(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022053268
(43)【公開日】2022-04-05
(54)【発明の名称】ヘッジトリマー
(51)【国際特許分類】
A01G 3/04 20060101AFI20220329BHJP
A01G 3/053 20060101ALI20220329BHJP
A01D 34/13 20060101ALI20220329BHJP
A01D 34/37 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
A01G3/04 501C
A01G3/053
A01D34/13 C
A01D34/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160010
(22)【出願日】2020-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 久夫
(72)【発明者】
【氏名】清水 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】河野 徹
【テーマコード(参考)】
2B382
【Fターム(参考)】
2B382GA02
2B382HC03
2B382HH04
2B382HH13
2B382HH24
2B382HH50
(57)【要約】
【課題】太い枝を剪定した場合など、電動モータに対する負荷が大きい場合にブレードの駆動が停止するという問題を抑えることができるヘッジトリマーを提供する。
【解決手段】ヘッジトリマー1であって、電動モータ50の前方に配置されたブレード20と、電動モータ50が収容された本体ケース10と、を備えている。電動モータ50は、コイル51aを有するステータ51と、ステータ51の外周を囲んでいる周壁部52aに磁石52cが設けられたアウターロータ52と、を備えている。アウターロータ52は、ステータ51に回転自在に支持されるとともに、駆動伝達機構60を介してブレード20に連結されており、アウターロータ52の回転によりブレード20が往復動するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、
前記電動モータの前方に配置されたブレードと、
前記電動モータが収容された本体ケースと、を備え、
前記電動モータは、
コイルを有するステータと、
前記ステータの外周を囲んでいる周壁部が形成され、前記周壁部に磁石が設けられたアウターロータと、を備え、
前記アウターロータは、前記ステータに回転自在に支持されるとともに、駆動伝達機構を介して前記ブレードに連結されており、
前記アウターロータの回転により、前記ブレードが往復動することを特徴とするヘッジトリマー。
【請求項2】
前記ヘッジトリマーは、手持式であることを特徴とする請求項1に記載のヘッジトリマー。
【請求項3】
請求項1または2に記載のヘッジトリマーであって、
前記ブレードには、前後方向に延びている部位が形成され、
前記アウターロータの回転軸線は、前後方向に直交する方向に延びており、
前記アウターロータは、回転軸線方向の長さに対して前記回転軸線方向に直交する方向の長さの比率が1以上となるように形成されていることを特徴とするヘッジトリマー。
【請求項4】
請求項2または3に記載のヘッジトリマーであって、
前記本体ケースの前方には、前ハンドルが設けられるとともに、
前記本体ケースの後方には、後ハンドルが設けられており、
前記本体ケースの前方で、前記アウターロータの回転軸線方向の一方側または他方側には、前記ブレードが取り付けられており、
前記電動モータは、前記前ハンドルの前端と、前記後ハンドルの把持部の前端との間で、前記ブレードの前後方向への仮想延長領域よりも前記本体ケースの内側となる領域に配置されていることを特徴とするヘッジトリマー。
【請求項5】
請求項4に記載のヘッジトリマーであって、
前記アウターロータの回転軸線の他方側には、前記ブレードが取り付けられており、
前記本体ケースにおいて、前記アウターロータの回転軸線の一方側の外面は、後部から前部に向かうに連れて前記アウターロータの回転軸線方向の他方側に向けて傾斜していることを特徴とするヘッジトリマー。
【請求項6】
請求項4または5に記載のヘッジトリマーであって、
前記アウターロータの回転軸線方向の一方側となる部位には、バッテリを取り付けるためのバッテリ取付部が形成されていることを特徴とするヘッジトリマー。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のヘッジトリマーであって、
前記アウターロータは鉄製であることを特徴とするヘッジトリマー。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のヘッジトリマーであって、
前記アウターロータには、前記ブレードの後端部に連結され、
前記ブレードは、前記電動モータに対して前方に向けて延びており、前後方向に往復動することを特徴とするヘッジトリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッジトリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
生垣や植木の刈り込みや剪定に用いられるヘッジトリマー(刈込機)としては、インナーロータ型の電動モータを用いてブレードを往復動させているものがある(例えば、特許文献1参照)。
インナーロータ型の電動モータは、コイルを有するステータと、ステータに挿通され、磁石が設けられたインナーロータと、を備え、インナーロータがステータに回転自在に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘッジトリマーでトリミング作業中に、作業者が意図することなく、他の枝に比べて太い枝にブレードが当たると、電動モータの出力が足らずに、ブレードが停止する場合がある。従来のヘッジトリマーにおいて、ブレードを停止し難くするには、出力の大きい電動モータにすればよいが、電動モータが大きくて重くなり、消費電力も増加してしまう。別の方法としては、電動モータとブレードとの間のギア比を大きくする方法があるが、ブレードの駆動速度が低下するため、枝の切れ具合が低下すると同時に、ギアが大きくなり駆動機構が大きくて重くなる。このように、従来のインナーロータ型の電動モータを備えたヘッジトリマーで太い枝を剪定しようとすると、装置全体が大きくて重くなる。
【0005】
本発明は、太い枝を剪定した場合など、電動モータに対する負荷が大きい場合にブレードの駆動が停止するという問題を抑えることができるヘッジトリマーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、ヘッジトリマーであって、電動モータと、前記電動モータの前方に配置されたブレードと、前記電動モータが収容された本体ケースと、を備えている。前記電動モータは、コイルを有するステータと、前記ステータの外周を囲んでいる周壁部が形成され、前記周壁部に磁石が設けられたアウターロータと、を備えている。前記アウターロータは、前記ステータに回転自在に支持されるとともに、駆動伝達機構を介して前記ブレードに連結されている。前記アウターロータの回転により、前記ブレードが往復動する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のヘッジトリマーでは、インナーロータ型の電動モータと同じ回転速度でも大きい回転エネルギーが蓄積できるアウターロータ型の電動モータを採用することにより、太い枝を剪定した場合など、電動モータが過負荷となり、一瞬で電動モータの回転速度が低下した場合でも、アウターロータに蓄積された回転エネルギーによって大きなトルクを発生させることで、太い枝を剪定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態の一例に係るヘッジトリマーを示した斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態の一例に係るヘッジトリマーを示した側面図である。
【
図3】本発明の実施形態の一例に係るヘッジトリマーを示した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の一例について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、上下前後左右方向とは、本実施形態のヘッジトリマーを説明する上で便宜上設定したものであり、ヘッジトリマーの構成や使用状態を限定するものではない。
【0010】
本実施形態のヘッジトリマー1は、
図1に示すように、生垣や植木の刈り込みや剪定に用いられる手持式の小型切断作業機であり、バッテリ100を装着して電動で駆動する。
ヘッジトリマー1は、
図2に示すように、電動モータ50と、電動モータ50の前方に配置されたブレード20と、電動モータ50が収容された本体ケース10と、を備えている。
【0011】
本体ケース10は、樹脂製の箱体であり、上面が下面に対して傾斜している。本体ケース10の上面は、後側から前側に向かうに連れて下がるように傾斜している。つまり、本体ケース10は、後部よりも前部が低く形成されている。そして、本体ケース10は、側面視で略三角形に形成されている。
【0012】
本体ケース10の上面には、バッテリ100を取り付けるためのバッテリ取付部15が設けられている。バッテリ取付部15は、本体ケース10の上面に合わせて、後部から前部に向かうに連れて下がるように傾斜している。
【0013】
バッテリ100は、公知のバッテリであり、前後方向に延びている直方体のケースにリチウムイオン蓄電池などの二次電池を収容したものである。
バッテリ100の下面の後端部には、
図3に示すように、バッテリ取付部15に係合する係合部110が突出している。
【0014】
バッテリ取付部15にバッテリ100を取り付けるときには、バッテリ100をバッテリ取付部15に対して後側から前方に向けてスライドさせながら、バッテリ100の下部をバッテリ取付部15に嵌め合わせる。そして、バッテリ100の前端部がバッテリ取付部15の前端部に支持される位置まで移動すると、バッテリ100の係合部110がバッテリ取付部15に係合して、バッテリ100がバッテリ取付部15に固定される。
【0015】
バッテリ取付部15に取り付けられたバッテリ100は、後側から前側に向かうに連れて下がるように傾斜し、後部よりも前部が低く配置される。
【0016】
バッテリ取付部15の上面には、金属製の接続端子(図示せず)が設けられている。接続端子は、制御基板(図示せず)や電動モータ50に電気的に接続されている。そして、バッテリ取付部15の接続端子にバッテリ100の接続端子が接続されることで、バッテリ100から制御基板や電動モータ50に電力が供給される。
【0017】
バッテリ取付部15からバッテリ100を取り外すときには、バッテリ100の後端部に設けられた連結用レバー120を引き上げると、バッテリ取付部15と係合部110との係合状態が解除され、バッテリ100をバッテリ取付部15に対して後方に向けてスライド可能となる。
【0018】
本体ケース10の前方には、
図1に示すように、前ハンドル30が設けられている。前ハンドル30は、バッテリ取付部15に取り付けられたバッテリ100の前方に配置される。
前ハンドル30は、左右方向に延びている横部の左右の端部から下方に延びている左右の縦部が形成されており、両縦部の下端部が本体ケース10の前端部に固定されている。
【0019】
本体ケース10の後方には、後ハンドル40が設けられている。後ハンドル40には、本体ケース10の後部に連結された連結部41と、左右方向に貫通した開口部が形成された把持部42と、が形成されている。作業者がヘッジトリマー1を持つときには、把持部42の開口部に手を差し入れて後ハンドル40を把持する。
後ハンドル40の連結部41は、
図3に示すように、本体ケース10の後面に対して、前後方向の軸回りに回動自在に連結されている。これにより、本体ケース10に対して後ハンドル40全体が前後方向の軸回りに回動自在となっている。
【0020】
後ハンドル40の把持部42の内周部には、
図1に示すように、作業者が把持した状態で、ブレード20を駆動させるための操作手段であるトリガーレバー43が設けられている。また、把持部42の上面には、トリガーレバー43のロックを解除するロック解除レバー44が設けられているとともに、電源スイッチ45が設けられている。
【0021】
ブレード20は、
図2に示すように、電動モータ50に対して前方に向けて直線状に延びており、本体ケース10の前端部から前方に向けて突出している。ブレード20は、金属製の上ブレード21および下ブレード22と、樹脂製のカバー23と、を備えている公知の切断器具である。
【0022】
上ブレード21と下ブレード22とは、上下に重ね合わされている。上ブレード21および下ブレード22には、
図1に示すように、左右方向に突出した複数の切断刃24が形成されている。カバー23は、作業者の手とブレード20との接触を防ぐための保護用の部材であり、上ブレード21の上面を覆っている。
【0023】
上ブレード21および下ブレード22の後端部は、
図3に示すように、本体ケース10内に挿入されている。上ブレード21および下ブレード22の後端部は、駆動伝達機構60を介して電動モータ50に連結されている。
【0024】
駆動伝達機構60は、ブレード駆動用ギヤ61と、ブレード駆動用ギヤ61に設けられた上下のカム62,62と、上下の可動プレート63,63と、を備えている。
ブレード駆動用ギヤ61は、円盤状の歯車であり、中心部から上下方向に支軸64が突出している。支軸64の上端部および下端部は、本体ケース10内に設けられた上下の軸受65,65に回転自在に支持されている。つまり、ブレード駆動用ギヤ61は支軸64の軸回りに回転する。
【0025】
ブレード駆動用ギヤ61の上面および下面には、上下のカム62,62がそれぞれ突出している。カム62は、ブレード駆動用ギヤ61の回転中心に対して偏心した位置に設けられている。
【0026】
上側の可動プレート63の後端部の開口部に上側のカム62が挿入され、上側の可動プレート63の先端部は上ブレード21の後端部に連結されている。
下側の可動プレート63の後端部の開口部に下側のカム62が挿入され、下側の可動プレート63の先端部は下ブレード22の後端部に連結されている。
【0027】
駆動伝達機構60では、ブレード駆動用ギヤ61の回転に伴って、上下のカム62,62が回転移動することで、上下の可動プレート63,63が前後方向に往復動し、上ブレード21および下ブレード22が相反して前後方向に往復動するように構成されている。
【0028】
電動モータ50は、ステータ51と、アウターロータ52と、出力軸53と、ベース部材54と、を備えている。
ステータ51には、複数のコイル51aが設けられている。ベース部材54の下端部は駆動伝達機構60のケース66に固定されている。
【0029】
出力軸53は、ベース部材54の内周面に設けられた軸受に挿通されている。これにより、出力軸53は、ベース部材54に回転自在に支持されている。
出力軸53は、ステータ51の内周面に設けられた軸受に挿通されている。これにより、出力軸53は、ステータ51に回転自在に支持されている。
出力軸53の下端部には、出力ギヤ53aが設けられている。出力ギヤ53aは、駆動伝達機構60のブレード駆動用ギヤ61に噛み合っている。
【0030】
アウターロータ52には、ステータ51および各コイル51aの外周を囲んでいる円筒状の周壁部52aと、周壁部52aの上面開口部を塞いでいる頂部52bと、が形成されている。本実施形態のアウターロータ52は鉄製であるが、本発明のアウターロータの材質は限定されるものではない。周壁部52aの内周面には、複数の磁石52cが取り付けられている。
【0031】
アウターロータ52の頂部52bの中心部には、出力軸53の上端部が連結されている。これにより、アウターロータ52は、ステータ51に回転自在に支持されており、出力軸53とアウターロータ52とが連動して回転する。
アウターロータ52および出力軸53の回転軸線L10は、ブレード20の延長方向(前後方向)に直交する上下方向に延びている。
【0032】
アウターロータ52は、回転軸線L10方向(上下方向)の長さよりも直径(横方向)が大きく形成されている。つまり、アウターロータ52は、横方向(回転軸線L10に直交する方向)から見たときに、高さよりも横幅が大きな偏平形状となるように形成されている。
【0033】
アウターロータ52は、ステータ51に回転自在に支持されるとともに、駆動伝達機構60を介してブレード20の後端部に連結されている。そして、バッテリ100からステータ51の各コイル51aに通電されると、アウターロータ52および出力軸53が回転し、この駆動力が駆動伝達機構60を介してブレード20に伝達されることで、上ブレード21および下ブレード22が前後方向に往復動する。
【0034】
本実施形態のヘッジトリマー1では、
図2に示すように、アウターロータ52の回転軸線L10方向の下側にブレード20が取り付けられている。そして、電動モータ50は、前ハンドル30の前端L20と、後ハンドル40の把持部42の前端L30との間で、ブレード20の前後方向への仮想延長領域の上端L40よりも本体ケース10の内側となる領域に配置されている。
【0035】
また、本実施形態のヘッジトリマー1では、
図3に示すように、アウターロータ52の回転軸線L10方向の上側となる部位にバッテリ取付部15が形成されるとともに、回転軸線L10方向の下側となる部位にブレード20が取り付けられている。そして、バッテリ取付部15と、ブレード20の前後方向への仮想延長領域の上端L40との間となる領域に、アウターロータ52が収容されている。
【0036】
以上のような本実施形態のヘッジトリマー1は、
図2に示すように、電動モータ50と、電動モータ50の前方に配置されたブレード20と、電動モータ50が収容された本体ケース10と、を備えている。電動モータ50は、
図3に示すように、コイル51aを有するステータ51と、ステータ51の外周を囲んでいる周壁部52aが形成され、周壁部52aに磁石52cが設けられたアウターロータ52と、を備えている。アウターロータ52は、ステータ51に回転自在に支持されるとともに、駆動伝達機構60を介してブレード20に連結されている。アウターロータ52の回転によりブレード20が往復動するように構成されている。
【0037】
本実施形態のヘッジトリマー1では、電動モータ50の出力以上の過負荷がブレード20に作用して一瞬で電動モータ50の回転速度が低下すると、アウターロータ52に蓄積された回転エネルギーによって、出力軸53に大きなトルクを発生するため、太い枝を剪定できる。このようにして、本実施形態のヘッジトリマー1が小型および軽量となる。
【0038】
手持式のヘッジトリマー1では、重量や大きさの関係で電動モータ50の出力が小さくなってしまうが、アウターロータ52の慣性力が付加されることで、ブレード20の切断能力を高めることができる。このように、小型で軽量な手持式の作業機に適している。ブレード20の角度(向き)を様々に変えて作業を行う際に、特に適している。
【0039】
本実施形態のヘッジトリマー1では、ブレード20に前後方向に延びている部位が形成されている。そして、アウターロータ52の回転軸線L10は、前後方向に直交する方向に延びている。また、アウターロータ52は、回転軸線L10方向の長さに対して回転軸線方向に直交する方向の長さ(本実施形態ではアウターロータ52の直径)の比率が1以上となるように形成されている。
このように、アウターロータ52を側面視で偏平形状に形成することで、電動モータ50を設置するためのスペースを上下方向に小さくできるため、ヘッジトリマー1を小型化できる。また、本体ケース10を上下方向に小さくして、バッテリ100を低く配置することで、ヘッジトリマー1の安定性を高めることができる。
また、このように、アウターロータ52を偏平形状に形成することで、アウターロータ52により大きな回転エネルギーを蓄積できる。
【0040】
本実施形態のヘッジトリマー1では、
図2に示すように、本体ケース10の前方に前ハンドル30が設けられるとともに、本体ケース10の後方に後ハンドル40が設けられている。また、本体ケース10の前方で、アウターロータ52の回転軸線L10方向の下側にブレード20が取り付けられている。そして、電動モータ50は、前ハンドル30の前端L20と、後ハンドル40の把持部42の前端L30との間で、ブレード20の前後方向への仮想延長領域の上端L40よりも本体ケース10の内側となる領域に配置されている。
【0041】
この構成では、前ハンドル30と後ハンドル40との間のスペースを有効に利用して電動モータ50を配置している。これにより、本体ケース10を小型化できる。
また、前ハンドル30と後ハンドル40との間に重量が大きな電動モータ50が配置されているため、ヘッジトリマー1の重量バランスが良い。したがって、作業者が前ハンドル30および後ハンドル40を持ってヘッジトリマー1を取り回し易いため、作業効率および作業精度を高めることができる。
特に、ヘッジトリマー1による樹木の剪定の仕上げ作業を行う際に作業者にとって、ヘッジトリマー1の重量バランスは作業性の重要な要素となる。また、アウターロータ52を側面視で偏平形状に形成した方が、さらにヘッジトリマー1の重量バランスが良くなり、また、作業者にとっては前ハンドル30を把持するためのスペースが大きくなるため、作業性が更に向上する。
【0042】
本実施形態のヘッジトリマー1では、アウターロータ52の回転軸線L10の下側にブレード20が取り付けられている。そして、本体ケース10において、アウターロータ52の回転軸線L10の上側となる上面は、後部から前部に向かうに連れてアウターロータ52の回転軸線L10方向の下側に向けて傾斜している。これにより、本体ケース10が側面視で略三角形に形成されている。
【0043】
この構成では、本体ケース10内に電動モータ50を収容可能なスペースを確保しつつ、本体ケース10を小型化できる。また、作業者にとっては、前ハンドル30を把持するためのスペースが大きくなり、作業性がさらに向上する。また、アウターロータ52を側面視で偏平形状に形成した方が、前ハンドル30を把持するためのスペースが大きくなるため、作業性がさらに向上する。
【0044】
本実施形態のヘッジトリマー1では、
図2に示すように、アウターロータ52の回転軸線L10方向の上側となる部位にバッテリ取付部15が形成されている。
このように、バッテリ取付部15と、ブレード20の取付位置との間のスペースを有効に利用して電動モータ50を配置することで、本体ケース10を小型化できる。
また、本体ケース10にバッテリ100を取り付けたときに、前ハンドル30を把持するためのスペースを十分に確保することができるとともに、バッテリ100をバッテリ取付部15に対して後側から前側にスライドさせたり、前側から後側にスライドさせたりして、容易に脱着させることができる。また、本体ケース10を上下方向に小さくして、バッテリ100を低く配置することで、ヘッジトリマー1の安定性を高めることができる。
【0045】
本実施形態のアウターロータ52は、鉄製であり、同じ大きさのアルミニウム合金製やマグネシウム合金製のアウターロータよりも、質量が大きいため、アウターロータ52に蓄積される回転エネルギーが大きくなる。したがって、太い枝を剪定しようとして電動モータ50が過負荷となり、一瞬で電動モータ50の回転速度が低下したときに、電動モータ50に大きなトルクが発生して太い枝の剪定を可能となる。
また、鉄製のアウターロータ52に鉄製の出力軸53とすることで、回転エネルギーから発生する大きなトルクを確実に伝達することができる。
また、本実施形態のようにアウターロータ52が鉄製である場合には、鉄は回転エネルギーを蓄積する比重が大きい磁性体なので、磁石52cの磁路を形成するための鉄製のリングを周壁部52aに設ける必要がない。
【0046】
本実施形態のヘッジトリマー1では、アウターロータ52にブレード20の後端部に連結されている。ブレード20は、電動モータ50に対して前方に向けて延びており、前後方向に往復動する。このように、直線状のブレード20を有するヘッジトリマー1を小型化するとともに、ブレード20の切断能力を高めることができる。特に、ヘッジトリマー1による樹木の剪定の仕上げ作業を行う際に作業者にとって、ヘッジトリマー1の重量バランスは作業性の重要な要素となる。
【0047】
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態の電動モータ50では、
図3に示すように、アウターロータ52に連結された出力軸53が、駆動伝達機構60を介してブレード20に連結されているが、アウターロータ52の駆動力をブレード20に伝達する機構は限定されるものではない。
【0048】
本実施形態のヘッジトリマー1では、アウターロータ52よりも上側にバッテリ取付部15が形成され、下側にブレード20が取り付けられているが、バッテリ取付部15およびブレード20の配置は限定されるものではない。
【0049】
本実施形態のヘッジトリマー1のブレード20は、
図1に示すように、前方に向けて直線状に延びており、上ブレード21および下ブレード22が前後方向に往復動するように構成されているが、ブレードの構成は限定されるものではない。例えば、ブレードの一例としては、電動モータ50から前方に向けて延びている直線部の先端部に、左右方向に延びているブレードを設け、ブレードを左右方向に往復動させるように構成したT字形状のブレードを用いてもよい。
【0050】
本実施形態のヘッジトリマー1では、
図2に示すように、本体ケース10の上面およびバッテリ取付部15が後部から前部に向かうに連れて下方に向けて傾斜しているが、本体ケース10の上面およびバッテリ取付部15を傾斜させなくてもよい。
【0051】
本実施形態のヘッジトリマー1では、アウターロータ52が鉄製で円形であるが、アウターロータ52の材質や形状は限定されるものではない。
【0052】
本実施形態のヘッジトリマー1では、バッテリ100から制御基板や電動モータ50に電力が供給されているが、例えば、バッテリ100を用いることなく、電源コードによって外部電源から制御基板や電動モータ50に電力を供給してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 ヘッジトリマー
10 本体ケース
15 バッテリ取付部
20 ブレード
21 上ブレード
22 下ブレード
23 カバー
24 切断刃
30 前ハンドル
40 後ハンドル
41 連結部
42 把持部
50 電動モータ
51 ステータ
51a コイル
52 アウターロータ
52a 周壁部
52b 頂部
52c 磁石
53 出力軸
53a 出力ギヤ
54 ベース部材
60 駆動伝達機構
61 ブレード駆動用ギヤ
62 カム
63 可動プレート
64 支軸
65 軸受
100 バッテリ
110 係合部
120 連結用レバー
L10 回転軸線