(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032793
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】アルブミン組成物並びにそれを製造及び使用する方法
(51)【国際特許分類】
C07K 14/76 20060101AFI20220217BHJP
C12N 5/02 20060101ALI20220217BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20220217BHJP
【FI】
C07K14/76 ZNA
C12N5/02
C12N5/071
【審査請求】未請求
【請求項の数】62
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020136987
(22)【出願日】2020-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】519453102
【氏名又は名称】アルブキュラ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Albcura Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ポ-イ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】メン-ツン・シュ
(72)【発明者】
【氏名】ペイ-チン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ユ-フェン・リャン
(72)【発明者】
【氏名】チェン-ユ・シェ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフィ・チャーン
【テーマコード(参考)】
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065BB25
4B065BB26
4B065BB28
4B065BB29
4B065BB40
4B065CA44
4B065CA46
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA70
4H045EA20
4H045GA45
(57)【要約】
【課題】定義された脂肪酸プロファイルを有するアルブミン組成物及びそれを使用する方法を提供すること。
【解決手段】本明細書に記載のアルブミン組成物は、特に、細胞培養方法、タンパク質安定化方法において使用するために好適である。本明細書に記載のアルブミン組成物は、細胞(例えば、哺乳動物細胞)がアルブミン組成物を含有する培地中で培養された場合に、細胞の生存能力を向上させ且つ/又は増殖を促進しうる。本明細書に記載のアルブミン組成物は、生物学的製剤がアルブミン組成物の存在下にある場合、生物学的製剤の安定性を向上させうる。本明細書に記載されるような定義された脂肪酸プロファイルを有するアルブミン組成物を配合する方法が本明細書において更に提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アルブミンポリペプチド;
b)約0.02~約0.4の範囲内の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸;及び
c)約0.03~約0.6の範囲内の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸
を含む、組成物であって、
ペンタデカン酸(C15:0)、マルガリン酸(C17:0)、及び/又はヘプタデセン酸(C17:1 ω-7)を実質的に含まない、
組成物。
【請求項2】
前記18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸が、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなる群から選択される1つ又はより多くの脂肪酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸が、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸が、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、及びエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)からなる群から選択される1つ又はより多くの脂肪酸を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸が、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、及びエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)からなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸が、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、アラキドン酸(C20:4)、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)、及びドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)からなる群から選択される1つ又はより多くの脂肪酸を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(i)前記18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸が、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなり;且つ(ii)前記18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸が、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、アラキドン酸(C20:4)、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)、及びドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)からなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(i)前記18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸が、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなり;且つ(ii)前記18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸が、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、及びエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)からなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(i)前記18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸が、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなり;且つ(ii)前記18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸が、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、及びアラキドン酸(C20:4)からなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
脂肪酸のアルブミンポリペプチドに対する総モル比が1未満である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
α-リノレン酸(C18:3)、γ-リノレン酸(C18:3)、アラキジン酸(C20:0)、エイコサトリエン酸(C20:3 ω-3)、エイコサペンタエン酸(C20:5 ω-3)、ベヘン酸(C22:0)、ドコサペンタエン酸(C22:5 ω-3)、リグノセリン酸(C24:0)、及び/又はセロチン酸(C26:0)を実質的に含まない、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸及び前記18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸の両方が、前記アルブミンポリペプチドに吸着している、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
a)アルブミンポリペプチド;
b)約0.001~約0.008の範囲内の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するラウリン酸(C12:0);
c)約0.001~約0.022の範囲内の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するミリスチン酸(C14:0);
d)約0.02~約0.3の範囲内の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するパルミチン酸(C16:0);
e)約0.002~約0.03の範囲内の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するパルミトレイン酸(C16:1);
f)約0.011~約0.2の範囲内の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するステアリン酸(C18:0);
g)約0.02~約0.3の範囲内の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するオレイン酸(C18:1 ω-9);
h)約0.0002~約0.12の範囲内の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するリノール酸(C18:2);及び
i)約0.0001~約0.002の範囲内の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)
を含む、組成物。
【請求項14】
約0.0003~約0.002の範囲内の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)を更に含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
約0.001~約0.01の範囲内の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するアラキドン酸(C20:4)を更に含む、請求項13又は14に記載の組成物。
【請求項16】
約0.0009~約0.003の範囲内の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)を更に含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
約0.0003~約0.001の範囲内の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)を更に含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
脂肪酸のアルブミンポリペプチドに対する総モル比が約0.06~約1である、請求項13~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
ペンタデカン酸(C15:0)、マルガリン酸(C17:0)、ヘプタデセン酸(C17:1 ω-7)、α-リノレン酸(C18:3)、γ-リノレン酸(C18:3)、アラキジン酸(C20:0)、エイコサトリエン酸(C20:3 ω-3)、エイコサペンタエン酸(C20:5 ω-3)、ベヘン酸(C22:0)、ドコサペンタエン酸(C22:5 ω-3)、リグノセリン酸(C24:0)、及び/又はセロチン酸(C26:0)を実質的に含まない、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
a)アルブミンポリペプチド;及び
b)1つ又はより多くの脂肪酸
を含む、組成物であって、
ペンタデカン酸(C15:0)、マルガリン酸(C17:0)、ヘプタデセン酸(C17:1 ω-7)、α-リノレン酸(C18:3)、γ-リノレン酸(C18:3)、アラキジン酸(C20:0)、エイコサトリエン酸(C20:3 ω-3)、エイコサペンタエン酸(C20:5 ω-3)、ベヘン酸(C22:0)、ドコサペンタエン酸(C22:5 ω-3)、リグノセリン酸(C24:0)、及びセロチン酸(C26:0)の1つ又はより多くを実質的に含まず、且つ
前記1つ又はより多くの脂肪酸の前記アルブミンポリペプチドに対する総モル比が約0.05~約1である、
組成物。
【請求項21】
a)アルブミンポリペプチド;及び
b)脂肪酸
を含む、組成物であって、
前記脂肪酸が、
i)ラウリン酸(C12:0);
ii)ミリスチン酸(C14:0);
iii)パルミチン酸(C16:0);
iv)パルミトレイン酸(C16:1);
v)ステアリン酸(C18:0);
vi)オレイン酸(C18:1 ω-9);
vii)リノール酸(C18:2);
viii)エイコサジエン酸(C20:2 ω-6);
ix)ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6);
x)アラキドン酸(C20:4);
xi)ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6);及び
xii)ドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)
からなり、
前記脂肪酸の前記アルブミンポリペプチドに対する総モル比が約1未満である、
組成物。
【請求項22】
前記ラウリン酸(C12:0)が、約0.01未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記ミリスチン酸(C14:0)が、約0.05未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記パルミチン酸(C16:0)が、約0.5未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記パルミトレイン酸(C16:1)が、約0.05未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記ステアリン酸(C18:0)が、約0.2未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記オレイン酸(C18:1 ω-9)が、約0.5未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記リノール酸(C18:2)が、約0.2未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)が、約0.005未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)が、約0.005未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記アラキドン酸(C20:4)が、約0.01未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)が、約0.005未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記ドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)が、約0.005未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;又は
その任意の組合せである、
請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
a)アルブミンポリペプチド;及び
b)脂肪酸
を含む、組成物であって、
前記脂肪酸が、
i)ラウリン酸(C12:0);
ii)ミリスチン酸(C14:0);
iii)パルミチン酸(C16:0);
iv)パルミトレイン酸(C16:1);
v)ステアリン酸(C18:0);
vi)オレイン酸(C18:1 ω-9);
vii)リノール酸(C18:2);及び
viii)エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)
からなる、
組成物。
【請求項24】
前記ラウリン酸(C12:0)が、約0.005未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記ミリスチン酸(C14:0)が、約0.005未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記パルミチン酸(C16:0)は、約0.05未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記パルミトレイン酸(C16:1)が、約0.005未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記ステアリン酸(C18:0)が、約0.05未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記オレイン酸(C18:1 ω-9)が、約0.05未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記リノール酸(C18:2)が、約0.0005未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)が、約0.0005未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;又は
その任意の組合せである、
請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
a)アルブミンポリペプチド;及び
b)脂肪酸
を含む、組成物であって、
前記脂肪酸が、
i)ラウリン酸(C12:0);
ii)ミリスチン酸(C14:0);
iii)パルミチン酸(C16:0);
iv)パルミトレイン酸(C16:1);
v)ステアリン酸(C18:0);
vi)オレイン酸(C18:1 ω-9);
vii)リノール酸(C18:2);
viii)エイコサジエン酸(C20:2 ω-6);
ix)ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6);及び
x)アラキドン酸(C20:4)
からなる、
組成物。
【請求項26】
前記ラウリン酸(C12:0)が、約0.005未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記ミリスチン酸(C14:0)が、約0.01未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記パルミチン酸(C16:0)が、約0.1未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記パルミトレイン酸(C16:1)が、約0.01未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記ステアリン酸(C18:0)が、約0.1未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記オレイン酸(C18:1 ω-9)が、約0.5未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記リノール酸(C18:2)が、約0.05未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)が、約0.0005未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)が、約0.0005未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;
前記アラキドン酸(C20:4)が、約0.005未満の前記アルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;又は
その任意の組合せである、
請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記アルブミンポリペプチドがヒト又はウシに由来する、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記アルブミンポリペプチドが組換えアルブミンポリペプチドである、請求項1~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記組換えアルブミンポリペプチドが、細菌、酵母、又はコメから精製されている、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記酵母が、種ピキア・パストリス、サッカロミセス・セレビシエ、又はクルイベロミセス・ラクチスの酵母である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記コメが種オリザ・サティバのコメである、請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
前記アルブミンポリペプチドが血漿又は血清に由来する、請求項1~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記アルブミンポリペプチドが脱脂アルブミンポリペプチドである、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか一項に記載の組成物、及び基礎培地を含む、細胞培養培地。
【請求項35】
前記組成物が、約0.01%(w/w)~約10%(w/w)、又は約0.1mg/mL~約100mg/mLの濃度において前記細胞培養培地中に存在する、請求項34に記載の細胞培養培地。
【請求項36】
請求項34又は35に記載の細胞培養培地中で生物学的細胞をインキュベートすることを含む、方法。
【請求項37】
前記生物学的細胞が真核細胞である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記真核細胞が幹細胞である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記幹細胞が、人工多能性幹(iPS)細胞、胚性幹(ES)細胞、又は間葉幹細胞(MSC)である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記真核細胞がT細胞である、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記真核細胞が神経細胞である、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
アルブミンポリペプチドの非存在下で培養された生物学的細胞と比較して前記生物学的細胞の生存細胞密度の増加を結果としてもたらす、請求項36~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
生存細胞密度の前記増加が少なくとも10%である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
タンパク質を安定化させる方法であって、請求項1~33のいずれか一項に記載の組成物の存在下で前記タンパク質をインキュベートすることを含む、方法。
【請求項45】
前記組成物が、約0.01%(w/w)~約20%(w/w)、約0.1mg/mL~約200mg/mLの濃度、又は前記タンパク質に対して約0.1~約10のモル比において存在する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記タンパク質が、前記組成物の非存在下でのタンパク質と比較して少なくとも約80%安定化される、請求項44又は45に記載の方法。
【請求項47】
a)アルブミンポリペプチド;及び
b)少なくとも約0.9%の組成物中の脂肪酸の総量に対するモル比において存在するアラキドン酸(C20:4)
を含む、
組成物。
【請求項48】
アルブミンポリペプチドの機能を向上させる方法であって、
組成物中の脂肪酸の総量に対するアラキドン酸(C20:4)のモル比を少なくとも約0.9%に増加させるために充分な量のアラキドン酸(C20:4)と共に前記アルブミンポリペプチドをインキュベートすること
を含む、
方法。
【請求項49】
アルブミンポリペプチドの機能を向上させる方法であって、
a)前記アルブミンポリペプチドの溶液をセラミックヒドロキシアパタイト樹脂に通過させて前記アルブミンポリペプチドを含むフロースルーを生成すること;及び
b)前記フロースルーから前記アルブミンポリペプチドを精製して向上した機能を有するアルブミンポリペプチドを得ること
を含む、
方法。
【請求項50】
a)の前に、活性炭と共に前記溶液をインキュベートすることにより前記アルブミンポリペプチドを脱脂すること、及び前記活性炭から前記アルブミンポリペプチドを精製することを更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
a)の前に、キレート樹脂と共に前記溶液をインキュベートすること、及び前記キレート樹脂から前記アルブミンポリペプチドを精製することを更に含む、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記キレート樹脂がDiaion CR20である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
a)の前に、1つ又はより多くの脂肪酸と共に前記アルブミンポリペプチドをインキュベートすることを更に含む、請求項49~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記1つ又はより多くの脂肪酸が、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、アラキドン酸(C20:4)、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)、及びドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)からなる群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記1つ又はより多くの脂肪酸が、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、アラキドン酸(C20:4)、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)、及びドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)からなる、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記1つ又はより多くの脂肪酸が、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、及びエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)からなる、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記1つ又はより多くの脂肪酸が、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、及びアラキドン酸(C20:4)からなる、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
組換えアルブミンポリペプチドを欠いた組成物と比較して、4日の継続期間にわたる組成物中での人工多能性幹(iPS)細胞の培養により前記iPS細胞の生存細胞密度の少なくとも35%の増加を促進するのに効果的なモル比の量の前記組換えアルブミンポリペプチド及び1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物。
【請求項59】
組換えアルブミンポリペプチドを欠いた組成物と比較して、5日の継続期間にわたる組成物中での間葉幹細胞(MSC)の培養により前記MSCの生存細胞密度の少なくとも35%の増加を促進するのに効果的なモル比の量の前記組換えアルブミンポリペプチド及び1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物。
【請求項60】
組換えアルブミンポリペプチドを欠いた組成物と比較して、6日の継続期間にわたる組成物中でのT細胞の培養により前記T細胞の生存細胞密度の少なくとも80%の増加を促進するのに効果的なモル比の量の前記組換えアルブミンポリペプチド及び1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物。
【請求項61】
アルブミンポリペプチドを欠いた組成物と比較して、約3000秒~約6000秒の継続期間にわたる組成物中でのタンパク質のインキュベーションによりタンパク質安定化の少なくとも約80%の増加を促進するのに効果的なモル比の量の前記アルブミンポリペプチド及び1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物。
【請求項62】
成長因子を実質的に含まない、請求項58~61のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定義された脂肪酸プロファイルを有するアルブミン組成物及びそれを使用する方法を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
アルブミンは、血漿中に一般的に見られる球状の水溶性タンパク質のファミリーである。アルブミンは、概しては、脂肪酸、酵素、ホルモン、及び微量元素等の様々なリガンドに結合することができる輸送タンパク質である。アルブミンは、一般的に、細胞(例えば、幹細胞)の培養の他に、賦形剤(例えば、生物学的製剤を安定化させるため)において使用される。様々なアルブミン組成物の性能はかなり異なり、これは部分的には組成物の脂肪酸の構成に起因しうる。例えば、一部の脂肪酸の存在は、細胞増殖及び/又は生存能力を阻害することが報告されている。更には、アルブミン組成物は、バッチ毎にかなり異なることにより、製造物の信頼性を減少させることがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Karlin及びAltschul、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87:2264~2268頁(1990)
【非特許文献2】Altschulら、J. Mol. Biol.、215:403~410頁(1990)
【非特許文献3】Karlin及びAltschul、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90:5873~5877頁(1993)
【非特許文献4】Altschulら、Nucleic Acids Res.、25:3389~3402頁(1997)
【非特許文献5】Wootton及びFederhen、Computers and Chemistry 17:149~163頁(1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書の開示は、細胞培養方法において及び賦形剤として使用するための定義された一貫する脂肪酸プロファイルを有するアルブミン組成物に対するかなりの満たされていない必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、a)アルブミンポリペプチド;b)約0.02~約0.4の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸;及びc)約0.03~約0.6の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物であって、ペンタデカン酸(C15:0)、マルガリン酸(C17:0)、及び/又はヘプタデセン酸(C17:1 ω-7)を実質的に含まない、組成物が提供される。一部の場合には、18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなる群から選択される1つ又はより多くの脂肪酸を含む。一部の場合には、18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなる。一部の場合には、18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、及びエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)からなる群から選択される1つ又はより多くの脂肪酸を含む。一部の場合には、18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、及びエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)からなる。一部の場合には、18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、アラキドン酸(C20:4)、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)、及びドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)からなる群から選択される1つ又はより多くの脂肪酸を更に含む。一部の場合には、(i)18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなり;且つ(ii)18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、アラキドン酸(C20:4)、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)、及びドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)からなる。一部の場合には、(i)18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなり;且つ(ii)18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、及びエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)からなる。一部の場合には、(i)18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなり;且つ(ii)18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、及びアラキドン酸(C20:4)からなる。一部の場合には、脂肪酸のアルブミンポリペプチドに対する総モル比は1未満である。一部の場合には、組成物は、α-リノレン酸(C18:3)、γ-リノレン酸(C18:3)、アラキジン酸(C20:0)、エイコサトリエン酸(C20:3 ω-3)、エイコサペンタエン酸(C20:5 ω-3)、ベヘン酸(C22:0)、ドコサペンタエン酸(C22:5 ω-3)、リグノセリン酸(C24:0)、及び/又はセロチン酸(C26:0)を実質的に含まない。一部の場合には、18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸及び18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸の両方は、アルブミンポリペプチドに吸着している。
【0006】
別の態様では、a)アルブミンポリペプチド;b)約0.001~約0.008の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するラウリン酸(C12:0);c)約0.001~約0.022の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するミリスチン酸(C14:0);d)約0.02~約0.3の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するパルミチン酸(C16:0);e)約0.002~約0.03の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するパルミトレイン酸(C16:1);f)約0.011~約0.2の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するステアリン酸(C18:0);g)約0.02~約0.3の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するオレイン酸(C18:1 ω-9);h)約0.0002~約0.12の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するリノール酸(C18:2);及びi)約0.0001~約0.002の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)を含む、組成物が提供される。一部の場合には、組成物は、約0.0003~約0.002の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)を更に含む。一部の場合には、組成物は、約0.001~約0.01の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するアラキドン酸(C20:4)を更に含む。一部の場合には、組成物は、約0.0009~約0.003の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)を更に含む。一部の場合には、組成物は、約0.0003~約0.001の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)を更に含む。一部の場合には、脂肪酸のアルブミンポリペプチドに対する総モル比は約0.06~約1である。一部の場合には、組成物は、ペンタデカン酸(C15:0)、マルガリン酸(C17:0)、ヘプタデセン酸(C17:1 ω-7)、α-リノレン酸(C18:3)、γ-リノレン酸(C18:3)、アラキジン酸(C20:0)、エイコサトリエン酸(C20:3 ω-3)、エイコサペンタエン酸(C20:5 ω-3)、ベヘン酸(C22:0)、ドコサペンタエン酸(C22:5 ω-3)、リグノセリン酸(C24:0)、及び/又はセロチン酸(C26:0)を実質的に含まない。
【0007】
別の態様では、a)アルブミンポリペプチド;及びb)1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物であって、ペンタデカン酸(C15:0)、マルガリン酸(C17:0)、ヘプタデセン酸(C17:1 ω-7)、α-リノレン酸(C18:3)、γ-リノレン酸(C18:3)、アラキジン酸(C20:0)、エイコサトリエン酸(C20:3 ω-3)、エイコサペンタエン酸(C20:5 ω-3)、ベヘン酸(C22:0)、ドコサペンタエン酸(C22:5 ω-3)、リグノセリン酸(C24:0)、及びセロチン酸(C26:0)の1つ又はより多くを実質的に含まず、且つ、1つ又はより多くの脂肪酸のアルブミンポリペプチドに対する総モル比が約0.05~約1である、組成物が提供される。
【0008】
更に別の態様では、a)アルブミンポリペプチド;及びb)脂肪酸を含む、組成物であって、脂肪酸が、i)ラウリン酸(C12:0);ii)ミリスチン酸(C14:0);iii)パルミチン酸(C16:0);iv)パルミトレイン酸(C16:1);v)ステアリン酸(C18:0);vi)オレイン酸(C18:1 ω-9);vii)リノール酸(C18:2);viii)エイコサジエン酸(C20:2 ω-6);ix)ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6);x)アラキドン酸(C20:4);xi)ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6);及びxii)ドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)からなり、脂肪酸のアルブミンポリペプチドに対する総モル比が約1未満である、組成物が提供される。一部の場合には、ラウリン酸(C12:0)は、約0.01未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;ミリスチン酸(C14:0)は、約0.05未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;パルミチン酸(C16:0)は、約0.5未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;パルミトレイン酸(C16:1)は、約0.05未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;ステアリン酸(C18:0)は、約0.2未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;オレイン酸(C18:1 ω-9)は、約0.5未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;リノール酸(C18:2)は、約0.2未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;アラキドン酸(C20:4)は、約0.01未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;ドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;又はその任意の組合せである。
【0009】
更に別の態様では、a)アルブミンポリペプチド;及びb)脂肪酸を含む、組成物であって、脂肪酸が、i)ラウリン酸(C12:0);ii)ミリスチン酸(C14:0);iii)パルミチン酸(C16:0);iv)パルミトレイン酸(C16:1);v)ステアリン酸(C18:0);vi)オレイン酸(C18:1 ω-9);vii)リノール酸(C18:2);及びviii)エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)からなる、組成物が提供される。一部の場合には、ラウリン酸(C12:0)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;ミリスチン酸(C14:0)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;パルミチン酸(C16:0)は、約0.05未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;パルミトレイン酸(C16:1)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;ステアリン酸(C18:0)は、約0.05未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;オレイン酸(C18:1 ω-9)は、約0.05未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;リノール酸(C18:2)は、約0.0005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)は、約0.0005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;又はその任意の組合せである。
【0010】
更に別の態様では、a)アルブミンポリペプチド;及びb)脂肪酸を含む、組成物であって、脂肪酸が、i)ラウリン酸(C12:0);ii)ミリスチン酸(C14:0);iii)パルミチン酸(C16:0);iv)パルミトレイン酸(C16:1);v)ステアリン酸(C18:0);vi)オレイン酸(C18:1 ω-9);vii)リノール酸(C18:2);viii)エイコサジエン酸(C20:2 ω-6);ix)ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6);及びx)アラキドン酸(C20:4)からなる、組成物が提供される。一部の場合には、ラウリン酸(C12:0)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;ミリスチン酸(C14:0)は、約0.01未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;パルミチン酸(C16:0)は、約0.1未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;パルミトレイン酸(C16:1)は、約0.01未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;ステアリン酸(C18:0)は、約0.1未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;オレイン酸(C18:1 ω-9)は、約0.5未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;リノール酸(C18:2)は、約0.05未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)は、約0.0005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)は、約0.0005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;アラキドン酸(C20:4)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在し;又はその任意の組合せである。
【0011】
先行する任意の態様では、アルブミンポリペプチドはヒト又はウシに由来する。先行する任意の態様では、アルブミンポリペプチドは組換えアルブミンポリペプチドである。先行する任意の態様では、組換えアルブミンポリペプチドは、細菌、酵母、又はコメから精製されている。先行する任意の態様では、酵母は、種ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、又はクルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)の酵母である。先行する任意の態様では、コメは種オリザ・サティバ(Oryza sativa)のコメである。先行する任意の態様では、アルブミンポリペプチドは血漿又は血清に由来する。先行する任意の態様では、アルブミンポリペプチドは脱脂アルブミンポリペプチドである。
【0012】
別の態様では、先行する態様のいずれか1つの組成物、及び基礎培地を含む、細胞培養培地が提供される。一部の場合には、組成物は、約0.01%(w/w)~約10%(w/w)、又は約0.1mg/mL~約100mg/mLの濃度において細胞培養培地中に存在する。
【0013】
別の態様では、先行する態様のいずれか1つの細胞培養培地中で生物学的細胞をインキュベートすることを含む、方法が提供される。一部の場合には、生物学的細胞は真核細胞である。一部の場合には、真核細胞は幹細胞である。一部の場合には、幹細胞は、人工多能性幹(iPS)細胞、胚性幹(ES)細胞、又は間葉幹細胞(MSC)である。一部の場合には、真核細胞はT細胞である。一部の場合には、真核細胞は神経細胞である。一部の場合には、方法は、アルブミンポリペプチドの非存在下で培養された生物学的細胞と比較して生物学的細胞の生存細胞密度の増加を結果としてもたらす。一部の場合には、生存細胞密度の増加は少なくとも10%である。
【0014】
更に別の態様では、タンパク質を安定化させる方法であって、先行する態様のいずれか1つの組成物の存在下でタンパク質をインキュベートすることを含む、方法が提供される。一部の場合には、組成物は、約0.01%(w/w)~約20%(w/w)、約0.1mg/mL~約200mg/mLの濃度、又はタンパク質に対して約0.1~約10のモル比において存在する。一部の場合には、タンパク質は、組成物の非存在下でのタンパク質と比較して少なくとも約80%安定化される。
【0015】
更に別の態様では、a)アルブミンポリペプチド;及びb)少なくとも約0.9%の組成物中の脂肪酸の総量に対するモル比において存在するアラキドン酸(C20:4)を含む、組成物が提供される。
【0016】
更に別の態様では、アルブミンポリペプチドの機能を向上させる方法であって、組成物中の脂肪酸の総量に対するアラキドン酸(C20:4)のモル比を少なくとも約0.9%に増加させるために充分な量のアラキドン酸(C20:4)と共にアルブミンポリペプチドをインキュベートすることを含む、方法が提供される。
【0017】
更に別の態様では、アルブミンポリペプチドの機能を向上させる方法であって、a)アルブミンポリペプチドの溶液をセラミックヒドロキシアパタイト樹脂に通過させてアルブミンポリペプチドを含むフロースルーを生成すること;及びb)フロースルーからアルブミンポリペプチドを精製して向上した機能を有するアルブミンポリペプチドを得ることを含む、方法が提供される。一部の場合には、方法は、a)の前に、活性炭と共に溶液をインキュベートすることによりアルブミンポリペプチドを脱脂すること、及び活性炭からアルブミンポリペプチドを精製することを更に含む。一部の場合には、方法は、a)の前に、キレート樹脂と共に溶液をインキュベートすること、及びキレート樹脂からアルブミンポリペプチドを精製することを更に含む。一部の場合には、キレート樹脂はDiaion CR20である。一部の場合には、方法は、a)の前に、1つ又はより多くの脂肪酸と共にアルブミンポリペプチドをインキュベートすることを更に含む。一部の場合には、1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、アラキドン酸(C20:4)、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)、及びドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)からなる群から選択される。一部の場合には、1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、アラキドン酸(C20:4)、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)、及びドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)からなる。一部の場合には、1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、及びエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)からなる。一部の場合には、1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、及びアラキドン酸(C20:4)からなる。
【0018】
別の態様では、組換えアルブミンポリペプチドを欠いた組成物と比較して、4日の継続期間にわたる組成物中での人工多能性幹(iPS)細胞の培養によりiPS細胞の生存細胞密度の少なくとも35%の増加を促進するために効果的なモル比の量の組換えアルブミンポリペプチド及び1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物が提供される。別の態様では、組換えアルブミンポリペプチドを欠いた組成物と比較して、5日の継続期間にわたる組成物中での間葉幹細胞(MSC)の培養によりMSCの生存細胞密度の少なくとも35%の増加を促進するために効果的なモル比の量の組換えアルブミンポリペプチド及び1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物が提供される。別の態様では、組換えアルブミンポリペプチドを欠いた組成物と比較して、6日の継続期間にわたる組成物中でのT細胞の培養によりT細胞の生存細胞密度の少なくとも80%の増加を促進するために効果的なモル比の量の組換えアルブミンポリペプチド及び1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物が提供される。別の態様では、アルブミンポリペプチドを欠いた組成物と比較して、約3000秒~約6000秒の継続期間にわたる組成物中でのタンパク質のインキュベーションによりタンパク質安定化の少なくとも約80%の増加を促進するために効果的なモル比の量のアルブミンポリペプチド及び1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物が提供される。一部の場合には、組成物は成長因子を実質的に含まない。
【0019】
本開示の追加の態様及び利点は、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかとなり、該説明では、本開示の実例に過ぎない実施形態が示され、記載される。認識されるように、本開示は他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、本開示からいずれも離れることなく、様々な自明な点において改変が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものとしてではなく、実例的な性質のものとして考えられるべきである。
【0020】
参照による組込み
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照することにより組み込まれることが具体的且つ個々に指し示されたのと同じ程度まで、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0021】
本発明の新規の特徴は、特に、添付の特許請求の範囲において示される。本発明の特徴及び利点のより良好な理解は、本発明の原理が利用される実例的な実施形態を示す以下の詳細な説明、及び添付の図面を参照することにより得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の実施形態による様々なアルブミンを添加したE8培地中で生育された人工多能性幹(iPS)細胞の生存細胞密度の非限定的な例を描写する。
【
図2】本開示の実施形態による様々なアルブミンを添加した化学限定培地中で生育された間葉幹細胞(MSC)の生存細胞密度の非限定的な例を描写する。
【
図3】本開示の実施形態による様々なアルブミンを添加した化学限定培地中で生育されたT細胞の生存細胞数の非限定的な例を描写する。
【
図4】本開示の実施形態による様々なアルブミンにより安定化されたインスリン溶液の360nmにおける吸光度の非限定的な例を描写する。
【
図5】本開示の実施形態による様々なアルブミンを添加した化学限定培地中で生育されたMSCの生存細胞密度の非限定的な例を描写する。
【
図6】本開示の実施形態による様々なアルブミンを添加した化学限定培地中で生育されたMSCの生存細胞密度の非限定的な例を描写する。
【
図7】本開示の実施形態による様々なアルブミンを添加した化学限定培地中で生育されたT細胞の生存細胞密度の非限定的な例を描写する。
【
図8】本開示の実施形態による様々なアルブミンを添加したEssential 8培地中で生育されたiPS細胞の生存細胞密度の非限定的な例を描写する。
【
図9】本開示の実施形態による様々なアルブミンを添加した化学限定培地中で生育されたT細胞の生存細胞密度の非限定的な例を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の様々な実施形態を本明細書に示し、記載したが、そのような実施形態は例としてのみ提供されることは当業者に自明である。多数のバリエーション、変更、及び置換が、本開示から離れることなく当業者に想起されうる。本明細書に記載の開示の実施形態に対する様々な代替が用いられうることが理解されるべきである。
【0024】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に他に規定しなければ、複数への言及を含む。例えば、「細胞」(a cell)という用語は、その混合物を含む、複数の細胞を含む。
【0025】
本明細書において使用される場合、「約」数という用語は、その数プラス又はマイナスその数の10%を指す。「約」範囲という用語は、その範囲マイナスその最低値の10%及びプラスその最高値の10%を指す。
【0026】
「アルブミン」及び「アルブミンポリペプチド」という用語は本明細書において交換可能に使用され、概しては、タンパク質のアルブミンファミリーのメンバーである、それに関する、その変種である、その断片である、その切断物である、且つ/又はそれに由来する、任意のタンパク質又はポリペプチドを指す。本明細書において使用される「アルブミン」又は「アルブミンポリペプチド」は全長アルブミンタンパク質であってもよい。本明細書において使用される「アルブミン」又は「アルブミンポリペプチド」は野生型アルブミンタンパク質であってもよい。本明細書において使用される「アルブミン」又は「アルブミンポリペプチド」は野生型アルブミンタンパク質の変種であってもよい。例えば、アルブミン又はアルブミンポリペプチドは、野生型アルブミンタンパク質と比べて1つ又はより多くのバリエーションを含んでもよい。1つ又はより多くのバリエーションは1つ又はより多くの突然変異であってもよい。1つ又はより多くの突然変異は、野生型アルブミンタンパク質と比べて、1つ若しくはより多くの挿入、1つ若しくはより多くの欠失、及び/又は1つ若しくはより多くの置換であってもよい。本明細書において使用される「アルブミン」又は「アルブミンポリペプチド」は切断型のアルブミンタンパク質であってもよい。例えば、アルブミン又はアルブミンポリペプチドは、野生型アルブミンタンパク質と比べて、C末端、N末端における切断、及び/又は内部切断を含んでもよい。本明細書において使用される「アルブミン」又は「アルブミンポリペプチド」はアルブミンタンパク質の断片であってもよい。アルブミンポリペプチドは任意の供給源に由来してもよい。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは血液(例えば、全血、血漿、血清)に由来する。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは組換えアルブミンである。組換えアルブミンは、宿主細胞(例えば、酵母、細菌、植物、哺乳動物細胞等)中で製造されてもよい。
【0027】
本明細書において使用される「アルブミン」又は「アルブミンポリペプチド」は、野生型アルブミンタンパク質に対して少なくとも約50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、本明細書において使用される「アルブミン」又は「アルブミンポリペプチド」は、野生型アルブミンタンパク質と少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。
【0028】
一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは血清アルブミン又は血液アルブミンである。血清アルブミンは任意の種からのものでありうる。一部の場合には、血清アルブミンは脊椎動物に由来する。一部の実施形態では、血清アルブミンはヒト血清アルブミンである。一部の実施形態では、血清アルブミンはウシ血清アルブミンである。一部の実施形態では、血清アルブミンは血液に由来する。
【0029】
一部の場合には、アルブミンは野生型ヒト血清アルブミンである。一部の実施形態では、本明細書において使用される「アルブミン」又は「アルブミンポリペプチド」は、以下の配列番号:1によるアミノ酸配列を含む:
MKWVTFISLLFLFSSAYSRGVFRRDAHKSEVAHRFKDLGEENFKALVLIAFAQYLQQCPFEDHVKLVNEVTEFAKTCVADESAENCDKSLHTLFGDKLCTVATLRETYGEMADCCAKQEPERNECFLQHKDDNPNLPRLVRPEVDVMCTAFHDNEETFLKKYLYEIARRHPYFYAPELLFFAKRYKAAFTECCQAADKAACLLPKLDELRDEGKASSAKQRLKCASLQKFGERAFKAWAVARLSQRFPKAEFAEVSKLVTDLTKVHTECCHGDLLECADDRADLAKYICENQDSISSKLKECCEKPLLEKSHCIAEVENDEMPADLPSLAADFVESKDVCKNYAEAKDVFLGMFLYEYARRHPDYSVVLLLRLAKTYETTLEKCCAAADPHECYAKVFDEFKPLVEEPQNLIKQNCELFEQLGEYKFQNALLVRYTKKVPQVSTPTLVEVSRNLGKVGSKCCKHPEAKRMPCAEDYLSVVLNQLCVLHEKTPVSDRVTKCCTESLVNRRPCFSALEVDETYVPKEFNAETFTFHADICTLSEKERQIKKQTALVELVKHKPKATKEQLKAVMDDFAAFVEKCCKADDKETCFAEEGKKLVAASQAALGL(配列番号1)
【0030】
一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは、配列番号:1と少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0031】
一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドはウシ血清アルブミンである。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは、以下の配列番号:2によるアミノ酸配列を含む:
MKWVTFISLLLLFSSAYSRGVFRRDTHKSEIAHRFKDLGEEHFKGLVLIAFSQYLQQCPFDEHVKLVNELTEFAKTCVADESHAGCEKSLHTLFGDELCKVASLRETYGDMADCCEKQEPERNECFLSHKDDSPDLPKLKPDPNTLCDEFKADEKKFWGKYLYEIARRHPYFYAPELLYYANKYNGVFQECCQAEDKGACLLPKIETMREKVLASSARQRLRCASIQKFGERALKAWSVARLSQKFPKAEFVEVTKLVTDLTKVHKECCHGDLLECADDRADLAKYICDNQDTISSKLKECCDKPLLEKSHCIAEVEKDAIPENLPPLTADFAEDKDVCKNYQEAKDAFLGSFLYEYSRRHPEYAVSVLLRLAKEYEATLEECCAKDDPHACYSTVFDKLKHLVDEPQNLIKQNCDQFEKLGEYGFQNALIVRYTRKVPQVSTPTLVEVSRSLGKVGTRCCTKPESERMPCTEDYLSLILNRLCVLHEKTPVSEKVTKCCTESLVNRRPCFSALTPDETYVPKAFDEKLFTFHADICTLPDTEKQIKKQTALVELLKHKPKATEEQLKTVMENFVAFVDKCCAADDKEACFAVEGPKLVVSTQTALA(配列番号2)
【0032】
一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは、配列番号:2と少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0033】
一般に、「配列同一性」は、2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の正確なそれぞれヌクレオチド対ヌクレオチド又はアミノ酸対アミノ酸の一致を指す。典型的には、配列同一性を決定する技術は、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定すること及び/又はそれによりコードされるアミノ酸配列を決定すること、並びにこれらの配列を第2のヌクレオチド又はアミノ酸配列と比較することを含む。2つ又はより多くの配列(ポリヌクレオチド又はアミノ酸)は、それらの「同一性パーセント」を決定することにより比較されうる。核酸配列又はアミノ酸配列のいずれであれ、2つの配列の同一性パーセントは、2つのアライメントされた配列の正確なマッチの数をより長い配列の長さで割り、100を掛けたものである。同一性パーセントはまた、例えば、米国国立衛生研究所から利用可能な、バージョン2.2.9を含む、advanced BLASTコンピュータープログラムを使用して配列情報を比較することにより決定されてもよい。BLASTプログラムは、Karlin及びAltschul、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87:2264~2268頁(1990)のアライメント方法に基づいて、Altschulら、J. Mol. Biol.、215:403~410頁(1990); Karlin及びAltschul、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90:5873~5877頁(1993);並びにAltschulら、Nucleic Acids Res.、25:3389~3402頁(1997)において議論されるように為される。プログラムは、比較されているタンパク質の全体長さにわたり同一性パーセントを決定するために使用されてもよい。例えばblastpプログラムにおいて、短いクエリ配列を用いて検索を最適化するためにデフォルトのパラメーターが提供される。プログラムはまた、Wootton及びFederhen、Computers and Chemistry 17:149~163頁(1993)のSEGプログラムにより決定されるようなクエリ配列のマスクオフセグメントに対するSEGフィルターの使用を許容する。配列同一性の所望の程度の範囲は約50%~100%及びその間の整数値である。一般に、本開示は、本明細書において提供される任意の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する配列を包含する。
【0034】
本明細書において使用される「脂肪酸」という用語は、概しては、飽和又は不飽和のいずれかでありうる脂肪族鎖を有するカルボン酸を指す。脂肪酸は、短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸、又は非常に長鎖の脂肪酸でありうる。短鎖脂肪酸は、5つ又はより少ない炭素の脂肪族末端を有する脂肪酸であってもよい。中鎖脂肪酸は、6~12炭素の脂肪族末端を有する脂肪酸であってもよい。長鎖脂肪酸は、13~21炭素の脂肪族末端を有する脂肪酸であってもよい。非常に長鎖の脂肪酸は、22又はより多くの炭素の脂肪族末端を有する脂肪酸であってもよい。概しては、本明細書に記載の脂肪酸は、慣用(若しくは一般)名及び/又は脂質数により参照される。本明細書において使用される脂質数はC:Dの形態をとり、Cは脂肪酸中の炭素原子の数であり、Dは脂肪酸中の二重結合の数である。
【0035】
脂肪酸は、C=C二重結合を有しない脂肪酸を意味する「飽和脂肪酸」であってもよい。飽和脂肪酸の非限定的な例としては、プロピオン酸(C3:0)、酪酸(C4:0)、吉草酸(C5:0)、カプロン酸(C6:0)、エナント酸(C7:0)、カプリル酸(C8:0)、ペラルゴン酸(C9:0)、カプリン酸(C10:0)、ウンデシル酸(C11:0)、ラウリン酸(C12:0)、トリデシル酸(C13:0)、ミリスチン酸(C14:0)、ペンタデシル酸(C15:0)、パルミチン酸(C16:0)、マルガリン酸(C17:0)、ステアリン酸(C18:0)、ノナデシル酸(C19:0)、アラキジン酸(C20:0)、ヘンイコシル酸(C21:0)、ベヘン酸(C22:0)、トリコシル酸(C23:0)、リグノセリン酸(C24:0)、ペンタコシル酸(C25:0)、セロチン酸(C26:0)、カルボセリック酸(carboceric acid)(C27:0)、モンタン酸(C28:0)、ノナコシル酸(C29:0)、メリシン酸(C30:0)、ヘントリアコンチル酸(hentriacontylic acid)(C31:0)、ラッセル酸(C32:0)、プシリン酸(psyllic acid)(C33:0)、ゲダ酸(C34:0)、セロプラスチン酸(C35:0)、ヘキサトリアコンチル酸(hexatriacontylic acid)(C36:0)、ヘプタトリアコンチル酸(heptatriacontylic acid)(C37:0)、オクタトリアコンチル酸(octatriacontylic acid)(C38:0)、ノナトリアコンチル酸(nonatriacontylic acid)(C39:0)、及びテトラコンチル酸(tetracontylic acid)(C40:0)が挙げられる。
【0036】
脂肪酸は、1つ又はより多くのC=C二重結合を有する脂肪酸を意味する「不飽和脂肪酸」であってもよい。不飽和脂肪酸はシス配置又はトランス配置のいずれかであってもよい。不飽和脂肪酸の非限定的な例としては、オクテン酸(C8:1)、デセン酸(C10:1)、デカジエン酸(C10:2)、ラウロレイン酸(C12:1)、ラウロリノール酸(laurolinoleic acid)(C12:2)、ミリストバクセン酸(myristovaccenic acid)(C14:1)、ミリストリノール酸(myristolinoleic acid)(C14:2)、ミリストリノレン酸(myristolinolenic acid)(C14:3)、パルミトリノレン酸(palmitolinolenic acid)(C16:3)、パルミチドン酸(palmitidonic acid)(C16:4)、α-リノレン酸(C18:3)、ステアリドン酸(C18:4)、ジホモ-α-リノレン酸(C20:3)、エイコサテトラエン酸(C20:4)、エイコサペンタエン酸(C20:5)、クルパノドン酸(C22:5)、ドコサヘキサエン酸(C22:6)、9,12,15,18,21-テトラコサペンタエン酸(C24:5)、6,9,12,15,18,21-テトラコサヘキサエン酸(C24:6)、ミリストレイン酸(C14:1)、パルミトバクセン酸(C16:1)、α-エレオステアリン酸(C18:3)、β-エレオステアリン酸(トランス-C18:3)、プニカ酸(C18:3)、7,10,13-オクタデカトリエン酸(C18:3)、9,12,15-エイコサトリエン酸(C20:3)、β-エイコサテトラエン酸(C20:4)、8-テトラデセン酸(C14:1)、12-オクタデセン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレライジン酸(linolelaidic acid)(トランス-C18:2)、γ-リノレン酸(C18:3)、カレンド酸(C18:3)、ピノレン酸(C18:3)、ジホモ-リノール酸(C20:2)、ジホモ-γ-リノレン酸(C20:3)、アラキドン酸(C20:4)、アドレン酸(C22:4)、オスボンド酸(C22:5)、パルミトレイン酸(C16:1)、バクセン酸(C18:1)、ルーメン酸(C18:2)、パウリン酸(C20:1)、7,10,13-エイコサトリエン酸(C20:3)、オレイン酸(C18:1)、エライジン酸(トランス-C18:1)、ゴンドイン酸(C20:1)、エルカ酸(C22:1)、ネルボン酸(C24:1)、8,11-エイコサジエン酸(C20:2)、ミード酸(C20:3)、サピエン酸(C16:1)、ガドレイン酸(C20:1)、4-ヘキサデセン酸(C16:1)、ペトロセリン酸(C18:1)、及び8-エイコセン酸(C20:1)が挙げられる。
【0037】
本明細書において使用される「モル比」という用語は、概しては、別の物質のモル数と比べた1つの物質のモル数を指す。例えば、本明細書において提供される組成物は、脂肪酸のアルブミンポリペプチドに対するモル比(すなわち、アルブミンポリペプチドのモル数と比べた脂肪酸のモル数)の点で記載されてもよい。
【0038】
「実質的に含まない」という用語は、本明細書において使用される場合、概しては、指定された成分を欠いた、又は微量に過ぎない指定された成分を含有する組成物を指す。例えば、特定の脂肪酸を実質的に含まない組成物は、組成物中に該脂肪酸を欠いていてもよく、又は組成物中に微量に過ぎない該脂肪酸を含有してもよい。一部の実施形態では、「実質的に含まない」という用語は、質量分析による検出レベル未満である指定された成分のレベルを有する組成物を指すことができる。「実質的に含まない」という用語はまた、例えば、0.00005未満、0.00001未満、0.000005未満、0.000001未満、又は0.0000005未満であるアルブミンポリペプチドに対するモル比において指定された成分を含有する組成物を指すことができる。
【0039】
本明細書に記載されるようなアルブミンポリペプチドとの関連において使用される場合の「配合された」という用語は、概しては、脱脂工程、脂肪配合工程、及び/又は精製工程等の1つ又はより多くの処理工程を受けたアルブミンポリペプチドを指す。
【0040】
「基礎培地」という用語及びその複数形(例えば、「基礎培地」(basal media))は、本明細書において使用される場合、概しては、細胞(例えば、哺乳動物細胞)の増殖をサポートできる任意の培地を指す。基礎培地は、亜鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム及びカリウム等の標準的な無機塩の他に、微量元素、ビタミン、エネルギー供給源、緩衝系、及び/又は必須アミノ酸を供給する。基礎培地の例としては、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、DME/F12、最小必須培地(MEM)、基礎培地イーグル(BME)、RPMI 1640、F-10、F-12、α-最小必須培地(α-MEM)、グラスゴー最小必須培地(G-MEM)、PF CHO(SAFC Biosciences社)、及びイスコフ改変ダルベッコ培地が挙げられるがそれに限定されない。基礎培地は、その中で培養される細胞の増殖及び/又は生存能力を向上させるために様々な因子(例えば、本明細書に記載のアルブミン組成物の1つ又はより多く)を添加されうる。
【0041】
本明細書において使用される場合、「細胞培養培地」という用語及びその複数形(例えば、「細胞培養培地」(cell culture media))は、概しては、多細胞生物又は組織の外部の人工的なin vitro環境中での細胞の維持、増殖、繁殖、及び/又は拡大増殖のための任意の栄養性溶液を指す。細胞培養培地は、特定の細胞培養用途のために最適化されてもよく、該用途としては、例えば、細胞増殖を促進するために配合される細胞培養増殖培地、又は組換えタンパク質産生を促進するために配合される細胞培養産生培地が挙げられる。細胞培養培地は、本明細書に記載のアルブミン組成物の1つ又はより多くを含んでもよい。
【0042】
本明細書に記載のアルブミンポリペプチドに関して使用される場合の「脱脂された」という用語は、概しては、脂肪酸を除去するための「脱脂」の処理を受けたアルブミンポリペプチド組成物を指す。一部の場合には、脱脂アルブミンポリペプチドは、「脂肪酸フリー」又は「脂肪酸低減」組成物、すなわち、約1%又はそれ未満の脂肪酸を含む組成物である。本明細書において使用される「脱脂処理」は、木炭処理、及び樹脂カラムの使用等が挙げられるがそれに限定されない、脱脂アルブミンポリペプチドを得るために用いられる任意の方法を指すことができる。
【0043】
定義された脂肪酸プロファイルを有するアルブミン組成物及びそれを使用する方法が本明細書において開示される。本明細書に記載のアルブミン組成物は、特に、細胞培養方法、タンパク質安定化方法において使用するために好適である。本明細書に記載のアルブミン組成物は、細胞(例えば、哺乳動物細胞)がアルブミン組成物を含有する培地中で培養された場合に、細胞の生存能力を向上させ且つ/又は増殖を促進しうる。本明細書に記載のアルブミン組成物は、生物学的製剤がアルブミン組成物の存在下にある場合、生物学的製剤の安定性を向上させうる。本明細書に記載されるような定義された脂肪酸プロファイルを有するアルブミン組成物を配合する方法が本明細書において更に提供される。
【0044】
アルブミン組成物
一態様では、本開示は、a)アルブミンポリペプチド;b)約0.02~約0.4の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸;及びc)約0.03~約0.6の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物を提供する。
【0045】
18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、プロピオン酸(C3:0)、酪酸(C4:0)、吉草酸(C5:0)、カプロン酸(C6:0)、エナント酸(C7:0)、カプリル酸(C8:0)、ペラルゴン酸(C9:0)、カプリン酸(C10:0)、ウンデシル酸(C11:0)、ラウリン酸(C12:0)、トリデシル酸(C13:0)、ミリスチン酸(C14:0)、ペンタデカン酸(C15:0)、パルミチン酸(C16:0)、マルガリン酸(C17:0)、オクテン酸(C8:1)、デセン酸(C10:1)、デカジエン酸(C10:2)、ラウロレイン酸(C12:1)、ラウロリノール酸(C12:2)、ミリストバクセン酸(C14:1)、ミリストリノール酸(C14:2)、ミリストリノレン酸(C14:3)、パルミトリノレン酸(C16:3)、及びパルミチドン酸(C16:4)からなる群から選択される1つ又はより多くの脂肪酸を含んでもよい。
【0046】
一部の場合には、18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなる群から選択される1つ又はより多くの脂肪酸を含む。一部の場合には、18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなる。
【0047】
18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、約0.02~約0.4の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において組成物中に存在してもよい。例えば、18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.10、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、約0.15、約0.16、約0.17、約0.18、約0.19、約0.20、約0.21、約0.22、約0.23、約0.24、約0.25、約0.26、約0.27、約0.28、約0.29、約0.30、約0.31、約0.32、約0.33、約0.34、約0.35、約0.36、約0.37、約0.38、約0.39、又は約0.40のアルブミンポリペプチドに対するモル比において組成物中に存在してもよい。一部の場合には、18個未満の炭素を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、アルブミンポリペプチドに結合している。
【0048】
18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ステアリン酸(C18:0)、ノナデシル酸(C19:0)、アラキジン酸(C20:0)、ヘンイコシル酸(C21:0)、ベヘン酸(C22:0)、トリコシル酸(C23:0)、リグノセリン酸(C24:0)、ペンタコシル酸(C25:0)、セロチン酸(C26:0)、カルボセリック酸(C27:0)、モンタン酸(C28:0)、ノナコシル酸(C29:0)、メリシン酸(C30:0)、ヘントリアコンチル酸(C31:0)、ラッセル酸(C32:0)、プシリン酸(C33:0)、ゲダ酸(C34:0)、セロプラスチン酸(C35:0)、ヘキサトリアコンチル酸(C36:0)、ヘプタトリアコンチル酸(C37:0)、オクタトリアコンチル酸(C38:0)、ノナトリアコンチル酸(C39:0)、テトラコンチル酸(C40:0)、α-リノレン酸(C18:3)、ステアリドン酸(C18:4)、ジホモ-α-リノレン酸(C20:3)、エイコサテトラエン酸(C20:4)、エイコサペンタエン酸(C20:5)、クルパノドン酸(C22:5)、ドコサヘキサエン酸(C22:6)、9,12,15,18,21-テトラコサペンタエン酸(C24:5)、6,9,12,15,18,21-テトラコサヘキサエン酸(C24:6)、ミリストレイン酸(C14:1)、パルミトバクセン酸(C16:1)、α-エレオステアリン酸(C18:3)、β-エレオステアリン酸(トランス-C18:3)、プニカ酸(C18:3)、7,10,13-オクタデカトリエン酸(C18:3)、9,12,15-エイコサトリエン酸(C20:3)、β-エイコサテトラエン酸(C20:4)、8-テトラデセン酸(C14:1)、12-オクタデセン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレライジン酸(トランス-C18:2)、γ-リノレン酸(C18:3)、カレンド酸(C18:3)、ピノレン酸(C18:3)、ジホモ-リノール酸(C20:2)、ジホモ-γ-リノレン酸(C20:3)、アラキドン酸(C20:4)、アドレン酸(C22:4)、オスボンド酸(C22:5)、パルミトレイン酸(C16:1)、バクセン酸(C18:1)、ルーメン酸(C18:2)、パウリン酸(C20:1)、7,10,13-エイコサトリエン酸(C20:3)、オレイン酸(C18:1)、エライジン酸(トランス-C18:1)、ゴンドイン酸(C20:1)、エルカ酸(C22:1)、ネルボン酸(C24:1)、8,11-エイコサジエン酸(C20:2)、ミード酸(C20:3)、サピエン酸(C16:1)、ガドレイン酸(C20:1)、4-ヘキサデセン酸(C16:1)、ペトロセリン酸(C18:1)、及び8-エイコセン酸(C20:1)からなる群から選択される1つ又はより多くの脂肪酸を含んでもよい。
【0049】
一部の場合には、18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、及びエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)からなる群から選択される1つ又はより多くの脂肪酸を含む。一部の場合には、18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、及びエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)からなる。一部の場合には、18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、アラキドン酸(C20:4)、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)、及びドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)からなる群から選択される1つ又はより多くの脂肪酸を更に含む。
【0050】
18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、約0.03~約0.6の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において組成物中に存在してもよい。例えば、18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.10、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、約0.15、約0.16、約0.17、約0.18、約0.19、約0.20、約0.21、約0.22、約0.23、約0.24、約0.25、約0.26、約0.27、約0.28、約0.29、約0.30、約0.31、約0.32、約0.33、約0.34、約0.35、約0.36、約0.37、約0.38、約0.39、約0.40、約0.41、約0.42、約0.43、約0.44、約0.45、約0.46、約0.47、約0.48、約0.49、約0.50、約0.51、約0.52、約0.53、約0.54、約0.55、約0.56、約0.57、約0.58、約0.59、又は約0.60のアルブミンポリペプチドに対するモル比において組成物中に存在してもよい。一部の場合には、18個又はより多くの炭素を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、アルブミンポリペプチドに結合している。
【0051】
特定の態様では、18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなり;且つ18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、アラキドン酸(C20:4)、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)、及びドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)からなる。
【0052】
特定の態様では、18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなり;且つ18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、及びエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)からなる。
【0053】
特定の態様では、18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、及びパルミトレイン酸(C16:1)からなり;且つ18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸は、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、及びアラキドン酸(20:4)からなる。
【0054】
特定の態様では、組成物は、ペンタデカン酸(C15:0)、マルガリン酸(C17:0)、及び/又はヘプタデセン酸(C17:1 ω-7)を実質的に含まない。様々な態様では、組成物は、α-リノレン酸(C18:3)、γ-リノレン酸(C18:3)、アラキジン酸(C20:0)、エイコサトリエン酸(C20:3 ω-3)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、アラキドン酸(C20:4)、エイコサペンタエン酸(C20:5 ω-3)、ベヘン酸(C22:0)、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)、ドコサペンタエン酸(C22:5 ω-3)、ドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)、リグノセリン酸(C24:0)、又はセロチン酸(C26:0)からなる群から選択される1つ又はより多くの脂肪酸を実質的に含まないものであってもよい。
【0055】
様々な態様では、脂肪酸(例えば、18個未満の炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸、及び18個又はより多くの炭素原子を有する1つ又はより多くの脂肪酸)のアルブミンポリペプチドに対する総モル比は約1未満である。例えば、脂肪酸のアルブミンポリペプチドに対する総モル比は、約1、約0.9、約0.8、約0.7、約0.6、約0.5、約0.4、約0.3、約0.2、約0.1、約0.09、約0.08、約0.07、約0.06、約0.05、約0.04、約0.03、約0.02、又は約0.01であってもよい。
【0056】
別の態様では、a)アルブミンポリペプチド;b)約0.001~約0.008の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するラウリン酸(C12:0);c)約0.001~約0.022の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するミリスチン酸(C14:0);d)約0.02~約0.3の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するパルミチン酸(C16:0);e)約0.002~約0.03の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するパルミトレイン酸(C16:1);f)約0.011~約0.2の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するステアリン酸(C18:0);g)約0.02~約0.3の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するオレイン酸(C18:1 ω-9);h)約0.0002~約0.12の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するリノール酸(C18:2);及びi)約0.0001~約0.002の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)を含む、組成物が提供される。
【0057】
様々な態様では、ラウリン酸(C12:0)は、約0.001~約0.008の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ラウリン酸(C12:0)は、約0.001、約0.002、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、又は約0.008のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0058】
様々な態様では、ミリスチン酸(C14:0)は、約0.001~約0.022の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ミリスチン酸(C14:0)は、約0.001、約0.002、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、約0.008、約0.009、約0.010、約0.011、約0.012、約0.013、約0.014、約0.015、約0.016、約0.017、約0.018、約0.019、約0.020、約0.021、又は約0.022のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0059】
様々な態様では、パルミチン酸(C16:0)は、約0.02~約0.3の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、パルミチン酸(C16:0)は、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.10、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、約0.15、約0.16、約0.17、約0.18、約0.19、約0.20、約0.21、約0.22、約0.23、約0.24、約0.25、約0.26、約0.27、約0.28、約0.29、又は約0.30のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0060】
様々な態様では、パルミトレイン酸(C16:1)は、約0.002~約0.03の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、パルミトレイン酸(C16:1)は、約0.002、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、約0.008、約0.009、約0.010、約0.011、約0.012、約0.013、約0.014、約0.015、約0.016、約0.017、約0.018、約0.019、約0.020、約0.021、約0.022、約0.023、約0.024、約0.025、約0.026、約0.027、約0.028、約0.029、又は約0.030のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0061】
様々な態様では、ステアリン酸(C18:0)は、約0.011~約0.2の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ステアリン酸(C18:0)は、約0.011、約0.012、約0.013、約0.014、約0.015、約0.016、約0.017、約0.018、約0.019、約0.020、約0.030、約0.040、約0.050、約0.060、約0.070、約0.080、約0.090、約0.100、約0.110、約0.120、約0.130、約0.140、約0.150、約0.160、約0.170、約0.180、約0.190、又は約0.200のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0062】
様々な態様では、オレイン酸(C18:1 ω-9)は、約0.02~約0.3の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、オレイン酸(C18:1 ω-9)は、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.10、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、約0.15、約0.16、約0.17、約0.18、約0.19、約0.20、約0.21、約0.22、約0.23、約0.24、約0.25、約0.26、約0.27、約0.28、約0.29、又は約0.30のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0063】
様々な態様では、リノール酸(C18:2)は、約0.0002~約0.12の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、リノール酸(C18:2)は、約0.0002、約0.0003、約0.0004、約0.0005、約0.0006、約0.0007、約0.0008、約0.0009、約0.0010、約0.0020、約0.0030、約0.0040、約0.0050、約0.0060、約0.0070、約0.0080、約0.0090、約0.0100、約0.0200、約0.0300、約0.0400、約0.0500、約0.0600、約0.0700、約0.0800、約0.0900、約0.1000、約0.1100、又は約0.1200のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0064】
様々な態様では、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)は、約0.0001~約0.002の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)は、約0.0001、約0.0002、約0.0003、約0.0004、約0.0005、約0.0006、約0.0007、約0.0008、約0.0009、約0.0010、約0.0011、約0.0012、約0.0013、約0.0014、約0.0015、約0.0016、約0.0017、約0.0018、約0.0019、又は約0.0020のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0065】
様々な態様では、組成物は、約0.0003~約0.002の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)を更に含んでもよい。例えば、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)は、約0.0003、約0.0004、約0.0005、約0.0006、約0.0007、約0.0008、約0.0009、約0.0010、約0.0011、約0.0012、約0.0013、約0.0014、約0.0015、約0.0016、約0.0017、約0.0018、約0.0019、又は約0.0020のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0066】
様々な態様では、組成物は、約0.001~約0.01の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するアラキドン酸(C20:4)を更に含んでもよい。例えば、アラキドン酸(C20:4)は、約0.001、約0.002、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、約0.008、約0.009、又は約0.010のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0067】
様々な態様では、組成物は、約0.0009~約0.003の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)を更に含んでもよい。例えば、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)は、約0.0009、約0.0010、約0.0011、約0.0012、約0.0013、約0.0014、約0.0015、約0.0016、約0.0017、約0.0018、約0.0019、約0.0020、約0.0021、約0.0022、約0.0023、約0.0024、約0.0025、約0.0026、約0.0027、約0.0028、約0.0029、又は約0.0030のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0068】
様々な態様では、組成物は、約0.0003~約0.001の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在するドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)を更に含んでもよい。例えば、ドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)は、約0.0003、約0.0004、約0.0005、約0.0006、約0.0007、約0.0008、約0.0009、又は約0.0010の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0069】
様々な態様では、脂肪酸のアルブミンポリペプチドに対する総モル比は約0.06~約1である。例えば、脂肪酸のアルブミンポリペプチドに対する総モル比は、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、又は約0.10、約0.20、約0.30、約0.40、約0.50、約0.60、約0.70、約0.80、約0.90、又は約1.00である。
【0070】
様々な態様では、組成物は、ペンタデカン酸(C15:0)、マルガリン酸(C17:0)、ヘプタデセン酸(C17:1 ω-7)、α-リノレン酸(C18:3)、γ-リノレン酸(C18:3)、アラキジン酸(C20:0)、エイコサトリエン酸(C20:3 ω-3)、エイコサペンタエン酸(C20:5 ω-3)、ベヘン酸(C22:0)、ドコサペンタエン酸(C22:5 ω-3)、リグノセリン酸(C24:0)、及び/又はセロチン酸(C26:0)を実質的に含まない。
【0071】
別の態様では、a)アルブミンポリペプチド;及びb)1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物であって、ペンタデカン酸(C15:0)、マルガリン酸(C17:0)、ヘプタデセン酸(C17:1 ω-7)、α-リノレン酸(C18:3)、γ-リノレン酸(C18:3)、アラキジン酸(C20:0)、エイコサトリエン酸(C20:3 ω-3)、エイコサペンタエン酸(C20:5 ω-3)、ベヘン酸(C22:0)、ドコサペンタエン酸(C22:5 ω-3)、リグノセリン酸(C24:0)、及びセロチン酸(C26:0)の1つ又はより多くを実質的に含まず、且つ、1つ又はより多くの脂肪酸のアルブミンポリペプチドに対する総モル比が約0.05~約1である、組成物が提供される。
【0072】
別の態様では、a)アルブミンポリペプチド;及びb)脂肪酸を含む、組成物であって、脂肪酸が、i)ラウリン酸(C12:0);ii)ミリスチン酸(C14:0);iii)パルミチン酸(C16:0);iv)パルミトレイン酸(C16:1);v)ステアリン酸(C18:0);vi)オレイン酸(C18:1 ω-9);vii)リノール酸(C18:2);viii)エイコサジエン酸(C20:2 ω-6);ix)ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6);x)アラキドン酸(C20:4);xi)ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6);及びxii)ドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)からなり、脂肪酸のアルブミンポリペプチドに対する総モル比が約1未満である、組成物が提供される。
【0073】
様々な態様では、ラウリン酸(C12:0)は、約0.01未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ラウリン酸(C12:0)は、約0.001、約0.002、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、又は約0.008、又は約0.009のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0074】
様々な態様では、ミリスチン酸(C14:0)は、約0.05未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ミリスチン酸(C14:0)は、約0.001、約0.002、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、約0.008、約0.009、約0.010、約0.020、約0.030、又は約0.040のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0075】
様々な態様では、パルミチン酸(C16:0)は、約0.5未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、パルミチン酸(C16:0)は、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.10、約0.20、約0.30、又は約0.40のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0076】
様々な態様では、パルミトレイン酸(C16:1)は、約0.05未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、パルミトレイン酸(C16:1)は、約0.002、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、約0.008、約0.009、約0.010、約0.020、約0.030、又は約0.040のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0077】
様々な態様では、ステアリン酸(C18:0)は、約0.2未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ステアリン酸(C18:0)は、約0.011、約0.012、約0.013、約0.014、約0.015、約0.016、約0.017、約0.018、約0.019、約0.020、約0.030、約0.040、約0.050、約0.060、約0.070、約0.080、約0.090、約0.100、約0.110、約0.120、約0.130、約0.140、約0.150、約0.160、約0.170、約0.180、又は約0.190のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0078】
様々な態様では、オレイン酸(C18:1 ω-9)は、約0.5未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、オレイン酸(C18:1 ω-9)は、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.10、約0.20、約0.30、又は約0.40のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0079】
様々な態様では、リノール酸(C18:2)は、約0.2未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、リノール酸(C18:2)は、約0.0002、約0.0003、約0.0004、約0.0005、約0.0006、約0.0007、約0.0008、約0.0009、約0.0010、約0.0020、約0.0030、約0.0040、約0.0050、約0.0060、約0.0070、約0.0080、約0.0090、約0.0100、約0.0200、約0.0300、約0.0400、約0.0500、約0.0600、約0.0700、約0.0800、約0.0900、又は約0.1000のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0080】
様々な態様では、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)は、約0.0001、約0.0002、約0.0003、約0.0004、約0.0005、約0.0006、約0.0007、約0.0008、約0.0009、約0.0010、約0.0020、約0.0030、又は約0.0040のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0081】
様々な態様では、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)は、約0.0003、約0.0004、約0.0005、約0.0006、約0.0007、約0.0008、約0.0009、約0.0010、約0.0020、約0.0030、又は約0.0040のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0082】
様々な態様では、アラキドン酸(C20:4)は、約0.01未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、アラキドン酸(C20:4)は、約0.001、約0.002、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、約0.008、約0.009、又は約0.010のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0083】
様々な態様では、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)は、約0.0010、約0.0020、約0.0030、又は約0.0040のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0084】
様々な態様では、ドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ドコサヘキサエン酸(22:6 ω-3)は、約0.0003、約0.0004、約0.0005、約0.0006、約0.0007、約0.0008、約0.0009、又は約0.0010、約0.0020、約0.0030、又は約0.0040の範囲内のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0085】
更に別の態様では、a)アルブミンポリペプチド;及びb)脂肪酸を含む、組成物であって、脂肪酸が、i)ラウリン酸(C12:0);ii)ミリスチン酸(C14:0);iii)パルミチン酸(C16:0);iv)パルミトレイン酸(C16:1);v)ステアリン酸(C18:0);vi)オレイン酸(C18:1 ω-9);vii)リノール酸(C18:2);及びviii)エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)からなる、組成物が提供される。
【0086】
様々な態様では、ラウリン酸(C12:0)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ラウリン酸(C12:0)は、約0.001、約0.002、約0.003、又は約0.004のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0087】
様々な態様では、ミリスチン酸(C14:0)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ミリスチン酸(C14:0)は、約0.001、約0.002、約0.003、又は約0.004のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0088】
様々な態様では、パルミチン酸(C16:0)は、約0.05未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、パルミチン酸(C16:0)は、約0.02、約0.03、又は約0.04のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0089】
様々な態様では、パルミトレイン酸(C16:1)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、パルミトレイン酸(C16:1)は、約0.002、約0.003、又は約0.004のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0090】
様々な態様では、ステアリン酸(C18:0)は、約0.05未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ステアリン酸(C18:0)は、約0.011、約0.012、約0.013、約0.014、約0.015、約0.016、約0.017、約0.018、約0.019、約0.020、約0.030、又は約0.040のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0091】
様々な態様では、オレイン酸(C18:1 ω-9)は、約0.05未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、オレイン酸(C18:1 ω-9)は、約0.02、約0.03、又は約0.04のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0092】
様々な態様では、リノール酸(C18:2)は、約0.0005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、リノール酸(C18:2)は、約0.0002、約0.0003、又は約0.0004のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0093】
様々な態様では、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)は、約0.0005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)は、約0.0001、約0.0002、約0.0003、又は約0.0004のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0094】
別の態様では、a)アルブミンポリペプチド;及びb)脂肪酸を含む、組成物であって、脂肪酸が、i)ラウリン酸(C12:0);ii)ミリスチン酸(C14:0);iii)パルミチン酸(C16:0);iv)パルミトレイン酸(C16:1);v)ステアリン酸(C18:0);vi)オレイン酸(C18:1 ω-9);vii)リノール酸(C18:2);viii)エイコサジエン酸(C20:2 ω-6);ix)ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6);及びx)アラキドン酸(C20:4)からなる、組成物が提供される。
【0095】
様々な態様では、ラウリン酸(C12:0)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ラウリン酸(C12:0)は、約0.001、約0.002、約0.003、又は約0.004のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0096】
様々な態様では、ミリスチン酸(C14:0)は、約0.01未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ミリスチン酸(C14:0)は、約0.001、約0.002、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、約0.008、又は約0.009のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0097】
様々な態様では、パルミチン酸(C16:0)は、約0.1未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、パルミチン酸(C16:0)は、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、又は約0.09のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0098】
様々な態様では、パルミトレイン酸(C16:1)は、約0.01未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、パルミトレイン酸(C16:1)は、約0.002、約0.003、約0.004、約0.005、約0.006、約0.007、約0.008、又は約0.009のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0099】
様々な態様では、ステアリン酸(C18:0)は、約0.1未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ステアリン酸(C18:0)は、約0.01、約0.020、約0.030、約0.040、約0.050、約0.060、約0.070、約0.080、又は約0.090のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0100】
様々な態様では、オレイン酸(C18:1 ω-9)は、約0.5未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、オレイン酸(C18:1 ω-9)は、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.10、約0.20、約0.30、又は約0.40のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0101】
様々な態様では、リノール酸(C18:2)は、約0.05未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、リノール酸(C18:2)は、約0.0002、約0.0003、約0.0004、約0.0005、約0.0006、約0.0007、約0.0008、約0.0009、約0.0010、約0.0020、約0.0030、又は約0.0040のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0102】
様々な態様では、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)は、約0.0005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)は、約0.0001、約0.0002、約0.0003、又は約0.0004のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0103】
様々な態様では、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)は、約0.0005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)は、約0.0003又は約0.0004のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0104】
様々な態様では、アラキドン酸(C20:4)は、約0.005未満のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在する。例えば、アラキドン酸(C20:4)は、約0.001、約0.002、約0.003、又は約0.004のアルブミンポリペプチドに対するモル比において存在してもよい。
【0105】
増加したモル比のアラキドン酸(C20:4)を有するアルブミン組成物が本明細書において更に提供される。特定の態様では、a)アルブミンポリペプチド;及びb)少なくとも約0.9%(例えば、少なくとも約1.0%、少なくとも約2.0%、少なくとも約3.0%、少なくとも約4.0%、少なくとも約5.0%、少なくとも約6.0%、少なくとも約7.0%、少なくとも約8.0%、少なくとも約9.0%、少なくとも約10.0%、又はより多く)の組成物中の脂肪酸の総量に対するモル比において存在するアラキドン酸(C20:4)を含む、組成物が提供される。
【0106】
一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは全長アルブミンポリペプチドでありうる。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは野生型アルブミンポリペプチドでありうる。一部の場合には、野生型アルブミンポリペプチドはヒト血清アルブミンであり、且つ配列番号:1によるアミノ酸配列を有する。一部の場合には、野生型アルブミンポリペプチドはウシ血清アルブミンであり、且つ配列番号:2によるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは野生型アルブミンポリペプチドの変種である。変種アルブミンポリペプチドは、野生型アルブミンポリペプチドと比べて1つ又はより多くの突然変異(例えば、1つ若しくはより多くの挿入、1つ若しくはより多くの欠失、及び/又は1つ若しくはより多くの置換)を有してもよい。一部の場合には、変種アルブミンポリペプチドは、配列番号:1と比べて1つ又はより多くの突然変異(例えば、1つ若しくはより多くの挿入、1つ若しくはより多くの欠失、及び/又は1つ若しくはより多くの置換)を有する。一部の場合には、変種アルブミンポリペプチドは、配列番号:2と比べて1つ又はより多くの突然変異(例えば、1つ若しくはより多くの挿入、1つ若しくはより多くの欠失、及び/又は1つ若しくはより多くの置換)を有する。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは、野生型アルブミンポリペプチドと比べて切断(例えば、N末端、C末端において、及び/又は内部切断)されていてもよい。一部の場合には、アルブミンポリペプチドは、配列番号:1と比べて切断(例えば、N末端、C末端において、及び/又は内部切断)されている。一部の場合には、アルブミンポリペプチドは、配列番号:2と比べて切断(例えば、N末端、C末端において、及び/又は内部切断)されている。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは野生型ポリペプチドの断片であってもよい。一部の場合には、アルブミンポリペプチドは、配列番号:1によるアミノ酸配列を有するアルブミンポリペプチドの断片であってもよい。一部の場合には、アルブミンポリペプチドは、配列番号:2によるアミノ酸配列を有するアルブミンポリペプチドの断片であってもよい。
【0107】
一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは、野生型アルブミンタンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有してもよい。例えば、アルブミンポリペプチドは、野生型アルブミンタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有してもよい。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは、配列番号:1に対して少なくとも約50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有してもよい。例えば、アルブミンポリペプチドは、配列番号:1に対して少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有してもよい。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは、配列番号:2に対して少なくとも約50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有してもよい。例えば、アルブミンポリペプチドは、配列番号:2に対して少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有してもよい。
【0108】
アルブミンポリペプチドは任意の好適な種からのものでありうる。一実施形態では、アルブミンはヒトからのものである。別の実施形態では、アルブミンはウシからのものである。別の実施形態では、アルブミンはブタからのものである。アルブミンポリペプチドは任意の供給源に由来してもよい。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは血液(例えば、全血、血漿、血清)に由来する。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは組換えアルブミンポリペプチドである。組換えアルブミンは、細菌、酵母、真菌、植物、哺乳動物細胞、及び昆虫細胞等が挙げられるがそれに限定されない任意の宿主細胞中で製造されてもよい。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは、細菌中で組換えにより製造されてもよい。非限定的に、細菌は、種大腸菌(Escherichia coli)の細菌であってもよい。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは、酵母中で組換えにより製造されてもよい。非限定的に、酵母は、種ピキア・パストリス、サッカロミセス・セレビシエ、又はクルイベロミセス・ラクチスの酵母であってもよい。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは、植物中で組換えにより製造されてもよい。非限定的に、植物は、種オリザ・サティバ(例えば、コメ)の植物であってもよい。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは、哺乳動物細胞中で組換えにより製造されてもよい。非限定的に、哺乳動物細胞は、CHO細胞又はHEK293細胞でありうる。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは脱脂アルブミンポリペプチドであってもよい(例えば、例えば本明細書に記載の方法による、脱脂処理を受けている)。一部の実施形態では、アルブミンポリペプチドは、例えば本明細書に記載の方法にしたがって脱脂された、商業的に利用可能なアルブミンである。一部の場合には、本明細書に記載のアルブミンポリペプチド組成物(例えば、アルブミンポリペプチドと脂肪酸混合物との組合せ)は天然に見出されない(例えば、天然に存在しない)。
【0109】
一部の実施形態では、本明細書に記載のアルブミン組成物は、液体配合物(例えば、溶液)又は固体配合物中にあってもよい。本明細書に記載のアルブミン組成物は、約1%(w/w)、約5%(w/w)、約10%(w/w)、約15%(w/w)、約20%(w/w)、又はより高い濃度において液体配合物中で提供されてもよい。本明細書に記載のアルブミン組成物は、緩衝溶液(例えば、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(dPBS))中で提供されてもよい。一部の実施形態では、本明細書に記載のアルブミン組成物は、(例えば、溶液(例えば、dPBS)の添加により)再構成されうる乾燥形態(例えば、凍結乾燥されている)であってもよい。本明細書において提供されるアルブミン組成物は、1つ又はより多くの不純物を実質的に含まないものであってもよい。本明細書において提供されるアルブミン組成物は、成長因子を実質的に含まないものであってもよい。
【0110】
様々な態様では、例えば、生物学的細胞(例えば、哺乳動物細胞)を培養するための、細胞培養培地が本明細書において更に提供される。細胞培養培地は、基礎培地及び本明細書に記載の任意のアルブミン組成物を含んでもよい。基礎培地は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、DME/F12、最小必須培地(MEM)、基礎培地イーグル(BME)、RPMI 1640、F-10、F-12、α-最小必須培地(α-MEM)、グラスゴー最小必須培地(G-MEM)、PF CHO(SAFC Biosciences社)及びイスコフ改変ダルベッコ培地が挙げられるがそれに限定されない任意の基礎培地であってもよい。選択される基礎培地の種類は、その中で培養される細胞の種類に依存することが理解される。
【0111】
アルブミン組成物は、所望の結果(例えば、その中で培養された細胞の向上した増殖及び/又は生存能力)を達成するための任意の好適な濃度において細胞培養培地中に存在してもよい。一部の実施形態では、アルブミン組成物は、約0.02%(w/w)~約10%(w/w)の範囲内の濃度において細胞培養培地中に存在する。例えば、本明細書に記載の任意のアルブミン組成物は、約0.02%(w/w)、約0.03%(w/w)、約0.04%(w/w)、約0.05%(w/w)、約0.06%(w/w)、約0.07%(w/w)、約0.08%(w/w)、約0.09%(w/w)、約0.1%(w/w)、約0.5%(w/w)、約1.0%(w/w)、約1.5%(w/w)、約2.0%(w/w)、約2.5%(w/w)、約3.0%(w/w)、約3.5%(w/w)、約4.0%(w/w)、約4.5%(w/w)、約5.0%(w/w)、約5.5%(w/w)、約6.0%(w/w)、約6.5%(w/w)、約7.0%(w/w)、約7.5%(w/w)、約8.0%(w/w)、約8.5%(w/w)、約9.0%(w/w)、約9.5%(w/w)、又は約10.0%(w/w)において細胞培養培地中に存在してもよい。
【0112】
一部の実施形態では、アルブミン組成物は、約0.2mg/mL~約100mg/mLの範囲内の濃度において細胞培養培地中に存在する。例えば、アルブミン組成物は、約0.2mg/mL、約0.5mg/mL、約1.0mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、約50mg/mL、約55mg/mL、約60mg/mL、約65mg/mL、約70mg/mL、約75mg/mL、約80mg/mL、約85mg/mL、約90mg/mL、約95mg/mL、又は約100mg/mLの濃度において細胞培養培地中に存在してもよい。
【0113】
細胞培養培地は、1つ又はより多くの生物学的細胞を更に含んでもよい。任意の種類の生物学的細胞が本明細書に記載の細胞培養培地中で培養されてもよい。一部の場合には、1つ又はより多くの生物学的細胞は真核細胞である。一部の場合には、真核細胞は幹細胞である。本明細書に記載の細胞培養培地中で培養されてもよい幹細胞の非限定的な例としては、胚性幹(ES)細胞、人工多能性幹(iPS)細胞、及び間葉幹細胞(MSC)が挙げられる。一部の場合には、真核細胞はT細胞である。一部の場合には、真核細胞は神経細胞である。
【0114】
一部の実施形態では、細胞は、本明細書に記載されるような細胞培養培地(例えば、本明細書に記載のアルブミン組成物を含む)中で培養された場合に、増加した細胞生存能力、増加した細胞増殖、又は両方を呈してもよい。一部の実施形態では、細胞は、本明細書に記載されるような細胞培養培地(例えば、本明細書に記載のアルブミン組成物を含む)中で培養された場合に、生存細胞密度の増加を呈してもよい。一部の場合には、細胞は、本明細書に記載されるような細胞培養培地(例えば、本明細書に記載のアルブミン組成物を含む)中で培養された場合に、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、又は少なくとも約50%の生存細胞密度の増加を呈してもよい。上述の任意の実施形態では、細胞生存能力及び/又は細胞増殖の増加は、本明細書に記載のアルブミン組成物の非存在下で培養された細胞と比べたものである。
【0115】
別の態様では、アルブミンポリペプチドを欠いた組成物と比較して、4日の継続期間にわたる組成物中での人工多能性幹(iPS)細胞の培養によりiPS細胞の生存細胞密度の少なくとも約35%(例えば、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、又はより高い)の増加を促進するために効果的なモル比の量のアルブミンポリペプチド及び1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物が本明細書において更に提供される。一部の場合には、組成物は、本明細書に記載されるような細胞培養培地を提供するために基礎培地に加えられる。一部の場合には、アルブミン組成物は、約0.2mg/mL~約2.0mg/mLの濃度において細胞培養培地中に提供される。特定の実施形態では、アルブミン組成物は、約1.0mg/mLの濃度において細胞培養培地中に提供される。一部の実施形態では、アルブミン組成物は、実施例2に記載のアルブミン組成物である。本明細書に記載のアルブミン組成物中でiPS細胞を培養し且つ生存細胞密度を測定する非限定的な例は、実施例3において提供される。一部の実施形態では、生存細胞密度は、培養物中の生存細胞の数を計数することにより測定される。非限定的な例では、iPS細胞は、約1mg/mL~約1.5mg/mLにおいてアルブミン組成物を添加したEssential 8培地中で培養されてもよい。
【0116】
別の態様では、アルブミンポリペプチドを欠いた組成物と比較して、5日の継続期間にわたる組成物中での間葉幹細胞(MSC)の培養によりMSCの生存細胞密度の少なくとも約35%(例えば、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、又はより高い)の増加を促進するために効果的なモル比の量のアルブミンポリペプチド及び1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、組成物は、本明細書に記載されるような細胞培養培地を提供するために基礎培地に加えられる。一部の場合には、アルブミン組成物は、約0.2mg/mL~約1.5mg/mLの濃度において細胞培養培地中に提供される。一部の実施形態では、アルブミン組成物は、実施例4に記載のアルブミン組成物である。本明細書に記載のアルブミン組成物中でMSCを培養し且つ生存細胞密度を測定する非限定的な例は、実施例5において提供される。一部の実施形態では、生存細胞密度は、培養物中の生存細胞の数を計数することにより測定される。非限定的な例では、MSCは、約0.5mg/mL~約1.5mg/mLの濃度においてアルブミン組成物を添加したMSC化学限定培地中で培養されてもよい。
【0117】
別の態様では、アルブミンポリペプチドを欠いた組成物と比較して、6日の継続期間にわたる組成物中でのT細胞の培養によりT細胞の生存細胞密度の少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又はより高い)の増加を促進するために効果的なモル比の量のアルブミンポリペプチド及び1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、アルブミン組成物は、本明細書に記載されるような細胞培養培地を提供するために基礎培地に加えられる。一部の場合には、アルブミン組成物は、約0.5mg/mL~約100mg/mLの濃度において細胞培養培地中に提供される。一部の実施形態では、アルブミン組成物は、実施例2に記載のアルブミン組成物である。本明細書に記載のアルブミン組成物中でT細胞を培養し且つ生存細胞密度を測定する非限定的な例は、実施例6において提供される。一部の実施形態では、生存細胞密度は、培養物中の生存細胞の数を計数することにより測定される。非限定的な例では、T細胞は、約0.5mg/mL~約100mg/mLの濃度においてアルブミン組成物を添加したT細胞化学限定培地中で培養されてもよい。
【0118】
一部の実施形態では、本明細書に記載のアルブミン組成物は、生物学的製剤の安定性を増加させるために使用されてもよい。本明細書において使用される場合、「生物学的製剤」という用語は、タンパク質(ポリペプチド及びペプチドを含む)、抗体(又はその断片若しくは誘導体)、アプタマー(又はその断片若しくは誘導体)、ウイルス(又はその断片若しくは誘導体)、ワクチン、並びに生物学的細胞(例えば、哺乳動物細胞)等を含む。一部の場合には、生物学的製剤は、本明細書に記載のアルブミン組成物の存在下にある場合、増加した安定性を呈してもよい。一部の場合には、生物学的製剤は、本明細書に記載のアルブミン組成物の存在下にある場合、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又はより高い安定性の増加を呈してもよい。上述の任意の実施形態では、安定性の増加は、本明細書に記載のアルブミン組成物の非存在下での生物学的製剤と比べたものである。
【0119】
一部の実施形態では、アルブミン組成物は、(例えば、生物学的製剤を安定化させるために使用される場合に)約0.01%(w/w)~約20%(w/w)の範囲内の濃度において存在してもよい。例えば、アルブミン組成物は、約0.01%(w/w)、約0.02%(w/w)、約0.03%(w/w)、約0.04%(w/w)、約0.05%(w/w)、約0.06%(w/w)、約0.07%(w/w)、約0.08%(w/w)、約0.09%(w/w)、約0.1%(w/w)、約0.5%(w/w)、約1.0%(w/w)、約1.5%(w/w)、約2.0%(w/w)、約2.5%(w/w)、約3.0%(w/w)、約3.5%(w/w)、約4.0%(w/w)、約4.5%(w/w)、約5.0%(w/w)、約5.5%(w/w)、約6.0%(w/w)、約6.5%(w/w)、約7.0%(w/w)、約7.5%(w/w)、約8.0%(w/w)、約8.5%(w/w)、約9.0%(w/w)、約9.5%(w/w)、約10.0%(w/w)、約11.0%(w/w)、約12.0%(w/w)、約13.0%(w/w)、約14.0%(w/w)、約15.0%(w/w)、約16.0%(w/w)、約17.0%(w/w)、約18.0%(w/w)、約19.0%(w/w)、又は約20.0%(w/w)の濃度において存在してもよい。
【0120】
一部の実施形態では、アルブミン組成物は、(例えば、生物学的製剤を安定化させるために使用される場合に)約0.1mg/mL~約200mg/mLの範囲内の濃度において存在してもよい。例えば、アルブミン組成物は、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1.0mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、約50mg/mL、約55mg/mL、約60mg/mL、約65mg/mL、約70mg/mL、約75mg/mL、約80mg/mL、約85mg/mL、約90mg/mL、約95mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、又は約200mg/mLの濃度において存在してもよい。
【0121】
一部の実施形態では、アルブミン組成物は、生物学的製剤に対して約0.1~約10のモル比において存在してもよい。例えば、アルブミン組成物は、生物学的製剤に対して、約0.1、約0.5、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5、又は約10.0のモル比において存在してもよい。
【0122】
別の態様では、アルブミンポリペプチドを欠いた組成物と比較して、約3000秒~約6000秒の継続期間にわたる組成物中でのタンパク質のインキュベーションによりタンパク質安定化の少なくとも約80%の増加を促進するために効果的なモル比の量のアルブミンポリペプチド及び1つ又はより多くの脂肪酸を含む、組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、アルブミン組成物は、約1mg/mL~約200mg/mLの濃度において存在する。一部の場合には、アルブミン組成物は、タンパク質に対して約0.1~約10のモル比において存在する。一部の実施形態では、アルブミン組成物は、実施例8に記載されるようなアルブミン組成物である。一部の場合には、タンパク質はインスリンであり、且つ、インスリン凝集を安定化させるアルブミン組成物の能力は、例えば、実施例9に記載されるように測定される。
【0123】
アルブミン組成物を配合する方法
本明細書に記載のアルブミン組成物を配合する方法が本明細書において更に提供される。概しては、方法は、アルブミンポリペプチドの脂肪酸組成物を除去する1つ若しくはより多くの処理工程(例えば、脱脂工程)、アルブミンポリペプチドの脂肪酸組成物を再配合する1つ若しくはより多くの処理工程(例えば、脂肪配合処理工程)、並びに/又は精製し且つ/若しくはアルブミンポリペプチドから不純物を除去する1つ若しくはより多くの処理工程を伴う。
【0124】
一部の実施形態では、方法は脱脂工程を伴う。一部の場合には、脱脂工程は、活性炭を用いてアルブミンポリペプチドを処理することを伴う。他の場合には、脱脂工程はイオン交換クロマトグラフィーを伴う。一部の実施形態では、脱脂工程は、アルブミンポリペプチドから全ての又は実質的に全ての脂肪酸を除去する。脱脂工程を受けた後のアルブミンポリペプチドは、「脱脂」アルブミンポリペプチドと称されうる。
【0125】
一部の実施形態では、方法は脂肪配合処理を伴う。一部の場合には、脂肪配合処理は、所望の脂肪酸混合物中の脱脂アルブミンポリペプチドをインキュベートすることを伴う。脂肪酸混合物は、脂肪酸の所望の組成及びモル比を達成するために好適な脂肪酸の任意の混合物であってもよい。脂肪酸混合物は、本明細書に記載されるようなモル比及び所望の結果を達成するために好適な、本明細書に記載されるような脂肪酸の任意の混合物であってもよい。一部の場合には、脂肪酸の混合物は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1);ステアリン酸(C18:0);オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3)、アラキドン酸(C20:4)、ドコサテトラエン酸(C22:4)、及びドコサヘキサエン酸(C22:6)からなる群から選択される脂肪酸の1つ又はより多くの混合物を含む。
【0126】
一部の実施形態では、方法は、アルブミンポリペプチドから不純物を除去し、且つ/又は本明細書に記載の組成物を精製する1つ又はより多くの工程を伴ってもよい。一部の場合には、方法は、キレート樹脂(例えば、Diaion(商標) CR20)と共にアルブミンポリペプチドをインキュベートすることを伴ってもよい。
【0127】
別の態様では、アルブミンポリペプチドの機能を向上させる方法であって、a)アルブミンポリペプチドの溶液をセラミックヒドロキシアパタイト樹脂に通過させてアルブミンポリペプチドを含むフロースルーを生成すること;及びb)フロースルーからアルブミンポリペプチドを精製して向上した機能を有するアルブミンポリペプチドを得ることを含む、方法が提供される。方法は、a)の前に、活性炭と共に溶液をインキュベートすることによりアルブミンポリペプチドを脱脂すること、及び活性炭からアルブミンポリペプチドを精製することを更に含んでもよい。方法は、a)の前に、キレート樹脂と共に溶液をインキュベートすること、及びキレート樹脂からアルブミンポリペプチドを精製することを更に含んでもよい。一部の場合には、キレート樹脂はDiaion(商標) CR20である。方法は、a)の前に、1つ又はより多くの脂肪酸と共にアルブミンポリペプチドをインキュベートすることを更に含んでもよい。一部の場合には、1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、アラキドン酸(C20:4)、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)、及びドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)からなる群から選択される。一部の場合には、1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、アラキドン酸(C20:4)、ドコサテトラエン酸(C22:4 ω-6)、及びドコサヘキサエン酸(C22:6 ω-3)からなる。一部の場合には、1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、及びエイコサジエン酸(C20:2 ω-6)からなる。一部の場合には、1つ又はより多くの脂肪酸は、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 ω-9)、リノール酸(C18:2)、エイコサジエン酸(C20:2 ω-6)、ビスホモ-γ-リノレン酸(C20:3 ω-6)、及びアラキドン酸(C20:4)からなる。
【0128】
使用方法
本明細書において提供されるアルブミン組成物を使用する方法が本明細書において更に提供される。一部の場合には、アルブミン組成物は、(例えば、基礎培地にアルブミン組成物を加えることにより)細胞の生存能力及び/又は増殖を向上させるために使用されてもよい。一部の場合には、アルブミン組成物は、生物学的製剤の安定性を向上させるために使用されてもよい。
【0129】
一態様では、細胞生存能力、細胞増殖、又は両方を増加させる方法であって、本明細書に記載されるような(例えば、細胞培養培地中の)アルブミン組成物の存在下で細胞をインキュベートすることを含む、方法が提供される。一部の場合には、細胞は、本明細書に記載されるような細胞培養培地(例えば、本明細書に記載のアルブミン組成物を含む)中で培養された場合に、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、又は少なくとも約50%の生存細胞密度の増加を呈してもよい。細胞生存能力及び/又は細胞増殖の増加は、本明細書に記載のアルブミン組成物の非存在下で培養された細胞と比べたものであってもよい。
【0130】
細胞培養培地は、任意の基礎培地及び本明細書に記載の任意のアルブミン組成物を含んでもよい。基礎培地は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、DME/F12、最小必須培地(MEM)、基礎培地イーグル(BME)、RPMI 1640、F-10、F-12、α-最小必須培地(α-MEM)、グラスゴー最小必須培地(G-MEM)、PF CHO(SAFC Biosciences社)及びイスコフ改変ダルベッコ培地が挙げられるがそれに限定されない任意の基礎培地であってもよい。選択される基礎培地の種類は、その中で培養される細胞の種類に依存することが理解される。
【0131】
アルブミン組成物は、所望の結果(例えば、その中で培養された細胞の向上した増殖及び/又は生存能力)を達成するための任意の好適な濃度において細胞培養培地中に存在してもよい。一部の実施形態では、アルブミン組成物は、約0.01%(w/w)~約10%(w/w)の範囲内の濃度において細胞培養培地中に存在する。例えば、本明細書に記載の任意のアルブミン組成物は、約0.01%(w/w)、約0.02%(w/w)、約0.03%(w/w)、約0.04%(w/w)、約0.05%(w/w)、約0.06%(w/w)、約0.07%(w/w)、約0.08%(w/w)、約0.09%(w/w)、約0.1%(w/w)、約0.5%(w/w)、約1.0%(w/w)、約1.5%(w/w)、約2.0%(w/w)、約2.5%(w/w)、約3.0%(w/w)、約3.5%(w/w)、約4.0%(w/w)、約4.5%(w/w)、約5.0%(w/w)、約5.5%(w/w)、約6.0%(w/w)、約6.5%(w/w)、約7.0%(w/w)、約7.5%(w/w)、約8.0%(w/w)、約8.5%(w/w)、約9.0%(w/w)、約9.5%(w/w)、又は約10.0%(w/w)において細胞培養培地中に存在してもよい。
【0132】
一部の実施形態では、アルブミン組成物は、約0.1mg/mL~約100mg/mLの範囲内の濃度において細胞培養培地中に存在する。例えば、アルブミン組成物は、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1.0mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、約50mg/mL、約55mg/mL、約60mg/mL、約65mg/mL、約70mg/mL、約75mg/mL、約80mg/mL、約85mg/mL、約90mg/mL、約95mg/mL、又は約100mg/mLの濃度において細胞培養培地中に存在してもよい。
【0133】
任意の種類の細胞が本明細書に記載の細胞培養培地中で培養されてもよい。一部の場合には、細胞は真核細胞であってもよい。一部の場合には、真核細胞は幹細胞である。本明細書に記載の細胞培養培地中で培養されてもよい幹細胞の非限定的な例としては、胚性幹(ES)細胞、人工多能性幹(iPS)細胞、及び間葉幹細胞(MSC)が挙げられる。一部の場合には、真核細胞はT細胞である。一部の場合には、真核細胞は神経細胞である。
【0134】
生物学的製剤の安定性を増加させる方法であって、本明細書に記載されるようなアルブミン組成物の存在下で生物学的製剤をインキュベートすることを含む、方法が本明細書において更に提供される。一部の場合には、生物学的製剤は、本明細書に記載のアルブミン組成物の存在下にある場合、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又はより高い安定性の増加を呈してもよい。安定性の増加は、本明細書に記載のアルブミン組成物の非存在下での生物学的製剤と比べたものであってもよい。
【0135】
一部の実施形態では、アルブミン組成物は、(例えば、生物学的製剤を安定化させるために使用される場合に)約0.01%(w/w)~約20%(w/w)の範囲内の濃度において存在してもよい。例えば、アルブミン組成物は、約0.01%(w/w)、約0.02%(w/w)、約0.03%(w/w)、約0.04%(w/w)、約0.05%(w/w)、約0.06%(w/w)、約0.07%(w/w)、約0.08%(w/w)、約0.09%(w/w)、約0.1%(w/w)、約0.5%(w/w)、約1.0%(w/w)、約1.5%(w/w)、約2.0%(w/w)、約2.5%(w/w)、約3.0%(w/w)、約3.5%(w/w)、約4.0%(w/w)、約4.5%(w/w)、約5.0%(w/w)、約5.5%(w/w)、約6.0%(w/w)、約6.5%(w/w)、約7.0%(w/w)、約7.5%(w/w)、約8.0%(w/w)、約8.5%(w/w)、約9.0%(w/w)、約9.5%(w/w)、約10.0%(w/w)、約11.0%(w/w)、約12.0%(w/w)、約13.0%(w/w)、約14.0%(w/w)、約15.0%(w/w)、約16.0%(w/w)、約17.0%(w/w)、約18.0%(w/w)、約19.0%(w/w)、又は約20.0%(w/w)の濃度において存在してもよい。
【0136】
一部の実施形態では、アルブミン組成物は、(例えば、生物学的製剤を安定化させるために使用される場合に)約0.1mg/mL~約200mg/mLの範囲内の濃度において存在してもよい。例えば、アルブミン組成物は、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1.0mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、約50mg/mL、約55mg/mL、約60mg/mL、約65mg/mL、約70mg/mL、約75mg/mL、約80mg/mL、約85mg/mL、約90mg/mL、約95mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、又は約200mg/mLの濃度において存在してもよい。
【0137】
一部の実施形態では、アルブミン組成物は、生物学的製剤に対して約0.1~約10のモル比において存在してもよい。例えば、アルブミン組成物は、生物学的製剤に対して、約0.1、約0.5、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5、又は約10.0のモル比において存在してもよい。
【実施例0138】
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を実例として示す目的のために与えられ、いかなる意味でも本発明を限定することは意図されない。本明細書に記載の方法と共に、本明細書の実施例は、好ましい実施形態の現在の代表的なものであり、例示的なものであり、本発明の範囲の限定としては意図されない。特許請求の範囲により定義されるような本発明の精神に包含されるその中での変更及び他の使用が当業者に想起される。
【0139】
(実施例1)
材料及び方法
組換えヒト血清アルブミンを様々な業者から購入した:rHSA(S.セレビシエ)はSigma Aldrich Inc.社(A6608)から、rHSA(P.パストリス)はSigma Aldrich社(A7736)から、rHSA(O.サティバ)はInVitria社(Cellastim S、Optibumin)からであった。血漿由来ヒト血清アルブミン、pHSAは、Taiwan Blood Services Foundation(TBSF)社から購入した。pHSA(Dialyzed):実験室遠心濃縮装置MWCO 30 kDを用いて少なくとも1000倍のDPBSに対して透析されたpHSA。DPBSはGibco社(14190250)からのものであった。脂肪酸フリーBSAはSigma Aldrich社(A8806)からのものであった。
【0140】
(実施例2)
配合された組換えヒト血清アルブミン、deAlbumin-Iの調製
ピキア・パストリスから発現及び精製された400gの組換えHSAの20%の水性溶液を1.5kgのキレート樹脂Diaion(商標) CR20と室温で10時間インキュベートした。樹脂を濾過により除去し、1Nの塩化水素を用いて溶液をpH3.5に酸性化し、134gの活性炭と混合した。1時間の穏やかな撹拌後、1Nの水酸化ナトリウムにより溶液をpH7.0に中和した。GC-MSにより、インプット組換えHSA原材料からの総脂肪酸の95%より多くの除去を確認した。遠心分離及び0.45μmのカートリッジフィルターを用いた濾過によりrHSA及び活性炭のスラリーを分離した。精製水を用いて組換えHSAの結果として生じた溶液を4~10%(w/w)のHSAに希釈した。Table 1(表1)において以下に記載されるように、脂肪酸混合物をエタノールに溶解した後、HSA溶液に加え、最終のエタノール含有量を5%に調整した。溶液を室温で2時間撹拌し、20%w/wのHASに濃縮し、少なくとも7倍の体積のDPBS緩衝液を用いてダイアフィルトレーションを行って残留エタノールを除去した。結果として生じたHSA溶液を、40gのセラミックヒドロキシアパタイト樹脂を充填したカラムに通過させて最終生成物を得た。
【0141】
【0142】
(実施例3)
iPS細胞培養によるアルブミンの性能アッセイ
1mg/mLで各アルブミンを添加したEssential 8培地(GIBCO社、A1517001)中で人工多能性幹細胞、iPS細胞(GIBCO社、A18945)を培養した。0.5μg/cm2のiMatrix-511でコーティングした6ウェルプレート中1×105/ウェルでiPS細胞を播種した。培地を1日毎に交換した。4日間の培養後、各群の生存細胞密度をトリパンブルー法により決定した。
【0143】
生存細胞密度データをプロットし、
図1に示す。様々な組換えヒト血清アルブミン(様々な製造業者から)もまた、並べてアッセイした。
【0144】
(実施例4)
配合された組換えヒト血清アルブミン、deAlbumin-IIの調製
ピキア・パストリスから発現及び精製された400gの組換えHSAの20%の水性溶液を最初に1Nの塩化水素を用いてpH3.5に酸性化し、134gの活性炭と混合した。1時間の穏やかな撹拌後、1Nの水酸化ナトリウムにより溶液をpH7.0に中和した。GC-MSにより、インプット組換えHSA原材料からの総脂肪酸の95%より多くの除去を確認した。遠心分離及び0.45μmのカートリッジフィルターを用いた濾過によりrHSA及び活性炭のスラリーを分離した。精製水を用いて組換えHSAの結果として生じた溶液を4~10%(w/w)のHSAに希釈した。Table 2(表2)において以下に記載されるように、脂肪酸混合物をエタノールに溶解した後、HSA溶液に加え、最終のエタノール含有量を5%に調整した。溶液を室温で2時間撹拌し、20%w/wのHASに濃縮し、少なくとも7倍の体積のDPBS緩衝液を用いてダイアフィルトレーションを行って残留エタノールを除去した。
【0145】
【0146】
(実施例5)
MSC細胞培養によるアルブミンの性能アッセイ
MesenPRO RS(商標)培地(Gibco社12746012)中で2回の継代にわたりPrimary Human Adipose-Derived Stem Cells、ADSC(Lonza社、PT-5006)を50%~70%の密集度まで培養した。ADSCを次に7×10
3細胞/cm
2の密度で6ウェルプレートに播種した(0日目)。細胞の各ウェルに、0.5mg/mLの様々なアルブミンを添加したMSC化学限定培地を加えた。MSC化学限定培地の組成を以下のTable 3(表3)に記載する。各ウェルについて、培地を3日目に交換した。5日間の培養後、各群の生存細胞密度をトリパンブルー法により決定した。生存細胞密度データをプロットし、
図2に示す。様々な組換えヒト血清アルブミン(様々な製造業者から)もまた、並べてアッセイした。
【0147】
【0148】
(実施例6)
T細胞培養によるアルブミンの性能アッセイ
Human Peripheral Blood CD8+ T Cells(Stemcell Technologies社70027)を解凍し、Immunocult(商標) XF培地(Stemcell Technologies社10981)及び1X Pen-Strep(Gibco社15140122)中で8日間拡大増殖し、CryoStor(登録商標) CS10(Stemcell Technologies社07930)中で凍結保存した。細胞をImmunocult(商標) XF培地中で解凍し、CD3/CD28活性化因子(Stemcell Technologies社10971)及び各種類のアルブミンを添加したT細胞化学限定培地を用いて5×10
4細胞/mLまで再懸濁した後、1mL/ウェルで12ウェルプレートに播種した(0日目)。2日目に各ウェルに0.5mLの新鮮な培地を上部に加え、5日目に0.75mLの新鮮な培地を上部に更に加えた。6日目に各ウェルの細胞数を計数した。T細胞化学限定培地の組成を以下のTable 4(表4)に記載する。結果を
図3に描写する。
【0149】
【0150】
(実施例7)
配合されたウシ血清アルブミンdeBSA-Iの調製
10gのBSA(Bioshop社#ALB001)の20%の水性溶液を最初に1Nの塩化水素を用いてpH3.5に酸性化し、5gの活性炭と混合した。400rpmでの1時間の穏やかな撹拌後、1Nの水酸化ナトリウムにより溶液をpH7.0に中和した。0.2μmのフィルターを用いた濾過によりBSA及び活性炭のスラリーを分離した。精製水を用いてBSAの結果として生じた溶液を4~10%(w/w)のBSAに希釈した。Table 5(表5)において以下に記載されるように、脂肪酸混合物をエタノールに溶解した後、BSA溶液に加え、最終のエタノール含有量を5%に調整した。溶液を室温で2時間撹拌し、20%w/wのBSAに濃縮し、30kDa MWCO遠心濃縮装置(sartorius社#VS15T21)において10倍の体積のDPBS緩衝液と3回交換した。配合されたBSAを2倍の体積のDiaion CRB30樹脂と終夜インキュベートした後、0.2μmのフィルターを用いて濾過してdeBSA-Iを得た。
【0151】
(実施例8)
配合された組換えアルブミンdeAlbumin-IIIの調製
ピキア・パストリスから発現及び精製された10gの20%の組換えHSAを使用した以外は上記のdeBSA-Iの調製(実施例6)と同じ手順を用いた。
【0152】
【0153】
(実施例9)
様々なアルブミンによるインスリン凝集安定化のアッセイ
様々なアルブミン試料を精製水に2mg/mLまで希釈した。60mMのHEPES(pH=7.4)、300mMのNaCl、30mMの2-メルカプトエタノール、及び0.7mg/mLのインスリンを含有するアッセイ標準溶液を調製した。96ウェルプレート中、100μLのアッセイ標準溶液を100μLの各アルブミン試料と混合した。プレートをプレートリーダー内において37℃でインキュベートし、360nmでの吸光度を60分間30秒毎に測定した。
【0154】
各群の360nmにおける吸光度データ(A360)を対照群(アルブミンなし、(-)として標識)のA360が0.35付近である時点において取得した。データを
図4に描写し、アルブミン安定化効果の効率を以下の式により算出し、以下のTable 6(表6)に要約する。
【0155】
安定化効率の%=1-(アルブミンを有する実験群のA360)/((-)群のA360)
【0156】
【0157】
(実施例10)
様々なアルブミンの脂肪酸組成
500μLのメタノール及び25μlの1NのHCLを10mgの各アルブミン試料の200μLの水溶液に加えた後、1.5mLのイソオクタンを用いて抽出を2回行った。合わせたイソオクタン層を乾燥状態まで蒸発させた。残留物をアセトニトリル中の1%のジイソプロピルエチルアミン100μLに再溶解し、アセトニトリル中の1%のペンタフルオロベンジルブロミド、PFB(Sigma-Aldrich社、St. Louis、MO)100μLと室温で20分間反応させた。蒸発により溶媒を除去した後、残留物を1500μLのイソオクタンに溶解し、1μLの脂肪酸PFBエステルを、負化学イオン化(NCI)モードにおいて作動させたAgilent 5973N質量分析(MS)と連結したAgilent 6890yガスクロマトグラフィー(GC)により分析した。試料をパルス(25プサイ)スプリットレス注入モードでZebron ZB-1カラム(15m×0.25mm i.d.、0.1μmの100%のジメチルポリシロキサンでコーティング;Phenomenex社、Torrance、CA)に注入した。ヘリウム(0.9mL/分)をキャリアガスとして使用した。GCオーブン温度を10℃/分で150℃から270℃にプログラムし、20℃/分で310℃に増大させ、310℃で1分間保持した。インジェクター及びトランスファーラインをそれぞれ250℃及び280℃に保った。メタン(99.99%)を150℃の供給源温度でイオン化ガスとして使用した。データを選択イオンモニタリング(SIM)モードにおいて取得し、[M-H]-脂肪酸の陰イオンをモニターした。結果をTable 8(表8)に描写する。
【0158】
(実施例11)
MSC及びT細胞培養物において個々に試験したアルブミンの脂肪酸含有量の変更
Table 5(表5)に列記した各脂肪酸を配合工程の間に10gの脱脂アルブミンに適用した以外は実施例1に示したものと同じ方法を用いてdeAlbumin-IVを作製した。以下のレシピ(Table 7(表7))にしたがって、各10gの列記した試験アルブミンを実施例1におけるものと同じ方法により個々の脂肪酸と配合した。
【0159】
【0160】
0.4mgのdeAlbumin-IVを0.1mgのTable 6(表6)の各アルブミンと混合し、結果として生じた混合物を実施例4に記載したようなMSC細胞培養試験に供した。deAlbumin-IVとのAlb-1~Alb-12の様々な組合せでの数ラウンドの試験を実行したところ、Alb-10はほとんどの組合せにわたりT細胞及びMSCの増殖に役立つことが結論付けられた(
図5~7を参照)。
【0161】
(実施例12)
セラミックヒドロキシアパタイトはアルブミンの細胞培養性能を向上させる
deAlbumin-IV及びdeAlbumin-II溶液を10~20%w/wのセラミックヒドロキシアパタイト樹脂を充填したカラムに通過させて、alb-IV-CHT及びalb-II-CHTとして標識される処理されたアルブミンを得た。これらのアルブミンを実施例2及び実施例4に記載の方法によりそれぞれiPS及びT細胞培養性能について試験した。結果を
図8及び
図9に示す。
【0162】
【0163】
【0164】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示して記載したが、そのような実施形態は例に過ぎないものとして提供されることは当業者に自明である。多数のバリエーション、変更、及び置換が本発明から離れることなく当業者に想起される。本明細書に記載の発明の実施形態に対する様々な代替が本発明の実施において用いられてもよいことが理解されるべきである。以下の請求項は本発明の範囲を定義すること並びにこれらの請求項及びその均等物の範囲内の方法及び構造がそれによりカバーされることが意図される。