特開 2022-53184 開閉装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022053184

(43)【公開日】2022-04-05

(54)【発明の名称】開閉装置

(51)【国際特許分類】

   E06B 9/15 20060101AFI20220329BHJP

【ＦＩ】

E06B9/15 A

【審査請求】未請求

【請求項の数】13

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2020159857

(22)【出願日】2020-09-24

(71)【出願人】

【識別番号】000239714

【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000626

【氏名又は名称】特許業務法人英知国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】重村 正和

(72)【発明者】

【氏名】津田 真伸

(72)【発明者】

【氏名】吉森 健人

(57)【要約】      （修正有）

【課題】開閉体を巻き取る際の振動及び騒音を効果的に緩和することができる上、緩衝材が外れてしまうのを防ぐ。
【解決手段】空間を仕切るようにして閉鎖動作するとともに逆方向へ開放動作して巻き重ねられる開閉体と、巻き重ねられた際の開閉体の間に挟まれる緩衝材３０と、開閉体を幅方向の両側で開閉方向へ案内するガイドレールとを備え、緩衝材３０は、開閉体に固定された被固定部３１と、巻き重ねられた際の開閉体の間に挟まれて弾性変形する変形部３２とを一体的に具備し、被固定部３１は変形部３２よりも硬質な材料により形成される。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

空間を仕切るようにして閉鎖動作するとともに逆方向へ開放動作して巻き重ねられる開閉体と、巻き重ねられた際の前記開閉体の間に挟まれる緩衝材と、前記開閉体を幅方向の両側で開閉方向へ案内するガイドレールとを備え、
前記緩衝材は、前記開閉体に固定された被固定部と、巻き重ねられた際の前記開閉体の間に挟まれて弾性変形する変形部とを一体的に具備し、前記被固定部が前記変形部よりも硬質な材料により形成されることを特徴とする開閉装置。

【請求項2】

前記被固定部が、金属材料から形成されていることを特徴とする請求項１記載の開閉装置。

【請求項3】

前記変形部が、弾性を有する合成樹脂材料により形成されていることを特徴とする請求項１又は２記載の開閉装置。

【請求項4】

前記開閉体は、幅方向へ長尺なスラットを開閉方向に複数接続してなり、
前記各スラットには、本体片部と、前記本体片部の開放方向側で開閉体厚さ方向の一方へ突出した接続部と、前記本体片部の閉鎖方向側で前記一方へ突出して他のスラットの接続部に接続された被接続部と、対向する内面間に前記被固定部を嵌め合わせた嵌合凹部とが設けられていることを特徴とする請求項１～３何れか１項記載の開閉装置。

【請求項5】

前記嵌合凹部は、一方側の前記内面を前記本体片部により形成し、他方側の前記内面を前記接続部又は前記被接続部により形成していることを特徴とする請求項４記載の開閉装置。

【請求項6】

前記被固定部は、一方側の前記内面に対向部分を圧接した第一の突片部と、他方側の前記内面に対向部分を圧接した第二の突片部とを有することを特徴とする請求項４又は５記載の開閉装置。

【請求項7】

前記対向部分が、エッジ状に形成されていることを特徴とする請求項６記載の開閉装置。

【請求項8】

前記被固定部は、前記第一の突片部と前記第二の突片部の間を拡げる弾性復元力を有することを特徴とする請求項６又は７記載の開閉装置。

【請求項9】

前記変形部は、開閉体厚さ方向へ突出して前記接続部又は前記被接続部に接触又は近接することを特徴とする請求項４～８何れか１項記載の開閉装置。

【請求項10】

前記変形部は、開閉体厚さ方向へ突出して、その突端側を開閉体開閉方向へ延設していることを特徴とする請求項１～９何れか１項記載の開閉装置。

【請求項11】

前記変形部は、開閉体厚さ方向へ突出して、その突端側を中空状に形成していることを特徴とする請求項１～１０何れか１項記載の開閉装置。

【請求項12】

前記変形部は、前記弾性変形により撓むように形成されていることを特徴とする請求項１～１１何れか１項記載の開閉装置。

【請求項13】

前記変形部は、撓み方向側の面に、開閉体幅方向へ延設された凹溝を有することを特徴とする請求項１２記載の開閉装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体をその開放側で巻き重ねて収納する開閉装置に関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来、この種の開閉装置には、例えば特許文献１に記載されるように、左右幅方向へ長尺なスラットを上下方向へ複数接続した開閉体と、この開閉体を幅方向の両側で開閉方向へ案内するガイドレールと、前記開閉体をその開放方向側で巻き取りながら重ねる巻取軸とを具備したものがある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２００４－２５７０１７号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、上記従来の開閉装置によれば、開閉体を巻き取る際に、該開閉体の内面と外面とが当接して、騒音や振動等を発生するおそれがある。
そこで、前記内面と前記外面の間に緩衝材を挟むことが考えられるが、緩衝材が安易に外れることのないように工夫を要する。

【課題を解決するための手段】

【0005】

このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
空間を仕切るようにして閉鎖動作するとともに逆方向へ開放動作して巻き重ねられる開閉体と、巻き重ねられた際の前記開閉体の間に挟まれる緩衝材と、前記開閉体を幅方向の両側で開閉方向へ案内するガイドレールとを備え、前記緩衝材は、前記開閉体に固定された被固定部と、巻き重ねられた際の前記開閉体の間に挟まれて弾性変形する変形部とを一体的に具備し、前記被固定部を前記変形部よりも硬質な材料により形成していることを特徴とする開閉装置。

【発明の効果】

【0006】

本発明は、以上説明したように構成されているので、開閉体を巻き取る際の振動及び騒音を効果的に緩和することができる上、緩衝材が外れてしまうのを防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。

【図2】緩衝材の一例をスラットに装着した状態を示す要部斜視図である。

【図3】同緩衝材をスラットに装着した状態を示す縦断面図である。

【図4】同緩衝材の斜視図であり、（ａ）と（ｂ）で視点を変えている。

【図5】開閉体が巻き重ねられて、外側の緩衝材が内側の開閉体表面に当接した直後の状態を示す要部縦断面図である。

【図6】開閉体が巻き重ねられて、外側の緩衝材が内側の開閉体表面に当接して弾性変形した状態を示す要部縦断面図である。

【図7】緩衝材の他例をスラットに装着した状態を示す要部縦断面図である。

【図8】同緩衝材をスラットに装着した状態を示す要部斜視図である。

【図9】緩衝材の他例をスラットに装着した状態を示す要部縦断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0008】

本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、空間を仕切るようにして閉鎖動作するとともに逆方向へ開放動作して巻き重ねられる開閉体と、巻き重ねられた際の前記開閉体の間に挟まれる緩衝材と、前記開閉体を幅方向の両側で開閉方向へ案内するガイドレールとを備え、前記緩衝材は、前記開閉体に固定された被固定部と、巻き重ねられた際の前記開閉体の間に挟まれて弾性変形する変形部とを一体的に具備し、前記被固定部が前記変形部よりも硬質な材料により形成される（図１～図９参照）。

【0009】

第二の特徴として、前記被固定部が、金属材料から形成されている。

【0010】

第三の特徴として、前記変形部が、弾性を有する合成樹脂材料により形成されている。

【0011】

第四の特徴として、前記開閉体は、幅方向へ長尺なスラットを開閉方向に複数接続してなり、前記各スラットには、本体片部と、前記本体片部の開放方向側で開閉体厚さ方向の一方へ突出した接続部と、前記本体片部の閉鎖方向側で前記一方へ突出して他のスラットの接続部に接続された被接続部と、対向する内面間に前記被固定部を嵌め合わせた嵌合凹部とが設けられている（図３，図７及び図９参照）。

【0012】

第五の特徴として、前記嵌合凹部は、一方側の前記内面を前記本体片部により形成し、他方側の前記内面を前記接続部又は前記被接続部により形成している（図３，図７及び図９参照）。

【0013】

第六の特徴として、前記被固定部は、一方側の前記内面に対向部分を圧接した第一の突片部と、他方側の前記内面に対向部分を圧接した第二の突片部とを有する（図３，図４，図７及び図９参照）。

【0014】

第七の特徴は、前記対向部分が、エッジ状に形成されている（図３，図４，図７及び図９参照）。

【0015】

第八の特徴として、前記被固定部は、前記第一の突片部と前記第二の突片部の間を拡げる弾性復元力を有する（図３，図４，図７及び図９参照）。

【0016】

第九の特徴として、前記変形部は、開閉体厚さ方向へ突出して前記接続部又は前記被接続部に接触又は近接する。

【0017】

第十の特徴として、前記変形部は、開閉体厚さ方向へ突出して、その突端側を開閉体開閉方向へ延設している（図３，図７及び図９参照）。

【0018】

第十一の特徴として、前記変形部は、開閉体厚さ方向へ突出して、その突端側を中空状に形成している（図９参照）。

【0019】

第十二の特徴として、前記変形部は、前記弾性変形により撓むように形成されている（図３，図４，図７及び図９参照）。

【0020】

第十三の特徴として、前記変形部は、撓み方向側の面に、開閉体幅方向へ延設された凹溝を有する（図３，図４及び図９参照）。

【0021】

＜具体的実施態様＞
次に、上記特徴を具備した具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明において、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切るようにして閉鎖したり開放したりするスライド方向を意味する。

【0022】

また、「開閉体幅方向外側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の外側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向外側は、右側のガイドレールの右方向側になる。
また、「開閉体幅方向内側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の内側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向内側は、右側のガイドレールの左方向側になる。

【0023】

また、「開閉体厚さ方向外側」とは、開閉体の厚みの中央部から開閉体厚さ方向に沿って離れる方向側を意味する。
また、「開閉体厚さ方向内側」とは、開閉体厚さ方向に沿って開閉体の厚みの中央部へ向かう方向側を意味する。

【0024】

開閉装置１は、図１に示すように、空間を仕切るようにして閉鎖動作するとともに逆方向へ開放動作して巻き重ねられる開閉体１０と、開閉体１０を横幅方向の両側でそれぞれ開閉方向へ案内するガイドレール２０と、巻き重ねられた際の開閉体１０の間に挟まれる緩衝材３０と、開閉体１０をその開放方向側で巻き重ねて収納する収納部４０とを備え、例えば、ガレージや工場、窓サッシ等の開口部分に装着されるシャッター装置を構成している。

【0025】

開閉体１０は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなるスラット１１ａを、上下に隣接するスラット１１ａ，１１ａ間で回動するように複数連接することで開閉体本体１１を構成し、この開閉体本体１１の閉鎖方向端部側に、全閉時の当接対象部位Ｇに当接させるための座板部材１２を横幅方向へわたって接続している（図１参照）。

【0026】

各スラット１１ａは、開閉体幅方向へ連続するように延設された縦断面略凹状の部材であり、略板状（図示例によれば平板状）の本体片部１１ａ１と、本体片部１１ａ１の開放方向側で開閉体厚さ方向の一方（図３によれば左方向）へ突出した接続部１１ａ２と、本体片部１１ａ１の閉鎖方向側で前記一方へ突出して他のスラット１１ａの接続部１１ａ２に接続される被接続部１１ａ３と、対向する内面１１ａ４１，１１ａ４２間に緩衝材３０を嵌め合わせた嵌合凹部１１ａ４とを一体に有する。

【0027】

開閉方向に隣り合う二つのスラット１１ａ，１１ａは、接続部１１ａ２と被接続部１１ａ３の係合によって、その一方が他方に対し回動可能であるとともに、その一方に対し他方を開閉体幅方向へスライドさせることが可能である。

【0028】

接続部１１ａ２は、例えば縦断面略フック状等、被接続部１１ａ３に掛止可能な適宜形状に曲げ形成される。
被接続部１１ａ３は、下方側から接続部１１ａ２を挿入して掛止可能なように、下方を開口した縦断面略カール状（別表現すれば、下方の開口した縦断面Ｃ字状）に形成される（図３参照）。

【0029】

また、被接続部１１ａ３は、本体片部１１ａ１の下端側から開閉体厚さ方向の一方へ突出しており、その突端部を、当接部１１ａ３１として機能させる。この当接部１１ａ３１は、開閉体１０が巻き重ねられて、緩衝材３０が開閉体１０の内面と外面に挟まれて弾性変形した後に、開閉体１０の外面に対し直接当接する（図５及び図６参照）。

【0030】

嵌合凹部１１ａ４は、開閉体厚さ方向の一方側の内面１１ａ４１と該内面に対向して間隔を置いた他方側の内面１１ａ４２とを有し、これら内面間の下方を底部とした縦断面有底筒状に形成される。

【0031】

一方側の内面１１ａ４１は、本体片部１１ａ１の一部分である。すなわち、この内面１１ａ４１は、本体片部１１ａ１により形成される。
また、他方側の内面１１ａ４２は、被接続部１１ａ３の一部分である。すなわち、この内面１１ａ４２は、被接続部１１ａ３により形成される。

【0032】

嵌合凹部１１ａ４の内部は、下方へ行くにしたがって開閉体厚さ方向の幅が徐々に広くなっている（図３参照）。
この嵌合凹部１１ａ４には、開閉体１０が巻重ねられた際の内面と外面の間に位置するように緩衝材３０が装着される。

【0033】

緩衝材３０は、ガイドレール２０よりも開閉体幅方向内側において、開閉体１０の各スラット１１ａにおける横幅方向の中央寄りに部分的に配設される（図１及び図２参照）。
この緩衝材３０は、上下の接続部１１ａ２と被接続部１１ａ３の間で弾性変形するように配設され、そして、緩衝材３０は、開閉体厚さ方向において、接続部１１ａ２及び被接続部１１ａ３よりも反本体片部１１ａ１側へ突出している（図３参照）。

【0034】

この緩衝材３０は、嵌合凹部１１ａ４に嵌り合って固定される被固定部３１と、この被固定部３１から反本体片部１１ａ１側（図３によれば左側）へ突出して巻き重ねられた際の開閉体１０の間に挟まれて弾性変形する変形部３２とを一体的に具備し、被固定部３１を変形部３２よりも硬質な材料により形成し、変形部３２を合成樹脂材料により形成している。

【0035】

これら被固定部３１と変形部３２を接続する手段は、例えば、変形部３２の成形時に被固定部３１を一体化する態様や、被固定部３１に対し変形部３２を嵌合固定した態様、被固定部３１に対し変形部３２を接着した態様、被固定部３１に対し変形部３２をネジやリベット等により止着した態様等とすればよい。

【0036】

被固定部３１は、略帯状の金属板をプレス加工や曲げ加工等することで、嵌合凹部１１ａ４に嵌り合う曲げ形状に形成される。
詳細に説明すれば、この被固定部３１は、スラット１１ａの本体片部１１ａ１に沿って下方へ延設された平板部３１ａと、この平板部３１ａの下端側を曲げて当接部１１ａ３１へ向かって斜め上方へ延設してなる傾斜片部３１ｂ（第二の突片部）とを有し、縦断面略Ｖ字状に形成される（図３参照）。
この被固定部３１は、平板部３１ａと傾斜片部３１ｂの間を拡げようとする弾性的な復元力を保持している。

【0037】

この被固定部３１の材質は、弾性的に撓み変形可能であって且つ耐食性の高い金属材料が好ましく、例えばステンレス製の板材（ばね用ステンレス鋼帯）等とする。

【0038】

平板部３１ａには、その中央側部分に凹状の切り込みを入れてその内側を本体片部１１ａ１側へ曲げてなる第一の突片部３１ａ１が設けられる。この第一の突片部３１ａ１は、本体片部１１ａ１へ向かう斜め上方へ延設され、その突端のエッジ状部分（対向部分）を、嵌合凹部１１ａ４における一方側の内面１１ａ４１（本体片部１１ａ１）に圧接する。

【0039】

傾斜片部３１ｂは、当接部１１ａ３１へ向かって斜め上方へ突出する第二の突片部である。この傾斜片部３１ｂ（第二の突片部）は、その突端のエッジ状部分を、嵌合凹部１１ａ４における他方の内面１１ａ４２（被接続部１１ａ３）に圧接する。内面１１ａ４２は、本体片部１１ａ１へ向かって斜め上方へ傾斜しており、この傾斜面により前記エッジ状部分を受ける（図３参照）。

【0040】

変形部３２は、弾性を有する合成樹脂材料により形成され、開閉体１０が巻き重ねられた際に、スラット１１ａの本体片部１１ａ１に当接して弾性変形する。
すなわち、この変形部３２は、開閉体１０が巻き重ねられていない状態では、少なくともその一部が、被接続部１１ａ３及び接続部１１ａ２よりも開閉体厚さ方向の一方（図示例によれば反本体片部１１ａ１側）へ突出している。
変形部３２は、弾性的に撓むことが可能であって且つ弾性的に圧縮変形可能な材料から形成され本実施の形態の好ましい一例によれば、ポリ塩化ビニルを用いている。他例としては、ゴムや他のエラストマー樹脂等の弾性樹脂材料とすることが可能である。

【0041】

図示例の変形部３２は、本体片部１１ａ１側から被接続部１１ａ３側へ向かうように、開閉体厚さ方向へ突出し、その突端側を開閉体開閉方向へ延設した形状である（図３参照）。
詳細に説明すれば、この変形部３２は、被接続部１１ａ３の上面に接触又は近接する突出片部３２ａと、この突出片部３２ａの突端側で曲げられて被接続部１１ａ３から離れる方向（図示例によれば上方）へ延設された凸曲面状（図示例によれば縦断面略円弧状）の当接片部３２ｂと、突出片部３２ａの基端側で曲げられて上方へ延設された平板状の基片部３２ｃとを一体に有する。

【0042】

この変形部３２は、変形部３２を本体片部１１ａ１側へ撓ませるように形成され、その撓み方向側における突出片部３２ａの内面に、開閉体幅方向へ延設された凹溝３２ａ１を有する。この凹溝３２ａ１は、図示例によれば縦断面略半円状に形成され、開閉体厚さ方向に適宜間隔を置いて複数設けられる（図３参照）。

【0043】

ガイドレール２０は、開閉体１０の左右両側にそれぞれ設けられる。
各ガイドレール２０は、開閉体１０の幅方向の端部側を、開口部に挿入し横断面凹状に囲むようにして、当接対象部位Ｇと収納部４０の間にわたって上下方向へ連続している。このガイドレール２０内には、必要に応じて、多光軸センサ等の障害物感知センサが設けられる。

【0044】

また、収納部４０は、図１に示すように、開閉体１０を出没させるための開口部を下部に形成した収納ケース４１内に、開閉体１０を巻き取ったり繰出したりする巻取軸４２と、該巻取軸４２をチェーン及びスプロケット等の動力伝達機構を介して駆動回転したり制動したりする開閉機４３と、図示しない制御回路とを備える。

【0045】

巻取軸４２は、その軸方向を開閉体幅方向へ向けた円筒状に形成され、外周面に、開閉体１０の上端部を接続している。そして、この巻取軸４２は、一方向へ回転することで、外周面に開閉体１０を巻き重ねてゆき（図５及び図６参照）、逆方向へ回転することで、同開閉体１０を下方へ繰出してゆく。

【0046】

次に、上記構成の開閉装置１について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
開閉体１０が巻取軸４２に巻き取られると、図５に示すように、先ず径方向の最も内側になるスラット１１ａの内面が、巻取軸４２の外周面に当接する。
詳細に説明すれば、各スラット１１ａの緩衝材３０が巻取軸４２の外周面に当接して弾性的に徐々に撓んだ後、被接続部１１ａ３の当接部１１ａ３１が巻取軸４２の外周面に当接する。

【0047】

次に、内側の開閉体１０に対し、その外側の開閉体１０が巻き重ねられる際は、先ず外側のスラット１１ａの緩衝材３０が、内側のスラット１１ａの外面に当接する（図５参照）。この時点では、被接続部１１ａ３の当接部１１ａ３１と内側のスラット１１ａの間には隙間Ｓを有する。
この後、緩衝材３０が弾性的に徐々に撓む。この際、緩衝材３０は、各凹溝３２ａ１の溝幅を徐々に狭めるようにして柔軟に撓む。そして、このような撓み変形の後、被接続部１１ａ３の当接部１１ａ３１が内側のスラット１１ａの外面に当接する。
また、開閉体１０が巻取軸４２から繰り出されて閉鎖動作する際は、各緩衝材３０が元の状態に弾性的に復元する。

【0048】

前記したように、各スラット１１ａの内面が、その内側の巻取軸４２外周面又はスラット１１ａ表面に接触する際、先ず、緩衝材３０が当接して徐々に弾性的に撓み、この後で、被接続部１１ａ３の当接部１１ａ３１が巻取軸４２外周面又は内側のスラット１１ａにゆっくりと当接する。したがって、これら段階的な当接により、騒音や振動等の衝撃を軽減することができる。

【0049】

しかも、各緩衝材３０が接続部１１ａ２と被接続部１１ａ３の間に入り込むように撓み変形するため、開閉体１０の巻径の増大を抑制することができる。

【0050】

また、軟質の緩衝材３０がその内側の部材（巻取軸４２又はスラット１１ａ）を押圧する際の押圧力は、硬質の被接続部１１ａ３がその内側の部材に当接した後、略一定の低い押圧力に保たれる。このため、各スラット１１ａの外側の面に、傷や、緩衝材３０によるゴム跡、摩耗粉等が付いたりするのを軽減することができる。
したがって、緩衝材３０を、ガイドレール２０内に隠すように配置する必要がなく、幅方向において撓みの大きい開閉体１０の幅方向中央寄りに露出して、開閉体１０の巻重ね音等を効果的に低減することができる。

【0051】

特に上記実施態様では、緩衝材３０の内側に複数の凹溝３２ａ１を設けているため、緩衝材３０の変形可動域を比較的大きく確保することができる上、冬期等の低温時においても、変形部３２の弾力的な撓み特性を保持して、振動及び騒音を効果的に軽減することができる。
すなわち、本願発明者等は、緩衝材３０から凹溝３２ａ１を省いた場合、低温時に変形部３２の弾力性が失われて、変形した後の変形部３２が元の状態に復元し難くなるが、凹溝３２ａ１を有する緩衝材３０にでは、このようなことを低減することができる。

【0052】

また、金属製の被固定部３１における第一の突片部３１ａ１及び傾斜片部３１ｂ（第二の突片部）が、弾性復元力により、嵌合凹部１１ａ４の内面１１ａ４１，１１ａ４２に圧接されるため、緩衝材３０が安易に外れてしまうようなことを防ぐことができる。

【0053】

また、上記実施態様によれば、緩衝材３０が被接続部１１ａ３に接触又は近接するため、緩衝材３０の撓み変形の方向を安定させることができる。

【0054】

なお、上記実施態様によれば、特に好ましい一例として、変形部３２を上方へ延設したが、この変形部３２の他例としては、下方へ延設した態様とすることも可能である。

【0055】

＜変形例＞
次に、上記構成の変形例について説明する。
以下の変形例は、上記開閉装置１の構成の一部を変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、重複する詳細説明は省略する。

【0056】

図７に示す緩衝材３０’は、上記緩衝材３０について、突出片部３２ａから凹溝３２ａ１を省いたものである。
この緩衝材３０’を用いた開閉装置も、上記開閉装置１と略同様に、振動及び騒音を低減する効果や、開閉体１０面の傷防止効果等を有する。ただし、低温時の効果については、上記緩衝材３０を用いた開閉装置１の方が優れている。

【0057】

図８及び図９に示す緩衝材５０は、緩衝材３０のものと同様の被固定部３１と、この被固定部３１から反本体片部１１ａ１側（図９によれば左側）へ突出して巻き重ねられた際の開閉体１０の間に挟まれて弾性変形する変形部５２とを一体的に具備し、被固定部３１を金属材料により形成し、変形部５２を合成樹脂材料により形成している。被固定部３１と変形部５２を接続する手段は、上記緩衝材３０と同様である。

【0058】

変形部５２は、上記変形部３２と同様の合成樹脂材料により形成され、開閉体１０が巻き重ねられた際に、スラット１１ａの本体片部１１ａ１に当接して弾性変形する。
この変形部５２は、被固定部３１の上端に接続されスラット１１ａに沿って上方へ延設された基片部５２ａと、この基片部５２ａから反本体片部１１ａ１側へ突出した突出片部５２ｂと、突出片部５２ｂの突端側に接続された中空状の当接部５２ｃとを一体に有する。

【0059】

突出片部５２ｂは、当接部５２ｃ及び基片部５２ａよりも開閉体厚さ方向の厚みが薄く、開閉体幅方向に所定幅を有する板状に形成され、基片部５２ａから当接部５２ｃへ向かって斜め上方へ延設され、基片部５２ａと当接部５２ｃの間を縦断面括れ状に形成している（図９参照）。この括れ状部分（突出片部５２ｂ）は、当接部５２ｃを柔軟に首振り運動させる。
この突出片部５２ｂの基端側には、その撓み方向側（図示例によれば上側）の面に、開閉体幅方向へわたる凹溝５２ｂ１が形成される。

【0060】

当接部５２ｃは、突端側を凸曲面状（図示例によれば縦断面略円弧状）に形成した中空状の部位であり、開閉体幅方向へ筒状に延設される（図８参照）。
この当接部５２ｃを構成する周壁には、該周壁の撓み方向側となる内面に、開閉体幅方向へわたる凹溝５２ｃ１が設けられる。

【0061】

上記構成の緩衝材５０は、上記緩衝材３０と同様に、ガイドレール２０よりも開閉体幅方向内側において、開閉体１０の各スラット１１ａにおける横幅方向の中央寄りに部分的に配設される（図８参照）。

【0062】

よって、上記構成の緩衝材５０を開閉体１０に装着した開閉装置によれば、開閉体１０が開放動作により巻き重ねられる際に、緩衝材５０の突端側の当接部５２ｃが、巻取軸４２又は内側のスラット１１ａに当接する。
この当接の際、中空状の当接部５２ｃが周壁を凹ませるようにして弾性変形するとともに、突出片部５２ｂが上方へ撓む。また、当接部５２ｃは、本体片部１１ａ１との当接により、突出片部５２ｂ側を基点とした首振り運動をする。
そして、この後で、被接続部１１ａ３の当接部１１ａ３１がスラット１１ａ表面にゆっくりと当接する。したがって、これら段階的な当接により、騒音や振動等の衝撃を軽減することができる上、スラット１１ａ面に傷やゴム跡、摩耗粉等が付くのを防ぐことができる。
また、開閉体１０が閉鎖動作により巻取軸４２から繰り出される際は、緩衝材５０が元の形状に弾性的に復元する。
緩衝材５０の弾力的な撓み特性は、凹溝５２ｂ１，５２ｃ１等の構成により、低温時にも十分に保持される。

【0063】

このように、緩衝材３０を緩衝材５０に置換した開閉装置においても、緩衝材３０を具備した上記開閉装置１と略同等又は同等以上の作用効果を得ることができる。

【0064】

なお、上記実施態様によれば、被固定部３１を金属材料から形成したが、被固定部３１の他例としては、硬質合成樹脂材料等、変形部３２よりも硬質な材料により形成することが可能である。

【0065】

また、上記実施態様によれば、スラット１１ａにおける本体片部１１ａ１と被接続部１１ａ３の間に嵌合凹部１１ａ４を形成したが、他例としては、本体片部１１ａ１と接続部１１ａ２の間に略同様の嵌合凹部（図示せず）を形成し、この嵌合凹部に緩衝材を嵌合固定することも可能である。

【0066】

また、上記実施態様によれば、特に好ましい態様として、上記変形部を主に撓み変形するように構成したが、他例としては、上記変形部を、ほとんど撓むことなく弾性的に圧縮変形する構成とすることも可能である。

【0067】

また、上記実施態様によれば、前記緩衝材を各スラット１１ａの幅方向中央側に単数設けたが、他例としては、前記緩衝材を各スラット１１ａの幅方向に間隔を置いて複数設けた態様や、前記緩衝材を各スラット１１ａの略全長にわたる長尺状に設けた態様等とすることも可能である。

【0068】

また、上記実施態様によれば、上記変形部は、開閉体１０が巻き重ねられていない状態で、その一部が、被接続部１１ａ３及び接続部１１ａ２よりも開閉体厚さ方向の一方へ突出するようにしたが、他例としては、上記変形部を、被接続部１１ａ３又は接続部１１ａ２よりも開閉体厚さ方向の一方へ突出する構成とすることも可能である。
すなわち、上記緩衝材を被接続部１１ａ３寄りに設けた場合には、開閉体１０が巻き重ねられていない状態で、上記変形部の一部を被接続部１１ａ３よりも開閉体厚さ方向の一方へ突出させ、同変形部の一部を接続部１１ａ２よりも突出しないようにすることが可能である。
また、上記緩衝材を接続部１１ａ２寄りに設けた場合には、開閉体１０が巻き重ねられていない状態で、上記変形部の一部を、接続部１１ａ２よりも開閉体厚さ方向の一方へ突出させ、同変形部の一部を被接続部１１ａ３よりも突出しないようにすることが可能である。

【0069】

また、上記実施態様における緩衝材では、単数の上記被固定部に対し単数の上記変形部を接続したが、上記緩衝材の他例としては、上記被固定部と上記変形部のいずれか一方又は双方を、開閉体幅方向に複数設けた態様とすることも可能である。
すなわち、単数の上記被固定部に対し、開閉体幅方向に並ぶ複数の上記変形部を接続した態様や、開閉体幅方向に並ぶ複数の上記被固定部に対し、単数の上記変形部を接続した態様、開閉体幅方向に並ぶ複数の上記被固定部に対し、開閉体幅方向に並ぶ複数の上記変形部を接続した態様等とすることが可能である。
また、上記緩衝材は、単数又は複数の上記被固定部よりも、単数又は複数の上記変形部を開閉体幅方向へ長く設けた態様や、単数又は複数の上記被固定部よりも、単数又は複数の上記変形部を開閉体幅方向へ短く設けた態様等とすることが可能である。

【0070】

また、上記実施態様によれば、上記緩衝材を所定の複数のスラット１１ａにそれぞれ設けたが、他例としては、上記緩衝材を所定数置きのスラット１１ａに設けた態様や、全数のスラット１１ａに設けた態様、図示例以外の任意のスラット１１ａに設けた態様等とすることが可能である。

【0071】

また、上記実施態様は、単数の巻取軸４２を備える一軸式の開閉装置１に対し、本発明を適用したが、本発明は、開閉体１０を第一の軸体により開閉方向に対する交差方向へ導いた後に第二の軸体（巻取軸）に巻き取るようにした二軸式の開閉装置等、複数軸式の開閉装置に適用することも可能である。

【0072】

また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。

【符号の説明】

【0073】

１：開閉装置
１０：開閉体
１１ａ：スラット
１１ａ１：本体片部
１１ａ２：接続部
１１ａ３：被接続部
１１ａ４：嵌合凹部
１１ａ４１，１１ａ４２：内面
２０：ガイドレール
３０：緩衝材
３１：被固定部
３１ａ：平板部
３１ａ１：第一の突片部
３１ｂ：傾斜片部（第二の突片部）
３２：変形部
３２ａ：突出片部
３２ａ１：凹溝
３２ｂ：当接片部
３２ｃ：基片部
５０：緩衝材
５２：変形部
５２ａ：基片部
５２ｂ１：凹溝
５２ｃ：当接部
５２ｃ１：凹溝

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】