(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028723
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】動脈瘤を治療するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/135 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
A61B17/135
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021180211
(22)【出願日】2021-11-04
(62)【分割の表示】P 2017544773の分割
【原出願日】2016-02-23
(31)【優先権主張番号】62/120,456
(32)【優先日】2015-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521124113
【氏名又は名称】ギャラクシー セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】バドルッディーン、 アーミル
(72)【発明者】
【氏名】ペレイラ、 エドガルド ルイス ラモス
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフ、 トーマス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ザイダット、 オザマ オー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】血管の動脈瘤を治療するために使用できるシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】システムおよび方法はカテーテルを使用できる。カテーテルはチューブ、チューブ内に配置されるワイヤ、および、閉塞エレメントを含む。閉塞エレメントはワイヤの上に配置される。閉塞エレメントはチューブの中で適合するように構成され、チューブ内のワイヤの移動に応答してチューブの遠位端の開口部から滑り出る。閉塞エレメントは、チューブの半径よりも大きい半径を有するように広がり、動脈瘤(10)の首部分(16)を覆うように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内の動脈瘤を治療するためのカテーテルであって、前記カテーテルは、
チューブと、
前記チューブの中に配置されたワイヤと、
前記ワイヤ上に配置された閉塞エレメントと
を含み、前記閉塞エレメントは前記チューブ内に適合しかつ前記チューブ内の前記ワイヤの移動に応答して前記チューブの遠位端の開口部から滑り出るように構成され、前記閉塞エレメントは前記チューブの半径よりも大きい半径を有するように広がり、前記動脈瘤の首部分を覆うように構成されるカテーテル。
【請求項2】
前記閉塞エレメントは前記チューブ内にある間は閉じた傘状の形状を有し、検査されるときは開いた傘状の形状を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記閉塞エレメントはメッシュ材料である、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記閉塞エレメントは前記ワイヤの遠位端から離れた位置にある前記ワイヤの一部上に配置される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記閉塞エレメントが広がった後に前記ワイヤを切断するように配置される切断エレメントをさらに含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記ワイヤの遠位端と前記閉塞エレメントとの間のワイヤセグメントが前記動脈瘤の内部表面内で渦巻き形状となり得るように柔軟性を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記閉塞エレメントは広がった後に前記ワイヤから外れるように構成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記閉塞エレメントに結合するアンカリング部材をさらに含み、前記アンカリング部材は前記首部分の血管側面に配置される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記アンカリング部材はステントである、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記アンカリング部材はリングエレメントを含む、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記アンカリング部材はディスクエレメントを含み、前記ディスクエレメントは前記首領域を通過すると広がり、前記閉塞エレメントよりも剛性を有する、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項12】
血管の動脈瘤を治療するための方法であって、
チューブの遠位部分を前記動脈瘤の首領域に提供する工程と、
閉塞エレメントが前記首領域で前記チューブから出るように前記チューブ内で閉塞エレメントに結合するワイヤを滑らせる工程と、
前記閉塞エレメントが前記チューブから出た後に前記閉塞エレメントを前記ワイヤから分離させる工程を含む方法。
【請求項13】
請求項12の方法において、前記閉塞エレメントが前記チューブから出た後に前記閉塞エレメントは展開し、前記閉塞エレメントは前記チューブの半径よりも大きい半径を有するように広がり、前記動脈瘤の壁の内側にかみ合い、前記動脈瘤の首部分を覆う方法。
【請求項14】
分離する工程は、前記チューブの遠位端にかみ合う前記閉塞エレメントが前記ワイヤから滑り離れるように前記ワイヤを、前記チューブを介して後方に引っ張ることによって実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ワイヤの遠位部分を前記動脈瘤の中に配置させる工程をさらに含み、前記ワイヤの遠位端が前記動脈瘤の内側壁の中で渦巻き状になり、前記閉塞エレメントは前記動脈瘤の中で遠位部分よりも前記ワイヤの端部からさらに遠い部分で前記ワイヤ上に配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記血管内の首部分に関連する位置にアンカリングエレメントを提供する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
血管の動脈瘤を治療するための閉塞システムであって、
ワイヤと、
前記ワイヤ上に配置された閉塞エレメントと
を含み、前記閉塞エレメントは円錐形状に圧縮され、前記動脈瘤の首部分を覆うようにディスクまたは凹面形状に広がるように構成される閉塞システム。
【請求項18】
前記閉塞エレメントは、前記ワイヤの遠位端から離れた前記ワイヤ上の位置に配置される、請求項17に記載の閉塞システム。
【請求項19】
前記ワイヤを前記閉塞エレメントから分離するための切断デバイスをさらに含む、請求項17に記載の閉塞システム。
【請求項20】
前記血管とかみ合うためのアンカリングエレメントデバイスをさらに含む、請求項17に記載の閉塞システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2015年2月25日に提出された米国特許出願第62/120,456号の優先権および利益を主張し、その全体が参照によって本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
動脈瘤は異常な膨らみであって血管の動脈をしばしば弱くし、多くの合併症を有し得る。血管の膨らみによって周辺組織を破裂または圧力を与え得る。脳内では、これによって視力障害、言語障害、平衡障害等のさまざまな副作用が生じ得る。さらに、動脈瘤は血管を流れる血液の主流路に沿わない空間を形成する。したがって、この場所は血液がよどむ場所として機能し得るし、渦流のために、血栓塞栓症を形成し得る。動脈瘤が破裂すると、内部出血が生じ得る。
【0003】
動脈瘤は外部からの開腹手術で治療され得る。当該手順は、通常、血管鉗子または結紮糸等のデバイスで入り口すなわち動脈瘤の「首」を仕切る工程を含む。しかしながら、当該回復外科手順は非常に侵襲的であり得て、隣接する組織への外傷および他の副作用につながり得る。
【0004】
動脈瘤は血管内手順によっても治療され得る。1つの手順では、分離可能な長さのワイヤ(例えば、コイル)が動脈瘤の内部空間にカテーテルを使用して挿入される。コイルによって動脈瘤への血液の流れを低減するために動脈瘤の内部空間を充填することが意図され、血液の流れが停滞し動脈瘤の凝固を促進する。大きな脳の動脈瘤の場合では、複数のコイルで動脈瘤を充填することによって質量効果を誘引し、これによって脳腫脹をおこし、新しい症状を独立して生じさせ得る。別の手順では、比較的大きな首を有する動脈瘤では、補助的にステントを使用し動脈瘤内でのコイルの保持力をアシストする。このアプローチは追加で抗血栓剤が必要になるので、破裂性の動脈瘤を治療する場合に使用することはできない。別の手順では、血管の中で膨らました一時的なバルーンでコイルを動脈瘤の内部空間に保持する。一旦コイルが固定されるとバルーンは空気が抜かれて除去される。さらに別の手順では、ステントデバイスが動脈の中に配置され、動脈瘤を過ぎて通過する血液の流れを促進する。これによって動脈瘤の内部の血液の流れを停滞させ、動脈瘤空間の内部に血栓を形成する。しかしながら、ステントデバイスが配置される主動脈の側枝は側枝へのアクセスを妨げるのでトラップまたは「拘束」され得る。他の場合には、側枝は塊になり得るので、ストロークを生じ得る。さらに、当該手順は一般に追加の抗血栓剤の使用が必要になり、それは破裂性動脈瘤の治療には当該デバイスの使用が制限される。ステントデバイスは一般に比較的細い織り方で形成される。血流を脇へそらすので、細い織り方によるステントデバイスの効果を増大させるが、動脈瘤空間または拘束された動脈へのアクセスを邪魔し、または、妨げもする。動脈瘤が塊にならないと、ステントデバイスによって動脈瘤が閉塞されるので、塞栓デバイスを動脈瘤の中に配置することができなくなる。追加のステントの配置または開腹手術等の追加の手順によって後遺症を治療する必要があり得る。
【0005】
動脈瘤の空間をパッキングする工程を含む全ての手順はいくつかの共通した欠点に苦しむことになる。第1に、動脈瘤空間を充填するには多数のコイルワイヤが必要となり、それによって時間がかかり、手順を完了するまでの時間が増大する。さらに、コイルは時間の経過と共に収縮し得るので、動脈瘤の全容積のより小さいパーセンテージを占有することになる。コイルを充分に圧縮すると動脈瘤の再発を懸念させ、さらなる治療が必要になり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
動脈瘤を治療するための改良されたシステムおよび方法を提供するには利益がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態は、血管の動脈瘤を治療するためのカテーテルに関連する。当該カテーテルは、チューブ、チューブの中に配置されるワイヤおよび閉塞エレメントを含む。閉塞エレメントはワイヤの上に配置される。閉塞エレメントはチューブの中に適合し、チューブ内のワイヤの移動に応答して、チューブの遠位端の開口部から滑り出されるように構成される。閉塞エレメントは、チューブの半径よりも大きい半径を有するように広がり、動脈瘤の首部分を覆うように構成される。
【0008】
一実施形態は、血管の動脈瘤を治療するための方法に関連する。当該方法は、チューブの遠位部分を動脈瘤の首領域に提供する工程と、閉塞エレメントが首領域でチューブから出るように閉塞エレメントに接続するワイヤをチューブ内で滑らせる工程を含む。当該方法は閉塞エレメントがチューブから出た後に閉塞エレメントをワイヤから分離する工程も含む。
【0009】
一実施形態は、血管の動脈瘤を治療するための閉塞システムに関連する。当該閉塞システムは、ワイヤと、ワイヤ上に配置される閉塞エレメントを含む。閉塞エレメントは、円錐形状に圧縮され、動脈瘤の首部分を覆うように、ディスクまたは凹形状に広がるように構成される。
【0010】
本発明は他の実施形態が可能であり、さまざまな方法で実施され得る。他の特徴および特徴の組み合わせに関連する代替例示実施形態は、一般に特許請求の範囲に引用され得る。
【0011】
これらおよび他の特徴、本発明の態様および有利な点は、以下の記載、添付の特許請求の範囲、および、以下に概略が説明される図面に示される以下の例示実施形態から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】例示実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図2】
図1の動脈瘤閉塞デバイスの概略断面底面図である。
【
図3A】例示実施形態による
図1の動脈瘤閉塞デバイスを展開するカテーテルの概略側断面図である。
【
図3B】例示実施形態による
図1の動脈瘤閉塞デバイスを展開するカテーテルの概略側断面図である。
【
図3C】例示実施形態による
図1の動脈瘤閉塞デバイスを展開するカテーテルの概略側断面図である。
【
図3D】例示実施形態による
図1の動脈瘤閉塞デバイスを展開するカテーテルの概略側断面図である。
【
図3E】例示実施形態による
図1の動脈瘤閉塞デバイスを展開するカテーテルの概略側断面図である。
【
図4】別の例示実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図5】例示実施形態によるカテーテル内部の
図4の閉塞デバイスの概略断面図である。
【
図6】別の例示実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図7】別の例示実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図8】別の例示実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図9】別の例示実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図10】例示実施形態によるカテーテルの内部の
図7の閉塞デバイスの概略断面図である。
【
図11】別の例示実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図12】例示実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略断面底面図である。
【
図13】例示実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略断面底面図である。
【
図14】例示実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略断面底面図である。
【
図15】別の例示実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図16】別の例示実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図17】例示実施形態による動脈瘤閉塞デバイスのための外部アンカリング部材の概略底面図である。
【
図18A】例示実施形態による動脈瘤閉塞デバイスのためのカバーの概略平面図である。
【
図19】別の例示実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスの概略側面図である。
【
図20】別の例示実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概して
図1~14を参照して、いくつかの例示実施形態による動脈瘤10を治療するように構成された動脈瘤閉塞デバイスを図示する。動脈瘤10は血管12の外側に伸びた壁13の膨らみであり、首部分16の開口部を通じて血管12と流体連通する内部空間14を有する。動脈瘤10は血管12の一部分で発生し得て、その壁13は病気または外傷によって弱くなっている。一実施形態では、動脈瘤10は頭蓋の動脈(例えば、頭蓋底動脈、中大脳動脈等)等の動脈に沿って存在し得る。動脈瘤10で、図で示されるものは説明の目的だけであり、本明細書に記載される閉塞デバイスはさまざまなサイズおよび位置の動脈瘤を治療するために使用され得ることが理解されよう。例えば、動脈瘤10は血管の2つの側枝の間に位置し得る。
【0014】
図1~3Eを参照すると、1つの例示実施形態による閉塞デバイス20は動脈瘤10の首部分16に配置して図示され、血管12と動脈瘤の内部空間14との間の血流の流れを遮断または阻止するので、動脈瘤10が破裂する可能性を低減する。閉塞デバイス20はロープロファイルデバイスとして構成され、血管12の側枝18等の周辺組織への干渉を最小化する。閉塞デバイス20は生分解性または生体吸収性材料で構成され得て、内皮化を促進するように構成され得る。
【0015】
閉塞デバイス20は、動脈瘤10の内部空間14の中に配置される内部カバー22(例えば、プレート、薄膜等)を含む。内部カバー22は、首部分16の直径よりも大きい外径を有する。内部カバー22は薄く、柔軟性が有り、凹面ボディであり、それは曲げられることができ(例えば、陥没する)首部分16を介して動脈瘤10の内部空間14に挿入され(例えば、カテーテルによって挿入され)、首部分16を少なくとも部分的に塞ぐように開く。本明細書で使用される場合、凹面とは、一側面に沿ってくぼみまたは空洞を有するように形成されるいずれかのボディを示すことを意味する。
図1に示すように、一例示実施形態では、内部カバー22は一般にドーム形状であり得る。別の実施形態では、内部カバー22は別の凹面形状(例えば、円錐形状)であり得て、首部分16に配置され、内部空間14に向かって開く。一実施形態では、カバー22はディスク形状であり得る。
【0016】
内部カバー22はフレキシブル(例えば、柔らかい)生体適合材料から形成され、それはマイクロカテーテルの中に折り畳まれ得て、血管内を搬送されて動脈瘤10に到達する。内部カバー22の柔軟性によって動脈瘤10の内部表面15の形状に一致することができ、動脈瘤10と血管12間の血液の流れを効率的に妨げる。動脈瘤10の内部表面15の形状に緊密に一致することによって、内部カバー22の動脈瘤10の組織への接着および首部分16を塞ぐ新組織の形成を促進する。
【0017】
内部カバー22は特定の動脈瘤10に一致するサイズになり得る。
図1~2に示されるように、内部カバー22は首部分16の直径よりも大きい直径を有し、内部カバー22の周辺部分24は動脈瘤10の内部表面15に接触する。内部カバー22の柔軟性によって、内部カバー22は動脈瘤10に損傷を与えずに(例えば、断裂させないで)首部分16のサイズよりも大きくなり得る。例えば、直径約5mmの内部カバーは首部分の直径が4mmまでの動脈瘤を塞ぐために使用され得て、直径が約8mmの内部カバーは首部分の直径が4~6mmの動脈瘤を塞ぐために使用され得て、直径が約12mmの内部カバーは首部分の直径が6~10mmの動脈瘤を塞ぐために使用され得る。
【0018】
一実施形態では、内部カバー22は、プラチナ、ステンレス鋼、チタニウム、ニッケルチタン合金(例えば、ニチノール)等の生体適合金属または金属合金から形成され得る。例えば、内部カバー22はシート状にカットされたニチノールから形成される凹面ディスクであり得る。ニチノール合金は所望の凹面形状を形成するために第2の熱処理を実施するように構成され得る。例示実施形態によれば、内部カバー22の厚さは100ミクロン未満であり得て、所望の柔軟性を有する。別の実施形態では、内部カバー22は、一緒に結合(例えば、溶接、はんだ付け、編む等)された複数のワイヤまたはファイバーで形成された37ミクロンメッシュ等の比較的密度の高いメッシュとして形成され得る。
【0019】
別の実施形態では、内部カバー22は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリウレタン、シリコーンまたは他の適切なポリマー等の生体適合ポリマーから形成され得る。さらに他の例示実施形態では、内部カバー22は、ポリマー(例えば、パリレン、PTFE、PFE等)をコートした金属または合金から形成され得て、潤滑性および生体適合性を増加させ、血栓の形成を低減する。内部カバー22は固定シートまたは薄膜として形成され、または、比較的密度の高いメッシュとして形成され得る。いくつかの実施形態では、内部カバー22は、バルク部分を低減するとともに、内皮化のためのマトリックスを提供するためにレーザで孔が開けられたナイロンシートを含み得る。別の実施形態では二光子重合を含み得て、すなわち3次元印刷された生体適合材料で搬送システムに直接載る内部カバー22を形成し、または、搬送システムに接続する骨組枠の上で横になり、治療時点での内部カバー22の最終的な形状をカスタマイズすることが可能になる。
【0020】
図3A~3Dを参照すると、例示実施形態による内部カバー22がカテーテル30によって展開される様子を示す。
図3Aを参照すると、プッシュワイヤ32を含むカテーテル30が血管12の中を通って動脈瘤10の位置に進む。カテーテルの遠位端34が首部分16を通過し、動脈瘤10の内部空間14、または、首部分16に近い血管12の一部に進む。プッシュワイヤ32はカテーテル30に形成された内腔の中に位置する。カテーテル30は1つの内腔を有し得て、すなわち、プッシュワイヤ32はカテーテル30の内部に形成された、いくつかの内腔の1つの中に位置し得る。内部カバー22はプッシュワイヤ32の遠位端36に結合し、折り畳まれた形態で、内腔の中に収まる。折り畳まれた形態では、内部カバー22の周辺部分24はプッシュワイヤ36が結合する中央部分26に比べて上流(例えば、遠位端34の近傍)に位置する。
図3Bを参照すると、内部カバー22がカテーテル30の端部34から出はじめるまで、プッシュワイヤ32はカテーテル30に対して内腔内を移動する。内部カバー22は(例えば、内部カバー22の内部スプリング力によって)カテーテル30の端部34が明確になるように、内部空間14の中で拡張された形態に広がる。カテーテル30を静止させてプッシュワイヤ32を進めて(例えば、押圧して)、プッシュワイヤ32を静止させてカテーテル30を引っ張り(例えば、さやから抜いて)、または、カテーテル30とプッシュワイヤ32の移動の組み合わせによって、プッシュワイヤ32をカテーテル30に対して移動させる。内部カバー22は血管12の中または動脈瘤10の中に位置してカテーテル30の遠位端34で部分的に展開し得る。
【0021】
図3Cを参照すると、内部カバー22がカテーテル30から完全に展開する前に、カテーテル30の遠位端34は動脈瘤10の内部空間14の中に進む。
図3Dを参照すると、カテーテル30から内部カバー22が完全に展開した状態で、内部カバー22が動脈瘤の内部表面15に座位するまで、カテーテル30および/またはプッシュワイヤ32が引っ張られる。
図3Eを参照すると、プッシュワイヤ32の遠位端36は内部カバー22から切り離され、カテーテル30とプッシュワイヤ32は血管12から引き出され、一方で内部カバー22は動脈瘤10の首部分16に残り得る。プッシュワイヤ32は、いずれかの適切な電気または機械的切断デバイスによって内部カバー22から切り離され得る。あるいは、内部カバー22は、ワイヤ32をカバー22から引っ張って、カバー22をチューブ30の遠位端に係合させ、ワイヤ32から外すことによって取り外され得る。
【0022】
一実施形態では、内部カバー32は開いた位置の方向に付勢されるように構成され得る。別の実施形態では、内部カバー32は、内部カバー32の中心部から外側に放射状に伸びるリブ部材またはスプラインによって支持されるメッシュを含み得る。リブ部材またはスプラインは一実施形態の開いた位置の方向に付勢される。一実施形態では、リブ部材およびスプラインは傘をさかさまにした動作態様で動作し、一旦完全に開いた位置に到達すると完全に開いた位置でロックされる。
【0023】
図4~5を参照すると、例示実施形態による動脈瘤10の首部分16に位置した閉塞デバイス120が図示され、血管12と動脈瘤の内部空間14との間の血流の流れを途絶あるいは停止させるので、動脈瘤10が破裂する可能性を低減する。閉塞デバイス120はロープロファイルデバイスで構成され、血管12の側枝18等の周辺の人体への影響を最小化する。閉塞デバイス120は生分解性または生体吸収性材料で構成され得て内皮化を促進するように構成され得る。
【0024】
閉塞デバイス120は、動脈瘤10の内部空間14の中に配置される上述した内部カバー22に類似する内部カバー122(例えば、プレート、薄膜等)を含む。閉塞デバイス120は、動脈瘤10の中に配置される内部アンカリング部材140をさらに含む。内部アンカリング部材140は、首部分16の動脈瘤10内部の内部カバー122を止めるように構成される。内部アンカリング部材140は内部カバー122を支持する比較的剛性のあるボディであって、内部カバー122が血管12の血液の流体圧力によって首部分14からずれる可能性を低減する。
【0025】
例示実施形態によれば、内部アンカリング部材140は、適切な生体適合金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケルチタニウム合金等)から形成される1つ以上のループ状のコイルを含む。金属コイルは血管内のコイリング手順で一般に使用されるコイルに類似し得る。内部アンカリング部材140は内部カバー122に結合し、動脈瘤10の内部表面15に接触する少なくとも1つのコイルを含む。内部アンカリング部材140のループは内部空間14の全体を充填せず、すなわち内部空間14の実質的に一部を充填する。その代わり、内部アンカリング部材140は少ない数のループだけを含み得る。1つの例示実施形態では、内部アンカリング部材140は1つのループコイルを含み得る。別の実施形態では、アンカリング部材140は実質的に内部空間14を満たす多くの数のループを含む。内部アンカリング部材140のループの方向、数、およびサイズは、動脈瘤10のサイズおよび形状によって変化し得る。
【0026】
図5を参照すると、例示実施形態による内部カバー122と内部アンカリング部材140がカテーテル30の中に配置されて図示される。内部カバー122はプッシュワイヤ32の遠位端36に結合され、折り畳まれた形態で、カテーテル30の内腔内に配置される。折り畳まれた形態では、内部カバー122の周辺部分124は、プッシュワイヤ36が第1の表面144の上に結合する中央部分126に比較して上流に位置する(例えば、遠位端34に近い)。内部アンカリング部材140は第1の表面142の反対側の内部カバー122の第2の表面146に結合し、内部カバー122の上流側のカテーテル30の内腔の内部に位置する。
【0027】
内部カバー122および内部アンカリング部材130を含む閉塞デバイス120は動脈瘤10の内部で
図3A~3Eを参照して説明されたプロセスに類似して展開する。カテーテル30の遠位端34が動脈瘤10の首部分16の近くに位置すると、プッシュワイヤ32はカテーテル30に対して内腔の内部で移動する。プッシュワイヤの移動によってアンカリング部材40は内部空間14に到達し、内部空間の中で渦巻き状になる。
【0028】
一実施形態では、プッシュワイヤ32は円形固体断面を有し、アンカリング部材140はコイル状の断面を有し(例えば、電話コードのような)内部空間14の中で渦巻き状に巻くことを促進する。一実施形態では、プッシュワイヤ32とアンカリング部材140は円形固体断面を有する。一実施形態では、プッシュワイヤ32とアンカリング部材は渦巻き状の固体断面を有する。
【0029】
アンカリング部材の渦巻き形状化が完了すると、内部アンカリング部材140はカテーテルから抜き取られて内部空間14に残り、そこで動脈瘤10の内部表面15に接触する。プッシュワイヤ32は内部カバー122がカテーテル30の端部34から表れ始めるまでさらに移動し、内部空間14の中で拡張された形態に広がる。次に、カテーテル30および/またはプッシュワイヤ32は内部カバー122が動脈瘤10の内部表面15に座位し、内部アンカリング部材140によって適切な位置に保持されるまで引っ張られる。プッシュワイヤ32の遠位端36は内部カバー122の第1の表面146から切り離され、カテーテル30とプッシュワイヤ32は血管12から引き抜かれ得るが、内部カバー22は動脈瘤10の首部分16に第2の表面146に結合する内部アンカリング部材140とともに残る。
【0030】
図6を参照すると、一例示実施形態では、アンカリング部材140は可変の堅さを有し得る。例えば、内部アンカリング部材140は近位端146で比較的しなやかであり得て、遠位端148で比較的硬くなり得る。比較的硬い遠位端146は動脈瘤10の壁を強化して追加的に支持するように構成され得る。内部アンカリング部材140のより硬い部分は動脈瘤の内部空間14の内部に構造体を形成するように構造部材として利用され得るし、よりしなやかな部分は動脈瘤の内部空間を充填し内部カバー122を支持するように利用され得る。内部アンカリング部材140の堅さはさまざまな方法で制御され得て、コイルの厚さ、コイルの半径、および/または、コイルを形成するために使用される材料を変更することによって制御される。
【0031】
内部アンカリング部材のよりしなやかな部分は着脱可能なシースまたは層を含み得て、動脈瘤10内部でアンカリング部材140の内部のより硬い部分のポジショニングを補助する。遠位端148に内部アンカリング部材140のより硬い部分が位置するとシースは除去され得る。
【0032】
一実施形態では、内部アンカリング部材140の剛性は、遠位端148と近位端146の間で内部アンカリング部材140の長さ方向に沿って滑らかに、または、徐々に変化し得る。他の例示実施形態では、内部アンカリング部材140は2つ以上の区分領域または部分を含み得て、各部分は異なる剛性すなわち特性が異なる。内部アンカリング部材140はマーカまたは他の指示部を含み得て、1つの領域から別の領域へ遷移することを表示する。一実施形態では、指示部は外部にあってもよく、プッシュワイヤに接合する外部シャフトの上に指示部があり、外部指示部のそれぞれは第1の堅さを有する領域から第2の堅さを有する領域への遷移に対応する。別の実施形態では、指示部は内部にあってもよく、領域間で内部アンカリング部材140上の放射線不透過性の指示部(例えば、プラチナコーティング)であってもよい。
【0033】
一実施形態では、堅さが可変のアンカリング部材140は、内部カバー122が無くとも利用され得る。当該実施形態では、アンカリング部材140は内部空間14を満たす。一実施形態では、複数のアンカリング部材140が利用され得る。一実施形態では、最初に展開したアンカリング部材140の可変剛性は(例えば、厚さ)は次に展開したアンカリング部材の可変剛性(例えば、厚さ)よりも厚い。
【0034】
図7~10を参照すると、例示実施形態による閉塞デバイス220が動脈瘤20の首部分26に位置して図示された血管22と動脈瘤20の内部空間24の間の血流の流れを遮断または停止するので、動脈瘤20が破裂する可能性を低減する。閉塞デバイス220はロープロファイルデバイスで構成され、血管22の側枝28等の周辺組織への干渉を最小化する。閉塞デバイス220は生分解性または生体吸収性材料で構成され得るので、内皮化を促進するように構成され得る。
【0035】
閉塞デバイス220は、上述した内部カバー22に類似する動脈瘤10の内部空間14の中に配置される内部カバー222(例えば、プレート、薄膜等)と、上述した内部アンカリング部材140に類似する動脈瘤10の内部に配置される内部アンカリング部材240を含む。内部アンカリング部材240は、首部分16で動脈瘤20の内部に内部カバー222を止めるように構成される。閉塞デバイス220は動脈瘤10の近傍の血管12内に配置される外部アンカリング部材250をさらに含む。外部アンカリング部材250は内部カバー222を支持する比較的剛性のあるボディであって、内部カバー222が血管12の血液の流体圧力によって首部分14からずれる可能性を低減する。
【0036】
図7を参照すると、例示実施形態による外部アンカリング部材250は適切な生体適合金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケルチタニウム合金等)から形成されたコイルのループ252を含む。金属コイルは、通常、血管内コイリング手順で使用されるコイルに類似し得る。一実施形態では、ループ252は内部カバー222に結合し、血管12の壁13に接触する。一実施形態では、ループ252は血管12を通過する血液の流れに対して垂直方向に位置する。一実施形態では、複数のコイルまたはループ252が使用され得る。
【0037】
図8を参照すると、例示実施形態による外部アンカリング部材250は第1のループ254と第2のループ256を含む。ループ254および256は、適切な生体適合金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケルチタニウム合金等)から形成されるコイルのループであり得る。ループ254と256の少なくとも1つは内部カバー222と結合し、血管12の壁13と接触する。第1のループ254は血管12の内周の周りで血管12を通過する血液の流れに垂直になるように広がる。第2のループ256は血管12を通過する血液の流れに平行になる。第2のループ256は極めて直径が小さいコイルから形成され、実質的に血管を通過する血液の流れを妨害しない。他の実施形態では、外部アンカリング部材250は3つ以上のループを含み得る。ループの方向、数、およびサイズは、血管12のサイズおよび形状によって変化し得る。
【0038】
図9を参照すると、別の例示実施形態による、外部アンカリング部材250は、適切な生体適合金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケルチタニウム合金等)または適切な生体適合ポリマーから形成されるステント258を含む。ステント258は、折り畳まれた状態で動脈瘤10に近い血管12までカテーテル30によって案内される。血管12の内部で一旦展開すると、ステント258は血管12の壁を押しつけるように広がる。ステント258は自己拡張型であり得るかまたはインフレータブルバルーンなどの別のデバイスで広げられ得る。ステント258の全部または一部はプラチナ等の放射線不透過性の材料でコートまたはカバーされ得て、(例えば、ステント258の配置中または配置後に)ステント258を可視化できる。
【0039】
ステント258は動脈瘤10の首部分16を塞ぐことを意図しておらず、内部カバー222の配置およびアンカリングすることを補助する構造を形成する。したがって、ステント258は首部分16と同じ広さ、または、より広い広さである必要はないが、比較的長さが短いボディであり得る(例えば、動脈瘤10の首部分16の幅よりも短い)。ステント258が比較的短い長さを有することによって、外部アンカリング部材250が血管12の側枝18等の周囲の組織を破裂させる可能性を低減する。さらに、ステント258は可変なセル形態である非稠密な、比較的開放的な構成であり得て、首部分16から血管12中の近位に広がり得る。他の実施形態では、ステント258は、金属または合金から形成される比較的薄い厚さのバンド等の固体部材であり得る。
【0040】
別の実施形態では、外部アンカリング部材250は、閉塞デバイス320が動脈瘤の首部分16に配置され動脈瘤10の壁に結合した後に、カテーテル30とともに除去される一時的な部材であり得る。例えば、外部アンカリング部材は動脈瘤に近い血管12の中で、空気で膨らむバルーンであり得て、内部カバー222を支持する一時的な構造を提供する。
【0041】
図10を参照すると、例示実施形態による内部カバー222、内部アンカリング部材240、および、外部アンカリング部材250がカテーテル30の中に配置されて図示される。外部アンカリング部材250はプッシュワイヤ32の遠位端36に結合し、折り畳まれた形態で、カテーテル30の内腔で覆われる。外部アンカリング部材250は内部カバー222に結合し、折り畳まれた形態で、外部アンカリング部材250の上流でカテーテル30の内腔で覆われる。外部アンカリング部材250は、例えば、粘着して内部カバー222に結合し得る。折り畳まれた形態で、内部カバー222の周辺部分224は中央部分226の上流に位置し、それに外部アンカリング部材250が第1の表面244上で結合する。内部アンカリング部材240は第1の表面242に対向する内部カバー222の第2の表面246に結合し、内部カバー222の上流のカテーテル30の内腔の中に配置される。
【0042】
内部カバー222および内部アンカリング部材230を含む閉塞デバイス220は、
図3A~3Eを参照して上述されたプロセスと同様に動脈瘤20の中で展開する。カテーテル30の遠位端34が動脈瘤20の首部分26の近傍に位置すると、プッシュワイヤ32はカテーテル30に対して内腔内で移動する。内部アンカリング部材240がカテーテルから押し出されて、内部空間24内に移動し、そこで動脈瘤20の内部表面25に接触する。プッシュワイヤ32は内部カバー222がカテーテル30の端部34から表れ始めるまでさらに移動し、内部空間24の内部で拡張された形態に広がる。次に、カテーテル30および/またはプッシュワイヤ32は、内部カバー222が動脈瘤20の内部表面25に座位し、内部アンカリング部材240によって適切な位置に保持されるまで引っ張られる。プッシュワイヤ32は、カテーテル30から外部アンカリング部材250が表れるまでさらに移動する。外部アンカリング部材250は、例えば、1つ以上のループ252、254、または256、若しくは、ステント258であり得る。プッシュワイヤ32の遠位端36は外部アンカリング部材から切り離され、カテーテル30およびプッシュワイヤ32が血管22から引き出され得るが、内部カバー22は動脈瘤20の首部分26に残り、内部アンカリング部材240は第2の表面246に結合し、外部アンカリング部材250は血管12の中に位置する。他の実施形態では、プッシュワイヤ32は内部カバー222に直接結合し得て、外部アンカリング部材250は別に展開し得る(例えば、別のカテーテルによって)。
【0043】
図11~14を参照すると、例示実施形態による閉塞デバイス320が動脈瘤10の首部分16に配置して図示され、血管12と動脈瘤の内部空間14との間の血流の流れを阻止または停止させるので、動脈瘤10が破裂する可能性を低減する。閉塞デバイス320はロープロファイルデバイスとして構成され、血管12の側枝18等の周辺組織への干渉を最小化する。閉塞デバイス320は生分解性または生体吸収性材料で構成され得て、内皮化を促進するように構成され得る。
【0044】
閉塞デバイス320は動脈瘤10の内部空間14の中に配置される上述した内部カバー32に類似する内部カバー322(例えば、プレート、薄膜等)を含む。閉塞デバイス320は動脈瘤10の近傍の血管12内に位置する外部カバー360をさらに含む。外部カバー360は内部カバー322に結合し得て、比較的剛性のあるボディを提供し、内部カバーを支持する。外部カバー360によって、血管32内の血液の流体圧力によって内部カバー322が首部分34から移動する可能性を低減する。外部カバー360は、内部カバー322を首部分16に固定する内部アンカリング部材140または外部アンカリング部材250等の別のデバイスとともに、または、その代わりに使用され得る。
【0045】
図11を参照すると、例示実施形態による外部カバー360は、金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケルチタニウム合金等)、またはポリマー(例えば、PTFE等)等の適切な生体適合部材から形成される比較的薄い部材(例えば、プレート、シート等)である。例示実施形態によれば、外部カバー360の厚さは2mm未満である。好ましい実施形態によれば、外部カバー360の厚さは1mm未満である。外部カバー360はロープロファイルボディであって、血管12を通過する血液の流れを実質的に妨げない。外部カバー360は周辺部分362を含み、それは動脈瘤10の首部分16の周りの血管12の壁13に接触し中央部分364は首部分16に位置する。中央部分364は内部カバー322と一体に形成され得るし、または、内部カバー322と(例えば、適切な粘着によって)結合し得る。外部カバー360の全部または一部はプラチナ等の放射線不透過性の材料によってコートまたは覆われ得るので、(例えば、外部カバー360の配置中または配置後に)外部カバー360を可視化できる。実施形態では、外部カバー360は首部分16よりも小さい領域である中央領域(例えば、首部分の領域の90パーセント、75パーセント、または50パーセント)で内部カバーに取り付けられる。一実施形態では、中央領域は円形形状である。
【0046】
外部カバー360は動脈瘤10の首部分16を塞ぐことを意図していないが、内部カバー322を止めることを補助する構造を形成する。したがって外部カバー360は首部分16を完全に覆う必要はない。したがって外部カバー360は首部分160の一部分が覆われていない、および/または、多孔性材料から形成される(例えば、メッシュ)形状であり得る。
図12を参照すると、一実施形態では、外部カバー360は外部カバー360の周辺部分362が首部分16の周囲全体に広がるように首部分16を完全に覆うシートであり得る。
【0047】
図13を参照すると、別の実施形態では、外部カバー360は首部分16から外側に広がる放射状の丸い突出部366等の複数のセグメントまたはセクションを含み得る。各丸い突出部366は、首部分16の中に位置する中央部分364と、首部分16を超えて広がり血管12の壁13に接触する周辺部分364を含み得る。
【0048】
図14を参照すると、別の実施形態では、外部カバー360は渦巻きボディ368を含み得る。渦巻きボディ368の内側のループは中央部分364を形成し得て、渦巻きボディ368の外側ループは周辺部分362を形成し得る。
【0049】
外部カバー360は内部カバー322と同じ手順でカテーテルから展開し得る。したがって外部カバー360は内部カバー322と結合し、カテーテルの中で覆われるように折り畳まれる構成であり得る。外部カバー360は、カテーテルの中で、中央部分364が内部カバー322と結合し、周辺部分362の上流側に位置するように構成され得る。内部カバー322は
図3A~Dを参照して説明したように展開し得る。一旦内部カバー322がカテーテルから展開し首部分16の中に位置すると、カテーテルのプッシュワイヤは外部カバー360を展開するためにさらに前に進行し得る。血管12内の血液流体圧力によって、外部カバー360を血管12の壁13に対向させる。他の実施形態では、プッシュワイヤ32は内部カバー322に直接結合し得て、外部カバー360は(例えば、別のカテーテルによって)別に展開し得る。
【0050】
図15~16を参照すると、例示実施形態による閉塞デバイス420が動脈瘤10の首部分16に配置して図示される。閉塞デバイス420は動脈瘤10の内部空間14の中に配置される内部カバー422(例えば、プレート、薄膜等)を含む。閉塞デバイス420は、動脈瘤10の内部に配置される内部アンカリング部材440、および/または、外部アンカリング部材450をさらに含む。内部アンカリング部材440は首部分16の動脈瘤10の内部で内部カバー422を止めるように構成される。例示実施形態によれば、内部アンカリング部材440は適切な生体適合金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケルチタニウム合金等)から形成された1つ以上のストラットまたはアームを含む。内部アンカリング部材440は内部カバー122に結合し、内部カバー422の周囲を超えて延伸し、動脈瘤10の内部表面15に接触するように構成される。したがって内部アンカリング部材140は比較的広い首16を有する動脈瘤10の内部カバー422を配置させることを補助するために使用され得る。内部アンカリング部材140のストラットあるいはアームは、全内部空間14または実質的に内部空間14の一部を充填しない。動脈瘤10の大きさは血管が治癒するにしたがって収縮するので、動脈瘤による周辺組織への圧力は低減し、動脈瘤10の「質量効果」は減少する。内部アンカリング部材440のアームの向き、数、および、長さは、動脈瘤10のサイズおよび形状によって変化し得る。上述したマイクロカテーテル30のように、内部アンカリング部材440のアームはマイクロカテーテルによって搬送されるように一緒に折り畳まれるように構成され得る。
【0051】
さらに
図15~16を参照すると、外部アンカリング部材450は、首16に位置し内部カバー420に結合する第1の部分452(例えば、遠位部分)と、血管12内に位置する第2の部分454(例えば、近位部分)を含む。外部アンカリング部材450は適切な生体適合金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケルチタニウム合金等)または適切な生体適合ポリマーから形成される。外部アンカリング部材450の全部または一部はプラチナ等の放射線不透過性の材料でコートまたはカバーされ得て、(例えば、外部アンカリング部材450の配置中または配置後に)外部アンカリング部材450を可視化できる。外部アンカリング部材450は(例えば、真っ直ぐに)折り畳んだ状態で動脈瘤10の近傍の血管12にカテーテルで導かれる。一旦血管12内で展開すると、外部アンカリング部材450は外部アンカリング部材の少なくとも一部分が血管12の壁を押圧するように広がる。外部アンカリング部材450は単一の連続したスパイラルとして形成され得て、スパイラルのループはさまざまな特性(例えば、直径、厚さ、柔軟性等)を持つように形成され得る。例えば、第1の部分452は比較的小さい直径の、柔軟性があるコイルであるように形成され得て、一方第2の部分454は大きな、比較的剛性があるコイルであるように形成され得て、血管12の壁13に沿って外部アンカリング部材450を配置させるように半径方向の外向きに増大する力を提供する。
【0052】
図17を参照すると、別の例示実施形態による外部アンカリング部材460の一部は二重スパイラルで形成され得る。他の例示実施形態によれば、外部アンカリング部材はさまざまな他の形状の(例えば、蜘蛛の巣形状、星形形状等)であり得て、所望の柔軟性を付与し動脈瘤の首部分で内部カバーを支持する。
【0053】
図18A~18Bを参照すると、別の例示実施形態による閉塞デバイスのための内部カバー470は星形形状のボディであり得る。内部カバー470は(例えば、折り目を付ける、ミシン目を付ける、型で成形)してあらかじめ定められた折り目に沿って折り畳まれて形成される。
【0054】
図19を参照すると、外部アンカリング部材482を有する閉塞デバイス480が図示される。外部アンカリング部材482はさまざまな形状のボディであり得る(例えば、ストレート、スパイラル、マルチスパイラル、集合体等)。外部アンカリング部材482は、閉塞デバイス480を配置し、固定することができる構造体を形成する最少のセグメント数を有する比較的オープンな構造で形成され、血管の壁との接触を最小化する。外部アンカリング部材482のオープンな特性のために、血管の支管を拘束するリスクすなわち血管を流れる血液の流れを変えてしまうリスクが小さい。
【0055】
図20を参照すると、別の例示実施形態による閉塞デバイス490のための内部アンカリング部材494が図示される。内部アンカリング部材494は、カバー492に結合する中央ワイヤ496と中央ワイヤ496に結合する1つ以上の外側ワイヤ498を含む。外側ワイヤ498は中央ワイヤ496から外側に広がり、動脈瘤10の内部表面15に接触する。内部アンカリング部材494は、折り畳まれた(例えば、真っ直ぐな)状態で動脈瘤10にカテーテル30によって挿入される。一旦動脈瘤10の中に挿入されると、カテーテル30は引っ張られ、外側ワイヤ498は外側に広がることができ、外側ワイヤ298の少なくとも一部分が内部表面15に接触し、カバー492を首16に配置させて止める。
【0056】
さまざまな例示実施形態で図示された動脈瘤閉塞デバイスのエレメントの構成および配置は説明のためだけに使用される。いくつかの実施形態だけがこの明細書で詳細に説明されたが、この開示を参照する当業者であれば、本明細書に記載された発明の新規な教示および有利な点から逸脱しないで、多くの変形形態(例えば、サイズ、寸法、構成、形状のバリエーション、および、さまざまなエレメントの比率、パラメータの値、取り付け方法、使用する材料、色、向き等)が可能で有ることを直ちに理解するであろう。例えば、一体形成されて示されたエレメントは複数の部分すなわちエレメントから構成され得るし、エレメントの位置は反対または変更可能であり得るし、および、ディスクリートエレメントの特性または数または位置は変更することが可能で有る。システムのエレメントおよび/または集合体は、充分な強度、耐久性、または、生体適合性を持ついずれかのさまざまな材料から構成され得ることに留意するべきである。他の代替形態、修正形態、変形形態および省略形態は、本発明の範囲から逸脱しないデザイン、好ましい他の例示実施形態および医療手順の動作条件および配置の範囲内である。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内の動脈瘤を治療するためのカテーテルであって、前記カテーテルは、
チューブと、
前記チューブの中に配置されたワイヤと、
前記ワイヤ上に配置された閉塞エレメントと
を含み、前記閉塞エレメントは前記チューブ内に適合しかつ前記チューブ内の前記ワイヤの移動に応答して前記チューブの遠位端の開口部から滑り出るように構成され、前記閉塞エレメントは前記チューブの半径よりも大きい半径を有するように広がり、前記動脈瘤の首部分を覆うように構成されるカテーテル。
【外国語明細書】