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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043429
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】重量センサーユニット
(51)【国際特許分類】
   G01G 21/23 20060101AFI20220309BHJP
【FI】
G01G21/23
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148695
(22)【出願日】2020-09-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】397072112
【氏名又は名称】株式会社マルサン・ネーム
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】菊田 俊成
(57)【要約】
【課題】対象物に対して貼着可能な重量センサーユニットを提供する。
【解決手段】この重量センサーユニット1は、ロードセル2からの検出信号を演算処理する演算制御部に接続線で接続されると共に、対象物に対して取り付けられるロードセルユニット1Aを備える重量センサーユニットであって、起歪体3Aを含むロードセル3が組み込まれるロードセルユニット1Aと、前記ロードセルユニット1Aに設けられ、前記対象物に対してロードセルユニット1Aを貼着する貼着層6と、を少なくとも備え、前記ロードセルユニット1Aが前記貼着層6によって対象物に貼着され、対象物の存否あるいは重量が、前記ロードセルユニット1Aによって検出される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロードセルからの検出信号を演算処理する演算制御部に接続線で接続されると共に、対象物に対して取り付けられるロードセルユニットを備える重量センサーユニットであって、
起歪体を含むロードセルが組み込まれるロードセルユニットと、
前記ロードセルユニットに設けられ、前記対象物に対してロードセルユニットを貼着する貼着層と、を少なくとも備え、
前記ロードセルユニットが前記貼着層によって対象物に貼着され、対象物の存否あるいは重量が、前記ロードセルユニットによって検出されることを特徴とする重量センサーユニット。
【請求項2】
前記ロードセルユニットが、
起歪体を含むロードセルが組み込まれるロードセル組込みベースと、
前記ロードセル組込みベースに組み込まれたロードセルの一部に当接して、前記対象物の荷重を前記起歪体に与えることで、起歪体に撓みを加える接地部材と、
前記接地部材を挿通させて接地面を外部に突出させる貫通孔を有し、前記ロードセル組込みベースに取り付けられることで、前記ロードセル及び接地部材の一部を覆うカバーケースと、を備え、
前記貼着層が、前記ロードセル組込みベースに設けられ、前記対象物に対してロードセル組込みベースを貼着することを特徴とする請求項1記載の重量センサーユニット。
【請求項3】
前記対象物が所定以上の重量である場合には、前記接地部材の接地面が前記貫通孔内に後退することで、前記カバーケースによって前記荷重の一部を受けることを特徴とする請求項2に記載の重量センサーユニット。
【請求項4】
前記起歪体は、外枠と前記外枠にスリットを介して連結された舌状部を備え、前記外枠が前記ロードセル組込みベースに保持されると共に、前記舌状部に接地部材の一部が当接して、起歪体に撓みを加える請求項2に記載の重量センサーユニット。
【請求項5】
前記ロードセル側に形成された球状突起と、
前記接地部材に設けられ、前記球状突起を押圧する金属製の押し板と、
を備える請求項2に記載の重量センサーユニット。
【請求項6】
前記ロードセル組込みベースに対してカバーケースを取り付けた状態において、ロードセル組込みベース及びカバーケースのそれぞれを連通する接続線の挿通部が形成され、
連通する前記各挿通部を介して、ロードセルへの接続線が前記カバーケースから導出されることを特徴とする請求項2に記載の重量センサーユニット。
【請求項7】
前記対象物には、対象物が載置される載置板を含み、
前記貼着層によって、ロードセルユニットが載置板に貼着されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいいずれかに記載の重量センサーユニット。
【請求項8】
前記ロードセル組込みベースに、載置板の背面全体を覆うカバーケースの取り付け部が設けられている請求項7に記載の重量センサーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、重量センサーユニットに関し、特に、計量、検出する対象物に貼着可能な重量センサーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、荷重を受けて変形する起歪体と、歪みゲージを組み合わせたロードセルを重量センサーが知られている。この重量センサーは、例えば電子体重計などを含む各種の重量計に内蔵されている。
例えば、特許文献1には、前記したロードセルを用いた電子体重計の一例が開示されている。
この電子体重計30では、図11に示すように矩形状に形成された載置プレート31の四隅の裏側に、起歪体の上方揺動スペースを確保するためのスペーサ部材32が溶接、接着その他の固定手段によって固定されている。また、図12に示すように、スペーサ部材32にロードセル33が、ねじ34により締結されており、さらに、ねじ35によって脚部36がロードセル33を構成する起歪体37の下面に、硬球38を介して取り付け固定されている。
【0003】
この場合、起歪体37に脚部36を連結するねじ35の頭部下面と、前記脚部36に設けられたねじ孔39との間には、金属製のカラー40が装着されて、前記硬球38を介して受ける脚部36側の凹穴41に、必要以上の負荷(圧接力)を作用させないように構成されている。
【0004】
これにより、図12に示すように、脚部36の凹穴41に硬球38を収容し、起歪体37の挿通孔42にカラー40及びねじ35を挿通すると共に、ねじ35を脚部41のねじ孔39に螺着することで、脚部36を起歪体37に取り付け固定でき、硬球38が脚部36側の凹穴41に支承された形態に保持できる。
【0005】
尚、図示しないが、この電子体重計30には、ロードセル33の検出する荷重信号を集計する演算手段である演算制御部(CPU)と、載置プレート31の表面側に露出し、演算制御部(CPU)の演算結果(計量値)をデジタル表示する表示手段である表示部とを備えている。
【0006】
このように、特許文献1に開示された電子体重計(重量計)では、ロードセルと、ロードセルの検出する荷重信号を集計する演算手段である演算制御部(CPU)と、演算制御部(CPU)の演算結果(計量値)をデジタル表示する表示手段である表示部とを備え、載置プレートの裏側にスペーサ部材を介してロードセルが取り付けられ、このロードセルに脚部が取り付け固定されている。
そして、被測定物(対象物)を載置プレート上に載置することにより、ロードセルが検出した荷重信号を演算処理し、計量値がデジタル表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-149038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、測定する対象物は各種色々あり、例えば、対象物が非常に大きく、重量計上に載置することができないものもある。また対象物が非常に重く、重量計まで搬送することが困難な場合がある。
更に重量測定の結果の利用方法にも色々あり、対象物の有無(存否)の検出ができればよく、詳細な重量計測まで求められない場合があり、また重量表示が求められない場合もある。
【0009】
具体的に例を示すと、ポリタンクを定位置に置いたまま(既存の重量計に載置することなく)、ポリタンク内の液体重量を計測できれば、計測のための無駄な搬送作業が不必要となる。
また、運搬用のカゴ、運搬用のケース内の対象物の検出に重量計を用いることができれば、カゴ、ケース内の対象物の有無(存否)を検出できる。この場合の重量計はカゴ、ケース内に収容できる大きさでなければならず、更には詳細な重量の計測まで必要ではない場合もある。
【0010】
更に、ケース内に収容される対象物、例えば貴金属、また棚の上に載置される対象物、例えば書籍等の有無の検出に重量計を用いることができれば、ケース内、棚の上の対象物の有無(存否)を検出できる。
この場合の重量計はカゴ、ケース内に収容できる、あるいは棚の上に載置できる大きさでなければならず、更には詳細な重量の計測まで必要ではない場合もある。
【0011】
また、ベッドから人が離床した否かの検出に、重量計を用いることができれば、ベッド上の人の存否を検出できる。この場合にも、詳細な重量の計測まで必要ではない。
そして、上記した、種々の対象物の有無の検出には、重量を表示する表示手段は、必要としない場合もある。
【0012】
このように、使用者からの重量計に対する要求は様々あるが、従来の重量計は、前記したように、ロードセル、演算制御部(CPU)、表示部が組み込まれた、一つの計測装置として完成した装置であるため、上記要求を満たすことができないという技術的課題があった。
【0013】
そこで、本発明者は、ロードセル、演算制御部(CPU)、表示部を別々に形成し、ロードセルを含む重量センサーユニットを対象物に対して貼着可能に形成することで、上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明を想到した。
【0014】
本発明は、対象物に対して貼着可能な重量センサーユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記した課題を解決するためになされた重量センサーユニットは、ロードセルからの検出信号を処理する制御部に接続線で接続されると共に、対象物に対して取り付けられるロードセルユニットを備える重量センサーユニットであって、起歪体を含むロードセルが組み込まれるロードセルユニットと、前記ロードセルユニットに設けられ、前記対象物に対してロードセルユニットを貼着する貼着層と、を少なくとも備え、前記ロードセルユニットが前記貼着層によって対象物に貼着され、対象物の存否あるいは重量が、前記ロードセルユニットによって検出されることを特徴とする。
【0016】
このように、本発明にあっては、ロードセルからの検出信号を演算処理する演算制御部に接続線で接続されるため、使用者が必要とする、演算制御部(CPU)及び表示部を選択でき、所定の演算制御部(CPU)、表示部に接続できる。そして、使用者が必要とする対象物の存否あるいは重量の表示等を行うことができる。
特に、起歪体を含むロードセルが組み込まれるロードセルユニットを、対象物に対して貼着可能に形成されているため、対象物が非常に大きく、重量計に載置することができない場合、また対象物が非常に重く、重量計まで搬送することが困難な場合にも重量を計測できる。
また、ロードセルユニットを、対象物に対して貼着可能に形成されているため、重量計のような筐体を必要としない。
【0017】
ここで、前記ロードセルユニットが、起歪体を含むロードセルが組み込まれるロードセル組込みベースと、前記ロードセル組込みベースに組み込まれたロードセルの一部に当接して、前記対象物の荷重を前記起歪体に与えることで、起歪体に撓みを加える接地部材と、前記接地部材を挿通させて接地面を外部に突出させる貫通孔を有し、前記ロードセル組込みベースに取り付けられることで、前記ロードセル及び接地部材の一部を覆うカバーケースと、を備え、前記貼着層が、前記ロードセル組込みベースに設けられ、前記対象物に対してロードセル組込みベースを貼着することが望ましい。
【0018】
このように、前記ロードセルユニットが、ロードセル組込みベースと、対象物の荷重をロードセルの起歪体に与える接地部材と、ロードセル組込みベースに取り付けられて、前記ロードセル及び接地部材の一部を覆うカバーケースとを備えてユニット化される。
そして、ユニット化された重量センサーユニットを、前記した貼着層によって対象物に貼り付けることができるように構成されている。
この重量センサーのロードセルユニットの組み立ては容易であり、更に起歪体を含むロードセルなどの機構部品が、個々のロードセルユニットに備えられるカバーケースによって覆われるので、体裁の整った重量センサーユニットを提供することができる。
【0019】
また、前記対象物が所定以上の重量である場合には、前記接地部材の接地面が前記貫通孔内に後退することで、前記カバーケースによって前記荷重の一部を受けることが望ましい。
このように、接地部材は、カバーケースに形成した貫通孔に挿通させた状態で配置されるので、対象物から所定以上の荷重が作用した際には、カバーケースの下底面が接地して前記荷重の一部を受けるように作用し、過剰な荷重を受けてロードセルの起歪体が永久変形する問題も解消させることができる。
【0020】
また、前記起歪体は、外枠と前記外枠にスリットを介して連結された舌状部を備え、前記外枠が前記ロードセル組込みベースに保持されると共に、前記舌状部に接地部材の一部が当接して、起歪体に撓みを加えることが望ましい。
また、前記ロードセル側に形成された球状突起と、前記接地部材に設けられ、前記球状突起を押圧する金属製の押し板と、を備えることが望ましい。
【0021】
また、前記ロードセル組込みベースに対してカバーケースを取り付けた状態において、ロードセル組込みベース及びカバーケースのそれぞれを連通する接続線の挿通部が形成され、連通する前記各挿通部を介して、ロードセルへの接続線が前記カバーケースから導出されることが望ましい。
【0022】
前記対象物には、対象物が載置される載置板を含み、前記貼着層によって、ロードセルユニットが載置板に貼着されることが望ましい。
このように、ロードセルユニットは、貼着層によって対象物に直接貼り付ける場合のみならず、載置板に貼り付け、対象物を検出あるいは計測しても良い。
また、前記ロードセル組込みベースに、載置板の背面全体を覆うカバーケースの取り付け部が設けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、対象物に対して貼着可能な重量センサーユニットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る重量センサーユニットの第一の実施形態を模式的に示した分解斜視図である。
図2A図1に示す重量センサーユニットの上面図である。
図2B】同じく重量センサーユニットの縦断面図である。
図2C図2Bに対して直交する方向の縦断面図である。
図2D】同じく重量センサーユニットをコード口側から見た正面図である。
図3A】重量センサーユニットのケースカバーを示す縦断面図である。
図3B図3Aに対して直交する方向の縦断面図である。
図4A】重量センサーユニットのロードセル組込みベースを示す上面図である。
図4B】ロードセル組込みベースの縦断面図である。
図5】本発明に係る重量センサーユニットの使用状態の一例を示した模式図ある。
図6】本発明に係る重量センサーユニットの使用状態の一例を示した模式図ある。
図7A】本発明に係る重量センサーユニットの使用状態の一例を示した模式図あって、重量センサーユニットを載置板の背面に取り付けた形態を示す模式図である。
図7B図7Aに示した載置板を棚に置き、載置物の有無(存否)を検出する使用状態を説明するための断面図である。
図8A】本発明に係る重量センサーユニットの第二の実施形態を模式的に示した上面図である。
図8B図8Aに示す重量センサーユニットの縦断面図である。
図8C図8Bに対して直交する方向の縦断面図である。
図9図8の重量センサーユニットを用いた載置板を示す模式図である。
図10図9の載置板の背面を示す模式図である。
図11】従来の重量計(電子体重計)の一例を示した底面側の斜視図である。
図12】同じく従来の体重計のロードセル取り付け部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明に係る重量センサーユニットの一実施形態を図1乃至図4に基づいて説明し、重量センサーユニットの使用例を、図5乃至図7に基づいて説明する。
【0026】
(重量センサーユニットの構成)
図1に示す重量センサーユニット1は、ロードセルユニット1Aを備え、ロードセルユニット1Aは、ロードセル組込みベース2、ロードセル3、接地部材4、カバーケース5を備えている。
このロードセルユニット1Aは、前記ロードセル組込みベース2に対してカバーケース5が着脱可能に取り付けられることで、ロードセル3と接地部材4の一部が、ロードセルユニット1A内に収容されて、ロードセルユニット1Aがユニット化される。
【0027】
このロードセルユニット1Aには、ロードセル組込みベース2の背面(対象物への取り付け面)に、貼着層6(図2B図2D参照)が形成されている。
また、前記ロードセルユニット1Aを、ロードセル3の検出する荷重信号を集計する演算手段である演算制御部(CPU)11(図5乃至図7参照)に接続するための接続線7が設けられ、重量センサーユニット1とされる(図2A参照)。
尚、演算制御部(CPU)11は、使用者の目的合わせて選択される。また、重量センサーユニット1の単品の状態においては、前記貼着層6を図示せぬ隔離紙でカバーした状態で保管できるように構成されることが望ましい。
【0028】
前記ロードセル3は、金属素材により形成された起歪体3Aと、起歪体3Aの一部に貼着された2つの歪みゲージ3Bを備えて構成される。
起歪体3Aは、外枠3aとこの外枠3aにスリット3bを介して連結された一対の舌状部3cを備えており、前記外枠3aがロードセル組込みベース2に形成された段部2bにおいて支持されると共に、一対の舌状部3cには後述する接地部材4の一部が当接して、起歪体3Aに荷重に伴う撓みを加えるように作用する。
【0029】
すなわち、起歪体3Aの外枠3aと一対の舌状部3cとの連結部に、前記撓みが加わることで、2つの歪みゲージ3Bの一方には、牽引作用が与えられ、他方には収縮作用が与えられる。これによる2つの歪みゲージ3Bの互いの電気抵抗の変化を検出することで、起歪体3Aに加わる荷重が検出される。
【0030】
前記接地部材4は好ましくは樹脂素材により構成され、鍔部4aを中央にして、一方に接地面4bを有する円柱体4cが形成され、他方に前記した起歪体3Aの一対の舌状部3cに対してそれぞれ当接する一対の当接部4d(図2B図2C参照)が形成されている。
そして、接地部材4の円柱体4cは、カバーケース5に形成された貫通孔5aに挿通され、前記接地面4bをカバーケース5の外部に突出させた状態で、接地部材4はカバーケース5によって保持される(図2B図2C参照)。
これにより、前記したロードセル3及び接地部材4の一部はカバーケース5によって覆われる。
【0031】
前記カバーケース5は、ロードセル組込みベース2の四側面を覆い、カバーケース5の係合突起5bが、ロードセル組込みベース2の係合凹部2d(図4B参照)に対して係止されることにより、着脱可能に取り付けられる(図2B参照)。
これにより、ユニット化されたロードセルユニット1Aが組み上げられる。
【0032】
このとき、図3Aに示すようにカバーケース5内に形成されたロードセル押えリブ5cが、ロードセル組込みベース2内に収容されたロードセル3における起歪体3Aの外枠3aに当接し、ロードセル3は押えリブ5cによってロードセル組込みベース2内の所定の位置に固定配置される(図2B参照)。
また、このとき同時に、カバーケース5の側面に形成された矩形状の切欠部5d(図3A参照)は、ロードセル組込みベース2に形成された切欠部2c(図3B参照)に連通する。これにより、ロードセル3への接続線7の挿通部(コード口)5eを形成することができる(図2D参照)。
【0033】
(重量センサーユニットの取付け状態(使用状態)の例)
次に、重量センサーユニット1の使用例について説明する。
まず、図5に、ポリタンク(対象物)10内の液体の存否、あるいは重量を検出する例を示す。
図5に示すように、前記重量センサーユニット1は、前記したように、起歪体3Aを含むロードセル3が組み込まれるロードセルユニット1Aと、対象物10に対してロードセルユニット1Aを貼着する貼着層6とを備えている。
【0034】
また、この重量センサーユニット1は接続線7を備えている。前記重量センサーユニット1は、前記接続線7によって、重量センサーユニット1と別体に形成された、ロードセルの検出する荷重信号を集計する演算手段である演算制御部(CPU)11に接続される。
更に、前記演算制御部(CPU)11は、その演算結果(計量値)をデジタル表示する表示手段である表示部12に接続される。
【0035】
そして、重量センサーユニット1(ロードセルユニット1A)が貼着層6によって、ポリタンク10の底面に貼着され、ポリタンク10内の液体の存否あるいは重量が、前記ロードセルユニット1Aによって検出される。
【0036】
ここで、ポリタンク10内の液体の存否を検出するか、重量を検出するかによって、使用者によって必要とする演算制御部(CPU)11及び表示部12が選択され、重量センサーユニット1を、所定の演算制御部(CPU)11、表示部12に接続する。
尚、ポリタンク10内の液体の存否を検出する場合には、所定の残量以下、あるいは所定の残量以上を検出できれば良く、詳細な残量を計測する必要はない。また表示部も詳細な残量を表示する必要はなく、所定残量の有無を表示できるもの、例えばLEDを点滅させても良い。
【0037】
このように、重量センサーユニット1を、ポリタンク10に対して貼着できるため、ポリタンク10を定位置に置いたまま(既存の重量計まで搬送し、載置することなく)、ポリタンク10内の液体重量を計測でき、計測のための無駄な搬送作業が不必要となる。また、重量センサーユニット1と演算制御部(CPU)11が別体に形成され接続線で接続されるため、従来の重量計のような筐体を必要としない。
【0038】
尚、図示しないが、演算制御部(CPU)11に送信手段を接続し、重量センサーユニット1の検出結果を、離れた人に対して送信するように構成しても良い。
【0039】
次に、図6に、ベッド上の人の存否、あるいはベッド上の人の位置を検出する使用例を示す。
重量センサーユニット1(ロードセルユニット1A)が貼着層6によって、ベッド13の四本の足部13a底面の夫々に貼着され、四本の足部13aに加わる荷重が重量センサーユニット1(ロードセルユニット)によって検出される。
即ち、ベッド13上の人の存否が、前記ロードセルユニット1Aによって検出される。また、ベッド13の四本の足部13aに加わる重量をそれぞれ検出し、それら荷重を解析することによって、ベッド13上の人の位置を検出することもができる。
尚、ベッド13上の人の存否を検出するか、ベッド13上の人の位置を検出するかによって、使用者は必要とする演算制御部(CPU)11及び表示部12を選択し、使用者は、重量センサーユニット1を所定の演算制御部(CPU)11、表示部12に接続する。
【0040】
このように、重量センサーユニット1を、ベッド13の足部13aに対して装着することにより、ベッド13上の人の存否、ベッド13上の人の位置を検出することができる。
【0041】
次に、図7に、載置板上の載置物の存否を検出する例を示す。尚、図7Aは、図1乃至図4の重量センサーユニットを載置板の背面に取り付けた例を示し、図7Bは載置板上に載置物Mが載置された状態を示す図である。
この例の載置物としては、カゴ、ケース内に収容される、あるいは棚に載置される製品(商品)、例えば貴金属、食品、書籍等があげられる。
そして、載置板に重量センサーユニット貼着し、載置板及び載置物を対象物としてその重量を測定し、載置板上の載置物の存否(有無)を検出するものである。
【0042】
図7Aに示す載置板14は、金属材あるいは樹脂材により形成された、平板状のプレート14aを有している。そして、載置板14(プレート14a)の背面として、この背面の四隅付近に、図1に示した重量センサーユニット1が、それぞれ取り付けられる。
この場合、重量センサーユニット1の貼着層6を覆う剥離紙を取り除いた状態で、前記貼着層6を利用して、4個の重量センサー1が図7Aに示すようにそれぞれ取り付けられる。
【0043】
図7A図7Bに示す実施の形態においても、図示しないが図5図6に示した使用例と同様に、各重量センサーユニット1から導出される接続線7が、プレート14aの背面中央に取り付けられた演算制御部11に接続される。そして、演算制御部11から荷重情報が表示部12に出力される。
尚、前記演算制御部11は、プレート14aの背面に、必ずしも取り付けられる必要はなく、プレート14aの外部に設けても良い。
【0044】
そして、重量センサーユニット1から突出する前記接地部材4の接地面4bを、水平面15上、例えば、カゴ、ケースの底面上、あるいは棚上に位置させる。
その後、プレート14aの上面に載置物Mを載せ、荷重を加えることで、4個の重量センサーユニット1からの荷重情報を得ることができる。
この場合、プレート14a及び載置物Mの合計の荷重情報を得ることになるが、演算処理部11でプレートの荷重を引くことにより、載置物Mの重量等を得ることができる。
そして、重量センサーユニット1に接続された所定の演算制御部(CPU)、表示部から、使用者が必要とする載置物Mの存否あるいは重量の表示等を行うことができる。
【0045】
なお、図7A図7Bに示す載置板14を一つで用いることもできるが、例えば倉庫などの比較的面積が広い水平面上の区画に、多数の載置板14を並べて、この載置板14上に搭載される製品全体の重量を計量することで、製品の在庫管理などに利用することができる。
また、前記載置板14では、4個の重量センサーユニット1を用いたが、2個、6個、8個と必要に応じて、その数を増減しても良い。
【0046】
(重量センサーユニットの第二の実施形態)
重量センサーユニット1の第二の実施形態を、図8A図8Cに基づいて説明する。なお、第二の実施形態の重量センサーにおいて、第一の形態の重量センサーユニットと相当する部材には同一符号で示し、その詳細な説明は適宜省略する。
【0047】
この重量センサーユニット1は、図に示すようにロードセル組込みベース2、ロードセル3、接地部材4を備えており、ロードセル組込みベース2内に組み込まれるロードセル3には、球状突起3dが形成されている。
一方、接地部材4内には、ロードセル3の球状突起3dに当接して球状突起3dを押圧する金属製押し板8が、接地部材4の接地面4bと平行して配置されている。
また、ロードセル組込みベース2の背面には、粘着層6が形成されると共に、粘着層6の敷設側とは反対面の四隅に、ロードセル組込みベース2をカバーケース5に締結させる4本のビス止め用ボス2eが立設されている。
【0048】
図8A図8Cに示す重量センサーユニット1によると、接地部材4側に配置された金属製押し板8が、ロードセル3側の球状突起3dに当接して、起歪体3Aに対して荷重に対応した撓みを加えるように作用する。
この構成によると、ロードセル3に作用する偏心荷重は、前記した球状突起3dによって効果的に吸収され、ロードセル3による荷重情報の出力精度を向上させることに寄与できる。
さらに、この重量センサーユニット1によると、ロードセル組込みベース2に、プレート14aの背面全体を覆うカバーケース5への取り付け部、すなわち4本のビス止め用ボス2eが備えられているので、カバーケース5の底面に対して、重量センサーユニット1を容易に取り付けることができる。
【0049】
(第2の実施形態の重量センサーユニットの取付け状態(使用状態)の例)
重量センサーユニット1の第2の実施形態の取付け状態(使用状態)にあっては、図9図10に示すように、プレート14aの背面全体を覆うカバーケース5の裏面に形成された貫通孔5aを介して、各重量センサー1の接地面4bをカバーケース5から突出させた状態に組み上げ、各重量センサーユニット1を構成するロードセル組込みベースに施された粘着層6を利用して、その上面にプレート14aを取り付けた構成が採用される。
【0050】
この載置板14に用いられる重量センサーユニット1は、図9に示すようにロードセル組込みベース2、ロードセル3、接地部材4が備えられて、載置板14の背面全体を覆うカバーケース5に形成された貫通孔5aにおいて、接地部材4の接地面4bをカバーケース5から突出させた状態で取り付ける。
なお、この実施の形態においては、カバーケース5の下底部内面の適宜の位置に、ロードセル組込みベース2をビス16で締結することができるビス止め用のボス5fが形成されている。
したがって、カバーケース5内に4組の重量センサーユニット1をビス16で締結した状態で、各ロードセル組込みベース2の背面に施された粘着層6によって、その上面に載置プレート12を貼り付けることで、載置板14を組み上げることができる。
【0051】
また、この載置板14に用いられるカバーケース5には、長手方向の端部に、回路基板や電池などの収容空間5Aが形成されており、この収容空間5Aは蓋体5Bによって閉塞される。また、前記蓋体5Bには電池蓋5Cが着脱可能に取り付けられる。尚、載置板14の収容空間5A内には接続線7のみを配置し、回路基板や電池を配置せず、回路基板や電池を載置板14の外部に設けても良い。
【0052】
この載置板14によると、図10に示すように載置板14の背面全体が、カバーケース5によって覆われて、カバーケース5の四隅付近に接地部材4の接地面4bが突出した状態に構成される。
したがって、この載置板14によると、体裁の良い載置板14を提供することができる。
【0053】
そして、接地部材4は、載置板の背面全体を覆うカバーケース5に形成した貫通孔5aに挿通させた状態で配置されるので、過剰な荷重を受けた場合には、カバーケース5の下底面が接地して前記荷重の一部を受けるように作用する。
したがって、ロードセル3の起歪体3Aが永久変形するのが阻止できる点で、第1形態の重量計と同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
なお、図9に示す第2形態の載置板14においては、プレート14aとして、例えば強化ガラス板を用い、この強化ガラス板の背面に、ロードセル3によって得られる荷重の計測値を表示する表示器を備えた構成を実現させることができる。この構成によると、例えば、載置板14を、一般の家庭などにおいて用いられる電子体重計として用いることもできる。
【符号の説明】
【0055】
1 重量センサーユニット
1A ロードセルユニット
2 ロードセル組込みベース
2b 段部
2c 切欠部
2d 係合凹部
3 ロードセル
3A 起歪体
3B 歪みゲージ
3a 外枠
3b スリット
3c 舌状部
3d 球状突起
4 接地部材
4b 接地面
4d 当接部
5 カバーケース
5a 貫通孔
5b 係合突起
5d 切欠部
5e 接続線挿通部(コード口)
6 貼着層
7 接続線
8 金属製押し板
10 ポリタンク
11 演算制御部
12 表示部
13 ベッド
14 載置板
14a プレート
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
前記した課題を解決するためになされた重量センサーユニットは、起歪体を含むロードセルが組み込まれるロードセルユニットと、前記ロードセルユニットに設けられ、前記対象物に対してロードセルユニットを貼着する貼着層と、前記ロードセルからの検出信号を演算処理する演算制御部に接続する接続線と、を少なくとも備え、前記ロードセルユニットが前記貼着層によって対象物に貼着され、対象物の存否あるいは重量が、前記ロードセルユニットによって検出される重量センサーユニットにおいて、前記ロードセルユニットが、起歪体を含むロードセルが組み込まれるロードセル組込みベースと、前記ロードセル組込みベースに組み込まれたロードセルの一部に当接して、前記対象物の荷重を前記起歪体に与えることで、起歪体に撓みを加える、樹脂素材の接地部材と、金属素材の前記起歪体に形成された球状突起と、前記接地部材に設けられ、前記球状突起を押圧する金属製の押し板と、前記接地部材を挿通させて、接地部材の接地面を外部に突出させる貫通孔を有し、前記ロードセル組込みベースに取り付けられることで、前記ロードセル及び接地部材の一部を覆うカバーケースと、を備え、前記貼着層が前記ロードセル組込みベースに設けられ、前記貼着層によって前記対象物に対してロードセル組込みベースが貼着され、前記対象物の荷重によって、前記接地部材が前記貫通孔内に後退することで、接地部材に設けられた金属製の押し板、球状突起を介して、起歪体に撓みを加え、前記対象物が所定以上の重量である場合には、前記接地部材の接地面が前記貫通孔内に後退し、前記カバーケースの下底面が接地することで前記荷重の一部を受け、起歪体に作用する荷重を低減することを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
ここで、前記ロードセルユニットが、起歪体を含むロードセルが組み込まれるロードセル組込みベースと、前記ロードセル組込みベースに組み込まれたロードセルの一部に当接して、前記対象物の荷重を前記起歪体に与えることで、起歪体に撓みを加える接地部材と、前記接地部材を挿通させて接地面を外部に突出させる貫通孔を有し、前記ロードセル組込みベースに取り付けられることで、前記ロードセル及び接地部材の一部を覆うカバーケースと、を備え、前記貼着層が、前記ロードセル組込みベースに設けられ、前記対象物に対してロードセル組込みベースを貼着する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
また、前記対象物が所定以上の重量である場合には、前記接地部材の接地面が前記貫通孔内に後退することで、前記カバーケースによって前記荷重の一部を受ける。
このように、接地部材は、カバーケースに形成した貫通孔に挿通させた状態で配置されるので、対象物から所定以上の荷重が作用した際には、カバーケースの下底面が接地して前記荷重の一部を受けるように作用し、過剰な荷重を受けてロードセルの起歪体が永久変形する問題も解消させることができる。
また、前記ロードセル側に形成された球状突起と、前記接地部材に設けられ、前記球状突起を押圧する金属製の押し板と、を備える。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
ここで、前記起歪体は、外枠と前記外枠にスリットを介して連結された舌状部を備え、前記外枠が前記ロードセル組込みベースに保持されると共に、前記舌状部に接地部材の一部が当接して、起歪体に撓みを加えることが望ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起歪体を含むロードセルが組み込まれるロードセルユニットと、前記ロードセルユニットに設けられ、前記対象物に対してロードセルユニットを貼着する貼着層と、前記ロードセルからの検出信号を演算処理する演算制御部に接続する接続線と、を少なくとも備え、
前記ロードセルユニットが前記貼着層によって対象物に貼着され、対象物の存否あるいは重量が、前記ロードセルユニットによって検出される重量センサーユニットにおいて、
前記ロードセルユニットが、
起歪体を含むロードセルが組み込まれるロードセル組込みベースと、
前記ロードセル組込みベースに組み込まれたロードセルの一部に当接して、前記対象物の荷重を前記起歪体に与えることで、起歪体に撓みを加える、樹脂素材の接地部材と、
金属素材の前記起歪体に形成された球状突起と、
前記接地部材に設けられ、前記球状突起を押圧する金属製の押し板と、
前記接地部材を挿通させて、接地部材の接地面を外部に突出させる貫通孔を有し、前記ロードセル組込みベースに取り付けられることで、前記ロードセル及び接地部材の一部を覆うカバーケースと、
を備え、
前記貼着層が前記ロードセル組込みベースに設けられ、前記貼着層によって前記対象物に対してロードセル組込みベースが貼着され、
前記対象物の荷重によって、前記接地部材が前記貫通孔内に後退することで、接地部材に設けられた金属製の押し板、球状突起を介して、起歪体に撓みを加え、
前記対象物が所定以上の重量である場合には、前記接地部材の接地面が前記貫通孔内に後退し、前記カバーケースの下底面が接地することで前記荷重の一部を受け、起歪体に作用する荷重を低減することを特徴とする重量センサーユニット。
【請求項2】
前記起歪体は、外枠と前記外枠にスリットを介して連結された舌状部を備え、前記外枠が前記ロードセル組込みベースに保持されると共に、前記舌状部に接地部材の一部が当接して、起歪体に撓みを加える請求項1に記載の重量センサーユニット。
【請求項3】
前記ロードセル組込みベースに対してカバーケースを取り付けた状態において、ロードセル組込みベース及びカバーケースのそれぞれを連通する接続線の挿通部が形成され、
連通する前記各挿通部を介して、ロードセルへの接続線が前記カバーケースから導出されることを特徴とする請求項1に記載の重量センサーユニット。
【請求項4】
前記対象物には、対象物が載置される載置板を含み、
前記貼着層によって、ロードセルユニットが載置板に貼着されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいいずれかに記載の重量センサーユニット。
【請求項5】
前記ロードセル組込みベースに、載置板の背面全体を覆うカバーケースの取り付け部が設けられている請求項4に記載の重量センサーユニット。