(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026482
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】紙葉類判別装置、紙葉類処理機および紙葉類判別方法
(51)【国際特許分類】
G07D 7/00 20160101AFI20220203BHJP
G07D 7/20 20160101ALI20220203BHJP
G07D 7/164 20160101ALI20220203BHJP
G07D 7/16 20160101ALI20220203BHJP
【FI】
G07D7/00 M
G07D7/20
G07D7/164
G07D7/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129980
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】佐田 隆史
【テーマコード(参考)】
3E041
【Fターム(参考)】
3E041AA02
3E041BA02
3E041BA04
3E041BA11
3E041BB01
3E041BC06
3E041CB06
3E041DB04
(57)【要約】
【課題】連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類を判別することができる紙葉類判別装置、紙葉類処理機および紙葉類判別方法を提供する。
【解決手段】連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類の画像を取得する画像センサ21,22と、紙葉類の重なり部分を検出する検出部62と、画像センサ21,22で取得された紙葉類の画像のうち、検出部62により検出された前記重なり部分を除いた領域をもとに紙葉類を判別する判別部63とを具備する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類の画像を取得する画像センサと、
前記紙葉類の重なり部分を検出する検出部と、
前記画像センサで取得された前記紙葉類の画像のうち、前記検出部により検出された前記重なり部分を除いた領域をもとに前記紙葉類を判別する判別部と
を具備する紙葉類判別装置。
【請求項2】
前記紙葉類の厚さを検出する厚みセンサをさらに具備し、
前記検出部は、前記厚みセンサにより取得された厚み情報をもとに前記紙葉類の重なり部分を検出する、請求項1記載の紙葉類判別装置。
【請求項3】
前記画像センサは、前記紙葉類の透過画像を取得し、
前記検出部は、前記透過画像をもとに前記紙葉類の重なり部分を検出する、請求項1または2記載の紙葉類判別装置。
【請求項4】
紙葉類を繰り出し可能に収納する収納部と、
前記収納部から繰り出した紙葉類を搬送する搬送部と、
前記搬送部から連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類の画像を取得する画像センサと、
前記紙葉類の重なり部分を検出する検出部と、
前記画像センサで取得された前記紙葉類の画像のうち、前記検出部により検出された前記重なり部分を除いた領域をもとに前記紙葉類を判別する判別部と、
前記判別部により判別された紙葉類を払い出す払出部と
を具備する紙葉類処理機。
【請求項5】
連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類の画像を画像センサによって取得し、
前記紙葉類の重なり部分を検出部によって検出し、
判別部が、前記画像センサで取得された前記紙葉類の画像のうち、前記検出部により検出された前記重なり部分を除いた領域をもとに前記紙葉類を判別する紙葉類判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類判別装置、紙葉類処理機および紙葉類判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙葉類判別装置において、搬送路に沿って移動する紙葉類を検知するために、光学式の透過型の紙葉類検知センサを利用する場合がある(例えば、特許文献1参照)。具体的には、紙葉類検知センサの検知状態が、透光状態から遮光状態に変化すると、到着した紙葉類の先端を検知し、遮光状態から透光状態に変化すると、紙葉類の後端を検知する。この情報を、各種センサのサンプリング用トリガとして使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透過型の紙葉類検知センサを利用して紙葉類を検知する場合、紙葉類が1枚ずつに分離されて搬送されていなければ正しく検知することができない。このため、紙葉類は、1枚ずつに分離されずに複数枚が連鎖した状態で搬送されてくると、判別されず一律にリジェクトされてしまう。
【0005】
本発明は、連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類を判別することができる紙葉類判別装置、紙葉類処理機および紙葉類判別方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る紙葉類判別装置は、連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類の画像を取得する画像センサと、前記紙葉類の重なり部分を検出する検出部と、前記画像センサで取得された前記紙葉類の画像のうち、前記検出部により検出された前記重なり部分を除いた領域をもとに前記紙葉類を判別する判別部とを具備する。
【0007】
本発明に係る紙葉類処理機は、紙葉類を繰り出し可能に収納する収納部と、前記収納部から繰り出した紙葉類を搬送する搬送部と、前記搬送部から連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類の画像を取得する画像センサと、前記紙葉類の重なり部分を検出する検出部と、前記画像センサで取得された前記紙葉類の画像のうち、前記検出部により検出された前記重なり部分を除いた領域をもとに前記紙葉類を判別する判別部と、前記判別部により判別された紙葉類を払い出す払出部とを具備する。
【0008】
本発明に係る紙葉類判別方法は、連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類の画像を画像センサによって取得し、前記紙葉類の重なり部分を検出部によって検出し、判別部が、前記画像センサで取得された前記紙葉類の画像のうち、前記検出部により検出された前記重なり部分を除いた領域をもとに前記紙葉類を判別する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類を判別することができる紙葉類判別装置、紙葉類処理機および紙葉類判別方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の紙葉類判別装置の構成を示す側面図である。
【
図2】本発明に係る第1実施形態の紙葉類判別装置の装置制御部に実装されるソフトウェアを含む構成のブロック図である。
【
図3】本発明に係る第1実施形態の紙葉類判別装置の制御内容を示すフローチャートである。
【
図4】本発明に係る第1実施形態の紙葉類判別装置の制御内容を説明するための図である。
【
図5】本発明に係る第1実施形態の紙葉類判別装置の制御内容を説明するための図である。
【
図6】本発明に係る第1実施形態の紙葉類判別装置の制御内容を説明するための図である。
【
図7】本発明に係る第1実施形態の紙葉類判別装置の制御内容を説明するための図である。
【
図8】本発明に係る第1実施形態の紙葉類判別装置の制御内容を説明するための図である。
【
図9】本発明に係る第1実施形態の紙葉類判別装置を含む紙葉類処理機を概略的に示すブロック図である。
【
図10】本発明に係る第2実施形態の紙葉類判別装置の制御内容を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態を
図1~
図9を参照して以下に説明する。
【0012】
図1に示すように、第1実施形態の紙葉類判別装置11は、紙葉類Sを搬送する搬送部12を有しており、搬送部12で搬送中の紙葉類Sを判別し計数する。ここで、紙葉類判別装置11には、例えば紙幣である紙葉類Sがその短辺部を入出方向に沿わせる姿勢で入出されることになり、搬送部12は、紙葉類Sをその短辺部を搬送方向に沿わせる姿勢で搬送する。勿論、紙葉類判別装置11は、紙葉類Sがその長辺部を入出方向に沿わせる姿勢で入出され、搬送部12が、紙葉類Sをその長辺部を搬送方向に沿わせる姿勢で搬送するものであっても良い。
【0013】
搬送部12は、紙葉類Sを挟持しつつ回転することより搬送する複数対、具体的には4対の搬送ローラ対15A,15B,15C,15Dと、これらを駆動する図示略の駆動モータと、搬送ローラ対15Aの回転量および回転速度を検出するロータリエンコーダ17とを有している。ここで、搬送ローラ対15A,15B,15C,15Dは同一の搬送速度で紙葉類Sを搬送することになり、ロータリエンコーダ17は、紙葉類Sの搬送部12による搬送距離および搬送速度(単位時間当たりの移動量)を検出する。ロータリエンコーダ17は、搬送ローラ対15A以外の搬送ローラ対15B,15C,15Dに設けることも可能である。
【0014】
搬送ローラ対15A~15Dは、紙葉類判別装置11内で位置固定であり、紙葉類Sを挟持する挟持位置が同一平面となるように、搬送ローラ対15A,15B,15C,15Dの順に配置され、紙葉類Sを同一平面で移動させるようになっている。搬送部12は、搬送ローラ対15A~15Dによって紙葉類Sを正逆両方向に搬送可能である。ここでは、これら搬送ローラ対15A~15Dのうち、一端の搬送ローラ対15Aから、搬送ローラ対15B、搬送ローラ対15C、他端の搬送ローラ対15Dの順に紙葉類Sを搬送する搬送方向を正方向とし、他端の搬送ローラ対15Dから、搬送ローラ対15C、搬送ローラ対15B、一端の搬送ローラ対15Aの順に紙葉類Sを搬送する搬送方向を逆方向とする。
【0015】
搬送部12における紙葉類Sの搬送方向である紙葉類搬送方向の略中央には、搬送部12で搬送される紙葉類Sの一側面に対向可能に画像センサ21が設けられており、また、紙葉類Sの他側面に対向可能に画像センサ22が設けられている。これら画像センサ21,22は、紙葉類判別装置11内で位置固定であり、いずれも、搬送ローラ対15A~15Dのうち中央2対の搬送ローラ対15B,15Cの間に設けられている。これら画像センサ21,22は、紙葉類搬送方向の位置を合わせている。
【0016】
これら画像センサ21,22は、搬送部12で搬送される紙葉類Sのそれぞれ対向する面の2次元画像データを取得する。画像センサ21,22は、例えば、LED等の光源と受光レンズとCMOSイメージセンサ等のイメージセンサ本体との組みを、紙葉類搬送方向に対して直交する方向であって搬送部12で搬送される紙葉類Sに平行な方向に一列状に多数並べて構成されるコンタクトイメージセンサ(CIS)である。画像センサ21,22は、セットで1つの紙葉類Sの透過画像を取得し、上側の画像センサ21が紙葉類Sの上反射の画像を取得し、下側の画像センサ22が紙葉類Sの下反射の画像を取得する。よって、画像センサ21,22は、3種類の2次元画像が取得可能である。
【0017】
搬送部12の正方向での紙葉類搬送時の画像センサ21,22よりも上流側には、紙葉類Sの特徴を示す特徴情報を取得する要素センサとして、紙葉類Sの特徴情報である厚さを検出して取得する厚みセンサ31が設けられている。厚みセンサ31は、搬送部12で搬送される紙葉類Sを挟持するベースローラ32および可動ローラ33と、可動ローラ33を支持する支持アーム35とを有している。ベースローラ32および可動ローラ33は、回転可能であり、搬送ローラ対15A,15Bの間に設けられている。
【0018】
ベースローラ32は、紙葉類判別装置11内で位置固定である。支持アーム35は、紙葉類判別装置11内で位置固定の支持軸36を中心に回動可能であり、支持軸36から搬送部12の正方向での紙葉類搬送時の下流側に延出している。支持アーム35は、その支持軸36とは反対側に可動ローラ33を回転可能に支持しており、この可動ローラ33をベースローラ32に当接可能としている。ベースローラ32および可動ローラ33は、紙葉類Sを挟持する挟持位置が、搬送ローラ対15A~15Dの紙葉類Sの挟持位置と同一平面となるように配置されている。
【0019】
可動ローラ33は、ベースローラ32との間を紙葉類Sが通過する際には、支持アーム35を支持軸36を中心に揺動させながらベースローラ32からその径方向に離れるように移動する。可動ローラ33は、ベースローラ32との間を通過する紙葉類Sの厚みに応じてベースローラ32に対する径方向の距離が変化する。厚みセンサ31は、可動ローラ33のベースローラ32とは反対側に配置されて可動ローラ33の移動距離を検知することにより紙葉類Sの厚さを検知する近接センサ等の厚み検知センサ本体38を有している。厚みセンサ31は、画像センサ21,22とは異なる位置に配置されて、画像センサ21,22で取得する紙葉類Sの2次元画像データとは異なる紙葉類Sの特徴を示す特徴情報である厚み情報をセンサデータとして取得する。
【0020】
搬送部12の正方向での紙葉類搬送時の画像センサ21,22よりも下流側には、搬送部12で搬送される紙葉類Sの一側面に対向可能にUVセンサモジュール41が設けられており、また、紙葉類Sの他側面に対向可能にUVセンサモジュール42が設けられている。これらUVセンサモジュール41,42は、紙葉類搬送方向の位置を合わせて、搬送ローラ対15C,15Dの間に設けられている。
【0021】
これらUVセンサモジュール41,42は、いずれも紙葉類Sの特徴情報を取得する要素センサであり、それぞれ紙葉類Sの対向する面に紫外線を照射してその反射光、すなわち紙葉類Sの特徴情報である紫外線反射情報を取得する。これらUVセンサモジュール41,42は、いずれも画像センサ21,22とは異なる位置に配置されて、画像センサ21,22で取得する紙葉類Sの2次元画像データとは異なる紙葉類Sの特徴を示す特徴情報である紫外線反射情報をセンサデータとして取得する。
【0022】
搬送部12の正方向での紙葉類搬送時のUVセンサモジュール41,42よりも下流側には、搬送部12で搬送される紙葉類Sの一側面に対向可能に磁気センサアレイ51が設けられており、また、紙葉類Sの他側面に対向可能であって紙葉類Sを磁気センサアレイ51に近づける押圧ローラ52が設けられている。これら磁気センサアレイ51および押圧ローラ52は、搬送ローラ対15C,15Dの間に設けられている。
【0023】
磁気センサアレイ51は、紙葉類Sの特徴情報を取得する要素センサであり、紙葉類Sの特徴情報である磁気情報を取得する。磁気センサアレイ51は、画像センサ21,22とは異なる位置に配置されて、画像センサ21,22で取得する紙葉類Sの2次元画像データとは異なる紙葉類Sの特徴を示す特徴情報である磁気情報をセンサデータとして取得する。
【0024】
搬送部12の正方向での紙葉類搬送時の厚みセンサ31よりも上流側には、搬送部12の正方向での紙葉類搬送時の紙葉類Sの有無を検知する走行検知センサ54が設けられている。走行検知センサ54は、発光素子55と受光素子56とを有する光学式の透過型センサである。発光素子55と受光素子56とは、紙葉類搬送方向の位置を合わせており、搬送部12を挟んで対向している。
【0025】
走行検知センサ54は、発光素子55の発光を受光素子56が受光する状態では、紙葉類Sが走行検知センサ54の位置にないことを検知する。また、走行検知センサ54は、搬送部12の正方向での紙葉類搬送時に発光素子55の発光を受光素子56が受光する状態から受光しない状態になると、紙葉類Sの先端部が走行検知センサ54の位置に位置したことを検知する。また、走行検知センサ54は、発光素子55の発光を受光素子56が受光しない状態では、紙葉類Sが走行検知センサ54の位置にあることを検知する。また、走行検知センサ54は、搬送部12の正方向での紙葉類搬送時に発光素子55の発光を受光素子56が受光しない状態から受光する状態になると、紙葉類Sの後端部が走行検知センサ54の位置に位置したことを検知する。走行検知センサ54は、搬送ローラ対15Aと、厚みセンサ31との間に配置されている。
【0026】
搬送部12の正方向での紙葉類搬送時の磁気センサアレイ51よりも下流側には、搬送部12の逆方向での紙葉類搬送時の紙葉類Sの有無を検知する走行検知センサ57が設けられている。走行検知センサ57は、発光素子58と受光素子59とを有する光学式の透過型センサである。発光素子58と受光素子59とは、紙葉類搬送方向の位置を合わせており、搬送部12を挟んで対向している。
【0027】
走行検知センサ57は、発光素子58の発光を受光素子59が受光する状態では、紙葉類Sが走行検知センサ57の位置にないことを検知する。また、走行検知センサ57は、搬送部12の逆方向での紙葉類搬送時に発光素子58の発光を受光素子59が受光する状態から受光しない状態になると、紙葉類Sの先端部が走行検知センサ57の位置に位置したことを検知する。また、走行検知センサ57は、発光素子58の発光を受光素子59が受光しない状態では、紙葉類Sが走行検知センサ57の位置にあることを検知する。また、走行検知センサ57は、搬送部12の逆方向での紙葉類搬送時に発光素子58の発光を受光素子59が受光しない状態から受光する状態になると、紙葉類Sの後端部が走行検知センサ57の位置に位置したことを検知する。走行検知センサ57は、搬送ローラ対15Dと、磁気センサアレイ51および押圧ローラ52との間に配置されている。
【0028】
紙葉類判別装置11は、その各部を制御するソフトウェアが実装された制御装置部61を有しており、制御装置部61が、画像センサ21、画像センサ22、厚みセンサ31、UVセンサモジュール41、UVセンサモジュール42、磁気センサアレイ51、走行検知センサ54および走行検知センサ57により取得された情報をもとに紙葉類Sの判別処理を行う。
【0029】
制御装置部61は、例えばCPU基板やDSP基板等により構成される。
図2は、制御装置部61に実装されるソフトウェアを含む構成のブロック図である。制御装置部61は、制御部62(検出部)および判別部63を有し、制御部62は、画像用メモリ部71、複数のメモリ部72,73,74および判定用メモリ部81を有している。
【0030】
画像用メモリ部71は、画像センサ21,22で取得された2次元画像データを記憶する。画像用メモリ部71は、画像センサ21,22で取得された紙葉類Sの三枚または四枚等、所定の複数枚分の2次元画像データを記憶可能なメモリ領域を有するリングバッファからなっている。
【0031】
メモリ部72は、要素センサであるUVセンサモジュール41,42で取得された紙葉類Sの特徴情報である紫外線反射情報を記憶する。メモリ部72は、紙葉類Sの三枚または四枚等、所定の複数枚分の紫外線反射情報を記憶可能なメモリ領域を有するリングバッファからなっている。
【0032】
メモリ部73は、要素センサである磁気センサアレイ51で取得された紙葉類Sの特徴情報である磁気情報を記憶する。メモリ部73は、紙葉類Sの三枚または四枚等、所定の複数枚分の磁気情報を記憶可能なメモリ領域を有するリングバッファからなっている。
【0033】
メモリ部74は、要素センサである厚みセンサ31で取得された紙葉類Sの特徴情報である厚み情報を記憶する。メモリ部74は、紙葉類Sの三枚または四枚等、所定の複数枚分の厚み情報を記憶可能なメモリ領域を有するリングバッファからなっている。
【0034】
判定用メモリ部81は、判別対象の紙葉類Sの画像データ、厚み情報、紫外線反射情報および磁気情報を記憶する。判定用メモリ部81は、紙葉類Sの三枚または四枚等、所定の複数枚分の画像データ、厚み情報、紫外線反射情報および磁気情報を記憶可能なメモリ領域を有するリングバッファからなっている。
【0035】
判別部63は、紙葉類Sの金種、真偽、損傷の程度(正損)等を判別するための判定用の紫外線反射情報および磁気情報の閾値や基準画像等の判定基準データを記憶している。
【0036】
紙葉類判別装置11は、紙葉類Sが複数枚、隣り合うもの同士が一部重なって連続して搬送される場合、いわゆる連鎖して搬送される状態でも、紙葉類Sを判別しつつ計数するようになっている。すなわち、紙葉類判別装置11において、画像センサ21,22は、連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類Sの画像データを取得することになり、厚みセンサ31は、連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類Sの厚みデータを取得することになり、UVセンサモジュール41,42は、連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類Sの紫外線反射情報を取得することになり、磁気センサアレイ51は、連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類Sの磁気情報を取得することになる。
【0037】
制御部62には、ロータリエンコーダ17から回転量に関する信号(タイミングパルス)が入力される。制御部62は、ロータリエンコーダ17により取得された回転量から演算される単位時間当たりの紙葉類移動量から、厚みセンサ31、UVセンサモジュール41,42および磁気センサアレイ51のそれぞれのサンプリング間隔を決定する。また、走行検知センサ54,57および画像センサ21,22のうち、紙葉類Sの先端検知に用いられる一方についても、上記紙葉類移動量からサンプリング間隔を決定する。ここでは、走行検知センサ54,57で紙葉類Sの先端検知を行うものとする。
【0038】
図3に示すように、制御部62は、上記のように決定された一定のサンプリング間隔で厚みセンサ31によって厚さデータのサンプリングを行わせ、サンプリングした厚さデータをメモリ部74に記憶させる(ステップSa1)。また、制御部62は、これと並行して、上記のように決定された一定のサンプリング間隔でUVセンサモジュール41,42によって紫外線反射情報のサンプリングを行わせ、サンプリングした紫外線反射情報をメモリ部72に記憶させる(ステップSa2)。また、制御部62は、これらと並行して、上記のように決定された一定のサンプリング間隔で磁気センサアレイ51によって磁気情報のサンプリングを行わせ、サンプリングした磁気情報をメモリ部73に記憶させる(ステップSa3)。
【0039】
制御部62は、これらと並行して、走行検知センサ54,57に、上記のように決定された一定のサンプリング間隔でサンプリングを行わせ、走行検知センサ54,57の所定の一方が紙葉類Sの先端を検出すると(ステップSa4:YES)、上記紙葉類移動量に基づいて紙葉類Sの先端が画像センサ21,22に到達するタイミングを検出する。走行検知センサ54,57の所定の一方が紙葉類Sの先端を検出しなければ(ステップSa4:NO)、その他の処理を行って(ステップSa5)、ステップSa4に戻る。
【0040】
制御部62は、例えば、搬送部12による正方向搬送時には、走行検知センサ54の受光素子56が発光素子55の発光を受光する状態から受光しない状態となって走行検知センサ54が紙葉類Sの先端を検知したタイミングと、上記した紙葉類移動量と、走行検知センサ54および画像センサ21,22の間の規定の距離とから、紙葉類Sの先端が画像センサ21,22に到達するタイミングを割り出し、このタイミングから上記した紙葉類移動量に基づいて設定されるサンプリング間隔で画像センサ21,22のサンプリング処理を行って、画像用メモリ部71に画像データを記憶する(ステップSa6)。
【0041】
また、制御部62は、例えば、搬送部12による逆方向搬送時には、走行検知センサ57の受光素子59が発光素子58の発光を受光する状態から受光しない状態となって走行検知センサ57が紙葉類Sの先端を検知したタイミングと、上記した紙葉類移動量と、走行検知センサ57および画像センサ21,22の間の規定の距離とから、紙葉類Sの先端が画像センサ21,22に到達するタイミングを割り出し、このタイミングから上記した紙葉類移動量に基づいて設定されるサンプリング間隔で画像センサ21,22のサンプリング処理を行って、画像用メモリ部71に画像データを記憶する(ステップSa6)。
【0042】
なお、制御部62は、正逆いずれの搬送時においても、走行検知センサ54,57の検出ではなく、上記した紙葉類移動量に基づいて設定される一定のサンプリング間隔で画像センサ21,22でサンプリングを行い、紙葉類Sの先端が画像センサ21,22に到達したか否かを判定し、紙葉類Sの先端が画像センサ21,22に到達したタイミングから上記した紙葉類移動量に基づいて設定されるサンプリング間隔で画像センサ21,22のサンプリング処理を行って、画像用メモリ部71に画像データを記憶するようにしても良い。この場合、画像センサ21,22のライン上で予め設定された長さ(または画素数)以上暗くなる部分があれば、画像センサ21,22が紙葉類Sの先端を検知したと判定し、画像センサ21,22で予め設定された長さ(または画素数)以上暗くなる部分がなければ、画像センサ21,22が紙葉類Sの先端を検知していないと判定する。
【0043】
そして、制御部62は、正逆いずれの搬送時においても、画像センサ21,22のサンプリング長さが、斜行を考慮した紙葉類Sの一枚分が取り得る最大長さである規定値以上にならなければ(ステップSa7:NO)、画像センサ21,22のサンプリング処理を継続し(ステップSa6)、
図4に示すように、画像センサ21,22のサンプリング長さL1が規定値以上になると(ステップSa7:YES)、紙葉類データありフラグをONする(ステップSa8)。なお、画像センサ21,22上に紙葉類Sがなくなるまで、画像センサ21,22のサンプリング処理を継続する(ステップSa6~Sa8)。言い換えれば、画像センサ21,22で紙葉類Sが検出されない状態が一定区間継続するまで、画像センサ21,22のサンプリング処理を継続する。これにより、連鎖した状態で搬送される複数の紙葉類Sの画像データを連続的にサンプリングする。ここで、上記規定値は、一枚の紙葉類Sが許容される角度の最大値で斜行した場合の紙葉類搬送方向の長さに設定されている。
【0044】
制御部62は、紙葉類データありフラグがONの状態になると(ステップSa9:YES)、画像センサ21,22と厚みセンサ31との規定の位置関係と紙葉類搬送量とから割り出される、画像センサ21,22が取得した上記規定値分の画像データの範囲に対応して厚みセンサ31で検出された厚みデータをメモリ部74から切り出す(ステップSa10)。
【0045】
すなわち、紙葉類Sが連鎖した状態で搬送されてくると、
図5(a)に示すように、厚みセンサ31は、先行紙葉類Sの重なりのない一枚分の厚さT1と判定できる第1所定厚さ以上第2所定厚さ未満の範囲a1と、先行紙葉類Sの後続紙葉類Sとの重なりのある二枚分の厚さT2と判定できる第2所定厚さ以上の範囲a2とを検出する。これら範囲a1と範囲a2とを合わせた範囲a1+a2が実際の先行紙葉類Sの一枚分の範囲となる。制御部62は、上記規定値分の画像データのうち、先行紙葉類Sの重なりのない一枚分の厚さT1と判定できる範囲a1の画像データ(
図5(b)において破線で囲まれていない範囲の画像データ)と、先行紙葉類Sの後続紙葉類Sとの重なりのある二枚分の厚さT2と判定できる範囲a2の画像データ(
図5(b)において破線で囲まれた範囲の画像)とを切り分ける。言い換えれば、制御部62は、厚みセンサ31で取得された紙葉類Sの厚み情報をもとに、上記規定値分の画像データの中から紙葉類Sの重なりのある重なり部分の長さと位置と、紙葉類Sの重なりがない非重なり部分の長さと位置とを検出する。
【0046】
そして、制御部62は、上記規定値分の画像データのうち、
図6に示すように、先行紙葉類Sの後続紙葉類Sとの重なりがない、破線間の非重なり部分の画像データから紙葉類Sの短辺部の斜行角度を算出し、上記規定値分の画像データと厚みデータと斜行角度とから上記規定値分の画像データの範囲に含まれる先行紙葉類Sの一枚分の外形(エッジ)を割り出しその内側のエリアを特定する(ステップSa11)。
【0047】
その際に、制御部62は、例えば、
図7(a)に示すように、紙葉類Sの先端部が、それよりも先行する紙葉類Sとの重なりがなく画像データから明らかな場合は、この先端部の位置と、短辺部の斜行角度と、規定の長辺部の長さおよび短辺部の長さとから、この先端部を含む紙葉類Sの一枚分のエリアA1を特定する。
【0048】
次に、制御部62は、厚みセンサ31で取得された紙葉類Sの厚み情報をもとに、この紙葉類Sの一枚分のエリアA1のうち、
図7(b)に示すように、他の紙葉類Sとの重なりがない領域A2を割り出し、この領域A2についてUVセンサモジュール41が検出していたサンプリング区間を、画像センサ21,22とUVセンサモジュール41との規定の位置関係と紙葉類搬送量とから決定する。それと共に、この領域A2について磁気センサアレイ51が検出していたサンプリング区間を、画像センサ21,22と磁気センサアレイ51との規定の位置関係と紙葉類搬送量とから決定する(ステップSa12)。そして、制御部62は、メモリ部72,73に記憶されていた、これらのサンプリング区間で検出した紫外線反射情報および磁気情報を切り出して、この紙葉類Sの一枚分のエリアA1のうち、他の紙葉類Sとの重なりがない領域A2の画像データおよび厚み情報と共に判定用メモリ部81に記憶する(ステップSa13)。すなわち、制御部62は、この紙葉類Sの一枚分のエリアA1のうち、他の紙葉類Sとの重なりがない領域A2の画像データと、この領域A2の厚み情報と、この領域A2の紫外線反射情報と、この領域A2の磁気情報とを判定用メモリ部81に記憶する。
【0049】
すると、判別部63は、この紙葉類Sについて判定用メモリ部81に記憶された、領域A2の画像データ、領域A2の厚み情報、領域A2の紫外線反射情報および領域A2の磁気情報から、この紙葉類Sの種類を判別する紙葉類判別処理を行う(ステップSa14)。判別部63は、例えば、領域A2の画像データ、領域A2の厚み情報、領域A2の紫外線反射情報および領域A2の磁気情報からこの紙葉類Sが一万円券であると判定した場合には、この紙葉類Sが一万円券であると判別して、一万円券一枚として計数する一方、それ以外は、この紙葉類Sの種類が判別不能と判定して計数しない。すなわち、判別部63は、画像センサ21,22で取得された紙葉類Sの画像のうち、厚みセンサ31により検出された紙葉類S同士の重なり部分を除いた領域A2をもとに紙葉類Sを判別する。
【0050】
次に、制御部62は、上記のように判定用メモリ部81に記憶した領域A2の画像データを含む、判別済みの紙葉類Sの一枚分のエリアA1の画像データを、
図8(a)に二点鎖線で示すようにマスクして(ステップSa15)、この紙葉類SについてのステップSa14の紙葉類判別処理の判別結果を後述する紙葉類処理機101の処理機制御部121側に送信する(ステップSa16)。
【0051】
制御部62は、マスク後の、残りの画像データに紙幣データがあれば(ステップSa9:YES)、この残りの画像データに対して、上記と同様のステップSa10~Sa13を行って、紙葉類Sの一枚分のエリアを割り出し、このエリアのうち他の紙葉類Sとの重なりがない範囲の画像データと、この範囲について検出した紫外線反射情報と、この範囲について検出した磁気情報とを判定用メモリ部81に記憶することになる。すると、ステップSa14において、判別部63が、この紙葉類Sについてのこれらの画像データ、紫外線反射情報および磁気情報から、この紙葉類Sの種類を判別する。
【0052】
その際に、制御部62は、
図8(a)に示すように、後続紙葉類Sの先端部が先行紙葉類Sとの重なりがあって画像データから不明な場合は、厚みデータから先行紙葉類Sとで二枚分の厚みが始まる位置を後続紙葉類Sの先端部とし、この先端部と斜行角度とから、
図8(b)に示すように、この先端部を含む紙葉類Sの一枚分の外形を割り出しこの紙葉類Sの一枚分のエリアA3を特定する。
【0053】
そして、制御部62は、この紙葉類Sの一枚分のエリアA3のうち、他の紙葉類Sとの重なりがない領域の画像データと、この領域の紫外線反射情報と、この領域の磁気情報とを判定用メモリ部81に記憶することになり、判別部63は、この紙葉類Sについて判定用メモリ部81に記憶された、この領域の画像データ、この領域の紫外線反射情報およびこの領域の磁気情報から、この紙葉類Sの種類を判別する紙葉類判別処理を行う。
【0054】
制御部62は、連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類Sのデータを上記と同様にして順次取得して判定用メモリ部81に記憶することになり、判別部63は、このように順次判定用メモリ部81に記憶された紙葉類Sの画像データ、紫外線反射情報および磁気情報をもとに、連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類Sの種類を順次判別して、後述する紙葉類処理機101の処理機制御部121側に送信する。
【0055】
すなわち、第1実施形態の紙葉類判別方法は、連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類Sの画像を画像センサ21,22によって取得し、紙葉類Sの重なり部分を制御部62が厚みセンサ31の検出結果に基づいて検出する。そして、判別部63が、画像センサ21,22で取得された紙葉類Sの画像のうち、制御部62により厚みセンサ31の検出結果に基づいて検出された紙葉類Sの重なり部分を除いた領域をもとに紙葉類Sを判別する。
【0056】
以上に述べた第1実施形態の紙葉類判別装置11および紙葉類判別方法によれば、連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類Sの画像を画像センサ21,22によって取得し、紙葉類Sの重なり部分を制御部62が厚みセンサ31の検出結果に基づいて検出する。そして、判別部63が、画像センサ21,22で取得された紙葉類Sの画像のうち、制御部62により検出された紙葉類Sの重なり部分を除いた領域をもとに紙葉類Sを判別する。したがって、連鎖した状態で搬送されてくる複数の紙葉類Sをそれぞれ判別して計数することができる。
【0057】
また、制御部62は、紙葉類Sの厚さを検出する厚みセンサ31により取得された厚み情報をもとに紙葉類Sの重なり部分の位置および長さを検出するため、容易かつ正確に紙葉類Sの重なり部分を検出することができる。
【0058】
次に、上記した紙葉類判別装置11が組み込まれた紙葉類処理機101について説明する。紙葉類処理機101は紙葉類として紙幣を処理するものである。
【0059】
紙葉類処理機101は、
図9に示すように、機体の前面側に、入金用の紙幣が機外から投入される投入部111と、入金用の紙幣のうち受け入れ不可な入金リジェクト紙幣および出金用の紙幣が内部から繰り出され、これらを機外に取り出し可能とする払出部112とを有している。
【0060】
また、紙葉類処理機101は、投入部111の後方に、紙幣を判別し計数する上記した紙葉類判別装置11が設けられている。また、紙葉類処理機101は、この紙葉類判別装置11の後方に、紙葉類判別装置11により判別された紙幣を一時貯留させる一時貯留部113が設けられている。一時貯留部113は、紙幣Sを繰り出し可能に収納する。一時貯留部113は、例えばドラム式の巻付収納タイプとなっており、連鎖した状態の紙幣を連鎖した状態のまま一時貯留可能となっている。
【0061】
紙葉類処理機101は、連鎖した状態の紙幣を上流側よりも下流側の搬送速度を速くすることで分離する分離機構115と、複数の出金収納部116(収納部)と、判別不能紙幣用の収納部117とを有している。複数の出金収納部116は、いずれも、単一金種の紙幣Sを収納する。複数の出金収納部116は、いずれも紙幣Sを繰り出し可能に収納する。収納部117は、紙幣Sを繰り出し不可に収納する。
【0062】
紙葉類処理機101は、処理機制御部121を有している。処理機制御部121は、入金処理では、投入部111に投入された紙幣を投入部111から一枚ずつ分離して繰り出させることになり、その後、紙幣は、紙葉類判別装置11で上記した正方向に搬送される。このとき、紙葉類判別装置11は、連鎖する状態で紙幣が搬送されても上記したように各紙幣を判別および計数することになる。処理機制御部121は、紙葉類判別装置11で判別不能の紙幣については、払出部112にリジェクト搬送するものの、連鎖する状態の紙幣でも上記のように紙葉類判別装置11で判別ができた紙幣については、ドラム式の巻付収納タイプの一時貯留部113に受け入れて一時貯留させる。紙葉類判別装置11の判別部63から送信された判別結果から、処理機制御部121は、一時貯留部113に受け入れて一時貯留させた紙幣の金種および枚数を把握する。すなわち、入金処理では、一時貯留部113が、紙葉類判別装置11の判別部63が判別できた紙幣を受け入れる受入部となる。また、入金処理では、払出部112が、紙葉類判別装置11の判別部63が判別できなかった紙幣を受け入れるリジェクト部となる。
【0063】
入金処理で一時貯留部113に貯留された紙幣の金種別の枚数に対して図示略の操作部に承認操作が入力されると、処理機制御部121は、収納処理を行う。この収納処理では、一時貯留部113から紙幣を繰り出させることになり、その後、紙幣は、紙葉類判別装置11で上記した逆方向に搬送される。処理機制御部121は、この紙葉類判別装置11の判別部63の判別結果に基づいて金種別に分類して出金収納部116に収納させる。このとき、紙葉類判別装置11は、連鎖する状態で紙幣が搬送されても上記したように各紙幣を一枚ずつ判別および計数することになり、判別不能の紙幣は収納部117に搬送して収納するものの、連鎖する状態の紙幣でも上記のように判別ができた紙幣については、分離機構115で分離して、対応する金種用の出金収納部116に収納する。すなわち、収納処理では、複数の出金収納部116が、紙葉類判別装置11の判別部63が判別できた紙幣を受け入れる受入部となり、収納部117が、紙葉類判別装置11の判別部63が判別できなかった紙幣を受け入れるリジェクト部となる。
【0064】
出金処理では、処理機制御部121は、図示略の操作部に入力された出金情報に基づいて出金収納部116から紙幣を繰り出させることになり、出金収納部116から繰り出された紙幣は、紙葉類判別装置11の搬送部12で上記した正方向に搬送される。このとき、紙葉類判別装置11は、連鎖する状態で紙幣が搬送されても上記したように各紙幣を判別することになり、判別後、払出部112に搬送して出金する。
【0065】
以上に述べた紙葉類処理機101は、入金処理において連鎖した状態で搬送される紙幣についても、紙葉類判別装置11の判別部63が判別できた紙幣は、払出部112にリジェクトせずに一時貯留部113に受け入れることができる。また、収納処理において連鎖した状態で搬送される紙幣についても、紙葉類判別装置11の判別部63が判別できた紙幣は、収納部117にリジェクトせずに出金収納部116に受け入れることができる。さらに、出金処理において連鎖した状態で搬送される紙幣についても、紙葉類判別装置11の判別部63での判別後、払出部112に払い出すことができる。このため、連鎖した状態で搬送される紙幣を一律にリジェクトする場合と比べて処理効率が高くなる。
【0066】
すなわち、従来は、連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類Sを搬送異常として一律にリジェクト扱いしていたが、上記紙葉類判別装置11によれば、紙葉類Sが連鎖した状態であっても判別および計数可能である。このため、紙葉類判別装置11を含む紙葉類処理機101は、紙葉類Sの間隔を詰めて搬送することができ、これにより、搬送系の搬送速度を上げなくても紙葉類Sの処理速度(単位時間あたりの処理枚数)を上げることができる。言い換えれば、紙葉類処理機101は、紙葉類Sの処理速度を維持しつつ、搬送スピードを落とすことができ、これにより、搬送系(搬送ベルトやモータ)の耐久性を向上させることができる。特に、出金処理時の判別のように、簡易判別や計数だけで良い場合に好適である。
【0067】
[第2実施形態]
本発明に係る第2実施形態を、主に
図10を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0068】
第2実施形態の紙葉類判別装置11は、制御部62が、厚みセンサ31により取得される厚み情報にかえて、画像センサ21,22で取得される紙葉類Sの透過画像をもとに紙葉類Sの重なり部分を検出する。例えば、
図10にハッチングで示すように、透過画像において周囲よりも暗くなる範囲Bを紙葉類Sの重なり部分とする。このように構成すれば、厚みセンサ31により取得される厚み情報がなくても重なり部分を検出することができる。なお、紙葉類Sの重なり部分は、三角形あるいは四角形となるため、透過画像において周囲よりも暗くなる範囲Bが三角形の場合および四角形の場合のそれぞれについて、範囲Bを紙葉類Sの重なり部分としても良い。
【0069】
[第3実施形態]
本発明に係る第3実施形態を、第1,第2実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0070】
第3実施形態の紙葉類判別装置11は、制御部62が、第1実施形態の厚みセンサ31により取得される厚み情報と、第2実施形態の画像センサ21,22で取得される紙葉類Sの透過画像との両方をもとに紙葉類Sの重なり部分を検出する。例えば、透過画像において、
図10にハッチングで示すように、周囲よりも暗くなる範囲Bが検出され、この範囲Bの厚みが紙葉類Sの2枚分である場合、この範囲Bを紙葉類Sの重なり部分とする。このように構成すれば、紙葉類Sの重なり部分の検出精度を向上することができる。
【0071】
[変形例]
第1~第3実施形態を以下のように変更することも可能である。例えば、上記のように連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類Sを判別する連鎖判別機能のオン/オフを切り替える切替手段を設けることができる。連鎖判別機能がオフの場合は、従来どおり、連鎖した状態で搬送されてくる紙葉類はリジェクト紙葉類として取り扱うものとする。この切り替えは、オペレータが手動により設定できるようにしてもよいし、判別計数モード時にのみ連鎖判別機能がオンに切り替わったり、入金処理時と出金処理時とで自動で切り替わるようにしてもよい。例えば、入金処理時においては受け入れ判定基準を厳しくするために連鎖判別機能をオフにし、出金処理時においては処理速度を優先して連鎖判別機能をオンにする。
【符号の説明】
【0072】
11 紙葉類判別装置
12 搬送部
21,22 画像センサ
31 厚みセンサ
62 制御部(検出部)
63 判別部
101 紙葉類処理機
112 払出部
113 一時貯留部
116 出金収納部(収納部)
S 紙葉類