(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040526
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20220304BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20220304BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N5/225 100
H04N5/225 700
H04N5/232 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145289
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】武井 宏光
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2K005AA20
2K005BA52
2K005BA54
2K005CA03
2K005CA04
2K005CA13
2K005CA14
2K005CA22
2K005CA34
2K005CA42
2K005CA44
2K005CA45
2K005CA46
2K005CA53
5C122EA41
5C122GD09
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】可動体を基準姿勢に復帰させる姿勢復帰機構を備えた振れ補正機能付き光学ユニットの組立精度の確保を容易にする。
【解決手段】振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5を光軸Lを中心に回転可能に支持する回転支持機構6と、回転支持機構6を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転可能に支持するジンバル機構7と、回転支持機構6およびジンバル機構7を介して可動体5を支持する固定体8と、振れ補正の原点位置に可動体5を復帰させる姿勢復帰機構を有する。回転支持機構6は、可動体5を光軸Lを中心に回転可能に支持するプレートホルダ63を備える。姿勢復帰機構は、カバーボトム20に固定される弾性支持部材9を備える。弾性支持部材9は、プレートホルダ63を介して可動体5の荷重を支持しており、光軸方向から見て、可動体5の重心を中心として周方向に均等配置される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールを備える可動体と、
前記可動体を前記カメラモジュールの光軸を中心に回転可能に支持する回転支持機構と、
前記回転支持機構を前記光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに前記光軸と交差し且つ前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持する揺動支持機構と、
前記回転支持機構および前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記光軸と予め設定した軸線とが一致する基準姿勢に前記可動体を復帰させる姿勢復帰機構と、を有し、
前記回転支持機構は、前記可動体を前記光軸を中心に回転可能に支持する回転支持部材を備え、
前記固定体は、前記回転支持部材と前記光軸方向で対向するカバー部材を備え、
前記姿勢復帰機構は、
前記カバー部材と前記回転支持部材との間に配置されて前記回転支持部材を介して前記可動体の荷重を受ける複数の弾性支持部材を備え、
前記複数の弾性支持部材は、前記光軸方向から見て、前記可動体の重心を中心として周方向に均等配置されることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記弾性支持部材は、弾性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記弾性支持部材は、ゴム硬度が10以下の低硬度ゴムからなることを特徴とする請求項2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記弾性支持部材は、前記光軸方向から見て円形であることを特徴とする請求項2または3に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記弾性支持部材は、円筒形であることを特徴とする請求項4に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記弾性支持部材は、前記カバー部材と前記回転支持部材のうちの一方に固定され、前記カバー部材と前記回転支持部材のうちの他方に向けて突出する先端部が球面状であることを特徴とする請求項4に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記弾性支持部材は前記カバー部材に固定されることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
前記弾性支持部材は、前記第1軸上で前記重心を基準として対称な2か所に配置されることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項9】
前記弾性支持部材は、前記第2軸上で前記重心を基準として対称な2か所に配置されることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールを揺動させて振れ補正を行う振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットの中には、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、カメラモジュールが搭載される可動体を、光軸回り、光軸と直交する第1軸回り、および光軸と第1軸とに直交する第2軸回りに回転させるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが記載される。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュール(光学モジュール)を備える可動体と、固定体と、固定体に対して可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、固定体に対して可動体を揺動させる揺動用磁気駆動機構を備える。揺動用磁気駆動機構は、可動体に配置されるコイルと、固定体に配置される磁石を備える。可動体には、姿勢復帰用磁性部材が配置される。姿勢復帰用磁性部材は、揺動用磁気駆動機構の磁石との間に作用する磁気吸引力によって、コイルへの通電を停止したときに可動体を基準姿勢に復帰させる磁気バネを構成している。
【0004】
特許文献2には、固定体と可動体との間に掛け渡された板状バネの弾性力によって可動体を基準姿勢に復帰させる振れ補正機能付き光学ユニットが開示される。板状バネは、矩形枠状の固定体側連結部と、固定体側連結部の内周側に配置される円環状の可動体側連結部と、周方向に折り返されながら固定体側連結部と可動体側連結部とを連結する板バネ部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-020502号公報
【特許文献2】特開2015-064501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
可動体を基準姿勢に復帰させる姿勢復帰機構として磁気バネを用いる場合、基準姿勢で可動体が停止するように磁性部材と磁石とを精度良く配置する必要がある。そのため、組立時に可動体の姿勢を確認しながら磁性部材と磁石の位置調整を行わなければならず、位置調整が可能な構成や治具が必要である。例えば、特許文献1では、光学モジュールの光軸ズレを計測しながら治具を用いて磁石を光軸方向に移動させて位置調整を行う。
【0007】
また、特許文献2のように姿勢復帰機構として板状バネを用いる場合、可動体が基準姿勢で停止するように組み立てるためには、組立精度を高める必要がある。また、部品精度の影響も大きいので、部品精度を高める必要がある。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、可動体を基準姿勢に復帰させる姿勢復帰機構を備えた振れ補正機能付き光学ユニットの組立精度の確保を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールを備える可動体と、前記可動体を前記カメラモジュールの光軸を中心に回転可能に
支持する回転支持機構と、前記回転支持機構を前記光軸と交差する第1軸回りに回転可能に支持するとともに前記光軸と交差し且つ前記第1軸と交差する第2軸回りに回転可能に支持する揺動支持機構と、前記回転支持機構および前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、前記光軸と予め設定した軸線とが一致する基準姿勢に前記可動体を復帰させる姿勢復帰機構と、を有し、前記回転支持機構は、前記可動体を前記光軸を中心に回転可能に支持する回転支持部材を備え、前記固定体は、前記回転支持部材と前記光軸方向で対向するカバー部材を備え、前記姿勢復帰機構は、前記カバー部材と前記回転支持部材との間に配置されて前記回転支持部材を介して前記可動体の荷重を受ける複数の弾性支持部材を備え、前記複数の弾性支持部材は、前記光軸方向から見て、前記可動体の重心を中心として周方向に均等配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、固定体と回転支持機構との間に、回転支持部材を介して可動体の荷重を受ける弾性支持部材が配置される。弾性支持部材は、可動体の重心を中心として周方向に均等配置されているので、可動体が傾いたとき、弾性支持部材の弾性復帰力により、可動体を基準姿勢に復帰させることができる。このように、弾性支持部材で可動体の荷重を受ける姿勢復帰機構は、従来の磁気バネを用いる姿勢復帰機構や、板状バネで可動体を吊る姿勢復帰機構よりも、可動体を基準姿勢に精度良く位置決めするために必要な組立精度を容易に確保することができる。
【0011】
本発明において、前記弾性支持部材は、弾性樹脂からなることが好ましい。弾性樹脂からなる成形品は、組立作業が容易であり、組立精度の確保も容易である。また、弾性樹脂は全方向に圧縮変形できるため、可動体の全方向の姿勢変化に対して姿勢復帰が可能である。
【0012】
例えば、前記弾性支持部材は、ゴム硬度が10以下の低硬度ゴムからなることが好ましい。低硬度ゴムを用いれば、適正な弾性復帰力を得ることができる。従って、可動体の振れ補正を行う際、必要な駆動電流を抑制できる。また、低硬度ゴムは、50%程度の圧縮量までは変形時のばね定数が略一定であるため、振れ補正を行う際の駆動電流の制御が容易である。
【0013】
本発明において、前記弾性支持部材は、前記光軸方向から見て円形であることが好ましい。例えば、前記弾性支持部材は、円筒形であることが好ましい。このような形状を採用すれば、組立時に弾性支持部材の向きを調整する必要がないので、組立が容易である。
【0014】
本発明において、前記弾性支持部材は、前記カバー部材と前記回転支持部材のうちの一方に固定され、前記カバー部材と前記回転支持部材のうちの他方に向けて突出する先端部が球面状であることが好ましい。このような形状を採用すれば、可動体の全方位の姿勢変化に対して弾性支持部材が均等に圧縮変形する。従って、全方向の姿勢変化に対して姿勢復帰が可能である。また、振れ補正を行う際の駆動電流の制御が容易である。
【0015】
本発明において、前記弾性支持部材は前記カバー部材に固定されることが好ましい。このようにすると、予め弾性支持部材を固定したカバー部材に回転支持機構を組み付けた可動体を積み上げることによって振れ補正機能付き光学ユニットを組み立てることができる。従って、振れ補正機能付き光学ユニットの組立が容易である。
【0016】
本発明において、前記弾性支持部材は、前記第1軸上で前記重心を基準として対称な2か所に配置されることが好ましい。あるいは、前記弾性支持部材は、前記第2軸上で前記重心を基準として対称な2か所に配置されることが好ましい。このようにすると、振れ補正の原点位置に可動体を復帰させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、固定体と回転支持機構との間に、回転支持部材を介して可動体の荷重を受ける弾性支持部材が配置される。弾性支持部材は、可動体の重心を中心として周方向に均等配置されているので、可動体が傾いたとき、弾性支持部材の弾性復帰力により、可動体を基準姿勢に復帰させることができる。このように、弾性支持部材で可動体の荷重を受ける姿勢復帰機構は、従来の磁気バネを用いる姿勢復帰機構や、板状バネで可動体を吊る姿勢復帰機構よりも、可動体を基準姿勢に精度良く位置決めするために必要な組立精度を容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明を適用した補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
【
図2】
図1の振れ補正機能付き光学ユニットを光軸方向の一方側から見た分解斜視図である。
【
図3】
図1の振れ補正機能付き光学ユニットを光軸方向の他方側から見た分解斜視図である。
【
図4】振れ補正機能付き光学ユニットをXZ平面で切断した断面図である。
【
図5】振れ補正機能付き光学ユニットをXY平面で切断した断面図である。
【
図6】振れ補正機能付き光学ユニットを第1軸およびZ軸を含む平面で切断した断面図である。
【
図7】振れ補正機能付き光学ユニットを第2軸およびZ軸を含む平面で切断した断面図である。
【
図9】振れ補正機能付き光学ユニットの主要部を示す平面図である。
【
図10】変形例の弾性支持部材の断面図、および、変形例の弾性支持部材がカバーボトムとプレートホルダとの間で圧縮された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0020】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。
図2は、
図1の振れ補正機能付き光学ユニット1を光軸方向の一方側(+Z方向)から見た分解斜視図である。
図3は、
図1の振れ補正機能付き光学ユニット1を光軸方向の他方側(-Z方向)から見た分解斜視図である。
図4は、振れ補正機能付き光学ユニット1をXZ平面で切断した断面図である。
図5は、振れ補正機能付き光学ユニット1をXY平面で切断した断面図である。
図6は、振れ補正機能付き光学ユニット1を第1軸R1およびZ軸を含む平面で切断した断面図である。
図7は、振れ補正機能付き光学ユニット1を第2軸R2およびZ軸を含む平面で切断した断面図である。
図8は、ジンバルバネ70の斜視図である。
図9は、振れ補正機能付き光学ユニット1の主要部を示す平面図である。
【0021】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2および撮像素子3を備えたカメラモジュール4を有する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、カメラモジュール4の傾きを補正する。
【0022】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、光軸L回り、光軸Lと直交する第1軸R1回り、並びに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2回りにカメラモジュール4を回転させて振れ補正を行う。従って、振れ補正機能付き光学ユニット1は、ローリング補正、ピッチング補正、および、ヨーイング補正を行う。
【0023】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、Z軸とする。Z軸は、レンズ2の光軸Lと一致する。X軸は、光軸Lと直交して、第1軸R1と第2軸R2との交点を通過する。また、X軸は、第1軸R1および第2軸R2と45°の角度で交差する。Y軸は、光軸LおよびX軸と直交して、第1軸R1および第2軸R2の交点を通過する。また、Y軸は、第1軸R1および第2軸R2と45°の角度で交差する。従って、X軸およびY軸を含む平面をXY平面とした場合に、第1軸R1および第2軸R2は、XY平面上に位置する。第1軸R1および第2軸R2は、Z軸回りで、X軸およびY軸に対して45度傾斜する。
【0024】
また、以下の説明では、X軸、Y軸、Z軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とする。また、Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とし、Z軸方向の一方側を-Z方向、他方側を+Z方向とする。-Z方向は、カメラモジュール4の反被写体側であり、光軸方向の他方側である。+Z方向は、カメラモジュール4の被写体側であり、光軸方向の一方側である。また、第1軸R1に沿った方向を第1軸R1方向、第2軸R2に沿った方向を第2軸R2方向とする。
【0025】
図1、
図2に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール4を備える可動体5と、可動体5を光軸L回りに回転可能に支持する回転支持機構6を備える。従って、可動体5は、光軸L回りのロール方向ROLLに回転可能である。また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、回転支持機構6を、第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに、第2軸R2回りに回転可能に支持するジンバル機構7と、ジンバル機構7および回転支持機構6を介して可動体5を支持する固定体8を有する。
【0026】
従って、可動体5は、ジンバル機構7を介して、第1軸R1回りに揺動可能に支持されるとともに、第2軸R2回りに揺動可能に支持される。ここで、可動体5は、第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、X軸回りのヨー方向YAW、およびY軸回りのピッチ方向PITCHに回転可能である。従って、ジンバル機構7は、回転支持機構6を介して可動体5をX軸回りおよびY軸回りに揺動可能に支持する揺動支持機構である。
【0027】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5に接続されるフレキシブルプリント基板14を備える。
図4、
図5に示すように、フレキシブルプリント基板14は、可動体5から+X方向に引き出されている。フレキシブルプリント基板14は、固定体8の外部に引き出され、不図示のコネクタを介して、振れ補正機能付き光学ユニット1が搭載される光学機器の基板などに接続される。
【0028】
また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、
図5に示すように、可動体5を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構10を有する。振れ補正用磁気駆動機構10は、可動体5に対してX軸回りの駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構11と、可動体5に対してY軸回りの駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構12を備える。
図2、
図3、
図5に示すように、第1振れ補正用磁気駆動機構11は、可動体5の-Y方向に配置される第1マグネット111および第1コイル112を備える。第2振れ補正用磁気駆動機構12は、可動体5の-X方向に配置される第2マグネット121および第2コイル122を備える。
【0029】
さらに、振れ補正機能付き光学ユニット1は、
図2、
図3、
図5に示すように、可動体5を光軸L回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構13を有する。ローリング補正用磁気駆動機構13は、可動体5の+Y方向に配置されるローリング補正用マグネット131およびローリング補正用コイル132を備える。振れ補正機能付き光学ユニット1は、振れ補正用磁気駆動機構10およびローリング補正用磁気駆動機構13への給電用のフレキシブルプリント基板15を備える。フレキシブルプリント基板15は、固定体8に取り付けられている。
【0030】
(可動体)
図2~
図5に示すように、可動体5は、カメラモジュール4と、カメラモジュール4を囲む金属製のホルダ16を備える。カメラモジュール4は、Z軸方向から見て8角形のカメラモジュール本体4aと、カメラモジュール本体4aから+Z方向へ突出する円筒形の鏡筒部4bを備える。鏡筒部4bには、レンズ2(
図4参照)が保持される。ホルダ16は、カメラモジュール4を-Z方向から支持するホルダ底部161と、ホルダ底部161の外周縁から+Z方向へ立ち上がるホルダ枠部162を備える。ホルダ枠部162は、+X方向に開口する切欠き部160を備える。フレキシブルプリント基板14は、カメラモジュール4の内部に配置される撮像素子3に接続され、切欠き部160を通って可動体5の+X方向へ引き出されている。
【0031】
ホルダ16は磁性材料からなる。
図3、
図5に示すように、ホルダ枠部162の-Y方向の側面には、第1マグネット111が固定される。ホルダ枠部162の-X方向の側面には、第2マグネット121が固定される。第1マグネット111および第2マグネット121は、Z軸方向に分極着磁されている。また、ホルダ枠部162の+Y方向の側面には、ローリング補正用マグネット131が固定される。ローリング補正用マグネット131は、周方向に分極着磁されている。
【0032】
(固定体)
図1~
図5に示すように、固定体8は、可動体5およびフレキシブルプリント基板14を-Z方向から覆うカバーボトム20と、カバーボトム20に+Z方向から固定され可動体5の対角方向を囲むフレームケース30と、フレームケース30および可動体5の外周側を囲むストッパーケース40を備える。カバーボトム20、フレームケース30、およびストッパーケース40は金属製であり、非磁性材料からなる。カバーボトム20は、例えば板厚0.15mmの板金部材であり、プレス加工により製造される。フレームケース30は、カバーボトム20よりも板厚が厚い(例えば板厚0.30mm)板金部材であり、プレス加工により製造される。ストッパーケース40は、カバーボトム20と板厚が等しく、プレス絞り加工により製造される。
図1、
図4に示すように、可動体5およびジンバル機構7の一部は、ストッパーケース40から+Z方向に突出する。
【0033】
また、固定体8は、可動体5から+X方向へ引き出されるフレキシブルプリント基板14の外周側を囲むFPCカバー50を備える。FPCカバー50は樹脂製であり、カバーボトム20に+Z方向から固定される。カバーボトム20は、+X方向の縁から+Z方向へ立ち上がる2か所の第1弾性係合部21を備えており、第1弾性係合部21は、FPCカバー50の+X方向の側面に設けられた第1係止部22に係止される。FPCカバー50は、+X方向の側面の-Z方向の端部を切り欠いた切欠き部51を備える。フレキシブルプリント基板14は、切欠き部51とカバーボトム20との隙間から固定体8の外部へ引き出されている。
【0034】
FPCカバー50の-X方向の端部は、後述するフレームケース30の矩形枠部31に嵌まる引っ掛け部52を備える(
図3、
図5参照)。矩形枠部31に引っ掛け部52が+
Z方向から嵌まることにより、フレームケース30にFPCカバー50の-X方向の端部が係止される。また、FPCカバー50の-X方向の端部における-Y方向の側面および+Y方向の側面には、それぞれ、係止部53が形成されている。ストッパーケース40の+X方向の端部は、係止部53に係合する係合孔49を備える。また、ストッパーケース40の-X方向の側面は、カバーボトム20の-X方向の縁から+Z方向へ立ち上がる2か所の第3弾性係合部26に係合する係合孔27を備える(
図3参照)。
【0035】
図5に示すように、フレキシブルプリント基板15は、ストッパーケース40の内面に沿って周方向に引き回されている。
図2、
図3、
図5に示すように、フレキシブルプリント基板15は、ストッパーケース40の-Y方向の側面に沿ってX軸方向に延びる第1コイル固定部151、ストッパーケース40の-X方向の側面に沿ってY軸方向に延びる第2コイル固定部152、ストッパーケース40の+Y方向の側面に沿ってX軸方向に延びる第3コイル固定部153を備える。第1コイル固定部151、第2コイル固定部152、および第3コイル固定部153は、ストッパーケース40の内周面に固定される。
【0036】
第1コイル固定部151には、第1振れ補正用磁気駆動機構11の第1コイル112が固定され、第2コイル固定部152には、第2振れ補正用磁気駆動機構12の第2コイル122が固定される。また、第3コイル固定部153には、ローリング補正用コイル132が固定される。第1コイル112、第2コイル122、およびローリング補正用コイル132は、フレキシブルプリント基板15に電気的に接続されている。また、第1コイル112、第2コイル122、およびローリング補正用コイル132は、フレキシブルプリント基板15を介してストッパーケース40に固定される。
【0037】
図2、
図3、
図5に示すように、ストッパーケース40は、可動体5の外周側を囲む胴部40Aを備える。胴部40Aは、可動体5の-Y方向においてX軸方向に延びる第1ケース壁41と、可動体5の-X方向においてY軸方向に延びる第2ケース壁42と、可動体5の+Y方向においてX軸方向に延びる第3ケース壁43を備える。また、ストッパーケース40は、胴部40Aの光軸方向の一方側(+Z方向)の端部から内周側へ張り出す端板部44を備える。端板部44は、第1軸R1方向の対角位置から内周側へ突出する第1ケース突起45Aと、第2軸R2方向の対角位置から内周側へ突出する第2ケース突起45Bを備える。また、端板部44は、第1軸R1上の2か所、および、第2軸R2上の2か所に、それぞれ、フレームケース30との位置決め用のケース位置決め孔440が設けられている。
【0038】
ストッパーケース40は、フレキシブルプリント基板15の-Z方向の縁を係止するフック46(
図2、
図3、
図4参照)と、フレキシブルプリント基板15の+Z方向の縁を係止する凹溝47(
図3参照)を備える。フック46は、第1ケース壁41、第2ケース壁42、および第3ケース壁43の周方向の中央にそれぞれ1箇所ずつ形成されている。凹溝47は、端板部44の-Y方向の縁、-X方向の縁、および+Y方向の縁にそれぞれ2か所ずつ形成されている。第1コイル固定部151、第2コイル固定部152、および第3コイル固定部153は、それぞれ、-Z方向の縁がフック46に係止され、+Z方向の縁が凹溝47に係止されて位置決めされるとともに、接着剤によりストッパーケース40に固定されている。
【0039】
第1ケース壁41、第2ケース壁42、および第3ケース壁43は、それぞれ、周方向の中央においてZ軸方向に延びる磁性部材配置溝48を備える。磁性部材配置溝48は内周側へ凹んでいる。
図5に示すように、第1ケース壁41に設けられた磁性部材配置溝48には、第1磁性部材113が配置される。第1磁性部材113は、可動体5をX軸回りの振れ補正における原点位置に位置決めするための磁気バネを構成する。また、第2ケース壁42に設けられた磁性部材配置溝48には、第2磁性部材123が配置される。第2
磁性部材123は、可動体5をY軸回りの振れ補正における原点位置に位置決めするための磁気バネを構成する。
【0040】
フック46は、磁性部材配置溝48の底部を内周側に切り起こして光軸方向に曲げた切り曲げ部である。そのため、磁性部材配置溝48の底部は、フック46を切り起こした箇所が開口部46aになっている。開口部46aは、フレキシブルプリント基板15をストッパーケース40に位置決めした後、固定用の接着剤をフレキシブルプリント基板15とストッパーケース40との間に流し込むための接着剤塗布孔として使用される。
【0041】
図2、
図3に示すように、フレームケース30は、カバーボトム20に+Z方向から当接する矩形枠部31と、矩形枠部31の第1軸R1方向の対角位置から+Z方向へ立ち上がる一対の第1縦枠部32と、矩形枠部31の第2軸R2方向の対角位置から+Z方向へ立ち上がる一対の第2縦枠部33を備える。第1縦枠部32および第2縦枠部33は、カバーボトム20の第1軸R1方向の対角位置、および第2軸R2方向の対角位置に設けられた4箇所の第2弾性係合部23を係止する第2係止部24を備える。第2弾性係合部23を第2係止部24に係止することにより、カバーボトム20にフレームケース30が固定される。
【0042】
図2、
図3に示すように、一対の第1縦枠部32は、それぞれ、+Z方向へ延びる板部34と、板部34の幅方向の両側の縁から突出する2本の突部35を備える。また、一対の第2縦枠部33は、それぞれ、+Z方向へ延びる板部36と、板部36の幅方向の両側の縁のZ軸方向の略中央から突出する一対の腕部37と、各腕部37の+Z方向および-Z方向において板部36の幅方向の両側の縁から突出する4本の突部38を備える。突部35、38は、ストッパーケース40の内面に固定されるフレキシブルプリント基板15に沿ってY軸方向もしくはX軸方向に延びている。
【0043】
図1、
図6に示すように、一対の第1縦枠部32は、それぞれ、板部34の+Z方向の先端がストッパーケース40のケース位置決め孔440に挿入される。また、
図1、
図7に示すように、一対の第2縦枠部33は、それぞれ、板部36の+Z方向の先端がストッパーケース40のケース位置決め孔440に挿入される。本形態では、板部34、36の先端は、溶接によりストッパーケース40に固定される。
【0044】
一対の第2縦枠部33は、板部36から第2軸R2方向で対向する方向へ突出する第2軸側筒部39を備える。一対の腕部37は、第2軸側筒部39の周方向の両側に配置される。第2軸側筒部39には、円柱形状の第2軸側シャフト720が保持される。第2軸側シャフト720は、第2軸側筒部39から径方向内側へ突出する先端部が半球面を備えている。第2軸側シャフト720は、後述するように、ジンバル機構7の第2接続機構72を構成する。
【0045】
(回転支持機構)
図4、
図6、
図7に示すように、回転支持機構6は、ホルダ底部161の中央から-Z方向へ突出する軸部61と、軸部61の外周側を囲むベアリング62と、ベアリング62を介して軸部61に接続されるプレートホルダ63と、プレートホルダ63に固定される環状の吸着マグネット64を備える。吸着マグネット64は、単極着磁でもよいし、周方向に交互にS極とN極を配置した多極着磁であってもよい。軸部61は、バーリング加工によりホルダ16に形成される。ベアリング62は、軸部61の外周面に設けられた段部610に固定される内輪621と、内輪621の外周側を囲む外輪622と、内輪621と外輪622の間を転動する球体623と、球体623を転動可能に保持する環状のリテーナ624を備える。
【0046】
プレートホルダ63は、内周面に外輪622が固定されるプレートホルダ筒部65と、プレートホルダ筒部65の+Z方向の端部から外周側へ延びるプレートホルダ環状部66と、プレートホルダ環状部66から第1軸R1方向の両側に突出して+Z方向に屈曲した一対のプレートホルダ延設部67を備える。吸着マグネット64はプレートホルダ環状部66に固定され、磁性部材であるホルダ底部161を吸引している。プレートホルダ環状部66とホルダ底部161との間には一定のギャップが設けられており、吸着マグネット64とホルダ底部161とは一定のギャップを保つ。
【0047】
図6に示すように、一対のプレートホルダ延設部67の先端部は、それぞれ、可動体5の外周側をZ軸方向に延びている。各プレートホルダ延設部67の先端部は、第1軸R1上を内周側へ凹む第1軸側凹曲面68を備える。第1軸側凹曲面68は、後述するように、ジンバル機構7の第1接続機構71を構成する。
【0048】
(弾性支持部材)
図2に示すように、カバーボトム20は、光軸Lを中心とする円形穴25を備える。円形穴25を挟んで第1軸R1方向に対向する2か所には、円筒形の弾性支持部材9が配置される。弾性支持部材9は、ゴム硬度が10以下の低硬度ゴムからなる。例えば、弾性支持部材9は、ゴム硬度が1ないし3のシリコン系のゴムからなる。本形態では、可動体5の底部に配置される回転支持機構6のプレートホルダ63を介して、可動体5および回転支持機構6の荷重を弾性支持部材9で受ける構造になっている(
図6参照)。
【0049】
プレートホルダ63は、ベアリング62を介して可動体5を光軸回りに回転可能に支持する回転支持部材である。カバーボトム20は、回転支持機構6を-Z方向から覆っており、プレートホルダ63と光軸方向に対向する。弾性支持部材9は、プレートホルダ63とカバーボトム20との間に配置される。弾性支持部材9は、可動体5および回転支持機構6の荷重が加わることにより、プレートホルダ63とカバーボトム20との間で圧縮される。本形態では、カメラモジュール4の光軸LとZ軸とが一致する状態では、弾性支持部材9は、プレートホルダ63とカバーボトム20との間で10%程度の圧縮率でZ軸方向に圧縮されている。
【0050】
固定体8に対して可動体5が揺動する際、プレートホルダ63は、可動体5と共にカバーボトム20に対して傾く。このとき、可動体5が傾いた側に位置する弾性支持部材9は圧縮される。圧縮された弾性支持部材9の弾性復帰力により、可動体5は、固定体8に対する傾きが減少する方向に付勢される。一方、可動体5が傾いた側とは反対側に位置する弾性支持部材9は、プレートホルダ63がカバーボトム20から離れるため、圧縮前の形状に復帰する。本形態では、弾性支持部材9は、カバーボトム20に固定されるが、プレートホルダ63には固定されていない。従って、プレートホルダ63とカバーボトム20との距離が弾性支持部材9の圧縮前の寸法よりも大きくなるまで可動体5が傾くと、プレートホルダ63は弾性支持部材9から離れる。
【0051】
弾性支持部材9は、光軸方向から見て、可動体5の重心を中心として周方向に均等配置される。本形態では、弾性支持部材9は、光軸Lを挟んで第1軸R1上で対称な2か所に配置される。可動体5の重心は光軸L上に位置しているので、弾性支持部材9は、可動体の重心を基準として、第1軸R1上で対称な2か所に配置される。プレートホルダ63は、プレートホルダ環状部66から第1軸R1方向の両側へ延びるプレートホルダ延設部67を備えており、弾性支持部材9は、光軸方向から見てプレートホルダ延設部67に重なる。
【0052】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5を振れ補正の原点位置へ復帰させる姿勢復帰機構を備える。振れ補正の原点位置では、可動体5は、カメラモジュール4の光軸L
とZ軸(あらかじめ設定した軸線)とが一致する基準姿勢になる。本形態では、姿勢復帰機構として、第1磁性部材113と第1マグネット111、および、第2磁性部材123と第2マグネット121により構成される2組の磁気バネと、弾性支持部材9とを備える。磁気バネは、第1磁性部材113と第1マグネット111との間に作用する磁気吸引力、および、第2磁性部材123と第2マグネット121との間に作用する磁気吸引力によって、可動体5を振れ補正の原点位置に向けて付勢する。また、可動体5が傾くと、傾いた側に位置する弾性支持部材9が圧縮されるため、弾性支持部材9は、圧縮状態から復帰する弾性復帰力によって、可動体5を振れ補正の原点位置に向けて付勢する。従って、振れ補正用磁気駆動機構10の第1コイル112および第2コイル122への通電を切った状態では、磁気バネおよび弾性支持部材9により、可動体5が原点位置に保持される。
【0053】
このように、本形態では、姿勢復帰機構として、磁気バネに加えて、可動体5および回転支持機構6の荷重を受ける弾性支持部材9を備えているので、可動体5を振れ補正の原点位置に復帰させる際の位置精度を高めることができる。また、低硬度ゴムは防振性材料であるため、落下等による衝撃が加わった際に耐衝撃性を高めることができる。
【0054】
(ジンバル機構)
図2~
図5に示すように、ジンバル機構7は、ジンバルバネ70と、第1接続機構71と、第2接続機構72を備える。第1接続機構71は、ジンバルバネ70とプレートホルダ63とを第1軸R1回りに回転可能に接続する。第2接続機構72は、ジンバルバネ70とフレームケース30とを第2軸R2回りに回転可能に接続する。ジンバル機構7が構成されると、可動体5は、ジンバル機構7および回転支持機構6を介して固定体8に支持される。これにより、可動体5は、光軸L、第1軸R1、および第2軸R2が交差する交点を中心に揺動可能となる。
【0055】
ジンバルバネ70は、金属製の板バネからなる。
図2、
図3、
図8、
図9に示すように、ジンバルバネ70は、ホルダ16の外周側を囲むジンバルバネ枠部73と、ジンバルバネ枠部73の第1軸R1方向の対角位置から-Z方向に延びる一対の第1ジンバルバネ延設部74と、ジンバルバネ枠部73の第2軸R2方向の対角位置から-Z方向に延びる一対の第2ジンバルバネ延設部75を備える。
【0056】
図8に示すように、ジンバルバネ枠部73は、第1軸R1方向の対角部分、および、第2軸R2方向の対角部分がそれぞれ-Z方向に傾斜する方向に屈曲したテーパ部731を備える。各テーパ部731は、周方向の中央部を外周側へ切り欠いた溝部732を備える。各溝部732には、ストッパーケース40に設けられた第1ケース突起45A、もしくは第2ケース突起45Bが配置される(
図9参照)。
【0057】
ジンバルバネ70の溝部732とストッパーケース40の第1ケース突起45Aおよび第2ケース突起45Bは、可動体5の揺動範囲を規制するストッパー機構を構成している。すなわち、第1ケース突起45Aが溝部732の-Z方向の縁に当たることにより、可動体5の第2軸R2周りの揺動範囲が規制され、第2ケース突起45Bが溝部732の-Z方向の縁に当たることにより、可動体5の第1軸R1周りの揺動範囲が規制される。
【0058】
ジンバルバネ枠部73は、可動体5から+X方向へ延びるフレキシブルプリント基板14との干渉を避けるジンバルバネ逃がし部76を備える。
図1、
図8に示すように、ジンバルバネ逃がし部76は、Y軸方向に離間した2か所のテーパ部731から+X方向へ屈曲して延びる一対の突出部761、突出部761の+X方向の先端から-Z方向へ屈曲してZ軸方向へ延びる一対の屈曲部762、一対の屈曲部762の-Z方向の先端に接続されY軸方向に直線状に延びる直線部763を備える。
図1に示すように、可動体5の底部から引き出されるフレキシブルプリント基板14は、一対の屈曲部762の間を通過する
。
【0059】
図5、
図6に示すように、一対の第1ジンバルバネ延設部74の先端部は、第1軸R1上を外周側へ突出する第1軸側筒部77を備える。第1軸側筒部77には、円柱形状の第1軸側シャフト710が保持される。第1軸側シャフト710は、第1軸側筒部77から径方向内側へ突出する先端部が半球面を備える。第1接続機構71は、第1軸側シャフト710の先端部に設けられた半球面が、プレートホルダ延設部67の先端に設けられた第1軸側凹曲面68に点接触することにより構成される。これにより、回転支持機構6は、ジンバル機構7により、第1軸R1回りに回転可能に支持される。
【0060】
図5、
図8に示すように、一対の第1ジンバルバネ延設部74の先端部は、第1軸側筒部77の周方向の両側において内周側へ突出する一対の腕部78を備える。第1接続機構71が構成されると、一対の腕部78の間にプレートホルダ延設部67が配置される。また、一対のプレートホルダ延設部67は、内周側へ撓んでおり、第1軸側シャフト710に内周側から弾性接触する。
【0061】
図5、
図7に示すように、一対の第2ジンバルバネ延設部75の先端部は、第2軸R2上を内周側へ凹む第2軸側凹曲面79を備える。第2接続機構72は、フレームケース30の第2軸側筒部39に保持される第2軸側シャフト720の先端に設けられた半球面が第2ジンバルバネ延設部75の先端部に設けられた第2軸側凹曲面79に点接触することにより構成される。これにより、ジンバル機構7は、固定体8により、第2軸R2回りに回転可能に支持される。
【0062】
図5に示すように、第2接続機構72が構成されると、一対の第2ジンバルバネ延設部75の先端部は、フレームケース30の第2縦枠部33に設けられた一対の腕部37の間に配置される。一対の腕部37は、第2ジンバルバネ延設部75が第2縦枠部33から+Z方向に抜けることを規制する抜け防止部である。また、一対の第2ジンバルバネ延設部75は、内周側へ撓んでおり、第2軸側シャフト720に内周側から弾性接触する。
【0063】
(振れ補正用磁気駆動機構およびローリング補正用磁気駆動機構)
ジンバル機構7によって可動体5と固定体8とが接続されると、可動体5の-Y方向の側面に固定された第1マグネット111とストッパーケース40に固定された第1コイル112とが第1振れ補正用磁気駆動機構11を構成する。従って、第1コイル112への給電により、可動体5は、X軸回りに回転する。また、可動体5の-X方向の側面に固定された第2マグネット121とストッパーケース40に固定された第2コイル122とが第2振れ補正用磁気駆動機構12を構成する。従って、第2コイル122への給電により、可動体5はY軸回りに回転する。振れ補正用磁気駆動機構10は、第1振れ補正用磁気駆動機構11による可動体5のX軸回りの回転と、第2振れ補正用磁気駆動機構12による可動体5のY軸回りの回転と、を合成して、可動体5を第1軸R1回り、および第2軸R2回りに回転させる。
【0064】
さらに、ジンバル機構7が構成されると、可動体5の+Y方向の側面に固定されたローリング補正用マグネット131とストッパーケース40に固定されたローリング補正用コイル132とがローリング補正用磁気駆動機構13を構成する。従って、ローリング補正用コイル132への給電により、可動体5は、光軸L回りに回転する。
【0065】
(組立方法)
振れ補正機能付き光学ユニット1の組立は、以下(1)~(9)の手順で行うことができる。
(1)カバーボトム20に弾性支持部材9を固定する
(2)カバーボトム20にフレームケース30を+Z方向から組み付ける。続いてFPCカバー50をカバーボトム20およびフレームケース30に+Z方向から組み付ける。
(3)ホルダ16の外周面にマグネット(第1マグネット111、第2マグネット121、ローリング補正用マグネット131)を位置決めして固定し、ホルダ16の底部に回転支持機構6を組み付ける。
(4)前工程(3)で組み立てたホルダ16、回転支持機構6、およびマグネットを+Z方向から弾性支持部材9に載せる。
(5)ジンバルバネ70を回転支持機構6およびフレームケース30に接続する
(6)フレキシブルプリント基板15にコイル(第1コイル112、第2コイル122、ローリング補正用コイル132)を固定し、各コイルから引き出したコイル線をフレキシブルプリント基板15のランド154に電気的に接続する。
(7)ストッパーケース40の内面にフレキシブルプリント基板15を位置決めして固定する
(8)コイルおよびフレキシブルプリント基板15が固定されたストッパーケース40を+Z方向からジンバルバネ70およびフレームケース30に被せて、カバーボトム20およびFPCカバー50に係止する。
(9)フレキシブルプリント基板14が接続されたカメラモジュール4を+Z方向からホルダ16に組み付け、フレキシブルプリント基板14をFPCカバー50に収容する。
【0066】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール4を備える可動体5と、可動体5をカメラモジュール4の光軸Lを中心に回転可能に支持する回転支持機構6と、回転支持機構6を光軸Lと交差する第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに光軸Lと交差し且つ第1軸R1と交差する第2軸R2回りに回転可能に支持するジンバル機構7(揺動支持機構)と、回転支持機構6およびジンバル機構7を介して可動体5を支持する固定体8と、光軸Lと予め設定した軸線(Z軸)とが一致する基準姿勢(振れ補正の原点位置)に可動体5を復帰させる姿勢復帰機構と、を有する。回転支持機構6は、可動体5を光軸Lを中心に回転可能に支持するプレートホルダ63(回転支持部材)を備える。固定体8は、プレートホルダ63と光軸方向で対向するカバーボトム20(カバー部材)を備える。姿勢復帰機構は、カバーボトム20とプレートホルダ63との間に配置されてプレートホルダ63を介して可動体5の荷重を受ける複数の弾性支持部材9を備える。
【0067】
本形態では、固定体8と可動体5との間に、プレートホルダ63を介して可動体5の荷重を受ける弾性支持部材9が配置される。弾性支持部材9は、光軸方向から見て、可動体5の重心を中心として周方向に均等配置される。従って、可動体5が傾いたとき、弾性支持部材9の弾性復帰力により、可動体5を基準姿勢に復帰させることができる。また、弾性支持部材9によって可動体5の荷重を受ける姿勢復帰機構は、磁気バネを用いる姿勢復帰機構や、板状バネで可動体5を吊る姿勢復帰機構と比較して、弾性支持部材9の位置精度の確保が容易である。従って、可動体5を基準姿勢に精度良く位置決めするために必要な組立精度を容易に確保することができる。
【0068】
弾性支持部材9は、弾性樹脂からなる。弾性樹脂からなる成形品は、カバーボトム20に対する位置決めおよび固定作業が容易であるため、組立作業が容易であり、組立精度の確保も容易である。また、弾性樹脂は全方向に圧縮変形できるため、可動体5の全方向の姿勢変化に対して姿勢復帰が可能である。
【0069】
例えば、本形態では、弾性支持部材9として、ゴム硬度が10以下の低硬度ゴムを用いるため、適正な弾性復帰力を得ることができる。従って、可動体5の振れ補正を行う際、必要な駆動電流を抑制できる。また、低硬度ゴムは、50%程度の圧縮量まではばね定数
が略一定であるため、振れ補正を行う際の駆動電流の制御が容易である。なお、弾性支持部材9は、ゴムに限定されるものではなく、ゴム以外の弾性樹脂であってもよい。
【0070】
本形態の弾性支持部材9は、円筒形であり、光軸方向から見て円形である。光軸方向から見て円形であれば、カバーボトム20の上に設置する際に向きを調整する必要がないので、組立が容易である。
【0071】
本形態では、弾性支持部材9はカバーボトム20に固定される。従って、振れ補正機能付き光学ユニット1を組み立てる際、カバーボトム20に固定された弾性支持部材9の上に回転支持機構6を組み付けたホルダ16を載せればよく、Z軸方向に部品を積み上げることによって組み立てることができる。従って、振れ補正機能付き光学ユニットの組立が容易である。
【0072】
本形態では、弾性支持部材9は、第1軸R1上で可動体5の重心を基準として対称な2か所に配置される。第1軸R1方向にはプレートホルダ延設部67が延びているので、プレートホルダ延設部67とカバーボトム20との間に弾性支持部材9を配置できる。
【0073】
(変形例)
(1)上記形態では、弾性支持部材9の数が2であるが、3以上であってもよい。例えば、プレートホルダ環状部66から第2軸R2方向の両側に突出する突出部を設けておき、第2軸R2上で可動体5の重心を基準として対称な2か所と、第2軸R2上で可動体5の重心を基準として対称な2か所の合計4か所に配置した弾性支持部材9によって可動体5を支持する構成を採用してもよい。このように、複数の弾性支持部材9を可動体5の重心を基準として周方向に均等に配置することにより、振れ補正の原点位置に可動体5を復帰させることができる。
【0074】
(2)上記形態では、カバーボトム20に弾性支持部材9が固定されているが、弾性支持部材9は、カバーボトム20とプレートホルダ63のどちらに固定されていてもよい。例えば、振れ補正機能付き光学ユニット1を組み立てる際、プレートホルダ63の-Z方向の面に弾性支持部材9を固定した組立品をカバーボトム20の上に載せる構成を採用してもよい。
【0075】
(3)
図10(a)は、変形例の弾性支持部材9Aの断面図である。
図10(b)は、変形例の弾性支持部材9Aがカバーボトム20とプレートホルダ63との間で圧縮された状態を示す断面図である。上記形態の弾性支持部材9は円筒形であるが、変形例の弾性支持部材9Aは、底面がカバーボトム20に固定され、プレートホルダ63に向けて突出する先端部が球面状である。プレートホルダ63に当接する部分が球面状であれば、可動体5の全方位の姿勢変化に対して弾性支持部材9Aが均等に圧縮変形する。従って、全方向の姿勢変化に対して姿勢復帰が可能である。また、振れ補正を行う際の駆動電流の制御が容易である。
【0076】
(4)上記形態では、姿勢復帰機構として、弾性支持部材9だけでなく磁気バネを備えているが、磁気バネを省略した構成を採用してもよい。弾性支持部材9の弾性復帰力だけでも、可動体5を基準姿勢に復帰させることが可能である。磁気バネを省略した場合には、磁気バネを構成する第1磁性部材113および第2磁性部材123の位置調整が不要になるので、組立精度の確保が容易である。
【符号の説明】
【0077】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…レンズ、3…撮像素子、4…カメラモジュール、4a…カメラモジュール本体、4b…鏡筒部、5…可動体、6…回転支持機構、7…ジ
ンバル機構、8…固定体、9、9A…弾性支持部材、10…振れ補正用磁気駆動機構、11…第1振れ補正用磁気駆動機構、12…第2振れ補正用磁気駆動機構、13…ローリング補正用磁気駆動機構、14、15…フレキシブルプリント基板、16…ホルダ、20…カバーボトム、21…第1弾性係合部、22…第1係止部、23…第2弾性係合部、24…第2係止部、25…円形穴、26…第3弾性係合部、27…係合孔、30…フレームケース、31…矩形枠部、32…第1縦枠部、33…第2縦枠部、34…板部、35…突部、36…板部、37…腕部、38…突部、39…第2軸側筒部、40…ストッパーケース、40A…胴部、41…第1ケース壁、42…第2ケース壁、43…第3ケース壁、44…端板部、45A…第1ケース突起、45B…第2ケース突起、46…フック、46a…開口部、47…凹溝、48…磁性部材配置溝、49…係合孔、50…FPCカバー、51…切欠き部、52…引っ掛け部、53…係止部、61…軸部、62…ベアリング、63…プレートホルダ、64…吸着マグネット、65…プレートホルダ筒部、66…プレートホルダ環状部、67…プレートホルダ延設部、68…第1軸側凹曲面、70…ジンバルバネ、71…第1接続機構、72…第2接続機構、73…ジンバルバネ枠部、74…第1ジンバルバネ延設部、75…第2ジンバルバネ延設部、76…ジンバルバネ逃がし部、77…第1軸側筒部、78…腕部、79…第2軸側凹曲面、111…第1マグネット、112…第1コイル、113…第1磁性部材、121…第2マグネット、122…第2コイル、123…第2磁性部材、131…ローリング補正用マグネット、132…ローリング補正用コイル、151…第1コイル固定部、152…第2コイル固定部、153…第3コイル固定部、154…ランド、160…切欠き部、161…ホルダ底部、162…ホルダ枠部、440…ケース位置決め孔、610…段部、621…内輪、622…外輪、623…球体、624…リテーナ、710…第1軸側シャフト、720…第2軸側シャフト、731…テーパ部、732…溝部、761…突出部、762…屈曲部、763…直線部、L…光軸、R1…第1軸、R2…第2軸