(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032055
(43)【公開日】2022-02-24
(54)【発明の名称】情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220216BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20220216BHJP
G16Y 10/45 20200101ALI20220216BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/02 300
G16Y10/45
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196667
(22)【出願日】2021-12-03
(62)【分割の表示】P 2021106111の分割
【原出願日】2017-10-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】514074496
【氏名又は名称】株式会社インキュビット
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北村 尚紀
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB01
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】特にセキュリティ上のリスクを低減するとともにユーザから得られるデータの有効活用を行う技術を提供すること。
【解決手段】本発明は、管理サーバと、当該管理サーバとネットワークを介して接続された複数のユーザ端末とを含む情報提供システムである。ユーザ端末は:判定条件情報及び加工処理情報を含むミッション情報を受信し、判定条件情報に基づいて第1の外界情報を取得し当該第1の外界情報が判定条件を満たすか否かを判定し;当該第1の外界情報が判定条件を満たす場合に第2の外界情報を取得し、加工処理情報に基づいて当該第2の外界情報を加工して加工情報を生成し;加工情報を前記管理サーバに送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバと、当該管理サーバとネットワークを介して接続された複数のユーザ端末とを含む情報提供システムであって、
前記ユーザ端末は:
判定条件情報及び加工処理情報を含むミッション情報を受信し;
前記判定条件情報に基づいて第1の外界情報を取得し、当該第1の外界情報が判定条件を満たすか否かを判定し;
当該第1の外界情報が判定条件を満たす場合に第2の外界情報を取得し、前記加工処理情報に基づいて当該第2の外界情報を加工して加工情報を生成し;
前記加工情報を前記管理サーバに送信する、
情報提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供システムであって、
前記第2の外界情報は、前記第1の外界情報と同一の取得手段によって得られる、
情報提供システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報提供システムであって、
前記加工情報は、前記第2の外界情報の少なくとも一部に対する匿名化処理を行うことにより生成される、
情報提供システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の情報提供システムであって、
前記加工情報は、前記第2の外界情報から抽出されることにより生成される、
情報提供システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の情報提供システムであって、
前記ユーザ端末は、カメラ部を備えており、
前記第1の外界情報又は前記第2の外界情報の少なくともいずれかは当該カメラ部により取得される、
情報提供システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の情報提供システムであって、
前記管理サーバは、前記加工情報に応じて、前記ミッション情報に関連付けられた報酬をユーザに付与する、
情報提供システム。
【請求項7】
請求項6のいずれかに記載の情報提供システムであって、
前記管理サーバは、前記ユーザ端末から取得した前記加工情報を評価条件に従って評価し、
前記報酬は、前記評価に基づいて算定される、
情報提供システム。
【請求項8】
請求項7に記載の情報提供システムであって、
前記加工処理情報の内容は、前記ユーザ端末からの指定によって所定の範囲で変更可能であり、
前記管理サーバは、前記指定に応じて前記報酬を補正する、
情報提供システム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の情報提供システムであって、
前記管理サーバは、前記ミッション情報を前記ユーザ端末に送信する、
情報提供システム。
【請求項10】
請求項9に記載の情報提供システムであって、
依頼主端末を更に含み、
前記管理サーバは、前記依頼主端末からの依頼に基づいて前記ミッション情報を生成する、
情報提供システム。
【請求項11】
管理サーバと、当該管理サーバとネットワークを介して接続された複数のユーザ端末とを利用して実現される情報提供方法であって、
前記ユーザ端末が:
判定条件情報及び加工処理情報を含むミッション情報を受信するステップ;
前記判定条件情報に基づいて第1の外界情報を取得し、当該第1の外界情報が判定条件を満たすか否かを判定するステップ;
当該第1の外界情報が判定条件を満たす場合に第2の外界情報を取得し、前記加工処理情報に基づいて当該第2の外界情報を加工して加工情報を生成するステップ;
前記加工情報を前記管理サーバに送信するステップ、を含む
情報提供方法。
【請求項12】
ユーザ端末を:
判定条件情報及び加工処理情報を含むミッション情報を受信する受信部;
前記判定条件情報に基づいて第1の外界情報を取得し、当該第1の外界情報が判定条件を満たすか否かを判定する判定部;
当該第1の外界情報が判定条件を満たす場合に第2の外界情報を取得し、前記加工処理情報に基づいて当該第2の外界情報を加工して加工情報を生成する加工部;
前記加工情報を前記管理サーバに送信する送信部、
として機能させる情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像解析に基づく画像への情報付加をサーバの処理負荷を増やすことなく行いつつ、処理に応じた報酬を付与するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1と同様に、ユーザが設置したカメラ等から画像データや映像データを受信し、相当の報酬を当該ユーザに付与するサービスが知られている。かかるサービスは、例えば、防犯目的や、環境調査等を目的としているものである。
【0005】
具体的には、ユーザが設置したカメラから常に画像(映像)を送り続け、送信した時間毎に報酬を付与するものや、カメラで取得した画像を枚数毎に報酬を付与するものもある。
【0006】
しかしながら、カメラで取得した画像(ローデータ)をリアルタイムでサービス提供業者に送信した場合、個人情報やセキュリティの観点から漏洩リスク開示リスクが発生する。
【0007】
そこで、本発明は、特にプライバシーやセキュリティ上のリスクを低減するとともにユーザから得られる画像の有効活用を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば
管理サーバと、当該管理サーバとネットワークを介して接続された複数のユーザ端末とを含む情報提供システムであって、
前記ユーザ端末は:
判定条件情報及び加工処理情報を含むミッション情報を受信し;
前記判定条件情報に基づいて第1の外界情報を取得し、当該第1の外界情報が判定条件を満たすか否かを判定し;
当該第1の外界情報が判定条件を満たす場合に第2の外界情報を取得し、前記加工処理情報に基づいて当該第2の外界情報を加工して加工情報を生成し;
前記加工情報を前記管理サーバに送信する、
情報提供システム
が得られる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外界情報に含まれる対象物を検出・加工する判定部及び加工部をユーザ端末側に設けたことにより、所謂ローデータを管理サーバに送信する必要がなく、セキュリティや個人情報の漏洩・不要な開示を防ぐことができる。
【0010】
換言すれば、本発明を利用することによって、ユーザはカメラ等の取得部を常時起動しながら、必要な情報のみを管理サーバに対して提供することができる。
【0011】
また、本発明によれば、ユーザは自己の端末さえあれば、複数のミッション情報を受信することにより複数の報酬を得ることが可能となり、本システムに対して積極的な参加を促すことができる。
【0012】
更に、本発明によれば、ユーザは、自己の許容できる範囲の情報を管理サーバに提供することとできるため、セキュリティを自分の意志でコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態による情報提供システムの構成図である。
【
図2】
図1の管理サーバの機能ブロック図を示す図である。
【
図3】
図1のユーザ端末の機能ブロック図を示す図である。
【
図4】本発明によるユーザ端末側の情報処理の流れを説明する図である。
【
図5】本発明による管理サーバ側の情報処理の流れを説明する図である。
【
図7】ユーザ端末から管理サーバに送信される情報の種類を絶命する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による情報提供システムは、以下のような構成を備える。
[項目1]
管理サーバと、当該管理サーバとネットワークを介して接続された複数のユーザ端末とを含む情報提供システムであって、
前記ユーザ端末は:
判定条件情報及び加工処理情報を含むミッション情報を受信し;
前記判定条件情報に基づいて第1の外界情報を取得し、当該第1の外界情報が判定条件を満たすか否かを判定し;
当該第1の外界情報が判定条件を満たす場合に第2の外界情報を取得し、前記加工処理情報に基づいて当該第2の外界情報を加工して加工情報を生成し;
前記加工情報を前記管理サーバに送信する、
情報提供システム。
[項目2]
項目1に記載の情報提供システムであって、
前記第2の外界情報は、前記第1の外界情報と同一の取得手段によって得られる、
情報提供システム。
[項目3]
項目1又は項目2に記載の情報提供システムであって、
前記加工情報は、前記第2の外界情報の少なくとも一部に対する匿名化処理を行うことにより生成される、
情報提供システム。
[項目4]
項目1乃至項目3のいずれかに記載の情報提供システムであって、
前記加工情報は、前記第2の外界情報から抽出されることにより生成される、
情報提供システム。
[項目5]
項目1乃至項目4のいずれかに記載の情報提供システムであって、
前記ユーザ端末は、カメラ部を備えており、
前記第1の外界情報又は前記第2の外界情報の少なくともいずれかは当該カメラ部により取得される、
情報提供システム。
[項目6]
項目1乃至項目5のいずれかに記載の情報提供システムであって、
前記管理サーバは、前記加工情報に応じて、前記ミッション情報に関連付けられた報酬をユーザに付与する、
情報提供システム。
[項目7]
項目6のいずれかに記載の情報提供システムであって、
前記管理サーバは、前記ユーザ端末から取得した前記加工情報を評価条件に従って評価し、
前記報酬は、前記評価に基づいて算定される、
情報提供システム。
[項目8]
項目7に記載の情報提供システムであって、
前記加工処理情報の内容は、前記ユーザ端末からの指定によって所定の範囲で変更可能であり、
前記管理サーバは、前記指定に応じて前記報酬を補正する、
情報提供システム。
項目[項目9]
項目7に記載の情報提供システムであって、
前記管理サーバは、前記ミッション情報を前記ユーザ端末に送信する、
情報提供システム。
[項目10]
項目9のいずれかに記載の情報提供システムであって、
依頼主端末を更に含み、
前記管理サーバは、前記依頼主端末からの依頼に基づいて前記ミッション情報を生成する、
情報提供システム。
[項目11]
管理サーバと、当該管理サーバとネットワークを介して接続された複数のユーザ端末とを利用して実現される情報提供方法であって、
前記ユーザ端末が:
判定条件情報及び加工処理情報を含むミッション情報を受信するステップ;
前記判定条件情報に基づいて第1の外界情報を取得し、当該第1の外界情報が判定条件を満たすか否かを判定するステップ;
当該第1の外界情報が判定条件を満たす場合に第2の外界情報を取得し、前記加工処理情報に基づいて当該第2の外界情報を加工して加工情報を生成するステップ;
前記加工情報を前記管理サーバに送信するステップ、を含む
情報提供方法。
[項目12]
ユーザ端末を:
判定条件情報及び加工処理情報を含むミッション情報を受信する受信部;
前記判定条件情報に基づいて第1の外界情報を取得し、当該第1の外界情報が判定条件を満たすか否かを判定する判定部;
当該第1の外界情報が判定条件を満たす場合に第2の外界情報を取得し、前記加工処理情報に基づいて当該第2の外界情報を加工して加工情報を生成する加工部;
前記加工情報を前記管理サーバに送信する送信部、
として機能させる情報提供プログラム。
【0015】
<構成>
図1は、本実施の形態による情報提供システムを構成する要素を示す概略図である。なお、図の構成は一例であり、これら以外の要素が含まれていてもよい。
【0016】
本発明による情報提供システムは、管理サーバ1と、複数のユーザP1(ユーザ端末2:図示せず)と、複数の企業(企業端末:図示せず)とを有している。これらは、ネットワークを介して、管理サーバ1を起点に互いに通信可能に接続されている。
【0017】
本実施の形態による情報提供システムは、管理サーバ1を介して企業端末から送信されたミッション情報をユーザ端末2が受信し、当該ユーザ端末2の取得部(GPS、カメラ、マイク等の入力部)で得た情報の中から所定の条件を満たす情報のみを切り出し(又は加工して)管理サーバ1に送信し、報酬を得るものである。
【0018】
<ハードウェア構成>
情報提供システムのハードウェア構成について、
図2及び
図3を参照して説明する。本実施の形態による管理サーバ1及びユーザ端末2は、次のようなハードウェア構成を有している。なお、以下の構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。また同等の機能を有する他の手段を適宜採用することも可能である。
【0019】
<管理サーバ1>
管理サーバ1は、ユーザ端末2と企業端末と通信を介して情報処理を実行することにより、情報提供システムの一部を構成する。管理サーバ1は、情報提供システム全体の処理に関する機能を有している。
【0020】
図2は、管理サーバ1の機能ブロック図の例を示す図である。なお、図示される構成は一例であり、これら以外の機能が付加されていてもよい。
【0021】
管理サーバ1は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0022】
管理サーバ1は、少なくとも、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13、入出力部14等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。
【0023】
プロセッサ10は、管理サーバ1全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ10はCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0024】
メモリ11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ11は、プロセッサ10のワークエリア等として使用され、また、管理サーバ1の起動時に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0025】
ストレージ12は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ22に構築されていてもよい。
【0026】
送受信部13は、管理サーバ1をネットワークに接続する。なお、送受信部13は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インタフェースを備えていてもよい。送受信部は、企業端末より依頼を受けて、生成されたミッション情報をユーザ端末に送信する。
【0027】
入出力部14は、キーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0028】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0029】
<ユーザ端末2>
【0030】
ユーザ端末2は、管理サーバ1と通信を介して情報処理を実行することにより、情報提供システムの一部を構成する。
【0031】
図3は、ユーザ端末2の機能ブロック図の例を示す図である。なお、図示される構成は一例であり、これら以外の機能が付加されていてもよい。
【0032】
ユーザ端末2は、例えばスマートフォンやタブレット端末等の携帯通信機器等が挙げられるが、パーソナルコンピュータのような汎用コンピュータであってもよい。
【0033】
図示されるように、ユーザ端末2は、少なくとも、プロセッサ20、メモリ21、ストレージ22、送受信部23、入出力部24等を備え、これらはバス25を通じて相互に電気的に接続される。これらの機能は上述した管理サーバ1のものと同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0034】
本実施の形態によるユーザ端末2は、所謂ウェアラブル端末(ARゴーグル)であり、ユーザの頭部に装着される。
【0035】
上述した入出力部24は、少なくとも、入力部としてカメラ部242と、出力部としてHMD(Head Mount Display)241とを備えている。
【0036】
カメラ部は、ユーザの視界とほぼ同様の領域をカバーする録画機能を有している。HMD242は、例えば、グラスタイプのものであり、レンズ越しに様々な情報を表示することが可能である。
【0037】
図4に示されるように、機能ブロックとして、判定部、加工部及び取得部を有している。これらの機能については後述する。
<データ>
図4に示されるように、ミッション情報は、判定条件情報、加工処理情報及び報酬情報を少なくとも含んでいる。これらは、企業端末からの依頼に基づいて管理サーバ1が生成するものであるが、必要に応じて、ミッション情報を企業端末に生成させることとしてもよい。
【0038】
判定条件情報は、ユーザ端末2の取得部によって取得された情報(位置情報、カメラ部、時刻、温度、気圧、操作状況、その他ユーザ端末の備えるセンサ群で直接又は間接的に取得された情報)が所定の判定条件を満たすか否かを判定(認識)するために必要な情報(機能パッケージ)が含まれている。取得する情報は複数であってもよい。
【0039】
加工処理情報は、上述した判定条件を満たした場合に取得部から得られる情報を加工するための情報(機能パッケージ)である。
【0040】
上述した判定条件情報及び加工処理情報は、例えば、カメラ部等で取得した画像(映像)から対象物を抽出するためのロジックが含まれている。当該ロジックは例えば、画像認識モデルや、(対象が音声の場合には)音声認識モデル等、対象物の抽出に必要な種々の技術を採用することができる。
【0041】
例えば、「街中に落ちている空き缶の放置場所情報」という趣旨のミッション情報の場合、判定条件情報はカメラ部(取得部)に常時映像を取得させ当該映像の中に空き缶があるか否かを判定(認識)させるための情報であり、加工処理情報は、空き缶が落ちていたことを判定した際のユーザ端末の位置情報を取得させるための指示情報である。
【0042】
また「街中に放置されている車両のナンバープレートの情報」という趣旨のミッション情報の場合、判定条件情報はカメラ部(取得部)に常時映像を取得させ当該映像の中に放置車両があるか否かを判定させるための情報であり、加工処理情報は、放置車両からナンバープレートを切り出すための情報や、ナンバープレートの文字を認識してテキスト情報として抽出するための情報である。
【0043】
<処理の流れ>
続いて、
図1、
図4及び
図5を参照して、本実施の形態による情報提供システムの処理の流れを説明する。
図1に示されるように、本実施の形態による管理サーバ1は、概略、企業(企業端末)とユーザ(ユーザ端末)とを接続するためのプラットフォームサービスを提供するものである。なお、
図1は概略図であり、管理サーバ1は、1台である必要はなく、また、各機能が複数の端末に分散されていてもよい。
【0044】
企業(企業A乃至企業C)は、管理サーバ1に対して、依頼を行う。依頼は、例えば、「街中に放置されている空き缶の情報を知りたい」、「違法駐車の情報を集めたい」、「コンビニエンスストアに入ったユーザの購入商品を知りたい」等、例えば、主にカメラ部を利用して得られるユーザの視覚情報に関するものである。
【0045】
この際、企業側は、知りたい情報や集めたい情報に報酬を設定する。例えば、「空き缶を一つ見つけたら0.1円」、「放置車両を1台見つけたら0.7円」、「コンビニエンスストアにおいて購入した商品情報を提供してくれたら8円」などである。報酬の設定の仕方は、個数・台数毎に設定したり、まとまった数によって設定したり、探していた時間に応じて設定することとしてもよい。
【0046】
管理サーバ1は、当該依頼を上述したミッション情報としてユーザ端末に送信し、ユーザ端末に所定の処理をさせる。ミッション情報としては、例えば、「空き缶/0.1円」や「放置車両/0.7円」、「コンビニ内での視野情報/8円」という項目を含む。
【0047】
ユーザP1乃至ユーザPnは、それぞれ上述したHMDを操作可能な端末を有しており、各HMDに搭載されたカメラ部は、視界V1乃至視界Vnの情報を取得することが可能である。
【0048】
ミッション情報を受信したユーザは、当該ミッション情報により特定されるミッションに参加するか否かを選択することができる。ユーザがミッションに参加すると参加情報が管理サーバ1に送信され、参加してミッションの識別情報と当該ユーザ(ユーザ端末)の識別情報とが対応付けられて管理される。
【0049】
<ユーザ端末2側の処理>
より詳しくは、
図4に示されるように、ユーザ端末2の受信部は、管理サーバ1から送信されたミッション情報を受信する。なお、この時、ミッション情報のうち、判定条件情報と加工処理情報のみをミッション情報として受信することとしてもよい。
【0050】
当該ミッション情報は、制御部に入力される。以下、上述した「街中に落ちている空き缶の放置場所情報」及び「街中に放置されている車両のナンバープレートの情報」に関するミッション情報を受信した場合に行われる夫々の処理を説明する。
【0051】
「街中に落ちている空き缶の放置場所情報」を受信した場合、判定部は、判定条件情報に基づいてカメラ部の機能を有効にし常時映像を取得させるとともに、映像の中に空き缶があるか否かを画像認識技術によって判定する。加工部は、判定結果に基づいてGPSから位置情報を取得する。当該位置情報は加工情報として送信部に出力され、管理サーバ1へ送信される。
【0052】
加工部は、更に、上述した機能の他に、画像のうち空き缶部分のみをトリミングしたり、空き缶以外の部分にモザイクをかけたり、画像内から空き缶の個数のみを抽出して数値データ(他の形式)に変換したり、空き缶の銘柄を抽出する処理を行うこととしてもよい。また、時刻情報等、ユーザ端末により得られる他の情報と共に送信することとしてもよい。
【0053】
なお、必要に応じて、何らの加工もせずに送信部に出力することとしてもよい。この場合、ユーザ側からすると、企業に対して提供される情報量が多くなることから、報酬を増加させることとしてもよい。
【0054】
続いて、「街中に放置されている車両のナンバープレートの情報」を受信した場合、判定部は、判定条件情報に基づいてカメラ部の機能を有効にし常時映像を取得させるとともに、映像の中に停止している車両があるか否かを画像認識技術によって判定する。加工部は、映像の中からナンバープレートの部分のみを抽出する。抽出された情報は送信部に出力され、加工情報として管理サーバ1へ送信される。
【0055】
加工部は、更に、上述した機能の他に、画像のうちナンバープレートの部分のみをトリミングしたり、ナンバープレート以外の部分にモザイクをかけたり、画像内からナンバープレートのテキストのみを抽出してテキストデータに変換したり、車両の車種の情報等も抽出することとしてもよい。更にこれらの情報に加えて、GPSから位置情報を取得することとしてもよい。
【0056】
本実施の形態における画像認識モデルは、処理対象となる画像当該モデルに入力する。次に、入力された画像から、認識対象となる領域を抽出する。例えば、認識対象となるのが、対象情報に関する物(人)である場合、供給された画像から、それらと判断される領域が抽出される。1つの画像から複数の領域が抽出されてもよい。
【0057】
その後、抽出された領域(その領域の画像)内から、特徴量を抽出する。抽出された特徴量は、認識処理によってその内容が特定される。
【0058】
認識処理(画像認識モデル)としては、例えば、HMM(Hidden Markov Model)やSVM(Support Vector Machine)など、認識対象に適した方式が用いられる。そして、その用いられる方式に適した特徴量が抽出され、パラメータが保持される。
【0059】
<管理サーバ側1の処理>
図5に示されるように、ユーザ端末2から送信されたデータは、管理サーバ1の受信部で受信される。受信されたデータは、制御部に入力され報酬計算部において報酬が計算される。
【0060】
報酬の計算は評価条件に従って行われる。評価条件は、様々な観点で行われる。例えば、ユーザ端末から送信された情報がミッション情報によって提供対象となる情報ではない場合には0となる(すなわち、ユーザ端末側における処理ミス等が発生していた場合や、不正操作がされていた場合等)。また、対象情報を満たす情報であっても、既に同一のものを送信している他のユーザがいた場合には、当該情報にデータとしての新しさはないことから低い報酬となる。
【0061】
このように、評価条件は、対象情報としての適格性、データの有用性の観点から定義される。なお、評価の観点はこれ以外にあってもよい。
【0062】
報酬計算部は、上記評価条件に基づいて当該ユーザに付与すべき報酬を補正し確定する。報酬の補正は、基準金額に応じた係数を乗じたり、定数を増減させたりする方法が挙げられるがこれに限られない。
【0063】
確定した報酬は、ユーザ端末2に通知される。
【0064】
<実施例>
図6は、ユーザがHMD越しに見ている視界(外界情報)である。例えば、図示されるように、ユーザが参加しているミッション情報に関する検知対象物にカーソルが合わせられてユーザに知らせることとしてもよい。
【0065】
図においては、路上に停止された車を放置車両として認識し、当該車のナンバープレートにカーソルが表示されている。この場合、当該ナンバープレートの情報が管理サーバ1に送信される。
【0066】
同様に、図においては、道路に捨てられた空き缶を認識し、当該空き缶にカーソルが表示されている。この場合、当該空き缶が道路上にあったという情報が管理サーバ1に送信される。
【0067】
上述した加工情報の送信は、逐次行うこととしてもよいし、ある程度のデータがまとまってから行うこととしてもよい。
【0068】
上述したように、管理サーバ1は、ユーザ端末から送信された分析結果に応じて、設定された報酬をユーザ(ユーザ端末)に付与する。
【0069】
図7は、ユーザ端末2から管理サーバ1に送信される情報の種類を説明するイメージ図である。上述したように、カメラ部で取得された情報の全てが管理サーバ1に送信されるわけではない。換言すれば、管理サーバ1には、外界情報のうち、ミッション情報に含まれる検知対象物に関する情報のみが抽出されて送信されることとなる。
【0070】
ユーザ端末から管理サーバ1に送信される情報は例えば、次の3パターンが考えられる。空き缶のような場合には、その検知対象物の「有無」のみの情報が管理サーバ1に送信される(1)。また、放置車両の場合にはナンバープレートの部分のみの画像データが管理サーバ1に送信される場合(2)、ナンバープレートから文字情報を更に分析し(即ち、(2)の情報を加工して)管理サーバ1に送信される場合等がある(3)。また他のセンサ群から得られた情報を付加して送信することとしてもよい(4)。
【0071】
このように、本実施の形態においては、ユーザ端末のカメラ部で取得された情報のうち、ミッション情報に必要な部分だけが抽出された管理サーバ1に送信されることとしているため、データの軽量化を行うことに加えて次のような効果を得ることができる。
【0072】
即ち、本実施の形態によれば、所謂ローデータを管理サーバに送信する必要がないため、セキュリティや個人情報の漏洩・不要な開示を防ぐことができる。
【0073】
また、本発明を利用することによって、ユーザはカメラ部を常時起動しながら、必要な情報のみを管理サーバに対して提供することができる。即ち検知対象物をカメラ部で撮るとき(放置車両を見つけた場合や、空き缶を見つけた場合等)のみカメラ部を起動するといった手間を省くことができる。
【0074】
また、複数のミッション情報を受信することにより複数の報酬を得ることが可能となり、本システムに対して積極的な参加を促すことができる。この結果、ミッション情報に関する依頼をおこなった企業への情報提供の効率化を図ることができる。
【0075】
なお、報酬情報は、ユーザ端末から受け取る情報の量・内容に応じて変動させることとしてもよい。また、ユーザ側が管理サーバ1に対して送信される情報の量・内容をコントロールすることとしてもよい。
【0076】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0077】
図7に示されるように、本発明は、HMDのみならず、例えば、カメラ部を備えた無人飛行体(ドローン等)、自動運転機能を有する自動車等にも適用することが可能である。この場合、ミッション情報の検知対象物を分析する分析部を無人飛行体や自動車側に設けることとすればよい。
【0078】
また、上述したミッション情報は、例示したものに限られず、例えば、特定の人物や物・現象等に関する情報の提供や、ユーザの自宅内に関する情報を対象としたものであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 管理サーバ
2 ユーザ端末
【手続補正書】
【提出日】2021-12-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバに接続された情報処理装置であって、
カメラ部を備え、
画像から加工情報を抽出するロジックを含む加工処理情報を外部から受信し、
前記カメラ部から画像を取得し、
前記加工処理情報に従って前記画像から前記加工情報を抽出し、
前記加工情報を前記管理サーバに送信すること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記加工処理情報に従って、前記画像の一部を抽出すること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置であって、
前記加工処理情報に従って、前記画像の中で所定の条件を満たした部分を切り出すこと、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記加工処理情報に従って、前記画像の中で所定の条件を満たした部分以外の少なくとも一部にモザイクをかけたものを抽出すること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記加工処理情報に従って、前記画像を解析して文字列を読み取ること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記加工処理情報に従って、センサからセンサ情報を取得し、前記加工情報に前記センサ情報を付帯させること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理装置であって、
前記センサは、位置情報、画像、時刻、温度、気圧、操作状況、又は音声の少なくともいずれかを取得すること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記加工処理情報に従って、前記カメラ部から第2の画像を取得し、前記第2の画像から前記加工情報を抽出すること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記加工処理情報に従って、前記画像に前記検知対象が撮影されていたことを示す情報を抽出すること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記加工処理情報は、前記管理サーバとは異なる依頼主端末から前記管理サーバ又は前記情報処理装置に送信されること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記加工情報を所定数蓄積した後に送信すること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記画像は動画像であること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記加工処理情報に従って、前記画像を解析して前記画像に含まれる前記検知対象の種類を抽出すること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記加工処理情報に従って、前記画像に含まれる前記検知対象の個数を抽出すること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記加工処理情報に従って、前記画像を軽量化すること、
を特徴とする情報処理装置。