(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022038955
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】シャッター装置の座板構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
E06B9/17 U
E06B9/17 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020143695
(22)【出願日】2020-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】▲吉田▼ 展行
(57)【要約】
【課題】座板についてのシャッターカーテンの厚さ方向の強度を、必要に応じて調整することができるようになるシャッター装置の座板構造を提供すること。
【解決手段】シャッターカーテン2は、左右両側に配置されたガイドレールに案内されて開閉移動し、このシャッターカーテン2の閉じ側の端部は、座板4となっており、この座板4に、座板4についてのシャッターカーテン2の厚さ方向の強度を大きくするための補強部材20が配置され、この補強部材20は、例えば、補強部材20を保持した保持体21に配置されている第1及び第2押圧手段25,30の当接部材28,33を座板本体13の上面13Bに当接させることにより、座板4に着脱可能となって取り付けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右両側に配置されたガイドレールと、これらのガイドレールに案内されて開閉移動し、閉じ側の端部が座板となっているシャッターカーテンとを含んで構成されるシャッター装置の座板構造であって、
前記座板に、この座板についての前記シャッターカーテンの厚さ方向の強度を大きくするための補強部材が着脱可能となって取り付けられることを特徴とするシャッター装置の座板構造。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッター装置の座板構造において、前記補強部材は、左右方向となっている前記シャッターカーテンの幅方向の長さ寸法を有するとともに、前記シャッターカーテンの厚さ方向の幅寸法を有するものとなっていることを特徴とするシャッター装置の座板構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシャッター装置の座板構造において、前記補強部材は保持体によって保持され、この保持体が前記座板に対して取り付け、取り外し可能となっていることにより、前記補強部材が前記座板に着脱可能となって取り付けられることを特徴とするシャッター装置の座板構造。
【請求項4】
請求項3に記載のシャッター装置の座板構造において、前記保持体は、前記座板の下面を前記シャッターカーテンの厚さ方向に通過する下面部を有するとともに、前記保持体と前記補強部材とのうちの少なくとも一方には、前記座板の前記下面よりも上側の前記座板における面に当接する当接部材が配置され、この当接部材が前記座板の前記下面よりも上側の前記座板における前記面に当接することにより、前記保持体の前記下面部と前記当接部材とにより前記保持体が前記座板に対して取り付け、取り外し可能となっていることを特徴とするシャッター装置の座板構造。
【請求項5】
請求項4に記載のシャッター装置の座板構造において、前記座板の前記下面よりも上側の前記座板における前記面は、前記座板の前記下面と平行又は略平行になっている面であることを特徴とするシャッター装置の座板構造。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のシャッター装置の座板構造において、前記当接部材は、前記保持体と前記補強部材とのうちの前記少なくとも一方に前記座板に向かって進退自在に設けられている進退部材の先端に配置され、前記進退部材が前記座板に向かって前進することにより、前記当接部材が前記座板の前記下面よりも上側の前記座板における前記面に当接することを特徴とするシャッター装置の座板構造。
【請求項7】
請求項4~6のいずれかに記載のシャッター装置の座板構造において、前記保持体は、互いに前記シャッターカーテンの厚さ方向に開閉自在となっている2個の保持部材を含んで構成されていることを特徴とするシャッター装置の座板構造。
【請求項8】
請求項4~6のいずれかに記載のシャッター装置の座板構造において、前記保持体は、前記シャッターカーテンの厚さ方向に弾性的に撓み変形自在となっている板ばねが少なくとも一部に用いられて形成されていることを特徴とするシャッター装置の座板構造。
【請求項9】
請求項1に記載のシャッター装置の座板構造において、前記補強部材は、左右方向となっている前記シャッターカーテンの幅方向に並べられた複数の分割補強片の組み合わせで形成され、これらの分割補強片は分離自在となっていることを特徴とするシャッター装置の座板構造。
【請求項10】
請求項9に記載のシャッター装置の座板構造において、前記複数の分割補強片は、これらの分割補強片による前記補強部材についての前記左右方向の長さ寸法が調整可能となって前記座板に配置されることを特徴とするシャッター装置の座板構造。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のシャッター装置の座板構造において、前記複数の分割補強片のうち、前記左右方向に離れている2個の分割補強片の間に中間の分割補強片が配置され、この中間の分割補強片は、前記2個の分割補強片を前記座板に着脱可能とするために前記左右方向に2個配置されている押圧手段により前記座板に押圧されることを特徴とするシャッター装置の座板構造。
【請求項12】
請求項11に記載のシャッター装置の座板構造において、前記2個の分割補強片のそれぞれは、これらの分割補強片を前記座板に着脱可能とするために前記座板に対して取り付け、取り外し可能となっている保持体により保持され、これらの保持体と、前記2個の分割補強片とのうち、少なくとも一方に前記押圧手段が設けられているとともに、前記保持体は、前記座板の下面を前記シャッターカーテンの厚さ方向に通過する下面部を有し、前記押圧手段は、前記中間の分割補強片に当接して、この中間の分割補強片を前記座板の前記下面よりも上側の前記座板における面に押圧するための当接部材を備えており、この当接部材により前記中間の分割補強片が前記座板の前記下面よりも上側の前記座板における前記面に押圧されることにより、前記保持体の前記下面部と前記中間の分割補強片とにより前記保持体が前記座板に対して取り付け、取り外し可能となっていることを特徴とするシャッター装置の座板構造。
【請求項13】
請求項12に記載のシャッター装置の座板構造において、前記座板の前記下面よりも上側の前記座板における前記面は、前記座板の前記下面と平行又は略平行になっている面であることを特徴とするシャッター装置の座板構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の出入口等に設置されるシャッター装置の座板構造に係り、特に、開閉移動するシャッターカーテンの閉じ側の端部に設けられる座板の強度を調整可能とするための座板構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の出入口等に設置されるシャッター装置は、下記の特許文献1に示されているように、左右両側に配置されたガイドレールと、これらのガイドレールに案内されて開閉移動し、閉じ側の端部が座板となっているシャッターカーテンとを含んで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の出入口等に設置されるシャッター装置では、シャッターカーテンが全閉となっているときに、例えば、台風による強風時において、シャッターカーテンは大きな風圧を受けることになる。このため、左右方向であるシャッターカーテンの幅方向の長さ寸法を有する座板の長さ方向のそれぞれの端部がガイドレールの内部に挿入されていないシャッター装置ではもちろんのこと、座板の長さ方向のそれぞれの端部の少なくとも一部がガイドレールの内部に挿入されているシャッター装置でも、座板がシャッターカーテンの厚さ方向に大きく撓み変形して、座板と床との間にすき間が生ずるおそれが生ずる。このため、シャッターカーテンが大きな風圧等を受けるおそれがあるときには、座板についてのシャッターカーテンの厚さ方向の強度を大きくすることが求められる。
【0005】
本発明の目的は、座板についてのシャッターカーテンの厚さ方向の強度を、必要に応じて調整することができるようになるシャッター装置の座板構造を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシャッター装置の座板構造は、左右両側に配置されたガイドレールと、これらのガイドレールに案内されて開閉移動し、閉じ側の端部が座板となっているシャッターカーテンとを含んで構成されるシャッター装置の座板構造であって、前記座板に、この座板についての前記シャッターカーテンの厚さ方向の強度を大きくするための補強部材が着脱可能となって取り付けられることを特徴とするものである。
【0007】
このように本発明に係るシャッター装置の座板構造は、座板に、この座板についてのシャッターカーテンの厚さ方向の強度を大きくするための補強部材が着脱可能となって取り付けられるものとなっているため、例えば、台風の強風による大きな風圧等がシャッターカーテンに作用することが予想されるなどの場合のように、座板についてのシャッターカーテンの厚さ方向の強度を大きくすることが求められる場合には、座板に補強部材を取り付けることにより、座板についてのこの強度を大きなものに変更することができる。
【0008】
また、座板から補強部材を取り外すことにより、座板の重量をもとの重量に戻して、シャッターカーテンを開閉移動させることができる。もちろん、座板についてのシャッターカーテンの厚さ方向の強度を大きくする必要がなくなった後でも、座板に補強部材をそのまま取り付けてシャッターカーテンを開閉移動させてもよい。
【0009】
以上の本発明に係るシャッター装置の座板構造において、座板に着脱可能に取り付ける補強部材は、座板についてのシャッターカーテンの厚さ方向の強度を大きくすることができるものであれば、任意の形状や寸法を有するものでよく、その一例の補強部材は、左右方向となっているシャッターカーテンの幅方向の長さ寸法を有するとともに、シャッターカーテンの厚さ方向の幅寸法を有するものである。このような補強部材を座板に取り付けることにより、補強部材の長さ寸法と幅寸法とにより、座板についてのシャッターカーテンの厚さ方向の強度を有効に大きくすることができ、このような補強部材は、例えば、アングル材やチャンネル材、フラットバー等により形成することができる。
【0010】
また、本発明に係るシャッター装置の座板構造において、座板に補強部材を着脱可能に取り付けるためには、例えば、座板と補強部材のうち、一方にナット等の雌ねじ部材を取り付けるとともに、他方にボルト等の雄ねじ部材を取り付け、この雄ねじ部材を雌ねじ部材に螺合させることにより、座板に補強部材を着脱可能に取り付けることができるようにしてもよく、あるいは、座板と補強部材のうち、一方にフック部材等の係止部材や係合部材を設けるとともに、他方に被係止部材や被係合部材を設け、被係止部材への係止部材の係止や、被係合部材への係合部材の係合により、座板に補強部材を着脱可能に取り付けることができるようにしてもよく、あるいは、マグネットにより座板に補強部材を着脱可能に取り付けることができるようにしてもよく、あるいは、補強部材を保持体によって保持し、この保持体を座板に対して取り付け、取り外し可能とすることにより、座板に補強部材を着脱可能に取り付けるようにしてもよい。
【0011】
これらのうち、座板に補強部材を着脱可能に取り付けることができるようにするために、補強部材を保持体によって保持し、この保持体を座板に対して取り付け、取り外し可能とするための構造は、任意の構造でよく、その一例の構造は、保持体を、座板の下面をシャッターカーテンの厚さ方向に通過する下面部を有するものにするとともに、保持体と補強部材とのうちの少なくとも一方に、座板の下面よりも上側の座板における面に当接する当接部材を配置し、この当接部材が座板の下面よりも上側の座板における前記面に当接することにより、保持体の下面部と当接部材とによって保持体が座板に対して取り付け、取り外し可能となるようにするものである。
【0012】
このように補強部材を保持体によって保持し、この保持体を座板に対して取り付け、取り外し可能とすることにより、座板に補強部材を着脱可能に取り付けることができるようにすると、座板には、雌ねじ部材や雄ねじ部材、フック部材等を設ける必要がないため、座板の構造を簡単化することができ、また、マグネットにより座板に補強部材を着脱可能に取り付けるよりも、座板に補強部材を大きな強度で一層確実に取り付けることが可能になるとともに、本発明に係るシャッター装置の座板構造を、新設や改修されたシャッター装置の座板についてはもちろんのこと、既存のシャッター装置の座板についても適用できるようになる。
【0013】
なお、上述のように保持体を、座板の下面をシャッターカーテンの厚さ方向に通過する下面部を有するものにするとともに、保持体と補強部材とのうちの少なくとも一方に、座板の下面よりも上側の座板における面に当接する当接部材を配置し、この当接部材が座板の下面よりも上側の座板における前記面に当接することにより、保持体の下面部と当接部材とによって保持体が座板に対して取り付け、取り外し可能となるようにする場合には、座板の下面よりも上側の座板における前記面を、座板の下面と平行又は略平行になっている面とすることが好ましい。
【0014】
これによると、保持体の下面部と当接部材とにより、座板を上下に挟圧する状態となって、保持体が座板に対して取り付け、取り外し可能となるため、座板に保持体を一層確実に取り付けることができるようになる。
【0015】
また、上述のように保持体を、座板の下面をシャッターカーテンの厚さ方向に通過する下面部を有するものにするとともに、保持体と補強部材とのうちの少なくとも一方に、座板の下面よりも上側の座板における面に当接する当接部材を配置し、この当接部材が座板の下面よりも上側の座板における前記面に当接することにより、保持体の下面部と当接部材とによって保持体が座板に対して取り付け、取り外し可能となるようにするためには、例えば、当接部材を、保持体と補強部材とのうちの前記少なくとも一方に座板に向かって進退自在に設けられた進退部材の先端に配置し、この進退部材を座板に向かって前進させることにより、当接部材が座板の下面よりも上側の座板における前記面に当接するようにしてもよい。
【0016】
そして、当接部材が先端に配置される進退部材は、正逆回転操作されることにより座板に向かって前後進する雄ねじ部材でもよく、あるいは、押し引き操作されることにより座板に向かってスライド移動するスライド部材等でもよく、座板に向かって進退自在となっている任意の部材でよい。
【0017】
また、上述したように保持体を、座板の下面をシャッターカーテンの厚さ方向に通過する下面部を有するものにするとともに、保持体と補強部材とのうちの少なくとも一方に、座板の下面よりも上側の座板における面に当接する当接部材を配置し、この当接部材が座板の下面よりも上側の座板における前記面に当接することにより、保持体の下面部と当接部材とによって保持体が座板に対して取り付け、取り外し可能となるようにする場合には、保持体を、互いにシャッターカーテンの厚さ方向に開閉自在となっている2個の保持部材を含んで構成されたものとしたり、あるいは、保持体を、シャッターカーテンの厚さ方向に弾性的に撓み変形自在となっている板ばねが少なくとも一部に用いられて形成されたものとしてもよい。
【0018】
このように保持体を、互いにシャッターカーテンの厚さ方向に開閉自在となっている2個の保持部材を含んで構成されたものとしたり、あるいは、保持体を、シャッターカーテンの厚さ方向に弾性的に撓み変形自在となっている板ばねが少なくとも一部に用いられて形成されたものとすると、保持体の下面部を、座板の下面をシャッターカーテンの厚さ方向に通過させる作業や、当接部材を座板の下面よりも上側の座板における前記面に当接させることにより、保持体の下面部と当接部材とにより、保持体を座板に対して取り外し可能に取り付けるための作業を一層確実に行うことができるようになる。
【0019】
また、本発明に係るシャッター装置の座板構造において、座板に、この座板についてのシャッターカーテンの厚さ方向の強度を大きくするために着脱可能となって取り付けられる補強部材は、左右方向となっているシャッターカーテンの幅方向に長さが連続している1個の部材となっているものでもよく、あるいは、補強部材を、左右方向となっているシャッターカーテンの幅方向に並べられた複数の分割補強片の組み合わせで形成されるものにし、これらの分割補強片を分離自在のものとしてもよい。
【0020】
これらのうち、補強部材を、後者のように、左右方向となっているシャッターカーテンの幅方向に並べられた複数の分割補強片の組み合わせで形成されるものにし、これらの分割補強片を分離自在のものとすると、補強部材を座板から取り外したときに、この補強部材を複数の分割補強片に分離することができるため、補強部材の保管、収納等を有効に行えるようになる。
【0021】
また、上述のように補強部材を、左右方向となっているシャッターカーテンの幅方向に並べられた複数の分割補強片の組み合わせで形成されるものにして、これらの分割補強片を分離自在のものとする場合には、複数の分割補強片を、これらの分割補強片による補強部材についての左右方向の長さ寸法が調整可能となって座板に配置することができるようにしてもよい。
【0022】
このように複数の分割補強片を、これらの分割補強片による補強部材についての左右方向の長さ寸法が調整可能となって座板に配置することができるようにすると、シャッターカーテンの幅方向となっている座板の長さ寸法が異なる複数のシャッター装置について、複数の分割補強片によって形成される補強部材を共通して用いることができるため、この補強部材をこれらのシャッター装置に兼用化されたものにできる。
【0023】
また、上述のように補強部材を、左右方向となっているシャッターカーテンの幅方向に並べられた複数の分割補強片の組み合わせで形成されるものにし、これらの分割補強片を分離自在のものとする場合には、複数の分割補強片のうち、左右方向に離れている2個の分割補強片の間に中間の分割補強片を配置し、この中間の分割補強片を、2個の分割補強片を座板に着脱可能とするために左右方向に2個配置されている押圧手段により座板に押圧されるようにしてもよい。
【0024】
これによると、中間の分割補強片は、左右方向に離れている2個の分割補強片を座板に着脱可能とするために左右方向に2個配置されている押圧手段により座板に押圧されるため、中間の分割補強片を座板に着脱可能とすることは、2個の分割補強片を座板に着脱可能とするための2個の押圧手段によって実現することができ、これらの押圧手段は、中間の分割補強片を座板に着脱可能とするものとしても利用されることになるため、補強部材を、左右方向となっているシャッターカーテンの幅方向に並べられた複数の分割補強片の組み合わせで形成されるものにしても、本発明に係るシャッター装置の座板構造を少ない部材点数で構成できることになる。
【0025】
なお、このように左右方向に離れている2個の分割補強片を座板に着脱可能とするために左右方向に2個配置されている押圧手段により、中間の分割補強片を座板に押圧することができるようにするためには、例えば、左右方向に離れている2個の分割補強片のそれぞれを、これらの分割補強片を座板に着脱可能とするために座板に対して取り付け、取り外し可能となっている保持体により保持し、これらの保持体と、2個の分割補強片とのうち、少なくとも一方に前記押圧手段を設けるとともに、保持体を、座板の下面をシャッターカーテンの厚さ方向に通過する下面部を有するものとし、また、押圧手段を、中間の分割補強片に当接して、この中間の分割補強片を座板の下面よりも上側の座板における面に押圧するための当接部材を備えたものとし、この当接部材により中間の分割補強片が座板の下面よりも上側の座板における前記面に押圧されることにより、保持体の下面部と中間の分割補強片とにより、2個の分割補強片のそれぞれを保持している保持体が座板に対して取り付け、取り外し可能となるようにしてもよい。
【0026】
そして、本発明に係るシャッター装置の座板構造をこのようなものにする場合には、座板の下面よりも上側の座板における前記面を、座板の下面と平行又は略平行になっている面とすることが好ましい。
【0027】
これによると、保持体の下面部と中間の分割補強片とにより、座板を上下に挟圧する状態となって、保持体が座板に対して取り付け、取り外し可能となるため、座板に保持体を一層確実に取り付けることができるようになる。
【0028】
以上説明した本発明に係るシャッター装置の座板構造は、シャッターカーテンが、このシャッターカーテンの厚さ方向への風圧等の圧力を受けることが予想される各種のシャッター装置に適用することができ、その一つのシャッター装置は、シャッターカーテンにより建物やガレージ等の出入口が開閉される出入口用シャッター装置であり、また、他のシャッター装置は、窓用シャッター装置である。さらに、本発明に係るシャッター装置の座板構造は、火災等の発生時に防災区画を形成するために全閉となるシャッターカーテンに、炎や煙等の圧力や、排気による負圧が作用する防災用シャッター装置にも適用することができ、さらに、シャッターカーテンが防水のために全閉となるシャッター装置にも適用することができる。
【0029】
さらに、本発明に係るシャッター装置の座板構造は、新たに建築された建物等に設置されるシャッター装置や、改修されたシャッター装置に適用できるとともに、既に設置されているシャッター装置にも適用することができる。
【0030】
また、本発明に係るシャッター装置の座板構造は、座板を除くシャッターカーテンの全体部分又は略全体又は一部の部分が、多数のスラットの連設で形成されているスラット式シャッター装置や、複数のパネルの連設で形成されているパネル式シャッター装置、シートで形成されているシート式シャッター装置、さらには、これらの部材の複合で形成されている複合式シャッター装置等に適用することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、座板についてのシャッターカーテンの厚さ方向の強度を、必要に応じて調整できるようになるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る座板構造が適用されているシャッター装置の全体を示す正面図である。
【
図3】
図3は、
図1のS3-S3線断面図であって、シャッターカーテンが全閉となっているときの状態を示す図である。
【
図4】
図4は、補強部材を保持した保持体が、互いにシャッターカーテンの厚さ方向に開閉自在となっている2個の保持部材を含んで構成されていることを示すために、シャッターカーテンが全閉位置から開き方向に移動して停止したときの状態を示す
図3と同様の図である。
【
図5】
図5は、
図3及び
図4の保持体と、この保持体により保持されている補強部材との全体を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、別実施形態の保持体について示す
図3と同様の図である。
【
図9】
図9は、さらなる別実施形態の保持体について示す
図3と同様の図である。
【
図12】
図12は、補強部材が複数の分割補強片の組み合わせで形成されている実施形態を示す
図1と同様の図である。
【
図15】
図15は、
図14で示されている複数の分割補強片が分離可能であって、これらの分割補強片による補強部材の長さ寸法が調整可能となっていることを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る座板構造を有するシャッター装置の全体の正面図であり、このシャッター装置は、倉庫等の建物の出入口に設置されている出入口用シャッター装置である。この出入口用シャッター装置は、壁等の建物躯体に取り付けられて左右両側に配置されたガイドレール1により案内されて上下に開閉移動自在となっているシャッターカーテン2が、カーテン本体3と、このカーテン本体3の下端部に設けられた座板4とを備えたものとなっており、シャッターカーテン2の略全体を形成しているカーテン本体3は、多数のスラット5が上下に連設されたものとなっている。カーテン本体3の上端は、天井15の上側の天井裏空間において、下がり壁等に結合された左右一対のブラケット6により回転自在に支持されている水平の巻取軸7に連結され、この巻取軸7には、電動モータとブレーキの組み合わせからなる開閉機8からの駆動力がスプロケットホイールやチェーン等で構成された伝動手段9を介して伝達され、開閉機8の電動モータからの正逆回転駆動力で巻取軸7が正逆回転することによる巻取軸7のシャッターカーテン2の巻き取り、繰り出しにより、シャッターカーテン2は左右両側のガイドレール1に案内されて上下方向に開閉移動する。
【0034】
閉じ側の下端部が座板4となっているシャッターカーテン2が下側へ閉じ移動して、この座板4が出入口の床10に達することにより、シャッターカーテン2は全閉となり、また、シャッターカーテン2が上側へ開き移動して、シャッターカーテン2を上下に挿通させるためのスリットを天井6に形成しているまぐさ部材11の高さ位置に座板4が達することにより、シャッターカーテン2は全開となる。
【0035】
上述したように本実施形態に係るシャッター装置は、シャッターカーテン2が開閉機8からの駆動力で上下方向に開閉移動する電動式シャッター装置となっているが、これから説明する座板構造は、巻取軸の内部に戻しばねが配置されていて、この戻しばねに、シャッターカーテンが下側へ閉じ移動するときの巻取軸の逆回転時において、シャッターカーテンを上側に開き移動させるための巻取軸の正回転を補助するための戻しばね力が蓄圧され、この戻しばね力により、シャッターカーテンを手動操作により上側に軽く開き移動させることができるようになっている手動式シャッター装置にも適用することができる。
【0036】
図1に示されているように、シャッターカーテン2のうち、カーテン本体3の左右両側の部分はガイドレール1の内部に挿入されており、これらのガイドレール1の内部において、カーテン本体3のそれぞれのスラット5のうち、間隔をあけて配置されている所定のスラット5ごとに、抜け出し防止部材12がこれらのスラット5の左右両端部に取り付けられている。本実施形態に係るこれらの抜け出し防止部材12は、
図1のS2-S2線断面図である
図2に示されているように、シャッターカーテン2の厚さ方向両側へ突出した突起部12Aが設けられたT字形状のものであり、それぞれのガイドレール1は、カーテン本体3の左右両側の部分が挿入される開口部1Aにおいて、この開口部1Aについてのシャッターカーテン2の厚さ方向の開口幅寸法を小さくするためのリップ部1B,1Cが設けられたものとなっている。
【0037】
このため、シャッターカーテン2が全閉となっているときや、開閉移動中において、シャッターカーテン2に、例えば、台風の強風による風圧がシャッターカーテン2の厚さ方向に作用することにより、カーテン本体3がシャッターカーテン2の厚さ方向に撓み変形しても、抜け止め防止部材12の突起部12Aがガイドレール1のリップ部1B,1Cに係止することにより、カーテン本体3の左右両側の部分がガイドレール1の内部から抜け出ることを防止できる。
【0038】
図3は、座板4が
図1の出入口の床10に達しているシャッターカーテン2の全閉時における
図1のS3-S3線断面図である。この
図3に示されているように、本実施形態に係る座板4は、断面ボックス状となっている座板本体13から立上部14が鉛直に立ち上がったものになっており、この立上部14に、多数のスラット5のうちの最下段のスラット5Aがビスやリベット等の結合具により結合されている。
図1に示されているように、座板本体13と立上部14の左右両端部分は、左右両側のガイドレール1の内部に挿入されておらず、最下段のスラット5Aの左右両端部分は、ガイドレール1の内部に挿入されている。なお、立上部14の左右両端部分を、左右両側のガイドレール1の内部に挿入してもよく、また、座板本体13の左右両端部分に、左右両側のガイドレール1の内部に挿入される挿入部材を結合してもよい。
【0039】
本実施形態では、
図3に示されているように、座板本体13の下面13Aは、座板4の下面ともなっており、立上部14が立ち上がっている座板本体13の上面13Bは、座板本体13の下面13Aよりも上側の座板4における面となっていて、この上面13Bは、座板本体13の下面13Aと平行又は略平行の面になっている。
【0040】
図1及び
図3に示されているように、座板4には、この座板4についてのシャッターカーテン2の厚さ方向の強度を大きくするため補強部材20が、保持体21を介して取り付けられている。
図5には、これらの補強部材20と保持体21の全体斜視図が示されており、補強部材20と保持体21は、左右方向となっているシャッターカーテン2の幅方向に長さが連続していて、それぞれの長さ寸法が同じ又は略同じになっているものであり、これらの補強部材20と保持体21の長さ寸法は、
図1の実施形態では、左右両側のガイドレール1の間の内幅寸法よりも小さくなっているが、補強部材20と保持体21の長さ寸法を、左右両側のガイドレール1の間の内幅寸法と同じ又はこの内幅寸法よりも僅かに小さいものにしてもよい。
【0041】
図3に示されているように断面ボックス状となっている座板本体13は、上述した下面13A及び上面13Bと、全閉となったときのシャッターカーテン2により仕切られる室内及び室外に向いている面13C,13Dとを有する。また、補強部材20を保持している保持体21は、シャッターカーテン2の厚さ方向に分割された2個の部材となっていて、室内側に配置された部材となっている第1保持部材22と、室外側に配置された部材となっている第2保持部材23とを備えて構成され、この第2保持部材23に補強部材20が保持されている。
【0042】
第1保持部材22は、座板本体13の下面13Aの下側に配置されていて、この下面13Aと上下に対面する第1面部22Aと、この第1面部22Aにおけるシャッターカーテン2の厚さ方向の室内側の端部から直角又は略直角に上方へ延出していて、座板本体13の室内側の面13Cと接触又は間隔をあけて対面する第2面部22Bと、この第2面部22Bの上端から室外側へ直角又は略直角に水平に延出していて、座板本体13の上面13Bの上方において、この上面13Bと間隔をあけて上下に対面する第3面部22Cとからなる。また、第2保持部材23は、座板本体13の下面13Aの下側に配置されていて、この下面13Aと上下に対面する第1面部23Aと、この第1面部23Aにおけるシャッターカーテン2の厚さ方向の室外側の端部から直角又は略直角に上方へ延出していて、座板本体13の室外側の面13Dと接触又は間隔をあけて対面する第2面部23Bとからなり、この第2面部23Bには、座板本体13の上面13Bを越えてそのまま上方に延出している延長部23Cが設けられている。
【0043】
そして、第1保持部材22の第1面部22Aと、第2保持部材23の第1面部23Aとにより、座板4の下面ともなっている座板本体13の下面13Aをシャッターカーテン2の厚さ方向に通過する保持体21の下面部21Aが形成されている。
【0044】
第1保持部材22の第1面部22Aにおける室外側の端部と、第2保持部材23の第1面部23Aにおける室内側の端部には、板材で形成されているこれらの保持部材22,23をカール加工することにより設けられた
図5のカール部22D,23Dが、保持体21の長さ方向に交互に配置されており、これらのカール部22D,23Dの内部に、保持体21の一部を構成するものとなっている細径の棒状部材による軸部材24が挿入されている。このため、第1保持部材22と第2保持部材23は、互いに軸部材24を中心にシャッターカーテン2の厚さ方向に開閉自在となっており、このため、シャッターカーテン2を全閉位置から開き移動させて停止させた後において、第1保持部材22と第2保持部材23のうち、一方を又は両方を、
図4に示されているように、軸部材24を中心にシャッターカーテン2の厚さ方向に開閉させることができる。
【0045】
なお、軸部材24を用いずに、ヒンジにより第1保持部材22と第2保持部材23を結合することにより、これらの第1保持部材22と第2保持部材23を互いにシャッターカーテン2の厚さ方向に開閉自在としてもよい。
【0046】
図5に示されているように、長さ方向がシャッターカーテン2の幅方向となっている補強部材20は、
図3に示されているように、室内側から室外側に水平又は略水平に延びる水平部20Aと、この水平部20Aにおける室外側の端部から鉛直又は略鉛直に下方へ延びる鉛直部20Bとからなるアングル材で形成されており、鉛直部20Bが、第2保持部材23の延長部23Cにおける室内側の面に溶接又はビス又はリベット等で結合されているため、補強部材20は、保持体21を第1保持部材22と共に形成している第2保持部材23により保持されている。
【0047】
図3に示されているように、第1保持部材22の第3面部22Cには、第1押圧手段25が配置されている。この第1押圧手段25は、第3面部22Cに溶接で固定された雌ねじ部材となっているナット26と、このナット26に螺入されているとともに、第3面部22Cの孔22Eに挿通された雄ねじ部材27と、この雄ねじ部材27の先端である下端において、雄ねじ部材27を中心に回転自在に取り付けられている当接部材28とを有するものになっており、雄ねじ部材27の基端である上端には、雄ねじ部材27を手作業で正逆回転操作することができる蝶形の操作部27Aが、雄ねじ部材27と一体となって設けられている。このため、雄ねじ部材27を手作業により蝶形の操作部27Aで正逆回転操作することにより、この雄ねじ部材27は、座板本体13の上面13Bに向かって進退し、この雄ねじ部材27は、第1押圧手段25における進退部材となっている。そして、このような第1押圧手段25は、
図5に示されているように、保持体21の長さ方向に複数個設けられている。
【0048】
また、
図3に示されているように、補強部材20の水平部20Aには、第2押圧手段30が配置されている。この第2押圧手段30は、水平部20Aに形成された雌ねじ孔31に螺入されている雄ねじ部材32と、この雄ねじ部材32の先端である下端において、雄ねじ部材32を中心に回転自在に取り付けられている当接部材33とを有するものになっており、雄ねじ部材32の基端である上端には、雄ねじ部材32を手作業で正逆回転操作することができる蝶形の操作部32Aが、雄ねじ部材27と一体となって設けられている。このため、雄ねじ部材32を手作業により蝶形の操作部32Aで正逆回転操作することにより、この雄ねじ部材32は、座板本体13の上面13Bに向かって進退し、この雄ねじ部材32は、第2押圧手段30における進退部材となっている。そして、このような第2押圧手段30も、
図5に示されているように、保持体21の長さ方向に複数個設けられている。
【0049】
保持体21が座板4に取り付けられていないときに、第2保持部材23に保持された補強部材20を座板4に配置するために、保持体21を座板4に取り付ける作業を行うためには、第1押圧手段25の当接部材28と、第2押圧手段30の当接部材33を、蝶形の操作部27A,32Aで雄ねじ部材27,32を逆回転操作することによって上昇後退させた位置まで移動させ、また、
図4に示されているように、シャッターカーテン2を全閉位置から全開位置側へ少し開き移動させて停止させ、これにより、座板4を出入口の床10から離間させる。この後に、
図4の二点鎖線で示されているように、第1保持部材22を第2保持部材23に対して軸部材24を中心にシャッターカーテン2の厚さ方向に開き回動させ、次いで、第2保持部材23を、この第2保持部材23の第2面部23Bが座板本体13の室外側の面13Dに接触又は僅かな間隔をあけて対面するまで、座板本体13側に移動させ、これにより、補強部材20の水平部20Aの室内側の端面20Cを座板4の立上部14に当接させるとともに、補強部材20の鉛直部20Bの下端面20Dを座板本体13の上面13Bに接触させる。
【0050】
次いで、第1保持部材22を第2保持部材23に対して軸部材24を中心にシャッターカーテン2の厚さ方向に閉じ回動させ、この後に、それぞれの第1押圧手段25の当接部材28を、蝶形の操作部27Aで雄ねじ部材27を正回転操作することによって下降前進させることにより、これらの当接部材28を座板本体13の上面13Bに当接させ、また、それぞれの第2押圧手段30の当接部材33も、蝶形の操作部32Aで雄ねじ部材32を正回転操作することによって下降前進させることにより、これらの当接部材33を座板本体13の上面13Bに当接させる。
【0051】
これにより、第1保持部材22と第2保持部材23とが主要な構成部材となっている保持体21は、第1保持部材22及び第2保持部材23の第1面部22A,23Aによって形成される保持体21の下面部21Aと、当接部材28,33とによる上下方向の挟圧作用により、座板本体13に取り付けられることになり、また、これにより、保持体21に保持されている補強部材20も、座板本体13に取り付けられることになる。そして、以上とは逆の作業を行うことにより、保持体21を座板本体13から取り外すことができ、保持体21に保持されている補強部材20も、座板本体13から取り外すことができる。
【0052】
保持体21を座板本体13に取り付けることにより、補強部材20も座板本体13に取り付けることは、例えば、台風の強風による大きな風圧がシャッターカーテン2に作用することが予想されるときに行われる。保持体21を座板本体13に取り付けることによって補強部材20も座板本体13に取り付けると、長さ方向がシャッターカーテン2の幅方向となっている補強部材20は、シャッターカーテン2の厚さ方向が幅方向となっていて、この幅方向の幅寸法を有する水平部20Aを備えているため、この水平部20Aにより、座板4についてのシャッターカーテン2の厚さ方向の強度が補強されることになり、このため、座板4が上記大きな風圧によりシャッターカーテン2の厚さ方向に大きく撓み変形することを防止できる。
【0053】
また、保持体21を座板本体13から取り外すことにより、補強部材20も座板本体13から取り外すと、座板4はもとの状態に戻ることになり、これにより、座板4の重量をもとの重量に戻して、シャッターカーテン2を開閉移動させることができる。
【0054】
このため、以上説明した本実施形態に係るシャッター装置の座板構造によると、座板4に、この座板4についてのシャッターカーテン2の厚さ方向の強度を大きくするための補強部材20が着脱可能となって取り付けられるため、座板4についてのシャッターカーテン2の厚さ方向の強度を、必要に応じて調整することができる。もちろん、台風の通過等により、座板4についてのシャッターカーテン2の厚さ方向の強度を大きくする必要がなくなった後でも、座板4に保持体21を介して補強部材20を取り付けたままにして、シャッターカーテン2を開閉移動させてもよい。
【0055】
なお、補強部材20は、上下方向の幅寸法を有する鉛直部20Bも備えているため、座板4に保持体21を介して補強部材20を取り付けると、座板4についての上下方向の強度も補強され、座板4の下方への撓み変形も防止される。
【0056】
また、本実施形態に係る第1及び第2押圧手段25,30は、当接部材28,33が先端に配置された進退部材となっている雄ねじ部材27,32を蝶形の操作部27A,32Aで手作業により操作することにより、これらの雄ねじ部材27,32を進退させることができるものとなっているため、当接部材28,33を座板本体13の上面13Bに当接させるための作業を、蝶形の操作部27A,32Aでの手作業により容易かつ短時間で行える。
【0057】
なお、当接部材28,33を座板本体13の上面13Bに強く当接させることにより、座板4への補強部材20及び保持体21の取付強度を大きくできるようにするために、雄ねじ部材27,32に、蝶形の操作部27A,32Aに代えて、レンチ等の工具で回転操作される六角等の頭部を設けてもよい。
【0058】
また、本実施形態によると、保持体21は、互いにシャッターカーテン2の厚さ方向に開閉自在となっている第1保持部材22と第2保持部材23を備えて構成されたものとなっているため、保持体21の下面部21Aを、座板本体13の下面13Aをシャッターカーテン2の厚さ方向に通過させた後に、第1及び第2押圧手段25,30の当接部材28,33を座板本体13の上面13Bに当接させるための作業を一層確実に実施することができる。
【0059】
さらに、保持体21の下面部21Aは、座板本体13の下面13Aと上下に対面し、保持体21と補強部材20に配置されている第1及び第2押圧手段25,30は、座板本体13の下面31Aよりも上側の座板4における面となっている座板本体13の上面13Bに当接する当接部材28,33を備えて構成され、座板本体13の下面13Aと上面13Bは、平行又は略平行の面になっているため、保持体21を、保持体21の下面部21Aと当接部材28,33とによる上下方向の挟圧作用により、大きな強度で座板本体13に取り付けることができ、これにより、保持体21に保持されている補強部材20も大きな強度で座板本体13に取り付けることができる。
【0060】
また、本実施形態に係る第1及び第2押圧手段25,30は、座板本体13の上側へ突出して配置されるものとなっていて、座板本体13の室内側や室外側へ突出して配置されるものではないため、シャッターカーテン2が、
図1で示したまぐさ部材11の高さ位置に座板4が達する全開状態となったときに、保持体21と、この保持体21に保持された補強部材20とを含めた座板4の全体を、まぐさ部材11の内部に、このまぐさ部材11に第1及び第2押圧手段25,30を干渉させることなく、収納させることができる。
【0061】
図6~
図8には、別実施形態に係る保持体41が示されている。この保持体41も、これまで説明した実施形態の保持体21と同様に、室内側に配置された部材となっている第1保持部材42と、室外側に配置され、補強部材20を保持した部材となっている第2保持部材43とを備えて構成されたものとなっているが、第1保持部材42は、下端が座板本体13の下面13Aまで達していて、座板本体13の室内側の面13Cと接触又は間隔をあけて対面する第1面部42Aと、この第1面部42Aの上端から室外側へ直角又は略直角に水平に延出していて、座板本体13の上面13Bの上方において、この上面13Bと間隔をあけて上下に対面する第2面部42Bとからなる。また、第2保持部材43は、座板本体13の下面13A全体の下側に配置されていて、この下面13Aと上下に対面する第1面部43Aと、この第1面部43Aにおけるシャッターカーテン2の厚さ方向の室外側の端部から直角又は略直角に上方へ延出していて、座板本体13の室外側の面13Dと接触又は間隔をあけて対面する第2面部43Bとからなり、この第2面部23Bには、座板本体13の上面13Bを越えてそのまま上方に延出している延長部43Cが設けられている。
【0062】
そして、この実施形態の保持体41では、第2保持部材43の第1面部43Aが、座板4の下面ともなっている座板本体13の下面13Aをシャッターカーテン2の厚さ方向に通過する保持体41における下面部41Aとなっている。
【0063】
第1保持部材42の第1面部42Aにおける下端部と、第2保持部材43の第1面部43Aにおける室内側の端部には、板材で形成されているこれらの保持部材42,43をカール加工することにより設けられた
図8のカール部42C,43Dが、保持体41の長さ方向に交互に配置されており、これらのカール部42C,43Dの内部に、保持体41の一部を構成するものとなっている細径の棒状部材による軸部材44が挿入されている。このため、第1保持部材42と第2保持部材23は、互いに軸部材44を中心にシャッターカーテン2の厚さ方向に開閉自在となっており、したがって、前記実施形態の保持体21と同様に、シャッターカーテン2を全閉位置から開き移動させて停止させた後において、第1保持部材42と第2保持部材43のうち、一方を又は両方を、
図7に示されているように、軸部材44を中心にシャッターカーテン2の厚さ方向に開閉させることができる。
【0064】
図6に示されているように、第1保持部材42の第2面部42Bには、前記実施形態と同じ第1押圧手段25が配置され、この第1押圧手段25の雄ねじ部材27は、第2面部42Bに形成されている孔42Cに挿通されており、この第1押圧手段25は、
図8に示されているように、保持体41の長さ方向に複数個設けられている。また、
図6に示されているように、第2保持部材43の延長部43Cにおける室内側の面には、前記実施形態と同じ補強部材20の鉛直部20Bが溶接又はビス又はリベット等で結合され、これにより、第1保持部材42と共に保持体41を構成している第2保持部材43によって補強部材20が保持されている。この補強部材20の水平部20Aには、前記実施形態と同じ第2押圧手段30が配置され、この第2押圧手段30も、
図8に示されているように、保持体41の長さ方向に複数個設けられている。
【0065】
この実施形態の保持体41では、
図7の二点鎖線で示されているように、第1保持部材42の第1面部42Aが、軸部材44を中心に第2保持部材43の第1面部43Aに対してシャッターカーテン2の厚さ方向に開閉自在となっているため、補強部材20を座板4に取り付けるために、座板本体13への保持体41の取付作業を行うときには、第1保持部材42の第1面部42Aを軸部材44を中心にシャッターカーテン2の厚さ方向に開き回動させた後に、第2保持部材43を座板本体13の外面に配置し、次いで、第1保持部材42の第1面部42Aを軸部材44を中心にシャッターカーテン2の厚さ方向に閉じ回動させる。この後に、第1及び第2押圧手段25,30の雄ねじ部材27,32を座板本体13側へ下降前進させる作業を行うことにより、当接部材28,33を座板本体13の上面に当接させる。これにより、保持体41は座板本体13に取り付けられ、補強部材20も座板本体13に取り付けられる。もちろん、以上の作業とは逆作業を行うことにより、座板本体13からの保持体41の取り外しによって補強部材20を座板4から取り外すことができる。
【0066】
そして、この実施形態の保持体41によると、互いに第1保持部材42と第2保持部材43とをシャッターカーテン2の厚さ方向に開閉自在とする軸部材44は、
図3及び
図4で示した前記実施形態の軸部材24と異なり、座板本体13の下面13Aの下側に配置されていないため、保持体41が、
図1に示されている前記実施形態の保持体21と同様に、左右両側に配置されているガイドレール1の間の内幅寸法よりも小さい長さ寸法のものとなっていても、補強部材20を保持した保持体41を座板本体13に取り付けて、シャッターカーテン2を全閉まで下降させたときに、保持体41とガイドレール1との間において、出入口の床10の上に生ずる上下方向のすき間を極めて小さなものにできる。
【0067】
なお、この実施形態の保持体41についても、軸部材44を用いずに、ヒンジにより第1保持部材42と第2保持部材43を結合することにより、これらの第1保持部材42と第2保持部材43を互いにシャッターカーテン2の厚さ方向に開閉自在としてもよい。
【0068】
図9~
図11には、さらに別実施形態に係る保持体51が示されている。この保持体51の全体は、板ばねを折り曲げ加工することにより形成されたものであって、
図9に示されているように、座板本体13の下面13Aの全体下側に配置されている第1面部51Aと、この第1面部43Aにおけるシャッターカーテン2の厚さ方向の室内側の端部から直角又は略直角に上方へ延出していて、座板本体13の室内側の面13Cと接触又は間隔をあけて対面する第2面部51Bと、この第2面部51Bの上端から室外側へ直角又は略直角に水平に延出していて、座板本体13の上面13Bの上方において、この上面13Bと間隔をあけて上下に対面する第3面部51Cと、第1面部51Aにおけるシャッターカーテン2の厚さ方向の室外側の端部から直角又は略直角に上方へ延出していて、座板本体13の室外側の面13Dと接触又は間隔をあけて対面する第4面部51Dとからなり、この第4面部51Dには、座板本体13の上面13Bを越えてそのまま上方に延出している延長部51Eが設けられている。
【0069】
そして、この実施形態の保持体51では、第1面部51Aが、座板4の下面ともなっている座板本体13の下面13Aをシャッターカーテン2の厚さ方向に通過する保持体51の下面部となっている。
【0070】
図9に示されているように、保持体51の第3面部51Cには、これまで説明した実施形態と同じ第1押圧手段25が配置され、この第1押圧手段25の雄ねじ部材27は、第3面部51Cに形成されている孔51Fに挿通されており、この第1押圧手段25は、
図11に示されているように、保持体51の長さ方向に複数個設けられている。また、
図9に示されているように、保持体51の延長部51Eにおける室内側の面には、これまで説明した実施形態と同じ補強部材20の鉛直部20Bが溶接又はビス又はリベット等で結合され、これにより、保持体51により補強部材20が保持されている。また、この補強部材20の水平部20Aには、これまで説明した実施形態と同じ第2押圧手段30が配置され、この第2押圧手段30も、
図11に示されているように、保持体51の長さ方向に複数個設けられている。
【0071】
この実施形態の保持体51は、全体が板ばねで形成されているため、
図10の二点鎖線で示されているように、第1面部51Aは、シャッターカーテン2の厚さ方向に弾性的に撓み変形自在となっている。補強部材20を座板4に取り付けるために、座板本体13への保持体51の取付作業を行うときには、第1面部51Aをシャッターカーテン2の厚さ方向外側へ弾性的に撓み変形させながら、第4面部51Dを座板本体13の室外側の面13Dに配置し、次いで、第1面部51Aをシャッターカーテン2の厚さ方向内側へ弾性的に戻し変形させる。この後に、第1及び第2押圧手段25,30の雄ねじ部材27,32を座板本体13側へ下降前進させることにより、当接部材28,33を座板本体13の上面に当接させる。これにより、保持体51は座板本体13に取り付けられ、補強部材20も座板本体13に取り付けられる。そして、以上の作業とは逆作業を行うことにより、座板本体13からの保持体51の取り外しによって補強部材20を座板4から取り外すことができる。
【0072】
この実施形態の保持体51によると、保持体51の全体は、板ばねを折り曲げ加工することにより製造されるものとなっているため、この保持体51を容易かつ安価に製造できる。
【0073】
また、座板本体13の下面13Aをシャッターカーテン2の厚さ方向に通過する保持体51の下面部は、保持体51の他の部分を形成している板ばねの材料と同じ薄い厚さの部分となっているため、保持体51が、
図1に示されている前記実施形態の保持体21と同様に、左右両側に配置されているガイドレール1の間の内幅寸法よりも小さい長さ寸法のものとなっていても、補強部材20を保持した保持体51を座板本体13に取り付けて、シャッターカーテン2を全閉まで下降させたときに、保持体51とガイドレール1との間において、出入口の床10の上に生ずる上下方向のすき間を極めて小さなものにできる。
【0074】
なお、この実施形態の保持体51のうち、一部分だけ、例えば、第1面部51Aだけを板ばねで形成し、他の部分をスチール等の材料で形成してもよい。
【0075】
図12には、座板4に取り付けられる補強部材60が、左右方向であるシャッターカーテン2の幅方向に並べられた3個の分割補強片60A,60B,60Cの組み合わせで形成されている実施形態が示されている。この実施形態では、それぞれの長さ方向がシャッターカーテン2の幅方向となっている3個の分割補強片60A,60B,60Cのうち、左右方向に離れている2個の分割補強片60A,60Cは、これらの分割補強片60A,60Cと長さ寸法が同じ又は略同じになっている2個の保持体61により個別に保持されている。3個の分割補強片60A,60B,60Cと、2個の保持体61は、斜視図である
図14に示されており、
図15は、
図14の分解斜視図である。
【0076】
図14及び
図15に示されているように、3個の分割補強片60A、60B,60Cのうち、左右方向に離れている2個の分割補強片60A,60Cは、これまで説明した実施形態の補強部材20と同じく、水平又は略水平に延びる水平部63と、この水平部63における室外側の端部から鉛直又は略鉛直に下方へ延びる鉛直部64とからなるアングル材で形成されており、2個の分割補強片60A,60Cの間に配置される中間の分割補強片60Bは、分割補強片60A,60Cの水平部63と同様に、幅方向がシャッターカーテン2の厚さ方向となっているフラットバーにより形成されている。
【0077】
そして、中間の分割補強片60Bには、この中間の分割補強片60Bにおける室外側の面において、中間の分割補強片60Bの長さ方向の両端面から長さ方向内側に切り込まれた2個の切り込み部62が形成され、これらの切り込み部62に、左右方向に離れている2個の分割補強片60A,60Cの鉛直部64をスライド自在に挿入させることができるようになっている。
【0078】
図13は、
図12のS13-S13線断面図である。この
図13から分かるように、分割補強片60A,60Cを保持しているそれぞれの保持体61は、
図6及び
図7の実施形態の保持体41と同様に、室内側に配置された部材となっている第1保持部材72と、室外側に配置され、補強部材20を保持した部材となっている第2保持部材73とを備えて構成さている。第1保持部材72は、下端が座板本体13の下面13Aまで達していて、座板本体13の室内側の面13Cと接触又は間隔をあけて対面する第1面部72Aと、この第1面部72Aの上端から室外側へ直角又は略直角に水平に延出していて、座板本体13の上面13Bの上方において、この上面13Bと間隔をあけて上下に対面する第2面部72Bとからなる。また、第2保持部材73は、座板本体13の下面13A全体の下側に配置されていて、この下面13Aと上下に対面する第1面部73Aと、この第1面部73Aにおけるシャッターカーテン2の厚さ方向の室外側の端部から直角又は略直角に上方へ延出していて、座板本体13の室外側の面13Dと接触又は間隔をあけて対面する第2面部73Bとからなり、この第2面部73Bには、座板本体13の上面13Bを越えてそのまま上方に延出している延長部73Cが設けられている。
【0079】
この実施形態の保持体61では、第2保持部材73の第1面部73Aが、座板4の下面ともなっている座板本体13の下面13Aをシャッターカーテン2の厚さ方向に通過する保持体61における下面部61Aとなっている。
【0080】
そして、保持体61の主要な構成部材となっている第1保持部材72と第2保持部材73は、
図6及び
図7の保持体41の第1保持部材42と第2保持部材43と同様に、軸部材74を中心に互いにシャッターカーテン2の厚さ方向に開閉自在となっている。
【0081】
なお、この実施形態でも、軸部材74を用いずに、第1保持部材72と第2保持部材73をヒンジによりシャッターカーテン2の厚さ方向に開閉自在に結合してもよい。
【0082】
図13から分かるように、第1保持部材72の第2面部72Bには、これまで説明した実施形態と同じ第1押圧手段25が配置され、この第1押圧手段25の雄ねじ部材27は、第2面部72Bに形成されている孔72Cに挿通されており、この第1押圧手段25は、
図14及び
図15に示されているように、保持体61の長さ方向に複数個、図示例では2個設けられている。また、
図13に示されているように、第2保持部材73の延長部73Cにおける室内側の面には、これまで説明した実施形態と同様に、分割補強片60A,60Cの鉛直部64が溶接又はビス又はリベット等で結合され、これにより、第2保持部材73によって分割補強片60A,60Cが保持されている。これらの分割補強片60A,60Cの水平部63には、これまで説明した実施形態と同じ第2押圧手段30が配置され、この第2押圧手段30の雄ねじ部材32は、水平部63に形成されている雌ねじ孔75に螺入され、第2押圧手段30も、
図14及び
図15に示されているように、保持体61の長さ方向に複数個、図示例では2個設けられている。
【0083】
また、この実施形態では、
図14及び
図15に示されているように、2個の分割補強片60A,60Cの間に配置される中間の分割補強片60Bには、この中間の分割補強片60Bの室外側の端面において、支持部材76が取り付けられており、板材の折り曲げ品であって、中間の分割補強片60Bと同じ又は略同じ長さ寸法となっているこの支持部材76は、中間の分割補強片60Bの室外側の端面に上部77Aが結合されて鉛直に垂下している垂下部77と、この垂下部77の下端から直角又は略直角に屈曲して室内側へ水平又は略水平に延出している延出部78とからなる。なお、垂下部77の上部77Aの長さ寸法は、支持部材76の全体の長さ寸法よりも、中間の分割補強片60Bに設けられている2個の切り込み部62の合計長さ寸法分だけ短くなっている。
【0084】
また、支持部材76のうち、延出部78の下面には、ゴムや軟質合成樹脂等によって形成されていて、弾性的に圧縮変形可能となっている厚板状のシール部材79が固定されている。
【0085】
支持部材76の垂下部77についてのシャッターカーテン2の厚さ方向の位置は、
図13に示されているように、2個の分割補強片60A,60Cの水平部63における室内側の端面80を座板4の立上部14に当接させるとともに、中間の分割補強片60Bの室内側の端面81も座板4の立上部14に当接させたときに、分割補強片60A,60Cを保持している保持体61の第2保持部材73の第2面部73Bにおける室内側の面と同じ位置又はこの面よりも僅かに室内側の位置となるように設定されている。このため、中間の分割補強片60Bに設けられている2個の切り込み部62の内部に2個の分割補強片60A,60Cの鉛直部64を挿入して、これらの分割補強片60A,60Cを、
図14及び
図15の矢印で示されているように、中間の分割補強片60Bに対して補強部材60の長さ方向にスライド移動させたときに、支持部材76の垂下部77と、保持体61の第2保持部材73の第2面部73Bとが干渉しないようになっている。
【0086】
さらに、2個の分割補強片60A,60Cを座板4に取り付けるために、
図13に示されているように、これらの分割補強片60A,60Cを個別に支持するそれぞれの保持体61を第1及び第2押圧手段25,30により座板本体13に取り付けるとともに、中間の分割補強片60Bを座板本体13の上面13Bの上に載せたときに、支持部材76の延出部78の高さ位置が、保持体61の第2保持部材73における第1面部73Aの高さ位置よりも高い位置となるように設定されている。このときには、支持部材76の延出部78の下面に固定されているシール部材79のうち、保持体61の第2保持部材73における第1面部73Aと対応する部分は、シール部材79の厚さ方向である上下方向に弾性的に圧縮変形されてこの第1面部73Aに上面に密着するようになっている。
【0087】
この実施形態では、3個の分割補強片60A,60B,60Cの組み合わせで形成される補強部材60を座板4に配置する以前において、
図14に示されているように、中間の分割補強片60Bに設けられている2個の切り込み部62の内部に2個の分割補強片60A,60Cの鉛直部64を挿入する作業が行われる。この挿入作業を行うと、それぞれの保持体61に補強部材60の長さ方向に2個ずつ配置されている第2押圧手段30のうち、中間の分割補強片60B側にそれぞれ1個配置されている第2押圧手段30Aは、この中間の分割補強片60Bにおける長さ方向の端部の真上に位置することになる。
【0088】
次いで、シャッターカーテン2を全閉位置から開き移動させて停止させ、この後に、それぞれの保持体61の第1保持部材72の第1面部72Aを第2保持部材73の第1面部73Aに対してシャッターカーテン2の厚さ方向に開き回動させて、第2保持部材73を座板本体13の外面に配置した後に、第1保持部材72の第1面部72Aを第2保持部材73の第1面部73Aに対してシャッターカーテン2の厚さ方向に閉じ回動させる。これにより、2個の分割補強片60A,60Cの水平部63における室内側の端面80を座板4の立上部14に当接させ、中間の分割補強片60Bの室内側の端面81も座板4の立上部14に当接させ、また、中間の分割補強片60Bを座板本体13の上面13Bの上に載せる。この後に、第1及び第2押圧手段25,30の雄ねじ部材27,32を座板本体13側へ下降前進させる作業を行う。
【0089】
第1押圧手段25の雄ねじ部材27を座板本体13側へ下降前進させる作業を行うと、これらの第1押圧手段25の当接部材28は、
図13に示されているように、座板本体13の上面13Bに当接する。また、第2押圧手段30の雄ねじ部材32を座板本体13側へ下降前進させる作業を行うと、それぞれの保持体61に2個ずつ配置されている第2押圧手段30のうち、中間の分割補強片60B側とは反対側にそれぞれ1個配置されている第2押圧手段30Bの当接部材33は、
図13に示されているように、座板本体13の上面13Bに当接する。
【0090】
一方、それぞれの保持体61に2個ずつ配置されている第2押圧手段30のうち、中間の分割補強片60B側にそれぞれ1個配置されている第2押圧手段30Aの当接部材33は、
図13のS16-S16線断面図である
図16に示されているように、中間の分割補強片60Bに当接し、この中間の分割補強片60Bを座板本体13の上面13Bに押圧する。
【0091】
このようにそれぞれの保持体61において、中間の分割補強片60B側にそれぞれ1個配置されている第2押圧手段30Aの当接部材33が、中間の分割補強片60Bに当接して、この中間の分割補強片60Bが座板本体13の上面13Bに押圧されると、これらの第2押圧手段30Aの当接部材33を座板本体13に向かって進退させる雄ねじ部材32は、それぞれの保持体61で保持されている2個の分割補強片60A,60Cの水平部63に形成された雌ねじ孔75に螺入しているため、それぞれの保持体61は、これらの保持体61の前述した下面部61Aと、第1押圧手段25の当接部材28及び第2押圧手段30A,30Bの当接部材33とによる上下方向の挟圧作用により座板本体13に取り付けられることになり、これにより、これらの保持体61により保持された2個の分割補強片60A,60Cも座板本体13に取り付けられる。
【0092】
また、中間の分割補強片60Bは、それぞれの保持体61に設けられることによって補強部材60の長さ方向である左右方向に配置されている2個の第2押圧手段30Aの当接部材33により座板本体13の上面13Bに押圧されるため、この中間の分割補強片60Bも座板本体13に取り付けられることになる。
【0093】
このため、本実施形態によると、中間の分割補強片60Bの両側に配置されている2個の分割補強片60A,60Cを座板本体13に取り付けるための2個の第2押圧手段30Aは、中間の分割補強片60Bを座板本体13に取り付けるための手段ともなっており、したがって、2個の分割補強片60A,60Cを座板本体13に取り付けるための2個の第2押圧手段30Aを利用して、中間の分割補強片60Bを座板本体13に取り付けることができる。これにより、座板4についてのシャッターカーテン2の厚さ方向の強度を大きくするための補強部材60を、左右方向であるシャッターカーテン2の幅方向に並べられた3個の分割補強片60A,60B,60Cの組み合わせで形成しても、補強部材60を座板4に取り付けるための構造を、部品点数が少ない簡単なものにできる。
【0094】
また、以上のようにして3個の分割補強片60A,60B,60Cの組み合わせで形成されている補強部材60が座板4に配置されたシャッターカーテン2が全閉となったときには、
図13及び
図16に示されているように、それぞれの保持体61の下面部61Aとなっている第2保持部材73の第1面部73Aが出入口の床10に接触するとともに、保持体61が配置されていなくて、中間の分割補強片60Bが配置されている箇所では、この中間の分割補強片60Bに取り付けられている支持部材76の延出部78の下面に固定されたシール部材79が出入口の床10に接触する。このため、シャッターカーテン2の全閉時におけるシャッターカーテン2と出入口の床10との間の気密性を確保することができる。
【0095】
また、支持部材76の延出部78の下面に固定されているシール部材79のうち、保持体61の第2保持部材73における第1面部73Aと対応する部分は、弾性的に圧縮変形されてこの第1面部73Aに上面に密着するため、この箇所でも気密性を確保することができる。
【0096】
なお、支持部材76の垂下部77と、保持体61の第2保持部材73における第2面部73Bの室外側の面との間にすき間が生ずる場合には、垂下部77の室外側の面に、シール部材79と同様に弾性的に圧縮変形可能となっているシール部材を固定することにより、このシール部材の圧縮変形により上記すき間を塞いで気密性を確保するようにしてもよい。
【0097】
また、本実施形態によると、補強部材60は、左右方向であるシャッターカーテン2の幅方向に並べられた3個の分割補強片60A,60B,60Cの組み合わせで形成されているとともに、これらの分割補強片60A,60B,60Cのうち、支持部材76が取り付けられている中間の分割補強片60Bには、左右方向の長さを有する2個の切り込み部62が設けられ、これらの切り込み部62により、それぞれが保持体61に保持されて左右方向に離れて配置されている2個の分割補強片60A,60Cが、中間の分割補強片60Bに対して左右方向にスライド移動自在となっているため、第1及び第2押圧手段25,30により3個の分割補強片60A,60B,60Cを座板本体13に取り付ける以前において、2個の分割補強片60A,60Cを中間の分割補強片60Bに対して左右方向にスライド移動させることにより、3個の分割補強片60A,60B,60Cによって形成される補強部材60の全体の左右方向の長さ寸法を調整することができる。このため、補強部材60を、シャッターカーテン2の幅方向となっている座板4の長さ寸法が異なる複数のシャッター装置に共通して用いることができ、これらのシャッター装置について、補強部材60を兼用化できる。
【0098】
また、それぞれ個別の保持体61により保持されている分割補強片60A,60Cと、支持部材支持部材76が取り付けられている中間の分割補強片60Bは、分離可能であって、分割補強片60A,60C同士も分離可能となっているため、これらの分割補強片60A,60B,60Cを座板本体13に取り付ける以前や、分割補強片60A,60B,60Cを座板本体13から取り外した後には、分割補強片60A,60B,60Cを分離することにより、分割補強片60A,60B,60Cの長さ寸法を短くでき、このため、これらの分割補強片60A,60B,60Cについての管理や収納を有効に行うことができる。
【0099】
なお、この実施形態における保持体61は、
図6及び
図7で示した保持体41と同様の構造のものとなっていたが、この実施形態における保持体を、
図3及び
図4で示した保持体21や、
図9及び
図10で示した保持体51と同様の構造のものとしてもよい。
【0100】
また、これまで説明したそれぞれの実施形態における補強部材20,60は、座板4における室外側に配置されるものとなっていたが、補強部材は、座板における室内側に配置されるものでもよく、あるいは、座板における室外側と室内側の両方に補強部材を配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、例えば、建物の出入口等に設置されるシャッター装置の座板に利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 ガイドレール
2 シャッターカーテン
4 座板
13 座板本体
13A 座板の下面でもある座板本体の下面
13B 座板の下面よりも上側の座板における面となっている座板本体の上面
20,60 補強部材
21,41,51,61 保持体
21A,41A,51A,61A 保持体の下面部
22,23,42,43,72,73 保持体を形成する第1保持部材と第2保持部材
25,30,30A,30B 押圧手段
27,32 進退部材である雄ねじ部材
28,33 当接部材
60A,60B,60C 分割補強片