下降を開始すると、バーナをオフからオンに切替える制御が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-70978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、熱交換器出湯温度が高くなり過ぎると、バーナの燃焼を停止してもその後に給湯温度のさらなる昇温が生じやすく、ひいては、給湯温度の変動幅が大きくなるという問題点に対して、熱交換器出湯温度を上記判定温度近傍に維持するようにバーナのオンオフを切替えることで、給湯温度の安定性を高める制御が実現される。一方で、特許文献1の制御では、バーナのオン及びオフの時間間隔が比較的に短くなることが予測され、この結果、バーナの機器耐久性に影響を与えることが懸念される。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、燃焼状態及び燃焼停止状態を繰り返す間欠燃焼運転が可能な燃焼装置において、間欠燃焼運転の適用が機器耐久性へ与える影響を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面では、燃焼装置は、燃焼機構と、熱交換器と、第1及び第2の温度センサと、流量センサと、制御器とを備える。燃焼機構は、要求熱量に従った熱量を発生する燃焼状態と、燃焼停止状態とのいずれかで動作するように構成される。熱交換器は、燃焼機構が発生する熱量と、通流する流体との熱交換によって当該流体を加熱するように構成される。第1の温度センサは、熱交換器の上流側に配置されて、熱交換器による加熱前の第1の流体温度を検出する。第2の温度センサは、熱交換器の下流側に配置されて、熱交換器による加熱後の第2の流体温度を検出する。流量センサは、熱交換器を通過する流体流量を検出する。制御器は、燃焼状態が連続的に維持される連続燃焼モードと、燃焼停止状態及び燃焼状態が繰り返される間欠燃焼モードといずれか一方で燃焼機構を制御する。制御器は、少なくとも第1の温度センサ及び流量センサの検出値と、第2の流体温度の目標値とを用いて要求熱量を算出するとともに、連続燃焼モード中において、要求熱量が燃焼機構の最小発生熱量に対応して定められた第1の判定熱量よりも低下し、かつ、第2の流体温度が第1の判定温度以上であると、燃焼機構を燃焼停止状態として間欠燃焼モードを開始する。更に、制御器は、間欠燃焼モード中には、燃焼停止状態において第2の流体温度が制御下限温度まで低下すると燃焼機構を燃焼状態に変化させる一方で、燃焼状態において第2の流体温度が制御上限温度まで上昇すると燃焼機構を燃焼停止状態に変化させる。第1の判定温度及び制御上限温度は、第2の流体温度の目標値よりも高く設定され、制御下限温度は、第2の流体温度の目標値よりも低く設定される。
【0009】
この発明の他のある局面では、給湯装置は、上記燃焼装置と、熱交換器の上流側と接続される入水配管と、熱交換器の下流側と接続される出湯配管と、バイパス配管と、流量調整機構と、第3の温度センサとを備える。バイパス配管は、入水配管及び出湯配管の間に熱交換器をバイパスする流路を形成するように配置される。流量調整機構は、入水配管に導入される全体流量と、熱交換器の流体流量との比率を制御する。第3の温度センサは、出湯配管においてバイパス配管との接続点よりも下流側に配置される。第2の温度センサは、出湯配管において接続点よりも上流側に配置される。更に、全体流量及び熱交換器の流体流量の比率と要求熱量とは、第3の温度センサの検出値が給湯設定温度に制御されるように調整される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第2の流体温度の検出温度が第1の判定温度まで上昇しないと連続燃焼モードから間欠燃焼モードへの遷移が発生しないので、間欠燃焼モードの開始時の燃焼停止から次に燃焼が開始されるまでの時間間隔を確保できる。この結果、間欠燃焼運転モードを通じて、短時間で燃焼状態及び燃焼停止状態の間の遷移が生じることを回避して、燃焼機器の機器耐久性に与える影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る燃焼装置を含む給湯装置の構成を示す概略図である。
図2】バーナの燃焼制御を説明する概念的なブロック図である。
図3】連続燃焼モードにおけるバーナの動作を説明するための概念的な波形図である。
図4】間接燃焼モードにおけるバーナの動作を説明するための概念的な波形図である。
図5】本発明の実施の形態に係る給湯装置の燃焼制御に係るモード遷移図である。
図6】連続燃焼モード及び間欠燃焼モードの間の遷移条件を示す図表である。
図7】比較例に係る給湯装置での間欠燃焼モードにおける動作例を示す波形図である。
図8】本実施の形態に係る給湯装置での間欠燃焼モードにおける動作例を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置を含む給湯装置の構成を示す概略図である。
【0014】
図1を参照して、給湯装置100は、入水配管10、熱交換器20、バーナ30、出湯配管40、コントローラ50、バイパス調整弁60、バイパス配管65、及び、リモートコントローラ(リモコン)70を備える。図1の給湯装置100のうちの、熱交換器20、バーナ30、及び、コントローラ50によって、本実施の形態に係る燃焼装置を構成することが可能である。
【0015】
出湯配管40と接続される出湯口5bは、図示しない、台所、洗面所、及び浴室等の給湯栓及び/又は浴槽等を含む給湯先と接続される。給湯先に浴槽が含まれる場合には、出湯口5bは、図示しない注湯開閉弁を介して、浴槽と接続される。
【0016】
入水配管10は、入水口5aにおいて、水道配管(図示せず)と接続される。入水配管10は、入水口5aと、熱交換器20の一端(上流側)との間に接続される。出湯配管40は、熱交換器20の他端(下流側)と、出湯口5bとの間に接続される。
【0017】
上述の給湯栓及び/又は注湯開閉弁の開放時には、水道水の供給圧力によって、入水口5aから給湯装置100へ低温水が導入される。これにより、入水口5aから出湯口5bに対して、入水配管10、熱交換器20、及び、出湯配管40を経由した通流が生じる。
【0018】
バーナ30は、図示しない燃料供給系から燃料ガスの供給を受けて燃焼動作するように構成される。例えば、図示しないファンの回転に応じて導入される燃焼空気と、上記燃料ガスとの混合気の燃焼熱によって、バーナ30は、熱量を有する燃焼ガスを発生する。バーナ30は、「燃焼機構」の一実施例に対応する。
【0019】
熱交換器20は、バーナ30が発生した燃焼ガスと、熱交換器20を通流する流体との間の熱交換によって、入水配管10から導入された低温水を加熱する。熱交換器20によって加熱された高温水は、出湯配管40へ出力される。尚熱交換器20は、バーナ30の燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により、通過する流体を加熱する一次熱交換器と、バーナ30からの燃焼排ガスの潜熱によって流体を加熱する二次熱交換器とを含んで構成されてもよい。
【0020】
入水配管10は、バイパス配管65を介して、出湯配管40と接続される。バイパス配管65は、接続点40Cにおいて、出湯配管40と接続される。従って、給湯装置100からは、熱交換器20で加熱された高温水と、バイパス配管65を通過して熱交換器20を通過しない低温水との混合によって、給湯設定温度Tr*に従った適温の温水が、出湯口5bを経由して、給湯先へ出力される。
【0021】
バイパス調整弁60の開度は、例えば、ステッピングモータ等を用いて、コントローラ50からの制御指令に従って制御される。バイパス調整弁60の開度によって、入水口5aから給湯装置100に導入された低温水の全体流量Qtに対する、熱交換器20の通過流量(以下、「缶体流量Qb」とも称する)と、バイパス配管65の流量との比率が制御される。以下では、全体流量に対する缶体流量の比率をr(0≦r≦1.0)と表記する。流量比rは、バイパス調整弁60の開度に対応して求めることができる。バイパス調整弁60は、「流量調整機構」の一実施例に対応する。尚、給湯設定温度Tr*が所定温度Tth以上のときには、全流量が熱交換器20によって加熱されるように、流量比r=1.0に固定される。
【0022】
入水配管10には、低温水の温度(入水温度Tw)を検出するための温度センサ81が配置される。出湯配管40には、接続点40Cよりも上流側に、熱交換器20からの出力温度(缶体温度Tb)を検出するための温度センサ82が配置されると共に、接続点40Cよりも下流側に、出湯口5bからの出力温度(出湯温度Th)を検出するための温度センサ83が配置される。温度センサ81~83は、例えば、サーミスタによって構成することができる。温度センサ81及び入水温度Twは、「第1の温度センサ」及び「第1の流体温度」のそれぞれの一実施例に対応し、温度センサ82及び缶体温度Tbは、「第2の温度センサ」及び「第2の流体温度」のそれぞれの一実施例に対応する。又、温度センサ83は、「第3の温度センサ」の一実施例に対応する。
【0023】
更に、入水配管10には、流量センサ84が配置される。流量センサ84は、バイパス調整弁60、即ち、バイパス配管65との分岐点の上流側及び下流側の少なくとも一方に配置される。流量センサ84は、例えば、羽根車式の流量計によって構成することができる。
【0024】
上記分岐点よりも上流側に配置された流量センサ84では、給湯装置100の全体流量Qtを直接検出できるとともに、当該流量検出値に上記流量比rを乗算することで缶体流量Qbを算出することができる。一方で、図1に例示する様に上記分岐点よりも下流側に配置された流量センサ84では、缶体流量Qbを直接検出できるとともに、当該流量検出値を流量比rで除算することで全体流量Qtを算出することができる。
【0025】
リモコン70は、台所及び浴室等に配置された、給湯装置100を操作するための入力装置である。リモコン70は、給湯装置100の運転オンオフを操作する運転スイッチ71と、情報を表示するための表示部72と、ユーザ等の入力設定操作を受け付けるための操作部73とを含む。表示部72は、代表的には、液晶パネルによって構成されており、浴槽水位及び温度を表示可能に構成されている。操作部73は、代表的には、プッシュボタンやタッチボタンによって構成されており、少なくとも、給湯設定温度Tr*に関する設定操作を受け付け可能に構成されている。
【0026】
コントローラ50は、「制御器」に対応し、例えば、マイクロコンピュータを含んで構成することができる。コントローラ50は、温度センサ81の検出値から入水温度Twを取得し、温度センサ82の検出値から缶体温度Tbを取得し、温度センサ83の検出値から出湯温度Thを取得し、流量センサ84の検出値から、全体流量Qt及び缶体流量Qbを取得することができる。更に、コントローラ50は、リモコン70と通信可能に接続されており、リモコン70でのユーザ操作は、コントローラ50へ通知される。当該ユーザ操作は、少なくとも、運転スイッチ71によるオンオフ操作、及び、給湯設定温度Tr*を設定又は変更する操作を含む。
【0027】
図2は、バーナの燃焼制御を説明する概念的なブロック図である。
図2を参照して、コントローラ50は、熱量制御部51及び燃焼制御部52を有する。熱量制御部51及び燃焼制御部52の各々の機能は、コントローラ50によるソフトウェア処理、及び/又は、ハードウェア処理によって実現することができる。
【0028】
熱量制御部51は、温度制御のためのバーナ30の出力熱量Poutの指令値Prqを算出する。給湯装置では、発生熱量は「号数」を単位として演算されることが一般的である。号数=1は、1(L/分)の流量下で流体温度を25[℃]上昇させるのに必要な熱量に相当する。従って、以下では、出力熱量Poutを出力号数Poutとも称し、指令値Prqを要求号数Prqとも称する。
【0029】
尚、出力号数Poutには、最小号数Pmin及び最大号数Pmaxが予め規定されている。最大号数Pmaxは、バーナ30による出力熱量の最大値であり、バーナ30の能力、及び、熱交換器20の材質(耐熱性)等を考慮して定められる。一方で、最小号数Pminは、バーナ30での燃焼を安定状態に維持できる範囲内での出力熱量の下限値(即ち、「最小発生熱量」に対応)を示している。最小熱量Pminは、バーナ30のタイプによっても異なり、例えば、所謂、予混合式のバーナでは、バーナの燃焼本数を制御できないため、各バーナでの燃焼オンオフが制御可能な構成と比較すると、最小号数Pminが比較的大きな値となってしまう。
【0030】
給湯装置100では、全体流量Qt[L/min]について、入水温度Twから給湯設定温度Tr*まで昇温するための熱量を発生することが要求される。したがって、バーナ30(燃焼機構)で要求される単位時間当たりの熱量である要求号数Prqは、下記の式(1)に従って算出することができる。
【0031】
Prq=Qt・(Tr*-Tw)/25 …(1)
なお、実際には、燃焼機構(バーナ30)による発生熱量のうちの熱交換器20での昇温に用いられる熱量の比率(熱効率)を考慮する必要があるが、以下では、説明を簡略化するために、熱効率は1.0であるものとする。
【0032】
或いは、図1に例示された、バイパス配管65を有する構成の給湯装置100では、温度センサ82によって検出される缶体温度Tbの制御と、バイパス調整弁60による流量比rの制御とを組み合わせて出湯温度Thを制御することができる。この場合には、給湯設定温度Tr*と対応付けて設定される缶体目標温度Tb*に従って、要求号数Prqは、下記式(2)に従って算出することができる。
【0033】
Prq=Qb・(Tb*-Tw)/25 …(2)
例えば、缶体目標温度Tb*は、給湯設定温度Tr*が上記所定温度Tth(流量比r=1.0に設定される閾値)以上のときには、Tb*=Tr*に設定される。一方で、Tr*<Tthのときには、Tb*>Tr*に設定される(例えば、Tb*=60[℃]に固定)。このようなTb*>Tr*とする設定により、二次熱交換器を含んで構成された熱交換器20でのドレンの発生を抑制することができる。
【0034】
式(1)又は(2)に従って設定された要求号数Prqに対して、缶体目標温度Tb*(又は、給湯設定温度Tr*)を基準値とする缶体温度Tb(又は出湯温度Th)のフィードバック制御を組み合わせて、要求号数Prqを算出することも可能である。
【0035】
要求号数Prqに対しては、上述の最小号数Pmin及び最大号数Pmaxによる上下限チェックが実行される。これにより、Qrq<Qminのときは、Qrq=Qminに修正され、Qrq>Qmaxのときは、Qrq=Qmaxに修正される。この結果、熱量制御部51から燃焼制御部52に与えられる要求号数Prqは、Qmin≦Qrq≦Qmaxの範囲内に設定される。
【0036】
更に、熱量制御部51から燃焼制御部52へは、後述する「連続燃焼モード」及び「間欠燃焼モード」の選択を指定するためのモード信号MDが入力される。
【0037】
燃焼制御部52は、熱量制御部51からのモード信号MD及び要求号数Prqに従って、バーナ30(燃焼機構)の制御指令を生成する。制御指令は、燃焼のオンオフ指令と、燃焼オン時における燃焼燃料量の制御指令とを含む。例えば、当該制御指令は、バーナに対して燃料を供給する経路に設けられた開閉弁及び比例調整弁の開度指令、及び/又は、燃焼空気を導入する送風ファン(図示せず)の回転数指令を含む。これにより、燃焼オン時には、バーナ30の出力熱量(出力号数Pout)は、要求号数Prqに従って制御される。
【0038】
尚、図1に例示した、バイパス配管65を有するバイパスミキシング方式の給湯装置100では、バイパス調整弁60による流量比の制御をさらに組み合わせて、出湯温度Thが給湯設定温度Tr*に制御される。即ち、コントローラ50は、給湯設定温度Tr*と、温度センサ81~83による検出温度(TW、Tb,Th)とに基づいて、流量比rを調整するためのバイパス調整弁60の制御指令を設定することができる。
【0039】
尚、缶体流量Qb及びバイパス流量(Qt-Qb)、缶体温度Tb、及び、出湯温度Thの間には下記の式(3)が成立する。このため、式(3)を変形し、かつ、Th=Tr*を代入して得られる式(4)に従って、流量比r(Qb/Qt)を制御することができる。
【0040】
Qb・(Tb-Th)=(Qt-Qb)・(Th-Tw) …(3)
r=Qb/Qt=(Th*-Tw)/(Tb-Tw) …(4)
さらに、式(3)による算出値をフィードフォワード制御項とした上で、出湯温度の温度偏差ΔTh=(Tr*-Th)を補償するためのフィードバック制御項を算出し、両者の和に従って、バイパス調整弁60での流量比rを制御することができる。例えば、コントローラ50は、設定された流量比rに対応させて、バイパス調整弁60の制御指令(たとえば、ステッピングモータのステップ数)を設定する。
【0041】
バーナ30(燃焼機構)の燃焼制御について更に詳細に説明する。
図3には、連続燃焼モードにおけるバーナの動作を説明するための概念的な波形図が示される。
【0042】
図3を参照して、連続燃焼モードでは、バーナ30は、連続的に燃焼状態にあるとともに、熱量制御部51からの制御指令に沿って燃焼燃料量を調整することで、要求号数Prqに従った出力号数Poutの熱量を発生する。
【0043】
出力号数Poutは、要求号数Prqの上下限チェックによって、下限号数Pminより小さくは設定されない。このため、熱量計算からの要求号数Prqが下限号数Pminより小さい状態が継続すると、出湯温度Thの制御が困難になることが懸念される。
【0044】
従って、本実施の形態に係る給湯装置では、バーナ30の燃焼オンオフが繰り返される間欠燃焼モードを導入して、要求号数Prqが小さい領域での出湯温度制御に対処する。例えば、最小号数Pminよりも少し高い判定号数Pt1(Pt1=Pmin+α。例えば、α=0.5号程度)を設定して、Prq<Pt1が予め定められたT0(秒)継続することを、連続燃焼モードから間欠燃焼モードへの切替条件の1つとすることができる。
【0045】
図4には、間接燃焼モードにおけるバーナの動作を説明するための概念的な波形図が示される。
【0046】
図4を参照して、連続燃焼モードから間欠燃焼モードへの切替条件が成立するのに応じて、時刻tsから、間欠燃焼モードが開始される。
【0047】
間欠燃焼モードが開始される時刻tsでは、時刻tsより前の連続燃焼モードにおいて連続的に燃焼オン状態であったバーナ30が一旦燃焼オフ状態とされる。これに応じて、間欠燃焼モードが開始される時刻ts以降では、熱交換器20への入力熱量の低下に応じて缶体温度Tbが徐々に低下する。
【0048】
本実施の形態では、間欠燃焼モード開始後における、バーナ30の燃焼オンオフは、缶体温度Tbの検出値に応じて切替えられる。具体的には、間欠燃焼モードでの制御下限温度Trl及び制御上限温度Trhとの比較により、バーナ30の燃焼がオンオフされるものとする。
【0049】
図4に示される様に、時刻tsからの燃焼オフ期間において缶体温度Tbが制御下限温度Trlまで低下すると、時刻t1において、バーナ30は燃焼オフ状態から燃焼オン状態に変化する。燃焼オン期間での出力号数Poutは、その時点での要求号数Prqに従って設定される。
【0050】
燃焼オン期間では、缶体温度Tbは上昇に転じる。時刻t2において、缶体温度Tbが制御上限温度Trhまで上昇すると、再び、バーナ30は燃焼オフ状態に制御される。燃焼オフ期間において缶体温度Tbが、制御下限温度Trlまで低下すると、時刻t3において、バーナ30は再び、燃焼オン状態とされる。このように、間欠燃焼モードでは、缶体温度Tbと、制御下限温度Trl及び制御上限温度Trhとの比較に従って、バーナ30の燃焼オン及び燃焼オフが切替えられる。この様な間欠燃焼モードの適用により、給湯設定温度Tr*が低いとき、低流量のとき、及び、入水温度Twが高いときの給湯温度制御の制御性が向上する。特に、最小号数Pminを絞ることが困難なタイプのバーナ30(燃焼機構)において、間欠燃焼モードを導入する効果が大きい。
【0051】
図5には、給湯装置の燃焼制御に係るモード遷移図が示される。
図5を参照して、給湯装置100は、運転オフモードにおいて運転スイッチ71が操作されると、運転オンモードに遷移する。
【0052】
運転オンモードでは、バーナ30は燃焼オフ状態である、運転オンモードでは、最小作動流量(MOQ)が検出されるまで、バーナ30の燃焼が待機される。以下では、缶体流量QbがMOQを超えている状態を「MOQオン」とも称し、缶体流量QbがMOQを超えていない状態を「MOQオフ」とも称する。
【0053】
運転オンモードにおいて、MOQオンが検出されると、給湯装置100の制御モードは、初期的には、通常動作である連続燃焼モードに設定される。連続燃焼モードでは、図3に示した様にバーナ30が連続的に燃焼オン状態とされた下で、出湯温度Thを給湯設定温度Tr*に制御するために算出された要求号数Prqに従って、バーナ30の出力熱量Poutが制御される。
【0054】
連続燃焼モードにおいて、遷移条件CD1が成立すると、給湯装置100の制御モードは、図4で説明した間欠燃焼モードに変化する。一方で、間欠燃焼モードの適用時において、遷移条件CD2が成立すると、給湯装置100の制御モードは、連続燃焼モードに復帰する。このように、缶体流量QbがMOQより多い期間中では、連続燃焼モード及び間欠燃焼モードの一方が適用されて、バーナ30の発生熱量によって、熱交換器20での加熱が実行される。
【0055】
連続燃焼モード中、又は、間欠燃焼モード中に、流量が低下してMOQオフが検知されると、給湯装置100の制御モードは、バーナ30が燃焼オフ状態とされる運転オンモードに遷移する。
【0056】
運転オンモード中、連続燃焼モード中、又は、間欠燃焼モード中において、運転スイッチ71が操作されると、給湯装置100の制御モードは、運転オフモードに遷移する。連続燃焼モード中、又は、間欠燃焼モード中に運転スイッチ71がオフされた場合には、併せて、バーナ30による燃焼が停止される。
【0057】
次に、図6を用いて、連続燃焼モード及び間欠燃焼モードの間の遷移条件CD1,CD2を詳細に説明する。
【0058】
図6を参照して、連続燃焼モードから間欠燃焼モードへの遷移条件CD1は、要求号数Prqが判定号数より低いこと、缶体温度Tbが判定温度Tbtまで上昇していること、及び、入水温度が判定温度Twtよりも低いことの条件を含むことができる。一例として、要求号数Prqに関しては、図3に示した様な、(a)Prq<Pt1がT0[秒]継続すること(例えば、T0=5)との条件を設定できる。又、缶体温度Tbについては、(b)Tb>Tbt(例えば、Tbt=Tb*+Ta[℃])との条件を設定することができる。判定号数Pt1は「判定熱量」の一実施例に対応し、判定温度Tbtは「第1の判定温度」の一実施例に対応し、判定温度Twtは「第2の判定温度」の一実施例に対応する。
【0059】
同様に、入水温度Twについては、(c)Tw<Twtの条件を設定できる。判定温度Twtについては、固定値(例えば、37[℃])又は、Tr*-Tc(例えば、Tc=10[℃])とすることができる。尚、遷移条件CD1は、条件(c)を省略して、条件(a)及び(b)で構成することも可能である。
【0060】
更に、間欠燃焼モード中における、燃焼オンから燃焼オフへの切替条件を与える制御上限温度Trh、及び、燃焼オンから燃焼オフへの切替条件を与える制御下限温度Trlについては、缶体目標温度Tb*を挟んで設定することができる。例えば、制御上限温度Trh=Tb*+T1[℃]とする一方で、制御下限温度Trl=Tb*-T2[℃]とすることができる。
【0061】
反対に、間欠燃焼モードから連続燃焼モードへの遷移条件CD2は、要求号数Prqの上昇に対応して定めることができる。例えば、間欠燃焼モードにおいて、要求号数Prqが判定号数Pt2(Pt2>Pt1)よりも大きい状態が予め定められたT1(秒)継続したときに、遷移条件CD2が成立したと判定することができる。
【0062】
図7には、比較例に係る給湯装置での間欠燃焼モードでの動作例が示される。当該比較例では、連続燃焼モードから間欠燃焼モードへの遷移が、要求号数Prqのみで判定され、実際の缶体温度Tbが考慮されないときの動作例が示される。例えば、図6の遷移条件CD1は、要求号数Prqに係る条件(a)のみで判定されるものとすると、図3での時刻tbの時点から間欠燃焼モードが開始される。
【0063】
図7を参照して、時刻tsにおいて、制御モードが連続燃焼モードから間欠燃焼モードへ切替えられるのに応じて、バーナ30は、燃焼オン状態から燃焼オフ状態に変化する。時刻ts以降では、燃焼オフのため缶体温度Tbが低下する。時刻txでは、缶体温度Tbが制御下限温度Trlまで低下するのに応じて、バーナ30は燃焼オフ状態から燃焼オン状態に変化する。
【0064】
時刻txからの燃焼オンに応じて缶体温度Tbは再び上昇し、時刻tyにおいて、缶体温度Tbが制御上限温度Trhまで上昇すると、バーナ30は燃焼オフ状態とされる。以降の間欠燃焼モード中には、缶体温度Tbと、制御下限温度Trl及び制御上限温度Trhとの比較によって、バーナ30の燃焼オン及び燃焼オフが切替えられる。従って、時刻tx以降では、バーナ30の燃焼オン及び燃焼オフの変化のインターバルは、制御下限温度Trl及び制御上限温度Trhの差に依存して確保できる。
【0065】
一方で、間欠燃焼モード開始時における、バーナ30での燃焼オンオフの時間間隔Tintは、図7の様に、缶体温度Tbが比較的低い状態から間欠燃焼モードが開始される場合には短くなってしまう。短時間でバーナ30の燃焼がオンオフされると、機器寿命に悪影響を与えることが懸念される。又、短時間での燃焼オンオフの切替は、出湯温度Thの安定性を低下させることも懸念される。
【0066】
これに対して、図8には、本実施の形態に係る給湯装置での間欠燃焼モードでの動作例が示される。図6で説明したように、本実施の形態では、遷移条件CD1には、実際の缶体温度Tbに係る条件(b)が含まれる。尚、図8では、表記の都合上、条件(b)の判定温度Tbtと、間欠燃焼モードでの制御上限温度Trhとを共通値としているが、実際には、判定温度Tbt及び制御上限温度Trhは、缶体目標温度Tb*よりも高い範囲内で異なる温度に設定することが好ましい。
【0067】
間欠燃焼モードでは、連続燃焼モードと比較して、温度制御性が低下する。従って、判定温度Tbt(Tbt=Tb*+Ta)を高く設定することで、温度制御性が高い連続燃焼モードを可能な限り継続することができる。更に、間欠燃焼モードでは、制御上限温度(Trh=Tb*+T1)を低く設定する方が、バーナ30の燃焼オンオフの周期は短くなるものの温度制御性の低下を抑制できる。従って、Ta>T1、即ち、Tbt>Trhとすることが好ましい。
【0068】
図8を参照して、本実施の形態では、図3の時刻tbにおいて、連続燃焼モード中に遷移条件CD1のうちの要求号数に係る条件(a)が成立しても、缶体温度に係る条件(b)が成立するまで、間欠燃焼モードへの遷移は待機される。
【0069】
従って、図8において、制御モードが連続燃焼モードから間欠燃焼モードへ切替えられる時刻tsでは、条件(b)が成立することから、缶体温度Tbが判定温度Tbt(こここでは、Tbt=Trh)に達している。
【0070】
このため、間欠燃焼モード開始時における燃焼オンオフの時間間隔Tintに相当する、燃焼オフ状態で缶体温度Tbが制御下限温度Trlに低下するまでの時間長を確実に確保することが可能となる。この結果、本実施の形態では、図7の比較例で説明した様に、間欠燃焼モード開始時における燃焼オンオフの時間間隔Tintが意図せずに短くなることを回避できる。又、時刻tx以降では、缶体温度Tbに対する制御上限温度Trh及び制御下限温度Trlの設定により、短時間でバーナ30の燃焼オンオフが切替わることを防止できる。
【0071】
尚、上述の様に、Tbt>Trh(Ta>T1)とすることで、間欠燃焼モード開始時における燃焼オンオフの時間間隔Tint(初回)が短くなることを回避した上で、予測可能な2回目以降の燃焼オンオフの時間間隔については、温度制御性の低下が抑制されるように定めることができる。
【0072】
特に、バーナ30のタイプ等と連動して、材質又は伝熱面積を確保するためのサイズ面から熱交換器20の熱容量が大きい場合には、比較例の様に要求熱量(要求号数Prq)のみに着目して遷移条件CD1を設定すると、熱交換器20の下流側の温度が上昇する前に、上述の様な間欠燃焼モードの開始タイミングの不適切な設定が行われる頻度が高くなる虞がある。
【0073】
これに対して、本実施の形態に係る給湯装置では、缶体温度Tbに代表される、熱交換器20下流側の温度実績を反映して間欠燃焼モードを開始することで、間欠燃焼を通じて、短時間でバーナ30(燃焼機構)での燃焼のオンオフが切替わることを防止できる。これにより、バーナ30(燃焼機構)の機器耐久性への影響を抑制することができる。又、出湯温度の安定化についても図ることができる。
【0074】
即ち、本実施の形態において、缶体温度Tbは、「第2の流体温度」の一実施例であるが、検出遅れ等の補償を伴って、温度センサ83によって検出される出湯温度Thを用いて、遷移条件CD1の条件(b)を定めることも可能である。
【0075】
遷移条件CD1の条件(b)に係る判定温度Tbtについては、缶体流量Qb及び給湯設定温度Tr*の少なくとも一方に応じて可変に設定することが好ましい。具体的には、缶体温度Tbが上昇し易い低流量時には、判定温度Tbtを高流量時よりも低温に設定することが好ましい。例えば、条件(b)中のTa(Ta=Tbt-Tb*)について、缶体流量Qbが小さくなるのに従って段階的又は連続的に小さくなるように設定することができる。これにより、上述した効果に加えて、温度制御性が高められる。
【0076】
同様の趣旨から、給湯設定温度Tr*が高いときには、判定温度Tbtを、給湯設定温度Tr*が低いときよりも高く設定することが好ましい。例えば、条件(b)中のTaについて、給湯設定温度Tr*が高くなるのに従って段階的又は連続的に小さくなるように設定することができる。このように、条件(b)中のTaは、「第1の判定温度及び第2の流体温度の目標値の温度差」に対応する。
【0077】
又、間欠燃焼モードでの上限温度Trhについても、上述の判定温度Tbtと同様に、缶体流量Qb(又は、全体流量Qt)及び給湯設定温度Tr*の少なくとも一方に応じて可変に設定することができる。具体的には、制御上限温度Trhを規定するT1[℃](T1=Trh-Tb*)について、缶体流量Qbが小さくなるのに従って段階的又は連続的に小さくなるように、及び/又は、給湯設定温度Tr*が高くなるのに従って段階的又は連続的に小さくなるように、可変に設定することができる。
【0078】
更に、間欠燃焼モードでの制御下限温度Trlについては、給湯設定温度Tr*と連動させて可変設定することが可能である。例えば、出湯温度の制御性のために、制御下限温度Trlを規定するT2[℃](T2=Tb*-Trl)について、給湯設定温度Tr*が高いときには小さく設定し、給湯設定温度Tr*が低いときには大きく設定することができる。
【0079】
又、遷移条件CD1に、入水温度Twに係る条件(c)を導入することで、間欠燃焼モードによっても出湯温度Thの制御が困難なケースに、間欠燃焼モードを無理に適用して、バーナ30の燃焼オンオフが無用に繰り返されることを回避できる。この様な、入水温度Twが高いケースでは、缶体温度Tbが、上記判定温度Tbtよりも高く設定された缶体上限温度Tbmaxに達することで、バーナ30の燃焼が強制的にオフされる、高温出湯防止制御が別途動作することになる。缶体上限温度Tbmaxは、「管理上限温度」に対応する。
【0080】
上述した、本実施の形態に係る間欠燃焼モードの開始制御は、バーナ30(燃焼機構)の構造及び燃料に依らず、燃焼のオンオフ制御が可能である燃焼機構を有する給湯器に共通に適用することができる。又、給湯装置100がバイパスミキシング方式ではない場合には、缶体目標温度Tb*及び給湯設定温度Tr*が共通となるが、この場合にも、本実施の形態で説明した間欠燃焼モードを適用することが可能である。
【0081】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
5a 入水口、5b 出湯口、10 入水配管、20 熱交換器、30 バーナ、40 出湯配管、40C 接続点、50 コントローラ、51 熱量制御部、52 燃焼制御部、60 バイパス調整弁、65 バイパス配管、70 リモコン、71 運転スイッチ、72 表示部、73 操作部、81,82,83 温度センサ、84 流量センサ、100 給湯装置、CD1,CD2 遷移条件、MD モード信号、Pout 出力熱量(号数)、Pmin 最小号数、Prq 要求号数、Tb 缶体温度、Tb* 缶体目標温度、Th 出湯温度、Tr* 給湯設定温度、Trh 制御上限温度(間欠燃焼モード)、Trl 制御下限温度(間欠燃焼モード)、Tw 入水温度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8