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特開2022-47475アルミニウム箔、その製造方法及び用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047475
(43)【公開日】2022-03-24
(54)【発明の名称】アルミニウム箔、その製造方法及び用途
(51)【国際特許分類】
   C22C 21/00 20060101AFI20220316BHJP
   C22C 21/02 20060101ALI20220316BHJP
   C22F 1/04 20060101ALI20220316BHJP
   C22F 1/043 20060101ALI20220316BHJP
   B21B 3/00 20060101ALI20220316BHJP
   B32B 15/20 20060101ALI20220316BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20220316BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20220316BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20220316BHJP
   H01M 50/129 20210101ALI20220316BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20220316BHJP
【FI】
C22C21/00 M
C22C21/02
C22F1/04 F
C22F1/043
B21B3/00 J
B32B15/20
B32B15/08 F
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/129
C22F1/00 622
C22F1/00 630K
C22F1/00 661Z
C22F1/00 613
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 685Z
C22F1/00 686A
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 692A
C22F1/00 694A
C22F1/00 694B
C22F1/00 694Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039440
(22)【出願日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】202010950497.9
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521104447
【氏名又は名称】中▲ロ▼材料応用研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】陳偉
(72)【発明者】
【氏名】金曉傑
(72)【発明者】
【氏名】趙丕植
(72)【発明者】
【氏名】馬科
(72)【発明者】
【氏名】郭世傑
(72)【発明者】
【氏名】付裕
(72)【発明者】
【氏名】馮丹
【テーマコード(参考)】
4F100
5H011
【Fターム(参考)】
4F100AB10A
4F100AB33A
4F100AK01B
4F100BA02
4F100GB41
4F100JK17
5H011AA09
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD01
5H011KK01
5H011KK02
5H011KK07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リチウムイオン電池のソフトパックに要求される成形性能と柔軟性の向上したアルミニウム箔を提供する。
【解決手段】質量%で、Fe:0.7-2.0wt%、Si:0.02-0.9wt%、Cu:0.5wt%以下、Mg:0.1wt%以下、Mn:0.7wt%以下、Zn:0.05wt%以下、Cr:0.05wt%以下、Ti:0.1wt%以下、V:0.05wt%以下、残部がAlおよび不可避不純物からなり、立方体集合組織の体積分率が5-20%で、平均表面の結晶粒のサイズが5-35μmであることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、Fe:0.7-2.0wt%(好ましくは0.7-1.7wt%、より好ましくは1.0-1.5wt%)、Si:0.02-0.9wt%(好ましくは0.05-0.1wt%、より好ましくは0.05-0.08wt%)、Cu:0.5wt%以下(好ましくは0.001-0.5wt%、好ましくは0.05wt%以下、より好ましくは0.0015-0.05wt%)、Mg:0.1wt%以下(好ましくは0.001-0.1wt%、好ましくは0.05wt%以下、より好ましくは0.001-0.008wt%)、Mn:0.7wt%以下(好ましくは0.005-0.7wt%、好ましくは0.05wt%以下、より好ましくは0.007-0.04wt%)、Zn:0.05wt%以下(好ましくは0.001-0.03wt%、より好ましくは0.01-0.02wt%)、Cr:0.05wt%以下(好ましくは0.0005-0.05wt%、好ましくは0.005wt%以下、より好ましくは0.0007-0.002wt%)、Ti:0.1wt%以下(好ましくは0.001-0.1wt%、好ましくは0.02wt%以下、より好ましくは0.007-0.02wt%)、V:0.05wt%以下(好ましくは0.0005-0.05wt%、好ましくは0.02wt%以下、好ましくは0.01wt%以下、好ましくは0.0005-0.01wt%、好ましくは0.0005-0.0034wt%、より好ましくは0.0009-0.0015wt%)、残部がAlおよび不可避不純物からなり、立方体集合組織の体積分率は5-20%(好ましくは8-15%、より好ましくは9-14%)であり、平均表面の結晶粒のサイズは5-35μm(好ましくは10-20μm、より好ましくは12-18μm)であることを特徴とするアルミニウム箔。
【請求項2】
前記アルミニウム箔の柔軟度は450mN以下(好ましくは330-450mN、より好ましくは340-420mN、より好ましくは350-395mN)であり、前記アルミニウム箔のエリクセン値は5.0mm以上(好ましくは5.0-10.0mm、より好ましくは6.0-9.0mm、より好ましくは7.0-8.0mm)である請求項1に記載のアルミニウム箔。
【請求項3】
中間焼鈍工程:アルミニウム箔素材(好ましくは厚さ0.1-2.0mm、より好ましくは厚さ0.3-1.0mm)を中間焼鈍して、焼鈍したアルミニウム箔素材を得り、
圧延工程:前記焼鈍したアルミニウム箔素材を圧延してアルミニウム箔(半製品アルミニウム箔とも呼ばれる)を得り、と
最終焼鈍工程:前記半製品アルミニウム箔を最終焼鈍してアルミニウム箔(完成品アルミニウム箔とも呼ばれる)を得る工程を備え、
前記中間焼鈍工程は少なくとも焼鈍工程A1を含み、前記焼鈍工程A1の焼鈍温度(焼鈍温度A1と呼ばれる)は300-395℃(好ましくは340-380℃)であり、前記最終焼鈍工程は少なくとも焼鈍工程B1と前記焼鈍工程B1の後の焼鈍工程B2を含み、前記焼鈍工程B1の焼鈍温度(焼鈍温度B1と呼ばれる)は70-150℃(好ましくは90-140℃)であり、前記焼鈍工程B2の焼鈍温度(焼鈍温度B2と呼ばれる)は220-350℃(好ましくは250-300℃又は250-280℃)であることを特徴とするアルミニウム箔の製造方法。
【請求項4】
前記焼鈍温度A1は、前記焼鈍温度B2より50-150℃高く(好ましくは70-100℃高く)、及び/又は、前記焼鈍温度B2は、前記焼鈍温度B1より80-200℃高い(好ましくは105-185℃高い)請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記中間焼鈍工程では、少なくとも前記アルミニウム箔素材を300-400℃(好ましくは340-380℃)の温度(焼鈍温度A1)に保温する工程を含み、又は、少なくとも前記アルミニウム箔素材を150-180℃の温度に保温し、次に300-400℃(好ましくは340-380℃)の温度(焼鈍温度A1)に保温する工程を含む請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記圧延工程は、前記焼鈍したアルミニウム箔素材を粗圧延し、中間圧延し、仕上げ圧延する工程を含み、前記粗圧延では、前記焼鈍したアルミニウム箔素材を厚さ0.2-0.5mm(好ましくは厚さ0.1-0.3mm)のロール材に圧延し、前記中間圧延では、前記ロール材を厚さ0.05-0.2mm(好ましくは厚さ0.07-0.1mm)のアルミニウム箔に圧延し、前記仕上げ圧延では、前記アルミニウム箔を厚さ0.025-0.06mm(好ましくは厚さ0.03-0.05mm、より好ましくは厚さ0.035-0.045mm)のアルミニウム箔(即ち、前記半製品アルミニウム箔)に圧延する請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
前記最終焼鈍工程では、少なくとも70-150℃(好ましくは90-140℃)の温度(焼鈍温度B1)に保温し、次に220-350℃(好ましくは250-280℃)の温度(焼鈍温度B2)に保温する工程を含み、又は、少なくとも70-150℃(好ましくは90-140℃)の温度(焼鈍温度B1)に保温し、次に220-350℃(好ましくは250-280℃)の温度(焼鈍温度B2)に保温し、それから空冷する工程を含む請求項3に記載の製造方法。
【請求項8】
前記最終焼鈍工程の前に、分割工程を有し、前記分割工程において、分割応力は25-35MPaであり、及び/又は、巻き取り速度は50-150mm/minである請求項3に記載の製造方法。
【請求項9】
アルミニウム合金の鋳塊に対して、均質化処理、熱間圧延処理と冷間圧延処理を施し、アルミニウム箔素材を得る工程を更に備える請求項3に記載の製造方法。
【請求項10】
前記均質化処理では、少なくとも前記アルミニウム合金の鋳塊を550-620℃(好ましくは570-610℃)の温度に保温する工程を含み、好ましく少なくとも前記アルミニウム合金の鋳塊を550-620℃(好ましくは570-610℃)の温度に保温した後、更に400-520℃(好ましくは450-510℃)の温度に保温する工程を含む請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記熱間圧延処理では、少なくとも前記均質化したアルミニウム合金の鋳塊を少なくとも450℃の温度で3-7mmの板材(熱間圧延板材と呼ばれる)に圧延する工程を含む請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
前記冷間圧延処理では、少なくとも前記熱間圧延板材を80℃以下の温度で厚さ0.1-2.0mm(好ましくは厚さ0.3-1.0mm)の前記アルミニウム箔素材に圧延する工程を含む請求項9に記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1に記載のアルミニウム箔、又は請求項3に記載の製造方法により製造したアルミニウム箔と、少なくとも一つ重合体層とを含む、ソフトパックリチウムイオン電池の包装材料(特にソフトパックリチウムイオン電池用のアルミニウムラミネートフィルム)。
【請求項14】
正極、負極、電解質、セパレーター、および請求項13に記載のソフトパックリチウムイオン電池の包装材料を含む、ソフトパックリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料、特にアルミニウム箔に関する。更に、本発明は、該アルミニウム箔の製造方法、該アルミニウム箔を含むソフトパックリチウムイオン電池の包装材料、およびソフトパックリチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の急速な発展に伴い、アルミニウム合金の市場需要も急速に伸びている。アルミニウム合金は、航空宇宙、電子通信、軍事産業、医療、機械製造などの分野で広く使用されてる。そのうち、アルミニウム箔は、アルミニウム合金の用途において重要な位置を占める。アルミニウム箔自体は、軽量で、強力なバリア性能、高い延性、優れた成形性能などの特性を備えているため、包装、電子製品、電気化製品、建築などの業界で広く使用されてる。
【0003】
ソフトパックリチウムイオン電池用のアルミニウム箔であるアルミニウムラミネートフィルムは、包装分野において、注目されている。リチウムイオン電池の安全性と耐久性を確保するために、アルミニウムラミネートフィルムおよび該フィルムの製造用の各主要材料(特にアルミニウム箔)に対して、非常に高く要求する。アルミプラスチックフィルムは、使用時に最初にスタンプして成形し、次にバッテリーセルを挿入してヒートシールし、それからヒートシールしたエッジを180°で2-3回折り畳む必要がある。このプロセスでは、アルミニウム箔の柔軟度が良くないと、アルミニウム箔にひびが入りやすく、ヒートシール層に損傷を与え、電池の液漏れや膨張を引き起こし、安全上の事故を引き起こしやすい。
【0004】
従来技術において、紙や布の柔軟度に関する研究、例えば特性評価方法および影響メカニズムなど、の行いが多い。CN109295346Aは高導電性フレキシブルアルミニウム合金とその製造方法および用途を開示し、合金組成および加工方法を調整することにより、高導電性フレキシブルアルミニウム合金が得られる。しかし、開示した合金組成および製造方法はソフトパックのアルミニウム箔とその製造には適していない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の発明者は、アルミニウム箔がアルミニウムラミネートフィルム中間層の重要な材料であり、その成形性能が外側のナイロンおよび内側のポリプロピレン材料の成形性能よりも著しく低く、よって、アルミニウム箔の成形性能の向上がアルミプラスチックフィルムの成形性能の向上にとって鍵であることを発見した。更に、本発明の発明者は、アルミニウム箔の結晶粒のサイズが小さいほど、柔軟度の改善に悪影響を与え、材料をより硬くすることを発見した。従って、本発明の発明者は、リチウムイオン電池用のソフトパックアルミニウム箔の成形性能と柔軟度の要求と業界の現状を鑑みて、鋭意研究を重ねた結果、アルミニウム箔の立方体集合組織と粒子構造(結晶粒のサイズ)が製品であるアルミニウム箔の柔軟度と成形性能に対する影響することを発見し、アルミニウム箔の集合組織と結晶粒のサイズを制御することによって、アルミニウム箔の柔軟度と成形性能を向上することを達成することができ、本発明を完成させた。
【0006】
具体的には、本発明は以下の態様に関する。
【0007】
1.質量%で、Fe:0.7-2.0wt%(好ましくは0.7-1.7wt%、より好ましくは1.0-1.5wt%)、Si:0.02-0.9wt%(好ましくは0.05-0.1wt%、より好ましくは0.05-0.08wt%)、Cu:0.5wt%以下(好ましくは0.001-0.5wt%、好ましくは0.05wt%以下、より好ましくは0.0015-0.05wt%)、Mg:0.1wt%以下(好ましくは0.001-0.1wt%、好ましくは0.05wt%以下、より好ましくは0.001-0.008wt%)、Mn:0.7wt%以下(好ましくは0.005-0.7wt%、好ましくは0.05wt%以下、より好ましくは0.007-0.04wt%)、Zn:0.05wt%以下(好ましくは0.001-0.03wt%、より好ましくは0.01-0.02wt%)、Cr:0.05wt%以下(好ましくは0.0005-0.05wt%、好ましくは0.005wt%以下、より好ましくは0.0007-0.002wt%)、Ti:0.1wt%以下(好ましくは0.001-0.1wt%、好ましくは0.02wt%以下、より好ましくは0.007-0.02wt%)、V:0.05wt%以下(好ましくは0.0005-0.05wt%、好ましくは0.02wt%以下、好ましくは0.01wt%以下、好ましくは0.0005-0.01wt%、好ましくは0.0005-0.0034wt%、より好ましくは0.0009-0.0015wt%)、残部がAlおよび不可避不純物からなり、立方体集合組織の体積分率は5-20%(好ましくは8-15%、より好ましくは9-14%)であり、平均表面結晶粒のサイズは5-35μm(好ましくは10-20μm、より好ましくは12-18μm)であることを特徴とするアルミニウム箔。
【0008】
2.前記アルミニウム箔の柔軟度は450mN以下(好ましくは330-450mN、より好ましくは340-420mN、より好ましくは350-395mN)であり、前記アルミニウム箔のエリクセン値は5.0mm以上(好ましくは5.0-10.0mm、より好ましくは6.0-9.0mm、より好ましくは7.0-8.0mm)である前記又は後記の何れかの形態に記載のアルミニウム箔。
【0009】
3.中間焼鈍工程:アルミニウム箔素材(好ましくは厚さ0.1-2.0mm、より好ましくは厚さ0.3-1.0mm)を中間焼鈍して、焼鈍したアルミニウム箔素材を得り、
圧延工程:前記焼鈍したアルミニウム箔素材を圧延してアルミニウム箔(半製品アルミニウム箔とも呼ばれる)を得り、と最終焼鈍工程:前記半製品アルミニウム箔を最終焼鈍してアルミニウム箔(完成品アルミニウム箔とも呼ばれる)を得る工程を備え、
前記中間焼鈍工程は少なくとも焼鈍工程A1を含み、前記焼鈍工程A1の焼鈍温度(焼鈍温度A1と呼ばれる)は300-395℃(好ましくは340-380℃)であり、前記最終焼鈍工程は少なくとも焼鈍工程B1と前記焼鈍工程B1の後の焼鈍工程B2を含み、前記焼鈍工程B1の焼鈍温度(焼鈍温度B1と呼ばれる)は70-150℃(好ましくは90-140℃)であり、前記焼鈍工程B2の焼鈍温度(焼鈍温度B2と呼ばれる)は220-350℃(好ましくは250-300℃又は250-280℃)であることを特徴とするアルミニウム箔の製造方法。
【0010】
4.前記焼鈍温度A1は、前記焼鈍温度B2より50-150℃高く(好ましくは70-100℃高く)、及び/又は、前記焼鈍温度B2は、前記焼鈍温度B1より80-200℃高い(好ましくは105-185℃高い)前記又は後記の何れかの形態に記載の製造方法。
【0011】
5.前記中間焼鈍工程では、少なくとも前記アルミニウム箔素材を300-400℃(好ましくは340-380℃)の温度(焼鈍温度A1)に保温する工程を含み、又は、少なくとも前記アルミニウム箔素材を150-180℃の温度に保温し、次に300-400℃(好ましくは340-380℃)の温度(焼鈍温度A1)に保温する工程を含む前記又は後記の何れかの形態に記載の製造方法。
【0012】
6.前記圧延工程は、前記焼鈍したアルミニウム箔素材を粗圧延し、中間圧延し、仕上げ圧延する工程を含み、前記粗圧延では、前記焼鈍したアルミニウム箔素材を厚さ0.2-0.5mm(好ましくは厚さ0.1-0.3mm)のロール材に圧延し、前記中間圧延では、前記ロール材を厚さ0.05-0.2mm(好ましくは厚さ0.07-0.1mm)のアルミニウム箔に圧延し、前記仕上げ圧延では、前記アルミニウム箔を厚さ0.025-0.06mm(好ましくは厚さ0.03-0.05mm、より好ましくは厚さ0.035-0.045mm)のアルミニウム箔(即ち、前記半製品アルミニウム箔)に圧延する前記又は後記の何れかの形態に記載の製造方法。
【0013】
7.前記最終焼鈍工程では、少なくとも70-150℃(好ましくは90-140℃)の温度(焼鈍温度B1)に保温し、次に220-350℃(好ましくは250-280℃)の温度(焼鈍温度B2)に保温する工程を含み、又は、少なくとも70-150℃(好ましくは90-140℃)の温度(焼鈍温度B1)に保温し、次に220-350℃(好ましくは250-280℃)の温度(焼鈍温度B2)に保温し、それから空冷する工程を含む前記又は後記の何れかの形態に記載の製造方法。
【0014】
8.前記最終焼鈍工程の前に、分割(切断)工程を有し、前記分割工程において、分割応力は25-35MPaであり、及び/又は、巻き取り速度は50-150mm/minである前記又は後記の何れかの形態に記載の製造方法。
【0015】
9.アルミニウム合金の鋳塊に対して、均質化処理、熱間圧延処理と冷間圧延処理を施し、アルミニウム箔素材を得る工程を更に備える前記又は後記の何れかの形態に記載の製造方法。
【0016】
10.前記均質化処理では、少なくとも前記アルミニウム合金の鋳塊を550-620℃(好ましくは570-610℃)の温度に保温する工程を含み、好ましく少なくとも前記アルミニウム合金の鋳塊を550-620℃(好ましくは570-610℃)の温度に保温した後、更に400-520℃(好ましくは450-510℃)の温度に保温する工程を含む前記又は後記の何れかの形態に記載の製造方法。
【0017】
11.前記熱間圧延処理では、少なくとも前記均質化したアルミニウム合金の鋳塊を少なくとも450℃の温度で3-7mmの板材(熱間圧延板材と呼ばれる)に圧延する工程を含む前記又は後記の何れかの形態に記載の製造方法。
【0018】
12.前記冷間圧延処理では、少なくとも前記熱間圧延板材を80℃以下の温度で厚さ0.1-2.0mm(好ましくは厚さ0.3-1.0mm)の前記アルミニウム箔素材に圧延する工程を含む前記又は後記の何れかの形態に記載の製造方法。
【0019】
13.前記又は後記の何れかの形態に記載のアルミニウム箔、又は前記又は後記の何れかの形態に記載の製造方法により製造したアルミニウム箔と、少なくとも一つ重合体層とを含む、ソフトパックリチウムイオン電池の包装材料(特にソフトパックリチウムイオン電池用のアルミニウムラミネートフィルム)。
【0020】
14.正極、負極、電解質、セパレーター、および前記又は後記の何れかの形態に記載のソフトパックリチウムイオン電池の包装材料を含む、ソフトパックリチウムイオン電池。
【発明の効果】
【0021】
本発明の形態により、以下の有益な効果の1つ又はそれらの組み合わせを実現することができる。
【0022】
(1)合金組成を最適化し、更に材料の微細構造と集合組織を制御することにより、優れた柔軟度を備えたソフトパックリチウムイオン電池用のアルミニウムラミネートフィルム用のアルミニウム箔を製造することができる。
【0023】
(2)本発明の組成および製造方法により、柔軟のアルミニウム箔を得る上に、アルミニウム箔の成形性能を向上し、アルミニウム箔の柔軟度と成形性能を総合的に向上させることができる。
【0024】
(3)本発明は、均質化処理および中間焼鈍処理の熱処理手段、ならびに熱間圧延、冷間圧延、および箔圧延の塑性変形プロセスを総合的に利用し、微細的な化学組成および第2相のアルミニウムマトリックスへの固溶と析出形態を効果的に制御し、更に、焼鈍工程を2段で行い、微細な等軸再結晶粒の構造と一定割合の再結晶立方体集合組織の分率を実現し、アルミニウム箔の成形性能と柔軟度との最適な調和を実現することができる。
【0025】
(4)最終焼鈍工程の前、分割工程の関連するプロセスパラメータを制御することにより、アルミニウム箔の表面の清浄度を大幅に向上させることができ、ソフトパックリチウムイオン電池の包装材料とソフトパックリチウムイオン電池に特に適する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以降、具体的な実施態様を参照して本発明をより詳細に発明する。ただし、本発明の保護の範囲は、これらの具体的な実施態様に限定されると解されるべきではなく、むしろ添付された請求の範囲によって決められるべきであることに注意すべきである。
【0027】
ここに記載の全ての出版物、特許出願、特許及びその他の文献は、その全体が参照によってここに援用される。更に、別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、一般に、本発明が属する技術分野の当業者によって理解されるものと同じ意味を有する。矛盾が生じた場合には、本明細書の定義が優先するものとする。
【0028】
本明細書の「当業者の公知の」又は「当技術分野」又は類似の用語が、材料、物質、方法、工程、デバイス又は装置などを説明するために使用される場合、当技術分野で認められているように、当該用語は、本出願が出願された時に技術分野に使用されているものばかりではなく、まだ一般的に使用されていないが、同様の目的のために適切しようとする定義も含む。
【0029】
本明細において、いわゆる「実質的に」は、±10%以内、±5%以内、±1%以内、±0.5%以内又は±0.1%以内の偏差など、当業者にとって許容可能又は合理的な偏差を指す。
【0030】
本明細において、特に明記しない限り、温度は一般に、熱処理(焼鈍、均質化、或いは熱間圧延)中の材料自体の温度を指す。
【0031】
本明細書において、特に明記しない限り、パーセント、部、比率、比などは、いずれも重量基準である。そして、圧力はゲージ圧力である。
【0032】
本明細書において、本発明の任意の2つ以上の形態は、任意に組み合わせることができ、それによって形成された形態は、本明細書の元開示内容の一部に属し、本発明の保護範囲にも含まれる。
【0033】
本発明の一実施形態は、アルミニウム箔を提供する。該アルミニウム箔は、アルミニウム箔の成形性能と柔軟度との最適な調和を実現することができ、特にソフトパックリチウムイオン電池用のアルミニウムラミネートフィルムに適用する。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の厚さは特に限定されないが、一般に25-60μm、好ましくは30-50μm、より好ましくは35-45μmである。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は、質量%で、Feを一般に0.7-2.0wt%、好ましくは0.7-1.7wt%、より好ましくは1.0-1.5wt%で含む。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は、質量%で、Siを一般に0.02-0.9wt%、好ましくは0.05-0.1wt%、より好ましくは0.05-0.08wt%で含む。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は、質量%で、Cuを一般に0.5wt%以下、好ましくは0.001-0.5wt%、好ましくは0.05wt%以下、より好ましくは0.0015-0.05wt%で含む。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は、質量%で、Mgを一般に0.1wt%以下、好ましくは0.001-0.1wt%、好ましくは0.05wt%以下、より好ましくは0.001-0.008wt%で含む。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は、質量%で、Mnを一般に0.7wt%以下、好ましくは0.005-0.7wt%、好ましくは0.05wt%以下、より好ましくは0.007-0.04wt%で含む。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は、質量%で、Znを一般に0.05wt%以下、好ましくは0.001-0.03wt%、より好ましくは0.01-0.02wt%で含む。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は、質量%で、Crを一般に0.05wt%以下、好ましくは0.0005-0.05wt%、好ましくは0.005wt%以下、より好ましくは0.0007-0.002wt%で含む。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は、質量%で、Tiを一般に0.1wt%以下、好ましくは0.001-0.1wt%、好ましくは0.02wt%以下、より好ましくは0.007-0.02wt%で含む。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は、質量%で、Vを一般に0.05wt%以下、好ましくは0.0005-0.05wt%、好ましくは0.02wt%以下、好ましくは0.01wt%以下、好ましくは0.0005-0.01wt%、好ましくは0.0005-0.0034wt%、より好ましくは0.0009-0.0015wt%で含む。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は、残部がAlおよび不可避不純物からなる。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は、前記立方体集合組織の体積分率が一般に5-20%で、好ましくは8-15%で、より好ましくは9-14%である。ここで、前記立方体集合組織の体積分率は、実施例で記載した方法で測定する。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は、平均表面結晶粒のサイズが一般に5-35μmで、好ましくは10-20μmで、より好ましくは12-18μmである。ここで、前記平均表面結晶粒のサイズは、実施例で記載した方法で測定する。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は、柔軟度が一般に450mN以下で、好ましくは330-450mNで、より好ましくは340-420mNで、より好ましくは350-395mNである。ここで、前記柔軟度は、実施例で記載した方法で測定する。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は、エリクセン値が一般に5.0mm以上で、好ましくは5.0-10.0mmで、より好ましくは6.0-9.0mmで、より好ましくは7.0-8.0mmである。ここで、前記エリクセン値は、実施例で記載した方法で測定する。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔は以下の製造方法(アルミニウム箔の製造方法と呼ばれる)で製造することができる。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法は、以下の工程を備え、
中間焼鈍工程:アルミニウム箔素材を中間焼鈍して、焼鈍したアルミニウム箔素材を得り、
圧延工程:焼鈍した前記アルミニウム箔素材を圧延してアルミニウム箔(半製品アルミニウム箔とも呼ばれる)を得り、と
最終焼鈍工程:前記半製品アルミニウム箔を最終焼鈍してアルミニウム箔(完成品アルミニウム箔とも呼ばれる)を得る。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法では、本発明の最良の技術の効果の面から、前記アルミニウム箔素材は、好ましくは厚さ0.1-2.0mm、より好ましくは厚さ0.3-1.0mmである。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法では、前記中間焼鈍工程は少なくとも焼鈍工程A1を含み、前記焼鈍工程A1の焼鈍温度(焼鈍温度A1と呼ばれる)は一般に300-395℃で、好ましくは340-380℃である。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法では、前記最終焼鈍工程は少なくとも焼鈍工程B1と前記焼鈍工程B1の後の焼鈍工程B2を含む。ここで、前記焼鈍工程B1の焼鈍温度(焼鈍温度B1と呼ばれる)は一般に70-150℃で、好ましくは90-140℃である。又、前記焼鈍工程B2の焼鈍温度(焼鈍温度B2と呼ばれる)は一般に220-350℃で、好ましくは250-300℃又は250-280℃である。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法では、本発明の最良の技術の効果の面から、前記焼鈍温度A1は前記焼鈍工程B2より50-150℃高く、好ましくは70-100℃高い。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法では、本発明の最良の技術の効果の面から、前記焼鈍温度B2は前記焼鈍工程B1より80-200℃高く、好ましくは105-185℃高い。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法では、前記中間焼鈍工程において、少なくともアルミニウム箔素材を300-400℃(好ましくは340-380℃)の温度(焼鈍温度A1)に保温する。保温時間として、一般に少なくとも2時間、好ましくは2-10時間である。
【0057】
本発明のもう一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法では、前記中間焼鈍工程において、少なくとも前記アルミニウム箔素材を150-180℃の温度に保温する。保温時間として、一般に少なくとも2時間、好ましくは2-5時間である。更に、その後、300-400℃(好ましくは340-380℃)の温度(焼鈍温度A1)に保温する。保温時間として、一般に少なくとも2時間、好ましくは2-10時間である。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法では、前記圧延工程は、焼鈍したアルミニウム箔素材を粗圧延し、中間圧延し、仕上げ圧延する工程を含む。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、前記圧延工程において、前記粗圧延では、焼鈍したアルミニウム箔素材を厚さ0.2-0.5mm(好ましくは厚さ0.1-0.3mm)のロール材に圧延する。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、前記圧延工程において、前記中間圧延では、前記ロール材を厚さ0.05-0.2mm(好ましくは厚さ0.07-0.1mm)のアルミニウム箔に圧延する。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、前記圧延工程において、前記仕上げ圧延では、前記アルミニウム箔を厚さ0.025-0.06mm(好ましくは厚さ0.03-0.05mm、より好ましくは厚さ0.035-0.045mm)のアルミニウム箔(即ち、前記半製品アルミニウム箔)に圧延する。該半製品アルミニウム箔は、一般にロール材の形式である。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法では、前記最終焼鈍工程にいて、少なくとも70-150℃(好ましくは90-140℃)の温度(焼鈍温度B1)に保温する。保温時間として、一般に少なくとも10時間、好ましくは10-40時間である。更に、その後、200-350℃(好ましくは250-280℃)の温度(焼鈍温度B2)に保温する。保温時間として、一般に少なくとも20時間、好ましくは30-90時間である。
【0063】
本発明のもう一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法では、前記最終焼鈍工程において、少なくとも70-150℃(好ましくは90-140℃)の温度(焼鈍温度B1)に保温する。保温時間として、一般に少なくとも10時間、好ましくは10-40時間である。更に、その後、200-350℃(好ましくは250-280℃)の温度(焼鈍温度B2)に保温する。保温時間として、一般に少なくとも20時間、好ましくは30-90時間である。次に空冷する。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、前記半製品アルミニウム箔を最終焼鈍を施す前に、分割(分割工程)を施す。本明細において、分割した半製品アルミニウム箔を半製品アルミニウム箔とも単に言う。ここで、前記最終焼鈍工程は、分割前の半製品アルミニウム箔を施す工程でもよく、分割後の半製品アルミニウム箔を施す工程でもよい。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、前記分割では、圧延(特に仕上げ圧延)を施したアルミニウム箔(アルミニウム箔のラージコイルとも呼ばれる)を分割機で縦方向および横方向に分割し、長さと幅の異なるアルミニウム箔の小ロールに分割する。一般的には、分割した小ロールは、幅がラージコイルの1/2-1/6で、長さが2000メートルの整数倍であるが、これに限定されない場合もある。分割の場合、アルミニウム箔の表面に加える分割力は、分割応力に小ロールの幅とアルミニウム箔の厚さを掛けたものである。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、前記分割では、アルミニウム箔の表面清浄度を向上させる面から、分割応力が一般に25-35MPaである。本願明細書において、表面清浄度は、アルミニウム箔の表面に残留した油量によって表している。このため、残留圧延油量が少ないほど、清浄度が高くなる。アルミニウム箔の表面の残留圧延油量の測定方法は実施例で示す。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、前記分割では、アルミニウム箔の表面清浄度を向上させる面から、巻き取り速度(小ロールの巻き取り速度)が一般に50-150mm/minである。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法では、アルミニウム合金の鋳塊に対して、均質化処理、熱間圧延処理、冷間圧延処理を施し、アルミニウム箔素材を得る。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法では、前記均質化処理において、少なくともアルミニウム合金の鋳塊を550-620℃(好ましくは570-610℃)の温度に保温する。保温時間として、一般に少なくとも6時間、好ましくは6-20時間である。好ましくは、前記均質化処理において、少なくともアルミニウム合金の鋳塊を550-620℃(好ましくは570-610℃)の温度に保温する。保温時間として、一般に少なくとも6時間、好ましくは6-20時間である。次に、400-520℃の温度(好ましくは450-510℃)の温度に保温する。保温時間として、一般に少なくとも2時間、好ましくは2-10時間である。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法では、前記熱間圧延処理において、少なくとも均質化したアルミニウム合金の鋳塊を少なくとも450℃の温度で3-7mmの板材(熱間圧延板材と呼ばれる)に圧延する。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、前記熱間圧延処理では、均質化したアルミニウム合金の鋳塊を、1パスあたり25-60%の変形量で1+N(N≧1)連続熱間圧延装置で熱間圧延する。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、前記熱間圧延処理では、ロールの表面粗さは0.63-1.25μmである。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、前記熱間圧延処理では、圧延中、PH値7以上(好ましくは7-8.5)の45-65℃の水性エマルジョンを使用し、潤滑と冷却を施す。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、前記熱間圧延処理では、圧延終了後、熱間圧延板材を250℃以上の温度で巻き取り、室温で冷却する。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、前記アルミニウム箔の製造方法では、前記冷間圧延処理において、少なくとも前記熱間圧延板材を80℃以下の温度(例えば室温など)で、厚さ0.1-2.0mm(好ましくは厚さ0.3-1.0mm)の前記アルミニウム箔素材に圧延する。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、前記冷間圧延処理では、1パスあたり20-60%の圧下率で冷間圧延する。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、前記冷間圧延処理では、基油としての95%以上の80-100#灯油、1-10%の油性添加剤である有機酸、アルコール又はエステルを含有し、珪藻土と活性白土でろ過して、光透過率が94%以上の35-60℃圧延油で、潤滑と冷却を施す。
【0078】
本発明の一実施形態は、ソフトパックリチウムイオン電池の包装材料を提供し、該ソフトパックリチウムイオン電池の包装材料は、本発明の前記アルミニウム箔、本発明の前記製造方法により製造したアルミニウム箔と、少なくとも一つ重合体層とを含む。好都合なことに、重合体層はポリオレフィン層であっても良いが、特定の制限はない。さらに、少なくとも一つ重合体層と前記アルミニウム箔とは、2つ以上の層で積層体を形成し得る。
【0079】
本発明の一実施形態は、正極、負極、電解質、セパレーター、および本発明のソフトパックリチウムイオン電池の包装材料を含む、ソフトパックリチウムイオン電池を提供する。
【0080】
本発明の一実施形態によれば、前記ソフトパックリチウムイオン電池の包装材料として、リチウムイオン電池のアルミニウムラミネートフィルムである。さらに、ソフトパックリチウムイオン電池の包装材料、又はソフトパックリチウムイオン電池に関するより具体的な構造又は製造方法などの情報として、当技術分野で知られているものを直接適用することができ、特に制限はない。
【実施例0081】
以下、実施例と比較例により本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、本発明を限定することを意図するものではない。
【0082】
<実施例1>
ソフトパックアルミニウム箔は、質量%で、以下の組成を有する原材から製造した。
【0083】
Si:0.048%、Fe:1.24%、Cu:0.014%、Mn:0.011%、Mg:0.005%、Zn:0.012%、Cr:0.0007%、Ti:0.01%、V:0.0014%、残部がAlおよび不可避不純物からなる。
【0084】
前記アルミニウム箔を以下のように製造した。
【0085】
1)半連続鋳造の鋳塊の均質化処理
上記原材の半連続鋳造により製造した長方形の鋳塊の両端と他の4つの側面をのこぎりで切りし、端と側面ののこぎりで切った量はそれぞれ30mmと15mmで、590℃の加熱炉で18時間均質化して、更に、480℃で6時間保温した。
【0086】
2)熱間圧延
PH値7.5、温度45-50℃の水性エマルションの潤滑下で、ロール表面粗さが0.63-1.25μmであるロールを備える1+1段の熱間圧延ユニットを使用して、500℃の鋳塊を圧延した。1パスあたり25-60%の変形量で厚さ4.7mmに圧延した際、340℃で巻き取り、室温で冷却した。
【0087】
3)冷間圧延
1パスあたり20-60%の圧延圧下率で0.5mmのアルミニウム箔素材に冷間圧延した。そのうち、珪藻土及び/又は活性白土でろ過した光透過率が少なくとも95%で、40-45℃の温度である圧延油で潤滑と冷却を施した。圧延油には、少なくとも95%の基油、5%の油性添加剤である有機酸、アルコール又はエステルが含まれた。
【0088】
4)中間焼鈍
箱型焼鈍炉で、得られたアルミニウム箔素材を340℃で7時間保温した。
【0089】
5)アルミニウム箔圧延
焼鈍した0.5mmアルミニウム箔素材を粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延を行い、厚さ0.04mmの片面光沢のアルミニウム箔を製造した。
【0090】
6)アルミニウム箔の分割
分割応力が26MPa、巻き取り速度が140mm/minになるように制御した。
【0091】
7)アルミニウム箔の最終焼鈍
前記アルミニウム箔を陰圧循環ボックス炉で焼鈍を施し、100℃で20時間保温し、更に、260℃に加熱して90時間保温し、炉から取り出し、空冷した。
【0092】
8)アルミニウム箔の性能測定
アルミニウム箔の立方体集合組織と結晶粒のサイズについて、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0093】
最初にアルミニウム箔の表面を電解研磨し、次にアルミニウム箔の表面を、JSM6380電子走査型電子顕微鏡が搭載したEDAX社製の型式OIM2000のEBSDデバイスで走査ステップ2.5μmで走査した。次に、機器に付属の分析ソフトウェアを使用して、アルミニウム箔の表面の立方体集合組織と結晶粒のサイズを統計した。測定した結果、該実施例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が13.5%で、結晶粒のサイズが12.6μmであった。
【0094】
アルミニウム箔の柔軟度について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0095】
国家規格GB/T8942-2016「紙の柔軟度の測定」に記載した方法に従い、アルミニウム箔の柔軟度を手触式ソフトネス測定装置で測定し、測定の最大抵抗をアルミニウム箔の柔軟度として、単位がmNであった。該実施例で製造したアルミニウム箔は柔軟度が355mNであった。
【0096】
アルミニウム箔のエリクセン値について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0097】
国家標準GB/T4156-2007「金属材料-薄板と薄ストリップのエリクソンカッピングテスト」に記載した方法に従い、GBS-60Eデジタルディスプレイ自動カッピングテスターと機器に付属した直径20mmのパンチ、直径27mmのダイを利用して、アルミニウム箔のエリクセン値を測定した。測定中、ブランクホルダー力が10KNで、パンチ速度が10mm/minで、潤滑剤がワセリンであった。該実施例で製造したアルミニウム箔はエリクセン値が7.8mmであった。
【0098】
アルミニウム箔の表面残留油量について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0099】
標準HJ637-2012「水質、石油、動植物油の測定 赤外分光光度法」に記載した方法に従い、アルミニウム箔試料表面の残留圧延油を有機溶剤で洗浄し、有機溶剤中の圧延油を四塩化炭素で抽出した。油を溶解した後、NICOLET380フーリエ変換赤外分光計を使用して溶剤中の油含有量を測定し、単位面積あたりの残留油量に変換した。該実施例で製造したアルミニウム箔は表面残留油量が0.25mg/m2であった。
【0100】
<比較例1>
Feを0.25%に変更した以外、実施例1と同じように行った。測定結果、この比較例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が22%で、結晶粒のサイズが26μmで、柔軟度が280mNで、エリクセン値が4.8mmであった。
【0101】
<比較例2>
前記工程4)において、焼鈍温度を250℃に変更した以外、実施例1と同じように行った。測定結果、この比較例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が4.5%で、結晶粒のサイズが13μmで、柔軟度が460mNで、エリクセン値が6.5mmであった。
【0102】
<比較例3>
前記工程7)において、前記アルミニウム箔を陰圧循環ボックス炉で焼鈍を施し、200℃で20時間保温し、更に、260℃に加熱して90時間保温し、炉から取り出し、空冷した。それ以外、実施例1と同じように行った。測定結果、この比較例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が21%で、結晶粒のサイズが14.2μmで、柔軟度が325mNで、エリクセン値が6.7mmであった。
【0103】
<比較例4>
前記工程7)において、前記アルミニウム箔を陰圧循環ボックス炉で焼鈍を施し、100℃で20時間保温し、更に、200℃に加熱して90時間保温し、炉から取り出し、空冷した。それ以外、実施例1と同じように行った。測定結果、この比較例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が4.2%で、結晶粒のサイズが10μmで、柔軟度が470mNで、エリクセン値が6mmであった。
【0104】
<比較例5>
巻き取り速度を170mm/minに変更した以外、実施例1と同じように行った。測定結果、この比較例で製造したアルミニウム箔は表面残留油量が0.40mg/m2であった。
【0105】
<比較例6>
分割応力を36MPaに変更した以外、実施例1と同じように行った。測定結果、この比較例で製造したアルミニウム箔は表面残留油量が0.55mg/m2であった。
【0106】
<比較例7>
前記工程3)において、1パスあたり20-60%の圧延圧下率で2.5mmのアルミニウム箔素材に冷間圧延した。それ以外、実施例1と同じように行った。測定結果、この比較例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が4.1%で、結晶粒のサイズが11.2μmで、柔軟度が480mNで、エリクセン値が7.1mmであった。
【0107】
<実施例2>
ソフトパックアルミニウム箔は、質量%で、以下の組成を有する原材から製造した。
【0108】
Si:0.079%、Fe:1.05%、Cu:0.049%、Mn:0.039%、Mg:0.008%、Zn:0.02%、Cr:0.0016%、Ti:0.007%、V:0.0009%、残部がAlおよび不可避不純物からなる。
【0109】
前記アルミニウム箔を以下のように製造した。
【0110】
1)半連続鋳造の鋳塊の均質化処理
上記原材の半連続鋳造により製造した長方形の鋳塊の両端をのこぎりで切りし、のこぎりで切った量は30mmであった。その他の4つの側面は、二つの大きい側面と二つの小さい側面で、それぞれに面に対して、フライス加工を施し、片面の切削量が15mmであった。更に、アルミニウム鋳塊を570℃の加熱炉で10時間均質化し、更に、510℃で5時間保温した。
【0111】
2)熱間圧延
ロール表面粗さが0.63-1.25μmであるロールを備える1+2段の熱間圧延ユニットを使用して、1パスあたり25-60%の変形量で510℃で前記鋳塊を熱間粗圧延及び熱間仕上げ圧延を施し、厚さ5.0mmに圧延した際、290℃で巻き取り、室温で冷却した。圧延中、PH値7.5、温度45-50℃の水性エマルションを使用し、潤滑を施した。
【0112】
3)冷間圧延
1パスあたり20-60%の圧延圧下率で0.45mmのアルミニウム箔素材に冷間圧延した。そのうち、珪藻土及び/又は活性白土でろ過した光透過率が96%で、35-45℃の温度である圧延油で潤滑と冷却を施した。板材の表面の滑らかさと光沢を確保するために、圧延油には、少なくとも95%の基油、5%の油性添加剤である有機酸、アルコール又はエステルが含まれた。
【0113】
4)中間焼鈍
箱型焼鈍炉で、得られた前記アルミニウム箔素材を370℃で4時間保温した。
【0114】
5)アルミニウム箔圧延
焼鈍した0.45mm厚いアルミニウム箔素材を粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延を行い、厚さ0.035mmの片面光沢のアルミニウム箔を製造した。
【0115】
6)アルミニウム箔の分割
分割応力が28MPa、巻き取り速度が100mm/minになるように制御した。
【0116】
7)片面光沢のアルミニウム箔の最終焼鈍
上記アルミニウム箔を80℃で25時間保温し、300℃に加熱し60時間保温し、炉から取り出し、空冷し、アルミニウム箔の表面残留圧延油を除去し、そして、金属の微細構造を完全に再結晶させた後、炉から取り出し、空冷した。
【0117】
8)アルミニウム箔の性能測定
アルミニウム箔の立方体集合組織と結晶粒のサイズについて、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0118】
最初にアルミニウム箔の表面を電解研磨し、次にアルミニウム箔の表面を、JSM6380電子走査型電子顕微鏡が搭載したEDAX社製の型式OIM2000のEBSDデバイスで走査ステップ2.5μmで走査した。次に、機器に付属の分析ソフトウェアを使用して、アルミニウム箔の表面の立方体集合組織と結晶粒のサイズを統計した。測定した結果、該実施例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が13.5%で、結晶粒のサイズが17.7μmであった。
【0119】
アルミニウム箔の柔軟度について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0120】
国家規格GB/T8942-2016「紙の柔軟度の測定」に記載した方法に従い、アルミニウム箔の柔軟度を手触式ソフトネス測定装置で測定し、測定の最大抵抗をアルミニウム箔の柔軟度として、単位がmNであった。該実施例で製造したアルミニウム箔は柔軟度が354.1mNであった。
【0121】
アルミニウム箔のエリクセン値について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0122】
国家標準GB/T4156-2007「金属材料-薄板と薄ストリップのエリクソンカッピングテスト」に記載した方法に従い、GBS-60Eデジタルディスプレイ自動カッピングテスターと機器に付属した直径20mmのパンチ、直径27mmのダイを利用して、アルミニウム箔のエリクセン値を測定した。測定中、ブランクホルダー力が10KNで、パンチ速度が10mm/minで、潤滑剤がワセリンであった。該実施例で製造したアルミニウム箔はエリクセン値が7.2mmであった。
【0123】
アルミニウム箔の表面残留油量について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0124】
標準HJ637-2012「水質、石油、動植物油の測定 赤外分光光度法」に記載した方法に従い、アルミニウム箔試料表面の残留圧延油を有機溶剤で洗浄し、有機溶剤中の圧延油を四塩化炭素で抽出した。油を溶解した後、NICOLET380フーリエ変換赤外分光計を使用して溶剤中の油含有量を測定し、単位面積あたりの残留油量に変換した。該実施例で製造したアルミニウム箔は表面残留油量が0.23mg/m2であった。
【0125】
<実施例3>
ソフトパックアルミニウム箔は、質量%で、以下の組成を有する原材から製造した。
【0126】
Si:0.066%、Fe:1.47%、Cu:0.0017%、Mn:0.0072%、Mg:0.001%、Zn:0.0116%、Cr:0.0008%、Ti:0.017%、V:0.0010%、残部がAlおよび不可避不純物からなる。
【0127】
前記アルミニウム箔を以下のように製造した。
【0128】
1)半連続鋳造の鋳塊の均質化処理
上記原材の半連続鋳造により製造した長方形の鋳塊の両端をのこぎりで切りし、のこぎりで切った量は30mmであった。その他の4つの側面(二つの大きい側面と二つの小さい側面)に対して、フライス加工を施し、片面の切削量が15mmであった。更に、加熱炉で600℃に12時間均質化し、更に500℃で6時間以上保温した。
【0129】
2)熱間圧延
ロール表面粗さが0.63-1.25μmであるロールを備える1+4段の熱間圧延ユニットを使用して、1パスあたり25-60%の変形量で500℃で前記鋳塊を熱間粗圧延及び熱間仕上げ圧延を施し、厚さ4.5mmに圧延した際、320℃で巻き取り、室温で冷却した。圧延中、PH値7.5、温度45-50℃の水性エマルションを使用し、潤滑を施した。
【0130】
3)冷間圧延
1パスあたり20-60%の圧延圧下率で0.82mmのアルミニウム箔素材に冷間圧延した。そのうち、珪藻土及び/又は活性白土でろ過した光透過率が94%で、40-45℃の温度である圧延油で潤滑と冷却を施した。板材の表面の滑らかさと光沢を確保するために、圧延油には、少なくとも95%の基油、5%の油性添加剤である有機酸、アルコール又はエステルが含まれた。
【0131】
4)中間焼鈍
箱型焼鈍炉で、得られたアルミニウム箔素材を160℃で5時間保温し、それから、350℃に加熱し、6時間保温した。金属組織を完全に再結晶させ、冷間圧延中の硬化を除去し、更に圧延集合組織を再結晶集合組織に変換させた。
【0132】
5)アルミニウム箔圧延
焼鈍した0.82mm厚いアルミニウム箔素材を粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延を行い、厚さ0.045mmの片面光沢のアルミニウム箔を製造した。
【0133】
6)アルミニウム箔の分割
分割応力が28MPa、巻き取り速度が120mm/minになるように制御した。
【0134】
7)アルミニウム箔の最終焼鈍
前記アルミニウム箔を陰圧循環ボックス炉で100℃に加熱し、30時間保温し、更に150℃に加熱して20時間保温し、更に270℃に加熱して80時間保温し、アルミニウム箔の結晶粒の組織と集合組織の割合を調節し、炉から取り出し、空冷した。
【0135】
8)アルミニウム箔の性能測定
アルミニウム箔の立方体集合組織と結晶粒のサイズについて、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0136】
最初にアルミニウム箔の表面を電解研磨し、次にアルミニウム箔の表面を、JSM6380電子走査型電子顕微鏡が搭載したEDAX社製の型式OIM2000のEBSDデバイスで走査ステップ2.5μmで走査した。次に、機器に付属の分析ソフトウェアを使用して、アルミニウム箔の表面の立方体集合組織と結晶粒のサイズを統計した。測定した結果、該実施例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が10.9%で、結晶粒のサイズが14.7μmであった。
【0137】
アルミニウム箔の柔軟度について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0138】
国家規格GB/T8942-2016「紙の柔軟度の測定」に記載した方法に従い、アルミニウム箔の柔軟度を手触式ソフトネス測定装置で測定し、測定の最大抵抗をアルミニウム箔の柔軟度として、単位がmNであった。該実施例で製造したアルミニウム箔は柔軟度が390.1mNであった。
【0139】
アルミニウム箔のエリクセン値について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0140】
国家標準GB/T4156-2007「金属材料-薄板と薄ストリップのエリクソンカッピングテスト」に記載した方法に従い、GBS-60Eデジタルディスプレイ自動カッピングテスターと機器に付属した直径20mmのパンチ、直径27mmのダイを利用して、アルミニウム箔のエリクセン値を測定した。測定中、ブランクホルダー力が10KNで、パンチ速度が10mm/minで、潤滑剤がワセリンであった。該実施例で製造したアルミニウム箔はエリクセン値が7.6mmであった。
【0141】
アルミニウム箔の表面残留油量について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0142】
標準HJ637-2012「水質、石油、動植物油の測定 赤外分光光度法」に記載した方法に従い、アルミニウム箔試料表面の残留圧延油を有機溶剤で洗浄し、有機溶剤中の圧延油を四塩化炭素で抽出した。油を溶解した後、NICOLET380フーリエ変換赤外分光計を使用して溶剤中の油含有量を測定し、単位面積あたりの残留油量に変換した。該実施例で製造したアルミニウム箔は表面残留油量が0.28mg/m2であった。
【0143】
<実施例4>
ソフトパックアルミニウム箔は、質量%で、以下の組成を有する原材から製造した。
【0144】
Si:0.066%、Fe:1.47%、Cu:0.0017%、Mn:0.0072%、Mg:0.001%、Zn:0.0116%、Cr:0.0008%、Ti:0.017%、V:0.0010%、残部がAlおよび不可避不純物からなる。
【0145】
前記アルミニウム箔を以下のように製造した。
【0146】
1)半連続鋳造の鋳塊の均質化処理
上記原材の半連続鋳造により製造した長方形の鋳塊の両端をのこぎりで切りし、のこぎりで切った量は30mmであった。その他の4つの側面(二つの大きい側面と二つの小さい側面)に対して、フライス加工を施し、片面の切削量が15mmであった。更に、鋳塊を600℃の加熱炉で12時間均質化し、更に、490℃で8時間保温した。
【0147】
2)熱間圧延
ロール表面粗さが0.63-1.25μmであるロールを備える1+3段の熱間圧延ユニットを使用して、前記鋳塊を熱間粗圧延及び熱間仕上げ圧延を施した。圧延の開始、鋳塊の温度が490℃で、1パスあたり25-60%の変形量で厚さ4.5mmの320℃の板材に圧延し、更に巻き取り、室温で徐徐に冷却した。熱間圧延において、ロールと板材との良好な潤滑、冷却作用及び板材の表面品質を確保するために、圧延中、PH値7.5、温度45-50℃の水性エマルションを使用し、潤滑と冷却を施した。
【0148】
3)冷間圧延
1パスあたり20-60%の圧延圧下率で0.56mmのアルミニウム箔素材に冷間圧延した。そのうち、珪藻土及び/又は活性白土でろ過した光透過率が少なくとも96%で、35-45℃の温度である圧延油で潤滑と冷却を施した。板材の表面の滑らかさと光沢を確保するために、圧延油には、少なくとも95%の基油、5%の油性添加剤である有機酸、アルコール又はエステルが含まれた。
【0149】
4)中間焼鈍
箱型焼鈍炉で、得られたアルミニウム箔素材を200℃で3時間保温し、それから、380℃に加熱し、6時間保温した。金属組織を完全に再結晶させ、冷間圧延中の硬化を除去し、更に圧延集合組織を再結晶集合組織に変換させた。
【0150】
5)アルミニウム箔圧延
焼鈍した0.56mm厚いアルミニウム箔素材を粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延を行い、厚さ0.042mmの片面光沢のアルミニウム箔を製造した。
【0151】
6)アルミニウム箔の分割
分割応力が30MPa、巻き取り速度が120mm/minになるように制御した。
【0152】
7)アルミニウム箔の最終焼鈍
前記アルミニウム箔を陰圧循環ボックス炉で130℃に加熱し、30時間保温し、更に180℃に加熱して25時間保温し、更に280℃に加熱して70時間保温し、アルミニウム箔の結晶粒の組織と集合組織の割合を調節し、炉から取り出し、空冷した。
【0153】
8)アルミニウム箔の性能測定
アルミニウム箔の立方体集合組織と結晶粒のサイズについて、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0154】
最初にアルミニウム箔の表面を電解研磨し、次にアルミニウム箔の表面を、JSM6380電子走査型電子顕微鏡が搭載したEDAX社製の型式OIM2000のEBSDデバイスで走査ステップ2.5μmで走査した。次に、機器に付属の分析ソフトウェアを使用して、アルミニウム箔の表面の立方体集合組織と結晶粒のサイズを統計した。測定した結果、該実施例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が11.9%で、結晶粒のサイズが15.3μmであった。
【0155】
アルミニウム箔の柔軟度について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0156】
国家規格GB/T8942-2016「紙の柔軟度の測定」に記載した方法に従い、アルミニウム箔の柔軟度を手触式ソフトネス測定装置で測定し、測定の最大抵抗をアルミニウム箔の柔軟度として、単位がmNであった。該実施例で製造したアルミニウム箔は柔軟度が364.1mNであった。
【0157】
アルミニウム箔のエリクセン値について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0158】
国家標準GB/T4156-2007「金属材料-薄板と薄ストリップのエリクソンカッピングテスト」に記載した方法に従い、GBS-60Eデジタルディスプレイ自動カッピングテスターと機器に付属した直径20mmのパンチ、直径27mmのダイを利用して、アルミニウム箔のエリクセン値を測定した。測定中、ブランクホルダー力が10KNで、パンチ速度が10mm/minで、潤滑剤がワセリンであった。該実施例で製造したアルミニウム箔はエリクセン値が7.5mmであった。
【0159】
アルミニウム箔の表面残留油量について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0160】
標準HJ637-2012「水質、石油、動植物油の測定 赤外分光光度法」に記載した方法に従い、アルミニウム箔試料表面の残留圧延油を有機溶剤で洗浄し、有機溶剤中の圧延油を四塩化炭素で抽出した。油を溶解した後、NICOLET380フーリエ変換赤外分光計を使用して溶剤中の油含有量を測定し、単位面積あたりの残留油量に変換した。該実施例で製造したアルミニウム箔は表面残留油量が0.31mg/m2であった。
【0161】
<実施例5>
ソフトパックアルミニウム箔は、質量%で、以下の組成を有する原材から製造した。
【0162】
Si:0.10%、Fe:1.62%、Cu:0.04%、Mn:0.0090%、Mg:0.005%、Zn:0.0016%、Cr:0.009%、Ti:0.0109%、V:0.0030%、残部がAlおよび不可避不純物からなる。
【0163】
前記アルミニウム箔を以下のように製造した。
【0164】
1)半連続鋳造の鋳塊の均質化処理
上記原材の半連続鋳造により製造した長方形の鋳塊の両端をのこぎりで切りし、のこぎりで切った量は30mmであった。その他の4つの側面(二つの大きい側面と二つの小さい側面)に対して、フライス加工を施し、片面の切削量が15mmであった。更に、鋳塊を570℃の加熱炉で18時間均質化し、更に450℃で5時間保温した。
【0165】
2)熱間圧延
ロール表面粗さが0.63-1.25μmであるロールを備える1+3段の熱間圧延ユニットを使用して、前記鋳塊を熱間粗圧延及び熱間仕上げ圧延を施した。圧延の開始、鋳塊の温度が450℃で、1パスあたり25-60%の変形量で厚さ5.5mmの320℃の板材に圧延し、更に巻き取り、室温で徐徐に冷却した。熱間圧延において、ロールと板材との良好な潤滑、冷却作用及び板材の表面品質を確保するために、圧延中、PH値7.5、温度45-50℃の水性エマルションを使用し、潤滑と冷却を施した。
【0166】
3)冷間圧延
1パスあたり20-60%の圧延圧下率で1.0mmのアルミニウム箔素材に冷間圧延した。そのうち、珪藻土及び/又は活性白土でろ過した光透過率が少なくとも95%で、35-45℃の温度である圧延油で潤滑と冷却を施した。板材の表面の滑らかさと光沢を確保するために、圧延油には、少なくとも95%の基油、5%の油性添加剤である有機酸、アルコール又はエステルが含まれた。
【0167】
4)中間焼鈍
箱型焼鈍炉で、得られたアルミニウム箔素材を180℃で5時間保温し、それから、370℃に加熱し、5時間保温した。金属組織を完全に再結晶させ、冷間圧延中の硬化を除去し、更に圧延集合組織を再結晶集合組織に変換させた。
【0168】
5)アルミニウム箔圧延
焼鈍した1.0mm厚いアルミニウム箔素材を粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延を行い、厚さ0.038mmの片面光沢のアルミニウム箔を製造した。
【0169】
6)アルミニウム箔の分割
分割応力が31MPa、巻き取り速度が100mm/minになるように制御した。
【0170】
7)アルミニウム箔の最終焼鈍
前記アルミニウム箔を陰圧循環ボックス炉で110℃に加熱し、30時間保温し、更に270℃に加熱して50時間保温し、アルミニウム箔の結晶粒の組織と集合組織の割合を調節し、炉から取り出し、空冷した。
【0171】
8)アルミニウム箔の性能測定
アルミニウム箔の立方体集合組織と結晶粒のサイズについて、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0172】
最初にアルミニウム箔の表面を電解研磨し、次にアルミニウム箔の表面を、JSM6380電子走査型電子顕微鏡が搭載したEDAX社製の型式OIM2000のEBSDデバイスで走査ステップ2.5μmで走査した。次に、機器に付属の分析ソフトウェアを使用して、アルミニウム箔の表面の立方体集合組織と結晶粒のサイズを統計した。測定した結果、該実施例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が8.1%で、結晶粒のサイズが12.7μmであった。
【0173】
アルミニウム箔の柔軟度について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0174】
国家規格GB/T8942-2016「紙の柔軟度の測定」に記載した方法に従い、アルミニウム箔の柔軟度を手触式ソフトネス測定装置で測定し、測定の最大抵抗をアルミニウム箔の柔軟度として、単位がmNであった。該実施例で製造したアルミニウム箔は柔軟度が395.2mNであった。
【0175】
アルミニウム箔のエリクセン値について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0176】
国家標準GB/T4156-2007「金属材料-薄板と薄ストリップのエリクソンカッピングテスト」に記載した方法に従い、GBS-60Eデジタルディスプレイ自動カッピングテスターと機器に付属した直径20mmのパンチ、直径27mmのダイを利用して、アルミニウム箔のエリクセン値を測定した。測定中、ブランクホルダー力が10KNで、パンチ速度が10mm/minで、潤滑剤がワセリンであった。該実施例で製造したアルミニウム箔はエリクセン値が7.1mmであった。
【0177】
アルミニウム箔の表面残留油量について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0178】
標準HJ637-2012「水質、石油、動植物油の測定 赤外分光光度法」に記載した方法に従い、アルミニウム箔試料表面の残留圧延油を有機溶剤で洗浄し、有機溶剤中の圧延油を四塩化炭素で抽出した。油を溶解した後、NICOLET380フーリエ変換赤外分光計を使用して溶剤中の油含有量を測定し、単位面積あたりの残留油量に変換した。該実施例で製造したアルミニウム箔は表面残留油量が0.28mg/m2であった。
【0179】
<実施例6>
ソフトパックアルミニウム箔は、質量%で、以下の組成を有する原材から製造した。
【0180】
Si:0.051%、Fe:1.35%、Cu:0.031%、Mn:0.021%、Mg:0.005%、Zn:0.051%、Cr:0.0026%、Ti:0.012%、V:0.0027%、残部がAlおよび不可避不純物からなる。
【0181】
前記アルミニウム箔を以下のように製造した。
【0182】
1)半連続鋳造の鋳塊の均質化処理
上記原材の半連続鋳造により製造した長方形の鋳塊の両端をのこぎりで切りし、のこぎりで切った量は30mmであった。その他の4つの側面(二つの大きい側面と二つの小さい側面)に対して、フライス加工を施し、片面の切削量が15mmであった。更に、鋳塊を550℃の加熱炉で15時間均質化し、更に500℃で3時間保温した。
【0183】
2)熱間圧延
ロール表面粗さが0.63-1.25μmであるロールを備える1+3段の熱間圧延ユニットを使用して、前記鋳塊を熱間粗圧延及び熱間仕上げ圧延を施した。圧延の開始、鋳塊の温度が500℃で、1パスあたり25-60%の変形量で厚さ3.8mmの300℃の板材に圧延し、更に巻き取り、室温で徐徐に冷却した。熱間圧延において、ロールと板材との良好な潤滑、冷却作用及び板材の表面品質を確保するために、圧延中、PH値7.8、温度45-50℃の水性エマルションを使用し、潤滑と冷却を施した。
【0184】
3)冷間圧延
1パスあたり20-60%の圧延圧下率で1.5mmのアルミニウム箔素材に冷間圧延した。そのうち、珪藻土及び/又は活性白土でろ過した光透過率が少なくとも90%で、35-45℃の温度である圧延油で潤滑と冷却を施した。板材の表面の滑らかさと光沢を確保するために、圧延油には、少なくとも95%の基油、5%の油性添加剤である有機酸、アルコール又はエステルが含まれた。
【0185】
4)中間焼鈍
箱型焼鈍炉で、得られたアルミニウム箔素材を400℃で2時間保温した。金属組織を完全に再結晶させ、冷間圧延中の硬化を除去し、更に圧延集合組織を再結晶集合組織に変換させた。
【0186】
5)アルミニウム箔圧延
焼鈍した1.5mm厚いアルミニウム箔素材を粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延を行い、厚さ0.045mmの片面光沢のアルミニウム箔を製造した。
【0187】
6)アルミニウム箔の分割
分割応力が25MPa、巻き取り速度が140mm/minになるように制御した。
【0188】
7)アルミニウム箔の最終焼鈍
前記アルミニウム箔を陰圧循環ボックス炉で100℃に加熱し、15時間保温し、更に250℃に加熱して60時間保温し、アルミニウム箔の結晶粒の組織と集合組織の割合を調節し、炉から取り出し、空冷した。
【0189】
8)アルミニウム箔の性能測定
アルミニウム箔の立方体集合組織と結晶粒のサイズについて、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0190】
最初にアルミニウム箔の表面を電解研磨し、次にアルミニウム箔の表面を、JSM6380電子走査型電子顕微鏡が搭載したEDAX社製の型式OIM2000のEBSDデバイスで走査ステップ2.5μmで走査した。次に、機器に付属の分析ソフトウェアを使用して、アルミニウム箔の表面の立方体集合組織と結晶粒のサイズを統計した。測定した結果、該実施例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が7.0%で、結晶粒のサイズが12.3μmであった。
【0191】
アルミニウム箔の柔軟度について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0192】
国家規格GB/T8942-2016「紙の柔軟度の測定」に記載した方法に従い、アルミニウム箔の柔軟度を手触式ソフトネス測定装置で測定し、測定の最大抵抗をアルミニウム箔の柔軟度として、単位がmNであった。該実施例で製造したアルミニウム箔は柔軟度が410mNであった。
【0193】
アルミニウム箔のエリクセン値について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0194】
国家標準GB/T4156-2007「金属材料-薄板と薄ストリップのエリクソンカッピングテスト」に記載した方法に従い、GBS-60Eデジタルディスプレイ自動カッピングテスターと機器に付属した直径20mmのパンチ、直径27mmのダイを利用して、アルミニウム箔のエリクセン値を測定した。測定中、ブランクホルダー力が10KNで、パンチ速度が10mm/minで、潤滑剤がワセリンであった。該実施例で製造したアルミニウム箔はエリクセン値が7.0mmであった。
【0195】
アルミニウム箔の表面残留油量について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0196】
標準HJ637-2012「水質、石油、動植物油の測定 赤外分光光度法」に記載した方法に従い、アルミニウム箔試料表面の残留圧延油を有機溶剤で洗浄し、有機溶剤中の圧延油を四塩化炭素で抽出した。油を溶解した後、NICOLET380フーリエ変換赤外分光計を使用して溶剤中の油含有量を測定し、単位面積あたりの残留油量に変換した。該実施例で製造したアルミニウム箔は表面残留油量が0.29mg/m2であった。
【0197】
<実施例7>
ソフトパックアルミニウム箔は、質量%で、以下の組成を有する原材から製造した。
【0198】
Si:0.052%、Fe:1.36%、Cu:0.04%、Mn:0.032%、Mg:0.003%、Zn:0.0022%、Cr:0.0017%、Ti:0.008%、V:0.0034%、残部がAlおよび不可避不純物からなる。
【0199】
前記アルミニウム箔を以下のように製造した。
【0200】
1)半連続鋳造の鋳塊の均質化処理
上記原材の半連続鋳造により製造した長方形の鋳塊の両端をのこぎりで切りし、のこぎりで切った量は30mmであった。その他の4つの側面(二つの大きい側面と二つの小さい側面)に対して、フライス加工を施し、片面の切削量が15mmであった。更に、鋳塊を620℃の加熱炉で8時間均質化し、更に炉と一緒に500℃に冷却し、熱間圧延に準備した。
【0201】
2)熱間圧延
ロール表面粗さが0.63-1.25μmであるロールを備える1+3段の熱間圧延ユニットを使用して、前記鋳塊を熱間粗圧延及び熱間仕上げ圧延を施した。圧延の開始、鋳塊の温度が500℃で、1パスあたり25-60%の変形量で厚さ3.2mmの350℃の板材に圧延し、更に巻き取り、室温で徐徐に冷却した。熱間圧延において、ロールと板材との良好な潤滑、冷却作用及び板材の表面品質を確保するために、圧延中、PH値7.2、温度45-50℃の水性エマルションを使用し、潤滑と冷却を施した。
【0202】
3)冷間圧延
1パスあたり20-60%の圧延圧下率で0.3mmのアルミニウム箔素材に冷間圧延した。そのうち、珪藻土及び/又は活性白土でろ過した光透過率が少なくとも96%で、35-45℃の温度である圧延油で潤滑と冷却を施した。板材の表面の滑らかさと光沢を確保するために、圧延油には、少なくとも95%の基油、5%の油性添加剤である有機酸、アルコール又はエステルが含まれた。
【0203】
4)中間焼鈍
箱型焼鈍炉で、得られたアルミニウム箔素材を150℃で3時間保温し、それから、330℃に加熱し、6時間保温した。金属組織を完全に再結晶させ、冷間圧延中の硬化を除去し、更に圧延集合組織を再結晶集合組織に変換させた。
【0204】
5)アルミニウム箔圧延
焼鈍した0.3mmアルミニウム箔素材を粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延を行い、厚さ0.035mmの片面光沢のアルミニウム箔を製造した。
【0205】
6)アルミニウム箔の分割
分割応力が25MPa、巻き取り速度が90mm/minになるように制御した。
【0206】
7)アルミニウム箔の最終焼鈍
前記アルミニウム箔を陰圧循環ボックス炉で70℃に加熱し、25時間保温し、更に350℃に加熱して65時間保温し、アルミニウム箔の結晶粒の組織と集合組織の割合を調節し、炉から取り出し、空冷した。
【0207】
8)アルミニウム箔の性能測定
アルミニウム箔の立方体集合組織と結晶粒のサイズについて、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0208】
最初にアルミニウム箔の表面を電解研磨し、次にアルミニウム箔の表面を、JSM6380電子走査型電子顕微鏡が搭載したEDAX社製の型式OIM2000のEBSDデバイスで走査ステップ2.5μmで走査した。次に、機器に付属の分析ソフトウェアを使用して、アルミニウム箔の表面の立方体集合組織と結晶粒のサイズを統計した。測定した結果、該実施例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が15.1%で、結晶粒のサイズが18.0μmであった。
【0209】
アルミニウム箔の柔軟度について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0210】
国家規格GB/T8942-2016「紙の柔軟度の測定」に記載した方法に従い、アルミニウム箔の柔軟度を手触式ソフトネス測定装置で測定し、測定の最大抵抗をアルミニウム箔の柔軟度として、単位がmNであった。該実施例で製造したアルミニウム箔は柔軟度が340mNであった。
【0211】
アルミニウム箔のエリクセン値について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0212】
国家標準GB/T4156-2007「金属材料-薄板と薄ストリップのエリクソンカッピングテスト」に記載した方法に従い、GBS-60Eデジタルディスプレイ自動カッピングテスターと機器に付属した直径20mmのパンチ、直径27mmのダイを利用して、アルミニウム箔のエリクセン値を測定した。測定中、ブランクホルダー力が10KNで、パンチ速度が10mm/minで、潤滑剤がワセリンであった。該実施例で製造したアルミニウム箔はエリクセン値が6.5mmであった。
【0213】
アルミニウム箔の表面残留油量について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0214】
標準HJ637-2012「水質、石油、動植物油の測定 赤外分光光度法」に記載した方法に従い、アルミニウム箔試料表面の残留圧延油を有機溶剤で洗浄し、有機溶剤中の圧延油を四塩化炭素で抽出した。油を溶解した後、NICOLET380フーリエ変換赤外分光計を使用して溶剤中の油含有量を測定し、単位面積あたりの残留油量に変換した。該実施例で製造したアルミニウム箔は表面残留油量が0.20mg/m2であった。
【0215】
<実施例8>
ソフトパックアルミニウム箔は、質量%で、以下の組成を有する原材から製造した。
【0216】
Si:0.12%、Fe:1.66%、Cu:0.002%、Mn:0.006%、Mg:0.003%、Zn:0.0025%、Cr:0.0037%、Ti:0.008%、V:0.0014%、残部がAlおよび不可避不純物からなる。
【0217】
前記アルミニウム箔を以下のように製造した。
【0218】
1)半連続鋳造の鋳塊の均質化処理
上記原材の半連続鋳造により製造した長方形の鋳塊の両端をのこぎりで切りし、のこぎりで切った量は30mmであった。その他の4つの側面(二つの大きい側面と二つの小さい側面)に対して、フライス加工を施し、片面の切削量が15mmであった。更に、鋳塊を加熱炉で550に加熱し、熱間圧延に準備した。
【0219】
2)熱間圧延
ロール表面粗さが0.63-1.25μmであるロールを備える1+3段の熱間圧延ユニットを使用して、前記鋳塊を熱間粗圧延及び熱間仕上げ圧延を施した。圧延の開始、鋳塊の温度が550℃で、1パスあたり25-60%の変形量で厚さ6.2mmの340℃の板材に圧延し、更に巻き取り、室温で徐徐に冷却した。熱間圧延において、ロールと板材との良好な潤滑、冷却作用及び板材の表面品質を確保するために、圧延中、PH値7.2、温度45-50℃の水性エマルションを使用し、潤滑と冷却を施した。
【0220】
3)冷間圧延
1パスあたり20-60%の圧延圧下率で1.6mmのアルミニウム箔素材に冷間圧延した。そのうち、珪藻土及び/又は活性白土でろ過した光透過率が少なくとも97%で、35-45℃の温度である圧延油で潤滑と冷却を施した。板材の表面の滑らかさと光沢を確保するために、圧延油には、少なくとも95%の基油、5%の油性添加剤である有機酸、アルコール又はエステルが含まれた。
【0221】
4)中間焼鈍
箱型焼鈍炉で、得られたアルミニウム箔素材を210℃で4時間保温し、それから、400℃に加熱し、6時間保温した。金属組織を完全に再結晶させ、冷間圧延中の硬化を除去し、更に圧延集合組織を再結晶集合組織に変換させた。
【0222】
5)アルミニウム箔圧延
焼鈍した1.6mm厚いアルミニウム箔素材を粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延を行い、厚さ0.048mmの片面光沢のアルミニウム箔を製造した。
【0223】
6)アルミニウム箔の分割
分割応力が27MPa、巻き取り速度が90mm/minになるように制御した。
【0224】
7)アルミニウム箔の最終焼鈍
前記アルミニウム箔を陰圧循環ボックス炉で90℃に加熱し、20時間保温し、更に240℃に加熱して80時間保温し、アルミニウム箔の結晶粒の組織と集合組織の割合を調節し、炉から取り出し、空冷した。
【0225】
8)アルミニウム箔の性能測定
アルミニウム箔の立方体集合組織と結晶粒のサイズについて、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0226】
最初にアルミニウム箔の表面を電解研磨し、次にアルミニウム箔の表面を、JSM6380電子走査型電子顕微鏡が搭載したEDAX社製の型式OIM2000のEBSDデバイスで走査ステップ2.5μmで走査した。次に、機器に付属の分析ソフトウェアを使用して、アルミニウム箔の表面の立方体集合組織と結晶粒のサイズを統計した。測定した結果、該実施例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が6.2%で、結晶粒のサイズが10.4μmであった。
【0227】
アルミニウム箔の柔軟度について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0228】
国家規格GB/T8942-2016「紙の柔軟度の測定」に記載した方法に従い、アルミニウム箔の柔軟度を手触式ソフトネス測定装置で測定し、測定の最大抵抗をアルミニウム箔の柔軟度として、単位がmNであった。該実施例で製造したアルミニウム箔は柔軟度が425mNであった。
【0229】
アルミニウム箔のエリクセン値について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0230】
国家標準GB/T4156-2007「金属材料-薄板と薄ストリップのエリクソンカッピングテスト」に記載した方法に従い、GBS-60Eデジタルディスプレイ自動カッピングテスターと機器に付属した直径20mmのパンチ、直径27mmのダイを利用して、アルミニウム箔のエリクセン値を測定した。測定中、ブランクホルダー力が10KNで、パンチ速度が10mm/minで、潤滑剤がワセリンであった。該実施例で製造したアルミニウム箔はエリクセン値が6.3mmであった。
【0231】
アルミニウム箔の表面残留油量について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0232】
標準HJ637-2012「水質、石油、動植物油の測定 赤外分光光度法」に記載した方法に従い、アルミニウム箔試料表面の残留圧延油を有機溶剤で洗浄し、有機溶剤中の圧延油を四塩化炭素で抽出した。油を溶解した後、NICOLET380フーリエ変換赤外分光計を使用して溶剤中の油含有量を測定し、単位面積あたりの残留油量に変換した。該実施例で製造したアルミニウム箔は表面残留油量が0.22mg/m2であった。
【0233】
<実施例9>
ソフトパックアルミニウム箔は、質量%で、以下の組成を有する原材から製造した。
【0234】
Si:0.12%、Fe:1.66%、Cu:0.002%、Mn:0.006%、Mg:0.003%、Zn:0.0025%、Cr:0.0037%、Ti:0.008%、V:0.0014%、残部がAlおよび不可避不純物からなる。
【0235】
前記アルミニウム箔を以下のように製造した。
【0236】
1)半連続鋳造の鋳塊の均質化処理
上記原材の半連続鋳造により製造した長方形の鋳塊の両端をのこぎりで切りし、のこぎりで切った量は30mmであった。その他の4つの側面(二つの大きい側面と二つの小さい側面)に対して、フライス加工を施し、片面の切削量が15mmであった。更に、鋳塊を加熱炉で550に加熱し、熱間圧延に準備した。
【0237】
2)熱間圧延
ロール表面粗さが0.63-1.25μmであるロールを備える1+3段の熱間圧延ユニットを使用して、前記鋳塊を熱間粗圧延及び熱間仕上げ圧延を施した。圧延の開始、鋳塊の温度が550℃で、1パスあたり25-60%の変形量で厚さ6.5mmの360℃の板材に圧延し、更に巻き取り、室温で徐徐に冷却した。熱間圧延において、ロールと板材との良好な潤滑、冷却作用及び板材の表面品質を確保するために、圧延中、PH値7.2、温度45-50℃の水性エマルションを使用し、潤滑と冷却を施した。
【0238】
3)冷間圧延
1パスあたり20-60%の圧延圧下率で1.3mmのアルミニウム箔素材に冷間圧延した。そのうち、珪藻土及び/又は活性白土でろ過した光透過率が少なくとも94%で、35-45℃の温度である圧延油で潤滑と冷却を施した。板材の表面の滑らかさと光沢を確保するために、圧延油には、少なくとも95%の基油、5%の油性添加剤である有機酸、アルコール又はエステルが含まれた。
【0239】
4)中間焼鈍
箱型焼鈍炉で、得られたアルミニウム箔素材を390℃で6時間保温した。金属組織を完全に再結晶させ、冷間圧延中の硬化を除去し、更に圧延集合組織を再結晶集合組織に変換させた。
【0240】
5)アルミニウム箔圧延
焼鈍した1.3mm厚いアルミニウム箔素材を粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延を行い、厚さ0.03mmの片面光沢のアルミニウム箔を製造した。
【0241】
6)アルミニウム箔の分割
分割応力が27MPa、巻き取り速度が140mm/minになるように制御した。
【0242】
7)アルミニウム箔の最終焼鈍
前記アルミニウム箔を陰圧循環ボックス炉で75℃に加熱し、15時間保温し、更に390℃に加熱して60時間保温し、アルミニウム箔の結晶粒の組織と集合組織の割合を調節し、炉から取り出し、空冷した。
【0243】
8)アルミニウム箔の性能測定
アルミニウム箔の立方体集合組織と結晶粒のサイズについて、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0244】
最初にアルミニウム箔の表面を電解研磨し、次にアルミニウム箔の表面を、JSM6380電子走査型電子顕微鏡が搭載したEDAX社製の型式OIM2000のEBSDデバイスで走査ステップ2.5μmで走査した。次に、機器に付属の分析ソフトウェアを使用して、アルミニウム箔の表面の立方体集合組織と結晶粒のサイズを統計した。測定した結果、該実施例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が16.0%で、結晶粒のサイズが20.0μmであった。
【0245】
アルミニウム箔の柔軟度について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0246】
国家規格GB/T8942-2016「紙の柔軟度の測定」に記載した方法に従い、アルミニウム箔の柔軟度を手触式ソフトネス測定装置で測定し、測定の最大抵抗をアルミニウム箔の柔軟度として、単位がmNであった。該実施例で製造したアルミニウム箔は柔軟度が335mNであった。
【0247】
アルミニウム箔のエリクセン値について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0248】
国家標準GB/T4156-2007「金属材料-薄板と薄ストリップのエリクソンカッピングテスト」に記載した方法に従い、GBS-60Eデジタルディスプレイ自動カッピングテスターと機器に付属した直径20mmのパンチ、直径27mmのダイを利用して、アルミニウム箔のエリクセン値を測定した。測定中、ブランクホルダー力が10KNで、パンチ速度が10mm/minで、潤滑剤がワセリンであった。該実施例で製造したアルミニウム箔はエリクセン値が6.1mmであった。
【0249】
アルミニウム箔の表面残留油量について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0250】
標準HJ637-2012「水質、石油、動植物油の測定 赤外分光光度法」に記載した方法に従い、アルミニウム箔試料表面の残留圧延油を有機溶剤で洗浄し、有機溶剤中の圧延油を四塩化炭素で抽出した。油を溶解した後、NICOLET380フーリエ変換赤外分光計を使用して溶剤中の油含有量を測定し、単位面積あたりの残留油量に変換した。該実施例で製造したアルミニウム箔は表面残留油量が0.32mg/m2であった。
【0251】
<実施例10>
ソフトパックアルミニウム箔は、質量%で、以下の組成を有する原材から製造した。
【0252】
Si:0.1%、Fe:1.62%、Cu:0.04%、Mn:0.009%、Mg:0.005%、Zn:0.0016%、Cr:0.009%、Ti:0.01%、V:0.003%、残部がAlおよび不可避不純物からなる。
【0253】
前記アルミニウム箔を以下のように製造した。
【0254】
1)半連続鋳造の鋳塊の均質化処理
上記原材の半連続鋳造により製造した長方形の鋳塊の両端をのこぎりで切りし、のこぎりで切った量は30mmであった。その他の4つの側面(二つの大きい側面と二つの小さい側面)に対して、フライス加工を施し、片面の切削量が15mmであった。更に、鋳塊を610℃の加熱炉で15時間均質化し、更に炉と一緒に510℃に冷却し、3時間保温した。
【0255】
2)熱間圧延
ロール表面粗さが0.63-1.25μmであるロールを備える1+3段の熱間圧延ユニットを使用して、前記鋳塊を熱間粗圧延及び熱間仕上げ圧延を施した。圧延の開始、鋳塊の温度が510℃で、1パスあたり25-60%の変形量で厚さ6.3mmの330℃の板材に圧延し、更に巻き取り、室温で徐徐に冷却した。熱間圧延において、ロールと板材との良好な潤滑、冷却作用及び板材の表面品質を確保するために、圧延中、PH値7.2、温度45-50℃の水性エマルションを使用し、潤滑と冷却を施した。
【0256】
3)冷間圧延
1パスあたり20-60%の圧延圧下率で0.8mmのアルミニウム箔素材に冷間圧延した。そのうち、珪藻土及び/又は活性白土でろ過した光透過率が少なくとも96%で、35-45℃の温度である圧延油で潤滑と冷却を施した。板材の表面の滑らかさと光沢を確保するために、圧延油には、少なくとも95%の基油、5%の油性添加剤である有機酸、アルコール又はエステルが含まれた。
【0257】
4)中間焼鈍
箱型焼鈍炉で、得られたアルミニウム箔素材を130℃で4時間保温し、それから、380℃に加熱し、3時間保温した。金属組織を完全に再結晶させ、冷間圧延中の硬化を除去し、更に圧延集合組織を再結晶集合組織に変換させた。
【0258】
5)アルミニウム箔圧延
焼鈍した0.8mm厚いアルミニウム箔素材を粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延を行い、厚さ0.037mmの片面光沢のアルミニウム箔を製造した。
【0259】
6)アルミニウム箔の分割
分割応力が32MPa、巻き取り速度が105mm/minになるように制御した。
【0260】
7)アルミニウム箔の最終焼鈍
前記アルミニウム箔を陰圧循環ボックス炉で90℃に加熱し、10時間保温し、更に270℃に加熱して90時間保温し、アルミニウム箔の結晶粒の組織と集合組織の割合を調節し、炉から取り出し、空冷した。
【0261】
8)アルミニウム箔の性能測定
アルミニウム箔の立方体集合組織と結晶粒のサイズについて、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0262】
最初にアルミニウム箔の表面を電解研磨し、次にアルミニウム箔の表面を、JSM6380電子走査型電子顕微鏡が搭載したEDAX社製の型式OIM2000のEBSDデバイスで走査ステップ2.5μmで走査した。次に、機器に付属の分析ソフトウェアを使用して、アルミニウム箔の表面の立方体集合組織と結晶粒のサイズを統計した。測定した結果、該実施例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が7.5%で、結晶粒のサイズが12.4μmであった。
【0263】
アルミニウム箔の柔軟度について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0264】
国家規格GB/T8942-2016「紙の柔軟度の測定」に記載した方法に従い、アルミニウム箔の柔軟度を手触式ソフトネス測定装置で測定し、測定の最大抵抗をアルミニウム箔の柔軟度として、単位がmNであった。該実施例で製造したアルミニウム箔は柔軟度が400mNであった。
【0265】
アルミニウム箔のエリクセン値について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0266】
国家標準GB/T4156-2007「金属材料-薄板と薄ストリップのエリクソンカッピングテスト」に記載した方法に従い、GBS-60Eデジタルディスプレイ自動カッピングテスターと機器に付属した直径20mmのパンチ、直径27mmのダイを利用して、アルミニウム箔のエリクセン値を測定した。測定中、ブランクホルダー力が10KNで、パンチ速度が10mm/minで、潤滑剤がワセリンであった。該実施例で製造したアルミニウム箔はエリクセン値が6.9mmであった。
【0267】
アルミニウム箔の表面残留油量について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0268】
標準HJ637-2012「水質、石油、動植物油の測定 赤外分光光度法」に記載した方法に従い、アルミニウム箔試料表面の残留圧延油を有機溶剤で洗浄し、有機溶剤中の圧延油を四塩化炭素で抽出した。油を溶解した後、NICOLET380フーリエ変換赤外分光計を使用して溶剤中の油含有量を測定し、単位面積あたりの残留油量に変換した。該実施例で製造したアルミニウム箔は表面残留油量が0.39mg/m2であった。
【0269】
<実施例11>
ソフトパックアルミニウム箔は、質量%で、以下の組成を有する原材から製造した。
【0270】
Si:0.052%、Fe:1.36%、Cu:0.014%、Mn:0.017%、Mg:0.005%、Zn:0.012%、Cr:0.0007%、Ti:0.01%、V:0.0014%、残部がAlおよび不可避不純物からなる。
【0271】
前記アルミニウム箔を以下のように製造した。
【0272】
1)半連続鋳造の鋳塊の均質化処理
上記原材の半連続鋳造により製造した長方形の鋳塊の両端と他の4つの側面をのこぎりで切りし、端と側面ののこぎりで切った量はそれぞれ30mmと15mmで、590℃の加熱炉で15時間均質化して、更に、500℃で2時間保温した。
【0273】
2)熱間圧延
PH値7.5、温度45-50℃の水性エマルションの潤滑下で、ロール表面粗さが0.63-1.25μmであるロールを備える1+1段の熱間圧延ユニットを使用して、500℃の鋳塊を圧延した。1パスあたり25-60%の変形量で厚さ4.7mmに圧延した際、280℃で巻き取り、室温で冷却した。
【0274】
3)冷間圧延
1パスあたり20-60%の圧延圧下率で0.55mmのアルミニウム箔素材に冷間圧延した。そのうち、珪藻土及び/又は活性白土でろ過した光透過率が少なくとも95%で、40-45℃の温度である圧延油で潤滑と冷却を施した。圧延油には、少なくとも95%の基油、5%の油性添加剤である有機酸、アルコール又はエステルが含まれた。
【0275】
4)中間焼鈍
箱型焼鈍炉で、得られたアルミニウム箔素材を340℃で7時間保温した。
【0276】
5)アルミニウム箔圧延
焼鈍した0.55mmアルミニウム箔素材を粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延を行い、厚さ0.04mmの片面光沢のアルミニウム箔を製造した。
【0277】
6)アルミニウム箔の分割
分割応力が26MPa、巻き取り速度が140mm/minになるように制御した。
【0278】
7)アルミニウム箔の最終焼鈍
前記アルミニウム箔を陰圧循環ボックス炉で焼鈍を施し、90℃で20時間保温し、更に、250℃に加熱して90時間保温し、炉から取り出し、空冷した。
【0279】
8)アルミニウム箔の性能測定
アルミニウム箔の立方体集合組織と結晶粒のサイズについて、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0280】
最初にアルミニウム箔の表面を電解研磨し、次にアルミニウム箔の表面を、JSM6380電子走査型電子顕微鏡が搭載したEDAX社製の型式OIM2000のEBSDデバイスで走査ステップ2.5μmで走査した。次に、機器に付属の分析ソフトウェアを使用して、アルミニウム箔の表面の立方体集合組織と結晶粒のサイズを統計した。測定した結果、該実施例で製造したアルミニウム箔は立方体集合組織の体積分率が10.8%で、結晶粒のサイズが14.6μmであった。
【0281】
アルミニウム箔の柔軟度について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0282】
国家規格GB/T8942-2016「紙の柔軟度の測定」に記載した方法に従い、アルミニウム箔の柔軟度を手触式ソフトネス測定装置で測定し、測定の最大抵抗をアルミニウム箔の柔軟度として、単位がmNであった。該実施例で製造したアルミニウム箔は柔軟度が368.9mNであった。
【0283】
アルミニウム箔のエリクセン値について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0284】
国家標準GB/T4156-2007「金属材料-薄板と薄ストリップのエリクソンカッピングテスト」に記載した方法に従い、GBS-60Eデジタルディスプレイ自動カッピングテスターと機器に付属した直径20mmのパンチ、直径27mmのダイを利用して、アルミニウム箔のエリクセン値を測定した。測定中、ブランクホルダー力が10KNで、パンチ速度が10mm/minで、潤滑剤がワセリンであった。該実施例で製造したアルミニウム箔はエリクセン値が7.3mmであった。
【0285】
アルミニウム箔の表面残留油量について、以下のように測定し、結果が以下に示した。
【0286】
標準HJ637-2012「水質、石油、動植物油の測定 赤外分光光度法」に記載した方法に従い、アルミニウム箔試料表面の残留圧延油を有機溶剤で洗浄し、有機溶剤中の圧延油を四塩化炭素で抽出した。油を溶解した後、NICOLET380フーリエ変換赤外分光計を使用して溶剤中の油含有量を測定し、単位面積あたりの残留油量に変換した。該実施例で製造したアルミニウム箔は表面残留油量が0.29mg/m2であった
本発明の各実施例と比較例の製品性能を以下の表1に示した。
【0287】
上記の実施例は、本発明の技術形態を説明するためにのみ使用され、限定するものではない。本発明は、上記の実施例を参照して詳細に説明されているが、依然として本発明の形態を修正する又は同等に置き換えることができ、本発明の主旨および範囲から逸脱しない修正又は同等の置き換えが本発明の請求の範囲に含まることは当業者にとって容易に理解する。
【0288】
【表1】
【0289】