(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051636
(43)【公開日】2022-04-01
(54)【発明の名称】注射器を取り扱うための装置及び注射器を取り扱うための上記装置を備える静脈内薬剤を調製するための自動装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20220325BHJP
A61J 1/20 20060101ALN20220325BHJP
【FI】
A61M5/32 500
A61J1/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020185006
(22)【出願日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】17/028,140
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) 54th ASHP Midyear Clinical Meeting & Exhibitionにて頒布したパンフレット (2) 54th ASHP Midyear Clinical Meeting & Exhibitionにおける「キロ・オンコロジー機械」のデモンストレーション日程表 (3) 54th ASHP Midyear Clinical Meeting & Exhibitionにおける「キロ・オンコロジー機械」のデモンストレーションの様子を示す写真
(71)【出願人】
【識別番号】520433377
【氏名又は名称】キロ・グライフォルス・エセ・エレ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ナヘラ・テジェリア・ガライ
(72)【発明者】
【氏名】アシエル・リサルリトゥリ・マルティアレーナ
(72)【発明者】
【氏名】パチ・ウルトセライ・アランバルリ
【テーマコード(参考)】
4C047
4C066
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047AA27
4C047CC04
4C047HH03
4C047HH07
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066NN04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生産性及び信頼性を増加させた注射器を取り扱うための装置を提供すること。
【解決手段】注射器を取り扱うための装置であって、注射器はキャップによって被覆された針を備え、装置は主本体を備え、針のキャップのための収納部を備えるキャップ支持体であって、収納部が線形移動を用いて、針をキャップから取り外す及び/または針をキャップ内に挿入する間にキャップを保持するように構成されているキャップ支持体と、回転を用いてキャップ及び針を注射器から一緒に取り外すための装置であって、互いに間隔を開けた2つの平行な面を画成しかつ注射器のキャップと寸法的に干渉するように構成されたスロットを備える装置と、キャップを用いて注射器を閉鎖するための装置であって、装置がキャップのための支持体を固定するための突起を備え、支持体が交換可能であり、突起及びキャップの収納部の形状と一致する形状を有する凹所を備える、装置である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器を取り扱うための装置であって、
前記注射器が、キャップによって被覆される針を備え、
当該装置が、主本体を備え、
前記主本体が、
-前記針の前記キャップのための収納部を備え、前記収納部が線形移動を用いて前記針を前記キャップから取り外すかつ/または前記針を前記キャップ内に挿入する間に前記キャップを保持するように構成された、キャップ支持体と、
-回転を用いて前記キャップ及び前記針を前記注射器から一緒に取り外すための装置であって、互いに間隔をあけて2つの平行面を画成し前記注射器の前記キャップと寸法的に干渉するように構成されたスロットを備える、装置と、
-閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップを用いて前記注射器を閉鎖するための少なくとも1つの装置であって、当該装置が、前記CSTDすなわちキャップのための支持体を固定するための突起を備え、前記支持体が、交換可能であり、凹所を備え、前記凹所が、前記突起及び前記CSTDすなわち前記キャップの形状に一致する形状を有する、装置と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記キャップ及び前記針を前記注射器から一緒に取り外すための前記装置が、長手方向軸を画成し、前記長手方向軸回りに回転できることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スロットが、前記キャップ及び前記針を一緒に取り外すための前記装置の前記長手方向軸に対して垂直であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記キャップ及び前記針を前記注射器から一緒に取り外すための前記装置が、弾性素子を用いて当該装置の前記主本体に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記キャップ支持体が、前記キャップのための前記収納部に対して垂直に配設されかつ前記キャップのフランジを受けるように構成された第2スロットを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記キャップのための前記収納部が、前記キャップと寸法的に干渉するように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記キャップ支持体が、前記キャップの存在を検出するためのセンサを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記センサが、光電セルであることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記キャップ支持体が、弾性素子を用いて当該装置の前記主本体に接続されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記注射器を閉鎖するための前記装置の前記突起が、前記閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわち前記キャップのための前記支持体の少なくとも1つの保持素子を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記突起が、2つの対向する面を備え、前記面それぞれが、前記閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわち前記キャップのための前記支持体を保持するための少なくとも1つの素子を備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記保持素子が、弾性素子を用いて前記突起に接続された球面または半球面を備えることを特徴とする請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記注射器を閉鎖するための少なくとも1つの前記装置が、長手方向軸を画成し、前記長手方向軸回りに回転できることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記針及び前記キャップを前記注射器から取り外したことを検証するためのセンサを備えることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記注射器に前記キャップすなわち前記閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)が存在することを検証するためのセンサを備えることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップのためのかつ請求項1から15のいずれか1項に記載の装置で使用するための支持体であって、
第1部品及び第2部品を有する本体を備え、
前記第1及び第2部品双方が、互いに接続されており、
前記第1部品が、注射器を閉鎖するための装置の突起の形状に一致する形状を有する凹所を備え、
前記第2部品が、前記閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわち前記キャップのための収納部を備えることを特徴とする支持体。
【請求項17】
前記第1及び第2部品が、少なくとも1つの弾性素子によって互いに接続されていることを特徴とする請求項16に記載の支持体。
【請求項18】
請求項1から15のいずれか1項に記載の装置と、請求項16または17に記載の閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップのための少なくとも1つの支持体と、を備えることを特徴とする組合体。
【請求項19】
注射器を取り扱うためのシステムであって、
請求項1から15のいずれか1項に記載の装置と、
前記針を前記キャップから取り外すかつ/または前記針を前記キャップ内に挿入する間に前記注射器を少なくとも取り扱い、前記キャップ及び前記針を一緒に取り外す間に前記注射器を取り扱い、閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわち前記キャップを用いて前記注射器を閉鎖している間に前記注射器を取り扱うように構成されたロボット腕体と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項20】
静脈内薬剤を調製するための自動装置であって、
請求項1から15のいずれか1項に記載の装置を備えることを特徴とする自動装置。
【請求項21】
静脈内薬剤を調製するための自動装置であって、
請求項19に記載のシステムを備えることを特徴とする自動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射器を取り扱うための装置、閉鎖系薬剤移注装置のための支持体すなわち注射器を取り扱うための上記装置で使用するためのキャップ、注射器を取り扱うための上記装置及び閉鎖系薬剤移注装置のための少なくとも1つの支持体すなわちキャップを備える組合体、注射器を取り扱うためのシステム、注射器を取り扱うための上記装置を備える静脈内薬剤を調製するための自動装置、注射器を取り扱うための上記システムを備える静脈内薬剤を調製するための自動装置、並びに、注射器を取り扱うための方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静脈内薬剤は、適切な技能資格者によって手作業で調製されていた。しかしながら、近年、自動装置は、可能性のある投与エラーを低減することなどによって患者の安全を増加させる目的で、かつ、このタイプの装置が健康に有害であり得る物質へ人員がさらされることを著しく低減するまたは消滅させるので、上記薬剤を調製することに関与している人の安全を増加させる目的で、静脈内薬剤を調製するために浮上している。
【0003】
静脈内薬剤を自動的に調製するための装置は、例えば、特許文献1から特許文献3に開示されている。
【0004】
静脈内薬剤を調製するための自動装置で調製された薬剤は、通常、特有の量の様々なベース製品の混合物であり、多くの場合において、いったん上記薬剤を調製したら、薬剤は、薬剤を収容するように構成された容器内にパッケージされる。ベース製品は、通常、バイアル内に保管されており、このバイアルから、必要な薬剤を調製するために特有の量を抽出する。必要なベース製品を収容するバイアルまたは容器は、通常、装置内に位置しており、上記装置は、上記バイアルまたは容器を特有の順番で取り扱うことによって、必要な薬剤を調製するようにこれらバイアルまたは容器を取り扱う。
【0005】
しばしば、必要な薬剤は、注射器内に保管されている。これら注射器は、後に、資格を有する医療関係者によって使用され、薬剤を対応する患者へ投与する。他の理由の中で特に、注射器内に収容されている薬剤の損失を回避するため、かつ、その薬剤の滅菌性を保証するため、キャップなどを使用して注射器を閉鎖することが賢明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願第2535034号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第2624802号明細書
【特許文献3】欧州特許出願第2952171号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、注射器の閉鎖は、例えばルアーロック型のキャップを用いて行われていた。注射器を閉鎖するためにキャップを使用することが非常に良い結果であるが、例えば、針を配置することによって薬剤を患者に送達し得る前にキャップを取り外す必要があるという欠点を有する。例を用いて続けると、キャップを取り外すステップ及び針を配置するステップの処理中に、注射器内に入っている液体を損失するまたはガスや蒸気などを解放してしまう危険性がある。他の利点の中で特に、上記危険性を限定するまたは排除する目的で、閉鎖系薬剤移注装置として公知のもの(以下、CSTD)が出現し、このCSTDは、汚染がシステム内に入ること、物質が漏洩することすなわち損失すること、または、物質の蒸気がシステムから外へ出ること、を機械的に防止する。
【0008】
現在市場で入手可能である様々なタイプのCSTD(Phaseal(登録商標)、Chemolock(登録商標)、Onguard(登録商標)、Tevadaptor(登録商標)、Equashield(登録商標))のうちの1つを用いて注射器を閉鎖することにより、従来のキャップにおける上述した欠点を回避できる。しかしながら、いくつかのタイプのCSTDがあるとすると、これらCSTDそれぞれは、他のCSTDとは異なる形状及び特性を有しており、自動及び/またはロボットシステムでCSTDを使用することは、同様に、特に1を越えるタイプのCSTDを使用する必要がある場合において、複雑であるという欠点を有する。
【0009】
静脈内薬剤を調製するための自動システムにおける薬剤調製は、しばしば、一の容器から別の容器へ流体を移注することを必要とする。この動作は、1以上の容器から液体を導入するかつ/または取り外すために、それら対応する針が備え付けられた注射器を使用することによって行われ得る、または行われなければならない。しかしながら、薬物調製の特有の段階において必要である可能性があるにもかかわらず、針は、同様に、他の構成部材、容器などを偶発的に穿刺するまたは引き裂く危険性を有する。この理由のため、静脈内薬剤を調製するための自動装置に関する特に有利な点は、針をその対応する注射器から連結解除し、また、注射針を通常保護するキャップを挿入できる点、であり、これにより、装置の自由度及び動作安全性を増加させる。針を保護するキャップが存在することにより、他の容器または自動静脈内薬剤調製装置の素子を偶発的に引き裂いたり穿刺したりする、とりわけ容器または装置を取り扱うことに関与する操作者を穿刺する危険性を排除しており、これは、自身を穿刺する危険性に加えて針を汚染し得ることを考慮に入れる必要があるためである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、装置を提供することであり、この装置は、注射針をキャップしキャップ取外すること、すなわち、針キャップを取り外すこと及び挿入すること、並びに、針を注射器から取り外すことすなわち連結解除すること、を可能とし、そして、上記注射器を閉鎖することを可能とし、従来公知の装置の生産性及び信頼性を増加させる。同様に、本発明のさらなる目的は、上述に加え、同様に、注射器を閉鎖するための様々なタイプのCSTDを使用することを可能とする装置を提供すること、である。このために、本発明は、注射器を取り扱うための装置を開示しており、上記注射器は、キャップによって覆われる針を備え、上記装置は、主本体を備え、そして、この主本体は、
-針のキャップのための収納部を備えるキャップ支持体であって、上記収納部が、線形移動を用いて、針をキャップから取り出す及び針をキャップ内に挿入する間に上記キャップを保持するように構成された、キャップ支持体と、
-回転を用いてキャップ及び針を注射器から一緒に取り外すための装置であって、互いに間隔を開けた2つの平行面を画成しかつ注射器のキャップと寸法的に干渉するように構成されたスロットを備える、装置と、
-閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップを用いて注射器を閉鎖するための少なくとも1つの装置であって、上記装置が、上記CSTDすなわちキャップのための支持体を固定するための突起を備え、上記支持体が、交換可能であり、上記突起及び上記CSTDすなわちキャップの収納部の形状と一致する形状を有する凹所を備える、装置と、
を備える。
【0011】
注射器を取り扱うための上記装置は、静脈内薬剤を調製するための自動装置において好ましくは使用されるように構成されている。しかしながら、上記装置は、同様に、他のタイプの装置やシステムなどで使用されるように構成され得る。
【0012】
有利には、キャップ及び針を注射器から一緒に取り外すための装置は、長手方向軸を画成し、この長手方向軸回りに回転できる。あるいは、キャップ及び針を注射器から一緒に取り外すための上記装置は、回転する能力がなくでもよく、この場合において、注射器は、注射器のキャップ及び針と共に、キャップ及び針を一緒に取り外すための上記装置に対して回転するべきである。
【0013】
好ましい形態において、上記スロットは、キャップ及び針を一緒に取り外すための上記装置の長手方向軸に対して垂直である。
【0014】
有利な形態において、キャップ及び針を注射器から一緒に取り外すための上記装置は、弾性素子を用いて、装置の主本体に接続されている。好ましくは、上記弾性素子は、少なくとも1つのバネを備える。
【0015】
好ましくは、キャップ支持体は、キャップ収納部に対して垂直に配設されかつキャップのフランジを受けるように構成された第2スロットを備える。
【0016】
好ましい形態において、上記キャップ収納部は、上記キャップと寸法的に干渉するように構成されている。
【0017】
上記第2スロット及びキャップとキャップ収納部との間の寸法的干渉は、相補的なまたは代替の特性であり得る。
【0018】
有利には、キャップ支持体は、上記キャップが存在することを検出するためのセンサを備える。他の利点の中で特に、上記センサにより、針を取り外した後にキャップが支持体内にあるままであることを検証すること、針をキャップ内に再び挿入した後にキャップが支持体から外へ出たことを検証すること、及び/または、キャップ支持体の収納部が空でありしたがって針キャップを取り外すことを開始する準備が整っていることを確認すること、が可能となる。好ましくは、上記センサは、光電セルである。
【0019】
有利には、上記キャップ支持体は、弾性素子を用いて装置の主本体に接続されている。好ましくは、上記弾性素子は、少なくとも1つのバネを備える。
【0020】
有利には、注射器を閉鎖するための装置の突起は、閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップのための支持体における少なくとも1つの保持素子を備える。好ましくは、上記突起は、2つの対向面を備え、面それぞれは、閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップのための支持体における少なくとも1つの保持素子を備える。好ましくは、上記保持素子は、弾性素子を用いて上記突起に接続された球状部または半球状部を備える。有利には、上記弾性素子は、バネを備える。
【0021】
有利には、注射器を閉鎖するための少なくとも1つの装置は、長手方向軸を画成し、この長手方向軸回りに回転する能力を有する。あるいは、注射器を閉鎖するための上記装置には、回転する能力なくてもよく、この場合において、注射器自体を閉鎖するために、注射器は、上記装置に対して回転すべきである。
【0022】
好ましくは、注射器を取り扱うための装置は、針及びキャップを注射器から取り外したことを検証するためのセンサを備える。
【0023】
有利には、注射器を取り扱うための装置は、キャップすなわち閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)が注射器にあることを検証するためのセンサを備える。
【0024】
有利には、注射器を取り扱うための装置は、モータを備え、このモータは、伝動ベルトを用いて、注射器を閉鎖するための少なくとも1つの装置とキャップ及び針を一緒に取り外すための装置とを駆動する。あるいは、注射器を取り扱うための装置は、例えば、注射器を閉鎖するための装置それぞれモータ並びに/またはキャップ及び針を一緒に取り外すための装置のためのモータを備え得る。
【0025】
本発明の別の態様によれば、閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップのためのかつ注射器を取り扱うための装置で使用するための支持体を同様に提供し、上記支持体は、第1及び第2部品を有する本体を備え、両部品は、互いに接続されており、第1部品は、注射器を閉鎖するための装置における突起の形状と一致する形状を有する凹所を備え、第2部品は、閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップのための収納部を備える。
【0026】
好ましくは、上記支持体の第1及び第2部品は、少なくとも1つの弾性素子によって互いに接続されている。有利には、上記弾性素子は、バネを備える。
【0027】
本発明の別の態様によれば、上述した注射器を取り扱うための装置と上述した閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップのための少なくとも1つの支持体とを備える組合体を同様に提供する。
【0028】
本発明の別の態様によれば、注射器取扱システムを同様に提供し、この注射器取扱システムは、上述した注射器取扱装置と、ロボット腕体と、を備え、このロボット腕体は、針をキャップから取り外すかつ/または針をキャップ内に挿入する間に注射器を取り扱うように、キャップ及び針を一緒に取り外す間に注射器を取り扱うように、かつ、閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップ用いてキャップを閉鎖している間に注射器を取り扱うように、少なくとも構成されている。
【0029】
本発明の別の態様によれば、静脈内薬剤を調製するための自動装置を同様に提供し、この自動装置は、上述した注射器を取り扱うための装置を備える。
【0030】
本発明の別の態様によれば、静脈内薬剤を調製するための自動装置は、同様に提供され、この自動装置は、上述した注射器を取り扱うためのシステムを備える。
【0031】
本発明の別の態様によれば、針及び針のキャップを備える注射器を取り扱うための方法が同様に提供され、上記方法は、以下のステップ:
-キャップをキャップ支持体の収納部内に導入するステップであって、キャップがキャップの対応する針に接続され、そして、この針が、対応する注射器に接続されており、上記収納部が、線形移動を用いて針を取り外すかつ/または針を挿入する間に上記キャップを保持するように構成されている、ステップ、
-注射器及び注射器の針の線形変位を用いて針を針のキャップから取り外すステップ、
-注射器及び注射器の針の線形変位を用いてキャップ支持体の収納部内に位置するキャップ内へ針を導入するステップ、
-針及び注射器と共にキャップをキャップ支持体から取り外すステップ、
-キャップ及び針を一緒に取り外すための装置のスロット内へキャップ及びキャップの注射器を導入するステップ、
-キャップとキャップ及び針を一緒に取り外すための装置の上記スロットとの間の相対回転を用いて、キャップ及び注射器を一緒に取り外すステップ、及び、
-注射器と注射器を閉鎖するための装置内に収容されている閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップとの間の相対回転を用いて、注射器を閉鎖するステップ、
を有する。
【0032】
好ましくは、上記方法は、線形移動を用いて針を取り外した後に、センサを用いてキャップがキャップの収納部内に存在することを検証するステップを備える。
【0033】
有利には、上記方法は、センサを用いてキャップ及び注射器を一緒に取り外したことを検証するステップを備える。
【0034】
好ましくは、上記方法は、上記注射器に閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップが存在することを検出するためのセンサを用いて注射器を閉鎖していることを検証するステップを備える。
【0035】
好ましくは、注射器内に薬剤を計量することは、針を針のキャップから取り外した後かつ上記針を上記キャップに挿入する前に行われる。しかしながら、上記薬剤を計量することは、同様に、本方法の他のステップにおいて行われ得る。
【0036】
本明細書において、方向:水平、垂直、上、下などは、注射器を取り扱うための装置における通常の作業位置にしたがって、すなわち、注射器を取り扱うための上記装置の長手方向軸が地面に対して垂直である状態で、理解される。別の方法で示さない場合において、疑義のある場合において、方向は、本明細書に添付された図面で示すように、様々な要素の位置にしたがって理解される。
【0037】
本発明のより良好な理解を提供するために、例示的であるが非限定的な例として、注射器を取り扱うための例示的な実施形態にかかる装置のいくつかの、閉鎖系薬剤移注装置すなわちキャップの複数の例示的な実施形態にかかる支持体の、及び、静脈内薬剤を調製するための自動装置の、代表的な図面を添付している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明にかかる注射器を取り扱うための例示的な実施形態にかかる装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明にかかる例示的な実施形態の閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)、すなわちキャップを示す斜視図である。
【
図3】本発明にかかる閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)、すなわちキャップのための2つの支持体が備え付けられた
図1の例示的な実施形態を示す斜視図である。
【
図4】
図1の例示的な実施形態にかかるキャップ支持体を示す斜視図である。
【
図5】
図1の例示的な実施形態を用いた注射器からキャップを取り外す処理を示す側面図である。
【
図6】
図1の例示的な実施形態を用いたキャップ内に注射器の針を挿入する処理を示す側面図である。
【
図7】
図1の例示的な実施形態にかかる閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップを用いて注射器を閉鎖するための2つの装置を示す斜視図である。
【
図8】本発明にかかる閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップのための例示的な実施形態にかかる支持体を示す斜視図及び長手方向断面図である。
【
図9】
図1の例示的な実施形態にかかる注射器からキャップ及び針を一緒に取り外すための装置を示す斜視図である。
【
図10】装置の外側筐体を除く
図1の例示的な実施形態にかかる装置を示す後方斜視図である。
【
図11】本発明にかかる静脈内薬剤を調製するための例示的な実施形態にかかる自動装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面において、同一のまたは等価の素子を同一の参照符号で示した。
【0040】
図1は、本発明にかかる注射器を取り扱うための例示的な実施形態にかかる装置の斜視図を示す。この図で示す例示的な実施形態にかかる装置1は、主本体10を備え、この主本体は、主本体の前面にキャップ支持体100と、閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)、すなわちキャップを用いて注射器を閉鎖するための4つの装置210、220、230、240と、注射針及びそのキャップを一緒に取り外すための装置300と、を備える。
【0041】
図示した例示的な実施形態において、キャップ支持体100は、装置1の主本体10の前面における上側部分に位置しており、注射針及びそのキャップを一緒に取り外すための装置300は、上記前面の下側部分に位置し、CSTDすなわちキャップを用いて注射針を閉鎖するための装置210、220、230、240は、これらキャップ支持体100及び装置300の間に位置する。より具体的には、この例示的な実施形態において、装置210、220、230、240は、矩形状に分布している。しかしながら、他の実施形態において、支持体100及び装置210、220、230、240、300の分布は、この図に示す例示的な実施形態における分布と異なっていてもよい。同様に、他の実施形態は、1、2、3、5など、CSTDすなわちキャップを用いて注射器を閉鎖するための異なる数の装置210、220、230、240を有し得る。
【0042】
図示した例示的な実施形態にかかる装置1は、装置の主本体10に接続された腕体20をさらに備え、上記腕体20は、センサ400を備える。上記センサ400は、注射器から針及びキャップを取り外していることを検証し、また、注射器にキャップすなわちCSTDが存在することを検証するように構成されている。他の実施形態において、両機能は、2つの独立したセンサによって、すなわち一のセンサが一の機能のために、行われ得る。上記センサ400のない実施形態は、同様に可能である。この場合では、針の挿入及び取り外しなどの処理を正確に行うと仮定する。
【0043】
図2は、本発明にかかる閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)、すなわちキャップのための複数の支持体の斜視図を示す。支持体510、520、530、540、550それぞれは、異なるキャップすなわちCSTD(Phaseal(登録商標)、Chemolock(登録商標)、Onguard(登録商標)、Tevadaptor(登録商標)、Equashield(登録商標)など)710、720、730、740、750と共に使用されるように構成されている。
【0044】
支持体510、520、530、540、550それぞれは、第1部品511、521、531、541、551及び第2部品512、522、532、542、552を備える。第1部品511、521、531、541、551は、対応する装置210、220、230、240(
図1参照)に固定されるように構成される一方、第2部品512、522、532、542、552は、対応するキャップすなわちCSTD710、720、730、740、750を収容するように構成されている。
【0045】
支持体510、520、530、540、550の部品及び機能を以下で詳述する。
【0046】
図3は、
図1に示す例示的な実施形態にかかる装置の斜視図を示し、この装置は、これら支持体に各別の装置210、220内に配設された2つの支持体520、520’を有する。そして、支持体520、520’それぞれは、対応するキャップすなわちCSTD720、720’を収容する。
図3は、
図1に示す装置1とこの装置の様々な構成部材とを別の視点から示す。
【0047】
図4は、
図1に示す装置1のキャップ支持体100の斜視図を示す。この図は、どのようにキャップ支持体100が注射器(図示略)の針1010のキャップ1020のための収納部110を備えているかを示す。キャップのための上記収納部110は、同様に、主収納部110と称され得る。キャップのための上記収納部110、すなわち主収納部は、針1010のキャップ1020と寸法的に干渉するように寸法付けられ得る。図示した例示的な実施形態において、支持体100は、キャップ1020のための収納部110に対して垂直に配設されかつ針1010の上記キャップ1020のフランジ1021を受けるように構成された第2スロット120を備える。第2スロット120とキャップ1020のフランジ1021との間に形成された干渉により、注射器の軸方向移動を用いて注射器1010を取り外すかつ/または挿入するときに上記キャップ1020が軸方向で変位することを防止する。第2スロット120は、キャップ1020のための収納部110とキャップ1020との間の寸法的な干渉を補完し得る、または、取って代わり得る。例えばキャップ1020のための収納部110とキャップ1020との間の寸法的な干渉が軸方向の変位に対する十分な抵抗を提供する実施形態では、第2スロット120または同様のものが排除され得る。あるいは、第2スロット120が第2スロット自体とキャップ1020、より具体的にはキャップのフランジ1021との間の干渉を提供する実施形態であって軸方向の変位に対する十分な抵抗を提供する実施形態では、線形移動を用いて針1010を取り外すかつ/または挿入する間に、キャップ1020のための支持体100とキャップと1020との間の寸法的な干渉や上記キャップ1020の他のタイプの保持手段がなくてもよい。
【0048】
図示した例示的な実施形態において、キャップ支持体100は、基部140を備え、この基部には、ほぼ円柱状の2つの基部150、151を備える部品が接続される。基部150、151それぞれは、他方と位置合わせされたスロットを備え、キャップ1020のための収納部110を画成する。上記支持体100は、クレードル状の形状を有するとみなされ得る。
【0049】
図示した例示的な実施形態にかかる支持体100は、バネ130(
図5参照)を用いて支持体の基部140を通して装置の主本体10に接続されており、それにより、上記支持体100と上記装置1との間の接続は、硬質ではない。バネ130による接続により、支持体100は、装置1に対して浮遊することが可能となり、このため、他の利点の中で特に、装置の動作中に支持体、すなわちキャップ1020と装置の注射器1010とにかかる力を吸収することを可能とする。他の実施形態において、上記バネ130は、他の適切な弾性手段で置換され得る。
【0050】
図5及び
図6は、
図1に示す装置1を用いて注射器のキャップを取り外す、挿入する処理の側面図または外形図を各別に示す。これら図面は、複数対のバネ130がキャップ1020の支持体100の基部140を装置1の主本体10に接続することを明確に示している。
【0051】
図5は、キャップ1020を注射針1010から取り外す処理を3つのステップA、B、Cで示す。第1ステップAにおいて、キャップ1020及び注射針1010(図示略)は、キャップ1020のための収納部110の頂部に配置されており、収納部110と位置合わせされている。図示した例示的な実施形態において、上記キャップ1020は、キャップが基部140に当接するまで押される。このようにして、キャップ1020のフランジ1021は、図示した例示的な実施形態にかかる装置1の第2のすなわち補助スロット120(
図4参照)と位置合わせされる。
【0052】
いったんキャップ1020ひいては針1010がキャップ1020のための収納部110及び第2スロット120と位置合わせされると、第2ステップBは、上記キャップ1020がキャップ1020のための収納部110に当接するまで、注射器(図示略)を注射器のキャップ1020及び針1010と共に降下させるステップからなる。
【0053】
第2ステップBを完了した後、第3ステップCは、注射器(図示略)及び注射器の針1010を装置1とは反対方向で軸方向に変位させ、それにより、針1010がキャップ1020からであるステップからなる。キャップ1020のフランジ1021と補助スロット120との間の干渉、及び、キャップ1020とキャップ1020のための収納部110との間の可能性のある寸法的干渉に起因して、キャップを変位させることなく針1010をキャップ1020から取り外すことが可能である。
【0054】
いったん針1010をキャップ1020から取り外すと、薬剤を調製するために必要な処理を行い得る。
【0055】
図示した例示的な実施形態において、支持体100は、センサ(図示略)を備え、針キャップ1020が存在することを検証する。このようにして、いくつかのエラーに起因してキャップ1020がキャップの収納部110から出ている場合、警告またはエラー信号を発し得、薬剤調製処理でさえも停止し得る。上記センサが存在する別の利点は、センサによって注射器の針1010が自由であることを保証することが可能であること、すなわち、キャップ1020が支持体100にあるとキャップが針1010を覆うことができず、したがって上記針1010が薬剤調製処理で使用する準備が整っていること、である。
【0056】
図6は、注射器(図示略)の針1010をキャップ1020内に導入する処理である3つのステップAA、BB、CCを示す。
【0057】
注射器(図示略)の針1010を使用する必要がある薬剤を調製するための処理を完了すると、針1010を針のキャップ1020内へ元に戻すことが望ましく、針が損傷することを防止し、静脈内薬剤を調製するための自動装置の内側にある機器または容器を引き裂き、刺し、破断するなどすることを防止し、好ましくは、装置1は、この自動装置内に設置される。同様に望ましいことは、針1010を針のキャップ1020の内側へ元に戻すことであり、使用済みの針1010を廃棄するゴミ袋または廃棄物容器の引裂き及び/または破損を防止し、かつ、使用済みの針1010を廃棄する場合に上記ゴミ袋または容器を空にすることに関与する人員に対するアクシデント(特に刺すこと)を防止する。
【0058】
針1010を針のキャップ1020内に導入するための第1ステップAAは、上記針1010を針のキャップ1020と位置合わせするステップからなる。
【0059】
いったん針1010を針のキャップ1020と位置合わせすると、第2ステップBBは、針をキャップ1020の内側に導入してそれにより上記キャップ1020が針1010の錐状部と寸法的に干渉するなどして両者を接続するまで、針1010を軸方向に移動させるステップからなる。
【0060】
針1010を針のキャップ1020内に導入する処理における第3ステップCCは、注射器、注射器の針1010及び注射器のキャップ1020を支持体100から解放するまで、注射器(図示略)を注射器の針1010及び注射器のキャップ1020と共に注射器の収納部110に沿って上昇させるまたは径方向に変位させるステップからなる。
【0061】
支持体100の基部140を装置1の主本体10に接続するバネ130は、小さな衝撃、過剰な力、位置ズレなどを吸収することを可能とし、これら小さな衝撃、過剰な力、位置ズレなどは、キャップ102を取り外して挿入する処理中に発生し得、緩衝されないまたは吸収されない場合には、針1010、キャップ1020、注射器または支持体100を損傷させ得る。
【0062】
図示した例示的な実施形態において、
図5及び
図6に示すキャップ1020を取り外す及び導入するための処理は、静脈内薬剤を調製するための自動装置のロボット腕体などによって行われる(
図11参照)。しかしながら、これら処理は、同様に、適切な資格を有する操作者によって行われ得る。
【0063】
図示した例示的な実施形態において、注射針1010をキャップ1020内に導入する処理が続く手順は、欧州特許出願公開第3176540号明細書に記載された手順であるが、他の実施形態は、様々な手順に続き得る。
【0064】
図7は、
図1に示す装置1の閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップを用いて注射器を閉鎖するための2つの装置230、240の斜視図を示す。わかるように、図示した例示的な実施形態において、装置230、240は、形状がほぼ円筒状であり、その端部の一方であって装置1に接続されていない一方の端部において、CSTDすなわちキャップ(例えば
図8参照)の凹所の形状に一致する形状を有する突起231、241を備える。図示した例示的な実施形態において、突起231、241の平坦かつ平行な面と支持体の対応する凹所(例えば
図8参照)とにより、装置230、240の回転移動を対応する支持体に効率的に伝達することが可能となり、そして、この対応する支持体は、回転移動を対応するCSTDすなわちキャップへ伝達させることに関与する。装置230、240への支持体の固定を増加させるため、図示した例示的な実施形態において、突起231、241は、保持素子を備える。より具体的には、装置230、240の突起231、241は、バネなどを用いて突起231、241に接続された複数の球状部232、242を備える。上記球状部232は、CSTDすなわちキャップのための対応する支持体の凹所内にある一致する凹所内に嵌るように構成されている。上記球状部232、242は、同様に、半球状であり得る、または、多の適切な形状を有し得る。支持体と装置230、240との間の固定をさらに増加させるために、図示した例示的な実施形態において、突起231、241は、複数の穴部233、243を追加的に備えており、これら穴部は、支持体の対応する凹所に位置する特有の球状部または半球状部がこの凹所に嵌ることを可能とするように構成されている。
【0065】
図8は、本発明にかかる閉鎖系薬剤移注装置(CSTD)すなわちキャップのための例示的な実施形態にかかる支持体の斜視図及び長手方向断面図を示す。図示した例示的な実施形態にかかる支持体550は、第1部品551及び第2部品552を備える。断面図においてわかり得るように、部品551、552双方は、少なくとも1つのバネ553によって接続されている。弾性手段による部品551、552間の上記接続により、第2部品552は、第1部品551に対して浮遊することが可能となり、このため、他の利点の中で特に、支持体550がCSTD750すなわちキャップにまたは第2部品552にかかる過剰な力を吸収できることが可能となる。
【0066】
図示した支持体550は、同様に、一対のネジ554、554’を備えており、これらネジは、支持体550の第1部品551と第2部品552との間の変位を制限し、両部品間の移動を案内する。図示した例示的な実施形態において、部品551、552双方間の移動は、同様に、第1部品551の突起5510と第2部品552における凹所5520との嵌合によって案内される。さらに、一対のネジ554、554’は、同様に、第1部品551の移動を第2部品552に伝達させることを補助し、対応する装置210、220、230、240(例えば
図1参照)は、回転移動を支持体550に伝達させることに関与し、そして、この支持体は、上記回転移動をCSTD750すなわちキャップに伝達させることに関与する。
【0067】
図示した例示的な実施形態において、支持体550、より具体的には支持体の第1部品551は、対応する装置230、240の突起231、241の形状と一致する形状を有する凹所またはスロット555を備える(
図7参照)。このようにして、支持体550は、対応する装置230、240に固定され、上記装置230、240の回転移動を特有のCSTD750すなわちキャップに伝達することができる。図示した例示的な実施形態において、上記回転移動は、上記CSTD750すなわちキャップを対応する注射器へ注射器の閉鎖のために固定するために使用される。
【0068】
わかるように、図示した例示的な実施形態において、CSTD750すなわちキャップは、支持体550の第2部品552に形成された凹所内に収容されており、この凹所は、収容することを意図したCSTD750すなわちキャップの形状と一致する形状を有する。
【0069】
対応するCSTD750すなわちキャップを用いて注射器を閉鎖した後、注射器(図示略)は、センサ400(
図1及び
図3参照)の検出領域に配置され得、注射器にキャップすなわちCSTDが存在することを検証する。センサ400がキャップすなわちCSTDが注射器に存在することを検証すると、上記注射器は、すでに、完了したとみなされ得、対応する操作者に供給され得るまたは後に他の注射器と共に供給するために保管され得る。センサ400がない実施形態において、キャップすなわちCSTDは、支持体510、520、530、540、550及び対応する装置210、220、230、240、250(
図1から
図3参照)によって性格に配置されたと仮定される。
【0070】
図9は、
図1に示す装置1からキャップ及びその針を一緒に取り外すための装置300の斜視図を示す。上記装置300は、2つの平行な面311によって画成されたスロット310を備える。両面311間の間隔すなわち距離は、この間隔すなわち距離によって針1010のキャップ1020が上記面と寸法的に干渉することが可能となるように、なっている。図示した例示的な実施形態において、キャップ1020は、複数の、この場合においてX状に分布する4の外リブ1022を有する。キャップ1020及びそのリブ1022と装置300のスロット310における面311間の間隔とは、キャップ1020の具体的な角度位置においてリブをスロット310内に導入され得、キャップ1020とスロット310との間の相対角度位置を検証した後に、またはキャップ1020が回転したもしくはスロット310が回転したことを検証した後に、上記キャップ1020と上記スロット310とは、寸法的に干渉し、より詳しくは、キャップ1020のリブ1022は、スロット310の面311と寸法的に干渉する。図示した例示的な場合において、装置300は、回転することに関与する。
【0071】
キャップ1020がスロット310と寸法的に干渉しているときに注射器(図示略)を固定位置で保持しつつ装置300が回転し続ける場合、装置300は、キャップ1020及び針1010を注射器(図示略)から連結解除する。装置300がキャップ1020に作用を行うが、キャップ1020は、図示した例示的な実施形態では寸法的干渉によって、針1010の錐状部に接続されており、それにより、キャップ1020にかかる回転は、針が注射器(図示略)から螺合解除すなわち連結解除されるまで、針1010に伝達される。注射器を固定位置で維持するために、好ましくは、腕体で保持することである。図示した例示的な実施形態において、上記腕体は、ロボット腕体(
図11参照)であるが、腕体は、同様に、操作者の腕であり得る。
【0072】
図示した例示的な実施形態において、装置300は、弾性手段を用いて装置1に接続されており、この弾性手段は、注射器、より具体的には注射器のキャップ1020がスロット310に接近してスロット内に挿入する際に、可能性のある位置ズレ、過剰な圧力などを吸収することを可能とする。具体的には、図示した例示的な実施形態において、上記弾性手段は、バネである。
【0073】
キャップ1020及び針1010を対応する注射器(図示略)から取り外した後に、上記注射器は、センサ400の検出領域すなわち検出ゾーンに配置され得、キャップ1020及び針1010が注射器から正確に取り外されたことを検証し、装置210、220、230、240、250及び対応する支持体510、520、530、540、550を用いてキャップすなわちCSTDを用いて閉鎖される準備が整ったことを確認する。
【0074】
キャップ1020及び針1010を取り外した後、両者は、重力によって装置300から廃棄物容器などの中へ落下し得る。他の実施形態において、ロボット腕体(
図10参照)は、例えば、上記キャップ1020及び針1010を装置300から取り外し、これらキャップ及び針を廃棄物容器内へ落下させるように構成され得る。上記ロボット腕体(
図10参照)は、同様に、上記キャップ1020及び針1010を把持し、これらキャップ及び針を装置300から取り外し、これらキャップ及び針を廃棄物容器などの中へ移注するように構成され得る。
【0075】
最終製品または薬物を収容する、すなわち患者への投薬の準備が整っている注射器が続く処理を上述した。しかしながら、注射器取扱装置1は、同様に、移注注射器、すなわちバイアルやバッグ間で物質を移注するために使用されるがユーザすなわち患者への投与を意図していない注射器を取り扱うように機能する。後者の場合において、使用後に、対応するキャップ1020は、例えば
図6に示す手順に続いて、針1010に配置され得、その後、注射器は、対応する廃棄物容器内へ廃棄することによって処分され得る。アクシデント、引き裂くこと、穿刺することなどを回避するため、高く推奨されることは、上記注射器を廃棄する前に注射針を注射針のキャップ内に導入すること、である。
【0076】
図10は、
図1に示す装置1の後方斜視図を示すが、主本体10(
図1参照)を覆う筐体がなく、このため、上記主本体10の内部構造11を見ることができる。装置1のいくつかの素子を上述した図面とは異なる視点から見ることを可能とすることに加え、この図により、モータ600を見ることを可能とし、このモータは、装置210、220、230、240、300を動作させることに関与し、かつ、より詳しくは、これら装置を装置自体の回転軸回りに回転させることに関与する。装置210、220、230、240、300の上記回転は、時計回り及び/または反時計回りであり得る。
【0077】
図示した例示的な実施形態において、単一の電気モータ600は、歯付ベルト伝動装置(図示略)を用いて装置210、220、230、240、300を駆動することに関与する。しかしながら、他の実施形態において、他のタイプの伝動装置によって様々な装置の作動を行い得る。他の実施形態は、同様に、例えば一のモータが装置210、220、230、240、300ののうちの2つの装置のためのような、装置を駆動するための1より多いモータを備えること、または、装置210、220、230、240、300それぞれは、装置自体のモータを備えること、が可能であり、このため、装置210、220、230、240、300の、したがってこれら装置を備える注射器を取り扱うための装置1の動作においてより大きな独立性を実現できる。
【0078】
図11は、本発明にかかる静脈内薬剤を調製するための例示的な実施形態にかかる自動装置の斜視図を示す。わかるように、この図に示す静脈内薬剤を調製するための自動装置2は、2つのロボット腕体2000、2000’を備える。上記ロボット腕体2000、2000’は、静脈内薬剤を調製するために使用される注射器やバイアルなどを取り扱うことに関与する。装置2は、サッシ窓部2001を備え、この窓部により、装置2の作業空間へのアクセスが可能となる。上記窓部2001は、いったん閉じると装置の内側における必要な洗浄度及び滅菌度の状態を維持するように構成されている。さらに、上記窓部2001は、透光性を有する、すなわち透明な材料で形成されており、適切な資格を有する操作者によってこの装置の外側から装置2が行う動作の監視を可能とする。
【0079】
図示した例示的な実施形態において、静脈内薬剤を調製するための自動装置2は、注射器を取り扱うための装置1を備える。ロボット2000、2000’及び装置2の残りの素子の生産性を最大化するために、装置1は、カルーセル2002とサッシ窓部2001との間において(
図11の視点から)左手側の下側領域位に位置している。この位置にあると、ロボット腕体すなわちロボット2000は、上記装置1と相互作用することに関与する。
【0080】
図示した例示的な実施形態において、装置2が動作しておらずかつサッシ窓部2001が開いていると、適切に資格を有する操作者は、カルーセル2002において対応する針及びキャップを有する複数の空の注射器を配置することに関与する。上記注射器は、カルーセル2002内にあるこれら注射器の針及びキャップと共に、後に装置2に供給するように機能し、ロボット腕体2000は、カルーセル2002から対応する注射器を取り外して上記注射器を必要とする作業を開始することに関与する。
【0081】
上述した図面を参照しながら、
図11に示す例示的な実施形態にかかる装置2において、ロボット腕体2000は、
図5及び
図6に示す手順に続いて、キャップ支持体100を用いて、注射器1010からキャップ1020を取り外すかつ/または注射器にキャップを着けることに関与する。装置2によって薬剤を調製した後、ロボット腕体2000は、キャップ1020を針1010に着けることに関与し、後に、キャップ及び針双方を取り外す場合に、キャップ1020及び針1010を注射器から一緒に取り外すために、注射器を注射器の針1010及び注射器のキャップ1020と共に装置300に移注する。このステップの後、ロボット腕体2000は、対応する支持体510、520、530、540、550が備え付けられた装置210、220、230、240のうちの1つを用いてキャップすなわちCSTDで注射器を閉鎖することに関与し、そして、この装置は、特有のキャップすなわちCSTD710、720、730、740、750を収容する。注射器の対応するキャップすなわちCSTD710、720、730、740、750を用いて注射器をすでに正確に閉鎖すると、装置2は、上記注射器を対応する操作者に送ることまたはこの注射器を後に送るために保管すること、を開始し得る。上述のように、注射器が移注注射器、すなわち薬剤を調製するために様々な容器(バイアルやバッグなど)間で流体を移注するために使用される注射器である場合において、上記移注注射器は、針1010を針に対応するキャップ102内に挿入した後に移注注射器を対応する廃棄物容器内に配置することによって捨てられ得る。針の対応するキャップ1020で針をキャップせずに、針1010をかつ/または注射器の針1010と共に注射器を捨てることは、深刻なアクシデント(穿刺や破損など)を引き起こし得る。
【0082】
本発明の実施形態を参照しながら本発明を提示して説明したが、理解することは、これら実施形態が本発明を限定せず、そのため、本説明、特許請求の範囲及び図面で開示されている主題を解釈した後に当業者に明らかであり得る複数の可変の設計詳細または他の詳細が可能であること、である。特に、原則的にかつ明白に述べない限り、図示したかつ/または提案した様々な実施形態及び代替例それぞれの特徴全ては、互いに組み合わせられ得る。このため、全ての変形例及び均等物は、これら変形例及び均等物が以下の特許請求のより広範な範囲内にあるとみなされ得る場合に、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1 注射器取扱装置、2 自動装置、10 主本体、11 内部構造、20 腕体、100 キャップ支持体、102 キャップ、110 主収納部、120 補助スロット,第2スロット、130 バネ、140 基部、150 基部、151 基部、210,220,230,240,250 装置、231,241 突起、232,242 球状部、233,243 穴部、300 装置、310 スロット、311 面、400 センサ、510,520,520’,530,540 支持体、511,521,531,541,551 第1部品、512,522,532,542,552 第2部品、553 バネ、554 ネジ、554’ ネジ、555 スロット、600 電気モータ
【外国語明細書】