(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051357
(43)【公開日】2022-03-31
(54)【発明の名称】スペーサ部材および止水装置
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20220324BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20220324BHJP
E06B 7/22 20060101ALN20220324BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E04H9/14 Z
E06B7/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020157790
(22)【出願日】2020-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 裕也
【テーマコード(参考)】
2E036
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA02
2E036EB02
2E036FA08
2E036GA02
2E036HA01
2E036HB38
2E036HC03
2E139AA10
2E139AC19
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】例えば、建物に段差部が設けられた場合にも止水板を設置することのできる新規な構成のスペーサ部材および止水装置を得る。
【解決手段】スペーサ部材10は、外壁103および基礎104のうち少なくとも一方の屋外側の壁面103a,104aに固定された第一部材11と、第一部材11の屋外側に位置され止水板2と面する平坦状の取付壁12aと、取付壁12aから第一部材11に向けて延び取付壁12aと段差部105との間の隙間SをY方向(幅方向)から覆った状態で第一部材11に固定された横壁12bと、を有した第二部材12と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口を屋外側から覆う止水板と、前記建物開口の幅方向両側のうち少なくとも一方に設けられた建物の外壁と基礎との間の段差部と、の間に介在するスペーサ部材であって、
前記外壁および前記基礎のうち少なくとも一方の屋外側の壁面に固定された第一部材と、
前記第一部材の屋外側に位置され前記止水板と面する平坦状の取付壁と、前記取付壁から前記第一部材に向けて延び前記取付壁と前記段差部との間の隙間を前記幅方向から覆った状態で前記第一部材に固定された横壁と、を有した第二部材と、
を備えた、スペーサ部材。
【請求項2】
前記横壁には、前記壁面との間をシールする第一シール部材を保持するポケット部が設けられた、請求項1に記載のスペーサ部材。
【請求項3】
前記横壁は、前記第二部材の前記幅方向両側に設けられており、
前記ポケット部は、前記横壁のそれぞれに設けられた、請求項2に記載のスペーサ部材。
【請求項4】
前記第二部材は、前記第一部材に対して屋内外方向の取付位置を調整可能に設けられた、請求項1~3のうちいずれか一つに記載のスペーサ部材。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか一つに記載のスペーサ部材と、
建物開口を屋外側から覆う止水板と、
前記止水板と前記スペーサ部材との間をシールする第二シール部材と、
前記止水板と前記建物開口に隣接した床面との間をシールする第三シール部材と、
を備えた、止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサ部材および止水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物開口を屋外側から覆う止水板を備えた止水装置が、知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の構造では、例えば、建物開口の幅方向両側のうち少なくとも一方において建物の外壁と基礎との間に段差部が設けられる場合がある。この場合、例えば、止水板と段差部との間に屋内外方向の隙間が空いてしまうため、そのままでは止水板を設置することができなかった。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、建物に段差部が設けられた場合にも止水板を設置することのできる新規な構成のスペーサ部材および止水装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスペーサ部材は、例えば、建物開口を屋外側から覆う止水板と、前記建物開口の幅方向両側のうち少なくとも一方に設けられた建物の外壁と基礎との間の段差部と、の間に介在するスペーサ部材であって、前記外壁および前記基礎のうち少なくとも一方の屋外側の壁面に固定された第一部材と、前記第一部材の屋外側に位置され前記止水板と面する平坦状の取付壁と、前記取付壁から前記第一部材に向けて延び前記取付壁と前記段差部との間の隙間を前記幅方向から覆った状態で前記第一部材に固定された横壁と、を有した第二部材と、を備える。
【0007】
このような構成によれば、例えば、第一部材および第二部材によって、建物に段差部が設けられた場合にも止水板を所期の止水性能を確保した状態、すなわち止水板と段差部との間に隙間が空かない状態で設置することのできるスペーサ部材が得られうる。
【0008】
また、上記スペーサ部材では、例えば、前記横壁には、前記壁面との間をシールする第一シール部材を保持するポケット部が設けられる。
【0009】
このような構成によれば、例えば、ポケット部によって第一シール部材を保持することができ、ひいては第一シール部材によって横壁と壁面との間から建物開口側に水が浸入するのを抑制することができる。
【0010】
また、上記スペーサ部材では、例えば、前記横壁は、前記第二部材の前記幅方向両側に設けられており、前記ポケット部は、前記横壁のそれぞれに設けられる。
【0011】
このような構成によれば、例えば、一対のポケット部ひいては第一シール部材によって横壁と壁面との間から建物開口へと向かう水を二重に堰き止めることができるため、止水性能がより高まりやすい。
【0012】
また、上記スペーサ部材では、例えば、前記第二部材は、前記第一部材に対して屋内外方向の取付位置を調整可能に設けられている。
【0013】
このような構成によれば、例えば、段差部の屋内外方向の深さが異なる複数の建物に対応しやすいスペーサ部材が得られうる。また、例えば、スペーサ部材の設置時に第一シール部材を壁面側に押し付けやすくなり、ひいては第一シール部材による止水性能がより高まりやすい。
【0014】
また、本発明の止水装置は、例えば、前記スペーサ部材と、建物開口を屋外側から覆う止水板と、前記止水板と前記スペーサ部材との間をシールする第二シール部材と、前記止水板と前記建物開口に隣接した床面との間をシールする第三シール部材と、を備える。
【0015】
このような構成によれば、例えば、スペーサ部材によって、建物に段差部が設けられた場合にも止水板を所期の止水性能を確保した状態で設置することのできる止水装置が得られうる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、例えば、建物に段差部が設けられた場合にも止水板を設置することのできる新規な構成のスペーサ部材および止水装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態の止水装置の例示的な平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態のスペーサ部材の例示的な断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態のスペーサ部材の例示的な側面図である。
【
図5】
図5は、変形例のスペーサ部材の例示的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態および変形例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0019】
また、以下に開示される実施形態および変形例には、同様の構成要素が含まれる。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0020】
[実施形態]
図1は、実施形態の止水装置1の平面図であり、
図2は、
図1のII-II断面図である。
図1,2に示されるように、止水装置1は、例えば、止水板2や、保持機構3、後述するスペーサ部材10等を備えており、止水板2によって建物開口101からの浸水を抑制するものである。建物開口101は、建物100の外壁103(側壁)に設けられ、建物100の屋外側の空間と屋内側の空間とを連通している。建物100は、例えば、住宅や、ビル、車庫、工場、倉庫、店舗等の建築構造物である。
【0021】
なお、以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、止水板2の厚さ方向(前後方向)に沿うとともに、建物開口101の開口方向(屋内外方向)に沿う。Y方向は、止水板2の横幅方向(左右方向、長手方向)に沿うとともに、建物開口101の幅方向に沿う。Z方向は、止水板2の縦幅方向(上下方向、短手方向)に沿うとともに、建物開口101の高さ方向に沿う。
【0022】
また、以下の説明では、便宜上、X方向は前方、X方向の反対方向は後方とも称され、Y方向は左方、Y方向の反対方向は右方とも称され、Z方向は上方、Z方向の反対方向は下方とも称される場合がある。なお、以下の説明では、床面102とは建物開口101の下方に隣接した面を意味する便宜上の文言であり、地面や、設置面、コンクリート面等とも称される。
【0023】
また、以下の説明では、建物開口101を介して一方(X方向)の空間から他方の空間へ雨水等の水が浸入する可能性がある場合の他方の空間(下流側)が屋内側と定義され、一方の空間(上流側)が屋外側と定義される。すなわち、屋内側とは、止水板2によって水の浸入を防止(阻止、抑制)したい側であり、屋外側とは、浸入可能性のある水が流れてくる側のことである。
【0024】
図1,2に示されるように、止水板2は、例えば、X方向に短い直方体のパネル状に構成されている。止水板2のY方向の幅は、建物開口101のY方向の幅よりも大きい。また、止水板2のZ方向の長さは、後述するスペーサ部材10のZ方向の長さよりも小さい。止水板2のZ方向の長さは、例えば、建物開口101の下端(床面102)から上方に向けてどの範囲を止水板2によって覆い防水するかに基づいて設定されている。なお、止水板2は、パネルには限定されず、例えば、遮水性および可撓性を有した止水シート等であってもよい。
【0025】
止水板2は、持ち運び自在な重量とすることが望ましく、浸水時の水圧に耐えうる剛性を有している。止水板2は、例えば、アルミニウムを含む防錆性を有する軽量の金属板を断面形状がコの字型に加工して骨材とし、四つの骨材を組み合わせた四角形のフレームを有する。このフレームの正面および背面の開口部が四角形のパネルでそれぞれ閉塞され、止水板2は構成される。また、フレームとパネルとで囲われた内部の空間に充填剤を充填することで、止水板2は、軽量で剛性の高いものとなる。止水板2の全体の比重は、例えば、水の比重よりも小さく設定されうる。これにより、止水板2の運搬や、取り付け、取り外し等を、より容易に行うことができる。
【0026】
止水板2は、建物開口101のうち少なくとも下方の領域を覆う。止水板2は、建物開口101に隣接した床面102上に重ねられて起立するとともに、後述するスペーサ部材10に屋外側から重ねられる。このように、止水板2が建物開口101の下方の領域を覆った状態で、止水板2と床面102との間、および止水板2のY方向の両端部とスペーサ部材10との間がシールされることにより、建物開口101を介した屋内側への雨水等の水の浸入が、防止される。
【0027】
止水板2の屋内側の面におけるY方向の両端部には、止水ゴム4(
図1,2参照)が設けられている。止水ゴム4は、Y方向に所定の幅を有し、Z方向に細長く延びた帯板状に構成されている。止水ゴム4は、止水板2が建物開口101に設置された状態で、スペーサ部材10と止水板2との間に介在する。
【0028】
止水ゴム4は、スペーサ部材10と止水板2との間に挟まれることで、X方向に弾性的に圧縮され、面圧を生じる。この面圧によって、スペーサ部材10と止水板2との間から屋内側に水が浸入するのが抑制される。止水ゴム4は、柔軟性や、可撓性、弾性を有する材料、例えばゴムや、エラストマ、柔軟性樹脂等で構成されている。止水ゴム4は、第二シール部材の一例である。
【0029】
また、止水板2の下端部には、止水ゴム5(
図2参照)が設けられている。止水ゴム5は、X方向に所定の幅を有し、Y方向に細長く延びた帯板状に構成されている。止水ゴム5は、止水板2が建物開口101に設置された状態で、床面102と止水板2との間に介在する。
【0030】
止水ゴム5は、床面102と止水板2との間に挟まれることで、Z方向に弾性的に圧縮され、面圧を生じる。この面圧によって、床面102と止水板2との間から屋内側に水が浸入するのが抑制される。止水ゴム5は、例えば、止水ゴム4と同様の材料によって構成されてもよいし、他の材料で構成されてもよい。止水ゴム5は、第三シール部材の一例である。
【0031】
保持機構3は、止水板2のY方向の両端部(
図1参照)に設けられている。保持機構3の一端部は止水板2の上端部に取り付けられ、他端部は後述するスペーサ部材10に取り付けられている。保持機構3は、止水板2の設置時にスペーサ部材10に対して止水板2を屋内側かつ床面102側に押し付けた状態で保持する機能を有している。なお、保持機構3の構成は、従来と同じである。
【0032】
次に、スペーサ部材10についてより詳しく説明する。
図3は、スペーサ部材10の断面図であり、
図4は、スペーサ部材10の側面図である。
図3,4に示されるように、スペーサ部材10は、例えば、第一部材11と、第二部材12と、を有している。第一部材11は、外壁103および基礎104のそれぞれの屋外側の壁面103a,104aに固定され、第二部材12は、第一部材11に屋外側から固定される。
【0033】
第一部材11は、例えば、Z方向の視線(
図3参照)では、屋外側に向けて開放された略U字状に構成されている。第一部材11は、底壁11aと、一対の側壁11bと、を有している。底壁11aは、壁面103a,104aに沿って延びた長方形状の板状に構成されている。
【0034】
底壁11aには、壁面103a,104aに固定されたアンカーボルト13(
図1参照)が貫通する複数の貫通孔11dが設けられている。複数の貫通孔11dは、Z方向に互いに間隔をあけて並んでいる。第一部材11は、底壁11aをX方向に貫通するアンカーボルト13にナット15が締結されることによって、壁面103a,104aに着脱可能に固定される。
【0035】
一対の側壁11bは、底壁11aのY方向の両端部から屋外側、すなわちX方向に突出している。一対の側壁11bは、第二部材12の後述する横壁12bの内側に挿入される(
図1参照)。
【0036】
一対の側壁11bには、第一部材11と第二部材12とを固定する結合具が貫通する複数の開口部11c,11eが設けられている。複数の開口部11c,11eは、Z方向に互いに間隔をあけて並んでいる。第二部材12は、例えば、横壁12bおよび一対の側壁11bをY方向に貫通する不図示のボルトにナットが締結されること等によって、第一部材11に着脱可能に固定される。
【0037】
また、開口部11cは、例えば、Y方向の視線(
図4参照)では、X方向に横長に延びた長穴状に構成されている。本実施形態では、このような長穴状の開口部11cを利用することにより、第二部材12が第一部材11に対してX方向の取付位置を調整可能に構成されている。長穴状の開口部11cは、例えば、仮固定用(位置調整用)の取付穴として機能し、丸穴状の開口部11eは、例えば、本固定用の取付穴として機能する。
【0038】
また、第一部材11は、例えば、複数の部品(分割体)の組み合わせによって構成されている。本実施形態では、第一部材11は、外壁103の壁面103aに沿って延びた部品と、基礎104の壁面104aに沿って延びた部品と、壁面103aと壁面104aとの間の段差部105に沿って延びた部品と、の三つの部品を有している。なお、第一部材11の部品の数は、三つには限定されず、例えば、一つや、二つ等であってもよい。
【0039】
また、第一部材11の下端部には、止水ゴム8が設けられている。止水ゴム8は、床面102と第一部材11との間に挟まれることで、Z方向に弾性的に圧縮され、面圧を生じる。この面圧によって、床面102と第一部材11との間から屋内側に水が浸入するのが抑制される。止水ゴム8は、例えば、止水ゴム4,5と同様の材料によって構成されてもよいし、他の材料で構成されてもよい。止水ゴム8は、第四シール部材の一例である。
【0040】
第二部材12は、例えば、Z方向の視線(
図3参照)では、屋内側、すなわち第一部材11に向けて開放された略U字状に構成されている。第二部材12は、取付壁12aと、一対の横壁12bと、を有している。取付壁12aは、止水板2に沿って延びた長方形状の板状に構成されている。
【0041】
ここで、本実施形態では、取付壁12aは、止水板2のZ方向の高さよりも大きな平坦状の取付面12a1を有している。本実施形態では、このような取付面12a1によって、止水板2が所期の止水性能を確保した状態、すなわち止水板2のY方向の両端部(止水ゴム4)をZ方向の全長に亘って取付面12a1に押し付けた状態で設置可能に構成されている。取付面12a1は、前面や、対向面等とも称される。
【0042】
一対の横壁12bは、取付壁12aのY方向の両端部から屋内側、すなわち第一部材11側に突出している。一対の横壁12bは、第一部材11の上述した側壁11bの外側に重ねられる(
図1,2参照)。一対の横壁12bには、上述した第一部材11と第二部材とを固定する結合具がY方向に貫通する複数の貫通孔12d,12eが設けられている。貫通孔12dは、長穴状の開口部11cに対応し、貫通孔12eは、丸穴状の開口部11eに対応する。
【0043】
また、一対の横壁12bには、それぞれ止水ゴム6(
図2参照)を保持するポケット部12cが設けられている。一対のポケット部12cは、横壁12bの外面12b1から互いに近づく方向、すなわちY方向の中央側に向けて凹んでいる。ポケット部12cのY方向の深さは、止水ゴム6のY方向の厚さと略同じである。
【0044】
止水ゴム6は、X方向に所定の幅を有し、Z方向に細長く延びた帯板状に構成されている。止水ゴム6は、例えば、ポケット部12cに貼り付け等によって固定されうる。止水ゴム6は、ポケット部12cに取り付けられた状態では、貫通孔12dを外側から覆うとともに、横壁12bと壁面103a,104aとの間に介在する。
【0045】
止水ゴム6は、横壁12bと壁面103a,104aとの間に挟まれることで、X方向に弾性的に圧縮され、面圧を生じる。この面圧によって、横壁12bと壁面103a,104aとの間から屋内側に水が浸入するのが抑制される。止水ゴム6は、例えば、止水ゴム4,5と同様の材料によって構成されてもよいし、他の材料で構成されてもよい。止水ゴム6は、第一シール部材の一例である。
【0046】
また、一対の横壁12bには、例えば、外壁103および基礎104のうち凹状の一方(本実施形態では、基礎104)に対応して屋内側に突出した突出部12b2が設けられている。突出部12b2は、横壁12bのベース部分と凹状の一方(基礎104)の壁面104aとの間に介在する。
【0047】
したがって、本実施形態では、第二部材12が第一部材11に取り付けられた状態では、突出部12b2によって取付壁12aと段差部105(基礎104)との間の隙間S(
図2参照)をY方向両側から覆うことができる。また、横壁12bのベース部分によって取付壁12aと外壁103との間の隙間をY方向両側から覆うことができる。さらに、本実施形態では、横壁12bは、ポケット部12cに取り付けられる止水ゴム6によってY方向両側から覆われる。
【0048】
また、横壁12bのベース部分の内側には、補強用のアングル材14(
図3参照)が固定されている。アングル材14は、例えば、Z方向に向けて開放された略U字状に構成されている。アングル材14は、横壁12bに沿ってX方向に延びている。本実施形態では、このようなアングル材14によって、第二部材12の止水板2や水圧に対するX方向の剛性や強度が高められている。
【0049】
また、第二部材12の下端部12fには、止水ゴム7が設けられている。止水ゴム7は、床面102と第二部材12との間に挟まれることで、Z方向に弾性的に圧縮され、面圧を生じる。この面圧によって、床面102と第二部材12との間から屋内側に水が浸入するのが抑制される。止水ゴム7は、例えば、止水ゴム4,5と同様の材料によって構成されてもよいし、他の材料で構成されてもよい。止水ゴム8は、第五シール部材の一例である。
【0050】
次に、スペーサ部材10の設置方法の一例について説明する。まず、建物100の外壁103および基礎104に第一部材11を固定する(S1)。具体的には、外壁103および基礎104の屋外側の壁面103a,104aにアンカーボルト13を固定し、当該アンカーボルト13に第一部材11の貫通孔11dを挿入して位置決めする。そして、第一部材11の内側からアンカーボルト13にナット15を締結することによって、壁面103a,104aに第一部材11を固定する。
【0051】
次に、第一部材11に対して第二部材12を固定する(S2)。具体的には、第二部材12の内側に第一部材11を挿入し、横壁12bの貫通孔12d,12eと側壁11bの開口部11c,11eとを位置合わせする。そして、例えば、貫通孔12dおよび開口部11cにボルトを挿入し、当該ボルトにナットを締結することによって、第一部材11に第二部材12を仮固定することができる。
【0052】
また、この時、側壁11bに設けられた開口部11cによって、第二部材12の第一部材11に対するX方向の取付位置(固定位置)を調整することにより、段差部105のX方向の深さが異なる複数の建物100に対応することができる。そして、最後に、例えば、貫通孔12eおよび開口部11eにテスクねじを締結することによって、第一部材11に第二部材12を本固定することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態では、例えば、スペーサ部材10は、外壁103および基礎104のうち少なくとも一方の屋外側の壁面103a,104aに固定された第一部材11と、第一部材11の屋外側に位置され止水板2と面する平坦状の取付壁12aと、取付壁12aから第一部材11に向けて延び取付壁12aと段差部105との間の隙間SをY方向(幅方向)から覆った状態で第一部材11に固定された横壁12bと、を有した第二部材12と、を備える。
【0054】
このような構成によれば、例えば、第一部材11および第二部材12によって、建物100に段差部105が設けられた場合にも止水板2を所期の止水性能を確保した状態、すなわち止水板2と段差部105との間に隙間Sが空かない状態で設置することのできるスペーサ部材10が得られうる。
【0055】
また、本実施形態では、例えば、第二部材12の横壁12bには、壁面103a,104aとの間をシールする止水ゴム6(第一シール部材)を保持するポケット部12cが設けられている。
【0056】
このような構成によれば、例えば、ポケット部12cによって止水ゴム6を保持することができ、ひいては止水ゴム6によって横壁12bと壁面103a,104aとの間から建物開口101側に水が浸入するのを抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、例えば、横壁12bは、第二部材12のY方向(幅方向)両側に設けられており、ポケット部12cは、横壁12bのそれぞれに設けられている。
【0058】
このような構成によれば、例えば、一対のポケット部12cひいては止水ゴム6によって横壁12bと壁面103a,104aとの間から建物開口101へと向かう水を二重に堰き止めることができるため、止水性能がより高まりやすい。
【0059】
また、本実施形態では、例えば、第二部材12は、第一部材11に対してX方向(屋内外方向)の取付位置を調整可能に設けられている。
【0060】
このような構成によれば、例えば、段差部105のX方向の深さが異なる複数の建物100に対応しやすいスペーサ部材10が得られうる。また、例えば、スペーサ部材10の設置時に止水ゴム6を壁面103a,104a側に押し付けやすくなり、ひいては止水ゴム6による止水性能がより高まりやすい。
【0061】
また、本実施形態では、例えば、止水装置1は、スペーサ部材10と、建物開口101を屋外側から覆う止水板2と、止水板2とスペーサ部材10との間をシールする止水ゴム4(第二シール部材)と、止水板2と建物開口101に隣接した床面102との間をシールする止水ゴム5(第三シール部材)と、を備えている。
【0062】
このような構成によれば、例えば、スペーサ部材10によって、建物100に段差部105が設けられた場合にも止水板2を所期の止水性能を確保した状態で設置することのできる止水装置1が得られうる。
【0063】
[変形例]
図5は、変形例のスペーサ部材10Aの側面図である。スペーサ部材10Aは、上記実施形態のスペーサ部材10と同様の構成を備えている。よって、スペーサ部材10Aは、当該同様の構成に基づく上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0064】
ただし、本変形例では、例えば、
図5に示されるように、第二部材12に外壁103および基礎104のうち凹状の外壁103に対応して突出部12b2が設けられている点が、上記実施形態と相違している。突出部12b2は、横壁12bのベース部分と凹状の外壁103の壁面103aとの間に介在する。
【0065】
したがって、本変形例によれば、第二部材12が第一部材11に取り付けられた状態では、突出部12b2によって取付壁12aと段差部105A(外壁103)との間の隙間SをY方向両側から覆うことができる。また、横壁12bのベース部分によって取付壁12aと基礎104との間の隙間をY方向両側から覆うことができる。さらに、横壁12bは、ポケット部12cに取り付けられる止水ゴム6によってY方向両側から覆われる。
【0066】
このように、本変形例によっても、スペーサ部材10Aによって、建物100に段差部105Aが設けられた場合にも止水板2を所期の止水性能を確保した状態で設置することのできる止水装置1が得られうる。
【0067】
以上、本発明の実施形態および変形例が例示されたが、上記実施形態および変形例は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…止水装置
2…止水板
4…止水ゴム(第二シール部材)
5…止水ゴム(第三シール部材)
6…止水ゴム(第一シール部材)
10,10A…スペーサ部材
11…第一部材
12…第二部材
12a…取付壁
12b…横壁
12c…ポケット部
100…建物
101…建物開口
102…床面
103…外壁
103a…壁面
104…基礎
104a…壁面
105…段差部
S…隙間
X…屋内外方向
Y…幅方向