(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043790
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】廃プラスチック等の粉砕・炭化装置及び粉砕・炭化方法
(51)【国際特許分類】
C10B 53/00 20060101AFI20220309BHJP
C01B 32/324 20170101ALI20220309BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20220309BHJP
B09B 3/20 20220101ALI20220309BHJP
B02C 7/12 20060101ALN20220309BHJP
B02C 19/18 20060101ALN20220309BHJP
【FI】
C10B53/00
C01B32/324
B09B3/00 303E
B09B3/00 301W
B02C7/12 ZAB
B02C19/18 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020149252
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4D004
4D063
4D067
4G146
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004AA08
4D004AA09
4D004AA10
4D004AA12
4D004AC05
4D004BA03
4D004BA07
4D004BA10
4D004CA03
4D004CA04
4D004CA05
4D004CA26
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4D004CB09
4D004CB11
4D004CB15
4D004CB31
4D004CB32
4D004CB34
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4D004CB50
4D004CC02
4D004CC03
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4D067CG04
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4D067GA12
4D067GA16
4D067GB05
4G146AA06
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4G146BC03
4G146BC14
4G146BC33
4G146BD05
4G146BD16
4G146BD18
4G146DA15
(57)【要約】
【課題】廃プラスチック、廃材、廃竹その他から高品位な再生利用を図ることができる粉砕・炭化装置及び粉砕・炭化方法を提供しようとするもの。
【解決手段】この廃プラスチック等の粉砕・炭化装置は、複数片の被処理物に圧力をかけて凝縮・固化させる凝縮・固化機構1と、前記凝縮・固化物2を粉砕する粉砕機構3と、前記粉砕機構3による粉砕物4を炭化する炭化機構5とを有する。この廃プラスチック等の粉砕・炭化方法は、複数片の被処理物に圧力をかけて凝縮・固化させる凝縮・固化工程と、前記凝縮・固化物2を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程による粉砕物4を炭化する炭化工程とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数片の被処理物に圧力をかけて凝縮・固化させる凝縮・固化機構(1)と、前記凝縮・固化物(2)を粉砕する粉砕機構(3)と、前記粉砕機構(3)による粉砕物(4)を炭化する炭化機構(5)とを有することを特徴とする廃プラスチック等の粉砕・炭化装置。
【請求項2】
複数片の被処理物に圧力をかけて凝縮・固化させる凝縮・固化工程と、前記凝縮・固化物(2)を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程による粉砕物(4)を炭化する炭化工程とを有することを特徴とする廃プラスチック等の粉砕・炭化方法。
【請求項3】
前記凝縮・固化工程の前に、被処理物を破砕してほぼ均一サイズに揃える破砕工程を有する請求項2記載の廃プラスチック等の粉砕・炭化方法。
【請求項4】
前記凝縮・固化工程で被粉砕物(4)の温度を制御するようにした請求項2又は3記載の廃プラスチック等の粉砕・炭化方法。
【請求項5】
前記温度制御として凝縮・固化工程で被粉砕物(4)を加熱するようにした請求項4記載の廃プラスチック等の粉砕・炭化方法。
【請求項6】
前記温度制御として凝縮・固化工程で被粉砕物(4)を冷却するようにした請求項4又は5記載の廃プラスチック等の粉砕・炭化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、廃プラスチック、廃材、廃竹その他の粉砕・炭化装置及び粉砕・炭化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、廃プラスチック等の廃棄物の処理方法に関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、従来、家庭や料理店、食品工場等で発生する生ごみ等の廃棄物は、集積場等に集められた後、燃料を用いて焼却するか、微生物を用いて腐敗分解させる方法により処理されていた。また、その他の廃棄物においては焼却処理をして廃棄処分していた。
しかしながら、前記焼却及び微生物による処理方法では、廃棄物を単に減量して、埋め立て処分等が行われるだけなので、大量に発生する廃棄物を資源として有効に活用できないという問題があった。さらに、焼却による処理方法では、塩素等を含むプラスチック材が包装材として廃棄物中に含まれていることが多いために、廃棄物の焼却過程でダイオキシン等の有毒物質が発生する恐れがあり、このための処理が別途必要である。また、微生物を用いて腐敗分解させる処理方法では、長時間の処理を要するので大量の生ごみを効率的に処理するのは困難であるという問題があった。
従来提案は、このような事情に鑑みてなされたもので、食品工場あるいは一般家庭等で大量に発生する生ごみ等の廃棄物や水分を多量に含む有機性廃棄物から有用な燃料となる資源を得ることができ、しかも、有毒物質を生成することなく安全かつ、効率的に廃棄物を処理することのできる廃棄物の処理方法を提供することを目的とする、というものである。
これに対し、廃棄物から高品位な再生利用を図ることができる廃プラスチック等の粉砕・炭化装置及び粉砕・炭化方法が欲しいという要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、廃プラスチック、廃材、廃竹その他から高品位な再生利用を図ることができる粉砕・炭化装置及び粉砕・炭化方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の廃プラスチック等の粉砕・炭化装置は、複数片の被処理物に圧力をかけて凝縮・固化させる凝縮・固化機構と、前記凝縮・固化物を粉砕する粉砕機構と、前記粉砕機構による粉砕物を炭化する炭化機構とを有することを特徴とする。
【0006】
(2)この発明の廃プラスチック等の粉砕・炭化方法は、複数片の被処理物に圧力をかけて凝縮・固化させる凝縮・固化工程と、前記凝縮・固化物を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程による粉砕物を炭化する炭化工程とを有することを特徴とする。
ここで、前記被処理物(廃プラスチック等)として、廃プラスチック製品類(PE、PET、PP、PVC、ABS、ナイロン樹脂等)、各種樹脂成型材、廃材、廃竹、木材、衣類の生地、壁紙材その他の(熱分解による)炭化が可能な(固形)物質を例示することが出来る。スポンジ状のウレタンフォーム、ポリオレフィンの発泡体(ペフ、断熱材等)なども例示することが出来る。
この廃プラスチック等の粉砕・炭化方法では、複数片の被処理物に圧力をかけて凝縮(ちぢまる)・固化(かたまる)させる凝縮・固化工程を有するので、被処理物がばらばらに散在しない凝縮・固化(ちぢまってかたまった)状態とすることが出来る。
例えば、被処理物に圧力をかけて棒状、ブロック状などのような押し込んで粉砕し易い所望の形状にすることが出来る。この凝縮・固化工程では、連続的に処理することが可能な形状とすることが好ましい。
そして、凝縮・固化して体積(嵩)を減らすことにより後段の粉砕工程の粉砕効率を上げるとともに、圧縮により被処理物の弾性を打ち消すことで粉砕工程の粉砕効率を上げることが出来る。
また、前記凝縮・固化物を粉砕(砕いて細かくし後述の破砕より小さな部分に分割)する粉砕工程を有するので、ばらばらに散在しない凝縮・固化状態で効率よく粉砕することが出来る。
粉砕の態様として、磨砕、裁断(カッティング)などを例示することが出来る。粉砕の手段として、棒状、ブロック状などに成形した凝縮・固化物を、磨砕突起を有する磨砕回転円盤、裁断回転刃などを用いて、一律に圧力をかけつつ(例えば大根おろし風、ジューサー・ミキサー風に)機械的に粉砕して粉々にしていくことが出来る。
具体的には、凝縮・固化物の先端から順次に粉砕されていくこととなる。この凝縮・固化物の先端域を温度制御(後述)するようにしてもよい。
さらに、前記粉砕工程による粉砕物を炭化(熱分解して炭素分に富んだ物質にする)する炭化工程を有するので、粉砕したサイズからほぼ粒径が揃った略均一炭化物を得ることが出来る。
ここで、粉砕物が大きいと炭化工程で中心部まで熱が伝わりにくいので、そのサイズを出来るだけ小さくする(パウダー状、粉状、のこ屑状など)ことにより炭化工程の所要時間を短縮し熱分解させ易くすることが出来る。
また、例えば炭化工程は粉砕物を槽内に供給する回転炉式とし、熱源としてLNG・LPGガスバーナーや電気ヒーターなどを使用することが出来る。この炭化工程では、炉内を炭化が可能な温度以上に昇温すればよいが、活性炭への賦活ができる900℃に昇温することも出来る。
そして、この炭化物は再生燃料(熱源)や再生活性炭として、また炭素素材からなる所定の構造体へと成形することにより有効利用することが出来る。
【0007】
(3)前記凝縮・固化工程の前に、被処理物を破砕してほぼ均一サイズに揃える破砕工程を有するようにしてもよい。
このように構成し、凝縮・固化工程の前に被処理物を破砕(砕いて小さな部分に分割する、粉砕の前工程)してほぼ均一サイズに揃える破砕工程を有するようにすると、被処理物に大小のサイズや形状の相違があっても大きさや形をほぼ均一化し、(ホッパーなどを利用して)後工程へと移送し易い状態に揃えることが出来る。
【0008】
(4)前記凝縮・固化工程で被粉砕物の温度を制御するようにしてもよい。
このように構成し、被粉砕物の温度を制御するようにすると、その機械的性質を変化させて処理し易くことが出来る。
【0009】
(5)前記温度制御として凝縮・固化工程で被粉砕物を加熱するようにしてもよい。
このように構成し、温度制御として凝縮・固化工程で被粉砕物を加熱するようにすると、被粉砕物が熱可塑性の性質を有する場合、これを軟化して粉砕工程に送ることが出来る。
具体的には、被破砕物が熱可塑性の性質を有し硬度が比較的に高い廃プラスチックの場合、これを凝縮・固化工程で加熱し軟化して粉砕工程に送ることが出来る。
例えば、粉砕工程で刃を使用するようにした場合、被粉砕物を加熱して軟化させると刃が傷みにくくすることが出来る。また加熱処理に加えてUV照射を援用しても良い。
【0010】
(6)前記温度制御として凝縮・固化工程で被粉砕物を冷却するようにしてもよい。
このように構成し、温度制御として凝縮・固化工程で被粉砕物を冷却するようにすると、被粉砕物が脆性を有する場合、これを冷却して脆く(破断し易く、割れやすく)した状態で粉砕工程(細分化する)に送ることが出来る。
ここで、凝縮・固化工程で被粉砕物を加熱してから冷却(冷凍、凍結などを含む)するようにしてもよいし、被粉砕物を冷却してから加熱する(順序が逆)ように複合処理してもよい。また冷却処理に加えてUV照射を援用しても良い。
【発明の効果】
【0011】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
ほぼ粒径が揃った略均一炭化物を得ることができるので、廃プラスチック、廃材、廃竹その他から高品位な再生利用を図れる炭化物を得ることができる粉砕・炭化装置及び粉砕・炭化方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の廃プラスチック等の粉砕・炭化装置の実施形態を説明するシステム・フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
〔実施形態1〕
図1に示すように、この実施形態の廃プラスチック等の粉砕・炭化装置は、複数片の被処理物に圧力をかけて凝縮・固化させる凝縮・固化機構1と、前記凝縮・固化物2を粉砕する粉砕機構3と、前記粉砕機構3による粉砕物4を炭化する炭化機構5とを有する。
【0014】
この廃プラスチック等の粉砕・炭化方法は、複数片の被処理物に圧力をかけて凝縮・固化させる凝縮・固化工程と、前記凝縮・固化物2を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程による粉砕物4を炭化する炭化工程とを有する。
(被処理物)
前記被処理物として、廃プラスチック製品類、各種樹脂成型材、廃材、廃竹、木材、衣類の生地、壁紙材その他の熱分解による炭化が可能な固形物質を処理した。
【0015】
(破砕工程)
先ず凝縮・固化工程の前に被処理物を破砕(砕いて小さな部分に分割する、粉砕の前工程)してほぼ均一サイズに揃える破砕工程(破砕機構6)を有するようにしており、被処理物に大小のサイズや形状の相違があっても大きさや形をほぼ均一化し、破砕物7を後工程へと移送し易い状態に揃えるようにした(具体的な破砕手段は図示省略)。破砕物7は、配管で上方に向けて移送し凝縮・固化機構1のホッパーへと送るようにした。
【0016】
(凝縮・固化工程)
この廃プラスチック等の粉砕・炭化方法では、複数片の被処理物(破砕物7)に圧力をかけて凝縮(ちぢまる)・固化(かたまる)させる凝縮・固化工程(凝縮・固化機構1)を有し、被処理物がばらばらに散在しない凝縮・固化(ちぢまってかたまった)状態とした。
具体的には、凝縮・固化機構1では、シリンダーで圧力(図示右方向)をかけることにより被処理物を凝縮・固化物2とした。
ここで、凝縮・固化して体積(嵩)を減らすことにより後段の粉砕工程の粉砕効率を上げるとともに、圧縮により被処理物の弾性を打ち消すことで粉砕工程の粉砕効率を上げることが出来た。
【0017】
(粉砕工程)
また、前記凝縮・固化物2を粉砕(砕いて細かくし前記破砕より小さな部分に分割)する粉砕工程(粉砕機構3)を有するようにしており、ばらばらに散在しない凝縮・固化状態で効率よく粉砕することが出来た。
粉砕の態様として、凝縮・固化物2を磨砕するようにした。具体的には、凝縮・固化物2を、磨砕突起を有する磨砕回転円盤(モータMで回転駆動される)を用いて、一律に圧力をかけつつ機械的に粉砕して粉々にしていった。
(炭化工程)
次いで、前記粉砕工程による粉砕物4(その下方にモータMにより開閉可能なバルブを有する)を炭化(熱分解して炭素分に富んだ物質にする)する炭化工程を有するので、粉砕したサイズからほぼ粒径が揃った略均一炭化物8を得ることが出来た。
炭化工程(炭化機構5)は粉砕物4を槽内に供給する回転炉式とし、その上方に熱風発生装置を備え、熱源としてLNGガスバーナーを上下2基使用した。この炭化工程では、粉砕物4の活性炭への賦活ができる900℃に昇温するようにした。
そして、炭化物8は、炭化機構5の右端下のモータMにより開閉可能なバルブを介して下方に移送せしめ、地下水とair とにより冷却した。
一方、炭化時の排ガスは、電解スクラバー装置において、電解水中に曝気し、次いで電解水シャワーを及ぼして、排ガス濾過機構で浄化して清浄ガスとして大気開放した。前記電解水は、複数の電極を有する電解装置で生成するようにした。
ここで、粉砕物4が大きいと炭化工程で中心部まで熱が伝わりにくいが、そのサイズを小さくする(粉状にした)ことにより、炭化工程の所要時間を短縮し熱分解させ易くすることが出来た。
【0018】
次に、この実施形態の廃プラスチック等の粉砕・炭化装置及び粉砕・炭化方法の使用状態を説明する。
ほぼ粒径が揃った略均一炭化物8を得ることができたので、高品位な再生利用を図れる炭化物8を得ることができた。この炭化物8は活性炭として使用することが出来た。
この技術を応用することにより、世の中で膨大な量が排出されるプラスチック類その他の廃棄物を、活性炭、再生燃料、補助燃料、成形材料などとして有効利用することが出来ることとなる。
【0019】
〔実施形態2〕
凝縮・固化工程で被粉砕物(PE)の温度を制御するようにすることにより、その機械的性質を変化させて処理し易くことが出来た(図示せず)。
温度制御として凝縮・固化工程で被粉砕物を加熱するようにしたので、塑性の性質を有する被粉砕物を軟化して粉砕工程に送った。そして、被粉砕物を加熱して軟化させることにより、磨砕回転円盤の磨砕突起を傷みにくくすることが出来た。
【0020】
〔実施形態3〕
凝縮・固化工程で被粉砕物(PET)の温度を制御するようにすることにより、その機械的性質を変化させて処理し易くした(図示せず)。
温度制御として凝縮・固化工程で被粉砕物を冷却(液体窒素を使用)するようにしたので、被粉砕物を冷却して脆くした状態で粉砕工程に送ることが出来た。
【産業上の利用可能性】
【0021】
廃プラスチック、廃材、廃竹その他から高品位な再生利用を図ることができることによって、種々の廃プラスチック等の粉砕・炭化装置及び粉砕・炭化方法の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 凝縮・固化機構
2 凝縮・固化物
3 粉砕機構
4 粉砕物
5 炭化機構