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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031898
(43)【公開日】2022-02-22
(54)【発明の名称】インプラントの設置及び撤去システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20220215BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
A61M37/00 550
A61M5/32 530
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200063
(22)【出願日】2021-12-09
(62)【分割の表示】P 2017562649の分割
【原出願日】2016-06-02
(31)【優先権主張番号】62/170,561
(32)【優先日】2015-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/170,994
(32)【優先日】2015-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516361587
【氏名又は名称】インターシア セラピューティクス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ エス.スミス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アール.コール
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エム.セラーズ
(72)【発明者】
【氏名】スコット ディー.ラウテンバッハ
(72)【発明者】
【氏名】アミー ケー.ウィットソン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ウェバー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】皮膚の外部表面下、規定の深さへのインプラントの設置、及び撤去ツールを提供する。
【解決手段】インプラントを設置するためのシステムにおいて、設置用ツールであって、取っ手部分と、一定の長さと、前記取っ手部分の近くに配置された近位端部と、前記近位端部と反対側の遠位端部と、を有し、移植部位における患者の皮膚内の切開部を介して患者の組織内部に前記インプラントを送達するように構成された、設置用カニューレと、を含む、設置用ツールと、設置用ガイドを含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントを設置するためのシステムにおいて、
設置用ツールであって、
取っ手部分と、
一定の長さと、前記取っ手部分の近くに配置された近位端部と、前記近位端部と反対側の遠位端部と、を有し、移植部位における患者の皮膚内の切開部を介して患者の組織内部に前記インプラントを送達するように構成された、設置用カニューレと、
を含む、設置用ツールと、
設置用ガイドであって、
接触外面及び反対側の非接触外面を有する第1の表面であって、前記第1の表面の前記接触外面は、前記移植部位における前記患者の前記皮膚の表面と接触して配置されるように構成された、第1の表面と、
前記第1の表面の前記接触外面から突出して、前記移植部位における前記患者の前記皮膚の表面と接触して配置されるように構成されたパイロットチューブ部材であって、前記パイロットチューブ部材は、前記パイロットチューブ部材を通るチューブを備え、前記チューブは、前記設置用カニューレの前記遠位端部を収容するように構成された近位端部と、第1の距離のところで前記チューブの前記近位端部から離隔されている遠位端部と、前記第1の表面に対して第2の距離及びある角度のいずれか又は両方のところに配置された長手方向中央軸と、を含む、パイロットチューブ部材と、
を有する設置用ガイドと、
を備え、
前記設置用ガイドが、前記第1の表面の前記接触外面下の前記移植部位における前記患者の前記皮膚の外部表面下の予め定められた設置深さで前記インプラントの移植を実施するために、前記移植部位における前記患者の前記組織内部で前記設置用カニューレを誘導するように構成されており、これによって、前記インプラントの両端部が、等しい深さに配置され、
前記設置用カニューレが、前記パイロットチューブ部材の内部で又は前記パイロットチューブ部材に隣接して、前記設置用ガイドに対して移動可能である、システム。
【請求項2】
前記第1の距離、前記第2の距離及び前記設置用ガイドの前記第1の表面に対する前記チューブの前記長手方向中央軸の前記角度の少なくとも1つは、前記インプラントを前記予め定められた設置深さに送達するために前記設置用カニューレを誘導するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記予め定められた設置深さは、前記患者の前記皮膚の前記外部表面下、約0.5mmないし約4.5mmである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記設置用ガイドは、さらに、視認ウィンドウ又は開口部を含み、前記視認ウィンドウ又は開口部は、前記設置用ガイドの長さ及び幅に沿って延在し、かつ、前記移植部位の周りの皮膚の外部表面領域の目視観察及び/又は触診若しくは触れることを可能にするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記インプラントが浸透圧ミニポンプである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記チューブ内で、前記チューブの前記長手方向中央軸に対して、前記設置用カニューレの時計回り及び反時計回りの回転を可能にするように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
設置用ツールと共に使用するための設置用ガイドにおいて、当該設置用ガイドが、
接触外面及び反対側の非接触外面を有する第1の表面であって、前記第1の表面の前記接触外面は、移植部位における患者の皮膚の表面と接触して配置されるように構成された、第1の表面と、
前記第1の表面の前記接触外面から突出して、前記移植部位における前記患者の前記皮膚の表面と接触して配置されるように構成されたパイロットチューブ部材であって、前記パイロットチューブ部材は、前記パイロットチューブ部材を通るチューブを備え、前記チューブは、組織にインプラントを送達するために前記設置用ツールの設置用カニューレの遠位端部を収容するように構成された近位端部と、第1の距離のところで前記チューブの前記近位端部から離隔されている遠位端部と、前記近位端部から前記遠位端部まで通る長手方向中央軸と、を有する、パイロットチューブ部材と、
を備え、
前記長手方向中央軸が、前記第1の表面に対して第2の距離及びある角度のいずれか又は両方のところに配置されており、
当該設置用ガイドの前記第2の距離又は前記角度のうちの少なくとも1つが、前記第1の表面下の前記移植部位における前記患者の前記皮膚の外部表面下に前記インプラントの移植を実施するために前記移植部位における前記患者の前記組織の内部で前記設置用ツールの前記設置用カニューレを誘導するように構成されており、これによって、前記インプラントの両端部が、等しい深さに設置され、
前記パイロットチューブ部材が、前記パイロットチューブ部材の内部での前記設置用カニューレの回転を可能にするように構成された、設置用ガイド。
【請求項8】
前記第1の表面の長さ及び幅に沿って延在し、かつ、前記移植部位の周りの皮膚の前記外部表面の領域の目視観察及び/又は触診若しくは触れることを可能にするように構成されている、視認ウィンドウ又は開口部をさらに含む、請求項7に記載の設置用ガイド。
【請求項9】
前記設置される深さが、前記患者の前記皮膚の前記外部表面下、約0.5mmないし約4.5mmである、請求項7に記載の設置用ガイド。
【請求項10】
前記パイロットチューブ部材が、前記設置用カニューレを収容しかつ組織内に誘導するように構成されている、請求項7に記載の設置用ガイド。
【請求項11】
前記設置用ガイドは、半透明又は実質的に透明である材料から作られている、請求項7に記載の設置用ガイド。
【請求項12】
前記チューブは、前記第1の表面に対して傾斜して構成されている、請求項7に記載の設置用ガイド。
【請求項13】
前記設置用ガイドが、ユーザによって長手方向又は幅方向に湾曲又は屈曲され得ない、請求項7に記載の設置用ガイド。
【請求項14】
前記設置用カニューレが、前記取っ手部分の内部で及び前記取っ手部分に対して移動可能である、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「皮下インプラント設置システム」という名称の2015年6月3日出願の米国仮特許出願第62/570,561号、及び「皮下インプラント設置システム」という名称の2015年6月4日出願の米国仮特許出願第62/170,994号に対する優先権を請求するものである。本出願は、以下で参照指示されている出願全ての開示全体を参照により本明細書中に組込んでいる。
【0002】
本開示の実施形態は、皮膚の外部表面下、規定の深さにインプラントを設置しそこから撤去するためのシステム、方法及び装置に関する。
【発明の概要】
【0003】
本開示のいくつかの実施形態は、表皮内、表皮下、真皮内、真皮下、皮内及び/又は皮下組織などの、皮膚の外部表面下、組織の内部の規定の深さのところへのインプラントの設置を誘導し、組織内部からインプラントを撤去するためのシステム、方法及び装置を提示する。本明細書中において、システム、方法及び装置は、任意の規定の深さまでのインプラントの設置に適応させることができる。いくつかの実施形態において、設置時点でのインプラントの規定の深さは、ヒトの患者などの患者の皮膚の外部表面下、約0.5mmないし約4.5mm、約1mmないし約4mm、約1.5mmないし約3mmである。いくつかの実施形態においては、表皮内、表皮下、真皮内、真皮下、皮内及び/又は皮下組織の深さ内又はそれらの間へのインプラントの設置を誘導するためのシステム、方法及び装置が提供される。
【0004】
いくつかの実施形態においては、取っ手部分と、取っ手部分の内部で又は取っ手部分に隣接して、かつ、取っ手部分に対して、移動可能である、設置用カニューレと、を含む設置用ツールを含み、皮膚の外部表面下、既定の深さのところにインプラントを設置するためのシステムが提供される。カニューレは、一定の長さと、取っ手部分の近くに配置された近位端部と、近位端部と反対側の遠位端部と、を有し、かつ、患者の皮膚の外部表面下、既定の深さまでのインプラントの設置を管理し限定するように構成されている。設置は、移植部位における患者の皮膚の外部表面の切開部を介して行なわれる。
【0005】
システムは同様に、第1の表面及びパイロットチューブを有する設置用ガイドを含む。パイロットチューブは、設置用カニューレの遠位端部を収容するように構成されたパイロット穴を伴う近位端部と、第1の距離のところで近位端部から離隔されている遠位端部と、第1の表面に対して第2の距離及び1つの角度のいずれか又は両方のところに配置された長手方向中央軸と、を含む。設置用ガイドは、既定の設置深さまでのインプラントの設置を制御し限定するために組織内の切開部の内部で設置用カニューレを誘導するように構成されている。切開部内へのカニューレの挿入中、カニューレからのインプラントの放出に先立って、取っ手部分及びカニューレは、術者によって、設置用ガイド上へのパイロットチューブの中央長手方向軸に対して時計回り又は反時計回り方向に、例えば、約9時から約3時までの間、約10時と約2時の間又は約11時から約1時までの間の区間又は範囲内で正転又は逆転され得る。設置用ガイドが患者の皮膚の外部表面上で回転することなく実質的に静止状態にとどまる一方で、上記のような回転は、皮膚の外部表面下、患者の組織内へのカニューレの制御された適切な進捗を促進する。こうして、いくつかの実施形態において、設置用ガイドは、設置用ガイドのパイロットチューブ内部におけるカニューレの実質的に自由な回転を可能にするように構成されている。いくつかの実施形態においては、表皮内、表皮下、真皮内、真皮下、皮内、及び/又は、皮下組織の内部及び/又は間に、インプラントを設置するためのシステムが提供される。
【0006】
このようなシステム(及び他の実施形態)においては、以下の特徴が含められる場合がある:
第1の距離、第2の距離及び角度の少なくとも1つは、設置用カニューレを誘導しインプラントを、患者の皮膚の外部表面下、規定の深さに送達するように構成されている。
設置用ガイドは、設置用ガイドの長手及び幅に沿って延在し、かつ、インプラントが挿入されつつある部位の周りの皮膚の領域の視認及び/又は動悸を可能にするように構成されている、視認ウィンドウ又は開口部、をさらに含む。
インプラントは、例えば移植可能な浸透圧ミニポンプなどの任意のインプラントであってよい。
規定の深さは、患者の皮膚の外部表面下、約0.5mmないし約4.5mm、約1mmないし約4mm、約1.5mmないし約3mmである。
パイロットチューブは、設置用カニューレを組織内に収容し誘導するように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態においては、インプラントを設置し、(例えば本明細書中で開示されている実施形態に係る)設置用システムを提供するステップを含む。いくつかの実施形態において、インプラントを設置するための方法は、インプラントを設置用カニューレの遠位端部内に装填するステップ、移植部位で皮膚内に切開部を創出するステップ、パイロットチューブの遠位端部が切開部と整列するような形で、移植部位に設置用ガイドを配置するステップ、パイロットチューブの近位端部内に装填済み設置用カニューレの遠位端部を挿入するステップ、設置用カニューレの遠位端部が切開部内及び切開部の下の及び/又は切開部に隣接した組織内へとさらに遠くに誘導されるような形で、取っ手部分の少なくとも一部分がパイロットチューブの近位端部の近傍に来るまで、パイロットチューブに対して設置用カニューレを移動させるステップ、設置用カニューレからインプラントを放出するステップと、患者の皮膚から設置用カニューレを撤去するステップ、及び、患者の皮膚から設置用ガイドを撤去するステップ、のうちの少なくとも1つをさらに含む。いくつかの実施形態において、設置用カニューレは、取っ手部分及びカニューレの回転時に、皮膚の外部表面下、規定の深さのところで、切開部の中をさらに遠くまで適切に誘導される。いくつかの実施形態においては、規定の深さにインプラントを設置するための方法が提供される。いくつかの実施形態においては、表皮内、表皮下、真皮内、真皮下、皮内及び/又は皮下組織内又はそれらの間にインプラントを設置するための方法が提供される。
【0008】
上述の方法の実施形態は、さらに、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでいてよい:
切開部の創出に先立って、該方法は、移植部位において皮膚を清浄するステップと、切開部を作製するために皮膚にマーキングを行なうステップと、マークの付近に局所麻酔薬を注入するステップと、をさらに含む。
設置用カニューレの解放及び/若しくは撤去、並びに/又は、設置用ガイドの撤去、の後に、該方法は、切開部を清浄するステップと、切開部に対し圧力を加えるステップと、切開部の少なくとも一方の側に接着剤を塗布するステップと、切開部を閉鎖するステップと、のうちの少なくとも1つをさらに含む。
設置深さは、患者の皮膚の外部表面下、約0.5mmないし約4.5mm、約1mmないし約4mm、約1.5mmないし約3mmである。
【0009】
インプラントを設置するためのいくつかの実施形態において、インプラントの両方の端部は、実質的に同一である規定の深さに設置され、その結果、インプラントは実質的に平らに設置されることになる。換言すると、インプラントの各端部は、他方の端部の約0.5mm、約0.4mm、約0.3mm、約0.2mm又は約0.1mm以内の既定の深さのところに設置される。
【0010】
いくつかの実施形態においては、インプラント設置用ツールと共に使用するための設置用ガイド装置が提供され、設置用ガイド装置は、第1の表面と、中央長手方向軸を有するパイロットチューブと、を含む。チューブは、組織にインプラントを送達するために設置用カニューレの遠位端部を収容するように構成された近位端部と、第1の距離のところで近位端部から離隔されている遠位端部と、を含む。第1の表面に対して第2の距離及び1つの角度のいずれか又は両方のところに配置された長手方向軸及び設置用ガイドは、患者の皮膚の外部表面下の規定の設置深さでインプラントの移植を実施するために組織内部で設置用ツールの設置用カニューレを誘導するように構成されている。いくつかの実施形態において、設置用ガイドは、半透明又は実質的に透明である材料(例えば医療グレードのプラスチック)から作られている。いくつかの実施形態において、設置用ガイドは実質的に剛性である。例えば、いくつかの実施形態において、設置用ガイドは、正常な使用中にユーザが長手方向及び/又は幅方向に実質的に湾曲、歪曲又は屈曲を加えることができない程度に充分な剛性を有する。いくつかの実施形態においては、設置用ガイド装置が、設置用ツールと共に使用するために提供される。いくつかの実施形態においては、表皮内、表皮下、真皮内、真皮下、皮内及び/又は皮下組織内又はそれらの間にインプラントを設置するために、設置用ガイド装置が提供される。
【0011】
いくつかの実施形態に係る設置用ガイドは、以下の特徴のうちの1つ及び/又は別のものを含んでよい:
第1の表面の長手及び幅に沿って延在し、かつ、インプラントが挿入されつつある部位の周りの皮膚の領域の視認及び/又は動悸を可能にするように構成されている、視認ウィンドウ又は開口部を含む。
設置用ガイドは、患者の皮膚の外部表面下、約0.5mmないし約4.5mm、約1mmないし約4mm、好ましくは約1.5mmないし約3mmの設置深さを提供するように構成されている。
パイロットチューブは、設置用カニューレを組織内に収容し誘導するように構成されている。
ガイドの剛性、第1の距離、第2の距離及び角度のうちの少なくとも1つは、設置用カニューレを誘導し、規定の設置深さにおいてインプラントを送達するように適切に設計される。
【0012】
設置用ガイドは概して、設置用ガイドのパイロット穴/パイロットチューブ内部でのカニューレの実質的に自由な回転を可能にするように構成されている。インプラント設置処置中、この特徴は、術者が、ガイドの阻止を全く又は最小限にしか受けない状態で組織を通ってカニューレを素早く回転させることによって、組織を通って好適、安全かつ正確に設置経路を創出できるようにする。説明された設置用ガイドを伴うシステムを用いたインプラントの設置は、患者への損傷及び皮下出血が最小限しか又は全く無い状態で行なわれることが発見された。
【0013】
他の場合では、例えば固定型ガイド部分を有する「モノブロック設置用ツール」などのさらに扱いにくい設置用ツール、及び固定型ガイドに対して自由に回転できないカニューレを用いて行なわれるインプラントの設置中に患者に対するこのような損傷及び皮下出血が発生し得る。このような固定型ガイド部分を有する扱いにくいモノブロック設置用ツール、及び固定型ガイドに対して自由に回転できないカニューレを用いたインプラントの設置は、ツールが固定されているためにカニューレの動作が制限された状態で進捗する。挿入処置中のカニューレの動作が制限されている結果として、組織を通って設置経路を創出するために過度の又は誤った方向の力が用いられることになり、これは、患者に対する損傷及び/又は皮下出血を結果としてもたらす場合がある。
【0014】
これに対して、ここで説明するシステムは、ガイドとは独立したカニューレの回転を可能にする設置用ガイドのパイロット穴/パイロットチューブの内部でのカニューレの実質的に自由な回転、ひいては設置用ツール/システムの比較的素早い操作を可能にするように構成された設置用ガイドを有する。切開部内へのカニューレの挿入中、カニューレからのインプラントの放出に先立って、取っ手部分及びカニューレは、術者によって、設置用ガイド上へのパイロットチューブの中央長手方向軸に対して時計回り又は反時計回り方向に、例えば、約9時から約3時までの間、約10時と約2時の間又は約11時から約1時までの間の区間又は範囲内で正転又は逆転され得る。ここで説明される設置用ツール内でのカニューレの回転は、設置用ガイドとは独立して起こり、設置用ガイドは、切開部位における皮膚の外部表面上で実質的に静止した状態にとどまりしたがって切開部位において組織を前後に引っ張ることがない。設置用ガイドのパイロットチューブの内部、すなわちここで説明される設置用ツール内におけるカニューレの自由な回転により、術者は、カニューレの挿入路を最適に制御しながら、繊維性結合組織内においてでさえ、組織内にカニューレを漸進的に穏やかに進ませることができる。こうして、ここで説明される設置用ツール及び設置用ガイドは、組織内へのカニューレの好適、安全かつ正確な設置を可能にする。ここで説明される設置用ツール及び設置用ガイドは同様に、患者間で異なるタイプの組織中にインプラントを挿入する際に遭遇する問題点を軽減する。
【0015】
いくつかの実施形態においては、第1のアームと、少なくとも使用中は第1のアームから離隔されこの第1のアームに対し実質的に平行であるように構成された第2のアームと、第1のアームの遠位端部に配置された第1の開口部と、第2のアームの遠位端部に配置された第2の開口部と、を含むインプラント撤去用ツールが提供される。本明細書中で使用される、第1及び第2のアームに関する「実質的に平行な」なる用語は、第1及び第2のアームが、完璧に平行である必要はなく、むしろ例えば使用に先立ち装置が開放配向にあり第1及び第2の開口部を概して互いから離れるように指向させている場合などに、互いに実質的に平行に配向されてよい、ということを意味する。代替的には、第1及び第2のアームは同様に、アームが接近させられている使用中、装置が閉鎖配向にあるときに互いに実質的に平行に配向されており、第1及び第2の開口部を概して互いに向かって指向させている。
【0016】
第1の開口部は、移植されたインプラントの第1の端部を包囲又は他の形で捕捉するように構成され、第2の開口部は、移植されたインプラントの第2の端部を包囲又は他の形で捕捉するように構成されている。ツールは、同様に、アームが接近させられユーザの所望の離隔距離に達するにつれて第1のアームと第2のアームの間の距離を維持するように構成されている係止用装置を含んでよい。係止用装置は、ユーザ/術者が撤去用ツールに関してハンズフリーで後続するステップ(例えば切開及び/又は切開部からのインプラントの撤去)を実施することを可能にする。いくつかの実施形態においては、表皮内、表皮下、真皮内、真皮下、皮内及び/又は皮下の組織からインプラントを撤去するためのインプラント撤去用ツールが提供される。
【0017】
いくつかの実施形態において、インプラント撤去用ツールは、以下の特徴の1つ及び/又は別のものを含んでいてよい:
第1及び第2のアームを連結するための連結用構造。
ラチェット機構又は摺動摩擦係止機構を含むものなどの、任意の係止用装置(いくつかの実施形態において、係止用装置は連結用構造を含み得る)。
第1及び第2の開口部は、ステンレス鋼ワイヤから形成される。
第1の開口部及び第2の開口部は、例えば丸形、方形又は卵形形状などの任意の形状であることができる。
第1の開口部は、ステンレス鋼ワイヤの第1の端部に形成され、第2の開口部は、ステンレス鋼ワイヤの第2の端部に形成される。
ワイヤは、第1のアーム及び第2のアームを含む、又は、第1のアーム及び第2のアームに取付けられている。
連結用構造は、バネ、コイル状ワイヤなどを含む。
第1のアームに取付けられた第1の握りと第2のアームに取付けられた第2の握りとを含む取っ手。
第1のアームと第2のアームの間でステンレス鋼ワイヤに沿って位置するコネクタ部品。
【0018】
いくつかの実施形態においては、インプラントを撤去するための方法が提供されており、この方法は、(例えば開示された実施形態に係る)撤去用ツールを提供するステップを含んでいる。いくつかの実施形態において、該方法はさらに、インプラントの第1の端部の近くで患者の皮膚の外部表面において撤去用ツールの第1のアームを配置するステップ、及び、インプラントの第1の端部及び近接する皮膚を第1の開口部の内部に包囲する又は他の形で捕捉するステップ、並びに、インプラントの第2の端部の近くで患者の皮膚の外部表面において撤去用ツールの第2のアームを配置するステップ、及び、インプラントの第2の端部及び近接する皮膚を第2の開口部の内部に包囲する又は他の形で捕捉するステップ、のうちの少なくとも1つを含む。インプラントの第1及び第2の端部における撤去用ツールの第1及び第2のアームの配置ステップは、(好ましくは)同時に、あるいは逐次的に行なわれてよい。いくつかの実施形態において、各々の端部は、同じ機能を実施するように構成され、同一である又は実質的に同一である。該方法は同様に、第1のアーム及び第2のアームを共に第1の位置に向かって押し合わせる又は他の形で強制するステップを含み、第1のアーム及び第2のアームが第1の位置に来た時点で、インプラントは、インプラントの少なくとも1つの端部、好ましくは両方の端部において又はその周りにおいて皮膚の中にテント状の部分を創出する。係止用装置は、ユーザ/術者が撤去用ツールに関してハンズフリーで後続するステップ(例えば切開及び/又は切開部からのインプラントの撤去)を実施できるようにするために係合され得る。
【0019】
その後、いずれかの端部又はその周りで皮膚の中のテント状の部分の内側又はその近くで、患者の皮膚内に切開を行なうことができる。切開が行なわれた時点で、切開部近くのインプラントの端部は、皮膚から外に突出でき、ここで、この端部は鉗子などによって取り込まれ得る。いくつかの実施形態において、切開が行なわれたところとは反対側のインプラントの端部にある撤去用ツールのアームは、第1の位置にある間に、少なくともインプラントの端部を切開部から押し出させる。他の実施形態において、第1のアーム及び第2のアームを共に第2の位置に向かってさらに押し合わせることにより、少なくともインプラントの端部は切開部から押し出されることになる。例えば図13を参照のこと。いくつかの実施形態においては、表皮内、表皮下、真皮内、真皮下、皮内及び/又は皮下組織からインプラントを撤去するための方法が提供される。
【0020】
いくつかの実施形態において、このような方法はさらに、以下の特徴のうちの1つ及び/又は別のものを含んでいてよい:
第1の位置は、第2の位置よりも幅広の第1及び第2のアームの構成である。
係止用装置は、切開部が創出される間、第1のアーム及び第2のアームを第1の位置に保持する。
第2の位置に到達するための第1のアーム及び第2のアームの押し合わせは、第1の位置で始まり、第2の位置で終る。
係止用装置は、第1のアーム及び第2のアームを第1及び第2の位置に保持する。
【0021】
いくつかの実施形態においては、インプラントを設置するためのキットが提供されており、このキットは、(例えばガンマ放射線による)無菌インプラント及びインプラントを設置するための本明細書に記載の無菌インプラント設置用システムを含む。いくつかの実施形態において、キットは、さらに使用説明書を含むことができる。いくつかの実施形態において、無菌インプラントは、密封されたガラス製バイアル瓶に入ってキット内に格納される。いくつかの実施形態において、無菌インプラント設置用システムは、本明細書中に記載の無菌設置用ガイド及び無菌設置用ツールを含む。いくつかの実施形態において、キット内の各品目は、使い捨てとして意図されている。いくつかの実施形態においてにおいて、無菌インプラントは、患者に割当てられた一意的参照番号を含む。いくつかの実施形態においては、表皮内、表皮下、真皮内、真皮下、皮内及び/又は皮下組織内又はそれらの間へのインプラントの設置用のキットが提供される。
【0022】
いくつかの実施形態において、キットはさらに、1つ以上のパッケージに入って、以下の無菌品目のうちの1つ及び/又は別のものを含んでいてよい:
外科用メス、止血剤、ガーゼ、Steri-Strips(商標)などのテープ、液体皮膚接着剤、包帯、シリンジ、針、ドレープ(有窓又は無窓)、無菌手袋、アルコールプレップパッドなどの消毒剤、リドカインなどの麻酔薬、定規、綿棒、目視基準ガイド及びパーマネントマーカなどの筆記具。
【0023】
いくつかの実施形態において、キット及びその内容物は無菌であることから、感染のリスクは最小限に抑えられ、術者は、無菌領域(すなわち術野)を好適に配置することができ、この領域から患者の体内にインプラントを安全かつ適切に設置(すなわち挿入)することができる。
【0024】
これらの及び他の実施形態、目的、利点及び特徴は、添付図面及び詳細な説明を参照することで、さらに一層明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】いくつかの実施形態に係るインプラント設置用システムの構造の分解組立図を描写する図である。
図1B】いくつかの実施形態に係るインプラント設置用システムの構造の分解組立図を描写する図である。
図2A】いくつかの実施形態に係るインプラント設置用システムの構造を描写する図である。
図2B】いくつかの実施形態に係るインプラント設置用システムの構造を描写する図である。
図3A】いくつかの実施形態に係るインプラント設置用システムの構造を断面図で描写する図である。
図3B】いくつかの実施形態に係るインプラント設置用システムの構造を断面図で描写する図である。
図4A】いくつかの実施形態に係るインプラント設置用システムの構造のさまざまな図を描写する図である。
図4B】いくつかの実施形態に係るインプラント設置用システムの構造のさまざまな図を描写する図である。
図4C】いくつかの実施形態に係るインプラント設置用システムの構造のさまざまな図を描写する図である。
図5A】いくつかの実施形態に係るインプラント設置用ガイドの構造のさまざまな図を描写する図である。
図5B】いくつかの実施形態に係るインプラント設置用ガイドの構造のさまざまな図を描写する図である。
図5C】いくつかの実施形態に係るインプラント設置用ガイドの構造のさまざまな図を描写する図である。
図5D】いくつかの実施形態に係るインプラント設置用ガイドの構造のさまざまな図を描写する図である。
図5E】いくつかの実施形態に係るインプラント設置用ガイドの構造のさまざまな図を描写する図である。
図6】いくつかの実施形態に係る側面図で示されたインプラント撤去用ツールの構造を描写する図である。
図7】いくつかの実施形態に係る前面図で示されたインプラント撤去用ツールの構造を描写する図である。
図8】いくつかの実施形態に係る上面図で示されたインプラント撤去用ツールの構造を描写する図である。
図9】いくつかの実施形態に係る代替的図で示されたインプラント撤去用ツールの構造を描写する図である。
図10A】いくつかの実施形態に係る、アームが開放配向にある状態でのインプラント撤去用ツールの図である。
図10B】いくつかの実施形態に係る、アームが開放配向にある状態でのインプラント撤去用ツール及び摺動摩擦係止機構の図である。
図10C】いくつかの実施形態に係る、アームが閉鎖配向にある状態でのインプラント撤去用ツール及び摺動摩擦係止機構の図である。
図10D】いくつかの実施形態に係る、摺動摩擦係止機構の側面図の図である。
図10E】いくつかの実施形態に係る、摺動摩擦係止機構の上面図の図である。
図11A】患者の皮膚表面の挿入点への設置用ツールカニューレの設置を描写する、いくつかの実施形態に係る図である。
図11B】インプラントが適切に位置設定されインプラントが規定の設置深さでカニューレから組織内にいつでも放出され得る状態にあることを知らせる設置用ツールカニューレ上のインジケータバンドの挿入点到達時点(その後、カニューレを切開部から撤去することができる)に至るまでの、患者の皮膚の外部表面下へのカニューレ及びインプラントのさらなる設置を描写する、いくつかの実施形態に係る図である。
図12A】撤去用ツールのアームと共に、インプラントの両方(すなわち近位及び遠位)の端部の「テント状の部分の創出」の初期段階と近接する皮膚を描写する、いくつかの実施形態に係る図である。
図12B】インプラントの両方の端部の周りに形成されつつある2つのテント状の部分の側面図の、いくつかの実施形態に係る図である。
図13】撤去用ツールのアームと共に、インプラントの両方(すなわち近位及び遠位)の端部のテント状の部分の創出に続いて、テント状にされた一方の端部において作製された切開部から出現するインプラント、及び近接する皮膚を描写する、いくつかの実施形態に係る図である。切開部は、比較的閉じた位置又は配向の撤去用ツールに対して「ハンズフリー」で作成される。
図14】図示され説明されている設置用ガイドの、いくつかの実施形態に係る図である。
図15】いくつかの実施形態に係る追加のインプラント撤去用ツールを描写する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示のいくつかの実施形態は、患者の皮膚の外部表面下(例えば腹領域内)、約0.5mmないし約4.5mm、約1mmないし約4mm、約1.5mmないし約3mmの既定の深さにおける、円筒形又は柱状のインプラント(例えば浸透圧ポンプ)であり得るインプラントの設置(すなわち本明細書では代替的に送達又は移植とも呼ばれている)を補助するように構成された設置用ガイドを含む、インプラント設置用システムを提示する。
【0027】
典型的には、インプラントは、薬剤の皮下投与を提供するために患者の皮膚の外部表面下に設置(すなわち移植)される。インプラントは、いずれか若しくは両方の脚、いずれか若しくは両方の腕(例えば上腕の内側、外側又は裏側)、又は、背若しくは腹を含む、皮膚の外部表面下のほぼあらゆる場所に、既定の深さで設置することができる。いくつかの実施形態において、インプラントは、肋骨より下方でベルトラインより上方に延在する領域内で皮膚の外部表面下で、腹領域内で腹部組織の中に設置されてよい。腹部内に1つ以上の浸透圧送達装置を設置するための一定数の場所を提供する目的で、腹壁を、以下の4つの四分円に分割することができる。すなわち、右肋骨の下方に約5ないし8センチメートルかつ正中線の右側に約5ないし8センチメートル延在する右上四分円、ベルトラインの上方に約5ないし8センチメートルかつ正中線の右側に約5ないし8センチメートル延在する右下四分円、左肋骨の下方に約5ないし8センチメートルかつ正中線の左側に約5ないし8センチメートルに延在する左上四分円、及び、ベルトラインの上方に約5ないし8センチメートルかつ正中線の左側に約5ないし8センチメートル延在する左下四分円、である。これにより、1回以上の機会に1つ以上の装置を移植するために利用可能な多数の場所が提供される。インプラントの設置及び撤去は、概して、局所麻酔(例えばリドカイン)を用いて医療専門家により実施される。
【0028】
いくつかの実施形態において、インプラントが設置される既定の深さは、皮膚表面より下の平均深さとして説明され、ここでこの平均深さは、挿入されたインプラントの両端部(すなわち近位端部及び遠位端部)の測定された深さ(例えば超音波技術による)から計算可能である。本開示の設置用ガイドを含むものを包含する、本開示の設置用システム、方法及び装置は、患者の皮膚の外部表面下の事実上あらゆる「規定深さ」までインプラントを提供するように適応可能である。いくつかの実施形態において、開示された設置用システムは、皮膚の外部表面下の任意の特定の深さまでインプラントを送達するように構成されている。いくつかの実施形態において、既定の深さは、皮膚の外部表面下、約5mm未満である。いくつかの実施形態において、既定の深さは、患者の皮膚の外部表面下、約0.5mmないし約4.5mmである。いくつかの実施形態において、既定の深さは、患者の皮膚の外部表面下、約1mmないし約4mmである。いくつかの実施形態において、既定の深さは、患者の皮膚の外部表面下、約1.5mmないし約3mmである。
【0029】
いくつかの実施形態において、インプラントは、金属外装(例えばチタン又はチタン合金)を含む浸透圧ポンプである。いくつかの実施形態において、インプラントは、インスリン分泌刺激ペプチド(例えば合成エキセナチド、エキセンジン-4)を含む浸透圧ポンプである。いくつかの実施形態において、インスリン分泌刺激ペプチドはエキセンジン-4である。いくつかの実施形態において、インスリン分泌刺激ペプチドはエキセナチドである。いくつかの実施形態において、インスリン分泌刺激ペプチドは安定剤と共に処方される。いくつかの実施形態において、安定剤は、炭水化物(例えばスクロース)、酸化防止剤(例えばメチオニン)及び緩衝液(例えばクエン酸ナトリウム/クエン酸)を含むか又はこれらで構成される。インプラントは、複数の他の治療、薬剤などのうちの1つ又は複数を含んでいてよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、インプラントは、少なくとも約3ヵ月間、約20mcg/日、少なくとも約6ヵ月間、約40mcg/日、若しくは、少なくとも約6ヵ月間、約60mcg/日というインスリン分泌刺激ペプチド(例えば合成エキセナチド、エキセンジン-4)の持続(例えば連続)インビトロ放出速度、又は、少なくとも約3ヵ月ないし少なくとも約6ヵ月間、約20mcg/日ないし約60mcg/日というインビトロ放出速度を提供する浸透圧ポンプである。
【0031】
本明細書中で使用される「連続送達」なる用語は、例えば表皮内、表皮下、真皮内、真皮下、皮内及び/又は皮下組織などの移植部位に近い組織内への浸透圧送達装置からの薬剤の実質的に連続した放出を意味し得る。例えば、浸透圧送達装置は、浸透作用の原理に基づいて本質的に既定の速度で1つ以上の薬剤を放出することができる。細胞外流体は、半透膜を通って浸透圧送達装置内の直接浸透圧エンジン内へと入り、この浸透圧エンジンは膨張して、一貫した低い走行速度でピストンを駆動する。ピストンの運動は、薬剤調合物を強制的に拡散モデレータのオリフィスを通して放出させる。こうして浸透圧送達装置からの薬剤の放出は、制御下の一貫した低速度で行なわれる。
【0032】
移植可能な浸透圧送達装置を用いたエキセナチド又はエキセンジン-4の連続的送達は、治療を必要とする対象にとって以下のメリットを提供することができる:2型真性糖尿病の治療、(例えばグルコース値、HbAlc及び/又はフルクトサミンにより測定される)血糖管理の改善、HbAlcの削減、空腹時血漿グルコース値の削減、食後血中グルコース値の削減、定期的な(例えば一日2回)注射に関連する不利な消化管事象(例えば吐き気及び嘔吐)の削減、体重減少、LDL-Cの削減、収縮期血圧の低下、高血圧の治療、フルクトサミン値の削減、治療を受ける対象の生活の質の改善など。他の1つ以上の利益も同様に達成可能である。
【0033】
さらに、インスリン分泌刺激ペプチド(例えばエキセナチド、エキセンジン-4)の連続送達は、以下の方法の実施において使用可能である:肥満の治療、食欲管理、カロリー摂取の削減、食物摂取の削減、食欲の抑制、耐糖能異常の治療、食後高血糖の治療、食後ダンピング症候群の治療、高血糖状態の治療、トリグリセリドの削減、コレステロールの削減、尿流量の増大、尿中カリウム濃度の低下、毒性循環血漿量過多の軽減、急速利尿の誘発、手術前患者準備、術後患者処置、腎血漿流量及び糸球体ろ過率の増加、妊娠中の子癇前症又は子癇の治療、心筋収縮能の増大、腎不全の治療、うっ血性心不全の治療、ネフローゼ症候群の治療、肺水腫の治療、全身性浮腫の治療、肝硬変の治療、耐糖能異常の治療、前糖尿病(正常値より高いものの糖尿病と診断されるほどにはまだ高くない血中グルコース値)の治療、I型真性糖尿病の治療(例えばインスリンとの組合せ)、耐糖能異常に起因する心血管系イベントのリスク削減、耐糖能異常に起因する脳血管イベントのリスク削減、糖尿病の進行遅延、糖尿病の改善、糖尿病発症の遅延、β細胞保存の誘発及びβ細胞機能性の回復、正常血糖の回復、正常血糖値管理の提供、末梢血管疾患の治療、急性冠不全症候群の治療、心筋症の治療、妊娠性糖尿病の治療、多嚢胞性卵巣症候群の治療、腎症の治療又は予防、並びに、さまざまな疾患又は身体条件により誘発された糖尿病の治療(例えば、ステロイド誘発性糖尿病、ヒト免疫不全ウイルス治療誘発性糖尿病、成人における潜伏自己免疫性糖尿病、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患、無自覚性低血糖、拘束性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患、心血管疾患、例えば心不全、アテローム性動脈硬化症及び急性冠不全症候群、皮下脂肪委縮症、メタボリックシンドローム、アルツハイマー病の治療)など。
【0034】
インプラントは、皮膚の表面下に挿入するように意図されたあらゆるタイプのインプラントであってよい。いくつかの実施形態において、インプラントは、円筒形又は柱状のインプラントである。いくつかの実施形態において、インプラントは浸透圧ポンプ以外のものである。例えばいくつかの実施形態において、インプラントは、拡散律速インプラントである。拡散律速インプラントは、例えば、活性物質の実質的に恒常な投与量を提供するためにインプラントから拡散する活性物質の固形剤型を有するポリマーマトリクスコアを含むことができる。拡散律速インプラントは、例えば、活性物質を拡散する熱可塑性物質などの実質的に又は完全に無孔のポリマーマトリクスを含むことができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、拡散律速インプラントは、円筒形又は柱状のインプラントである。いくつかの実施形態において、拡散律速インプラントは、活性物質として避妊薬を格納する。いくつかの実施形態において、拡散律速インプラントは、オピオイド依存、パーキンソン病、甲状腺機能低下症などを治療する上で使用するための活性物質を格納する。
【0036】
インプラントは、患者、特にヒトの患者の体内に挿入するために好適な任意のサイズを有していてよい。インプラントのサイズは、例えば、幅(例えば直径)約1mmないし約6mm、長さ約10mmないし約60mmの範囲内であってよい。いくつかの実施形態において、インプラントの幅は、約1mmないし約2mm、約2mmないし約3mm、約3mmないし約4mm、又は約5mmないし約6mmであってよい。いくつかの実施形態において、インプラントの長さは、約10mmないし約20mm、約20mmないし約30mm、30mmないし40mm、約40mmないし約50mm、約50mmないし約60mmである。いくつかの実施形態において、インプラントの直径(すなわち幅)は約4mm、長さは約44mmである。本明細書中、方法及び装置は、実質的に円筒形若しくは柱状のインプラントを含む任意の形状を有する、又は、撤去用ツールを用いて皮膚下でのテンティングを受容できる形状を有する、あらゆるインプラントの設置用に適応可能である。移植/撤去のために好適なサイズを有する任意の装置/インプラントを使用することができる。
【0037】
一態様では、インプラントを設置するためのシステムにおいて、取っ手部分と、取っ手部分の内部で又は取っ手部分に隣接してかつ取っ手部分に対して移動可能である設置用カニューレであって、一定の長さと、取っ手部分の近くに配置された近位端部と、近位端部と反対側の遠位端部を有し、移植部位における患者の皮膚内の切開部を介して患者の組織内部にインプラントを送達するように構成された、カニューレと、を含む、設置用ツールと、第1の表面及びパイロットチューブを有する設置用ガイドであって、チューブが、設置用カニューレの遠位端部を収容するように構成された近位端部と、第1の距離のところで近位端部から離隔されている遠位端部と、第1の表面に対して第2の距離及び1つの角度のいずれか又は両方のところに配置された長手方向中央軸と、を含み、当該設置用ガイドが、患者の皮膚の外部表面下の規定の設置深さでインプラントの移植を実施するために組織内部で設置用カニューレを誘導するように構成されている、設置用ガイドと、を含む、システムが提供される。
【0038】
システムのいくつかの実施形態において、第1の距離、第2の距離及び角度の少なくとも1つは、設置用カニューレを誘導しかつインプラントを規定の設置深さに送達するように構成されている。システムのいくつかの実施形態において、規定の設置深さは、患者の皮膚の外部表面下、約0.5mmないし約4.5mmである。システムのいくつかの実施形態において、設置用ガイドは、さらに、視認ウィンドウ又は開口部を含み、これらの視認ウィンドウ又は開口部は、設置用ガイドの長手及び幅に沿って延在し、かつ、移植部位の周りの皮膚の外部表面領域の目視観察及び/又は動悸を可能にするように構成されている。
【0039】
システムのいくつかの実施形態において、設置用ガイドは、さらに、視認開口部を含み、これらの視認開口部は、設置用ガイドの長手及び幅に沿って延在し、かつ、移植部位の周りの皮膚の外部表面領域の目視観察及び動悸を可能にするように構成されている。システムのいくつかの実施形態において、インプラントは浸透圧ミニポンプである。システムのいくつかの実施形態において、設置用カニューレがパイロットチューブ内で回転できるように構成されている。
【0040】
別の態様では、本発明に記載の設置用システムを提供するステップを含む、インプラントを設置するための方法が提供される。いくつかの実施形態において、該方法は、インプラントを設置用カニューレの遠位端部内に装填するステップ、移植部位で皮膚内に切開部を創出するステップ、パイロットチューブの遠位端部が切開部と整列するような形で、移植部位に設置用ガイドを配置するステップ、パイロットチューブの近位端部内に装填済み設置用カニューレの遠位端部を挿入するステップ、設置用カニューレの遠位端部が切開部内及び切開部の下の及び/又は切開部に隣接した組織内へとさらに遠くに誘導されるような形で、取っ手部分の少なくとも一部分がパイロットチューブの近位端部の近傍に来るまで、パイロットチューブに対して設置用カニューレを移動させるステップ、設置用カニューレからインプラントを放出するステップ、患者の皮膚から設置用カニューレを撤去するステップ、及び患者の皮膚から設置用ガイドを撤去するステップ、のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0041】
インプラントを設置するための方法のいくつかの実施形態において、設置用カニューレは、パイロットチューブ内部で取っ手部分及び設置用カニューレを回転させながら、切開部内及び組織内に誘導される。いくつかの実施形態において、切開部の創出に先立って、該方法は、移植部位において皮膚を清浄するステップと、切開部を作製するために皮膚にマーキングを行なうステップと:マークの付近に局所麻酔薬を注入するステップと、をさらに含む。
【0042】
インプラントを設置する他の方法のいくつかの実施形態において、設置用カニューレの放出及び/若しくは撤去、並びに/又は、設置ガイドの撤去の後、該方法は、切開部を清浄するステップと、切開部に対し圧力を加えるステップと、切開部の少なくとも一方の側に接着剤を塗布するステップと、切開部を閉鎖するステップと、のうちの少なくとも1つをさらに含む。該方法のいくつかの実施形態において、インプラントは、規定の深さで設置用カニューレから放出される。該方法のいくつかの実施形態において、規定の深さは、患者の皮膚の外部表面下、約0.5mmないし約4.5mmである。該方法のいくつかの実施形態において、インプラントの両方の端部は、実質的に同じである規定の深さに設置される。該方法のいくつかの実施形態において、インプラントの両方の端部は、互いから約0.3mm以内である規定の深さのところに設置される。
【0043】
別の態様では、設置用ツールと共に使用するための設置用ガイド装置において、ガイドが、第1の表面と、中央長手方向軸を有するパイロットチューブであって、チューブが、組織にインプラントを送達するために設置用カニューレの遠位端部を収容するように構成された近位端部と、第1の距離のところで近位端部から離隔されている遠位端部と、第1の表面に対して第2の距離及び1つの角度のいずれか又は両方のところに配置された長手方向軸と、を含み、設置用ガイドが、患者の皮膚の外部表面下の規定の設置深さでインプラントの移植を実施するために組織内部で設置用ツールの設置用カニューレを誘導するように構成されている、パイロットチューブと、を含む、設置用ガイド装置が提供される。
【0044】
いくつかの実施形態において、設置用ガイドは、パイロットチューブ内部での設置用カニューレの回転を可能にするように構成されている。いくつかの実施形態において、設置用ガイドは、第1の表面の長手及び幅に沿って延在しかつインプラントが挿入されつつある部位の周りの皮膚の外部表面領域の目視観察及び/又は動悸を可能にするように構成されている、視認ウィンドウ又は開口部をさらに含む。いくつかの実施形態において、視認ウィンドウ又は開口部は、カニューレがパイロットチューブ内に挿入されてカニューレ全体がチューブ内に延在する状態になった場合に、カニューレの先端部を超えて延在する長さを有する。いくつかの実施形態において、設置深さは、患者の皮膚の外部表面下、約0.5mmないし約4.5mmである。いくつかの実施形態において、パイロットチューブは、設置用カニューレを組織内に収容し誘導するように構成されている。いくつかの実施形態において、設置用ガイドは、半透明又は実質的に透明である材料から作られている。いくつかの実施形態において、パイロットチューブは、ガイドの下面に対して上り勾配で構成されている。いくつかの実施形態において、設置用ガイドは、ユーザによって、長手方向又は幅方向に容易に湾曲又は屈曲され得ない。
【0045】
別の態様では、インプラント撤去用ツールにおいて、第1のアームと、少なくとも使用中は第1のアームから離隔されこの第1のアームに対し実質的に平行であるように構成された第2のアームと、第1のアームの遠位端部に配置された第1の開口部と、第2のアームの遠位端部に配置された第2の開口部と、を含み、第1の開口部が、位置付けされたインプラントの第1の端部を包囲するように構成され、第2の開口部は、位置付けされたインプラントの第2の端部を包囲するように構成され、アームが接近させられるにつれて第1のアームと第2のアームの間の距離を維持するように、係止用装置が構成されている。
【0046】
いくつかの実施形態において、インプラント撤去用ツールは、第1及び第2のアームを連結するための連結用構造をさらに含む。いくつかの実施形態において、係止用装置は、ラチェット機構を含む。いくつかの実施形態において、係止用装置は、摩擦係止機構を含む。いくつかの実施形態において、第1の開口部及び第2の開口部は、ステンレス鋼ワイヤから形成される。いくつかの実施形態において、第1の開口部及び第2の開口部は、全体的に丸形、卵形又は方形の形状を有する。いくつかの実施形態において、第1の開口部はステンレス鋼ワイヤの第1の端部に形成されており、第2の開口部はステンレス鋼ワイヤの第2の端部に形成されている。いくつかの実施形態において、ワイヤは第1のアーム及び第2のアームを含むか又はこれらに取付けられている。いくつかの実施形態において、連結用構造はバネ又はコイルを含む。いくつかの実施形態において、インプラント撤去用ツールは、さらに取っ手を含み、取っ手は、第1のアームに取付けられた第1の握りと、第2のアームに取付けられた第2の握りと、第1のアームと第2のアームの間でステンレス鋼ワイヤに沿って位置するコネクタ部品と、を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2のアーム、第1及び第2の端部、並びに、連結用構造は、1つ以上の一定長のワイヤから製造される。いくつかの実施形態において、第1及び第2のアーム、第1及び第2の端部、並びに、連結用構造は、単一の一定長のワイヤから製造される。
【0047】
別の態様では、インプラントを撤去するための方法において、本明細書に記載の撤去用ツールを提供するステップを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、該方法は、インプラントの第1の端部に第1のアームを配置するステップであって、インプラントが、患者の皮膚の外部表面下にあるステップ、インプラントの第1の端部及び近接する皮膚を第1の開口部の内部に包囲するステップ、インプラントの第2の端部を位置設定するステップ、インプラントの第2の端部及び近接する皮膚を第2の開口部内に包囲するステップ、第1のアーム及び第2のアームを共に第1の位置に向かって押し合わせる又は他の形で強制するステップであって、第1のアーム及び第2のアームが第1の位置にある場合、インプラントは、インプラントの第1及び/又は第2の端部を含む皮膚の中にテント状の部分を創出する、ステップ、インプラントの第1又は第2の端部において、皮膚の中のテント状の部分の近くで患者の皮膚内に切開部を創出するステップ、及び第1のアーム及び第2のアームを共に第2の位置に向かって押し合わせるステップであって、第1のアーム及び第2のアームが第2の位置に来た時点で、インプラントの第2の端部は、切開部を通って患者の皮膚から退出する、ステップ、のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0048】
インプラントを撤去するための方法のいくつかの実施形態において、インプラントの第1及び第2の端部は、第1及び第2の開口部の範囲内に位置設定される。該方法のいくつかの実施形態において、第1の位置は、第2の位置よりも幅広の第1及び第2のアームの構成である。該方法のいくつかの実施形態において、係止用装置は、切開部が創出される間、第1のアーム及び第2のアームを第1の位置に保持する。該方法のいくつかの実施形態において、第2の位置に到達するための第1のアーム及び第2のアームの押し合わせは、第1の位置で始まり、第2の位置で終る。該方法のいくつかの実施形態において、係止用装置は、第1のアーム及び第2のアームを第1及び第2の位置に保持する。
【0049】
いくつかの実施形態において、設置用ガイドは、インプラントを既定の深さにおいて(例えば表皮内、表皮下、真皮内、真皮下、皮内及び/又は皮下組織の1つ以上の中又はそれらの間に)送達するために、例えば、設置用ツールのカニューレに沿って設置用ツールと相互作用する。設置用ツールは、送達を目的としてインプラントを収容するように構成されたカニューレを含むことができる。設置用ツールのいくつかの実施形態は、その内容全体が参照により本明細書に組込まれている米国特許第6,190,350号中に記載されている。設置用ガイドの設計は、いくつかの実施形態によると、カニューレを誘導し、こうして皮膚の外部表面下、特定の/規定の深さのところにインプラントを送達するように構成されていてよい。図1Aは、設置用ツール120及び設置用ガイド100を含むインプラント設置用システムの一実施形態の例示的構成を分解組立図で示す。設置用ツール120は、取っ手部分及び設置用カニューレを含む。図1Bは、少なくとも皮膚の外部表面下、既定の深さのところ(表皮内、表皮下、真皮内、真皮下、皮内及び/若しくは皮下組織内又はそれらの間)にインプラントを送出するための機能性を提供する設置用ツール120の内部構成要素を同様に示す分解組立図を例示している。米国特許第6,190,350号を参照のこと。
【0050】
設置用ガイド100は、プラスチック又は金属(例えばアルミニウム又はアルミニウム合金)製であってよい比較的剛性の高い材料を含むことができる。設置用ガイド100は、いくつかの実施形態によると、以下の特徴部のうちの一部又は全てを含んでいてよい:使用中皮膚に隣接して設置される第1の表面、設置用ツールカニューレ115を収容するためにガイド100の一方の端部(近位端部)に位置設定されているパイロットチューブ105、及び視認ウィンドウ110。可撓性ではなくむしろ比較的剛性のガイド100が、皮膚の外部表面下、既定の深さのところへのカニューレの挿入及びインプラントの設置を最もうまく調整し制限することが見出された。例えば、いくつかの実施形態において、設置用ガイドは、正常な使用中(例えば挿入処置中)に、ユーザにより実質的に長手方向及び/又は幅方向に湾曲、歪曲又は屈曲され得ないよう充分な剛性を有する。
【0051】
一方で、例えば比較的薄いプラスチック製の比較的可撓性のある又は柔軟なガイドは、例えば挿入処置中に湾曲する傾向をもち、カニューレが皮膚の外部表面下、所望される深さよりも深く移動(drift)できるようにし、その結果、インプラントの設置は、より無制御で過度に深いものとなる(例えば、皮膚の外部表面より下5mm超)。
【0052】
こうして、いくつかの実施形態において、設置用ガイド100は、剛性を強化するように構成される。例えば、設置用ガイド100用として剛性プラスチック又は金属材料が好ましい。さらに、他の実施形態において、ガイド100は、このガイド100に対して、安定性及び剛性を付与する立ち上げられた側面150(例えば5ないし30mmの高さ)及び/又は1つ以上の補強用ガセット板(すなわち補強用リブ)140を有する。いくつかの実施形態において、ガイド100は、ガイド100に対し剛性を付加及び/又は強化するため、パイロットチューブ105に直交して延びる及び/又は視認開口部110の長さに直交して延びる1つ以上の補強用ガセット板140を含む。例えば実施例1を参照。ガイド100は、例えば、1個、2個、4個、6個、8個、10個、12個などのガセット板を含んでいてよい。図5Aのガイド内に示されている8個のガセット板が例示する通り、ガイド100の長さに沿って、多数のガセット板が概して均等に間隔取りされている。ガセット板140は、ガイドの全幅に沿って位置していてよい(例えば図14のガイドにおいてパイロットチューブの最も近くに示されているもののいくつか)。いくつかの実施形態において、各ガセット板140は、図5Aのガイド内に示されているように、ガイドの全幅にまたがっていない。
【0053】
パイロットチューブ105は、ガイド100の近位端部の近くの近位開口部と、近位開口部から離隔した遠位開口部と、を含む。チューブ105は実質的に直線であり、長手方向中央軸を含む。設置用ガイド100は、白色などの任意の色調であってよい、又は、いくつかの実施形態においては、インプラント処置の視認性を増強するために、半透明又は実質的に透明であってよい。いくつかの実施形態において、設置用ガイドは、半透明又は実質的に透明の1つ又は複数の材料(例えば医療グレードのプラスチック)製である。
【0054】
パイロットチューブ105は、設置用ツールカニューレ115を収容し、こうして設置用ツールカニューレ115は、パイロットチューブ105の内部を自由に回転できるようになっている。設置用ツールカニューレ115を患者の皮膚の下に挿入する間、設置用ツール120の取っ手部分と、したがって設置用ツールカニューレ115とは、設置用ガイド100上のパイロットチューブの中央長手方向軸に対して、時計回り及び反時計回り方向で、例えば約9時から約3時の間、約10時と約2時の間、又は、約11時から約1時までの間の区間又は範囲内で術者によって正転及び逆転され得る一方で、設置用ガイド100は、患者の皮膚の外部表面上で実質的に不動であり続ける。いくつかの実施形態において、回転は、約10時と約2時の間であり得る。設置用ガイド100が皮膚の外部表面上で実質的に不動であり続ける一方で、設置用ツール120の取っ手及び設置用ツールカニューレ115の回転は、患者の皮膚の表面下、約0.5mmないし約4.5mm、約1mmないし約4mm、及び、いくつかの実施形態においては約1.5mmないし約3mmの深さのところでのインプラントの制御された設置を保証するために使用されることができる。いくつかの実施形態において、インプラントが設置される既定の深さは、表皮内、表皮下、真皮内、真皮下、皮内及び/若しくは皮下組織内、又は、それらの間の1つの深さである。
【0055】
いくつかの実施形態において、設置用ガイド100は、設置用カニューレ115の全体がガイドの下でパイロットチューブを通って延在する状態になった時点で、視認開口部が設置用カニューレ115の先端部を少なくとも超えて延在するために、充分な長さを有するように構成されている。このような長さのガイド及び視認開口部により、ガイドは、全体が延在する状態のカニューレの鋭い先端部より張り出すことになり、こうして鋭い先端部からの幾分かの保護が提供される。さらにいくつかの実施形態において、設置用ガイド100は、術者が視認開口部110を通して、カニューレの挿入された長さ全体の上の皮膚を見て及び/又は触れて、規定の設置深さ(例えば皮膚の外部表面から約5mm未満)までのカニューレ/インプラントの適切な設置を確認できるようにするために、全体が延在している状態の設置用カニューレの先端部を超えて視認開口部110が充分な長さとなるように、構成されている。いくつかの実施形態において、設置用ガイド100は、約60mmないし約120mmの長さを有する。いくつかの実施形態において、設置用ガイド100は、約80mmないし約100mmの長さを有する。いくつかの実施形態において、設置用ガイド100は、約90mmの長さを有する。
【0056】
術者が、カニューレ115を切開部内へと駆動するために設置用ツール120の取っ手を把持すべく、例えば「利き手」などの一方の手を使用し、かつ、同時に、ガイドのいずれかの側又は両側で、前進するカニューレ115に可能なかぎり近い患者の皮膚上の点に対して直接的に逆向きの牽引力を適用するために、もう一方の手つまり「利き手でない」手を使用する場合、インプラントの挿入は極めて円滑に進む。このような好ましい方法の間、カニューレの挿入及びインプラントの設置は、設置用ガイドに対しては実質的にハンズフリーで進む。図11Aを参照のこと。こうして、術者は、カニューレ115が患者の体内に挿入されつつある方向とは反対(又は実質的に反対)の方向に圧力を加えて、ガイド100に触れること又は実質的に触れることなく、ガイド100の両方の側又はいずれかの側に自らの手を置くことができる。実質的に設置用ガイド100を把持することなくこのように逆向きの牽引力を加えることで、カニューレ115が組織内を円滑に前進するにつれて挿入用チャネルを創出する一方で、患者の皮膚は切開部のいずれか又は両方の側で緊密に保たれることになる。したがって、いくつかの実施形態において、設置用ガイド100は比較的幅狭である。例えばいくつかの実施形態において、設置用ガイドの幅は、約10mmないし約80mmである。いくつかの実施形態において、設置用ガイドの幅は、約15mmないし約35mmである。いくつかの実施形態において、設置用ガイドの幅は約25mmである。
【0057】
インプラントの既定の深さは、ガイドの剛性、パイロットチューブ105(及び/又は設置用ガイド100全体、例えば図5Eを参照)の近位端部及び遠位端部の間隔A、距離B(すなわち、長手方向軸(又は換言すると、パイロットチューブの直径)は第1の表面(すなわち皮膚に隣接して設置された底部表面、例えば図5B図5Eを参照)から離隔されている)、角度C、つまりパイロットチューブの角度、並びに、皮膚及び第1の表面の少なくとも1つに対する長手方向軸(及び/又は皮膚に対する第1の表面の角度、例えば図5E参照)、のうちの少なくとも1つを適切に設計することによって、制御されてもよい又は他の形で決定されてもよい。距離B(すなわちパイロットチューブ105の内径)は、カニューレ115とパイロットチューブ105の間に最小限の間隔又はあそびしか存在しないようにサイズ決定される。いくつかの実施形態において、パイロットチューブ105の内径は、カニューレ115をパイロットチューブ105内部でより緊密に嵌合させ、カニューレ115が過度に容易にパイロットチューブ105内へ又はパイロットチューブ105から外に滑動するのを阻止するのに充分なだけの摩擦をカニューレ115に対して提供するために、1つ以上の切込み、スプライン、溝スポーク又は平担化された領域を含む。
【0058】
間隔A及び距離Bは、パイロットチューブの内部で設置用カニューレを緊密に嵌合させるように構成されている。いくつかの実施形態において、間隔Aは約10mmから約30mmまでである。いくつかの実施形態において、間隔Aは約15mmから約20mmまでである。いくつかの実施形態において、間隔Aは約18.5mmである。いくつかの実施形態において、距離Bは約4mmから約10mmまでの直径である。いくつかの実施形態において、距離Bは約2mmから約8mmまでの直径である。いくつかの実施形態において、距離Bは約3.8mmの直径である。
【0059】
いくつかの実施形態において、角度C、つまりパイロットチューブの角度は、パイロットチューブの中央長手方向軸がガイド100の実質的に平らな下面に対してわずかに上向きの方向に傾斜するように構成されている。したがって、パイロットチューブの近位端部とガイドの下面の間の距離は、ガイドの下面からパイロットチューブの遠位端部までの距離よりも大きい。例示として、ガイドの下面の水平面に対してわずかな上り勾配で又は上向きに傾斜して、各パイロットチューブ内をカニューレが通過することで、パイロットチューブを通りパイロットチューブを通過して設置用ガイドの遠位端部に向かって進むにつれて、カニューレの先端部は、ガイドの下面により近いところを移動させられることになる。設置用ガイドは、ガイドの下面に対してわずかな上り勾配の角度Cを伴って構成され得るパイロットチューブを有してよく、又は、このパイロットチューブは、ガイドの下面に対して一定の下り勾配(すなわち負の勾配)の、さらには平行(すなわち0°)な角度Cを伴って構成されてよい。いくつかの実施形態においては、ガイドの下面に対してわずかな上り勾配の角度Cを伴って構成されたパイロットチューブが好まれる可能性がある。ガイドの下面に対してわずかな上り勾配の角度Cを伴って構成されたパイロットチューブを有する設置用ガイドは、既定の深さまでのインプラントの浅い設置を結果としてもたらした。
【0060】
いくつかの実施形態において、角度Cは、約0.25°ないし約5.0°である。いくつかの実施形態において、角度Cは約1.0°ないし約3.0°である。いくつかの実施形態において、角度Cは約1.2°である。いくつかの実施形態において、角度Cは約1.17°±0.35°である。
【0061】
こうして、ガイドのこのようなパラメータを適切に設計することにより、設置用ガイド100を用いてインプラントの既定の深さ及び/又は最終的場所を導くことができる。いくつかの実施形態において、インプラントは、交換時期になった時点で装置の比較的容易な識別及び撤去を保証するために、皮膚の外部表面の直下(例えば5mm未満)に設置される。
【0062】
大部分の患者にとって、約1mmと約4mmの間(そして、いくつかの実施形態においては約1.5mmと約3mmの間)の距離が、皮膚の外部表面下の適切な深さである。そのために、これらの値の一方及び/若しくは他方、並びに/又は、それらの間の値範囲を達成する目的で、上述のパラメータのうち1つ以上を調整することができる。いくつかの実施形態において、特定の深さについて構成されたこれらのパラメータの組合せを有する設置用ガイド100を含むことのできるキットが提供される。
【0063】
いくつかの実施形態においては、移植部位において皮膚の外部表面下の患者の組織内にインプラントを挿入するために、無菌技術を用いて、以下の処置を使用することができる。(設置用ツール120のカニューレ115を収容するために)切開を行なう前に、選択された移植部位がアルコール溶液(など、例えばChloraPrep(登録商標)、グルコン酸クロルヘキシジン液)で洗浄される。切開の場所には、マーキングが施され局所麻酔が移植部位の付近に塗布又は注射され、その後、切開が行なわれる。切開の場所は、移植部位で皮膚上に設置用ガイド100を設置することによって決定され得、例えば視認開口部110を通して、パイロットチューブ105の遠位端部で皮膚にマーキングが施される。視認開口部110は同様に、設置中に移植を目視及び/又は動悸するためにも使用されてよい。いくつかの実施形態において、視認開口部110は、術者が、カニューレが下を前進する皮膚の外部表面全体を目視及び/又は触れるのに充分な長さと幅を有する。いくつかの実施形態において、視認開口部110の長さは、約50mmないし約100mmである。いくつかの実施形態において、視認開口部110の長さは、約60mmないし約80mmである。いくつかの実施形態において、視認開口部110の長さは、約62mmである。いくつかの実施形態において、視認開口部110の幅は約5mmないし約20mmである。いくつかの実施形態において、視認開口部110の幅は約8mmないし約15mmである。いくつかの実施形態において、視認開口部110の幅は約10mmである。
【0064】
いくつかの実施形態においては、(マーキングを伴って又は伴わずに)移植部位において切開を行なう及び/又は他の形で皮膚に穴を開けるために、外科用メス、カニューレの鋭い先端部などを使用することができる。他の実施形態においては、(マーキングを伴って又は伴わずに)移植部位において切開を行なう及び/又は他の形で皮膚に穴を開けるように、設置用ツール120のカニューレ115を構成することができる。さらに他の実施形態においては、皮膚内に穴を開ける又は他の形で切開を行なうためにパイロットチューブ105内を通って機能するように、外科用メス、カニューレの鋭い先端部などが適切に設計されることができる。いくつかの実施形態において、行なわれる切開は、深さ約5mmである。ひとたび切開が行なわれると、インプラントを収納しているカニューレ115の遠位端部は、パイロットチューブ105の近位端部内に収容され、その後パイロットチューブ105を通って、切開部の中そして皮膚の外部表面下に押し合わせられる。術者が例えばその利き手で設置用ツール120の取っ手部分を握るにつれて、カニューレ115は、取っ手部分に接するカニューレ115の近位端部が(例えば)設置用ガイド100及び/又はパイロットチューブ105の一部分に当接するまで、皮膚の外部表面下で、パイロットチューブ105内に連続的に押し合わせられる。代替的には、カニューレ115は、パイロットチューブ105、設置用ガイド100、視認開口部110及び切開部のうちの少なくとも1つに対して、カニューレチューブ115が走行しなければならない距離を標示する、マーキングを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、カニューレ115は、術者が自らの利き手で設置用ツール120の取っ手部分を握り、設置用ガイド100上のパイロットチューブの中央長手方向軸に対して約9時から約3時の間、約10時から約2時の間、又は約11時から約1時の間の区間又は範囲内で回転自在なカニューレ115を正転及び逆転させることによって挿入される。もう一方の利き手でない手を用いて、術者は、設置用ガイド100のいずれかの側(又は両方の側)で皮膚の外部表面に直接(例えば設置用ガイドに関してハンズフリー、又は換言すると、設置用ガイド100を実質的に握ることなく)逆向きの牽引力を適用してよい。対照的に、設置用ガイドの側面を直接押圧しこうしてガイドを介して設置用ガイド100の下の皮膚の外部表面上に間接的な圧力を加えるために利き手でない手を用いることによって間接的に対向する牽引力を加えようとする試みは、切開部の周りの皮膚の外部表面が押し戻され挿入処置の間に膨れ上がることから、効果を低減させることが分かるということが発見された。
【0065】
挿入処置中のいずれの点においても、術者は、設置用ガイド100の視認開口部110を通してカニューレ115より上の皮膚を動悸することにより、皮膚の外部表面より下の規定の深さへのカニューレ115の適切な設置を確認することができる。設置用ツール120は、インプラントを放出するための固定型プッシャーロッド125が内部に存在しているカニューレ115を含む。プッシャーロッド125は、取っ手の内部で長手方向に固定され、その間カニューレ115は、プッシャーロッド上を摺動してインプラントを放出する。カニューレ115は、取っ手のトラック内に組み付けられた摺動アクチュエータ130a/bによって、プッシャーロッド125上を移動させられる。カニューレの適切な設置の確認後、設置用ツール120の起動機構130a/bを操作して、カニューレ115を固定型プッシャーロッド上に格納し、カニューレ115の先端部から患者の組織内にインプラントを押し出させる(すなわち送出させる)ことができる。いくつかの実施形態において、起動機構130a/bは、インプラントの偶発的な放出を防止するため、延在位置に係止される。
【0066】
その後、いくつかの実施形態においては、カニューレ115の少なくとも実質的な部分が組織から引き抜かれる。一実施形態において、インプラントの送出後、プッシャ125の先端部は、カニューレ115の端部からわずかに延在し、術者には、インプラントがカニューレ115から適切に送出されこうして組織内に送達されたことの確認としてこの先端部が目に見える。インプラントの送出中及び/又はその後に、患者の皮膚の外部表面下のインプラントの適切な既定の深さを、インプラントより上の皮膚を手で動悸することによって確認することができる(米国特許第6,190,350号参照のこと)。いくつかの実施形態において、設置用ツール120は、インプラントの近位端部を切開の部位から約6.4mm(0.25インチ)ないし約19.1mm(0.75インチ)のところに設置するように構成されている。いくつかの実施形態において、設置用ツール120は、切開の部位から約12.7mm(0.5インチ)のところにインプラントの近位端部を設置するように構成されている。
【0067】
いくつかの実施形態においては、視認開口部110が提供される。視認開口部110は、閉塞していない開口部を提供し、この開口部を通して、皮膚下を前進するカニューレ115の上方の皮膚を見て及び/又は動悸して、インプラントの送出の間、特定の/既定の深さへのカニューレ115ひいてはインプラント自体の適切な設置を確認することができる。
【0068】
いくつかの実施形態において、視認開口部110は視認ウィンドウで置換され、この視認ウィンドウは、実質的に透明又は透き通った(例えばプラスチックの)フィルム又はスクリーンを提供し、これを通して、インプラントの送出中、前進するカニューレ115の上方の皮膚を見ることはできるが、動悸することはできない。
【0069】
その後、設置用ガイド100(及びツール120)は、移植部位から撤去され、部位の観察(例えば目視観察)及び/又は動悸を用いて、既定の深さまでのインプラントの適切な設置を確認することができ、部位を清浄し、任意には皮膚接着剤を切開部の少なくとも一方の側に塗布し、次に切開部の端部を一定期間共に保持して止血を達成することができる。その後Steri-Strips(商標)及び/又は包帯を適用することができる。概して、切開部は充分に幅狭でちょうどカニューレを収容するのに充分なだけの幅を有することから、縫合は不要でSteri-Strips(商標)で充分である。
【0070】
図2A~Bは、インプラント設置用システムの例示的構成を示す。
【0071】
図3は、パイロットチューブ(図示せず)105を通して設置用ガイド100内へと挿入された設置用カニューレ115の例示的断面図を示す。設置用カニューレ115は、設置用ツール120の取っ手に連結され、パイロットチューブ105を通って延在し、こうして、設置用カニューレ115は主として設置用ガイド100の視認開口部110の下に配置される。
【0072】
図4A~Cは、カニューレ115からのインプラントの送出に先立つシステムのさまざまな図(それぞれ上面図、側面図、底面図)を示す。
【0073】
図5A~Eは、いくつかの実施形態に係るインプラント設置用システムの設置用ガイド100を示す。
【0074】
図5Aは、パイロットチューブ105及び視認開口部110の部分を例示する設置用ガイド100の一実施形態の上面図を示す。いくつかの実施形態において、視認開口部110は、設置用ガイド100内からの切り取り部分であるが、他の実施形態では、開口部110は、透き通った材料から作られた実質的に透明なウィンドウであり得る視認ウィンドウによって置換される。同様に図示されているのは、1つ以上のガセット板140(すなわち補強用リブ、各々の側に4つずつ示されている)、及び、設置用ガイド100の剛性を増大させるための立ち上がり側面150である。ガセット板140は、概して、パイロットチューブ105の長手及び/又は視認開口部110の長手に対して直交方向に配向されている。
【0075】
図5Bは、使用中皮膚に隣接して設置される第1の表面及びこの第1の表面の下に延在するパイロットチューブ105を例示する設置用ガイド100の一実施形態の側面図を示す。
【0076】
図5Cは、パイロットチューブ105及び視認開口部110を例示する設置用ガイド100の一実施形態の底面図を示す。
【0077】
図5Dは、パイロットチューブ105の近位開口部を伴う設置用ガイド100の背面縁部の例示的断面形状を例示する、設置用ガイド100の一実施形態の背面図を示す。
【0078】
図5Eは、パイロットチューブ105の近位端部及び遠位端部の間隔A、距離B、すなわちパイロットチューブ105の内径、及び、少なくとも第1の表面すなわち設置用ガイド100の下面に対するパイロットチューブ105の長手方向軸の角度Cを例示する、設置用ガイド100の一実施形態の断面図を示す。
【0079】
いくつかの実施形態において、パイロットチューブの角度は、座標測定機(CMM)を用いて又はパイロットチューブ内に鋼製ロッドを挿入しロッドの上面からガイドの下面上の2つ以上の点までの距離を測定することによって、測定又は確認できる。このような測定された距離のうち2つ以上を用いて、パイロットチューブの角度を導出することができる。86mmの長さを有する図5A~Eの例示された設置用ガイドのための例示的距離には、パイロットチューブの近位端部から76.0mmのところにあったガイドの下面上の1点における0.35mm±0.5mm、及び、パイロットチューブの近位端部から30.0mmであったガイドの下面上の1点における1.28mm±0.2mmが含まれる。
【0080】
図5A-Eに関して、ガイド100の製造において使用可能である例示的材料/仕様には、透明なプラスチック(PC、Dow Calibre 2081-15)が含まれる。A面及びB面仕上げ:SPIB-2。部品体積:7.6cm3。一般コーナー半径:0.1mm。ガイドの製造時点で、部品は概して清浄であり、ばり、鋭い縁部、機械油及び破片は無い。表面は、概して異物、指紋、摩滅、腐食、擦過傷、空隙、歯状部、介在物、ニットライン又は変色の可視的兆候を有していない。フラッシュ及びエジェクタの痕跡(最大0.25mm)には、概して鋭い縁部が不在である。
【0081】
図6図9に示されているように、いくつかの実施形態においては、(上述のような設置用ツール120及び設置用ガイド100を用いて患者の体内に移植された可能性のある)インプラントを患者の皮膚の外部表面下の組織から撤去するように構成されているインプラント撤去用ツール200が提供される。いくつかの実施形態において、インプラント撤去用ツール200は、連結用構造235によって連結された2つの相対するアーム205/215を含んでおり、このような構造235は、相対するアーム205/215の間にバネ様の機能性を提供するよう可撓性を有していてよい。各アーム205/215は、その上に開放端部210/220を含んでいてよく、又は、任意には、開放端部210/220は各々、各アーム205/215に沿って連結用構造235を介して一方から他方までにわたる1本のワイヤの端部に提供されていてよい(「ワイヤ状特徴部」210/220は同様に、本明細書において「端部」、「開放端部」又は「遠位端部」とも呼ばれている)。ワイヤ状特徴部210/220は、ワイヤである必要はなく、代替的には、硬質プラスチックワイヤ、管類などで作製されてよい。いくつかの実施形態において、インプラント撤去用ツール200は実質的に単一のワイヤで作製されている。
【0082】
連結用構造235及び/又はアーム構造205/215は、装置200の使用を容易にするため、取っ手様の構造225を伴って構成されてよい。いくつかの実施形態において、連結用構造235及び/又はアーム構造205/215は、取っ手様の構造225無しで構成されてよい。例えば、第1の相対するアーム205及び第2の相対するアーム215に沿って延在する取っ手225の側面は、ユーザがより快適に取っ手225を把持することを可能にする構成に、人間工学的に形成されてよい。いくつかの実施形態においては、取っ手225は、アーム205/215の長さに沿って複数の離散的な場所において、相対するアーム205/215に連結されている別個の品目であり得、一方、他の実施形態では、取っ手225は、アーム205/215の全長に沿って相対するアーム205/215に連結されてよい。いくつかの実施形態において、取っ手225は、連結用構造235に取付けられることなく、連結用構造235と平行していてよく、又は、取っ手225は、連結用構造235に沿って1つ以上の離散的場所において、連結用構造235に連結されてよい。いくつかの実施形態において、連結用構造235及び/又はアーム構造205/215は、追加の取っ手225を有することなく、金属ワイヤ又は比較的剛性のプラスチック管類から構成されてよい。
【0083】
図6は、インプラント撤去用ツール200の一実施形態の側面図を示す。いくつかの実施形態ではステンレス鋼ワイヤ製であるワイヤ状の特徴部210/220が、相対するアーム205/215の1つを取り囲む取っ手225の側面図と同様に示されている。第1及び第2のアーム205/215の間のコネクタ235を覆う取っ手225の部分も同様に見ることができる。
【0084】
図7は、インプラント撤去用ツール200の一実施形態の上面図を示す。相対するワイヤ状の特徴部210/220(「端部」)が示されている。端部210/220は各々、相対するアーム205/215の1つに連結され、アーム205/215は、コネクタ235を用いて連結されてよい。いくつかの実施形態において、端部210/220を形成するワイヤは、同様に、相対するアーム205/215及びコネクタ235を形成する又はそれらからの延長部分である。いくつかの実施形態において、端部210/220、相対するアーム205/215及びコネクタ235は、単一の一定長のワイヤから作製される。取っ手225は、第1のアーム205及び第2のアーム215の周りに配置されてよい。いくつかの実施形態において、取っ手225は同様に、コネクタ235に沿って延びていてよい。いくつかの実施形態において、取っ手225は、相対するアーム205/215を共により近づくように移動させるために取っ手225を押し合わせたときに、ユーザの握りに適合するように人間工学的に形成されてよい。相対するアーム205/215及び/又は取っ手225の相対する側面は、係止用装置230を用いて連結される。いくつかの実施形態において、係止用装置230は、相対するアーム205/215の間など、中間部を横断して延在していてよい。係止用装置230は、構造に安定性及び剛性を提供し得る。係止用装置230は、摺動摩擦係止機構又はラチェット機構を含み得る。いくつかの実施形態において、係止用装置230の摺動摩擦係止機構又はラチェット機構は、ユーザが係止機構の係合を望む場合に、ユーザによって作動されてよい。いくつかの実施形態においては、ユーザからのインプットの如何に関わらず、取っ手225が押し合わされるにつれて、係止機構は自動的に係合することができる。
【0085】
図8は、インプラント撤去用ツール200の一実施形態の前面図を示す。相対する取っ手225及びワイヤ状特徴部210/220の例示的底面断面形状が、図のいずれの側にも見られる。係止用装置230は、2つの側面の間に配置されている。いくつかの実施形態において、係止用装置230は、ラチェット機構を含むことができる。係止用装置230のラチェット機構は、1つ以上の相対する歯を複数有する2つの部品で構成され、各々の側の1つ以上の歯が反対側にある1つ以上の歯と係合するようになっていてよく、こうして、ひとたび係止用装置230が係合させられた時点で相対するアーム205/215が特定の点を超えて引き離される、つまり分離することが防止される。
【0086】
図9は、インプラント撤去用ツール200の一実施形態を示す。相対するアーム205/215の各端部にワイヤ状特徴部210/220が示されており、相対するアーム205/215に対して取っ手225が取付けられる。インプラント撤去用ツール200のいくつかの実施形態においては、実質的に裸の(例えばワイヤ)相対するアーム205/215から取っ手225が削除される。アーム205/215は、底部の曲線状の縁部(例えば同じくワイヤから作製され得る)に沿って連結されていてよい。例えば、相対するアーム205/215及びコネクタ235は、単一のワイヤで作製されてよい。ラチェット機構(図示した通り)又は摺動摩擦係止機構(例えば図10B~E中の330)などを含み得る係止用装置230は、2つのアーム205/215の間に配置されている。ユーザが相対するアーム205/215及び/又は取っ手225を押し合わせた場合、相対するアーム205/215は共により近づくように押される。係止用装置230は相対するアーム205/215を互いから特定の距離のところに保持し、こうしてひとたびユーザがアーム205/215を特定の位置に押し合わせたならば、アーム205/215は、容易に離隔できない。
【0087】
図10A図10B及び図10Cは、別の実施形態において、インプラント撤去用ツール300を例示しており、ここでは端部310/320を形成する材料(例えばワイヤ)は、同様に相対するアーム325及びコネクタ335も形成する又はそれらからの延長部分である。相対するアーム325は、同一である又は同一でない可能性がある。好ましい実施形態において、相対するアーム325は、例えば追加の取っ手が無い場合に(ただしいくつかの実施形態は同様に取っ手を含み得る)、ユーザにより把持されるように構成されている。いくつかの実施形態において、連結用構造335によって連結されているワイヤ状特徴部310/320及び相対するアーム325は全て、ステンレス鋼金属ワイヤなどの金属ワイヤ、可能性として単一の一定長のワイヤから作製され得る。ワイヤ状特徴部310/320は、連結用構造335によって連結された相対するアーム325の各端部に示されている。ワイヤ状特徴部310/320は、図示された通り、実質的に円形であり得る、又は、曲線状の辺を伴う多角形を含めた実質的な多角形でもあり得る。いくつかの実施形態において、連結用構造335は、張力を提供するコイル又はバネである。いくつかの実施形態において、アーム325、ワイヤ状特徴部310/320及び連結用構造335(例えばコイル又はバネの形に構成されたもの)は、単一の一定長のワイヤなどから作製される。いくつかの実施形態において、アーム325、ワイヤ状特徴部310/320及び連結用構造335(例えばコイル又はバネの形に構成されたもの)は、2つ以上の一定長のワイヤなどから作製される。図10A~Cに示されたもののようないくつかの実施形態において係止用装置330は、撤去用ツール300から容易に撤去可能である。係止用装置は、図10B中に示された通り、開放配向で2つのアーム325の間に配置された摺動摩擦係止機構を含んでいてよい。ユーザが相対するアーム325を押し合わせた場合、摺動摩擦係止機構及び係止用装置330は、相対するアーム325に沿って、ワイヤ状特徴部310/320に向かって摺動させられて、図10Cに示されているように、図10Bに示された距離に比べて近い互いからの距離のところに相対するアーム325を保持することができ、こうして、ひとたびユーザがアーム325を特定の位置に押し合わせたならば、アーム325は容易にさらに離隔できなくなる。いくつかの実施形態において、係止用装置330は、術者が相対するアーム325を共に押し合わせるにつれて術者により摺動され得、及び/又は、係止用装置330は、術者が相対するアームを共に押し合わせるにつれて、相対するアーム325を下方に摺動し得る。
【0088】
図10D及び図10Eは、摺動摩擦係止機構を有する係止用装置330の側面図及び上面図を例示している。いくつかの実施形態において、係止用装置330は、アーム325に沿った係止用装置の滑りを防止する又は最小限に抑える1つ以上の耐滑性材料から作製される又は当該材料を含む。例示的耐滑性材料は、ゴム、シリコーンなどを含む。いくつかの実施形態において、係止用装置330は、ゴム、シリコーンなどの耐滑性の全面又は部分コーティングを含む。いくつかの実施形態において、係止用装置330は、ゴム、シリコーンなどの耐滑性インサートを含む。いくつかの実施形態において、係止用装置330は、係止用装置330が一方の方向に容易に摺動できるようにする(例えば、図10Bに示されている位置から図10Cの位置に向かって係止用装置が移動するにつれて、より近い位置に向かって容易に摺動し得る)ものの、反対の方向(図10Cに示された位置から図10Bの位置に向かって移動する)ではより多くの摩擦を提供する、指向性コーティング又は指向性パターン(など)を有していてよい。
【0089】
いくつかの実施形態において、ワイヤ状特徴部210/220又は310/320は、おおよそ丸いものであり得るが、このような特徴部は、おおよそ卵形、方形、多角形、曲線状の辺を伴う多角形、又は、撤去可能性という機能性を補助するあらゆる形状のものであってよい。いくつかの実施形態において、ワイヤ状特徴部210/220又は310/320は、インプラントの幅よりも実質的に広い。このことは、テント状にされたインプラントの周りの皮膚を撤去中に挟み込むことを防止する一助となることができる。いくつかの実施形態において、ワイヤ状特徴部210/220は、インプラントの幅に比べ約2倍ないし約100倍、幅広である。いくつかの実施形態において、ワイヤ状特徴部210/220は、インプラントの幅に比べて、約2ないし50倍、約5ないし約20倍、約5ないし約10倍、幅広である。インプラント撤去用ツール200又は300は、実質的に円筒形又は柱状の任意のインプラントを含む、皮膚の下でテント状にする能力を有する、任意の適切な形状のインプラントの撤去のために容易に適合させることができる。
【0090】
いくつかの実施形態において、第1及び第2のアーム205/215又は325は、回収中のインプラントの長さとおおよそ同じ幅となるように構成され得る、又は、(例えば)インプラントの長さよりわずかだけ幅広であるスタンスを有するなど、回収中のインプラントの長さよりも広いスタンスを可能にするように構成され得る。
【0091】
いくつかの実施形態において、インプラントを撤去するための方法が提供され、これには、本明細書中に記載の撤去用ツールを提供するステップが含まれる。いくつかの実施形態において、この方法はさらに、撤去用ツールの第1のアームをインプラントの第1の端部に配置するステップ及びインプラントの第1の端部及び近接する皮膚を第1の開口部又はワイヤ状特徴部210/220又は310/320の内部に包囲する又は他の形で捕捉するステップ、ならびに、患者の体内において撤去用ツールの第2のアームをインプラントの第2の端部に配置するステップ及びインプラントの第2の端部及び近接する皮膚を第2の開口部又は他のワイヤ状特徴部210/220又は310/320を用いて包囲又は他の形で捕捉するステップ、のうちの少なくとも1つをさらに含む。いくつかの実施形態において、撤去用ツールの第1及び第2のアームは、インプラントの第1及び第2の端部に同時に配置されてよい、又は、逐次的に配置されてもよい。いくつかの実施形態においては、同時設置が好ましい場合がある。
【0092】
ワイヤ状特徴部210/220又は310/320がひとたびインプラントの端部と整列されたならば、ユーザは、2つの相対するアーム205/215又は325を押し合わせることができる。2つの相対するアーム205/215又は325が押し合わせられるにつれて、一方の第1のワイヤ状特徴部210又は310及び他方の第2のワイヤ状特徴部220又は320は、共により近づくように移動する。いくつかの実施形態において、第1のワイヤ状特徴部210又は310及び第2のワイヤ状特徴部220又は320は、1つ又は複数の同じ機能を果たすように構成され、第1及び第2のワイヤ状特徴部210/220又は310/320は、同一に構成され得る又は実質的に同一に構成され得る。
【0093】
第1及び第2のワイヤ状特徴部210/220又は310/320が第1の位置に押し合わされた時点で、インプラントの少なくとも1つの端部は、インプラントの1つ又は複数の端部又はその周りにおいて、患者の皮膚内に1つ又は複数のテント状の部分を創出することができる。いくつかの実施形態において、第1及び第2のワイヤ状特徴部210/220又は310/320が第1の位置まで押し合わされた時点で、インプラントは、患者の皮膚の中で、インプラントの端部又はその周りでテント状の部分を創出することができる。係止及び/又はラチェット装置230又は330は、撤去用ツールに関してハンズフリーで、後続ステップ(例えば切開及び切開部からのインプラントの撤去)をユーザ/術者が実施できるようにするために、係合され得る。こうして、ひとたび撤去用ツール200又は300がその係止位置(第1の位置)に位置したならば、撤去用ツールは、その位置を保持し、術者はそれを保持する必要がない。
【0094】
インプラントの一方の端部の近くの患者の皮膚内のテント状の部分の内側又は近くで、切開が行なわれる。ひとたび切開が行なわれたならば、切開部の近くのインプラントの端部は、皮膚から外に突出することができ、ここで、鉗子などによって取り込まれ得る。いくつかの実施形態において、切開が行なわれた場所とは反対のインプラントの端部において、撤去用ツールのアームは、第1及び第2のワイヤ状特徴部210/220又は310/320が第1の位置にあるとき、少なくともインプラントの端部を切開部から外に押し出させる。いくつかの実施形態においては、切開部と反対側のインプラントの端部において、ワイヤ状特徴部210/220又は310/320を介して力を加えることができ、力は、インプラントを切開部から外に駆動するのを助けることができる。いくつかの実施形態においては、第1及び第2のアーム205/215又は325を第2の位置に向かってさらに押し合わせることによって力を加えることができ、こうして、少なくともインプラントの端部を切開部から外に押し出させる。図13を参照のこと。
【0095】
指摘された通り、係止及び/又はラチェット装置230又は330は、押し合わされるにつれてのアーム205/215間の距離を保持するために、撤去用ツール200又は300と共に含められてよい。いくつかの実施形態において、係止及び/又はラチェット装置230又は330は、第1の位置及び第2の位置で、アーム205/215又は325の間の距離を保持する。このようにして、術者は、第1の位置又は第2の位置のいずれにおいても、撤去用ツール200又は300を保持する必要がない。同様に、撤去用ツール200又は300は、図10Bに示された構成、第1の位置、第2の位置、及び、図10Cに示された位置の間の任意の位置などの、中間位置も保持し得る、ということも指摘しておくべきである。
【0096】
いくつかの実施形態において、係止用装置330は、撤去用ツール300が開放配向にあるとき、連結用構造335に比較的近い点において相対するアーム325を係合、フック留め、ルーピングする又は囲み込む摺動摩擦係止機構(本明細書では代替的に「摺動係止機構」又は「摩擦係止機構」としても記載されている)を含むことができる。いくつかの実施形態において、摺動摩擦係止機構330は、相対するアーム325が押し合わせられるにつれて、ワイヤ状特徴部310/320に向かって相対するアーム325に沿って係止機構330を摺動させることで、ユーザにより係合される。ユーザが相対するアーム325を解放した時点で、連結用構造335からの張力(例えば、バネ様又はコイル様の張力)が相対するアーム325を摺動摩擦係止機構330に対し押しつける。いくつかの実施形態において、係止用装置330はアーム325に沿った係止用装置の滑りを防止又は最小限に抑える、例えばゴム、シリコーンなどの1つ以上の滑り抵抗性材料から製造される又は当該材料を含む。係止用装置330はこうして、アーム325が容易に分離できないように互いに特定の距離をおいてこれらの相対するアーム325を保持する。連結用構造335からの張力及び相対するアーム325に対する係止機構330間の摩擦は、テント状の部分を創出する処置中、相対するアーム325に沿って摺動摩擦係止機構330が偶発的に摺動しないようにしている。いくつかの実施形態では、術者が、アーム325を押し合わせるにつれて摩擦係止機構330を摺動させ、いくつかの実施形態では、術者がアーム325を押し合わせるにつれて(すなわち術者が係止機構330を摺動させることなく)摩擦係止機構330がアーム325を下へ摺動する。
【0097】
図11Aは、一実施形態における、設置用ガイド100が患者の皮膚155の外部表面上で実質的に不動の状態にとどまっている間に、皮膚155の表面上の挿入点160内に、インジケータバンド170を有する設置用ツールカニューレ115が挿入された、患者の皮膚の表面の下へのインプラントの設置を例示している。挿入処置中、設置用ツール120の取っ手、ひいては設置用ツールカニューレ115は、設置用ガイド100上のパイロットチューブの中央長手方向軸に対して、例えば、約9時ないし約3時、約10時ないし約2時、又は、約11時ないし約1時の区間又は範囲内で、時計回り及び反時計回り方向に術者によって正転及び逆転され得る。いくつかの実施形態において、回転は、約10時ないし約2時の間であってよい。設置用ガイド100が皮膚155の外部表面上で実質的に不動の状態にとどまっている間の、設置用ツール120の取っ手部分及び設置用ツールカニューレ115の回転は、患者の皮膚155の表面下、約0.5mmないし約4.5mm、約1mmないし約4mm(例えばいくつかの実施形態において、約1.5mmないし約3mm)などの既定の深さにおけるインプラントの制御された設置を提供する。設置用ツールカニューレ115が図示された方向(図11Aに右から左への1本の矢印により示されている)に挿入されていくにつれて、術者の指によって、皮膚155の外部表面に対して直接的に逆向きの牽引力が加えられ得る。(対向牽引力は、図11A中に左から右への4つのより小さい矢印によって例示されている。)
【0098】
図11Bはさらに、一実施形態における、患者の皮膚155の表面上の挿入点160に設置用ツールカニューレ115上のインジケータバンド170が到達又は接近するまでの、患者の皮膚155の表面下のインプラントの設置を例示している。インジケータバンド170が患者の皮膚155の表面上の挿入点160に達した時点で、ユーザ/術者は、カニューレが組織内に充分挿入されており、カニューレからインプラントを送出できる、ということを理解/確認することができる。
【0099】
図12A図12B及び図13は、インプラント撤去のための方法のいくつかの実施形態を示す。図12Aは、一実施形態において、インプラント撤去用ツールを用いて、インプラントの両端部及び近傍の皮膚において「テント状の部分を創出すること」が開始されている、インプラントを撤去するための方法における最初の段階を例示する。相対するワイヤ状端部310/320は各々、(皮膚350の下に破線で示されている)インプラントのいずれかの端部で皮膚350の周りを包囲させられ、インプラント及び近傍の皮膚350に皮膚の隆起区分360を形成させる。いくつかの実施形態において、連結用構造335は、アーム325を押し合わせる時にユーザによって加えられる力に対抗するために張力を提供するコイルである。いくつかの実施形態において、係止用装置330は、例証されたものなどの摺動摩擦係止機構を含む。図12Aに示されているように、アーム325は、比較的開放した配向/位置にあり、係止用装置330は完全に「係合され」ておらず、むしろ係止用装置330は、アーム325上において、比較的連結用構造335の近くで端部310/320から離れたところに位置付けされる。
【0100】
図12Bは、一実施形態において、インプラント370の各端部と近傍の皮膚がツール端部310及び320により包囲されている、皮膚の隆起区分360の下の、インプラントの各端部の周りに形成されたテント状の部分の側面図を例示している。術者は、インプラント370のテント状にされたいずれかの端部において、包囲された皮膚内に切開を行なうことができる。
【0101】
図13は、一実施形態において、ツール端部310により包囲された皮膚350内で、テント状にされた一方の端部近くに外科用メス380を介して作られた切開部からインプラントが出現している、インプラントを撤去するための方法における後続する一段階を例示している。いくつかの実施形態において、切開は、インプラント撤去用ツール300に対して「ハンズフリー」で実施され得る。すなわち、インプラントのテント状にされた構成は、切開及び撤去ステップ中に、ユーザ/術者が撤去用ツールを保持する又はさらに操作することなく、維持される。図13に示されているように、アーム325は、閉鎖配向/位置(例えば第2の位置)にあり、係止用装置330は、「係合」されており、インプラントは切開部から出現し始めている。係止用装置330は、アーム325上において、図12Aに示された係止用装置330の位置に比べ連結用構造335からさらに離れ、端部310/320にさらに接近して位置付けされている。
【0102】
図14は、別の実施形態において、パイロットチューブ505及び視認開口部510の位置を示す設置用ガイドを例示する。同様に示されているのは、設置用ガイド500の剛性を増大させるための立ち上げられた側面550及びガセット板540である。ガセット板540は概して、直交方向に配向されており、いくつかのガセット板は、パイロットチューブ開口部505の近くで、ガイド500の全幅にまたがり、他のガセット板は、中央長手方向軸に対してならびに視認開口部510の長さに対して直交する方向に配向されて、ガイド500の部分的な幅にまたがっている。同様に示されているのは、カニューレ115の挿入のために患者の皮膚内に切開を行なうときに通る切開開口部590である。いくつかの実施形態においては、接着性ライナ595が設置用ガイド500の下側に貼付され、接着性ライナ595は、ライナの両側に接着剤層を有し、こうして設置用ガイド500の下側及び患者の皮膚の外部表面の両方に接着する。いくつかの実施形態において、接着性ライナは、切開部内へのカニューレ115の挿入時点に患者の皮膚に逆向きの牽引力を提供する。
【0103】
図15は、別の実施形態において、ワイヤが、全てステンレス鋼製金属ワイヤなどの金属ワイヤで作られた特徴部410/420及び相対するアーム425を形成している、インプラント撤去用ツール400を例示する。ワイヤ状特徴部410/420は、連結用構造435により連結された相対するアーム425の各端部において示されている。いくつかの実施形態において、連結用構造435は、張力を提供するコイル又はバネである。いくつかの実施形態において、アーム425、ワイヤ状特徴部410/420及び連結用構造435(例えば「実質的に対称的な」例えば円形のコイル又はバネの形に構成される)は、単一の一定長の又は2つ以上の一定長のワイヤなどで製造される。
【実施例0104】
1.設置用ガイド:剛性対可撓性構造
2つの異なる設置用ガイド、A(剛性)及びB(可撓性)を伴う設置用ツールを用いて、移植深さを比較した。具体的には、浸透圧ポンプ(直径およそ4mm×長さ44mm)を、代表的な設置用ツール及び2つの異なる設置用ガイドA及びBを用いて、生きたブタのモデルの体内に移植した。実質的に剛性のガイドである設置用ガイドAは、図5A~Eの中に例示されているガイドに類似していた。設置用ガイドB(図示せず)は、比較的可撓性のガイドであった。設置用ガイドAは、設置用ガイドBのより可撓性の高いプラスチックの約2倍の厚みを有する剛性成形プラスチックで製造した。設置用ガイドAは、挿入処置中に術者により、長手方向又は幅方向に実質的に湾曲、歪曲又は屈曲され得ない程度の充分な剛性を有していた。対照的に、設置用ガイドBは、挿入処置中、術者が容易に長手方向及び幅方向に湾曲及び屈曲させることができた。設置用ガイドA及びBは、おおよそ同じ長さ(約86mm)であったが、設置用ガイドBは、設置用ガイドA(幅約25mm)のおよそ半分の幅を有し、設置用ガイドAの高さのおよそ半分の高さを有する立ち上げられた側面を有していた。設置用ガイドBには、設置用ガイドAには存在するガセット板及び視認開口部が欠落していた。
【0105】
設置用ガイドAの使用は、皮膚の外部表面下、約3mm以下の深さにおける浸透圧ポンプの設置を一貫して結果としてもたらした。具体的には、移植されたインプラントの各端部(すなわち近位及び遠位)の深さを記録し、平均深さを計算した。例えば下表1を参照のこと。
【0106】
対照的に、設置用ガイドBの使用は、多くが目視及び動悸では深過ぎると思われた皮膚の外部表面下のさまざまな深さにおける浸透圧ポンプの一貫性のない設置を結果としてもたらした。このため、設置用ガイドAに類似するものなどの比較的剛性のある設計を有するガイドが好ましい可能性がある。
【0107】
2.設置用ガイド:直接的対間接的対向牽引力
2つの異なる設置用ガイド、A(幅狭、約25mm)及びC(約2倍の幅)を伴う設置用ツールを用いた移植深さを比較した。具体的には、代表的な設置用ツール並びに2つの異なる設置用ガイドA及びCを用いて生きたブタモデルの体内に、浸透圧ポンプ(およそ直径4mm×長さ44mm)を移植した。比較的幅狭のガイドである設置用ガイドAは、図5A-Eに例示されているガイドに類似していた。比較的幅広のガイドである設置用ガイドCは、図14中に例示されたガイドに類似していた。設置用ガイドA及びCは、実質的に類似の剛性を示した。両方共、実施例1の設置用ガイドBよりも著しく高い剛性を有していた。
【0108】
比較的幅狭の設置用ガイドAを伴って構成された設置用ツールを使用して、生きたブタモデルの体内に直接的対向牽引力を用いて浸透圧ポンプを移植した。具体的には、術者は自らの利き手で設置用ツールの取っ手をつかみ、設置用ツールの取っ手ひいてはカニューレを設置用ガイド上のパイロットチューブの中央長手方向軸に対して正転又は逆転させることによって、設置用ツールのカニューレを組織内に挿入した。利き手でない方の手の1本以上の指/親指を用いて、術者は、設置用ガイドのいずれか又は両方の側で皮膚の外部表面に直接、対向牽引力を加えた。これを行ないながら、術者は、カニューレを介して組織内部に挿入用チャネルを創出し、設置用ガイドに関してハンズフリーで作業しながら、浸透圧ポンプを設置した。
【0109】
設置用ガイドAの使用は、皮膚の外部表面下、約3mm以下の深さにおける浸透圧ポンプの設置を一貫して結果としてもたらした。具体的には、移植されたインプラントの各端部(すなわち近位及び遠位)の深さを記録し、平均深さを計算した。例えば下表1を参照のこと。
【0110】
比較的幅広の設置用ガイドCを伴って構成された第2の設置用ツールを使用して、生きたブタモデルの体内に間接的対向牽引力を用いて浸透圧ポンプを移植した。具体的には、術者は自らの利き手で設置用ツールの取っ手をつかみ、カニューレを設置用ガイド上のパイロットチューブの中央長手方向軸に対して正転又は逆転させることによって、設置用ツールのカニューレを組織内に挿入した。利き手でない方の手で、術者は、設置用ガイドCの外側縁部上に直接1本以上の指/親指を押圧しこうしてガイド自体を切開部全体にわたり皮膚の外部表面上に押圧することによって、間接的に対向牽引力を加えた。
【0111】
設置用ガイドCは、術者がカニューレを組織内に挿入しようとするにつれて、挿入用カニューレと同じ方向で膨れ上がって皮膚が後退する「アコーデオン効果」を、切開部近くの皮膚が示すため、問題の多いものであることが設置処置中に判明した。この発見事実に応えて、修正バージョンの設置用ガイドCを有する設置用ツールを用いて、設置処置を反復した。この修正ガイドは、設置用ガイドCを挿入/設置処置中に挿入部位の周りの皮膚の外部表面に貼付する下側に貼付された両面接着剤層(図14の層595)をそれ自体有していた。術者は再び、修正された設置用ガイドCの外側縁部上に直接1本の指と親指を押圧しこうして切開部全体にわたり皮膚の外部表面上にガイド/接着剤層を押圧することによって、間接的に対向牽引力を加えた。
【0112】
接着剤層を有するこの修正バージョンの設置用ガイドCも、術者がカニューレを組織内に挿入しようとするにつれて切開部の近くの皮膚が同様に膨れ上がって後退したため、同じように問題があることが判明した。
【0113】
したがって、設置用ガイドAに類似するガイドをさらに最適化しテストした。これらの最適化されたガイドは比較的剛性であり、術者が切開部及び設置用ガイドの一方の側又は両側の外部表面に直接対向牽引力を加えることができる程度に充分幅狭である。
【0114】
3.生きたブタモデルにおける移植深さの測定
本明細書中に記載の代表的な設置用ツール及び設置用ガイドを用いて生きたブタモデルの体内に移植された48基の浸透圧ポンプ(およそ直径、例えば幅、約4mm×長さ44mm)について深さ測定を行なった。6つの異なる寸法を有する設置用ガイドを使用した。
【0115】
6つの設置用ガイドは、図5A~Eに例示されたガイドに類似する設計を有していた。ガイドのうち3つは、81mmの長さを有し、3つは86mmの長さを有していた。ガイドはわずかに異なるパイロットチューブ角度を有していたが、このような角度は全てわずかな(すなわち0°より大きい)上り勾配で構成されていた。こうして、カニューレは、ガイドの下側の水平面に対してわずかな上り勾配又は上向きの傾斜で、各々のパイロットチューブを通過した。このわずかな上り勾配でのカニューレの通過により、カニューレの先端部は、パイロットチューブの中を進みパイロットチューブを通過して設置用ガイドの遠位端部に向かうにつれて、ガイドの下側により近いところを移動することになった。
【0116】
対照的に、ガイドの下側に平行(すなわち0°)であったパイロットチューブを有する又は設置用ガイドの下側に対して一定の下り勾配(すなわち0℃未満)で角度付けされたパイロットチューブを有する設置用ガイドは、カニューレを皮膚の外部表面下、組織内により深く、時として過度に深く誘導し得る。
【0117】
わずかな上り勾配又は上向きの傾斜を有する適切なパイロットチューブ角度は、設置用ガイドの「オフセット寸法」を測定することによって確認した。オフセット寸法は、パイロットチューブの中に鋼製ロッドを設置し、例えばパイロットチューブの近位端部から30.0mm及び76.0mmのところで、挿入されたロッドの上面からガイドの下側に沿った2つの点の各々までの平均距離を測定することによって測定された。上向きの傾斜を有する適切なパイロットチューブ角度を有する設置用ガイドの、30.0mmの点における挿入されたロッド上面からガイドの下側までの距離は、76.0mmの点において測定された対応する距離に比べて大きい。
【0118】
生きたブタモデルの腹部上の8つの異なる設置部位(L1-L8)を使用し、各部位に6個を設置(P1~P6)したため、結果として48個の浸透圧ポンプを設置することになった。さらに、2個の浸透圧ポンプを意図的に規定の深さより深く(例えば皮膚の外部表面下方約5mm超の深さ)設置することを試みた熟練ユーザが、2個の追加の設置用ガイド及び設置用ツールを無作為に選択した。これら2つのインプラントを組織内に過度に深く設置しようとする試みにも関わらず、これらのインプラントは、表1中に報告されている48個のインプラントの適切な深さと目視時点では実質的に類似であるように見えかつ動悸時点では実質的に類似であると感じられた深さに設置されており、このことはすなわち、ユーザ/術者が皮膚の外部表面下方の過度に深いところに浸透圧ポンプを故意に挿入できないように、開示対象の設置用ガイドが有効にこれを防止しているということを示している。
【0119】
48個の浸透圧ポンプを設置した後、各浸透圧ポンプが設置された皮膚の外部表面下方の深さを測定し記録するために、超音波測定を使用した。具体的には、各端部(すなわち近位及び遠位)の深さを記録し、浸透圧ポンプについての記録された深さと平均深さを計算し、下表1に作表した。
【0120】
【表1】
【0121】
48件の移植についての平均深さは、皮膚の外部表面下方、1.85mmであった。平均近位深さは1.87mmであり、平均遠位深さは1.84mmであった。最も浅い移植は1.2mm(近位端部で、一回発生)であり、最も深い移植は3.2mm(近位端部で、同じく一回発生)であった。挿入された浸透圧ポンプは全て、熟練ユーザが所望される深さよりも深く設置しようとした2個の浸透圧ポンプでさえ、容易に撤去することができた。
【0122】
表1のデータ及び熟練ユーザが所望の深さよりも深く設置しようとしたができなかった2つの浸透圧ポンプからのデータは、81mm又は86mmの長さを有する6つの設置用ガイド全てが、皮膚の外部表面下方における浸透圧ポンプの適切な設置を保証し、それらの撤去は容易に可能であった、ということを実証している。
【0123】
4.健康な成人対象におけるプラシーボを伴う浸透圧ミニポンプの設置を評価する研究
主目的
プラシーボ浸透圧ミニポンプ「インプラント」(本明細書中では、「プラシーボ浸透圧ミニポンプ」と呼ぶこともある)を患者の腹壁の真皮下内に、インプラントの容易な撤去を促す深さで一貫して送達するために、臨床医が開示対象の設置用システムを正しく使用できる能力を査定すること。対象の腹壁内の皮膚の下に浸透圧ミニポンプを設置する(すなわち挿入する)ために、設置用システムを使用した。設置用システムは、共に図1A中に示されたものに類似した設置用ツール及び設置用ガイドを含んでいた。設置用ガイドは設置用ツールと相互作用し、プラシーボ浸透圧ミニポンプの設置深さを制御し限定するように設計されていた。
【0124】
主要評価項目
・ 設置用システムを用いて正しく設置されたプラシーボ浸透圧ミニポンプの数と百分率
【0125】
副次的目的
設置用システムを用いて設置されたプラシーボ浸透圧ミニポンプを撤去する能力を査定すること。
【0126】
設置用システムを用いてプラシーボ浸透圧ミニポンプを設置するための処置の忍容性を査定すること。
【0127】
設置用ツールの一実施形態についての処置者のそれまでの経験に基づいて、設置用システムの使用し易さを査定すること。
【0128】
副次的評価項目
・ 設置用システムを用いて設置され正しく撤去されたプラシーボ浸透圧ミニポンプの数及び百分率
・ (0日目の設置直後及び2週目の撤去直前に決定された)プラシーボ浸透圧ミニポンプの設置の平均深さ。
・ mm単位で測定された挿入されたプラシーボ浸透圧ミニポンプの近位及び遠位端部の深さの一貫性。
・ 設置用システムの一実施形態を用いてプラシーボ浸透圧ミニポンプを設置するための処置の忍容性の査定。
・ 本明細書中で説明された設置用システムの使用し易さの査定。
【0129】
追加の査定
・ 挿入されたプラシーボ浸透圧ミニポンプの設置に要した時間。
・ 挿入されたプラシーボ浸透圧ミニポンプの撤去に要した時間。
【0130】
処置の継続期間
およそ5週間、スクリーニング検診(検診1、2週間前(検診1、術前2週間[14日前ないし2日前])、設置検診(検診2、0日目)、撤去検診(検診3、2週間±3日目)処置後の電話による追跡調査(検診4、3週間±7日目)。
【0131】
方法論
これは、健康で正常なボランティアにおける、第1段階、非盲検、単一施設研究であった。18才以上60才以下の合計20名の健康な成人対象(男女の対象)が参加した。対象には、1回のスクリーニング検診、1回の設置検診及び1回の撤去検診を含めた3回の検診とそれに続く撤去セッションより一週間後の電話追跡調査への参加が求められた。各対象についての参加の合計の継続期間は、約5週間であった。
【0132】
病歴を精査し、試験対象患者基準及び除外基準を確認するために、スクリーニング検診において、対象に対し面談が行なわれた。検診1(術前2週間[14日前ないし2日前])でスクリーニング基準を満たした対象は、設置検診のため、研究施設へ検診2(0日目)に出向いた。各対象は、設置用システムの一実施形態を用いて腹壁の左上腹部四半部内へのプラシーボ浸透圧ミニポンプの設置(すなわち挿入)を受けた。訓練された認定臨床医が、適切な無菌技術を用いて設置を実施した。有資格超音波技師が設置されたプラシーボ浸透圧ミニポンプの近位及び遠位深さを確認した。対象は、この時点で、臨床医が退院許可を行う準備が整った状態になった。切開部治癒のための2週間の期間の後、対象は、プラシーボ浸透圧ミニポンプの深さを確認するための2回目の超音波読取りのため検診3(2週間±3日目)に戻った。検診3において、その直後に、臨床医がプラシーボ浸透圧ミニポンプを撤去した。
【0133】
設置及び撤去を行なわせる目的で、熟練臨床医と非熟練臨床医を採用した。両者共、最低2年間の専門医としての実績を有していた。非熟練臨床医は、浸透圧ミニポンプの設置及び撤去手術について未経験であった。熟練臨床医は、出願人により訓練され認定されており、少なくとも10例の浸透圧ミニポンプ設置及び撤去処置を行なっていた。熟練臨床医グループは、2名の臨床医を包含していた。このグループは、装置の設置の50%と撤去の50%を行なった。非熟練臨床医グループも同様に2名の臨床医を包含していた。このグループは同様に、装置の設置の50%と撤去の50%を行なった。同じ臨床医が、同じ対象において設置及び撤去手術を行なった。
【0134】
容易な撤去を促す適切な(例えば5mm未満の)深さにプラシーボ浸透圧ミニポンプを一貫して送達する設置用システムの能力を、設置時及び撤去時に超音波により評価した。超音波は設置時と撤去前の両方において行なわれたが、これは、リドカイン由来の流体が当初の設置時における実際の深さを評価する能力を阻害する可能性があったからである。このリドカイン由来の流体は概して、2週間以内で減少した。設置用システムを用いて当初設置されたプラシーボ浸透圧ミニポンプを撤去する能力は、装置の撤去のために設置後2週間以内に対象を再来させることによって実証された。
【0135】
設置用システムを用いて臨床医が設置作業を行なう時間を記録し、プラシーボ浸透圧ミニポンプの場所を文書で記録した。
【0136】
研究用浸透圧ミニポンプ
本明細書で説明されている浸透圧ミニポンプは、2型糖尿病の治療向けに開発中の浸透圧ミニポンプに入ったエキセナチドからなる治験中の組合せ製品の一部である。この研究のためには、プラシーボ浸透圧ミニポンプを使用した。プラシーボ浸透圧ミニポンプは、設置用システムを用いて、臨床検診中に、訓練された有資格医療関係者によって腹壁内に設置された。
【0137】
プラシーボ浸透圧ミニポンプは、直径(例えば幅)約4mm×長さ約44mmの外部寸法を有する円筒形のチタン合金タンクで構成されていた。タンクは、一方の端部が速度制御型半透過膜でキャッピングされ、もう一方の端部は、薬剤タンクからプラシーボが放出されるときに通る拡散モデレータでキャッピングされていた。プラシーボ調合物、ピストン及び浸透圧エンジンは、シリンダの内部に格納されていた。プラシーボ浸透圧ミニポンプは、浸透原理に基づいた既定の速度でプラシーボを放出した。細胞外空間由来の水は、半透過膜を通って直接浸透圧エンジン内へと装置に入り、この浸透圧エンジンが膨張して、低く一貫性ある走行速度でピストンを駆動した。ピストンの運動は、プラシーボを拡散モデレータのオリフィスを通して強制的に放出させた。プラシーボ浸透圧ミニポンプは、エキセナチドもいずれの生物学的に活性な薬剤も格納していなかった。
【0138】
スクリーニング法(検診1、14日ないし2日前)
対象は、設置セッション前2ないし14日以内に、スクリーニング検診のため研究現場に出向いた。スクリーニング検診は、対象の同意を得ること、対象の病歴を精査すること、検査検体を収集すること、及び、対象が試験対象患者選択/除外基準を満たしていることを確認することで構成されていた。対象は、スクリーニング検診において行なわれた査定により適格性が確認された後、臨床医に割当てられた。
【0139】
設置セッション(検診2、0±0日目)
現場スタッフが対象と面談して、スクリーニング以降、試験対象患者選択/除外基準の制限が侵害されていないことを確認した。対象は、以下の順序で試験を受けた:
・ 臨床医により施される試験領域のマーキング及び清浄。
・ リドカインの注入及び設置用システムを用いたプラシーボ浸透圧ミニポンプの設置。
・ およそ3ないし5分間滅菌ガーゼで切開部位に対し直接定常圧力を加えることによって、止血を達成した。
・ 切開部のいずれかの側に対しMastisol(登録商標)Skin Adhesiveを適用した。
・ 切開部の縁部を対面させ、Steri-Strips(商標)及び標準的包帯で閉じた。
・ 超音波機及びプローブを用いて、超音波技師によってプラシーボ浸透圧ミニポンプの近位及び遠位端部の深さが確認された。
【0140】
プラシーボ浸透圧ミニポンプの近位及び遠位深さがひとたび確認された時点で、臨床医は対象の退院準備を行なった。対象は、撤去セッションのため2週間以内に戻ることが予定されていた。臨床医は、設置用システムについての印象に関する用意された質問を受け、同様に、いくつかのアンケートの記入を依頼された。
【0141】
撤去セッション(検診3、2週間±3日目)
対象は、以下の順序で試験を受けた:
・ 臨床医が、設置された(すなわち挿入された)プラシーボ浸透圧ミニポンプの位置を突きとめ、マーキングした。
・ 超音波技師が、超音波を用いてプラシーボ浸透圧ミニポンプの深さを確認した。
・ 撤去部位はChlora Prep(登録商標)で清浄され、それに続いて臨床医は、切開を行なうべき場所にプラシーボ浸透圧ミニポンプの先端部を不動化しテント状の部分を創出した。
・ リドカインが装置のテント状にされた先端部に注入され、これに続いて、刃が金属先端部に接触したと臨床医が感じるまで、装置上で下方に外科用メスの刃を用いて小さく(切り傷)切開が行なわれた。その後切開部を通って装置が撤去された。
・ およそ3ないし5分間滅菌ガーゼで切開部位に対し直接定常圧力を加えることによって、止血を達成した。
・ ひとたび止血を達成した時点で、切開部をSteri-Strips(商標)及び標準的包帯で閉じた。
・ 撤去セッションの後、臨床医は、そのプラシーボ浸透圧ミニポンプ撤去体験に関する主観的な印象を得るための質問を受け、いくつかのアンケートの記入を依頼された。
【0142】
結果
設置及び撤去処置の要約
主要評価項目は、熟練グループと非熟練グループ間で同じであった。両方のグループ共、全てのプラシーボ浸透圧ミニポンプを適切に設置した(表2、n=20、各グループ内の対象10名、100%)。
【0143】
【表2】
【0144】
正しく撤去されたプラシーボ浸透圧ミニポンプの数及び百分率に関する副次的評価項目は、熟練グループと非熟練グループ間で類似し、熟練グループ(以下参照)による対象数は9名(90%)及び非熟練グループによる対象数は10名(100%)であった。プラシーボ浸透圧ミニポンプの平均深さ及びその近位及び遠位端部の深さの一貫性についての副次的評価項目は、臨床医グループ間で類似していた。表3及び4を参照のこと。追加の評価項目に関するデータが、表5及び6にまとめられている。
【0145】
【表3】
【0146】
【表4】
【0147】
【表5】
【0148】
【表6】
【0149】
結論
研究の間、臨床的に有意な臨床検査又は理学的検査の発見事実は全く存在しなかった。研究の間、プラシーボ浸透圧ミニポンプの設置及び撤去は、対象の体内で充分に忍容された。予想外の安全上の懸案事項は全く識別されなかった。
【0150】
本明細書中に記載の設置用システムの一実施形態を使用することにより、約5mm未満の規定の深さにおけるプラシーボ浸透圧ミニポンプの適切な設置が結果としてもたらされ、この深さは、設置手術についての臨床医の以前の経験の如何に関わらず、全ての対象からのインプラントの好適かつ安全な撤去を可能にした。設置用システム及び移植技術の或る側面が、皮膚の外部表面下の組織の内部でのインプラントの設置を最適化することが発見された:すなわち
(i)設置用ガイドのパイロットチューブの内部を自由に回転できる設置用カニューレの能力は、インプラントの挿入の容易さと正確さを改善することが発見された。インプラントを移植する前の、切開部内へのカニューレの挿入中、設置用ツールの取っ手部分及びカニューレは、概して、術者の利き手によって、時計回り及び反時計回り方向で左右に、例えば設置用ガイド上のパイロットチューブの中央長手方向軸に対して約10時ないし約2時の間の区間又は範囲内で正転及び逆転された。このような回転は、設置用ガイドが患者の皮膚の表面上で回転することなく実質的に不動の状態にとどまっている一方で、設置用ツール及びガイドの素早い使用を可能にし、損傷又はあざを最小限にとどめる又は全く無くした状態で、異なる患者の体内のさまざまな形状及びタイプの組織内へのカニューレの滑らかでかつ制御された進行を促進した。
(ii)利き手でない手を用いた設置用ガイドの比較的ハンズフリーの操作が、設置処置を最適化することが発見された。ヒトの死体や生きたブタモデルのより乾燥した組織よりもさらに保湿された組織を有する生きたヒトの対象の組織の中へのインプラントの適切な挿入には、概して、カニューレが組織内に前進するにつれて挿入の両側で皮膚の外部表面が「膨れ上がる」又は「押し返される」、「アコーデオン効果」の発生を防止するために、或る程度の対向牽引力が必要とされた。対向牽引力は、ヒトの死体や生きたブタモデルのより乾燥した組織に比べてこの効果を受けやすい生きたヒトの組織にとって、非常に厄介なものであることが判明した。このような対向牽引力は、可能なかぎり挿入部の近くで、挿入部の片側又は両側で皮膚の外部表面に直接、利き手でない手の指/親指を用いて最もうまく加えることができるということが発見された。したがって、比較的幅広(例えば約80mm超)のガイド、又は、患者の皮膚の外部表面上に利き手でない手でつかまれる若しくは押圧されるように設計されたガイドは、挿入部の両側における皮膚の外部表面の「膨れ上がり」(又は「押し返し」)を防げなかったことを理由として、問題の多いものであることが判明した。対照的に、例えば図5A~Eに示されたものなどの比較的幅狭(例えば約15mmないし約35mm)のガイドは、比較的狭いガイドの片側又は両側で比較的挿入部の近くで患者の皮膚の外部表面に対して直接、利き手でない手の指/親指を用いて臨床医が対向牽引力を加えることを可能にするため、より優れていることが判明した。
(iii)設置用ガイド上の視認開口部も同様に、インプラントの挿入の容易さ及び正確さを改善することが分かった。パイロットチューブを通ってガイド下に全体が延在する状態のカニューレの全長よりも長い視認開口部を有するガイドが好まれた。このような長さの視認開口部によって、ガイドは、全体が延在する状態のカニューレの鋭い先端部から張り出し、こうして鋭い先端部からの一定の保護を提供した。さらに、この長さの視認開口部は、挿入中に、前進するカニューレの全長の直ぐ上の皮膚の外部表面を臨床医が観察し触れることができるようにした。皮膚表面下に挿入されたカニューレの全長の視認及び動悸によって、臨床医は、カニューレの適切な挿入ひいてはインプラントの適切な設置を、処置の全行程にわたり監視し確認することができた。
【0151】
本出願中に提示されている特許、特許出願、論文、ウェブページ、書籍などを非限定的に含めた刊行物又は他の文書に対するいずれかの及び全ての参照指示は、その全体を参照により本明細書に組込むものである。
【0152】
装置、システム及び方法の例示的実施形態が、本明細書中で説明されてきた。他の場所で指摘した通り、これらの実施形態は、単に例示のみを目的として記載されており、限定的ではない。本明細書中に含まれた教示から明らかとなる他の実施形態が可能であり、開示により網羅される。したがって、開示の広さ及び範囲は、上述の実施形態のいずれかによって限定されるべきではなく、本開示及びその等価物によって裏づけされた特許請求の範囲のみにしたがって定義されるべきである。さらに、主題の開示の実施形態は、対象の粒子の分離、集束/濃縮に対応するいずれかの及び全ての要素を含む、他の任意の開示された方法、システム及び装置からのいずれかの及び全ての要素をさらに含むことのできる方法、システム及び装置を含んでいてよい。換言すると、一つ又は別の開示された実施形態からの要素は、他の開示された実施形態からの要素と互換性を有することができる。さらに、開示された実施形態の1つ以上の特徴/要素は、削除することができ、それでもなお結果として特許性のある主題をもたらす(ひいては、主題開示のさらに多くの実施形態さえ結果としてもたらす)ことができる。これに相応して、本開示のいくつかの実施形態は、1つ以上の要素/特徴が特定的に欠落していることによって、1つ及び/又は別の先行技術と特許性ある形で異なっている場合がある。換言すると、或る実施形態に対する請求項は、1つ以上の要素/特徴を特定的に排除するために負の限定を含み、結果として、このような特徴/要素を含む先行技術とは特許性ある形で異なっている実施形態をもたらすことができる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2021-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント撤去用ツールにおいて、
第1のアームと、
少なくとも使用中は前記第1のアームから離隔されかつ前記第1のアームに対し実質的に平行であるように構成された第2のアームと、
前記第1及び第2のアームを連結するための連結用構造と、
前記第1のアームの遠位端部に配置された第1の開口部と、
前記第2のアームの遠位端部に配置された第2の開口部と、
を含み、
前記第1の開口部が、位置付けされたインプラントの第1の端部を包囲するように構成され、
前記第2の開口部が、前記位置付けされたインプラントの第2の端部を包囲するように構成され、
前記アームが接近させられるにつれて前記第1のアームと第2のアームの間の距離を維持するように、係止用装置が構成され、
前記第1及び第2のアーム、前記第1及び第2の端部、並びに、前記連結用構造は、1つ以上の一定長のワイヤから製造される、インプラント撤去用ツール。
【請求項2】
前記係止用装置が、ラチェット機構を含む、請求項1に記載のインプラント撤去用ツール。
【請求項3】
前記係止用装置が、摩擦係止機構を含む、請求項1に記載のインプラント撤去用ツール。
【請求項4】
前記第1の開口部及び第2の開口部は、ステンレス鋼ワイヤから形成される、請求項1に記載のインプラント撤去用ツール。
【請求項5】
前記第1の開口部及び第2の開口部は、全体的に丸形、卵形又は方形の形状である、請求項4に記載のインプラント撤去用ツール。
【請求項6】
前記第1の開口部は、ステンレス鋼ワイヤの第1の端部に形成されており、前記第2の開口部は、前記ステンレス鋼ワイヤの第2の端部に形成されている、請求項1に記載のインプラント撤去用ツール。
【請求項7】
前記ワイヤは、前記第1のアーム及び前記第2のアームを含む、又は、前記第1のアーム及び前記第2のアームに取付けられている、請求項6に記載のインプラント撤去用ツール。
【請求項8】
前記連結用構造が、バネ又はコイルを含む、請求項1に記載のインプラント撤去用ツール。
【請求項9】
さらに取っ手を含み、前記取っ手が、
前記第1のアームに取付けられた第1の握りと、
前記第2のアームに取付けられた第2の握りと、
前記第1のアームと前記第2のアームの間でステンレス鋼ワイヤに沿って位置するコネクタ部品と、
を含む、請求項1に記載のインプラント撤去用ツール。
【請求項10】
前記第1及び第2のアーム、前記第1及び第2の端部、並びに、前記連結用構造は、単一の一定長のワイヤから製造される、請求項1に記載のインプラント撤去用ツール。
【請求項11】
インプラントを撤去するための方法において、請求項1に記載の撤去用ツールを提供するステップを含む、方法。
【請求項12】
インプラントの第1の端部に前記第1のアームを配置するステップであって、前記インプラントが、患者の皮膚の外部表面下にある、ステップ、
前記インプラントの前記第1の端部及び近接する皮膚を前記第1の開口部の内部に包囲するステップ、
前記インプラントの第2の端部を位置設定するステップ、
前記インプラントの前記第2の端部及び近接する皮膚を前記第2の開口部内に包囲するステップ、
前記第1のアーム及び前記第2のアームを共に第1の位置に向かって押し合わせる又は他の形で強制するステップであって、前記第1のアーム及び前記第2のアームが前記第1の位置に来た時点で、前記インプラントは、前記インプラントの前記第1及び/又は第2の端部を含む前記皮膚の中にテント状の部分を創出する、ステップ、
前記インプラントの前記第1又は第2の端部において、前記皮膚の中の前記テント状の部分の近くで前記患者の前記皮膚内に切開部を創出するステップ、及び
前記第1のアーム及び前記第2のアームを共に第2の位置に向かって押し合わせるステップであって、第1のアーム及び第2のアームが前記第2の位置に来た時点で、前記インプラントの前記第2の端部は、前記切開部を通って前記患者の前記皮膚から退出する、ステップ、
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記インプラントの前記第1及び第2の端部は、前記第1及び第2の開口部の範囲内に位置設定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の位置は、前記第2の位置に比べて前記第1及び第2のアームが幅広である構成である、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記係止用装置は、前記切開部が創出される間、前記第1のアーム及び前記第2のアームを前記第1の位置に保持する、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の位置に到達するための前記第1のアーム及び前記第2のアームの前記押し合わせは、前記第1の位置で始まり、前記第2の位置で終る、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記係止用装置は、前記第1のアーム及び前記第2のアームを前記第1及び第2の位置に保持する、請求項16に記載の方法。