(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037914
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】ブロックコポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 53/00 20060101AFI20220302BHJP
C08L 23/10 20060101ALI20220302BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20220302BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20220302BHJP
C08F 297/04 20060101ALI20220302BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20220302BHJP
B29C 48/12 20190101ALI20220302BHJP
A61L 29/04 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
C08L53/00
C08L23/10
C08K3/013
C08K5/00
C08F297/04
B29C48/08
B29C48/12
A61L29/04 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021134631
(22)【出願日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】62/706,564
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519261770
【氏名又は名称】クレイトン・ポリマーズ・リサーチ・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グザビエ・デー・デー・イェー・ミュイルデルマン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリック・デ・フロート
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン・ベー・ファン・デル・ワール
【テーマコード(参考)】
4C081
4F207
4J002
4J026
【Fターム(参考)】
4C081AC08
4C081CA021
4C081CA031
4C081CC02
4C081DA03
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4J002BB112
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4J002BP011
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4J002CH073
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4J002FD130
4J002FD310
4J026HA05
4J026HA06
4J026HA39
4J026HB15
4J026HB39
4J026HC06
4J026HC39
4J026HC49
4J026HE02
4J026HE05
(57)【要約】
【課題】きわめて低い浸出性及び良好な機械的性質に加えて熱可塑性流れ性を呈するポリマー組成物を提供すること。
【解決手段】それぞれ、150~1,000kg/mol、6~60kg/molのピーク分子量を有する、選択的に水素化されたブロックコポリマー(a)及び(b)を含む組成物が開示されている。成分(a)は、1つ以上の構造A-B-A、(A-B-A)nX、A-(B-A)n及び(A-B)nXを含む。成分(b)は、1つ以上の構造C-D、D-C-C及び(D-C)nXを含む。nの値は、1~30であり、Xは、カップリング剤の残基である。水素化の前に、ブロックA及びCは、ビニル芳香族ポリマーブロックであり、ブロックB及びDは、60~100mol%の1つ以上の共役ジエン及び0~40mol%のビニル芳香族モノマーを含むポリマーブロックである。HSBC組成物及びTPEブレンドは、良好な弾性、良好な加工性、低い抽出物及び低い圧縮永久ひずみを呈する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(a)及び(b)を含む水素化ブロックコポリマーであって、
成分(a)が、1つ以上の構造A-B-A、(A-B-A)nX、A-(B-A)n及び(A-B)nXを含む、選択的に水素化されたブロックコポリマーであり、
成分(b)が、1つ以上の構造C-D、D-C-D及び(D-C-)nXを含む、選択的に水素化されたブロックコポリマーであり、
ここで、
nは1~30であり、Xはカップリング剤の残基であり、
水素化の前に、
Aは、14~60kg/molのピーク分子量(Mp)を有する、ビニル芳香族モノマーのポリマーブロックであり、
Bは、60~100mol%の1種以上の共役ジエン及び0~40mol%のビニル芳香族モノマーを含むポリマーブロックであり、
Cは、1~8kg/molのピーク分子量を有する、ビニル芳香族モノマーのポリマーブロックであり、
Dは、60~100mol%の1種以上の共役ジエン及び0~40mol%のビニル芳香族モノマーを含むポリマーブロックであり、
水素化の後に、
ポリマーブロックB及びDの中の80~100mol%の重合ジエン単位が還元され、
ポリマーブロックA、B、C及びDの中の0~20mol%の重合ビニル芳香族モノマー単位が還元され、
ポリマーブロックA、B、C及びDの前記ビニル芳香族モノマーが、独立に、同一であり又は異なり、ポリマーブロックB及びDのための共役ジエンモノマーが、独立に、同一であり又は異なり、
ブロックコポリマー(a)が、150~1,000kg/molのピーク分子量を有し、ブロックコポリマー(b)が、6~60kg/molのピーク分子量を有し、
組成物が、
ASTM D395に従って測定して、70℃にて24時間後に40%未満の圧縮永久ひずみ、及び
230℃及び5000/秒の剪断速度にて測定して、<70Pa.sの見かけ粘度を有する、
水素化ブロックコポリマー。
【請求項2】
水素化の前に、ポリマーブロックB及びDのそれぞれの中の重合ジエン単位が、15重量%~65重量%の補正1,4-ジエン単位含有量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(a)及び(b)が、それぞれ、1:0.1~1:5の範囲の重量比にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ポリマーブロックB及びDが、同じ共役ジエンから誘導された重合ジエン単位を含み、前記共役ジエンが、1,3-ブタジエン、イソプレン、ミルセン、ファルネセン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ポリマーブロックA、B、C及びDが、独立に、同じビニル芳香族モノマーから誘導された重合ビニル芳香族モノマー単位を含み、前記ビニル芳香族モノマー単位が、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、アルファ-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ポリマーブロックAが、成分(a)の総重量の18~40重量%を形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
100重量部の請求項1~6に記載の組成物、及び95~1重量部の半結晶性ポリオレフィンを含む、熱可塑性エラストマーブレンド。
【請求項8】
60~95重量部の請求項1に記載の組成物、及び
5~40重量部の前記半結晶性ポリオレフィン
を含み、
前記半結晶性ポリオレフィンが、ホモポリプロピレン、プロピレンコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記プロピレンコポリマーが、125℃超の融点を有する、
請求項7に記載の熱可塑性エラストマーブレンド。
【請求項9】
前記ブレンド100部当たり最大100部の、ポリフェニレンエーテル、有機フィラー、無機フィラー、カーボンブラック、難燃剤、抗酸化剤、UV安定剤、染料及び表面剤から選択される少なくとも1種の添加剤を更に含む、請求項8に記載の熱可塑性エラストマーブレンド。
【請求項10】
ASTM D395に従って70℃にて24時間後に測定して、45%未満の圧縮永久ひずみ、
YBB00042005に従って前処理済みサンプル上でUVによって測定して、<0.1%吸光度の抽出物のレベル、及び
キャピラリーレオメトリーによって200℃での5000/秒の剪断速度にて測定して、<70Pa.s、又は<50Pa.s.又は好ましくは5Pa.s~45Pa.sの見かけ粘度
を有する、
請求項8又は9に記載の熱可塑性エラストマーブレンド。
【請求項11】
前記ブレンドが、油を含まず、かつ、フタレートを含まない、請求項8に記載の熱可塑性エラストマーブレンド。
【請求項12】
請求項8に記載の熱可塑性エラストマーブレンドを含む、物品。
【請求項13】
シート、成型物品、異形押出物品及びフィルムから選択される、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
医療用バッグ、医療用チューブ、バイアルストッパー、IVストッパーから選択される、請求項12に記載の物品。
【請求項15】
前記物品が、バイアルストッパー又はIVストッパーであり、前記物品が、
USP381崩壊測定試験方法下で試験されたときにサイズが>150μmの<20個の粒子、及び
ISO7619-1に従って試験されたときに30~60の範囲内のショアA硬度
を有する、
請求項12に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブロックコポリマーに基づく組成物及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エラストマー材料は、接着剤、シーラント、コーティング、タイヤ、自動車産業、建築産業、電気産業及び電子産業、並びに医療など多様な用途において広く使用されている。所望の性質には、例えば、良好な機械的性能、低い粘度及び反応性が挙げられる。医療用途では、いくつかの使用は、より良好な弾性及び抗浸出性/抗ブリードアウト性、又は最終用途における殺菌中の抽出性に加えて、生産中に、流れ及び強度の高い材料を必要とする。強度、弾性、例えば低い圧縮永久ひずみ、及び耐候性又はオゾン抵抗性の点での良好な機械的性能もまた望まれる。既存の熱可塑性材料は、このような要件を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
きわめて低い浸出性及び良好な機械的性質に加えて熱可塑性流れ性を呈するポリマー組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、組成物が開示されている。組成物は、成分(a)、(b)を含み、本質的になり又は、成分(a)は、1つ以上の構造A-B-A、(A-B-A)nX、A-(B-A)n及び(A-B)nXを含む、選択的に水素化されたブロックコポリマーである。成分(b)は、1つ以上の構造C-D、D-C-D及び(D-C-)nXを含む、選択的に水素化されたブロックコポリマーであり、ここで、nは、1~30であり、Xは、カップリング剤の残基である。水素化の前に、Aは、14~60kg/molのピーク分子量(Mp)を有する、ビニル芳香族モノマーのポリマーブロックであり、Bは、60~100mol%の1種以上の共役ジエン及び0~40mol%のビニル芳香族モノマーを含むポリマーブロックであり、Cは、1~8kg/molのピーク分子量を有する、ビニル芳香族モノマーのポリマーブロックであり、Dは、60~100mol%の1種以上の共役ジエン及び0~40mol%のビニル芳香族モノマーを含むポリマーブロックであり、水素化の後に、80超~100mol%の重合ジエン単位及びポリマーブロックA、B、C及びDの中の、0~20mol%の重合ビニル芳香族モノマー単位は、還元される。ポリマーブロックA、B、C及びDのビニル芳香族モノマーは、独立に、同一であり又は異なり、ポリマーブロックB及びDのための共役ジエンモノマーは、独立に、同一であり又は異なる。ブロックコポリマー(a)は、150~1,000kg/molのピーク分子量を有し、ブロックコポリマー(b)は、6~60kg/molのピーク分子量を有する。総てのブロックコポリマー組成物は、ASTM D395に従って測定して、70℃にて24時間後に40%未満の圧縮永久ひずみを有する。
【0005】
本開示の別の態様は、上記ブロックコポリマー組成物と半結晶性ポリオレフィンとを含むブレンドである。
【0006】
本開示の他の態様には、成型組成物、及び上記ブロックコポリマー組成物を使用して製造された物品が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の用語は、以下の意味を有する:
「分子量」又はMWは、ポリマーブロック又はブロックコポリマーの、kg/molにおけるスチレン当量分子量を指す。分子量は、ASTM5296-19に従ってポリスチレン較正標準を用いてゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。クロマトグラフは、市販のポリスチレン分子量標準を用いて較正されうる。このように較正されたMWが、スチレン当量分子量である。検出器は、紫外線と屈折率測定器との組み合わせであることができる。本明細書で表されるMWは、GPCトレースのピークにて測定され、一般に「ピーク分子量」(Mp)と称される。別段の指定がない限り、MWは、スチレン当量ピーク分子量Mpを指す。
【0008】
ブタジエン(Bd)、及びイソプレン、ミルセン、フェルネセン若しくは任意の他の共役ジエン(Ip)、又はこれらの組み合わせから誘導される繰り返し単位を有するポリマーブロック中の「補正1,4-ジエン単位含有量」、「C14DUC」は、ポリマーブロック中の総ジエン中の重量%Bd含有量(Bw)、ポリマーブロック中のBd(B14)の1,4-付加単位の重量%、ポリマーブロック中の総ジエンにおける重量%Ip含有量(Iw)、及びポリマーブロック中のIp(I14)の1,4-付加単位の重量%のパラメータに関して、等式(1):C14DUC=(Bw×B14/100)+Iw×(I14-40)/100(1)によって数学的に付与される。
【0009】
共役ジエンの重合は、複数の二重結合(1,4-付加単位を生じさせる)と1つの二重結合(ビニル基を生じさせる)との両方にわたる付加に基づく重合単位を生じさせる。
【0010】
ブロックコポリマーの「ポリスチレン含有量」は、ブロックコポリマー中の重合スチレン又はビニル芳香族モノマーの重量%を指し、これは、総てのポリスチレン又は重合ビニル芳香族単位の分子量の和を、ブロックコポリマーの総分子量で割って算出される。ポリスチレン含有量は、プロトンNMR等の任意の好適な方法論を用いて決定することができる。
【0011】
「油を含まない」は、組成物の総重量に基づいて、<0.1重量%、又は<0.05重量%、又は<0.01重量%の存在するパラフィン系油を有する組成物を指す。同様に、フタレートを含まない組成物は、<0.1重量%、又は<0.05重量%、又は<0.01重量%の存在するフタレートで、フタレートが添加されない組成物を指す。
【0012】
「HSBC」は、選択的に水素化されたスチレン系ブロックコポリマーを指す。水素化されたスチレン系ブロックコポリマーは、共重合共役ジエン及びスチレン系モノマーに基づき、共役ジエン単位からもたらされる二重結合の有意な画分は還元されており又は水素化されており、「選択的に」は、完全に(例えば>95%又は>98%)水素化されている共役結合、及びきわめて少なく水素化されている(例えば0~15%)芳香族結合を意味する。
【0013】
本開示は、優れた機械的性質、例えば改善された弾性及び殺菌後の抗抽出性に加えて、熱可塑性流れ性を呈する、油を含まない/フタレートを含まない熱可塑性エラストマー(「TPE」)ブレンド中での使用のための、医療を含む用途に好適な、HSBC組成物及びそれらのブレンド、実施形態では、トリブロック及び短ジブロックを有する水素化ブロックコポリマーに関する。
【0014】
HSBC組成物:組成物は、成分(a)及び(b)を含み、各成分は、異なるタイプのブロックコポリマーを包含する。ポリマーブロックA、B、C及びDの中のビニル芳香族モノマー繰り返し単位は、独立に、同一であっても異なっていてもよい。同様に、ポリマーブロックB及びDの中の共役ジエンモノマー繰り返し単位は、独立に、同一であっても異なっていてもよい。成分(a)及び(b)のそれぞれは、以下に詳細に記載される。
【0015】
成分(a):総ての組成物は、成分(a)及び(b)を含み、各成分は、異なるタイプのブロックコポリマーを包含する。ポリマーブロックA、B、C及びDの中のビニル芳香族モノマー繰り返し単位は、独立に、同一であっても異なっていてもよい。同様に、ポリマーブロックB及びDの中の共役ジエンモノマー繰り返し単位は、独立に、同一であっても異なっていてもよい。成分のそれぞれは、以下に詳細に記載される。実施形態では、成分(a)及び(b)は、1:0.1~1:5、又は1:0.3~1:3、又は1:0.5~1:2の重量比にある。
【0016】
成分(a)は、1つ以上の構造A-B-A、(A-B-A)nX、A-(B-A)n及び(A-B)nXを含む、選択的に水素化されたブロックコポリマーであり、Aは、ビニル芳香族モノマーの繰り返し単位を有する、「硬質ブロック」とも称されるポリマーブロックであり、Bは、共役ジエンの繰り返し単位を有するポリマーブロック、任意選択でビニル芳香族モノマーであり、nは、1~30であり、Xは、カップリング剤の残基である。
【0017】
実施形態では、成分(a)ブロックコポリマーは、100~1000kg/mol、又は>150kg/mol、又は150~800kg/mol、又は200~400kg/molのMpを有することができる。
【0018】
実施形態では、水素化の前に、ブロック「A」は、14~60kg/mol、又は20~50kg/mol、又は25~35kg/molのMpを有することができる。
【0019】
実施形態では、ブロック「B」は、水素化の前に、50~950kg/mol、又は100~800kg/mol、又は200~600kg/mol、又は150~400kg/molのMpを有することができる。
【0020】
実施形態では、ポリマーブロック「A」は、18~40重量%、又は22~38重量%、又は26~32重量%の、選択的に水素化されたブロックコポリマー成分(a)を形成することができる。
【0021】
実施形態では、ブロック「B」は、60~100mol%の1種以上の共役ジエン及び0~40mol%のビニル芳香族モノマー、又は70~90mol%の1種以上の共役ジエン及び10~30mol%のビニル芳香族モノマー、又は>80mol%の1種以上の共役ジエン及び<20mol%のビニル芳香族モノマー、又は100%の1種以上の共役ジエン及びビニル芳香族モノマーなし、を含むことができる。
【0022】
実施形態では、ブロック「B」は、100mol%のブタジエン若しくはイソプレン、又はこれらの組み合わせ、及びビニル芳香族モノマーなし、を含むことができる。なおも別の実施形態では、ブロック「B」は、100mol%のブタジエン、及びビニル芳香族モノマーなし、を含むことができる。
【0023】
水素化の後に、実施形態では、ブロックBの中の80~100mol%、又は>85mol%、又は>90mol%、又は91~99mol%、又は97~100mol%の重合ジエン単位、及びブロックA及びBの中の0~20mol%、又は>1mol%、又は3~18mol%、又は<15mol%、又は0~5mol%の重合ビニル芳香族モノマー単位が還元される。
【0024】
実施形態では、水素化の後に、ブロックBの中の、85~98mol%、又は90~95mol%、又は>97mol%、又は>98%の重合ジエン単位、及びブロックA及びBの中の2~15mol%、又は5~10mol%の重合ビニル芳香族モノマー単位が還元される。
【0025】
なおも他の実施形態では、水素化の後に、ブロック「A」及び「B」中の、0~10mol%、又は1~8mol%、又は<7mol%、又は>2mol%の重合ビニル芳香族モノマー単位が還元され、「B」ブロック中の、90超~100mol%、又は95~99mol%、又は>97mol%の重合ジエン単位が還元される。
【0026】
ポリマーブロック「A」を構築するのに使用されるビニル芳香族化合物は、そこに結合しているビニル基を有する任意の芳香族化合物であることができる。使用に好適な非限定的クラスの化合物には、スチレン及び置換スチレン、ビニルナフタレン及び置換ビニルナフタレン、ビニルインデン、ビニルアントラセン及び1,1-ジフェニルエチレンが挙げられる。いくつかの特定の例には、8~20個の炭素原子を有するビニル芳香族化合物、例えばo-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、アルファ-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン及びビニルキシレン、又はこれらの混合物が挙げられる。実施形態では、ビニル芳香族化合物は、スチレンであることができる。
【0027】
ポリマーブロックB(「ラバーブロック」とも称される)は、60~100mol%、又は65~99mol%、又は>80mol%、又は100%の、共役ジエンから誘導された繰り返し単位、及び0~40mol%、又は>2mol%、又は5~35mol%、又は<38mol%、又は0%の、ビニル芳香族モノマーから誘導された繰り返し単位を含有することができる。任意の共役ジエンを使用することができる。一実施形態では、共役ジエンは、4~8個の炭素原子を有する。別の実施形態では、共役ジエンは、1,3-ブタジエン、イソプレン、ミルセン、ファルネセン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0028】
成分(b):成分(b)は、1つ以上の構造C-D、D-C-D及び(D-C-)nXを含む、1種以上の選択的に水素化されたブロックコポリマーであり、「C」は、ビニル芳香族化合物から誘導された繰り返し単位を有するポリマーブロックであり、「D」は、1種以上の共役ジエンの繰り返し単位を有するポリマーブロックであり、任意選択でビニル芳香族モノマーであり、nは、1~30であり、Xは、カップリング剤の残基である。
【0029】
実施形態では、成分(b)ブロックコポリマーは、6~60kg/mol、又は10~50kg/mol、又は20~55kg/mol、又は<57kg/mol、又は<52kg/molのMpを有する。
【0030】
実施形態では、ブロック「C」は、1~8kg/mol、又は2~6kg/mol、又は3~5kg/mol、又は3~7.5kg/molのMpを有する。
【0031】
実施形態では、ブロック「D」は、5~50kg/mol、又は20~40kg/molのMpを有する。
【0032】
実施形態では、ブロック「D」は、60~100mol%の共役ジエン及び0~40mol%のビニル芳香族モノマー、又は70~90mol%の共役ジエン及び10~30mol%のビニル芳香族モノマー;又は>80mol%の共役ジエン及び<20mol%のビニル芳香族モノマー、又は本質的に100%molの1種以上の共役ジエン、及び存在する場合にきわめてわずかなビニル芳香族モノマーを含む。
【0033】
実施形態では、ブロック「D」は、約100mol%のブタジエン若しくはイソプレン、又はこれらの組み合わせ、及び存在する場合にきわめてわずかなビニル芳香族モノマーを含む。
【0034】
水素化の後に、実施形態では、ブロックCの中の0~20mol%の重合ビニル芳香族モノマー単位が還元され、ブロックDの中の>80~100mol%の重合ジエン単位及び0~20mol%の重合ビニル芳香族モノマー単位が還元される。
【0035】
実施形態では、水素化の後に、ブロックDの中の85~98mol%、又は90~95mol%の重合ジエン単位、並びにブロックC及びDの中の2~15mol%、又は5~10mol%の重合ビニル芳香族モノマー単位が還元される。
【0036】
実施形態では、水素化の後に、ブロック「C」及び「D」の中の0~10mol%の重合ビニル芳香族モノマー単位が還元され、「D」ブロック中の>90~100mol%、又は95~100mol%の重合ジエン単位が還元される。
【0037】
ポリマーブロック「C」を構築するのに使用されるビニル芳香族化合物、並びにブロック「D」を構築するのに使用されるビニル芳香族化合物及び共役ジエンは、ブロックコポリマー成分(a)について先に検討した例のうちの任意のものでありうる。
【0038】
実施形態では、成分(a)中のポリマーブロック「A」及び「B」は、同じビニル芳香族モノマーから誘導された重合ビニル芳香族モノマー単位を含み、ビニル芳香族モノマー単位は、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、アルファ-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0039】
実施形態では、成分(b)中のポリマーブロック「C」及び「D」は、同じビニル芳香族モノマーから誘導された重合ビニル芳香族モノマー単位を含むことができ、ビニル芳香族モノマー単位は、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、アルファ-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0040】
実施形態では、ブロックB及びDの中の重合ジエン単位中の「補正1,4-ジエン単位含有量」は、水素化の前に、独立に、10~75重量%、又は15~65重量%、又は20~60重量%、又は40~50重量%、又は15~50%、又は20~45%の範囲にわたり多様であることができる。1,4-ジエン単位含有量は、共役ジエンの重合中、一定の添加剤(以下に説明される)を使用することによって多様であることができる。
【0041】
実施形態では、ポリマーブロックB及びDは、同じジエン単位から、又はジエン単位の同じ組み合わせから構成され、水素化の前の補正1,4-ジエン単位含有量は、互いに15重量%超、異ならない。
【0042】
HSBC組成物の調製:HSBC組成物の成分(a)及び(b)は、当技術分野で既知の技術を用いてアニオン性重合によって調製して前駆体ブロックコポリマーを形成することができる。重合開始剤は、一般に、有機金属化合物、例えば有機リチウム化合物、例えばエチル-、プロピル-、イソプロピル-、n-ブチル-、sec-ブチル-、tert-ブチル-、フェニル-、ヘキシルビフェニル-、ヘキサメチレンジ-、ブタジエニル-、イソプレニル-、1,1-ジフェニルヘキシルリチウム又はポリスチリルリチウムである。必要とされる開始剤の量は、達成されることになる分子量に基づいて算出され、重合されることになるモノマーの量に基づいて、一般に0.002~5mol%である。重合のために好適な溶媒には、4~12個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式又は芳香族の炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、イソオクタン、ベンゼン、アルキルベンゼン、例えばトルエン、キシレン若しくはエチルベンゼン、又は好適な混合物が挙げられる。
【0043】
ポリマー鎖末端化は、カルバニオンクエンチング剤、例えば有機アルコールカップリング剤、例えば二官能性若しくは多官能性化合物、例えばジビニルベンゼン、脂肪族若しくは芳香脂肪族の炭化水素のハロゲン化物、例えば1,2-ジブロモエタン、ビス(クロロメチル)ベンゼン、又は四塩化ケイ素、二塩化ジアルキルケイ素若しくはジアリールケイ素、三塩化アルキルケイ素若しくはアリールケイ素、三塩化スズ、アルキルケイ素メトキシド、アルキルケイ素エトキシド、多官能性アルデヒド、例えばテレフタル酸ジアルデヒド、ケトン、エステル、無水物又はエポキシドを使用して実施される。カップリングを伴う実施形態では、カップリング剤は、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、ジビニルベンゼン(DVB)及びジメチルアジペート(DMA)からなる群から選択される。
【0044】
所望であれば、重合パラメータに影響を及ぼすルイス塩基添加剤を利用することができる。ルイス塩基の例には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、1,2-ジエトキシプロパン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルエーテル、例えばテトラヒドロフルフリルメチルエーテル及び第三級アミンが挙げられる。
【0045】
ポリマー前駆体の水素化は、ポリマーブロックA~Dの中の水素化の適当なレベルを達成する条件下で、HSBCを付与する。ニッケル、コバルト又はチタンに基づく好適な触媒が、水素化の工程において使用されうる。
【0046】
成分(a)と(b)とは、溶媒中で又は溶融状態において混合されて、HSBC組成物を形成することができる。成分(b)が溶媒中で成分(a)へと混合されることが好ましい。
【0047】
HSBC組成物の性質:HSBC組成物は、エラストマー性能及び良好な機械的性能を呈する。それらはまた、優れた抗浸出性を有する。それらはまた、良好な弾性、例えば低い圧縮永久ひずみを示す。実施形態では、ブロックコポリマー組成物は、ASTM D395に従って70℃にて圧縮24時間後に測定して、<50%、又は<40%、又は<35%の圧縮永久ひずみを有する。
【0048】
実施形態では、HSBC組成物は、カプリラリーレオメトリーを用いた230℃での見かけ粘度により測定して、<70Pa.s、又は<50Pa.s、又は5~45Pa.sの良好な加工性を有する。
【0049】
実施形態では、HSBC組成物は、YBB00042005標準に従った処理の後、220nm~360nmの波長での吸光度により測定して、<0.1%、又は<0.05%、又は<0.005%の低い抽出物のレベルを示す。
【0050】
HSBC組成物に基づくブレンド:HSBC組成物は、多種の最終使用用途のために、ブレンドを調製するのに使用することができ、例えば炭化水素系又は水系の溶媒によって抽出物ではないポリマーとブレンドすることができる。
【0051】
実施形態では、ブレンドのためのポリマーは、ポリスチレン、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、及びこれらのブレンド;熱可塑性エラストマー、例えば熱可塑性ポリウレタン又は熱可塑性コポリエステル;芳香族ポリエーテル樹脂、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。好適なポリオレフィンには、ポリマーの総重量の>50重量%の重合エチレン単位を含有する結晶性熱可塑性ポリマーが挙げられる。他の好適なプラスチックには、ポリアミド、スチレンの、コモノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル及びメタクリレート、又は混合物が挙げられる。
【0052】
実施形態では、ブレンドは、100重量部のHSBC組成物、及び1~95重量部、又は1~20重量部、又は5~50重量部、又は25~60重量部、又は30~75重量部、又は70~90重量部の半結晶性ポリオレフィンを含み、半結晶性ポリオレフィンは、ホモポリプロピレン、プロピレンコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、半結晶性ポリオレフィンは、>125℃の融点を有する。
【0053】
半結晶性プロピレンコポリマーは、エチレン、及び>65mol%、又は>73mol%、又は>85mol%の平均プロピレン含有量を好ましくは有する少なくとも1種のC4~C20α-オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーから誘導された繰り返し単位を有することができる。ポリプロピレンホモポリマーは、好ましくは、>95%、又は>97%若しくはそれ以上のヘプタン不溶分を有する。不溶分含有量は、例えばバルクサンプルを真空オーブン中100℃にて乾燥させ、次いでn-ヘプタン中で1.5時間煮沸することによって測定することができる。その後、サンプルは真空乾燥され、アセトンで濯がれ、真空オーブン中100℃にて乾燥される。%におけるヘプタン不溶分含有量は、100×(真空中で煮沸し乾燥させた後のサンプルの重量)を、n-ヘプタンと合わせる前のサンプルの重量で割ることによって付与される。
【0054】
ポリプロピレンコポリマーは、1~3000dg/分、又は3~200dg/分、又は5~100dg/分、又は10~50dg/分の、230℃及び2.16kgのASTM D1238(B)に従って測定したメルトフローレート(MFR)を有することができる。プロピレンコポリマー中の結晶性は、アイソタクチック配列又はシンジオタクチック配列のいずれかを有するドメインから誘導されうる。半結晶性ポリプロピレンの例には、100~170℃、又は120~150℃、又は140~150℃の範囲にある、示差走査熱量測定法(DSC)分析(ASTM E-794-95)による融点を有する、エチレンとプロピレンとのランダムコポリマーが挙げられる。
【0055】
実施形態では、ブレンドは、ブレンド100部当たり最大100重量部の1種以上の添加剤、例えばポリフェニレンエーテル、無機又は有機フィラー、カーボンブラック、難燃剤、抗酸化剤、UV安定剤、染料及び表面剤を更に含む。
【0056】
HSBC組成物に基づくTPEブレンドの調製:HSBC成物は、好適な装置、例えばHenschelミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダーなどを用いて、他の成分とブレンドすることができる。最終ブレンドは、一軸押出機又は二軸押出機、混練機などの中で、成分又は予備ブレンド成分を混合することによって得ることができる。得られた混合済み及び溶融済みブレンドはまた、ペレット化もされうる。
【0057】
TPEブレンドの性質:実施形態では、TPEブレンドは、短ジブロックを有するHSBC組成物で、油を含まずフタレートを含まず、パラフィン系油及び/又はフタレート等の添加剤への必要性を不要にすることで特徴づけられる。TPEブレンドは、良好な弾性及び流れ性を有するとして特徴づけられる。それらはまた、良好な抗浸出性も有し、強度及び弾性、例えば低い圧縮永久ひずみの点で良好な機械的性能を示す。実施形態では、TPEブレンドは、ASTM D395に従って70℃での圧力24時間後に測定して、<40%、又は<50%、又は<40%、又は0~30%、又は10~40%、又は20~30%の圧縮永久ひずみを有する。
【0058】
実施形態では、TPEブレンドは、YBB00042005に従った処理の後、波長220nm~360nmの吸光度によって測定して、<0.1%、又は<0.05%、又は<0.005%の低い抽出物のレベルを有する。
【0059】
溶融加工を可能にするために、TPEブレンドの見かけ粘度は、キャピラリーレオメトリーによって5000/秒の剪断速度で200℃にて測定して、<70Pa.s、又は<50Pa.s、又は好ましくは5Pa.s~45Pa.sである。
【0060】
ブレンドの使用:TPEブレンド/化合物は、シート、成型物品、異形押出物品及びフィルムへと加工され、例えば、フォーミング(発泡物品のため)、コーティング、射出成型、押出、共押出、ブロー成型、ホットメルトスプレー、他の材料とのラミネート、圧縮成型及び溶液スプレーなどの既知の技術を用いて物品へと加工されて物品を提供することができる。
【0061】
組成物は、多様な物品、具体的には医療分野で使用されるもの、例えば医療用バッグ、医療用チューブ又は医療用ボトルストッパー、医療用容器及びキャップ、多孔チューブ、多層チューブ及び殺菌性物品、IVバッグ、カテーテル、並びに点滴、輸血、腹膜透析のために使用されるカテーテル、並びにカテーテル治療、例えば血管内カテーテル及びバルーンカテーテル、血液バッグ、合成血管修復用材料、血管サーキット、シリンジ、血液透析器、血液細胞分離セパレーター、体外式模型人工肺、ドレッシング材、並びに体液との接触に持ち込まれる医療装置などを製造するのに使用することができる。チューブは、サイズ、形状又は断面サイズについて特定の制限なしに製造することができ、押出機を用いてダイを通して溶融ブレンドを強制してチューブを形成し、水/空気で冷却される。
【0062】
組成物はまた、自動車又は輸送、タイヤ、シーラント、接着剤、フィルム中のダンピング層、ビルディング、建造物、靴、産業用装置、ヘルスケア、医療装置、スポーツ用器具、グリップ、義肢及び防弾装置における用途を有する物品を製造するのにも使用することができる。
【実施例0063】
以下の試験方法を用いる:
10秒の滞留時間を伴うショアA硬度を、ASTM D2240に従って、6mm厚さのプレート上で測定する。
【0064】
メルトフローレート(MFR)を、ASTM D1238に従って、2.16kgの負荷及び230℃にて測定する。
【0065】
圧縮永久ひずみを、ASTM D395 Method Bによって測定する。表2に示したように、特定の温度にて特定の時間、サンプルを25%、そうでなければ特定しただけ圧縮する。材料を標準条件にて30分間回復させた後の非回復ひずみの百分率として、圧縮永久ひずみを取る。試験片:圧力成型サンプルについては、直径13mm、厚さ6mm、かつ射出成型サンプルについては6.3mm。
【0066】
殺菌を、121℃にて30分間、オートクレーブ内で実施する。
【0067】
圧縮永久ひずみの測定中のブリードアウトは、圧縮永久ひずみ試験中に試験片の下に1枚の吸収紙を置くことによって実施する。試験後の目視検査は、ポリマー化合物又はニートポリマーのブリーディング(紙の脱色から見られる)か非ブリーディングかを示すことになる。
【0068】
引張強度、300%伸びでの係数及び破断伸びを、ISO-37に従って、クランプ間の距離35mm、伸び計間の距離20mm、試験前の前負荷0.5N、前負荷までの速度上昇50mm/分、試験速度500mm/分で測定する。試験は、23℃及び50%の相対湿度で条件付けた部屋の中で実施する。
【0069】
抽出物は、YBB00042005標準に従って決定する。
【0070】
キャピラリーレオメトリー粘度は、5000/秒の適用剪断速度、ダイ直径1mm及びダイ長さ20mmにて、Pa.sにおける見かけ粘度として、HSBC組成物については230℃にて、及びTPEブレンドについては200℃にて測定する。
【0071】
TPEブレンドに対するUV吸光度測定は、0.45μmフィルター膜で試験溶液をフィルタリングして実施し、分光光度法に従って試験を行う(中国の薬局方(2000年)、カラム2、付録IV A)。220nm~360nmの最大吸光度は、0.10%以下である。TPEブレンドは、シートサンプルへと射出成型する。総表面積200cm2のサンプルを回収し、フラスコ中400mlの水に浸し、5分間煮沸することによって、試験溶液を調製する。冷却後、各回400mlの水で5回濯ぐ。サンプルを円錐型フラスコに移し、400mlの水を添加し、フラスコをオートクレーブ中に載置し、30分以内で121±2℃に加熱する。この温度で30分間保持し、20~30分以内で室温に冷却し、溶液を取り出す。
【0072】
実施例で使用する成分には、以下が挙げられる:
(a1)は、成分(a)ブロックコポリマーの例であり、これは、水素化の前にポリブタジエン単位中に30重量%の補正1,4ジエン単位含有量、並びに235kg/molのMp及び33重量%の総スチレン含有量を有する、選択的に水素化されたスチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーである。
【0073】
(a2)は、成分(a)ブロックコポリマーの例であり、これは、水素化の前にポリブタジエン単位中に30重量%の補正1,4ジエン単位含有量、並びに382kg/molのMp及び34重量%の総スチレン含有量を有する、選択的に水素化されたスチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーである。
【0074】
表1中の(b1~b8)は、成分(b)コポリマー、水素化の前に、異なる分子量(Mp’s)のポリスチレン(PS)ブロック、水素化ジブロック(HSBC)、スチレン含有量及び補正1,4単位含有量をポリブタジエン単位中に有する、選択的に水素化されたスチレン-ブタジエンジブロックコポリマーの例である。
【0075】
【0076】
(p1)は、11dg/分のMFR(230℃及び2.16kg)、並びに130℃のビカット軟化温度(A50試験方法)を有する半結晶性ポリプロピレン(PP)コポリマーである。
【0077】
(a3)は、33重量%ポリスチレン含有量、及び水素化の前の重合共役ジエン単位中の61重量%の補正1,4-ブタジエン単位含有量を有し、Mp=280kg/molを有する、水素化S-B-Sである。
【0078】
(y1)は、Mp5.3kg/mol、水素化の前の重合共役ジエン中の62重量%の補正1,4-ブタジエン単位含有量を有する水素化ポリブタジエンである。
【0079】
(p2)は、MFR5dg/分及び162℃の融点を有するポリプロピレンホモポリマーである。
【0080】
(p3)は、MFR4dg/分、及び141℃の溶融温度(ISO3146)、及び120℃のVicat A50(ISO306)を有するポリプロピレンランダム異相コポリマーである。
【0081】
(p4)は、5dg/分のMFR(190℃、2.16kg)、及び35℃の融点を有するポリオレフィンエラストマー結晶性エチレン-ブチレンコポリマーである。
【0082】
(i1)は、抗抽出性を有する第1のフェノール系抗酸化剤であり、(i2)は、第2の加水分解的に安定な亜リン酸エステル抗酸化剤である。
【0083】
組成物とブレンドとを、ミキシングBrabender中50rpmで、230℃にて5分間、合わせた。得られた組成物及びブレンドを230℃にて10分間プレスして、プレートを形成し、続いて圧力下で冷却させた。表2は、調製したHSBC組成物及びブレンドを示す。表3は、HSBC組成物及びブレンドについての試験結果を列挙している。
【0084】
【0085】
【0086】
実施例1~4は、熱可塑性加工性、70℃での驚くほど低い圧縮永久ひずみ、きわめて低い抽出物、及び様々な用途に好適である良好な機械的性質及び中程度の硬度に加えて、圧縮永久ひずみ試験中にブリードアウトがないことを示す。低含有量のポリプロピレンランダムコポリマーを有する実施例1及び2は、>70℃及びより高い硬度にて優れた加工性及び改善した弾性を明示する。
【0087】
ブレンドはまた、それらの性能を、表2に示すブレンドの性能と比較するためにも作製した。 結果を表4に示す。
【0088】
【0089】
表4は、(a1)ブロックコポリマーの使用にもかかわらず、実施例5が70℃にて>40%の圧縮永久ひずみを呈することを示す。実施例6は、70℃にて30%の低い圧縮永久ひずみをもたらすが、圧縮永久ひずみ試験中に、所望されないブリードアウトを呈する。
【0090】
表5は、化合物(a1)+(b1)+PPに対するPP含有量の効果を示す。比(a1):(b1)は2:1であった。30%の(p1)を有するブレンドは、高い硬度及びCS70>40%を有した。
【0091】
【0092】
表6は、TPEブレンド(実施例11~14)である。(p1)ポリプロピレンとの、1:2~4:1と多様な100部の(a1):(b2)を有するブレンドは、CS70と硬度との優れた組み合わせを示す。全てのブレンドが、所望のCS70、硬度及び低いUV吸光度を示す。
【0093】
【0094】
表7は、多様なPPのタイプ及び量と組み合わせた、1:2~2:1と多様な比(a1):(b2)を有する更なるTPEブレンド(実施例19~24)である。全ての組成物がきわめて低いUV吸光度を示す。
【0095】
【0096】
表8は、a1/b6粘度とほとんど同じである7.5%(p1)を有するブレンド32(24.3Pa.s)の粘度を有する更なるTPEブレンドを示す。いくつかの用途のための溶融加工を可能にするために、230℃及び5000/秒の剪断速度で測定した見かけ粘度は、<70Pa.s、好ましくは<50Pa.sであるべきである。
【0097】
【0098】
実施例34~44:実験の設計を、(b8)及び(p1)、並びに0.02重量%(i1)及び0.02重量%(i2)と含有量が多様な100phrベースポリマー(a1)に基づく配合率で、達成可能な性質を更に調べるためにセットアップした。化合物を、共回転する二軸押出機において200℃にて製造し、続いて200℃にて6.3mmの試験プレートに射出成型して、5000/秒の剪断速度で200℃にて、硬度、殺菌前及び殺菌後の圧縮永久ひずみ、並びに見かけ粘度を測定した。
【0099】
【0100】
80ショアAに近い硬度を有するブレンドを除くほとんどの実施例が、70℃にて、40%未満の、硬度と圧縮永久ひずみ値との魅力的なバランスを示す。このデータセットから、更なる試験のために、異なる用途に必要とされる特定の試験方法により、CS70と硬度とに基づいて、かつ最終使用領域に応じて、製剤番号37、39、41及び43を選択した。実施例43は、UV吸光度<0.1%、低い浸透力、70℃での低い圧縮永久ひずみ(殺菌後)、低い硬度及び優れた加工性(200℃及び剪断速度5000/秒にて32.7Pa.sの粘度)を伴う性質の最良の組み合わせを示す。
【0101】
試験方法YBB-00042005/YBB-00332004、CP TPE method 2021及びUSP381のうちの任意のものによるIVストッパー試験では、ブレンドは、<0.1%UV吸収(吸光度220~360nm)の抽出物の量を示し、殺菌の前及び後に、漏れ、フォールアウト、針を抜いた後の液体オーバフローなしで、静的スパイク保持能力を通過した(0.5kg&4時間)。70℃及び24時間での圧縮永久ひずみ値は、30~35%の予期した範囲内であった(DIN ISO815-1)。ショアA硬度の性質はまた、IVストッパーについて30~60の範囲内にあった(DIN ISO7619-1)。浸透力は、200Nのスペック値を下回り(ISO15759)、いくつかの実施例では<100Nさえも下回り、又は75N(YBB-00042005/YBB-00332004/CP TPE method 2021)の平均で80Nのスペック値を下回った。保持力は、試験方法YBB-00042005、YBB-00332004、CP TPE method 2021又はISO15759によって15Nのスペック値を上回った。ブレンドはまた、5~100Pa.sの範囲にある粘度で流れ性試験を通過した(1000~10000(1/秒)の剪断粘度を伴う射出成型サンプル、230℃)。ISO15759/USP381 methodによる崩壊測定試験に関して、サンプルは、<20個の粒子(>150μm)、又は<10個の粒子(>50μm)、又は<=7個の粒子(>=50μm)、又は<=5個の粒子(>50μm)を示す。
【0102】
USP381/USP382 methodに対する試験を含むバイアルストッパー評価についても同様に、サンプルは、抽出性試験を<=0.2%で、<10Nのスペック値を下回る浸透力、70℃及び22時間での30~35%の圧縮永久ひずみ値で通過し、かつ5~100Pa.sの範囲にある粘度で流れ性試験を通過した。ショアA硬度の性質もまた、バイアルストッパーについて30~40の範囲内にあった(DIN ISO7619-1)。崩壊測定試験(USP381/USP382 method)では、サンプルは、<5個の粒子(>50μm)、又は<5個の粒子(>150μm)を示す。
【0103】
本明細書で使用するとき、用語「含む」は、この用語に続いて規定されている要素又は工程を含むことを意味するが、任意のこのような要素又は工程は網羅的なわけではなく、一実施形態は、他の要素又は工程を含むことができる。用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」が様々な態様を記載するのに本明細書で使用されてきたが、用語「から本質的になる」及び「からなる」は、「含む(comprising)」及び「含む(including)」の場所で使用され得て本開示のより特定の態様を提供し、それらもまた開示されている。