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特開2022-51706相互接続された巻線を有する非絶縁パルス幅変調(PWM)フルブリッジ電力コンバータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022051706
(43)【公開日】2022-04-01
(54)【発明の名称】相互接続された巻線を有する非絶縁パルス幅変調(PWM)フルブリッジ電力コンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20220325BHJP
【FI】
H02M3/155 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021151863
(22)【出願日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】63/081,207
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517318779
【氏名又は名称】フレックス,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミーケル エイチ アッペルバリ
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AA15
5H730AS03
5H730BB13
5H730DD04
5H730DD16
5H730FF09
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】非絶縁環境でのトランスおよび整流素子の損失を低減するシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】装置は、トランスの一次巻線とトランスの第1の二次巻線の直列組合せを含む第1の回路経路と、トランスの第2の二次巻線を含む第2の回路経路と、を含む。トランスの一次巻線は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線に磁気的に結合されており、トランスの一次巻線は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線の各々に取り外し可能に結合されている。トランスの一次巻線は、出力電流のうちのトランスの一次巻線から受けるエネルギーに基づく部分を生成するように動作し、トランスの第2の二次巻線は、トランスの第2の二次巻線から受けるエネルギーに基づく出力電流の残りの部分を生成するように動作する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスの一次巻線と前記トランスの第1の二次巻線の直列組合せを含む第1の回路経路と、
前記トランスの第2の二次巻線を含む第2の回路経路と
を備え、
前記トランスの前記一次巻線は、前記トランスの前記第1の二次巻線および前記第2の二次巻線に磁気的に結合されており、
前記トランスの前記一次巻線は、前記トランスの前記第1の二次巻線および前記第2の二次巻線の各々に取り外し可能に結合されており、
前記トランスの前記一次巻線は、出力電流のうちの前記トランスの前記一次巻線から受けるエネルギーに基づく部分を生成するように動作し、
前記トランスの前記第2の二次巻線は、前記トランスの前記第2の二次巻線から受けるエネルギーに基づく前記出力電流の残りの部分を生成するように動作することを特徴とする、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、電圧源からのエネルギーを前記トランスの前記一次巻線へと伝搬するように動作可能な複数のスイッチング素子を更に備えることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記トランスは、前記トランスの前記第1の二次巻線と前記トランスの前記第2の二次巻線の直列接続状態を提供することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であって、前記トランスの前記第1の二次巻線および前記第2の二次巻線は、前記トランスの前記一次巻線に伝搬される前記エネルギーに基づく出力電圧を生成するように動作することを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記出力電圧が、直流(DC)電圧であることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記一次巻線が、フライング式の一次巻線であることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記トランスの前記第1の二次巻線と前記第2の二次巻線との間に接続されたインダクタを更に備えることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、前記出力電流Ioutが、Is=Iout*(1-Ns/(Np+2*Ns))およびIp=Iout*Ns/(Np+2*Ns)として定義される、前記トランスの前記第1の二次巻線または前記第2の二次巻線のいずれかの電流、および前記トランスの前記一次巻線の電流に基づいており、上式で、Nsは、前記トランスの前記第1の二次巻線または前記トランスの前記第2の二次巻線であり、Npは、前記トランスの前記一次巻線であり、Isは、Nsの電流であり、Ipは、Npの電流であることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項4に記載の装置であって、前記出力電圧Voutが、Vout=Vin*D*Ns/(Np+2*Ns)として定義され、上式で、Vinは、入力電圧であり、Dは、デューティサイクルであり、Nsは、前記トランスの前記第1の二次巻線または前記トランスの前記第2の二次巻線であり、Npは、前記トランスの前記一次巻線であることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、前記トランスの前記第1の二次巻線および前記第2の二次巻線に接続された複数のスイッチを更に備えることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、前記一次巻線、前記第1の二次巻線、および前記第2の二次巻線の各々が、同じ巻き数を有することを特徴とする装置。
【請求項12】
システムであって、
電力コンバータであって、
トランスの一次巻線と前記トランスの第1の二次巻線の直列組合せを含む第1の回路経路と、
前記トランスの第2の二次巻線を含む第2の回路経路と、
前記トランスの両側に接続されており、かつ、共通のグランドを介して接続されている第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と
を含み、
前記トランスの前記一次巻線は、前記トランスの前記第1の二次巻線および前記第2の二次巻線に磁気的に結合されており、
前記トランスの前記一次巻線は、前記トランスの前記第1の二次巻線および前記第2の二次巻線の各々に取り外し可能に結合されており、
前記トランスの前記一次巻線は、出力電流のうちの前記トランスの前記一次巻線から受けるエネルギーに基づく部分を生成するように動作し、
前記トランスの前記第2の二次巻線は、前記トランスの前記第2の二次巻線から受けるエネルギーに基づく前記出力電流の残りの部分を生成するように動作する、
電力コンバータと、
前記電力コンバータの出力電圧を調整するべく前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子のスイッチングを制御するように構成されている制御回路機構と
を備えることを特徴とする、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記トランスは、前記トランスの前記第1の二次巻線と前記トランスの前記第2の二次巻線の直列接続状態を提供することを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のシステムであって、前記トランスの前記第1の二次巻線および前記第2の二次巻線は、前記トランスの前記一次巻線に伝搬される前記エネルギーに基づく前記出力電圧を生成するように動作することを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項12に記載のシステムであって、前記出力電圧が、直流(DC)電圧であることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項12に記載のシステムであって、前記一次巻線が、フライング式の一次巻線であることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項12に記載のシステムであって、前記トランスの前記第1の二次巻線と前記第2の二次巻線との間に接続されたインダクタを更に備えることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項12に記載のシステムであって、前記出力電流Ioutが、Is=Iout*(1-Ns/(Np+2*Ns))およびIp=Iout*Ns/(Np+2*Ns)として定義される、前記トランスの前記第1の二次巻線または前記第2の二次巻線のいずれかの電流、および前記トランスの前記一次巻線の電流に基づいており、上式で、Nsは、前記トランスの前記第1の二次巻線または前記トランスの前記第2の二次巻線であり、Npは、前記トランスの前記一次巻線であり、Isは、Nsの電流であり、Ipは、Npの電流であることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項12に記載のシステムであって、前記出力電圧Voutが、Vout=Vin*D*Ns/(Np+2*Ns)として定義され、上式で、Vinは、入力電圧であり、Dは、デューティサイクルであり、Nsは、前記トランスの前記第1の二次巻線または前記トランスの前記第2の二次巻線であり、Npは、前記トランスの前記一次巻線であることを特徴とするシステム。
【請求項20】
トランスの一次巻線と前記トランスの第1の二次巻線の直列組合せを含む第1の回路経路を提供することと、
前記トランスの第2の二次巻線を含む第2の回路経路を提供することと
を含み、
前記トランスの前記一次巻線は、前記トランスの前記第1の二次巻線および前記第2の二次巻線に磁気的に結合されており、
前記トランスの前記一次巻線は、前記トランスの前記第1の二次巻線および前記第2の二次巻線の各々に取り外し可能に結合されており、
前記トランスの前記一次巻線は、出力電流のうちの前記トランスの前記一次巻線から受けるエネルギーに基づく部分を生成するように動作し、
前記トランスの前記第2の二次巻線は、前記トランスの前記第2の二次巻線から受けるエネルギーに基づく前記出力電流の残りの部分を生成するように動作することを特徴とする、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電力コンバータに向けられており、より詳細には、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁パルス幅変調(PWM)フルブリッジ直流(DC)-DC電力コンバータに向けられている。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2020年9月21日に出願され、「NON-ISOLATED PWM FULL BRIDGE CONVERTER」と題された米国仮出願第63/081,207号の米国特許法第119条e項の下での利益および優先権を主張し、同仮出願は、その全ての教示のためにおよびあらゆる目的のために、その全体を本願に引用して援用する。
【0003】
あるレベルのDC電圧を別のレベルのDC電圧に変換し、負荷に電力を送達するために、DC-DC電力コンバータが使用される。そのようなコンバータは通常、電圧コンバータとして一次入力部から二次出力部への電力伝送を実現するトランスを含む。トランスはまた、ほとんどの用途において、一次入力部と二次出力部との間の物理的および電気的分離である、一次入力部と二次出力部との間のガルバニック絶縁を実現する。この絶縁の結果、絶縁回路の各々(例えば、一次入力部および二次出力部)は、それ自体の戻り基準またはグランド基準を有する。従来のトポロジでは、トランスは通常、良好な効率が得られるように一次入力部から二次出力部への高圧変換範囲にとって必要となる。しかしながら、トランスの使用は、多数の一次巻き数および二次巻線における高い交流(AC)成分に起因して、大きな巻線損失をもたらす可能性があり、このことが巻線コストおよびトランスを収容するプリント回路基板のコストを押し上げる。
【0004】
大規模なデータセンタは何十列ものサーバラックを擁し、それらはかなりの量の電力を高いコストで消費する。データセンタでの電力消費の増大は、サーバボードに12ボルトの範囲内の電源電圧を提供する調整型の電力インフラストラクチャから、サーバボードが40~60ボルトの範囲内の電圧によって電力供給される電力インフラストラクチャへの移行を促している。40~60ボルトから12ボルトへの変換はサーバボード上で行われる。この電圧範囲は従来、高品質サーバに割り当てられてきた。
【0005】
低/中品質サーバの市場の大部分において、入ってくる40~60ボルトを調整して12ボルトに変換するサーバボード電力ソリューションの、低コストおよび高効率の要求が高まっている。この目標を達成するために、いくつかの妥協策が行われている。妥協策の1つは、DC-DC電力コンバータの一次入力電圧と二次出力電圧の間の絶縁の除去である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、必要とされているものは、非絶縁環境でのトランスおよび整流素子の損失を低減するシステムおよび方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付した図において、類似の構成要素および/または特徴は、同じ参照ラベルを有し得る。更に、参照ラベルに類似の構成要素同士を区別する文字を続けることによって、同じタイプの様々な構成要素を区別することができる。明細書において第1の参照ラベルだけが使用されていれば、その記載は、第2の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する類似の構成要素のうちのどの1つにも適用可能である。
【0008】
少なくとも1つの例示の実施形態は、装置に向けられている。装置は、トランスの一次巻線とトランスの第1の二次巻線の直列組合せを含む第1の回路経路と、トランスの第2の二次巻線を含む第2の回路経路と、を含む。トランスの一次巻線は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線に磁気的に結合されており、またトランスの一次巻線は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線の各々に取り外し可能に結合されている。トランスの一次巻線は、出力電流のうちのトランスの一次巻線から受けるエネルギーに基づく部分を生成するように動作し、トランスの第2の二次巻線は、トランスの第2の二次巻線から受けるエネルギーに基づく出力電流の残りの部分を生成するように動作する。
【0009】
少なくとも1つの例示の実施形態は、システムに向けられている。システムは、トランスの一次巻線とトランスの第1の二次巻線の直列組合せを含む第1の回路経路と、トランスの第2の二次巻線を含む第2の回路経路と、トランスの両側に接続されておりかつ共通のグランドを介して接続されている第1のスイッチング素子および第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と、を含む、電力コンバータを含む。トランスの一次巻線は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線に磁気的に結合されており、またトランスの一次巻線は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線の各々に取り外し可能に結合されている。
【0010】
トランスの一次巻線は、出力電流のうちのトランスの一次巻線から受けるエネルギーに基づく部分を生成するように動作し、トランスの第2の二次巻線は、トランスの第2の二次巻線から受けるエネルギーに基づく出力電流の残りの部分を生成するように動作する。システムは、電力コンバータの出力電圧を調整するべく第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のスイッチングを制御するように構成されている制御回路機構(control circuitry)を更に含む。
【0011】
少なくとも1つの例示の実施形態は、方法に向けられている。方法は、トランスの一次巻線とトランスの第1の二次巻線の直列組合せを含む第1の回路経路を提供することと、トランスの第2の二次巻線を含む第2の回路経路を提供することと、を含む。トランスの一次巻線は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線に磁気的に結合されており、またトランスの一次巻線は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線の各々に取り外し可能に結合されている。トランスの一次巻線は、出力電流のうちのトランスの一次巻線から受けるエネルギーに基づく部分を生成するように動作し、トランスの第2の二次巻線は、トランスの第2の二次巻線から受けるエネルギーに基づく出力電流の残りの部分を生成するように動作する。
【0012】
主題について、全体を通して同様の参照符号が同様の要素を指す図面を参照して記載する。以下の説明では、主題の発明の完全な理解を提供するために、説明の目的で、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、これらの具体的な詳細がなくても主題を実施し得ることが明らかな場合がある。他の場合には、主題の発明の説明が容易になるように、よく知られている構造およびデバイスがブロック図の形態で示される。
【0013】
また更に、「例示的な」という単語は本明細書では、例、実例、または例示として機能するという意味で使用される。本明細書で「例示的」であるとして記載されるいかなる態様または設計も、必ずしも他の態様または設計に比べて好ましいかまたは有利であると解釈されるべきではない。むしろ、単語「例示的な」の使用は、概念を具体的な様式で提示することを意図している。本願で使用される場合、用語「または」は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することが意図されている。すなわち、別に規定されていないかまたは文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを利用する」は、無理のない包括的な順列の全てを意味することが意図されている。すなわち、XがAを利用する、XがBを利用する、またはXがAおよびBの両方を利用する場合には、上記の場合のいずれにおいても「XはAまたはBを利用する」が満たされる。更に、本明細書および付属の特許請求の範囲で使用される冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は一般に、別に規定されていないかまたは文脈から単数形を指すものであると明らかでない限りは、「1つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである。更に、単語「結合された」は本明細書では、直接的または間接的な電気的または機械的結合を意味するように使用される。
【0014】
用語「コンバータ」は本明細書で使用される場合、「レギュレータ」、「DCレギュレータ」、「電圧レギュレータ」、「DC電圧レギュレータ」、「DC-DCコンバータ」、「DCコンバータ」および「コンバータ」のうちのいずれか1つまたはこれらの任意の組合せを包含するがそれらに限定されず、またこれらの用語のいずれかの明白な意味を含むがそれらに限定されない。
【0015】
本明細書に記載する本開示の一実施形態は、高いDC電圧を有するソースから低いDC電圧で電力を送達するために使用され得る、電気的に非絶縁の直流(DC)-DC電力コンバータに関連している。そのような電力コンバータではトランスが使用され、その巻き数比に応じて電圧レベルの降下(または上昇)が行われる。言い換えれば、一次側におけるトランス電流の全量は、二次側におけるトランス電流と等しい。システムがパルス幅変調式である場合、一次側および二次側で変圧された電圧が平均される。本質的に、入力電力は出力電力(から変換損失を減算したもの)と等しい。例えば、入力電圧が2倍になれば入力電流は半分に減少するが、出力電圧および出力電流は一定のままである。電力回路スイッチング素子は、変換を生じさせるためにコンデンサおよびインダクタと連携して使用される。本開示の代替の実施形態では、電力回路スイッチング素子は、パルス幅変調電圧を平均化するためにコンデンサおよびインダクタと連携して使用される。信号を電力回路スイッチング素子へと駆動するために、通常は制御回路機構が設けられる。
【0016】
ほとんどのDC-DC電力コンバータは、入力電圧および出力電流の変動に際してその出力電圧の調整を行うように設計されている。例えば、その入力が36から75ボルトの範囲にわたって変化し、その出力電流が1から25アンペアまでの範囲にわたる間、12ボルト(プラスまたはマイナス数パーセント)の出力を維持するために、電力コンバータが必要となる場合がある。調整を実現するこの能力は通常、電力回路のトポロジおよびその電力回路スイッチング素子の制御の様式から生じるものである。場合によっては、調整機能はリニアレギュレータによって供給(または補強)される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来の絶縁直流(DC)-DC電力コンバータの概略的構成を表すブロック図である。
図2A】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータの概略的構成を表す回路図である。
図2B】本開示の一実施形態に係る、代替の回路設計で示された、図2Aの相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータの概略的構成を表す回路図である。
図2C】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータの概略的構成を表す代替の回路図である。
図2D】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ中の電力回路スイッチング素子の制御の第1のモードを示す、例示の図である。
図2E】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ中の電力回路スイッチング素子の制御の放電モードを示す、例示の図である。
図2F】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ中の電力回路スイッチング素子の制御の第2のモードを示す、例示の図である。
図3】従来の絶縁DC-DC電力コンバータと、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータとの間の、総抵抗損失の比較を示すグラフである。
図4】従来の絶縁DC-DC電力コンバータと、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータとの間の、構成要素あたりの損失の比較を示すグラフである。
図5】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータの性能を示すグラフである。
図6A】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ用の電力回路スイッチング素子に関する制御信号を示すグラフである。
図6B】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ用の電力回路スイッチング素子に関する制御信号を示すグラフである。
図6C】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ用の電力回路スイッチング素子に関する制御信号を示すグラフである。
図6D】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ用の電力回路スイッチング素子に関する制御信号を示すグラフである。
図7】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ用の電力回路スイッチング素子に関するスイッチノード電圧を示すグラフである。
図8】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ用の電力回路スイッチング素子電圧を示すグラフである。
図9A】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータに関するトランス巻線電流および出力電流を示すグラフである。
図9B】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータに関するトランス巻線電流および出力電流を示すグラフである。
図9C】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータに関するトランス巻線電流および出力電流を示すグラフである。
図9D】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータに関するトランス巻線電流および出力電流を示すグラフである。
図10A】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータに関する電力回路スイッチング素子電流および出力電流を示すグラフである。
図10B】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータに関する電力回路スイッチング素子電流および出力電流を示すグラフである。
図10C】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータに関する電力回路スイッチング素子電流および出力電流を示すグラフである。
図10D】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータに関する電力回路スイッチング素子電流および出力電流を示すグラフである。
図11】本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータを使用して電圧を変換する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、従来の絶縁DC-DC電力コンバータ100の概略的構成を表すブロック図である。絶縁電力コンバータは、電力コンバータ用の回路を入力部と出力部の間の直流の流れを防止する2つのセクションへと電気的および物理的に分けることによって入力部を出力部から隔離するが、これは通常、トランスを使用することによって達成される。電力コンバータ100は一般に、1つ以上の電力回路スイッチング素子(図示せず)を含む一次側104を含む。一次側104は電圧源Vinから入力電圧を受けることができる。電力コンバータ100はまた、例えば整流回路とフィルタ回路と負荷(図示せず)とを含み得る、二次側108も含む。二次側108は出力電圧Voutを出力する。二次側108は、例えば1つ以上の一次巻線および1つ以上の二次巻線を有するトランス112によって、一次側から絶縁される。電力コンバータ100はまた、1つ以上の電力回路スイッチング素子がいつONおよびOFFになるかを決定することによって電力コンバータ100を制御するための、制御回路機構116も含む。制御回路機構116は通常、入力部における、出力部における、および/または電力コンバータ100内の、電圧および電流を感知する。従来の絶縁DC-DC電力コンバータ100のこのトポロジの場合、一次側104および二次側108の各々がそれ自体の戻りまたはグランド基準を有するということに起因して、一次側104内を流れる電流は一次側104内を循環するだけであり、二次側108内を流れる電流は二次側108内を循環するだけである。
【0019】
従来のトポロジでは、トランスは通常、良好な効率が得られるように入力部から出力部への高圧変換範囲にとって必要となる。しかしながらトランスの使用は、多数の一次巻き数および二次巻線における高いAC成分に起因して、大きな巻線損失をもたらす可能性があり、このことが巻線コストおよびプリント回路基板のコストを押し上げる。
【0020】
図2Aは、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ200の概略的構成を表す回路図である。電力コンバータ200は、電力回路スイッチング素子を含む電力回路204を含む。電力回路スイッチング素子は、2つの直列接続された電力回路スイッチング素子と並列の2つの直列接続された電力回路スイッチング素子、すなわちフルブリッジ構成で配置されたX1,X2,X4,X5を含む。電力回路スイッチング素子X1,X2,X4,X5は例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)または窒化ガリウム(GaN)FETを含み得る。電力回路204はまた、電力回路スイッチング素子X1,X2,X4,X5にDC入力電圧Vinを提供する入力電圧源208も含む。電力回路204は単極矩形波電圧を生むように構成されている。
【0021】
電力コンバータ200はまた、変換されたDC電圧を出力電圧Voutとして提供するための出力電圧212、トランスTX、整流回路220、フィルタ回路224、および負荷228も含む。
【0022】
入力コンデンサCinは、入力電圧源208と電力回路スイッチング素子X1,X2,X4,X5の間に並列に結合されている。入力コンデンサCinは入力電圧Vin用のフィルタとして振る舞い、エネルギーをバッファする。トランスTXは、電力回路スイッチング素子X1,X2,X4,X5に結合された一次巻線Npと、整流回路220に結合された二次巻線Ns1およびNs2と、出力インダクタ236Loutと、を含む。一次巻線Npならびに二次巻線Ns1およびNs2の各々と関連付けられる巻線の数は任意の好適な値とすることができ、実施形態に応じて変化し得る。フィルタ回路224はコンデンサCoutを含み、負荷228はフィルタ回路224と並列に取り付けられる抵抗器Rで記号化されている。コンデンサCoutは、負荷228への整流された電圧を平滑化するために設けられる。フィルタ回路224は整流回路220と並列に取り付けられる。
【0023】
図2Aに示すように、整流回路220は、同期整流を提供するように配置された並列のダイオードを含む、2つの電力回路スイッチング素子X3、X6を含む。別法として、整流回路220は、所望であればより多いかもしくはより少ないスイッチングデバイスを含んでもよく、かつ/または、同期整流なしで構成されてもよい。
【0024】
更にこの例示の実施形態では、電力回路スイッチング素子X1のドレインノード(D)および電力回路スイッチング素子X4のドレインノード(D)は、入力電圧源Vinに接続されている。更に、電力回路スイッチング素子X1のソースノード(S)は、電力回路スイッチング素子X2のドレインノード(D)(スイッチノードSW1)に結合される。電力回路スイッチング素子X4のソースノード(S)は、電力回路スイッチング素子X5のドレインノード(D)(スイッチノードSW2)に結合される。電力回路スイッチング素子X2のソースノード(S)は、スイッチノードSW2に結合される。電力回路スイッチング素子X5のソースノード(S)は、スイッチノードSW4に結合される。電力回路スイッチング素子X3のドレイン(D)はスイッチノードSW2に接続されており、電力回路スイッチング素子X3のソース(S)はグランドに接続されている。電力回路スイッチング素子X6のドレイン(D)はノードSW4に接続されており、電力回路スイッチング素子X6のソース(S)はグランドに接続されている。
【0025】
図2Aの電力コンバータ200は、電力回路スイッチング素子X1、X2、X3、X4、X5、X6のための制御信号(例えば、パルス幅変調(PWM)信号)を生成するための、1つ以上の制御装置250を含む。図2Aに示すように、制御信号Aは電力回路スイッチング素子X1およびX5を制御し、制御信号Bは電力回路スイッチング素子X2およびX4を制御し、制御信号A_Inverseは電力回路スイッチング素子X6を制御し、制御信号B_Inverseは電力回路スイッチング素子X3を制御する。本開示の代替の実施形態によれば、制御上の理由(例えば、駆動回路機構における遅延、起動中の異なる変調、等の補償)で、制御信号Aを2つの制御信号(A_X1およびA_X5)へと分割することができ、制御信号Bを2つの制御信号(B_X2およびB_X4)へと分割することができる。図2Aの制御装置250は、制御信号を生成するための1つ以上のゲート駆動回路および/または他の好適な駆動回路を含み得る。
【0026】
制御装置250は、出力電圧Voutを調整するべく制御信号(例えば、A、B、A_Inverse、B_Inverse)のデューティサイクルを変更するように適合されている。一般に、周波数は通常は一定に保たれるが、電流リプルを低減するために周波数を変調することができる。図2Aに示すように、電力回路スイッチング素子X1,X2,X4,X5は分流されるか、またはそれらの固有のキャパシタンスによっておよびそれらの固有のボディダイオードによってクランプされる。同じく図2Aに示すように、電力回路スイッチング素子X3、X6は分流されるか、またはそれらの固有の出力キャパシタンスによっておよびそれらの固有のボディダイオードによってクランプされる。
【0027】
非絶縁の実施形態では、電力コンバータ200の回路全体用の共通のグランド(例えば、GND)が設けられる。これにより、二次巻線Ns1,Ns2は一次巻線Npの一部になっている(例えば、これと相互接続されている)。この配置を用いるといくつかの利益を達成できる。本開示の複数の実施形態によれば、電圧の調整および容量分圧器セクションの排除が達成される。本開示の複数の実施形態によれば、充電相において、一次巻線Npは、電力コンバータ200のどの相が導通するかに応じて二次巻線Ns1,Ns2の両方の端部と直列に接続される。
【0028】
本開示の電力コンバータ200の動作によれば、放電相と呼ばれる、入力部Vinから出力部Voutへと移送されるエネルギーがない場合では、出力部に送達される全エネルギーが出力インダクタLoutから取られることが示唆されており、電力回路スイッチング素子X3,X6の両方が導通し(例えば、これらの電力回路スイッチング素子が閉じている)、その他の電力回路スイッチング素子X1,X2,X4,X5は導通しない(例えば、これらの電力回路スイッチング素子が開いている)。この結果、トランスTXにかかる電圧がクランプされ、出力電流の半分が二次巻線Ns1,Ns2の各々に流れ込むことになる。充電および放電によって、二次巻線Ns1とNs2の間に設けられるスイッチノードSW5において、Vin*Ns/(Np+2*Ns)の振幅を有するPWMパルストレインが作り出されることになり、上式でNs=Ns1=Ns2である。次いでこのパルストレインは、出力インダクタ236Loutおよび出力コンデンサ224Coutによって平均化される。出力はVout=Vin*D*Ns/(Np+2*Ns)に従って変調され、上式でDは、制御信号AおよびBのON時間の合計Tonを周期で除算したものとして定義される、PWMによって達成される制御信号のデューティサイクルである。
【0029】
本開示の一実施形態によれば、入力部Vinから出力部Voutおよび出力インダクタLoutへとエネルギーが伝送される充電相では、一次電流Ipは、従来の絶縁電力コンバータの場合のように、電力コンバータの一次側内を単に循環する代わりに、出力部へと伝送される。Is=Iout*(1-Ns/(Np+2*Ns))およびIp=Iout*Ns/(Np+2*Ns)である。
【0030】
AおよびBの分枝の間の電圧/時間の不整合について懸念のある場合は、一次巻線Npと直列にDCブロックコンデンサを追加することができる。図2Cは、本開示の一実施形態に係る相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ210の概略的構成を表す代替の回路図である。本開示の一実施形態によれば、A制御信号およびB制御信号が等しく整合していない場合に生じ得るDC電流をブロックすることになる、コンデンサCblock1,Cblock2が設けられている。これに応じて、コンデンサCblock1が位置Aに設けられるか、またはコンデンサCblock2が位置Bに設けられるかのいずれかとなり、これにより、制御信号Aが制御信号Bと等しく整合していない場合にDC電流がブロックされることになる。
【0031】
図2Bは、本開示の一実施形態に係る、代替の回路設計で示された図2Aの相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータの概略的構成を表す回路図である。図2Bに示すように、このトポロジは1:1+1トランスを使用するが、これは40~60ボルトVin、12ボルトVoutの電力コンバータに好適である。電力回路スイッチング素子X1,X2,X4,X5は電力回路スイッチング素子として振る舞い、電力回路スイッチング素子X3およびX6は同期整流スイッチである。電力回路スイッチング素子X1,X5,X3が導通するとき、一次巻線Npおよび二次巻線Ns1,Ns2の各々にわたって、出力電圧Voutの3分の1が見られることになる。同様に、電力回路スイッチング素子X4,X2,X6が導通するとき、一次巻線Npおよび二次巻線Ns1,Ns2の各々にわたって、出力電圧Voutの3分の1が見られることになる。理解されるように、(制御信号Aによって制御される)電力回路スイッチ素子X1、X5、または(制御信号Bによって制御される)電力回路スイッチング素子X4、X2は、周期Tの持続時間Tonの間に180度位相シフトを行い、このときTonは周期Tの50%に限定されている。電力回路スイッチング素子X3、X6は持続時間Tsynchの間導通するが、この持続時間は、周期TからTonを減算し、更に、X2のONとOFFの、およびX3のONとOFFの、およびX5の対応するONとOFFの、およびX6のONとOFFの間の、相互導通を回避するのに必要なデッドタイムを減算したものに相当する。
【0032】
電力回路スイッチング素子X1,X5,X3の導通に関して、一次巻線Npおよび二次巻線Ns2を流れる電流は、電力回路スイッチング素子X1およびX5が導通すると出力部Voutへと直接進むことになるので、二次巻線Ns1を通して2倍の振幅を有する電流が生成されることになり、この結果トランスTXにおいて電流平衡が生み出される。このことは、二次巻線Ns1,Ns2を流れる電流の非常に大きな部分がDCとなることを示唆している。最大でIoutの2/3、最小でIoutの1/3、放電相中はIoutの1/2である。もう1つの利益は、電力回路スイッチング素子X1,X5,X3またはX4,X2,X6の全てが、電力回路スイッチング素子X1,X5,X3またはX4,X2,X6の各々の固有のダイオードを介して、入力電圧Vinにクランプされることである。必要に応じてノイズを低減するためでなければ、同期整流電力回路スイッチング素子を介した電圧のスナバリングまたはクランピングは必要ない。
【0033】
図2Dは、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ中の電力回路スイッチング素子の制御の第1のモードを示す、例示の図である。第1のモードでは、電力回路スイッチング素子X4,X2,X6がOFFになり、電力回路スイッチング素子X1,X5,X3がONになる。回路経路A1は一次巻線Npからの電流Ipを含み、回路経路A2は第1の二次巻線Ns1からの電流Is1を含む。図2Bに示すように、Ipは出力電流の3分の1(1/3)に等しく、Is1は出力電流の3分の2(2/3)に等しい。
【0034】
図2Eは、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ中の電力回路スイッチング素子の制御の放電モードを示す、例示の図である。放電モードでは、電力回路スイッチング素子X1,X2,X4,X5はOFFになり、電力回路スイッチング素子X3およびX6はやはりONになる。回路経路C1は第1の二次巻線Ns1からの電流Is1を含み、回路経路C2は第2の二次巻線Ns2からの電流Is2を含む。Is1およびIs2はいずれも出力電流の2分の1(1/2)に等しい。
【0035】
図2Fは、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ中の電力回路スイッチング素子の制御の第2のモードを示す、例示の図である。第2のモードでは、電力回路スイッチング素子X4,X2,X6がONになり、電力回路スイッチング素子X1,X5,X3がOFFになる。回路経路B1は一次巻線Npからの電流Ipを含み、回路経路B2は第2の二次巻線Ns2からの電流Is2を含む。Ipは出力電流の3分の1(1/3)に等しく、Is2は出力電流の3分の2(2/3)に等しい。
【0036】
図3は、従来の絶縁DC-DC電力コンバータと、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータとの間の、総抵抗損失の比較を示すグラフ300である。グラフ300の横軸は入力電圧をボルト(V)で表し、グラフ300の縦軸は電力放散をワット(W)で表す。波形304は、従来の絶縁DC-DC電力コンバータの電力放散を表し、波形308は、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータの電力放散を表す。
【0037】
波形304は比較的小さい入力電圧に対して波形308よりも大きい傾きを有するが、このことは、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータと比較した場合の、従来の絶縁DC-DC電力コンバータのより大きい電力放散に相当する。波形304および308は、比較的大きい入力電圧では実質的に同じ傾きを有する。グラフ300によれば、従来の絶縁DC-DC電力コンバータは、40ボルトの入力電圧において約21ワットの電力を放散し、42ボルトの入力電圧において20ワットの電力を放散する。これらの値は、40ボルトから42ボルトの間で、波形304について約2分の1(1/2)の傾きを生む。対照的に、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータは、40ボルトの入力電圧において約16.5ワットの電力を放散し、42ボルトの入力電圧において16ワットの電力を放散する。これらの値は、40ボルトから42ボルトの間で、波形308について約4分の1(1/4)の傾きを生む。
【0038】
更にグラフ300によれば、従来の絶縁DC-DC電力コンバータは、58ボルトの入力電圧において約16ワットの電力を放散し、60ボルトの入力電圧において15ワットの電力を放散する。これらの値は、58ボルトから50ボルトの間で、波形304について約8分の3(3/8)の傾きを生む。対照的に、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータは、58ボルトの入力電圧において約14.5ワットの電力を放散し、60ボルトの入力電圧において14.25ワットの電力を放散する。これらの値は、58ボルトから60ボルトの間で、波形308について約8分の1(1/8)の傾きを生む。
【0039】
図4は、本開示の一実施形態に係る、従来の絶縁DC-DC電力コンバータと非絶縁DC-DC電力コンバータとの間の、構成要素あたりの損失の比較を示すグラフ400である。グラフ400の横軸は入力電圧をボルト(V)で表し、グラフ400の縦軸は電力放散をワット(W)で表す。波形404は、従来の絶縁DC-DC電力コンバータの二次電力回路スイッチング素子の電力放散を表し、波形408は、本開示の一実施形態係る相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータの二次電力スイッチング素子の電力放散を表す。波形412は、従来の絶縁DC-DC電力コンバータのトランスの電力放散を表す。波形416は、従来の絶縁DC-DC電力コンバータ、および本開示の一実施形態に係る相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータの両方の、一次電力スイッチング素子の電力放散を表す。
【0040】
波形420は、本開示の一実施形態に係る相互接続された巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータのトランスの電力放散を表し、波形424は、従来の絶縁DC-DC電力コンバータの二次巻線の電力放散を表す。波形428は、従来の絶縁DC-DC電力コンバータの一次巻線の電力放散を表し、波形432は、本開示の一実施形態に係る相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータの二次巻線の電力放散を表す。波形436は、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータの一次巻線の電力放散を表す。一般に、波形の傾きは入力電圧が小さくなるほど大きくなるが、このことは、より小さい入力電圧におけるより大きい電力放散、およびより大きい入力電圧におけるより小さい電力放散に相当する。
【0041】
図5は、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータの性能を示すグラフ500である。グラフ500の横軸は出力電力をワット(W)で表し、グラフ500の左側の縦軸は効率をパーセンテージ(%)で表し、グラフ500の右側の縦軸は電力放散をワット(W)で表す。波形504は、入力電力から出力電力をマイナスしたものである、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータの電力放散を表し、波形508は、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータの入力電力に対する出力電力の比を、パーセンテージで表す。
【0042】
グラフ500に示されているが、波形504が示すように、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータは、0ワット(W)の出力電力において約2.5ワット(W)の電力を放散し、840ワット(W)の出力電力において約20ワット(W)の電力を放散する。相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータは、波形508が示すように、120ワット(W)の出力電力において96%の効率を有し、840ワット(W)の出力電力において約97.7%の効率を有する。
【0043】
図6A図6Dは、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ用の電力回路スイッチング素子に関する制御信号を示す、グラフ600~630である。グラフ600~630の各々に関して、グラフ600~630の横軸は時間をマイクロ秒(μs)で表し、グラフ600~630の縦軸は電圧をボルト(V)で表す。グラフ600に示されている波形604は、一次電力回路スイッチング素子X1、X5に関する制御信号Aを表し、グラフ610に示されている波形614は、一次電力回路スイッチング素子X2、X4に関する制御信号Bを表す。グラフ620に示されている波形624は、二次電力回路スイッチング素子X3に関する制御信号A_Inverseを表し、グラフ630に示されている波形634は、二次電力回路スイッチング素子X6に関する制御信号B_Inverseを表す。示されているように、周期がTであり、Tonが持続時間である。電力回路スイッチング素子X3、X6は、周期TからTonを減算し、更に、X2のONとOFFの、およびX3のONとOFFの、およびX5の対応するONとOFFの、およびX6のONとOFFの間の相互導通を回避するのに必要なデッドタイムを減算したものに対応する、持続時間Tsynchの間導通する。
【0044】
図7(A)~図7(C)は、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ用の電力回路スイッチング素子に関するスイッチノード電圧を示す、グラフ700~720である。グラフ700~720の各々に関して、グラフ700~720の横軸は時間をマイクロ秒(μs)で表し、グラフ700~720の縦軸は電圧をボルト(V)で表す。グラフ700に示されている波形704は、スイッチノードSW1がグランドには進まないことからそれがフローティングノードであることを表し、グラフ710に示されている波形714はスイッチノードSW2を表す。グラフ720に示されている波形724は、スイッチノードSW2とスイッチノードSW4の間に設けられたスイッチノードSW5を表す。時間t1において、SW5における電圧はSW1の電圧の半分未満である。
【0045】
図8(A)~図8(C)は、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータ用の電力回路スイッチング素子電圧を示す、グラフ800~820である。グラフ800~820の各々に関して、グラフ800~820の横軸は時間をマイクロ秒(μs)で表し、グラフ800~820の縦軸は電圧をボルト(V)で表す。グラフ800に示されている波形804は、一次電力回路スイッチング素子X1に関する電圧を表し、グラフ810に示されている波形814は、一次電力回路スイッチング素子X2に関する電圧を表す。グラフ820に示されている波形824は、二次電力回路スイッチング素子X3に関する電圧を表す。
【0046】
図9A図9Dは、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータに関するトランス巻線電流および出力電流を示すグラフ900~930である。グラフ900~930の各々に関して、グラフ900~930の横軸は時間をマイクロ秒(μs)で表し、グラフ900~930の縦軸は電流をアンペア(A)で表す。グラフ900に示されている波形904は、一次巻線Npに関する電流を表し、グラフ910に示されている波形914は、二次巻線Ns1に関する電流を表す。グラフ920に示されている波形924は、二次巻線Ns2に関する電流を表す。グラフ930に示されている波形934は、負荷から見た出力電流を表す。
【0047】
図10A図10Dは、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータに関する電力回路スイッチング素子電流および出力電流を示すグラフである。グラフ1000~1030の各々に関して、グラフ1000~1030の横軸は時間をマイクロ秒(μs)で表し、グラフ1000~1030の縦軸は電流をアンペア(A)で表す。グラフ1000に示されている波形1004は、一次電力回路スイッチング素子X1に関する電流を表し、グラフ1010に示されている波形1014は、一次電力回路スイッチング素子X2に関する電流を表す。グラフ1020に示されている波形1024は、二次電力回路スイッチング素子X3に関する電流を表す。グラフ1030に示されている波形1034は、負荷から見た出力電流を表す。
【0048】
図11は、本開示の一実施形態に係る、相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータを使用して電圧を変換する方法のフローチャートを示す。
【0049】
相互接続されたトランス巻線を有する非絶縁DC-DC電力コンバータを使用して電圧を変換するための方法1100のステップの全体的な順序が図11に示されているが、方法1100は、より多くのもしくはより少ないステップを含み得るか、または、ステップの順序を図11に示すものとは別様に調整することができる。更に、2つ以上のステップを組み合わせて1つのステップにしてもよい。一般に、方法1100はSTART動作1104で開始し、END動作1120で終了する。方法は、データ処理システムによって実行されコンピュータ可読媒体上で符号化または記憶される、コンピュータ実行可能命令のセット上で実行され得る。本明細書では、方法1100を、上記したシステムおよび構成要素、モジュール、ソフトウェア、データ構造、ユーザインターフェース、等を参照して説明することとする。
【0050】
方法1100は、START動作1104から開始し、入力電圧源からエネルギーを受けるステップ1108に進み得る。ステップ1108で入力電圧源からエネルギーを受けた後で、方法1100は、トランスの一次巻線が、出力電流のうちのトランスの一次巻線から受けるエネルギーおよびトランスの第1の二次巻線から受けるエネルギーに基づく、部分を生成するように動作する、ステップ1112に進む。ステップ1112で、トランスの一次巻線が出力電流のうちの部分を生成するように動作した後で、方法1100は、トランスの第2の二次巻線が、トランスの第2の二次巻線から受けるエネルギーに基づく出力電流の残りの部分を生成するように動作する、ステップ1116に進む。トランスの第2の巻線が出力電流の残りの部分を生成するように動作した後で、方法1100はEND動作1120に進み、ここで方法1100は終了し得る。
【0051】
本明細書で検討するステップ、機能、および動作のいずれも、連続的かつ自動的に実行され得る。
【0052】
本開示の例示的なデバイス、システム、および方法が、電力コンバータに関連して記載されている。ただし本開示を不必要に曖昧にするのを避けるために、上記の説明ではいくつかの知られている構造およびデバイスを省略している。この省略は特許請求される開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本開示が理解されるように具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本開示が本明細書に記載する具体的な詳細に留まらない様々な様式で実施され得ることが諒解されるべきである。
【0053】
更に、本明細書に示す例示的な実施形態はシステムの並置された様々な構成要素が示されているが、システムの特定の構成要素を、遠隔に、LANおよび/もしくはインターネットなどの分散型ネットワークの離れた部分に、または専用のシステム内に、位置付けることができる。したがって、システムの構成要素を、組み合わせてサーバ、通信デバイスなどの1つ以上のデバイスにすること、あるいは、アナログおよび/もしくはデジタル電気通信ネットワーク、パケット交換ネットワーク、または回路交換ネットワークなどの、分散型ネットワークの特定のノード上に並置することが可能であることが、諒解されるべきである。上記の説明から、演算効率上の理由により、システムの構成要素を、システムの動作に影響を及ぼすことなく構成要素の分散型ネットワーク内の任意の位置に配置できることが、諒解されるであろう。
【0054】
更に、素子同士を接続する様々なリンクは、有線もしくはワイヤレスのリンクまたはこれらの任意の組合せ、あるいは、接続された素子との間でデータの供給および/または通信が可能な任意の他の知られているまたは今後開発される要素であり得ることが、諒解されるべきである。これらの有線またはワイヤレスのリンクはセキュアなリンクとすることもでき、暗号化された情報を通信可能であり得る。リンクとして使用される伝送媒体は例えば、同軸ケーブル、銅製ワイヤ、および光ファイバを含む電気信号用の任意の好適なキャリアとすることができ、また、電波および赤外線データ通信中に生成されるものなどの、音波または光波の形態をとってもよい。
【0055】
フローチャートをイベントの特定のシークエンスとの関連で検討および説明してきたが、開示される実施形態、構成、および態様の動作に重要な影響を及ぼすことなく、このシークエンスに対する変更、追加、および省略を行うことのできることが、諒解されるべきである。
【0056】
本開示のいくつかの変更および変形が使用できる。本開示のいくつかの特徴を他の特徴を提供せずに提供することが可能であろう。
【0057】
更に別の実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、専用コンピュータ、プログラムされたマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラおよび周辺集積回路素子、ASICもしくは他の集積回路、デジタル信号プロセッサ、個別の素子回路などのハードワイヤードの電子または論理回路、PLD、PLA、FPGA、PALなどのプログラム可能論理デバイスもしくはゲートアレイ、専用コンピュータ、何らかの同等の手段、または類似のものと連携させて実装され得る。一般に、本開示の様々な態様を実施するために、本明細書に示す方法論を実施できる任意のデバイスまたは手段を使用できる。本開示に使用できる例示的なハードウェアとしては、コンピュータ、ハンドヘルドデバイス、電話機(例えば、セルラー、インターネット方式、デジタル、アナログ、ハイブリッド、その他)、および当技術分野で知られている他のハードウェアが挙げられる。これらのデバイスのうちのいくつかは、プロセッサ(例えば、単一のまたは複数のマイクロプロセッサ)、メモリ、不揮発性ストレージ、入力デバイス、および出力デバイスを含む。更に、分散型処理もしくはコンポーネント/オブジェクト分散型処理、並列処理、または仮想マシン処理を含むがこれらに限定されない、代替のソフトウェア実装形態もまた、本明細書に記載する方法を実施するように構築され得る。
【0058】
更に別の実施形態では、開示される方法は、オブジェクトを使用するソフトウェアと、または、様々なコンピュータもしくはワークステーションのプラットフォーム上で使用できる移植可能なソースコードを提供するオブジェクト指向のソフトウェア開発環境と連携されて、容易に実施され得る。別法として、開示されるシステムは、標準的な論理回路またはVLSIの設計を使用して、部分的にまたは完全にハードウェアにおいて実装され得る。本開示に係るシステムを実装するためにソフトウェアまたはハードウェアのどちらが使用されるかは、システムの速さおよび/または効率要件、その特定の機能、ならびに利用されているその特定のソフトウェアもしくはハードウェアのシステムまたはマイクロプロセッサもしくはマイクロコンピュータのシステムによって決まる。
【0059】
更に別の実施形態では、開示される方法は、記憶媒体上に記憶され、制御装置およびメモリと協働してプログラムされた汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサなどで実行され得るソフトウェアにおいて、部分的に実施され得る。これらの場合には、本開示のシステムおよび方法は、パーソナルコンピュータ上に埋め込まれた、アプレット、JAVA(登録商標)またはCGIスクリプトなどのプログラムとして、サーバまたはコンピュータワークステーション上に常駐するリソースとして、専用の測定システム、システム構成要素に埋め込まれたルーチンとして、などで実施され得る。システムはまた、システムおよび/または方法を、ソフトウェアおよび/またはハードウェアシステムに物理的に組み込むことによっても実装され得る。
【0060】
本開示は実施形態において実装される構成要素および機能について特定の規格およびプロトコルを参照して記載しているが、本開示はそのような規格およびプロトコル限定されない。本明細書で言及していない他の類似の規格およびプロトコルが存在しており、それらは本開示に含まれているものと見なされる。また更に、本明細書で言及する規格およびプロトコルならびに本明細書で言及していない他の類似の規格およびプロトコルは、本質的に同じ機能を有するより高速または効果的な均等物と随時入れ替えられる。同じ機能を有するそのような入れ替えの規格およびプロトコルは、本開示に含まれる均等物と見なされる。
【0061】
本開示は、様々な実施形態、構成、および態様において、実質的には本明細書に描写および記載されているような、構成要素、方法、プロセス、システム、および/または装置を含み、そこにはそれらの様々な実施形態、下位組合せ、およびサブセットが含まれる。本開示を理解すれば、当業者は、本明細書で開示するシステムおよび方法をいかに製作および使用すべきかを理解するであろう。様々な実施形態、構成、および態様において、本開示は、本明細書においてまたはその様々な実施形態、構成、または態様において描写および/または記載されていない事物のない場合に、デバイスおよびプロセスを提供することを含み、そこには、例えば性能の改善、実施の容易さの達成および/またはコストの低減のために、従前のデバイスまたはプロセスにおいて使用されている場合のあるような事物のない場合が含まれる。
【0062】
本開示の上記の考察は例示および説明の目的で提示されている。上記の内容は、本開示を本明細書に開示する1つまたは複数の形態に限定することを意図していない。例えば上記の「発明を実施するための形態」では、本開示を簡潔にする目的で、本開示の様々な特徴が、1つ以上の実施形態、構成、または態様において1つにまとめられている。本開示の実施形態、構成、または態様の特徴を、上で検討したもの以外の代替の実施形態、構成、または態様において組み合わせてもよい。この開示の方法は、特許請求される開示が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映しているものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲に反映されているように、進歩性を備えた態様は、開示された上記の単一の実施形態、構成、または態様の全てに満たない特徴で成り立つ。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書においてこの「発明を実施するための形態」に組み込まれており、各請求項は本開示の個別の好ましい実施形態としてそれ自体で成立している。
【0063】
また更に、本開示の説明は、1つ以上の実施形態、構成、または態様ならびに特定の変更および変形の説明を含んでいるが、他の変更、組合せ、および変形が本開示の範囲内にあり、例えばそれらは、本開示を理解した後で当業者の技術および知識の範囲内にあり得る。特許請求される構造、機能、範囲、またはステップにとって代替的な、相互交換可能な、および/または均等な構造、機能、範囲、またはステップが本明細書で開示されているかいないかに関わらず、そのような代替的な、相互交換可能な、および/または均等な構造、機能、範囲、またはステップを含む代替の実施形態、構成、または態様を、許される範囲まで含む権利を取得することが意図されており、どのような特許可能な主題を公に供することも意図されていない。
【0064】
実施形態は装置を含む。装置は、トランスの一次巻線とトランスの第1の二次巻線の直列組合せを含む第1の回路経路と、トランスの第2の二次巻線を含む第2の回路経路と、を含む。トランスの一次巻線は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線に磁気的に結合されており、またトランスの一次巻線は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線の各々に取り外し可能に結合されている。トランスの一次巻線は、出力電流のうちのトランスの一次巻線から受けるエネルギーに基づく部分を生成するように動作し、トランスの第2の二次巻線は、トランスの第2の二次巻線から受けるエネルギーに基づく出力電流の残りの部分を生成するように動作する。
【0065】
上記の装置の態様は、電圧源からのエネルギーをトランスの一次巻線へと伝搬するように動作可能な、複数のスイッチング素子を含む。
【0066】
上記の装置の態様は、トランスの第1の二次巻線とトランスの第2の二次巻線の直列接続状態(serial connectivity)を提供するトランスを含む。
【0067】
上記の装置の態様は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線が、トランスの一次巻線に伝搬されるエネルギーに基づく出力電圧を生成するように動作すること、を含む。
【0068】
上記の装置の態様は、出力電圧が直流(DC)電圧であること、を含む。
【0069】
上記の装置の態様は、一次巻線がフライング式の一次巻線(flying primary winding)であることを含む。
【0070】
上記の装置の態様は、トランスの第1の二次巻線と第2の二次巻線の間に接続されたインダクタを含む。
【0071】
上記の装置の態様は、出力電流Ioutが、Is=Iout*(1-Ns/(Np+2*Ns))およびIp=Iout*Ns/(Np+2*Ns)として定義される、トランスの第1の二次巻線または第2の二次巻線のいずれかの電流、およびトランスの一次巻線の電流に基づいており、上式で、Nsはトランスの第1の二次巻線またはトランスの第2の二次巻線であり、Npはトランスの一次巻線であり、IsはNsの電流であり、IpはNpの電流であること、を含む。
【0072】
上記の装置の態様は、出力電圧VoutがVout=Vin*D*Ns/(Np+2*Ns)として定義され、上式で、Vinは入力電圧であり、Dはデューティサイクルであり、Nsはトランスの第1の二次巻線またはトランスの第2の二次巻線であり、Npはトランスの一次巻線であること、を含む。
【0073】
上記の装置の態様は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線に接続された複数のスイッチを含む。
【0074】
上記の装置の態様は、一次巻線、第1の二次巻線、および第2の二次巻線の各々が同じ巻き数を有すること、を含む。
【0075】
実施形態はシステムを含む。システムは、トランスの一次巻線とトランスの第1の二次巻線の直列組合せを含む第1の回路経路と、トランスの第2の二次巻線を含む第2の回路経路と、トランスの両側に接続されておりかつ共通のグランドを介して接続されている第1のスイッチング素子および第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子と、を含む、電力コンバータを含む。トランスの一次巻線は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線に磁気的に結合されており、またトランスの一次巻線は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線の各々に取り外し可能に結合されている。
【0076】
トランスの一次巻線は、出力電流のうちのトランスの一次巻線から受けるエネルギーに基づく部分を生成するように動作し、トランスの第2の二次巻線は、トランスの第2の二次巻線から受けるエネルギーに基づく出力電流の残りの部分を生成するように動作する。システムは、電力コンバータの出力電圧を調整するべく第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のスイッチングを制御するように構成されている制御回路機構を更に含む。
【0077】
上記のシステムの態様は、トランスの第1の二次巻線とトランスの第2の二次巻線の直列接続状態を提供するトランスを含む。
【0078】
上記のシステムの態様は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線が、トランスの一次巻線に伝搬されるエネルギーに基づく出力電圧を生成するように動作すること、を含む。
【0079】
上記のシステムの態様は、出力電圧が直流(DC)電圧であること、を含む。
【0080】
上記のシステム装置の態様は、一次巻線がフライング式の一次巻線であること、を含む。
【0081】
上記のシステムの態様は、トランスの第1の二次巻線と第2の二次巻線の間に接続されたインダクタを含む。
【0082】
上記のシステムの態様は、出力電流Ioutが、Is=Iout*(1-Ns/(Np+2*Ns))およびIp=Iout*Ns/(Np+2*Ns)として定義される、トランスの第1の二次巻線または第2の二次巻線のいずれかの電流、およびトランスの前記一次巻線の電流に基づいており、上式で、Nsはトランスの第1の二次巻線またはトランスの第2の二次巻線であり、Npはトランスの一次巻線であり、IsはNsの電流であり、IpはNpの電流であること、を含む。
【0083】
上記のシステムの態様は、出力電圧VoutがVout=Vin*D*Ns/(Np+2*Ns)として定義され、上式で、Vinは入力電圧であり、Dはデューティサイクルであり、Nsはトランスの第1の二次巻線またはトランスの第2の二次巻線であり、Npはトランスの一次巻線であること、を含む。
【0084】
実施形態は方法を含む。方法は、トランスの一次巻線とトランスの第1の二次巻線の直列組合せを含む第1の回路経路を提供することと、トランスの第2の二次巻線を含む第2の回路経路を提供することと、を含む。トランスの一次巻線は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線に磁気的に結合されており、またトランスの一次巻線は、トランスの第1の二次巻線および第2の二次巻線の各々に取り外し可能に結合されている。トランスの一次巻線は、出力電流のうちのトランスの一次巻線から受けるエネルギーに基づく部分を生成するように動作し、トランスの第2の二次巻線は、トランスの第2の二次巻線から受けるエネルギーに基づく出力電流の残りの部分を生成するように動作する。
【0085】
「少なくとも1つの」、「1つ以上の」、「または」、および「および/または」という句は、連言的および選言的の両方であるオープンエンドの表現である。例えば、表現「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、およびCのうちの1つ以上」、「A、B、またはCのうちの1つ以上」、「A、B、および/またはC」、ならびに「A、B、またはC」の各々は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、またはA、B、およびCを共に、を意味する。
【0086】
用語「1つの(a)」または「1つの(an)」エンティティは、1つ以上のそのエンティティを指す。したがって、用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つ以上の」、および「少なくとも1つの」は、本明細書では入れ替え可能に使用され得る。用語「を備える」、「を含む」、および「を有する」は入れ替え可能に使用され得ることにも留意されたい。
【0087】
用語「自動的な」およびその変形は、本明細書で使用される場合、通常は連続的または半連続的な、プロセスまたは動作の実行時に人間による重要な入力を伴わずに行われる、任意のプロセスまたは動作を指す。しかしながら、プロセスまたは動作は、プロセスまたは動作の実行が人間による重要なまたは重要ではない入力を使用する場合であっても、その入力がプロセスまたは動作の実行前に受けられるならば、自動的となり得る。人間による入力は、プロセスまたは動作がどのように実行されるかにそのような入力が影響する場合に、重要であると見なされる。人間による入力は、プロセスまたは動作の実行を承諾する場合、「重要」であるとは見なされない。
【0088】
本開示の態様は、完全にハードウェアである実施形態、完全にソフトウェアである実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード、等を含む)、またはソフトウェアおよびハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態をとることができ、これらは本明細書では一般に全て「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ばれ得る。1つ以上のコンピュータ可読媒体の任意の組合せを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であり得る。
【0089】
コンピュータ可読記憶媒体は例えば、限定するものではないが、電子的な、磁気的な、光学的な、電磁的な、赤外線の、または半導体の、システム、装置、またはデバイス、あるいは上記したものの任意の好適な組合せであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより詳細な例(非網羅的なリスト)には、以下、すなわち、1つもしくは複数のワイヤを有する電気接続部、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROMもしくはフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または上記のものの任意の好適な組合せが含まれるであろう。本文書の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによって使用されるかまたはこれと接続されているプログラムを含むかまたは記憶することのできる、任意の有形媒体であってもよい。
【0090】
コンピュータ可読信号媒体は、例えばベースバンド中にまたは搬送波の一部として、コンピュータ-可読プログラムコードが具現化された伝播データ信号を含んでもよい。かかる伝播信号は、限定するものではないが、電磁的な、光学的な、またはこれらの任意の好適な組合せを含む、様々な形態のうちのいずれをとることもできる。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによって使用されるかまたはこれと接続されたプログラムを通信、伝播、または移送できる、任意のコンピュータ可読媒体であってもよい。コンピュータ可読媒体上で具現化されるプログラムコードは、限定するものではないが、ワイヤレス、有線、光ファイバケーブル、RF、等、または上記のものの任意の好適な組合せを含む、任意の適切な媒体を使用して伝送することができる。
【0091】
「決定する」、「計算する」、「演算する」、およびこれらの変形は、本明細書で使用される場合、入れ替え可能に使用され、任意のタイプの方法論、プロセス、数学的操作、または技術を含む。
【0092】
様々な態様、実施形態、および/または構成において、本開示は、実質的には本明細書に描写および記載されているような、構成要素、方法、プロセス、システム、および/または装置を含み、そこにはそれらの様々な態様、実施形態、構成の実施形態、下位組合せ、および/またはサブセットが含まれる。本開示を理解すれば、当業者は、開示される態様、実施形態、および/または構成を、いかに製作および使用すべきかを理解するであろう。様々な態様、実施形態、および/または構成において、本開示は、本明細書においてまたはその様々な態様、実施形態、および/もしくは構成において描写および/または記載されていない事物のない場合に、デバイスおよびプロセスを提供することを含み、そこには、例えば性能の改善、実施の容易さの達成および/またはコストの低減のために、従前のデバイスまたはプロセスにおいて使用されている場合のあるような事物のない場合が含まれる。
【0093】
上記の考察は例示および説明の目的で提示されている。上記の内容は、本開示を本明細書に開示する1つまたは複数の形態に限定することを意図していない。例えば上記の「発明を実施するための形態」では、本開示を簡潔にする目的で、本開示の様々な特徴が、1つ以上の態様、実施形態、および/または構成において1つにまとめられている。本開示の態様、実施形態、および/または構成の特徴を、上で検討したもの以外の代替の態様、実施形態、および/または構成において組み合わせてもよい。この開示の方法は、特許請求の範囲が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映しているものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲に反映されているように、進歩性を備えた態様は、開示された上記の単一の態様、実施形態、および/または構成の全てに満たない特徴で成り立つ。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書においてこの「発明を実施するための形態」に組み込まれており、各請求項は本開示の個別の好ましい実施形態としてそれ自体で成立している。
【0094】
また更に、この説明は、1つ以上の態様、実施形態、および/または構成ならびに特定の変更および変形の説明を含んでいるが、他の変更、組合せ、および変形が本開示の範囲内にあり、例えばそれらは、本開示を理解した後で当業者の技術および知識の範囲内にあり得る。特許請求される構造、機能、範囲、またはステップにとって代替的な、相互交換可能な、および/または均等な構造、機能、範囲、またはステップが本明細書で開示されているかいないかに関わらず、そのような代替的な、相互交換可能な、および/または均等な構造、機能、範囲、またはステップを含む代替の態様、実施形態、および/または構成を、許される範囲まで含む権利を取得することが意図されており、どのような特許可能な主題を公に供することも意図されていない。
【符号の説明】
【0095】
100 絶縁DC-DC電力コンバータ、 104 一次側、 108 二次側、 112 トランス、 116 制御回路機構、 200 非絶縁DC-DC電力コンバータ、 204 電力回路、 208 入力電圧源、 210 非絶縁DC-DC電力コンバータ、 212 出力電圧、 220 整流回路、 224 フィルタ回路、出力コンデンサ、 228 負荷、 236 出力インダクタ、 250 制御装置、 300 グラフ、 304 波形、 308 波形、 400 グラフ、 404 波形、 408 波形、 412 波形、 416 波形、 420 波形、 424 波形、 428 波形、 432 波形、 436 波形、 500 グラフ、 504 波形、 508 波形、 600 グラフ、 604 波形、 610 グラフ、 614 波形、 620 グラフ、 624 波形、 630 グラフ、 634 波形、 700 グラフ、 704 波形、 710 グラフ、 714 波形、 720 グラフ、 724 波形、 800 グラフ、 804 波形、 810 グラフ、 814 波形、 820 グラフ、 824 波形、 900 グラフ、 904 波形、 910 グラフ、 914 波形、 920 グラフ、 924 波形、 930 グラフ、 934 波形、 1000 グラフ、 1004 波形、 1010 グラフ、 1014 波形、 1020 グラフ、 1024 波形、 1030 グラフ、 1034 波形、 1100 方法、 1104 START動作、 1120 END動作、 SW1 スイッチノード、 SW2 スイッチノード、 SW4 スイッチノード、 SW5 スイッチノード、 X1 電力回路スイッチング素子、 X2 電力回路スイッチング素子、 X3 電力回路スイッチング素子、 X4 電力回路スイッチング素子、 X5 電力回路スイッチング素子、 X6 電力回路スイッチング素子。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
【外国語明細書】