IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウシオ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-紫外線照射装置 図1
  • 特開-紫外線照射装置 図2
  • 特開-紫外線照射装置 図3
  • 特開-紫外線照射装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041564
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 65/00 20060101AFI20220304BHJP
   H01J 61/40 20060101ALI20220304BHJP
   A61L 9/20 20060101ALN20220304BHJP
   B01J 19/12 20060101ALN20220304BHJP
【FI】
H01J65/00 B
H01J61/40
A61L9/20
B01J19/12 C
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146836
(22)【出願日】2020-09-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】柳生 英昭
(72)【発明者】
【氏名】今村 篤史
(72)【発明者】
【氏名】森 学
【テーマコード(参考)】
4C180
4G075
5C043
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH01
4C180HH20
4C180MM07
4G075AA37
4G075BB10
4G075CA33
4G075DA02
4G075EA02
4G075EB32
4G075FC04
5C043BB01
5C043CC16
5C043EC13
(57)【要約】
【課題】波長200nm~230nmに中心波長を有する光を放射するエキシマランプを搭載し、より汎用性の高い装置構造を備えた紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】紫外線照射装置100は、発光ガスが封入された放電容器13と、放電容器13に当接して配置され、放電容器13の内部に誘電体バリア放電を生じさせる一対の第一電極14および第二電極15と、を有するエキシマランプ12と、エキシマランプ12を内部に収容し、エキシマランプ12から発せられる波長200~230nmに中心波長を有する光を放射する光出射窓を有する、絶縁性の耐熱樹脂材料により構成された筐体11と、を備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ガスが封入された放電容器と、前記放電容器に当接して配置され、前記放電容器の内部に誘電体バリア放電を生じさせる一対の第一電極および第二電極と、を有するエキシマランプと、
前記エキシマランプを内部に収容し、前記エキシマランプから発せられる波長200~230nmに中心波長を有する光を放射する光出射窓を有する、絶縁性の耐熱樹脂材料により構成された筐体と、を備えることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記第一電極と電気的に接続され、前記筐体を貫通して設けられた第一導電体と、
前記第二電極と電気的に接続され、前記筐体を貫通して設けられた第二導電体と、をさらに備え、
前記第一導電体および前記第二導電体は、前記筐体の外部において、前記エキシマランプに電力を供給する電源部と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記第一電極および前記第二電極は、前記筐体に当接して固定されており、
前記第一電極と前記第一導電体との接続は、前記筐体における前記第一電極が当接する面に設けられ、
前記第二電極と前記第二導電体との接続は、前記筐体における前記第二電極が当接する面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記第一導電体は、前記第一電極と電気的に接続され、前記筐体を貫通して設けられた第一接続端子と、前記第一接続端子に接続された第一導電部材と、を備え、
前記第二導電体は、前記第二電極と電気的に接続され、前記筐体を貫通して設けられた第二接続端子と、前記第二接続端子に接続された第二導電部材と、を備え、
前記第一接続端子および前記第二接続端子は、前記筐体の外部において、前記第一導電部材および前記第二導電部材を介して前記エキシマランプに電力を供給する電源部と電気的に接続されていることを特徴とする請求項2または3に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記第一電極および前記第二電極は、前記筐体に当接して固定されており、
前記第一接続端子は、前記筐体における前記第一電極が当接する面に設けられ、
前記第二接続端子は、前記筐体における前記第二電極が当接する面に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記第一接続端子および前記第二接続端子は、前記第一電極および前記第二電極をそれぞれ前記筐体に固定するネジ部材であることを特徴とする請求項4または5に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記筐体は、上枠部と下枠部とを備え、前記上枠部と前記下枠部とによって前記エキシマランプを収容する閉鎖空間を形成するように構成されており、
前記上枠部に、前記光出射窓が形成されており、
前記下枠部に、前記第一電極および前記第二電極がそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記筐体における前記光出射窓が形成された面とは反対側に、前記電源部が配置されていることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項9】
前記電源部は、インバータと、当該インバータを冷却する冷却機構と、を備えることを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項10】
前記光出射窓には、230nmよりも長波長側のUVC波の透過を阻止する光学フィルタが設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項11】
前記耐熱樹脂材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ガラス繊維含有ポリフェニレンサルファイド(PPS-GF)、液晶ポリマー(LCP)、およびガラス繊維含有ポリブチレンテレフタレート(PBT-GF)のいずれかであることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項12】
前記耐熱樹脂材料は、ポリエーテルイミド(PEI)であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプを備える紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有害な微生物(細菌やカビ等)やウイルスによる感染症の拡大を防ぐため、空間を浮遊する微生物やウイルス、および床面、壁面、物体の表面等の様々な場所に付着している微生物やウイルスを、紫外線を照射して不活化させることが行われている。
【0003】
例えば特許文献1には、皮膚等の殺菌処理や脱臭処理に用いられる紫外線照射装置が開示されている。この紫外線照射装置に搭載されるエキシマランプは、円筒状の外側管と、外側管の管軸に沿って配置された円筒状の内側管とで構成された発光管を備えており、外側管と内側管の間に円環状の放電空間が形成されている。また、エキシマランプを冷却するための吸排気ファンや、発光管の外側に設けられた外側電極と、発光管の内側に設けられた内側電極との間に高周波高電圧を印加させる電源部が設けられている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、人の細胞に害を及ぼすことなくバクテリアを殺菌することができる光として、波長200nm付近の紫外線(例えば、波長207nmや波長222nmのエキシマ光)を利用することができ、これにより、人にとって安全であるとともに、空間や表面をUV殺菌できる点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6558376号公報
【特許文献2】特許第6025756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人の細胞に害を及ぼさず、有害な微生物やウイルスを不活化可能な紫外線の発見により、このような紫外線は、人や動物が往来する施設(病院、スポーツ施設、劇場、飲食店、会議室、トイレ等)や乗物(飛行機、電車、バス、車)等の幅広い場面で、微生物やウイルスの不活化用途としての利用が期待される。しかしながら、上記特許文献1に記載の紫外線照射装置は、筐体構造が大型化しやすく、汎用性が高い装置構造ではなかった。
【0007】
また、エキシマランプは、放電用ガスの種類によって放射される光の波長特性(波長範囲)を調整できるものであることから、放電用ガスとして適宜のガスを用いることにより、波長200nm付近に中心波長を有する放射光(紫外線)を得ることができる。具体的には、臭化クリプトン(KrBr)ガスを用いることで中心波長207nmの放射光が得られ、塩化クリプトン(KrCl)ガスを用いることで中心波長222nmの放射光が得られる。
【0008】
しかしながら、放射光に波長190nm未満の紫外線が含まれている場合には、オゾン(O)が発生し得る。これは、波長190nm未満の紫外線が酸素を含む雰囲気中に照射されると、酸素分子が光分解されて酸素原子を生成し、酸素分子と酸素原子との結合反応によってオゾンが生成されるためである。そのため、大気雰囲気中において特定のエキシマランプを点灯した場合、波長190nm未満の紫外線が僅かに放射される際には、大気中に微量のオゾンが発生する場合がある。このオゾンは樹脂やゴム等の有機材料を劣化させるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、波長200nm~230nmに中心波長を有する光を放射するエキシマランプを搭載し、より汎用性の高い装置構造を備えた紫外線照射装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る紫外線照射装置の一態様は、発光ガスが封入された放電容器と、前記放電容器に当接して配置され、前記放電容器の内部に誘電体バリア放電を生じさせる一対の第一電極および第二電極と、を有するエキシマランプと、前記エキシマランプを内部に収容し、前記エキシマランプから発せられる波長200~230nmに中心波長を有する光を放射する光出射窓を有する、絶縁性の耐熱樹脂材料により構成された筐体と、を備える。
このように、エキシマランプを耐熱樹脂筐体で覆うことで、筐体内が保温されやすくなる。これにより、放電容器を構成するガラスの紫外線歪の緩和効果が得られる。また、エキシマランプの周囲に微量な酸素が存在する場合、その酸素がエキシマランプから放射される紫外線を受け、オゾンが発生する場合があるが、筐体内が保温されていることでオゾンの熱分解が促進される効果がある。また、筐体内を保温する構造であるため、当該筐体内には、例えばエキシマランプ等を冷却するための機構を配置する必要はない。そのため、筐体構造が大型化することを抑制し、汎用性の高い装置構造とすることができる。
【0011】
また、上記の紫外線照射装置は、前記第一電極と電気的に接続され、前記筐体を貫通して設けられた第一導電体と、前記第二電極と電気的に接続され、前記筐体を貫通して設けられた第二導電体と、をさらに備え、前記第一導電体および前記第二導電体は、前記筐体の外部において、前記エキシマランプに電力を供給する電源部と電気的に接続されていてもよい。
このように、筐体の外に電源部を設けることで、エキシマランプの周囲で微量にオゾンが発生した場合でも、当該オゾンによって電源部の構成部品が劣化するのを防止することができる。さらに、筐体を貫通して設けられた導電体を介して電源部との電気的な接続を実現することができるので、汎用性の高い装置構造とすることができる。また、筐体内にエキシマランプが収納されているため、筐体自体を取り換えることでランプ交換が可能であり、利便性の高い装置構造となる。
【0012】
また、上記の紫外線照射装置において、前記第一電極および前記第二電極は、前記筐体に当接して固定されており、前記第一電極と前記第一導電体との接続は、前記筐体における前記第一電極が当接する面に設けられ、前記第二電極と前記第二導電体との接続は、前記筐体における前記第二電極が当接する面に設けられていてもよい。
この場合、筐体内の電気的接続は、導電部材(電線)を用いない構造とすることができる。電気的接続に電線を用いる場合、電線を被覆する材料がオゾンで劣化することを想定すると短絡や漏電の問題が懸念されるが、電気的接続に電線を用いない構造とすることで、上記の問題を回避することができる。また、筐体と電極との当接面に接続端子を設けることで、筐体内の閉塞空間を維持しつつも、電極と電源部との間の電気的接続をより堅牢なものとすることができる。また、筐体内で発生した紫外線が、接続端子を形成した貫通孔から漏洩することをより適切に防ぐことができる。
【0013】
さらに、上記の紫外線照射装置において、前記第一導電体は、前記第一電極と電気的に接続され、前記筐体を貫通して設けられた第一接続端子と、前記第一接続端子に接続された第一導電部材と、を備え、前記第二導電体は、前記第二電極と電気的に接続され、前記筐体を貫通して設けられた第二接続端子と、前記第二接続端子に接続された第二導電部材と、を備え、前記第一接続端子および前記第二接続端子は、前記筐体の外部において、前記第一導電部材および前記第二導電部材を介して前記エキシマランプに電力を供給する電源部と電気的に接続されていてもよい。
このように、接続端子を用いた場合、製造上作製しやすく、また、筐体を貫通して電極と接続させる給電構造を容易に実現することができる。
【0014】
また、上記の紫外線照射装置において、前記第一電極および前記第二電極は、前記筐体に当接して固定されており、前記第一接続端子は、前記筐体における前記第一電極が当接する面に設けられ、前記第二接続端子は、前記筐体における前記第二電極が当接する面に設けられていてもよい。
この場合、筐体内の電気的接続は、導電部材(電線)を用いない構造とすることができる。電気的接続に電線を用いる場合、電線を被覆する材料がオゾンで劣化することを想定すると短絡や漏電の問題が懸念されるが、電気的接続に電線を用いない構造とすることで、上記の問題を回避することができる。また、筐体と電極との当接面に接続端子を設けることで、筐体内の閉塞空間を維持しつつも、電極と電源部との間の電気的接続をより堅牢なものとすることができる。また、筐体内で発生した紫外線が、接続端子を形成した貫通孔から漏洩することをより適切に防ぐことができる。
【0015】
さらに、上記の紫外線照射装置において、前記第一接続端子および前記第二接続端子は、前記第一電極および前記第二電極をそれぞれ前記筐体に固定するネジ部材であってもよい。
この場合、接続端子を、筐体と電極との機械的接続(電極の固定)としても兼用できる。
【0016】
また、上記の紫外線照射装置において、前記筐体は、上枠部と下枠部とを備え、前記上枠部と前記下枠部とによって前記エキシマランプを収容する閉鎖空間を形成するように構成されており、前記上枠部に、前記光出射窓が形成されており、前記下枠部に、前記第一電極および前記第二電極がそれぞれ固定されていてもよい。
この場合、紫外線照射装置の製造、組立が容易となる。
【0017】
さらに、上記の紫外線照射装置において、前記筐体における前記光出射窓が形成された面とは反対側に、前記電源部が配置されていてもよい。
この場合、最もコンパクトで扱いやすく、汎用性のある構造とすることができる。
【0018】
また、上記の紫外線照射装置において、前記電源部は、インバータと、当該インバータを冷却する冷却機構と、を備えていてもよい。
この場合、電源部を効率的に冷却することができる。
【0019】
さらにまた、上記の紫外線照射装置において、前記光出射窓には、230nmよりも長波長側のUVC波の透過を阻止する光学フィルタが設けられていてもよい。
この場合、人体への悪影響の少ない波長域の光を出射する紫外線照射装置とすることができる。
【0020】
また、上記の紫外線照射装置において、前記耐熱樹脂材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ガラス繊維含有ポリフェニレンサルファイド(PPS-GF)、液晶ポリマー(LCP)、およびガラス繊維含有ポリブチレンテレフタレート(PBT-GF)のいずれかとすることができる。
この場合、紫外線に対する劣化が少なく、耐熱性(100℃以上)が十分に確保された樹脂材料により筐体を構成することができる。なお、紫外線の劣化耐性や耐熱性だけでなく、UVC波の遮光性や加工性を考慮した場合には、ポリエーテルイミド(PEI)が最も扱いやすく好適である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一つの態様によれば、波長200nm~230nmに中心波長を有する光を放射するエキシマランプを搭載し、より汎用性の高い装置構造を備えた紫外線照射装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態の紫外線照射装置が備える光源部の外観イメージ図である。
図2】紫外線照射装置が備える光源部の内部構造の模式図である。
図3】ポリエーテルイミド(PEI)のUV-VIS透過率の測定結果である。
図4】紫外線照射装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における紫外線照射装置である光源部110の外観イメージ図である。また、図2は、光源部110の内部構造の模式図である。
図1に示すように、光源部110は、上枠部11aと下枠部11bとからなる筐体11を備える。また、図2に示すように、光源部110は、筐体11の内部に収容されたエキシマランプ12を備える。エキシマランプ12は、波長200nm~230nmに中心波長を有する光を放射する。
【0024】
筐体11は、絶縁性の耐熱樹脂材料により構成されている。本実施形態では、筐体11は、ポリエーテルイミド(PEI)により構成されているものとする。
なお、筐体11の材料は、紫外線に対する劣化が少なく、耐熱性(100℃以上)が十分に確保された樹脂材料であればよく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ガラス繊維含有ポリフェニレンサルファイド(PPS-GF)、液晶ポリマー(LCP)、およびガラス繊維含有ポリブチレンテレフタレート(PBT-GF)等であってもよい。
【0025】
また、波長200~230nmの紫外線に対する紫外線劣化を詳細に検証するため、ピーク波長が222nmである光を放射するKrClエキシマランプを用いて、照度が15mW/cmの紫外線を20分間照射したときの劣化状況を確認したところ、特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)およびポリエーテルイミド(PEI)はUV劣化が殆ど確認されず、本発明に係る筐体の材料として好ましいことが確認できた。
【0026】
さらに、人の細胞に害を及ぼすことなく微生物やウイルスを不活化させる紫外線照射装置として考察すれば、光源(例えばエキシマランプ)を収容する筐体は、人の細胞に害を及ぼすUVC波の透過率が低い樹脂材料が望ましい。例えば230nmよりも長波長側のUVC波の透過率が殆ど存在しない(例えば透過率5%以下、より望ましくは1%以下)樹脂材料であることが望ましい。
【0027】
そこでUVC波の透過性を検証したところ、紫外線劣化の耐性が高いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)は、所定の厚みでUVC波の透過率が数パーセント~数十パーセント程度あることが確認できる。そのためこの樹脂材料では、筐体を介して有害光が漏れる可能性があり、使用上懸念がある場合は、別途遮光対策を講じる必要性がある。
一方で、筐体の材料としてポリエーテルイミド(PEI)を用いた場合は、UVC波の透過がかなり効果的に抑制できることが確認できた。図3は、厚み1mmの板状のポリエーテルイミド材に対して、UV-VIS透過率を測定した結果である。図3から分かるとおり、波長400nm以下の光は殆ど透過しないことが理解できる。
以上の観点から、筐体材料としては、ポリエーテルイミド(PEI)を採用することが最も望ましいといえる。
【0028】
筐体11は、上枠部11aと下枠部11bとにより外気の流入がない閉鎖空間を形成し、筐体11内部と筐体11外部とを隔てた構造を有する。エキシマランプ12は、筐体11内部に形成された上記閉鎖空間に収容され、筐体11に覆われる。
【0029】
上枠部11aには、光出射窓となる開口部11cが形成されている。この開口部11cには、例えば石英ガラスからなる窓部材11dが設けられている。また、この開口部11cには、不要な光を遮断する光学フィルタ等を設けることもできる。エキシマランプ12の光取出し面は、この光出射窓に対向して配置される。
なお、図2では、光源部110が複数(3本)のエキシマランプ12を備えているが、エキシマランプ12の数は特に限定されない。
【0030】
エキシマランプ12は、両端が気密に封止された直管状の放電容器13を備える。放電容器13は、例えば石英ガラスにより構成することができる。また、放電容器13の内部には、発光ガスとして希ガスとハロゲンとが封入されている。本実施形態では、塩化クリプトン(KrCl)ガスを用いたKrClエキシマランプを用いる。この場合、得られる放射光の中心波長は222nmである。
なお、ハロゲンとしては、臭素(Br)を用いることもできる。KrBrエキシマランプの場合、得られる放射光の中心波長は207nmである。
【0031】
放電容器13の外表面には、一対の電極(第一電極14、第二電極15)が当接するように配置されている。図2に示すように、第一電極14および第二電極15は、放電容器13における光取出し面とは反対側の側面(+Z方向の面)に、放電容器13の管軸方向(Y方向)に互いに離間して配置されている。
そして、放電容器13は、これら2つの電極14、15に接触しながら跨るように配置されている。具体的には、2つの電極14、15には凹溝が形成されており、放電容器13は、電極14、15の凹溝に嵌め込まれている。
【0032】
この一対の電極のうち、一方の電極(例えば第一電極14)が高圧側電極であり、他方の電極(例えば第二電極15)が低圧側電極(接地電極)である。第一電極14および第二電極15の間に高周波電圧を印加することで、放電容器13の内部空間において励起二量体が生成され、中心波長222nmのエキシマ光がエキシマランプ12の光取出し面から放射される。
【0033】
本実施形態では、一対の電極14、15における凹溝が形成された面とは反対側の面が、下枠部11bの面上(上枠部11aの光出射窓に対向する面上)に当接して固定されており、これにより、エキシマランプ12の光取出し面が光出射窓に対向して配置される。そのため、エキシマランプ12から放射された光は、光出射窓を介して光源部110から出射される。
ここで、電極14、15は、エキシマランプ12から放射される光に対して反射性を有する金属部材により構成されていてもよい。この場合、放電容器13から+Z方向に放射された光を反射して-Z方向に進行させることができる。
【0034】
光出射窓となる開口部11cには、上述したように光学フィルタを設けることができる。光学フィルタは、例えば、人体への悪影響の少ない波長域190nm~237nmの光(より好ましくは、波長域190nm~230nmの光)を透過し、それ以外のUVC波長域の光をカットする波長選択フィルタとすることができる。
波長選択フィルタとしては、例えば、HfO層およびSiO層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いることができる。
【0035】
なお、波長選択フィルタとしては、SiO層およびAl層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いることもできる。
しかしながら、波長選択フィルタとしてHfO層およびSiO層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いた場合には、SiO層およびAl層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いた場合と比較して、層の総数を少なくすることができる。そのため、入射角が0°のときの紫外線の透過率を高めることができる。
このように、光出射窓に光学フィルタを設けることで、エキシマランプ12から人に有害な光が僅かに放射されている場合であっても、当該光が筐体11の外に漏洩することをより確実に抑えることができる。
【0036】
第一電極14および第二電極15は、エキシマランプ12に対して電力を供給するための電源部と電気的に接続されている。本実施形態では、電源部は、筐体11の外部に配置されている。
具体的には、光源部110は、第一電極14と電源部とを電気的に接続する第一接続部材(第一導電体)として、第一電極14と電気的に接続され、筐体11を貫通して設けられた金属部材である第一接続端子16aと、第一接続端子16aと電源部とを電気的に接続する第一導電部材(電線)17aと、を備える。
【0037】
第一接続端子16aは、筐体11の第一電極14との当接面に設けられ、当該当接面を貫通して第一電極14を筐体11に固定するネジ部材とすることができる。つまり、第一接続端子16aのネジ頭部は、筐体11外で且つ筐体11の第一電極14が当接された面上に設けられる。第一導電部材17aの一端は、筐体11外に設けられた第一接続端子16aのネジ頭部に接続され、他端は電源部に接続される。このように、第一導電部材17aは、筐体11の外部において第一接続端子16aと電源部とを電気的に接続し、筐体11内の電気的接続は、電線を用いない構造となっている。
【0038】
同様に、光源部110は、第二電極15と電源部とを電気的に接続する第二接続部材(第二導電体)として、第二電極15と電気的に接続され、筐体11を貫通して設けられた第二接続端子16bと、第二接続端子16bと電源部とを電気的に接続する第二導電部材(電線)17bと、を備える。第二接続部材の構成は、上述した第一接続部材の構成と同様である。
また、第一導電部材17aおよび第二導電部材17bには、電源部に対して着脱可能なコネクタ18が設けられている。第一接続端子16aおよび第二接続端子16bと電源部との電気的接続は、コネクタ18によって容易に行うことができる。
上記の構成により、光源部110は、コネクタ18の着脱によって容易に電源部に対して着脱することが可能となる。したがって、筐体11内に収容されたエキシマランプ12を交換したい場合には、筐体11自体を取り換えることでランプ交換が可能となり、利便性の高い装置構造となる。
【0039】
図4は、電源部を備える紫外線照射装置100の構成を示す模式図である。
この図4に示すように、紫外線照射装置100は、上述した光源部110と、電源部120と、を備える。
電源部120は、支持部21と、電源部材22と、コネクト部23と、冷却部材(冷却機構)24と、を備える。電源部材22、コネクト部23および冷却部材24は、支持部21における筐体11が配置される側とは反対側に配置され、遮蔽部25によって覆われている。
【0040】
ここで、電源部材22は、電源からの電力が供給されるインバータを含む。コネクト部23には、第一導電部材17aと、第二導電部材17b(図4では不図示)とが接続される。冷却部材24は、電源部材22を冷却するための部材であり、例えばヒートシンクとすることができる。なお、冷却機構は、上記の冷却部材24に限定されるものではなく、例えば冷却ファンであってもよい。
電源部120は、支持部21が固定部26によって筐体11の下枠部11bに固定されることで、光源部110の筐体11の裏面側(光出射窓とは反対側)に配置される。
【0041】
以上説明したように、本実施形態における紫外線照射装置100は、筐体11と、エキシマランプ12と、を備える光源部110を備える。筐体11は、絶縁性の耐熱樹脂材料により構成されている。また、筐体11は、エキシマランプ12を内部に収容し、エキシマランプ12から発せられる波長200~230nmに中心波長を有する光を放射する光出射窓を有する。そして、筐体11の外部には、エキシマランプ12に電力を供給する電源部120が配置されている。エキシマランプ12の第一電極14と電源部120とは、筐体11を貫通するよう形成された第一接続部材(第一導電体)により電気的に接続され、エキシマランプ12の第二電極15と電源部120とは、筐体11を貫通するよう形成された第二接続部材(第二導電体)により電気的に接続されている。
【0042】
具体的には、上記第一接続部材は、第一電極14と電気的に接続され、筐体11を貫通して設けられた第一接続端子16aと、筐体11の外部において、第一接続端子16aと電源部120とを電気的に接続する第一導電部材17aと、を備える。同様に、上記第二接続部材は、第二電極15と電気的に接続され、筐体11を貫通して設けられた第二接続端子16bと、筐体11の外部において、第二接続端子16bと電源部120とを電気的に接続する第二導電部材17bと、を備える。
【0043】
このように、耐熱樹脂材料からなる筐体11は、エキシマランプ12を覆うように構成され、筐体11内と筐体11外とが隔てられた構造としている。そして、電源部120は、当該筐体11の外側に配置された構造となっている。
エキシマランプ12からの放射光に波長190nm未満の紫外線が僅かにでも含まれている場合、エキシマランプの周囲に酸素が存在していると、この酸素に紫外線が作用してオゾンが生成される。エキシマランプ12を耐熱樹脂材料からなる筐体11で覆い、筐体11の外部に電源部120を配置することで、エキシマランプ12の周囲でオゾンが生成された場合でも、電源部120を構成する電子部品がオゾンにより劣化することを防ぐことができる。
【0044】
また、エキシマランプ12が筐体11により覆われており、筐体11内には外気の流入が無い閉塞空間が形成される。そのため、エキシマランプ12の点灯中は、エキシマランプ12自身から発せられる熱により筐体11内の温度が上昇し、また、筐体11が耐熱樹脂材料により構成されていることで、筐体11内の熱が放熱されにくく、エキシマランプ12が保温されやすい構成とすることができる。
オゾンの半減期は、温度の上昇に伴って短くなる。そのため、筐体11内が保温されることで、筐体11内で発生したオゾンが熱分解されやすくなるといった効果が得られる。
さらに、放電容器13を構成する石英ガラスは、長時間の紫外線照射によって歪が蓄積されることがある。このような石英ガラス中の歪は、熱によって緩和されることが期待できる。つまり、筐体11内の熱を放熱されにくくしてエキシマランプ12が保温されやすい構成とすることで、放電容器13を構成する石英ガラスの紫外線歪の緩和効果が期待できる。
【0045】
一方で、電源部120は、エキシマランプ12に高周波高電圧を印加させるためのインバータ等を有し、エキシマランプ12の点灯動作を持続する場合は当該電源部120が発熱しやすい。そのため、電源部120を冷却するための冷却機構(冷却部材24)を設ける。
このとき、エキシマランプと電源部とが同一空間(互いに連通する空間を含む)に配置されていると、電源部を冷却するための冷却機構によりエキシマランプが冷却されてしまう。エキシマランプが過冷却されると、放電容器を構成する石英ガラスに紫外線による歪みが残りやすい。
これに対して、本実施形態では、電源部120を筐体11の外部に配置するので、冷却機構によって電源部120のみを適切に冷却することができる。このように、エキシマランプ12を過冷却させずに適切に点灯駆動を持続させることができる。
【0046】
また、本実施形態における紫外線照射装置100は、筐体11を貫通して設けられた接続端子16a、16bを介して、電源部120との電気的接続を実現することができるため、小型で汎用性の高い装置構造が実現できる。また、製造上作製しやすく、筐体11を貫通して電極14、15と接続させる給電構造を容易に実現することができる。
さらに、接続端子16a、16bを、筐体11と電極14、15との当接面に設けることで、筐体11内の電気的接続を、導電部材(電線)を用いない構造とすることができる。したがって、筐体11内において、電線を被覆する材料がオゾンで劣化することを防止することができ、短絡や漏電の問題が回避することができる。また、筐体11内の閉塞空間を維持しつつ、電極14、15と電源部120との間の電気的接続をより堅牢なものとすることができる。
また、接続端子16a、16bを、電極14、15をそれぞれ筐体11に固定するネジ部材とすることで、接続端子16a、16bを、筐体11と電極14,15との機械的接続(電極の固定)としても兼用することができる。
【0047】
また、電源部120は、筐体11における光出射窓が形成されている面とは反対側に配置することで、最もコンパクトで扱いやすく、汎用性のある構造とすることができる。
さらに、このとき、筐体11の電極14、15が当接する面に接続端子16a、16bが設けられていることで、接続端子16a、16bを電源部120に最も近い位置に配置することができ、導電部材17a、17bの引き回しが容易となる。
【0048】
また、エキシマランプ12は、第一方向(Y方向)に離間して配置され、それぞれの側面上に第一方向に延伸するように形成された凹溝を有する第一電極14および第二電極15と、第一電極14および第二電極15の双方に形成された凹溝に一部分が嵌め込まれ、且つ、第一電極14および第二電極15に跨るように第一方向に延伸して配置された放電容器13と、を備える。このような構成により、単なる直管型の放電容器13よって放電が可能となるため、例えば二重管構造の放電容器を備えるエキシマランプと比較して、大幅に小型化することができる。
【0049】
以上のように、本実施形態における紫外線照射装置100は、波長200nm~230nmに中心波長を有する光を放射するエキシマランプを搭載し、小型でより汎用性の高い装置構造を備えた紫外線照射装置とすることができる。
【0050】
なお、上記実施形態においては、電源部120から電極14、15への給電構造は、接続端子16a、16bと導電部材17a、17bとが組み合わされた構造である場合について説明した。しかしながら、電源部120から電極14、15への給電構造は、上記に限定されるものではない。例えば、電極14、15と電源部120とを、筐体11を貫通して設けられた導電部材(電線)によって直接的に接続してもよい。つまり、第一接続部材(第一導電体)および第二接続部材(第二導電体)は、導電部材のみにより構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
11…筐体、11a…上枠部、11b…下枠部、11c…開口部、11d…窓部材、12…エキシマランプ、13…放電容器、14…第一電極、15…第二電極、21…支持部、22…電源部材、23…コネクト部、24…冷却部材、25…遮蔽部、26…固定部、100…紫外線照射装置、110…光源部、120…電源部
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ガスが封入された放電容器と、前記放電容器に当接して配置され、前記放電容器の内部に誘電体バリア放電を生じさせる一対の第一電極および第二電極と、を有するエキシマランプと、
前記エキシマランプを内部に収容し、前記エキシマランプから発せられる波長200~230nmに中心波長を有する光を放射する光出射窓を有する、絶縁性の耐熱樹脂材料により構成された筐体と、を備え
前記筐体は、前記エキシマランプを収容する閉鎖空間を形成していることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記第一電極と電気的に接続され、前記筐体を貫通して設けられた第一導電体と、
前記第二電極と電気的に接続され、前記筐体を貫通して設けられた第二導電体と、をさらに備え、
前記第一導電体および前記第二導電体は、前記筐体の外部において、前記エキシマランプに電力を供給する電源部と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記第一電極および前記第二電極は、前記筐体に当接して固定されており、
前記第一電極と前記第一導電体との接続は、前記筐体における前記第一電極が当接する面に設けられ、
前記第二電極と前記第二導電体との接続は、前記筐体における前記第二電極が当接する面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記第一導電体は、前記第一電極と電気的に接続され、前記筐体を貫通して設けられた第一接続端子と、前記第一接続端子に接続された第一導電部材と、を備え、
前記第二導電体は、前記第二電極と電気的に接続され、前記筐体を貫通して設けられた第二接続端子と、前記第二接続端子に接続された第二導電部材と、を備え、
前記第一接続端子および前記第二接続端子は、前記筐体の外部において、前記第一導電部材および前記第二導電部材を介して前記エキシマランプに電力を供給する電源部と電気的に接続されていることを特徴とする請求項2または3に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記第一電極および前記第二電極は、前記筐体に当接して固定されており、
前記第一接続端子は、前記筐体における前記第一電極が当接する面に設けられ、
前記第二接続端子は、前記筐体における前記第二電極が当接する面に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記第一接続端子および前記第二接続端子は、前記第一電極および前記第二電極をそれぞれ前記筐体に固定するネジ部材であることを特徴とする請求項4または5に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記筐体は、上枠部と下枠部とを備え、前記上枠部と前記下枠部とによって前記エキシマランプを収容する前記閉鎖空間を形成するように構成されており、
前記上枠部に、前記光出射窓が形成されており、
前記下枠部に、前記第一電極および前記第二電極がそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記筐体における前記光出射窓が形成された面とは反対側に、前記電源部が配置されていることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項9】
前記電源部は、インバータと、当該インバータを冷却する冷却機構と、を備えることを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項10】
前記光出射窓には、230nmよりも長波長側のUVC波の透過を阻止する光学フィルタが設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項11】
前記耐熱樹脂材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ガラス繊維含有ポリフェニレンサルファイド(PPS-GF)、液晶ポリマー(LCP)、およびガラス繊維含有ポリブチレンテレフタレート(PBT-GF)のいずれかであることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項12】
前記耐熱樹脂材料は、ポリエーテルイミド(PEI)であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る紫外線照射装置の一態様は、発光ガスが封入された放電容器と、前記放電容器に当接して配置され、前記放電容器の内部に誘電体バリア放電を生じさせる一対の第一電極および第二電極と、を有するエキシマランプと、前記エキシマランプを内部に収容し、前記エキシマランプから発せられる波長200~230nmに中心波長を有する光を放射する光出射窓を有する、絶縁性の耐熱樹脂材料により構成された筐体と、を備え、前記筐体は、前記エキシマランプを収容する閉鎖空間を形成している
このように、エキシマランプを耐熱樹脂筐体で覆うことで、筐体内が保温されやすくなる。これにより、放電容器を構成するガラスの紫外線歪の緩和効果が得られる。また、エキシマランプの周囲に微量な酸素が存在する場合、その酸素がエキシマランプから放射される紫外線を受け、オゾンが発生する場合があるが、筐体内が保温されていることでオゾンの熱分解が促進される効果がある。また、筐体内を保温する構造であるため、当該筐体内には、例えばエキシマランプ等を冷却するための機構を配置する必要はない。そのため、筐体構造が大型化することを抑制し、汎用性の高い装置構造とすることができる。