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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029204
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】発送先照合システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20220209BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020132432
(22)【出願日】2020-08-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】520292431
【氏名又は名称】宏文印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】家里 隆
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】複数の送付先毎に必要な印刷物が過不足なく封筒体に封入封緘されていることを有効に確認可能な発送先照合システムを提供する。
【解決手段】本発明においては、制御装置は、案内状情報読取手段からの一の案内状の案内状情報に基づいて、同封すべき印刷物が当該一の案内状に丁合されるように印刷物送出ユニットを作動させる一方で、当該一の案内状に対応して作動された印刷物送出ユニットの動作ログを当該一の案内状のピース情報に関連付けて動作ログ情報として記憶し、ピース情報を基準にして、予め記憶された封入作業情報の同封種別情報に基づいて認識される印刷物の種別と動作ログ情報によって特定される印刷物送出ユニットに基づいて認識される印刷物の種別とを照合する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベア、前記搬送コンベアの最上流に配置され、装填された案内状群から案内状を前記搬送コンベアへ送出する案内状送出ユニット、前記案内状送出ユニットより前記搬送コンベアの搬送方向下流側に順に配置された第1~第n(nは2以上の整数)の印刷物送出ユニットであって、装填された印刷物群から印刷物を前記搬送ユニットへ送出する第1~第nの印刷物送出ユニット、並びに、前記搬送コンベア上で丁合された案内状及び一又は複数の印刷物を封筒体に封入封緘する封入封緘ユニットを有する封入封緘装置と、
前記封入封緘装置の作動制御を司る制御装置と、
前記案内状送出ユニットによって送出された案内状における案内状情報を読み取る案内状情報読取手段とを備え、
前記制御装置は、複数の送付先のそれぞれを識別するピース情報、及び、前記複数の送付先のそれぞれに送付する印刷物の種別を特定する同封種別情報を含む封入作業情報を有し、
前記案内状情報は、前記案内状情報読取手段によって読取可能な形式で印刷された前記ピース情報及び前記同封種別情報を含み、
前記案内状には、前記案内状情報に加えて、送付先の名称及び住所を含む文字形式の宛名情報が印刷されており、
前記封筒体は、前記案内状における文字形式の前記宛名情報を外部から視認可能とする視認窓を有し、
前記制御装置は、前記案内状情報読取手段からの一の案内状の案内状情報に基づいて、同封すべき印刷物が当該一の案内状に丁合されるように対応する印刷物送出ユニットを作動させると共に、当該一の案内状に対応して作動された印刷物送出ユニットの動作ログを当該一の案内状のピース情報に関連付けて動作ログ情報として記憶し、ピース情報を基準にして、前記封入作業情報の同封種別情報に基づいて認識される印刷物の種別と前記動作ログ情報によって特定される前記印刷物送出ユニットに基づいて認識される印刷物の種別とを照合することを特徴とする発送先照合システム。
【請求項2】
前記印刷物には当該印刷物を識別する印刷物識別情報が機械読取可能な形式で印刷されており、
前記発送先照合システムは、さらに、前記第1~第nの印刷物送出ユニットから送出される印刷物における前記印刷物識別情報をそれぞれ読み取る第1~第nの印刷物情報読取手段を備え、
前記制御装置は、前記第1~第nの印刷物情報読取手段からの印刷物識別情報を前記動作ログに関連付けて記憶することを特徴とする請求項1に記載の発送先照合システム。
【請求項3】
前記案内状には、前記案内状情報及び前記宛名情報に加えて、前記視認窓又は前記封筒体に設けられた他の視認窓を介して外部から読取可能な位置に前記ピース情報と同一情報を示す識別情報が機械読取可能な形式で印刷されており、
前記発送先照合システムは、さらに、前記案内状の前記識別情報を読み取る出口読取手段を備え、
前記制御装置は、前記封入作業情報における前記ピース情報と前記出口読取手段によって読み取られる前記識別情報とを照合することを特徴とする請求項1又は2に記載の発送先照合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の送付先のそれぞれに送付すべき一又は複数の印刷物を封筒体に封入封緘する発送先照合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発送先のそれぞれに必要な発送物を発送する際に、発送先と発送物との齟齬を防止する発送先照合装置が提案されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
前記従来の発送先照合装置は、発送元(例えば大学)から委託を受けた印刷事業者が複数の発送先(例えば複数の高校)のそれぞれに異なった封入書類(例えば学科毎の推薦入試の資料)を発送する際に、好適に利用可能とされている。
【0004】
詳しくは、前記発送先照合装置を用いる場合には、まず、印刷事業者は、発送元(例えば大学)から、発送先毎の封入書類データや発送先の住所データを入手し、発送先を基準として前記データを並べて封入順テーブルを作成し、発送先毎に自社管理番号M2を付与し、且つ、運送業者から複数の発送先毎の発送伝票を入手する。
【0005】
前記複数の発送伝票には、それぞれ、運送業者が指定する発送先毎の指定管理番号M1が割り当てられており、印刷事業者は、制御装置に、前記指定管理番号M1を前記封入順テーブルにおける自社管理番号M2に関連付けて記憶させる。
【0006】
印刷事業者は、前記封入書類データに基づき発送先毎に必要な封入書類を用意し、その際、封入書類の一番上には、自社管理番号M2が印刷された表紙を載置する。その後、窓あき封筒に、封入順テーブルの順に、自社管理番号M2が見れる状態で封入書類を封入し、且つ、前記窓あき封筒の外表面に、封入順テーブルの順に前記発送伝票を張り付ける。
【0007】
前記照合装置は、バーコードリーダー等の読取手段によって読み取った前記発送伝票の指定管理番号M1と封入書類の自社管理番号M2とが、前記封入順テーブルにおいて関連づけられて記憶されている指定管理番号及び自社管理番号と合致しているか否かを照合し、合致している場合には、封入が正しく行われたと判断するとされている。
【0008】
しかしながら、前記従来の照合装置は、前記窓あき封筒の外表面に貼付された前記発送伝票と当該窓あき封筒に封入された封入書類の一番上の表紙とが正しく対応しているか否かを照合するのみであり、前記表紙以外の封入書類が、発送先毎に発送すべきものであるか否かを照合することはできない。
【0009】
また、宛先に応じて選択された発送物を丁合する選択丁合システムとして、少なくとも1つの発送物を含む丁合物を搬送するための複数のフィンガーが直列配置された搬送路と、前記搬送路の最上流に配置され、宛先情報が印字された宛名用紙を前記搬送路に投入する宛名用紙投入機と、前記搬送路に投入された宛名用紙の宛先情報を読み取る宛先情報読取機と、セットされた単一種類の発送物を前記丁合物に投入する複数の自動投入機と、人手によってピッキングされた発送物を前記丁合物に投入するバッファ投入機とを備えた選択丁合システムも提案されている(下記特許文献2参照)。
【0010】
前記選択丁合システムにおける制御装置は、宛先毎の発送物を示す投入リストを有しており、また、前記複数のフィンガーのそれぞれには、個々のフィンガーを識別可能なフィンガー識別情報が格納されたタグが設けられている。
【0011】
前記制御装置は、前記宛名用紙投入機又は前記宛先情報読取機によって読み取られたフィンガー識別情報と対応する宛名用紙の宛先情報とを関連付けて記憶し、前記投入リストに基づき認識される発送物が該当するフィンガー上の丁合物に投入されるように、前記自動投入機及び前記バッファ投入機を作動させるものとされている。
【0012】
前記選択丁合システムは、予め記憶された投入リストと前記宛名用紙投入機によって読み取られた宛先情報とに基づき作動させるべき前記自動投入機及び/又は前記バッファ投入機を認識し、宛先情報に関連付けられた前記フィンガーの識別情報に基づき前記自動投入機及び前記バッファ投入機の作動制御を行うものであるが、実際に、前記自動投入機及び前記バッファ投入機が正常に作動したか否かを検証することはできない。
【0013】
即ち、制御装置によって作動制御される前記自動投入機及び前記バッファ投入機が必ず正常動作することを前提としており、仮に、何らかの原因によって前記自動投入機及び/又は前記バッファ投入機、さらには、前記宛名用紙投入機及び/又は前記宛先情報読取機が正常動作しかなった場合には、発送先と発送物との齟齬を検出することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010-205036号公報
【特許文献2】特開2019-172408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、複数の送付先毎に必要な印刷物が過不足なく封筒体に封入封緘されていることを有効に確認可能な発送先照合システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、搬送コンベア、前記搬送コンベアの最上流に配置され、装填された案内状群から案内状を前記搬送コンベアへ送出する案内状送出ユニット、前記案内状送出ユニットより前記搬送コンベアの搬送方向下流側に順に配置された第1~第n(nは2以上の整数)の印刷物送出ユニットであって、装填された印刷物群から印刷物を前記搬送ユニットへ送出する第1~第nの印刷物送出ユニット、並びに、前記搬送コンベア上で丁合された案内状及び一又は複数の印刷物を封筒体に封入封緘する封入封緘ユニットを有する封入封緘装置と、前記封入封緘装置の作動制御を司る制御装置と、前記案内状送出ユニットによって送出された案内状における案内状情報を読み取る案内状情報読取手段とを備え、前記制御装置は、複数の送付先のそれぞれを識別するピース情報、及び、前記複数の送付先のそれぞれに送付する印刷物の種別を特定する同封種別情報を含む封入作業情報を有し、前記案内状情報は、前記案内状情報読取手段によって読取可能な形式で印刷された前記ピース情報及び前記同封種別情報を含み、前記案内状には、前記案内状情報に加えて、送付先の名称及び住所を含む文字形式の宛名情報が印刷されており、前記封筒体は、前記案内状における文字形式の前記宛名情報を外部から視認可能とする視認窓を有し、前記制御装置は、前記案内状情報読取手段からの一の案内状の案内状情報に基づいて、同封すべき印刷物が当該一の案内状に丁合されるように対応する印刷物送出ユニットを作動させると共に、当該一の案内状に対応して作動された印刷物送出ユニットの動作ログを当該一の案内状のピース情報に関連付けて動作ログ情報として記憶し、ピース情報を基準にして、前記封入作業情報の同封種別情報に基づいて認識される印刷物の種別と前記動作ログ情報によって特定される前記印刷物送出ユニットに基づいて認識される印刷物の種別とを照合する発送先照合システムを提供する。
【0017】
好ましくは、前記印刷物には当該印刷物を識別する印刷物識別情報が機械読取可能な形式で印刷され、前記発送先照合システムには、さらに、前記第1~第nの印刷物送出ユニットから送出される印刷物における前記印刷物識別情報をそれぞれ読み取る第1~第nの印刷物情報読取手段が備えられる。
【0018】
この場合、前記制御装置は、前記第1~第nの印刷物情報読取手段からの印刷物識別情報を前記動作ログに関連付けて記憶するように構成される。
【0019】
好ましくは、前記案内状には、前記案内状情報及び前記宛名情報に加えて、前記視認窓又は前記封筒体(200)に設けられた他の視認窓を介して外部から読取可能な位置に前記ピース情報と同一情報を示す識別情報が機械読取可能な形式で印刷され、前記発送先照合システムには、さらに、前記案内状の前記識別情報を読み取る出口読取手段が備えられる。
【0020】
この場合、前記制御装置は、前記封入作業情報における前記ピース情報と前記出口読取手段によって読み取られる前記識別情報とを照合するように構成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る発送先照合システムによれば、複数の送付先のそれぞれに必要な印刷物が過不足なく封筒体に封入封緘されていることを有効に確認することができる。さらには、適切な封入封緘作業が行われたことを事後的に有効に証明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る発送先照合システムの模式平面図である。
図2図2は、前記発送先照合システムにおいて用いられる案内状の一例の模式図である。
図3図3は、前記発送先照合システムにおける制御装置に記憶された封入作業情報の一例である。
図4図4は、前記制御装置に記憶された基本情報の一例である。
図5図5は、前記発送先照合システムにおいて用いられる印刷物の一例である薬品改定書の模式図である。
図6図6は、前記発送先照合装置を作動させた際に、前記制御装置に記憶される動作ログ状態の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る発送先照合システムの一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施の形態に係る発送先照合システム1の模式平面図を示す。
【0024】
前記発送先照合システム1は、複数の宛先毎に設定された一又は複数の印刷物が封筒体200に過不足なく封入封緘されたか否かを照合し得るように構成されている。
【0025】
具体的には、図1に示すように、前記発送先照合システム1は、封入封緘装置10と、前記封入封緘装置10の作動制御を司る制御装置100と、案内状情報読取手段110とを備えている。
【0026】
前記封入封緘装置10は、搬送コンベア20と、前記搬送コンベア20の最上流に配置され、装填された案内状群から案内状250を前記搬送コンベア20へ送出する案内状送出ユニットX0と、前記案内状送出ユニットX0より前記搬送コンベア20の搬送方向下流側に順に配置された第1~第n(nは2以上の整数)の印刷物送出ユニットであって、装填された印刷物群から印刷物300を前記搬送ユニット20へ送出する第1~第nの印刷物送出ユニットと、搬送コンベア20上で丁合された案内状及び一又は複数の印刷物を封筒体200に封入封緘する封入封緘ユニット30とを備えている。
【0027】
なお、図1に示すように、本実施の形態においては、前記封入封緘装置1は、前記第1~第n印刷物送出ユニットとして、第1~第8印刷物送出ユニットX1~X8を有している。
【0028】
前記案内状250は、前記複数の送付先のそれぞれに対して専用に設けられる。
図2に、前記案内状250の模式図を示す。
なお、図2においては、前記案内状250が封入封緘される前記封筒体200を二点鎖線で示している。
【0029】
図2に示すように、前記案内状250には、当該案内状250の送付先を識別するピース情報及び送付先毎の送付印刷物の種別を特定する同封種別情報を含む案内状情報255が機械読取可能な形式(例えば、バーコード形式)で印刷されている。
【0030】
前記案内状情報読取手段110は、前記案内状送出ユニットX0から前記搬送コンベア20に送出される前記案内状250の前記案内状情報255を読み取るように構成されている。
【0031】
図2に示すように、前記案内状250には、前記案内状情報255に加えて、送付先の名称及び住所を含む文字形式の宛名情報260が印刷されている。
【0032】
前記宛名情報260は、前記案内状250が前記封筒体200に封入封緘された際に、当該封筒体200に設けられた視認窓210を介して外部から視認可能な位置に設けられている。
【0033】
以下においては、製薬会社が「送付元」、印刷事業者が前記製薬会社から委託を受けた「発送作業者」、及び、製薬会社の薬品を扱っている複数の薬局が「送付先」となる場合を例に、前記発送先照合システム1の詳細構成を説明する。
【0034】
ある製薬会社がm種類(mは2以上の整数)の薬品α1~αmを販売している場合において、m種類の前記薬品のうちの一又は複数の薬品に対して、用法・用量の追加、又は、使用上の注意改訂が行われたと仮定する。
【0035】
この際、製薬会社は、当該製薬会社の薬品を取り扱っている複数の薬局に対して、当該薬局宛ての案内状と該当する薬品に対する「用法・用量の追加、又は、使用上の注意改訂のお知らせ」(以下、改定書という)とを送付する必要があり、印刷事業者がこの送付作業の委託を受けたとする。
【0036】
例えば、製薬会社の薬品α1~αmのうちα1、α4及びαmの3種類の薬品に対して、用法・用量の追加、又は、使用上の注意改訂が行われたと仮定する。
【0037】
ここで、薬局「AAA」がα1~αmの全種類を取り扱っている場合には、印刷事業者は、薬局「AAA」に対してはα1用改定書300(1)、α4用改定書300(4)及びαm用改定書300(m)の全てを送付する必要がある。
【0038】
一方、他の薬局「BBB」がα1、α4及びαmを取り扱っていない場合には、印刷事業者は、薬局「BBB」に対しては改定書を送付する必要がなく、逆に、α1用改定書300(1)、α4用改定書300(4)及びαm用改定書300(m)の何れか又は全ての改定書を薬局「BBB」に送付してしまうと、薬局「BBB」において無用の混乱を招くことになる。
【0039】
また、さらに他の薬局「CCC」がα1及びαmを取り扱っているが、α4を取り扱っていない場合には、印刷事業者は、薬局「CCC」に対してはα1用改定書300(1)及びαm用改定書300(m)のみを送付する必要がある。
【0040】
即ち、薬局「CCC」にα1用改定書300(1)及び/又はαm用改定書300(m)が送付されないと、薬局「CCC」に必要な改定情報が伝達されないことになる一方で、薬局「CCC」に取り扱っていない薬品α4用改定書300(4)が送付されると、薬局「CCC」において無用の混乱を招くことになる。
【0041】
本実施の形態に係る発送先照合システム1は、このような、複数の送付先(前記例においては複数の薬局)毎に、送付すべき印刷物(前記例においては薬品改定書の種類)が異なる場合において、複数の送付先のそれぞれに必要な種類の印刷物を過不足なく送付する必要がある場合に、特に有効となる。
【0042】
この点に関し、詳述する。
前記制御装置100には、送付先となる複数の薬局のそれぞれを識別するピース情報、及び、前記複数の薬局のそれぞれに送付すべき改定書の種別(即ち、薬品種別)を特定する同封種別情報を含む封入作業情報が記憶される。
【0043】
図3に、前記封入作業情報の一例である情報テーブルを示す。
前記制御装置100は、送付先となる薬局のそれぞれにピース情報を付与する。
前記例においては、送付先となる薬局は、薬局「AAA]、「CCC」及び「EEE」であり、従って、それぞれに、ピース情報「001」、「002」及び「003」が付与される。
【0044】
その上で、図3に示すように、前記制御装置100は、前記封入作業情報として、薬局「AAA」を識別するピース情報「001」及び薬局「AAA」に送付すべき改定書の種別を示す同封種別情報「α1、α4及びαm」を互いに関連付けた状態で記憶し、薬局「CCC」を識別するピース情報「002」及び薬局「CCC」に送付すべき改定書の種別を示す同封種別情報「α1及びαm」を互いに関連付けた状態で記憶し、薬局「EEE」を識別するピース情報「003」及び薬局「CCC」に送付すべき改定書の種別を示す同封種別情報「α1」を互いに関連付け状態で記憶する。
【0045】
好ましくは、図3に示すように、前記ピース情報は、封入封緘作業の順番に応じた連番とすることができる。
前記ピース情報を連番とすることにより、封入封緘作業後に欠番の有無の確認を容易に行うことができる。
【0046】
なお、図3に示す例においては、前記封入作業情報は、ピース情報及び同封種別情報に加えて、送付先の薬局の名称を有している。
【0047】
前記封入作業情報の作成は、封入封緘作業を行う毎に、作業者が人為入力によって行うことも可能であるが、好ましくは、下記手順によって前記封入作業情報を作成することができる。
【0048】
即ち、前記制御装置100には、予め、送付先になり得る全薬局「AAA」、「BBB」、「CCC」、「DDD」、「EEE」、・・・・の名称、住所等の宛先、及び、取扱薬品の種別を含む基本情報を記憶させておく。
図4に、前記基本情報の一例である情報テーブルを示す。
【0049】
図4に示す例においては、薬局「AAA」は全薬品α1~αmを取り扱い、薬局「BBB」は薬品α2及びα3のみを取り扱い、薬局「CCC」は薬品α1及びαmのみを取り扱い、薬局「DDD」は薬品α2のみを取り扱い、且つ、薬局「EEE」は薬品α1のみを取り扱っている。
【0050】
この状態で、印刷事業者は、改定書の送付が必要な薬品の種別情報を発送元である製薬会社から入手すると、この種別情報を基本情報に適用することによって前記封入作業情報を効率よく作成することができる。
【0051】
前記例においては、改定書の送付が必要な薬品はα1、α4及びαmである為、前記基本情報に含まれる薬局の中で、これらの薬品を取り扱っている薬局「AAA」、「CCC」及び「EEE」が送付先として、前記封入作業情報に含まれる。
【0052】
前記封入作業情報の作成が完了すると、印刷事業者は、前記封入封緘装置10を用いて前記案内状250及び前記改定書300を封筒体200に封入封緘する。
【0053】
具体的には、印刷事業者は、送付が必要な送付先毎に専用の案内状250を作成し、前記案内状送出ユニットX0に案内状群を装填する。
この際、前記案内状群は、作業順に応じた順番で案内状250が送出されるように前記案内状送出ユニットX0に装填される。
【0054】
これに平行して、印刷事業者は、必要な印刷物300(前記例においては、α1用改定書300(1)、α4用改定書300(4)及びαm用改定書300(m))の改定書群を、対応する印刷物送出ユニットに装填する。
【0055】
図5に、前記改定書300の模式図を示す。
図5中の符号310は対象の薬品名表記領域であり、符号320は改定内容表記領域である。
この改定書300は、例えば、製薬会社からの必要な情報に基づき印刷事業者によって作成される。
【0056】
本実施の形態においては、前記改定書300には、当該改定書300の種別を識別する印刷物識別情報330が機械読取可能な形式(例えば、QRコード((株)デンソーウェーブの登録商標)又はバーコード)で印刷されている。
【0057】
前記例においては、送付が必要な改定書は3種類(α1用改定書300(1)、α4用改定書300(4)及びαm用改定書300(m))であり、従って、α1用改定書300(1)、α4用改定書300(4)及びαm用改定書300(m)は、それぞれ、第1~第3印刷物送出ユニットX1~X3に必要部数ずつ装填される。
【0058】
この状態で、印刷事業者は前記封入封緘装置10に開始スイッチ等の作業開始指令を入力する。
前記制御装置100は、作業開始指令を受信すると、まず、前記案内状送出ユニットX0から1番目の案内状250(前記例においては、薬局「AAA」用の案内状250)を前記搬送コンベア20に送出する。
【0059】
この際、前記案内状情報読取手段110が薬局「AAA」用の案内状250における案内状情報を読み取り、前記制御装置100に送信する。
【0060】
前記制御装置100は、前記案内状情報読取手段110からの1番目の案内状250(前記例においては、薬局「AAA」用の案内状250)の案内状情報に基づいて、同封すべき印刷物300(前記例においては、α1用改定書300(1)、α4用改定書300(4)及びαm用改定書300(m))が当該案内状250に丁合されるように対応する印刷物送出ユニット(前記例においては、第1~第3印刷物送出ユニットX1~X3)を順次作動させる。
【0061】
これにより、薬局「AAA」用の案内状250と必要なα1用改定書300(1)、α4用改定書300(4)及びαm用改定書300(m)とが搬送コンベア20上で丁合される。
【0062】
なお、前記制御装置100は、予め既知とされる、前記搬送コンベア20の搬送速度と前記案内状送出ユニットX0及び前記複数の印刷物送出ユニット(本実施の形態においては前記第1~第8印刷物送出ユニットX1~X8)間の距離とに基づき、対応する印刷物送出ユニットを作動させるタイミングを認識することができる。
【0063】
本実施の形態においては、前記制御装置100は、印刷物送出ユニット(前記例においては、第1~第3印刷物送出ユニットX1~X3)が作動されると、その動作ログを対応する案内状(前記例においては薬局「AAA」用案内状)のピース情報「001」に関連付けて動作ログ情報として記憶する。
【0064】
図6に、前記動作ログ情報の一例の情報テーブルを示す。
図6に示す例においては、前記制御装置100は、前記案内状情報読取手段110からの案内状情報に基づいて認識した薬局「AAA」のピース情報「001」に関連付けた状態で、前記第1印刷物送出ユニットX1の動作ログ「(20200707)/14:30:20」、前記第2印刷物送出ユニットX2の動作ログ「(20200707)/14:30:25」及び前記第3印刷物送出ユニットX3の動作ログ「(20200707)/14:30:30」を記憶している。
なお、動作ログ中の上段の()内の数字は西暦及び年月日を表し、下段は動作時間を表している。
【0065】
前記制御装置100は、前記案内状送出ユニットX0によって案内状250が順次送出される毎に同様の制御を行って、動作ログ情報を記憶する。
【0066】
図6に示す例においては、前記制御装置100は、薬局「CCC」のピース情報「002」に関連付けた状態で、前記第1印刷物送出ユニットX1の動作ログ「(20200707)/14:30:25」及び前記第3印刷物送出ユニットX3の動作ログ「(20200707)/14:30:35」を記憶し、薬局「EEE」のピース情報「003」に関連付けた状態で、前記第1印刷物送出ユニットX1の動作ログ「(20200707)/14:30:30」を記憶している。
【0067】
なお、図6に示す例においては、前記制御装置100は、前記動作ログ情報に、対応する案内状250(前記例においては薬局「AAA」用案内状、薬局「CCC」用案内状及び薬局「EEE」用案内状)を送出した際の前記案内状送出ユニットX0の動作ログを加えている。
【0068】
即ち、制御装置100は、薬局「AAA」用案内状のピース情報「001」、薬局「CCC」用案内状のピース情報「002」及び薬局「EEE」用案内状のピース情報「003」にそれぞれ関連付けた状態で、前記案内状送出ユニットX0の動作ログ「(20200707)/14:30:15」、「(20200707)/14:30:20」及び「(20200707)/14:30:25」を記憶している。
【0069】
図1に示すように、前記封入封緘装置10は、前記封入封緘ユニット30へ前記封筒体200を送り出す封筒体送出ユニット40を有しており、前記封入封緘ユニット30は、前記搬送コンベア20上で丁合された案内状250及び改定書300の丁合物を前記封筒体送出ユニット40から受け取る前記封筒体200に封入封緘する。
【0070】
なお、必要な場合には、前記封入封緘装置10は、前記封入封緘ユニット30によって封入封緘された発送物(前記案内状250及び前記改定書300が封入封緘された前記封筒体200)を上下反転させて、後続する処理へ搬送する。
【0071】
図1中の符号25は、前記搬送コンベア20から前記案内状250及び必要な前記印刷物300の丁合物を受け取り、且つ、前記封筒体送出ユニット40から前記封筒体200を受ける第2搬送コンベアであり、前記封入封緘ユニット30及びこれに後続する処理ユニットは、前記第2コンベア25の搬送方向に沿って配置される。
【0072】
本実施の形態に係る前記発送先照合システム1によれば、前記制御装置100は、前記ピース情報を基準にして、前記封入作業情報の同封種別情報に基づいて認識される改定書300の種別と前記動作ログ情報によって特定される前記印刷物送出ユニットに基づいて認識される改定書300の種別とを照合することができる。
【0073】
従って、複数の送付先(薬局)のそれぞれに、前記案内状250及び必要な印刷物(案内状250及び改定書300)が前記封筒体200に過不足無く封入封緘されているか否かを検出でき、さらには、かかる発送作業が正確に行われたか否かを事後的に検証することができる。
【0074】
図1に示すように、本実施の形態に係る前記発送先照合システム1は、さらに、前記制御装置100からの照合結果等の情報を表示する表示手段105を備えている。
前記表示手段105は、例えば、モニタ又はプリンターとされる。
【0075】
本実施の形態に係る前記発送先照合システム1は、さらに、前記複数の印刷物送出ユニットから送出される印刷物(改定書300)における前記印刷物識別情報330をそれぞれ読み取る複数の印刷物情報読取手段130を備えている。
【0076】
前述の通り、本実施の形態に係る前記発送先照合システム1は、前記第1~第8印刷物排出ユニットX1~X8を有しており、従って、図1に示すように、前記第1~第8印刷物排出ユニットX1~X8のそれぞれに対応した第1~第8印刷物情報読取手段130(1)~130(8)を備えている。
【0077】
この場合、好ましくは、前記制御装置100は、前記第1~第8の印刷物情報読取手段130(1)~130(8)からの印刷物識別情報を前記動作ログに関連付けて記憶するように構成される。
【0078】
即ち、図6に示す例においては、前記制御装置100は、ピース情報「001」に関連付けられた前記第1~第3印刷物送出ユニットX1~X3の動作ログに、それぞれ、対応する前記第1~第3印刷物情報読取手段130(1)~130(3)からの印刷物識別情報を関連付けて記憶する。
【0079】
同様に、前記制御装置100は、ピース情報「002」に関連付けられた前記第1及び第3印刷物送出ユニットX1、X3の動作ログに、それぞれ、対応する前記第1及び第3印刷物情報読取手段130(1)、130(3)からの印刷物識別情報を関連付けて記憶する。
【0080】
また、前記制御装置100は、ピース情報「003」に関連付けられた前記第1印刷物送出ユニットX1の動作ログに、対応する前記第1印刷物情報読取手段130(1)からの印刷物識別情報を関連付けて記憶する。
【0081】
斯かる構成によれば、一の印刷物送出ユニットから送出されて、対応する一の案内状に丁合された改定書が、同封すべき正しい改定書であったことを、より直接的に証明することができる。
【0082】
図2に示すように、本実施の形態においては、前記案内状250には、前記案内状情報255及び前記宛名情報260に加えて、前記視認窓210又は前記封筒体200に別途に設けられた他の視認窓(図示せず)を介して外部から読取可能な位置に前記ピース情報と同一情報を示す識別情報270が機械読取可能な形式で印刷されている。
【0083】
そして、図1に示すように、前記発送先照合システム1は、さらに、前記識別情報270を読み取る出口読取手段150を備えている。
【0084】
この場合、前記制御装置100は、前記封入作業情報における前記ピース情報と前記出口読取手段150によって読み取られる前記識別情報270とを照合するように構成される。
【0085】
斯かる構成によれば、複数の送付先の中で送付漏れが生じたか否かを有効に検出できる。
特に、前記ピース情報が連番とされている場合には、欠番の有無の確認を容易に行うことができる。
【0086】
図1に示すように、前記発送先照合システム1は、さらに、案内状250及び必要な改定書300が封入封緘された封筒体200の重量を測定する重量測定手段170を有している。
【0087】
案内状250、個々の改定書300及び封筒体200の重量は既知であり、さらに、一の封筒体200に封入封緘されている改定書300の種別及び数量も既知であることから、前記制御装置100は、前記重量測定手段170からの重量情報に基づき、当該一の封筒体200に所定の改定書が封入封緘されているか否かを確認することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 発送先照合システム
10 封入封緘装置
20 搬送コンベア
30 封入封緘ユニット
110 案内状情報読取手段
130(1)~130(8) 第1~第8印刷物情報読取手段
150 出口手段
X0 案内状送出ユニット
X1~X8 第1~第8印刷物送出ユニット
200 封筒体
210 視認窓
250 案内状
255 案内状情報
260 宛名情報
270 識別情報
300 改定書(印刷物)
330 印刷物識別情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6