(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049869
(43)【公開日】2022-03-30
(54)【発明の名称】光学シート、バックライトユニット、及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20220323BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20220323BHJP
F21V 9/38 20180101ALI20220323BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220323BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20220323BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220323BHJP
【FI】
G02B5/20
G02F1/13357
F21V9/38
F21S2/00 481
F21V3/00 320
F21V3/00 530
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020156133
(22)【出願日】2020-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000165088
【氏名又は名称】恵和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100174827
【弁理士】
【氏名又は名称】治下 正志
(72)【発明者】
【氏名】蔡 承亨
【テーマコード(参考)】
2H148
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H148AA07
2H148AA19
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB34
2H391AB40
2H391AC10
2H391AC13
2H391AC26
3K244AA01
3K244AA02
3K244BA01
3K244BA07
3K244BA26
3K244BA27
3K244BA28
3K244BA48
3K244BA50
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA13
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA03
3K244GA04
3K244GA05
3K244GA10
3K244GA17
3K244GA20
3K244GB17
3K244GB18
3K244GC18
3K244GC21
(57)【要約】
【課題】蛍光剤の含有量が比較的低くても、好適な色変換ができる光学シート、前記光学シートを備えるバックライトユニット、及び前記バックライトユニットを備える液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】表示画面の背面側に複数の光源が分散して設けられた液晶表示装置において前記複数の光源とプリズムシートとの間に位置する光学シート10であって、蛍光剤13と拡散剤14とを含む色変換層11を備える光学シートである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面の背面側に複数の光源が分散して設けられた液晶表示装置において前記複数の光源とプリズムシートとの間に位置する光学シートであって、
蛍光剤と拡散剤とを含む色変換層を備えることを特徴とする光学シート。
【請求項2】
前記拡散剤は、シリコーンビーズ及び酸化チタン粒子の少なくとも一方を含む請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記拡散剤の含有量は、前記色変換層に対して、0.1~30質量%である請求項1又は請求項2に記載の光学シート。
【請求項4】
前記蛍光剤は、緑色蛍光剤と赤色蛍光剤とを含む請求項1~3のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項5】
前記蛍光剤の含有量は、前記色変換層に対して、7.5~14.5質量%である請求項1~4のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項6】
光拡散層をさらに備え、
前記光拡散層は、前記色変換層と接触している請求項1~5のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項7】
前記色変換層の厚みは、10~1000μmである請求項1~6のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項8】
複数の光源と、
プリズムシートと、
前記複数の光源と前記プリズムシートとの間に位置する光学シートとを備え、
前記光学シートが、請求項1~7のいずれか1項に記載の光学シートであることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項9】
前記光源が、青色光を照射する発光ダイオード素子である請求項8に記載のバックライトユニット。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載のバックライトユニットと、
前記バックライトユニットの前記プリズムシート側に設けられた液晶パネルとを備えることを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学シート、バックライトユニット、及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン及びタブレット等の各種情報機器における表示装置として、液晶表示装置(液晶ディスプレイ)が広く利用されている。液晶ディスプレイに用いられるバックライトとしては、例えば、液晶パネルの背面側に複数の光源を配置する直下型方式等が挙げられる。
【0003】
直下型方式のバックライトでは、前記光源として、発光ダイオード(LED)素子を用いることが多く、例えば、青色光を発光する、いわゆる青色LED素子等が用いられる。前記光源として、LED素子を用いた場合、この光源から照射された光が白色光に近づくように色変換されて出射する発光装置等が用いられる。
【0004】
このような色変換する発光装置としては、例えば、特許文献1に記載の発光装置等が挙げられる。特許文献1には、半導体発光素子と、半導体発光素子と離間して配置された蛍光部材とを備え、蛍光部材は、半導体発光素子から発光される光の一部を吸収して他の光に変換して発光可能であり、蛍光部材は、半導体発光素子から第1距離に位置する第1部位と、第1距離より遠い位置にある第2部位とを有し、第1部位は、第2部位と比べて半導体発光素子からの発光の吸収率が高い発光装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によれば、蛍光部材全体において、発光素子から照射された光量のうち蛍光部材にて波長変換される光量の比率をほぼ均等とすることができ、演色性に優れ、且つ色むらの少ない均一な発光色が得られる旨が開示されている。特許文献1に記載の発光装置では、半導体発光素子の周囲を囲んで形成されているリフレクター部に蛍光物質を含み、前記半導体発光素子からの可視光と前記蛍光物質からの可視光との混色光を白色光とする。特許文献1には、前記リフレクター部に光拡散剤を含有させることにより、前記光拡散剤で反射散乱させ、色むらの少ない均一な発光色が得ることができる旨も記載されている。
【0007】
一方で、直下型方式のバックライトユニットでは、特許文献1に記載の発光装置のように、半導体発光素子から照射された光をリフレクター部で反射させるのではなく、前記光源とプリズムシートとの間に、光学シートを配置することも考えられる。具体的には、前記光源とプリズムシートとの間に、LED素子から照射された光を透過させることによって、透過された光の色を変換可能な光学シートを配置することによって、前記光源から照射される光を白色光に近づくように色変換することも考えられる。このような色変換可能な光学シートとしては、蛍光剤を含有させることが考えられる。このような光学シートで、LED素子から照射された光を透過させて白色光を得るためには、蛍光剤を高充填させる必要があるが、蛍光剤は一般的に高価であることから、蛍光剤の使用量を減らすことが求められる。すなわち、蛍光剤の含有量が比較的少なくても、好適な色変換ができるほど、色変換性に優れた光学シートが求められている。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、蛍光剤の含有量が比較的低くても、好適な色変換ができる光学シート、前記光学シートを備えるバックライトユニット、及び前記バックライトユニットを備える液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、種々検討した結果、以下の本発明により、上記目的は達成されることを見出した。
【0010】
本発明の一態様に係る光学シートは、表示画面の背面側に複数の光源が分散して設けられた液晶表示装置において前記複数の光源とプリズムシートとの間に位置する光学シートであって、蛍光剤と拡散剤とを含む色変換層を備えることを特徴とする光学シートである。
【0011】
このような構成によれば、蛍光剤の含有量が比較的低くても、好適な色変換ができる光学シートを提供することができる。すなわち、拡散剤を含まない場合と同程度の色変換を実現するために、蛍光剤の含有量を低下させることができる。
【0012】
また、前記光学シートにおいて、前記拡散剤は、シリコーンビーズ及び酸化チタン粒子の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、拡散剤を含まない場合と同程度の色変換を実現するために、蛍光剤の含有量をより低下させることができる。よって、色変換性により優れた光学シートが得られる。
【0014】
また、前記光学シートにおいて、前記拡散剤の含有量は、前記色変換層に対して、0.1~30質量%であることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、前記拡散剤を含有させることによる加工性の低下を抑制しつつ、好適な色変換ができる光学シートが得られる。
【0016】
また、前記光学シートにおいて、前記蛍光剤は、緑色蛍光剤と赤色蛍光剤とを含むことが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、より好適な色変換ができる光学シートが得られる。具体的には、前記光学シートを透過する光が青色光である場合、その青色光を、前記光学シートの色変換層に含まれる緑色蛍光剤に吸収して、前記青色光より緑色側に変換した光を放射することができる。また、前記光学シートを透過する青色光を、前記光学シートの色変換層に含まれる赤色蛍光剤に吸収して、前記青色光より赤色側に変換した光を放射することができる。これらの変換された光の混色光は、黄色側に変換されることになる。そして、前記光学シートを透過した光は、この混色光によって、白色光側に変換されることになる。よって、前記光学シートは、好適な色変換ができる。
【0018】
また、前記光学シートにおいて、前記蛍光剤の含有量は、前記色変換層に対して、7.5~14.5質量%であることが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、前記蛍光剤の含有量を高め過ぎずに、好適な色変換ができる光学シートが得られる。
【0020】
また、前記光学シートにおいて、光拡散層をさらに備え、前記光拡散層は、前記色変換層と接触していることが好ましい。
【0021】
このような構成によれば、好適な色変換ができ、さらに、輝度を高める等の、光拡散層による効果も発揮することができる。また、前記光学シートは、前記光拡散層と前記色変換層とを接触して備えるので、色変換層を備える色変換シートと光拡散層とを備える光拡散シートとを組み合わせることによる不具合の発生を抑制できる。具体的には、色変換シートと光拡散シートとを組み合わせる際に、これらのシート間に、ほこり等を介在させてしまうことを抑制することができる。また、色変換シートと光拡散シートとが接触することによって、傷ついてしまうことを抑制することができる。よって、前記光学シートは、好適な色変換ができ、さらに、輝度を高める等の、光拡散層による効果も発揮することができ、さらに、層間における、ほこり等の介在及びそれぞれの層への傷つき等の発生を抑制することができる。
【0022】
また、前記光学シートにおいて、前記色変換層の厚みは、10~1000μmであることが好ましい。
【0023】
このような構成によれば、好適な色変換ができる光学シートが得られる。
【0024】
また、本発明の他の一態様に係るバックライトユニットは、複数の光源と、プリズムシートと、前記複数の光源と前記プリズムシートとの間に位置する光学シートとを備え、前記光学シートが、上述した光学シートであることを特徴とするバックライトユニットである。
【0025】
このような構成によれば、好適に色変換された光を照射することができるバックライトユニットを提供することができる。
【0026】
また、前記バックライトユニットにおいて、前記光源が、青色光を照射する発光ダイオード素子であることが好ましい。
【0027】
このような構成によれば、前記光源から青色光を照射し、その照射した青色光を好適に色変換した白色光を照射することができるバックライトユニットを提供することができる。
【0028】
また、本発明の他の一態様に係る液晶表示装置は、前記バックライトユニットと、前記バックライトユニットの前記プリズムシート側に設けられた液晶パネルとを備えることを特徴とする液晶表示装置である。
【0029】
このような構成によれば、前記バックライトユニットから、好適に色変換された光が照射されるので、前記液晶パネルに好適に画像表示することができる液晶表示装置が得られる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、蛍光剤の含有量が低くても、好適な色変換ができる光学シート、前記光学シートを備えるバックライトユニット、及び前記バックライトユニットを備える液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る光学シートの概略断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る光学シートを備えるバックライトユニットの構成の一例を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すバックライトユニットを備える液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0033】
本発明の一実施形態に係る光学シート10は、
図1に示すように、蛍光剤13と拡散剤14とを含む色変換層11を備える。前記光学シート10は、前記色変換層11からなるシートであってもよいし、前記色変換層11とそれ(前記色変換層11)以外の層とを備えるシートであってもよい。前記色変換層11以外の層としては、例えば、光拡散層12等が挙げられる。すなわち、前記光学シート10としては、例えば、
図1に示すような、前記色変換層11と、前記色変換層11に接触している前記光拡散層12とを備える光学シート10等が挙げられる。なお、
図1は、本実施形態に係る光学シート10の概略断面図である。
【0034】
前記光学シート10は、表示画面の背面側に複数の光源が分散して設けられた液晶表示装置において前記複数の光源とプリズムシートとの間に位置する光学シートである。前記光学シート10としては、例えば、
図2及び
図3に示すように、液晶表示装置30に備えられるバックライトユニット20において、前記液晶表示装置30の背面側に分散して設けられた複数の光源22と、プリズムシート24,25との間に位置する光学シートである。なお、
図2は、本実施形態に係る光学シート10を備えるバックライトユニット20の構成の一例を示す概略断面図である。また、
図3は、
図2に示すバックライトユニット20を備える液晶表示装置30の構成の一例を示す概略断面図である。
【0035】
前記光学シート10は、前記蛍光剤13を含むことにより、前記液晶表示装置に備えられるバックライトユニットにおける光源から照射される光を透過させることにより、透過させた光を色変換させることができる。前記光学シート10は、前記蛍光剤13だけではなく、前記拡散剤14を含むことにより、前記蛍光剤13の含有量が比較的低くても、好適な色変換が可能である。すなわち、前記光学シート10では、拡散剤を含まない場合(従来の色変換シートや波長変換シート等)と同程度の色変換を実現するために、前記蛍光剤13の含有量を低下させることができる。蛍光剤は一般的に高価であることから、蛍光剤の使用量を減らすことが求められているが、前記光学シート10では、この要求を達成することができる。すなわち、高価な蛍光剤の使用量を減らすことができる。このことは、以下のことによると考えられる。前記光学シート10を透過する光が、前記光学シート10に含有される前記拡散剤14にあたる等によって、その光路が長くなる。そうなると、透過する光が前記蛍光剤13にあたる機会が増える。このことにより、前記蛍光剤による色変換を好適に行うことができると考えられる。よって、前記蛍光剤が比較的少量であっても、好適な色変換ができると考えられる。
【0036】
前記色変換層11は、
図1に示すように、前記蛍光剤13と前記拡散剤14とを含み、光を透過させることができる層であれば、特に限定されない。前記色変換層11としては、例えば、前記蛍光剤13と前記拡散剤14とを含み、バインダとして、透光性を有する樹脂をさらに含む層、及び前記蛍光剤13と前記拡散剤14と透光性を有する樹脂からなる層等が挙げられる。
【0037】
前記蛍光剤13は、特に限定されないが、光が吸収され、吸収された光が長波長化されて出射することができる蛍光剤等が挙げられる。前記蛍光剤13としては、例えば、青色光で励起されて黄色光を発する黄色蛍光剤(青色光を吸収して前記青色光より黄色側に変換した光を放射可能な黄色蛍光剤)、青色光で励起されて緑色光を発する緑色蛍光剤(青色光を吸収して前記青色光より緑色側に変換した光を放射可能な緑色蛍光剤)、及び、青色光で励起されて赤色光を発する赤色蛍光剤等(青色光を吸収して前記青色光より赤色側に変換した光を放射可能な赤色蛍光剤)が挙げられる。前記黄色蛍光剤としては、例えば、YAG、及びLSN等が挙げられる。前記緑色蛍光剤としては、例えば、β-SiAlON、及びLuAG等が挙げられる。前記赤色蛍光剤としては、例えば、KSF、及びCASN等が挙げられる。
【0038】
また、前記蛍光剤13としては、
図1に示すように、前記緑色蛍光剤15と前記赤色蛍光剤16とを含むことが好ましく、前記蛍光剤13は、前記緑色蛍光剤15と前記赤色蛍光剤16とからなるものであってもよい。このような場合、例えば、前記光学シートを透過させる光が青色光である場合、その青色光を、前記緑色蛍光剤に吸収されて、前記青色光より緑色側に変換した光を放射することができる。また、前記光学シートを透過する青色光が、前記光学シートの色変換層に含まれる赤色蛍光剤に吸収して、前記青色光より赤色側に変換した光を放射することができる。これらの変換された光の混色光は、黄色側に変換されることになる。そして、前記光学シートを透過した光は、この混色光によって、白色光側に変換されることになる。よって、前記光学シートは、好適な色変換ができる。前記緑色蛍光剤と前記赤色蛍光剤との含有比は、前記蛍光剤の種類等によっても異なるが、質量比で、6:3~6:18であることが好ましく、6:6~6:12であることがより好ましく、6:9であることが特に好ましい。前記緑色蛍光剤と前記赤色蛍光剤との含有比が上記範囲内であれば、前記蛍光剤にあたって得られた混色光により、前記光学シートを透過した光を白色光側に好適に変換することができる。よって、より好適に色変換できる光学シートが得られる。
【0039】
前記蛍光剤13の含有量は、前記蛍光剤の種類等によっても異なるが、例えば、前記色変換層全量に対して、7.5~14.5質量%であることが好ましい。前記蛍光剤が少なすぎると、好適な色変換を実現しにくくなる傾向がある。すなわち、前記光学シートでは、前記拡散剤を含有することにより、前記蛍光剤の含有量を減らすことができるとは言え、前記蛍光剤が少なすぎると、好適な色変換を実現しにくくなる。また、前記蛍光剤が多すぎても、好適な色変換を実現できるが、前記蛍光剤の含有量を減らすという要求を満たすことができない。具体的には、前記拡散剤を含有しなくても、前記蛍光剤の含有量が15質量%程度であれば、好適な色変換ができるので、前記蛍光剤の含有量が15質量%より高いと、前記蛍光剤の含有量を減らすという要求を満たすことできないことになる。さらに、前記蛍光剤が多すぎても、前記蛍光剤による色変換効果が飽和する傾向もある。よって、本実施形態に係る光学フィルムでは、前記拡散剤を含有することにより、前記蛍光剤13の含有量が上記範囲内であっても、好適な色変換が可能な光学シートが得られる。
【0040】
前記蛍光剤13の粒径は、前記蛍光剤が光学シートに含有されることにより色変換を実現できるのであれば、特に限定されない。前記蛍光剤13の粒径としては、例えば、体積平均粒子径で、5~100μmであることが好ましく、10~40μmであることがより好ましい。前記蛍光剤が小さすぎても、大きすぎても、色変換を好適に行えない傾向がある。このことは、前記蛍光剤が小さすぎる場合は、光学シートを透過する光にあたりにくくなることによると考えられる。また、前記蛍光剤が大きすぎる場合は、前記蛍光剤同士の距離が離れる傾向があり、それにより、光学シートを透過する光にあたりにくくなることによると考えられる。よって、前記蛍光剤13は、粒径が上記範囲内であることにより、得られた光学シートの色変換をより好適に行うことができる。
【0041】
前記拡散剤14は、光学シートに含有して光拡散効果を発揮する拡散剤であれば、特に限定されない。前記拡散剤14としては、例えば、一般的な光拡散シートに含有される拡散剤として含有される無機粒子及び有機粒子等が挙げられる。前記無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子、水酸化アルミニウム粒子、及び硫酸バリウム粒子等が挙げられる。前記有機粒子としては、例えば、アクリル粒子、アクリルニトリル粒子、シリコーンビーズ、ポリスチレン粒子、及びポリアミド粒子等が挙げられる。この中でも、シリコーンビーズ、及び酸化チタン粒子が好ましい。
【0042】
前記拡散剤14の含有量は、前記拡散剤の種類等によっても異なるが、例えば、前記色変換層全量に対して、0.1~30質量%であることが好ましく、0.5~30質量%であることがより好ましい。また、前記記拡散剤がシリコーンビーズの場合は、前記記拡散剤の含有量は、前記色変換層全量に対して、1~30質量%であることが好ましく、5~30質量%であることがより好ましい。また、前記記拡散剤が酸化チタン粒子の場合は、前記記拡散剤の含有量は、前記色変換層全量に対して、0.1~10質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましい。前記拡散剤が少なすぎると、前記拡散剤を添加する効果、すなわち、前記蛍光剤の含有量を減らしても好適な色変換を実現できるという効果を奏しにくくなる傾向がある。また、前記拡散剤が多すぎると、前記拡散剤を添加する効果が飽和する傾向がある。また、前記拡散剤が多すぎると、前記拡散剤を添加することによる不具合、例えば、得られた光学フィルムの加工性が低下する等の不具合が発生しやすくなる傾向がある。よって、前記拡散剤の含有量が上記範囲内であれば、前記拡散剤を添加することによる不具合の発生を抑制しつつ、好適な色変換が可能な光学シートが得られる。
【0043】
前記拡散剤14の粒径は、光拡散効果を発揮することができれば、特に限定されず、前記拡散剤の種類等によっても異なるが、例えば、体積平均粒子径で、0.05~10μmであることが好ましい。また、前記記拡散剤がシリコーンビーズの場合は、前記記拡散剤の粒径は、体積平均粒子径で、0.5~10μmであることが好ましい。また、前記記拡散剤が酸化チタン粒子の場合は、前記記拡散剤の粒径は、体積平均粒子径で、0.05~1μmであることが好ましい。前記拡散剤が小さすぎても、大きすぎても、色変換を好適に行えない傾向がある。このことは、前記拡散剤が小さすぎる場合は、光学シートを透過する光にあたりにくくなって、前記拡散剤にあたることにより光路が長くなるという作用を奏しにくくなることによると考えられる。また、前記拡散剤が大きすぎる場合は、光学シートを透過する光が前記蛍光剤にあたりにくくなることによると考えられる。また、前記拡散剤同士の距離が離れる傾向もあり、それにより、光学シートを透過する光にあたりにくくなり、前記拡散剤にあたることにより光路が長くなるという作用を奏しにくくなることにもよると考えられる。よって、前記拡散剤14は、粒径が上記範囲内であることにより、得られた光学シートの色変換をより好適に行うことができる。
【0044】
前記バインダとしては、例えば、透光性を有する樹脂(透光性樹脂)等が挙げられる。前記透光性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、メチルメタクリレート-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフレート、セルロースアセテート、及びポリイミド等が挙げられる。また、前記透光性樹脂としては、紫外線(UV)硬化型樹脂を用いることが好ましい。前記バインダとして、UV硬化型樹脂を用いると、硬化前のUV硬化型樹脂に、前記蛍光剤及び前記拡散剤を添加し、これらが添加された硬化前のUV硬化型樹脂を、基材や光拡散層等に塗布して、UVを照射することにより、色変換層が得られる点で好ましい。前記UV硬化型樹脂としては、例えば、UV硬化型アクリル樹脂等が挙げられる。
【0045】
前記光学シート10には、上述したように、前記色変換層11を備え、前記光拡散層12をさらに備えてもよい。このように、前記光拡散層も備えることによって、前記光学シートは、好適な色変換ができ、さらに、輝度を高める等の、光拡散層による効果も発揮することができる。また、前記光拡散層12は、
図1に示すように、前記色変換層11に接触していることが好ましい。このように、前記光拡散層と前記色変換層とを接触して備えると、色変換層を備える色変換シートと光拡散層とを備える光拡散シートとを組み合わせることによる不具合の発生を抑制できる。具体的には、色変換シートと光拡散シートとを組み合わせる際に、これらのシート間に、ほこり等を介在させてしまうことを抑制することができる。また、色変換シートと光拡散シートとが接触することによって、傷ついてしまうことを抑制することができる。よって、前記光学シートは、好適な色変換ができ、さらに、輝度を高める等の、光拡散層による効果も発揮することができ、さらに、層間における、ほこり等の介在及びそれぞれの層への傷つき等の発生を抑制することができる。
【0046】
前記光拡散層12は、光拡散効果を奏する層であれば、特に限定されず、例えば、一般的な光拡散シート等が挙げられる。前記光拡散層としては、例えば、少なくとも一方の表面が凹凸形状である層等が挙げられる。すなわち。前記光拡散層は、両方の表面が凹凸形状であってもよいし、一方の表面だけが凹凸形状であってもよい。また、前記光拡散層としては、前記光拡散層の一方の表面が凹凸形状である場合、もう一方の表面がマット形状である層等が挙げられる。前記光拡散層として、一方の表面が凹凸形状であり、もう一方の表面がマット形状である層を用いた場合、前記光学シートとしては、前記色変換層が、前記光拡散層のマット形状側に備えられるシート等が挙げられる。
【0047】
前記凹凸形状における凸部の形状としては、例えば、半円球状(上半分の球状)、円錐状、及び多角錐状等が挙げられる。また、前記多角錐状としては、三角錐状、四角錐状、及び六角錐状等が挙げられる。前記凸部の形状としては、前記凸部の形状に近似可能な形状、例えば、円錐状に近似可能な形状(略円錐状)、及び多角錐状に近似可能な形状(略多角錐状)等であってもよい。また、前記凹凸形状における凹部の形状としては、前記凸部の形状に対応する形状等が挙げられ、例えば、逆半円球状(上半分の逆球状)、逆円錐状、及び逆多角錐状等が挙げられる。また、前記逆多角錐状としては、逆三角錐状、逆四角錐状、及び逆六角錐状等が挙げられる。前記凹部の形状としては、前記凹部の形状に近似可能な形状、例えば、逆円錐状に近似可能な形状(略逆円錐状)、及び逆多角錐状に近似可能な形状(略逆多角錐状)等であってもよい。また、前記凹凸形状において、複数の凸部及び複数の凹部が2次元配列される場合、前記凸部及び前記凹部は、前記光拡散層の表面前面に設けられていてもよいし、一定の間隔で設けられていてもよいし、ランダムな間隔で設けられていてもよい。
【0048】
前記光拡散層12は、拡散剤(第2の拡散剤)を含んでいてもよく、例えば、前記第2の拡散剤を含み、バインダとして、透光性を有する樹脂をさらに含む層、及び前記第2の拡散剤と透光性を有する樹脂からなる層等が挙げられる。
【0049】
前記光拡散層12に含有される前記拡散剤(第2の拡散剤)としては、光学シートに含有して光拡散効果を発揮する拡散剤であれば、特に限定されず、例えば、前記色変換層11に含有される前記拡散剤(第1の拡散剤)と同じ拡散剤、例えば、シリコーンビーズ、及び酸化チタン粒子等が挙げられる。また、前記第2の拡散剤の粒径も、前記第1の拡散剤と同様であってもよい。前記第2の拡散剤を含む場合の前記第2の拡散剤の含有量は、前記拡散剤の種類等によっても異なるが、例えば、前記光拡散層全量に対して、4質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。なお、前記第2の拡散剤は含んでいなくてもよい(前記第2の拡散剤の含有量が0質量%であってもよい)。
【0050】
前記光拡散層12に含有される前記バインダ(第2のバインダ)としては、透光性を有する樹脂(透光性樹脂)であれば、特に限定されず、例えば、前記色変換層11に含有される前記バインダ(第1のバインダ)と同じ透光性樹脂等が挙げられる。前記第2のバインダとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、メチルメタクリレート-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフレート、セルロースアセテート、及びポリイミド等が挙げられる。
【0051】
前記色変換層11の厚みは、前記蛍光剤の濃度等によっても異なり、特に限定されない。前記色変換層11の厚みの下限値としては、例えば、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。また、前記色変換層11の厚みの上限値としては、例えば、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましく、200μm以下であることが特に好ましい。また、前記光学シート10が前記光拡散層12等の他の層を備えない場合には、前記色変換層11の厚みは、例えば、50~1000μmであることが好ましく、100~500μmであることがより好ましい。また、前記光学シート10が前記光拡散層12等の他の層を備える場合には、前記色変換層11の厚みは、例えば、10~500μmであることが好ましく、50~200μmであることがより好ましい。前記色変換層11が薄すぎる場合、前記色変換層によって奏される色変換効果を充分に発揮できない傾向がある。また、前記色変換層11が薄すぎても厚すぎても、それによる不具合するおそれがある。例えば、得られた光学シートの加工性が低下するおそれがある。また、前記色変換層11が厚すぎる場合、得られた光学シートが厚くなり、バックライトユニットや、最終的な製品である液晶表示装置の小型化に寄与しにくくなる。
【0052】
前記光拡散層12の厚みは、特に限定されず、例えば、50~1000μmであることが好ましく、100~500μmであることがより好ましい。前記光拡散層12が薄すぎる場合、前記光拡散層によって奏される光拡散効果を充分に発揮できない傾向がある。また、前記光拡散層12が薄すぎても厚すぎても、それによる不具合するおそれがある。例えば、得られた光学シートの加工性が低下するおそれがある。また、前記光拡散層12が厚すぎる場合、得られた光学シートが厚くなり、バックライトユニットや、最終的な製品である液晶表示装置の小型化に寄与しにくくなる。
【0053】
前記光学シート10は、上記の構成により、蛍光剤の含有量が比較的低くても、好適な色変換ができる。また、前記光学シート10は、上述したように、表示画面の背面側に複数の光源が分散して設けられた液晶表示装置において前記複数の光源とプリズムシートとの間に位置する光学シートである。
【0054】
前記光学シート10の製造方法は、前記光学シート10を製造できれば、特に限定されない。前記光学シート10が、前記色変換層11と前記光拡散層12とを備える場合、前記光学シート10の製造方法としては、例えば、前記蛍光剤及び前記拡散剤を添加した液状のバインダを、前記光拡散層12上に塗工した後、前記バインダを固化させることによって、前記光拡散層12上に前記色変換層11を形成させることによって、前記光学シート10を製造する方法等が挙げられる。前記バインダとして、UV硬化型樹脂を用いる場合、前記固化する方法としては、UVを照射して、前記バインダを硬化させる方法等が挙げられる。
【0055】
前記液晶表示装置に備えられるバックライトユニットは、前記光学シートを備えていれば、特に限定されない。すなわち、本実施形態に係るバックライトユニットは、複数の光源と、プリズムシートと、前記複数の光源と前記プリズムシートとの間に位置する光学シートとを備え、前記光学シートが、上述した光学シートであるバックライトユニットである。このような前記光学シートを備えるバックライトユニットは、好適に色変換された光を照射することができる。前記バックライトユニット20は、具体的には、
図2に示すように、反射シート21と、複数の光源22と、前記光学シート10と、第1プリズムシート24と、第2プリズムシート25と、偏光シート26とを備える。前記複数の光源22は、前記反射シート21上に2次元状に配置されている。前記光学シート10は、本実施形態に係る光学シートであって、前記光源22と前記第1プリズムシート24との間に位置する。前記第1プリズムシート24及び前記第2プリズムシート25は、前記光学シート10と前記偏光シート26との間に位置し、前記光学シート10側に配置されるのが、前記第1プリズムシート24であって、前記偏光シート26側に配置されるのが、前記第2プリズムシート25である。
【0056】
前記反射シート21は、特に限定されず、例えば、一般的なバックライトユニットに備えられる反射シート等が挙げられる。前記反射シート21としては、例えば、白色のポリエチレンテレフタレート樹脂製のフィルム、及び銀蒸着フィルム等が挙げられる。
【0057】
前記光源22は、特に限定されず、例えば、一般的なバックライトユニットに備えられる光源等が挙げられる。前記光源22としては、いわゆる小型光源を用いることができ、例えば、発光ダイオード(LED)素子、及びレーザ素子等が挙げられる。この中でも、コスト及び生産性等の観点から、LED素子が好ましく用いられる。また、前記光源22として、青色光を照射する青色LED素子であることが好ましい。前記光学シートは、前記光源から照射された青色光を白色光等に好適に色変換することができる。このことから、前記バックライトユニット20は、前記光源から青色光を照射し、その照射した青色光を好適に色変換した白色光を照射することができる。また、前記光源22は、平面視した場合に長方形状を有していてもよく、その場合、一辺の長さは10μm~20mmであることが好ましく、10μm~10mmであることがより好ましく、50μm~5mmであることがさらに好ましい。前記光源22としてLED素子を用いる場合、LEDチップを一定の間隔をもって前記反射シート21上に配置してもよい。また、前記光源22となるLED素子の出光角度特性を調節するために、LEDにレンズを装着してもよい。
【0058】
前記第1プリズムシート24及び前記第2プリズムシート25は、特に限定されず、例えば、一般的なバックライトユニットに備えられるプリズムシート等が挙げられる。前記第1プリズムシート24及び前記第2プリズムシート25としては、例えば、横断面が二等辺三角形の複数の溝条が互いに隣り合うように形成され、隣り合う一対の溝条からなるプリズムの頂角が90°程度に形成されたフィルム等が挙げられる。前記第1プリズムシート24及び前記第2プリズムシート25としては、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、UV硬化型アクリル樹脂を用いてプリズム形状をつけたもの等が挙げられる。前記第1プリズムシート24及び前記第2プリズムシート25とは、前記第1プリズムシート24に形成された各溝条と前記第2プリズムシート25に形成された各溝条とが、互いに直交するように配置される。前記第1プリズムシート24及び前記第2プリズムシート25とは、一体に形成されていてもよい。
【0059】
前記偏光シート26は、特に限定されず、例えば、一般的なバックライトユニットに備えられる偏光シート等が挙げられる。前記偏光シート26としては、市販品を用いることができ、例えば、3M社製のDBEFシリーズ等が挙げられる。
【0060】
前記液晶表示装置は、前記バックライトユニットを備えていれば、特に限定されない。すなわち、本実施形態に係る液晶表示装置は、前記バックライトユニットと、前記バックライトユニットの前記プリズムシート側に設けられた液晶パネルとを備える液晶表示装置である。このような液晶表示装置は、前記光学シートを備えるバックライトユニットから、好適に色変換された光が照射されるので、前記液晶パネルに好適に画像表示することができる。前記液晶表示装置30は、
図3に示すように、バックライトユニット20と、液晶パネル35と、第1偏光板36及び第2偏光板37とを備える。前記液晶パネル35は、前記第1偏光板36と前記第2偏光板37との間に位置し、前記バックライトユニット20側に配置されるのが、前記第1偏光板36である。
【0061】
前記液晶パネル35は、互いに対向するように設けられた薄膜トランジスタ(TFT)基板31及びカラーフィルタ(CF)基板32と、前記TFT基板31と前記CF基板32との間に設けられた液晶層33とを備える。また、前記液晶パネル35には、前記TFT基板31と前記CF基板32との間に前記液晶層33を封入するために枠状に設けられたシール材(図示省略)をさらに備える。
【0062】
前記TFT基板31は、特に限定されず、例えば、一般的な液晶表示装置に備えられるTFT基板等が挙げられる。前記TFT基板31としては、例えば、ガラス基板と、前記ガラス基板上にマトリクス状に設けられた複数のTFTと、前記TFTのそれぞれを覆うように設けられた層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上にマトリクス状に設けられ且つ複数のTFTにそれぞれ接続された複数の画素電極と、前記画素電極のそれぞれを覆うように設けられた配向膜とを備える基板等が挙げられる。
【0063】
前記CF基板32は、特に限定されず、例えば、一般的な液晶表示装置に備えられるCF基板等が挙げられる。前記CF基板32としては、例えば、ガラス基板と、前記ガラス基板上に格子状に設けられたブラックマトリクスと、前記ブラックマトリクスの各格子間にそれぞれ設けられた赤色層、緑色層及び青色層を含むカラーフィルタと、前記ブラックマトリクス及び前記カラーフィルタを覆うように設けられた共通電極と、前記共通電極を覆うように設けられた配向膜とを備える基板等が挙げられる。
【0064】
前記液晶層33は、特に限定されず、例えば、一般的な液晶表示装置に備えられる液晶層等が挙げられる。前記液晶層33としては、例えば、電気光学特性を有する液晶分子を含むネマチック液晶材料等により構成される液晶層等が挙げられる。
【0065】
前記第1偏光板36及び前記第2偏光板37は、特に限定されず、例えば、一般的な液晶表示装置に備えられる偏光板等が挙げられる。前記第1偏光板36及び前記第2偏光板37としては、例えば、一方向の偏光軸を有する偏光子層と、その偏光子層を挟持するように設けられた一対の保護層とを備える偏光板等が挙げられる。
【0066】
前記液晶表示装置30の表示画面30aを正面(
図3における上方)から見た形状は、特に限定されない。この形状としては、長方形又は正方形が多いが、これに限らず、長方形の角が丸くなった形状、楕円形、円形、台形、又は、自動車のインストルメントパネル(インパネ)等の任意の形状であってもよい。
【0067】
前記液晶表示装置30は、前記画素電極のそれぞれに対応する各サブ画素において、前記液晶層33に所定の大きさの電圧を印加して前記液晶層33の配向状態を変えるとともに、前記バックライトユニット20から前記第1偏光板36を介して入射した光をその透過率を調整して前記第2偏光板37を介して出射することにより、画像が表示される。
【0068】
前記液晶表示装置30は、種々の情報機器(例えば、カーナビゲーション等の車載装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コピー機、券売機、及び現金自動預け払い機等)に組み込まれる表示装置として用いられる。
【0069】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【実施例0070】
[実施例1-1]
光拡散層として、特開2020-86432号公報に記載の実施例1に係る光学シートを用いた。
【0071】
緑色蛍光剤(β-SiAlON、体積平均粒子径16μm)を6質量%、赤色蛍光剤(KSF、体積平均粒子径30μm)を9質量%、拡散剤(シリコーンビーズ、体積平均粒子径2μm)を、表1に示すように、1質量%となるように、それぞれを、硬化前の(液状の)UV硬化型樹脂(UV硬化型アクリル樹脂)に添加した。なお、蛍光剤の含有量は、前記緑色蛍光剤と前記赤色蛍光剤とを合わせて、15質量%であった。
【0072】
このようにして得られた液体(色変換層形成用塗工液)を、前記拡散板の片面に塗工した。その際、最終的に得られる色変換層の厚みが約130μmとなるように、前記色変換層形成用塗工液を塗工した。その後、この塗工した色変換層形成用塗工液にUVを照射して、前記UV硬化型樹脂を硬化させることによって、前記拡散板上に色変換層が形成された光学シートが得られた。
【0073】
[実施例1-2~1-7]
実施例1-2~1-7に係る各光学シートは、拡散剤であるシリコーンビーズの含有量を、表1に示す含有量に変更したこと以外、実施例1と同様の方法で製造した。
【0074】
[比較例]
比較例に係る各光学シートは、色変換層形成用塗工液に拡散剤を含有させないこと以外、実施例1と同様の方法で、光学シートを得た。
【0075】
[実施例2-1~2-4]
実施例2-1~2-4に係る各光学シートは、拡散剤として、シリコーンビーズの代わりに、酸化チタン粒子(体積平均粒子径0.05μm)を用い、その含有量を、表2に変更したこと以外、実施例1と同様の方法で製造した。
【0076】
[評価]
(色度)
アレイ状に並んだ青色LED素子(青色LEDアレイ)の上面から5mmあけて、前記光学シートを設け、前記光学シート上に、溝条が互いに直交するように配置した2枚のプリズムシートを載せることによって、バックライトユニットを組み立てた。このバックライトユニットから発せられる光の色度(x、y)を、輝度計(株式会社トプコン製の分光放射輝度計SR-3)で測定した。
【0077】
(青色光との色度差:Δx、Δy)
そして、得られた光の色度(x、y)と、青色LED素子から照射される光の色度(x_B、y_B)との差(Δx、Δy)を、下記式から算出した。なお、ここでは、青色LED素子から照射される光の色度(x_B、y_B)との差(Δx、Δy)を、青色光との色度差とした。
【0078】
Δx=x-x_B
Δy=y-y_B
なお、青色LED素子から照射される光の色度(x_B、y_B)は、x_Bが0.1529、y_Bが0.0281であった。
【0079】
(蛍光剤の換算濃度)
拡散剤を含有させずに、得られた色度を達成するために必要であると推定した蛍光剤を、蛍光剤の換算濃度とした。すなわち、拡散剤を含有させないとしたら、各実施例(拡散剤を含有させた場合)の色度を満たすために必要であると推定した蛍光剤の濃度を、蛍光剤の換算濃度とした。ここでは、青色光との色度差が、蛍光剤の濃度に対して正比例すると仮定して推定した。具体的には、各実施例に係る光学シートにおける青色光との色度差(Δx_e、Δy_e)と、比較例に係る光学シートにおける青色光との色度差(Δx_c、Δy_c)と、蛍光剤合計濃度Cfとを用いて、下記式から算出した。なお、ここで、Cfは15質量%であった。
【0080】
蛍光剤の換算濃度(質量%)=0.5×(Δx_e/Δx_c+Δy_e/Δy_c)×Cf×100
(蛍光剤合計濃度/換算濃度)
次に、蛍光剤合計濃度の、換算濃度に対する比率(蛍光剤合計濃度/換算濃度)(%)を算出した。この比率が、例えば、60%であれば、拡散剤を含有させない場合に必要な蛍光剤の濃度の60%の濃度で、拡散剤を含有させない場合と同等の色度を達成できることがわかる。すなわち、前記比率(蛍光剤合計濃度/換算濃度)が低いほど、蛍光剤の濃度を低くしても、所望の色度が得られることがわかる。
【0081】
(蛍光剤の必要推定濃度)
拡散剤を含有させない場合(比較例に係る光学シート)の色度と同程度の色度に達成するために必要な蛍光剤の合計濃度を推定した。具体的には、実際に用いた蛍光剤の合計濃度に、前記比率(蛍光剤合計濃度/換算濃度)を乗じた値を、蛍光剤の必要推定濃度(質量%)とした。
【0082】
以上の結果を、表1及び表2に示す。
【0083】
【0084】
【0085】
表1及び表2からわかるように、拡散剤を含有する場合(実施例1-1~1-7及び実施例2-1~2-4)は、拡散剤を含有しない場合(比較例)より、蛍光剤の濃度が同じであるにもかかわらず、青色光との色度差が大きく、好適に色変換されていることがわかる。よって、拡散剤を含有すると、蛍光剤の含有量が比較的低くても、好適な色変換ができる光学シートが得られることがわかる。このことは、蛍光剤の換算濃度、前記比率(蛍光剤合計濃度/換算濃度)、及び蛍光剤の必要推定濃度(質量%)等の、得られた色度差から推定した値からもわかる。
【0086】
また、実施例1-1~1-7の比較からも、実施例2-1~2-4の比較からも、拡散剤の含有量が高いほど、好適な色変換を行うための蛍光剤の含有量が少なくてもよい傾向を示すこともわかる。一方で、拡散剤の含有量が高すぎても、色変換に対する効果が飽和する傾向があることもわかる。また、拡散剤の含有量が高いと、得られた光学シートの加工性が低下するとも考えられる。よって、拡散剤がシリコーンビーズの場合は、前記記拡散剤の含有量は、前記色変換層全量に対して、1~30質量%であることが好ましいことがわかる。また、拡散剤が酸化チタン粒子の場合は、前記色変換層全量に対して、0.1~10質量%であることが好ましいことがわかる。
【0087】
さらに、拡散剤としては、実施例1-1~1-7と実施例2-1~2-4との比較から、酸化チタン粒子が、好適な色変換を行うための蛍光剤の含有量が少なくてもよいことがわかる。このことからも、拡散剤としては、シリコーンビーズ及び酸化チタン粒子が好ましく、酸化チタン粒子がより好ましいことがわかる。
【0088】
次に、拡散剤を含有させることによって、好適な色変換を行うための蛍光剤の含有量を削減できることをより明確にするために、以下のことを確認した。
【0089】
[実施例3]
実施例3に係る光学シートは、緑色蛍光剤と赤色蛍光剤との比を変更させずに、蛍光剤合計濃度を、8.2質量%に代えたこと以外、実施例2-4と同様にして、製造した。
【0090】
【0091】
表3から、蛍光剤を含有することにより、蛍光剤の含有量が少なくても、同程度の色度が達成できることがわかる。具体的には、拡散剤として酸化チタンを10質量%で含有させると、蛍光剤含有量を約55%にまで減らすことができることがわかる。