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特開2022-32043移動通信ネットワークに通信可能に接続されるユーザー装置(UE)により実行される方法およびユーザー装置(UE)
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032043
(43)【公開日】2022-02-24
(54)【発明の名称】移動通信ネットワークに通信可能に接続されるユーザー装置(UE)により実行される方法およびユーザー装置(UE)
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/20 20180101AFI20220216BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20220216BHJP
   H04W 76/27 20180101ALI20220216BHJP
【FI】
H04W4/20 110
H04W88/02 150
H04W76/27
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129320
(22)【出願日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】63/063,435
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/363,439
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】509024640
【氏名又は名称】エイサー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ACER INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】林 榮懋
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD23
5K067DD24
5K067EE02
5K067EE10
5K067LL11
(57)【要約】
【課題】無線リソース制御(RRC)不活性状態におけるスモールデータ送信の装置と方法を提供する。
【解決手段】移動通信ネットワークに通信可能に接続されるユーザー装置(UE)により実行される方法が提供される。UEは、移動通信ネットワークの配置に応えて、無線リソース制御(RRC)不活性状態で操作する。UEは、RRC不活性状態でトリガーされるスモールデータ送信(SDT)手順に対応して、移動通信ネットワークのサービングセルの信号品質を監視するか、あるいは、SDT手順で送信されるデータのトラフィックタイプを決定する。UEは、サービングセルの信号品質、あるいは、データのトラフィックタイプに基づいて、SDT手順を実行するか否か判断する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信ネットワークに通信可能に接続されるユーザー装置(UE)により実行される方法であって、前記方法は、
前記移動通信ネットワークの配置に応えて、無線リソース制御(RRC)不活性状態で操作する工程、
前記RRC不活性状態でトリガーされるスモールデータ送信(SDT)手順に対応して、前記移動通信ネットワークのサービングセルの信号品質を監視する、あるいは、前記SDT手順で送信されるデータのトラフィックタイプを決定する工程、および、
前記サービングセルの前記信号品質、あるいは、前記データの前記トラフィックタイプに基づいて、前記SDT手順を実行するか否か判断する工程、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
さらに、
前記信号品質が、第一スレショルドより高いことに対応して、前記データを前記移動通信ネットワークに送信することにより、前記SDT手順を実行する工程、あるいは、
前記信号品質が、前記第一スレショルド以下であることに対応して、前記SDT手順の実行、あるいは、前記データと緊急インジケーターを、前記移動通信ネットワークに送信することにより実行される前記SDTの実行を禁止する工程、
を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一スレショルドは、前記サービングセルから受信される参照信号情報(RSI)中で配置され、且つ、前記RSIは、RRCメッセージ、あるいは、ブロードキャストメッセージ中で受信されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記データは、レジュームID(resume Identifier)、レジューム(resume Message Authentication Code-Integrity)MAC-I、および、レジューム原因(resume cause)を有するRRCメッセージで送信され、且つ、前記RRCメッセージは、RRCResumeRequestメッセージであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記緊急インジケーターは、前記サービングセルの前記信号品質が、前記第一スレショルド以下であることを示すことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
さらに、
前記データと前記緊急インジケーターを送信することにより、前記SDT手順を実行することに応答して、RRCReleaseメッセージを受信する工程、および、
前記RRCReleaseメッセージに対応して、前記SDT手順を終了させる工程、
を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記信号品質が、第二スレショルドより低いことに対応する、あるいは、前記データのトラフィックタイプは、前記UEが、応答RRCメッセージを待つ必要がないことに対応して、前記データを前記移動通信ネットワークに送信することにより、前記SDT手順を実行する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
SDTを終了させるUEのために確保されるランダムアクセスプリアンブルを送信するとともに、ランダムアクセス応答を受信することにより、前記SDT手順が実行され、
前記方法は、さらに、
前記データの送信に対応し、且つ、インジケーターを含む前記ランダムアクセス応答に対応して、前記SDT手順を終了させて、前記UEが、前記応答RRCメッセージを待つことなく、前記SDT手順を終了させることを承認する工程、あるいは、
前記データの送信に対応し、且つ、前記インジケーターを含まない前記ランダムアクセス応答に対応して、前記応答RRCメッセージの受信を待つ工程、
を有することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記データは、SDTを終了させるUEのインジケーターと一緒に送信され、
前記方法は、さらに、前記データとSDTを終了させるUEの前記インジケーターを一緒に送信することに対応して、前記SDT手順を終了させる工程を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ユーザー装置(UE)であって、
無線送受信を実行して、移動通信ネットワークと通信する無線トランシーバー、および、
前記無線トランシーバーにより、以下の操作を実行するコントローラー、を有し、
前記操作は、
前記移動通信ネットワークの配置に応えて、無線リソース制御(RRC)不活性状態で操作する工程、
前記RRC不活性状態でトリガーされるスモールデータ送信(SDT)手順に対応して、前記移動通信ネットワークのサービングセルの信号品質を監視する、あるいは、前記SDT手順で送信されるデータのトラフィックタイプを決定する工程、および、
前記サービングセルの前記信号品質、あるいは、前記データの前記トラフィックタイプに基づいて、前記SDT手順を実行するか否か判断する工程、
を有することを特徴とするユーザー装置(UE)。
【請求項11】
前記コントローラーは、さらに、
前記信号品質が、第一スレショルドより高いことに対応して、前記データを前記移動通信ネットワークに送信することにより、前記SDT手順を実行する、あるいは、前記信号品質が、前記第一スレショルド以下であることに対応して、前記SDT手順の実行、あるいは、前記データと緊急インジケーターを前記移動通信ネットワークに送信することにより実行される前記SDTの実行を禁止し、
前記データと前記緊急インジケーターを送信することにより、前記SDT手順を実行することに対応して、RRCReleaseメッセージを受信し、
前記RRCReleaseメッセージに対応して、前記SDT手順を終了させる
ことを特徴とする請求項10に記載のユーザー装置(UE)。
【請求項12】
前記コントローラーは、さらに、前記信号品質が、第二スレショルドより低いことに対応して、あるいは、前記データのトラフィックタイプは、前記UEが、応答RRCメッセージを待つ必要がないことに対応して、前記データを前記移動通信ネットワークに送信することにより、前記SDT手順を実行することを特徴とする請求項11に記載のユーザー装置(UE)。
【請求項13】
SDTを終了させるUEのために確保されるランダムアクセスプリアンブルを送信するとともに、ランダムアクセス応答を受信することにより、前記SDT手順が実行され、前記コントローラーは、さらに、
前記データの送信に対応し、且つ、インジケーターを含む前記ランダムアクセス応答に対応して、前記SDT手順を終了させて、前記UEが、前記応答RRCメッセージを待つことなく、前記SDT手順を終了させることを承認する、あるいは、
前記データの送信に対応して、且つ、前記インジケーターを含まない前記ランダムアクセス応答に対応して、前記応答RRCメッセージの受信を待つ
ことを特徴とする請求項12に記載のユーザー装置(UE)。
【請求項14】
前記データは、SDTを終了させるUEのインジケーターと一緒に送信され、
前記コントローラーは、さらに、前記データとSDTを終了させるUEの前記インジケーターを一緒に送信することに対応して、前記SDT手順を終了させる
ことを特徴とする請求項12に記載のユーザー装置(UE)。
【請求項15】
移動通信ネットワークに通信可能に接続されるユーザー装置(UE)により実行される方法であって、前記方法は、
前記移動通信ネットワークの配置に応えて、無線リソース制御(RRC)不活性状態で操作する工程、
データを前記移動通信ネットワークに送信することにより、前記RRC不活性状態で、スモールデータ送信(SDT)手順を実行する工程、および、
前記SDT手順中、前記移動通信ネットワークのサービングセルの信号品質を監視するとともに、前記サービングセルの前記信号品質を前記モバイル通信装置に報告する工程
を有することを特徴とする方法。
【請求項16】
各アップリンク送信に対応して、あるいは、所定の信号レベルに関連する前記サービングセルの前記信号品質に対応して、あるいは、前記サービングセルの前記監視された信号品質が変化するのに対応して、前記サービングセルの前記信号品質の前記報告が実施されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記サービングセルの前記信号品質は、数値範囲に対応する信号レベルとして報告され、前記信号レベルは、信号レベルの数値範囲へのマッピングに基づいて決定され、且つ、前記マッピングは、前記サービングセルから受信される参照信号情報(RSI)中に配置される、あるいは、3GPP規格中であらかじめ定義されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
さらに、
前記サービングセルの前記信号品質を、前記モバイル通信装置に報告することに対応して、RRCReleaseメッセージを受信する工程、および
前記RRCReleaseメッセージに対応して、前記SDT手順を終了させる工程、
を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル通信に関するものであって、移動通信ネットワークに通信可能に接続されるユーザー装置(UE)により実行される方法およびユーザー装置(UE)に関するものである。特に、本発明は、無線リソース制御(RRC)不活性(inactive)状態におけるスモールデータ送信(small data transmission、SDT)の装置と方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常のモバイル通信環境において、たとえば、携帯電話、あるいは、パソコン(PC)等、無線通信能力を有するユーザー装置(UE)(移動局(MS)とも称される)は、一つ以上の移動通信ネットワークで、音声、および/あるいは、データ信号と通信する。UEと移動通信ネットワーク間の無線通信は、各種無線アクセス技術(Radio Access Technologies、RAT)、たとえば、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM)、ジェネラルパケットラジオサービス(GPRS)、GSM進化型高速データレート(EDGE)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))、符号分割多重アクセス2000(CDMA-2000)、時分割同期符号多元接続(TD-SCDMA)、ワイマックス(WiMAX)、ロングタームエボリューション(LTE)、LTE-アドバンス(LTE-A)、あるいは、NR(New Radio)等を用いて実行される。特に、GSM/GPRS/EDGEは、2Gテクノロジーとも称される。WCDMA/CDMA-2000/TD-SCDMAは、3Gテクノロジーとも称される。LTE/LTE-A/TD-LTEは、4Gテクノロジーとも称される。NRは5Gテクノロジーとも称される。
【0003】
無線リソース制御(RRC)プロトコルは、エアーインターフェイスで用いられる。RRCプロトコルの主要機能は、接続確立と開放機能、システム情報の送信、無線ベアラー確立、再構成(再設定)と開放、RRC接続移動手順(connection mobility procedures)、ページング通知と開放(paging notification and release)、および、外ループ電力制御(outer loop power control)を有する。RRCの操作は、UEが存在する特定状態を定義する状態機械により導かれる。異なるRRC状態は、それらに関連する異なる量の無線リソースを有するとともに、これらは、所定のRRC状態にあるとき、UEが使用するリソースである。4Gシステムにおいて、RRC状態は、アイドル状態、および、接続状態を有する。電源が入った後、UEはアイドル状態であるとともに、データ転送を実行したり、音声電話をしたり受けたりするために、UEは、ネットワークとの接続を構築する必要がある。一旦、接続が構築されると、UEは接続状態に進入する。アイドル状態と接続状態は別として、5GNRは、新しいRRC状態を採用し、この状態は、接続状態に進入せずに、UEにデータ送信を許可するように設計された不活性状態と称され、これにより、接続確立に必要な時間と無線リソースを節約する。
【0004】
5G技術に用いられる3GPP(Third generation partnership project)規格の最近の動向に従って、5Gシステム中のユーザー平面のセルラーモノのインターネット(Cellular Internet of Things、CIoT)最適化の4G設計を再利用して、不活性状態で、スモールデータ送信(SDT)を実現することを提案する。図1は、5GシステムにおけるSDT手順の一例を説明するメッセージシーケンスチャートである。図1に示されるように、不活性状態のUEは、アップリンク(UL)データ(あるいは、スモールデータと称する)を有するRRCResumeRequestメッセージを、サービングセルに送信することにより、レジューム手順(resume procedure)を起動する。アンカー(anchor)gNBの再配置(relocation)が発生する場合、サービングセルは、アンカーgNBから、UEのコンテキストをフェッチするとともに、経路切替手順を実行しなければならない。その後、サービングセルは、UEコンテキスト除去の要求をアンカーgNBに送信するとともに、ULデータをコアネットワーク送信する。その後、サービングセルは、コアネットワークから、可能なダウンリンク(DL)データを待つとともに、DLデータをUEに送信する。UEにこれ以上のDLデータがないとき、サービングセルは、RRCReleaseメッセージをUEに送信する。RRCReleaseメッセージに対応して、UEは、SDT手順を終了させる。しかし、注意すべきことは、サービングセルは、予測不能な時間を費やして、スモールデータを有するRRCResumeRequestに応答することである。一方、スモールデータを有するRRCResumeRequestメッセージの送信後、不活性状態のUEは、セル再選択測定の実行を継続する。その結果、SDT手順中でセル再選択が発生する可能性は高く、且つ、再選択が発生する場合、UEは、アイドル状態に進入して、SDT手順が未完成のままである。一旦、UEがアイドル状態に進入すると、余分な電力を消耗し、オーバーヘッドをシグナリングして、スモールデータを再送信する。
【0005】
よって、不活性状態で、スモールデータを送信する安定した方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、無線リソース制御(RRC)不活性状態におけるスモールデータ送信の装置と方法を提供し、不活性状態で、安定して、スモールデータが送信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様において、移動通信ネットワークに通信可能に接続されるユーザー装置(UE)により実行される方法が提供される。本方法は、移動通信ネットワークの配置に応えて、無線リソース制御(RRC)不活性状態で操作する工程と、RRC不活性状態でトリガーされるスモールデータ送信(SDT)手順に対応して、移動通信ネットワークのサービングセルの信号品質を監視する、あるいは、SDT手順で送信されるデータのトラフィックタイプを決定する工程、および、サービングセルの信号品質、あるいは、データのトラフィックタイプに基づいて、SDT手順を実行するか否か判断する工程、を有する。
【0008】
本発明の別の態様において、無線トランシーバー、および、コントローラーを有するUEが提供される。無線トランシーバーは、移動通信ネットワークとの無線送受信を実行する。コントローラーは、無線トランシーバーにより以下を実行する。その工程は、移動通信ネットワークの配置に応えて、RRC不活性状態で操作する工程と、RRC不活性状態でトリガーされるSDT手順に対応して、移動通信ネットワークのサービングセルの信号品質を監視する、あるいは、SDT手順で送信されるデータのトラフィックタイプを決定する工程、および、サービングセルの信号品質、あるいは、データのトラフィックタイプに基づいて、SDT手順を実行するか否か判断する工程、を有する。
【0009】
本発明のさらに別の形態において、移動通信ネットワークに通信可能に接続されるUEにより実行される方法が提供される。本方法は、移動通信ネットワークの配置に応えて、RRC不活性状態で操作する工程と、データを移動通信ネットワークに送信することにより、RRC不活性状態で、SDT手順を実行する工程、および、SDT手順中、移動通信ネットワークのサービングセルの信号品質を監視するとともに、サービングセルの信号品質をモバイル通信装置に報告する工程、を有する。
【0010】
本発明のその他の態様と特徴は、RRC不活性状態におけるSDTの装置と方法の特定の実施形態の以下の記述を参照すれば理解できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の無線リソース制御(RRC)不活性状態におけるスモールデータ送信の装置と方法により、不活性状態で、安定して、スモールデータが送信できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、5GシステムにおけるSDT手順の一例を説明するメッセージシーケンスチャートである。
図2図2は、本発明の一実施形態によるモバイル通信環境のブロック図である。
図3図3は、本発明の一実施形態によるUE110を説明するブロック図である。
図4図4は、本発明の一実施形態によるRRC不活性状態のSDTの方法を説明するフローチャートである。
図5図5は、本発明の一実施形態による工程430の決定結果に関連するUEの動作を説明するフローチャートである。
図6図6は、本発明の一実施形態によるアプローチ1-1-1におけるSDT手順を説明するメッセージシーケンスチャートである。
図7図7は、本発明のもう一つの実施形態による工程430の判断結果に関連するUEの動作を説明するフローチャートである。
図8図8は、本発明の一実施形態によるアプローチ2ー1におけるSDT手順を説明するメッセージシーケンスチャートである。
図9図9は、本発明の一実施形態によるアプローチ2-2におけるSDT手順を説明するメッセージシーケンスチャートである。
図10図10は、本発明のもう一つの実施形態によるRRC不活性状態のSDTの方法を説明するフローチャートである。
図11図11は、本発明の一実施形態によるアプローチ3-1におけるSDT手順を説明するメッセージシーケンスチャートである。
図12図12は、本発明の一実施形態によるアプローチ3-2におけるSDT手順に関連するUEの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の記述は、本発明の一般原理を説明する目的であり、制限された意味で捉えられるべきではない。理解すべきことは、これらの実施形態は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、あるいは、それらの任意の組み合わせで実現されることである。ここで用いられる“含む”、“有する”という用語は、決まった特徴、整数、工程、操作、素子、および/あるいは、部品の存在を含めているが、一つ以上のその他の特徴、整数、工程、操作、素子、部品、および/あるいは、それらの群の存在や追加を除外しない。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態によるモバイル通信環境のブロック図である。
【0015】
図2に示されるように、モバイル通信環境100は、ユーザー装置(UE)110、および、移動通信ネットワーク120を有する。
【0016】
UE110は、フィーチャーフォン、スマートフォン、パソコン(PC)、ラップトップコンピュータ、マシンタイプコミュニケーション(MTC)デバイス、あるいは、移動通信ネットワーク120により利用されるRATをサポートする任意のモバイル通信装置である。UE110は、移動通信ネットワーク120を接続して、モバイルサービス(たとえば、音声、および/あるいは、データサービス)を得る。
【0017】
移動通信ネットワーク120は、アクセスネットワーク121、および、コアネットワーク122を有する。アクセスネットワーク121は、無線信号を処理し、無線プロトコルを終了させるとともに、UE110とコアネットワーク122を接続し、コアネットワーク122は、移動管理の実行、ネットワーク側認証(network-side authentication)、および、公共/外部ネットワーク(たとえば、インターネット)との調和を行う。
【0018】
一実施形態において、移動通信ネットワーク120は、5Gネットワーク(たとえば、NRネットワーク)であり、アクセスネットワーク121とコアネットワーク122は、それぞれ、次世代無線アクセスネットワーク(NG-RAN)と次世代コアネットワーク(NG-CN)である。NG-RANは、一つ以上のgNBを有する。各gNBはさらに、一つ以上の送受信点(TRP)を有し、各gNB、あるいは、TRPは、5Gセルラー基地局と称される。いくつかのgNB機能は異なるTRPに分散され、それ以外は中心に集まり、異なる配置状況に応じて、柔軟に調整して、特定のケースに対する要求を実現させる。NG-CNは、各種ネットワーク機能(アクセスモビリティ管理機能(Access and mobility management Function、AMF)、セッション管理機能(Session Management Function、SMF)、ユーザー平面機能(User Plane Function、UPF)、ポリシー制御機能(Policy Control Function、PCF)、アプリケーション機能(AF)、認証処理サーバ機能(Authentication Server Function、AUSF)、および、Non-3GPP Inter-Working Function(N3IWF)を含む)をサポートし、各ネットワーク機能は、専用ハードウェア上のネットワーク構成要素として、あるいは、専用ハードウェアで作動するソフトウェアインスタンス、あるいは、適当なプラットフォーム、たとえば、クラウドインフラストラクチャー上で例示される仮想化機能として実施される。
【0019】
一新規態様において、SDT手順の前、あるいは、その期間中に、UE110は、送信されるサービングセルの信号品質、および、スモールデータのトラフィックタイプを考慮して、SDT手順中のセル再選択の発生の可能性を減少させる。特に、いくつかのアプローチが提案され、それぞれ、RRC不活性状態で操作するUEのスモールデータ送信の安定した方法を実現する。アプローチ1-1において、UE110は、サービングセルの信号品質に基づいて、SDT手順を実行するか否か判断する(たとえば、サービングセルの信号品質が、第一スレショルドより高いか否か)。アプローチ1ー2において、UE110は、SDT手順中、サービングセルの信号品質を、移動通信ネットワーク120に報告して、移動通信ネットワーク120が、出来る限り早く、SDT手順を終了させるか否か判断することを支援する。アプローチ2ー1において、UE110は、SDTを終了させるUEの条件を満たしているかどうかチェックする(たとえば、サービングセルの信号品質が、第二スレショルドより低いか、および/あるいは、スモールデータのトラフィックタイプが、UEが、応答RRCメッセージを待つ必要がないか)とともに、そうである場合、SDTに確保されるランダムアクセスプリアンブルを用いて、スモールデータ送信を要求するとともに、応答RRCメッセージを待つことなく、SDT手順を終了させる。アプローチ2ー2において、UE110は、SDTを終了させるUEの条件を満たしているかどうかチェックするとともに、そうである場合、SDTを終了させるUEのインジケーターによりスモールデータを送信するとともに、応答RRCメッセージを待つことなく、SDT手順を終了させる。アプローチ3において、UE110は、アプローチ1-1/1-2とアプローチ2-1/2-2の組み合わせを適用する。
【0020】
図3は、本発明の一実施形態によるUE110を説明するブロック図である。
【0021】
図3に示されるように、UE110は、無線トランシーバー10、コントローラー20、ストレージデバイス30、ディスプレイデバイス40、および、入/出力(I/O)デバイス50を有する。
【0022】
無線トランシーバー10は、移動通信ネットワーク120との無線送受信を実行する。特に、無線トランシーバー10は、ベースバンド処理デバイス11、無線周波数(RF)デバイス12、および、アンテナ13を有し、アンテナ13は、ビーム形成のためのアンテナアレイを有する。
【0023】
ベースバンド処理デバイス11は、ベースバンド信号処理を実行するとともに、加入者身分証明書(たとえば、一つ以上のSIM)、および/あるいは、一つ以上のユニバーサルSIM(USIM))(図示しない)とRFデバイス12間の通信を制御する。ベースバンド処理デバイス11は、複数のハードウェア素子を有して、ベースバンド信号処理(アナログデジタル変換(ADC)/デジタルアナログ変換(DAC)、ゲイン調整(gain adjusting)、変調/復調、符号化/復号等)を実行する。
【0024】
RFデバイス12は、アンテナ13により、RF無線信号を受信して、受信したRF無線信号を、ベースバンド信号に転換して、ベースバンド処理デバイス11により処理する、あるいは、ベースバンド処理デバイス11から、ベースバンド信号を受信して、受信したベースバンド信号をRF無線信号に転換し、後に、アンテナ13により、送信される。RFデバイス12はさらに、複数のハードウェアデバイスを有して、無線周波数変換を実行する。たとえば、RFデバイス12はミキサーを有し、サポートされる携帯電話技術の無線周波数中で振動するキャリアにより、ベースバンド信号を増大させ、無線周波数は、4G(たとえば、LTE/LTE-A/TD-LTE)システムで用いられる900MHz、2100MHz、または、2.6GHzか、あるいは、5G(たとえば、NR)システム中で用いられる任意の無線周波数(たとえば、mmWaveの30GHz~300GHz、または、sub-6の3.3GHz~4.9GHz)、あるいは、使用時のRATに基づいた別の無線周波数である。
【0025】
コントローラー20は、汎用プロセッサ、マイクロコントロールユニット(MCU)、アプリケーションプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、ホログラフィックプロセシングユニット(HPU)、ニューラルプロセッシングユニット(NPU)等であり、各種回路を有して、データ処理、および、計算の機能を提供し、移動通信ネットワーク120により無線送受信を行う無線トランシーバー10を制御し、ストレージデバイス30が、データを保存、および、読み取りができるようにし、一連のフレームデータ(たとえば、テキストメッセージ、図形、イメージ等を表す)をディスプレイデバイス40に送信、I/Oデバイス50から信号を受信/デバイス50に信号を出力する。
【0026】
特に、コントローラー20は、無線トランシーバー10、ストレージデバイス30、ディスプレイデバイス40、および、I/Oデバイス50の上記の操作を連動させて、RRC不活性状態のSDTの方法を実行する。
【0027】
別の実施形態において、コントローラー20は、ベースバンド処理デバイス11中に組み込まれて、ベースバンドプロセッサとして作用する。
【0028】
当業者なら理解できるように、コントローラー20の回路は、通常、トランジスタを有し、回路の操作を制御して、必要な機能と操作を提供する。さらに理解できることは、トランジスタの特定構造、あるいは、相互接続は、通常、コンパイラ、たとえば、レジスタ転送言語(RTL)コンパイラにより決定される。RTLコンパイラは、アセンブリ言語コードに酷似するスクリプトに基づいて、プロセッサにより操作されて、スクリプトを、基本的な回路の配置や製造に用いられる形式にコンパイルする。実際には、RTLは、その任務で知られており、且つ、電子、および、デジタルシステムの設計プロセスを円滑に進めるのに用いられる。
【0029】
ストレージデバイス30は、非一時的コンピュータ可読記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)であり、ストレージデバイス30は、ユニバーサルICカード(Universal Integrated Circuit Card、UICC)(たとえば、加入者識別モジュール(Subscriber Identity Module、SIM)、あるいは、ユニバーサルSIM(USIM)カード)、メモリ(たとえば、フラッシュメモリ、あるいは、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM))、磁気記録媒体(たとえば、ハードディスク、あるいは、磁気テープ)、あるいは、光学ディスク、あるいは、アプリケーションのデータ、指令、および/あるいは、プログラムコード、通信プロトコル、および/あるいは、本方法を保存するそれらの任意の組み合わせである。
【0030】
ディスプレイデバイス40は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、あるいは、電子プレーヤーディスプレイ(EPD)等であり、ディスプレイ機能を提供する。あるいは、ディスプレイデバイス40はさらに、上部、あるいは、下部に設置される一つ以上のタッチセンサーを有して、タッチ、接触、あるいは、オブジェクトの接近、たとえば、指やタッチペンを感知する。
【0031】
I/Oデバイス50は、一つ以上のボタン、キーボード、マウス、タッチパッド、ビデオカメラ、マイクロフォン、および/あるいは、スピーカー等を有して、ユーザー入力を受信する、および、プロンプトをユーザーに出力するなど、ユーザーと相互作用するマンマシンインターフェース(Man-Machine Interface、MMI)として機能する。
【0032】
注意すべきことは、図3の実施形態で記述される素子は、例証目的のためであり、且つ、本発明の範囲を制限することを意図しないことである。たとえば、UE110はさらに多くの素子、たとえば、電源、あるいは、GPS装置を有し、電源は、電力をUE110のその他の全素子に提供するモバイル/交換式バッテリーであり、GPS装置は、いくつかの位置情報サービス、あるいは、アプリケーションを活用するために、UE110の位置情報を提供する。あるいは、UE110はより少ない素子を有する。たとえば、UE110は、ディスプレイデバイス40、および/あるいは、I/Oデバイス50を有さない。
【0033】
図4は、本発明の一実施形態によるRRC不活性状態のSDTの方法を説明するフローチャートである。
【0034】
この実施形態において、本方法が適用され、且つ、移動通信ネットワーク(たとえば、移動通信ネットワーク120)に通信可能に接続されるUE(たとえば、UE110)により実行され、本方法は、アプローチ1-1、および/あるいは、アプローチ2に対応する。
【0035】
最初に、移動通信ネットワークの配置に応えて、UEはRRC不活性状態で操作する(工程410)。一実施形態において、UEは、サービングセルから受信されたRRCReleaseメッセージ中の“suspendConfig”情報エレメント(IE)にしたがって、RRC接続状態からRRC不活性状態に進入し、“suspendConfig”IEは、UEの設定を有して、RRC不活性状態で操作する。
【0036】
次に、RRC不活性状態でトリガーされるSDT手順に対応して、UEは、移動通信ネットワークのサービングセルの信号品質を監視する、あるいは、SDT手順で送信されるスモールデータのトラフィックタイプを決定する(工程420)。
【0037】
その後、UEは、サービングセルの信号品質、あるいは、スモールデータのトラフィックタイプに基づいて、SDT手順を実行するかどうか決定する(工程430)。
【0038】
図5は、本発明の一実施形態による工程430の決定結果に関連するUEの動作を説明するフローチャートである。
【0039】
工程510において、UEは、サービングセルの信号品質が、第一スレショルドより高いか否か判断する。一実施形態において、第一スレショルドは、サービングセルから受信された参照信号情報(RSI)中に配置される。たとえば、RSIは、RRCメッセージ、あるいは、ブロードキャストメッセージ中で受信されたSDT設定中に含まれ、SDT設定はさらに、たとえば、RAーSDTのランダムアクセスチャネル(RACH)リソース情報、あるいは、CGーSDTの設定(CG)リソース情報等のSDTリソース情報を有する。
【0040】
工程510に続いて、サービングセルの信号品質が、第一スレショルドより高い場合、本方法は工程520に進む。そうでなければ、サービングセルの信号品質が、第一スレショルドより高くない場合、本方法は、工程530に進む。
【0041】
工程520において、UEは、SDT手順により、スモールデータを送信する(たとえば、RRCResumeRequestメッセージ中)とともに、SDT手順が終了される前、応答RRCメッセージ(たとえば、RRCReleaseメッセージ)を待つ。
【0042】
工程530において、UEは、アプローチ1-1-1、あるいは、1-1-2を適用するかどうか決定する。
【0043】
工程530に続き、UEが、アプローチ1-1-1を適用することを決定する場合、本方法は、工程540に進む。そうでなければ、UEが、アプローチ1-1-2を適用することを決定する場合、本方法は、工程550に進む。
【0044】
工程540において、UEは、SDT手順により、スモールデータと緊急インジケーターをサービングセルに送信するとともに、SDT手順が終了される前、応答RRCメッセージを待つ。緊急インジケーターは、サービングセルの信号品質が、第一スレショルド以下であることを示す(セル再選択が発生する可能性が高いとして解釈される)。工程540の詳細は、図6で後に記述される。
【0045】
工程550において、サービングセルの信号品質が、第一スレショルドより高くなるまで、UEは、SDT手順により、スモールデータを送信しない。つまり、サービングセルの信号品質が、第一スレショルドより高くなるまで、UEは、SDT手順を実行するのを禁止する。
【0046】
図6は、本発明の一実施形態によるアプローチ1-1-1におけるSDT手順を説明するメッセージシーケンスチャートである。
【0047】
工程601において、UEがRRC不活性状態で操作するとき、SDT手順がトリガーされる。
【0048】
工程602において、UEは、移動通信ネットワークのサービングセルの信号品質が、第一スレショルドより高くないと判断する。
【0049】
工程603において、UEは、SDT手順により、スモールデータと緊急インジケーターをサービングセルに送信する。スモールデータは、RRCResumeRequestメッセージ、あるいは、少なくとも、レジュームID(resume Identifier)、レジューム(resume Message Authentication Code-Integrity)MAC-I、および、レジューム原因(resume cause)を有する任意のRRCメッセージで送信される。
【0050】
工程604において、サービングセルは、アンカーgNBから、UEのコンテキストをフェッチする。
【0051】
工程605において、サービングセルは、RRCReleaseメッセージ、および、サスペンションインジケーターをUEに送信する。サスペンションインジケーターは、RRCReleaseメッセージ中で、“suspendConfig”IEに言及し、UEに(アップデートされた)設定を有して、RRC不活性状態で操作する。
【0052】
工程606において、UEは、SDT手順を終了させるとともに、RRC不活性状態の設定をアップデートする(必要であれば)。
【0053】
工程607において、サービングセルは、経路切替手順を実行する。
【0054】
工程608において、サービングセルは、アンカーgNBに開放されるUEコンテキストに要求を送信する。
【0055】
工程609において、アンカーgNBは、UEのコンテキストを開放する。
【0056】
工程610において、サービングセルは、ULデータをコアネットワークに送信する。
【0057】
工程611において、サービングセルは、新しいアンカーgNBになる。
【0058】
注意すべきことは、アンカーgNBの再配置が発生しない場合、工程604、工程607~609、および、工程611は省略され、工程610のULデータは、まず、サービングセルからアンカーgNBに送信され、その後、アンカーgNBからコアネットワークに送信されなければならないことである。
【0059】
図7は、本発明のもう一つの実施形態による工程430の判断結果に関連するUEの動作を説明するフローチャートである。
【0060】
工程710において、UEは、SDTを終了させるUEの第一条件が満たされるかチェックし、すなわち、UEが、サービングセルの信号品質が、第二スレショルドより低いか否か判断する。一実施形態において、第二スレショルドは、サービングセルから受信されるRSI中に配置される。たとえば、RSIは、RRCメッセージ、あるいは、ブロードキャストメッセージ中で受信されるSDT設定中に含まれ、SDT設定はさらに、RAーSDTのRACHリソース情報、あるいは、CGーSDTのCGリソース情報等のSDTリソース情報を有する。
【0061】
工程710に続いて、サービングセルの信号品質が、第二スレショルドより低くない場合、本方法は工程720に進む。そうでなければ、サービングセルの信号品質が、第一スレショルドより低い場合、本方法は工程730に進む。
【0062】
工程720において、UEは、SDT手順により、スモールデータを送信する(たとえば、RRCResumeRequestメッセージ中)とともに、SDT手順が終了される前、応答RRCメッセージ(たとえば、RRCReleaseメッセージ)を待つ。
【0063】
工程730において、UEは、SDTを終了させるUEの第二条件が満たされるかチェックし、すなわち、スモールデータのトラフィックタイプが、UEが、応答RRCメッセージを待つ必要があるか否か判断する。
【0064】
工程730に続いて、スモールデータのトラフィックタイプは、UEが、応答RRCメッセージを待つ必要がある場合、本方法は、工程720に戻る。そうでなければ、UEが、応答RRCメッセージを待つ必要がない場合、本方法は、工程740に進む。
【0065】
工程740において、UEは、アプローチ2-1、あるいは、2-2を適用するかどうか決定する。
【0066】
工程740に続き、UEが、アプローチ2-1の適用を決定する場合、本方法は、工程750に進む。そうでなければ、UEが、アプローチ2-2の適用を決定する場合、本方法は、工程760に進む。
【0067】
工程750において、UEは、SDTのために確保されるランダムアクセスプリアンブル(preamble)を用いて、スモールデータとSDTを終了させるUEのインジケーター(簡略して表現するために、ここで、tSDTインジケーターと称する)の送信を要求する、あるいは、事前設定されたULリソースを用いて、スモールデータとtSDTインジケーターを送信するとともに、スモールデータ送信後、応答RRCメッセージを待つことなく、SDT手順を終了させる。工程750の詳細は、図8で後に記述する。
【0068】
工程760において、UEは、スモールデータとtSDTインジケーターを送信し、その後、応答RRCメッセージを待つことなく、SDT手順を終了させる。工程540の詳細は、図9で後に記述する。
【0069】
別の実施形態において、SDTを終了させるUEの第一、および、第二条件がともに満たされるときだけ、工程740が実行される。
【0070】
図8は、本発明の一実施形態によるアプローチ2ー1におけるSDT手順を説明するメッセージシーケンスチャートである。
【0071】
工程801において、UEがRRC不活性状態で操作するとき、SDT手順がトリガーされる。
【0072】
工程802において、UEは、サービングセルの信号品質が、第二スレショルドより低い、および/あるいは、スモールデータのトラフィックタイプは、UEが、応答RRCメッセージを待つ必要がないと判断する。
【0073】
工程803において、UEは、SDTを終了させるUEのために確保されるランダムアクセスプリアンブルを送信する。
【0074】
工程804において、UEは、承認インジケーターを有する、あるいは、有さないランダムアクセス応答を受信する。承認インジケーターが用いられて、サービングセルは、UEが、応答RRCメッセージを待つことなく、SDT手順を終了させることを承認することを示す。
【0075】
工程805において、UEは、スモールデータを、サービングセルに送信する。スモールデータは、RRCResumeRequestメッセージ、あるいは、少なくとも、レジュームID、レジュームMAC-I、および、レジューム原因を有する任意のRRCメッセージで送信される。
【0076】
工程806において、ランダムアクセス応答が、承認インジケーターを含まない場合、UEは、サービングセルからの応答RRCメッセージを待たなければならない。
【0077】
工程807において、ランダムアクセス応答が、承認インジケーターを有する、あるいは、応答RRCメッセージが受信される場合、UEは、SDT手順を終了させる。
【0078】
図9は、本発明の一実施形態によるアプローチ2-2におけるSDT手順を説明するメッセージシーケンスチャートである。
【0079】
工程901において、UEがRRC不活性状態で操作するとき、SDT手順がトリガーされる。
【0080】
工程902において、UEは、サービングセルの信号品質が、第二スレショルドより低い、および/あるいは、スモールデータのトラフィックタイプは、UEが、応答RRCメッセージを待つ必要がないと判断する。
【0081】
工程903において、RAーSDTスキームが採用される場合、UEは、SDTに確保されたランダムアクセスプリアンブルを送信する。そうでなければ、CGーSDTスキームが採用される場合、工程903は省略される。
【0082】
工程904において、RAーSDTスキームが採用される場合、UEは、承認インジケーターを含む、あるいは、含まないランダムアクセス応答を受信する。そうでなければ、CGーSDTスキームが採用される場合、工程904は省略される。承認インジケーターが用いられて、サービングセルは、UEが、応答RRCメッセージを待つことなく、SDT手順を終了させることを承認することを示す。
【0083】
工程905において、UEは、スモールデータとSDTを終了させるUEのインジケーター(簡略して表現するために、ここで、tSDTインジケーターと称する)をサービングセルに送信し、tSDTインジケーターが用いられて、スモールデータ送信後、そのUEのサービングセルが、SDT手順を終了させることを通知する。スモールデータ、および、tSDTインジケーターは、RRCResumeRequestメッセージ、あるいは、少なくとも、レジュームID、レジュームMAC-I、および、レジューム原因を有する任意のRRCメッセージで送信される。RAーSDTスキームが採用される場合、スモールデータは、工程904で受信されるランダムアクセス応答により示されるRACHリソースを用いて送信される。そうでなければ、CGーSDTスキームが採用される場合、スモールデータは、事前設定されたCGリソースを用いて送信される。
【0084】
工程906において、RAーSDTスキームが採用される場合、UEは、サービングセルからの応答RRCメッセージを待たなくてはいけない。そうでなければ、CGーSDTスキームが採用される場合、工程906は省略される。
【0085】
工程907において、UEは、SDT手順を終了させる。
【0086】
図10は、本発明のもう一つの実施形態によるRRC不活性状態のSDTの方法を説明するフローチャートである。
【0087】
この実施形態において、本方法が適用されるとともに、移動通信ネットワーク(たとえば、移動通信ネットワーク120)に通信可能に接続されるUE(たとえば、UE110)により実行され、本方法は、アプローチ1ー2に対応する。
【0088】
最初、移動通信ネットワークの配置に応えて、UEはRRC不活性状態で操作する(工程1010)。一実施形態において、UEは、サービングセルから受信したRRCReleaseメッセージ中の“suspendConfig”IEに従って、RRC接続状態から、RRC不活性状態に進入し、“suspendConfig”IEは、UEの設定を有して、RRC不活性状態で操作する。
【0089】
次に、UEは、スモールデータを移動通信ネットワークに送信することにより、RRC不活性状態で、SDT手順を実行する(工程1020)。
【0090】
その後、SDT手順中、UEは、移動通信ネットワークのサービングセルの信号品質を監視するとともに、サービングセルの信号品質をモバイル通信装置に報告する(工程1030)。
【0091】
一実施形態において、サービングセルの信号品質は、数値範囲に対応する信号レベルとして報告され、信号レベルは、信号レベルの数値範囲へのマッピングに基づいて決定され、マッピングは、サービングセルから受信される参照信号情報(RSI)に配置される、あるいは、3GPP(Third generation partnership project)規格で事前定義される。たとえば、以下に示されるように、マッピングは、信号レベルマッピング表として提供される。
【表1】
【0092】
一旦、UEがSDT手順をトリガーすると、サービングセルの信号レベルを報告して、サービングセルのSDT手順を終了させるかの判断を支援する。一実施形態において、報告された信号レベルがレベル3である場合、サービングセルは、出来る限り早く、SDT手順を終了させて、セル再選択手順が、UEで発生するのを防止する。つまり、サービングセルは、UEから、サービングセルの報告された信号品質を受信するのに対応して、RRCReleaseメッセージをUEに送信するとともに、RRCReleaseメッセージを受信するとき、UEは、SDT手順を終了させる。
【0093】
一実施形態において、UEは、各ULデータ送信と同時に、サービングセルの信号品質を報告する。別の実施形態において、信号品質の信号レベルが、報告された最新の信号品質と異なるとき、UEは、サービングセルの信号品質を報告する。さらに別の実施形態において、サービングセルの信号品質が、所定の信号レベル(たとえば、表1中のレベル3)と関連するとき、UEは、サービングセルの信号品質を報告する。
【0094】
図11は、本発明の一実施形態によるアプローチ3-1におけるSDT手順を説明するメッセージシーケンスチャートである。この実施形態において、アプローチ3-1は、アプローチ1-1とアプローチ2-2の組み合わせで成る。
【0095】
工程1101において、UEがRRC不活性状態で操作するとき、SDT手順がトリガーされる。
【0096】
工程1102において、UEは、サービングセルの信号品質が、第一スレショルドより高いと判断する。
【0097】
工程1103において、UEは、スモールデータを、サービングセルに送信する。スモールデータは、RRCResumeRequestメッセージ、あるいは、少なくとも、レジュームID、レジュームMAC-I、および、レジューム原因を有する任意のRRCメッセージで送信される。
【0098】
工程1104~工程1105において、UEは、必要であれば、同じSDT手順の一環として、複数のULとDLパケットを送信する。
【0099】
工程1106において、UEは、SDTを終了させるUEの条件が満たされていると判断する(たとえば、サービングセルの信号品質が、第二スレショルドより低い、および/あるいは、スモールデータのトラフィックタイプは、UEが、応答RRCメッセージを待つ必要がない)。具体的には、第一スレショルドは、第二スレショルドより大きい。
【0100】
工程1107において、UEは、tSDTインジケーターをサービングセルに送信する。tSDTインジケーターは、新しいULデータと一緒に送信される、あるいは、RRCResumeRequestメッセージ、あるいは、少なくとも、レジュームID、レジュームMAC-I、および、レジューム原因を有する任意のRRCメッセージだけで送信される。
【0101】
工程1108において、tSDTインジケーターの送信後、UEは、SDT手順を終了させる。
【0102】
図12は、本発明の一実施形態によるアプローチ3-2におけるSDT手順に関連するUEの動作を説明するフローチャートである。この実施形態において、アプローチ3-2は、アプローチ1-1とアプローチ2-1、あるいは、2-2の組み合わせで成る。
【0103】
工程1210において、RRC不活性状態で操作するとき、UEはSDT手順をトリガーする。
【0104】
工程1220において、UEは、サービングセルの信号品質が、第一スレショルドより高いか否か判断する。
【0105】
工程1220に続いて、サービングセルの信号品質が、第一スレショルドより高い場合、本方法は、工程1230に進む。そうでなければ、サービングセルの信号品質が、第一スレショルドより高くない場合、本方法は、工程1240に進む。
【0106】
工程1230において、UEは、スモールデータ(たとえば、RRCResumeRequestメッセージ中)を送信するとともに、SDT手順を終了させる前、応答RRCメッセージ(たとえば、RRCReleaseメッセージ)を待つ。
【0107】
工程1240において、UEは、サービングセルの信号品質が、第一スレショルドより低く、且つ、第二スレショルドより高いか否か判断する。具体的には、第一スレショルドは、第二スレショルドより高い。一実施形態において、第一、および、第二スレショルドは、サービングセルから受信されたRSI中に配置される。たとえば、RSIは、RRCメッセージ、あるいは、ブロードキャストメッセージ中で受信されるSDT設定中に含まれ、SDT設定はさらに、たとえば、RAーSDTのRACHリソース情報、あるいは、CGーSDTのCGリソース情報等のSDTリソース情報を有する。
【0108】
工程1240に続き、サービングセルの信号品質が、第一スレショルドより低く、且つ、第二スレショルドより高い場合、本方法は、工程1250に進む。そうでなければ、サービングセルの信号品質が、第二スレショルドより低い場合、本方法は、工程1260に進む。
【0109】
工程1250において、UEは、スモールデータと緊急インジケーター(たとえば、RRCResumeRequestメッセージ中)を送信するとともに、SDT手順が終了される前、応答RRCメッセージ(たとえば、RRCReleaseメッセージ)を待つ。
【0110】
工程1260において、UEは、アプローチ2-1、あるいは、2-2を適用するか否か判断する。
【0111】
工程1260に続き、UEがアプローチ2-1の適用を決定する場合、方法は、工程1270に進む。そうでなければ、UEが、アプローチ2-2を適用することを決定する場合、本方法は、工程1280に進む。
【0112】
工程1270において、UEは、SDTに確保されたランダムアクセスプリアンブルを用いて、スモールデータ送信を要求するとともに、応答RRCメッセージを待つことなく、SDT手順を終了させる。
【0113】
工程1280において、UEは、スモールデータとtSDTインジケーターを送信するとともに、応答RRCメッセージを待つことなく、SDT手順を終了させる。
【0114】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の思想を脱しない範囲内で各種の変形を加えることができる。
【0115】
請求項中の“第一”、“第二”等の序数を用いて、主張する素子を修飾するのは、それらの間の優先権順序、先行関係、あるいは、素子間の順序、工程を実行するときの時間的順序を表示するものではなく、ある名称を有する主張する素子と同じ名称を有する別の素子を区別するためだけに用いる。
【符号の説明】
【0116】
10…無線トランシーバー
11…ベースバンド処理信号
12…RF装置
13…アンテナ
20…コントローラー
30…ストレージデバイス
40…ディスプレイ装置
50…入/出力デバイス
100…モバイル通信環境
110…UE
120…移動通信ネットワーク
121…アクセスネットワーク
121…コアネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12