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特開2022-26418情報処理システム、二酸化炭素の削減量の算出方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026418
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】情報処理システム、二酸化炭素の削減量の算出方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220203BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129883
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】513308642
【氏名又は名称】日本海洋資源開発株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520286533
【氏名又は名称】株式会社Rewso
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】特許業務法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】羽田野 修一
(72)【発明者】
【氏名】原山 徹夫
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC20
(57)【要約】
【課題】移動手段による二酸化炭素の削減量の違いをユーザが容易に把握することができる情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システム10は、表示画面に対するユーザの操作に応じて、二酸化炭素の削減量の算出に用いる算出条件として、出発地から到着地までの移動経路と、その移動経路の移動に利用する移動手段とを決定する条件決定部12と、条件決定部12により決定された移動手段を利用して移動経路を移動する場合の二酸化炭素の削減量の予測値を算出する予測値算出部13と、予測値算出部13により算出された予測値をユーザに提示する算出値提示部14とを備えている。算出条件を決定する際の表示画面では、ユーザの操作により、算出条件として任意の移動手段を選択可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素の排出量を削減可能な移動手段を利用した場合の二酸化炭素の削減量を算出する情報処理システムであって、
表示画面に対するユーザの操作に応じて、二酸化炭素の削減量の算出に用いる算出条件として、出発地から到着地までの移動経路と、該移動経路の移動に利用する移動手段とを決定する条件決定部と、
前記条件決定部により決定された前記移動手段を利用して前記移動経路を移動する場合の二酸化炭素の削減量の予測値を算出する予測値算出部と、
前記予測値算出部により算出された予測値をユーザに提示する算出値提示部とを備え、
前記表示画面では、ユーザの操作により、前記算出条件として任意の移動手段を選択可能である、情報処理システム。
【請求項2】
前記表示画面において、ユーザの操作により、複数の移動手段の中から前記算出条件の移動手段が変更されると、前記予測値算出部が、変更後の移動手段による予測値を算出し、前記算出値提示部が、該予測値をユーザに提示する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
ユーザが実際に移動した実移動経路、及び、該実移動経路の移動で実際に利用した実移動手段の各情報を取得する移動情報取得部と、
前記移動情報取得部により取得された前記実移動手段を利用して前記実移動経路を移動した時の二酸化炭素の削減量の実測値を算出する実測値算出部とをさらに備え、
前記算出値提示部は、前記実測値算出部により算出された実測値をユーザに提示する、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記実測値算出部は、実際の移動における事象データ又は実測データを用いて、前記実測値を算出する、請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
二酸化炭素の排出量を削減可能な移動手段を利用した場合の二酸化炭素の削減量を算出する、二酸化炭素の削減量の算出方法であって、
表示画面に対するユーザの操作に応じて、二酸化炭素の削減量の算出に用いる算出条件として、出発地から到着地までの移動経路と、該移動経路の移動に利用する移動手段とを決定する条件決定ステップと、
前記条件決定ステップにおいて決定された前記移動手段により前記移動経路を移動する場合の二酸化炭素の削減量の予測値を算出する予測値算出ステップと、
前記予測値算出部により算出された予測値をユーザに提示する算出値提示ステップとを実行し、
前記表示画面では、ユーザの操作により、前記算出条件として任意の移動手段を選択可能である、二酸化炭素の削減量の算出方法。
【請求項6】
二酸化炭素の排出量を削減可能な移動手段を利用した場合の二酸化炭素の削減量を、コンピュータに算出させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
表示画面に対するユーザの操作に応じて、二酸化炭素の削減量の算出に用いる算出条件として、出発地から到着地までの移動経路と、該移動経路の移動に利用する移動手段とを決定する条件決定ステップと、
前記条件決定ステップにおいて決定された前記移動手段により前記移動経路を移動する場合の二酸化炭素の削減量の予測値を算出する予測値算出ステップと、
前記予測値算出部により算出された予測値をユーザに提示する算出値提示ステップとを、実行させ、
前記表示画面では、ユーザの操作により、前記算出条件として任意の移動手段を選択可能である、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の排出量を削減できる移動手段の利用による二酸化炭素の削減量を算出する情報処理システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の排出量削減を促進させるためには、自らの行動によりどの程度二酸化炭素の排出量削減に貢献できたかを認識できるようにすることが有用である。特許文献1には、地球環境に与える負荷をユーザに通知し、地球環境への認識を向上させる地球環境変化通知システムが記載されている。このシステムでは、電車などの公共交通機関を利用することにより、自動車で移動した場合に発生するCO排出量を削減することができたことを示す値として、携帯電話機を有するユーザが利用した乗車駅と降車駅とに基づいて、CO排出量を算出する。
【0003】
また、特許文献2には、人の移動に伴う環境負荷量を計算する環境負荷量計算装置が記載されている。この装置では、人の移動状態として、移動方法とその移動方法で移動した移動距離とを特定するステップと、特定された移動状態と環境負荷量データベースに蓄積された環境負荷量データとに基づいて、人の移動に伴う環境負荷量を演算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-97396号公報
【特許文献2】特開2006-190001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のシステムは、人が実際に公共交通機関等を利用して移動した場合の二酸化炭素の削減量を算出するものである。また、特許文献2に記載の装置は、実際に利用した交通手段に対応して、二酸化炭素量を算出するものである。しかし、従来のシステム等では、移動手段によって二酸化炭素の削減量がどのぐらい違うのかをユーザが容易に把握することができない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、移動手段による二酸化炭素の削減量の違いをユーザが容易に把握することができる情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、二酸化炭素の排出量を削減可能な移動手段を利用した場合の二酸化炭素の削減量を算出する情報処理システムであって、表示画面に対するユーザの操作に応じて、二酸化炭素の削減量の算出に用いる算出条件として、出発地から到着地までの移動経路と、該移動経路の移動に利用する移動手段とを決定する条件決定部と、条件決定部により決定された移動手段を利用して移動経路を移動する場合の二酸化炭素の削減量の予測値を算出する予測値算出部と、予測値算出部により算出された予測値をユーザに提示する算出値提示部とを備え、表示画面では、ユーザの操作により、算出条件として任意の移動手段を選択可能である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、表示画面において、ユーザの操作により、複数の移動手段の中から算出条件の移動手段が変更されると、予測値算出部が、変更後の移動手段による予測値を算出し、算出値提示部が、該予測値をユーザに提示する。
【0009】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、ユーザが実際に移動した実移動経路、及び、該実移動経路の移動で実際に利用した実移動手段の各情報を取得する移動情報取得部と、移動情報取得部により取得された実移動手段を利用して実移動経路を移動した時の二酸化炭素の削減量の実測値を算出する実測値算出部とをさらに備え、算出値提示部は、実測値算出部により算出された実測値をユーザに提示する。
【0010】
第4の発明は、第3の発明において、実測値算出部は、実際の移動における事象データ又は実測データを用いて、実測値を算出する。
【0011】
第5の発明は、二酸化炭素の排出量を削減可能な移動手段を利用した場合の二酸化炭素の削減量を算出する、二酸化炭素の削減量の算出方法であって、表示画面に対するユーザの操作に応じて、二酸化炭素の削減量の算出に用いる算出条件として、出発地から到着地までの移動経路と、該移動経路の移動に利用する移動手段とを決定する条件決定ステップと、条件決定ステップにおいて決定された移動手段により移動経路を移動する場合の二酸化炭素の削減量の予測値を算出する予測値算出ステップと、予測値算出部により算出された予測値をユーザに提示する算出値提示ステップとを実行し、表示画面では、ユーザの操作により、算出条件として任意の移動手段を選択可能である。
【0012】
第6の発明は、二酸化炭素の排出量を削減可能な移動手段を利用した場合の二酸化炭素の削減量を、コンピュータに算出させるプログラムであって、コンピュータに、表示画面に対するユーザの操作に応じて、二酸化炭素の削減量の算出に用いる算出条件として、出発地から到着地までの移動経路と、該移動経路の移動に利用する移動手段とを決定する条件決定ステップと、条件決定ステップにおいて決定された移動手段により移動経路を移動する場合の二酸化炭素の削減量の予測値を算出する予測値算出ステップと、予測値算出部により算出された予測値をユーザに提示する算出値提示ステップとを、実行させ、表示画面では、ユーザの操作により、算出条件として任意の移動手段を選択可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、二酸化炭素の削減量の算出に用いる算出条件を決定する際の画面表示において、ユーザは、任意の移動手段を選択可能である。そして、ユーザが選択した移動手段を利用して移動経路を移動する場合の二酸化炭素の削減量の予測値が算出されて、ユーザに提示される。つまり、実際に利用した移動手段とは関係なく、また移動手段を実際に利用したか否かに拘わらず、ユーザが選択した移動手段に応じて、二酸化炭素の削減量の予測値が提示される。従って、移動手段による二酸化炭素の削減量の違いをユーザが容易に把握することができる。また、旅行を計画する場合は、計画時に二酸化炭素の削減量を把握することができる。本発明によれば、環境意識を高めるために有用な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る情報処理システムの概略構成図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理システムについて、予測値の算出に関する機能ブロック及びデータベースの詳細構成を示す構成図である。
図3図3は、実施形態に係る情報処理システムにおいて表示される条件選択画面の模式図である。
図4図4は、実施形態に係る情報処理システムにおける経路探索により見つかった移動経路を示す地図である。
図5図5は、実施形態に係る情報処理システムにより使用される算出用係数の表である。
図6図6は、実施形態に係る情報処理システムにおいて表示される算出値表示画面の模式図であり、図6(a)は予測値の表示状態を表し、図6(b)は実測値の表示状態を表す
図7図7は、実施形態に係る情報処理システムにおいて実施される二酸化炭素の削減量の予測値の算出方法のフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係る情報処理システムについて、実測値の算出に関する機能ブロック及びデータベースの詳細構成を示す構成図である。
図9図9は、実施形態に係る情報処理システムにおいて実施される二酸化炭素の削減量の実測値の算出方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0016】
[CO削減量算出用の情報処理システム]
本実施形態に係る情報処理システム10は、ユーザ(例えば、WEBサイトでの登録ユーザ)によりWEBサイトからダウンロードされるプログラム等を利用して、情報をユーザに提示するシステムである。具体的に、情報処理システム10は、旅行を想定した移動経路において、二酸化炭素の排出量(以下、「CO排出量」と言う場合がある。)を削減可能な移動手段を利用した場合の二酸化炭素の削減量(以下、「CO削減量」と言う場合がある。)の予測値をユーザに提示すると共に、実際に旅行した移動経路において、CO排出量を削減可能な移動手段を利用した場合のCO削減量の実測値をユーザに提示する。なお、旅行には出張も含まれる。
【0017】
CO排出量を削減可能な移動手段は、例えば、モータにより駆動される移動体、モータとエンジンのハイブリッド方式により駆動される移動体、及び、燃費のよいエンジン(高効率のエンジン)により駆動される移動体を含む。CO削減量は、CO排出量を削減可能な移動手段に更新される前の移動手段(例えば、燃費のよいエンジンに更新される前の旧式エンジン(低効率のエンジン)により駆動される移動体)のCO排出量に対する、削減量として算出される。これらの移動体は、例えば、乗用車、バイク、バス、飛行機、船舶、電車などである。情報処理システム10は、電動換装化又はエンジンの更新などの駆動源の更新によって生じるCO削減量の予測値及び実測値を算出するものである。以下では、CO排出量を削減可能な移動手段に更新される前の移動手段を「更新前移動手段」、CO排出量を削減可能な移動手段を「更新後移動手段」と言う場合がある。
【0018】
情報処理システム10は、例えば、情報処理システム10の運用事業者(サービス提供者)により管理されるホストコンピュータ20で動作する第1プログラム(WEBアプリケーション)、及び、運用事業者により管理されるWEBサイトからユーザがダウンロードする第2プログラムを使用したシステムである。これらのプログラムは、CO削減量の算出用のものである。情報処理システム10では、ホストコンピュータ20及びユーザの情報処理端末8が、プログラムを実行及び解釈することによって所定の情報処理を行うと共に、インターネット7を介して互いに通信を行うことで、情報処理端末8の画面上に、ユーザに提示する情報が表示される。情報処理システム10では、情報処理端末8に対するユーザの操作に応じて、情報処理端末8の表示情報が動的に変化する。なお、情報処理システム10では、全てのプログラムをホストコンピュータ20で動作させてもよいし、プログラムをクラウドで動作させてもよい。これらの場合、情報処理端末8がアクセスするWEBサイト上に、ユーザに提示する情報が表示される。WEBサイトに表示される情報は、登録を行ったユーザの情報処理端末8のみに表示される。
【0019】
<CO削減量の予測値の算出について>
情報処理システム10は、図1に示すように、ユーザ登録処理を行うユーザ登録部11と、表示画面に対するユーザの操作に応じて、CO削減量の算出に用いる算出条件(出発地から到着地までの移動経路と、その移動経路の移動に利用する移動手段)を決定する条件決定部12と、条件決定部12により決定された移動手段を利用して移動経路を移動する場合のCO削減量の予測値を算出する予測値算出部13と、予測値算出部13により算出された予測値をユーザに提示する算出値提示部14とを備えている。なお、CO削減量の予測値は、輸送者1人当たりの値として算出される。
【0020】
情報処理システム10は、CO削減量の予測値の算出に用いる算出条件を決定する際の表示画面(条件選択画面)において、ユーザの操作により、出発地から到着地までの間で利用可能な1つ又は複数の移動手段の中から、任意の移動手段を選択可能である。そして、ユーザの操作により移動手段が選択されると、その移動手段を利用して移動経路を移動する場合のCO削減量の予測値が算出されて、画面表示によりユーザに提示される。
【0021】
また、条件選択画面において、ユーザの操作により、複数の移動手段の中から算出条件の移動手段が変更されると、予測値算出部13が、その変更後の移動手段による予測値を算出し、算出値提示部14が、その予測値をユーザに提示する。これらの処理により、移動手段によるCO削減量の違いをユーザは容易に把握することができる。以下、各機能ブロックについて、より詳細に説明を行う。
【0022】
上述のユーザ登録部11、条件決定部12、及び、予測値算出部13は、ホストコンピュータ20のCPUが上述の第1プログラムを実行及び解釈することによって実現される機能ブロックである。算出値提示部14は、情報処理端末8のCPUが上述の第2プログラムを実行及び解釈することによって実現される機能ブロックである。なお、ユーザ登録部11、条件決定部12、及び、予測値算出部13のうち一部が、情報処理端末8側の機能ブロックであってもよい。また、情報処理システム10は、ホストコンピュータ20が利用するデータベース30の中に、ユーザ情報データベース31(図8参照)、旅行情報データベース32、算出用係数データベース33、第1排出量データベース34、第2排出量データベース35、及び、削減量データベース36を備えている(図2参照)。
【0023】
ユーザ登録部11は、携帯端末などの情報処理端末8によりユーザが登録用のWEBサイト等から送信した登録情報を受信すると、その登録情報をユーザ情報データベース31に格納するユーザ登録処理を行う。ユーザ情報データベース31では、ユーザ毎に登録情報が格納される。登録情報は、ユーザ名、ID(例えば任意の文字列)、パスワードなどを含む。なお、ユーザ登録は任意である。また、登録用のWEBサイトは、多言語化対応が可能に構成されており、例えば中国語、韓国語、又は英語等での表記に切り替え可能である。
【0024】
条件決定部12は、旅行情報データベース32における経路探索と、ユーザによる移動手段の選択(場合によっては、移動経路と移動手段の両方の選択)とにより、CO削減量の予測値の算出に用いる算出条件として、出発地から到着地までの移動経路と、その移動経路の移動に利用する移動手段などを決定する条件決定処理を行う。
【0025】
条件決定処理では、まず情報処理端末8に「旅程情報の入力画面」が表示される。旅程情報の入力画面は、例えば、「出発地」及び「到着地」を含む地点情報と、「出発地の出発日時(旅行開始日時)」を含む日時情報とが入力可能となっている。旅程情報の入力画面に対しユーザが入力操作を行うと、条件決定部12は、地点情報及び日時情報に基づいて経路探索を行う。そして、その経路探索の結果を反映した「条件選択画面」が、情報処理端末8に表示される。条件選択画面では、図3に示すように、移動経路及びその移動手段などが表示され、さらに移動経路が、図4に示す地図によっても表示される。移動経路において複数の移動手段が存在する場合は、条件選択画面に選択肢形式で複数の移動手段が表示される。なお、図4の地図において、太線で移動経路を表し、細線で他の主要道路の一部を表す。
【0026】
ここで、旅行情報データベース32には、公共交通機関において利用可能な移動経路と移動手段、及び、レンタル事業者からレンタル可能な移動手段(レンタルカー、レンタルバイクなど)について、現実に利用可能な情報(経路情報、運行情報、出発時刻、到着時刻、利用可能時間帯、利用可能車種など)が格納されている。条件選択画面には、条件決定部12による経路探索の結果として、旅程情報の入力画面に入力された地点情報及び日時情報に対して、現実に利用可能な移動経路及び移動手段が表示される。なお、図3に選択肢として記載された移動手段は、本発明に適用可能な移動手段の一例であって、移動手段の選択肢には、船舶などを他の移動手段が含まれていてもよいし、ユーザの自家用車や、徒歩が含まれていてもよい。また、移動手段の選択肢には、CO排出量を削減できない移動手段が含まれていてもよい。
【0027】
また、条件選択画面では、移動経路の途中において移動手段の変更(つまり、乗り換え)が必要又は可能である場合、移動経路を乗り換え地で区切った複数の区間の各々に対して移動手段の選択肢が提示される。
【0028】
条件選択画面に対し、ユーザの操作により移動手段が選択されると、条件決定部12は、その選択を受け付けて、CO削減量の予測値の算出に用いる算出条件に決定する。
【0029】
なお、旅程情報の入力画面に入力された出発地及び到着地に対して移動経路が複数存在する場合は、条件選択画面では、複数の移動経路が表示され、移動経路ごとに1つ又は複数の移動手段の選択肢が提示される。その場合、ユーザは、移動経路と移動手段を選択する。
【0030】
予測値算出部13は、第1排出量算出部21、第2排出量算出部22、係数取得部23、及び、削減量算出部25を備えている(図2参照)。係数取得部23は、算出用係数データベース33から、CO排出量の算出に用いられる算出用係数(例えば、統計データの数値や、統計データにより作成した係数)を取得する。算出用係数の基となる統計データには、官公庁から公表されたデータを用いることができる。
【0031】
上述の算出用係数について、エンジン駆動の移動体の場合は、1人を1km運ぶ際のCO排出量(図5に示す排出量係数α1又はα2)を使用し、モータ駆動の移動体の場合は、1人を1km運ぶ際の駆動モータの消費電力(図5に示す消費電力係数β)を使用する。なお、図5に記載の移動手段は、本発明に適用可能な移動手段の一例であって、船舶などを他の移動手段が図5の表に含まれていてもよい。また、図5では、移動手段(移動体)の種類によって係数α1,α2,βを設けているが、1種類の移動体について車種ごと係数α1,α2,βを設けてもよい。また、ハイブリッド方式の移動体の場合、エンジン駆動の移動体の場合と同様に、1人を1km運ぶ際のCO排出量を使用する。
【0032】
第1排出量算出部21は、条件決定部12により決定された算出条件、及び、係数取得部23により取得された算出用係数を取得し、更新前移動手段を利用した場合のCO排出量(予測値)E1(以下、「更新前CO排出量」と言う。)を算出する。また、第2排出量算出部22は、条件決定部12により決定された算出条件、及び、係数取得部23により取得された算出用係数を取得し、算出条件として決定された移動手段を利用した場合のCO排出量(予測値)E2(以下、「更新後CO排出量」と言う。)を算出する。各排出量算出部21,22の算出結果E1,E2は、輸送者1人当たりのCO排出量である。各排出量算出部21,22の算出結果E1,E2は、対応する排出量データベース34,35に格納される。
【0033】
削減量算出部25は、第1排出量算出部21の算出結果と第2排出量算出部22の算出結果の差(E1-E2)により、1人当たりのCO削減量の予測値を算出する。削減量算出部25の算出結果(1人当たりのCO削減量の予測値)は、削減量データベース36に格納されると共に、算出値提示部14により情報処理端末8に表示される。情報処理端末8では、削減量算出部25の算出結果が「算出値表示画面」(図6参照)に表示される。
【0034】
[情報処理システムによる、CO削減量の予測値の算出方法]
図7のフローチャートを参照しながら、情報処理システム10により実行される情報処理方法(CO削減量の予測値の算出方法)について説明を行う。以下では、上述の旅程情報の入力画面に対し、出発地Aとして「沖縄本島の名護市」、到着地Bとして「石垣島の石垣市」がユーザにより入力された場合を例にして説明を行う。
【0035】
ステップST1では、条件決定部12が、旅行情報データベース32における経路探索を行い、「条件選択画面(図3参照)」において移動経路(名護市~那覇空港~石垣空港~石垣市)及びその移動手段の選択肢が提示される。図3では、名護市から那覇空港までの第1区間、那覇空港から石垣空港までの第2区間、及び、石垣空港から石垣市までの第3区間のそれぞれに対し、移動手段の選択肢が提示されている。また、図3では、各区間における移動距離及び所要時間も表示されている。所要時間は、移動手段の選択肢の切り替えに応じて変化する。
【0036】
この提示を受けて、ユーザは、各区間について移動手段を選択する。そうすると、ステップST2で、条件決定部12は、ユーザにより選択された各区間の移動手段と移動経路とを、算出条件に決定する。ステップST1及びステップST2は、条件決定ステップに相当する。なお、図3において、太枠で囲われた移動手段が、ユーザにより選択された選択肢である。
【0037】
続いて、ステップST3では、CO排出量の算出が行われる。具体的に、予測値算出部13は、ステップST2で決定された算出条件を取得する。算出条件には、移動経路及び各区間の移動手段とともに、各区間における移動距離Lが含まれている。そして、第1排出量算出部21は、係数取得部23を介して算出用係数データベース33から、各区間で選択された移動手段に対応する更新前移動手段の排出量係数α1(1人を1km運ぶ際のCO排出量)を取得する。そして、第1排出量算出部21は、式1を用いて更新前CO排出量E1を算出する。
式1:E1=L×α1
【0038】
さらに、ステップST3では、第2排出量算出部22が、係数取得部23を介して算出用係数データベース33から、各区間で選択された移動手段(更新後移動手段)の排出量係数α2又は消費電力係数β(1人を1km運ぶ際の駆動モータの消費電力量)を取得する。そして、第2排出量算出部22は、更新後移動手段がエンジン駆動の場合に、式2を用いて更新後CO排出量E2を算出し、更新後移動手段がモータ駆動の場合に、式3を用いて更新後CO排出量E2を算出する。なお、Keは、消費電力をCO排出量に換算する係数である。
式2:E2=L×α2
式3:E2=L×β×Ke
【0039】
続いて、ステップST4では、CO削減量の算出が行われる。具体的に、削減量算出部25は、式4を用いて、各区間について1人当たりのCO削減量の予測値Rpを算出すると共に、全ての区間の予測値Rpの合計値を算出する。ステップST3及びステップST4は、予測値算出ステップに相当する。なお、条件選択画面においてユーザにより更新前移動手段(CO排出量を削減できない移動手段)が選択された区間は、CO排出量E1,E2の算出を行わず、1人当たりのCO削減量の予測値Rpは「0」と算出される。
式4:Rp=E1-E2
【0040】
続いて、ステップST5では、CO削減量の提示が行われる。具体的に、算出値提示部14は、算出値表示画面に、図6(a)に示すように、1人当たりのCO削減量の予測値Rpの合計値を表示する。算出値表示画面では、予測値Rpの合計値に加え、移動体の種類毎のCO削減量(個別値)も表示される。ステップST5は、算出値提示ステップに相当する。これにより、ユーザは、各区間で選択した移動手段によるCO削減量を把握することができる。算出値表示画面には、移動経路における移動合計時間も表示される。
【0041】
なお、条件選択画面に戻ってユーザが移動手段(例えば、移動経路の一部の区間における移動手段)を変更すると、ステップST2~ステップST5が再び順番に行われ、変更後の移動手段による予測値Rpの合計値等が、算出値表示画面に表示される。
【0042】
<CO削減量の実測値の算出について>
情報処理システム10は、CO削減量の予測値に加え、ユーザが実際に利用した実移動手段により実移動経路を移動した時のCO削減量の実測値を算出する。情報処理システム10は、CO削減量の実測値を算出するための機能ブロックとして、図1に示すように、ユーザによる実移動情報(実移動経路、及び、実移動手段など)を取得する移動情報取得部15と、移動情報取得部15により取得された実移動情報に基づいてCO削減量の実測値を算出する実測値算出部16とを、さらに備えている。
【0043】
上述の移動情報取得部15、及び、実測値算出部16は、ホストコンピュータ20のCPUが上述の第1プログラムを実行及び解釈することによって実現される機能ブロックである。なお、情報処理システム10は、ホストコンピュータ20が利用するデータベース30の中に、CO削減量の実測値を算出するためのデータベースとして、事象情報データベース52、算出用係数データベース53、第1排出量データベース54、第2排出量データベース55、及び、削減量データベース56をさらに備えている。
【0044】
移動情報取得部15は、例えば、情報処理端末8に表示する「実移動情報入力画面」からのユーザの入力情報として、ユーザが実際に移動した実移動経路、その実移動経路の移動で利用した実移動手段、及び、実移動経路における移動日時(出発時刻、到着時刻)の実移動情報を取得する。移動情報取得部15は、インターネット7を介して実移動情報を取得する。なお、移動情報取得部15は、情報処理端末8のGPS機能及び時計を利用して、旅行中の位置情報及び時刻情報などに基づいて、実移動経路、実移動手段、及び、実移動経路における移動日時の実移動情報を取得するように構成してもよい。この場合、移動情報取得部15は、情報処理端末8側の機能ブロックとなる。また、移動情報取得部15は、公共交通機関又はレンタカーをユーザが利用したことを証明する情報(例えば、搭乗券又は乗船券などの1次元バーコード、レンタル契約書の情報、カードの決済情報など)を取得して、実移動情報の検証を行ってもよく、例えば実移動情報が正しいと検証できた移動体のみ、CO削減量の実測値に反映させてもよい。この検証には、情報処理端末8から取得されるGPSの位置情報や、公共の場に設置されるカメラを利用した顔認証システムからの情報(ユーザが特定地点に存在していたことの示す情報)を利用することもできる。
【0045】
実測値算出部16は、図8に示すように、予測値算出部13と同様に、第1排出量算出部41、第2排出量算出部42、係数取得部43、及び、削減量算出部45を備えている。ここで、実測値算出部16は、更新前CO排出量(実測値)E3の算出では、実移動経路を用いるが、移動手段には、実移動手段に対応する更新前移動手段を用いる。例えば、実移動手段がEV乗用車である場合には、更新前移動手段はガソリン乗用車となる。また、実測値算出部16は、更新後CO排出量(実測値)E4の算出では、実移動経路及び実移動手段を用いる。
【0046】
また、実測値算出部16は、実際の移動における事象データ(日時により変化する事象に関するデータ)を用いて、更新前CO排出量E3及び更新後CO排出量E4を算出する。実測値算出部16は、予測値算出部13とは異なる算出式を用いて、各CO排出量E3,E4を算出する。
【0047】
ここで、係数取得部43は、事象情報データベース52から事象データを取得し、その事象データに基づいて事象調整係数を取得(設定)する。具体的に、事象データは、実移動経路における渋滞状況(平均速度)、及び、実移動経路を移動した時の気象条件(路面状態)を含む。係数取得部43は、事象調整係数として、実移動経路における渋滞状況(平均速度)が反映された第1係数Kvと、実移動経路を移動した時の気象条件が反映された第2係数Kcを取得する。第1係数Kvは、平均速度によって変化する係数であり、燃費(モータ駆動の場合、電費)が最高となる速度で極小値となる。第2係数Kcは、路面が濡れる雨の時にCO排出量を増大させる係数(例えば、好天時Kc=1、雨天時Kc=1.2)である。
【0048】
また、更新後CO排出量E4の算出において、更新後移動手段がモータ駆動の場合、充電を実際に行った地域の換算係数Ktが用いられる。換算係数Ktは、電力会社の管轄地域によって異なる値となる。例えば、関西電力株式会社の管轄地域で充電を行った場合と、九州電力株式会社の管轄地域で充電を行った場合とでは、換算係数Ktは異なる。換算係数Ktを用いることで、CO削減量の実測値を見たユーザは、充電場所によりCO削減量が変わることを把握することができる。
【0049】
[情報処理システムによる、CO削減量の実測値の算出方法]
図9のフローチャートを参照しながら、情報処理システム10により実行される情報処理方法(CO削減量の実測値の算出方法)について説明を行う。以下では、予測値の算出と同じ移動経路の場合を例にして説明を行う。
【0050】
ユーザの旅行が終了すると、ステップST11が行われる。ステップST11では、移動情報取得部15の指示により、情報処理端末8に実移動情報入力画面が表示される。ユーザには、旅行に関する実移動経路、実移動手段、及び移動日時の入力欄が提示される。この提示を受けて、ユーザが各入力欄への入力を行うと、ステップST12で、移動情報取得部15は、各入力欄への入力情報を実移動情報として取得する。また、移動情報取得部15は、所定のデータベースを利用して、実移動経路における各区間の移動距離L’を取得する。
【0051】
続いて、ステップST13では、CO排出量の算出が行われる。具体的に、実測値算出部16は、ステップST12で取得された実移動情報(移動距離L’を含む)を取得する。そして、第1排出量算出部41は、係数取得部43を介して、事象情報データベース52から第1係数Kv及び第2係数Kcを取得する。さらに、第1排出量算出部41は、係数取得部43を介して、算出用係数データベース53から各区間の実移動手段に対応する更新前移動手段の排出量係数α1を取得する。
【0052】
第1排出量算出部41は、式5を用いて更新前CO排出量E3を算出する。
式5:E3=L’×α1×Kv×Kc
【0053】
さらに、ステップST13では、第2排出量算出部42が、係数取得部43を介して、事象情報データベース52から第1係数Kv、第2係数Kc及び換算係数Ktを取得する。さらに、第2排出量算出部42は、係数取得部43を介して、算出用係数データベース53から各区間の実移動手段(更新後移動手段)の排出量係数α2又は消費電力係数βを取得する。そして、第2排出量算出部42は、更新後移動手段がエンジン駆動の場合に、式6を用いて更新後CO排出量E4を算出し、更新後移動手段がモータ駆動の場合に、式7を用いて更新後CO排出量E4を算出する。係数Keは、消費電力をCO排出量に換算する係数である。
式6:E4=L’×α2×Kv×Kc
式7:E4=L’×β×Ke×Kv×Kc×Kt
【0054】
なお、エンジン駆動の移動体の場合、例えば到着地で移動体に実際に供給した実燃料供給量、モータ駆動の移動体の場合、例えば到着地で移動体に実際に充電した実充電量を用いて、CO排出量E3,E4を算出してもよい。この場合、式5、式6の代わりに、式8、式9を用いてエンジン駆動の移動体のCO排出量E3,E4を算出することができる。排出係数A1,A2は、燃料消費1リットル当たりのCO排出量を表す。また、式7の代わりに、式10を用いてモータ駆動の移動体のCO排出量E4を算出することができる。排出係数Bは、電力消費1kW当たりのCO排出量を表す。実燃料供給量及び実充電量は、実移動における実測データに相当する。
式8:E3=移動手段への実燃料供給量×排出係数A1×Kv×Kc
式9:E4=移動手段への実燃料供給量×排出係数A2×Kv×Kc
式10:E4=移動手段への実充電量×排出係数B×Ke×Kv×Kc×Kt
【0055】
続いて、ステップST14では、CO削減量の算出が行われる。具体的に、削減量算出部25は、式11を用いて、各区間について1人当たりのCO削減量の実測値Rrを算出すると共に、全ての区間の実測値Rrの合計値を算出する。
式11:Rr=E3-E4
【0056】
続いて、ステップST15では、CO削減量の提示が行われる。具体的に、算出値提示部14は、算出値表示画面に、図6(b)に示すように、1人当たりのCO削減量の実測値Rrの合計値を表示する。実測値Rrは、合計値に加え、移動体の種類毎の個別値も表示される。なお、算出値表示画面に、予測値Rpと実測値Rrを並べて表示してもよい。
【0057】
[実施形態の効果等]
本実施形態では、条件選択画面において、ユーザは任意の移動手段を選択可能である。そして、ユーザが選択した移動手段を利用して移動経路を移動する場合のCO削減量の予測値が算出されて、ユーザに提示される。つまり、実際に利用した移動手段とは関係なく、また移動手段を実際に利用したか否かに拘わらず、ユーザが選択した移動手段に応じて、CO削減量の予測値が提示される。従って、ユーザは移動手段によるCO削減量の違いを容易に把握することができる。また、旅行を計画する場合は、計画時にCO削減量を把握することができる。
【0058】
また、本実施形態では、CO削減量の予測値に加え、CO削減量の実測値がユーザに提示される。そのため、ユーザは、予測値Rpと実測値Rrの違いや、事象によるCO削減量の変化を把握することができる。
【0059】
[実施形態の変形例]
本変形例では、CO削減量の予測値の算出過程において、燃費法及び電費法により、更新前CO排出量E1及び更新後CO排出量E2が算出される。この場合、例えば、エンジン駆動の移動体のCO排出量E1,E2は、式12、13を用いて算出される。
式12:E1=(移動距離L/更新前移動手段の燃費)×CO排出係数
式13:E2=(移動距離L/更新後移動手段の燃費)×CO排出係数
【0060】
燃費法を用いる場合、CO排出量E1,E2は、移動体1台当たりの値となる。そのため、1人当たりのCO削減量の予測値の算出では、過去の公共交通機関の乗客数(過去の乗客数の統計データ)を蓄積したデータベースから、上述の日時情報の時期や曜日に対応した乗客数を取得する。そして、その乗客数により、移動体1台当たりのCO排出量(又はCO削減量)を按分することにより、1人当たりのCO削減量の予測値を算出する。なお、モータ駆動の移動体も同様に、乗客数により、電費法による移動体1台当たりのCO排出量(又はCO削減量)を按分することにより、1人当たりのCO削減量の予測値を算出する。また、移動手段がレンタル乗用車の場合は、ユーザにより入力された乗車予定人数により、按分を行う。
【0061】
また、CO削減量の実測値の算出過程においても、燃費法及び電費法により、更新前CO排出量E3及び更新後CO排出量E4が算出される。この場合、インターネット7などを介して実移動手段の実際の乗客数(実乗客数)を取得し、その実乗客数により、移動体1台当たりのCO排出量(又はCO削減量)を按分することにより、1人当たりのCO削減量の実測値を算出する。移動手段が、レンタル乗用車の場合はユーザにより入力された実際の乗車人数により、按分を行う。実乗客数及び実際の乗車人数は、実移動における実測データに相当する。
【0062】
なお、更新前CO排出量E1,E3及び更新後CO排出量E2,E4の算出に、燃料法、又はトンキロ法などを利用する場合も、同様に、乗客数又は実乗客数などによる按分により、1人当たりのCO削減量を算出することができる。
【0063】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、上述のプログラムは、ロールプレイングゲームなどのゲームに組み込んでもよい。
【0064】
上述の実施形態において、ユーザ情報データベース31における各ユーザに対し、旅行の度にCO削減量の実測値Rrを蓄積して、その合計値をユーザに提示してもよい。また、各ユーザに対し、ユーザ情報データベース31に蓄積されたCO削減量の実測値Rrの合計値に応じてエコポイントを付与するようにしてもよい。
【0065】
上述の実施形態では、旅行における片道の移動経路に対してCO削減量の算出を行うが、旅行における往復の移動経路に対してCO削減量の算出を行うようにしてもよい。
【0066】
上述の実施形態において、旅行に行く前にユーザの操作に応じて、出発地と到着地から経路探索された複数通りの移動経路及び移動手段に対し、CO削減量の予測値を算出した後に、CO削減量の予測値、又は、CO削減量の予測値と実測値の差が最小となる移動経路及び移動手段で、ユーザが実際に旅行をした場合に、ユーザに対しエコポイントを付与するようにしてもよい。
【0067】
上述の実施形態において、ユーザは旅行の終了後に実移動情報の入力を行うが、旅行を行う前に旅行の予定を入力できるようにしてもよい。旅行の予定としては、例えば、移動経路、移動手段、及び移動日時の予定を入力可能とする。この場合、CO削減量の予測値の算出にあたって、条件決定部12が、ユーザにより入力された旅行の予定に基づいて、上述の算出条件を自動的に決定するようにしてもよい。また、ユーザが旅行を行う前に、その旅行の予定におけるCO削減量の予測値の算出を行った場合で、実際の旅行におけるCO削減量の実測値が予測値よりも大きい場合は、ユーザに対しエコポイントを付与するようにしてもよい。
【0068】
上述の実施形態において、算出用係数データベース33に格納する算出用係数、及び、算出用係数データベース53に格納する算出用係数は、CO削減量の実測値の算出時に得られた情報を用いて更新してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、二酸化炭素の排出量を削減できる移動手段の利用による二酸化炭素の削減量を算出する情報処理システム等に適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
10 情報処理システム
11 ユーザ登録部
12 条件決定部
13 予測値算出部
14 算出値提示部
21 第1排出量算出部
22 第2排出量算出部
25 削減量算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9