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特開2022-46434通信ネットワークのための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046434
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】通信ネットワークのための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/0803 20220101AFI20220315BHJP
   H04W 72/12 20090101ALI20220315BHJP
【FI】
H04L41/0803
H04W72/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021142320
(22)【出願日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】20195416
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ギンサー デビッド オサム
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA33
5K067EE71
(57)【要約】      (修正有)
【課題】データストリームをエンド・ツー・エンドで最適化する方法及び装置を提供する。
【解決手段】装置100は、複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータcp#1、2及び関連するQoS要件QoS#1、2を受信し、複数のストリームパラメータのうちの少なくとも1つは、通信ネットワークCNの関連するサイクリック・データ・ストリーム及び関連する通信エンドポイントフレームの到着を特徴付け、夫々の有線リンクの能力を特徴付ける第1の能力情報ci1#1~3を受信し、夫々の無線リンクの能力を特徴付ける第2の能力情報ci2#4、5を受信し、複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータ、関連するQoS要件、第1のネットワーク能力情報及び第2の能力情報に基づいて、プリスケジュールを決定し、決定したプリスケジュールに基づいて、通信ネットワークCNのネットワーク・エンティティNE#1~6を構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータ(cp#1、cp#2)および関連するQoS要件(QoS#1、QoS#2)を受信する(102)ステップであって、前記複数のストリームパラメータ(cp#1、cp#2)のうちの少なくとも1つは、通信ネットワーク(CN)の関連するサイクリック・データ・ストリームおよび関連する通信エンドポイント(App#1、App#2、App#i)の少なくともフレームの到着を特徴付ける、受信する(102)ステップと、
前記通信ネットワーク(CN)のそれぞれの有線リンク(l1、l2、l3)の能力を特徴付ける第1の能力情報(ci1#1-3)を受信する(104)ステップと、
前記通信ネットワーク(CN)のそれぞれの無線リンク(l3、l5)の能力を特徴付ける第2の能力情報(ci2#4-5)を受信する(106)ステップと、
前記複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータ(cp#1、cp#2)、前記関連するQoS要件(QoS#1、QoS#2)、前記第1のネットワーク能力情報(ci1#1-3)、および前記第2の能力情報(ci2#4-5)に基づいて、プリスケジュール(PS)を決定する(108)ステップと、
前記決定された少なくとも1つのプリスケジュール(PS)に基づいて、前記通信ネットワーク(CN)の少なくとも1つのネットワーク・エンティティ(SCHED#1、NE#1-6)を構成する(110)ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記プリスケジュール(PS)を決定する(108)ステップが、
前記第1のネットワーク能力情報(ci1#1-3)、および前記第2の能力情報(ci2#4-5)に基づいて、前記通信ネットワーク(CN)の少なくとも1つのセグメント(seg#1-3)を順次選択する(204)ステップと、
前記複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータ(cp#1-2)、前記関連するQoS要件(QoS#1-2)、および前記第1のセグメント(seg#1-3)に関連するネットワーク能力情報(ci)に基づいて、前記通信ネットワーク(CN)のセグメント(seg#1-3)のうちの選択された1つのセグメントに対するプリスケジュール(PS)の少なくとも1つの予備インスタンスを決定する(212)ステップと、
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1選択セグメント(seg#2、seg#1)は、無線リンクまたは有線リンク(l4-l5、l1-3)を含み、前記第2セグメント(seg#1、seg#2)は、有線リンクまたは無線リンク(l1-3、l4-5)を含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第1選択セグメント(seg#1-3)の選択(204)が、
提供された前記第1および第2の能力情報(cp1、cp2)に基づいて、前記有線および無線リンク(l1-5)に関連する複数の現在の使用状況を決定する(302)ステップと、
前記関連する現在の使用量が使用量の閾値を超えているリンク(l1-5)のうち複数の接続されたリンクを含む前記第1選択セグメント(seg#1-3)を決定する(304)ステップと、
を含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記第1選択セグメント(seg#1-3)の選択(204)が、
前記提供された第1および第2の能力情報(cp1、cp2)に基づいて、前記有線および無線リンク(l1-l5)の複数の帯域幅を決定する(402)ステップと、
前記関連する帯域幅が帯域幅の閾値を下回るリンク(l1-5)のうち複数の接続されたリンクを含む前記第1選択セグメント(seg#1-3)を決定する(404)ステップと、
を含む請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記プリスケジュール(PS)は、前記通信ネットワーク(CN)の前記有線リンク(l1、l2、l3)の少なくとも1つにサービスを提供するネットワーク・エンティティ(NE#1-4)に関連付けられた少なくとも1つのゲート制御リストを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記プリスケジュール(PS)は、前記通信ネットワーク(CN)の前記無線リンク(l4、l5)の少なくとも1つにサービスを提供する少なくとも1つのネットワーク・エンティティ(NE#4-6)をスケジューリングするように構成されたスケジューラ・エンティティ(SCHED#1)のための、時間単位ごとおよび無線リンク(l4、l5)ごとの予測サイクリックトラフィック量を少なくとも含んでいる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記プリスケジュール(PS)は、ネットワーク・トランスレータ・エンティティ(NE#4)の少なくとも1つの前記有線リンク(l3)に対する前記少なくとも1つのゲート制御リストと、前記ネットワーク・トランスレータ・エンティティ(NE#4)に関連する前記無線リンク(l4、l5)のうち少なくとも1つにサービスを提供する前記ネットワーク・トランスレータ・エンティティ(NE#4)をスケジューリングするように構成された前記スケジューラ・エンティティ(SCHED#1)に対する時間単位ごと・無線リンク(l4、l5)ごとの前記予測サイクリックトラフィック量を含む、請求項6および7記載の方法。
【請求項9】
装置(100)であって、
複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータ(cp#1、cp#2)および関連するQoS要件(QoS#1、QoS#2)を受信する受信手段(102)であって、前記複数のストリームパラメータ(cp#1、cp#2)のうちの少なくとも1つは、通信ネットワーク(CN)の関連するサイクリック・データ・ストリームおよび関連する通信エンドポイント(App#1、App#2、App#i)の少なくともフレームの到着を特徴付ける、受信手段(102)と、
前記通信ネットワーク(CN)のそれぞれの有線リンク(l1、l2、l3)の能力を特徴付ける第1の能力情報(ci1#1-3)を受信する受信手段(104)と、
前記通信ネットワーク(CN)のそれぞれの無線リンク(l3、l5)の能力を特徴付ける第2の能力情報(ci2#4-5)を受信する受信手段(106)と、
前記複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータ(cp#1、cp#2)、前記関連するQoS要件(QoS#1、QoS#2)、前記第1のネットワーク能力情報(ci1#1-3)、および前記第2の能力情報(ci2#4-5)に基づいて、プリスケジュール(PS)を決定する決定手段(108)と、
前記決定された少なくとも1つのプリスケジュール(PS)に基づいて、前記通信ネットワーク(CN)の少なくとも1つのネットワーク・エンティティ(SCHED#1、NE#1-6)を構成する構成手段(110)と、を備えた装置。
【請求項10】
前記プリスケジュール(PS)を決定する(108)前記決定手段が、
前記第1のネットワーク能力情報(ci1#1-3)、および前記第2の能力情報(ci2#4-5)に基づいて、前記通信ネットワーク(CN)の少なくとも1つのセグメント(seg#1-3)を順次選択する選択手段(204)と、
前記複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータ(cp#1-2)、前記関連するQoS要件(QoS#1-2)、および前記第1のセグメント(seg#1-3)に関連するネットワーク能力情報(ci)に基づいて、前記通信ネットワーク(CN)のセグメント(seg#1-3)のうちの選択された1つのセグメントに対するプリスケジュール(PS)の少なくとも1つの予備インスタンスを決定する(212)決定手段とを含む、請求項9記載の装置(100)。
【請求項11】
前記第1選択セグメント(seg#2、seg#1)は、無線リンクまたは有線リンク(l4-l5、l1-3)を含み、前記第2セグメント(seg#1、seg#2)は、有線リンクまたは無線リンク(l1-3、l4-5)を含む、請求項10記載の装置(100)。
【請求項12】
前記第1選択セグメント(seg#1-3)を選択する選択手段(204)が、
前記提供された第1および第2の能力情報(cp1、cp2)に基づいて、前記有線および無線リンク(l1-5)に関連する複数の現在の使用状況を決定する(302)決定手段と、
前記関連する現在の使用量が使用量の閾値を超えている前記リンク(l1‐5)のうち複数の接続されたリンクを含む前記第1選択セグメント(seg#1-3)を決定する(304)決定手段と、
を含む請求項10記載の装置(100)。
【請求項13】
前記第1選択セグメント(seg#1-3)の選択(204)が、
前記提供された第1および第2の能力情報(cp1、cp2)に基づいて、前記有線および無線リンク(l1-l5)の複数の帯域幅を決定する(402)決定手段と、
前記関連する帯域幅が帯域幅の閾値を下回る前記リンク(l1-5)のうち複数の接続されたリンクを含む前記第1選択セグメント(seg#1-3)を決定する(404)決定手段とを備えている、請求項10記載の装置(100)
【請求項14】
前記プリスケジュール(PS)は、前記通信ネットワーク(CN)の前記有線リンク(l1、l2、l3)の少なくとも1つにサービスを提供するネットワーク・エンティティ(NE#1-4)に関連付けられた少なくとも1つのゲート制御リストを含む、請求項9から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記プリスケジュール(PS)は、前記通信ネットワーク(CN)の前記無線リンク(l4、l5)の少なくとも1つにサービスを提供する少なくとも1つのネットワーク・エンティティ(NE#4-6)をスケジューリングするように構成されたスケジューラ・エンティティ(SCHED#1)のための、時間単位ごと・無線リンク(l4、l5)ごとの予測サイクリックトラフィック量を少なくとも含んでいる、請求項9から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記プリスケジュール(PS)は、ネットワーク・トランスレータ・エンティティ(NE#4)の少なくとも1つの有線リンク(l3)に対するゲート制御リストと、前記ネットワーク・トランスレータ・エンティティ(NE#4)に関連する前記無線リンク(l4、l5)のうちの少なくとも1つにサービスを提供する前記ネットワーク・トランスレータ・エンティティ(NE#4)をスケジューリングするように構成された前記スケジューラ・エンティティ(SCHED#1)に対する時間単位ごと・無線リンク(l4、l5)ごとの前記予測サイクリックトラフィック量とを含む、請求項14および15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法の使用、または請求項9から16までに記載の装置(100)の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークのための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インダストリー4.0では、無線通信が大規模で工場の現場に進出している。柔軟性の高いネットワークと垂直統合を工場に導入することで、未来の製造業は極めてカスタマイズ可能で高効率なものになるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような柔軟性の代償として、ネットワークの管理が複雑になる。特に、多くの産業用リアルタイムアプリケーションのように、厳しいQoS要件を満たす必要がある場合はなおさらである。TSN(Time-Sensitive Networking)などの有線通信システムでは、各ユーザをスケジューリングし、トラフィックシェーピングメカニズム(例えば、タイムアウェアシェーピング)を適用することで、制限されたレイテンシなどのエンド・ツー・エンドのサービス保証を実現している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
先行技術の問題は、請求項1に記載の方法およびさらなる請求項に記載の装置によって解決される。
【0005】
本明細書の第1の態様によれば、方法は以下を含む:複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータおよび関連するQoS要件を受信するステップであって、前記複数のストリームパラメータのうちの少なくとも1つは、関連するサイクリック・データ・ストリームの少なくとも1つのフレーム到着および通信ネットワークの関連する通信エンドポイントを特徴付けるステップと、通信ネットワークのそれぞれの有線リンクの能力を特徴付ける第1の能力情報を受信するステップと、通信ネットワークのそれぞれの無線リンクの能力を特徴付ける第2の能力情報を受信するステップと、複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータ、関連するQoS要件、第1のネットワーク能力情報、および第2の能力情報に基づいて、プリスケジュールを決定するステップと、決定された少なくとも1つのプリスケジュールに基づいて、通信ネットワークの少なくとも1つのネットワーク・エンティティを構成するステップとを含む。
【0006】
有利には、有線のTSNと無線ネットワークからなるヘテロジニアスネットワーク上の適切なプリスケジュールが決定される。異なる制約はそれぞれのシステムによって与えられ、このアプローチにより、各データストリームをエンド・ツー・エンドで最適化することができる。
【0007】
有利な実施例は、プリスケジュールの決定が、第1のネットワーク能力情報と、第2の能力情報とに基づいて、通信ネットワークの少なくとも1つのセグメントを順次選択するステップと、複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータと、第1のセグメントに関連付けられた関連QoS要件とに基づいて、通信ネットワークのセグメントのうち選択された1つのセグメントに対するプリスケジュールの少なくとも1つの予備インスタンスを決定するステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
有利なことに、ネットワークセグメントは、ネットワーク全体のプリスケジュールを一度に計算するのと比較して、プリスケジュールの高速な計算を可能にする。
【0009】
有利な実施例は、第1選択セグメントが無線リンクまたは有線リンクを含み、第2セグメントが有線リンクまたは無線リンクを含むことを特徴とする。
【0010】
有利なことに、この分別は、それぞれのリンク特性によって決定され得る。
【0011】
有利な実施例は、第1選択セグメントの選択が、提供された第1および第2の能力情報に基づいて、有線および無線リンクに関連する複数の現在の使用量を決定するステップと、関連する現在の使用量が使用量の閾値を上回るリンクのうち複数の接続されたリンクを含む第1選択セグメントを決定するステップとを含むことを特徴とする。
【0012】
ネットワークのセグメントがリアルタイムクロストラフィックの高負荷下にある場合、考慮されるエンド・ツー・エンドのサイクリック・データ・ストリームのための通信ネットワークのボトルネックとなるため、低レイテンシ向けのこのセグメントの最適化されたプリスケジュールが最初に決定される。
【0013】
有利な実施例は、第1選択セグメントの選択が、提供された第1および第2の能力情報に基づいて、有線および無線リンクの複数の帯域幅を決定するステップと、関連する帯域幅が帯域幅のしきい値を下回るリンクのうち複数の接続されたリンクを含む第1選択セグメントを決定するステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
ネットワークセグメントの1つで、通信ネットワークの残りの部分よりも利用可能な帯域幅が著しく低い場合、他のユーザがスターブすることを防ぐために、リソース効率の最適化が有益である。
【0015】
有利な実施例は、プリスケジュールが、通信ネットワークの有線リンクの少なくとも1つにサービスを提供するネットワーク・エンティティに関連付けられた少なくとも1つのゲート制御リストを含むことを特徴とする。
【0016】
有利には、少なくとも1つのゲート制御リストは、通信ネットワークのそれぞれの無線リンクの能力を特徴付ける第2の能力情報に依存して決定される。
【0017】
有利な実施例は、プリスケジュールが、通信ネットワークの無線リンクの少なくとも1つにサービスを提供する少なくとも1つのネットワーク・エンティティをスケジューリングするように構成されたスケジューラ・エンティティのための、時間単位ごと・無線リンクごとの予測サイクリックトラフィック量を少なくとも含むことを特徴とする。
【0018】
有利なことに、時間単位ごと・無線リンクごとの予測サイクリックトラフィック量は、それぞれの有線リンクの能力を特徴付ける第1の能力情報に依存して決定される。
【0019】
有利な実施例は、プリスケジュールが、ネットワーク・トランスレータ・エンティティの少なくとも1つの有線リンクに対する少なくとも1つのゲート制御リストと、ネットワーク・トランスレータ・エンティティがネットワーク・トランスレータ・エンティティに関連付けられた無線リンクのうちの少なくとも1つにサービスを提供するようにスケジューリングするように構成されたスケジューラ・エンティティに対する時間単位ごと・無線リンクごとの予測サイクリックトラフィック量とを含むことを特徴とする。
【0020】
有利なことに、ネットワーク・トランスレータ・エンティティは、プリスケジュールを介して中央で事前にスケジュールされる。
【0021】
本明細書の第2の態様により、以下の構成を有する装置が提供される:複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータおよび関連するQoS要件を受信する受信手段であって、複数のストリームパラメータのうちの少なくとも1つは、関連するサイクリック・データ・ストリームおよび通信ネットワークの関連する通信エンドポイントの少なくともフレームの到着を特徴付ける、受信手段と、通信ネットワークのそれぞれの有線リンクの能力を特徴付ける第1の能力情報を受信する受信手段と、通信ネットワークのそれぞれの無線リンクの能力を特徴付ける第2の能力情報を受信する受信手段と、複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータ、関連するQoS要件、第1のネットワーク能力情報、および第2の能力情報に基づいて、プリスケジュールを決定する決定手段と、決定された少なくとも1つのプリスケジュールに基づいて、通信ネットワークの少なくとも1つのネットワーク・エンティティを構成する構成手段。
【0022】
有利な実施例は、プリスケジュールを決定する決定手段が、第1のネットワーク能力情報、および第2の能力情報に基づいて、通信ネットワークの少なくとも1つのセグメントを順次選択する選択手段と、複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータ、第1のセグメントに関連付けられた関連QoS要件に基づいて、通信ネットワークのセグメントのうち選択された1つのセグメントに対するプリスケジュールの少なくとも1つの予備インスタンスを決定する決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0023】
有利な実施例は、第1選択セグメントが無線リンクまたは有線リンクを含み、第2セグメントが有線リンクまたは無線リンクを含むことを特徴とする。
【0024】
有利な実施例は、第1選択セグメントの選択が、提供された第1および第2の能力情報に基づいて、有線および無線リンクに関連付けられた複数の現在の使用量を決定するステップと、関連付けられた現在の使用量が使用量閾値を上回るリンクのうち複数の接続されたリンクを含む第1選択セグメントを決定するステップと、を含むことを特徴とする。
【0025】
有利な実施例は、第1選択セグメントを選択するための選択手段が、提供された第1および第2の能力情報に基づいて、有線および無線リンクの複数の帯域幅を決定する決定手段と、関連する帯域幅が帯域幅の閾値を下回るリンクのうち複数の接続されたリンクを含む第1選択セグメントを決定する決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0026】
有利な実施例は、プリスケジュールが、通信ネットワークの有線リンクの少なくとも1つにサービスを提供するネットワーク・エンティティに関連付けられた少なくとも1つのゲート制御リストを含むことを特徴とする。
【0027】
有利な実施例は、プリスケジュールが、通信ネットワークの無線リンクの少なくとも1つにサービスを提供する少なくとも1つのネットワーク・エンティティをスケジューリングするように構成されたスケジューラ・エンティティ向けの、時間単位ごと・無線リンクごとの予測サイクリックトラフィック量を少なくとも含むことを特徴とする。
【0028】
有利な実施例は、プリスケジュールが、ネットワーク・トランスレータ・エンティティの少なくとも1つの有線リンクに対するゲート制御リストと、ネットワーク・トランスレータ・エンティティに関連付けられた無線リンクの少なくとも1つにサービスを提供するネットワーク・トランスレータ・エンティティをスケジュールするように構成されたスケジューラ・エンティティのための、時間単位ごと・無線リンクごとの予測サイクリックトラフィック量とを含むことを特徴とする。
【0029】
本明細書の別の態様は、第1の態様による方法の使用または第2の態様による装置の使用を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】通信ネットワークと、通信ネットワークのプリスケジュールを決定するための装置の模式図である。
図2】模式流れ図である。
図3】模式流れ図である。
図4】模式流れ図である。
図5】それぞれのサイクリック・データ・ストリームのパケットの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、通信ネットワークCNと、通信ネットワークCNのためのプリスケジュールPSを決定するための装置100とを模式的に示している。例示的な通信ネットワークCNは、TSNおよび5GベースのTSNネットワーク・エンティティで構成されている。
【0032】
装置100は、複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータcp#1,cp#2および関連するQoS要件QoS#1,QoS#2を受信する(102)受信手段を備える。複数のストリームパラメータcp#1,cp#2のうちの少なくとも1つは、関連するサイクリック・データ・ストリームのフレーム到着、関連するフレームサイズ、および通信ネットワークCNの関連する通信エンドポイントApp#1,App#2,App#iを少なくとも特徴付ける。エンドポイントApp#1、App#2、App#iは、通信ネットワークCNのネットワーク・エンティティNE#1-6のそれぞれの1つで実行される、または直接リンクされる、産業制御アプリケーションなどのリアルタイムアプリケーションを表す。
【0033】
装置100は、通信ネットワークCNのそれぞれの有線リンクl1、l2、l3の能力を特徴付ける第1能力情報ci1#1-3を受信する(104)受信手段または受信インターフェースを備える。
【0034】
装置100は、通信ネットワークCNのそれぞれの無線リンクl3、l5の能力を特徴付ける第2能力情報ci2#4-5を受信する(106)受信手段を備える。
【0035】
一例によれば、能力情報ci2は、ユーザまたはネットワーク・エンティティNE#4-6ごとの現在のチャネル状態に関する情報である。この情報は、エンド・ツー・エンドのスケジューリングにおいて考慮され得る。例えば、より長いタイムスロットをスケジューリングすることにより、障害のあるチャネル状態であっても、ユーザのより高い、また矛盾したリソース要求に対するより良い回復力が達成される。
【0036】
第1および第2の能力情報c1#1-3、c2#4-5は、通信ネットワークCNのリンクまたはネットワーク・エンティティの対応する特性を記述する静的または動的なパラメータを含む。
【0037】
装置100は、複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータcp#1,cp#2と、関連するQoS要件QoS#1,QoS#2と、第1ネットワーク能力情報ci1#1-3と、第2能力情報ci2#4-5とに基づいて、プリスケジュールPSを決定する(108)決定手段を備える。
【0038】
装置100は、決定された少なくとも1つのプリスケジュールPSに基づいて、通信ネットワークCNの少なくとも1つのネットワーク・エンティティSCHED#1,NE#1-6を構成する(110)構成手段を備える。一例によると、構成110は、プリスケジュールPSの少なくとも一部を送信することを含む。
【0039】
プリスケジュールPSは、通信ネットワークCNの有線リンクl1、l2、l3のうちの少なくとも1つにサービスを提供するネットワーク・エンティティNE#1-4に関連付けられた少なくとも1つのゲート制御リストを含む。データ送信の優先順位付けは、それぞれの有線リンクl1-l3にサービスを提供するそれぞれのネットワーク・エンティティNE#1-4のエグレスポートで行われる。送信は、送信選択アルゴリズムTSAに基づいて決定される。特定のキューからのデータが選択された場合、対応するゲートが開かれ、データが送信される。ゲートオープンイベントはゲート制御リストによって決定される。したがって、異なるデータストリーム間の調整が保証され、保護ウィンドウが提供されて、高優先度のデータが特定の瞬間にネットワークへのアクセスが保証されるようになる。特定のトラフィッククラスの送信は、特定の期間に許可される。
【0040】
一例によれば、プリスケジュールPSは、通信ネットワークCNの無線リンクl4、l5のうちの少なくとも1つにサービスを提供する少なくとも1つのネットワーク・エンティティNE#4-6をスケジューリングするように構成されたスケジューラ・エンティティSCHED#1用の、時間単位ごと・無線リンクl4、l5ごとの予測サイクリックトラフィック量を少なくとも含んでいる。したがって、スケジューラ・エンティティSCHED#1は、事前にスケジューリングされたサイクリック・データ・ストリームに関連するパケットをオンラインでスケジューリングするために、無線リソースの量を独占的に事前予約することができる。
【0041】
一例によると、プリスケジュールPSは、特にネットワーク・トランスレータと呼ばれるネットワーク・エンティティNE#4の少なくとも1つの有線リンクl3に対するゲート制御リストと、スケジューラ・エンティティSCHED#1に対する時間単位および無線リンクl4、l5ごとの予測サイクリックトラフィック量とを含む。スケジューラ・エンティティSCHED#1は、ネットワーク・トランスレータ・エンティティNE#4に関連する無線リンクl4、l5の少なくとも1つにサービスを提供するネットワーク・トランスレータ・エンティティNE#4をスケジューリングするように構成される。少なくとも1つのゲート制御リストは、有線リンクl3にサービスを提供するネットワーク・エンティティNE#4によって使用される。
【0042】
論理ブリッジ概念により、ネットワークセグメントseg#2は単一のTSNノードを表している。したがって、個々の5GノードNE#4-6も、外部へのTSNノードとして機能するトランスレータを有する。その結果、ネットワーク・エンティティNE#5とNE#6は、アプリケーションApp#1、2、3へのトランスレータも有する(ただし、この場合、アプリケーションへのリンクはスケジューリングされないため、スケジューリング上の機能はない)。
【0043】
ヘテロジニアスネットワーク上のエンド・ツー・エンドのサイクリック・データ・ストリームの最適なスケジュールを見つけるためには、ネットワーク・エンティティ上のすべてのストリームを共同で最適化する必要がある。ネットワークはタイムトリガシステムであり、すべてのネットワーク・エンティティ間で共有される共通の時間に基づいて、各フレームの送信時間がエンドポイントアプリケーション並びにすべてのネットワーク・エンティティで正確にトリガされ得る。
【0044】
スケジューリングは2つのクラスに大別されるが、1つ目のクラスは、フレーム単位でスケジューリングする。あるネットワーク・エンティティに到着した各フレームに対して、スケジューラは何時そのフレームをスケジューリングするかを決定する。このスケジューリングを「オンライン・スケジューリング」と呼ぶ。第2のクラスは、例えば、通信が確定的なサイクルで実行される産業用アプリケーションのために、フレームの到着に関する知識に基づいて、それぞれのフレームがネットワーク・エンティティに到着する前に、リソースを含むプリスケジュールPSを提供する。プリスケジュールは事前に決定されるため、これを「オフライン・スケジューリング」と呼ぶ。本説明では、後者の事前設定されたスケジュールである「プリスケジュールPS」を扱う。
【0045】
提供されるフレームワークは、どのネットワークノードがどのフレームのためにリソースを確保しなければならないかを決定するプリスケジュールPSの一部として、ユーザまたはアプリケーションに一連の送信時間オフセットを提供する。この設定は、TSNネットワーク・エンティティのそれぞれのゲート制御リスト、または5Gシステムのそれぞれのリソース割り当てに変換されてもよく、それらを含んでもよい。5Gシステムでは、チャネルの不確実性のため、このような事前設定されたスケジュールは低レベルでは決定されない(すなわち、物理層の単一リソース要素の予約)。そこで、2段階のアプローチを採用している。まず、チャネルの適切な推定に基づいて、それぞれのタイムスロットを予約するためのプリスケジュールPSが決定される。次に、オンライン・スケジューラSCHED#1が、物理層の正確なリソース割り当てをフレーム単位レベルで決定する。
【0046】
この概念は、図6に示すように、TSNブリッジと5Gバーチャルブリッジのシステムのフレームワークにも採用されている。TSNシステムでは、エンド・ツー・エンドのスケジューラが各フレームを直接スケジューリングすることで、ゲート制御リストが決定され得る。5Gの場合、まず、プリスケジュールPSが、利用可能な送信リソースの近似値に基づいたスケジュールを含む。次に、このプリスケジュールPSを、スケジューラSCHED#1としてオンライン5G MACスケジューラで使用して、無線リンク上の特定のリソースを割り当てる。このようなエンド・ツー・エンドのスケジューリングを行うためには、ブリッジの能力情報と利用可能なインターフェースの設定が必要である。TSNブリッジやネットワーク・トランスレータ・エンティティの場合、ゲート制御リストは外部から決定される。ネットワーク・トランスレータ・エンティティは、リモート・コンフィギュレーション・プロトコルを介して、ゲート制御リストをブリッジのエグレスポートに適用する。
【0047】
有利なことに、ユーザおよびサイクリック・データ・ストリームごとの遅延およびビットレートは時間が経過しても一定であり、これに基づいてプリスケジュールが計算され得る。実装例としては、ネットワーク・トランスレータ・エンティティの意味で、5GSブリッジの能力情報を公開することが考えられる。この情報には、バッファの状態、リンク品質、サービスを受けたユーザ、経験した遅延などが含まれ、TSN-AF(TSN Application Function)で利用可能になり、外部のTSNネットワーク制御プレーンへの既存の接続を介して公開される。別の例では、UE内部(DS-TTとUE ANの間)の遅延、UEからNW-TTまでの遅延、伝搬遅延やその他の遅延、チャネル/リンク品質、パケット遅延バジェット、QoSフローなどのUE固有のパラメータは、UEから報告されてTSN-AFに送信されるか、DS-TTとNW-TTの間で測定される。これらの値はTSN-AFに報告され、TSN-AFはこれらの値をTSNネットワークに伝達する。その後、スケジューラは、例えば、TSN-AFの外部に配置され得る。
【0048】
一例によれば、TSCAI(TSC Assistance Information)は、スケジューラSCHED#1の意味で、コアネットワーク(CN)からgNBに送信される。前者の送信順序は、TSN-AFからセッション管理機能(SMF)へ、そしてスケジューラSCHED#1の意味でのgNBへ、となっている。TSN-AFは、PSFP(IEEE 802.1Q)を取得し、ストリームごと、または複数のストリームのコンテナを作成する役割を担う。SMFは、QoSフローとバーストの周期性を付加し、コンテナをgNBに送信する。
【0049】
SMFは、TSNクロックから到着したバースト/周期性を5Gクロックにマッピングする。その後、ユーザプレーン機能(UPF)は、ミスマッチがある場合、累積レートレシオ(rateRatio)を更新することでSMFを更新する。後者の値に基づいて、SMFはTSCAIを修正し、gNBに返送する。
【0050】
一実施例によると、能力情報は、以下の遅延測定値、5GS independentDelayMin、independentDelayMax、およびtxPropagationDelayのうち少なくとも1つを含む。
【0051】
さらに、スケジューラ・エンティティSCHED#1の意味での5GSへの報告は、以下を含む:
-PDUセッション確立後に、ネットワーク変換エンティティの意味での5GSブリッジomのブリッジ情報をTSNネットワークに報告する、
-タイムアウェアで効率的なスケジューリングのために、TSNネットワークから得られたTSNストリーム要件を、対応するPDUセッションのQoSフローの5GS QoS情報(例えば、5QI、TSC支援情報など)にマッピングする、
-802.1Qccで定義された5GSブリッジの能力(トラフィッククラスごと・ポートペアごとの5GSブリッジ遅延(フレームサイズに依存するものと依存しないもの、およびそれらの最大値と最小値:independentDelayMax、independentDelayMin、dependentDelayMax、dependentDelayMin)、イングレスポート番号、エグレスポート番号およびトラフィッククラスを含む、および/または、送信伝搬遅延、エグレスポート番号を含むポートごとの伝搬遅延(txPropagationDelay)。
【0052】
TSN-AFは、5GSから5GSブリッジのブリッジ情報を受信するとともに、この情報をTSNネットワークに登録または更新する役割を担う。
【0053】
一例によると、本装置100は、TSN-AFの外側に配置され、外部からTSN-AFにインターフェースで接続されている。また、TSN-AFは、内部でNW-TT(NEtwork-Side TSN Translator)と接続されている。
【0054】
一例によると、装置100は2つの部分に分割され、1つの部分はTSN-AFの内部にあり、外部のTSNネットワークセグメントに接続されている。装置100の第2の部分は、TSN-AFの外部に配置され、内部部分に接続されている。接続は、CNC(CNC:Centralized Network Configuration)とTSN-AFの間に配置されている。
【0055】
通信ネットワークCNは共同で考慮される。ネットワークの規模が大きくなると、これは計算量の多いタスクになる可能性がある。そこで、問題緩和や、ヒューリスティックな手法を用いることで、実現可能な計算時間で解を求めることができる。さらに、最適化対象を異なるネットワークセグメントに適用することで、問題セットを削減し、ネットワーク固有の特性を考慮することができ、それを以下に例示する。
【0056】
図2は、図1のステップ108の模式流れ図を示している。決定手段は、第1および第2の能力情報を読み取る(202)ために設けられている。例えば、第1および第2の能力情報は、それぞれのノードの現在の状態を含むノード能力、それぞれのリンクの現在の状態を含むリンク能力のうちの少なくとも1つを含む。
【0057】
プリスケジュールを決定する決定手段は、第1のネットワーク能力情報、および第2の能力情報に基づいて、通信ネットワークの少なくとも1つのセグメントを順次選択する(204)選択手段を備える。したがって、選択204は、サブネットワークセグメントの選択を表している。発想としては、ネットワークを、反復的に最適化されるサブネットワークのセグメントに分割するということである。これにより、大域的に最適ではない可能性がある実現可能な解の計算を大幅に高速化することができる。選択されたネットワークセグメントのうち少なくとも1つは、ネットワークの残りの部分とは異なる特徴を示す。これは、セグメントの基本的なネットワーク技術が異なるため、または現在のトラフィックの影響を受けているためのいずれかであり得る。
【0058】
例えば、第1選択セグメントseg#2は無線リンクを含み、第2セグメントseg#1は有線リンクを含む。
【0059】
別の例では、第1選択セグメントseg#3は、リンクl3とl4の現在の使用量が平均以上である故に選択される。
【0060】
さらに別の例では、第1選択セグメントseg#3は、リンクl3およびl4が平均を下回る減少した帯域を提供している故に選択される。
【0061】
選択手段は、少なくとも1つの最適化対象を選択する(206)ために提供される。通信ネットワークの構成に応じて、制約問題を解決するために定式化できる複数の最適化目標が存在する。少なくとも1つの最適化目標の例は以下を含む:
-ワーストケースのエンド・ツー・エンドのレイテンシstream(i).delayを最小化する、
-各パケットのリンクごとのレイテンシstream(i).packet(j).delay([link(l)])を最小化する、
-ワーストケースのエンド・ツー・エンドのジッタstream(i).Δdelayを最小化する
-5Gリンクの利用率を最大化する、すなわち、すべてのリソースブロックBに対するすべての5Gリンクのレートlink(l).maxRate(t,b)の合計を最大化する
-サポートするユーザ数を最大化する。
【0062】
調整手段は、通信ネットワークの選択セグメントに対する制約を調整する(208)ために提供される。
【0063】
決定手段210は、選択された制約が通信ネットワークの選択セグメントによって満たされ得るかどうかを決定するために提供される。
【0064】
選択された制約が選択セグメントによって満たされ得ない場合、決定手段は、例えば、少なくとも1つの制約および/または少なくとも1つの最適化目標を調整することによって、競合に対する解を決定(218)する。
【0065】
選択された制約が選択セグメントによって満たされ得る場合、決定手段は、複数のサイクリック・データ・ストリームパラメータ、関連するQoS要件、および第1のセグメントに関連するネットワーク能力情報に基づいて、通信ネットワークのセグメントのうち選択された1つのセグメントに対するプリスケジュールの少なくとも1つの予備インスタンスを決定する(212)。特に、決定212は、選択されたターゲット(例えば、ネットワーク・エンティティのリンクに関連するオフセット)を最適化する解決策を決定することを含む。
【0066】
例えば、制約条件は、一連の実現可能なスケジューリング実現を定義する。制約は、TSNおよびTSN-over-5Gサブネットワークで構成されるヘテロジニアス通信ネットワークに対して定義される。例えば、プリスケジュールは、3種類の入力パラメータを介して決定することができ、パラメータは、すなわち、それぞれの能力情報の形式での所定の通信ネットワークのネットワークモデルおよび構成、サイクリック・データ・ストリームパラメータの形式での通信ネットワーク内のi番目のストリームのパラメータおよび構成であって、I=1,2,...,S,Sはサイクリック・データ・ストリームの総数である、および関連するQoSパラメータの形式でのサイクリック・データ・ストリームごとのユーザ要求である。
【0067】
本装置のタスクは、通信ネットワークの各ホップで計画されたパケットのプリスケジュールを決定することである。例えば、プリスケジュールは、図5に示すように、各ストリームi=1...S、そのストリームの各パケットj=1...Pi、およびパケットが通過する各リンクl=1...Liの送信オフセットτi,j,lによって一意に定義され得る。
【0068】
リンクの1つであるリンク(l)、l=1...Lについて、少なくとも1つの能力情報は、以下の少なくとも1つを含む:
-リンクの種類(5G、TSNなど):link(l).type、
-各リンクの利用可能な帯域幅:link(l).maxRate、および
-リンクごとの伝送遅延:link(l).delay。
【0069】
サイクリック・データ・ストリームstream(i)の1つについて、少なくとも1つのサイクリック・データ・ストリームパラメータは、以下の少なくとも1つを含む:
-ネットワーク構成:リンクの数:link(l)、
-フレームの到着時間(例えば、サイクルタイムとして):stream(i).cycleTime、および
-フレームあたりのペイロード:stream(i).packetSize。
【0070】
サイクリック・データ・ストリームstream(i)の1つについて、少なくとも1つのサイクリック・データ・ストリームパラメータに関連する少なくとも1つのQoSパラメータは、以下のうちの少なくとも1つを含む:
-ネットワーク上の目標エンド・ツー・エンド遅延:stream(i).delay、
-目標エンド・ツー・エンドジッタ:stream(i).Δdelay
-目標パケットエラーレート:stream(i).errorRate。
【0071】
少なくともステップ212で決定されたオフセットを更新する(216)更新手段が設けられている。
【0072】
制約は、能力情報に基づいて決定される。さらに別の例では、能力情報は制約条件を表す。制約は、一般的なネットワーク制約と、この場合のTSNや5Gのような技術固有の制約とに類別され得る。
【0073】
ネットワーク制約は、以下のうちの少なくとも1つを含む:
-フレーム制約:各ストリームi=1...Sに対して、そのフレームj=1...Pは、正の送信オフセットstream(i).frame(j)を有し、そのサイクルタイムstream(i).cycleTime内にスケジューリングされなければならない。
-送信順序:通信ネットワークの各フレームは、先行するリンクlink(l-1)で事前に完全に受信された後で、次のリンクlink(l)で送信される。
stream(i).packet(j).offset[link(l-1)]<stream(i).packet(j).offset[link(l)]、
-エンド・ツー・エンド遅延:通信ネットワークの各フレームは、このフレーム内の遅延バジェットを持ち、それぞれのエンドポイントに送達されなければならない。
stream(i).packet(j).offset[link(Li)]‐stream(i).packet(j).offset[link(1)]<stream(i).delay。
【0074】
さらに、ストリームごとに、ジッタstream(i).Δdelayやパケットロスstream(i).errorRateなど、より要件に基づいた制約が定義され得る。また、フレームをバーストで伝送しなければならない場合など、配信順序に関する制約も適用され得る。
【0075】
TSN制約は、以下の少なくとも1つを含む:
-単一リンク使用:各有線TSNリンク(link(l).type=TSN)は、同時に1つのフレームによって独占的に使用される。したがって,ネットワーク上の2つのパケットstream(i).packet(j)が同じリンク上で干渉しないようにしなければならない、すなわち、各フレームの独占的アクセスを確実にスケジューリングしなければならない。
-明確に定義されたウィンドウ:有線TSNセグメントでは、各フレームは個別にスケジューリングされるのではなく、トラフィッククラスに基づいてスケジューリングされる。TSNは、同一または類似の要件を有する異なるストリームのフレームをグループ化する最大8つのトラフィッククラスをサポートしている。事前にスケジューリングされたパケットが単一のトラフィッククラスに属する場合、この制約により、ゲート制御リスト(GCL)内のそれぞれのトラフィッククラスのゲートがそれぞれのエグレスポートで開かれることが保証される。
-複数のトラフィッククラスが同時にリンクにアクセスする場合のハンドリング制約
-イングレスフィルタリング
-キューイング挙動。
【0076】
無線ドメイン制約は、以下のうち少なくとも1つを含む。
-送信機会:任意の時点でフレームを送信できるイーサネットベースのシステムとは異なり、無線ドメインのフレームは特定の離散的な時点でしか送信できない。これらの送信機会は設定可能であるが、通常は動作中のストリームごとに固定されており、送信時間間隔(TTI)に依存する:
【数1】
link(l).type=5Gに関して。
-送信リソース:イーサネットシステムとは異なり、無線システムのフレームは、時間だけでなく、技術によっては周波数、コード、アンテナなども含めてスケジューリングされる。5Gの場合は、時間と周波数を考慮しており、異なる周波数で同時にフレームを送信することができる。イーサネット・リンクにおけるリンク依存の一定レートlink(l).maxRateとは対照的に、ここでは、通信ネットワーク内の各ユーザi(すなわちストリーム)ごとに異なる、チャネルの変動による時間tおよび周波数bでの動的な送信レートを考慮している。そのため、時間-周波数リソースブロックごとの送信レートを、それぞれの依存関係に基づいて定量化する異なる表記link(l).maxRate(t,b,i)を使用している。無線リンクのTTIあたりの合計レートは、サポートされているリソースブロックの総数Bによって制約される。maxRate(t,b,i)の挙動は非常に動的であるため、チャネルに関する仮定と推定に依存する。そのため、プリスケジュールの決定とそれに基づくオンライン・スケジュールの決定からなる2段階のスケジューリング手法を採用している。
【0077】
能力情報という制約条件に基づいて、プリスケジュールを決定する方法を以下に例示する。能力情報に基づくプリスケジュールの導出方法には複数の選択肢がある。可能なソルバーフレームワークは、例えば、(混合)整数線形計画((M)ILP)、制約プログラミング(CP)、または充足可能モジュール理論(SMT)である。最適化に関しては、様々なアプローチが考えられる:
-最適化しない:制約条件に基づいて、必要な要件をすべて満たすスケジュールを導出することができる。通常、多くの解があるか、解がないかのどちらかである。したがって、制約条件は、スケジューリング問題の充足性が達成可能かどうかを判断するためにのみ使用される。
-単一最適化:単一の最適化目標、すなわち制約条件を満たしながら最小化または最大化すべき特定の値を設定することが可能である。例えば、すべてのストリームの最悪のエンド・ツー・エンドのレイテンシの合計を最小化することは、このような最適化目標である。
【数2】
-複数の最適化:複数のパラメータを一度に最適化することは、通常、制約ベースの問題には直接適用できない。しかし、複数のパラメータに基づいてコスト関数を定式化し、それを最小化または最大化することは可能である。例示的には、エンド・ツー・エンドのレイテンシとジッタを最小化することは、コスト関数F(.)を考慮することによって合わせて考慮することができる2つの最適化目標である。
【数3】
【0078】
それぞれの予備的スケジュールを決定するために、すべてのセグメントが訪問されたかどうかを決定する決定手段204が設けられている。肯定的であれば、予備的なプリスケジュールは最終的なプリスケジュールであると決定される。通信ネットワークのさらなるセグメントがそれぞれの予備的なプリスケジュールの決定を待っている場合には、手順はステップ204に続く。
【0079】
この方法は、適切に選択されたネットワークセグメントに対して良好に機能する。図1に例示したようなTSNおよびTSN-over-5Gの実装の場合、すべてのネットワーク参加者がネットワークの状態およびノード能力に関する情報を図1の装置100に提供するため、適切なセグメント化を決定するための情報を容易に抽出することができる。これらの入力パラメータを使用して、中央装置はネットワークの適切なセグメンテーションを決定し、プリスケジュールの意味でネットワークに構成を展開する。
【0080】
可能なアプローチとしては、まず、各ネットワーク・エンティティ上のすべてのサイクリック・データ・ストリームによる利用可能な帯域幅と必要な帯域幅を調査することが挙げられる。同じリンクを共有するユーザの数が多いほど、事前スケジューリングによるエンド・ツー・エンドの全体的なパフォーマンスへの影響は大きくなる。そこで、まず、ネットワーク内で最も利用率の高いコヒーレント・ノードのセットを選択する。そして、このセグメントの最適化目標を決定し、制約条件を調整する。例えば、セグメントの1つに新たなレイテンシ制約を設定するが、もちろん、この制約は、ストリームのエンド・ツー・エンドのレイテンシ要件stream(i).delayよりも低くなければならない。これで、このサブネットワークを最適化し、そのリンクを通過するサイクリック・データ・ストリームの送信オフセットを決定することができる。その後、通信ネットワークの残りのすべてのリンクのオフセットを繰り返し解決し続ける。
【0081】
サブネットワークが事前に決定された後に、スケジュールが実行不可能になる可能性がある。つまり、制約を満たさないスケジューリングコンフリクトが発生する。この場合、別のセグメンテーションを決定するか、サブネットワークの制約条件を再調整するかの2つの選択肢がある。このようなことが頻繁に起こるわけではないが、そうでない場合は、セグメンテーションが適切に選択されていないか、または一般的に考えられる通信ネットワークにうまく適用できないことを示している。ネットワークが異質であればあるほど、このアプローチはうまくいく。
【0082】
図3は模式流れ図である。第1選択セグメントを選択する選択手段は、提供された第1および第2の能力情報に基づいて、有線および無線リンクに関連する複数の現在の使用量を決定するステップ302と、関連する現在の使用量が使用量の閾値を上回るリンクのうち複数の接続されたリンクを含む第1選択セグメントを決定するステップ304とを備える。
【0083】
図4は、模式流れ図を示している。第1選択セグメントの選択204は、提供された第1および第2の能力情報に基づいて、有線および無線リンクの複数の帯域幅を決定するステップ402と、関連する帯域幅が帯域幅閾値未満のリンクのうち複数の接続されたリンクを含む第1選択セグメントを決定するステップ404とを備える。リソース効率の良い解(選択セグメントのレイテンシにある程度の上限を維持する)が見つかった後、ネットワークの残りの部分は、事前にスケジュールされたセグメントのエンド・ツー・エンドのレイテンシが最も低くなるように最適化され得る。
【0084】
図5は、通信ネットワークの各リンクにおいて、それぞれのサイクリック・データ・ストリームのパケットがオフセットによってスケジューリングされる様子を模式的に描写している。例えば、通信ネットワークの選択されたパスに沿ってオフセットを要約することで、レイテンシの観点から関連するQoSパラメータが満たされ得るかどうかを確認することが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
l1、l2、l3 有線リンク
l4、l5 無線リンク
App#1、App#2、App#i 通信エンドポイント
ci1#1-3 第1の能力情報
ci2#4-5 第2の能力情報
CN 通信ネットワーク
cp#1、cp#2 サイクリック・データ・ストリームパラメータ
l1-5 リンク
NE#1-6 ネットワーク・エンティティ
PS プリスケジュール
QoS#1、QoS#2 QoS要件
SCHED#1 スケジューラ・エンティティ
seg#1、seg#2 第1選択セグメント

図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】