(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037303
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23N 5/00 20060101AFI20220302BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20220302BHJP
F24H 8/00 20220101ALI20220302BHJP
F23L 17/14 20060101ALI20220302BHJP
F24H 1/12 20220101ALI20220302BHJP
F24H 15/00 20220101ALI20220302BHJP
【FI】
F23N5/00 F
F24H1/10 301D
F24H8/00
F23L17/14 Z
F24H1/12 B
F24H1/00 E
F24H1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141362
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 晴喜
【テーマコード(参考)】
3K003
3L034
3L122
【Fターム(参考)】
3K003EA02
3K003FA00
3K003GA03
3K003HA00
3L034BA25
3L034BA26
3L034BB03
3L122AA03
3L122AA34
3L122AA62
3L122AA63
3L122AA64
3L122BA31
3L122BA45
3L122FA12
3L122FA13
3L122FA34
3L122GA05
3L122GA08
(57)【要約】
【課題】 製造コストの増加を抑制できるとともにドレン発生量の算出精度の向上を図ることができる燃焼装置を提供する。
【解決手段】 潜熱回収用熱交換器を有し、外部通信網4を介して管理サーバ5との間で通信が可能に構成された燃焼装置(給湯装置1A)であって、外部通信網4を介して管理サーバ5から送信される燃焼装置の設置地域における湿度データを取得し、燃料の燃焼が行われるたびに潜熱回収用熱交換器において発生するドレン発生量を、燃焼積算号数または燃焼積算熱量と、前記取得した湿度データとに基づいて算出する制御部(コントローラ2)を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜熱回収用熱交換器を有し、外部通信網を介して管理サーバとの間で通信が可能に構成された燃焼装置であって、
前記外部通信網を介して前記管理サーバから送信される前記燃焼装置の設置地域における湿度データを取得し、燃料の燃焼が行われるたびに前記潜熱回収用熱交換器において発生するドレン発生量を、燃焼積算号数または燃焼積算熱量と、前記取得した湿度データとに基づいて算出する制御部を備えた、
燃焼装置。
【請求項2】
前記燃焼装置の設置地域は、前記燃焼装置から前記外部通信網を介して前記管理サーバへ所定情報が送信されたときに、送信元のIPアドレスに基づいて前記管理サーバによって特定され、予め前記管理サーバに記憶されている、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記燃焼装置の設置地域は、前記燃焼装置のユーザが所有する端末から前記管理サーバに入力され、予め前記管理サーバに記憶されている、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記潜熱回収用熱交換器で発生するドレンを中和する中和器と、
前記制御部で算出される前記ドレン発生量の積算値が所定値以上になると、前記中和器の交換時期である旨を報知する報知部とをさらに備えた、
請求項1~3のいずれかに記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱回収型の燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、潜熱回収用熱交換器を有する燃焼装置では、潜熱回収用熱交換器において酸性のドレンが発生する。特許文献1には、発生したドレンを中和処理したのち気化処理する構成が記載されている。一方、特許文献2,3には、発生したドレンを中和器で中和処理したのち液体のまま排出する構成が記載されている。また、特許文献2には、潜熱回収用熱交換器から吐出される燃焼排気の温度を検知する温度センサを設け、この検知温度での飽和水蒸気圧に基づいてドレン発生量を演算することが記載されている。また、特許文献3には、中和器で処理されたドレンを一時貯めるドレンタンクを備え、バーナの燃焼量の積算値に基づいてドレンの発生量を算出すること、及び、ドレンの発生量の積算値をドレンタンクに溜まったドレンレベルにより補正することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5224131号公報
【特許文献2】特許4909934号公報
【特許文献3】特許5587358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、潜熱回収用熱交換器及び中和器を備えた燃焼装置において、ドレン発生量を燃焼積算号数に基づいて算出し、ドレン発生量の積算値が所定量に達すると中和器が交換時期である旨を報知するものがあった。しかし、ドレンの発生は湿度の影響を受けるので、ドレン発生量を正確に算出することができない。また、湿度を検出するために燃焼装置に湿度センサを設けた場合には、製造コストが増加する等のデメリットが生じる。
【0005】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、製造コストの増加を抑制できるとともにドレン発生量の算出精度の向上を図ることができる燃焼装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る燃焼装置は、潜熱回収用熱交換器を有し、外部通信網を介して管理サーバとの間で通信が可能に構成された燃焼装置であって、前記外部通信網を介して前記管理サーバから送信される前記燃焼装置の設置地域における湿度データを取得し、燃料の燃焼が行われるたびに前記潜熱回収用熱交換器において発生するドレン発生量を、燃焼積算号数または燃焼積算熱量と、前記取得した湿度データとに基づいて算出する制御部を備えている。
【0007】
この構成によれば、ドレンの発生に影響を与える湿度データを管理サーバから取得し、この湿度データと燃焼積算号数または燃焼積算熱量とに基づいてドレン発生量を算出するようにしているので、湿度センサを設けることによる製造コストの増加を抑制できるとともにドレン発生量の算出精度の向上を図ることができる。
【0008】
また、前記燃焼装置の設置地域は、前記燃焼装置から前記外部通信網を介して前記管理サーバへ所定情報が送信されたときに、送信元のIPアドレスに基づいて前記管理サーバによって特定され、予め前記管理サーバに記憶されていてもよい。
【0009】
また、前記燃焼装置の設置地域は、前記燃焼装置のユーザが所有する端末から前記管理サーバに入力され、予め前記管理サーバに記憶されていてもよい。
【0010】
また、前記潜熱回収用熱交換器で発生するドレンを中和する中和器と、前記制御部で算出される前記ドレン発生量の積算値が所定値以上になると、前記中和器の交換時期である旨を報知する報知部とをさらに備えていてもよい。この構成によれば、ドレン発生量の算出精度の向上によって、ドレン発生量の積算値の算出精度も向上するので、中和器の交換時期である旨の報知も適正な時期に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上に説明した構成を有し、製造コストの増加を抑制できるとともにドレン発生量の算出精度の向上を図ることができる燃焼装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施形態の一例の燃焼装置を含む燃焼装置システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す給湯器の概略構成を示す作動原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0014】
(実施形態)
図1は、本実施形態の一例の燃焼装置及びそれを含む燃焼装置システムの概略構成図である。ここでは、燃焼装置の一例として給湯装置1Aを図示している。
【0015】
図1に示す燃焼装置システム100は、給湯器1及びリモコン7,8からなる給湯装置(燃焼装置)1Aと、インターネット等の外部通信網4に接続された1つまたは複数のコンピュータからなる管理サーバ5とを備えている。この燃焼装置システム100は、外部通信網4、ルータ3および携帯端末6を利用するものである。ルータ3および携帯端末6は、給湯装置1Aが設置されている住宅の入居者(ユーザ)が所有しているものである。ルータ3は、ここでは無線LANルータであり、給湯装置1Aのリモコン7と無線で通信が行われるが、リモコン7と有線で接続されて通信が行われるものでもよい。管理サーバ5は、外部通信網4及びこの外部通信網4に接続されたルータ3を介してリモコン7と相互に通信を行うことができる。また、携帯端末6は、外部通信網4等を介して管理サーバ5と相互に通信を行うことができる。
【0016】
給湯装置1Aは、給湯器1と、給湯器1を遠隔操作するためのリモコン(リモートコントローラ)7,8とを備えている。このような給湯装置1Aが設置されている住宅は1つでもよいが通常多数存在する。ここでは、代表して、1つの給湯装置1Aのみを図示し、また、その給湯装置1Aのみに対応するルータ3および携帯端末6を図示している。以下では、図示されたものについて説明する。
【0017】
図2は、
図1に示す給湯器1の一例の概略構成を示す作動原理図である。
【0018】
この給湯器1は、独立した2つの燃焼系統、具体的には右側に給湯側燃焼系統、左側に風呂・暖房側燃焼系統を有し、さらに燃焼に関連する動作を制御するコントローラ2を有する。
【0019】
給湯側燃焼系統には、燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する給湯側燃焼部B1と、その給湯側燃焼部B1に燃焼用の空気を送風する送風機9と、湯水あるいは熱媒体が流通し燃焼ガスによって加熱される給湯側熱交換部11と、給湯流水系統20とが備えられている。同様に、風呂・暖房側燃焼系統には、風呂・暖房側燃焼部B2と、その風呂・暖房側燃焼部B2に送風する送風機9と、風呂・暖房側熱交換部12と、暖房流水系統21と、追い焚き流水系統22とが備えられている。なお、送風機9は、給湯側と風呂・暖房側との燃焼系統に共用されている。また、給湯器1は、風呂・暖房側燃焼系統と給湯側燃焼系統の両方のドレンを受けるドレン排出系統13を有している。なお、
図2においては、給湯流水系統20、暖房流水系統21、追い焚き流水系統22などに設けられる温度センサ等の各種センサ類の図示を省略している。
【0020】
各燃焼部B1,B2は、燃料ガスを燃焼する複数のバーナ40が設けられ、燃料ガスをバーナ40に至らせる燃料配管41が接続されている。燃料配管41には、元ガス電磁弁G1、それぞれのバーナ40に至る燃料ガスの流通を規制するガス比例弁G2、給湯ガス電磁弁G3、給湯能力切替ガス電磁弁G4,G5、暖房ガス電磁弁G6、暖房能力切替ガス電磁弁G7が設けられている。すなわち、各燃焼部B1,B2では、各燃料用弁(G1~G7)の開閉が制御されて、燃料配管41を介して供給された燃料ガスが、バーナ40で燃焼されて燃焼ガスが生成される。
【0021】
給湯流水系統20は、給湯側熱交換部11がその一部を形成するものであり、給水源から供給される湯水を給湯側熱交換部11に流し、その給湯側熱交換部11からカラン等に至らせる給湯主流路23と、給湯側熱交換部11をバイパスする給湯側バイパス流路25とを有する。そして、給湯流水系統20には、給湯側バイパス流路25を通過する流量を調整する給湯側バイパス流量調整弁26や、出湯温度が所定値よりも低い場合に出湯流量を絞る水量調整弁W1等が設けられている。
【0022】
さらに、給湯流水系統20には、水量調整弁W1から分岐し、湯水を風呂の浴槽へと導く風呂注湯流路28が備えられている。そして、この風呂注湯流路28には、浴槽への水流を規制する注湯電磁弁W2と、浴槽側からの水流の逆流を防止する逆流防止機構31等が設けられている。
【0023】
暖房流水系統(端末循環路)21は、風呂・暖房側熱交換部12がその一部を形成するものであり、湯水は、風呂・暖房側熱交換部12と浴室暖房機等の高温側端末(図示しない)との間を循環する高温端末経路と、風呂・暖房側熱交換部12と床暖房等の低温側端末(図示しない)との間を循環する低温端末経路と、高温端末経路と低温端末経路とを繋ぐ暖房側バイパス流路34と、追い焚き流水系統22を流れる湯水を加熱する風呂加熱経路35とを流通する。
【0024】
そして、暖房流水系統21には、湯水の循環流を形成する暖房側ポンプ36と、湯水の温度変化に起因した体積の膨張に伴う圧力上昇又は収縮に伴う圧力低下を抑制する膨張タンク37と、暖房側バイパス流路34上に設けられた暖房側バイパス熱動弁39と、風呂加熱経路35への通水を規制する風呂側熱動弁45と、追い焚き流水系統22を流れる湯水との熱交換が行われる液・液熱交換器46等が設けられている。
【0025】
追い焚き流水系統22は、液・液熱交換器46がその一部を形成するものであり、液・液熱交換器46と風呂の浴槽(図示しない)との間を浴槽内の湯水が循環する追い焚き流路47を有する。そして、追い焚き流路47には、湯水の循環流を形成する追い焚き側ポンプ48等が設けられている。また、この追い焚き流路47には、前述の風呂注湯流路28が接続されている。
【0026】
なお、給湯側熱交換部11は、燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器(顕熱回収用熱交換器)11aと、燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器(潜熱回収用熱交換器)11bとで構成されている。同様に、風呂・暖房側熱交換部12は、燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器(顕熱回収用熱交換器)12aと、燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器(潜熱回収用熱交換器)12bとで構成されている。
【0027】
上記2つの二次熱交換器11b,12bでは、熱交換時に燃焼ガス中の水蒸気が凝縮し、酸性のドレンが発生する。ドレン排出系統13は、二次熱交換器11b,12bで発生した酸性のドレンを中和器14で中和してから外部に排出する経路である。このドレン排出系統13は、二次熱交換器11b,12bで発生したドレンを受けるドレン受け15aと、ドレン受け15aで回収したドレンを中和器14へ流すドレン導入管15と、例えば炭酸カルシウム等の中和剤が収納された中和器14と、エアチャージ管19が設けられ中和器14から接続配管16を流れて排出されるドレンを一時貯留するドレンタンク17と、ドレンタンク17で一時貯留されたドレンを外部へ排出するためのドレン排出ポンプ18とを備えている。
【0028】
ドレンタンク17には、ドレンの水位レベルを検出するための2つの水位電極H,Lと共通電極Gとが設けられている。例えば、水位電極H,Lと共通電極Gとの間には所定電圧が印加されており、ドレンタンク17にドレンが貯留され続けて2つの電極H,G間が導通(通電)すれば、ドレンの水位がハイレベルと判断され、ドレン排出ポンプ18の駆動を開始させてドレンタンク17内のドレンの外部への排出が開始される。そして、2つの電極H,G間が非導通となり、さらに2つの電極L,G間が非導通になると、ドレンの水位がローレベルと判断されて、ドレン排出ポンプ18の駆動を終了させる。
【0029】
この給湯器1には、給湯運転、暖房運転、風呂注湯運転および風呂追焚運転の4つの基本的な燃焼運転モードがあり、いずれも公知のそれと同様である。給湯器1の動作は、コントローラ2の制御によって実現される。
【0030】
コントローラ2は、例えばマイクロコントローラなどを用いて構成されており、所定の制御プログラムや
図1に示すリモコン7,8からの指令に従って、給湯器1の各部の動作制御を行う。なお、コントローラ2は、集中制御する単独の制御装置によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置によって構成されていてもよい。
【0031】
また、コントローラ2は、
図1に示すリモコン7,8と通信可能に接続されており、両者との間で双方向通信が可能である。リモコン7は、例えば台所等に設置されたリモコンであり(以下、台所リモコン7ともいう)、リモコン8は、浴室に設置されたリモコンである(以下、浴室リモコン8ともいう)。
【0032】
台所リモコン7は、通信部71、制御部72、操作スイッチ等を有する操作部73、液晶画面等を有する表示部74、音声出力部75、及び、無線通信部76を備えている。制御部72は、例えばマイクロコントローラ等によって構成され、リモコン7全体の動作を制御する。リモコン7は、その通信部71が給湯器1のコントローラ2及び浴室リモコン8と通信可能に接続されており、両者との間で双方向通信が可能である。浴室リモコン8は、無線通信部76を除いて台所リモコン7と同様の機能を備えている。
【0033】
ユーザが操作部73を操作することにより、操作部73から操作に応じた操作信号が制御部72へ入力され、制御部72から操作信号に応じた制御信号が通信部71を介して給湯器1のコントローラ2へ送信されるよう構成されており、ユーザが給湯器1の運転操作や、給湯設定温度及び風呂設定温度等の設定及び変更等の操作を行うことができる。また、給湯器1のコントローラ2から給湯器1の運転状態等を示す情報が通信部71へ入力され、制御部72の制御によって表示部74の画面に表示される。また、設定された給湯設定温度等も表示部74の画面に表示することができる。また、音声出力部75は、ブザー音や音声等を出力するためのスピーカを有し、制御部72の制御によって音声等が出力される。
【0034】
無線通信部76は、ルータ3と無線LANによって通信を行うための通信モジュールであり、ルータ3及び外部通信網4を介して管理サーバ5と通信を行うための、ルータ3との間の通信処理を行う。制御部72は、給湯器1のコントローラ2から受信した情報のうち管理サーバ5へ送信する情報を無線通信部76から送信させる。また、管理サーバ5から送信されて無線通信部76で受信した情報のうちコントローラ2へ送信する情報を通信部71から送信させる。例えば、給湯器1のコントローラ2から台所リモコン7を介して管理サーバ5へ送信される情報(機器情報)としては、給湯装置1Aの電源投入直後に送信される給湯器1の機種等を示す設備構成情報、定期的(例えば1時間間隔)に送信される給湯器1の運転状態を示す運転状態情報、給湯器1の異常を示すエラー情報等がある。これらの機器情報は、台所リモコン7から同リモコン7のシリアル番号(リモコン7の識別情報)とともに管理サーバ5へ送信される。
【0035】
すなわち、リモコン7は、ルータ3と無線LANの接続設定が行われると、ルータ3との間で無線LANによる無線通信が可能である。このリモコン7は、給湯器1のコントローラ2との間の通信処理を実行するとともに、ルータ3および外部通信網4を介して行う管理サーバ5との間の通信処理を実行する。リモコン7は、例えば、給湯器1のコントローラ2から送信されてきた機器情報を、通信形式を変換してルータ3および外部通信網4を介して管理サーバ5へ送信する。また、リモコン7は、管理サーバ5から外部通信網4およびルータ3を介して送信されてきた情報を、通信形式を変換して給湯器1のコントローラ2へ送信する。
【0036】
管理サーバ5は、関連付け情報等を記憶するメモリ(図示せず)を備えている。関連付け情報は、リモコン7のシリアル番号(リモコン7の識別情報)に、携帯端末6から送信されたユーザアカウント(使用者識別情報)が関連付けされてなる情報である。
【0037】
また、管理サーバ5は、リモコン7から送信された種々の機器情報をメモリに記憶する。これらの機器情報は、リモコン7からリモコン7のシリアル番号とともに管理サーバ5へ送信される。そして管理サーバ5では、受信した機器情報を、リモコン7のシリアル番号と関連付けてメモリに記憶している。
【0038】
携帯端末6は、スマートフォン等の携帯端末であり、携帯電話網の基地局等を介して外部通信網4に接続可能である。また、携帯端末6は、無線LAN接続が可能である。
【0039】
この携帯端末6は、燃焼装置システム専用のアプリケーションプログラム(以下、「システム専用アプリ」という)がインストールされて、管理サーバ5のメモリに関連付け情報が記憶されていれば、リモコン7のシリアル番号と関連付けられているユーザアカウントを用いて、管理サーバ5等を介して給湯器1の遠隔操作および状態確認などを行うことができる。
【0040】
例えば、給湯器1の遠隔操作を行う場合、ユーザは携帯端末6を操作して、管理サーバ5が提供しているユーザ管理サイトにログインし、給湯器1を遠隔操作するための遠隔操作情報(操作信号)を管理サーバ5へ送信する。すると、管理サーバ5は、ログイン時に取得したユーザアカウントが含まれる関連付け情報を参照し、この関連付け情報に含まれるシリアル番号を有するリモコン7へ遠隔操作情報を送信する。リモコン7では、受信した遠隔操作情報をコントローラ2へ送信する。コントローラ2は、受信した遠隔操作情報に基づいて給湯器1を制御する。遠隔操作情報としては、給湯器1の各種運転の開始指令及び停止指令、給湯温度の設定情報等がある。
【0041】
本実施形態では、給湯器1に潜熱回収用の二次熱交換器11b,12bが備えられており、給湯器1の各種燃焼運転時には燃焼部(B1,B2)において燃料(燃料ガス)の燃焼が行われ、この燃焼が行われるたびに二次熱交換器(11b,12b)においてドレン(凝縮水)が発生する。中和器14内の中和剤の消費量はドレンの発生量に略比例する。
【0042】
コントローラ2では、燃焼が行われるたびにドレン発生量を下記の(1)式に基づいて算出する。
【0043】
ドレン発生量=燃焼積算号数×定数C×湿度係数k ・・・(1)
ここで、燃焼積算号数は、燃焼号数の積算値である。燃焼号数とは、単位時間(例えば1分間)当たりの燃焼熱量のことで、1号は1リットルの水を1分間に25℃上昇させることができる熱量を言う。ドレン発生量は、燃焼熱量の積算値である燃焼積算熱量に概略比例する。よって、ドレン発生量は、燃焼積算熱量を燃焼号数に換算した燃焼積算号数に概略比例する。なお、コントローラ2は、燃焼積算熱量を、各燃焼部B1,B2の各燃料用弁(G1~G7)の制御状態などから求めることができる。
【0044】
また、(1)式の定数Cは、湿度係数kが1のとき、すなわちドレン発生量が燃焼積算号数に比例するときの比例定数であり、給湯器の機種ごとに予め実験によって求められた値である。また、湿度係数kは、湿度の変化によるドレン発生量の変化を反映するための係数であり、給湯器の機種ごとに予め実験によって湿度と湿度係数kとの関係を示す情報が求められている。例えば、給湯器1の場合、湿度が50%のときの湿度係数kは1であり、湿度が70%のときの湿度係数kは1.05である。
【0045】
コントローラ2には、当該給湯器1における定数Cと、湿度と湿度係数kとの関係を示す情報とが予め記憶されている。
【0046】
管理サーバ5は、給湯装置1Aの設置地域(例えば「市」単位等)を示す情報を関連付け情報に含めて予め記憶しており、例えば、気象庁等の外部機関から外部通信網4を介して給湯装置1Aの設置地域の湿度データを所定時間ごとに取得し、給湯装置1Aのコントローラ2へ送信する。
【0047】
ここで、管理サーバ5に記憶されている給湯装置1Aの設置地域を示す情報は、例えば、リモコン7から最初の機器情報(設備構成情報)がルータ3及び外部通信網4を介して管理サーバ5へ送信されるときのルータ3のIPアドレス(グローバルIPアドレス)から管理サーバ5が特定し記憶している。なお、管理サーバ5は、IPアドレス(グローバルIPアドレス)と地域との関係を示す情報を予め記憶している。
【0048】
あるいは、ユーザが携帯端末6を操作して、管理サーバ5が提供しているユーザ管理サイトにログインし、給湯装置1Aの設置地域を示す情報を上記サイトに入力することにより、管理サーバ5に給湯装置1Aの設置地域を示す情報が入力されるようにしてもよい。この操作は、給湯装置1Aの設置後、すぐに行われることが好ましい。
【0049】
コントローラ2では、管理サーバ5から送信されてきた湿度データを随時記憶する。そして、コントローラ2では、燃焼部(B1,B2)において燃料の燃焼が行われるたびに、管理サーバ5から直近に送信されてきた湿度データ(最新の湿度)から湿度係数kを求め、(1)式に基づいてドレン発生量を算出する。そして、ドレン発生量を算出するたびに、ドレン発生量の積算値を算出する。
【0050】
コントローラ2は、ドレン発生量の積算値が所定値以上になると、例えば、リモコン7へ中和器14の交換時期である旨を報知させるための情報を送信する。この情報を受信したリモコン7では、表示部74に中和器14の交換時期である旨を表示させる。また、音声出力部75に中和器14の交換時期である旨を音声出力させるようにしてもよい。
【0051】
本実施形態では、ドレンの発生に影響を与える湿度データを管理サーバ5から取得し、この湿度データと燃焼積算号数とに基づいてドレン発生量を算出するようにしているので、湿度センサを設けることによる製造コストの増加を抑制できるとともにドレン発生量の算出精度の向上を図ることができる。よって、給湯装置1A(給湯器1)には、湿度センサを備えていない。
【0052】
また、ドレン発生量の算出精度の向上によって、ドレン発生量の積算値の算出精度も向上するので、中和器14の交換時期である旨の報知も適正な時期に行うことが可能になる。
【0053】
なお、本実施形態では、ドレン発生量を燃焼積算号数を用いて算出するようにしたが、燃焼積算号数に代えて燃焼積算熱量を用いて算出するようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、中和器14を通過したドレンをドレンタンク17に一時溜めて、ドレンタンク17からドレンを排出させるドレン排出ポンプ18の駆動の開始及び終了のタイミングを設定するために、2つの水位電極H,Lと共通電極Gとを設けているが、ドレン発生量およびその積算値を精度よく算出できるので、ドレン発生量の積算値に基づいてドレン排出ポンプ18の駆動を開始させ、その一定時間後に駆動を終了させるようにしてもよい。この場合、2つの水位電極H,Lと共通電極G等が不要となり、製造コストの削減を図ることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、燃焼装置の一例として、給湯運転、暖房運転、風呂注湯運転および風呂追焚運転の4つの燃焼運転が可能な給湯装置1Aを例示したが、これに限らず、二次熱交換器11b,12bのようにドレンを発生する1つまたは複数の潜熱回収用熱交換器を有する燃焼装置であればよい。
【0056】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、製造コストの増加を抑制できるとともにドレン発生量の算出精度の向上を図ることができる燃焼装置等として有用である。
【符号の説明】
【0058】
1A 給湯装置
2 コントローラ
3 ルータ
4 外部通信網
5 管理サーバ
11b,12b 二次熱交換器
14 中和器