(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043737
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】舗装体
(51)【国際特許分類】
E01C 13/00 20060101AFI20220309BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
E01C13/00 A
C08G18/08 038
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149185
(22)【出願日】2020-09-04
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】加来 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】道路 睦子
(72)【発明者】
【氏名】正田 謙一
【テーマコード(参考)】
2D051
4J034
【Fターム(参考)】
2D051AB02
2D051AB03
2D051AB04
2D051AG03
2D051AG13
2D051AG18
2D051EA01
4J034BA08
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4J034QB14
4J034QC03
4J034RA03
4J034RA05
4J034RA10
(57)【要約】
【課題】衝撃時の垂直変位量が低く、衝撃吸収性にも優れる舗装体を提供する。
【解決手段】ベース層と、ベース層上に配置された耐久層と、耐久層上に配置された表面仕上げ層とを備える舗装体であって、前記ベース層が、JIS K 6253-3:2012に準拠して測定されるタイプAデュロメータの硬さが48以上であるポリウレタン組成物と、発泡ポリスチレンとを含むことを特徴とする舗装体である(ここで、ポリウレタン組成物とは、ベース層を構成する成分のうち発泡体を除いた成分の組成物であり、少なくともポリウレタンを含む組成物である)。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース層と、ベース層上に配置された耐久層と、耐久層上に配置された表面仕上げ層とを備える舗装体であって、
前記ベース層が、JIS K 6253-3:2012に準拠して測定されるタイプAデュロメータの硬さが48以上であるポリウレタン組成物と、発泡ポリスチレンとを含むことを特徴とする舗装体(ここで、ポリウレタン組成物とは、ベース層を構成する成分のうち発泡体を除いた成分の組成物であり、少なくともポリウレタンを含む組成物である)。
【請求項2】
前記ベース層において、前記ポリウレタン組成物100質量部に対する発泡ポリスチレンの含有量が0.1~2.5質量部であることを特徴とする請求項1に記載の舗装体。
【請求項3】
前記ベース層中における前記ポリウレタン組成物の割合が78.4~99.9質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の舗装体。
【請求項4】
前記発泡ポリスチレンが発泡ポリスチレンビーズであることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の舗装体。
【請求項5】
前記ベース層が、発泡ゴムを更に含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の舗装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装体に関し、特には、衝撃時の垂直変位量が低く、衝撃吸収性にも優れる舗装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
陸上競技場やテニスコート、多目的運動場、公園や遊歩道等には、アスファルトコンクリートやコンクリート上に舗装体が使用されている。ここで、施工が容易である等の理由から、ポリウレタン系舗装体が注目されている。ポリウレタン系舗装体は、一般的に、ベース層、耐久層、及び表面仕上げ層から構成される。舗装体の構成がベース層から表面仕上げ層までポリウレタン樹脂である舗装体はフルウレタン舗装体とも称される。
【0003】
また、舗装体は、安全性等の観点から、品質規格への適合が求められている。例えば、IAAF(国際陸上競技連盟)では、全天候舗装材の品質規格として、衝撃吸収率や垂直変位量等の規格値が定められている。
【0004】
衝撃吸収率を高めることは、舗装体を柔らかくすることで達成できるが、衝撃時に生じる垂直変位量が大きくなり、品質規格への適合が困難な場合がある。この相反する品質規格を満たすために、ベース層のポリウレタン樹脂に発泡ゴムを配合する手法も知られているが、依然として改良の余地がある。
【0005】
特開2019-137979号公報(特許文献1)には、上記ベース層に相当する弾性樹脂を含む第1層(弾性層)において、弾性層の厚み方向における上側1/3部分の密度が、弾性層の厚み方向における下側2/3部分の密度よりも大きいことを特徴とする複合弾性材を記載し、これによって、優れた衝撃吸収性および垂直変位量耐性を有する複合弾性材を提供できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載される技術は、衝撃吸収性を確保するために弾性層に発泡体チップを配合したことによって垂直変位量が大きくなるといった課題を解決するためのものであり、弾性層の厚み方向における上側部分の密度を小さくしたことにより垂直変位量を抑えている。しかしながら、特許文献1に記載される技術を実施するため、上側弾性層には、発泡体チップを使用しない又は発泡体チップの配合量が少ない、下側弾性層とは異なる、弾性層を適用することが必要になることから、施工のための作業や時間が増加する。
【0008】
また、特許文献1に記載される技術において、上側弾性層は、垂直変位量を抑えることができるものの、衝撃吸収率は十分とは言えない。このため、弾性層全体に占める上側弾性層の割合が増加すると、高い衝撃吸収率と低い垂直変位量を両立させることが困難になる。ポリウレタン系舗装体は、施工が容易であることが利点であるが、特許文献1に記載される技術では、上側弾性層と下側弾性層のバランスに注意が必要となるため、施工の容易さの観点からも望ましくない。
【0009】
従って、ポリウレタン系舗装体としては、単一の材料から、高い衝撃吸収率と低い垂直変位量を両立できるベース層を作製することが望ましい。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、衝撃時の垂直変位量が低く、衝撃吸収性にも優れる舗装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、硬度の高いポリウレタンに発泡ポリスチレンを配合することで、高い衝撃吸収率と低い垂直変位量を両立するベース層が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明の舗装体は、ベース層と、ベース層上に配置された耐久層と、耐久層上に配置された表面仕上げ層とを備える舗装体であって、
前記ベース層が、JIS K 6253-3:2012に準拠して測定されるタイプAデュロメータの硬さが48以上であるポリウレタン組成物と、発泡ポリスチレンとを含むことを特徴とする舗装体である(ここで、ポリウレタン組成物とは、ベース層を構成する成分のうち発泡体を除いた成分の組成物であり、少なくともポリウレタンを含む組成物である)。
【0013】
本発明の舗装体の好適例においては、前記ベース層において、前記ポリウレタン組成物100質量部に対する発泡ポリスチレンの含有量が0.1~2.5質量部である。
【0014】
本発明の舗装体の他の好適例においては、前記ベース層中における前記ポリウレタン組成物の割合が78.4~99.9質量%である。
【0015】
本発明の舗装体の他の好適例においては、前記発泡ポリスチレンが発泡ポリスチレンビーズである。
【0016】
本発明の舗装体の他の好適例においては、前記ベース層が、発泡ゴムを更に含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、衝撃時の垂直変位量が低く、衝撃吸収性にも優れる舗装体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の舗装体を詳細に説明する。本発明の舗装体は、ベース層と、耐久層と、表面仕上げ層とを備える舗装体である。本発明の舗装体は、競技場、運動場、テニスコート、スポーツトラック、公園、公園遊具、遊歩道、ジョギング走路等の屋内外施設における舗装面の他、建築建造物の床面、外装面、屋根面等の表面に適用でき、アスファルトコンクリートやコンクリート等の下地の上に配置される。
【0019】
本発明の舗装体において、ベース層は、クッション性を与える層であり、下地上に配置される。ベース層は、ポリウレタンを含み、クッション性を付与する観点から、ポリウレタンエラストマーを含むことが好ましい。本発明の舗装体において、ベース層中におけるポリウレタンの含有量は、好ましくは、34~62質量%であり、より好ましくは、40~50質量%である。ポリウレタンは、後述するように、A剤に含まれるポリイソシアネートと、B剤に含まれるポリオールと架橋剤の反応により形成させることができる。
【0020】
本発明の舗装体において、ベース層は、JIS K 6253-3:2012に準拠して測定されるタイプAデュロメータの硬さが48以上であるポリウレタン組成物を含む。本明細書において、ポリウレタン組成物とは、ベース層を構成する成分のうち発泡体(例えば、発泡ポリスチレンや発泡ゴムなど)を除いた成分の組成物であり、少なくともポリウレタン、好ましくはポリウレタンエラストマーを含む組成物である。ポリウレタン組成物を構成し得る成分としては、ポリウレタンの他、充填剤、着色剤、吸湿剤、可塑剤、安定剤、改質剤等の添加剤が挙げられる。
【0021】
このような硬度が高いポリウレタン組成物をベース層に用いることで、衝撃時の変位量を小さくすることができる。なお、ベース層に硬度の高い樹脂を用いると、衝撃吸収性を確保するために、例えば発泡体チップを多量に配合することが必要になり、結果として、衝撃時の変位量が小さいベース層の実現は困難であった。しかし、本発明の舗装体であれば、ベース層が発泡ポリスチレンを含むため、衝撃吸収性の向上効果に優れることから、衝撃時の変位量が低く、衝撃吸収性にも優れるベース層を形成することができる。上記ポリウレタン組成物のタイプAデュロメータの硬さは50以上であることが好ましい。また、上記ポリウレタン組成物のタイプAデュロメータの硬さは60以下であることが好ましく、55以下であることが更に好ましい。
【0022】
本発明の舗装体において、ベース層中におけるポリウレタン組成物の割合は、好ましくは78.4質量%以上、より好ましくは83.1質量%以上、さらに好ましくは98.5質量%以上である。また、ベース層中におけるポリウレタン組成物の割合は、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.8質量%以下、さらに好ましくは99.5質量%以下である。
【0023】
本発明の舗装体において、ベース層は、発泡ポリスチレンを含む。発泡ポリスチレンは、衝撃吸収性に優れる樹脂発泡体であることから、少量であっても十分に衝撃吸収性の向上効果を発揮することができる。このため、発泡ポリスチレンを、タイプAデュロメータの硬さが上記特定した範囲内にあるポリウレタンと組み合わせることで、衝撃時の変位量が低く、衝撃吸収性にも優れるベース層を形成することができる。
【0024】
上記発泡ポリスチレンは、その形状が球形や楕円形等の曲面を有する形状であることが好ましく、発泡ポリスチレンビーズであることが好ましい。発泡ポリスチレンの平均粒子径は、0.5~3.5mmの範囲内にあることが好ましく、1.0~3.0mmの範囲内にあることが更に好ましい。また、発泡ポリスチレンのかさ密度は、0.01~0.04g/cm3の範囲内にあることが好ましく、0.02~0.03g/cm3の範囲内にあることが更に好ましい。本発明に用いる発泡ポリスチレンとしては市販品を使用することができる。
【0025】
本明細書において、平均粒子径は、ザル法によって測定される。また、かさ密度は、メスシリンダーを用いた方法によって測定される。
【0026】
本発明の舗装体を構成するベース層において、ポリウレタン組成物100質量部に対する発泡ポリスチレンの含有量は、0.1~2.5質量部であることが好ましく、0.2~2.0質量部であることがより好ましく、0.5~1.5質量部であることが更に好ましい。
【0027】
本発明の舗装体において、ベース層は、更に発泡ゴムを含んでもよい。発泡ゴムは、衝撃吸収率を向上させることができ、また、安価な再生ゴムを使用することも可能であるため、コスト削減に繋がる。発泡ゴムに用いるゴム成分としては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられ、これらの中でも、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が好ましい。発泡ゴムの平均粒子径は、0.5~3.5mmの範囲内にあることが好ましい。また、発泡ゴムのかさ密度は、0.2~0.5g/cm3の範囲内にあることが好ましい。発泡ゴムとしては、市販品を使用することもできるが、ゴム製品を粉砕したものを使用してもよい。
【0028】
本発明の舗装体を構成するベース層において、ポリウレタン組成物100質量部に対する発泡ゴムの含有量は、0~25質量部であることが好ましく、10~20質量部であることが更に好ましい。発泡ゴムを添加すると、液粘度が上がるため、添加量に制限があり、また、入れ過ぎるとベース層自体硬くなり衝撃吸収は返って悪くなる。
【0029】
本発明の舗装体において、ベース層には、充填剤、着色剤、吸湿剤、可塑剤、安定剤、改質剤等の添加剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。
【0030】
ベース層に使用し得る充填剤は、pH7未満の酸性充填剤が好ましい。上記酸性充填剤の含有量は、充填剤の全体に対して25質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。もちろん、使用される充填剤の全てが、上記酸性充填剤であってもよい。なお、同じ名称の充填剤であっても、その成分組成や処理方法によって微妙にpHが異なるため、必ずしも名称によって上記「酸性充填剤」であることを特定することはできないが、例えば、クレー、カオリン(いわゆる「カオリンクレー」といわれているものを含む)、シリカ等であってpH7未満のもの、とりわけpH5以下のものが、優れた可使時間遅延効果等を得ることができ、好適である。より具体的には、市販品であるカオリンクレーHA-A(山陽クレー工業社製、pH4.5~5.5)や、特号クレーW(竹原化学工業社製、pH3.84)を用いることが好適である。これら酸性充填剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
本明細書において、充填剤のpHは、JIS K5101(pH測定、常温法)に準拠して測定することにより求めることができる。ただし、本明細書では、試料10gに対しイオン交換水90gを用いる。
【0032】
また、ベース層に使用し得る他の充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ゼオライト、タルク、無水石膏(CaSO4)、雲母等の非酸性充填剤が挙げられる。これら非酸性充填剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
本発明の舗装体において、ベース層中における充填剤の含有量は、好ましくは、25~45質量%であり、より好ましくは、30~40質量%である。
【0034】
ベース層に使用し得る着色剤としては、酸化第二鉄、酸化チタン、ベンガラ、クロム酸鉛、カーボンブラック等が挙げられる。着色剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の舗装体において、ベース層中における着色剤の含有量は、好ましくは、0.1~2.4質量%であり、より好ましくは、0.2~2.0質量%である。
【0035】
ベース層に使用し得る吸湿剤としては、ゼオライト等が挙げられる。吸湿剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の舗装体において、ベース層中における吸湿剤の含有量は、好ましくは、0.04~0.14質量%であり、より好ましくは、0.05~0.80質量%である。
【0036】
ベース層に使用し得る可塑剤としては、フタル酸ジイソノニル(以下「DINP」ともいう)、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等が挙げられる。可塑剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の舗装体において、ベース層中における可塑剤の含有量は、好ましくは、5.2~9.4質量%であり、より好ましくは、6.5~8.0質量%である。
【0037】
ベース層に使用し得る安定剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ベンゾチアゾール等が挙げられる。安定剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の舗装体において、ベース層中における安定剤の含有量は、好ましくは、0.06~0.30質量%であり、より好ましくは、0.08~0.25質量%である。
【0038】
本発明の舗装体において、ベース層の厚さは、9.5~15.0mmの範囲内であることが好ましい。
【0039】
本発明の舗装体において、ベース層は、衝撃吸収率が25~35%であることが好ましい。
【0040】
本明細書において、衝撃吸収率(Force Reduction)及び垂直変位量(Vertical Deformation)は、国際陸上競技連盟(IAAF)が定める試験に従って求められる値である。
【0041】
本発明の舗装体において、ベース層は、ポリイソシアネートを含むA剤と、ポリオールを含むB剤とを組み合わせてなる組成物を硬化させることにより形成することができる。ここで、A剤に含まれるポリイソシアネートと、B剤に含まれるポリオールとの反応によりポリウレタンが形成される。A剤とB剤とを組み合わせてなる組成物をベース層形成用原料組成物と称する。本発明において、ポリイソシアネートは、ポリイソシアネートとポリオールとの反応によって得られる末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであることが好ましい。また、発泡ポリスチレンや必要に応じて使用される発泡ゴムは、A剤とB剤とを混合する際に混ぜてもよいし、A剤及び/又はB剤に予め配合されていてもよい。
【0042】
上記ベース層形成用原料組成物に使用できるポリイソシアネートは、複数のイソシアネート基を有する化合物であり、例えば、芳香族、脂肪族、芳香脂肪族又は脂環式のポリイソシアネートが挙げられ、また、これらポリイソシアネートの変性物も含まれる。ポリイソシアネートの変性物としては、例えば、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、ウレタン、ウレア、アロファネート、ビウレット、カルボジイミド、イミノオキサジアジンジオン、オキサジアジントリオン、オキサゾリドン等の構造を有するポリイソシアネートが挙げられる。例えば、1,3-もしくは1,4-フェニレンジイソシアネート又はその混合物、2,4-もしくは2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)又はその混合物、ポリメリックTDI(粗製TDIあるいはクルードTDIともいう)、2,4’-もしくは4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)又はその混合物、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDIあるいはポリメリックMDIともいう)、キシレンジイソシアネート等の芳香族系のイソシアネートや、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、さらには、イソホロンジイソシアネート、水素添加TDI、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。これらポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
上記ベース層形成用原料組成物に使用できるポリオールは、複数の水酸基を有する化合物であり、通常、重合体のポリオールを指す。ポリオールの具体例としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリマーポリオール等が挙げられる。なかでも、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールに、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド等を付加重合して得られるポリオキシアルキレンポリオールが好適である。これらポリオールは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
ポリオールは、数平均分子量が1000g/モル以上であることが好ましく、数平均分子量が2000g/モル以上であることが更に好ましい。また、ポリオールの数平均分子量は、10000g/モル以下であることが好ましく、8000g/モル以下であることが更に好ましい。本明細書において、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算した数平均分子量である。
【0045】
ポリオールは、水酸基価が28~110mgKOH/gであることが好ましく、35~56mgKOH/gであることが更に好ましい。水酸基価とは、試料1g中の遊離水酸基を無水酢酸で完全にアセチル化した後、それを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である(JIS K 1557 2007参照)。
【0046】
ポリオールは、官能基数(fn)が2~6であることが好ましく、2~4であることが更に好ましく、2~3であることが更に好ましい。ポリオール1分子あたりの官能基数(fn)は、ポリオールの持つ水酸基価(OHV)と数平均分子量(Mn)から次の計算式により求められる。
fn=Mn(g/mol)×OHV(mgKOH/g)/56100
【0047】
上記ベース層形成用原料組成物において、ポリイソシアネートが末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーである場合、該ウレタンプレポリマーは、上記ポリイソシアネート及び上記ポリオールを使用して得ることができる。例えば、ポリイソシアネートを、ポリオールに対し過剰となる割合で、ポリオール(好ましくは数平均分子量100~10000、官能基数2~3のポリオキシアルキレンポリオール、更に好ましくは数平均分子量1000~8000、官能基数2~3のポリオキシプロピレンポリオール)と混合し、所定温度(例えば50~120℃)で撹拌することにより、目的とするウレタンプレポリマーを得ることができる。
【0048】
末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーは、イソシアネート基含有率が1.0~10.0質量%であることが好ましく、3.0~5.0質量%であることが更に好ましい。本明細書において、イソシアネート基含有率は、JIS K 1603に従い求められる。イソシアネート基含有率は、NCO%ともいう。
【0049】
上記ベース層形成用原料組成物において、イソシアネートインデックスは100~150であることが好ましく、110~135であることが更に好ましい。本明細書において、イソシアネートインデックスとは、ポリオールの他、架橋剤等のイソシアネート基と反応する活性水素の合計に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の比に100を乗じた値である。
【0050】
上記A剤は、ポリイソシアネートのみを含むものであってもよいが、可塑剤や消泡剤等、必要に応じて適宜配合される添加剤を含んでもよい。可塑剤としては、フタル酸ジイソノニル(以下「DINP」ともいう)、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等が挙げられる。また、消泡剤としては、ジメチルシロキサン系消泡剤、ポリアクリレート系消泡剤等が挙げられる。これら可塑剤や消泡剤は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。A剤がポリイソシアネートと共に添加剤を含む場合、A剤に含まれるポリイソシアネートの含有量は、例えば50~90質量%であり、好ましくは、60~80質量%である。
【0051】
上記B剤は、ポリオールと共に、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、イソブチル-4-クロロ-3,5-ジアミノベンゾエート(以下「ICDAB」ともいう)、ジメチルチオトルエンジアミン(以下「DMTDA」ともいう)、1,4-ブタンジオール(以下「1,4-BD」ともいう)、1,3-ジフェニルグアニジン(以下「DPG」ともいう)、ジエチルトルエンジアミン(以下「DETDA」ともいう)等が挙げられ、なかでも、芳香族アミン系架橋剤を好適に使用できる。芳香族アミン系架橋剤は、強度や伸び等の性能維持・向上効果を得ながら可使時間の延長効果を得る上で、好適である。芳香族アミン系架橋剤としては、ICDAB、DMTDAが好ましく、これらを単独で用いるか、両者を併用した場合に、特に優れた効果を得ることができる。また、充分に安全に配慮した環境においては、架橋剤として3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(以下「MOCA」ともいう)を用いてもよい。B剤に含まれる架橋剤の含有量は、例えば0.5~10.0質量%である。
【0052】
上記B剤は、更に、充填剤を含むことが好ましく、pH7未満の酸性充填剤を含むことが更に好ましい。このとき、上記酸性充填剤の含有量は、充填剤の全体に対して25質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。もちろん、使用される充填剤の全てが、上記酸性充填剤であってもよい。なお、同じ名称の充填剤であっても、その成分組成や処理方法によって微妙にpHが異なるため、必ずしも名称によって上記「酸性充填剤」であることを特定することはできないが、例えば、クレー、カオリン(いわゆる「カオリンクレー」といわれているものを含む)、シリカ等であってpH7未満のもの、とりわけpH5以下のものが、優れた可使時間遅延効果等を得ることができ、好適である。より具体的には、市販品であるカオリンクレーHA-A(山陽クレー工業社製、pH4.5~5.5)や、特号クレーW(竹原化学工業社製、pH3.84)を用いることが好適である。これら酸性充填剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
本明細書において、充填剤のpHは、JIS K5101(pH測定、常温法)に準拠して測定することにより求めることができる。ただし、本明細書では、試料10gに対しイオン交換水90gを用いる。
【0054】
また、B剤に使用できる他の充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ゼオライト、タルク、無水石膏(CaSO4)、雲母等の非酸性充填剤が挙げられる。これら非酸性充填剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
なお、上記B剤に含まれる充填剤の含有量は、例えば30~65質量%である。
【0056】
上記B剤には、その他の成分として、必要に応じて、触媒、着色剤、吸湿剤、消泡剤、可塑剤、安定剤、レベリング剤、改質剤等を、適宜添加することができる。触媒としては、オクチル酸鉛(OctPb)、ナフテン酸鉛、ジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫ジラウレート等が挙げられ、着色剤としては、酸化第二鉄、酸化チタン、ベンガラ、酸化クロム、カーボンブラック等が挙げられる。また、吸湿剤としては、ゼオライト等が挙げられ、消泡剤としては、ジメチルシロキサン系消泡剤、ポリアクリレート系消泡剤等が挙げられる。更に、可塑剤としては、DINP、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等が挙げられ、安定剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ベンゾチアゾール等が挙げられる。
【0057】
上記B剤は、ポリオールと、必要に応じて配合される任意成分とを、所定温度(例えば50~150℃)で撹拌しながら混合することにより、得ることができる。ここで、B剤に含まれるポリオールの含有量は、例えば13~25質量%である。
【0058】
上記ベース層形成用原料組成物は、A剤とB剤とを組み合わせてなる2液常温硬化性原料組成物であることが好ましく、通常、A剤とB剤とが、互いに異なる容器で保管されている。そして、実際の施工開始直前に、A剤とB剤とを混合し、その可使時間内に、その混合液(ベース層形成用原料組成物)を、対象とする部位に塗工して用いられる。発泡ポリスチレンや必要に応じて使用される発泡ゴムは、A剤とB剤とを混合する際に混ぜてもよいし、A剤及び/又はB剤に予め配合されていてもよい。なお、上述した原料組成物についての各成分の含有量の記載は、発泡ポリスチレンや必要に応じて使用される発泡ゴムの質量については考慮していない。
【0059】
本発明においては、A剤及びB剤に使用される成分、例えばポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤、充填剤などの種類や量を適宜調整することで、タイプAデュロメータの硬さが48以上であるポリウレタン組成物を形成させることができる。
【0060】
本発明の舗装体において、耐久層は、耐久性を与える層であり、ベース層上に配置される。耐久層は、JIS K 6253-3:2012に準拠して測定されるタイプAデュロメータの硬さが50以上であることが好ましく、55~65の範囲内であることが更に好ましい。耐久層は通常ベース層より硬度が高い層であるが、本発明の舗装体は、衝撃時の垂直変位量の低いベース層を備えていることから、その差は比較的小さく、例えば、耐久層は、ベース層よりタイプAデュロメータ硬さが5~10程度高い。また、耐久層の厚さは、2~5mmの範囲内であることが好ましい。耐久層は、ベース層と異なり、一般に、発泡体を含まない。
【0061】
本発明の舗装体において、耐久層に使用される樹脂は、特に制限されるものではなく、例えば、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどの公知の樹脂が挙げられる。これら樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。耐久層に使用される樹脂として、ポリウレタン、特にはポリウレタンエラストマーが好適である。本発明の舗装体において、耐久層中における樹脂の含有量は、例えば30~90質量%である。また、本発明の舗装体において、耐久層中におけるポリウレタンの含有量は、好ましくは、36~58質量%であり、より好ましくは、40~45質量%である。
【0062】
本発明の舗装体において、耐久層には、充填剤、着色剤、吸湿剤、可塑剤、安定剤、改質剤等の添加剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。なお、ここで、添加剤の具体例は、ベース層の説明において記載したとおりである。また、各添加剤は、ベース層の説明において記載した量と同様の範囲で耐久層に使用することができる。
【0063】
本発明の舗装体において、耐久層は、例えば、ベース層において説明したような原料組成物を用いて形成させることができる。ただし、表面に不要な凹凸が生じることを避けるため、耐久層は、発泡スチレンや発泡ゴムを含有していないことが好ましい。
【0064】
本発明の舗装体において、表面仕上げ層は、耐スパイク性や適度なノンスリップ性等を舗装体表面に与える層であり、耐久層上に配置される。表面仕上げ層は、舗装体の使用目的に応じて様々な表面仕上げが施されており、例えば、スムーズ仕上げ、トッピング仕上げ、粗面仕上げ、エンボス仕上げ等が挙げられる。また、表面仕上げ層の厚さについても、舗装体の使用目的に応じて様々であるが、例えば0.5~2.0mmの範囲内である。
【0065】
本発明の舗装体において、表面仕上げ層に使用される樹脂は、特に制限されるものではなく、例えば、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどの公知の樹脂が挙げられる。これら樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。表面仕上げ層に使用される樹脂として、ポリウレタン、特にはポリウレタンエラストマーが好適である。本発明の舗装体において、表面仕上げ層中における樹脂の含有量は、例えば30~90質量%である。また、本発明の舗装体において、表面仕上げ層中におけるポリウレタンの含有量は、好ましくは、38~60質量%であり、より好ましくは、45~48質量%である。
【0066】
本発明の舗装体において、表面仕上げ層には、充填剤、着色剤、吸湿剤、可塑剤、安定剤、改質剤等の添加剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。なお、ここで、添加剤の具体例は、ベース層の説明において記載したとおりである。また、各添加剤は、ベース層の説明において記載した量と同様の範囲で表面仕上げ層に使用することができる。
【0067】
本発明の舗装体において、表面仕上げ層は、例えば、ベース層において説明したような原料組成物を用いて形成させることができる。表面仕上げ層は、粗面仕上げ、エンボス仕上げ等の表面の場合は、施工直後の形状維持ため、骨材、搖変剤等を含む。
【0068】
また、表面仕上げ層がトッピング仕上げである場合には、ポリウレタン、EPDM、天然ゴム、合成ゴム等からなる弾性粒子や砂利、セラミック粒子、ガラス粉砕物等の無機物を使用することができる。
【0069】
本発明の舗装体は、トップコート層を備えることができる。トップコート層は、表面仕上げ層上に形成される層であり、耐候性と艶消しと適度な滑り抵抗性を供与する目的で表面仕上げ層上に配置される。トップコート層に使用される樹脂は、例えば、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。これら樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の舗装体において、トップコート層中における樹脂の含有量は、好ましくは、67~77質量%であり、より好ましくは、73~75質量%である。
【0070】
本発明の舗装体において、トップコート層には、充填剤、着色剤、安定剤、改質剤等の添加剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。
【0071】
本発明の舗装体において、トップコート層は、表面仕上げ層上にトップコートを塗布することで形成される。トップコートは、耐候性と艶消しと適度な滑り抵抗性を供与する目的で、表面仕上げ層上に均一に塗布される。トップコートとして、アクリルウレタン塗料、ウレタン塗料、アクリル塗料が挙げられる。
【0072】
本発明の舗装体は、衝撃吸収率が36~48%であることが好ましく、垂直変位量が0.8~2.3mmであることが好ましい。また、本発明の舗装体の厚さは、例えば13~20mmの範囲内である。本発明の舗装体は、フルウレタン舗装体、特には全天候トラック用のフルウレタン舗装体であることが好ましい。
【0073】
本発明の舗装体の製造方法は、まず、下地表面を清掃することが望ましい。例えば、アスファルトコンクリートやコンクリート等の表面にある土砂、塵埃などをスイーパー又は水洗いにより除去する。下地表面に凹凸、欠陥部、又は軟弱な箇所があればできる限り補修し、下地処理用の材料などを充填し平滑に強化することが望ましい。
【0074】
本発明の舗装体の製造方法は、下地の強化、下地とベース層との密着性の向上や、下地からの湿気の上昇を防ぐなどの目的から、下地表面を処理することが好ましい。例えば、ポリマーセメントのような下地処理剤やプライマーを下地表面に塗布して下地処理が行われる。
【0075】
本発明の舗装体の製造方法は、ベース層用の材料を下地表面に敷き均し、ベース層を形成させる。ベース層の施工には、こて、ローラー、レーキ、スプレーガンなどを使用することができる。ベース層用の材料は常温硬化性であることが好ましい。ベース層は、単層であってもよいし、複層であってもよいが、複層である場合には、同一の材料からベース層を形成することが望ましい。
【0076】
本発明の舗装体の製造方法は、耐久層用の材料をベース層上に敷き均し、耐久層を形成させる。耐久層の施工は、ベース層の施工に準じて行われる。
【0077】
本発明の舗装体の製造方法は、耐久層上にて表面仕上げを行い、表面仕上げ層を形成させる。トッピング仕上げの場合は、耐久層用の材料を塗布した後、直ちにトッピング材(弾性粒子等)を散布する。粗面仕上げやエンボス仕上げの場合、耐久層用の材料が硬化した後に、表面仕上げ用の材料を吹き付け又は塗布して粗面又はエンボス面に仕上げる。
【0078】
本発明の舗装体の製造方法は、表面仕上げ層上にトップコートを塗布し、トップコート層を形成させてもよい。トップコートは、表面仕上げ層上に均一に塗布される。
【実施例0079】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0080】
<原料>
ウレタンベース層の製造に用いた原料を以下に示す。
A剤:住化コベストロウレタン社製SBU ISCYANATE K625
B剤:表1の製造例-1に示されるB剤
発泡ポリスチレンビーズ:表2~3に示される発泡ポリスチレン
TSURUSHO社製、補充用ビーズ
平均粒子径、3mm、かさ密度、0.03g/cm3
発泡EPDMゴムチップ:表3~4に示される発泡ゴム
ゼロエミッションリサーチ社製AGF
EPDMゴム、粒径2mm以下
ウレタン耐久層の製造に用いた原料を以下に示す。
A剤:住化コベストロウレタン社製SBU ISCYANATE K625
B剤:表1の製造例-2に示されるB剤
ウレタン表面仕上げ層の製造に用いた原料を以下に示す。
A剤:住化コベストロウレタン社製SBU ISCYANATE K625
B剤:表1の製造例-3に示されるB剤
ウレタントップコート層の製造に用いた原料を以下に示す。
A剤:住化コベストロウレタン社製SBU FWA
B剤:住化コベストロウレタン社製SBU NYBレンガ
アクリルポリオール
【0081】
<ウレタンベース層に用いるポリウレタン組成物の硬度の測定>
JIS K 6253-3:2012に準拠して、A剤とB剤とを表1に示される配合処方で混合して作製したポリウレタン組成物のタイプAデュロメータの硬さを測定する。得られた結果を表1に示す。なお、表1に示される配合量は質量部である。
(15mmの厚みに作製したポリウレタン組成物を20℃に温度調整して測定)
【0082】
<衝撃吸収試験(IAAF基準試験方法)>
IAAF基準に定める衝撃吸収試験機を供試体表面上に垂直に設置し、55mmの高さから20kgの鎮を落下させて衝撃吸収値を測定する。
この時、初回の衝撃吸収値は除外し、その後60秒間隔で2回測定した値の平均値で表す。
規格値:35%±1%~50%±1% at 10℃~40℃
【0083】
<垂直変位量試験(IAAF基準試験方法)>
IAAF基準に定める衝撃吸収試験機を供試体表面上に垂直に設置し、120mmの高さから20kgの鎮を落下させて垂直変位量を測定する。
この時、初回の衝撃吸収値は除外し、その後連続的に3回測定した値の平均値で表す。
規格値:0.6mm±0.1mm~2.5mm±0.1mm at 10℃~40℃
【0084】
<実施例>
(ウレタンベース層の成型手順)
A剤とB剤とを500回/分のエアーミキサーとペントナイフとを用い約30秒間撹拌混合した後、そこに発泡ポリスチレンビーズ及び発泡ゴムチップを添加し、再度約30秒間撹拌混合した。配合量(質量部)は、表2~6に示される。その混合液を表面にテフロン加工を施した縦320mm×横320m×厚さ5mmのアルミ板に10mm高さのバッカーで縦300mm×横300mmの囲いをした施工面に平らになるように敷き均し、23℃×1日+50℃×1日の間、養生させて硬化させた。
(ウレタン耐久層の作製)
A剤およびB剤を表1に示される配合処方で500回/分のエアーミキサーとペントナイフとを用い約1分間撹拌混合した後、その混合液をウレタンベース層の上に成型し、23℃×1日+50℃×1日の間、養生させて硬化させた。
(ウレタン表面仕上げ層の作製)
A剤とB剤とを500回/分のエアーミキサーとペントナイフとを用い約30秒間撹拌混合した後、そこに骨材、搖変剤、溶剤を添加し、再度約30秒間撹拌混合した。配合量(質量部)は、表7に示される。その混合液をアネスト岩田社製、リシンガンMG-2Dを用いて、ウレタン耐久層の上にスプレー塗布し、23℃×1日+50℃×1日の間、養生させて硬化させた。
(トップコート層の作製)
A剤、B剤及び溶剤を表8に示される配合量(質量部)で混合し、明治機械製作所製、F110ハンドスプレーガンを使用しウレタン表面仕上げ層の上に塗布し、23℃×1日養生させた。
【0085】
(硬度確認のための各層のウレタン)
【表1】
*1:ポリオキシプロピレンポリオール(官能基数2、Mw=2000)
*2:ポリオキシプロピレンポリオール(官能基数3、Mw=4000)
*3:ポリオキシプロピレンポリオール(官能基数2、Mw=3000)
*4:MOCA(SHUANG-BANG INDUSTRIAL社製、
ISOCROSS SM)
*5:日本化学産業社製、ニッカオクチックス鉛17% DINP
*6;戸田ピグメント社製、YO-400
*7:ユニオン昭和社製、USKK T-POWDER
*8:大阪新薬社製、OS-930、住友化学工業社製、スミライザー MB、
城北化学工業社製、JF-77の3種の混合
*9:白石工業社製、白艶華O
*10:東ソー・シリカ社製、NIPSIL LP
*11:共栄社化学社製、フローレンAC-1190
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【表5】
*12:イノアックコーポレーション社製、NBR-4112E
アクリロニトリル・ブタジエン発泡ゴム、形状3mm角
【0090】
【表6】
*13:イノアックコーポレーション社製、C-4205
クロロプレン発泡ゴム、形状3mm角
【0091】
(表面仕上げ層の施工)
【表7】
*14:昭和KDE社製、ミルコン MS-2
*15:楠本化成社製、ディスパロン 3600N
*16:エスケー化研社製、KU
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】