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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022054912
(43)【公開日】2022-04-07
(54)【発明の名称】ゴムシート製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/72 20060101AFI20220331BHJP
   B29B 11/10 20060101ALI20220331BHJP
   B29D 30/52 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
B29D30/72
B29B11/10
B29D30/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162175
(22)【出願日】2020-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】氏家 義人
【テーマコード(参考)】
4F201
4F215
【Fターム(参考)】
4F201AA45
4F201AH20
4F201BA03
4F201BD08
4F201BM06
4F201BM20
4F215AH20
4F215AP05
4F215AR08
4F215AR09
4F215VA11
4F215VD03
4F215VD09
4F215VL01
4F215VL32
4F215VM04
4F215VM06
4F215VP28
4F215VQ01
4F215VQ08
4F215VR03
(57)【要約】
【課題】リールに巻回されるゴムシートの密着を抑制しうるゴムシート製造装置の提供。
【解決手段】ゴムシート製造装置4は、ゴムシート2を搬送しつつ冷却する冷却装置8、10、12と、ゴムシート2を巻き取るリール16と、ゴムシート2の巻き取り温度を測定する温度センサ18と、巻き取り温度に基づいて冷却装置8、10、12の搬送速度を制御する制御装置20とを備える。好ましくは、このゴムシート製造装置4は、ゴム材料からゴムシート2を押出し成形する押出機6を更に備える。制御装置20は、巻き取り温度に基づいて押出機6の押出し速度を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムシートを搬送しつつ冷却する冷却装置と、
前記ゴムシートを巻き取るリールと、
前記ゴムシートの巻き取り温度を測定する温度センサと、
前記巻き取り温度に基づいて前記冷却装置の搬送速度を制御する制御装置と
を備える、ゴムシート製造装置。
【請求項2】
ゴム材料から前記ゴムシートを押出し成形する押出機を更に備え、
前記制御装置が前記巻き取り温度に基づいて前記押出機の押出し速度を制御する、請求項1に記載のゴムシート製造装置。
【請求項3】
前記リールの外周面がメッキされた1又は2以上の処理面とメッキされていない非処理面とからなる請求項1又は2に記載のゴムシート製造装置。
【請求項4】
それぞれの前記処理面の周方向幅が30mm以上である、請求項3に記載のゴムシート製造装置。
【請求項5】
複数の前記処理面が、前記外周面の周方向に等間隔で形成されている、請求項3又は4に記載のゴムシート製造装置。
【請求項6】
前記外周面の周方向における、前記処理面の数が4以上12以下である、請求項5に記載のゴムシート製造装置。
【請求項7】
前記処理面が前記リールの軸方向に対して傾斜して延在する、請求項3から6のいずれかに記載のゴムシート製造装置。
【請求項8】
前記リールの外周面がメッキされた処理面からなる、請求項1又は2に記載のゴムシート製造装置。
【請求項9】
ゴム材料からゴムシートを押出し成形する押出機と、
前記ゴムシートを巻き取るリールと、
前記ゴムシートの巻き取り温度を測定する温度センサと、
前記巻き取り温度に基づいて前記押出機の押出し速度を制御する制御装置と
を備える、ゴムシート製造装置。
【請求項10】
(B)ゴムシートを搬送しつつ冷却する工程、
(C)前記ゴムシートをリールに巻き取る工程、
(D)前記リールに巻き取られた前記ゴムシートから切断されたゴムシート片を得る工程、
(E)前記ゴムシート片と他のゴム部材とを組み合わせてローカバーを得る工程
及び
(F)前記ローカバーを加圧及び加熱する工程
を含み、
前記工程(C)において、前記ゴムシートの巻き取り温度を測定し、
前記工程(B)において、前記巻き取り温度に基づいて、前記ゴムシートの搬送速度を調整する、タイヤの製造方法。
【請求項11】
(A)ゴム材料を押し出しゴムシートを形成する工程、
(C)前記ゴムシートをリールに巻き取る工程、
(D)前記リールに巻き取られた前記ゴムシートから切断されたゴムシート片を得る工程、
(E)前記ゴムシート片と他のゴム部材とを組み合わせてローカバーを得る工程
及び
(F)前記ローカバーを加圧及び加熱する工程
を含み、
前記工程(C)において、前記ゴムシートの巻き取り温度を測定し、
前記工程(A)において、前記巻き取り温度に基づいて、前記ゴム材料の押し出し速度を調整する、タイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムシート製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造方法において、長尺帯状のゴムシートが用いられる。このゴムシートが適切な長さに切断され、ゴムシートからゴムシート片が切り出される。このゴムシート片が他のゴム部材と組み合わされて、ローカバー(生タイヤ)が形成される。このローカバーが加圧及び加熱される。この様に、ゴムシートを用いて、タイヤが製造される。このゴムシートの一例のベースシートが、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-16023公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長尺帯状のゴムシートは、保管や運搬が必要となることがある。このゴムシートは、リールに巻回することで容易に保管され運搬されうる。リールに巻回されたゴムシートは、リールから繰り出されて用いられる。繰り出されたゴムシートが切断され、ゴムシートからゴムシート片が切り出される。
【0005】
このゴムシートは、未加硫ゴムからなり、粘着性が高い。リールに巻回されて積層状態にされたゴムシートでは、ゴムシートの接触部分で密着が生じ易い。特に、高温のゴムシートでは密着が生じ易い。密着したゴムシートは、リールから繰り出すときに剥がれ難い。この様なゴムシートを剥がすときに、ゴムシートは変形を生じ易い。変形したゴムシートは、得られるゴムシート片の形状精度を損なう。この様なゴムシート片は、ローカバーの形状精度を損なう。この様なローカバーから得られるタイヤでは、エアーインやベア等の不具合を生じ易い。
【0006】
本発明の目的は、リールに巻回されるゴムシートの密着を抑制しうるゴムシート製造装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るゴムシート製造装置は、ゴムシートを搬送しつつ冷却する冷却装置と、前記ゴムシートを巻き取るリールと、前記ゴムシートの巻き取り温度を測定する温度センサと、前記巻き取り温度に基づいて前記冷却装置の搬送速度を制御する制御装置とを備える。
【0008】
好ましくは、このゴムシート製造装置は、ゴム材料から前記ゴムシートを押出し成形する押出機を更に備える。前記制御装置が前記巻き取り温度に基づいて前記押出機の押出し速度を制御する。
【0009】
好ましくは、前記リールの外周面はメッキされた1又は2以上の処理面とメッキされていない非処理面とからなる。
【0010】
好ましくは、それぞれの前記処理面の周方向幅は30mm以上である。
【0011】
好ましくは、複数の前記処理面は、前記外周面の周方向に等間隔で形成されている。
【0012】
好ましくは、前記外周面の周方向における、前記処理面の数は、4以上12以下である。
【0013】
好ましくは、前記処理面は、前記リールの軸方向に対して傾斜して延在する。
【0014】
好ましくは、前記リールの外周面は、メッキされた処理面からなる。
【0015】
本発明に係る他のゴムシート製造装置は、ゴム材料からゴムシートを押出し成形する押出機と、前記ゴムシートを巻き取るリールと、前記ゴムシートの巻き取り温度を測定する温度センサと、前記巻き取り温度に基づいて前記押出機の押出し速度を制御する制御装置とを備える。
【0016】
本発明に係るタイヤの製造方法は、
(B)ゴムシートを搬送しつつ冷却する工程、
(C)前記ゴムシートをリールに巻き取る工程、
(D)前記リールに巻き取られた前記ゴムシートから切断されたゴムシート片を得る工程、
(E)前記ゴムシート片と他のゴム部材とを組み合わせてローカバーを得る工程
及び
(F)前記ローカバーを加圧及び加熱する工程
を含む。
前記工程(C)において、前記ゴムシートの巻き取り温度を測定する。前記工程(B)において、前記巻き取り温度に基づいて、前記ゴムシートの搬送速度を調整する。
【0017】
本発明に係る他のタイヤの製造方法は、
(A)ゴム材料を押し出しゴムシートを形成する工程、
(C)前記ゴムシートをリールに巻き取る工程、
(D)前記リールに巻き取られた前記ゴムシートから切断されたゴムシート片を得る工程、
(E)前記ゴムシート片と他のゴム部材とを組み合わせてローカバーを得る工程
及び
(F)前記ローカバーを加圧及び加熱する工程
を含む。
前記工程(C)において、前記ゴムシートの巻き取り温度を測定する。前記工程(A)において、前記巻き取り温度に基づいて、前記ゴム材料の押し出し速度を調整する。
【発明の効果】
【0018】
このゴムシート製造装置では、ゴムシートの巻き取り温度が測定される。この製造装置は、この巻き取り温度に基づいて、ゴムシートの搬送速度及び押し出し速度の少なくとも一方を調整する。この製造装置は、リールに巻回されるゴムシートの温度をより正確に管理できる。これにより、巻回されるゴムシートが高温になることをより正確に抑制できる。リールに巻き取られるゴムシートの密着の発生が抑制される。また、このタイヤの製造方法は、このゴムシート製造装置と同様の効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るゴムシート製造装置が、ゴムシートと共に示された概念図である。
図2図2は、図1の製造装置のリールの斜視図である。
図3図3は、図2のリールの正面図である。
図4図4は、図3の線分IV-IVに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0021】
図1には、ゴムシート2と、ゴムシート製造装置4とが示されている。この製造装置4は、押出機6、第一冷却装置8、第二冷却装置10、第三冷却装置12、フェスツーン14、リール16、温度センサ18及び制御装置20を備える。この製造装置4は、更に、第一コンベア22、第二コンベア24、第三コンベア26、第四コンベア28及び第五コンベア30を備え、更に、複数のガイドローラ32(32A-32H)を備える。
【0022】
この製造装置4では、ゴムシート2の製造工程の上流から下流に向かって、押出機6、第一冷却装置8、第二冷却装置10、第三冷却装置12、フェスツーン14、リール16が、工程の順序に従って配置されている。
【0023】
押出機6は、押出機本体34及び圧延ロール36を備える。押出機本体34は、シリンダ34Aと、シリンダ34A内で回転可能に支持されるスクリュー34Bと、スクリュー34Bを回転駆動する駆動装置34Cと、シリンダ34Aに開口するホッパー34Dとを備える。
【0024】
圧延ロール36は、押出機本体34の下流に位置している。圧延ロール36は、一対のロール36Aを備える。それぞれのロール36Aは、互いに平行な軸線周りに回転可能である。一対のロール36Aは、その間に隙間を空けて並べられている。
【0025】
押出機本体34のホッパー34Dは、投入されたゴム材料をシリンダ34Aに案内する機能を備える。スクリュー34Bは、回転することで、シリンダ34A内のゴム材料を練りながらシリンダ34Aの吐出口に向かって送り、この吐出口から押し出す機能を備える。この押出機本体34はゴム材料から成形体38を押出し成形する機能を備える。圧延ロール36は、成形体38を一対のロール36Aで圧延し、成形体38から長尺帯状のゴムシート2を圧延成形する機能を備える。この押出機6は、ゴム材料から長尺帯状のゴムシート2を成形する機能を備える。
【0026】
なお、この押出機6は、圧延ロール36を備えなくてもよい。押出機6が吐出口から帯状のゴムシート2を押し出してもよい。
【0027】
第一冷却装置8は、図示されないが、ゴムシート2を搬送する搬送装置とゴムシート2を冷却する冷却装置とを備える。この搬送装置は、特に限定されないが、例えばベルトコンベアである。この冷却装置は、特に限定されないが、例えば、冷却水をゴムシート2に向かって噴射する装置である。この冷却装置は、ゴムシート2が冷却水の中を通される冷却水槽を備える装置であってもよい。第二冷却装置10及び第三冷却装置12も、図示されないが、第一冷却装置8と同様に、ゴムシート2を搬送する搬送装置とゴムシート2を冷却する冷却装置とを備える。なお、この製造装置4は、3台の冷却装置を備えるが、1台の冷却装置を備えてもよく、2台の冷却装置を備えてもよく、又は4台以上の冷却装置を備えてもよい。
【0028】
フェスツーン14は、リール16の巻き取り速度に対応する搬送速度でゴムシート2を送り出す機能を備える。フェスツーン14は、ゴムシート2を貯留する機能を備える。フェスツーン14は、第三冷却装置12の搬送速度とリール16の巻き取り速度との速度差を、ゴムシート2を貯留することで調整する。
【0029】
リール16は、ゴムシート2が巻回されることで、長尺帯状のゴムシート2が積層状態にされた巻回体にする機能を備える。ゴムシート2は、リール16に巻回されることで、容易に保管され、容易に運搬されうる。
【0030】
第一コンベア22及び第二コンベア24は、押出機6から第一冷却装置8に向かってゴムシート2を搬送する機能を備える。第三コンベア26は、第二冷却装置10から第三冷却装置12に向かってゴムシート2を搬送する機能を備える。第四コンベア28は、第三冷却装置12からフェスツーン14に向かってゴムシート2を搬送する機能を備える。第五コンベア30は、フェスツーン14からリール16に向かってゴムシート2を搬送する機能を備える。それぞれのガイドローラ32(32A-32H)は、搬送されるゴムシート2を案内する機能を備える。
【0031】
温度センサ18は、リール16と第五コンベア30との間に位置する。温度センサ18は、第五コンベア30がリール16に供給するゴムシート2の温度を測定する様に、配置されている。この温度センサ18は、ゴムシート2の巻き取り温度を測定する。
【0032】
この巻き取り温度は、リール16にゴムシート2を供給する装置からリール16に供給されるゴムシート2で、又はリール16に巻き取り中のゴムシート2で測定される温度である。ここでの第五コンベア30は例示であって、リール16にゴムシート2を供給する装置であればよい。また、温度センサ18は、リール16に巻き取り中のゴムシート2の温度を測定する様に、配置されてもよい。
【0033】
制御装置20は、温度センサ18からゴムシート2の巻き取り温度の信号を受信する機能を備える。制御装置20は、押出機6の駆動装置34Cを制御する機能を備える。制御装置20は、押出機6のスクリュー30Bの回転数を制御しうる。制御装置20は、押出機6の押出し速度を制御しうる。制御装置20は、第一冷却装置8、第二冷却装置10及び第三冷却装置12のそれぞれの搬送速度を制御する機能を備える。制御装置20は、温度センサ18から受信したゴムシート2の巻き取り温度に基づいて、押出機6の押出し速度と、第一冷却装置8、第二冷却装置10及び第三冷却装置12の搬送速度とを制御する機能を備える。
【0034】
図2に示される様に、リール16は、ゴムシート2が巻回される筒体40と筒体40の軸方向端に位置する一対の鍔42とを備える。一対の鍔42は、筒体40の半径方向外向きに延在する。
【0035】
図3に示される様に、筒体40の外周面40Aに、複数のメッキされた処理面44が形成されている。リール16の外周面16Aは、複数の処理面44と、メッキされていない非処理面としての外周面40Aとからなっている。それぞれの処理面44は所定の幅で形成され、リール16の軸線に対して傾斜して延在する。
【0036】
一点鎖線L1は、リール16の軸線に平行で、外周面40A上を通る直線を表している。一点鎖線L2は、処理面44の中心線を表している。両矢印θ1は、処理面44の傾斜角度を表している。傾斜角度θ1は、直線L1と中心線L2とのなす角度として測定される。このリール16では、処理面44は、リール16の軸方向一方端から他方端まで、傾斜角度θ1で傾斜している。
【0037】
図4は、リール16の軸線に垂直な断面が示されている。図4に示される様に、外周面16Aの周方向において、複数の処理面44が等間隔で形成されている。処理面44の数は8であるが、この数は例示あって特に限定されない。図4の両矢印W1は、処理面44の周方向幅を表している。この周方向幅W1は、外周面16Aの周方向に測定される。なお、図4では、説明の便宜上、処理面44は筒体40の外周面40Aから半径方向外向きに突出させて描かれているが、処理面44と外周面40Aとは滑らかな曲面の外周面16Aを形成している。
【0038】
この図1から図4を参照しつつ、本発明に係るタイヤの製造方法が説明される。
【0039】
図1の押出機本体34のホッパー34Dにゴム材料が投入される。ゴム材料はシリンダ34A内でスクリュー34Bによって練られつつ吐出口に向かって送られる。押出機本体34によって、ゴム材料から成形体38が押し出し成形される。成形体38は、圧延ロール36によって圧延され、成形体38からゴムシート2が形成される(STEP1)。
【0040】
このゴムシート2は、第一冷却装置8に搬送される。ゴムシート2は、第一冷却装置8によって、搬送されつつ冷却される(STEP2-1)。ゴムシート2は、第二冷却装置10に搬送される。ゴムシート2は、第二冷却装置10によって、搬送されつつ冷却される(STEP2-2)。ゴムシート2は、第三冷却装置12に搬送される。ゴムシート2は、第三冷却装置12によって、搬送されつつ冷却される(STEP2-3)。
【0041】
このゴムシート2は、フェスツーン14に搬送される。ゴムシート2は、フェスツーン14によって、搬送速度が調整される。ゴムシート2は、フェスツーン14によって、一時的に貯留される(STEP3)。
【0042】
ゴムシート2は、第五コンベア30によって、リール16に供給される。第五コンベア30とリール16との間で、温度センサ18によって、ゴムシート2の巻き取り温度が測定される。ゴムシート2が、リール16に巻き取られる(STEP4)。
【0043】
図示されないが、リール16に巻き取られたゴムシート2が、リール16から繰り出される。繰り出されたゴムシート2は、所定の長さで切断され、ゴムシート2からゴムシート片が切り出される(STEP5)。このゴムシート片と他のゴム部材とが組み合わされてローカバーが形成される(STEP6)。このローカバーがモールドに投入され、加圧及び加熱される。この様にしてローカバーからタイヤが得られる(STEP7)。
【0044】
この製造装置4では、工程(STEP4)において温度センサ18がゴムシート2の巻き取り温度を測定する。制御装置20は、巻き取り温度に基づいて、ゴムシート2の温度を調整する。この製造装置4は、押出機6と第一冷却装置8との間のゴムシート2の温度や第三冷却装置12とフェスツーン14との間のゴムシート2の温度に基づく場合に比べて、リール16に巻回されるゴムシート2の温度をより正確に管理できる。これにより、巻回されるゴムシート2が高温になることをより正確に抑制できる。巻回されるゴムシート2の温度を正確に管理することで、ゴムシート2の密着の発生が抑制され、得られるゴムシート片の変形を抑制しうる。
【0045】
この製造装置4では、工程(STEP2)において、巻き取り温度に基づいて、第一冷却装置8、第二冷却装置10及び第三冷却装置12の搬送速度が制御される。搬送速度を制御することで、冷却時間が調整される。冷却時間を調整することで、冷却温度を下げた場合に比べて、ゴムシート2の内部まで温度が調整されうる。
【0046】
この製造装置4では、工程(STEP1)において、巻き取り温度に基づいて、押出機6の押し出し速度が制御される。この製造装置4では、制御装置20が押出機6の駆動装置34Cを制御して、スクリュー34Bの回転数を調整する。この制御装置20は押し出し速度を制御することで、練られるゴム材料の発熱が抑制される。これにより、得られるゴムシート2の内部まで温度が調整されうる。
【0047】
この製造装置4では、押出機6の押し出し速度と、第一冷却装置8、第二冷却装置10及び第三冷却装置12の搬送速度とが調整されたが、これに限定されない。押出機6の押し出し速度だけが調整されてもよいし、第一冷却装置8、第二冷却装置10及び第三冷却装置12の搬送速度だけが調整されてもよい。
【0048】
なお、押し出し速度や搬送速度を調整することによって生じる装置間の搬送速度差は、例えば、フェスツーン14の様なゴムシート2の一時的貯留装置を介在させることで調整しうる。
【0049】
この製造装置4は、図示されないが、速度警報装置を備えてもよい。この場合、制御装置20は、制御される押し出し速度や搬送速度が予め設定された下限値を下回るときに、速度警報装置に警報信号を送信する。警報信号を受信した速度警報装置は、警報音や警報灯で作業者に搬送速度異常を知られる。これにより、作業者は、製造装置4の搬送速度異常に対処しうる。
【0050】
このリール16の外周面16Aにメッキされた処理面44が形成されている。メッキされた処理面44は、長期に亘り、低い表面粗さを維持し、防錆効果を発揮しうる。処理面44によって、外周面16Aとゴムシート2との密着が抑制される。処理面44は、外周面16Aからゴムシート2を剥がれ易くしうる。この外周面16Aは、メッキされた処理面44とメッキされていない外周面40Aとからなるが、外周面16Aの全体が処理面44からなってもよい。
【0051】
面粗度の小さい処理面44は、外周面16Aとゴムシート2との密着を抑制する。この観点から、処理面44の面粗度は、好ましくは1.0Ra以下であり、更に好ましくは0.7Ra以下であり、特に好ましくは0.5Ra以下である。この面粗度は、JIS B 0601:1994に基づいて測定される。
【0052】
処理面44は、非処理面である外周面40Aより硬い。この処理面44は、長期に亘り、その表面状態を維持しうる。この観点から、処理面44の硬度は、好ましくはビッカース硬度で800Hv以上である。この硬度は、JIS Z2244:2209に基づいて測定される。また、硬度と防錆効果との観点から、この処理面44のメッキとして、硬質クロムメッキが好ましい。
【0053】
この製造装置4では、外周面16Aがメッキされた処理面44とメッキされていない非処理面としての外周面40Aとからなる。処理面44と外周面40Aとを備えることで、外周面16Aとゴムシート2との滑りが抑制される。巻回されるゴムシート2の緩みが抑制される。この観点から、外周面16Aは、1又は2以上の処理面44と非処理面としての外周面40Aとからなることが好ましい。
【0054】
ゴムシート2を外周面16Aから剥がれ易くする観点から、それぞれの処理面44の周方向幅W1は、好ましくは30mm以上であり、更に好ましくは40mm以上あり、特に好ましくは50mm以上である。
【0055】
一方で、巻回されたゴムシート2の緩みを抑制する観点から、それぞれの処理面44の間隔は、好ましくは30mm以上であり、更に好ましくは40mm以上あり、特に好ましくは50mm以上である。
【0056】
外周面16Aの全周に亘り、均一に、ゴムシート2を剥がれ易くする観点から、複数の処理面44は、外周面16Aの周方向に等間隔で形成されることが好ましい。
【0057】
外周面16Aの全周に亘り、より均一に、ゴムシート2を剥がれ易くする観点から、外周面16Aの周方向における、処理面44の数は、好ましくは4以上であり、更に好ましくは6以上ある。一方で、それぞれの処理面44の間隔を空けてゴムシート2の緩みを抑制する観点から、処理面44の数は、好ましくは12以下であり、更に好ましくは10以下ある。
【0058】
外周面16Aの全周に亘り、より均一にゴムシート2を剥がれ易くする観点から、このリール16の様に、処理面44は、リール16の軸方向に対して傾斜して延在することが好ましい。この傾斜角度θ1は、特に限定されない。しかしながら、傾斜角度θ1が90°に近づくと形状に偏りがある材料が剥がれ難いことがある。この観点から、傾斜角度θ1は、好ましくは60°以下である。また、傾斜角度θ1が0°に近づくとフラットな形状の材料が剥がれ難い。この観点から、傾斜角度θ1は、好ましくは30°以上である。
【0059】
このタイヤの製造方法では、制御装置20は、工程(STEP4)で測定される巻き取り温度に基づいて、第一冷却装置8、第二冷却装置10及び第三冷却装置12の搬送速度を調整する。制御装置20は、巻き取り温度の許容範囲を記憶している。ゴムシート2の巻き取り温度が許容範囲を超えているとき、工程(STEP2)において、制御装置20は、第一冷却装置8、第二冷却装置10及び第三冷却装置12の搬送速度を下げる。制御装置20が、ゴムシート2の冷却時間を長くする。これにより、ゴムシート2の温度が下げられる。
【0060】
このタイヤの製造方法では、冷却時間を長くすることで、ゴムシート2の内部まで温度が調整され易い。この製造方法は、特に厚いゴムシート2の温度調整に適している。例えば、トレッドに用いられるトレッド部材やサイドウォールに用いられるサイドウォール部材であるゴムシート片の厚さは厚い。厚いゴムシート片は、厚いゴムシート2から切り出される。この製造方法は、厚いゴムシート2の製造に適している。この観点から、この製造方法は、厚さ5mm以上のゴムシート2の製造に適している。
【0061】
このタイヤの製造方法では、制御装置20は、工程(STEP4)で測定される巻き取り温度に基づいて、押出機6の押し出し速度を調整する。ゴムシート2の巻き取り温度が許容範囲を超えているとき、工程(STEP1)において、制御装置20は、押出機6の押し出し速度を下げる。制御装置20が押出機6の駆動装置34Cを制御して、スクリュー34Bの回転数を下げる。これにより、練られるゴム材料の温度上昇が抑制される。
【0062】
この製造方法は、ゴム材料の発熱を調整することで、得られるゴムシート2の内部まで温度を調整しうる。この製造方法は、特に厚いゴムシート2の温度調整に適している。この製造方法は、例えば、トレッド部材やサイドウォール部材の様に厚いゴムシート片が得られるゴムシート2の製造に適している。この観点から、この製造方法は、厚さ5mm以上のゴムシート2の製造に適している。
【0063】
図示されないが、この製造装置4は、シート貼付装置を備えてもよい。シート貼付装置は、押出機6と第一冷却装置8との間に配置される。シート貼付装置は、薄い長尺帯状のフイルムシートを、ゴムシート2の表面に貼付ける。フイルムシートの材料は、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)が例示される。ゴムシート2の表面がフイルムシートで覆われることで、異物の付着が防止され、ゴムシート2の密着が抑制されうる。
【0064】
ゴムシート2がフイルムシートと共にリール16に巻き取られる場合にも、フイルムシートとゴムシート2とが密着することがある。フイルムシートをゴムシート2から剥がすときに、ゴムシート2の変形が生じうる。この製造装置4は、シート貼付け装置の有無にかかわらず、リール16に巻き取られるゴムシート2の密着の発生が抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明された方法は、タイヤの製造に用いられるゴムシートの製造方法に広く適用されうる。
【符号の説明】
【0066】
2・・・ゴムシート
4・・・ゴムシート製造装置
6・・・押出機
8・・・第一冷却装置
10・・・第二冷却装置
12・・・第三冷却装置
16・・・リール
16A・・・外周面
18・・・温度センサ
20・・・制御装置
40A・・・外周面(非処理面)
44・・・処理面
図1
図2
図3
図4