(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022052176
(43)【公開日】2022-04-04
(54)【発明の名称】手持式吸引装置
(51)【国際特許分類】
A47L 5/24 20060101AFI20220328BHJP
B08B 5/04 20060101ALI20220328BHJP
A47L 9/24 20060101ALI20220328BHJP
A47L 9/02 20060101ALI20220328BHJP
A47L 9/04 20060101ALI20220328BHJP
A47L 9/00 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
A47L5/24 Z
B08B5/04
A47L9/24 C
A47L9/02 D
A47L9/04 A
A47L9/00 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020158391
(22)【出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】梅木 智久
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 節生
【テーマコード(参考)】
3B006
3B057
3B061
3B116
【Fターム(参考)】
3B006KA06
3B057BA24
3B057BA34
3B061AA04
3B061AA18
3B061AA33
3B061AD05
3B061AD12
3B061AE13
3B116AA31
3B116AB52
3B116BA02
3B116BA14
3B116BB72
3B116BB77
(57)【要約】
【課題】床面に付着している塵芥を容易に除去できる手持式吸引装置を提供する。
【解決手段】手持式吸引装置1は、空気を吸引するブロワ2と、ブロワ2が吸引する空気を内部に流すことにより床面Fの塵芥を開口端32aから取り込む吸気ダクト3と、吸気ダクト3の前進に伴って第1方向に回転し、吸気ダクト3の後退に伴って第1方向と反対方向である第2方向に回転する車輪51,52と、吸気ダクト3の開口端32aの後方寄りに設けられ、回転して床面Fの塵芥D1,D2を掃くブラシ体6と、車輪51,52の回転に基づいてブラシ体6を回転させる回転機構7と、を備えている。回転機構7は、車輪51,52が第1方向に回転している場合は、ブラシ体6を第2方向に回転させるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面の塵芥を吸い上げて除去する手持式吸引装置(1,1A)であって、
空気を吸引するブロワ(2)と、
開口端(32a)を床面に向けて所定方向に延びる筒状に形成され、前記ブロワ(2)が吸引する空気を内部に流すことにより床面の塵芥を該開口端(32a)から取り込む吸気ダクト(3)と、
床面と当接して前記吸気ダクト(3)を支持する少なくとも1つの車輪(51,52,54,56)であって、前記吸気ダクト(3)の前進に伴って第1方向に回転し、前記吸気ダクト(3)の後退に伴って前記第1方向と反対方向である第2方向に回転する車輪(51,52,54,56)と、
前記吸気ダクト(3)の開口端(32a)の後方寄りに設けられ、回転して床面の塵芥を掃く清掃体(6,60,65,66)と、
前記車輪(51,52,54,56)の回転に基づいて前記清掃体(6,60,65,66)を回転させる回転機構(7,7A)と、を備え、
前記回転機構(7,7A)は、前記車輪(51,52,54,56)が前記第1方向に回転している場合は、前記清掃体(6,60,65,66)を前記第2方向に回転させるように構成されていることを特徴とする、手持式吸引装置。
【請求項2】
前記回転機構(7,7A)は、前記車輪(51,52,54,56)が前記第2方向に回転している場合は、前記清掃体(6,60,65,66)を前記第1方向に回転させるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の手持式吸引装置。
【請求項3】
前記吸気ダクト(3)の開口端(32a)の後端部(32a2)に、内部に向けて凹設された切欠部(35)が形成され、
前記清掃体(6,60,65,66)の少なくとも一部分が、前記切欠部(35)に配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の手持式吸引装置。
【請求項4】
前記吸気ダクト(3)は、第1軸(53,55)を中心として回転することにより開口端(32a)の前端部(32a1)と床面との距離を変更可能に構成され、
前記車輪(51,52,54,56)及び前記清掃体(6,65,66)は、いずれも、前記第1軸(53,55)を中心として回転するように構成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の手持式吸引装置。
【請求項5】
前記吸気ダクト(3)は、第1軸(53)を中心として回転することにより開口端(32a)の前端部(32a1)と床面との距離を変更可能に構成され、
前記車輪(51,52)は、前記第1軸(53)を中心として回転するように構成され、
前記清掃体(60)は、前記所定方向において前記第1軸(53)と離間した第2軸(64)を中心として回転するように構成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の手持式吸引装置。
【請求項6】
前記清掃体は、単一の前記車輪(54,56)の一側方に配置される第1清掃体(65)と、該車輪(54,56)の他側方に配置される第2清掃体(66)とを有していることを特徴とする、請求項4又は5に記載の手持式吸引装置。
【請求項7】
前記車輪(56)は、外力に応じて伸縮する弾性部(59)を有し、
前記弾性部(59)は、前記車輪(56)の径方向に伸縮可能であることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の手持式吸引装置。
【請求項8】
前記吸気ダクト(3)は、ダクト本体(31)と、該ダクト本体(31)に対して着脱自在に設けられる延長ダクト(32)とを有し、
前記清掃体(6,60,65,66)は、前記延長ダクトに対して固定されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の手持式吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面の塵芥を吸い上げて除去する手持式吸引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
落葉等の塵芥を除去する装置として、手持式吸引装置が知られている。例えば、特許文献1に開示されている手持式吸引装置は、吸込パイプの開口端から吸引する空気の作用により、床面の塵芥を吸い上げて除去するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手持式吸引装置の除去対象である塵芥には、石畳上の濡れ落ち葉のように、床面に強固に付着しているものもある。このような塵芥を空気の作用だけで除去することは困難であり、従来の手持式吸引装置は改善の余地を残していた。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、床面に付着している塵芥を容易に除去できる手持式吸引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明は、床面の塵芥を吸い上げて除去する手持式吸引装置であって、空気を吸引するブロワと、開口端を床面に向けて所定方向に延びる筒状に形成され、ブロワが吸引する空気を内部に流すことにより床面の塵芥を該開口端から取り込む吸気ダクトと、床面と当接して吸気ダクトを支持する少なくとも1つの車輪であって、吸気ダクトの前進に伴って第1方向に回転し、吸気ダクトの後退に伴って第1方向と反対方向である第2方向に回転する車輪と、吸気ダクトの開口端の後方寄りに設けられ、回転して床面の塵芥を掃く清掃体と、車輪の回転に基づいて清掃体を回転させる回転機構と、を備えている。回転機構は、車輪が第1方向に回転している場合は、清掃体を第2方向に回転させるように構成されている。
【0007】
このように構成された手持式吸引装置では、使用者が吸気ダクトを前進させると、車輪が第1方向に回転し、それに伴って清掃体が第2方向に回転する。つまり、吸気ダクトの開口端の後方寄りに設けられている清掃体が、床面の塵芥を前方に(すなわち、吸気ダクトの開口端の中央部側に)掃くように動作する。これにより、吸気ダクトの開口端における塵芥の取り込みを促し、塵芥を確実に除去することが可能になる。上述した濡れ落ち葉のように床面に強固に付着している塵芥については、清掃体が塵芥の上を繰り返し通過するように吸気ダクトを前進させることにより、さらに確実に除去することが可能になる。
【0008】
尚、本明細書において「床面」とは、塵芥が存在する面を意味し、屋内に存在するものに限られない。したがって、本発明に係る手持式吸引装置は、屋内の床面に存在する塵芥の除去に用いることもできるし、屋外の地面に存在する塵芥の除去に用いることもできる。
【0009】
上記手持式吸引装置において、回転機構は、車輪が第2方向に回転している場合は、清掃体を第1方向に回転させるように構成されてもよい。
【0010】
このように構成された手持式吸引装置では、使用者が吸気ダクトを後退させると、車輪が第2方向に回転し、それに伴って清掃体が第1方向に回転する。つまり、吸気ダクトが後退している場合、清掃体は、吸気ダクトが前進している場合とは逆の方向に回転する。したがって、清掃体が床面の塵芥の上を繰り返し通過するように吸気ダクトを前進及び後退させることにより、塵芥を2方向に掃くことが可能になる。この結果、床面に強固に付着している塵芥を確実に除去することが可能になる。
【0011】
上記手持式吸引装置において、吸気ダクトの開口端の後端部に、内部に向けて凹設された切欠部が形成され、清掃体の少なくとも一部分が、切欠部に配置されてもよい。
【0012】
このように構成された手持式吸引装置では、吸気ダクトの開口端近傍の構成をコンパクトにするとともに、開口端における塵芥の取り込みをさらに促すことが可能になる。
【0013】
上記手持式吸引装置において、吸気ダクトは、第1軸を中心として回転することにより開口端の前端部と床面との距離を変更可能に構成され、車輪及び清掃体は、いずれも、第1軸を中心として回転するように構成されてもよい。
【0014】
このように構成された手持式吸引装置では、第1軸を中心として吸気ダクトを回転させて開口端の前端部と床面との距離を変更することにより、開口端と床面との間に形成される流路の断面積を変更し、空気の流速を調節することができる。これにより、塵芥に作用する空気の吸引力を調節することが可能になる。
【0015】
また、車輪及び清掃体も第1軸を中心として回転するように構成されている。この構成によれば、車輪を回転させて吸気ダクトを移動させている際や、吸気ダクトを回転させている際に、清掃体と床面との位置関係が変化することはない。したがって、清掃体の床面への当接度合を略一定とし、清掃体から床面の塵芥に作用する力や、清掃体が床面から受ける摩擦力を略一定とすることが可能になる。
【0016】
上記手持式吸引装置において、吸気ダクトは、第1軸を中心として回転することにより開口端の前端部と床面との距離を変更可能に構成され、車輪は、第1軸を中心として回転するように構成され、清掃体は、所定方向において第1軸と離間した第2軸を中心として回転するように構成されてもよい。
【0017】
このように構成された手持式吸引装置では、第1軸を中心として吸気ダクトを回転させて開口端の前端部と床面との距離を変更することにより、開口端と床面との間に形成される流路の断面積を変更し、空気の流速を調節することができる。これにより、塵芥に作用する空気の吸引力を調節することが可能になる。
【0018】
また、車輪は、第1軸を中心として回転し、清掃体は、所定方向において第1軸と離間した第2軸を中心として回転するように構成されている。この構成によれば、第1軸を中心として吸気ダクトを回転させると、清掃体と床面との位置関係が変化する。したがって、清掃体の床面への当接度合を吸気ダクトの回転により変更し、清掃体から床面の塵芥に作用する力や、清掃体が床面から受ける摩擦力を調節することが可能になる。
【0019】
上記手持式吸引装置において、清掃体は、単一の車輪の一側方に配置される第1清掃体と、該車輪の他側方に配置される第2清掃体とを有してもよい。
【0020】
このように構成された手持式吸引装置では、単一の車輪を一側方又は他側方に傾斜させることにより、第1清掃体及び第2清掃体の床面への当接度合を変更することが可能になる。この結果、第1清掃体及び第2清掃体から床面の塵芥に作用する力や、第1清掃体及び第2清掃体が床面から受ける摩擦力を調節することが可能になる。
【0021】
上記手持式吸引装置において、車輪は、外力に応じて伸縮する弾性部を有し、弾性部は、車輪の径方向に伸縮可能であってもよい。
【0022】
このように構成された手持式吸引装置では、車輪の径方向における、弾性部の伸縮量を変更することにより、清掃体と床面との位置関係が変化する。この結果、清掃体から床面の塵芥に作用する力や、清掃体が床面から受ける摩擦力を調節することが可能になる。
【0023】
上記手持式吸引装置において、吸気ダクトは、ダクト本体と、該ダクト本体に対して着脱自在に設けられる延長ダクトとを有し、清掃体は、延長ダクトに対して固定されてもよい。
【0024】
このように構成された手持式吸引装置では、延長ダクトをダクト本体から取り外すことにより、清掃体を用いない形態とすることができる。これにより、使用環境に応じて手持式吸引装置の適切な形態を選択することが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、床面に付着している塵芥を容易に除去できる手持式吸引装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態の一例に係る手持式吸引装置の斜視図である。
【
図2】
図1の吸気ダクト及び清掃ユニットの分解斜視図である。
【
図5】
図1の吸気ダクト及び清掃ユニットの側面図である。
【
図6】第1実施形態の変形例に係る吸気ダクト及び清掃ユニットの側面図である。
【
図7】第2実施形態の一例に係る手持式吸引装置の斜視図である。
【
図10】
図7の吸気ダクト及び清掃ユニットの側面図である。
【
図11】第2実施形態の変形例に係る清掃ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
まず、
図1を参照しながら、第1実施形態の一例に係る手持式吸引装置1(以下「吸引装置1」ともいう。)の概要について説明する。
図1は、第1実施形態に係る吸引装置1の斜視図である。吸引装置1は、ブロワ2と、吸気ダクト3と、清掃ユニット4と、を備えている。
【0028】
ブロワ2は、駆動源が発生させるトルクにより、吸引口2aから空気を吸引し、当該空気を吹出口2bから吹き出す流体機器である。吹出口2bは、不図示の集塵袋まで延びる排気ダクト11に接続されている。ブロワ2は、吸引装置1を移動させる際に使用者が把持する把持部21が形成されている。ブロワ2の駆動源として、例えば、燃料を燃焼させて駆動するエンジンや、電力を消費して駆動する電動モータを採用することができる。
【0029】
吸気ダクト3は、端部31aと開口端32aとの間で延びる筒状に形成されている。開口端32aの外径は、端部31aの外径よりも大きい。端部31aは、ブロワ2の吸引口2aに接続されている。
【0030】
清掃ユニット4は、吸気ダクト3の開口端32aの近傍に設けられている。後述するように、清掃ユニット4は、車軸53を中心として回転する車輪51,52やブラシ体6を有している。
【0031】
使用者は、ブロワ2の把持部21を把持し、車輪51,52を床面Fに当接させた状態で、吸引装置1を使用する。これにより、吸気ダクト3は、開口端32aを床面Fに向け、開口端32aから端部31aかけて斜め上方に延びるように配置される。
【0032】
尚、本明細書では、鉛直上方向を「上」と称し、鉛直下方向を「下」と称する。また、車軸53が延びる方向であって、且つ、把持部21を把持している使用者から見て右方向を「右」と称し、左方向を「左」と称する。さらに、上下方向及び左右方向と直交する方向であって、把持部21を把持している使用者が前進する方向を「前」と称し、後退する方向を「後」と称する。
【0033】
ブロワ2は、吸引口2aに接続されている吸気ダクト3を介して空気を吸引する。これにより、開口端32aから空気とともに塵芥D1が取り込まれ、床面Fから除去される。吸気ダクト3の内部を通過してブロワ2に達した塵芥D1は、吹出口2bから排気ダクト11に吹き出され、集塵袋に集められる。
【0034】
清掃ユニット4は、開口端32aから取り込む空気の作用だけでは除去することが困難な塵芥D2に対し、有効に機能する。具体的には、清掃ユニット4のブラシ体6が回転し、塵芥D2を掃くように動作する。
【0035】
次に、
図2乃至
図4を参照しながら、吸引装置1の構成について説明する。
図2は、吸気ダクト3及び清掃ユニット4の分解斜視図である。
図3は、清掃ユニット4の底面図であり、
図4は、
図2のIV-IV断面を示す断面図である。
【0036】
図2に示されるように、吸気ダクト3は、ダクト本体31と、延長ダクト32と、を有している。ダクト本体31及び延長ダクト32は、中心線CLに沿って延びる円筒状に形成されている。ダクト本体31の端部31bと、延長ダクト32の端部32bは、中心線CLに略垂直な面であり、いずれも固定リング37の内部に挿入配置される。延長ダクト32は、固定リング37により締結する、又は、固定リング37を開放することにより、ダクト本体31に対して着脱自在に設けられる。
【0037】
上述した吸気ダクト3の開口端32aは、延長ダクト32の端部に相当する。開口端32aのうち、前端部32a1の近傍は中心線CLに略垂直な面で構成され、後端部32a2の近傍は中心線CLに対して傾斜した面で構成されている。後端部32a2には、延長ダクト32の内部に向けて凹設された切欠部35が形成されている。
【0038】
図3及び
図4に示されるように、清掃ユニット4は、フレーム41と、フレーム41に対して固定されている固定リング43と、を有している。清掃ユニット4は、さらに、車輪51,52と、ブラシ体6と、回転機構7と、を有している。
【0039】
車輪51,52は円盤状に形成されており、
図4に示されるように、その中央部には貫通孔51a,52aが形成されている。車輪51,52は、フレーム41を挟んで互いに対向するように配置されている。フレーム41、及び、車輪51,52の貫通孔51a,52aには車軸53が挿通しており、車輪51,52は車軸53に対して固定されている。すなわち、車輪51,52が車軸53を中心として回転すると、これに伴い車軸53も回転する。車軸53は、本発明に係る「第1軸」の実施形態の一例である。
【0040】
ブラシ体6は、本発明に係る「清掃体」の一例である。ブラシ体6は、車輪51と車輪52との間で、フレーム41で包囲される位置に、配置されている。ブラシ体6は、筒体61と、複数の毛束62と、を有している。筒体61は円筒状に形成されており、その内部を車軸53が挿通している。毛束62は、可撓性を有する化学繊維(例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維)の集合体である。各毛束62は、根元が筒体61に固定されるとともに、筒体61の周側面で螺旋状に配列されている。
【0041】
回転機構7は、ブラシ体6の両端部に配置されている。
図4に示されるように、回転機構7は、太陽歯車71、遊星歯車73、及び内歯車75からなる遊星歯車機構を有している。太陽歯車71の中心には車軸53が挿通しており、太陽歯車71はこの車軸53に対して固定されている。太陽歯車71と噛合する遊星歯車73の中心には、支持軸76が挿通している。支持軸76はフレーム41に固定されており、遊星歯車73はこの支持軸76を中心として回転可能である。したがって、遊星歯車73は、太陽歯車71の周囲で公転することなく、支持軸76を中心として自転する。遊星歯車73と噛合する内歯車75は、連結体77により、ブラシ体6の筒体61の端部に連結されている。これにより、内歯車75の回転がブラシ体6に伝達される。
【0042】
このような構成を有する清掃ユニット4は、固定リング43により締結する、又は、固定リング43を開放することにより、延長ダクト32に対して着脱自在に設けられる。清掃ユニット4が延長ダクト32に取り付けられると、
図3に示されるように、車輪51は吸気ダクト3の右方に配置され、車輪52は吸気ダクト3の左方に配置される。また、ブラシ体6は、延長ダクト32の切欠部35に配置される。
【0043】
次に、
図5を参照しながら、吸引装置1の使用形態について説明する。
図5は、吸気ダクト3及び清掃ユニット4の側面図である。説明の理解を容易にするため、
図5は、清掃ユニット4の近傍を拡大して示すとともに、車輪52、左方の回転機構7、及びフレーム41の図示を省略している。
【0044】
上述したように、吸引装置1は、車輪51,52が床面Fに当接した状態で使用される。車輪51,52が床面Fに当接すると、ブラシ体6の下部の毛束62の先端部も床面Fに当接する。
【0045】
使用者がブロワ2の把持部21(
図1参照)を押して吸気ダクト3を前進させると、床面Fに当接している車輪51,52が、車軸53を中心として
図5(a)の矢印R11方向(つまり、反時計回りの方向)に回転する。また、使用者がブロワ2の把持部21を引いて吸気ダクト3を後退させると、車輪51,52は、車軸53を中心として
図5(a)の矢印R12方向(つまり、時計回りの方向)に回転する。
図5(a)における反時計回りの方向は、本発明に係る「第1方向」の実施形態の一例であり、
図5(a)における時計回りの方向は、本発明に係る「第2方向」の実施形態の一例である。
【0046】
吸気ダクト3が前進し、車輪51,52が矢印R11方向に回転すると、車軸53も同方向に回転する。回転機構7(
図4参照)は、その遊星歯車機構の作用により、車軸53が回転する方向とは逆の方向にブラシ体6を回転させる。すなわち、回転機構7は、ブラシ体6を、車軸53を中心として矢印S11方向(つまり、時計回りの方向)に回転させる。これにより、吸気ダクト3が前進している際、ブラシ体6は、その毛束62により床面Fの塵芥を前方に掃くように動作する。
【0047】
一方、吸気ダクト3が後退し、車輪51,52が矢印R12方向に回転すると、車軸53も同方向に回転し、回転機構7は、ブラシ体6を、車軸53を中心として矢印S12方向(つまり、反時計回りの方向)に回転させる。これにより、吸気ダクト3が後退している際、ブラシ体6は、その毛束62により床面Fの塵芥を後方に掃くように動作する。
【0048】
また、使用者は、車軸53を中心として吸気ダクト3を矢印R11方向や矢印R12方向に回転させ、吸気ダクト3を任意の位置に配置することができる。
【0049】
図5(a)は、開口端32aの前端部32a1と床面Fとの距離が比較的大きいH1となるように配置された吸気ダクト3を示している。この場合、開口端32aと床面Fとの間に形成される流路の断面積は比較的大きくなり、この結果、矢印A1で示されるように両者の間を通過する空気の流速は比較的小さくなる。
【0050】
図5(b)は、開口端32aの前端部32a1と床面Fとの距離が比較的小さいH2となるように配置された吸気ダクト3を示している。この場合、開口端32aと床面Fとの間に形成される流路の断面積は比較的小さくなり、この結果、矢印A2で示されるように両者の間を通過する空気の流速は比較的大きくなる。
【0051】
次に、第1の実施形態に基づく作用効果について説明する。
【0052】
吸引装置1では、使用者が吸気ダクト3を前進させると、車輪51,52が矢印R11方向に回転し、それに伴ってブラシ体6が矢印S11方向に回転する。つまり、吸気ダクト3の開口端32aの後方寄りに設けられているブラシ体6が、床面Fの塵芥を前方に(すなわち、吸気ダクト3の開口端32aの中央部側に)掃くように動作する。これにより、吸気ダクト3の開口端32aにおける塵芥の取り込みを促し、塵芥を確実に除去することが可能になる。濡れ落ち葉のように床面Fに強固に付着している塵芥については、ブラシ体6が塵芥の上を繰り返し通過するように吸気ダクト3を前進させることにより、さらに確実に除去することが可能になる。
【0053】
また、回転機構7は、車輪51,52が矢印R12方向に回転している場合は、清掃体を矢印S12方向に回転させるように構成されている。
【0054】
このように構成された吸引装置1では、使用者が吸気ダクト3を後退させると、車輪51,52が矢印R12方向に回転し、それに伴ってブラシ体6が矢印S12方向に回転する。つまり、吸気ダクト3が後退している場合、ブラシ体6は、吸気ダクト3が前進している場合とは逆の方向に回転する。したがって、ブラシ体6が塵芥の上を繰り返し通過するように吸気ダクト3を前進及び後退させることにより、塵芥を2方向に掃くことが可能になる。この結果、床面Fに強固に付着している塵芥を確実に除去することが可能になる。
【0055】
また、吸気ダクト3の開口端32aの後端部32a2に、内部に向けて凹設された切欠部35が形成され、ブラシ体6の少なくとも一部分が、切欠部35に配置されている。
【0056】
このように構成された吸引装置1では、吸気ダクト3の開口端32a近傍の構成をコンパクトにするとともに、切欠部35にブラシ体6が配置されるので、開口端32aとブラシ体6と地面との距離が近くなり、場合によっては、開口端32Aと地面との角度を最適にすることにより、開口端32aにおける塵芥の取り込みをさらに促すことが可能になる。
【0057】
また、吸気ダクト3は、車軸53を中心として回転することにより開口端32aの前端部32a1と床面Fとの距離を変更可能に構成、車輪51,52及びブラシ体6は、いずれも、車軸53を中心として回転するように構成されている。
【0058】
このように構成された吸引装置1では、車軸53を中心として吸気ダクト3を回転させて開口端32aの前端部32a1と床面Fとの距離を変更することにより、開口端32aと床面Fとの間に形成される流路の断面積を変更し、空気の流速を調節することができる。これにより、塵芥に作用する空気の吸引力を調節することが可能になる。
【0059】
また、車輪51,52及びブラシ体6も車軸53を中心として回転するように構成されている。この構成によれば、車輪51,52を回転させて吸気ダクト3を移動させている際や、吸気ダクト3を回転させている際に、ブラシ体6と床面Fとの位置関係が変化することはない。したがって、ブラシ体6の床面への当接度合を略一定とし、ブラシ体6が床面Fの塵芥に作用する力や、ブラシ体6が床面Fから受ける摩擦力を略一定とすることが可能になる。
【0060】
また、吸気ダクト3は、ダクト本体31と、ダクト本体31に対して着脱自在に設けられる延長ダクト32とを有し、ブラシ体6は、延長ダクト32に対して固定されている。
【0061】
このように構成された吸引装置1では、延長ダクト32をダクト本体31から取り外すことにより、ブラシ体6を用いない形態とすることができる。すなわち、吸引装置1を、ダクト本体31の端部31bから塵芥を取り込む形態とすることができる。これにより、使用環境に応じて吸引装置1の適切な形態を選択することが可能になる。
【0062】
[第1実施形態の変形例]
次に、
図6を参照しながら、第1実施形態の変形例について説明する。当該変形例は、主に、清掃体であるスポンジ体60の回転軸が、吸気ダクト3や車輪51,52の回転軸と異なる点で、第1実施形態と異なる。変形例の構成のうち、第1実施形態の構成と同一ものには同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0063】
図6は、第1実施形態の変形例に係る吸気ダクト3及び清掃ユニット40の側面図である。説明の理解を容易にするため、
図6は、清掃ユニット40の近傍を拡大して示すとともに、車輪52とフレーム41の図示を省略している。
【0064】
変形例に係る清掃ユニット40は、スポンジ体60を有している。スポンジ体60は、本発明に係る「清掃体」の実施形態の一例である。スポンジ体60は円筒状に形成されており、その周側面に、吸水性を有する多孔質体63を有している。
【0065】
スポンジ体60は、軸64を中心として回転するように構成されている。軸64は、本発明に係る「第2軸」の実施形態の一例であり、車軸53と離間している。具体的には、軸64は、中心線CLに沿う方向において、車軸53よりも開口端32a側に配置されている。この構成によれば、床面Fと吸気ダクト3の底面が平行になるときの鉛直方向において、軸64は、車軸53よりも距離dだけ床面F側に配置される(場合によっては、車軸53が、中心線CLに沿う方向において、軸64よりも開口端32a側に配置されるケースや、中心線CLに直交する方向において、軸64と車軸53が離間しているケースも考えられる)。
【0066】
吸気ダクト3が前進し、車輪51,52が車軸53を中心として矢印R21方向に回転すると、スポンジ体60は、軸64を中心として矢印S21方向(つまり、時計回りの方向)に回転する。これにより、吸気ダクト3が前進している際、スポンジ体60は、その多孔質体63により床面Fの水分を吸収しつつ、床面Fの塵芥を前方に掃くように動作する。
【0067】
一方、吸気ダクト3が後退し、車輪51,52が車軸53を中心として矢印R22方向に回転すると、スポンジ体60は、軸64を中心として矢印S22方向(つまり、反時計回りの方向)に回転する。これにより、吸気ダクト3が後退している際、スポンジ体60は、その多孔質体63により床面Fの水分を吸収しつつ、床面Fの塵芥を後方に掃くように動作する。
【0068】
また、使用者は、車軸53を中心として吸気ダクト3を矢印R21方向や矢印R22方向に回転させ、吸気ダクト3を任意の位置に配置するとともに、スポンジ体60の床面Fへの当接度合を変更することができる。
【0069】
図6(a)は、開口端32aの前端部32a1と床面Fとの距離が比較的大きいH3となるように配置された吸気ダクト3を示している。この場合、軸64は車軸53よりも前方に配置され、スポンジ体60の下端部と床面Fとの間に距離H4の隙間が形成される。
【0070】
図6(b)は、開口端32aの前端部32a1と床面Fとの距離が比較的小さいH5となるように配置された吸気ダクト3を示している。この場合、軸64は車軸53の略真下に配置され、スポンジ体60の下端部が床面Fと当接する。
【0071】
このように構成された変形例では、車軸53を中心として吸気ダクト3を回転させて開口端32aの前端部32a1と床面Fとの距離を変更することにより、開口端32aと床面Fとの間に形成される流路の断面積を変更し、空気の流速を調節することができる。これにより、塵芥に作用する空気の吸引力を調節することが可能になる。
【0072】
また、車輪51,52は、車軸53を中心として回転し、スポンジ体60は、床面Fと吸気ダクト3の底面が平行になるときの鉛直方向において車軸53と離間した軸64を中心として回転するように構成されている。この構成によれば、車軸53を中心として吸気ダクト3を回転させると、スポンジ体60と床面Fとの位置関係が変化する。したがって、スポンジ体60の床面Fへの当接度合を吸気ダクト3の回転により変更し、スポンジ体60から床面Fの塵芥に作用する力や、スポンジ体60が床面Fから受ける摩擦力を調節することが可能になる。
【0073】
[第2実施形態]
次に、
図7乃至
図9を参照しながら、第2実施形態の一例に係る手持式吸引装置1A(以下「吸引装置1A」ともいう。)について説明する。第2実施形態は、主に、単一の車輪54を備え、清掃ユニット8がブラシ体65,66を備えている点で、第1実施形態と異なる。第2実施形態の構成のうち、第1実施形態の構成と同一ものには同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0074】
図7は、第2実施形態に係る吸引装置1Aの斜視図である。
図7は、清掃ユニット8の近傍を拡大して示している。
図8は、清掃ユニット8の底面図である。
図9は、清掃ユニット8の断面図であり、車軸55を通る面における清掃ユニット8の断面を示している。
【0075】
清掃ユニット8は、フレーム81と、フレーム81に対して固定されている固定リング43と、を有している。清掃ユニット8は、さらに、車輪54と、ブラシ体65,66と、回転機構7Aと、を有している。
【0076】
図9に示されるように、車輪54は、円環状に形成されており、その一部が、清掃ユニット8のフレーム81で包囲される位置に配置されている。後述するように、車輪54は車軸55を中心として回転する。車軸55は、本発明に係る「第1軸」の一例である。
【0077】
ブラシ体65は、車輪54の右方に配置され、ブラシ体66は、車輪54の左方に配置されている。すなわち、ブラシ体65,66は、車輪54を挟んで互いに対向するように配置されている。ブラシ体65,66の一部は、清掃ユニット8のフレーム81で包囲される位置に配置されている。ブラシ体65は、本発明に係る「第1清掃体」の一例であり、ブラシ体66は、本発明に係る「第2清掃体」の一例である。
【0078】
ブラシ体65,66は、筒体67と、複数の毛束62と、を有している。
図9に示されるように、筒体67は円筒状に形成されており、その両端はプレート68により覆われている。筒体67の内部には車軸55が挿通している。また、車軸55はプレート68を貫通しており、プレート68は車軸55に対して固定されている。
【0079】
回転機構7Aは、車輪54の内側に配置されている。
図9に示されるように、回転機構7Aは、太陽歯車71A、遊星歯車73A、及び内歯車75Aからなる遊星歯車機構を有している。太陽歯車71Aの中心には車軸55が挿通され、太陽歯車71Aはこの車軸55に対して固定されている。太陽歯車71Aと噛合する遊星歯車73Aの中心には、支持軸76Aが挿通している。支持軸76Aは清掃ユニット8のフレーム81に固定されており、遊星歯車73Aはこの支持軸76Aを中心として回転可能である。したがって、遊星歯車73Aは、太陽歯車71Aの周囲で公転することなく、支持軸76Aを中心として自転する。遊星歯車73Aと噛合する内歯車75Aは、車輪54の内周面54aに連結されている。これにより、内歯車75Aの回転が、遊星歯車73A、太陽歯車71A、及び車軸55を介してブラシ体65,66に伝達される。
【0080】
次に、
図10を参照しながら、吸引装置1Aの使用形態について説明する。
図10は、吸気ダクト3及び清掃ユニット8の側面図である。説明の理解を容易にするため、
図10は、清掃ユニット8の近傍を拡大して示している。
【0081】
吸引装置1Aは、車輪54を床面Fに当接させた状態で使用される。車輪51,52が床面Fに当接すると、ブラシ体65,66の下部の毛束62の先端部も床面Fに当接する。
【0082】
使用者がブロワ2の把持部21(
図1参照)を押して吸気ダクト3を前進させると、床面Fに当接している車輪54が、車軸55を中心として
図10(a)の矢印R31方向(つまり、反時計回りの方向)に回転する。また、使用者がブロワ2の把持部21を引いて吸気ダクト3を後退させると、車輪54は、車軸55を中心として
図10(a)の矢印R32方向(つまり、時計回りの方向)に回転する。
図10(a)における反時計回りの方向は、本発明に係る「第1方向」の一例であり、
図10(a)における時計回りの方向は、本発明に係る「第2方向」の一例である。
【0083】
吸気ダクト3が前進し、車輪54が矢印R31方向に回転すると、車輪54に対して固定されている内歯車75A(
図9参照)も同方向に回転する。回転機構7A(
図9参照)は、その遊星歯車機構の作用により、車輪54が回転する方向とは逆の方向にブラシ体65,66を回転させる。すなわち、回転機構7は、ブラシ体65,66を、車軸55を中心として矢印S31方向(つまり、時計回りの方向)に回転させる。これにより、吸気ダクト3が前進している際、ブラシ体65,66は、その毛束62により床面Fの塵芥を前方に掃くように動作する。
【0084】
一方、吸気ダクト3が後退し、車輪54が矢印R32方向に回転すると、回転機構7Aは、ブラシ体65,66を、車軸55を中心として矢印S32方向(つまり、反時計回りの方向)に回転させる。これにより、吸気ダクト3が後退している際、ブラシ体65,66は、その毛束62により床面Fの塵芥を後方に掃くように動作する。
【0085】
また、使用者は、車軸55を中心として吸気ダクト3を矢印R31方向や矢印R32方向に回転させ、吸気ダクト3を任意の位置に配置することができる。
【0086】
図10(a)は、開口端32aの前端部32a1と床面Fとの距離が比較的大きいH6となるように配置された吸気ダクト3を示している。この場合、開口端32aと床面Fとの間に形成される流路の断面積は比較的大きくなり、この結果、矢印A3で示されるように両者の間を通過する空気の流速は比較的小さくなる。
【0087】
図10(b)は、開口端32aの前端部32a1と床面Fとの距離が比較的小さいH7となるように配置された吸気ダクト3を示している。この場合、開口端32aと床面Fとの間に形成される流路の断面積は比較的小さくなり、この結果、矢印A4で示されるように両者の間を通過する空気の流速は比較的大きくなる。
【0088】
また、吸引装置1Aでは、単一の車輪54を右方又は左方に傾斜させることにより、ブラシ体65,66の床面Fへの当接度合を変更することが可能になる。この結果、ブラシ体65,66から床面Fの塵芥に作用する力や、ブラシ体65,66が床面Fから受ける摩擦力を調節することが可能になる。
【0089】
[第2実施形態の変形例]
次に、
図11を参照しながら、第2実施形態の変形例について説明する。当該変形例は、主に、車輪56が弾性体59を有している点で、第2実施形態と異なる。変形例の構成のうち、第2実施形態の構成と同一ものには同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0090】
図11は、清掃ユニット80の断面図であり、車軸55を通る面における清掃ユニット80の断面を示している。
【0091】
変形例に係る清掃ユニット80の車輪56は、車輪本体57と、外殻58と、弾性体59と、からなる。車輪本体57及び外殻58は円環状に形成されており、それぞれ車輪56の径方向内側部分と径方向外側部分を構成する部材である。回転機構7Aの内歯車75Aは、車輪本体57の内周面57aに連結されている。外殻58は、所定の隙間を空けて車輪本体57の周側面を覆うように配置されている。
【0092】
弾性体59は、本発明に係る「弾性部」の一例であり、車輪本体57と外殻58との間に配置されている。弾性体59は、印加される外力に応じて伸縮可能な部材であり、例えば、ゴム材料で形成された部材や金属バネを採用することができる。
【0093】
図11(a)は、上方から弾性体59に印加されている外力が比較的小さい場合の清掃ユニット80を示している。この場合、床面Fの近傍における弾性体59の圧縮量は比較的小さい。この結果、車軸55と床面Fとの距離は比較的大きいH8となる。
【0094】
一方、
図11(b)は、上方から弾性体59に印加されている外力が比較的大きい場合の清掃ユニット80を示している。この場合、床面Fの近傍における弾性体59の圧縮量は比較的大きい。この結果、車軸55と床面Fとの距離は比較的小さいH9となる。
【0095】
このように構成された吸引装置では、車輪56の径方向における、弾性体59の伸縮量を変更することにより、ブラシ体65,66と床面Fとの位置関係が変化する。この結果、ブラシ体65,66から床面Fの塵芥に作用する力や、ブラシ体65,66が床面Fから受ける摩擦力を調節することが可能になる。
【0096】
以上説明した実施形態や変形例は、欧州に多くある石畳の凹部に付着した濡れ落葉等を、矢印の方向に吸引装置を操作することで、吸い込みにくい濡れ落葉等を吸引することにも役立てるようにしてもよい。
【0097】
また、以上説明した実施形態や変形例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0098】
1,1A 手持式吸引装置
2 ブロワ
3 吸気ダクト
31 ダクト本体
32 延長ダクト
32a 開口端
35 切欠部
51,52,54,56 車輪
53,55 車軸(第1軸)
59 弾性体(弾性部)
6 ブラシ体(清掃体)
60 スポンジ体(清掃体)
65 ブラシ体(清掃体、第1清掃体)
66 ブラシ体(清掃体、第2清掃体)
7,7A 回転機構
D1,D2 塵芥
F 床面