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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051165
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】指紋認識装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1172 20160101AFI20220324BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
A61B5/1172
G06F3/044 120
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157496
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】520364428
【氏名又は名称】速博思股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】李祥宇
(72)【発明者】
【氏名】金上
(72)【発明者】
【氏名】杜佳勳
(72)【発明者】
【氏名】林丙村
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038FF01
4C038FG00
(57)【要約】
【課題】測定精度を向上可能な静電容量シールド線を有する指紋認識装置を提供する。
【解決手段】指紋感知装置は、複数の指紋感知電極を有する指紋電極層と、対応する第1静電容量シールド線及び第2静電容量シールド線によってその間に挟まれる複数のデータ線と、ゲインが0以上である駆動回路を備える指紋検出回路とを含み、前記指紋検出回路は、指紋検出時において、選択指紋感知電極に静電容量励起信号を伝送し、前記選択指紋感知電極から前記対応データ線により指紋感知信号が入力され、前記駆動回路により前記指紋感知信号を処理して前記指紋感知信号と同じ位相の静電容量除去信号を出力し、前記対応データ線が対応する前記第1静電容量シールド線及び第2静電容量シールド線に前記静電容量除去信号を伝送して指紋検出動作を行うように構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
複数の指紋感知電極を有する指紋電極層と、
複数のトランジスタスイッチ群、及び複数のデータ線を備えるトランジスタスイッチ層と、
静電容量励起信号源、及びゲインが0以上である駆動回路を備える指紋検出回路と、を含み、
前記複数のトランジスタスイッチ群は、前記複数の指紋感知電極と一対一対応し、
前記複数のデータ線は、それぞれ第1静電容量シールド線及び第2静電容量シールド線に対応することで、対応データ線が前記第1静電容量シールド線と前記第2静電容量シールド線との間に挟まれるように配置され、
前記第1静電容量シールド線は、検出対象の指の前記対応データ線への影響を排除するように、前記対応データ線と前記検出対象の指との間に位置し、
前記指紋検出回路は、前記複数のトランジスタスイッチ群の何れか1つを介して選択指紋感知電極に静電容量励起信号を伝送し、前記選択指紋感知電極から前記対応データ線により指紋感知信号を得て、前記駆動回路により前記指紋感知信号を処理して前記指紋感知信号と同じ位相の静電容量除去信号を出力し、前記対応データ線が対応する前記第1静電容量シールド線及び第2静電容量シールド線に前記静電容量除去信号を伝送して指紋検出動作を行うように構成されることを特徴とする指紋認識装置。
【請求項2】
前記第2静電容量シールド線は、前記対応データ線の前記検出対象の指とは反対側の一側に配置され、当該一側からのノイズの前記対応データ線への影響を排除するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項3】
前記第1静電容量シールド線及び前記第2静電容量シールド線の幅は、それぞれ対応する前記対応データ線の幅以上であることを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項4】
前記トランジスタスイッチ群は、それぞれ少なくとも1つの薄膜トランジスタを含むことを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項5】
前記指紋検出回路は、前記指紋検出動作時において、前記対応データ線の周囲の指紋感知電極に前記静電容量除去信号を印加することで、前記周囲の指紋感知電極を介して前記対応データ線にクロストークする他の感知信号及びノイズを防止するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項6】
前記指紋検出回路は、第1電源により給電され、
前記指紋認識装置は、第2電源により給電される表示画面をさらに含み、
前記複数の指紋感知電極は、前記表示画面における指紋検出兼タッチ表示エリア内に位置することを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項7】
前記複数の指紋感知電極が組み合わせてタッチ検出用のタッチ電極を兼ねることを特徴とする請求項6に記載の指紋認識装置。
【請求項8】
前記指紋検出動作又はタッチ検出動作時において、前記第1電源と前記第2電源との間に共通の電流回路がないことを特徴とする請求項7に記載の指紋認識装置。
【請求項9】
前記表示画面におけるタッチ表示エリアにタッチ検出用の複数のタッチ電極が配置され、各前記タッチ電極の面積が前記指紋感知電極の面積の50倍以上であることを特徴とする請求項7に記載の指紋認識装置。
【請求項10】
前記タッチ表示エリアが前記複数の指紋感知電極を備える前記指紋検出兼タッチ表示エリアと同一又は類似の光透過率を有するように、前記タッチ表示エリアに配置される複数の仮想データ線をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の指紋認識装置。
【請求項11】
前記基板は、表示画面の保護ガラス、集積回路のシリコン基板、又は高分子薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項12】
前記データ線は、金属導電線又は透明導電体であることを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項13】
前記指紋感知電極は、透明導電性材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項14】
前記透明導電体は、酸化インジウムスズであることを特徴とする請求項12に記載の指紋認識装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋認識装置に関し、特に、静電容量シールド線を有する指紋認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子商取引が盛んになったことで、リモート決済は一日千里の勢いで発展している。そのため、生物識別の商業的需要が急速に拡大しており、特に指紋認識技術が第1候補として選ばれている。ボーダレスモバイルディスプレイ装置が流れとなると、ディスプレイ画面の指紋認識が人気のテーマになる。超音波やアンダーディスプレイ光学検出などのソリューションは、高価で位置合わせが困難であるなど、さまざまな問題に制限があるため、普及が難しい。TFT技術を用いて、感知電極及び選択スイッチを保護ガラス上に配置する静電容量式指紋認識技術のみは経済的である。しかしながら、保護ガラスの厚さは数百μmであるため、感知信号は極めて微小である。また、データ線(data line)の長さは数センチにも及び、その面積は単一の感知電極よりもはるかに大きい。さらに、データ線同士間の距離はわずか数μmであり、相互のクロストークは深刻である。接地された導電性電極によってノイズを隔離して遮断する従来の方法では、巨大な自己容量を発生して微小な感知信号が消えていき、さらに悪化する問題があった。したがって、データ線で感知された様々なノイズを如何にして解決するかが急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、データ線が様々なノイズを感知してしまう上記の従来技術の欠点を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明に係る指紋認識装置は、基板と、複数の指紋感知電極を有する指紋電極層と、複数のトランジスタスイッチ群、及び複数のデータ線を備えるトランジスタスイッチ層と、静電容量励起信号源、及びゲインが0以上である駆動回路を備える指紋検出回路と、を含み、前記複数のトランジスタスイッチ群は、前記複数の指紋感知電極と一対一対応し、前記複数のデータ線は、それぞれ第1静電容量シールド線及び第2静電容量シールド線に対応することで、対応データ線が前記第1静電容量シールド線と前記第2静電容量シールド線との間に挟まれるように配置され、前記第1静電容量シールド線は、前記検出対象の指の前記対応データ線への影響を排除するように、前記対応データ線と検出対象の指との間に位置し、前記指紋検出回路は、前記複数のトランジスタスイッチ群の何れか1つを介して選択指紋感知電極に静電容量励起信号を伝送し、前記選択指紋感知電極から前記対応データ線により指紋感知信号が入力され、前記駆動回路により前記指紋感知信号を処理して前記指紋感知信号と同じ位相の静電容量除去信号を出力し、前記対応データ線が対応する前記第1静電容量シールド線及び第2静電容量シールド線に前記静電容量除去信号を伝送して指紋検出動作を行うように構成される。
【発明の効果】
【0005】
本発明の指紋認識装置では、第1静電容量シールド線及び第2静電容量シールド線と、それらに対応する対応データ線とは、同相電圧を有するため、その間の容量値を下げることができ、指紋認識装置の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置の原理を説明するための模式図である。
図1B】本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置の原理を説明するための模式図である。
図1C】本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置の原理を説明するための模式図である。
図2】従来の指紋認識装置におけるタッチ容量検出に対するデータ線の影響を説明するための模式図である。
図3】従来の指紋認識装置におけるタッチ容量検出に対するデータ線の影響を説明するための他の模式図である。
図4】本発明の静電容量シールド線によりタッチ容量検出が改善されることを説明するための模式図である。
図5】表示画面におけるタッチ表示エリア及び指紋検出兼タッチ表示エリアの分布を示す模式図である。
図6】表示画面におけるタッチ表示エリア及び指紋検出兼タッチ表示エリアの分布を示す他の模式図である。
図7A】本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置を示す回路ブロック図である。
図7B】本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置を示す回路ブロック図である。
図8A】本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置を示す回路ブロック図である。
図8B】本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置を示す回路ブロック図である。
図9】表示画面におけるタッチ表示エリア及び指紋検出兼タッチ表示エリアの分布を示す模式図である。
図10】本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置を示す回路ブロック図である。
図11A】隣接するデータ線の相互容量を示す模式図である。
図11B】データ線の自己容量を示す模式図である。
図11C】本発明の一実施形態による静電容量シールド線を有する指紋認識装置の静電容量シールド線の構成を示す断面図である。
図11D】本発明の他の実施形態による静電容量シールド線を有する指紋認識装置の静電容量シールド線の構成を示す断面図である。
図11E】本発明の別の実施形態による静電容量シールド線を有する指紋認識装置の静電容量シールド線の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の詳細な説明及び技術内容について、図面を参照しながら以下に説明するが、図面は参照及び説明のためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0008】
図1A図1Cのそれぞれは、本発明の静電容量シールド線(capacitance-shielding wire)を有する指紋認識装置の原理を説明するための模式図である。図1Aを参照すると、データ線130の近接位置に第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bがそれぞれ配置されている。例えば、データ線130の上方に第1静電容量シールド線140A、下方に第2静電容量シールド線140Bがそれぞれ配置されている。上記のいわゆる上方及び下方は、例えば、指紋認識装置を使用する際に操作者が一般的に使用する方向とすることができる。なお、本発明によれば、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bは、データ線130をその間に挟むように配置されればよい。例えば、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bは、データ線130の左右両側に配置されてもよい。また、本発明では、ノイズが主にデータ線130の片側(例えば下側)から来る場合、例えば図4に示すように単一の静電容量シールド線のみを有しても、本発明の効果を達成することができるが、本発明の特許請求の範囲は図示の実施形態に限定されない。図1Aに示すように、第1静電容量シールド線140Aは幅W1、第2静電容量シールド線140Bは幅W2、及びデータ線130は幅W3を有している。上記の静電容量シールド線によりデータ線130を上下方向に挟む方式では、静電容量シールド線により上下方向からのノイズ干渉をシールドすることができるが、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bに適切にバイアスされていなければ、深刻なクロストーク干渉問題が発生する。換言すると、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bの一端が接地し、且つデータ線130の一端が駆動回路(例えば増幅器)A1を介して指紋感知信号を出力すると、第1静電容量シールド線140Aとデータ線130との間に第1容量C1が生成され、第2静電容量シールド線140Bとデータ線130との間に第2容量C2が生成されてしまう。ここで、第1容量C1及び第2容量C2は、指紋感知信号のクロストークを引き起こし、指紋検出の精度に影響を与える。
【0009】
図1Bを参照すると、データ線130の指紋感知信号(選択指紋感知電極の容量検出結果から)を、ゲインが0以上である駆動回路(例えば増幅器)A2により静電容量除去信号(capacitance-eliminating signal)に増幅して第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bに印加すると、第1静電容量シールド線140Aとデータ線130との間に生成された第1容量C1が0になり、且つ第2静電容量シールド線140Bとデータ線130との間に生成された第2容量C2も0になる。そのため、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bが配置されても、出力指紋感知信号のクロストークが発生せず、検出精度にも影響しない。第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bは、データ線130にシールド効果をさらに提供することができる。つまり、本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置は、指紋感知容量Cfs(選択指紋感知電極に指を押すことにより生成され、データ線130を介して出力される検出結果)を正しく検出することができる。上記の説明では、駆動回路A2のゲインが0以上であり、指紋検出が実行される場合には、指紋感知信号を同相増幅するために、駆動回路A2のゲインが0より大きい(例えば1)。
【0010】
図1Cを参照すると、データ線130の指紋感知信号を、ゲインが0以上である駆動回路(例えば増幅器)A2により静電容量除去信号に増幅して第1静電容量シールド線140Aに印加し、ゲインが0以上である他の駆動回路(例えば増幅器)A3により静電容量除去信号に増幅して第2静電容量シールド線140Bに印加すると、同様に、第1静電容量シールド線140Aとデータ線130との間に生成された第1容量C1が0になり、且つ第2静電容量シールド線140Bとデータ線130との間に生成された第2容量C2も0になるので、出力指紋感知信号のクロストークが発生せず、検出精度にも影響しない。つまり、本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置は、指紋感知容量Cfsを正しく検出することができる。同様に、上記の説明では、駆動回路A2及び駆動回路A3のゲインが0以上であり、指紋検出が実行される場合には、指紋感知信号を同相増幅するために、駆動回路A2及び駆動回路A3のゲインが0より大きい(例えば1)。
【0011】
図2は、従来の指紋認識装置におけるタッチ容量検出に対するデータ線の影響を説明するための模式図である。同図に示すように、データ線130の延在長さは一般に非常に長い(指紋感知電極SEに比べる)。例えば、データ線130の長さが20,000μmである場合、その幅がわずか5μm(指紋感知電極SEの幅より小さい)であっても、面積は100,000μmに達し、面積が50x50=2,500μmである指紋感知電極SEよりも40倍多い。換言すると、データ線130が指紋感知電極SEに隣接すると、使用者の指とデータ線130との間の静電容量Cfdlは、指紋感知容量Cfseの40倍となり、検出の精度に影響を及ぼす。
【0012】
図3は、従来の指紋認識装置におけるタッチ容量検出に対するデータ線の影響を説明するための他の模式図である。同図に示すように、データ線130の影響に加えて、データ線130近傍の非選択指紋感知電極SE1~SEnと指との間にも容量Cfse1~Cfsenがそれぞれ存在し、非選択指紋感知電極SE1~SEnとデータ線130との間にも容量Cfsed11~Cfsed1nが存在する。これらの容量Cfsed11~Cfsed1nは、選択指紋感知電極SEmに対する指紋感知容量Cfseの感知精度にも影響を与える。特に、非選択指紋感知電極SE1~SEnの数は、選択指紋感知電極SEmの数よりも大きくなり、指紋感知容量Cfseの干渉がより深刻である。
【0013】
図4は、本発明による静電容量シールド線により、指紋認識装置におけるタッチ容量検出に対するデータ線の影響が改善されることを説明するための模式図である。図1B及び1Cと併せて同図を参照すると、各データ線130に対して少なくとも1つの静電容量シールド線(例えば、図示の第1静電容量シールド線140A)を配置し、且つゲインが0以上である駆動回路(例えば増幅器)A1によりデータ線130の指紋感知信号を増幅することで、当該指紋感知信号と同じ位相の静電容量除去信号を生成して第1静電容量シールド線140Aに印加すると、データ線130と第1の静電容量シールド線140Aとの間に静電容量をなくすことができる(電位差がない)。同様に、非選択指紋感知電極SE1~SEnとデータ線130との間に静電容量をなくすために、この静電容量除去信号を非選択指紋感知電極SE1~SEnに印加してもよい。これにより、選択指紋感知電極SEmに対する指紋感知容量Cfseをより正確に検出することができる。図4の実施形態では、1本の静電容量シールド線(即ち、第1静電容量シールド線140A)のみが示され、且つ非選択指紋感知電極SE1~SEnに対して静電容量除去信号が印加されているが、本発明の他の実施形態では、干渉を低減するために、図1B及び図1Cと同様に、データ線130の上下にそれぞれ第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bを設けて、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bに静電容量除去信号を印加してもよい。上記の説明では、駆動回路A1のゲインが0以上であり、指紋検出が実行される場合には、指紋感知信号を同相増幅して静電容量除去信号を生成するために、駆動回路A1のゲインが0より大きい(例えば1)。
【0014】
図9は、表示画面400におけるタッチ表示エリア400A及び指紋検出兼タッチ表示エリア400Bを示す模式図である。携帯用電子機器の表示画面400には、通常、使用者がタッチ入力して情報を表示するためのタッチ表示エリア400Aと、使用者の身元を識別するための指紋検出エリアとが設けられている。指紋検出の解像度はタッチの解像度よりも大きいので、本発明の実施形態によれば、複数の指紋感知電極A11…A1n…Am1…Amnは、1つの指紋検出兼タッチ表示ユニットA(即ち、タッチ電極)を構成し、複数の指紋検出兼タッチ表示ユニットA、B、Cは、1つの指紋検出兼タッチ表示エリア400Bを構成することができる。表示画面400は、複数のタッチ感知電極D、E…K、Lを有するタッチ表示エリア400Aと、指紋検出兼タッチ表示エリア400Bとを含む。上記の説明において、各タッチ感知電極の面積は、指紋感知電極の面積の50倍以上であり、例えば、50~100倍であってもよく、1000倍であってもよい。また、指紋感知電極A11…A1n…Am1…Amnの密度がタッチ感知電極D、E…K、Lの密度よりもはるかに大きいため、指紋検出兼タッチ表示エリア400Bのデータ線密度は比較的高い。タッチ表示エリア400Aが複数の指紋感知電極を有する指紋検出兼タッチ表示エリア400Bと同じ又は近い光透過率を有するように、タッチ表示エリア400Aには、複数の仮想データ線(dummy data line)132が設けられていてもよい。これらの仮想データ線132は、その配列密度がデータ線130の配列密度に近くてもよく、タッチ表示エリア400A及び指紋検出兼タッチ表示エリア400Bが同じ又は近い光透過率を有し、使用者の操作時の視覚的快適度を高めるために、いかなる制御回路の接続も必要としない。
【0015】
図5を参照すると、表示画面400のタッチ領域は、例えば、上部のタッチ表示エリア400Aと下部の指紋検出兼タッチ表示エリア400Bとの2つの部分に分けることができる。図5及び図9と併せて参照すると、指紋検出兼タッチ表示エリア400Bにおける指紋検出兼タッチ表示ユニットAは、複数の指紋感知電極A11…A1n…Am1…Amnから構成される。図1B及び1Cを再び参照すると、干渉を低減するために、指紋感知電極のデータ線130の上下にそれぞれ第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bを設けて、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bにそれぞれ指紋感知信号と同じ位相の静電容量除去信号を印加する。したがって、図5に示す表示画面400の指紋検出兼タッチ表示エリア400Bは、より正確な検出結果を得ることができ、データ線のクロストークを除去する効果を有する。
【0016】
図6を参照すると、表示画面400のタッチ領域は、タッチ表示エリア400Aと指紋検出兼タッチ表示エリア400Bとを有している。しかし、図5の実施形態に比べて、指紋検出兼タッチ表示エリア400Bの面積は小さい。同様に、図6及び図9と併せて参照すると、指紋検出兼タッチ表示エリア400Bにおける指紋検出兼タッチ表示ユニットAは、複数の指紋感知電極A11…A1n…Am1…Amnから構成される。図1B及び1Cを再び参照すると、干渉を低減するために、指紋感知電極のデータ線130の上下にそれぞれ第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bを設けて、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bにそれぞれ指紋感知信号と同じ位相の静電容量除去信号を印加する。したがって、図6に示す表示画面400の指紋検出兼タッチ表示エリア400Bは、より正確な検出結果を有し、データ線のクロストークを除去する効果を有する。
【0017】
図7Aは、本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置を示す回路ブロック図である。この指紋認識装置10は、自己容量構造に用いられ、指紋/タッチ検出回路200と表示制御回路300とを備えている。ここで、指紋/タッチ検出回路200は、第1電源210と第1接地212とを有し、表示制御回路300は、第2電源310と、第1接地212とは異なる接地である第2接地312とを有している。また、指紋/タッチ検出回路200は、静電容量励起信号源(capacitance-exciting signal)230と、第1増幅器220Aと、第2増幅器220Bとをさらに有している。指紋認識装置10は、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2とをさらに有している。図7Aを参照すると、指紋検出時において(又はタッチ検出時において、図9を参照すると、複数の指紋感知電極A11…A1n…Am1…Amnは、タッチ検出を行うために、指紋検出兼タッチ表示ユニットAを構成することができる)、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオンになる(閉じる)ことで、静電容量励起信号源230の静電容量励起信号は、第1スイッチSW1を介して選択された検知電極SEmに伝送され、感知電極SEmにおける(指紋検出結果に反応する)静電容量感知信号は、第2スイッチSW2及びデータ線(図4参照)を介して第1増幅器220Aに伝送され、第1増幅器220Aによって指紋感知信号VSに処理されることができる。また、指紋感知信号VSは、第2増幅器220B(ゲインが0以上である駆動回路)によって指紋感知信号VSと同じ位相の静電容量除去信号VEに形成される。図1B及び1Cを再び参照すると、指紋感知電極のデータ線130の上下にそれぞれ第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bが設けられ、指紋/タッチ検出回路200は、干渉を低減するために、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bにそれぞれ静電容量除去信号を印加する。したがって、図7Aに示す静電容量シールド線を有する指紋認識装置は、より正確な検出結果を得ることができ、データ線のクロストークを除去する効果を有する。上記の説明では、第2増幅器(駆動回路)220Bのゲインが0以上であり、指紋検出が実行される場合には、指紋感知信号VSを同相増幅して静電容量除去信号VEを生成するために、第2増幅器220Bのゲインが0より大きい(例えば1)。また、指紋検出時又はタッチ検出時において、指紋/タッチ検出回路200と表示制御回路300との間は単一の物理的な導線により接続されており、第1接地212は第2接地312と異なる接地であり、第1電源210と第2電源310との間に共通の電流回路がないことにより、指紋検出又はタッチ検出の精度をさらに向上させることができる。
【0018】
図7Bは、本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置を示す回路ブロック図である。ここで、指紋認識装置10は、指紋検出以外の時(例えば、表示時又は信号通信時)において、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフになる(開く)ことで、静電容量励起信号源230の静電容量励起信号が選択された感知電極SEmに伝達されないようにする。また、この時、表示制御回路300が指紋/タッチ検出回路200を充電したり、表示制御回路300が指紋/タッチ検出回路200との間で信号を通信したりするために、指紋/タッチ検出回路200と表示制御回路300との間は2本の導線を介して電気的に接続されていてもよい。
【0019】
図8Aは、本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置を示す回路ブロック図である。この指紋認識装置10は、相互容量構造に用いられ、指紋/タッチ検出回路200と表示制御回路300とを備えている。ここで、指紋/タッチ検出回路200は、第1電源210と第1接地212とを有し、表示制御回路300は、第2電源310と、第1接地212とは異なる接地である第2接地312とを有している。また、指紋/タッチ検出回路200は、静電容量励起信号源230と、第1増幅器220Aと、第2増幅器220Bとをさらに有している。指紋認識装置10は、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2とをさらに有している。図8Aを参照すると、指紋検出時又はタッチ検出時において、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオンになる(閉じる)ことで、静電容量励起信号源230の静電容量励起信号は、第1スイッチSW1を介して選択された検知電極SEm1に伝送されることができる。さらに、指紋/タッチ検出回路200は、第2スイッチSW2を介して他の選択された感知電極SEm2からの(指紋検出結果に反応する)静電容量感知信号を受信して、第1増幅器220Aを介して静電容量感知信号を指紋感知信号VSになるように処理する。そして、指紋感知信号VSは、第2増幅器220B(ゲインが0以上である駆動回路)によって指紋感知信号VSと同じ位相の静電容量除去信号VEに形成される。図1B及び1Cを再び参照すると、指紋感知電極のデータ線130の上下にそれぞれ第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bが設けられ、指紋/タッチ検出回路200は、干渉を低減するために、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bにそれぞれ静電容量除去信号を印加する。したがって、図8Aに示す静電容量シールド線を有する指紋認識装置は、より正確な検出結果を得ることができ、データ線のクロストークを除去する効果を有する。上記の説明では、第2増幅器(駆動回路)220Bのゲインが0以上であり、指紋検出が実行される場合には、指紋感知信号VSを同相増幅して静電容量除去信号VEを生成するために、第2増幅器220Bのゲインが0より大きい(例えば1)。また、指紋検出時又はタッチ検出時において、指紋/タッチ検出回路200と表示制御回路300との間は単一の物理的な導線により接続されており、第1接地212は第2接地312と異なる接地であり、第1電源210と第2電源310との間に共通の電流回路がないことにより、指紋検出又はタッチ検出の精度をさらに向上させることができる。
【0020】
図8Bは、本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置を示す回路ブロック図である。この指紋認識装置10は、自己容量/相互容量構造に用いられ、指紋/タッチ検出回路200と表示制御回路300とを備えている。ここで、指紋/タッチ検出回路200は、第1電源210と第1接地212とを有し、表示制御回路300は、第2電源310と、第1接地212とは異なる接地である第2接地312とを有している。また、指紋/タッチ検出回路200は、静電容量励起信号源230と、第1増幅器220Aと、第2増幅器220Bとをさらに有している。指紋認識装置10は、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2とをさらに有している。図8Bを参照すると、指紋検出時において、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオンになる(閉じる)ことで、静電容量励起信号源230の静電容量励起信号は、第1スイッチSW1を介して選択された検知電極SEm1、及び他の選択された検知電極SEm2に伝送されることができる(静電容量励起信号は、第3増幅器220Cによって増幅されて他の選択された感知電極SEm2に印加される)。さらに、指紋/タッチ検出回路200は、第2スイッチSW2を介して他の選択された感知電極SEm2からの(指紋検出結果に反応する)静電容量感知信号を受信して、第1増幅器220Aを介して静電容量感知信号を指紋感知信号VSになるように処理する。そして、指紋感知信号VSは、第2増幅器220B(ゲインが0以上である駆動回路)によって指紋感知信号VSと同じ位相の静電容量除去信号VEに形成される。図1B及び1Cを再び参照すると、指紋感知電極のデータ線130の上下にそれぞれ第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bが設けられ、指紋/タッチ検出回路200は、干渉を低減するために、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bにそれぞれ静電容量除去信号を印加する。したがって、図8Bに示す静電容量シールド線を有する指紋認識装置は、より正確な検出結果を得ることができ、データ線のクロストークを除去する効果を有する。上記の説明では、第2増幅器(駆動回路)220Bのゲインが0以上であり、指紋検出が実行される場合には、指紋感知信号VSを同相増幅して静電容量除去信号VEを生成するために、第2増幅器220Bのゲインが0より大きい(例えば1)。また、指紋検出時又はタッチ検出時において、指紋/タッチ検出回路200と表示制御回路300との間は単一の物理的な導線により接続されており、第1接地212は第2接地312と異なる接地であり、第1電源210と第2電源310との間に共通の電流回路がないことにより、指紋検出又はタッチ検出の精度をさらに向上させることができる。
【0021】
図10は、本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置を示す回路ブロック図である。ここで、複数の指紋感知電極及び対応する複数のトランジスタスイッチ群が示されている。つまり、複数のトランジスタスイッチ群と複数の指紋感知電極とは一対一に対応している。図10には、各指紋感知電極に対応するトランジスタスイッチ群は3つのトランジスタスイッチ(例えば、薄膜トランジスタ)を有することが示されているが、本発明によれば、各トランジスタスイッチ群はトランジスタスイッチを1つのみ有すれば、所望な指紋感知電極選択機能を達成することができる。
【0022】
図11Aは、隣接するデータ線の相互容量を示す模式図である。隣接するデータ線21L1と21L2との間に相互容量Cdlが存在し、隣接するデータ線21L2及び21L3の間にも相互容量Cdlが存在する。データ線間の距離が非常に短いため、相互容量Cdlが指紋感知容量Cfsよりもはるかに大きいので、指紋感知の精度に影響を与えてしまう。図11Bは、データ線の自己容量を示す模式図である。同図に示すように、第1静電容量シールド線140A又はデータ線130の近接導体が接地し、第1静電容量シールド線140A(又はデータ線130の近接導体)が適切にバイアスされていないため、データ線130と接地との間にも極めて大きな自己容量Cselfが存在してしまう。
【0023】
図11Cは、本発明の一実施形態による静電容量シールド線を有する指紋認識装置の静電容量シールド線の構成を示す断面図である。同図に示すように、指紋認識装置は、上からの順に、第1静電容量シールド線140Aと、第1絶縁層150Aと、データ線130(21L1、21L2、21L3)と、第2絶縁層150Bと、第2静電容量シールド線140Bとを含んでもよい。本発明の一実施形態によれば、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bの幅は、データ線130の幅以上であってもよい。また、データ線130(21L1、21L2、21L3)は、通常エッチング工程により金属層をエッチングして間隔を形成するように作製されるため、データ線21L1、データ線21L2、及びデータ線21L3の間には空隙が存在する。第1絶縁層150A及び第2絶縁層150Bの厚さが極薄の場合(例えば1μm未満)、データ線21L1、データ線21L2、及びデータ線21L3の周辺は、ほぼ第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bによってシールドされる。そして、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bが適切にバイアスされているときに、データ線のクロストーク、自己容量及び相互容量を除去することができる。
【0024】
図11Dは、本発明の他の実施形態による静電容量シールド線を有する指紋認識装置の静電容量シールド線の構成を示す断面図である。同図に示すように、指紋認識装置は、上からの順に、複数の指紋感知電極112を含む指紋電極層110と、第3絶縁層150C、第1静電容量シールド線140Aと、第1絶縁層150Aと、データ線130(21L1、21L2、21L3)と、第2絶縁層150Bと、第2静電容量シールド線140Bと、基板100とを含む。しかし、この実施形態では、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bの幅は、データ線130の幅よりもやや大きく形成されている。そのため、第2静電容量シールド線140Bと共にデータ線130を包含するように、第1静電容量シールド線140Aの両端が少し垂れ下がってもよい。この場合、第1絶縁層150A及び第2絶縁層150Bの厚さを厚くすることで、データ線の自己容量及び相互容量をさらに低減することができる。
【0025】
図11Eは、本発明の別の実施形態による静電容量シールド線を有する指紋認識装置の静電容量シールド線の構成を示す断面図である。図11Eに示す実施形態は、図11Dの実施形態と類似しているが、指紋電極層110が基板100上に直接形成されている点で異なっている。同様に、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bの幅は、データ線130の幅よりもやや大きく形成されている。そのため、第2静電容量シールド線140Bと共にデータ線130を包含するように、第1静電容量シールド線140Aの両端が少し垂れ下がってもよい。この場合、第1絶縁層150A及び第2絶縁層150Bの厚さを厚くすることで、データ線の自己容量及び相互容量をさらに低減することができる。上述した図11D及び図11Eでは、基板100は、表示画面の保護ガラス、集積回路のシリコン基板、又は高分子薄膜であってもよい。上述した実施形態では、複数のデータ線は、金属導電線又は透明導電体であり、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)であってもよい。また、複数の指紋感知電極は、透明導電性材料で形成されてもよい。
【0026】
以上のように、本発明に係る静電容量シールド線を有する指紋認識装置は、第1静電容量シールド線及び第2静電容量シールド線にそれぞれ静電容量除去信号を印加するとともに、第1静電容量シールド線及び第2静電容量シールド線によりデータ線を挟むことにより、干渉を低減することができ、より正確な検出結果を得ることができる。
【0027】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもなく、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の全ての範囲は以下の特許請求の範囲に基づくものであり、本発明の特許請求の範囲に合致する精神とその類似の変形例は、本発明の範囲に含まれるべきであり、当業者であれば、本発明の技術的範囲内において、容易に思いつくことができ、また、その変形例や修正例も、以下の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0028】
10 指紋認識装置
11L1、21L1~21L3、22L1~22L3、23L1~23L3、1mL1、2mL1~2mL3、2nL1~2nL3 データ線
1Y1~1Y3~8Y1~8Y3 ゲート線
100 基板
110 指紋電極層
112 指紋感知電極
130 データ線
132 仮想データ線
140A 第1静電容量シールド線
140B 第2静電容量シールド線
150A 第1絶縁層
150B 第2絶縁層
150C 第3絶縁層
200 指紋/タッチ検出回路
210 第1電源
212 第1接地
220A 第1増幅器
220B 第2増幅器
220C 第3増幅器
230 静電容量励起信号源
300 表示制御回路
310 第2電源
312 第2接地
400 表示画面
400A タッチ表示エリア
400B 指紋検出兼タッチ表示エリア
A1、A2、A3 駆動回路
C1 第1容量
C2 第2容量
Cfs、Cfse 指紋感知容量
Cfdl、Csedl1、Csedl2~Csedln、Cfse1~Cfsen、Cfsem、Cdl 容量
Cself 自己容量
SE 指紋感知電極
SEm、SEm1、SEm2 選択指紋感知電極
SE1~SEn 非選択指紋感知電極
W1、W2、W3 幅
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
VS 指紋感知信号
VE 静電容量除去信号
A11~A1n、Am1~Amn 指紋感知電極
A、B、C 指紋検出兼タッチ表示ユニット
D、E、F、G、H、I、J、K、L タッチ感知電極
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
【手続補正書】
【提出日】2022-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
複数の指紋感知電極を有する指紋電極層と、
複数のトランジスタスイッチ群、及び複数のデータ線を備えるトランジスタスイッチ層と、
静電容量励起信号源、及びゲインが0以上である駆動回路を備える指紋検出回路と、を含み、
前記複数のトランジスタスイッチ群は、前記複数の指紋感知電極と一対一対応し、
前記複数のデータ線は、それぞれ第1静電容量シールド線及び第2静電容量シールド線に対応し、
前記指紋電極層、前記トランジスタスイッチ層、前記複数のデータ線、前記第1静電容量シールド線及び前記第2静電容量シールド線は、前記基板と検出対象の指との間に位置し、
前記指紋検出回路は、前記指紋電極層と、前記複数のトランジスタスイッチ群と、前記複数のデータ線とに電気的に接続され、
前記第1静電容量シールド線は、前記検出対象の指と、対応するデータ線との間に位置し、前記第2静電容量シールド線は、前記対応するデータ線と、前記基板との間に位置し、前記対応するデータ線が前記第1静電容量シールド線と前記第2静電容量シールド線との間に位置し、
前記指紋検出回路は、前記複数のトランジスタスイッチ群の何れか1つを介して選択指紋感知電極に静電容量励起信号を伝送し、前記選択指紋感知電極から前記対応するデータ線により指紋感知信号が入力されて、指紋検出動作を行うように構成されており、
前記指紋検出回路は、前記駆動回路により前記指紋感知信号を処理して前記指紋感知信号と同じ位相の静電容量除去信号を出力し、前記対応するデータ線対応する前記第1静電容量シールド線に前記静電容量除去信号を伝送して、前記検出対象の指の前記対応するデータ線への影響を排除するとともに、前記対応するデータ線に対応する前記第2静電容量シールド線に前記静電容量除去信号を伝送することを特徴とする指紋認識装置。
【請求項2】
前記第2静電容量シールド線は、前記対応するデータ線の前記検出対象の指とは反対側の一側に配置され、当該一側からのノイズの前記対応するデータ線への影響を排除するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項3】
前記第1静電容量シールド線及び前記第2静電容量シールド線の幅は、それぞれ対応する前記対応するデータ線の幅以上であることを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項4】
前記トランジスタスイッチ群は、それぞれ少なくとも1つの薄膜トランジスタを含むことを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項5】
前記指紋検出回路は、前記指紋検出動作時において、前記対応するデータ線の周囲の指紋感知電極に前記静電容量除去信号を印加することで、前記周囲の指紋感知電極を介して前記対応するデータ線にクロストークする他の感知信号及びノイズを防止するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項6】
前記指紋検出回路は、第1電源により給電され、
前記指紋認識装置は、第2電源により給電される表示画面をさらに含み、
前記複数の指紋感知電極は、前記表示画面における指紋検出兼タッチ表示エリア内に位置することを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項7】
前記複数の指紋感知電極が組み合わせてタッチ検出用のタッチ電極を兼ねることを特徴とする請求項6に記載の指紋認識装置。
【請求項8】
前記指紋検出動作又はタッチ検出動作時において、前記第1電源と前記第2電源との間に共通の電流回路がないことを特徴とする請求項7に記載の指紋認識装置。
【請求項9】
前記表示画面におけるタッチ表示エリアにタッチ検出用の複数のタッチ電極が配置され、各前記タッチ電極の面積が前記指紋感知電極の面積の50倍以上であることを特徴とする請求項7に記載の指紋認識装置。
【請求項10】
前記タッチ表示エリアが前記複数の指紋感知電極を備える前記指紋検出兼タッチ表示エリアと同一又は類似の光透過率を有するように、前記タッチ表示エリアに配置される複数の仮想データ線をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の指紋認識装置。
【請求項11】
前記基板は、表示画面の保護ガラス、集積回路のシリコン基板、又は高分子薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項12】
前記データ線は、金属導電線又は透明導電体であることを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項13】
前記指紋感知電極は、透明導電性材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載の指紋認識装置。
【請求項14】
前記透明導電体は、酸化インジウムスズであることを特徴とする請求項12に記載の指紋認識装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明に係る指紋認識装置は、基板と、複数の指紋感知電極を有する指紋電極層と、複数のトランジスタスイッチ群、及び複数のデータ線を備えるトランジスタスイッチ層と、静電容量励起信号源、及びゲインが0以上である駆動回路を備える指紋検出回路と、を含み、前記複数のトランジスタスイッチ群は、前記複数の指紋感知電極と一対一対応し、前記複数のデータ線は、それぞれ第1静電容量シールド線及び第2静電容量シールド線に対応し、前記指紋電極層、前記トランジスタスイッチ層、前記複数のデータ線、前記第1静電容量シールド線及び前記第2静電容量シールド線は、前記基板と検出対象の指との間に位置し、前記指紋検出回路は、前記指紋電極層と、前記複数のトランジスタスイッチ群と、前記複数のデータ線とに電気的に接続され、前記第1静電容量シールド線は、前記検出対象の指と、対応するデータ線との間に位置し、前記第2静電容量シールド線は、前記対応するデータ線と、前記基板との間に位置し、前記対応するデータ線が前記第1静電容量シールド線と前記第2静電容量シールド線との間に位置し、前記指紋検出回路は、前記複数のトランジスタスイッチ群の何れか1つを介して選択指紋感知電極に静電容量励起信号を伝送し、前記選択指紋感知電極から前記対応するデータ線により指紋感知信号が入力されて、指紋検出動作を行うように構成されており前記指紋検出回路は、前記駆動回路により前記指紋感知信号を処理して前記指紋感知信号と同じ位相の静電容量除去信号を出力し、前記対応するデータ線対応する前記第1静電容量シールド線に前記静電容量除去信号を伝送して、前記検出対象の指の前記対応するデータ線への影響を排除するとともに、前記対応するデータ線に対応する前記第2静電容量シールド線に前記静電容量除去信号を伝送する
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
図7Aは、本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置を示す回路ブロック図である。この指紋認識装置10は、自己容量構造に用いられ、指紋/タッチ検出回路200と表示制御回路300とを備えている。ここで、指紋/タッチ検出回路200は、第1電源210と第1接地212とを有し、表示制御回路300は、第2電源310と、第1接地212とは異なる接地である第2接地312とを有している。また、指紋/タッチ検出回路200は、静電容量励起信号源(capacitance-exciting signal)230と、第1増幅器220Aと、第2増幅器220Bとをさらに有している。指紋認識装置10は、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2とをさらに有している。図7Aを参照すると、指紋検出時において(又はタッチ検出時において、図9を参照すると、複数の指紋感知電極A11…A1n…Am1…Amnは、タッチ検出を行うために、指紋検出兼タッチ表示ユニットAを構成することができる)、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオンになる(閉じる)ことで、静電容量励起信号源230の静電容量励起信号は、第1スイッチSW1を介して選択された知電極SEmに伝送され、感知電極SEmにおける(指紋検出結果に反応する)静電容量感知信号は、第2スイッチSW2及びデータ線(図4参照)を介して第1増幅器220Aに伝送され、第1増幅器220Aによって指紋感知信号VSに処理されることができる。また、指紋感知信号VSは、第2増幅器220B(ゲインが0以上である駆動回路)によって指紋感知信号VSと同じ位相の静電容量除去信号VEに形成される。図1B及び1Cを再び参照すると、指紋感知電極のデータ線130の上下にそれぞれ第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bが設けられ、指紋/タッチ検出回路200は、干渉を低減するために、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bにそれぞれ静電容量除去信号を印加する。したがって、図7Aに示す静電容量シールド線を有する指紋認識装置は、より正確な検出結果を得ることができ、データ線のクロストークを除去する効果を有する。上記の説明では、第2増幅器(駆動回路)220Bのゲインが0以上であり、指紋検出が実行される場合には、指紋感知信号VSを同相増幅して静電容量除去信号VEを生成するために、第2増幅器220Bのゲインが0より大きい(例えば1)。また、指紋検出時又はタッチ検出時において、指紋/タッチ検出回路200と表示制御回路300との間は単一の物理的な導線により接続されており、第1接地212は第2接地312と異なる接地であり、第1電源210と第2電源310との間に共通の電流回路がないことにより、指紋検出又はタッチ検出の精度をさらに向上させることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
図8Aは、本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置を示す回路ブロック図である。この指紋認識装置10は、相互容量構造に用いられ、指紋/タッチ検出回路200と表示制御回路300とを備えている。ここで、指紋/タッチ検出回路200は、第1電源210と第1接地212とを有し、表示制御回路300は、第2電源310と、第1接地212とは異なる接地である第2接地312とを有している。また、指紋/タッチ検出回路200は、静電容量励起信号源230と、第1増幅器220Aと、第2増幅器220Bとをさらに有している。指紋認識装置10は、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2とをさらに有している。図8Aを参照すると、指紋検出時又はタッチ検出時において、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオンになる(閉じる)ことで、静電容量励起信号源230の静電容量励起信号は、第1スイッチSW1を介して選択された知電極SEm1に伝送されることができる。さらに、指紋/タッチ検出回路200は、第2スイッチSW2を介して他の選択された感知電極SEm2からの(指紋検出結果に反応する)静電容量感知信号を受信して、第1増幅器220Aを介して静電容量感知信号を指紋感知信号VSになるように処理する。そして、指紋感知信号VSは、第2増幅器220B(ゲインが0以上である駆動回路)によって指紋感知信号VSと同じ位相の静電容量除去信号VEに形成される。図1B及び1Cを再び参照すると、指紋感知電極のデータ線130の上下にそれぞれ第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bが設けられ、指紋/タッチ検出回路200は、干渉を低減するために、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bにそれぞれ静電容量除去信号を印加する。したがって、図8Aに示す静電容量シールド線を有する指紋認識装置は、より正確な検出結果を得ることができ、データ線のクロストークを除去する効果を有する。上記の説明では、第2増幅器(駆動回路)220Bのゲインが0以上であり、指紋検出が実行される場合には、指紋感知信号VSを同相増幅して静電容量除去信号VEを生成するために、第2増幅器220Bのゲインが0より大きい(例えば1)。また、指紋検出時又はタッチ検出時において、指紋/タッチ検出回路200と表示制御回路300との間は単一の物理的な導線により接続されており、第1接地212は第2接地312と異なる接地であり、第1電源210と第2電源310との間に共通の電流回路がないことにより、指紋検出又はタッチ検出の精度をさらに向上させることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
図8Bは、本発明の静電容量シールド線を有する指紋認識装置を示す回路ブロック図である。この指紋認識装置10は、自己容量/相互容量構造に用いられ、指紋/タッチ検出回路200と表示制御回路300とを備えている。ここで、指紋/タッチ検出回路200は、第1電源210と第1接地212とを有し、表示制御回路300は、第2電源310と、第1接地212とは異なる接地である第2接地312とを有している。また、指紋/タッチ検出回路200は、静電容量励起信号源230と、第1増幅器220Aと、第2増幅器220Bとをさらに有している。指紋認識装置10は、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2とをさらに有している。図8Bを参照すると、指紋検出時において、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオンになる(閉じる)ことで、静電容量励起信号源230の静電容量励起信号は、第1スイッチSW1を介して選択された知電極SEm1、及び他の選択された知電極SEm2に伝送されることができる(静電容量励起信号は、第3増幅器220Cによって増幅されて他の選択された感知電極SEm2に印加される)。さらに、指紋/タッチ検出回路200は、第2スイッチSW2を介して他の選択された感知電極SEm2からの(指紋検出結果に反応する)静電容量感知信号を受信して、第1増幅器220Aを介して静電容量感知信号を指紋感知信号VSになるように処理する。そして、指紋感知信号VSは、第2増幅器220B(ゲインが0以上である駆動回路)によって指紋感知信号VSと同じ位相の静電容量除去信号VEに形成される。図1B及び1Cを再び参照すると、指紋感知電極のデータ線130の上下にそれぞれ第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bが設けられ、指紋/タッチ検出回路200は、干渉を低減するために、第1静電容量シールド線140A及び第2静電容量シールド線140Bにそれぞれ静電容量除去信号を印加する。したがって、図8Bに示す静電容量シールド線を有する指紋認識装置は、より正確な検出結果を得ることができ、データ線のクロストークを除去する効果を有する。上記の説明では、第2増幅器(駆動回路)220Bのゲインが0以上であり、指紋検出が実行される場合には、指紋感知信号VSを同相増幅して静電容量除去信号VEを生成するために、第2増幅器220Bのゲインが0より大きい(例えば1)。また、指紋検出時又はタッチ検出時において、指紋/タッチ検出回路200と表示制御回路300との間は単一の物理的な導線により接続されており、第1接地212は第2接地312と異なる接地であり、第1電源210と第2電源310との間に共通の電流回路がないことにより、指紋検出又はタッチ検出の精度をさらに向上させることができる。