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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038130
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】情報通信装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20220303BHJP
   H01Q 21/28 20060101ALI20220303BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20220303BHJP
   H01Q 9/40 20060101ALN20220303BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H01Q21/28
H04B1/38
H01Q9/40
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020142457
(22)【出願日】2020-08-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】393010318
【氏名又は名称】エレコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】特許業務法人 クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷川 篤
【テーマコード(参考)】
5J021
5J047
5K011
【Fターム(参考)】
5J021AA02
5J021AA11
5J021AB02
5J021HA10
5J047AA02
5J047AA12
5J047AB06
5J047EF05
5K011AA06
5K011KA04
5K011KA13
(57)【要約】
【課題】無線通信用のアンテナ素子を本体ユニットのケーシングに最適配置させることで、好適に通信を行うことができる情報通信装置を提供する。
【解決方法】情報通信装置100は、壁Wに少なくとも一部が埋設して設置される本体ユニットと、第1アンテナユニット400と、第2アンテナユニット500と、を含む。本体ユニットの筐体は、フロントカバー200と、リアカバー300とを有し、フロントカバー200は、ハット形状からなり、天面210と、天面210から形成された第1側面220と、第1側面220に対向する第2側面230と、ハット形状のつば部からなる第1側面220に連設された第3面260および第2側面230に連設された第4面270を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に少なくとも一部が埋設して設置される本体ユニットと、
第1アンテナユニットと、
第2アンテナユニットと、を含み、
前記本体ユニットの筐体は、フロントカバーと、リアカバーとを有し、
前記フロントカバーは、ハット形状からなり、天面と、前記天面から形成された第1面と、前記第1面に対向する第2面と、前記ハット形状のつば部からなる前記第1面に連設された第3面および前記第2面に連設された第4面を有し、
前記第1面および前記第2面の両外側にそれぞれ、間隙を有した状態で前記第1アンテナユニットおよび前記第2アンテナユニットが前記第3面および前記第4面に設けられた、情報通信装置。
【請求項2】
前記本体ユニット内に設けられるアンテナ制御部を、さらに含み、
前記第1アンテナユニットは、
第1アンテナ素子と、
前記第1アンテナ素子を保持する第1アンテナホルダーと、を含み、
前記第2アンテナユニットは、
第2アンテナ素子と、
前記第2アンテナ素子を保持する第2アンテナホルダーと、を含み、
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、前記本体ユニットの前記第3面および前記第4面に設けられた孔部を介して前記アンテナ制御部に接続された、請求項1記載の情報通信装置。
【請求項3】
前記天面は、天面視において、アルファベット文字のI形状からなり、前記第3面および前記第4面は、前記天面のI形状の凹部にそれぞれ形成され、前記天面のI形状の第1側部面と、前記第1アンテナユニットの外周とが面一に形成され、前記天面のI形状の第2側部面と、前記第2アンテナユニットの外周とが面一に形成された、請求項1または2記載の情報通信装置。
【請求項4】
前記第1アンテナ素子は、矩形状の平板部材からなり、前記第1アンテナホルダーは、前記第1アンテナ素子を収容する矩形状の凹部を有し、
前記第2アンテナ素子は、矩形状の平板部材からなり、前記第2アンテナホルダーは、前記第2アンテナ素子を収容する矩形状の凹部を有し、
前記第1アンテナユニットおよび前記第2アンテナユニットは、前記フロントカバーに脱着可能に形成され、
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、脱着に応じて前記アンテナ制御部と脱着可能に設けられた、請求項2に記載の情報通信装置。
【請求項5】
前記フロントカバーの前記天面には、有線LAN用モジュラーアダプタおよび電話回線用モジュラーアダプタの少なくとも一方が形成された、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報通信装置。
【請求項6】
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、それぞれ独立して前記壁の面から突出するように配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載の情報通信装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内で通信を行うための情報通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末のようなモバイル通信端末を用いて室内などで通信を行うために情報通信装置が室内の壁面などに埋め込み設置されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2016-021617号公報)には、無線LANを行う情報通信ユニットにおいて、コンセント部へ埋設状態で設置可能なケーシング内に複数のアンテナ素子を配置するにあたり、夫々のアンテナ素子における送受信波の相互干渉を良好に抑制し、安定且つ広範囲とした無線LAN通信が記載されている。
【0004】
特許文献1に記載の情報通信ユニットは、ケーシングが、外部に露出される表示面部と、当該表示面部の外縁部から後方に延出しコンセント部に内挿される内挿部とを有し、複数のアンテナ素子の夫々が、ケーシングの内壁面に沿う板状に形成されていると共に、内挿部の内壁面において表示面部の後方側内部空間を挟んで離間する位置に分配配置されているものである。
【0005】
特許文献2(特開2013-157738号公報)には、無線LAN接続と有線LAN接続とを同時に可能としながら、情報コンセントに取り付けた状態で嵩張らないようにする情報通信ユニットが記載されている。
【0006】
特許文献2に記載の情報通信ユニットは、WAN側と接続する第1接続部と、商用電源線を接続する電源接続部と、第1接続部を通す情報データを、外部の情報端末装置と送受信可能な無線送受信部と、電源接続部からの交流電気を直流電気に変換して無線送受信部に供給するコンバータと、LAN側の通信ケーブルを接続する第2接続部とを、ユニット本体に一体に設け、ユニット本体は、設置対象部に設けられている情報コンセントに埋設可能に構成してあると共に、情報コンセントに埋設した状態で、第1接続部とコンバータとが、情報コンセントの表面板の面方向に隣合うように構成してあるものである。
【0007】
特許文献3(2004-15731号公報)には、宅内での使用において交換が容易であり安価な無線ユニットが記載されている。
【0008】
特許文献3に記載の無線ユニットは、宅内の各部屋に配置されるLANコンセントに先行配線で接続されて有線LANを構築するLANユニットとともに住宅情報盤に収容され、商用電源からの交流電力を直流電力に変換するAC-DC変換部を電源として駆動する無線ユニットが記載されている。無線ユニットは、有線I/F部、アンテナ、アンテナ切換スイッチ、RF部、ベースバンドMAC処理部、無線-有線プロトコル変換部により構成され、有線LANに無線機能を付加するものである。
【0009】
特許文献4(特開2006-050564号公報)には、統合有線及び無線LANアクセスウォールプレートを設けるためのシステム及び方法が記載されている。
【0010】
特許文献4に記載の装置は、ローカルネットワークからアクセスポイントに延びるケーブルを通じてローカルネットワークに連結されたアクセスポイントを含むものである。アクセスポイントは、それが装置のハウジングの内部空洞の内側に配置されるようなサイズと形状を有する。ハウジングは、アクセスポイントが表面の外側にあるようなある一定の表面に取り付けることが可能である。
【0011】
特許文献5(特開2018-11166号公報)には、コンセント部等の設置面に埋設して設置される本体ユニットを備えた情報通信装置において、無線通信用のアンテナ素子を設けるにあたり、アンテナ素子の配置の自由度を向上して、安定且つ広範囲の無線通信を確立すると共に、無線通信規格の変更に簡単に対応可能とする情報通信装置が記載されている。
【0012】
特許文献5に記載の情報通信装置は、設置面に埋設して設置される本体ユニットを備え、アンテナ素子を駆動して無線信号の送受信を行うことで、外部の情報通信端末との間で無線通信を行う情報通信装置であって、設置面に埋設して設置された埋設設置状態の本体ユニットに対して着脱可能に構成され、アンテナ素子が設けられたアンテナユニットを備え、アンテナユニットを本体ユニットに装着した装着状態において、アンテナ素子が本体ユニット側に接続されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2016-021617号公報
【特許文献2】特開2013-157738号公報
【特許文献3】特開2004-015731号公報
【特許文献4】特開2006-050564号公報
【特許文献5】特開2018-011166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のような従来の情報通信装置において、安定且つ広範囲の無線通信を確立するためには、アンテナ素子を送受信波の相互干渉が十分に抑制される状態で配置する必要がある。
【0015】
また、無線LANの周波数帯域または通信距離などに応じて、アンテナ素子の指向性、送受信強度などの無線通信規格が存在する。しかし、従来の情報通信装置により無線通信規格の仕様に対応するためには、各仕様に適した複数種のアンテナ素子を備える必要があった。
しかしながら、設置面に埋設して設置される本体ユニットにアンテナ素子を内蔵する構成では、アンテナ素子の設置範囲、サイズおよび形状が限定されており、アンテナ素子をどのように配置するか、重要な問題である。
【0016】
本発明の目的は、無線通信用のアンテナ素子を本体ユニットのケーシングに最適配置させることで、好適に通信を行うことができる情報通信装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、無線通信用のアンテナ素子を本体ユニットのケーシングに最適配置させることで、熱影響による通信劣化を抑止し、好適に通信を行うことができ、さらに無線通信用のアンテナ素子を無線通信規格の仕様変更に簡単に対応でき、また構造も簡略な情報通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)
一局面に従う情報通信装置は、壁に少なくとも一部が埋設して設置される本体ユニットと、第1アンテナユニットと、第2アンテナユニットと、を含む。本体ユニットの筐体は、フロントカバーと、リアカバーとを有し、フロントカバーは、ハット形状からなり、天面と、天面から形成された第1面と、第1面に対向する第2面と、ハット形状のつば部からなる第1面に連設された第3面および第2面に連設された第4面を有する。第1面および第2面の両外側にそれぞれ、間隙を有した状態で第1アンテナユニットおよび第2アンテナユニットが第3面および第4面に設けられたものである。
【0018】
この場合、第1アンテナユニットと、第2アンテナユニットとの距離を最大にすることができるため、通信性能を向上させることができる。また、フロントカバーの外側に間隙を設けて第1アンテナユニットおよび第2アンテナユニットを配置することができるので、無線通信規格の仕様変更に簡単に対応することができる。
また、フロントカバーおよびリアカバーの外側に第1アンテナユニットおよび第2アンテナユニットが設けられるので、フロントカバーおよびリアカバーの外側面と、第1アンテナユニットおよび第2アンテナユニットとの間に空気層の断熱空間が形成されるため、フロントカバーおよびリアカバー内の熱による影響を抑止することができ、熱影響による第1アンテナユニットおよび第2アンテナユニットの通信低下を防止することができる。
【0019】
(2)
第2の発明にかかる情報通信装置は、一局面に従う情報通信装置において、本体ユニット内に設けられるアンテナ制御部を、さらに含む。第1アンテナユニットは、第1アンテナ素子と、第1アンテナ素子を保持する第1アンテナホルダーと、を含む。第2アンテナユニットは、第2アンテナ素子と、第2アンテナ素子を保持する第2アンテナホルダーと、を含む。第1アンテナ素子および第2アンテナ素子は、本体ユニットの第3面および第4面に設けられた孔部を介してアンテナ制御部に接続されてもよい。
【0020】
この場合、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子は、それぞれアンテナホルダーに保護されるとともに、フロントカバーの第3面および第4面に設けられた孔部を介してアンテナ制御部に接続することができる。
また、孔部を介して接続されているため、フロントカバーおよびリアカバー内の熱の影響をより抑制することができ、熱影響による第1アンテナユニットおよび第2アンテナユニットの通信低下を防止することができる。
【0021】
(3)
第3の発明にかかる情報通信装置は、一局面または第2の発明にかかる情報通信装置において、天面は、天面視において、アルファベット文字のI形状からなり、第3面および第4面は、天面のI形状の凹部にそれぞれ形成され、天面のI形状の第1側部面と、第1アンテナユニットの外周とが面一に形成され、天面のI形状の第2側部面と、第2アンテナユニットの外周とが面一に形成されてもよい。
【0022】
この場合、天面視において、情報通信装置の天面周辺を矩形状に形成することができる。その結果、壁に埋め込んだ場合に、規格に応じたカバーの矩形状孔に、情報通信装置の天面を取り付けることができる。
【0023】
(4)
第4の発明にかかる情報通信装置は、第2の発明にかかる情報通信装置において、第1アンテナ素子は、矩形状の平板部材からなり、第1アンテナホルダーは、第1アンテナ素子を収容する矩形状の凹部を有する。第2アンテナ素子は、矩形状の平板部材からなり、第2アンテナホルダーは、第2アンテナ素子を収容する矩形状の凹部を有する。第1アンテナユニットおよび第2アンテナユニットは、フロントカバーに脱着可能に形成される。第1アンテナ素子および第2アンテナ素子は、脱着に応じてアンテナ制御部と脱着可能に設けられてもよい。
【0024】
この場合、第1アンテナホルダーの凹部により、第1アンテナ素子の少なくとも端部および平板の一面を保護することができる。
また、第2アンテナホルダーの凹部により、第2アンテナ素子の少なくとも端部および平板の一面を保護することができる。
さらに、第1アンテナユニットおよび第2アンテナユニットをフロントカバー側から自在に脱着することができる。
【0025】
(5)
第5の発明にかかる情報通信装置は、一局面から第4の発明にかかる情報通信装置において、フロントカバーの天面には、有線LAN用モジュラーアダプタおよび電話回線用モジュラーアダプタの少なくとも一方が形成されてもよい。
【0026】
この場合、フロントカバーの天面に、有線LAN用モジュラーアダプタおよび電話回線用モジュラーアダプタの少なくとも一方が形成されるので、情報通信装置が壁に埋め込まれた場合においても、容易に接続を行うことができる。
【0027】
(6)
第6の発明にかかる情報通信装置は、一局面から第5の発明にかかる情報通信装置において、第1アンテナ素子および第2アンテナ素子は、それぞれ独立して壁の面から突出するように配置されてもよい。
【0028】
第1アンテナ素子および第2アンテナ素子は、それぞれ独立して配置され、かつ壁内に埋設されず壁面から独立して突出するように配置されるため、電波の放射効率が高い情報通信装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施の形態にかかる情報通信装置の一例を示す模式図である。
図2図1のフロントカバーの一例を示す模式図である。
図3】フロントカバーおよび第1アンテナユニットおよび第2アンテナユニットの構造の一例を示す模式図である。
図4】第1アンテナユニットおよび第2アンテナユニットの構造の一例を示す模式図である。
図5】情報通信装置を壁Wに埋設した一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0031】
図1は、本実施の形態にかかる情報通信装置100の一例を示す模式図である。
【0032】
図1に示すように、情報通信装置100は、主にフロントカバー200、リアカバー300、第1アンテナユニット400、第2アンテナユニット500、制御基板600(図示しない)、有線LAN用モジュラーアダプタ720、電話回線用モジュラーアダプタ710、電源スライドスイッチ730、ルータブリッジ切替えスイッチ740(図5参照)および複数のLED750を含む。
図1に示す情報通信装置100は、壁に少なくとも一部が埋設して設置される本体ユニットを含み、本体ユニットの筐体は、フロントカバー200と、リアカバー300とを有する。主にフロントカバー200およびリアカバー300における内部に空間が形成されており、当該空間に電子部品が搭載される制御基板600等が収容されている。
【0033】
(フロントカバー200)
図2は、図1のフロントカバー200の一例を示す模式図であり、図3は、フロントカバー200および第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500の構造の一例を示す模式図である。
【0034】
図1から図3に示すように、フロントカバー200は、絶縁性に優れた合成樹脂の成形品で形成され、断面形状が全体としてハット形状からなる。フロントカバー200は、主に、天面210、第1側面220、第2側面230、上面240、下面250、第3面260、第4面270、第5側面280および第6側面290から構成される。
【0035】
本実施の形態においては、天面210は、アルファベットI文字形状からなる。また、上面240は、凸形状からなり、アルファベットI形状の上部分に連通して垂直面として形成される。下面250は、凸形状からなり、アルファベットI形状の下部分に連通して垂直面として形成される。すなわち、上面240および下面250の凸形状の上側の部分に、天面210が連通して形成される。
次に、天面210のアルファベットI文字形状の側部分に、それぞれ、第1側面220および第2側面230が連通して垂直面として形成される。また、第1側面220の一部には凹部221が形成され、第2側面230の一部には凹部231が形成される(図3参照)。
【0036】
続いて、上面240および下面250の凸形状の段差の平坦部に、第3面260および第4面270がそれぞれ連通して形成される。また、図2に示すように、第3面260および第4面270には凹部が形成されており、第3凹面261および第4凹面271が形成される。第3凹面261および第4凹面271は、後述する第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500の底面よりも大きな大きさで形成される。そして、図3に示すように、第3凹面261および第4凹面271には、後述する第1アンテナユニット400の複数のリブ431に対応した孔Hと、接続部451に対応した孔CHとが形成される。
【0037】
また、第3面260は、第1側面220から90度曲がって連通した面として形成され、第4面270は、第2側面230から90度曲がって連通した面として形成される。
【0038】
最後に、上面240および下面250の凸形状の段差の下側部分に、第5側面280および第6側面290(図示しない)がそれぞれ形成される。第5側面280は、第3面260から90度曲がって連通した面として形成され、第6側面290は、第4面270から90度曲がって連通した面として形成される。
【0039】
また、天面210には、有線LAN用モジュラーアダプタ720用の開口部が設けられる。さらに、天面210には、電話回線用モジュラーアダプタ710の開口部が設けられる。また、電源スライドスイッチ730および複数のLED750が設けられる。
さらに、第2側面230には、ルータブリッジ切替えスイッチ740が設けられる(図5参照)。
【0040】
(フロントカバー200の天面210のアルファベットI文字形状について)
図3に示すように、天面210はアルファベットI文字形状からなる。アルファベットI文字形状は、上面240、第1側面220の一部、凹部221、第1側面220の他部、下面250、第2側面230の一部、凹部231、第2側面230の他部により形成される。
【0041】
(リアカバー300)
図1に示すように、リアカバー300は、フロントカバー200と係合するように形成されている。また、リアカバー300は、電波シールド性が高いことが好ましく、例えば、金属または金属と樹脂との組合せからなる。さらにリアカバー300は、伝熱性に優れたアルミニウム等のダイキャストからなることが好ましい。
【0042】
また、図1に示すように、リアカバー300の側面には、複数の溝が形成されている。複数の溝を形成することにより、リアカバー300の側面の外表面積を増加させて、放熱効果を最大限に発揮させるためである。
【0043】
(第1アンテナユニット400)
次いで、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500について説明を行う。図4は、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500の構造の一例を示す模式図である。
【0044】
図4に示すように、第1アンテナユニット400は、第1アンテナ素子410および第1アンテナホルダー420からなる。第1アンテナ素子410は、平板形状の金属板から形成することができる。第1アンテナ素子410の表面には、絶縁膜が形成されていることが望ましい。
また、第1アンテナ素子410には、制御基板600と接続するための接続部451が設けられている。接続部451は金属製ピンなどから構成され、第1アンテナ素子410に接続されている。
【0045】
また、図4に示すように、第1アンテナホルダー420は、断面がアルファベットの文字L字形状からなる。第1アンテナホルダー420は絶縁性プラスチック製品などから構成することができる。第1アンテナホルダー420の底側には、フロントカバー200に形成された孔Hと嵌合する複数のリブ431が形成される。本実施形態では、第1アンテナホルダー420は背面部と、背面部から直交して外側へ延設された底面部とを有し、底面部の一端側に2本のリブ431が一体に設けられ、底面部の他端部に1本のリブ431が一体に設けられている。第1アンテナホルダー420をフロントカバー200に安定して取り付けることができる限り、リブ431の本数および位置は任意である。なお、リブ431により第1アンテナホルダー420をフロントカバー200に固定する強度維持、および逆挿禁止形状であることが望ましい。
第1アンテナ素子410に設けた接続部451は、第1アンテナホルダー420の底部に設けた複数本のリブ431の間に配置されるように設けることが好ましい。このように構成することにより、第1アンテナユニット400の複数のリブ431を第3凹面261に形成した孔Hに通す作業、および接続部451を孔CHに通す作業が容易に行え、また接続部451を基板へ接続する信頼性が向上する。
第1アンテナユニット400に設けた複数のリブ431、および第3凹面261に形成した孔Hのサイズは適宜設定することができる。また、接続部451と孔CHのサイズも適宜設定することができる。通常は、接続部451を孔CHに容易に挿入できるよう、接続部451の外径は孔CHの内径に比して小さく設定されている。
また、第1アンテナホルダー420の背面の一部には、凹部430が形成されている。凹部430は、第1アンテナ素子410を収容することができる大きさで形成されている。
したがって、図4に示すように、第1アンテナ素子410が第1アンテナホルダー420に矢印の方向に収容されることで、第1アンテナユニット400が形成される。第1アンテナ素子410は、第1アンテナホルダー420の凹部430に嵌合することにより取り付けてもよく、あるいは第1アンテナホルダー420の背面に接着剤を用いて接着させてもよい。
【0046】
(第2アンテナユニット500)
次に、第2アンテナユニット500は、第1アンテナユニット400と構造的には同じであるが、対称形状からなる。第2アンテナユニット500は、第2アンテナ素子510および第2アンテナホルダー520からなる。第2アンテナ素子510は、平板形状の金属板からなる。第2アンテナ素子510の表面には、絶縁膜が形成されていることが望ましい。
また、第2アンテナ素子510には、制御基板600と接続するための接続部551が設けられている。
【0047】
また、第2アンテナホルダー520は、断面がアルファベットの文字逆L字形状からなる。第2アンテナホルダー520の底側には、フロントカバー200に形成された孔Hと嵌合する複数のリブ531が形成される。また、第2アンテナホルダー520の背面の一部には、凹部530が形成されている。凹部530は、第2アンテナ素子510を収容することができる大きさで形成されている。
したがって、第2アンテナ素子510が第2アンテナホルダー520に収容されることで、第2アンテナユニット500が形成される。
【0048】
(フロントカバー200および第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500の取付構造)
続いて、図3に示すように、第1アンテナユニット400をフロントカバー200の第3凹面261に矢印の方向に取り付け、第2アンテナユニット500を第4凹面271に矢印の方向に取り付ける。
その結果、第1アンテナユニット400の接続部451および第2アンテナユニットの接続部551が、孔CHを介して、制御基板600と接続される。また、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500の複数のリブ431およびリブ531が孔Hに嵌合することで、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500が固定される。
また、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500の規格が変更された場合であっても、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500を新たな規格のアンテナユニットに変更することで規格対応を容易に行うことができる。
【0049】
なお、本実施の形態においては、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500側に接続部451、接続部551を設けることとしているが、これに限定されず、制御基板600側から接続部を形成して孔CHから突出させ、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500側に、当該接続部と接続可能な部材を別途設ける構成にしてもよい。
【0050】
(間隙)
続いて、図2に示すように、第1アンテナユニット400およびフロントカバー200の第1側面220の間には、間隙L1が形成される。すなわち、第1アンテナユニット400と第1側面220とが、対向した状態で形成される。同様に、第2アンテナユニット500およびフロントカバー200の第2側面230の間には、間隙L2が形成れる。なお、間隙L1および間隙L2は、同じ値であってもよく、異なる値であってもよい。本実施の形態においては、間隙L1および間隙L2は、同じ値からなる。具体的には、間隙L1および間隙L2は、0.2mm以上3.0mm以下の範囲内であることが好ましく、0.5mm以上2.0mm以下の範囲内であることがより好ましい。本実施の形態においては、1mmとして設計している。
【0051】
なお、情報通信装置100の通信特性は、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500の距離に影響される。本実施の形態においては、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500の距離は、波長に合わせた間隔であることが好ましい。具体的には、2.4GHz(λ=12cm)/5GHz(λ=3cm)の波長に合わせた間隔であることが好ましい。
【0052】
この間隙L1および間隙L2を設けることにより、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500の熱影響による通信劣化を防止することができる。すなわち、第1側面220および第2側面230の面内に、フロントカバー200およびリアカバー300の内部の空気を外側へ逃がすための通気孔等を形成した場合、制御基板600側からの熱の影響を受けることとなる。しかしながら、本実施の形態においては、第1側面220および第2側面230に通気孔などを設けないため、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500の熱影響による通信劣化を防止することができる。
また、第1アンテナユニット400の底面部がフロントカバー200の第3凹面261に接続され、第1アンテナユニット400の底面部以外はフロントカバー200に接触していないことにより、フロントカバー200からの熱が第1アンテナユニット400に保持された第1アンテナ素子410に伝達することが抑制される。
また、第1アンテナユニット400とフロントカバー200の第1側面220および凹部221との間に空気層の断熱空間が形成される。特に、間隙L1および間隙L2が鉛直方向に長く形成され、間隙L1および間隙L2が室内側に開口していることにより、間隙L1および間隙L2内の空気は対流して室内側へ移動するため第1アンテナ素子410が高温になることを防止できる。
また、第2アンテナユニット500においても、第1アンテナユニット400と同様の作用を有するため説明を省略する。
【0053】
(情報通信装置100を壁に取り付けた例について)
図5は、情報通信装置100を壁Wに埋設した一例を示す模式図である。
【0054】
図5に示すように、壁Wに形成された矩形状の開口を塞ぐよう、壁Wにカバー900が取り付けられており、情報通信装置100は、矩形状の孔が形成されたカバー900により壁Wに設置される。また、情報通信装置100のフロントカバー200の一部、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500の一部がカバー900表面から室内側へ突出するように設けられる。この場合、フロントカバー200のアルファベットI文字形状の凹部221、凹部231に第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500が取り付けられているため、第1側面220と、第1アンテナユニット400の外側面とが面一に形成され、第2側面230と、第2アンテナユニット500の外側面とが面一に形成される。その結果、カバー900の矩形状の孔に情報通信装置100を挿入させることができる。
すなわち、第1側面220の延長面と、第1アンテナユニット400の外側面の延長面とが実質的に一致し、第2側面230の延長面と、第2アンテナユニット500の外側面の延長面とが実質的に一致している。その結果、カバー900の矩形状の孔に情報通信装置100を挿入させることができる。
また、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500の室内側の先端が、フロントカバー200の天面210の延長面と実質的に一致するように、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500の高さが設定されている。
なお、本実施の形態においては、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500がフロントカバー200の天面210と同等としたが、これに限定されず、天面210よりも凹んでいても良い。
【0055】
図5に示すように、情報通信装置100は、壁Wに設けられたカバー900から1mm以上室内側へ突出して設置することができる。また、情報通信装置100の第2側面230に設けられたルータブリッジ切替えスイッチ740の操作を行うことが可能なように設置することができる。
【0056】
その結果、情報通信装置100においては、ルータとブリッジとをハード的に切替えることができるので、ソフト的に制御する場合に生じる通信不能に陥ることを防止することができる。
また、第1アンテナユニット400および第2アンテナユニット500がカバー900の表面から一部露出しているため、気体の流れを室内と同等に維持することができ、情報通信装置100内の熱影響を防止し、通信性能の低下を防止することができる。特に、第1アンテナ素子410および第2アンテナ素子510は、第1アンテナホルダー420および第2アンテナホルダー520に保護されつつ、気流の恩恵を受けることができる。特に、上記したように、間隙L1および間隙L2が鉛直方向に長く形成され、間隙L1および間隙L2が室内側に開口していることにより、間隙L1および間隙L2内の空気は上下方向に良好に対流することになる。
【0057】
以上のように、本発明にかかる情報通信装置100においては、第1アンテナユニット400と、第2アンテナユニット500との距離を最大にすることができるため、通信性能を向上させることができる。また、無線通信規格の仕様変更に簡単に対応することができる。
【0058】
本発明においては、壁Wが「壁」に相当し、フロントカバー200が「フロントカバー」に相当し、リアカバー300が「リアカバー」に相当し、フロントカバー200およびリアカバー300が「本体ユニット」に相当し、第1アンテナユニット400が「第1アンテナユニット」に相当し、第2アンテナユニット500が「第2アンテナユニット」に相当し、天面210が「天面」に相当し、第1側面220が「第1面」に相当し、第2側面230が「第2面」に相当し、第3面260が「第3面」に相当し、第4面270が「第4面」に相当し、間隙L1、L2が「間隙」に相当し、制御基板600が「アンテナ制御部」に相当し、第1アンテナ素子410が「第1アンテナ素子」に相当し、第1アンテナホルダー420が「第1アンテナホルダー」に相当し、第2アンテナ素子510が「第2アンテナ素子」に相当し、第2アンテナホルダー520が「第2アンテナホルダー」に相当し、孔H「孔部」に相当し、凹部430が、「第1アンテナ素子を収容する矩形状の凹部」に相当し、凹部530が、「第2アンテナ素子を収容する矩形状の凹部」に相当し、有線LAN用モジュラーアダプタ720が「有線LAN用モジュラーアダプタ」に相当し、電話回線用モジュラーアダプタ710が「電話回線用モジュラーアダプタ」に相当する。
【0059】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神の範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0060】
100 情報通信装置
200 フロントカバー
210 天面
220 第1側面
230 第2側面
260 第3面
270 第4面
300 リアカバー
400 第1アンテナユニット
410 第1アンテナ素子
420 第1アンテナホルダー
430 凹部
500 第2アンテナユニット
510 第2アンテナ素子
520 第2アンテナホルダー
530 凹部
600 制御基板
710 電話回線用モジュラーアダプタ
720 有線LAN用モジュラーアダプタ
L1、L2 間隙
H 孔
W 壁


図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-12-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に少なくとも一部が埋設して設置される本体ユニットと、
第1アンテナユニットと、
第2アンテナユニットと、
前記本体ユニット内に設けられるアンテナ制御部と、を含み、
前記本体ユニットの筐体は、フロントカバーと、リアカバーとを有し、
前記フロントカバーは、ハット形状からなり、天面と、前記天面から形成された第1面と、前記第1面に対向する第2面と、前記ハット形状のつば部からなる前記第1面に連設された第3面および前記第2面に連設された第4面を有し、
前記第1面および前記第2面の両外側にそれぞれ、間隙を有した状態で前記第1アンテナユニットおよび前記第2アンテナユニットが前記第3面および前記第4面に設けられ
前記第1アンテナユニットは、第1アンテナ素子と、前記第1アンテナ素子を保持する第1アンテナホルダーと、を有し、
前記第2アンテナユニットは、第2アンテナ素子と、前記第2アンテナ素子を保持する第2アンテナホルダーと、を有し、
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、前記本体ユニットの前記第3面および前記第4面に設けられた孔部を介して前記アンテナ制御部に接続された、情報通信装置。
【請求項2】
壁に少なくとも一部が埋設して設置される本体ユニットと、
第1アンテナユニットと、
第2アンテナユニットと、を含み、
前記本体ユニットの筐体は、フロントカバーと、リアカバーとを有し、
前記フロントカバーは、ハット形状からなり、天面と、前記天面から形成された第1面と、前記第1面に対向する第2面と、前記ハット形状のつば部からなる前記第1面に連設された第3面および前記第2面に連設された第4面を有し、
前記第1面および前記第2面の両外側にそれぞれ、間隙を有した状態で前記第1アンテナユニットおよび前記第2アンテナユニットが前記第3面および前記第4面に設けられ、
前記天面は、天面視において、アルファベット文字のI形状からなり、前記第3面および前記第4面は、前記天面のI形状の凹部にそれぞれ形成され、前記天面のI形状の第1側部面と、前記第1アンテナユニットの外周とが面一に形成され、前記天面のI形状の第2側部面と、前記第2アンテナユニットの外周とが面一に形成された、情報通信装置。
【請求項3】
壁に少なくとも一部が埋設して設置される本体ユニットと、
第1アンテナユニットと、
第2アンテナユニットと、
前記本体ユニット内に設けられるアンテナ制御部と、を含み、
前記本体ユニットの筐体は、フロントカバーと、リアカバーとを有し、
前記フロントカバーは、ハット形状からなり、天面と、前記天面から形成された第1面と、前記第1面に対向する第2面と、前記ハット形状のつば部からなる前記第1面に連設された第3面および前記第2面に連設された第4面を有し、
前記第1面および前記第2面の両外側にそれぞれ、間隙を有した状態で前記第1アンテナユニットおよび前記第2アンテナユニットが前記第3面および前記第4面に設けられ、
前記第1アンテナユニットは、第1アンテナ素子と、前記第1アンテナ素子を保持する第1アンテナホルダーと、を有し、
前記第2アンテナユニットは、第2アンテナ素子と、前記第2アンテナ素子を保持する第2アンテナホルダーと、を有し、
前記第1アンテナ素子は、矩形状の平板部材からなり、前記第1アンテナホルダーは、前記第1アンテナ素子を収容する矩形状の凹部を有し、
前記第2アンテナ素子は、矩形状の平板部材からなり、前記第2アンテナホルダーは、前記第2アンテナ素子を収容する矩形状の凹部を有し、
前記第1アンテナユニットおよび前記第2アンテナユニットは、前記フロントカバーに脱着可能に形成され、
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、脱着に応じて前記アンテナ制御部と脱着可能に設けられた、情報通信装置。
【請求項4】
前記フロントカバーの前記天面には、有線LAN用モジュラーアダプタおよび電話回線用モジュラーアダプタの少なくとも一方が形成された、請求項1からのいずれか1項に記載の情報通信装置。
【請求項5】
前記第1アンテナ素子および前記第2アンテナ素子は、それぞれ独立して前記壁の面から突出するように配置される、請求項1からのいずれか1項に記載の情報通信装置。