(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048581
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】シミュレーター、シミュレーターの制御方法、及びシミュレーションプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20220318BHJP
【FI】
A61B6/03 360C
A61B6/03 375
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020154469
(22)【出願日】2020-09-15
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.CompactFLASH
(71)【出願人】
【識別番号】518234173
【氏名又は名称】株式会社サーキュラス
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】根本 茂
(72)【発明者】
【氏名】吹越 由美子
(72)【発明者】
【氏名】増田 和正
(72)【発明者】
【氏名】金高 利雄
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA24
4C093AA26
4C093CA17
4C093CA18
4C093DA02
4C093FA35
4C093FF08
(57)【要約】
【課題】オペレーターが選択した部位において、所望の画素値が得られているか否かを判断するための画像を表示する。
【解決手段】シミュレーター40は、所定の注入条件に従って造影剤を注入する場合の選択部位における画素値をシミュレートする予測部46と、予測部によるシミュレーション結果に基づいて、画素値が上限値よりも高いか否かを判定するとともに、画素値が下限値よりも低いか否かを判定する判定部47と、画素値が上限値よりも高い場合に第1画像61Aを表示部26に表示させるとともに、画素値が下限値よりも低い場合に第1画像とは表示態様が異なる第2画像61Bを表示部に表示させる表示制御部48とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の注入条件に従って造影剤を注入する場合の選択部位における画素値をシミュレートする予測部と、
前記予測部によるシミュレーション結果に基づいて、前記画素値が上限値よりも高いか否かを判定するとともに、前記画素値が下限値よりも低いか否かを判定する判定部と、
前記画素値が前記上限値よりも高い場合に第1画像を表示部に表示させるとともに、前記画素値が前記下限値よりも低い場合に前記第1画像とは表示態様が異なる第2画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備える、シミュレーター。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記画素値が前記上限値よりも低くかつ前記下限値よりも高い場合に、前記第1画像及び前記第2画像とは表示態様が異なる第3画像を前記表示部に表示させる、請求項1に記載のシミュレーター。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記第2画像よりも明度が高くなるように前記第1画像を表示させる、請求項1又は2に記載のシミュレーター。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記画素値が前記上限値よりも低くかつ前記下限値よりも高い状態で維持される維持時間の長さを示す画像を、前記維持時間の長さに応じたサイズとなるように前記表示部に表示させる、請求項1から3のいずれか一項に記載のシミュレーター。
【請求項5】
前記判定部は、前記維持時間の間のタイミングを撮像タイミングとして判断し、
前記表示制御部は、前記撮像タイミングを示す情報を前記表示部に表示させる、請求項4に記載のシミュレーター。
【請求項6】
所定の注入条件に従って造影剤を注入する場合の選択部位における画素値をシミュレートし、
シミュレーション結果に基づいて、前記画素値が上限値よりも高いか否かを判定するとともに、前記画素値が下限値よりも低いか否かを判定し、
前記画素値が前記上限値よりも高い場合に第1画像を表示させるとともに、前記画素値が前記下限値よりも低い場合に前記第1画像とは表示態様が異なる第2画像を表示させる、シミュレーターの制御方法。
【請求項7】
シミュレーターのコンピューターを、
所定の注入条件に従って造影剤を注入する場合の選択部位における画素値をシミュレートする予測部と、
前記予測部によるシミュレーション結果に基づいて、前記画素値が上限値よりも高いか否かを判定するとともに、前記画素値が下限値よりも低いか否かを判定する判定部と、
前記画素値が前記上限値よりも高い場合に第1画像を表示部に表示させるとともに、前記画素値が前記下限値よりも低い場合に前記第1画像とは表示態様が異なる第2画像を前記表示部に表示させる表示制御部として機能させる、シミュレーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーター、シミュレーターの制御方法、及びシミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、各組織の画素値の経時変化を予測する予測部と、各組織の予測画像を模式的に表示する表示部とを備えるシミュレーターが開示されている。当該表示部は、画素値の経時変化に応じて各コンパートメントの濃淡を変更するように、表示制御部によって制御される。一例として、上肢静脈に造影剤を注入した直後の各組織の画像においては、上肢静脈が生来の画素値(濃い灰色)で示されている。また、腹部大動脈及び腹腔動脈を含む全ての血管が、生来の画素値(濃い灰色)で示されている。そして、注入開始から約25秒経過したときの各組織の画像においては、腹部大動脈及び腹腔動脈、内頸静脈等が特に白く示されている一方、上肢静脈は、薄い灰色で示されている。さらに、注入開始から約120秒経過したときの各組織の画像においては、注入した直後の画像と比較すると、全体が薄い灰色で示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシミュレーターにおいては、各組織の画素値の経時変化に応じて、各組織の画像の濃淡が変化する。これにより、オペレーターは、各組織の画像の変化を視覚的に認識できる。しかし、オペレーターは、各組織の画像から、撮像部位として選択した部位において、所望の画素値を得られているか否かを判断することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の一例としてのシミュレーターは、所定の注入条件に従って造影剤を注入する場合の選択部位における画素値をシミュレートする予測部と、前記予測部によるシミュレーション結果に基づいて、前記画素値が上限値よりも高いか否かを判定するとともに、前記画素値が下限値よりも低いか否かを判定する判定部と、前記画素値が前記上限値よりも高い場合に第1画像を表示部に表示させるとともに、前記画素値が前記下限値よりも低い場合に前記第1画像とは表示態様が異なる第2画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備える。
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一例としてのシミュレーターの制御方法は、所定の注入条件に従って造影剤を注入する場合の選択部位における画素値をシミュレートし、シミュレーション結果に基づいて、前記画素値が上限値よりも高いか否かを判定するとともに、前記画素値が下限値よりも低いか否かを判定し、前記画素値が前記上限値よりも高い場合に第1画像を表示させるとともに、前記画素値が前記下限値よりも低い場合に前記第1画像とは表示態様が異なる第2画像を表示させる。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一例としてのシミュレーションプログラムは、シミュレーターのコンピューターを、所定の注入条件に従って造影剤を注入する場合の選択部位における画素値をシミュレートする予測部と、前記予測部によるシミュレーション結果に基づいて、前記画素値が上限値よりも高いか否かを判定するとともに、前記画素値が下限値よりも低いか否かを判定する判定部と、前記画素値が前記上限値よりも高い場合に第1画像を表示部に表示させるとともに、前記画素値が前記下限値よりも低い場合に前記第1画像とは表示態様が異なる第2画像を前記表示部に表示させる表示制御部として機能させる。
【0008】
これにより、オペレーターは、選択した部位において、所望の画素値が得られているか否かを判断できる。
【0009】
本発明のさらなる特徴は、添付図面を参照して例示的に示した以下の実施例の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】注入システム及び撮像システムの概略図である。
【
図4】所望の範囲の画素値が得られた場合のシミュレーション画面である。
【
図5】画素値が下限値を下回った場合のシミュレーション画面である。
【
図6】画素値が上限値を上回った場合のシミュレーション画面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されるものではない。
【0012】
特に言及した場合を除き、造影剤という用語は、造影剤単体と、造影剤に加えて他の溶媒及び添加物を含む薬液との両方を含む。また、以下では、特に言及した場合を除き、画素値という用語は、造影される選択部位における、CT値、関心領域(ROI)に含まれる画素のCT値の和若しくは平均値、又は関心領域のSD値(標準偏差値)を含む。さらに、画素値は、これらの値から造影されていない組織における値(例えば、単純CTにおける撮像部位のCT値)を減算して得られた値を含む。関心領域は予め設定されているか、又はオペレーターが関心領域を選択できる。
【0013】
[第1実施形態]
注入システム120及び撮像システム130の概略図である
図1を参照して、選択部位における画素値をシミュレートするシミュレーター40(
図2)を備えるシステムについて説明する。例えば、シミュレーター40は、注入システム120及び撮像システム130の一方に設けられている。代替的に、シミュレーター40は、注入システム120及び撮像システム130とは別の外部装置であってもよい。当該外部装置は、注入システム120及び撮像システム130の少なくとも一方に、有線又は無線接続することができてもよい。以下では、注入システム120がシミュレーター40を備える例について説明する。
【0014】
注入システム120は、注入プロトコルに従って造影剤を注入する注入装置の一例である注入ヘッド20と、表示部の一例であるタッチパネル26とを備えている。そして、注入ヘッド20は、シリンジに充填された薬液、例えば、生理食塩水及び各種造影剤を被写体に注入する。また、注入システム120は、注入ヘッド20を保持するスタンド22と、注入ヘッド20に有線又は無線接続されたコンソール23とを備えている。
【0015】
このコンソール23は、注入ヘッド20を制御する制御装置として機能すると共に、選択部位における画素値の経時変化を予測するシミュレーター40としても機能する。代替的に、注入システム120は、コンソール23とは別体の、シミュレーター40として機能するコンピューター装置を備えていてもよい。当該コンピューター装置は、注入ヘッド20に有線又は無線接続されてもよい。また、コンソール23は、表示部及び入力部として機能するタッチパネル26を備え、注入ヘッド20及び撮像装置30と有線又は無線で通信できる。当該タッチパネル26は、注入プロトコル、装置の入力状態、設定状態、注入結果、及び各種情報等を表示できる。また、オペレーターは、タッチパネル26によって、薬液情報、注入プロトコル、部位情報、被写体情報及び目標値を入力できる。目標値は、目標画素値と、目標画素値を維持する維持時間である目標維持時間である。代替的に、注入システム120は、タッチパネル26に代えて、表示部としてのディスプレイと、入力部としてのキーボード又はテンキー等の入力装置とを備えていてもよい。
【0016】
さらに、注入システム120は、コンソール23に代えて、注入ヘッド20に接続された制御装置と、該制御装置に接続され且つ薬液の注入状況が表示される制御装置とは別体の表示部(例えばタブレット端末又はタッチパネルディスプレイ)とを有していてもよい。この場合、当該制御装置が、画素値の経時変化を予測するシミュレーター40として機能する。また、注入ヘッド20及び制御装置は、スタンド22と一体的に構成することもできる。さらに、スタンド22に代えて天吊部材を設け、該天吊部材を介して天井から注入ヘッド20を天吊することもできる。
【0017】
また、注入ヘッド20は、注入ヘッド20を遠隔操作する遠隔操作装置(例えばハンドスイッチ又はフットスイッチ)を有していてもよい。この遠隔操作装置は、注入ヘッド20を遠隔操作して注入を開始又は停止できる。さらに、注入ヘッド20は、電源又はバッテリーを有していてもよい。この電源又はバッテリーは、注入ヘッド20又は制御装置のいずれかに設けることができ、これらとは別に設けることもできる。
【0018】
注入ヘッド20は、薬液が充填されたシリンジが搭載されるシリンジ保持部と、注入プロトコルに従ってシリンジ内の薬液を押し出す駆動機構とを備えている。また、注入ヘッド20は、駆動機構の動作を入力するための操作部28を有している。操作部28には、例えば駆動機構の前進ボタン、駆動機構の後進ボタン、及び最終確認ボタンが設けられている。さらに、注入ヘッド20は、注入条件、注入状況、装置の入力状態、設定状態、及び各種注入結果が表示されるヘッドディスプレイを備えていてもよい。例えば、ヘッドディスプレイは、注入ヘッド20の側方に設置されているか、又は注入ヘッド20に内蔵されている。さらに、ヘッドディスプレイは、オペレーターが操作可能なタッチパネル式のディスプレイであってもよい。この場合、ヘッドディスプレイは、
図3から
図6に示す画面を表示してもよい。
【0019】
造影剤が注入される際には、注入ヘッド20に搭載されたシリンジの先端部に延長チューブ等の付属品が接続される。そして、注入準備が完了すると、オペレーターが操作部28の最終確認ボタンを押す。代替的に、オペレーターは、タッチパネル26に表示された最終確認ボタンをタッチ操作してもよい。これにより、注入ヘッド20は、注入を開始できる状態で待機する。その後、注入を開始すると、シリンジから押し出された造影剤は、延長チューブを介して被写体へ注入される。
【0020】
また、注入ヘッド20には、RFIDチップ、ICタグ、又はバーコード等のデータキャリアを有するプレフィルドシリンジ、及び種々のシリンジを搭載できてもよい。当該データキャリアには、薬液に関する薬液情報が記憶されている。データキャリアを有するシリンジを搭載できる場合、注入ヘッド20は、シリンジに取り付けられたデータキャリアの読み取りを行う読取部を備えている。さらに、注入ヘッド20は、3つ以上のシリンジ保持部を有していてもよく、又は1つのみのシリンジ保持部を有していてもよい。
【0021】
注入ヘッド20は、不図示の外部記憶装置、例えばサーバーS(
図2)から情報を受信することができ、サーバーSへ情報を送信することもできる。また、撮像システム130の撮像装置30も、サーバーSから情報を受信することができ、サーバーSへ情報を送信することもできる。このサーバーSは、例えば、RIS(Radiology Information System)、PACS(Picture Archiving and Communication System)、又はHIS(Hospital Information System)である。
【0022】
上記サーバーSには、予め検査オーダーが記憶されている。この検査オーダーは、被写体に関する被写体情報と、検査内容に関する検査情報とを含んでいる。また、サーバーSは、撮像装置30から送信された画像のデータ等の撮像結果に関する情報と、注入ヘッド20から送信された注入結果に関する情報を記憶できる。なお、注入ヘッド20及び撮像装置30を操作するために、外部の検像システム又は画像作成用ワークステーションを用いることもできる。さらに、注入ヘッド20を遠隔操作できるような装置(例えばタブレット端末)を病院内外に設けてもよい。
【0023】
撮像システム130は、被写体を撮像する医療用の撮像装置30を備えており、撮像装置30は、注入システム120に有線又は無線で接続される。この撮像装置30としては、例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、CT(Computed Tomography)装置、アンギオ撮像装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、CTアンギオ装置、MRアンギオ装置、超音波診断装置、及び血管撮像装置等の各種医療用の撮像装置がある。以下では、撮像システム130がCT装置を備える例について説明する。
【0024】
撮像装置30は、撮像プランに従って被写体を撮像する撮像部31と、撮像装置30の全体を制御する制御装置32を有している。この撮像プランには、例えば、撮像部位、実効管電圧、機種名、メーカー名、撮像時間、管電圧、撮像範囲、回転速度、ヘリカルピッチ、曝射時間、線量、及び撮像方法等が含まれている。そして、制御装置32は、撮像プランに従うように撮像部31を制御して被写体を撮像する。さらに、制御装置32は、選択部位における画素値の経時変化を予測するシミュレーター40としても機能してもよい。また、制御装置32は、撮像部31、注入ヘッド20、及びサーバーSと有線又は無線によって通信できる。なお、撮像装置30のシミュレーター40は、撮像プランに含まれる情報をさらに考慮して、より高精度なシミュレーションを行ってもよい。
【0025】
撮像部31は、寝台と、被写体にX線を照射するX線源と、被写体を透過したX線を検出するX線検出器とを有している。この撮像部31は、被写体にX線を曝射し、被写体を透過したX線に基づいて被写体の体内を逆投影することで、被写体の透視画像を撮像する。
【0026】
撮像装置30は、ディスプレイ33を有している。そして、ディスプレイ33は、制御装置32に接続されており、装置の入力状態、設定状態、撮像結果、及び各種情報を表示する。なお、制御装置32がシミュレーター40としても機能する場合、ディスプレイ33は、後述するシミュレーション画面を表示する表示部としても機能する。代替的に、制御装置32とディスプレイ33とは、一体的に構成することもできる。さらに、撮像装置30は、入力部として機能するキーボード等のインタフェース34を有している。オペレーターは、薬液情報、注入プロトコル、組織情報、被写体情報及び目標値等を含む情報を、インタフェース34から撮像装置30に入力できる。ディスプレイ33は、入力表示部として機能するタッチパネルであってもよい。この場合、ディスプレイ33は、インタフェース34の代わりとしても機能する。
【0027】
[シミュレーター]
図2を参照して、被写体の組織の中から撮像部位としてオペレーターが選択した選択部位における画素値の経時変化を予測するシミュレーター40(例えば灌流シミュレータ)について説明する。コンソール23は、当該シミュレーター40と、入力表示部としてのタッチパネル26とを備えている。そして、シミュレーター40は、制御部41と、制御プログラムPGを記憶している記憶部42とを備えている。なお、コンソール23が全体としてシミュレーター40として機能する場合、シミュレーター40は、表示部としてのタッチパネル26を備えることになる。
【0028】
一例として、制御部41は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、プロセッサの動作に必要な内部メモリと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピューターとして構成されている。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro-Processing Unit)であり、記憶部42に記憶された制御プログラムPGに基づいて、注入システム120の全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。本実施形態では、CPUが、記憶部42に記憶された制御プログラムPGに従って、種々の演算、制御、及び判別等の処理動作を実行する。また、制御部41には、所定の指令及びデータを入力する入力部としてタッチパネル26が接続されている。タッチパネル26は、装置の入力状態、設定状態、計測結果、及び各種情報を表示する表示部としても機能する。さらに、制御部41は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、CF(Compact Flash)カード、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬記録媒体、又はインターネット若しくはLANに接続されたサーバーS等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って制御を行ってもよい。
【0029】
制御部41は、記憶部42に記憶された制御プログラムPGに従ってシミュレーター40の各部を制御している。そして、制御部41は、情報取得部43、注入条件取得部44、目標値取得部45、予測部46、判定部47、及び表示制御部48を有している。各部は、制御部41のハードウェア資源と、ソフトウェア資源としての制御プログラムPGとの組合せによって実現される論理的装置である。なお、これらの論理的装置の少なくとも一部はコンソール23の外部に設けられていてもよい。この場合。制御部41は、これらの論理的装置の一部のみを備えている。
【0030】
記憶部42は、コンピューター読み取り可能な非一時的な記録媒体である。そして、記憶部42は、制御部41のプロセッサが動作するためのシステムワークメモリであるRAM(Random Access Memory)、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を含んでいる。
【0031】
また、記憶部42は、制御プログラムPGを記憶しており、制御プログラムPGは、選択部位における画素値をシミュレートするシミュレーションプログラムとしても機能する。この制御プログラムPGは、コンピューターとしての制御部41を、情報取得部43、注入条件取得部44、目標値取得部45、予測部46、判定部47、及び表示制御部48として機能させる。また、制御プログラムPGは、コンピューター読み取り可能な非一時的記録媒体に記憶させることができる。さらに、記憶部42は、シミュレーション及びシミュレーション画面の表示等の際に参照される参照データRDを記憶している。例えば、参照データRDは、画素値の上限値又は下限値を特定する閾値特定情報、シミュレーション結果の表示に用いられる画像(例えば臓器を模した画像)、及び判定結果に応じた画像の表示態様を示す情報(例えば明度)等を含んでいる。
【0032】
情報取得部43は、部位情報、被写体情報、薬液情報、及び検査に関連する検査情報等を取得する。例えば、情報取得部43は、タッチパネル26を介して、オペレーターが入力した各種情報を取得する。具体的に、情報取得部43は、オペレーターが入力した部位情報として、選択部位を特定する部位の名称を取得する。一例として、部位の名称は、頭部、脳、胸部、冠動脈(coronary artery)、右心室(right ventricle)、左心室(left ventricle)、腹部、下肢、上肢、肺、肝臓、胃、脾臓、膵臓、腸管、腎臓、上行大動脈、下行大動脈、及び腹部大動脈等である。さらに、情報取得部43は、コンソール23に接続される外部装置から各種情報を取得してもよい。例えば、情報取得部43は、被写体の生体情報を取得する測定装置として、パルスオキシメータから被写体情報として心拍数を取得してもよい。
【0033】
また、情報取得部43は、シミュレーター40の記憶部42又はサーバーSから各種情報を取得してもよい。サーバーSから取得する場合、コンソール23とサーバーSとは、全体としてシミュレーター40として機能する。このサーバーSとしては、例えば、RIS、PACS、HIS、検像システム、及び画像作成用ワークステーションがある。サーバーSは、複数のコンピューターとしてのサーバユニットが組み合わされることにより一台の論理的なサーバーSとして構成されている。ただし、単一のサーバユニットによりサーバーSが構成されてもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的にサーバーSが構成されてもよい。また、サーバーSは、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、プロセッサの動作に必要な内部メモリと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピューターとして構成されている。
【0034】
さらに、情報取得部43は、撮像装置30又は注入ヘッド20から各種情報を取得してもよい。例えば、注入ヘッド20は、薬液情報としてのヨード含有量を注入ヘッド20に内蔵された読取部から取得する。そして、情報取得部43は、注入ヘッド20からヨード含有量を取得する。一例として、読取部は、注入ヘッド20に搭載されるシリンジに取り付けられたデータキャリアから薬液情報を読み取る非接触型の読取装置である。
【0035】
情報取得部43が取得する部位情報は、選択部位を特定する情報の他に、被写体の組織情報を含んでいてもよい。組織には、心臓、右心室、左心室、血管、腎臓、尿管、その他の臓器及び筋肉が含まれる。一例として、組織情報は、組織としての血管及び臓器における分割コンパートメント数、組織の体積、血管腔の体積、毛細血管の体積、細胞外液腔の体積、単位組織あたりの血流量、単位組織あたりの血流速度、組織における造影剤の染み出し速度、毛細血管透過性表面積、組織における造影剤の染み戻り速度、毛細血管透過性表面積、及び組織生来の画素値を含んでいる。なお、コンパートメント数は、小さな体積を有する組織よりも大きな体積を有する組織の方が多くなるように設定してもよい。
【0036】
また、情報取得部43が取得する被写体情報は、例えば、体重当たりヨード量、性別、体重、身長、体表面積、心機能、心拍数、一回拍出量、心拍出量、ヘモグロビン量、推定糸球体濾過量(eGFR)、クレアチニン値、年齢、除脂肪体重、ボディマス指数、循環血液量、被験者番号、被験者ID、被験者の疾病及び副作用の履歴、被験者氏名、生年月日、血液量、及び血流速度を含んでいる。また、情報取得部43が取得する薬液情報は、例えば、ヨード含有量、単位当たりヨード量、粘稠度、浸透圧比、充填量、製品ID、製品名称、化学分類、含有成分、濃度、消費期限、シリンジ容量、シリンジ耐圧、シリンダ内径、ピストンストローク、及びロット番号を含んでいる。
【0037】
また、情報取得部43が取得する検査情報は、例えば、撮像部位を特定する情報、圧力リミット、単位時間毎の体重当たりヨード量(以下、使用ヨード量ともいう)、管電圧(kV)、検査番号、検査ID、検査日時、薬液種類、薬液名称、及び撮像装置30の特性等を含んでいる。撮像部位を特定する情報は、撮像対象として選択される部位又は範囲を特定できる情報である。例えば、撮像部位を特定する情報は、検査部位名、撮像方法の名称、又は薬液の注入部位から検査部位までの距離を含む。なお、シミュレーションに必要がない場合、情報取得部43は、部位情報、被写体情報、薬液情報、及び検査情報のいずれかを取得しなくともよい。
【0038】
注入条件取得部44は、造影剤の注入条件である注入プロトコルを取得する。一例として、注入条件取得部44は、情報取得部43から取得した各種情報に基づいて注入プロトコルを生成し、これによって注入プロトコルを取得する。また、注入条件取得部44は、シミュレーター40を介してオペレーターが入力した注入プロトコルを取得してもよい。また、注入条件取得部44は、記憶部42、サーバーS、注入ヘッド20、又は撮像装置30から注入プロトコルを取得してもよい。注入プロトコルは、一例として、薬液の注入時間及び注入速度を含んでいる。さらに、注入プロトコルは、複数の注入フェーズから構成されていてもよい。例えば、
図3に示す確認画面には、造影剤(contrast)を注入する第1フェーズと、造影剤及び生理食塩水(saline)を注入する第2フェーズと、生理食塩水を注入する第3フェーズとからなる注入プロトコルが表示されている。
【0039】
例えば、注入プロトコルは、注入方法、薬液の注入箇所、注入量、混和注入比率、注入タイミング、造影剤濃度、注入圧力、注入速度の加速度、各薬液の注入時間及び注入速度、生理食塩水による造影剤の後押し注入の有無、注入速度の増減、クロス注入の有無、リンク速度設定の有無、及び注入用チューブの体積等の情報を含んでいてもよい。クロス注入とは、注入開始から設定された時間が経過するまで、生理食塩水の注入速度より高速で造影剤を注入した後、注入速度が徐々に減少するように造影剤を注入すると同時に、注入速度が徐々に増加するように生理食塩水を注入する注入方法である。また、リンク速度設定とは、造影剤と生理食塩水の注入速度が同一になるように、両者の注入速度をリンクさせる設定である。
【0040】
さらに、注入条件取得部44は、目標値取得部45が取得した目標値に基づいて注入プロトコルを生成してもよい。この場合、注入条件取得部44は、予測部46によるシミュレーション結果(例えば時間濃度曲線又は時間強調曲線)を実現するような注入プロトコルを生成してもよい。さらに、注入条件取得部44は、検査情報、被験者情報及び薬液情報に基づいて、注入プロトコルを生成してもよい。
【0041】
目標値取得部45は、目標値として、撮像部位の読影に必要な目標画素値を取得する。オペレーターは、目標画素値をタッチパネル26から入力できる。また、目標値取得部45は、目標値として、目標画素値を維持する所望の目標維持時間を取得してもよい。オペレーターは、目標維持時間をタッチパネル26から入力できる。代替的に、目標値取得部45は、注入ヘッド20、撮像装置30、記憶部42、又はサーバーSから目標値を取得してもよい。また、オペレーターが目標値を入力しない場合、若しくはオペレーターが目標値を入力する前は、予め設定された目標値を目標値取得部45が取得してもよい。予め設定された目標値は、記憶部42が記憶している。これにより、オペレーターが目標値を入力しなくとも、シミュレーション結果を得ることができる。
【0042】
予測部46は、所定の注入条件に従って造影剤を注入する場合の選択部位における画素値をシミュレートする。例えば、予測部46は、所定の注入条件として、注入条件取得部44から注入プロトコルを取得する。一例として、注入条件取得部44は、選択部位、被写体の体重、及び造影剤のヨード量に基づいて、造影剤及び生理食塩水の注入時間及び注入速度を、注入プロトコルとして算出する。また、予測部46は、情報取得部43から部位情報、被写体情報、薬液情報、及び検査情報を取得して、被写体の各組織における画素値の経時変化をシミュレーションする。以下、予測部46によるシミュレーションの一例について説明する。
【0043】
被写体の各組織は、情報取得部43が取得する組織情報に基づく組織の分割コンパートメント数に応じて、血流方向に沿って複数のコンパートメントに分割されている。予測部46は、予測対象である各組織のコンパートメントを含む組織の体積と、当該組織の毛細血管体積と、当該組織の細胞外液腔体積とを、分割コンパートメント数で除算して、各コンパートメントについて画素値の経時変化を予測する。また、被写体の組織は、右心室、大動脈、静脈、動脈、脳(又は頭)、上肢、心筋(例えば右冠動脈が支配的な心筋、前下行枝が支配的な心筋、及び回旋枝が支配的な心筋)、肺、肝臓、胃、脾臓、膵臓、腸管、腎臓、尿管、下肢、左心室、上行大動脈、下行大動脈、及び腹部大動脈を含む。そして、上肢静脈から注入された造影剤は、右心室、肺、左心室、大動脈(例えば上行大動脈及び下行大動脈)を介して各臓器に移動し、その後、静脈を介して右心室に到達する。そして、体内に注入された造影剤は、腎臓及び尿管を介して体外に排出される。
【0044】
予測部46は、各組織の画素値の変化を時間関数として求めるために、例えば下記式1のような微分方程式を用いる。ここでは、コンパートメントに流入する造影剤の濃度をC1とし、コンパートメントから流出する造影剤の濃度をC2とし、コンパートメントの体積をVとし、コンパートメントにおける単位組織あたりの血流量(血流速度)をQとしている。
【0045】
【0046】
さらに、予測部46は、右心室、左心室、及び血管以外の組織における画素値の変化を求めるために、造影剤が毛細血管から細胞外液腔へと透過する際の染み出し速度と、細胞外液腔から毛細血管へと透過する際の染み戻り速度とを考慮する。そのため、予測部46は、例えば下記式2及び式3のような微分方程式を用いている。ここでは、細胞外液腔の体積をVecとし、細胞外液腔の造影剤の濃度をCecとし、毛細血管の体積をVivとし、毛細血管の造影剤の濃度をCivとし、染み出し速度をPS1とし、染み戻り速度をPS2としている。
【0047】
【0048】
【0049】
予測部46は、上記微分方程式を解くことにより、注入開始からの経過時間と画素値に対応する造影剤濃度の変化を時間関数として求める。さらに、予測部46は、所定の排出速度に基づく造影剤の排出量を算出し、腎臓の毛細血管内の造影剤から当該排出量を減じてシミュレーションしてもよい。これにより、腎臓に到達した造影剤の一部が、体全体(血漿中)の合計造影剤量から減算されるようにシミュレーションが行われる。造影剤の排出をシミュレーションすることによって、体全体の合計造影剤量が経時的に減少するため、より精度の高いシミュレーションを行うことができる。代替的に、予測部46は、特許第3553968号に記載の方法等の既知の薬物動態モデルを用いてシミュレーションを行ってもよい。
【0050】
シミュレーションが終了すると、予測部46は、シミュレーション結果を記憶部42に順次記憶させる。このシミュレーション結果は、各組織に関連付けられた時間ごとの画素値の情報を含んでいる。なお、選択部位に対応する組織は、部位情報に基づいて特定できる。また、シミュレーション結果は、検査部位における画素値の経時変化を示す時間濃度曲線(TDC)又は時間強調曲線(TEC)を含んでいてもよい。その他に。シミュレーション結果は、組織に関連付けられた時間ごとの画素値の情報を含んでいてもよい。さらに、シミュレーション結果は、選択部位の画素値が上限値よりも低くかつ下限値よりも高いい状態で維持される維持時間の長さ(例えば秒数)を含んでいてもよい。代替的に、予測部46は、造影剤の体循環シミュレーションとして、公知の他の手法を用いてもよい。
【0051】
さらに、予測部46は、情報取得部43から、被写体情報として、ヘモグロビン量(g/dL)、体重(kg)、身長(cm)、心機能(%)、心拍数(bpm)、体表面積(m2)、心拍出量(L/min)、及びeGFRを受け取ってもよい。これにより、予測部46は、より多くの情報に基づいて、より正確な高精度シミュレーションを行うことができる。その結果、例えば手術シミュレーションを行うために又は治療方針を決定するために、より画質が高い画像を撮像できるか若しくは三次元画像を作成できる。なお、予測部46は、体表面積、心拍出量、及び推定糸球体濾過量の少なくとも1つを算出してシミュレーションに利用してもよい。例えば、体表面積は、体重及び身長に基づいて、藤本式、デュボア式又は新谷式によって算出できる。また、心拍出量は、体表面積、心機能及び心拍数に基づいて算出できる。また、eGFRは、クレアチニン値、年齢及び性別に基づいて算出できる。
【0052】
判定部47は、予測部46によるシミュレーション結果に基づいて、画素値が上限値よりも高いか否かを判定するとともに、画素値が下限値よりも低いか否かを判定する。例えば、判定部47は、情報取得部43から部位情報として選択部位を特定する情報を取得して、選択部位に対応する組織を特定する。また、判定部47は、参照データRDを参照して選択部位の閾値特定情報を取得する。そして、判定部47は、目標値取得部45から目標画素値を取得して、閾値特定情報に基づいて、画素値の上限値及び下限値を特定する。
【0053】
閾値特定情報は、被写体の組織毎に設定されている。一例として、冠動脈の場合には上限値を特定する情報が「プラス50HU」であり、下限値を特定する情報が「マイナス50HU」である。そのため、目標画素値が400HUである場合、上限値が450HUとなり、下限値が350HUとなる。なお、閾値特定情報は上限又は下限の画素値であってもよく、例えば、上限値を特定する情報が「450HU」であり、下限値を特定する情報が「350HU」であってもよい。さらに、閾値特定情報は目標画素値に対する割合であってもよく、例えば、上限値を特定する情報が「プラス10%」であり、下限値を特定する情報が「マイナス10%」であってもよい。この場合、目標画素値が400HUであると、上限値が440HUとなり、下限値が360HUとなる。
【0054】
例えば、判定部47は、維持時間の間における画素値のピーク値と上限値及び下限値とを比較して、画素値が上限値よりも高いか否かを判定するとともに、画素値が下限値よりも低いか否かを判定する。代替的に、判定部47は、維持時間の間における画素値の平均値又は中央値と上限値及び下限値とを比較してもよい。また、判定部47は、撮像装置30が撮像を行う撮像タイミングにおける画素値と上限値及び下限値とを比較してもよい。この場合、撮像タイミングは、判定部47が判断してもよく、撮像装置30、記憶部42、サーバーS、又は注入ヘッド20から判定部47が取得してもよい。一例として、注入ヘッド20においては、内蔵又は接続されたセンサによって曝射時の音声等を検出することにより撮像タイミングを取得できる。
【0055】
さらに、判定部47は、選択部位の画素値が上限値よりも低くかつ下限値よりも高い状態で維持される維持時間の間の所定のタイミングを撮像タイミングとして判断してもよい。撮像タイミングは、CT装置等の撮像装置30においては、X線が照射される曝射タイミングである。例えば、判定部47は、維持時間の中央のタイミングを撮像タイミングとして判断する。または、判定部47は、維持時間の間に、画素値がピーク値に到達したタイミングを撮像タイミングとして判断してもよい。判定部47は、判断した撮像タイミングを特定する情報として、例えば注入開始から撮像タイミングまでの経過時間、又は撮像タイミングの時刻を表示制御部48へ受け渡す。
【0056】
表示制御部48は、判定部47による判定結果に基づいて、選択部位における画素値が上限値よりも高い場合に、第1画像の一例である第1部位画像61A(
図6)をタッチパネル26に表示させる。また、表示制御部48は、選択部位における画素値が下限値よりも低い場合に、第1部位画像61Aとは表示態様が異なる第2画像の一例である第2部位画像61B(
図5)をタッチパネル26に表示させる。これにより、オペレーターは、第1部位画像61Aと第2部位画像61Bの両方が表示されなければ、選択部位における画素値が所望の条件を満たしていると判断できる。すなわち、第1部位画像61Aと第2部位画像61Bの両方が表示されなければ、選択部位における画素値は、目標画素値から所定の範囲内に維持されていることになる。また、表示制御部48は、選択部位における画素値が上限値よりも高い場合に、上限値よりも高いことを示す文字列をタッチパネル26に表示させてもよく、選択部位における画素値が下限値よりも低い場合に、下限値よりも低いことを示す文字列をタッチパネル26に表示させてもよい。これらの場合に、注入条件取得部44は、最適な時間濃度曲線又は時間強調曲線を実現するような注入プロトコルを生成してもよい。表示制御部48は、生成された注入プロトコルを表示させる。
【0057】
また、表示制御部48は、選択部位の画素値が上限値よりも低くかつ下限値よりも高い場合に、第1部位画像61A及び第2部位画像61Bとは表示態様が異なる第3画像の一例である第3部位画像61C(
図4)をタッチパネル26に表示させる。これにより、オペレーターは、第3部位画像61Cが表示されれば、選択部位における画素値が所望の条件を満たしていると判断できる。すなわち、第1部位画像61Aと第2部位画像61Bの両方が表示されず、第3部位画像61Cが表示されれば、選択部位における画素値は、目標画素値から所定の範囲内に維持されていることになる。第1部位画像61A、第2部位画像61B、及び第3部位画像61Cは、臓器を模した画像、人体を模した画像、人体の一部を模した画像、及びその他の任意の画像であってもよい。さらに、第1部位画像61A、第2部位画像61B、及び第3部位画像61Cとしての人体の一部を模した画像を、人体を模した画像に重畳的に表示させてもよい。
【0058】
さらに、表示制御部48は、第1部位画像61Aが第2部位画像61Bよりも明度が高くなるように、第1部位画像61A及び第2部位画像61Bを表示させることによって、両画像の表示態様を異ならせる。また、表示制御部48は、第1部位画像61Aが第3部位画像61Cよりも明度が高くなり、かつ第2部位画像61Bが第3部位画像61Cよりも明度が低くなるように、第1部位画像61A、第2部位画像61B、及び第3部位画像61Cを表示させることによって、各画像の表示態様を異ならせる。代替的に、表示制御部48は、第1部位画像61A、第2部位画像61B、及び第3部位画像61Cの、サイズ、輝度、濃度、彩度、コントラスト、又は解像度が互いに異なるように、各画像を表示させてもよい。さらに、表示制御部48は、第3部位画像61Cを第1部位画像61A及び第2部位画像61Bよりも強調して表示するように、表示態様を異ならせてもよい。強調表示の態様は、例えば、画像の色、形状、又は大きさの変化、画像の点滅、及び画像の移動等がある。
【0059】
また、表示制御部48は、選択部位の画素値が上限値よりも低くかつ下限値よりも高い状態で維持される維持時間の長さを示す画像として、長さ画像62(
図4)を、維持時間の長さに応じたサイズとなるようにタッチパネル26に表示させる。すなわち、表示制御部48は、維持時間が長ければサイズが大きく又は長くなり、維持時間が短ければサイズが小さく又は短くなるように、長さ画像62を表示させる。例えば、表示制御部48は、注入開始からの経過時間を示す軸線上に長さ画像62を表示させる。これにより、オペレーターは、画素値が目標画素値から所定の範囲内に維持されている時間の長さを把握できる。さらに、表示制御部48は、維持時間の長さを示す文字列(例えば秒数)を、タッチパネル26に表示させてもよい。
【0060】
さらに、表示制御部48は、撮像タイミングを示す情報として指示画像63(
図4)をタッチパネル26に表示させる。例えば、表示制御部48は、撮像タイミングを特定する情報として、注入開始から撮像タイミングまでの経過時間を判定部47から取得する。そして、表示制御部48は、撮像タイミングを示す情報として、例えば撮像タイミングを示す指示画像63を、注入開始からの経過時間を示す軸線と並ぶように表示させる。なお、撮像タイミングは、維持時間内の一つの時点であってもよく、維持時間内の所定の時間範囲であってもよい。例えば、撮像タイミングが時間範囲である場合、維持時間の中央の前の所定長さの時間と、当該中央の後の所定長さの時間とからなる範囲が、撮像タイミングとなる。代替的に、表示制御部48は、撮像タイミングを示す情報として、画像に代えて又は画像に加えて、注入開始から撮像タイミングまでの経過時間を示す文字列(例えば秒数)を、タッチパネル26に表示させてもよい。なお、表示制御部48は、コンソール23の外部の装置、例えば、撮像装置30から撮像タイミングを特定する情報、例えば撮像タイミングの時刻を取得してもよい。
【0061】
[画面の説明]
表示制御部48は、
図4から
図6に示すシミュレーション画面を表示させる前に、
図3に示す確認画面をタッチパネル26に表示させる。表示制御部48は、初期画面(不図示)においてオペレーターが部位を選択すると確認画面を表示させる。なお、表示制御部48は、注入ヘッド20が起動されると初期画面をタッチパネル26に表示させる。例えば、初期画面には、人体を模したシルエット画像が表示され、オペレーターは、当該シルエット画像の部位をタッチ操作する。これにより、オペレーターは、タッチ操作した部位を、選択部位として選ぶことができる。そして、選択部位が選ばれると、被写体情報、検査情報、及び目標値等を入力する入力画面が初期画面に表示される。例えば、オペレーターは、入力画面に表示されるテンキー画像をタッチ操作して、被写体情報としての体重と、検査情報としての圧力リミット及び使用ヨード量と、目標値としての目標画素値及び目標維持時間とを入力する。なお、オペレーターによる各操作は、タッチ操作、タップ操作、フリック操作、スワイプ操作、ピンチイン操作、及びピンチアウト操作であってもよく、マウス又はキーボード等の操作装置を用いた操作であってもよい。
【0062】
表示制御部48は、オペレーターが被写体情報等を入力して一定時間が経過すると、
図3に示す確認画面をタッチパネル26に表示させる。表示制御部48は、初期画面に代えて確認画面を表示してもよく、初期画面と共に確認画面を表示してもよい。代替的に、表示制御部48は、オペレーターによる確認画面を表示させる操作に応じて、確認画面を表示させてもよい。確認画面には、薬液情報が表示される薬液情報欄51が設けられている。例えば、表示制御部48は、情報取得部43から取得した薬液情報として、注入ヘッド20に搭載されているシリンジに充填されている造影剤及び生理食塩水の充填量を、薬液情報欄51に表示させる。
図3の例では、造影剤の充填量140mLと、生理食塩水の充填量150mLとが薬液情報欄51に表示されている。さらに、確認画面には、検査情報が表示される検査情報欄52が設けられている。例えば、表示制御部48は、オペレーターが入力した検査情報として、圧力リミット及び使用ヨード量を、検査情報欄52に表示させる。
図3の例では、圧力リミット(pressure limit)300psiと、使用ヨード量としてヨード量(iodine volume)22.2mgI/kg/secが検査情報欄52に表示されている。なお、オペレーターが体重等の被写体情報を入力するまで次の情報(例えば検査情報又は目標値)の入力が制限されてもよい。各情報が入力された後にオペレーターが一定時間操作しない場合、表示制御部48は、登録されたアイコン又は情報入力画面を自動的に表示させてもよい。
【0063】
確認画面には、注入時間が表示される注入時間欄53が設けられている。
図3の例では、造影剤の注入時間15secが注入時間欄53に表示されている。なお、注入時間欄53には、生理食塩水の注入時間、混和注入の注入時間、又は全ての薬液の合計注入時間が表示されてもよい。さらに、確認画面には、被写体情報が表示される被写体情報欄54Aが設けられている。例えば、表示制御部48は、オペレーターが入力した被写体情報として、体重を被写体情報欄54Aに表示させる。
図3の例では、体重58kgが被写体情報欄54Aに表示されている。また、
図3の確認画面には、被写体の生体情報が表示される生体情報欄54Bが設けられている。例えば、表示制御部48は、情報取得部43が測定装置から取得した生体情報として、心拍数を生体情報欄54Bに表示させる。
図3の例では、心拍数60bpmが生体情報欄54Bに表示されている。ただし、測定装置から生体情報を取得しない場合には、生体情報欄54Bを省略してもよい。さらに、確認画面には、薬液名として造影剤の製品名が表示される薬液名称欄55が設けられている。例えば、表示制御部48は、情報取得部43から取得した薬液名として、シリンジに充填されている造影剤の製品名を、薬液名称欄55に表示させる。
図3の例では、製品名「ABC」が薬液名称欄55に表示されている。また、薬液のメーカーの名称又はロゴが表示されてもよく、製品名、及びメーカーの名称又はロゴは、注入ヘッド20の読取部が薬液情報を読み取った後に表示されてもよい。さらに、造影剤の単位当たりヨード量が表示されてもよい。
【0064】
また、確認画面には、選択部位を特定する情報が表示される選択部位欄56が設けられている。例えば、表示制御部48は、オペレーターが入力した選択部位を特定する情報として、部位名及び部位を示す画像を選択部位欄56に表示させる。
図3の例では、人体のシルエット画像における胸部を示す画像と、部位名「Coronary Artery」(冠動脈)とが選択部位欄56に表示されている。また、確認画面には、注入条件が表示される注入条件欄57が設けられている。例えば、表示制御部48は、注入条件取得部44から取得した薬液情報として、注入プロトコルを注入条件欄57に表示させる。
図3の例では、造影剤の注入速度が6.4mL/secでありかつ注入量が58mLである第1フェーズと、造影剤及び生理食塩水のそれぞれの注入速度が2.2mL/secでありかつ注入量が13mLである第2フェーズと、生理食塩水の注入速度が2.5mL/secでありかつ注入量が20mLである第3フェーズとからなる注入プロトコルが表示されている。さらに、例えば造影剤と生理食塩水との混和注入がされる場合に、使用が推奨される器具(例えば、株式会社根本杏林堂製の「SPIRAL FLOW(登録商標)」)を示すマークM、又は文字列が表示されてもよい。当該器具を使用することによって、薬液を精度よく混和できる。なお、第2フェーズにおいては、造影剤及び生理食塩水の混和液26mLが、注入速度4.4mL/secで注入される。
【0065】
さらに、確認画面には、エアチェックボタン58と、シミュレーションの開始又は表示ボタン59とが表示されている。オペレーターは、エアチェックボタン58をタッチ操作することによって、注入準備を完了できる。オペレーターがエアチェックボタン58をタッチ操作すると、表示制御部48は、エアチェックボタン58に代えてスタートボタン(不図示)を表示させる。オペレーターは、スタートボタンをタッチ操作することによって、注入を開始できる。なお、オペレーターは、注入ヘッド20の操作部28に設けられたスタートスイッチを押し下げることによって、注入を開始することもできる。さらに、オペレーターは、遠隔操作装置を操作して注入を開始できてもよい。
【0066】
また、オペレーターが開始又は表示ボタン59をフリック操作すると、表示制御部48は、
図4から
図6に示すシミュレーション画面をタッチパネル26に表示させる。なお、シミュレーション画面において、オペレーターが操作を行わない時間が一定時間に達すると、表示制御部48は、確認画面を再び表示させる。この場合、表示制御部48は、シミュレーション画面に代えて確認画面を表示させてもよく、シミュレーション画面と共に確認画面を表示させてもよい。
【0067】
図4から
図6に示すように、シミュレーション画面には、検査情報欄52、注入時間欄53、生体情報欄54B、選択部位欄56、及び注入条件欄57が設けられている。表示制御部48は、
図3に示す確認画面と同様にこれらの欄を表示するため、その説明は省略する。また、
図4に示すように、シミュレーション画面には、判定結果を示す結果欄60が設けられている。表示制御部48は、オペレーターのフリック操作と同期して展開されるように、結果欄60を表示させる。代替的に、表示制御部48は、確認画面に重畳するように結果欄60をポップアップ表示させてもよい。この結果欄60においては、第3部位画像61Cとして、冠動脈を含む心臓を模した画像が表示されている。表示制御部48は、選択部位の画素値が上限値よりも低くかつ下限値よりも高いと判定部47が判定した場合に、第3部位画像61Cを表示させる。
【0068】
予測部46は、表示制御部48が確認画面を表示させるときにシミュレーションを開始する。すなわち、予測部46は、オペレーターが被写体情報を入力して一定時間が経過すると、シミュレーションを開始する。そして、予測部46は、シミュレーションが終了すると、シミュレーション結果を記憶部42に記憶させる。また、判定部47は、シミュレーションの終了後の任意のタイミングで判定を実行し、判定結果を記憶部42に記憶させる。そして、表示制御部48は、判定結果に応じて、第1部位画像61A、第2部位画像61B、又は第3部位画像61Cが表示された結果欄60を展開する。代替的に、予測部46は、オペレーターが開始又は表示ボタン59を操作したときにシミュレーションを開始してもよい。並行して、オペレーターが開始又は表示ボタン59を操作すると、表示制御部48は結果欄60を展開する。そして、判定部47は、シミュレーションの終了後に判定を実行し、その判定結果に応じて、表示制御部48は、第1部位画像61A、第2部位画像61B、又は第3部位画像61Cを、展開されている結果欄60に表示させる。
【0069】
また、表示制御部48は、結果欄60において、注入開始からの経過時間を示す軸線上に、維持時間の長さを示す長さ画像62を表示させる。
図4の例では、注入開始から二十秒を経過したタイミングと注入開始から三十五秒を経過したタイミングとの間の十五秒が維持時間として示されている。さらに、表示制御部48は、結果欄60において、軸線と並ぶように撮像タイミングを示す指示画像63を表示させる。なお、長さ画像62及び指示画像63の少なくとも一方の表示が省略されてもよい。
【0070】
さらに、表示制御部48は、目標画素値、目標維持時間、及び管電圧を結果欄60に表示させる。
図4の例では、目標画素値として目標CT値(target CT value)400HU、目標維持時間として維持時間(retention time)15sec、及び管電圧(tube voltage)120kVpが表示されている。なお、表示制御部48は、オペレーターが目標画素値、目標維持時間、及び管電圧の少なくとも一つを変更できるように、シミュレーション画面を表示させてもよい。例えば、オペレーターが変更させたい値をタッチ操作すると、表示制御部48は、入力用のテンキー画像をポップアップ表示させる。変更が行われると再シミュレーションが実行されてもよい。測定装置が取得する被写体の生体情報(例えば心拍数)が変動すると、再シミュレーションが実行されてもよい。これらの場合、判定部47は、シミュレーションの終了後に判定を実行し、その判定結果に応じて、表示制御部48は、第1部位画像61A、第2部位画像61B、又は第3部位画像61Cを、展開されている結果欄60に表示させる。
【0071】
図5に示すシミュレーション画面においては、表示制御部48は、結果欄60を除いて、
図4に示すシミュレーション画面と同様に各欄を表示する。そのため、以下では結果欄60について説明する。
図5に示す結果欄60においては、第2部位画像61Bとして、冠動脈を含む心臓を模した画像が表示されている。表示制御部48は、選択部位における画素値が下限値よりも低いと判定部47が判定した場合に、第2部位画像61Bを表示させる。
【0072】
図6に示すシミュレーション画面においては、表示制御部48は、結果欄60を除いて、
図4に示すシミュレーション画面と同様に各欄を表示する。そのため、以下では結果欄60について説明する。
図6に示す結果欄60においては、第1部位画像61Aとして、冠動脈を含む心臓を模した画像が表示されている。表示制御部48は、選択部位における画素値が上限値よりも高いと判定部47が判定した場合に、第1部位画像61Aを表示させる。
【0073】
図4から
図6の結果欄60に示すように、表示制御部48は、判定結果に応じて第1部位画像61A、第2部位画像61B、及び第3部位画像61Cのいずれかを表示させる。また、
図6に示す第1部位画像61Aは、
図5に示す第2部位画像61B及び
図4に示す第3部位画像61Cよりも明度が高く、より白く表示されている。これにより、オペレーターは、選択部位における画素値が上限値よりも高くなるというシミュレーション結果を直感的且つ視覚的に認識できる。また、
図5に示す第2部位画像61Bは、
図6に示す第1部位画像61A及び
図4に示す第3部位画像61Cよりも明度が低く、より黒く表示されている。これにより、オペレーターは、選択部位における画素値が下限値よりも低くなるというシミュレーション結果を視覚的に認識できる。
【0074】
さらに、
図4に示す第3部位画像61Cは、
図6に示す第1部位画像61Aよりも明度が低くより黒く表示されているとともに、
図5に示す第2部位画像61Bよりも明度が高くより白く表示されている。これにより、オペレーターは、選択部位における画素値が上限値と下限値との間の範囲にあるというシミュレーション結果を視覚的に認識できる。なお、表示制御部48は、第1部位画像61A、第2部位画像61B、及び第3部位画像61Cの一部のみの表示態様を、他の画像と異ならせてもよい。例えば、表示制御部48は、第1部位画像61A、第2部位画像61B、及び第3部位画像61Cの、冠動脈に対応する部分のみを他の画像と異ならせてもよい。同様に、選択部位が右心室である例では、表示制御部48は、右心室に対応する部分のみを他の画像と異ならせてもよい。また、表示制御部48は、第1部位画像61A、第2部位画像61B、及び第3部位画像61Cとして、選択部位に対応する臓器を模した画像を表示させてもよい。例えば、表示制御部48は、選択部位が肝臓である場合には、肝臓を模した画像を表示させてもよい。
【0075】
また、
図5に示す結果欄60には、第2画像の他の例として第2位置画像64Bが表示されている。そして、
図6に示す結果欄60には、第1画像の他の例として第1位置画像64Aが、第2位置画像64Bとは表示態様が異なるように表示されている。第2位置画像64Bは、表示位置が異なる点で第1位置画像64Aとは表示態様が異なっている。すなわち、第2位置画像64Bは、目標画素値の下に表示されている。これにより、オペレーターは、選択部位における画素値が下限値よりも低くなるというシミュレーション結果を直感的且つ視覚的に認識できる。また、第1位置画像64Aは、表示位置が異なる点で第2位置画像64Bとは表示態様が異なっている。すなわち、第1位置画像64Aは、目標画素値の上に表示されている。これにより、オペレーターは、選択部位における画素値が上限値よりも高くなるというシミュレーション結果を視覚的に認識できる。なお、第1位置画像64A及び第2位置画像64Bは、点滅等の表示態様が互いに異なっていてもよい。
【0076】
[判定結果の表示フロー]
オペレーターが注入ヘッド20の電源をオンにした後にシリンジを搭載すると、注入ヘッド20の読取部は、薬液情報として、例えば製品IDを読み取ってシミュレーター40に送る。そして、シミュレーター40の情報取得部43は、読取部が読み取った薬液情報を取得する。また、表示制御部48は、メーカー名、製品IDに基づく製品名称及び充填量等を記憶部42から読み出して初期画面に表示させる。さらに、情報取得部43は、取得した製品IDを、薬液情報として記憶部42に記憶させる。続いて、オペレーターは、初期画面に表示されたシルエット画像の中から所望の部位を選択してタッチ操作する。すると、
図7に示すように、情報取得部43は、オペレーターが選択した部位を選択部位として特定する情報を、部位情報として取得して記憶部42に記憶させる(S701)。
【0077】
オペレーターが部位を選択すると、表示制御部48は、入力画面を表示させ(S702)、オペレーターは、被写体情報、検査情報、及び目標値等を入力する。すると、情報取得部43は、被写体情報、検査情報、及び目標値等の各情報を取得して、記憶部42に一時的に記憶させる(S703)。なお、検査情報の使用ヨード量は、被写体の体重に基づいて情報取得部43が算出して取得してもよい。そして、表示制御部48は、オペレーターが被写体情報等を入力して一定時間が経過すると(S704でYES)、確認画面をタッチパネル26に表示させる(S705)。一方、一定時間が経過するまでは(S704でNO)、表示制御部48は入力画面を表示させる。なお、薬液情報、検査情報、及び被写体情報等の取得順序又は入力順序は、適宜変更できる。
【0078】
確認画面の表示と並行して、予測部46は、画素値の経時変化のシミュレーションを開始する(S706)。すなわち、予測部46は、オペレーターが被写体情報を入力して一定時間が経過すると、シミュレーションを開始する。そして、予測部46は、シミュレーションが終了すると、シミュレーション結果を記憶部42に記憶させる。また、判定部47は、シミュレーションの終了後に判定を実行し(S707)、判定結果を記憶部42に記憶させる。続いて、オペレーターがシミュレーションの開始又は表示ボタン59をフリック操作すると、表示制御部48は、シミュレーション画面をタッチパネル26に表示させる。
【0079】
ここで、表示制御部48は、判定部47による判定結果を参照する。そして、選択部位における画素値が上限値よりも高いと判定部47が判定している場合(S708でYES)、表示制御部48は、シミュレーション画面に第1部位画像61A及び第1位置画像64Aを表示させる(S709)。また、選択部位における画素値が下限値よりも低いと判定部47が判定している場合(S710でYES)、表示制御部48は、シミュレーション画面に第2部位画像61B及び第2位置画像64Bを表示させる(S711)。また、判定部47が選択部位の画素値が上限値よりも低くかつ下限値よりも高いと判定している場合(S710でNO)、表示制御部48は、シミュレーション画面に第3部位画像61Cを表示させる(S712)。各画像の表示により、判定結果の表示が完了する。その後、オペレーターが操作を行わない時間が一定時間に達すると、表示制御部48は、確認画面を再び表示させる。
【0080】
その後、オペレーターは、確認画面の表示内容を確認し、変更がなければエアチェックボタン58を選択する。代替的に、オペレーターが設定を変更して第3部位画像61Cが表示されるようになるまで、注入の開始が制限されてもよい。例えば、第3部位画像61Cが表示されるようになるまで、エアチェックボタン58の表示が制限されてもよい。そして、表示制御部48は、確認画面にスタートボタンを表示させる。これにより、注入準備が完了して、注入ヘッド20は注入可能状態で待機する。代替的に、オペレーターは、注入ヘッド20の操作部28の最終確認ボタンを押し下げてもよい。続いて、オペレーターが、スタートボタンをタッチ操作すると、注入ヘッド20が注入を開始する。
【0081】
以上説明した第1実施形態に係る発明によれば、オペレーターは、撮像部位として選択した部位において、所望の画素値が得られているか否かを判断できる。すなわち、シミュレーション画面には、第1画像、第2画像、又は第3画像が表示される。そのため、オペレーターは、画素値が所望の範囲に含まれているか否かを、表示される画像によって視覚的に認識できる。
【0082】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0083】
例えば、表示制御部48は、オペレーターの操作に応じて、注入開始から任意の時間が経過したタイミングの判定結果をシミュレーション画面に表示させてもよい。一例として、オペレーターは、軸線に沿って図中の左右方向に指示画像63を移動させることができる。判定部47は、指示画像63に示されたタイミングにおける画素値を、上限値及び下限値と比較する。そして、判定部47は、画素値が上限値よりも高いか否かを判定するとともに、画素値が下限値よりも低いか否かを判定する。その後、表示制御部48は、判定部47の判定結果に応じて、第1画像、第2画像、又は第3画像をシミュレーション画面に表示させる。
【0084】
このとき、表示制御部48は、第1画像、第2画像、又は第3画像を他の画像に変える際に、徐々に画像の表示態様を変化させてもよい。例えば、第3画像から第1画像に変える際には、第3画像の明度を徐々に高くして第1画像に変化させてもよい。また、第3画像から第2画像に変える際には、第3画像の明度を徐々に低くして第2画像に変化させてもよい。代替的に、表示制御部48は、軸線上にスライダ画像を表示させてもよい。この場合、オペレーターは、スライダ画像を移動させて任意のタイミングの判定結果として第1画像、第2画像、又は第3画像を表示させる。加えて、表示制御部48は、シミュレーション結果を参照して、各組織の画素値の経時変化に応じて各組織の画像の濃淡が変化するように画像を表示させるモードを備えていてもよい。
【0085】
また、シミュレーター40は、撮像装置30及び注入ヘッド20の少なくとも一方に有線又は無線接続される外部コンピューターに搭載されてもよい。この場合、シミュレーター40は、シミュレーション結果を、撮像装置30又は注入ヘッド20に送信する。
【符号の説明】
【0086】
26:表示部、40:シミュレーター、41:コンピューター、46:予測部、47:判定部、48:表示制御部、61A:第1画像、61B:第2画像、61C:第3画像、62:長さを示す画像、63:撮像タイミングを示す情報、64A:第1画像、64B:第2画像、PG:シミュレーションプログラム